(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】片頭痛の予防的治療
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20230728BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20230728BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230728BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230728BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20230728BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20230728BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20230728BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20230728BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20230728BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230728BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20230728BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230728BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61K31/437
A61P25/06
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K39/395 N
A61K9/20
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/26
A61P25/04
A61P11/02
A61P31/04
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022558094
(86)(22)【出願日】2021-03-29
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 US2021024551
(87)【国際公開番号】W WO2021202321
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】322012996
【氏名又は名称】バイオヘイブン・ファーマシューティカル・アイルランド・デジグネイテッド・アクティビティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(71)【出願人】
【識別番号】511275670
【氏名又は名称】ファイザー・アイルランド・ファーマシューティカルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(71)【出願人】
【識別番号】308033504
【氏名又は名称】ファイザー アイルランド ファーマシューティカルズ
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】コリック,ウラディミール
(72)【発明者】
【氏名】クロープ,ロバート
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB01
4C076CC01
4C076CC04
4C076CC10
4C076CC32
4C076DD38A
4C076DD41
4C076EE31
4C076EE32
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4C084AA19
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA14
4C084ZA08
4C084ZA34
4C084ZB11
4C084ZB35
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG08
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA10
4C086CB05
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA34
4C086ZB11
4C086ZB35
4C086ZC75
(57)【要約】
片頭痛の予防的治療を必要とする患者に、リメゲパント又はその薬学的に許容される塩を投与することによる、片頭痛の予防的治療のための方法が開示される。リメゲパントを含む医薬組成物、及びその医薬組成物と説明書とを含むキットも開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
片頭痛の予防的治療を必要とする患者におけるその予防的治療のための方法であって、前記患者に、薬学的に許容される担体と、治療有効量のリメゲパント又はその薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記医薬組成物を投与することにより、前記患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の減少がもたらされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記医薬組成物が、少なくとも1日おきに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の前記減少が、少なくとも20%である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の前記減少が、少なくとも30%である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の前記減少が、少なくとも40%である、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の前記減少が、少なくとも50%である、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記医薬組成物が、1日おきに投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記医薬組成物が、1日1回以下投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記患者に急性片頭痛の治療のための薬剤も投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記薬剤が、CGRP抗体、CGRP受容体抗体、CGRP抗体若しくはCGRP受容体抗体由来の抗原結合断片、CGRP注入阻害タンパク質、CGRP生物中和剤、CGRP受容体拮抗薬、小分子CGRP阻害剤、又はポリペプチドCGRP阻害剤から選択されるCGRP阻害剤である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記CGRP抗体が、ガルカネズマブ-gnlm、フレマネズマブ-vfrm、エプチネズマブ-jjmr、及びエレヌマブ-aooeから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記CGRP受容体拮抗薬が、オルセゲパント、テルカゲパント、ウブロゲパント、アトゲパント、リメゲパント、及びザベゲパントから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記リメゲパントが、ヘミ硫酸セスキ水和物塩の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記医薬組成物が、錠剤の