(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ポリマー組成物、および同組成物から作製される改良された機械的強度を有する膜
(51)【国際特許分類】
C08L 23/06 20060101AFI20230728BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230728BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20230728BHJP
C08F 10/02 20060101ALI20230728BHJP
C08K 3/32 20060101ALI20230728BHJP
H01M 50/417 20210101ALI20230728BHJP
H01M 50/434 20210101ALI20230728BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230728BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230728BHJP
C08F 4/60 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
C08L23/06
C08K3/013
C08K5/098
C08F10/02
C08K3/32
H01M50/417
H01M50/434
H01M50/446
H01M50/403 Z
C08F4/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500084
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021039793
(87)【国際公開番号】W WO2022006217
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512225379
【氏名又は名称】セラニーズ・インターナショナル・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】オーム,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】タオ,ファンファン
(72)【発明者】
【氏名】リー,マン・チェン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
4J128
5H021
【Fターム(参考)】
4J002AE052
4J002BB031
4J002DE137
4J002DE287
4J002DH039
4J002DJ017
4J002DJ047
4J002EA016
4J002EA026
4J002EC066
4J002EG008
4J002EH146
4J002FD017
4J002FD022
4J002FD026
4J002FD060
4J002FD130
4J002GK01
4J002GQ00
4J100AA02P
4J100CA01
4J100DA01
4J100DA13
4J100EA09
4J100EA11
4J100FA09
4J100JA11
4J100JA43
4J128AA01
4J128AB01
4J128AC01
4J128AC03
4J128AC05
4J128AC23
4J128AC31
4J128AC41
4J128AC45
4J128BA00A
4J128BA01A
4J128BA01B
4J128BB00A
4J128BB01A
4J128BB01B
4J128BC14B
4J128BC15B
4J128CA28A
4J128CB35A
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB03
4J128EC01
4J128EC02
4J128FA02
4J128GA01
4J128GA03
4J128GA08
5H021BB02
5H021CC03
5H021EE01
5H021EE04
5H021EE21
5H021HH00
5H021HH01
5H021HH03
5H021HH07
(57)【要約】
ゲル押出物品を製造するためのポリマー組成物が記載される。当該ポリマー組成物は、ポリエチレン粒子を、可塑剤および1種または複数の強度向上添加剤と合わせて含有する。本開示に従って作製されたポリマー物品は、向上した強度の性質を有する。一実施形態では、ポリマー組成物は、電子装置中のセパレータとしての使用のための多孔質膜を形成するのに使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル押出物品を製造するためのポリマー組成物であって、
可塑剤と、
高密度ポリエチレン粒子と、
前記高密度ポリエチレン粒子の結晶構造に影響を及ぼす強度向上剤と
を含み、
前記強度向上剤が、カルボン酸の金属塩、ホスフェートの金属塩、無機フィラー、またはこれらの混合物を含み、
前記ポリマー組成物から作製された膜が約2%超の少なくとも1方向における引張強度の増大またはパンクチャー強度の増大を有するのに十分な量で、前記強度向上剤が前記ポリマー組成物中に存在する、
前記ポリマー組成物。
【請求項2】
前記高密度ポリエチレン粒子が、123℃における等温結晶化の間に2.5分超の半結晶化時間を有する高密度ポリエチレンポリマーから形成されている、請求項1に記載のポリマー組成物
【請求項3】
前記高密度ポリエチレン粒子が、40℃の等温温度において試験され、示差走査熱量計を用いて測定したときに6℃超の溶融吸熱ピークの半値幅を有する高密度ポリエチレンポリマーから形成される、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
ソルビトール非含有である、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記強度向上剤が、芳香族ホスフェートの金属塩を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記強度向上剤が、環状ジカルボン酸の金属塩を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記強度向上剤が、二ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、またはこれらの混合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記強度向上剤が、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとリチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとの混合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記強度向上剤が、無機フィラーを含み、前記無機フィラーが、二酸化チタン粒子を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
前記強度向上剤が、無機フィラーを含み、前記無機フィラーが、タルク粒子、シリケート粒子、ヒドロタルサイト粒子、またはこれらの混合物を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項11】
1種または複数の強度向上剤が、約0.001重量%~約1重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1から10のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項12】
前記高密度ポリエチレン粒子が、約70ミクロン~約210ミクロンの、体積メジアン粒径を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項13】
前記高密度ポリエチレン粒子が、約50重量%までの量で前記組成物中に存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項14】
前記可塑剤が、鉱油、パラフィン系油、炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、またはこれらの混合物を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項15】
前記高密度ポリエチレンが、約600,000g/mol超、例えば約650,000g/mol超、例えば約1,500,000g/mol超の分子量を有し、かつ約4,000,000g/mol未満、例えば約3,500,000g/mol未満の分子量を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項16】
単一の高密度ポリエチレンポリマーのみを含有する、請求項15に記載のポリマー組成物。
【請求項17】
前記高密度ポリエチレンが、チーグラーナッタ触媒高分子量ポリエチレンである、請求項1から16のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項18】
前記可塑剤が、デカリン、パラフィン油、白色油、鉱油、キシレン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n-デカン、n-ドデカン、オクタン、ノナン、ケロシン、トルエン、ナフタレン、テトラリン、モノクロロベンゼン、カンフェン、メタン、ジペンテン、メチルシクロペンタンジエン、トリシクロデカン、1,2,4,5-テトラメチル-1,4-シクロヘキサジエン、またはこれらの混合物を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項19】
