IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィの特許一覧

特表2023-533608LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム
<>
  • 特表-LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム 図1
  • 特表-LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム 図2
  • 特表-LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム 図3
  • 特表-LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム 図4
  • 特表-LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム 図5
  • 特表-LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】LiFiを用いたモバイルドッキングのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/114 20130101AFI20230727BHJP
【FI】
H04B10/114
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023513149
(86)(22)【出願日】2021-08-09
(85)【翻訳文提出日】2023-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2021072143
(87)【国際公開番号】W WO2022043038
(87)【国際公開日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】20192575.7
(32)【優先日】2020-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ブルシュケ アンドレアス フェリックス アルフレッド
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA17
5K102AA22
5K102AD01
5K102AD12
5K102AD15
5K102AH26
5K102AL11
5K102AL23
5K102AL28
5K102LA03
5K102MH01
5K102MH17
5K102RD28
(57)【要約】
本発明は、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法である。ドッキングステーション/ユーザデバイスは、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイス/ドッキングステーションは、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む。方法は、ドッキングステーション/ユーザデバイスによって、第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、ドッキングステーション/ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイス/ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ドッキングステーション/ユーザデバイスによって、第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、ドッキングステーション/ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイス/ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ドッキングステーション/ユーザデバイスによって、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、選択された通信チャネルでデータを送信するステップとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法であって、
前記ドッキングステーションは、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、前記ユーザデバイスは、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含み、当該方法は、
第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの前記第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルについて取得された転送特性の比較に基づいて前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、
前記選択された通信チャネルでデータを送信するステップと、
を含み、
チャネル転送特性は、チャネルのSNR、チャネル容量、最大データレート、及び転送データのメガバイトあたりの電力消費のうちの少なくとも1つに関するチャネル性能インジケータである、方法。
【請求項2】
当該方法は、
前記選択された通信チャネルの一部を形成しない前記ドッキングステーションの前記第1及び第2のLiFiトランシーバのうちの少なくとも1つをディスエーブルするステップ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ユーザデバイスは、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、当該方法は、
第3の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第3の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
第4の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第4の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの前記第2のLiFiトランシーバとの間であり、前記第1及び第4の通信チャネルは、通信チャネルの第1のペアを形成し、前記第2及び第3の通信チャネルは、通信チャネルの第2のペアを形成する、ステップと、
各チャネルについて取得された転送特性に基づいて前記通信チャネルの第1及び第2のペアのうちの1つを選択するステップと、
前記選択された通信チャネルのペアでデータを送信するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法であって、
前記ドッキングステーションは、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含み、前記ユーザデバイスは、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、当該方法は、
第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、前記ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバと前記ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、前記ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバと前記ドッキングステーションの前記第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルについて取得された転送特性の比較に基づいて前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、
前記選択された通信チャネルでデータを送信するステップと、
を含み、
チャネル転送特性は、チャネルのSNR、チャネル容量、最大データレート、及び転送データのメガバイトあたりの電力消費のうちの少なくとも1つに関するチャネル性能インジケータである、方法。
【請求項5】
当該方法は、
前記選択された通信チャネルの一部を形成しない前記ユーザデバイスの前記第1及び第2のLiFiトランシーバのうちの少なくとも1つをディスエーブルするステップ、
を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
当該方法は、
最小リンクSNRを取得するステップと、
前記第1及び第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが前記最小リンクSNRを下回ることを判断するステップと、
