(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】管オルガノイドオンチップ
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20230728BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20230728BHJP
C12N 11/00 20060101ALN20230728BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12M1/00 A
C12N11/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580079
(86)(22)【出願日】2021-06-25
(85)【翻訳文提出日】2023-02-03
(86)【国際出願番号】 QA2021050016
(87)【国際公開番号】W WO2021262022
(87)【国際公開日】2021-12-30
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522497412
【氏名又は名称】マラエブ,ワッダ アーカン
【氏名又は名称原語表記】MALAEB,Waddah Arkan
【住所又は居所原語表記】Intercontinental Doha The City Off Al Wahda Road,West Bay P.O.Box 22178 Doha QATAR
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】マラエブ,ワッダ アーカン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B033
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC11
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4B029DF10
4B029GB10
4B033NA16
4B033NB64
4B033ND12
4B033NE02
4B033NG05
4B033NH10
(57)【要約】
本開示は、1つの非限定的実施形態において、管組織を成長させるためのバイオチップに関し、バイオチップは、模倣細胞環境を提供するように構成された少なくとも1つの多孔質膜を含む、少なくとも1つの膜構造、少なくとも1つのシャーシであって、少なくとも1つの膜構造を支持するように構成されたチャネルと、少なくとも1つの膜構造を支持するチャネルと流体連通する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルとを含む、少なくとも1つのシャーシ、および少なくとも1つのカバースリップを含み、少なくとも1つのシャーシが、内部空間が少なくとも1つのシャーシ内に設けられ、少なくとも1つのシャーシ内に少なくとも1つのチャネルを形成することができるように構成され、シャーシ間に形成された内部空間が、シャーシの本体に対して内部にあるが膜構造に対して外部にある区画を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管組織を成長させるためのバイオチップであって、
模倣細胞環境を提供するように構成された少なくとも1つの多孔質膜を含む、少なくとも1つの膜構造;
少なくとも1つのシャーシであって、
前記少なくとも1つの膜構造を支持するように構成されたチャネルと、
前記少なくとも1つの膜構造を支持する前記チャネルと流体連通する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルとを含む、少なくとも1つのシャーシ;および
少なくとも1つのカバースリップを含み、
前記少なくとも1つのシャーシが、内部空間が前記少なくとも1つのシャーシ内に設けられ、前記少なくとも1つのシャーシ内に少なくとも1つのチャネルを形成することができるように構成され、
前記シャーシ間に形成された前記内部空間が、前記シャーシの本体に対して内部にあるが前記膜構造に対して外部にある区画を提供し、
前記少なくとも1つのシャーシに複数の開口が設けられて、前記シャーシ間に形成された前記膜構造に対する外部区画を提供する、前記シャーシ間に形成された前記内部空間に流体又は空気を出入りさせる、バイオチップ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの膜構造が、1つ以上の円筒形足場である、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項3】
少なくとも1つの膜構造が、前記少なくとも1つの膜構造の円筒形足場内の内部空間内で組み合わされることができ、互いに入れ子になった多孔質膜管足場の層をもたらす、請求項2記載のバイオチップ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの膜構造が、合成ポリマー、有機ポリマー又は複合材料の群から選択される、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの膜構造が、異なる又は同じ生物物質についての前記インビボ組織状態を模倣することができる、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項6】
前記膜構造が、複数の間質組織型のための環境を提供することができる、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの膜構造が、複数の疾患モデルの試験のための環境を提供することができる、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の内部区画および外部区画へのアクセスを与える位置に、円筒状管足場を保持する特徴を含む、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項9】
生物学的成分が、前記バイオチップの前記マイクロ流体チャネル内にピペット又はポンプで注入され得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項10】
生物学的成分が同じ生物学的成分である、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項11】
生物学的成分が異なる生物学的成分である、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の前記内部区画および前記外部区画へのアクセスを与える1つ以上のマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含む、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の前記内部区画および前記外部区画へ通じるマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含む、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項14】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記多孔質管足場の箇所の1つ以上の領域で相互接続される、前記管足場の前記内部区画および外部区画に通じるマイクロ流体チャネルを含む、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項15】
前記少なくとも1つのシャーシが、相互接続された前記管足場の前記内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを含み、組立て後に前記多孔質管足場の壁によって分離されるのみである、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項16】
前記少なくとも1つのシャーシが、相互接続された前記管足場の前記内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを含み、組立て後に管足場の壁上の細孔を通して接続されるのみである、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項17】
前記管足場の前記外部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記少なくとも1つのシャーシの前記内層に彫り込まれ得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項18】
前記管足場の前記外部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記少なくとも1つのシャーシの前記外面に彫り込まれ、前記完全なチャネルを形成する前記少なくとも1つの薄いカバースリップによって囲まれ得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項19】
前記円筒状管の断面が、円形、楕円形、又は任意の他の囲まれた形状であり得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項20】
前記管が多孔質であり得、前記細孔が任意の数、形状およびサイズであり得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項21】
いくつかの細孔が生物学的成分の拡散を可能にする、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項22】
いくつかの細孔が、細胞の前記管壁を越える移動を可能にする、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項23】
前記少なくとも1つのシャーシが、少なくとも1つの入口孔および少なくとも1つの出口孔を含む、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項24】
前記管足場の前記内部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記チャネルの前記入口孔および出口孔の間に伸長し得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項25】
前記管足場の前記内部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記チャネルの前記入口孔および出口孔を越えて伸長し、後でチップのサブコンポーネントの組立て後に塞ぐことができる、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項26】
前記少なくとも1つのシャーシが、顕微鏡又は画像化装置と共に使用されるように構成される、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項27】
前記管足場を囲む内部区画および外部区画に前記流体を流す前記マイクロ流体チャネルが、前記少なくとも1つのシャーシの間に取り囲まれている、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項28】
前記管足場を囲む前記外部区画へ流体を流す前記マイクロ流体チャネルが、前記少なくとも1つのシャーシと、前記少なくとも1つのシャーシに取り囲まれていない前記バイオチップのさらなる側面を覆う前記少なくとも1つのカバースリップガラスとの間に取り囲まれている、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項29】
前記少なくとも1つのシャーシに結合された前記少なくとも1つの膜構造が、前記膜がその長さに沿った前記管足場表面上の領域で組立て前に湾曲されて結合される場合、すべての側からの間質マイクロ流体チャネル空隙で取り囲まれ得る、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項30】
前記少なくとも1つのシャーシが、ガラス又はポリマーなどの脆く、透明で、自己蛍光が低いもののうちの1つである材料で作られる、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項31】
前記少なくとも1つのシャーシが、不透明な材料で作られている、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項32】
前記少なくとも1つのシャーシが、刺激に応答して変形するように構成され、前記少なくとも1つの膜構造をカプセル化する、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項33】
前記刺激が、熱、圧力、化学的曝露又は放射線曝露のうちの1つである、請求項32記載のバイオチップ。
【請求項34】
前記少なくとも1つのカバースリップおよび前記少なくとも1つのシャーシが統合されて一体化本体を形成する、請求項33記載のバイオチップ。
【請求項35】
前記少なくとも1つのカバースリップが、透明な材料で作られている、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項36】
複数の追加のバイオチップに接続され、それと相互作用することができる、請求項1記載のバイオチップ。
【請求項37】
バイオチップの製造方法であって、
少なくとも1つのシャーシであって
前記少なくとも1つの膜構造を支持するように構成されたチャネルと、
前記チャネルと流体連通する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含む、少なくとも1つのシャーシを提供する工程;
少なくとも1つの多孔質膜を提供する工程;
少なくとも1つの多孔質膜を円筒形断面の閉ループに湾曲させる工程であって、
多孔質膜の第1の部分を湾曲させることによって円形の円筒形多孔質管が形成され、1つ以上のさらなる多孔質膜が前記管の第2の部分を形成する、工程、および
前記少なくとも1つの多孔質膜を前記少なくとも1つのシャーシの間に挿入する工程を含む、製造方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの多孔質膜が、少なくとも1つのシャーシの間の上面に平行な平面から0°~180°の間で湾曲して完全な管形状を形成し、他の膜が湾曲されて前記完全な管の残りを形成する、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の前記内部区画および前記外部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する特徴を含むように構成される、請求項37記載の方法。
【請求項40】
