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特表2023-533737インジェクタノズル汚染を軽減し粒子排出を低減するための燃料添加剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】インジェクタノズル汚染を軽減し粒子排出を低減するための燃料添加剤
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/222 20060101AFI20230728BHJP
   C10L 1/2383 20060101ALI20230728BHJP
   C10L 10/04 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
C10L1/222
C10L1/2383
C10L10/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501273
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2021056075
(87)【国際公開番号】W WO2022009105
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/048,922
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598037547
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クオ、チュン - ハオ
(72)【発明者】
【氏名】リューエ ジュニア、ウィリアム レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】ング、マン キット
(72)【発明者】
【氏名】フエンテス - アフレック、ペーター エイ.
(72)【発明者】
【氏名】イッケス、アンドリュー エム.
(72)【発明者】
【氏名】チャン、キャリー ワイ.
(72)【発明者】
【氏名】グナワン、テレサ エル.
【テーマコード(参考)】
4H015
【Fターム(参考)】
4H015AA23
4H015AB01
4H015AB07
(57)【要約】
本開示は、燃料組成物であって、ガソリンまたはディーゼルの範囲で沸騰する炭化水素系燃料と、式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤であって、燃料組成物の総重量に基づく重量により約10ppm~約750ppmで存在する添加剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む燃料組成物を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料組成物であって、
ガソリンまたはディーゼルの範囲で沸騰する炭化水素系燃料と、
式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤であって、前記燃料組成物の総重量に基づく重量により約10ppm~約750ppmで存在する前記アミン系清浄剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、
1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む、前記燃料組成物。
【請求項2】
は直鎖状または分枝状である、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項3】
前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、脂肪族ヒドロカルビルアミン、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、ヒドロカルビル置換スクシンイミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステル、またはポリアルキルフェノキシアミノアルカンである、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項3】
前記アミン系清浄剤あるいは前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、モノアミンまたはポリアミンである、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項4】
前記アミン系清浄剤は、前記燃料組成物の約10ppm~750ppmで存在する、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項5】
前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、前記燃料組成物の約50ppm~約2500ppmで存在する、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項6】
抗酸化剤、金属不活性化剤、抗乳化剤、含酸素剤、アンチノック剤、分散剤、流動点降下剤、または流動性向上剤をさらに含む、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項7】
濃縮組成物であって、
65℃~205℃の範囲で沸騰する約30~90重量%の有機溶媒と、
約10~70重量%の清浄剤混合物とを含み、前記清浄剤混合物は、
(1)式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、
(2)1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む、前記濃縮組成物。
