(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】注文ピッキング用の移動自律ロボット及び注文ピッキング方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20230726BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20230726BHJP
G06Q 10/08 20230101ALI20230726BHJP
【FI】
B65G1/00 501F
B65G1/137 E
G06Q10/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525119
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2021068944
(87)【国際公開番号】W WO2022008636
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010373
【氏名又は名称】アイフォロー
【氏名又は名称原語表記】iFollow
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【氏名又は名称】網屋 美湖
(72)【発明者】
【氏名】ジャックマール,ヴァンサン
(72)【発明者】
【氏名】メニゴス,ニコラ
【テーマコード(参考)】
3F022
3F522
5L049
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE00
3F022LL07
3F022LL14
3F022MM03
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3F022NN05
3F522AA02
3F522BB27
3F522BB35
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3F522JJ02
3F522LL57
5L049AA16
5L049CC51
(57)【要約】
本技術は、倉庫に保管される製品のための注文をピッキングするための移動自律ロボット(10)に関し、移動自律ロボット(10)は、ピッキングホルダと呼ばれる、製品のための少なくとも2つの可動注文ピッキングホルダ(3a、3b)を受容するための受容装置(2)と、移動自律ロボットに対して少なくとも2つのピッキングホルダの個々を保持するための独立保持手段(21a、21b)と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
倉庫に保管される製品の注文をピッキングするための自律移動ロボット(10)であって、
ピッキングホルダと呼ばれる、前記製品のための少なくとも2つの可動ピッキングホルダ(3a、3b)を受容するための装置(2)と、
前記自律移動ロボットに対して前記少なくとも2つのピッキングホルダの個々を保持するための独立手段(21a、21b)と、
を含むことを特徴とする、注文をピッキングするための自律移動ロボット(10)。
【請求項2】
前記受容装置は、前記ピッキングホルダに適応可能であることを特徴とする、請求項1に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項3】
前記受容装置は、取り外し可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項4】
前記受容装置は、前記ピッキングホルダに適応するための修正可能な構造体を有していることを特徴とする、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項5】
前記保持手段は、前記受容装置によって担持されることを特徴とする、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項6】
前記保持手段は、
・ 前記ピッキングホルダと協働する磁気システム、
・ 前記ピッキングホルダの保持突起又は舌部に対応する機械式システム、
・ 前記ピッキングホルダの一部と協働する機械式ロックシステム、
の形態であることを特徴とする、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項7】
前記受容装置は、前記ロボットに取り外し可能に固着される管状又は中実の構造体に対応していることを特徴とする、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項8】
