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特表2023-533693GalNAc-オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びサポニンの治療用配合物、及びその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】GalNAc-オリゴヌクレオチドコンジュゲート及びサポニンの治療用配合物、及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/704 20060101AFI20230728BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20230728BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20230728BHJP
   A61K 31/7115 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 13/02 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230728BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61K31/704
A61K45/00
A61K47/61
A61K31/7105
A61K31/713
A61K31/711
A61K31/712
A61K31/7115
A61P35/00
A61P31/00
A61P31/12
A61P3/06
A61P3/00
A61P7/04
A61P13/02
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P37/02
A61P37/06
A61P31/14
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022580238
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-02-24
(86)【国際出願番号】 NL2021050394
(87)【国際公開番号】W WO2021261998
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】2025902
(32)【優先日】2020-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(31)【優先権主張番号】PCT/NL2021/050384
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521271727
【氏名又は名称】サプリーム テクノロジーズ,ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】SAPREME TECHNOLOGIES B.V.
【住所又は居所原語表記】Antonie van Leeuwenhoeklaan 9, Building A12-1, 3721 MA Bilthoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポステル,ルーベン
(72)【発明者】
【氏名】ヘアマンス,ガイ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076DD67
4C076EE59
4C076FF34
4C084AA19
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA531
4C084ZA751
4C084ZB071
4C084ZB081
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB321
4C084ZB331
4C084ZC211
4C084ZC351
4C084ZC411
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA10
4C086EA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA53
4C086ZA75
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZC21
4C086ZC35
4C086ZC41
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、ASGPRのリガンドが少なくとも1つのGalNAc部分を含む、エフェクター分子とASGPRのリガンドとのコンジュゲート、及びモノデスモシド又はビデスモシドトリテルペン配糖体型のサポニンを含む医薬配合物に関する。本発明はまた、コンジュゲート及びサポニンを含む医薬組成物に関する。加えて、本発明は、薬剤としての使用のための、又は、発現産物が以下の遺伝子:アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、ATS、GO、CCS、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関連する疾患若しくは健康問題の治療若しくは予防における使用のための、並びに/又は、癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、若しくは自己免疫疾患の治療若しくは予防における使用のための、本明細書の医薬配合物又は医薬組成物に関する。さらに、本発明は、本発明のエフェクター分子を細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾルに移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法に関する。本発明はまた、本発明のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬配合物であって、
- エフェクター分子とアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)のリガンドとのコンジュゲートであって、前記ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ又は4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか又はそれからなるコンジュゲートと;
- モノデスモシドトリテルペン配糖体又はビデスモシドトリテルペン配糖体であるサポニンとを含み、
任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、医薬配合物。
【請求項2】
少なくとも2種の医薬組成物の形態の請求項1に記載の医薬配合物であって、
- 前記コンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第1の医薬組成物と;
- 前記サポニンを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第2の医薬組成物とを含む医薬配合物。
【請求項3】
前記コンジュゲート、前記サポニン、並びに任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、単一の医薬組成物の形態の請求項1に記載の医薬配合物。
【請求項4】
前記エフェクター分子が、薬物分子などの小分子、タンパク毒素などの毒素、BNA、異種核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むか又はそれからなり、好ましくは毒素、酵素又はオリゴヌクレオチドである、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項5】
前記ASGPRのリガンドと、前記エフェクター分子、好ましくは毒素又はオリゴヌクレオチドとが、共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのリンカーを介してコンジュゲートされている、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項6】
前記エフェクター分子が、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、アンチヘアピン型マイクロRNA(miRNA)、一本鎖RNA、アプタマーRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、アンチマイクロRNA、(アンチmiRNA、アンチmiR)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、mRNA、DNA、アンチセンスDNA、ロックド核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸(BNANC)、BNAベースのsiRNA、及びBNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチド(BNA-AON)のいずれか1つ以上から選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項7】
前記エフェクター分子が、アンチmiRNA、BNA-AON又はsiRNA、例えば、好ましくは化学的に修飾されたsiRNA、代謝的に安定したsiRNA、及び化学的に修飾され、代謝的に安定したsiRNAから選択されるBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項8】
前記エフェクター分子が、以下の遺伝子:HSP27、アポリポタンパク質B(アポB)、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができ、並びに/又は異常なmiRNAを標的化することができるオリゴヌクレオチドである、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項9】
前記エフェクター分子が、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下のタンパク質:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるか、又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、発癌性miRNA(onco-miR)の阻害若しくはonco-miRの発現の抑制などのmiRNA機能を弱めるか若しくは回復させることができるオリゴヌクレオチドである、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項10】
前記エフェクター分子が、好ましくはペプチド、タンパク質、ウレアーゼ及びCre-リコンビナーゼなどの酵素、タンパク性毒素、リボソーム不活性化タンパク質、表A5から選択されるタンパク毒素、並びに/又は、細菌毒素、より好ましくはアポプチンなどのウイルス毒素のいずれか1つ以上から選択される植物毒素;志賀毒素、志賀様毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素(PE)若しくはPEの外毒素Aなどの細菌毒素、完全長若しくはトランケートされたジフテリア毒素(DT)、コレラ毒素;αサルシンなどの真菌毒素;リボソーム不活性化タンパク質を含む植物毒素及び2型リボソーム不活性化タンパク質のA鎖、例えば、ダイアンシン(例えば、ダイアンシン-30若しくはダイアンシン-32)、サポリン(例えば、サポリン-S3若しくはサポリン-S6)、ブーガニン若しくはブーガニンの脱免疫化誘導体であるデブーガニング、志賀様毒素A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、リシン、リシンA鎖、モデシン、モデシンA鎖、アブリン、アブリンA鎖、ボルケンシン、ボルケンシンA鎖、ビスキュミン、ビスキュミンA鎖;又はカエルRNaseなどの動物若しくはヒト毒素、又はヒト由来のグランザイムB若しくはアンギオゲニン、又はこれらの任意のフラグメント若しくは誘導体のいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つのタンパク性分子を含むか又はそれからなる毒素であり;好ましくは、前記タンパク毒素は、ダイアンシン及び/若しくはサポリンであり、並びに/又は毒素標的化リボソーム、毒素標的化延長因子、毒素標的化チューブリン、毒素標的化DNA及び毒素標的化RNAの少なくとも1つ、より好ましくは、エムタンシン、パスドトクス、マイタンシノイド誘導体DM1、マイタンシノイド誘導体DM4、モノメチルアウリスタチンE(MMAE、ベドチン)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF、マホドチン)、カリケアマイシン、N-アセチル-γ-カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)二量体、ベンゾジアゼピン、CC-1065類似体、デュオカルマイシン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、ドセタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ミトキサントロン、ツブリシン、インドリノベンゾジアゼピン、AZ13599185、クリプトフィシン、リゾキシン、メトトレキセート、アントラサイクリン、カンプトセシン類似体、SN-38、DX-8951f、メシル酸エキサテカン、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素(PE38)のトランケート形態、デュオカルマイシン誘導体、アマニチン、α-アマニチン、スプライソスタチン、タイランスタチン、オゾガマイシン、テシリン、アンバースタチン269及びソラブタンシン、若しくはこれらの誘導体のいずれか少なくとも1つを含むか若しくはそれからなる、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項11】
前記サポニンが、
2α-ヒドロキシオレアノール酸;
16α-ヒドロキシオレアノール酸;
ヘデラゲニン(23-ヒドロキシオレアノール酸);
16α,23-ヒドロキシオレアノール酸;
ギプソゲニン;
キラ酸;
プロトエシゲニン-21(2-メチルブタ-2-エノアート)-22-アセテート;
23-オキソ-バリングトゲノールC-21,22-ビス(2-メチルブタ-2-エノアート);
23-オキソ-バリングトゲノールC-21(2-メチルブタ-2-エノアート)-16,22-ジアセテート;
ジギトゲニン;
3,16,28-トリヒドロキシオレアナン-12-エン;
ギプソゲン酸;
及び
これらの誘導体から選択されるアグリコンコア構造を含み、
好ましくは、前記サポニンが、キラ酸及びギプソゲニン又はこれらの誘導体から選択されるアグリコンコア構造を含み、より好ましくは、前記サポニンアグリコンコア構造は、キラ酸又はその誘導体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬配合物であって、
前記サポニンが、群A:
GlcA-、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-Ara-、
Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-[Glc-(1→4)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Xyl-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Glc-(1→3)-Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-Glc-(1→4)-Gal-、
Rha-(1→2)-Gal-(1→3)-[Glc-(1→2)]-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、及び
これらの誘導体
から選択される、前記アグリコン構造に結合された糖鎖を含むか、
又は
前記サポニンが、群B:
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-[Xyl-(1→4)]-Rha-、
Rha-(1→2)-[Ara-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-、
Ara-、
Xyl-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R1-(→4)]-Fuc-(式中、R1は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R2-(→4)]-Fuc-(式中、R2は4Z-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-3、4-ジ-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R3-(→4)]-3-OAc-Fuc-(式中、R3は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
(Ara-若しくはXyl-)(1→3)-(Ara-若しくはXyl-)(1→4)-(Rha-若しくはFuc-)(1→2)-[4-OAc-(Rha-若しくはFuc-)(1→4)]-(Rha-若しくはFuc-)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Ara/Xyl-(1→4)-Rha/Fuc-(1→4)-[Glc/Gal-(1→2)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R4-(→4)]-Fuc-(式中、R4は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R5-(→4)]-Fuc-(式中、R5は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc-Rha-(1→3)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc--Rha-(1→3)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3、4-ジ-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R6-(→4)]-Fuc-(式中、R6は5-O-[5-O-Rha-(1→2)-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R7-(→4)]-Fuc-(式中、R7は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R8-(→4)]-Fuc-(式中、R8は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R9-(→4)]-Fuc-(式中、R9は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R10-(→4)]-Fuc-(式中、R10は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R11-(→3)]-Fuc-(式中、R11は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R12-(→3)]-Fuc-(式中、R12は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Glc-(1→3)-[Glc-(1→6)]-Gal-、及び
これらの誘導体
から選択される、前記アグリコン構造に結合された糖鎖を含むか、
又は
前記サポニンが、前記アグリコンコア構造に結合された前記群Aから選択される第1の糖鎖を含み、前記アグリコンコア構造に結合された前記群Bから選択される第2の糖鎖を含むビデスモシドトリテルペン配糖体である、医薬配合物。
【請求項13】
前記サポニンが、キラヤ樹皮サポニン、ディプサコシドB、サイコサポニンA、サイコサポニンD、マクラントイジンA、エスクレントシドA(esculentoside A)、フィトラッカゲニン、エシネート、AS6.2、NP-005236、AMA-1、AMR、α-ヘデリン、NP-012672、NP-017777、NP-017778、NP-017774、NP-018110、NP-017772、NP-018109、NP-017888、NP-017889、NP-018108、SA1641、AE X55、NP-017674、NP-017810、AG1、NP-003881、NP-017676、NP-017677、NP-017706、NP-017705、NP-017773、NP-017775、SA1657、AG2、SO1861、GE1741、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1862、SO1904、QS-7、QS1861、QS-7 api、QS1862、QS-17、QS-18、QS-21 A-apio、QS-21 A-xylo、QS-21 B-apio、QS-21 B-xylo、β-エスシン、エスシンIa、茶種子サポニンI、茶種子サポニンJ、アッサムサポニンF、ジギトニン、プリムラ酸1及びAS64R、これらの立体異性体、これらの誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはQS-21、QS-21誘導体、SO1861、SO1861誘導体、SA1641、SA1641誘導体、GE1741、GE1741誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはQS-21誘導体、SO1861誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、最も好ましくはSO1861誘導体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項14】
前記サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、誘導体化されたアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含むか;又は
ii.前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、誘導体化されているカルボキシル基を含むか;又は
iii.前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、誘導体化されているアセトキシ(Me(CO)O-)基を含むか;又は
iv.誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせが存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項15】
前記サポニンが、SO1861、SA1657、GE1741、SA1641、QS-21、QS-21A、QS-21 A-api、QS-21 A-xyl、QS-21B、QS-21 B-api、QS-21 B-xyl、QS-7-xyl、QS-7-api、QS-17-api、QS-17-xyl、QS1861、QS1862、キラヤサポニン、サポニナム・アルブム(Saponinum album)、QS-18、Quil-A、Gyp1、ジプソシドA、AG1、AG2、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1904、これらの立体異性体、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはQS-21、QS-21誘導体、SO1861、SO1861誘導体、SA1641、SA1641誘導体、GE1741、GE1741誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはQS-21誘導体、SO1861誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、最も好ましくはSO1861誘導体である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項16】
前記サポニンが、請求項11に記載のキラ酸サポニン又はギプソゲニンサポニンのサポニン誘導体であり、分子1:
【化1】

[式中、
は水素、単糖又は直鎖若しくは分岐オリゴ糖を表し、好ましくは請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、より好ましくは請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか又はそれからなり;
は水素、単糖又は直鎖若しくは分岐オリゴ糖を表し、好ましくは請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、より好ましくは請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及び少なくとも1つのアセトキシ(Me(CO)O-)基、例えば1、2、3、又は4つのアセトキシ基を含み、A及びAの少なくとも1つは水素でなく、好ましくはA及びAの両方がオリゴ糖鎖であり;
並びに、Rはギプソゲニン内の水素又はキラ酸内のヒドロキシルである]で表され;
前記サポニン誘導体は、分子1で表される前記サポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.前記キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が誘導体化されている;
ii.Aが請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が誘導体化されている;及び
iii.Aが請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及び少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が誘導体化されている、の少なくとも1つが存在する、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項17】
が請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか若しくはそれからなり、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が誘導体化されているか、並びに/又は、Aが請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含み、Aの少なくとも1つのアセトキシ基が誘導体化されている、請求項16に記載の医薬配合物。
【請求項18】
分子1で表される前記サポニンが、ビデスモシドトリテルペンサポニンである、請求項16又は17に記載の医薬配合物。
【請求項19】
前記サポニン誘導体が、分子1で表される前記サポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.前記キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、前記EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換によって誘導体化されており;
ii.Aが請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びAがグルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されており、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされ;
iii.Aが請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への転換によって誘導体化されている、の少なくとも1つが存在する、請求項16~18のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項20】
が、Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcAであり、及び/又は、Aが、Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fucであり、好ましくは、分子1で示される前記サポニンが、3-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)]-β-D-グルクロノピラノシルキラ酸28-O-β-D-グルコピラノシル-(1→3)-β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)-4OAc-β-D-キノボピラノシル-(1→4)]-β-D-フコピラノシドであり、より好ましくはSO1861、GE1741、SA1641及び/若しくはQS-21又はそれらの誘導体、最も好ましくはSO1861又はそれらの誘導体である、請求項16~19のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項21】
前記サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、前記EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換
によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造
を含むか;又は
ii.前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、カルボキシル基、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項12に記載の群Bから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への変換によって誘導体化されているアセトキシ(Me(CO)O-)基を含むか;又は
iv.前記サポニン誘導体が、誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせを含み;
好ましくは、前記サポニン誘導体が、EMCHとの反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成される前記アグリコンコア構造を含み、前記EMCHのマレイミド基は、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、請求項14~20のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項22】
前記サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされるか;又は
ii.前記サポニンが、糖鎖、好ましくは請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.前記サポニン誘導体が、誘導体化i.及びii.の組み合わせを含む、請求項21に記載の医薬配合物。
【請求項23】
前記サポニン誘導体が、アルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項12に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含む、請求項21に記載の医薬配合物。
