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特表2023-533488高い剛性特性を有するフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】高い剛性特性を有するフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 110/06 20060101AFI20230727BHJP
   C08L 23/12 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
C08F110/06
C08L23/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580463
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 US2021039558
(87)【国際公開番号】W WO2022006072
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】63/045,348
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001706
【氏名又は名称】ダブリュー・アール・グレース・アンド・カンパニー-コーン
【氏名又は名称原語表記】W R GRACE & CO-CONN
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジール
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002AC032
4J002BB121
4J002BB142
4J002BB152
4J002BB162
4J002CP032
4J002CP03Z
4J002EG026
4J002EL106
4J002EW046
4J002FD206
4J002GB01
4J002GC00
4J002GG00
4J002GG01
4J100AA03P
4J100CA01
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA22
4J100DA23
4J100DA24
4J100DA42
4J100DA43
4J100DA47
4J100DA49
4J100DA51
4J100FA09
4J100JA50
4J100JA51
4J100JA57
4J100JA58
4J100JA59
(57)【要約】
フタラートを含まないポリプロピレンホモポリマー及びホモポリマーを組み込んだ組成物が記載されている。フタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーは、高分子量及び低いXS含有量を示す。フタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、比較的高い剛性特性を有することができる。更に、ポリプロピレン組成物は、良好なメルトフロー特性を有することができる。ホモポリマーを含むフタラートを含まない組成物は、食品接触、医療、及びパーソナルケア用途において容器及び他の物品を形成するのに有利に利用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約150,000以上の分子量及び約1.8重量%以下のキシレン可溶成分を有し、フタラートを含まない、ポリプロピレンホモポリマー。
【請求項2】
約0.5重量%から約1.5重量%のXS含有量を有する、請求項1に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項3】
約200,00以上の分子量を有する、請求項1又は2に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項4】
約350,000以上の分子量を有する、請求項1又は2に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項5】
約5以上の分子量分布を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項6】
約5.5以上の分子量分布を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項7】
約95%以上のアイソタクチックペンタッド含有量、約97%以上のアイソタクチックトリアッド含有量、約150以上のアイソタクチックブロック長、及び約100以上のメソラン長のうちの1つ以上を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項8】
約160℃以上の溶融温度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項9】
約120℃の結晶化温度を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項10】
気相反応器内で形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリプロピレンホモポリマー。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーを含む組成物であって、約1700MPa以上の曲げ弾性率、並びに約1g/10分以上及び約10g/10分以下のメルトフローレートを有する、組成物。
【請求項12】
約10J/m以上のアイゾット衝撃強度を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
約20MPa以上の降伏点引張強度を有する、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
核形成剤を含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
核形成剤を含まない、請求項11から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
離型剤、スリップ剤、ブロック防止剤、UV安定剤、熱安定剤、清澄剤、酸化防止剤、酸掃去剤、又は着色剤のうちの1つ以上を含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
第2のポリマーを含む、請求項11から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項11から17のいずれか一項に記載の組成物を含む成形物品。
【請求項19】
容器である、請求項18に記載の成形物品。
【請求項20】
食品接触物品、医療物品、又はパーソナルケア物品である、請求項18に記載の成形物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる2020年6月29日に出願された米国特許仮出願第63/045,348号に基づき、それに対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレンは、多種多様な用途に有用な機械的及び熱的特性を示す。ポリプロピレンの1つの重要な機械的特性は剛性である。剛性とは、材料の剛性特性であり、材料の曲げ弾性率を決定することによって測定することができる。曲げ弾性率は、ポリマーから形成された構造に垂直に力が加えられたときに材料が曲がる能力、言い換えれば、曲げに対するその耐性に関する。高剛性ポリマーは、外力にさらされたときに変形に抵抗し、したがって、自立した形状保持製品の形成にしばしば利用される。
【0003】
近年、形成技術及びその技術によって形成されるポリマーの両方の環境への影響を低減するポリマー形成技術の改善が達成されている。例えば、フタラートを含まないポリマー、すなわち、フタラート含有触媒の痕跡を含まないポリマーを製造するために使用することができるフタラートを含まない触媒が開発されている。残念なことに、複数の異なる有益な品質、例えば、フタラートを含まないなどの望ましい環境品質と併せて剛性などの望ましい機械的特性を示し、望ましい加工性特性も維持するポリマー、特にポリプロピレンは、実現しにくいことが判明している。
【0004】
上記に鑑みて、比較的高い剛性特性及び良好な加工性特性を有するフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーが必要とされている。このようなポリプロピレンホモポリマーを組み込んだポリプロピレンポリマー組成物も必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一般に、本開示は、望ましい特性を有するポリプロピレンホモポリマーに関する。特に、ポリプロピレンホモポリマーはフタラートを含まなくてもよい。加えて、ポリプロピレンホモポリマーは、高分子量及び低キシレン可溶分(XS)含有量の両方を示すことができる。例えば、ポリプロピレンホモポリマーは、約150,000超、例えば約200,000超、例えば約250,000超、例えば約300,000超、例えば約350,000超の分子量を有することができる。ポリプロピレンホモポリマーは、約1.8重量%以下、例えば約1.5重量%以下、例えば約1.3重量%以下、又は約1重量%以下のキシレン可溶成分(XS)を有することができる。
【0006】
高い剛性及び良好な加工性を有するフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーを含む組成物も開示される。例えば、本明細書に記載のフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーを含む組成物は、約1700MPa以上、例えば約1700MPaから約2100MPaの曲げ弾性率を有することができる。記載される組成物は、約1g/10分以上及び約10g/10分以下、例えば約5g/10分以下、約4.5g/10分以下、又は約4g/10分以下のメルトフローレートを有することができる。