ポリプロピレン非含有である、請求項1から18のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項20】
ポリマー物品を製造する方法であって、
請求項1から19のいずれか一項に記載のポリマー組成物をゲル様組成物に形成するステップと、
前記ゲル様組成物をダイを通して押出して、ポリマー物品を形成するステップと
を含み、
前記ポリマー物品が、フィルムを含む、
方法。
【請求項21】
前記ポリマー物品から前記可塑剤の少なくとも一部を除去するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抽出溶媒を前記方法の間に前記ポリマー組成物に添加して、前記ポリマー物品からの前記可塑剤の除去を促進する、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記抽出溶媒が、ジクロロメタン、アセトン、クロロホルム、アルカン、ヘキセン、ヘプテン、アルコール、またはこれらの混合物を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
多孔質膜であって、
強度向上剤と合わされた高密度ポリエチレンを含み、
ポリマー組成物から作製された膜が約2%超の少なくとも1方向における引張強度の増大またはパンクチャー強度の増大を有するのに十分な量で、前記強度向上剤がポリマー組成物中に存在し、前記強度向上剤が、カルボン酸の金属塩、ホスフェートの金属塩、無機フィラー、またはこれらの混合物を含み、前記多孔質膜が、ソルビトール非含有およびポリプロピレン非含有であり、高密度ポリエチレン粒子が、123℃における等温結晶化の間に2分超の半結晶化時間を有する高密度ポリエチレンポリマーから形成されている、
前記多孔質膜。
【請求項25】
約144MPa超の、少なくとも1方向における引張強度を有する、請求項24に記載の多孔質膜。
【請求項26】
約1020mN/μm超、例えば約1030mN/μm超、例えば約1040mN/μm超、例えば約1050mN/μm超のパンクチャー強度を有する、請求項24に記載の多孔質膜。
【請求項27】
前記強度向上剤が、二ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、またはこれらの混合物を含む、請求項24、25または26に記載の多孔質膜。
【請求項28】
前記強度向上剤が、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとリチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとの混合物を含む、請求項24,25または26に記載の多孔質膜。
【請求項29】
前記強度向上剤が、無機フィラーを含む、請求項24に記載の多孔質膜。
【請求項30】
前記無機フィラーが、二酸化チタン粒子を含む、請求項29に記載の多孔質膜。
【請求項31】
前記無機フィラーが、シリケート粒子、タルク粒子、ヒドロタルサイト粒子、またはこれらの混合物を含む、請求項29に記載の多孔質膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2020年7月1日の出願日を有する米国特許仮出願第63/046,879号、および2020年10月29日の出願日を有する米国特許仮出願第63/107,088号に基づき、かつ優先権を主張するものであり、それらの両方が、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
[0002]ポリエチレンポリマーは、多数で多様な使用および用途を有する。例えば、高密度ポリエチレンは、耐摩耗性、表面滑性、耐薬品性および衝撃強度の独特の組合せを有する、有用なエンジニアリングプラスチックである。それらは、ロープおよび防弾成形物品における使用のための高強度ファイバーの製造、ならびに他の延ばされた物品、例えば電子装置用の膜の製造において用途を見出している。しかしながら、溶融状態にあるこれらの材料の流動性が、分子量が増大するにつれて低減するため、従来の技術による、例えば溶融押出による処理が、常に可能なわけではない。
【0003】
[0003]ファイバーおよび他の延ばされた構成品をポリエチレンポリマーから製造する1つの代替的な方法は、ポリマーが溶媒と合わされるゲル処理による。得られたゲルはファイバーまたは膜へと押出され、1方向または2方向に延伸されうる。また、溶媒の一部または全てが、製品から除去されうる。
【0004】
[0004]ポリエチレンポリマーからゲル処理を通じて作製された膜は、多くの有益な性質を有するように形成されうる。例としては、膜は、微小孔を伴って形成されうる。ゲル処理を通じて形成される微小孔性ポリエチレン膜は、例としては、バッテリー、例えばリチウムイオンバッテリー中のセパレータとしての使用に特に好適である。微小孔性膜は、例としては、カソードからアノードを分離して活性なバッテリー部品間の短絡を阻止することができる。同時に、微小孔性膜は、当該材料の多孔質の性質に起因して、イオンが通ることを可能にする。微小孔性ポリエチレン膜のイオン透過性の性質は、材料が、バッテリー内の電気化学反応を制御するのに特に好適であるようにする。
【0005】
[0005]ポリエチレン膜の微小孔性の性質、ならびに保有する耐薬品性および他の物性に加えて、ポリエチレン膜はまた、当技術分野において効果的な「シャットダウン効果」を有すると称されるものも付与する。シャットダウン効果は、それが一定の温度を上回るとき、ポリエチレンセパレータ内で微小孔が自ら閉じることを指す。ポリエチレン膜中の細孔が、一定の温度の到達に際して閉じられるとき、イオンはもはや当該膜を通ることができず、バッテリーの電気化学的機能は停止する。この効果は、バッテリーにとって重要な安全性の性質となり、その理由は、該効果が、熱暴走反応が継続することを阻止し、かつバッテリーが過剰に加熱して潜在的に有害な状況を創り出すことを阻止するからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]耐薬品性およびシャットダウンの性質に加えて、ポリマー膜はまた、きわめて良好な機械的性質も有するべきである。例としては、微小孔性膜は、特にバッテリー用途においてセパレータとして使用されるとき、比較的高いパンクチャー強度、引張強度および引張弾性率を有するべきである。この点において、上記の膜の性質を改良する一定の必要性が存在する。本開示は、特定のポリマー配合物を使用することを通じて、上記性質のうちの少なくとも1つを改良することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]一般に、本開示は、ゲル処理用途に好適なポリオレフィン組成物を対象とする。より詳細には、本開示は、バッテリー中のセパレータとして使用されうる微小孔性のイオン透過性膜を製造するのに好適な高密度ポリエチレンポリマーを含有するポリマー組成物を対象とする。本開示によれば、ポリマー組成物は、改良された機械的性質または物性を有するように配合される。より詳細には、本開示は、ゲルが微小孔性膜へと押し出されるときに、改良された引張強度および/または耐パンクチャー性を有するポリエチレンポリマー組成物を配合することを対象とする。
【0008】
[0008]一実施形態では、本開示は、ゲル押出物品を製造するためのポリマー組成物を対象とする。ポリマー組成物は、可塑剤、高密度ポリエチレン粒子および少なくとも1種の強度向上剤を含む。強度向上剤は、より高い強度特性をもたらす高密度ポリエチレンの結晶構造に影響を及ぼすように選択されうる。強度向上剤は、例としては、カルボン酸のまたはホスフェートの金属塩またはアルカリ塩とすることができる。あるいは、強度向上剤は無機フィラー粒子とすることができる。
【0009】
[0009]一態様では、強度向上剤は、例としては、芳香族ホスフェートの金属塩、または環状ジカルボン酸の金属塩とすることができる。強度向上剤の特定の例には、二ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレート、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、またはこれらの混合物が挙げられる。一実施形態では、強度向上剤には、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとリチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートとの組合せが挙げられる。
【0010】
[00010]上に記載されるように、代替の実施形態では、強度向上剤は無機フィラーを含むことができる。無機フィラーは、例としては、酸化チタン粒子を含むことができる。他の実施形態では、無機フィラーは、タルク粒子、クレイ粒子、シリケート粒子および/またはヒドロタルサイト粒子を含んでもよい。粒子は、一般に、約20ミクロン未満、例えば約15ミクロン未満、例えば約10ミクロン未満、例えば約8ミクロン未満、例えば約5ミクロン未満、例えば約3ミクロン未満、例えば約2ミクロン未満、例えば約1ミクロン未満、例えば約0.5ミクロン未満の平均粒径(D50)を有することができる。粒径は、一般に、約0.01ミクロン超、例えば約0.1ミクロン超、例えば約0.5ミクロン超、例えば約1ミクロン超とすることができる。粒径は、組成物中に組み入れられる無機粒子のタイプを含めた多様な要因に依存しうる。
【0011】
