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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】自動嚢切開術
(51)【国際特許分類】
   A61F 9/008 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
A61F9/008 120E
A61F9/008 120B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567443
(86)(22)【出願日】2021-05-16
(85)【翻訳文提出日】2022-11-05
(86)【国際出願番号】 IB2021054187
(87)【国際公開番号】W WO2022018525
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】63/053,650
(32)【優先日】2020-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515212529
【氏名又は名称】ベルキン ヴィジョン リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】サックス、ザッチャリ シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ベルキン、マイケル
(57)【要約】
システム(20)は、放射線源(48)およびコントローラ(44)を有する。コントローラは:被験者(22)の眼(25)の嚢(86)に治療ゾーン(88)を画定し;そして治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、治療ゾーン内の複数の標的領域(94)を照射することにより嚢の中に開口部(96)を形成する;ように構成され、反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:嚢の少なくとも一部の画像(98)を取得するステップと;取得した画像に基づいて、標的領域の1つを指定するステップと;そして放射線源に対し指定された標的領域を照射させるステップと:を有する。他の実施形態も記載される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
放射線源;と
コントローラと:
を有し、
前記コントローラは:
被験者の眼球の嚢に治療ゾーンを画定し;そして
前記治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、前記治療ゾーン内の複数の標的領域を照射することにより前記嚢の中に開口部を形成する;
ように構成され、
前記反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:
前記嚢の少なくとも一部の画像を取得するステップと;
取得した前記画像に基づいて、前記標的領域の1つを指定するステップと;
そして前記放射線源に対し指定された前記標的領域を照射させるステップと:
を有する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記嚢が後嚢である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、前記眼の前嚢における前嚢開口部を識別するステップと;そして
前記治療ゾーンが完全に前記前嚢開口部の背後にあるように前記治療ゾーンを画定するステップと;
により前記治療ゾーンを画定するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、前記眼の虹彩の縁部を識 別するステップと;そして
前記治療ゾーンが完全に前記縁部の内にあるように前記治療ゾーンを画定するステップと;
により前記治療ゾーンを画定するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、前記眼の人工眼内レンズ (IOL)の1つまたは複数のフィーチャを識別するステップと;
前記フィーチャに応じて、前記IOLの推定位置を計算するステップと;そして
前記推定位置に応じて前記治療ゾーンを画定するステップと;
により前記治療ゾーンを画定するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、最後に指定された前記標的領域の前記嚢の組織を識別するステップと;そして
前記組織の識別に応答して、前記最後に指定された標的領域の1つを再指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、前記開口部の周縁の他の部分よりも前記治療ゾーンの境界から遠い、前記開口部の周縁の1つの部分を特定するステップと;そして
前記周縁の特定された1つの部分から所定の距離にある標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記反復の少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
前記画像に基づいて、前記治療ゾーン内の襞を識別するステップと;そして
前記襞の識別に応答して、前記標的領域が前記襞と重なるように前記標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、前記開口部の周縁が安定していることを確認するステップと;そして
前記確認に応答して、前記標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、暫定標的領域のシークエンスの指定の後に、前記開口部を形成するように構成され、
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得された前記画像に基づいて、当該暫定標的領域の下流の次の1つの暫定標的領域と前記開口部の周縁との間の距離が所定の閾値距離より大きいことを確認するステップと;そして
前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きいことを確認したことに応答して、前記暫定標的領域の下流の次の暫定標的領域を標的領域として指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記反復のうちの少なくとも1回の別の反復中に、前記標的領域を指定するステップは;
取得した前記画像に基づいて、前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きくないことを確認するステップと;
前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きくないことの確認に応答して、前記暫定標的領域の下流の次の暫定標的領域のさらに次の1つの暫定標的領域を標的領域として指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記反復のうちの少なくとも1回の別の反復の間に、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きくないことを確認するステップと;そして
前記距離が所定の閾値距離よりも大きくないことの確認に応答して、前記暫定標的領域の下流の次の暫定標的領域の位置をオフセットすることによって前記標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記嚢に標的境界を画定し、そして
前記開口部が前記標的境界の事前画定された閾値パーセンテージに達したことの確認に応答して、反復プロセスを終了する、
ようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記標的境界を、前記治療ゾーンの境界から内側に所定の距離だけオフセットして配置することによって、前記標的境界を画定するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