【請求項24】
前記サポニンが、分子2:
【化2】

で表されるサポニン誘導体であるか、
又は、前記サポニン誘導体が、分子3:
【化3】

で表されるサポニン誘導体である、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項25】
薬剤としての使用のための、請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項26】
発現産物が、以下の遺伝子:アポB、HSP27、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関与する、疾患又は健康問題の治療又は予防における使用のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の、又は請求項1~9のいずれか一項に従属する範囲の請求項11~24のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項27】
癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、HSP27発現に関連する疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の、又は請求項1~9のいずれか一項に従属する範囲の請求項11~24のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項28】
請求項25~27のいずれか一項に記載の使用のための医薬配合物であって、前記医薬配合物が、請求項19~24のいずれか一項に記載される通りである、医薬配合物。
【請求項29】
請求項1及び5~10のいずれか一項に記載のエフェクター分子を、細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるための、インビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)移行される前記エフェクター分子を含む、請求項1~24のいずれか一項に記載のコンジュゲートを提供する工程;
c)請求項1~24のいずれか一項に記載のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の前記細胞を、工程b)の前記コンジュゲート及び工程c)の前記サポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程であって、それによって前記細胞外から前記細胞内への前記エフェクター分子を含む前記コンジュゲートの移行を生じさせ、前記コンジュゲートの移行を生じさせることによって、前記細胞外から前記細胞内、好ましくは前記細胞の細胞質ゾルへの前記エフェクター分子の移行を生じさせる、接触させる工程を含む方法。
【請求項30】
請求項1~24のいずれか一項に記載のコンジュゲートを、細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)請求項1~24のいずれか一項に記載のコンジュゲートを提供する工程;
c)請求項1~24のいずれか一項に記載のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の前記細胞を、工程b)の前記コンジュゲート及び工程c)の前記サポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程であって、それによって前記細胞外から前記細胞内への前記コンジュゲートの移行を生じさせる、接触させる工程を含む方法。
【請求項31】
前記ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ若しくは4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか若しくはそれからなり、並びに/又は、前記エフェクター分子が、アンチmiRNA、BNA-AON若しくはsiRNA、例えば、好ましくは化学的に修飾されたsiRNA、代謝的に安定したsiRNA、及び化学的に修飾され、代謝的に安定したsiRNAから選択されるBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
前記エフェクター分子が、薬物分子などの小分子、タンパク毒素などの毒素、BNA、異種核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むか又はそれからなり、好ましくは前記エフェクター分子は毒素、酵素又はオリゴヌクレオチドであり、好ましくは前記毒素はサポリン又はダイアンシンである、請求項29又は30に記載の方法。
【請求項33】
前記サポニンが、誘導体化SO1861及び/又は誘導体化QS-21であり、好ましくは、請求項19に記載のSO1861-Glu-AEM又はSO1861-Ald-EMCH又はQS-21-Glu-AEM又はQS-21-Ald-EMCHである、請求項29~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記エフェクター分子が、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下の遺伝子:アポリポタンパク質B(アポB)、HSP27、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができ、並びに/又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、異常なmiRNAを標的化することができ、並びに/又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下のタンパク質:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるか、又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、miRNA(onco-miR)の阻害若しくはonco-miRの発現の抑制などのmiRNA機能を弱めるか若しくは回復させることができるオリゴヌクレオチドである、請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬配合物又は請求項2、4~24のいずれか一項に記載の第2の医薬組成物を含むキットオブパーツ、及び請求項25~28のいずれか一項に記載の医薬配合物若しくは第2の医薬組成物を使用するための、又は請求項29~34のいずれか一項に記載の方法に使用するための指示書。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ASGPRのリガンドが少なくとも1つのGalNAc部分を含む、エフェクター分子とASGPRのリガンドとのコンジュゲート、及びモノデスモシド又はビデスモシドトリテルペン配糖体型のサポニンを含む医薬配合物に関する。本発明はまた、コンジュゲート及びサポニンを含む医薬組成物に関する。加えて、本発明は、薬剤としての使用のための、又は、発現産物が以下の遺伝子:アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関連する疾患若しくは健康問題の治療若しくは予防における使用のための、並びに/又は、癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、若しくは自己免疫疾患の治療若しくは予防における使用のための、本発明の医薬配合物又は組成物に関する。さらに、本発明は、本発明のエフェクター分子を細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾルに移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法に関する。本発明はまた、本発明のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトであれ、又は病原体であれ、タンパク質の機能を阻害する能力は、新薬を発見するのに不可欠なものである。従来の小分子薬物及び抗体は、利用可能な標的のサブセットに強く限定されている。小分子は、主に補助因子部位又は伝達物質部位に結合し、小分子を収容するように設計された部位に効果的に結合する。抗体は、さらに多くの種類のタンパク質に結合することができるが、一般的に、細胞外の標的に限定されている。
【0003】
オリゴヌクレオチド療法は、遺伝子転写及び翻訳経路を直接操作することによって、小分子薬物又は抗体薬物に直面する問題の多くを克服することを目的とした、比較的新しく、急速に発展している分野である。オリゴヌクレオチドの効力及び多用途性は、特に「アンドラッガブル」なタンパク質をコードする遺伝子を古典的な小分子薬物によって抑制することが見込まれるため、魅力的な薬物候補となっている。最初のオリゴヌクレオチド薬物は、一本鎖核酸分子がそれらと相補的なmRNA標的に特異的な配列と結合することにより、RNアーゼH系によって二重鎖の分解を引き起こすアンチセンス技法に基づくものであった。
【0004】
1998年に、Andrew Fire及びCraig Melloによって、二本鎖RNA(dsRNA)を転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)の原因物質として同定する、影響力の大きい論文がCaenorhabditis elegansに公開され、この現象をRNA干渉(RNAi)と称した。RNAiの発見は、植物及び菌類における遺伝子サイレンシングの不可解な知見を説明するものであり、生物学に革命を巻き起こすきっかけとなり、最終的に非コードRNAが多細胞生物における遺伝子発現の中心的調節因子であることが示された。その後ほどなくして、小分子dsRNA(典型的には15~30bp)が、非特異的なインターフェロン応答を誘発することなく、哺乳類細胞にRNAiサイレンシングを触媒的に誘導することができることが発見された。低分子干渉RNA(siRNA)及び低分子ヘアピン型RNA(shRNA)などの小分子dsRNAによるRNAi経路の標的化には、著しくより効率的(触媒的)であり、且つ遺伝子発現をより長く阻害するという、アンチセンスに勝るいくつかの理論上の利点がある。このことは、投与頻度がより少なくなると共に、用量がより少なく、コストがより低くなると言い換えることができよう。曝露が低ければ低いほど、siRNAの毒性問題が低くなることも意味し得る。
【0005】
しかしながら、siRNAがインビボにおいてその標的に到達する前に、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)機構に対する経路を遮断するという、多数の大きな障壁に直面する。血流に入ると、siRNAは、そのサイズの小ささや高いアニオン特性によって、内因性ヌクレアーゼによって分解しやすくなり、腎排泄を受けやすくなる。加えて、siRNAは、その標的細胞に到達する前に、血管のタイトな内皮結合を移動し、細胞外マトリックスを通じて拡散されなければならない。siRNAは、その多くの負電荷により、細胞膜に容易に結合したり、又は細胞膜を通過したりすることがなく、また、一度細胞の内部に入ると、エンドソームから脱出してその細胞内のタンパク質標的と相互作用する必要がある。
【0006】
従って、オリゴヌクレオチド(siRNAなど)療法がうまくいくかどうかは、細胞外から細胞質ゾルに薬物を効果的に送達することに強く依存する。従って、オリゴヌクレオチド(siRNAなど)送達を改善する送達システムを開発することに、かなりの注目が集まっている。ウイルス送達の他に、細胞へのsiRNA(又は他のオリゴヌクレオチド)送達を向上させるために利用される主な方法は、リポソーム、細胞透過性ペプチド(CPP)及びそれらの模倣体、又はナノ粒子を利用するものである(Gooding,Matt,et al.Chemical biology & drug design 80.6(2012);787-809)。挿入突然変異誘発及び免疫発生の可能性などの安全性上の懸念は、ウイルス手法の将来性を限定するものと見なされる。
【0007】
リポソームは、siRNAなどのオリゴヌクレオチドに最も一般的に使用されている送達ベクターであり、この場合、オリゴヌクレオチドは脂質二重層内に封入されている。リポソームによるオリゴヌクレオチド送達では、遺伝子調節及び炎症反応に影響する酸素ラジカル媒介毒性(カチオン性リポソームに典型的なもの)、細胞毒性などのいくつかの問題に直面する。さらに、脂質を使用したインビボ送達は、主に肝臓及び脾臓を標的化するものと思われている。
【0008】
細胞透過性ペプチド(CCP)は、タンパク質形質導入ドメインとも呼ばれており、細胞膜を通過することができる珍しい性質を持った短いペプチド(通常<30アミノ酸残基長)である。CPPは、オリゴヌクレオチドと共有結合しているか、又はオリゴヌクレオチドと非共有結合複合体を形成することにより、オリゴヌクレオチドの細胞内取り込みを向上させることができる。CPPに媒介されるオリゴヌクレオチド送達の分野は、決して成熟しているとは言えない2つの分野である、オリゴヌクレオチド技術及びペプチド技術の両方によって引き起こされる問題が、単一の薬剤に組み合わされているため、極めて複雑である。オリゴヌクレオチドに関連する問題とは別に、CPPで直面する典型的な問題は、ペプチド鎖のインビボ安定性(の欠如)に関連するものであり、多くの場合、合成が複雑となる可能性があるか、及び/又は細胞透過活性の低減を示し得る、非天然ペプチド誘導体を使用することが必要となる。
【0009】
細胞送達の向上に関わらず、エンドソームによる捕捉を克服することは、効率的なCPP及び他の輸送システムを設計するのに主要な課題の1つである(Gooding et al)。
【0010】
ナノ粒子及びナノ担体は、典型的にはポリマー、生物学的安定剤、及びオリゴヌクレオチドと複合体化した細胞標的リガンドから構成される、ナノスケールのオリゴヌクレオチド送達システムである。例示的なsiRNAナノ担体システムは、siRNAダイナミックポリコンジュゲート(Dynamic Poly-Conjugate)の名称で知られている。このシステムは、生物学的安定剤としてのポリエチレングリコール(PEG)と肝細胞標的リガンドとに連結された両親媒性ポリマーに基づくものであり、ジスルフィド結合によってsiRNAがポリマーに共有結合されている。標的部分及びPEG部分は、マレアマート結合を介してポリマーに結合され、血清タンパク質に結合しない、負に帯電したナノ粒子を形成する。マレアマート結合は、エンドサイトーシスにより内部移行した後に、エンドソームの酸性化を受けて速やかに加水分解し、ポリマーのカチオン性アミン基を露出させ、プロトンスポンジ効果によりエンドソーム脱出を誘導する。ナノ担体は、ポリエチレンイミン(PEI)(時にシクロデキストリンと組み合わされる)などのカチオン性ポリマーの形態でも知られており、これによって、siRNAなどのオリゴヌクレオチドと静電複合体を形成し、分解からの保護と内部移行の促進を提供することができる。しかしながら、膜破壊及びアポトーシス誘導から生じるより高濃度での毒性は、治療用送達剤としてのカチオン性ポリマーの用途を限定してしまう可能性がある。ナノ粒子及びナノ担体の複雑な調製だけでなく、それらの長期間の安定性が、商業的に実現可能な用途に対して大きな障壁となっている。
【0011】
これらの送達システムのいくつかによって達成することのできる、細胞への改善されたオリゴヌクレオチド(siRNAなど)送達とは裏腹に、エンドソーム脱出がオリゴヌクレオチドベースの治療薬、例えばRNAiベースの治療薬を適用するのに依然として大きな障壁となっている。エンドサイトーシスされたオリゴヌクレオチドのごく僅かな部分のみが細胞質空間に脱出し、そこで意図された機能を発揮するが、その大部分はエンドサイトーシスコンパートメントに捕捉されたままとなり、不活性化する。最近の文献では、受動的なsiRNAの脱出率は<0.01%であることが示唆されている(Setten,Ryan L.,et al..Nature Reviews Drug Discovery 18.6(2019);421-446)。さらに、オリゴヌクレオチドを機能的に内部移行して目的の効果を生じさせる(例えば、ノックダウン)細胞の能力は、細胞が大量のオリゴヌクレオチドを内部移行する程度とは無関係であるように見えることが示されている。これらの知見により、別の「生産的な」及び「非生産的な」自由取り込み経路があるという仮説が導き出されているが、これらの経路を識別する分子機構は依然として不明なままとなっている(Setten,Ryan L.,John J.Rossi,and Si-ping Han.Nature Reviews Drug Discovery 18.6(2019);421-446)。
【0012】
概して、根底にある機構(改善されたエンドソーム脱出、「生産的な」経路による取り込みの増大、又は別の機構)に関わらず、増大した効力(例えば、標的のノックダウン)、毒性の低下及び/又はオフターゲット効果の低下をもたらす改善されたオリゴヌクレオチドの送達システムに対する大きな必要性が依然として存在する。
【0013】
新たな戦略は、オリゴヌクレオチドの効力を増大させるために、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を受容体リガンドにコンジュゲートし、選択された組織に分布させることを必然的に伴うものである。例えば、3分岐型N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)をオリゴヌクレオチド治療薬にコンジュゲートすることで、単離肝細胞だけでなくインビボでの肝臓で10~30倍の効力の増大がもたらされる。GalNAcは、糖タンパク質のペンダントオリゴ糖から末端のシアル酸残基が欠損した、損傷した糖タンパク質で見られるものである。肝臓は、肝細胞の表面上に非常に高いレベル(細胞当たり10~10のオーダー)の三量体アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)、好ましくはASGPR1を発現することによって、体循環からこれらのタンパク質を除去するように機能する。ASGPRは、血液から循環中の巨大分子をエンドサイトーシスするために中性pHでGalNAcに特異的に結合し、初期エンドソーム内にカーゴを下ろすために酸性pH(約5~6)でGalNAcを放出する。遊離したASGPRは、次いで再利用するために細胞表面に再度リサイクルされる。現在臨床治験中の約1/3のRNAi薬物は、ASGPRを標的化する多価GalNAcリガンドにコンジュゲートされた、単一分子の化学的に改変されたRNAiトリガーである。肝臓の好適な生理機能、ASGPRの特有の特性、GalNAcリガンドの無毒性及びGalNAc-siRNAコンジュゲートの簡便さにより、このことが肝細胞への全身的なRNAi送達のための魅力的な手法となっている。
【0014】
しかしながら、オリゴヌクレオチドシステム(例えば、GalNAc-オリゴヌクレオチドコンジュゲート)を標的化するASGPRの効力をさらに増大させ、毒性を減少させ、及び/又はオフターゲット効果を減少させた、改善された送達システムに対する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の態様は、
- エフェクター分子とアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)のリガンドとのコンジュゲートであって、ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ又は4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか又はそれからなるコンジュゲートと;
- モノデスモシドトリテルペン配糖体又はビデスモシドトリテルペン配糖体であるサポニンとを含み、
任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、医薬配合物に関する。
【0016】
一実施形態は、
- コンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第1の医薬組成物と;
- サポニンを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第2の医薬組成物とを含む、少なくとも2種の医薬組成物の形態の本発明の医薬配合物である。
【0017】
一実施形態は、コンジュゲート、サポニン、並びに任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、単一の医薬組成物の形態の本発明の医薬配合物である。
【0018】
本発明の第2の態様は、薬剤としての使用のための、本発明の医薬配合物に関する。
【0019】
本発明の第3の態様は、発現産物が、以下の遺伝子:アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関与する、疾患又は健康問題の治療又は予防における使用のための本発明の医薬配合物に関する。一実施形態は、本発明による使用のための医薬配合物であり、前記使用が、癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、又は自己免疫疾患の治療又は予防におけるものである。
【0020】
本発明の第4の態様は、本発明のエフェクター分子を細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるための、インビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)移行されるエフェクター分子を含む本発明のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)のコンジュゲート及び工程c)のサポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程を含み、
それによって細胞外から前記細胞内へのエフェクター分子を含む前記コンジュゲートの移行を生じさせ、前記コンジュゲートの移行を生じさせることによって、細胞外から前記細胞内、好ましくは前記細胞の細胞質ゾルへのエフェクター分子の移行を生じさせる方法に関する。
【0021】
本発明の第5の態様は、本発明のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)本発明のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)のコンジュゲート及び工程c)のサポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程を含み、
それによってコンジュゲートを細胞外から前記細胞内への移行を生じさせる方法に関する。
【0022】
本発明の第6の態様は、本発明の医薬配合物又は本発明の第2の医薬組成物を含むキットオブパーツ、及び本発明による前記医薬配合物若しくは第2の医薬組成物を使用するための、又は本発明によるインビトロ若しくはエクスビボ方法を使用するための指示書に関する。
【0023】
定義
「GalNAc」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、N-アセチルガラクトサミン及びそのIUPAC名:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトースを指す。
【0024】
「(GalNAc)トリス」という用語は、例えば、siRNAベースの療法の分野におけるその通常の化学的意味を有し、本明細書では3つのGalNAc単位を含む部分を指し、そのそれぞれが別々に、好ましくは少なくとも1つのリンカーを介してトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)(IUPAC名:2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール)のヒドロキシル基に共有結合されている。(GalNAc)トリスは、遊離アミンを含む分子として存在することができるか、又は、例えば本明細書に記載されるコンジュゲートを含む(GalNAc)トリス部分を形成するように、残存するアミン結合部位を介してさらに官能化してもよい。
【0025】
「オリゴヌクレオチド」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では一連の2つ以上のヌクレオチドを指し、即ち、オリゴヌクレオチドがリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドで構成されている短いオリゴマーである。例としては、RNA及びDNAなどの核酸、並びにあらゆる改変RNA又はDNA、例えばロックド核酸(LNA)又は2’-O,4’-C-アミノエチレン若しくは2’-O,4’-C-アミノメチレン架橋型核酸(BNANC)としても公知の架橋型核酸(BNA)などのヌクレオチド類似体を含む一連の核酸があり、ここで、ヌクレオチドはリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドである。
【0026】
「RNAi媒介遺伝子標的法」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、遺伝子の転写に関与するmRNAを標的化する小型の二本鎖RNA分子などのオリゴヌクレオチドを細胞に移行することによって前記細胞内の遺伝子の機能に影響を与えるインビボ、エクスビボ又はインビトロ手法を指し、例えば、小型の二本鎖RNA分子により、特定の遺伝子のRNAiサイレンシングを効率的に誘発することができる。
【0027】
「架橋型核酸」、即ち端的には「BNA」、又は「ロックド核酸」、即ち端的には「LNA」、又は2’-O,4’-C-アミノエチレン若しくは2’-O,4’-C-アミノメチレン架橋型核酸(BNANC)という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では改変RNAヌクレオチドを指す。BNAは、「拘束RNA分子」又は「インアクセシブル(inaccessible)RNA分子」とも称される。BNA単量体は、「固定された」C’エンド型糖パッカリングによる5員、6員又はさらに7員の架橋構造を含み得る。合成によりリボースの2’,4’位に架橋を組み込むと、2’,4’-BNA単量体が得られる。BNA単量体は、当該技術分野において公知の標準的なホスホラミダイト化学特性を用いてオリゴヌクレオチド高分子構造体に組み込むことができる。BNAは、結合親和性及び安定性が増大した、構造的に強固なオリゴヌクレオチドである。
【0028】
アンチセンスオリゴヌクレオチドという用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では端的に「AON」又は「ASO」として示される場合がある。
【0029】
「BNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチド」、又は端的には「BNA-AON」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、前記ヌクレオチドの少なくとも1つがBNAである、一連のアンチセンスヌクレオチドを指す。
【0030】
「タンパク性」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、タンパク質様(分子がある程度までタンパク質の物理化学的特性を有することを意味する)の、タンパク質の、タンパク質に関する、タンパク質を含む、タンパク質に属する、タンパク質からなる、タンパク質に似ている、又はタンパク質である分子を指す。「タンパク性」という用語は、例えば、「タンパク性分子」において用いられる場合、タンパク質に似ているか、又はタンパク質である分子の少なくとも一部が存在することを指し、「タンパク質」は、少なくとも2残基長のアミノ酸残基の鎖を含み、従って、ペプチド、ポリペプチド及びタンパク質、並びにタンパク質又はタンパク質ドメインの会合体を含むものと理解すべきである。タンパク性分子では、少なくとも2アミノ酸残基が、例えばペプチド結合などのアミド結合を介して結合されている。タンパク性分子では、アミノ酸残基は、天然アミノ酸残基及び/又は改変された天然アミノ酸残基などの人工アミノ酸残基である。好ましい実施形態では、タンパク性分子は、少なくとも2アミノ酸残基、好ましくは2~約2.000アミノ酸残基を含む分子である。一実施形態では、タンパク性分子は、2~20(ペプチドに典型的な)アミノ酸を含む分子である。一実施形態では、タンパク性分子は、21~1.000アミノ酸(ポリペプチド、タンパク質、抗体などのタンパク質ドメイン、単一ドメイン抗体、Fab、scFv、EGFなどの受容体のリガンドに典型的な)を含む分子である。アミノ酸残基は、(典型的には)ペプチド結合を介して結合されていることが好ましい。本発明によれば、前記アミノ酸残基は、(改変された)(非)天然アミノ酸残基であるか、又はそれを含む。
【0031】
「エフェクター分子」、又は「エフェクター部分」という用語は、例えば、共有結合コンジュゲートの一部としてのエフェクター分子を言及する場合、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、例えば、標的分子:タンパク質、ペプチド、炭水化物、グリカンなどの糖、(リン)脂質、DNA、RNAなどの核酸、酵素のいずれか1つ以上に選択的に結合し、そのような1つ以上の標的分子の生物活性を調節することのできる分子を指す。エフェクター分子は、例えば、薬物分子などの小分子、タンパク毒素などの毒素、BNA、異種核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせのいずれか1つ以上から選択される分子である。従って、例えば、エフェクター分子又はエフェクター部分は、薬物分子などの小分子、タンパク毒素などの毒素、BNA、異種核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせのいずれか1つ以上から選択される分子又は部分であり、標的分子:タンパク質、ペプチド、炭水化物、グリカンなどの糖、(リン)脂質、DNA、RNAなどの核酸、酵素のいずれか1つ以上に選択的に結合し、標的分子に結合したときに、そのような1つ以上の標的分子の生物活性を調節することのできる分子又は部分である。典型的には、エフェクター分子は、哺乳類細胞、例えばヒト細胞などの細胞内に、例えば、前記細胞の細胞質ゾルに生物学的効果を及ぼすことができる。従って、典型的なエフェクター分子は、薬物分子、プラスミドDNA、抗体薬物コンジュゲート(ADC)によって構成される毒素などの毒素、siRNA、BNA、抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲート(AOC)によって構成される核酸などのオリゴヌクレオチドである。例えば、エフェクター分子は、(細胞内)酵素活性、遺伝子発現、又は細胞シグナル伝達を増加又は減少させることのできるリガンドとして機能することができる分子である。
【0032】
「健康問題」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、健康なヒトの身体又はその一部の状態と比較した場合に最適以下となり、それによって対象の適切な機能及び/又は健康を妨げる、例えば、ヒトの身体の通常の機能を損なう、ヒト患者などの対象の身体、又はその一部、臓器、筋肉、静脈、動脈、皮膚、四肢、血液、細胞などのあらゆる状態を指す。
【0033】
「GalNAc修飾オリゴヌクレオチド薬物」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では遺伝子の転写に干渉するオリゴヌクレオチドを指し、1つ以上のGalNAc単位が、例えば少なくとも1つのリンカーを介してオリゴヌクレオチドに結合されている。
【0034】
