(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】分流器及び冷却システム
(51)【国際特許分類】
F25B 41/48 20210101AFI20230728BHJP
F16L 41/03 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
F25B41/48
F16L41/03
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574371
(86)(22)【出願日】2021-08-04
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2021110467
(87)【国際公開番号】W WO2022033365
(87)【国際公開日】2022-02-17
(31)【優先権主張番号】202021702257.9
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010816500.8
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】王 文杰
(72)【発明者】
【氏名】単 宇寛
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019BA43
3H019BD03
(57)【要約】
本体(10)及び分流板(20)を含む分流器(100)であって、本体(10)にチャンバ(11)を有し、分流板(20)はチャンバ(11)に設けられ、本体(10)の一端には入口(12)が穿設されており、分流板(20)には複数の分流孔(21)が穿設されており、分流孔(21)はチャンバ(11)を介して入口(12)に連通され、本体(10)は金属管加工により成形され、分流板(20)は金属板加工により成形され、且つ分流孔(21)は分流板(20)に対する1回の打抜により形成される、分流器(100)及び冷却システム(1000)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体及び分流板を含む分流器であって、前記本体にチャンバを有し、前記分流板は前記チャンバに設けられ、前記本体の一端には入口が穿設されており、前記分流板には複数の分流孔が穿設されており、前記分流孔は前記チャンバを介して前記入口に連通され、
前記本体は金属管加工により成形され、前記分流板は金属板加工により成形され、前記分流孔は前記分流板に対する1回の打抜により成形される、分流器。
【請求項2】
前記本体は、ステンレス管に対するスピニング加工又は水膨潤加工により成形される、請求項1に記載の分流器。
【請求項3】
前記分流板は、ステンレス板に対する引張、打抜により成形される、請求項1に記載の分流器。
【請求項4】
前記分流板の前記入口に近接する側面に突起が設けられており、前記突起の一側面が前記分流板に固定され、その他の側面が球面であり、且つ前記分流孔は前記突起の周りに設けられる、請求項1から3のいずれか一項に記載の分流器。
【請求項5】
前記突起は、半球状を呈し、半球状の前記突起の球面は前記入口に向かって設けられる、請求項4に記載の分流器。
【請求項6】
前記分流板における前記突起から離れた側には、前記分流板の周方向に沿って均一に分布された複数のカムが設けられており、前記分流孔は一対一に対応して前記カムに穿設されている、請求項4に記載の分流器。
【請求項7】
前記分流板は、前記入口に近接して設けられた第1側面を有し、前記突起の球面と前記第1側面との間には第1弧状セグメントが設けられており、前記第1弧状セグメントは前記突起の球面から前記第1側面まで延在している、請求項4に記載の分流器。
【請求項8】
前記分流孔の内壁と前記第1側面との間には第2弧状セグメントが設けられており、前記第2弧状セグメントは前記第1側面から前記分流孔の内壁まで延在している、請求項7に記載の分流器。
【請求項9】
前記突起は、前記分流板に対する引張により成形される、請求項4に記載の分流器。
【請求項10】
前記分流孔の軸線は、前記入口の軸線に対して傾斜して設けられ、且つ傾斜角aは90°以下である、請求項1に記載の分流器。
【請求項11】
前記分流孔の軸線と前記入口の軸線との間の夾角aは10°である、請求項1に記載の分流器。
