(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】ルミネッセンス材料と二相冷却デバイスとを有するシステム
(51)【国際特許分類】
F21V 29/51 20150101AFI20230727BHJP
F21V 29/502 20150101ALI20230727BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20230727BHJP
F21V 9/30 20180101ALI20230727BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20230727BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20230727BHJP
【FI】
F21V29/51
F21V29/502 100
F21V29/70
F21V9/30
F28D15/02 Z
F28D15/02 102H
F28D15/02 102G
F21Y115:30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023509645
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2021070337
(87)【国際公開番号】W WO2022033818
(87)【国際公開日】2022-02-17
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ブッケムス ペーター ヨハンネス マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヴドヴィン オレクサンデル ヴァレンティノヴィッチ
(57)【要約】
本発明は、(i)ルミネッセンス本体200と、(ii)二相冷却デバイス400とを有するシステム1000であって、前記二相冷却デバイス400が、デバイス壁410を有し、前記デバイス壁410が、チャンバ450を画定し、前記デバイス壁410が、接触領域406を含む先細セクション405を有し、前記先細セクション405が、前記接触領域406に向かって先細になっており、前記ルミネッセンス本体200が、前記接触領域406に熱的に結合され、前記デバイス壁410が、前記接触領域406において第1厚さd1を有し、d1が、0.15乃至0.35mmの範囲から選択されるシステム1000を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ルミネッセンス本体と、(ii)二相冷却デバイスとを有するシステムであって、前記二相冷却デバイスが、デバイス壁を有し、前記デバイス壁が、チャンバを画定し、前記デバイス壁が、接触領域を含む先細セクションを有し、前記先細セクションが、前記接触領域に向かって先細になっており、前記ルミネッセンス本体が、前記接触領域に熱的に結合され、前記デバイス壁が、前記接触領域において第1厚さd
1を有し、d
1が、0.15乃至0.35mmの範囲から選択されるシステム。
【請求項2】
前記システムが、前記ルミネッセンス本体に光源光を供給するよう構成される光生成デバイスを更に有し、前記ルミネッセンス本体が、前記光源光の少なくとも一部をルミネッセンス材料光に変換するよう構成されるルミネッセンス材料を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記先細セクションが、20°乃至60°の範囲から選択されるテーパ角α
tで前記接触領域に向かって先細になっている請求項1乃至2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記デバイス壁が、第1面と第2面とを有し、前記第1面が、前記チャンバに向けられ、前記第2面が、前記二相冷却デバイスの外部に向けられ、前記先細セクションによって含まれる前記第1面の少なくとも一部が、≦120nmの表面粗さを有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記デバイス壁が、第2セクションを有し、前記先細セクションと前記第2セクションとが、一緒に、前記デバイス壁を画定し、前記第2セクションにおける前記デバイス壁が、≧0.4mmの範囲から選択される第2厚さd
2を有し、前記デバイス壁が、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンを含むグループから選択される熱伝導材料を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記ルミネッセンス本体が、特に前記接触領域によって定められる平面に垂直な、本体厚さd
bを有することができ、前記本体厚さd
bが、≦1mm、特に≦0.8mmのような、≦0.6mm、特に≦0.5mmのような、≦2mmである請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記接触領域が、1乃至100mm
2の範囲から選択される接触面積a
cを有し、前記二相冷却デバイスが、デバイス軸を有し、前記二相冷却デバイスが、前記デバイス軸に垂直な平均断面積a
mを有し、a
c≦0.7*a
mであり、前記チャンバが、中空である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記チャンバ内のチャンバガス圧p
cが、0.1乃至0.5barの範囲から選択され、前記システムが、圧力制御要素を有し、前記接触領域が、外部空気圧にさらされ、前記圧力制御要素が、前記外部空気圧を0.9*p
c乃至1.3*p
cの範囲内で制御するよう構成される請求項1乃至7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記二相冷却デバイスが、前記接触領域の反対側に配設される第2接触領域を有し、前記システムが、熱交換器を更に有し、前記第2接触領域が、前記熱交換器に熱的に結合され、前記チャンバが、≧1cm
3の体積を有する請求項の1乃至8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記光生成デバイスが、前記二相冷却デバイスに熱的に結合される請求項2乃至9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムが、制御システムと、温度センサとを更に有し、前記温度センサが、前記ルミネッセンス本体のコア温度を決定し、前記制御システムに温度関連信号を供給するよう構成され、前記制御システムが、前記光生成デバイスを制御することによって前記ルミネッセンス本体の前記コア温度を≦200℃の範囲内で制御するよう構成される請求項2乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記二相冷却デバイスが、ヒートパイプ又はベーパーチャンバを有する請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記光生成デバイスが、レーザを有する請求項1乃至12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
ランプ、照明器具、プロジェクタデバイス、消毒デバイス、及び光無線通信デバイスのグループから選択される光生成システムであって、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステムを有する光生成システム。
【請求項15】
前記光生成システムが、複数のシステムを有し、前記複数のシステムのうちの少なくとも2つのシステムの二相冷却デバイスが、異なる第1厚さd
1を有する請求項14に記載の光生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルミネッセンス本体(luminescent body)と二相冷却デバイス(two-phase cooling device)とを有するシステムに関する。本発明は、更に、前記システムを有する光生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ルミネッセンス本体と二相冷却デバイスとを有するシステムは、当技術分野において知られている。例えば、US2013049041A1は、能動光学要素を組み込む熱伝導及び相転移熱伝達機構について記載している。能動光学要素の例は、光を発するための様々な蛍光体材料、様々な電気的に駆動される発光体、及び光に応じて電流又は電気信号を生成する様々なデバイスを含む。熱伝導及び相転移熱伝達機構の、蒸発と凝縮との間の相転移及び熱伝導は、動作中、能動光学要素を冷却する。能動光学要素の少なくとも一部は、熱伝達機構の蒸気気密チャンバ内の作動流体にさらされる。熱伝達機構は、能動光学要素への又は能動光学要素からの光の通過を可能にし、且つチャンバ内に含まれる蒸気に関して熱伝達機構のチャンバを密閉するために、少なくとも部分的に光学的に透過性である部材を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
熱源から熱を除去することは、高輝度照明が必要とされる場合などの、高い電力が必要とされ、発熱がかなりのものである場合には、困難であることがある。とりわけ、小さな蛍光体構成要素などの相対的にルミネッセンス発光性の本体を使用するレーザベースの照明などの相対的に小さな発熱領域に対して十分な冷却を提供することは困難であることがある。完全な水のシステム(full water system)は、高温面のそばを通ることができる液体段階の水の量及び圧力によって制限されることがある。
