(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】バイオフィルムの処置および予防のための併用療法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20230727BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20230727BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20230727BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20230727BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20230727BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230727BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20230727BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20230727BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20230727BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230727BHJP
A61K 47/65 20170101ALI20230727BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230727BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230727BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230727BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230727BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230727BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20230727BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 27/16 20060101ALI20230727BHJP
A61P 9/14 20060101ALI20230727BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230727BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20230727BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20230727BHJP
C07K 16/12 20060101ALN20230727BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230727BHJP
C07K 14/435 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61K47/60
A61K47/54
A61K38/17
A61K47/64
A61K47/65
A61K47/68
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K48/00
A61K35/12
A61K45/00
A61P17/02
A61P11/00
A61P29/00
A61P27/16
A61P9/14
A61P1/00
A61P13/02
A61P43/00 105
A61P1/02
A61K39/395 L
C07K16/12 ZNA
C07K16/46
C07K14/435
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581467
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-27
(86)【国際出願番号】 US2021040576
(87)【国際公開番号】W WO2022010942
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515289842
【氏名又は名称】リサーチ インスティチュート アット ネイションワイド チルドレンズ ホスピタル
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グッドマン, スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】バカレッツ, ローレン オー.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC04
4C076CC32
4C076CC41
4C076DD67
4C076EE23
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA13
4C084AA22
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA41
4C084CA18
4C084CA53
4C084DC50
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA341
4C084ZA342
4C084ZA441
4C084ZA442
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZA671
4C084ZA672
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4C085AA14
4C085AA25
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG05
4C085GG08
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
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4C087MA02
4C087NA05
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4C087ZA44
4C087ZA59
4C087ZA66
4C087ZA67
4C087ZA81
4C087ZA89
4C087ZB11
4C087ZB21
4C087ZB35
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、その変異体および/または断片ならびに抗DNABII抗体、その断片またはバリアントを使用して、バイオフィルムおよび関連障害を処置および予防する際の治療的使用および診断的使用のための組成物および組合せが、本明細書に提供される。ポリペプチドおよび抗体は、同じまたは別々の組成物として投与され得る。HMGボックスポリペプチド(その非限定的な例は、HMGB1ポリペプチドを含む)と抗DNABII抗体またはその抗原結合断片(例えば、DNABIIの先端またはキメラ先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体)との、またはその各々の等価物の組合せが、本明細書に提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、またはそのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むその断片;ならびに
(b)
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含む抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含む、組成物または組合せ物。
【請求項2】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のいずれか1つのアミノ酸25~144を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインを含む、請求項1に記載の組成物または組合せ物。
【請求項3】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7、配列番号8、または配列番号9のいずれか1つのアミノ酸21~132を含むa軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメインを含む、請求項2に記載の組成物または組合せ物。
【請求項4】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸25~144を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインを含み、前記LC免疫グロブリン可変ドメインが、配列番号7のアミノ酸21~132を含む、請求項3に記載の組成物または組合せ物。
【請求項5】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸25~144を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインを含み、前記LC免疫グロブリン可変ドメインが、配列番号8のアミノ酸21~132を含む、請求項3に記載の組成物または組合せ物。
【請求項6】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸25~144を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインを含み、前記LC免疫グロブリン可変ドメインが、配列番号9のアミノ酸21~132を含む、請求項3に記載の組成物または組合せ物。
【請求項7】
前記抗体が、IgA定常領域、IgD定常領域、IgE定常領域、IgG定常領域、またはIgM定常領域から選択される定常領域を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項8】
前記その抗原結合断片が、Fab、F(ab’)
2、Fab’、scFv、またはFvを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項9】
前記抗体またはその抗原結合断片が修飾されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項10】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ペグ化、ポリシアリル化、HES化またはグリコシル化から選択されるプロセスによって修飾されている、請求項9に記載の組成物または組合せ物。
【請求項11】
前記抗体またはその抗原結合断片が、モノクローナル抗体、または前記モノクローナル抗体の抗原結合断片である、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項12】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒト化またはヒトフレームワークを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項13】
前記HMGBポリペプチドが、HMGB1ポリペプチドであって、必要に応じてK12、C23、C45、C106、もしくはK114における変異の群から選択される1つもしくは複数の変異をさらに含むHMGB1ポリペプチド、またはK12、C23、C45、C106、もしくはK114における変異の群から選択される1つもしくは複数の変異を含む前記HMGB1ポリペプチドに対応する変異を有する、HMGB2、HMGB3、もしくはHMGB4ポリペプチドの群から選択されるHMGBポリペプチドを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項14】
前記HMGBポリペプチド、必要に応じて、前記HMGB11ポリペプチドの前記Aボックスが、K12、C23、もしくはC45における変異の群から選択される1つもしくは複数の変異、または前記HMGBポリペプチドが、前記変異したHMGB1ポリペプチドに対応する変異を有するHMGB2、HMGB3、もしくはHMGB4ポリペプチドの群から選択される場合には、対応する変異をさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項15】
前記HMGB、必要に応じて、前記HMGB1ポリペプチドの前記Bボックスが、C106もしくはK114における1つの変異もしくは両方の変異、または前記HMGBポリペプチドが、HMGB2、HMGB3、もしくはHMGB4ポリペプチドの群から選択される場合には、前記変異したHMGB1ポリペプチドに対応する変異をさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項16】
前記1つまたは複数の変異が、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異である、請求項13~15のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項17】
前記HMGBポリペプチド、必要に応じて、前記HMGB1ポリペプチドが、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つもしくは複数の変異をさらに含む、または前記HMGBポリペプチドが、前記変異したHMGB1ポリペプチドに対応する1つもしくは複数の変異を有する、HMGB2、HMGB3、もしくはHMGB4ポリペプチドの群から選択される、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項18】
前記HMGBポリペプチド、必要に応じて、前記HMGB1ポリペプチドが、C45Sの変異、または前記変異したHMGB1ポリペプチドに対応する変異を有する、HMGB2、HMGB3、もしくはHMGB4ポリペプチドの群から選択されるHMGBポリペプチドをさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項19】
(a)C45Sの変異をさらに含む前記HMGBポリペプチド、必要に応じて、前記HMGB1ポリペプチド;および
(b)配列番号1のアミノ酸25~144を含む前記重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインと、配列番号7、配列番号8、または配列番号9のアミノ酸21~132を含む前記軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメインとを含む前記抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物または組合せ物。
【請求項20】
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むその断片;および
(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片
を含む組成物または組合せ物であって、
ただし、(i)前記組成物もしくは組合せ物が、配列番号52を含まない、または(ii)前記抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは前記抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、組成物または組合せ物。
【請求項21】
前記先端ドメインが、NFELRDKSSRPGRNPKTGDVV(配列番号31);SLHHRQPRLGRNPKTGDSVNL(配列番号32);
【化52】
(式中、「X」は、必要に応じたアミノ酸リンカー配列であり、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号38);
【化53】
(式中、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号39);または
【化54】
から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む、請求項20に記載の組成物または組合せ物。
【請求項22】
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチドまたはまたはそのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むその断片;ならびに
(b)
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含む抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むポリペプチド。
【請求項23】
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)、必要に応じて、HMGB1ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むその断片;および
(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片
を含むポリペプチドであって、
ただし、(i)前記ポリペプチドが、配列番号52を含まない、または(ii)前記抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは前記抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、ポリペプチド。
【請求項24】
前記先端ドメインが、NFELRDKSSRPGRNPKTGDVV(配列番号31);SLHHRQPRLGRNPKTGDSVNL(配列番号32);
【化55】
(式中、「X」は、必要に応じたアミノ酸リンカー配列であり、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号38);
【化56】
(式中、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号39);または
【化57】
から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む、請求項23に記載のポリペプチド。
【請求項25】
(a)と(b)との間に位置する切断可能なペプチドをさらに含む、請求項22~24のいずれか一項に記載のポリペプチド。
【請求項26】
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチド、またはそのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むその断片;ならびに
(b)
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含む抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
をコードするポリヌクレオチド、
あるいはそれと相補的なポリヌクレオチド。
【請求項27】
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)、必要に応じて、HMGB1ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むその断片;および
(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片
をコードするポリヌクレオチド、あるいはこれと相補的なポリヌクレオチドであって、
ただし、(i)前記ポリヌクレオチドが、配列番号52をコードしない、または(ii)前記抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは前記抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、ポリヌクレオチド。
【請求項28】
前記先端ドメインが、NFELRDKSSRPGRNPKTGDVV(配列番号31);SLHHRQPRLGRNPKTGDSVNL(配列番号32);
【化58】
(式中、「X」は、必要に応じたアミノ酸リンカー配列であり、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号38);
【化59】
(式中、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号39);または
【化60】
から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
請求項26~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項30】
請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物もしくは組合せ物、請求項22~25のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項26~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、または請求項29に記載のベクター、のうちの1つまたは複数を含む宿主細胞。
【請求項31】
前記HMGBポリペプチド、必要に応じて、前記HMGB1ポリペプチドまたは前記その断片;および前記抗DNABII抗体またはその抗原結合断片を分泌する、請求項30に記載の宿主細胞。
【請求項32】
(A)in vitroもしくはex vivoにおいてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、
(B)対象においてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、
(C)対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置すること、または
(D)対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置すること
のうちの1つまたは複数のための方法であって、
前記対象に、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチドまたはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むその断片;ならびに
(b)
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含む抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を投与するステップを含む、方法。
【請求項33】
(i)前記HMGB1ポリペプチドまたはその断片が、配列番号52を含まない、または(ii)前記抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは前記抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
対象において、バイオフィルムに直接隣接した好中球細胞外トラップ(NET)の形成を誘導または増加させるための方法、および必要に応じて炎症促進応答を誘導することなしに、前記バイオフィルムを破壊するための方法であって、
前記対象に、
(a)配列番号52のアミノ酸配列を含む高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片;ならびに
(b)
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含む重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含む重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含む重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含む軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含む軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含む軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含む抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を投与するステップを含む、方法。
【請求項35】
前記(a)の投与および前記(b)の投与が、同時にまたは逐次的に行われる、請求項32~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記(a)および(b)の投与が、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、またはそれよりも多くの回数反復される、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
(A)in vitroもしくはex vivoにおいてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、
(B)対象においてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、
(C)対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置すること、または
(D)対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置すること
のうちの1つまたは複数のための方法であって、
前記対象に、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物もしくは組合せ物、請求項22~25のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項26~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項29に記載のベクター、または請求項30もしくは31に記載の宿主細胞、のうちの1つまたは複数を投与するステップを含む、方法。
【請求項38】
対象において、バイオフィルムに直接隣接した好中球細胞外トラップ(NET)の形成を誘導または増加させ、必要に応じて炎症促進応答を誘導することなしに、前記バイオフィルムを破壊するための方法であって、前記対象に、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物もしくは組合せ物、請求項22~25のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項26~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項29に記載のベクター、または請求項30もしくは31に記載の宿主細胞、のうちの1つまたは複数を投与するステップを含み、前記HMGB1ポリペプチドが、配列番号52のアミノ酸配列、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片を含む、方法。
【請求項39】
前記対象に、DNアーゼ酵素、抗生剤、抗微生物剤、抗感染剤、抗真菌剤、抗寄生生物剤、抗ウイルス剤、またはOMP P5、rsPilA、OMP 26、OMP P2、もしくはIV型Pilinを特異的に認識しこれに結合する抗体もしくはその抗原結合断片、のうちの1つまたは複数を投与するステップをさらに含む、請求項32~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
バイオフィルムの形成によって特徴付けられる前記状態が、慢性非治癒性創傷、Burkholderia sp.に起因する肺感染症、静脈性潰瘍、糖尿病性足部潰瘍、耳感染症、洞感染症、尿路感染症、胃腸管の病気、院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎、外科的インプラント関連感染症、肺感染症、気道感染症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、カテーテル関連感染症、留置デバイス関連感染症、植え込まれた補綴と関連付けられる感染症、骨髄炎、蜂巣炎、膿瘍、または歯周病のうちの1つまたは複数を含む、請求項32、33、35~37、および39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
使用のための指示と、請求項1~21のいずれか一項に記載の組成物もしくは組合せ物、請求項22~25のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項26~28のいずれか一項に記載のポリヌクレオチド、請求項29に記載のベクター、または請求項30もしくは31に記載の宿主細胞、のうちの1つまたは複数とを含む、請求項32~40のいずれか一項に記載の方法における使用のためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)(35U.S.C.§119(e))の下、2020年7月7日出願の米国仮出願第63/049,065号および2021年4月15日出願の米国仮出願第63/175,487号の優先権を主張し、これらの各々の内容は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
連邦政府支援の声明
本発明は、国立衛生研究所により与えられた認可番号DC011818の下で政府支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。このASCIIコピーは、2021年7月2日に作成され、名称は106887-7960_ST25.txtであり、サイズは233,163バイトである。
【背景技術】
【0004】
背景
DNABIIファミリーのタンパク質は、細菌細胞の外側で天然に見られ、バイオフィルムの形成に寄与する。公知の真正細菌すべてにおいて、DNABIIファミリーの少なくとも1つのタンパク質が見出される。それのタンパク質は強力な自然免疫および獲得免疫反応を誘発するが、宿主被験体は、感染の結果として、ファミリーメンバーに対する免疫保護性抗体を自然に産生することができない。細菌バイオフィルムに伴う主な問題は、宿主免疫系ならびに/または抗生物質および他の抗菌薬がバイオフィルム内に保護された細菌にアクセス不可能であることである。
【0005】
ヒト宿主内の細菌は、バイオフィルムとしても公知の群集アーキテクチャを好む。バイオフィルムは、自由生活(浮遊性)細菌が互いに付着する場合(凝集物バイオフィルム)または表面に付着する場合(付着したバイオフィルム)に形成され、遺伝子発現、細胞間連絡、および重要なことには自作細胞外マトリックス(細胞外高分子物質またはEPS)の産生における変化を含む発達プログラムを開始させる。これらの群集アーキテクチャの各々の内部の常在細菌は、宿主免疫系および抗微生物薬に対して不応性であり(Slinger et al., Diagn Microbiol Infect Dis, 2006. 56(3): p. 247-53;およびStarner et al., Antimicrob Agents Chemother, 2008. 52(1): p. 137-45)、このことは、細菌が存続することを可能にし、慢性および再発性感染症を維持するためのリザーバーとして働く。したがって、細菌バイオフィルムを溶解するための標的化された戦略を開発する決定的な必要性が存在する。
【0006】
バイオフィルムは工業環境にも存在する。例えば、バイオフィルムは、生産現場からガソリンスタンドの貯蔵タンクまでの広範囲の石油処理問題に関係する。前記現場では、硫酸還元バイオフィルム細菌は硫化水素を産生する(サワーオイル(soured oil))。プロセスパイプラインでは、バイオフィルム活性は、フィルタおよび開口部を妨げるスライムを発生させる。バイオフィルムおよびバイオフィルム生物はまた、パイプラインおよび石油処理装置の腐食を引き起こす。これらの問題は、油またはガス生産設備全体を通して、汚損および腐食性バイオフィルム生物が最終製品貯蔵タンクの表面上にさえ見出される程度まで顕在化し得る。
【0007】
バイオフィルムは、家庭および工業の両方の広範囲の水処理に関係する。それらは処理装置の表面上で成長し、装置の性能を害し得る(例えば、熱伝達の劣化またはフィルタおよび膜の閉塞)。冷却塔充填材上で成長するバイオフィルムは、充填材の崩壊を引き起こすために十分な重量を追加し得る。バイオフィルムは、高度に特殊化されたステンレス鋼の腐食でさえも引き起こす。水処理におけるバイオフィルムは、例えば、紙加工におけるバイオフィルムの夾雑、またはシリコンチップ上への単一細胞の付着さえも、最終生成物の価値を低下させる可能性がある。飲料水配送システムにおいて成長するバイオフィルムは、水の美的品質を劣化させる潜在的な病原生物、腐食性生物または細菌を有し得る。家庭では、バイオフィルムは、微生物成長を支える任意の表面中にまたはその上に、例えば、排水管に、調理面に、トイレに、ならびにスイミングプールおよびスパに見出される。
したがって、関連細菌感染症を処置または死滅させて表面および水系からそれらを除去するために、バイオフィルム保護壁を突破する必要性が存在する。本開示はこの必要性を満たし、関連利点も提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Slinger et al., Diagn Microbiol Infect Dis, 2006. 56(3): p. 247-53
【非特許文献2】Starner et al., Antimicrob Agents Chemother, 2008. 52(1): p. 137-45
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
概要
HMGボックスポリペプチド(その非限定的な例は、HMGB1ポリペプチドを含む)と抗DNABII抗体またはその抗原結合断片(例えば、DNABIIの先端またはキメラ先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体)との、またはその各々の等価物の組合せが、本明細書に提供される。その上、組合せの要素を単独で、または互いに組み合わせて発現する、ポリヌクレオチド、ベクター、および宿主細胞が提供される。さらにその上、それらを産生または使用する方法と共に、組合せ、または組合せを発現するポリヌクレオチドもしくはベクターもしくは宿主細胞、あるいはその両方を含むか、あるいはそれから本質的になるか、あるいはまたさらにそれからなる組成物、組合せ物およびキットが提供される。理論に束縛されることは望まないが、開示される組合せは、バイオフィルムの形成を予防すること、またはバイオフィルムを破壊することにおいて、相乗効果を示す。
【0010】
一態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、さらに必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)
(i)配列番号13、24または26のいずれか1つのアミノ酸(aa)25~aa144、あるいはその各々の等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン;および/または
(ii)配列番号14または25のaa21~aa132、または配列番号27のaa21~aa126、もしくはその各々の等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0011】
さらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、さらに必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)
(i)配列番号13、24または26のいずれか1つまたは複数、またはその各々の等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC);および/または
(ii)配列番号14、25、または27のいずれか1つまたは複数、またはその各々の等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0012】
なおさらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド(またはHMGB2、HMGB3、またはHMGB4における対応する変異)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)以下の(i)~(vi):
(i):GFTFXXY(配列番号13のアミノ酸(aa)50~aa56)、GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)、またはGFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(ii):XSXXXX(配列番号13のアミノ酸(aa)76~aa81)、GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)、またはSSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(iii):XXXXXXXYXXFDX(配列番号13のアミノ酸(aa)121~aa133)、VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)、またはERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(iv):QXXXXXXXXXX(配列番号14のaa47~aa57)、QXXXXX(配列番号14のaa47~aa52)、QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)、またはQDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(v):XXS(配列番号14のaa75~aa77)、LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)、またはYTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;および
(vi)以下のいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3):XQGXXXXXT(配列番号14のaa114~aa122)、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)、またはQQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0013】
一態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチドまたはHMGB2、HMGB3、またはHMGB4における対応する変異)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFP(配列番号7または8または9または25のaa114~aa120)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0014】
別の態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質HMGBポリペプチド、必要に応じてHMGB1ポリペプチド、またはそのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなるその断片;および
(b)
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0015】
さらに別の態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチドまたはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはそれからなるその断片;および
(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、組成物または組合せ物であって、
ただし、
(i)組成物または組合せ物が、配列番号52を含まない、または
(ii)抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは
(i)および(ii)の両方
である、組成物または組合せ物が提供される。
【0016】
一態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチドまたはHMGB2、HMGB3、またはHMGB4における対応する変異、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;;および
(b)
(i)配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのCDR1~3、またはその各々の等価物;および/または
(ii)配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つのCDR1~3、またはその各々の等価物
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0017】
さらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片とエピトープの結合について競合する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0018】
なおさらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチドまたはHMGB2、HMGB3、またはHMGB4における対応する変異)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)本明細書に開示される相補性決定領域(CDR)を含むポリペプチド
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。一部の実施形態では、組合せ物は、組合せで投与するために別々に製剤化される。一部の実施形態では、CDRは、重鎖(HC)CDR1(CDRH1)、HCCDR2(CDRH2)、HCCDR3(CDRH3)、軽鎖(LC)CDR1(CDRL1)、LCCDR2(CDRL2)、またはLCCDR3(CDRL3)のいずれか1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0019】
一態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、さらに必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチドまたはHMGB2、HMGB3、またはHMGB4における対応する変異)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)以下:
(i)以下のいずれか1つを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1):GFTFXXY(配列番号13のアミノ酸(aa)50~aa56、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)、GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)、GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)、aASGFTFRTYAMS(配列番号24のaa47~aa59:ここで、小文字のaはAである、すなわち、配列番号1または2のaa47~aa59、またはここで、小文字のaはKである、すなわち、配列番号3のaa47~aa59)、GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)、またはaASGFTFSRYGMS(配列番号26のaa47~aa59:ここで、小文字のaはAである、すなわち、配列番号4または5のaa47~aa59、またはここで、小文字のaはTである、すなわち、配列番号6のaa47~aa59);
(ii)以下のいずれか1つを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2):XSXXXX(配列番号13のアミノ酸(aa)76~aa81、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)、SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)、IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)、IGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa75~aa83)、TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)、WVATIGSDRRHTYYP(配列番号1または2または3または24のaa71~aa85)、ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)、またはTISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83);
(iii)以下のいずれか1つを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3):XXXXXXXYXXFDX(配列番号13のアミノ酸(aa)121~aa133、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)、ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)、VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)、またはER(配列番号4または5または6または26のaa121~aa122);
(iv)以下のいずれか1つを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1):QXXXXXXXXXX(配列番号14のaa47~aa57、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、QXXXXX(配列番号14のaa47~aa52、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)、QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)、rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59:ここで、小文字のrはRである、すなわち、配列番号7または8のaa44~aa59、またはここで、小文字のrはKである、すなわち、配列番号9のaa44~aa59、またはRASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54);
(v)以下のいずれか1つを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2):XXS(配列番号14のaa75~aa77、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)、YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)、LVSKlDS(配列番号25のaa75~aa81:ここで、小文字のlはLである、すなわち、配列番号7または9のaa75~aa81、またはここで、小文字のlはRである、すなわち、配列番号8のaa75~aa81)、YLVSKlDS(配列番号25のaa74~aa81:ここで、小文字のlはLである、すなわち、配列番号7または9のaa74~aa81、またはここで、小文字のlはRである、すなわち、配列番号8のaa74~aa81)、LVSKlDSG(配列番号25のaa75~aa82:ここで、小文字のlはLである、すなわち、配列番号7または9のaa75~aa82、またはここで、小文字のlはRである、すなわち、配列番号8のaa75~aa82)、YLVSKlDSGV(配列番号25のaa74~aa83:ここで、小文字のlはLである、すなわち、配列番号7または9のaa74~aa83、またはここで、小文字のlはRである、すなわち、配列番号8のaa74~aa83)、RLIYLVSKlDSGVPD(配列番号25のaa71~aa85:ここで、小文字のlはLである、すなわち、配列番号7または9のaa71~aa85、またはここで、小文字のlはRである、すなわち、配列番号8のaa71~aa85)、YTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa76);またはYYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76);および
(vi)以下のいずれか1つを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3):XQGXXXXXT(配列番号14のaa114~aa122、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である)、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)、QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)、WQGTHFP(配列番号7または8または9または25のaa114~aa120)、WQGTHFPY(配列番号7または8または9または25のaa114~aa121)、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)、またはQQ(配列番号10または11または12または27のaa109~aa110)
のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる相補性決定領域(CDR)
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0020】
さらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチドであって、必要に応じてHMGB1ポリペプチドであり、さらに必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチドまたはHMGB2、HMGB3、またはHMGB4における対応する変異)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)配列番号1~14または24~27、またはその各々の等価物のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる単離されたポリペプチド
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0021】
またさらなる態様では、
(a)本明細書で開示するHMGBポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチド、もしくはその断片、またはその各々の等価物をコードし、その発現を指示する調節配列、例えば、プロモーターもしくはエンハンサーまたはその両方に必要に応じて作動可能に連結された、単離されたポリヌクレオチド;および
(b)本明細書で開示する抗体もしくはその抗原結合断片、またはその各々の等価物をコードし、その発現を指示する調節配列、例えば、プロモーターもしくはエンハンサーまたはその両方に必要に応じて作動可能に連結された、単離されたポリヌクレオチド
を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、組成物または組合せ物が提供される。
【0022】
一態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じてHMGB1ポリペプチド、、あるいはそのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなるその断片;および
(b)本明細書に開示される抗DNABII抗体またはその抗原結合断片、例えば、
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるポリペプチドが提供される。
【0023】
さらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはそれからなるその断片;および
(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるポリペプチドであって、
ただし、
(i)ポリペプチドが、配列番号52を含まない、または
(ii)抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは
(i)および(ii)の両方
である、ポリペプチドが提供される。
【0024】
一態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じてHMGB1ポリペプチド、、あるいはそのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなるその断片;および
(b)本明細書に開示される抗DNABII抗体またはその抗原結合断片、例えば、
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片
をコードするポリヌクレオチド、
あるいはそれと相補的なポリヌクレオチドが提供される。
【0025】
さらなる態様では、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはそれからなるその断片;および
(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片
をコードするポリヌクレオチド、あるいはこれと相補的なポリヌクレオチドであって、
ただし、
(i)ポリヌクレオチドが、配列番号52をコードしない、または
(ii)抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは
(i)および(ii)の両方
である、ポリヌクレオチドが提供される。
【0026】
一態様では、本明細書で開示するポリヌクレオチドを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるベクターが提供される。一部の実施形態では、ベクターは、非ウイルスベクター(例えば、プラスミド)またはウイルスベクターである。さらなる実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、またはアデノ随伴ウイルスベクターからなる群から選択される。その上またはあるいは、ベクターは、ポリヌクレオチドの発現を指示する調節配列をさらに含む。
【0027】
本明細書で説明される組成物もしくは組合せ、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、または本明細書で開示するベクター、のうちの1つまたは複数を含む宿主細胞が、本明細書に提供される。
【0028】
一態様では、DNABIIポリペプチドまたはタンパク質の、微生物DNAへの結合を阻害するため、またはこれと競合するための方法が提供される。この方法は、DNABIIポリペプチドまたはタンパク質を本明細書で開示する組合せまたは組成物と接触させるステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0029】
別の態様では、バイオフィルムを破壊する方法が提供される。この方法は、バイオフィルムを本明細書で開示する組成物または組合せと接触させるステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0030】
さらに別の態様では、表面上のバイオフィルムの形成を予防するため、もしくはバイオフィルムを破壊するための方法が提供される。この方法は、バイオフィルムを本明細書で開示する組合せもしくは組成物と接触させること、またはバイオフィルムに対して感受性な表面もしくはバイオフィルムを含有する表面を、本明細書で開示する組合せもしくは組成物で処置するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0031】
さらなる態様では、対象においてバイオフィルムの形成を予防するため、もしくはバイオフィルムを破壊するための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組成物または組合せを投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0032】
またさらなる態様では、対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置するための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組合せまたは組成物を投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0033】
一態様では、対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置するための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組成物または組合せを投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0034】
一態様では、(A)in vitroもしくはex vivoにおいてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(B)対象においてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(C)対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置すること、または(D)対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置すること、のうちの1つまたは複数のための方法が提供される。この方法は、対象に、
(a)高移動度群ボックスタンパク質(HMGB)ポリペプチド、必要に応じて、HMGB1ポリペプチドまたはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片;および
(b)本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0035】
一態様では、対象において、バイオフィルムに直接隣接した好中球細胞外トラップ(NET)の形成を誘導または増加させるための方法、および必要に応じて炎症促進応答を誘導することなしに、バイオフィルムを破壊するための方法が提供される。この方法は、対象に、
(a)配列番号52のアミノ酸配列を含む高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片;および
(b)本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0036】
一態様では、(A)in vitroもしくはex vivoにおいてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(B)対象においてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(C)対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置すること、または(D)対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置すること、のうちの1つまたは複数のための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、本明細書で開示するベクター、または本明細書で開示する宿主細胞、のうちの1つまたは複数を投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0037】
一態様では、対象において、バイオフィルムに直接隣接した好中球細胞外トラップ(NET)の形成を誘導または増加させるための方法、および必要に応じて炎症促進応答を誘導することなしに、バイオフィルムを破壊するための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、本明細書で開示するベクター、または本明細書で開示する宿主細胞、のうちの1つまたは複数を投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、ただし、HMGB1ポリペプチドは、配列番号52を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0038】
その上、本明細書で開示する方法における使用のためのキットが提供される。キットは、使用のための指示と、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、本明細書で開示するベクター、または本明細書で開示する宿主細胞、のうちの1つまたは複数とを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】
図1は、eDNA依存性細菌バイオフィルムマトリックスのHMGB1媒介性制御のモデルを提供する。
【0040】
【
図2】
図2A~2Eは、バイオフィルムと感染の部位に対して誘導された豊富なPMNとの間のゾーンを示す合成写真を提供する。
図2Aは、実験的中耳炎の間にチンチラの中耳において分類不能(nontypeable)Haemophilus influenzae(NTHI)によって産生された17日のバイオフィルムのH&E染色された凍結切片の代表的な低倍率光学顕微鏡写真である。濃いPMN浸潤の領域は、右上隅の領域中に主に位置するが、NTHI誘導性バイオフィルムは、画像の左下領域を占める。これら2つの領域が出会うゾーンは、破線によって境界が定められている。バー=100μm。
図2Bは、
図2Aに示されるin situバイオフィルムの連続切片の代表的な画像であり、ここでは、PMNの境界を定めるためのエラスターゼに対する抗体で免疫標識されたPMN-リッチ領域は、NTHI誘導性バイオフィルムの境界を定めるためのNTHI外膜タンパク質に対する抗体で免疫標識されたNTHIバイオフィルムと交わり、交わった領域は、両方の蛍光色素が混ざって見える。バー=100μm。チンチラ中耳から回収された11日齢のNTHIバイオフィルムの高倍率免疫標識共焦点画像:
図2Cは、DNABIIタンパク質HUに対する抗体で殆どもっぱら標識されたNTHIバイオフィルムを示し、ここでは、HU標識化は、細菌eDNAの鎖上で検出される;
図2Dは、NTHI誘導性バイオフィルムがPMN-リッチ領域と交わる領域を提供し、ここでは、抗DNABII(HU)標識化が明らかであり、抗HMGB1による標識化も明らかである;d1およびd2は、挿入図の連続1μmZ平面画像であり、DNABIIおよびHMGB1標識化の物理的重複が存在しないことを実証している。
図2Eは、PMN-リッチ領域を提供し、ここでは、標識化は、もっぱら抗HMGB1に対してである。パネルC~E中のバー=5μm。
【0041】
【
図3】
図3A~3Bは、HMGB1バリアントが、多様な高優先度ヒト病原体によって形成されたバイオフィルムを破壊したことを示している。
図3Aは、HMGB1の示されたアイソフォーム(別に示されない限り、200nM)を、24時間のバイオフィルムに、in vitroで添加し16時間おいたことを示している。試験した各病原体について、5つのバーが示され、それらは、左から右に、対照、α-IHF
Ec、rHMGB1、mHMGB1、およびnHMGB1から得られたデータを示す。例外は次の通りであった:S.aureus(ESKAPE中で示されるS)については800nM rHMGB1または200nM mHMGB1;E.faecium(ESKAPE中で示されるE)については800nM rHMGB1、800nM mHMGB1、3.3mM α-IHF
Ec IgG、E.faeciumが産生するプロテアーゼによる潜在的分解を回避するために、1時間のみ。バイオフィルムを、LIVE/DEAD(登録商標)染色剤で染色し、共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)を介して可視化し、COMSTATによって解析して、平均厚さを計算した。対照と比較した、バイオフィルム厚さにおけるパーセント変化をプロットした。バーは、SEMを示す。対応のないt検定を介して
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。
図3Bは、示された濃度のrHMGB1と共にインキュベートしたUPECバイオフィルムの代表的な画像を提供する。データは、合わせると、rHMGB1、nHMGB1およびmHMGB1が、多様なヒト病原体によって形成された細菌バイオフィルムを有意に破壊したことを示しており、rHMGB1が、UPECバイオフィルムの用量依存性破壊を誘導したことをさらに示している。
【0042】
【
図4】
図4A~4Bは、HMGB1が、バイオフィルムを破壊し、バイオフィルム常在細菌を浮遊状態へと放出させたことを示している。24時間のUPECバイオフィルムを、rHMGB1(200nM)と共に16時間インキュベートし、次いで、浮遊状態にある細菌(馴化培地) 対 バイオフィルム状態にある細菌(接着性細菌)を計数した。総CFU(浮遊性+バイオフィルム)を
図4A中でプロットした。浮遊状態にある細菌の総数 対 バイオフィルム状態にある細菌の総数の相対的パーセントを、
図4B中でプロットした。バーは、SEMを示す。対応のあるt検定を介して
*P<0.05。rHMGB1は、殺菌効果を有さなかったが、バイオフィルム常在から浮遊状態への細菌の分配を誘導したことに留意されたい。
【0043】
【
図5】
図5A~5Bは、rHMGB1が、浮遊性細菌およびバイオフィルム常在細菌の根絶において、抗生物質とin vitroで相乗作用したことを示している。24時間のNTHIバイオフィルムを、単独の、またはアンピシリン(32μg/ml)もしくはアモキシシリン-クラブラン酸塩(1μg/ml)と組み合わせたrHMGB1(200nM)と共に16時間インキュベートし、次いで、浮遊状態にある細菌(馴化培地) 対 バイオフィルム状態にある細菌(接着性細菌)を計数した。バイオフィルムCFU(
図5A)および浮遊性CFU(
図5B)をプロットした。バーは、SEMを示す。対応のないt検定を介して
*P<0.05、
**P<0.01。rHMGB1は、殺菌効果を有さなかったが、抗生物質と組み合わせて送達された場合、rHMGB1は、浮遊性細菌およびバイオフィルム常在細菌の両方の死滅を促進したことに留意されたい。
【0044】
【
図6-1】
図6A~6Cは、rHMGB1の酸化が、その抗バイオフィルム活性に負に影響を与え(
図6A)、rHMGB1のアセチル化およびリン酸化が、rHMGB1の抗バイオフィルム活性に影響を与えなかった(
図6Bおよび6C)ことを示している。
図6A中、UPECによってin vitroで形成された24時間のバイオフィルムを、ox-rHMGB1(200nM)と共に16時間インキュベートした。バイオフィルムを、LIVE/DEAD(登録商標)染色剤で染色し、共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)を介して可視化し、COMSTATによって解析して、平均厚さを計算した。バーは、SEMを示す。対応のないt検定によって評価して、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。HMGB1の抗バイオフィルム機能が、rHMGB1の酸化の際に有意に低減されたことに留意されたい。
図6B中、アセチル化された形態またはリン酸化された形態を、トリトン酢酸尿素ゲル(TAUゲル;上)およびα-アセチル-リシンを用いたウエスタンブロット(α-Ac-Lys;下)によって確認した。
図6C中、(Bc - B.cenocepacia;E - Enterobacter spp、またはK - K.pneumoniae)によってin vitroで形成された24時間のバイオフィルムは、対照と比較して、Ac-rHMGB1およびPrHMGB1の両方によって有意に破壊された。バーは、SEMを示す。対応のないt検定によって評価して、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。HMGB1の抗バイオフィルム機能が、アセチル化またはリン酸化のいずれとも関係なく、未変化のままであったことに留意されたい。
【0045】
【
図7】
図7は、操作された単一アミノ酸バリアントmHMGB1が、HJ DNAに結合するその能力を保持したことを示している。5’末端標識した6-カルボキシフルオレセインHJ DNA(20nM)を、漸増濃度(50~500nM)のIHF、rHMGB1またはmHMGB1と共にインキュベートし、次いで、非変性PAGEによって分離した。矢印は、HJ DNA-タンパク質複合体を示す。mHMGB1が、HJ DNAに結合するその能力を維持したことに留意されたい。
【0046】
【
図8】
図8A~8Cは、HMGB1がHJ DNAに結合したが、HJ DNAを安定化することができなかったことを示している。5’末端標識した
32P HJ DNAを、漸増濃度(25~500nM)のIHF(
図8A)、rHMGB1(
図8B)またはRuvA(
図8C)と共に、室温(RT)または55℃のいずれかで10分間インキュベートし、次いで、6%非変性PAGE上で分離した。アスタリスクは、融解したオリゴを示し、矢印は、DNA-タンパク質複合体を示す。DNA-HMGB1複合体は、RTにおいて安定であったが、55℃では不安定であり、これが、融解した構成要素オリゴの存在量における増加を生じた。この成果は、IHFおよび原型的HJ DNA結合タンパク質RuvAの両方で観察された成果と対照をなす。
【0047】
【
図9】
図9は、HMGB1アイソフォームが、K.pneumoniaeバイオフィルム内の格子様eDNA網目構造をin vitroで破壊したことを示している。24時間のK.pneumoniaeバイオフィルムを、示されたタンパク質(200nM)と共に16時間インキュベートした。未固定のバイオフィルムを、α-dsDNAモノクローナル抗体と共にインキュベートし、次いで、AlexaFluor 488にコンジュゲートされたヤギα-マウスIgGと共にインキュベートした(下パネル)。K.pneumoniaeを、FilmTracer FM 4-64で染色した(上パネル)。バイオフィルムを、CLSMによって可視化した。対照におけるより合わさった蜘蛛の巣様構造と、rHMGB1およびmHMGB1による蜘蛛の巣様構造の破壊とに留意されたい。スケールバーは、10μmを示す。
【0048】
【
図10】
図10A~10Bは、HMGB1が、バイオフィルム細胞外マトリックス内のHJ様構造に結合するその能力を介してバイオフィルムを破壊したことを示している。
図10Aは、UPECによってin vitroで形成された24時間のバイオフィルムを、示されたタンパク質の各々の存在下または非存在下でmHMGB1(200nM)と共に16時間インキュベートしたことを示している。
図10Bは、UPECによってin vitroで形成された24時間のバイオフィルムを、rHMGB1(200nM)またはNEM-rHMGB1(200nM)と共に16時間インキュベートしたことを示している。バイオフィルムを、LIVE/DEAD(登録商標)染色剤で染色し、共焦点レーザー走査顕微鏡(CLSM)を介して可視化し、COMSTATによって解析して、平均厚さを計算した。バーは、SEMを示す。対応のないt検定によって評価して、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。HMGB1の抗バイオフィルム機能が、eDNAに直接結合し、したがって、eDNAへの結合についてHMGB1と競合する競合因子(HU、RuvA)の存在下で、またはHJ DNAに結合するその能力に直接影響を与えるrHMGB1の改変の際に、喪失されたことに留意されたい。
【0049】
【
図11】
図11A~11Bは、NEM-rHMGB1がHJ DNAに結合しないことを示す。
図11Aは、NEM改変されたrHMGB1がトリトン酢酸尿素ゲル(TAUゲル)によって確認されたことを提供する。
図11Bに示す通り、5’末端標識した6-カルボキシフルオレセインHJ DNA(20nM)を、漸増濃度(250~500nM)のIHF、rHMGB1またはNEM-rHMGB1と共にインキュベートし、次いで、非変性PAGEによって分離した。矢印は、HJ DNA-タンパク質複合体を示す。NEM-rHMGB1がHJ DNAに結合するその能力を喪失したことに留意されたい。
【0050】
【
図12】
図12は、HMGB1アイソフォームが、様々な程度の好中球媒介性NET形成をin vitroで誘導したことを示している。好中球を、示されたタンパク質(200nM)と共に3.5時間インキュベートした。好中球を固定し、次いで、α-dsDNAモノクローナル抗体およびα-好中球エラスターゼ抗体と共にインキュベートし、次いで、AlexaFluor 488にコンジュゲートされたヤギα-マウスIgGおよびAlexaFluor 594にコンジュゲートされたヤギa-ウサギIgGと共にインキュベートした。好中球を、AlexaFluor 350にコンジュゲートされたコムギ胚芽凝集素(WGA)で染色した。NETを、CLSMによって可視化した。より合わさったNETが、様々な程度までではあるが、好中球とrHMGB1、mHMGB1およびNEM-rHMGB1とのインキュベーションの際に特異的に形成したことに留意されたい。スケールバーは、10μmを示す。
【0051】
【
図13-1】
図13A~13Fは、HMGB1が、マウス肺由来のB.cenocepacia凝集物のクリアランスを促進することを示している。
図13Aは、B.cenocepaciaに感染したマウスから回収された肺の肺切片の代表的なIF画像を提供する。C57BL/6マウスを、10
7CFUにi.t.曝露させ、同時(予防)、または24時間後(処置)のいずれかで、0.2nmolの示されたHMGB1バリアントを与えた。気管支肺胞洗浄(BAL)を、18hpi(予防、
図13B)または72hpi(処置、
図13C)で収集し、次いで、CFUについて解析した。
図13Dは、H&Eで染色した代表的な画像を提供する(10×および40×倍率)。
図13Eに示す通り、BAL中の細胞を、α-CD45、CD11b、およびLy-6Gで染色し、フローサイトメトリーによって解析して、相対的好中球流入を測定した(
図13F)。バーは、SDを示す。マン・ホイットニー検定によって評価して、
*P<0.05、
**P<0.01。HMGB1処置は、マウス肺中のB.cenocepaciaのCFUを有意に減少させ、mHMGB1内の操作されたC45S変異による処置は、炎症促進活性を排除した。
【0052】
【
図14-1】
図14A~14Cは、mHMGB1が、低減されたファゴサイトーシスにもかかわらず、マウス肺からB.cenocepaciaを取り除き、腹膜腔への減弱した好中球動員を示したことを示している。
図14Aは、C57BL/6マウスを、10
7CFUのB.cenocepaciaにi.t.曝露させ、0.2nmolのrHMGB1またはmHMGB1で24時間後に処置したことを提供する。処置の48時間後、マウスを屠殺し、肺の切片をE.coli α-EF-Tuモノクローナル抗体で標識してB.cenocepaciaを標識し、DAPIで標識して好中球を検出した。
図14Bは、マクロファージを、5μg/ml rHMGB1、5μg/ml mHMGB1または10μM サイトカラシンDで2時間処置し、次いで、pHrodo red E.coli生体粒子を添加し、2時間インキュベートしたことを示している。いずれの過剰な生体粒子をも、細胞をHBSSで洗浄することによって除去し、ファゴサイトされた生体粒子を、プレートリーダー(560/585nm)によって測定した。
図14Cは、C57BL/6マウスに、示されたHMGB1アイソフォームをi.p.注射し、次いで、24時間後に、腹膜腔中への好中球の流入を、α-CD45、CD11b、およびLy-6G抗体を用いるフローサイトメトリーによって決定したことを示している。n=3。バーは、SDを示す。
*P<0.05。rHMGB1による処置は、腹膜腔中への好中球の有意な遊走を誘導したが、mHMGB1による処置は、ファゴサイトーシスにおける中程度の低減にもかかわらず、この炎症促進応答を有意に減弱させた。
【0053】
【
図15】
図15は、バイオフィルムをin vivoで処置するために使用したrHMGB1が、マウスにおいて敗血症性ショックと関連付けられる感染症に対する調節不全の宿主応答を誘導しなかったことを示している。マウスに、0.2nmolの内毒素なしのHMGB1、5mg/kg LPS、またはその両方のいずれかをi.p.注射し、次いで、敗血症性ショックの徴候について24時間モニタリングした。血清TNF-αを、24時間後にELISAによって測定した。バーは、SDを示す。LoD:検出限界。in vivoバイオフィルムを処置するために使用したのと同じ濃度のrHMGB1が、TNF-αにおける増加によって示されるように、敗血症性ショックを誘導しなかったことに留意されたい。
【0054】
【
図16-1】
図16A~16Jは、mHMGB1が、バイオフィルム常在NTHIのクリアランス、確立された粘膜バイオフィルムの根絶、および実験的疾患の解消を媒介したことを示しており、これは、DNABIIタンパク質の免疫保護的ドメインに対する抗体断片(先端-チャイマーFab)との共送達の際に増強された成果である。
図16Aは、チンチラ中耳中の既に確立されたNTHIバイオフィルムを溶解する、rHMGB1またはmHMGB1の相対的能力を評価するための研究タイムラインを提供する。
図16Bは、治療の完了の1日後の、粘膜バイオフィルム内に常在するNTHIおよび中耳粘膜に接着性のNTHIの相対量を提供する。
図16Cに示す通り、処置の完了の1日後に残存した中耳粘膜バイオフィルムの量を定性的に評価するために使用した注釈。
図16Dは、コホート当たりの各中耳内の粘膜バイオフィルムの相対量を提供する。
図16E中、処置の完了の1日後の中耳粘膜炎症の量を定性的に評価するために使用した注釈。
図16Fは、コホート当たりの各中耳内の粘膜炎症の相対量を提供する。
図16Gは、粘膜バイオフィルムの相対的存在/クリアランスと炎症/非炎症状態とを実証するための、各コホートからの中耳の代表的な画像を提供する。
図16Hは、チンチラ中耳中の既に確立されたNTHIバイオフィルムを溶解する、先端-チャイマーFabと共に共送達されたmHMGB1の付加的潜在性を評価するための研究タイムラインである。
図16Iは、1回または2回の処置用量の24時間後の粘膜バイオフィルム内に常在するNTHIおよび中耳粘膜に接着性のNTHIの相対量を提供する。
図16Jは、1回または2回の処置用量の24時間後のコホート当たりの各中耳内の粘膜バイオフィルムの相対量を提供する。rHMGB1およびmHMGB1は共に、バイオフィルム常在NTHIの迅速なクリアランスおよび確立された粘膜バイオフィルムの根絶を誘導したが、mHMGB1のみが、限定的な粘膜炎症を誘導した。さらに、mHMGB1と先端-チャイマーFab断片との共送達は、中耳からNTHIおよび関連するバイオフィルムを根絶するのに高度に効果的であった。
【0055】
【
図17】
図17は、炎症促進性サイトカインIL-1βおよびIL-17Aが、rHMGB1で処置したチンチラから回収された中耳液中で有意に豊富であったが、mHMGB1処置したコホートでは抗炎症性サイトカインが優勢であったことを示している。NTHI曝露の6日後(処置の完了の1日後)、中耳液を回収し、炎症促進性サイトカインおよび抗炎症性サイトカインのパネルの相対量について、サイトメトリービーズアレイによってスクリーニングした。各データポイントは、個々の中耳液と、示された各コホートについての平均とを示す。rHMGB1処置したチンチラにおける炎症促進性サイトカインIL-1βおよびIL-17Aの有意に上昇した濃度(p<0.05)に留意されたいが、一方で、抗炎症性サイトカインIL-10の有意に上昇した濃度が、mHMGB1で処置したコホートにおいて観察された(P<0.01)。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
定義
理解されるように、セクションまたはサブセクション見出しは、本明細書で使用される場合、構成のみを目的とするものであり、記載される主題を制限および/または分離すると解釈すべきではない。
【0057】
別に定義されない限り、本明細書で使用する全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で提供される全てのヌクレオチド配列は、5’~3’方向で示される。本明細書で説明する方法および材料と類似または等価の任意の方法および材料は、本開示の実施または試験において使用することができるが、特定の非限定的な例示的方法、デバイスおよび材料をここで説明する。本明細書で引用する全ての技術出版物および特許出版物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書中のいずれも、先行発明によって、本開示がそのような開示を先行するものとする権利を与えられないことの承認として解釈されるべきではない。
【0058】
本開示の実施は、別に示されない限り、当該技術分野の技術の範囲内である組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来技術を使用する。例えば、Sambrook and Russell eds, (2001) Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition;叢書Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biology;叢書Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.);MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach (IRL Press at Oxford University Press);MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach;Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual;Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition;Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis;米国特許第4,683,195号;Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization;Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization;Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation; Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press (1986));Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning;Miller and Calos eds, (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells (Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells;Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London);およびHerzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunologyを参照されたい。
【0059】
範囲を含む全ての数字表示、例えば、pH、温度、時間、濃度および分子量は、適宜1.0または0.1の増分で、またはあるいは+/-15%、またはあるいは10%、またはあるいは5%、またはあるいは2%の変動で(+)または(-)に変動する近似値である。必ずしも明白に示されていないが、全ての数字表示に、「約」という用語が先行することが理解されるべきである。また、必ずしも明白に示されていないが、本明細書で説明する試薬は単に例示であり、かつそのようなものの等価物は当該技術分野で公知であることが理解されるべきである。
【0060】
「約」という用語は、本明細書で使用される場合、測定可能な値、例えば、量または濃度などについて言及する場合、特定された量の20%、10%、5%、1%、0.5%、またはさらには0.1%の変動を包含する意味である。
【0061】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに別のように規定しない限り、複数の指示物を含む。例えば、「ポリペプチド(a polypeptide)」という用語は、その混合物を含む複数のポリペプチドを含む。
【0062】
本明細書で使用される場合、「~を含む(comprising)」という用語は、組成物および方法が、列挙される要素を含むが、その他のものを除外しないことを意味すると意図される。「~から本質的になる」は、組成物および方法を定義するために使用される場合、意図される使用のための組合せにとって任意の本質的に重要な他の要素を除外することを意味する。したがって、本明細書で定義する要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法からの微量夾雑物、および薬学的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝食塩水、保存剤等を除外しない。「~からなる」は、他の成分および本明細書で開示する組成物を投与するための実質的な方法ステップの微量要素より多くのものを除外することを意味する。これらの遷移用語の各々によって定義される実施形態は、本開示の範囲内である。
【0063】
「必要に応じた」または「必要に応じて」は、次に記載された条件が起こっても起こらなくてもよいことを意味し、したがって、この記載は、その条件が起こる場合およびその条件が起こらない場合を含む。
【0064】
本明細書で使用される場合、「および/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数のいずれかのおよび全ての可能な組合せ、ならびに選択肢(「または」)で解釈される場合には組合せの欠如を指し、これらを包含する。
【0065】
「実質的に」または「本質的に」は、殆ど全体的にまたは完全に、例えば、ある所与の量の95%またはそれよりも多くを意味する。一部の実施形態では、「実質的に」または「本質的に」は、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または99.9%を意味する。
【0066】
「許容される」、「有効な」、または「十分な」という用語は、本明細書で開示する任意の構成成分、範囲、レベル、速度、用量形態などの選択を記載するために使用される場合、これらの構成成分、範囲、レベル、速度、用量形態などが、開示される目的のために好適であることを意図する。
【0067】
本明細書で使用される場合、相対的な用語、本明細書で使用される場合には、例えば、より高い、より低い、増加、減少、低減、またはそれらの任意の文法的バリエーションは、参照からのある特定の変動を指し得る。一部の実施形態では、そのような変動は、参照よりも約10%、もしくは約20%、もしくは約30%、もしくは約40%、もしくは約50%、もしくは約60%、もしくは約70%、もしくは約80%、もしくは約90%、もしくは約1倍、もしくは約2倍、もしくは約3倍、もしくは約4倍、もしくは約5倍、もしくは約6倍、もしくは約7倍、もしくは約8倍、もしくは約9倍、もしくは約10倍、もしくは約20倍、もしくは約30倍、もしくは約40倍、もしくは約50倍、もしくは約60倍、もしくは約70倍、もしくは約80倍、もしくは約90倍、もしくは約100倍またはそれよりも大きく高いことを指し得る。一部の実施形態では、そのような変動は、参照の約1%、または約2%、または約3%、または約4%、または約5%、または約6%、または約7%、または約8%、または約0%、または約10%、または約20%、または約30%、または約40%、または約50%、または約60%、または約70%、または約75%、または約80%、または約85%、または約90%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%を指し得る。
【0068】
「バイオフィルム」とは、微生物が、分泌し、放出しおよび/または細菌の溶解に起因して細胞外環境において利用可能になるDNA等の高分子と共に、有機または無機であり得る構造表面に付着することもある、組織化された微生物群集を意図する。バイオフィルムは、マイクロバイオティクス(microbiotics)および抗微生物剤に非常に抵抗性である。それらは、歯肉組織、歯および修復物上で生存し、歯周プラーク疾患としても公知の、う歯および歯周病を引き起こす。また、それらは、慢性中耳感染を引き起こす。また、バイオフィルムは、歯科インプラント、ステント、カテーテル系およびコンタクトレンズの表面上に形成し得る。それらは、ペースメーカー、心臓弁置換物、人工関節および他の外科的インプラント上で生育する。疾病管理センター(Centers for Disease Control)は、院内(病院内で獲得される)感染の65%より多くが、バイオフィルムによって引き起こされると見積もっている。それらは、慢性膣感染を引き起こし、免疫系が妨げられている人々において生命を脅かす全身性感染をもたらす。また、バイオフィルムは、多くの疾患に関与する。例えば、嚢胞性線維症患者は、多くの場合抗生物質抵抗性バイオフィルムをもたらすPseudomonas感染を有する。一実施形態では、バイオフィルムは、DNABIIポリペプチドまたはタンパク質を含む。さらなる実施形態では、バイオフィルムは、IHFおよび/またはHUを含む。またさらなる実施形態では、バイオフィルムは、IHFAおよび/またはIHFBを含む。
【0069】
「好中球」という用語は、哺乳動物における一種の顆粒細胞、一種の白血球細胞、および一種のファゴサイトを指し、炎症細胞の第1応答者である。好中球は、骨髄において骨髄前駆体から発生する顆粒含有多形核白血球である。これらは、ファゴソームにおいて外来性粒子を破壊することによって細胞内で、または好中球細胞外トラップ(NET)を放出し、急性炎症を促進することによって細胞外で、自然免疫応答において重要な役割を果たす。ヒトでは、好中球は、最も豊富な循環白血球であり、白血球細胞の50~70%を占めるが、循環マウス白血球の10~25%が好中球である。好中球は、それらの核の形状および細胞質粒度に基づいて視覚的に同定することができるが、ある特定のマーカー(複数可)の発現に基づいても同定することができる。マウス好中球は、Ly-6GおよびCD11b/インテグリンアルファMの細胞表面発現に基づいて一般に同定される。マウス顆粒球性骨髄由来サプレッサー細胞もまた、これらのマーカーを発現することができるので、好中球は、しばしば、免疫抑制的特性の非存在と共に、M-CSF R/CD115およびCD244/SLAMF4の発現の欠如に基づいて、マウスにおいてこれらの細胞から区別される。ヒトでは、好中球は、CD14の発現の欠如と共に、ヒト好中球上のCD15およびCD16/FcガンマRIIIの両方の発現に基づいて、好酸球および単球から区別される。加えて、CD66b/CEACAM-8、CD11b/インテグリンアルファM、CD33、および細胞質マーカーミエロペルオキシダーゼが、ヒト好中球を同定するために使用される他の一般的なマーカーである。
【0070】