前記可動ピッキングホルダのうちの少なくとも1つの中への少なくとも1つの製品の積載を検出するためのモジュールを含むことを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の注文をピッキングするための自律移動ロボット。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の、少なくとも1つの自律移動ロボット(10)によって倉庫に保管される製品のための注文を調製するための方法であって、
・ 注文ピッカによって、前記少なくとも1つの自律移動ロボット(10)によって担持される少なくとも1つの第1の可動製品ピッキングホルダ(3a)の中に第1の注文の少なくとも1つの製品(P1)を積載するステップ(41)と、
・ 注文ピッカによって、前記少なくとも1つの自律移動ロボット(10)によって担持される少なくとも1つの第2の可動製品ピッキングホルダ(3b)の中に第2の注文の少なくとも1つの製品(P2)を積載するステップ(42)と、
を含むことを特徴とする、注文を調製するための方法。
【請求項10】
前記自律移動ロボット(10)によって実施される、前記可動ピッキングホルダのうちの少なくとも1つの中への少なくとも1つの製品の積載を検出するステップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の、注文を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、とりわけ、発送されるべき製品を保管するために倉庫において注文をピッキングするためロジスティックスの分野である。
【0002】
本発明は、とりわけ、(「自律移動ロボットAMR(Autonomous Mobile robots)」と呼ばれる)自律ロボットを使った注文ピッキングのための支援に関し、より詳細には、注文ピッキングを最適化するためのそのような自律ロボットのピッキング能力に関する。
【背景技術】
【0003】
ロジスティックスの分野は、何年にもわたって絶え間なく発展している。とりわけ、注文ピッキングに関して、技術的及び科学技術的な発展が非常に多く、管理ソフトウエアからスマート保管ラックを介して製品コンベヤに及んでいる。
【0004】
ここでの関心事は、より具体的には、注文ピッキングであり、オペレータによって実施されて自律ロボットによって支援される。オペレータ及びロボットは、同じ作業スペースにおいて協働し、その目的は、最適な様式で、倉庫の注文管理システムによって受容される様々な注文をピッキングすることである。
【0005】
従来、オペレータは、倉庫の様々な場所において注文の様々な製品を取り上げること、及び、オペレータに同行する自律ロボットにそれらを積載すること、について責任がある。
【0006】
これを行うために、自律移動ロボット1は、
図1aに示されたように、例えば、オペレータによって積載された製品を受容するためのピッキングホルダ3を具備する。
【0007】
注文ピッキングの効率を上昇させる目的で、このピッキングホルダ3は、例えば、複数のセットの棚31、32(
図1b)を有することができ、従って、様々な注文のピッキングを可能にする。
【0008】
しかしながら、注文ピッキングの分野は、非常に競合的な分野であり、注文ピッキングの効率を改善するために解決策を連続して探求し、とりわけ、オペレータの及び自律移動ロボットの動きを縮小すること、並びに、ロジスティック連鎖のステップの個々を最適化すること、によってである。
【0009】
それ故に、新たなアプローチを提供する必要性が存在し、注文ピッキングの様々な制約にリアルタイムに適応でき、その一方で、システムの効率全体、即ち、オペレータ及びロボットの効率を最適化できる。
【発明の概要】
【0010】
本発明の提案する技術解決策は、システムの効率全体を最適化するためであって、その手段は、倉庫に保管される製品の注文ピッキングのための自律移動ロボットであり、
ピッキングホルダと呼ばれる、前記製品のための少なくとも2つの可動ピッキングホルダを受容する装置と、
自律移動ロボットに対して少なくとも2つのピッキングホルダの個々を保持するための独立手段と、を含む。
【0011】
よって、本発明は、倉庫の自律移動ロボットによって実施される注文ピッキングのための新規且つ進歩的な解決策を提案し、それにより、注文ピッキングの生産性を非常に増大させることが可能になる。これを行うために、自律移動ロボットは、倉庫に保管される製品に対する注文ピッキングに適応され、即ち、それらの有する特定の特徴は、例えば、とりわけ、