【0004】
従来技術は、ハウジング内の、ドライバなどの電子部品であって、ハウジング内のそれ以外の空きスペースは熱界面材料(thermal interface material)で埋められる電子部品について述べている場合がある。しかしながら、ポリマ系複合材料及び黒鉛型熱界面材料などの熱界面材料は、一般に、2000W/mKまでの最大熱伝導率を有する場合がある。
【0005】
ヒートパイプ及びベーパーチャンバなどの二相デバイスは、熱伝導率と相転移との両方に基づいて、2つの場所の間で熱を伝達し得る。とりわけ、冷却液は、熱源において熱を吸収することによって蒸気になることができ、前記蒸気が凝縮して液体になり、潜熱を放出し得る熱交換器まで二相冷却デバイスに沿って移動し得る。しかしながら、発光デバイスを更に含むシステムなどの、このような二相デバイスを含むシステムは、依然として熱的に制限される場合があり、それによって、システムが動作され得る(最大)電力を制限する。
【0006】
従って、代替システムを提供することが、本発明の或る態様であり、前記代替システムは、好ましくは、更に、上記の不利な点のうちの1つ以上を少なくとも部分的に取り除く。本発明は、従来技術の不利な点のうちの少なくとも1つを解消若しくは改善すること、又は有用な代替手段を提供することを目的とし得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本発明は、第1態様においては、熱源、特に、ルミネッセンス本体と、(「二相デバイス」とも呼ばれる)二相冷却デバイスとを有するシステムを提供し得る。前記二相冷却デバイスは、デバイス壁を有してもよく、特に、前記デバイス壁は、(細長い)チャンバを画定する。前記デバイス壁は、先細セクションを有してもよい。前記先細セクションは、接触領域を有してもよく、特に、前記先細セクションは、前記接触領域に向かって先細になっている。前記接触領域は、前記二相冷却デバイスのデバイス軸に沿った第1端部に配設されてもよい。とりわけ、前記接触領域は、前記デバイス軸に(本質的に)垂直な平面領域によって画定されてもよい。従って、前記先細セクションは、前記第1端部に向かって先細になっていてもよい。前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体は、前記接触領域に熱的に結合されてもよい。実施形態においては、前記デバイス壁は、前記接触領域において第1厚さd1を有してもよく、d1は、0.05乃至0.4mmの範囲から、特に、0.15乃至0.35mmの範囲からなどの、0.1乃至0.4mmの範囲から選択され、前記第1厚さd1は、特に、前記デバイス軸に沿って画定され得る。
【0008】
特定の実施形態においては、前記システムは、(i)ルミネッセンス本体と、(ii)二相冷却デバイスとを有してもよく、前記二相冷却デバイスは、デバイス壁を有し、前記デバイス壁は、チャンバを画定し、前記デバイス壁は、接触領域を含む先細セクションを有し、前記先細セクションは、前記接触領域に向かって先細になっており、前記ルミネッセンス本体は、前記接触領域に熱的に結合され、前記デバイス壁は、前記接触領域において第1厚さd1を有し、d1は、0.15乃至0.35mmの範囲から選択される。
【0009】
本発明のシステムは、十分な耐(機械的)応力性を保ちながら、相対的に薄い前記接触領域のために、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体から前記二相冷却デバイス(内の液体)への熱伝達が改善され得るという利点を提供し得る。例えば、ヒートパイプは、一般に、前記ヒートパイプが熱伝達のためにさらされる可能性のある(機械的)応力に耐えることができるような、約0.4mm以上の壁厚を有し得る。本発明の二相冷却デバイスの厚さの局所的な削減は、前記接触領域の第1側面と第2側面との間の低い温度差(ΔT)をもたらす可能性があり、このことは、前記二相冷却デバイスによって促進される熱伝達全体を向上させ得る。(前記接触領域の)前記第1側面は、特に、前記チャンバに面していてもよいのに対して、(前記接触領域の)前記第2側面は、特に、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体に面していてもよい。
【0010】
とりわけ、前記先細セクションは、前記接触領域に向かって前記二相冷却デバイスの断面積を減少させ得る。従って、前記接触領域の面積は、相対的に小さい可能性があるが、厚さの削減により、より低いΔTにおいてより多くの熱伝達を可能にし得る。前記先細セクションは、水が(先細)デバイス壁に沿って前記接触領域へ流れることを可能にしながら、特にデバイス軸に沿った、前記接触領域から上方への蒸気の移動を促進し得る。とりわけ、前記二相冷却デバイスは、前記接触領域とは反対側の第2接触領域を介して熱交換器に機能的に結合されてもよく(下記参照)、前記第2接触領域は、熱交換器への熱伝達のための液体/表面の制限が低減され得るように、(先細のため)前記接触領域よりも大きな面積を有する。とりわけ、一般的なヒートパイプなどの一般的な二相冷却デバイスにおいては、熱が、相対的に大きな表面から同様に大きな表面へ伝達され得るが、本発明のシステムは、二相冷却デバイスに「ホットスポット」を設け、高出力密度で前記ホットスポットから熱を除去する。前記熱伝達が向上されるので、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体は、より効果的に冷却される可能性があり、このことは、同じ動作電力における前記熱源の温度の低下をもたらし、このことは、更に、加熱による前記二相冷却デバイスの機械的応力の減少をもたらす。更に、前記熱源は、本発明の二相冷却デバイスの最大応力レベルを超えないようにしながら、より高い電力において動作されることができ、より高い輝度をもたらす。
【0011】
更に、前記先細セクションは、動作中、冷却液を前記接触領域まで案内し得るので、前記先細セクションは、前記二相冷却デバイスの作用角(working angle)を増加させ得る。とりわけ、一般的な二相冷却デバイスのウィック(wick)は、高い局所熱負荷で相対的に早く乾燥する傾向があるが、前記先細セクション、特に、V字形の先細セクションは、液体を、重力により前記接触領域に戻るよう誘導しながら、前記二相冷却デバイスを傾けることを容易にし得る。
【0012】
実施形態においては、本発明は、熱源、特に、ルミネッセンス本体を有するシステムを提供し得る。「熱源」という用語は、本明細書においては、動作中に熱を発生させる物体を指すことがある。「熱源」という用語は、とりわけ、持続的な動作のためには冷却を必要とする可能性がある物体を指すことがある。例えば、実施形態においては、前記熱源は、ルミネッセンス本体、制御システム、ドライバ、プリント回路基板(PCB)、及び(LED又はダイオードレーザなどの)発光デバイスを含むグループから選択される要素を有してもよい。
【0013】
例えば、実施形態においては、前記システムは、複数の二相冷却デバイスを有してもよく、前記複数の冷却デバイスは、(単一の)PCBに熱的に結合され、特に、前記PCBの異なるPCB構成要素に熱的に結合される。このような実施形態においては、異なるPCB構成要素は、異なる量の熱伝達を必要とすることがあるので、前記複数の冷却デバイスは、特に、d1について異なる値を有することがある。
【0014】
前記熱源は、とりわけ、ルミネッセンス本体であり得る。前記ルミネッセンス本体は、ルミネッセンス材料、特に、蛍光体を有してもよい。実施形態においては、前記ルミネッセンス本体は、層、多層、又は焼結体、特に、セラミック体を有してもよい。「ルミネッセンス材料」という用語は、本明細書においては、光源放射線(下記参照)をルミネッセンス材料放射線に変換するよう構成される材料を指すことがあり、この変換は、一般に(かなりの)発熱を伴い得る。特定の実施形態においては、前記ルミネッセンス本体は、セラミック体又は単結晶を有する。
【0015】
本発明は、本明細書においては、説明目的で、主に、前記熱源がルミネッセンス本体を有する実施形態に関して説明され得る。しかしながら、本発明がこのような実施形態に限定されないことは、当業者には明らかであるだろう。
【0016】
前記システムは、二相冷却デバイスを更に有してもよい。二相冷却デバイスは、熱伝導率と相転移との両方に基づいて、2つの場所の間で熱を伝達するデバイスであり得る。とりわけ、前記二相冷却デバイスには、(例えば、銅製デバイスの場合は)水又は(例えば、アルミニウム製デバイスの場合は)アセトンなどの液体が加えられることがあり、前記二相冷却デバイスは、真空封止(vacuum seal)されることがある。前記二相デバイスの或る領域に熱が加えられる場合、前記液体は、蒸気に変わり、より低い圧力の領域に移動することができ、前記より低い圧力の領域において、前記蒸気は、冷え、液体の形態に戻り、そうすると、前記液体は、前記熱源に戻る。
【0017】
実施形態においては、前記二相冷却デバイスは、特にヒートパイプ若しくはベーパーチャンバ要素、特にヒートパイプ、又は特にベーパーチャンバ要素を有してもよい。ベーパーチャンバ要素及びヒートパイプは、当技術分野において知られており、本質的に同じ原理に基づいていてもよい。前記ヒートパイプと前記べーパーチャンバ要素との間の違いは、前記ヒートパイプは、本質的にロッド状の形状を有し得るのに対して、前記べーパーチャンバ要素は、一般に、平面形状を有し得ることであり得る。とりわけ、前記べーパーチャンバ要素は、(最大5mmのような)短い相対距離にある2つの本質的に平面のプレートを含み得る。更に、前記ベーパーチャンバ要素の場合は、前記ホットスポットが相対的に自由に選ばれ得るのに対して、ヒートパイプの場合は、一般に、円筒形ヒートパイプの基部(base)などの、前記ロッドの、反対側に置く側部(opposing sides)に、熱い側部と冷たい側部とがある。