前記判断に応答して、前記第1及び第2の通信チャネルをディスエーブルするステップと、
を含む、請求項1又は4に記載の方法。
【請求項7】
当該方法は、
データレート専用SNRを取得するステップと、
少なくとも前記第1の通信チャネルのSNRが前記データレート専用SNRを超えることを判断するステップと、
前記第1の通信チャネルを選択するステップと、
を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
当該方法は、
前記ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバ又は前記ユーザデバイスの第2のトランシーバをディスエーブルするステップ、
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
当該方法は、
前記ドッキングステーションによって、最小リンクSNRを取得するステップと、
前記ドッキングステーションによって、第1、第2、第3及び第4の通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが前記最小リンクSNRを下回ることを判断するステップと、
前記ドッキングステーションの前記第1及び第2のLiFiトランシーバをディスエーブルするステップと、
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
通信チャネル転送特性を取得することは、ダウンリンク通信チャネル転送特性を取得すること及び/又はアップリンク通信チャネル転送特性を取得することを含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
当該方法は、
前記ドッキングステーション及び前記ユーザデバイスの一方によって、通信チャネルが選択されたことを示すデータを送信するステップと、
前記ドッキングステーション及び前記ユーザデバイスの他方によって、通信チャネルが選択されたことを示す前記データを受信するステップと、
を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
データを転送するためのシステムであって、当該システムは、
少なくとも2つのLiFiトランシーバ及びデータ転送制御ユニットを含む、ドッキングステーションと、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む、ユーザデバイスとを含み、
前記データ転送制御ユニットは、第1の通信チャネル転送特性を取得し、第1の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、及び、第2の通信チャネル転送特性を取得し、第2の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの前記第1のLiFiトランシーバとの間である、ように構成され、
前記データ転送制御ユニットは、前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルについて取得されたチャネル特性の比較に基づいて前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つの通信チャネルを選択する、及び、前記選択された通信チャネルでのデータの送信のために前記ドッキングステーションの前記LiFiトランシーバのうちの少なくとも1つを制御するように構成され、
チャネル転送特性は、チャネルのSNR、チャネル容量、最大データレート、及び転送データのメガバイトあたりの電力消費のうちの少なくとも1つに関するチャネル性能インジケータである、システム。
【請求項13】
コンピュータデバイスで実行された場合、
第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、LiFiドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、前記ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバと前記ユーザデバイスの前記第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルについて取得された転送特性の比較に基づいて前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、
前記選択された通信チャネルでデータを送信するステップと、
を実行するためのコードを含むコンピュータプログラムであって、
チャネル転送特性は、チャネルのSNR、チャネル容量、最大データレート、及び転送データのメガバイトあたりの電力消費のうちの少なくとも1つに関するチャネル性能インジケータである、コンピュータプログラム。
【請求項14】
データを転送するためのシステムであって、当該システムは、
少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む、ドッキングステーションと、少なくとも2つのLiFiトランシーバ及びデータ転送制御ユニットを含む、ユーザデバイスとを含み、
前記データ転送制御ユニットは、第1の通信チャネル転送特性を取得し、第1の通信チャネルは、前記ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバと前記ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、及び、第2の通信チャネル転送特性を取得し、第2の通信チャネルは、前記ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバと前記ドッキングステーションの前記第1のLiFiトランシーバとの間である、ように構成され、
前記データ転送制御ユニットは、前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルについて取得されたチャネル特性の比較に基づいて前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つの通信チャネルを選択する、及び、前記選択された通信チャネルでのデータの送信のために前記ユーザデバイスの前記LiFiトランシーバのうちの少なくとも1つを制御するように構成され、
チャネル転送特性は、チャネルのSNR、チャネル容量、最大データレート、及び転送データのメガバイトあたりの電力消費のうちの少なくとも1つに関するチャネル性能インジケータである、システム。
【請求項15】
コンピュータデバイスで実行された場合、
第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとLiFiドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、前記ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバと前記ドッキングステーションの前記第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、
前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルについて取得された転送特性の比較に基づいて前記第1の通信チャネル及び前記第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、
前記選択された通信チャネルでデータを送信するステップと、
を実行するためのコードを含むコンピュータプログラムであって、
チャネル転送特性は、チャネルのSNR、チャネル容量、最大データレート、及び転送データのメガバイトあたりの電力消費のうちの少なくとも1つに関するチャネル性能インジケータである、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザデバイスと周辺デバイス又はネットワークアクセスポイントとの間のデータのワイヤレス転送は、ユーザが情報を送信及び受信することを可能にするために必要である。ワイヤレスデータ転送のよく知られた規格としては、例えば、スマートフォンをネットワークアクセスポイントに接続する、オーディオをスピーカに又はビデオをプロジェクタにストリーミングする等の際に広く使われている、WiFi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)が挙げられる。(WiFi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)における等の)マイクロ波周波数の通信信号を利用する1つの利点は、信号が、小さく低ダイバーシティの送信及び受信アンテナで少ないパワーを用いて比較的長距離にわたってリライアブルにユーザデバイスに送信又はユーザデバイスから受信されることができることである。一方、マイクロ波周波数通信によってもたらされる良好なカバレッジに起因して、複数のユーザデバイスの同時使用は、干渉の問題及びマイクロ波スペクトルが混雑すると帯域幅が制限される問題を引き起こす。