【請求項8】
は直鎖状または分枝状である、請求項7に記載の濃縮組成物。
【請求項9】
前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、脂肪族ヒドロカルビルアミン、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、ヒドロカルビル置換スクシンイミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステル、またはポリアルキルフェノキシアミノアルカンである、請求項7に記載の濃縮組成物。
【請求項10】
前記アミン系清浄剤あるいは前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、モノアミンまたはポリアミンである、請求項7に記載の濃縮組成物。
【請求項11】
インジェクタ汚染を制御する方法であって、
直接噴射エンジンに燃料組成物を供給することを含み、前記燃料組成物は、
ガソリンまたはディーゼルの範囲で沸騰する炭化水素系燃料と、
式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤であって、前記燃料組成物の総重量に基づく重量により約10ppm~約750ppmで存在する前記アミン系清浄剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、
1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む、前記方法。
【請求項12】
は直鎖状または分枝状である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、脂肪族ヒドロカルビルアミン、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、ヒドロカルビル置換スクシンイミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステル、またはポリアルキルフェノキシアミノアルカンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アミン系清浄剤あるいは前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、モノアミンまたはポリアミンである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記アミン系清浄剤は、前記燃料組成物の約10ppm~750ppmで存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記1つまたは複数の窒素含有清浄剤は、前記燃料組成物の約50ppm~約2500ppmで存在する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記燃料組成物は、抗酸化剤、金属不活性化剤、抗乳化剤、含酸素剤、アンチノック剤、分散剤、流動点降下剤、または流動性向上剤をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エンジン性能を向上させることができる燃料成分に関する。より詳細には、本開示は、直接噴射式火花点火エンジンにおけるインジェクタノズル汚染を軽減し粒子排出を低減するための組成物及び方法を記述する。
【背景技術】
【0002】
ポート燃料噴射(PFI)ガソリンエンジンのために開発された従来の燃料添加剤は、一般に、直接噴射ガソリン(DIG)エンジンまたはガソリン噴射(GDI)エンジンと呼ばれることもある直接噴射式火花点火(DISI)エンジンにおけるデポジットの形成を制御するように最適化されていない。これは主に、DISIエンジンが、PFIエンジンとは異なり、燃料を燃焼室に直接送達することに起因する。燃料は、直接噴射されると、直ちに高温及び高圧に曝露される。この環境では、燃焼生成物がインジェクタ及びノズルの外部表面及び/または内部表面に蓄積し得る(インジェクタ汚染として知られている)。
【0003】
インジェクタノズルの周囲と燃焼室の内部との両方でデポジットが形成されると、燃料流量、噴射時間、及び/または噴霧パターンのうちの1つまたは複数に著しい悪影響が及ぶことがある。これは結果として、排出の増加、粒子状物質(PM)形成の増加、燃料経済性の低減、出力/性能の損失、摩耗の増加、及び/または機器寿命の低減につながり得る。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、燃料組成物であって、ガソリンまたはディーゼルの範囲で沸騰する炭化水素系燃料と、式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤であって、燃料組成物の総重量に基づく重量により約10ppm~約750ppmで存在する清浄剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む燃料組成物が提供される。
【0005】
別の態様では、濃縮組成物であって、65℃~205℃の範囲で沸騰する約30~90重量%の有機溶媒と、約10~70重量%の清浄剤混合物とを含み、清浄剤混合物は、(1)式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、(2)1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む、濃縮組成物が提供される。
【0006】