被験者の眼球の嚢に治療ゾーンを画定するステップと;そして
前記治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、前記治療ゾーン内の複数の標的領域を照射することにより前記嚢の中に開口部を形成するステップと;
を有し、
前記反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:
前記嚢の少なくとも一部の画像を取得するステップと;
取得した前記画像に基づいて、前記標的領域の1つを指定するステップと;そして
前記放射線源に対し指定された前記標的領域を照射させるステップと:
を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記嚢が後嚢である、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記治療ゾーンを画定するステップは、
眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、眼の前嚢における前嚢開口部を識別するステップと;そして
前記治療ゾーンが完全に前記前嚢開口部の背後にあるように前記治療ゾーンを画定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記治療ゾーンを画定するステップは、
前記眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、前記眼の虹彩の縁部を識 別しするステップと;そして
前記治療ゾーンが完全に前記縁部の内にあるように前記治療ゾーンを画定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記治療ゾーンを画定するステップは、
前記眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、前記眼の人工眼内レンズ (IOL)の1つまたは複数のフィーチャを識別するステップと;
前記フィーチャに応じて、前記IOLの推定位置を計算するステップと;そして
前記推定位置に応じて前記治療ゾーンを画定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、最後に指定された前記標的領域の嚢の組織を識別するステップと;そして
前記組織の識別に応答して、前記最後に指定された標的領域の1つを再指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、前記開口部の周縁の他の部分よりも前記治療ゾーンの境界から遠い、前記開口部の周縁の1つの部分を特定するステップと;そして
前記周縁の特定された1つの部分から所定の距離にある標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記反復の少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
前記画像に基づいて、前記治療ゾーン内の襞を識別するステップと;そして
前記襞の識別に応答して、前記標的領域が前記襞と重なるように前記標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、前記開口部の周縁が安定していることを確認するステップと;そして
前記確認に応答して、前記標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記開口部を形成するステップは、暫定標的領域のシークエンスの指定の後に、前記開口部を形成するステップを有し、そして
前記反復のうちの少なくとも1回の間、前記標的領域を指定するステップは:
取得された前記画像に基づいて、前記暫定標的領域の下流の次の1つの暫定標的領域と前記開口部の周縁との間の距離が所定の閾値距離より大きいことを確認するステップと;そして
前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きいことを確認したことに応答して、前記暫定標的領域の前記下流の次の1つの暫定標的領域を標的領域として指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記反復のうちの少なくとも1回の別の反復中に、前記標的領域を指定するステップは;
取得した前記画像に基づいて、前記距離が所定の閾値距離よりも大きくないことを確認するステップと;
前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きくないことの確認に応答して、当該暫定標的領域の次の暫定標的領域に続く1つの暫定標的領域を標的領域として指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記反復のうちの少なくとも1回の別の反復の間に、前記標的領域を指定するステップは:
取得した前記画像に基づいて、前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きくないことを確認するステップと;そして
前記距離が所定の閾値距離よりも大きくないことの確認に応答して、前記暫定標的領域の下流の次の暫定標的領域の位置にオフセットを適用することにより前記標的領域を指定するステップと;
を有する、ことを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記嚢に標的境界を画定するステップと;そして
前記開口部が前記標的境界の事前画定された閾値パーセンテージに達したことの確認に応答して、反復プロセスを終了するステップと;
をさらに有する、
ことを特徴とする、請求項15~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記標的境界を画定するステップは:
前記治療ゾーンの境界から内側に所定の距離オフセットした位置に前記標的境界を配置することにより、前記標的境界を画定するステップを有する、
ことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
プログラム命令が格納された有形の非一過性コンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、前記命令はコントローラに読まれたときに、前記コントローラに対し:
被験者の眼球の嚢に治療ゾーンを画定するステップと;そして
前記治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、前記治療ゾーン内の複数の標的領域を照射することにより前記嚢の中に開口部を形成するステップと;
を実行させ、
前記反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:
前記嚢の少なくとも一部の画像を取得するステップと;
取得した前記画像に基づいて、前記標的領域の1つを指定するステップと;そして
前記放射線源に対し前記指定された標的領域を照射させるステップと:
を有する、
ことを特徴とするコンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科処置、特に嚢切開処置に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年7月19日に出願された「自動後嚢切開術および組み合わせ装置」と題する米国特許仮出願63/053,650(特許文献1)の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
眼の天然水晶体の交換の後に、眼の後嚢の混濁が発生する場合がある。このような場合、後嚢切開術が最適な治療法となりうる。
【0004】
米国特許第8,465,478号(特許文献2)には、正確な所定のジグソー嚢切開術を実行できるレーザシステムを開発するためのシステム、装置、および方法が記載されている。システム、装置、および方法はさらに、単一のレーザを治療用レーザおよびレーザレーダとして使用することができ、カプスロレキシスおよび嚢切開術を実行するためのハンドヘルド装置に関連する患者ごとのばらつきおよび医師ごとのばらつきを低減する。さらに、正確な所定のジグソー ショットパターンと、IOLの形状、特に遠近調節IOLの形状に少なくとも部分的に基づいた成形嚢切開術について記載されている。