・ 同じ集団内の他のロボット、及び、倉庫での注文ピッキングを最適化する目的でロボット集団を管理する責任のある監督システム、と通信するための能力と、
・ 他のロボットや注文ピッカが移動する倉庫通路内の動きの緩和と、
・ 再充電を必要とせずに非常に多くの注文を調製できるようにするための持久力と、
・ 例えば、輸送されるべき要素の下で摺動できるためのコンパクト性、とりわけ、薄さと、を有する。
【0012】
加えて、本技術によれば、そのような自律移動ロボットは、少なくとも2つのストックピッキングホルダを担持、従って、移動するのができるように設計されており、このようにして、例えば、2つの別々の容器内の2つの別々の注文を直接ピッキングすることが可能になる。
【0013】
それ故に、提案された解決策は、異なった注文の製品の後続のハンドリングを、これらの注文の確定の瞬間に回避することを可能にする。これの理由は、各注文のそれぞれの製品が既に容器内で一緒にグルーピングされているからであり、この容器は、(例えば、ローリの中に積み込まれた)注文の輸送のために直接使用できる。
【0014】
注文ピッキングは、それ故に、
・ 必要なピッカ数の観点(ピッカは、同じ容器の中に収集されるであろう幾つかの注文の製品を分配するのに必要とされない)、
・ ピッキング時間の観点(製品の操作は、制限され、ピッキングは、同じ自律移動ロボットについての複数の容器のおかげで選択的であるようにできる。オペレータによって行われるピッキング数は、このオペレータの動きを制限しながら増加する)、
・ 注文におけるエラー率の観点(注文に対する製品の誤った属性のリスクは、制限されるが、製品の選択的ピッキング及び操作制限という理由である)、
から最適化される。
【0015】
また、本解決策は、同じ自律移動ロボットに基づく、第2の従来容器内の非冷凍製品のピッキングと同時の、特定の冷蔵容器内の冷凍製品のピッキングを可能にする。
【0016】
ピッキングホルダは、注文のピッキングに特有であり、とりわけ、例えば、車輪を介して、それ自体が移動可能であり、従って、製品を輸送するために、注文ピッキングの終わりにおいて直ちに使用できる。そのような製品ピッキングホルダは、例えば、車輪の高メッシュケージに相当する。
【0017】
最後に、保持手段は、自律移動ロボットに対して、各製品ピッキングホルダを独立して保持するために、設けられる。このようにして、製品ピッキングホルダを、同じく独立して、自律移動ロボットへ載せること又は下ろすことができる。
【0018】
特定の態様によれば、受容装置は、ピッキングホルダに適応可能である。
【0019】
したがって、この実施形態によれば、自律移動ロボットは、任意のタイプの製品ピッキングホルダを受容でき、その手段は、ホルダタイプに従って適応可能な受容装置である。例えば、注文ピッキング倉庫内のロボット集団のロボットは、倉庫で使用されるホルダのタイプに、より具体的には、依然として、顧客のために使用されるホルダタイプ等々に、適応できる。
【0020】
受容装置を様々なホルダタイプに適応することは、例えば、異なったサイズのホルダを受容するためのサイズの観点、異なった形状を有するホルダを受容するための形状の観点、又は、異なった重量を有するホルダを受容するための強度の観点、から意味をもつ。
【0021】
例えば、受容装置は、取り外し可能である。
【0022】
したがって、この実施形態によれば、任意のタイプの製品ピッキングホルダに対する受容装置の適応性は、例えば、取り外し可能な受容装置により実施され、その手段は、任意のタイプの受容装置に適応可能であり異なった特徴を有するロボットに取着するためのシステムである。
【0023】
このようにして、正に必要とされるのは、使用される製品ピッキングホルダに適応される受容装置を選択すること、及び、それをロボットに取着すること、であり、製品ピッキングホルダが変わるとき、正に必要とされるのは、受容装置を取り外すこと、及び、新たな製品ピッキングホルダに適応される別の装置とそれを交換すること、である。
【0024】
別の態様によれば、受容装置は、ピッキングホルダに適応するための修正可能な構造体を有する。
【0025】
したがって、この実施形態によれば、任意のタイプの製品ピッキングホルダに対する受容装置の適応性は、受容装置自体の修正可能な構造体により実施される。例えば、受容装置の寸法は、構造体要素の摺動システムによって修正でき、異なったサイズの製品ピッキングホルダを、正しくそれらを保持しながら、受容することが可能になる。同様に、受容装置の構造体を強化するためのシステムを、より重量のある製品ピッキングホルダ、又は、より重い荷物を載せることが意図された製品ピッキングホルダ等々、を受容するために、装置に追加することができる。
