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特表2023-533511粘着剤組成物及びそれを用いた粘着シート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】粘着剤組成物及びそれを用いた粘着シート
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20230727BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230727BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20230727BHJP
   C09J 175/14 20060101ALI20230727BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
C09J7/38
C09J175/14
C09J133/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581683
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(85)【翻訳文提出日】2022-12-29
(86)【国際出願番号】 KR2021008117
(87)【国際公開番号】W WO2022005139
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0081191
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,キョンムン
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ヘリム
(72)【発明者】
【氏名】ファン,インオ
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA01
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004AB07
4J004FA08
4J040FA291
4J040JB08
4J040JB09
4J040KA13
4J040KA23
4J040LA09
4J040NA19
(57)【要約】
本発明は、ウレタンオリゴマー、希釈モノマー、及び光開始剤を含有する粘着剤組成物であって、前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率が調節され、且つ硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率と誘電正接が特定の範囲に制御された粘着剤組成物を提供する。本発明に係る粘着剤組成物は、高周波数帯域を必要とするか薄型化された画像表示装置への適用に適合した低誘電特性を示すことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタンオリゴマー、希釈モノマー、及び光開始剤を含有する粘着剤組成物であって、
前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率は16.5%以下であり、
硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率は2.5未満であり、硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接が0.015以下である、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記ウレタンオリゴマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、及び水添ポリイソプレンからなる群より選択される一つ以上の骨格を有し、少なくとも一方の末端にラジカル重合性官能基を有するものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記ラジカル重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基又はビニル基である、請求項2に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記ウレタンオリゴマーは、前記希釈モノマー100重量部に対し、5~50重量部の量で含有される、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記希釈モノマーは、(メタ)アクリルモノマー及びビニルモノマーのうちの一つ以上を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記光開始剤は、前記希釈モノマー100重量部に対し、0.01~5重量部の量で含有される、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の粘着剤組成物を用いて形成された粘着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物及びそれを用いた粘着シートに係り、より詳しくは、高周波数帯域を必要とするか薄型化された画像表示装置への適用に適合した低誘電特性を示す粘着剤組成物及びそれを用いた粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着剤のうち高透明性を有する光学用透明粘着剤(optically clear adhesive、OCA)は、画像表示装置において部品同士を積層する層間接着に用いられている。このような光学用透明粘着剤は、高い透過率と低いヘイズが要求され、且つ種々の基材との密着性、耐熱及び耐湿熱耐久性といった物性を満たす必要がある。
【0003】
近年、光ファイバ通信回線、無線通信回線を経由した動画の送信が普及されたことに代表されるように、取り扱う情報通信量が急増している。これに伴い、画像表示装置の高周波化が要求されており、アンテナは画像表示装置内に搭載されて高周波数帯域の信号の送受信を担うようになる。特に、移動通信に適用される画像表示装置の場合、1GHz以上、例えば、1~30GHz水準の高周波数帯域が必要である。このため、画像表示装置の高周波化に対応して、アンテナ利得を低下させることなくより速いアンテナの送受信を可能にするように低誘電率の電気絶縁材料を用いることが要求されている。
【0004】
一方、タッチセンサは、ユーザが画面にディスプレイされる画像を指先やタッチペンなどで接触すると、該接触に反応してタッチ箇所を把握する装置であって、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、有機EL(Organic light-Emitting Diode、OLED)などのような平板表示装置に装着される構造で製作される。近年、画像表示装置の薄膜化に伴い、タッチセンサが下部表示パネルによって干渉されなくてタッチセンサの駆動に影響を与えないように低誘電率の電気絶縁材料を用いることが必要である。