本明細書で使用される場合、好中球細胞外トラップ(NET)は、病原体に結合する、好中球由来のDNAから主に構成される、細胞外繊維の網目構造を指す。NETは、宿主細胞への損傷を最小限にしつつ、好中球が細胞外病原体を死滅させることを可能にする。高解像度走査電子顕微鏡法により、NETは、それぞれ15~17nmおよび25nmの直径を有する、DNAのストレッチおよび球状タンパク質ドメインからなることが示されている。これらは、50nmの直径を有するより大きい糸へと凝集する。しかし、流動条件下では、NETは、ずっと大きい構造を形成し得、数百ナノメートルの長さおよび幅に達する。免疫蛍光による解析により、NETが、アズール親和性顆粒(好中球エラスターゼ、カテプシンGおよびミエロペルオキシダーゼ)、特異的顆粒(ラクトフェリン)、三次顆粒(ゼラチナーゼ)、および細胞質由来のタンパク質を含有することが裏付けられた;しかし、CD63、アクチン、チューブリンおよび様々な他の細胞質タンパク質は、NET中には存在しない。一部の実施形態では、NETは、例えば、免疫蛍光によって、その構成成分(好中球エラスターゼを含むがこれに限定されない)のうちの1つまたは複数を評価することによって測定することができる。NETの活性化および放出は、本明細書でNETosisと呼ばれ、これは、自殺的(suicidal)NETosisおよびバイタル(vital)NETosisの2つの形態で生じ得る動的プロセスである。
【0071】
本明細書で使用される場合、「直接隣接した」という句は、ギャップも間隔もなしに、参照位置または構造に直接接続された位置を指す。
【0072】
一部の実施形態では、「破壊する」という用語は、微生物バイオフィルムの構成成分であるDNA/タンパク質マトリックスの形成における低減を意図する。その上またはあるいは、「破壊する」という用語は、形成されたバイオフィルムの低減、例えば、バイオフィルムを部分的にまたは完全に消散させることを意図する。そのような低減は、様々なパラメーターで示すことができる。例えば、バイオフィルムのバイオマスもしくは細菌負荷またはその両方は、処置の前および後に評価され得、処置後のその低減は、処置の有効性を示すために使用することができる。パラメーターの別の例は、盲検評価人によって与えられる相対的粘膜バイオフィルムスコアまたはバイオマススコアである。他の好適なパラメーターは、本明細書で開示する実施例に示される。一部の実施形態では、処置は、バイオフィルムを、処置の前のバイオフィルムの少なくとも約90%(少なくとも約85%、または少なくとも約80%、または少なくとも約75%、または少なくとも約70%、または少なくとも約65%、または少なくとも約60%、または少なくとも約55%、または少なくとも約50%、または少なくとも約45%、または少なくとも約40%、または少なくとも約35%、または少なくとも約30%、または少なくとも約25%、または少なくとも約20%、または少なくとも約15%、または少なくとも約10%、または少なくとも約9%%、または少なくとも約8%、または少なくとも約7%、または少なくとも約6%、または少なくとも約5%、または少なくとも約4%、または少なくとも約3%、または少なくとも約2%、または少なくとも約1%、または1%未満、または約0%を含むがこれらに限定されない)に低減させる。ある特定の実施形態では、バイオフィルムを破壊するとは、バイオフィルムを(完全にまたは部分的に)消散させること、バイオフィルムのDNA/タンパク質マトリックスから微生物を放出させること、ならびに必要に応じて、宿主免疫エフェクターおよび/または抗生物質による微生物の死滅を可能にすることを指す。
【0073】
「DNABIIポリペプチドまたはタンパク質」は、DNA結合ドメインからなり、したがって、微生物DNAについて特異的または一般的親和性を有するDNA結合タンパク質またはポリペプチドを意図する。一態様では、それらは、DNAの副溝(minor grove)に結合する。DNABIIタンパク質の非限定的な例は、組込み宿主因子(IHF:integration host factor)タンパク質およびE. coli株U93からのヒストン様タンパク質(HU:histone-like protein from E. coli strain U93)である。バイオフィルムと関連付けられ得る他のDNA結合タンパク質には、DPS(ジェンバンク(Genbank)アクセッション番号CAA49169)、H-NS(ジェンバンクアクセッション番号CAA47740)、Hfq(ジェンバンクアクセッション番号ACE63256)、CbpA(ジェンバンクアクセッション番号BAA03950)およびCbpB(ジェンバンクアクセッション番号NP_418813)が含まれる。
【0074】
「組込み宿主因子」または「IHF」タンパク質は、バクテリオファージによってそれらのDNAを宿主細菌に組み込むために使用される細菌タンパク質である。また、それらは、細胞外微生物DNAに結合する。E. coliにおいてIHFタンパク質サブユニットをコードする遺伝子は、himA(ジェンバンクアクセッション番号POA6X7.1)およびhimD(POA6Y1.1)遺伝子である。これらの遺伝子のホモログは他の生物において発見されている。ある特定の実施形態では、「IHF」という用語は、2つのIHFサブユニット:組込み宿主因子サブユニットアルファ(IHFAまたはIhfA)および組込み宿主因子サブユニットベータ(IHFBまたはIhfB)、のうちの一方または両方を指す。
【0075】
「HU」または「E. coli株U93からのヒストン様タンパク質」とは、典型的にE. coliに付随するあるクラスのヘテロ二量体タンパク質を指す。HUタンパク質は、DNA接合部に結合することが公知である。関連タンパク質が、他の微生物から単離されている。E. coli HUの完全なアミノ酸配列は、Laine et al. (1980) Eur. J. Biochem 103(3)447-481によって報告された。HUタンパク質に対する抗体は、Abeamから市販されている。E.coliにおいてHUタンパク質サブユニットをコードする遺伝子は、それぞれ配列番号29および30に対応するhupAおよびhupBである。これらの遺伝子のホモログが、他の生物において見出されており、他の生物からのこれらの遺伝子に対応するペプチドは、WO2011/123396の表10において見出すことができる。
【0076】
「表面抗原」または「表面タンパク質」という用語は、細胞、例えば、細菌細胞の表面上のタンパク質またはペプチドを指す。表面抗原の例は、例えば、OMP P5(ジェンバンクアクセッション番号YP_004139079.1)、OMP P2(ジェンバンクアクセッション番号ZZX87199.1)、およびOMP P26(ジェンバンクアクセッション番号YP_665091.1)であり、外膜タンパク質の例は、rsPilAまたは組換え可溶型PilA(ジェンバンクアクセッション番号EFU96734.1)およびIV型Pilin(ジェンバンクアクセッション番号Yp_003864351.1)である。
【0077】
「Haemophilus influenzae」という用語は、多くの様々な感染症、例えば、耳感染症、眼感染症および副鼻腔炎等を引き起こし得る病原性細菌を指す。Haemophilus influenzaeの多くの様々な株が単離されており、IhfA、ihfBおよびhupA遺伝子またはタンパク質を有する。Haemophilus influenzaeの様々な株の一部の非限定的な例には、Rd KW20、86-028NP、R2866、PittGG、PittEE、R2846および2019が含まれる。
【0078】
「微生物DNA」とは、バイオフィルムに組み込まれている微生物からの一本鎖または二本鎖DNAを意図する。
【0079】
バイオフィルムを「阻害すること、予防することまたは破壊すること」とは、バイオフィルムの構造の予防的または治療的低減を意図する。
【0080】
「ベントポリヌクレオチド」とは、1つの鎖に他の鎖と対形成しない小ループを含有する二本鎖ポリヌクレオチドを意図する。一部の実施形態では、ループは、1塩基~約20塩基の長さ、またはあるいは2塩基~約15塩基の長さ、またはあるいは約3塩基~約12塩基の長さ、またはあるいは約4塩基~約10塩基の長さであるか、またはあるいは約4、5または6、または7、または8、または9、または10塩基を有する。
【0081】
「DNABIIとの結合と競合するポリペプチド、例えば、DNAとの結合におけるIHF」は、屈曲したまたは歪んだDNA構造と結合する際にDNABII(例えば、IHF)と競合するが、DNAとバイオフィルムを形成しないタンパク質またはペプチドを意図する。例には、限定することなく、IHFの1つもしくは複数のDNA結合ドメインを含むIHFの断片、またはその生物学的等価物が含まれる。
【0082】
診断または処置の「対象」は、細胞または動物、例えば、哺乳動物またはヒトである。診断または処置に供される非ヒト動物は、感染に供される非ヒト動物または動物モデル、例えば、サル類、ネズミ科、例えば、ラット、マウス、チンチラ、イヌ科、例えば、イヌ、ウサギ類、例えば、ウサギ、家畜、競技用動物およびペットである。「対象」、「宿主」、「個体」および「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、動物、典型的に哺乳動物を指すものである。哺乳動物の非限定的な例には、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、サル、マカク等)、飼育動物(例えば、イヌおよびネコ)、家畜動物(例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)および実験動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット)が含まれる。一部の実施形態では、哺乳動物はヒトである。哺乳動物は、任意の年齢または任意の発達段階であってもよい(例えば、成体、青年期、子、幼体または子宮内の哺乳動物)。哺乳動物は、雄または雌であり得る。一部の実施形態では、対象は、ヒトである。
【0083】
「タンパク質」、「ペプチド」および「ポリペプチド」という用語は、互換的に、かつそれらの最も広い意味で使用されて、2つまたはそれよりも多いサブユニットアミノ酸、アミノ酸アナログまたはペプチドミメティクスの化合物を指す。サブユニットは、ペプチド結合によって連結され得る。別の実施形態では、サブユニットは、他の結合、例えば、エステル、エーテル等によって連結され得る。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質の配列またはペプチドの配列を構成し得るアミノ酸の最大数に限定は設けられていない。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシンならびにDおよびL光学異性体の両方を含む天然および/もしくは非天然または合成アミノ酸のいずれか、アミノ酸アナログおよびペプチドミメティクスを指す。
【0084】
本明細書で使用される場合、「相補的」配列は、互いにアンチパラレルで整列させた場合に、互いに対形成する複数の個々のヌクレオチド塩基を含有する2つのヌクレオチド配列を指す。ヌクレオチド塩基の対形成は、水素結合を形成し、したがって、相補的配列によって形成される二本鎖構造を安定化する。配列が「相補的」とみなされるためには、2つの配列中の全てのヌクレオチド塩基が互いに対形成する必要はない。例えば、配列は、2つの配列中のヌクレオチド塩基の少なくとも30%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%が互いに対形成する場合、相補的とみなされ得る。一部の実施形態では、相補的という用語は、2つの配列中のヌクレオチド塩基の100%が互いに対形成することを指す。加えて、配列は、2つの配列の総長さが互いに有意に異なる場合、なおも「相補的」とみなされ得る。例えば、プライマーの複数の個々のヌクレオチド塩基が、より長いポリヌクレオチド中のヌクレオチド塩基と対形成する場合、プライマーをより長いポリヌクレオチドの特定の領域とアンチパラレルで整列させた場合、15ヌクレオチドのプライマーは、数百のヌクレオチドを含有するより長いポリヌクレオチドに対して「相補的」とみなされ得る。ヌクレオチド塩基対形成は、当技術分野で公知であり、例えば、DNAでは、プリンアデニン(A)は、ピリミジンチミン(T)と対形成し、ピリミジンシトシン(C)は、プリングアニン(G)と常に対形成するが、RNAでは、アデニン(A)は、ウラシル(U)と対形成し、グアニン(G)は、シトシン(C)と対形成する。さらに、2つの相補的配列中の、互いにアンチパラレルで整列されるが、対ではないヌクレオチド塩基は、本明細書でミスマッチと呼ばれる。
【0085】
「C末端のポリペプチド」は、少なくとも10、もしくはあるいは、少なくとも15、もしくはあるいは、少なくとも20、もしくは少なくとも25個のC末端のアミノ酸、またはあるいは、ポリペプチドの半分を意図する。別の態様では、90個のアミノ酸を含有するポリペプチドでは、C末端のポリペプチドは、アミノ酸46から90を含むことになる。一態様では、この用語は、カルボキシ末端からC末端の20個のアミノ酸を意図する。
【0086】
DNABIIポリペプチドの「先端断片」は、例として、IHFアルファおよびIHFベータを使用して、タンパク質の2つのアームを形成するDNABIIポリペプチドを意図する。その非限定的な例は、以下に例示される、IhfA、A先端断片:NFELRDKSSRPGRNPKTGDVV、配列番号31、およびIhfB、B先端断片:SLHHRQPRLGRNPKTGDSVNL、配列番号32、ならびに配列番号31または32と整列させた別の種(例えば、別の細菌)由来のDNABIIポリペプチドのアミノ酸配列、ならびに必要な確認を提供するための2つの先端ドメインまたは改変されたドメイン、例えば、mIhFB4およびIhfA先端ドメインを含有するペプチドを含む。
【0087】
DNABIIポリペプチドの「尾部断片」は、バルク培地に曝露され、DNAまたは他のポリペプチドによって閉塞されていないタンパク質の領域を意図する。
【0088】
本明細書で使用される場合、ESKAPE病原体は、Enterococcus faecium、Staphylococcus aureus、Klebsiella pneumoniae、Acinetobacter baumannii、Pseudomonas aeruginosaおよびEnterobacter種を含む。これらの病原体は、世界中で院内感染の主な原因である。
【0089】
「HMGドメイン」、「高移動度群(HMG)ボックスドメイン」または「HMGB」は、DNAの結合に関与するアミノ酸配列を指す(Strosら、Cell Mol Life Sci.64(19-20):2590-606(2007))。一実施形態では、HMGボックスドメインの構造は、不規則な配列の3つのヘリックスからなる。別の実施形態では、HMGボックスドメインは、タンパク質が高い親和性で(捻れたまたは巻き戻された)非B型DNAコンフォメーションに結合することを可能にする。HMGボックスドメインは、DNA依存性プロセス、例えば転写、複製およびDNA修復の調節に関与する高移動度群タンパク質に見出され、これらはすべて、クロマチンのコンフォメーションの変化を必要とする(Thomas(2001)Biochem.Soc.Trans.29(Pt 4):395-401)。
【0090】
HMGボックスタンパク質は、様々な真核生物において見出され、配列依存性DNA認識および配列非依存性DNA認識に基づいて、2つの群へと大まかに分割され得る;前者は通常、1つのHMGボックスモチーフを含有するが、後者は、複数のHMGボックスモチーフを含有し得る。HMGボックスドメインを含むポリペプチドの非限定的な例は、クロマチンのHMG1(HMGB1)、HMG2(HMGB2)、HMGB3およびHMGB4非ヒストン構成成分;差次的生殖腺形成に関与するSRY(性決定領域Yタンパク質);SOXファミリーの転写因子(Harley et al. (2003) Endocr. Rev. 24(4):466-87);臓器形成および胸腺細胞分化の調節に関与する配列特異的LEF1(リンパ系エンハンサー結合因子1)およびTCF-1(T-細胞因子1)(Labbe et al. (2000) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97(15):8358-63);転写および複製に関与する構造特異的認識タンパク質SSRP;MTF1ミトコンドリア転写因子;RNAポリメラーゼIによる転写に関与する核小体転写因子UBF 1/2(上流結合因子);Abf2酵母ARS-結合因子(Cho et al. (2001) Biochim. Biophys. Acta. 1522(3):175-86);酵母転写因子lxr1、Rox1、Nhp6bおよびSpp41;真菌の有性生殖に関与する交配型タンパク質(MAT)(Barve et al. (2003) Fungal Genet. Biol. 39(2):151-67);ならびにYABBY植物特異的転写因子を含む。
【0091】
「HMGB1」は、DNAの副溝に結合しこれを歪めると報告されている、高移動度群ボックス(HMGB)1タンパク質である。組換えまたは単離されたタンパク質およびポリペプチドは、Atgenglobal、ProSpecBio、Protein1およびAbnovaから市販されている。HMGB1ポリペプチドは、HMGB1タンパク質またはその等価物について言及して、本明細書で利用される。一部の実施形態では、HMGB1タンパク質は、配列番号51を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、HMGB1等価物は、HMGボックスタンパク質、例えば、本明細書で開示するものを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、HMGB1等価物は、HMGボックスドメイン、例えば、本明細書で開示するものを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、HMGB1等価物は、HMGB2、HMGB3、またはHMGB4のうちの1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。その上またはあるいは、HMGB1等価物は、本明細書で開示する1つまたは複数の変異を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、HMGB1等価物は、配列番号52~58、68~74、84~90もしくは100~114、またはその各々の等価物のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0092】
HMGボックスドメインを含むポリペプチドの例示的な配列は、NP_002119(ヒトHMGB1)、NP_001124160(ヒトHMGB2)、NP_005333(ヒトHMGB3)およびNP_660206(ヒトHMGB4)を含む。ヒトHMGB1の約9~約76のアミノ酸残基が、例えば、HMGボックスドメインを形成し、約90~約138のアミノ酸残基が、別のHMGボックスドメインを形成する。例えば、これら2つのHMGボックスドメインのうちのいずれかを含有するHMGB1断片もまた、本開示の意味の範囲内の、HMGボックスドメインを含むポリペプチドを構成する。本明細書で説明される例では、組換えHMGB1(ヒトに由来する、およびE.coliにおいて組換え発現され精製された)が、mHMGB1(C45S)に対する比較対象として使用され、配列:
【化1】
を有する。
【0093】
本明細書で使用される場合、アミノ酸変異は、数字によって分離された2つの文字によって同定され得る。最初の文字は、元のアミノ酸残基を指し、数字は、参照配列中の変異の位置を示し、2番目の文字は、変異したアミノ酸残基を示す。例えば、C45S変異を含むHMGB1ポリペプチドは、HMGB1の45番目のアミノ酸残基であるシステイン(C)がセリン(S)に変異されていることを示す。さらなる実施形態では、全長配列、例えば、配列番号51が、例えば、断片中のアミノ酸位置を同定する場合に、参照として使用され得る。一例では、HMGB1ポリペプチドのBボックス断片は、C106S変異を含み得、ここで、数字106は、Bボックス断片の代わりに全長HMGB1ポリペプチド中のアミノ酸残基位置を指す。一部の実施形態では、参照は、配列番号51である。一部の実施形態では、位置について言及する場合、2番目の文字は割愛され得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、配列中のアミノ酸位置は、文字とその後の数字とによって同定される。文字は、その位置におけるアミノ酸残基を指すが、数字は、参照配列中の変異の位置を示す。例えば、C45は、システイン(C)である、HMGB1の45番目のアミノ酸残基を示す。さらなる実施形態では、全長配列、例えば、配列番号51が、例えば、断片中のアミノ酸位置を同定する場合に、参照として使用され得る。一例では、HMGB1ポリペプチドのBボックス断片は、C106S変異を含み得、ここで、数字106は、Bボックス断片の代わりに全長HMGB1ポリペプチド中のアミノ酸残基位置を指す。一部の実施形態では、参照は、配列番号51である。
【0095】
「改変された高移動度群ボックス1ドメイン」およびmHMGB1という用語は、本明細書で使用される場合、例えば、ヒトに由来するHMGB1のコンセンサス配列ポリペプチド:配列番号51に基づいて、23位、45位、および/または106位のシステイン残基の置換を介して変異した、HMGB1を指す。
【0096】
改変された高移動度群ボックス1ドメイン(即ち、mHMGB1)の非限定的な例示的な配列は、以下を含むがこれらに限定されない:C23Sの1つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C23S)、即ち、配列番号53;C45Sの1つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C45S)、即ち、
【化2】
;からなる配列番号52;C106Sの1つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C106S)、即ち、配列番号54;C23SおよびC45Sの2つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C23S、C45S - 二重変異体)、即ち、配列番号55;C23SおよびC106Sの2つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C23S、C106S - 二重変異体)、即ち、配列番号56;C45SおよびC106Sの2つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C45S、C106S - 二重変異体)、即ち、配列番号57;ならびにC23S、C45SおよびC106Sの3つの変異をさらに含む配列番号51であるmHMGB1(C23S、C45S、C106S - 三重変異体)、即ち、配列番号58。
【0097】
ヒトHMGB1をコードする例示される核酸配列は、以下に提供される:
【化3】
【0098】
これらの改変された高移動度群ボックス1ドメイン(即ち、mHMGB1)をコードする核酸配列もまた提供される:C23SをコードするAGTをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C23S)、配列番号60を参照されたい;C45SをコードするAGTをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異および配列番号59のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C45S)、配列番号61を参照されたい;C106SをコードするAGCをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C106S)、配列番号62を参照されたい;C23SをコードするAGTおよびC45SをコードするAGTをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号59のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異および配列番号59のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C23S、C45S - 二重変異体)、配列番号63を参照されたい;C23SをコードするAGTおよびC106SをコードするAGCをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異および配列番号59のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C23S、C106S - 二重変異体)、配列番号64を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC106SをコードするAGCをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号59のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異、および配列番号59のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C45S、C106S - 二重変異体)、配列番号65を参照されたい;ならびにC23SをコードするAGT、C45SをコードするAGTおよびC106SをコードするAGCをさらに含む配列番号59、即ち、配列番号59のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号59のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号59のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異、および配列番号59のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号59であるmHMGB1(C23S、C45S、C106S - 三重変異体)、配列番号66を参照されたい。
【0099】
「改変された高移動度群ボックス1ドメイン」という用語は、HMGB1コンセンサス配列または配列番号51~58のうちのいずれか1つに対して少なくとも約60%、または少なくとも約65%、または少なくとも約70%、または少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約98%または少なくとも約99%の同一性を有し、HMGB1コンセンサス配列または配列番号51~58のうちのいずれか1つに対する整列に基づいて、等価な配列中の対応する位置において同じ置換を含む等価物をさらに包含することが理解される。
【0100】
改変された高移動度群ボックス1ドメインに対する等価物の中には、改変された高移動度群ボックス1またはその等価物のC23S、C45S、およびC106Sに対応する1つまたは複数のアミノ酸位置においてシステインからセリンへの置換を含む、改変された高移動度群ボックス2、改変された高移動度群ボックス3、および改変された高移動度群ボックス4があることが理解される。当業者に理解されるように、1つよりも多くのHMGボックスタンパク質(例えば、HMGB1、HMGB2、HMGB3またはHMGB4)中の変異は、1つよりも多くのHMGボックスタンパク質中の変異した位置が、1つよりも多くのHMGボックスタンパク質の配列整列において互いに整列される場合、等価とみなされる。その上および必要に応じて、変異される元のアミノ酸残基は、等価な変異において同じである。さらにその上および必要に応じて、変異先のアミノ酸残基は、等価な変異において同じである。したがって、HMGB1ポリペプチドの等価物は、本明細書で開示する、1つまたは複数の位置、例えば、C23S、C45S、C106Sまたはこれらの任意の組合せにおいて変異した野生型HMGB1であり得る。さらに、HMGB1ポリペプチドの等価物は、等価な変異を含むHMGB1以外のHMGボックスタンパク質、例えば、HMGB2、HMGB3またはHMGB4であり得る。1つの非限定的な例は、HMGB1 C45S変異体であり、これは、HMGB2 C45S変異体、ならびにHMGB3 C45SまたはHMGB4 C45Sの等価物である。あるいは、理論によって束縛されないが、出願人は、本明細書で開示する改変されたHMGB1断片が同様に機能すると考えるので、本明細書で特定するCからSへの変異は、その位置がどこであろうと、互いに等価とみなされ得る。
【0101】
改変された高移動度群ボックス2を生じるための対応するアミノ酸置換は、ヒトに由来するHMGB2のコンセンサス配列ポリペプチド:
【化4】
に基づいて、23位、45位、および/または106位のシステイン残基においてなされ得る。
【0102】
改変された高移動度群ボックス2ドメインの非限定的な例示的な配列は、以下を含むがこれらに限定されない:C23Sの1つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C23S)、即ち、配列番号68;C45Sの1つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C45S)、即ち、配列番号69;C106Sの1つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C106S)、即ち、配列番号70;C23SおよびC45Sの2つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C23S、C45S - 二重変異体)、即ち、配列番号71;C23SおよびC106Sの2つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C23S、C106S - 二重変異体)、即ち、配列番号72;C45SおよびC106Sの2つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C45S、C106S - 二重変異体)、即ち、配列番号73;ならびにC23S、C45SおよびC106Sの3つの変異をさらに含む配列番号67であるmHMGB2(C23S、C45S、C106S - 三重変異体)、即ち、配列番号74。
【0103】
ヒトHMGB2をコードする例示される核酸配列は、以下に提供される:
【化5】
【0104】
これらの改変された高移動度群ボックス2ドメインをコードする核酸配列もまた提供される:C23SをコードするAGTをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異および配列番号75のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C23S)、配列番号76を参照されたい;C45SをコードするAGTをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C45S)、配列番号77を参照されたい;C106SをコードするAGCをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C106S)、配列番号78を参照されたい;C23SをコードするAGTおよびC45SをコードするAGTをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号75のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異、および配列番号75のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C23S、C45S-二重変異体)、配列番号79を参照されたい;C23SをコードするAGTおよびC106SをコードするAGCをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号75のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異、および配列番号75のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C23S、C106S - 二重変異体)、配列番号80を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC106SをコードするAGCをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異および配列番号75のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C45S、C106S - 二重変異体)、配列番号81を参照されたい;ならびにC23SをコードするAGT、C45SをコードするAGTおよびC106SをコードするAGCをさらに含む配列番号75、即ち、配列番号75のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号75のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異、配列番号75のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、および配列番号75のヌクレオチド残基316におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号75であるmHMGB2(C23S、C45S、C106S - 三重変異体)、配列番号82を参照されたい。
【0105】
改変された高移動度群ボックス3(mHMGB3)を生じるための対応するアミノ酸置換は、ヒトに由来するHMGB3のコンセンサス配列ポリペプチド:
【化6】
に基づいて、23位、45位、および/または104位のシステイン残基においてなされ得る。当業者によって理解されるように、mHMGB3(C104S)は、mHMGB1(C106S)またはmHMGB2(C106S)の等価物である。
【0106】
改変された高移動度群ボックス3ドメインの非限定的な例示的な配列は、以下を含むがこれらに限定されない:C23Sの1つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C23S)、即ち、配列番号84;C45Sの1つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C45S)、即ち、配列番号85;C104Sの1つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C104S)、即ち、配列番号86;C23SおよびC45Sの2つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C23S、C45S - 二重変異体)、即ち、配列番号87;C23SおよびC104Sの2つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C23S、C104S - 二重変異体)、即ち、配列番号88;C45SおよびC104Sの2つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C45S、C104S - 二重変異体)、即ち、配列番号89;ならびにC23S、C45SおよびC104Sの3つの変異をさらに含む配列番号83であるmHMGB3(C23S、C45S、C104S - 三重変異体)、即ち、配列番号90。
【0107】
ヒトHMGB3をコードする例示される核酸配列は、以下に提供される:
【化7】
【0108】
これらの改変された高移動度群ボックス3ドメインをコードする核酸配列もまた、以下で本明細書に提供される:C23SをコードするAGTをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C23S)、配列番号92を参照されたい;C45SをコードするAGTをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C45S)、配列番号93を参照されたい;C104SをコードするAGCをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基312におけるTからCへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C104S)、配列番号94を参照されたい;C23SをコードするAGTおよびC45SをコードするAGTをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C23S、C45S - 二重変異体)、配列番号95を参照されたい;C23SをコードするAGTおよびC104SをコードするAGCをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基312におけるTからCへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C23S、C104S - 二重変異体)、配列番号96を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC104SをコードするAGCをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基312におけるTからCへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C45S、C104S - 二重変異体)、配列番号97を参照されたい;C23SをコードするAGT、C45SをコードするAGTおよびC104SをコードするAGCをさらに含む配列番号91、即ち、配列番号91のヌクレオチド残基67におけるTからAへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基69におけるCからTへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基135におけるCからTへの1つの変異、配列番号91のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および配列番号91のヌクレオチド残基312におけるTからCへの1つの変異をさらに含む配列番号91であるmHMGB3(C23S、C45S、C104S - 三重変異体)、配列番号98を参照されたい。
【0109】
改変された高移動度群ボックス4(mHMGB4)を生じるための対応するアミノ酸置換は、ヒトに由来するHMGB4のコンセンサス配列ポリペプチド:
【化8】
に基づいて、45位、104位、164位、および/または178位のシステイン残基においてなされ得る。
【0110】
改変された高移動度群ボックス4ドメインの非限定的な例示的な配列は、以下を含むがこれらに限定されない:C45Sの1つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S)、即ち、配列番号100;C104Sの1つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C104S)、即ち、配列番号101;C164Sの1つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C164S)、即ち、配列番号102;C178Sの1つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C178S)、即ち、配列番号103;C45SおよびC104Sの2つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C104S - 二重変異体)、即ち、配列番号104;C45SおよびC164Sの2つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C164S - 二重変異体)、即ち、配列番号105;C45SおよびC178Sの2つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C178S - 二重変異体)、即ち、配列番号106;C104SおよびC164Sの2つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C104S、C164S - 二重変異体)、即ち、配列番号107;C104SおよびC178Sの2つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C104S、C178S - 二重変異体)、即ち、配列番号108;C164SおよびC178Sの2つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C164S、C178S - 二重変異体)、即ち、配列番号109;C45S、C104S、およびC164Sの3つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C104S、C164S - 三重変異体)、即ち、配列番号110;C45S、C104S、およびC178Sの3つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C104S、C178S - 三重変異体)、即ち、配列番号111;C45S、C164S、およびC178Sの3つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C164S、C178S - 三重変異体)、即ち、配列番号112;C104S、C164S、およびC178Sの3つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C104S、C164S、C178S - 三重変異体)、即ち、配列番号113;ならびにC45S、C104S、C164S、およびC178Sの4つの変異をさらに含む配列番号99であるmHMGB4(C45S、C104S、C164S、C178S - 四重変異体)、即ち、配列番号114。
【0111】
ヒトHMGB4をコードする例示される核酸配列は、以下に提供される:
【化9】
【0112】
これらの改変された高移動度群ボックス4ドメインをコードする核酸配列もまた、以下で本明細書に提供される:C45SをコードするAGTをさらに含む配列番号115、即ち、配列番号115のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S)、配列番号116を参照されたい;C104SをコードするAGTをさらに含む配列番号115、即ち、配列番号115のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および配列番号115のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C104S)、配列番号117を参照されたい;C164SをコードするAGTをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C164S)、配列番号118を参照されたい;C178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C178S)、配列番号119を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC104SをコードするAGTをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C104S - 二重変異体)、配列番号120を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC164SをコードするAGTをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C164S - 二重変異体)、配列番号121を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C178S - 二重変異体)、配列番号122を参照されたい;C104SをコードするAGTおよびC164SをコードするAGTをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C104S、C164S - 二重変異体)、配列番号123を参照されたい;C104SをコードするAGTおよびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C104S、C178S - 二重変異体)、配列番号124を参照されたい;C164SをコードするAGTおよびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C164S、C178S - 二重変異体)、配列番号125を参照されたい;C45SをコードするAGT、C104SをコードするAGT、およびC164SをコードするAGTをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C104S、C164S - 三重変異体)、配列番号126を参照されたい;C45SをコードするAGT、C104SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C104S、C178S - 三重変異体)、配列番号127を参照されたい;C45SをコードするAGT、C164SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C164S、C178S - 三重変異体)、配列番号128を参照されたい;C104SをコードするAGT、C164SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C104S、C164S、C178S - 三重変異体)、配列番号129を参照されたい;C45SをコードするAGT、C104SをコードするAGT、C164SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号115であるmHMGB4(C45S、C104S、C164S、C178S - 四重変異体)、配列番号130を参照されたい。
【0113】
ヒトHMGB4をコードする追加の例示される核酸配列は、以下に提供される:
【化10】
【0114】
これらの改変された高移動度群ボックス4ドメインをコードする核酸配列もまた、以下で本明細書に提供される:C45SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S)、配列番号136を参照されたい;C104SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C104S)、配列番号137を参照されたい;C164SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C164S)、配列番号138を参照されたい;C178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C178S)、配列番号139を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC104SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異および必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C104S - 二重変異体)、配列番号140を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC164SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異および配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C164S - 二重変異体)、配列番号141を参照されたい;C45SをコードするAGTおよびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C178S - 二重変異体)、配列番号142を参照されたい;C104SをコードするAGTおよびC164SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異、必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C104S、C164S - 二重変異体)、配列番号143を参照されたい;C104SをコードするAGTおよびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異、必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C104S、C178S - 二重変異体)、配列番号144を参照されたい;C164SをコードするAGTおよびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C164S、C178S - 二重変異体)、配列番号145を参照されたい;C45SをコードするAGT、C104SをコードするAGT、およびC164SをコードするAGTをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異、必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C104S、C164S - 三重変異体)、配列番号146を参照されたい;C45SをコードするAGT、C104SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異、必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C104S、C178S - 三重変異体)、配列番号147を参照されたい;C45SをコードするAGT、C164SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C164S、C178S - 三重変異体)、配列番号148を参照されたい;C104SをコードするAGT、C164SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、即ち、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異、必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C104S、C164S、C178S - 三重変異体)、配列番号149を参照されたい;C45SをコードするAGT、C104SをコードするAGT、C164SをコードするAGT、およびC178SをコードするAGCをさらに含む配列番号135、例えば、配列番号135のヌクレオチド残基133におけるTからAへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基310におけるTからAへの1つの変異、必要に応じて、配列番号135のヌクレオチド残基312におけるCからTへの1つの変異、配列番号135のヌクレオチド残基490におけるTからAへの1つの変異、および配列番号135のヌクレオチド残基532におけるTからAへの1つの変異をさらに含む配列番号135であるmHMGB4(C45S、C104S、C164S、C178S - 四重変異体)、配列番号150を参照されたい。
【0115】
改変された高移動度群ボックス1ドメインに対する等価物の中には、改変された高移動度群ボックス1のC23S、C45S、およびC106Sに対応する1つまたは複数のアミノ酸位置においてシステインからセリンへの置換を含む、改変された高移動度群ボックス2、改変された高移動度群ボックス3、および改変された高移動度群ボックス4があることが理解される。改変された高移動度群ボックス2について、対応するシステイン残基は、23位、45位、および106位において見出される;改変された高移動度群ボックス3について、対応するシステイン残基は、23位、45位、および104位において見出される;改変された高移動度群ボックス4について、対応するシステイン残基は、45位、104位、164位、および178位において見出される。したがって、出願人らは、C23S、C45S、およびC106Sの群から選択される1つまたは複数の置換を含む改変された高移動度群ボックス1に関することは、挙げられた位置において1つまたは複数のシステインからセリンへの置換を有する上述の高移動度群ボックス種、例えば、C23S、C45S、およびC106Sの群から選択される1つまたは複数の置換を含む改変された高移動度群ボックス2;C23S、C45S、およびC104Sの群から選択される1つまたは複数の置換を含む改変された高移動度群ボックス3;ならびにC45S、C104S、C164S、およびC178Sの群から選択される1つまたは複数の置換を含む改変された高移動度群ボックス4に等しく適用可能であると考える。一態様では、そのようなポリペプチドまたはタンパク質の等価物は、少なくとも70%またはそれよりも高い(本明細書で説明される)パーセント同一性を有するものを含むが、ただし、特定の置換されたアミノ酸、例えば、C23S、C45S、および/またはC106Sは維持される。
【0116】
「Aボックス」ポリペプチドは、HMGB1タンパク質のAボックスドメインを含むポリペプチドを意図する。Aボックスポリペプチドは、変異され得るか、または追加の配列、例えば、リンカー配列、シグナル配列もしくは分泌配列を含有し得る。アミノ酸K12、C23およびC45において、1つまたは複数の点変異が導入され得る。一部の実施形態では、Aボックスポリペプチドは、配列番号51のaa9~aa79またはその等価物、例えば、配列番号51のaa9~aa79と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Aボックスポリペプチドは、配列番号51のaa1~aa79またはその等価物、例えば、配列番号51のaa1~aa79と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Aボックスポリペプチドは、配列番号51のaa1~aa70またはその等価物、例えば、配列番号51のaa1~aa70と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。Aボックスポリペプチドの例は、
【化11】
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0117】
「Bボックス」ポリペプチドは、HMGB1タンパク質のBボックスドメインを含むポリペプチドを意図する。Bボックスポリペプチドは、変異され得るか、または追加の配列、例えば、リンカー配列、シグナル配列もしくは分泌配列を含有し得る。アミノ酸K114またはC106において、点変異が、DNA結合、炎症特性、および抗バイオフィルム活性をもたらすために導入され得る。一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、配列番号51のaa95~aa163またはその等価物、例えば、配列番号51のaa95~aa163と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、配列番号51のaa88~aa164またはその等価物、例えば、配列番号51のaa88~aa164と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、配列番号51のaa80~aa164またはその等価物、例えば、配列番号51のaa80~aa164と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、配列番号51のaa80~aa176またはその等価物、例えば、配列番号51のaa80~aa176と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、配列番号51のaa90~aa176またはその等価物、例えば、配列番号51のaa90~aa176と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、配列番号51のaa89~aa162またはその等価物、例えば、配列番号51のaa89~aa162と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。Bボックスポリペプチドの例は、
【化12】
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0118】
「Cボックス」ポリペプチドは、HMGB1タンパク質のC尾部ドメインを含むポリペプチドを意図する。C尾部ポリペプチドは、変異され得るか、または追加の配列、例えば、リンカー配列、シグナル配列もしくは分泌配列を含有し得る。一部の実施形態では、Cボックスポリペプチドは、配列番号51のaa186~aa215またはその等価物、例えば、配列番号51のaa186~aa215と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、Cボックスポリペプチドは、EEEEDEEDEEDEEEEEDEEDEDEEEDDDDE(配列番号133)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0119】
「ABボックス」ポリペプチドは、一緒に融合されたHMGB1タンパク質のAおよびBボックスドメインを含むが、全長野生型タンパク質に対応するアミノ酸は存在しない、ポリペプチドを意図する。ABボックスポリペプチドは、変異され得るか、または追加の配列、例えば、リンカー配列、シグナル配列もしくは分泌配列を含有し得る。本明細書で説明されるアミノ酸において(例えば、アミノ酸K12、C23、C45、C106、および/またはK114において)、1つまたは複数の点変異が、DNA結合、炎症特性、および抗バイオフィルム活性をもたらすために導入され得る。一部の実施形態では、ABボックスポリペプチドは、配列番号51のaa1~aa176またはその等価物、例えば、配列番号51のaa1~aa176と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、ABボックスポリペプチドは、配列番号51のaa1~aa162またはその等価物、例えば、配列番号51のaa1~aa162と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、ABボックスポリペプチドは、配列番号51のaa1~aa164またはその等価物、例えば、配列番号51のaa1~aa164と整列させた本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドの断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0120】
一部の実施形態では、本明細書で説明されるHMGB1ポリペプチドに対する等価物は、本明細書で説明されるHMGボックスドメイン短縮体および/もしくは変異体、または開示されるアミノ酸置換を有するタンパク質もしくは断片のHMGボックスドメイン、短縮体、変異体もしくは等価物のうちの1つもしくは複数を含有するタンパク質もしくはタンパク質の断片を含み得るか、またはそれから本質的になり得るか、またはまたさらにそれからなり得る。一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドの断片は、本明細書で開示するAボックスポリペプチド、本明細書で開示するBボックスポリペプチド、または本明細書で開示するABボックスポリペプチドのうちの1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0121】
一部の実施形態では、Aボックスポリペプチドは、さらにK12、C23およびC45から選択される1つもしくはそれを超えるアミノ酸変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンから選択される群からのアミノ酸に改変されたネイティブKまたはCの変異)、またはK12、C23およびC45から選択される1つもしくはそれを超えるアミノ酸変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンから選択される群からのアミノ酸に改変されたネイティブKまたはCの変異)を含むその同等物を含むか、もしくはあるいはそれから本質的になるか、もしくはさらにはそれからなることができる。一態様では、変異はC45S変異である。Aボックスポリペプチドは、一方または両方の末端に位置するリンカーまたはペプチド配列をさらに含み得る。ペプチドリンカーの例はPPKGETKKKF(配列番号131)である。
【0122】
組換え的に産生される場合、Aボックスポリペプチドは、当技術分野、例えばOlia
ASら、(2015)ACS chemical biology.10(9):2034-47.doi:10.1021/acschembio.5b00342,PubMed PMID:26083674;PubMed Central PMCID:PMC4610810;Ugrinova Iら、(2102)Molecular Biology Reports,2012;39(11):9947-53.Epub 2012/06/29.doi:10.1007/s11033-012-1863-x.PubMed PMID:22740141;およびIto Tら、(2007)JTH,5(1):109-16.doi:10.1111/j.1538-7836.2006.02255.x.PubMed PMID:17239166で公知の方法を使用して、部分的または完全にアセチル化、酸化、またはリン酸化され得る。一態様では、Aボックスポリペプチドは、前述の変異を有する野生型HMGB1ポリペプチドのアミノ酸1~70を含むか、またはそれから本質的になるか、またはさらにはそれからなる。Aボックスポリペプチドの例は、
【0123】
一部の実施形態では、Bボックスポリペプチドは、アミノ酸C106またはK114または両方における変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンから選択される群からのアミノ酸へのネイティブシステインの変異)、またはアミノ酸C106またはK114または両方における変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンから選択される群からのアミノ酸へのネイティブシステインの変異)を含むその同等物を含むか、もしくはあるいはそれから本質的になるか、もしくはさらにはそれからなることができる。一態様では、Bボックスポリペプチドは、前述の変異を有するwtHMGB1ポリペプチドの約80~約176または約88~約164または約89~約162またはさらには約80~約164を含むか、またはそれから本質的になるか、またはさらにはそれからなる。
【0124】
Bボックスポリペプチドは、一方または両方の末端に位置するリンカーまたはペプチド配列をさらに含み得る。ペプチドリンカーの例はPPKGETKKKF(配列番号131)である。組換え的に産生される場合、開示されるBボックスポリペプチドは、当技術分野、例えばOlia ASら、(2015)ACS chemical biology.10(9):2034-47.doi:10.1021/acschembio.5b00342,PubMed PMID:26083674;PubMed Central PMCID:PMC4610810;Ugrinova Iら、(2102)Molecular Biology Reports,2012;39(11):9947-53.Epub 2012/06/29.doi:10.1007/s11033-012-1863-x.PubMed PMID:22740141;およびIto Tら、(2007)JTH,5(1):109-16.doi:10.1111/j.1538-7836.2006.02255.x.PubMed PMID:17239166で公知の方法を使用して、部分的または完全にアセチル化、酸化、またはリン酸化され得る。
【0125】
一部の実施形態では、ABボックスポリペプチドは、K12、C23、C45、C106もしくはK114から選択される1つもしくは複数のアミノ酸変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンから選択される群からのアミノ酸に改変されたネイティブKまたはC)、またはK12、C23、C45、C106もしくはK114から選択される1つもしくは複数のアミノ酸変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンから選択される群からのアミノ酸に改変されたネイティブKまたはC)を含むその等価物を含み得るか、またはあるいは、それから本質的になり得るか、またはさらにそれからなり得る。一態様では、変異はC45S変異である。別の態様では、ポリペプチドは、アミノ酸C106における変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンから選択される群からのアミノ酸へのネイティブシステインの変異)を含むか、またはK12、C23、C45から選択される1つもしくはそれを超えるアミノ酸変異と、アミノ酸C106における変異(例えば、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンから選択される群からのアミノ酸へのネイティブシステインの変異)とを含むその同等物である。一態様では、ABボックスポリペプチドは、C45SおよびC106S変異を含み、同等物はこれらの変異を保持する。一態様では、ABボックスポリペプチドは、前述の変異を有する野生型HMGB1ポリペプチドのアミノ酸1~176、または1~162、またはさらには1~164を含むか、またはそれから本質的になるか、またはさらにはそれからなる。
【0126】
一部の実施形態では、ABボックスポリペプチドは、AボックスポリペプチドおよびBボックスポリペプチドの間の位置にあるリンカーポリペプチドと、一態様では、BボックスおよびCボックスポリペプチドを連結する第2のリンカーとをさらに含む。組換え的に産生される場合、ABまたはA、BおよびCボックスポリペプチドは、部分的または完全にアセチル化、酸化、またはリン酸化され得る。ペプチドリンカーの例はPPKGETKKKF(配列番号131)である。一態様では、当技術分野、例えばOlia ASら、(2015)ACS chemical biology.10(9):2034-47.doi:10.1021/acschembio.5b00342,PubMed PMID:26083674;PubMed Central PMCID:PMC4610810;Ugrinova Iら、(2102)Molecular Biology Reports,2012;39(11):9947-53.Epub 2012/06/29.doi:10.1007/s11033-012-1863-x.PubMed PMID:22740141;およびIto Tら、(2007)JTH,5(1):109-16.doi:10.1111/j.1538-7836.2006.02255.x.PubMed PMID:17239166で公知の方法を使用して必要に応じて部分的または完全にアセチル化、酸化またはリン酸化され得るAおよび/またはBボックスドメインにおいて1つまたはそれを超える本明細書に記載されるアミノ酸置換を有する単離された変異HMGB1ポリペプチドが提供される。
【0127】
ABボックスポリペプチドの例は、前述の変異を有する:
【化13】
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはさらにはそれからなる。
【0128】
さらなる態様では、ABボックスポリペプチドは、AボックスポリペプチドとBボックスポリペプチドとの間に位置するリンカーポリペプチドをさらに含む。
【0129】
一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドまたはその断片は、A、BおよびCドメインを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、ポリペプチドは、K12、C23、C45、C106、もしくはK114から選択される1つもしくは複数のアミノ酸変異、またはその等価物、K12、C23、C45、C106もしくはK114から選択される1つもしくは複数のアミノ酸変異を含むその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0130】
本明細書で使用される場合、ポリペプチドの同等物は、参照ポリペプチドと少なくとも約70%またはあるいは少なくとも約75%、または少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約98%または少なくとも約99%同一の配列であって、一態様では変異アミノ酸(複数可)を保持する配列を指す。いくつかの態様では、ポリペプチドの同等物は、例えば、HMGボックスドメインを含有するが、必要に応じて炎症促進反応を誘導しないポリペプチドの目的の機能および/または構造特徴を保持する。一態様では、同等なポリペプチドは、HMGボックスドメインと少なくとも約70%、またはあるいは少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約95%、または少なくとも約98%または少なくとも約99%同一のドメインであって、一態様では変異アミノ酸(複数可)を保持するドメインを含む。いくつかの態様では、このような同等なドメインは、HMBボックスドメインの機能および/または構造特徴、例えば、HMBボックス結合標的への結合を保持するが、必要に応じて炎症促進反応を誘導しない。一態様では、同等なポリペプチドは、ストリンジェントな条件下で、HMBボックスドメインポリペプチドをコードするポリヌクレオチドとハイブリダイズし得るポリヌクレオチドによりコードされる。
【0131】
一部の実施形態では、HMGB1ボックスポリペプチドは、AボックスポリペプチドおよびBボックスポリペプチドの間の位置にあるリンカーポリペプチドと、BボックスポリペプチドおよびCボックスポリペプチドを連結する第2のリンカーポリペプチドとをさらに含む。ペプチドリンカーの例はPPKGETKKKF(配列番号131)である。
【0132】
免疫優勢抗原は、抗体に認識され、高親和性でそれに結合するタンパク質の領域を意図する。
【0133】
免疫保護抗原は、抗体に認識され、高親和性でそれに結合し、タンパク質の機能を妨害するタンパク質の領域を意図し;免疫保護抗原に対して生成された抗体は、タンパク質の機能の妨害の結果として、標的兆候に対する増強されたかまたは最適な効果、この場合には、バイオフィルムを取り除く能力の改善によって特徴付けられる。
【0134】
「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」という用語は、互換的に使用され、任意の長さのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドまたはそのアナログの重合形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有することができ、公知または未知の任意の機能を行い得る。以下のもの:遺伝子または遺伝子断片(例えば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エクソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、RNAi、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブおよびプライマーは、ポリヌクレオチドの非限定的な例である。ポリヌクレオチドは、改変ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への改変は、ポリヌクレオチドの組立て前または後に与えられ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションによって、重合化後にさらに改変してもよい。また、この用語は、二本鎖および一本鎖分子の両方を指す。別に特定または要求されない限り、ポリヌクレオチドである本明細書で開示する任意の実施形態は、二本鎖形態、および二本鎖形態を構成することが公知または予想される2つの相補的一本鎖形態の各々の両方を包含する。
【0135】
ポリヌクレオチドは、4つのヌクレオチド塩基:アデニン(A);シトシン(C);グアニン(G);チミン(T);およびポリヌクレオチドがRNAである場合チミンの代わりにウラシル(U)の特定の配列からなる。したがって、「ポリヌクレオチド配列」という用語は、ポリヌクレオチド分子のアルファベット表現である。このアルファベット表現は、中央処理装置を有するコンピュータのデータベースに入力され、バイオインフォマティクス適用、例えば、機能ゲノミクスおよび相同性検索に使用され得る。
【0136】
「単離された」または「組換え」という用語は、核酸、例えば、DNAまたはRNAについて本明細書で使用される場合、高分子の天然源に存在する、それぞれ、他のDNAまたはRNAおよびポリペプチドから分離された分子を指す。「単離された、または組換え核酸」という用語は、断片として天然に存在しない、天然状態で見出されない核酸断片を含むことを意味する。また、「単離された」という用語は、他の細胞タンパク質から単離されたポリヌクレオチド、ポリペプチドおよびタンパク質を指すために本明細書で使用され、精製されたポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を包含することを意味する。他の実施形態では、「単離された、または組換え」という用語は、細胞の構成要素、およびそうでなければ、通常天然で会合している細胞、組織、ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはその断片(複数可)から分離されていることを意味する。例えば、単離された細胞は、似ていない表現型または遺伝子型の組織または細胞から分離されている細胞である。単離されたポリヌクレオチドは、それが通常そのネイティブまたは天然環境で、例えば、染色体上で、会合している3’および5’隣接ヌクレオチドから分離されている。当業者に明らかである通り、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体またはその断片(複数可)は、その天然に存在する相対物からそれを区別するための「単離」を必要としない。
【0137】
「単離された」という用語は、本明細書で使用される場合、他の材料を実質的に含まない分子、生物製剤、細胞材料、細胞または生体試料を指す。一態様では、「単離された」という用語は、それぞれ、天然源中に存在する他のDNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド、または細胞もしくは細胞オルガネラ、または組織もしくは臓器から分離された、核酸、例えば、DNAもしくはRNA、またはタンパク質もしくはポリペプチド(例えば、抗体もしくはその誘導体)、または細胞もしくは細胞オルガネラ、または組織もしくは臓器を指す。
【0138】
一部の実施形態では、「操作された」という用語は、天然に存在する相対物、野生型または親において通常は見出されない少なくとも1つの改変を含むことを指す。一部の実施形態では、「操作された」という用語は、「組換え」と互換的に使用されて、ヒトによって合成されることを指す。
【0139】
本開示がポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関する場合、そのようなものの等価物または生物学的等価物が、本開示の範囲内で意図されることは、明白な列挙なしで、かつ別のように意図されない限り、推測されるべきである。本明細書で使用される場合、「その生物学的等価物」という用語は、参照タンパク質、抗体、断片、ポリペプチドまたは核酸について言及する場合、「その等価物」と同義であると意図され、最小限の相同性を有する一方で、それでも所望の構造または機能性を維持するものを意図する。本明細書で特に列挙されない限り、本明細書で挙げる任意のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質もまたその等価物を含むことが企図される。一態様では、等価なポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下において、説明される方法において使用するための本明細書で説明するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの相補物にハイブリダイズするポリヌクレオチドである。別の態様では、等価な抗体または抗原結合性ポリペプチドは、少なくとも70%、またはあるいは少なくとも75%、またはあるいは少なくとも80%、またはあるいは少なくとも85%、またはあるいは少なくとも90%、またはあるいは少なくとも95%の親和性またはそれよりも高い親和性で、参照抗体または抗原結合断片に結合する抗体または抗原結合性ポリペプチドを意図する。別の態様では、その等価物は、競合ELISAアッセイ下で、抗体または抗原結合断片の、その抗原への結合と競合する。別の態様では、等価物は、少なくとも約80%の相同性または同一性、およびあるいは少なくとも約85%、またはあるいは少なくとも約90%、またはあるいは少なくとも約95%、またはあるいは98%のパーセント相同性または同一性を意図し、参照タンパク質、ポリペプチドまたは核酸に対して実質的に等価な生物活性を示す。生物学的に等価なポリペプチドの例は、開示されるアミノ酸配列に対する保存的アミノ酸置換を同定する、WO2011/123396の表9に提供される。
【0140】
一部の態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。さらなる態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。またさらなる態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。一態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも96%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。さらなる態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも97%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。またさらなる態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも98%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。一態様では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも99%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含む、および/またはアミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補体に高ストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む。
【0141】
別の配列に対してある特定のパーセンテージ(例えば、80%、85%、90%または95%)の「配列同一性」を有するポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(またはポリペプチドもしくはポリペプチド領域)は、整列した場合、塩基(またはアミノ酸)のそのパーセンテージが、2つの配列の比較において同じであることを意味する。整列およびパーセント相同性または配列同一性は、当該技術分野で公知のソフトウェアプログラム、例えば、Current Protocols in Molecular Biology (Ausubel et al., eds. 1987) Supplement 30, section 7.7.18, Table 7.7.1で説明されるソフトウェアプログラムを使用して決定することができる。ある特定の実施形態では、デフォルトパラメーターが整列に使用される。非限定的な例示的整列プログラムは、デフォルトパラメーターを使用する、BLASTである。特に、例示的なプログラムには、以下のデフォルトパラメーター:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;予測=10;マトリックス=BLOSUM62;記載=50個の配列;分類=高スコア;データベース=非重複ジェンバンク+EMBL+DDBJ+PDB+ジェンバンクCDS翻訳+SwissProtein+SPupdate+PIRを使用する、BLASTNおよびBLASTPが含まれる。これらのプログラムの詳細は、以下のインターネットアドレス:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLASTで見出すことができる。配列同一性およびパーセント同一性は、それらをclustalW(ウェブアドレス:align.genome.jp(最終アクセス2011年3月7日)で入手可能)に組み込むことによって決定した。一部の実施形態では、www.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustalo/においてアクセス可能なClustal Omegaが、配列整列において、または同一性パーセンテージの決定において使用される。さらなる実施形態では、デフォルト設定が適用される。
【0142】
「相同性」または「同一性」または「類似性」とは、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的のために整列され得る各配列中の位置を比較することによって決定することができる。比較される配列中の位置が、同じ塩基またはアミノ酸によって占有されている場合、分子はその位置で相同である。配列間の相同性の程度は、配列によって共有される整合位置または相同位置の数の関数である。「非関連」または「非相同」配列は、本開示の配列のうちの1つと40%未満の同一性、またはあるいは25%未満の同一性を共有する。
【0143】
また、「相同性」または「同一性」または「類似性」は、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2つの核酸分子を指し得る。
【0144】
「ハイブリダイゼーション」とは、1つまたは複数のポリヌクレオチドが反応して、ヌクレオチド残基の塩基間の水素結合を介して安定化される複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン-クリック塩基対形成、フーグスティーン結合によって、または他の任意の配列特異的様式で起こり得る。複合体は、二本鎖構造を形成する2つの鎖、多鎖複合体を形成する3つまたはそれよりも多い鎖、単一の自己ハイブリダイズ鎖、またはこれらの任意の組合せを含み得る。ハイブリダイゼーション反応は、より広範なプロセスのステップ、例えば、PCR反応の開始またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素切断を構成し得る。
【0145】
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例には:約25℃~約37℃のインキュベーション温度;約6×SSC~約10×SSCのハイブリダイゼーション緩衝液濃度;約0%~約25%のホルムアミド濃度;および約4×SSC~約8×SSCの洗浄溶液が含まれる。中程度のハイブリダイゼーション条件の例には:約40℃~約50℃のインキュベーション温度;約9×SSC~約2×SSCの緩衝液濃度;約30%~約50%のホルムアミド濃度;および約5×SSC~約2×SSCの洗浄溶液が含まれる。高ストリンジェンシー条件の例には:約55℃~約68℃のインキュベーション温度;約1×SSC~約0.1×SSCの緩衝液濃度;約55%~約75%のホルムアミド濃度;および約1×SSC、0.1×SSCの洗浄溶液または脱イオン水が含まれる。一般的に、ハイブリダイゼーションインキュベーション時間は、5分間~24時間であり、1、2回またはそれよりも多い洗浄ステップを伴い、洗浄インキュベーション時間は、約1、2または15分間である。SSCは、0.15M NaClおよび15mMクエン酸緩衝液である。他の緩衝液系を使用するSSCの等価物が使用され得ることが理解される。
【0146】
本明細書で使用される場合、「発現」とは、ポリヌクレオチドがmRNAに転写されるプロセス、および/または転写されたmRNAが次に、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質に翻訳されるプロセスを指す。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核細胞におけるmRNAのスプライシングを含み得る。
【0147】
「コードする」という用語は、それがポリヌクレオチドに適用されるとき、そのネイティブ状態で、または当業者に周知の方法によって操作された場合、それが転写および/または翻訳されて、mRNAそしてポリペプチドおよび/またはその断片を産生することができる場合、ポリペプチドを「コードする」と言われるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖は、そのような核酸の相補物であり、コード配列は、それから推定することができる。
【0148】
本明細書で使用される場合、「処置する」、「処置」などの用語は、本明細書では、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するために使用される。効果は、障害もしくはその兆候もしくは症状の完全なもしくは部分的な防止の点で予防的であり得、ならびに/または障害および/もしくは障害に起因する有害作用の部分的もしくは完全な治癒の点で治療的であり得る。本明細書で使用される場合、また、対象における疾患の「処置すること」または「処置」とは、(1)疾患にかかりやすいか、または疾患の症状をまだ示していない対象において症状または疾患が起こることを予防すること;(2)疾患を阻害することまたはその発症を阻止すること;または(3)疾患または疾患の症状を改善することまたはその退縮をもたらすことを指し得る。当該技術分野で理解される通り、「処置」とは、臨床結果を含む、有益な結果または所望の結果を得るための手法である。本技術の目的のために、有益な結果または所望の結果は、1つまたは複数の:1つまたは複数の症状の軽減または改善;状態(疾患を含む)の程度の減弱;状態(疾患を含む)の安定化(すなわち、悪化していない)状況;状態(疾患を含む)の遅延または緩慢化、;状態(疾患を含む)、状況および寛解(部分的であるか、全体的であるかにかかわらず)の進行、改善または緩和を、検出可能であるか、検出不能であるかにかかわらず、含み得るが、これらに限定されない。一態様では、処置は、予防を除外する。
【0149】
予防することは、障害または影響(effect)にかかりやすい系または対象において、in vitroまたはin vivoで障害または影響を予防することを意図する。そのようなことの一例は、バイオフィルムを産生することが公知の微生物に感染した系において、バイオフィルムの形成を予防することである。
【0150】
「組成物」とは、活性剤と、不活性(例えば、検出可能な剤または標識)または活性な、別の化合物または組成物、例えば、アジュバント、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝液、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどとの組合せを意味することを意図し、薬学的に許容される担体を含む。また、担体は、医薬賦形剤および添加剤、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質および炭水化物(例えば、単糖、ジ、トリ、テトラ-オリゴ糖およびオリゴ糖を含む糖;誘導体化糖、例えば、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖等;および多糖または糖高分子)を含み、それらは、単独または1~99.99重量%または体積%の組合せを含む、単独で、または組合せで存在し得る。例示的なタンパク質賦形剤には、血清アルブミン、例えば、ヒト血清アルブミン(HSA:human serum albumin)、組換えヒトアルブミン(rHA:recombinant human albumin)、ゼラチン、カゼイン等が含まれる。緩衝能においても機能し得る代表的なアミノ酸/抗体構成成分には、アラニン、アルギニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム等が含まれる。また、炭水化物賦形剤は、この技術の範囲内で意図され、その例には、単糖、例えば、果糖、麦芽糖、ガラクトース、ブドウ糖、D-マンノース、ソルボース等;二糖、例えば、乳糖、ショ糖、トレハロース、セロビオース等;多糖、例えば、ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプン等;およびアルジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトール ソルビトール(グルシトール)およびミオイノシトールが含まれるが、これらに限定されない。
【0151】
「医薬組成物」とは、活性剤と、組成物をin vitro、in vivoまたはex vivoでの診断的または治療的使用に好適にする不活性または活性な担体との組合せを含むことを意図する。
【0152】
「薬学的に許容される担体」とは、本明細書で開示される組成物において使用され得る任意の希釈剤、賦形剤または担体を指す。薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、ホスフェート、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。好適な医薬担体は、この分野の標準の参考教本であるRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Companyで説明されている。それらは、意図される剤形、すなわち、経口錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤等に関して、かつ従来の医薬実務と一致して選択され得る。
【0153】
本開示に従って使用される組成物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために投与単位形態で包装され得る。「単位用量」または「投与量」という用語は、対象における使用に好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、その投与、すなわち、適切な経路およびレジメンに付随して所望の応答をもたらすように計算された所定の量の組成物を含有する。処置の回数および単位用量の両方による、投与されるべき量は、所望される結果および/または保護に依存する。また、組成物の正確な量は、実施者の判断に依存し、各個体に特有である。用量に影響を与える因子には、対象の身体的および臨床的状態、投与経路、意図される処置の目的(症状の軽減対治癒)ならびに特定の組成物の効力、安定性および毒性が含まれる。製剤化に際して、液剤は、投与用製剤と適合性の様式で、かつ治療的または予防的に有効な量で投与される。製剤は、様々な剤形、例えば、本明細書で説明する注射用液剤のタイプで容易に投与される。
【0154】
組合せ物は、本明細書で使用される場合、組成物の個々の活性成分が、組み合わせた使用のために別々に製剤化され、特定の投与量ありまたはなしで別々に包装され得ることを意図する。組合せ物の活性成分は、同時にまたは逐次的に投与され得る。
【0155】
「生物活性剤」または本明細書で開示される活性剤とは、単離された、もしくは組換えポリペプチド、単離された、もしくは組換えポリヌクレオチド、ベクター、単離された宿主細胞または抗体のうちの1つまたは複数、およびこれらのうちの1つまたは複数を含む組成物を意図する。
【0156】
「投与」は、1つの用量で、処置の過程全体を通して連続的または断続的にもたらされ得る。投与の最も有効な手段および投与量を決定する方法は、当業者に公知であり、治療に使用される組成物、治療の目的、処置される標的細胞および処置される対象によって変動する。単回または複数回の投与は、処置する医師によって選択される用量レベルおよびパターンで行われ得る。好適な投与用製剤およびその作用物質を投与する方法は、当該技術分野で公知である。また、投与経路を決定することができ、最も有効な投与経路を決定する方法は、当業者に公知であり、処置に使用される組成物、処置の目的、処置される対象の健康状態または疾患段階および標的細胞または組織によって変動する。投与経路の非限定的な例には、経口投与、経鼻投与、注射および局所適用が含まれる。
【0157】
本開示の作用物質は、任意の好適な投与経路によって治療のために投与され得る。また、最適な経路は、レシピエントの状態および年齢ならびに処置される疾患によって変動することが理解される。
【0158】