【0007】
ポリプロピレンホモポリマーを含む組成物は、任意の好適な熱成形プロセス又は成形プロセスを使用して全ての異なる種類の成形物品を形成するために使用することができる。例えば、物品は、押出ブロー成形、射出成形、回転成形、押出成形などを使用して製造することができる。ポリプロピレンホモポリマーはまた、二軸配向ポリプロピレンフィルムを製造するために使用することもできる。本開示に従って製造され得る物品は、食品接触物品、医療物品、及びパーソナルケア物品を含む。
【0008】
本開示の他の特色及び態様は、以下でより詳細に考察される。
【0009】
定義及び試験手順
用語「フタラートを含まないプロピレン」とは、本明細書で使用される場合、触媒系の任意のフタラート含有成分及びフタラート触媒系の任意のフタラート分解生成物を含む、フタラート触媒系の痕跡を含まないプロピレンポリマー(ホモポリマー又はコポリマーのいずれか)である。同様に、フタラートを含まないポリプロピレンを含む組成物は、フタラートを含まない組成物であることができ、フタラート含有成分及びフタラート分解生成物を含まないことができる。
【0010】
用語「ポリプロピレンホモポリマー」とは、本明細書で使用される場合、プロピレンモノマー単位を含有するホモポリマーである。
【0011】
用語「プロピレンコポリマー」とは、本明細書で使用される場合、異なるモノマー、例えばエチレンモノマーを二次構成成分として有する重量パーセントのプロピレンモノマーを含有するコポリマーである。「プロピレン-エチレンコポリマー」(ポリプロピレンランダムコポリマー、PPR、PP-R、RCP、又はRACOとも呼ばれる)は、ポリマー鎖中にランダム又は統計的分布で存在するエチレンモノマーの個々の繰り返し単位を有するポリマーである。
【0012】
メルトフローレート(MFR)は、本明細書で使用される場合、プロピレン系ポリマーについて2.16kgの重量で230℃でASTM D 1238試験法に従って決定される。
【0013】
キシレン可溶分(XS)は、ポリプロピレンの試料を高温キシレンに溶解し、溶液を25℃に冷却した後に溶液中に残る樹脂の重量パーセントとして定義される。XS含有量は、90分の沈殿時間を使用して、ASTM D5492-06(本明細書では「湿式法」とも呼ばれる)による重量XS法に従って決定される。
【0014】
一般に、手順は、2gの試料を秤量することと、24/40の継手を備えた400mLフラスコ中で200mLのo-キシレンに試料を溶解することとを含む。フラスコを水冷冷却器に接続し、内容物を撹拌し、窒素(N)下で加熱還流し、次いで、更に30分間還流を維持する。次いで、溶液を25℃の温度制御された水浴中で90分間冷却して、キシレン不溶性画分の結晶化を可能にする。溶液が冷却され、不溶性画分が溶液から沈殿すると、キシレン不溶性部分(XI)からのキシレン可溶性部分(XS)の分離は、25マイクロメートル濾紙を通して濾過することによって達成される。100mLの濾液を予め秤量したアルミニウムパンに収集し、o-キシレンをこの100mLの濾液から窒素流下で蒸発させる。溶媒が蒸発したら、パン及び内容物を100℃の真空オーブンに30分間又は乾燥するまで入れる。次いで、パンを室温まで冷却し、秤量する。キシレン可溶性部分は、XS(重量%)=[(m-m2/m100として計算され、式中、mは使用される試料の元の重量であり、mは空のアルミニウムパンの重量であり、mはパン及び残留物の重量である(本明細書及び本開示の他の箇所のアスタリスクは、識別された用語又は値が乗算されることを示す)。
【0015】
曲げ弾性率は、ASTM D790-10の方法Aに従って、ASTM 3641のタイプ1試験片を使用して1.3mm/分で決定され、ASTM D4101に従って成形される。
【0016】
アイゾット衝撃強度は、ASTM D 256及びD4101に従って決定される。
【0017】
降伏点引張強度は、ASTM D638に従って決定される。
【0018】
Mw/Mn(「MWD」とも呼ばれる)及びMz/Mwは、ポリプロピレンのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析方法に従ってGPCによって測定される。ポリマーは、屈折計検出器及び4つのPLgel Mixed A(20μm)カラム(Polymer Laboratory Inc.)を備えたPL-220シリーズ高温ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)ユニットで分析する。オーブン温度は150℃に設定され、オートサンプラの高温ゾーン及び温暖ゾーンの温度は、それぞれ135℃及び130℃である。溶媒は、約200ppmの2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を含有する窒素パージされた1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)である。流速は1.0mL/分であり、注入量は200μLであった。2mg/mLの試料濃度は、試料をN2パージ及び予熱したTCB(200ppmのBHTを含有)に、穏やかに撹拌しながら160℃で2.5時間溶解することによって調製する。
【0019】
GPCカラムセットは、20種の狭い分子量分布のポリスチレン標準を実行することによって較正される。標準の分子量(MW)は580から8,400,000g/molの範囲であり、標準は6つの「カクテル」混合物に含有されていた。各標準混合物は、個々の分子量間に少なくとも10年間の分離を有する。ポリスチレン標準は、1,000,000g/mol以上の分子量については20mLの溶媒中0.005gで、1,000,000g/mol未満の分子量については20mLの溶媒中0.001gで調製される。ポリスチレン標準を撹拌しながら150℃で30分間溶解する。狭い標準混合物が最初に実行され、分解の影響を最小限に抑えるために、分子量が最も高い成分の順で実行する。対数分子量較正は、溶出体積の関数として4次多項式フィットを使用して生成される。同等のポリプロピレン分子量は、報告されているポリプロピレン(Th.G.Scholte,N.L.J.Meijerink,H.M.Schoffeleers,and A.M.G.Brands,J.Appl.Polym.Sci.,29,3763-3782(1984))及びポリスチレン(E.P.Otocka,R.J.Roe,N.Y.Hellman,P.M.Muglia,Macromolecules,4,507(1971))のMark-Houwink係数を使用して次の式を使用して計算され、
【0020】
【数1】
式中、Mppはポリプロピレン(PP)相当のMWであり、MPSはポリスチレン(PS)相当のMWであり、logK、並びにPP及びPSのMark-Houwink係数の値を以下の表1に列挙する。
【0021】
【表1】
【0022】
巨大分子又はポリマー内の隣接するキラル中心の相対的立体化学を表す立体規則性は、例えば、Macromolecules 8 687(1975)及びMacromolecules 6 925(1973)並びにそこに引用されている参考文献に記載されているように、13C NMRによって決定される。本明細書における立体規則性の記述は、当技術分野で知られているような標準的な特徴付けを利用する。2つの連続するモノマー単位、同じ構成を有する「ダイアッド」は、アイソタクチック又はメソ(m)である。ダイアッドモノマー単位が反対の構成を有する場合、ダイアッドはラセミ(r)である。3つの隣接するモノマー単位の場合、「トリアッド」には3つの可能性がある。3つの隣接するモノマー単位が同じ構成を有する場合、トリアッドはmmと命名される。rrトリアッドは、いずれかの隣接物とは反対の構成を有する中間モノマー単位を有する。2つの隣接するモノマー単位が同じ構成を有し、第3のモノマーと異なる場合、トリアッドはmr立体規則性を有すると指定される。5つの連続したモノマー単位の場合、「ペンタッド」は10の可能性がある。完全なシンジオタクチックポリマーは全てrrrrペンタッドを有するが、完全なアイソタクチックポリマーは全てmmmmペンタッドを有する。
【0023】
ポリプロピレンホモポリマーの立体規則性は、アイソタクチックトリアッド濃度(mm%)、アイソタクチックペンタッド濃度(mmmm%)、アイソタクチックブロック長(Liso)、メソラン長(Nm)など、又はそれらの任意の組み合わせを参照することによって記載又は定量化することができる。Liso及びNmは、以下の関係に従って決定される。
Liso=(2mmmm/mmrr)+3,
Nm=((mm+(mr/2))/mr,ここでmr=(mr+rm)/2
【0024】
試料は、0.025MのCr(AcAc)3を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物約2.7gをNorell 1001-7の10mmのNMR管内の試料0.20gに添加することによって調製する。加熱ブロックを使用して管及びその内容物を150℃に加熱することによって、試料を溶解し、均質化する。各試料は、均質性を確実にするために目視検査される。
【0025】
データは、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して収集する。データは、データファイルごとに512のトランジェント、6秒のパルス反復遅延、90度のフリップ角、及び120℃の試料温度での逆ゲート減結合を使用して取得される。全ての測定は、ロックモードで非スピン試料に対して行われる。試料を、データ取得の前に10分間熱平衡化させる。当技術分野で一般的に使用される方法に従って、データから立体規則性を計算する。
【0026】
結晶化温度(T)及び溶融温度(T)を含む熱特性は、ISO 11357に従ってDSC分析によって決定される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
当業者は、本考察が例示的な実施形態の説明のみであり、本開示のより広い態様を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【0028】