【0005】
米国特許第8,845,625号(特許文献3)は、白内障介入のためのシステムおよび方法を記載している。一実施形態では、システムは、複数のレーザパルスを含む治療ビームを生成するように構成されたレーザ源と;少なくとも1つの共通の光学要素を共有するように、治療レーザ送達アセンブリに動作可能に結合された撮像アセンブリを備える統合光学システムであって、1つまたは複数の標的組織構造に関連する画像情報を取得し、3次元パターンで治療ビームを誘導して標的組織構造の少なくとも1つに破壊を引き起こすように構成される統合光学システムと;レーザ源と統合光学システムに動作可能に結合され、画像情報に基づいてレーザビームと治療パターンを調整し画像情報のロバスト最小二乗法フィット分析に少なくとも部分的に基づいて眼の2つ以上の解剖学的構造を区別するように構成されている、コントローラと;を有する。
【0006】
米国特許第10,143,590号(特許文献4)は、レーザ支援後嚢切開術を実施するため、および貫通角膜を有する眼に対してレーザ眼科手術を実施するための方法および装置を記載している。後嚢切開術を実施する方法は、水晶体後嚢と前硝子体膜との間に流体を注入して、水晶体後嚢と前硝子体膜とを分離することを含む。水晶体後嚢が前硝子体膜から分離された状態で、レーザを水晶体後嚢の切開に使用することにより、後嚢切開術は水晶体後嚢に対して行われる。
【0007】
米国特許第10,849,789号(特許文献5)には、眼科測定およびレーザ手術システムであって、レーザ源と;角膜トポグラフィ サブシステムと;軸決定サブシステムと;光コヒーレンストモグラファ(OCT)を含む測距サブシステムと;および屈折率決定サブシステムと含むシステムが記載されている。すべてのサブシステムは、コントローラの操作制御下にある。コントローラは、次の動作を実行するように構成されている:角膜トポグラフィ サブシステムを操作して、角膜表面情報を取得する;軸決定サブシステムを操作して、眼の 1 つまたは複数の眼軸を識別する;OCTを操作して、複数のOCT走査パターンで眼を順次走査する。ここで複数の走査パターンは、眼の軸長を決定するように構成されている;屈折率決定サブシステムを操作して、1つまたは複数の眼組織の屈折率を決定する、ここで角膜表面情報、眼軸情報、および眼軸長のうちの少なくとも1つが、決定された屈折率に基づいて修正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許仮出願63/053,650
【特許文献2】米国特許第8,465,478号
【特許文献3】米国特許第8,845,625号
【特許文献4】米国特許第10,143,590号
【特許文献5】米国特許第10,849,789号
【発明の概要】
【0009】
本願の幾つかの実施形態によれば、放射線源とコントローラとを有するシステムが提供される。コントローラは:被験者の眼球嚢に治療ゾーンを画定し;そして治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、治療ゾーン内の複数の標的領域を照射することにより嚢の中に開口部を形成する;ように構成され、反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:嚢の少なくとも一部の画像を取得するステップと;取得した画像に基づいて、標的領域の1つを指定するステップと;そして放射線源に対し指定された標的領域を照射させるステップと:を有する。
【0010】
幾つかの実施形態では、嚢は後嚢である。
【0011】
幾つかの実施形態では、コントローラは、眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、眼の前嚢における前嚢開口部を識別するステップと;そして治療ゾーンが完全に前嚢開口部の背後にあるように治療ゾーンを画定するステップと;により治療ゾーンを画定するように構成される。
【0012】
幾つかの実施形態では、コントローラは、眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、眼の虹彩の縁部を識 別しするステップと;そして治療ゾーンが完全に縁部の内にあるように治療ゾーンを画定するステップと;により治療ゾーンを画定するように構成される。
【0013】
幾つかの実施形態では、コントローラは、眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、眼の人工眼内レンズ (IOL)の1つまたは複数のフィーチャを識別するステップと;フィーチャに応じて、IOLの推定位置を計算するステップと;そして推定位置に応じて治療ゾーンを画定するステップと;により治療ゾーンを画定するように構成される。
【0014】
幾つかの実施形態では、反復のうちの少なくとも1回の間、標的領域を指定するステップは:取得した画像に基づいて、最後に指定された標的領域の嚢の組織を識別するステップと;そして組織の識別に応答して、最後に指定された標的領域の1つを再指定するステップと;を有する。
【0015】
幾つかの実施形態では、反復のうちの少なくとも1回の間、標的領域を指定するステップは:取得した画像に基づいて、開口部の周縁の他の部分よりも治療ゾーンの境界から遠い、開口部の周縁の部分を特定するステップと;そして周縁の特定された部分から所定の距離にある標的領域を指定するステップと;を有する。
【0016】
幾つかの実施形態では、反復の少なくとも1回の間、標的領域を指定するステップは:画像に基づいて、治療ゾーン内の襞を識別するステップと;そして襞の識別に応答して、標的領域が襞と重なるように標的領域を指定するステップと;を有する。
【0017】
幾つかの実施形態では、反復のうちの少なくとも1回の間、標的領域を指定するステップは:取得した画像に基づいて、開口部の周縁が安定していることを確認するステップと;そして確認に応答して、標的領域を指定するステップと;を有する。
【0018】
幾つかの実施形態では、コントローラは、暫定標的領域のシークエンスの指定の後に、開口部を形成するように構成され、反復のうちの少なくとも1回の間、標的領域を指定するステップは:取得された画像に基づいて、当該暫定標的領域の次の1つの暫定標的領域と開口部の周縁との間の距離が所定の閾値距離より大きいことを確認するステップと;そして距離が所定の閾値距離よりも大きいことを確認したことに応答して、暫定標的領域の次の1つの暫定標的領域を標的領域として指定するステップと;を有する。
【0019】
幾つかの実施形態では、反復のうちの少なくとも1回の別の反復中に、標的領域を指定するステップは;取得した画像に基づいて、距離が所定の閾値距離よりも大きくないことを確認するステップと;距離が所定の閾値距離よりも大きくないことの確認に応答して、当該暫定標的領域の次の暫定標的領域に続く1つの暫定標的領域を標的領域として指定するステップと;を有する。
【0020】
幾つかの実施形態では、反復のうちの少なくとも1回の別の反復の間に、標的領域を指定するステップは:取得した前記画像に基づいて、前記距離が前記所定の閾値距離よりも大きくないことを確認するステップと;そして距離が所定の閾値距離よりも大きくないことの確認に応答して、当該暫定標的領域の次の暫定標的領域の位置にオフセットを適用することによって標的領域を指定するステップと;を有する。
【0021】
幾つかの実施形態では、コントローラは、嚢に標的境界を画定し、そして開口部が標的境界の事前画定された閾値パーセンテージに達したことの確認に応答して、反復プロセスを終了する、ようにさらに構成される。
【0022】
幾つかの実施形態では、コントローラは、標的境界を治療ゾーンの境界から内側に所定のオフセットに配置することによって、標的境界を画定するように構成される。
【0023】
