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特表2023-533545ギア機構を備えた脛骨サンプルインプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ギア機構を備えた脛骨サンプルインプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20230727BHJP
   A61B 17/56 20060101ALN20230727BHJP
【FI】
A61F2/38
A61B17/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501245
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 EP2021068515
(87)【国際公開番号】W WO2022008444
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】102020208501.3
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ノンネマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー マダー-イルク
(72)【発明者】
【氏名】ホセイン ゾウアギ
【テーマコード(参考)】
4C097
4C160
【Fターム(参考)】
4C097AA07
4C097BB01
4C097CC03
4C097CC05
4C097CC18
4C160LL28
(57)【要約】
本願は、膝関節置換手術に使用される脛骨トライアルインプラント(1,100)であって、脛骨固定のために設けられた下側部(2、102)と、高さ方向において前記下側部の上方に配置されるとともに、その上面に配置され、大腿骨コンポーネントと滑動的に相互作用するように設計された滑動面(5、105)を有する上側部(3、103)と、前記上側部および前記下側部に相互作用するとともに、前記上側部を、前記滑動面が前記下側部の上方の第1の高さ(H1)に位置する第1の調節位置と、前記滑動面が前記下側部の上方の第2の高さ(H2)に位置する第2の調節位置との間で、前記下側部に対して高さ方向(Z)に案内するかたちで変位させるために用いられる高さ調節機構(E,E´)と、を備える脛骨トライアルインプラントに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節置換手術に使用される脛骨トライアルインプラント(1,100)であって、
脛骨固定のために設けられた下側部(2、102)と、
高さ方向(Z)において前記下側部(2、102)の上方に配置される上側部(3、103)であって、その上面に配置され、大腿骨コンポーネントとの滑動的な相互作用のために設けられた滑動面(5、105)を有する前記上側部(3、103)と、
前記上側部(3、103)および前記下側部(2、102)にアクティブに接続される高さ調節機構(E,E´)であって、前記高さ調節機構(E,E´)によって、前記上側部(3、103)が、前記滑動面(5、105)が前記下側部(2、102)の上方の第1の高さ(H1)に位置する第1の調節位置と、前記滑動面(5、105)が前記下側部(2、102)の上方の第2の高さ(H2)に位置する第2の調節位置との間で、前記下側部(2、102)に対して前記高さ方向(Z)に変位可能に案内される、前記高さ調節機構(E,E´)と、を備え、
前記高さ調節機構(E,E´)は、カムギアを備え、
前記カムギアは、
前記高さ方向(Z)と平行に配向された第1の回転軸(8a,8b)を中心をとして回転可能に前記下側部(2、102)に取り付けられており、前記高さ方向(Z)に立ち上がる制御カム(9a,9b,109a,109b)を備える、少なくとも1つの駆動輪(6a,6b,106a,106b)と、
前記上側部(3、103)に堅固に接続されており、前記制御カム(9a、9b、109a、109b)に滑動可能に支持される支持セクション(10a,10b,110a、110b)を備える、少なくとも1つの被駆動要素(7a,7b,107a,107b)と、を備え、
前記駆動輪(6a、6b、106a、106b)の回転運動によって、前記上側部(3、103)を前記第1の調節位置と前記第2の調節位置との間で変位させることができる、脛骨トライアルインプラント(1,100)。
【請求項2】
前記制御カム(9a、109a)は、前記第1の回転軸(8a)を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる制御面(11a、111a)によって形成されている、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
【請求項3】
前記支持セクション(10a、110a)は、前記第1の回転軸(8a、108a)を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる支持面(12a、112a)によって形成されている、請求項1または2に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
【請求項4】
前記上側部(3)と前記下側部(2)は、少なくとも1つの前記駆動輪(6a)と少なくとも1つの前記被駆動要素(7a)の間に形成されるプラグ接続によって取り外し可能に接続されるとともに、プラグ軸(17a)に沿って互いに対して滑動可能であり、
前記プラグ軸(17a)は、前記第1の回転軸(8a)と同軸に配向されている、請求項1から3の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記駆動輪(6a)は、前記第1の回転軸(8a)と同軸に延びる円筒孔(14a)を備え、
少なくとも1つの前記被駆動要素(7a)の相補的なプラグシリンダ(16a)は、前記プラグ接続を形成するように、前記円筒孔(14a)に取り外し可能に差し込まれる、請求項4に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項6】
前記高さ調節機構(E)は、前記カムギアの前にあるウォームギア(18、19a、19b)を備える、請求項1から5の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項7】
前記ウォームギア(18、19a、19b)は、自己保持性を備える、請求項6に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項8】
前記ウォームギア(18、19a、19b)は、前記高さ方向(Z)に対して垂直に配向された第2の回転軸(20)を中心として回転可能に前記下側部(2)に取り付けられるウォーム駆動シャフト(18)を備え、
前記ウォーム駆動シャフト(18)は、少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の歯付き外周セクション(19a、19b)、または少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の前にあるウォーム輪と相互作用する、請求項6または7に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項9】
前記ウォーム駆動シャフト(18)は、一端において、回転操作セクション(21)を備え、
前記回転操作セクション(21)は、前記第2の回転軸(20)を中心とした前記ウォーム駆動シャフト(18)の手動回転操作および/またはツール駆動回転操作のために構成されている、請求項8に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)および/または前記ウォーム駆動シャフト(18)は、前記下側部(2)の滑動ベアリング面(25b)に滑動的に回転可能に取り付けられており、
前記滑動ベアリング面(25b)は、複数の径方向洗浄突出部(26b)を備える、請求項1から9の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項11】
前記下側部(2)と少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の間に、スケールディスプレイ(S)が形成されており、
前記スケールディスプレイ(S)は、表示要素とスケールを備えており、前記上側部(3)の調節位置および/または前記滑動面(5)の高さ(H1、H2)の読み取りを可能にする、請求項1から10の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項12】
前記下側部(2、102)は、2つのシェルとして構成されており、上側シェル(2a、102a)と下側シェル(2b、102b)を備え、
少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b、106a、106b)および/または前記ウォーム駆動シャフト(18)は、前記上側シェル(2a、102a)と前記下側シェル(2b、102b)の間に保持される、請求項1から11の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
【請求項13】
前記高さ調節機構(E,E´)は、垂直な中長面(X-Z)に関して、少なくとも実質的に、好ましくは完全に鏡面対称に構成されており、
少なくとも2つの駆動輪(6a,6b,106a,106b)と、少なくとも2つの被駆動要素(7a,7b,107a,107b)と、が設けられる、請求項1から12の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1,100)。
【請求項14】
少なくとも2つの駆動輪(106a、106b)と少なくとも1つの制御輪(118)が存在し、これらはそれぞれ、平歯(119a、119b、119)を備え、
前記制御輪(118)は、2つの前記駆動輪(106a、106b)と平歯噛み合いしている、請求項1から13の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記制御輪(118)は、追加の被駆動要素(107c)の追加の支持セクション(110c)と相互作用する追加の制御カム(109c)を備える、請求項14に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)は、前記下側部(102)に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイ輪(130a、130b)に、運動を伝達するように連結され、
前記ディスプレイ輪(130a、130b)は、前記上側部(103)の調節位置および/または前記滑動面(105)の高さの読み取りを可能にするスケール(S´)を備える、請求項1から15の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項17】
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)に対して回転しないように接続された少なくとも1つのキャッチ要素(132a、132b)が存在し、
