(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】膨潤性経口医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 9/14 20060101AFI20230727BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20230727BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20230727BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230727BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230727BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
A61K9/14
A61K9/50
A61K9/16
A61K9/20
A61K47/36
A61K47/02
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/12
A61K47/38
A61K31/167
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568700
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021041277
(87)【国際公開番号】W WO2022011341
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362111
【氏名又は名称】アデア ファーマシューティカルズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ドーマー,ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】シリング,ミシェル ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】オーバーフィールド,ジェフリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA61
4C076BB01
4C076DD23
4C076DD24
4C076DD25
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD42
4C076DD43
4C076DD54
4C076DD67
4C076EE30
4C076EE31
4C206AA10
4C206GA02
4C206GA31
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA55
4C206MA72
4C206NA20
4C206ZA07
4C206ZA08
(57)【要約】
投与前に、水が添加されると半固体製品を形成する膨潤性経口組成物が記載される。本組成物は、錠剤及びカプセルなどの固体経口組成物を嚥下することが困難であるか又はそれを嫌がる可能性のある対象への投与に特に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物含有成分及び膨潤性成分を含む固体医薬製品であって、せん断力又は他の混合力を適用することなく、水を添加してから約2分以内に完全に半固体形態に変換される固体医薬製品。
【請求項2】
前記薬物含有成分は、複数の薬物微小粒子を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項3】
前記薬物微小粒子は、約50μm~約300μmの平均粒子直径を有する、請求項2に記載の製品。
【請求項4】
前記薬物微小粒子は、薬物ミクロスフェア及び薬物マイクロカプセルから選択される、請求項2又は3に記載の製品。
【請求項5】
前記薬物含有成分は、粉末である、請求項1~4のいずれか一項に記載の製品。
【請求項6】
前記膨潤性成分は、顆粒からなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の製品。
【請求項7】
前記薬物含有成分及び前記膨潤性成分は、別々に調製され、及びその後、個別の固体としてドライブレンドされる、請求項1~6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項8】
前記薬物含有成分は、複数の薬物ミニ錠剤を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項9】
前記膨潤性成分は、複数の膨潤性ミニ錠剤を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項10】
前記薬物ミニ錠剤は、約1mm~約2mmの平均直径を有する、請求項8に記載の製品。
【請求項11】
前記膨潤性ミニ錠剤は、約1mm~約2mmの平均直径を有する、請求項9に記載の製品。
【請求項12】
前記薬物含有成分は、複数の薬物ミニ錠剤を含み、及び前記膨潤性成分は、複数の膨潤性ミニ錠剤を含む、請求項1に記載の製品。
【請求項13】
前記薬物ミニ錠剤及び前記膨潤性ミニ錠剤は、それぞれ約1mm~約2mmの平均直径を有する、請求項12に記載の製品。
【請求項14】
前記薬物ミニ錠剤及び前記膨潤性ミニ錠剤は、別々に調製され、及びその後、個別の固体としてドライブレンドされる、請求項12又は13に記載の製品。
【請求項15】
単位用量粉末又は顆粒の形態である、請求項1~14のいずれか一項に記載の製品。
【請求項16】
水を添加してから約30秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項1~15のいずれか一項に記載の製品。
【請求項17】
単位用量錠剤の形態である、請求項1~6のいずれか一項に記載の製品。
【請求項18】
錠剤の摩損度は、1%以下である、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
水を添加してから約90秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項17又は18に記載の製品。
【請求項20】
水を添加してから約45秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項17又は18に記載の製品。
【請求項21】
前記膨潤性成分は、少なくとも1つの水膨潤性親水性ポリマーを含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の製品。
【請求項22】
前記膨潤性成分は、約20%~約80%の前記少なくとも1つの水膨潤性親水性ポリマーを含む、請求項21に記載の製品。
【請求項23】
水膨潤性親水性ポリマーは、ジェランガムである、請求項21又は22に記載の製品。
【請求項24】
膨潤性親水性ポリマーは、高アシルジェランガムである、請求項21又は22に記載の製品。
【請求項25】
前記膨潤性成分は、1つ又は複数の親水性剤をさらに含む、請求項21~24のいずれか一項に記載の製品。
【請求項26】
前記親水性剤は、オスモゲンである、請求項25に記載の製品。
【請求項27】
前記オスモゲンは、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、キシリトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、イヌリン、インスタント糖、クエン酸、コハク酸、酒石酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の製品。
【請求項28】
薬物含有成分及び膨潤性成分を含む錠剤であって、せん断力又は他の混合力を適用することなく、水を添加してから約2分以内に完全に半固体形態に変換される錠剤。
【請求項29】
錠剤の摩損度は、1%以下である、請求項28に記載の錠剤。
【請求項30】
水を添加してから約90秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項28又は29に記載の錠剤。
【請求項31】
水を添加してから約45秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項28又は29に記載の錠剤。
【請求項32】
前記薬物含有成分は、薬物ミクロスフェア及び薬物マイクロカプセルから選択される複数の薬物微小粒子を含む、請求項28~31のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項33】
