(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/31 20060101AFI20230727BHJP
【FI】
G01N21/31 610B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501179
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 IB2021055932
(87)【国際公開番号】W WO2022013671
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520418019
【氏名又は名称】オンポイント テクノロジーズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】サッピー アンドリュー ディー
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059CC04
2G059EE01
2G059EE09
2G059EE12
2G059HH01
2G059JJ22
2G059KK02
2G059MM01
(57)【要約】
レーザヘテロダイン燃焼効率モニタは、燃焼中に燃焼ゾーンから放射される光を捕捉し、捕捉された光に基づいて燃焼効率を決定する。モニタは、捕捉された光を光局部発振器信号と混合することによって電気的応答を生成する光学検出器と、電気的応答をフィルタリングして燃焼ゾーン内の標的種濃度に比例するうなり音を分離する信号フィルタとを含む。局部発振器信号の周波数は、標的種を決定し、標的種は、一酸化炭素、二酸化炭素、又はレーザへテロダイン放射測定を使用して検出することができる別の放射又は吸収線であってもよい。レーザが局部発振器信号を生成する。モニタは、異なる周波数でいくつかの局部発振器信号を放射するいくつかのレーザとともに動作するように拡張されてもよく、それによって、複数の標的種が同時に検出されることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザヘテロダイン燃焼効率モニタであって、
燃焼ゾーンからの放射信号を光信号と混合することによって電気的応答を生成する光学検出器と、
前記電気的応答をフィルタリングして、前記燃焼ゾーン内の標的種濃度に比例するうなり音成分を分離する信号フィルタと、
を備える、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項2】
前記光信号を生成する局部発振器を更に備える、請求項1に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項3】
前記局部発振器は、ある周波数範囲内の周波数を有する前記光信号を生成することができる、請求項2に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項4】
前記局部発振器は、一酸化炭素に関連する少なくとも1つの周波数で前記光信号を生成することができ、前記うなり音成分は、前記燃焼ゾーンに存在する一酸化炭素の測定濃度に比例する、請求項2に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項5】
前記局部発振器は、二酸化炭素に関連する少なくとも1つの周波数で前記光信号を生成することができ、前記うなり音成分は、前記燃焼ゾーンに存在する二酸化炭素の測定濃度に比例する、請求項2に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項6】
前記局部発振器は、i)太陽放射、及びii)大気吸収のうちの1つ以上に関連する1つ以上の周波数で前記光信号を生成することができる、請求項2に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項7】
前記局部発振器は、4.539ミクロン付近のフラウンホーファー暗空間周波数範囲内の前記光信号を生成する、請求項2に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項8】
前記放射信号と前記光信号とを前記光学検出器上で重ね合わせる光カプラを更に備える、請求項1に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項9】
前記光カプラは、1対5~1対20の比で前記光信号を前記放射信号と結合するように構成されている、請求項8に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項10】
複数の局部発振器を更に備え、前記局部発振器の各々は異なる周波数を有する光信号を生成する、請求項1に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項11】
前記うなり音成分を記録する信号検出器を更に備える、請求項1に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項12】
前記信号フィルタは複数の副フィルタを含み、前記副フィルタの各々は、対応する周波数範囲を有し、前記電気的応答の対応する部分を分離する、請求項1に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項13】
複数の副検出器を更に備え、前記副検出器の各々は、前記副フィルタのうちの1つに通信可能に結合される、請求項10に記載のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ。