本願の幾つかの実施形態によれば、さらに被験者の眼球嚢に治療ゾーンを画定するステップと;そして治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、治療ゾーン内の複数の標的領域を照射することにより嚢の中に開口部を形成するステップと;を有し、反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:嚢の少なくとも一部の画像を取得するステップと;取得した画像に基づいて、標的領域の1つを指定するステップと;そして放射線源に対し指定された標的領域を照射させるステップと:を有する方法が提供される。
【0024】
本願の幾つかの実施形態によれば、さらにプログラム命令が格納された有形の非一過性コンピュータ可読媒体を含むコンピュータソフトウェア製品であって、命令はコントローラに読まれたときに、コントローラに対し:被験者の眼球嚢に治療ゾーンを画定するステップと;そして治療ゾーンの画定に続いて、反復プロセスにおいて、治療ゾーン内の複数の標的領域を照射することにより嚢の中に開口部を形成するステップと; を実行させ、反復プロセスは、プロセスの複数回の反復のそれぞれの間に:嚢の少なくとも一部の画像を取得するステップと;取得した画像に基づいて、標的領域の1つを指定するステップと;そして放射線源に対し指定された標的領域を照射させるステップと:を有する、ことを特徴とするコンピュータソフトウェア製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本願発明は以下の図面を参照した実施形態の詳細な説明から、より十分に理解されよう:
図1】本発明のいくつかの実施形態による、患者の眼の嚢に対して嚢切開術を実施するためのシステムの概略図である。
図2】本発明のいくつかの実施形態による嚢切開術装置の概略図である。
図3】本発明のいくつかの実施形態による、治療ゾーンを画定するための方法の概略図である。
図4】本発明のいくつかの実施形態による、嚢内の開口部の形成の概略図である。
図5-6】本発明のいくつかの実施形態による、標的領域を指定するための技法の概略図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、事前に指定された暫定標的領域のシーケンスに基づいて標的領域を指定するための技法の概略図である。と
図8】本発明のいくつかの実施形態による、眼嚢に開口部を形成するための例示的な反復プロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(概要)
従来の嚢切開術には、広範な訓練を受けた専門医が必要である。しかし、残念なことに、そのような医師は不足している可能性がある。
【0027】
この課題に対処するために、本発明の実施形態は、自動化された嚢切開システムを提供し、それは、より少量の訓練を受けた医師でも処置を行うことを可能にする。このシステムは、放射線源、カメラ、コントローラ、および適切な光学系を備えている。カメラによって取得された画像に基づいて、コントローラは、放射線源および光学系を制御して、嚢を照射することによって後嚢に開口部を形成する。
【0028】
通常、コントローラは最初に、後嚢の不透明部分の少なくとも一部を含む治療ゾーンを画定する。次に、コントローラは、典型的には治療ゾーンの中心にある第1の標的領域を指定し、次に第1の標的領域を照射する。コントローラは、嚢の画像から第1の標的部位に開口部が初期化されたことを確認した後、開口部の周縁から適切な距離にある第2の標的領域を指定し、第2の標的領域を照射する。コントローラは、嚢の別の1つの画像から開口部が拡張されたことを確認した後、第3の標的領域を指定して照射する。このようにして、コントローラは、画像処理を使用して標的領域の指定を最適化し、したがって、より効率的に開口部を拡張すること、すなわちより少ない放射線ビームを使用することを容易にする。開口部が十分に拡大されたことを別の画像から確認すると、コントローラは手順を終了する。
【0029】
通常、コントローラは、画像処理によって後嚢の襞を特定するように構成されている。襞の識別に応答して、襞に重なる標的領域を指定することができる。有利なことに、嚢の襞を標的にすることによって、開口部をより効率的に拡張することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、一連の暫定標的領域が嚢の照射前に指定される。その後、コントローラは暫定標的領域を反復処理する。コントローラは、それぞれの暫定標的領域に対して、暫定標的領域と開口部の周縁との近接度に基づいて、暫定標的領域を照射するか、暫定標的領域をスキップするか、または暫定標的領域から偏位した新しい標的領域を照射するかを決定する。
【0031】
本明細書に記載される後嚢の自動嚢切開術を実行することに加えて、コントローラは、眼の前嚢にスリット形状の開口部を形成することができる。代替的または追加的に、コントローラは、本明細書に記載の技術のいずれかを使用して、前嚢により大きな開口部を形成することができる。
【0032】
(システムの説明)
最初に図1を参照すると、これは、本発明のいくつかの実施形態による、患者22の眼25の嚢に嚢切開を行うための嚢切開装置21を備えるシステム20の概略図である。本発明のいくつかの実施形態による嚢切開装置21の概略図である図2をさらに参照する。
【0033】
嚢切開装置21は、光学ユニット30およびコントローラ44を備える。光学ユニット30は、例えば、1つまたは複数のガルボミラー50を含む、1つまたは複数のビーム誘導要素を備える。光学ユニット30は、放射線源48をさらに備え、放射線源48は、治療ビームをビーム誘導要素に向けて放射することによって、1つまたは複数の治療ビーム52で眼嚢25を照射するように構成されている。ビームは、ビーム誘導要素によって嚢に向けられる。典型的には、放射線源48は、嚢からの光学ユニットの距離およびビーム誘導要素の位置決めが所望の嚢上の治療スポットサイズを提供する場合にのみ、互いに重なり合うように構成された一対の照準ビーム53で嚢を照射するようにさらに構成されている。したがって、照準ビーム53は、図8を参照して以下でさらに説明するように、治療ビームを放出する前に各治療ビームのスポットサイズを確認するために使用され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、光学ユニット30は、1つまたは複数の他の光学系をさらに備える。例えば、光学ユニットは、治療ビーム52を拡大し、その後再コリメートするビーム拡大器70を備えることができる。そのような実施形態では、通常、光学ユニット30は、治療ビームを集束するように構成される、集束モジュール(例えば、Fシータレンズまたは別のタイプのレンズ)をさらに備える。
【0035】
より具体的には、放射線源48からの各治療ビーム52の放出前に、またはビームが放出されている間に、コントローラ44は、ビーム指向要素を嚢の標的領域に向け、それによりビームがビーム指向要素により標的領域に方向づけられる。例えば、ビームは、ビーム拡大器70を介してビームコンバイナ56に向かってガルボミラー50によって偏向され、その後、集束モジュール72を介してビームコンバイナによってビームが所望のスポットサイズで標的領域に衝突するように偏向され得る。(各治療ビームは非無限小スポットサイズで嚢に衝突するので、本出願は一般に、各ビームを嚢の「点」に衝突するのではなく、嚢の「領域」に衝突するものとして説明する)。経路92は、集束モジュール72などのビーム誘導要素の最下流から標的領域まで延在する。
【0036】
通常、放射線源は、Nd:YAGレーザなどのレーザを含む。(Nd:YAG レーザを組み込んだ市販製品の例としては、フランス、クルノン ドーヴェルニュの Quantel Medical による Optimis II や、イスラエル、Yokneam の Lumenis による Selecta Duet などがある。)レーザは、減衰器、エネルギーメーター、および/またはメカニカルシャッターを含むように変更することができる。レーザの代わりに、またはレーザに加えて、放射線源は、任意の他の適切な放射線エミッターを含んでもよい。