【請求項12】
前記本体の内側壁は弧状を呈し、且つ前記本体の内側壁の弧度は15mm以上である、請求項1に記載の分流器。
【請求項13】
複数の前記分流孔は、前記分流板の周方向に沿って均一に分布されている、請求項1に記載の分流器。
【請求項14】
熱交換器、及び前記熱交換器の入口に設けられた請求項1から13のいずれか一項に記載の分流器を含む、冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年8月14日に出願された、出願番号が202010816500.8であり、発明の名称が「分流器及び冷却システム」であり、及び2020年8月14日に出願された、出願番号が202021702257.9であり、発明の名称が「分流器及び冷却システム」である中国特許出願の優先権を主張し、その全ての内容は引用により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は冷却の技術分野に関し、特に、分流器及び冷却システムに関する。
【背景技術】
【0003】
分流器は、通常、冷却システムにおける熱交換器の入口に取り付けられて、熱交換器の各熱交換管に媒体を均一に配分させて熱交換するために用いられる。
【0004】
従来の分流器、本体及び分流板は、いずれも銅棒の旋盤加工により形成されたものであり、まず銅棒を切断し、その後刃物を利用して順次に複数の分流孔を加工するので、加工効率が低い。
【発明の概要】
【0005】
上記の問題を解決するために、本出願は、以下の技術態様の分流器を提供する。
本体及び分流板を含む分流器であって、本体にチャンバを有し、分流板はチャンバに設けられ、本体の一端には入口が穿設されており、分流板には複数の分流孔が穿設されており、分流孔はチャンバを介して入口に連通され、本体は金属管加工により成形され、分流板は金属板加工により成形され、且つ分流孔は分流板に対する1回の打抜により形成される。
【0006】
本出願で提供される分流器は、分流板における分流孔を金属板に対する1回の打抜により作製することで、加工効率を向上させることができる。
【0007】
本出願の一実施例において、本体は、ステンレス管に対するスピニング加工又は水膨潤加工により成形される。ステンレスは比較的軽く、本体の重量を低減することができ、且つコストを削減することができる。
【0008】
本出願の一実施例において、分流板は、ステンレス板に対する引張、打抜により成形される。ステンレスは分流器の重量を軽減させることができ、コストを削減させるとともに、ステンレスの分流板と本体とをレーザ溶接又はアルゴンアーク溶接により溶接させることができるので、溶接材料を必要せず、熱影響領域が小さく、母材の溶融により固定を実現し、溶接の均一性を向上させ、溶接強度を向上させることができる。
【0009】
本出願の一実施例において、分流板の入口に近接する側面に突起が設けられており、突起の一側面が分流板に固定され、その他の側面が球面であり、且つ分流孔は突起の周りに設けられる。気液混合の媒体は重力作用によりガス状媒体と液状媒体とを分離させ、最初に突起と接触する一部の媒体は突起による乱流により反射して、残部の媒体と混合されることで、ガス状媒体と液状媒体とが混合されてから突起の球面に沿って分流孔内にガイドされるので、媒体を均一に混合した後に分流孔内に配分させることができるだけでなく、且つ媒体の流れ抵抗を低減させることができる。
【0010】
本出願の一実施例において、突起は、半球状を呈し、半球状の突起の球面は入口に向かって設けられる。半球状の突起は、突起の高さ及び弧度を確保することができるので、突起が高すぎる又は低すぎることを防止し、弧度が小さすぎる又は大きすぎることを防止する。
【0011】
本出願の一実施例において、分流板における突起から離れた側には、分流板の周方向に沿って均一に分布された複数のカムが設けられており、分流孔は一対一に対応してカムに穿設されている。アウトレットパイプはカムに溶接されることができ、これにより分流孔に連通されて、アウトレットパイプの溶接強度を補強することができるとともに、アウトレットパイプは一部が分流孔内に挿入されてもよく、一部がカムの外側壁に嵌合されてもよく、異なる管径のアウトレットパイプに適用して、適用範囲を増加することができる。
【0012】