【0005】
大韓民国公開特許第10-2013-0106368号には、炭素数1~12の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル系単量体、アミド基を含有する単量体、及びビニルエステル系単量体を含む単量体成分を共重合して得られ、樹脂の酸価が0.1mgKOH/g以下であり、重量平均分子量が40万~200万であり、Tgが-80~0℃であり、誘電率が3~6であるアクリル系高分子化合物と架橋剤とを含む粘着剤組成物が開示されている。しかし、前記粘着剤組成物は、1GHz以上の高周波数帯域を用いるか薄型化された画像表示装置に適用するのに十分に低い誘電特性を確保し難いという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、高周波数帯域でも低誘電特性を示すことでアンテナ利得を低下させることなくより速いアンテナの送受信を可能にする粘着剤組成物を提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、画像表示装置が薄膜化されてもタッチセンサの駆動に影響を与えない低誘電特性を示す粘着剤組成物を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前記粘着剤組成物を用いて形成した粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一方で、本発明は、ウレタンオリゴマー、希釈モノマー、及び光開始剤を含有する粘着剤組成物であって、
前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率は16.5%以下であり、
硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率は2.5未満であり、硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接が0.015以下である粘着剤組成物を提供する。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記ウレタンオリゴマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、及び水添ポリイソプレンからなる群より選択される一つ以上の骨格を有し、少なくとも一方の末端にラジカル重合性官能基を有するものであってよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記ラジカル重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基又はビニル基であってよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記ウレタンオリゴマーは、前記希釈モノマー100重量部に対し、5~50重量部の量で含有されてよい。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記希釈モノマーは、(メタ)アクリルモノマー及びビニルモノマーのうちの一つ以上を含んでよい。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記光開始剤は、前記希釈モノマー100重量部に対し、0.01~5重量部の量で含有されてよい。
【0015】
他の一方で、本発明は、前記粘着剤組成物を用いて形成された粘着シートを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る粘着剤組成物は、希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率を調節して硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率と誘電正接を特定値の範囲に制御することで、高周波数帯域を必要とするか薄型化された画像表示装置への適用に適合した低誘電特性を示すことができる。これによって、アンテナへの適用の際にアンテナ利得を低下させることなくより速いアンテナの送受信を可能にすることができ、且つ画像表示装置が薄膜化されてもタッチセンサの駆動に影響を与えない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0018】
本発明の一実施形態は、ウレタンオリゴマー、希釈モノマー、及び光開始剤を含有する粘着剤組成物であって、
前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率は16.5%以下であり、
硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率は2.5未満であり、硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接が0.015以下である粘着剤組成物に関する。
【0019】
前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率は、希釈モノマーを構成する原子全体の重量に対するヘテロ原子の重量の比率を意味し、下記の数学式1によって定義され得る。
【0020】
【数1】
【0021】
すなわち、前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率は、希釈モノマーを構成するそれぞれのモノマーに含有されたヘテロ原子の重量の比率に当該モノマーの比率を掛けた値を合わせた値を百分率で示した値である。
【0022】
前記ヘテロ原子とは、炭素以外の元素であって、例えば酸素、硫黄、又は窒素を意味する。
【0023】
前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率は、上述したように16.5%以下、例えば、0.5~16.5%、好ましくは、3~16.5%、より好ましくは、5~16.5%、さらに好ましくは、7~16.5%、さらに好ましくは、10~16.5%、さらに好ましくは、10~16.0%である。
【0024】
前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率が16.5%を超えると、硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率が2.5以上になるか、硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接が0.015を超えることがある。また、前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率が16.5%を超えると、アンテナの電波受信効率が低下することがあり且つタッチセンサの薄膜化が難しくなることがある。
