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特表2023-533675肥料及び/又は飼料の生産のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】肥料及び/又は飼料の生産のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20230728BHJP
   C02F 1/04 20230101ALI20230728BHJP
   B09B 3/38 20220101ALI20230728BHJP
【FI】
B09B3/40
C02F1/04 D
B09B3/38
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579133
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-20
(86)【国際出願番号】 IB2021056450
(87)【国際公開番号】W WO2022013834
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020119041.7
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522494949
【氏名又は名称】テック オーストリア ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TEC AUSTRIA GMBH
【住所又は居所原語表記】Gaisbergstrasse 36c 5020 Salzburg, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クールワイン マイケル
【テーマコード(参考)】
4D004
4D034
【Fターム(参考)】
4D004AA02
4D004AB01
4D004BA04
4D004CA15
4D004CA22
4D004CA42
4D004CA46
4D004CB21
4D004CB26
4D004CB31
4D034AA26
4D034BA01
4D034CA12
4D034CA21
(57)【要約】
本発明は肥料及び/又は飼料を生産するための装置(21)に関する。装置(21)は、廃水(8、9)及びグリス(14)の乳濁液(14’)を進入させるための第1開口(27)、及び有機廃棄物(16)を添加するための第2開口(28)を有するチャンバ(26)と、添加された乳濁液(14’)及び添加された有機廃棄物(16)の混合物(14’、16)を循環させるためにチャンバ(26)内に配置された循環要素(29)と、混合物(14’、16)から水(31)を蒸発させることによって混合物(14’、16)を乾燥させるための加熱要素(30)とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃水(8、9)及びグリス(14)の乳濁液(14’)を進入させるための第1開口(27)と、有機廃棄物(16)を添加するための第2開口(28)とを有するチャンバ(26)と、
添加された乳濁液(14’)及び添加された有機廃棄物(16)の混合物(14’、16)を循環させるためにチャンバ(26)内に配置された循環要素(29)と、
混合物(14’、16)から水(31)を蒸発させることによって混合物(14’、16)を乾燥させるための加熱要素(30)と
を含む、肥料及び/又は飼料を生産するための装置(21)。
【請求項2】
蒸発水(31)を凝縮させるため、及び凝縮水(15’)を収集タンク(23)に排出するための凝縮器(32)を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の装置(21)。
【請求項3】
前記収集タンク(23)は、前記凝縮水(15’)を殺菌するための手段(32)を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の装置(21)。
【請求項4】
前記収集タンク(23)は、凝縮水(31)を上水(24)及び/又は飲料水(2)として出水させるための接続部(33)を含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(21)。
【請求項5】
チャンバ(26)内の湿度のレベルを検知するための湿度センサ(43)と、検知された湿度のレベルに応じて加熱要素(30)をオフにするためのコントローラ(42)とを含む、ことを特徴とする上記請求項のいずれか一項に記載の装置(21)。