【0018】
前記二相冷却デバイスは、デバイス壁を有してもよく、特に、前記デバイス壁は、(細長い)チャンバを画定する。とりわけ、前記デバイス壁は、前記チャンバを囲んでもよい。前記デバイス壁は、一般に、気密であってもよい。前記デバイス壁は、特に、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン、ニッケル、モネル、タングステン、ニオブ、タングステン、モリブデン及びインコネルを含むグループから選択される熱伝導材料を有してもよい。とりわけ、中温二相冷却デバイスは、ニッケルを有する可能性があり、高温二相冷却デバイスは、モネル、タングステン、ニオブ、モリブデン及びインコネルのうちの1つ以上を有する可能性がある。実施形態においては、合金などの、例えば2つ以上の金属の、材料の組み合わせも適用され得る。ルミネッセンス本体に機能的に結合するよう構成される二相冷却デバイスは、特に、このようなシステムの動作温度にとりわけ適している可能性がある、銅、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンを含むグループから選択される熱伝導性材料を含むデバイス壁を有してもよい。
【0019】
更なる実施形態においては、前記デバイス壁は、低い熱膨張率を持つ材料、特にセラミック材料、より特に(石英)ガラスを有してもよい。とりわけ、低い熱膨張率は、より低い機械的応力をもたらす可能性があり、このことは、前記厚さを更に(局所的に)減少させることを可能にし得る。例えば、石英ガラスは、前記石英ガラスを破壊することなく、一方の側部において前記石英ガラスを加熱し、他方の側部において前記石英ガラスを極度に冷却することを可能にする、0に近い熱膨張率を持つ場合があり、このことは、より小さなΔTを得ることを容易にし得る。
【0020】
前記チャンバは、特に、細長いチャンバであってもよく、特に、前記チャンバの伸長軸は、前記接触領域に対して垂直である。前記デバイス軸は、特に、前記チャンバの前記伸長軸と平行であってもよい。
【0021】
前記二相冷却デバイス、特に、前記デバイス壁は、第1セクションを有してもよい。前記第1セクションは、前記二相冷却デバイスのデバイス軸に沿った(前記二相冷却デバイスの)第1端部に接触領域を有してもよい。前記第1セクションは、第1壁セグメントと第2壁セグメントとを有してもよく、前記第1壁セグメントは、前記接触領域を画定し、前記デバイス軸に対して(本質的に)垂直に配設される。実施形態においては、前記第2壁セグメントは、特に、前記デバイス軸と平行であってもよい。更なる実施形態においては、前記第1セクションは、先細セクションであってもよい。
【0022】
従って、前記二相冷却デバイス、特に、前記デバイス壁は、先細セクションを有してもよい。前記先細セクションは、前記接触領域に向かって先細になっていてもよい。従って、前記二相冷却デバイスの、特に、前記チャンバの断面であって、前記接触領域における、前記デバイス軸に対して垂直な断面は、前記先細セクションの、前記接触領域とは反対側の端部における前記二相冷却デバイスの第2断面であって、前記デバイス軸に対して垂直な第2断面よりも小さな面積を有してもよい。とりわけ、前記接触領域における断面は、前記二相冷却デバイスの、前記デバイス軸に垂直な全ての断面のうちで最も小さい面積を有してもよい。
【0023】
前記接触領域は、特に、前記二相冷却デバイスのデバイス軸に沿った(前記二相冷却デバイスの)第1端部に配設されてもよい。前記接触領域は、平面形状を有してもよく、特に、前記接触領域は、前記デバイス軸に対して垂直に配設される。とりわけ、前記先細セクションが、前記接触領域を有してもよい。従って、前記先細セクションは、第1壁セグメントと第2壁セグメントとを有してもよく、前記第1壁セグメントは、前記接触領域を画定し、前記デバイス軸に対して(本質的に)垂直に配設され、前記第2壁セグメントは、前記デバイス軸に対してテーパ角(tapering angle)αtで配設され、20≦αt≦60である。実施形態においては、前記テーパ角αtは、本質的に一定であってよく、例えば、(前記デバイス軸に沿った)前記第2壁セクションの長さの少なくとも80%に沿って一定であってもよい。しかしながら、更なる実施形態においては、前記テーパ角αtは、前記先細セクションに沿って、特に前記デバイス軸に沿って、変化してもよい。
【0024】
実施形態においては、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体は、前記接触領域に熱的に結合されてもよく、即ち、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体は、前記接触領域と熱的接触していてもよい。特に、「熱的接触」という用語は、要素が、別の要素と熱の処理(process)を通してエネルギのやりとりをすることができることを示すことがある。実施形態においては、2つの要素が互いに対して約10μm以下の距離を置いて配設される場合、前記2つの要素間の熱的接触が達成され得るが、最大100μmなどのより大きな距離が可能であり得る。前記距離が短ければ短いほど、前記熱的接触は良好であり得る。特に、前記距離は、5μm以下などの、10μm以下であってもよい。前記距離は、それぞれの要素の2つのそれぞれの表面の間の距離であってもよい。前記距離は、平均距離であってもよい。例えば、前記2つの要素は、複数の位置などの、1つ以上の位置において物理的に接触していてもよいが、1つ以上の、特に複数の他の位置においては、前記要素は物理的に接触していない。例えば、一方又は両方の要素が粗い表面を有する場合、これが当てはまり得る。従って、実施形態においては、前記2つの要素間の距離は、平均において、10μm以下であり得る(が、最大100μmなどのより大きな平均距離が可能であり得る)。実施形態においては、前記2つの要素の2つの表面は、1つ以上の距離保持具(distance holder)によって或る距離を保たれ得る。
【0025】
本明細書においては、「熱的接触」という用語は、特に、少なくとも50W/mKなどの、少なくとも20W/mKなどの、少なくとも約10W/mKの熱伝導率を供給し得る要素の配置を指すことがある。実施形態においては、「熱的接触」という用語は、特に、少なくとも170W/mK、特に少なくとも約200W/mKなどの、少なくとも約150W/mKの熱伝導率を供給し得る要素の配置を指すことがある。実施形態においては、「熱的接触」という用語は、特に、少なくとも300W/mK、特に少なくとも約400W/mKなどの、少なくとも約250W/mKの熱伝導率を供給し得る要素の配置を指すことがある。
【0026】
前記接触領域と、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体との間の空隙は、熱伝達に悪影響を及ぼす可能性がある。従って、実施形態においては、前記システムは、前記接触領域と前記ルミネッセンス本体との間に配設される放熱グリス(thermal paste)を有してよい。前記放熱グリスは、特に、前記接触領域及び前記ルミネッセンス本体に熱的接触していてもよい。前記放熱グリスは、特に、少なくとも0.1W/mKの熱伝導率、特に、少なくとも2W/mKなどの、少なくとも1W/mKの熱伝導率を供給し得る。実施形態においては、前記放熱グリスは、0.1乃至5W/mKの範囲などの、0.1乃至15W/mKの範囲から選択される熱伝導率を有し得る。
【0027】
従って、前記二相冷却デバイスは、前記熱源から離れるように、特に、前記ルミネッセンス本体から離れるように、熱を輸送するよう構成され得る。
【0028】
実施形態においては、前記デバイス壁は、前記接触領域において第1厚さd1を有してもよく、特に、d1は、≦0.4mmである。更なる実施形態においては、d1は、0.1乃至0.4mmの範囲、特に、0.15乃至0.35mmの範囲からなどの、0.05乃至0.4mmの範囲から選択されてもよい。前記第1厚さd1は、特に、前記デバイス軸に沿って画定され得る。とりわけ、小さいd1は、とりわけ小さいΔTを持つ低電力システムを提供することを可能にする可能性があり、このデバイスは、前記熱源を過熱することなく、より高い周囲温度で動作することができる可能性がある。
【0029】
一般に、二相冷却デバイスは、典型的には、筐体(管又は平面形状)の内壁に適用されるウィック構造(焼結粉末、網目スクリーン、及び/又は溝)を含み得る。しかしながら、本発明の二相冷却デバイス、特に、前記チャンバは、中空であってもよく、即ち、前記二相冷却デバイスには、(本質的に)ウィック構造がなくてもよい。二相デバイスにおけるウィック構造は、一般に、前記液体が、前記二相デバイスの冷たい側部において凝縮されると、前記二相デバイスの熱い側部に戻るような毛細管効果を提供する役割を果たし得る。しかしながら、前記ウィック構造は、前記二相デバイスの全体的な熱伝達を制限する場合がある。
【0030】
したがって、本発明の二相デバイスは、一般に、中空であってもよい。とりわけ、前記二相デバイスの前記先細セクションは、重力が、前記液体を、前記冷たい側部において凝縮されると、引っ張るので、前記液体を前記接触領域まで案内し得る。
【0031】