[00011]強度向上剤は、一般に、組成物から形成されたポリマー物品が1種または複数の強度向上剤を、約0.05重量%超の量で、例えば約0.08重量%超の量で、例えば約0.1重量%超の量で、例えば約0.2重量%超の量で含有するように、かつ一般に約2.1重量%未満、例えば約1.2重量%未満、例えば約0.5重量%未満の量で含有するように、ポリマー組成物に添加される。
【0012】
[00012]無機フィラー粒子をポリマー組成物に添加するとき、当該組成物から作製された物品の物性を著しく向上させるために、比較的少量の粒子が必要とされることが発見された。例としては、無機フィラーは、約0.5重量%未満の量で、例えば約0.3重量%未満の量で、例えば約0.25重量%未満の量で、例えば約0.2重量%未満の量で、例えば約0.175重量%未満の量でポリマー組成物に添加されて、得られた物品中に存在することができる。無機粒子は、一般に、本開示に従って作製された物品中に、約0.01重量%超の量で、例えば約0.08重量%超の量で、例えば約0.1重量%超の量で、例えば約0.12重量%超の量で存在する。
【0013】
[00013]1種または複数の強度向上剤は、組成物から作製された膜が、強度向上剤を一切含有しない同一の膜と比べて少なくとも約2%、例えば少なくとも約3%、例えば少なくとも約4%、例えば少なくとも約5%、例えば少なくとも約6%の少なくとも1方向における引張強度の増大またはパンクチャー強度の増大を有するように、組成物中に組み入れられる。一定の実施形態では、引張強度および/またはパンクチャー強度は、約8%超、例えば約10%超、例えば約15%超、例えば約20%超、例えば約25%超、例えば約30%超、増大されうる。
【0014】
[00014]本開示による組成物を配合することにおいて、1つまたは複数の物性を向上させる多種の強度向上剤の能力が、多様な要因に依存していることが発見された。例えば、一態様では、本開示に従って作製されたポリマー組成物は、ソルビトール非含有およびポリプロピレン非含有である。加えて、1種または複数の強度向上剤は、特定のタイプの高密度ポリエチレンポリマーと合わされる。ポリエチレンポリマーは、例としては、一態様では、123℃での等温結晶化の間に、2.5分超、例えば約3.0分超、例えば約3.5分超の半結晶化時間(half-crystallization time)を有する。加えて、本開示の配合物における使用のために選択されるポリエチレンポリマーはまた、示差走査熱量計を用いて測定したときに、約6℃超、例えば約6.2℃超、例えば約6.5℃超の溶融吸熱ピークの半値幅も有することができる。
【0015】
[00015]高密度ポリエチレン粒子は、一実施形態では、約150ミクロン未満、例えば約125ミクロン未満の、体積メジアン粒径を有することができ、かつ一般に約50ミクロン超の、体積メジアン粒径を有することができる。
【0016】
[00016]一般に、ポリマー組成物は、高密度ポリエチレン樹脂を、約50重量%までの量で含有する。可塑剤は、例としては、組成物中に、約50重量%超の量で、例えば約60重量%超の量で、例えば約70重量%超の量で、例えば約80重量%超の量で、例えば約90重量%未満の量で存在することができる。多種の異なる材料が、可塑剤として使用されうる。例としては、可塑剤は、鉱油、パラフィン系油、炭化水素油、アルコールなどを含みうる。例としては、可塑剤は、デカリン、キシレン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n-デカン、n-ドデカン、またはこれらの混合物を含みうる。一実施形態では、可塑剤は、C5~C12炭化水素、例えばC5~C12飽和炭化水素を含みうる。例えば、可塑剤は、ヘプタン、ヘキサン、パラフィンなどを含みうる。
【0017】
[00017]一実施形態では、粒子を製造するのに使用される高密度ポリエチレンは、比較的高い分子量を有することができる。高分子量ポリエチレン粒子の使用は、特に、より大きい強度の性質が必要とされるまたは所望される用途において有益でありうる。例えば、粒子を製造するのに使用されるポリエチレンは、約500,000g/mol超、例えば約650,000g/mol超、例えば約1,000,000g/mol超、例えば約1,500,000g/mol超の分子量を有することができ、かつ約4,000,000g/mol未満、例えば約3,500,000g/mol未満の分子量を有することができる。一実施形態では、粒子を製造するのに使用されるポリエチレンは、チーグラーナッタ触媒高分子量ポリエチレンを含む。一実施形態では、組成物は、単一のポリエチレンポリマーのみを含有する。
【0018】
[00018]本開示はまた、上記ポリマー組成物から形成されるポリマー物品も対象とする。ポリマー物品は、ゲル押出法またはゲル紡糸法を通じて製造されうる。本開示に従って作製されるポリマー物品には、ファイバー、フィルム、例えば膜などが挙げられる。
【0019】
[00019]ポリマー物品を形成する間に、可塑剤のかなりの部分が除去される。例えば、一態様では、可塑剤のうちの95重量%超、例えば約98重量%超が、ポリマー物品の形成中に除去される。結果として、本開示に従って作製されたポリマー物品は、一般に、強度向上剤と合わされた高密度ポリエチレンを含有する。例えば、得られたポリマー物品は、高密度ポリエチレンポリマーを、約60重量%~約98重量%の量で、例えば約65重量%~約97重量%の量で含有することができる。1種または複数の強度向上剤は、ポリマー物品中に、約0.05重量%超の量で、例えば約0.08重量%超の量で、例えば約0.1重量%超の量で存在することができ、かつ一般に約2.1重量%未満の量で、例えば約1.2重量%未満の量で、例えば約0.5重量%未満の量で存在することができる。
【0020】
[00020]本開示はまた、ポリマー物品を製造する方法も対象とする。該方法は、上に記載されたポリマー組成物からゲル様組成物を形成するステップを含む。次いで、ゲル様組成物は、ダイを通して押出されてポリマー物品を形成する。ポリマー物品は、例としては、ファイバー、連続フィルム、または非連続フィルム、例えば多孔質膜を含みうる。
【0021】
[00021]一実施形態では、抽出溶媒、例えばジクロロメタンが、ポリマー物品の形成の前にまたは形成の間にポリマー組成物と合わされる。抽出溶媒は、可塑剤の除去を促進するために使用されうる。
【0022】
[00022]本開示に従って作製された多孔質膜は、物性の優れたブレンドを有することができる。例えば、膜は、約900mN/μm超、例えば約950mN/μm超、例えば約1020mN/μm超、例えば約1030mN/μm超、例えば約1040mN/μm超、例えば約1050mN/μm超、例えば約1100mN/μm超のパンクチャー強度を有することができる。膜は、約144MPa超の、少なくとも1方向における引張強度を有することができる。
【0023】
[00023]本開示の他の特徴および態様が、以下に、より詳細に検討される。
[00024]本開示は、以下の図面を参照することにより、よりよく理解されうる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】[00025]本開示に従って作製された多孔質膜を組み入れた電子装置、例えばバッテリーの断面図である。
【0025】
[00026]本明細書中のおよび本図面中の参照文字の繰り返しの使用は、本発明の同一または類似の特徴または要素を表すことが意図される。
【0026】
定義
[00027]本明細書で使用される場合、パンクチャー強度はASTM Test D3763に準拠して測定され、異質な粒子が穴または欠損を引き起こすことに抵抗する膜の能力を測定する。該試験は、試験装置、例えばInstron CEAST9340装置において行われる。落下高さは0.03~1.10mである。衝突速度は0.77~4.65m/秒である。最大落下質量は37.5kgであり、最大位置エネルギーは405Jである。パンクチャー強度は、1.67mm/秒での低速パンクチャーモードにおいて測定される。
【0027】
[00028]ポリマーまたはポリマー組成物のメルトフローレートは、ISO Test1133に準拠して、190℃にて21.6kgの負荷において測定される。
[00029]ポリマーの密度は、ISO Test1183に準拠して、g/cm3の単位において測定される。
【0028】
[00030]平均粒径(d50)は、レーザー回析/光散乱、例えば好適なHORIBA光散乱装置を用いて測定される。
[00031]ポリマーの平均分子量は、マーゴリーズ(Margolies’)式を用いて決定される。
【0029】
[00032]引張係数、降伏点引張応力、降伏点引張ひずみ、50%破断点引張応力、破断点引張応力および破断点引張公称ひずみは、全て、ISO Test527-2/1Bに準拠して測定される。
【0030】
[00033]サンプルの溶融吸熱ピークの半値幅は、示差走査熱量計(DSC)で測定される。電子天秤が、サンプル8.4gを測定するのに用いられる。サンプルは、アルミニウムサンプルパン中に配置される。アルミニウムカバーがパンに取り付けられ、これが示差走査熱量計中に設置される。サンプルおよび参照サンプルが、20mL/分の流量において窒素パージが実施される間に、40℃にて1分間保持され、次いで10℃/分の加熱速度において40℃から180℃へ加熱され、180℃にて5分間保持され、次いで10℃/分の冷却速度において40℃に冷却される。ベースラインが、プロセスの間に得られた溶融曲線において60℃から150℃に引かれ、溶融吸熱ピークの半値幅が、分析ソフトウェア、例えば「Pyris Software(version7)」を用いて誘導される。当該試験は、TA Instrumentsから入手可能なDSC Q2000熱量計を用いて行われうる。