一般に、本開示は、フタラートを含まないポリプロピレンホモポリマー、及び望ましい特性の独自のブレンドを有するホモポリマーを組み込んだ組成物に関する。例えば、フタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーは、望ましい分子量分布及び優れたXS特性を示すことができる。ポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、比較的高い剛性特性を有することができる。加えて、ポリプロピレン組成物は、良好な加工特性、例えば良好なメルトフロー特性を有するように配合することができる。したがって、ポリプロピレンホモポリマーは、製品、特に射出成形物品などの成形物品を形成するのに特によく適している。ポリプロピレンホモポリマー、及びホモポリマーを含有する組成物の望ましい特性により、内部容積を有する容器及び他の物品を最小の壁厚で形成することができる。このようにして、最小量のポリプロピレンホモポリマーを使用してポリマー物品を効率的に形成することができる。
【0029】
特に有利なことに、ポリプロピレンホモポリマーは、フタラートを含まない触媒系を使用して重合することができ、フタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーを含有する組成物は、高い剛性特性及び優れた加工性を示すことができる。したがって、組成物は、フタラートを含まないポリマー組成物であり得、フタラートを含まない成形製品、例えば食品容器、及び医療物品、パーソナルケア物品などを含む食品接触製品を形成する際の使用によく適し得る。更に、ポリプロピレンホモポリマーを形成する際に、高い活性を示すフタラートを含まない触媒系を利用することができる。例えば、本開示のポリマーの重合中、ポリプロピレンホモポリマーの製造中に約50kg/g超、例えば約55kg/g超、例えば約60kg/g超、いくつかの実施形態では更に約65kg/g超の活性を維持する非フタラートチーグラー・ナッタ触媒を使用することができる。触媒活性は、一般に約100kg/g未満である。
【0030】
ポリプロピレンホモポリマーのキシレン可溶成分(XS)は、比較的低くてもよく、例えば、約1.8重量%以下であってもよい。例えば、ポリプロピレンホモポリマーは、約0.5%重量から約1.8%重量、例えば約0.7%重量から約1.5%重量、例えば約0.8%重量から約1.2%重量のXSを有することができる。
【0031】
低XS含有量と組み合わせて、ポリプロピレンホモポリマーはまた、高分子量を有することもできる。例えば、ポリプロピレンホモポリマーは、約150,000超、例えば約200,000超、例えば約250,000超、例えば約300,000超、例えば約350,000超、例えば、約150,000から約450,000、又はいくつかの実施形態では更に大きい重量平均分子量(MW)を有することができる。
【0032】
ポリプロピレンホモポリマーは、比較的広い分子量分布を有することができ、これにより、ホモポリマーの加工性を著しく改善することができる。一実施形態では、ポリプロピレンホモポリマーは、約5超、例えば約5.5超、例えば約6超、及び一般に約10未満、例えば約8.5未満、例えば約7未満の分子量分布を有する。
【0033】
本開示のポリプロピレンホモポリマーは、高度にアイソタクチックであり得る。例えば、ポリプロピレンホモポリマーは、約95%以上のアイソタクチックペンタッド含有量(mmmm%)及び約97%以上のアイソタクチックトリアッド含有量(mm%)を有することができる。アイソタクチックブロック長(Liso)は、約150超、例えば約160超、例えば約170超、例えば約175超であり得る。アイソタクチックブロック長は一般に約200未満である。メソラン長(Nm)は、一般に約100超、例えば約110超、例えば約115超であり得る。メソラン長は、一般に約150未満、例えば約140未満である。
【0034】
ポリプロピレンホモポリマーはまた、望ましい熱特性を示すことができる。例えば、本開示のポリプロピレンホモポリマーの溶融温度は、約160℃超、例えば約164℃超であり得、結晶化温度は、約120℃超、例えば約125℃超、例えば約126℃超であり得る。
【0035】
このように、ポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、優れた剛性特性を有することができる。例えば、一実施形態では、本開示のポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、約1700MPa超、例えば約1750MPa超、例えば約1800MPa超、例えば約1850MPa超、例えば約1900MPa超、例えば約1950MPa超、及び一般に約2500MPa未満、例えば約2100MPa未満、例えば約2050MPa未満の曲げ弾性率を有することができる。例えば、一実施形態では、ポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、約1700MPa超かつ約2100MPa未満の曲げ弾性率を有することができ、その間の25MPaの全ての増分を含む。
【0036】
他の優れた特性に加えて、本開示のポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、優れた加工性特性を示す。ポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物は、例えば、約5g/10分未満、例えば約4g/10分未満、例えば約3g/10分未満、例えば約2g/10分未満、例えば約1g/10分未満、及び一般に約0.01g/10分超、例えば約0.1g/10分超、例えば約0.5g/10分超のメルトフローレートを有することができる。
【0037】
本開示のポリプロピレンホモポリマーを組み込んだ組成物はまた、優れた剛性特性に加えて、優れた機械的特性も有する。例えば、ポリプロピレンホモポリマーは、約10J/m超、例えば約15J/m超、例えば約20J/m超のアイゾット衝撃強度を有することができる。アイゾット耐衝撃強度は、一般に約80J/m、例えば約70J/m未満、例えば約60J/m未満である。加えて、ポリプロピレンホモポリマーは、約20MPa超、例えば約25MPa超、例えば約30MPa超、例えば約35MPa超の降伏点引張強度を有することができる。降伏点引張強度は、一般に約60MPa未満、例えば約50MPa未満、例えば約45MPa未満である。
【0038】
ポリプロピレンホモポリマーは、フタラートを含まない触媒系を使用して形成することができる。例えば、ポリプロピレンホモポリマーは、前述のように重合中に高い触媒活性を維持するフタラートを含まないチーグラー・ナッタ触媒を使用して形成することができる。一実施形態では、重合は、触媒、内部電子供与体、助触媒、及び場合により外部電子供与体及び/又は活性制限剤などの様々な他の成分を含むフタラートを含まない触媒系の存在下で行うことができる。
【0039】
本開示の一実施形態では、重合は、立体規則性オレフィン重合触媒の存在下で行われる。例えば、一実施形態では、商品名CONSISTA(登録商標)で販売され、W.R.Grace & Companyから市販されているフタラートを含まない触媒を使用することができる。加えて、フタラートを含有しない電子供与体を選択することができる。
【0040】
一実施形態では、触媒は、塩化チタンなどのチタン部分、塩化マグネシウムなどのマグネシウム部分、及び少なくとも1つの内部電子供与体を含有するプロ触媒組成物を含む。
【0041】
プロ触媒前駆体は、(i)マグネシウム、(ii)周期表IV~VII族の遷移金属化合物、(iii)ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、及び/又はアルコキシド、及び/又は(i)、若しくは(i)及び/若しくは(ii)のアルコキシド、並びに(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の組み合わせを含み得る。好適なプロ触媒前駆体の非限定的な例としては、ハロゲン化物、オキシハロゲン化物、マグネシウム、マンガン、チタン、バナジウム、クロム、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、及びそれらの組み合わせのアルコキシドが挙げられる。
【0042】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、唯一の金属成分としてマグネシウムを含有する。非限定的な例としては、無水塩化マグネシウム及び/若しくはそのアルコール付加物、マグネシウムアルコキシド及び/若しくはアリールオキシド、混合マグネシウムアルコキシハロゲン化物、並びに/又はカルボキシル化マグネシウムジアルコキシド若しくはアリールオキシドが挙げられる。
【0043】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、無水塩化マグネシウムのアルコール付加物である。無水塩化マグネシウム付加物は、一般にMgCl-nROHとして定義され、式中、nは1.5~6.0、好ましくは2.5~4.0、最も好ましくは2.8~3.5モルの総アルコールの範囲を有する。ROHは、直鎖若しくは分枝鎖のC~Cアルコール、又はアルコールの混合物である。好ましくは、ROHはエタノール又はエタノールと高級アルコールとの混合物である。ROHが混合物である場合、エタノールと高級アルコールとのモル比は、少なくとも80:20、好ましくは90:10、最も好ましくは少なくとも95:5である。
【0044】
一実施形態では、実質的に球状のMgCl-nEtOH付加物は、噴霧結晶化プロセスによって形成され得る。一実施形態では、球状のMgCl前駆体は、約15~150マイクロメートル、好ましくは20~100マイクロメートル、最も好ましくは35~85マイクロメートルの間の平均粒径(Malvern d50)を有する。
【0045】