【請求項14】
燃焼効率を監視する方法であって
電気的応答を生成するために、燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせることと、
前記電気的応答をフィルタリングしてうなり音成分を分離することと、
を含む、方法。
【請求項15】
局部発振器を用いて前記光信号を生成することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
標的種に関連する1つ以上の周波数で前記光信号を生成することを更に含み、前記うなり音成分は、前記標的種の測定濃度に比例する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
二酸化炭素に関連する1つ以上の周波数で前記光信号を生成することを更に含み、前記うなり音成分は、前記二酸化炭素の測定濃度に比例する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記標的種の前記測定濃度を正規化することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
正規化することは、前記標的種の前記測定濃度を二酸化炭素の前記測定濃度で割ることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記標的種が一酸化炭素である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
i)太陽放射、及びii)大気吸収のうちの1つ以上に関連する1つ以上の周波数で前記光信号を生成することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
4.539ミクロン付近のフラウンホーファー暗空間周波数範囲内の前記光信号を生成することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記重ね合わせるステップは、光カプラを利用するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
重ね合わせることは、前記光信号と前記放射信号とを1対5~1対20の比で組み合わせる光カプラを利用することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
信号検出器を用いて、前記うなり音成分を記録することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
燃焼ゾーン内の種の濃度を測定する方法であって、複数の発振器周波数における各発振器周波数について、
電気的応答を生成するために、燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせることと、
前記電気的応答をフィルタリングしてうなり音成分を分離することと、
信号検出器を用いて前記うなり音成分を記録することと、
スペクトルを生成するために各発振器周波数について前記うなり音成分をプロットすることと、前記スペクトルに基づいて前記燃焼ゾーン内の少なくとも1つの種の濃度を決定することと、を含む、方法。
【請求項27】
燃焼効率を監視する方法であって、
電気的応答を生成するために、燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせることと、
複数の副フィルタを用いて前記電気的応答をフィルタリングすることであって、前記副フィルタの各々は周波数範囲を有し、前記周波数範囲に基づいて前記電気的応答の一部を分離することと、
を含む、方法。
【請求項28】
前記電気信号の各部分を信号検出器で記録することを更に含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
記録することは、複数の副検出器のうちの1つの副検出器を用いて前記電気的応答の各部分を記録することを更に含み、前記副検出器の各々は、1つの副フィルタに対応する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
レーザへテロダイン放射測定を用いて燃焼効率を監視する方法であって、
各局部発振器について、複数の局部発振器が、
前記局部発振器で光信号を生成することと、
電気的応答を生成するために、燃焼ゾーンからの放射信号を前記光信号と光学検出器上で重ね合わせることと、
前記電気的応答を信号フィルタでフィルタリングして、前記うなり音成分を分離することと、
を含む、方法。
【請求項31】
各局部発振器について、前記うなり音成分を記録することを更に含む、請求項30に記載の方法。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタは、燃焼ゾーンからの放射信号を光信号と混合することによって電気的応答を生成する光学検出器と、電気的応答をフィルタリングして燃焼ゾーン内の標的種濃度に比例するうなり音成分を分離する信号フィルタとを含む。燃焼ゾーン内の種の濃度を測定する方法は、複数の発振器周波数内の各発振器周波数について、燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせて電気的応答を生成することと、電気的応答をフィルタリングしてうなり音成分を分離することと、うなり音成分を信号検出器で記録することとを含む。本方法は、スペクトルを生成するために各発振器周波数についてうなり音成分をプロットすることと、スペクトルに基づいて燃焼ゾーン内の少なくとも1つの種の濃度を決定することと、を更に含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2020年7月15日に出願された米国仮特許出願第63/052,054号の優先権を主張し、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