【0031】
[00034]123℃における等温結晶化の間の半結晶化時間は、示差走査熱量(DSC)測定におけるピーク面積の半分に相当する、123℃における等温結晶化測定の間に測定される熱の量を必要とする時間から決定されうる。該試験は、TA Instrumentsから入手可能なDSC Q2000熱量計を用いて行われうる。
【0032】
[00035]ガーレー透気度は、ガーレー透気度試験機、例えば熊谷理機工業株式会社から市販されているGurley Densometer,Model KRK2060cを用いたガーレー試験に準拠して測定されうる。該試験は、ISO Test5636に準拠して行われる。ガーレー試験は、特定の量の空気が特定の圧力下で特定の面積を通るのに必要とされる時間の関数としての空気透過度を測定する。単位は、秒/100mlにおいて報告される。
【0033】
[00036]多孔度(Porosity、%)は、以下の手順に従って測定される。該手順の間、以下のASTM Standardsが参照物として用いられる:D622 Standard Test Method for Apparent Density of Rigid Cellular Plastics1;およびD729 Standard Test Methods for Density and Specific Gravity(Relative Density)of Plastics by Displacement1。以下の機器が使用される:Calibrated Analytical Balance(0.0001グラム);Lorentzen&Wettre Micrometer、code251(0.1um);およびDeli2056 art knife。
【0034】
手順:
1.1.サンプルおよびサンプル調製
標本のart knifeを用いて、各サンプル材料を最少3種の60mm±0.5×60mm±0.5の標本へと切断する。
1.2.機器および測定
3.2.1 L&Wミクロメーターを用いて、それぞれが60mm×60mmの標本において、厚さの5回の読取り(平均して5回の読取り)を行う。この値を、この標本の厚さとして記録する。
3.2.2 該標本を秤上で、直接、秤量する。この値を標本の重量として記録する。
3.2.3 同一のサンプルの3種の標本を一緒に置き、ステップ2.2.1とステッ3.2.2とを繰り返して、[バルク]厚さおよび[バルク]重量を得る。
密度を、3種の有意な数字へと、以下の通り算出する
a.Dフィルム=密度(フィルム)=標本のWt./THK×Square
Dフィルム=標本の密度、mg/mm3
Wt=標本の重量、mg
THK=標本の厚さ、mm
Square=標本の面積、(mm2)
b.Dポリマー=密度(ポリマー)0.95(g/cm3)
Dポリマー:原材料の密度、細孔なし
c.多孔度=(1-Dフィルム/Dポリマー)×100%
【発明を実施するための形態】
【0035】
[00037]本検討が、例示的実施形態のみの記載であり、かつ本開示のより広い態様を限定することが意図されないことが、当業者によって理解されることになる。
[00038]一般に、本開示は、ゲル押出物品、例えば多孔質膜を備えたファイバーおよびフィルムを製造するのに好適なポリマー組成物を対象とする。ポリマー組成物は、ポリエチレン樹脂、例えば高密度ポリエチレン粒子を、可塑剤および1種または複数の強度向上剤と合わされて含有する。強度向上剤は、ポリエチレンポリマーの結晶構造に影響を及ぼすことができる。本開示に従って使用されうる強度向上剤は、カルボン酸の金属塩、ホスフェートの金属塩、例えば芳香族ホスフェート、無機フィラー、およびこれらの組合せが挙げられる。1種または複数の強度向上剤が、組成物から作製された物品、例えば多孔質膜の少なくとも1つの物性を向上させるのに十分な量でポリマー組成物中に組み入れられる。例えば、1種または複数の強度向上剤は、パンクチャー強度、引張強度、またはその両方を増大させるように、1種または複数の強度向上剤を含有していない同一のポリマー組成物から作製された多孔質膜と比べたときに少なくとも2%、例えば少なくとも3%、例えば少なくとも4%、例えば少なくとも5%、例えば少なくとも6%、例えば少なくとも8%、例えば少なくとも10%、例えば少なくとも12%、例えば少なくとも15%、例えば少なくとも17%、例えば少なくとも20%、例えば少なくとも22%、例えば少なくとも25%、例えば少なくとも27%、例えば少なくとも30%、例えば少なくとも32%の量で、組成物中に組み入れられうる。事実、パンクチャー強度は、本開示に従って、最大で70%、例えば最大で50%増大されうると考えられる。
【0036】
[00039]1つまたは複数の物性を向上させる方法において1種または複数の強度向上剤をポリマー組成物中に組み入れることは、幾分か予測不能である。本開示によれば、特定のポリエチレンポリマーが、パンクチャー強度および/または引張強度を増大させるために、1種または複数の選択された強度向上剤と合わされる。さらに、本開示に従って配合されたポリマー組成物は、一般に、当該組成物から形成された物品の1つまたは複数の性質におそらくは悪影響を及ぼすことが見出された多種の成分を含有していない。例としては、本開示に従って作製されたポリマー組成物は、ソルビトール非含有およびポリプロピレン非含有としうる。ソルビトールは、例としては、ゲル押出物品から作製された物品の強度特性を実際に低下させることが見出された、ポリオレフィンポリマー用の既知の核形成剤である。
【0037】
[00040]本開示のポリマー組成物は、1種または複数の強度向上剤と合わせるのに特に良好に適するポリエチレンポリマーを含有する。ポリエチレンポリマーは、ポリマー組成物の一次ポリマー成分およびマトリックスポリマーを形成するのに使用される高密度ポリエチレンポリマーとすることができる。高密度ポリエチレンは、約0.93g/cm3以上、例えば約0.94g/cm3以上、例えば約0.95g/cm3以上の密度を有し、かつ一般に約1g/cm3未満、例えば約0.96g/cm3未満の密度を有する。
【0038】
[00041]高密度ポリエチレンポリマーは、90%を上回るエチレン由来の単位、例えば95%超のエチレン由来の単位、または100%エチレン由来の単位から作製されうる。ポリエチレンは、ホモポリマー、または他のモノマー単位を有するターポリマーを含むコポリマーとすることができる。
【0039】
[00042]高密度ポリエチレンは、高分子量ポリエチレン、非常に高い分子量のポリエチレンおよび/または超高分子量ポリエチレンとすることができる。「高分子量ポリエチレン」は、少なくとも約3×105g/molの平均分子量を有するポリエチレン組成物を指し、かつ本明細書で使用される場合、非常に高い分子量のポリエチレンおよび超高分子量ポリエチレンを含むことが意図される。本明細書の目的では、本明細書中で参照される分子量は、マーゴリーズ式に従って決定される(「マーゴリーズ分子量」)。
【0040】
[00043]「非常に高い分子量のポリエチレン」は、約3×106g/mol未満で約1×106g/mol超の重量平均分子量を有するポリエチレン組成物を指す。いくつかの実施形態では、非常に高い分子量のポリエチレン組成物の分子量は、約2×106g/molから約3×106g/mol未満の間である。
【0041】
[00044]「超高分子量ポリエチレン」は、少なくとも約3×106g/molの平均分子量を有するポリエチレン組成物を指す。いくつかの実施形態では、超高分子量ポリエチレン組成物の分子量は、約3×106g/molから約30×106g/molの間、または約3×106g/molから約20×106g/molの間、または約3×106g/molから約10×106g/molの間、または約3×106g/molから約6×106g/molの間である。
【0042】
[00045]一態様では、高密度ポリエチレンは、エチレンのホモポリマーである。別の実施形態では、高密度ポリエチレンは、コポリマーであってもよい。例としては、高密度ポリエチレンは、エチレンと、3~16個の炭素原子、例えば3~10個の炭素原子、例えば3~8個の炭素原子を含有する別のオレフィンとのコポリマーであってもよい。これらの他のオレフィンには、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチルペンタ-1-エン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセンなどが挙げられるがこれらに限定されない。本明細書でまた利用可能なのは、ポリエンコモノマー、例えば1,3-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、4-ビニルシクロヘキサ-1-エン、1,5-シクロオクタジエン、5-ビニリデン-2-ノルボルネンおよび5-ビニル-2-ノルボルネンである。しかしながら、存在する場合、コポリマー中の非エチレンモノマーの量は、約10mol%未満、例えば約5mol%未満、例えば約2.5mol%未満、例えば約1mol%未満であってもよく、そのmol%はポリマー中のモノマーの総モルに対する。
【0043】
[00046]一実施形態では、高密度ポリエチレンは、単峰性の分子量分布を有しうる。あるいは、高密度ポリエチレンは、二峰性の分子量分布を呈しうる。例としては、二峰性の分布は、一般に、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲル浸透クロマトグラフィーの曲線上で、明瞭なより高い分子量と明瞭なより低い分子量と(例えば2つの明瞭なピーク)を有するポリマーを指す。別の実施形態では、高密度ポリエチレンは、ポリエチレンが多峰性(例えば三峰性、四峰性など)の分布を呈するような2個超の分子量分布ピークを呈しうる。あるいは、高密度ポリエチレンは、より高い分子量の成分とより低い分子量の成分とのブレンドからなることにより、サイズ排除クロマトグラフィーまたはゲル浸透クロマトグラフィーの曲線が、少なくとも2つの明瞭なピークを呈さず、代わりに個々の成分のピークよりも広い1つの明瞭なピークを呈する、広い分子量分布を呈してもよい。