一実施形態では、プロ触媒前駆体は、遷移金属化合物及びマグネシウム金属化合物を含有する。遷移金属化合物は、一般式TrXを有し、式中、Trは遷移金属であり、Xはハロゲン又はC1~10ヒドロカルボキシル若しくはヒドロカルビル基であり、xはマグネシウム金属化合物と組み合わせた化合物中のそのようなX基の数である。Trは、IV族、V族、又はVI族金属であり得る。一実施形態では、Trは、チタンなどのIV族金属である。Xは、塩化物、臭化物、C1~4アルコキシド若しくはフェノキシド、又はそれらの混合物であり得る。一実施形態では、Xは塩化物である。
【0046】
前駆体組成物は、前述の混合マグネシウム化合物、チタン化合物、又はそれらの混合物の塩素化によって調製することができる。
【0047】
一実施形態では、前駆体組成物は、式MgTi(ORの混合マグネシウム/チタン化合物であり、式中、Rは、1から14個の炭素原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素ラジカル、又はCOR’であり、R’は、1から14個の炭素原子を有する脂肪族若しくは芳香族炭化水素ラジカルであり、各OR基は、同じであるか、又は異なり、Xは、独立して、塩素、臭素、又はヨウ素であり、dは、0.5から56であり、又は2~4、又は3であり、fは、2から116、又は5から15であり、gは、0.5から116、又は1から3である。
【0048】
本開示によれば、上述のプロ触媒前駆体は、少なくとも1つの内部電子供与体と組み合わされる。内部電子供与体は、フタラートを含まない置換フェニレン芳香族ジエステルを含むことができる。
【0049】
一実施形態では、第1の内部電子供与体は、以下の構造(I)を有する置換フェニレン芳香族ジエステルを含む:
【0050】
【化1】
式中、R~R14は同じであるか、又は異なる。R~R14のそれぞれは、水素、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。少なくとも1つのR~R14は水素ではない。
【0051】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、米国特許出願公開第2010/0168342号、同第2010/0168353号、同第2010/0173769号、同第2010/0174105号、同第2010/0197874号、同第2010/0204506号、及び同第2020/0301059号(これらの全ては2009年12月31日に出願されたものであり、これらの全ては2008年12月31日に出願された米国特許出願第61/141,959号の出願利益を主張し、これらの全ての内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている任意の置換フェニレン芳香族ジエステルであってもよい。
【0052】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、2011年12月20日に出願された国際公開第12088028号に開示されている任意の置換フェニレン芳香族ジエステルであってもよく、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0053】
一実施形態では、R~Rの少なくとも1つ(又は2つ、又は3つ、又は4つ)のR基は、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0054】
一実施形態では、R~R14の少なくとも1つ(又はいくつか、又は全て)のR基は、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、R~Rの少なくとも1つ及びR10~R14の少なくとも1つは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0055】
一実施形態では、R~Rの少なくとも1つ及びR~R14の少なくとも1つは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。別の実施形態では、R~Rの少なくとも1つ、R~Rの少なくとも1つ、及びR10~R14の少なくとも1つは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ヘテロ原子、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0056】
一実施形態では、R~Rの任意の連続するR基、及び/又はR~Rの任意の連続するR基、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、環間又は環内構造を形成するように連結されてもよい。環間/環内構造は芳香族であっても芳香族でなくてもよい。一実施形態では、環間/環内構造は、C5又はC6員環である。
【0057】
一実施形態では、R~Rの少なくとも1つは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。場合により、R~R14の少なくとも1つは、ハロゲン原子又は1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基であってもよい。場合により、R~R、及び/又はR~R、及び/又はR10~R14は、環間構造又は環内構造を形成するように連結されてもよい。環間構造及び/又は環内構造は芳香族であっても芳香族でなくてもよい。
【0058】
一実施形態では、R~R、及び/又はR~R、及び/又はR10~R14の任意の連続するR基は、C5又はC6員環のメンバーであり得る。
【0059】
一実施形態では、構造(I)は水素としてR、R、及びRを含む。Rは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R~R14は同じであるか、又は異なり、R~R14のそれぞれは、水素、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ハロゲン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0060】
一実施形態では、Rは、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基であり得る。
【0061】
一実施形態では、構造(I)はメチルであるRを含み、R~R14のそれぞれは水素である。
【0062】
一実施形態では、構造(I)はエチルであるRを含み、R~R14のそれぞれは水素である。
【0063】
一実施形態では、構造(I)はt-ブチルであるRを含み、R~R14のそれぞれは水素である。
【0064】
一実施形態では、構造(I)はエトキシカルボニルであるRを含み、R~R14のそれぞれは水素である。
【0065】
一実施形態では、構造(I)はそれぞれ水素としてR、R、及びRを含み、Rは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R~R14は同じであるか、又は異なり、それぞれは、水素、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ハロゲン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0066】
一実施形態では、構造(I)はメチルであるRを含み、R~R14のそれぞれは水素である。
【0067】
一実施形態では、構造(I)は水素であるR及びRを含み、R及びRは同じであるか、又は異なる。R及びRのそれぞれは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、及びそれらの組み合わせから選択される。R~R14は同じであるか、又は異なり、R~R14のそれぞれは、1から20個の炭素原子を有する置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有する非置換ヒドロカルビル基、1から20個の炭素原子を有するアルコキシル基、ハロゲン、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0068】
一実施形態では、構造(I)は同じであるか又は異なるR及びRを含む。R及びRのそれぞれは、C1~C8アルキル基、C3~C6シクロアルキル基、又は置換C3~C6シクロアルキル基から選択される。R~R14は同じであるか、又は異なり、R~R14のそれぞれは、水素、C1~C8アルキル基、及びハロゲンから選択される。好適なC1~C8アルキル基の非限定的な例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、i-ペンチル、ネオペンチル、t-ペンチル、n-ヘキシル、及び2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基が挙げられる。好適なC3~C6シクロアルキル基の非限定的な例としては、シクロペンチル及びシクロヘキシル基が挙げられる。更なる実施形態では、R~R14の少なくとも1つは、C1~C8アルキル基又はハロゲンである。
【0069】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR及びt-ブチル基であるRを含む。R、R、及びR~R14のそれぞれは水素である。
【0070】
一実施形態では、構造(I)はイソプロピル基であるR及びRを含む。R、R、及びR~R14のそれぞれは水素である。
【0071】
一実施形態では、構造(I)はR、R、及びR10のそれぞれをメチル基として含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R~R、及びR11~R14のそれぞれは水素である。
【0072】
一実施形態では、構造(I)はR、R、及びR12のそれぞれをメチル基として含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0073】
一実施形態では、構造(I)はRをメチル基として含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0074】