前記膨潤性成分は、ジェランガムを含む、請求項28~32のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項34】
前記膨潤性成分は、高アシルジェランガムを含む、請求項28~32のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項35】
1つ又は複数の親水性剤をさらに含む、請求項28~34のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項36】
前記親水性剤は、オスモゲンである、請求項35に記載の錠剤。
【請求項37】
前記オスモゲンは、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、キシリトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、イヌリン、インスタント糖、クエン酸、コハク酸、酒石酸及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項36に記載の錠剤。
【請求項38】
前記オスモゲンは、ラクトース及びマンニトールから選択される、請求項36に記載の錠剤。
【請求項39】
前記オスモゲンは、ラクトース製品Capsulac 60である、請求項38に記載の錠剤。
【請求項40】
錠剤圧縮助剤をさらに含む、請求項28~39のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項41】
前記錠剤圧縮助剤は、ケイ化微結晶セルロース(SMCC)である、請求項40に記載の錠剤。
【請求項42】
電解質、有機酸及びこれらの混合物からなる群から選択される親水性剤をさらに含む、請求項28~41のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項43】
前記電解質は、クエン酸カルシウムである、請求項42に記載の錠剤。
【請求項44】
前記有機酸は、クエン酸である、請求項42に記載の錠剤。
【請求項45】
前記膨潤性成分は、ジェランガムと、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、圧縮助剤とを含む、請求項28に記載の錠剤。
【請求項46】
前記膨潤性成分は、ジェランガムと、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、ケイ化微結晶セルロースとを含む、請求項28に記載の錠剤。
【請求項47】
前記膨潤性成分は、ジェランガムと、ラクトースである親水性剤と、ケイ化微結晶セルロースとを含む、請求項28に記載の錠剤。
【請求項48】
前記薬物含有成分は、薬物ミクロスフェア又は薬物マイクロカプセルを含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項49】
水を添加してから約90秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項45~48のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項50】
水を添加してから約45秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項45~48のいずれか一項に記載の錠剤。
【請求項51】
薬物含有成分及び膨潤性成分を含み、ジェランガムと、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、ケイ化微結晶セルロースとを含む、請求項1に記載の固体医薬製品。
【請求項52】
前記薬物含有成分は、複数の薬物ミニ錠剤を含み、及び前記膨潤性成分は、複数の膨潤性ミニ錠剤を含み、前記膨潤性ミニ錠剤は、ジェランガムと、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、圧縮助剤とを含む、請求項1に記載の固体医薬製品。
【請求項53】
前記薬物含有成分は、複数の薬物ミニ錠剤を含み、及び前記膨潤性成分は、複数の膨潤性ミニ錠剤を含み、前記膨潤性ミニ錠剤は、ジェランガムと、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、ケイ化微結晶セルロースとを含む、請求項1に記載の固体医薬製品。
【請求項54】
水を添加してから約30秒以内に完全に半固体形態に変換される、請求項51~53のいずれか一項に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
[0001] 本開示は、投与前に、水が添加されると半固体製品を形成する膨潤性経口組成物に関する。本組成物は、錠剤及びカプセルなどの固体経口組成物を嚥下することが困難であるか又はそれを嫌がる可能性のある対象への投与に特に適している。
【背景技術】
【0002】
背景
[0002] 錠剤及びカプセルは、経口薬物投与のために最も広く使用されている剤形である。しかしながら、これらの剤形には、いくつか不利な点がある。例えば、人口の50%は、錠剤を嚥下するのに問題があると推定される。多数の高齢者は、錠剤又はカプセルを嚥下するのが特に困難であると感じており、小児の薬物療法は、対象が錠剤又はカプセルを嚥下することができないか又は嚥下したくない場合に損なわれる。これにより、治療計画の遵守が低下し、投与された薬物の効力に悪影響を及ぼし得る。さらに、多くの治療薬は、苦味があり、一般的に使用される小児への薬物療法の実施方法であるアップルソースなどの食品に振りかけることができない。
【0003】
[0003] 本開示は、少量の水の添加後、投与の直前に容易及び迅速に半固体形態に変換される固体医薬製品を提供することにより、固体経口剤形に関連するこれら及び他の問題を解決する。固体経口剤形を摂取することができないか又は摂取したくない個人にとって、半固体製品は、より口当たりがよく、したがって遵守が改善され、病気の治療又は治癒のために適切な投薬計画が行われることが保証される。
【0004】
[0004] 米国特許第8,383,154号及び米国特許第8,383,155号は、水が添加されると半固体製品を形成する膨潤性経口組成物を製造するためのParvulet(登録商標)技術の応用が記載されている。しかしながら、この技術には、いくつかの制限がある。この技術は、特に粉末組成物に適している。いくつかの薬物では、Parvulet(登録商標)技術は、薬物の溶解及び放出速度を十分に制御するために修正する必要もあり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
概要
[0005] 本開示の主な目的は、患者の許容性が高められた新規の薬物剤形を提供することである。本開示の新規の固体医薬製品は、苦味又は嚥下困難のために錠剤又はカプセルなどの従来の経口剤形の投与の遵守が損なわれる状況において、治療計画を守るために患者に拡張された選択肢を与える、薬物を経口投与する便利な方法を促進する。本明細書に記載される新規の医薬製品には、薬物の溶解速度及び放出特性を効果的に制御することができる制御放出製品も含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] したがって、本開示は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含む、経口投与のための固体医薬製品を提供する。本製品は、少量の水の添加後、半固体ゲルなどの半固体形態に完全に変換される。半固体形態は、せん断力又は他の混合力を適用することなく生じることができ、錠剤又はカプセルなどの従来の剤形よりも嚥下するのが容易である。
【0007】
[0007] 本開示は、少量の水の添加によって数分以内に半固体形態(例えば、ゲル)へのその完全な変換を促進する特性を有する堅牢な錠剤の調製を可能にする、薬物含有成分及び膨潤性成分の組合せも提供する。変換は、攪拌、振とう、加熱又は任意の他の混合方法若しくはせん断力の適用方法を用いずに達成され得る。本明細書に記載される錠剤の1つの特定の利点は、その調製が商業的製造のために容易にスケールアップされ得ることである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図面の簡単な説明
【
図1】[0008]水の添加前及び添加後の実施例1の製品の写真を示す。
【
図2】[0009]実施例1の製品の溶解を薬物ミクロスフェア成分単独の溶解と比較して示す。
【