少なくとも1つの前記キャッチ要素(132a、132b)は、前記駆動輪(106a、106b)の連続的な回転運動が前記ディスプレイ輪(130a、130b)の段階的な回転運動を生じさせるように、前記ディスプレイ輪(130a、130b)と断続的に相互作用する、請求項16に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項18】
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)に対して回転しないようにアクティブに接続されたラッチ要素(135)と、前記下側部(102)に配置された相補的なラッチ相手要素(139)と、を備えるラッチ装置が存在し、
前記ラッチ要素(135)と前記ラッチ相手要素(139)は、少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)が所定の回転位置にある場合に相互作用し、無効化可能なラッチ接続を形成する、請求項1から17の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項19】
操作機構(B)を有するとともに、前記下側部(102)に取り外し可能に接続可能なハンドル(G)が存在し、
前記操作機構(B)は、前記ハンドル(G)が前記下側部(102)に接続された状態で、少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)にアクティブに接続される操作輪(154)を備える、請求項1から18の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項20】
前記ハンドル(G)は、その遠位端(151)に配置された少なくとも1つの接続要素(152)を備え、
少なくとも1つの前記接続要素(152)は、前記ハンドル(G)を前記下側部(102)に接続するために、前記下側部(102)の相補的な接続要素(153)に取り外し可能に接続される、請求項19に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、膝関節置換手術で使用される脛骨トライアルインプラントであって、脛骨固定のために設けられた下側部と、高さ方向において下側部の上方に配置される上側部であって、その上面に配置され、大腿コンポーネントとの滑動的な相互作用のために設けられた滑動面を有する上側部と、上側部および下側部にアクティブに接続される高さ調節機構であって、高さ調節機構によって、上側部が、滑動面が下側部の上方の第1の高さに位置する第1の調節位置と、滑動面が下側部の上方の第2の高さに位置する第2の調節位置との間で、下側部に対して高さ方向に変位可能に案内される、高さ調節機構と、を備える、脛骨トライアルインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
このような脛骨トライアルインプラントは、米国特許出願公開第2010/0063595号から知られており、下側プレートと上側プレートとを備える。上側プレートの上面には、大腿骨コンポーネントとの滑動相互作用を目的とする滑動面が設けられている。下側プレートの下面は、脛骨固定のために設けられている。脛骨トライアルインプラントは、上側プレートと下側プレートとの間に配置され、2つのプレートにアクティブに接続された高さ調節機構をさらに備える。高さ調節機構は、トライアルインプラントの全高の調節を可能にする。このために、高さ調節機構によって、上側プレートと下側プレートが、互いに対して高さ方向に変位される。公知の脛骨トライアルインプラントでは、高さ調節機構は、一端において下側プレートに堅固に接続され、他端において上側プレートに堅固に接続されるせん断ジョイント構成を備える。高さ調節機構を手動で動かすために、下側プレート上で回動できるように固定されたチルトレバーが設けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願の目的は、従来技術と比較して改善された構造を有し、使用中に利点を提供する、冒頭で述べたタイプの脛骨トライアルインプラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、高さ調節機構が、高さ方向と平行に配向された第1の回転軸を中心として回転可能に下側部に取り付けられており、高さ方向に立ち上がる制御カムを備える少なくとも1つの駆動輪と、上側部に堅固に接続されており、制御カムに滑動可能に支持される支持セクションを備える少なくとも1つの被駆動要素と、を備えるカムギアを備え、駆動輪の回転運動によって、上側部が、第1の調節位置と第2の調節位置との間を変位され得ることで達成される。本願により提供されるカムギアは、特に有利な滑動面の高さ調節と、特に有利な脛骨トライアルインプラントの構造とを可能にする。これは、駆動輪の回転運動が、制御カムと支持セクションとの相互作用を通して、容易かつロバストに、被駆動側の上側部およびそこに配置された滑動面の運動に伝達されるからである。制御カムの対応する構成によって、設計の複雑性を抑えながら、駆動側の運動と被駆動側の運動の間で非常に異なる比例または非比例の伝達比を生じさせることができる。さらに、特に、高さ方向と平行に配向された駆動輪の回転軸のおかげで、脛骨トライアルインプラントの構造を非常にコンパクトにすることができる。結果として、本願による解決手段によって、シンプルで、省スペースで、かつロバストな構造が達成される。駆動輪は、医療従事者によって、少なくとも間接的に手動で操作される、および/またはツール駆動で操作されるように構成されている。この目的のために、例えば、駆動輪は、その外周に設けられた操作セクションを備えてもよい。代替的にまたは追加的に、手動操作および/またはツール駆動操作のために構成された操作要素が設けられてもよく、操作要素は、駆動輪の前にあり、駆動輪と相互作用し、その結果、操作要素の運動を駆動輪に伝達することができる。
駆動輪は、下側部に滑動可能に取り付けられるのが好ましい。制御カムは、駆動輪の回転中に、被駆動要素の支持セクションと滑動的に相互作用する。支持セクションは、高さ方向において制御カムに支持される。駆動輪の回転中に、制御カムと支持セクションの間で相対的な滑動運動が起こる。換言すれば、制御カムが、支持セクションの下を滑って通過する。これにより、支持セクションは、制御カムのピッチによって、高さ方向に押し上げられる。制御カムと支持セクションは、点状に、線に沿って、および/または表面にわたって、相互作用してもよい。制御カムは、一定のピッチを有してもよいし、または異なるピッチを有してもよい。被駆動要素は、上側部に堅固に接続されている。被駆動要素は、上側部と一体的に形成されているのが好ましい。被駆動要素は、上側部の下面に配置されるのが好ましい。滑動面は、上側部に形成され、上側部の上面を構成するのが好ましい。あるいは、滑動面は、上側部の上面に接続される別部品に形成されてもよい。下側部は、脛骨固定のために設けられる。使用中に、下側部の下面は、脛骨の近位端に直接固定されてもよい。あるいは、下側部は、直接脛骨に固定された脛骨トライアルプラトーなどに固定されてもよい。下側部および上側部はそれぞれ、1つまたは複数の部品で構成されてもよい。下側部および上側部はそれぞれ、板状の基本形状を有するのが好ましく、そのため、下側プレートおよび上側プレートと呼ばれることがある。第1の調節位置において、脛骨トライアルインプラントは、高さ方向に延びる全高を有し、これは、第2の調節位置における全高よりも小さい。したがって、第2の調節位置と比較すると、第1の調節位置では、滑動面が、高さ方向において下側部により近接した位置にある。
【0005】
本願の一実施形態では、制御カムは、第1の回転軸を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる制御面によって形成されている。したがって、制御カムは、高さ方向に上昇するねじ線を描く。ピッチが一定なので、シンプルな設計で、駆動輪と被駆動要素の間の直線運動の法則、ひいては比例的な運動および力伝達を達成することができる。これは、従来技術から知られている、滑動面の高さ調節のためのせん断ジョイント構成とは対照的である。したがって、本願のこの実施形態は、使用時のさらなる利点をもたらす。また、設置スペースをより小さくすることができる。
【0006】
本願の別の実施形態では、支持セクションは、第1の回転軸を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる支持面によって形成されている。支持セクションが2次元構成なので、特に、制御カム上で表面圧力を低減できる。これにより、高さ調節機構をスムーズに、かつ低摩耗で操作することができる。
【0007】
本願の別の実施形態では、上側部と下側部は、少なくとも1つの駆動輪と少なくとも1つの被駆動要素の間に形成されるプラグ接続によって取り外し可能に接続されるとともに、プラグ軸に沿って互いに対して滑動可能であり、プラグ軸は、第1の回転軸と同軸に配向されている。これは、本願の特に有利な実施形態である。この場合、カムギアは、特に有利な複数の機能を備える。これは、高さ調節機構が、滑動面の高さ調節に加えて、上側部と下側部の間の着脱インターフェースとしても機能するからである。この目的ために、プラグ接続は、駆動輪と被駆動要素との間に形成される。プラグ接続は、被駆動要素、ひいては被駆動要素に堅固に接続された上側部を、下側部から上方に向かって引き離すことができるように構成される。この目的のために、プラグ軸は、第1の回転軸と同軸に、ひいては高さ方向と平行に配向される。本願のこの実施形態は、下側部と、高さ調節機構に取り付けられた高さ調節機構のコンポーネントを、例えば異なる構成の滑動面を備える、別の上側部に容易に接続することを可能にする。これは、解除不可能な連結または少なくとも手動で解除不可能な連結を下側部と上側部の間に設ける、従来技術から知られている解決手段とは対照的である。別の上側部は、例えば、前後寸法、内外寸法、高さにおいて異なっていてもよく、および/または、滑動面が非対称構成の場合には、左膝と右膝のそれぞれに対応した鏡面対称の変形形態によって異なってもよい。
【0008】
本願の別の実施形態では、少なくとも1つの駆動輪が、第1の回転軸と同軸に延在する円筒孔を備え、少なくとも1つの被駆動要素の相補的なプラグシリンダが、取り外し可能なプラグ接続を形成するように、円筒孔に差し込まれる。プラグシリンダは、プラグ軸に沿って、ひいては高さ方向に沿って、滑動可能に円筒孔へ差し込まれる。これによって、一方では、プラグ接続を簡単に解除することができる。他方では、滑動面の高さ調節に必要である上側部と下側部の間の相対移動が可能である。
【0009】
本願の別の実施形態では、高さ調節機構は、カムギアの前にあるウォームギアを備える。「前にある」とは、ウォームギアが、駆動方向においてカムギアの前にあることを意味する。換言すれば、カムギアは、ウォームギアによって駆動される。前にあるウォームギアは、シンプルな設計かつ省スペースで、特に高い伝達比を可能にする。このようにして、滑動面の高さを正確に調節することができる。さらに、必要に応じて、上側部と下側部の間に高い拡張力を生じさせることができる。