一実施形態では、構造(I)はR、R、R、R、R10、R12、及びR14のそれぞれをメチル基として含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R、R、R11、及びR13のそれぞれは水素である。
【0075】
一実施形態では、構造(I)はRをメチル基として含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R、R10、R12、及びR14のそれぞれはi-プロピル基である。R、R、R、R、R11、及びR13のそれぞれは水素である。
【0076】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるRを含む構造(II)を有し、Rはt-ブチル基である。R及びRのそれぞれは水素である。R及びRは、1-ナフトイル部分を形成するC員環のメンバーである。R13及びR14は、別の1-ナフトイル部分を形成するC員環のメンバーである。構造(II)を以下に示す。
【0077】
【化2】
【0078】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、メチル基であるRを含む構造(III)を有し、Rはt-ブチル基である。R及びRのそれぞれは水素である。R及びRは、2-ナフトイル部分を形成するC員環のメンバーである。R12及びR13は、2-ナフトイル部分を形成するC員環のメンバーである。構造(III)を以下に示す。
【0079】
【化3】
【0080】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0081】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはフッ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0082】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるR1を含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれは塩素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0083】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれは臭素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0084】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはヨウ素原子である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0085】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R11、及びR12のそれぞれは塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0086】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、R11、及びR13のそれぞれは塩素原子である。R、R、R、R、R、R10、R12、及びR14のそれぞれは水素である。
【0087】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R、R、及びR~R14のそれぞれはフッ素原子である。
【0088】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはトリフルオロメチル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0089】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエトキシカルボニル基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0090】
一実施形態では、Rはメチル基であり、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはエトキシ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0091】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rはt-ブチル基である。R及びR12のそれぞれはジエチルアミノ基である。R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR14のそれぞれは水素である。
【0092】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含み、Rは2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル基である。R、R、及びR~R14のそれぞれは水素である。
【0093】
一実施形態では、構造(I)はR及びRを含み、これらのそれぞれはsec-ブチル基である。R、R、及びR~R14のそれぞれは水素である。
【0094】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R及びRが1,2-ナフタレン部分を形成するC員環のメンバーである構造(IV)を有する。R~R14のそれぞれは水素である。構造(IV)を以下に示す。
【0095】
【化4】
【0096】
一実施形態では、置換フェニレン芳香族ジエステルは、R及びRが2,3-ナフタレン部分を形成するC6員環のメンバーである構造(V)を有する。R~R14のそれぞれは水素である。構造(V)を以下に示す。
【0097】
【化5】
【0098】
一実施形態では、構造(I)はそれぞれメチル基であるR及びRを含む。R、R、R~R、及びR10~R14のそれぞれは水素である。
【0099】
一実施形態では、構造(I)はメチル基であるRを含む。Rは、i-プロピル基である。R、R、R~R、及びR10~R14のそれぞれは水素である。
【0100】
一実施形態では、構造(I)はR、R、及びRを含み、これらのそれぞれはi-プロピル基である。R、R~R、及びR10~R14のそれぞれは水素である。
【0101】
一実施形態では、R及びRのそれぞれはメチル基、エチル基、及びビニル基から選択される。R及びRのそれぞれは水素、第二級アルキル基、又は第三級アルキル基から選択され、R及びRは同時に水素ではない。別の言い方をすれば、Rが水素である場合、Rは水素ではない(逆もまた同様である)。
【0102】
一実施形態では、二座様式で配位することができるポリエーテルを一般に含む第2の内部電子供与体を使用することができる。一実施形態では、第2の内部電子供与体は、構造VIの置換1,3-ジエーテルである。
【0103】
【化6】
式中、R及びRは同じであるか、又は異なり、メチル、C2~C18直鎖若しくは分枝鎖アルキル、C3~C18シクロアルキル、C4~C18シクロアルキル-アルキル、C4~C18アルキル-シクロアルキル、フェニル、有機ケイ素、C7~C18アリールアルキル、又はC7~C18アルキルアリールラジカルであり、R又はRは水素原子であってもよい。
【0104】
一実施形態では、第2の内部電子供与体は、環式又は多環式構造VIIを有する1,3-ジエーテルを含み得る。
【0105】
【化7】
式中、R、R、R、及びRは、構造VIのR及びRについて記載されているとおりであるか、又は組み合わせて1つ以上のC5~C7縮合芳香族又は非芳香族環構造を形成してもよく、場合により、N、O、又はSヘテロ原子を含有していてもよい。第2の内部電子供与体の具体例としては、4,4-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジメチルヘプタン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0106】
形成中、前駆体は、無機ハロゲン化物化合物、好ましくはチタンハロゲン化物化合物との更なる反応(ハロゲン化)及び内部電子供与体の組み込みによって固体プロ触媒に変換される。
【0107】
前駆体のハロゲン化のための1つの好適な方法は、場合により炭化水素又はハロ炭化水素希釈剤の存在下で、高温で前駆体を四価チタンハロゲン化物と反応させることによるものである。好ましい四価チタンハロゲン化物は、四塩化チタンである。
【0108】
得られたプロ触媒組成物は、一般に約0.5重量%~約6重量%、例えば約1.5重量%~約5重量%、例えば約2重量%~約4重量%の量のチタンを含有することができる。固体触媒は、一般に約5重量%超の量、例えば約8重量%超の量、例えば約10重量%超の量、例えば約12重量%超の量、例えば約14重量%超の量、例えば約16重量%超の量のマグネシウムを含有することができる。マグネシウムは、約25重量%未満の量、例えば約23重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量で触媒中に含有される。内部電子供与体は、約30重量%未満の量、例えば約25重量%未満の量、例えば約22重量%未満の量、例えば約20重量%未満の量、例えば約19重量%未満の量で触媒組成物中に存在してもよい。内部電子供与体は、一般に約5重量%超の量、例えば約9重量%超の量で存在する。
【0109】