【0003】
このために、ユーザデバイスとアクセスポイントとの間のLiFi通信が提案されている。LiFiは、デバイス間の双方向通信を提供するために振幅変調された可視光又は赤外光を利用する。WiFi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)とは対照的に、可視光又は赤外光である、LiFi信号は非常に指向性が高く、これは、干渉の問題を少なくし、LiFi信号は長距離で又は壁等の不透明な物体を通して検出することがより困難であるため、セキュリティを高める。LiFiを介してネットワークアクセスポイントにユーザデバイスを接続する従来のソリューションとしては、通常のLED光ランプが、人間の目で知覚できる周波数をはるかに超える周波数で振幅変調された光を送信及び受信するように修正されることが挙げられる。斯くして、ユーザデバイスは、LiFi LEDランプから生じる光によって照らされている限り、ネットワークアクセスポイントと通信することができる。他のLiFiプロダクトでは、デバイス間で通信するために非常に指向性の強いレーザ光を使用する。このような場合、ユーザデバイスのセンダー及びレシーバは、データを転送するためにネットワークアクセスポイントの対応するセンダー及びレシーバとダイレクトアライメント(direct alignment)される。
【0004】
ユーザデバイスとネットワークアクセスポイントとの間でデータを転送する従来のソリューションの問題は、WiFi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)等よりも指向性が高いものの、LiFiは、十分に定義された通信ゾーンを確立するのに十分指向性が高くないことである。それどころか、レーザーベースのLiFiは、多くのシナリオで実用的な通信には指向性が高すぎ、適切に機能させるためには綿密なアライメントを必要とする。さらに、現在のLiFi通信の帯域幅は限られており、実装、特にレーザーベースのLiFiは、かなりの電力消費を導入する。
【0005】
DE102010043154A1は、電子機器の機能を提供するための機能手段と、外部基本装置とともに、導体のない光学データ通信のための光学データ送信手段と、前記外部基本装置から放射される磁場からの電磁結合によるエネルギー吸収のため、ならびに前記外部磁場から取得される前記エネルギーに基づいて、前記機能手段および前記データ送信手段にエネルギーを供給するためのエネルギー供給手段と、を含む、携帯用電子装置に関する。
【0006】
US2015270900A1は、第2の電子デバイスと光学的に通信する第1の電子デバイスに関する。デバイスの各々は、1つ以上の光トランスミッタ、1つ以上の光レシーバ、及びレンズの各々が互いに光学的に分離された少なくとも第1及び第2の光路を含む1つ以上のレンズを含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既存のソリューションの不利な点に鑑み、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための改善された方法及びシステムが必要とされている。本発明の目的は、この問題を克服し、良好に定義された通信ゾーン、増加したデータレート及び最小化された電力消費を提供する方法及びシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、この及び他の目的は、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法によって達成される。ここで、ドッキングステーションは、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスは、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む。方法は、ドッキングステーションによって、第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ドッキングステーションによって、第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ドッキングステーションによって、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、選択された通信チャネルでデータを送信するステップとを含む。
【0009】
本発明の第2の態様によれば、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法であって、ドッキングステーションは、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスは、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、当該方法は、ユーザデバイスによって、第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ユーザデバイスによって、第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ユーザデバイスによって、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、選択された通信チャネルでデータを送信するステップとを含む。
【0010】
第1及び第2の態様による発明は、以下で述べられるような同様の利点及び対応する実施形態を享受する。
【0011】
LiFiドッキングステーションは、代替的に、LiFiアクセスポイントと呼ばれてもよい。LiFiドッキングステーションは、プロジェクタ、スピーカ、TVスクリーン、プリンタ、ネットワークスイッチ等の周辺デバイスと通信するために、ケーブル、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、LiFi、LTE、NFC等、任意のタイプのデジタル通信手段を利用するバックホールネットワークを含む。本発明の一態様によれば、LiFiドッキングステーションはさらに、ユーザデバイスのLiFiトランシーバに/からデータを通信及び転送するための少なくとも2つのLiFiトランシーバと、ユーザデバイスと(複数の)周辺デバイスとの間でデータをルーティングする及びドッキングステーションとユーザデバイスとの間のLiFi通信を制御するよう構成される、データ転送制御ユニット(data transfer control unit)とを含む。
【0012】
本発明は、ドッキングステーションにおいて(又は類似的にユーザデバイスにおいて)少なくとも2つのLiFiトランシーバを使用することにより、ユーザデバイス(ドッキングステーション)のためのより小さい及び/又はより明確に定義された通信ゾーンが確立される一方、低い電力消費で増加したデータレートが達成可能であり得るという認識に基づく。通信転送特性(communication transfer property)は、通信チャネル性能インジケータ(communication channel performance indicator)であってもよい。通信チャネル転送特性(communication channel transfer property)は、チャネルのSNR、チャネル容量、チャネル帯域幅又はチャネルデータレートであってもよい。追加的に又は代替的に、通信チャネル転送特性は、チャネルで送信されるデータのメガバイトあたりの電力消費であってもよい。例えば、ドッキングステーションにおいて少なくとも2つのLiFiトランシーバを有する場合、(通信チャネルSNR又は最大データレート等の)通信チャネル転送特性が、ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイスの少なくとも1つのLiFiトランシーバとの間である、第1の通信チャネルについて取得される。同様に、通信チャネル転送特性は、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの少なくとも1つのLiFiトランシーバとの間である、第2の通信チャネルについて取得される。チャネル転送特性に基づいて、ドッキングステーションは、ユーザデバイスへの/からのデータ転送のための1つの通信チャネルを選択する。例えば、ドッキングステーションは、最も高いSNRを有する通信チャネル又は送信データのメガバイトあたり最も低い電力消費を有する通信チャネルを選択してもよい。ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む場合にも同様である。ユーザデバイスは、第1及び第2の通信チャネルについての通信チャネル品質インジケータを(communication channel quality indicator)取得し、ドッキングステーションへの/からのデータ転送のための1つの通信チャネルを選択する。例えば、ユーザデバイスは、最も高いSNRを有する通信チャネルを選択してもよい。
【0013】