【0010】
本願の別の実施形態では、ウォームギアは、自己保持性(Selbsthemmung)を備える。「自己保持性」は、ウォームギアが、自身のギア入力によってのみ駆動されることを意味する。逆に、例えば、摩擦および/または伝達に起因して、ウォームギアのギア出力から始まるウォームギアの駆動は不可能である。よって、異なる調節位置で上側部をロックする必要がない。これにより、この点において、よりシンプルな設計が可能になる。さらに、カムギアがこの目的のために自己保持構成を有する必要がない。したがって、下側部と上側部の間で達成されるべき運動法則を主に考慮して、カムギアを構成することができる。
【0011】
本願の別の実施形態では、ウォームギアは、高さ方向に対して垂直に配向された第2の回転軸を中心として回転可能に下側部に取り付けられるウォーム駆動シャフトを備え、ウォーム駆動シャフトは、少なくとも1つの駆動輪の歯付き外周セクション、または少なくとも1つの駆動輪の前にあるウォーム輪と相互作用する。第2の回転軸の対応する向きによって、高さ方向において脛骨トライアルインプラントの構造をコンパクトにすることができる。ウォーム駆動シャフトは、直接的または間接的に少なくとも1つの駆動輪に作用してもよい。この目的のために、少なくとも1つの駆動輪は、その外周に歯付きセクション、すなわち歯付き外周セクションを備えてもよい。駆動輪を駆動するために、ウォーム駆動シャフトの歯は、外周セクションの歯と係合する。間接駆動のみが提供される場合、ウォーム駆動シャフトは、駆動輪の前にあるウォーム輪に作用する。このウォーム輪は、高さ方向と平行に配向された第3の回転軸を中心として回転可能に下側部に取り付けられるのが好ましい。
【0012】
本願の別の実施形態では、ウォーム駆動シャフトは、一端において、回転操作セクションを備え、回転操作セクションは、第2の回転軸を中心としたウォーム駆動シャフトの手動回転操作および/またはツール駆動回転操作のために構成されている。回転操作セクションは、特に、手動操作のための回転ノブやクランクなどとして構成されてもよい。代替的にまたは追加的に、ツール駆動回転操作のためのツール面が、回転操作セクションの一端に設けられてもよい。回転操作セクションは、外部からアクセス可能に、下側部に配置される。
【0013】
本願の別の実施形態では、少なくとも1つの駆動輪および/またはウォーム駆動シャフトは、下側部の滑動ベアリング面に滑動的に回転可能に取り付けられており、滑動ベアリング面は、複数の径方向洗浄突出部を備える。洗浄突出部は、駆動輪および/またはウォーム駆動シャフトと下側部との間に形成される滑動ベアリングを容易に洗浄することを可能にする。よって、脛骨トライアルインプラントを特に衛生的に使用することができる。
【0014】
本願の別の実施形態では、下側部と少なくとも1つの駆動輪の間に、スケールディスプレイが形成されており、スケールディスプレイは、読み取り要素とスケールを備えており、上側部の調節位置および/または滑動面の高さの読み取りを可能にする。駆動輪の回転運動中に、読み取り要素とスケールは互いに対して動かされる。読み取り要素は下側部に配置されてもよく、スケールは駆動輪に配置されてもよい。または、その逆でもよい。別の実施形態では、異なる視野角からの読み取りを可能にするために、複数のスケールディスプレイが形成される。あるいは、スケールディスプレイが2つ以上ある場合、細かく目盛り付けされた値にもかかわらず良好な読み取り性を可能にするために、読み取られるべき値は、個々のスケール上に交互に配置されてもよい。
【0015】
本願の別の実施形態では、下側部は、2つのシェルとして構成されており、上側シェルと下側シェルを備え、少なくとも1つの駆動輪および/またはウォーム駆動シャフトは、上側シェルと下側シェルの間に保持される。組み立てられた状態において、上側シェルおよび下側シェルは、少なくとも1つの駆動輪および/またはウォーム駆動シャフトを取り付けるためのハウジングを形成する。
【0016】
本願の別の実施形態では、高さ調節機構は、垂直な中長面に関して、少なくとも実質的に、好ましくは完全に鏡面対称に構成されており、少なくとも2つの駆動輪と少なくとも2つの被駆動要素が設けられる。したがって、駆動輪および被駆動要素は、互いに横方向に隣り合って配置されている。カムギアの前にウォームギアがある場合、そのウォーム駆動シャフトが、両方の駆動輪を駆動するのが好ましい。この目的のために、ウォーム駆動シャフトは、2つの駆動輪の間で長手方向に突出している。
【0017】
本願の別の実施形態では、少なくとも2つの駆動輪と少なくとも1つの制御輪が存在し、これらはそれぞれ、平歯を備え、制御輪は、2つの駆動輪と平歯噛み合いしている。少なくとも2つの駆動輪は、横方向に互いから離間して配置されるのが好ましい。制御輪は、横方向において少なくとも2つの駆動輪の間に配置され、それらの前にある。制御輪は、2つの駆動輪の力連結および運動連結のために使用される。制御輪による連結によって、2つの駆動輪は、それぞれの回転軸を中心として、互いに同期して回転可能である。制御輪は、下側部に回転可能に取り付けられるのが好ましい。一実施形態では、制御輪は、直接的な手動回転操作のために構成されている。別の実施形態では、制御輪は、操作機構などと相互作用するように構成されてもよい。平歯はそれぞれ、外歯である。少なくとも2つの駆動輪の回転軸と制御輪の回転軸は、互いに平行に配向されている。
【0018】
本願の別の実施形態では、少なくとも1つの制御輪は、追加の被駆動要素の追加の支持セクションと相互作用する追加の制御カムを備える。したがって、制御輪は、いわば追加の駆動輪として機能する。言い換えれば、この実施形態では、少なくとも3つの駆動輪と3つの被駆動要素が存在し、駆動輪のうちの1つが、いわば、少なくとも1つの制御輪によって形成されている。これにより、少なくとも1つの制御輪は、特に有利な複数の機能を備える。これにより、特にコンパクトで、かつ特にロバストな構造が達成される。
【0019】
本願の別の実施形態では、少なくとも1つの駆動輪は、下側部に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイ輪に、運動を伝達するように連結され、ディスプレイ輪は、上側部の調節位置および/または滑動面の高さの読み取りを可能にするスケールを備える。駆動輪とディスプレイ輪の間の運動伝達は、連続的であってもよいし、または断続的であってもよい。運動伝達のために、ディスプレイ輪は、駆動輪と噛合されてもよく、または別の方法で連結されてもよい、例えばキャッチ要素によって連結されてもよい。ディスプレイ輪は、下側部の外周上に配置され、および/または、少なくとも1つの駆動輪に対して径方向外側にオフセットされているのが好ましい。スケールは、一連の目盛線および/または数字を備えるのが好ましい。スケールは、ディスプレイ輪の外周上に配置されるのが好ましい。
【0020】
本願の別の実施形態では、駆動輪に対して回転しないように接続された少なくとも1つのキャッチ要素が存在し、少なくとも1つのキャッチ要素は、駆動輪の連続的な回転運動がディスプレイ輪の段階的な回転運動を生じさせるように、ディスプレイ輪と断続的に相互作用する。このようにして生じるディスプレイ輪の段階的な回転運動は、上側部が到達した調節位置それぞれの段階的な表示につながる。その一方、中間位置は表示されない。キャッチ要素は、駆動輪と一体的に形成されてもよく、または、別で製造されてから駆動輪に接続される部品として構成されてもよい。キャッチ要素は、ディスプレイ輪のキャッチ要素との相互作用のためのセクションと、断続的に相互作用する。
【0021】
本願の別の実施形態では、少なくとも1つの駆動輪に対して回転しないようにアクティブに接続されたラッチ要素と、下側部に配置された相補的なラッチ相手要素と、を備えるラッチ装置が存在し、ラッチ要素とラッチ相手要素は、少なくとも1つの駆動輪が所定の回転位置にある場合に相互作用し、無効化可能なラッチ接続を形成する。少なくとも1つの駆動輪の所定の回転位置は、上側部の調節位置であって、あらかじめ決められた位置および/または到達すべき位置に対応する。これにより、ユーザは、当該回転位置および/または調節位置に到達するとすぐに、直接的な触覚フィードバックおよび/または音響フィードバックを受ける。このフィードバックは、ラッチ装置でのラッチ留めによって与えられる。ラッチ要素と相補的なラッチ相手要素の間のラッチ接続は無効化可能なので、所定の回転位置に達した後に、駆動輪をさらに回転運動させることができる。この場合、無効化(すなわち、以前確立されたラッチ接続の解除)は、ユーザへの新たな触覚フィードバックおよび/または音響フィードバックに関連する。
【0022】
本願の別の実施形態では、操作機構を有するとともに、下側部に取り外し可能に接続可能なハンドルが存在し、操作機構は、ハンドルが下側部に接続された状態で、少なくとも1つの駆動輪にアクティブに接続される操作輪を備える。ハンドルは、高さ調節機構の人間工学的操作を可能にする。この目的のために、ハンドルの操作機構は、高さ調節機構、より正確にはその少なくとも1つの駆動輪の前にある。操作機構を手動で操作すると、少なくとも1つの駆動輪が回転運動し、それに応じて上側部の調節位置が変化する。さらに、ハンドルは、安全で人間工学的な下側部の取り扱いを可能にする。この目的のために、ハンドルは、取り外し可能に下側部に接続されてもよい。この目的のために、ハンドルと下側部の間には、ハンドルに割り当てられた少なくとも1つの接続要素と、接続要素に相補的であって下側部に設けられた接続相手要素と、を備える解除可能なラッチ接続、スナップ接続、クランプ接続、および/またはプラグ接続が存在するのが好ましい。操作機構の操作輪は、ハンドルが下側部に接続された状態で、少なくとも1つの駆動輪に取り外し可能にアクティブに接続されている。この目的のために、操作輪と少なくとも1つの駆動輪は、少なくとも間接的に互いに噛み合うのが好ましい。操作輪の回転運動と少なくとも1つの駆動輪の回転運動の間の伝達比は、操作機構の対応する構成によって直接的に影響され得る。選択される伝達比によって、特に正確かつスムーズに、または特に迅速に、高さ調節機構を調節することができる。
【0023】
本願の別の実施形態では、ハンドルは、その遠位端に配置された少なくとも1つの接続要素を備え、少なくとも1つの接続要素は、ハンドルを下側部に接続するために、下側部の相補的な接続要素に取り外し可能に接続される。この実施形態は、特にシンプルでロバストな構造を可能にする。それらの接続要素は、ラッチ要素およびラッチ相手要素として構成されるのが好ましい。あるいは、対応するように構成された接続要素を有するプラグ接続またはクランプ接続が想定されてもよい。ラッチ接続を確立および解除する際、ラッチ要素および/または相補的なラッチ相手要素は、弾性変形する。少なくとも2つのラッチ要素と相補的なラッチ相手要素が、互いに横方向に離間して配置されるのが好ましい。ハンドルは、その遠位端と近位端との間を長手方向に延在する。操作機構の操作輪は、遠位に配置されるのが好ましい。
【0024】