一実施形態では、プロ触媒組成物を助触媒と組み合わせて、フタラートを含まない触媒系を形成する。本明細書で使用される場合、「助触媒」とは、プロ触媒を活性重合触媒に変換することができる物質である。助触媒は、アルミニウム、リチウム、亜鉛、スズ、カドミウム、ベリリウム、マグネシウムの水素化物、アルキル、又はアリール、及びそれらの組み合わせを含み得る。一実施形態では、助触媒は、式RAlで表されるヒドロカルビルアルミニウム助触媒であり、式中、各Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はヒドリドラジカルであり、少なくとも1つのRは、ヒドロカルビルラジカルであり、2つ又は3つのRラジカルは、環式ラジカルに接合され、ヘテロ環式構造を形成することができ、各Rは、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロカルビルラジカルである各Rは、1~20個の炭素原子、好ましくは1~10個の炭素原子を有する。更なる実施形態では、各アルキルラジカルは、直鎖又は分岐鎖であり得、そのようなヒドロカルビルラジカルは、混合ラジカルであり得、すなわち、ラジカルは、アルキル、アリール、及び/又はシクロアルキル基を含有し得る。好適なラジカルの非限定的な例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、2-エチルヘキシル、5,5-ジメチルヘキシル、n-ノニル、n-デシル、イソデシル、n-ウンデシル、n-ドデシルである。
【0110】
好適なヒドロカルビルアルミニウム化合物の非限定的な例は、次のとおりである:トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウム、二水素化イソブチルアルミニウム、二水素化n-ヘキシルアルミニウム、ジイソブチルヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ-n-プロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-オクチルアルミニウム、トリ-n-デシルアルミニウム、トリ-n-ドデシルアルミニウム。一実施形態では、好ましい助触媒は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、及び水素化ジ-n-ヘキシルアルミニウムから選択され、最も好ましい助触媒はトリエチルアルミニウムである。
【0111】
一実施形態では、助触媒は、式RAlX3-nで表されるヒドロカルビルアルミニウム化合物であり、式中、n=1又は2であり、Rはアルキルであり、Xはハロゲン化物又はアルコキシドである。好適な化合物の非限定的な例は、次のとおりである:メチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ジエチルアルミニウムエトキシド、塩化ジイソブチルアルミニウム、テトラエチルジアルミノキサン、テトライソブチルジアルミノキサン、塩化ジエチルアルミニウム、二塩化エチルアルミニウム、二塩化メチルアルミニウム、及び塩化ジメチルアルミニウム。
【0112】
一実施形態では、触媒組成物は、外部電子供与体を含む。本明細書で使用される場合、「外部電子供与体」とは、プロ触媒形成とは独立して添加される化合物であり、金属原子に一対の電子を供与することができる少なくとも1つの官能基を含有する。特定の理論に束縛されないが、外部電子供与体は、触媒の立体選択性を向上させ、したがって、形成されたポリマー中のキシレン可溶分材料を低減させると考えられる。
【0113】
一実施形態では、外部電子供与体は、次のうちの1つ以上から選択され得る:アルコキシシラン、アミン、エーテル、カルボキシレート、ケトン、アミド、カルバメート、ホスフィン、ホスフェート、ホスファイト、スルホネート、スルホン、及び/又はスルホキシド。
【0114】
一実施形態では、外部電子供与体はアルコキシシランである。アルコキシシランは、一般式:SiR(OR’)4-m(I)を有し、式中、Rは、独立して、出現ごとに、水素、あるいは任意選択的に1つ以上の14、15、16、若しくは17族のヘテロ原子を含有する1つ以上の置換基により置換されたヒドロカルビル又はアミノ基であり、当該R’は、水素及びハロゲンを除く最大20個の原子を含有し、R’は、C1~4アルキル基であり、mは、0、1、2、又は3である。一実施形態では、Rは、C6~12アリール、アルキル若しくはアラルキル、C3~12シクロアルキル、C3~12分岐状アルキル、又はC3~12環式若しくは非環式アミノ基であり、R’はC1~4アルキルであり、mは、1又は2である。好適なシラン組成物の非限定的な例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-tert-ブチルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン、メチルシクロヘキシルジエトキシシラン、エチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-プロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、ジイソブチルジエトキシシラン、イソブチルイソプロピルジメトキシシラン、ジ-n-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、シクロペンチルピロリジノジメトキシシラン、ビス(ピロリジノ)ジメトキシシラン、ビス(パーハイドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランが挙げられる。一実施形態では、シラン組成物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPDMS)、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン(MChDMS)、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMS)、n-プロピルトリメトキシシラン(NPTMS)、ジエチルアミノトリエトキシシラン(DATES)、又はn-プロピルトリエトキシシラン(PTES)、及びそれらの任意の組み合わせである。
【0115】
一実施形態では、外部供与体は、少なくとも2つのアルコキシシランの混合物であり得る。更なる実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、又はジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシランであり得る。
【0116】
一実施形態では、外部電子供与体は、安息香酸及び/又はジオールエステルのうちの1つ以上から選択される。別の実施形態では、外部電子供与体は2,2,6,6-テトラメチルピペリジンである。更に別の実施形態では、外部電子供与体はジエーテルである。
【0117】
一実施形態では、触媒組成物は、活性制限剤(activity limiting agent、ALA)を含む。本明細書で使用される場合、「活性制限剤」(「ALA」)とは、高温(すなわち、約85℃超の温度)で触媒活性を低下させる材料である。ALAは、重合反応器の不具合を抑制又はそうでなければ防止し、重合プロセスの継続を確実にする。典型的には、チーグラー・ナッタ触媒の活性は、反応器の温度が上昇するにつれて増加する。チーグラー・ナッタ触媒はまた、典型的には、生成されたポリマーの融点温度近くで高い活性を維持する。発熱重合反応によって発生した熱は、凝集物を形成するポリマー粒子を生じさせる可能性があり、最終的にポリマー生成プロセスの継続を中断することにつながる場合がある。ALAは、高温で触媒活性を低下させ、それによって、反応器の不具合を防止し、粒子の凝集を低減(又は防止)し、重合プロセスの継続を確実にする。
【0118】
活性制限剤は、カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリ(アルケングリコール)、ポリ(アルケングリコール)エステル、ジオールエステル、及びそれらの組み合わせであり得る。カルボン酸エステルは、脂肪族又は芳香族、モノ又はポリカルボン酸エステルであり得る。好適なモノカルボン酸エステルの非限定的な例としては、安息香酸エチル及び安息香酸メチル、p-メトキシ安息香酸エチル、
p-エトキシ安息香酸メチル、p-エトキシ安息香酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、酢酸エチル、p-クロロ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸ヘキシル、ナフテン酸イソプロピル、トルイル酸n-アミル、シクロヘキサン酸エチル、及びピバリン酸プロピルが挙げられる。
【0119】
一実施形態では、外部電子供与体及び/又は活性制限剤を反応器に別々に添加することができる。別の実施形態では、外部電子供与体は、事前に一緒に混合され、次いで混合物として反応器内に添加され得る。混合物では、2つ以上の外部電子供与体又は2つ以上の活性制限剤を使用することができる。一実施形態では、混合物は、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ラウレート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート及びポリ(エチレングリコール)ジオレエート、メチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、n-プロピルトリメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジメチルジメトキシシラン及びメチルシクロヘキシルジメトキシシラン及びイソプロピルミリステート、ジシクロペンチルジメトキシシラン及びn-プロピルトリエトキシシラン及びイソプロピルミリステート、並びにジシクロペンチルジメトキシシラン及びテトラエトキシシラン、イソプロピルミリステート、ペンチルバレレート、並びにそれらの組み合わせである。
【0120】
一実施形態では、触媒組成物は、前述の活性制限剤のいずれかと組み合わせて、前述の外部電子供与体のいずれかを含む。
【0121】
ポリプロピレンホモポリマーを製造するために使用される重合プロセスは、既知の反応器システムを使用して実施することができる。例えば、ポリマーは、気相反応器又はバルク(液体)相反応器内で形成することができる。特に、ポリマーは、流動床若しくは撹拌床反応器を使用する気相反応器内、又は不活性炭化水素溶媒若しくは希釈剤若しくは液体モノマーを使用するスラリー相内で形成することができる。