ドッキングステーション又はユーザデバイスによって選択された通信チャネルがどれであるかに関する情報が、他方のエンティティ(ユーザデバイス又はドッキングステーション)に送信されてもよい。代替的に、通信チャネルが選択されたことを記述する情報が、他方のエンティティに送信されてもよい。これは、例えば、エンティティの1つにおいて移動が検出された場合、いずれかのエンティティが、通信チャネルの1つを再選択することを要求することを可能にする。例えば、ドッキングステーションが2つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスが少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む場合、ドッキングステーションは、通信チャネルが選択されたこと及び/又は通信チャネルのうちのどれが選択されたかに関する情報を送信してもよい。ドッキングステーション及び/又はユーザデバイスが動き又はそれらの相対的な配置における位置若しくは向きの変化を検出した場合、ユーザデバイス又はドッキングステーションは、通信チャネルの再選択を要求してもよい。再選択中に、本発明の第1又は第2の態様による方法が繰り返されてもよい。追加的に又は代替的に、ドッキングステーション及びユーザデバイスの相対的なポジショニングの変化は、ドッキングステーションのLiFiトランシーバが、所定の待ち時間の間ディスエーブルされてからアクティブ状態に戻り、通信チャネルを再選択することをトリガしてもよい。同様に、ユーザデバイス及び/又はドッキングステーションは、スケジュールされた時間間隔で通信チャネルを再選択する及び/又は再選択を要求するように構成されてもよい。
【0014】
第1及び第2の態様による発明は、それらの有益な技術的効果及び可能な実装態様の観点で完全に類似することが理解されるであろう。第1の態様によれば、ドッキングステーションが、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、第2の態様によれば、ユーザデバイスが、少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む。少なくとも1つのLiFiトランシーバを有するユーザデバイスと通信する少なくとも2つのLiFiトランシーバを含むドッキングステーションを含む本明細書で述べられる任意の実装形態は、ユーザデバイスが少なくとも1つのLiFiトランシーバを有するドッキングステーションと通信する少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む実装形態に類似的に適用され、その逆も同様である。
【0015】
さらに、一部の実装形態では、選択された通信チャネルの一部を形成しない第1及び第2のLiFiトランシーバのうちの少なくとも1つはディスエーブルされる。ドッキングステーション/ユーザデバイスのLiFiトランシーバをディスエーブルすることにより、ドッキングステーション/ユーザデバイスの電力消費は低減される一方、依然としてドッキングステーションとユーザデバイスとの間で、選択された通信チャネルでデータを転送することが可能である。例えば、ドッキングステーションが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスが少なくとも1つのLiFiトランシーバを含み、第1の通信チャネルが選択される場合、ドッキングステーションの第2のトランシーバは、電力を節約するためにディスエーブルされる。ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ドッキングステーションが少なくとも1つのLiFiトランシーバを含み、第1の通信チャネルがユーザデバイスによって選択される場合、ユーザデバイスの第2のトランシーバは、電力を節約するためにディスエーブルされる。ディスエーブルすることは、トランシーバの電力消費が低減されるが必ずしもゼロではないように、トランシーバを節電(スリープ)モードにすることを含んでもよい。(最も低いSNRに関連するチャネル等)最も望ましくない転送特性を有する通信チャネルが、ディスエーブルされてもよい。
【0016】
ドッキングステーション又はユーザデバイスによってディスエーブルされた通信チャネルがどれであるかに関する情報が、他方のデバイス(ユーザデバイス又はドッキングステーション)に送信されてもよい。代替的に、通信チャネルがディスエーブルされたことを記述する情報が、他方のデバイスに送信されてもよい。ドッキングステーション又はユーザデバイスの(動き又は再ポジショニング等の)状態変化が決定される場合、ドッキングステーション及び/又はユーザデバイスは、上記のように通信チャネルを再選択する及び/又は再選択を要求するように構成されてもよい。
【0017】
一部の実装形態では、ドッキングステーション/ユーザデバイスは、最小リンクSNR(minimum link SNR)を取得する、第1及び第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが最小リンクSNR値を下回ることを判断する、及び、斯かる判断に応答して、ドッキングステーション/ユーザデバイスの第1及び第2のLiFiトランシーバの両方をディスエーブルする。最小リンクSNRは、それを下回ると、信号が、通信ゾーン外から又は誤った向きのユーザデバイスから生じていて、圏外(out of reach)と分類されてもよい、SNR限界(SNR limit)である。言い換えれば、少なくとも最小リンクSNRの通信チャネルSNRが、通信チャネルで通信リンクをセットアップするために必要とされる。最小リンクSNRは、それ以上において、通信リンクが確立されてもよく、それを下回ると、通信リンクが確立されなくてもよいと見なされる、SNR閾値である。
【0018】
例えば、ドッキングステーションの2つのLiFiトランシーバが、検出及び/又は送信のためのそれぞれのゾーン(視野)(通信ゾーン)間で少なくとも部分的なオーバーラップを有する場合、これらLiFiトランシーバはイネーブルされ、それらのうちの少なくとも1つが、オーバーラップする通信ゾーン内のユーザデバイスと通信してもよい。第1及び第2の通信チャネルの両方の通信チャネルSNRは、オーバーラップするゾーンに置かれるユーザデバイスと最小リンクSNRを上回るであろう。デバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバのオーバーラップするゾーンの外側にあることによって引き起こされ得る、第1及び第2の通信チャネルのうちの1つのSNRが最小リンクSNRを下回る場合、2つのLiFiトランシーバはディスエーブルされる。このような構成により、2つのLiFiトランシーバのオーバーラップする通信ゾーンに限定される、任意のサイズの明確に定義された通信ゾーンが確立されてもよい。類似的に、ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ドッキングステーションが少なくとも1つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスは、第1及び第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが最小リンクSNRを下回ることへの応答として自身のトランシーバをディスエーブルするように構成されてもよい。このような構成により、ユーザデバイスによって、その2つのLiFiトランシーバのオーバーラップする通信ゾーンに限定される、任意のサイズの明確に定義された通信ゾーンが確立されてもよい。したがって、ユーザデバイスとドッキングステーションとの間の通信は、ドッキングステーションがユーザデバイスの第1及び第2のLiFiトランシーバのオーバーラップする通信ゾーン内にあるときに開始されてもよい。少なくとも1つの通信チャネルが最小リンクSNRを下回ることに応答してLiFiトランシーバをディスエーブルすることは、通信が、各トランシーバの通信ゾーン間の共通部分(intersection)から成るゾーン内で開始されることを可能にするであろう。
【0019】
代替的に、ドッキングステーション/ユーザデバイスは、第1及び第2の通信チャネルの両方のSNRが最小リンクSNRを下回ることを判断することにのみ応答して第1及び第2のLiFiトランシーバをディスエーブルする。したがって、明確に定義された通信ゾーンが、第1及び第2のLiFiトランシーバのいずれか一方の通信ゾーン内に位置するユーザデバイス/ドッキングステーションと通信するために確立される。両方の通信チャネルが最小リンクSNRを下回ることにのみ応答してLiFiトランシーバをディスエーブルすることは、通信が、各トランシーバの通信ゾーンの結合(union)から成るゾーン内で開始されることを可能にするであろう。斯くして、任意の形状の通信ゾーンが、LiFiトランシーバが互いに補完し合うことによって形成されてもよい。例えば、複数の狭ビームLiFiトランシーバが、より大きくより実用的な形状の集約通信ゾーン(aggregate communication zone)を形成してもよい。