「ロックド核酸」、端的には「LNA」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、当該技術分野において公知のように、C3’エンド型立体配座「β-D-LNA」、又はC2’エンド型(α-L-LNA)立体配座のいずれかで、追加のエチレン架橋によってリボース部分を固定する、1つ以上のヌクレオチドビルディングブロックを含有するオリゴヌクレオチドを指す。
【0035】
「架橋型核酸NC」、端的には「BNANC」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、当該技術分野において公知のように、N原子における置換(メチル基がこれまでに最も一般的に使用されている)が異なる、追加の2’-O,4’-C-アミノエチレン架橋型核酸から構成される、1つ以上のヌクレオチドビルディングブロックを含有するオリゴヌクレオチドを指す。
【0036】
「化学的に修飾された、代謝的に安定したsiRNA」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、修飾siRNA分子が代謝分解、消化、酵素溶解などに対してより耐性のある、即ちより安定化するように、天然に存在するヌクレオチドからなるRNAオリゴヌクレオチドと比較して化学修飾を含むsiRNA分子を指す。
【0037】
「サポニン」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、サポゲニンである親油性アグリコンコアと組み合わされた1つ以上の親水性グリコン部分を含む、両親媒性グリコシドの群を指す。サポニンは、天然に存在するものあっても、又は合成であってもよい(即ち、天然に存在しない)。「サポニン」という用語には、天然に存在するサポニン、天然に存在するサポニンの誘導体だけでなく、化学的及び/又は生物工学的合成経路によって新規に合成されたサポニンも含まれる。
【0038】
「サポニン誘導体」(「修飾サポニン」としても知られている)という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、官能基の酸化、官能基の還元、及び/又は別の分子との共有結合の形成(「コンジュゲーション」又は「共有コンジュゲーション」とも称する)などの1つ以上の化学修飾によって誘導体化されている、天然に存在するサポニンに相当する化合物を指す。好ましい修飾としては、アグリコンコアのアルデヒド基の誘導体化、糖鎖のカルボキシル基の誘導体化、又は糖鎖のアセトキシ基の誘導体化が挙げられる。典型的には、サポニン誘導体には天然の対応物がなく、即ち、サポニン誘導体は、例えば植物又は木から天然に生成されることがない。「サポニン誘導体」という用語には、天然に存在するサポニンを誘導体化することによって得られる誘導体だけでなく、1つ以上の化学修飾によって誘導体化された天然に存在するサポニンに相当する化合物を生じさせる、化学的及び/又は生物工学的合成経路によって新規に合成された誘導体も含まれる。
【0039】
「アグリコンコア構造」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、1個又は2個の炭水化物アンテナ又は糖鎖(グリカン、グリコン)がそこに結合されていないサポニンのアグリコンコア又はアグリコンを指す。例えば、キラ酸は、SO1861、QS-7、及びQS-21のアグリコンコア構造である。
【0040】
「糖鎖」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、グリカン、炭水化物アンテナ、グリコン、単一の糖部分(単糖)又は複数の糖部分を含む鎖(オリゴ糖、多糖)のいずれかを指す。糖鎖は、糖部分のみから構成されてもよく、又は、例えば、QS-21に存在するような、4E-メトキシケイ皮酸、4Z-メトキシケイ皮酸、及び5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸)のいずれか1つなどのさらなる部分も含み得る。
【0041】
糖鎖の名称の文脈における「Api/Xyl-」或いは「Api-又はXyl-」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、アピオース(Api)部分を含むか、又はキシロース(Xyl)部分を含むかのいずれかの糖鎖を指す。
【0042】
「抗体薬物コンジュゲート」又は「ADC」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、IgG、Fab、scFv、単一ドメイン抗体、免疫グロブリン、免疫グロブリンフラグメント、1つ又は複数のVhドメインなどの抗体と、ヒト患者などの対象の細胞と接触させたときに治療効果を発揮することができるあらゆる分子(例えば、活性薬剤成分、毒素、オリゴヌクレオチド、酵素、小分子薬物化合物など)とのあらゆるコンジュゲートを指す。
【0043】
「抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲート」又は「AOC」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、IgG、Fab、単一ドメイン抗体、scFv、免疫グロブリン、免疫グロブリンフラグメント、1つ又は複数のVhドメインなどの抗体と、ヒト患者などの対象の細胞と接触させたときに治療効果を発揮することができるあらゆるオリゴヌクレオチド分子(例えば、DNA、改変DNA、RNA、改変RNA、一本鎖分子又は二本鎖分子として存在する合成核酸、例えばBNA、アレル特異的オリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA:サイレンシングRNA)、アンチセンスDNA、アンチセンスRNAなどを包含する天然又は合成の一連の核酸から選択されるオリゴヌクレオチド)とのあらゆるコンジュゲートを指す。
【0044】
「コンジュゲート」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、少なくとも第2の分子に化学結合によって共有結合された少なくとも第1の分子を指し、それによって、第1の分子及び第2の分子を含むか又はそれからなる共有結合した会合体が形成される。典型的なコンジュゲートとしては、(GalNAc)トリス-siRNA、ADC、AOC、及びSO1861-EMCH(サポニンのアグリコンコア構造のアルデヒド基にEMCHが連結されている)がある。
【0045】
リンカーを含むGalNAc-エフェクター分子コンジュゲート又は構築物などにおいて使用される「S」という用語は、エンドソーム及び細胞質ゾル内でインタクトに維持される「安定化リンカー」を表す。
【0046】
リンカーを含む抗体サポニンコンジュゲート又は構築物などにおいて使用される「L」という用語は、エンドソーム内の弱酸条件下で切断される「不安定リンカー」を表す。
【0047】
「部分」という用語は、その通常の科学的意味を有し、本明細書では、さらなる分子、リンカー、分子の会合体などに結合、連結、コンジュゲートされた分子を指し、それによって、より大きい分子、コンジュゲート、分子の会合体が形成される。典型的には、部分は、第2の分子に共有結合された第1の分子であり、最初に第1の分子上に存在し、第2の分子上に存在する1つ以上の化学基を含む。例えば、サポリンは典型的な分子であり、エフェクター分子の一例である。抗体薬物コンジュゲートの一部として、サポリンはADCにおける典型的なエフェクター部分である。抗体オリゴヌクレオチドコンジュゲートの一部として、BNA又はsiRNAはAOCにおける典型的なエフェクター部分である。
【0048】
「DAR」という用語は、通常、薬物抗体比を表すものであり、所与の抗体薬物コンジュゲート(ADC)製剤の薬物と抗体の平均比率を指し、本明細書では、コンジュゲート分子に対して結合したSO1861部分、若しくはSPT001、又は結合したアポBBNAの量の比率を指す。
【0049】
本明細書及び特許請求の範囲における第1、第2、第3などの用語は、例えば、類似の要素、組成物、組成物中の構成成分、又は別々の方法工程を区別するために使用され、必ずしも連続した順序又は時系列的な順序について説明するものではない。この用語は適切な状況下で互換可能であり、本発明の実施形態は、特に明記されない限り、本明細書に記載又は例示されたもの以外の他の順序で操作することができる。
【0050】
本明細書に記載される発明の実施形態は、特に明記されない限り、組み合わせて、及び協働して操作することができる。
【0051】
さらに、様々な実施形態は、「好ましくは」又は「例えば(e.g.)」又は「例えば(for example)」又は「特に」などと言及されるが、本発明が本発明の範囲を限定するというよりはむしろ、例示的な方法として実現され得るものと解釈すべきである。
【0052】
特許請求の範囲に使用される「含む(comprising)」という用語は、例えば、これ以降に列挙される要素又は方法工程又は組成物の構成成分に限定されるものと解釈すべきではなく、他の要素又は方法工程又は特定の組成物の構成成分を除外するものではない。このことは、記載された特徴、整数、(方法)工程又は構成成分の存在を、言及されるように規定するものと解釈する必要があるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程若しくは構成成分、又はそれらの群が存在又は追加されていることを排除するものではない。従って、「工程A及びBを含む方法」という表現の範囲は、工程A及びBのみからなる方法に限定されるべきではなく、むしろ、本発明に関しては、列挙された方法の工程のみがA及びBであり、さらに、特許請求の範囲は、これらの方法工程の等価物を含むものと解釈すべきである。従って、「構成成分A及びBを含む組成物」という表現の範囲は、構成成分A及びBのみからなる組成物に限定されるべきではなく、むしろ、本発明に関しては、列挙された組成物の構成成分のみがA及びBであり、さらに、特許請求の範囲は、これらの構成成分の等価物を含むものと解釈すべきである。
【0053】
加えて、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」によって要素又は構成成分を言及することは、文脈によって明らかに要素又は構成成分の1つ及び1つだけが存在する必要がない限り、2つ以上の要素又は構成成分が存在する可能性を排除するものではない。従って、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、通常「少なくとも1つの」を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】三価GalNAcの合成。
図2】SO1861-DBCOの合成。
図3】一価GalNAc-SO1861の合成。
図4】三価GalNAc-SO1861の合成。
図5】一価GalNAc-BNAの合成。
図6】三価GalNAc-BNAの合成。
図7】三価GalNAc-BNAの合成。
図8A】三価GalNAcの合成。
図8B】三価GalNAcの合成。
図9A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株におけるGalNAc-SO1861及び三価GalNAc-SO1861の細胞生存率(MTS)。図9Bの隣に表示されている凡例は、図9Aにも適用される。
図9B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株におけるGalNAc-SO1861及び三価GalNAc-SO1861の細胞生存率(MTS)。図9Bの隣に表示されている凡例は、図9Aにも適用される。
図10A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における細胞生存率アッセイ(MTS)。図10Bの隣に表示されている凡例は、図10Aにも適用される。
図10B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における細胞生存率アッセイ(MTS)。図10Bの隣に表示されている凡例は、図10Aにも適用される。
図11A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。
図11B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。
図12A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図12Bの隣に表示されている凡例は、図12Aにも適用される。
図12B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図12Bの隣に表示されている凡例は、図12Aにも適用される。
図13A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における細胞生存率アッセイ。図13Bの隣に表示されている凡例は、図13Aにも適用される。
図13B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における細胞生存率アッセイ。図13Bの隣に表示されている凡例は、図13Aにも適用される。
図14A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図14Bの隣に表示されている凡例は、図14Aにも適用される。
図14B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図14Bの隣に表示されている凡例は、図14Aにも適用される。
図15A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における細胞生存率アッセイ。図15Bの隣に表示されている凡例は、図15Aにも適用される。
図15B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における細胞生存率アッセイ。図15Bの隣に表示されている凡例は、図15Aにも適用される。
図16A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図16Bの隣に表示されている凡例は、図16Aにも適用される。
図16B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図16Bの隣に表示されている凡例は、図16Aにも適用される。
図17A】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図17Bの隣に表示されている凡例は、図17Aにも適用される。
図17B】HepG2(A)及びHuh7(B)細胞株における遺伝子発現解析。図17Bの隣に表示されている凡例は、図17Aにも適用される。
図18A】ヒト初代肝細胞におけるアポBのRNA発現解析及び細胞生存率アッセイ。
図18B】ヒト初代肝細胞におけるアポBのRNA発現解析及び細胞生存率アッセイ。
図19A】ヒト初代肝細胞におけるアポBのRNA発現解析及び細胞生存率アッセイ。
図19B】ヒト初代肝細胞におけるアポBのRNA発現解析及び細胞生存率アッセイ。
図20】マウス初代肝細胞におけるアポBのRNA発現解析。
図21】(GalNAc)3-Ls-SO1861の合成、中間体22、23。
図22】(GalNAc)3-Ls-BNAの合成、中間体25、26。
図23】(GalNAc)3-Ls-BNAの合成。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の第1の目標は、例えば、標的細胞外から前記細胞への送達を考慮する場合、又は、より詳細には前記標的細胞の細胞質ゾル内のエフェクター分子の送達を考慮する場合に、ASGPR、詳細にはASGPR1のリガンド、例えばGalNAcを含むリガンドに結合されたエフェクター分子を送達するための、改善された治療用配合物又は改善された医薬組成物を提供することである。本発明の第2の目標は、エフェクター分子及びASGPRのリガンドを含むコンジュゲートによって治療すべき疾患に罹患している(ヒト)患者の改善された治療方法を提供することである。
【0056】
本発明の目的は、エフェクター分子に対する分子標的を含む標的細胞内に送達された時点で、生物学的効果を発揮することができる、エフェクター分子に共有結合されたASGPRのリガンドのコンジュゲートを含み、標的細胞を保持するコンジュゲートを、それを必要とする(ヒト)患者に投与したときに、現在コンジュゲートに必要とされている用量よりも低用量で、改善された治療効果又は十分な効果を有する治療組成物、又は、例えば2種の治療組成物の治療用配合物を提供することである。この方法により、コンジュゲートの治療域の範囲が効果的に広くなる。
【0057】
上記の目的の少なくとも1つは、少なくとも2種の医薬組成物の治療用配合物、又は本発明の医薬組成物を提供することによって達成される。
【0058】
本発明は、特定の実施形態について説明しているが、本発明はそれに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0059】
本発明の第1の態様は、
- エフェクター分子とアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)のリガンドとのコンジュゲートであって、ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ又は4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか又はそれからなるコンジュゲートと;
- モノデスモシドトリテルペン配糖体又はビデスモシドトリテルペン配糖体であるサポニンとを含み、
任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、医薬配合物に関する。
【0060】
一実施形態は、
- コンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第1の医薬組成物と;
- サポニンを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第2の医薬組成物とを含む、少なくとも2種の医薬組成物の形態の本発明の医薬配合物である。
【0061】
一実施形態は、コンジュゲート、サポニン、並びに任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、単一の医薬組成物の形態の本発明の医薬配合物である。
【0062】
本発明者らは、驚くべきことに、ASGPR、詳細にはASGPR1をそれらの表面に発現する細胞が、コンジュゲートとトリテルペン配糖体型のサポニン、典型的にはビデスモシドテルペノイド型のサポニンとの両方と前記細胞を接触させたときに、ASGPRのリガンド及びエフェクター分子を含むコンジュゲートが改善された取り込みを示すことを見出した。例えば、GalNAcをベースとしたASGPR1のリガンド、例えば(GalNAc)トリスコンジュゲートは、例えば、HSP27をサイレンシングするための遺伝子サイレンシングBNAなどのオリゴヌクレオチドと共有結合し、サポニンの存在下でそのように改善された取り込みを示す。これにより、ここで、本発明者らによって、例えば、そのようなオリゴヌクレオチドによって治療すべき標的細胞外からの前記細胞内へのオリゴヌクレオチドの送達の有効性を改善するための、詳細には、その表面にASGPR1を発現する標的細胞の細胞質ゾルへのBNA及び/又はsiRNAなどのオリゴヌクレオチドの細胞内送達を改善するための、長年にわたる切実な要求に対する解決策が提供される。本発明に従って適用されるサポニンは、例えば、そのようなサポニン及び毒素(この毒素は、例えば抗体薬物コンジュゲート(ADC)の一部である)と標的細胞が接触した時点でタンパク毒素のエンドソーム脱出を促進するような、それらの能力が知られている。ここで、本発明者らはまた、そのようなサポニンの特定の誘導体が、サポニン及びエフェクター分子が細胞内、即ちエンドソーム内で共存している場合に、エンドソーム及びリソソームから細胞質ゾルへのエフェクター分子の脱出を促進する、それらの能力を維持していることを立証した。驚くべきことに、そのようなサポニン誘導体は、そのようなサポニン誘導体の細胞毒性及び溶血作用を(天然に存在する)非改変サポニンで観察されるものよりも低減させながら、標的細胞を保持するASGPR1へのコンジュゲートによって構成されるエフェクター分子の送達を促進することができる。そのようなサポニン誘導体について、本明細書でより詳細に記載する。
【0063】
コンジュゲート - 序論
本発明の医薬配合物及び特定の医薬組成物は、エフェクター分子とASGPR1などのアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)、好ましくはASGPR1のリガンドとのコンジュゲートを含む。エフェクター分子がコンジュゲートの残部に結合されている場合、本明細書では「エフェクター部分」と称する。ASGPRリガンドは、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分を含む。本発明の実施形態によれば、各GalNAc部分は、式(I):
【0064】
【化1】
【0065】
に示すように、「1」位の酸素への共有結合を介して、ASGPRリガンドの残部と結合されるか、又は、ASGPRリガンドが単一のGalNAc部分からなる場合はエフェクター部分に結合される。
【0066】
式(II)に示すように、ASGPRリガンドは、好ましくはエフェクター部分リンカーLを介してエフェクター部分Eに結合された単一のGalNAc部分からなる。
【0067】
【化2】
【0068】
ASGPRリガンドは、2つ以上のGalNAc部分、例えば、2、3、4、5又は6つのGalNAc部分、好ましくは3又は4つのGalNAc部分、より好ましくは3つのGalNAc部分を含み得る。そのような場合、GalNAc部分がそれぞれ別々に「1」位の酸素を介して中央の架橋部分Bに共有結合されていることが好ましく、これによって、好ましくはエフェクター部分リンカーLを介してGalNAc部分とエフェクター部分の間に架橋が効果的に形成される。GalNAc部分は、式(III):
【0069】
【化3】
【0070】
(式中、nは3又は4以上の整数であり、好ましくはnは3であり、Lはエフェクター部分リンカーであり、Eはエフェクター部分である)に示されるように、架橋部分Bに直接結合されていてもよい。より好ましくは、GalNAc部分は、式(IV):
【0071】
【化4】
【0072】
(式中、nは3又は4以上の整数であり、好ましくはnは3であり、Lはエフェクター部分リンカーであり、Eはエフェクター部分である)に示されるように、GalNAcリンカーLGALを介して架橋部分Bに結合されている。LGALは出現する度に独立して選択されてもよいが、当業者であれば、LGALのそれぞれの出現が同一部分を表す場合、コンジュゲートの合成が簡略化されることを理解するであろう。
【0073】
コンジュゲート-リンカーL
エフェクター部分リンカーLは、式(II)におけるようなGalNAc、又は式(III)及び(IV)におけるような架橋部分Bにエフェクター部分を共有結合するのに好適な、あらゆる化学的部分を表す。リンカーの同一性及びサイズに特に制限はなく、式(II)におけるようなGalNAc又は式(III)及び(IV)におけるような架橋部分Bにエフェクター分子を共有結合することは、「通常の」化学官能基(例えば、エステル結合)により、並びに、典型的には長い鎖長を有する「クリックケミストリー」型のリンカーを介して実施してもよく、例えば、結果として10個超又は20個超の炭素原子を含むリンカーEが生じる。好適なエフェクター部分リンカーL及び関連するカップリング反応は、Hermanson,Greg T.Bioconjugate techniques.Academic press,2013というハンドブックに記載されている。
【0074】
当業者に理解されるように、エフェクター部分リンカーLは、典型的には、GalNAc又は架橋部分Bに共有結合された少なくとも第1の前駆体LE1と、エフェクター部分に共有結合された第2の前駆体LE2との間のカップリング反応(例えば、「クリックケミストリー」型)の結果生じるものである。この原理は、式(II)の化合物の以下の反応スキームに例示される:
【0075】
【化5】
【0076】
式中、Lはエフェクター部分リンカーであり、LE1はGalNAcに共有結合されたエフェクター部分リンカーLの前駆体であり、LE2はエフェクター部分に共有結合されたエフェクター部分リンカーLの前駆体であり、Eはエフェクター部分である。
【0077】
式(III)の化合物に対応する反応スキームは以下の通りである:
【0078】
【化6】
【0079】
式中、Lはエフェクター部分リンカーであり、LE1はGalNAcに共有結合されたエフェクター部分リンカーLの前駆体であり、LE2はエフェクター部分に共有結合されたエフェクター部分リンカーLの前駆体であり、nは3又は4以上の整数であり、好ましくはnは3であり、Bは架橋部分であり、Eはエフェクター部分である。
【0080】
式(IV)の化合物に対応する反応スキームは以下の通りである:
【0081】
【化7】
【0082】
式中、Lはエフェクター部分リンカーであり、LE1はGalNAcに共有結合されたエフェクター部分リンカーLの前駆体であり、LE2はエフェクター部分に共有結合されたエフェクター部分リンカーLの前駆体であり、nは3又は4以上の整数であり、好ましくはnは3であり、Eはエフェクター部分であり、LGALはGalNAcリンカーであり、Bは架橋部分である。
【0083】
エフェクター部分リンカーLは、GalNAc又は架橋部分に共有結合された少なくとも第1の前駆体LE1と、エフェクター部分に共有結合された第2の前駆体LE2との間のカップリング反応の結果生じさせることができ、カップリング反応は、例えば、アジド-アルキン付加環化、チオールマレイミドカップリング、シュタウディンガー反応、ひずんだ複素環式求電子剤(アジリジン、エポキシド、環状硫酸エステル、アジリジニウムイオン、エピスルホニウムイオンなど)の求核性開環、非アルドール型のカルボニル反応(尿素、チオ尿素、ヒドラゾン、オキシムエーテル、アミド若しくは芳香族ヘテロ環形成など)又は炭素-炭素二重結合の付加(エポキシ化、アジリジン化、ジヒドロキシル化、ハロゲン化スルフェンチル(sulfentyl halide)付加、ハロゲン化ニトロシル付加若しくはマイケル付加など)であり、好ましくはアジド-アルキン付加環化、チオールマレイミドカップリング、シュタウディンガー反応、ひずんだ複素環式求電子剤の求核性開環であり、より好ましくはアジド-アルキン付加環化又はチオールマレイミドカップリングである。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態によれば、エフェクター部分リンカーLは、スクシンイミドチオエーテル部分を含む。そのようなスクシンイミドチオエーテルは、例えば、N-置換マレイミドとチオール又はスルフヒドリル含有化合物との間のチオールマレイミドカップリングの結果生じるものである。このチオールマレイミドカップリングは、バイオコンジュゲーションの分野では「クリック」ケミストリーツールとして一般に知られており、例えば、Hermanson,Greg T.Bioconjugate techniques.Academic press,2013 page 289に記載されている。従って、エフェクター部分リンカーLは、GalNAc又は架橋部分に共有結合され、N-置換マレイミドを含む第1の前駆体LE1と、エフェクター部分に共有結合され、チオール又はその前駆体を含む第2の前駆体LE2との間のカップリング反応の結果生じるものであることが好ましい。好適なチオール前駆体は、対応するチオールへの還元によって、(例えば、in-situで)切断され得るジスルフィドである。
【0085】
式(V)、(VII)又は(VIII)の化合物に存在する前駆体LE1の好ましい構造は、以下の末端N-置換マレイミド:
【0086】
【化8】
【0087】
(式中、Xは末端N-置換マレイミドをGalNAc又は架橋部分Bに共有結合させるのに好適なあらゆるリンカーを表す)である。当業者に理解されるように、Xは、GalNAc又は架橋部分に共有結合された第1の部分と、マレイミドに共有結合された第2の部分との間のカップリング反応の結果生じ得る。Xは、ヒドラゾン及び/又は1,2,3-トリアゾールを含むことができる。本出願のリンカーの文脈において1,2,3-トリアゾールに言及する場合は必ず、1H-1,2,3-トリアゾールを意味することが好ましい。
【0088】
式(V)、(VII)又は(VIII)の化合物に存在する前駆体LE1の構造の実施形態は、以下の末端N-置換マレイミド:
【0089】
【化9】
【0090】
(式中、a及びbはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、好ましくはa及びbはそれぞれ独立して0、1、2、及び3から選択される整数を表し、より好ましくはa及びbは2を表し、LE1aはヒドラゾン及び/又は1,2,3-トリアゾール、好ましくは1,2,3-トリアゾールを表し、LE1bはヒドラゾン及び/又は1,2,3-トリアゾール、好ましくはヒドラゾンを表す);
【0091】
【化10】
【0092】
(式中、b及びcはそれぞれ独立して0以上の整数を表し、好ましくはbは0、1、2、及び3から選択される整数を表し、cは5~15の範囲の整数を表し、より好ましくはbは2を表し、及びcは9を表し、LE1aはヒドラゾン及び/又は1,2,3-トリアゾール、好ましくは1,2,3-トリアゾールを表し、LE1bはヒドラゾン及び/又は1,2,3-トリアゾール、好ましくはヒドラゾンを表す);
並びに
【0093】
【化11】
【0094】
(式中、cは0以上の整数を表し、好ましくは5~15の範囲の整数を表し、より好ましくは9を表し、LE1cはヒドラゾン及び/又は1,2,3-トリアゾール、好ましくは1,2,3-トリアゾールを表す)である。
【0095】
E1a、LE1b及びLE1cは、好ましくはそれぞれ20個未満の炭素原子を含み、より好ましくはそれぞれ独立して式(XIII)、(XIV)又は(XV)に従う部分を表し、好ましくは、LE1aは式(XIII)の1,2,3-トリアゾールであり、LE1bは式(XIV)のヒドラゾンであり、LE1cは式(XV)の1,2,3-トリアゾールである:
【0096】
【化12】
【0097】
従って、いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、本明細書に記載されるような式(II)、(III)又は(IV)の化合物であり、エフェクター部分リンカーLが式(V)、(VII)又は(VIII)の化合物と式(VI)の化合物との間のカップリング反応の結果生じるものであり、第1の前駆体LE1は式(X)、(XI)又は(XII)の末端N-置換マレイミドであり、LE1aは、例えば、式(XIII)の1,2,3-トリアゾールであり、LE1bは、例えば、式(XIV)のヒドラゾンであり、LE1cは、例えば、式(XV)の1,2,3-トリアゾールである。
【0098】
コンジュゲート-架橋部分B
式(III)又は(IV)の化合物に存在する架橋部分Bは、2つ以上のGalNAc部分、好ましくは3つのGalNAc部分と、エフェクター部分リンカーLとを共有結合するのに好適なあらゆる部分を表す。
【0099】
好ましい実施形態によれば、架橋部分Bは、式(XV)の化合物:
【0100】
【化13】
【0101】
であり、式(XV)の化合物の酸素原子が、GalNAc(式(III)の化合物に対応する)又はGalNAcリンカーLGAL(式(IV)の化合物に対応する)に結合され、式(XV)の化合物の窒素原子が、エフェクター部分リンカーLに結合されている。
【0102】
当業者であれば、架橋部分Bが式(XV)の化合物である式(III)又は(IV)のこれらの化合物が、ASGPRリガンドが(GalNAc)トリスからなるコンジュゲートに対応することが理解されよう。
【0103】
コンジュゲート-リンカーLGAL