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記医薬組成物が、約50~60重量%のリメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、約30~35重量%の微結晶セルロース、約2~7重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約3~7重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び約0.1~1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記医薬組成物が、約57.1重量%のリメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、約33.4重量%の微結晶セルロース、約4.0重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約5.0重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記医薬組成物が、経口固形成形急速分散剤形の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物が、約70~80重量%のリメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、約10~20重量%の魚ゼラチン、約10~20重量%の充填剤、及び0.1~5.0重量%の香味料を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記充填剤が、マンニトールである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
副鼻腔炎の治療を必要とする患者におけるそれを治療する方法であって、前記患者に、薬学的に許容される担体と、治療有効量のリメゲパント又はその薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物を投与して、前記副鼻腔炎に関連する症状を緩和することを含む、方法。
【請求項22】
前記治療が、前記患者に疼痛緩和をもたらすのに有効である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記治療が、前記患者における感染を軽減するのに有効である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記治療が、前記患者における炎症を軽減するのに有効である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条の下で、2020年3月29日に出願された米国仮特許出願第63/001,341号、2020年11月9日に出願された米国仮出願第63/111,138号、2020年12月14日に出願された米国仮出願第63/125,247号の優先権、及びそれらから生じる全ての利益を主張し、それらの内容は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、片頭痛の予防的治療のためのリメゲパント及びその塩の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
片頭痛は、吐き気若しくは嘔吐、並びに/又は音に対する過敏症(音恐怖症)及び光に対する過敏症(光恐怖症)に関連する中等度から重度の疼痛強度の典型的に片側の脈動性頭痛を含む、複数の症状を伴う4~72時間続く再発性発作を特徴とする慢性かつ衰弱性の障害である。片頭痛は、多くの場合、前兆として知られている一過性の神経学的警告症状が先行し、これは、典型的には、閃光などの視覚障害を伴うが、身体の一部にしびれ又は刺痛を伴う場合もある。片頭痛は、広範囲に及び、身体に障害を引き起こすものでもある。Migraine Research Foundationは、片頭痛を世界で3番目に一般的な疾病として位置付けており、Global Burden of Disease Study 2015は、片頭痛を世界で7番目に高い身体障害特異的原因として位置付けている。Migraine Research Foundationによると、米国ではおよそ3600万人が片頭痛発作に罹患している。ほとんどの罹患者は月に1回又は2回の片頭痛発作を起こすが、400万人超の人々が慢性片頭痛を患っている。慢性片頭痛は、3ヶ月超にわたって頭痛を月に少なくとも15日間経験し、そのうち少なくとも8日間が片頭痛であると定義されている。他の罹患者は、片頭痛を月に15日間未満経験することを特徴とする突発性片頭痛を患っている。突発性片頭痛を有するヒトは、経時的に慢性片頭痛に進行する場合がある。片頭痛発作は、4時間又は最大3日間続く可能性がある。片頭痛発作に罹患している個人の90%超が、片頭痛発作中は働くことも正常に機能することもできず、多くの人々が、抑うつ、不安、及び不眠などの併存疾患を起こす。また、片頭痛に罹患している者は、吐き気を伴うことが多く、発作中に食物又は液体を摂取することを嫌う。
【0004】
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は、37アミノ酸神経ペプチドであり、カルシトニン、アドレノメデュリン、及びアミリンを含むペプチドファミリーに属する。ヒトでは、2つの形態のCGRP(a-CGRP及び13-CGRP)が存在し、同様の活性を有する。これらは3つのアミノ酸だけ異なり、差次的分布を呈する。少なくとも2つのCGRP受容体サブタイプも差次的活性を説明し得る。CGRP受容体は、疼痛シグナル伝達経路、頭蓋内動脈、及びマスト細胞内に位置し、その活性化は、片頭痛病態生理学において因果的役割を果たすと考えられている。例えば、研究及び臨床研究は、片頭痛発作中にCGRPの血清レベルが上昇すること、静脈内CGRPの注入により片頭痛罹患者及び非片頭痛罹患者に持続性疼痛が引き起こされること、及び抗片頭痛薬での治療によりCGRP活性が正常化されることを示している。
【0005】
片頭痛へのCGRPの関与の可能性は、例えば、オルセゲパント(Boehringer Ingelheim,Ridgefield,CT)、テルカゲパント(Merck Sharp & Dohme Corp.,Kenilworth,NJ)、ウブロゲパント(Allergan plc,Dublin,Ireland)、リメゲパント(Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd.,New Haven,CT)、ガルカネズマブ(Eli Lilly and Company,Indianapolis,IN)、フレマネズマブ(Teva Pharmaceutical Industries,Petah Tikva,Israel)、エプチネズマブ(Alder Biopharmaceuticals,Inc.,Bothell,WA)、及びエレヌマブ(Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA)を含む、いくつかの化合物の開発及び臨床試験の基礎となっている。最近研究されている片頭痛の治療用の別の化合物は、ラスミジタン(Eli Lilly and Company,Indianapolis,IN)である。米国食品医薬品局(FDA)は、NURTEC(商標)ODT(リメゲパント)(Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd.(New Haven,CT)から市販されている)、UBRELVY(商標)(ウブロゲパント)(Allergan plc(Dublin,Ireland)から市販されている)、EMGALITY(商標)(ガルカネズマブ-gnlm)(Eli Lilly and Company)から市販されている)、AJOVY(商標)(フレマネズマブ-vfrm)注射剤(Teva Pharmaceutical Industries)から市販されている)、VYEPTI(商標)(エプチネズマブ-jjmr)(H.Lundbeck A/S)から市販されている)、AIMOVIG(商標)(エレヌマブ-aooe)注射剤(Amgen Inc)から市販されている)を含む、片頭痛の治療のためのいくつかのCGRP阻害剤を承認している。FDAは、高親和性5-HT1F受容体作用薬であるREYVOW(商標)(ラスミチダン)(Eli Lilly and Company(Indianapolis,INから市販されている)も承認している。
