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特表2023-533650乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁
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  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図1
  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図2
  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図3
  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図4a
  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図4b
  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図5
  • 特表-乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】乾式構造スタッド及び乾式構造スタッドを有する乾式構造壁
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/74 20060101AFI20230728BHJP
   E04C 3/32 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
E04B2/74
E04C3/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570323
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020000098
(87)【国際公開番号】W WO2021233511
(87)【国際公開日】2021-11-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510094539
【氏名又は名称】クナウフ ギプス カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジルヴィア ラハヴィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル フィーバーン
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA04
2E163FB04
(57)【要約】
本発明は、ウェブ(3)と、ウェブ(3)に接続された第1のフランジ(4)及び第2のフランジ(5)とを備える乾式構造スタッド(1)に関し、フランジビード(6)がフランジ(4、5)のうちの少なくとも一方に設けられており、フランジビード(6)はそれぞれ、スタッド(1)の全長Bよりも短いビード長Aにわたって、スタッド(1)の長手方向に延在しており、フランジビード(4、5)は、中心間距離Eを置いて配設されている。乾式構造スタッド(1)は、ウェブ(3)が、第1のウェブセクション(7)を有し、第1のウェブセクション(7)が、ウェブ(3)の縁部分(10)を形成するとともに、第1のフランジ(4)をウェブ(3)に接続している屈曲した第1のフランジ接続セクション(11)に合流していることと、ウェブ(3)が、第2のウェブセクション(8)を有し、第2のウェブセクション(8)が、ウェブ(3)の更なる縁部分(12)を形成するとともに、第2のウェブセクション(8)を第2のフランジ(5)に接続している屈曲した第2のフランジ接続セクション(13)に合流していることとを特徴とし、ウェブ(3)は、第1のウェブセクション(7)と第2のウェブセクション(8)との間に配置されているウェブビード(9)を有する。更に、本発明は、そのような乾式構造スタッド(1)を有する乾式壁に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ(3)と、前記ウェブ(3)に接続された第1のフランジ(4)及び第2のフランジ(5)とを備える乾式構造スタッドであって、フランジビード(6)が前記フランジ(4、5)のうちの少なくとも一方に設けられており、前記フランジビード(6)はそれぞれ、前記スタッド(1)の全長(B)よりも短いビード長(A)にわたって、前記スタッド(1)の長手方向に延在しており、前記ウェブ(3)が、第1のウェブセクション(7)を有し、前記第1のウェブセクション(7)が、前記ウェブ(3)の縁部分(10)を形成するとともに、前記第1のフランジ(4)を前記ウェブ(3)に接続している屈曲した第1のフランジ接続セクション(11)に合流していることと、前記ウェブ(3)が、第2のウェブセクション(8)を有し、前記第2のウェブセクション(8)が、前記ウェブ(3)の更なる縁部分(12)を形成するとともに、前記第2のウェブセクション(8)を前記第2のフランジ(5)に接続している屈曲した第2のフランジ接続セクション(13)に合流していることとを特徴とし、前記ウェブ(3)は、前記第1のウェブセクション(7)と前記第2のウェブセクション(8)との間に配置されているウェブビード(9)を有する、乾式構造スタッド。
