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特表2023-533397立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法及びその装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 41/04 20060101AFI20230727BHJP
   H01F 27/32 20060101ALI20230727BHJP
   H01F 27/245 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
H01F41/04 D
H01F41/04 F
H01F27/32 140
H01F27/245 157
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022518643
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2021129878
(87)【国際公開番号】W WO2022252499
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110603134.2
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522111091
【氏名又は名称】海鴻電気有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIHONG ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.3, Huancui West Road, Cuishan Lake New District, Kaiping, Jiangmen, Guangdong 529339(CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522111105
【氏名又は名称】広東敞開電気有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGDONG TRITYPE ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1, Huancui South Road, Cuishan Lake New District, Kaiping, Jiangmen, Guangdong 529339(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】許凱旋
(72)【発明者】
【氏名】梁慶寧
(72)【発明者】
【氏名】司徒樹偉
(72)【発明者】
【氏名】戚宇祥
(72)【発明者】
【氏名】宋丹菊
(72)【発明者】
【氏名】方文傑
(72)【発明者】
【氏名】李飛
(72)【発明者】
【氏名】張学明
(72)【発明者】
【氏名】周宇成
(72)【発明者】
【氏名】方文恵
(72)【発明者】
【氏名】▲チャイ▼麗珍
【テーマコード(参考)】
5E044
【Fターム(参考)】
5E044CA09
(57)【要約】
本発明は、鉄心脚に対応する貫通孔が設けられ、貫通孔を取り囲むように歯車板と軌道リングが設けられ、歯車板と軌道リングが固定用ブロックによって固定的に接続される回転モジュールと、駆動端が歯車板に接続される駆動装置と、回転モジュールに可動に接続される供給シリンダ及び張力装置を備える複数の供給モジュールとを含む、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法及びその装置を開示する。回転モジュールと供給モジュールによって、供給シリンダに巻かれた巻線材料が歯車板の回転に伴って安定的且つ迅速に外へ搬送可能となり、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性と巻線効率が高くなり、軌道リングと張力装置を設置することによって、供給シリンダが回転過程で変位したり転位したりすることを回避し、コイルの品質を確保し、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装の自動化度を高める。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の鉄心脚を含む立体巻鉄心を提供するステップと、
絶縁層を提供し、前記絶縁層を前記鉄心脚の外壁に設置するステップと、
複数の供給シリンダを提供するステップであって、複数の前記供給シリンダにそれぞれ箔導体、層間絶縁体及び端部絶縁体が巻かれたステップと、
回転モジュールを前記絶縁層の外側に嵌合するステップと、
複数の前記供給シリンダを前記回転モジュールに設置するステップと、
前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体の一端を前記絶縁層に固定するステップと、
前記箔導体の前記絶縁層に接続された一端に内リード線部を設置するステップと、
駆動装置を接続、起動し、前記駆動装置によって前記回転モジュールを駆動して回転させ、更に前記供給シリンダを連動させて前記鉄心脚のまわりを回転させ、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体全体を前記鉄心脚を中心軸として前記絶縁層の外壁に巻装してコイル本体を形成するステップと、