【0025】
前記誘電率(dielectric constant)は、電荷の間に電場が働くとき、その電荷の間の媒質が電場に及ぼす影響を示す物理的単位であって、媒質が保存できる電荷量ともいえる。
【0026】
前記硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率は、硬化後150μm厚さの粘着剤層が形成されたサンプルに対し、後述する実験例に記載の方法にて周波数15GHzで測定した値である。
【0027】
前記硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率は、上述したように2.5未満、例えば、1超2.5未満であってよい。前記硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電率が2.5以上であると、15GHzのように高周波数帯域を用いるアンテナへの適用の際にアンテナ利得(Gain)を低下させることがあり、また画像表示装置が薄膜化される場合にタッチセンサの駆動に影響を与えることがある。
【0028】
前記誘電正接(dielectric tangent)は、誘電体に交流電圧を印加したときに生じる電力損失の比率を示す単位であって、一般的にタンジェントデルタ(tangentδ)と表記する。
【0029】
前記硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接は、硬化後150μm厚さの粘着剤層が形成されたサンプルに対し、後述する実験例に記載の方法にて周波数15GHzで測定した値である。
【0030】
前記硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接は、上述したように0.015以下、例えば0超0.015以下であってよい。前記硬化後150μm厚さの粘着剤層の15GHzにおける誘電正接が0.015を超えると、15GHzのように高周波数帯域を用いる5Gアンテナへの適用の際にアンテナ利得を低下させることがあり、また画像表示装置が薄膜化される場合にタッチセンサの駆動に影響を与えることがある。
【0031】
本発明の一実施形態において、前記ウレタンオリゴマーは、分子内にウレタン結合を有し、少なくとも一方の末端にラジカル重合性官能基を有するものであってよい。
【0032】
前記ウレタンオリゴマーは、ヘテロ原子の重量の比率を制御するために、好ましくは、長鎖脂肪族炭化水素骨格を主鎖とし、前記主鎖の少なくとも一方の末端にラジカル重合性官能基がウレタン結合基を介して結合された構造を有するものであってよい。
【0033】
具体的に、前記ウレタンオリゴマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン、及び水添ポリイソプレンからなる群より選択される一つ以上の骨格を有し、少なくとも一方の末端にラジカル重合性官能基を有するものであってよい。
【0034】
前記ラジカル重合性官能基は、(メタ)アクリロイルオキシ基又はビニル基であってよく、特に(メタ)アクリロイルオキシ基であってよい。
【0035】
例えば、前記ウレタンオリゴマーは、下記の化学式1で表される構造を有するものであってよい。
【0036】
【化1】
【0037】
前記式中、
Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン又は水添ポリイソプレンであり、
Lは、ウレタン結合を含む連結基であり、
は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、又はC-C10のアルコキシ基であり、
は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である。
【0038】
本明細書で用いられるC-C10のアルコキシ基は、炭素数1~10個から構成された直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基を意味し、メトキシ、エトキシ、n-プロパンオキシ、ブトキシなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0039】
好ましくは、前記ウレタンオリゴマーは、下記の化学式2で表される構造を有するものであってよい。
【0040】
【化2】
【0041】
前記式中、
Aは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、水添ポリブタジエン又は水添ポリイソプレンであり、
は、存在しないか、又はC-C10のアルキレン基であり、
は、C-C10のアルキレン基、C-C10のシクロアルキレン基又はアリーレン基であり、
は、C-C10のアルキレン基又はC-C10のシクロアルキレン基であり、
は、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基又はC-C10のアルコキシ基であり、
は、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基である。
【0042】
本明細書で用いられるC-C10のアルキレン基は、炭素数1~10個から構成された直鎖状若しくは分岐状の炭化水素を意味し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
本明細書で用いられるC-C10のシクロアルキレン基は、炭素数3~10個から構成された単環式又は縮合環式炭化水素を意味し、例えば、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレンなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
本明細書で用いられるアリーレン基は、芳香族基とヘテロ芳香族基及びそれらの部分的に還元された誘導体をすべて含む。前記芳香族基は、5員~15員の単環式又は縮合環式であり、ヘテロ芳香族基は、酸素、硫黄又は窒素を一つ以上含む芳香族基を意味する。代表的なアリーレン基の例としては、トリレン、フェニレン、ナフチレンなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
前記C-C10のシクロアルキレン基及びアリーレン基は、一つ又はそれ以上の水素がC-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基及びハロゲンなどで置換されてよい。
【0046】
前記ウレタンオリゴマーは、当該技術分野において公知の方法にて製造されてよい。
【0047】