少なくとも1つの膜構造が、前記少なくとも1つの膜構造の円筒形足場内の前記内部空間内で組み合わされ、互いに入れ子になった多孔質膜管足場の層をもたらす、請求項37記載の方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の前記内部区画および前記外部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルが前記多孔質管足場箇所の1つ以上の領域で相互接続されるように構成される、請求項37記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の前記内部および外部区画へと通じる前記マイクロ流体チャネルが相互接続されるように構成され、組立て後に前記多孔質管足場の壁によって分離されるのみである、請求項37記載の方法。
【請求項43】
前記少なくとも1つのシャーシが、前記管足場の前記内部および外部区画へと通じる前記マイクロ流体チャネルが相互接続されるように構成され、組立て後に前記管足場の壁の前記細孔を通して接続されるのみである、請求項37記載の方法。
【請求項44】
前記管足場の前記外部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記少なくとも1つのシャーシの前記内層に彫り込まれ得る、請求項37記載の方法。
【請求項45】
前記管足場の前記外部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記少なくとも1つのシャーシの前記外面に彫り込まれ、前記完全なチャネルを形成する別のシャーシ部分又は少なくとも1つのカバースリップによって覆われ得る、請求項37記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つのシャーシの特徴が、前記チャネルへのアクセスを提供する少なくとも1つの入口孔および少なくとも1つの出口孔を提供するように構成される、請求項37記載の方法。
【請求項47】
前記管足場の前記内部区画へ通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記チャネルの前記入口孔および出口孔の間に伸長し得る、請求項37記載の方法。
【請求項48】
前記管足場の前記内部区画に通じる前記マイクロ流体チャネルを形成する前記少なくとも1つのシャーシの前記特徴が、前記チャネルの前記入口孔および出口孔を越えて伸長し、後で前記チップサブコンポーネントの組立て後に塞ぐことができる、請求項37記載の方法。
【請求項49】
前記円筒状管が、化学結合、圧力結合、又は熱結合のうちの1つ又はそれらの組み合わせによって前記膜と前記少なくとも1つのシャーシとを結合することによって形成される、請求項37記載の方法。
【請求項50】
前記円筒状管足場を形成する前記湾曲膜が、前記少なくとも1つのシャーシ内での組立ての前又は後に結合され得る、請求項49記載の方法。
【請求項51】
前記結合方法を使用して、前記材料表面の制御された厚さを溶融し、異なる部品を一緒に溶接する、請求項49記載の方法。
【請求項52】
前記化学結合がエタノールとクロロホルムの混合物を含む、請求項49記載の方法。
【請求項53】
前記熱結合が、表面照射を含むことができる、請求項49記載の方法。
【請求項54】
前記バイオチップの前記上層および下層を形成する前記少なくとも1つのカバースリップガラスが、前記他の部品と同じ方法を使用して、又はガラス-ポリマー接着剤を使用して、前記少なくとも1つのシャーシに結合される、請求項49記載の方法。
【請求項55】
前記管足場内部区画に通じる前記マイクロ流体チャネルの末端を閉じる前記プラグが結合されるか、又はポリマー接着剤を使用する、請求項37記載の方法。
【請求項56】
前記管足場膜の前記延長部が、その末端で保持され、前記膜のしわを防ぐために張力がかけられる、請求項37記載の方法。
【請求項57】
円形多孔質管が、円筒形断面の閉ループのロッド上に平坦な膜を湾曲させ、それをその長さに沿って前記管足場表面上の領域で結合することによって形成される、請求項37記載の方法。
【請求項58】
円形多孔質管が、円筒形断面の閉ループのロッド上で平坦な膜を湾曲させ、それを前記管表面の延長部である前記管足場の表面に沿った平坦な領域で結合することによって形成される、請求項37記載の方法。
【請求項59】
円形多孔質管が、円筒形断面の閉ループのロッド上で複数の平坦な膜を湾曲させ、それを前記管表面の延長部である前記管足場の表面に沿った平坦な領域で結合することによって形成される、請求項37記載の方法。
【請求項60】
前記膜を形成することが、前記少なくとも1つのシャーシの間に配置された前記膜を所望の形状に保持するロッドを含み、前記管足場の末端が前記シャーシに結合され、前記少なくとも1つのシャーシによって囲まれている、請求項37記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
成功する医薬品の開発は、費用が高く、時間がかかる。加えて、多くの薬物は開発プロセスの後期段階で失敗し、多大なサンクコストをもたらす。薬物開発の後期段階での失敗の原因となる理由の1つは、製薬会社が、典型的に、ヒト組織を十分に再現しない無効な細胞培養プラットフォーム上で増殖させた細胞で薬物を試験することである。例えば、典型的な細胞培養プラットフォームは、多くの場合、2D平板から構成される。しかしながら、既存の2D平板は、ヒト器官の3D構造を再現せず、不正確な結果をもたらす。例えば、ヒト組織の1つの典型的な微細構造は、乳房、膵臓、肝臓、腎臓、および脈管構造などの多くの器官の微細構造である円形管形態である。典型的な2D平板は、円形管形態の3D微細構造に似ていない。
【0002】
生体模倣モデルを作成するための2つの基本的な態様は、構造的足場を介して細胞極性を維持し、上皮組織を基底膜および周囲の間質と共培養することによって細胞シグナル交換を誘導することである。上皮管組織で試験する場合、細胞極性の維持は重要であり、これは、極性化した細胞が、極性が画定されていない癌性対応物と比較すると、管へと形成された場合に老化に至り、したがって成長を停止するからである。したがって、癌性細胞は決して老化に到達せず、分裂又は増殖を続け、制御不能な癌細胞増殖をもたらす。したがって、培養されて互いに引っ掛かって密着した管を形成する細胞は、正常な上皮組織に似ており、一方2Dで培養された細胞は、管形成段階の細胞と同様に機能する。したがって、異常な環境で増殖する細胞は、それらを正常組織よりも癌性組織として機能させる可能性がある。
【0003】
線維組織は、ホルモンおよびインスリン様成長因子(IGF)レベルの変動を通じて管状癌の進行において重要な役割を果たすので、上皮細胞を周囲の間質と共培養することは重要である。そのような変動は、間質細胞の遺伝子発現の変化を引き起こし、異なる細胞外マトリックスバイオマーカー、したがって上皮組織を行き来するシグナル伝達カスケードの破壊をもたらす。典型的には、これらの2つの基本的な態様のうちの1つを有する系は、典型的な2D培養プラットフォーム又は3Dゲルと比較した場合、天然組織との類似性の増加を示すが、天然組織と比較した場合、依然として多くの重大な違いを示す。
【0004】
生体模倣モデルを作成するための別の重要な態様は、組織微小環境に対する薬物の効果を試験する能力である。これは、集合した組織について、1つの組織環境における改変の、周囲組織の環境に及ぼす影響を試験することが重要であることを意味する。これは、特に組織細胞および周囲組織の細胞におけるシグナル伝達経路の変化をもたらす細胞外マトリックス(ECM)の劇的な変化のために、癌用途において特に重要である。これらの劇的な変化は、癌の進行および転移において重要な役割を果たすことが示されている。
【0005】
典型的な細胞培養プラットフォームは、空間的に分離された区画内で異なる種類の細胞を共培養することができず、それにより、ヒト組織の完全な微小環境をモデル化することは困難である。例えば、乳房腫瘍微小環境は、乳癌細胞に加えて、管を形成する正常な上皮細胞を含む。両方の細胞型は、細胞外マトリックス中の支持細胞と相互作用している。これは、乳癌を治療することを目的とした薬物の作用に影響を及ぼす腫瘍微小環境を象徴する。しかしながら、伝統的な創薬プラットフォームおよび培養系は、正常な乳房細胞の円形構造を要約せず、腫瘍微小環境中の他の細胞の癌細胞に対する影響を捕捉しない。
【0006】
したがって、上記の欠点を解決する、薬物試験のための細胞培養プラットフォームが必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、細胞培養プラットフォームとして機能する新規かつ革新的なバイオチップを提供する。細胞をバイオチップに挿入し、3次元組織に成長させて薬物試験に使用することができる。バイオチップの内部には、膜を円筒形状に湾曲させることによって形成された極薄多孔質プラスチック管がある。管には、マイクロ流体チャネルを介して両側からアクセスすることができる。提供されるバイオチップの目的は、管の内壁上に管上皮又は内皮細胞を増殖させること、ならびに細胞および培地成分を他方の側からゲルを介して播種することによって、外部からの細胞から形成された周囲組織を成長させることによって管オルガノイド微小環境を再現することである。バイオチップは、限定されないが、膵臓、腎臓、肝臓、乳房、肺、脈管構造、前立腺、精巣およびリンパ管を含む管組織を再現するために利用され得る。バイオチップは、研究者、製薬会社および臨床医によって、チップ内で増殖させたオルガノイド上でそれらの薬物および成分を、ヒトでの試験の前にそれらの効果をより良好に予測するための試験に使用され得る。
【0008】
本開示は、細胞が3Dインターフェース管組織(間に筋上皮組織および/又は間質内層を有する間質によって取り囲まれた円筒形の上皮/内皮組織)に成長するための足場システムを作製するための装置および方法を提供する。本開示は、低剛性3D組織の組織を支持することができる構造安定性を可能にする。
【0009】
本開示は、いくつかの技術的利点、例えば、管の内面に付着し、融合すると、細胞が天然組織に似た膜極性(分化)を達成し、細胞と周囲の間質との共培養を可能にする円形断面足場を包含する。これにより、模倣性が向上し、その結果、インビボ環境のより正確な予測および臓器チップ(organ-on chip)の汎用性につながる。最後に、本開示は、高スループット容量を達成する能力を提供し、開示されたチップ上では数百、さらには数千回の実験を行うことができる。
【0010】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、管組織を成長させるためのバイオチップは、模倣細胞環境を提供するように構成された少なくとも1つの多孔質膜を含む、少なくとも1つの膜構造、少なくとも1つのシャーシであって、少なくとも1つの膜構造を支持するように構成されたチャネルと、少なくとも1つの膜構造を支持するチャネルと流体連通する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルとを含む、少なくとも1つのシャーシ、および少なくとも1つのカバースリップを含み、少なくとも1つのシャーシが、内部空間が少なくとも1つのシャーシ内に設けられ、少なくとも1つのシャーシ内に少なくとも1つのチャネルを形成することができるように構成され、シャーシ間に形成された内部空間が、シャーシの本体に対して内部にあるが膜構造に対して外部にある区画を提供し、少なくとも1つのシャーシに複数の開口が設けられて、シャーシ間に形成された膜構造に対する外部区画を提供する、シャーシ間に形成された内部空間に流体又は空気を出入りさせる。
【0011】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つの膜構造は、1つ以上の円筒状足場である。
【0012】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つの膜構造は、少なくとも1つの膜構造の円筒状足場内の内部空間内で組み合わせることができ、互いに入れ子になった多孔質膜管足場の層をもたらす。
【0013】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つの膜構造は、合成ポリマー、有機ポリマー又は複合材料からなる群から選択される。
【0014】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つの膜構造は、異なる、又は同一の生物物質のインビボ組織条件を模倣することができる。
【0015】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、膜構造は、複数の間質組織型のための環境を提供することができる。
【0016】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つの膜構造は、複数の疾患モデルの試験のための環境を提供することができる。
【0017】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へのアクセスを可能にする所定の位置に円筒状管足場を保持する特徴を含む。
【0018】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、生物学的成分は、バイオチップのマイクロ流体チャネルにピペット又はポンプで注入され得る。
【0019】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、生物学的成分は、同じ生物学的成分である。
【0020】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、生物学的成分は、異なる生物学的成分である。
【0021】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へのアクセスを可能にする1つ以上のマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含む。
【0022】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含む。
【0023】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、多孔質管足場位置の1つ以上の領域で相互接続された、管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを含む。
【0024】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、相互接続された管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを含み、組立て後は多孔質管足場の壁によって分離されるだけである。
【0025】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、相互接続された管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを含み、その組立て後は管足場の壁上の細孔を通して接続されるだけである。