図3】[0010]水の添加後の実施例2の製品の写真を示す。
【
図4】[0011]実施例2の製品の溶解を薬物ミクロスフェア成分単独の溶解と比較して示す。
【
図5】[0012]pH5.8リン酸緩衝液中での実施例3の製品の放出プロファイルを示す。
【
図6】[0013]pH5.8リン酸緩衝液中での実施例4の製品の放出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
[0014] 本開示は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含む固体医薬製品を提供する。本開示は、製品を製造するための方法、製品の半固体形態(例えば、ゲル)への変換及びこの半固体形態を患者に投与するための方法も提供する。製品は、好都合には、例えば使用のために小袋に包装された粉末若しくは顆粒として提示され得るか、又は少量の水の添加後に半固体製品への急速で完全な変換を可能にする特性を有する堅牢な錠剤であり得る。
【0010】
定義
[0015] 本明細書で使用される「薬物」、「活性剤」又は「活性医薬品」という用語は、薬学的に許容され、及び治療的に有効な薬剤及びその薬学的に許容される任意の塩、ラセミ体、エナンチオマーを含む。それは、例えば、抗菌薬、鎮痛薬、抗糖尿病薬、抗炎症薬、神経遮断薬、抗精神病薬、炭酸脱水酵素阻害薬、抗アレルギー薬、抗喘息薬、抗ヒスタミン薬、プロトンポンプ阻害薬、ステロイド、副腎皮質ステロイド、抗痙攣薬、抗てんかん薬、気管支拡張薬、睡眠薬、去痰薬、粘液溶解薬、抗癌薬、心血管用抗高脂血症薬、ジンジパイン阻害薬、抗生物質、抗ウイルス薬、ビタミン、ミネラル、ペプチド、酵素、タンパク質、オリゴヌクレオチド、生物製剤、プロバイオティクスなどのいくつかの医薬品カテゴリーから選択され得る。薬物は、親油性又は親水性であり得る。それは、乱用が起きやすい(すなわち耽溺につながる可能性のある特性を有することが知られている)薬物を含むクラスIIの薬物であり得る。
【0011】
本明細書で使用される「制御放出」という用語は、延長放出、改変放出、遅延放出、持続放出又は即時放出という用語を含む。
【0012】
[0016] 本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その」は、内容がそうでないと明確に指示しない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「水溶性ポリマー」は、1つ又は複数の水溶性ポリマーの混合物を含む。
【0013】
[0017] 「約」という用語は、数量を指すために本明細書で使用される場合、「正確に」を含む。例えば、「約60秒」は、正確に60秒及び60秒に近い値(例えば、50秒、55秒、59秒、61秒、65秒、70秒など)を含む。いくつかの例では、本開示に関連して、「約」という用語は、隣接する値と異なるおよその量を指す。例えば、「約65、約70、約75」の開示において、「約70」は、65.5よりも大きいか又は74.5よりも小さい値と同程度に低い量を指す。値の範囲に関連して「約」という用語が使用される場合、「約」という用語は、その範囲の最小値及び最大値の両方を指す(例えば、「約1~50μm」は、「約1μm~約50μm」を意味する)。
【0014】
[0018] 他に示されない限り、全ての割合及び比率は、成分の全重量、又は組成物の全重量、又は剤形の全重量に基づいて重量により計算される。
【0015】
[0019] 本明細書全体を通して、他に記載されない限り、割合や比率などの表現は、全て重量単位である。
【0016】
[0020] 「薬物含有成分」という用語は、複数の薬物微小粒子又は薬物ミニ錠剤を含む。
【0017】
[0021] 「薬物微小粒子」は、マイクロメートル範囲の粒子直径サイズを有する薬物含有固体であり、例えばミクロスフェア、マイクロカプセル、ビーズ、顆粒、ペレット又はマイクロ錠剤を含み得る。複数の薬物微小粒子は、好都合には、粉末形態で存在し得る。
【0018】
[0022] 「ミニ錠剤」、「ミニタブ」又は「MMTSTM」(Multi Minitablet System)は、約1mm~約2mmの直径を有する錠剤である。ミニ錠剤は、1つ又は複数の薬物及び賦形剤を含み得る。
【0019】
[0023] 「有効量」又は「治療的に有効な量」は、本明細書で使用される場合、所望の治療効果を引き起こすために、障害のある患者に1日1回又は複数回投与される薬物の量を意味する。
【0020】
本開示の目的
[0024] 本開示の第1の目的は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含む固体医薬製品であり、本製品は、せん断力又は他の混合力を適用することなく、水を添加してから約2分以内に完全に半固体形態に変換される。
【0021】
[0025] 本開示の第2の目的は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含む錠剤であり、本錠剤は、せん断力又は他の混合力を適用することなく、水を添加してから約2分以内に完全に半固体形態に変換される。
【0022】
薬物含有成分
[0026] 本開示の薬物含有成分は、医薬組成物からの薬物の放出を制御することができる複数の薬物微小粒子を含み得る。代替的に、本開示の薬物含有成分は、コーティングされていても又はされていなくてもよい複数の薬物ミニ錠剤を含み得る。
【0023】
[0027] 本開示の一実施形態では、微小粒子は、ミクロスフェアである。特定の実施形態では、ミクロスフェアは、1つ又は複数のワックス、脂質、セルロース及び制御放出剤などの他の賦形剤から構成され、薬物含量は、約1%w/w~約90%w/wの範囲である。
【0024】
[0028] ミクロスフェアは、一実施形態では、薬物の延長放出を提供し得る。このような「延長放出ミクロスフェア」は、患者が、延長(例えば、「終日」)投与と組み合わせて迅速な初期投与から利益を得るように、薬物の遊離又は「即時」画分と組み合わせることもできる。薬物の即時画分は、即時に薬物を放出する薬物成分であり、約85%を超える薬物の放出が投与後30分以内に起こる。
【0025】
[0029] 本開示の一実施形態では、微小粒子は、コア/シェル構造を含むマイクロカプセルであり、コア部分は、薬物及び賦形剤を含み、コアをカプセル化するシェル部分は、疎水性マトリックス及びpH応答性材料を含む。
【0026】
[0030] 制御放出微小粒子は、溶融スプレー凝結、プリリング(prilling)、スプレーチリング、スプレー乾燥、スピニングディスク、ホットメルト押出、溶融造粒、流動床コーティング、Wursterコーティング、パンコーティング、押出球形化、エマルション又はコアセルベーションを含むが、これらに限定されない種々の方法に従って製造することができる。
【0027】
[0031] 一態様では、微小粒子は、圧電振動と組み合わせて加速共流動ガス流を利用する溶融スプレー凝結プロセスによって製造される。
【0028】
[0032] 本開示の微小粒子は、Optimμm(登録商標)技術を用いて調製することもできる。
【0029】
[0033] マイクロカプセルの調製の例は、米国特許第10,426,734号、米国特許出願公開第20160354317号及び米国特許出願公開第2019035655号に記載されている。
【0030】
[0034] 一実施形態では、本開示のマイクロカプセルを含む微小粒子は、約90μm~約1000μmの平均粒径(直径)(例えば、Malvern粒径分析器で測定)を有し、略球体の形状及び狭い粒径分布を有する。
【0031】
[0035] 一実施形態では、薬物微小粒子は、約50μm~約100μmの平均粒径(直径)を有するミクロスフェア及びナノスフェアである。これらの粒子の90パーセントは、粒子の平均直径の2%以内である直径を有する。これらの粒子の調製は、米国特許第6,669,961号、米国特許第7,368,130号、米国特許第8,409,621号及び米国特許第7,309,500号に記載されるOptimμm(登録商標)技術を用いて実行される。
【0032】
[0036] 本開示の一実施形態では、微小粒子は、約50μm~約300μmの平均粒径(直径)を有する。
【0033】
[0037] 特定の実施形態では、微小粒子は、約50μm~約300μmの平均粒径(直径)を有し、疎水性マトリックス材料を含む。微小粒子は、安定剤及び/又は放出調節剤などの他の賦形剤も含有し得る。このような微小粒子及びその調製は、米国特許第10,398,649号に記載されている。これらの粒子は、親水性薬物と共に使用するのに特に適している。
【0034】