【0020】
一部の実装態様では、ドッキングステーションが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法が提供される。方法はさらに、ドッキングステーションによって、第3の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第3の通信チャネルは、ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ドッキングステーションによって、第4の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第4の通信チャネルは、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとの間である、ステップとを含む。ここで、第1及び第4の通信チャネルは、通信チャネルの第1のペアを形成し、第2及び第3の通信チャネルは、通信チャネルの第2のペアを形成する。ドッキングステーションは、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて通信チャネルの第1及び第2のペアのうちの1つを選択する、及び、選択された通信チャネルのペアでデータを送信する。
【0021】
同様に、ユーザデバイスの観点から、ドッキングステーションが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含み、ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、LiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するための方法が提供される。方法はさらに、ユーザデバイスによって、第3の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第3の通信チャネルは、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、ユーザデバイスによって、第4の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第4の通信チャネルは、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとの間であり、第1及び第4の通信チャネルは、通信チャネルの第1のペアを形成し、第2及び第3の通信チャネルは、通信チャネルの第2のペアを形成する、ステップと、ユーザデバイスによって、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて通信チャネルの第1及び第2のペアのうちの1つを選択するステップと、選択された通信チャネルのペアでデータを送信するステップとを含む。
【0022】
斯くして、通信チャネルのペアでのデータ転送により、ドッキングステーションとユーザデバイスとの間のデータ転送レートが増加される。MIMO(Multiple Input Multiple Output)通信スキームが、ドッキングステーションとユーザデバイスとの間のデータ転送レートを増加させるために利用されてもよい。例えば、通信チャネルのペアのデータ転送レートは、単一チャネルのデータ転送のレートの2倍であってもよい。複数の通信チャネルでの同時データ転送のクロストークを回避するために、周波数/波長分割多重化技術、偏波分割多重化技術及び/又は空間分割多重化技術が採用されてもよい。代替的に、時分割多重化技術により、通信チャネルが、相補的な時間間隔で使用されてもよい。
【0023】
さらに、ユーザデバイス及びドッキングステーションは、通信チャネルのうちのどれが選択されるかに関する情報を交換してもよい。ドッキングステーション及びユーザデバイスは、情報を交換し、アップストリーム/ダウンストリームデータ転送中に使用されるべき通信チャネル(及び関連するトランシーバ)について合意してもよい。この場合、エンティティは、使用されないそれぞれのトランシーバをディスエーブルしてもよい。一部の実装形態では、ユーザデバイス及びドッキングステーションは、アップストリームデータ転送に最適なセットアップとダウンストリームデータ転送に最適なセットアップの間で切り替えるためにトランシーバを同期的にディスエーブル及びイネーブルしてもよい。ドッキングステーション及びユーザデバイスは、どちらのセットアップでどの通信チャネルを使用するかについて合意するために情報を交換してもよい。
【0024】
さらに、ドッキングステーション/ユーザデバイスは、データレート専用SNR(data rate dedicated SNR)等、データレート要件(data rate requirement)を取得、少なくとも第1の通信チャネルのSNRがデータレート専用SNRを超えることを判断、及び、第1の通信チャネルを選択してもよい。データレート専用SNRは、閾値データレートを維持するために必要なSNRの下限である。所与の信号帯域幅、変調スキーム、信号符号化スキーム、及びビットエラー耐性について、特定のデータレートを得るために必要な最小SNRが決定されてもよい。斯くして、データレート専用SNRは、変調スキーム又は符号化スキーム等の伝送特性が変わる場合に相応に変わってもよい。
【0025】
例えば、ユーザデバイスとドッキングステーションとの間のデータ転送は、ある伝送特性で10Mbit/sの双方向データレートを必要としてもよく、斯かる場合、10Mbit/sのデータレートに関連するSNRが、データレート専用SNRを構成してもよい。ドッキングステーション/ユーザデバイスは、データレート専用SNRと各通信チャネルのSNRとを比較し、第1の通信チャネルがデータレート専用SNR以上のSNRを有することを発見し、第1の通信チャネルでデータ転送することを進める。したがって、ドッキングステーションとユーザデバイスとの間の十分なデータ転送レートが確立される。
【0026】
さらに、第1の通信チャネルがデータレート専用SNRを超えると判断された後にドッキングステーション/ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバをディスエーブルすることにより、ドッキングステーション/ユーザデバイスの電力消費が低減される一方、十分なデータ転送レートが達成されてもよい。データ転送は、第2のLiFiトランシーバがディスエーブルされた後も第1の通信チャネルを介して継続してもよい。
【0027】
例えば、ユーザデバイスによって、データレート専用SNRを取得するステップと、ユーザデバイスによって、少なくとも第1の通信チャネルのSNRがデータレート専用SNRを超えることを判断するステップと、ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバをディスエーブルするステップとをさらに含む、本発明の第2の態様による方法が提供される。
【0028】
ドッキングステーション及びユーザデバイスが各々少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、一部の実装形態において、ドッキングステーション/ユーザデバイスは、最小リンクSNRを取得してもよい。ドッキングステーション及びユーザデバイスにおける少なくとも2つのLiFiトランシーバ間でそれぞれ定義される、第1、第2、第3及び第4の通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが最小リンクSNRを下回ることを判断することによって、ドッキングステーション/ユーザデバイスの第1及び第2のトランシーバはディスエーブルされてもよい。代替的に、ドッキングステーション/ユーザデバイスは、4つの通信チャネルすべてのSNRが最小リンクSNRを下回ることを判断することにのみ応答して第1及び第2のLiFiトランシーバをディスエーブルしてもよい。斯くして、ドッキングステーションの少なくとも1つのLiFiトランシーバがユーザデバイスの少なくとも1つのLiFiトランシーバと通信範囲内にある限り、ドッキングステーションとユーザデバイスとの間の通信が確立されてもよい。
【0029】
さらに、通信チャネル転送特性は、本発明のいずれかの態様において、アップストリーム転送特性、ダウンストリーム転送特性、又は両方であってもよい。アップストリーム/ダウンストリームは、ユーザデバイスの観点から定義される。各チャネルについて取得された転送特性に基づいてデータ転送のための通信チャネルを選択することは、アップストリームチャネル、ダウンストリームチャネル、又はアップストリーム及びダウンストリームチャネルを選択することを含んでもよい。上述したように、通信チャネル転送特性は、代替的に、例えば、チャネル容量、最大データレート、帯域幅、又は転送データのメガバイトあたりの電力消費に置き換えられてもよい。さらに、通信チャネルの選択は、ユーザデバイスにおける転送データ(transferred data)のメガバイトあたりの電力消費を最小化することであってもよい。多くの実装形態において、ドッキングステーションは電力網に接続され得る一方、ユーザデバイスは、(一緒にトランシーバを形成する)トランスミッタ及びレシーバアンプを給電するために限られたバッテリ電力を使用する。