【0026】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場の外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、少なくとも1つのシャーシの内層に彫り込むことができる。
【0027】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場の外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、少なくとも1つのシャーシの外面に彫り込まれ、完全なチャネルを形成する少なくとも1つの薄いカバースリップで囲まれ得る。
【0028】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、円筒状管断面は、円形、楕円形、又は任意の他の囲まれた形状とすることができる。
【0029】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、管は多孔質であり得、細孔は任意の数、形状およびサイズであり得る。
【0030】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、いくつかの細孔は、生物学的成分の拡散を可能にする。
【0031】
本明細書に列挙される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、いくつかの細孔は、管壁を越える細胞の移動を可能にする。
【0032】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、少なくとも1つの入口孔および少なくとも1つの出口孔を含む。
【0033】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、チャネルの入口孔と出口孔との間に及ぶことができる。
【0034】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、チャネルの入口孔および出口孔を超えて伸長し、その後チップサブコンポーネントの組立て後に塞ぐことができる。
【0035】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、顕微鏡又は画像化装置と共に使用されるように構成される。
【0036】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場を取り囲む内部および外部区画へ流体を流すマイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのシャーシの間に囲まれる。
【0037】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場を取り囲む外部区画へ流体を流すマイクロ流体チャネルは、少なくとも1つのシャーシと、少なくとも1つのシャーシに囲まれていないバイオチップのさらなる側面を覆う少なくとも1つのカバースリップガラスとの間に囲まれる。
【0038】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシに結合された少なくとも1つの膜構造は、膜がその長さに沿った管足場表面上の領域での組立て前に湾曲されて結合される場合、すべての側からの間質マイクロ流体チャネル空隙で取り囲まれ得る。
【0039】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、脆く、透明で、自己蛍光の低い、例えばガラス又はポリマーうちの1つである材料で作られる。
【0040】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、不透明な材料で作られる。
【0041】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、刺激に応答して変形するように構成され、少なくとも1つの膜構造でカプセル封入される。
【0042】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、刺激は、熱、圧力、化学的曝露又は放射線曝露のうちの1つである。
【0043】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのカバースリップおよび少なくとも1つのシャーシは、統合されて一体化本体を形成する。
【0044】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのカバースリップは、透明な材料で作られる。
【0045】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、バイオチップは、複数の追加のバイオチップに接続され、それと相互作用することができる。
【0046】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、バイオチップを製造する方法であって、方法は、少なくとも1つのシャーシであって、少なくとも1つの膜構造を支持するように構成されたチャネル、およびチャネルと流体連通する少なくとも1つのマイクロ流体チャネルを含む少なくとも1つのシャーシを提供する工程と、少なくとも1つの多孔質膜を提供する工程と、少なくとも1つの多孔質膜を円筒状断面の閉ループに湾曲させる工程であって、多孔質膜の第1の部分を湾曲させることによって円形の円筒状多孔質管が形成され、1つ以上の追加の多孔質膜管が管の第2の部分を形成する工程と、少なくとも1つの多孔質膜を少なくとも1つのシャーシの間に挿入する工程とを含む。
【0047】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つの多孔質膜は、少なくとも1つのシャーシの間の上面に平行な平面から0°~180°の間で湾曲して完全な管形状を形成し、他の膜は湾曲して完全な管の残りを形成する。
【0048】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含むように構成される。
【0049】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つの膜構造は、少なくとも1つの膜構造の円筒状足場内の内部空間内で組み合わされ、互いに入れ子になった多孔質膜管足場の層をもたらす。
【0050】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルが、多孔質管足場位置の1つ以上の領域で相互接続されるように構成される。
【0051】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルが相互接続されるように構成され、組立て後は多孔質管足場の壁によって分離されるだけである。
【0052】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシは、管足場の内部および外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルが相互接続されるように構成され、組立て後は管足場の壁上の細孔を通して接続されるだけである。
【0053】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場の外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、少なくとも1つのシャーシの内層に彫り込むことができる。
【0054】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場の外部区画へと通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、少なくとも1つのシャーシの外面に彫り込まれ、別のシャーシの一部、又は完全なチャネルを形成する少なくとも1つの薄いカバースリップで覆われ得る。
【0055】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、少なくとも1つのシャーシの特徴は、チャネルへのアクセスを提供する少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口孔を提供するように構成される。
【0056】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、チャネルの入口孔と出口孔との間に及ぶことができる。
【0057】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成する少なくとも1つのシャーシの特徴は、チャネルの入口孔および出口孔を超えて伸長し、その後チップサブコンポーネントの組立て後に塞ぐことができる。
【0058】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、円筒状管は、化学結合、圧力結合、又は熱結合のうちの1つ又は組み合わせによって膜および少なくとも1つのシャーシを結合することによって形成される。
【0059】
本明細書に記載される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、円筒状管足場を形成する湾曲膜は、組立ての前又は後に少なくとも1つのシャーシにおいて結合され得る。
【0060】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、結合方法を使用して材料表面の制御された厚さを溶融し、異なる部品を一緒に溶接する。
【0061】
本明細書に列挙される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、化学結合は、エタノールとクロロホルムの混合物を含む。
【0062】
本明細書に列挙される任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、熱結合は、表面照射を含むことができる。
【0063】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用され得る本開示の別の態様では、バイオチップの上層および下層を形成する少なくとも1つのカバースリップガラスは、他の部品と同じ方法を使用して、又はガラス-ポリマー接着剤を使用して、少なくとも1つのシャーシに結合される。
【0064】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場内部区画に通じるマイクロ流体チャネルの末端を閉じるプラグは、結合されているか、又はポリマー接着剤を使用している。
【0065】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、管足場膜の延長部は、その末端で保持され、膜のしわを防ぐために張力がかけられる。
【0066】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、円形多孔質管は、円筒状断面の閉ループのロッド上で平坦な膜を湾曲させ、その長さに沿った管足場表面上の領域でそれを結合することによって形成される。
【0067】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、円形多孔質管は、円筒状断面の閉ループのロッド上で平坦な膜を湾曲させ、管表面の延長部である管足場表面に沿った平坦な領域でそれを結合することによって形成される。
【0068】
本明細書に列挙した任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、円形多孔質管は、円筒状断面の閉ループのロッド上で2つ以上の平坦な膜を湾曲させ、管表面の延長部である管足場表面に沿った平坦な領域でそれを結合することによって形成される。
【0069】
本明細書に列挙された任意の他の態様又は態様の組み合わせと組み合わせて使用することができる本開示の別の態様では、膜を形成することは、少なくとも1つのシャーシの間に配置された膜を所望の形状に保持するロッドを含み、管足場の末端はシャーシに結合され、少なくとも1つのシャーシによって囲まれている。
【0070】
特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴うこの特許又は特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【
図1A】本開示の一態様によるバイオチップの斜視図である。
【0072】
【
図1B】本開示の一態様によるバイオチップの上面図である。
【0073】
【
図2A】本開示の一態様による膜の結合前のバイオチップの分解図である。
【0074】
【
図2B】本開示の一態様による、チューブ形成前の、予め結合された膜を有するバイオチップの分解図である。
【0075】
【
図2C】本開示の一態様による、チューブ形成後のバイオチップの分解図である。
【0076】
【
図2D】本開示のさらなる態様によるさらなる膜を利用する、バイオチップの分解図である。
【0077】
【
図2E】本開示のさらなる態様による、1つのシャーシ内に組み立てられたチューブ構成に形成された膜構造を利用するバイオチップの分解図である。
【0078】
【
図2F】本開示のさらなる態様による、別の多孔質膜構造内に入れ子になった内側管であるチューブ構成に形成されたさらなる膜を利用するバイオチップの分解図である。
【0079】
【
図3A】本開示の一態様による、管足場を形成する多孔質膜を示す図である。
【0080】
【
図3B】本開示の一態様による、管足場を形成し、膜の末端で結合された多孔質膜を示す図である。
【0081】
【
図3C】本開示の一態様による、半管足場を形成する多孔質膜を示す図である。
【0082】
【
図4A】本開示の一態様による、膜が結合され、その延長部が切断された管足場の断面図である。
【0083】
【
図4B】本開示の一態様による管足場の断面図を示し、膜の延長部に張力がかけられている。
【0084】
【
図4C】本開示の一態様による、円筒状管を形成するように一緒に組み立てられ、組立て後にシャーシに結合された、2つのシャーシの間で張力がかけられた延長部を有する2つの半管膜の断面図を示す。
【0085】
【
図4D】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの断面図を示し、管足場は丸く、膜延長部を有さず、組立て後に単一のシャーシに結合される別の管足場内に入れ子になっている。
【0086】
【
図5A】本開示の一態様による、組み立てられたバイオチップの上面図である。
【0087】
【
図5B】本開示の一態様による、バイオチップの管およびマイクロ流体チャンバの斜視図である。
【0088】
【
図5C】本開示の一態様による、バイオチップの管およびマイクロ流体チャンバの側面図である。
【0089】
【
図6A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図である。
【0090】
【