(添付書類)
【0002】
添付書類Aは、開示の目的で、「Development of a Passive Optical Heterodyne Radiometer for NIR Spectroscopy」と題する本発明者らによる論文を含む。
【背景技術】
【0003】
ある範囲の燃焼及び製造プロセスにおいて、適切な動作を維持するために燃焼システムの効率を監視することが必要である。エンジン及びフレアスタックを含む燃焼システムは、火炎及び燃焼前駆体を有するものの中にある。これらの燃焼システムは、満足のいく燃焼効率を維持するために、燃料と空気の特定の比率を必要とし、2つの安定した混合に依存する。
【発明の概要】
【0004】
燃焼プロセスは、標準的な動作条件を満たすために監視を必要とする。火炎内の高温及び揮発性環境に起因して、燃焼システムの直接感知は困難である。火炎を監視するために分光法が使用されてきたが、多くの分光監視システムはかなりの費用を必要とし、しばしば繊細な光学部品の慎重な位置合わせを必要とする。燃焼中、一酸化炭素(CO)及び二酸化炭素(CO2)が生成される。発生したCOの量は、燃料の燃焼効率を示す。火炎中のCOの量を監視することにより、燃焼効率をリアルタイムで推定することができる。火炎は揮発性であるので、測定されたCOの量は、火炎の動き又は不均一な混合の結果として変動し得る。そのような変動性を制御するために、測定されたCO濃度は、測定されたCO2濃度との比較によって正規化することができる。これは、例えば、測定の検出効率が変化する場合に有用である。
【0005】
本明細書に開示される実施形態は、侵入性プローブ又は複雑な光学系の設置を伴わずに、燃焼システムの効率を監視する。代わりに、燃焼中に燃焼ゾーンから放射される光を捕捉し、収集された光に基づいて燃焼効率を決定するレーザヘテロダイン燃焼効率モニタが開示される。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタは、燃焼ゾーンに直接隣接する必要はない。また、燃焼ゾーンを形成する燃焼システムに直接取り付ける必要もない。有利には、ヘテロダイン燃焼効率モニタは、代わりに、燃焼プロセスに関連する高温を回避するために燃焼ゾーンから十分に離れて配置されてもよい。
【0006】
第1の態様では、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタは、燃焼ゾーンからの放射信号を光信号と混合することによって電気的応答を生成する光学検出器を含む。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタは、電気的応答をフィルタリングして、燃焼ゾーン内の標的種濃度に比例するうなり音成分を分離する信号フィルタを更に含む。
【0007】
第2の態様では、燃焼効率を監視する方法は、燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせて電気的応答を生成することと、電気的応答をフィルタリングしてうなり音成分を分離することとを含む。
【0008】
第3の態様では、燃焼ゾーン内の種の濃度を測定する方法は、複数の発振器周波数内の各発振器周波数について、i)燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせて電気的応答を生成することと、ii)電気的応答をフィルタリングしてうなり音成分を分離することと、iii)うなり音成分を信号検出器で記録することとを含む。本方法はまた、スペクトルを生成するために各発振器周波数についてうなり音成分をプロットすることと、スペクトルに基づいて燃焼ゾーン内の少なくとも1つの種の濃度を決定することを含む。
【0009】
第4の態様では、燃焼効率を監視する方法は、i)燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせて電気信号を生成することと、ii)複数の副フィルタで電気的応答をフィルタリングすることであって、副フィルタの各々が周波数範囲を有し、周波数範囲に基づいて電気的応答の一部を分離する、こととを含む。
【0010】
第5の態様では、レーザへテロダイン放射測定を使用して燃焼効率を監視する方法は、複数の局部発振器の各局部発振器について、i)局部発振器で光信号を生成することと、ii)燃焼ゾーンからの放射信号を光学検出器上で光信号と重ね合わせて電気的応答を生成することと、iii)電気的応答を信号フィルタでフィルタリングしてうなり音成分を分離することとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態によるレーザヘテロダイン燃焼効率モニタを示す。
【0012】
【
図2】一実施形態による、光カプラを有する
図1のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタを示す。
【0013】
【
図3】一実施形態による、複数の局部発振器を有する
図1のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタを示す。
【0014】
【
図4】一実施形態による、複数の副フィルタ及び複数の副検出器を有する
