(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】安定な液体動物用飼料原料
(51)【国際特許分類】
A23K 20/10 20160101AFI20230728BHJP
【FI】
A23K20/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581663
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2020082979
(87)【国際公開番号】W WO2021038113
(87)【国際公開日】2021-03-04
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504421730
【氏名又は名称】ピュラック バイオケム ビー. ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘムス,エヴィリン ヨハンナ マリヌス
(72)【発明者】
【氏名】ヤンセン,マルティヌス アドリアヌス ヘルトルドゥス
【テーマコード(参考)】
2B150
【Fターム(参考)】
2B150AB03
2B150AE01
2B150AE13
2B150AE18
2B150AE19
2B150DA32
(57)【要約】
本明細書は、液体動物用飼料の為の安定な液体成分組成物に関し、該液体成分組成物は、0~約40°Cで安定であり、並びにまた、水中で安定な分散液を形成する。該組成物は、オレイルラクチレート及びその塩(OL)と、ラウロイルラクチレート及びその塩(LL)、又はラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレート及び/又はそれらの塩の混合物(LL/MLブレンド)から選択される更なるラクチレートとを含む。安定な液体成分組成物中のLL又はLL/MLブレンドから選択されるラクチレートのOLに対する重量比は、1/99~60/40である。該安定な液体成分組成物は任意的に、希釈剤を含んでいてもよい。該安定液体成分組成物は、固体飼料成分又は添加物に対する代替品を提供し、並びに、動物用液体飼料、例えば飲料水、中の成分として適用されることができる。該安定な液体成分組成物を使用することにより、抗生物質の使用を削減すること並びに動物の良好な健康を維持する為に役立つことが可能である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレイルラクチレート及び/又はその塩(OL)と、ラウロイルラクチレート及び/又はその塩(LL)、又はラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートの混合物及び/又はそれらの塩(LL/MLブレンド)から選択される更なるラクチレートとを含む安定な液体成分組成物。
【請求項2】
前記選択されたラクチレートがラウロイルラクチレート及び/又はその塩であり、前記ラウリルラクチレート及び/又はその塩(LL)並びにオレイルラクチレート及びそれらの塩(OL)が、約1/99~約60/40の重量比、好ましくは約30/70~約55/45の重量比、より好ましくは約45/55~約55/45の重量比、で存在する、請求項1に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項3】
前記選択されたラクチレートがラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートの混合物及び/又はそれらの塩(LL/MLブレンド)であり、前記LL/MLブレンド並びにオレイルラクチレート及びその塩(OL)が、約1/99~約60/40の(LL/MLブレンド)/OL重量比、好ましくは30/70~55/45の(LL/MLブレンド)/OL重量比、より好ましくは約45/55~約55/45の(LL/MLブレンド)/OL重量比、で存在する、請求項1に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項4】
前記LL/MLブレンドが、LL及びMLの総重量に対して、50~95重量%のLL及び50~5重量%のML、より好ましくは65~75重量%のLL及び35~25重量%のML、を含む、請求項3に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項5】
前記組成物が更に、好ましくは、前記組成物の総重量に対して1~70重量%、好ましくは10~60重量%、より好ましくは20~50重量%、の量で、希釈剤を更に含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項6】
前記希釈剤が、モノプロピレングリコール(MPG)、ヒマワリ油又はトリカプリリン、より好ましくはモノプロピレングリコール(MPG)、から選択される、請求項5に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項7】
LL又は前記LL/MLブレンドから選択される前記ラクチレートが、前記組成物の総重量に対して10~40重量%の濃度で存在し、OLが、前記組成物の総重量に対して20~80重量%の濃度で存在し、及び前記希釈剤が、前記組成物の総重量に対して10~60重量%の濃度で存在する、請求項5又は6に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項8】
前記希釈剤がMPGであり、並びに、前記組成物が、ラクチレート及び希釈剤の総重量に対して、LL又はLL/MLブレンドから選択される25~35重量%の前記ラクチレート、25~35重量%の前記OL、及び30~50重量%のMPGを含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の安定な液体成分組成物。
【請求項9】
安定な貯蔵液であって、該安定な貯蔵液の総重量に対して、0.4~12重量%、好ましくは0.4~10重量%、より好ましくは0.5~7.5重量%、最も好ましくは0.5~5重量%、の請求項1~8のいずれか1項に記載の液体成分組成物を水中に含む前記安定な貯蔵液。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の液体成分組成物を含む液体動物用飼料であって、前記液体動物用飼料中の前記液体成分組成物の最終濃度が、前記液体動物用飼料の総重量に対して、0.01~1.0重量%、好ましくは0.01~0.5、0.6又は0.7重量%、より好ましくは0.03又は0.05重量%~0.15、0.20又は0.25重量%、最も好ましくは0.05~0.1重量%、である、前記液体動物用飼料。