【0030】
別の状況は、2つのユーザデバイスが近隣の場所にある同じドッキングステーションにログインするアプリケーションである。ここでは、両方のユーザデバイスに見えるドッキングチャネルのみを使用することが関連してもよい。代替的に、2つのユーザデバイスが、両方にとって最良のSNRを有するトランシーバが同じであってもドッキングステーションにおける別個のトランシーバからサービスされるようにしてもよい。
【0031】
本発明の第3の態様によれば、データを転送するためのシステムであって、当該システムは、少なくとも2つのLiFiトランシーバ及びデータ転送制御ユニットを含む、ドッキングステーションと、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む、ユーザデバイスとを含み、データ転送制御ユニットは、第1の通信チャネル転送特性を取得し、第1の通信チャネルは、ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、及び、第2の通信チャネル転送特性を取得し、第2の通信チャネルは、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ように構成され、データ転送制御ユニットはさらに、第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つの通信チャネルを選択する、及び、選択された通信チャネルでのデータの送信のためにドッキングステーションのLiFiトランシーバのうちの少なくとも1つを制御するように構成される、システムが提供される。
【0032】
本発明の第4の態様によれば、コンピュータデバイスで実行された場合、第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、ドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、ドッキングステーションの第2のLiFiトランシーバとユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、選択された通信チャネルでデータを送信するステップとを実行するためのコードを含むコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0033】
本発明の第5の態様によれば、データを転送するためのシステムであって、当該システムは、少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む、ドッキングステーションと、少なくとも2つのLiFiトランシーバ及びデータ転送制御ユニットを含む、ユーザデバイスとを含み、データ転送制御ユニットは、第1の通信チャネル転送特性を取得し、第1の通信チャネルは、ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、及び、第2の通信チャネル転送特性を取得し、第2の通信チャネルは、ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ように構成され、データ転送制御ユニットはさらに、第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの少なくとも1つの通信チャネルを選択する、及び、選択された通信チャネルでのデータの送信のためにユーザデバイスのLiFiトランシーバのうちの少なくとも1つを制御するように構成される、システムが提供される。
【0034】
本発明の第6の態様によれば、コンピュータデバイスで実行された場合、第1の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第1の通信チャネルは、ユーザデバイスの第1のLiFiトランシーバとドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、第2の通信チャネル転送特性を取得するステップであって、第2の通信チャネルは、ユーザデバイスの第2のLiFiトランシーバとドッキングステーションの第1のLiFiトランシーバとの間である、ステップと、各チャネルについて取得された転送特性に基づいて第1の通信チャネル及び第2の通信チャネルのうちの1つの通信チャネルを選択するステップと、選択された通信チャネルでデータを送信するステップとを実行するためのコードを含むコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0035】
第3乃至第6の態様による発明は、第1及び第2の態様による発明と同一又は同等の実施形態及び利点を特徴とする。さらに、方法に関連して述べられる任意の機能は、コンピュータプログラムプロダクトにおいて斯かる機能を実行するためのコード又はシステムにおける対応する構造的特徴を有してもよい。
【0036】
本発明は、特許請求の範囲に列挙されている特徴のすべての可能な組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のこの及び他の態様が、本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して、より詳細に述べられる。図に示されているように、レイヤ及び領域のサイズは、例示の目的で誇張されている場合があり、斯くして、本発明の実施形態の一般的な構造を例示するために提供されている。同様の参照数字は、全体を通して同様の要素を指す。
図1】ドッキングステーションが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、本発明の一態様によるLiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するためのシステムの図である。
図2】ドッキングステーション及びユーザデバイスが各々2つのLiFiトランシーバを含む、本発明の実施形態によるシステムを示す。
図3】ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、本発明の一態様によるLiFiを介してドッキングステーションとユーザデバイスとの間でデータを転送するためのシステムの図である。
図4】本発明のある実施形態による方法のフローチャートである。
図5】ドッキングステーション及びユーザデバイスの一方が2つのLiFiトランシーバを含み、他方が少なくとも1つのLiFiトランシーバを含む、本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
図6】ドッキングステーション及びユーザデバイスの両方が少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、本発明の実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、本発明の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、以下にさらに完全に述べられる。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、本明細書で述べられている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、徹底性及び完全性のために提供されており、本開示の範囲を当業者に完全に伝える。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、よく知られた構成又は機能は詳細に述べられない。
【0039】
以下の詳細な説明では、本発明の一部の実施形態が述べられる。しかしながら、異なる実施形態の特徴は、別段具体的に示されない限り、実施形態間で交換可能であり、異なるやり方で組み合わされてもよいことを理解されたい。以下の説明では、本発明のより徹底した理解を提供するために多くの詳細が述べられるが、当業者には、これらの詳細を伴わずに本発明が実施されてもよいことが明らかとなるであろう。他の例では、本発明を不明瞭にしないように、よく知られた構成又は機能は詳細に述べられない。
【0040】
