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特表2023-533641ピッチ制御ユニット・アームとピッチ・ホーンとの間の接続部
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ピッチ制御ユニット・アームとピッチ・ホーンとの間の接続部
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/82 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
B64C27/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567098
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021060670
(87)【国際公開番号】W WO2021224027
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】00538/20
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522299894
【氏名又は名称】コプター グループ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カミナダ、マリオ
(72)【発明者】
【氏名】スクジンスキー、ミハエル
(57)【要約】
開示された本発明は、回転翼航空機のテール・ロータ1のテール・ロータ・ヘッド3におけるピッチ制御ユニット・アーム5とブレード・ホルダ7のピッチ・ホーン8との間の着脱可能な接続部であって、アーム貫通孔50を貫通して突出し、もう一方の縁部がピッチ・ホーン貫通孔80を貫通して突出することによって、ブレード・ホルダ7に取り付けられたピッチ・ホーン8をピッチ制御ユニット4のピッチ制御ユニット・アーム5に接続しているピンを備え、これにより材料の摩耗を低減し、メンテナンス間隔を短縮することができる、着脱可能な接続部について説明している。これは、ピンが、ピッチ・ホーン8とピッチ制御ユニット・アーム5との間に突出しているスライド・ピン9として設計されており、スライド・ピン9が、その長さ方向の途中で中央のボール貫通孔61を有するボール6の形態をとる球面軸受を貫通して通っており、ボール6及びスライド・ピン9の一部が球面軸受の外輪60によって取り囲まれており、それにより、球面軸受内でのスライド・ピン9の摺動の動き及び枢動の動きが可能になることにより、達成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転翼航空機のテール・ロータ(1)のテール・ロータ・ヘッド(3)におけるピッチ制御ユニット・アーム(5)とブレード・ホルダ(7)のピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部であって、アーム貫通孔(50)を貫通して突出し、もう一方の縁部がピッチ・ホーン貫通孔(80)を貫通して突出することによって、ブレード・ホルダ(7)に取り付けられた前記ピッチ・ホーン(8)をピッチ制御ユニット(4)の前記ピッチ制御ユニット・アーム(5)に接続しているピンを備えた着脱可能な接続部において、
前記ピンが、ピッチ・ホーン(8)とピッチ制御ユニット・アーム(5)との間に突出しているスライド・ピン(9)として設計されており、
前記スライド・ピン(9)が、その長さ方向の途中で、中央のボール貫通孔(61)を有するボール(6)の形態をとる球面軸受を貫通して通っており、
前記ボール(6)及び前記スライド・ピン(9)の一部が前記球面軸受の外輪(60)によって取り囲まれ、それにより、前記球面軸受内でのスライド・ピン(9)の摺動の動き及び枢動の動きが可能になることを特徴とする、着脱可能な接続部。
【請求項2】