【請求項11】
前記液体動物用飼料が、乳、乳代替物、粥状の食物又は普通の飲料水から選択され、より好ましくは、前記液体動物用飼料が普通の飲料水である、請求項10に記載の液体動物用飼料。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載の安定な液体成分組成物の調製の方法であって、LL又はLL/MLブレンドから選択される前記ラクチレートが、高められた温度且つ不活性条件で、溶融状態で、OLとブレンドされる、前記方法。
【請求項13】
希釈剤が更に、前記OLの添加と共に又は前記OLの添加の後に添加され、前記希釈剤が好ましくは、モノプロピレングリコール(MPG)、ヒマワリ油又はトリカプリリンから選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~8のいずれか1項に記載の安定な液体成分組成物の調製の方法であって、ラウリン酸又はラウリン酸とミリスチン酸との混合物から選択される脂肪酸が、反応容器中でオレイン酸とブレンドされ、そして引き続き、高められた温度で且つ不活性条件下で乳酸及び塩基と反応されて、LL/OL又は(LL/MLブレンド)/OLラクチレート混合物をイン・シチューで得る、前記方法。
【請求項15】
反応の完了に応じて、反応生成物の一部が希釈剤と更にブレンドされ、ここで、該希釈剤が好ましくは、モノプロピレングリコール(MPG)、ヒマワリ油又はトリカプリリンから選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
動物用液体飼料の為の成分として、より好ましくは動物用飲料水の為の成分として、請求項1~8のいずれか1項に記載の液体成分組成物又は請求項9に記載の貯蔵液を使用する方法。
【請求項17】
前述の請求項のいずれか1項に記載の液体成分組成物、液体飼料又は貯蔵液を動物に投与又は給餌することによって、動物における細菌感染を予防又は低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オレイルラクチレート及び/又はその塩(以下、OLという)と、ラウロイルラクチレート及び/又はその塩(以下、LL又はC12ラクチレートという)、又はラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレート(ML又はC14ラクチレート)の混合物及び/又はそれらの塩(該混合物を以下、LL/MLブレンドという)から選択される更なるラクチレートとの組み合わせを含む動物飼料の為の安定な液体成分組成物、該安定な液体成分組成物を貯蔵液の成分として使用する方法、並びに該貯蔵液を液体動物用飼料、例えば飲料水、において使用する方法、並びに動物に抗菌性液体飼料を与えることによって該動物における抗菌性感染症(antibacterial infections)を予防又は軽減する方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
ラクチレート及びラクチレート混合物は、該動物における望ましくない微生物によって引き起こされる感染を予防及び/又は低減することによって、動物の健康の為の抗菌剤としてのそれらの適性が知られている。それ故に、ラクチレート及びラクチレート混合物を動物飼料における成分として適用することは魅力的である。ラクチレート及びラクチレート混合物の動物飼料における成分としての適用が記載されている。
【0003】
国際公開公報WO2009/092787号パンフレットは、或る定義されたラクチレート、グリコレート、乳酸エステル又はグリコール酸エステルから選択される抗菌化合物を用いることによって、動物におけるグラム陽性菌によって生じる腸内感染の予防又は処置に関する。該ラクチレートは好ましくは、ラウロイルラクチレート、ミリストイルラクチレート、それらの塩、及びそれらの混合物である。該ラクチレートは、慣用的な動物飼料組成物の固体成分若しくは液体成分として、又はそれらの飲料水中に添加して動物に投与されうる。
【0004】
米国特許出願公開公報US2015/0057345号は、家禽が孵化に応じて直接的に化合物を与えられる家禽飼育における飼料効率を改善する方法に関し、ここで、該化合物は好ましくは、ラウロイルラクチレート、ミリストイルラクチレート、それらの塩、及びそれらの混合物である。該化合物は、慣用的な(固体)飼料組成物又は液体飼料、例えば飲料水、の固体成分又は液体成分として動物に投与されうる。
【0005】
国際公開公報2013/007558号パンフレットは、慣用的な固体動物飼料組成物の成分として動物に投与されることができる担体上のラクチレートの自由流動性粉末を記載する。好ましいラクチレートは、ラウロイルラクチレート、ミリストイルラクチレート、それらの塩、及びそれらの混合物である。これらのラクチレート組成物は、健康な腸内細菌叢を維持する為に非常に有効であり、それ故に、飼料換算率(FCR:Feed Conversion Rate)を改善すること並びに体重(BW:Body Weight)を改善することのような動物のパフォーマンスを改善することが見出された。
【0006】
脂肪酸ラクチレート、特にC10~C16ラクチレート(10~16個の炭素原子を有する脂肪酸のラクチレート)は、周囲温度において困難な取り扱い特性を有することが知られている。該C10~C16 ラクチレートは、周囲温度又は室温の領域にあるところの融解域(melting range)を有する。このことは、保存中に、該C10~C16ラクチレートの粘度が固体から液体まで変化し、その間にペースト様の組成物が存在しうることを意味する。市販のC10~C16ラクチレートは融点の広い範囲を有し、並びに保存及び輸送中の条件が変化する故に、該融点の広い範囲は様々な成分の不均一なブレンドを生じる可能性があり、それにより動物飼料組成物に更に加工することを困難にする。この問題は、例えば、国際公開公報WO2009/092787号パンフレット及び米国特許出願公開公報US2015/0057345号に記載されているように、該ラクチレートを支持体に付着させて固体粉末を得ることによって、又は例えば国際公開公報WO2013/007558号パンフレットに記載されているように該ラクチレートを多孔質担体に組み込んで自由流動性粉末を得ることによって、該ラクチレートを固体成分として提供することにより都合良く対処されている。ラウロイルラクチレートとミリストイルラクチレートとの市販の混合物は、Aloapur登録商標(ex Corbion Purac)、すなわち、珪藻土担体上にラウロイルラクチレートナトリウムとミリストイルラクチレートナトリウムとのブレンド(LL/MLブレンド)を含む補完動物ミネラル餌、である。それは、粉末状であり、ならびに動物用飼料に添加される。動物によって摂取される場合に、健康な腸内細菌叢を維持することを助ける為に抗微生物効果を有する。