【0037】
いくつかの実施形態では、治療ビームは可視光を含む。代替的または追加的に、治療ビームは、マイクロ波放射、赤外線放射、X線放射、またはガンマ放射などの非可視電磁放射を含むことができる。通常、治療ビームの波長は、400~1400nmの間、例えば532nmまたは1064nmである。
【0038】
通常、嚢上の各治療ビーム52の空間プロファイルはほぼ円形であり、例えばスポットサイズは22μm 未満である。あるいは、各治療ビーム52の空間プロファイルは、楕円形、正方形、または任意の他の適切な形状であってもよい。一般に、治療ビームスポットのサイズおよび形状は、嚢の光破壊に十分なエネルギーを送達するように選択される。
【0039】
通常、照準ビームは、例えば600~700nm の間の波長を持つ可視光を含む。
【0040】
光学ユニット30は、眼の画像を取得するためにコントローラ44によって使用される、カメラ54をさらに備える。図2に示されるように、カメラ54は通常、経路92と少なくともほぼ位置合わせされている。例えば、経路92と眼25からカメラまで延びる仮想線との間の角度は、15度未満であり得る。いくつかの実施形態では、カメラはビームコンバイナ56の背後に配置され、カメラはビームコンバイナを介して光を受信する。他の実施形態では、カメラはビームコンバイナからずれている。
【0041】
処置の開始時に、カメラ54は嚢、または少なくともその一部の最初の画像を取得する。画像に基づいて、コントローラ44は、図3を参照して以下でさらに説明するように、嚢上の治療ゾーンを画定する。続いて、処置中に、カメラ54は、嚢、または少なくともその一部の複数の画像を、比較的高い頻度で取得する。コントローラ44は、これらの画像を処理し、それに応答して、後続の図を参照して以下でさらに説明するように、治療ゾーン内の標的領域を照射のために指定する。
【0042】
一般に、カメラ54は、電荷結合素子(CCD)センサー、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサー、光コヒーレンストモグラフィ( OCT)センサー、および/またはハイパースペクトル画像センサーを備える。センサーを使用して、カメラは、モノクロ画像、カラー画像(たとえば、3色フレームに基づく)、マルチスペクトル画像、ハイパースペクトル画像、光コヒーレンストモグラフィ (OCT)画像、またはそれぞれ異なる種類の複数の画像を融合して生成された画像、などの適切なタイプの2次元または3次元画像を取得する。
【0043】
通常、光学ユニット30は、光源66をさらに含み、光源66は、少なくともほぼ経路92と位置合わせされる。例えば、眼25の上の経路92の末端から光源66まで延びる仮想線との間の角度は、10度未満など、20度未満であってもよい。光源66は、可視固視光68を伝達することによって固視標的64として機能するように構成され、したがって眼の位置を安定させるのに役立つ。特に、処置の前に、患者22は眼25を光源66に固視するように指示される。続いて、処置の間、固視光68を伝達する光源66のおかげで、眼25は光源を固視する。視線は経路92とほぼ一致し(光源が経路とほぼ整列しているため)、眼は比較的安定する。眼が光源を固視している間、放射線源は眼球嚢に治療ビーム52を照射する。
【0044】
いくつかの実施形態では、光源66は、発光ダイオード(LED)などの発光体を含む。他の実施形態では、光源は、発光体から放出された光を反射するように構成された反射体を備える。
【0045】
固視光68の波長は、治療ビームの波長よりも高くても低くてもよいが、通常350~850nmの間である。例えば、固視光68は、600~750nmの波長を有するオレンジ色または赤色であり得る。
【0046】
通常、光学ユニットは光学ベンチを備え、放射源、ガルボミラー、ビームコンバイナなど、光学ユニットに属する前述の要素の少なくとも一部は、光学ベンチに結合される。典型的には、光学ユニットはさらに、治療ビームおよび固視光が通過する前面33を備える。例えば、光学ユニット30は、光学ベンチを少なくとも部分的に包み込み、前面33を有する筐体31を備えることができる(筐体31は、プラスチック、金属、および/または任意の他の適切な材料で作製することができる)。前面33は、光学台に取り付けられるか、または光学台の一体の一部分であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、前面33は、治療ビームおよび固視光が通過する開口部58を画定するように成形される。他の実施形態では、前面は、開口部58の代わりに出口窓を備え、固視光68および治療ビーム52が出口窓を通過するようにする。出口窓は、プラスチック、ガラス、または治療ビーム、照準ビーム、固視光68、および以下で説明する照明源60からの光などの、眼の画像化に使用される任意の光に対して一般に透過性である任意の他の適切な材料から作製され得る。
【0048】
光学ユニット30は、ジョイスティックなどの制御機構36によって制御されるXYZステージユニット32に取り付けられている。制御機構36を使用して、システム20のユーザは、眼を治療する前に(例えば、眼から光学ユニットまでの距離を調整することによって)光学ユニットを位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、XYZステージユニット32は、ステージユニットの位置決め後のステージユニットの動きを禁止するように構成されたロック要素を備える。
【0049】
いくつかの実施形態では、XYZステージユニット32は1つまたは複数のモータ34を含み、制御機構36はインタフェース回路46に接続されている。ユーザが制御機構を操作すると、インタフェース回路46はこの活動を適切な電子信号に変換し、これらの信号を出力する信号に応答して、コントローラはモータ34を制御する。
【0050】
他の実施形態では、XYZステージユニット32は、制御機構を操作することによって手動で制御される。そのような実施形態では、XYZステージユニットは、モータ34の代わりに一組のギアを備えてもよい。
【0051】
システム20は、額当て26および顎当て28を備えるヘッドレスト24をさらに備える。嚢切開術の間、患者22は、顎当て28に顎を載せながら、額を額当て26に押し付ける。いくつかの実施形態では、ヘッドレスト24は、固定具をさらに備える。ストラップ27は、患者の頭を後ろから固定し、患者の頭をヘッドレストに押し付けたままにするように構成されている。
【0052】
いくつかの実施形態では、システム20は、眼に接触しながら治療ビームを集束させ、および/または眼25を安定させるように構成されたコンタクトレンズをさらに備える。
【0053】
いくつかの実施形態では、図1に示されるように、ヘッドレスト24およびXYZステージユニット32は両方とも、トレイまたはテーブルの上面などの表面38上に取り付けられる。他の実施形態では、XYZステージユニットが面38上に取り付けられ、ヘッドレストがXYZステージユニットに取り付けられる。
【0054】
システム20は、カメラによって取得された眼の画像を表示するように構成されたモニタ42をさらに備える。モニタ42は、光学ユニット30に取り付けられるか、または装置21に隣接する表面38上などの任意の他の適切な場所に配置され得る。いくつかの実施形態では、モニタ42はタッチスクリーンを備え、ユーザがタッチスクリーンを介してシステムに命令および/または情報を入力できる。代替的または追加的に、システム20は、キーボードまたはマウスなど、ユーザが使用することができる任意の他の適切な入力装置を備えることができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、モニタ42は、有線または無線通信インタフェースを介してコントローラ44に直接接続される。他の実施形態では、モニタ42は、標準的なデスクトップコンピュータに属するプロセッサなどの外部プロセッサを介してコントローラ44に接続される。
【0056】