図6B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、管足場は、シャーシに組み立てられる前にその末端で事前結合される。
【0091】
【
図7A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図を示し、組立て時に湾曲された後に引っ張られて張力を加えている。
【0092】
【
図7B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、管足場は、シャーシに組み立てられた後にその末端で結合される。
【0093】
【
図8A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図であり、組み立て時にそれぞれ半管へと湾曲された後に2つの膜を引っ張って張力を加えている。
【0094】
【
図8B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、管足場は、シャーシと共に傾斜した2つの膜で作製されている。
【0095】
【
図9A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図を示し、膜は、シャーシへの組立て前に膜延長部のない完全な円形管へと湾曲しており、膜は、管足場表面上の領域に、その長さに沿って事前結合されている。
【0096】
【
図9B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、管足場は円形であり、膜延長部を有さない。
【0097】
【
図10A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図であり、組立て時に2つの膜がそれぞれ半管へと湾曲された後に引っ張られて張力を加えている。
【0098】
【
図10B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、管足場は、シャーシと一直線に並べた2つの膜で作製され、挟まれたときに予め張力がかけられ、組立て後にシャーシに結合される。
【0099】
【
図11A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図を示し、2つの膜がその長さに沿って膜結合され、その延長部は、ただ1つのシャーシへ組み立てられときに切断されている。
【0100】
【
図11B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、膜が180度回転して湾曲し、管足場表面上の領域でその長さに沿って結合され、管足場延長部が、ただ1つのシャーシへの組立ての前に切断される。
【0101】
【
図12A】本開示の一態様によるバイオチップアセンブリの上面図を示し、管足場は丸く、膜延長部を有さず、別の管足場内に入れ子になっており、各々が、管足場表面上の領域でその長さに沿って事前結合されている。
【0102】
【
図12B】本開示の一態様によるバイオチップ構成要素の結合プロセスを示し、管足場は丸く、膜延長部を有さず、別の管足場内に入れ子になっており、各々が、管足場表面上の領域でその長さに沿って事前結合されている。
【0103】
【
図13C】本開示の態様によるバイオチップのさらなる実施形態を示す。
【0104】
【
図14】本開示の一態様による、バイオチップの円筒状管の多孔質膜上の円形管形態組織微細構造を示す図である。
【0105】
【
図15A】本開示の一態様による管足場モデルの断面図を示し、疾患のない正常な上皮細胞又は内皮細胞が、多孔質管足場の内部区画の内壁に付着して増殖している。
【0106】
【
図15B】本開示の一態様による腫瘍組織疾患モデルを示し、疾患のない正常な上皮細胞又は内皮細胞が癌性細胞と混合され、内部管足場区画に同時に挿入されている。
【0107】
【
図15C】本開示の一態様による腫瘍組織疾患モデルを示し、先に成長した固形腫瘍クラスタを挿入する前に、内部管足場区画内で疾患のない正常細胞を成長させる。
【0108】
【
図15D】本開示の一態様による、間質又は実質ベースの疾患モデルを示す。
【0109】
【
図16】本開示の一態様によるバイオチップのための高スループット96ウェルプレートフォーマットを示す。
【0110】
【
図17】本開示の一態様によるラックアセンブリを示す。
【0111】
【発明を実施するための形態】
【0112】
本開示は、生体模倣モデルの基本的な態様を可能にする、生体模倣組織培養プラットフォーム又はバイオチップを提供する。提供されるバイオチップはさらに、典型的な培養プラットフォームと比較してインビボ微小環境をより正確に再現することによって、典型的な培養プラットフォームよりも予測的な薬物のインビトロ試験を可能にする。
【0113】
本開示のバイオチップによって、細胞は成長し、人体の組織を再現する3D円筒形チャネルを形成することができる。円筒状管は、バイオチップ内に埋め込まれる。円筒状管は、多孔質可撓性膜、例えば2D細胞培養に典型的に使用される膜から構築することができる(例えば、トランスウェル膜において)。膜を再構成して、円筒状管を形成する。例えば、膜をロッド上に巻き付け、次いで結合して円筒状管を形成することができる。いくつかの態様では、膜は、チップとの組立て後に円筒形状に結合されてもよい。例えば、化学結合(例えば、混合したエタノールおよびクロロホルム)と圧力および熱結合との組み合わせによって結合されてもよい。
【0114】
円筒状管は、それ自身が接着、成長および再編成するように細胞に影響を及ぼして3D円筒形チャネルを形成し、それは、人体におけるそれらの形状と似ている。細胞が管の内面に付着し、共に融合すると、天然組織に似た膜極性又は分化が達成され得る。円筒状管は、例えば、25マイクロメートル程度の小さいものから2ミリメートルを超えるものまで、様々な直径を有することができる。可能な直径の範囲は、広範囲の器官の管微細構造を再現するバイオチップを可能にする。
【0115】
各円筒状管は、少なくとも1つの外部区画とインターフェースされている(例えば、内部および外部区画を有する円筒状多孔質管)。例えば、管は、マイクロチャネルを介して外部区画とインターフェースされ得る。この構成により、多細胞培養を行うことが可能になる。例えば、乳管細胞を円筒状管の内壁に沿って成長させることができ、腫瘍微小環境からの細胞(線維芽細胞および免疫細胞など)を外部区画内のゲルの内部で培養して、円筒状管の外壁と直接接触する3D細胞を形成することができる。生体分子又は細胞は、円筒状管の細孔を通過して、外部区画内部の細胞と円筒状管内部の細胞との間のクロストークを達成することができる。いくつかの例では、円筒状管の内側に流れを通して、細胞に増殖培地および生物活性薬物を供給することができる。他の例では、サンプル細胞又はそれらによって分泌された生体分子は、バイオアナリシス目的のために円筒状管の内側を通過させることができる。
【0116】
提供されるバイオチップは、複数の管および複数の周囲チャネルを含み得る。本開示の少なくとも一態様では、バイオチップは、ハイスループット薬物スクリーニング目的に使用できるように、複数の並列管を有する96ウェルプレート設計で構成されてもよい。そのような態様では、システムは標準的な96ウェルプレートの寸法を有し、場合によっては、入口および出口ポートに接続されたポンプと共に使用することができる。他の例では、流体を入口ポートに手動でピペットで入れることができ、毛管力の助けを借りて管全体を満たす。
【0117】
バイオチップは、細胞培養目的のために最適化された材料で構築され得る。いくつかの態様では、バイオチップ材料は透明であり、蛍光顕微鏡分析に適している。いくつかの態様では、バイオチップ材料は親水性であり、これは、多くの他の細胞培養プラットフォームで広く使用されている疎水性材料であるポリジメチルシロキサン(PDMS)の問題を回避するのに役立つ。提供されるバイオチップは、成形および結合などの既存のスケーラブルな製造方法によって製造することができる。
【0118】
本明細書で使用される場合、「約」、「およそ」、および「実質的に」は、ある数字の範囲、例えば言及された数の-10%~+10%、好ましくは言及された数の-5%~+5%、より好ましくは言及された数の-1%~+1%、最も好ましくは言及された数の-0.1%~+0.1%の範囲の数を指すと理解される。
【0119】
さらに、本明細書におけるすべての数値範囲は、その範囲内のすべての整数、全体又は分数を含むと理解されるべきである。さらに、これらの数値範囲は、その範囲内の任意の数又は数のサブセットを対象とする特許請求の裏付けを提供すると解釈されるべきである。例えば、1から10の開示は、1から8、3から7、1から9、3.6から4.6、3.5から9.9などの範囲を裏付けすると解釈されるべきである。
【0120】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、単語の単数形は複数を含む。したがって、言及「a」、「an」、および「the」は、一般にそれぞれの用語の複数形を含む。例えば、「器官」又は「管」への言及は、複数のそのような「器官」又は「管」を含む。「Xおよび/又はY」の文脈で使用される「および/又は」という用語は、「×」もしくは「Y」、又は「XおよびY」と解釈されるべきである。
【0121】
バイオチップを組み立てる
【0122】
図1Aおよび
図1Bは、本開示の一態様による、組み立てられたバイオチップ100の斜視図および上面図をそれぞれ示す。
【0123】
一例では、バイオチップ100は、顕微鏡によって支援され、顕微鏡と組み合わせて使用され得る。例えば、バイオチップは、顕微鏡上に配置されるか、又は顕微鏡によって保持されて、バイオチップの内容物の顕微鏡による観察を可能にすることができる。さらなる例では、バイオチップ100は、バイオチップ100内で起こるプロセスを見るための画像化装置と互換性があってもよい。
【0124】
一例では、バイオチップ100は、顕微鏡を用いる使用に適用可能な材料又は構成要素で構成され得る。例えば、材料又は構成要素は、透明で、薄く、最小限の不鮮明さ、又は低い自己蛍光を提供するものであってもよい。
【0125】
図2A、
図2B、
図2C、
図2D、
図2Eおよび
図2Fは、バイオチップ100を組み立てる段階の進行中のバイオチップ100を示す。バイオチップ100は、組立てが行われるにつれて、バイオチップ200a~200dと呼ばれる。
【0126】
図2Aを参照すると、バイオチップ200aの分解図が、本開示の一態様によるバイオチップ200aの例示的な構成を示している。一例では、バイオチップ200aは、バイオチップ200aの最上部に上部カバーガラス210を含み、バイオチップ200aの上部シャーシ220の上面の少なくとも一部を覆う。上部カバーガラス210は、脆く透明で自己蛍光の低い材料、例えばガラス又はポリマーで作られた薄いカバースリップガラスであってもよい。上部シャーシ220および下部シャーシ250は、互いに直接接触して配置されると、多孔質膜を収容するための内部空間が形成されるような特徴を含む。これらの特徴は、シャーシの内層に彫り込んだ結果であり得る。別の例では、上部シャーシ220および下部シャーシ250は、シャーシ250の外面に彫り込まれ得る、管足場の外部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含み、下部シャーシ上に完全なチャネルを形成する別のシャーシ220部分又は薄いカバースリップで覆われ、多孔質膜構造240を収容する。
【0127】
上部シャーシ220および下部シャーシ250は、管足場の内部区画および外部区画へのアクセスを与える位置に、円筒状管足場を保持する特徴を含む。別の例では、上部シャーシ220および下部シャーシ250は、管足場の内部区画および外部区画へのアクセスを与える、1つ以上のマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含む。別の例では、上部シャーシ220および下部シャーシ250は、多孔質膜構造240の箇所の1つ以上の領域で相互接続される、管足場の内部区画および外部区画に通じるマイクロ流体チャネルを含む。別の例では、上部シャーシ220および下部シャーシ250は、チャネルの入口孔および出口孔の間に及ぶことができる、多孔質膜構造240によって形成された管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成する特徴を含む。管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成するシャーシ220および250は、チャネルの入口孔および出口孔を越えて伸長し、バイオチップ200aの組立て後にプラグ230aおよび230bを使用して後で塞ぐことができる。上部カバーガラス210と類似の底部カバーガラス260を設けて、下部シャーシ250の底部を覆うことができる。一例では、チップの上層および下層を形成するカバースリップガラス210および260は、ガラス-ポリマー接着剤を使用してシャーシ220および250に結合される。
【0128】
さらに
図2Aを参照すると、多孔質膜構造240は、まだ結合されていない。一例では、多孔質膜構造240は、濾過のための2つの疎水性極薄多孔質部材を含み、親水性極薄多孔質膜を使用して円筒状管を形成し、平らな疎水性極薄多孔質膜を間質フィルタとして利用する。
【0129】
図2Bを参照すると、バイオチップ200aと同じ構成要素を含むバイオチップ200bの分解図が示されている。しかしながら、ここでは、多孔質膜構造240を形成する多孔質膜は結合され、管足場へと形成される。一例では、多孔質膜構造240は、多孔質膜を180°回転させて湾曲させ、円筒形構造を形成し、湾曲させなかった膜のアクセス材料を円筒形構造に結合することによって形成される。例えば、2つの事前結合された円筒形の疎水性極薄多孔質膜が濾過に使用される。事前結合された円筒形親水性極薄多孔質膜を円筒状管へと湾曲させる。さらに、平滑な疎水性の極薄多孔膜を間質フィルタとして用いてもよい。これらの構成要素を組み合わせて多孔質膜構造240を形成してもよい。
【0130】
一例では、円形多孔質管は、円筒状断面の閉ループのロッド上で単一の平坦な膜又は複数の平坦な膜を湾曲させ、管表面の延長部である管足場表面に沿った平坦な領域でそれを結合することによって形成される。
【0131】
図2Cを参照すると、バイオチップ200aと同じ構成要素を含むバイオチップ200cの分解図が示されている。しかしながら、ここでは、本開示の一態様による多孔質膜構造240を形成する多孔質膜は、チューブ構成に形成されている。一例では、2つの事前結合された円筒形の疎水性極薄多孔質膜が濾過に利用される。事前結合された円筒形の親水性極薄多孔質膜を利用して管足場を形成する。また、平坦な疎水性極薄多孔質膜が間質フィルタとして利用される。多孔質膜は、管足場表面上の領域にその長さに沿って結合され、膜は結合され、その延長部はシャーシ250への組立て前に切断される。
【0132】