「接触させること」という用語は、2つまたはそれよりも多くのものの間の直接的または間接的結合または相互作用を意味する。直接的相互作用の特定の例は、結合である。間接的相互作用の特定の例は、1つの実体が中間の分子に作用し、次にそれが第2の参照実体に作用する場合である。接触させることは、本明細書で使用される場合、溶液中、固相中、in vitroで、ex vivoで、細胞で、およびiv vivoで接触させるステップを含む。iv vivoで接触させることは、投与することまたは投与と呼ばれ得る。
【0159】
「有効量」という用語は、所望の効果を達成するために十分な量を指す。治療または予防適用に関して、有効量は、問題の状態のタイプおよび重症度、ならびに個体対象の特徴、例えば、健康全般、年齢、性別、体重および医薬組成物に対する耐容性に依存する。免疫原性組成物に関して、一部の実施形態では、有効量は、病原体に対する保護的応答をもたらすために十分な量である。他の実施形態では、免疫原性組成物の有効量は、抗原に対する抗体生成をもたらすために十分な量である。一部の実施形態では、有効量は、それを必要とする対象に対して受動免疫を与えるために必要な量である。免疫原性組成物について、一部の実施形態では、有効量は、上記に説明する因子に加えて、意図される使用、特定の抗原性化合物の免疫原性の程度および対象の免疫系の健康/応答性に依存する。当業者は、これらおよび他の因子に依存して適切な量を決定することができる。
【0160】
iv vitro適用の場合、一部の実施形態では、有効量は、問題の適用のサイズおよび性質に依存する。また、それは、iv vitro標的の性質および感度ならびに使用における方法に依存する。当業者は、これらおよび他の考慮事項に基づいて有効量を決定することができる。有効量は、実施形態に依存して組成物の1回または複数回の投与を含み得る。
【0161】
「接触させること」という用語は、2つまたはそれよりも多くのものの間の直接的または間接的結合または相互作用を意味する。直接的相互作用の特定の例は、結合である。間接的相互作用の特定の例は、1つの実体が中間の分子に作用し、次にそれが第2の参照実体に作用する場合である。接触させることは、本明細書で使用される場合、溶液中、固相中、in vitroで、ex vivoで、細胞で、およびiv vivoで接触させるステップを含む。iv vivoで接触させることは、投与することまたは投与と呼ばれ得る。
【0162】
「コンジュゲートした部分」という用語は、キメラポリペプチドの残基と共有結合を形成することによって単離されたキメラポリペプチドに付加され得る部分を指す。この部分は、キメラポリペプチドの残基に直接結合してもよく、またはキメラポリペプチドの残基と共有結合を次いで形成するリンカーと共有結合を形成してもよい。
【0163】
「ペプチドコンジュゲート」とは、1つまたは複数のポリペプチドと別の化学的または生物学的化合物との共有または非共有結合による会合を指す。非限定的な例では、ポリペプチドと化学的化合物との「コンジュゲーション」は、ポリペプチドの意図される目的について改善されたポリペプチドの安定性または有効性をもたらす。一実施形態では、ペプチドは担体とコンジュゲートされ、担体はリポソーム、ミセルまたは薬学的に許容される高分子である。
【0164】
「リポソーム」とは、同心円状の脂質二重層からなる微視的小胞である。構造的に、リポソームは、大きさおよび形状が長管~球に及び、寸法が数百オングストローム~数分の1ミリメートルに及ぶ。小胞形成脂質は、外層の脂質組成を提供する最終複合体の特定された程度の流動性または剛性を達成するように選択される。これらは、中性(コレステロール)または双極性であり、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン(PC:phosphatidylcholine)、ホスファチジルエタノールアミン(PE:phosphatidylethanolamine)、ホスファチジルイノシトール(PI:phosphatidylinositol)およびスフィンゴミエリン(SM:sphingomyelin)、ならびに14~22の範囲の炭化水素鎖長を有し、かつ飽和であるか、または1つまたは複数の二重C=C結合を有する、非限定的に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE:dioleoylphosphatidylethanolamine)を含む他のタイプの双極性脂質を含む。単独で、または他の脂質構成成分との組合せで、安定なリポソームを生成することができる脂質の例は、リン脂質、例えば、水素添加大豆ホスファチジルコリン(HSPC:hydrogenated soy phosphatidylcholine)、レシチン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾレシチン、リゾホスファチジルエタノール-アミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、セファリン、カルジオリピン、ホスファチジン酸、セレブロシド、ジステアロイルホスファチジルエタノールミン(DSPE:distearoylphosphatidylethan-olamine)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC:dioleoylphosphatidylcholine)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC:dipalmitoylphosphatidylcholine)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC: palmitoyloteoylphosphatidylcholine)、パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE:palmitoyloleoylphosphatidylethanolamine)およびジオレオイルホスファチジルエタノールアミン4-(N-マレイミド-トリエチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(DOPE-mal:dioleoylphosphatidylethanolamine 4-(N-maleimido-triethyl)cyclohexane-1-carboxylate)である。リポソームに組み込むことができる追加のリン非含有脂質には、ステアリルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、イソプロピルミリステート、トリエタノールアミン-ラウリルサルフェート、アルキル-アリールサルフェート、アセチルパルミテート、グリセロールリシノレエート、ヘキサデシルステレエート(hexadecyl stereate)、両性アクリルポリマー、ポリエチルオキシル化脂肪酸アミドおよび上記に挙げるカチオン性脂質(DDAB、DODAC、DMRIE、DMTAP、DOGS、DOTAP(DOTMA)、DOSPA、DPTAP、DSTAP、DC-Chol)が含まれる。負荷電脂質には、ホスファチジン酸(PA:phosphatidic acid)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG:dipalmitoylphosphatidylglycerol)、ジオレオイルホスファチジルグリセロール(DOPG: dioteoylphosphatidylglycerol)および小胞を形成することができるジセチルホスフェートが含まれる。典型的に、リポソームは、それらの全体的なサイズおよび層状構造の性質に基づいて3つのカテゴリーに分けることができる。1977年12月のニューヨークアカデミー科学会議「Liposomes and Their Use in Biology and Medicine」によって展開された3つの分類は、多層小胞(MLV:multi-lamellar vesicle)、小型単層小胞(SUV:small uni-lamellar vesicle)および大型単層小胞(LUV:large uni-lamellar vesicle)である。生物活性剤は、本明細書で説明する方法に従う投与のためにそのようなものに被包され得る。
【0165】
「ミセル」は、液体コロイド中に分散した界面活性分子の凝集物である。水溶液中の典型的なミセルは、親水性の「頭部」領域を周囲の溶媒と接触させ、疎水性尾部領域をミセル中心に隔離した凝集物を形成する。このタイプのミセルは、順相ミセル(水中油ミセル)として公知である。逆ミセルは、中心に頭部基を有し、尾部を外に向けている(油中水ミセル)。ミセルは、本明細書で説明するポリヌクレオチド、ポリペプチド、抗体または組成物を結合して、標的細胞または組織への効率的な送達を促進するために使用され得る。
【0166】
「薬学的に許容される高分子」という句は、本明細書で説明する1つまたは複数のポリペプチドにコンジュゲートされ得る化合物の群を指す。高分子のポリペプチドへのコンジュゲーションは、in vivoおよびin vitroでのポリペプチドの半減期を延長することができることが企図される。非限定的な例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、糖、ポリオールおよびその混合物が含まれる。生物活性剤は、本明細書で説明する方法に従う投与のために薬学的に許容される高分子にコンジュゲートされ得る。
【0167】
「遺伝子送達媒体」は、挿入されたポリヌクレオチドを宿主細胞に運搬することができる任意の分子として定義される。遺伝子送達媒体の例は、リポソーム;ミセル;天然高分子および合成高分子を含む生物適合性高分子;リポタンパク質;ポリペプチド;多糖;リポ多糖;人工ウイルスエンベロープ;金属粒子;ならびに細菌またはウイルス、例えば、バキュロウイルス、アデノウイルスおよびレトロウイルス、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、および様々な真核および原核宿主における発現について説明されており、遺伝子治療および単純なタンパク質発現に使用され得る当該技術分野で典型的に使用される他の組換え媒体である。
【0168】
本明細書で開示するポリヌクレオチドは、遺伝子送達媒体を使用して細胞または組織に送達され得る。「遺伝子送達」、「遺伝子導入」、「形質導入」等は、本明細書で使用される場合、導入に使用される方法にかかわりなく、外因性ポリヌクレオチド(ときには「導入遺伝子」と呼ばれる)の宿主細胞への導入について言及する用語である。そのような方法には、様々な周知の技術、例えば、ベクター媒介遺伝子導入(例えば、ウイルス感染/トランスフェクション、または様々な他のタンパク質ベースまたは脂質ベースの遺伝子送達複合体による)および「ネイキッド」ポリヌクレオチドの送達を促進する技術(例えば、電気穿孔、「遺伝子銃」送達、およびポリヌクレオチドの導入に使用される様々な他の技術)が含まれる。導入されたポリヌクレオチドは、宿主細胞において安定に、または一過性に維持され得る。安定な維持は、典型的に、導入されたポリヌクレオチドが、宿主細胞と適合性の複製起点を含有するか、または宿主細胞のレプリコン、例えば、染色体外レプリコン(例えば、プラスミド)または核染色体もしくはミトコンドリア染色体に統合することのいずれかを必要とする。当該技術分野で公知かつ本明細書で説明される通り、いくつかのベクターは、遺伝子の哺乳動物細胞への移入を媒介することができることが公知である。
【0169】
「調節配列」、「調節エレメント」、「発現制御エレメント」または「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、転写および/または複製されるポリヌクレオチドに作動可能に連結され、ポリヌクレオチドの発現および/または複製を促進するポリヌクレオチドを意図する。調節配列の非限定的な例は、プロモーター、エンハンサー、またはポリアデニル化配列を含む。
【0170】
「プロモーター」という用語は、本明細書で使用される場合、コード配列、例えば遺伝子の発現を調節する任意の配列を指す。プロモーターは、例えば、構成的、誘導性、抑制性、または組織特異的であり得る。「プロモーター」は、転写の開始および速度がそこで制御されるポリヌクレオチド配列の領域である制御配列である。「プロモーター」は、調節タンパク質および分子がそこでRNAポリメラーゼおよび他の転写因子などと結合し得る遺伝エレメントを含有し得る。プロモーターの非限定的な例は、サイトメガロウイルスCMVプロモーターまたはレトロウイルス末端反復配列(LTR)プロモーターを含む。例えば、Weber et al. Hum Gene Ther. 2007 Sep;18(9):849-60を参照されたい。
【0171】
エンハンサーは、標的配列の発現を増加させる調節エレメントである。「プロモーター/エンハンサー」は、プロモーター機能およびエンハンサー機能の両方を提供することができる配列を含有するポリヌクレオチドである。例えば、レトロウイルスの末端反復配列は、プロモーター機能およびエンハンサー機能の両方を含有する。エンハンサー/プロモーターは、「内因性」または「外因性」または「異種」であり得る。「内因性」エンハンサー/プロモーターは、ゲノム中の所与の遺伝子と天然に連結されているエンハンサー/プロモーターである。「外因性」または「異種」エンハンサー/プロモーターは、連結されたエンハンサー/プロモーターによってその遺伝子の転写が指示されるように、遺伝子操作(即ち、分子生物学的技術)によって遺伝子に並置して配置されるエンハンサー/プロモーターである。
【0172】
本明細書で使用される場合、「eDNA」という用語は、病原性バイオフィルムの構成成分として見出される細胞外DNAを指す。
【0173】
「プラスミド」は、染色体DNAとは独立して複製することができる、染色体DNAから分離している染色体外DNA分子である。多くの場合、それは環状かつ二本鎖である。プラスミドは、微生物の集団内で水平方向の遺伝子導入のための機構を提供し、典型的に、所与の環境状態下で選択的利益を提供する。プラスミドは、競合的環境ニッチにおいて天然に存在する抗生物質に対する抵抗性を提供する遺伝子を運搬し得るか、またはあるいは、産生されるタンパク質は、同様の条件下で毒素として作用し得る。
【0174】
遺伝子工学において使用される「プラスミド」は、「プラスミドベクター」と呼ばれる。多くのプラスミドは、そのような使用のために市販されている。複製するべき遺伝子を、細胞を特定の抗生物質に対して抵抗性にする遺伝子と、いくつかの一般的に使用される制限部位を含有し、この場所でのDNA断片の容易な挿入を可能にする短い領域であるマルチクローニングサイト(MCS:multiple cloning site、またはポリリンカー)とを含有するプラスミドのコピーに挿入する。プラスミドの別の主要な使用は、大量のタンパク質を製造することである。この場合、研究者らは、目的の遺伝子を宿すプラスミドを含有する細菌を成長させる。細菌が、その抗生物質抵抗性を与えるタンパク質を産生するのと同じように、それはまた挿入された遺伝子から大量のタンパク質を産生するように誘導され得る。これは、遺伝子またはそして遺伝子がコードするタンパク質を大量産生する安価で容易な方法である。
【0175】
「酵母人工染色体」または「YAC(yeast artificial chromosome)」とは、大きなDNA断片(100kbよりも大きく、最大で3000kb)をクローニングするために使用されるベクターを指す。それは、人工的に構築された染色体であり、酵母細胞における複製および保存に必要とされるテロメア配列、セントロメア配列および複製起点配列を含有する。初期環状プラスミドを使用して組み立てると、それらを、制限酵素を使用することによって直鎖状にし、その後DNAリガーゼにより、付着末端の使用によって直鎖分子内に目的の配列または遺伝子を付加することができる。酵母発現ベクター、例えば、YAC、YIp(酵母組込みプラスミド:yeast integrating plasmid)およびYEp(酵母エピソームプラスミド:yeast episomal plasmid)は、酵母はそれ自体、真核細胞であるため、翻訳後修飾を有する真核生物タンパク質生成物を得ることができるので、非常に有用であるが、しかしながら、YACは、BACよりも不安定であり、キメラ効果を生ずることが分かっている。
【0176】
「ウイルスベクター」は、in vivo、ex vivoまたはin vitroのいずれかで、宿主細胞に送達されるべきポリヌクレオチドを含む組換え産生ウイルスまたはウイルス粒子として定義される。ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、アルファウイルスベクター等が含まれる。感染性タバコモザイクウイルス(TMV:tobacco mosaic virus)ベースのベクターは、タンパク質を製造する(manufacturer)ために使用される場合があり、タバコ葉においてグリフィスシン(Griffithsin)を発現することが報告されている(O’Keefe et al. (2009) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 106(15):6099-6104)。また、アルファウイルスベクター、例えば、セムリキ森林ウイルスベースのベクターおよびシンドビスウイルスベースのベクターは、遺伝子治療および免疫療法における使用のために開発されている。Schlesinger & Dubensky (1999) Curr. Opin. Biotechnol. 5:434-439およびYing et al. (1999) Nat. Med. 5(7):823-827を参照されたい。遺伝子導入がレトロウイルスベクターによって媒介される態様では、ベクター構築物とは、レトロウイルスゲノムまたはその部分と治療用遺伝子とを含むポリヌクレオチドを指す。
【0177】
本明細書で使用される場合、「レトロウイルス媒介遺伝子導入」または「レトロウイルス形質導入」は、同じ意味を有し、細胞に入り、ウイルスのゲノムを宿主細胞ゲノムに組み込むウイルスによって、遺伝子または核酸配列が宿主細胞に安定に移入されるプロセスを指す。ウイルスは、その正常な感染機構を介して宿主細胞に入ってもよく、ウイルスが異なる宿主細胞表面受容体またはリガンドに結合して細胞に入るように改変されてもよい。本明細書で使用される場合、レトロウイルスベクターとは、ウイルスまたはウイルス様侵入機構を通して外因性核酸を細胞に導入することができるウイルス粒子を指す。
【0178】
レトロウイルスは、それらの遺伝子情報をRNAの形態で運搬する;しかしながら、ウイルスが細胞に感染すると、RNAは、DNA形態に逆転写され、それは感染した細胞のゲノムDNAに組み込まれる。組み込まれたDNA形態は、プロウイルスと呼ばれる。
【0179】
遺伝子導入がDNAウイルスベクター、例えば、アデノウイルス(Ad:adenovirus)またはアデノ随伴ウイルス(AAV:adeno-associated virus)によって媒介される態様では、ベクター構築物とは、ウイルスゲノムまたはその部分と導入遺伝子とを含むポリヌクレオチドを指す。アデノウイルス(Ad)は、比較的十分に特徴付けられているウイルスの同種の群であり、50個を超える血清型を含む。例えば、PCT国際出願公開番号WO95/27071号を参照されたい。Adは、宿主細胞ゲノムへの組込みを必要としない。組換えAd由来ベクター、特に組換えおよび野生型ウイルスの生成の潜在性を低減した組換えAd由来ベクターもまた、構築されている。PCT国際出願公開番号WO95/00655号およびWO95/11984号を参照されたく、野生型AAVは、宿主細胞ゲノムへ組み込まれる高感染力および特異性を有する。Hermonat & Muzyczka (1984) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6466-6470およびLebkowski et al. (1988) Mol. Cell. Biol. 8:3988-3996を参照されたい。
【0180】
ポリヌクレオチドが作動可能に連結され得るプロモーターおよびクローニングサイトの両方を含有するベクターは、当該技術分野で周知である。そのようなベクターは、in vitroまたはin vivoでRNAを転写することができ、Stratagene(La Jolla、Calif.)およびPromega Biotech(Madison、Wis.)等の供給元から市販されている。発現および/またはin vitro転写を最適化するために、クローンの5’および/または3’非翻訳部分を除去、付加または変更して、余分の潜在的で不適切な選択的翻訳開始コドン、または転写または翻訳レベルのいずれかで発現に干渉するか、またはこれを低減し得る他の配列を削除することが必要であり得る。あるいは、コンセンサスリボソーム結合部位は、開始コドンのすぐ5’に挿入されて発現を向上し得る。
【0181】
また、遺伝子送達媒体には、DNA/リポソーム複合体、ミセルおよび標的とされたウイルスタンパク質-DNA複合体が含まれる。また、ターゲティング抗体またはその抗原結合断片を含むリポソームは、本明細書で開示する方法で使用することができる。ポリヌクレオチドの細胞または細胞集団への送達に加えて、本明細書で説明するタンパク質の細胞または細胞集団への直接的導入は、タンパク質トランスフェクションの非限定的な技術によって行ってもよく、あるいは、本明細書で開示するタンパク質の発現の向上および/または活性の促進を可能にする培養条件は、他の非限定的な技術である。
【0182】
本明細書で使用される場合、「抗体」、「複数の抗体」および「免疫グロブリン」という用語は、抗体全体および任意の抗原結合断片またはその単一の鎖を含む。したがって、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む任意のタンパク質またはペプチド含有分子を含む。また、「抗体」、「複数の抗体」および「免疫グロブリン」という用語には、任意のアイソタイプの免疫グロブリン;非限定的に、Fab、Fab’、F(ab)2、Fv、scFv、dsFv、Fd断片、dAb、VH、VL、VhHおよびV-NARドメインを含む抗原への特異的結合を保持する抗体の断片;ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディおよびカッパボディ;抗体断片および1つまたは複数の単離されたものから形成された多重特異性抗体断片が含まれる。そのようなものの例には、重鎖もしくは軽鎖またはそのリガンド結合性部分の相補性決定領域(CDR:complementarity determining region)、重鎖または軽鎖可変領域(本明細書において可変ドメインとも称される)、重鎖または軽鎖定常領域(本明細書において定常ドメインとも称される)、フレームワーク(FR:framework)領域、またはその任意の部分、結合性タンパク質の少なくとも一部分、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、および抗体の抗原結合性部分と非抗体タンパク質とを含む融合タンパク質が含まれるが、これらに限定されない。免疫グロブリン分子の重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体(Ab)の定常領域は、免疫グロブリンの宿主組織への結合を媒介し得る。「抗~」という用語は、例えば、抗DNABII、抗IHF、抗HU、抗OMP P5のように、タンパク質名称の前に使用される場合、特定のタンパク質への結合および/または特定のタンパク質への親和性の所有を示すモノクローナル抗体またはポリクローナル抗体を指す。例えば、「抗IHF」とは、IHFタンパク質に結合する抗体を指す。特異的抗体は、タンパク質であってその抗体がそれに対して産生されたタンパク質以外のタンパク質への親和性を有するか、または結合し得る。例えば、抗IHFは、IHFタンパク質に対して特異的に産生されたものであるが、配列相同性を通じて、または構造相同性を通じて関連する他のタンパク質にも結合し得る。
【0183】
相補性決定領域(CDR)は、それぞれ、B細胞およびT細胞によって生成された抗体またはT細胞受容体の可変領域の一部であり、ここで、これらの分子はそれらの特異的抗原に結合する(エピトープとも呼ばれる)。ある特定の実施形態では、「可変領域」および「可変ドメイン」という用語は互換的に使用され、抗体ごとにアミノ酸残基の配列が多いに変化し、かつ特定の抗原に対して抗体の特異性を付与する結合部位のコンフォメーションを決定する抗体の軽鎖または重鎖のポリペプチドを指す。さらなる実施形態では、可変領域は、非限定的に、約100アミノ酸長、またはあるいは約110アミノ酸長、またはあるいは約120アミノ酸長、またはあるいは約130アミノ酸長、またはあるいは約140アミノ酸長、またはあるいは約150アミノ酸長、またはあるいは約160アミノ酸長、またはあるいは約170アミノ酸長、またはあるいは約180アミノ酸長、またはあるいは約190アミノ酸長を含む、約90アミノ酸長~約200アミノ酸長である。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列の可変領域は、本明細書で使用される場合、アミノ酸配列の最初の約100個のアミノ酸、またはあるいは約110個のアミノ酸、またはあるいは約120個のアミノ酸、またはあるいは約130個のアミノ酸、またはあるいは約140個のアミノ酸、またはあるいは約150個のアミノ酸(該当する場合、シグナルペプチドを含むかまたは除外する)が可変領域であることを指す。
【0184】
CDRのセットは、抗原を認識し、それに結合する抗体の一部である、抗原結合性部位とも呼ばれるパラトープを構成する。重鎖または軽鎖等の抗原受容体の可変領域のアミノ酸配列上に、必要に応じてアミノ末端からカルボキシ末端へと、非連続的に配置された3つのCDR(CDR1、CDR2およびCDR3)が存在する。本明細書で使用される場合、CDRnは、免疫グロブリン鎖におけるCDRnまたは免疫グロブリン鎖に由来するCDRnを指し、ここで、数字nは1~3から選択される。一実施形態では、CDRLnは、軽鎖におけるCDRnまたは軽鎖に由来するCDRnを指し、ここで、数字nは1~3から選択され、一方、CDRHnは、重鎖におけるCDRnまたは重鎖に由来するCDRnを指し、ここで、数字nは1~3から選択される。ある特定の実施形態では、フレームワーク領域(FR)は、CDRではない可変領域の一部を指す。ある特定の実施形態では、FRnは、重鎖もしくは軽鎖におけるFRまたは重鎖もしくは軽鎖に由来するFRを指し、ここで、数字nは1~4から選択される。ある特定の実施形態では、可変領域は、以下(必要に応じて、提供された順序に従い、さらに必要に応じて、アミノ末端からカルボキシ末端の順に):FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0185】
抗体の可変領域および/もしくはCDRまたはその断片は、例えば、公共に利用可能なツールまたは市販のツールを使用して、当業者によって決定され得る。このようなツールの非限定的な例には、IgBlast(www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/でアクセス可能)、Scaligner(www.scaligner.com/のdrugdesigntechから入手可能)、IMGTルールおよび/もしくはツール(例えば、www.imgt.org/IMGTScientificChart/Nomenclature/IMGT-FRCDRdefinition.htmlを参照されるか、またwww.imgt.org/でアクセス可能)、Chothia Canonical Assignment(www.bioinf.org.uk/abs/chothia.htmlでアクセス可能)、Antigen receptor Numbering And Receptor CalssificatiIon(ANARCI、opig.stats.ox.ac.uk/webapps/newsabdab/sabpred/anarci/でアクセス可能)、Kabatナンバリング方法/スキーム(例えば、Kabat, E.A., et al., (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)、またはParatomeウェブサーバー(www.ofranlab.org/paratome/でアクセス可能、Vered Kunik, et al, Nucleic Acids Research, Volume 40, Issue W1, 1 July 2012, Pages W521-W524を参照されたい)が含まれる。
【0186】
抗体は、それらが、所望の生物活性を示す限り、ポリクローナル、モノクローナル、多特異性(例えば、二重特異性抗体)および抗体断片であり得る。抗体は、任意の好適な生物学的供給源、例えば、ネズミ科、ラット、ヒツジおよびイヌ科から単離することができる。
【0187】
「ポリクローナル抗体」または「ポリクローナル抗体組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、様々なB細胞系に由来する抗体の調製物を指す。それらは、特定の抗原に対して分泌された免疫グロブリン分子の混合物であり、各々は異なるエピトープを認識する。
【0188】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体を指す。各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられているので、モノクローナル抗体は、高度に特異的である。抗体は、例えば、放射性同位体、検出可能な生成物を生成する酵素、蛍光タンパク質等で検出可能に標識され得る。抗体は、他の部分、例えば、特異的結合対のメンバー、例えば、ビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)等にさらにコンジュゲートされ得る。また、抗体は、非限定的に、ポリスチレンプレートまたはビーズ等を含む固体支持体に結合され得る。
【0189】
モノクローナル抗体は、当該技術分野で公知のハイブリドーマ技術または組換えDNA法を使用して生成され得る。ハイブリドーマは、抗体産生リンパ球と抗体非産生がん細胞、通常、骨髄腫またはリンパ腫との融合から研究室で産生される細胞である。ハイブリドーマは増殖し、特異的モノクローナル抗体の連続試料を産生する。抗体を生成または選択するための代替の技術には、リンパ球の目的の抗原へのin vitro曝露、および細胞、ファージまたは同様の系における抗体ディスプレイライブラリーのスクリーニングが含まれる。
【0190】
「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことを意図する。本明細書で開示するヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、in vitroでランダムまたは部位特異的変異誘発によって、またはin vivoで体細胞変異によって導入された変異)を含み得る。しかしながら、「ヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、別の哺乳動物種、例えば、マウスの生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上にグラフトされた抗体を含むことを意図しない。したがって、本明細書で使用される場合、「ヒト抗体」という用語は、タンパク質の実質的にどの部分(例えば、CDR、フレームワーク、CL、CHドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3)、ヒンジ、(VL、VH))も、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、少ない配列変化または変動のみを伴う抗体を指す。同様に、霊長類(サル、ヒヒ、チンパンジー等)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)および他の哺乳動物指定の抗体は、そのような種、亜属、属、亜科、科特異的抗体を指定する。さらに、キメラ抗体は、上記の任意の組合せを含む。そのような変化または変動は、必要に応じて、非改変抗体と比較してヒトまたは他の種において免疫原性を保持または低減する。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体とは別個である。ヒト抗体は、機能的に再配置されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖および/または軽鎖)遺伝子を発現することができる非ヒト動物または原核細胞もしくは真核細胞によって産生され得ることが指摘される。さらに、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、それは、ネイティブヒト抗体で見られないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、リンカーペプチド、例えば、2~約8個のグリシンまたは他のアミノ酸残基を含む場合があり、それは、重鎖の可変領域と軽鎖の可変領域とを接続する。そのようなリンカーペプチドは、ヒト起源のものと考えられる。
【0191】
本明細書で使用される場合、抗体が、ヒト免疫グロブリン配列を使用する系から、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を有するトランスジェニックマウスを免疫することによって、またはヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることによって得られる場合、ヒト抗体は特定の生殖細胞系列配列に「由来」する。ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に「由来」するヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列をヒト生殖細胞系列免疫グロブリンのアミノ酸配列と比較することによってそれ自体特定することができる。典型的に、選択されたヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも90%同一であり、他の種の生殖細胞系列免疫グロブリンアミノ酸配列(例えば、ネズミ科生殖細胞系列配列)と比較した場合、ヒト抗体をヒト抗体であると特定するアミノ酸残基を含有する。ある特定の場合、ヒト抗体は、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列において少なくとも95%、またはさらに、少なくとも96%、97%、98%もしくは99%同一であり得る。典型的に、特定のヒト生殖細胞系列配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と10個以下のアミノ酸の相違を示す。ある特定の場合、ヒト抗体は、生殖細胞系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列と5個以下、またはさらに、4、3、2もしくは1個以下のアミノ酸の相違を示し得る。
【0192】
本明細書で使用される場合、「ヒト化抗体」または「ヒト化免疫グロブリン」という用語は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限配列を含有するヒト/非ヒトキメラ抗体を指す。ほとんどの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの可変領域またはその断片(例えば、1、2、3、4、5、または6つ全てのCDR)からの残基が、所望の特異性、親和性および能力を有する非ヒト種、例えば、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類の可変領域またはその断片(例えば、1、2、3、4、5、または6つ全てのCDR)(ドナー抗体)からの残基によって置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。ヒト化抗体は、レシピエント抗体で、またはドナー抗体で見出されない残基を含み得る。また、ヒト化抗体は、必要に応じて、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリンの免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分;フレームワーク領域、定常領域またはCDR中に、ヒト抗体からの、対応して位置付けられるアミノ酸で置換された1つまたは複数のアミノ酸を含有する非ヒト抗体を含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、ヒト化抗体は、同じ抗体の非ヒト化バージョンと比較して、ヒト宿主において免疫応答の低減をもたらす。ヒト化抗体は、抗原結合または他の抗体機能に実質的に影響を有しない保存的アミノ酸置換を有し得る。保存的置換分類には、グリシン-アラニン、バリン-ロイシン-イソロイシン、フェニルアラニン-チロシン、リシン-アルギニン、アラニン-バリン、セリン-トレオニンおよびアスパラギン-グルタミンが含まれる。具体的には、本明細書に開示されるヒト化抗体は、ある特定の範囲の、以下の:EC50、Kon、Koff、KAおよび/またはKDのうちの1つまたは複数で、DNABIIポリペプチドまたはその断片(先端キメラペプチドまたは尾部キメラペプチド等)に特異的に結合し、対象を処置する際にある特定のサイトカインを阻害もしくは放出する。さらなる実施形態では、DNABIIポリペプチドの先端領域(先端キメラペプチド等)に特異的に結合するヒト化抗体は、in vivoとin vitroの両方でバイオフィルムを破壊する。加えて、ヒト化のプロセスは、合理的設計プロセスであるが、例えば、結合親和性、抗原特異性、または可溶性もしくは凝集性等の物理特性において予期せぬ変化(正または負の)を生み出す可能性があり、よって、ヒト化抗体の特性は、出発非ヒト抗体の特性から本質的に予測することができない。
【0193】
一部の実施形態では、本明細書において使用される抗体は、組換え抗体であり得る。「組換えヒト抗体」という用語は、本明細書で使用される場合、組換え手段によって調製、発現、作出または単離された全ての抗体、例えば、免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックまたは染色体導入動物(例えば、マウス)またはそれから調製されたハイブリドーマから単離された抗体;抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体;組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体;および免疫グロブリン(Ig)遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングに関与する他の任意の手段によって調製、発現、作出または単離された抗体を含む。しかしながら、ある特定の実施形態では、そのような組換え抗体は、in vitro変異誘発(またはIg配列についてトランスジェニックな動物が使用される場合、in vivo体細胞変異誘発)に供される場合があり、したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、in vivoで抗体生殖細胞系列レパートリー内に天然に存在しない場合がある配列である。これらの抗体を製造する方法は、本明細書で説明される。
【0194】
一部の実施形態では、本明細書において使用される抗体は、キメラ抗体であり得る。本明細書で使用される場合、キメラ抗体は、異なる種に属する抗体可変領域および定常領域遺伝子から、典型的に遺伝子工学によって、軽鎖および重鎖遺伝子が構築された抗体である。
【0195】
本明細書で使用される場合、「抗体誘導体」という用語は、アミノ酸のうちの1つまたは複数が、例えば、抗体を第2の分子に連結するために、アルキル化、ペグ化、アシル化、エステル形成またはアミド形成などによって化学修飾されている全長抗体または抗体の断片を含む。これは、ペグ化抗体、システイン-ペグ化抗体およびそのバリアントを含むが、これらに限定されない。
【0196】
本明細書で使用される場合、「標識」という用語は、「標識された」組成物を生成するために、検出するべき組成物に直接的または間接的にコンジュゲートされた直接的または間接的検出可能化合物または組成物、例えば、N末端ヒスチジンタグ(N-His)、磁気的旋光同位体、例えば、115Sn、117Snおよび119Sn、非放射性同位体、例えば、13Cおよび15N、ポリヌクレオチドまたはタンパク質、例えば、抗体を意図する。また、この用語は、挿入された配列の発現に際してシグナルを提供する、ポリヌクレオチドにコンジュゲートされた配列、例えば、緑色蛍光タンパク質(GFP:green fluorescent protein)等を含む。標識は、それ自体で検出可能であってもよく(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、酵素標識の場合、検出可能な基質化合物または組成物の化学変化を触媒してもよい。標識は、小スケール検出に好適であっても、ハイスループットスクリーニングにより好適であってもよい。よって、好適な標識には、磁気的旋光同位体、非放射性同位体、放射性同位体、蛍光色素、化学発光化合物、染料、および酵素を含むタンパク質が含まれるが、これらに限定されない。標識は単純に検出してもよく、標識は定量してもよい。単純に検出される応答は、一般的に、存在が単に確認される応答を含み、一方で、定量される応答は、一般的に、定量可能な(例えば、数字で報告可能な)値、例えば、強度、分極および/または他の特性を有する応答を含む。発光または蛍光アッセイにおいて、検出可能な応答は、実際に結合に関与するアッセイ構成成分と会合した発光団または蛍光団を使用して直接的に、または別の(例えば、レポーターまたはインジケーター)構成成分と会合した発光団または蛍光団を使用して間接的に生成され得る。シグナルを産生する発光標識の例には、生物発光および化学発光が含まれるが、これらに限定されない。検出可能な発光応答は、一般的に、発光シグナルの変化、または発光シグナルの発生を含む。アッセイ構成成分を発光標識するために好適な方法および発光団は、当該技術分野で公知であり、例えば、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed)で説明されている。発光プローブの例には、エクオリンおよびルシフェラーゼが含まれるが、これらに限定されない。
【0197】
本明細書で使用される場合、「イムノコンジュゲート」という用語は、第2の作用物質、例えば、細胞傷害剤、検出可能な剤、放射性剤、ターゲティング剤、ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、合成抗体、半合成抗体または多重特異性抗体と会合した、または連結した抗体または抗体誘導体を含む。
【0198】
好適な蛍光標識の例には、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリスロシン、クマリン、メチル-クマリン、ピレン、マラカイトグリーン(Malacite green)、スチルベン、ルシファーイエロー、Cascade Blue(商標)およびテキサスレッドが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な光学染料は、Haugland, Richard P. (1996) Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals (6th ed.)で説明されている。
【0199】
別の態様では、蛍光標識は、細胞表面マーカーのように、細胞もしくは組織内、または細胞表面もしくは組織表面上に存在している細胞構成成分への共有結合を促進するように官能化される。好適な官能基には、イソチオシアネート基、アミノ基、ハロアセチル基、マレイミド、スクシンイミジルエステルおよびスルホニルハライドが含まれるが、これらに限定されず、これらの全ては、蛍光標識を第2の分子に結合するために使用され得る。蛍光標識の官能基の選択は、リンカー、作用物質、マーカーまたは第2の標識剤のいずれかへの結合部位に依存する。
【0200】
「真核細胞」は、モネラ界を除く全ての生命界を含む。それらは、膜結合核によって容易に区別することができる。動物、植物、真菌および原生生物は、真核生物、または細胞が内部膜および細胞骨格によって複合体構造に組織化されている生物である。最も特徴的な膜結合構造は、核である。特に列挙しない限り、「宿主」という用語は、例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核生物宿主を含む。真核細胞または宿主の非限定的な例には、サル類、ウシ属、ブタ、ネズミ科、ラット、鳥類、爬虫類およびヒトが含まれる。
【0201】
「原核細胞」は、通常、核または他の任意の膜結合オルガネラを欠き、2つのドメイン、細菌および古細菌に分けられる。染色体DNAに加えて、これらの細胞は、エピソームと呼ばれる環状ループ内の遺伝子情報も含有し得る。細菌細胞は、非常に小さく、およそ動物ミトコンドリアのサイズ(直径約1~2μmおよび10μmの長さ)である。原核細胞は、3つの主要な形状:桿状、球状およびらせん状を特徴とする。真核生物のような精巧な複製プロセスを経る代わりに、細菌細胞は、二分裂によって分裂する。例には、Bacillus細菌、E. coli細菌およびSalmonella細菌が含まれるが、これらに限定されない。
【0202】
「ネイティブ」または「天然」抗原は、天然の生物学的供給源から単離され、かつ対象において抗原受容体、特に、T細胞抗原受容体(TCR:T cell antigen receptor)に特異的に結合し得る、エピトープを含有するポリペプチド、タンパク質または断片である。
【0203】
「抗原」および「抗原性」という用語は、抗体によって認識される能力、またはそうでなければ、抗体-リガンド対のメンバーとして作用する能力を有する分子を指す。「特異的結合」または「結合」とは、抗原と免疫グロブリン重鎖および軽鎖の可変領域との相互作用を指す。抗体-抗原結合は、in vivoまたはin vitroで起こり得る。当業者は、タンパク質、核酸、脂肪酸、脂質、リポ多糖および多糖を含む巨大分子は、抗原として作用する潜在性を有することを理解する。当業者は、抗体リガンドとして作用する潜在性を有するタンパク質をコードする核酸は、必然的に抗原をコードすることをさらに理解する。当業者は、抗原は、全長分子に限定されず、部分的分子も含み得ることをさらに理解する。「抗原性」という用語は、抗原の特性を有する分子についての形容詞的言及である。この用語は、免疫原性である物質、すなわち、免疫原、および免疫学的不応答性またはアネルギーを誘導する物質、すなわち、アナジェン(anergen)を包含する。
【0204】
「変更された抗原」とは、対応する野生型抗原の一次配列とは異なる一次配列を有する抗原である。変更された抗原は、合成または組換え法によって製造することができ、例えば、リン酸化;グリコシル化;架橋結合;アシル化;タンパク質分解切断;抗体分子、膜分子または他のリガンドへの連結によって、翻訳中または翻訳後に差次的に改変される抗原性ペプチドを含むが、これらに限定されない。(Ferguson et al. (1988) Ann. Rev. Biochem. 57:285-320)。本明細書で開示する合成抗原または変更された抗原は、天然エピトープと同じTCRに結合することを意図する。
【0205】
「自己抗原」は、本明細書中ではネイティブまたは野生型抗原ともいい、その抗原に対して自己寛容であることに起因して対象において免疫応答をほとんどまたは全く誘導しない抗原性ペプチドである。自己抗原の例は、メラノーマ特異的抗原gp100である。
【0206】
「免疫応答」とは、リンパ球の外来性物質への抗原特異的応答を広範に指す。「免疫原」および「免疫原性」という用語は、免疫応答を誘導する能力を有する分子を指す。全ての免疫原は抗原であるが、しかしながら、全ての抗原が免疫原性というわけではない。本明細書で開示する免疫応答は、体液性(抗体活性を介する)または細胞媒介性(T細胞活性化を介する)であり得る。応答は、in vivoまたはin vitroで起こり得る。当業者は、タンパク質、核酸、脂肪酸、脂質、リポ多糖および多糖を含む様々な巨大分子は、免疫原性である潜在性を有することを理解する。当業者は、免疫応答を誘導することができる分子をコードする核酸は、必然的に免疫原をコードすることをさらに理解する。当業者は、免疫原は、全長分子に限定されず、部分的分子を含み得ることをさらに理解する。
【0207】
「受動免疫」という用語は、抗体の移入を通した1つの対象から別の対象への免疫の移入を指す。受動免疫は、母体の抗体が胎児に移入した場合、天然に起こり得る。また、受動免疫は、抗体組成物が非免疫対象に投与された場合、人工的に起こり得る。抗体ドナーおよびレシピエントは、ヒトまたは非ヒト対象であり得る。実施形態に依存して、抗体は、ポリクローナルであっても、モノクローナルであってもよく、in vitroで生成しても、in vivoで生成してもよく、精製しても、部分精製しても、非精製であってもよい。本明細書で説明する一部の実施形態では、受動免疫は、特定の抗原を特異的に認識するか、またはそれに結合する抗体または抗原結合断片の投与を通して、それを必要とする対象に与えられる。一部の実施形態では、受動免疫は、特定の抗原を特異的に認識するか、またはそれに結合する抗体または抗原結合断片をコードする単離された、または組換えポリヌクレオチドの投与を通して与えられる。
【0208】
本開示の文脈において、「リガンド」とは、ポリペプチドである。一態様では、「リガンド」という用語は、本明細書で使用される場合、別の分子上の特定の部位に結合する任意の分子を指す。換言すれば、リガンドは、免疫エフェクター細胞またはタンパク質に対する抗体またはタンパク質に対するDNAとの反応においてそのタンパク質の特異性を付与する。一態様では、免疫エフェクター細胞上の相補的結合部位と直接的に組み合わさるものは、タンパク質内のリガンド部位である。
【0209】
本明細書で使用される場合、互換的に使用される「固相支持体」または「固体支持体」は、特定のタイプの支持体に限定されない。むしろ、多数の支持体が使用可能であり、当業者に公知である。固相支持体には、シリカゲル、樹脂、誘導体化プラスチックフィルム、ガラスビーズ、綿、プラスチックビーズ、アルミナゲルが含まれる。また、本明細書で使用される場合、「固体支持体」には、合成抗原提示マトリックス、細胞およびリポソームが含まれる。好適な固相支持体は、所望の最終使用、および様々なプロトコールについての好適性に基づいて選択され得る。例えば、ペプチド合成について、固相支持体は、樹脂、例えば、ポリスチレン(例えば、Bachem Inc.、Peninsula Laboratories等から得られるPAM-樹脂)、POLYHIPE(登録商標)樹脂(Aminotech、Canadaから得られる)、ポリアミド樹脂(Peninsula Laboratoriesから得られる)、ポリエチレングリコールとグラフトしたポリスチレン樹脂(TentaGel(登録商標)、Rapp Polymere、Tubingen、Germany)またはポリジメチルアクリルアミド樹脂(Milligen/Biosearch、Calif.から得られる)を指し得る。
【0210】
固相支持体の例には、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ、天然および改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑レイ岩ならびにマグネタイトが含まれる。担体の性質は、ある程度まで可溶性、または不溶性のいずれかであり得る。支持体材料は、結合した分子がポリヌクレオチド、ポリペプチドまたは抗体に結合することができる限り、事実上、任意の可能な構造的配置を有し得る。したがって、支持体配置は、ビーズにおけるように球状、または試験管の内側表面または棒の外部表面におけるように円柱状であり得る。あるいは、表面は、平面、例えば、シート、試験紙等、またはあるいはポリスチレンビーズであり得る。当業者は、抗体または抗原を結合させるための多くの他の好適な担体を知っているか、またはルーチン実験の使用によってこれを確認することができる。
【0211】
本明細書で使用される場合、生体試料、または試料は、対象、細胞系または培養された細胞もしくは組織から得ることができる。例示的な試料には、非限定的に、細胞試料、組織試料、血液等の液体試料および生体起源の他の液体試料(非限定的に、眼液(眼房水および硝子体液)、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑液、眼房水、羊水、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液体剤、カウパー液もしくは前射精液(pre-ejaculatory fluid)、女性の射精(female ejaculate)、汗、涙、嚢胞液、胸腔内液および腹腔液、心膜液体剤、腹水、リンパ、粥状液、乳糜、胆汁、間質液、月経、膿、皮脂、嘔吐物、膣分泌物/洗浄液、滑液、粘膜分泌物、水様便(stool water)、膵液、鼻腔からの洗浄液、気管支肺吸引液、胚盤胞腔液(blastocyl cavity fluid)、または臍帯血が含まれる。一実施形態では、生体試料は、バイオフィルムを有することを疑われている。別の実施形態では、生体試料はバイオフィルムを含む。
【0212】
本明細書で使用される場合、「シグナルペプチド」または「シグナルポリペプチド」という用語は、新たに合成された分泌ポリペプチドもしくは分泌タンパク質または膜ポリペプチドもしくは膜タンパク質の通常はN末端に存在するアミノ酸配列を意図する。それは、ポリペプチドを、特定の細胞位置に、例えば、細胞膜を横断するように、細胞膜に入るように、または核に入るように、方向付けるように作用する。一部の実施形態では、シグナルペプチドは、以下の位置から除去される。シグナルペプチドの例は当技術分野で周知である。非限定的な例は、米国特許第8,853,381号、同第5,958,736号および同第8,795,965号に記載されたものである。
【0213】
本明細書で使用される場合、切断可能なリンカーとも呼ばれる切断可能なペプチドは、例えば酵素によって切断され得るペプチドを意味する。そのような切断可能なペプチドを含む1つの翻訳されたポリペプチドは、2つの最終産物を産生し得、したがって、1つのオープンリーディングフレームからの1つよりも多くのポリペプチドの発現を可能にする。切断可能なペプチドの一例は、自己切断性ペプチド、例えば、2A自己切断性ペプチドである。2A自己切断性ペプチドは、細胞において組換えタンパク質の切断を誘導し得る、18~22aa長のペプチドのクラスである。一部の実施形態では、2A自己切断性ペプチドは、P2A、T2A、E2A、F2AおよびBmCPV2Aから選択される。例えば、Wang Y, et al. 2A self-cleaving peptide-based multi-gene expression system in the silkworm Bombyx mori. Sci Rep. 2015;5:16273. Published 2015 Nov 5を参照されたい。
【0214】
本明細書で使用される場合、「T2A」および「2Aペプチド」という用語は、互換的に使用されて、任意の2Aペプチドもしくはその断片、任意の2A様ペプチドもしくはその断片、またはコンセンサスポリペプチドモチーフD-V/I-E-X-N-P-G-Pを含有する(起源のウイルスに依存して、20アミノ酸長のオーダーの)比較的短いペプチド配列中に必要なアミノ酸を含む人工的ペプチドを指し、式中、Xは、自己切断性であると一般に考えられている、いずれかのアミノ酸を指す(配列番号134)。
【0215】
本明細書で使用される場合、「キメラ」または「キメラペプチド」という用語は、互いに直接的または間接的に(例えば、リンカーを介して)コンジュゲートしたDNABIIポリペプチドの2つまたはそれより多い断片またはドメインを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組換えポリペプチドを指す。一実施形態では、ドメインは、コンフォメーション先端ドメインおよび/またはコンフォメーション尾部ドメインである。その上またはあるいは、2つまたはそれより多い断片またはドメインは、同じかまたは異なるDNABIIポリペプチドに由来する。一実施形態では、キメラペプチドは、互いに直接的または間接的に(例えば、リンカーを介して)コンジュゲートしたIhfAの先端ドメインおよびIhfBの先端ドメインを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、キメラペプチドは、互いに直接的または間接的に(例えば、リンカーを介して)コンジュゲートしたIhfAの尾部ドメインおよびIhfBの尾部ドメインを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ポリペプチドの「コンフォメーション先端ドメイン」は、構造が、典型的にプロリン残基に媒介される急なターンを有する逆平行ベータリボンを有する一次アミノ酸配列を含むポリペプチドを指す。IHFポリペプチドの「先端」は、WO2018/129078の
図1に示される。
【0216】
本明細書で使用される場合、「に由来する」という句は、そこから単離されたこと、そこから精製されたこと、もしくはそこから操作されたこと、またはこれらの任意の組合せを意味する。
【0217】
ある特定の実施形態では、抗体は、
【化14】
(ここで、「X」は、必要に応じて、1~20個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる任意のアミノ酸リンカー配列であり、ここで、「X
1」は任意のアミノ酸であるか、またはあるいは、「X
1」はアミノ酸Q、R、K、S、またはTから選択される)のポリペプチド配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIに特異的に結合する。さらなる態様では、「X
1」は、KまたはQである。さらなる実施形態では、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIは、
【化15】
(ここで、「X」は、必要に応じて、1~20個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる任意のアミノ酸リンカー配列)のポリペプチド配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIは、
【化16】
のポリペプチド配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0218】
ある特定の実施形態では、抗体は、FLEEIRLSLESGQDVKLSGF-X-TLSAKEIENMVKDILEFISQ(配列番号41)(ここで、「X」は、必要に応じて、1~20個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる任意のアミノ酸リンカー配列である)のポリペプチド配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIに特異的に結合する。ある特定の実施形態では、リンカーは、配列番号42~49のうちのいずれか1つまたは複数から選択される。一実施形態では、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIは、FLEEIRLSLESGQDVKLSGFGPSLTLSAKEIENMVKDILEFISQ(配列番号50)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0219】
本明細書で使用される場合、「EC50」という用語は、特定された曝露時間後に、ベースラインと最大との間の中間の応答(例えば、抗体またはその抗原結合断片とその標的との間の結合)を誘導する抗体またはその抗原結合断片の濃度を指す。
【0220】
いくつかのパラメーターは、受容体(R、例えば、抗体またはその抗原結合断片)とリガンド(L、例えば、抗体またはその抗原結合断片の標的)分子の結合および非結合反応を説明するために本明細書で使用され、R+L⇔RLのように形式化される。この反応は、それぞれ、M-1s-1およびs-1の単位を有するオンレート定数konとオフレート定数koffによって特徴付けられる。平衡状態では、順方向の結合遷移R+L→RLは、逆方向の非結合遷移RL→R+Lとバランスを取る必要がある。すなわち、kon[R][L]=koff[RL]であり、ここで、[R]、[L]および[RL]は、非結合遊離受容体の濃度、非結合遊離リガンドの濃度および受容体-リガンド複合体の濃度を表す。さらに、平衡解離定数「KD」は、[R]×[L]/[RL]であるkoff/konとして計算することができ、一方、平衡結合定数「KA」は、[RL]/([R]×[L])であるkon/koffとして計算することができる。
【0221】
本明細書で使用される場合、「サイトカイン」という用語は、非限定的に、一般にホルモン以外のケモカイン、インターフェロン、インターロイキン(IL)、リンフォカインおよび腫瘍壊死因子を含む細胞シグナル伝達において重要な小分子タンパク質(約5~20kDa)を指す。サイトカインはペプチドであり、細胞の脂質二重層を横切って細胞質に侵入することができない。炎症性サイトカインまたは炎症誘発性サイトカインは、ヘルパーT細胞(Th)およびマクロファージのような免疫細胞、ならびに炎症を促進するある特定の他の細胞種から分泌されるシグナル伝達分子(サイトカイン)の一種である。これらは、(非限定的に)インターロイキン-1(IL-1)、IL-12、およびIL-18、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターフェロンガンマ(IFNγ)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含み、自然免疫応答を媒介する際に重要な役割を果たす。炎症性サイトカインは、炎症反応の上方調節によって優先的に産生され、それに関わる。「抗炎症性サイトカイン」という用語は、炎症誘発性サイトカイン応答を制御する免疫調節分子を含む。サイトカインは、特定のサイトカイン阻害剤および可溶性サイトカイン受容体と一緒に作用し、ヒト免疫応答を調節する。主要な抗炎症性サイトカインには、インターロイキン(IL)-1受容体アンタゴニスト、IL-4、IL-6、IL-10、IL-11およびIL-13が含まれる。IL-1に対する特異的サイトカイン受容体、腫瘍壊死因子-アルファ、およびIL-18も、炎症誘発性サイトカイン阻害剤として機能する。抗炎症性サイトカインおよび炎症誘発性サイトカインを含むサイトカイン、そのレベルを測定する方法は、当技術分野で周知である。例えば、血清中サイトカインレベルは、市販の酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)キットを使用して測定することができる。
【0222】
本明細書で使用される場合、「炎症促進応答」および「炎症応答」という用語は、病原体、例えば、疾患を引き起こし得る細菌、ウイルスまたは他の微生物に対する対象の生物応答について言及して、互換的に使用される。一部の実施形態では、炎症促進応答または炎症応答は、特異的および非特異的防御系が関与する免疫応答を指す。特異的防御系反応は、抗原に対する特異的免疫系反応である。特異的防御系反応の例は、抗体応答を含む。非特異的防御系反応は、免疫学的記憶が一般にはできない白血球、例えば、マクロファージ、好酸球および好中球によって媒介される炎症応答である。一部の実施形態では、免疫応答は、上昇した炎症促進性サイトカインレベルを生じる炎症促進性サイトカインの分泌を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。その上またはあるいは、免疫応答は、抗炎症性サイトカインのレベルの低減を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。したがって、炎症促進応答は、炎症促進性サイトカインの分泌、もしくは抗炎症性サイトカインの低減、またはその両方を含み得るか、またはそれから本質的になり得るか、またはまたさらにそれからなり得る。
【0223】
本明細書で使用される場合、「抗感染症薬」という用語は、感染性生物の広がりを阻害するか、または感染性生物を完全に死滅させることが可能である薬を指す。この用語は、非限定的に、抗生物質、抗真菌薬(antifungal)、駆虫薬、抗マラリア薬、抗原虫薬、抗結核薬、および抗ウイルス薬を包含する。抗真菌剤(antifungal agent)は、抗真菌剤(antimycotic agent)とも呼ばれる。これらは、真菌を死滅させるかまたは不活性化させ、真菌感染症(酵母感染症を含む)を処置するために使用される。1つの非限定的な例であるポリエン抗真菌薬は、経口的に投与された場合に吸収されないため、鵞口瘡等の胃腸管の真菌感染症を処置するために使用される。別の非限定的な例は、広域スペクトル活性を有する合成の静真菌剤であるアゾール抗真菌薬、(1,3)ベータ-d-グルカンシンターゼ酵素を非競合的に阻害し、真菌細胞壁を標的とするリポペプチド分子であるエキノキャンディン、Fulvicin U/F(すなわち、グリセオフルビン)、Grifulvin V(Pro)(すなわち、グリセオフルビン)、Lamisil(Pro)(すなわち、テルビナフィン)、Gris-PEG(Pro)(すなわち、グリセオフルビン)、Ancobon(Pro)(すなわち、flucytosine)、Fulvicin P/G(すなわち、グリセオフルビン)およびTerbinex(Pro)(すなわち、テルビナフィン)である。さらなる抗感染因子は、例えば、www.drugbank.ca/categories/DBCAT000065で見出すことができる。「抗ウイルス薬(anti-viral)」または「抗ウイルス薬(antiviral)」という用語は、ウイルス感染症を処置するために使用される薬品の分類を指す。ほとんどの抗ウイルス薬は特定のウイルスを標的とするが、広域スペクトルの抗ウイルス薬は、広範囲のウイルスに対して有効である。ほとんどの抗生物質と異なり、抗ウイルス薬(antiviral drug)は、それらの標的病原体を破壊せず、代わりに、これらの発生を阻害する。これらが作用することができる方法のいくつかには、ウイルスのDNAポリメラーゼを阻害すること;特異的細胞表面受容体に結合して、ウイルスの浸透または脱殻を阻害すること;ウイルスのタンパク質合成を阻害すること;またはウイルスアセンブリーの後期段階をブロックすることによってウイルスの複製を予防することが含まれる。抗ウイルス剤の非限定的な例は、例えば、www.drugbank.ca/categories/DBCAT000066で見出すことができる。
【0224】
本明細書で使用される場合、「抗寄生虫薬」という用語は、寄生虫疾患、例えば、とりわけ、蠕虫、アメーバ、外寄生生物、寄生真菌、およびプロトゾアによって引き起こされる疾患の処置のために必要とされる薬品の分類を指す。抗寄生虫薬の非限定的な例は、例えば、www.drugbank.ca/categories/DBCAT000522で見出すことができる。
本開示を行うための様式
【0225】
細胞外高分子物質(EPS)の構成要素分子は、細菌種間で変動するが、細胞外DNA(eDNA)は、多様な細菌バイオフィルムのいたるところで共通する基礎をなす構造的構成成分として働く(Flemming et al., Nat Rev Microbiol, 2010. 8(9): p. 623-33)。eDNA構造は、さらに特徴付けられており、eDNA格子は、eDNA依存性細菌バイオフィルムEPSの安定性に不可欠なホリデイジャンクション(HJ)様構造から構成されることが決定された(Devaraj et al., Proc Natl Acad Sci U S A, 2019 Dec 10;116(50):25068-25077)。組込み宿主因子(IHF)およびヒストン様タンパク質(HU)を含む細菌DNABIIファミリーのDNA結合タンパク質は、eDNA格子内のこれらのHJ様構造に結合し、eDNA依存性EPSの構造的完全性を維持する要のタンパク質として働く(Devaraj et al.)。遊離DNABIIタンパク質の隔離(DNABIIタンパク質のDNA結合ドメインに対する特異的抗体(α-DNABII)への曝露を介した)は、eDNA結合した状態から未結合の状態へと平衡をシフトさせ、これが次に、細菌バイオフィルムの崩壊を引き起こす(Devaraj et al.;Goodman et al., Mucosal Immunol, 2011. 4(6): p. 625-37;Gustave et al., J Cyst Fibros, 2013. 12(4): p. 384-9;Novotny et al., PLoS One, 2013. 8(6): p. e67629;Brockson et al., Mol Microbiol, 2014. 93(6): p. 1246-58;Brandstetter et al., The Laryngoscope, 2013. 123(11): p. 2626-2632;Rocco et al., Mol Oral Microbiol, 2016;Novotny et al., EBioMedicine, 2016. 10: p. 33-44;Devaraj et al., Microbiologyopen, 2017;Freire et al., Mol Oral Microbiol, 2017. 32(1): p. 74-88;およびNovotny et al., NPJ Vaccines, 2019. 4: p. 43.)。
【0226】
DNABIIタンパク質は、脊椎動物には存在しないが、真核生物は、類似の屈曲したDNA構造、例えば、HJ DNAに結合する部分的機能的オルソログHMGB1を保有する(Bianchi et al., Science, 1989. 243(4894 Pt 1): p. 1056-9)。HMGB1は、真核生物における遍在性のタンパク質であり、クロマチンのネイティブの一部である(Bianchi and Beltrame, Am J Hum Genet, 1998. 63(6): p. 1573-7;およびAgresti et al., Mol Cell, 2005. 18(1): p. 109-21)。これは、単量体として機能し、2つのタンデムDNA結合ドメインおよび酸性C末端尾部からなり(Bianchi et al., EMBO J, 1992. 11(3): p. 1055-63)、その場所(核、細胞質または細胞外)および活性を規定する翻訳後修飾(PTM)を有する場合が多い(Kang et al., Mol Aspects Med, 2014. 40: p. 1-116で概説される)。HMGB1は、配列非依存的様式でDNAに結合しこれを屈曲させるその能力を介して、組換え、DNA修復および転写を含む複数のDNA-タンパク質トランスアクションにおいてアクセサリータンパク質として働く(Little et al., Nucleic Acids Res, 2013. 41(5): p. 3289-301;Sutrias-Grau et al., J Biol Chem, 1999. 274(3): p. 1628-34;およびYuan et al., J Biol Chem, 2004. 279(20): p. 20935-40)。HMGB1は、細胞外環境中への真核細胞からのその放出の際に、TLR2、TLR4、TLR9およびRAGEに結合することによって、NF-κB経路を介して炎症促進性カスケードを誘導する損傷関連分子パターン(DAMP)分子としても機能し(Klune et al., Mol Med, 2008. 14(7-8): p. 476-84;Park et al., Am J Physiol Cell Physiol, 2003. 284(4): p. C870-9;Silva et al., Intensive Care Med, 2007. 33(10): p. 1829-39;およびHe et al., Asian Pac J Cancer Prev, 2012. 13(4): p. 1365-70)、したがって、宿主にとって壊滅的な帰結を有する敗血症を引き起こす潜在性を有するアラーミン(alarmin)として働く(Qin et al., J Exp Med, 2006. 203(7): p. 1637-42;およびDiener et al., Immunol Cell Biol, 2013. 91(7): p. 443-50)。細胞外で、HMGB1は、組織再生および創傷治癒、老化、ならびに非常に高い濃度(1.75μM~12μM)では、細菌死滅を含む、広範な機能もまた有する(Ranzato et al., Mol Cell Biochem, 2009. 332(1-2): p. 199-205;Gong et al., J Biomed Sci, 2009. 16: p. 83;Davalos et al., J Cell Biol, 2013. 201(4): p. 613-29;およびZetterstrom et al., Pediatr Res, 2002. 52(2): p. 148-54)。おそらくは最も重要なことに、細胞外HMGB1は、さらなる排除のために細菌を隔離するための宿主の最初の手段である好中球細胞外トラップ(NET)のeDNAの不可欠な部分であり(Tadie et al., Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol, 2013. 304(5): p. L342-9;Remijsen, et al., Cell Death Differ, 2011. 18(4): p. 581-8;Brinkmann et al., Science, 2004. 303(5663): p. 1532-5;およびPeng et al., Sci Rep, 2017. 7(1): p. 16628)、本明細書で提案されるように、その上、細菌バイオフィルムの増殖を予防するための方策として働くことができる。
【0227】
真核生物宿主自然免疫エフェクターHMGB1、および細菌DNABIIタンパク質は、それぞれ宿主および細菌において、核タンパク質トランスアクションにおけるアクセサリータンパク質として類似の役割を果たす(Kang et al. and Browning et al., Curr Opin Microbiol, 2010. 13(6): p. 773-80で概説される)。HMGB1タンパク質とDNABIIタンパク質とは、認識できる配列同一性も二次構造も共有しないが、それにもかかわらず、これらは、in vitroトランスアクションにおいて互いに機能的に置き換わることができる。このように、HMGB1は元々、DNABIIタンパク質の機能的オルソログであると考えられていた(Paull et al., Genes Dev, 1993. 7(8): p. 1521-34;およびSegall et al., EMBO J, 1994. 13(19): p. 4536-48)。両方のタンパク質が、DNAに結合しこれを屈曲させるが、これらは、別個の機構を介してそれを行う。HMGB1(単量体として)およびDNABIIタンパク質(二量体として)は共に、その副溝を介してDNAに結合するが、HMGB1は、DNA屈曲を凸面表面から安定化し、DNABIIタンパク質は、DNA屈曲をその凹面表面から安定化する(Sanchez-Giraldo et al., Acta Crystallogr D Biol Crystallogr, 2015. 71(Pt 7): p. 1423-32;およびRice et al., Cell, 1996. 87(7): p. 1295-306)。細胞内でのその並外れた機能的類似性を考慮し、また、HMGB1およびDNABIIタンパク質は、細胞外でも見出されるので、細菌バイオフィルムのeDNA依存性EPS内のHMGB1の相互作用が、本明細書でさらに開示される。
【0228】
細菌バイオフィルムの増殖における脊椎動物高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)のこれまで未知であった細胞外機能が、本明細書で説明および例示される。これらのタンパク質はアミノ酸配列同一性を共有していないにもかかわらず、宿主細胞内で、HMGB1は、遍在性のDNABIIファミリーの細菌タンパク質と類似したDNAアーキテクチャタンパク質として機能する。細胞外で、HMGB1は、炎症促進性免疫応答を誘導するが、DNABIIタンパク質は、細菌バイオフィルムを維持する細胞外DNA依存性マトリックスを安定化する。理論に束縛されることは望まないが、両方のタンパク質が細菌バイオフィルム内のeDNAに向かう場合、HMGB1は、DNABIIタンパク質とは異なり、強い炎症応答(これは単一の操作されたアミノ酸変化によって減弱された)の誘導にもかかわらず、2つの別個の動物モデルにおいて、in vitro(高優先度ESKAPEE病原体を含む)およびin vivoの両方で、バイオフィルムを破壊した。細胞外HMGB1が、バイオフィルム常在細菌の過剰な放出なしに、誘導された炎症の程度とバイオフィルム封じ込めとのバランスを取るモデルが、本明細書で提案された。
【0229】
DNABIIタンパク質と細胞外DNAとの結合を(例えば、抗DNABII抗体を投与することによって)妨害し、HMGB1ポリペプチドを提供する間、驚くべき有益な効果、即ち、完全なバイオフィルム根絶が、例示および観察された。実施例1ならびに
図16Iおよび16Jを参照されたい。HMGB1ポリペプチド単独または抗DNABII抗体単独の反復投与が、HMGB1ポリペプチドおよび抗DNABII抗体の組合せの単回の投与によって達成されるバイオフィルム低減レベルに到達しないことがさらに留意され、これは、相加的を上回る(即ち、相乗的)効果を示唆している。そのような観察は、本明細書で提案された機構と合致する。理論によって束縛されないが、そのような相乗作用は、他のHMGBポリペプチドおよび抗DNA抗体、例えば、先端ポリペプチドまたは先端チャイマーポリペプチドに結合する抗体またはその断片の組合せについて予測される。
***
【0230】
一態様では、(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片;および(b)本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片、を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0231】
別の態様では、組成物または組合せ物は、(a)C45Sの変異をさらに含むHMGB1ポリペプチド;および(b)本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0232】
一態様では、(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはその断片;および(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物であって、ただし、(i)組成物または組合せ物が、配列番号51~58のうちの1つもしくは複数、例えば、配列番号52を含まない、または(ii)抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、組成物または組合せ物が提供される。
【0233】
一態様では、(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはその断片;および(b)抗DNABII抗体またはその抗原結合断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるポリペプチドが提供される。
【0234】
一態様では、(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはその断片;および(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるポリペプチドであって、ただし、(i)ポリペプチドが、配列番号51~58のうちの1つもしくは複数、例えば、配列番号52を含まない、または(ii)抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、ポリペプチドが提供される。
【0235】
一部の実施形態では、ポリペプチドは、(a)と(b)との間に位置する切断可能なペプチドをさらに含む。
【0236】
さらなる態様では、本明細書で開示するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはこれと相補的なポリヌクレオチドが提供される。
【0237】
一態様では、(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはその断片;および(b)抗DNABII抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、あるいはこれと相補的なポリヌクレオチドが提供される。
【0238】
一態様では、(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはその断片;および(b)DNABIIタンパク質の先端ドメインを特異的に認識しこれに結合する抗体またはその抗原結合断片をコードするポリヌクレオチド、あるいはこれと相補的なポリヌクレオチドであって、ただし、(i)ポリヌクレオチドが、配列番号51~58のうちの1つもしくは複数、例えば、配列番号52をコードしない、または(ii)抗原結合断片が、Fab、必要に応じて、ポリクローナル抗体のFabを含まない、もしくは抗体が、ポリクローナル抗体を含まない、あるいは(i)および(ii)の両方である、ポリヌクレオチドが提供される。
【0239】
一部の実施形態では、(a)および(b)は、例えば、同じ調節配列(複数可)の指示の下で、1つの隣接ポリヌクレオチドによってコードされる。さらなる実施形態では、(a)および(b)は、異なる調節配列の指示の下で、1つの隣接ポリヌクレオチドによってコードされる、即ち、ポリヌクレオチドは、バイシストロニックである。他の実施形態では、(a)および(b)は、2つのポリヌクレオチドによってコードされる。
【0240】
一態様では、本明細書で開示するポリヌクレオチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるベクターが提供される。
【0241】
一態様では、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ物、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、または本明細書で開示するベクター、のうちの1つまたは複数を含む宿主細胞が提供される。一部の実施形態では、宿主細胞は、HMGB1ポリペプチドまたはその断片;および抗DNABII抗体またはその抗原結合断片を分泌する。一部の実施形態では、宿主細胞は、例えば、宿主細胞を培養し、組成物もしくは組合せ物、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、またはベクターを収集することによって、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ物、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、または本明細書で開示するベクターを産生する際に使用される。
【0242】
一態様では、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ物を産生する方法が提供される。この方法は、本明細書で開示するポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養すること、ならびに細胞培養物から、HMBG1ポリペプチドまたはその断片および抗DNABII抗体またはその抗原結合断片を単離するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはさらにそれからなる。別の態様では、本明細書で開示するポリペプチドを産生する方法が提供される。この方法は、本明細書で開示するポリヌクレオチドを含む宿主細胞を培養することおよび細胞培養物からポリペプチドを単離するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはさらにそれからなる。一部の実施形態では、この方法は、ポリヌクレオチド、またはポリヌクレオチドを含むベクターを宿主細胞に導入することをさらに含む。
【0243】
一態様では、(A)in vitroもしくはex vivoにおいてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(B)対象においてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(C)対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置すること、または(D)対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置すること、のうちの1つまたは複数のための方法が提供される。この方法は、対象に、
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片;および
(b)本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0244】
一態様では、対象において、バイオフィルムに直接隣接した好中球細胞外トラップ(NET)の形成を誘導または増加させるための方法、および必要に応じて炎症促進応答を誘導することなしに、バイオフィルムを破壊するための方法が提供される。この方法は、対象に、
(a)配列番号51~58のうちのいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列を含む高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド、またはそのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるその断片;および
(b)本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を投与するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0245】
一態様では、(A)in vitroもしくはex vivoにおいてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(B)対象においてバイオフィルムの形成を予防すること、もしくはバイオフィルムを破壊すること、(C)対象において、バイオフィルムを産生する微生物感染症を阻害、予防もしくは処置すること、または(D)対象において、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置すること、のうちの1つまたは複数のための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ物、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、本明細書で開示するベクター、または本明細書で開示する宿主細胞、のうちの1つまたは複数を投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0246】
一態様では、対象において、バイオフィルムに直接隣接した好中球細胞外トラップ(NET)の形成を誘導または増加させるための方法、および必要に応じて炎症促進応答を誘導することなしに、バイオフィルムを破壊するための方法が提供される。この方法は、対象に、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ物、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド、本明細書で開示するベクター、または本明細書で開示する宿主細胞、のうちの1つまたは複数を投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、ただし、HMGB1ポリペプチドは、配列番号51~58のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0247】
一部の実施形態では、この方法は、対象に、DNアーゼ酵素、抗生剤、抗微生物剤、抗感染剤、抗真菌剤、抗寄生生物剤、抗ウイルス剤、またはOMP P5、rsPilA、OMP 26、OMP P2、もしくはIV型Pilinを特異的に認識しこれに結合する抗体もしくはその抗原結合断片、のうちの1つまたは複数を投与することをさらに含む。
【0248】
一部の実施形態では、バイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態は、慢性非治癒性創傷、Burkholderia感染症、Burkholderia sp.に起因する肺感染症、静脈性潰瘍、糖尿病性足部潰瘍、耳感染症、洞感染症、尿路感染症、胃腸管の病気、院内肺炎、人工呼吸器関連肺炎、外科的インプラント関連感染症、肺感染症、気道感染症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、カテーテル関連感染症、留置デバイス関連感染症、植え込まれた補綴と関連付けられる感染症、骨髄炎、蜂巣炎、膿瘍、または歯周病のうちの1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0249】
一部の実施形態では、(a)の投与および(b)の投与は、同時にまたは逐次的に行われる。その上またはあるいは、(a)および(b)の投与は、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、またはそれよりも多くの回数反復される。
【0250】
投与ステップを必要に応じて含む、本明細書で開示する任意の方法(複数可)に関する一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、対象において、炎症促進性サイトカインのうちの1つまたは複数を低減させ、抗炎症性サイトカインのうちの1つまたは複数を増加させる。本明細書で開示する方法について、出願人は、本明細書で開示するHMGB1断片が、翻訳後修飾されていないが、それにもかかわらずDNA結合活性を保持することを、予想外に見出している。理論によって束縛されないが、出願人は、改変されたHMGB1断片が同様に機能すると考える。
【0251】
本明細書で開示する任意の態様(複数可)、任意の実施形態(複数可)および/または方法(複数可)に関する一部の態様では、本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドまたはその断片および本明細書で開示する抗DNABII抗体またはその抗原結合断片は、(例えば、薬学的に許容される担体を必要に応じてさらに含む同じ医薬組成物中で、および/または本明細書で開示する方法において、1つの組成物として同時に接触させる、もしくは投与することで)同じ組成物中で組み合わされ、この中に含有される。
【0252】
本明細書で開示する任意の態様(複数可)、任意の実施形態(複数可)および/または方法(複数可)に関する別の態様では、本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、第1の組成物(本明細書でHMGB1組成物と呼ばれ、必要に応じて、薬学的に許容される担体を必要に応じてさらに含む医薬組成物)であり、抗DNABII抗体またはその抗原結合断片は、第2のまたは別々の個別の組成物(本明細書で抗DNABII抗体組成物と呼ばれ、別の医薬組成物であり得る)として提供される。さらなる態様では、HMGB1組成物および抗DNABII抗体組成物の混合物は、本明細書で開示する方法において使用される本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドまたはその断片および抗DNABII抗体またはその抗原結合断片の両方を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる。一態様では、HMGB1組成物は、抗DNABII抗体組成物とは別々に(即ち、他方の非存在下で)、本明細書で開示する方法において接触または投与される。その上またはあるいは、HMGB1組成物は、抗DNABII抗体組成物と併せて(例えば、0.5時間以内に)、本明細書で開示する方法において接触または投与される。さらに別の態様では、HMGB1組成物は、それらの間にタイプギャップありまたはなしに、抗DNABII抗体組成物と順次、本明細書で開示する方法において接触または投与される。そのようなギャップは、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、1.5週間、2週間またはそれよりも長い時間から必要に応じて選択されるがこれらに限定されない、数分間~数週間であり得る。その上またはあるいは、HMGB1組成物および抗DNABII抗体組成物は、同じ投与経路で、例えば、静脈内で、または異なる投与経路で、本明細書で開示する方法において投与され得る。さらなる態様では、組成物は、意図した投与経路(複数可)に好適である、例えば、好適なpHを有する。理論に束縛されることは望まないが、一実施形態では、そのような組成物(複数可)、医薬組成物(複数可)、および/または薬学的に許容される担体(複数可)は、HMGB1ポリペプチドもしくはその断片および/または抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片を安定化し、ならびに/あるいはHMGB1ポリペプチドもしくはその断片および/または抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片の分解を予防する。