[0038] 1つの特定の実施形態では、微小粒子は、200μm以下(例えば、約150μm~約200μm)の平均粒径を有する。このような粒子は、好都合には、高分子コーティングを有し得る。例えば、微小粒子は、約150μm~約200μmの平均粒径と、約10%~約20%w/wの高分子コーティングとを有し得る。
【0035】
[0039] 本開示の1つの特定の実施形態では、微小粒子は、200μm以下の平均粒径を有するマイクロカプセルである。このような粒子は、好都合には、コーティング、例えばエチルセルロースコーティングを有し得る。このようなマイクロカプセルは、標準的な方法、すなわちコアセルベーションによって調製され得る。1つの例では、200μm以下の平均粒径を有し、及びエチルセルロースコーティングを有するマイクロカプセルは、シクロヘキサン中のエチルセルロースによるコアセルベーションによって調製される。
【0036】
[0040] 本開示の一実施形態では、微小粒子は、ミニ錠剤である。ミニ錠剤は、約2mm以下、例えば約1mm~約2mm、特に約2mmの平均直径を有する。ミニ錠剤は、複数の工具を備えた従来の錠剤プレスで製造することができる。ミニ錠剤の製造は、標準的な錠剤の製造と類似しているが、小さいダイに起因して、優れた粉末流と、プロセスパラメータの正確な制御と、工具の損傷を回避するための錠剤プレスの組立て中の特別な注意とが必要とされる。ミニ錠剤は、コーティングされていても又はされていなくてもよい。ミニ錠剤(又はミニタブ(登録商標))は、通常サイズの錠剤について以下に記載されるものと同じ賦形剤を用いて調製され得る。
【0037】
[0041] いくつかの実施形態では、薬物は、微小粒子の全質量の約30重量%~約60重量%の範囲、例えば約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、50重量%、約51重量%、約52重量%、約53重量%、約54重量%、約55重量%、約56重量%、約57重量%、約58重量%、約59重量%又は約60重量%の量(各値及びこれらの値間の部分範囲を含む)で存在する。
【0038】
[0042] 1つの特定の実施形態では、薬物は、親油性であり、薬物負荷は、最大で50%である。
【0039】
膨潤性成分
[0043] 本開示の膨潤性成分は、水に混合すると周囲温度で医薬組成物に流動性及び嗜好性を提供する。膨潤性成分は、好都合には、米国特許第8,383,154号及び米国特許第8,383,155号に記載されるように調製され得る。
【0040】
[0044] 本開示の一態様では、膨潤性成分は、1つ又は複数の膨潤性親水性ポリマーを含む。
【0041】
[0045] 本開示の別の態様では、膨潤性成分は、1つ又は複数の膨潤性親水性ポリマーと、1つ又は複数の親水性剤とを含む。親水性剤は、膨潤性親水性ポリマー及び最終的に固体医薬製品の膨潤特性を改善するために膨潤性成分に添加され得る。
【0042】
[0046] 上記の態様の一実施形態では、1つ又は複数の膨潤性親水性ポリマーは、全膨潤性成分の約20重量%~約80重量%を構成する。
【0043】
[0047] 本明細書中の親水性ポリマーは、水の添加によって高粘性材料又はゲルを形成することができる。これらは、好ましくは、ジェランガム、寒天、アルギン酸塩、カラギナン、ローカストビーンガム、セルロース誘導体、デンプン誘導体などの親水コロイドである。一実施形態では、膨潤性親水性ポリマーは、ジェランガムである。特定の実施形態では、膨潤性親水性ポリマーは、高アシルジェランガムであるか、又はポリマーのグルコース-ラムノース-グルコース-グルクロン酸単位の2回の繰返しごとに4までの程度以内でアシル化されたジェランガムである。
【0044】
[0048] 親水性剤は、好都合には、電解質、有機酸及び浸透圧剤並びにこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0045】
[0049] 適切な浸透圧剤の1つの種類には、親水性ビニル及びアクリルポリマー、多糖類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(アクリル)酸、ポリ(メタクリル)酸、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルアルコール(PVA)、PVA/PVPコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシエチルセルロース(CEC)、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ゼラチン並びにデンプングリコール酸ナトリウムなどのオスモポリマーが含まれる。適切な浸透圧剤の別の種類には、水溶性有機酸、塩及び糖;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、キシリトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、ラフィノース、スクロース、グルコース、フルクトース、ラクトース、イヌリン、インスタント糖(instant sugar)、クエン酸、コハク酸並びに酒石酸などの浸透圧的に有効な溶質(オスモゲン)が含まれる。
【0046】
[0050] 本開示の一態様では、膨潤性成分は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)と、1つ又は複数の親水性剤とを含む。
【0047】
[0051] 本開示の一態様では、膨潤性成分は、1つ又は複数の膨潤性親水性ポリマーと、オスモゲンである親水性剤とを含む。
【0048】
[0052] 本開示の一態様では、膨潤性成分は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)と、オスモゲンである親水性剤とを含む。
【0049】
[0053] 上記の態様の一実施形態では、オスモゲンは、天然糖又は糖代用品である。
【0050】
[0054] 上記の態様の特定の実施形態では、オスモゲンは、マンニトール及びラクトースから選択される。
【0051】
[0055] さらに特定の実施形態では、膨潤性成分は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)と、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、圧縮助剤とを含む。好ましい実施形態では、膨潤性成分は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)と、ラクトースと、ケイ化微結晶セルロースとを含む。
【0052】
[0056] 親水性電解質の例としては、イオン化可能な物質、例えば一価、二価又は多価のイオン化可能な塩などが挙げられる。塩は、例えば、種々のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の硫酸塩、塩化物、ホウ酸塩、臭化物などを含む無機塩並びにイオン化可能なアルカリ土類有機塩、例えばクエン酸塩、酢酸塩、乳酸塩など、硫酸カルシウム又は塩化ナトリウムから選択され得る。親水性有機酸の例としては、安息香酸、コハク酸、クエン酸及びアジピン酸が挙げられる。
【0053】
[0057] 特定の実施形態では、膨潤性成分は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)、ラクトース、クエン酸カルシウム及びケイ化微結晶セルロースを含む。別の特定の実施形態では、膨潤性成分は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)、マンニトール、クエン酸カルシウム及びケイ化微結晶セルロースを含む。
【0054】
[0058] 好都合には、膨潤成分は、薬物含有成分と混合する前に粉末又は顆粒の形態であり得る。しかしながら、薬物含有成分が複数のミニ錠剤を含む場合、膨潤成分は、薬物含有成分ミニ錠剤とドライブレンドする前に同様に複数のミニ錠剤として提示され得る。膨潤成分ミニ錠剤は、好都合には、薬物含有成分ミニ錠剤と略同じ寸法を有することになり、同様の方法で調製される。したがって、膨潤成分ミニ錠剤は、約2mm以下、例えば約1mm~約2mm、特に約2mmの平均直径を有する。これらのミニ錠剤は、複数の工具を備えた従来の錠剤プレスで製造することができ、コーティングされていても又はされていなくてもよい。膨潤成分ミニ錠剤(又はミニタブ)は、通常サイズの錠剤について以下に記載されるものと同じ賦形剤を用いて調製され得る。
【0055】