図2Dを参照すると、バイオチップ200aと同じ構成要素を含むバイオチップ200dの分解図が示されている。しかしながら、ここでは、本開示のさらなる態様によるさらなる種類の多孔質膜が利用される。例えば、2つの親水性極薄多孔質膜を使用して多孔質膜構造240を形成することができ、それにより管組織成長領域の形成が可能になり、利用される。さらに、平坦な疎水性極薄多孔質膜が間質エアフィルタとして利用され、多孔質膜構造240に含まれてもよい。また、多孔質膜構造240には、4つの疎水性極薄多孔膜がエアフィルタとして含まれていてもよい。一例では、管足場を形成する2つの膜は、半管回転に湾曲され、膜の延長部は、シャーシ220および250の異なる孔を通して張力がかけられ、組立て後にシャーシ220および250に結合される。
【0133】
図2Eを参照すると、一例では、バイオチップ200eは、シャーシ(220および250)およびカバースリップ(210および260)の両方の特徴を含む単一のシャーシ220に組み立てられる、チューブ構成に形成された多孔質膜構造240を含む。一例では、バイオチップ200a~200dに見られるすべての個々の構成要素は、一体の単一のシャーシ220に一体化される。一例では、2つの事前結合された円筒形の疎水性極薄多孔質膜が濾過に利用される。事前結合された円筒形の親水性極薄多孔質膜を利用して、互いに管足場を形成する。多孔質膜は、管足場表面上の領域にその長さに沿って結合され、膜は結合され、その延長部はシャーシ220への組立て前に切断される。管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成するシャーシ220は、チャネルの入口孔および出口孔を越えて伸長し、バイオチップ200eの組立て後にプラグ230aおよび230bを使用して後で塞ぐことができる。
【0134】
図2Fを参照すると、一例では、バイオチップ200fは、管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成するシャーシ220および250を含む。チャネルの入口孔および出口孔は、バイオチップ200fの組立て後にプラグ230aおよび230bを使用して後で塞がれる。一例では、上部カバーガラス210と類似の底部カバーガラス260を設けて、下部シャーシ250の底部を覆うことができる。一例では、チップの上層および下層を形成するカバースリップガラス210および260は、ガラス-ポリマー接着剤を使用してシャーシ220および250に結合される。一例では、多孔質膜構造240を形成する多孔質膜は、中間管であるチューブ構成に形成された別の多孔質膜構造内に入れ子になった内側管であるチューブ構成に形成されている。2つの事前結合された円筒形の疎水性極薄多孔質膜が濾過に利用される。事前結合された円筒形の親水性極薄多孔質膜を利用して、互いに管足場を形成する。2つのプラスチックのリング形状構造242は、周囲のシャーシチャネルがより大きな直径を有する、親水性多孔質管の1つに配置される。また、2つの平坦な疎水性極薄多孔質膜が間質フィルタとして利用される。多孔質膜は、管足場表面上の領域にその長さに沿って結合され、膜は結合され、その延長部はシャーシ250への組立て前に切断される。中間管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成するシャーシ220および250は、疎水性管のうちの1つを囲むリングを超えて延在し、その後、バイオチップ200aの組立て後にプラスチックリングに接触して囲む、上下からのパズル様プラグ270aおよび270bを使用して塞ぐことができる。管足場の内部区画に通じるマイクロ流体チャネルを形成するシャーシ220および250は、チャネルの入口孔および出口孔を越えて伸長し、バイオチップ200fの組立て後にプラグ230aおよび230bを使用して後で塞ぐことができる。
【0135】
一例では、多孔質膜構造240は、化学結合、圧着、又は熱結合のいずれか1つによってシャーシ220および250に結合され得る。一例では、結合方法を使用して、材料表面の制御された厚さを溶融し、異なる部品を一緒に溶接する。例えば、化学結合は、エタノールとクロロホルムとの混合物を含んでいてもよい。別の例では、熱接合は、表面照射を含むことができる。一例では、管表面の延長部を有する管足場は、組立て後にシャーシに結合されると、その末端で保持され、膜のしわを防ぐために張力がかけられる。
【0136】
一例では、多孔質膜構造は、細胞の膜上の分化マーカーおよび結合タンパク質を介して細胞極性を保存するように設計された幾何構造が提供されるような、円筒状管足場であり得る。
【0137】
一例では、多孔質膜構造は、流体、細胞および生物物質が細孔を通ってアクセスすることを支援するために、いくつかの領域で親水性であり得る表面特性を有し得る。
【0138】
一例では、多孔質膜構造は、細孔を通る空気のアクセスを支援するために、管内側の組織へのガスのアクセス領域として機能する、いくつかの領域で疎水性であり得る表面特性を有し得る。
【0139】
一例では、多孔質膜構造は、細孔を通る空気のアクセスを支援するために、管から封入空気を除去する気泡トラップとして機能する、いくつかの領域で疎水性であり得る表面特性を有し得る。
【0140】
一例では、多孔質膜構造は、構造的、機械的であり得る表面特性、ならびに様々な粘度および剛性を有する生物物質を支持することを可能にする管足場を構成する材料の表面特性を有することができる。
【0141】
一例では、多孔質膜構造は、高い生理学的流量および圧力で流体の流れを支持することができる。
【0142】
一例では、多孔質膜構造は、挿入された組織生検、ゲルおよび生物物質を支持し得る。
【0143】
一例では、管および組織の内部で成長させた管上皮および内皮組織は、円筒状足場の形状をとり、細胞の膜上の分化マーカーおよび結合タンパク質を介して細胞極性を維持する。
【0144】
図3A、
図3Bおよび
図3Cは、本開示の一態様による多孔質膜の様々な構成を示す。
図3Aは、本開示の一態様による、バイオチップ200dの管足場を形成する多孔質膜310を示し、膜は180度回転して湾曲し、管足場表面上の領域で結合された膜とその長さに沿って結合され、その延長部は、シャーシへの組立ての前に切断される。
図3Bは、本開示の一態様による、バイオチップ100の管足場を形成する多孔質膜320を示し、膜は180度湾曲し、膜の末端で結合されている。
図3Cは、本開示の一態様による、バイオチップ100の半管足場を形成する多孔質330膜を示し、それは膜末端でもう1つと結合されると、円筒形管を形成する。
【0145】
図4A、
図4B、
図4Cおよび
図4Dは、本開示の一態様による組み立てられたバイオチップの様々な構成の断面図を示す。
図4Aは、本開示の一態様による管足場410の断面図を示し、膜は180度回転して湾曲し、管足場410表面上の領域で結合された膜とその長さに沿って結合され、その延長部は、シャーシへの組立ての前に切断される。
図4Bは、本開示の一態様による管足場420の断面図を示し、膜は180度回転して湾曲し、膜の延長部は、2つのシャーシの間で片側から張力がかけられ、シャーシへの組立て後に一緒に結合される。
図4Cは、本開示の一態様による、円筒状管を形成するように一緒に組み立てられ、組立て後にシャーシに結合された、2つのシャーシの間で張力がかけられた延長部を有する2つの半管膜430の断面図を示す。4Dは、本開示の一態様によるバイオチップ440アセンブリの断面図を示し、管足場は丸く、膜延長部を有さず、単一のシャーシへの組立て後に結合される別の管足場内に入れ子になっている。
【0146】
図5Aは、本開示の一態様によるバイオチップ500aの上面図である。一例では、バイオチップ500aは、気泡がバイオチップ500aから放出されることを可能にし得る空気濾過領域510を含むことができる。いくつかの例では、空気濾過領域510はまた、空気をバイオチップ500に流入させることができ、これにより、培養されている細胞を空気にアクセスさせる。バイオチップ500aはまた、間質520によって囲まれた管を含むことができる。いくつかの例では、バイオチップ500aは、管入口530aおよび出口530b、ならびに間質チャネル入口540aおよび出口540bを含み得る。
【0147】
図5Bは、本開示の一態様による、バイオチップ500bの管およびマイクロ流体チャンバの斜視図である。一例では、バイオチップ500bは、入口孔530aおよび出口孔530bを含むことができる。さらに、バイオチップ500bは、少なくとも1つの空気アクセス領域550、少なくとも1つの気泡トラップ560、間質マイクロ流体チャンバ570、および多孔質管インターフェース580を含むことができる。バイオチップ500bはまた、プラスチック590で囲まれた管の複数のセグメントを含むことができる。
図5Cは、バイオチップ500bの管およびマイクロ流体チャンバの側面図を示す。
【0148】
【0149】
方法1:延長部を有する膜を事前結合する:
【0150】
図6Aは、結合の前に多孔質膜がほぼ180°の向きで円筒形に湾曲される方法に従って構成された、バイオチップ100の上面図を示す。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ100は、空気濾過領域610、間質620によって囲まれた管、管入口630a、管630b、間質チャネル入口640aおよび間質チャネル出口640bを含み得る。
【0151】
図6Bは、方法650による、管足場をシャーシに組み立てる前にその末端で事前結合する、バイオチップ構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセス示す。例えば、方法は、疎水性および親水性膜をロッド上で湾曲するプロセスと、それを熱結合を使用してその末端で結合することとを含む。方法はまた、シャーシ上の膜の組立てプロセスを含み得る。これは、膜が結合されたロッドを取り、それをシャーシ上に配置し、疎水性平坦間質膜を所定の位置に配置し、2つのシャーシの間にすべてを挟み、次いで化学的に援助された熱圧着を使用してそれらを結合することを必要とし得る。最後に、方法は、ロッド取り出しプロセス、入口孔および出口孔を越えた管チャネルの末端を塞ぐこと、およびバイオチップ100の両面にカバースリップガラスを組み立てることを含み得る。
【0152】
方法2:延長部および垂直張力を有する膜の後結合:
【0153】
図7Aは、組立て時に膜を完全に180°湾曲した後に引っ張って張力を加える方法に従って構成された、バイオチップ100の上面図を示す。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ100は、空気濾過領域710、間質720によって囲まれた管、管入口730a、管出口730b、間質チャネル入口740aおよび間質チャネル出口740bを含み得る。
【0154】
図7Bは、方法750による、管足場をシャーシに組み立てた後にその末端で結合する、バイオチップ100構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセス示す。一例では、方法は、シャーシの1つに配置されたロッド上で疎水性および親水性膜を湾曲させるプロセス、およびその端部を管足場に平行な孔から引っ張ることを含み得る。この方法は、疎水性平坦間質膜を所定の位置に配置し、2つのシャーシの間に膜層をコンパイルし、次いで、化学的に補助された熱圧着を使用してそれらを結合することができる。最後に、方法は、ロッド取り出しプロセス、膜の末端を切断すること、入口孔および出口孔を越えた管チャネルの末端を塞ぐこと、およびバイオチップ100の両面にカバースリップガラスを組み立てることを含み得る。
【0155】
方法3:延長部および斜め張力を有する膜の後結合:
【0156】
図8Aは、組立て時に2つの膜を半管へと湾曲させた後に引っ張って張力を加える方法に従って構成された、バイオチップ100の上面図を示す。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ100は、空気濾過領域810、間質820によって囲まれた管、管入口830a、管出口830b、間質チャネル入口840aおよび間質チャネル出口840bを含み得る。
【0157】
図8Bは、方法850による、バイオチップ100構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセス示し、管足場は、シャーシと共に傾斜した2つの膜で作製され、挟まれる際に事前張力がかけられ、組立て後にシャーシに結合される。一例では、方法は、シャーシの1つに配置されたロッド上で疎水性および親水性膜を曲げるプロセス、およびその端部を管足場に沿って傾斜した孔から引っ張ることを含む。この方法はまた、疎水性平坦間質膜を所定の位置に配置すること、2つのシャーシの間にすべてを挟むこと、次いで、化学的に補助された熱圧着を使用してそれらを結合することを含み得る。最後に、本開示の一態様に従って、方法は、ロッド取り出しプロセス、膜の末端を切断すること、入口孔および出口孔を越えた管チャネルの末端を塞ぐこと、およびチップの両面にカバースリップガラスを組み立てることを含み得る。
【0158】
方法4:延長部を有さない完全な円形の膜の事前結合:
【0159】
図9Aは、管足場が膜延長部を有さない円形であり、シャーシに組み立てられる前に、管足場表面上の領域でその長さに沿って事前結合される方法に従って構成されたバイオチップ100の上面図を示す。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ100は、空気濾過領域910、間質920によって囲まれた管、管入口930a、管出口930b、間質チャネル入口940aおよび間質チャネル出口940bを含み得る。
【0160】
図9Bは、方法950による、管足場が膜延長部を有さない円形であり、シャーシに組み立てられる前に管足場表面上の領域でその長さに沿って事前結合される、バイオチップ100構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセスを示す。一例では、方法は、ロッド上での疎水性および親水性膜の湾曲プロセスと、それを熱結合を使用して管足場上でその長さに沿って結合することとを含み得る。次いで、シャーシ上の膜の組立てプロセスを示す。方法はまた、膜が結合されたロッドを取り、それをシャーシ上に配置し、疎水性平坦間質膜を所定の位置に配置し、2つのシャーシの間にすべてを挟み、次いで化学的に援助された熱圧着を使用してそれらを結合することを必要とし得る。この設計では、間質マイクロ流体チャネル空隙は、シャーシ上の管足場をすべての側から取り囲む。最後に、この方法は、ロッド取り出しプロセス、入口孔および出口孔を越えた管チャネルの末端を塞ぐこと、およびバイオチップ100の両面にカバースリップガラスを組み立てることを含み得る。
【0161】
方法5:延長部および軸方向張力を有する膜の後結合:
【0162】
図10Aは、組立て時に2つの膜を半管へと湾曲させた後に引っ張って張力を加える方法に従って構成された、バイオチップ100の上面図を示す。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ1000は、空気濾過領域1010、間質1020によって囲まれた管、管入口1030a、管出口1030b、間質チャネル入口1040aおよび間質チャネル出口1040bを含み得る。
【0163】