【請求項6】
乳濁液(14’)から水(15’)を事前に濾過するためのフィルター(36)を有する別のチャンバ(35)を含む、ことを特徴とする上記請求項のいずれか一項に記載の装置(21)。
【請求項7】
濾過された水(15’)は、収集タンク(23)内に導かれる、ことを特徴とする上記請求項6に記載の装置(21)。
【請求項8】
上記請求項のいずれか一項に記載の装置(21)に有機廃棄物(28)が供給された後、装置(21)を制御するための方法であって、
-前記乳濁液(14’)を進入させるために前記第1開口(27)を閉鎖する第1閉鎖要素(34)を制御するステップと、
-前記チャンバ(26)に前記乳濁液(14’)がある程度充填されたときに、前記加熱要素(30)をスイッチオンするステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法を実行するための制御装置(42)。
【請求項10】
肥料及び/又は飼料を生産する方法であって、
-廃水(7、8)及びグリス(14)の乳濁液(14’)と有機廃棄物(16)とを含む混合物(14’、16)をチャンバ(26)に充填するステップと、
-前記混合物(14’、16)を循環させながら、前記混合物(14’、16)から水(31)を蒸発させることによって、前記混合物(14’、16)を乾燥させるステップと、を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料及び/又は飼料として好適な乾燥した製品の生産のための装置及び方法に関する。
【0002】
特にケータリング及び/又はホスピタリティのサービス部門からの有機廃棄物は、現在、輸送されて廃棄物焼却プラントで焼却されるか、又はバイオガスプラントで利用される。7.5トンの有機廃棄物の輸送のために、対応するトラックは、100kmの距離に平均速度60km/hで、約52kgの二酸化炭素、約1.5kgの窒素酸化物、約82gの二酸化硫黄、及び約20gの粒子状物質を排出し、20リットルのディーゼルを消費する。これらの気候的側面に加えて、輸送に必要な経済的費用もある。
【0003】
従って、本発明の目的は、特にケータリング及び/又はホスピタリティのサービス部門における有機廃棄物の処分を改善することである。
【0004】
このタスクは、独立した請求項の特徴によって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
本発明の一態様によれば、肥料及び/又は飼料を生産するための装置は、廃水とグリースの乳濁液を進入させるための第1開口、及び有機廃棄物を添加するための第2開口を有するチャンバと、添加された乳濁液及び添加された有機廃棄物の混合物を循環させるためにチャンバ内に配置された循環要素と、混合物から水を蒸発させることによって混合物を乾燥させるための加熱要素とを含む。
【0006】
指定された装置は、有機廃棄物を実際に動物飼料又は肥料としてリサイクルできるというアイディアに基づいたものである。この考えから、有機廃棄物をこれ以上処分するのではなく、肥料及び/又は飼料の形態の、地元で販売可能な製品に変換するというのが指定された装置のアイディアである。1トンの人造肥料の生産には、2,000lの重油及び22,000kWhのエネルギー入力が必要である。これに対し、指定された装置を用いて純廃棄物から4,000kWhのエネルギー入力で、既に1トンの肥料を達成することができる。従って、環境保護に加えて、有機廃棄物の除去を省略できるだけでなく、販売可能な製品を直接入手できるため、指定された装置を用いて、ケータリング及び/又はホスピタリティのサービス会社のコストを削減することもできる。
【0007】
一実施形態では、指定された装置は、蒸発水を凝縮させるため、及び凝縮水を収集タンクに排出するための凝縮器を含む。この収集タンクからの水は、例えば庭の灌漑のために使用することができ、原則として処分する必要がない。これにより、廃水処分にかかるコストが少なくなるため、ケータリング及び/又はゲストのホスピタリティのサービス会社の運営コストをさらに削減することができる。
【0008】
指定された装置の別の実施形態では、収集タンクは、凝縮水を殺菌するための手段を含む。これにより、飲料水ではないにしても、上水の品質にも達するため、凝縮水の使用範囲をさらに広げることができる。上水は、プロセス水又は工業用水とも呼ばれ、以下では病原菌や細菌のない水として理解する必要がある。これに対し、飲料水は、固定用語であり、DIN2000などの関連する水質基準を満たしている。