ボール外側表面及び/又は前記外輪(60)の内側表面に第1の摺動面(62)が形成されており、且つ/又は前記スライド・ピン(9)の外側表面及び/又は前記ボール貫通孔(61)の内側表面に第2の摺動面(63)が形成されており、それにより、前記外輪(60)に対する前記ボール(6)の前記第1の摺動面(62)に沿った摺動の動き、及び/又は前記ボール貫通孔(61)に対する前記スライド・ピン(9)の第2の摺動面(63)に沿った摺動の動きが可能になる、請求項1に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項3】
前記スライド・ピン(9)には螺刻された端部(92)があり、前記スライド・ピン(9)がピン固定ワッシャ(90)及びナット(91)によって前記ピッチ・ホーン(8)において前記螺刻された端部(92)を用いて固定されている、請求項1又は2に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項4】
特に菊ナット(91)及び割ピン保持を用いた、請求項3に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項5】
前記ボール(6)及び前記外輪(60)が、前記ピッチ制御ユニット・アーム(5)の前記アーム貫通孔(50)内に固定されている、請求項1から4までのいずれか一項に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項6】
前記ボール(6)及び前記外輪(60)が前記ピッチ・ホーン(8)の前記ピッチ・ホーン貫通孔(80)に固定され、前記スライド・ピン(9)の枢動の動き及び摺動の動きを達成する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項7】
前記第1の摺動面(62)が前記ボール外側表面に取り付けられ、又は一体化され、前記第2の摺動面(63)が前記スライド・ピン(9)の前記外側表面に取り付けられ、又は一体化されている、請求項2から6までのいずれか一項に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項8】
前記第2の摺動面(63)が、前記スライド・ピン(9)の前記外側表面に接合又は塗布されており、単一材料、繊維強化基材、又は焼結材料を含む、請求項2から7までのいずれか一項に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項9】
前記ピン固定ワッシャ(90)が、円錐形ワッシャ(90)として形成されている、請求項3から8までのいずれか一項に記載の、ピッチ制御ユニット・アーム(5)とピッチ・ホーン(8)との間の着脱可能な接続部。
【請求項10】
回転翼航空機のテール・ロータのテール・ロータ・ヘッド(3)であって、複数のピッチ制御ユニット・アーム(5)を有するピッチ制御ユニット(4)と、テール・ロータ・ブレード(2)が接続された複数のブレード・ホルダ(7)とを備え、各ブレード・ホルダー(7)が、請求項1から9までのいずれか一項に記載の着脱可能な接続部を介して各ピッチ制御ユニット・アーム(5)に接続されている、テール・ロータ・ヘッド(3)。
【請求項11】
スライド・ピン(9)の使用であって、前記スライド・ピン(9)が、ピン固定ワッシャ(90)と、ナット(91)、特に菊ナット(91)と、螺刻された端部(92)とを備え、球面軸受を伴い、前記球面軸受が、ボール貫通孔(61)を有するボール(6)を備え、前記ボール(6)が前記球面軸受の外輪(60)を取り囲んでおり、前記スライド・ピン(9)が、回転翼航空機用のテール・ロータ(1)のテール・ロータ・ヘッド(3)内部のピッチ制御ユニット(4)のピッチ制御ユニット・アーム(5)におけるブレード・ホルダ(7)のピッチ・ホーン(8)の着脱可能な接続のためのものであり、前記スライド・ピン(9)が、前記ボール(6)の前記ボール貫通孔(61)を貫通して突出し、前記ピッチ制御ユニット・アーム(5)のアーム貫通孔(50)を貫通してそこから外に突出して、ピッチ・ホーン貫通孔(80)の完全な貫通を達成して、直線移動可能に、及び揺動可能に取り付けられることになる、スライド・ピン(9)の使用。
【請求項12】
前記ボール(6)及び前記外輪(60)を有する前記球面軸受が、前記ピッチ制御ユニット(4)の各ピッチ制御ユニット・アーム(5)の前記アーム貫通孔(50)内に固定されている、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