【0253】
本明細書で開示する方法に関する一部の態様では、この方法は、DNABIIポリペプチドに結合する抗体またはその抗体の抗原結合断片を、バイオフィルムを含有すると疑われる試料と接触させること、およびバイオフィルムと抗体またはその断片との結合を検出することによって、バイオフィルムを検出することをさらに含む。一態様では、検出抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの先端領域に結合する。別の態様では、検出抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの尾部領域に結合する。
【0254】
本明細書で説明される組成物または方法の使用のために対象をスクリーニングするための方法もまた提供される。このスクリーニング方法は、本明細書で開示する抗DNABII抗体、抗DNABIIポリペプチド、またはその抗体の抗原結合断片を、バイオフィルムを含む、対象から単離された生体試料と接触させること、および抗体またはその抗原結合断片の、試料中のいずれかのバイオフィルムへの結合を検出するステップを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一態様では、抗体の抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、またはFvの群から選択される。その上またはあるいは、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの先端領域に特異的に結合する。一態様では、DNABIIペプチドは、IHFペプチドである。一態様では、スクリーニング抗体または抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの先端領域に結合する。別の態様では、スクリーニング抗体または抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの尾部領域に結合する。
【0255】
一態様では、本明細書で開示する方法における使用のためのキットが提供される。このキットは、使用のための指示と、本明細書で開示する組成物もしくは組合せ物、本明細書で開示するポリペプチド、本明細書で開示するポリヌクレオチド(例えば、本明細書で開示するポリヌクレオチド)、本明細書で開示するベクター、または本明細書で開示する宿主細胞、のうちの1つまたは複数とを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0256】
HMGB組成物
一部の実施形態では、HMGBは、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である。一部の実施形態では、HMGBポリペプチドは、本明細書で使用される場合、本明細書で開示するHMGボックスドメイン(例えば、HMGB1、HMGB2、HMGB3またはHMGB4)、または変異した改変された高移動度群ボックスドメイン(例えば、mHMGB1、mHMGB2、mHMGB3またはmHMGB4)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、HMGBポリペプチドは、配列番号51~58、68~74、84~90または100~114のうちのいずれか1つまたは複数を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0257】
一部の実施形態では、HMGB1は、本明細書で開示するHMGB2、またはHMGB3、またはHMGB4、または別の等価物によって置換される。
【0258】
一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドは、K12、C23、C45、C106、またはK114における変異の群から選択される1つまたは複数の変異をさらに含む。一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドのAボックスは、K12、C23、またはC45における変異の群から選択される1つまたは複数の変異をさらに含む。一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドのBボックスは、C106またはK114における1つの変異または両方の変異をさらに含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の変異は、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異である。一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドは、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異をさらに含む。一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドは、C45Sの変異をさらに含む。さらなる実施形態では、HMGBポリペプチドは、HMGB2、HMGB3もしくはHMGB4、またはK12、C23、もしくはC45における改変されたHMGB1に対応する位置において、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンもしくはスレオニンへの変異を有する改変されたバージョンである。その上またはあるいは、変異体HMGB(mHMGB)は、C23S、C45S、およびC106Sに対応する位置において1つまたは複数の変異を含む。さらなる態様では、ポリペプチドは、対応するC45Sにおいて変異をさらに含む。
【0259】
一部の実施形態では、HMGB1変異のうちの1つまたは複数は、K12、C23、C45、C106、またはK114における変異の群から選択される。さらなる態様では、HMGB1変異のうちの1つまたは複数は、K12、C23、C45、C106、またはK114におけるセリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択される。その上またはあるいは、変異体HMGB1(mHMGB1)は、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含む。さらなる実施形態では、HMGBポリペプチドは、HMGB2、HMGB3もしくはHMGB4、またはK12、C23、C45、C106もしくはK114における改変されたHMGB1に対応する位置において、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンもしくはスレオニンへの変異を有する改変されたバージョンである。その上またはあるいは、変異体HMGB(mHMGB)は、C23S、C45S、およびC106Sに対応する位置において1つまたは複数の変異を含む。
【0260】
一部の実施形態では、HMGBポリペプチド、例えば、HMGB1ポリペプチドの断片は、そのBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、HMGB1ポリペプチドの断片またはHMGB1ポリペプチドは、本明細書で開示するBボックスポリペプチドまたは本明細書で開示するAボックスポリペプチドまたは本明細書で開示するA
Bボックスポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0261】
抗体組成物
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書で使用される場合、重鎖(HC)可変ドメイン配列および軽鎖(LC)可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、重鎖および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列は、DNABIIタンパク質のエピトープに結合する抗原結合性部位を形成する。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチド(例えば、IHFもしくはHUの先端領域もしくは先端チャイマー、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない、DNABIIペプチドの先端領域;ならびに/あるいはIHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない、DNABIIペプチドの尾部領域)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIに結合する。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIに結合する。
【0262】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの先端領域(即ち、先端ドメイン)または先端チャイマーに結合する。一態様では、DNABIIペプチドは、IHFペプチドである。一部の実施形態では、先端ドメインは、NFELRDKSSRPGRNPKTGDVV(配列番号31);SLHHRQPRLGRNPKTGDSVNL(配列番号32);
【化17】
(式中、「X」は、必要に応じたアミノ酸リンカー配列であり、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号38);
【化18】
(式中、「X
1」は、いずれかのアミノ酸である)(配列番号39);または
【化19】
から選択される1つまたは複数のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0263】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0264】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、HC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のいずれか1つのアミノ酸25~144を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメインを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、LC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号7、配列番号8、または配列番号9のいずれか1つのアミノ酸21~132を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメインおよびLC免疫グロブリン可変ドメインを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。さらなる実施形態では、HC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号1、配列番号2、または配列番号3のいずれか1つのアミノ酸25~144を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、LC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号7、配列番号8、または配列番号9のいずれか1つのアミノ酸21~132を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、HC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸25~144を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、LC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号7のアミノ酸21~132を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、HC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸25~144を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、LC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号8のアミノ酸21~132を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、HC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号1のいずれか1つのアミノ酸25~144を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、LC免疫グロブリン可変ドメインは、配列番号9のアミノ酸21~132を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0265】
一部の実施形態では、抗体は、IgA定常領域、IgD定常領域、IgE定常領域、IgG定常領域、またはIgM定常領域から必要に応じて選択される定常領域を含む。
【0266】
一部の実施形態では、その抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、またはFvを含む。
【0267】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、修飾されている。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ペグ化、ポリシアリル化、HES化(HESylation)またはグリコシル化から選択されるプロセスによって修飾されている。
【0268】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、またはモノクローナル抗体の抗原結合断片である。
【0269】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化またはヒトフレームワークを含む。
【0270】
一部の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、哺乳動物に由来する。さらなる実施形態では、抗体または抗原結合断片は、非ヒト哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ウサギ、ヤギ、ニワトリ、ウマ、イヌ、ネコまたはラマに由来する。他の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、ヒトに由来する。さらに他の実施形態では、抗体または抗原結合断片は、ヒト化されている。抗体または抗原結合断片の非限定的な例は、米国特許第8,999,291号、同第9,745,366号、同第10,940,204号;米国特許出願公開第2016-0175440号、同第2018-0303900号、同第2019-0338018号、同第2019-0337996号、同第2020-0190170号および同第2021-0139551号;ならびにPCT公開番号WO2021/007260中で見出すことができる。
【0271】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のアミノ酸(aa)25~aa144の群から選択される配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0272】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のaa25~aa473の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC);および/または配列番号7~9、14、または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13、24または26のアミノ酸(aa)25~aa473の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC);および/または配列番号14または25のaa21~aa239、配列番号27のaa21~aa233の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0273】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26の群から選択される配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC);および/または配列番号7~12、14、25、または27の群から選択される配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0274】
一部の実施形態では、、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26の群から選択される配列、またはその各々の等価物のいずれか1つまたはいずれか2つまたは3つ全てのCDR;および/または配列番号7~12、14、25または27の群から選択される配列、またはその各々の等価物のいずれか1つまたはいずれか2つまたは3つ全てのCDRを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0275】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13、24または26のaa25~aa144の群から選択される配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および配列番号14または25のaa21~aa132、配列番号27のaa21~aa126の群から選択される配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のaa25~aa144の群から選択される配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択される配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0276】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7~9、14または25のいずれか1つのaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7~9、14または25のいずれか1つのaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはあるいはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7~9、14または25のいずれか1つのaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0277】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126のいずれか1つのアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126のいずれか1つのアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126のいずれか1つのアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0278】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0279】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメインを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、もしくはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0280】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0281】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0282】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むかまたはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列、またはその等価物を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0283】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0284】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0285】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0286】
一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号24のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号25のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIに結合する。またさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。
【0287】
一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0288】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および配列番号27のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIに結合する。またさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0289】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号24のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号25のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの先端領域(IHFまたはHUの先端領域、IHFAまたはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIが挙げられるが、これらに限定されない)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIに結合する。なおさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号7のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号8のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号9のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号7のアミノ酸配列、またはそれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号8のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号9のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号7のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号8のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号9のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0290】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および配列番号27のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの尾部領域(IHFまたはHUの尾部領域、IHFAまたはIHFBの尾部領域、および/または尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIが挙げられるが、これらに限定されない)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIに結合する。なおさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号10のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号11のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号12のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号10のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号11のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号12のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号10のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号11のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号12のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0291】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号24のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号25のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIに結合する。またさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0292】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号26のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および配列番号27のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIに結合する。またさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。また別の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)、および/または配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0293】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3もしくは24の群から選択される配列のいずれか1つもしくはいずれか2つもしくは3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物、および/または配列番号7~9もしくは25の群から選択される配列のいずれか1つもしくはいずれか2つもしくは3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIに結合する。またさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~3もしくは24の群から選択される配列の3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物、および/または配列番号7~9もしくは25の群から選択される配列の3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0294】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4~6もしくは26の群から選択される配列のいずれか1つもしくはいずれか2つもしくは3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物、および/または配列番号10~12もしくは27の群から選択される配列のいずれか1つもしくはいずれか2つもしくは3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIペプチドの尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIに結合する。またさらなる実施形態では、断片は抗原結合断片である。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4~6もしくは26の群から選択される配列の3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物、および/または配列番号10~12もしくは27の群から選択される配列の3つ全てのCDRもしくはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる。
【0295】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供される抗体またはその抗原結合断片は、1つまたは複数のシグナルペプチドをさらに含む。一実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのアミノ酸(aa)1~aa24を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号7~12、14、25および27のいずれか1つのaa1~aa20を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、シグナルペプチドは、軽鎖可変領域のアミノ末端に位置する。その上またはあるいは、同じシグナルペプチドまたは異なるシグナルペプチドは、重鎖可変領域のアミノ末端に位置する。
【0296】
本明細書に提供される抗体またはその抗原結合断片は、単一特異性または二特異性であってもよい。一実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、三特異性、または四特異性、または五特異性である。その上またはあるいは、抗体は、IgA(例えば、IgA1またはIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)、またはIgM抗体の群から選択される。一実施形態では、抗体は、IgA定常領域(例えば、IgA1定常領域またはIgA2定常領域)、IgD定常領域、IgE定常領域、IgG定常領域(例えば、IgG1定常領域、IgG2定常領域、IgG3定常領域、またはIgG4定常領域)またはIgM定常領域の群から選択される定常領域をさらに含む。
【0297】
ある特定の実施形態では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも約80%(約80%~100%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む)のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。その上またはあるいは、アミノ酸配列に対する等価物は、アミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、アミノ酸配列に対する等価物は、そのアミノ酸配列に対して少なくとも80%(約80%~100%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む)の同一性であるポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片、または非限定的に、配列番号13、24もしくは26の25~aa144、配列番号14もしくは25のaa21~aa132、配列番号27のaa21~aa126、配列番号13、24もしくは26のaa25~aa473、配列番号14もしくは25のaa21~aa239、配列番号27のaa21~aa233を含む本明細書に開示される配列番号1~14および24~26のいずれか1つもしくは複数またはその断片)に対する等価物は、そのアミノ酸配列のうちの1つもしくは複数または全てのCDRを含むポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。その上またはあるいは、ポリペプチドは、アミノ酸配列に対して少なくとも約80%(約80%~100%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む)のアミノ酸同一性である。
【0298】
ある特定の実施形態では、アミノ酸配列に対する等価物、例えば、抗体、その抗原結合断片、その相補性決定領域(CDR)、またはCDR含有ポリペプチドは、CDRにおけるアミノ酸配列に対するアミノ酸の相違を欠く。しかし、アミノ酸配列に対する等価物、例えば、抗体、その抗原結合断片、そのCDRまたはCDR含有ポリペプチドは、非CDR領域におけるアミノ酸配列と比較したアミノ酸の相違のうちの1つまたは複数(例えば、非限定的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25)を含むが、但し、CDRの三次元配列および/またはCDRが保持されることを条件とする。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列に対して等価なポリペプチド、例えば、抗体、その抗原結合断片、そのCDRまたはCDR含有ポリペプチドは、アミノ酸配列に対して少なくとも約80%(約80~100%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%を含む)のアミノ酸同一性であるが、但し、CDRの三次元配列および/またはCDRが保持されることを条件とする。
【0299】
このような非CDR領域の非限定的な例には、フレームワーク領域(FR)、定常領域、Fc領域、pFc’領域、定常重鎖(CH)ドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3またはCH4)、定常軽鎖(CL)ドメイン、またはヒンジ領域が含まれる。一実施形態では、このようなアミノ酸の相違は、保存的アミノ酸置換であってもよく、および/または抗体、その抗原結合断片、そのCDRもしくはCDR含有ポリペプチドの三次元配列を変化させない。別の実施形態では、等価物は、CDRの境界内、例えば、CDRのアミノ末端、カルボキシ末端またはその両方の1つまたは2つのアミノ酸に保存的アミノ酸置換を含んでもよい。
【0300】
一態様では、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片のCDRのうちの1つまたは複数(例えば、いずれか1、または2、または3、または4、または5、または6個のCDR)が提供される。一実施形態では、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片のCDRのうちの1つまたは複数(例えば、いずれか1、または2、または3、または4、または5、または6個のCDR)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるCDRのセットが提供される。一実施形態では、本明細書に開示される可変領域のCDRL1、CDRL2およびCDRL3を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるCDRのセットが提供される。さらなる実施形態では、本明細書に開示される可変領域のCDRH1、CDRH2およびCDRH3を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるCDRのセットが提供される。またさらなる実施形態では、本明細書に開示される可変領域のCDRL1、CDRL2およびCDRL3、ならびに本明細書に開示される別の可変領域のCDRH1、CDRH2、CDRH3を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるCDRのセットが提供される。ある特定の実施形態では、CDRのセットはパラトープを構成する。その上またはあるいは、CDRのセットは、DNABIIペプチド(例えば、非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む先端領域および/または尾部領域)に特異的に結合する。さらなる実施形態では、本明細書に開示されるいずれか1つまたは複数のCDRを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体、その抗原結合断片、またはその各々の等価物が提供される。またさらなる実施形態では、本明細書に開示されるCDRのセットを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体、その抗原結合断片、またはその各々の等価物が提供される。
【0301】
ある特定の実施形態では、配列番号1~13のCDRが以下の表に例示される。ある特定の実施形態では、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのCDRH1は、それぞれ、配列番号1~6、13、24または26のアミノ酸(aa)50~aa57を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのCDRH2は、それぞれ、配列番号1~6、13、24または26のアミノ酸(aa)75~aa82を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つのCDRH3は、それぞれ、配列番号1~6、13、24または26のアミノ酸(aa)121~aa133を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9、14または25のいずれか1つのCDRL1は、それぞれ、配列番号7~9、14または25のアミノ酸(aa)47~aa57を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9、14または25のいずれか1つのCDRL2は、それぞれ、配列番号7~9、14または25のアミノ酸(aa)75~aa77を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9、14または25のいずれか1つのCDRL3は、それぞれ、配列番号7~9、14または25のアミノ酸(aa)114~aa122を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12または27のいずれか1つのCDRL1は、それぞれ、配列番号10~12または27のアミノ酸(aa)47~aa52を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12または27のいずれか1つのCDRL2は、それぞれ、配列番号10~12または27のアミノ酸(aa)70~aa72を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12または27のいずれか1つのCDRL3は、それぞれ、配列番号10~12または27のアミノ酸(aa)109~aa116を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0302】
ある特定の実施形態では、以下の2つの表において特定される通りのCDRが提供される。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【0303】
ある特定の実施形態では、対応する可変領域配列において、そのアミノ末端、またはカルボキシ末端またはその両方に、追加の1つのアミノ酸、またはあるいは2つのアミノ酸、またはあるいは3つのアミノ酸、またはあるいは4つのアミノ酸、またはあるいは5つのアミノ酸、またはあるいは6つのアミノ酸、またはあるいは7つのアミノ酸、またはあるいは8つのアミノ酸をさらに含む、本明細書で特定されたCDRである代替のCDRが提供される。その上またはあるいは、対応する可変領域配列において、そのアミノ末端、またはカルボキシ末端またはその両方で切断された1つのアミノ酸、またはあるいは2つのアミノ酸、またはあるいは3つのアミノ酸、またはあるいは4つのアミノ酸、またはあるいは5つのアミノ酸、またはあるいは6つのアミノ酸、またはあるいは7つのアミノ酸、またはあるいは8つのアミノ酸を有する、本明細書で特定されたCDRである代替のCDRが提供される。例えば、配列番号1のCDR1は、配列番号1のアミノ酸50~アミノ酸57であってもよい。しかし、配列番号1のCDR1は、配列番号1のアミノ酸42、または43、または44、または45、または46、または47、または48、または49、または50、または51、または52、または53、または54、または55、または56、または57、または58から開始することもできる。さらに、配列番号1のCDR1は、CDR1がその開始後に終止することを条件として、配列番号1のアミノ酸49、または50、または51、または52、または53、または54、または55、または56、または57、または58、または59、または60、または61、または62、または63、または64、または65で終止する。その上またはあるいは、CDRは、約1、またはあるいは約2、またはあるいは約3、またはあるいは約4、またはあるいは約5、またはあるいは約6、またはあるいは約7、またはあるいは約8、またはあるいは約9、またはあるいは約10、またはあるいは約11、またはあるいは約12、またはあるいは約13、またはあるいは約14、またはあるいは約15アミノ酸長である。
【0304】
ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸71~アミノ酸85を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸121~アミノ酸133を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸71~アミノ酸81を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸114~アミノ酸121を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸66~アミノ酸76を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸109~アミノ酸115を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0305】
ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR1は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸50~アミノ酸57を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸75~アミノ酸82を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸121および122を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR1は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸47~アミノ酸57を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸75~アミノ酸77を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸114および120を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR1は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸47~アミノ酸52を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸70~アミノ酸72を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸109および110を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0306】
ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR1は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸47~アミノ酸59を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号1~6のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号1~6の各々のアミノ酸74~アミノ酸83を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR1は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸44~アミノ酸59を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸74~アミノ酸81を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号7~9のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号7~9の各々のアミノ酸114および122を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR1は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸44~アミノ酸54を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR2は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸79~アミノ酸76を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、配列番号10~12のいずれか1つのCDR3は、それぞれ、配列番号10~12の各々のアミノ酸109および116を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0307】
一態様では、本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片の可変領域、および/またはその可変領域の等価物のうちの1つもしくは複数のうちの1つまたは複数が提供される。さらなる実施形態では、本明細書に開示される可変領域および/またはその可変領域の等価物のうちの1つもしくは複数のうちのいずれか1つまたはいずれか2つまたはそれより多くを含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体、その抗原結合断片、またはその各々の等価物が提供される。その上またはあるいは、可変領域のうちの1つまたは複数は、DNABIIペプチド(例えば、非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む先端領域および/または尾部領域)に特異的に結合する。ある特定の実施形態では、可変領域は、以下の:配列番号1~6、13、24および26のアミノ酸(aa)25~aa144、配列番号7~9、14および25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126、配列番号1~6、13、24および26のアミノ酸24~アミノ酸144、配列番号7~12、14、25および27のアミノ酸20~アミノ酸132、配列番号7~12、14、25および27のアミノ酸20~アミノ酸126から選択される。
【0308】
さらなる実施形態では、可変領域またはその等価物は、本明細書に提供される配列番号が対応する配列において、そのアミノ末端、またはカルボキシ末端またはその両方に、追加の1つのアミノ酸、またはあるいは2つのアミノ酸、またはあるいは3つのアミノ酸、またはあるいは4つのアミノ酸、またはあるいは5つのアミノ酸、またはあるいは6つのアミノ酸、またはあるいは7つのアミノ酸、またはあるいは8つのアミノ酸をさらに有する、本明細書に開示される可変領域である。その上またはあるいは、可変領域またはその等価物は、本明細書に提供される配列番号が対応する配列において、そのアミノ末端、またはカルボキシ末端またはその両方で切断された、1つのアミノ酸、またはあるいは2つのアミノ酸、またはあるいは3つのアミノ酸、またはあるいは4つのアミノ酸、またはあるいは5つのアミノ酸、またはあるいは6つのアミノ酸、またはあるいは7つのアミノ酸、またはあるいは8つのアミノ酸を有する、本明細書に開示される可変領域である。例えば、配列番号1の可変領域は、配列番号1のアミノ酸50~アミノ酸57であってもよい。しかし、配列番号1のアミノ酸24~アミノ酸144からなる可変領域に関する可変領域またはその等価物はまた、配列番号1のアミノ酸16、または17、または18、または19、または20、または21、または22、または23、または24、または25、または26、または27、または28、または29、または30、または31、または32から開始し得る。さらに、配列番号1のアミノ酸24~アミノ酸144からなる可変領域に関する可変領域またはその等価物は、可変領域がその開始後に終止することを条件として、配列番号1のアミノ酸136、または137、または138、または139、または140、または141、または142、または143、または144、または145、または146、または147、または148、または149、または150、または151、または152で終止し得る。その上またはあるいは、可変領域は、約90アミノ酸長~約200アミノ酸長、例えば、約100アミノ酸長、またはあるいは約110アミノ酸長、またはあるいは約120アミノ酸長、またはあるいは約130アミノ酸長、またはあるいは約140アミノ酸長、またはあるいは約150アミノ酸長、またはあるいは約160アミノ酸長、またはあるいは約170アミノ酸長、またはあるいは約180アミノ酸長、またはあるいは約190アミノ酸長、またはあるいは約200アミノ酸長である。
【0309】
その上またはあるいは、抗体またはその抗原結合断片に対する等価物は、可変ドメイン以外の領域(本明細書で非VH領域と称される)における抗体またはその抗原結合断片と比較して、アミノ酸の相違のうちの1つまたは複数(例えば、非限定的に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個)を含む。このような非VH領域には、非限定的に、定常領域、Fc領域、pFc’領域、定常重鎖(CH)ドメイン(例えば、CH1、CH2、CH3またはCH4)、定常軽鎖(CL)ドメイン、またはヒンジ領域が含まれる。本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、またはその各々の等価物が、非VH領域においてさらに改変され(例えば、重鎖の軽鎖とのアセンブリーを増加させるため、検出可能なマーカーもしくは薬物または精製マーカーもしくは薬物に直接的または間接的にコンジュゲートするため、相補物の活性化を増加または低下させるため、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を増強または低減させるため、あるいは免疫細胞の活性化および動員を増加または減少させるため)、さらなる等価物を提供できることが、当業者によって理解されるであろう。
【0310】
ある特定の実施形態では、等価物は、アミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれかに、またはその両方に、最大50、またはあるいは最大30、またはあるいは最大25、またはあるいは最大20、またはあるいは最大15、またはあるいは最大10、またはあるいは最大5個のランダムなアミノ酸をさらに含む。ある特定の実施形態では、アミノ酸配列の等価物は、アミノ末端もしくはカルボキシ末端またはその両方で切断されたアミノ酸配列、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20または25個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。このような付加および切断は、CDRの三次元配列および/または抗体、その抗原結合断片、そのCDRもしくはCDR含有ペプチドの三次元配列を変化させなくてもよい。
【0311】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は軽鎖および重鎖を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、さらに必要に応じて軽鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含み、さらに必要に応じて重鎖は、配列番号1~6、13、24または26のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、抗体またはその抗原結合断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含む。
【0312】
一態様では、CDRH1は、GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRH1は、aASGFTFRTYAMS(配列番号24のaa47~aa59)、ここで、小文字のaはAである(配列番号1または2のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはKである(配列番号3のaa47~aa59)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0313】
追加的にまたは代替的に、一態様では、CDRH2は、IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRH2は、IGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa75~aa83)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の態様では、CDRH2は、TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる態様では、CDRH2は、WVATIGSDRRHTYYP(配列番号1または2または3または24のaa71~aa85)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0314】
追加的にまたは代替的に、CDRL1は、rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0315】
追加的にまたは代替的に、一態様では、CDRL2は、LVSKlDS(配列番号25のaa75~aa81)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa81)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRL2は、YLVSKlDS(配列番号25のaa74~aa81)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa81)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なお別の態様では、CDRL2は、LVSKlDSG(配列番号25のaa75~aa82)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa82)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa82)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる態様では、CDRL2は、YLVSKlDSGV(配列番号25のaa74~aa83)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa83)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa83)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。なおさらなる態様では、CDRL2は、RLIYLVSKlDSGVPD(配列番号25のaa71~aa85)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa71~aa85)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa71~aa85)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0316】
追加的にまたは代替的に、一態様では、CDRL3は、WQGTHFPY(配列番号7または8または9または25のaa114~aa121)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRL3は、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0317】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0318】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0319】
一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)aASGFTFRTYAMS(配列番号24のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、ここで、小文字のaはAである(配列番号1または2のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはKである(配列番号3のaa47~aa59);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59);
(v)YLVSKlDS(配列番号25のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa81);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0320】
別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFRTYAMS(配列番号1または2のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号7のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号7のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0321】
なお別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFRTYAMS(配列番号1または2のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKRDS(配列番号8のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0322】
一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFRTYAMS(配列番号1または2のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号9のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号9のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0323】
別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)KASGFTFRTYAMS(配列番号3のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号7のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号7のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0324】
なお別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)KASGFTFRTYAMS(配列番号3のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKRDS(配列番号8のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0325】
一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)KASGFTFRTYAMS(配列番号3のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号9のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号9のaa74~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0326】
別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59);
(v)LVSKlDS(配列番号25のaa75~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa81);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0327】
なお別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号7のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVSKLDS(配列番号7のaa75~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0328】
一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVSKRDS(配列番号8のaa75~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0329】
別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号9のaa44~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVSKLDS(配列番号9のaa75~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0330】
なお別の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFP(配列番号7または8または9または25のaa114~aa120)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0331】
追加的に、
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(すなわち、変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であって、必要に応じてHMGB、必要に応じてHMGB1ポリペプチドのBボックスまたはAボックスまたは両方(例えば、ABボックス)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる断片であり、必要に応じてHMGBポリペプチドまたはHMGB1ポリペプチドまたはその断片は、単離されているか、または操作されているか、または両方である、HMGBポリペプチド;および
(b)以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ER(配列番号4または5または6または26のaa121~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQ(配列番号10または11または12または27のaa109~aa110)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその抗原結合断片
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる組成物または組合せ物が提供される。
【0332】
一態様では、CDRH1は、GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRH1は、aASGFTFSRYGMS(配列番号:26のaa47~aa59)、ここで、小文字のaはAである(配列番号4または5のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはTである(配列番号6のaa47~aa59)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0333】
追加的にまたは代替的に、一態様では、CDRH2は、ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRH2は、TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0334】
追加的にまたは代替的に、CDRH3は、ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0335】
追加的にまたは代替的に、CDRL1は、RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0336】
追加的にまたは代替的に、一態様では、CDRL2は、YTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa76)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、CDRL2は、YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0337】
追加的にまたは代替的に、CDRL3は、QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0338】
一態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0339】
別の態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0340】
なお別の態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)aASGFTFSRYGMS(配列番号:26のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、ここで、小文字のaはAである(配列番号4または5のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはTである(配列番号6のaa47~aa59);
(ii)TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0341】
一態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFSRYGMS(配列番号4または5のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0342】
別の態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)TASGFTFSRYGMS(配列番号6のaa47~aa59)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0343】
なお別の態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa76)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0344】
一態様では、組成物または組合せ物は、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)配列ER(配列番号4または5または6または26のaa121~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQ(配列番号10または11または12または27のaa109~aa110)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0345】
ある特定の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、
(i)配列番号1~6、13、24もしくは26の群から選択される配列のCDR1~3;および/または
(ii)配列番号7~12、14、25もしくは27の群から選択される配列のCDR1~3
を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0346】
一部の態様では、抗体は、二重特異性抗体、三重特異性抗体、四重特異性抗体、または五重特異性抗体の群から選択される。
【0347】
一部の態様では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM抗体の群から選択される。
【0348】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、IgA定常領域、IgD定常領域、IgE定常領域、IgG定常領域またはIgM定常領域の群から選択される定常領域をさらに含む。さらなる態様では、定常領域は、IgG1定常領域である。またさらなる態様では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1~6、13、24もしくは26の重鎖(HC)定常領域、および/または配列番号7~12、14、25もしくは27の軽鎖(LC)定常領域をさらに含む。一態様では、HC定常領域は、配列番号1~6、13、24または26の定常領域(必要に応じて、配列番号1~6、13、24または26のaa145~aa473から選択される配列)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、HC定常領域は、配列番号15~22のうちのいずれか1つの定常領域を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一態様では、LC定常領域は、配列番号7~12または27の定常領域(必要に応じて、配列番号7~9、14もしくは25のaa133~aa239、および/または配列番号10~12もしくは27のaa127~aa233から選択される配列)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。別の態様では、LC定常領域は、配列番号23の定常領域を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0349】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIへの結合について競合する。一態様では、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIは、RPGRNPX1TGDVVPVSARRVV-X-FSLHHRQPRLGRNPX1TGDSV(配列番号38)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、式中、「X」は、必要に応じて、1アミノ酸~20アミノ酸の間を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、必要に応じたアミノ酸リンカー配列であり、「X1」は、いずれかのアミノ酸であるか、またはあるいは「X1」は、アミノ酸Q、R、K、SもしくはTから選択される。さらなる態様では、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIは、RPGRNPKTGDVVPVSARRVV-X-FSLHHRQPRLGRNPKTGDSV(配列番号39)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、式中、「X」は、必要に応じて、1アミノ酸~20アミノ酸の間を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、必要に応じたアミノ酸リンカー配列である。またさらなる態様では、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIは、
【化20】
を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0350】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIへの結合について競合する。一態様では、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIは、FLEEIRLSLESGQDVKLSGF-X-TLSAKEIENMVKDILEFISQ(配列番号41)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、式中、「X」は、必要に応じて、1アミノ酸~20アミノ酸の間を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、必要に応じたアミノ酸リンカー配列である。さらなる態様では、尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIは、FLEEIRLSLESGQDVKLSGFGPSLTLSAKEIENMVKDILEFISQ(配列番号50)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0351】
一部の態様では、アミノ酸リンカーは、GGSGGS(配列番号42)、GPSLKL(配列番号43)、GGG(配列番号44)、GPSL(配列番号45)、GPS(配列番号46)、PSLK(配列番号47)、GPSLK(配列番号48)、またはSLKL(配列番号49)の群から選択される。
【0352】
一部の態様では、抗体は、ポリクローナル、モノクローナルまたはヒト化抗体の群から選択される。
【0353】
一部の態様では、断片は、抗原結合断片である。さらなる態様では、抗原結合断片は、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、またはFvの群から選択される。
【0354】
一部の態様では、HMGBポリペプチドもしくはその断片、または抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片のいずれかまたは両方は、検出可能なマーカーまたは精製マーカーをさらに含む。
【0355】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、VHのアミノ末端および/またはVLのアミノ末端において、シグナルペプチドを含む。一実施形態では、VHシグナルペプチドは、VLシグナルペプチドとは異なる。別の実施形態では、VHシグナルペプチドは、VLシグナルペプチドと比較して同じである。さらなる実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号1のアミノ酸1~24のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、シグナルペプチドは、配列番号7のアミノ酸1~20のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片に対する等価物は、抗体のシグナルペプチド(複数可)とは異なるシグナルペプチドを含み、ただし、等価物のシグナルペプチドは、抗体のシグナルペプチド(複数可)と同じ細胞場所へと、VHおよび/またはVLを指向させる。
【0356】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片に対する等価物は、抗体または抗原結合断片の機能的活性の少なくとも50%(例えば、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%)を保持するか、またはそのうちの1つまたは複数を改善する。このような機能的活性には、非限定的に、DNABIIペプチド(例えば、非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む先端領域および/または尾部領域)に対する結合特異性、結合アビディティーおよび/または親和性が含まれ、in vivoもしくはin vitroでのバイオフィルムの形成を予防するか、またはin vivoもしくはin vitroでバイオフィルムを破壊する。このような機能的活性を定量する方法は、実施例において例証される。
【0357】
さらなる態様では、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片と、エピトープへの結合について競合する。抗体またはその抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および/またはヒト化抗体またはその抗原結合断片であってもよい。
【0358】
一態様では、抗体は、二特異性抗体または三特異性、四特異性もしくは五特異性抗体である。さらなる態様では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgM抗体である。別の態様では、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgGまたはIgM定常領域から選択される定常領域をさらに含む。具体的態様では、定常領域は、IgG1定常領域である。別の態様では、抗体は、本明細書に開示される抗体と、エピトープへの結合について競合する。これらは、従来の技法、例えば競合的ELISAを使用して同定することができる。
【0359】
本明細書に開示される抗体は、ポリクローナル、モノクローナルまたはヒト化であってもよい。一態様では、抗体は、DNABIIポリペプチドの「先端」領域、例えばHUまたはIHF(例えば、IhfAおよびIhfB)に結合する。さらなる態様では、抗体は、DNABIIポリペプチドの「尾部」領域、例えば、HUまたはIHF(例えば、IhfAおよびIhfB)に結合する。上記のように、本開示は抗原結合断片を提供する。抗原結合断片は、当業者に公知の従来の技法を使用して調製することができる、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFvまたはFvのいずれか1つである。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体またはその抗原結合断片は、可溶性Fabである。別の態様では、本開示は、本明細書に開示される抗体のFab断片であって、抗体またはその抗原結合断片が、DNABIIペプチドの先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に特異的に結合する、Fab断片を提供する。本開示の一態様では、DNABIIは、IHFまたはHUペプチドである。具体的態様では、DNABIIはIHFペプチドである。
【0360】
上記のように、本開示は、抗体および抗原結合断片に対する等価物を提供する。等価物は、ポリペプチドと少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチド、またはそのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含み得る。
【0361】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、500ng/mL未満、またはあるいは250ng/mL未満、またはあるいは200ng/mL未満、またはあるいは150ng/mL未満、またはあるいは100ng/mL未満、またはあるいは90ng/mL未満、またはあるいは80ng/mL未満、またはあるいは70ng/mL未満、またはあるいは65ng/mL未満、またはあるいは60ng/mL未満、またはあるいは55ng/mL未満、またはあるいは50ng/mL未満、またはあるいは45ng/mL未満、またはあるいは40ng/mL未満、またはあるいは35ng/mL未満、またはあるいは30ng/mL未満の半数最大有効濃度(EC50)で、DNABIIタンパク質(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。さらなる実施形態では、このようなEC50は、実施例において示したELISA方法を使用して決定される。
【0362】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、10-4M、10-5M、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、または10-12M未満の平衡定数KDで、DNABIIタンパク質(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、1000nM未満、またはあるいは900nM未満、またはあるいは800nM未満、またはあるいは700nM未満、またはあるいは600nM未満、またはあるいは500nM未満、またはあるいは400nM未満、またはあるいは300nM未満、またはあるいは200nM未満、またはあるいは100nM未満、またはあるいは90nM未満、またはあるいは80nM未満、またはあるいは70nM未満、またはあるいは60nM未満、またはあるいは50nM未満、またはあるいは40nM未満、またはあるいは30nM未満、またはあるいは20nM未満、またはあるいは15nM未満、またはあるいは10nM未満、またはあるいは9nM未満、またはあるいは8nM未満、またはあるいは7nM未満、またはあるいは6nM未満、またはあるいは5nM未満、またはあるいは4nM未満、またはあるいは3nM未満、またはあるいは2nM未満、またはあるいは1nM未満のKDで、DNABIIタンパク質に結合する。一実施形態では、このようなKDは、実施例に示される表面プラズモン共鳴(SPR)方法を使用して決定される。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗原結合性部位は、DNABIIタンパク質に特異的に結合する。
【0363】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、1.0E-02s-1未満、またはあるいは9.0E-03s-1未満、またはあるいは8.0E-03s-1未満、またはあるいは7.0E-03s-1未満、またはあるいは6.0E-03s-1未満、またはあるいは5.0E-03s-1未満、またはあるいは4.0E-03s-1未満、またはあるいは3.0E-03s-1未満、またはあるいは2.0E-03s-1未満、またはあるいは1.0E-03s-1未満、またはあるいは9.0E-04s-1未満、またはあるいは8.0E-04s-1未満、またはあるいは7.0E-04s-1未満、またはあるいは6.0E-04s-1未満、またはあるいは5.0E-04s-1未満、またはあるいは4.0E-04s-1未満、またはあるいは3.0E-04s-1未満、またはあるいは2.0E-04s-1未満、またはあるいは1.0E-04s-1未満、またはあるいは9.0E-05s-1未満、またはあるいは8.0E-05s-1未満、またはあるいは7.0E-05s-1未満、またはあるいは6.0E-05s-1未満、またはあるいは5.0E-05s-1未満、またはあるいは4.0E-05s-1未満、またはあるいは3.0E-05s-1未満、またはあるいは2.0E-05s-1未満、またはあるいは1.0E-05s-1未満のKoffで、DNABIIタンパク質(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、このようなKoffは、実施例に示される表面プラズモン共鳴(SPR)方法を使用して決定される。
【0364】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、9.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは8.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは7.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは6.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは5.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは4.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは3.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは2.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは1.0E-02M-1s-1未満、またはあるいは9.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは8.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは7.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは6.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは5.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは4.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは3.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは2.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは1.0E-03M-1s-1未満、またはあるいは9.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは8.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは7.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは6.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは5.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは4.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは3.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは2.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは1.0E-04M-1s-1未満、またはあるいは9.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは8.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは7.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは6.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは5.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは4.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは3.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは2.0E-05M-1s-1未満、またはあるいは1.0E-05M-1s-1未満のKonで、DNABIIタンパク質(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、このようなKonは、実施例に示される表面プラズモン共鳴(SPR)方法を使用して決定される。
【0365】
本発明の一部の態様では、IhfA5-mIhfB4NTHI先端キメラペプチド(1/Mで)に関する結合定数KAは、約3E+05~約2E+08である。別の態様では、KAは、約3E+05~約1E+08、またはあるいは約2E+05~約1E+08、またはあるいは約1E+05~約1E+08、またはあるいは約1E+06~約1E+08、またはあるいは約1E+07~約1E+08、またはあるいは約1E+04~約1E+09、あるいは約1E+05~約1E+09、あるいは約1E+06~約1E+09、あるいは約1E+07~約1E+09、あるいは約1E+08~約1E+09、あるいは約1E+04~約1E+09、またはあるいは約1E+03~約1E+10である。
【0366】
別の態様では、IhfA5-mIhfB4NTHI先端キメラペプチド(Mで)に関する解離定数KDは、約5E-09~約3E-06、またはあるいは約1E-09~約1E-06、またはあるいは約1E-08~約1E-05、またはあるいは約1E-07~約1E-05、またはあるいは約1E-06~約1E-05、またはあるいは約1E-09~約1E-08、またはあるいは約1E-08~約1E-07、またはあるいは約1E-9~約1E-08、またはあるいは約1E-10~約1E-09、またはあるいは約1E-11~約1E-10である。
【0367】
一態様では、IhfA3-IhfB2NTHI尾部キメラペプチド(1/Mで)に関するKAは、約7E+06~約2E+09、またはあるいは約1E+05~約1E+08、またはあるいは約1E+06~約1E+08、またはあるいは約1E+07~約1E+08、またはあるいは約1E+04~約1E+09、あるいは約1E+05~約1E+09、あるいは約1E+06~約1E+09、あるいは約1E+07~約1E+09、あるいは約1E+08~約1E+09、あるいは約1E+04~約1E+09、またはあるいは約1E+03~約1E+10、またはあるいは約1E+03~約1E+11、またはあるいは約1E+03~約1E+12、またはあるいは約1E+09~約1E+10、またはあるいは約1E+10~約1E+11、またはあるいは約1E+11~約1E+12である。
【0368】