【0007】
これらの固体ラクチレート飼料成分の欠点は、各飼料製品の為に、特定のタイプの支持体又は多孔性担体、例えば、或るタイプの動物の為の或るタイプの担体、並びに別のタイプの動物の為の別のタイプの担体、を必要としうるというその相対的柔軟性のなさである。加えて、何らかの非消化性の(無機)支持体又は多孔質担体の存在は、飼料製品へのラクチレートの添加が、それ自体によって飼料の栄養特性に寄与しない成分の添加を伴う場合がありうることを意味し、例えば、珪藻土が多孔質担体として用いられる場合である。固体ラクチレート飼料成分の更なる欠点は、固体ラクチレート成分の不均一な分散及び沈殿の為に、それらは液体動物用飼料、例えば飲料水、と組み合わせるのに適していないことである。
【0008】
従って、望ましくない成分を添加すること無しに、ラクチレート、特に、C12ラクチレート及びC14ラクチレート、を飼料内に直接取り込む必要性があり、それは、C10~C16 ラクチレートに関連付けられた輸送及び保存の問題無しに、異なるタイプの飼料及び異なる濃度で所望のように適用されることができるように柔軟である。特に、C12ラクチレート及びC14ラクチレートはそれらの物性の故に取り扱いが難しく、並びに液体飼料組成物に直接的に適用されることができない。
【0009】
本発明は、ラクチレートの飼料へのそのような直接配合を提供する。ラウロイルラクチレート(LL)、ラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートの混合物(LL/MLブレンド)又はその塩を含む安定な液体動物用飼料原料組成物が、該液体動物用飼料原料組成物をオレイルラクチレート(OL)及びその塩で安定化することによって得られることができることを見出した。
【0010】
ラクチレートを液体形態で飼料中に提供することが知られている。国際公開公報WO2015/063014号パンフレットは、下記の工程を含む飼料製品を製造する方法に関する:ラクチレート製品を提供すること、ここで、該ラクチレート製品は少なくとも30重量%のC10~C16-脂肪酸ラクチレートを液体形態で、第1の場所で含む;液体形態にあるラクチレート製品を輸送ユニットに移送すること;該輸送ユニット内の該ラクチレート製品を第2の場所に移送すること、ここで、該ラクチレート製品は、該移送中に、固体形態、液体形態、又は中間状態にある;ラクチレート製品が固化又は部分的に固化されている場合、該ラクチレート製品を該輸送ユニット内で液体形態に変換すること;該第2の場所で液体形態にあるラクチレート製品を該輸送ユニットから取り除くこと;及び、液体形態にある該ラクチレート製品を飼料製品と接触させることを含む。この方法は、特に、周囲温度での取り扱いが困難である、ラウロイルラクチレート、ミリストイルラクチレート、及びラウロイルラクチレートとミリストイルラクチレートとの混合物の為に適していることが分かった。この方法の欠点は、該ラクチレートを液体の均一な状態にもたらす為に、少なくとも60℃以上の高められた温度が必要であることである。この方法は、不均一な混合物をもたらす相分離を防ぐ為に、そのような加熱を必要とする。この方法の更なる欠点は、加熱された液体ラクチレート組成物が一緒にされる餌製品が、固体餌製品でなければならないことである。
【0011】
希釈剤の添加は粘度を下げる為に役立ち、並びにラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートを多少取り扱いやすい状態にすることができることが更に知られている。しかしながら、このことは安定な液体ラクチレート成分組成物をもたらさないことが判った。そのような液体ラクチレート成分を液体飼料組成物に直接的に添加する場合、又は該液体ラクチレート成分を含む貯蔵液を最初に作ることを介して添加する場合、該液体飼料組成物及び該貯蔵液それ自体がまた、該ラクチレート液体成分が一部固化及び/又は一部沈降されるという意味で不安定になることが更に見出された。このことは特に、液体成分組成物、貯蔵液又は該液体飼料が保存され及び/又は該動物に給餌される外気温が周囲温度よりも低い場合である。該液体飼料組成物として飲料水の例において、該飲料水は更に、目に見える沈殿物又は薄片の形で悪い非均質な分散性を示し、又は望ましくない部分的な相分離を示した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、周囲温度又はそれ以下の温度、より詳細にはより低い外気温、で安定であり且つ相転移を示さないところのラウロイルラクチレート、並びにラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートとの混合物の液体成分組成物に対する必要性がある。液体抗菌成分を含む貯蔵液を作ることを可能にし、該貯蔵液が安定であり且つ周囲温度で相転移を示さないところの、ラウロイルラクチレート、並びにラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートとの混合物の液体成分組成物の必要性がまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ラウロイルラクチレート(LL)又はラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートの混合物(LL/ML)若しくはその塩から選択されるラクチレートと、加えてオレイルラクチレート(OL)又はその塩を含むそのような安定な液体成分組成物を提供し、ここで、該安定な液体ラクチレート成分組成は、動物飼料への成分として適用する為に適している。
【0014】