図10Bは、方法1050による、バイオチップ構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセス示し、管足場は、シャーシと一直線に並べた2つの膜で作製され、挟まれる際に事前張力がかけられ、組立て後にシャーシに結合される。一例では、方法は、シャーシの1つに配置されたロッド上で疎水性および親水性膜を湾曲させるプロセス、およびその端部を管足場と一直線に並んだ孔から引っ張ることを含み得る。加えて、方法は、疎水性平坦間質膜を所定の位置に配置すること、2つのシャーシの間にすべての部材をコンパイルすること、次いで、化学的に補助された熱圧着を使用して膜を結合することを含み得る。最後に、方法は、ロッド取り出しプロセス、膜の末端を切断すること、入口孔および出口孔を越えた管チャネルの末端を塞ぐこと、およびバイオチップ100の両面にカバースリップガラスを組み立てることを含み得る。
【0164】
方法6:延長部を有さない完全な円形の膜を含む1つのシャーシチップ
【0165】
図11Aは、本開示の一態様による、2つの膜がその長さに沿って膜と結合され、その延長部が、ただ1つのシャーシでの組立て時に切断される方法に従って構成されたバイオチップ1100の上面図である。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ100は、空気濾過領域1110、間質1120によって囲まれた管、管ト入口1130a、管出口1130b、間質チャネル入口1140aおよび間質チャネル出口1140bを含み得る。一例では、バイオチップ1100は、UV放射線曝露、化学エッチング又は他の刺激のうちの1つに応答して除去される、選択的に除去可能な材料1160を含む。
【0166】
図11Bは、方法1150による、膜が180度回転に湾曲され、管足場表面上の領域でその長さに沿って結合され、管足場延長部が、ただ1つのシャーシでの組立ての前に切断される、バイオチップ100構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセスを示す。一例では、1つのシャーシは、両方のシャーシの特徴を含む。一例では、単一のシャーシの実施形態における円筒形空隙は、2つのシャーシの実施形態における円筒形空隙よりも大きい直径を有する。シャーシは、UV照射、化学エッチング、又は他の刺激のうちの1つに応答して除去される、選択的に除去可能な材料上に成形することによって形成される。湾曲した円筒形膜は、ロッド上に配置され、シャーシ空隙内の所定の位置に挿入される。シャーシ空隙に挿入されると、チップ全体(内側のロッドを含むシャーシ-膜アセンブリ)が化学的に結合され、熱加圧してシャーシを変形させ、内部特徴を一緒に結合する。一例では、開示された方法の最後の工程は、管の末端を塞ぐことである。一例では、カバースリップは利用されず、シャーシには、単一のシャーシの複数の開口を覆うことができる特徴が含まれる。一例では、単一シャーシ方法は、ガラス材料で作られたシャーシを利用する。
【0167】
方法7:完全な円形の入れ子状膜を含む1つのシャーシチップ
【0168】
図12Aは、管足場が膜延長部を有さない円形であり、別の管足場内に入れ子になっている方法に従って構成されたバイオチップ100の上面図を示し、シャーシに組み立てられる前に、各々が管足場表面上の領域でその長さに沿って事前結合され、別個にアクセスされ得る。一例では、この方法に従って構成されたバイオチップ100は、空気濾過領域1210、管、次いで間質1220によって囲まれた管、内部管入口1230a、内部管出口1230b、中間管入口1250a、中間管出口1250b、間質チャネル入口1240aおよび間質チャネル出口1240bを含み得る。
【0169】
図12Bは、方法1260による、管足場が膜延長部を有さない円形であり、別の管足場内に入れ子になっているバイオチップ100構成要素の結合プロセスを実行するための工程およびプロセスを示し、各々は、シャーシに組み立てられる前に、管足場表面上の領域でその長さに沿って事前結合される。一例では、方法は、内部管の直径に等しい小さなピン上で疎水性および親水性膜を湾曲させるプロセスと、それを熱結合を使用して管足場上でその長さに沿って結合することとを含み得る。さらに、方法は、疎水性膜のうちの1つの端部および親水性膜の一端部に2つのプラスチックリングを組み立てることを含んでもよい。一例では、方法はまた、リングの外径よりも大きい内径、かつ外部管足場の直径に等しい外径の、より大きなピン上に別のより大きな親水性膜を組み立てることを含む。方法はまた、小さなピンを、より大きなピンの内側にその膜と組み立てることを含み得る。それは、次いで間質チャネルおよび中間管に通じるチャネルに沿った平坦膜を含む、シャーシ上の膜とピンの組立てプロセスを示す。方法はまた、膜が結合されたロッドを取り、それをシャーシ上に配置し、疎水性平坦間質膜を所定の位置に配置し、2つのシャーシの間にすべてを挟み、次いで化学的に援助された熱圧着を使用してそれらを結合することを必要とし得る。この設計では、間質マイクロ流体チャネル空隙は、シャーシ上の内部および中間管足場の両方をすべての側から取り囲む。最後に、この方法は、ロッド取り出しプロセスと、入口孔および出口孔を越えた内部管チャネルの末端を塞ぐことと、プラスチックリングに接触してそれを囲む上下からの2つのパズル様部品によって中間管の末端を塞ぐことと、バイオチップ100の両面にカバースリップガラスを組み立てることとを含み得る。
【0170】
別の実施形態では、バイオチップ100を組み立てるための方法が開示される。開示の方法にしたがって、最初に、製造されたシャーシを洗浄し、品質チェックを実行する。これは、シャーシを最も正確な組み合わせ(上部および底部シャーシ)に分類することによって達成される。そうするために超精密較正ロッドを使用する。次に、厚さ7umの多孔質膜を40×3mmのシートに切断する(幅誤差+/-0.1mm)。それらを蒸留水中の2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)溶液に浸漬することによってシャーシを十分に洗浄し、シャーシを蒸留水に5分間浸漬して超音波処理し、5分間超音波処理する。最後に、上記の工程と同じ方法を使用して2×4cmの膜を洗浄する。
【0171】
次に、膜を切断し、位置決めし、固定する。膜を半管シャーシの上方に完全に対称に配置する。膜を引き伸ばし(引張力、管軸方向)、1uLのクロロホルムの液滴を使用してシャーシの上面でシャーシのそれぞれに末端を固定する。膜が組み立てられた上部シャーシを、膜を有する犠牲面に対してシャーシと表面との間に置き、それを固定し、膜をシャーシ入口/出口孔を通して穿孔する。次に、熱加圧装置の内部に配置されるように設計されたチップホルダ上に下部シャーシを配置する。底部シャーシの半管の上方の位置に、直径0.5mmのワイヤ又は超精密直径0.5mmの鋼ロッドを配置する。直径1mmで長さ2.5mmの鋼ピンを下部シャーシの間質チャネル入口孔に配置する(これは、CNC機械精度(同じ工具およびチップを保持する)が5um未満であるため、エッジでの比較的大きなレーザ切断誤差に関係なく、2つのサブアセンブリを互いに正確に上方に組み立てるのに役立つ)。直径0.5mmで長さ2.5mmのナイロンピンを下部シャーシの接続孔に配置する(これは、ワイヤ位置決めおよび他のピンに加えて、CNC機械精度(同じ工具およびチップを保持する)が5um未満であるため、エッジでの比較的大きなレーザ切断誤差に関係なく、2つのサブアセンブリを互いに正確に上方に組み立てるのに役立つ)。
【0172】
バイオチップ10を組み立てるための開示された方法を続けると、エタノール中の20%クロロホルムの10uLをシャーシのインターフェース表面のそれぞれに均一にピペットで加える。アイテムを直接合わせて加圧し、チップホルダを閉じる。直ちに熱加圧下に置き、82Cで7分間53Mpaの応力を加える。チップを蒸留水中でクエンチし、30秒間保持する(膜の結晶化を防ぐため)。次に、クランププロセスが完了したら、可変コレットを、チップの内側に貼り付けられた0.5mm鋼ロッド又はワイヤの目に見えるアクセス可能領域に接続する。このロッドを使用して、膜を正しい特徴に正確に変形させることに留意されたい。コレットを保持し、クランプの反対方向に引っ張ることによって、又はロッドを使用してコレットをクランプに押し付けることによって、ロッド/ワイヤを管から取り外す。次に、管の末端を塞がなければならない。0.5mmの直径を有する長さ1.5mmのナイロンワイヤを切断し、それらを管チャネルの内側に配置することによって、入口/出口孔を越えた管の末端でプラグとして使用する。1mmの純粋なクロロホルムをプラグ上に、それを管の末端に挿入した後に滴下し、これで、ナイロンプラグを取り囲むPMMAを溶融し、それらを一緒に封止するには十分である。
【0173】
開示された方法の前述の工程に加えて、管内に10uLの着色水をピペットで注入することによって、管からの漏れ試験を行う。膜の下で漏れが発生した場合、管の溝がシャーシに浅く切り込まれる。漏れが管チャネルから間質チャネルに直接発生する場合、管の溝がシャーシに深く切り込まれるため、漏れが発生する。両方の漏れが起こる場合、漏れの原因は、間質チャネルが平坦面の下で深く切られ、そこで結合の低圧が発生することである。着色水を管に挿入し、繊細な表面用のティッシュワイプ、例えばKimwipe(登録商標)を使用することによって、細孔拡散試験を実施する。間質領域からティッシュワイプを挿入し、多孔質管の外面に接触させる。管からティッシュワイプへの拡散が起こり、ティッシュワイプが着色水から吸収する場合、細孔は塞がれていない。
【0174】
次に、被覆カバースリップアセンブリを組み立てなければならない。最初に、2つのカバースリップ(1×1cm)を使用し、組み立てられたチップの両側にそれぞれ配置する。次に、アクリル酸接着剤のピペット2uLを境界領域上に均一に分注して、カバースリップをPMMA表面に結合させる。最後に、接着剤が硬化するのを3時間待つ。二重フロー試験を実施しなければならない。そのために、チップの両方のチャネルに着色水を流す(各チャネルで異なる色を通過させる)。二色間の混合が、細孔を通じた拡散によって生じるはずである。最終的には、両方のチャネルに漏れは生じないはずである。
【0175】
開示された組立て方法の最終工程は、LOCを蒸留水中の2% SDS溶液中に投下することによって洗浄し、次いで5分間超音波処理することである。次いで、これを蒸留水に浸漬し、5分間超音波処理する。各チップをブリスターで包装し、滅菌Tyvekシートによってブリスターを閉じ、熱加圧機を使用して密封する。チップをH2O2滅菌施設に移動し、滅菌する。最後に、各12個のブリスターをロゴの付いた箱に梱包する。
【0176】
別の実施形態では、バイオチップ10を組み立てるための、自動操作を利用する方法が開示される。最初に、利用されている機械は、下部シャーシの2つの孔に入る2つの突出した2.5mm長のピン(直径1mmおよび0.5mm)を介して、固定された相対位置で下部シャーシを移動プレート上に保持する。次に、下部シャーシ保持プレートの真上で、機械は、上部シャーシの2つの入口孔および出口孔(間質チャネル入口穴を除く)に入る3つの突出する1mm長のピン(直径1mm)を介して、シャーシを固定された相対位置の移動プレート上に保持する次に、移動プレートはチャンバに進み、そこで3mm幅の2つ(厚さ7um)の多孔質膜の供給物は、形状に切断されているが、長さが引き伸ばされている。両方ともシャーシの半管に押し付けられる。一方は上方に上部シャーシに押し付けられ、他方は下方に下部シャーシの半管に押し付けられる。次に、膜を所定の位置に配置した後、1uLの純粋なクロロホルムの液滴を膜の末端に滴下する間、それを押して張力をかけ、次いで膜を切断する。
【0177】
開示された自動化組立て方法を続けると、2つのサブアセンブリ(膜を含む上部および下部シャーシ)は、その表面がエタノールで希釈した20%クロロホルムを10uL噴霧される位置に播種する。次に、2つの噴霧されたサブアセンブリは、超精密鋼ロッドが間に挟まれた位置に供給され、次いで7分間熱加圧下でクランプされる。7分後、ロッドは自動的に取り外され、最初に上部シャーシに接続された上部プレートも取り外され、チップに移動の自由度を与える。チップがまだ定位置にある間に、2つのナイロンプラグを供給して、入口/出口孔を越えた管末端を閉じ、1uLのクロロホルムをそれらの中に滴下する。品質管理工程がここで行われ、着色水にチップの管を通過させ、コンピュータビジョンプログラムが欠陥をチェックする。欠陥のあるチップは欠陥回収容器に送られ、合格したチップは超音波処理および洗浄工程に送られる。洗浄工程の後、2uLのアクリル酸接着剤をガラスカバースリップ全体に均一に分注し、次いで2つのカバースリップをチップの表面に3時間押し付けて結合させる。適所に置かれる第1のカバースリップは、上部のものであり、そこで3つのピンを含むプレートもまた、底部ピンコネクタが取り外されている間、上部のガラスカバースリップに対してチップを上向きに保持する。次に、チップは、2つのピン、および接着剤を含むカバースリップガラスを含む別のプレートに移される。
【0178】
最後に、2色の流体にチップの2つのチャネルを通過させ、コンピュータビジョンプログラムによって分離することによる、別の品質試験がここで行われる。欠陥が生じると、同様にチップは別の欠陥回収容器に送られる合格したものは、超音波処理浴内の最終洗浄工程に進む。次に、チップは50Cの空気流によって乾燥され、ブリスターに自動的に播種される。次いで、ブリスターをTyvekシートで覆い、熱加圧工程を使用して一緒に結合する。チップを含むブリスターは、滅菌施設に送る準備がもうできている。最後に、H2O2オートクレーブから戻った後、12個のブリスターはラックと共に箱に包装される。
【0179】
図13A、
図13Bおよび
図13Cは、本開示の態様によるバイオチップの可能な実施形態を示す。
図13Aは、本開示の態様によるバイオチップのさらなる可能な使用を示す。一例では、1310aは、バイオチップ内で細胞が培養されていないため、バイオチップが空であることを示す。さらに、1310bは、バイオチップの内部で成長させた間質組織に囲まれた血管組織と共に培養したバイオチップを示す。さらに、1310cは、本開示の一態様による、バイオチップの内部で増殖させた間質組織に囲まれた管上皮組織と共に培養したバイオチップを示す。
図13Bは、1つの外部区画1340が2つの管足場1320および1330を取り囲む、バイオチップの例示的な実施形態を示す。例えば、間質組織は、両方の管1320および1330を取り囲む外部区画1340内で増殖する。管足場1330の1つの内側で、血管組織が成長し、多孔質管壁に付着する。他の管足場1320の内側では、本開示の一態様に従って、管上皮組織が成長し、多孔質管壁に付着する。
図13Cは、2つの別個の外部区画1340および1350が1つの管足場1330を取り囲む、バイオチップの例示的な実施形態を示す。例えば、2つの外部区画1340および1350の各々において成長した2つの異なる間質組織は、血管が成長する管を取り囲む。
【0180】
バイオチップの播種
【0181】