前記二相冷却デバイスがベーパーチャンバ要素を有する実施形態においては、前記ベーパーチャンバ要素は、2つの平行に構成されるプレートによって少なくとも部分的に画定されるベーパーチャンバ要素を有してもよく、即ち、実施形態においては、前記ベーパーチャンバ要素は、特に間にベーパーチャンバを備える、第1プレート及び第2プレートを有してもよい。前記第1プレート及び前記第2プレートは、特に平行に配設され得る。従って、実施形態においては、前記ベーパーチャンバは、チャンバ高さに等しい平均プレート距離を有する少なくとも第1プレート及び第2プレートによって画定されてもよく、即ち、前記第1プレート及び前記第2プレートは、前記チャンバ高さを画定し得る。それらのプレートは、閉じたチャンバを供給するよう、前記プレートの縁端部において溶接されてもよい。前記プレートはまた、1つ以上の縁端部と一緒に、前記べーパーチャンバを画定し得る。実施形態においては、前記第1プレートのかなりの部分及び前記第2プレートのかなりの部分にわたって、前記プレートは平行に構成され得る。例えば、前記第1プレートの面積の少なくとも90%のような、少なくとも80%などの、少なくとも50%にわたって、及び前記第2プレートの面積の少なくとも90%のような、少なくとも80%などの、少なくとも50%にわたって、前記プレートは平行に構成され得る。従って、前記第1プレートのかなりの部分及び前記第2プレートのかなりの部分にわたって、前記プレート間の距離は、本質的に変化しない場合がある。前記第1プレート及び前記第2プレートは、特に、角丸矩形のような、(同じ)矩形に近似し得る。とりわけ、前記平行に構成されるプレートに関する「平行」という用語は、本明細書においては、2つのプレートが、前記プレートのかなりの部分にわたって互いから本質的に同じ(最短)距離を有することを指し得る。従って、前記2つのプレートは、例えば、特に同じ曲率半径で曲げられてもよく、それでも平行であるとみなされ得る。従って、このような実施形態においては、前記(細長い)チャンバは、前記べーパーチャンバであり得る。
【0032】
実施形態においては、前記デバイス壁は、単一のピース(の材料)から成形されてもよい。
【0033】
実施形態においては、前記チャンバは、少なくとも0.5cm3、特に少なくとも(約)1cm3などの、少なくとも約2cm3、特に少なくとも約5cm3などの、約10cm3などの、少なくとも(約)1mm3のチャンバ体積を有していてもよい。実施形態においては、前記チャンバ体積は、最大で500cm3、特に最大で100cm3などの、最大で25cm3、更により特に最大で(約)10cm3などの、最大で(約)1000cm3であってもよい。とりわけ、前記チャンバ体積が大きい場合、前記チャンバは、更に、(補助)ヒートシンクとしての役割を果たし得る。
【0034】
実施形態においては、前記システムは、光生成デバイス、特に、レーザベースの光生成デバイスを更に有してもよい。前記(レーザベースの)光生成デバイスは、(レーザ)光源光を、特に1つ以上の光学要素を介して、前記ルミネッセンス本体に供給するよう構成されてもよい。従って、前記光生成デバイスは、レーザを有してもよい。特定の実施形態においては、前記光生成デバイスは、光源を有し、前記光源は、ダイオードレーザのような、レーザを有する。特定の実施形態においては、前記光生成デバイスは、レーザである。
【0035】
前記ルミネッセンス本体は、前記(入射)光源光(の少なくとも一部)をルミネッセンス材料光に変換するよう構成され得る。とりわけ、前記ルミネッセンス本体は、前記(入射)光源光の少なくとも一部をルミネッセンス材料光に変換するよう構成されるルミネッセンス材料を有してもよい。
【0036】
実施形態においては、前記二相冷却デバイス、特に、前記先細セクションは、テーパ角αtで前記接触領域に向かって先細になっていてもよい。前記テーパ角αtは、特に、前記デバイス壁によって画定される2つの平面の間の(最小)角度であってもよく、特に、前記2つの平面のうちの第1平面は、前記先細セクションによって画定され、特に、前記2つの平面のうちの第2平面は、前記デバイス軸に平行である。従って、前記テーパ角αtはまた、前記先細セクションによって定められる平面と、前記デバイス軸との間の(最小)角度であってもよい(と定義されてもよい)。
【0037】
実施形態においては、前記二相冷却デバイスの少なくとも一部、特に、前記第2セクションは、円筒形状を有してもよい。更なる実施形態においては、前記先細セクションは、円錐台(conical frustum)に近い形状を有してもよい。このような実施形態においては、前記第1平面は、特に、(i)前記円錐台の上面と下面との間に渡される、前記円錐台の表面に沿って走る最短線、及び(ii)この最短線に沿った点における前記円錐台の接線に平行に定められ得る。更なる実施形態においては、前記接触領域は、円形の形状を有してもよい。
【0038】
更なる実施形態においては、前記第2セクションはまた、直角四角柱又は直角六角柱などの、直角柱形状を有してもよい。更なる実施形態においては、前記先細セクションは、4つ又は6つの側面を備える角錐形状などの、角錐形状を有してもよい。更なる実施形態においては、前記接触領域は、正方形又は六角形などの、正多角形の形状を有してもよい。
【0039】
とりわけ、前記先細セクションは、前記先細セクションの一方の側において前記第2セクションの形状を提供しながら、前記先細セクションの他方の側において前記接触領域の形状を提供するように選択される形状を有してもよい。例えば、前記先細セクションは、円筒形の第2セクションから正方形の接触領域に向かって先細になっていてもよい。
【0040】
実施形態においては、前記(平均)テーパ角αtは、10°乃至70°の範囲から、特に、25°乃至55°の範囲からなどの、20°乃至60°の範囲から選択され得る。更なる実施形態においては、αtは、≧15°などの≧10°、特に、≧25°などの≧20°、特に≧30°である。更なる実施形態においては、αtは、≦65°などの≦70°、特に、≦55°などの≦60°、特に≦50°である。
【0041】
前記二相デバイスのために小さい又は大きいテーパ角αtを選択する矛盾する理由が存在し得る。とりわけ、より大きなテーパ角は、前記二相デバイスのより大きな作用角をもたらす可能性があり、即ち、より大きなテーパ角αtは、鉛直動作からの逸脱に対する前記二相デバイスのより大きな許容範囲をもたらし得る。しかしながら、より小さなテーパ角は、前記接触領域への(冷却)液体の流れの改善をもたらし得る。従って、前記テーパ角αtは、特に、20°乃至60°の範囲からなどの、25°乃至65°の範囲から選択され得る。矛盾する利点を考慮すると、このようなテーパ角αtが、とりわけ有利であり得る。
【0042】
更なる実施形態においては、前記先細セクションは、(本質的に)一定のテーパ角αtで(前記接触領域に向かって)先細になっていてもよい。従って、前記テーパ角αtは、前記先細セクションの、少なくとも70%、特に少なくとも80%などの、少なくとも90%などの、少なくとも60%に沿って、一定であってもよい。
【0043】
更なる実施形態においては、前記先細セクションは、変化する角度で前記接触領域に向かって先細になっていてもよい。従って、前記テーパ角αtは、特に、(前記先細セクションの)平均テーパ角αtであってもよい。
【0044】
前記システムの動作中、前記デバイス壁に気泡(蒸気)が生じることがあり、このことは、局所的に熱伝達を低減させることがある。とりわけ、前記接触領域(又は前記接触領域の近く)に気泡が生じる場合には、前記熱源から前記二相デバイスへの熱伝達が低減されることがある。従って、実施形態においては、前記二相冷却デバイス、特に、前記先細セクションは、内側に、滑らかな表面を有してもよい。とりわけ、実施形態においては、前記デバイス壁は、第1面と第2面とを有してもよく、前記第1面は、前記チャンバに向けられ、前記第2面は、前記二相冷却デバイスの外部に向けられ、前記先細セクションによって含まれる前記第1面の少なくとも一部は、≦40nm、特に≦25nmなどの、≦15nm、特に≦10nmなどの、≦5nm、特に≦3nmなどの、≦2nmなどの、≦120nm、特に≦60nmの表面粗さを有する。
【0045】
(前記第1面の)表面は、前記二相冷却デバイスの他の部分においては、より粗くてもよい。従って、更なる実施形態においては、前記先細セクションに含まれない前記第1面の少なくとも一部、特に、前記接触領域に含まれない前記第1面の少なくとも一部は、前記先細セクションによって(又は前記接触領域によって)含まれる前記第1面の少なくとも一部よりも大きな表面粗さを有してもよい。
【0046】
実施形態においては、前記デバイス壁は、第2セクションを有してもよい。とりわけ、前記先細セクションと前記第2セクションとが、一緒に、前記デバイス壁を画定してもよく、即ち、前記デバイス壁は、前記先細セクション及び前記第2セクションから成っていてもよい。前記デバイス壁は、前記第2セクションにおいて、0.4乃至2mmの範囲、特に0.4乃至1mmの範囲からなどの、0.4乃至0.6mmの範囲からなどの、≧0.4mmの範囲から選択され、特に、0.4乃至3mmの範囲から選択される第2厚さd2を有してもよい。
【0047】
従って、前記デバイス壁は、前記接触領域に比べて前記第2セクションにおいてより厚くてもよい。前記二相冷却デバイスは、一般に、材料応力に対する耐性を高めるために第2厚さd2を有し得るが、前記接触領域における、特に、前記ルミネッセンス本体と前記接触領域との間などの、前記熱源と前記接触領域との間の、熱伝達を増大させるために、局所的に、特に前記接触領域においては、低減した厚さを有し得る。とりわけ、d1/d2は、≦0.7、特に≦0.6などの、≦0.5などの、≦0.9、特に≦0.8である。更なる実施形態においては、d1/d2は、≧0.4、特に≧0.5などの、≧0.6などの、≧0.3である。