該安定な液体成分組成物は、オレイルラクチレート及び/又はその塩(OL)と、ラウロイルラクチレート及び/又はその塩(LL)、又はラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレートの混合物及び/又はそれらの塩(LL/MLブレンド)から選択される更なるラクチレートとを含み、該安定な液体成分組成物は特に、液体動物用飼料組成物、例えば飲料水、乳及び乳代替物等、へのこれらのラクチレートの適用を可能にする。本発明の液体ラクチレート組成物を与えることは、固体ラクチレート組成物を投与することよりも、例えば、(1匹又は数匹の選択された動物の為の専用の適用の為の)注射器の使用を通じて又は(同時に複数の動物に到達する為に)飲料水の使用を通じて、より柔軟且つ容易であり、製品の損失がより良く制御されることができることが見出された。健康を害した動物の場合、液体ラクチレート成分組成物は、飲料水を通じて抗菌化合物を効果的に給餌する様式を可能にし、それは固体組成物を通じてよりも容易である。なぜならば、ほとんどの動物は、病気である場合に、飲み続けるが、食べることを拒否するか又はあまり食べないからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、LL/MLブレンド:OL:MPG=30:35:35(重量比)についての20℃及び40℃での保存時間の関数としての酸価を示す。
【
図2】
図2は、LL/MLブレンド:OL:MPG=30:35:35(重量比)についての30℃及び40℃での保存時間の関数としてのpHを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書は、ラウロイルラクチレート及び/又はその塩(以下、LL又はC12ラクチレートという)、又はラウロイルラクチレート及びミリストイルラクチレート(ML又はC14ラクチレート)の混合物及び/又はそれらの塩(該混合物を以下、LL/MLブレンドといい、ここで、MLは、ミリストイルラクチレート又はC14ラクチレート及び/又はその塩をいう)から選択されるラクチレートを含む安定な液体成分組成物に関し、ここで、該組成物はオレイルラクチレート及び/又はその塩(OL)の存在によって安定化される。オレイルラクチレート(oleyl lactylate)はまたオレオイルラクチレート(oleoyl lactylate)と呼ばれ、この2つの語は互換的に使用される。
【0017】
好適な塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム(NH4)、鉄(Fe(II))、又は銅塩であるCu(II)である。水性液体動物用飼料(例えば、飲料水であるがこれに限定されない)中に安定な液体成分組成物の適用の為に、最良の結果がナトリウム塩及びカリウム塩で得られる。
【0018】
安定とは、該液体成分組成物が、0℃、好ましくは約0.5℃又は約1℃~約40℃、の温度で、少なくとも3週間、好ましくは少なくとも3.5~4週間、又は21、25、26又は28日間、液体状態及び均質なままであることを意味する。その期間中、そしてこの温度範囲内で、該組成物はゲルを形成せず、視覚的に相分離を起こしにくく、並びに沈殿しない。視覚的に相分離が観察されないとは、明確な相が観察されなかったこと(従って、視覚的には1つの相のみが生じた)、又は水性表面上の油滴と同様に、他の相の表面上の1つの相の液滴の発生が観察されたことを意味する。周囲温度は、20℃~25℃の温度と定義される。
【0019】
該安定な液体成分組成物を水で希釈して貯蔵液を形成することに応じて、結果として得られた貯蔵液はまた、好ましくは、安定な分散液又はエマルジョンを形成する。安定な分散液又はエマルションの文脈において、語「安定な」は、0℃、好ましくは約0.5℃若しくは約1℃~約20℃(20℃を含む)若しくは25℃(25℃を含む)、幾つかの処方においては40℃まで(40℃を含む)の温度範囲内で少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間若しくは3週間、又は7日間、14日間、18日間又は21日間、ゲル化せず、固化せず、視覚的に相分離を起こしにくく、並びに沈殿しないことを意味する。安定な貯蔵液は、より容易且つより効率的な取り扱いに及び動物への投与に役立つであろう。
【0020】
本発明の液体成分組成物が、選択されたラクチレートとしてラウロイルラクチレート又はその塩を含み、従って、該組成物がLLとOLとの組み合わせを含む場合、両ラクチレート成分は該液体成分組成物中に約1/99~約60/40の範囲の重量のLL/OL比で存在する。LL/OL比の範囲(OL含有量から見たLL含有量)の下限は、約1/99の重量比から、好ましくは約10/90の重量比から、約20/80の重量比から、約25/75の重量比から、より好ましくは約30/70の重量比から、約35/65の重量比から、約40/60の重量比から、約45/55の重量比から、さらに好ましくは約50/50の重量比からである。LL/OL比の範囲(OL含有量から見たLL含有量)の上限は、60/40の重量比まで、より好ましくは約55/45の重量比まで、最も好ましくは約50/50の重量比までである。LL/OL比の上記の範囲の様々な上限及び下限は、例えば、LL/OL比が約30/70~約55/45、又は約45/55~約55/45、の範囲であってもよいように、組み合わせられうる。
【0021】
LLとMLとの混合物及び/又はそれらの塩がOLと組み合わせて使用される場合、(LL/MLブレンド)/OL比は、LL/OL比について上述されたのと同様の範囲で変化する。LL/MLブレンド)/OL比は、好ましくは30/70~55/45、より好ましくは約45/55~約55/45の重量比の範囲である。LL/MLブレンド自体におけるLLとMLの比(LL/ML)は、重量比で約50/50~約99/1で変化してもよい。好ましくは、LLとMLの混合物は、LLとMLとの総重量に対して、50~95重量%のLLと50~5重量%のML、特に50~90重量%、より特に60~80重量%、好ましくは65~75重量%、のLLと、50~10重量%、好ましくは40~20重量%、より好ましくは35~25重量%、のMLとを含む。特に、LLとMLとの混合物は、LLとMLとの総重量に対して、65~75重量%のLLと35~25重量%のMLとを含む。該混合物はまた、該ラクチレートのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、アンモニウム(NH4)、鉄(Fe(II))、又は銅塩であるCu(II)を含みうる。
【0022】