[0059] 特定の実施形態では、膨潤性成分ミニ錠剤は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)と、ラクトース及びマンニトールから選択される親水性剤と、ケイ化微結晶セルロースなどの圧縮助剤とを含む。好ましい実施形態では、膨潤性成分ミニ錠剤は、ジェランガム(例えば、高アシルジェランガム)と、ラクトースと、ケイ化微結晶セルロースとを含む。
【0056】
固体医薬製品
[0060] 本開示の固体医薬製品は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含み、本製品は、せん断力又は他の混合力を適用することなく、水を添加してから約2分以内に完全に半固体形態に変換される。
【0057】
[0061] 薬物含有成分は、上記のように複数の微小粒子又はミニ錠剤を含み得る。薬物微小粒子は、好都合には、最終製品中に約1%~約80%w/wの濃度で存在し得る。同様に、薬物ミニ錠剤は、好都合には、最終製品中に約1%~約80%w/wの濃度で存在し得る。
【0058】
[0062] 微小粒子の種類及びその成分は、薬物放出動態学及び他の患者中心の利益(例えば、味のマスキング)を規定する。微小粒子は、遅い速度又は速い速度で薬物を放出するように設計することができ、したがって、患者は、味の悪い又は大きい丸薬を摂取することなく治療効果から利益を得ることができる。
【0059】
[0063] 固体医薬製品は、均質な半固体塊/ゲルの形成を促すためにせん断力又は他の混合力を適用することなく、所定量の水を添加してから約2分以内に膨潤し、半固体塊/ゲルを形成する。
【0060】
[0064] 本開示の一実施形態では、固体医薬製品は、薬物含有成分及び膨潤性成分のドライブレンド混合により、ルースパウダーとして調製される。粉末は、好都合には、使用前に小袋の形態で包装され得る。経口投与の場合、小袋を開けて粉末内容物をスプーンなどの調剤手段に注ぐことになる。粉末製品が残存せずに半固体塊/ゲルを形成するのに十分な所定の少量の水を粉末に添加した後、患者は、塊/ゲルを嚥下することができる。塊/ゲルは、対象が不快感なく製品を嚥下することができる滑らかな粘稠度を有するべきである。特定の実施形態では、半固体塊/ゲルは、粉末形態の固体医薬製品に所定の少量の水を添加してから約60秒以内、特に約45秒以内、好ましくは約30秒以内に形成される。
【0061】
[0065] 本開示の一実施形態では、固体医薬製品は、最初に薬物含有成分及び膨潤性成分の乾燥混合物を形成し、次に従来の錠剤化方法を用いて、得られた混合物を圧縮して錠剤を形成することにより、錠剤として調製される。特定の実施形態では、そのようにして形成された錠剤は、1%以下、例えば約0.5%以下の錠剤摩損度を示す。さらなる実施形態では、錠剤は、所定の少量の水を添加してから約2分以内、好ましくは約90秒以内に完全に半固体形態(例えば、ゲル)に変換される。特定の実施形態では、錠剤は、所定の少量の水を添加してから約45秒以内に完全に半固体形態(例えば、ゲル)に変換される。
【0062】
[0066] 本出願人は、錠剤化前に固体医薬製品に圧縮助剤を包含させると、以下の特徴の組合せを有する錠剤を製造するのに有利であることを見出した:(1)1%以下(例えば、0.5%以下)の錠剤摩損度、(2)大規模製造及び包装のために錠剤が十分に堅牢であるような錠剤硬度値(N)、及び(3)錠剤が所定の少量の水を添加してから約2分以内に完全に半固体形態(例えば、ゲル)に変換されること。
【0063】
[0067] さらに、驚くべきことに、膨潤成分中に特定のオスモゲンと組み合わせて圧縮助剤を包含させると、錠剤の特徴(1)、(2)及び(3)の改善が得られる。
【0064】
[0068] 適切な圧縮助剤の例としては、微結晶セルロース、例えばケイ化微結晶セルロース(例えば、SMCC90 Prosolv)が挙げられる。
【0065】
[0069] 本明細書中の錠剤製品において使用するために特に興味深いオスモゲンには、糖、例えばマンニトール(例えば、Mannogem 2028又はPartek M200)及びラクトース(例えば、Capsulac 60又はLactose mono)が含まれる。
【0066】
特定の実施形態では、本開示は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含む錠剤を提供し、本錠剤は、ジェランガムと、圧縮助剤(例えば、ケイ化微結晶セルロース)と、マンニトール(例えば、Mannogem 2028又はPartek M200)及びラクトース(例えば、Capsulac 60又はLactose mono)から選択されるオスモゲンとを含む。さらにより特定の実施形態では、本開示は、薬物含有成分及び膨潤性成分を含む錠剤を提供し、本錠剤は、ジェランガムと、オスモゲンとしてのラクトース(例えば、Capsulac 60又はLactose mono)と、圧縮助剤としてのケイ化微結晶セルロースとを含む。好ましい実施形態では、前記錠剤は、せん断力又は他の混合力を適用することなく、水を添加してから約2分以内、例えば45秒以内に完全に半固体形態に変換される。
【0067】
[0070] 特定の実施形態では、本開示の固体医薬製品に包含され得る薬物には、イブプロフェン、セチリジン及びアセトアミノフェン(APAP)が含まれる。
【0068】
[0071] 特定の実施形態では、イブプロフェン微小粒子は、最終製品中において、20~65%又は50~65%w/wの濃度で膨潤性成分と組み合わせることができ、好ましい実施形態では、それは、62%w/wになる。
【0069】
[0072] 特定の実施形態では、セチリジン微小粒子は、最終製品中において、10~50%w/wの濃度で膨潤性成分と組み合わせることができ、好ましい実施形態では、それは、30%w/wになる。
【0070】
[0073] 特定の実施形態では、アセトアミノフェン(APAP)微小粒子は、最終製品中において、10~50%w/wの濃度で膨潤性成分と組み合わせる/ブレンドすることができる。好ましい実施形態では、それは、24%w/w、又は30%w/w、又は36%w/wになる。
【0071】
[0074] 1つの特定の実施形態では、固体医薬製品は、前記組成物の全重量に基づいて約30%w/wの量のセチリジン微小粒子を含み、D[4,3]約250μmのサイズ分布を示し、膨潤性成分中に約28%w/wの量のジェランガム(高アシル)を含む膨潤性成分をさらに含み、膨潤性成分は、マンニトールと組み合わせてクエン酸カルシウムをさらに含む。
【0072】
[0075] 1つの特定の実施形態では、固体医薬製品は、前記組成物の全重量に基づいて24%、又は30%、又は36%w/wの量のアセトアミノフェン微小粒子を含み、前記製品の全重量に基づいて約15~30%、好ましくは20%又は25%w/wの量のジェランガム(高アシル)を含む膨潤性成分をさらに含む。
【0073】
[0076] 本開示の一実施形態では、固体医薬製品は、前記製品の全重量に基づいて約24%w/wの量のアセトアミノフェン微小粒子を含み、前記製品の全重量に基づいて約20%w/wの量のジェランガム(高アシル)を含む膨潤性成分をさらに含み、膨潤性成分は、ラクトースをさらに含む。
【0074】
[0077] 本開示の1つの特定の実施形態では、固体医薬製品は、前記製品の全重量に基づいて約62%w/wの量のイブプロフェン微小粒子を含み、D[4,3]約250μmのサイズ分布を有し、膨潤性成分の約52%w/wの量のジェランガム(高アシル)を含む膨潤性成分をさらに含み、膨潤性成分は、クエン酸カルシウムをさらに含む。
【0075】
実施形態
[0078] 実施形態1:薬物微小粒子成分及び膨潤性成分を含む制御放出医薬組成物。
【0076】
[0079] 実施形態2:薬物微小粒子は、少なくとも1つの膨潤性親水性ポリマーを含む膨潤性成分中に取り込まれる、実施形態1の組成物。
【0077】
[0080] 実施形態3:膨潤性成分は、親水性剤をさらに含む、実施形態1又は実施形態2の組成物。
【0078】
[0081] 実施形態4:膨潤性親水性ポリマーは、高アシルジェランガムである、先行する実施形態のいずれかの組成物。
【0079】
[0082] 実施形態5:薬物微小粒子は、組成物の全重量の1%~80%w/wの濃度で存在する、先行する実施形態のいずれかの組成物。
【0080】
[0083] 実施形態6:薬物微小粒子は、組成物の全重量の約1~80%w/wの量で存在し、及び親水性ポリマーは、膨潤性成分の約20~80%w/wの量で存在する、先行する実施形態のいずれかの組成物。
【0081】
[0084] 実施形態7:薬物微小粒子は、Malvernで測定したときに50~100μmの平均直径を有するミクロスフェアであり、これらの粒子の90パーセントは、粒子の平均直径の2%以内である直径を有する、先行する実施形態のいずれかの組成物。
【0082】