例えば、前記ウレタンオリゴマーは、ヒドロキシ基含有ポリオレフィンとジイソシアネート化合物及びヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させて製造されてよい。前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物の他にC-C10のアルコール化合物を更に用いてよい。
【0048】
前記ヒドロキシ基含有ポリオレフィンは、商業的に入手し、又は当該技術分野において公知の方法にて製造して用いてよい。例えば、前記ヒドロキシ基含有ポリオレフィンは、ポリオレフィンをエポキシ化合物と反応させて製造してよい。前記エポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどを用いてよい。市販中のヒドロキシ基含有ポリオレフィンとしては、日本曹達株式会社製のGI-1000、GI-2000、GI-3000などが挙げられる。
【0049】
前記ジイソシアネート化合物としては、脂肪族ジイソシアネート化合物及び/又は芳香族ジイソシアネート化合物を用いてよい。
【0050】
前記脂肪族ジイソシアネート化合物としては、メチルジイソシアネート、1,2-エタンジイルジイソシアネート、1,3-プロパンジイルジイソシアネート、1,6-ヘキサンジイルジイソシアネート、3-メチル-オクタン-1,8-ジイルジイソシアネート、1,2-シクロプロパンジイルジイソシアネート、1,3-シクロブタンジイルジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイルジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジイルジイソシアネートなどが挙げられる。
【0051】
前記芳香族ジイソシアネート化合物としては、1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、3-クロロ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、4-クロロ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、5-クロロ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、2-クロロ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、4-クロロ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、5-クロロ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、2-クロロ-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-クロロ-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-メチル-1,2-ベンゼンジイソシアネート、4-メチル-1,2-ベンゼンジイソシアネート、5-メチル-1,2-ベンゼンジイソシアネート、2-メチル-1,3-ベンゼンジイソシアネート、4-メチル-1,3-ベンゼンジイソシアネート、5-メチル-1,3-ベンゼンジイソシアネート、2-メチル-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-メチル-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-メトキシ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、4-メトキシ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、5-メトキシ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、2-メトキシ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、4-メトキシ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、5-メトキシ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、2-メトキシ-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-メトキシ-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3,4-ジメチル-1,2-ベンゼンジイソシアネート、4,5-ジメチル-1,3-ベンゼンジイソシアネート、2,3-ジメチル-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-クロロ-4-メチル-1,2-ベンゼンジイソシアネート、3-メチル-4-クロロ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、3-メチル-5-クロロ-1,2-ベンゼンジイソシアネート、2-クロロ-4-メチル-1,3-ベンゼンジイソシアネート、4-クロロ-5-メトキシ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、5-クロロ-2-フルオロ-1,3-ベンゼンジイソシアネート、2-クロロ-3-ブロモ-1,4-ベンゼンジイソシアネート、3-クロロ-5-イソプロポキシ-1,4-ベンゼンジイソシアネート、2,3-ジイソシアネートピリジン、2,4-ジイソシアネートピリジン、2,5-ジイソシアネートピリジン、2,6-ジイソシアネートピリジン、2,5-ジイソシアネート-3-メチルピリジン、2,5-ジイソシアネート-4-メチルピリジン、2,5-ジイソシアネート-6-メチルピリジンなどが挙げられる。
【0052】
前記ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物としては、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-プロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシ-n-ペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-n-ペンチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-n-ペンチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシ-n-ペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシシクロプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシシクロペンチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0053】