好ましい実施態様において、該液体成分組成物は、40~90重量%のOLと、LL又はLL/MLブレンドから選択される10~60重量%のラクチレートとを含み、ここで、該重量パーセントはラクチレートの総重量を基準とする。OLは、LL又はLL/ML-ブレンドから選択されるラクチレートよりも高濃度で該液体成分組成物中に存在しうる。最も好ましくは、OLと、LL又はLL/MLブレンドから選択されるラクチレートとは、等しい濃度で存在する。OLはまた、LL又はLL/MLブレンドから選択されるラクチレートよりもわずかに低い濃度で存在してもよいが、好ましくは、該液体成分組成物中のLL又はLL/MLブレンドから選択されるラクチレートの濃度の約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%よりも低くない濃度で存在する。
【0023】
任意的に、該液体成分組成物の粘度を低下させる目的で、希釈剤が、該組成物の総重量に対して、好ましくは1~70重量%、好ましくは10~60重量%、より好ましくは20~50重量%、の量で該組成物に添加される。しかしながら、どのような希釈剤でも適しているわけではない。モノプロピレングリコール(すなわち1,2-プロパンジオール)、ヒマワリ油又はトリカプリリンの添加は、該液体組成物の安定性を阻害すること無しに該液体組成物の粘度を低下させることができることが見出された。これらの希釈剤のうちの1つ及び/又はそれらの組み合わせの添加は、室温及び約0、約1~5℃、の低温での該組成物の取り扱い及び投与を改善する。従って、本発明に従う液体成分組成物は更に、希釈剤、好ましくはモノプロピレングリコール(すなわち、1,2-プロパンジオール)、ヒマワリ油、トリカプリリン又はこれら希釈剤の2以上の混合物から選択される希釈剤、を含みうる。特に好ましいのは、希釈剤としてモノプロピレングリコールを含む本発明に従う液体成分組成物である。
【0024】
任意の希釈剤の存在下で、OLは、該液体成分組成物におけるLL又は該LL/MLブレンドから選択されるラクチレートの濃度よりも高い又は等しい濃度で存在しうることが観察されている。
【0025】
モノプロピレングリコール(MPGと略す)が、希釈剤として最も好ましい。好ましい実施態様において、本発明に従う液体成分組成物は、10~40重量%、好ましくは30又は35~40重量%、のLL/MLブレンド(又はLL)、20~80重量%、好ましくは20~70重量%、より好ましくは30重量%、35重量%、40重量%、45重量%、50重量%、60重量%、65重量%又は70重量%のOL、及び10重量%、20重量%、30重量%、40重量%、50重量%又は60重量%のMPGであり、ここで重量パーセントは、選択されたラクチレート、OL及びMPGの総重量を基準とする。好ましくは、該組成物は、選択されたラクチレート、OL及びMPGの総重量に対して、LL又はLL/MLブレンド(該ブレンドが最も好ましい)から選択された約25~約35重量%のラクチレート、25~35重量%のOL及び30~50重量%のMPGを含む。最も好ましくは、30/30/40、35/35/30、又は30/35/35(LL又はLL/MLブレンドから選択されたラクチレート)/OL/MPGを含む組成物である。別の実施態様において、該組成物中のラクチレートの総重量パーセンテージ、すなわちOLとLL又はLL/MLブレンドから選択されたラクチレートの総重量パーセンテージは、該組成物中のMPGの重量パーセンテージと等しいか又はそれよりも高い。好ましくは、該組成物中のOL及びLL又はLL/MLブレンドから選択されるさらなるラクチレートの合計重量百分率は、該組成物中の希釈剤の重量パーセンテージよりも高い。
【0026】
本発明はまた、動物用液体飼料、より具体的には家禽(好ましくは、ブロイラー、産卵鶏及び七面鳥)、豚(好ましくは子豚、母豚、肥育豚)、ウサギ、反芻動物(好ましくは、乳牛、子牛、牛、山羊及び羊)及び伴侶動物(好ましくは、犬、猫、馬)の為の動物用液体飼料、の成分として、本発明に従う組成物の使用に向けられている。液体飼料とは、動物に直接的に又は飲料系を介して与えることができる何らかの液体、例えば、乳、牛乳代替物、粥状の食物、又は普通の飲料水、を意味する。液体動物飼料、好ましくは飲料水、中の該液体成分組成物の最終濃度は、0.01~1.0重量%、好ましくは0.01~0.5、0.6又は0.7重量%、より好ましくは0.03又は0.05重量%~0.15、0.20又は0.25重量%、最も好ましくは0.05~0.1重量%、でありうる。
【0027】
該液体成分組成物それ自体は、例えばスプーン又は注射器を用いて動物に直接的に給餌されてもよく、注射又は静脈内投与によってでさえ投与されてもよい。
【0028】
該液体成分組成物はまた、固形動物飼料製品の表面に施与されうる。
【0029】
該液体成分組成物はまた、安定であり且つ周囲温度で相転移を示さないところの貯蔵液を作る為に使用されることができる。結果として得られた貯蔵液は好ましくは、安定な分散液又はエマルジョンを形成する。安定な分散液又はエマルションの文脈において、語「安定な」は、0℃、好ましくは約0.5℃若しくは約1℃~約20℃(20℃を含む)若しくは25℃(25℃を含む)、幾つかの処方においては40℃まで(40℃を含む)の温度範囲内で少なくとも1週間、好ましくは少なくとも2週間若しくは3週間、又は7日間、14日間、18日間又は21日間、ゲル化せず、固化せず、視覚的に相分離を起こしにくく、並びに沈殿しないことを意味する。安定な貯蔵液は、より容易且つより効率的な取り扱いに及び動物への投与に役立つであろう。従って、別の実施態様において、本発明は、該安定な貯蔵液の総重量に対して、約0.4~約12重量%の本発明に従う安定な液体成分組成物を水中に含む貯蔵液を提供する。この貯蔵液は、農家によって貯蔵されることができ、所謂、Dosatron登録商標投与システム又は当業者に知られている他の投与システムを介して容易に/直接的に使用されうる。該貯蔵液は、必要とされる場合に所望の粘度及び濃度に更に希釈され、そして投与されうる。Dosatron登録商標システムにおける使用の為に適した典型的な粘度は、室温でBrookfield DV-I prime LVDV-IP粘度計で測定した200cP~800cP、好ましくは500~700cP、である。貯蔵液中の本発明に従う本発明に従う液体成分組成物の最終濃度は、貯蔵液の総重量に基づき、0.4~12重量%、好ましくは0.4~10重量%、より好ましくは0.5~7.5重量%、最も好ましくは0.5~5.0重量%、でありうる。該液体成分組成物が希釈剤、特に希釈剤としてMPGを含む場合、高度に安定な貯蔵液が得られることができる。
【0030】