別の態様では、IhfA3-IhfB2NTHI尾部キメラペプチド(Mで)に関するKDは、約6E-10~約2E-07、またはあるいは約1E-09~約1E-06、またはあるいは約1E-08~約1E-05、またはあるいは約1E-07~約1E-05、またはあるいは約1E-06~約1E-05、またはあるいは約1E-09~約1E-08、またはあるいは約1E-08~約1E-07、またはあるいは約1E-9~約1E-08、またはあるいは約1E-10~約1E-09、またはあるいは約1E-11~約1E-10、またはあるいは約1E-11~約1E-12である。
【0369】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、少なくとも約10%、またはあるいは少なくとも約15%、またはあるいは少なくとも約20%、またはあるいは少なくとも約25%、またはあるいは少なくとも約30%、またはあるいは少なくとも約35%、またはあるいは少なくとも約40%、またはあるいは少なくとも約45%、またはあるいは少なくとも約50%、またはあるいは少なくとも約55%、またはあるいは少なくとも約60%、またはあるいは少なくとも約65%、またはあるいは少なくとも約70%、またはあるいは少なくとも約75%、またはあるいは少なくとも約80%、またはあるいは少なくとも約85%、またはあるいは少なくとも約90%、またはあるいは少なくとも約95%、in vitroでバイオフィルムのバイオマスを低減する。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、約1%未満、またはあるいは約2%未満、またはあるいは約3%未満、またはあるいは約4%未満、またはあるいは約5%未満、またはあるいは約6%未満、またはあるいは約7%未満、またはあるいは約8%未満、またはあるいは約9%未満、またはあるいは約10%未満、またはあるいは約12%未満、またはあるいは約15%未満、またはあるいは約20%未満、またはあるいは約25%未満、またはあるいは約30%未満、またはあるいは約35%未満、またはあるいは約40%未満、またはあるいは約45%未満、またはあるいは約50%未満、in vitroでバイオフィルムのバイオマスを低減する。一実施形態では、このようなバイオマスの変化は、実施例3または4に示される方法を使用して決定される。
【0370】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、少なくとも約10%、またはあるいは少なくとも約15%、またはあるいは少なくとも約20%、またはあるいは少なくとも約25%、またはあるいは少なくとも約30%、またはあるいは少なくとも約35%、またはあるいは少なくとも約40%、またはあるいは少なくとも約45%、またはあるいは少なくとも約50%、またはあるいは少なくとも約55%、またはあるいは少なくとも約60%、またはあるいは少なくとも約65%、またはあるいは少なくとも約70%、またはあるいは少なくとも約75%、またはあるいは少なくとも約80%、またはあるいは少なくとも約85%、またはあるいは少なくとも約90%、またはあるいは少なくとも約91%、またはあるいは少なくとも約92%、またはあるいは少なくとも約93%、またはあるいは少なくとも約94%、またはあるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約96%、またはあるいは少なくとも約97%、またはあるいは少なくとも約98%、またはあるいは少なくとも約99%、対象において細菌負荷を低減する。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、約1%未満、またはあるいは約2%未満、またはあるいは約3%未満、またはあるいは約4%未満、またはあるいは約5%未満、またはあるいは約6%未満、またはあるいは約7%未満、またはあるいは約8%未満、またはあるいは約9%未満、またはあるいは約10%未満、またはあるいは約12%未満、またはあるいは約15%未満、またはあるいは約20%未満、またはあるいは約25%未満、またはあるいは約30%未満、またはあるいは約35%未満、またはあるいは約40%未満、またはあるいは約45%未満、またはあるいは約50%未満、対象において細菌負荷を低減する。一実施形態では、細菌負荷におけるこのような変化は、実施例に示される方法を使用して決定される。
【0371】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、少なくとも約10%、またはあるいは少なくとも約15%、またはあるいは少なくとも約20%、またはあるいは少なくとも約25%、またはあるいは少なくとも約30%、またはあるいは少なくとも約35%、またはあるいは少なくとも約40%、またはあるいは少なくとも約45%、またはあるいは少なくとも約50%、またはあるいは少なくとも約55%、またはあるいは少なくとも約60%、またはあるいは少なくとも約65%、またはあるいは少なくとも約70%、またはあるいは少なくとも約75%、またはあるいは少なくとも約80%、またはあるいは少なくとも約85%、またはあるいは少なくとも約90%、またはあるいは少なくとも約91%、またはあるいは少なくとも約92%、またはあるいは少なくとも約93%、またはあるいは少なくとも約94%、またはあるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約96%、またはあるいは少なくとも約97%、またはあるいは少なくとも約98%、またはあるいは少なくとも約99%、中耳炎(OM)を有する対象における中耳閉塞を低減する。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、約1%未満、またはあるいは約2%未満、またはあるいは約3%未満、またはあるいは約4%未満、またはあるいは約5%未満、またはあるいは約6%未満、またはあるいは約7%未満、またはあるいは約8%未満、またはあるいは約9%未満、またはあるいは約10%未満、またはあるいは約12%未満、またはあるいは約15%未満、またはあるいは約20%未満、またはあるいは約25%未満、またはあるいは約30%未満、またはあるいは約35%未満、またはあるいは約40%未満、またはあるいは約45%未満、またはあるいは約50%未満、中耳炎(OM)を有する対象における中耳閉塞を低減する。一実施形態では、中耳閉塞のこのような変化は、実験OMモデルにおいて実施例で示される方法を使用して決定される。
【0372】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、少なくとも約10%、またはあるいは少なくとも約15%、またはあるいは少なくとも約20%、またはあるいは少なくとも約25%、またはあるいは少なくとも約30%、またはあるいは少なくとも約35%、またはあるいは少なくとも約40%、またはあるいは少なくとも約45%、またはあるいは少なくとも約50%、またはあるいは少なくとも約55%、またはあるいは少なくとも約60%、またはあるいは少なくとも約65%、またはあるいは少なくとも約70%、またはあるいは少なくとも約75%、またはあるいは少なくとも約80%、またはあるいは少なくとも約85%、またはあるいは少なくとも約90%、またはあるいは少なくとも約91%、またはあるいは少なくとも約92%、またはあるいは少なくとも約93%、またはあるいは少なくとも約94%、またはあるいは少なくとも約95%、またはあるいは少なくとも約96%、またはあるいは少なくとも約97%、またはあるいは少なくとも約98%、またはあるいは少なくとも約99%、粘膜バイオフィルムを有する(例えば、OMを有する)対象における相対的粘膜バイオフィルムスコアおよび/またはバイオマススコアを低減する。一実施形態では、DNABIIタンパク質の先端領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、少なくとも約0.5、またはあるいは少なくとも約1、またはあるいは少なくとも約1.5、またはあるいは少なくとも約2、またはあるいは少なくとも約2.5、またはあるいは少なくとも約3、またはあるいは少なくとも約3.5、またはあるいは少なくとも約4、粘膜バイオフィルムを有する(例えば、OMを有する)対象における相対的粘膜バイオフィルムスコアおよび/またはバイオマススコアを低減する。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、約1%未満、またはあるいは約2%未満、またはあるいは約3%未満、またはあるいは約4%未満、またはあるいは約5%未満、またはあるいは約6%未満、またはあるいは約7%未満、またはあるいは約8%未満、またはあるいは約9%未満、またはあるいは約10%未満、またはあるいは約12%未満、またはあるいは約15%未満、またはあるいは約20%未満、またはあるいは約25%未満、またはあるいは約30%未満、またはあるいは約35%未満、またはあるいは約40%未満、またはあるいは約45%未満、またはあるいは約50%未満、粘膜バイオフィルムを有する(例えば、OMを有する)対象における相対的粘膜バイオフィルムスコアおよび/またはバイオマススコアを低減する。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、DNABIIタンパク質の尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、約0.1未満、またはあるいは約0.2未満、またはあるいは約0.3未満、またはあるいは約0.4未満、またはあるいは約0.5未満、またはあるいは約0.6未満、またはあるいは約0.7未満、またはあるいは約0.8未満、またはあるいは約0.9未満、またはあるいは約1未満、またはあるいは約1.5未満、またはあるいは約2未満、またはあるいは約2.5未満、粘膜バイオフィルムを有する(例えば、OMを有する)対象における相対的粘膜バイオフィルムスコアおよび/またはバイオマススコアを低減する。一実施形態では、このようなスコアは、実施例に示される方法を使用して決定される。
【0373】
ある特定の実施形態では、DNABIIタンパク質は、HUまたはIHFである。さらなる実施形態では、DNABIIタンパク質は、IhfA、IhfBまたはその両方である。さらにさらなる実施形態では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、DNABIIタンパク質の先端領域または尾部領域(非限定的に、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含む)に結合する。一実施形態では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、IhfA5-mIhfB4NTHI先端キメラペプチドに結合する。別の実施形態では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチドまたはCDRは、IhfA3-IhfB2NTHI尾部キメラペプチドに結合する。
【0374】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体またはその抗原結合断片は可溶性Fabである。
【0375】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、HCおよびLC可変ドメイン配列は、同じポリペプチド鎖の構成成分である。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、HCおよびLC可変ドメイン配列は、異なるポリペプチド鎖の構成成分である。
【0376】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体は、全長抗体である。
【0377】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体もしくはその抗原結合断片は、キメラまたはヒト化である。
【0378】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体もしくはその抗原結合断片は、Fcドメインを含む。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体は、非ヒト動物、例えば、ラット、羊、ウシ、イヌ、ネコまたはウサギ抗体である。本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体は、ヒトもしくはヒト化抗体である、またはヒトにおいて非免疫原性である。
【0379】
本明細書に提供される抗体の態様の一部では、抗体もしくはその抗原結合断片は、ヒト抗体フレームワーク領域を含む。LCおよびHC配列に融合され得るフレームワーク領域の例は当技術分野で公知であり、このようなものの例は、配列番号15~23、またはその各々の等価物において提供される。
【0380】
他の態様では、本明細書に提供される抗体のCDRにおける1つまたは複数のアミノ酸残基は、別のアミノ酸で置換される。置換は、同じアミノ酸ファミリー内の置換であるという意味で「保存的」となることができる。天然に存在するアミノ酸は、次の4つのファミリーに分けることができ、保存的置換は、これらのファミリー内で行われる。
1)塩基性側鎖を有するアミノ酸:リシン、アルギニン、ヒスチジン。
2)酸性側鎖を有するアミノ酸:アスパラギン酸、グルタミン酸
3)無電荷極性側鎖を有するアミノ酸:アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン。
4)非極性側鎖を有するアミノ酸:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン、システイン。
【0381】
別の態様では、1つまたは複数のアミノ酸残基が、抗体の1つまたは複数のCDRに付加されるまたはこれから欠失される。斯かる付加または欠失は、CDRのNもしくはC末端でまたはCDR内の位置で起こる。
【0382】
アミノ酸の付加、欠失または置換によって抗体のCDRのアミノ酸配列を変動させることにより、標的抗原に対する結合親和性増加等、様々な効果を得ることができる。
【0383】
斯かる変動されたCDR配列を含む本開示の抗体が、依然として、開示されている抗体と同様の特異性および感度プロファイルで、DNABIIタンパク質に結合することを十分に理解するべきである。このことは、ELIZAまたはSPRなどの結合アッセイによって検査することができる。
【0384】
さらなる態様では、抗体は、適切なアッセイおよびスクリーニングを使用して決定される通り、免疫優性および免疫保護の両方であることによって特徴付けられる。
【0385】
一部の態様では、抗体またはその抗原結合断片は、修飾されている。別の態様では、抗体は、従来の技法によって修飾することができ、これらは、一態様では、抗体の半減期を増加させることができ、例えば、PEG化、PEGミメティック、ポリシアリル化、HES化またはグリコシル化を増加させることができる。
【0386】
抗体および抗原結合断片は、検出可能なマーカーまたは精製マーカーをさらに含むことができる。
抗体およびその誘導体
【0387】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、本明細書に開示される方法における使用のための、単離されたポリペプチドに結合する、および/またはこれを特異的に認識して結合する。抗体は、本明細書に記載される様々な抗体のいずれかとなることができ、そのようなものの非限定的な例は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、ベニア化(veneered)抗体、ダイアボディ(diabody)、ヒト化抗体、抗体誘導体、組換えヒト化抗体、またはその各々の等価物(誘導体など)もしくは断片を含む。一態様では、断片は、抗体のCDRを含む、またはあるいは、これから本質的になる、またはさらになお、これからなる。一態様では、抗体は、検出可能に標識される、またはこれにコンジュゲートされた検出可能な標識をさらに含む。
【0388】
本明細書に開示されるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系も提供される。上述の実施形態のうちの1つまたは複数を含む、またはあるいは、これから本質的になる、またはさらになお、これからなる組成物が、本明細書にさらに提供される。抗体および断片のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチド、ならびに抗体ポリペプチドおよびその断片を組換えにより産生するまたは化学合成する方法がさらに提供される。抗体ポリペプチドは、真核もしくは原核細胞において、または当技術分野で公知であり本明細書に記載される他の方法によって産生することができる。
【0389】
CDR配列の例としては、抗体の重鎖可変領域またはその断片が以下のポリヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドを含むか、本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなること、を含むか、本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなることが挙げられるがこれらに限定されない:
【0390】
抗体は、文献に十分に記載されている当技術分野で公知の従来の技術を使用して生成され得る。ポリクローナル抗体の産生のためのいくつかの方法が存在する。例えば、ポリクローナル抗体は、典型的には、適切な哺乳動物、例えば限定されないが、ニワトリ、ヤギ、モルモット、ハムスター、ウマ、マウス、ラットおよびウサギを免疫することにより産生される。抗原を哺乳動物に注射し、抗原に特異的な免疫グロブリンを産生するようにBリンパ球を誘導する。免疫グロブリンは、哺乳動物の血清から精製され得る。
【0391】
本方法論の変形形態は、最適な産生および動物の人道的な扱いのための、アジュバント、投与の経路および部位、部位当たりの注射体積、ならびに動物当たりの部位の数の改変を含む。例えば、アジュバントは典型的に、抗原に対する免疫応答の改善または増強に使用される。大部分のアジュバントは、流入領域リンパ節への抗原の緩徐放出(stow release)を可能にする、注射部位抗原デポーを提供する。他のアジュバントは、大規模な表面積および免疫賦活性分子にわたるタンパク質抗原分子の富化を促進する界面活性物質を含む。ポリクローナル抗体生成のためのアジュバントの非限定的な例は、フロイントアジュバント、RibiアジュバントシステムおよびTitermaxを含む。当技術分野で公知の方法を使用して、ポリクローナル抗体を生成することができ、そのうちいくつかは、米国特許第7,279,559号;同第7,119,179号;同第7,060,800号;同第6,709,659号;同第6,656,746号;同第6,322,788号;同第5,686,073号;および同第5,670,153号に記載されている。
【0392】
当技術分野で公知であり文献において十分に記載されている従来のハイブリドーマ技法を使用して、モノクローナル抗体を生成することができる。例えば、適した不死細胞系(例えば、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、L.5、P3X63Ag8,653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp2 SS1、Sp2 SA5、U397、MIA 144、ACT IV、MOLT4、DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 313、HL-60、MLA 144、NAMAIWA、NEURO 2A、CHO、PerC.6、YB2/O等が挙げられるがこれらに限定されない、ミエローマ細胞系)などまたはヘテロミエローマ(heteromyeloma)、その融合産物、またはそれに由来するいずれかの細胞もしくは融合細胞、または当技術分野で公知の他のいずれかの適した細胞系(次のウェブアドレス、例えば、atcc.org, lifetech.com、最終アクセス2007年11月26日における細胞系を参照)を、内因性もしくは異種核酸として、組換えもしくは内因性の、ウイルスの、細菌の、藻類の、原核生物の、両生類の、昆虫の、爬虫類の、魚類の、哺乳動物の、齧歯類の、ウマの、ヒツジの、ヤギの、羊の、霊長類の、真核生物の、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNAもしくはRNA、葉緑体DNAもしくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、一本、二本もしくは三本鎖の、ハイブリダイズしたものなど、またはこれらのいずれかの組合せとして、重鎖または軽鎖定常または可変またはフレームワークまたはCDR配列を発現する、単離されたまたはクローニングされた脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺または他の免疫もしくはB細胞含有細胞、または他のいずれかの細胞等が挙げられるがこれらに限定されない抗体産生細胞と融合することにより、ハイブリドーマが産生される。抗体産生細胞を、目的の抗原で免疫されたヒトまたは他の適した動物の、末梢血から、または特定の実施形態では、脾臓もしくはリンパ節から得て、次いで、目的の活性に関してスクリーニングすることもできる。本開示の抗体、その指定の断片またはバリアントをコードする異種または内因性核酸を発現させるために、他のいずれかの適した宿主細胞を使用することもできる。融合された細胞(ハイブリドーマ)または組換え細胞を、選択的培養条件または他の適した公知方法を使用して単離し、限界希釈もしくは細胞選別、または他の公知方法によってクローニングすることができる。
【0393】
当技術分野で公知の方法を使用して、ペプチドまたはタンパク質ライブラリー(例えば、バクテリオファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、cDNA、またはその他のディスプレイライブラリーが挙げられるがこれらに限定されない;例えば、MorphoSys(Martinsreid/Planegg、Del.)、BioInvent(Lund、Sweden)、Affitech(Oslo、Norway)等の様々な商業的ベンダーから入手できるような)から組換え抗体を選択する方法を含むがこれらに限定されない、必要な特異性の抗体を産生または単離する他の適した方法を使用することができる。当技術分野の公知方法は、特許文献に記載されており、そのうちいくつかは、米国特許第4,704,692号;同第5,723,323号;同第5,763,192号;同第5,814,476号;同第5,817,483号;同第5,824,514号;および同第5,976,862号を含む。代替方法は、当技術分野で公知の通り、および/または本明細書に記載される通り、ヒト抗体のレパートリーを産生することができる、トランスジェニック動物(例えば、SCIDマウス、Nguyen et al. (1977) Microbiol. Immunol. 41:901-907 (1997);Sandhu et al. (1996) Crit, Rev. Biotechnol. 16:95-118;Eren et al. (1998) Mumma 93:154-161)の免疫に依拠する。斯かる技法は、リボソームディスプレイ(Wanes et al. (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:4937-4942;Hanes et al. (1998) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:14130-14135);単一細胞抗体産生技術(例えば、選択されたリンパ球抗体方法(selected lymphocyte antibody method)(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号;Wen et al. (1987) J. Immunol 17:887-892;Babcook et al. (1996) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:7843-7848);ゲル微小液滴およびフローサイトメトリー(Powell et al. (1990) Biotechnol. 8:333-337;One Cell Systems(Cambridge、Mass.);Gray et al. (1995) J. Imm. Meth. 182:155-163;およびKenny et al. (1995) Bio. Technol. 13:787-790);B細胞選択(Steenbakkers et al. (1994) Molec. Biol. Reports 19:125-134)を含むがこれらに限定されない。
【0394】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、抗体誘導体を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。本開示の抗体誘導体は、本明細書に開示される抗体をコードするポリヌクレオチドを適した宿主に送達して、例えば、斯かる抗体をその乳汁中に産生する、例えばヤギ、ウシ、馬、羊などのトランスジェニック動物または哺乳動物を用意することにより調製することもできる。このような方法は、当技術分野で公知であり、例えば、米国特許第5,827,690号;同第5,849,992号;同第4,873,316号;同第5,849,992号;同第5,994,616号;同第5,565,362号;および同第5,304,489号に記載されている。
【0395】
用語「抗体誘導体」は、抗体または断片の線形ポリペプチド配列に対する翻訳後修飾を含む。例えば、米国特許第6,602,684(B1)号は、増強されたFe媒介性細胞毒性を有する、抗体全体の分子、抗体断片、または免疫グロブリンのFc領域と等価の領域を含む融合タンパク質を含む、改変されたグリコール形態の抗体の生成のための方法と、そのようにして生成された糖タンパク質について記載する。
【0396】
本明細書に開示される抗体は、共有結合による付着が、抗体が抗イディオタイプ応答を生成することを妨げないような、抗体へのいずれかの種類の分子の共有結合による付着によって修飾された誘導体も含む。抗体誘導体は、グリコシル化、アセチル化、ペグ化、リン酸化、アミド化、公知の保護基/遮断基による誘導体化、タンパク質分解性切断、細胞リガンドまたは他のタンパク質への連結等によって改変された抗体を含むがこれらに限定されない。その上、誘導体は、1つまたは複数の非古典的アミノ酸を含有することができる。
【0397】
抗体誘導体は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドを送達して、植物部分またはそれから培養された細胞において斯かる抗体、指定の部分またはバリアントを産生するトランスジェニック植物および培養された植物細胞(例えば、タバコ、トウモロコシおよびウキクサが挙げられるがこれらに限定されない)を用意することにより調製することもできる。例えば、Cramer et al. (1999) Curr. Top. Microbol. Immunol. 240:95-118およびその中で引用されている参考文献は、例えば、誘導性プロモーターを使用した、大量の組換えタンパク質を発現するトランスジェニックタバコ葉の産生について記載する。トランスジェニックトウモロコシを使用して、他の組換え系において産生されたまたは天然の供給源から精製されたものと等価の生物活性を有する哺乳動物タンパク質を商業的産生レベルで発現させた。例えば、Hood et al. (1999) Adv. Exp. Med. Biol. 464:127-147およびその中で引用されている参考文献を参照されたい。抗体誘導体は、また、タバコ種子およびジャガイモ塊茎を含む、単鎖抗体(scFv)等の抗体断片を含むトランスジェニック植物種子から大量に産生された。例えば、Conrad et al. (1998) Plant Mol. Biol. 38:101-109およびその中で引用されている参考文献を参照されたい。よって、公知(know)方法に従ってトランスジェニック植物を使用して、抗体を産生することもできる。
【0398】
抗体誘導体は、例えば、外因性配列を付加して、免疫原性を改変する、または結合、親和性、オンレート(on-rate)、オフレート(off-rate)、アビディティー、特異性、半減期もしくは他のいずれかの適した特徴を低減、増強もしくは改変することにより産生することもできる。一般に、非ヒトまたはヒトCDR配列の一部または全体が維持される一方で、可変および定常領域の非ヒト配列が、ヒトまたは他のアミノ酸または他のアイソタイプ由来の可変もしくは定常領域に置き換えられる。
【0399】
一般に、CDR残基は、抗原結合性への影響に直接的にかつ最も実質的に関与する。抗体のヒト化または操作は、米国特許第5,723,323号;同第5,976,862号;同第5,824,514号;同第5,817,483号;同第5,814,476号;同第5,763,192号;同第5,723,323号;同第5,766,886号;同第5,714,352号;同第6,204,023号;同第6,180,370号;同第5,693,762号;同第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,225,539号;および同第4,816,567号に記載されている方法等が挙げられるがこれらに限定されない、いずれか公知の方法を使用して行うことができる。
【0400】
本開示のキメラ、ヒト化または霊長類化(primatized)抗体は、標準分子生物学技法を使用して調製された参照モノクローナル抗体の配列に基づき調製することができる。標準分子生物学技法を使用して、重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードするDNAを目的のハイブリドーマから得て、非参照(例えば、ヒト)免疫グロブリン配列を含有するように操作することができる。例えば、キメラ抗体を作製するために、当技術分野で公知の方法(米国特許第4,816,567号)を使用して、マウス可変領域をヒト定常領域に連結することができる。ヒト化抗体を作製するために、当技術分野で公知の方法(米国特許第5,225,539号ならびに米国特許第5,530,101号;同第5,585,089号;同第5,693,762号;および同第6,180,370号)を使用して、マウスCDR領域をヒトフレームワークに挿入することができる。同様に、霊長類化抗体を作製するために、当技術分野で公知の方法(WO93/02108およびWO99/55369)を使用して、マウスCDR領域を霊長類フレームワークに挿入することができる。
【0401】
部分的~完全にヒト抗体を作製するための技法は、当技術分野で公知であり、いかなる斯かる技法を使用することもできる。一実施形態において、完全にヒト抗体配列は、ヒト重鎖および軽鎖抗体遺伝子を発現するように操作されたトランスジェニックマウスにおいて作製される。異なるクラスの抗体を産生することができる、斯かるトランスジェニックマウスの複数の系統が作製された。望ましい抗体を産生しているトランスジェニックマウス由来のB細胞を融合させて、所望の抗体の持続的産生のためのハイブリドーマ細胞系を作製することができる(例えば、Russel et al. (2000) Infection and Immunity April 2000:1820-1826;Gallo et al. (2000) European J. of Immun. 30:534-540;Green (1999) J. of Immun. Methods 231:11-23;Yang et al. (1999A) J. of Leukocyte Biology 66:401-410;Yang (1999B) Cancer Research 59(6):1236-1243;Jakobovits (1998) Advanced Drug Reviews 31:33-42;Green and Jakobovits (1998) J. Exp. Med. 188(3):483-495;Jakobovits (1998) Exp. Opin. Invest. Drugs 7(4):607-614;Tsuda et al. (1997) Genomics 42:413-421;Sherman-Gold (1997) Genetic Engineering News 17(14);Mendez et al. (1997) Nature Genetics 15:146-156;Jakobovits (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunology, The Integrated Immune System Vol. IV, 194.1-194.7;Jakobovits (1995) Current Opinion in Biotechnology 6:561-566;Mendez et al. (1995) Genomics 26:294-307;Jakobovits (1994) Current Biology 4(8):761-763;Arbones et al. (1994) Immunity 1(4):247-260;Jakobovits (1993) Nature 362(6417):255-258;Jakobovits et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(6):2551-2555;および米国特許第6,075,181号を参照)。
【0402】
本明細書に開示される抗体を改変して、キメラ抗体を作製することもできる。キメラ抗体は、抗体の重鎖および軽鎖の様々なドメインが、2つ以上の種由来のDNAによってコードされた抗体である。例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。
【0403】
あるいは、本明細書に開示される抗体を改変して、ベニア化抗体を作製することもできる。ベニア化抗体は、第1の種の抗体が、第2の種において免疫原性とならず、これにより抗体の免疫原性を低減させるように、ある1つの種の抗体の外面アミノ酸残基が、第2の種のアミノ酸残基に賢明に置き換えられたまたは「ベニア化された」抗体である。タンパク質の抗原性は、その表面の性質に主に依存するため、別の哺乳動物種において通常見出される残基と異なる露出した残基を置き換えることにより、抗体の免疫原性を低減させることができる。このような賢明な外面残基置き換えは、内側ドメインまたはドメイン間接触に対して影響を殆どまたは全く与えないはずである。よって、可変領域フレームワーク残基に限定される変更の帰結として、リガンド結合特性は影響を受けないはずである。抗体の外表面または外皮(skin)のみが変更され、支持的残基は乱されないままであるため、このプロセスは、「ベニア化(veneering)」と称される。
【0404】
「ベニア化」のための手順は、Kabat et al. (1987) Sequences of Proteins of Immunological interest, 4th ed., Bethesda, Md., National Institutes of Healthによってコンパイルされたヒト抗体可変ドメインのための利用できる配列データ、このデータベースのアップデート、ならびに他のアクセス可能な米国および外国のデータベース(核酸およびタンパク質の両方)を活用する。ベニア化抗体(veneered antibody)の生成に使用される方法の非限定的な例は、EP519596;米国特許第6,797,492号を含み;Padlan et al. (1991) Mol. Immunol. 28(4-5):489-498に記載されている。
【0405】
用語「抗体誘導体」は、2個の抗原結合性部位を有する小型の抗体断片である「ダイアボディ」も含み、この断片は、同じポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む(例えば、EP404,097;WO93/11161;およびHollinger et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448を参照)。同じ鎖における2個のドメインの間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは、別の鎖の相補的ドメインと対形成することを余儀なくされ、2個の抗原結合性部位を作り出す(親抗体の超可変領域に挿入された1つまたは複数のアミノ酸を有し、抗原に対する親抗体の結合親和性よりも少なくとも約2倍強い、標的抗原に対する結合親和性を有する抗体バリアントを開示する、米国特許第6,632,926号、Chen et al.も参照)。
【0406】
用語「抗体誘導体」は、scFv、dAb、ナノボディ、ミニボディ(minibody)、ユニボディ(Unibody)およびアフィボディ(Affibody)等、操作された抗体分子、断片および単一ドメインをさらに含む(& Hudson (2005) Nature Biotech 23(9):1126-36;米国特許出願公開第2006/0211088号;PCT国際出願公開番号WO2007/059782;米国特許第5,831,012号)。
【0407】
用語「抗体誘導体」は、「線形抗体」をさらに含む。線形抗体を作製するための手順は、当技術分野で公知であり、Zapata et al. (1995) Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されている。簡潔に説明すると、このような抗体は、一対の抗原結合性領域を形成する一対のタンデムEdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む。線形抗体は、二特異性または単一特異性となることができる。
【0408】
本明細書に開示される抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、アニオンまたはカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない公知の方法によって、組換え細胞培養物から回収および精製することができる。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に使用することもできる。
【0409】
本開示の抗体は、天然で精製された産物、化学合成手順の産物、ならびに例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核生物宿主からまたはあるいは、上述の通り原核生物宿主から組換え技法によって産生された産物を含む。いくつかの抗体産生系が、Birch & Radner (2006) Adv. Drug Delivery Rev. 58: 671-685に記載されている。
【0410】
検査されている抗体が、タンパク質またはポリペプチドと結合する場合、検査されている抗体と本開示によって提供される抗体は、等価物である。検査されている抗体によって、本明細書に開示される抗体が、この抗体が正常に反応するタンパク質またはポリペプチドに結合することができなくなるかを決定することにより、過度の実験法を行わずに、抗体が、本明細書に開示される抗体と同じ特異性を有するかを決定することも可能である。本明細書に開示されるモノクローナル抗体による結合の減少によって示される通り、検査されている抗体が、本明細書に開示される抗体と競合する場合、この2種の抗体が、同じまたは密接に関係しているエピトープに結合する可能性がある。あるいは、本明細書に開示される抗体を、それが正常に反応するタンパク質と共にプレインキュベートし、検査されている抗体が、抗原に結合するその能力において阻害されるかを決定することができる。検査されている抗体が阻害される場合、ほぼ確実に、これは、本明細書に開示される抗体と同じまたは密接に関係しているエピトープ特異性を有する。
【0411】
用語「抗体」はまた、あらゆる免疫グロブリンアイソタイプおよびサブクラスの抗体を含むことも意図する。特定のアイソタイプのモノクローナル抗体は、初期融合物から選択することにより直接的に調製することができる、またはsib選択技法を使用することにより異なるアイソタイプのモノクローナル抗体を分泌する親ハイブリドーマから二次的に調製して、Steplewski et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8653またはSpira et al. (1984) J. Immunol. Methods 74:307に記載の手順を使用してクラススイッチバリアントを単離することができる。あるいは、組換えDNA技法を使用することができる。
【0412】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体の特異性を有する他のモノクローナル抗体の単離は、当業者によって、抗イディオタイプ抗体を産生することにより達成することもできる。Herlyn et al. (1986) Science 232:100。抗イディオタイプ抗体は、目的のモノクローナル抗体に存在する特有の決定基を認識する抗体である。
【0413】
本明細書に開示される一部の態様では、抗体を検出可能にまたは治療的に標識することが有用である。適した標識は、上に記載されている。これらの作用物質に抗体をコンジュゲートするための方法は、当技術分野で公知である。単なる説明目的で、抗体は、例えば放射性原子、発色団、フルオロフォアなどの検出可能な部分で標識することができる。斯かる標識された抗体は、in vivoで、または単離された検査試料において、診断技法に使用することができる。
【0414】
低分子量ハプテンへの抗体のカップリングは、アッセイにおける抗体の感度を増加させることができる。次いで、ハプテンは、第2の反応を用いて特異的に検出することができる。例えば、アビジンと反応するビオチン、または特異的抗ハプテン抗体と反応することができるジニトロフェノール、ピリドキサールおよびフルオレセイン等のハプテンを使用することが一般的である。Harlow and Lane (1988)上記、を参照されたい。
【0415】
本開示の抗体の可変領域は、VHおよび/またはVL CDR1、CDR2および/またはCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させて、抗体の1つまたは複数の結合特性(例えば、親和性)を改善することにより改変することができる。変異は、部位特異的変異誘発またはPCR媒介性変異誘発によって導入することができ、目的の抗体結合または他の機能特性における効果を適切なin vitroまたはin vivoアッセイにおいて評価することができる。ある特定の実施形態では、保存的改変が導入され、典型的に、CDR領域内の1、2、3、4または5残基以下が変更される。変異は、アミノ酸置換、付加または欠失であってよい。
【0416】
例えば、1つまたは複数のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列へと「戻し変異(backmutating)」させることにより、フレームワーク改変を抗体に為して、免疫原性を減少させることができる。
【0417】
加えて、本明細書に開示される抗体は、Fc領域内に改変を含むように操作して、血清半減期(half-fife)、補体固定、Fc受容体結合および/または抗原依存性細胞性細胞傷害等の抗体の1つまたは複数の機能特性を変更することができる。斯かる改変は、軽鎖および重鎖のアセンブリーを容易にするためまたは抗体の安定性を増加もしくは減少させるためのヒンジ領域におけるシステイン残基の数の変更(米国特許第5,677,425号)、および抗体の生物学的半減期を減少させるためのFcヒンジ領域におけるアミノ酸変異(米国特許第6,165,745号)を含むがこれらに限定されない。
【0418】
その上、本明細書に開示される抗体は、化学的に修飾することができる。抗体のグリコシル化は、例えば、抗体配列内のグリコシル化の1つまたは複数の部位を改変して、抗原に対する抗体の親和性を増加させることにより変更することができる(米国特許第5,714,350号および同第6,350,861号)。あるいは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害を増加させるために、変更されたグリコシル化機構を有する宿主細胞において抗体を発現させることにより、低減された量のフコシル残基を有する低フコシル化(hypofucosylated)抗体、または増加されたバイセクト型GlcNac構造を有する抗体を得ることができる(Shields, R. L. et al. (2002) J. Biol. Chem. 277:26733-26740;Umana et al. (1999) Nat. Biotech. 17:176-180)。
【0419】
1つまたは複数のポリエチレングリコール(PEG)基が抗体または抗体断片に結合されるようになる条件下で、抗体またはその断片をPEGまたはPEGの反応性エステルもしくはアルデヒド誘導体と反応させることにより、本明細書に開示される抗体をペグ化して、生物学的半減期を増加させることができる。抗体ペグ化は、反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)とのアシル化反応またはアルキル化反応によって実行することができる。本明細書で使用される場合、用語「ポリエチレングリコール」は、モノ(C1~C10)アルコキシ-もしくはアリールオキシ-ポリエチレングリコールまたはポリエチレングリコール-マレイミド等、他のタンパク質を誘導体化するのに使用されたことがあるPEG形態のいずれかを包含することを意図する。ペグ化されるべき抗体は、無グリコシル化(aglycosylated)抗体となることができる。タンパク質をペグ化するための方法は、当技術分野で公知であり、本明細書に開示される抗体に適用することができる(EP0154316およびEP0401384)。
【0420】
その上、抗体は、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質に抗体の抗原結合性領域をコンジュゲートまたは融合することにより化学的に修飾して、結果として生じる分子の半減期を増加させることができる。斯かるアプローチは、例えば、EP0322094およびEP0486525に記載されている。
【0421】
本開示の抗体またはその断片は、診断剤にコンジュゲートし、診断的に使用して、例えば、疾患の発症または進行をモニターし、所与の処置レジメンの有効性を決定することができる。診断剤の例は、酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、放射性材料、様々なポジトロン放出断層撮影を使用したポジトロン放出金属、および非放射性常磁性金属イオンを含む。検出可能な物質は、当技術分野で公知の技法を使用して、抗体もしくはその抗原結合断片に直接的に、またはリンカーを介して間接的に、カップリングまたはコンジュゲートすることができる。適した酵素の例は、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ベータ-ガラクトシダーゼまたはアセチルコリンエステラーゼを含む。適した補欠分子族複合体の例は、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンを含む。適した蛍光材料の例は、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンを含む。発光材料の例は、ルミノールを含む。生物発光材料の例は、ルシフェラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンを含む。適した放射性材料の例は、125I、131I、インジウム-111、ルテチウム-171、ビスマス-212、ビスマス-213、アスタチン-211、銅-62、銅-64、銅-67、イットリウム-90、ヨウ素-125、ヨウ素-131、リン-32、リン-33、スカンジウム-47、銀-111、ガリウム-67、プラセオジム-142、サマリウム-153、テルビウム-161、ジスプロシウム-166、ホルミウム-166、レニウム-186、レニウム-188、レニウム-189、鉛-212、ラジウム-223、アクチニウム-225、鉄-59、セレニウム-75、ヒ素-77、ストロンチウム-89、モリブデン-99、ロジウム-1105、パラジウム-109、プラセオジム-143、プロメチウム-149、エルビウム-169、イリジウム-194、金-198、金-199および鉛-211を含む。モノクローナル抗体は、抗体に共有結合により連結された二官能性キレート化剤の使用により、放射性金属イオンと間接的にコンジュゲートすることができる。キレート化剤は、アミノ基(amities)(Meares et al. (1984) Anal. Biochem. 142:68-78);アミノ酸残基のスルフヒドリル(sulfhydral)基(Koyama (1994) Chem. Abstr. 120:217-262)および炭水化物基(Rodwell et al. (1986) PNAS USA 83:2632-2636;Quadri et al. (1993) Nucl. Med. Biol. 20:559-570)を介して結合することができる。
【0422】
さらに、本開示の抗体またはその断片は、治療剤にコンジュゲートすることができる。適した治療剤は、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド(tenoposide)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン(dihydroxy anthracin dione)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロールおよびピューロマイシン、代謝拮抗薬(メトトレキセート、6-メルカプトプリン、6-チオグアニン、シタラビン、フルダラビン(fludarabin)、5-フルオロウラシル、ダカルバジン(decarbazine)、ヒドロキシウレア、アスパラギナーゼ、ゲムシタビン(gemcitabinc)、クラドリビン等)、アルキル化剤(メクロレタミン、チオテパ(thioepa)、クロラムブシル(chloramhucil)、メルファラン、カルムスチン(BSNU)、ロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、ダカルバジン(DTIC)、プロカルバジン、マイトマイシンC、シスプラチン、およびカルボプラチン等の他の白金誘導体等)、抗生物質(ダクチノマイシン(以前はアクチノマイシン)、ブレオマイシン、ダウノルビシン(以前はダウノマイシン)、ドキソルビシン、イダルビシン、ミトラマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン、アントラマイシン(AMC)等)、ジフテリア毒素および関連分子(ジフテリアA鎖およびその活性断片、ならびにハイブリッド分子等)、リシン毒素(リシンAまたは脱グリコシル化リシンA鎖毒素等)、コレラ毒素、志賀毒素様毒素(SLT-I、SLT-II、SLT-IIV)、LT毒素、C3毒素、志賀毒素、百日咳毒素、破傷風毒素、大豆ボウマン・バークプロテアーゼインヒビター、Pseudomonas外毒素、アロリン(alorin)、サポリン、モデクシン(modeccin)、ゲラニン(gelanin)、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、アルファ-サルシン(sarcin)、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、Phytolacca americanaタンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、Momordica charantiaインヒビター、クルシン(curcin)、クロチン(crotin)、Saponaria officinalisインヒビター、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリエトシン(restrietocin)、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン(enomycin)毒素および混合毒素を含む。
【0423】
追加の適したコンジュゲートされた分子は、リボヌクレアーゼ(RNアーゼ)、DNアーゼ I、アンチセンス核酸、siRNA分子等の阻害性RNA分子、免疫賦活性核酸、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子、および外部ガイド配列を含む。アプタマーは、ステム・ループまたはG-カルテット等、定義された二次および三次構造へと折り畳む、15~50塩基の長さに及ぶ小型の核酸であり、ATP(米国特許第5,631,146号)およびテオフィリン(theophiline)(米国特許第5,580,737号)等の小分子、ならびに逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)およびトロンビン(米国特許第5,543,293号)等の大分子に結合することができる。リボザイムは、分子内または分子間のいずれかで、化学反応を触媒することができる核酸分子である。リボザイムは典型的に、標的基質の認識および結合と、その後の切断により、核酸基質を切断する。3本のDNA鎖が、ワトソン・クリックおよびフーグスティーン塩基対形成の両方に依存する複合体を形成する、三重鎖を形成することにより、三重鎖形成機能核酸分子は、二本鎖または一本鎖核酸と相互作用することができる。三重鎖分子は、高い親和性および特異性で、標的領域に結合することができる。
【0424】
機能的核酸分子は、標的分子によって保有される比活性のエフェクター、インヒビター、モジュレーターおよび刺激因子として作用することができる、または機能的核酸分子は、他のいかなる分子からも独立したde novo活性を保有することができる。
【0425】
治療剤は、多数の利用できる方法のいずれかを使用して、直接的にまたは間接的に抗体に連結することができる。例えば、作用物質は、還元した抗体成分のヒンジ領域において、N-スクシニル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)等の架橋剤を使用したジスルフィド結合形成を介して、または抗体のFc領域における炭水化物部分を介して、結合することができる(Yu et al. 1994 Int. J. Cancer 56: 244;Upeslacis et al., ”Modification of Antibodies by Chemical Methods,” in Monoclonal antibodies: principles and applications, Birch et al. (eds.), pages 187-230 (Wiley-Liss, Inc. 1995);Price, ”Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies,” in Monoclonal antibodies: Production, engineering and clinical application, Ritter et al. (eds.), pages 60-84 (Cambridge University Press 1995))。
【0426】
治療剤を抗体にコンジュゲートするための技法は、周知されている(Amon et al. ”Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy; Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985);Hellstrom et al. ”Antibodies For Drug Delivery,” in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.); Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987);Thorpe ”Antibody Carriers Of Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review,” in Monoclonal Antibodies ’84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985);”Analysis, Results, And Future Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies For Cancer Detection And Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985)およびThorpe et al. ”The Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates,” (1982) Immunol. Rev. 62:119-58)。
【0427】
本明細書に開示される抗体またはその抗原結合性領域は、別の抗体または受容体のリガンド等、別の機能的分子に連結して、少なくとも2種またはそれよりも多くの種の異なる結合部位または標的分子に結合する二特異性または多特異性分子を生成することができる。別の抗体、抗体断片、ペプチドまたは結合模倣物等、1つまたは複数の他の結合分子への抗体の連結は、例えば、化学的カップリング、遺伝的融合または非共有結合的会合によって為すことができる。多特異性分子は、第1および第2の標的エピトープに加えて、第3の結合特異性をさらに含むことができる。
【0428】
二特異性および多特異性分子は、当技術分野で公知の方法を使用して調製することができる。例えば、二特異的分子(hi-specific molecule)の各結合単位を別々に生成し、次いで互いにコンジュゲートすることができる。結合分子がタンパク質またはペプチドである場合、種々のカップリング剤または架橋剤を共有結合コンジュゲーションに使用することができる。架橋剤の例は、プロテインA、カルボジイミド、N-スクシンイミジルS-アセチル-チオアセテート(SATA)、5,5’-ジチオビス(2-ニトロ安息香酸(nitroberizoic acid))(DTNB)、o-フェニレンジマレイミド(oPDM)、N-スクシンイミジル3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)およびスルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン(cyclohaxane)-I-カルボキシレート(スルホ-SMCC)を含む(Karpovsky et al. (1984) J. Exp. Med. 160:1686;Liu et al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648)。結合分子は、抗体である場合、2個の重鎖のC末端ヒンジ領域のスルフヒドリル結合によってコンジュゲートすることができる。
【0429】
本開示の抗体またはその断片は、抗体が結合される細胞に対して毒性がある部分に連結して、「枯渇」抗体を形成することができる。これらの抗体は、NK細胞を枯渇させることが望まれる用途において特に有用である。
【0430】
本明細書に開示される抗体は、標的抗原のイムノアッセイまたは精製に特に有用な固体支持体に結合することもできる。斯かる固体支持体は、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンを含むがこれらに限定されない。
【0431】
抗体は、多くの異なる担体に結合させることもできる。よって、本開示はまた、抗体と、活性または不活性の別の物質とを含有する組成物を提供する。周知の担体の例は、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、デキストラン、ナイロン、アミラーゼ(amylase)、天然および改変セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、ならびにマグネタイトを含む。担体の性質は、本明細書に開示される目的のため、可溶性または不溶性のいずれかとなることができる。当業者であれば、モノクローナル抗体の結合のための他の適した担体について知っている、またはルーチンの実験法を使用して、そのようなものを確かめることができる。
【0432】
ある特定の態様では、本開示は、DNABIIタンパク質もしくはその断片の先端もしくは尾部ドメイン、尾部断片または先端断片を特異的に認識するかまたは結合する抗体または抗原結合断片に関する。DNABIIタンパク質またはその断片は、IHFまたはHUポリペプチドであり得る。
抗体による機能解析
【0433】
本明細書に開示される抗体を使用して、本明細書に開示されるポリペプチドを精製し、生物学的に等価なポリペプチドおよび/またはポリヌクレオチドを同定することができる。本明細書に開示される抗体を使用して、本明細書に開示されるポリペプチドの機能を改変する作用物質を同定することもできる。このような抗体は、当業者にとって馴染みがあり上に記載されている、ポリクローナル抗血清、モノクローナル抗体、およびこのような調製物に由来する様々な試薬を含む。
【0434】
同定された遺伝子によってコードされるタンパク質の活性を中和する抗体をin vivoおよびin vitroで使用して、in vivoおよびin vitro検査システムに斯かる中和抗体を添加することにより、機能を実証することもできる。抗体は、本明細書に開示されるポリペプチドの活性をモジュレートするための医薬品としても有用である。
【0435】
ELISAアッセイまたはウエスタンブロット等の解析方法において様々な抗体調製物を使用して、in vitroまたはin vivoで、検査細胞による、同定された遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を実証することもできる。適切なポリクローナル抗血清と実験的試料に由来する試料を使用することにより、代謝においてプロテアーゼ分解によって生成された斯かるタンパク質の断片を同定することもできる。
【0436】
本明細書に開示される抗体は、単独で、またはペプチドもしくはタンパク質に基づくワクチンまたは樹状細胞に基づくワクチンと組み合わせて、ワクチン接種にまたはワクチン接種のブーストに使用することができる。
【0437】
診断および治療方法
DNABIIポリペプチドもしくはタンパク質、または微生物DNAを、上述の作用物質、例えば本明細書に開示される抗体、またはその抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDR、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片のうちの1つまたは複数の有効量と接触させ、それによってDNABIIタンパク質またはポリペプチドの微生物DNAへの結合を予防する、または阻害する、または競合することによって、DNABIIポリペプチドまたはタンパク質の微生物DNAへの結合を予防する、または阻害する、または競合する方法が提供される。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に選択的に結合する。一実施形態では、配列番号24のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号25のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、2、もしくは3の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7、8、もしくは9の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、接触させることは、in vivoまたはin vitroである。
【0438】
別の態様では、本明細書に開示される方法に使用するための抗体またはその抗原結合断片は、配列番号13、24、もしくは26の群から選択される配列もしくはその各々の等価物を含む重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または配列番号14、25、もしくは27の群から選択される配列もしくはその各々の等価物を含む軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。
【0439】
さらなる態様では、本明細書に開示されるDNABIIポリペプチドおよび/または微生物DNAおよび/または抗体もしくはその抗原結合断片、および/またはポリペプチドまたはCDRのうちの1つまたは複数は、例えば放射性同位体、または互いに緊密に接触した場合にシグナルを放出する発光分子によって検出可能に標識される。接触させることは、in vitroまたはin vivoで実施することができる。これらの方法を診断方法と組み合わせて、例えば本明細書に開示されるDNABIIポリペプチドおよび/または微生物DNAおよび/または抗体もしくはその抗原結合断片、および/またはポリペプチドまたはCDRのうちの1つまたは複数を使用して、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識される。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5、もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10、11、もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。
【0440】
別の態様では、微生物バイオフィルムを破壊する方法は、バイオフィルムを、上述の作用物質、例えば抗体またはその抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRのうちの1つまたは複数の有効量と接触させ、それによって微生物バイオフィルムを破壊することによって、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片が提供される。一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に選択的に結合する。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。一実施形態では、配列番号24のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号25のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、2、もしくは3の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7、8、もしくは9の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、接触させることはin vivoまたはin vitroである。
【0441】
一態様では、微生物バイオフィルムは、DNABIIポリペプチドを搬出する微生物によって産生される。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。さらなる態様では、抗体、抗原結合断片、DNABIIポリペプチド、および微生物DNAのうちの1つまたは複数は、例えば放射性同位体、または互いに緊密に接触した場合にシグナルを放出する発光分子によって検出可能に標識される。接触させることは、in vitroまたはin vivoで実施することができる。一態様では、作用物質は、互いに同じまたは異なる1つまたは複数の抗体および/または抗原結合断片である。一部の実施形態では、そのような抗体または抗原結合断片は、単独で、または互いに、もしくは抗体以外の作用物質、もしくはまたさらに薬学的に有効な作用物質と組み合わせて、単独で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて投与される。これらの方法を診断方法と組み合わせて、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または尾部断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0442】
また、表面上のバイオフィルムの形成を予防するかまたはバイオフィルムを破壊する方法であって、バイオフィルムを生じやすいかまたはバイオフィルムを含有する表面を、本明細書に記載される抗体またはその抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDR、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片のうちの1つまたは複数の有効量によって処理するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、抗体またはその抗原結合断片が、DNABIIペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する方法も提供される。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5、もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10、11、もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。
【0443】
一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、検出可能な標識を含む。これらの方法を診断方法と組み合わせて、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識される。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的に以下からなるか、またはまたさらに以下からなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5、もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10、11、もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。
【0444】
対象に、本明細書で開示する抗体もしくはその抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRのうちの1つまたは複数の有効量を対象に投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる、対象においてバイオフィルムを検出する方法が、本明細書にさらに提供される。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書で開示する抗体または抗原結合断片の使用を含む。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は、検出可能に標識される。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/あるいは配列番号10、11もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0445】
対象におけるバイオフィルムを予防または破壊する方法が提供される。方法は、対象に、DNABIIペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片を投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれから本質的になる。一態様では、対象におけるバイオフィルムを予防または破壊する方法であって、対象に、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRのうちの1つもしくは複数の有効量、および/または抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDR、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドもしくはベクターの1つもしくは複数の有効量を投与するステップを含むか、またはあるいはそれからなるか、またはまたさらにそれからなる方法が提供される。DNABIIペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に選択的に結合する。一実施形態では、配列番号24のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号25のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、2、もしくは3の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7、8、もしくは9の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、接触させることはin vivoまたはin vitroである。抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識され得る。これらの方法を診断方法と組み合わせて、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0446】
対象におけるバイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置する方法が提供され、方法は、対象に、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片を投与するステップを含むか、または本質的にそれからなるか、またはそれからなる。一態様では、対象に、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRのうちの1つもしくは複数の有効量、および/または抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDR、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドもしくはベクターのうちの1つもしくは複数の有効量を投与することによって、対象におけるバイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を予防または処置する方法が提供される。別の態様では、対象におけるバイオフィルムを産生する微生物感染を阻害する、予防する、または処置する方法であって、対象に、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRのうちの1つもしくは複数の有効量、および/または抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDR、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドもしくはベクターのうちの1つもしくは複数の有効量を投与するステップを含むか、またはあるいはそれからなるか、またはまたさらにそれからなる方法が提供される。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。一態様では、抗体またはその抗原結合断片は、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に選択的に結合する。一実施形態では、配列番号24のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号25のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、2、もしくは3の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7、8、もしくは9の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。またさらなる実施形態では、接触させることはin vivoまたはin vitroである。これらの方法を診断方法と組み合わせて、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または尾部断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0447】
上記の方法では、バイオフィルムは、グラム陰性またはグラム陽性バイオフィルム産生細菌に由来する。状態の非限定的な例は、静脈潰瘍および糖尿病性足潰瘍を含む慢性の非治癒性創傷、耳感染症、副鼻腔感染症、尿路感染症、胃腸管の病気、肺感染症、気道感染症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、カテーテル関連感染症、留置デバイス関連感染症、植込み型補綴物関連感染症、骨髄炎、蜂窩織炎、膿瘍、および歯周病の群から選択される。
【0448】
本明細書で開示する方法のある特定の実施形態では、本明細書で開示する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDR、およびHMGB1ポリペプチドまたはその断片のうちの1つまたは複数の投与は、対象において、炎症促進性サイトカインのうちの1つまたは複数を低減させる。炎症促進性サイトカインの非限定的な例は、IL-1β、IL6、IL8、IL12p70、IL17A、インターフェロン(IFN)および腫瘍壊死因子(TNF)を含む。その上またはあるいは、本明細書で開示する抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDR、およびHMGB1ポリペプチドまたはその断片のうちの1つまたは複数の有効量の投与は、対象において、抗炎症性サイトカインのうちの1つまたは複数を増加させる。一実施形態では、抗炎症性サイトカインは、IL10、IL13、IL-1ra、IL-4、IL-11、およびトランスフォーミング増殖因子-β(TGF-β)を含むがこれらに限定されない。
【0449】
また、それを必要とする対象における炎症促進性応答を誘導すること、または低減された炎症応答によって媒介される状態を処置することのうちの1つまたは複数の方法であって、対象に、DNABIIポリペプチドの尾部領域(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する抗体またはその抗原結合断片、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片の有効量を投与するステップを含むか、またはあるいは本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる方法も提供される。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。これらの方法を診断方法と組み合わせて、組織または対象におけるサイトカインの放出またはレベルを検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または尾部断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。非限定的なサイトカインとしては、例えばIL1ベータ、IL6、IL8、IL12p70、IL10、IL13、およびIFNが挙げられる。
【0450】
また、それを必要とする対象における炎症促進性応答を阻害すること、または増強された炎症応答によって媒介される状態を処置することのうちの1つまたは複数の方法であって、対象に、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する抗体またはその抗原結合断片、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片の有効量を投与するステップを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる方法も提供される。DNABIIポリペプチドはIHFまたはHUペプチドであり得る。これらの方法を診断方法と組み合わせて、組織または対象におけるサイトカインの放出またはレベルを検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または尾部断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。非限定的なサイトカインとしては、例えばIL1ベータ、IL6、IL8、IL12p70、IL10、IL13、およびIFNが挙げられる。
【0451】
さらにまたはあるいは、表面上のバイオフィルムを検出する方法であって、表面(一態様では、バイオフィルムを生じやすいかまたはバイオフィルムを含有する)を、本明細書に記載される抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRのうちの1つまたは複数の有効量と接触させるステップを含むか、またはあるいはそれからなるか、またはまたさらにそれからなり、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRが、DNABIIペプチドの尾部または先端領域(IHFまたはHUの先端領域、IHFAまたはIHFBの先端領域、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFまたはHUの尾部領域、IHFAまたはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する方法が提供される。一実施形態では、接触させることは、in vivoまたはin vitroである。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5、もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10、11、もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0452】
さらにまたはあるいは、対象においてバイオフィルムを産生する微生物感染を検出する方法が提供される。方法は、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRのうちの1つまたは複数の有効量を、バイオフィルムを含むことが疑われ、対象から単離された生物試料と接触させること、および抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRの、試料中の任意のバイオフィルムへの結合を検出するステップを含むか、またはあるいはそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。一実施形態では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRは、DNABIIペプチドの尾部または先端領域(IHFまたはHUの先端領域、IHFAまたはIHFBの先端領域、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFまたはHUの尾部領域、IHFAまたはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する。さらなる実施形態では、接触させることは、in vivoまたはin vitroである。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5、もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10、11、もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0453】
さらにまたはあるいは、バイオフィルムを有する対象をスクリーニングする方法であって、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRのうちの1つまたは複数の有効量を、バイオフィルムを含み、対象から単離された生物試料と接触させること、および抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRの試料中の任意のバイオフィルムへの結合を検出するステップを含むか、またはあるいはそれからなるか、またはまたさらにそれからなる方法が提供される。一実施形態では、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRは、DNABIIペプチドの尾部または先端領域(IHFまたはHUの先端領域、IHFAまたはIHFBの先端領域、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHI、IHFまたはHUの尾部領域、IHFAまたはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する。さらなる実施形態では、結合が検出された対象を、本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRのうちの1つもしくは複数の有効量、および/または抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRをコードするポリヌクレオチドもしくはベクターのうちの1つもしくは複数の有効量の投与のために選択し、抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRは、DNABIIペプチドの先端領域(IHFまたはHUの先端領域、IHFAまたはIHFBの先端領域、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する。またさらなる実施形態では、接触させることはin vivoまたはin vitroである。一実施形態では、配列番号26のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号27のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号4、5、もしくは6の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号10、11、もしくは12の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0454】
さらに、本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片に対する特異的結合パートナーに特異的に結合する約10~20ヌクレオチドからなる核酸を調製すること、および必要に応じて方法によって調製された干渉核酸を単離するステップを含む、干渉核酸を調製する方法が提供される。
【0455】
in vitroで実施される場合、開示される方法のいくつかは、本明細書で開示するポリペプチド、ポリヌクレオチド、抗体、宿主細胞、小分子および組成物と同じ、同様の、または反対の能力を有する作用物質(例えば、抗体、その断片および模倣物)をスクリーニングまたは確認するために有用である。あるいは、それらは、どの作用物質が微生物感染を処置するために最も適しているか、または処置が有効であったかどうかを特定するために使用され得る。例えば、例えばDNABIIポリペプチドおよび微生物DNAならびに試験されるべき作用物質を含有する2つの試料を有することによって、新しい作用物質または組合せ治療をスクリーニングすることができる。DNABIIポリペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。第2の試料は、DNABIIポリペプチドおよび微生物DNA、ならびに陽性対照としてはたらくための、活性であることが公知の作用物質、例えば、上記の作用物質、例えば、抗体もしくはその抗原結合断片を含有する。さらなる態様では、いくつかの試料が提供され、臨床環境における対象の処置において有効である可能性がある最適用量を決定するために、作用物質を、希釈を増やしながら系に添加する。当業者に明らかである通り、DNABIIポリペプチドおよび微生物DNAを含有する陰性対照を提供してもよい。さらなる態様では、DNABIIポリペプチドおよび微生物DNAは、検出可能に、例えば、互いに緊密に接触した場合にシグナルを放出する発光分子で、標識される。試料を、作用物質が、DNABIIポリペプチドと微生物DNAとの間の相互作用を阻害、競合または滴定するために有効な時間の間、同様の条件下で含有し、その後、試料を、発光分子からのシグナルの放出についてアッセイする。試料がシグナルを放出する場合、作用物質は、結合を阻害するために有効ではない。
【0456】
別の態様では、in vitro法は、感染を引き起こす微生物(例えば、細菌)分離菌がヒト/動物から単離され、その後、培養されて、それがin vitroでバイオフィルムとして増殖することを可能にし得る小型化チャンバースライド系で実施される。作用物質(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片)または潜在的作用物質バイオフィルムを、抗体もしくはその抗原結合断片などの潜在的化合物または作用物質の希釈を増やしながら、または増やさずに、培養物に単独で、または別の作用物質と組み合わせて添加して、感染が存在した対象に送達された場合にその患者を処置することにおいて有効であり得るような最適用量を見出す。当業者に明らかである通り、陽性対照および陰性対照を同時に行ってもよい。
【0457】
さらなる態様では、本方法は、フローセル中の上記の作用物質(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片)および/または潜在的作用物質(単独で、または別の作用物質と組み合わせて)を伴うハイスループットプラットホームにおいて実施される。上記の作用物質(例えば、抗体もしくはその抗原結合断片)または潜在的作用物質を、潜在的作用物質または上記の作用物質、例えば、抗体もしくはその抗原結合断片(または他の抗体、小分子、作用物質等)の希釈を増やしながら、または増やさずに、培養物に単独で、または別の作用物質と組み合わせて添加して、感染が存在した対象に送達された場合にその患者を処置することにおいて有効であり得るような最適用量を見出す。バイオフィルム分離菌を超音波処理して、微生物DNAに結合したDNABIIポリペプチド、例えば、IHFからバイオフィルム細菌を分離する。DNABIIポリペプチド-DNA複合体は、プラットホーム上の抗DNABIIまたはIHF抗体によって分離される。その後、微生物DNAを、例えば、塩洗浄で放出させ、添加されたバイオフィルム細菌を同定するために使用する。その後、遊離したDNAを、例えば、PCR配列決定することによって同定する。DNAが遊離しない場合、作用物質(複数可)が、微生物DNAにうまく作用したか、または微生物DNAにうまく結合した。DNAが試料中に見られる場合、作用物質は、DNABIIポリペプチド-微生物DNA結合に干渉しなかった。当業者に明らかである通り、陽性対照および/または陰性対照を同時に行ってもよい。
【0458】
また、所与の細菌種は、別の作用物質よりもある作用物質によるそのバイオフィルムの破棄に対してよりよく応答する可能性があるので、上記の方法は、診断試験として使用することができ、この迅速なハイスループットアッセイ系は、当業者が、可能性のある抗DNABIIまたはIHF様作用物質の集団をアッセイして、群のうちの最も効果的なものを特定することを可能にし得る。
【0459】
これらの方法の利点は、ほとんどの院内臨床微生物検査室は、既に、液体培養で(または浮遊性で)成長している細菌を使用するこれらの種類のアッセイ(すなわち、MIC、MBC値の決定)を行うための備えがあることである。当業者に明らかである通り、細菌は、一般的に、それらが疾患を引き起こしている場合、浮遊性で成長しない。その代わりに、それらは安定なバイオフィルムとして成長しており、これらのバイオフィルムは、抗生物質、抗体または他の治療薬による処置に対して有意により抵抗性である。この抵抗性は、ほとんどのMIC/MBC値が正確にin vivoでの有効性を予測することができないことの理由である。したがって、どの「用量」の作用物質が(上記に説明されるように)in vitroで細菌バイオフィルムを逆転し得るかを決定することによって、出願人らの前臨床アッセイは、個別化医療の適用としてでさえも、臨床有効性のより信頼できる予測因子になり得る。
【0460】
臨床環境に加えて、本方法は、産業的環境において感染を引き起こす微生物を特定することおよび/または有効な処置および作用物質を確認することのために使用することができる。したがって、産業的環境において、作用物質を使用して、バイオフィルムを処置、阻害または破壊することができる。
【0461】
上記の方法のさらなる態様では、基礎をなす感染の成長を阻害することが公知の抗生物質または抗微生物薬を、逐次的に、または同時に添加して、感染が阻害され得るかどうかを決定する。また、干渉する作用物質を微生物DNAまたはDNABIIポリペプチドに添加し、その後、欠損した複合体を添加して、バイオフィルム阻害についてアッセイすることが可能である。一態様では、DNase処置は使用の方法から除外される。
【0462】