[0085] 実施形態8:薬物微小粒子は、約50~約300μmの粒子直径を有する粒子を有し、疎水性マトリックス材料、安定剤及び放出調節剤を含む、実施形態1~6のいずれか1つの組成物。
【0083】
[0086] 実施形態9:薬物微小粒子は、コア-シェル構造を含むマイクロカプセルであり、コア部分は、薬物及び賦形剤を含み、コアをカプセル化するシェル部分は、疎水性マトリックスを含む、実施形態1~6のいずれか1つの組成物。
【0084】
[0087] 実施形態10:組成物は、錠剤、粉末、カプセル、小袋の形態である、先行する実施形態のいずれか1つの組成物。
【0085】
[0088] 実施形態11:薬物は、イブプロフェンであり、薬物微小粒子は、組成物の50~65%w/wの量で存在し、D[4,3]約250μmのサイズ分布を有し、ジェランガム(HA)は、膨潤性成分の約20~80%w/wの量であり、膨潤性成分は、クエン酸カルシウムを含む、先行する実施形態のいずれか1つの組成物。
【0086】
[0089] 実施形態12:薬物は、セチリジンであり、薬物微小粒子は、組成物の10~50%w/wの量で存在し、D[4,3]約250μmのサイズ分布を有し、ジェランガム(HA)は、膨潤性成分の約20~80%w/wの量であり、膨潤性成分は、クエン酸カルシウム及びマンニトールを含む、実施形態1~10のいずれか1つの組成物。
【0087】
[0090] 実施形態13:薬物微小粒子は、200μm未満の粒径を有する、実施形態1~6又は10のいずれか1つの組成物。
【0088】
[0091] 実施形態14:薬物微小粒子は、200μm未満の粒径を有し、エチルセルロースによるコアセルベート化マイクロカプセルである、実施形態1~6又は10のうちの1つの組成物。
【0089】
[0092] 実施形態15:薬物は、アセトアミノフェン(APAP)であり、薬物微小粒子は、組成物の約10~50%の量で存在し、ジェランガム(HA)は、組成物の約15~30%w/wの量であり、膨潤性成分は、ラクトースを含む、実施形態14の組成物。
【0090】
[0093] 実施形態16:せん断力を適用することなく、水媒体の添加後、先行する実施形態のいずれか1つの制御放出医薬組成物を患者に投与する方法。
【0091】
[0094] 以下の実施例は、本開示の固体医薬製品を説明する。
【実施例】
【0092】
実施例
実施例1.延長放出イブプロフェン小袋の調製
[0095] 薬物成分(ミクロスフェア)を作製するために、64%のカルナバワックス、25%のイブプロフェン、10%のステアリン酸及び1%のエチルセルロースからなる溶融溶液を100℃において攪拌下で混合した。次に、圧電振動と組み合わせた加速共流動ガス流を利用する溶融スプレー凝結プロセスにより、溶融溶液を処理した。得られた冷却粉末は、D[4,3]約250μmのサイズ分布を示した。
【0093】
[0096] 膨潤性成分を作製するために、38.9%のSMCC Prosolv(登録商標)、52.1%のジェランガム(HA)、7.9%のクエン酸カルシウム及び1.1%のD&C Red #7を高せん断顆粒化した。
【0094】
[0097] 医薬組成物を作製するために、ミクロスフェアが剤形重量の62%(200mgのイブプロフェン用量に相当する)を構成するように、ミクロスフェア成分を膨潤性成分とドライブレンドした。
【0095】
[0098] 組成物の膨潤試験のために、スプーンの上に置いた乾燥医薬品粉末に10mLの水道水を添加して、18秒間かけてアップルソースのような粘稠度を有する口当たりのよいマトリックスを形成した(n=10)。水の添加前及び添加後の製品の写真は、
図1に示される。
【0096】
[0099] 溶解試験のために、USP Type II装置を用いて、900mLのpH7.2のリン酸ナトリウム緩衝液中において50rpmで医薬組成物の溶解試験を行い(n=6)、ミクロスフェア成分のみの溶解と比較した(
図2を参照されたい)。
【0097】
実施例2.即時放出セチリジン錠剤の調製
[0100] 薬物成分(ミクロスフェア)を作製するために、45%のカルナバワックス、45%のモノステアリン酸グリセリル、5%のEudragit(登録商標)E-PO及び5%のセチリジンからなる溶融溶液を100℃において攪拌下で作製した。次に、圧電振動と組み合わせた加速共流動ガス流を利用する溶融スプレー凝結プロセスにより、溶融溶液を処理した。得られた冷却粉末は、D[4,3]約250μmのサイズ分布を示した。
【0098】
[0101] 膨潤性成分を作製するために、57.6%のSMCC Prosolv(登録商標)、28.8%のジェランガム(HA)、7.2%のマンニトール、4.3%のクエン酸カルシウム、0.6%のD&C Red #7及び1.0%のステアリン酸マグネシウムを高せん断顆粒化した。
【0099】
[0102] 次に、医薬組成物を作製するために、ミクロスフェアが剤形重量の30%(10mgのセチリジン用量に相当する)を構成するように、ミクロスフェア成分を膨潤性成分とドライブレンドした。
【0100】
[0103] 最後に、錠剤を作製するために、15mmのFFRE工具を用いて350psiで粉末ブレンドを錠剤に圧縮した。
【0101】
[0104] 剤形の膨潤試験のために、スプーン上の乾燥錠剤に7mLの水道水を添加して、43秒間かけて「ソフトクリーム(soft serve)」のような外観の口当たりのよいマトリックスを形成した(n=10)。水の添加後の製品の写真は、
図3に示される。
【0102】
[0105] 溶解試験のために、USP Type II装置を用いて、900mLの0.1NのHCl中において50rpmで錠剤の溶解試験を行い(n=6)、ミクロスフェア成分のみの溶解と比較した(
図4を参照されたい)。
【0103】
実施例3.ベリーフレーバーのアセトアミノフェン160mg錠剤
[0106] 薬物成分の調製:シクロヘキサン中のエチルセルロースを用いたコアセルベーションプロセスにより、アセトアミノフェン(APAP)マイクロカプセルを調製した。
【0104】
[0107] プレブレンドの調製:クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸、リンゴ酸、着色剤、フレーバー及びスクラロースを2Lのブレンダーに添加し、20rpmで10分間ブレンドした。次に、ブレンドを排出し、1850rpmでcomil 045Rスクリーンを通過させた。
【0105】
[0108] ブレンドの調製:APAPマイクロカプセル(コアセルベート化Microcaps(登録商標))、プレブレンド、SMCC、ラクトース及びジェランガムを15Lのブレンダーに添加し、20rpmで20分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を20rpmで5分間ブレンドした。
【0106】
[0109] 錠剤化:錠剤総重量709mg及び直径13mmになるようにブレンドを錠剤化した。摩損度は、0.3%であり、硬度は、35Nである。
【0107】
【0108】
【0109】
[0110] ベリーフレーバーのAPAP160mg錠剤の放出プロファイルは、pH5.8リン酸緩衝液中において50rpmで得た。USP Spec:NLT80%@30分(
図5を参照されたい)。
【0110】
[0111] 安定性データ:ベリーフレーバーのAPAP160mg錠剤に対して、乾燥剤なしのボトル内で長期条件(25℃、60%湿度)及び加速条件(40℃、75%湿度)下において安定性試験を実施した。結果は、表3に提示される。
【0111】
【0112】
[0112] 安定性データ:ベリーフレーバーのAPAP160mg錠剤に対して、乾燥剤を含むボトル内で長期条件(25℃、60%湿度)及び加速条件(40℃、75%湿度)下において安定性試験を実施した。結果は、表4に提示される。
【0113】
【0114】
実施例4.チェリーフレーバーのアセトアミノフェン160mg錠剤
[0113] 薬物成分の調製:シクロヘキサン中のエチルセルロースを用いたコアセルベーションプロセスにより、アセトアミノフェン(APAP)マイクロカプセルを調製した。
【0115】
[0114] プレブレンドの調製:クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸、着色剤、フレーバー及びスクラロースを3Lのブレンダーに添加し、20rpmで10分間ブレンドした。次に、ブレンドを排出し、1850rpmでcomil 045Rスクリーンを通過させた。
【0116】
[0115] ブレンドの調製:APAPマイクロカプセル(コアセルベート化Microcaps(登録商標))、プレブレンド、SMCC、ラクトース及びジェランガムを15Lのブレンダーに添加し、20rpmで20分間ブレンドした。次に、ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を20rpmで5分間ブレンドした。