【0122】
一実施形態では、ポリプロピレンホモポリマーは、例えば、2008年8月21日に出願されたCaiらの米国特許第8,324,327号、又は2014年11月21日に出願されたCaiらの米国特許第10,093,759号に以前に記載されているような気相反応器システムで形成することができ、その両方の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
例えば、気相重合プロセスは、流動化媒体の流れによって流動床に懸濁された複数のポリマー粒子を含む流動床を含むことができる。一実施形態では、流動化媒体は、プロピレンガス及び水素又は窒素などのキャリアガスを含む。典型的な気相重合反応器(気相反応器とも呼ばれる)は、容器(すなわち、反応器)、流動床、分配板、入口及び出口配管、圧縮機、循環ガス冷却器又は熱交換器、並びに生成物排出システムを含む。容器は、反応ゾーン及び速度低下ゾーンを含み、これらのそれぞれは分配板上に位置する。床は、反応ゾーンに位置する。
【0124】
気相重合中、多くの操作パラメータが監視及び制御される。1つのパラメータは、流動化嵩密度である。「流動嵩密度」(又は「FBD」)は、流動床における単位体積当たりの固体(すなわち、ポリマー粒子)の重量である。FBDは、固定反応器部分の任意の点における局所的な嵩密度より大きくても小さくてもよい平均値である。一実施形態では、ポリプロピレンホモポリマー形成プロセスは、約16kg/m(1lb/ft)から約640kg/m(40lb/ft)、又は約112kg/m(7lb/ft)から約640kg/m(40lb/ft)、又は約112kg/m(7lb/ft)から約560kg/m(35lb/ft)のFBDを有する流動床を利用することができる。
【0125】
触媒は、典型的には、反応器の下部に供給される。触媒と流動化媒体との接触時に反応が起こり、ポリマー粒子が成長する。触媒は、固体、スラリー、又は溶液として添加されてもよく、無機又は有機支持体上に担持されてもよい。触媒は、例えば、気体窒素、サイクルガス、及びプロパンを含む気体、液体、若しくは気体/液体混合物、又は液体プロパン、プロピレン、イソペンタン、及び再循環ループ内で凝縮された液化サイクルガスと共に反応器内に搬送されてもよい。触媒は、単独で又は流動化媒体と組み合わせて反応器に導入されてもよい。
【0126】
流動化媒体は、流動床を上方に通過し、熱伝達及び流動化のための媒体を提供する。一実施形態における反応器は、反応部の上方に位置する膨張部を含む。膨張部では、流動化媒体の速度よりも速い終末速度を有する粒子が流動化媒体流から脱離する。反応器を出た後、流動化媒体は、反応器の反応部に再導入される前に、圧縮機及び1つ以上の熱交換器を通過して重合熱を除去する。流動化媒体は、冷却及び凝縮後に一定量の液体を含有しても含有しなくてもよい。
【0127】
気相重合は、流動化媒体の速度が、ポリマー粒子の床を流動状態に維持するのに十分であることを必要とする。一実施形態では、流動化媒体は、約0.24m/秒(0.8ft/秒)から約1.52m/秒(5.0ft/秒)の速度で流動するか、又はそうでなければ床を通過する。
【0128】
このように、流動化媒体は、プロピレンガス、例えば水素及び/又は窒素ガスであり得るキャリアガスを含有する。一実施形態では、流動化媒体は、約40kg/m(2.5lb/ft)から約80kg/m(5.0lb/ft)のガス密度を有する。プロピレンガスは、約2.07MPa-絶対(300psia)から約2.76MPa-絶対(400psia)までの分圧を有することができる。重合プロセスは、流動化媒体のプロピレン分圧を低下させながら、流動床を少なくとも乱流状態に維持すること(の一部又は全部)を含むことができる。プロピレン分圧を低下させると、流動化媒体の密度が低下し、流動床の嵩密度が上昇する。
【0129】
重合プロセスは、フタラートを含まない触媒系を反応器に導入して、流動床を構成するポリマー粒子を形成することを含む。例えば、一実施形態における生成物ポリマー粒子は、約0.36mm(0.014インチ)から約3.05mm(0.12インチ)、又は約0.46mm(0.018インチ)から約0.76mm(0.03インチ)の平均粒径(APS)を有する。別の実施形態では、生成物ポリマー粒子は、約240kg/m(15lb/ft)から約560kg/m(35lb/ft)の沈降嵩密度(SBD)を有する。反応器の流れ及び充填特性のオンライン決定は、放出サイクル期間を決定するために履歴データの有無にかかわらず利用することができる。一般に、重合プロセスは、滞留時間が約0.2~約5時間、例えば0.5時間~約2時間のフタラートを含まないポリプロピレンホモポリマーを含む生成物粒子を生成することができる。一実施形態では、形成プロセスは、約28000kg/時(28トン/時)から約40000kg/時(40トン/時)、又は約30000kg/時(30トン/時)から約35000kg/時(35トン/時)、又は約33000kg/時(33トン/時)の速度でポリプロピレンホモポリマーを生成することができる。
【0130】
本開示のポリプロピレンポリマー組成物は、ポリプロピレンホモポリマーを様々な残留ポリマー形成成分又は他の添加剤と併せて含むことができる。例えば、ポリプロピレン組成物は、核剤、清澄剤、離型剤、スリップ剤、ブロック防止剤、UV安定剤、熱安定剤、着色剤/着色剤、酸化防止剤(例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤)、酸掃去剤などを含有することができる。添加剤のそれぞれは、一般に約3重量%未満の量、例えば約2重量%未満の量、例えば約1重量%未満の量、例えば約0.5重量%未満の量、一般に約0.001重量%超の量でポリマー組成物中に存在してもよい。
【0131】
例えば、一実施形態では、ポリマー組成物は、核形成剤を含有することができる。核形成剤は、存在する場合、一般に約0.001重量%超の量、一般に約1重量%未満の量、例えば約0.5重量%未満の量、例えば約0.3重量%未満の量で存在することができる。
【0132】
利用される場合、核形成剤は特に限定されない。一実施形態では、核形成剤は、以下の構造(VIII)によって表されるリン酸エステル金属塩のようなリン系核形成剤の群から選択されてもよい。
【0133】
【化8】
式中、R1は、酸素、硫黄、又は炭素原子数が1個から10個の炭化水素基であり、R2及びR3のそれぞれは、水素、又は炭素原子数が1個から10個の炭化水素若しくは炭化水素基である。R2及びR3は互いに同じであっても異なっていてもよく、2つのR2、2つのR3、又はR2及びR3が互いに結合して環を形成していてもよく、Mは一価から三価の金属原子であり、nは1から3の整数であり、mは0又は1のいずれかであり、但し、n>mである。
【0134】
上記式で表されるα核形成剤の例としては、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチル-フェニル)-ホスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-t-オクチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジメチル-フェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム(4,4’-ジメチル-5,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス-[(4,4’-ジメチル-6,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチル-フェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス-(4,6-ジ-メチルフェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-エチル-フェニル)ホスフェート、カリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス-(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチル-フェニル)ホスフェート]、アルミニウム-トリス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート]が挙げられる。
【0135】
リン系核形成剤の第2の群としては、例えば、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-6-ヒドロキシ-12H-ジベンゾ-[d,g]-ジオキサ-ホスホシン-6-オキシダト]及びそれらとミリスチン酸リチウム又はステアリン酸リチウムとのブレンドが挙げられる。
【0136】
核形成剤の他の例としては、ソルビトール系核形成剤(例えば、1,3:2,4ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ジ(エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4ビス(3,4-ジメチルベンジリデン)ソルビトールなど)、パインロジン、ポリマー核形成剤(例えば、ビニルシクロアルカンポリマー、ビニルアルカンポリマー、ロジン酸の部分金属塩など)、タルク、安息香酸ナトリウムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0137】
核形成剤の市販の例としては、Asahi Denka Kokaiから入手可能なADK NA-11、ADK NA-21、ADK NA-21 E、ADK NA-21 F、及びADK NA-27;Milliken & Companyから入手可能なMillad NX8000、Millad 3988、Millad 3905、Millad 3940、Hyperform HPN-68L、Hyperform HPN-715、及びHyperform HPN-20E;並びにCiba Specialty Chemicals製のIrgaclear XT 386を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0138】