本願のさらなる利点および特徴は、図面を用いて表される、特許請求の範囲および本願の好ましい例示的な実施形態の以下の説明から見出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本願による脛骨トライアルインプラントの実施形態の斜視図である。
図2図1の脛骨トライアルインプラントの分解斜視図である。
図3】さらなる分解斜視図である。
図4図1から図3の脛骨トライアルインプラントの、図5の断面A-Aに沿った概略断面図である。
図5図1から図4の脛骨トライアルインプラントの概略正面図である。
図6】脛骨トライアルインプラントの個々の部品および/またはセクションの図示を省略した、さらなる斜視図である。
図7図1から図6の脛骨トライアルインプラントの高さ調節機構の2つの駆動輪の斜視詳細図である。
図8】斜め上に向けられた視点での、図6と類似のさらなる斜視図である。
図9】駆動輪の図示をさらに省略した、図8に対応する図である。
図10】第1の調節位置における本願による脛骨トライアルインプラントのさらなる実施形態と、脛骨トライアルプラトーの斜視図である。
図11】第2の調節位置における、図10の脛骨トライアルインプラントを示す図である。
図12図10および図11の脛骨トライアルインプラントの分解斜視図である。
図13】高さ調節機構の被駆動要素が配置されている図10から図12の脛骨トライアルインプラントの上側部を、下から見た斜視図である。
図14図10から図12の脛骨トライアルインプラントの下側部の斜視図である。
図15】部分的に分解された下側部の、さらなる斜視図である。
図16】高さ調節機構の個々の部品および/またはセクションを見るための、下側部のさらなる図である。
図17図10から図12の脛骨トライアルインプラントのハンドルであって、脛骨トライアルインプラントの下側部に取り外し可能に接続可能であるとともに、高さ調節機構を動かすための操作機構を備えるハンドルの斜視図である。
図18図17のハンドルの遠位端の斜視詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1から図3によれば、膝関節置換手術に使用される脛骨トライアルインプラント1が提供される。脛骨トライアルインプラント1は、医療用語ではよく「トライアル滑動面(Probegleitflaeche)」と呼ばれる。
【0027】
脛骨トライアルインプラント1は、下側部2と、上側部3と、高さ調節機構Eとを備える。
【0028】
下側部2は、脛骨固定のために設けられている。これは、脛骨トライアルインプラント1の使用中に、下側部2が、間接的または直接的に脛骨の近位端に配置され固定されることを意味する。図示の実施形態では、下側部2の間接的な固定が提供されており、間接的な固定では、下側部2の下面4が、いわゆる脛骨トライアルプラトーと相互作用しており、脛骨トライアルプラトーは、脛骨の近位端にねじ留めまたは接着され得る。
【0029】
図示の実施形態では、下側部2は、板状の基本形状を有する。したがって、下側部2は、高さ方向Zと比較して、長手方向Xおよび横方向Yに沿ってより長く延在している。
【0030】
本実施例では、下側部2は、上側シェル2aと下側シェル2bを含む2シェル構成を有する。これは、以下でより詳細に説明するように、有利ではあるが、必ずしも必須であるわけではない。高さ方向Zに関して、下側シェル2bは、上側シェル2aの下方に配置されている。下側シェル2bが、下面4を備えている。組み立てられた状態において、上側シェル2aおよび下側シェル2bは、以下により詳細に記載される部品および/またはセクションのための、特に高さ調節機構Eの部品および/またはセクションのための収容空間(詳細に示されていない)を形成する。使用準備が整った取付状態(図1)において、上側シェル2aと下側シェル2bは、当業者に既知の力嵌合、形状嵌合、および/または材料嵌合によって、互いに接合されている。例えば、上側シェル2aと下側シェル2bは、互いに対して、ねじ留めされてもよいし、接着されてもよいし、溶接されてもよいし、および/またはラッチ留めされてもよい。
【0031】
上側部3は、高さ方向Zにおいて下側部2の上方に配置されており、その上面に配置された滑動面5を備える。図示の実施形態では、上側部3の上面開口(詳細には示されていない)によって互いに横方向Yに離間された2つの部分滑動面5a、5bによって、滑動面5が形成されている。滑動面5は、大腿骨コンポーネントとの滑動相互作用のために設けられる。この大腿骨コンポーネントは、大腿骨の遠位端または大腿骨トライアルインプラントによって形成されてもよい。大腿骨コンポーネントは、大腿骨の遠位端または大腿骨トライアルインプラントに固定されており、対応するように構成された滑動面を有する。図面に見られ得る滑動面5の形は、大腿脛骨関節の脛骨関節面に関する当業者に公知の方法で、作られる。
【0032】
図示の実施形態では、滑動面5は、上側部3上に直接形成されており、この場合、上側部3の上面を構成している。このような構成は有利であるが、本願に関して必須であると見なされるべきではない。一実施形態(図示せず)では、滑動面は、上側部とは別に製造された部品上に配置されており、使用準備が整った状態において、上側部に堅固に接続される。
【0033】
高さ調節機構Eは、高さ方向Zに延在する脛骨トライアルインプラント1の全高を調節するために使用される。言い換えると、高さ調節機構Eによって、上側部3、ひいては滑動面5が、下側部2の上方で異なる高さに位置付けられる。このような滑動面5の高さ調節は、いわゆる試行的位置変更のために、膝関節置換手術中に必要とされる。試行的位置変更は、実際に膝関節置換をする前の手術ステップであり、その間に、正確で機能的な膝関節置換に必要とされる脛骨および大腿骨インプラントコンポーネントの寸法および形状が決定される。脛骨トライアルインプラント1のこの使用に関する背景は、当業者に知られている。したがって、この点に関し、さらなる説明は必要とされない。
【0034】
高さ調節機構Eは、以下でより詳細に説明される方法で、上側部3および下側部2にアクティブに接続され、上側部3が高さ方向Zに沿って下側部2に対して相対的に変位することを可能にする。これにより、上側部3は、高さ方向Hにおける様々な調節位置間で変位可能であり、例として、図1および図5には、滑動面5が下側部2の上方の第1の高さH1(図5)に位置付けられる第1の調節位置が示されている。図5では、例として、第1の高さH1が、滑動面5の上縁と下側部2の下面4との間として示されている。第2の調節位置(図示せず)では、上側部3は高さ方向Zの上方へ変位され、滑動面5は第2の高さH2に位置する。第2の高さH2は、図5に概略的に示されている。
【0035】
高さ調節機構Eは、駆動輪6aと被駆動要素7aを備える(図6から図9参照)。駆動輪6aは、高さ方向Zと平行に配向された第1の回転軸8aを中心として回転可能に、下側部2に取り付けられる。駆動輪6aは、さらに、高さ方向Zに立ち上がる制御カム9aを備える。被駆動要素7aは、上側部3に堅固に接続されており、制御カム9aに滑動可能に支持される支持セクション10aを備える。駆動輪6a、その制御カム9a、被駆動要素7a、およびその支持セクション10aは、カムギアを形成する。カムギアによって、第1の回転軸8aを中心とした駆動輪6aの回転運動を、高さ方向Zに沿った上側部3の並進運動へと変換することができる。言い換えると、駆動輪6aの回転中に、制御カム9aに滑動可能に支持される支持セクション10aが、高さ方向Zに押し上げられる。このように、上述の目的のために、上側部3は、第1の調節位置と第2の調節位置との間で変位可能であり、したがって、第1の高さH1と第2の高さH2(図5)の間に滑動面5を配置することができる。さらに、ギア技術分野における従来の用語によれば、駆動輪6aおよび被駆動要素7aはそれぞれ、「カムキャリア」および「上昇部材(Abgriffsglied)」という用語で呼ばれることもある。
【0036】
図示の実施形態では、以下でより詳細に説明されるように、手動操作および/またはツール駆動操作のために使用される高さ調節機構Eのさらなる部品および/またはセクションが、駆動輪6aの前にある。しかしながら、そのような構成は必須ではない。一実施形態(図示せず)では、駆動輪自体が、手動操作のために構成されていてもよく、このために、例えば外周上に、対応する操作セクションを備えてもよい。
【0037】
さらに、図示の実施形態では、中長面X-Zに関して少なくとも実質的に、好ましくは完全に鏡面対称である脛骨トライアルインプラント1の構成が提供される。したがって、高さ調節機構Eも同様に、垂直の中長面X-Zに関して鏡面対称に構成されている。図面に示されるように、高さ調節機構Eは、2つの駆動輪6a、6bと、2つの被駆動要素7a、7bを備える。追加の駆動輪6aと追加の被駆動要素7aは、駆動輪6aと被駆動要素7aから横方向Yに離間して配置されている。追加の駆動輪6bは、追加の第1の回転軸8bを中心として回転可能に下側部2に取り付けられている。追加の第1の回転軸8bは、第1の回転軸8aと平行に配向されている。追加の駆動輪6bおよび追加の被駆動要素7aの形および/または構成は、中長面X-Zに関して、駆動輪6aおよび被駆動要素7aと鏡面対称である。
【0038】
本実施形態の鏡面対称構成は、有利であるが、本願に関して必須であると見なされるべきではないことが明確に指摘される。したがって、一実施形態(図示せず)では、被駆動要素と相互作用する1つの駆動輪のみが設けられる。
【0039】
繰り返しを避けるために、以下の説明では、駆動輪6aおよび被駆動要素7aを主に詳細に参照する。この点に関して開示される機能的および物理的な特徴は、必要な変更を加えて、追加の駆動輪6bおよび追加の被駆動要素7bにも適用される。これは、逆も同様である。
【0040】
本実施例では、制御カム9aは、第1の回転軸8aを中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる制御面11aによって形成されており、制御面11aは、斜め面とも呼ばれる。
【0041】
本実施例では、制御カム9a、ひいては制御面11aは、分離したサブセクション、すなわち、第1の制御カムセクション91aおよび第2の制御カムセクション92aと、第1の制御面セクション1110および第2の制御面セクション1120と、をそれぞれ備える。しかしながら、そのような構成は必須ではない。一実施形態(図示せず)では、制御カムは、長手方向に延びるにつれて一体的に連続する制御面によって形成されてもよい。
【0042】
主に、支持セクション10aは、点状に、直線的に、および/または表面にわたって、支持面11aに支持されてもよい。本実施例では、表面にわたる支持が提供されており、支持セクション11aは、それに対応するように、支持面12aによって形成されている。支持面12aは、制御面11aに相補的に構成されている。したがって、支持面12aは、第1の回転軸8aを中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延在する。さらに、2つの支持面セクション1210、1220を有する分離構成が設けられている。
【0043】