【0026】
特定の特徴によれば、保持手段は、受容装置によって担持される。
【0027】
したがって、製品ピッキングホルダを保持するための手段は、ロボットでこれらの製品ピッキングホルダを受容するための装置の一部であり、任意のタイプの製品ピッキングホルダに対する保持手段の適応性も可能にする。このようにして、製品ピッキングホルダは、自律移動ロボットが動くときに、また製品が製品ピッキングホルダに積載されるときに、自律移動ロボットに常に最適に保持される。
【0028】
例えば、保持手段は、
・ ピッキングホルダと協働する磁気システム(磁石は、受容装置に設けることができ、従って、金属ピッキングホルダに保持力を及ぼす。これらのピッキングホルダが金属でない場合、それらは、自律移動ロボットの受容装置に対するホルダの保持を保証するために金属部分又は相補的磁石を有することができる)、
・ ピッキングホルダを保持するための突起又は舌部に対応する機械式システム(受容装置は、より高いリッジを或るポイントに有するか、又は、単純な種類の保持舌部を有することがあり、それにより、自律移動ロボットの受容装置にホルダを機械式に保持することが可能になる)、
・ 例えば、カムロックシステムなどのピッキングホルダの一部と協働する機械式ロックシステム、
の形態である。
【0029】
特定の特徴によれば、受容装置は、前記ロボットに取り外し可能に固定される管状の構造体又は中実の構造体に対応する。
【0030】
したがって、この実施形態によれば、一種の低いバスケット/小さいケージは、少なくとも2つの製品ピッキングホルダを受容するためにサイズ決めされて、ロボットに取り外し可能に取着される。
【0031】
そのような構造体は、金属である又はプラスチック材料から製作される場合があり、ピッキングされた製品が積み込まれた場合を含めて、少なくとも2つの製品ピッキングホルダの重量に適応する強度を有する。
【0032】
加えて、そのような構造体は、低い高さを有し、その目的は、ホルダへのアクセス高さを増加させないことであり、ピッキングされた製品をその中に積載し、それ故に、注文ピッカのために人間工学の最適レベルを維持するためである。
【0033】
また、そのような構造体は、その寸法を適応させることができる(例えば、金属管を摺動させ、それ故に延長又は短縮できるシステムにより)ように、又は、幾つかの部分が強化できる(例えば、金属構造体の側面に追加できる中実構造体により)ように設計することができる。
【0034】
特定の特徴によれば、自律移動ロボットは、前記可動ピッキングホルダのうちの少なくとも1つの中への少なくとも1つの製品の積載を検出するためのモジュールを含む。この検出モジュールは、製品がピッキングホルダの中に積載されるときを検出することを可能にするだけでなく、それが積載されている予想された製品であるか否かと、それが正しいピッキングホルダの中に積載されているか否かと、を決定することを可能にする。これの理由は、同じロボットについての複数のピッキングホルダの存在が、ピッカに関する積載エラーのリスクを招来するからである。このようにして、この取着解除モジュールは、ピッカが実施のための活動を何ら行うことなく、積載した製品を自動的にチェックすることを可能にする。
【0035】
本技術は、様々な実施形態に従って、上で説明されたように、少なくとも1つの自律移動ロボットによって、倉庫に保管された製品の注文をピッキングするための方法にも関する。
【0036】
そのような方法は、
・ 注文ピッカによって、少なくとも1つの自律移動ロボットによって担持される少なくとも1つの第1の可動製品ピッキングホルダの中に第1の注文の少なくとも1つの製品を積載するステップと、
・ 注文ピッカによって、自律移動ロボットによって担持される少なくとも1つの第2の可動製品ピッキングホルダの中に第2の注文の少なくとも1つの製品を積載するステップと、を含む。
【0037】
したがって、この実施形態によれば、オペレータによって実施される1時間当たりの製品ピッキング数は、顕著に増加し、その一方で、オペレータ及びロボットの動きを顕著に削減する。
【0038】