GalNAcリンカーLGALは、式(IV)におけるような、GalNAcを架橋部分に共有結合するのに好適なあらゆる化学的部分を表す。リンカーの同一性及びサイズには特に制限はない。
【0104】
実施形態によれば、GalNAcリンカーLGALは、それぞれ2~25個の炭素原子、好ましくは7~15個の炭素原子、より好ましくは11個の炭素原子を含む。好ましくは、GalNAcリンカーLGALは、少なくとも1つ、好ましくは2つのアミド部分を含む。特に好ましいGalNAcリンカーLGALは、式(XVI)に従った化合物:
【0105】
【化14】
【0106】
である。
【0107】
コンジュゲート-エフェクター部分
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子が、薬物分子などの小分子、タンパク毒素などの毒素、BNA、異種核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むか又はそれからなり、好ましくは毒素、酵素又はオリゴヌクレオチドである。本発明によれば、エフェクター分子は、ASGPRをその表面に発現し、細胞内、例えば、前記細胞の細胞質ゾル内にエフェクター分子の結合パートナーを含む細胞内で生物学的効果を発揮することができる分子であり、それによって、エフェクター分子が細胞内、好ましくは細胞質ゾル内、即ちエフェクター分子の標的が存在する細胞内位置に送達された時点で、その細胞内での生物学的効果を発揮することができる。
【0108】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、ASGPRのリガンド、詳細にはASGPR1のリガンドと、エフェクター分子、好ましくは毒素又はオリゴヌクレオチドとが、共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのリンカーを介してコンジュゲートされている。(GalNAc)トリスなどのASGPRのリガンドをBNA若しくはsiRNA又はタンパク毒素などのエフェクター分子に結合させるのに好適な、そのようなリンカーは、上記に詳述されている。
【0109】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子が、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、アンチヘアピン型マイクロRNA(miRNA)、一本鎖RNA、アプタマーRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、アンチマイクロRNA、(アンチmiRNA、アンチmiR)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、mRNA、DNA、アンチセンスDNA、ロックド核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸(BNANC)、BNAベースのsiRNA、及びBNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチド(BNA-AON)のいずれか1つ以上から選択されるオリゴヌクレオチドである。前述のように、本発明のコンジュゲートによって構成されるリガンドの受容体、即ちASGPRを発現する細胞内に標的結合パートナーが存在するあらゆるエフェクター分子が、本発明のコンジュゲートに組み込むために適切に選択される。従って、例えば、その表面にASGPRを晒している細胞に存在する遺伝子やmRNAなどを標的化することができるASO、siRNA又はBNAは、本発明のコンジュゲートに組み込むための好適な候補である。
【0110】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子が、アンチmiRNA、BNA-AON又はsiRNA、例えば、好ましくは化学的に修飾されたsiRNA、代謝的に安定したsiRNA、及び化学的に修飾され、代謝的に安定したsiRNAから選択されるBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択されるオリゴヌクレオチドである。そのような化学的に修飾され、及び/又は代謝的に安定なsiRNA部分は、当技術分野において公知であり、ASGPRのリガンドに結合するのに好適である。
【0111】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子が、以下の遺伝子:HSP27、アポリポタンパク質B(アポB)、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができ、並びに/又は異常なmiRNAを標的化することができるオリゴヌクレオチドである。一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子が、細胞内に存在する場合、以下の遺伝子:アポリポタンパク質B(アポB)、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができるオリゴヌクレオチドであり、並びに/又は、エフェクター分子は、細胞内に存在する場合、異常なmiRNAを標的化することができる。本発明によれば、例えば、本発明によるサポニンと共に、例えば遺伝子、mRNA発現(レベル)の改変、遺伝子のサイレンシングなどを必要とする対象に同時投与した場合に、本発明のコンジュゲートによって構成される(例えば、BNA、siRNA、ASOである)エフェクター分子によって、その細胞表面にASGPRを発現する細胞に存在する任意の遺伝子又はmRNAを効果的に標的化することができる。サポニンの影響下でエフェクター分子及びASGPRのリガンドを含むコンジュゲートの治療域の範囲が広がり、これによって標的細胞内でより強力なエフェクター分子の生物学的効果がもたらされるか、及び/又は、サポニン若しくはサポニン誘導体の不在下で標的細胞がコンジュゲートに晒されたときに達成されるものよりも低い有効量でエフェクター分子の生物学的効果がもたらされる。本発明によれば、ASGPRを発現する標的細胞を、サポニン又はサポニン誘導体と共に、ASGPRのリガンド及びエフェクター分子を含むコンジュゲートと接触させることにより、エフェクター分子の細胞内活性に関する閾値を克服する結果が生じ得る。例えば、サポニンの不在下、標的細胞の細胞質ゾル内で十分な高濃度のエフェクター分子を到達するのに必要となるコンジュゲートの用量は、エフェクター分子によるそのような治療を必要とする患者に安全に投与するには高すぎてしまう可能性がある。サポニンの存在下でのエフェクター分子は、すでにサポニンの不在下で標的細胞がより低用量に晒される場合に細胞内で効果を発揮することのない、そのようなより低用量で、ASGPRを発現する標的細胞の細胞質ゾルにおいてその生物学的効果を発揮することができる。例えば、(肝臓)細胞のHSP27をサイレンシングするBNAは、ASGPRのGalNAcリガンドとBNAとのコンジュゲートをASGPR保持細胞と接触させた場合に、ASGPR保持細胞内でHSP27をサイレンシングすることはなかったが、一方で、サポニン又はサポニン誘導体、例えば、サポニンのアグリコン内のアルデヒド基にコンジュゲートしたリンカーEMCHを有するサポニンの存在下で同一細胞を同一用量又はより低用量のコンジュゲートと接触させた場合に、HSP27は標的細胞内で効果的にサイレンシングされた(添付の実施例2及び図11に示される)。従って、ここで、本発明者らは、それを必要とする患者に、より低用量でエフェクター分子を投与することができるような、又は改善された治療域を有するエフェクター分子を投与し、エフェクター分子がその細胞内標的に到達した時点で本発明によるコンジュゲートの標的細胞内で改善された治療効果を生じさせることができるような分子、医薬配合物、医薬組成物、並びに、そのような分子、配合物、及び組成物によって(ヒト)対象を治療するための方法を提供する。
【0112】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子が、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下のタンパク質:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるか、又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、発癌性miRNA(onco-miR)の阻害若しくはonco-miRの発現の抑制などのmiRNA機能を弱めるか若しくは回復させることができるオリゴヌクレオチドである。そのようなタンパク質は、典型的に疾患に関与するものであり、例えば、そのようなタンパク質の発現に関与する遺伝子をサイレンシングすることにより、疾患又は病症が緩和され、サポニン及びASGPRのリガンドとこれらのタンパク質のいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるエフェクター分子とを含むコンジュゲートの配合物によって治療された患者に利益がもたらされる。従って、本発明の一部は、サポニンを含む本発明の配合物及び組成物が、RNAiベースの治療レジメンに含まれることが好適である。RNAiを用いると、mRNAを切断するか、又はmRNA翻訳を抑制することによって、標的遺伝子をサイレンシングすることが可能になる。サポニンは、本明細書に記載されるように、RNAi療法のために選択され、ASGPRを発現する標的細胞を、サポニン及びコンジュゲートの両方と接触させたときに、エフェクター分子の細胞質ゾル送達が改善されることにより、遺伝子をサイレンシングするエフェクター分子を増強する手助けをする。
【0113】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、エフェクター分子は、好ましくはペプチド、タンパク質、ウレアーゼ及びCre-リコンビナーゼなどの酵素、タンパク性毒素、リボソーム不活性化タンパク質、表A5から選択されるタンパク毒素、並びに/又は、細菌毒素、より好ましくはアポプチンなどのウイルス毒素のいずれか1つ以上から選択される植物毒素;志賀毒素、志賀様毒素、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素(PE)若しくはPEの外毒素Aなどの細菌毒素、完全長若しくはトランケートされたジフテリア毒素(DT)、コレラ毒素;αサルシンなどの真菌毒素;リボソーム不活性化タンパク質を含む植物毒素及び2型リボソーム不活性化タンパク質のA鎖、例えば、ダイアンシン(例えば、ダイアンシン-30若しくはダイアンシン-32)、サポリン(例えば、サポリン-S3若しくはサポリン-S6)、ブーガニン若しくはブーガニンの脱免疫化誘導体であるデブーガニング、志賀様毒素A、ヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、リシン、リシンA鎖、モデシン、モデシンA鎖、アブリン、アブリンA鎖、ボルケンシン、ボルケンシンA鎖、ビスキュミン、ビスキュミンA鎖;又はカエルRNaseなどの動物若しくはヒト毒素、又はヒト由来のグランザイムB若しくはアンギオゲニン、又はこれらの任意のフラグメント若しくは誘導体のいずれか1つ以上から選択される少なくとも1つのタンパク性分子を含むか又はそれからなる毒素であり;好ましくは、タンパク毒素は、ダイアンシン及び/若しくはサポリンであり、並びに/又は毒素標的化リボソーム、毒素標的化延長因子、毒素標的化チューブリン、毒素標的化DNA及び毒素標的化RNAの少なくとも1つ、より好ましくは、エムタンシン、パスドトクス、マイタンシノイド誘導体DM1、マイタンシノイド誘導体DM4、モノメチルアウリスタチンE(MMAE、ベドチン)、モノメチルアウリスタチンF(MMAF、マホドチン)、カリケアマイシン、N-アセチル-γ-カリケアマイシン、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)二量体、ベンゾジアゼピン、CC-1065類似体、デュオカルマイシン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、シスプラチン、シクロホスファミド、エトポシド、ドセタキセル、5-フルオロウラシル(5-FU)、ミトキサントロン、ツブリシン、インドリノベンゾジアゼピン、AZ13599185、クリプトフィシン、リゾキシン、メトトレキセート、アントラサイクリン、カンプトセシン類似体、SN-38、DX-8951f、メシル酸エキサテカン、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)外毒素(PE38)のトランケート形態、デュオカルマイシン誘導体、アマニチン、α-アマニチン、スプライソスタチン、タイランスタチン、オゾガマイシン、テシリン、アンバースタチン269及びソラブタンシン、若しくはこれらの誘導体のいずれか少なくとも1つを含むか若しくはそれからなる。本発明者らは、本発明の配合物及び本発明の組成物がASGPRリガンドとエフェクター分子とのコンジュゲートによって構成されている場合に、ペプチド及びタンパク質などのエフェクター分子を細胞質ゾルに送達することに関して、コンジュゲートの一部としてこのようなエフェクター分子をサポニン又はサポニン誘導体の存在下でASGPRを発現する標的細胞と接触させたときに、核酸塩基ベースのエフェクター分子の送達を改善するのに等しく好適であることを立証した。例えば、本発明に従って、標的細胞をエフェクター分子(即ち、タンパク毒素)及びASGPRのリガンドを含むコンジュゲート、並びにサポニンと接触させた場合に、タンパク毒素の治療域の範囲が広くなる。標的細胞をサポニン及び毒素を含むコンジュゲートに晒した場合、毒素は、サポニン又はサポニン誘導体の不在下で同一の毒素用量又は同一の低い毒素用量で達成される細胞内効果と比較して、より高い程度又はより低用量でその細胞内効果を発揮する。
【0114】
サポニン
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンが、
2α-ヒドロキシオレアノール酸;
16α-ヒドロキシオレアノール酸;
ヘデラゲニン(23-ヒドロキシオレアノール酸);
16α,23-ヒドロキシオレアノール酸;
ギプソゲニン;
キラ酸;
プロトエシゲニン-21(2-メチルブタ-2-エノアート)-22-アセテート;
23-オキソ-バリングトゲノールC-21,22-ビス(2-メチルブタ-2-エノアート);
23-オキソ-バリングトゲノールC-21(2-メチルブタ-2-エノアート)-16,22-ジアセテート;
ジギトゲニン;
3,16,28-トリヒドロキシオレアナン-12-エン;
ギプソゲン酸;
並びに
これらの誘導体
からなる群(本明細書では「群C」と称する)から選択されるアグリコンコア構造を含み、
好ましくは、サポニンは、キラ酸及びギプソゲニン又はこれらの誘導体から選択されるアグリコンコア構造を含み、より好ましくは、サポニンアグリコンコア構造は、キラ酸又はその誘導体である。そのような好ましいアグリコンは、C4原子にアルデヒド基を含む。任意の論理に束縛されるものではないが、このようなアルデヒド基、又は本明細書の他の個所に記載されるようなそれらの誘導体は、群Cから選択されるアグリコン、特にキラヤ酸及びギプソゲニンを含むトリテルペン配糖体型のサポニンのエンドソーム脱出を促進する活性に寄与する。
【0115】
一実施形態は、本発明のサポニンコンジュゲートであって、少なくとも1つのサポニンが、C4位にアルデヒド基を含む12,13-デヒドロオレアナンの種類に属し、任意選択によりサポニンのC-3β-OH基の炭水化物置換基にグルクロン酸基を含む、モノデスモシド又はビデスモシドトリテルペンサポニンであり、好ましくはC4位にアルデヒド基を含む12,13-デヒドロオレアナンの種類に属し、サポニンのC-3β-OH基の炭水化物置換基にグルクロン酸基を含む、ビデスモシドトリテルペンサポニンである。
【0116】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、
・サポニンが、群A:
GlcA-、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-Ara-、
Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-[Glc-(1→4)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Xyl-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Glc-(1→3)-Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-Glc-(1→4)-Gal-、
Rha-(1→2)-Gal-(1→3)-[Glc-(1→2)]-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、及び
これらの誘導体から選択されるアグリコンコア構造に結合された糖鎖を含むか、
又は
・サポニンが、群B:
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-[Xyl-(1→4)]-Rha-、
Rha-(1→2)-[Ara-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-、
Ara-、
Xyl-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R1-(→4)]-Fuc-(式中、R1は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R2-(→4)]-Fuc-(式中、R2は4Z-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-3、4-ジ-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R3-(→4)]-3-OAc-Fuc-(式中、R3は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
(Ara-若しくはXyl-)(1→3)-(Ara-若しくはXyl-)(1→4)-(Rha-若しくはFuc-)(1→2)-[4-OAc-(Rha-若しくはFuc-)(1→4)]-(Rha-若しくはFuc-)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Ara/Xyl-(1→4)-Rha/Fuc-(1→4)-[Glc/Gal-(1→2)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R4-(→4)]-Fuc-(式中、R4は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R5-(→4)]-Fuc-(式中、R5は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc-Rha-(1→3)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc--Rha-(1→3)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3、4-ジ-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R6-(→4)]-Fuc-(式中、R6は5-O-[5-O-Rha-(1→2)-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R7-(→4)]-Fuc-(式中、R7は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R8-(→4)]-Fuc-(式中、R8は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R9-(→4)]-Fuc-(式中、R9は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R10-(→4)]-Fuc-(式中、R10は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R11-(→3)]-Fuc-(式中、R11は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R12-(→3)]-Fuc-(式中、R12は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Glc-(1→3)-[Glc-(1→6)]-Gal-、及び
これらの誘導体
から選択されるアグリコンコア構造に結合された糖鎖を含むか、
又は
・サポニンが、アグリコンコア構造に結合された群Aから選択される第1の糖鎖を含み、アグリコンコア構造に結合された群Bから選択される第2の糖鎖を含むビデスモシドトリテルペン配糖体である。
【0117】
そのようなサポニンは、サポニン及びエフェクター分子(エフェクター分子及びASGPR1のリガンドを含む本発明によるコンジュゲートの一部、例えば(GalNAc)トリスなど)と標的細胞を接触させたときに、典型的なエンドソーム脱出促進効果を示す。群Cから選択される1つ又は2つの糖を含むそのような選択されたサポニンの影響下で、コンジュゲート内のエフェクター分子が、標的細胞内のエフェクター分子の生物活性が確認されるか若しくは増加するような、又は、エフェクター分子の活性がサポニンの不在下における同一の活性レベルで必要とされる用量よりも低用量で確認することができるような細胞内の閾値レベルに到達する。表1には、そのようなエンドソーム脱出促進活性を有するサポニンがまとめられている。これらのサポニンは、列挙された群Cのアグリコンコア構造を含み、群A及び/又は群Bの単糖又は多糖体を含み、標的細胞がエフェクター分子及びサポニンの両方に晒される場合にエフェクター分子を増強するか、又はそのようなエンドソーム脱出促進活性が確認されているサポニンと高い構造的類似性を有することが示されている。
【0118】
従って、一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンが、キラヤ樹皮サポニン、ディプサコシドB、サイコサポニンA、サイコサポニンD、マクラントイジンA、エスクレントシドA(esculentoside A)、フィトラッカゲニン、エシネート、AS6.2、NP-005236、AMA-1、AMR、α-ヘデリン、NP-012672、NP-017777、NP-017778、NP-017774、NP-018110、NP-017772、NP-018109、NP-017888、NP-017889、NP-018108、SA1641、AE X55、NP-017674、NP-017810、AG1、NP-003881、NP-017676、NP-017677、NP-017706、NP-017705、NP-017773、NP-017775、SA1657、AG2、SO1861、GE1741、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1862、SO1904、QS-7、QS1861、QS-7 api、QS1862、QS-17、QS-18、QS-21 A-apio、QS-21 A-xylo、QS-21 B-apio、QS-21 B-xylo、β-エスシン、エスシンIa、茶種子サポニンI、茶種子サポニンJ、アッサムサポニンF、ジギトニン、プリムラ酸1及びAS64R、これらの立体異性体、これらの誘導体、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはQS-21、QS-21誘導体、SO1861、SO1861誘導体、SA1641、SA1641誘導体、GE1741、GE1741誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはQS-21誘導体、SO1861誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、最も好ましくはSO1861誘導体である。本発明者らは、これらの誘導体が、本明細書に記載されるようなエフェクター分子から構成されるコンジュゲートと組み合わせて使用する場合に、改善された増強効果を有することを見出した。即ち、この誘導体によって、より低い細胞毒性と、より低い溶血作用とを示しながら、非誘導体化サポニンに匹敵するエンドソーム脱出促進効果がもたらされる。本発明の文脈に好適なサポニン誘導体のより構造的な詳細を以下に示す。
【0119】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、誘導体化されたアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含むか;又は
ii.サポニン誘導体が、誘導体化されたカルボキシル基を含む糖鎖、好ましくは上記に定義される群Aから選択される糖鎖を含むか;又は
iii.サポニン誘導体が、誘導体化されたアセトキシ(Me(CO)O-)基を含む糖鎖、好ましくは上記に定義される群Bから選択される糖鎖を含むか;又は
iv.誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせが存在する。
【0120】
本発明者らは、詳細には、天然に存在するサポニンに存在する単一の化学基に対して、又はそのような化学基の2つに対して誘導体化されているサポニンが、そのようなサポニン誘導体の天然に存在する非修飾対応物の細胞毒性及び溶血作用と比較して、そのようなモノ誘導体化及びビ誘導体化(bi-derivatised)サポニンの細胞毒性及び溶血作用の両方を強力に低減させながら、十分なエフェクター分子増強活性を維持していることを立証した。また、本発明に従って好適なのは、サポニンと、エフェクター分子を含むコンジュゲートとの両方を、ASGPR1をその表面に晒している標的細胞と接触させたときに、エフェクター分子増強効果が確認されるような天然に存在するサポニンである。
【0121】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンが、SO1861、SA1657、GE1741、SA1641、QS-21、QS-21A、QS-21 A-api、QS-21 A-xyl、QS-21B、QS-21 B-api、QS-21 B-xyl、QS-7-xyl、QS-7-api、QS-17-api、QS-17-xyl、QS1861、QS1862、キラヤサポニン、サポニナム・アルブム(Saponinum album)、QS-18、Quil-A、Gyp1、ジプソシドA、AG1、AG2、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1904、これらの立体異性体、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはQS-21、QS-21誘導体、SO1861、SO1861誘導体、SA1641、SA1641誘導体、GE1741、GE1741誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはQS-21誘導体、SO1861誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、最も好ましくはSO1861誘導体である。
【0122】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンが、上記に列記されるような群Cのキラ酸又はギプソゲニンサポニンのサポニン誘導体であり、分子1:
【0123】
【化15】
【0124】
[式中、
は水素、単糖又は直鎖若しくは分岐オリゴ糖を表し、好ましくは上記に定義される群Aから選択される糖鎖を表し、より好ましくは上記に定義される群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか又はそれからなり;
は水素、単糖又は直鎖若しくは分岐オリゴ糖を表し、好ましくは上記に定義される群Bから選択される糖鎖を表し、より好ましくは上記に定義される群Bから選択される糖鎖を表し、及び少なくとも1つのアセトキシ(Me(CO)O-)基、例えば1、2、3、又は4つのアセトキシ基を含み、A及びAの少なくとも1つは水素でなく、好ましくはA及びAの両方がオリゴ糖鎖であり;
並びに、Rはギプソゲニン内の水素又はキラ酸内のヒドロキシルである]で表され:
サポニン誘導体は、分子1で表されるサポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が誘導体化されている;
ii.Aが上記に定義される群Aから選択される糖鎖を表し、及びAがグルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が誘導体化されている;及び
iii.Aが上記に定義される群Bから選択される糖鎖を表し、及び少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が誘導体化されている、の少なくとも1つが存在する。
【0125】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、Aが上記に定義される群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか若しくはそれからなり、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が誘導体化されているか、並びに/又は、Aが上記に定義される群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含み、Aの少なくとも1つのアセトキシ基が誘導体化されている。
【0126】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、分子1で表されるサポニンが、ビデスモシドトリテルペンサポニン、即ち、ビデスモシドトリテルペン配糖体型のサポニンである。
【0127】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニン誘導体が、分子1で表されるサポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、前記EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換によって誘導体化されており;
ii.Aが上記に定義される群Aから選択される糖鎖を表し、及びAがグルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されており、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされ;
iii.Aが上記に定義される群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への転換によって誘導体化されている、の少なくとも1つが存在する。
【0128】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、Aが、Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcAであり、及び/又は、Aが、Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fucであり、好ましくは、分子1で示されるサポニンが、3-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)]-β-D-グルクロノピラノシルキラ酸28-O-β-D-グルコピラノシル-(1→3)-β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)-4OAc-β-D-キノボピラノシル-(1→4)]-β-D-フコピラノシドであり、より好ましくはSO1861、GE1741、SA1641及び/若しくはQS-21又はそれらの誘導体、最も好ましくはSO1861又はそれらの誘導体である。