【0009】
特定の実施形態では、指定された装置の収集タンクは、凝縮水を上水及び/又は飲料水として出水させるための接続部を含むので、凝縮水は、例えば、トイレ洗浄システムの操作又は洗濯物の洗浄に使用することができる。よって、ケータリング及び/又はホスピタリティのサービス会社の運営コストをさらに削減することができる。これは、サービス会社内の特定の機器を操作するための水を外部から購入する必要がなくなるためである。
【0010】
別の実施形態では、指定された装置は、チャンバ内の湿度のレベルを検知するための湿度センサと、検知された湿度のレベルに応じて加熱要素をオフにするためのコントローラとを含む。これにより、指定された装置を操作するための不必要なエネルギーコストを回避できる。
【0011】
別の実施形態では、指定された装置は、乳濁液から水を事前に濾過するためのフィルターを有する別のチャンバを含む。事前に濾過することで、乳濁液の含水量を事前に減らすことができるため、混合物全体を乾燥させるのに必要なエネルギー入力が低くなる。
【0012】
指定された装置の特定の実施形態では、フィルターは、安価な費用で乳濁液から水を確実に分離することができるセラミック膜を含む。
【0013】
この場合、濾過された水を上記の収集タンク内に導き、飲料水又は上水に処理することができる。
【0014】
指定された装置の更なる実施形態では、循環要素は、十分に高い力の入力で混合物を確実に循環させることができる撹拌ユニットである。
【0015】
本発明の更なる態様によれば、装置に有機廃棄物が充填された後、指定された装置のいずれか1つを制御する方法は、
-乳濁液を進入させるために第1開口を閉鎖する第1閉鎖要素を制御するステップと、
-チャンバに乳濁液がある程度充填されたときに、加熱要素をスイッチオンするステップと、を含む。
【0016】
本発明の別の態様によれば、上記の方法を実行するために制御装置が提供される。
【0017】
更なる実施形態では、引用された装置は、メモリとプロセッサを有する。引用された方法は、コンピュータプログラムの形でメモリに保存される。プロセッサは、コンピュータプログラムがメモリからプロセッサにロードされると、方法を実行するために提供される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、コンピュータプログラムは、コンピュータプログラムが電子装置又は指定された装置のいずれかで実行されるときに、記載された方法のすべてのステップを実行するためのプログラムコードリソースを含む。
【0019】
本発明の別の態様によれば、コンピュータプログラム製品には、コンピュータ可読データキャリアに保存され、データ処理装置で実行されるときに記載された方法を実行するプログラムコードが含まれている。
【0020】
本発明の更なる態様によれば、肥料及び/又は飼料を生産する方法は、
-廃水及びグリースの乳濁液と有機廃棄物とを含む混合物をチャンバに充填するステップと、
-混合物を循環させながら、混合物から水を蒸発させることによって、混合物を乾燥させるステップと、を含む。
【0021】
本発明の上述の特性、特徴及び利点、ならびにそれらが達成される方法は、図面に関連してより詳細に説明される実施形態の以下の説明に関連して、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】ケータリング及び/又はホスピタリティのサービス会社における有機廃棄物処分を視覚化するための構造図である。
図2】ケータリング及び/又はホスピタリティのサービス会社における代替的な有機廃棄物処分を視覚化するための構造図である。
図3】第1運転状態で有機廃棄物から肥料及び/又は飼料を生産するための装置の構造図である。
図4】第2運転状態で有機廃棄物から肥料及び/又は飼料を生産するための装置の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面において、同じ技術的要素には同じ参照符号が付されており、一度しか記載されていない。図面は純粋に概略的なものであり、特に、実際の幾何学的な比率を反映していない。
【0024】
図1を参照されたい。図1は、ケータリング及び/又はホスピタリティのサービス会社1における有機廃棄物処分を視覚化するための構造図である。このようなサービス会社1は、例えば、レストランやホテルであってもよい。
【0025】