非ヒト動物、例えば、チンチラにおいてin vivoで実施される場合、本方法は、前臨床スクリーニングを提供して、バイオフィルムを破壊するために単独で、または他の作用物質と組み合わせて使用され得る作用物質を特定する。
【0463】
別の態様では、対象に上述の作用物質、例えば抗体またはその抗原結合断片および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片の有効量を投与し、それによって、微生物バイオフィルムを阻害、予防または破壊することによる、対象におけるバイオフィルムを阻害、予防、または破壊する方法が本明細書で提供される。方法は、対象に、DNABIIペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する本明細書に開示される抗体またはその抗原結合断片、および本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片を投与するステップを含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる。DNABIIペプチドは、IHFまたはHUペプチドであり得る。抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識され得る。これらの方法を診断方法と組み合わせて、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0464】
一態様では、作用物質は、互いに同じまたは異なる1つまたは複数の抗体および/または抗原結合断片である。一部の実施形態では、そのような抗体または抗原結合断片は、単独で、または互いに、または抗体以外の作用物質、またはまたさらに薬学的に有効な作用物質と組み合わせて、単独でまたは薬学的に許容される担体と組み合わせて投与される。そのような対象の非限定的な例には、哺乳動物、例えばペットおよびヒト患者が含まれる。
【0465】
また、それを必要とする対象において免疫応答を誘導するか、または受動免疫を与える方法であって、対象に本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片、およびDNABIIペプチド、例えばIHFまたはHUペプチドの先端領域に結合する、その中に記載される抗体またはその抗原結合断片のうちの1つまたは複数の有効量を投与するステップを含むか、またはあるいは本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる方法が提供される。DNABIIペプチドのそのような先端領域としては、IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIが挙げられるがこれらに限定されない。一態様では、対象において受動免疫を与える方法であって、対象に本明細書に開示されるHMGB1ポリペプチドまたはその断片、および本明細書に開示される抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRのうちの1つもしくは複数の有効量、および/または抗体、その抗原結合断片、ポリペプチド、もしくはCDRをコードするポリヌクレオチドもしくはベクターのうちの1つもしくは複数の有効量を投与するステップを含むか、またはあるいは本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなり、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRがDNABIIペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に結合する方法が提供される。一実施形態では、配列番号24のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号25のアミノ酸配列もしくはその等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗体またはその抗原結合断片が提供される。さらなる実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1、2、もしくは3の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列、および/または配列番号7、8、もしくは9の群から選択されるアミノ酸配列もしくはその各々の等価物を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる。抗体またはその抗原結合断片は検出可能に標識され得る。これらの方法を診断方法と組み合わせて、バイオフィルムの形成および/または破壊を検出および/またはモニターすることができる。一態様では、診断方法は、一態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域または尾部断片(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に特異的に結合する本明細書に開示される抗体または抗原結合断片の使用を含む。さらなる態様では、抗体または抗原結合断片は検出可能に標識される。
【0466】
一態様では、作用物質は、互いに同じまたは異なる1つまたは複数の抗体および/または抗原結合断片である。一部の実施形態では、そのような抗体または抗原結合断片は、単独でまたは互いに、または抗体以外の作用物質、またはまたさらに薬学的に有効な作用物質と組み合わせて、単独で、または薬学的に許容される担体と組み合わせて投与される。
【0467】
さらなる態様では、方法は、対象に抗微生物薬、抗原性ペプチド、またはアジュバントのうちの1つまたは複数の有効量を投与することをさらに含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。
【0468】
抗微生物薬の非限定的な例は、別のワクチン構成成分、例えば表面抗原、例えばOMP P5、rsPilA、OMP26、OMP P2、またはIV型Pilinタンパク質(Jurcisek and Bakaletz (2007) J. Bacteriology 189(10):3868-3875; Murphy, T.F. et al. (2009) The Pediatric Infectious Disease Journal 28:S121-S126を参照されたい)である。
【0469】
本明細書で開示する作用物質および組成物は、他の抗微生物剤および/または表面抗原と共に同時にまたは逐次的に投与され得る。特定の一態様では、投与は、例えば、直接注射によって、または吸入によって、感染の部位について局所である。投与の他の非限定的な例には、経皮に、尿道に、舌下に、直腸に、膣に、眼に、皮下、筋内に、腹腔内に、鼻内に、吸入による、または経口に、を含む1つまたは複数の方法による投与が含まれる。
【0470】
本明細書で開示する方法によって処置され得る微生物感染および疾患には、バイオフィルムを生産するグラム陽性またはグラム陰性生物、例えば、Streptococcus agalactiae、Neisseria meningitidis、Treponemes denticola、Treponemes pallidum、Burkholderia cepaciaまたはBurkholderia pseudomalleiによる感染が含まれる。一態様では、微生物感染は、Haemophilus influenzae(分類不能)、Moraxella catarrhalis、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Pseudomonas aeruginosa、Mycobacterium tuberculosisのうちの1つまたは複数である。これらの微生物感染は、上気道、中気道および下気道に存在し得る(耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、それだけでなく、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)の増悪、慢性咳嗽、嚢胞性線維症(CF)の合併症および/またはCFの主因ならびに市中感染性肺炎(CAP:community acquired pneumonia))。したがって、本明細書で開示するin vivo法を実施することによって、これらの疾患およびこれらの感染からの合併症もまた、予防または処置され得る。
【0471】
また、感染症は、口腔(う歯、歯周炎)で起こり、Streptococcus mutans、Porphyromonas gingivalis、Aggregatibacter actinomvctemcomitansによって引き起こされ得る。また、感染症は、皮膚に局在し(膿瘍、「ブドウ球菌」感染、膿痂疹、熱傷の二次感染、ライム病)、Staphylococcus aureus、Staphylococcus epidermidis、Pseudomonas aeruginosaおよびBorrelia burdorferiによって引き起こされ得る。尿路感染症(UTI:Infections of the urinary tract)もまた処置することができ、典型的に、Escherichia coliによって引き起こされる。胃腸管感染症(GI:Infections of the gastrointestinal tract)(下痢、コレラ、胆石、胃潰瘍)は、典型的に、Salmonella enterica serovar、Vibrio choleraeおよびHelicobacter pyloriによって引き起こされる。生殖器感染症は、典型的に、Neisseria gonorrhoeaeを含み、これによって引き起こされる。感染症は、Enterococcus faecalisによって引き起こされる膀胱の感染症または留置デバイスの感染症であり得る。典型的に、様々な細菌によって引き起こされる、埋入された補綴デバイス、例えば、人工臀部もしくは膝置換物、または歯科インプラント、または医療デバイス、例えば、ポンプ、カテーテル、ステントもしくはモニタリング系と関連付けられる感染症は、本明細書で開示する方法によって処置することができる。これらのデバイスは、本明細書で説明する作用物質でコーティングするか、またはこれにコンジュゲートすることができる。したがって、本明細書で開示するin vivo法を実施することによって、これらの疾患およびこれらの感染症からの合併症もまた予防または処置することができる。
【0472】
また、Streptococcus agalactiaeによって引き起こされる感染は、本明細書で開示する方法によって処置することができ、それは、新生児における細菌性敗血症の主原因である。髄膜炎を引き起こし得るNeisseria meningitidisによって引き起こされる感染もまた、処置することができる。
【0473】
したがって、本明細書で開示する方法に適用可能な投与経路には、鼻内、筋内、尿道、気管内、皮下、皮内、経皮、局所適用、静脈内、直腸、鼻、経口、吸入ならびに他の経腸および非経口投与経路が含まれる。投与経路は、作用物質および/または所望の効果に依存して、所望の場合、組み合わせられ、または調整され得る。活性剤は、単回用量で、または複数回用量で投与され得る。これらの方法および送達に好適な経路の実施形態には、全身性経路または局部経路が含まれる。概して、本明細書で開示する方法に好適な投与経路には、直接注射、経腸、非経口または吸入経路が含まれるが、これらに限定されない。
【0474】
吸入投与以外の非経口投与経路には、局所、経皮、皮下、筋内、眼窩内、嚢内、脊髄内、胸骨内および静脈内経路、すなわち、消化管を通る経路以外の任意の投与経路が含まれるが、これらに限定されない。非経口投与は、阻害する作用物質(inhibiting agent)の全身性または局所送達をもたらすように行われ得る。全身送達が所望される場合、投与は、典型的に、医薬調節物の浸潤性または全身吸収性の局所投与または粘膜投与を含む。
【0475】
また、本明細書で開示する作用物質は、経腸投与によって対象に送達され得る。経腸投与経路には、経口および直腸(例えば、坐剤を使用する)送達が含まれるが、これらに限定されない。
【0476】
皮膚または粘膜を通した活性剤の投与の方法には、好適な医薬調製物の局所適用、経皮的伝達、経皮伝達、注射および上皮投与が含まれるが、これらに限定されない。経皮伝達のために、吸収促進剤またはイオン導入は、好適な方法である。イオン導入伝達は、製品を、壊れていない皮膚を通して電気パルスを介して連続的に数日間またはそれよりも長い期間の間送達する市販の「パッチ」を使用して達成することができる。
【0477】
本明細書で開示する方法の様々な実施形態では、干渉する作用物質は、連続して毎日のように、少なくとも1日1回(QD)および様々な実施形態では、1日2回(BID)、3回(TID)またはさらに4回、吸入により、注射により、または経口で投与される。典型的に、治療有効1日量は、少なくとも約1mg、または少なくとも約10mg、または少なくとも約100mg、または約200~約500mg、およびときには、化合物に依存して、最大で約1g~約2.5gほどである。
【0478】
投与(Dosing of)は、カプセル剤、錠剤、経口懸濁剤、筋内注射用懸濁剤、静脈内点滴用懸濁剤、局所適用用ゲル剤(get)もしくはクリーム剤、または関節内注射用懸濁剤を使用して、本明細書で開示する方法に従って達成することができる。
【0479】
本明細書で説明する組成物の投与量、毒性および治療的有効性は、例えば、LD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養物または実験動物における標準の薬学的手順によって決定することができる。毒性効果と治療効果との間の用量比は、治療指数であり、それは、比LD50/ED50として表すことができる。ある特定の実施形態では、組成物は、高い治療指数を示す。毒性副作用を示す化合物が使用され得る一方で、非感染細胞への潜在的損傷を最小限にし、それによって、副作用を低減するために、そのような化合物を、罹患組織部位を標的とする送達系を設計するように注意を払うべきである。
【0480】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得たデータは、ヒトにおける使用のためのある範囲の投与量を製剤化するために使用され得る。そのような化合物の投与量は、ある特定の実施形態では、毒性をほとんどまたは全く有しないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形および利用される投与経路に依存して、この範囲内で変動し得る。本方法において使用される任意の化合物について、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから見積もることができる。用量は、細胞培養物において決定されたIC50(すなわち、症状の最大半量の阻害を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように動物モデルにおいて製剤化され得る。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用され得る。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって、測定され得る。
【0481】
一部の実施形態では、治療効果または予防効果を達成するために十分な組成物の有効量は、1投与当たり体重1キログラム当たり約0.000001mg~1投与当たり体重1キログラム当たり約10,000mgに及ぶ。好適には、投与量範囲は、1投与当たり体重1キログラム当たり約0.0001mg~1投与当たり体重1キログラム当たり約100mgである。投与は、初期用量として提供され、続いて1つまたは複数の「ブースター」用量が提供され得る。ブースター用量は、初期用量の1日、2日、3日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月または12ヶ月後に提供され得る。一部の実施形態では、ブースター用量は、前の投与に対する対象の応答の評価後に投与される。
【0482】
当業者は、非限定的に、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の健康全般および/または年齢ならびに存在する他の疾患を含む、ある特定の因子が、対象を有効に処置するために必要とされる投与量および時間調整に影響を及ぼし得ることを理解する。さらに、治療有効量の本明細書で説明する治療組成物による対象の処置は、単回処置または一連の処置を含み得る。
【0483】
ポリペプチド
また、アミノ末端またはカルボキシ末端のいずれか(または両方)に最大25個、またはあるいは20個、またはあるいは15個、またはあるいは最大10個、またはあるいは最大5個のランダムアミノ酸が付加された抗体、その抗原結合断片、CDR、およびその各々の等価物の重鎖および軽鎖を含む単離されたポリペプチドも本明細書に提供される。
【0484】
一態様では、配列番号1~14もしくは24~27の群のアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる単離されたポリペプチドが本明細書に提供される。ポリペプチドは、検出可能なまたは精製マーカーをさらに含み得る。
【0485】
本開示はまた、単離されたポリペプチドまたは断片またはその各々の等価物の14個全てのうちの2つもしくはそれよりも多く、または3つもしくはそれよりも多く、4つもしくはそれよりも多く、5つもしくはそれよりも多く、6個もしくはそれよりも多く、7個もしくはそれよりも多く、8個もしくはそれよりも多く、9個もしくはそれよりも多く、10個もしくはそれよりも多く、11個もしくはそれよりも多く、12個もしくはそれよりも多く、13個もしくはそれよりも多くを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる単離されたまたは組換えポリペプチドも提供する。
【0486】
上記の実施形態のいずれにおいても、ペプチドリンカーを、ポリペプチドのN末端またはC末端に付加することができる。「リンカー」または「ペプチドリンカー」は、ポリペプチド配列のN末端またはC末端のいずれかに連結されたペプチド配列を指す。一態様では、リンカーは、約1~約20アミノ酸残基の長さまたはあるいは2~約10、約3~約5アミノ酸残基の長さである。ペプチドリンカーの例は、Gly-Pro-Ser-Leu-Lys-Leu(配列番号33)である。他の例には、Gly-Gly-Gly;Gly-Pro-Ser-Leu(配列番号34);Gly-Pro-Ser;Pro-Ser-Leu-Lys(配列番号35);Gly-Pro-Ser-Leu-Lys(配列番号36)およびSer-Leu-Lys-Leu(配列番号37)が含まれる。
【0487】
一部の態様では、ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方は、可変ドメイン、鎖、HMGB1ポリペプチドもしくはその断片、またはCDRの上流に位置するシグナルペプチドコードポリヌクレオチド配列をさらに含む。ポリヌクレオチドの発現のための追加の調節エレメントは、一部の実施形態では、ポリペプチドの発現および/または複製のために作動可能に連結される。これらのエレメントは、当該技術分野で公知であり、例えば、プロモーター、エンハンサーまたはベクターエレメントを含む。一態様では、本明細書で開示するHMGB1ポリペプチドもしくはその断片または本明細書で開示する抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片のいずれかまたは両方は、可変ドメイン、鎖、CDR、HMGB1ポリペプチドまたはその断片の上流に位置するシグナルペプチドをさらに含む。
【0488】
本明細書に開示される単離されたポリペプチドは、原核宿主細胞および真核宿主細胞からの組換えにより産生されたポリペプチドおよびタンパク質、ならびにそのムテイン、アナログ、および断片を含むことが意図され、そのような細胞の例は上述の通りである。一部の実施形態では、用語はまた、本明細書に記載される抗体および抗イディオタイプ抗体も含む。そのようなポリペプチドは、当技術分野で公知の、および本明細書に簡潔に説明される方法を使用して単離または産生され得る。
【0489】
野生型ポリペプチドまたはタンパク質の機能的等価物またはバリアント、例えばアミノ酸の保存的アミノ酸置換を有するものもまた、本開示の範囲内であると理解される。
【0490】
さらなる態様では、例えばPEG化、PEGミメティック、ポリシアリル化、HES化、またはグリコシル化のように、ポリペプチドを検出可能な標識または作用物質にコンジュゲートまたは連結して、ポリペプチドの半減期を増加させる。適した標識は当技術分野で公知であり、本明細書に記載される。
【0491】
またさらなる態様では、検出可能な標識を有するまたは有しないポリペプチドは、宿主原核細胞または樹状細胞などの真核宿主細胞の表面上に含有され得るか、または発現させることができる。
【0492】
タンパク質およびポリペプチドは、精製、化学合成および組換え法を含む当業者に公知の多くのプロセスにより入手可能である。ポリペプチドは、抗体を用いた免疫沈降などの方法、ならびにゲル濾過、イオン交換、逆相およびアフィニティークロマトグラフィーなどの標準的な技術により、宿主細胞系などの調製物から単離され得る。このような方法については、例えば、Deutscherら、(1999)Guide To Protein Purification:Methods In Enzymology(Vol.182,Academic Press)を参照のこと。したがって、本開示はまた、これらのポリペプチドを得るためのプロセス、ならびにこれらのプロセスにより取得可能なおよび得られた生成物を提供する。
【0493】
ポリペプチドはまた、市販の自動ペプチド合成機、例えばPerkin/Elmer/Applied Biosystems,Inc.,Model 430Aまたは43lA,Foster City,Calif.,USAにより製造されたものを使用して化学合成により得られ得る。合成したポリペプチドを沈殿させ、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりさらに精製し得る。したがって、本開示はまた、タンパク質の配列および試薬、例えばアミノ酸および酵素を提供し、適切な配向および線状配列でアミノ酸を一緒に連結することにより、本明細書に開示のタンパク質を化学的に合成するためのプロセスを提供する。
【0494】
あるいは、タンパク質およびポリペプチドは、例えば、本明細書に記載される宿主細胞およびベクター系を使用して、Sambrookら、(1989)前掲に記載されている周知の組換え法により得られ得る。
【0495】
また、診断方法に使用するために検出可能な作用物質にコンジュゲートされた本明細書に記載されるポリペプチドもまた、本出願によって提供される。例えば検出可能に標識したポリペプチドをカラムに結合させて、抗体の検出および精製のために使用することができる。それらはまた、抗体産生のための免疫原としても有用である。本明細書に開示されるポリペプチドは、細胞プロセスをモジュレートする作用物質または薬物についてスクリーニングするためのin vitroアッセイ系において有用である。別の態様では、DNABIIポリペプチドの尾部領域(IHFもしくはHUの尾部領域、IHFAもしくはIHFBの尾部領域、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIを含むがこれらに限定されない)に対して特異的である抗体は、バイオフィルムの検出のための診断アッセイにおいて特に有用であり、単独で、または本明細書に記載される1つもしくは複数の抗体と組み合わせて使用することができる。一態様では、尾部領域に対して特異的な抗体は、DNABIIポリペプチドの先端領域(IHFもしくはHUの先端領域、IHFAもしくはIHFBの先端領域、および/または先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIを含むがこれらに限定されない)に対して特異的な抗体またはその抗原結合断片のためのコンパニオン診断として使用される。DNABIIポリペプチドは、IFHまたはHUポリペプチドであり得る。
【0496】
本明細書に開示されるペプチドに改変を行って、変更された特性をペプチドに提供できることは、当業者に周知である。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシンならびにDおよびL光学異性体の両方を含む天然および/または非天然もしくは合成アミノ酸のいずれか、アミノ酸アナログおよびペプチドミメティクスを指す。3つまたはそれよりも多くのアミノ酸のペプチドは、ペプチド鎖が短い場合には一般的にオリゴペプチドと呼ばれる。ペプチド鎖が長い場合、ペプチドは一般的にポリペプチドまたはタンパク質と呼ばれる。
【0497】
本明細書で開示されるペプチドは、非天然アミノ酸を含むように改変することができる。よって、ペプチドは、ペプチドに特別な特性を伝えるために、Dアミノ酸、Lアミノ酸の組合せ、および様々な「デザイナー」アミノ酸(例えば、ベータ-メチルアミノ酸、C-アルファ-メチルアミノ酸、およびN-アルファ-メチルアミノ酸等)を含み得る。その上、特定のカップリングステップで特定のアミノ酸を割付することによって、アルファヘリックス、ベータターン、ベータシート、ガンマターンを有するペプチド、および環状ペプチドを生成することができる。一般的に、アルファ-ヘリックス二次構造またはランダム二次構造は特に有用であり得ると考えられる。
【0498】
本明細書に開示されるポリペプチドはまた、様々な固相担体、例えば埋込物、ステント、ペースト、ゲル、歯科インプラントもしくは医療用インプラント、または液相担体、例えばビーズ、滅菌溶液もしくは水溶液、薬学的に許容され得る担体、薬学的に許容され得るポリマー、リポソーム、ミセル、懸濁液およびエマルジョンと組み合わされ得る。非水性溶媒の例としては、プロピルエチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび植物油が挙げられる。インビボで抗体を調製するかまたは免疫反応を誘導するために使用される場合、担体はまた、特異的免疫反応を非特異的に増大させるために有用なアジュバントを含み得る。当業者は、アジュバントが必要であるかを容易に決定し、それを選択し得る。しかしながら、単に例示目的で、適切なアジュバントとしては、限定されないが、フロイント完全アジュバントおよびフロイント不完全アジュバント、無機塩類およびポリヌクレオチドが挙げられる。他の適切なアジュバントとしては、モノホスホリルリピドA(MPL)、大腸菌易熱性エンテロトキシンの変異体誘導体、コレラ毒素の変異体誘導体、CPGオリゴヌクレオチドおよびスクアレンに由来するアジュバントが挙げられる。
【0499】
本開示はまた、本明細書に開示されるポリペプチド、アナログ、ムテイン、または断片のいずれかを単独で、または互いにもしくは他の作用物質、例えば抗生物質および許容される担体または固相支持体と組み合わせて含むか、またはあるいは本質的にそれからなるか、またはまたさらにそれからなる医薬組成物または組合せ物も提供する。これらの組成物または組合せ物は、本明細書に記載される様々な診断および治療方法にとって有用である。
【0500】
ポリヌクレオチド
本開示はまた、上記で特定されている抗体、その断片、CDR、単離されたまたは組換えポリペプチドの1つまたはそれよりも多くをコードする単離されたまたは組換えポリヌクレオチドおよびそれらの各相補鎖を提供する。単離されたまたは組換えポリヌクレオチドを含むベクターがさらに提供され、その例は当技術分野で公知であり、本明細書に簡単に記載されている。1つを超える単離されたまたは組換えポリヌクレオチドが単一ユニットとして発現させるべき一態様では、単離されたまたは組換えポリヌクレオチドは、ポリシストロン性ベクター内に含有され得る。ポリヌクレオチドは、DNA、RNA、mRNAまたは干渉RNA、例えばsiRNA、miRNAまたはdsRNAであり得る。
【0501】
別の態様では、本開示は、DNAの微生物バイオフィルム中のポリペプチドまたはタンパク質への結合に干渉するポリヌクレオチド、またはホリデイジャンクションに類似する4方向ジャンクションのポリヌクレオチド、複製フォークに類似する3方向ジャンクションのポリヌクレオチド、固有の柔軟性を有するポリヌクレオチド、またはベントポリヌクレオチドである干渉作用物質を提供し、それらはDNABIIポリヌクレオチド(HUまたはIHF)が微生物DNAに結合するのを処置または阻害することができ、同様にバイオフィルム形成および関連する感染症および障害を処置、予防、または阻害することができる。当業者は本明細書に提供される情報および当業者の知識を使用して、そのようなポリヌクレオチドを作製することができる。Goodman and Kay (1999) J. Biological Chem. 274(52):37004-37011およびKamashev and Rouviere-Yaniv (2000) EMBO J. 19(23):6527-6535を参照されたい。
【0502】
本開示はさらに、RNA転写のプロモーターならびにDNAまたはRNAの複製および/または一過性発現もしくは安定的発現のための他の調節配列に機能的に連結された単離されたまたは組換えポリヌクレオチドを提供する。本明細書で使用される場合、「機能的に連結された」という用語は、プロモーターが、DNA分子からのRNAの転写を指令するように配置されていることを意味する。このようなプロモーターの例は、SP6、T4およびT7である。特定の実施形態では、細胞特異的プロモーターは、挿入されたポリヌクレオチドの細胞特異的発現に使用される。終始コドンおよび選択マーカー配列、ならびにDNAの挿入片がそのプロモーターに機能的に連結され得るクローニング部位と共にプロモーターまたはプロモーター/エンハンサーを含有するベクターが当技術分野で公知であり、市販されている。一般的な方法およびクローニング戦略については、Gene Expression Technology(Goeddel ed.,Academic Press,Inc.(1991))およびそこで引用されている参照文献、ならびに様々な適切なベクターについてのマップ、機能的特性、商業的供給業者およびGenEMBL受託番号の参照を含有するEssential Data Series(Gacesa and Ramji,eds.,John Wiley&Sons,N.Y.(1994))を参照のこと。
【0503】
一実施形態では、本明細書に開示のポリヌクレオチド由来のポリヌクレオチドは、本明細書に記載される診断的および治療的有用性を有するポリペプチドまたはタンパク質、ならびにタンパク質の転写産物を同定するためのプローブ(これは存在してもよいしまたは存在しなくてもよい)をコードする。これらの核酸断片は、例えば、より大きなポリヌクレオチドの制限酵素消化により調製され、次いで、検出可能なマーカーで標識され得る。あるいは、ランダム断片は、分子のニックトランスレーションを使用して生成され得る。このような断片の調製および標識のための方法については、Sambrookら、(1989)前掲を参照のこと。
【0504】
これらの核酸を含有する発現ベクターは、タンパク質およびポリペプチドを産生するための宿主ベクター系を得るために有用である。これらの発現ベクターは、宿主生物において、エピソームとして、または染色体DNAの不可欠な一部として複製可能でなければならないことが示されている。適切な発現ベクターの非限定的な例としては、プラスミド、酵母ベクター、ウイルスベクターおよびリポソームが挙げられる。インビトロおよびインビボの両方における高レベルの発現および細胞の効率的な形質転換により、アデノウイルスベクターはインビボで遺伝子を組織に導入するために特に有用である。核酸が適切な宿主細胞、例えば原核または真核細胞および宿主細胞複製物に挿入される場合、タンパク質は組換え的に産生され得る。適切な宿主細胞はベクターに依存し、公知の方法を使用して構築された哺乳動物細胞、動物細胞、ヒト細胞、サル細胞、昆虫細胞、酵母細胞および細菌細胞を含み得る。Sambrookら、(1989)前掲を参照のこと。細胞への外因性核酸の挿入のためのウイルスベクターの使用に加えて、核酸は、当技術分野で公知の方法、例えば細菌細胞のための形質転換;哺乳動物細胞のための、リン酸カルシウム沈降を使用したトランスフェクション;またはDEAE-デキストラン;エレクトロポレーション;またはマイクロインジェクションにより、宿主細胞に挿入され得る。方法についてはSambrookら、(1989)前掲を参照のこと。したがって、本開示はまた、タンパク質またはポリペプチドまたは抗体をコードするポリヌクレオチドを含有する宿主細胞、例えば哺乳動物細胞、動物細胞(ラットまたはマウス)、ヒト細胞または原核細胞、例えば細菌細胞を提供する。
【0505】
ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリヌクレオチドの組立て前または後に与えられ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識化構成成分とのコンジュゲーションによって、重合化後にさらに修飾してもよい。また、この用語は、二本鎖および一本鎖分子の両方を指す。別に特定または要求されない限り、ポリヌクレオチドである本明細書で開示する任意の実施形態は、二本鎖形態、および二本鎖形態を構成することが公知または予想される2つの相補的一本鎖形態の各々の両方を包含する。
【0506】
ベクターが、インビボまたはエクスビボで遺伝子療法として本明細書に開示の方法において使用される場合、複製能力欠損レトロウイルスまたはアデノウイルスベクターなどの薬学的に許容され得るベクターが、例示的であり(非限定的ではあるが)、特に有用であり得る。本明細書に開示の核酸を含有する薬学的に許容され得るベクターは、挿入されたポリヌクレオチドを一過性または安定的発現のためにさらに改変され得る。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得るベクター」という用語は、限定されないが、核酸を選択的に標的としそれを分裂細胞へと導入する能力を有するベクターまたは送達ビヒクルを含む。このようなベクターの例は、ウイルスタンパク質を産生して感染宿主細胞においてベクターを拡散させることができないことにより定義される「複製能力欠損」ベクターである。複製能力欠損レトロウイルスベクターの例は、LNL6(Millerら、(1989)BioTechniques 7:980-990)である。遺伝子マーカーのレトロウイルス媒介遺伝子移入のために複製能力欠損レトロウイルスを使用する方法が確立されている(Bordignon(1989)PNAS USA 86:8912-8952;Culver(1991)PNAS USA 88:3155;およびRill(1991)Blood 79(10):2694-2700)。
【0507】
本開示はまた、本明細書に開示のポリヌクレオチドを含有し、および/またはそれを発現する遺伝子改変細胞を提供する。遺伝子改変細胞は、上流調節配列、例えばプロモーターまたは遺伝子活性化因子の挿入により作製され得る(米国特許第5,733,761号を参照のこと)。一実施形態では、改変細胞は真核細胞または原核細胞である。
【0508】
ポリヌクレオチドは、細胞における核酸の検出および/または遺伝子の発現のために、検出可能マーカー、例えば酵素標識または放射性同位体にコンジュゲートされ得る。検出可能なシグナルを生じさせることができる蛍光リガンド、放射性リガンド、酵素リガンドまたは他のリガンド、例えばアビジン/ビオチンを含む多種多様な適切な検出可能なマーカーが当技術分野で公知である。一態様では、放射性試薬または他の環境的に望ましくない試薬に代えて、蛍光標識または酵素タグ、例えばウレアーゼ、アルカリホスファターゼまたはペルオキシダーゼを用いることが望まれる可能性がある。酵素タグの場合、熱量測定インジケーター基質(calorimetric indicator substrate)を用いて、相補的な核酸含有サンプルとの特異的ハイブリダイゼーションを同定するための、目視可能な手段または分光光度的に検出可能な手段を提供し得る。したがって、本開示はさらに、相補的一本鎖ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションが可能になる条件下で(必要に応じて、中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)、または必要に応じて高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標的一本鎖ポリヌクレオチドを、本明細書に開示のポリヌクレオチドの一部である標識一本鎖ポリヌクレオチド(プローブ)と接触させることにより、一本鎖ポリヌクレオチドまたはその相補体を検出するための方法を提供する。ハイブリダイズしたポリヌクレオチド対は、ハイブリダイズしなかった一本鎖ポリヌクレオチドから分離される。ハイブリダイズしたポリヌクレオチド対は、当業者に公知の方法、例えばSambrookら(1989年)前掲に記載されている方法を使用して検出される。
【0509】
本開示で具体化されるポリヌクレオチドは、化学合成、組換えクローニング法、PCRまたはそれらの任意の組み合わせを使用して得られ得る。化学的なポリヌクレオチド合成は当技術分野で公知であり、本明細書に詳細に記載される必要はない。当業者は、本明細書で提供される配列データを使用して、DNA合成機を用いることにより、または商業的サービスを依頼することにより所望のポリヌクレオチドを得ることができる。
【0510】
本明細書に開示のポリヌクレオチドは、PCRを使用して単離または複製され得る。PCR技術は、米国特許第4,683,195、米国特許第4,800,159、米国特許第4,754,065、米国特許第4,683,202号の主題であり、PCR:The Polymerase Chain Reaction(Mullisら、eds.,Birkhauser Press,Boston(1994))またはMacPhersonら、(1991)および(1995)上記、ならびにそこで引用されている参考文献に記載されている。あるいは、当業者は、本明細書で提供される配列および市販のDNA合成機を使用して、DNAを複製し得る。したがって、本開示はまた、ポリヌクレオチドの線状配列、ヌクレオチド、適切なプライマー分子、化学物質、例えば酵素およびそれらを複製のための指示を提供し、ポリヌクレオチドを得るために適切な方向でヌクレオチドを化学的に複製または連結することにより、本明細書に開示のポリヌクレオチドを得るためのプロセスを提供する。別の実施形態では、これらのポリヌクレオチドはさらに単離される。なおさらに、当業者は、複製および増幅のために、ポリヌクレオチドを適切な複製ベクターに挿入し、ベクターを適切な宿主細胞(原核または真核細胞)に挿入し得る。そのようにして増幅されたDNAは、当業者に公知の方法により、細胞から単離され得る。この方法によりポリヌクレオチドを得るためのプロセス、およびそのようにして得られたポリヌクレオチドが本明細書でさらに提供される。
【0511】
RNAは、最初に、DNAポリヌクレオチドを適切な宿主細胞に挿入することにより得られ得る。DNAは、任意の適切な方法により、例えば、適切な遺伝子送達ビヒクル(例えば、リポソーム、プラスミドまたはベクター)の使用により、またはエレクトロポレーションにより送達され得る。細胞が複製してDNAがRNAに転写されたら、次いで、RNAは、例えば、Sambrookら、(1989)前掲に記載されている当業者に公知の方法を使用して単離され得る。例えば、mRNAは、Sambrookら、(1989)前掲に記載されている手順にしたがって、様々な溶菌酵素または化学溶液を使用して単離され得、製造業者により提供される添付の指示にしたがって、核酸結合樹脂により抽出され得る。
【0512】
本明細書に開示のポリヌクレオチドとの配列相補性または相同性を示すポリヌクレオチドは、ハイブリダイゼーションプローブとして、または本明細書で同定された特定のポリヌクレオチドの同等物として有用である。転写産物の完全なコード配列は公知であるので、この配列または相同配列の任意の部分は、本明細書に開示の方法において使用され得る。
【0513】
「完全に一致する」プローブは、特異的なハイブリダイゼーションに必要ではないことが当技術分野で公知である。少数の塩基の置換、欠失または挿入により達成されるプローブ配列の軽微な変化は、ハイブリダイゼーション特異性に影響を及ぼさない。一般に、20%程度の塩基対ミスマッチ(最適にアラインメントされた場合)が許容され得る。一部の実施形態では、前述のmRNAを検出するために有用なプローブは、相同領域と少なくとも約80%同一である。より好ましくは、プローブは、相同領域のアラインメント後に、対応する遺伝子配列と85%同一であり、一部の実施形態では、それは90%の同一性を示す。
【0514】
これらのプローブは、様々な細胞またはこれらの細胞を含有する組織を検出、予後診断、診断またはモニタリングするために、ラジオアッセイ(例えば、サザンおよびノーザンブロット分析)において使用され得る。プローブはまた、本明細書に開示のポリヌクレオチドに対応する遺伝子の発現の検出のためのハイスループットスクリーニングアッセイにおいて使用するために、チップなどの固体支持体またはアレイに結合され得る。したがって、本開示は、ハイスループットスクリーニングにおいて使用するために固体支持体に結合された本明細書に開示のポリヌクレオチドまたはその同等物またはその相補体またはその断片を含むかまたはそれに対応するプローブを提供する。
【0515】
断片の合計サイズおよび相補的ストレッチのサイズは、特定の核酸セグメントの目的の使用または適用に依存する。より小さな断片は、一般に、ハイブリダイゼーション実施形態において使用され、相補領域の長さは、例えば、少なくとも5から10から約100ヌクレオチドまでの間で、またはさらには検出したい相補配列に応じて全長で変動し得る。
【0516】
ハイブリッドの安定性および選択性を増加させ、それにより、得られる特定のハイブリッド分子の特異性を改善するために、5~10ヌクレオチド長を超えるストレッチにわたる相補配列を有するヌクレオチドプローブが一般によく適している。ある特定の実施形態では、10ヌクレオチド長もしくはそれを超えるまたは50ヌクレオチド長もしくはそれを超えるまたはさらには所望の場合にはより長い遺伝子相補的ストレッチを有するポリヌクレオチドを設計し得る。このような断片は、例えば、化学的手段により断片を直接合成することにより、核酸複製技術、例えば米国特許第4,603,102号に記載されている2つのプライミングオリゴヌクレオチドを用いたPCR技術の適用により、または組換え産生のために選択配列を組換えベクターに導入することにより容易に調製され得る。一態様では、プローブは、約50~75ヌクレオチド長もしくはそれを超えるあるいは50~100ヌクレオチド長である。
【0517】
本開示のポリヌクレオチドは、本明細書に記載される細胞において発現される遺伝子または遺伝子転写産物の検出のためのプライマーとして機能し得る。この文脈では、増幅は、妥当な忠実度で標的配列を複製することができるプライマー依存的ポリメラーゼを用いる任意の方法を意味する。増幅は、天然または組換えDNAポリメラーゼ、例えばT7 DNAポリメラーゼ、大腸菌DNAポリメラーゼのクレノウ断片および逆転写酵素により行われ得る。単に例示目的で、プライマーは、プローブについて特定されているものと同じ長さである。
【0518】
ポリヌクレオチドを増幅するための1つの方法はPCRであり、PCR増幅のためのキットは市販されている。増幅後、得られるDNA断片は、当技術分野で公知の任意の適切な方法により、例えば、アガロースゲル電気泳動、続いて、臭化エチジウム染色および紫外線照射による可視化により検出され得る。
【0519】
有効量の遺伝子送達ベクターまたはビヒクルを細胞に投与するための方法は開発されており、当業者に公知であり、本明細書に記載されている。細胞における遺伝子発現を検出するための方法は当技術分野で公知であり、DNAマイクロアレイへのハイブリダイゼーション、インサイチューハイブリダイゼーション、PCR、RNase保護アッセイおよびノーザンブロット分析などの技術が挙げられる。このような方法は、細胞における遺伝子の発現を検出および定量するために有用である。あるいは、コードされるポリペプチドの発現は、様々な方法により検出され得る。特に、標的ポリペプチドと特異的に反応性であるポリクローナルまたはモノクローナル抗体を調製することが有用である。このような抗体は、例えば、免疫組織学法、ELISAおよびウエスタンブロット法などの技術を使用して、ポリペプチドを発現する細胞を可視化するために有用である。これらの技術は、発現されたポリヌクレオチドの発現レベルを決定するために使用され得る。
【0520】
産生方法
抗体、断片、CDR、またはポリペプチドを産生する方法であって、本明細書で開示する抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、またはCDRおよびHMGB1ポリペプチドまたはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を、ポリヌクレオチドの発現のための条件下で培養すること、ならびに必要に応じて、細胞および/または培養物から、本明細書で開示する抗体、抗原結合断片、CDRポリペプチド、および/またはHMGB1ポリペプチドもしくはその断片を単離するステップを含むか、またはあるいは、それからなるか、またはまたさらにそれからなる方法もまた提供される。その上、ポリヌクレオチドの発現のための条件下の、本明細書で開示する抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、CDR、および/またはHMGB1ポリペプチドもしくはその断片をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞が提供される。一実施形態では、宿主細胞は、真核細胞または原核細胞である。さらなる実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。
組成物
【0521】
組成物がさらに提供される。組成物は、担体と、本明細書に開示される単離されたポリペプチド、本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される単離された宿主細胞、本明細書に開示される小分子または抗体、および/または本明細書に開示される抗原結合断片のうちの1つまたは複数とを含む。担体は、固体支持体または薬学的に許容される担体のうちの1つまたは複数となることができる。組成物は、アジュバントまたはワクチンとしての投与に適した他の成分をさらに含むことができる。一態様では、組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤、希釈剤、担体および/またはアジュバントと共に製剤化される。加えて、本開示の組成物の実施形態は、1つまたは複数の薬学的に許容される物質と共に製剤化された、本明細書に開示される単離されたポリペプチド、本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される小分子、単離された宿主細胞または本開示の抗体もしくはその抗原結合断片のうちの1つまたは複数を含む。
【0522】
経口調製物のため、本明細書に記載される単離されたまたは組換えポリペプチド、本明細書に記載される単離されたまたは組換えポリヌクレオチド、本明細書に記載されるベクター、本明細書に記載される単離された宿主細胞、本明細書に記載される小分子または抗体もしくはその抗原結合断片のうちいずれか1つまたは複数を、単独で使用するか、または錠剤、散剤、顆粒剤またはカプセル剤を作製するための適切な添加物と組み合わせて、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン等の従来の添加物と;結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチン等の結合剤と;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウム等の崩壊剤と;タルクまたはステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤と;および所望であれば、希釈剤、緩衝剤、保湿剤、保存剤および香味剤と、組み合わせて化合物を含むもしくはこれから本質的になる本明細書に開示される医薬製剤において使用することができる。薬学的に適合性な結合剤(binding agent)および/またはアジュバント材料が、組成物の一部として含まれてよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、次の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含有することができる:微結晶性セルロース、トラガカントゴムもしくはゼラチン等の結合剤(binder);デンプンもしくはラクトース等の賦形剤、アルギン酸、Primogelもしくはトウモロコシデンプン等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムもしくはSterotes等の滑沢剤;コロイド性二酸化ケイ素等の滑剤(glidant);スクロースもしくはサッカリン等の甘味剤;またはペパーミント、サリチル酸メチルもしくはオレンジ香味料等の香味剤。
【0523】
経口投与に適した医薬製剤および単位用量形態は、慢性状態、感染症の処置、および患者が薬物を自己投与する治療法において特に有用である。一態様では、製剤は、小児投与に特異的である。
【0524】
本開示は、医薬製剤を提供し、この医薬製剤において、本明細書に開示される単離されたポリペプチド、本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される単離された宿主細胞、または本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片のうちの1つまたは複数は、これらを、植物油もしくは他の同様の油、合成脂肪族酸グリセリド、高級脂肪族酸のエステル、またはプロピレングリコール等の水性または非水性溶媒に溶解、懸濁または乳化することにより、本開示に従って注射用調製物へと、所望であれば、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および保存剤または他の抗微生物剤等の従来の添加物と共に、製剤化され得る。そのようなものの非限定的な例は、表面抗原、例えば、OMP P5、OMP 26、OMP P2またはIV型ピリンタンパク質(Jurcisek and Bakaletz (2007) J. of Bacteriology 189(10):3868-3875およびMurphy, T F, Bakaletz, L O and Smeesters, P R (2009) The Pediatric Infectious Disease Journal, 28:S121-S126を参照)等の他のワクチン成分、および抗菌剤等の抗微生物剤である。静脈内投与のため、適した担体は、生理的静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)またはリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての事例において、非経口投与のための組成物は、滅菌されていなければならず、容易に注射できる程度まで流動性があるべきである。
【0525】
本開示によって提供されるエアロゾル製剤は、吸入により投与することができ、噴射剤または非噴射剤ベースとなることができる。例えば、本明細書に開示される医薬製剤の実施形態は、例えばジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される噴射剤中に製剤化された本明細書に開示される化合物を含む。吸入による投与のため、化合物は、適した噴射剤、例えば、二酸化炭素等のガスを含有する加圧された容器もしくはディスペンサーまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達することができる。非噴射剤の非限定的な例は、機械力(すなわち、指でピストンを押し下げること、または容器の壁に加えられる圧縮力もしくは壁それ自体によって、例えば、弾性嚢によって及ぼされる弾性力等、容器の圧縮による)を用いて閉鎖容器から駆出されるポンプスプレーである。
【0526】
本明細書に開示される坐剤は、本明細書に開示される化合物を、乳化基剤または水溶性基剤等の種々の基剤のいずれかと混合することにより調製することができる。本明細書に開示される化合物のこのような医薬製剤の実施形態は、坐剤により直腸投与することができる。坐剤は、体温で融解するが室温で凝固する、カカオバター、カルボワックス(carbowax)およびポリエチレングリコール等の媒体を含むことができる。
【0527】
シロップ剤、エリキシル剤および懸濁剤等、経口または直腸投与のための単位剤形を提供することができ、各投薬量単位、例えば、茶匙1杯(teaspoonful)、食匙1杯(tablespoonful)、錠剤または坐剤は、本明細書に開示される1つまたは複数の化合物を含有する組成物の所定の量を含有する。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、生理的食塩水(normal saline)または別の薬学的に許容される担体中の液剤としての組成物中に本明細書に開示される化合物を含むことができる。
【0528】
本明細書に開示される医薬製剤の実施形態は、本明細書に開示される単離されたポリペプチド、本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本開示における使用のための小分子、本明細書に開示される単離された宿主細胞または本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片のうちの1つまたは複数が、注射用組成物中に製剤化される実施形態を含む。本明細書に開示される注射用医薬製剤は、液体の液剤もしくは懸濁剤として;または注射に先立つ液体媒体への溶解もしくは懸濁に適した固体形態として調製される。本明細書に開示される医薬製剤の他の実施形態に従って、調製物は、乳化することもできる、またはリポソーム媒体に被包された活性成分となることもできる。
【0529】
ある実施形態では、本明細書に開示される単離されたポリペプチド、本明細書に開示される単離されたポリヌクレオチド、本明細書に開示されるベクター、本明細書に開示される単離された宿主細胞または本明細書に開示される抗体もしくはその抗原結合断片のうちの1つまたは複数は、持続的送達系による送達のために製剤化される。用語「持続的送達系」は、「制御された送達系」と互換的に本明細書で使用され、そのうち多種多様なものが当技術分野で公知である、カテーテル、注射デバイスなどと組み合わせた、持続的(例えば、制御された)送達デバイス(例えば、ポンプ)を包含する。
【0530】
機械的または電気機械的注入ポンプも、本開示による使用に適する場合がある。斯かるデバイスの例は、例えば、米国特許第4,692,147号;同第4,360,019号;同第4,487,603号;同第4,360,019号;同第4,725,852号;同第5,820,589号;同第5,643,207号;同第6,198,966号などに記載されているデバイスを含む。一般に、本明細書に開示される化合物の送達は、種々の詰め替え可能なポンプシステムのいずれかを使用して達成することができる。ポンプは、経時的に一貫した制御放出をもたらす。一部の実施形態では、本明細書に開示される化合物は、薬物不透過性リザーバー内の液体製剤中に存在し、持続的様式で個体に送達される。
【0531】
一実施形態では、薬物送達系は、少なくとも部分的に植込み型デバイスである。植込み型デバイスは、当技術分野で周知の方法およびデバイスを使用して、いずれか適した植込み部位に植え込むことができる。植込み部位は、薬物送達デバイスが導入され置かれる、対象の身体内の部位である。植込み部位は、真皮下、皮下、筋肉内、または対象の身体内の他の適した部位を含むが、これらに必ずしも限定されない。皮下植込み部位は、一部の実施形態では、薬物送達デバイスの植込みおよび除去における便宜のために使用される。
【0532】
本開示における使用に好適な薬物放出デバイスは、種々の操作機序のいずれか、ポリマー、例えば、いくつかのベンダー、例えば、BioDegmerおよびSigma-Aldrichから市販されているポリ(グリコリド-co-ラクチド)(PGLA)などに基づくことができる。例えば、薬物放出デバイスは、拡散システム、対流システムまたは侵食性システム(例えば、侵食に基づくシステム)に基づくことができる。例えば、薬物放出デバイスは、電気化学的ポンプ、浸透圧ポンプ、電気浸透圧ポンプ、蒸気圧ポンプまたは浸透圧バーストマトリックスとなることができ、この場合、例えば、薬物は、ポリマー(例えば、PGLA)に取り込まれ、ポリマーは、薬物含浸ポリマー材料(例えば、生分解性、薬物含浸ポリマー材料)の分解に付随して薬物製剤の放出をもたらす。他の実施形態では、薬物放出デバイスは、電気拡散システム、電解ポンプ、発泡ポンプ、圧電ポンプ、加水分解システム等に基づく。
【0533】
機械的または電気機械的注入ポンプに基づく薬物放出デバイスも、本開示による使用に適する場合がある。斯かるデバイスの例は、例えば、米国特許第4,692,147号;同第4,360,019号;同第4,487,603号;同第4,360,019号;同第4,725,852号などに記載されているデバイスを含む。一般に、対象処置方法は、種々の詰め替え可能で交換不可能なポンプシステムのいずれかを使用して達成することができる。ポンプおよび他の対流システムは、それらには、経時的に一般的により一貫性のある制御放出があるという理由から利用することができる。浸透圧ポンプは、一部の実施形態では、それらには、より一貫性のある制御放出と比較的小さいサイズという複合的利点があるという理由から使用される(例えば、PCT国際出願公開番号WO97/27840ならびに米国特許第5,985,305号および同第5,728,396号を参照)。本開示における使用に適した例示的な浸透圧により駆動されるデバイスは、米国特許第3,760,984号;同第3,845,770号;同第3,916,899号;同第3,923,426号;同第3,987,790号;同第3,995,631号;同第3,916,899号;同第4,016,880号;同第4,036,228号;同第4,111,202号;同第4,111,203号;同第4,203,440号;同第4,203,442号;同第4,210,139号;同第4,327,725号;同第4,627,850号;同第4,865,845号;同第5,057,318号;同第5,059,423号;同第5,112,614号;同第5,137,727号;同第5,234,692号;同第5,234,693号;同第5,728,396号などに記載されているデバイスを含むが、これらに必ずしも限定されない。本開示に適応され得るさらに例示的なデバイスは、Synchromed注入ポンプ(Medtronic)である。
【0534】
一部の実施形態では、薬物送達デバイスは、植込み型デバイスである。薬物送達デバイスは、当技術分野で周知の方法およびデバイスを使用して、いずれか適した植込み部位に植え込むことができる。本明細書に記述される通り、植込み部位は、薬物送達デバイスが導入され置かれる、対象の身体内の部位である。植込み部位は、真皮下、皮下、筋肉内、または対象の身体内の他の適した部位を含むが、これらに必ずしも限定されない。
【0535】
本明細書に開示される化合物に適した賦形剤媒体は、例えば、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびこれらの組合せである。加えて、所望であれば、媒体は、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤等、少量の補助的物質を含有することができる。斯かる剤形を調製する方法は、公知である、または本開示を考慮することにより、当業者には明らかとなる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 17th edition, 1985を参照されたい。投与されるべき組成物または製剤は、いかなる場合であっても、処置されている対象における所望の状態の達成に適切な化合物の含量を含有する。
【0536】
本開示の組成物は、徐放性マトリックスまたは制御放出マトリックスを含む組成物を含む。加えて、本開示の実施形態は、徐放性製剤を使用する他の処置と併せて使用することができる。本明細書で使用される場合、徐放性マトリックスは、酵素によるもしくは酸に基づく加水分解または溶解によって分解可能な材料、通常、ポリマーから作られたマトリックスである。身体内に挿入されると、マトリックスは、酵素および体液の作用を受ける。徐放性マトリックスは、望ましくは、リポソーム、ポリラクチド(ポリ乳酸)、ポリグリコリド(グリコール酸のポリマー)、ポリラクチドco-グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコポリマー)、ポリ酸無水物、ポリ(オルト)エステル、ポリペプチド、ヒアルロン酸、コラーゲン、コンドロイチンサルフェート、カルボン酸(carboxcylic acid)、脂肪酸、リン脂質、多糖、核酸、ポリアミノ酸、フェニルアラニン(phenylatanine)、チロシン、イソロイシン等のアミノ酸、ポリヌクレオチド、ポリビニルプロピレン、ポリビニルピロリドンおよびシリコーン等の生体適合性材料から選択される。説明目的の生分解性マトリックスは、ポリラクチドマトリックス、ポリグリコリドマトリックスおよびポリラクチドco-グリコリド(乳酸およびグリコール酸のコポリマー)マトリックスを含む。
【0537】
別の実施形態では、ポリペプチド、抗体もしくはその抗原結合断片(および組合せ組成物)は、制御放出システムにおいて送達される。例えば、本明細書に開示される化合物は、静脈内注入、植込み型浸透圧ポンプ、経皮パッチ、リポソームまたは他の投与機序を使用して投与することができる。一実施形態では、ポンプを使用することができる(Sefton (1987) CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201;Buchwald et al. (1980) Surgery 88:507;Saudek et al. (1989) N. Engl. J. Med. 321:574)。別の実施形態では、ポリマー材料が使用される。さらに別の実施形態では、制御放出システムは、治療標的、すなわち、肝臓に近接して配置され、よって、全身性用量のごく一部しか要求しない。さらに別の実施形態では、制御放出システムは、治療標的に近接して配置され、よって、全身性用量のごく一部しか要求しない。他の制御放出システムは、Langer (1990) Science 249:1527-1533による概説において考察されている。
【0538】
別の実施形態では、本開示の組成物(および別々のまたは一緒の組合せ組成物)は、組成物を送達するために、縫合糸、包帯およびガーゼ等の吸収性材料への本明細書に記載される阻害する作用物質の含浸によって形成された組成物、または手術用ステープル、ジッパーおよびカテーテル等の固相材料の表面にコーティングされた組成物を含む。この種の他の送達系は、当業者には、本開示を考慮して容易に明らかとなる。
【0539】
本開示は、微生物感染の処置のための、干渉する作用物質のうちの1つまたは複数の宿主(例えば、ヒト)への投与のための方法および組成物を提供する。様々な実施形態では、本明細書に開示されるこのような方法は、in vivoおよびex vivo方法、ならびに全身性および局部投与経路を含む、薬物送達に適したほぼ全ての利用できる方法および経路に及ぶ。
スクリーニングアッセイ
【0540】
本開示は、本明細書に記載されるポリクローナル抗体と等価なモノクローナル抗体等の等価な作用物質、および活性剤の活性をモジュレートする様々な作用物質、および本明細書に開示される医薬組成物、または本明細書に開示されるポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドもしくはペプチド産物の機能に関してスクリーニングするための方法を提供する。本開示の目的のため、「作用物質」は、単純もしくは複雑な有機もしくは無機分子(核酸などの低分子として本明細書において言及される)、ペプチド、タンパク質(例えば、抗体)、ポリヌクレオチド(アンチセンス)、またはリボザイム等の生物学的または化学的な化合物を含むが、これらに限定されないことを意図する。広範囲の化合物、例えば、ポリペプチドおよびポリヌクレオチド等のポリマー、ならびに様々なコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができ、これらもまた、用語「作用物質」に含まれる。加えて、例えば植物または動物抽出物など、様々な天然の供給源が、スクリーニングのための化合物をもたらすことができる。必ずしも明確に記述されているとは限らないが、作用物質が、単独で、または発明に関するスクリーニングによって同定される作用物質と同じもしくは異なる生物活性を有する別の作用物質と組み合わせて使用されることを理解されたい。
【0541】
一実施形態は、DNA-DNABII(例えば、IHFまたはHU)相互作用と、相互作用する、結合する、または阻害することができる作用物質をスクリーニングする方法である。したがって、本開示は、DNA-DNABII(例えば、IHFまたはHU)相互作用と、相互作用する、結合する、または阻害することができる作用物質を設計、選択、および合成するために、コンピューター補助技術、in silico設計またはモデリングとしても知られるバーチャル設計技術の使用を容認する。次に、候補作用物質は、本明細書に記載されるバイオフィルムおよび関連疾患または状態(医学的、工業、または獣医学的)の処置において有効であり得る。よって、本開示は、in silicoの方法によって同定または設計された作用物質も提供する。
【0542】
候補作用物質は、候補作用物質といずれかまたは両方との間の所望の相互作用が見出される場合、DNAおよび/またはDNABIIタンパク質に結合することができることが見出される。相互作用は、定量的、例えば相互作用の強度および/もしくは相互作用部位の数であり得るか、または定性的、例えば相互作用もしくは相互作用の欠如であり得る。したがって方法のアウトプットは、定量的または定性的であり得る。したがって、一態様では、本開示はまた、相互作用を阻害しないかまたはあるいはDNAとタンパク質との間の相互作用を強める作用物質を特定する方法も提供する。
【0543】
作用物質、例えば小分子化合物の潜在的阻害効果または結合効果(すなわち、相互作用または結合)を、コンピューターモデリング技術を使用することによって、その実際の合成および検査前に分析することができる。所与の化合物の理論的構造が、バイオフィルムおよび/またはDNABIIタンパク質におけるそれと微生物DNAとの間の相互作用および結合が不十分であることを示唆している場合、作用物質の合成および試験を回避することができる。しかし、コンピューターモデリングが強い相互作用を指し示している場合、作用物質を合成し、in vitroまたはin vivo実験などの様々な方法を使用して作用物質が相互作用に結合する能力または相互作用を阻害する能力に関して試験することができる。作用物質が、単独でまたは別の作用物質と共にバイオフィルムを阻害または滴定する能力を試験する方法を本明細書に開示する。このように、動作不能な作用物質および化合物の合成を回避することができる。
【0544】
当業者は、DNABIIまたは微生物DNAとの結合能、より詳しくは特異的結合部位との結合能に関して化学実体または生物実体または断片をスクリーニングするためにいくつかの方法のいずれを使用してもよい。次に、選択された断片または化学実体を、種々の方向に配置してもよく、またはDNAもしくはDNABIIポリペプチドの個々の結合部位内にドッキングさせてもよい。ドッキングは、QUANTA、SYBYLなどのソフトウェアを使用して、その後にエネルギー最小化および標準的な分子力場による分子動力学法、例えばCHARMMおよびAMBERを使用して達成され得る。
【0545】
市販のコンピュータープログラムもまた、in silico設計で利用可能である。例としては、GRID(Oxford University、Oxford、UK)、MCSS(Molecular Simulations、Burlington、Mass.)、AUTODOCK(Scripps Research Institute、La Jolla、Calif.)、DOCK(University of California、San Francisco、Calif.)、GLIDE(Schrodinger Inc.)、FlexX(Tripos Inc.)およびGOLD(Cambridge Crystallographic Data Centre)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0546】
作用物質または化合物が、上記の方法によって設計または選択された後、作用物質または化合物が互いに結合し得る効率を試験し、コンピューター評価によって最適化してもよい。例えば、有効なDNABII断片は、その結合状態と遊離状態(すなわち、結合の小さい変形エネルギー)の間のエネルギーの比較的小さい差を実証し得る。
【0547】
設計または選択された化合物はさらに、その結合状態において、それが必要に応じて標的タンパク質との静電反発相互作用を欠如し得るようにさらにコンピューターによって最適化され得る。そのような非相補的(例えば、静電)相互作用としては、反発電荷-電荷相互作用、双極子-双極子相互作用、および電荷-双極子相互作用が挙げられる。具体的には、作用物質または化合物がいずれかの作用物質に結合した場合のバイオフィルム中の作用物質およびDNABIIおよび/または微生物DNAの間の全ての静電相互作用の合計は、必要に応じて結合のエンタルピーに中性にまたは好ましく寄与する。
【0548】
コンピューターソフトウェアもまた、当技術分野で化合物のひずみエネルギーおよび静電相互作用を評価するために使用可能である。例としては、Gaussian 92[Gaussian,Inc.、Pittsburgh、Pa.];AMBER[University of California at San Francisco];QUANTA/CHARMM[Molecular Simulations,Inc.、Burlington、Mass.];およびInsight II/Discover[Biosysm Technologies Inc.、San Diego、Calif.]が挙げられるがこれらに限定されない。
【0549】
結合物質が上述のように最適に選択または設計された後、その結合特性を改善または改変するためにその原子または側鎖の一部に置換を行ってもよい。一般的に、最初の置換は保存的であり、すなわち置換基は、元の基とおよそ同じサイズ、形状、疎水性、および電荷を有する。当然、立体構造を変更することが当技術分野で公知の構成成分は回避すべきであると理解すべきである。次に、そのような置換された化学化合物を、上記で詳細に記載される同じコンピューター方法によってバイオフィルム中のDNABIIタンパク質および/または微生物DNAへの適合効率に関して分析することができる。
【0550】
ある特定の実施形態は、本明細書に開示されるタンパク質またはポリヌクレオチドと相互作用することができる小分子をスクリーニングする方法に関する。本開示の目的に関して、「小分子」は、一実施形態では、目的のタンパク質に結合することができ、それによってタンパク質の機能を変更する低分子量(MW)を有する分子である。一部の実施形態では、小分子のMWは、1,000以下である。タンパク質機能を変更することができる小分子をスクリーニングする方法は当技術分野で公知である。例えば、細胞における小分子-タンパク質相互作用を検出するための小型化アレイアッセイが、You et al. (1997) Chem. Biol. 4:961-968によって考察されている。
【0551】
スクリーニング方法をin vitroで実践するために、処置されるべき微生物に感染した適した細胞培養または組織を最初に提供する。細胞を、密度依存的制御なく指数的増殖を達成するための条件(温度、増殖または培養培地、および気体(CO2))で適切な期間、培養する。また、対照として、感染していない追加の別々の細胞培養を維持することも望ましい。
【0552】
当業者には明らかなように、マイクロタイタープレートにおいて適した細胞を培養することができ、遺伝子型変化、表現型変化または微生物力価の低減に注目することにより、いくつかの作用物質を同時にアッセイすることができる。
【0553】
作用物質が、上述の通り、小分子等、DNAまたはRNA以外の組成物である場合、作用物質は、細胞培養物に直接的に添加することができる、または添加のための培養培地に添加することができる。当業者には明らかなように、経験的に決定することができる「有効」量(a mount)が添加されなければならない。
【0554】
作用物質が、抗体または抗原結合断片である場合、作用物質は、競合的ELISAを行うための条件下で、標的抗原および本明細書に記載されるポリクローナル抗体と接触させるまたはこれと共にインキュベートすることができる。斯かる方法は、当業者にとって公知である。
【0555】
アッセイは、対象において行うこともできる。対象が、ラット、チンチラ、マウスまたはサル等の動物である場合、本方法は、ヒト患者における作用物質の臨床検査に先立ち使用することができる簡便な動物モデルシステムを提供する。このシステムにおいて、疾患または微生物感染の症状が、同じ感染を有する無処置動物とそれぞれ比較して低減または排除される場合、候補作用物質は、潜在的な薬物である。比較のための基礎を提供する、健康で処置されない細胞または動物の別々の陰性対照群を有することは有用であり得る。
【0556】
作用物質および組成物は、医薬組成物における活性成分等、医薬の製造において、また、従来の手順に従った投与によるヒトおよび他の動物の処置のために使用することができる。
併用療法
【0557】
本開示の組成物および関連方法は、他の療法の投与と組み合わせて使用することができる。これらは、DNアーゼ酵素、抗生物質、抗微生物薬、抗感染症薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬または他の抗体および本明細書に記載されるHMGBポリペプチドの投与を含むがこれらに限定されない。
【0558】
いくつかの実施形態では、前記方法および組成物は、抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片と相乗的に作用するデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)酵素を含む。DNaseは、DNA骨格中のホスホジエステル結合の切断を触媒する任意の酵素である。十字構造だけではなく、DNAの様々な二次構造もまた標的とすることが公知のDNase酵素の3つの非限定的な例としては、DNase I、T4 Endo VII、T7 Endo I、RuvABCおよびRusAが挙げられる。特定の実施形態では、バイオフィルムを不安定化するために必要な抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片の有効量は、DNaseと組み合わされた場合に低減される。インビトロで投与される場合、DNaseは、アッセイに直接添加され得るか、または酵素を安定化することが公知の適切なバッファー中に添加され得る。DNaseの有効単位用量およびアッセイ条件は様々であって良く、当技術分野で公知の手順にしたがって最適化され得る。
【0559】
他の実施形態では、方法および組成物は、抗生物質および/または抗微生物薬と組み合わせることができる。抗微生物薬は、細菌、真菌または原生動物等の微生物の成長を死滅させるまたは阻害する物質である。バイオフィルムは一般に、抗生物質の作用に対し抵抗性であるが、本明細書に記載される組成物および方法を使用して、バイオフィルムが関与する感染を、感染を処置するための従来の治療方法に対して感受性にすることができる。他の実施形態では、本明細書に記載される方法および組成物と組み合わせた抗生物質または抗微生物薬の使用は、抗微生物薬および/またはバイオフィルム低減剤の有効量の低減を可能にする。本開示の方法と組み合わせて有用な抗微生物薬および抗生物質の一部の非限定的な例は、アモキシシリン、アモキシシリン・クラブラン酸塩、セフジニル、アジスロマイシンおよびスルファメトキサゾール・トリメトプリムを含む。バイオフィルム低減剤と組み合わせた抗微生物薬および/または抗生物質の治療有効用量は、従来の方法によって容易に決定することができる。一部の実施形態では、バイオフィルム低減剤と組み合わせた抗微生物剤の用量は、他の細菌感染、例えば、感染の病因がバイオフィルムを含まない細菌感染において有効であることが示された平均有効用量である。他の実施形態では、用量は、平均有効用量の0.1、0.15、0.2、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0または5倍である。抗生物質または抗微生物薬は、抗DNABII抗体もしくはその抗原結合断片の添加の前に、それと同時にまたはその後に添加することができる。
【0560】
他の実施形態では、方法および組成物は、細菌感染を処置する抗体と組み合わせることができる。本明細書に記載される方法および組成物と組み合わせて有用な抗体もしくはその抗原結合断片の一例は、無関係の外膜タンパク質(すなわち、OMP P5)に対する抗体もしくはその抗原結合断片である。この抗体もしくはその抗原結合断片単独による処置は、in vitroでバイオフィルムを減量しない。この抗体もしくはその抗原結合断片およびバイオフィルム低減剤による組み合わせた治療法は、同じ濃度で単独で使用されたいずれかの試薬によって達成され得る効果よりも大きい効果をもたらす。バイオフィルム低減剤またはバイオフィルムを低減するための方法と組み合わせたときに相乗効果を生じさせることができる他の抗体は、抗rsPilA、抗OMP26、抗OMP P2および抗OMP全体調製物を含む。
【0561】
本明細書に記載される組成物および方法を使用して、バイオフィルムが関与する細菌感染を、バイオフィルムによらない細菌感染の処置において有効であるが、他の面では、バイオフィルムが関与する細菌感染の処置において無効な一般的治療モダリティに対して感受性にすることができる。他の実施形態では、本明細書に記載される組成物および方法は、バイオフィルムが関与する細菌感染の処置において有効な治療モダリティと組み合わせて使用することができるが、斯かる追加の治療法およびバイオフィルム低減剤または方法の組合せは、バイオフィルム低減剤または追加の治療剤のいずれかの有効用量が低減され得るような相乗効果を生じさせる。他の実例では、斯かる追加の治療法およびバイオフィルム低減剤または方法の組合せは、処置が増強されるような相乗効果を生じさせる。処置の増強は、より短い時間量が感染の処置に要求されることによって証明することができる。
【0562】
追加の治療的処置は、バイオフィルムの低減に使用される方法または組成物の前に、それと同時にまたはその後に添加することができ、同じ製剤(formation)/組成物内にまたは別々の製剤/組成物として含有され得る。
キット
【0563】
本明細書に記載されるin vitroおよびin vivo方法を行うために必要な作用物質および指示を含有するキットも請求される。したがって、本開示は、これらの方法を実施するためのキットを提供し、そのキットは、抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞、ならびに、組織収集および/またはスクリーニング実施および/または結果解析および/または本明細書に定義される有効量の抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクターまたは宿主細胞の投与等の本明細書に開示される方法を実行するための指示を含むことができる。これらは、単独で、または他の適した抗微生物剤と組み合わせて使用することができる。
【0564】
例えば、キットは、上記で同定された作用物質、例えば抗体、抗原結合断片、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、ベクター、または宿主細胞のうちの任意の1つまたは複数、および使用のための使用説明書を含み得るか、またはあるいは本質的にそれからなり得るか、またはまたさらにそれからなり得る。キットはさらに、アジュバント、抗原性ペプチド、または抗微生物薬のうちの1つまたは複数を含み得る。担体の例としては、液体担体、薬学的に許容される担体、固相担体、薬学的に許容される担体、薬学的に許容されるポリマー、リポソーム、ミセル、インプラント、ステント、ペースト、ゲル、歯科用インプラント、または医療用インプラントが挙げられる。
【0565】
次の実施例および付属書(その全体が参照により組み込まれる)は、本明細書で開示する実施形態を例示するが、限定はしない意図である。
【実施例】
【0566】
実験
実験番号1 - 細胞外自然免疫エフェクターHMGB1は、病原性細菌バイオフィルム増殖を制限する
細菌バイオフィルムに対するHMGB1の影響を試験した。特筆すべきことに、DNA基質優先度における類似性にもかかわらず、DNABIIタンパク質は、バイオフィルムの構造的完全性を安定化したが、HMGB1は、細菌バイオフィルム構造を破壊したことが見出された。HMGB1の抗バイオフィルム活性の広がりを、複数の高優先度病原体に対するアッセイを介して複数の病原性バイオフィルムに対してin vitroで決定し、その後、ヒト疾患の2つの別個の動物モデルにおいて、バイオフィルム媒介性感染症を治療的に解消するHMGB1の能力を評価した。さらに、HMGB1を、単一の重要なアミノ酸の修飾を介して、その抗バイオフィルム活性の喪失なしにその炎症促進活性を根絶するように操作することができるかどうかを評価した。次いで、宿主由来の修飾されたHMGB1プラスDNABIIタンパク質に対する病原体指向性抗体の治療カクテルを、中耳炎(OM)の実験モデルの使用を介して試験して、ヒト気道の優勢な細菌病原体によって形成されたバイオフィルムを根絶するこのカクテルの能力を決定した。最後に、その新たに認識された抗バイオフィルム活性を含めて、HMGB1のネイティブ細胞外機能を説明するためのモデルが提案された。
【0567】
HMGB1およびDNABIIタンパク質は、in vivoバイオフィルム内のeDNAの格子構造上の別個の領域に局在化した
【0568】
HMGB1はNET内のDNAに結合し(Peng et al.)病原体に対する最初の宿主防御、DNAに結合しこれを屈曲させるそれらの共有された能力のおかげで、HMGB1およびDNABIIタンパク質は、いくつかのin vitroトランスアクションにおいて互いを機能的に補完するので、in vivoで形成されたバイオフィルム内の宿主HMGB1および細菌DNABIIタンパク質を限局化することを最初に試みて、細菌バイオフィルムに対する宿主防御におけるHMGB1の潜在的役割を特徴付けし始めた。分類不能Haemophilus influenzae(NTHI)によって誘導された中耳炎の間にチンチラ中耳から回収されたバイオフィルムのeDNA-リッチマトリックス内のHMGB1およびDNABIIタンパク質を限局化するために、バイオフィルム検体を、HMGB1またはDNABIIタンパク質のいずれかに対して特異的な抗体でプローブした。およそ236ミクロン領域の見かけの重複を伴って、好中球/NETの領域から、細菌バイオフィルムの明らかな描写を有する領域を同定した(
図2Aおよび2B)。次いで、免疫蛍光顕微鏡法を使用して、排他的細菌バイオフィルムの領域、重複する界面、およびもっぱら好中球/NETの領域内のeDNA、DNABIIタンパク質またはHMGB1を標識した(
図2C、2Dおよび2E)。eDNA格子は、3つ全てのパネルにおいて見ることができ、DNABIIタンパク質は、バイオフィルムパネルにおいて、もっぱらeDNAの頂点においてeDNAに結合し(
図2C)、HMGB1は、もっぱら好中球/NETパネルにおいて、eDNAに結合した(
図2E)。対照的に、界面において、eDNA上に、DNABIIタンパク質およびHMGB1の両方の明らかな標識化が存在する。HMGB1は、eDNAの交差した鎖において、DNABIIタンパク質に近接近して検出されたが、
図2Dの左上隅の境界を定められたボックス内に、少量のオーバーレイ(これは、複数のZ-スタック画像の圧縮に起因するアーチファクトである)であるように見えるものがあるにもかかわらず、これらのタンパク質は、頂点において共局在しなかった(
図2)。これは、個々のZ-スタック画像内で明らかである(
図2D、右パネル)。この結果は、宿主HMGB1が、細菌DNABIIタンパク質と同様に、細菌バイオフィルムのeDNA依存性細胞外マトリックス中に実際に組込まれたことを示唆した。しかし、DNABIIタンパク質とは異なり、HMGB1は、格子内のeDNAの交差した鎖の頂点においては決して観察されず、これは、HMGB1がHJ様構造を安定化しなかったことを示唆し、これは、DNABIIタンパク質の機能と類似しないさらに別の機能である。
【0569】
組換えHMGB1は、多様で重要な高優先度ヒト病原体によってin vitroで形成されたバイオフィルムを破壊した。
【0570】
HMGB1は、細菌バイオフィルムEPS内に取り込まれ得るので、細菌バイオフィルムアーキテクチャに対する組換えHMGB1(rHMGB1)の影響を直接決定した。これを行うために、バイオフィルム状態を介してそれらのビルレンスを一部媒介する複数のヒト病原体を、本明細書でin vitroで試験した。これらは、World Health Organization(WHO, Global Priority List of Antibiotic-resistant Bacteria to Guide Research, discovery, and Development of New Antibiotics, WHO PPL Short Summary (2017))によって重要かつ高優先度であると定義されている、尿路病原性Escherichia coli(UPEC)、Burkholderia cenocepacia(Bc)、NTHI、Enterobacter spp(E)、Staphylococcus aureus(S)、Klebsiella pneunomiae(K)、Acinetobacter baumanii(A)、Pseudomonas aeruginosa(P)、およびEnterococcus faecium(E)を含む。これらの病原体の各々によって形成された24時間のバイオフィルムを、E.faeciumを除き、200nM rHMGB1と共に16時間インキュベートしたが、E.faeciumでは、その分泌されたプロテアーゼによるrHMGB1の潜在的分解を回避するために、インキュベーション期間を1時間に短縮した(Ch’ng et al., Nat Rev Microbiol, 2019. 17(2): p. 82-94.)。複数の細菌種によって形成されたバイオフィルムを破壊する、E.coli IHFに対する抗体(α-IHFEc;IHFおよびHUの両方を認識する)(Devaraj et al.;Goodman et al., 2011;Gustave et al.;Novotny et al., 2013;Brandstetter et al.;Brockson et al., Mol Microbiol. 2014 Sep;93(6):1246-58;およびFreire et al., Mol Oral Microbiol, 2016. 2017 Feb;32(1):74-88)を、陽性対照として使用した。
【0571】
図3に示す通り、rHMGB1は、バイオフィルムを培地のみの中でインキュベートした対照と比較したバイオフィルム平均厚さにおける有意な低減によって明らかなように、これらの病原体の各々によって形成されたバイオフィルムを破壊したことが見出された(
図3A)。S.aureusおよびE.faeciumのみが、バイオフィルム平均厚さにおける類似の低減を達成するために、非殺菌性ではあるがより高い用量(800nM)のrHMGB1を要求した(
図3A)。その上、仔ウシ胸腺から精製されたネイティブHMGB1(nHMGB1)の、UPECおよびB.cenocepaciaバイオフィルムに対する抗バイオフィルム活性は、rHMGB1のものと等価であり(
図3A)、これは、nHMGB1とrHMGB1との間でのPTMにおけるいずれの潜在的差異も、抗バイオフィルム活性に有意に影響しなかったことを示した。
【0572】
特に、UPECバイオフィルムを破壊するための、rHMGB1の用量依存性の活性が、
図3Bで実証される。rHMGB1とのインキュベーションの後に、浮遊性UPEC 対 バイオフィルム常在UPECの相対的濃度を次に計数したところ、対照と比較して、総CFUにおいて統計的に有意な差異は存在しなかったので、rHMGB1がいずれの殺菌効果も示さなかったことが見出された(
図4A)。しかし、かつ驚くべきことに、この培養システム内の、浮遊性細菌における統計的に有意な増加と、バイオフィルム常在細菌における付随する統計的に有意な減少とによって明らかなように、rHMGB1は、バイオフィルム常在状態から浮遊状態への細菌のシフトを誘導するようであった(
図4B)。
【0573】
最後に、rHMGB1の存在下での抗生物質の有効性を直接試験するために、NTHIバイオフィルムを、単独(Brockson et al.)の、またはrHMGB1(200nM)と組み合わせたいずれかの抗生物質(アンピシリン(32μg/ml)もしくはアモキシシリン-クラブラン酸塩(1μg/ml))と共に、16時間インキュベートした。浮遊性NTHI 対 バイオフィルム常在NTHIの相対的濃度を計数したところ、rHMGB1は、バイオフィルム常在状態から浮遊状態への細菌のシフトを誘導したが、アンピシリンまたはアモキシシリン-クラブラン酸塩のいずれかと組み合わせたrHMGB1は、おそらくは、これらの抗生物質が浮遊性細菌を死滅させる能力およびrHMGB1が細菌を脆弱な浮遊状態へと駆動する能力によって、統計的に有意な量の総細菌を死滅させたことが見出された(
図5)。理論によって束縛されないが、rHMGB1は、細菌バイオフィルムのクリアランスにおいて、抗生物質とin vitroで相乗作用した。
【0574】
rHMGB1の酸化は、rHMGB1の抗バイオフィルム活性に負に影響を与えた
【0575】
HMGB1について、その場所、機能、およびDNAに結合する能力をモジュレートするいくつかのPTMが記載されている(Kang et al.で概説される)。rHMGB1およびnHMGB1のLC-MS/MS解析により、いずれか由来のペプチドの20%未満が任意のPTMを示したことが明らかになったが(データは示さず)、それにもかかわらず、HMGB1の酸化還元状態がその機能をモジュレートすることが公知であることを考慮して、rHMGB1の抗バイオフィルム活性に対する酸化の影響を、試験した(Venereau et al., J Exp Med, 2012. 209(9): p. 1519-28)。23位、45位、および106位における3つのシステイン(C)残基の酸化状態は、炎症特性に影響を及ぼす(Antoine et al., Mol Med, 2014. 20: p. 135-7)。C106チオール基およびC23-C45ジスルフィド結合を有するHMGB1は、炎症を誘発するが、末端が酸化または還元されたシステインは、炎症の解消を促進する(Yang et al., Mol Med, 2012. 18: p. 250-9)。この目的のために、HMGB1を、説明されたように(Liu et al., PLoS One, 2012. 7(4): p. e35379)、過酸化水素で最初に酸化した。次いで、Ox-rHMGB1を評価して、UPECによって形成されたバイオフィルムを破壊するその相対的能力を決定した。Ox-rHMGB1は、rHMGB1と比較して、その抗バイオフィルム効果を喪失した(
図6A)。この結果は、rHMGB1の酸化が、そのバイオフィルム破壊能力を有意に損なったことを示唆した。
【0576】
アセチル化もリン酸化も、rHMGB1の抗バイオフィルム活性に影響を与えなかった
【0577】
アセチル化およびリン酸化のみがHJ DNAに対するHMGB1の親和性を増強することが公知であることを考慮して、rHMGB1の抗バイオフィルム活性に対するアセチル化またはリン酸化の影響を試験した(Pasheva et al., 2004, Biochemistry, 43, 2935-40;および Ugrinova et al., 2012, Mol Biol Rep, 39, 9947-53)。HJ様構造は、細菌バイオフィルム安定性によって重要であるので(Devaraj et al., 2019)、HMGB1のアセチル化されたアイソフォーム(Ac-rHMGB1)またはリン酸化されたアイソフォーム(P-rHMGB1)の抗バイオフィルム活性を評価した。予測されるように、
図6Bで見られる通り、Ac-rHMGB1は、rHMGB1よりも緩徐に移動し、PrHMGB1は、rHMGB1よりも速く移動した(Ryan and Annunziato, 2001, Curr Protoc Mol Biol, Chapter 21, Unit 21 2.)。α-アセチルリシン抗体の使用を介して、rHMGB1のアセチル化をさらに確認した(
図6B;下)。次いで、Ac-rHMGB1およびP-rHMGB1を評価して、B.cenocepacia、Enterobacter spp、またはK.pneumoniaeによって形成されたバイオフィルムを破壊するそれらの相対的能力を決定した。Ac-rHMGB1およびP-rHMGB1は、対照と比較したバイオフィルム平均厚さにおける有意な低減によって明らかなように、これらの病原体の各々によって形成されたバイオフィルムを有意に破壊した(