一実施形態では、ポリプロピレン組成物は、清澄剤を更に含むことができる。清澄剤は、組成物の透明性を更に改善するために添加することができる。清澄剤は、例えば、組成物内にゲル化ネットワークを生成することができる化合物を含むことができる。
【0139】
一実施形態では、清澄剤は、ソルビトールアセタール誘導体などのソルビトール化合物を含み得る。一実施形態では、例えば、清澄剤は、ジベンジルソルビトールを含み得る。
【0140】
いくつかの実施形態において添加剤として使用することができるソルビトールアセタール誘導体に関して、ソルビトールアセタール誘導体を構造(IX)に示す。
【0141】
【化9】
式中、R1~R5は、水素及びC1~C3アルキルから選択される同じ又は異なる部分を含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、R1~R5は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は2,4-ジベンジリデンソルビトール(「DBS」)である。いくつかの実施形態では、R1、R4、及びR5は水素であり、R2及びR3はメチル基であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,3:2,4-ジ-p-メチルジベンジリデン-D-ソルビトール(「MDBS」)である。いくつかの実施形態では、R1~R4はメチル基であり、R5は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,3:2,4-ビス(3,4-ジメチロベンジリデノ)ソルビトール(「DMDBS」)である。いくつかの実施形態では、R2、R3、及びR5はプロピル基(-CH-CH-CH)であり、R1及びR4は水素であり、そのため、ソルビトールアセタール誘導体は1,2,3-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-(4-プロピルフェニルメチレン)ノニトール(「TBPMN」)である。
【0143】
使用され得る清澄剤の他の例としては、1,3:2,4-ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4-ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p-メチルベンジリデン)ソルビトール、ジ(p-エチルベンジリデン)ソルビトール、ビス(5’,6’,7’,8’-テトラヒドロ-2-ナフチリデン)ソルビトール、ビスアミド、例えば、ベンゼントリスアミド、及び清澄剤の任意の組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0144】
ポリマー組成物中に存在する場合、1つ以上の清澄剤は、一般に約200ppm超の量、例えば約1,800ppm超の量、例えば約2,000ppm超の量、例えば約2,200ppm超の量で添加される。1つ以上の清澄剤は、一般に約20,000ppm未満、例えば約15,000ppm未満、例えば約10,000ppm未満、例えば約8,000ppm未満、例えば約5,000ppm未満の量で存在する。組成物中に存在する清澄剤の量は、使用される清澄器の種類を含む様々な要因に依存し得る。
【0145】
一実施形態では、本開示のポリプロピレン組成物はポリマーのブレンドを含む。より具体的には、一実施形態におけるポリマー組成物は、第2のポリマーと組み合わせた本明細書に開示のポリプロピレンホモポリマーを含む。
【0146】
第2のポリマーは、一実施形態では、ポリプロピレンポリマーであり得る。例えば、第1のポリマー及び第2のポリマーは両方ともポリプロピレンホモポリマーであり得る。代替的な実施形態では、第2のポリマーはポリプロピレンコポリマーであり得る。例えば、第2のポリマーは、エチレンなどのコモノマーを少量含むことができるポリプロピレンコポリマーであり得る。例えば、エチレンは、約1.5重量%未満の量、例えば1重量%未満の量で存在することができる。コポリマーは、ミニランダムコポリマーなどのランダムコポリマーであり得る。
【0147】
他のポリプロピレンコポリマーを含む他のポリマーを、ポリマー組成物の形成においてポリプロピレンホモポリマーとブレンドすることができる。例えば、第2のコポリマーは、エチレンコモノマーをより多量に、例えば最大約50重量%で含むプロピレン/エチレンコポリマーであり得る。例えば、第2のコポリマーは、約1.5重量%から約48重量%、例えば約5重量%から約45重量%、例えば約10重量%から約40重量%、例えば約15重量%から約30重量%の量のエチレン成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のポリマーとしては、エチレン/α-オレフィンコポリマー及びターポリマー及びブロックコポリマー、エチレン-プロピレンジエンゴム、プロピレン-αオレフィンコポリマー、シリコンゴム、ブタジエン系ゴムなどを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0148】
一実施形態では、第1のポリプロピレンホモポリマーを第2のポリマーとブレンドして、ポリプロピレンポリマー組成物を製造する。最終組成物中の第1のプロピレンホモポリマーと第2のポリマーとの間の重量比は、一般に約5:95から約80:20である。
【0149】
第2のポリマーは、フタラートを含まないポリマーであり得る。例えば、第2のポリマーは、上述のフタラートを含まない触媒系から形成され得るポリプロピレンポリマーであり得る。プロピレンポリマーは、同じ非フタラートチーグラー・ナッタ触媒系から形成することができ、又は異なる非フタラートチーグラー・ナッタ触媒系から作製することができる。次いで、本開示に従って、2つの異なるポリプロピレンポリマーを組み合わせる。
【0150】
一実施形態では、第1のポリプロピレンホモポリマー及び第2のポリプロピレンポリマーは、2つの異なる重合プロセスで製造され、次いで一緒に組み合わされる。あるいは、第1のポリプロピレンホモポリマー及び第2のポリプロピレンポリマーは、一連の反応器を含むプロセスで連続的に製造することができる。例えば、ポリプロピレンポリマーの1つを第1の反応器で製造し、次いで第2の反応器に搬送して、そこで他のポリプロピレンポリマーを製造することができる。
【0151】
本開示のポリプロピレンホモポリマーを含む組成物は、成形物品の製造によく適している。ポリプロピレンホモポリマーを含むポリプロピレン組成物は、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、及び回転成形用途に使用することができる。
【0152】
本開示のポリプロピレンホモポリマーを含む組成物を使用して、多数の多様な物品及び製品を作製することができる。高い剛性特性及び優れた流動特性により、例えば、ポリプロピレンポリマー組成物を使用して、全ての異なる種類の独立した物品及び製品を製造することができる。高い剛性特性は、依然として所望の形状保持特性を有しながら、比較的薄い壁を有する物品を製造することを可能にする。加えて、高い剛性及び靱性特性は、本開示に従って製造された製品及び物品が、液滴又は他の外部事象から生じ得る衝撃力に耐えることを可能にする。
【0153】
本開示のポリプロピレンホモポリマーのフタラートを含まない特性により、ホモポリマーは、限定されないが、医療、パーソナルケア、並びに食品接触物品及び製品を含む、人々と接触する多数の物品及び製品を製造するのに特によく適している。
【0154】
本開示のポリプロピレンポリマー組成物は、例えば、壁厚を最小限に抑え、したがって物品を製造するのに必要なポリマーの量を最小限に抑えながら、全ての異なる種類の容器を製造するのによく適している。本開示に従って製造され得る容器としては、例えば、貯蔵容器、包装容器、食品容器などが挙げられる。他の容器は、カップ及び他の飲料又は液体保持容器を含むことができる。
【0155】
本開示は、以下の実施例を参照してよりよく理解され得る。
【0156】
実施例
様々なポリプロピレンホモポリマー及びホモポリマー組成物を本開示に従って作製し、剛性及び加工性を含む様々な特性について試験した。試料1~5を、フタラート触媒及び非フタラート触媒の両方を用いて製造した基本的な反応器グレードのポリプロピレンポリマーと比較した(試料6~10)。
【0157】
全ての試料はポリプロピレンホモポリマーを含んでいた。試料1~5のポリプロピレンホモポリマーは全て、上述の非フタラートチーグラー・ナッタ触媒系の存在下で気相反応器内で重合される。特に、使用した触媒は、W.R.Grace & Co.によって販売されているCONSISTA(登録商標)触媒であった。試験片に射出成形されたポリマーペレット試料を製造した。試料1~4は、ADK NA-11(試料1)、NA-27(試料2)、HPN-715(試料3)、及びHPN-20E(試料4)を含む核剤をポリプロピレンホモポリマーに添加することを含んでいた。試料5~10は核形成されていなかった。ASTM Test D4101に従って試料を作製して、前述のような様々な試験手順のための試験片を製造した。
【0158】
結果を表2に示す。
【0159】
【表2】
【0160】
本発明に対するこれら及び他の修正及び変更は、添付の特許請求の範囲により具体的に記載されている本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実施され得る。加えて、様々な実施形態の態様は、全部又は一部において相互に交換され得ることを理解されたい。更に、当業者は、前述の説明が単なる例示によるものであり、そのような添付の特許請求の範囲に更に記載されるように本発明を限定することを意図するものではないことを理解するであろう。
【国際調査報告】