本実施例における被駆動要素7aは、高さ方向Zに沿って、上側部3の下面13から下方に突出している。本実施例では、被駆動要素7aは、ピン状の基本形状を有している。被駆動要素7aは、上側部3の下面13と一体的に形成されている。さらなる実施形態では、駆動要素はさらに、上側部とは別に製造されて、それ自体公知の方法で上側部に接合されてもよい。
【0044】
上側部3を、異なるように構成された上側部、例えば異なるように構成された滑動面を含む上側部と可能な限り簡単に交換できるようにするために、本実施例では、上側部3と下側部2との間にプラグ接続が設けられる。このプラグ接続は、上側部3を下側部2から高さ方向Zの上方に向かって遠ざけることによって、直接手動で解除可能である。本実施例では、プラグ接続は、駆動輪6aと被駆動要素7aの間に形成される。このために、駆動輪6aは、第1の回転軸8aと同軸に延在する円筒孔14aを備えている。本実施例では、円筒孔14aは貫通孔として構成されている。円筒孔14aは、円筒側面15aを備えている。被駆動要素7aは、円筒孔14aに相補的なプラグシリンダを備えているか又はそのようなプラグシリンダとして機能し、相補的な円筒側面16aを同様に備えている。被駆動要素7aの円筒側面16は、第1の回転軸8aを中心とし、高さ方向Zに沿った滑動的な駆動輪6aの円周方向の回転動作中に、円筒孔14aの円筒側面15aと相互作用する。
【0045】
図示の実施形態では、制御カム9aは、円筒孔14a内において一種の径方向突出部として配置されている。一実施形態(図示せず)では、制御カムは、代わりに、駆動輪9aの上面の貫通孔14aに対して軸方向にオフセットして配置される。支持セクション10aは、プラグシリンダの円筒側面16aの径方向凹部によって形成されている。一実施形態(図示せず)では、支持セクションは、プラグシリンダとは別の場所に形成されてもよい。
【0046】
被駆動要素7aによって形成されるプラグシリンダは、第1の回転軸8aに沿って、高さ方向下向きに円筒孔14a内へ挿入される。したがって、図示の実施形態では、第1の回転軸8aは、プラグ接続のプラグ軸17aと一致する。
【0047】
本実施形態の鏡面対称の構成により、上側部3と下側部2との間のプラグ接続が、本実施例では、追加の駆動輪6bと追加の被駆動要素7bの間にさらに形成される。この点に関して、駆動輪6aと被駆動要素7aの間のプラグ接続に関する記載が、同様に適用される。簡潔性を考慮し、追加の駆動輪6bと追加の被駆動要素7bに関する運動伝達およびプラグ接続形成に必要なセクションの別個の説明は、省略される。代わりに、駆動輪6aおよび被駆動要素7aに関する関連説明がなされる。
【0048】
本実施例では、高さ調節機構Eは、カムギアの前にあるウォームギア18、19a、19bをさらに備える。ウォームギア18、19a、19bは、ウォーム駆動シャフト18と、ウォーム駆動シャフト18に相補的に歯付された駆動輪6aの外周セクション19aとを備える。
【0049】
ウォーム駆動シャフト18aは、高さ方向Zに垂直に配向された第2の回転軸20(図2)を中心として回転可能に下側部2に取り付けられており、運動伝達および力伝達のために、歯付き外周セクション19a(図4)と相互作用する。図示の実施形態では、ウォーム駆動シャフト18は、追加の駆動輪6bの相補的に歯付けされた外周セクション19bとさらに相互作用する。ウォーム駆動シャフト18は、2つの駆動輪6a、6bの間で長手方向Xに突出している。第3の回転軸20を中心とするウォーム駆動シャフト18の回転運動中、2つの駆動輪6a、6bは、それぞれの第1の回転軸8a、8bを中心として互いに逆向きに駆動される。
【0050】
このように形成されたウォームギア18、19a、19bは、自己保持性を有するように構成されている。したがって、ウォームギア18、19a、19bは、ウォーム駆動シャフト18の駆動側の回転運動によってのみ駆動され得る。逆に、駆動輪6a、6bのうちの1つから生じる運動による駆動は、摩擦および/または伝達によって阻止されるので、不可能である。
【0051】
ウォーム駆動シャフト18は、図示の実施形態では、ツール面22を含む回転操作セクション21を備える。ツール面22は、医療的使用のために設けられる従来の六角キーと相互作用するように構成された六角ソケット面である。一実施形態(図示せず)では、ツール面22の代わりに、回転操作セクションや操作輪などによって形成されるクランクが設けられる。回転操作セクション21は、ウォーム駆動シャフト18の一端に配置されており、使用準備が整った脛骨トライアルインプラント1の組み立てられた状態において、外部からアクセス可能である。ウォーム駆動シャフト18は、他端において、ウォーム駆動シャフト18の回転運動中に歯付き外周セクション19a、19bと相互作用する歯付きセクション23を備える。歯付きセクション23と回転操作セクション21の間には、ステムセクション24が軸方向に延在している。
【0052】
駆動輪6a、追加の駆動輪6b、およびウォーム駆動シャフト18は、下側部2の上側シェル2aと下側シェル2bの間に保持されており、対応する滑動ベアリング面が、特に駆動輪6a、6bを取り付けるために設けられている。図の簡略化のため、滑動ベアリング面は、図面では追加の駆動輪6bに関してのみ示されている。駆動輪6aの滑動ベアリングに関しては、追加の駆動輪6bに関する記載が同様に適用される。追加の駆動輪6bに割り当てられる滑動ベアリング面は、追加の回転軸8bと同軸に下側部2を貫通して延びる貫通孔25bによって形成される。貫通孔25bは、仮想の円柱形状を起点とする、複数の径方向突出部26bを備える。突出部26bは、洗浄突出部と呼ばれることもあり、液体を使った、簡単で、特に衛生的な、下側部2の洗浄性を可能にする。追加の駆動輪6bは、下側径方向ハブ27bと上側径方向ハブ28bとを備え、これらはそれぞれ、上側シェル2aおよび下側シェル2bの対応する滑動ベアリング面に滑動接触するように設けられている。
【0053】
さらに、駆動輪6aと下側部2との間に形成されるスケールディスプレイSが設けられており、その配置は、図5に見ることができる。スケールディスプレイSは、表示指標として構成された表示要素を備え、表示要素は、上側シェル2aと下側シェル2bの両方に配置されている。さらに、図6に見られる、数字列を有するスケールが設けられる。スケールディスプレイSは、上側部の調節位置の読み取りを可能にする。
【0054】
さらに、トライアルインプラントが、必ずしも膝関節置換手術のためではなく、(一般的な)関節置換手術での使用のために提供される実施形態(図示せず)が提供される。したがって、この実施形態の下側部は、必ずしも脛骨固定のために設けられるわけではなく、一般に骨固定および/または骨支持のために設けられる。この実施形態において、上側部の上面に配置されている滑動面は、骨に固定された追加のコンポーネントとの滑動相互作用のために設けられており、この場合、このコンポーネントは、必ずしも大腿骨コンポーネントである必要はない。
【0055】
図10から図18を用いて、本願による脛骨トライアルインプラント100のさらなる実施形態を示す。脛骨トライアルインプラント100の基本構成および機能は、図1から図9の脛骨トライアルインプラント1の構成および機能にほぼ対応する。したがって、以下では、脛骨トライアルインプラント100の主な本質的相違が論じられる。他の点においては、繰り返しを避けるために、脛骨トライアルインプラント1の説明が参照される。
【0056】
脛骨トライアルインプラント100も、下側部102と、上側部103と、高さ調節機構E´とを備える。
【0057】
本実施例では、下側部102(図14)は、間接的な脛骨固定のために構成されており、したがって、脛骨トライアルプラトーPと相互作用する。使用準備が整った状態において、下側部102は、その下面104と共に、下側部102のために構成された脛骨トライアルプラトーPの受け入れ凹部(詳細には示されていない)に前もって嵌合されている。
【0058】
下側部2と同じように、下側部102は、板状の基本形状と、上側シェル102aと下側シェル102bを有する2シェル構成と、を有する。
【0059】
上側部3と同じように、上側部103は、その上面に配置され、横方向Yに互いに離間した2つの部分滑動面105a、105bを有する滑動面105を備える。
【0060】
高さ調節機構E´は、基本的に高さ調節機構Eと同じように、一方では上側部103にアクティブに接続され、他方では下側部102にアクティブに接続されて、高さ方向Zに沿った上側部103の下側部102に対する相対変位を可能にする。本実施例では、図10が、一例として、下端位置とも呼ばれ得る第1の調節位置を示している。下端位置において、脛骨トライアルインプラント100は最小の全高および/または全厚を有する。図11は、上端位置とも呼ばれ得る第2の調節位置を示している。この位置において、脛骨トライアルインプラント100は最大の全高および/または全厚をとる。
【0061】
高さ調節機構E´も、少なくとも1つの駆動輪106aと、少なくとも1つの被駆動要素107aを備える。駆動輪106aは、高さ方向Zと平行に配向された回転軸(詳細には示されていない)を中心として回転可能に下側部102に取り付けられており、高さ方向Zに立ち上がる制御カム109aを備える。図示の実施形態では、制御カム109aは、前記回転軸を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる制御面111aによって形成されている。
【0062】
本実施例では、制御カム109aおよび/または制御面111aは、雌ねじIGの構成で形成されている。雌ねじIGは、駆動輪106aの円筒孔114a内に導入されている。円筒孔114aは、駆動輪106aの回転軸と同軸に延在する。
【0063】
少なくとも1つの被駆動要素107aは、上側部103に堅固に接続されている。脛骨トライアルインプラント1の被駆動要素7aとは対照的に、被駆動要素107aは、例えば、上側部103と一体的に形成されていない。代わりに、上側部103に割り当てられた接続要素Vが存在し(図12)、そこに被駆動要素107aが形成されている。接続要素Vは、当業者にそれ自体公知の方法で、長手方向に取り外し可能に、横方向Yおよび高さ方向Zに形状嵌合するように、上側部103に差し込まれる。少なくとも1つの被駆動要素107aは、基本的には被駆動要素7aと同じように、制御カム109aに滑動可能に支持される支持セクション110aを備える。図示の実施形態では、支持セクション110aは、一定のピッチで螺旋状に延びる支持面112aによって形成されている。
【0064】
支持セクション110aおよび/または支持面112aは、雄ねじAGとして構成されている。雄ねじAGは、雌ねじIGと相補的である。簡単に言えば、雌ねじIGと雄ねじAGは、一種のねじ付きスピンドルを形成し、このねじ付きスピンドルによって、駆動輪106aの回転運動を、被駆動要素107a、ひいては上側部103の並進運動へ変換することができる。
【0065】
簡単に言えば、被駆動要素107aがねじとみなされ、駆動輪106aがナットとみなされてもよい。
【0066】