回転翼航空機用のテール・ロータ(1)であって、ナット(91)以外の任意の他の部品を取り外すことなく、前記回転翼航空機に完全に設置されている前記テール・ロータ(1)上で、スライド・ピン(9)を取り除いて交換することができる、テール・ロータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転翼航空機のテール・ロータのテール・ロータ・ヘッドにおけるピッチ制御ユニット・アームとブレード・ホルダのピッチ・ホーンとの間の着脱可能な接続部であって、アーム貫通孔を貫通して突出し、もう一方の縁部においてピッチ・ホーン貫通孔を貫通して突出することによって、ブレード・ホルダに取り付けられたピッチ・ホーンをピッチ制御ユニットのピッチ制御ユニット・アームに接続しているピンを備えた着脱可能な接続部と、回転翼航空機のテール・ロータのテール・ロータ・ヘッドであって、複数のピッチ制御ユニット・アームを有するピッチ制御ユニット、及びテール・ロータ・ブレードが接続された複数のブレード・ホルダを備え、各ブレード・ホルダが、スライド・ピンの接続及び使用を介して各ピッチ制御ユニット・アームに接続されており、スライド・ピンが、ピン固定ワッシャ、菊ナット、及び螺刻された端部とを備え、球面軸受を伴っている、テール・ロータのテール・ロータ・ヘッドと、回転翼航空機用テール・ロータとについて記載する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第7604460号からは、テール・ロータ・ヘッドと、関連付けられたロータ・ブレード・ホルダ及び引張りねじれストラップで取り付けられた複数のロータ・ブレードとを備えた、テール・ロータ又はヘリコプター・トルク平衡ロータが知られている。ロータ・ブレード・ホルダは、それぞれピッチ・ホーンを備え、ピッチ・ホーンはピッチ制御ユニット・アーム又は制御ロッドに接続されることになる。米国特許第7604460号で開示されているように、ねじは、ピッチ・ホーンとピッチ制御ユニット・アームとの間を通り、ピッチ・ホーン及びピッチ制御ユニット・アームの貫通孔を貫通して突出することで、固定のために使用される。その結果、ねじとピッチ・ホーンとの強固な接続は、運転中の遠心力を吸収するための、テール・ロータ回転軸の回転を意味する。ピッチ制御アーム貫通孔は、実際はねじの特殊な先端部内で移動する。それは、円筒形の、ピッチ制御ユニット・アーム内のブッシュから、球形の、ねじ接続部の先端部である。ピッチ制御ユニットは、ピッチ制御ユニット・アームを旋回させ、それと共に各ブレード・ホルダのピッチ・ホーンを旋回させるが、ねじには大きな力がかかり、それによってこの構成要素のメンテナンスの必要性が高まる。このねじは締結部の弱点とみなすことができ、締結部にはより注意を払う必要がある。実際に、このねじがすでに破損していると、すべてのブレードの均等な枢動がもはや保証されない。これまで、この接続部はそれほど重視されてこなかった。ねじで固定されたブッシュの球面が、スパイダ内の円筒管表面に対して擦れる。これにより点接触又は線接触が生じ、多くの摩耗を引き起こす。
【0003】
また、他の先行技術文献では、ピッチ・ホーンとピッチ制御ユニット又はピッチ制御ユニット・アームと間の十分に安定した取付けを提供するための特別な事前措置はとられていない。その結果、接続部は機械的な故障が起こりやすく、安全を期して、頻繁なメンテナンスが必要となる。さらに悪いことには、ピッチ・ホーンとピッチ制御ユニット・アームとの間のそれぞれのねじの交換のメンテナンスは、他の部品の取外しと関連しており、テール・ロータの分解を含む大規模な取除きが必要で、これまで簡単ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7604460号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、回転翼航空機のテール・ロータ・ヘッド、及びピッチ制御ユニット・アームとテール・ロータ・ヘッド用のブレード・ホルダのピッチ・ホーンとの間の最適な接続部を作成し、それによって材料の摩耗を低減し、メンテナンス間隔を短縮することができ、機械的によりロバストな構成要素の簡略化したメンテナンスを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