【0117】
[0116] 錠剤化:錠剤総重量709mg及び直径13mmになるようにブレンドを錠剤化した。摩損度は、0.3%であり、硬度は、34Nである。
【0118】
【0119】
【0120】
[0117] チェリーフレーバーのAPAP160mg錠剤の放出プロファイルは、pH5.8リン酸緩衝液中において50rpmで得た。USP Spec:NLT80%@30分(
図6を参照されたい)。
【0121】
[0118] 安定性データ:チェリーフレーバーのAPAP160mg錠剤に対して、乾燥剤なしのボトル内で長期条件(25℃、60%湿度)及び加速条件(40℃、75%湿度)下において安定性試験を実施した。結果は、表7に提示される。
【0122】
【0123】
[0119] 安定性データ:チェリーフレーバーのAPAP160mg錠剤に対して、乾燥剤を含むボトル内で長期条件(25℃、60%湿度)及び加速条件(40℃、75%湿度)下において安定性試験を実施した。結果は、表8に提示される。
【0124】
【0125】
実施例5.アセトアミノフェン160mg錠剤における膨潤試験
[0120] 薬物成分の調製:シクロヘキサン中のエチルセルロースを用いたコアセルベーションプロセスにより、アセトアミノフェン(APAP)マイクロカプセルを調製した。
【0126】
[0121] プレブレンドの調製:クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸、着色剤及びスクラロースを2Lのブレンダーに添加し、20rpmで10分間ブレンドした。次に、ブレンドを排出し、1850rpmでcomil 045Rスクリーンを通過させた。
【0127】
[0122] ブレンドの調製:APAPマイクロカプセル(コアセルベート化Microcaps(登録商標))、プレブレンド、SMCC、ラクトース及びジェランガムを15Lのブレンダーに添加し、20rpmで20分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を20rpmで5分間ブレンドした。
【0128】
[0123] 錠剤化:錠剤総重量473mg及び直径12mmになるようにブレンドを錠剤化した。
【0129】
【0130】
[0124] 膨潤は、再構成量4mlの水を用いて実施した。2%の塩を含む組成物の膨潤時間は、膨潤に使用される水の種類(硬水、タイプ水、精製水)に応じて180秒~28秒で異なった。製剤が塩を3%w/wまで取り込む場合、膨潤時間は、水のタイプに関係なく平均して37秒~33秒で異なった。これらの製剤は、最も内側のコア部分でも完全に膨潤し、グミのような内部中心がなかった。
【0131】
実施例6.アセトアミノフェン160mg錠剤における膨潤試験
[0125] 薬物成分の調製:シクロヘキサン中のエチルセルロースを用いたコアセルベーションプロセスにより、アセトアミノフェン(APAP)マイクロカプセルを調製した。
【0132】
[0126] プレブレンドの調製:クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸、着色剤、フレーバー及びスクラロースを2Lのブレンダーに添加し、20rpmで10分間ブレンドした。次に、ブレンドを排出し、1850rpmでcomil 045Rスクリーンを通過させた。
【0133】
[0127] ブレンドの調製:APAPマイクロカプセル(コアセルベート化Microcaps(登録商標))、プレブレンド、SMCC、ラクトース及びジェランガムを15Lのブレンダーに添加し、20rpmで20分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を20rpmで5分間ブレンドした。
【0134】
[0128] 錠剤化:錠剤総重量567mg及び直径12mmになるようにブレンドを錠剤化した。
【0135】
【0136】
[0129] 膨潤は、再構成量4mlの水を用いて実施した。2%のフレーバーを含む製剤は、精製水中で33秒、水道水中で32秒の膨潤時間を有した。しかしながら、それは、膨潤していない内部コアを含有していた。2%のふるい分けしたフレーバー(脱塊/ふるい分け工程は、ブレンドマトリックス内のフレーバーの分散を促進する)を含む製剤は、精製水中で31秒、水道水中で30秒の膨潤時間を有した。それは、膨潤していないコアを含有していなかった。
【0137】
実施例7.アセトアミノフェン160mg錠剤における膨潤試験
[0130] 薬物成分の調製:シクロヘキサン中のエチルセルロースを用いたコアセルベーションプロセスにより、アセトアミノフェンマイクロカプセルを調製した。
【0138】
[0131] プレブレンドの調製:クエン酸カルシウム四水和物、クエン酸、着色剤及びスクラロースを2Lのブレンダーに添加し、20rpmで10分間ブレンドした。次に、ブレンドを排出し、1850rpmでcomil 045Rスクリーンを通過させた。
【0139】
[0132] ブレンドの調製:APAPマイクロカプセル(コアセルベート化Microcaps(登録商標))、プレブレンド、SMCC、ラクトース及びジェランガムを15Lのブレンダーに添加し、20rpmで20分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムを添加し、混合物を20rpmで5分間ブレンドした。
【0140】
[0133] 錠剤化:ピンク色の丸い菱形の錠剤としてブレンドを錠剤化した。
【0141】
【0142】
[0134] 膨潤は、再構成量4mlの水を用いて実施した。マンニトールを含む錠剤は、565mgの錠剤総重量を有し、ラクトースを含む錠剤は、709mgの錠剤総重量を有した。
【0143】
[0135] マンニトール錠剤:摩損度を改善する(2.0%超から1.0%)ために硬度を増大させる(14Nから25N)と、膨潤時間が長くなり、膨潤した錠剤には、膨潤していないコアが観察された。膨潤は、低硬度(14N)及び高摩損度(2%超)を有する錠剤で37秒であり、高硬度(25N)及び低摩損度(1.0%)を有する錠剤で120秒を超えていた。
【0144】
[0136] ラクトース錠剤:より少ない圧縮力で高い硬度(35N)が達成された。ラクトースを含む錠剤は、3%の摩損度を有し、精製水(51秒)及び水道水(67秒)の両方で適切に膨潤した。それは、グミのような内部中心(膨潤していないコア)がなかった。
【0145】
実施例8.コーティングされていないプラセボミニタブ+膨潤性成分のミニタブ
ステップ1:コーティングされていないプラセボミニタブ(2.0mm)の調製
[0137] L-IBCブレンダーにラクトース一水和物(69.5部)及びケイ化微結晶セルロース(SMCC 90)(29.5)部を入れ、10rpmで15分間ブレンドした。フマル酸ステアリルナトリウム(1部)を35メッシュのふるいによりふるい分けしてから、ブレンダー(ラクトース及びSMCCを含有する)に添加し、5分間さらにブレンドして、圧縮のための均質なブレンドを生成した(バッチサイズ:1kg)。ミニ錠剤の目標重量5.5mgのために構成されたミニ錠剤工具セット(16、それぞれ直径2mm)を備えたロータリー錠剤プレスManesty Betapressは、以下の圧縮パラメータで設定した:充填深さ設定値:2mm;圧縮力設定値:1.3kN以下(メイン圧縮:約2.5mm);プレ圧縮設定値:0.12kN(プレ圧縮:約8mm);フォースフィーダー速度設定値:0、タレットrpm:35;試験したミニタブの平均重量:7.1mg/ミニタブ及び硬度14N。
【0146】
ステップ2:ミニタブ(2.0mm)形態の膨潤性成分の調製
L-IBCブレンダーにジェランガム(Kelcogel CG-HA)(20.0部)、ケイ化微結晶セルロース(SMCC 90)(15.0部)、マンニトール顆粒(59.8部)、クエン酸(1.2部)及びクエン酸カルシウム四水和物(3.0部)を入れ、10rpmで15分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウムNF(1.0部)をブレンダー(ジェランガム、SMCC 90、マンニトール顆粒、クエン酸及びクエン酸カルシウム四水和物を含有する)に添加し、5分間さらにブレンドして、圧縮のための均質なブレンドを生成した(バッチサイズ:1kg)。ミニ錠剤の目標重量10.0mgのために構成されたミニ錠剤工具セット(16、それぞれ直径2mm)を備えたロータリー錠剤プレスManesty Betapressは、以下の圧縮パラメータで設定した:充填深さ:設定値:2mm;圧縮力設定値:1.3kN以下(メイン圧縮:約2.5mm);プレ圧縮設定値:0.12kN(プレ圧縮:約8mm);フォースフィーダー速度設定値:0、タレットrpm:35。