本出願の一実施例において、分流板は入口に近接して設けられた第1側面を有し、突起の球面と第1側面との間には第1弧状セグメントが設けられており、第1弧状セグメントは突起の球面から第1側面まで延在している。第1弧状セグメントの配置により、突起の球面と第1側面との間で自然に遷移させることができ、一部の媒体は突起の底部まで流れるため、第1弧状セグメントはこの一部の媒体の流れをガイドする役割を果たすことができる。
【0013】
本出願の一実施例において、分流孔の内壁と第1側面との間には第2弧状セグメントが設けられており、第2弧状セグメントは第1側面から分流孔の内壁まで延在している。第2弧状セグメントの配置は、媒体の流れ抵抗を更に低減させることができる。
【0014】
本出願の一実施例において、突起は、分流板に対する引張により成形される。引張成形は、分流板の構造を簡素化し、溶接プロセスを減少する。
【0015】
本出願の一実施例において、分流孔の軸線は、入口の軸線に対して傾斜して設けられ、且つ傾斜角aは90°以下である。傾斜して設けることにより、分流孔の傾斜方向と、突起の球面に沿って流れて分流孔に入る前の媒体の流れ方向とを近似させて、流れ抵抗を低減させることができる。
【0016】
本出願の一実施例において、分流孔の軸線と入口の軸線との間の夾角aは10°である。10°の傾斜角は、媒体が突起の球面に沿って流れた後に分流孔に入る前の媒体の流れ方向に比較的近似しているので、媒体の流れ抵抗を更に低減させる。
【0017】
本出願の一実施例において、本体の内側壁は弧状を呈し、且つ本体の内側壁の弧度は15mm以上である。弧状の内側壁は、媒体がチャンバ内を流れる流れ抵抗を低減させることができる。
【0018】
本出願の一実施例において、複数の分流孔は、分流板の周方向に沿って均一に分布されている。分流孔を均一に分布することにより、媒体が均一に配分される。
【0019】
冷却システムは、熱交換器、及び熱交換器の入口に設けられた上記分流器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】本出願で提供される分流器の構造模式図である。
【
図4】本出願で提供される分流器の本体の断面図である。
【
図5】本出願で提供される分流器の分流板の斜視図である。
【
図6】本出願で提供される分流器の分流板の正面図である。
【
図7】媒体が本出願で提供される分流器内を流れる過程の模式図である。
【
図8】本出願で提供される冷却システムの構造模式図である。
【0021】
1000 冷却システム、100 分流器、10 本体、11 チャンバ、12 入口、13 インレットパイプ、14 開口、15 アウトレットパイプ、20 分流板、21 分流孔、22 突起、23 カム、24 第1側面、25 第2側面、26 第2弧状セグメント、27 第1弧状セグメント、200 熱交換器、201 蒸発器、202 復水器、300 絞り弁、400 圧縮機。
【0022】
以下、上記の図面とともに具体的な実施形態を参照しながら、本出願を更に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本出願の実施例における図面を参照して、本出願の実施例における技術態様を明確且つ完全に説明するが、説明した実施例は本出願の実施例の一部にすぎず、実施例の全部ではないことは明らかである。当業者が、本出願における実施例に基づいて、創造的な労力なしに得られた全ての他の実施例はいずれも本出願の保護範囲に属する。
【0024】
説明すべきことは、アセンブリが他のアセンブリに「装着される」とされる場合、他のアセンブリに直接装着されてもよく、又は介在するアセンブリが存在してもよい。アセンブリが他のアセンブリに「設けられる」とみなされる場合、他のアセンブリに直接設けられてもよく、又は介在するアセンブリが同時に存在してもよい。アセンブリが他のアセンブリに「固定される」とみなされる場合、他のアセンブリに直接固定されてもよく、又は介在するアセンブリが同時に存在してもよい。
【0025】
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語や科学用語は、本出願の属する技術分野における当業者が通常理解している意味と同じである。ここで、本出願の明細書に使用される用語は、単に具体的な実施例を説明することを目的とし、本出願を制限するものではない。本明細書に使用される「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の/及び全ての組み合わせを含む。