スライド・ピン及び球面軸受の導入により、回転翼航空機のテール・ロータ・ヘッドのメンテナンス及びテール・ロータ・ヘッドを用いたメンテナンスをより簡略化することを達成することができる。ロータクラフト用逆トルク装置のメンテナンス作業を簡略化し、迅速化するために、特殊な種類のスライド・ピンを、意図している。
【0007】
テール・ロータ・ヘッド又はテール・ロータ・ハブの外側からいつでもアクセス可能なスライド・ピンを点検又は交換するために、ロータ・ブレード、ロータ・ハブ、又は制御スパイダなどのさらなる構成要素を取り外したり、又は分解したりする必要はない。
【0008】
添付図面に関連して、本発明の主題を以下に詳細に説明する。本発明の必要な特徴、詳細、及び利点は、以下のこの説明から導出され、それによって、本発明の好ましい実施例及びいくつかの追加の特徴又は任意選択の特徴が詳細に列挙される。
【0009】
本発明の特徴の組合せの変形例又は多少の適合例は、詳細な説明から理解され、図において例示され、従属請求項に含まれるものである。当業者であれば、ここに示された特許請求の範囲の特徴のすべての組合せが適用可能であることを理解する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】任意選択のシュラウドを取り外した、テール・ロータ・ブレードが取り付けられたテール・ロータの斜視全体図である。
図2a】部分的に解体されたテール・ロータ・ヘッド、テール・ロータ・ブレード、ブレード・ホルダ、ピッチ制御ユニット、及び引張りねじれストラップを有するテール・ロータの分解図である。
図2b】テール・ロータ・ヘッドの一部を切断した斜視図、及びピッチ制御ユニット・アームにおけるピッチ・ホーンの接続部の詳細の斜視図である。
図3a】テール・ロータ・ヘッドの上面図の一部を示す図である。
図3b】ブレード・ホルダとピッチ制御ユニットとの間の接続領域の切断面の詳細な部分的に切断された詳細上面図である。
図4a】接続されていないピッチ制御ユニット・アームが背後に描写されている、異なる状態のピッチ・ホーンの側面図である。
図4b】異なる断面平面における、ピッチ・ホーンとピッチ制御ユニット・アームとの間の接続部の、別の部分的に切断された詳細上面図である。
図4c】運転中であり得るピッチ制御ユニット・アームに対するスライド・ピンの軸、角度、及び変位が示された、ピッチ制御ユニット上のテール・ロータ・ヘッド内部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1では、回転翼航空機のロータ1は実例のテール・ロータ1として、回転軸Lから離間して包囲している共通の周方向シュラウドがない状態で示されている。テール・ロータ1の中央には、複数の部品を備えたテール・ロータ・ヘッド3が示されている。ここでは、カバー・ハブ・キャップのないハブ10のみが見られる。複数のテール・ロータ・ブレード・ホルダが、テール・ロータ・ヘッド3に取り付けられている。テール・ロータ・ブレード2は、ブレード・ホルダに直接取り付けられ、それによってテール・ロータ・ヘッド3に間接的に取り付けられている。
【0012】
図2aの分解図は、ロータ・ヘッド3の構成要素をより詳細に示し、ここでは、ロータ・ハブ10上の引張りねじれストラップTTに被さる1つのブレード・ホルダ7による、1つのロータ・ブレード2と、ピッチ制御ユニット4との取付けのみが例として示されている。テール・ロータ・ヘッド3は、少なくとも、後から取り付けられるブレード・ホルダ7、及びテール・ロータ・ブレード2に応じた、ハブ10、ピッチ制御ユニット4、いくつかの引張りねじれストラップTTによって、形成されている。運転中、回転翼航空機の制御システムからの信号は、ピッチ制御ユニット4及び複数のピッチ制御ユニット・アーム5を介して、ロータ・ブレード・ホルダ7を介してテール・ロータ・ブレード2に伝達される。引張りねじれストラップTTは、その接続目の1つがハブ10において固定されており、それぞれがハブ10内の割り当てられた孔を貫通して突出している。ハブ10は、複数のブレード・ホルダ7の支持をもたらす。