さらに別の態様では、インジェクタ汚染を制御する方法であって、直接噴射エンジンに燃料組成物を供給することを含み、燃料組成物は、ガソリンまたはディーゼルの範囲で沸騰する炭化水素系燃料と、式R-O-(CH-NHRによって与えられるアミン系清浄剤であって、燃料組成物の総重量に基づく重量により約10ppm~約750ppmで存在するアミン系清浄剤[式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である]と、1つまたは複数の窒素含有清浄剤とを含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施例セクションに記述される図である。
図2】実施例セクションに記述される図である。
図3】実施例セクションに記述される図である。
図4】実施例セクションに記述される図である。
図5A】実施例セクションに記述される図である。
図5B】実施例セクションに記述される図である。
図5C】実施例セクションに記述される図である。
図6A】実施例セクションに記述される図である。
図6B】実施例セクションに記述される図である。
図6C】実施例セクションに記述される図である。
図7A】実施例セクションに記述される図である。
図7B】実施例セクションに記述される図である。
図7C】実施例セクションに記述される図である。
図8A】実施例セクションに記述される図である。
図8B】実施例セクションに記述される図である。
図8C】実施例セクションに記述される図である。
図9A】実施例セクションに記述される図である。
図9B】実施例セクションに記述される図である。
図9C】実施例セクションに記述される図である。
図10A】実施例セクションに記述される図である。
図10B】実施例セクションに記述される図である。
図10C】実施例セクションに記述される図である。
図11】A及びBは、実施例セクションに記述される図である。
図12】実施例セクションに記述される図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、直接噴射エンジンにおけるデポジット制御のための組成物及び方法を記述する。より詳細には、本発明は、燃料組成物の成分として利用され得る清浄添加剤組成物、及びその組成物を使用する方法を提供する。
【0009】
本発明の燃料組成物は、(i)炭化水素系燃料、(ii)一次燃料添加剤、及び(iii)1つまたは複数の二次燃料添加剤を含む。
【0010】
炭化水素系燃料
炭化水素系燃料には、ガソリン及びディーゼルが含まれる。
【0011】
ガソリン燃料は、少なくとも主にC~C12炭化水素を含有する組成物を指す。一実施形態において、ガソリンまたはガソリン沸点範囲の成分はさらに、少なくとも主にC~C12炭化水素を含有し、さらに約37.8℃(100°F)~約204℃(400°F)の沸点範囲を有する組成物を指すものと定義される。代替的な実施形態において、ガソリンは、少なくとも主にC~C12炭化水素を含有し、約37.8℃(100°F)~約204℃(400°F)の沸点範囲を有する組成物を指すものと定義され、さらに、ASTM D4814を満たすものと定義される。
【0012】
ディーゼル燃料は、少なくとも主にC10~C25炭化水素を含有する中間留分燃料を指す。一実施形態において、ディーゼルはさらに、少なくとも主にC10~C25炭化水素を含有し、さらに約165.6℃(330°F)~約371.1℃(700°F)の沸点範囲を有する組成物を指すものと定義される。代替的な実施形態において、ディーゼルは、上記で定義されたとおり、少なくとも主にC10~C25炭化水素を含有し、約165.6℃(330°F)~約371.1℃(700°F)の沸点範囲を有する組成物を指すものと定義され、さらに、ASTM D975を満たすものと定義される。
【0013】
炭化水素系燃料は、燃料組成物全体に対する重量%で多量に存在する。いくつかの実施形態では、炭化水素系燃料は、約50重量%以上、55重量%以上、60重量%以上、65重量%以上、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、または約50重量%から100重量%未満までの任意の範囲の間で存在する。
【0014】
いくつかの実施形態によれば、本発明で用いられるガソリンは、クリーン燃焼ガソリン(CBG)であり得る。CBGは、低下したレベルの硫黄、芳香族、及びオレフィンを含有するガソリン調合物を指す。正確な調合は、地域の規制の定義によって異なり得る。
【0015】
燃料可溶性で不揮発性のキャリア流体またはキャリアオイルが本開示の化合物と共に使用されてもよい。キャリア流体は、化学的に不活性な炭化水素可溶性液体ビヒクルであり、燃料添加剤組成物の不揮発性残留物(NVR)または溶媒不含液体画分を実質的に増加させるが、オクタン必要量の増加に甚大に寄与することはない。キャリア流体は、天然または合成の油、例えばミネラルオイル、精製石油、水添及び未水添のポリアルファオレフィンを含む合成ポリアルカン及びアルケン、合成ポリオキシアルキレン由来油、例えば米国特許第3,756,793号、同第4,191,537号、及び同第5,004,478号、ならびに欧州特許出願公開第356,726号及び同第382,159号に記述されているものなどであり得る。
【0016】
キャリア流体は、炭化水素燃料の重量により35~5000ppm(例えば、燃料の50~3000ppm)の範囲の量で用いられ得る。燃料濃縮物に用いられる場合、キャリア流体は、20~60重量%(例えば、30~50重量%)の範囲の量で存在し得る。
【0017】
一次燃料添加剤
本発明の一次燃料添加剤は、次式:
-O-(CH-NHR
(式I)
を有するアミン系清浄剤(より具体的には、直鎖状/分枝状の脂肪族エーテルアミン)であり、式中、Rは、8~20個の炭素を有するヒドロカルビル基であり、Rは、水素または(CHNH部分であり、m、nは、独立して、3以上の値を有する整数である。ヒドロカルビル基は飽和でも不飽和でもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル基は、2つ以上の不飽和結合を含有し得る。