【0026】
図1から
図3を参照すると、
図1は本出願で提供される分流器100の断面図であり、
図2は本出願で提供される分流器100の構造模式図であり、
図3は本出願で提供される分流器100の下面図である。
【0027】
本出願で提供される分流器100は、冷却システム1000に適用され、この分流器100は熱交換器200の入口に取り付けられて、熱交換器200の各熱交換管(図示せず)に媒体を均一に配分させるために用いられる。本実施例において、分流器100は蒸発器201における入口に取り付けられているが、他の実施例において、分流器100は復水器202の入口に取り付けられてもよい。説明すべきことは、本出願の媒体は冷媒である。
【0028】
更に、分流器100は、本体10及び分流板20を含み、本体10を中空に設計してチャンバ11を形成し、分流板20はチャンバ11に設けられ、本体10の一端には入口12が穿設されており、分流板20には複数の分流孔21が穿設されており、複数の分流孔21は分流板20の周方向に沿って均一に分布されており、分流孔21はチャンバ11を介して入口12に連通される。
【0029】
本体10は金属管加工により成形され、分流板20は金属板加工により成形され、分流孔21は分流板20に対する1回の打抜により成形され、金属板に対する1回の打抜により複数の分流孔21を形成することができ、従来の銅棒の旋盤加工により分流孔を形成することに比べて、加工効率を向上させることができる。
【0030】
更に、本体10は、ステンレス管に対するスピニング加工又は水膨潤加工により成形される。
【0031】
また、分流板20は、ステンレス板に対する引張、打抜により成形される。
【0032】
真鍮製分流器に比べて、ステンレスの本体10及びステンレスの分流板20はコストを削減することができ、且つ分流器100の重量を軽減させることができ、ステンレス分流器100の耐圧能力が高く、封止性が高いとともに、真鍮材料を使用して作製する際にアンモニア燻蒸試験のとき割れる問題を回避することができ、また、ステンレスの分流板20は、レーザ溶接又はアルゴンアーク溶接により本体10内に溶接させることができるので、溶接材料を必要せず、熱影響領域が小さく、融点が高く、溶接の均一性を向上させ、溶接強度を向上させることができるが、銅製本体と分流板とは、火炎溶接又は高周波溶接により溶接することしかできず、溶接の溶込みの深さが比較的深い必要があり、溶接浸透に長い時間を必要とし、溶接の溶込みの深さ又は溶接浸透が要求を満たさない場合に、溶接強度に影響を与えることが理解できる。
【0033】
入口12にはインレットパイプ13が設けられており、インレットパイプ13は溶接により入口12に固定され、インレットパイプ13は使用者により、例えば、絞り弁300等の外部装置に接続するために用いられる。
【0034】
図4を参照すると、
図4は本出願で提供される分流器100の本体10の断面図であり、本体10の入口12から離れた一端には開口14が穿設されており、分流板20は開口14に設けられており、分流板20と本体10とは溶接により固定される。
【0035】
具体的には、本体10の内側壁は弧状を呈し、このように設計すると、媒体がチャンバ11を流れる過程における圧力損失を減少させることができ、媒体の圧力損失が過大になると、媒体の動圧が低下し、媒体はそれに最も近い分流孔21内に優先的に流れ込むため、媒体流量の配分が不均一になってしまうことが理解できる。
【0036】
好ましくは、本体10の内側壁の弧度は15mm以上であり、弧度が小さすぎると、媒体が流れる過程における圧力損失を増加させることが理解できる。本体10の内側壁の弧度は、15mm、16mm、20mm又は20mm以上である。
【0037】
図5、
図6及び
図7を参照すると、
図5は本出願で提供される分流器100の分流板20の斜視図であり、
図6は本出願で提供される分流器100の分流板20の正面図であり、
図7は媒体が本出願で提供される分流器100内を流れる過程の模式図である。
【0038】