いくつかの実施形態では、図2に示すように、コントローラ44はXYZステージユニット32内に配置される。他の実施形態では、コントローラ44はXYZステージユニットの外部に配置される。代替的または追加的に、コントローラは、本明細書に記載の機能の少なくとも一部を別の外部プロセッサと協働して実行することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、システム20はまた、例えば国際特許出願公開WO/2020/008323に記載されているように、線維柱帯形成処置を行うように構成され、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。したがって、システム20を使用して、患者に嚢切開術を行う前または後に、患者22に線維柱帯形成術を行うことができる。例えば、患者22が1回座っている間に両方の処置を行うことができる。
【0058】
そのような実施形態では、線維柱帯形成処置に使用される治療波長(例えば、532nm)は、嚢切開処置に使用される波長と同じであってもよい。あるいは、放射線源48は、治療ビームの波長を嚢切開処置に使用される第1の波長(例えば、1064nm)から線維柱帯形成処置に使用される第2の波長(例えば、532nm)に変換する、またはその逆に変換するように構成された波長変換器を備えてもよい。通常、放射線源は、波長変換器を含む第1の光路と波長変換器を含まない第2の光路との間で治療ビームを切り替えるように構成されたスイッチをさらに備える。
【0059】
代替的または追加的に、そのような実施形態では、光学ユニット30は、例えば、白色光または赤外線LEDなどの1つまたは複数のLEDを備える1つまたは複数の照明源60をさらに備えることができる。例えば、光学ユニットは、開口部58を取り囲むLEDのリングを備えてもよい。そのような実施形態では、コントローラ44は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願公開WO/2020/008323に記載されているように、線維柱帯形成術の処置中に照明源60に眼で間欠的に光を点滅させてもよい。このフ光の点滅は、カメラによって実行される撮像を容易にすることができ、点滅の明るさによって、眼の瞳孔を収縮させるのをさらに助けることができる。(作図を容易にするために、コントローラ44と照明源60との間の電気的接続は、図2には明示的に示されていない。)いくつかの実施形態では、照明源60は、図2に示されるように前面33に結合される。
【0060】
図1に示すように、幾つかの実施形態では、特に線維輪形成術(一般に角膜輪部全体が見えるようにする必要がある)が行われる実施形態では、光学ユニットは眼に向かって斜め上向きに向けられ、一方眼は光学ユニットに向かって斜め下向きに注視し、経路92は斜めになる。例えば、経路は、水平に対して5度から20度の間の角度θに向けることができる。好都合なことに、この向きは、患者の上まぶたおよび関連する解剖学的構造による患者の眼の閉塞を低減する。
【0061】
いくつかの実施形態では、図1に示すように、XYZステージユニットに取り付けられた楔40に取り付けられた光学ユニットによって、経路92の斜め方向が達成される。つまり、光学ユニットは楔40を介してXYZステージユニットに取り付けられる。
【0062】
いくつかの実施形態では、コントローラ44の機能の少なくともいくつかは、本明細書に記載されるように、例えば、1つまたは複数の固定機能または汎用集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、および/またはフィールド プログラマブル ゲート アレイ(FPGA)ハードウェアで実装される。代替的または追加的に、コントローラ44は、ソフトウェアおよび/またはファームウェアコードを実行することによって、本明細書に記載の機能の少なくとも一部を実行することができる。例えば、コントローラ44は、例えば、中央処理装置(CPU)および/またはグラフィック処理装置(GPU)を含むプログラムされたプロセッサとして具現化され得る。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコードおよび/またはデータは、CPUおよび/またはGPUによる実行および処理のためにロードされ得る。プログラムコードおよび/またはデータは、例えばネットワークを介して電子形式でコントローラにダウンロードすることができる。代替的または追加的に、プログラムコードおよび/またはデータは、磁気、光学、または電子メモリなどの非一時的な有形媒体に提供および/または格納されてもよい。そのようなプログラムコードおよび/またはデータは、コントローラに提供されると、本明細書に記載のタスクを実行するように構成されたマシンまたは専用コンピュータを生成する。
【0063】
いくつかの実施形態では、コントローラは、イスラエル、Variscite of LodによるDART-MX8Mなどのシステムオンモジュール(SOM)を備える。
【0064】
(治療ゾーンの画定)
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、治療ゾーンを画定するための方法の概略図である図3を参照する。
【0065】
図3は、嚢切開術の開始時の眼25を示している。特に、図3は、眼の虹彩74の縁部78内にある眼の前嚢76を示している。前嚢76には開口部84が形成されており、眼の生来の水晶体を(例えば超音波乳化吸引術によって)除去し、人工眼内レンズ(IOL)80を挿入できるようになっている。IOL80の後ろには、嚢切開術が行われる不透明化した後嚢86がある。
【0066】
通常、IOL80は、IOLを適所に固定する湾曲したフィラメントまたは「ハプティックス」に接続された楕円光学系89を含む。例えば、楕円光学系89は、直径が6mm~14mmの間の円形であってもよい。IOL80は一般に透明であるが、場合によっては、図3に示すように、IOL80の1つまたは複数のフィーチャ(特にIOLの光学系89)が開口部84の後ろに見えることがある。例えば、幾つかの場合光学系89は、複数のレンズゾーンを含むフレネルレンズを含み、レンズゾーンを画定する同心円82が見える。
【0067】
嚢切開処置の開始時に、コントローラ44(図2)は、後嚢86上に、本図では境界90によって区切られた治療ゾーン88を画定する。通常、治療ゾーン88は楕円形、例えば円形である。
【0068】
例えば、カメラ54(図2)によって取得された眼の少なくとも1つの初期画像に基づいて、コントローラは、例えば、任意の適切なパターンマッチングおよび/またはエッジ検出テクニックを初期画像に適用することによって、前嚢76の開口部84を識別し得る。続いて、コントローラは、治療ゾーンが完全に開口部の背後にあるように治療ゾーンを画定することができる。例えば、コントローラは、境界90を開口部84の周縁から内側に所定の距離(例えば、0.1~1mm)オフセットすることができる。追加の安全対策として、コントローラはさらに、初期画像に基づいて虹彩74の縁部78を識別し、そして治療ゾーンが縁部78内に完全に収まっていることを確認し得る。
【0069】
あるいは、眼の初期画像に基づいて、コントローラは、例えば、任意の適切なパターンマッチングおよび/または縁検出技術を初期画像に適用することによって、IOL80の1つまたは複数のフィーチャを識別し得る。コントローラは、フィーチャに応答して、IOLの推定位置を計算し、推定位置に応答して治療ゾーンを画定することができる。特に、コントローラは、治療ゾーンの位置およびサイズを規定することができ、それにより治療ゾーン全体が開かれたとしても、IOLが開口部を通って落下しないようなる。追加の安全対策として、コントローラは、治療ゾーンが完全に縁部78内にあることをさらに確認することができ、および/または治療ゾーンが完全に開口部84の後ろにあることを確認することができる。
【0070】
例えば、処置の前に、ユーザは、コントローラに、光学系89に属するレンズゾーンの寸法および/または数などのIOLの関連するフィーチャを入力することができる。1つまたは複数の円82を識別することに応答して、コントローラは、光学系の中心の位置を計算することができる。これに応答して、コントローラは、光学系の中心に治療ゾーンの中心を合わせ、および/または境界90を、関連する医学文献に従って、光学系の周縁から内側に所定の距離(例えば、0.5~1mm)オフセットすることができる。