【0013】
ピッチ制御ユニット4は、ハブ10の内部に部分的に到達し、テール・ロータ・ブレード・ホルダ7の一部を接続するためのピッチ制御ユニット・アーム5を示して、配置されることになる。また、ピッチ制御ユニット4には、ブレード・ホルダ7が半径方向に突出できるような開口部又は凹部がある。
【0014】
各ブレード・ホルダ7は、割り当てられた引張りねじれストラップTTにおいて、及びピッチ制御ユニット4の割り当てられたピッチ制御ユニット・アーム5において接続可能である。ハブ10において間接的にブレード・ホルダ7を取り付けた後、ハブ・キャップを使用してハブ10を覆うことができる。ブレード・ホルダ7の一部は、ハブ10から突出している。2本のボルトで各テール・ロータ・ブレード2がそれらに割り当てられたブレード・ホルダ7において固定され、少なくとも1つのボルトが必要である。ブレード・ホルダ7とハブ10との間の接続は、引張りねじれストラップTTを介して達成される。
【0015】
ここで、ブレード・ホルダ7は、ストラップ保持部とブレード保持部とを備え、これらは互いに直線的な距離を置いて一体に成形されている。しかしながら、ホルダの設計は他のやり方で行うこともできる。引張りねじれストラップTTは、ブレード・ホルダ7に着脱可能に接続されている。ブレード・ホルダ7とピッチ制御ユニット4との間の接続は、少なくとも1つのスライド・ピン9及びピン固定ワッシャ90を用いて、各ピッチ制御ユニット・アーム5においてピッチ・ホーン8を接続することによって達成され、スライド・ピン9は制御ユニット・アーム5に向かって突出している。そのような接続により、ブレード2は、二重矢印で示すように、ブレード・スパン軸を中心として後から枢動することが可能となり、ピッチ制御ユニット4からブレード・ホルダ7への回転運動の伝達が可能となる。ワッシャ90は任意選択で取り外し可能な構成要素であり、同様にピッチ・ホーン8と一体化した形状に置き換えることも可能である。
【0016】
図2bの部分断面図では、テール・ロータ・ブレード2を伴わない、組み立てられたテール・ロータ・ヘッド3が示されている。材料の摩耗を低減し、よりロバストな部品を作成し、メンテナンス間隔を長くするために、ピッチ制御ユニット・アーム5とブレード・ホルダ7のピッチ・ホーン8との間の着脱可能な接続は、以下でより詳述するように最適化されている。
【0017】
着脱可能な接続を達成するために、スライド・ピン9は、各ピッチ制御ユニット・アーム5の内部に、ボール6を備えた球面軸受を介して保持されている。各ピッチ制御ユニット・アーム5には、アーム貫通孔50があり、このアーム貫通孔50に、ボール貫通孔61及び球面軸受のリング様の外輪60を有するボール6の形態をとる球面軸受が挿入される。
【0018】
この球面軸受は、別の実施例では、ピッチ・ホーン貫通孔80内に配置することもでき、したがってこの解決策は、ここに記載された解決策に従って理解されるべきである。
【0019】
図3aは、複数のテール・ロータ・ブレード2がテール・ロータ・ヘッド3に接続された状態のテール・ロータ1の概要を示している。一方、図3bは、ピッチ・ホーン8とピッチ制御ユニット・アーム5との間の接続部の部分的に切断された詳細上面図である。見られるように、ピッチ・ホーン8は、スライド・ピン9を介してピッチ制御ユニット・アーム5と着脱可能に接続されている。
【0020】
スライド・ピン9を、ピッチ・ホーン8とピッチ制御ユニット・アーム5との間で、ピン固定ワッシャ90によって保持することができる。スライド・ピン9は、これらの構成要素間を、ピッチ・ホーン8内のピッチ・ホーン貫通孔80を貫通して突出し、球面軸受6内のボール貫通孔61を貫通して通り、ボール6からピッチ制御ユニット4に面して出ている。ボール6は、アーム貫通孔50の中心に配置され、その中で球面軸受の外輪62によって取り囲まれている。外輪62は、アーム貫通孔50内に固定されている。このようにして、スライド・ピン9は、ピッチ・ホーン貫通孔80とアーム貫通孔50とを完全に通り抜けて着脱可能に装着される。