具体的には、分流板20の入口12に向かう側面に突起22が設けられており、分流孔21は突起22の周りに設けられ、突起22の一側が分流板20の側面に固定され、その他の側面が球面であり、即ち突起22と媒体とが接触する側面は球面である。気液混合の媒体が入口12から流れ込み、気液混合の媒体は重力作用によりガス状媒体と液状媒体とを分離させ、突起22による乱流作用により、最初に突起22に接触された媒体が反射を形成して、残部の媒体と混合されることで、ガス状媒体と液状媒体とが再び混合されて、周囲の分流孔21内に均一に配分させ、分流器100の分流能力を向上させ、また、突起22の球面は媒体が分流孔21内に流れ込むようにガイドし、流れをガイドする役割を果たして、媒体の圧力損失を減少し、分流器100の流れ能力を向上させることができることが理解できる。
【0039】
更に、突起22は分流板20に対する引張成形により形成されるので、分流板20に突起22を別途設ける必要がなく、溶接プロセス過程を減少させる。
【0040】
好ましくは、本実施例において、突起22は、半球状を呈し、且つ半球状の突起22の球面は入口12に向かって設けられ、即ち半球状の突起22の底面は分流板20に固定され、突起22の球面が媒体に接触される。このように設計すると、突起22の高さ及び弧度を確保することができ、突起22が1/8球体等の、高さ及び弧度が比較的小さい球体であると、突起22の分流板20に対する高さが低すぎ、且つ弧度が比較的小さく、ほぼ平面であるので、乱流及び反射効果に影響を与え、且つ突起22による流れガイドの役割に影響を与え、突起22が完全な球体であると、チャンバ11の空間を縮小させるので、ガス状媒体と液状媒体との混合空間に影響を与えることが理解できる。
【0041】
引き続き
図5を参照すると、分流板20は、対向して設けられた第1側面24と第2側面25とを有し、第1側面24は入口12に近接して設けられ、突起22は第1側面24に設けられ、突起22と第1側面24との間には第1弧状セグメント27が設けられており、突起22の球面と第1側面24とが接続されるように第1弧状セグメント27は突起22の球面から第1側面24まで延在している。一部の媒体は突起22の底部まで流れ、第1弧状セグメント27は突起22の球面と第1側面24との間で自然に遷移させることができ、突起22の底部にある媒体が分流孔21へ流れる過程における流れ損失を減少させることが理解できる。
【0042】
具体的には、分流板20における突起22から離れた側には、分流板20の周方向に沿って均一に分布された複数のカム23が設けられており、分流孔21は一対一に対応してカム23に穿設されており、分流孔21のチャンバ11外に位置する孔口にはアウトレットパイプ15が設けられており、アウトレットパイプ15とカム23とは溶接により固定接続される。このように設計すると、アウトレットパイプ15の接続強度を高めることができることが理解できる。
【0043】
更に、アウトレットパイプ15は一部が分流孔21に挿入されてもよく、一部がカム23の外側壁に嵌合されてもよく、接続強度を補強することができるだけでなく、異なる管径のアウトレットパイプ15に接続されることもできる。本実施例において、複数のアウトレットパイプ15は蒸発器201の複数の熱交換管に接続されているが、他の実施例において、異なる接続対象に応じて、アウトレットパイプ15は異なる装置に接続される。
【0044】
インレットパイプ13及びアウトレットパイプ15は、ステンレス管でもよく、銅管でもよいが、ステンレス管のコストが低く、且つ本体10の材質と同じであるため、溶接の難しさを低下し、通常、冷却システムのパイプラインは銅管であるため、インレットパイプ13及びアウトレットパイプ15を銅管とすることで、使用者が容易に溶接することができる。本出願の分流器100は、異なる場所に応じて、ステンレス材質又は銅材質のインレットパイプ13及びアウトレットパイプ15を選択してもよい。
【0045】
好ましくは、分流孔21の軸線は、入口12の軸線に対して傾斜して設けられ、分流孔21の軸線と入口12の軸線との間の夾角aは90°以下である。媒体は突起22による乱流を経てから、突起22の球面に沿って流れ、その流れ方向は入口12の軸線に対して傾斜しており、分流孔21の軸線方向を媒体の流れ方向と同様にすると、媒体の流れ抵抗を更に低減させることができ、且つ分流孔21の軸線の入口12の軸線に対する傾斜角が90°を超えると、媒体が分流孔21内に入る前に方向転換する必要があり、流れ抵抗を増加させることが理解できる。分流孔21の軸線と入口12の軸線との間の夾角aは、90°、80°、70°、50°、20°、10°等であってもよい。