図1を参照すると、第1のLiFiトランシーバ110及び第2のLiFiトランシーバ120を有するドッキングステーション100が示されている。また、ドッキングステーションにおけるそれぞれのLiFiトランシーバ110、120の通信ゾーン111、121が示されている。LiFiはデータを転送するために光又はIRスペクトルの光を使用することに起因して、LiFiトランスミッタによって直接照らされるゾーン及び/又はLiFiレシーバに可視であるゾーンは、通信ゾーン111、121と呼ばれてもよい。通信ゾーンは、LiFiトランシーバ110、120の視野/照明フィールド111、121内の表面であってよい。例えば、ドッキングステーションは、LiFiトランシーバ110、120がそれらの通信ゾーン111、121がテーブルの表面の少なくとも一部を覆うように配向されるようにテーブルの上に置かれてもよい。トランシーバ110、120(又はトランシーバ110、120のトランスミッタ及びレシーバの少なくとも1つ)は、オーバーラップする通信ゾーン131が存在するように配向されてもよい。オーバーラップする通信ゾーン131において、第1のLiFiトランシーバ110の視野/照明フィールド111は、第2のLiFiトランシーバ120の視野/照明フィールド121と少なくとも部分的にオーバーラップする。さらに、LiFiトランシーバ210を含むユーザデバイス200が図1に含まれている。ユーザデバイス200のLiFiトランシーバ210は、関連する通信ゾーン211を有する。図1に示される通信ゾーン111、121、211の角度的及び空間的広がりは単なる例示であり、例えば、LiFiトランシーバ110、120、210は、本質的に全方向性の通信ゾーン、半球通信ゾーン又はより指向性が高い通信ゾーンを有してもよい。LiFiトランシーバ110、120、210を形成する(複数の)トランスミッタ及び(複数の)レシーバは、通信ゾーンの和(sum of the communication zones)である任意の通信ゾーン又は任意のオーバーラップする通信ゾーンを形成するように構成されてもよい。LiFiトランシーバ211が好適に配向されて、少なくとも1つのLiFiトランシーバ110、120の通信ゾーン111、121に置かれるユーザデバイス200は、ドッキングステーション100と通信してもよい。
【0041】
ドッキングステーション100のデータ転送制御ユニット150は、第1の通信チャネル転送特性を取得するように構成され、第1の通信チャネルは、ドッキングステーション100の第1のLiFiトランシーバ110とユーザデバイス200のLiFiトランシーバ210との間である。データ転送制御ユニット150はさらに、第2の通信SNRを取得し、第2の通信チャネルは、ドッキングステーション100の第2のLiFiトランシーバ120とユーザデバイス200の少なくとも1つのLiFiトランシーバ210との間である。
【0042】
通信チャネル転送特性を取得することは、ドッキングステーション100とユーザデバイス200との間のハンドシェイクプロシージャによって行われてもよい。例えば、ドッキングステーション100の1つのトランシーバ110、120によって、テスト信号を送信し、ユーザデバイス200から、応答信号を受信すること等によって行われてもよい。応答信号は、ユーザデバイス200によって受信されたテスト信号のSNR(又は任意の他の転送特性)を示すデータを含み、応答信号は、ドッキングステーション100によって受信された応答信号のSNRを決定するためにドッキングステーション100によって解析される。
【0043】
データ転送制御ユニット150はさらに、第1及び第2の通信チャネルのうちの通信チャネルを選択し、選択された通信チャネルでデータを送信するようにドッキングステーション100のLiFiトランシーバ110、120のうちの少なくとも1つを制御する。データ転送制御ユニット150はさらに、選択された通信チャネルの一部を形成しないドッキングステーション100のトランシーバ110、120のうちの少なくとも1つをディスエーブルしてもよい。例示的な実施形態において、データ転送制御ユニット150は、例えば、最も高い通信チャネルSNRに関連するLiFiトランシーバ110、120を選択する。さらに、データ転送制御ユニット150は、最も低い通信チャネルSNRに関連するトランシーバをディスエーブルしてもよい。
【0044】
さらに、データ転送制御ユニット150は、最小リンクSNRを取得してもよい。代替的に、ドッキングステーションのデータ転送制御ユニット150は、所定の最小リンクSNRをローカルに記憶しておいてもよい。データ転送制御ユニット150は、例えば比較することによって、通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが最小リンクSNRを下回ることを判断する。通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが最小リンクSNRを下回る場合、データ転送制御ユニット150は、ドッキングステーション100の第1及び第2のLiFiトランシーバ110、120をディスエーブルする。
【0045】
また、データ転送制御ユニット150は、データレート専用SNRを取得してもよい。データレート専用SNRは、ドッキングステーション100とユーザデバイス200との間で要求されるデータレートを得るために必要なSNRを示す。通信チャネルのうちの少なくとも1つがデータレート専用SNRを超えるSNRを有する場合、データ転送制御ユニット150は、斯かる通信チャネルを選択し、選択された通信チャネルでデータを転送する。第1及び第2の通信チャネルのいずれもデータレート専用SNRを超えない又は両方がデータレート専用SNRを超える場合、データ転送制御ユニット150は、最も高いSNRを有するチャネルを選択し、より低いSNRに関連するLiFiトランシーバをディスエーブルしてもよい。両方の通信チャネルがデータレート専用SNRを超えると判断される場合、データ転送制御ユニット150は、いずれかの通信チャネル又はより低い電力消費に関連する通信チャネルを選択するように構成されてもよい。例えば、少なくとも2つのLiFiトランシーバ110、120は、高電力及び低電力LiFiトランシーバから成ってもよく、各通信チャネルがデータレート専用SNRを超えると判断された後、データ転送制御ユニット150は、低電力トランシーバに関連する通信チャネルを選択してもよい。これは、電力消費を抑えつつ、データレート専用SNRを満足する。データレート専用SNRは、常に同じである、静的なものであってもよく、又は、好ましくは、ドッキングステーション100及びユーザデバイス200のデータスループット要件及び伝送特性に応じて変化する、動的なものであってもよい。
【0046】
図2は、ドッキングステーション100が少なくとも1つのLiFiトランシーバ110を含み、ユーザデバイスが少なくとも2つのLiFiトランシーバ210、220を含む、ドッキングステーション100とユーザデバイス200との間でデータを転送するためのシステムを示している。このシステムにおけるデータの転送は、ドッキングステーション100に少なくとも2つのトランシーバ及びユーザデバイス200に少なくとも1つのLiFiトランシーバを有する(図1の)システムと完全に類似して達成される。相違点は、データ転送制御ユニット250がユーザデバイスに位置し、データ転送制御ユニット250は、第1の通信チャネル転送特性を取得し、第1の通信チャネルは、ユーザデバイス200の第1のLiFiトランシーバ110とドッキングステーション100の第1のLiFiトランシーバ110との間である、及び、第2の通信チャネル転送特性を取得し、第2の通信チャネルは、ユーザデバイス200の第2のLiFiトランシーバ220とドッキングステーション100の第1のLiFiトランシーバ110との間である、ように構成されることである。同様に、少なくとも2つのトランシーバ210、220を有するユーザデバイス200は、2つのトランシーバを有するドッキングデバイス100と同様の利点、例えば、より小さい又はより明確に定義された通信ゾーン、増加したデータレート及びより低い電力消費等を享受することになる。少なくとも2つのトランシーバ210、220を有するユーザデバイス200は、それぞれの通信ゾーン211、221がオーバーラップする通信ゾーン231において少なくとも部分的にオーバーラップするようにトランシーバ210、220を配向させてもよい。
【0047】
図3は、ドッキングステーション100及びユーザデバイス200が各々、第1のLiFiトランシーバ及び第2のLiFiトランシーバの2つのLiFiトランシーバ110、120、210、220を含む、ドッキングステーション100とユーザデバイス200との間でデータを転送するためのシステムを示している。
【0048】
ユーザデバイス200は、データ転送制御ユニット250を含む。本発明のある実施形態によれば、データ転送制御ユニット250は、少なくとも4つの通信チャネルの各々について通信チャネル転送特性を取得する。少なくとも4つの通信チャネルは、第1及び第4の通信チャネルを有する第1のペアと、第2及び第3の通信チャネルを有する第2のペアとの、2つのペアを形成する。通信チャネルの第1及び第2のペアそれぞれについて、LiFiトランシーバ110、120、210、220は各々、1つの通信チャネルのみに関連することが理解されるであろう。4つの通信チャネルの通信チャネル転送特性に基づいて、データ転送制御ユニット250は、1つのペアを選択し、選択された通信チャネルのペアでデータを送信する。斯くして、より高いデータスループットが達成される。データ転送のための1つの通信チャネルのペアを選択することは、通信チャネルペアの各々について総通信チャネルペア容量(total communication channel pair capacity)を生成することを含んでもよい。一例として、通信チャネル転送特性は、通信チャネルSNRである。第1のペアの第1及び第4の通信チャネルの取得されたSNRから、チャネル容量が、各チャネルについて抽出又は近似され、第1及び第4の通信チャネルについてのチャネル容量の和が、通信チャネルの第1のペアについての総通信チャネルペア容量になる。同様に、通信チャネルの第2のペアの総通信チャネルペア容量は、第2及び第3の通信チャネルのチャネル容量の和である。通信チャネルのペアを選択することは、データ転送制御ユニット250によって、各ペアについて総通信チャネルペア容量を計算すること、及び、最も高い総容量に関連する通信チャネルのペアを選択することを含んでもよい。