【0006】
現在、臨床医は、片頭痛の急性治療のためにいくつかの薬理学的薬剤を使用している。American Headache Societyが2015年に公開した研究では、片頭痛の急性治療に有効であるとみなされる薬剤がトリプタン、エルゴタミン誘導体、非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)、オピオイド、及び併用薬のクラスに分類されると結論付けた。片頭痛の急性治療のための現在の標準治療は、セロトニン5-HT1B/1D受容体作動薬であるトリプタンの処方である。トリプタンは、過去20年間にわたって片頭痛の急性治療のために開発され、承認されている。トリプタンの初期導入は、片頭痛の疑わしい病態生理学をより選択的に標的とする薬物への移行であった。トリプタンが医療提供者により外来診療で処方された抗片頭痛療法のほぼ80%を占めている一方で、不十分な効果又は頭痛の再発などの問題が依然として重要な臨床的制限になっている。実際には、臨床試験の患者の約30%のみがトリプタンを服用した2時間後に無痛になる。加えて、トリプタンは、5-HT1B媒介作用による潜在的な全身血管収縮及び脳血管収縮のため、心血管疾患、脳血管疾患、又はいずれかの重大な危険因子を有する患者には禁忌である。また、学術誌Headacheで公開された2017年1月の研究によると、米国の推定260万人の片頭痛罹患者は、治療選択肢としてトリプタンの可能性を制限する心血管事象、状態、又は手術を有する。加えて、片頭痛の治療のために処方される薬剤の多くは、片頭痛の予防的治療には不十分である。
【0007】
したがって、片頭痛の治療のために重要な満たされていない医学的必要性が依然として存在する。具体的には、片頭痛の急性治療のための方法に加えて、片頭痛の予防的治療のための新たな方法が所望される。
【0008】
片頭痛に罹患している患者は副鼻腔炎にも罹患している場合がある。副鼻腔炎、別名、鼻副鼻腔炎は、副鼻腔に並ぶ粘膜の炎症であり、症状を引き起こす。一般的な症状には、濃い鼻粘液、鼻詰まり、及び顔面痛が含まれる。他の兆候及び症状には、発熱、頭痛、嗅覚不良、咽喉痛、及び咳が含まれる。急性副鼻腔炎は典型的には4週間未満続き、慢性副鼻腔炎は典型的には12週間超続く。副鼻腔炎は、ウイルス感染若しくは細菌感染、アレルギー、大気汚染、又は鼻の構造的問題によって引き起こされる可能性がある。副鼻腔炎は、年間、米国の人口の15%超に発症すると考えられており、結果として58億ドル超の直接医療費になる。慢性鼻副鼻腔炎(CRS)は、3000万人超の米国人が発症する副鼻腔炎の症例の大部分を占めている。したがって、副鼻腔炎の治療が所望される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、とりわけ、リメゲパント及びその塩での片頭痛の予防的治療を対象とする。本発明により、片頭痛の予防的治療を必要とする患者に片頭痛の予防的治療を提供することが可能になり得る。かなり驚くべきことに、本発明によれば、片頭痛の急性治療のためにCGRP拮抗薬を服用している患者は、本発明に従ってリメゲパントを服用したときに片頭痛予防の利点を経験し得る。実際には、急性片頭痛予防及び片頭痛予防の両方のためにリメゲパントを服用することにより、患者は、治療における相乗効果及び全体的により効果的な緩和を経験することができる。本発明によれば、リメゲパントは、片頭痛治療のパラダイムを変化させる可能性を有し得、患者に、1つの単純な用量及び簡便な製剤での急性療法及び予防療法の二重作用の可能性を提供する。予防療法の場合、月1回の注射又は静脈内療法ではなく、経口薬を1日おきに服用する能力により、片頭痛を治療する低侵襲性の方法が患者に提供され、患者が自らの片頭痛をより管理していると感じることが可能になり得る。
【0010】
本発明の一態様では、片頭痛の予防的治療を必要とする患者におけるその予防的治療のための方法であって、患者に、薬学的に許容される担体と、治療有効量のリメゲパント又はその薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物を少なくとも1日おきに投与して、当該患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の減少をもたらすことを含む、方法が提供される。
【0011】
本発明の一態様では、当該患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の減少は、少なくとも20%である。本発明の一態様では、当該患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の減少は、少なくとも30%である。本発明の一態様では、当該患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の減少は、少なくとも40%である。本発明の一態様では、当該患者の1ヶ月当たりの平均片頭痛日数の減少は、少なくとも50%である。
【0012】
本発明の一態様では、医薬組成物は、1日おきに投与される。本発明の一態様では、医薬組成物は、1日1回以下投与される。
【0013】
本発明の一態様では、患者は、急性片頭痛の治療のための薬剤も投与される。本発明の一態様では、薬剤は、CGRP抗体、CGRP受容体抗体、CGRP抗体若しくはCGRP受容体抗体由来の抗原結合断片、CGRP注入阻害タンパク質、CGRP生物中和剤、CGRP受容体拮抗薬、小分子CGRP阻害剤、又はポリペプチドCGRP阻害剤から選択されるCGRP阻害剤である。本発明の一態様では、CGRP抗体は、ガルカネズマブ-gnlm、フレマネズマブ-vfrm、エプチネズマブ-jjmr、及びエレヌマブ-aooeから選択される。本発明の一態様では、CGRP受容体拮抗薬は、オルセゲパント、テルカゲパント、ウブロゲパント、アトゲパント、リメゲパント、及びザベゲパントから選択される。
【0014】
本発明の一態様では、リメゲパントは、ヘミ硫酸セスキ水和物塩の形態である。本発明の一態様では、錠剤の形態の医薬組成物。本発明の一態様では、医薬組成物は、約50~60重量パーセント(重量%)のリメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、約30~35重量%の微結晶セルロース、約2~7重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約3~7重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び約0.1~1.0重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。本発明の一態様では、医薬組成物は、約57.1重量%のリメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、約33.4重量%の微結晶セルロース、約4.0重量%のヒドロキシプロピルセルロース、約5.0重量%のクロスカルメロースナトリウム、及び約0.5重量%のステアリン酸マグネシウムを含む。本発明の一態様では、医薬組成物は、経口固形成形急速分散剤形の形態である。本発明の一態様では、医薬組成物は、約70~80重量%のリメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、約10~20重量%の魚ゼラチン、約10~20重量%の充填剤、及び0.1~5.0重量%の香味料を含む。本発明の一態様では、充填剤は、マンニトールである。
【0015】