【0071】
あるいは、コントローラは、開口部84またはIOL80の任意のフィーチャを必ずしも特定することなく、縁部78から内側に所定の距離(たとえば、最大 1 mm)だけ境界90をオフセットすることによって、治療ゾーンを画定することができる。
【0072】
通常、治療ゾーンの画定に続いて、コントローラは治療ゾーンを画定する境界90を眼の最初の画像に重ね合わせ、重ね合わされた境界を有する画像をモニタ42に表示する(図1)。次いで、ユーザは、治療ゾーンを承認する前に、例えばマウスを使用して境界90上の1つまたは複数の点をドラッグすることによって、治療ゾーンを調整することができる。
【0073】
他の実施形態では、コントローラは、上述の画像処理を必ずしも実行することなく、ユーザからの入力に応答して治療ゾーンを画定する。例えば、ユーザは、治療ゾーンの所望の中心および半径を入力することができ、および/または上述のように境界90上の点をドラッグすることができる。
【0074】
(開口部の形成)
治療ゾーン88を画定した後、コントローラは、反復プロセスで治療ゾーン内の複数の標的領域94を照射することによって、嚢86に開口部を形成する。プロセスの各反復中に、コントローラは嚢の少なくとも一部の画像を取得し、取得した画像に基づいて標的領域94の1つを指定し、指定された標的領域を放射線源48(図2)に照射させる。例えば、図3は、治療ゾーン88の中心にある最初の標的領域を示しており、コントローラは、それを指定し、そして次にプロセスの最初の反復中にそれを照射することができる。
【0075】
さらなる詳細について、ここで、本発明のいくつかの実施形態による、嚢86内の開口部96の形成の概略図である図4を参照する。
【0076】
図4のセクションAは、開口部96の初期化の後の眼の画像98を示し、初期化は、図3に示される第1の指定標的領域94を照射することによって実行される。画像に基づいて、コントローラは、例えば、図5を参照して以下でさらに説明されるように、第2の標的領域を指定する。
【0077】
図4のセクションBは、開口部96を拡張する第2の標的領域の照射の後の画像98を示す。画像に基づいて、コントローラは第3の標的領域94を指定する。
【0078】
図4のセクションCは、標的領域94が照射される、多数のさらなる反復の後の画像98を示す。そのような画像に基づいて、コントローラは、それ以上の標的領域を指定することを控えることを決定し、したがって、反復プロセスを終了することができる。
【0079】
例えば、コントローラは、例えば、処置ゾーンの境界90から所定のオフセット(例えば、0.01~1mm)内側に標的境界91を配置することによって、開口部の標的境界91を画定することができる。続いて、コントローラは、開口部が標的境界91の所定の閾値パーセンテージ(例えば、90%~100%)に達したことを確認することに応答して、プロセスを終了することができる。図3を参照して境界90について上述したように、ユーザはその後、標的境界を調整することができる。開口部が治療ゾーンの境界90の所定の閾値パーセンテージ(例えば、90%~100%)に達したことを確認することに応答して、プロセスを終了することができる。
【0080】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、標的領域94を指定するための技術の概略図である図5を参照する。
【0081】
図5は、図4のセクションA-Bに一般的に示される開口部96が形成されるシナリオを示す。このシナリオでは、場合によっては、コントローラは次の手法を実行して次の標的領域を指定する。
【0082】
最初に、画像98に基づいて、コントローラは、周縁の他の部分よりも境界90から遠い開口部の周縁の一部分を識別する。
【0083】
例えば、周縁に沿った複数のポイント104a の場合、コントローラは、ポイント104a と境界90の間の最短距離 d0a、つまり、ポイント104a と境界90との間の最短線の長さを計算することができる。その後コントローラは、d0a が最大であるポイント104aを識別することができる。
【0084】
あるいは、コントローラは、(i)ある角度で治療ゾーンの中心100から放射する線102が開口部96の周縁と交差する点104b と、(ii)線102が境界90と交差する点と、の間の距離d0bを、複数の角度について計算できる。その後、コントローラは、d0b が最大となる点104bを特定することができる。
【0085】
次に、コントローラは、周縁の識別された部分から所定の距離d1 にある標的領域94を指定する。例えば、上述のようにポイント104a を特定した後、コントローラは、特定されたポイント104aと境界90との間の最短線上にある標的領域94aを、特定されたポイント104aから距離d1 に指定することができる。同様に、上記の点104bの識別に続いて、コントローラは、識別された点104bを境界90に結ぶ線102上にある標的領域94bを、識別された点104bから距離d1 に指定することができる。
【0086】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、標的領域94を指定するための別の技術の概略図である図6を参照する。
【0087】
場合によっては、嚢の組織の少なくとも1つの襞106が治療ゾーン内にある。そのような場合、コントローラは、例えば、縁検出アルゴリズム、ライン検出アルゴリズム、または任意の他の適切な画像処理アルゴリズムを画像98に適用することによって、襞106を識別し得る。標的領域が襞に重なるように、標的領域94を指定することができる。
【0088】
たとえば、識別された襞のそれぞれについて、コントローラは 2つの距離を計算することができる:(i)襞の中心と、襞の中心から最も近い、開口部の周縁上の点との距離d2(ii)襞の中心と、襞の中心から最も近い、境界90上の点との距離d3。次いで、コントローラは、d2が所定の距離範囲(例えば、0.5~1mmなどの0.2~2mm)内にある一連の「標的化可能な」襞を識別し得る。続いて、コントローラは、d3が最大である標的化可能な襞を選択し、次いで、選択された襞の中心に標的領域94を配置することができる。代替的に、標的化可能な襞がない場合、コントローラは図5の技術を代わりに使用して標的領域を指定することができる。
【0089】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、暫定標的領域の事前に指定されたシーケンスに基づいて標的領域を指定するための技術の概略図である図7を参照する。
【0090】
いくつかの実施形態では、嚢を照射する前に(およびその後に治療ゾーンを画定する前に)、暫定標的領域130のシークエンスが指定される。例えば、コントローラは、嚢の画像をユーザに表示することができ、ユーザは、暫定標的領域130が望ましい、画像の各部分の上でマウスをクリックすることによって、手動でシーケンスを指定することができる。代替的に、コントローラは、シーケンスを指定し、シーケンスをユーザに表示することができ、その後、ユーザは、任意の数の暫定標的領域130をシフト、追加、または削除した後に、シーケンスを承認することができる。
【0091】
通常、シーケンスは一般に幾何学模様に従う。例えば、暫定標的領域は、治療ゾーンの中心から外向きにらせん状に延びる螺旋132、またはアスタリスクを画定する複数の交差線内に配置することができる。シークエンスの一部は、例えば、1つまたは複数の暫定標的領域130が襞106と重なるように、パターンからわずかに逸脱し得る(図6)。
【0092】