特定の態様によれば、方法は、自律移動ロボットによって実施される、可動ピッキングホルダのうちの少なくとも1つの中への少なくとも1つの製品の積載を検出するためのステップを含む。このステップは、製品の積載を自動的にチェックすることを、ピッカがそれを行うことや、これらのピッキング及び積載する活動を確認するデータを通信することを要することなく、可能にする。
【0039】
提案技術並びにそれの提供する様々な利点は、それの幾つかの例示的で非限定の実施形態の以下の説明と添付の図面に鑑みて、より容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1a】先行技術の技術に係る自律移動ロボットを示す図である。
【
図1b】先行技術の技術に係るピッキングホルダを示す図である。
【
図2a】本技術の実施形態に係る自律移動ロボットを示す図である。
【
図2b】本技術の別の実施形態に係る自律移動ロボットを示す図である。
【
図3】本技術の実施形態に係る2つのピッキングホルダを備えた自律移動ロボットを示す図である。
【
図4】本技術の実施形態に係る注文ピッキング方法の主要なステップを示す図である。
【
図5】本技術の別の実施形態に係る3つのピッキングホルダを備えた自律移動ロボットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
A-提案技術の一般的な原理
提案技術の一般的な原理は、ピッキングオペレータ若しくは注文ピッカの動きと、発送されるべき製品を保管する倉庫における自律移動ピッキングロボットの動きと、を最適化することに存し、その目的は、使用/それの効率を最大化することである。オペレータ及びロボットの効率を改善することによって、より多くの注文は、単位時間当たり(例えば、時間当たり)で実施できる。
【0042】
これを行うために、提案技術が提供することは、自律移動ロボットが少なくとも2つのピッキングホルダを担持できるということであり、ピッキングカートだけを動かすロボットに係る知られた技術とは異なって、ピッカは、ピッキングされた製品を積載する。
【0043】
したがって、本技術によれば、ピッカは、2つの別々のホルダに2つの別々の注文を直接ピッキングでき、それは注文の完了をより効果的にする。これの理由は、ロボットがそれのピッキングを終えたときに、追加のハンドリングが必要とされないからであり、異なった注文の製品は、様々なピッキングホルダに別々に直接保管される。
【0044】
加えて、本技術は、可動ピッキングホルダ、即ち、もはや移動ロボット上にないときにオペレータによって容易に操縦できるピッキングホルダの使用も可能にする。注文が完了すると、ピッキングホルダは、例えば、オペレータがホルダを担持する必要なしに、ピッキングホルダが装荷される輸送車両/ローリまで、オペレータによって、直接搬送できる。例えば、それは車輪を有するピッキングホルダである。
【0045】
B-実施形態の説明
知られた自律移動ロボットは、それ故に、2つ以上のピッキングホルダを担持するように設計されていない。本発明は、それ故に、少なくとも2つの可動ピッキングホルダを担持できるようにするために、ロボットに対する受容装置の使用のおかげで、現行の自律移動ロボットとの互換性をもたらす。
【0046】
図2a、
図2b及び
図3に示されたように、自律移動ロボット10は、それ故に、少なくとも2つの可動ピッキングホルダ3a及び3bを受容するための装置2を含む。例えば、これらの可動ピッキングホルダは、
図1bに示されたタイプのもの、即ち、やはり自律的に移動できるようにする車輪を備える一種のメッシュセットの棚である。自律移動ロボットを装備する受容装置は、それ故に、知られている可動ピッキングホルダとの互換性も保証する。
【0047】
これの理由は、とりわけ自律移動性と自律移動ロボットにより、そのような可動ピッキングホルダが倉庫に保管された製品に対する注文をピッキングするのに特に適応されるからである。よって、注文がピッキングされると、製品を搬送すること、及び、製品を輸送車両の中に直接積み込むことが可能である。
【0048】
しかしながら、とりわけ、これらのピッキングホルダの固有の移動性という理由で、必要であるのは、自律移動ロボットに対してこれらのホルダを適応させるための装置を提供することである。これの理由は、必要であるのが、第1に、ロボットにとって、2つ以上の可動ピッキングホルダを担持できること、第2に、自律移動ロボットによって担持されるホルダにとって、ロボットの移動中に所定位置に保持されること、であるからである。
【0049】
図2a及び
図2bに示すように、この受容装置2は、ロボット10よりも僅かに長く、並んで位置付けされた2つの可動ピッキングホルダを担持することが可能である。