前記C-C10のアルコール化合物としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
【0054】
また、前記ウレタンオリゴマーは、商業的に入手して用いてもよい。市販中のウレタンオリゴマーとしては、日本曹達株式会社製のTEAI-1000、TE-2000などが挙げられる。
【0055】
前記ウレタンオリゴマーは、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel permeation chromatography、GPC)によって測定された重量平均分子量(ポリスチレン換算)が1000~20万のものであってよい。前記ウレタンオリゴマーの重量平均分子量が前記範囲を外れると、工程性の確保が難しくなることがある。
【0056】
本発明の一実施形態において、前記ウレタンオリゴマーは、前記希釈モノマー100重量部に対し、5~50重量部の量で含有されてよい。前記ウレタンオリゴマーが5重量部未満の量で含まれると、粘度が低下することがあり、また50重量部超の量で含まれると、誘電率及び/又は誘電正接が前記範囲を満たし難くなることがある。
【0057】
本発明の一実施形態において、前記希釈モノマーは、前記ウレタンオリゴマーに対する分散媒として作用し、光開始剤の作用で重合され得る成分である。また、前記希釈モノマーは、粘着剤組成物を希釈して粘度を調節することで塗工を容易にすることができる。
【0058】
前記希釈モノマーは、(メタ)アクリルモノマー及びビニルモノマーうちの一つ以上を含んでよい。
【0059】
ここで、(メタ)アクリルは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0060】
前記希釈モノマーは、ヘテロ原子の重量の比率が16.5%以下になるように適宜選択して用いてよい。
【0061】
例えば、前記希釈モノマーは、炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマー及び炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテルモノマーのうちの一つ以上を、モノマー全体100重量%に対し、20重量%以上、例えば20~99重量%、好ましくは、20~90重量%の量で含んでよい。前記炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマー及び炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテルモノマーのうちの一つ以上の含量が20重量%未満であると、ヘテロ原子の重量の比率が16.5%以下になるように制御し難くなることがある。
【0062】
本明細書で用いられる炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基は、炭素数10個以上、例えば10個~100個、好ましくは、10個~50個、より好ましくは、10個~30個から構成された直鎖若しくは分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を意味し、例えば、C10-C100のアルキル基、C10-C100のアルケニル基、C10-C100のアルキニル基であってよい。具体的に、炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基は、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ヘプタコサニルなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0063】
本明細書で用いられる炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基は、炭素数8個以上、例えば8個~100個、好ましくは、8個~50個、より好ましくは、8個~30個から構成された直鎖若しくは分岐鎖の飽和又は不飽和炭化水素基を意味し、例えばC-C100のアルキル基、C-C100のアルケニル基、C-C100のアルキニル基であってよい。具体的に、炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基は、オクチル、エチルヘキシル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、セチル、ステアリル、イソステアリル、ヘプタコサニルなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0064】
前記炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマーは、炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基とラジカル重合性官能基として(メタ)アクリレート基を有する化合物である。
【0065】
具体的に、前記炭素数10個以上の脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマーとしては、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、1-ヘプタコサニル(メタ)アクリレートなどを用いてよく、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いてよい。
【0066】
前記炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテルモノマーは、炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基とラジカル重合性官能基としてビニルエーテル基を有する化合物である。
【0067】
具体的に、前記炭素数8個以上の脂肪族炭化水素基を有するビニルエーテルモノマーとしては、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルなどを用いてよく、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いてよい。
【0068】
前記希釈モノマーは、架橋可能な官能基を有するモノマーを更に含んでよい。
【0069】
前記架橋可能な官能基を有するモノマーは、ヒドロキシ基を有するモノマー及びカルボキシ基を有するモノマーのうちの一つ以上であってよい。
【0070】