従って、更なる実施形態においては、前記先細セクションにおける前記デバイス壁の少なくとも一部は、前記第2厚さd2を有してもよい。
【0048】
実施形態においては、前記ルミネッセンス本体は、特に前記接触領域によって定められる平面に垂直な、本体厚さdbを有することができ、前記本体厚さdbは、≦1mm、特に≦0.8mmなどの、≦0.6mm、特に≦0.5mmなどの、≦2mmである。
【0049】
実施形態においては、前記接触領域は、5乃至60mm2の範囲、特に10乃至30mm2の範囲からなどの、1乃至100mm2の範囲から選択される接触面積acを有してもよい。更なる実施形態においては、ac≧0.5mm2、特にac≧1mm2などの、ac≧2mm2、特にac≧5mm2などの、ac≧10mm2、特にac≧15mm2などの、ac≧0.1mm2である。更なる実施形態においては、ac≦100mm2、特にac≦80mm2などの、ac≦60mm2、特にac≦50mm2、より特にac≦40mm2などの、ac≦30mm2、特にac≦20mm2などの、ac≦150mm2である。
【0050】
上記のように、前記二相冷却デバイスは、デバイス軸を有してもよい。前記デバイス軸は、前記接触領域に対して垂直に、即ち、前記接触領域における壁セクションによって定められる平面に対して垂直に配設されてもよい。
【0051】
前記接触面積acは、特に、前記デバイス軸に垂直な(前記二相冷却デバイスの)断面積であってもよい。
【0052】
実施形態においては、前記二相冷却デバイスは、前記デバイス軸に垂直な平均断面積amを有してもよく、ac≦0.7*am、特にac≦0.6*amなどの、ac≦0.5*amなどの、ac≦0.8*amである。更なる実施形態においては、ac≧0.2*am、特にac≧0.3*amなどの、ac≧0.5*amなどの、ac≧0.1*amである。
【0053】
更なる実施形態においては、前記第2セクションは、前記デバイス軸に垂直な(平均)断面積a2を有してもよく、ac≦0.7*a2、特にac≦0.6*a2などの、ac≦0.5*a2などの、ac≦0.8*a2である。更なる実施形態においては、ac≧0.2*a2、特にac≧0.3*a2などの、ac≧0.5*a2などの、ac≧0.1*a2である。
【0054】
前記接触面積acは、特に、前記接触面積に面する、前記熱源の面、特に、前記ルミネッセンス本体の面と同様の面積を有してもよい。従って、実施形態においては、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体は、5乃至60mm2の範囲、特に10乃至30mm2の範囲からなどの、1乃至100mm2の範囲から選択される接触面積ahを有してもよい。更なる実施形態においては、ah≧0.5mm2、特にah≧1mm2などの、ah≧2mm2、特にah≧5mm2などの、ah≧10mm2、特にah≧15mm2などの、ah≧0.1mm2である。更なる実施形態においては、ah≦100mm2、特にah≦80mm2などの、ah≦60mm2、特にah≦50mm2、より特にah≦40mm2などの、ah≦30mm2、特にah≦20mm2などの、ah≦150mm2である。とりわけ、実施形態においては、0.9≦ah/ac≦1.1などの、0.8≦ah/ac≦1.2である。
【0055】
二相冷却デバイスは、一般に、低いガス圧、即ち、前記チャンバ内の低いガス圧で動作され得る。とりわけ、前記二相冷却デバイスは、前記チャンバ内の冷却液の蒸発圧力、即ち、一般に真空に近い可能性がある、前記冷却液の蒸気が(所与の温度に対して)前記冷却液の凝縮状態と熱力学的平衡状態にある圧力で動作され得る。例えば、水の場合は、前記蒸発圧力は、約0.2barなどの、0.1乃至0.5bar(絶対圧力)の範囲から選択され得る。このような低い圧力においては、前記冷却液は、容易に蒸発することができ、このことは、前記二相冷却デバイス内で熱を伝達することを容易にし得る。
【0056】
実施形態においては、前記冷却液は、水を含み得る。このような実施形態においては、前記チャンバ内のチャンバガス圧pcは、特に、≦0.3bar、特に≦0.2barなどの、≦0.1barなどの、≦0.5barの範囲から選択されてもよい。更なる実施形態においては、前記チャンバガス圧pcは、特に、0.1乃至0.5barの範囲からなどの、0乃至0.5barの範囲から選択されてもよい。
【0057】
他の冷却液は、実質的により高い蒸発圧力を有してもよい。例えば、CO2の場合は、前記蒸発圧力は、(室温において)>5barの蒸発圧力を有することがある。従って、実施形態においては、前記チャンバガス圧pcは、≧1.5bar、特に≧2barなどの、≧3bar、特に≧5barなどの、≧10barなどの、≧1barである。更なる実施形態においては、前記チャンバガス圧pcは、≦50bar、特に≦20barなどの、≦10bar、特に≦5barなどの、≦100barである。
【0058】
従って、更なる実施形態においては、前記チャンバガス圧pcは、0.8*pe≦pc≦1.2*pe、特に0.9*pe≦pc≦1.1*peなどの、液体の蒸発圧力peに近いよう選択されてもよい。当業者は、前記冷却液に適した圧力を選択することができ、特に、動作温度を考慮して前記冷却液の前記蒸発圧力に前記圧力を設定することができるだろう。
【0059】
従って、前記デバイス壁は、前記二相冷却デバイスの外部の、前記チャンバガス圧pcに対して相対的により高い(周囲)圧力に起因して、機械的応力を経験する可能性がある。従って、実施形態においては、前記システムは、圧力制御要素を有してもよく、前記圧力制御要素は、外部空気圧を、1*pc乃至1.2*pcの範囲内、特に1*pc乃至1.1*pcの範囲内などの、0.9*pc乃至1.3*pcの範囲内で制御するよう構成される。本発明の二相冷却デバイスは、前記接触領域における前記第1厚さd1に起因して、機械的応力に対して局所的に増大された脆弱性を有し得る。従って、とりわけ、前記接触領域は、前記外部空気圧にさらされる可能性があり、前記圧力制御要素は、(前記接触領域がさらされる)前記外部空気圧を、1*pc乃至1.2*pcの範囲内、特に1*pc乃至1.1*pcの範囲内などの、0.9*pc乃至1.3*pcの範囲内で制御するよう構成される。
【0060】
更なる実施形態においては、前記圧力制御要素は、前記二相冷却デバイス、特に前記先細セクション、より特に前記接触領域がさらされる前記外部空気圧を制御するよう構成されてもよい。
【0061】
前記二相冷却デバイスは、熱源、ここでは特にルミネッセンス本体から前記二相冷却デバイスに熱が伝達される「熱い側部」と、前記二相冷却デバイスから熱交換器、特にヒートシンクに熱が伝達される「冷たい側部」とを有し得る。従って、実施形態においては、前記二相冷却デバイスは、第2接触領域を有してもよい。前記第2接触領域は、特に、前記デバイス軸(A)に沿った前記二相冷却デバイスの第2端部などの、前記接触領域の反対側に配設されてもよい。このような実施形態においては、前記システムは、更に、熱交換器を有してもよく、又は熱交換器に機能的に結合されてもよく、前記第2接触領域は、前記熱交換器に熱的に結合される。「第2接触領域」という用語は、複数の第2接触領域を指すこともある。
【0062】
前記光生成デバイスは、使用中に熱くなることもあり、従って、前記光生成デバイスを冷却することは有益であり得る。従って、実施形態においては、前記光生成デバイスが、(同様に、)特に前記接触領域などの、前記先細セクションにおいて、前記二相冷却デバイスに熱的に結合されてもよい。一般に、前記光生成デバイスは、前記ルミネッセンス本体などの前記熱源ほど熱くならない可能性があり、従って、前記第2厚さは、前記光生成デバイスにおいて適切な温度を維持するために十分な熱伝達を提供し得る。
【0063】
過度の熱は、前記二相冷却デバイス、前記光生成デバイス、及び/又は前記ルミネッセンス本体に損傷を与え得る。従って、実施形態においては、前記システムは、制御システム及び温度センサを更に有してもよい。前記温度センサは、特に、前記ルミネッセンス本体の温度を決定し、温度関連信号を前記制御システムに供給するよう構成されてもよい。
【0064】
更なる実施形態においては、前記温度センサは、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体のコア温度を決定するよう構成されてもよい。このような実施形態においては、前記制御システムは、前記光生成デバイス及び/若しくは前記熱交換器を制御することによって、特に前記光生成デバイスを制御することによって、又は特に前記熱交換器を制御することによって、前記ルミネッセンス本体の前記コア温度を、≦200℃の範囲内、特に≦180℃の範囲内などの、≦170℃の範囲内などの、≦220℃の範囲内で制御するよう構成されてもよい。
【0065】
とりわけ、前記温度センサは、前記熱源、特に、前記ルミネッセンス本体の表面温度、特に、前記接触領域に向けられる(前記ルミネッセンス本体の)表面の表面温度を決定するよう構成されてもよい。このような実施形態においては、前記制御システムは、前記光生成デバイス及び/若しくは前記熱交換器を制御することによって、特に前記光生成デバイスを制御することによって、又は特に前記熱交換器を制御することによって、前記ルミネッセンス本体の前記(表面)温度を、≦85℃の範囲内、特に≦80℃の範囲内などの、≦75℃の範囲内などの、≦100℃の範囲内、特に≦90℃の範囲内で制御するよう構成されてもよい。
【0066】
実施形態においては、前記システムは、ハウジングを有してもよい。とりわけ、前記ハウジングは、前記二相デバイス及び前記ルミネッセンス本体を含み得る。