【請求項2】
前記ウェブビード(9)が前記ウェブ(3)の中央に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の乾式構造スタッド。
【請求項3】
前記ウェブビード(9)及び/又は前記フランジビード(6)が、前記スタッド(1)の内側に向かう方向に突出していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾式構造スタッド。
【請求項4】
前記ウェブビード(9)が、前記スタッド(1)の材料厚さ(D)の1~5倍のウェブビード高さ(H)を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項5】
前記ウェブビード(9)が、中央領域(14)と、前記第1のウェブセクション(7)への第1の遷移領域(15)及び前記第2のウェブセクション(8)への第2の遷移領域(16)とを有し、前記第1の遷移領域(15)及び前記第2の遷移領域(16)がそれぞれ、前記中央領域(14)に対して30°~75°の角度で配置されている斜めに配置されたセクション(17)を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項6】
前記第1の遷移領域(15)及び前記第2の遷移領域(16)がそれぞれ、第1の半径(50)及び第2の半径(51)を有し、前記斜めに配置されたセクション(17)は、前記第1の半径(50)と前記第2の半径(51)との間に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の乾式構造スタッド。
【請求項7】
前記屈曲した第1のフランジ接続セクション(11)及び前記屈曲した第2のフランジ接続セクション(13)がそれぞれ、1mm~3mmの曲げ半径を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項8】
前記フランジビード(6)が、前記スタッド(1)の前記材料厚さ(D)の0.5~2倍であるフランジビード高さ(C)を有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項9】
隣り合うフランジビード(6)の中心間距離(E)が、100mm~250mmであることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項10】
前記フランジビード(6)が、2mm~4mmのフランジビード幅(F)を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項11】
前記スタッド(1)が、前記ウェブ(3)の領域及び/又は前記フランジ(4、5)の領域にローレット加工を有することを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項12】
前記ウェブ(3)の幅(K)が30mm~300mmであること、及び/又は前記フランジ(4、5)の幅(L)が30mm~60mmであることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項13】
前記第1のフランジ(4)及び前記第2のフランジ(5)が、互いに対して1°~6°の開口角度で配設されていることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項14】
Cスタッドであることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の乾式構造スタッド。
【請求項15】
先行請求項のいずれか一項に記載の少なくとも1つの乾式構造スタッドと、それに取り付けられた羽目板(18)とを備える、乾式構造壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブと、ウェブに接続された第1のフランジ及び第2のフランジとを有する乾式構造スタッドに関し、フランジビードがフランジのうちの少なくとも一方に設けられており、フランジビードはそれぞれ、スタッドの全長よりも短いフランジビード長にわたって、スタッドの長手方向に延在しており、フランジビードは互いから中心間距離を置いて配設されている。本発明は更に、そのような乾式構造スタッドを有する乾式構造壁に関する。
【背景技術】
【0002】
乾式構造とは、工業的に製造された半製品の組み立てによる、特に乾式構造壁である構造要素の製造物を指す。通常、乾式構造壁は、パネルが取り付けられるスタッド要素の支持構造を立てることによって作り出される。滑らかな表面を達成するために、ジョイントには通常、フィラーが設けられる。支持構造には、板金製の乾式構造スタッドがよく使用される。これらは軽量であるため、取り扱いが容易である。更に、乾式構造スタッドは、優れた遮音値を有する安定した乾式構造壁の構築を可能にする。乾式構造壁は、骨組みの構築後に作り出される建築物の壁にすることができる。乾式構造で作り出された乾式構造壁は、適切な材料が使用されている場合、外壁及び耐荷重建築構成要素にも使用できる。