高さ調節機構E´は、高さ調節機構Eと同じように、少なくとも実質的に、好ましくは完全に鏡面対称に構成されている。高さ調節機構E´も、少なくとも2つの駆動輪106a、106bと、少なくとも2つの被駆動要素107a、107bを備える。これらは、以下では、第1の駆動輪106a、第2の駆動輪106b、第1の被駆動要素107a、第2の被駆動要素107bとも呼ばれる。第2の駆動輪106bの構成および機能に関して、第1の駆動輪106aに関する上述の記載が、同様に適用される。これに応じて、第2の被駆動要素107bの機能および構成に関しても同じである。繰り返しを避けるために、第1の駆動輪106aおよび第1の被駆動要素107aに関する開示が参照される。
【0067】
制御輪118は、駆動輪106a、106bの前にある。制御輪118は、駆動輪106a、106bの回転軸と平行に配向された回転軸を中心として回転可能に下側部102に取り付けられている。2つの駆動輪106a、106bと制御輪118はそれぞれ、平歯119a、119b、119を備える。制御輪118の平歯119は、第1の駆動輪106aの平歯119aおよび第2の駆動輪106bの平歯119bと噛み合っている。このようにして、それぞれの回転運動が、互いに強制的に連結され、および/または同期される。制御輪118が反時計回りに回転運動すると、第1の駆動輪106aおよび第2の駆動輪106bが時計回りに回転運動する。
【0068】
図示の実施形態では、2つの駆動輪106a、106bの平歯119a、119bは、歯数および他の歯の特徴に関して同一である。制御輪118の平歯119は、平歯119a、119bよりも歯の数が多い。制御輪118の外径(詳細には示されていない)は、駆動輪106a、106bの外径よりも大きい。
【0069】
図示の実施形態では、制御輪118は、以下でより詳細に説明されるように、間接的な手動操作のために構成されている。さらなる実施形態では、制御輪は、直接的な手動回転操作のために構成されている。
【0070】
本実施例の制御輪118は、駆動輪106a、106bと同じように、雌ねじIG´を備える。雌ねじIGと同様に、雌ねじIG´は、制御カム(詳細には示されていない)、より正確には、一定のピッチで螺旋状に延在する制御面を備える。制御輪118の雌ねじIG´は、追加の被駆動要素107cの雄ねじAG´と相互作用する。追加の被駆動要素107cは、以下では、第3の被駆動要素110cとも呼ばれる。第3の被駆動要素107cの雄ねじAG´も、支持セクション、より正確には、一定のピッチで螺旋状に延びる制御面を形成している。
【0071】
制御輪118は、この場合、追加の第3の駆動輪として機能する。雌ねじIG´と雄ねじAG´は、互いに相補的である。雌ねじIG´の回転方向は、駆動輪106a、106bの雌ねじIGの回転方向と反対である。同じことが、雄ねじAG´の回転方向にも同様に当てはまる。さらに、雌ねじIG´は、2つの駆動輪106a、106bの雌ねじIGのねじピッチとは異なるねじピッチを有する。したがって、雄ねじAG´のねじピッチも、被駆動要素107a、107bの雄ねじAGのねじピッチと異なる。
【0072】
制御輪118は、横方向Yで、第1の駆動輪106aと第2の駆動輪106bの間で中央に配置されている。
【0073】
脛骨トライアルインプラント100は、第1のディスプレイ輪130aと、第2のディスプレイ輪130bとを備える。第1のディスプレイ輪130aは、第1の駆動輪106aに割り当てられており、運動を伝達するように第1の駆動輪106aに連結されている。第2のディスプレイ輪130bは、第2の駆動輪106bに割り当てられており、運動を伝達するように第2の駆動輪106bに連結されている。さらなる実施形態では、ディスプレイ輪は1つしか存在しない。ディスプレイ輪130a、130bの構成および機能は同一であるため、繰り返しを避けるために、以下では、第1のディスプレイ輪130aのみを説明する。この点に関する開示は、必要な変更を加えて、第2のディスプレイ輪130bにも適用される。
【0074】
第1のディスプレイ輪130aは、回転可能に下側部102に取り付けられており、スケールS´(詳細には図示せず)を備える。スケールS´は、第1のディスプレイ輪130aの外周131aに配置されている。スケールS´は、例えば、連続する目盛線または数字によって形成されてもよい。スケールS´は、上側部103の調節位置の読み取りを可能にする。これは、脛骨トライアルインプラント1のスケールS(図5)と同様である。
【0075】
運動伝達連結により、第1の駆動輪106aの回転運動が、第1のディスプレイ輪130aの回転運動へ変換される。運動伝達は、連続的であるように構成されてもよいし、または断続的、すなわち段階的であるように構成されてもよい。図示の実施形態では、後者が適用される。
【0076】
以下でより詳細に説明される断続的な運動伝達によって、第1の駆動輪106aの連続的な回転運動が、ディスプレイ輪130aの段階的な回転運動を生じさせる。本実施例では、断続的な運動伝達は、第1のキャッチ要素132aによって行われる。第2の駆動輪106bおよび第2のディスプレイ輪130bには、第2のキャッチ要素132bが割り当てられている。
【0077】
第1のキャッチ要素132aは、第1の駆動輪106aに対して回転しないように接続されている。本実施例では、第1のキャッチ要素132aは、環状に構成されており、第1の駆動輪106aと同軸に並べられ、第1の駆動輪106aの下面に形状嵌合、力嵌合、および/または材料嵌合(詳細には図示せず)で固定されている。第1のキャッチ要素132aは、ディスプレイ輪130aの運動伝達のために設けられたセクションと相互作用する。本実施例では、第1のキャッチ要素132aは、径方向外向きに突出する、少なくとも1つの、より正確には2つの突出部133を備える。本実施例において、これらは、第1のキャッチ要素132aの円周方向において、互いに180度オフセットされて配置されている。第1のディスプレイ輪130aは、その下面において径方向に凹んだ凹部134を備える(詳細には示されていない)(図16)。断続的な運動伝達のために、突出部133は凹部134と係合する。
【0078】
図示の実施形態では、第1の駆動輪106aを360°(連続的に)1回転させると、第1のディスプレイ輪130aの段階的な回転運動が、2インクリメントだけ生じる。本実施例では、正確には、互いに60°オフセットされて配置された6つの凹部134が存在するので、第1のディスプレイ輪130aは、各段階で60°ずつ、2段階で回転する。
【0079】
上記の記載は、第2のキャッチ要素132bおよび第2のディスプレイ輪130bの構成および機能に関して、同様に適用されることを理解されたい。
【0080】
制御輪118には、ラッチ要素135が割り当てられている。以下でより詳細に説明するように、ラッチ要素は、下側部102、より正確にはその下側シェル102bと解除可能なラッチ接続を形成する。ラッチ接続は、無効化され得るとともに、制御輪118が所定の回転位置にある場合、ひいては2つの駆動輪106a、106bが所定の回転位置にある場合に確立される。このようにして、ユーザは、高さ調節機構E´の調節中に、所定の回転位置、ひいては上側部103の高さ調節に達するとすぐに、触覚フィードバックおよび/または音響フィードバックを受ける。
【0081】
図示の実施形態では、ラッチ要素135は、環状に構成されており、制御輪118の下面に力嵌合、形状嵌合、および/または材料嵌合で(図示されていない方法で)接続されている。本実施例では、ラッチ要素135は、制御輪118と同軸に並べられており、制御輪118と共にその回転軸を中心に回転可能である。ラッチ要素135は、本実施例では、下側部に配置された円柱形の凹部として形成された、相補的なラッチ相手要素139と相互作用する(図12)。円柱形の凹部は、下側シェル102bの上面で凹んでいる。使用準備が整った組み立てられた状態では、キャッチ要素135は、円柱形の凹部139に受け入れられている。図示の実施形態では、キャッチ要素135は、180°オフセットされて配置された2つのばねアーム136を備え、ばねアーム136の終端にはそれぞれ、ラッチ突出部137が形成されている。ラッチ突出部137は、径方向に弾性的に可動であり、ラッチ留めのためにラッチ凹部140と相互作用する。
【0082】
脛骨トライアルインプラント100は、図17および図18を用いて示されるハンドルGをさらに備え、ハンドルGは、取り外し可能に下側部102に(詳細には説明されない方法で)接続される。一方で、ハンドルGは、下側部102を容易に扱うために使用される。他方で、ハンドルGは、操作機構Bを備えており、操作機構Bは、高さ調節機構E´を簡単に、特に人間工学的に操作するために使用される。
【0083】
ハンドルGは、近位端150と遠位端151の間で長手方向に延在する。本実施例では、操作機構Bは、遠位端151の領域に配置されている。下側部102との解除可能な接続のために、本実施例のハンドルGは2つの接続要素を備えており、2つの接続要素のそれぞれは、遠位端151に配置されたラッチ要素152の形態を有する。一実施形態(図示せず)では、ラッチ要素は1つだけしか存在しない。2つのラッチ要素152は、横方向Yに互いに離間して配置されており、下側部102に接続された状態において、ラッチ相手要素153の形態を有する相補的な接続要素とそれぞれ相互作用する。したがって、ラッチ相手要素153は、横方向Yに互いに離間して配置されており、さらに本実施例では、制御輪118の両側に配置されている。
【0084】
図示の実施形態では、ラッチ要素152はそれぞれ、雄型ラッチ要素として構成されており、ラッチ相手要素153はそれぞれ、雌型ラッチ要素またはラッチスロットとして構成されている。ラッチ要素152は、ハンドルGの遠位端151から遠位方向に突出している。相補的なラッチ要素153は、ハンドルGの遠位方向において下側部102内へと延びている。ラッチ相手要素153は、上側シェル102aに形成されている。
【0085】
操作機構Bは、ハンドルGが下側部102に接続された状態において、力および動きを伝達するように少なくとも間接的に106a、106bにアクティブに接続される操作輪154を備える。操作輪154は、回転軸(詳細には示されていない)を中心として回転可能にハンドルGに取り付けられており、指回し式輪と呼ばれることもある。操作輪154を回転させると、駆動輪106a、106bが回転し、その結果、それに対応して上側部103の高さが調節される。
【0086】
図示の実施形態では、操作輪は、ハンドルGに回転可能に取り付けられている伝達輪155と、制御輪118によって、駆動輪106a、106bにアクティブに間接接続されている。このために、操作輪154は、伝達輪155の平歯と係合する平歯(詳細には示されていない)を備える。伝達輪155の平歯は、制御輪118の平歯119と噛み合う。ハンドルGが下側部102にラッチ留めされると、伝達輪155の歯は、制御輪118の歯119と係合する。ハンドルGが下側部102から引き離されると、伝達輪155と制御輪118の間の噛み合いが解除される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-03-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膝関節置換手術に使用される脛骨トライアルインプラント(1,100)であって、
脛骨固定のために設けられた下側部(2、102)と、