【0044】
[00047]当技術分野で公知の任意の方法を利用して、ポリエチレンを合成することができる。ポリエチレン粉末は、典型的には、不均一触媒および共触媒としてオルガノアルミニウムまたはマグネシウム化合物を用いて、エチレンモノマーの、または任意選択で1種または複数の他の1-オレフィンコモノマーとの触媒重合で、最終ポリマー中の1-オレフィン含有量がエチレン含有量の10%以下となるように、製造される。エチレンは、通常、気相またはスラリー相において、比較的低い温度および圧力にて重合される。重合反応は、50℃から100℃の間の温度、および0.02~2MPaの範囲内の圧力にて実施しうる。
【0045】
[00048]ポリエチレンの分子量は、水素を添加することによって調整することができる。温度ならびに/または共触媒のタイプおよび濃度の変更も、分子量を微調整するのに使用してもよい。加えて、反応は、ファウリングおよび製品汚染を回避するために、帯電防止剤の存在下で行ってもよい。
【0046】
[00049]好適な触媒系には、チーグラーナッタ型触媒が挙げられるがこれらに限定されない。典型的には、チーグラーナッタ型触媒は、周期表の4族から8族の遷移金属化合物、および周期表の1族から3族の金属のアルキルまたは水素化物誘導体の組合せに由来する。使用される遷移金属誘導体は、通常、金属ハロゲン化物もしくはエステル、またはこれらの組合せを含む。例示的なチーグラーナッタ触媒には、オルガノアルミニウムまたはマグネシウム化合物、限定されないが例えばアルキルアルミニウムまたはマグネシウムと、チタン、バナジウムまたはクロムのハロゲン化物またはエステルとの反応生成物に基づく触媒がある。不均一触媒は、担持されていないこともあり、多孔質微粒物質、例えばシリカまたは塩化マグネシウム上に担持されていることもある。このような担体は、触媒の合成中に添加するこができ、または触媒合成自体の化学反応生成物として得てもよい。
【0047】
[00050]一実施形態では、好適な触媒系は、不活性有機溶媒中、-40℃~100℃、好ましくは-20℃~50℃の範囲内の温度にて、チタン(IV)化合物とトリアルキルアルミニウム化合物との反応によって得られうる。出発材料の濃度は、チタン(IV)化合物については0.1~9mol/L、好ましくは0.2~5mol/Lの範囲内であり、トリアルキルアルミニウム化合物については0.01~1mol/L、好ましくは0.02~0.2mol/Lの範囲内である。チタン成分は、0.1分~60分、好ましくは1分~30分にわたってアルミニウム化合物に添加され、最終混合物中のチタンとアルミニウムとのモル比は、1:0.01~1:4の範囲内にある。
【0048】
[00051]別の実施形態では、好適な触媒系は、チタン(IV)化合物の、トリアルキルアルミニウム化合物との、不活性有機溶媒中の、-40℃~200℃、好ましくは-20℃~150℃の範囲内の温度における1ステップまたは2ステップの反応によって得られる。第1のステップでは、チタン(IV)化合物が、トリアルキルアルミニウム化合物と、チタンのアルミナに対するモル比1:0.1~1:0.8の範囲内を用いて、-40℃~100℃、好ましくは-20℃~50℃の範囲内の温度にて反応される。出発材料の濃度は、チタン(IV)化合物については0.1~9.1mol/L、好ましくは5~9.1mol/Lの範囲内にあり、トリアルキルアルミニウム化合物については0.05~1mol/L、好ましくは0.1~0.9mol/Lの範囲内にある。チタン成分は、アルミニウム化合物に、0.1分~800分、好ましくは30分~600分にわたって添加される。第2のステップでは、適用される場合、第1のステップにおいて得られた反応生成物が、トリアルキルアルミニウム化合物と、チタンのアルミニウムに対するモル比1:0.01~1:5の範囲内を用いて、-10℃~150℃、好ましくは10℃~130℃の範囲内の温度にて処理される。
【0049】
[00052]さらに別の実施形態では、好適な触媒系は、第1の反応段階において、マグネシウムアルコレートを、塩化チタンと、不活性炭化水素中、50℃~100℃の温度にて反応させる手順によって得られる。第2の反応段階において、形成された反応混合物は、110℃~200℃の温度にて約10~100時間、熱処理に供すると、塩化アルキルがもはや放出しなくなるまで塩化アルキルの放出を伴い、次いで固体は、炭化水素で数回洗浄することによって可溶性反応生成物から遊離される。
【0050】
[00053]さらなる実施形態では、シリカ担持触媒、例えば市販の触媒系Sylopol5917がまた使用されうる。
[00054]このような触媒系を使用して、重合は、通常、サスペンション中で、連続またはバッチの1つのまたは複数のステップにおいて、低い圧力および温度にて実施される。重合温度は、典型的には、30℃~130℃の範囲内、好ましくは50℃~90℃の範囲内にあり、エチレンの分圧は、典型的には、10MPa未満、好ましくは0.05MPaおよび5MPaである。例えばイソプレニルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムであるがそれらに限定されないようなトリアルキルアルミニウムは、Al:Ti(共触媒対触媒)の比が0.01~100:1の範囲内、より好ましくは0.03~50:1の範囲内にあるように、共触媒として使用される。溶媒は、チーグラー型重合のために典型的に使用される不活性有機溶媒である。例は、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキセン、オクタン、ノナン、デカン、それらの異性体およびそれらの混合物である。ポリマーの分子量は、水素を供給することを通して制御される。水素分圧のエチレン分圧に対する比は、0~50の範囲内、好ましくは0~10の範囲内にある。ポリマーは、分離されて、流動床乾燥器中、窒素下で乾燥される。溶媒は、高沸点溶媒を使用する場合に、水蒸気蒸留を通じて除去されうる。長鎖脂肪酸の塩が、安定剤として添加されてもよい。典型的な例は、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸亜鉛である。
【0051】
[00055]任意選択で、他の触媒、例えばフィリップス触媒、メタロセンおよびポストメタロセンが利用されうる。一般に、共触媒、例えばアルモキサンまたはアルキルアルミニウムまたはアルキルマグネシウムの各化合物もまた利用される。他の好適な触媒系には、フェノレートエーテル配位子の4族金属錯体が挙げられる。
【0052】
[00056]本開示における使用のために特に良好に適したポリエチレンポリマーは、示差走査熱量計で測定したときに、約6℃超、例えば約6.2℃超、例えば約6.4℃超、例えば約6.5℃超、例えば約6.8℃超の溶融吸熱ピークの半値幅を有し、かつ一般に約9℃未満の、溶融吸熱ピークの半値幅を有する。ポリエチレンポリマーはまた、123℃における等温結晶化の間に、約2分超、例えば約2.5分超、例えば約3.0分超、例えば約3.5分超、例えば約4.0分超、例えば約4.5分超の半結晶化時間も有することができ、かつ一般に約12分未満の半結晶化時間も有することができる。過去においては、上に記載したものよりも短い時間を有するポリエチレンポリマーが最適な結果をもたらすと考えられていた。しかしながら、本発明者らは、選択された強度向上剤、または強度向上剤の選択された組合せが、上に記載したポリエチレンポリマーを含有するポリマー組成物から作製された多孔質膜の1つまたは複数の強度の性質を劇的に改良することができることを発見した。
【0053】
[00057]本開示によれば、高密度ポリエチレンポリマーは粒子へと形成され、可塑剤と合わされる。一実施形態では、ポリエチレン粒子は、DIN53466に準拠して測定して、比較的低いバルク密度を有するポリエチレンポリマーから作製される。例としては、一実施形態では、バルク密度は、一般に約0.4g/cm3未満、例えば約0.35g/cm3未満、例えば約0.33g/cm3未満、例えば約0.3g/cm3未満、例えば約0.28g/cm3未満、例えば約0.26g/cm3未満である。バルク密度は、一般に、約0.1g/cm3超、例えば約0.15g/cm3超である。一実施形態では、ポリマーは、約0.2g/cm3~約0.27g/cm3のバルク密度を有する。
【0054】
[00058]一実施形態では、ポリエチレン粒子は、易流動性粉末でもよい。該粒子は、200ミクロン未満の、体積メジアン粒径(d50)を有することができる。例えば、ポリエチレン粒子のメジアン粒径(d50)は、約150ミクロン未満、例えば約125ミクロン未満とすることができる。メジアン粒径(d50)は、一般に、約20ミクロン超である。粉末の粒径は、ISO13320によるレーザー回析法を利用して測定されうる。
【0055】
[00059]一実施形態では、ポリエチレン粒子のうちの90%は、約250ミクロン未満の粒径を有することができる。他の実施形態では、ポリエチレン粒子のうちの90%は、約200ミクロン未満、例えば約170ミクロン未満の粒径を有することができる。
【0056】