【0003】
Cスタッドとして設計された既知の乾式構造スタッドが、EP1866492 A1に記載されている。既知のスタッドの場合、フランジビードは外側を向いている。更に、ウェブに2つの細いビードが設けられており、それぞれが縁部分に配置されている。
【0004】
乾式構造用の更なるCスタッド及びそれらを使用して製造される乾式構造壁が、EP1375769 A2及びEP2015879 A1に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、乾式壁の遮音特性を簡単な様式で改善することを可能にする乾式構造スタッドを特定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1の特徴によって解決される。したがって、上述の乾式構造スタッドの場合、ウェブが、第1のウェブセクションを有し、第1のウェブセクションが、ウェブの縁部分を形成するとともに、第1のフランジをウェブに接続している屈曲した第1のフランジ接続セクションに合流していることと、ウェブが、第2のウェブセクションを有し、第2のウェブセクションが、ウェブの更なる縁部分を形成するとともに、第2のウェブセクションを第2のフランジに接続している屈曲した第2のフランジ接続セクションに合流していることとが提供され、ウェブは、第1のウェブセクションと第2のウェブセクションとの間に配設されているウェブビードを有する。特許請求されている設計は、乾式構造スタッドで作られた乾式構造壁の音響特性を大幅に改善することを可能にする。特に、2つの部屋の間の間仕切壁として機能する乾式構造壁の音響透過損失が改善される。乾式壁が壁の前に対面シェルを形成する場合にも、改善が達成される。これは、費用のかかる追加措置を必要とせずに、乾式構造スタッドの形状を最適化するだけで達成できる。これにより、乾式構造壁の構造を変更する必要なく、有利な音響特性を達成することが可能となる。むしろ、乾式構造スタッドは、以前に知られている乾式構造スタッドと同じように使用できる。乾式構造スタッドは、作業が簡単かつ安全であることも特徴とする。最後に、乾式構造スタッドは安定している。第1のウェブセクション及び第2のウェブセクション並びにウェブビードの特許請求されている配置と併せた、フランジビードの特許請求されている配置が、音響特性の改善に寄与すると推定される。これに関連して、特許請求されている配置は、記載される設計が乾式構造スタッドの様々なセクションにおける剛性を特定の方向に増大させるやり方にも役割を担っており、それによって、一方では、スタッドは、乾式壁において生じる力を容易に吸収するほど十分に安定している。他方で、剛性は、特定のセクション又は特定の方向では意図的に低減され、これは、乾式構造壁における音の伝達を妨げる。
【0007】
以下に、本発明の有利な実施形態を説明する。付加的な特徴は、乾式構造スタッドの音響特性を更に改善することに特に貢献する。更に、付加的な特徴は、乾式構造スタッドを簡単かつ安全に取り扱い、低コストで高い安定性を達成することにも関連する。
【0008】
本発明によれば、ウェブビードがウェブの中央に配置されることが好ましい。好ましくは、ウェブはウェブビードを1つだけ有する。
【0009】
本発明の有利な実施形態は、第1のウェブセクション及び第2のウェブセクションが同じ幅を有することを提供する。
【0010】
本発明によれば、第1のウェブセクション及び第2のウェブセクションは、8mm~15mm(好ましくは9mm~11mm)の幅を有することが好ましい。更に、ウェブビードは、第1のウェブセクション又は第2のウェブセクションのそれぞれの幅よりも大きい幅を有することが好ましい。
【0011】
本発明の有利な実施形態は、ウェブビードがスタッドの内側に向かう方向に突出することを提供する。内側とは、スタッドの第1のフランジと第2のフランジとの間のスペースを指す。
【0012】
本発明の有利な実施形態は、第1のウェブセクション及び第2のウェブセクションが第1の平面に配置され、ウェブビードの中央領域が第2の平面に配置されることを提供する。好ましくは、上記中央領域は直線状に形成できる。
【0013】
本発明の有利な実施形態は、スタッドが金属スタッドであることを提供する。金属スタッドは、鋼、好ましくは亜鉛めっき鋼で作ることができる。金属スタッドは、好ましくは、平坦な金属板を金属プロファイルに形成することによって製造できる。したがって、金属スタッドはプロファイルを有する金属本体を含むが、他の材料も含むことができる。特に、金属スタッドは、コーティング及び/又は付加的な要素を含んでいてもよい。
【0014】
本発明の有利な実施形態は、ウェブビードが、金属スタッドの材料厚さの1~5倍のウェブビード高さを有することを提供する。好ましくは、ウェブビード高さは、金属スタッドの材料厚さの2倍~4倍である。ウェブビード高さは、第1のウェブセクション及び第2のウェブセクションの内側に対して測定できる。
【0015】