図6C)。重要なことに、これらのアイソフォームの抗バイオフィルム活性は、rHMGB1の抗バイオフィルム活性から区別不能であった(
図3Aおよび6C)。
【0578】
操作された単一のアミノ酸変異C45Sを有する組換えHMGB1は、複数のヒト病原体に対するin vitroでのその抗バイオフィルム機能を保持した
【0579】
したがって、rHMGB1のいずれの所望されない炎症促進性効果をも軽減するために、C45S点変異を操作して、C23とのジスルフィド結合形成を抑制する修飾されたHMGB1(mHMGB1)を生成した。このバリアントを検証するために、mHMGB1が、HMGB1の公知の結合基質であるHJ DNAに結合するその能力を保持したことを最初に実証した(
図7)。次に、mHMGB1の抗バイオフィルム機能を、上で説明されたようにアッセイしたところ、mHMGB1が抗バイオフィルム活性を完全に保持したことが実証された(
図3A)。E.faeciumのみが、バイオフィルム平均厚さにおける類似の低減を達成するために、より高い用量のmHMGB1を要求した。理論によって束縛されないが、HMGB1の操作されたC45Sバリアントは、バイオフィルム破壊能力を保持した。
【0580】
DNABIIタンパク質とは異なり、HMGB1は、モデルHJおよびK.pneumoniaeバイオフィルム内のin vitroの格子様eDNA網目構造を安定化しなかった
【0581】
細菌バイオフィルムのeDNA格子内のHJ様構造の存在が示されており(Devaraj et al., 2019)、また、そのような分岐DNA構造に対するその高い親和性(Bianchi et al.)を考慮して、理論に束縛されることは望まないが、HMGB1が、結合の際にHJ DNAを不安定化した可能性が高いと仮説を立てたが、これは、eDNAの交差した鎖の頂点においてHMGB1が決して観察されなかった理由であった(
図2を参照されたい)。この仮説を試験するために、HJ DNAを、HMGB1、DNABIIタンパク質IHF、または原型的HJ DNA結合タンパク質、RuvAのいずれかと共に室温(RT)または55℃(HJ DNAの融解温度)でインキュベートし、非変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって複合体を分離した。3つ全てのタンパク質がRTでHJ DNAに結合して安定な複合体を形成したが、HMGB1のみは、シフトしたHJ DNA-HMGB1複合体(矢印)の存在量における減少と、構成要素である融解オリゴ(アスタリスク)における付随する増加とによって示されるように、55℃ではHJ DNAを効率的に安定化することができなかった(
図8)。これらのデータは、IHFおよびRuvAの両方に対する類似のHJ DNA結合部位優先度にもかかわらず、HMGB1が、HJ構造を同様に安定化することができなかったことを示唆した。
【0582】
eDNA依存性細胞外マトリックスに対するHMGB1アイソフォームの影響を直接評価するために、rHMGB1またはmHMGB1のいずれかと併せた、24時間のK.pneumoniaeバイオフィルム(代表的なモデル細菌バイオフィルムとして本明細書で使用される)とのインキュベーションを、16時間行った。未固定のバイオフィルムを、二本鎖(ds)DNAに対するモノクローナル抗体で標識して、バイオフィルムマトリックス内のeDNAを可視化した。細菌を、FilmTracer FM 4-64で標識した(上パネル)。K.pneumoniaeバイオフィルム内のeDNAは、複雑な蜘蛛の巣様構造へと組織化されていたが(下パネル)、これが、rHMGB1またはmHMGB1とのインキュベーションの際に特に破壊された。この成果は、HMGB1のいずれかのアイソフォームの存在下での、バイオフィルム細菌における同時の実質的な低減と相関した(
図9)。合わせると、これらのデータは、rHMGB1およびmHMGB1が共に、eDNA格子を特異的に破壊して、バイオフィルム破壊をin vitroで生じることによって、バイオフィルム細胞外マトリックスを直接不安定化したことを示唆した。この結果は、HMGB1がスキャフォールド内のeDNAの交差した鎖の頂点においては見出されなかった、in vivoで形成されたバイオフィルムを標識した場合に観察された結果と一致した。本明細書で開示するモデルによれば、HMGB1は、DNABIIタンパク質と競合し、このとき、安定化の代わりに、HMGB1は、これらのHJ様構造を不安定化し、結果として、バイオフィルムを破壊する。
【0583】
HMGB1は、バイオフィルム細胞外マトリックス内のHJ様構造に結合するその能力を介して、バイオフィルムを破壊した
【0584】
理論に束縛されることは望まないが、これらのタンパク質が細菌細胞外マトリックスをもはや安定化できないように、eDNAマトリックス内のHJ DNAに直接結合することによって、またはDNABIIタンパク質に結合することによって、HMGB1がその抗バイオフィルム効果を媒介できると仮説を立てた。最初に、HMGB1がその抗バイオフィルム効果を媒介した可能性を、HJ DNAへの直接的結合によって試験した。この目的のために、HMGB1の抗バイオフィルム機能を、eDNA内の類似の結合部位についてmHMGB1と競合する外因性に添加されたHU(DNABIIタンパク質)もしくはRuvA(原型的HJ DNA結合タンパク質)、または陰性対照としての別の細菌核様体関連タンパク質CbpAの存在下に限りであるが、上で説明されたようにアッセイした;RuvAは、バイオフィルムEPSにおける機能についてDNABIIタンパク質を置き換えることができるが(Devaraj et al. 2019)、CbpAは、EPS内のeDNA格子構造の維持のために要求されない(Devaraj et al., 2017)ことが、以前に示されている。mHMGB1は、添加されたDNABIIタンパク質またはRuvAのいずれかの存在下では、UPECによって形成されたバイオフィルムを用量依存性様式で破壊することができなかったが、CbpAの存在下ではUPECバイオフィルムをなおも破壊することができたことが観察され(
図10A)、これは、mHMGB1が、バイオフィルム細胞外マトリックス内のHJ様構造に結合するその能力を介してその抗バイオフィルム効果を媒介したことを示唆した。第2に、N-エチルマレイミド(NEM)によるHMGB1のアルキル化は、DNAに結合するHMGB1の能力を阻害することが示されているので(Sheflin et al., Biochemistry, 1993. 32(13): p. 3238-48)、NEM処置したrHMGB1を使用して、HMGB1媒介性バイオフィルム破壊の機構を直接試験した。rHMGB1と比較したNEM-rHMGB1におけるシフトを明らかにしたトリトン-酢酸-尿素ゲルによって、rHMGB1がNEMによって修飾されたことが最初に検証された(
図11A)。次に、NEM-rHMGB1がHJ DNAに結合できなかったことが次いで実証された(
図11B)。NEM-HMGB1が、なおも適切にフォールディングされ、他の点で機能的であったことを検証するために、NETを形成するように好中球を誘導するNEM-HMGB1の能力をアッセイした。ヒト好中球を、新たな血液から単離し、NEM-rHMGB1の非存在下または存在下で3.5時間インキュベートした。好中球を固定し、次いで、二本鎖(ds)DNAに対するモノクローナル抗体で標識して、eDNAを可視化し(NET、
図12の上パネル)、好中球エラスターゼに対するポリクローナル抗体で標識して、NET由来のeDNAの境界を定めた(
図12の下パネルに示す通り)。好中球自体は、ALEXAFLUOR(登録商標)350にコンジュゲートされたコムギ胚芽凝集素(WGA)で標識した(
図12の上パネルに示す通り)。
図12に示す通り、NEM-HMGB1は、NETを形成するように好中球を誘導し、これは、rHMGB1のNEM修飾が、HJ DNAに結合するその能力に特異的にしか干渉しなかったことを示唆した。最後に、NEM-rHMGB1の抗バイオフィルム機能を、上で説明されたようにアッセイしたところ、NEM-rHMGB1がその抗バイオフィルム活性を喪失したことが実証された(
図10B)。これらの結果は、HMGB1が、バイオフィルム細胞外マトリックス内のHJ様構造に直接結合するその能力を介してバイオフィルムを破壊したことを示唆した。
【0585】
次に、HMGB1がその抗バイオフィルム効果を媒介した可能性を、DNABIIタンパク質への結合によって試験した。この目的のために、平衡解離定数(Kd)を、BIACORE(商標)表面プラズモン共鳴(SPR)解析によって、IHFNTHIおよびHUNTHIへのmHMGB1の結合親和性の尺度として測定したところ、IHFNTHIへのmHMGB1結合についてのKdが579nMであり、HUNTHIへのmHMGB1結合についてのKdが104nMであったことが見出された(表1)。全長HMGB1は、2つのDNABIIタンパク質のいずれかと比較して、少なくとも、より高い親和性の大きさのオーダー(Kd約10nM)でHJ DNAに結合するので(Xin et al., Nucleic Acids Res, 2000. 28(20): p. 4044-50)、合わせると、これらの結果は、HMGB1の抗バイオフィルム効果が、その高親和性HJ DNA標的に直接結合することによって支配され、したがって、DNABIIタンパク質とのタンパク質-タンパク質相互作用を介してではなくHJを不安定化したことを示唆した。
【0586】
HMGB1は、マウス肺からのB.cenocepacia凝集物のクリアランスを促進した。
【0587】
rHMGB1およびmHMGB1は、複数の細菌によってin vitroで形成されたバイオフィルムを破壊したので、潜在的抗バイオフィルム活性を、B.cenocepaciaによって媒介される肺感染症のマウスモデルにおいて評価した。C57BL/6マウスを、10
7CFUのB.cenocepaciaに気管内(i.t.)曝露させ、曝露の時点(予防コホート)または感染の24時間後(hpi)(処置コホート)のいずれかの時点で、マウスに、0.2nmolのrHMGB1またはmHMGB1のいずれかをi.t.で与えた。マウス肺内のB.cenocepaciaを、E.coli伸長因子Tuに対するモノクローナル抗体(α-EF-Tu;B.cenocepaciaと交差反応する)の使用を介して、72hpiの時点で免疫標識したところ、B.cenocepaciaが肺内に凝集物を形成したことが実証された(
図13A)。次に、肺内の細菌負荷を18hpi(予防)または72hpi(処置)のいずれかの時点で決定したところ、使用した予防戦略(
図13B) 対 処置戦略(
図13C)にかかわらず、rHMGB1およびmHMGB1が共に、肺からのB.cenocepaciaのクリアランスを有意に促進したことが実証された。肺組織内のB.cenocepaciaを、72hpiの時点で染色したところ、対照マウスの肺内で多数の細菌が観察された(
図14A)。特筆すべきことに、対照と比較して、rHMGB1またはmHMGB1のいずれかで処置したマウスにおいて、細菌負荷が有意に低減された(
図14A)。これらのデータは、rHMGB1またはmHMGB1のいずれかを用いた予防アプローチおよび処置アプローチの両方が、マウス肺からのB.cenocepaciaのクリアランスを促進したことを示唆した。
【0588】
rHMGB1およびmHMGB1は共に、マウス肺からのB.cenocepaciaのクリアランスを促進したが、HMGB1は、マクロファージの食細胞能を低減させることが公知であるので(Banerjee et al., J Immunol, 2011. 187(9): p. 4686-94)、マクロファージによるファゴサイトーシスに対するmHMGB1の影響を評価した。mHMGB1は、対照と比較して、マクロファージの食細胞能を中程度に低減させ、rHMGB1から区別不能であったことが見出された(
図14B)。サイトカラシンDを陽性対照として使用した。これらの結果は、rHMGB1またはmHMGB1とのインキュベーションの際のマクロファージのファゴサイトーシスにおける僅かな低減が、48hpiの時点で、細菌クリアランスに影響を与えなかったことを示唆し、これはさらに、HMGB1の主な治療機能がファゴサイトーシス依存性ではなかったことを示唆している。
【0589】
HMGB1は、潜在的に有害な炎症促進応答を誘導し得るので、rHMGB1またはmHMGB1がマウス腹膜中への好中球の炎症性動員を誘導する能力を評価した。マウスに、0.2nmolのrHMGB1またはmHMGB1のいずれかを腹腔内(i.p.)注射し、腹膜腔内の好中球の相対的濃度を、α-CD45、α-CD11bおよびα-Ly6G抗体を用いたフローサイトメトリーによって4時間後に決定した。チオグリコレートを陽性対照として使用して、腹腔炎症を誘導した。対照と比較して、チオグリコレートを注射したマウスは、腹膜腔への有意な好中球遊走(2×10
6個の好中球)を示したが、rHMGB1を与えたマウスは、腹膜腔への中程度(3×10
5個の好中球)ではあるがなおも有意な好中球遊走を示した(
図14C)。特筆すべきことに、mHMGB1を注射したマウスは、rHMGB1と比較して、好中球遊走における有意な低減(1×10
5個未満の好中球)を実証し(
図14)、これは、mHMGB1が減弱された炎症性好中球応答を誘導したことを示唆した。
【0590】
B.cenocepaciaに曝露させ、次いで、72hpiの時点でrHMGB1またはmHMGB1のいずれかで処置したマウスの肺中への炎症細胞動員をさらに評価した。rHMGB1で処置したマウス由来の肺は、ヘマトキシリン(Haemotoxylin)およびエオシン(H&E)染色から明らかなように、対照と比較して、炎症細胞の有意な浸潤を示したが、mHMGB1で処置したマウス由来の肺は、炎症の徴候を示さず、その代わり、未感染の肺とより密接に似ていた(
図13D)。rHMGB1による処置の後に肺中に遊走した炎症細胞を同定するために、B.cenocepaciaに感染させ、18hpiの時点でrHMGB1またはmHMGB1のいずれかで同時に処置したマウス由来の気管支肺胞洗浄(BAL)試料に対して、フローサイトメトリーを(α-CD45、α-Ly6Gおよびα-CD11b抗体を使用して)行った。感染マウスは、主に好中球の浸潤物を示したが、同様に感染させたがrHMGB1でも処置したマウスは、対照と比較して、BAL中の有意に大きい数の好中球を示した(
図13Eおよび13F)。逆に、mHMGB1で処置したマウスは、rHMGB1で処置したマウスと比較して、BAL中の好中球の有意な低減を示し、対照から区別不能であった(
図13Eおよび13F)。
【0591】
過剰量のHMGB1は、敗血症性ショックと関連付けられる感染症に対する調節不全の宿主応答を媒介し得るので、rHMGB1(0.2nmol;in vivoバイオフィルムを処置するために使用した濃度)が敗血症性ショックを誘導する能力を、マウスにおいて評価した。マウスに、内毒素なしのrHMGB1、リポ多糖(LPS;5mg/kg)またはその両方のいずれか0.2nmolをi.p.注射し、次いで、敗血症性ショックの徴候について24時間モニタリングした。敗血症性ショックの誘導についての判断基準である血清TNF-α(Stevens et al., Sci Rep, 2017. 7(1): p. 5850)により、LPS単独は、有意な量のTNF-αを誘導したが、rHMGB1は、検出可能なTNF-αを誘導せず、その代わり、対照と匹敵したことが明らかになった(
図15)。この結果は、バイオフィルムを溶解し、疾患解消を誘導するための前臨床有効性研究中の治療薬と同じ濃度で使用したrHMGB1が、これらのマウス研究におけるその証拠の欠如を考慮すると、全身性炎症を促進する可能性が低かったことを示唆した。
【0592】
最後に、rHMGB1は、感染の部位への好中球遊走を誘導するだけでなく、好中球細胞外トラップ(NET)を形成するように好中球を誘導するので、好中球によるNETの誘導に対するmHMGB1の影響を評価した。ヒト好中球を、新たな血液から単離し、rHMGB1またはmHMGB1のいずれかの非存在または存在下で3.5時間インキュベートした。好中球を固定し、次いで、上で説明されたように標識して、NETを可視化した。rHMGB1は、NETの誘導に対して中程度の影響を有したが、mHMGB1は、好中球のin vitroでのNET形成をより強く誘導した(
図12)。合わせると、これらのデータは、rHMGB1およびmHMGB1が共に、マウス肺からのB.cenocepacia凝集物のクリアランスを促進したが、mHMGB1のみが、肺感染症のマウスモデルにおいて、rHMGB1の炎症促進活性なしにそれを促進したことを示唆した。
【0593】
rHMGB1およびmHMGB1は、実験的中耳炎のチンチラモデルにおいて、中耳内のNTHIバイオフィルムの溶解を促進した
【0594】
NTHIによって誘導された実験的中耳炎の確立されたモデルを利用して、rHMGB1またはmHMGB1が接着性粘膜バイオフィルムを破壊する能力をさらに評価した。NTHIによる経骨胞曝露の4日後、チンチラの両方の中耳内のバイオフィルムを、連続する2日間の中耳中への直接的滴下注入によって、rHMGB1またはmHMGB1のいずれかで処置した(
図16A)。陰性対照として、等価な体積の滅菌食塩水を送達した。第2の治療用量を受けた1日後、全ての動物を屠殺し、中耳バイオフィルム内のNTHIを計数した。粘膜バイオフィルムおよび粘膜炎症の相対量もまた、定性的に評価した。
【0595】
rHMGB1またはmHMGB1による第2の処置を受けた1日後、対照コホートと比較して、有意な>3-log少ない、粘膜バイオフィルム内のNTHIおよび/または中耳粘膜に接着性のNTHIが存在した(
図16B)(P≦0.01)。これら2つの処置間で、クリアランスにおける差異は観察されなかった。その上、6人の盲検評価人が、0のスコアがバイオフィルムの存在なしを示し、4+がバイオフィルムで満たされた中耳を示す、確立された注釈を使用して、チンチラ中耳内に残存した粘膜バイオフィルムの相対量を定性的にランク付けした(
図16C)(Novotny et al., Mucosal Immunol, 2011. 4(4): p. 456-67)。陰性対照コホートの中耳は、3.1のスコアを付けた、即ち、中耳の75%以上が、粘膜バイオフィルムで満たされたままであった(
図16D)。対照的に、rHMGB1またはmHMGB1で処置したチンチラは、1.0の平均スコアを得た、即ち、中耳の25%未満が、バイオフィルムによって占められていた(P≦0.0001)。再び、残存しているバイオフィルムの相対量について、処置間で差異は観察されなかった。次に、中耳を、相対的炎症について、盲検で定性的にランク付けした。0のスコアが炎症なしを示し、3+が中耳粘膜内の広範な毛細血管拡張および複数の出血病巣の存在を示す注釈を使用した(
図16E)。rHMGB1コホートは、滅菌食塩水対照コホートよりもわずかに低いだけのスコアを付けた(
図16F;それぞれ1.7 対 2.2)。逆に、対照コホートおよびrHMGB1コホートの両方よりも有意に少ない(スコア、0.7;P≦0.0001)最小限の炎症が、mHMGB1コホートにおいて見られた。代表的な中耳の画像は、
図16G中にある。重要なことに、mHMGB1または希釈剤単独のいずれかによる処置と比較した、炎症促進性サイトカイン(IL-1βおよびIL-17A)における統計的に有意な増加もまた、rHMGB1で処置したチンチラから回収した中耳液中で見出された。特に、rHMGB1または希釈剤単独のいずれかによる処置と比較した、mHMGB1で処置したチンチラから回収した中耳液中の抗炎症性サイトカイン(IL-10)における統計的に有意な増加もまた存在した(
図17)。したがって、rHMGB1およびmHMGB1は共に、粘膜バイオフィルムのクリアランスを促進したが、mHMGB1のみが、明白な炎症の誘導なしにそれを促進した(
図16Fおよび16G)。
【0596】
宿主由来のrHMGB1および病原体指向性のα-DNABII抗体によるコンビナトリアル処置は、チンチラ中耳内のNTHIバイオフィルムを根絶した
【0597】
in vivoで形成されたバイオフィルムをmHMGB1プラスDNABIIタンパク質に対する抗体(抗原結合断片;Fabの形態)の組合せで処置することに、さらなる価値があり得るかどうかを決定し、それにより、宿主由来+病原体指向性の治療戦略を開発するために、実験的NTHI誘導性中耳炎のチンチラモデルを利用した。NTHIによる曝露の4日後、チンチラの中耳内のバイオフィルムを、mHMGB1(宿主由来)、および/またはIHFの免疫保護的ドメインを模倣するように設計されたキメラペプチドに対する抗体(「先端-チャイマー」、病原体指向性)で、単独でまたは組み合わせて処置した(
図16H)。最初に、単一の処置の有効性を評価した。この目的のために、各コホート中の動物のサブセットを、単一の治療用量を受けた1日後に屠殺したが(
図16H)、各コホート中の残りの動物は、第2の処置を受けた24時間後に屠殺した。処置は、単独の、もしくはウサギ抗先端チャイマーIgGに由来するFab断片(「先端チャイマーFab」)342nMと混合した200nM mHMGB1、または先端チャイマーFab単独を含んだ。陰性対照として、IHFの非保護的ドメインに対する抗体に由来するFab断片(「尾部-チャイマーFab」)(Novotny et al., 2019)を、単独で、またはmHMGB1と組み合わせて使用した。
【0598】
次いで、感染した中耳を、単独での、またはIHFの尾部もしくは先端のいずれかに対するFab断片と組み合わせた上述のHMGB1タンパク質で処置した。尾部チャイマーFabは、予測されたように、用量の数にかかわらず、現存するバイオフィルムを変更することができなかった(
図16I、「尾部チャイマーFab」と標識される)。mHMGB1プラス尾部チャイマーFabを受けることは、NTHIにおける有意な低減を促進し(P≦0.01)、中耳の50%(6のうち3)が、このニッチからNTHIを取り除いた(「尾部チャイマーFab+mHMGB1」と標識される)。しかし、この後者のクリアランスは、1つの用量の後に、中耳の50%(6のうち3)からのNTHIの有意なクリアランスを単独で媒介したmHMGB1(「mHMGB1」と標識される)の作用に起因し、これは、2つの用量を受けた後にさらに低減された。DNABII由来の先端-チャイマーFabの単一の治療用量は、バイオフィルム常在NTHIにおける有意な5-logの低減を生じ、中耳の67%(6のうち4)は、培養陰性であり(「先端チャイマーFab」と標識される、P≦0.05)、これは、以前に報告されたように(Novotny et al., EBioMedicine, 2020. 59: p. 102867)、第2の用量を受けることによってさらに低減された。中耳の86%(6のうち5)が、中耳からNTHIを取り除いたので、mHMGB1の単一の用量を先端-チャイマーFabと組み合わせることは、試験したうちで最も有効な治療であり(「先端チャイマーFab+mHMGB1」と標識される)、これは、少なくとも相加的な効果を実証した。特筆すべきことに、mHMGB1プラス先端-チャイマーFabの2つの用量による処置は、検出のレベルを下回って、このコホート中の全ての動物の中耳からNTHIを根絶させ、これは、少なくとも相加的な効果を示している。
【0599】
これらのコホート中の動物の中耳を、残存しているNTHIバイオフィルムの相対量についても定性的に評価した。尾部チャイマーFabの1つまたは2つの用量を受けることは、有効ではなく、平均粘膜バイオフィルムスコアは、各時点において>3.0であり、これは、中耳の75%以上が、NTHIバイオフィルムで満たされたままであったことを再度示した(
図16J、「尾部チャイマーFab」と標識される)。mHMGB1を尾部チャイマーFabと混合することは、存在するバイオフィルムの量を半分だけ有意に低減させたが、バイオフィルムは、このコホートにおいて、中耳の25%~50%の間をなおも満たしていた(「尾部チャイマーFab+mHMGB1」と標識される;尾部チャイマーFabに対してP≦0.01)。mHMGB1単独を受けることは、先端-チャイマーFabによる1つまたは2つの処置を受けること(「先端チャイマーFab」と標識される)と同様、高度に有効であった(「mHMGB1」と標識される)。しかし、全体で、最も有効な治療的処置は、先端-チャイマーFabと混合したmHMGB1であった(「先端チャイマーFab+mHMGB1」と標識される)。単一の用量は、予め形成されたNTHIバイオフィルムを、中耳の67%(6のうち4)から取り除き、粘膜バイオフィルムスコアは0.1であった。第2の用量は、この応答をさらに増強し、6のうち5の中耳(83%)において、NTHIバイオフィルムは見られなかった。さらに、1つまたは2つの用量を受けた後、先端チャイマーFab単独(P≦0.05)またはmHMGB1単独(P≦0.0001、単一の用量)と比較して、有意に低い粘膜バイオフィルムが観察された。合わせると、これらのデータは、mHMGB1を受けた後に、両方の細菌負荷における有意な低減および粘膜NTHIバイオフィルムの根絶を実証しており、成果は、先端-チャイマーFabと共に共送達された場合、さらに強化された。これらの結果は、宿主由来+病原体指向性の治療戦略が、α-DNABII先端FabおよびmHMGB1が別個の機構によってバイオフィルムを破壊したという事実におそらくは起因して、高度に有効であることを示唆しており、これらの機構は、組み合わさると、この動物モデルにおける既存の病原性バイオフィルムの事実上完全な根絶によって明らかなように、観察された組合せ成果を説明した。
【0600】
宿主HMGB1および細菌DNABIIタンパク質は、細胞外環境中で見出され、この場所で、HMGB1は、炎症、細胞遊走、浸潤および増殖、組織再生ならびに抗微生物防御を含むいくつかのプロセスに関与する(Kang et al.で概説される)。対照的に、細胞外で、DNABIIタンパク質は、多様な細菌バイオフィルムのeDNA依存性EPSの基礎をなす構造的構成成分の一部として働くことが発見された(Devaraj et al., 2019;Goodman et al., 2011;Gustave et al., 2013;Novotny et al., 2013;Brockson et al., 2014;Rocco et al., 2016;Novotny et al., 2016;Devaraj et al., 2017;Freire et al., 2017;Novotny et al., 2019;Brandstetter et al., Laryngoscope, 2013. 123(11): p. 2626-32;Devaraj et al., Mol Microbiol. 2015 Jun;96(6):1119-35;Idicula et al., Laryngoscope. 2016 Aug;126(8):1946-51;およびJurcisek et al.,. Proc Natl Acad Sci U S A. 2017 Aug 8;114(32):E6632-E6641)。理論に束縛されることは望まないが、細菌バイオフィルムEPS内に存在するHMGB1は、in vivo感染の間の他のNET構成成分、例えば、好中球エラスターゼおよびヒストンH3の局在化と一致していた(Alhede et al., Pathog Dis, 2020. 78(2))。
【0601】
HMGB1が細菌バイオフィルムEPS内に局在化したことを考慮して、理論に束縛されることは望まないが、HMGB1によるバイオフィルム破壊が、DNAに結合するその能力によって媒介されたと仮説を立てた。細菌バイオフィルムの格子構造を形成するeDNAの交差した鎖の頂点は、HJ様構造から構成され、この場所で、DNABIIタンパク質は、バイオフィルムEPSに結合しこれを安定化する(Devaraj et al., 2019)。HMGB1は、HJ DNAに対する高い親和性を有するが、これまで、eDNA格子の頂点においてin vivoで観察されたことはなかった。この結果は、HMGB1が、eDNA格子のこれらのHJ様構造に結合した場合に、それらを安定化することができず、帰結として、構造を崩壊させたことを示唆し、これは、この構造を安定化するDNABIIタンパク質の効果とは反対である。これは、HMGB1の抗バイオフィルム活性が、HMGB1が遊離HJに直接結合する競合的阻害機構を介して媒介されたことを主張する。HMGB1タンパク質とDNABIIタンパク質との間でのこれらの生物学的差異に関するヒントは、生化学的解析から導出され得る。DNABIIおよびHMGB1タンパク質は共に、DNAの副溝に結合するが、HJとのそれらの接触は、異なる様式で生じる(Pontiggia et al., Mol Microbiol, 1993. 7(3): p. 343-50)。DNABIIタンパク質は、X様構造を取るHJに対する結合優先度を有するが(Bonnefoy et al., J Mol Biol, 1994. 242(2): p. 116-29;Vitoc and Mukerji, Biochemistry, 2011. 50(9): p. 1432-41;およびDeng, V.Y., Mukerji, I., Stability of DNA Four-way junctions and characterization of binding to integration host factor. 2016, Wesleyan University. p. 160)、平面正方形構造にあるHJは、HMGB1のための好ましいコンフォメーションである(JR P.o. et al., EMBO J, 1998. 17(3): p. 817-26.)。平面正方形コンフォメーションにあるHJに特異的に結合する原型的HJ DNA結合タンパク質であるRuvA(Hargreaves et al., Nat Struct Biol, 1998. 5(6): p. 441-6)は、バイオフィルムEPS内のDNABIIタンパク質の喪失を相殺することが、以前に示されている(Devaraj et al., 2019)。この結果は、細菌バイオフィルムEPS内のeDNA格子が、RuvAに適合するコンフォメーションと十分に類似した、したがって、HMGB1が結合するHJから構成されていたが、RuvAはeDNA格子を安定化し、HMGB1は安定化しないことを暗示した。これは、HJ基質を用いたEMSA安定化研究によって裏付けられるが、HMGB1がeDNA格子を安定化できないことを説明するためにまだ決定されていない明らかに他の因子が、DNA結合において存在する。最後に、eDNAマトリックス内のHJについてHMGB1と競合するDNA結合タンパク質、またはHJ DNAに結合するHMGB1の能力を直接抑制したNEMによるHMGB1の修飾、のいずれかの外因性の添加は、HMGB1の作用機構としての、DNABIIタンパク質とのHJ部位の競合的阻害を支持した直接的な証拠を提供した。これが唯一の作用機構であったことを検証するために、観察されたバイオフィルム破壊を媒介するための手段として、HMGB1が遊離DNABIIタンパク質に直接結合できた可能性もまた試験した。SPR解析により、HMGB1が、DNABIIタンパク質に不十分に結合し、HJ DNAに直接、高い親和性で優先的に結合することが実証された。したがって、eDNA内で、HMGB1は、DNABIIタンパク質へのいずれの限定的な結合をも介さずに、HJを不安定化した可能性が高い。
【0602】
HMGB1が抗バイオフィルム治療薬として作用する能力は、その個々の機能を有するそのモジュラー構造にかかっている。HMGB1は、2つのタンデムDNA結合ドメインを有する;Aボックス、Bボックス、および30個の連続酸性アミノ酸残基からなるC末端尾部(Bianchi et al., 1992)。細胞外で、Aボックス単独は、抗炎症活性を示し、HMGB1のアンタゴニストとして作用するが、Bボックス単独は、HMGB1の炎症促進活性を完全に保持し、C末端尾部は、細菌死滅に関与する。過剰量の場合、HMGB1は、微生物感染に応答した全身性炎症の一形態である敗血症の後期メディエーターとしても機能する(Qin et al., 2006;およびDiener et al, 2013)。したがって、細菌バイオフィルムに対して標的化される治療薬としてのHMGB1の開発では、その炎症促進活性を減弱させることが必須である。バイオフィルムを有効に根絶した濃度でのrHMGB1の使用が、敗血症性ショックと関連付けられる感染症に対する調節不全の宿主応答を誘導しなかったことが本明細書で実証されたが、強力な抗バイオフィルム機能ならびに高度に減弱された炎症促進性機能を示した単一のC45Sアミノ酸変異を有するrHMGB1の操作された誘導体(mHMGB1)の生成を介した、HMGB1の炎症促進性機能からの、抗バイオフィルム活性の首尾よい分離が、本明細書で示される。最小限の炎症促進性機能を有してバイオフィルムを破壊するその能力を保持する最小限のmHMGB1分子を生成するための試みにおける、mHMGB1の個々のドメインの各々のさらなる特徴付けは、現在調査中である。
【0603】
HMGB1およびその新たに見出された抗バイオフィルム活性を用いた結果を考慮して、NET機能の新たな増進されたパラダイムが、本明細書で示唆される。病原体に対する第一線の宿主防御である好中球は、散在を予防するための試みにおいて病原体を捕捉するために、LPS、IL-8、TNF-αおよびHMGB1を含む炎症促進刺激にNETが応答する際にそれらのDNAを放出する。その上、NETは、微生物の根絶を促進するHMGB1、ヒストン、エラスターゼ、およびミエロペルオキシダーゼでも修飾されている(Delgado-Rizo et al., Front Immunol, 2017. 8: p. 81で概説される)。HMGB1が抗細菌活性を示し、NET形成を誘導するための炎症促進性サイトカインとしても作用することを考慮して、理論に束縛されることは望まないが、次のモデルを提案した。細菌が宿主中で存続し、クリアランスに抵抗するためには、細菌は、宿主免疫エフェクターから細菌を保護する、凝集したバイオフィルム状態または付着したバイオフィルム状態いずれかを取る。さらに、これらの群集の部分的脱落は、コア常在バイオフィルム細菌のクリアランスのリスクなしに、病原体の拡大増殖を可能にする。しかし、細菌の放出および引き続く拡大増殖を予防するために、宿主は、制御されない炎症応答の誘導なしに、NETosisの間に十分な濃度のHMGB1を放出して、細菌病原体を閉じ込める。したがって、HMGB1は、バイオフィルム増殖への予防線を張りそれを制限するように、かつ自然免疫系に注意喚起するように作用する。細菌は、宿主免疫応答を回避するためにバイオフィルムを積極的に構築するが、宿主は、良好にバランスが取れたレベルのHMGB1の分泌を介して、病原性細菌バイオフィルム拡大増殖を予防することを積極的に試みる、即ち、少なすぎるHMGB1は、バイオフィルムの増殖をもたらすが、多すぎるHMGB1は、敗血症性ショックと関連付けられる感染症に対する調節不全の宿主応答を引き起こす過度の炎症促進効果をもたらすので、このモデルは生物学的に適切である。mHMGB1とDNABIIタンパク質に対する抗体との送達を介して達成されたコンビナトリアル宿主指向性プラス病原体由来の治療アプローチは、前臨床モデルにおいて炎症応答の誘導なしにバイオフィルムの迅速なクリアランスを促進し、それにより、高度に不応性の細菌バイオフィルムの根絶において宿主に有利になるようにバランスを傾けたことが、本明細書で実証された。
【0604】
実験番号2 - 方法
細菌株:UPEC株UTI89は、膀胱炎を有する患者から単離した(Mulvey et al., Infect Immun, 2001. 69(7): p. 4572-9)。B.cenocepacia株K56-2は、嚢胞性線維症(CF)患者から単離した(Baldwin et al., J Clin Microbiol, 2005. 43(9): p. 4665-73)。NTHI株86-028NPは、Nationwide Children’s Hospitalにおいて、慢性中耳炎を有する小児の鼻咽頭から単離した(Harrison et al., J Bacteriol, 2005. 187(13): p. 4627-36)。Enterobacter spp.およびK.pneumoniaeは、尿路感染症を有する患者から単離した。S.aureus株ATCC(登録商標)29213(商標)は、ATCCから得た。A.baumanii株ATCC(登録商標)17978(商標)は、ATCCから得た。P.aeruginosa株ATCC(登録商標)27853(商標)は、ATCCから得た。E.faecium Com12株は、健康なヒトボランティアの糞便から単離した(Palmer et al., mBio, 2012. 3(1): p. e00318-11)。これらの株の各々は、液体窒素中で低継代数で維持されていた。
【0605】
タンパク質精製:タグなし組換えHMGB1を、以前に説明されたように(Devaraj et al., 2017)、IMPACTキット(New England Biolabs)を用いて生成した。ヒトHMGB1を、赤血球凝集素でタグ化したヒトHMGB1を含有するプラスミドから、オリゴヌクレオチド5’-ggtggttgctcttccaacatgggcaaaggag-3’(配列番号)および5’-ggtggtccatggtcattattcatcatcatc-3’(配列番号)を用いてPCR増幅した。PCR産物を、説明されたように(Devaraj et al., 2017)、pTXB1ベクター中にクローニングして、タグなしヒトrHMGB1を生成した。構築物を、E.coli発現株ER2566(New England Biolabs)中に形質転換し、100μg/mlアンピシリンを含有する溶原ブロス(LB)寒天上で選択した。単一のアミノ酸変異C45Sを有するrHMGB1(mHMGB1)を、Agilent QuickChange II Site Directed Mutagenesis Methodに従うことによって生成した。HMGB1を、pSG899から、PAGE精製されたオリゴ5’-ggtcttccacctctctgaactcttcttagaaaactctgag-3’(配列番号)および5’-ctcagagttttctaagaagagttcagagaggtggaagacc-3’(配列番号)(Integrated DNA Technologies)ならびにPhusion DNAポリメラーゼ(New England BioLabs)を製造業者の指示に従って用いて、合計16サイクルにわたってPCR増幅した。次いで、PCR産物を、DpnIで消化し、その後、製品のプロトコールに従ってNEB(登録商標)Stable Competent E.coli中に形質転換し、100μg/mlアンピシリンを含有するLB寒天上で選択した。ランダム形質転換体を選択し、プラスミドを精製し、配列決定を介してC45S変異を確認した。C45S変異を含有する構築物を、発現株E.coli ER2566中にさらに形質転換した。説明されたように(Devaraj et al., 2017)、rHMGB1およびmHMGB1を過剰発現させ、キチン樹脂カラム上で精製した。溶出したタンパク質を、ヘパリン結合緩衝液(10mMリン酸Na緩衝液(pH7.0)、200mM NaCl)中で4℃で一晩透析した。透析されたタンパク質を、結合緩衝液中で平衡化した1ml HI-Trapヘパリン-セファロースカラム(GE Healthcare)を使用して、AKTA PURE FPLC上にロードした。カラムを、20カラム体積の結合緩衝液で洗浄し、結合したタンパク質を、線形勾配を用いて30カラム体積の溶出緩衝液(10mMリン酸緩衝液(pH7)、2M NaCl)で溶出させ、AKTA F9-C画分収集器によって分画した。各タンパク質を、40mM Tris pH8.5、2mM EDTA中で平衡化した1ml Hi-Trap DEAE-セファロース樹脂カラム(GE Healthcare)を使用するFPLCによって、さらに精製した(SDS-PAGE解析によって純度が95%未満である場合)。結合したタンパク質を、40mM Tris pH8.5、2mM EDTAおよび1M NaClを含有する溶出緩衝液の線形勾配の30カラム体積で溶出させた。画分を、SDS-PAGEによって解析し、プールし、貯蔵緩衝液(50mM Tris(pH7.4)、600mM KCl、1mM EDTA)中で透析した。タンパク質を、遠心分離フィルター(3000MWCO)で濃縮し、製造業者によって推奨されるように、ウシ血清アルブミンを標準として用いるPierce BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Scientific)を使用して定量した。タンパク質を、およそ95%の均一性まで精製した。最後に、タンパク質に、10%グリセロールを補充し、-80℃で貯蔵した。
【0606】
rHMGB1の酸化およびNEM修飾:rHMGB1を、「タンパク質精製」において上で説明されたように精製した。精製されたrHMGB1を、説明されたように(Liu et al., 2012)、過酸化水素で酸化した。rHMGB1を、以前に説明されたように精製した。説明されたように(Kwak et al., Redox Biol, 2019. 24: p. 101203)、rHMGB1のプールされた画分を、10mM DTT(ジチオスレイトール)と共に4℃で15分間インキュベートし、直後に、50mMの最終濃度で、NEM(N-エチルマレイミド)を添加し5分間おいた。NEM-HMGB1を、600mM KClを含む50mM Tris-HCl pH7.4中で一晩透析した。タンパク質を、BCAアッセイ(Pierce)によって定量した。
【0607】
アセチル化およびリン酸化:精製されたrHMGB1を再懸濁し、20mM Tris-HCl pH8.0 200mM NaCl中でRTで1時間平衡化した。rHMGB1のアセチル化を、説明されたように行った(Olia et al., 2015, ACS Chem Biol, 10, 2034-47)。簡潔に説明すると、rHMGB1を、300μMの最終濃度の100mMアセチル-補酵素A(Sigma Aldrichカタログ番号10101893001)と共に30℃で2時間インキュベートした。未結合のアセチル-CoAを、緩衝液交換によって除去した。rHMGB1のリン酸化を、説明されたように行った(Ugrinova et al., 2012, Mol Biol Rep, 39, 9947-53)。簡潔に説明すると、組換えタンパク質キナーゼC(cPKCα)を、10mM MgCl2、1mM CaCl2、140μMホスファチジルセリン、50μM ATPを含有する20mM MOPS pH7.2中で、それぞれ2μg当たり20ngの比で、rHMGB1と共に30℃で30分間インキュベートした。タンパク質に結合していない試薬を、緩衝液交換によって除去した。Ac-HMGB1およびP-HMGB1を濃縮し、BCAアッセイによって定量した。アセチル化された形態およびリン酸化された形態のrHMGB1を、トリトン-尿素ゲル(Ryan and Annunziato, 2001)によって確認し、クマシーブルーで染色した。Ac-HMGB1を、α-Ac-Lys抗体を用いたウエスタンブロットによってさらに確認した。
【0608】
in vivoで形成されたバイオフィルム内のHMGB1およびDNABIIタンパク質の可視化:NTHIに経骨胞で曝露させたチンチラからの骨胞を使用した。屠殺の際に、骨胞を取り出し、無菌的に開き、いずれの流体をも収集し、滅菌食塩水で洗浄し、OCTコンパウンドで満たし、次いで、液体窒素で瞬間凍結し、使用まで-80℃で貯蔵した。切片化の前に、中耳の外骨を注意深く削り取る間、OCTを満たした骨胞を、ドライアイスの床上に置いた。次いで、骨胞を、鼓膜を通る平面で分け、配向のためにOCT中に再包埋した。10ミクロンの連続切片を切り、スライド(Mercedes Medical、Lakewood Ranch、FL)上に置いた。スライドを、形態についてH&Eで、または標準的な実験室技術を使用する免疫蛍光によって染色した。次の市販の抗体を使用した:ヒト好中球エラスターゼ(NE-エラスターゼ)に対するマウスモノクローナル抗体モノクローナル抗体(NOVUS)、α-HUおよびα-HMGB1、AlexaFluor 488ヤギ抗モルモット、AlexaFluor 546ヤギ抗マウスおよびAlexaFluor 594ヤギ抗ウサギ二次抗体(Invitrogen)。スライドを、室温で風乾させ、氷冷アセトン中で固定し、製造業者の指示に従ってITX-画像増強剤(Invitrogen、Carlsbad、CA)およびSuper Block(Scytek、West Logan、UT)でブロッキングした。切片を、一次抗体のカクテル((マウス抗エラスターゼおよびウサギ抗NTHI OMP P5)または(マウス-抗HMGB1およびモルモット抗HU))と共に室温で1時間インキュベートし、洗浄し、蛍光タグ化二次抗体(Invitrogen、Carlsbad、CA)と共に30分間インキュベートし、洗浄し、その後、Prolong Gold plus DAPI(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用してカバースリップをかけた。低倍率画像を、Zeiss Axioskop顕微鏡およびZeiss Zenソフトウェアを使用して取得した。高倍率3D画像を、airyscanを備えたZeiss LSM 8000共焦点顕微鏡で取得した。
【0609】
HMGB1の様々なアイソフォームによる細菌バイオフィルムの破壊:UPEC株UTI89、B.cenocepacia、K.pneumoniae、Enterobacter spp、およびA.baumaniiを、5%CO2を含有する加湿雰囲気中で、LB寒天上で37℃で18~20時間培養し、次いで、490nmでのODが0.65になるように、LBブロス中に懸濁した。次いで、培養物を、LBブロス中に1:12希釈し、次いで、490nmでのODが0.6に達するまで、37℃、5%CO2で静的にインキュベートした。次いで、培養物を、LBブロス中に希釈して、2×105CFU/mlを含有するようにし、200μlのこの懸濁物を、8ウェルチャンバーのカバーガラススライド(Fisher Scientific)の各ウェル中に接種した。NTHIおよびS.aureusを、5%CO2を含有する加湿雰囲気中で、チョコレート寒天上で37℃で18~20時間培養し、次いで、NTHIを、490nmでのODが0.65になるように、sBHI(ヘム(2μg/ml)およびb-NAD(2μg/ml)を補充したブレインハートインフュージョンブロス)ブロス中に再懸濁した。S.aureusを、490nmでのODが0.65になるように、トリプティックソイブロス(TSB)中に再懸濁した。NTHIおよびS.aureusを、それぞれsBHIおよびTSB中に1:6希釈し、次いで、37℃、5%CO2で3時間静的にインキュベートした。次いで、培養物を、そのそれぞれの培地中に希釈して、2×105CFU/mlを含有するようにし、200μlのこの懸濁物を、8ウェルチャンバーのカバーガラススライドの各ウェル中に接種した。P.aeruginosaおよびE.faeciumを、5%CO2を含有する加湿雰囲気中で、それぞれTSB寒天およびBHI寒天上で37℃で18~20時間培養し、次いで、490nmでのODが0.65になるように、それぞれTSBブロスまたはBHIブロス中に懸濁した。次いで、培養物を、それぞれのブロス中に1:12希釈し、次いで、490nmでのODが0.6に達するまで、37℃、5%CO2で静的にインキュベートした。次いで、培養物を、そのそれぞれの培地中に希釈して、2×105CFU/mlを含有するようにし、200μlのこの懸濁物を、8ウェルチャンバーのカバーガラススライドの各ウェル中に接種した。37℃、5%CO2での細菌種の各々の16時間のインキュベーションの後、培地を、それぞれの新たな培地で置き換え、37℃、5%CO2でもう8時間インキュベートした。24時間の時点で、培地を、それぞれの新たな培地(対照)、あるいはHMGB1(200nM)アイソフォーム(rHMGB1、mHMGB1、nHMGB1、Ac-rHMGB1もしくはP-rHMGB1)のうちの1つ、またはα-IHFEc(1000nM)、またはアンピシリン(32μg/ml)もしくはアモキシシリン-クラブラン酸塩(1μg/ml)と組み合わせたrHMGB1を含有する新たな培地で置き換え、37℃、5%CO2で16時間インキュベートした。37℃、5%CO2で、S.aureusを、800nM rHMGB1と共に16時間インキュベートし、E.faeciumを、800nM rHMGB1または800nM mHMGB1と共に1時間インキュベートした。nHMGB1は、Chondrex Inc(Redmond、WA)から購入した。UPECおよびK.pneumoniaeを除く全てのバイオフィルムを、滅菌食塩水(0.9%)で2回洗浄し、製造業者の指示に従って、LIVE/DEAD(登録商標)染色剤(Molecular probes、Eugene、OR)で染色した。UPECおよびK.pneumoniaeは、滅菌食塩水で1回洗浄し、次いで、LIVE/DEAD(登録商標)染色剤で染色した。次いで、バイオフィルムを、滅菌食塩水で1回洗浄し、0.1Mリン酸緩衝液pH7.4中1.6%パラホルムアルデヒド、0.025%グルタルアルデヒドおよび4%酢酸で固定した。次いで、バイオフィルムを、説明されたように(Devaraj et al., 2019)画像化し解析した。全てのin vitroバイオフィルムアッセイを、別々の日に最低3回反復した。データは、平均±SEMとして示される。浮遊性細菌およびバイオフィルム常在細菌を、説明されたように(Devaraj et al., 2015)計数した。
【0610】
K.pneumoniaによって形成されたバイオフィルム内のeDNA格子構造の可視化:K.pneumoniaeバイオフィルムを、「HMGB1の様々なアイソフォームによる細菌バイオフィルムの破壊」において上で説明されたように、24時間確立させ、次いで、LBブロス(対照)、rHMGB1(200nM)、またはmHMGB1(200nM)のうちの1つと共に、37℃、5%CO2で16時間インキュベートした。eDNA格子構造を、説明されたように(Devaraj et al., 2019)、免疫蛍光によって可視化した。
【0611】
好中球とHMGB1の様々なアイソフォームとのインキュベーションの際のNET構造の可視化:ヒト好中球を、EASYSEP(商標)単離キット(Stemcell Technologies Inc.)を使用して、血液から単離した。好中球(1×105)を、チャンバーカバーガラスに付着させ、その後、200nM rHMGB1、mHMGB1またはNEM-rHMGB1と共に37℃で3.5時間インキュベートした。NETを、ホルマリン中で固定し、10%正常ヤギ血清(Life Technologies)でブロッキングし、200μl PBS中のα-dsDNAモノクローナル抗体(1μg)、ならびにα-好中球エラスターゼポリクローナル抗体(1μg)または未処理ウサギおよびマウスアイソタイプ対照(1μg)で4℃で16時間で標識した。NETを、PBSで洗浄し、1:200希釈のALEXAFLUOR(登録商標)594にコンジュゲートされたヤギα-ウサギIgG、ALEXAFLUOR(登録商標)488にコンジュゲートされたヤギα-マウスIgG、および1:500希釈のALEXAFLUOR(登録商標)350にコンジュゲートされたコムギ胚芽凝集素(PMN膜染色剤)と共に1時間インキュベートした。NETを、Zeiss LSM 800共焦点顕微鏡(Carl Zeiss Inc.)で画像化し、Zeiss Zenソフトウェアでレンダリングした。
【0612】
B.cenocepaciaによるマウス肺の気管内曝露およびHMGB1アイソフォームによる処置:B.cenocepacia株K56-2を、200rpmで37℃で一晩、LBブロス(Difco、MD)中で培養した。細菌濃度を、600nmでのODに基づいて、各実験の前に調整した。C57BL/6マウスに、107コロニー形成単位(CFU)のB.cenocepaciaを気管内で(i.t.)感染させた。マウスに、感染と同時に(予防)または24hpi(処置)に、0.2nmolのrHMGB1またはmHMGB1(i.t.)を与えた。動物を、24または48hpiに安楽死させ、気管支肺胞洗浄(BAL)を、1mlのPBSプラス1mM EDTAを用いて収集した。BALからの細胞を、α-CD45 brilliant violet 650(Biolegend)、α-CD11b Alexa Fluor 700(Biolegend)およびα-Ly6G PerCP-Cy5.5(Biolegend)抗体ならびにLIVE/DEAD blue discriminator(Invitrogen、Eugene OR)で染色した。細胞を、LSR IIフローサイトメーター(BD、Franklin Lakes、NJ)を用いて獲得した。細胞の数を、BAL中の好中球(生、CD45+、CD11b高、Ly6G高)の数に基づいて計算し、細胞の総計数を、血球計数器によって行った。コホート当たり2つの肺を固定し、パラフィン中に包埋した;スライドを、H&E染色剤で染色した。B.cenocepaciaを可視化するために、107CFUのB.cenocepaciaを感染させ、72hpiに0.2nmolのrHMGB1またはmHMGB1で処置した肺からのパラフィン切片を、脱パラフィン処理し、抗原賦活化を、クエン酸ナトリウム緩衝液(10mMクエン酸ナトリウム、0.05%Tween 20、pH6.0)中で121℃で15分間行った。スライドを、0.5%Triton X-100で10分間透過処理し、10%正常ヤギ血清(Abcam)で30分間ブロッキングし、E.coli伸長因子-Tuに対するモノクローナル抗体(α-EF-Tu;B.cenocepaciaと交差反応する)(LSBio)で一晩染色して、B.cenocepaciaを標識した。次いで、試料を、ヤギα-マウスIgG Alexa Fluor 488(Abcam)でRTで1時間染色し、DAPIを含むfluoroshield培地(Abcam)を用いてマウントし、40×倍率のNikon Eclipse Ti(Nikon Instrument Inc. Americas)を介して可視化し、ImageJソフトウェア(NIH)によって解析した。細菌負荷を計数するために、動物を、18または72hpiに安楽死させ、気管支肺胞洗浄を、1mlのPBSプラス1mM EDTAを用いて収集し、BALのアリコートを、連続希釈し、LB寒天上にプレートした。マウス研究を、NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って、Abigail Wexner Research Institute at Nationwide Children’s Hospital Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコール番号AR1300020の下で行った。いずれの動物も試料も、いずれの研究においても評価から除外しなかった。
【0613】
ファゴサイトーシスアッセイ:ヒト単球を、α-CD14抗体および磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)を使用することによって、末梢血から精製した。単球をマクロファージ(MΦ)に分化させるために、細胞を、コラーゲンでコーティングしたプレート(Corning)中で、10%FBSを補充したRPMI培地中で、5日間培養した。MΦを、コラゲナーゼIV(Worthington)を使用することによって剥離させ、96ウェルプレート中に1ウェル当たり80,000細胞の密度で播種し、10%FBSを補充したRPMI中で48時間培養した。MΦを、5μg/ml rHMGB1、5μg/ml mHMGB1または10μMサイトカラシンDで2時間処置し、次いで、pHrodo red E.coli生体粒子(Thermofisher)を製造業者の指示に従って添加し、2時間インキュベートした。いずれの過剰な生体粒子をも、細胞をHBSSで洗浄することによって除去し、ファゴサイトされた生体粒子を、プレートリーダー(560/585nm)および蛍光顕微鏡法(Nikon Eclipse Ti)によって測定した。
【0614】
マウスの腹膜腔中への好中球流入のアッセイ:C57BL/6マウスに、2mlの4%チオグリコレート(Fluka Analytical)、または0.2nmolのrHMGB1もしくはmHMGB1のうち1つをi.p.注射した。4時間後、腹腔細胞を、PBSプラス1mM EDTA中に収集し、α-CD45 brilliant violet 421(Biolegend)、α-CD11b Alexa Fluor 700(Biolegend)およびα-Ly6G PerCP-Cy5.5(Biolegend)抗体ならびにLIVE/DEAD blue discriminator(Invitrogen、Eugene OR)で染色した。細胞を、LSR IIフローサイトメーター(BD、Franklin Lakes、NJ)を用いて獲得した。好中球の数を、腹膜腔中の好中球(生、CD45+、CD11b高、Ly6G高)の数に基づいて計算し、総計数を、血球計数器によって行った。
【0615】
エンドトキシン血症のマウスモデル:C57BL/6マウスに、5mg/kgのE.coliリポ多糖(Sigma)、または単独のもしくはLPSと組み合わせた0.2nmol rHMGB1をi.p.注射した。動物を、24時間後に安楽死させ、血清を収集し、TNF-αをELISA(ThermoFisher)によって定量した。
【0616】
ポリクローナルウサギ抗先端または尾部チャイマーFabの生成:ポリクローナルウサギ抗先端チャイマーペプチドおよび抗尾部チャイマーペプチドは、Rockland Immunochemical,Inc.において生成した。一部の実施形態では、先端チャイマーは、配列番号38~40のうちのいずれか1つのポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、先端チャイマーは、配列番号40のポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。一部の実施形態では、尾部チャイマーは、配列番号41または50のポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。さらなる実施形態では、尾部チャイマーは、配列番号50のポリペプチドを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる。製造業者の指示に従ってrProtein A and Protein G GraviTrapカラム(GE Healthcare)を通過させることによって、IgGを、各ウサギ血清から富化した。次いで、Fabを、Pierce Fab Preparationキットを介して生成した。ウサギIgGのFabへの消化を、COOMASSIE FLUOR(商標)Orange Protein Gel染色剤(ThermoFisher)を用いたSDS-PAGEによって確認した。ToxinSensor Chromogenic LAL内毒素キット(Genscript)を介した細菌内毒素試験を、使用の前に行った。
【0617】
実験的中耳炎(OM)のチンチラモデル:成体チンチラ(Chinchilla lanigera)は、Rauscher’s Chinchilla Ranch、LLCから得た。これらの非近交系の非特異的な病原体なしの動物を、体重に基づいてコホートへとランダムに分割し、雄および雌の両方の動物を登録した。200nM mHMGB1または等価な体積の滅菌食塩水と比較した、200nM rHMHB1によって誘導されたバイオフィルム破壊を試験するために、4~6匹の動物を各コホートに登録した。200nM mHMGB1 対 342nM先端チャイマーFab+200nM mHMGB1、342nM先端チャイマーFab単独、342nM尾部チャイマーFab+200nM mHMGB1または342nM尾部チャイマーFab単独の有効性を、コホート当たり3匹の動物を用いて評価した。342nMの濃度は、0.1mlの体積当たり5μgのインタクトなIgGをチンチラの中耳に注射した以前の研究(Goodman et al., 2011;Novotny et al., 2016;およびNovotny et al., 2019)に基づいた。チンチラ研究を、NIH Guide for the Care and Use of Laboratory Animalsに従って、Abigail Wexner Research Institute at Nationwide Children’s Hospital Animal Care and Use Committeeによって承認されたプロトコール番号01304ARの下で行った。いずれの動物も試料も、いずれの研究においても評価から除外しなかった。
【0618】
実験的OMを有するチンチラの中耳内に常在するNTHIバイオフィルムの破壊:各動物の両方の中耳を、直接的注射によって1000CFUのNTHI株86-028NPに曝露させて、実験的OMを誘導した。4日後、NTHI粘膜バイオフィルムは、中耳の>50%を満たす(Novotny et al., 2011)。この時点で、処置を各中耳に注射した(骨胞1つ当たり0.1mlを送達した)。動物を、説明されたように、24時間後に屠殺したか、または同一な処置を与えた。第2の処置を与えた動物を、追加の24時間後に屠殺した。処置の成果を決定するために、動物を、抗体治療の完了の1日後に屠殺し、粘膜バイオフィルムの画像を、Zeiss SV6解剖顕微鏡で取得し、次いで、粘膜バイオフィルムおよび中耳粘膜を収集し、ホモジナイズし、チョコレート寒天上にプレートして、中耳内の非浮遊性細菌負荷を半定量した(Goodman et al., 2011)。粘膜バイオフィルムを、説明されたように(Goodman et al., 2011)、収集および処理した。追加の評価として、各中耳中のバイオフィルムの量を、定性的に決定した。各中耳の画像を取得し、ランダム化し、確立された注釈を使用して、6人の盲検再評価者がランク付けしたが、この注釈では、0=目に見える粘膜バイオフィルムなし;1=中耳の<25%が粘膜バイオフィルムによって塞がれている;2=≧25~<50%が塞がれている;3=≧50~<75%が塞がれている;4=≧75~100%が塞がれている(Novotny et al., 2011)である。各中耳における相対的粘膜炎症を評価するために、第2の注釈を開発した:0=炎症なし、粘膜は、白みを有する;1=薄い毛細血管拡張、粘膜は、白みを有する;2=薄いおよび濃い毛細血管拡張、粘膜は、赤みを有する、≦5個の小さい出血病巣;3=濃い毛細血管拡張、粘膜は、赤みを有する、>5個の小さいおよび大きい出血病巣。細菌負荷の定量および粘膜バイオフィルムの定性的評価の両方のために、各中耳を独立とみなした。
【0619】
中耳液中のサイトカインの定量:中耳液(MEF)中のサイトカインを定量するために、BD(商標)Cytometric Bead Arrayを、動物屠殺の時点で収集した液を用いて行った。BD(商標)ヒト特異的Flex Setsを用いて、各MEFを、製造業者の指示に従って、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-8、IL-10、IL12-p70、IL-13、IL-17A、TNFまたはIFNγの相対量について個々に試験した。各動物からのMEFを、個々にアッセイした。データを、BD ACCURI(商標)C6血球計算器(BD Biosciences)で取得し、FlowJoソフトウェア(FlowJo、LLC)で解析した。各MEF中のサイトカインの濃度を、標準曲線を使用して決定し、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算した。
【0620】
表面プラズモン共鳴:HMGB1とDNABIIタンパク質IHFNTHIおよびHUNTHIとの親和性を決定するために、Biacore 3000機器(GE Healthcare Life Sciences)を使用する表面プラズモン共鳴を行った。全ての実験を、25℃で、ランニング緩衝液として働く、5mg/ml BSAを補充した10mM HEPES(pH7.4)-150mM NaCl-3mM EDTAを用いて行った。アミンカップル化学を介し、5μl/分の流速において、mHMGB1を、CM5センサーチップ(GE Healthcare)のフローセルに、250レゾナンスユニットになるように固定化した。次に、ネイティブIHFNTHIまたはHUNTHIを、ランニング緩衝液プラスNSB低減剤(reducer)(GE Healthcare)中に懸濁し、緩衝液のみの試料を含め、50nMから3.1nMまでの連続2倍希釈物を、KINJECTを使用して、30μl/分の流速、3分の注射時間、3分の解離時間で、抗体結合および参照表面にわたって注入した。全てのデータは、参照セルおよび緩衝液対照を差し引いた。BiaEvaluationソフトウェア(GE Healthcare)を使用して、センサーグラム曲線を整列させ、KD値を決定した。
【0621】
電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA):EMSAを、以前に説明されたように(Devaraj et al., 2019)行った。
【0622】
統計分析:グラフィック結果および統計的検定を、全てのin vitroおよびin vivoアッセイについて、GraphPad Prism 8を用いて行った。in vitroアッセイについての統計的有意性は、対応のないまたは対応のあるt検定によって評価した。マウスモデルについての統計的有意性は、マン・ホイットニー検定によって評価した。チンチラモデルにおける、細菌負荷における差異、平均粘膜バイオマススコアおよび相対的粘膜炎症は、多重比較を用いた一元配置ANOVAによって決定した。統計的有意性を、*P≦0.05、**P≦0.01、***P≦0.001および****P≦0.0001として示した。
【0623】
【0624】
実験番号3
この実験は、8ウェルチャンバースライドにおける確立されたバイオフィルムの破棄についてのin vitroモデルを説明する。この実験で使用した材料は、以下である:チョコレート寒天;sBHI(2mgヘム/mLおよび2mg b-NAD/mLを含むBHI);8ウェルチャンバースライド(Nunc* Lab-Tek* Fisherカタログ番号12-565-18);滅菌0.9%食塩水;LIVE/DEAD BacLight Bacterial Viability Kit(Fisherカタログ番号NC9439023)およびホルマリン。
【0625】
NTHI 86-028NPコロニーを、チョコレート寒天上の一晩培養物から収集し、培地1ml当たり2μgのβ-NADおよびヘムを補充したブレインハートインフュージョンブロス(sBHI)中に懸濁した。次いで、490nmでの光学密度を0.65に調整し、培養物を、37℃、5%CO2で3時間の静的なインキュベーションの前に、sBHI中に1:6希釈した。次に、培養物を、新たなsBHI中に1:2500希釈し、200μlの懸濁物を、8ウェルチャンバースライドの各ウェル中にアリコート化した。次いで、スライドを、37℃、5%CO2で3時間、静的にインキュベートした。16時間後、200μlの新たなsBHIを、各ウェルに添加し、スライドを、追加で8時間インキュベートした。この時点で、培地を、各ウェルから吸引し、抗体またはその抗原結合断片およびHMGB1ポリペプチドまたはその断片を含む組成物を添加した。バイオフィルムを、追加で16時間インキュベートした。次いで、バイオフィルムを洗浄し、FM1-43FX細菌細胞膜染色剤(Invitrogen)で染色し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中16%パラホルムアルデヒド、2.5%グルタルアルデヒド、4.0%酢酸中で4℃で一晩固定した。固定液を吸引し、200μlの0.9%ハンクス平衡塩溶液を各ウェルに添加し、その後、Zeiss 800 Meta-レーザー走査共焦点顕微鏡上でバイオフィルムを調査した。画像を、Zeiss Zen Blueソフトウェアでコンパイルし、バイオフィルムバイオマスを、COMSTAT2ソフトウェアで計算した。
【0626】
実験番号4
抗体もしくはその抗原結合断片およびHMGB1ポリペプチドもしくはその断片を含む組成物または組合せの有効性を、一般的なバイオフィルム疾患である、蔓延している気道病原体分類不能Haemophilus influenzaeによって誘導された中耳炎の2つの十分に確立された前臨床モデルにおいて確立することができる。
【0627】
in vitroバイオフィルム破壊アッセイを、別々の日に3回反復する。in vivo実験のために、チンチラを、体重に基づいてコホートへとランダムに分割する;雄および雌の両方の動物を登録する。3または4匹の動物を、各コホートに登録する。いずれの動物も試料も、研究から排除しない。処置後に中耳中に残存した相対的粘膜バイオフィルムの評価を、研究に関与していない、送達された治療について盲検の6~8人の個人が行う。各研究評価のために、各中耳を独立とみなす。
【0628】
In vitroバイオフィルム破壊
NTHI株86-028NP(慢性的OMを有する子供の鼻咽頭からの最少継代数の臨床分離菌、例えば、Bakaletz LO et al. (1988) Infect Immun 1988; 56: 331-5を参照されたい)、M.catarrhalis株7169(慢性OMを有する子供の中耳からの最少継代数の臨床分離菌、例えば、Luke NR et al (1999) Infect Immun 1999; 67: 681-7を参照されたい)、P.aeruginosa株27853、B.cenocepacia株K56(嚢胞性線維症を有する患者の喀痰から分離された、例えば、Mahenthiralingam E et al (2000) J Clin Microbiol 2000; 38: 910-3を参照されたい)、およびS.aureus株29213によって形成されたバイオフィルムを最初に、8ウェルチャンバーカバーガラス(CellVis)において24時間確立させた後、170nMインタクトIgGまたはFab断片と共にさらに16時間インキュベートした(S.D. Goodman et al. (2011) Mucosal Immunol 4:625-637; J.A. Jurcisek et al. (2011) J Vis Exp)。一実施形態では、NTHI株86-028NPは、これが1986年に小児から出現したので、継代回数4以下で維持する。加えてまたはあるいは、Mcat株は、その分離以降、同様に非常に低い継代数で維持する。さらなる実施形態では、Burkholderiaは、嚢胞性線維症(CF)患者の喀痰から分離する。またさらなる実施形態では、Staphylococcus aureus分離菌はATCCから得る。170nMの濃度は、0.2ml体積あたり5μgのインタクトIgGをin vitroでバイオフィルムに適用した前回の試験に基づき(Goodman SD et al (2011) Mucosal Immunol 2011; 4: 625-37; Brockson ME et al (2014) Mol Microbiol 2014; 93: 1246-58; Novotny LA et al (2019) NPJ Vaccines 2019; 4: 43; Novotny LA et al (2013) PLoS One 2013; 8: e67629; and Novotny LA et al (2016) EBioMedicine 2016; 10: 33-44)、IgGとFab媒介破壊の直接比較を可能にした。次いで、バイオフィルム内の細菌をFM1-43FX(ThermoFisher)によって染色し、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)中の16%パラホルムアルデヒド-4%酢酸-2.5%グルタルアルデヒドの溶液中で一晩固定した後、10mMリン酸緩衝食塩水(pH7.4)によって洗浄する。Zeiss 800走査型共焦点顕微鏡によってバイオフィルムを観察し、画像をZeiss Zen Proソフトウェアによって編集し、バイオマスを、COMSTAT2.1ソフトウェアによって計算する(A. Heydorn et al. (2000) Microbiology 146 (pt 10): 2395-2407)。in vitro バイオフィルム破壊アッセイを別の日に3回繰り返す。
動物
【0629】
若いまたは成体のチンチラ(Chinchilla lanigera;若い動物は、体重が250~499gであり;成体動物は、体重が500~850gである)は、Rauscher’s Chinchilla Ranch、LLCから得る。これらの非近交系の非特異的な病原体なしの動物を、オートクレーブしたトウモロコシの穂軸の寝床を有する個々のケージに収容し、滅菌水を自由に提供する。動物を、体重(若い状態または成体状態の指標として)に基づいてコホートへとランダムに分割し、雄および雌の両方の動物を使用する。一部の実施形態では、実験群は、次の通りである:(a)抗体またはその抗原結合断片およびHMGB1ポリペプチドまたはその断片を含む組成物、(b)抗体またはその抗原結合断片のみを含む組成物、(c)HMGB1ポリペプチドまたはその断片のみを含む組成物、ならびに(d)対照(複数可)、によって誘導される中耳からのNTHIバイオフィルムの破壊を試験するために、3または4匹の動物を、各コホートに登録した。有効性を評価する。
【0630】
実験的OMにおけるチンチラの中耳において形成されたNTHIバイオフィルムの破壊
各動物の両方の中耳に、1000 CFU NTHI株86-028NPを直接注射によって曝露し、実験的OMを誘導する。4日後、NTHI粘膜バイオフィルムは中耳の>50%を覆った(L.A. Novonty et al. (2011) Mucosal Immunol 4: 456-467)。この時点で、組成物を投与し、同一の処置を24時間後に送達する。処置の即時の成果を決定するために、動物を治療の終了後1日目に屠殺し、粘膜バイオフィルムの画像をZeiss SV6解剖顕微鏡によって獲得し、次いで粘膜バイオフィルムおよび中耳粘膜を収集し、ホモジナイズして、チョコレート寒天上に播種し、中耳内の細菌負荷を定量する(S.D. Goodman et al. (2011) Mucosal Immunol 4: 625-637)。各コホートにおける動物のサブセットを、追加の処置を行わずにさらに7日間モニターし、NTHIバイオフィルムが抗体治療の中止時に再形成するかどうかを調べ、ならびにサイトカインプロファイルが経時的にどのように変化するかを決定する。粘膜バイオフィルムを収集し、記載のように処理する(S.D. Goodman et al. (2011) Mucosal Immunol 4: 625-637)。
【0631】
粘膜バイオフィルムの量の定量的評価
追加の評価として、各中耳におけるバイオフィルムの量を定性的に決定する。各中耳の画像を獲得し、無作為化し、送達された処置に対して盲検の6人のレビュアーが、確立された規定、すなわち0=目に見える粘膜バイオフィルムなし、1=中耳の<25%が粘膜バイオフィルムで塞がれている、2=中耳の≧25~50%が塞がれている、3=中耳の≧50~75%が塞がれている、4=中耳の≧75~100%が塞がれている(L.A. Novotny et al. (2011) Mucosal Immunol 4: 456-467)ことを使用してランク付けする。細菌負荷の定量および粘膜バイオフィルムの定性的評価の両方に関して、各中耳は独立していると考えられる。
【0632】
中耳滲出液中のサイトカインの定量
中耳滲出液(MEF)中のサイトカインを定量するために、BD(商標)サイトメトリックビーズアレイを、動物屠殺時に収集した流体について実施する。BD(商標)ヒト特異的Flex Setsによって、各MEFを、製造元の使用説明書に従って、IL-1β(カタログ番号558279)、IL-6(カタログ番号558276)、IL-8(カタログ番号558277)、IL-10(カタログ番号558274)、IL12-p70(カタログ番号558283)、IL-17A(カタログ番号560383)、およびTNF(カタログ番号560112)の量に関して個々に調べる。サイトカインIL-13(カタログ番号558450)を、収集したMEFをアッセイするために使用したパネルに添加する。各動物からのMEFを個々にアッセイする。データを、BD Accuri(商標)C6サイトメーター(BD Biosciences)において獲得し、FlowJoソフトウェア(FlowJo,LLC)によって分析する。各MEFにおけるサイトカインの濃度を、標準曲線を使用して決定し、GraphPad Prismソフトウェアを使用して計算する。
実験的NTHI誘導性OMのウイルス-細菌共感染モデル
【0633】
耳内視鏡検査
全ての動物に、Welch Allyn MacroView(商標)耳鏡およびWelch Allyn Viewerソフトウェアを使用して耳内視鏡検査を実施する。各鼓膜を、0~4の確立された尺度で盲検的にランク付けし、≧2.0のスコアを有する中耳は、炎症(紅斑)およびMEFが目に見えるのでOMに関して陽性であると考えられる(L.A. Novotny et al. (2006) Vaccine 24: 4804-4811)。片側の中耳が≧2.0であるとランク付けされるが、反対側の耳が<2.0であるとランク付けされた場合、動物はOMに関して陽性であると考えられる。ワクチンの有効性を計算するために、20日の試験期間の間にOMの観察数を最初に決定し、各コホートの観察総数と比較してパーセンテージに変換する。次に、この値を、dmLTのみを与えたコホートについて計算されたパーセンテージから差し引く。耳内視鏡検査を、送達した製剤に対して盲検の人が実施する。
【0634】
統計分析
グラフ結果および統計検定をGraphPad Prism 8によって実施する。in vitroバイオフィルム破壊アッセイに関するバイオマスの差を、多重比較を伴う一元配置ANOVAによって決定する。コホートの中耳滲出液中のサイトカイン量の差を、多重比較を伴う一元配置ANOVAによって決定するように決定する。細菌負荷の差および平均粘膜バイオフィルムスコアを、多重比較を伴う一元配置ANOVAによって決定する。OM発症の遅れおよび疾患回復までの時間をマンテルコックス検定によって決定する。
【0635】
実験番号5
多くの口腔細菌(例えば、Aggregatibacter actinomycetemcomitans、Porphyromonas gingivalis)は、歯槽骨および歯肉を破壊する炎症性疾患、例えば歯周炎およびインプラント周囲炎の病因に関与している。これらの細菌の病因の調査は、有効な動物モデルの欠如により妨げられている。特定の細菌の病原性を調査する課題の1つは、外因性細菌が動物の口腔に入った場合のバイオフィルムを樹立することの困難性である。歯周炎の動物モデルが開発されているが、培養可能な細菌は、接種動物の口腔からほとんど回収されない。特定の細菌の病原性を評価し得る有効な動物モデルの開発は、それらの病原性機構の解明において非常に有用である。
【0636】
細菌バイオフィルム(例えば、A.actinomycetemcomitans、P.gingivalis)がチタンネジインプラントのヘッド上で成長するインプラント周囲炎のラットモデル(Freire, M.O., (2011) J. Periodontology 82(5):778-89 and Freire, M.O., (2017) Molecular Oral Microbiology 32(1):74-88)を使用してこれらの疾患に対する有効性を確立できる。バイオフィルムで覆われたネジを、ラット上顎歯槽骨に外科的に移植し、経時的にモニターした。マイクロコンピューター断層撮影を使用してネジ周囲の骨の喪失を測定し、ネジならびにネジ周囲の組織および骨から抽出されたDNAをqPCRまたはミクロビオーム分析のために利用し、存在する種を明らかにした。この確立された動物モデルは、移植後少なくとも2週間でネジインプラント周囲の骨喪失の存在、および接種した細菌病原体の検出を明らかにした。
【0637】
例えば、抗体もしくはその抗原結合断片単独を含む組成物または組合せ物あるいはHMGBポリペプチドもしくはその断片単独を含む組成物または組合せ物と比較した、抗体もしくはその抗原結合断片およびHMGBポリペプチドもしくはその断片を含む組成物または組合せ物の有効性を、このモデルにおいて試験する。
実験番号6
【0638】
この実験は、ライム病を処置するための干渉剤の前臨床試験のためのマウスモデルを提供する。Dresserら、Pathogens 5(12)e1000680,Epub 2009 Dec.4.を参照のこと。ライム病は、米国で最も一般的なダニ媒介性疾患である。報告された症例は1992年から2006年の間で倍以上であり、2008年では約29,000例の新規症例が確認された。ライム病の実際の症例数は、流行地域では報告される症例数の6~12倍を超えると推定されている。定義によれば、人口が都市から郊外および農村地域に移動し続け、(マダニ種Ixodesを運ぶ)オジロジカがこれらの地域をますますうろつくにつれて、これらの流行地域は拡大している。ライム病は、スピロヘータである微生物Borrelia burgdorferiにより引き起こされる。B.burgdorferiは、Ixodesダニの咬傷を介して伝染し、続いて、血流を介して他の組織および器官に感染する。
【0639】
この動物モデルでは、背側皮下および腹腔内注射を介して、または静脈内注射を介して、スピロヘータをC3H/HeNマウスに注射する。感染のおよそ7日後に、微生物負荷の評価ならびに組織および器官における病理の評価のために、血液および生検標本を回収する。本明細書に開示される方法および組成物は、生じたB.burgdorferiバイオフィルム(これは、チャレンジ後に形成し、疾患の病因および慢性的性質の両方に寄与すると考えられる)の減少および/または排除のための治療的および予防的戦略の両方を開発することが企図される。
【0640】
例えば、抗体もしくはその抗原結合断片単独を含む組成物または組合せ物あるいはHMGBポリペプチドもしくはその断片単独を含む組成物または組合せ物と比較した、抗体もしくはその抗原結合断片およびHMGBポリペプチドもしくはその断片を含む組成物または組合せ物の有効性を、このモデルにおいて試験する。
実験番号7
【0641】
本実験は、嚢胞性線維症を処置するための干渉する作用物質の前臨床検査のためのブタモデルを提供する。Stoltz et al. (2010) Science Translational Medicine 2(29):29-31を参照されたい。嚢胞性線維症は、CF膜コンダクタンス制御因子(CFTRと呼ばれる)アニオンチャネルをコードする遺伝子における変異による常染色体劣性疾患である。このモデルにおいて、「CFTR」と呼ばれる遺伝子に欠損を保有するように特異的に育種された豚は、CF豚と呼ばれ、複数の細菌種による下気道の感染を含むCF肺疾患の特徴的なフィーチャを自発的に発症する。ブタを、1)これらのCFブタをポリペプチドまたは他の免疫原性作用物質のいずれかによって免疫するために干渉作用物質によって免疫し、それによって肺における細菌バイオフィルムを根絶する抗体の形成を誘導し、抗体またはその断片もしくは誘導体を噴霧化によってこれらの動物の肺に送達して疾患および関連する病態の兆候の改善を評価することができる。
【0642】
例えば、抗体もしくはその抗原結合断片単独を含む組成物または組合せ物あるいはHMGBポリペプチドもしくはその断片単独を含む組成物または組合せ物と比較した、抗体もしくはその抗原結合断片およびHMGBポリペプチドもしくはその断片を含む組成物または組合せ物の有効性を、このモデルにおいて試験する。
実験番号8
【0643】
出願人らは、結核(TB)のための前臨床モデルも提供する。Ordway et al. (2010) Anti. Agents and Chemotherapy 54:1820を参照されたい。微生物Mycobacterium tuberculosisは、増大している世界的流行の原因となる。現在の数字は、年間で、TBのおよそ800万例の新たな症例およびTBによる約270万名の死亡が存在することを示唆する。HIVを有する個体の共感染としてのこの微生物の役割に加えて(HIVに感染したほぼ4500万名のうち、ほぼ1/3が、M.tuberculosisにも共感染したことが推定される)、分離株が複数の薬物に対して高度に抵抗性になったことが特に厄介であり、TBのための新たな薬物は四半世紀を超えて導入されていない。この動物モデルにおいて、バリアコロニーにおいてSPFモルモットを維持し、ほぼ20cfuのM.tuberculosis株Erdman K01桿菌をその肺に送達するためのエアロゾル化スプレーにより感染させる。細菌負荷および病理組織学的評価のための組織の回収の決定により、曝露後日数25、50、75、100、125および150日目に動物を屠殺する。TBの古典的徴候を発症しないマウスとは異なり、この様式で曝露したモルモットは、ヒト疾患の特質である中心の壊死を有するよく組織化された肉芽腫を発症する。さらに、ヒトと同様に、モルモットは、一次病変複合体の一部として、重症化膿性肉芽腫性(severe pyogranulomatous)および流入領域リンパ節の壊死性リンパ節炎を発症する。このモデルの使用は、治療法を確認および同定するための前臨床スクリーニング、ならびに曝露後にこれらの動物の肺に形成することが観察され、疾患の病理発生および慢性化の両方に寄与することが考えられる、結果として生じるM.tuberculosisバイオフィルムの低減および/または排除のための予防戦略を提供する。
【0644】
例えば、抗体もしくはその抗原結合断片単独を含む組成物または組合せ物あるいはHMGBポリペプチドもしくはその断片単独を含む組成物または組合せ物と比較した、抗体もしくはその抗原結合断片およびHMGBポリペプチドもしくはその断片を含む組成物または組合せ物の有効性を、このモデルにおいて試験する。
実験番号9
【0645】
カテーテル/留置デバイスバイオフィルム感染の複数の動物モデルが公知である。Otto (2009) Nature Reviews Microbiology 7:555を参照されたい。正常皮膚細菌叢と典型的に考慮されるが、微生物Staphylococcus epidermidisは、多くの者が、院内感染の原因因子の中でも第1位の、肝要な日和見性病原体として配慮するものになった。主に、この細菌は、留置医療デバイスにおいて発症する感染の大部分の原因となり、留置医療デバイスは、デバイス挿入の際にこの一般的な皮膚生着菌によって汚染される。これは典型的に生命を脅かすものではないが、このようなバイオフィルム感染の処置に関連した困難は、その頻度と組み合わせて、重篤な公衆衛生上の負担となる。S.epidermidisによる血管カテーテル関連血流感染単独の処置に関連した現在のコストは、米国において年間$20億に達する。S.epidermidisに加えて、E.faecalisおよびS.aureusも、留置医療デバイスに見出される汚染である。ウサギ、マウス、モルモットおよびラットを含む、カテーテル関連のS.epidermidis感染のいくつかの動物モデルが存在し、これらは全て、病理発生の分子機構の研究に使用されており、予防および/または治療法の研究に役立つ。ラット頸静脈カテーテルが使用されて、E.faecalis、S.aureusおよびS.epidermidisバイオフィルム形成に干渉する治療法を評価した。バイオフィルム低減は、3つの仕方で測定されることが多い-(i)カテーテルを超音波処理し、CFUを計算する、(ii)カテーテルを薄切りにするもしくは単純にプレート上に置き、スコア化する、または(iii)バイオフィルムは、クリスタルバイオレットまたは別の色素で染色し、溶出させ、CFUの代理としてOD測定することができる。
【0646】
例えば、抗体もしくはその抗原結合断片単独を含む組成物または組合せ物あるいはHMGBポリペプチドもしくはその断片単独を含む組成物または組合せ物と比較した、抗体もしくはその抗原結合断片およびHMGBポリペプチド、例えば、HMGB1ポリペプチドもしくはその断片を含む組成物または組合せ物の有効性を、このモデルにおいて試験する。
等価物
【0647】
上述の実施形態と併せて本開示について記載してきたが、前述の記載および実施例が、説明を意図し、本開示の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本開示の範囲内の他の態様、利点および改変は、本開示が属する技術分野の当業者には明らかとなる。
【0648】
他に規定がなければ、本明細書で使用されるあらゆる技術および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意義を有する。本明細書に提供されるあらゆるヌクレオチド配列は、5’から3’の方向で提示される。
【0649】
説明目的で本明細書に記載される実施形態は、特に本明細書に開示されていないいかなるエレメント(単数または複数)、限定(単数または複数)の非存在下であっても、適切に実施することができる。よって、例えば、用語「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「を含有する(containing)」等は、拡大的に限定することなく読むべきである。その上、本明細書で用いられる用語および表現は、限定ではなく記載の用語として使用しており、斯かる用語および表現の使用において、示され記載された特色またはその部分のいかなる等価物を除外する意図もないが、本開示の範囲内で様々な改変が可能であることが認識される。
【0650】
よって、特異的な実施形態および必要に応じた特色によって本開示を特に開示してきたが、本明細書に開示されるその中の実施形態の改変、改善および変形形態は、当業者によって用いることができ、斯かる改変、改善および変形形態が、本開示の範囲内にあると考慮されることを理解されたい。本明細書に提供される材料、方法および実施例は、特定の実施形態を代表し、例示的であり、本開示の範囲における限定として意図するものではない。
【0651】
本開示の範囲(scoped)を、本明細書で広く包括的に記載してきた。包括的な開示に含まれるより狭い種および亜属のグループ分けのそれぞれもまた、本開示の一部を形成する。これは、切り取られた材料が本明細書に特に列挙されているか否かに関係なく、属からいずれかの主題を除去する、条件付きの包括的な記載または否定的な制限を含む。
【0652】
加えて、本開示の特色または態様が、マーカッシュ群の観点から記載されている場合、当業者であれば、これにより、本開示の実施形態を、マーカッシュ群のいずれか個々のメンバーまたはメンバーのサブグループの観点から記載できることも認識する。
【0653】
本明細書に言及されているあらゆる刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、あたかもそれぞれが個々に参照により本明細書に組み込まれるのと同じ程度まで、それらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。矛盾が生じる場合、定義を含めて本明細書が優先するものとする。
【0654】
配列
配列番号1(H10210(1F8.F1ヒト化HC1))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化21】
【0655】
配列番号2(H10211(1F8.F1ヒト化HC2))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化22】
【0656】
配列番号3(H10212(1F8.F1ヒト化HC3))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化23】
【0657】
配列番号4(H10213(11E7.C7ヒト化HC1))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化24】
【0658】
配列番号5(H10214(11E7.C7ヒト化HC2))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化25】
【0659】
配列番号6(H10215(11E7.C7ヒト化HC3))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化26】
【0660】
配列番号7(L10210(1F8.F1ヒト化LC1))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化27】
【0661】
配列番号8(L10211(1F8.F1ヒト化LC2))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化28】
【0662】
配列番号9(L10212(1F8.F1ヒト化LC3))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化29】
【0663】
配列番号10(L10213(11E7.C7ヒト化LC1))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化30】
【0664】
配列番号11(L10214(11E7.C7ヒト化LC2))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化31】
【0665】
配列番号12(L10215(11E7.C7ヒト化LC3))
太字のフォントは、例示される可変領域を示すが、太字、イタリックかつ下線のフォントは、例示されるCDRを示す。
【化32】
【0666】
配列番号13(重鎖コンセンサス配列)
【化33】
式中、Xおよび小文字は、対応する位置において、いずれかのアミノ酸で、またはあるいは、配列番号1~6から選択されるアミノ酸で、置換され得る。一実施形態では、Xは、アミノ酸残基の非存在もまた示し得る。