【0147】
ステップ3:ステップ1及び2の生成物の組合せ
ステップ1で調製されたコーティングされていないプラセボミニタブをスプーンに添加した。次に、ステップ2で調製された膨潤性成分のミニタブを同じスプーンに添加した。そのスプーンに水を添加し、成分の膨潤を引き起こした。得られた均質なゲル状の調製物は、数分で形成された。
【0148】
実施例9.コーティングされたプラセボミニタブ+膨潤性成分のミニタブ
ステップ1:コーティングされたプラセボミニタブ(2.2mm)の調製
実施例8のステップ1に記載されるようにミニタブを調製した。これらのミニタブコア(1,818.2g)には、以下のパラメータ:入口温度設定値 - 61℃;プロセス空気量 - 70cfm;噴霧空気 - 1.0バール;目標生成物温度:43~47℃で、6インチの Wursterインサート、6mL/分から12mL/分へのスプレー速度のためのぜん動ポンプ及び0.8mmノズルチップサイズ、空気分散プレート「D」及び100メッシュ生成物支持スクリーン並びに専用フィルターバッグを備えたGlatt GPCG-3において、2,060.4gのUSP水中に溶解/分散させたOPADRY II白色コーティング(363.6g)を含む安定化コーティングを施した。次に、実施例8のステップ1に記載されるように、これらのコーティングされたミニタブを圧縮した。
【0149】
ステップ2:上記のステップ1の生成物及び実施例8ステップ2の生成物の組合せ
ステップ1で調製されたコーティングされたプラセボミニタブをスプーンに添加した。次に、実施例8のステップ2で調製された膨潤性成分のミニタブを同じスプーンに添加した。そのスプーンに水を添加し、成分の膨潤を引き起こした。得られた均質なゲル状の調製物は、数分で形成された。
【0150】
実施例10.キシリトールを含有する膨潤性プラセボ錠剤
キシリトールを1850rpmでComill 032R(0.032インチ)スクリーンに通過させた。着色剤、フレーバー及びスクラロースを100gの粉砕キシリトールと組み合わせてから、2分以上混合した。組み合わせた着色剤、フレーバー、スクラロース及びキシリトールをComillに通した。Kelcogel、粉砕された組み合わせた着色剤、フレーバー、スクラロース及びキシリトール並びに追加の100gの粉砕キシリトールをこの順序でビンに添加してから、15rpmで30分間ブレンドした。このブレンド300gを取り除いた。フマル酸ステアリルナトリウムをブレンドに添加し、15rpmで10分間混合した。14mmの円形ディンプル工具を用いて、錠剤重量600mgでブレンドを錠剤化した。US Pharmacopeial Convention<1216>に従って錠剤の摩損度を測定し、FDAガイダンスにより錠剤として許容できない1%を超えることが分かった。1%を超える摩損度値は、包装及び出荷のために適切な堅牢性であると見なされないことも知られている。錠剤は、65~75秒膨潤時間を示した。
【0151】
【0152】
実施例11.キシリトールと、5、10、20、30及び40%w/wのケイ化微結晶セルロース(SMCC)とを含有する膨潤性プラセボ錠剤
実施例10で記載されたキシリトールブレンドにProsolv SMCC 90を5、10、20、30及び40%w/wで取り込み、300psiの力でカーバープレスを使用し、14mmの円形ディンプル形状の工具を用いて目標重量600mgでブレンドを錠剤化した。製剤中のSMCCの割合が増大し、対応するキシリトール%が減少するにつれて、錠剤硬度は、13Nから24Nまで増大することが観察された。膨潤時間は、5%SMCC製剤の63秒から、40%SMCC製剤の33秒まで減少した。
【0153】
【0154】
実施例12.フレーバー又は着色剤を含まない、キシリトール及びケイ化微結晶セルロース(SMCC)を含有する膨潤性プラセボ錠剤
SMCC、キシリトール、Kelcogel及びスクラロースを5分以上混ぜ合わせた。フマル酸ステアリルナトリウムをビンに添加し、2分以上ブレンドした。カーバープレス及び14mmの菱形工具を用いて600PSIで錠剤を調製した。調製された錠剤は、35~45Nの硬度を有する。錠剤の摩損度は、約0.7%~0.9%である。
【0155】
【0156】
実施例13.キシリトール及びケイ化微結晶セルロース(SMCC)を含有する膨潤性プラセボ錠剤
キシリトールをComill 032R(0.032インチ)円形スクリーンに通過させた。着色剤、フレーバー及びスクラロースを100gの粉砕キシリトールと組み合わせてから、2分以上混合した。組み合わせた着色剤、フレーバー、スクラロース及びキシリトールをComillに通した。SMCCの約半分、キシリトールの半分、ジェランガム、粉砕着色剤、フレーバー、スクラロース並びにSMCC及びキシリトールの残りの半分をこの順序でビンに添加してから、15rpmで30分間ブレンドした。フマル酸ステアリルナトリウムをビンに添加し、15rpmで15分間ブレンドした。目標重量600mgで、14mmの円形の菱形工具の4つの工具ステーションを有するFetti 52i錠剤プレスを使用し、以下の圧縮パラメータ:2.32(メイン圧縮)、プレ圧縮設定値約0.64kN;フォースフィーダー速度設定値:40、タレットrpm:5を用いてブレンドを錠剤化した。調製された錠剤は、28~48Nの硬度を有した。錠剤の摩損度は、約0.6%~0.9%である。
【0157】
【0158】
実施例14.ケイ化微結晶セルロース(SMCC)と、キシリトールの代わりにマンニトール(サンプルA及びB)又はラクトース(サンプルC及びD)のいずれかとを含有する膨潤性プラセボ錠剤
この調製物では、これまでの実施例に存在するキシリトールを別の成分、すなわちマンニトール(Mannogem 2080及びPartek M200)又はラクトース(Capsulac 60及びラクトース一水和物)で置き換え、このブレンドを錠剤化した。キシリトールを含む製剤は、SMCCの圧縮助剤が存在しても、所望の錠剤摩損度よりも高い摩損度を示した。キシリトールの代替の親水性剤として、ここではマンニトール及びラクトースを評価した。これらの薬剤は、製剤の堅牢性を改善することが見出された。製造された錠剤を膨潤時間及び錠剤硬度について試験した。
【0159】
フマル酸ステアリルナトリウム及びSMCCの半分を除く全ての成分を組み合わせてから、2分以上混合した。組み合わせた着色剤、フレーバー、スクラロース、SMCCの1/2及びマンニトール又はラクトースのいずれかをComillに通した。SMCCの約半分及びフマル酸ステアリルナトリウムをビンに添加し、15rpmで2分間ブレンドした。14mmの円形菱形工具を有するCarverプレスを用いて300psiまでブレンドを圧縮した。
【0160】
【0161】
【0162】
【0163】
【0164】
実施例14に従って作製された、表15~18に記載される組成物を含有する4つの錠剤(錠剤A~D、サンプルA~Dを含む)を水膨潤及び錠剤硬度について試験した。1つの秤量ボートに1つの錠剤を入れてから、5mlの水道水を添加し、タイマーをスタートさせて、錠剤が水を完全に吸収するために必要とされる時間(秒)を測定した。この試験を6回繰り返した。表20には、得られた水膨潤の結果及び錠剤硬度が記載される。
【0165】
【0166】
実施例15.ケイ化微結晶セルロース(SMCC)と、キシリトールの代わりのラクトースとを含有する膨潤性プラセボ錠剤
着色剤、フレーバー及びスクラロースに100gのSMCCを添加し、2分以上混合してから、100メッシュのスクリーンを通過させた。Capsulac 60(<100μm NMT10%、<250μm 40~70%、<400μm NMT90%、<630μm NMT97%の粒径分布を有するアルファラクトース一水和物)、Kelcogel、クエン酸、上記のブレンドしたSMCC、着色剤、フレーバー及びスクラロース並びに100gのSMCCをこの順序でビンに添加してから、15rpmで30分間ブレンドした。フマル酸ステアリルナトリウムをビンに添加し、15rpmで15分間ブレンドした。目標重量600mgで、14mmの円形の菱形工具の4つの工具ステーションを有するFetti 52i錠剤プレスを使用し、以下の圧縮パラメータ:メイン圧縮設定値約2.3mm(約14kN)、プレ圧縮設定値約4.3mm(約0.7Kn)、フォースフィーダー速度設定値:40rpm、タレット設定値:5rpmを用いてブレンドを錠剤化した。調製された錠剤は、34~53Nの硬度値及び約3.6mmの厚さを有する。錠剤の摩損度は、0.2%~0.5%である。
【0167】
【国際調査報告】