本発明の一態様では、副鼻腔炎の治療を必要とする患者におけるそれを治療する方法であって、患者に、薬学的に許容される担体と、治療有効量のリメゲパント又はその薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物を投与して、副鼻腔炎に関連する症状を緩和することを含む、方法が提供される。本発明の一態様では、この治療は、患者に疼痛緩和をもたらすのに有効である。本発明の一態様では、この治療は、患者における感染を軽減するのに有効である。本発明の一態様では、この治療は、患者における炎症を軽減するのに有効である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施する際に当業者を支援するために、以下の発明を実施するための形態が提供される。当業者であれば、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に修正及び変形を加えることができる。別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。本記述で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではない。
【0017】
本出願で使用される場合、別途本明細書に明示的に提供される場合を除き、以下の用語は各々、以下に記載の意味を有するものとする。追加の定義は、本出願を通して記載される。用語が本明細書で具体的に定義されていない場合、その用語には、本発明を説明する際のその用語の使用に関連してその用語を適用する当業者によって当該技術分野で認識されている意味が与えられる。
【0018】
冠詞「a」及び「an」は、文脈が明らかにそうではないと指示しない限り、冠詞の文法的目的語の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指す。一例として、「要素(an element)」とは、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0019】
「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値又は組成に対する許容誤差範囲内の値又は組成を指し、これは、その値又は組成がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの制限に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例に従って、1標準偏差以内又は1標準偏差超を意味し得る。代替的に、本出願の文脈に応じて、「約」は、最大1%、5%、10%、又は20%(すなわち、±10%又は±20%)の範囲を意味し得る。例えば、約3mgは、2.7mg~3.3mg(10%の場合)又は2.4mg~3.6mg(20%の場合)の任意の数を含むことができる。更に、特に生体系又は生物学的過程に関して、この用語は、最大1桁又は最大5倍の値を意味し得る。特定の値又は組成が本出願及び特許請求の範囲に提供される場合、別途記載されない限り、「約」の意味は、その特定の値又は組成の許容誤差範囲内であると想定されるべきである。
【0020】
「投与」という用語は、当業者に既知の様々な方法及び送達システムのうちのいずれかを使用して、治療薬を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。投与は、例えば、1回、複数回、及び/又は1以上の長期間にわたって行うこともでき、治療有効量又は治療量以下用量とすることができる。
【0021】
「抗体」という用語(Ab)は、抗原に特異的に結合し、かつジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質免疫グロブリン、又はその抗原結合部分を指すが、これらに限定されない。重鎖は各々、重鎖可変領域(本明細書ではVHと省略される)及び重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つの定常ドメイン、CH1、CH2、及びCH3を含む。軽鎖は各々、軽鎖可変領域(本明細書ではVLと省略される)及び軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つの定常ドメイン、CLを含む。VH領域及びVL領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域に更に細分することができ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域に散在する。VH及びVLは各々、アミノ末端からカルボキシ末端に、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置された3つのCDR及び4つのFRを含む。重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)及び古典的補体系の第1の成分(C1q)を含む、宿主組織又は因子への免疫グロブリンの結合を媒介することができる。
【0022】
免疫グロブリンは、IgA、分泌型IgA、IgG、及びIgMを含むが、これらに限定されない、一般に知られているアイソタイプのうちのいずれかに由来し得る。IgGサブクラスも当業者に周知であり、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含むが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「アイソタイプ」という用語は、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体クラス又はサブクラス(例えば、IgM又はIgG1)を指すが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、アイソタイプの1つ以上のアミノ酸を変異させて、エフェクター機能を変化させることができる。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、一例として、天然に存在する抗体及び天然に存在しない抗体の両方、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体、ヒト抗体又は非ヒト抗体、完全合成抗体、並びに一本鎖抗体を含む。非ヒト抗体は、組換え方法によってヒト化されて、ヒトにおけるその免疫原性を低下させることができる。明示的に記載されていない場合、かつ文脈がそうではないと指示しない限り、「抗体」という用語は、前述の免疫グロブリンのうちのいずれかの抗原結合断片又は抗原結合部分も含み、一価及び二価断片又は部分、並びに一本鎖抗体も含む。
【0023】
「と組み合わせて」及び「と併せて」という用語は、ある治療様式に加えて別の治療様式の施行を指す。したがって、「と組み合わせて」又は「と併せて」とは、対象へのある治療様式の施行前、施行中、又は施行後に他の治療様式を施行することを指す。
【0024】
「薬学的に許容される塩」という用語は、典型的には患者の胃腸管の胃液又は胃腸液中での化合物の溶解度を増加させて、化合物の溶解及び生物学的利用能を促進するために提示される本明細書に記載の化合物の1つ以上の塩形態を指す。薬学的に許容される塩には、該当する場合、薬学的に許容される無機又は有機塩基及び酸に由来するものが含まれる。好適な塩には、医薬分野で周知の多数の他の酸及び塩基のうちとりわけ、カリウム及びナトリウムなどのアルカリ金属、カルシウム塩、マグネシウム塩、及びアンモニウム塩などのアルカリ土類金属に由来するものが挙げられる。
【0025】
「対象」及び「患者」という用語は、任意のヒト又は非ヒト動物を指す。「非ヒト動物」という用語には、脊椎動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、並びにげっ歯類、例えば、マウス、ラット、及びモルモットが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。「対象」及び「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用される。
【0026】