前記箔導体の前記内リード線部から離れた一端に外リード線部を設置するステップと、を含むことを特徴とする立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法。
【請求項2】
前記絶縁層を前記鉄心脚の外壁に被覆又は塗装することを特徴とする請求項1に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法。
【請求項3】
前記コイル本体の内壁と前記絶縁層の外壁との間の間隔が0~1.5mmであることを特徴とする請求項2に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法。
【請求項4】
回転モジュールを前記絶縁層の外側に嵌合してから、前記回転モジュールの水平度を調整し、前記回転モジュールの回転円滑度合いを検査し、固定用ブロックによって前記回転モジュールを外部設備に固定することを特徴とする請求項1に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法。
【請求項5】
前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体が単層構造であり、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体が巻かれた前記供給シリンダの数量は前記コイル本体の性能要求に応じて調整することを特徴とする請求項1に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法。
【請求項6】
前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体が多層構造であり、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体の層数は前記コイル本体の性能要求に応じて調整することを特徴とする請求項1に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法。
【請求項7】
鉄心脚に対応する貫通孔が設けられ、前記貫通孔を取り囲むように歯車板と軌道リングが設けられ、前記歯車板と前記軌道リングが固定用ブロックによって固定的に接続される回転モジュールと、駆動端が前記歯車板に接続される駆動装置と、前記回転モジュールに可動に接続される供給シリンダ及び張力装置を備える複数の供給モジュールと、を含むことを特徴とする立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置。
【請求項8】
前記張力装置は、前記供給シリンダ内に位置し、プッシュロッド、ばね及び前記供給シリンダに密着する摩擦子を含み、前記ばねの両端がそれぞれ前記プッシュロッドと前記摩擦子に密着することを特徴とする請求項7に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置。
【請求項9】
前記供給シリンダは、少なくとも一端に前記回転モジュールが接続され、接続部によって前記歯車板内に挿入されて前記回転モジュールに可動に接続されることを特徴とする請求項8に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置。
【請求項10】
前記歯車板と前記軌道リングはいずれも複数の部材を組み合わせて円環状を形成する構造であることを特徴とする請求項7に記載の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変圧器生産の技術分野に関し、特に、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
立体巻鉄心変圧器は、省エネ型電力変圧器であり、伝統的な電力変圧器の積層型磁気回路構造と三相配置を創造的に改革して、製品性能を更に最適化できた。立体巻鉄心は、構造の特徴によって、積層型鉄心構造に類似するコイルセット嵌合方式(即ち、コイルの巻装を完成した後コイルを鉄心に嵌合する生産プロセス)を利用することができなく、異なる製品に合わせて特別に製造した巻線機によってコイルセットを鉄心に巻装する必要がある。現在の一般の立体巻鉄心箔型コイルセットの巻装方法は、異なる製品の鉄心及びコイルセットの寸法に合わせて巻線機を特別に製造してから、この巻線機によって箔型コイルセットを鉄心に巻装するようになっている。この巻装方法は工作機械器具設備投入が高く、生産期間が長く、生産効率を低下させ、生産工程が多い等の問題が存在すると共に、箔型コイルセットと鉄心との間にエアギャップを発生させて、変圧器の放熱性能と短絡防止能力に影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記問題を解決するために、本発明は、立体巻鉄心変圧器の箔型コイルの巻装自動化度を高め、生産コストを低減し、立体巻鉄心変圧器の巻線効率とコイル品質を確保するように、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法及びその装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明がその問題を解決するために利用する技術的解決手段は以下の通りである。
【0005】