【0067】
上記のように、前記システムは、光生成デバイスを有してもよい。前記光生成デバイスは、1つ以上の光源を有してもよい。特に、実施形態においては、前記1つ以上の光源は、固体光源を有してもよい。例えば、前記1つ以上の光源は、LEDを有してもよい。前記1つ以上の光源は、実施形態においてはLED光のような、光源光を生成するよう構成される。前記光源光は、特に、UV光及び/若しくは青色光、例えば、特にUV光、又は特に青色光を有してもよい。
【0068】
前記システムは、例えば、オフィス照明システム、家庭用アプリケーションシステム、店舗照明システム、家庭用照明システム、アクセント照明システム、スポット照明システム、劇場照明システム、光ファイバアプリケーションシステム、投影システム、自己照明ディスプレイシステム(self-lit display system)、画素化ディスプレイシステム、セグメント化ディスプレイシステム、警告標識システム、医療用照明アプリケーションシステム、インジケータサインシステム、装飾照明システム、携帯用システム、自動車アプリケーション、温室照明システム、園芸照明、LCDバックライト、レーザシステム、UV洗浄システム、又は電子部品の一部であってもよく、又はそれらにおいて利用されてもよい。
【0069】
特定の実施形態においては、前記光源は、(LED又はレーザダイオードなどの)固体LED光源を有してもよい。
【0070】
「光源」という用語は、2乃至20個の(固体)LED光源などの複数の光源に関することもある。従って、「LED」という用語は、複数のLEDを指すこともある。
【0071】
本発明は、第2態様においては、ランプ、照明器具、プロジェクタデバイス、消毒デバイス、及び光無線通信デバイスのグループから選択される光生成システムであって、本発明によるシステムを有する光生成システムを提供し得る。本発明による光生成システムは、前記システムの冷却の改善により、とりわけ高い輝度で光源光を供給する可能性があり、とりわけ明るい可能性があるという利点を有し得る。
【0072】
本発明は、更なる態様においては、前記二相冷却デバイスそれ自体も提供し得る。
【0073】
本発明は、更なる態様においては、前記先細セクションそれ自体を提供し得る。とりわけ、前記先細セクションは、二相冷却デバイスキャップとして設けられてもよく、特に、前記二相冷却デバイスキャップは、前記二相冷却デバイスを提供するために第2セクションに取り付けられるよう構成される。従って、本発明は、更なる態様においては、前記先細セクションを有する二相冷却デバイスキャップを提供し得る。
【0074】
本発明は、更なる態様においては、前記二相冷却デバイスを提供する方法を提供し得る。とりわけ、前記方法は、前記二相冷却デバイスを閉じるステップを有してもよい。前記二相冷却デバイスを閉じるステップは、特に、前記チャンバに(冷却)液体を注入する(fill)ための単一の開口部を残してもよい。従って、前記方法は、前記チャンバに(冷却)液体を注入するステップを更に有してもよい。前記チャンバに注入した後、前記二相冷却デバイスは、封止され得る。従って、更なる実施形態においては、前記方法は、前記二相冷却デバイスを封止するステップを有してもよい。
【0075】
実施形態においては、前記方法は、特に前記先細セクションと前記第2セクションとを一緒に溶接することによって、前記二相冷却デバイスを提供するよう前記先細セクションと前記第2セクションとをくっつけるステップを有してもよい。
【0076】
本発明は、更なる態様においては、本発明の方法で得られる二相冷却デバイスを提供する。
【0077】
本発明は、更なる態様においては、本発明の二相冷却デバイスを有するデバイスアセンブリを提供する。とりわけ、前記デバイスアセンブリは、前記二相冷却デバイス(の前記接触領域)に熱的に結合される熱源を有してもよい。前記熱源は、特に、電子デバイスであってもよい。
【0078】
本発明は、更に、2つ以上の二相冷却デバイスを有する、システム、アセンブリ又はデバイスであって、前記2つ以上の二相冷却デバイスのうちの少なくとも2つが、異なる(タイプの)熱源に熱的に結合され、前記2つ以上の二相冷却デバイスのうちの前記少なくとも2つが、異なる第1厚さを有する、システム、アセンブリ又はデバイスを提供する。前記異なる(タイプの)熱源は、例えば、ルミネッセンス本体、制御システム、ドライバ、プリント回路基板(PCB)、及び発光デバイスから成るグループから選択されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
ここで、ほんの一例として、対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略的な図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【
図2A】システムの実施形態の実験シミュレーションの結果を概略的に図示する。
【
図2B】システムの実施形態の実験シミュレーションの結果を概略的に図示する。
【
図2C】システムの実施形態の実験シミュレーションの結果を概略的に図示する。
【
図2D】システムの実施形態の実験シミュレーションの結果を概略的に図示する。
【
図3A】システムの実施形態の実験シミュレーションの結果を概略的に図示する。
【
図3B】システムの実施形態の実験シミュレーションの結果を概略的に図示する。
【
図4】システムを含む光生成システムの実施形態を概略的に図示する。概略的な図面は、必ずしも縮尺通りではない。
【発明を実施するための形態】
【0080】
図1A乃至1Dは、システムの実施形態を概略的に図示している。
【0081】
図1Aは、(i)熱源、特に、ルミネッセンス本体200と、(ii)二相冷却デバイス400とを有するシステム1000の実施形態を概略的に図示している。二相冷却デバイス400は、デバイス壁410を有してもよい。デバイス壁410は、チャンバ450を画定してもよく、先細セクション405を有してもよい。先細セクション405は、接触領域406を有してもよく、接触領域406に向かって先細になっていてもよい。接触領域406は、デバイス軸Aに沿って二相冷却デバイス400の第1端部401に配設されてもよく、デバイス軸Aは、特に、接触領域406(によって定められる平面)に対して垂直であってもよい。ルミネッセンス本体200は、ルミネッセンス材料210を有してもよく、特に、ルミネッセンス本体によって生成される熱が接触領域406を介して二相冷却デバイスに伝達され得るように、接触領域406に熱的に結合されてもよい。接触領域406において、デバイス壁410は、(デバイス軸Aに沿って)第1厚さd
1を有してもよく、d
1は、0.10乃至0.40の範囲から選択される。
【0082】
図示されている実施形態においては、ルミネッセンス本体200は、接触領域406と直接(物理的に)接触しているように図示されている。しかしながら、更なる実施形態においては、ルミネッセンス本体200と接触領域406とが、空気及び/又は相互接続部によって離隔されることもある。従って、更なる実施形態においては、システム1000は、相互接続部を有してもよく、相互接続部は、ルミネッセンス本体200と接触領域406との間に配設される。従って、相互接続部は、ルミネッセンス本体200と接触領域406とに熱的に結合されてもよい。
【0083】
チャンバ450は、(動作中)(冷却)液体430を含み得る。液体は、特に、二酸化炭素(≦30℃)、メタン(≦-100℃)、窒素(≦-160℃)、アセトン(-48℃乃至125℃)、アンモニア(-75℃乃至125℃)、エタン、メタノール(-75℃乃至120℃)、メチルアミン(-90℃乃至125℃)、ペンタン(-125℃乃至125℃)、プロピレン(-150℃乃至60℃)、水(1℃乃至325℃)、セシウム、NaK、カリウム、ナトリウム、及びリチウム、特に、アセトン(-48℃乃至125℃)、アンモニア(-75℃乃至125℃)、エタン、メタノール(-75℃乃至120℃)、メチルアミン(-90℃乃至125℃)、ペンタン(-125℃乃至125℃)、プロピレン(-150℃乃至60℃)、水(1℃乃至325℃)のうちの1つ以上を含むグループから選択されてもよい。更なる実施形態においては、液体430は、特に、水を含み得る。水は、相対的に大量のエネルギを伝達することを容易にし得るので、とりわけ有利であり得る。
【0084】
図示されている実施形態においては、システム1000は、光源光101をルミネッセンス本体200に供給するよう構成される光生成デバイス100、特にレーザベースの光生成デバイス100を更に有する。とりわけ、ルミネッセンス本体200、特に、ルミネッセンス材料210は、光源光101の少なくとも一部をルミネッセンス材料光211に変換するよう構成されてもよい。従って、システム1000は、ルミネッセンス材料光211を含み、(随意に)光源光101を含むシステム光1001を供給し得る。
【0085】
実施形態においては、二相冷却デバイス400、特に、先細セクション405は、テーパ角αtで接触領域406に向かって先細になっていてもよい。テーパ角αtは、特に、先細セクション405によって定められる平面と、第2セクション420によって定められる平面との間の(最小)角度であってもよい。とりわけ、テーパ角αtは、(i)先細セクション405によって定められる平面と、(ii)デバイス軸Aとの間の(最小)(平均)角度であってもよい。テーパ角αtは、特に、20°乃至60°の範囲から選択されてもよい。
【0086】