【0129】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンがサポニン誘導体であり、
i.サポニン誘導体が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、前記EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換
によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含むか;又は
ii.サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは上記に定義される群Aから選択される糖鎖を含み、糖鎖が、カルボキシル基、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.サポニン誘導体が、好ましくは上記に定義される群Bから選択され、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への変換によって誘導体化されているアセトキシ(Me(CO)O-)基を含む糖鎖を含むか;又は
iv.サポニン誘導体が、誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせを含み;
好ましくは、サポニン誘導体が、EMCHとの反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、EMCHのマレイミド基は、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される。
【0130】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンがサポニン誘導体であり、
i.サポニン誘導体が、N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされるか;又は
ii.サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは上記に定義される群Aから選択される糖鎖を含み、糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.サポニン誘導体が、誘導体化i.及びii.の組み合わせを含む。
【0131】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニン誘導体が、アルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは上記に定義される群Aから選択される糖鎖を含み、糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含む。
【0132】
一実施形態は、本発明の医薬配合物であって、サポニンが、分子2:
【0133】
【化16】
【0134】
で表されるサポニン誘導体であるか、
又は、サポニン誘導体が、分子3:
【0135】
【化17】
【0136】
で表されるサポニン誘導体である。
【0137】
【表1】
【0138】
【表2】
【0139】
【表3】
【0140】
【表4】
【0141】
【表5】
【0142】
本発明の第2の態様は、薬剤としての使用のための、本発明の医薬配合物に関する。本発明者らの知る限りにおいて、例えば、siRNA又はBNAベースの療法の有効性を改善するための本発明の医薬配合物を最初に提供するのは本発明者らである。本発明の医薬配合物を使用することによって、ASGPR1のリガンドを含むコンジュゲートによって構成されるエフェクター分子の細胞内効果が増強される。この薬剤は、ASGPR1を発現する異常な肝臓細胞に関与する疾患又は異常を治療するのに特に好適である。異常な肝臓細胞とは、例えば、発現産物が以下の遺伝子:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関与するあらゆる疾患又は健康問題に悩まされている患者の細胞である。そのような疾患は、例えば、癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、HSP27発現に関連する疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患のいずれかである。
【0143】
本発明の第3の態様は、発現産物が、以下の遺伝子:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関与する疾患又は健康問題の治療又は予防における使用のための本発明の医薬配合物に関する。
【0144】
一実施形態は、本発明の医薬配合物、又は本発明における使用のための、癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、HSP27発現に関連する疾患若しくは障害、若しくは自己免疫疾患の治療若しくは予防における使用のための医薬配合物である。
【0145】
一実施形態は、本発明による使用のための医薬配合物であって、医薬配合物が、
・サポニン誘導体を含み、サポニン誘導体が、分子1で表されるサポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換によって誘導体化されており;
ii.Aが群Aから選択される糖鎖を表し、及びAがグルクロン酸部分を含むか若しくはそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)若しくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されており、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、若しくはQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされ;
iii.Aが群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分若しくは2つ以上の糖部分のうち1つ以上、任意選択により全てのアセトキシ基が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への転換によって誘導体化されている、の少なくとも1つが存在し;又は
・分子1によるサポニンであって、Aが、Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcAであり、及び/若しくは、Aが、Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fucであり、好ましくは、分子1で示されるサポニンが、3-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)]-β-D-グルクロノピラノシルキラ酸28-O-β-D-グルコピラノシル-(1→3)-β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)-4OAc-β-D-キノボピラノシル-(1→4)]-β-D-フコピラノシドであり、より好ましくはSO1861、GE1741、SA1641及び/若しくはQS-21若しくはそれらの誘導体、最も好ましくはSO1861若しくはそれらの誘導体であるか;又は
・サポニン誘導体であって、
i.サポニン誘導体が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換
によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み;
ii.サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは群Aから選択される糖鎖を含み、糖鎖が、カルボキシル基、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)若しくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、若しくはQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされ;
iii.サポニン誘導体が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への変換によって誘導体化されているアセトキシ(Me(CO)O-)基を含む、好ましくは群Bから選択される糖鎖を含むか;又は
iv.サポニン誘導体が、誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせを含み;
好ましくは、サポニン誘導体が、EMCHとの反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、EMCHのマレイミド基は、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化されるか;又は
・サポニン誘導体であって、
i.サポニン誘導体が、N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ;
ii.サポニンが、糖鎖、好ましくは群Aから選択される糖鎖を含み、糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.サポニン誘導体が、誘導体化i.及びii.の組み合わせを含むか;又は
・サポニン誘導体が、アルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは群Aから選択される糖鎖を含み、この糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含むか;又は
・サポニン誘導体が、分子2:
【0146】
【化18】
【0147】
で表されるか、
又は、サポニン誘導体が、分子3:
【0148】
【化19】
【0149】
で表される。
【0150】
本発明の第4の態様は、本発明によるASGPRのリガンドを含むコンジュゲートによって構成されるエフェクター分子を、細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)移行されるエフェクター分子を含む本発明のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明によるサポニンを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)のコンジュゲート及び工程c)のサポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程であって、それによって細胞外から前記細胞内へのエフェクター分子を含む前記コンジュゲートの移行を生じさせ、前記コンジュゲートの移行を生じさせることによって、細胞外から前記細胞内、好ましくは前記細胞の細胞質ゾルへのエフェクター分子の移行を生じさせる、接触させる工程
を含む方法に関する。
【0151】
本発明の第5の態様は、本発明のコンジュゲートを細胞外から前記細胞内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)本発明のコンジュゲートを提供する工程;
c)本発明のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の細胞を、工程b)のコンジュゲート及び工程c)のサポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程であって、それによって細胞外から前記細胞内へのコンジュゲートの移行を生じさせる、接触させる工程
を含む方法に関する。
【0152】
一実施形態は、本発明の2つの方法のいずれかであって、ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ若しくは4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか若しくはそれからなり、並びに/又は、エフェクター分子が、アンチmiRNA、BNA-AON若しくはsiRNA、例えば、好ましくは化学的に修飾されたsiRNA、代謝的に安定したsiRNA、及び化学的に修飾され、代謝的に安定したsiRNAから選択されるBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択されるオリゴヌクレオチドである。
【0153】
一実施形態は、本発明の2つの方法のいずれかであって、エフェクター分子が、薬物分子などの小分子、タンパク毒素などの毒素、BNA、異種核酸若しくはsiRNAなどのオリゴヌクレオチド、酵素、ペプチド、タンパク質、又はそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含むか又はそれからなり、好ましくはエフェクター分子は毒素、酵素又はオリゴヌクレオチドであり、好ましくは毒素はサポリン又はダイアンシンである。
【0154】
一実施形態は、本発明の2つの方法のいずれかであって、サポニンは、誘導体化SO1861及び/又は誘導体化QS-21であり、好ましくは、本発明の前述の実施形態によるSO1861-Glu-AEM又はSO1861-Ald-EMCH又はQS-21-Glu-AEM又はQS-21-Ald-EMCHである。
【0155】
一実施形態は、本発明の2つの方法のいずれかであって、サポニンは、分子1で表されるサポニンに対応するサポニン誘導体であり、以下の誘導体化:
i.キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換によって誘導体化されており;
ii.Aが群Aから選択される糖鎖を表し、及びAがグルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されており、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされ;
iii.Aが群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への転換によって誘導体化されている、の少なくとも1つが存在する。
【0156】
一実施形態は、本発明の2つの方法のいずれかであって、エフェクター分子が、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下の遺伝子:アポリポタンパク質B(アポB)、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができ、並びに/又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、異常なmiRNAを標的化することができ、並びに/又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下のタンパク質:アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるか、又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、miRNA(onco-miR)の阻害若しくはonco-miRの発現の抑制などのmiRNA機能を弱めるか若しくは回復させることができる、オリゴヌクレオチドである。
【0157】
本発明の第6の態様は、本発明の医薬配合物又は本発明の第2の医薬組成物を含むキットオブパーツ、及び本発明による前記医薬配合物若しくは第2の医薬組成物を使用するための、又は本発明による方法を使用するための指示書に関する。
【0158】
いくつかの実施形態の観点から本発明を説明してきたが、明細書を読み、図面を精査すれば、それらの代替、変更、並べ替え、及び均等物が当業者に明らかになることが意図される。本発明は、例示された実施形態にいかなる形であっても限定されるものではない。変更は、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲を逸脱することなく行うことができる。
【0159】
多数の例示的な実施形態を参照しながら、本発明を上記で説明してきた。変更は、添付の特許請求の範囲に規定されるような保護の範囲内で可能であり、この範囲に包含される。本発明をさらに以下の実施例で説明するが、本発明をいかなる形であっても限定するものと解釈すべきでない。
【実施例
【0160】
実施例及び例示的な実施形態
実施例1.CD71-サポリン+4000nMの三価GalNAc-L-SO1861
三価GalNAcは、肝細胞上のASGPR1受容体を認識し、結合する標的リガンドである。三価GalNACを生成し(図1及び図8)、SO1861-EMCHを、結合したSO1861に対してDAR=1で三価GalNAcとコンジュゲートした(不安定、未誘導体化SO1861について図2及び図4に記載されるものと同様の方法でコンジュゲートするが、ここでSPT001はSO1861と同義である)(三価GalNAc-SO1861、(GalNAc)3-SO1861とも称する)。SO1861-EMCHはSO1861を指し、アルデヒド基がN-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)と反応することによってヒドラゾン結合に変換することで誘導体化され、それによってSO1861-Ald-EMCHがもたらされる。図1及び8に示すような「三価GalNAc」は、エフェクター分子又はサポニンに結合するのに好適な、典型的な(GalNAc)トリスコンジュゲートである。対照として、SO1861-EMCHを、結合したSO1861に対してDAR=1で一価GalNAc(図3)ともコンジュゲートした(不安定)(GalNAc-SO1861)。HepG2(ASGPR1;CD71、表A3)細胞及びHuh7(ASGPR1+/-;CD71、表A3)細胞を、10pMのCD71-サポリン(タンパク毒素サポリンにコンジュゲートされたCD71を標的化するモノクローナル抗体OKT-9)の存在下及び不在下で、三価GalNAc-L-SO1861及びGalNAc-L-SO1861の濃度範囲で処置した。CD71-サポリンの不在下で細胞を処置すると、単一化合物としての三価GalNAc-L-SO1861(又は三価GalNAcであり、(GalNAc)3とも称する)は有毒でなく、最大で15000nMであることが示されている(図9)。
【0161】
また、HepG2細胞及びHuh7細胞を、1000nM又は4000nMの三価GalNAc-SO1861(結合したSO1861に対してDAR=1)((GalNAc)3-SPTとも称する)の固定濃度と組み合わせて、CD71-サポリン(CD71-SPRNとも称する)の濃度範囲で処置した。ASGPR1/CD71発現細胞(HepG2及びHuh7)の、標的タンパク毒素によって媒介される細胞死滅を測定した。これにより、両細胞株で低濃度のCD71-サポリンにおいて強力な細胞死滅が明らかとなった(IC50=1pM)一方で、同等濃度のCD71-サポリン、CD71-サポリン+1000nMの三価GalNAc又はCD71-サポリン+4000nMの三価GalNAcは、両細胞株で高濃度のCD71-サポリンでしか細胞死滅を誘発することができなかった(IC50=100pM)(図10)。
【0162】
このことは全て、低濃度のCD71-サポリンと組み合わせた三価GalNAc-SO1861が、ASGPR1/CD71発現細胞の細胞死滅を効果的に誘導することを示している。従って、三価GalNAc-SO1861によって、ASGPR1発現細胞のタンパク毒素のエンドソーム脱出が効果的に誘導される。
【0163】
実施例2 三価GalNAc-L/S-BNA+SO1861-EMCH
HSP27BNAを三価GalNAcにコンジュゲートし(図6~7)、HepG2(ASGPR1)細胞又はHuh7(ASPGR1+/-)を、4000nMのSO1861-EMCH(SPT-EMCHとも称する)の固定濃度と組み合わせて、三価GalNAc-L-HSP27BNA(不安定なコンジュゲーション、図6)又は三価GalNAc-S-HSP27BNA(安定なコンジュゲーション、図7)の濃度範囲で処置した。HepG2及びHuh7細胞におけるHSP27の遺伝子サイレンシングを測定した。4000nMのSO1861-EMCHとの組み合わせにおいてのみ、HEPG2及びHuh7細胞の両方で低濃度の三価GalNAc-L-HSP27BNA(HepG2:IC50=0,1nM;Huh7:IC50=3nM)又は三価GalNAc-S-HSP27BNA(HepG2:IC50=0,1nM;Huh7:IC50=3nM)で効果的な遺伝子サイレンシングが観察された一方で、同等濃度の三価GalNAc-L-HSP27BNA(HepG2/Huh7:IC50>2000nM)又は三価GalNAc-S-HSP27BNA(HepG2/Huh7:IC50>2000nM)は、HepG2及びHuh7細胞株で遺伝子サイレンシング活性を示さなかった(図11)。
【0164】
次に、アポBBNAを同様の方法(図6~7)で三価GalNAcにコンジュゲートし、HepG2(ASGPR1)細胞又はHuh7(ASPGR1+/-)を、4000nMのSO1861-EMCHの固定濃度と組み合わせて、三価GalNAc-L-アポBBNA(不安定なコンジュゲーション、図6図12図13)又は三価GalNAc-S-アポBBNA(安定なコンジュゲーション、図7図14図15)、又は三価GalNAc-L-アポBscrambledBNA若しくは三価GalNAc-S-アポBscrambledBNA(この場合、スクランブルアポBBNAはアポBmのRNAに結合しない、オリゴ配列をスクランブルしたアンチセンス、つまり非特異的対照BNAである)の濃度範囲で処置した。HepG2(ASGPR1)細胞又はHuh7(ASPGR1+/-)におけるアポBの遺伝子サイレンシングを測定した。4000nMのSO1861-EMCHとの組み合わせにおいてのみ、HepG2細胞で低濃度の三価GalNAc-L-アポBBNA(IC50=10nM)又は三価GalNAc-S-アポBBNA(IC50=10nM)で効果的な遺伝子サイレンシングが観察された一方で、同等濃度の三価GalNAc-L-アポBBNA(IC50>2000nM)又は三価GalNAc-S-アポBBNA(IC50>2000nM)は、HepG2細胞では遺伝子サイレンシング活性を示さなかった(図12図14)。処置は細胞株の生存率に影響しなかった(図13図15)。「L」は、「不安定」リンカーを指し、リンカーが細胞内、即ち、エンドソーム及びリソソーム内に存在するようなpHで切断されることを示す。対照的に、「S」は、「安定リンカー」を指し、リンカーが細胞内、即ち、エンドソーム及びリソソーム内に存在するようなpHでは切断されないことを示す。従って、コンジュゲートを形成するか、又はコンジュゲートによって構成される任意の2つの分子間に不安定な結合を含むコンジュゲートは、不安定リンカー内の位置で切断され、それによって2つの連結又は結合された分子が分離する。一例としては、ヒト細胞などの哺乳類細胞のエンドソーム及びリソソーム内で顕著な、酸性条件下におけるヒドラゾン結合の切断がある。
【0165】
このことは全て、SO1861-EMCHが、2つの独立した遺伝子標的に対して、三価GalNAc-L-BNA又は三価GalNAc-S-BNAのエンドソーム脱出及び標的遺伝子のサイレンシングを促進することができることを示している。遺伝子サイレンシングは、Huh7細胞と比較すると、HepG2細胞の方が効率的であり、このことは、ASGPR1が細胞の原形質膜により高レベルで発現することによって、GalNAc-BNAコンジュゲートの取り込みの増加が促進されることを示唆している。
【0166】
実施例3 三価GalNAc-L/S-BNA+三価GalNAc-L-SO1861
SO1861-EMCHを、結合したSO1861に対してDAR=1で三価GalNAcとコンジュゲートした(不安定な、未誘導体化SO1861について図2及び図4に記載されるものと同様の方法でコンジュゲートした)(三価GalNAc-SO1861)。HepG2(ASGPR1)細胞又はHuh7(ASPGR1+/-)細胞を、4000nMの三価GalNAc-L-SO1861(結合したSO1861に対してDAR=1)の固定濃度と組み合わせて、三価GalNAc-L-アポBBNA(不安定なコンジュゲーション、図16)、三価GalNAc-S-アポBBNA(安定なコンジュゲーション(図17)、又はスクランブルした非特異対照のコンジュゲート(三価GalNAc-L-アポBscrambledBNA又は三価GalNAc-S-アポBscrambledBNA)の濃度範囲で処置した。HepG2(ASGPR1)細胞及びHuh7(ASPGR1+/-)のアポBの遺伝子サイレンシングを測定した。4000nMの三価GalNAc-L-SO1861との組み合わせにおいてのみ、低濃度の三価GalNAc-L-アポBBNA(IC50=50nM)又は三価GalNAc-S-アポBBNA(IC50=50nM)で効果的な遺伝子サイレンシングがHepG2細胞(ASGPR1)において観察された。Huh7細胞(ASGPR1+/-)では、いずれの組み合わせの処置も効果に乏しい遺伝子サイレンシングが示された(三価GalNAc-L-アポBBNA:IC50=700nM;三価GalNAc-S-アポBBNA:IC50=700nM)。同等濃度の三価GalNAc-L-アポBBNA(HepG2/Huh7:IC50>1000nM)又は三価GalNAc-S-アポBBNA(HepG2/Huh7:IC50>1000nM)は、HepG2及びHuh7細胞株で遺伝子サイレンシング活性を示さず、4000nMの三価GalNAc-L-SO1861も、スクランブル三価GalNAc-L-アポBscrambledBNA(HepG2/Huh7:IC50>1000nM)又はスクランブル三価GalNAc-S-アポBscrambledBNA(HepG2/Huh7:IC50>1000nM)の遺伝子サイレンシングを誘導/促進しなかった(図16)。処置は両細胞株の生存率に影響しなかった(図17)。
【0167】
このことは全て、三価GalNAc-L-SO1861と組み合わせた、非常に低濃度の三価GalNAc-L-HSP27BNA又は三価GalNAc-S-HSP27BNAが、ASGPR1発現細胞の遺伝子サイレンシングを効果的に誘導し、またこの場合も、ASGPR1がより高発現した細胞でより強力な効果が見られることを示している。
【0168】
実施例4 ヒト初代肝細胞における(GalNAc)3-BNA+SO1861-EMCH
アポBBNA(アポBBNA#01、標的となるヒトアポBのmRNA)を三価GalNAc((GalNAc)3)にコンジュゲートし(図6)、初代肝細胞(ASGPR1)細胞を、2000nMのSO1861の添加の有り無しの両方で(GalNAc)3-アポBBNA#01の濃度範囲で処置した。初代肝細胞(ASGPR1)細胞におけるアポBの遺伝子サイレンシングを測定した。2000nMのSO1861-EMCHの組み合わせにおいてのみ、初代肝細胞において低濃度の(GalNAc)3-アポBBNA#01(IC50=8nM)で効果的な遺伝子サイレンシングが観察された一方で、(GalNAc)3-アポBBNA#01単独ではIC50>1000nMであることが明らかとなった(図18A)。次に、これらの処置が細胞生存率に及ぼす影響を測定し、これによって、(GalNAc)3-アポBBNA#01がIC50>10000nMであり、(GalNAc)3-アポBBNA+SO1861-EMCHが約500nMのIC50であったことが明らかとなった(図18B)。このことは全て、SO1861-EMCHが、ヒト初代肝細胞においてオリゴヌクレオチドペイロードの(GalNAc)3標的化送達を強力に促進することができることを示している。
【0169】
実施例5 ヒト初代肝細胞における(GalNAc)3-BNA+SO1861-EMCH
アポB配列(マウス及びヒトアポBのRNAの両方を標的化する)BNA、より具体的にはアポB#02 BNANC、又はアポB#02又はアポBBNAB#02又はチオール13-アポBBNAを、結合されたアポB#02に対してDAR=1でリンカー(「Ls」)にコンジュゲートすると、(GalNAc)3-アポB#02が現れた(図21~23)。
【0170】
ヒト初代肝細胞(ASGPR1)を、2000nMのSO1861-EMCHの有り無し両方で(GalNAc)3-アポB#02 BNAの濃度範囲で処置した。初代肝細胞(ASGPR1)におけるアポBの遺伝子サイレンシングを測定した。2000nMのSO1861-EMCHの組み合わせにおいてのみ、非常に低濃度の(GalNAc)3-アポBBNA#02(IC50<0.01nM)で効果的な遺伝子サイレンシングが観察された一方で、同等濃度のアポBBNA#02(IC50=200nM)、(GalNAc)3-アポBBNA#02(IC50=5nM)、又はアポBBNA#02 RNAiMAXトランスフェクション(IC50=5nM)の場合、効力が劣るものであった(図19A)。アポBBNA#02 RNAiMAXにおける点線は、毒性及び細胞死が生じる濃度を示している。次に、これらの処置が細胞生存率に及ぼす影響を測定し、これによって、アポBBNA#02がIC50>10000であり、(GalNAc)3-アポBBNA#02がIC50>10000nMであり、(GalNAc)3-アポBBNA#02+SO1861-EMCHがIC50=5000nMであり、アポBBNA#02+RNAiMAXがIC50=100nMであったことが明らかとなった(図19B)。このことは全て、SO1861-EMCHが、ヒト初代肝細胞においてオリゴヌクレオチドペイロードの(GalNAc)3標的化送達を強力に促進することができることを示している。
【0171】
実施例6 初代マウス肝細胞における(GalNAc)3-BNA+SO1861-EMCH
マウスアポB配列標的化BNA、より具体的にはアポB#02 BNANC、又はアポB#02又はアポBBNA#02又はチオール13-アポB BNAを、結合したアポB#02に対してDAR=1でリンカー(「Ls」)にコンジュゲートすると、(GalNAc)3-アポB#02が現れた(図21~23)。
【0172】
初代マウス肝細胞を、アポB#02 BNA、(GalNAc)3-アポB#02、又は(GalNAc)3-アポB#02+2000nMのSO1861-EMCHのいずれかの濃度範囲で処置し、アポBのRNA発現を72時間インキュベートした後にqPCRで測定した。遺伝子発現阻害は、2000nMのSO1861-EMCHと組み合わせた低濃度の(GalNAc)3-アポB#02 BNA(約0.03nMのIC50)で観察された(図20)。アポB#02単独で処置すると、アポBのRNAの抑制的調節における効力は約100~667倍低かった(アポB#02:IC50=20nM)が、IC50が約2nMのアポB#02を含む(GalNAc)3-アポB#02の効力は、約10~67倍低いものであった(図20)。
【0173】
このことは、(GalNAc)3-SO1861又はSO1861-EMCHとの組み合わせにおいてのみ、非常に低濃度の(GalNAc)3-アポB#02 BNAによって、アポBのRNAの抑制的調節、即ち遺伝子サイレンシングがマウス初代肝細胞において効果的に誘導されることを示している。
【0174】
材料及び方法
略語
AEM N-(2-アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩
AMPD 2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール
BOP(ベンゾトリアゾル-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
EDCI.HCl 3-((エチルイミノ)メチレンアミノ)-N,N-ジメチルプロパン-1-アミニウムクロリド
EMCH.TFA N-(ε-マレイミドカプロン酸)ヒドラジド、トリフルオロ酢酸塩
HATU 1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェート
min 分
NMM 4-メチルモルホリン