【0021】
一端においてスライド・ピン9を、ナット91、例えば菊ナット91と効果的に結合することができる螺刻された端部92を備えて、着脱可能なピン接続で留めることが可能である。スライド・ピン9内の着脱可能なピンのための孔93を通して、図3bには示されていないピンで着脱可能なピン接続を行うことができる。また、菊ナット91に必要なコッター・ピンの設置及び取外しは、メンテナンスにおいて困難で時間がかかることが多いので、菊ナット91の代わりに戻り止めナットを使用することも可能である。
【0022】
スライド・ピン9を固定した後、スライド・ピン9を、二重矢印で示すように、ピッチ制御ユニット・アーム5に対してわずかに旋回させることができる。スライド・ピン9及びボール6は、球面軸受の外輪60の内側表面に接触しているボール6の外側表面における第1の摺動面62に沿ってボール6が運動することによって摺動することができ、これにより、ピッチ制御ユニット・アーム5に対するスライド・ピン9及びボール6の旋回運動又は枢動の動きが引き起こされる。外輪60の内側表面は、アーム貫通孔50の中心の方を指している表面である。
【0023】
球面軸受がピッチ・ホーン貫通孔80の内部に配置される場合、類似の枢動の動きが起こり得る。
【0024】
ボール貫通孔61の内側表面及びスライド・ピン9の外側表面における第2の摺動面63により、スライド・ピン9は、ボール貫通孔61内をスライド・ピン9の長軸方向に小さい範囲で直線的に摺動することができる。ボール貫通孔61内部でのスライド・ピン9の軸方向運動は、ピッチ制御ユニット・アーム5を引き出す遠心力により可能になる。パイロットからの偏揺れ入力が届くたびにピンとボールとの間の相対変位が発生するので、摺動を可能にする必要がある。
【0025】
スライド・ピン9は、常に十分な締め付けが実現されている。スライド・ピン9は、ここで説明した着脱可能なピン接続で固定した後は、ピッチ・ホーン8の貫通孔80及びピッチ制御ユニット・アーム5の貫通孔50から滑り抜けることはできない。
【0026】
ボール6と外輪60との間の第1の摺動面62は、外輪60内でのボール6の旋回運動又は回転を可能にする。ボール6及び外輪60の両部品は、球面軸受の不可欠な部品である。
【0027】
第2の摺動面63をスライド・ピン9の外側表面上に配置する代わりに、球面軸受のボール6内のボア61に取り付けることも同様に可能である。第2の摺動面63は、スライド・ピン9と球面軸受のボール6との間の軸方向変位を可能にする。第2の摺動面63は、スライド・ピン9の一体の部品であってもよく、又はスライド・ピン9に接合若しくは塗布されてもよい。第2の摺動面63は、スライド・ピン9の外側表面に塗布された、単一材料、繊維強化基材、焼結材料又は焼結物質であってよい。専用の摩擦手段を使用する必要がある。
【0028】
スライド・ピン9をピッチ・ホーン8に正確に嵌合させるために、ここでは円錐形のピン固定ワッシャ90を使用したが、スライド・ピン9を嵌合させる他の可能性も存在する。関連付けられた雄ねじを有する螺刻された端部92及びナット91、ここでは菊ナット91によって、スライド・ピン9の固定が可能であり、アーム貫通孔50内でのボール6に対するスライド・ピン9の直線運動が可能である。着脱可能なピンにより、菊ナット91が緩むことが防止される。
【0029】
図示されたスライド・ピン9は、2つのテーパ状外側領域と、第2の摺動面63が配置、取り付け、又は形成された中央の厚くなった内側領域とを備え得る。スライド・ピン9の断面は、2つのテーパ状外側領域において、中央の厚くなった内側領域においてよりも小さくなっている。1つのテーパ状外側領域、及び中央領域を含む厚くなった外側領域を有するスライド・ピン9の設計も可能である。
【0030】
以下で図4を用いて、ピッチ・ホーン8とブレード・ホルダ7と、球面軸受内部のスライド・ピン9との運動の概略が示され、概略的に説明される。
【0031】
運転中、パイロットが偏揺れ入力を適用すると、偏揺れ入力は制御システムを介してピッチ制御ユニット4に伝達され、ピッチ制御ユニット4は距離Zだけ移動する。Zの方向は偏揺れ信号の方向に依存する。ピッチ制御ユニット4は、スライド・ピン9を介してピッチ・ホーン8と連結され、ピッチ・ホーン8は、その軸C1を中心として回転自在なので、ブレード・ホルダ7は距離Zの方向及び大きさに応じて角度α1又はα2だけ回転又は枢動する。