サービス会社1は、詳細には示されていない清水接続部を介して提供される飲用水2を、衛生施設3の運転、さらに示されていないキッチン設備4の運転のために、敷地内の清掃5のために、及び他の目的6に使用する。これにより、衛生廃水7、キッチン廃水8、清掃廃水9及び他の廃水10が発生する。また、雨水11も収集される。
【0026】
衛生水7と他の廃水10は、通常、下水システム12に直接排出することができる。しかしながら、キッチン廃水8及び清掃廃水9は、サービス会社1の種類によって、非常に脂っこい場合がある。地域の法律によって、サービス会社1によるキッチン廃水8及び清掃廃水9におけるグリースの下水システム12への排出については、つまり、いわゆるグリースの間接排出については、グリースセパレーター13を取り付けることによってのみ従うことができる、比較的厳しい制限が定められている場合がある。グリースセパレーター13は、キッチン廃水8及び清掃廃水9からグリース14を分離し、残りの残留水15を下水システム12に排出する。
【0027】
キッチン廃水8及び清掃廃水9からのグリース14は、廃棄物焼却プラント又はバイオガスプラントに輸送されるまで、他の有機廃棄物16と一緒に適切な廃棄物容器17に貯蔵することができる。
【0028】
雨水11は通常、雨樋18に収集され、タンク19に一時的に貯蔵され、例えば、庭などの浸出面20に浸出する。浸出面20が十分ではないか、又は全く利用できない場合、雨水11は、直接又はタンク19を介して下水システム12に排出することができる。
【0029】
システムケータリング部門からのレストラン形態の平均的なサービス会社1には、1,650m3の年間飲料水量が供給される。平均的な会社では、年間750m3の量が衛生水7として生産され、残りの廃水8、9及び10が合計すると年間900m3になる。年間雨水量11は場所によって異なる。中央ヨーロッパでは、年間700m3が現実的である。グリースセパレーター13は、平均的なシステム美食レストランにおいて、1年間でキッチン廃水8及び清掃廃水9から36m3の量のグリース14を分離する。また、18~20トンの有機廃棄物16が生成される。
【0030】
飲料水2の供給及びそれに伴う廃水の処分については、平均的なシステム美食レストランは、1リットルあたり5.30ユーロの価格を計算する必要があるため、年間総費用は8,745ユーロである。この計算は、下水道料金などの付帯コストを含んでいない。グリースセパレーター13の純粋な操作の場合、システムケータリング業界からの平均的なレストランでは、年間300ユーロの分析コストコスト、435ユーロのメンテナンスコスト、及び155ユーロの一般的な検査コストが発生する。新しいシステムの場合、5~6年の期間で減価できる50,000ユーロの追加取得コストがある。グリース14及び有機廃棄物16の処分について、年間6,126ユーロのコストがかかるため、処分に関わる人員は依然として1年あたり5,000ユーロと考慮する必要がある。
【0031】
従って、平均的なシステム美食レストランでの水及び有機廃棄物処分のコストは、推定年間総額約21,000ユーロに達する。この金額には、利用可能な浸出エリア20がないか、不十分な場合の雨水処分コストは考慮されない。
【0032】
以下では、これらのコストを削減できるだけでなく、グリース14及び有機廃棄物16を経済的にリサイクルできる方法についても説明する。
【0033】
この目的のために、図2を参照されたい。図2は、図1のサービス会社1における代替的な有機廃棄物処分を視覚化する構造図を示す。
【0034】
図1の廃水7、8、9及び10は、図2の構造図にも含まれる。簡単にするために、雨水11は考慮されていないが、それ以上問題なくアイディアに統合することもできる。
【0035】
有機廃棄物16及びグリース14の処分のために、乾燥装置22、分離装置13’及び処理装置23を備えた装置21は、サービス会社1に設けられる。
【0036】
分離装置13’のタスクは、グリースセパレーター13のタスクと基本的に同じであり、キッチン廃水8と清掃廃水9におけるグリース14及び残留水15を互いに分離することであり、それにより、グリース14が乾燥装置22に、残留水15が処理装置23に供給される。しかしながら、残留水15からのグリース14の分離は、乾燥装置22の運転には必要ではない。原則として、キッチン廃水8と清掃廃水9とを分離せずに乾燥装置22に供給するだけである場合、乾燥装置22も機能する。分離装置13’は、単に乾燥装置22の効率を高めるだけであり、高品質でも低品質でもよい。このため、3つの装置13’、22及び23の間の図2の長い矢印は、グリース14と残留水15との基本的な分離経路を示している。これに対し、装置13’から乾燥装置22までの短い矢14’は、グリース14が圧倒的に存在する水とグリース14の乳濁液を示し、分離装置13’から処理装置23までの短い矢15’は、グリース14の一部がまだ残っている可能性がある残液を示している。