該液体成分組成物は、固体飼料成分又は添加物に対する代替として提供する為に、動物用液体飼料、例えば飲料水等、中の成分として施与されることができる。該液体成分組成物は、グラム陽性菌、例えば、豚レンサ球菌(Streptococcus suis)、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)、クロストリジウム・スポロゲネス(Clostridium sporogenes)、及びクロストリジウム・チロブチリカム菌(Clostridium tyrobutyricum)、に対して非常に有効であり、並びに動物飼料、特に液体動物用飼料、中の成分としての適用は、抗生物質の為の適切な代替物を提供し、それによって、抗生物質の使用を削減することが判っている。一般的に、病気の動物、特に腸内細菌感染を患っている動物、は、食べるのをやめるが、飲むことは続ける。該安定な液体成分組成物及び液体動物用飼料におけるその応用の利点は、動物が病気であるときでさえも、該動物の飲み水を介して該組成物が投与されることができることである。従って、該安定な液体成分組成物及び液体動物飼料におけるその応用は、農家が、動物の健康を維持する為に、本発明のラクチレート及びラクチレート混合物を動物飼料中の成分としてより柔軟に適用することを可能にする。従って、本発明はまた、本発明に従う液体動物用飼料を該動物に給餌することによって、動物における細菌感染を予防又は低減する方法に向けられている。
【0031】
該液体成分組成物はまた、子牛の口の為の洗浄製剤として、及び/又は子牛が母親を通じて授乳される場合の母親の「乳頭浸漬」(teat dipping)の為に使用されうる。
【0032】
本発明の液体成分組成物は、溶融状態のLL又はLL/MLブレンドから選択されるラクチレートを、OL及び任意的に、本発明の希釈剤と、高められた温度で且つ不活性条件下でブレンドすることを含む物理ブレンドプロセス(工程1)、又は、最終液体成分組成物のラクチレートに対応する全ての夫々の脂肪酸が、乳酸の添加前に反応容器内で一緒に混合され、そして引き続き、高められた温度で勝つ不活性条件下で乳酸及び塩基と反応させて、LL/OL又は(LL/ML-ブレンド)/OLラクチレート混合物をイン・シチュー(in-situ)で得るところの所謂ワンポット合成(one-pot synthesis)であるプロセス(工程2)、のいずれかで調製されることができる。反応の完了に応じて、反応生成物の一部は任意的に、本発明の希釈剤とブレンドされてもよい。商業的に入手可能なLL/MLブレンドは、例えばPationic登録商標 138c ex Corbionのようなものが利用可能である。OL、例えば製品Olacta登録商標 ex Corbion、が商業的に入手可能である。好ましい実施態様において、該液体成分組成物の該ラクチレートは、ワンポット合成によって調製される。
【0033】
プロセス1は、LL又はLL/MLブレンドから選択されたラクチレートを、使用前に70℃~100℃未満、より好ましくは約85℃~約90℃又は約95℃、の温度で、オーブンで融解することを含む。LL又はLL/ML-ブレンドから選択された予備加熱されたラクチレートが予備加熱された反応容器に加えられ、そして、連続攪拌下、好ましくは、不活性雰囲気下を作る為に窒素ブランケット又は他の条件下で、70~80℃又は~90℃に保たれる。引き続き、OLが所望の重量比で該反応容器に添加される。混合物が任意的に、本発明の希釈剤、好ましくはMPG、の添加によって希釈されうる。次に、該希釈剤を含む又は含まない混合物が、約70~80℃又は~90℃の温度で30~60分間撹拌され、そして室温まで冷やされて、本発明に従う安定な液体成分組成物を形成する。
【0034】
プロセス2は、ラウリン酸又はラウリン酸とミリスチン酸との混合物から選ばれた固体脂肪酸(ダマを完全に含まない)が反応容器に投入され、そして、該反応容器内で、不活性条件下、例えば窒素流でのパージによって、これらの脂肪酸を、所望の重量比でオレイン酸と混合することを含む。ゆっくりと攪拌しながら、温度が約60~約70℃に上げられて脂肪酸を溶融させる。引き続き、乳酸(LA)が緩やかな攪拌下で反応混合物にゆっくりと添加される。乳酸の完全な添加後、反応混合物の温度が90℃を超えないようにしながら、穏やかな攪拌下でカリウム又はナトリウムベースの塩基が段階的に添加される。好ましくは、該塩基は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含む。
【0035】
塩基の添加が完了するときに、該反応混合物の温度が約160℃~170℃又は~180℃に徐々に上げられる。引き続き、反応容器内の圧力が真空ポンプを用いて段階的に約40~50又は~60ミリバールまで低下され、そして温度が更に、約180~190℃に上げられる。所望の酸価に達した後、真空が、例えば窒素流でのパージによって解除され、該容器は約90~100℃まで冷やされる。任意的な後続工程として、本発明に従う希釈剤が、同じ反応容器内の反応混合物に添加されてもよい。代替的には、該希釈剤とのブレンドは、別の反応容器内で行われることができる。引き続き、最終ブレンドは、室温まで冷やされ、本発明に従う安定な液体成分組成物を形成する。
【0036】
本発明は、下記の実施例によって説明される。これらの実施例は、説明の為のものである。
【0037】
実施例
【0038】
実施例1:適切な安定剤の選択
下記の様々な成分が、約70重量%のラウロイルラクチレート及びそのナトリウム塩(LL)と30重量%のミリストイルラクチレート及びそのナトリウム塩(ML)とを含むLL/MLブレンドを安定化する為の適性について試験された。結果として得られた液体成分組成物は、約0~40℃で安定であるべきである。或る場合によっては、結果として得られた液体成分組成物の取り扱いを妨げるところの粘度の問題を潜在的な安定剤の一部が生じていた為に、希釈剤が添加された。
【0039】
LL/MLブレンド、安定剤、及び任意的に、希釈剤を含む液体成分組成物の安定性が、4週間の保存中に異なる温度(すなわち、約1℃、約20℃、約40℃)で測定された。該安定性は、目視でモニタリングされた。その結果が表1に示されている。「はい、すなわちy」は、該組成物が引用された温度で4週間の保存の間、均質に安定なままであったことを意味する。「いいえ、すなわちn」は、引用した温度で4週間の保存の間、相分離、沈殿又はゲル化の発生が目視で観察されたことを意味する。横縞「-」は、対応する組成物がもはや安定ではなく、それ故に、安定性試験から除外されたことを意味する。チルダ「~」は、目視観察では完全に明確な結果が得られなかったことを意味する(すなわち、安定である又は安定でない)。
【0040】
パーセンテージは全て重量ベースであり、温度は摂氏(℃)である。RTは、約20℃である室温を意味する。
【0041】