【0032】
角度α1又はα2だけ回転又は枢動することにより、スライド・ピン9の軸が距離Yだけ変位する。また、この変位は、図4cに描写されているように、ピッチ制御ユニット4を長軸Lと等しいその軸C2を中心として回転させ、回転角β及び変位Xを発生させ、変位Xは、スライド・ピン9がピッチ・ホーン8に固定されている状態の、ピッチ制御ユニット・アーム5とピッチ・ホーン8との間、したがってボール6とピッチ・ホーン8との間の変位である。
【0033】
球面軸受及びスライド・ピン9の摺動によるスライド・ピン9とピッチ制御ユニット・アーム5との間の相対運動は、以下のように実現される。
α1又はα2にだけ回転することは、第1の摺動面62及び第2の摺動面63の2つの摺動面のいずれかで実現される。βだけ回転又は枢動することは、球面軸受又はボール6内において、第1の摺動面62上で実現され、一方、Xだけ変位することは、第2の摺動面63上で実現される。運転モードでのピッチ制御ユニット4の回転中、図4cは、スライド・ピン9を30°未満の小さな角度βだけ枢動させた状態を示している。
図4cでは、回転のみが示され、ピンの長軸に沿った軸方向の変位は示されていない。この軸方向変位は、この動きが起こっているときは自在でなければならない。遠心力によってブレード2が少し引き出されることから生じるこの強制された変位によって、及びロータ軸からスパイダの接触点までの真の距離を変化させるブレード・ホルダ7の回転によって、部品に過負荷をかけないために、先行技術文献は部品にこの方向の可撓性を持たせることによってこの問題を解決しようとするものである。いくらかのブレード・ピッチを適用したとき、スパイダはロータ・ハブに対してわずかに回転する。
【0034】
摺動面62、63は、ボール6又は外輪60又はボール貫通孔61に対してスライド・ピン9を十分に摺動させることを可能にする表面である。摺動面62、63は、摺動特性が達成されるように十分に準備される必要がある。可能性として、コーティングが摺動面62、63として使用されるか、又は使用される材料が十分な特性を有する。摺動面62及び63は、インターフェース可動部の少なくとも1つに塗布された専用の低摩擦コーティングと、可動部の少なくとも1つに接合/塗布されたライナー(繊維強化基材)と、可動部の間に設置するか、又は可動部の少なくとも1つに接合/塗布することができるプラスチック材料又は焼結材料の層とで構成されるがこれらに限定されない、専用の低摩擦で耐摩耗性の高い表面であるべきである。
【0035】
摺動面62及び63は負荷圧力に耐えなければならず、低い摩擦係数を有する必要があり、コーティング又は材料のペアリングは、典型的には0.15未満、又はより好ましくは0.1未満の摩擦係数を有する。本発明の利点は、負荷を点/線ではなく面で支持することであり、より広い範囲のコーティングを使用することが可能になっている。炭化タングステンなどの高価で複雑で非常に硬いコーティングが、局所的に非常に高い接触圧力に対処するために、工業界で知られており、使用されており、摩耗により耐用寿命は十分であるが、最適ではない。
【符号の説明】
【0036】
1 テール・ロータ
2 テール・ロータ・ブレード
3 テール・ロータ・ヘッド
4 (制御システムから3に偏揺れ信号を伝達する)ピッチ制御ユニット
5 ピッチ制御ユニット・アーム
50 アーム貫通孔
球面軸受
6 (5又は8の貫通孔内の)ボール
60 球面軸受の外輪
61 ボール貫通孔
62 第1の摺動面
63 第2の摺動面
7 ブレード・ホルダ
8 ピッチ・ホーン
80 ピッチ・ホーン貫通孔
9 スライド・ピン
90 ピン固定ワッシャ/好ましくは円錐形ワッシャ
91 菊ナット
92 螺刻された端部
93 着脱可能なピンのための孔
10 (4)の一部であり、(7)の支持を提供するハブ
C1、C2 軸
α1、α2 角
X、Y、Z 変位
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】