【0667】
配列番号14(軽鎖コンセンサス配列)
【化34】
式中、Xおよび小文字は、対応する位置において、いずれかのアミノ酸で、またはあるいは、配列番号7~12から選択されるアミノ酸で、置換され得る。一実施形態では、Xは、アミノ酸残基の非存在もまた示し得る。
【0668】
配列番号15 ヒトIgD定常領域、Uniprot:P01880
【化35】
【0669】
配列番号16 ヒトIgG1定常領域、Uniprot:P01857
【化36】
【0670】
配列番号17 ヒトIgG2定常領域、Uniprot:P01859
【化37】
【0671】
配列番号18 ヒトIgG3定常領域、Uniprot:P01860
【化38】
【0672】
配列番号19 ヒトIgM定常領域、Uniprot:P01871
【化39】
【0673】
配列番号20 ヒトIgG4定常領域、Uniprot:P01861
【化40】
【0674】
配列番号21 ヒトIgA1定常領域、Uniprot:P01876
【化41】
【0675】
配列番号22 ヒトIgA2定常領域、Uniprot:P01877
【化42】
【0676】
配列番号23 ヒトIgカッパ定常領域、Uniprot:P01834
【化43】
【0677】
配列番号24(先端重鎖コンセンサス配列)
【化44】
式中、小文字は、対応する位置において、配列番号1~3から選択されるアミノ酸で、置換され得る。
【0678】
配列番号25(先端軽鎖コンセンサス配列)
【化45】
式中、小文字は、対応する位置において、配列番号7~9から選択されるアミノ酸で、置換され得る。
【0679】
配列番号26(尾部重鎖コンセンサス配列)
【化46】
式中、小文字は、対応する位置において、配列番号4~6から選択されるアミノ酸で、置換され得る。
【0680】
配列番号27(尾部軽鎖コンセンサス配列)
【化47】
式中、小文字は、対応する位置において、配列番号10~12から選択されるアミノ酸で、置換され得る。
【0681】
配列番号28(IHFが結合するコンセンサス配列)
WATCAANNNNTTR
式中、WはAまたはTであり、Rはプリンである。
【0682】
配列番号29(E.coli hupA、ジェンバンクアクセッション番号:AP_003818、最終アクセスは2011年3月21日)
MNKTQLIDVIAEKAELSKTQAKAALESTLAAITESLKEGDAVQLVGFGTFK VNHRAERTGRNPQTGKEIKIAAANVPAFVSGKALKDAVK
【0683】
配列番号30(E.coli hupB、ジェンバンクアクセッション番号:AP_001090.1、最終アクセスは2011年3月21日)
MNKSQLIDKIAAGADISKAAAGRALDAIIASVTESLKEGDDVALVGFG TFAVKERAARTGRNPQTGKEITIAAAKVPSFRAGKALKDAVN
【0684】
配列番号31(IhfA、A先端断片)
NFELRDKSSRPGRNPKTGDVV
【0685】
配列番号32(IhfB、B先端断片)
SLHHRQPRLGRNPKTGDSVNL
【0686】
配列番号33(ペプチドリンカー)
Gly-Pro-Ser-Leu-Lys-Leu
【0687】
配列番号34(ペプチドリンカー)
Gly-Pro-Ser-Leu
【0688】
配列番号35(ペプチドリンカー)
Pro-Ser-Leu-Lys
【0689】
配列番号36(ペプチドリンカー)
Gly-Pro-Ser-Leu-Lys
【0690】
配列番号37(ペプチドリンカー)
Ser-Leu-Lys-Leu
【0691】
配列番号38(先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHI)
【化48】
式中、「X」は、必要に応じて、1アミノ酸~20アミノ酸の間を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、必要に応じたアミノ酸リンカー配列であり、
式中、「X
1」は、いずれかのアミノ酸であり、またはあるいは、「X
1」は、アミノ酸Q、R、K、S、またはTから選択される。
【0692】
配列番号39(先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHI)
【化49】
式中、「X」は、必要に応じて、1アミノ酸~20アミノ酸の間を含む、必要に応じたアミノ酸リンカー配列である。
【0693】
配列番号40(先端-キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHI)
【化50】
【0694】
配列番号41(尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHI)
FLEEIRLSLESGQDVKLSGF-X-TLSAKEIENMVKDILEFISQ
【0695】
配列番号42:非限定的な例示的なリンカー:GGSGGS
【0696】
配列番号43:非限定的な例示的なリンカー:GPSLKL.
【0697】
配列番号44:非限定的な例示的なリンカー:GGG.
【0698】
配列番号45:非限定的な例示的なリンカー:GPSL.
【0699】
配列番号46:非限定的な例示的なリンカー:GPS.
【0700】
配列番号47:非限定的な例示的なリンカー:PSLK.
【0701】
配列番号48:非限定的な例示的なリンカー:GPSLK.
【0702】
配列番号49:非限定的な例示的なリンカー:SLKL.
【0703】
配列番号50(尾部-キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHI)
FLEEIRLSLESGQDVKLSGFGPSLTLSAKEIENMVKDILEFISQ
実施形態
【0704】
実施形態1.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはsを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(b)
(i)配列番号13、24または26のアミノ酸(aa)25~aa144の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または
(ii)配列番号14または25のaa21~aa132、配列番号27のaa21~aa126の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる抗DNABII抗体またはその断片
を含む、組成物。
【0705】
実施形態2.抗体が、
(i)配列番号24のaa25~aa144の配列、またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または
(ii)配列番号25のaa21~aa132の配列、またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0706】
実施形態3.抗体が、
(i)配列番号1~6、13、24または26のaa25~aa144の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または
(ii)配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0707】
実施形態4.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126、あるいはその各々の等価物の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0708】
実施形態5.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0709】
実施形態6.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0710】
実施形態7.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0711】
実施形態8.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0712】
実施形態9.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0713】
実施形態10.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0714】
実施形態11.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0715】
実施形態12.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0716】
実施形態13.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0717】
実施形態14.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0718】
実施形態15.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0719】
実施形態16.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0720】
実施形態17.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0721】
実施形態18.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0722】
実施形態19.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0723】
実施形態20.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0724】
実施形態21.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0725】
実施形態22.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0726】
実施形態23.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0727】
実施形態24.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0728】
実施形態25.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0729】
実施形態26.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0730】
実施形態27.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0731】
実施形態28.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0732】
実施形態29.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0733】
実施形態30.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0734】
実施形態31.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0735】
実施形態32.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0736】
実施形態33.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0737】
実施形態34.抗体またはその断片が、
(i)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列:配列番号13、24または26のアミノ酸(aa)25~aa144;および/または
(ii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列:配列番号14または25のaa21~aa132、配列番号27のaa21~aa126
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0738】
実施形態35.抗体が、
(i)配列番号24のaa25~aa144の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列;および/または
(ii)配列番号25のaa21~aa132の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0739】
実施形態36.抗体が、
(i)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列:配列番号1~6、13、24または26のaa25~aa144;および/または
(ii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列:配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0740】
実施形態37.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0741】
実施形態38.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0742】
実施形態39.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0743】
実施形態40.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0744】
実施形態41.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0745】
実施形態42.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa132、配列番号10~12または27のaa21~aa126の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0746】
実施形態43.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなるの群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0747】
実施形態44.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0748】
実施形態45.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0749】
実施形態46.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0750】
実施形態47.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0751】
実施形態48.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa144の群から選択されるアミノ酸配列を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0752】
実施形態49.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0753】
実施形態50.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0754】
実施形態51.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号1のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0755】
実施形態52.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0756】
実施形態53.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0757】
実施形態54.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号2のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0758】
実施形態55.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号7のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0759】
実施形態56.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号8のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0760】
実施形態57.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号3のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号9のaa21~aa132のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0761】
実施形態58.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0762】
実施形態59.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0763】
実施形態60.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号4のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0764】
実施形態61.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0765】
実施形態62.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0766】
実施形態63.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号5のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0767】
実施形態64.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号10のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0768】
実施形態65.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号11のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0769】
実施形態66.重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号6のaa25~aa144のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列が、配列番号12のaa21~aa126のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態34に記載の組成物。
【0770】
実施形態67.抗体またはその断片が、
(i)配列番号13、24または26のアミノ酸(aa)25~aa473の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC);および/または
(ii)配列番号14または25のaa21~aa239、配列番号27のaa21~aa233の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1に記載の組成物。
【0771】
実施形態68.抗体が、
(i)配列番号24のaa25~aa473の配列、またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC);および/または
(ii)配列番号25のaa21~aa239の配列、またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0772】
実施形態69.抗体が、
(i)配列番号1~6、13、24または26のaa25~aa473の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる重鎖(HC);および/または
(ii)配列番号10~12または27のaa21~aa233、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239の群から選択される配列、あるいはその各々の等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたそれからなる軽鎖(LC)を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0773】
実施形態70.重鎖(HC)が、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0774】
実施形態71.重鎖(HC)が、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0775】
実施形態72.重鎖(HC)が、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0776】
実施形態73.重鎖(HC)が、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0777】
実施形態74.重鎖(HC)が、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0778】
実施形態75.重鎖(HC)が、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~9、14または25のaa21~aa239、配列番号10~12または27のaa21~aa233の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0779】
実施形態76.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa473の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0780】
実施形態77.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa473の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0781】
実施形態78.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa473の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0782】
実施形態79.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa473の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0783】
実施形態80.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa473の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0784】
実施形態81.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26のaa25~aa473の群から選択されるアミノ酸配列、またはその各々の等価物を含むか、または本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0785】
実施形態82.重鎖(HC)が、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0786】
実施形態83.重鎖(HC)が、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0787】
実施形態84.重鎖(HC)が、配列番号1のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0788】
実施形態85.重鎖(HC)が、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0789】
実施形態86.重鎖(HC)が、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0790】
実施形態87.重鎖(HC)が、配列番号2のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0791】
実施形態88.重鎖(HC)が、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0792】
実施形態89.重鎖(HC)が、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0793】
実施形態90.重鎖(HC)が、配列番号3のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のaa21~aa239のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0794】
実施形態91.重鎖(HC)が、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0795】
実施形態92.重鎖(HC)が、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0796】
実施形態93.重鎖(HC)が、配列番号4のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0797】
実施形態94.重鎖(HC)が、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0798】
実施形態95.重鎖(HC)が、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0799】
実施形態96.重鎖(HC)が、配列番号5のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0800】
実施形態97.重鎖(HC)が、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0801】
実施形態98.重鎖(HC)が、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0802】
実施形態99.重鎖(HC)が、配列番号6のaa25~aa473のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のaa21~aa233のアミノ酸配列またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態67に記載の組成物。
【0803】
実施形態100. HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、実施形態1~99のいずれか1つに記載の組成物。
【0804】
実施形態101.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(b)
(i)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC):配列番号13、24または26もしくはその各々の等価物;および/または
(ii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC):配列番号14、25、または27もしくはその各々の等価物
を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその断片
を含む組成物。
【0805】
実施形態102.抗体が、
(i)配列番号24の配列またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC);および/または
(ii)配列番号25の配列またはその等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC)
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0806】
実施形態103.抗体が、
(i)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖(HC):配列番号1~6、13、24または26もしくはその各々の等価物;および/または
(ii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖(LC):配列番号7~12、14、25、または27、もしくはその各々の等価物
を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0807】
実施形態104.重鎖(HC)が、配列番号1のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~12、14、25、または27の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0808】
実施形態105.重鎖(HC)が、配列番号2のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~12、14、25、または27の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0809】
実施形態106.重鎖(HC)が、配列番号3のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~12、14、25、または27の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0810】
実施形態107.重鎖(HC)が、配列番号4のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~12、14、25、または27の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0811】
実施形態108.重鎖(HC)が、配列番号5のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~12、14、25、または27の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0812】
実施形態109.重鎖(HC)が、配列番号6のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7~12、14、25、または27の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0813】
実施形態110.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0814】
実施形態111.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0815】
実施形態112.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0816】
実施形態113.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0817】
実施形態114.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0818】
実施形態115.重鎖(HC)が、配列番号1~6、13、24、または26の群から選択されるアミノ酸配列、あるいはそのそれぞれの等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0819】
実施形態116.重鎖(HC)が、配列番号1のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0820】
実施形態117.重鎖(HC)が、配列番号1のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0821】
実施形態118.重鎖(HC)が、配列番号1のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0822】
実施形態119.重鎖(HC)が、配列番号2のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0823】
実施形態120.重鎖(HC)が、配列番号2のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0824】
実施形態121.重鎖(HC)が、配列番号2のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0825】
実施形態122.重鎖(HC)が、配列番号3のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号7のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0826】
実施形態123.重鎖(HC)が、配列番号3のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号8のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0827】
実施形態124.重鎖(HC)が、配列番号3のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号9のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0828】
実施形態125.重鎖(HC)が、配列番号4のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0829】
実施形態126.重鎖(HC)が、配列番号4のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0830】
実施形態127.重鎖(HC)が、配列番号4のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0831】
実施形態128.重鎖(HC)が、配列番号5のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0832】
実施形態129.重鎖(HC)が、配列番号5のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0833】
実施形態130.重鎖(HC)が、配列番号5のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0834】
実施形態131.重鎖(HC)が、配列番号6のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号10のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0835】
実施形態132.重鎖(HC)が、配列番号6のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号11のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0836】
実施形態133.重鎖(HC)が、配列番号6のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、および/または軽鎖(LC)が、配列番号12のアミノ酸配列、またはその等価物を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態101に記載の組成物。
【0837】
実施形態134. HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、実施形態101~133のいずれか1つに記載の組成物。
【0838】
実施形態135.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(b)以下の(i)~(vi):
(iii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1):GFTFXXY(配列番号13のアミノ酸(aa)50~aa56)、GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)、またはGFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(iv)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2):XSXXXX(配列番号13のアミノ酸(aa)76~aa81)、GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)、またはSSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(v)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3):XXXXXXXYXXFDX(配列番号13のアミノ酸(aa)121~aa133)、VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)、またはERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(vi)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1):QXXXXXXXXXX(配列番号14のaa47~aa57)、QXXXXX(配列番号14のaa47~aa52)、QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)、またはQDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;
(vii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2):XXS(配列番号14のaa75~aa77)、LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)、またはYTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;および
(viii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3):XQGXXXXXT(配列番号14のaa114~aa122)、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)、またはQQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である、
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその断片
を含む組成物であって、
必要に応じて、抗体またはその断片は軽鎖および重鎖を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、さらに必要に応じて軽鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、さらに必要に応じて必要に応じて重鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、組成物。
【0839】
実施形態136.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(b)以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFP(配列番号7または8または9または25のaa114~aa120)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその断片
を含む組成物であって、
必要に応じて、抗体またはその断片は軽鎖および重鎖を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、さらには、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、さらに必要に応じて重鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、組成物。
【0840】
実施形態137.CDRH1が、GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~136のいずれか一項に記載の組成物。
【0841】
実施形態138.CDRH1が、aASGFTFRTYAMS(配列番号24のaa47~aa59)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のaはAである(配列番号1または2のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはKである(配列番号3のaa47~aa59)、実施形態135~137のいずれか一項に記載の組成物。
【0842】
実施形態139.CDRH2が、IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~138のいずれか一項に記載の組成物。
【0843】
実施形態140.CDRH2が、IGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa75~aa83)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~139のいずれか一項に記載の組成物。
【0844】
実施形態141.CDRH2が、TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~140のいずれか一項に記載の組成物。
【0845】
実施形態142.CDRH2が、WVATIGSDRRHTYYP(配列番号1または2または3または24のaa71~aa85)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~141のいずれか一項に記載の組成物。
【0846】
実施形態143.CDRL1が、rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59)、実施形態135~142のいずれか一項に記載の組成物。
【0847】
実施形態144.CDRL2が、LVSKlDS(配列番号25のaa75~aa81)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa81)、実施形態135~143のいずれか一項に記載の組成物。
【0848】
実施形態145.CDRL2が、YLVSKlDS(配列番号25のaa74~aa81)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa81)、実施形態135~144のいずれか一項に記載の組成物。
【0849】
実施形態146.CDRL2が、LVSKlDSG(配列番号25のaa75~aa82)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa82)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa82)、実施形態135~144のいずれか一項に記載の組成物。
【0850】
実施形態147.CDRL2が、YLVSKlDSGV(配列番号25のaa74~aa83)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa83)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa83)、実施形態135~146のいずれか一項に記載の組成物。
【0851】
実施形態148.CDRL2が、RLIYLVSKlDSGVPD(配列番号25のaa71~aa85)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa71~aa85)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa71~aa85)、実施形態135~147のいずれか一項に記載の組成物。
【0852】
実施形態149.CDRL3が、WQGTHFPY(配列番号7または8または9または25のaa114~aa121)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~148のいずれか一項に記載の組成物。
【0853】
実施形態150.CDRL3が、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135~149のいずれか一項に記載の組成物。
【0854】
実施形態151.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または136に記載の組成物。
【0855】
実施形態152.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、および151のいずれか一項に記載の組成物。
【0856】
実施形態153.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)aASGFTFRTYAMS(配列番号24のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、ここで、小文字のaはAである(配列番号1または2のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはKである(配列番号3のaa47~aa59);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59);
(v)YLVSKlDS(配列番号25のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa81);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、および151のいずれか一項に記載の組成物。
【0857】
実施形態154.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFRTYAMS(配列番号1または2のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号7のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号7のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151および153のいずれか一項に記載の組成物。
【0858】
実施形態155.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFRTYAMS(配列番号1または2のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKRDS(配列番号8のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、および153のいずれか一項に記載の組成物。
【0859】
実施形態156.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFRTYAMS(配列番号1または2のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号9のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号9のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、および153のいずれか一項に記載の組成物。
【0860】
実施形態157.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)KASGFTFRTYAMS(配列番号3のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号7のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号7のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、および153のいずれか一項に記載の組成物。
【0861】
実施形態158.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)KASGFTFRTYAMS(配列番号3のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKRDS(配列番号8のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、および153のいずれか一項に記載の組成物。
【0862】
実施形態159.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)KASGFTFRTYAMS(配列番号3のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号9のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YLVSKLDS(配列番号9のaa74~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、153のいずれか一項に記載の組成物。
【0863】
実施形態160.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59);
(v)LVSKlDS(配列番号25のaa75~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa81);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、または151のいずれか一項に記載の組成物。
【0864】
実施形態161.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号7のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVSKLDS(配列番号7のaa75~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、または160のいずれか一項に記載の組成物。
【0865】
実施形態162.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号8のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVSKRDS(配列番号8のaa75~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、または160のいずれか一項に記載の組成物。
【0866】
実施形態163.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTY(配列番号1または2または3または24のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)KSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号9のaa44~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVSKLDS(配列番号9のaa75~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、136、151、または160のいずれか一項に記載の組成物。
【0867】
実施形態164.抗体が、以下の(i)~(vi):
(i)GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)WQGTHFP(配列番号7または8または9または25のaa114~aa120)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または136に記載の組成物。
【0868】
実施形態165.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(b)以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ER(配列番号4または5または6または26のaa121~aa122)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQ(配列番号10または11または12または27のaa109~aa110)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその断片
を含む組成物であって、
必要に応じて、抗体またはその断片は軽鎖および重鎖を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、さらに必要に応じて軽鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、さらに必要に応じて重鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、組成物。
【0869】
実施形態166.CDRH1が、GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165に記載の組成物。
【0870】
実施形態167.CDRH1が、aASGFTFSRYGMS(配列番号:26のaa47~aa59)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、ここで、小文字のaはAである(配列番号4または5のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはTである(配列番号6のaa47~aa59)、実施形態135または165~166のいずれか一項に記載の組成物。
【0871】
実施形態168.CDRH2が、ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~167のいずれか一項に記載の組成物。
【0872】
実施形態169.CDRH2が、TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~168のいずれか一項に記載の組成物。
【0873】
実施形態170.CDRH3が、ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~169のいずれか一項に記載の組成物。
【0874】
実施形態171.CDRL1が、RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~170のいずれか一項に記載の組成物。
【0875】
実施形態172.CDRL2が、YTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa76)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~171のいずれか一項に記載の組成物。
【0876】
実施形態173.CDRL2が、YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~172のいずれか一項に記載の組成物。
【0877】
実施形態174.CDRL3が、QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165~173のいずれか一項に記載の組成物。
【0878】
実施形態175.以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135または165に記載の組成物。
【0879】
実施形態176.以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる実施形態135、165、または175のいずれか1つに記載の組成物。
【0880】
実施形態177.以下の(i)~(vi):
(i)aASGFTFSRYGMS(配列番号:26のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1)、ここで、小文字のaはAである(配列番号4または5のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはTである(配列番号6のaa47~aa59);
(ii)TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態135、165、または175のいずれか1つに記載の組成物。
【0881】
実施形態178.以下の(i)~(vi):
(i)AASGFTFSRYGMS(配列番号4または5のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる実施形態135、165、175、または177のいずれか1つに記載の組成物。
【0882】
実施形態179.以下の(i)~(vi):
(i)TASGFTFSRYGMS(配列番号6のaa47~aa59)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)TISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる実施形態135、165、175、または177のいずれか1つに記載の組成物。
【0883】
実施形態180.以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)SSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2);
(iii)ERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)RASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa76)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる実施形態135、165、または175のいずれか1つに記載の組成物。
【0884】
実施形態181.以下の(i)~(vi):
(i)GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1);
(ii)ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2).;
(iii)配列ER(配列番号4または5または6または26のaa121~aa122)を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3);
(iv)QDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1);
(v)YTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2);および
(vi)QQ(配列番号10または11または12または27のaa109~aa110)の配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3)
のうちの1つまたは2つまたは3つまたは4つまたは5つまたは6つ全てを含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる実施形態135または165のいずれか1つに記載の組成物。
【0885】
実施形態182. HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含む、実施形態135~181のいずれか1つに記載の組成物。
【0886】
実施形態183. 抗体が、
(i)配列番号1~6、13、24もしくは26の群から選択される配列のCDR1~3、またはその各々の等価物;および/あるいは
(ii)配列番号7~12、14、25もしくは27の群から選択される配列のCDR1~3、またはその各々の等価物
を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1~182のいずれか1つに記載の組成物。
【0887】
実施形態184. 抗体が、
(i)配列番号1~6、13、24もしくは26の群から選択される配列のCDR1~3;および/または
(ii)配列番号7~12、14、25もしくは27の群から選択される配列のCDR1~3
を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態1~183のいずれか1つに記載の組成物。
【0888】
実施形態185.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(i)(b)配列番号1~6、13、24または26の群から選択される配列のCDR1~3、またはその各々の等価物を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる抗DNABII抗体またはその断片;および/または
(ii)配列番号7~12、14、25または27の群から選択される配列のCDR1~3、またはその各々の等価物
を含む組成物であって、
必要に応じて、抗体またはその断片は軽鎖および重鎖を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなり、さらに必要に応じて軽鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対して少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一であり、さらに必要に応じて重鎖は、配列番号7~12、14、25または27のいずれか1つまたは複数のアミノ酸配列、または必要に応じて配列が抗体またはその断片の1つまたは2つまたは3つのCDRを含むそこから選択される配列番号に対してis少なくとも約80%、または少なくとも約85%、または少なくとも約90%、または少なくとも約91%、または少なくとも約92%、または少なくとも約93%、または少なくとも約94%、または少なくとも約95%、または少なくとも約96%、または少なくとも約97%、または少なくとも約98%、または少なくとも約99%同一である、組成物。
【0889】
実施形態186. 抗体が、二特異性抗体、三特異性抗体、四特異性抗体、または五特異性抗体の群から選択される、実施形態1から185のいずれか1つに記載の組成物。
【0890】
実施形態187. 抗体が、IgA、IgD、IgE、IgG、またはIgM抗体の群から選択される、実施形態1から186のいずれか1つに記載の組成物。
【0891】
実施形態188. 抗体が、IgA定常領域、IgD定常領域、IgE定常領域、IgG定常領域またはIgM定常領域の群から選択される定常領域をさらに含む、実施形態1から187のいずれか1つに記載の組成物。
【0892】
実施形態189. 定常領域が、IgG1定常領域である、実施形態188に記載の組成物。
【0893】
実施形態190. 抗体が、配列番号1~6、13、24もしくは26の重鎖(HC)定常領域、および/または配列番号7~12、14、25もしくは27の軽鎖(LC)定常領域をさらに含む、実施形態1から188のいずれか1つに記載の組成物。
【0894】
実施形態191. HC定常領域が、配列番号1~6、13、24もしくは26の定常領域(必要に応じて、配列番号1~6、13、24または26のaa145~aa473から選択される配列)を含むか、もしくはあるいは、それから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるか、またはHC定常領域が、配列番号15~22のいずれか1つの定常領域を含むか、もしくはあるいは、それから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる、実施形態190に記載の組成物。
【0895】
実施形態192. LC定常領域が、配列番号7~12もしくは27の定常領域(必要に応じて、配列番号7~9、14もしくは25のaa133~aa239、および/または配列番号10~12もしくは27のaa127~aa233から選択される配列)を含むか、もしくはあるいは、それから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなるか、またはLC定常領域が、配列番号23の定常領域を含むか、もしくはあるいは、それから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる、実施形態190または191に記載の組成物。
【0896】
実施形態193.
(a)1つもしくは複数の変異を必要に応じて含む高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはHMGB1ポリペプチドのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを必要に応じて含むか、もしくはそれからなる、その断片であって、必要に応じて、単離および/または操作されている、ポリペプチドまたはその断片;ならびに
(b)エピトープへの結合について、実施形態1~192のいずれか1つに開示される抗体またはその断片と競合する抗DNABII抗体またはその断片
を含む組成物。
【0897】
実施形態194. 抗体またはその断片が、先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIへの結合について競合する、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~192のいずれか1つに記載の組成物。
【0898】
実施形態195. 先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIが、RPGRNPX1TGDVVPVSARRVV-X-FSLHHRQPRLGRNPX1TGDSV(配列番号38)(ここで、「X」は、必要に応じて、1~20個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる任意のアミノ酸リンカー配列であり、「X1」は、任意のアミノ酸またはあるいは、「X1」は、アミノ酸Q、R、K、SまたはTから選択される)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態194に記載の組成物。
【0899】
実施形態196. 先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4NTHIが、RPGRNPKTGDVVPVSARRVV-X-FSLHHRQPRLGRNPKTGDSV(配列番号39)(ここで、「X」は、必要に応じて、1~20個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる任意のアミノ酸リンカー配列である)を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態194または195に記載の組成物。
【0900】
実施形態197. 先端キメラペプチドIhfA5-mIhfB4
NTHIが、
【化51】
を含むか、またはあるいは、それから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる、実施形態194から196のいずれか1つに記載の組成物。
【0901】
実施形態198. 抗体またはその断片が、尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIへの結合について競合する、実施形態1、3~15、25~34、36~47、58~67、69~81、91~101、103~115、125~135、および166~192のいずれか1つに記載の組成物。
【0902】
実施形態199. 尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIが、FLEEIRLSLESGQDVKLSGF-X-TLSAKEIENMVKDILEFISQ(配列番号41)(ここで、「X」は、必要に応じて、1~20個のアミノ酸を含むか、またはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる任意のアミノ酸リンカー配列である)を含むか、もしくはあるいは、それから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなり、および/または尾部キメラペプチドIhfA3-IhfB2NTHIが、FLEEIRLSLESGQDVKLSGFGPSLTLSAKEIENMVKDILEFISQ(配列番号50)を含むか、もしくはそれから本質的になるか、もしくはまたさらにそれからなる、実施形態198に記載の組成物。
【0903】
実施形態200. アミノ酸リンカーが、GGSGGS(配列番号42)、GPSLKL(配列番号43)、GGG(配列番号44)、GPSL(配列番号45)、GPS(配列番号46)、PSLK(配列番号47)、GPSLK(配列番号48)、またはSLKL(配列番号49)の群から選択される、実施形態195、196または199のいずれか1つに記載の組成物。
【0904】
実施形態201. 抗体が、ポリクローナル、モノクローナルまたはヒト化抗体である、実施形態193から200のいずれか1つに記載の組成物。
【0905】
実施形態202. 断片が抗原結合断片である、実施形態1~201のいずれか1つに記載の組成物。
【0906】
実施形態203. 抗原結合断片がFab、F(ab’)2、Fab’、scFvまたはFvの群から選択される、実施形態202に記載の組成物。
【0907】
実施形態204. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも80%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0908】
実施形態205. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも90%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0909】
実施形態206. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0910】
実施形態207. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも96%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0911】
実施形態208. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも97%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0912】
実施形態209. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも98%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0913】
実施形態210. アミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列に対して少なくとも99%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドを含み、および/またはアミノ酸配列に対する等価物が、そのアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドの相補物と、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを含む、実施形態1~33、67~134または183~203に記載の組成物。
【0914】
実施形態211. 抗体またはその断片が、修飾されており、必要に応じて、修飾が、ペグ化、PEG模倣物、ポリシアリル化、HES化またはグリコシル化の群から選択される、実施形態1~210のいずれか1つに記載の組成物。
【0915】
実施形態212. HMGBポリペプチドもしくはその断片、または抗DNABII抗体もしくはその断片のいずれかまたは両方が、検出可能なマーカーまたは精製マーカーをさらに含む、実施形態1~211のいずれか1つに記載の組成物。
【0916】
実施形態213.
(a)1つもしくは複数の変異を必要に応じて含む高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはHMGB1ポリペプチドのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを必要に応じて含むか、もしくはそれからなる、その断片であって、必要に応じて、単離および/または操作されている、ポリペプチドまたはその断片;ならびに
(b)実施形態1~212のいずれか1つに記載の組成物の相補性決定領域(CDR)
を含む組成物であって、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、組成物。
【0917】
実施形態214. CDRが、CDR1、CDR2またはCDR3からなる群から選択される、実施形態213に記載の組成物。
【0918】
実施形態215.
(a)高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチドであって、必要に応じて1つもしくは複数の変異を含み(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはその断片であり、必要に応じてHMGB1ポリペプチド断片のBボックスまたはAボックスまたはABボックスを含むかまたはそれからなり、必要に応じてポリペプチドまたはその断片は単離および/または操作されている、HMGB1ポリペプチド;および
(b)以下:
(i)相補性決定領域(CDR)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域1(CDRH1):GFTFXXY(配列番号13のアミノ酸(aa)50~aa56)、GFTFRTY(配列番号50~aa56のaa1または2または3または24)、またはGFTFSRY(配列番号4または5または6または26のaa50~aa56)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;GFTFRTYA(配列番号1または2または3または24のaa50~aa57);aASGFTFRTYAMS(配列番号24のaa47~aa59)、ここで、小文字のaはAである(配列番号1または2のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはKである(配列番号3のaa47~aa59);GFTFSRYG(配列番号4または5または6または26のaa50~aa57);またはaASGFTFSRYGMS(配列番号:26のaa47~aa59)、ここで、小文字のaはAである(配列番号4または5のaa47~aa59)またはここで、小文字のaはTである(配列番号6のaa47~aa59);
(ii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域2(CDRH2):XSXXXX(配列番号13のアミノ酸(aa)76~aa81)、GSDRRH(配列番号1または2または3または24のaa76~aa81)、またはSSGGSY(配列番号4または5または6または26のaa76~aa81)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;IGSDRRHT(配列番号1または2または3または24のaa75~aa82);IGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa75~aa83);TIGSDRRHTY(配列番号1または2または3または24のaa74~aa83);WVATIGSDRRHTYYP(配列番号1または2または3または24のaa71~aa85);ISSGGSYT(配列番号4または5または6または26のaa75~aa82);またはTISSGGSYTY(配列番号4または5または6または26のaa74~aa83);
(iii)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる重鎖相補性決定領域3(CDRH3):XXXXXXXYXXFDX(配列番号13のアミノ酸(aa)121~aa133)、VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133)、またはERHGGDGYWYFDV(配列番号4または5または6または26のaa121~aa133)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号1~6から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;VGPYDGYYGEFDY(配列番号1または2または3または24のaa121~aa133);またはER(配列番号4または5または6または26のaa121~aa122);
(iv)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域1(CDRL1):QXXXXXXXXXX(配列番号14のaa47~aa57)、QXXXXX(配列番号14のaa47~aa52)、QSLLDSDGKTF(配列番号7または8または9または25のaa47~aa57)、またはQDISNY(配列番号10または11または12または27のaa47~aa52)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;rSSQSLLDSDGKTFLN(配列番号25のaa44~aa59)、ここで、小文字のrはRである(配列番号7または8のaa44~aa59)またはここで、小文字のrはKである(配列番号9のaa44~aa59);またはRASQDISNYLN(配列番号10または11または12または27のaa44~aa54);
(v)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域2(CDRL2):XXS(配列番号14のaa75~aa77)、LVS(配列番号7または8または9または25のaa75~aa77)、またはYTS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa72)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;LVSKlDS(配列番号25のaa75~aa81)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa81);YLVSKlDS(配列番号25のaa74~aa81)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa81)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa81);LVSKlDSG(配列番号25のaa75~aa82)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa75~aa82)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa75~aa82);YLVSKlDSGV(配列番号25のaa74~aa83)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa74~aa83)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa74~aa83);RLIYLVSKlDSGVPD(配列番号25のaa71~aa85)、ここで、小文字のlはLである(配列番号7または9のaa71~aa85)またはここで、小文字のlはRである(配列番号8のaa71~aa85);YTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa70~aa76);またはYYTSRLHS(配列番号10または11または12または27のaa69~aa76);および
(vi)以下の群から選択される配列を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる軽鎖相補性決定領域3(CDRL3):XQGXXXXXT(配列番号14のaa114~aa122)、WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122)、またはQQGNPLRT(配列番号10または11または12または27のaa109~aa116)、ここで、Xは、任意のアミノ酸または配列番号7~12から選択される配列の整列されたaa位置におけるアミノ酸である;WQGTHFP(配列番号7または8または9または25のaa114~aa120);WQGTHFPY(配列番号7または8または9または25のaa114~aa121);WQGTHFPYT(配列番号7または8または9または25のaa114~aa122);QQ(配列番号10または11または12または27のaa109~aa110)
のいずれか1つまたは複数を含むか、またはあるいはそれから本質的になるか、またはまたさらにそれからなる相補性決定領域(CDR)
を含む組成物であって、
必要に応じて、HMGB1変異の1つもしくは複数は、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じてセリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはトレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じてmHMGB1は、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つもしくは複数の変異を含み、必要に応じてHMGB1はヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、組成物。
【0919】
実施形態216.
(a)1つもしくは複数の変異を必要に応じて含む高移動度群ボックス1タンパク質(HMGB1)ポリペプチド(変異体HMGB1(mHMGB1)ポリペプチド)、またはHMGB1ポリペプチドのBボックスもしくはAボックスもしくはABボックスを必要に応じて含むか、もしくはそれからなる、その断片であって、必要に応じて、単離および/または操作されている、ポリペプチドまたはその断片;ならびに
(b)配列番号1~14もしくは24~27、またはその各々の等価物の群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチド
を含む組成物であって、
必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、組成物。
【0920】
実施形態217. ポリペプチドが、検出可能なマーカーまたは精製マーカーをさらに含む、実施形態216に記載の組成物。
【0921】
実施形態218.
実施形態1~217のいずれか1つに記載の組成物中の(a)のHMGB1ポリペプチドもしくはその断片、またはその等価物をコードし、プロモーターおよびエンハンサーエレメントに必要に応じて作動可能に連結された、単離されたポリヌクレオチド、
実施形態1~217のいずれか1つに記載の組成物中の(b)の抗体もしくはその断片、またはその各々の等価物をコードし、プロモーターおよびエンハンサーエレメントに必要に応じて作動可能に連結された、単離されたポリヌクレオチド
を含む組成物であって、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、組成物。
【0922】
実施形態219. ポリヌクレオチドのいずれかまたは両方が、可変ドメイン、鎖、HMGB1ポリペプチドもしくはその断片、またはCDRの上流に位置するシグナルペプチドコードポリヌクレオチド配列をさらに含む、実施形態218に記載の組成物。
【0923】
実施形態220. (a)のHMGB1ポリペプチドもしくはその断片または(b)の抗DNABII抗体もしくはその断片のいずれかまたは両方が、可変ドメイン、鎖、CDR、HMGB1ポリペプチドまたはその断片の上流に位置するシグナルペプチドをさらに含む、実施形態1~217のいずれか1つに記載の組成物。
【0924】
実施形態221. 実施形態218または219に記載の組成物中の一方または両方の単離されたポリヌクレオチド(複数可)を含む、ベクター。
【0925】
実施形態222. プラスミドまたはウイルスベクターである、実施形態221に記載のベクター。
【0926】
実施形態223. ウイルスベクターが、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、およびアデノ随伴ウイルスベクターからなる群から選択される、実施形態222に記載のベクター。
【0927】
実施形態224. 実施形態218もしくは219に記載の組成物、または実施形態221~223のいずれか1つに記載のベクターを含む、宿主細胞。
【0928】
実施形態225. DNABIIポリペプチドまたはタンパク質の、微生物DNAへの結合を阻害するかまたはこれと競合するための方法であって、DNABIIポリペプチドまたはタンパク質を、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物の(a)のHMGB1ポリペプチドまたはその断片、ならびにその組成物の(b)の抗DNABII抗体またはその断片と接触させるステップを含み、抗体またはその断片が、DNABIIペプチドの先端領域に結合し、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、方法。
【0929】
実施形態226. バイオフィルムを破壊するための方法であって、バイオフィルムを、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物の(a)のHMGB1ポリペプチドまたはその断片、ならびにその組成物の(b)の抗DNABII抗体またはその断片と接触させるステップを含み、抗体またはその断片が、DNABIIペプチドの先端領域に結合し、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、方法。
【0930】
実施形態227. 表面上のバイオフィルムの形成を予防するまたはこれを破壊する方法であって、バイオフィルムを含みやすい表面を、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物の(a)のHMGB1ポリペプチドまたはその断片、ならびにその組成物の(b)の抗DNABII抗体またはその断片で処置するステップを含み、抗体またはその断片が、DNABIIペプチドの先端領域に結合し、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、方法。
【0931】
実施形態228. 被験体におけるバイオフィルムを予防または破壊する方法であって、被験体に実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物の(a)のHMGB1ポリペプチドまたはその断片、ならびにその組成物の(b)の抗DNABII抗体またはその断片を投与するステップを含み、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、方法。
【0932】
実施形態229. 被験体におけるバイオフィルムを生産する細菌感染症を阻害、予防または処置する方法であって、被験体に、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物の(a)のHMGB1ポリペプチドまたはその断片、ならびにその組成物の(b)の抗DNABII抗体またはその断片を投与するステップを含み、抗体またはその断片が、DNABIIペプチドの先端領域に結合し、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、方法。
【0933】
実施形態230. 被験体におけるバイオフィルムの形成によって特徴付けられる状態を処置する方法であって、被験体に、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物の(a)のHMGB1ポリペプチドまたはその断片、ならびにその組成物の(b)の抗DNABII抗体またはその断片を投与するステップを含み、抗体またはその断片が、DNABIIペプチドの先端領域に結合し、必要に応じて、HMGB1変異のうちの1つまたは複数が、K12、C23、C45、C106、またはK114における、必要に応じて、セリン、グリシン、アラニン、バリン、イソロイシンまたはスレオニンへの変異の群から選択され、必要に応じて、mHMGB1が、C23S、C45S、およびC106Sから選択される1つまたは複数の変異を含み、必要に応じて、HMGB1が、ヒトHMGB1またはマウスHMGB1である、方法。
【0934】
実施形態231. 抗体またはその断片が、対象において、1つまたは複数の炎症促進性サイトカインを低減させ、かつ1つまたは複数の抗炎症性サイトカインを増加させる、実施形態228から230のいずれか1つに記載の方法。
【0935】
実施形態232. 状態が、慢性難治性創傷、Burkholderia、静脈性潰瘍、糖尿病性足潰瘍、耳感染症、副鼻腔感染症、尿管感染症、胃腸管の病気、肺感染症、気道感染症、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患、カテーテル関連感染症、留置デバイス関連感染症、植込み型補綴物関連感染症、骨髄炎、蜂窩織炎、膿瘍および歯周病からなる群から選択される、実施形態230または231に記載の方法。
【0936】
実施形態233. 組成物の(a)と組成物の(b)とを接触させること、またはそれらを投与することが、同時にまたは逐次的に行われる、実施形態225~232のいずれか1つに記載の方法。
【0937】
実施形態234. DNABIIポリペプチドに結合する抗体またはその抗体の抗原結合断片を、バイオフィルムを含有することが疑われる試料と接触させ、バイオフィルムと抗体またはその断片の結合を検出することによって、バイオフィルムを検出するステップをさらに含む、実施形態225から233のいずれか1つに記載の方法。
【0938】
実施形態235. 本明細書で説明される組成物または方法の使用のために対象をスクリーニングするための方法であって、実施形態1~217および220のいずれか1つに記載の組成物を、バイオフィルムを含む、対象から単離された生体試料と接触させるステップ、および抗体またはその断片の、試料中のいずれかのバイオフィルムへの結合を検出するステップを含む、方法。
【0939】
実施形態236. 抗体の断片が、Fab、F(ab’)2、Fab’、scFv、またはFvの群から選択され、抗体断片が、DNABIIペプチドの先端領域に特異的に結合する、実施形態1~24、34~57、67~90、100~124、134~164および182~201、204~212および220のいずれか1つに記載の組成物。
【0940】
実施形態237. DNABIIペプチドが、IHFペプチドである、実施形態236に記載の組成物、または実施形態225~227および229~230のいずれか1つに記載の方法。
【配列表】
【国際調査報告】