【0049】
さらに、ユーザデバイス200のデータ転送制御ユニット250は、データレート専用SNRを取得してもよい。データ転送制御ユニット250は、4つの通信チャネルのうちの少なくとも第1の通信チャネルが、データレート専用SNR以上であるSNRを有することを判断する。このような判断に応答して、データ転送制御ユニット250は、第1の通信チャネルを選択し、第1の通信チャネルでデータを転送する。データ転送制御ユニット250はさらに、第1の通信チャネルを介してドッキングステーション100に/からデータを転送する場合、ユーザデバイス200の第2のLiFiトランシーバ220はユーザデバイス200によって使用されないので、第2のLiFiトランシーバ220をディスエーブルしてもよい。これにより、電力が節約される。したがって、ユーザデバイスのデータ転送制御ユニット250は、ユーザデバイス200をマルチチャネル通信状態からシングルチャネル通信状態に変更するように構成されてもよい。
【0050】
データ転送制御ユニット250は、ユーザデバイス200が通信位置/向きにあるかどうかを判断する目的で最小リンクSNRを取得してもよい。データ転送制御ユニット250は、通信チャネルのうちの少なくとも1つが最小リンクSNRを下回るSNRを有するかを判断する。通信チャネルが最小リンクSNRを下回るSNRを有することに応答して、データ転送制御ユニット250は、ユーザデバイス200の第1及び第2のLiFiトランシーバ210、220をディスエーブルする。斯くして、ユーザデバイス200とドッキングステーション100との間の通信は、ユーザデバイス200が通信位置/向きにない場合、ディスエーブルされる。代替的に、データ転送制御ユニット250は、すべての通信チャネルのSNRが最小リンクSNRを下回る場合にのみ、ユーザデバイス200の第1及び第2のLiFiトランシーバ210、220をディスエーブルする。
【0051】
上記は、ドッキングステーションの観点、すなわち、ドッキングステーションがデータ転送を制御するためのデータ転送制御ユニット150及びLiFiトランシーバ110、120を含むシステムに対して準用される。一方、ユーザデバイス200は、2つのトランシーバ210、220を含む。
【0052】
図4のフローチャートは、ステップS1a(転送特性を取得)、S2a(チャネルを選択)及びステップS3a(データを送信)における本発明の一態様による方法を述べ、本発明の一部の実施形態を述べるオプションのステップS4a(1つのLiFiトランシーバをディスエーブル)を含んでいる。方法は、少なくとも2つのLiFiトランシーバを有する第1の制御エンティティ及び少なくとも1つのLiFiトランシーバを有する第2のエンティティ(例えば、図1及び図2に示されるシステム)の2つのエンティティ間のLiFiでのデータ転送を容易にする。S1aにおいて、第1及び第2の通信チャネル転送特性が取得される。各通信チャネルの取得された転送特性により、方法はS2aに進み、2つの通信チャネルのうちの1つを選択する、例えば、最も高いSNRを有する通信チャネルが選択される。S3aにおいて、方法は、選択された通信チャネルでデータを転送することを含む。さらに、方法は、選択された通信チャネルの一部を形成しないLiFiトランシーバをディスエーブルすることを含むオプションのステップS4aを含んでもよい。
【0053】
図5を参照して、本発明の一部の実施形態による方法のフローチャートが示されている。ステップS1a、S2a及びS3aに続いて、オプションのステップS31(データレート専用SNRを取得)、S32(第1の通信チャネルがデータレート専用SNRを超えることを判断)及び取得されたデータレート専用SNRに応答してLiFiトランシーバをディスエーブルするためのステップS4aが示されている。オプションのステップS33(最小リンクSNRを取得)、S34(少なくとも1つの通信チャネルが不十分なSNRを有することを判断)、S4b(2つのLiFiトランシーバをディスエーブル)は、取得された最小リンクSNRと比較して不十分なSNRを有する少なくとも1つのチャネルに応答して2つのLiFiトランシーバをディスエーブルすることに関する。
【0054】
S31において、第1のエンティティは、データレート専用SNRを取得する。方法はステップS32に移行し、例えば比較することによって、第1の通信チャネルのSNRがデータレート専用SNRを超えることを判断する。S4aにおいて、第2のLiFiトランシーバはディスエーブルされ、データを転送するために第1の通信チャネルはアクティブなままである。
【0055】
追加的に又は代替的に、方法はS33に進み、最小リンクSNRを取得してもよい。S33の後、方法はS34に進み、例えば比較によって、通信チャネルのうちの少なくとも1つ又は両方が、最小リンクSNRを下回る、不十分なSNRを有することを判断する。通信チャネルのうちの少なくとも1つのSNRが不十分であることを判断することに応答して、方法はS4bに進み、エンティティは通信のために適切に配向されていないと判断されるため、両方のLiFiトランシーバをディスエーブルする。
【0056】
さらに、データレート専用SNR又は最小リンクSNRを取得することに関与するステップS31及びS33は、ステップS32及びS34の前の任意の時点で、例えば、ステップS2aにおける通信チャネル転送特性を取得することと関連して生じてもよい。1つ又は2つのLiFiトランシーバをディスエーブルするための、図5における2つのブランチに含まれるステップは、同時に又は並行して生じてもよいことが理解されるであろう。
【0057】
図6を参照して、各エンティティが少なくとも2つのLiFiトランシーバを含む、2つのエンティティ間で(例えば、図3からのドッキングステーションとユーザデバイスとの間で)LiFiでデータを転送するための本発明の実施形態による方法が述べられている。S1bにおける制御エンティティの観点から、第1、第2、第3及び第4の通信チャネル転送特性が取得される。少なくとも4つの通信チャネルから、上述したように、少なくとも2つの通信チャネルのペアが定義される。各通信チャネルの取得された転送特性により、方法はS2b(通信チャネルペアを選択)に進み、2つの通信チャネルのペアのうちの1つ、例えば、最も高い総通信チャネルペア容量を有する通信チャネルペアを選択する。S3b(選択された通信チャネルのペアでデータを送信)において、方法は、選択された通信チャネルのペアでデータを転送することを含む。方法はさらに、2つのエンティティ間で必要とされる/要求されるデータスループットを示すデータレート専用SNRを取得するステップS31を含んでもよい。データレート専用SNRを取得した後、方法はS32に進み、第1の通信チャネルSNRがデータレート専用SNRを超えることを判断してもよく、斯かる判断に応答して、方法はS4aに進み、制御エンティティの第2のLiFiトランシーバをディスエーブルする。制御エンティティの第2のLiFiトランシーバをディスエーブルした後、2つのエンティティ間の通信モードは、2チャネル通信モードから、少なくとも電力消費の点で有益である単一チャネル通信モードに切り替わってもよい。
【0058】
代替的に又は追加的に、方法は、S33において、最小リンクSNRを取得してもよい。S33の後、方法は、S34において、通信チャネルのうちの少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、又は4つすべてが最小リンクSNRを下回るSNRに関連することを判断する。例えば、通信チャネルのうちの少なくとも1つが最小リンクSNRを下回るSNRを有することを判断した後、方法は、エンティティの2つのLiFiトランシーバをディスエーブルすることを含むS4bに進む。代替的に、方法はS4bに進み、4つすべての通信チャネルが最小リンクSNRを下回ることにのみ応答して2つのLiFiトランシーバをディスエーブルする。
【0059】
当業者は、本発明が決して上記の好ましい実施形態に限定されるものではないことを認識する。それどころか、多くの修正及び変形が、添付の特許請求の範囲内で可能である。
【0060】
さらに、図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。請求項では、単語「含む」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】