薬剤(本明細書で「薬物」と称されることもある)の「有効量」、「治療有効量」、「治療有効投薬量」、及び「治療有効用量」という用語は、単独で又は別の薬剤と組み合わせて使用される場合、疾患の発症から対象を保護する薬剤、又は疾患症状の重症度の減少、無疾患症状期間の頻度及び期間の増加、又は疾患の苦痛に起因する機能障害若しくは身体障害の緩和によって証明される疾患退行を促進する薬剤の任意の量を指す。薬剤の治療有効量は、例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトにおける有効性が予測される動物モデル系において、又はインビトロアッセイで薬剤の活性をアッセイすることによって、当業者に既知の様々な方法を使用して評価することができる。
【0027】
「治療」という用語は、対象における状態又は疾患の任意の治療を指し、(i)疾患に罹り易い傾向があり得るが、疾患を有するとは診断されていない対象に疾患若しくは状態が発生するのを防止すること、(ii)疾患若しくは状態を抑制すること、すなわち、その発症を阻止すること、疾患若しくは状態を緩和すること、すなわち、その状態の退行を引き起こすこと、又は(iii)疾患によって引き起こされる状態、すなわち、疾患の症状を改善若しくは緩和することを含み得る。治療は、他の標準療法と組み合わせて使用することも単独で使用することもできる。対象の治療又は「療法」には、疾患に関連する症状、合併症若しくは状態、又は生化学的兆候の発症、進行、発現、重症度、又は再発を逆転させる、緩和する、改善する、抑制する、減速させる、又は予防することを目的とする、対象に行われる任意の種類の介入若しくはプロセス、又は対象への薬剤の投与も含まれる。
【0028】
頭痛に関して、「治療」は、対象に有益な又は所望の結果を提供するためのアプローチである。本発明の目的のために、有益な又は所望の臨床結果には、重症度の軽減を含む頭痛のいずれかの態様の改善、疼痛強度の緩和、及び他の関連症状、再発頻度の低下、頭痛に罹患している人々の生活の質の向上、頭痛の治療に必要な他の薬剤の用量の減少、及び1ヶ月当たりの頭痛日数の減少のうちの1つ以上が含まれるが、これらに限定されない。片頭痛の場合、他の関連症状には、吐き気、嘔吐、並びに光、音、及び/又は動きに対する過敏症が含まれるが、これらに限定されない。群発頭痛の場合、他の関連症状には、眼の下又は周囲の腫れ、過度の涙、充血した眼、鼻漏又は鼻詰まり、及び顔面紅潮が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本開示の目的のために、米国食品医薬品局(FDA)による刊行物、Guidance for Industry,“Migraine:Developing Drugs for Acute Treatment”,February 2018(https://www.fda.gov/downloads/drugs/guidances/ucm419465.pdfから入手可能)を参照する。実施例で使用される用語、例えば、最も厄介な症状(MBS)及び疼痛からの解放(Pain Freedom)などは、FDAガイダンスに記載されている。
【0030】
本発明の医薬組成物の作製に有用な出発材料は、容易に商業的に入手可能であるか、又は当業者によって調製され得る。
【0031】
リメゲパントは、化学式C28H28F2N6O3及びIUPAC名[(5S,6S,9R)-5-アミノ-6-(2,3-ジフルオロフェニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[b]ピリジン-9-イル]4-(2-オキソ-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレートを有する。リメゲパントは、本明細書でBHV-3000とも称される。
【0032】
リメゲパントの構造は、以下である。
【化1】
リメゲパントは、例えば、2011年4月21日に公開されたWO2011/046997に記載されている。
【0033】
本発明の好ましい態様では、リメゲパントは、ヘミ硫酸セスキ水和物塩の形態で存在する。この好ましい塩形態は、2013年9月6日に公開されたWO2013/130402に記載されている。
【0034】
この塩形態の化学式はC
28H
28F
2N
6O
3・0.5 H
2SO
4・1.5 H
2Oであり、構造は以下のとおりである。
【化2】
リメゲパントは、Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd.(New Haven,CT)からNURTEC(商標)ODT(リメゲパント)の商標名で入手可能である。
【0035】
本発明の医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、鼻腔用スプレー、粉末剤、顆粒剤、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、マイクロスフェア、及びエアロゾルなどを含む、任意の好適な剤形で調製することができる。
【0036】
リメゲパントを含む本発明の医薬組成物は、典型的には、他の薬学的に許容される担体(賦形剤とも称される)、例えば、結合剤、滑沢剤、希釈剤、コーティング剤、崩壊剤、障壁層成分、流動促進剤、着色剤、溶解促進剤、ゲル化剤、充填剤、タンパク質、補助因子、乳化剤、可溶化剤、懸濁化剤、香味料、防腐剤、及びそれらの混合物なども含む。賦形剤の選択は、組成物の所望の特性及び製剤中の他の薬理学的に活性な化合物の性質に依存する。好適な賦形剤は、当業者に既知である(Handbook of Pharmaceutical Excipients,fifth edition,2005 edited by Rowe et al.,McGraw Hillを参照のこと)。
【0037】
本発明の医薬組成物の調製に使用され得る薬学的に許容される担体の例には、充填剤、例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、又はソルビトールを含む糖類、セルロース調製物、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(PVP)、タルク、硫酸カルシウム、植物油、合成油、ポリオール、アルギン酸、リン酸緩衝溶液、乳化剤、等張生理食塩水、パイロジェンフリー水、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。所望の場合、崩壊剤が組み合わせられる場合もあり、例示的な崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、又はアルギン酸若しくはアルギン酸ナトリウムなどのその塩であり得るが、これらに限定されない。本発明の一態様では、香味剤は、ミント、ペパーミント、ベリー、チェリー、メンソール、及び塩化ナトリウム香味剤、及びそれらの組み合わせから選択される。本発明の一態様では、甘味料は、糖、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファム、ネオテーム、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0038】
概して、本発明の医薬組成物は、当該技術分野で既知の従来の方法で、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、研和、乳化、カプセル化、封入、凍結乾燥プロセスなどによって製造され得る。
【0039】
本発明の一態様では、医薬組成物は、2015年11月24日に発行された米国特許第9,192,580号に記載のものなどの経口固形成形急速分散剤形で調製される。
【0040】
「急速分散剤形」という語句は、流体と接触した後、1~60秒以内、好ましくは1~30秒以内、より好ましくは1~10秒以内、特に2~8秒以内に崩壊又は分散する組成物を指す。流体は、好ましくは、経口投与と同様に、口腔内、すなわち、唾液中に見られるものである。
【0041】