図14は、本開示の一態様による、バイオチップ1400の円筒状管の多孔質膜上で増殖させた上皮細胞の円形管形態組織微細構造を示す。バイオチップ1400の円筒状管の多孔質膜は、管チャネル1410、多孔質部材1420、上皮細胞1430、間質チャネル1440、間質組織1450および筋上皮細胞1460を含む。一例では、上皮細胞は、腎臓、肝臓、肺又は乳管上皮細胞のうちの1つであり得る。一例では、間質組織1450は、ヒドロゲルに組み込まれ得る脂肪細胞、線維芽細胞のうちの1つであり得る。一例では、筋上皮細胞1460は、基底膜ヒドロゲルに組み込まれ得る。利用され得る上皮細胞および間質組織のさらなる例は、本開示の後の節で論じられる。
【0182】
別の実施形態では、バイオチップ1400における完全な管形成のために、細胞外マトリックス(ECM)ゲルに対して管チャネル1410内に細胞を播種する方法が開示される。内皮又は上皮バリア組織などの管状構造は、管チャネル1410内で間質チャネル内のECMゲルに対して細胞を増殖させることによってチップ1400内に確立される。細管の形態および機能は、顕微鏡検査、バリア完全性アッセイ、又は他の機能アッセイによって評価することができる。さらに、各チャネル1310からの細胞、培地およびECMは、qPCRなどの成分評価のために別々に取り外すことができ、チップ特有の性質である。一実施形態では、本開示の播種方法を実施するために必要な材料は、チップ1200;ラック(12ウェルプレートフォーマット-正方形ウェル);コラーゲン-I 5mg/mL(AMSbio Cultrex(登録商標)3Dコラーゲン I ラット尾部、5 mg/mL、#3447-020-01);1M HEPES(Life Technologies 15630-122、pH7.2~7.5);37g/L NaHCO3(Sigma S5761-500G、滅菌水に溶解、NaOHを用いてpHを9.5に調整);培地(ラック(12チップ)あたり12.5mL);細胞:播種密度は細胞型に応じる;10uL又は20uLピペット(例:Eppendorf Research(登録商標)plus(単一チャネル、可変容積));1mLピペット(任意の種類)(オプションで);10又は20uLピペットチップ(例えば、epT.I.P.S.(登録商標)Standard、Eppendorf Quality(商標)0.1~10uL又は0.1~20uL);培地リザーバ;1mLピペットチップ(任意の種類)(オプションで);滅菌ピンセット(小型);および砕いた氷である。
【0183】
図13を参照すると、開示された方法にしたがって、播種方法は、安全キャビネット下でラックおよびチップ1300を含有する滅菌ブリスターを開け、チップをラック内に配置することから始まる(ラックあたり最大12チップ)。次に、10uL又は20uLピペットを使用して、14μLのHBSSを各チップの間質チャネルに添加する。次に、以下のコラーゲンI 4mg/mL調製方法に従って必要量のECMゲル(例えば、チップあたり14μLのゲル)を調製する:Eppendorfチューブを氷上に置く;コラーゲン-I 4mg/mLゲルを、1 M HEPES、37g/L NaHCO3、および5mg/mLコラーゲン-Iを1:1:8の比で混合することによって調製する;成分を確実に混合するために少なくとも100μLの総ゲル量を調製する;氷上で、混合物を20回より多く上下にピペット操作することによって十分に混合する;気泡が形成された場合、チューブを素早くスピンダウンする(約5秒);調製直後(10分以内)にゲルを使用する。次に、10又は20uLピペットを用いて、ピペットの先端を管の入口孔26の内側に差し込む。先端が適切に差し込まれていることを確認し(孔に刺さっていなければならない)、次いで14uLを穏やかに分注する。ピンセットを使用してチップを定位置に保持した後、ピペットを取り外す。20uLピペットを使用して、各チップの間質チャネル入口に14uLのゲルを分注する。
【0184】
次に、チップを入れたラックを加湿インキュベータ(すなわち、37°C、5%CO2)に15分間入れ、コラーゲン-Iゲルを重合させる。ゲルが乾燥するのを防ぐために、2μLのHBSS液滴をECMチャネルの入口および出口の上に添加する。ここで、上皮細胞はいつでも自由に播種することができ、すぐである必要はない。それらの解離プロトコルに従って細胞を採取する。細胞懸濁液中の生細胞の数をカウントする。チップ内に播種するために必要な細胞数を計算し、それらをペレット化する。一実施形態では、最適な細胞密度は細胞型依存性である(一般に1,000~10,000細胞/μL)。ペレットを[900,000/10,000=]90μL培地に再懸濁して、10,000細胞/μLの細胞懸濁液を得る。先にゲルの充填に使用したのと同じピペット手順を使用して、管の入口に6μLの細胞懸濁液を播種した。播種中に細胞懸濁液を再懸濁して、均一な細胞密度を確保する。細胞が管の両側に確実に付着するために(完全な円形の管形成)、播種又は播種後のプロセスも必要である(次のセクションで説明する)。
【0185】
一実施形態では、バイオチップ1400を裏返して、細胞増殖に、管インターフェース1410を有する完全な管を形成させることができる。バイオチップ1400は、細胞の層が上面に付着するまで、インキュベータ内のラック上にその上面を接触させて(上面を下に)置くことができる。次いで、バイオチップ1400を穏やかに裏返す。次に、1mLの培地をバイオチップ1400に添加する。次いで、バイオチップ1400を覆い、インキュベータ内に戻す。細胞が付着するのに要する時間は細胞型依存性であり、一般に30分~6時間の間で変動する。管1410に含まれるセルは、両面を覆うのに十分である。したがって、ラックを上下逆に配置することは、細胞が上面に沈降して付着するのに適している。バイオチップ1400を裏返した後、上面に付着していない余剰の細胞は底面に沈降し、付着する。最後に、チップ1400を含む各ラックウェルに1mLの培地を添加して、チャネル内部の培地およびゲルの乾燥を防止する。
【0186】
別の実施形態では、細胞を播種する前に、細胞の付着を促進するために希釈したコラーゲンIV(5ug/培地mL)を管内に分配することによって管の内面をコーティングすることによる、追加の方法を利用することができ、この場合培地中の懸濁細胞は非常に低い流量で管内に流れ、穏やかにインキュベータに移動する。次に、培地中の5ug/mLコラーゲン混合物をピペットで6uL取り、チップを含む皿を37°Cのインキュベータに置く。IV型コラーゲンでコーティングした後、チップに細胞を播種する準備が完了し、又はそれらを最大1週間4°Cで保存してもよい。5uLのハミルトン注射針を使用して、細胞を管に穏やかに分注する。最大限注意して、それをインキュベータに慎重に移動する。この手順によれば、管に流入する細胞は管壁に均一に付着し、コラーゲンの表面張力は、振盪が起こらなければ、細胞を定位置に保持するのに十分である。
【0187】
別の実施形態では、管内への細胞の播種は、均一な付着を確実にするために、減少する流量でマイクロシリンジポンプを使用することによって達成することができる。最初に、翼状針タイゴンチューブをその中で70%エタノールをフラッシングすることによって洗浄し、それを保管して乾燥させ、次いで、それを培地で洗浄する。次に、洗浄したタイゴンチューブおよびチップの入口に取り付けられた10uLピペットチップを使用して、チップの入口に多頭マイクロシリンジポンプを接続する。細胞を管壁に押し付けるのに必要な適切な流れ圧力を確保するために、他の開示された手順と同様の流れを、最初に10uL/分の流量(CFDシミュレーションから見られる)で5分間管内に実行する。5分後に流量を1uL/分に低下させ、それを50分間維持する。最後に、ポンプ接続部を取り外し、インキュベータに入れる。
【0188】
別の実施形態では、細胞をピペット操作した後、均質な管の単層を確保するように設計された回転ロッカーにラックを接続する。回転ロッカーは、制御された速度で管軸の周りでチップを回転させるように設計されている。
【0189】
別の実施形態では、バイオチップ1400内で増殖させた培養物の培地を交換するための方法が開示される。チップ1400内のほとんどの培養物は、2~3日ごとに培地のリフレッシュを必要とする。古い培地は、チャネルの外側にピペットで移すか、又はアスピレータシステムを使用して吸引することができる。チャネルを空にした後、ピペットを用いて新鮮な培地を加えることができる。開示された方法は、チップ1400内の培地交換を可能にし、定着などの他のアッセイにも使用することができる。一実施形態では、開示された方法を利用するために必要な材料は、チップ1400;ラック(12ウェルプレートフォーマット-正方形ウェル);細胞特異的培地;アスピレータシステムおよびチップ(オプションで);10uL又は20uLピペット(例:Eppendorf Research(登録商標)plus(単一チャネル、可変容積));1mLピペット(任意の種類)(オプションで);10又は20uLピペットチップ(例えば、epT.I.P.S.(登録商標)Standard、Eppendorf Quality(商標)0.1~10uL又は0.1~20uL);培地リザーバ;1mLピペットチップ(任意の種類)(オプションで);および滅菌ピンセットである。
【0190】
本開示の一実施形態では、培地交換は、チップを含むラックをインキュベータから取り出し、ラックを安全キャビネットの下に置き、ラックの蓋を取り外すことによって達成することができる。次に、1mLピペット又はアスピレータを用いて、チップを含むウェルから培地を吸引する。次に、チャネルaの内側から培地を吸引する。10又は20uLピペットを使用し、ピペットの先端を管の入口孔の内側に差し込む。先端が適切に差し込まれていることを確認する(孔に刺さっていなければならない)。超過量である10uLの培地を吸引する。ピンセットを使用してチップを定位置に保持した後、ピペットを取り外す。次に、新しい培地6uLをチャネルの内側に分注する(工程3と同じ)。ラック内で使用されるチップ1400すべてについて(最大12チップ)、先に開示された工程を繰り返す。次に、各チップ1400の上方に培地1mLを分注する。最後に、ラックの蓋を閉じ、再びインキュベータに入れる。
【0191】
培養組織の例
【0192】
【0193】
図15Aは、本開示によるバイオチップ1500を利用した管組織モデルの断面図を示す。管組織モデルは、管チャネル1510、内皮細胞1520、初代ヒト肝細胞1530および間質ゲル1540を含む。内皮細胞1520は、ヒト肝臓由来の内皮細胞(HLEC)の1つであってもよい。いくつかの例では、初代ヒト肝細胞1530は、初代ヒト糸球体微小血管内皮細胞であり得る。
【0194】
別の例では、管組織は、肝臓、腎臓、肺、乳腺、膵臓、前立腺、血管、リンパ、腺、又は他の種類の組織のうちの1つであり得る。
【0195】
いくつかの例では、間質ゲル1540は、使用され得る培養された特定の内皮細胞に関連する間質ゲルであり得る。例えば、腎近位尿細管細胞(RPTEC)を利用する場合、腎臓間質ゲルを使用することができる。管組織モデルは、疾患のない正常な上皮細胞又は内皮細胞が、多孔質管足場の内部区画の内壁に付着して増殖する場合に使用することができる。それはまた、本開示の一態様による、管足場の外部区画内で増殖させた間質組織を示す。
【0196】
一実施形態では、間質は、様々な成分および粘度を有する生検、ゲル又は生物物質で作製されるようにユーザによってカスタマイズすることができる。一例では、幹細胞は、間質チャネルから細胞に栄養を与えることができる中空管又はソーセージ様構造を形成する管内で増殖させることができる。別の例では、細胞および生物物資は、生検、細胞株および他の生物学的に関連する材料から抽出することができる。
【0197】
図15Bは、癌性細胞を培養するために使用されるバイオチップ1500を示す。バイオチップ1500は、疾患のない正常な上皮細胞又は内皮細胞1520の近くに癌性細胞1550を培養して、腫瘍組織疾患モデルを研究するために使用され得る。一例では、癌性細胞1550又は先に成長した固形腫瘍クラスタは、内部管足場区画に同時に挿入される。
【0198】
図15Cは、固形腫瘍クラスタを培養するために使用されるバイオチップ1500を示す。バイオチップ1500は、疾患のない正常な上皮細胞又は内皮細胞1520の近くに固形腫瘍クラスタ1560を培養して、腫瘍組織疾患モデルを研究するために使用され得る。一例では、固形腫瘍クラスタ1560は、内部管足場区画に同時に挿入される。これにより、転移腫瘍の疾患モデルを形成することが可能になる。
【0199】
図15Dは、疾患のない正常間質組織1530が癌性細胞1570又は先に成長した固形腫瘍クラスタと混合され、管1510を取り囲む外部管足場区画に同時に挿入され、間質又は実質ベースの疾患モデルを形成する腫瘍組織疾患モデルを利用する、本開示の一態様によるバイオチップ1500の実施形態を示す。
【0200】
一実施形態では、バイオチップ1500は、肝毒性薬物試験モデルとして使用することができ、そこでは、初代ヒト肝細胞を肝性間質ゲル内で培養し、管の外部区画で増殖させる。管の内側では、本開示の一態様に従って、肝性微小血管細胞を含むヒト肝臓由来内皮細胞が増殖し、管足場内壁に付着する。
【0201】
一実施形態では、バイオチップ1500は、腎毒性薬物試験モデルとして使用することができ、そこでは、初代ヒト糸球体細胞および初代ヒト糸球体微小血管内皮細胞1520を腎性間質ゲル1540内で培養し、管の外部区画で増殖させる。管1510の内側では、ヒト腎近位尿細管細胞が増殖し、管足場内壁に付着する。
【0202】
一実施形態では、バイオチップ1500は、本開示の一態様にしたがって、毒性薬物試験モデルとして使用することができ、そこでは、肝臓の肝毒性モデル(薬物も代謝する)が腎性腎毒性モデルにマイクロ流体接続されている。
【0203】
一実施形態では、バイオチップ1500は、肺癌の薬物有効性を試験するためのモデルに使用することができる。ヒト肺線維芽細胞は、管の外部区画内の肺線維芽細胞間質ゲル1440内で培養される。管の内側では、気液界面のためのヒト小気道上皮細胞が、管足場の内壁に付着して成長する。上皮細胞の管腔表面上に、本開示の一態様に従って、KRAS陽性ヒト肺腺癌細胞又は非小細胞腺癌細胞の固形腫瘍を付着させ、成長させる。
【0204】
一実施形態では、バイオチップ1500は、前立腺癌の薬物有効性を試験するためのモデルとして使用することができる。ヒト前立腺間質細胞は、管の外部区画内の前立腺間質ゲル内で培養される。管の内側では、ヒト前立腺上皮細胞が、管足場の内壁に付着して成長する。上皮細胞の管腔表面上に、本開示の一態様に従って、LNCaPクローンFGC前立腺癌腫細胞又はNCI-H660ステージE前立腺癌小細胞癌腫の固形腫瘍を付着させ、成長させる。
【0205】
一実施形態では、バイオチップ1500は、乳癌の薬物有効性を試験するためのモデルとして使用することができる。ヒト初代乳腺線維芽細胞は、管の外部区画内の乳腺間質ゲル内で培養される。管の内側では、ヒト乳腺上皮細胞が、管足場の内壁に付着して成長する。上皮細胞の管腔表面上に、本開示の一態様に従って、HCC1500(エストロゲン+veおよびプロゲステロン+ve)又はHCC70(エストロゲン+ve)又はHCC2157(エストロゲン-veおよびプロゲステロン+ve)細胞の固形腫瘍を付着させ、成長させる。
【0206】