本発明の有利な実施形態は、ウェブビードが、中央領域と、第1のウェブセクションへの第1の遷移領域及び第2のウェブセクションへの第2の遷移領域とを有することを提供し、第1の遷移領域及び第2の遷移領域はそれぞれ、斜めに配置されたセクションを有し、これは、中央領域に対して30°~75°の角度で配置される。斜めに配置されたセクションは、好ましくは、直線的な断面を有する。
【0016】
本発明の有利な実施形態は、第1の遷移領域及び第2の遷移領域がそれぞれ第1の半径及び第2の半径を有し、斜めに配置されたセクションが第1の半径と第2の半径との間に配置されることを提供する。
【0017】
本発明の有利な実施形態は、ウェブビードが、スタッドの、その全長にわたって長手方向に連続的に延在することを提供する。
【0018】
本発明の有利な実施形態は、屈曲した第1のフランジ接続セクション及び屈曲した第2のフランジ接続セクションがそれぞれ、1mm~3mmの曲げ半径を有することを提供する。曲げ半径は、それぞれの屈曲したフランジ接続セクションの内側で求めることができる。
【0019】
本発明の有利な実施形態は、フランジビードがスタッドの内側に向かう方向に突出していることを提供する。したがって、フランジビードは、乾式構造スタッドの内側に向かう方向に突出している。より好ましくは、全てのフランジビードはスタッドの内側に向かう方向に突出している。
【0020】
本発明の有利な実施形態は、1つのフランジの全てのフランジビードが単一の直線に沿って配置されることを提供する。好ましくは、上記単一の直線は、スタッドの長手方向に対して平行な向きである。
【0021】
代替的には、1つのフランジのフランジビードは、互いに平行であることが好ましい2つ、3つ以上の線に沿って配置できる。それらの2つ、3つ以上の直線は、スタッドの長手方向に対して平行な向きにできる。
【0022】
本発明の有利な実施形態は、フランジビードがフランジの中央領域に配置されることを提供する。中央領域は、スタッドの長手方向に対して平行に延在し、フランジの近位端及び遠位端まで同じ距離を有するフランジのセクションであり得る。好ましくは、フランジビードはフランジの中央に配置される。
【0023】
本発明の有利な実施形態は、フランジビードが、スタッドの材料厚さの0.5~2倍(好ましくは0.75~1.5倍)のフランジビード高さを有することを提供する。フランジビード高さは、それぞれのフランジの内側に対して測定できる。
【0024】
本発明の有利な実施形態は、フランジの隣り合うフランジビードの中心間距離が100mm~250mmであることを提供する。
【0025】
本発明によれば、好ましいフランジビード長は、40mm~70mmである。好ましくは、全てのフランジビードがこのように形成される。
【0026】
好ましい実施形態によれば、1つのフランジの隣り合うフランジビード間の間隔は、30mm~210mmである。100mm~150mmの間隔が好ましい。更に、1つのフランジの隣り合うフランジビード間の間隔は均一であることが好ましい。
【0027】
本発明の有利な実施形態によれば、フランジビードの少なくとも50%(好ましくは少なくとも70%、80%、又は90%)のフランジビード長は同じである。
【0028】
本発明の有利な実施形態は、フランジビードが半円形ビード又は三角形ビードであることを提供する。
【0029】
本発明の有利な実施形態は、フランジビードが2mm~4mmのビード幅を有することである。
【0030】
本発明の有利な実施形態は、フランジビードがウェブビード高さよりも低いフランジビード高さを有することである。
【0031】
本発明の有利な実施形態は、スタッドが、ウェブの領域及び/又は第1のフランジの領域及び/又は第2のフランジの領域にローレット加工を有することを提供する。好ましくは、シート材料の表面の少なくとも40%(より好ましくは少なくとも60%又は少なくとも80%)がローレット加工されている。ローレット加工は、多数の局所的な塑性変形を含む。これは、他の特徴とともに、音響特性の更なる改善及び優れた加工性に貢献する。
【0032】
本発明の有利な実施形態は、ウェブの幅が30mm~300mm、好ましくは48mm~200mmであることを提供する。
【0033】
本発明の有利な実施形態は、フランジの幅が30mm~60mm、好ましくは47mm~49mmであることを提供する。
【0034】
本発明の有利な実施形態は、スタッドの材料厚さが0.4mm~1mm、好ましくは0.5mm~0.8mmであることを提供する。
【0035】
本発明の有利な実施形態は、第1のフランジが第2のフランジよりも小さいフランジ幅を有することを提供し、それによって、乾式構造スタッドを同一の更なる乾式構造スタッドに接続して矩形スタッドを形成でき、乾式構造スタッドの第1のフランジは更なる乾式構造スタッドの第2のフランジの内側に当接する。
【0036】
本発明の有利な実施形態は、第1のフランジ及び第2のフランジが、互いに対して1°~6°(好ましくは3°~4°)の(外向きに広がる)開口角度で配設されていることを提供する。これにより、第1のフランジとウェブとの間の角度を特に90.5°~93°(好ましくは91.5°~92°)にすることができる。これは、乾式壁の建設中のその組み立て前の乾式構造スタッドを指す。組み立て中に発生する力により、第1のフランジ及び第2のフランジは、弾性的に、又は弾性的かつ塑性的に変形する可能性がある。これも、音響特性を更に改善できる。