そのような実施形態では、開口部96を形成するとき、コントローラは、暫定標的領域130のシークエンスを反復する。暫定標的領域のそれぞれについて、コントローラは、(i)暫定標的領域を次の標的領域94として指定する、すなわち、図7の右上挿入部分に示されているように、照射のための暫定標的領域を承認する(ii)図7の右中央の挿入部分に示されているように、暫定標的領域の位置にオフセットを適用することにより、次の標的領域を指定する、または (iii) 図7の右下の挿入部分に示されているように、下流の暫定標的領域を次の標的領域として指定する。
【0093】
特に、各暫定標的領域について、コントローラは、暫定標的領域と開口部96の周縁との間の距離d2が所定の閾値距離(例えば、0.2~0.9mm)よりも大きいかどうかを確認する。d2が所定の閾値距離よりも大きい場合、暫定標的領域は標的領域94として指定される。そうでない場合、コントローラは、オフセットを適用するか、下流の暫定標的領域を指定する。
【0094】
図4~7を参照すると、開口部96は、必ずしも治療ゾーンの中心で初期化する必要はないことに留意されたい。例えば、十字形または星印のパターンで嚢を横切って掃引するとき、十字形または星印の各線における最初の標的領域は、治療ゾーンの端部の近くに指定され得る。
【0095】
(反復プロセスの例)
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、眼嚢に開口部を形成するための例示的な反復プロセス108の流れ図である図8を参照する。反復プロセス108は、例えば、図3を参照して上記で説明したように、治療ゾーンを画定した後にコントローラによって実行されてもよい。
【0096】
プロセス108の各反復は、コントローラがカメラ54(図2)を使用して、嚢の少なくとも一部の画像を取得する、撮像ステップ110で始まる。撮像ステップ110に続いて、コントローラは、位置特定ステップ112で、治療ゾーンを画定するために従前に使用されたいずれかの画像処理を繰り返すことによって、カメラの視野(FOV)内の治療ゾーンの境界90(図3)の位置を特定する。(FOV内の治療ゾーン境界の位置は、眼の動きにより、処置全体を通して変化する可能性がある。)例えば、境界90を開口部84の周縁から所定の距離に配置することによって治療ゾーンが画定された場合(図3)、コントローラは、最新の取得画像内の開口部84の周縁を識別し、その後、そこから所定の距離にある治療ゾーン境界の位置を識別し得る。標的境界91(図4)が画定される実施形態では、コントローラは、カメラのFOV内の標的境界91の位置も識別し得る。
【0097】
続いて、チェックステップ114で、コントローラは、少なくとも1つの標的領域がすでに照射されたかどうか(すなわち、少なくとも1回の反復がすでに実行されたかどうか)をチェックする。そうでない場合、コントローラは、以下に説明する標的指定ステップ124を実行する。そうでない場合、コントローラは、別のチェックステップ116で、最後に指定された(および照射された)標的領域が開かれたかどうかをチェックする。換言すれば、コントローラは、取得された画像に基づいて、最後に指定された標的領域に嚢の組織が存在するかどうかをチェックする。
【0098】
通常、チェックステップ116は2つのサブステップで構成される。第1のサブステップでは、コントローラは、境界90の位置に基づいて最後の標的領域の位置を特定する。例えば、境界90の位置に基づいて、治療ゾーンの中心の位置のシフトを計算し、次に最後の標的領域の位置に同じシフトを適用する。したがって、例えば、(i)治療ゾーンの中心が(0,0)の時に、最後の標的領域が(x0,y0)に中心があり、(ii)治療ゾーンの中心が現在(dx,dy) の場合、コントローラは (x0+dx,y0+dy) を最後の標的領域の新しい位置として識別する。続いて、第2のサブステップにおいて、コントローラは、現在の画像の最後の標的領域と最後の画像の最後の標的領域との間のピクセル値の変化を計算し、この変化を所定の閾値と比較する。
【0099】
最後の標的領域が開かれなかった場合(すなわち、コントローラが最後の標的領域で嚢組織を識別した場合)、コントローラは、標的再指定ステップ126で、最後の標的領域を再指定する。いくつかの実施形態では、コントローラはまた、所定の増加幅で、標的領域がその後照射されるエネルギーを増加させてもよい。 (そのような実施形態では、典型的には、エネルギーは、所定の最大エネルギーまで、所定の増加幅で複数回増加させることができ、その後、標的領域がまだ開いていない場合、プロセス108は中止される。)
【0100】
あるいは、最後の標的領域が開かれている場合、コントローラは、周縁識別ステップ118で、例えば、任意の適切な周縁検出アルゴリズムを使用して、開口部96(図4)の周縁を識別する。続いて、サイズチェックステップ120で、コントローラは、例えば、図4を参照して上述したように、開口部が標的境界91に到達するかどうかをチェックすることによって、開口部が十分に大きいかどうかをチェックする。そうである場合、プロセス108は終了する。そうでない場合、コントローラは安定性チェックステップ122に進む。
【0101】
安定性チェックステップ122で、コントローラは、治療ゾーン境界に対する開口部の周縁の現在の位置および周縁の形状を最後の位置および形状と比較することによって、開口部の周縁の安定性をチェックする。周縁が安定していることを確認すると、コントローラは標的指定ステップ124に進む。あるいは、周縁が安定していないこと、すなわち、以前の照射の結果として開口部がまだ拡大していることを確認すると、コントローラは、新しい標的領域を指定することを控え、撮像ステップ110に戻る。
【0102】
標的指定ステップ124において、コントローラは、新たな標的領域を指定する。例えば、コントローラは、図6を参照して上記で説明したように、標的化可能な襞を最初にチェックすることができる。標的化可能な襞が見つかった場合、コントローラは、図6を参照して上記でさらに説明したように、その襞を標的にすることができる。見つからなかった場合、コントローラは、図5または図7を参照して上述したように標的領域を指定することができる。
【0103】
標的指定ステップ124または標的再指定ステップ126の実行に続いて、コントローラは照準ステップ128で、照準ビーム53(図2)を指定された標的領域に向ける。続いて、コントローラは、撮像ステップ110で嚢の別の1つの画像を取得する。次に、コントローラは、確認ステップ134で、照準ビームが指定された標的領域で互いに重なるかどうかを確認する。そうでない場合、コントローラは、距離調整ステップ136で、例えば適切な制御信号をモータ34(図2)に伝達することによって、眼からの光学ユニット30の距離を調整する。代替的または追加的に、コントローラは、ガルバノミラー50または集束モジュール72(図2)など、光学ユニット内の少なくとも1つの光学系の位置を調整することができる。次に、コントローラは、嚢の別の1つの画像を取得し、確認ステップ134を繰り返す。このようにして、眼からの光学ユニットの距離、および/または光学系の位置を、コントローラによって繰り返し調整することができる。あるいは、眼からの光学ユニットの距離は、ユーザによって手動で調整されてもよい。
【0104】
照準ビームが互いに重なり合うことをコントローラ(またはユーザ)が確認すると、コントローラは、照射ステップ138で、放射線源48(図2)に対し指定された標的領域を照射させる。次に、コントローラはプロセス108の別の反復を開始する。
【0105】
いくつかの実施形態では、照準ビームは、所定の複合パターンの異なるそれぞれの部分を画定するように形成され、照準ビームが互いに重なる場合にのみ、所定の複合パターンが嚢上に形成される。このようなパターンの例は、例えば、国際特許出願公開WO/2020/008323に記載されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
当業者は、本発明が上記で特に示され説明されたものに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、前述の様々な特徴の組合せおよびサブ組合せの両方、ならびに前述の説明を読んだ当業者に想起される、先行技術にないそれらの変形および修正の両方を含む。
図1
図2
図3
図4
図5-6】
図7
図8
【国際調査報告】