高さ方向(Z)において前記下側部(2、102)の上方に配置される上側部(3、103)であって、その上面に配置され、大腿骨コンポーネントとの滑動的な相互作用のために設けられた滑動面(5、105)を有する前記上側部(3、103)と、
前記上側部(3、103)および前記下側部(2、102)にアクティブに接続される高さ調節機構(E,E´)であって、前記高さ調節機構(E,E´)によって、前記上側部(3、103)が、前記滑動面(5、105)が前記下側部(2、102)の上方の第1の高さ(H1)に位置する第1の調節位置と、前記滑動面(5、105)が前記下側部(2、102)の上方の第2の高さ(H2)に位置する第2の調節位置との間で、前記下側部(2、102)に対して前記高さ方向(Z)に変位可能に案内される、前記高さ調節機構(E,E´)と、を備え、
前記高さ調節機構(E,E´)は、カムギアを備え、
前記カムギアは、
前記高さ方向(Z)と平行に配向された第1の回転軸(8a,8b)を中心をとして回転可能に前記下側部(2、102)に取り付けられており、前記高さ方向(Z)に立ち上がる制御カム(9a,9b,109a,109b)を備える、少なくとも1つの駆動輪(6a,6b,106a,106b)と、
前記上側部(3、103)に堅固に接続されており、前記制御カム(9a、9b、109a、109b)に滑動可能に支持される支持セクション(10a,10b,110a、110b)を備える、少なくとも1つの被駆動要素(7a,7b,107a,107b)と、を備え、
前記駆動輪(6a、6b、106a、106b)の回転運動によって、前記上側部(3、103)を前記第1の調節位置と前記第2の調節位置との間で変位させることができ
前記下側部(2)と少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の間に、スケールディスプレイ(S)が形成されており、前記スケールディスプレイ(S)は、表示要素とスケールを備えており、前記上側部(3)の調節位置および/または前記滑動面(5)の高さ(H1、H2)の読み取りを可能にする、ということを特徴とするか、若しくは、
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)は、前記下側部(102)に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイ輪(130a、130b)に、運動を伝達するように連結され、前記ディスプレイ輪(130a、130b)は、前記上側部(103)の調節位置および/または前記滑動面(105)の高さの読み取りを可能にするスケール(S´)を備える、ということを特徴とする、脛骨トライアルインプラント(1,100)。
【請求項2】
前記制御カム(9a、109a)は、前記第1の回転軸(8a)を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる制御面(11a、111a)によって形成されている、請求項1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
【請求項3】
前記支持セクション(10a、110a)は、前記第1の回転軸(8a、108a)を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる支持面(12a、112a)によって形成されている、請求項1または2に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
【請求項4】
前記上側部(3)と前記下側部(2)は、少なくとも1つの前記駆動輪(6a)と少なくとも1つの前記被駆動要素(7a)の間に形成されるプラグ接続によって取り外し可能に接続されるとともに、プラグ軸(17a)に沿って互いに対して滑動可能であり、
前記プラグ軸(17a)は、前記第1の回転軸(8a)と同軸に配向されている、請求項1から3の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記駆動輪(6a)は、前記第1の回転軸(8a)と同軸に延びる円筒孔(14a)を備え、
少なくとも1つの前記被駆動要素(7a)の相補的なプラグシリンダ(16a)は、前記プラグ接続を形成するように、前記円筒孔(14a)に取り外し可能に差し込まれる、請求項4に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項6】
前記高さ調節機構(E)は、前記カムギアの前にあるウォームギア(18、19a、19b)を備える、請求項1から5の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項7】
前記ウォームギア(18、19a、19b)は、自己保持性を備える、請求項6に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項8】
前記ウォームギア(18、19a、19b)は、前記高さ方向(Z)に対して垂直に配向された第2の回転軸(20)を中心として回転可能に前記下側部(2)に取り付けられるウォーム駆動シャフト(18)を備え、
前記ウォーム駆動シャフト(18)は、少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の歯付き外周セクション(19a、19b)、または少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の前にあるウォーム輪と相互作用する、請求項6または7に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項9】
前記ウォーム駆動シャフト(18)は、一端において、回転操作セクション(21)を備え、
前記回転操作セクション(21)は、前記第2の回転軸(20)を中心とした前記ウォーム駆動シャフト(18)の手動回転操作および/またはツール駆動回転操作のために構成されている、請求項8に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項10】
少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)および/または前記ウォーム駆動シャフト(18)は、前記下側部(2)の滑動ベアリング面(25b)に滑動的に回転可能に取り付けられており、
前記滑動ベアリング面(25b)は、複数の径方向洗浄突出部(26b)を備える、請求項1から9の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
【請求項11】
前記下側部(2、102)は、2つのシェルとして構成されており、上側シェル(2a、102a)と下側シェル(2b、102b)を備え、
少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b、106a、106b)および/または前記ウォーム駆動シャフト(18)は、前記上側シェル(2a、102a)と前記下側シェル(2b、102b)の間に保持される、請求項1から10の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
【請求項12】
前記高さ調節機構(E,E´)は、垂直な中長面(X-Z)に関して、少なくとも実質的に、好ましくは完全に鏡面対称に構成されており、
少なくとも2つの駆動輪(6a,6b,106a,106b)と、少なくとも2つの被駆動要素(7a,7b,107a,107b)と、が設けられる、請求項1から11の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1,100)。
【請求項13】
少なくとも2つの駆動輪(106a、106b)と少なくとも1つの制御輪(118)が存在し、これらはそれぞれ、平歯(119a、119b、119)を備え、
前記制御輪(118)は、2つの前記駆動輪(106a、106b)と平歯噛み合いしている、請求項1から12の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項14】
少なくとも1つの前記制御輪(118)は、追加の被駆動要素(107c)の追加の支持セクション(110c)と相互作用する追加の制御カム(109c)を備える、請求項13に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項15】
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)に対して回転しないように接続された少なくとも1つのキャッチ要素(132a、132b)が存在し、
少なくとも1つの前記キャッチ要素(132a、132b)は、前記駆動輪(106a、106b)の連続的な回転運動が前記ディスプレイ輪(130a、130b)の段階的な回転運動を生じさせるように、前記ディスプレイ輪(130a、130b)と断続的に相互作用する、請求項1から14の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項16】
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)に対して回転しないようにアクティブに接続されたラッチ要素(135)と、前記下側部(102)に配置された相補的なラッチ相手要素(139)と、を備えるラッチ装置が存在し、
前記ラッチ要素(135)と前記ラッチ相手要素(139)は、少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)が所定の回転位置にある場合に相互作用し、無効化可能なラッチ接続を形成する、請求項1から15の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項17】
操作機構(B)を有するとともに、前記下側部(102)に取り外し可能に接続可能なハンドル(G)が存在し、
前記操作機構(B)は、前記ハンドル(G)が前記下側部(102)に接続された状態で、少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)にアクティブに接続される操作輪(154)を備える、請求項1から16の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【請求項18】
前記ハンドル(G)は、その遠位端(151)に配置された少なくとも1つの接続要素(152)を備え、
少なくとも1つの前記接続要素(152)は、前記ハンドル(G)を前記下側部(102)に接続するために、前記下側部(102)の相補的な接続要素(153)に取り外し可能に接続される、請求項17に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
図示の実施形態では、操作輪は、ハンドルGに回転可能に取り付けられている伝達輪155と、制御輪118によって、駆動輪106a、106bにアクティブに間接接続されている。このために、操作輪154は、伝達輪155の平歯と係合する平歯(詳細には示されていない)を備える。伝達輪155の平歯は、制御輪118の平歯119と噛み合う。ハンドルGが下側部102にラッチ留めされると、伝達輪155の歯は、制御輪118の歯119と係合する。ハンドルGが下側部102から引き離されると、伝達輪155と制御輪118の間の噛み合いが解除される。