[00060]ポリエチレンポリマーの分子量は、特定の用途に応じて変化しうる。ポリエチレンポリマーは、例としては、マーゴリーズ等式により決定される平均分子量を有しうる。分子量は、最初にDIN EN ISO Test1628に準拠して粘度数を測定することによって決定しうる。乾燥粉末流は、25mmのノズルを用いて測定される。次いで、分子量は、マーゴリーズ等式を用いて粘度数から算出される。平均分子量は、一般に約300,000g/mol超、例えば約500,000g/mol超、例えば約650,000g/mol超、例えば約1,000,000g/mol超、例えば約2,000,000g/mol超、例えば約2,500,000g/mol超、例えば約3,000,000g/mol超、例えば約4,000,000g/mol超である。平均分子量は、一般に約12,000,000g/mol未満、例えば約10,000,000g/mol未満である。一態様では、高密度ポリエチレンポリマーの数平均分子量は、約4,000,000g/mol未満、例えば約3,000,000g/mol未満とすることができる。
【0057】
[00061]一態様では、組成物または膜は、単一のポリエチレンポリマーのみを含むことができる。単一のポリエチレンポリマーは、650,000g/mol以上、例えば約1,000,000g/mol超の平均分子量を有することができ、かつ一般に2,500,000g/mol未満の平均分子量を有することができる。
【0058】
[00062]ポリエチレンは、ISO1628 part3に準拠して0.0002g/mLのデカヒドロナフタレン中の濃度を利用して決定して、少なくとも100mL/g、例えば少なくとも500mL/g、例えば少なくとも550mL/gの粘度数から、約6,000mL/g未満、例えば約5,000mL/g未満、例えば約4000mL/g未満、例えば約3,000mL/g未満、例えば約1,000mL/g未満の粘度数までを有しうる。
【0059】
[00063]高密度ポリエチレンは、少なくとも約40%~85%、例えば45%~80%の結晶度を有しうる。一態様では、結晶化度は、約50%超、例えば約55%超、例えば約60%超、例えば約65%超、例えば約70%超とすることができ、かつ一般に約80%未満とすることができる。
【0060】
[00064]一般に、高密度ポリエチレン粒子は、ポリマー組成物中に、約50重量%までの量で存在する。例としては、高密度ポリエチレン粒子は、ポリマー組成物中に、約45重量%未満の量で、例えば約40重量%未満の量で、例えば約35重量%未満の量で、例えば約30重量%未満の量で、例えば約25重量%未満の量で、例えば約20重量%未満の量で、例えば約15重量%未満の量で存在することができる。ポリエチレン粒子は、組成物中に、約5重量%超の量で、例えば約10重量%超の量で、例えば約15重量%超の量で、例えば約20重量%超の量で、例えば約25重量%超の量で存在することができる。ゲル処理の間に、可塑剤は高密度ポリエチレン粒子と合わされ、これは、ポリマー物品の形成中に実質的にまたは完全に除去されうる。例えば、一実施形態では、得られたポリマー物品は、高密度ポリエチレンポリマーを、約70重量%超の量で、例えば約80重量%超の量で、例えば約85重量%超の量で、例えば約90重量%超の量で、例えば約95重量%超の量で含有することができる。
【0061】
[00065]本開示によれば、ゲル押出物品を製造するためのポリマー組成物は、1種または複数の強度向上剤を、高密度ポリエチレン粒子との組合せにおいて含有する。1種または複数の強度向上剤は、ポリエチレンポリマーと合わされてその後に可塑剤と合わされてもよく、または同時にポリエチレンポリマーおよび可塑剤と合わされてもよい。一態様では、1種または複数の強度向上剤は、ポリエチレンポリマーと予備化合されてポリマー粒子を形成し、次いでこれが可塑剤と合わされうる。
【0062】
[00066]本開示に従って使用されうる強度向上剤には、1種または複数のカルボン酸の金属塩またはアルカリ塩、例えばジカルボン酸の金属塩が挙げられる。一態様では、環状カルボン酸の金属塩またはアルカリ塩が使用されうる。本開示に従って使用されうる他の強度向上剤には、1種または複数のホスフェートの金属塩またはアルカリ塩が挙げられる。一態様では、例としては、強度向上剤は、芳香族ホスフェートの金属塩またはアルカリ塩である。さらに別の態様では、強度向上剤は無機フィラーとすることができる。
【0063】
[00067]強度向上剤の多種の混合物も組成物中に組み入れてもよい。例としては、一態様では、2種の異なるリン酸塩が使用されうる。別法では、リン酸塩はカルボン酸の塩と合わされうる。さらに別の実施形態では、組成物は、2種の異なるリン酸塩と合わされたカルボン酸の塩を含有してもよい。
【0064】
[00068]一態様では、例えば、強度向上剤は、化学構造:
【0065】
【0066】
を有する二環式ジカルボン酸金属塩とすることができる。
[00069]式中、M11とM12とは、同一でありもしくは異なり、またはM11とM12とは合わされて、単一部分を形成し、かつ、独立に、金属または有機カチオンからなる群から選択される。好ましくは、M11およびM12(または合わされたM11とM12からの単一部分)は、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、リチウム、亜鉛、マグネシウムおよび一塩基性アルミニウムからなる群から選択される。式中、R20、R21、R22、R23、R24、R25、R26、R27、R28およびR29は、独立に、水素およびC1~C9アルキルからなる群から選択され;さらに式中、任意の2つの近接して位置するR22~R29アルキル基は、任意選択で合わされて、炭素環式環を形成しうる。好ましくは、R22~R29は水素であり、M11およびM12はナトリウムカチオンである。
【0067】
[00070]特定の一実施形態では、強度向上剤は、二ナトリウムビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボキシレートを含み、かつ化学構造:
【0068】
【0069】
を有することができる。
[00071]別の実施形態では、強度向上剤は、化学構造:
【0070】
【0071】
を有することができるリン酸エステル金属塩とすることができる。
[00072]式中、R1は、酸素、硫黄、または1~10個の炭素原子の炭化水素基であり;R2およびR3のうちのそれぞれは、水素もしくは炭化水素、または1~10個の炭素原子の炭化水素基であり;R2とR3とは、同一であっても互いに異なっていてもよく;R2のうちの2つ、R3のうちの2つ、またはR2とR3とは、一緒に結合して環を形成してもよく;Mは、一価から三価の金属原子であり;nは1~3の整数であり;mは0または1のいずれかであり、但し条件としてn>mである。
【0072】
[00073]上記式によって表される強度向上剤の例には、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-i-プロピル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム-2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、カルシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-チオビス(4-t-オクチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-ブチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレンビス(4,6-ジメチル-フェニル)-ホスフェート、ナトリウム-2,2’-t-オクチルメチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム(4,4’-ジメチル-5,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス[(4,4’-ジメチル-6,6’-ジ-t-ブチル-2,2’-ビフェニル)ホスフェート]、ナトリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4-m-ブチル-6-t-ブチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-メチルフェニル)ホスフェート、ナトリウム-2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-エチルフェニル)ホスフェート、カリウム-2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート、カルシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、マグネシウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、バリウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、アルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、アルミニウム-トリス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]が挙げられる。
【0073】
[00074]特定の一実施形態では、強度向上剤は、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、またはこれらの混合物を含んでもよい。
【0074】