本発明の第1態様において、複数の鉄心脚を含む立体巻鉄心を提供するステップと、絶縁層を提供し、前記絶縁層を前記鉄心脚の外壁に設置するステップと、複数の供給シリンダを提供するステップであって、複数の前記供給シリンダにそれぞれ箔導体、層間絶縁体及び端部絶縁体が巻かれたステップと、回転モジュールを前記絶縁層の外側に嵌合するステップと、複数の前記供給シリンダを前記回転モジュールに設置するステップと、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体の一端を前記絶縁層に固定するステップと、前記箔導体の前記絶縁層に接続された一端に内リード線部を設置するステップと、駆動装置を接続、起動し、前記駆動装置によって前記回転モジュールを駆動して回転させ、更に前記供給シリンダを連動させて前記鉄心脚のまわりを回転させ、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体全体を前記鉄心脚を中心軸として前記絶縁層の外壁に巻装してコイル本体を形成するステップと、前記箔導体の前記内リード線部から離れた一端に外リード線部を設置するステップと、を含む立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法である。
【0006】
上記立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法は、少なくとも下記の有用な効果を有する。回転モジュールを鉄心脚の外側に嵌合し、且つ複数の供給シリンダを連動させて鉄心脚に巻線操作を行って、コイル本体と鉄心脚との間の隙間が効果的に小さくなり、箔型コイル巻装過程で手動で制御される工程を簡単化することに加えて、銅材と絶縁材料の使用量を減少して変圧器生産コストを低減する。また、コイル本体と鉄心脚の熱交換効率を高め、変圧器の短絡防止能力を向上させ、コイル本体が径方向電気力を受ける場合の変形量を減少し、立体巻鉄心変圧器の安定性を高める。また、回転モジュールと供給シリンダを異なる寸法の鉄心脚に適用可能であって、巻線工作機械器具設備の累積を効果的に減少し、立体巻鉄心変圧器の生産期間を短縮する。
【0007】
更に、前記絶縁層を前記鉄心脚の外壁に被覆又は塗装する。この構造によれば、絶縁層が鉄心脚に密着可能であることを確保して、コイル本体と鉄心脚との間の隙間を効果的に抑えると共に、コイル本体と鉄心脚との間の絶縁性能を確保する。
【0008】
更に、前記コイル本体の内壁と前記絶縁層の外壁との間の間隔が0~1.5mmである。この構造によれば、コイル本体と鉄心脚との間の熱交換効率を向上させ、立体巻鉄心変圧器のコイル本体の温度上昇を低減することに役立つと共に、コイル本体と鉄心脚との間の隙間を効果的に小さくし、変圧器の短絡防止能力を向上させ、コイル本体が径方向電気力を受ける場合の変形量を減少し、立体巻鉄心変圧器の安定性を高める。
【0009】
更に、回転モジュールを前記絶縁層の外側に嵌合してから、前記回転モジュールの水平度を調整し、前記回転モジュールの回転円滑度合いを検査し、固定用ブロックによって前記回転モジュールを外部設備に固定する。回転モジュールの水平度を調整し、回転モジュールの回転円滑度合いを確保することによって、巻線材料を特定の角度に保持しながら鉄心脚に巻くことを確保可能で、回転モジュールの不適切な接続によって立体巻鉄心変圧器の巻線効率とコイル品質に影響を与えることを回避する。
【0010】
更に、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体が単層構造であり、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体が巻かれた前記供給シリンダの数量は前記コイル本体の性能要求に応じて調整する。性能要求の異なるコイル本体に適合させ、立体巻鉄心変圧器の生産効率を高めるために、供給シリンダの数量を調整することによって、箔導体、層間絶縁体及び端部絶縁体の巻き厚さを柔軟的に変更可能である。
【0011】
更に、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体が多層構造であり、前記箔導体、前記層間絶縁体及び前記端部絶縁体の層数は前記コイル本体の性能要求に応じて調整する。性能要求の異なるコイル本体に適合させ、立体巻鉄心変圧器の生産効率を高めるために、箔導体、層間絶縁体及び端部絶縁体の層数を調整することによって、箔導体、層間絶縁体及び端部絶縁体の巻き厚さを柔軟的に変更可能である。
【0012】
本発明の第2態様において、鉄心脚に対応する貫通孔が設けられ、前記貫通孔を取り囲むように歯車板と軌道リングが設けられ、前記歯車板と前記軌道リングが固定用ブロックによって固定的に接続される回転モジュールと、駆動端が前記歯車板に接続される駆動装置と、前記回転モジュールに可動に接続される供給シリンダ及び張力装置を備える複数の供給モジュールと、を含む立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置である。
【0013】