r.t. 保持時間
TCEP トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィンハイドロクロライド
Temp 温度
TFA トリフルオロ酢酸
【0175】
分析方法
LC-MS方法1
装置:Waters IClass;Bin.ポンプ:UPIBSM、SM:SOを含むUPISMFTN;UPCMA、PDA:UPPDATC、210~320nm、SQD:ACQ-SQD2 ESI、生成物の分子量に応じた質量範囲:
neg又はneg/pos 1500~2400又は2000~3000の範囲内;ELSD:ガス圧力 40psi、ドリフトチューブ温度:50℃;カラム:Acquity C18、50×2.1mm、1.7μm 温度:60℃、流量:0.6mL/min、lin.生成物の極性に応じた勾配:
=2%A、t5.0min=50%A、t6.0min=98%A
=2%A、t5.0min=98%A、t6.0min=98%A
ポスト時間:1.0分、溶出液A:アセトニトリル、溶出液B:水中10mM重炭酸アンモニウム(pH=9.5)。
【0176】
LC-MS方法2
装置:Waters IClass;Bin.ポンプ:UPIBSM、SM:SOを含むUPISMFTN;UPCMA、PDA:UPPDATC、210~320nm、SQD:ACQ-SQD2 ESI、生成物の分子量に応じた質量範囲:pos/neg 100~800又はneg 2000~3000;ELSD:ガス圧力 40psi、ドリフトチューブ温度:50℃;カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18、50×2.1mm、2.5μm、温度:25℃;流量:0.5mL/min、勾配:t0min=5%A、t2.0min=98%A、t2.7min=98%A、ポスト時間:0.3分、溶出液A:アセトニトリル、溶出液B:水中10mM重炭酸アンモニウム(pH=9.5)。
【0177】
LC-MS方法3
装置:Waters IClass;Bin.ポンプ:UPIBSM、SM:SOを含むUPISMFTN;UPCMA、PDA:UPPDATC、210~320nm、SQD:ACQ-SQD2 ESI、生成物の分子量に応じた質量範囲 pos/neg 105~800、500~1200又は1500~2500;ELSD:ガス圧力 40psi、ドリフトチューブ温度:50℃;カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18、50×2.1mm、2.5μm、温度:40℃;流量:0.5mL/min、勾配:t0min=5%A、t2.0min=98%A、t2.7min=98%A、ポスト時間:0.3分、溶出液A:アセトニトリル中0.1%ギ酸、溶出液B:水中0.1%ギ酸。
【0178】
LC-MS方法4
装置:Waters IClass;Bin.ポンプ:UPIBSM、SM:SOを含むUPISMFTN;UPCMA、PDA:UPPDATC、210~320nm、SQD:ACQ-SQD2 ESI、生成物の分子量に応じた質量範囲:pos/neg 100~800又はneg 2000~3000;ELSD:ガス圧力 40psi、ドリフトチューブ温度:50℃カラム:Waters Acquity Shield RP18、50×2.1mm、1.7μm、温度:25℃、流量:0.5mL/min、勾配:t0min=5%A、t2.0min=98%A、t2.7min=98%A、ポスト時間:0.3分、溶出液A:アセトニトリル、溶出液B:水中10mM重炭酸アンモニウム(pH=9.5)。
【0179】
分取方法
分取MP-LC方法1
機器型式:Reveleris(商標)分取MPLC;カラム:Waters XSelect(商標)CSH C18(145×25mm、10μm);流量:40mL/min;カラム温度:室温;溶出液A:水中10mM重炭酸アンモニウム pH=9.0);溶出液B:99%アセトニトリル+水中1% 10mM重炭酸アンモニウム;勾配:
0min=5%B、t1min=5%B、t2min=10%B、t17min=50%B、t18min=100%B、t23min=100%B
0min=5%B、t1min=5%B、t2min=20%B、t17min=60%B、t18min=100%B、t23min=100%B
;検出UV:210、235、254nm及びELSD。
【0180】
分取MP-LC方法2
機器型式:Reveleris(商標)分取MPLC;カラム:Phenomenex LUNA C18(3)(150×25mm、10μm);流量:40mL/min;カラム温度:室温;溶出液A:水中0.1%(v/v)ギ酸、溶出液B:アセトニトリル中0.1%(v/v)ギ酸;勾配:
0min=5%B、t1min=5%B、t2min=20%B、t17min=60%B、t18min=100%B、t23min=100%B
0min=2%B、t1min=2%B、t2min=2%B、t17min=30%B、t18min=100%B、t23min=100%B
0min=5%B、t1min=5%B、t2min=10%B、t17min=50%B、t18min=100%B、t23min=100%B
0min=5%B、t1min=5%B、t2min=5%B、t17min=40%B、t18min=100%B、t23min=100%B
;検出UV:210、235、254nm及びELSD。
【0181】
分取LC-MS方法3
MS機器型式:Agilent Technologies G6130B Quadrupole;HPLC機器型式:Agilent Technologies 1290 分取LC;カラム:Waters XSelect(商標)CSH(C18、150×19mm、10μm);流量:25ml/min;カラム温度:室温;溶出液A:100%アセトニトリル;溶出液B:水中10mM重炭酸アンモニウム pH=9.0;勾配:
=20%A、t2.5min=20%A、t11min=60%A、t13min=100%A、t17min=100%A
=5%A、t2.5min=5%A、t11min=40%A、t13min=100%A、t17min=100%A
;検出:DAD(210nm);検出:MSD(ESI pos/neg)質量範囲:100~800;DADに基づいた分画収集。
【0182】
分取LC-MS方法4
MS機器型式:Agilent Technologies G6130B Quadrupole;HPLC機器型式:Agilent Technologies 1290 分取LC;カラム:Waters XBridge Protein(C4、150×19mm、10μm);流量:25ml/min;カラム温度:室温;溶出液A:100%アセトニトリル;溶出液B:水中10mM重炭酸アンモニウム pH=9.0;勾配:
=2%A、t2.5min=2%A、t11min=30%A、t13min=100%A、t17min=100%A
t0=10%A、t2.5min=10%A、t11min=50%A、t13min=100%A、t17min=100%A
=5%A、t2.5min=5%A、t11min=40%A、t13min=100%A、t17min=100%A
;検出:DAD(210nm);検出:MSD(ESI pos/neg)質量範囲:100~800;DADに基づいた分画収集
【0183】
フラッシュクロマトグラフィー
Grace Reveleris X2(登録商標)C-815 Flash;溶媒送達システム:自吸式3ピストンポンプ、単一ランで最大4種の溶媒を含む4つの独立チャネル、溶媒が空になった場合の自動切替ライン;最大ポンプ流量 250mL/min;最大圧力 50バール(725psi);検出;UV 200~400nm、最大4種のUV信号の組み合わせ及び全UV範囲の走査、ELSD;カラムサイズ:機器上で4~330g、ルアー型、750g~オプションのホルダーを含めて最大3000g。
【0184】
SO1861-EMCHの合成(SO1861-EMCHはSO1861-Ald-EMCHとも称される)
SO1861(121mg、0.065mmol)及びEMCH.TFA(110mg、0.325mmol)に、メタノール(超無水(extra dry)、3.00mL)及びTFA(0.020mL、0.260mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。1.5時間後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(120mg、90%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 96%。
LRMS(m/z):2069[M-1]1-
LC-MSr.t.(min):1.08
【0185】
SO1861-EMCH-メルカプトエタノール(SO1861-EMCH(ブロック化))
SO1861-EMCH(0.1mg、48nmol)に200μLのメルカプトエタノール(18mg、230μmol)を添加し、この溶液をThermoMixer C(Eppendorf)上で800rpmで1時間、室温で振盪した。1時間振盪させた後、溶液をメタノールで希釈し、1kDaのMWCOを含む再生セルロース膜チューブ(Spectra/Por 7)を用いて、メタノールに対して4時間広範に透析した。透析後、アリコートを取り出し、MALDI-TOF-MSで分析した。
MALDI-TOF-MS(RPモード):m/z 2193Da([M+K]、SO1861-EMCH-メルカプトエタノール)、m/z 2185Da([M+K]、SO1861-EMCH-メルカプトエタノール)、m/z 2170Da([M+Na]、SO1861-EMCH-メルカプトエタノール)。
【0186】
三価GalNAc-アジドの合成
中間体1:
tert-ブチル1-アジド-17,17-ビス((3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)メチル)-15-オキソ-3,6,9,12,19-ペンタオキサ-16-アザドコサン-22-オエート
ジ-tert-ブチル3,3’-((2-アミノ-2-((3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)メチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ジプロピオネート(1.27g、2.51mmol)に、3-アジド(peg4)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(977mg、2.51mmol)のDMF(10mL)溶液を添加した。次に、DIPEA(657μL、3.77mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解させた。得られた溶液を0.5Nの硫酸水素カリウム溶液(2×100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濾過し、真空で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM-DCM中10%メタノール(v/v)勾配を100:0から0:100に上昇)で精製し、表題化合物(1.27g、65%)を無色の油状物として得た。LC-MSに基づく純度 100%(ELSD)。
LRMS(m/z):780[M+1]1+
LC-MS r.t.(min):2.10
【0187】
中間体2:
1-アジド-17,17-ビス((2-カルボキシエトキシ)メチル)-15-オキソ-3,6,9,12,19-ペンタオキサ-16-アザドコサン-22-オイック酸
tert-ブチル1-アジド-17,17-ビス((3-(tert-ブトキシ)-3-オキソプロポキシ)メチル)-15-オキソ-3,6,9,12,19-ペンタオキサ-16-アザドコサン-22-オエート(1.27g、1.63mmol)のDCM(5.0mL)溶液に、TFA(5.0mL、65mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。1.5時間後、反応混合物を真空で蒸発させ、トルエン(3×10mL)及びDCM(3×10mL)で同時蒸発させて、粗製の表題生成物を無色の油状物として得た。
LRMS(m/z):611[M+1]1+
【0188】
中間体3:
ジ-tert-ブチル(10-(1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド)-10-(13,13-ジメチル-5,11-ジオキソ-2,12-ジオキサ-6,10-ジアザテトラデシル)-5,15-ジオキソ-8,12-ジオキサ-4,16-ジアザノナデカン-1,19-ジイル)ジカルバメート
1-アジド-17,17-ビス((2-カルボキシエトキシ)メチル)-15-オキソ-3,6,9,12,19-ペンタオキサ-16-アザドコサン-22-オイック酸(997mg、1.63mmol)、Oxyma Pure(1.04g、7.35mmol)及びEDCI.HCl(1.17g、6.12mmol)をDMF(10.0mL)に溶解させた。次に、DIPEA(1.99mL、11.4mmol)を添加した後、そのままN-BOC-1,3-プロパンジアミン(1.07g、6.12mmol)のDMF(10.0mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を酢酸エチル(100mL)に溶解させた。得られた溶液を0.5Nの硫酸水素カリウム溶液(100mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2×100mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濾過し、真空で蒸発させた。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM-DCM中10%メタノール(v/v)勾配を0:100から100:0に上昇、生成物が溶出するまで100:0で維持)で精製し、表題化合物(1.16g、66%)を黄色がかった粘性油状物として得た。LC-MS 99%(ELSD)。
LRMS(m/z):1080[M+1]1+
LC-MS r.t.(min):1.51
【0189】
中間体4:
3,3’-((2-((3-((3-アミノプロピル)アミノ)-3-オキソプロポキシ)メチル)-2-(1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(N-(3-アミノプロピル)プロパンアミド)トリス(2,2,2-トリフルオロアセテート)の合成
ジ-tert-ブチル(10-(1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド)-10-(13,13-ジメチル-5,11-ジオキソ-2,12-ジオキサ-6,10-ジアザテトラデシル)-5,15-ジオキソ-8,12-ジオキサ-4,16-ジアザノナデカン-1,19-ジイル)ジカルバメート(1.16g、1.08mmol)のDCM(10mL)溶液に、TFA(10mL、131mmol)を添加した。反応混合物を室温で撹拌した。2時間後、反応混合物を真空で蒸発させ、トルエン(3×10mL)及びDCM(3×10mL)で同時蒸発させて、粗製の表題生成物を黄色がかった粘性油状物として得た。
LRMS(m/z):260[M+3]3+、390[M+2]2+、780[M+1]1+
【0190】
中間体5:
(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((5-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-5-オキソペンチル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート
5-(((2R,3R,4R,5R,6R)-3-アセトアミド-4,5-ジアセトキシ-6-(アセトキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ペンタン酸(J.Am.Chem Soc.,2014,136,16958-16961に従って得られる、3.00g、6.70mmol)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(926mg、8.05mmol)をDCM(50mL)に溶解させた。次に、EDCI.HCl(1.54g、8.05mmol)及び4-(ジメチルアミノ)ピリジン(82mg、0.67mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、得られた溶液を0.5Nの硫酸水素カリウム溶液(150mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(150mL)及びブライン(150mL)で洗浄し、NaSO上で乾燥させて濾過し、真空で蒸発させて、表題化合物(3.60g、99%)を白色の泡状物として得た。LC-MSに基づく純度 99%(ELSD)。
LRMS(m/z):545[M+1]1+
LC-MS r.t.(min):1.07
【0191】
中間体6:
[(3R,6R)-3,4-ビス(アセチルオキシ)-6-{4-[(3-{3-[2-(1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド)-3-(2-{[3-(5-{[(2R,5R)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-[(アセチルオキシ)メチル]-3-アセトアミドオキサン-2-イル]オキシ}ペンタンアミド)プロピル]カルバモイル}エトキシ)-2-[(2-{[3-(5-{[(2R,5R)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-[(アセチルオキシ)メチル]-3-アセトアミドオキサン-2-イル]オキシ}ペンタンアミド)プロピル]カルバモイル}エトキシ)メチル]プロポキシ]プロパンアミド}プロピル)カルバモイル]ブトキシ}-5-アセトアミドオキサン-2-イル]メチルアセテート
3,3’-((2-((3-((3-アミノプロピル)アミノ)-3-オキソプロポキシ)メチル)-2-(1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(N-(3-アミノプロピル)プロパンアミド)トリス(2,2,2-トリフルオロアセテート)(1.21g、1.08mmol)を、DMF(10mL)及びDIPEA(1.69mL、9.70mmol)の混合物に溶解させた。次に、(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((5-((2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ)-5-オキソペンチル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルジアセテート(2.20g、4.04mmol)を添加し、反応混合物を室温で週末にかけて撹拌した。次に、反応混合物を真空で蒸発させ、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(DCM-DCM中30%メタノール(v/v)勾配を0:100から100:0に上昇)で精製し、表題化合物(1.84g、83%)を黄色がかった泡状物として得た。LC-MS 95%(ELSD)。
LRMS(m/z):2068[M+1]1+
LC-MS r.t.(min):1.18
【0192】
中間体7:
三価GalNAc-アジド
[(3R,6R)-3,4-ビス(アセチルオキシ)-6-{4-[(3-{3-[2-(1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド)-3-(2-{[3-(5-{[(2R,5R)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-[(アセチルオキシ)メチル]-3-アセトアミドオキサン-2-イル]オキシ}ペンタンアミド)プロピル]カルバモイル}エトキシ)-2-[(2-{[3-(5-{[(2R,5R)-4,5-ビス(アセチルオキシ)-6-[(アセチルオキシ)メチル]-3-アセトアミドオキサン-2-イル]オキシ}ペンタンアミド)プロピル]カルバモイル}エトキシ)メチル]プロポキシ]プロパンアミド}プロピル)カルバモイル]ブトキシ}-5-アセトアミドオキサン-2-イル]メチルアセテート(300mg、0.145mmol)を、トリエチルアミン(2.00mL、14.4mmol)、メタノール(2.00mL)及び水(2.00mL)の混合物に溶解させ、反応混合物を室温で撹拌した。2時間後、反応混合物を真空で蒸発させた。残渣を分取MP-LCで精製した。2B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(164mg、67%)を白色の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 97%。
LRMS(m/z):1688[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):1.991A
【0193】
三価GalNAc-SO1861及びGalNAc-SO1861の合成(図2、4)
中間体8:
SO1861-NH
SO1861-アジド(6.89mg、3.20μmol)を、32mMの炭酸カリウム(150μL、4.80μmol)及びアセトニトリル(150μL)の混合物に溶解させた。その直後に、THF(32μL、32μmol)中の1.0Mのトリメチルホスフィン溶液を添加し、得られた混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。30分後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(5.30mg、78%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 94%。
LRMS(m/z):1062[M-2]2-
LC-MS r.t.(min):2.511B
【0194】
中間体9:
SO1861-DBCO
SO1861-アミン(48.6mg、22.9μmol)及びDBCO-NHS(13.0mg、32.4μmol)に、DIPEA(5.98μL、34.3μmol)及びDMF(2.0mL)の溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。4時間後、反応混合物を50mMの重炭酸ナトリウム(1.00mL、50μmol)溶液で希釈した。得られた混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。30分後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。1B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(16.9mg、31%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 94%。
LRMS(m/z):2412[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):2.451B
【0195】
SO1861-L-三価GalNAcの合成
SO1861-DBCO(7.50mg、3.11μmol)及び三価GalNAc-アジド(5.31mg、3.14μmol)を、水/アセトニトリル(2:1、v/v、0.90mL)の混合物に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。3B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(9.60mg、75%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 99%。
LRMS(m/z):2050[M-2]2-
LC-MS r.t.(min):2.041B
【0196】
SO1861-L-GalNAcの合成
SO1861-DBCO(1.75mg、0.73μmol)及びGalNAc-PEG3-アジド(0.82mg、2.18μmol)を、水/アセトニトリル(1:1、v/v、1.00mL)の混合物に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。3B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(1.63mg、81%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 100%。
LRMS(m/z):2790[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):2.151B
【0197】
三価GalNAc-BNAオリゴ合成(図6、7)
中間体10:
4-{2-アザトリシクロ[10.4.0.04,9]ヘキサデカ-1(12),4(9),5,7,13,15-ヘキサエン-10-イン-2-イル}-N-[2-(2-{2-[2-({4-[(E)-{[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド]イミノ}メチル]フェニル}ホルムアミド)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]-4-オキソブタンアミド
4-{2-アザトリシクロ[10.4.0.04,9]ヘキサデカ-1(12),4(9),5,7,13,15-ヘキサエン-10-イン-2-イル}-N-{2-[2-(2-{2-[(4-ホルミルフェニル)ホルムアミド]エトキシ}エトキシ)エトキシ]エチル}-4-オキソブタンアミド(25.0mg、40.9μmol)及びEMCH.TFA(20.8mg、61.3μmol)を、メタノール(超無水(extra dry)、2.00mL)に溶解させた。次に、TFA(9.39μL、123μmol)を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室内で一晩静置した。反応混合物を分取MP-LCにかけた。1B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(16.2mg、48%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 91%。
LRMS(m/z):410.2[M+2]2+
LC-MS r.t.(min):1.41
【0198】
中間体11:
三価GalNAc-L-マレイミド
三価GalNAc-アジド(20.3mg、12.0μmol)及び4-{2-アザトリシクロ[10.4.0.04,9]ヘキサデカ-1(12),4(9),5,7,13,15-ヘキサエン-10-イン-2-イル}-N-[2-(2-{2-[2-({4-[(E)-{[6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド]イミノ}メチル]フェニル}ホルムアミド)エトキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]-4-オキソブタンアミド(11.8mg、14.4μmol)を、水/アセトニトリル(2:1、v/v、0.90mL)の混合物に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。2C 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(25.6mg、85%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 88%。
LRMS(m/z):2101[M-405]1-、2304[M-202]1-、2507[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):1.901B(異性体に起因する二重ピーク)
【0199】
中間体12:
三価GalNAc-S-マレイミド
三価GalNAc-アジド(20.3mg、12.0μmol)及びDBCO-マレイミド(10.3mg、24.0μmol)を、水/アセトニトリル(2:1、v/v、0.90mL)の混合物に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。2D 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(22.2mg、87%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 85%。10%の加水分解マレイミドを含有する。
LRMS(m/z):2115[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):1.601B(異性体に起因する二重ピーク)
【0200】
三価GalNAc-S-アポB(又はHSP27)BNAオリゴ合成
アポB BNAオリゴジスルフィド(5.00mg、0.686μmol)に、2.5mMのTCEP(1.00mL、2.5μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、2×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を2.5mMのTCEP(0.50mL)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、その度に上記に記載した同一条件下で濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)で希釈し、得られた溶液をそのまま三価GalNAc-S-マレイミド(3.02mg、1.43μmol)に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1.5時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(6.75mg、定量)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 94%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2318[M-4]4-
LC-MS r.t.(min):1.651A
【0201】
三価GalNAc-S-アポB(又はHSP27)スクランブルBNAオリゴ合成
アポBスクランブルBNAオリゴジスルフィド(5.00mg、0.688μmol)に、2.5mMのTCEP(1.00mL、2.5μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、2×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を2.5mMのTCEP(0.50mL)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、その度に上記に記載した同一条件下で濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)で希釈し、得られた溶液をそのまま三価GalNAc-S-マレイミド(3.09mg、1.46μmol)に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1.5時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(5.91mg、93%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 88%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2311[M-4]4-
LC-MS r.t.(min):1.601A
【0202】
三価GalNAc-L-アポB(又はHSP27)BNAオリゴ合成