図示されている実施形態においては、デバイス壁410は、第1面411と第2面412とを有し、第1面411は、チャンバ450に向けられ、第2面412は、二相冷却デバイス400の外部に向けられる。特に、先細セクション405によって含まれる第1面411(の少なくとも一部)、特に、接触領域406によって含まれる第1面411(の少なくとも一部)は、≦25nmの表面粗さを有する。
【0087】
更なる実施形態においては、デバイス壁410は、第2セクション420を有してもよく、特に、先細セクション405と第2セクション420とが、一緒に、デバイス壁410を画定する。デバイス壁410は、第2セクション420において、≧0.4mmの範囲から選択される第2厚さd2を有してもよい。とりわけ、d1/d2≦0.8である。
【0088】
とりわけ、先細セクション405における第1面411は、第2セクション420における第1面411よりも低い表面粗さを有してもよい。
【0089】
実施形態においては、チャンバ450は、中空であってもよく、即ち、チャンバ450には、ウィック構造がなくてもよい。しかしながら、チャンバ450は、当業者には明らかであるだろうように、特に動作中、(冷却)液体430を含み得る。
【0090】
図示されている実施形態においては、二相冷却デバイス400は、接触領域406の反対側に、特に、デバイス軸Aに沿った二相冷却デバイスの第2端部402に配設される第2接触領域426を有してもよい。システム1000は、更に、熱交換器600を有してもよく、又は熱交換器600に機能的に結合されてもよく、特に、第2接触領域426は、熱交換器600に熱的に結合される。従って、二相冷却デバイス400は、ルミネッセンス本体200から熱交換器600に熱を伝達し得る。
【0091】
実施形態においては、システム1000は、制御システム300を更に有してもよい。制御システム300は、システム1000を制御するよう、特に、光生成デバイス100、熱交換器600及び圧力制御要素500のうちの1つ以上、特に、光生成デバイス100を制御するよう構成されてもよい。制御システム300は、制御される要素の動作の任意の特徴(aspect)を制御するよう構成されてもよい。とりわけ、制御システム300は、光生成デバイス100の(動作)電力を制御してもよい。更に、制御システム300は、熱交換器600を流れる液体の量を制御することなどにより、熱交換器600の熱伝達能力を制御してもよい。実施形態においては、制御システム300は、更に、圧力制御要素500によって提供される外部空気圧を制御してもよい。
【0092】
図示されている実施形態においては、システム1000は、温度センサ310を更に有する。温度センサ310は、ルミネッセンス本体200の(表面又はコア)温度を決定するよう構成されてもよく、特に、温度関連信号を制御システム300に供給するよう構成されてもよい。このような実施形態においては、制御システムは、光生成デバイス100及び/若しくは熱交換器を制御することによって、特に光生成デバイスを制御することによって、又は特に熱交換器を制御することによって、ルミネッセンス本体200の(表面又はコア)温度を制御するよう構成されてもよい。
【0093】
図1Bは、チャンバ450内のチャンバガス圧p
cが、0.1乃至0.5barの範囲から選択されるシステム1000の実施形態を概略的に図示している。図示されている実施形態においては、システム1000は、圧力制御要素500を更に有し、圧力制御要素500は、外部空気圧を1*p
c乃至1.2*p
cの範囲内で制御するよう構成される。とりわけ、圧力制御要素500は、先細セクション405、特に、接触領域406がさらされる外部空気圧を制御し得る。
【0094】
図示されている実施形態においては、ルミネッセンス本体は、デバイス軸Aに平行なような、特に接触領域によって定められる平面に垂直な、本体厚さdbを有してもよく、本体厚さdbは、≦1mm、特に≦0.8mmなどの、≦0.6mm、特に≦0.5mmなどの、≦2mmである。
【0095】
図1Cは、システムが、光生成デバイス100と光学要素110とを有し、光生成デバイス100が、二相冷却デバイス1000、特に、先細領域405に熱的に結合されるシステム1000の実施形態を概略的に図示している。更なる実施形態においては、光生成デバイス100は、接触領域406に熱的に結合されてもよい。とりわけ、光生成デバイス100は、光源光101を光学要素110に供給するよう構成され、特に、光学要素110は、光源光101をルミネッセンス体200に向け直すよう構成される。光学要素110は、特に集束光学系、より特に反射集束光学系を有してもよい。
【0096】
実施形態においては、ルミネッセンス本体200は、ルミネッセンス材料210を含み得る。ルミネッセンス本体200は、特に、光生成デバイス100と、光学要素110を介するような、受光関係にあるよう構成されてもよい。ルミネッセンス材料210は、(レーザ)光源光101、例えば青色光の少なくとも一部を、ルミネッセンス材料光211、例えば黄色光に変換するように構成されてもよい。
【0097】
図1Dは、システム1000が、単一の熱交換器600に結合される2つの二相冷却デバイス400を有するシステム1000の実施形態を概略的に図示している。図示されている実施形態においては、第1二相冷却デバイス400aは、単一の光生成デバイス100に結合されるのに対して、第2二相冷却デバイス400bは、2つの光生成デバイス100に結合される。従って、第2二相冷却デバイス400bのルミネッセンス本体200は、より大量の光源光101にさらされる可能性があり、より多くの熱を発生させる可能性がある。従って、第2二相冷却デバイス400bは、第2デバイス接触領域406bにおいて、第1二相冷却デバイス400aの第1デバイス接触領域406aにおける第1デバイス第1厚さd
1aよりも小さい第2デバイス第1厚さd
1bを有してもよい。より小さい厚さは、接触領域の、反対側に置く側面間のより小さいΔT、即ち、T
2b-T
1b<T
2a-T
1aを提供する可能性があり、このことは、両方の二相冷却デバイス400が同じ熱交換器600に結合されているにもかかわらず、第2二相冷却デバイス400bが第1二相冷却デバイスより高い熱伝達を提供することを可能にし得る。
【0098】
従って、実施形態においては、システムは、2つ以上の二相冷却デバイス400を有してもよく、2つ以上の二相冷却デバイスのうちの少なくとも2つが、異なる熱源に熱的に結合され、2つ以上の二相冷却デバイスのうちの少なくとも2つが、異なる第1厚さを有する。異なる第1厚さd1を備える複数の二相冷却デバイス400を有するシステムは、例えば、異なる熱源が様々な量の熱を生成する場合に、又は異なる熱源の(コア)温度が異なる温度で制御されるべきである場合に、有益であり得る。
【0099】
図2A乃至2D及び
図3A乃至3Bは、システム1000の実施形態に対応するシミュレーション結果を概略的に図示している。とりわけ、これらのシミュレーションに関しては、デバイス壁410は、258MPaの機械的限界を有して得る、銅を有する。しかしながら、一般的な実施においては、デバイス壁をその理論限界に達せさせず、(
図2A乃至2Dのために使用されている)210MPa又は(
図3A乃至3Bのために使用されている)180MPaの限界などのより低い機械的応力を目指すことが望ましい場合がある。
【0100】
とりわけ、シミュレーションは、Solidworksで実施したFEM(fine element method)熱シミュレーションである。モデルは、3.6mmの直径を備えるルミネッセンス本体、9.2mmの(二相冷却デバイスの)内管直径、0.4mmの第2厚さd2、(デバイス軸に沿って定められる)7.6mmのテーパ長、0.1mmから0.4mmまでの範囲内の第1厚さd1、400W/mKの熱伝導率を持つ銅を有するデバイス壁、第2セクションが、銅を有し、50℃の固定ヒートシンク温度に機能的に結合されること、液体が水であること、チャンバが、内部二相冷却デバイスを模倣するためにデュアル液体ガスステージを表すために100.000W/mKの熱伝導率を有すること、(デバイス軸に沿った)二相冷却デバイスの長さが400mmに設定されたことに従ってパラメータ化された。
【0101】
図2A及び2Bは、第1厚さd
1=0.4mmを持つ接触領域406を有するシステム1000に関する。
図2C及び2Dは、第1厚さd
1=0.2mmを持つ接触領域406を有するシステム1000に関する。
図2A及び
図2Cは、システム1000に課せられる、特に、接触領域406に課せられるMPa単位の材料応力Sを、℃単位の温度Tの関数として図示している。210MPaの水平線は、機械的応力の選択した上限を示している。従って、d
1=0.4mmを持つシステム1000の場合は、最大温度は約90℃であり得るのに対して、d
1=0.2mmを持つシステム1000の場合は、最大温度は約80℃であり得る。次いで、
図2B及び
図2Dは、システム1000に課せられる、W単位の最大出力伝達(max power transfer)Pを、℃単位の温度Tの関数として図示している。従って、d
1=0.4mmを持つシステム1000の場合は、最大出力伝達Pは、80℃における約350W又は約90℃における約450Wであり得るのに対して、d
1=0.2mmを持つシステム1000の場合は、最大出力伝達Pは、80℃における約650Wであり得る。従って、より低いd
1を持つシステム1000は、機械的応力によるより低い温度限界を有し得るが、所与の温度におけるより高い最大出力伝達Pを促進し得る。とりわけ、より低いd
1を持つシステム1000は、それぞれの温度限界において、より高い最大出力伝達Pを有し得る。
【0102】