上記立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置は、少なくとも下記の有用な効果を有する。回転モジュールと供給モジュールによって、供給シリンダに巻かれた巻線材料が歯車板の回転に伴って安定的且つ迅速に外へ搬送可能となり、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性と巻線効率が高くなる。貫通孔を設置することによって、回転モジュールを鉄心脚に嵌合し鉄心脚に巻線操作を行うことが容易になり、立体巻鉄心変圧器の巻線効率が高くなる。軌道リングと張力装置を設置することによって、供給シリンダが回転過程で変位したり転位したりすることを回避し、コイルの品質を確保し、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装の自動化度を高める。
【0014】
更に、前記張力装置は、前記供給シリンダ内に位置し、プッシュロッド、ばね及び前記供給シリンダに密着する摩擦子を含み、前記ばねの両端がそれぞれ前記プッシュロッドと前記摩擦子に密着する。ばねと摩擦子を設置することによって、供給シリンダが歯車板と連動して回転する時に、摩擦子が供給シリンダに対して摩擦力を生成して、更に供給シリンダに巻線材料に対して張力を印加させて、巻線材料の転位を回避して、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性を確保する。
【0015】
更に、前記供給シリンダは、少なくとも一端に前記回転モジュールが接続され、接続部によって前記歯車板内に挿入されて前記回転モジュールに可動に接続される。接続部を設置することによって、供給シリンダと回転モジュールの接続安定性と取外利便性を高め、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性を確保する。
【0016】
更に、前記歯車板と前記軌道リングはいずれも複数の部材を組み合わせて円環状を形成する構造である。この構造によれば、回転モジュールの取り付けと取り外しを容易にし、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の使いやすさを向上させる。
【0017】
上記立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の有用な効果は以下の通りである。回転モジュールと供給モジュールによって、供給シリンダに巻かれた巻線材料が歯車板の回転に伴って安定的且つ迅速に外へ搬送可能となり、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性と巻線効率が高くなる。貫通孔を設置することによって、回転モジュールを鉄心脚に嵌合し鉄心脚に巻線操作を行うことが容易になり、立体巻鉄心変圧器の巻線効率が高くなる。軌道リングと張力装置を設置することによって、供給シリンダが回転過程で変位したり転位したりすることを回避し、コイルの品質を確保し、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装の自動化度を高める。ばねと摩擦子を設置することによって、供給シリンダが歯車板と連動して回転する時に、摩擦子が供給シリンダに対して摩擦力を生成して、更に供給シリンダに巻線材料に対して張力を印加させて、巻線材料の転位を回避して、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性を確保する。
【0018】
本発明の付加態様とメリットは、一部が以下の説明に示されるが、一部が以下の説明により明らかになり、又は本発明の実践によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の上記態様と付加態様及びメリットは、以下の添付図面を参照した実施例に対する説明により、明瞭に且つ理解しやすくなる。
【0020】
図1】本発明の実施例に係る立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の構成図である。
図2】本発明の別の実施例に係る立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の構成図である。
図3図1における立体巻鉄心とコイル本体の構成図である。
図4図1における回転モジュールの構成分解図である。
図5図1における供給モジュールの側面図である。
図6図1における供給モジュールの構成分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下では、本発明の実施例を詳しく説明し、実施例の例は添付図面に示されており、始めから終わりまで、同一或いは類似の符号は同一或いは類似の素子、又は同一或いは類似の機能を有する素子を示す。以下に添付図面を参考して説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0022】
本発明の説明において、方位に関する説明、例えば「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」などが指す方位或いは位置関係は、図面に基づいて示す方位或いは位置関係であり、本発明の説明の便宜及び説明の簡略化のためのものに過ぎず、その指す装置或いは素子が必ず特定の方位を持ち、特定の方位で構成、操作されなければならないとは提示或いは暗示するわけではないので、本発明を限定するものとして理解すべきではない。
【0023】