例えば「30%のLL/MLブレンド+70%のヒマワリ油」を含む組成物は、該液体成分組成物が、該組成物の総重量に対して、30重量%のLL/MLブレンドと70重量%のヒマワリ油を含むことを意味する。
【0042】
Hydriol登録商標 LLA,ex Hydrior AGは、パーソナルケア用途の為に市販されている製品であり、水中、30重量%のLLかならなる。MPGはモノプロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)である。乳酸FCC80は水中80%の乳酸であり、乳酸HS100は100%乳酸であり、乳酸ナトリウム60%は水中60%の乳酸ナトリウムであり、PEG400(平均Mn=400g/モル)はポリエチレングリコールである。
【0043】
【0044】
表1は、多くの成分がLL/MLブレンドの為の安定化剤として適さないことを示す。驚くべきことに、オレイルラクチレート及びそれらの塩(OL)が使用される場合、安定なLL/MLブレンドが、約0.5又は約1℃~約40℃を含む関心のある温度で、少なくとも4週間、得られた。
【0045】
実施例2:該組成物の粘度
前述された通り、本発明の液体成分組成物は、希釈剤、例えばモノプロピレングリコール(MPG:1,2-プロパンジオール)、の添加によって、その粘度を低下させうる。表2は、上記粘度におけるOLとMPGとの異なる比の影響を示す。
【0046】
該粘度は、Brookfield DV-I prime LVDV-IP粘度計で測定された。
【0047】
【0048】
実施例3:様々なLL/MLブレンド:OL:MPG組成物
上述された実施例において使用したLL/MLブレンドが様々なOL/MPG組成物に添加され、熱安定性が評価された。試料は約1℃と約40℃で、今回は3ヶ月間モニタリングされた。熱安定性は目視で評価された。
【0049】
該結果が、表3においてまとめられている。
【0050】
【0051】
本試験の結果は、LL/ML-blendとMPGのみからなる混合物は,1℃で熱安定性がないことを示す。OLの添加は、1℃での熱安定性を向上させることに役立つ。
【0052】
該結果はまた、低温で良好な熱安定性を保つ為には、LL/MLブレンド:OLの比が1:1に近いか又はそれに等しいことが好ましいことを示す。
【0053】
実施例4:pH及び酸価モニタリングによる安定性測定
LL/MLブレンド:OL:MPGを30:35:35重量%の比からなる液体原料組成物(表1及び表3参照)の安定性が、20℃と40℃で4週間、該組成物を保持しながら、酸価をモニタリングすることによって測定された(
図1を参照)。加えて、この液状原料組成物のpHが30℃と40℃で3週間の期間で測定された(
図2を参照)。該液体原料組成物は、少なくとも3週間の期間中、pH又は酸価における有意な上昇が見られず、安定した状態を維持していることが判った(目視による評価)。
【0054】
実施例5:貯蔵液の熱安定性
該安定な液体成分組成物は、Dosatron登録商標投与システムを介して飲料水に投与されうる。そのようなDosatron登録商標システムは、正確な投与レベルを実現する為に貯蔵液(すなわち、水中の濃縮された溶液)を必要とする。この例において、LL/MLブレンド:OL:MPG=30:30:40重量比からの5重量%貯蔵液の安定性が水道水中で試験された。
【0055】
貯蔵液(水道水中の5重量%の液体成分組成物)が、実施例1に記載されているよう熱的に安定なLL/MLベースの液体成分組成物の一部から調製された。表1中の1℃の低い温度で又は20℃で安定性を示さなかった成分組成物の大部分は、貯蔵液中で更に試験されていない。一部の残った貯蔵液の熱安定性試験の結果が表4に示されている。なお、文字、数字及び記号は、表1の実施例1について記載されたのと同じ意味である。
【0056】
【0057】
表4は、表1の安定な液体成分組成物の全てが、5重量%の貯蔵液に希釈されたときに、約0.5℃及び約1℃~約20℃、又は40℃までさえの温度で熱的に安定しているわけでないことを示す。LL又はLL/MLブレンド、及び安定剤としてのOLとMPGから選択される希釈剤を含む液体成分組成物のみが、水中に分散して5重量%の貯蔵液を形成したときに所望の熱安定性を示す。
【0058】
実施例6:本発明に従う液体成分組成物の調製
この実施例は、本発明に従うLL/MLブレンド及びOLからなる安定な液体成分組成物がどのように調製されうるかを実証する。
【0059】
2つの選択肢がある:
【0060】
1)物理的なブレンド
LL/MLブレンド(70/30重量%のLL/ML)(Pationic登録商標 138c ex Corbion)が、90℃でオーブン内でまず溶融された。
【0061】
この予備加熱されたLL/MLブレンドの30重量%(該組成物の全重量に対して)が予備加熱された反応容器に加えられ、そして、連続撹拌下、好ましくは窒素ブランケット下で、80℃に保持された。引き続き、30重量%のOL(組成物の総重量に対して)(Olacta登録商標 ex Corbion)が添加された。反応混合物が、40重量%のMPG(組成物の総重量に対して)の添加によって希釈された。結果として得られたブレンドは、80℃の温度で45~60分間撹拌された。引き続き、このブレンドが缶内に注がれ、そして更に室温まで冷やされ、そして、室温で貯蔵の為に保持された。
【0062】
2)ワンポット合成
所望の重量比の脂肪酸(ダマを完全に含まない)であるラウリン酸、ミリスチン酸及びオレイン酸が、窒素流でパージされた反応容器に投入された。ゆっくりと攪拌しながら、温度が、60~70℃に上げられて、脂肪酸を溶融させた。引き続き、乳酸(LA)が緩やかな攪拌下で反応混合物にゆっくりと添加された。乳酸の完全な添加後、反応混合物の温度が90℃を超えないようにしながら、水酸化ナトリウム(NaOH、水中50%溶液)が穏やかな攪拌下を段階的に添加された。
【0063】
NaOH水溶液の添加が完了したときに、反応混合物の温度が150℃まで徐々に上げられた。該反応混合物の温度が150℃に達したとき、蒸留物の量が秤量され、そして、受けフラスコが空にされた。次に、該反応混合物の温度が170℃までゆっくりと上げられた。引き続き、反応容器内の圧力が、真空ポンプを用いて段階的に約50ミリバールまで下げられ、そして、温度が約190℃まで更に上げられた。所望の酸価に達した後、真空が窒素流でパージすることによって解除され、そして、該容器が100℃まで冷やされた。該反応は4時間後に完了した(すなわち、所望の酸価に達した)。解析結果は、ラクチレート組成物が得られたことを示した。上記されているようにワンポット合成法を介して得られた60重量%の予熱されたラクチレート混合物を含む反応容器に40重量%の希釈剤(すなわちMPG)を加えることによって、最終的な安定な液体成分組成物が得られた。45~60分間混合した後、最終ブレンドが缶に移され、そして室温まで更に冷やされた。