前記ヒドロキシ基を有するモノマーとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルキレン基の炭素数が2-4のヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、5-ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、7-ヒドロキシヘプチルビニルエーテル、8-ヒドロキシオクチルビニルエーテル、9-ヒドロキシノニルビニルエーテル、10-ヒドロキシデシルビニルエーテルなどが挙げられ、これらのうち、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチルビニルエーテルなどが好ましい。
【0071】
前記カルボキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、2-カルボキシエチルアクリレートなどの1価の酸;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸などの2価の酸及びこれらのモノアルキルエステル;3-(メタ)アクリロイルプロピオン酸;アルキル基の炭素数が2-3の2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体;アルキレン基の炭素数が2-4のヒドロキシアルキレングリコール(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体;アルキル基の炭素数が2-3の2-ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加体に無水コハク酸を開環付加させた化合物などが挙げられ、これらのうち、(メタ)アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリレートなどが好ましい。
【0072】
前記架橋可能な官能基を有するモノマーは、モノマー全体100重量%に対し、0.5~20重量%、好ましくは、0.5~10重量%の量で含まれることが好ましい。前記架橋可能な官能基を有するモノマーの含量が0.5重量%未満であると、粘着剤の凝集力が小さくなって耐久性が低下することがあり、また20重量%を超えると、誘電率を高くすることがある。
【0073】
前記希釈モノマーは、前記モノマー以外に他の重合性モノマーを更に含んでよい。
【0074】
前記他の重合性モノマーの具体的な例としては、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのうち、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。これらは単独で又は2種以上混合して用いてよい。
【0075】
前記他の重合性モノマーは、モノマー全体100重量%に対し、79.5重量%以下、例えば1~79.5重量%、好ましくは、5~79.5重量%の量で含まれてよい。前記他の重合性モノマーの含量が79.5重量%を超えると、ヘテロ原子の重量の比率が16.5%以下になるように制御し難くなることがある。
【0076】
本発明の一実施形態において、前記光開始剤は、活性エネルギー線を吸収してラジカルを生成する開始剤を意味する。
【0077】
前記光開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-プロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-2-(ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB-F)、ジクロロベンゾフェノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-アミノアントラキノン、2-メチルチオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン(DETX)、4-イソプロピルチオキサントン(ITX)、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキシド、2-(3,4-メチレンジオキシフェニル)-4,6-ビス(卜リクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(HABI-101)、2,2’-ビス(2-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(HABI-107)、2,2’,4-トリス(2-クロロフェニル)-5-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニルビイミダゾール(TCDM)などが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いてよい。
【0078】
前記光開始剤は、前記希釈モノマー100重量部に対し、0.01~5重量部の量で含まれてよい。0.01重量部未満であると、光硬化が十分に行われず最終得られた粘着シートの機械的物性や密着力を具現し難くなることがあり、また5重量部を超えると、残存する開始剤によって変色などが起きて耐久性が低下することがある。
【0079】
本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物は、前記したような成分の他、用途に応じて要求される粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度、帯電防止性などを調節するために、シランカップリング剤、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、腐食防止剤、レベリング剤、表面潤滑剤、染料、顔料、消泡剤、充填剤、光安定剤、帯電防止剤などの添加剤を更に含んでよい。
【0080】
本発明の一実施形態は、前記粘着剤組成物を用いて形成された粘着シートに関する。
【0081】
前記粘着シートは、基材フィルム上に本発明に係る粘着剤組成物から粘着剤層が形成されたものであるか、2枚の基材フィルムの間に本発明に係る粘着剤組成物から形成された粘着剤層が介在されたものであってよい。
【0082】
前記基材フィルムは、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、アクリル系フィルム、スチレン系フィルム、アミド系フィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどが挙げられ、これらは、シリコン系、フッ素系、シリカ粉末などによって適宜離型処理されたものであってもよい。
【0083】
前記基材フィルムの厚さは、30~80μmであることがが好ましい。30μm未満であると、基材フィルムが突き刺し不良などに対して脆弱であり、また80μmを超えると、取り扱い性が低下することがある。
【0084】