【0037】
処理装置23は、基本的に任意である。これによって取られた液体10と15’は、原則として、下水システム12に排出することもできる。しかしながら、受け取った液体10と15’は滅菌などによって処理され、不純物がなくなった場合、処理された液体は、サービス会社1によって少なくとも上水24として、例えば、衛生設備3を稼働させるために再利用することができる。処理装置23の品質によって、飲料水として再利用することも考えられる。処分される廃水は、衛生廃水7など、経済的に合理的なコストでリサイクルできなくなった廃水だけになる。
【0038】
乾燥装置22は、グリース14を有する乳濁液14’を受け取り、有機廃棄物16も供給される。後で詳細に説明するように、乾燥装置22は、乳濁液14’と有機廃棄物16の混合物を循環させるための循環要素、及び混合物14’、16を乾燥させるための加熱要素を有する。
【0039】
混合物14’、16を乾燥させると、そこから水が抽出される。水の除去によって乾燥した製品25は保存可能なので、輸送して他の場所、例えば、動物飼料又は施肥のために再利用することができる。これにより、有機廃棄物16もグリース14も処分する必要がなく、むしろ経済的利益を得て転売することができる。
【0040】
年間飲料水必要量が1,650m3であるシステム美食レストランの形態の上記の平均的なサービス会社1は、少なくとも衛生設備3を自給自足で稼働させるように図2のシステムを使用することができ、これにより、水消費量を1年あたり900m3に削減することができる。その結果、年間水消費量コストを4,770ユーロに削減することができる。簡単にするために、グリースセパレーター13’の運転コストは、セパレーター13の運転コスト見なすことができる。しかしながら、6,126ユーロに達する有機廃棄物16とグリース14の処分コストは生じない。代わりに、乾燥した製品25は、例えば、農業で肥料又は飼料として、1年あたり約1,850ユーロの市場価格で、有用な製品として販売することができる。しかしながら、この売上高は、約1,665ユーロの年間エネルギーコストによって相殺される。有機廃棄物16とグリース14の処分が完全になくなるため、必要な作業量は半分になり、人件費も1年あたり2,500ユーロに抑えられる。
【0041】
全体として、図2によるシステムは、システム美食レストランの形態のサービス会社1に1年あたり8,000ユーロしかかからないので、図2によるシステムにより、有機廃棄物16とグリース14の処分のための運転コストを3分の1に削減することができる。
【0042】
埋立て又は処分の代わりに製品を生成するという純粋に経済的な配慮以外には、図2によるシステムは飲料水の消費量を半減させることもでき、これは、特に水の少ない地域で明らかに有利である。さらに、食物残渣による有害臭、及び食物残渣によって誘引される害虫も減少される。また、前記システムは、ゴミ箱を拾ったり、グリーストラップなどを汲み出したりする必要がなくなるため、物流を大幅に簡単にする。図2に示されるシステムは、高度の自動化を有するため、運転を非常に簡単にすることができ、必要な人員を減らすことができる。図2によるシステムは、180℃をはるかに超える所望の温度処理を設定することができるので、有機廃棄物16及びグリース14を熱で乾燥させることにより、完全に無菌状態に保つことができる。
【0043】
新しいプラントでは、グリースセパレーター13を取り付ける必要がなくなる。代わりに、はるかに安価でメンテナンスも簡単な任意の別のシステムをセパレーター13’として使用することができる。
【0044】
環境の観点から、図2に示されるシステムでは、ほぼ完全に乾燥した製品25は水分をほとんど輸送する必要がないことを意味するため、COフットプリントが削減される。輸送コストは最大95%削減できる。廃棄物焼却又は他の埋立ては完全に排除され、温室効果ガスの発生もなくなる。
【0045】
最後に、図2によるシステムはまた、人工的に生産された肥料の必要性を減らす。
【0046】
ここで、図2図3及び4を参照して構造的に説明されたアイディアは、有機廃棄物16とグリース14から乾燥した製品25を生産して肥料又は動物飼料として使用することができる装置21の具体例を説明するために使用される。