本発明の説明において、「若干」は一つ又は複数を意味し、「複数」は2つ以上を意味し、「~より大きい」、「~より小さい」、「~を超える」などは基準となる数を含まないと理解し、「以上」、「以下」、「以内」などは基準となる数を含むと理解すべきである。「第1」、「第2」と言及した場合、技術的特徴を区分するためのものに過ぎず、相対的重要性を提示又は暗示し、或いは提示される技術的特徴の数を暗示的に指定し、或いは提示される技術的特徴の前後関係を暗示的に指定するように理解すべきではない。
【0024】
本発明の説明において、別途明確な限定がない限り、「設置」、「取り付け」、「接続」といった技術用語は、広義に理解すべきであり、当業者であれば、技術的解決手段の具体的な内容に応じて上記技術用語の本発明における具体的な意味を理解できる。
【0025】
本発明の実施例は、複数の鉄心脚410を含む立体巻鉄心400を提供するステップと、絶縁層420を提供し、絶縁層420を鉄心脚410の外壁に設置するステップと、複数の供給シリンダ310を提供するステップであって、複数の供給シリンダ310にそれぞれ箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313が巻かれたステップと、回転モジュール100を絶縁層420の外側に嵌合するステップと、複数の供給シリンダ310を回転モジュール100に設置するステップと、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の一端を絶縁層420に固定するステップと、箔導体311の絶縁層420に接続された一端に内リード線部430を設置するステップと、駆動装置を接続、起動し、駆動装置によって回転モジュール100を駆動して回転させ、更に供給シリンダ310を連動させて鉄心脚410のまわりを回転させ、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313全体を鉄心脚410を中心軸として絶縁層420の外壁に巻装してコイル本体440を形成するステップと、箔導体311の内リード線部430から離れた一端に外リード線部450を設置するステップと、を含む立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法を更に提供する。
【0026】
回転モジュール100を鉄心脚410の外側に嵌合し、且つ複数の供給シリンダ310を連動させて鉄心脚410に巻線操作を行って、コイル本体440と鉄心脚410との間の隙間が効果的に小さくなり、箔型コイル巻装過程で手動で制御される工程を簡単化することに加えて、銅材と絶縁材料の使用量を減少して変圧器生産コストを低減する。また、コイル本体440と鉄心脚410の熱交換効率を高め、変圧器の短絡防止能力を向上させ、コイル本体440が径方向電気力を受ける場合の変形量を減少し、立体巻鉄心変圧器の安定性を高める。また、回転モジュール100と供給シリンダ310を異なる寸法の鉄心脚410に適用可能であって、巻線工作機械器具設備の累積を効果的に減少し、立体巻鉄心変圧器の生産期間を短縮する。
【0027】
別の実施例では、絶縁層420を鉄心脚410の外壁に被覆又は塗装する。この構造によれば、絶縁層420が鉄心脚410に密着可能であることを確保して、コイル本体440と鉄心脚410との間の隙間を効果的に抑えると共に、コイル本体440と鉄心脚410との間の絶縁性能を確保する。
【0028】
別の実施例では、コイル本体440の内壁と絶縁層420の外壁との間の間隔が0~1.5mmである。この構造によれば、コイル本体440と鉄心脚410との間の熱交換効率を向上させ、立体巻鉄心変圧器のコイル本体440の温度上昇を低減することに役立つと共に、コイル本体440と鉄心脚410との間の隙間を効果的に小さくし、変圧器の短絡防止能力を向上させ、コイル本体440が径方向電気力を受ける場合の変形量を減少し、立体巻鉄心変圧器の安定性を高める。なお、このような立体巻鉄心変圧器構造は非常に強い短絡防止能力を有し、鉄心脚410とコイル本体440との間に支持部材を充填する必要がなく、生産工程を簡単化することに加えて、材料費を節約する。
【0029】
別の実施例では、回転モジュール100を絶縁層420の外側に嵌合してから、回転モジュール100の水平度を調整し、回転モジュール100の回転円滑度合いを検査し、固定用ブロック140によって回転モジュール100を外部設備に固定する。回転モジュール100の水平度を調整し、回転モジュール100の回転円滑度合いを確保することによって、巻線材料を特定の角度に保持しながら鉄心脚410に巻くことを確保可能で、回転モジュール100の不適切な接続によって立体巻鉄心変圧器の巻線効率とコイル品質に影響を与えることを回避する。本実施例では、回転モジュール100の外部設備への位置決めと取付を容易にするために、固定用ブロック140には外部装置に接続されるための取付部141が設けられている。
【0030】
別の実施例では、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313が単層構造であり、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313が巻かれた供給シリンダ310の数量はコイル本体440の性能要求に応じて調整する。性能要求の異なるコイル本体440に適合させ、立体巻鉄心変圧器の生産効率を高めるために、供給シリンダ310の数量を調整することによって箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の巻き厚さを柔軟的に変更可能である。
【0031】