粘着剤層は、1枚の基材フィルム上に粘着剤組成物を塗工する方法にて形成してよい。塗工方法は、当該分野における公知の方法であれば特に限定されず、例えば、バーコーター、エアナイフ、グラビア、リバースロール、キスロール、スプレー、ブレード、ダイコーター、キャスティング、スピンコーティングなどの方法を用いてよい。具体的に、1枚の基材フィルム上に粘着剤組成物を塗布し、約100~2000mJ/cm、好ましくは、200~1500mJ/cmの紫外線照射量で照射し光硬化させて形成してよい。
【0085】
前記粘着剤層の厚さは、10~2,000μm、好ましくは、25~1,500μmであってよい。前記粘着剤層の厚さが10μm未満であると、外部から発生する衝撃を緩衝し難くなることがあり、また2,000μmを超えると、透過が低下して光学性能に劣ることがある。
【0086】
本発明の一実施形態に係る粘着シートは、貼り合わせの前に粘着剤層を表面処理して密着性を向上させてもよい。
【0087】
表面処理方法は特に限定されず、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射、電子ビーム照射、又は定着剤(anchoring agent)の塗布などといった方法にて粘着剤層の表面を活性化させることができる。
【0088】
本発明の一実施形態に係る粘着シートは、通常の平板ディスプレイ及びフレキシブルディスプレイだけではなく折り畳み式ディスプレイにも適用可能である。特に、本発明の一実施形態に係る粘着シートは、高周波数帯域を用いるか、薄型化されたディスプレイ装置において部品同士を積層する層間接着に効果的に適用され得る。具体的に、前記粘着シートは、アンテナ、表示パネル、偏光子、タッチセンサ、カバーウィンドウ、ベゼル、高分子フィルム、FPCBなどの多様なディスプレイ素材の貼り合わせに適用されてよく、特にアンテナ又はタッチセンサの貼り合わせに適用されてよい。
【0089】
以下、実施例、比較例、及び実験例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例、比較例、及び実験例は単に本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲がこれらに限定されないことは当業者にとって自明である。
【0090】
製造例1:ウレタンオリゴマーの製造
水添ポリブタジエンポリオール(EPOL、Idemitsu Kosan社製)80重量部に500ppmのジラウリン酸ジブチルスズ触媒(DBTDL)とイソホロンジイソシアネート10重量部を80℃で反応させて得られるイソシアネートポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレート9重量部を反応させて、重量平均分子量100,000のウレタンオリゴマーを製造した。
【0091】
製造例2:ウレタンオリゴマーの製造
ポリブタジエンポリオール(Poly bd、Idemitsu Kosan社製)80重量部に500ppmのジラウリン酸ジブチルスズ触媒(DBTDL)とイソホロンジイソシアネート10重量部を80℃で反応させて得られるイソシアネートポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレート9重量部を反応させて、重量平均分子量110,000のウレタンオリゴマーを製造した。
【0092】
製造例3:ウレタンオリゴマーの製造
ポリイソプレンポリオール(Poly ip、Idemitsu Kosan社製)80重量部に500ppmのジラウリン酸ジブチルスズ触媒(DBTDL)とイソホロンジイソシアネート10重量部を80℃で反応させて得られるイソシアネートポリマーに、2-ヒドロキシエチルアクリレート9重量部を反応させて、重量平均分子量123,000のウレタンオリゴマーを製造した。
【0093】
実施例1~8及び比較例1~3:粘着剤組成物及び粘着シートの製造
前記製造例で合成したウレタンオリゴマー、希釈モノマー、及び光開始剤を下記の表1の組成にて混合して粘着剤組成物を製造した(重量部)。
【0094】
【表1】
【0095】
前記で製造された実施例1~7及び比較例1~3の粘着剤組成物を離型フィルムとして異形処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:75μm)上にバーコーターを用いてコーティングした。次いで、UVランプを用いて紫外線を10分間1.5J/cmの光量で照射して硬化させることにより、前記粘着剤組成物の硬化後の厚さが150μmになるようにして粘着シートを製造した。
【0096】
実験例1:
実施例及び比較例で製造された粘着シートに対し、温度25℃及び湿度50%の条件で誘電率測定装置(Anritsu社製、製品名:MS46522B)を用いて誘電率と誘電正接を測定した。
【0097】
より詳しくは、上下40μmのCOPフィルム(Zeonor社製)の間に離型フィルムが除去された150μm粘着シートを積層させ、長さ30mm×幅70mmの大きさに裁断した。前記裁断した粘着シートを測定装備のプローブに投入し、15GHzにおける誘電率(Dk)と誘電正接(Df)値を測定した。
【0098】
その結果を下記の表2に表した。
【0099】
【表2】
【0100】
前記表2に見られるように、前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率が16.5%以下の実施例1~7の粘着シートは、15GHzの高周波数帯域でも2.5未満の誘電率と0.015以下の誘電正接を示しており、優れた低誘電特性を示すことを確認することができた。これによって、実施例1~7の粘着シートは、高周波数帯域を用いるアンテナへの適用の際にアンテナ利得(Gain)を低下させることなくより速いアンテナの送受信を可能にすることができるだけでなく、画像表示装置が薄膜化されてもタッチセンサの駆動に影響を与えないことが分かった。
【0101】
一方、前記希釈モノマー中のヘテロ原子の重量の比率が16.5%を超える比較例1~3の粘着シートは、15GHzの高周波数帯域で2.5以上の誘電率を示したり、0.015を超える誘電正接を示しており、高周波数帯域を用いるアンテナへの適用の際にアンテナ利得(Gain)を低下させたり、画像表示装置が薄膜化される場合にタッチセンサの駆動に影響を与え得る結果を示した。
【0102】
以上、本発明の特定の部分について詳しく記述したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、このような具体的な記述は単に好適な具現例であるに過ぎず、これらによって本発明の範囲が制限されるものではないことは明らかである。本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記内容を基に本発明の範疇内で種々の応用および変形を行うことが可能であろう。
【0103】
したがって、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲とその等価物によって定義されると言えよう。
【国際調査報告】