【0037】
本発明の有利な実施形態は、スタッドがCスタッドであることを提供する。スタッドは、スタッドの長手方向に垂直な方向にC字形の断面を示すことができる。Cスタッドの場合、第1のフランジ及び第2のフランジの自由端部分を内側に屈曲できる。
【0038】
本発明はまた、記載されるタイプの少なくとも1つの乾式構造スタッドと、それに取り付けられる羽目板とを備える乾式構造壁に言及する。羽目板は、特に乾式構造ボードを含むことができ、石膏プラスターボード、石膏ボード、及び繊維セメントボードが特に好ましい。
【0039】
本発明の更なる目的、特徴、利点、及び適用可能性は、図面に基づく以下の実施形態の説明から生じる。記載され及び/又は示される全ての特徴は、個々の請求項又はそれらの後方参照における概要とも無関係に、個々に又は任意の意味のある組み合わせで、本発明の目的を形成する。図及び対応する説明は、本発明の可能な実施形態の例示的かつ非限定的な情報を含む。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明による乾式構造スタッドの斜視図。
図2図1の乾式構造スタッドの一部の拡大図。
図3図1の乾式構造スタッドの断面図。
図4a】本発明による更なる乾式構造スタッド。
図4b図4aの乾式構造スタッドの一部の拡大図。
図5図1の乾式構造スタッドを有する乾式壁の部分の断面図。
図6】本発明による乾式構造スタッドで構築した間仕切壁の遮音特性を、異なる設計の乾式構造スタッドと比較した図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1~3は、ローレット加工が施されていない乾式構造スタッドの第1の実施形態を示している。図4a及び4bは、ローレット加工が追加された同一の乾式構造スタッドを示している。したがって、以下では、類似点がある場合、実施形態をまとめて説明する。
【0042】
図1~4bはそれぞれ、金属スタッドである乾式構造スタッド1を示している。金属スタッドは、板金を形成することによって得ることができる。乾式構造スタッド1は、ウェブ3と、第1のフランジ4及び第2のフランジ5とを有する。第1のフランジ4及び第2のフランジ5は、ウェブ3上に配置されている。第1のフランジ4及び第2のフランジ5並びにウェブ3は、連続した金属板から作られる。製造中に、元は平坦な金属板が、図1~4bに示す形状に屈曲される。
【0043】
乾式構造スタッド1は、第1のフランジ4及び第2のフランジ5のそれぞれにいくつかのフランジビード6を有する。フランジビードは、スタッドの内側に向かって一方向に突出するように位置合わせされている。スタッドの内側は、第1のフランジ4と第2のフランジ5との間のスペースによって形成されている。
【0044】
フランジビード6はそれぞれ、第1のフランジ4及び第2のフランジ5の中央領域に配置されている。
【0045】
示されるように、フランジビード6はそれぞれ、スタッド1の全長Bよりも短いビード長Aにわたって、スタッド1の長手方向に延在している。一方のフランジ4、5の長方形のフランジビード6は全て、単一の直線に沿って配置されている。第1のフランジ4及び第2のフランジ5は、フランジビード6に加えて更なるビードを有していない。
【0046】
フランジビードのフランジビード高さCは、金属スタッドの材料厚さDの0.5~2倍である。
【0047】
図1は更に、フランジビード6間に間隔が形成されており、中心間距離Eが100mm~250mmであることを示している。フランジビードのビード長Aは40mm~70mmである。
【0048】
図3に示すように、フランジビード6は、半円形又は三角形のビードとして形成できる。フランジビード6は2mm~4mmのビード幅Fを有する。
【0049】
図1~4bは更に、ウェブ3が第1のウェブセクション7と第2のウェブセクション8とを有し、それらの間にウェブビード9が配置されていることを示している。第1のウェブセクション7は、ウェブ3の縁部分10を形成しており、第1のフランジ4をウェブ3に接続している屈曲した第1のフランジ接続セクション11に合流している。第2のウェブセクション8は、ウェブ3の更なる縁部分12を形成しており、第2のウェブセクション8を第2のフランジ5に接続している屈曲した第2のフランジ接続セクション13に合流している。
【0050】
ウェブビード9は、その全長Bにわたってスタッド1の長手方向に延在している。
【0051】
示されるように、ウェブビード9は、ウェブ3の中央に配置されている。図示の例示的な実施形態では、第1のウェブセクション7及び第2のウェブセクション8はそれぞれ、8mm~15mmの幅Gを有する。
【0052】
ウェブビード9は乾式構造スタッド1の内側に向けられている。第1のウェブセクション7及び第2のウェブセクション8は1つの平面内にあり、一方で、ウェブビード9の中央領域は第1の平面からオフセットされた第2の平面内に配置されている。
【0053】