【0050】
加えて、ロボットに対する2つの可動ピッキングホルダの保持を保証する目的で、ロボットはさらに、2つのピッキングホルダの個々を保持するための独立した手段21a、21bを含む。
【0051】
図2a及び
図2bに示された第1の実施形態によれば、第1の保持手段21aは、第1の保持体3a(
図3)を保持するために、可動ピッキングホルダの一端に設けられ、第2の保持手段21bは、第1のホルダ3b(
図3)を保持するために、可動ピッキングホルダの他端に設けられる。
【0052】
この実施形態によれば、保持手段21a及び21bは、例えば、突起又は舌部の形態で、受容装置2自体によって担持され、それにより、可動ピッキングホルダを、それらが自律移動ロボットによって担持されるときに保持することが可能になる。
【0053】
図示されていない他の実施形態によれば、保持手段は、ピッキングホルダと協働する磁気システムの形態を取ることができ、それは、例えば、これらのホルダが金属であるとき、或いは、それらが、自律移動ロボット又は受容装置に設けられたものと協働する磁気システムを有するとき、である。
【0054】
保持手段は、例えば、ロボットによって担持されたピッキングホルダの形態に適応されたカム又は一種のボルトなど、ピッキングホルダの一部と協働する機械式ロックシステム(受容装置又はロボット自体によって担持される)の形態にすることもできる。
【0055】
保持手段は、そのときに2つのピッキングホルダを保持するように設計されているが、そのときとは、ロボットが移動するとき、とりわけ、ロボットが制動して再開するとき、であり、或いは、適用可能な場合に、別のロボットとの衝突又はロボット進行上の障害物による衝撃の場合である。
【0056】
そのうえ、提案技術は、全てのタイプのピッキングホルダに対する自律移動ロボットの適応性も可能にし、その理由は、受容装置が取り外し可能でありそれ故にホルダのタイプに従って交換可能であるから、又は、受容装置自体が修正可能な構造体を有してホルダのタイプへの適応を可能にするから、のいずれかである。
【0057】
したがって、第1の変形例によれば、複数の受容装置は、異なった形状及びサイズを有しており、様々なタイプのピッキングホルダに適応できるように設計されている。例えば、受容装置は、倉庫で使用されるピッキングホルダに特別に適応するために製造される場合がある。同様に、装備できるのは、自律移動ロボットの集団であり、新たな受容装置を備えて、使用されることになるであろう新たなピッキングホルダに適応される。この変形例と受容装置の取り外し可能な特徴は、それ故に、ロボット及びピッキングホルダの双方のための最適な適応性を可能にする。
【0058】
第2の変形例によれば、受容装置は、様々なタイプのピッキングホルダにそれ自体が適応できるように設計され、即ち、調整システムのおかげで、全ての寸法において、細長いか又は短くできる。
【0059】
例えば、受容装置が管状の金属構造体に対応するとき、それの寸法は、それを作っている管を摺動するためのシステムにより修正できる。この変形例は、ピッキングホルダタイプの変化により敏感な適応性を可能にし、受容装置自体を変化させることを必要としない。
【0060】
図2a及び
図3は、金属管状構造体の形態の受容装置2の一例を示しており、これにより、これらの2つの端部において舌部によって保持される2つのピッキングホルダを受容することが可能になる。そのような形態は、軽量でコンパクトである受容装置を得ることを可能にし、それが設置されるロボットへの荷重の増加はほとんどない。
【0061】
図2bに示された別の実施形態によれば、受容装置2は、中実の非管状の構造体の形態、金属である又はプラスチック材料から製作される場合がある。
【0062】
受容装置の形態や金属の選択は、強度の考慮によって指導される場合があり、その理由は、ピッキングホルダが、注文のピッキングの終わりにおいて、或いは、使用されるロボット及びピッキングサポートのタイプに従って、非常に重いことがあるからである。
【0063】
そのうえ、全く同じロボットについての複数の可動ピッキングホルダの存在という理由で、ピッカによる製品の積載におけるエラーのリスクが少し高くなる。ピッカは、取り上げられた製品を積載するためのピッキングホルダを間違えることがある。従来の解決策は、例えば、(とりわけ、製品を調査するために)ピッカの注文ピッキングを管理するためにピッカの使用する移動端末を介して、製品の各積載を確認することをピッカに要求するだろう。
【0064】