好ましい実施形態では、本発明の組成物は、活性成分、リメゲパント、及び魚ゼラチンを含む水溶性又は水分散性担体の固体ネットワークを含む固形急速分散剤形である。したがって、担体は、活性成分に対して不活性である。このネットワークは、固体状態の組成物から溶媒を昇華させることによって得られ、組成物は、溶媒中に活性成分及び担体の溶液を含む。本発明による剤形は、魚ゼラチンを担体として使用するGregoryらの英国特許第1,548,022号に開示されるプロセスに従って調製することができる。したがって、溶媒中に活性成分及び魚ゼラチン担体溶液を含む初期組成物(又は混合物)が調製され、その後にそれを昇華させる。昇華は、好ましくは、組成物を凍結乾燥することによって行われる。組成物が凍結乾燥プロセス中に成形型に入れられて、任意の所望の形状の固形物を製造することができる。成形型は、組成物がその中で堆積する前の予備ステップで、液体窒素又は固体二酸化炭素を使用して冷却することができる。成形型及び組成物を凍結した後、それらは減圧に供され、所望の場合、それらに制御下で熱を加えて、溶媒の昇華を助ける。このプロセスで加えられる減圧は、約4mmHg未満、好ましくは、約0.3mmHg未満とすることができる。その後、凍結乾燥組成物は、所望の場合、成形型から取り外すか、又は後で使用するまでその中に保存することができる。
【0042】
活性成分及び魚ゼラチンを担体として本プロセスが使用される場合、本明細書に記載の魚ゼラチンの使用に関連する利点を有する固形急速分散剤形が製造される。一般に、魚ゼラチンは、冷水魚源及び温水魚源由来のもの、並びにゲル化品種又は非ゲル化品種のものに分類される。非ゲル化品種の魚ゼラチンは、ゲル化魚ゼラチン及びウシゼラチンと比較して、より低いプロリン及びヒドロキシプロリンアミノ酸含有量を有し、これらは、架橋特性及びゲル化能力に関連することで知られている。非ゲル化魚ゼラチンは、最大約40%の溶液濃度及び20℃の低温でその状態を保つことができる。本発明の一態様では、本発明に従って使用される魚ゼラチンは、好ましくは冷水魚源から得られ、非ゲル化タイプの魚ゼラチンである。より好ましくは、本発明の一態様では、非ゲル化魚ゼラチンの非加水分解形態が使用される。代替の実施形態では、噴霧乾燥非加水分解非ゲル化魚ゼラチンが使用され得る。本発明での使用に好適な魚ゼラチンが市販されている。
【0043】
本発明による組成物は、活性成分乾燥魚ゼラチン担体に加えて、他のマトリックス形成剤及び二次成分も含むことができる。本発明での使用に好適なマトリックス形成剤には、動物性又は植物性タンパク質由来の材料、例えば、他のゼラチン、デキストリン、並びに大豆、小麦、及びサイリウム種子タンパク質、ガム、例えば、アカシア、グアー、寒天、及びキサンタン、多糖、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、デキストラン、ペクチン、合成ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン、並びにポリペプチド/タンパク質又は多糖複合体、例えば、ゼラチン-アカシア複合体が挙げられる。
【0044】
本発明の速溶性組成物に組み込まれ得る他の材料には、糖、例えば、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトース、及びトレハロース、環状糖、例えば、シクロデキストリン、無機塩、例えば、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、及びケイ酸アルミニウム、並びに2~12個の炭素原子を有するアミノ酸、例えば、グリシン、L-アラニン、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、L-ヒドロキシプロリン、L-イソロイシン、L-ロイシン、及びL-フェニルアラニンも挙げられる。1つ以上のマトリックス形成剤が固化(凍結)前に溶液又は懸濁液に組み込まれ得る。マトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて、又は界面活性剤を除外して存在し得る。マトリックスを形成することに加えて、マトリックス形成剤は、懸濁溶液中での任意の活性成分の分散を維持するのを助け得る。これは、水に十分に溶解せず、それ故に、溶解するのではなく懸濁されるべき活性剤の場合に特に有用である。防腐剤、抗酸化剤、界面活性剤、粘度向上剤、着色剤、香味剤、pH調節剤、甘味剤、又は味マスキング剤などの二次成分も速溶性組成物に組み込まれ得る。好適な着色剤には、赤色、黒色、及び黄色酸化鉄、並びにEllis&Everardから入手可能なFD&C色素、例えば、FD&C Blue No.2及びFD&C Red No.40が挙げられる。好適な香味剤には、ミント、ラズベリー、リコリス、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、キャラメル、バニラ、チェリー、及びブドウ香味料、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好適なpH調節剤には、食用酸及び塩基、例えば、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸、マレイン酸、及び水酸化ナトリウムが挙げられる。好適な甘味料には、例えば、スクラロース、アスパルテーム、アセサルフェームK、及びタウマチンが挙げられる。好適な味マスキング剤には、例えば、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着剤、又はマイクロカプセル化活性剤が挙げられる。
【0045】
本発明の医薬組成物を投与する他の典型的な経路には、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、膣内、及び鼻腔内が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される非経口という用語には、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入技法が含まれる。本発明のある特定の実施形態による医薬組成物は、患者に組成物を投与した後に、そこに含まれている活性成分が生物学的に利用可能になることを可能にするように製剤化される。対象又は患者に投与される組成物は、1つ以上の単位剤形をとり得る。かかる剤形を調製する実際の方法は、当業者に既知であるか、又は明らかであり、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)を参照されたい。
【0046】
固体組成物は、通常、1用量当たり約1~約1000mgの活性成分を提供する単位剤形で製剤化される。固体単位剤形のいくつかの例は、0.1mg、1mg、10mg、37.5mg、75mg、100mg、150mg、300mg、500mg、600mg、及び1000mgである。本発明による典型的な用量範囲には、約10~600mg、25~300mg、25~150mg、50~100mg、60~90mg、及び70~80mgが挙げられる。液体組成物は、一般に、1~100mg/mLの単位剤形範囲である。液体単位剤形のいくつかの例は、0.1mg/mL、1mg/mL、10mg/mL、25mg/mL、50mg/mL、及び100mg/mLである。
【0047】
いくつかの態様では、本発明は、対象に1つ以上の追加の薬剤をリメゲパントと同時に又は順次投与する方法を提供する。いくつかの態様では、追加の薬剤は、例えば、当該技術分野で既知の抗頭痛薬(例えば、5-HT1作用薬、トリプタン、麦角アルカロイド、オピエート、アドレナリン拮抗薬、NSAID、又は抗体)などの抗頭痛薬であり得る。
【0048】
いくつかの態様では、追加の薬剤は、トピラメート又はアミトリプチリンであり得る。
【0049】