図1のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタを示す。
【0015】
【
図5】一実施形態における燃焼効率を監視するための1つの方法を示すフローチャートを示す。
【0016】
【
図6】一実施形態において、燃焼ゾーン内の種の濃度を測定するための1つの方法を示すフローチャートを示す。
【0017】
【
図7】一実施形態における燃焼効率を監視するための1つの方法を示すフローチャートを示す。
【0018】
【
図8】一実施形態において、レーザヘテロダイン放射測定を使用して燃焼効率を監視するための1つの方法を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、燃焼システム127から生成された燃焼ゾーン126を監視するレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を示す。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、光信号112と燃焼ゾーン126によって放射された放射信号124とを混合して電気的応答132を生成する光学検出器130を含む。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、電気的応答132を受信し、その中に含まれるうなり音成分134を分離する信号フィルタ140を含む。一実施形態において、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、光信号112を生成する局部発振器110を含む。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、うなり音成分134を記録する信号検出器150を含むことができる。光信号112は、MIR光又はNIR光に関連付けられた周波数を有し得る。
【0020】
各々固有の発振周波数を有する2つの光ビームがヘテロダインされるとき、結果として生じる信号は、2つの別個の電磁成分を含み、一方は、2つの入力周波数の和に等しい発振周波数を有し、他方は、差周波数成分として知られる、2つの入力周波数の差に等しい発振周波数を有する。これは、
図1の電気的応答132に当てはまる。信号フィルタ140は、差周波数成分を分離するために電気的応答132をフィルタリングする。一実施形態では、光信号112は赤外線周波数で生成される。信号フィルタ140は、50MHzを超える周波数を有する電気的応答132の部分を除外し、うなり音成分134を残す。これは、以下の式1によって表され、式中、v
112は、光信号112の周波数であり、V
124は、放射信号124の周波数である。信号フィルタ140は、式1の右辺の第2項を抑制し、うなり音成分134によって表される右辺の第1項を分離する。
【数1】
【0021】
一実施形態では、光信号112は、光ファイバケーブルによって局部発振器110から光学検出器130に伝達される。一実施形態では、電気的応答132及びうなり音成分134は、導電性媒体、例えば同軸ケーブルを介して伝達される。一実施形態では、放射信号124は、光ファイバ入力カプラ121によって光学検出器130に向けられる。
【0022】
レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、出力160として示される複数のデータ要素を生成することができる。一実施形態では、1つのデータ要素は、燃焼ゾーン126内に存在する化学種の吸収特徴に及ぶスペクトル162である。一実施形態において、局部発振器110は、発振器周波数164の範囲内の複数の周波数で光信号112を生成する。発振器周波数164の各々において、信号検出器150はうなり音成分134を記録する。スペクトル162上の所与の点は、単一の発振器周波数164(1)と、発振器周波数164(1)で光信号112(1)を生成する局部発振器110に対応する単一のうなり音成分134(1)とを表す。添付書類Aは、スペクトル162がどのように生成されるかに関する更なる詳細を提供する。
【0023】
レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、燃焼システム127に物理的に取り付けられる必要はなく、又は燃焼ゾーン126に隣接する必要もない。代わりに、レーザ燃焼効率モニタ100は、燃焼ゾーン126から離れて、例えば燃焼ゾーン126から数メートル離れて配置されてもよい。
【0024】
一実施形態では、局部発振器110は、一酸化炭素(CO)に関連する少なくとも1つの周波数で光信号112を生成する。この実施形態では、信号検出器150によって記録されたうなり音成分134は、燃焼ゾーン126内のCO 166の測定濃度に比例する。
【0025】
一実施形態では、局部発振器110は、二酸化炭素(CO2)に関連する少なくとも1つの周波数で光信号112を生成する。この実施形態では、信号検出器150によって記録されたうなり音成分134は、燃焼ゾーン126内のCO2 168の測定濃度に比例する。CO2の測定濃度は、CO 166の測定濃度を正規化して、正規化されたCO 170の濃度を生成するために使用することができ、正規化されたCO 166の濃度は、ノイズへの寄与を除去するとともに、そうでなければCO 166の測定濃度の精度を低下させる可変経路長を補正する。
【0026】