[00075]一態様では、ポリマー組成物は、ナトリウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、リチウム2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、またはこれらの混合物のブレンドを含有する。上記2種の強度向上剤は、一態様では、約2:1~約1:2の重量比において存在することができる。別の態様では、重量比は、約10:1~約1.5:1とすることができる。さらに別の態様では、重量比は、約1:8~約1:1.5とすることができる。
【0075】
[00076]別の態様では、強度向上剤は無機フィラーとすることができる。無機フィラーは、単独で、または上に記載した他の強度向上剤と併せて使用されうる。本開示に従って使用されうる無機フィラーには、酸化チタン粒子、タルク粒子、クレイ粒子、シリケート粒子、ヒドロタルサイト粒子などが挙げられる。粒子は、比較的小さい平均粒径を有しうる。例としては、粒子は、約20ミクロン未満、例えば約12ミクロン未満、例えば約8ミクロン未満、例えば約6ミクロン未満、例えば約4ミクロン未満、例えば約2ミクロン未満、例えば約1.5ミクロン未満、例えば約1ミクロン未満、例えば約0.5ミクロン未満、例えば約0.3ミクロン未満の平均粒径を有しうる。粒径は、一般に、約0.001ミクロン超、例えば約0.01ミクロン超、例えば約0.1ミクロン超である。
【0076】
[00077]上に記載した強度向上剤は、ポリエチレンポリマーの結晶構造に影響を及ぼしうる。しかしながら、これもまたポリエチレンポリマーの結晶構造に影響を及ぼしうる他の化合物が、本開示に従って機能しえないことが発見された。例としては、ソルビトールをポリマー組成物に添加することが、実際に、多様な強度特性を低下させうることが発見された。そのため、一実施形態では、本開示のポリマー組成物はソルビトール非含有である。上記のことは、強度向上剤の使用の予測不能性を明示している。結果として、本開示は、組成物から作製された物品の強度の性質を最適化するために、特定のポリエチレンポリマーを特定の強度向上剤と合わせることを対象とする。
【0077】
[00078]この点において、ポリマー組成物に組み入れられる、かつ当該組成物から作製されたポリマー物品に組み入れられる、1種または複数の強度向上剤の量は、様々な要素に応じてさまざまとなりうる。一般に、1種または複数の強度向上剤が、組成物から作製された多孔質膜が少なくとも1%、例えば少なくとも約2%、例えば少なくとも約3%、例えば少なくとも約4%、例えば少なくとも約5%、例えば少なくとも約6%、パンクチャー強度および/または(少なくとも1方向における)引張強度の増大を有するように、ポリマー組成物中に組み入れられる。例えば、パンクチャー強度および/または引張強度は、約8%超、例えば約10%超、例えば約12%超、例えば約15%超、例えば約17%超、例えば約20%超、例えば約22%超、例えば約25%超、例えば約27%超、例えば約30%超、例えば約32%超、増大されうる。当技術分野で周知のように、多孔質膜の強度の何らかの増大は、バッテリーおよび他の類似の電子装置中に組み入れられるとき、重要となりうる。
【0078】
[00079]一態様では、本開示に従って作製されるポリマー物品、例えばポリマー膜は、1種または複数の強度向上剤を、約0.01重量%超の量で、例えば約0.05重量%超の量で、例えば約0.08重量%の量で、例えば約1.1重量%の量で含有することができる。1種または複数の強度向上剤は、ポリマー物品中に、約2.1重量%未満の量で、例えば約1.2重量%未満の量で、例えば約0.5重量%未満の量で存在することができる。
【0079】
[00080]強度向上剤がジカルボン酸金属塩またはリン酸エステルであるとき、強度向上剤は、ポリマー物品中に、一般に、約0.3重量%超の量で、例えば約0.5重量%超の量で、例えば約0.8重量%超の量で、例えば約1重量%超の量で、例えば約1.2重量%超の量で存在することができ、かつ一般に約2重量%未満の量で存在することができる。
【0080】
[00081]無機フィラーは、少量で添加してもよいことが発見された。例としては、強度向上剤が無機フィラーであるとき、ポリマー物品は、強度向上剤を、約1重量%未満の量で、例えば約0.8重量%未満の量で、例えば約0.7重量%未満の量で、例えば約0.6重量%未満の量で含有してもよく、かつ一般に約0.01重量%超の量で、例えば約0.1重量%超の量で、例えば約0.2重量%超の量で、例えば約0.4重量%超の量で含有してもよい。
【0081】
[00082]1種または複数の強度向上添加剤が、本開示に従って作製されたポリマー物品に対して有する効果は、多様な要因に依存しうる。そのため、本開示に従って作製される任意の多孔質膜の最終の強度の性質は、ポリマーと合わされた向上添加剤のタイプおよび量と併せて選択される特定のポリエチレンポリマーに応じて変わりうる。一態様では、例としては、微小孔性膜は本開示に従って作製されてもよく、これは、約140MPa超、例えば約144MPa超、例えば約145MPa超、例えば約146MPa超の、1方向における引張強度を有し、かつ一般に約250MPa未満の、1方向における引張強度を有する。パンクチャー強度は、一態様では、約900mN/μm超、例えば約950mN/μm超、例えば約1000mN/μm超、例えば約1020mN/μm超、例えば約1030mN/μm超、例えば約1040mN/μm超、例えば約1050mN/μm超とすることができ、かつ一般に約3000mN/μm未満、例えば約2000mN/μm未満とすることができる。
【0082】
[00083]高密度ポリエチレン粒子および少なくとも1種の強度向上剤に加えて、ポリマー組成物は、可塑剤をさらに含有する。一般に、任意の好適な可塑剤が、可塑剤がゲル紡糸または押出に好適なゲル様材料を形成することが可能である限り、他の成分と合わされうる。
【0083】
[00084]可塑剤は、例としては、炭化水素油、アルコール、エーテル、エステル、例えばジエステル、またはこれらの混合物を含んでもよい。例としては、好適な可塑剤には、鉱油、パラフィン系油、デカリンなどが挙げられる。他の可塑剤には、キシレン、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、デシルアルコール、ノニルアルコール、ジフェニルエーテル、n-デカン、n-ドデカン、オクタン、ノナン、ケロシン、トルエン、ナフタレン、テトラリンなどが挙げられる。一実施形態では、可塑剤は、ハロゲン化炭化水素、例えばモノクロロベンゼンを含んでもよい。シクロアルカンおよびシクロアルケンがまた使用されてもよく、例えばカンフェン、メタン、ジペンテン、メチルシクロペンタンジエン、トリシクロデカン、1,2,4,5-テトラメチル-1,4-シクロヘキサジエンなどである。可塑剤は、上記のうちのいずれかの混合物および組合せもまた含んでもよい。
【0084】
[00085]可塑剤は、一般に、ポリマー物品を形成するのに使用される組成物中に、約50重量%超の量で、例えば約55重量%超の量で、例えば約60重量%超の量で、例えば約65重量%超の量で、例えば約70重量%超の量で、例えば約75重量%超の量で、例えば約80重量%超の量で、例えば約85重量%超の量で、例えば約90重量%超の量で、例えば約95重量%超の量で、例えば約98重量%超の量で存在する。事実、可塑剤は、約99.5重量%までの量で存在することができる。
【0085】
[00086]高密度ポリエチレン粒子および強度向上剤は、可塑剤とブレンドされて、均質なゲル様材料を形成する。
[00087]本開示によるポリマー物品を形成するために、高密度ポリエチレン粒子は、1種または複数の強度向上添加剤および可塑剤と合わされ、所望の形状のダイを通して押出される。一実施形態では、組成物は、押出機内で加熱されうる。例えば、可塑剤は、粒子混合物と合わされて、押出機中に供給されうる。本開示によれば、可塑剤および粒子混合物は、均質なゲル様材料を形成し、その後、押出機に、不純物がほとんどないポリマー物品から不純物がまったくないポリマー物品までを形成させる。
【0086】
[00088]一実施形態では、延ばされた物品が、ゲル紡糸法または押出法の間に形成される。ポリマー物品は、例としては、ファイバーまたはフィルム、例えば膜の形態にあってもよい。
【0087】
[00089]該方法の間、可塑剤のうちの少なくとも一部が、最終製品から除去される。可塑剤除去の方法は、比較的揮発性の可塑剤が使用されるときに、蒸発に起因して起こりうる。さもなければ、抽出液体が、可塑剤を除去するのに使用されうる。抽出液体は、例としては、炭化水素溶媒を含んでもよい。抽出液体の1つの例は、例としては、ジクロロメタンである。他の抽出液体には、アセトン、クロロホルム、アルカン、ヘキセン、ヘプテン、アルコール、またはこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
[00090]所望であれば、得られたポリマー物品は、ポリマー混合物の融点未満の昇温にて延伸されて、強度および弾性を増強しうる。延伸のための好適な温度は、およそ周囲温度から約155℃の範囲内である。延伸比は、一般に約4超、例えば約6超、例えば約8超、例えば約10超、例えば約15超、例えば約20超、例えば約25超、例えば約30超とすることができる。一定の実施形態では、延伸比は、約50超、例えば約100超、例えば約110超、例えば約120超、例えば約130超、例えば約140超、例えば約150超とすることができる。延伸比は、一般に約1,000未満、例えば約800未満、例えば約600未満、例えば約400未満である。一実施形態では、より低い延伸比が用いられ、例えば約4~約10である。ポリマー物品は、一軸で伸ばされてもよく、または二軸で伸ばされてもよい。
【0089】