アポB BNAオリゴジスルフィド(5.00mg、0.686μmol)に、2.5mMのTCEP(1.00mL、2.5μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、2×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を2.5mMのTCEP(0.50mL)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、その度に上記に記載した同一条件下で濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)で希釈し、得られた溶液をそのまま三価GalNAc-L-マレイミド(3.63mg、1.45μmol)に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1.5時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(6.68mg、定量)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 99%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2416[M-4]4-
LC-MS r.t.(min):1.971A
【0203】
三価GalNAc-L-アポB(又はHSP27)スクランブルBNAオリゴ合成
アポBスクランブルBNAオリゴジスルフィド(5.00mg、0.688μmol)に、2.5mMのTCEP(1.00mL、2.5μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、2×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を2.5mMのTCEP(0.50mL)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、その度に上記に記載した同一条件下で濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)で希釈し、得られた溶液をそのまま三価GalNAc-L-マレイミド(3.68mg、1.47μmol)に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1.5時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(4.71mg、71%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 96%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2409[M-4]4-
LC-MS r.t.(min):1.931A
【0204】
デンドロン(-L-SO1861)-三価GalNAc及びデンドロン(-L-SO1861)-三価GalNAcの合成
中間体13:
三価GalNAc-アミンホルメート
三価GalNAc-アジド(36.5mg、21.6μmol)を、炭酸カリウム(5.97mg、43.2μmol)の水(1.00mL)及びアセトニトリル(1.00mL)溶液に溶解させた。次に、THF(216μL、216μmol)中1.0Mのトリメチルホスフィン溶液を添加し、得られた混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。45分後、反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を水/アセトニトリル(9:1、v/v、1mL)に溶解させた。得られた溶液をそのまま分取MP-LCにかけた。2B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(36.1mg、98%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 100%。
LRMS(m/z):1662[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):1.621A
【0205】
中間体14:
三価GalNAc-DBCO
三価GalNAc-アミンホルメート(17.4mg、10.2μmol)及びDBCO-NHS(6.14mg、15.3μmol)を、NMM(2.24μL、20.3μmol)のDMF(0.50mL)溶液に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を水/アセトニトリル(8:2、v/v、1mL)に溶解させた。得られた溶液をそのまま分取MP-LCにかけた。2C 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(14.2mg、72%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 96%。
LRMS(m/z):1950[M-1]
LC-MS r.t.(min):1.861B
【0206】
中間体15:
デンドロン(-L-SO1861)-アジド
デンドロン(-L-SO1861)-アミン(19.6mg、1.08μmol)及び2,5-ジオキソピロリジン-1-イル1-アジド-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-オエート(4.17mg、10.8μmol)を、DMF(1.50mL)に溶解させた。次に、DIPEA(1.87μL、10.8μmol)を添加し、混合物を1分間振盪させ、室温で一晩静置した。反応混合物を分取LC-MSにかけた。4B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(11.7mg、59%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 92%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2316[M-8]8-):2647[M-7]7-
LC-MS r.t.(min):4.291A
【0207】
デンドロン(-L-SO1861)-三価GalNAcの合成
デンドロン(-L-SO1861)-アジド(2.50mg、0.266μmol)、及び三価GalNAc-DBCO(1.56mg、0.799μmol)を、水/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)の混合物に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(2.74mg、91%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 86%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2832[M-4]4-
LC-MS r.t.(min):4.071A
【0208】
デンドロン(-L-SO1861)-三価GalNAcの合成
デンドロン(-L-SO1861)-アジド(2.50mg、0.135μmol)、及び三価GalNAc-DBCO(0.79mg、0.405μmol)を、水/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)の混合物に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(2.03mg、74%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 100%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2559[M-8]8-、2925[M-7]7-
LC-MS r.t.(min):4.181A
【0209】
中間体16:
三価GalNAc-チオアセテート
三価GalNAc-アミンホルメート(18.7mg、11.0μmol)及び4-ニトロフェニル3-(アセチルチオ)プロパノエート(5.90mg、21.9μmol)を、NMM(2.41μL、21.9μmol)のDMF(0.50mL)溶液に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を真空で蒸発させ、残渣を水中0.1%ギ酸及びアセトニトリル中0.1%ギ酸(9:1、v/v、1mL)の混合物に溶解させた。得られた溶液をそのまま分取MP-LCにかけた。2B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(13.0mg、66%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 100%。
LRMS(m/z):1749[M-43]1-、1792[M-1]
LC-MS r.t.(min):1.241B
【0210】
中間体17:
DBCO-TCO-三価GalNAc
三価GalNAc-チオアセテート(13.0mg、7.25μmol)をメタノール(0.50mL)に溶解させた。次に、1Mの水酸化ナトリウム溶液(7.98μL、7.98μmol)を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。30分後、新たに調製した三官能基リンカー(Ls-t)(即ち、サポニン部分リンカーLの一実施例である)の20mM重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、2.00mL)溶液(7.39mg、6.13μmol)に、反応混合物を添加した。
【0211】
三官能性リンカーのIUPAC名は、5,8,11,18,21,24,27-ヘプタオキサ-2,14,30-トリアザトリトリアコンタン酸、14-[16-(11,12-ジデヒドロジベンズ[b,f]アゾシン-5(6H)-イル)-13,16-ジオキソ-3,6,9-トリオキサ-12-アザヘキサデス-1-イル]-33-(2,5-ジヒドロ-2,5-ジオキソ-1H-ピロール-1-イル)-15,31-ジオキソ-、(1R,4E)-4-シクロオクテン-1-イルエステルである。三官能性リンカーは、以下の式(XVII):
【0212】
【化20】
【0213】
を有する。
【0214】
得られた混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。2A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(3.83mg、21%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 89%。
LRMS(m/z):2409[M-546]1-、2955[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):2.661B
【0215】
中間体18:
メチルテトラジン-L-アポB BNAオリゴ
アポB BNAオリゴジスルフィド(5.00mg、0.686μmol)に、2.5mMのTCEP(1.00mL、2.5μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、2×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を2.5mMのTCEP(0.50mL)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、その度に上記に記載した同一条件下で濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム(1.50mL)で希釈し、得られた溶液を、そのまま(E)-1-(4-((2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル)ヒドラジンイリデン)メチル)ベンズアミド)-N-(4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド(1.36mg、1.73μmol)のアセトニトリル(0.5mL)溶液に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。30分後、反応混合物を冷凍して一晩凍結乾燥させ、粗製の表題生成物をピンク色の綿毛状の固形物として得た。粗生成物に20mMの重炭酸アンモニウム(1.50mL)溶液を添加し、得られた懸濁液を0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を一晩凍結乾燥させ、表題生成物(5.44mg、定量)をピンク色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 90%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2648[M-3]3-
LC-MS r.t.(min):0.62
【0216】
中間体19:
メチルテトラジン-L-アポBスクランブルBNAオリゴ
アポBスクランブルBNAオリゴジスルフィド(5.00mg、0.688μmol)に、2.5mMのTCEP(1.00mL、2.5μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、2×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を2.5mMのTCEP(0.50mL)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液で2回洗浄し、その度に上記に記載した同一条件下で濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム(1.50mL)で希釈し、得られた溶液を、そのまま(E)-1-(4-((2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル)ヒドラジンイリデン)メチル)ベンズアミド)-N-(4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド(1.34mg、1.70μmol)のアセトニトリル(0.5mL)溶液に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。30分後、反応混合物を冷凍して一晩凍結乾燥させ、粗製の表題生成物をピンク色の綿毛状の固形物として得た。粗生成物に20mMの重炭酸アンモニウム(1.50mL)溶液を添加し、得られた懸濁液を0.45μmのシリンジフィルターを通して濾過した。濾液を一晩凍結乾燥させ、表題生成物(5.48mg、定量)をピンク色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 84%(極めてブロードなピーク)。
LRMS(m/z):2639[M-3]3-
LC-MS r.t.(min):0.58
【0217】
中間体20:
DBCO-L-アポB BNAオリゴ-三価GalNAc
メチルテトラジン-L-アポB BNAオリゴ(5.44mg、0.684μmol)及びDBCO-TCO-三価GalNAc(2.03mg、0.687μmol)を、20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4C 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(2.87mg、39%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSは、正確なm/z値で複数のブロードピークを示している。
LRMS(m/z):2175[M-5]5-、2718[M-6]4-
LC-MS r.t.(min):2.60~3.001A
【0218】
中間体21:
DBCO-L-アポBスクランブルBNAオリゴ-三価GalNAc
メチルテトラジン-L-アポBスクランブルBNAオリゴ(5.48mg、0.692μmol)及びDBCO-TCO-三価GalNAc(1.80mg、0.609μmol)に、20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取LC-MSにかけた。4C 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(2.15mg、33%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSは、正確なm/z値で複数のブロードピークを示している。
LRMS(m/z):2169[M-5]5-、2711[M-6]4-
LC-MS r.t.(min):2.58~3.201A
【0219】
中間体22(図21
三価GalNAc-チオール
三価GalNAc-チオアセテート(16.2mg、9.02μmol)をメタノール(500μL)に溶解させた。次に、1.00Mの水酸化ナトリウム溶液(11.0μL、11.0μmol)を添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。30分後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。1A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(13.1mg、83%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 98%。
LRMS(m/z):1748[M-H]1-
LC-MS r.t.(min):1.781A
【0220】
中間体23:(図21
DBCO-TCO-三価GalNAc
三官能性リンカー(Ls)(15.0mg、12.4μmol)をアセトニトリル(0.50mL)に溶解させた。次に、20mMの重炭酸アンモニウム(1.50mL)溶液を添加し、得られた溶液を、そのまま三価GalNAc-チオール(22.7mg、13.0μmol)に移した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、反応混合物を冷凍して一晩凍結乾燥させ、粗製の表題生成物を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 84%。
LRMS(m/z):2409[M-546]1-、2955[M-1]1-
LC-MS r.t.(min):2.631B
【0221】
中間体25(図22):
メチルテトラジン-BNAオリゴ
チオール-13-アポB BNAオリゴジスルフィド(20mg、4.17μmol)に、5.0mMのTCEP(2.00mL、10.0μmol)を含有する20mMの重炭酸アンモニウム溶液に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、3000Daの分画分子量で遠心濾過機を使用することによって(30分間で5000×g、4×0.50mL)、反応混合物を濾過した。次に、残渣溶液を20mMの重炭酸アンモニウム(3.00mL)で希釈し、得られた溶液を、そのまま(E)-1-(4-((2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサノイル)ヒドラジンイリデン)メチル)ベンズアミド)-N-(4-(6-メチル-1,2,4,5-テトラジン-3-イル)ベンジル)-6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-アミド(7.22mg、9.16μmol)のアセトニトリル(1.0mL)溶液に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。1時間後、反応混合物を冷凍して一晩凍結乾燥させ、粗製の表題生成物をピンク色の綿毛状の固形物として得た。粗生成物に20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(2:1、v/v、2.00mL)を添加し、得られた溶液を分取LC-MSにかけた。1A 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(20.3mg、89%)をピンク色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 93%(ブロードピーク)。
LRMS(m/z):1817[M-3]3-
LC-MS r.t.(min):0.59
【0222】
中間体26(図22):
(ブロック化DBCO)-TCO-三価GalNAc
1-アジド-3,6,9-トリオキサウンデカン-11-オール(2.17mg、9.88μmol)のDMF(0.50mL)溶液を、DBCO-TCO-三価GalNAc(14.6mg、4.94μmol)に添加した。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。2時間後、反応混合物を分取MP-LCにかけた。1C 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(10.00mg、64%)を白色固形物として得た。LC-MSに基づく純度 98%。
LRMS(m/z):1750[フラグメント]
LC-MS r.t.(min):2.331B
【0223】
Ls-(ブロック化DBCO)-BNAオリゴ-三価GalNAc(図23
(ブロック化DBCO)-TCO-三価GalNAc(10.0mg、3.15μmol)及びメチルテトラジン-BNAオリゴ(10.0mg、1.83μmol)を、20mMの重炭酸アンモニウム/アセトニトリル(3:1、v/v、1.00mL)溶液に溶解させた。反応混合物を1分間振盪させ、室温で静置した。3時間後、反応混合物を冷凍して一晩凍結乾燥させた。粗組成物を20mMの重炭酸アンモニウム(1mL)に溶解させ、得られた溶液をそのまま分取LC-MSにかけた。1B 生成物に相当する分画を直ちに共にプールし、冷凍して一晩凍結乾燥させ、表題化合物(GalNAc)3-Ls-BNA)(11.3mg、72%)を白色の綿毛状の固形物として得た。LC-MSに基づく純度 95%(位置異性体に起因する複数の(ブロード)ピーク)。
LRMS(m/z):2149 [M-4]4-、2866 [M-3]3-
LC-MS r.t.(min):2.921A
【0224】
抗CD71-サポリンの合成
Advanced Targeting Systems(San Diego、CA)から、カスタムCD71 mab-サポリンコンジュゲートを生成させ、これを購入した。CD71抗体(抗CD71のクローンOKT-9、InVivoMab)は、BioXCellから購入した。
【0225】
HSP27BNA、アポB及びアポBscrambledオリゴ配列
HSP27(5’-GGCacagccagtgGCG-3’)[配列番号1](アンチセンスBNA(HSP27)は、Zhang et al.(2011)[Y Zhang,Z Qu,S Kim,V Shi,B Liao1,P Kraft,R Bandaru,Y Wu,LM Greenberger and ID Horak,Down-modulation of cancer targets using locked nucleic acid(LNA)-based antisense oligonucleotides without transfection,Gene Therapy(2011)18,326-333]によるオリゴ核酸配列5’-GGCacagccagtgGCG-3’を有するBNA、より具体的にはBNANCであった)、アポB(アポB#01とも称する)(5’-GCCTCagtctgcttcGCACC-3’)[配列番号2]及びアポBscrambled(5’-GGCCTctctacaccgCTCGT-3’)[配列番号3]BNAオリゴ、並びにマウス及びヒト配列と適合性のあるアポB#02(5’-GCattggtatTCA-3’)[配列番号12]BNANCオリゴヌクレオチドを、5’チオールC6リンカーと共に、BNA塩基を大文字で示し、完全なホスホロチオエート主鎖を有するものをBio-Synthesis Inc.で注文した(Lewisville、Texas)。
【0226】
細胞株のRNA単離及び遺伝子発現解析
細胞からRNAを単離し、標準的な手順(Biorad)に従って分析した。使用したqPCRプライマーを表A2に示す。
【0227】
【表6】
【0228】
細胞生存率アッセイ
処置後に細胞を37℃で72時間インキュベートし、その後、細胞生存率をMTSアッセイで測定し、製造業者の指示書(CellTiter 96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ、Promega)に従って実行した。要約すると、10%FBSを補充した、フェノールレッド不含DMEM(PAN-Biotech GmbH)で、MTS溶液を20倍に希釈した。細胞を200μL/PBSウェルで一度洗浄し、その後100μLの希釈したMTS溶液をウェル毎に添加した。プレートを37℃で約20~30分間インキュベートした。続いて、Thermo Scientific Multiskan FCプレートリーダー(Thermo Scientific)で492nmのODを測定した。定量化のため、「培地のみ」のウェルのバックグラウンドシグナルを全ての他のウェルから差し引き、その後、処置ウェルのバックグラウンド補正シグナルを未処置ウェルのバックグラウンド補正シグナルに対して除算する(×100)ことによって処置細胞/未処置細胞の細胞生存率の百分率を算出した。
【0229】
FACS分析
T75フラスコ中の10%ウシ胎児血清(PAN-Biotech GmbH)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(PAN-Biotech GmbH)を補充したDMEM(PAN-Biotech GmbH)に、細胞をそれぞれの細胞株に適切な密度で播種し、コンフルエンシーが90%に到達するまで72~96時間インキュベートした(5% CO、37℃)。次に、細胞をトリプシン処理(TryplE Express、Gibco Thermo Scientific)して単一細胞とし、15mLのfalconチューブに移して遠心分離した(1,400rpm、3分)。細胞ペレットを浸したままで上清を捨てた。500.000個の細胞を丸底FACSチューブに移し、3mLの冷DPBS(Mg2+及びCa2+フリー、2%FBS)で洗浄した。細胞を1800rpmで3分間、4℃で遠心分離し、200μLの冷DPBS(Mg2+及びCa2+フリー、2%FBS)又は195μLの冷DPBS(Mg2+及びCa2+フリー、2%FBS)中に5μLの抗体を含有する200μLの抗体溶液に再懸濁した。トランスフェリン受容体を染色するためにPE抗ヒトCD71(#334106、Biolegend)を使用し、それに一致するアイソタイプ対照として、PEマウスIgG2a、κアイソタイプ対照FC(#400212、Biolegend)を使用した。ASGPR1受容体を染色するためにPE抗ヒトASGPR1(#130-122-963、Miltenyi)を使用し、それに一致するアイソタイプ対照としてPEマウスIgG1、アイソタイプ対照(#130-113-762、Miltenyi)を使用した。試料を4℃で30分間インキュベートした。その後、細胞を冷DPBS(Mg2+及びCa2+フリー、2%FBS)で2回洗浄し、DPBS(Mg2+及びCa2+フリー、2%FBS)中2%PFA溶液を使用して室温で20分間固定化した。細胞を冷DPBSで1回洗浄し、FACS分析のために1000μLの冷DPBS中に再懸濁した。Sysmex Cube 8フローサイトメトリーシステム(Sysmex)及びFCS Express 7 Research editionソフトウェアで試料を分析した。FACS分析の結果は、表A3にまとめられている。
【0230】
【表7】
【0231】
初代マウス及びヒト肝細胞からのRNA単離及び遺伝子発現解析
TRI Reagent(登録商標)溶液(Thermo Scientific)を製造業者の指示書に従って使用して、細胞からRNAを単離した。標準的な手順を用いて、iScript(商標)cDNA合成キット(Biorad)を使用してcDNAへの変換を行った。アポB発現レベルと特異的肝細胞ハウスキーピング遺伝子のレベルを、表A4(マウス)及び表A2(ヒト)に列挙した特異的DNAプライマーを含む、iTaq(商標)Universal SYBR(登録商標)Green Supermix(BioRad)及びLight Cycler 480(Roche Diagnostics、Rotkreuz、Switzerland)を使用する、定量的リアルタイムPCRアッセイ(qRT-PCR)を使用して測定した。アポBの発現を2つの肝細胞特異的ハウスキーピング対照mRNAと比較して測定するため、ΔCt法によって分析を行った。各分析反応を3回実施した。
【0232】
【表8】
【0233】
マウス初代肝細胞の処置
凍結保存した初代マウス肝細胞(PRIMACYT Cell Culture Technology GmbH、Germany)を、肝細胞解凍培地(HTM、PRIMACYT Cell Culture Technology GmbH、Germany)中で解凍し、肝細胞洗浄培地(HWM、PRIMACYT Cell Culture Technology GmbH、Germany)で1回洗浄した。肝細胞プレーティング培地(HPM Cryo、PRIMACYT Cell Culture Technology GmbH、Germany)中に、細胞を約0.275×10細胞/mlの密度で再懸濁した。I型コラーゲンコートプレートに、48又は96ウェルプレート(Greiner BioOne)に対して88.000細胞/ウェル又は26.400細胞/ウェルの密度で細胞を播種した。処置を開始する前に、細胞培養プレートに細胞接着させるため、細胞を37℃で4~6時間前培養した。プレーティング培地を315μl又は108μlのアッセイ培地(MHM、PRIMACYT Cell Culture Technology GmbH、Germany)に置き換え、その後、PBS中10倍の濃度のストック溶液からコンジュゲートを添加した。プレートを37℃で72時間インキュベートし、遺伝子発現及び細胞生存を分析するために採取した。
【0234】
ヒト初代肝細胞の処置
凍結保存した初代ヒト肝細胞(Cytes Biotechnologies S.L.、Spain)を肝細胞解凍培地(Cytes Biotechnologies S.L.、Spain)中で解凍した。細胞を肝細胞プレーティング培地(Cytes Biotechnologies S.L.、Spain)中に再懸濁した。I型コラーゲンコートプレートに、48又は96ウェルプレート(Greiner BioOne)に対して215.600細胞/ウェル又は66.600細胞/ウェルの密度で細胞を播種した。処置を開始する前に、細胞培養プレートに細胞接着させるため、細胞を37℃で4~6時間前培養した。プレーティング培地を315μl又は108μlの維持培地(Cytes Biotechnologies S.L.、Spain)に置き換え、その後、PBS中10倍の濃度のストック溶液からコンジュゲートを添加した。プレートを37℃で72時間インキュベートし、遺伝子発現及び細胞生存を分析するために採取した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図20
図21
図22
図23
【配列表】
2023533693000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬配合物であって、
- エフェクター分子とアシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)のリガンドとのコンジュゲートであって、前記ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ又は4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか又はそれからなり、前記エフェクター分子が、オリゴヌクレオチドを含むか又はそれからなるコンジュゲートと;