下記する項目は、出願当初の特許請求の範囲に記載されていた項目である。
(項目1)
膝関節置換手術に使用される脛骨トライアルインプラント(1,100)であって、
脛骨固定のために設けられた下側部(2、102)と、
高さ方向(Z)において前記下側部(2、102)の上方に配置される上側部(3、103)であって、その上面に配置され、大腿骨コンポーネントとの滑動的な相互作用のために設けられた滑動面(5、105)を有する前記上側部(3、103)と、
前記上側部(3、103)および前記下側部(2、102)にアクティブに接続される高さ調節機構(E,E´)であって、前記高さ調節機構(E,E´)によって、前記上側部(3、103)が、前記滑動面(5、105)が前記下側部(2、102)の上方の第1の高さ(H1)に位置する第1の調節位置と、前記滑動面(5、105)が前記下側部(2、102)の上方の第2の高さ(H2)に位置する第2の調節位置との間で、前記下側部(2、102)に対して前記高さ方向(Z)に変位可能に案内される、前記高さ調節機構(E,E´)と、を備え、
前記高さ調節機構(E,E´)は、カムギアを備え、
前記カムギアは、
前記高さ方向(Z)と平行に配向された第1の回転軸(8a,8b)を中心をとして回転可能に前記下側部(2、102)に取り付けられており、前記高さ方向(Z)に立ち上がる制御カム(9a,9b,109a,109b)を備える、少なくとも1つの駆動輪(6a,6b,106a,106b)と、
前記上側部(3、103)に堅固に接続されており、前記制御カム(9a、9b、109a、109b)に滑動可能に支持される支持セクション(10a,10b,110a、110b)を備える、少なくとも1つの被駆動要素(7a,7b,107a,107b)と、を備え、
前記駆動輪(6a、6b、106a、106b)の回転運動によって、前記上側部(3、103)を前記第1の調節位置と前記第2の調節位置との間で変位させることができる、脛骨トライアルインプラント(1,100)。
(項目2)
前記制御カム(9a、109a)は、前記第1の回転軸(8a)を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる制御面(11a、111a)によって形成されている、項目1に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
(項目3)
前記支持セクション(10a、110a)は、前記第1の回転軸(8a、108a)を中心として同軸に一定のピッチで螺旋状に延びる支持面(12a、112a)によって形成されている、項目1または2に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
(項目4)
前記上側部(3)と前記下側部(2)は、少なくとも1つの前記駆動輪(6a)と少なくとも1つの前記被駆動要素(7a)の間に形成されるプラグ接続によって取り外し可能に接続されるとともに、プラグ軸(17a)に沿って互いに対して滑動可能であり、
前記プラグ軸(17a)は、前記第1の回転軸(8a)と同軸に配向されている、項目1から3の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目5)
少なくとも1つの前記駆動輪(6a)は、前記第1の回転軸(8a)と同軸に延びる円筒孔(14a)を備え、
少なくとも1つの前記被駆動要素(7a)の相補的なプラグシリンダ(16a)は、前記プラグ接続を形成するように、前記円筒孔(14a)に取り外し可能に差し込まれる、項目4に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目6)
前記高さ調節機構(E)は、前記カムギアの前にあるウォームギア(18、19a、19b)を備える、項目1から5の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目7)
前記ウォームギア(18、19a、19b)は、自己保持性を備える、項目6に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目8)
前記ウォームギア(18、19a、19b)は、前記高さ方向(Z)に対して垂直に配向された第2の回転軸(20)を中心として回転可能に前記下側部(2)に取り付けられるウォーム駆動シャフト(18)を備え、
前記ウォーム駆動シャフト(18)は、少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の歯付き外周セクション(19a、19b)、または少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の前にあるウォーム輪と相互作用する、項目6または7に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目9)
前記ウォーム駆動シャフト(18)は、一端において、回転操作セクション(21)を備え、
前記回転操作セクション(21)は、前記第2の回転軸(20)を中心とした前記ウォーム駆動シャフト(18)の手動回転操作および/またはツール駆動回転操作のために構成されている、項目8に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目10)
少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)および/または前記ウォーム駆動シャフト(18)は、前記下側部(2)の滑動ベアリング面(25b)に滑動的に回転可能に取り付けられており、
前記滑動ベアリング面(25b)は、複数の径方向洗浄突出部(26b)を備える、項目1から9の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目11)
前記下側部(2)と少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b)の間に、スケールディスプレイ(S)が形成されており、
前記スケールディスプレイ(S)は、表示要素とスケールを備えており、前記上側部(3)の調節位置および/または前記滑動面(5)の高さ(H1、H2)の読み取りを可能にする、項目1から10の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1)。
(項目12)
前記下側部(2、102)は、2つのシェルとして構成されており、上側シェル(2a、102a)と下側シェル(2b、102b)を備え、
少なくとも1つの前記駆動輪(6a、6b、106a、106b)および/または前記ウォーム駆動シャフト(18)は、前記上側シェル(2a、102a)と前記下側シェル(2b、102b)の間に保持される、項目1から11の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1、100)。
(項目13)
前記高さ調節機構(E,E´)は、垂直な中長面(X-Z)に関して、少なくとも実質的に、好ましくは完全に鏡面対称に構成されており、
少なくとも2つの駆動輪(6a,6b,106a,106b)と、少なくとも2つの被駆動要素(7a,7b,107a,107b)と、が設けられる、項目1から12の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(1,100)。
(項目14)
少なくとも2つの駆動輪(106a、106b)と少なくとも1つの制御輪(118)が存在し、これらはそれぞれ、平歯(119a、119b、119)を備え、
前記制御輪(118)は、2つの前記駆動輪(106a、106b)と平歯噛み合いしている、項目1から13の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
(項目15)
少なくとも1つの前記制御輪(118)は、追加の被駆動要素(107c)の追加の支持セクション(110c)と相互作用する追加の制御カム(109c)を備える、項目14に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
(項目16)
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)は、前記下側部(102)に回転可能に取り付けられた少なくとも1つのディスプレイ輪(130a、130b)に、運動を伝達するように連結され、
前記ディスプレイ輪(130a、130b)は、前記上側部(103)の調節位置および/または前記滑動面(105)の高さの読み取りを可能にするスケール(S´)を備える、項目1から15の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
(項目17)
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)に対して回転しないように接続された少なくとも1つのキャッチ要素(132a、132b)が存在し、
少なくとも1つの前記キャッチ要素(132a、132b)は、前記駆動輪(106a、106b)の連続的な回転運動が前記ディスプレイ輪(130a、130b)の段階的な回転運動を生じさせるように、前記ディスプレイ輪(130a、130b)と断続的に相互作用する、項目16に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
(項目18)
少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)に対して回転しないようにアクティブに接続されたラッチ要素(135)と、前記下側部(102)に配置された相補的なラッチ相手要素(139)と、を備えるラッチ装置が存在し、
前記ラッチ要素(135)と前記ラッチ相手要素(139)は、少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)が所定の回転位置にある場合に相互作用し、無効化可能なラッチ接続を形成する、項目1から17の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
(項目19)
操作機構(B)を有するとともに、前記下側部(102)に取り外し可能に接続可能なハンドル(G)が存在し、
前記操作機構(B)は、前記ハンドル(G)が前記下側部(102)に接続された状態で、少なくとも1つの前記駆動輪(106a、106b)にアクティブに接続される操作輪(154)を備える、項目1から18の何れか一項に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
(項目20)
前記ハンドル(G)は、その遠位端(151)に配置された少なくとも1つの接続要素(152)を備え、
少なくとも1つの前記接続要素(152)は、前記ハンドル(G)を前記下側部(102)に接続するために、前記下側部(102)の相補的な接続要素(153)に取り外し可能に接続される、項目19に記載の脛骨トライアルインプラント(100)。
【国際調査報告】