局部発振器110は、太陽放射及び/又は大気吸収に関連する1つ以上の周波数で光信号112を生成することができる。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を、太陽放射及び/又は大気吸収に関連する周波数で動作させることにより、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100の較正が可能になる。太陽放射及び大気吸収は、日中の動作中に容易に利用可能であり、信頼できる周波数特性を有し、それらを有利な較正標的にし、追加の必要な機器なしで較正を可能にする。
【0027】
一実施形態では、局部発振器110は、4.539ミクロン付近のフラウンホーファー暗空間周波数範囲内の光信号112を生成する。日中動作中、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、光信号112の周波数と同様の周波数を有する太陽光を検出することができるので、この周波数領域で動作することは有益である。太陽光の検出はノイズの一因となり、例えばCO 166の測定濃度の不正確さにつながる。フラウンホーファー暗空間周波数範囲内で光信号112を生成することは、フラウンホーファー暗空間周波数範囲内の太陽放射が低減されるので、太陽光の検出を低減するのに役立つ。ノイズを低減するために、光信号112は、他の燃焼種からの寄与を示さない1つ以上の周波数で生成され得る。他の燃焼種によって生成され、信号検出器150によって検出される周波数範囲内の光は、例えば、CO放射に誤って起因し、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100の精度に悪影響を及ぼす。
【0028】
図2は、光カプラ220を備えた
図1のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を示す。出力カプラ220は、光信号112及び放射信号124を受信し、それらを結合して重畳信号222を形成し、これは光学検出器130によって受信される。光カプラ220は、光信号112と放射信号124とを1対1の比で結合して重畳信号222を形成してもよいが、本明細書の範囲から逸脱することなく、結合において他の比を使用してもよい。例えば、光カプラ220は、光信号112と放射信号124とを1対9の比で結合して、重畳信号222を形成することができ、これは有利に感度を高める。光カプラ220は、放射信号124のパワー及びノイズレベルに基づいて、光信号112と放射信号124とを1:5から1:20の間の比で結合することができる。感度の増加は、例えば、放射信号124が光信号112よりも弱い場合に有用である。光ファイバ入力カプラ221を使用して、放射信号124を光カプラ220に向けることができる。
【0029】
図3は、複数の光信号312を生成する複数の局部発振器310を備えた
図2のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を示す。局部発振器310(M)の各々は、図示されるように、光信号312(M)のうちの1つを生成する。例えば、局部発振器310(1)は、光信号312(1)を生成する。複数の光信号312は、複数の光信号312の各々を放射信号124と組み合わせることによって複数の重畳信号322を生成する光カプラ220によって受信される。この場合、光学検出器130は、複数の重畳信号322の各々を混合して、複数の電気的応答332のうちの1つを生成し、各々がうなり音成分334(M)を含み、複数のうなり音成分334を形成する。信号フィルタ140は、信号検出器150による記録のために、複数の電気的応答332の各々をフィルタリングして、その対応するうなり音成分334(M)を分離する。信号検出器150は、各局部発振器310(M)に対応するうなり音成分334(M)を記録する。
【0030】
例えば、局部発振器310(2)は、重畳信号322(2)を生成するために使用される光信号312(2)を生成する。光学検出器130は、重畳信号322(2)を混合して、うなり音成分334(2)を含む電気的応答332(2)を生成する。信号フィルタ140はうなり音成分334(2)を分離し、これは信号検出器150によって記録される。
【0031】
複数のうなり音成分334の各々を、対応する光信号312の周波数範囲に対してプロットすると、スペクトル162が生成される。各局部発振器310(M)は単一の周波数で光信号312を生成するだけでよいので、複数の局部発振器310は有利である。
【0032】
図4は、複数の副フィルタ440及び複数の副検出器450を備えた
図1のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を示す。複数の副フィルタ440の各々は、電気的応答132の対応する部分を分離するために周波数範囲に関連付けられる。例えば、副フィルタ440(1)は、電気的応答132(1)の一部を分離する。
【0033】
各副検出器450(N)は、示されるように、1つの副フィルタ440(N)に通信可能に結合される。例えば、副検出器450(2)は、副フィルタ440(2)に通信可能に結合される。副検出器450の各々は、対応する副フィルタ440によって分離された電気的応答132の部分を記録する。副検出器450によって記録された電気的応答132の部分は、対応する副フィルタ440の周波数範囲に対してグラフ化されると、スペクトル162を生成する。
【0034】
図5は、燃焼効率を監視する方法500を示すフローチャートである。方法500は、例えば、上述のレーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100によって実施される。方法500は、ブロック530及び550を含む。実施形態において、方法500は、ブロック510、512、514、516、518、520、522、524、532、534、及び560のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