キラ酸及びギプソゲニンから選択されるアグリコンコア構造から構成されるモノデスモシドトリテルペン配糖体又はビデスモシドトリテルペン配糖体であるサポニンであって、任意選択により、前記キラ酸又はギプソゲニンのC 23 位のアルデヒド基が誘導体化されており、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含むサポニンと
を含む、医薬配合物。
【請求項2】
少なくとも2種の医薬組成物の形態の請求項1に記載の医薬配合物であって、
- 前記コンジュゲートを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第1の医薬組成物と;
- 前記サポニンを含み、任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、第2の医薬組成物とを含む医薬配合物。
【請求項3】
前記コンジュゲート、前記サポニン、並びに任意選択により薬学的に許容される賦形剤及び/又は薬学的に許容される希釈剤を含む、単一の医薬組成物の形態の請求項1に記載の医薬配合物。
【請求項4】
前記ASGPRのリガンドと前記エフェクター分子とが、共有結合を介して、好ましくは少なくとも1つのリンカーを介してコンジュゲートされている、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項5】
前記エフェクター分子が、低分子干渉RNA(siRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、アンチヘアピン型マイクロRNA(miRNA)、一本鎖RNA、アプタマーRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、アンチマイクロRNA、(アンチmiRNA、アンチmiR)、アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)、mRNA、DNA、アンチセンスDNA、ロックド核酸(LNA)、架橋型核酸(BNA)、2’-O,4’-アミノエチレン架橋型核酸(BNANC)、BNAベースのsiRNA、及びBNAベースのアンチセンスオリゴヌクレオチド(BNA-AON)のいずれか1つ以上から選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項6】
前記エフェクター分子が、アンチmiRNA、BNA-AON又はsiRNA、例えば、好ましくは化学的に修飾されたsiRNA、代謝的に安定したsiRNA、及び化学的に修飾され、代謝的に安定したsiRNAから選択されるBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項7】
前記エフェクター分子が、以下の遺伝子:HSP27、アポリポタンパク質B(アポB)、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができ、並びに/又は異常なmiRNAを標的化することができるオリゴヌクレオチドである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項8】
前記エフェクター分子が、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下のタンパク質:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるか、又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、発癌性miRNA(onco-miR)の阻害若しくはonco-miRの発現の抑制などのmiRNA機能を弱めるか若しくは回復させることができるオリゴヌクレオチドである、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項9】
記サポニンアグリコンコア構造は、前記キラ酸又はその誘導体である、請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の医薬配合物であって、
前記サポニンが、群A:
GlcA-、
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-Ara-、
Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-[Glc-(1→4)]-GlcA-、
Glc-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Xyl-(1→2)-Ara-(1→3)-[Gal-(1→2)]-GlcA-、
Glc-(1→3)-Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-Glc-(1→4)-Gal-、
Rha-(1→2)-Gal-(1→3)-[Glc-(1→2)]-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Ara-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Rha-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Glc-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
Xyl-(1→4)-Fuc-(1→2)-Gal-(1→2)-Fuc-(1→2)-GlcA-、
及び
これらの誘導体
から選択される、前記アグリコンコア構造に結合された糖鎖を含むか、
又は
前記サポニンが、群B:
Glc-、
Gal-、
Rha-(1→2)-[Xyl-(1→4)]-Rha-、
Rha-(1→2)-[Ara-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-、
Ara-、
Xyl-、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R1-(→4)]-Fuc-(式中、R1は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R2-(→4)]-Fuc-(式中、R2は4Z-メトキシケイ皮酸である)、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-3、4-ジ-OAc-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R3-(→4)]-3-OAc-Fuc-(式中、R3は4E-メトキシケイ皮酸である)、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-4-OAc-Fuc-、
(Ara-若しくはXyl-)(1→3)-(Ara-若しくはXyl-)(1→4)-(Rha-若しくはFuc-)(1→2)-[4-OAc-(Rha-若しくはFuc-)(1→4)]-(Rha-若しくはFuc-)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Gal-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Ara/Xyl-(1→4)-Rha/Fuc-(1→4)-[Glc/Gal-(1→2)]-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R4-(→4)]-Fuc-(式中、R4は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R5-(→4)]-Fuc-(式中、R5は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4-OAc-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc-Rha-(1→3)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3-OAc--Rha-(1→3)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-[Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[3、4-ジ-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
6-OAc-Glc-(1→3)-[Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Glc-(1→3)-[Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)]-Rha-(1→2)-Fuc-、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[Rha-(1→3)]-4OAc-Fuc-、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R6-(→4)]-Fuc-(式中、R6は5-O-[5-O-Rha-(1→2)-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R7-(→4)]-Fuc-(式中、R7は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api/Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-[Glc-(1→3)]-Rha-(1→2)-[R8-(→4)]-Fuc-(式中、R8は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R9-(→4)]-Fuc-(式中、R9は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R10-(→4)]-Fuc-(式中、R10は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Api-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R11-(→3)]-Fuc-(式中、R11は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Xyl-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[R12-(→3)]-Fuc-(式中、R12は5-O-[5-O-Ara/Api-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタノイル]-3,5-ジヒドロキシ-6-メチル-オクタン酸である)、
Glc-(1→3)-[Glc-(1→6)]-Gal-、及び
これらの誘導体
から選択される、前記アグリコンコア構造に結合された糖鎖を含むか、
又は
前記サポニンが、前記アグリコンコア構造に結合された前記群Aから選択される第1の糖鎖を含み、前記アグリコンコア構造に結合された前記群Bから選択される第2の糖鎖を含むビデスモシドトリテルペン配糖体である、医薬配合物。
【請求項11】
前記サポニンが、キラヤ(Quillaja)樹皮サポニン、NP-017777、NP-017778、NP-017774、NP-018110、NP-017772、NP-018109、NP-017888、NP-017889、NP-018108、SA1641、AE X55、NP-017674、NP-017810、AG1、NP-003881、NP-017676、NP-017677、NP-017706、NP-017705、NP-017773、NP-017775、SA1657、AG2、SO1861、GE1741、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1862、SO1904、QS-7、QS1861、QS-7 api、QS1862、QS-17、QS-18、QS-21 A-apio、QS-21 A-xylo、QS-21 B-apio、QS-21 B-xylo、これらの立体異性体、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはQS-21、QS-21誘導体、SO1861、SO1861誘導体、SA1641、SA1641誘導体、GE1741、GE1741誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはQS-21誘導体、SO1861誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、最も好ましくはSO1861誘導体である、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項12】
前記サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、誘導体化されたアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含むか;又は
ii.前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、誘導体化されているカルボキシル基を含むか;又は
iii.前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、誘導体化されているアセトキシ(Me(CO)O-)基を含むか;又は
iv.誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせが存在する、請求項1~11のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項13】
前記サポニンが、SO1861、SA1657、GE1741、SA1641、QS-21、QS-21A、QS-21 A-api、QS-21 A-xyl、QS-21B、QS-21 B-api、QS-21 B-xyl、QS-7-xyl、QS-7-api、QS-17-api、QS-17-xyl、QS1861、QS1862、キラヤサポニン、サポニナム・アルブム(Saponinum album)、QS-18、Quil-A、Gyp1、ジプソシドA、AG1、AG2、SO1542、SO1584、SO1658、SO1674、SO1832、SO1904、これらの立体異性体、これらの誘導体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、好ましくはQS-21、QS-21誘導体、SO1861、SO1861誘導体、SA1641、SA1641誘導体、GE1741、GE1741誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、より好ましくはQS-21誘導体、SO1861誘導体及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、最も好ましくはSO1861誘導体である、請求項1~12のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項14】
前記サポニンが、分子1:
【化1】

[式中、
は水素、単糖又は直鎖若しくは分岐オリゴ糖を表し、好ましくは 請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、より好ましくは 請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか又はそれからなり;
は水素、単糖又は直鎖若しくは分岐オリゴ糖を表し、好ましくは 請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、より好ましくは 請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及び少なくとも1つのアセトキシ(Me(CO)O-)基、例えば1、2、3、又は4つのアセトキシ基を含み、A及びAの少なくとも1つは水素でなく、好ましくはA及びAの両方がオリゴ糖鎖であり;
並びに、Rはギプソゲニン内の水素又はキラ酸内のヒドロキシルである]で表され;
前記サポニン誘導体は、分子1で表される前記サポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.前記キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が誘導体化されている;
ii.Aが請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及び グルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が誘導体化されている;及び
iii.Aが請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及び 少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が誘導体化されている、の少なくとも1つが存在する、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項15】
が請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びグルクロン酸部分を含むか若しくはそれからなり、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が誘導体化されているか、及び/又は、Aが請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含み、Aの少なくとも1つのアセトキシ基が誘導体化されている、請求項14に記載の医薬配合物。
【請求項16】
分子1で表される前記サポニンが、ビデスモシドトリテルペンサポニンである、請求項14又は15に記載の医薬配合物。
【請求項17】
前記サポニン誘導体が、分子1で表される前記サポニンに対応するものであり、以下の誘導体化:
i.前記キラ酸又はギプソゲニンのC23位のアルデヒド基が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、前記EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換によって誘導体化されており;
ii.Aが請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を表し、及びAがグルクロン酸部分を含むか又はそれからなる場合、Aのグルクロン酸部分のカルボキシル基が、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されており、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされ;
iii.Aが請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を表し、及びAが少なくとも1つのアセトキシ基を含む場合、Aの1つの糖部分又は2つ以上の糖部分のうち1つ以上、好ましくは全てのアセトキシ基が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への転換によって誘導体化されている、
の少なくとも1つが存在する、請求項1416のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項18】
が、Gal-(1→2)-[Xyl-(1→3)]-GlcAであり、及び/又は、Aが、Glc-(1→3)-Xyl-(1→4)-Rha-(1→2)-[Xyl-(1→3)-4-OAc-Qui-(1→4)]-Fucであり、好ましくは、分子1で示される前記サポニンが、3-O-β-D-ガラクトピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)]-β-D-グルクロノピラノシルキラ酸28-O-β-D-グルコピラノシル-(1→3)-β-D-キシロピラノシル-(1→4)-α-L-ラムノピラノシル-(1→2)-[β-D-キシロピラノシル-(1→3)-4OAc-β-D-キノボピラノシル-(1→4)]-β-D-フコピラノシドであり、より好ましくはSO1861、GE1741、SA1641及び/若しくはQS-21又はそれらの誘導体、最も好ましくはSO1861又はそれらの誘導体である、請求項1417のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項19】
前記サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、
- アルコールへの還元;又は
- N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされ、前記EMCHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[β-マレイミドプロピオン酸]ヒドラジド(BMPH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記BMPHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換;又は
- N-[κ-マレイミドウンデカン酸]ヒドラジド(KMUH)との反応による、ヒドラゾン結合への転換であって、前記KMUHのマレイミド基が、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、ヒドラゾン結合への転換
によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含むか;又は
ii.前記サポニン誘導体が、好ましくは請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、カルボキシル基、好ましくは2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPD)又はN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AMPD若しくはSO1861-Glu-AMPDなどのサポニン-Glu-AMPD、又はQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.前記サポニン誘導体が、好ましくは請求項10に記載の群Bから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、脱アセチル化によるヒドロキシル基(HO-)への変換によって誘導体化されているアセトキシ(Me(CO)O-)基を含むか;又は
iv.前記サポニン誘導体が、誘導体化i.、ii.及びiii.の任意の組み合わせ、任意選択により誘導体化i.、ii.及びiii.のうちの2つの誘導体化の任意の組み合わせを含み;
好ましくは、前記サポニン誘導体が、EMCHとの反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成される前記アグリコンコア構造を含み、前記EMCHのマレイミド基は、任意選択によりメルカプトエタノールとチオエーテル結合を形成することによって誘導体化される、請求項1218のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項20】
前記サポニンがサポニン誘導体であり、
i.前記サポニン誘導体が、N-ε-マレイミドカプロン酸ヒドラジド(EMCH)との反応によるヒドラゾン結合への変換によって誘導体化されているアルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、それによってSO1861-Ald-EMCH若しくはQS-21-Ald-EMCHなどのサポニン-Ald-EMCHがもたらされるか;又は
ii.前記サポニンが、好ましくは請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含み、それによってQS-21-Glu-AEM若しくはSO1861-Glu-AEMなどのサポニン-Glu-AEMがもたらされるか;又は
iii.前記サポニン誘導体が、誘導体化i.及びii.の組み合わせを含む、請求項19に記載の医薬配合物。
【請求項21】
前記サポニン誘導体が、アルデヒド基から構成されるアグリコンコア構造を含み、前記サポニン誘導体が、糖鎖、好ましくは請求項10に記載の群Aから選択される糖鎖を含み、前記糖鎖が、カルボキシル基、好ましくはN-(2-アミノエチル)マレイミド(AEM)との反応によるアミド結合への変換によって誘導体化されているグルクロン酸部分のカルボキシル基を含む、請求項19に記載の医薬配合物。
【請求項22】
前記サポニンが、分子2:
【化2】

で表されるサポニン誘導体であ
又は、前記サポニン誘導体が、分子3:
【化3】

で表されるサポニン誘導体である、請求項1~19のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項23】
薬剤としての使用のための、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項24】
発現産物が、以下の遺伝子:アポB、HSP27、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子、HBVのS遺伝子、AAT及びLDHのいずれか1つ以上に関与する、疾患又は健康問題の治療又は予防における使用のための、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項25】
癌、感染症疾患、ウイルス感染症、高コレステロール血症、原発性高シュウ酸尿症、血友病A、血友病B、AAT関連肝疾患、急性肝性ポルフィリン症、TTR媒介性アミロイドーシス、遺伝性TTRアミロイドーシス(hATTR)、補体媒介性疾患、B型肝炎感染症、HSP27発現に関連する疾患若しくは障害、又は自己免疫疾患の治療又は予防に使用するための、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬配合物、又は請求項24に記載の使用のための医薬配合物
【請求項26】
請求項2325のいずれか一項に記載の使用のための医薬配合物であって、前記医薬配合物が、請求項1722のいずれか一項に記載される通りである、医薬配合物。
【請求項27】
請求項1~8のいずれか一項に記載のエフェクター分子を、細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるための、インビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)移行される前記エフェクター分子を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載のコンジュゲートを提供する工程;
c)請求項1~22のいずれか一項に記載のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の前記細胞を、工程b)の前記コンジュゲート及び工程c)の前記サポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程であって、それによって前記細胞外から前記細胞内への前記エフェクター分子を含む前記コンジュゲートの移行を生じさせ、前記コンジュゲートの移行を生じさせることによって、前記細胞外から前記細胞内、好ましくは前記細胞の細胞質ゾルへの前記エフェクター分子の移行を生じさせる、接触させる工程を含む方法。
【請求項28】
請求項1~22のいずれか一項に記載のコンジュゲートを、細胞外から前記細胞内に、好ましくは前記細胞の細胞質ゾル内に移行させるためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、
a)好ましくは肝臓細胞、ウイルス感染細胞及び腫瘍細胞から選択される、ASGPR、好ましくはASGPR1をその表面に発現する細胞を提供する工程;
b)請求項1~22のいずれか一項に記載のコンジュゲートを提供する工程;
c)請求項1~22のいずれか一項に記載のサポニンを提供する工程;
d)工程a)の前記細胞を、工程b)の前記コンジュゲート及び工程c)の前記サポニンとインビトロ又はエクスビボで接触させる工程であって、それによって前記細胞外から前記細胞内への前記コンジュゲートの移行を生じさせる、接触させる工程を含む方法。
【請求項29】
前記ASGPRのリガンドが、少なくとも1つのN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分、好ましくは3つ若しくは4つのGalNAc部分を含み、より好ましくは(GalNAc)トリスを含むか若しくはそれからなり、並びに/又は、前記エフェクター分子が、アンチmiRNA、BNA-AON若しくはsiRNA、例えば、好ましくは化学的に修飾されたsiRNA、代謝的に安定したsiRNA、及び化学的に修飾され、代謝的に安定したsiRNAから選択されるBNAベースのsiRNAのいずれか1つから選択されるオリゴヌクレオチドである、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記サポニンが、誘導体化SO1861及び/又は誘導体化QS-21であり、好ましくは、請求項19に記載のSO1861-Glu-AEM又はSO1861-Ald-EMCH又はQS-21-Glu-AEM又はQS-21-Ald-EMCHである、請求項2729のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記エフェクター分子が、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下の遺伝子:アポリポタンパク質B(アポB)、HSP27、トランスサイレチン(TTR)、プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)、δ-アミノレブリン酸シンターゼ1(ALAS1)、アンチトロンビン3(AT3)、グリコール酸オキシダーゼ(GO)、補体成分C5(CC5)、B型肝炎ウイルス(HBV)のX遺伝子、HBVのS遺伝子、α1-アンチトリプシン(AAT)及び乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)のいずれか1つをサイレンシングすることができ、並びに/又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、異常なmiRNAを標的化することができ、並びに/又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、以下のタンパク質:HSP27、アポB、TTR、PCSK9、ALAS1、AT3、GO、CC5、HBVのX遺伝子の発現産物、HBVのS遺伝子の発現産物、AAT及びLDHのいずれか1つの発現に関与するmRNAを標的化することができるか、又は、例えば、哺乳類細胞の内部に存在する場合、miRNA(onco-miR)の阻害若しくはonco-miRの発現の抑制などのmiRNA機能を弱めるか若しくは回復させることができるオリゴヌクレオチドである、請求項2730のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬配合物又は請求項2に記載の第2の医薬組成物を含むキットオブパーツ、及び請求項2326のいずれか一項に記載の医薬配合物若しくは第2の医薬組成物を使用するための、又は請求項2731のいずれか一項に記載の方法に使用するための指示書。
【国際調査報告】