【0047】
装置21のコアは、水とグリース14の乳濁液14’が第1開口27を介して導入され得るチャンバ26である。有機廃棄物16は、第2開口28を介してチャンバ26に導入することができる。
【0048】
ここで撹拌ユニット29の形態の循環要素は、チャンバ26内に配置される。撹拌ユニット29は、乳濁液14’を有機廃棄物16と混合して連続的に循環させる。
【0049】
加熱要素30は、チャンバ26の底部に配置され、撹拌ユニット29によって循環する乳濁液14’と有機廃棄物16との混合物を加熱する。加熱温度は、水が乳濁液14’と有機廃棄物16との混合物から蒸発して混合物14’、16が乾燥するように選択される。特に好ましい手段では、加熱温度は、乾燥中に滅菌効果が得られ、乳濁液14’と有機廃棄物16との混合物に病原菌や細菌が同時になくなるように、選択することができる。
【0050】
混合物14’、16から蒸発した水31は、原則として、任意のヒュームフードを介して環境に排出することができる。水コストを削減し、蒸発水31を液体15’として再利用するために、例えば、衛生設備3については、チャンバ26は、凝縮器として機能する天面壁32によって閉じることができ、蒸発水31が天面壁32で凝縮されて液体15’になり、処理装置23としても機能する収集タンクに排出することができる。この目的のために、滅菌32のための手段が処理装置23に設けられ、例えば、UV照射により液体15’を滅菌することができる。
【0051】
さらに、処理装置23に出口33を設けることができ、この出口33を介して、滅菌された液体15’は、栓34によって制御される方式で上水24として汲み取ることができる。
【0052】
チャンバ26の上流には、更なるチャンバ35があり、2つのチャンバ26、35は、第1開口27を介して互いに接続される。更なるチャンバ35には、ここでセラミック膜の形態のフィルター36が配置され、このフィルター36は、下方向37に見ると、チャンバ35を上部38と下部39とに分離している。
【0053】
飼料開口40を介して、更なるチャンバ35の上部には、次にフィルター36上に落ちるキッチン廃水8及び清掃廃水9が供給され得る。そこで、液体15’は、フィルター36を通過し、更なるチャンバ35の下部39に落ちる。
【0054】
グリース14を有する乳濁液14’は、フィルター36上に残る。現在、乳濁液14’は、第1開口27を介してチャンバ26に入ることが可能になる。乳濁液14’が十分に流動しない場合、例えば、スライド41などの搬送手段によって乳濁液14’をチャンバ26に押し込むこともできる。
【0055】
更なるチャンバ35の下部39では、フィルター36を通過した液体15’を回収し、またそれ以上参照されない接続部を介して処理装置23に導入することもできる。そこで、凝縮水31から得られた液体15’と同じ方法でさらに処理される。
【0056】
最後に、他の廃水10は、依然として処理装置23に直接供給することができる。
【0057】
装置21の運転中に、まずキッチン廃水8及び清掃廃水9が更なるチャンバ35に導入される。そこで、乳濁液14’は、液体15を濾過することによって得られ、チャンバ26に供給される。チャンバ26において、乳濁液14’は、チャンバ26に加えられた有機廃棄物16と一緒に加熱され、撹拌ユニット29により循環する。制御装置42は、湿度センサ43を介してチャンバ26内の湿気含有量を検出する。チャンバ26内の湿気含有量が所定のレベルを下回ると、制御装置42は加熱要素30をオフにしてチャンバ26の底部を開いて、乾燥した製品25がチャンバ26の下方の収集タンク44内に落ちるようにする。
【0058】
乾燥プロセスは機械によって行われると前に説明されたが、原則として手動で行うこともできる。このプロセスの実施には、適切な容器、容器を加熱する熱源、及び適切な循環ツールのみが必要となる。
【0059】
しかしながら、装置21の大きな利点は、基本的にすべてのステップを自動化し、制御装置42によって開始することができることである。よって、制御装置42は、それぞれの廃水7、8、9及び10をチャンバ26、35に供給するために、栓34などの適切な弁を制御することができる。制御装置42はまた、撹拌ユニット29及び加熱要素30をオン又はオフにしたり、乾燥した製品を降ろすためにチャンバ26の底部を開けたりし得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】