別の実施例では、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313が多層構造であり、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の層数はコイル本体440の性能要求に応じて調整する。性能要求の異なるコイル本体440に適合させ、立体巻鉄心変圧器の生産効率を高めるために、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の層数を調整することによって、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の巻き厚さを柔軟的に変更可能である。
【0032】
他の実施例では、供給シリンダ310に巻かれた箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313は一枚で形成され又は複数枚を組み合わせて形成されたものであり、その巻装材料の枚数はコイル本体440の厚さと性能要求に応じて調整する。このようにして、定格電流の大きいコイル本体440の巻装の時に厚い箔導体311を巻く必要があって、コイル本体440の巻装難度を増大させることを回避できる。箔導体311の厚さが大きいほど、成形難度が高くなり、箔導体311の寸法ずれが大きくなるため、複数層の箔導体311を積み重ねることによって、厚い箔導体311によるバリや表層の浮き等の品質問題を効果的に回避して、立体巻鉄心変圧器の巻線品質を確保することができる。
【0033】
別の実施例では、外リード線部450を設置した後、更にコイル本体440に対して関連の絶縁処理を行って、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装生産を完成する必要がある。例えば、外リード線部450とコイル本体440の外側に絶縁材料を巻くことで、コイル本体440の絶縁性能を確保し、輸送と取付過程での箔型コイルの保護性能を高め、変形、損壊を回避する。
【0034】
図1図4を参照すると、本発明の実施例は、鉄心脚410に対応する貫通孔110が設けられ、貫通孔110を取り囲むように歯車板120と軌道リング130が設けられ、歯車板120と軌道リング130が固定用ブロック140によって固定的に接続される回転モジュール100と、駆動端が歯車板120に接続される駆動装置と、回転モジュール100に可動に接続される供給シリンダ310及び張力装置320を備える複数の供給モジュール300とを含む立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置を更に提供する。
【0035】
回転モジュール100と供給モジュール300によって、供給シリンダ310に巻かれた巻線材料が歯車板120の回転に伴って安定的且つ迅速に外へ搬送可能となり、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性と巻線効率が高くなる。貫通孔110を設置することによって、回転モジュール100を鉄心脚410に嵌合し鉄心脚410に巻線操作を行うことが容易になり、立体巻鉄心変圧器の巻線効率が高くなる。軌道リング130と張力装置320を設置することによって、供給シリンダ310が回転過程で変位したり転位したりすることを回避し、コイルの品質を確保し、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装の自動化度を高める。
【0036】
本実施例では、駆動装置の駆動端は歯車、プーリ等の構造によって歯車板120に伝動接続可能であって、駆動装置が歯車板120を駆動して回転させる時の安定性を確保する。
【0037】
図5図6を参照すると、別の実施例では、張力装置320は、供給シリンダ310内に位置し、プッシュロッド321、ばね322及び供給シリンダ310に密着する摩擦子323を含み、ばね322の両端がそれぞれプッシュロッド321と摩擦子323に密着する。ばね322と摩擦子323を設置することによって、供給シリンダ310が歯車板120と連動して回転する時に、摩擦子323が供給シリンダ310に対して摩擦力を生成して、更に供給シリンダ310に巻線材料に対して張力を印加させて、巻線材料の転位を回避して、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性を確保する。
【0038】
別の実施例では、供給シリンダ310は、少なくとも一端に回転モジュール100が接続され、接続部330によって歯車板120内に挿入されて回転モジュール100に可動に接続される。接続部330を設置することによって、供給シリンダ310と回転モジュール100の接続安定性と取外利便性を高め、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の供給安定性を確保する。
【0039】
別の実施例では、歯車板120と軌道リング130はいずれも複数の部材を組み合わせて円環状を形成する構造である。この構造によれば、回転モジュール100の取り付けと取り外しを容易にし、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の使いやすさを向上させる。
【0040】
別の実施例では、供給シリンダ310の上下端にそれぞれバッフル板340が設けられている。バッフル板340を設置することによって、供給シリンダ310がより好適に巻線材料の収納とガイドを行うことに寄与し、立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置の安定性を高める。