ブロック530において、燃焼ゾーンからの光信号及び放射信号は、電気的応答を生成するために光学検出器上で重ね合わされる。ブロック530の一例では、燃焼ゾーン126からの光信号112放射信号124は、光学検出器130上で重なり合う。
【0036】
ブロック550において、電気的応答は、うなり音成分を分離するためにフィルタリングされる。ブロック550の一例では、電気的応答132は、うなり音成分134を分離するために信号フィルタ140によってフィルタリングされる。
【0037】
実施形態において、方法500は、
図5のフローチャートの1つ以上の追加のブロックを含む。ブロック510において、光信号は局部発振器で生成される。一例では、光信号112は局部発振器110によって生成される。ブロック512において、光信号は、標的種に関連付けられた1つ以上の周波数で生成され、標的種の測定濃度が生成される。ブロック514において、標的種はCOである。ブロック512及び514の例では、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、局部発振器110がCOに関連付けられた1つ以上の周波数で光信号112を生成するとき、CO 166の測定濃度を生成する。
【0038】
ブロック516において、光信号は、CO2に関連する1つ以上の周波数で生成され、CO2の測定濃度が生成される。ブロック518において、標的種の測定濃度は正規化され、ブロック520において、標的種の測定濃度は、CO2の測定濃度で割ることによって正規化される。ブロック516、518、及び520の一例では、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、局部発振器110がCO2に関連する1つ以上の周波数で光信号112を生成するときにCO2の測定濃度168を生成し、これはCOの正規化濃度170を生成するために使用される。
【0039】
ブロック522において、光信号は、i)太陽放射及びii)大気吸収のうちの1つ以上に関連付けられた1つ以上の周波数で生成される。ブロック522の一例では、局部発振器110は、太陽放射に関連する1つ以上の周波数で光信号112を生成する。太陽放射内の明確なスペクトル線の検出を使用して、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を較正することができる。ブロック522の一例では、局部発振器110は、大気吸収に関連する1つ以上の周波数で光信号112を生成する。大気放射に関連する明確なスペクトル線の検出を使用して、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100を較正することができる。
【0040】
ブロック524において、光信号は、フラウンホーファー暗空間周波数範囲内で生成される。ブロック524の一例では、局部発振器110は、フラウンホーファー暗空間周波数範囲内の光信号112を生成する。太陽自体の中での光の吸収に起因して、太陽放射スペクトルは、フラウンホーファー暗空間周波数範囲内で低減された放射を示す。レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、光信号112の周波数に応じて太陽光を検出することができる。フラウンホーファー暗空間周波数範囲内などの低減された放射を示す周波数で光信号112を生成することによって、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100は、そうでなければノイズに寄与し得る太陽によって放射されるより少ない光を検出し、それによって、精度を改善し、感度を増加させる。
【0041】
ブロック532において、放射信号及び光信号は、光カプラで重ね合わされる。ブロック532の一例では、放射信号124及び光信号112は、光カプラ220で重ね合わされる。一実施形態では、光カプラ220は、光ファイバケーブルを使用する。ブロック534において、光カプラは、光信号と放射信号とを1:5~1:20の比で組み合わせる。実施形態において、放射信号124は、光信号112よりも弱く、放射信号124の相対的な寄与を高めることは、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100の感度の増加につながる。
【0042】
ブロック560において、うなり音成分が信号検出器で記録される。ブロック560の一例では、うなり音成分134は信号検出器150で記録される。一実施形態では、うなり音成分134を記録することにより、計算を実行し、出力160内に見出され得るデータ要素をもたらすことが可能になる。
【0043】
図6は、燃焼ゾーン内の種の濃度を測定するための方法600を示すフローチャートである。方法600は、例えば、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100によって実施される。方法600は、ブロック630、650、660、662、664、666、及び670を含む。
【0044】
ブロック630において、燃焼ゾーンからの光信号及び放射信号は、電気的応答を生成するために光学検出器上で重ね合わされる。ブロック630の一例では、放射信号124及び光信号112は、電気的応答132を生成するために光学検出器130上で重ね合わされる。
【0045】