いくつかの態様では、追加の薬剤は、生物学的なもの、例えば、抗体、抗体断片、又はペプチドから選択されるものであり得る。かかる生物学的製剤は、典型的には約900ダルトン超、例えば、1,100ダルトン超、1,300ダルトン超、1,500ダルトン超、5,000ダルトン超、10,000ダルトン超、50,000ダルトン超、又は100,000ダルトン超の質量を有する分子を含む。市販されているか、又は現在研究されているCGRP生物学的製剤の例には、以下のものが挙げられる。Eli Lilly and Companyから入手可能なEMGALITY(商標)(ガルカネズマブ-gnlm)は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)リガンドに特異的なヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ガルカネズマブ-gnlmは、組換えDNA技術によってチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生される。ガルカネズマブ-gnlmは、2つの同一の免疫グロブリンカッパ軽鎖及び2つの同一の免疫グロブリンガンマ重鎖から構成されており、およそ147kDaの全分子量を有する。Teva Pharmaceutical Industriesから入手可能なAJOVY(商標)(フレマネズマブ-vfrm)注射剤は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)リガンドに特異的な完全ヒト化IgG2Da/カッパモノクローナル抗体である。フレマネズマブ-vfrmは、組換えDNA技術によってチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生される。抗体は、1324個のアミノ酸からなり、およそ148kDaの分子量を有する。H.Lundbeck A/Sから入手可能なVYEPTI(商標)(エプチネズマブ-jjmr)は、酵母(Pichia pastoris)を使用して製造された完全ヒト化IgG1抗体である。Amgen Inc.から入手可能なAIMOVIG(商標)(エレヌマブ-aooe)注射剤は、カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体に対して高い親和性結合を有するヒト免疫グロブリンG2(IgG2)モノクローナル抗体である。エレヌマブ-aooeは、組換えDNA技術を使用してチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞で産生される。これは、各々456個のアミノ酸を有する2つの重鎖と、各々216個のアミノ酸を有するラムダサブクラスの2つの軽鎖とから構成されており、およそ150kDaの分子量を有する。
【0050】
いくつかの態様では、追加の薬剤は、小分子CGRP阻害剤であり得る。例えば、CGRP阻害剤は、CGRP受容体拮抗薬、例えば、オルセゲパント、テルカゲパント、ウブロゲパント、アトゲパント、リメゲパント、及びザベゲパントから選択されるものであり得る。市販のCGRP小分子の例には、Biohaven Pharmaceutical Holding Company Ltd.(New Haven,CT)から入手可能なNURTEC(商標)ODT(リメゲパント)、及びAllergan plc(Dublin,Ireland)から入手可能なUBRELVY(商標)(ウブロゲパント)が挙げられる。高親和性5-HT1F受容体作用薬であるREYVOW(商標)(ラスミチダン)は、Eli Lilly and Company(Indianapolis,IN)から入手可能である。
【0051】
いくつかの態様では、治療効果は、リメゲパントのみ又は1つ以上の追加の薬剤のみの使用と比較して高い可能性がある。したがって、リメゲパントと1つ以上の追加の薬剤との間の相乗効果は、例えば、片頭痛の急性治療、片頭痛の予防的治療、又はそれらの両方で達成され得る。
【0052】
一態様では、本発明は、本方法での使用のためのキットも提供する。キットは、本明細書に記載の医薬組成物と、本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従う使用のための説明書とを含む1つ以上の容器を含むことができる。概して、これらの説明書は、本明細書に記載の方法のうちのいずれかに従って片頭痛を治療する、改善する、又は予防するための医薬組成物の投与の説明を含む。例えば、キットは、その個人が頭痛を有するか、又は個人が頭痛を有するリスクがあるかの特定に基づいて、治療に好適な個人の選択の説明を含み得る。これらの説明書は、典型的には、医薬組成物が患者に提供される管轄区域を管轄する規制当局の要件に従って、添付文書又はラベルの形態で提供される。例えば、NURTEC ODT(リメゲパント)の添付文書は、https://www.nurtec.com/piで入手可能である。
【実施例】
【0053】
以下の実施例は、本発明を例証するものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0054】
実施例1
錠剤の製造-以下のように、75mgの用量のリメゲパントを含む錠剤を製造するためにバッチを調製する。このバッチの組成を以下の表1に記載する。示されるように、このバッチから錠剤を製造する。
【数1】
1.リメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物及び全ての賦形剤を秤量する。
2.リメゲパントヘミ硫酸セスキ水和物、微結晶セルロース(顆粒内部分)、ヒドロキシプロピルセルロース、及びクロスカルメロースナトリウム(顆粒内部分)を20メッシュスクリーンに通す。
3.2の篩過した混合物を適切なサイズのボウルを備えた好適な造粒機に充填し、混合物を10分間乾燥させる。インペラ速度を低く設定し、チョッパーをオフにしする。
4.混合している間、造粒機にスプレーチップを装備し、終点に達するまで精製水を添加する。
5.インペラを低く設定し、チョッパーを低く設定して、湿塊を30秒間混合する。
6.湿塊を流動床乾燥機の膨張チャンバに流し込む。2%未満の目標LODまで乾燥させる。
7.適切なスクリーン(0.075R)及びスペーサー(0.050)を備えたComilを使用して乾燥した顆粒を粉砕する。かさ密度及びタップ密度並びに粒径分布分析を行う。結果を記録する。2つの試料からカール指数及びカール指数平均を計算する。
8.収率を計算する。顆粒外量を再計算する。
9.微結晶セルロース及びクロスカルメロースを20メッシュスクリーンに通す。
10.2立方フィートのトート内で粉砕粒子を再計算した微結晶セルロース(顆粒外部分)、クロスカルメロースナトリウム(顆粒外部分)と組み合わせ、150回転ブレンドする。
11.ステアリン酸マグネシウムを30メッシュスクリーンに通す。
12.クリーンに通したステアリン酸マグネシウムを2立方フィートのトートの内容物に添加し、75回転ブレンドする。
13.プラン毎にブレンド均一性試料を収集する。
14.かさ密度及びタップ密度並びに粒径分析を行い、カール指数を計算する。
15.好適な容器に流し込み、秤量する。
16.716ステーションロータリー製剤プレスを7mmの円形凹型プレーンツーリングとともにセットする。必要に応じてステーション数を調整する。
17.プレスを調整して、錠剤仕様:0.3%以下の損失の破砕性、10~14kPの硬度、3.60~4.10mmの厚さ、及び2:30分以上の崩壊を達成する。
18.以下のようにインプロセス試験を実施する。
●実行開始時、中間時点、及び終了時の錠剤の破砕性及び崩壊
●15分間隔での錠剤の硬度、錠剤の厚さ、個々の錠剤の重量、錠剤の平均重量、及び外観
19.錠剤を除塵装置及び金属検出器に通す。
20.錠剤を好適な容器内のダブルポリエチレンバッグに入れて包装する。
【0055】
実施例2
臨床試験-BHV3000-305:片頭痛予防におけるリメゲパントの有効性及び安全性を評価するための第2/3相無作為化二重盲検プラセボ対照試験(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03732638)。
【0056】
以下のように、1629名の参加者を対象に第2/3相臨床試験を実施した。
【0057】
試験の説明
本試験の目的は、1ヶ月当たりの片頭痛日数の減少によって測定される、片頭痛の予防的治療としてのBHV-3000(リメゲパント)とプラセボの有効性を比較することである。
【数2】
【数3】
【数4】
【0058】
評価項目測定基準:
主要評価項目測定基準:
1.1ヶ月当たりの平均片頭痛日数のベースラインからの変化[時間枠:3ヶ月(12週間)にわたって評価した1ヶ月当たりの平均片頭痛日数]
本試験の12週間の二重盲検期にわたって測定した1ヶ月当たりの平均片頭痛日数のベースラインからの変化。
副次評価項目測定基準:
1.中等度から重度の片頭痛の1ヶ月当たりの平均日数のベースラインからの少なくとも50%の減少の達成[時間枠:ベースラインから12週目の終わりまで]。
二重盲検治療期にわたる中等度から重度の片頭痛の1ヶ月当たりの平均日数のベースラインからの少なくとも50%の減少の達成。