[00091]本開示に従って作製されたポリマー物品は、数多くの使用および用途を有する。例えば、一実施形態では、膜を製造する方法が用いられる。膜は、例としては、バッテリーセパレータとして使用されうる。あるいは、膜は、ミクロフィルターとして使用されうる。ファイバーを製造するとき、ファイバーは、不織布の布帛、ロープ、ネットなどを製造するのに使用されうる。一実施形態では、ファイバーは、防弾衣料における充填材料として使用されうる。
【0090】
[00092]
図1を参照すると、本開示に従って作製されるリチウムイオンバッテリー10の一実施形態が示されている。バッテリー10は、アノード12およびカソード14を備える。アノード12は、例としては、リチウム金属から作製されうる。他方、カソード14は、硫黄から、または挿入されているリチウム金属酸化物から作製されうる。本開示によれば、バッテリー10は、多孔質膜16、またはアノード12とカソード14との間に配置されたセパレータをさらに備える。多孔質膜16は、イオン、例えばリチウムイオンの通過を可能にしながら、2つの電極間の電気的短絡を最小化する。
図1に示されるように、一実施形態では、多孔質膜16は単一層ポリマー膜であり、多層構造を含まない。一態様では、単一層ポリマー膜はまた、コーティングを含んでもよい。コーティングは、例としては、酸化アルミニウムまたは酸化チタンから作製される無機コーティングとすることができる。あるいは、単一層ポリマー膜はまた、ポリマーコーティングも含んでもよい。該コーティングは、増強した耐熱性を付与することができる。
【0091】
[00093]本開示に従って作製されるポリマー組成物およびポリマー物品は、多様な他の添加剤、例えば熱安定剤、光安定剤、UV吸収剤、酸捕捉剤、難燃剤、滑剤、着色剤などを含有してもよい。
【0092】
[00094]一実施形態では、熱安定剤が、組成物中に存在しうる。熱安定剤には、ホスファイト、アミン抗酸化剤、フェノール抗酸化剤、またはこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0093】
[00095]一実施形態では、抗酸化剤が、組成物中に存在しうる。抗酸化剤には、第2級芳香族アミン、ベンゾフラノン、立体障害フェノール、またはこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0094】
[00096]一実施形態では、光安定剤が、組成物中に存在しうる。光安定剤には、2-(2’-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシ-4-アルコキシベンゾフェノン、ニッケル含有光安定剤、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロベンゾエート、立体障害アミン(HALS)、またはこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0095】
[00097]一実施形態では、UV吸収剤が、組成物中に、光安定剤の代わりにまたは光安定剤に加えて存在しうる。UV吸収剤には、ベンゾトリアゾール、ベンゾエート、またはこれらの組合せまたはこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0096】
[00098]一実施形態では、ハロゲン化難燃剤が、組成物中に存在しうる。ハロゲン化難燃剤には、テトラブロモビスフェノールA(TBBA)、テトラブロモフタル酸無水物、デデカクロロペンタシクロオクタデカジエン(デクロラン)、ヘキサブロモシクロデデカン、塩素化パラフィン、またはこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0097】
[00099]一実施形態では、非ハロゲン化難燃剤が、組成物中に存在しうる。非ハロゲン化難燃剤には、レゾルシノール二リン酸テトラフェニルエステル(RDP)、ポリリン酸アンモニウム(APP)、ホスフィン酸誘導体、リン酸トリアリール、トリクロロプロピルホスフェート(TCPP)、水酸化マグネシウム、三水酸化アルミニウム、三酸化アンチモニーが挙げられるがこれらに限定されない。
【0098】
[000100]一実施形態では、滑剤が、組成物中に存在しうる。滑剤には、シリコーン油、ワックス、二硫化モリブデン、またはこれらの任意の組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0099】
[000101]一実施形態では、着色剤が、組成物中に存在しうる。着色剤には、無機および有機ベースの色顔料が挙げられるがこれらに限定されない。
[000102]一態様では、酸捕捉剤が、ポリマー組成物中に存在しうる。酸捕捉剤は、例としては、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩を含みうる。該塩は、脂肪酸の塩、例えばステアリン酸塩を含むことができる。他の酸捕捉剤には、炭酸塩、酸化物または水酸化物が挙げられる。ポリマー組成物中に組み入れられうる特定の酸捕捉剤には、ステアリン酸金属、例えばステアリン酸カルシウムが挙げられる。さらに他の酸捕捉剤には、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0100】
[000103]これらの添加剤は、単独で使用されてもよく、またはそれらの任意の組合せにおいて使用されてもよい。一般に、各添加剤は、少なくとも約0.05wt.%、例えば少なくとも約0.1wt.%、例えば少なくとも約0.25wt.%、例えば少なくとも約0.5wt.%、例えば少なくとも約1wt.%の量で存在することができ、かつ一般に約20wt.%未満、例えば約10wt.%未満、例えば約5wt.%未満、例えば約4wt.%未満、例えば約2wt.%未満の量で存在することができる。ポリマー組成物中で利用される、存在する場合に任意の添加剤を含む成分のうちの全てのwt.%の和は、100wt.%となる。
【0101】
[000104]本開示は、以下の実施例を参照して、より良く理解されうる。以下の実施例は、例示によって以下に付与され、限定によって付与されるのではない。以下の実験は、本発明の有益性および利点のうちのいくつかを示すために行った。
【実施例】
【0102】
実施例1
[000105]高密度ポリエチレンのベース樹脂を多種の強度向上剤と共に含有する多種の樹脂組成物を、配合した。強度向上剤を、タンブルブレンダーを用いて、高密度ポリエチレンとブレンドした。樹脂組成物を、従来のように、ゲル押出、二軸延伸および溶媒抽出を介して膜へと調製した。
【0103】
[000106]サンプルにおいて使用したポリエチレンポリマーは、約700,000g/molの平均分子量および約115ミクロンの平均粒径を有した。ポリマーは、0.5g/10分のメルトフローレートを有し、0.94g/cm3の密度を有した。ポリマーは、ISO Test1628-3に準拠して測定したとき、600cm3/gの粘度数を有した。ポリエチレンポリマーは、123℃における等温結晶化の間に、2分超の半結晶化時間を有し、サンプルの溶融吸熱ピークが6℃超の半値幅を提示するホモポリマーであった。
【0104】
[000107]以下の強度向上添加剤を調べた:
【0105】
【0106】
[000108]強度向上添加剤を、0.3wt.%の充填レベルにおいてポリエチレンポリマーとブレンドした。当該ブレンドを、30wt.%固形分含有量の樹脂およびパラフィン油を使用して、約190℃~約240℃の温度および200rpmのスクリュー速度にてゲル押出した。押出後、得られた膜を、40℃に設定したチルローラー上で固化した。延伸を、120℃の温度にて7×7比(MD/TD)において実施した。延伸した膜の抽出をアセトン中で実施した。膜を130℃にて10分間、アニールした。
【0107】
[000109]次いで、膜を、強度の性質について試験した。以下の結果を得て、強度向上添加剤を一切含有していない対照サンプルと比較した。
【0108】
【0109】
[000110]上に示したように、ソルビトールの使用は、実際に、膜の強度特性を低下させた。他の強度向上添加剤は、すべて、引張強度またはパンクチャー強度のうちの少なくとも1つを増大させた。
【0110】
実施例2
[000111]異なるベース樹脂、および強度向上剤を含有する異なる配合物を使用して、実施例1の手順を繰り返した。
【0111】
[000112]使用したポリエチレンポリマーは、約1,700,000g/molの平均分子量および約135ミクロンの平均粒径を有した。ポリマーは、0.1g/10分未満のメルトフローレートを有した。ポリエチレンポリマーは、ホモポリマーとした。
【0112】
[000113]以下の強度向上添加剤を調べた。
【0113】
【0114】
[000114]膜を、実施例1に記載の手順を用いて作製した。しかしながら、充填レベルは、下表に示す通り、(製造された膜において)0.15重量%から0.3重量%の間で変化した。以下の結果を得て、強度向上添加剤を一切含有していなかった対照サンプルと比較した。
【0115】
【0116】
上記実施例1および2からのサンプルのうちのすべてをまた、多孔度、透過性および伸びについても試験した。以下の結果を得た:
【0117】
【0118】
[000115]本発明に対するこれらのおよび他の変更ならびに変形は、添付の特許請求の範囲においてより詳細に示されている本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって実践されうる。加えて、様々な実施形態の態様が、全体または一部の両方において互換しうることが理解されるべきである。さらに、当業者であれば、先行する説明が例のみを介するものであり、このような添付の特許請求の範囲においてさらに説明されているような本発明を限定することは意図されていないことを認めることになる。
【国際調査報告】