ブロック650において、電気的応答は、うなり音成分を分離するためにフィルタリングされる。ブロック650の一例では、電気的応答132は、うなり音成分134を分離するために信号フィルタ140によってフィルタリングされる。
【0046】
ブロック660において、うなり音成分が信号検出器で記録される。ブロック660の一例では、うなり音成分134は信号検出器150で記録される。
【0047】
決定ブロック662において、ブロック630の光信号を記述する発振器周波数は、発振器周波数が反復されるべきかどうかを決定するために、利用可能な発振器周波数664のリストと比較される。決定ブロック662は、利用可能な発振器周波数664を比較して、i)はい、新しい光信号が新しい発振器周波数で生成され、ブロック630、650、及び660が繰り返される、又はii)いいえ、方法600を継続する、を決定する。
【0048】
ブロック666では、うなり音成分を対応する発振器周波数に対してプロットして、スペクトルを生成する。ブロック666の例では、スペクトル162を生成するために、うなり音成分134が発振器周波数164に対してプロットされる。一実施形態では、決定ブロック662は発振器周波数を反復するが、ブロック666も使用してうなり音成分をプロットし、発振器周波数の各反復中にプロットを更新する。
【0049】
ブロック670において、燃焼ゾーン内の種の濃度は、少なくともスペクトルに基づいて決定される。ブロック670の例では、燃焼ゾーン126内のCO 166の測定濃度は、少なくともスペクトル162に基づいて決定される。
【0050】
図7は、燃焼効率を監視する方法700を示すフローチャートである。方法700は、例えば、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100によって実施される。方法700は、ブロック730及び750を含む。複数の実施形態では、方法700はまた、ブロック760及びブロック762のうちの少なくとも1つをも含み得る。
【0051】
ブロック730において、燃焼ゾーンからの光信号及び放射信号は、電気的応答を生成するために光学検出器上で重ね合わされる。ブロック730の一例では、放射信号124及び光信号112は、電気的応答132を生成するために光学検出器130上で重ね合わされる。
【0052】
ブロック750において、電気的応答は、複数の副フィルタを用いてフィルタリングされ、各々が電気的応答の一部を分離する。ブロック750の一例では、電気的応答132は、各々が電気的応答132の一部を分離する複数の副フィルタ440によってフィルタリングされる。
【0053】
ブロック760では、電気的応答の各部分が信号検出器で記録される。ブロック760の一例では、電気的応答132の各部分は、信号フィルタ150によって記録される。
【0054】
ブロック762において、電気的応答の各部分は、複数の副検出器のうちの1つの副検出器で記録され、副検出器の各々は、副フィルタのうちの1つに対応し、それに通信可能に結合される。ブロック762の一例では、電気的応答132(1)の一部は、対応する副フィルタ440(1)に通信可能に結合された副検出器450(1)によって記録される。
【0055】
図8は、レーザヘテロダイン放射測定を使用して燃焼効率を監視する方法800を示すフローチャートである。方法800は、例えば、レーザヘテロダイン燃焼効率モニタ100によって実施される。方法800は、ブロック810、830、850、862、及び864を含む。実施形態では、方法800はまた、少なくともブロック860を含み得る。
【0056】
ブロック810において、光信号が局部発振器によって生成される。ブロック810の一例では、光信号312(1)は、局部発振器310(1)によって生成される。
【0057】
ブロック830において、燃焼ゾーンからの光信号及び放射信号は、電気的応答を生成するために光学検出器上で重ね合わされる。ブロック830の一例では、放射信号124及び光信号312(1)は、電気的応答332(1)を生成するために光学検出器130上で重ね合わされる。
【0058】
ブロック850において、電気的応答は、うなり音成分を分離するためにフィルタリングされる。ブロック850の一例では、電気的応答332は、うなり音成分334を分離するために信号フィルタ140によってフィルタリングされる。
【0059】
ブロック860において、うなり音成分が信号検出器で記録される。ブロック860の一例では、うなり音成分134は信号検出器150で記録される。
【0060】
決定ブロック862では、光信号を生成するためにブロック810で使用された局部発振器が、利用可能な局部発振器864のリストと比較されて、局部発振器が反復されるべきかどうかを決定する。決定ブロック862は、利用可能な発振器864のリストを比較して、i)はい、新しい光信号が新しい局部発振器によって生成され、ブロック810、830、及び850が繰り返される、又はii)いいえ、方法800を継続する、を決定する。
【0061】
上記の方法及びシステムでの変更は、本実施形態の範囲を逸脱せずに行うことができる。したがって、上記の説明に含まれ、又は添付図面に示された主題は、例示的なものとして解釈されるべきであり、かつ限定的な意味で解釈されるべきではないことを留意されたい。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載された全ての一般的かつ特定の特徴、並びに本発明の方法及びシステムの範囲の全ての陳述をカバーすることを意図し、それは、言葉として、それらの間にあると言ってもよい。
【国際調査報告】