【0064】
実施例7:様々なクロストリジウム(Clostridia)株及びレンサ球菌(Streptococci)株に対する本発明に従う組成物の活性
2つの実験が行われた。最初の実験の場合、LL/MLブレンドのみが複数のクロストリジウム株に対してテストされた。2回目の実験の場合、(LL/MLブレンド):OL組成物、(LL/MLブレンド):LL/MLブレンド:OL:MPG組成物、及びまたMPG単独で、ウエルシュ菌(Clostridium perfringens)と数種の豚レンサ球菌(Streptococcus suis)数株に対して試験された。0.1%(w/v)の試験サンプルを含む貯蔵液が調製され、そして、下記の株に対する活性について試験された:クロストリジウム・パーフリンジェンス ATCC 13124(Clostridium perfringens ATCC 13124)、クロストリジウム・パーフリンジェンス NCCB 87108(Clostridium perfringens NCCB 87108)、クロストリジウム・パーフリンジェンス NCTC 11144(Clostridium perfringens NCTC 11144)、クロストリジウム・スポロゲネス NCTC 12935(Clostridium sporogenes NCTC 12935)、クロストリジウム・スポロゲネス NCTC 8594(Clostridium sporogenes NCTC 8594)、クロストリジウム・スポロゲネス NCTC 532(Clostridium sporogenes NCTC 532)、クロストリジウム・スポロゲネス NCTC 13020(Clostridium sporogenes NCTC 13020)、クロストリジウム・チロブチリクム AR 439(Clostridium tyrobutyricum AR 439)、ストレプトコッカス・スイス DSM 28762(Streptococcus suis DSM 28762)及びストレプトコッカス・スイス DSM 9682(Streptococcus suis DSM 9682)。
【0065】
この目的のために、全てのクロストリジウムの培養物は、9mlのCooked Meat培地(Oxoid)を入れられたスクリューキャップ付きチューブ(100x16mm)中、37℃で、一晩、振盪せずに培養された。ストレプトコッカス(Streptococcus)株は、9mlのBrain Heart Infusion培地(Oxoids)を含むスクリューキャップ付きチューブ(100x16mm)中で、30℃で、一晩、振盪せずに培養された。
【0066】
貯蔵液が加熱され、そして、化合物が溶解し、そして透明な溶液が得られるまで5M NaOHが加えられた。次に、クロストリジウム株の場合に、2xTPGYブロス(Trypticase-Peptone-Glucose-Yeast Extract Broth;カゼインの膵臓消化物50g/L、酵母エキス20g/L、ペプトン5.0g/L、グルコース4.0g/L及びチオグリコール酸ナトリウム1.0g/L)、一方、ストレプトコッカス株の場合に、2xBHIブロスが調製された。いずれのブロスの場合にも、pHが6.5に設定され、対応する化合物の量を増やした10個の異なる貯蔵液を作製する為に使用された。2種類の異なる濃度範囲が調製された:1つ目は、0.0002%の10ステップで0~0.0018%と、2つ目は0.00005%の10ステップで0~0.00045%。完成した培地はオートクレーブによって滅菌された。次に、各溶液の200μlが滅菌されたバイオスクリーンハニカム100ウェルプレート(Bioscreen honeycombed 100 well plate)(Oy Growth Curves Ab Ltd,Helsinki,Finland)へ移された。充填されたプレートが、Rushkinn gasMixer Q(N2)(酸素レベルは0.1%に設定されている)を備えたInvivo2低酸素嫌気キャビネット(Ruskinn Technology Ltd/Ruskinn Life Sciences Ltd,Bridgend,UK)内に置かれたバイオスクリーン内に一晩置かれた。
【0067】
バイオスクリーンプレートが、10倍希釈されたクロストリジウム培養物及びストレプトコッカス培養物の3μlで接種された。該プレートは、クロストリジウム菌の場合に37℃、及びレンサ球菌の場合に30℃で72時間インキュベーションされた。培養物の光学密度は、Bioscreen C(Oy Growth Curves Ab Ltd,Helsinki,Finland)によって、広帯域フィルターを用いて420~580nmで20分毎に測定された。該プレートは、各読み取り前に適度に振盪された。増殖実験後、該プレート上の最終的な増殖が目視によって確認され、並びに顕微鏡によってまたチェックされ、該結果を確認した。
【0068】
最小発育阻止濃度(MIC:minimal inhibitory concentration)値が全ての菌株について測定された。その結果が下記の表5及び表6にまとめられている。
【0069】
【0070】
【0071】
実施例8:安定なLLベースの液体成分組成物
ラウリルラクチレート(LL)及びオレイルラクチレート(OL)並びに任意的に希釈剤としてモノプロピレングリコール(MPG)を含む液体成分組成物の安定性が、4週間の保存中に異なる温度(すなわち、約1℃、約20℃、及び約40℃)で測定された。該安定性は、目視でモニタリングされた。その結果が表7に示されている。なお、文字、数字及び記号は、表1の実施例1について記載されたのと同じ意味である。パーセンテージは全て重量ベースであり、温度は摂氏(℃)である。RTは、約20℃である室温を意味する。
【0072】
【0073】
実施例9:LLベースの液体成分組成物からの貯蔵液の安定性
貯蔵液(水道水中5重量%)が、実施例8の安定なLLベースの液体成分組成物の一部から調製され、そして、安定性が、4週間の保存中に異なる温度(すなわち、約1℃、約20℃、約40℃)で測定された。該安定性は、目視でモニタリングされた。熱安定性試験の結果が表8に示されている。なお、文字、数字及び記号は、表1の実施例1について記載されたのと同じ意味である。
【0074】
【国際調査報告】