【0046】
好ましくは、本実施例において、分流孔21の軸線と入口12の軸線との間の夾角aは10°であり、
図7から分かるように、aは10°であり、媒体が突起22の球面に沿って流れた後に分流孔21に入る前の媒体の流れ方向に比較的近似している。当然ながら、他の実施例において、突起22の異なる高さに応じて、分流孔21の軸線と入口12の軸線との間の夾角aは、85°、45°、30°又は別の角度であってもよい。
【0047】
分流孔21の内壁と第1側面24との間には第2弧状セグメント26が設けられており、第1側面24と分流孔21との内壁が接続されるように第2弧状セグメント26は第1側面24から分流孔21の内壁まで延在している。このように設計すると、媒体の流れ抵抗を更に低減させることができる。
【0048】
図8を参照すると、本出願で提供される冷却システム1000の構造模式図である。本出願は、圧縮機400、絞り弁300、熱交換器200、及び熱交換器200の入口に設けられた上記の分流器100を含む冷却システム1000を更に提供する。熱交換器200は、蒸発器201又は復水器202であってもよい。本出願の冷却システム1000は、本出願で提供される分流器100を設けることで、蒸発器201の熱交換効果を向上させて、冷却システムの性能を向上させることができる。
【0049】
熱交換器200が蒸発器201である場合、分流器100のインレットパイプ13は絞り弁300の出口に接続され、媒体は絞り弁300により絞り/減圧されて気液二相の状態になり、蒸発器201の熱交換管は複数であり、絞り弁300から流れ出た媒体は分流器100による配分を経て、蒸発器201の各熱交換管に均一に配分されて、蒸発器201の熱交換が均一になるようにして、一部の熱交換管にはガス状媒体が比較的多く、一部の熱交換管には液状媒体が比較的多いことを回避する。一部の熱交換管には液状媒体が比較的多く、一部の熱交換管には液状媒体が比較的少ない場合、ガス状媒体が比較的多い熱交換管により吸収された熱量が比較的少なく、液状媒体が比較的多い熱交換管により吸収された熱量が比較的多いので、蒸発器201の熱交換管の熱交換面積を充分に利用することに影響を与え、これにより熱交換効果に影響を与えて、冷却システムの性能低下をもたらす。蒸発器201から流れ出た媒体は圧縮機400に入り、高温高圧のガス状媒体になって、再び復水器202に入る。
【0050】
作業過程において、気液二相媒体がインレットパイプ13からチャンバ11に入り込み、流れる過程において、重力作用によりガス状媒体と液状媒体とが分離され、突起22による乱流作用により、最初に突起22に接触された媒体が反射して他の媒体に混合されることで、液状媒体とガス状媒体とが再び混合され、混合された後に突起22の球面に沿って各分流孔21内に均一に流れ込んでから、各熱交換管内に配分される。
【0051】
本出願で提供される分流器100における分流孔21は分流板20に対する1回の打抜により成形され、加工効率を向上させることができ、ステンレスを採用して製作すると、分流板20と本体10との間の溶接強度を向上させることができ、コストを削減することができ、耐圧能力及び封止性を向上させるとともに、アンモニア燻蒸によって真鍮材料が割れるリスクを低下させることができ、媒体に接触された突起22の側面を球面とすることにより、媒体を均一に混合することができ、且つ媒体が流れる過程における圧力損失を減少させることができ、流れ能力を向上させることができる。
【0052】
以上の実施例の各技術特徴は、任意に組み合わせてもよく、説明を簡潔にするために、上記の実施例における各技術特徴の可能な組み合わせについて全て説明していないが、これらの技術特徴の組み合わせが矛盾しない限り、いずれも本明細書に記載されている範囲とみなすべきである。
【0053】
以上の実施例は、本出願のいくつかの実施形態を示すものにすぎず、その説明は具体的且つ詳細であるが、出願の範囲を制限するものとして理解するべきではない。指摘すべきこととして、当業者にとって、本出願の思想を逸脱しない範囲で、更にいくつかの変形及び改良を行うことができるが、これらはいずれも本出願の保護範囲に属する。従って、本出願の保護範囲は添付された請求の範囲に準ずるものとする。
【国際調査報告】