2.1ヶ月当たりの平均頓服薬投薬日数[時間枠:1ヶ月毎の測定基準としてベースラインから12週目の終わりまで]。
二重盲検治療期にわたる1ヶ月当たりの平均頓服薬投薬日数。レスキュー薬には、このプロトコルで定義された頓服薬が含まれる。
3.有害事象[時間枠:ベースラインから12週目の終わりまで]。
治療した対象の少なくとも5%に発生する有害事象であり、症例報告書に報告されるように、重篤な有害事象、中止につながる有害事象、及び臨床的に有意な臨床検査異常値を有する特有の対象の頻度。
4.AST又はALT上昇の頻度[時間枠:ベースラインから12週目の終わりまで]。
ULNの3倍超のAST又はALT上昇の頻度を、ULNの2倍超のビリルビン上昇と同時に、この事象の組み合わせを有する特有の対象の数を表にすることによって評価する。
5.肝臓関連有害事象及び肝臓関連治療の頻度[時間枠:ベースラインから12週目の終わりまで]。
肝臓関連有害事象及び肝臓関連治療中止の頻度を、症例報告書から表にし、かかる事象を報告する特有の対象に基づいて決定する。
6.MSQ役割機能のベースラインからの平均変化[時間枠:ベースラインから12週目の終わりまで]。
MSQ役割機能のベースラインからの平均変化-二重盲検治療期の12週目の制限的ドメインスコア。
7.MIDAS総スコアのベースラインからの平均変化[時間枠:ベースラインから12週目の終わりまで]。
二重盲検治療期の12週目のMIDAS総スコアのベースラインからの平均変化。
【0059】
適格性基準、連絡先、場所、及び詳細情報を含む臨床試験に関する更なる詳細は、www.clinicaltrials.gov(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03732638)で見つけることができる。
【0060】
実施例3
実施例2に記載の試験の結果を以下の表1~3に示す。
【表1A-1】
【表1A-2】
【表1B-1】
【表1B-2】
【表1C-1】
【表1C-2】
【表2A-1】
【表2A-2】
【表2B-1】
【表2B-2】
【表3A-1】
【表3A-2】
【表3B】
【表3C-1】
【表3C-2】
【表3D-1】
【表3D-2】
【表3E-1】
【表3E-2】
【0061】
実施例2に記載の試験は、発作性片頭痛患者及び慢性片頭痛患者の両方における片頭痛の予防的治療のための経口リメゲパント75mgの有効性及び安全性を評価する無作為化プラセボ対照ピボタル臨床試験(NCT03732638)において肯定的なトップライン結果を示した。この試験は主要評価項目を満たしており、プラセボと比較してリメゲパントで治療した患者において1ヶ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの統計的に有意な減少を示した。リメゲパント75mgを1日おきに投与された患者は、プラセボ群の3.7日の減少と比較して、1ヶ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの統計的に有意な4.5日の減少を経験した(p=0.0176)。治験参加者の合計22%は、トピラメート及びアミトリプチリンを含む予防的併用治療を受けていた。予防的併用治療を受けなかった治験参加者では、全てのベースライン片頭痛日数からの変化は、プラセボ群の3.7日の減少(n=269)と比較して、リメゲパント群では1ヶ月当たりの片頭痛日数のベースラインからの4.9日の減少(n=273)であった。重要なことに、リメゲパント群の48%が、プラセボ群の41%と比較して、中等度から重度の片頭痛の1ヶ月当たりの平均日数のベースラインからの少なくとも50%の減少を有した。本発明による平均片頭痛日数の減少は、例えば、プラセボと比較して少なくとも20%、30%、40%、又は50%であり得る。例えば、(4.9-3.7)/3.7×100=32%である。
【0062】
このピボタル試験では、突発性片頭痛及び慢性片頭痛の両方を有する患者を登録した。本試験は、片頭痛を少なくとも1年間有しており、かつ登録前の3ヶ月間にわたって1ヶ月当たり4~18回の中等度から重度の片頭痛発作を有した患者における、プラセボ(n=371)と比較した片頭痛の予防的治療のためのリメゲパント75mg(n=370)の1日おきの投与の有効性及び安全性を評価した。1ヶ月間の観察期間中、患者は片頭痛を1ヶ月当たり平均10.7日間経験し、同期間中に中等度から重度の片頭痛を7.4日間経験した。
【0063】
これらのデータは、リメゲパントの幅広い臨床活性が、片頭痛を有する人々に新たな経口予防的治療選択肢を提供する可能性を示している。本試験におけるリメゲパント治療群における4.5日の減少の効果の大きさは、片頭痛用の他の承認予防薬と一致し、中等度から重度の片頭痛を有する患者において1ヶ月当たり最大5.3日の片頭痛日数の減少を以前に示した我々のリメゲパントの大規模非盲検第2相試験とも一致した。我々の戦略の目標は、片頭痛の治療に対する患者のニーズに対処するための1つの薬剤を提供することである。有効性及び安全性の結果は、リメゲパントが片頭痛の予防的治療及び急性治療の両方のための理想的な第一選択経口療法であり得ることを示唆している。
【0064】
リメゲパント75mgを1日おきに投与した370名の患者に見られた安全性プロファイルは、以前の臨床試験経験と一致していた。ULNの3倍超のALT又はASTの症例もULNの2倍超のビリルビンの症例も存在しなかった。独立した肝臓モニタリングパネルにより、いずれのALT/AST上昇も、恐らく又は確実に治験薬に関連するカテゴリーに含まれるとは判定されなかった。
【0065】
本明細書の実施例1に記載の錠剤形態などの錠剤形態のリメゲパント75mgの生物学的等価性は、2019年10月3日に開示されたWO2019/191008A1の実施例5に記載されるように、臨床的に実証されている。口腔内崩壊錠(ODT)形態のリメゲパント75mgの安全性及び有効性は、臨床試験「BHV3000-303:第3相:片頭痛の急性治療用のBHV-3000(リメゲパント)口腔内崩壊錠(ODT)の二重盲検無作為化プラセボ対照安全性及び有効性試験」(ClinicalTrials.gov識別子:NCT03461757)に記載されるように、臨床的に実証されている。
【0066】
口腔内崩壊錠(ODT)形態のリメゲパント75mgの安全性及び有効性は、参照により全体が本明細書に組み込まれる、Lancet 2021,397(10268),51-60.doi:10.1016/S0140-6736(20)32544-7に公開されているRobert Croop,Richard B.Lipton,David Kudrow,David A.Stock,Lisa Kamen,Charles M.Conway,Elyse G.Stock,Vladimir Coric,Peter J.Goadsbyによる論文「Oral rimegepant for preventive treatment of migraine:a phase 2/3,randomised,double-blind,placebo-controlled trial」に更に記載されている。
【0067】
本出願を通して、様々な刊行物は、著者の氏名及び日付、又は特許番号若しくは特許公開番号によって参照される。これらの刊行物の開示は、本明細書に記載されており、かつ本明細書で特許請求される本発明の日付の時点で当業者に既知の最先端技術をより完全に説明するために、参照によりそれらの全体が本出願に組み込まれる。しかしながら、本明細書における参考文献の引用は、かかる参考文献が本発明の先行技術であるという認識として解釈されるべきではない。
【0068】
当業者であれば、本明細書に記載の特定の手順に相当する多数の等価物を、日常的な実験のみを使用して認識するか、又は確認することができるであろう。かかる等価物は、本発明の範囲内にあるとみなされ、以下の特許請求の範囲によって包含される。例えば、本明細書の発明を実施するための形態及び実施例で具体的に開示されるもの以外の薬学的に許容される塩を用いることができる。更に、項目リスト内の特定の項目、又はより大きい項目群内の項目サブセット群を、他の特定の項目、項目サブセット群、又はより大きい項目群と組み合わせることが、かかる組み合わせを特定する本明細書の特定の開示の有無にかかわらず可能であるよう意図されている。
【国際調査報告】