ウェブビード9は、金属スタッドの材料厚さDの1~5倍であるウェブビード高さHを有する。
【0054】
ウェブビード9は、中央領域14と、第1のウェブセクション7への第1の遷移領域15及び第2のウェブセクション8への第2の遷移領域16とを有する。第1の遷移領域15及び第2の遷移領域16はそれぞれ、中央領域14に対して30°~75°の角度で配置されている斜めに配置されたセクション17を有する。
【0055】
図3は更に、第1の遷移領域15及び第2の遷移領域16がそれぞれ第1の半径50及び第2の半径51を有し、斜めに配置されたセクション17が第1の半径50と第2の半径51との間に配置されていることを示している。
【0056】
図示の乾式構造スタッド1は、Cスタッドとして形成されている。第1のフランジ4及び第2のフランジ5の自由端部分30は、スタッド1の全長にわたって内側に屈曲されている。
【0057】
ウェブ3の幅Kは、特に50mm~300mmであり得る。フランジ4、5の幅Lは、特に30mm~60mmであり得る。金属スタッドの材料厚さDは、特に0.4mm~1mmであり得る。
【0058】
図3はまた、第1のフランジ4及び第2のフランジ5が平行に位置合わせされておらず、互いに対して1°~6°の(外向きに広がる)開口角度を有することができることを示している。したがって、第1のフランジ4又は第2のフランジ5とウェブ3との間の角度Mは、90.5°~93°である。これらの詳細は、設置前の乾式構造スタッド1の状態を指すものである。
【0059】
乾式構造スタッド1は、図1~3ではローレット加工なしで示されているが、図4a及び4bは、ローレット加工を有する乾式構造スタッド1の設計を示している。この場合、ローレット加工は、ウェブ3、並びに第1のフランジ4及び第2のフランジ5の表面積全体にわたって施される。ローレット加工は、板金の多数の局所的な塑性変形を含む。
【0060】
図5は、水平断面における乾式構造壁の断面を示している。乾式構造壁の垂直に配置された要素を形成する乾式構造スタッド1のうちの2つが示されている。図示の実施形態では、羽目板18が、乾式構造スタッド1の両側に配置されている。羽目板18は2つの層を有する。羽目板18はパネル19を含み、パネル19は、第1のフランジ4及び第2のフランジ5上に締結具20によって配置されている。特に、締結具20は、パネル19を通して第1のフランジ4又は第2のフランジ5にねじ込まれるねじであり得る。しかしながら、乾式構造から知られている他の締結具も使用できる。
【0061】
図5は、第1のフランジ4及び第2のフランジ5が最初は平行に位置合わせされておらず、互いに対して角度を有することも示している。締結具を締めるとき、第1のフランジ4及び第2のフランジ5は、組み立てられた状態で互いに平行に配置されるように、ウェブ3に対して弾性的に(又は弾性的かつ塑性的に)変形できる。
【0062】
図6は、本発明による乾式構造スタッドによる遮音特性の改善を示す測定結果を示す。
【0063】
測定結果は、以下の壁構造に関するものである。乾式構造壁は、金属スタッド壁として設計されている。ウェブの幅Kが75mmであり、フランジの幅Lが50mmであるローレット加工された乾式構造のCスタッドが、いずれの場合にも金属スタッドとして使用される。材料厚さDは0.6mmである。乾式構造スタッドは、625mmの中心間距離を有して配置されている。壁の両側は、DIN18180に準拠した12.5mmの石膏ボードの2層でパネル張りされている。空洞には60mmのミネラルウールが充填されている。
【0064】
図6は、測定された音響透過損失Rを周波数f(Hz)の関数として示している。
【0065】
図6は、一方で、図4aに示すようなスタッドによって作り出された乾式構造壁の測定結果を示している。対応する測定結果は、丸が付いた測定曲線で表されている。比較として、異なるスタッド形状を有する乾式構造スタッドが使用された、同じ構造の乾式構造壁のデータが示されている。異なる形状の場合、フランジビードは乾式構造スタッドの全長にわたって連続的に形成されるが、ウェブは図4aに示すように形成されている。対応する測定結果は、三角形が付いた測定曲線で表されている。
【0066】
DIN EN ISO10140-2(第2部:空中遮音の測定)に従って求められた音響透過損失Rの測定結果は、特に100Hzを超える音響透過損失の明らかな改善を示している。100Hz~2,000Hzの範囲における本発明による形状の場合の音響透過損失R(dB)は、参考製品で達成された値よりも著しく高い。重み付き音響透過損失RWは、本発明による設計では55.3dBであり、一方で、参考製品の値RWは50.7dBである。これは、特に数学的には、3dBの増加は騒音レベルが2倍になることに相当するため、有意である。RWは重み付き空中音響透過損失を示し、DIN EN ISO717-1(第1部:空中遮音)に従って周波数依存の音響透過損失Rから求めた。規格に言及する場合、その情報は、それぞれの場合に2019年12月1日に施行されたバージョンを参照するものとする。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
【国際調査報告】