一実施形態では、バイオチップ1500は、脳癌の薬物有効性を血液脳関門にわたって試験するためのモデルとして使用することができる。ヒトアストロサイトは、管の外部区画内の脳アストロサイト間質ゲル1540内で培養される。管の内側では、ヒト脳の脳微小血管内皮細胞が、管足場の内壁に付着して成長する。血管細胞の管腔表面上に、本開示の一態様に従って、U-118 MG脳グリア芽腫および星膠芽細胞腫グレードIV腫瘍細胞の固形腫瘍を付着させ、成長させる。
【0207】
一実施形態では、バイオチップ1500は、毒性と有効性のバランスに従う薬物投与量のための薬物試験モデルとして使用することができる。薬物投与量モデルは、肝性モデル、腎性モデル、および疾患モデルのマイクロ流体接続からなる。このモデルでは、薬物は、薬物が代謝され、肝毒性について試験される肝性チップを最初に通過する。次いで、薬物は、腎近位尿細管での毒性を試験するための腎性チップを通過する。次いで、薬物は疾患モデルを通過して、成長した腫瘍に対する薬物の有効性を試験する。この図は、肺癌、前立腺癌、乳癌および脳癌の薬物の投与量モデルを示す。本開示の一態様に従って、有効性と毒性の何らかの最適な薬物バランスが発見された場合、薬物は通常、試験に成功する。
【0208】
一実施形態では、研究者はバイオチップ1500を使用して、管組織の生理学および病理学、管組織に対するメカノトランスダクション効果、管組織におけるシグナル伝達経路、管組織を介した選択的な癌転移、薬物の拡散および効果、管組織に対する毒性物質および生物学的刺激物質、ならびに幹細胞の大量発生を研究することができる。
【0209】
一実施形態では、バイオチップ1500は、製薬会社によって導管オルガノイドを成長させるために、ヒューマンオンチップモデルによってその上で薬物を試験するために、臨床試験において薬物反応をより良好に予測するために、その安全性、有効性および投与量を研究するために使用され得る。
【0210】
一実施形態では、精密でパーソナライズされた医薬を求める臨床研究者はバイオチップ1500を使用して、患者の生検から管オルガノイドを成長させ、パーソナライズされた患者オンチップ(patient-on-chip)を作成することによって、その上で様々な治療および薬物を試験し、精密でパーソナライズされた治療を予後判定することができる。
【0211】
一実施形態では、バイオチップ1500は、管上皮および内皮組織の組立ておよび成長を、その形状をとる管足場の内壁に付着された単層のみに制限する管足場を含み得る。管上皮組織の円筒状構造は、細胞の膜上の分化マーカーおよび結合タンパク質を介して細胞極性を維持することに関連している。上皮又は内皮管組織をバイオチップ内部の円筒状構造内で成長させることにより、組織モデルはインビボ組織を模倣することができる。
【0212】
バイオチップ1500の一実施形態では、外部区画および管足場の細孔は、懸濁液又はゲル中の任意の3D組織の培養および成長が管の内側の管組織とインターフェースされることを可能にする。線維組織は、ホルモンおよび成長因子レベルの変動を通じて管状癌の進行において重要な役割を果たすので、上皮細胞を周囲の間質と共培養することは重要である。そのような変動は、間質細胞の遺伝子発現の変化を引き起こし、異なる細胞外マトリックスバイオマーカー、したがって上皮組織を行き来するシグナル伝達カスケードの破壊をもたらす。上皮又は内皮管組織をその対応する間質組織と共培養することにより、組織モデルをインビボ組織に似せる。
【0213】
バイオチップ1500の一実施形態では、外部および外部区画の両方を有する、多孔質壁で囲まれた円筒状管足場は、他の組織を破壊することなく、任意の特定の位置からの細胞、組織および細胞外マトリックスへの正確なアクセスを可能にする。これにより、特定の腫瘍疾患モデルについて、モデル全域の任意の位置に腫瘍細胞又は固形腫瘍クラスタを制御して配置することが可能になる。試験した薬物の、バイオチップ内で増殖させた組織への得られる効果は、腫瘍のサイズ、密度および位置をモデル化する際の精度に依存する。管足場を有することにより、腫瘍疾患モデルをインビボ組織に似せる。
【0214】
バイオチップ1500の一実施形態では、円筒状管足場の壁の厚さに加えて、細孔のサイズ、形状および密度が、任意のシグナル伝達経路にさらされた場合に、細胞が壁を圧搾して通過できるようにする。これは、組織に全体にわたる細胞遊走プロセスを模倣する。
【0215】
図16を参照すると、別の実施形態では、開示されたバイオチップ100は、複数の管および複数の周囲チャネルを含むことができる。本開示の少なくとも一態様では、バイオチップは、ハイスループット薬物スクリーニング目的に使用できるように、複数の並列管を有する96ウェルプレート設計で構成されてもよい。そのような態様では、システムは標準的な96ウェルプレートの寸法を有し、場合によっては、入口および出口ポートに接続されたポンプと共に使用することができる。他の例では、流体を入口ポートに手動でピペットで入れることができ、毛管力の助けを借りて管全体を満たす。
【0216】
一例では、バイオチップ100は、薬物拡散試験用途に使用される1つ以上の周囲チャネルとインターフェースするように複数の管が設計され得る、複数の設計構成を有することができる。
【0217】
一例では、バイオチップ100は、細胞の移動および転移の用途に使用されるために、1つ以上の管とインターフェースするように設計され得る複数のチャネルを有することができる。
【0218】
一例では、バイオチップ100は、同じ又は異なる個体又は細胞株タイプから供給される、異なるタイプの組織およびオルガノイド系を含む複数のチップと相互作用するように構成され得る。例えば、複数のバイオチップ100を接続して、ヒューマンオンチップモードを形成することができる。
【0219】
バイオチップの製造方法
【0220】
別の実施形態では、バイオチップ100を製造する方法が開示される。開示された方法にしたがって、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)は、レーザ切断機を使用して所望の形状および厚さに切断される。まず、厚さ1.5mmのPMMAのシートを集め、厚さキャリパを用いて異なる領域におけるシートの厚さを検査する。300×300mmのシートの場合、2つの面の間の差が+/-0.1mmを超えてはならない。次に、レーザ切断プロセスを最適化するために、余剰材料に対して犠牲的工程が行われる。レーザビームの厚さを考慮しなければならない。例えば、2cm×2cmの正方形を切断する特定の機械の場合、入力寸法は2.1×2.15cmであり得る(機械軸誤差をとる)。PMMAシートの保護層コーティングは、製造プロセス中に常に着けたままであるべきである。次に、PMMAシート全体を2×2cmの正方形に等しく切断する(注:最終結果は2×2cmでなければならない)。この方法によれば、30×30cmのシートは、少なくとも196枚のPMMA正方形をもたらすはずである。レーザ切断機の所定の位置でさらに組み立てられている間に、切断されたシャーシの水平又は垂直のいずれかの面に次の操作の基準として、マーカーを使用して標識する(次の工程のレーザ切断誤差を考慮に入れる)。各正方形を、マーカーを使用してその縁部(前の標識と同じ側)にさらに標識し、PMMAの保護層コーティングを除去する。
【0221】
開示された方法によれば、バイオチップ100を製造する次の工程は、コンピュータ数値制御(CNC)フライス盤などの自動化フライス盤上で、特注の上向きピストンクランプを組み立てることである。まず、上向きクランプをCNC機械に置き、クランプする。CNCクランプハンドルを締めて上向きクランプを固定する前に、タッチプローブをCNC機械に接続し、使用されるタッチプローブに従ってクランプ上面較正を最適化する。次に、クランプの上面が完全に水平になるまでクランプ位置で繰り返し、次にクランプを固定してうまく締める。次に、前の工程からの正方形PMMAをクランプピストン上に置き、把持が達成され、2cm×2cmのPMMA上面がクランプ上部内面と同一平面になるまでピストンを押し上げる。この表面のz軸位置は、PMMA正方形の厚さ誤差に関係なく同じになる。次に、直径0.5mmのボールミルをCNC機械に接続し、組み立てられたシャーシ表面にボールミルが接触するときをz軸の0基準とする。シャーシの中間で切削された直径0.5mm、深さ0.25mmの半管の最初のミリング操作を、その長さ全体にわたって切削する試みによって、クランプ位置をさらに較正する。
【0222】
開示されたバイオチップ100の製造方法によれば、品質保証工程は、この1回の切削操作でシャーシピストン把持を解除し、シャーシを取り外すことを必要とする。20の異なるシャーシについてこれを繰り返す。次に、一実施形態では、2つのセット(高分解能0.5mm直径シャフト(プラグゲージセットNo-GoおよびプラグゲージセットGo))からの超精密ロッドを使用して、切り込み深さの品質試験を行う。次に、0.5mmのロッドを2つのシャーシの半管の間に置き、この挟まれたアセンブリを手で押す。ロッドを取り外そうとして、ロッドが容易に外れた場合、半管は0.5mmより深く切り込まれ、較正を繰り返す。No-Goロッドが容易に外れなかった場合には、2つのシャーシ表面が互いにうまく整列しているかどうかをチェックし、整列しておらず、その間に隙間がある場合には、半管深さは浅く、較正を繰り返す。No-Goロッドが容易に取り外されず、手動で挟まれた2つのシャーシ間に隙間がない場合、切り込み深さに有意な誤差はないため、さらなる品質保証のためにGoロッド試験に進む。次に、0.5mmのロッドを2つのシャーシの半管の間に置き、この挟まれたアセンブリを手で押す。ロッドが容易に外れなかった場合、管はやや浅い。最後に、Goロッドが容易に外れた場合、半管溝の切り込み誤差は+/-0.5um以内であった。
【0223】
開示されているバイオチップ100の製造方法によれば、CNC操作は、以下の通り、約100mm/分の供給速度および7000回転/分(RPM)のスピンドル速度である。操作1、較正プロセスと同じ0.5mmボールミルを使用して、シャーシの中心を通る0.25mm深さの溝を端から端まで切削する。操作2、操作1の後に、(操作1で中心に切削された半管溝に沿って)長さ5mm、幅0.5mmの溝を6つの切削工程(それぞれ深さ0.25mm)でシャーシ深さ全体にわたる溝を切削することによって、自動的に開始される。操作3、管軸中心から4mm離れた0.5mmの接続孔を自動的に穿孔する。操作4、チップの半分について、最初の3つの操作と同じツールおよびチップアセンブリによって、長さ1.5mm、幅0.5mmおよび深さ0.5mmのチャネルを切削する(上部シャーシ)。操作5、チップの半分について、最初の4つの操作と同じツールおよびチップアセンブリによって、他の0.5mmの接続孔を穿孔する(上部シャーシ)。次に、クランプのピストンからチップを取り外し、別のものを組立て、レーザ切断操作で切断されたすべての正方形PMMAシートに対して同じことを行う。
【0224】
開示されているバイオチップ100の製造方法によれば、さらなるCNC操作は、以下の通り、約100mm/分の供給速度および7000回転/分(RPM)のスピンドル速度である。まず、チップを他面に裏返し、同じツールを使用して以下の操作を進める。操作6、すべてのチップについて、横長さ4mmおよび縦長さ2.5mm、幅0.5mm、および深さ0.4mmの深さの溝を斜めに切削する。操作7、シャーシの半分(下側シャーシ)について、同じ工具を使用して、長さ4mm、幅0.5mm、および深さ0.4mmの水平溝を、間質入口孔から管インターフェース縁部まで切削する。操作8、シャーシのもう半分(上側シャーシ)について、同じ工具を使用して、長さ2.5mm、幅0.5mm、および深さ0.4mmの水平溝を、間質入口孔から間質出口そばの接続孔まで切削する。操作9、シャーシのもう半分(上側シャーシ)について、同じ工具を使用して、長さ2.5mm、幅0.5mm、および深さ0.4mmの水平溝を、間質入口孔から間質出口そばの接続孔まで切削する。次に、クランプのピストンからチップを取り外し、すべてのチップについてさらなる繰り返しを組み立てる。操作9~12:1mmドリルを組み立て、上部シャーシをピストン上に配置し、管および基質チャネル用の残りの4つの入口孔および出口孔を穿孔する。最後に、他の上側シャーシのすべてについて、すべての操作を繰り返す。
【0225】
別の実施形態では、バイオチップ100を製造するさらなる方法が開示される。バイオチップ100は、射出マイクロ成形プロセスを利用して製造することができる。そのためには、最初にCNC機械加工を使用して鋳型を製造する。いくつかの反復および品質チェックを行って、成形鋳型の切削特徴の精度を確保する必要がある。鋳型製造を最適化した後、射出成形プロセスが開始され、そこで成形パラメータが最適化されて、品質チェックが行われる正確なシャーシの特徴および寸法を得る。許容可能な分解能を有する再現可能なシャーシを確実に得るために、成形プロセスは繰り返し行われるべきである。
【0226】
バイオチップ保持ラック
【0227】
図17を参照すると、複数のバイオチップ100を保持するためのラック1600が開示されている。一実施形態では、ラックが設計および製造され、細胞を培養しながらチップ100を所定の位置に保持し、その間のチップの取り扱いプロセスを容易にした。一実施形態では、ラックは、約2cm×2cmの12個の正方形の空隙のパターンを有する厚さ8mmの黒色PMMAシートで作られ、ラック40の底部で、空隙は覆われ、ウェルを形成する薄い0.1mmのガラスカバースリップに結合される。ラックは、標準的な12ウェルプレートサイズで設計されており、12ウェルプレートの蓋で覆うことができる。別の実施形態では、ラックは黒色であり、したがって望ましくない光を遮断し、ラックの正方形のウェルの底部は、顕微鏡検査に望ましい厚さ0.1mmのカバースリップガラスで作られる。
【0228】
バイオチップの包装方法
【0229】
図18を参照すると、バイオチップ100を包装するための方法1800が開示されている。一実施形態では、滅菌および包装ブリスターは、流通用のバイオチップ100を安全かつ効率的に包装するように設計および製造された。ブリスターを使用して、各チップ100を個別に包装する一方、H2O2オートクレーブによってそれを殺菌することができる。一実施形態では、ブリスターはPET製であり、チップがその内部に配置されると、ブリスターはTyvekのシートで覆われ、熱加圧又は接着によって結合される。ブリスターは、チップを内側に保持するが、同時にH2O2蒸気をその全部の面(内側および外側)上に通過させて正確な滅菌を確保するように設計されている。ブリスター包装されたチップを12個含む包装箱は、箱の内側のチップを可視化できるように設けられている。
【0230】
さらに詳述することなく、当業者は、前述の説明を使用して、本開示のシステムおよび方法を最大限に利用することができると考えられる。本明細書に開示された例および態様は、単なる例示として解釈されるべきであり、決して本開示の範囲を限定するものではない。説明した基本原理から逸脱することなく、上述の例の詳細に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。換言すれば、上記の説明で具体的に開示された例の様々な修正および改善は、添付の特許請求の範囲内にある。例えば、記載された様々な例の特徴の任意の適切な組み合わせが企図される。
【国際調査報告】