本技術は、可動ピッキングホルダのうちの少なくとも1つの中の少なくとも1つの製品の積載を検出するためのモジュールにより、新規且つ進歩的な解決策を提案し、それにより、
・ ピッカがロボットに対して製品を積載しているところ(「フロント」ホルダ3a上又は「リア」ホルダ3b上)を正確に知ること、
・ 各ホルダに積載されたパッケージ/製品の数を知ること、
・ 積載された製品の重量と、予想された製品の知られている理論上の重量との比較により、重量をチェックすること、が可能になる。
【0065】
この解決策は、それ故に、各ピッキングに関して、積載された製品のチェックと、積載の一致の確認と、を注文ピッカが行うのを回避し、注文ピッキングの品質を最適化しながら、それの効率を増大させる。
【0066】
積載を検出するためのモジュールは、ロボットに統合されたタスクマネージャと通信するスケールシステム、例えばバランスに基づいており、それにより、とりわけ予想されたストックのアイテムの数と、それらのタイプと、それらの理論上の重量と、をリアルタイムに注文ピッキングの任意の瞬間に知ることが可能になる。
【0067】
検出モジュールは、自律移動ロボットに統合又は自律移動ロボットに取着でき、即ち、自律移動ロボットに位置付け及び通信リンクを介して自律移動ロボットに接続できる。
【0068】
C-注文ピッキング方法
本技術は、様々な実施形態及び様々な変形例に従って、既に説明されたように、少なくとも1つのロボットによって支援される注文ピッキング方法にも関与する。
【0069】
これの理由は、注文ピッカを支援するために自律移動ロボットを使用することが知られている場合に、既に説明された解決策が、少なくとも2つの可動ピッキングホルダを動かすことのできるロボットを使用することによって注文ピッキングを最適化することを可能にするからである。それ故、そのようなロボットは、ピッカが、ピッカを支援している自律移動ロボット10によって担持される少なくとも1つの第1の可動ピッキングホルダ3aの中の第1の注文の少なくとも1つの製品P1と、同じ自律移動ロボット10によって担持される少なくとも第2の可動ピッキングホルダ3bの中の第2の注文の少なくとも1つの製品P2と、を積載することを可能にする。
【0070】
このようにして、注文ピッカに関する1時間当たりのピッキング数は、顕著に増加し、その理由は、ピッカがより多数のピッキングホルダの中にストックのアイテムを積載できるからである。
【0071】
また、これにより、指定されたピッキングホルダの中に各注文の製品を積載することによって、同時に2つの注文を別々にピッキングすることが可能になる。このようにして、2つの注文のピッキングの終わりにおいて、行われるべきストックの追加のハンドリングが存在しない、即ち、先行技術の知られている技術におけるように、同じホルダに積載されるであろう複数の注文の製品の分配や発送がない。
【0072】
そのうえ、特定の実施形態によれば、注文ピッキング方法は、自律移動ロボットによって実施される、可動ピッキングホルダのうちの少なくとも1つの中への少なくとも1つの製品の積載を検出するステップを含む。この検出ステップは、例えば、ロボットのタスクマネージャと通信する自律移動ロボットに統合されるか又は連結される検出モジュールによって実施される。このようにして、ロボットの正しい可動ピッキングホルダの中への製品の積載をチェックすることは、自動的に行われ、注文ピッカ自体による任意の特定の活動を要求せず、エラーを制限することによって注文の品質を増大させ、その一方で、製品の取り上げ及び積載についてのピッカのタスクにおいてピッカを減速させない。
【0073】
D-他の特徴
上で説明された実施形態、変形例、及び例は、単一の自律移動ロボットによって動かすことのできる可動ピッキングホルダの数の観点から制限ではない。これの理由は、ロボット及び可動ピッキングホルダのサイズによれば、受容装置が少なくとも2つの可動ピッキングホルダを収容できるように適応される、からであり、それ故に、構想できることは、ロボットが、例えば、3つ又は4つの可動ピッキングホルダを動かすことができるということである。3つの可動ピッキングホルダ5a、5b及び5cを担持する自律移動ロボット10の例は、
図5に示されている。受容装置2は、それ故に、3つのピッキングホルダを受容するように適応され、それ故に、とりわけ、2つのピッキングホルダよりも遥かに長めである。
【0074】
自律移動ロボットを装備する受容装置の適応性は、既存の及び将来のロボット、既存の及び将来のピッキングホルダ、及び、ロボットによって担持できるピッキングホルダの数、との最適な互換性をもたらす。
【国際調査報告】