【0041】
別の実施例では、回転モジュール100は、貫通孔110を取り囲むように歯車板120の上端に嵌合される受け板150を更に含む。受け板150を設置することによって、巻線材料と歯車板120との間の摩擦を効果的に低減して、回転モジュール100の使用寿命を延長する。
【0042】
別の実施例では、本発明による立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装装置は、図1に示すように立てて巻装する以外に、図2に示すように横たわって巻装してもよい。ここで、図2に示すように横たわって巻装する場合に、供給シリンダ310を安定的に回転させるために、供給シリンダ310の両端に回転モジュール100を設置する必要がある。立てて巻装する方式は横たわって巻装する方式と比較すれば、鉄心脚410の長さ方向が水平面に垂直である特徴があり、鉄心脚410とコイル本体440の反転回数を効果的に減少して変圧器の生産過程での安全性を高めることのできるという利点がある。
【0043】
以下、本発明の動作原理を更に説明する。
【0044】
生産前に、まず、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の高さに応じて異なる寸法の供給シリンダ310を選択し、巻線材料の上下端が全てバッフル板340に密着可能なように、設計要求に応じてそれぞれ異なる層数の箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313を対応する供給シリンダ310に巻装する。次に、立体巻鉄心変圧器の箔型コイルの規格要求に応じて対応する規格の回転モジュール100及び対応する数量の供給シリンダ310を選択し、コイル本体440の直径が貫通孔110の直径より小さいことを確保する。鉄心脚410の外壁に絶縁層420を被覆又は塗装する。歯車板120、軌道リング130及び受け板150等の部材を解体し、順次絶縁層420の外側に嵌合し、且つ固定用ブロック140によって歯車板120と軌道リング130を固定的に接続する。回転モジュール100の水平度を調整し、且つ回転モジュール100の回転円滑度合いを検査する。取付部141によって固定用ブロック140を外部装置に固定的に取り付け、回転モジュール100と絶縁層420の同心度を確保する。箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313が巻かれた供給シリンダ310を順に配置し、且つ接続部330によって歯車板120内に挿入して回転モジュール100に可動に接続する。箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の一端を絶縁層420に固定し、次に内リード線部430を絶縁層420の外壁に設置する。駆動装置を起動し、回転モジュール100が回転して供給シリンダ310を連動させて鉄心脚410のまわりを回転させる。箔導体311が絶縁層420に沿って巻かれて形成したコイルが内リード線部430を挟持する。なお、層間絶縁体312と端部絶縁体313も鉄心脚410を中心軸として絶縁層420の外壁に巻装されてコイル本体440を形成する。巻装過程で、供給シリンダ310が回転モジュール100に伴って鉄心脚410のまわりを回転すると同時に、自分の中心軸線のまわりを回転し、摩擦部323が供給シリンダ310に対して摩擦力を生成して、更に供給シリンダ310に巻線材料に対して張力を印加させて、巻線材料の転位を回避して、箔導体311、層間絶縁体312及び端部絶縁体313の巻装安定性を確保する。コイル本体440が予め設定された厚さに達すると、又は箔導体311の巻き数が予め設定された巻き数に達すると、回転モジュール100が回転を停止し、箔導体311の内リード線部430から離れた末端に外リード線部450を設置し、コイル本体440に対して絶縁処理を行って、立体巻鉄心400の巻装を完成する。以上の箔型コイル巻装操作は立体巻鉄心400の各鉄心脚410に対して同時に行うことができ、立体巻鉄心変圧器の加工効率を更に高める。
【0045】
以上の説明から分かるように、本発明の立体巻鉄心変圧器の箔型コイル巻装方法及びその装置においては、回転モジュール100を鉄心脚410の外側に嵌合し、且つ複数の供給シリンダ310を連動させて鉄心脚410に巻線操作を行って、コイル本体440と鉄心脚410との間の隙間が効果的に小さくなり、箔型コイル巻装過程で手動で制御される工程を簡単化することに加えて、銅材と絶縁材料の使用量を減少して変圧器生産コストを低減する。また、コイル本体440と鉄心脚410の熱交換効率を高め、変圧器の短絡防止能力を向上させ、コイル本体440が径方向電気力を受ける場合の変形量を減少し、立体巻鉄心変圧器の安定性を高める。また、回転モジュール100と供給シリンダ310を異なる寸法の鉄心脚410に適用可能であって、巻線工作機械器具設備の累積を効果的に減少し、立体巻鉄心変圧器の生産期間を短縮する。
【0046】
以上、添付図面を参照しながら本発明の実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、当業者が有する知識の範囲内で、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】