図3A及び3Bは、ルミネッセンス本体200の(二相冷却デバイス400に向けられる表面の)表面温度が75℃に設定されるシステム1000のシミュレーションを概略的に図示している。とりわけ、シミュレーションは、チャンバ450と、接触領域406がさらされる外部空気圧との間の、0.1bar(線L
2)又は0.0bar(線L
1)の圧力差を供給するよう構成される圧力制御要素500を有するシステム1000に対して実施されている。
【0103】
図3Aは、システム1000におけるMPa単位の機械的応力を、第1厚さd
1の関数として図示している。従って、各第1厚さd
1において、低減された圧力差において動作するシステム1000は、二相冷却デバイス400に、より低い機械的応力を課すことができ、所与の最大機械的応力に対してd
1を更に低減することを可能にする。
図3Bにおいては、最大機械的応力は、例えば、材料用途のために適用される安全係数を考慮して、180MPaにおける水平線によって表されるような、180MPaに設定される。したがって、圧力差0.1のシステム1000の実施形態は、0.31mmの第1厚さの下限を有するのに対して、圧力差0.0のシステム1000は、0.28mmの第1厚さの下限を有する。
図3Bは、W単位の最大出力伝達P対第1厚さd
1を概略的に図示している。圧力差は最大動力伝達Pに直接的には影響を及ぼさないので、線L
1及びL
2は重なり合う。従って、0.31mmの第1厚さd
1で動作するシステム1000は、405Wの最大出力伝達Pを有するのに対して、0.28mmの第1厚さd
1で動作するシステム1000は、440Wの最大出力伝達Pを有する。従って、圧力制御要素500は、より高い最大出力伝達Pを促進し得る、低減された第1厚さd
1を持つ二相冷却デバイス400を可能にするために、チャンバ450と外部空気圧(即ち、二相冷却デバイス400の外部)との間の圧力差を低減するように構成されてもよい。
【0104】
図4は、光生成システム1200の実施形態を概略的に図示している。光生成システム1200は、特に、本明細書において記載されているようなシステム1000を有し、システム光1001を供給する、ランプ1、照明器具2及びプロジェクタデバイス3を含み得る。
図4は、上記のようなシステム1000を含む照明器具2の実施形態を概略的に図示している。参照符号301は、システム1000によって含まれる制御システム300と機能的に結合され得る、又はシステム1000に機能的に結合され得るユーザインターフェースを示している。
図4は、システム1000を含むランプ1の実施形態も概略的に図示している。参照符号3は、システム1000を含むプロジェクタデバイス3又はプロジェクタシステムを示しており、前記プロジェクタデバイス3は、壁などに、画像を投影するために使用され得る。
【0105】
更なる実施形態においては、光生成システム1200は、複数のシステム1000を有してもよく、特に、複数のシステム1000のうちの(少なくとも)2つのシステム1000の二相冷却デバイス400は、異なる第1厚さd1を有する。異なる第1厚さd1を持つ二相冷却デバイス400は、特に、光生成システム1200の異なる(タイプの)熱源に熱的に結合されてもよい。当然、3つ以上の二相冷却デバイス400が利用可能であってもよく、他の特定の実施形態においては、2つ以上の二相冷却デバイス400のうちの2つ以上が、同じ第1厚さd1を有することもある。
【0106】
更なる実施形態においては、ランプ1、照明器具2、プロジェクタデバイス3、消毒デバイス、及び光無線通信デバイスのグループから選択される光生成システム1200が、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のシステム1000を有する。
【0107】
「複数」という用語は、2つ以上を指す。更に、「複数の」及び「多数の」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0108】
本明細書における「実質的に」又は「本質的に」という用語、及び同様の用語は、当業者には理解されるだろう。「実質的に」又は「本質的に」という用語は、「全体的に」、「完全に」、「全て」などを備える実施形態も含み得る。従って、実施形態においては、「実質的に」又は「本質的に」という形容詞が取り除かれることもある。適用可能な場合には、「実質的に」という用語又は「本質的に」という用語は、100%を含む、95%以上、特に99%以上、更により特に99.5%以上などの、90%以上に関することもある。更に、「約」及び「ほぼ」という用語は、100%を含む、95%以上、特に99%以上、更により特に99.5%以上などの、90%以上に関することもある。数値の場合、「実質的に」、「本質的に」、「約」及び「ほぼ」という用語は、前記用語が参照する値の95%乃至105%、特に99%乃至101%などの、90%乃至110%の範囲に関することもあることを理解されるべきである。
【0109】
「有する」という用語は、「有する」という用語が「から成る」を意味する実施形態も含む。
【0110】
「及び/又は」という用語は、特に、「及び/又は」の前及び後で言及されている項目のうちの1つ以上に関する。例えば、「項目1及び/又は項目2」という語句、及び同様の語句は、項目1及び項目2のうちの1つ以上に関し得る。「有する」という用語は、或る実施形態においては、「から成る」を指す場合があるが、別の実施形態においては、「少なくとも規定されている種を含み、随意に、1つ以上の他の種を含む」を指す場合もある。
【0111】
更に、明細書及び特許請求の範囲における、第1、第2、第3などの用語は、同様の要素を区別するために使用されるものであり、必ずしも、逐次的又は時間的な順序を説明するために使用されるものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書において記載されている本発明の実施形態は、本明細書において記載又は図示されている順序以外の順序で動作が可能であることは理解されるべきである。
【0112】
本明細書においては、とりわけ、動作中の、デバイス、装置、又はシステムが記載されているかもしれない。当業者には明らかであるだろうように、本発明は、動作の方法、又は動作中の、デバイス、装置、若しくはシステムに限定されるものではない。
【0113】
「更なる実施形態」という用語及び同様の用語は、前述の実施形態の特徴を有する実施形態を指すことがあるが、他の実施形態を指すこともある。
【0114】
上述の実施形態は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、多くの他の実施形態を設計することができるだろうことに留意されたい。
【0115】
特許請求の範囲において、括弧内に配置される如何なる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0116】
「有する」という動詞及びその語形変化の使用は、請求項において示されている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。文脈から明らかに別の意味が必要とされない限り、明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「含有する」、「含有している」などの単語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的な、包括的な意味で、即ち、「含むが、これに限定されない」という意味で解釈されるべきである。要素の単数形表記は、このような要素の複数の存在を除外するものではない。
【0117】
本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって実施されてもよく、又は適切にプログラムされたコンピュータによって実施されてもよい。幾つかの手段を列挙している、デバイスの請求項、又は装置の請求項、又はシステムの請求項においては、これらの手段のうちの幾つかは、ハードウェアの全く同一のアイテムによって実施されてもよい。単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0118】
本発明は、デバイス、装置、若しくはシステムを制御し得る、又は本明細書において記載されている方法若しくはプロセスを実行し得る制御システムも提供する。更に他に、本発明は、デバイス、装置、又はシステムに機能的に結合される又は含まれるコンピュータにおいて実行するときに、このようなデバイス、装置、又はシステムの1つ以上の制御可能な要素を制御するコンピュータプログラム製品も提供する。
【0119】
本発明は、更に、明細書において記載されている、及び/又は添付の図面において示されている、特徴付けている特徴のうちの1つ以上を有するデバイス、装置、又はシステムに当てはまる。本発明は、更に、明細書において記載されている、及び/又は添付の図面において示されている、特徴付けている特徴のうちの1つ以上を有する方法又はプロセスに関する。更に、方法又は方法の実施形態が、デバイス、装置、又はシステムにおいて実行されると記載されている場合には、デバイス、装置、又はシステムは、それぞれ、方法又は方法の実施形態(の実行)に適している、又はのために構成されていることは理解されるだろう。
【0120】
この特許において説明されている様々な態様は、更なる利点を提供するために組み合わされることができる。更に、当業者は、実施形態は組み合わされることができること、及び3つ以上の実施形態も組み合わされることができることを理解するだろう。更に、特徴のうちの幾つかは、1つ以上の分割出願のための基礎を形成することができる。
【国際調査報告】