【0018】
ある利点として、本発明の燃料添加剤は、従来のアミン系燃料清浄剤(例えばポリイソブチルアミン、ポリエーテルアミンなど)と比較して、同じ処理速度でより多くの塩基性窒素を送達することができる。この特徴は、清浄力の決定において重要である。別の利点として、本発明の添加剤の低分子量は、その低い分解温度及び高い揮発性と共に、添加剤が有害なデポジットを生成することを防止する。
【0019】
本発明と適合する脂肪族エーテルアミンで特に説明に役立つものには、イソトリデシルオキシプロピルアミン及び2-エチルヘキシルオキシプロピルアミンが含まれる。これらは、限定を意図しない説明のための例である。
【0020】
いくつかの実施形態では、一次燃料添加剤は、燃料組成物全体に基づいて約10ppm~約750ppm(例えば20~700、30~650、50~600、100~500、200~400、250~350など)で存在し得る。
【0021】
二次燃料添加剤
本発明の燃料組成物は、1つまたは複数の二次燃料添加剤を含む。二次燃料添加剤は、本発明の一次燃料添加剤と合わせると増大した清浄力をもたらす窒素含有清浄剤である。
【0022】
好適な二次燃料添加剤は、脂肪族ヒドロカルビル置換アミン、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン、ヒドロカルビル置換スクシンイミド、マンニッヒ反応生成物、ポリアルキルフェノキシアミノアルカン、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステル、ならびに窒素含有キャブレタ/インジェクタ清浄剤と分類され得る。二次燃料添加剤の各種類について、より詳細に本明細書に記述する。
【0023】
特に、本発明で用いられる脂肪族ヒドロカルビル置換アミンは、少なくとも1つの塩基性窒素を有し、ヒドロカルビル基が約700~3,000の数平均分子量を有する、直鎖または分枝鎖のヒドロカルビル置換アミンであり得る。脂肪族ヒドロカルビル置換アミンの特定例には、ポリイソブテニルアミン及びポリイソブチルアミンが含まれる。これらのアミンは、モノアミンまたはポリアミンとして得ることができる。脂肪族アミンの調製については一般的に知られており、米国特許第3,438,757号、同第3,565,804号、同第3,574,576号、同第3,848,056号、同第3,960,515号、同第4,832,702号、及び同第6,203,584号に詳細に記述されており、これらの特許はすべて、ここで参照することにより組み込まれている。
【0024】
特に、本発明で用いられるヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン(「ポリエーテルアミン」とも呼ばれる)には、ヒドロカルビル基が約1~約30個の炭素原子を含有する、ヒドロカルビルポリ(オキシアルキレン)アミン(モノアミンまたはポリアミン)が含まれ得る。オキシアルキレン単位の数は、約5~約100の範囲であり得る。アミン部分は、アンモニア、第一級アルキルもしくは第二級ジアルキルモノアミン、または末端アミノ窒素原子を有するポリアミンから誘導される。オキシアルキレン部分は、オキシプロピレンもしくはオキシブチレンまたはそれらの混合物であり得る。ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、米国特許第6,217,624号及び米国特許第5,112,364号に記述されており、これらの特許は、ここで参照することにより本明細書に組み込まれている。ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)モノアミンの特定例には、ポリ(オキシアルキレン)部分がオキシプロピレン単位もしくはオキシブチレン単位またはオキシプロピレン単位及びオキシブチレン単位の混合物を含有する、アルキルフェニルポリ(オキシアルキレン)モノアミンが含まれる。アルキルフェニル部分のアルキル基は、約1~約24個の炭素原子をもつ直鎖または分枝鎖のアルキルである。好ましいアルキルフェニル部分はテトラプロペニルフェニルであり、ここで、アルキル基は、プロピレン四量体から誘導された12個の炭素原子をもつ分枝鎖アルキルである。
【0025】
より具体的に述べると、更なるヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンには、ここで参照することにより組み込まれている米国特許第4,288,612号、同第4,236,020号、同第4,160,648号、同第4,191,537号、同第4,270,930号、同第4,233,168号、同第4,197,409号、同第4,243,798号及び同第4,881,945号に開示されているヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミノカルバメートが含まれる。これらのヒドロカルビルポリ(オキシアルキレン)アミノカルバメートは、少なくとも1つの塩基性窒素原子を含有し、約500~10,000、好ましくは約500~5,000、より好ましくは約1,000~3,000の平均分子量を有する。好ましいアミノカルバメートは、アミン部分がエチレンジアミンまたはジエチレントリアミンから誘導されるアルキルフェニルポリ(オキシブチレン)アミノカルバメートである。
【0026】
特に、本発明で用いられるヒドロカルビル置換スクシンイミドには、ポリアルキル基またはポリアルケニル基が約500~5,000、好ましくは約700~3,000の平均分子量を有する、ポリアルキルスクシンイミド及びポリアルケニルスクシンイミドが含まれる。ヒドロカルビル置換スクシンイミドは、典型的には、アミン窒素原子に結合した少なくとも1つの反応性水素を有するアミンまたはポリアミンと、ヒドロカルビル置換無水コハク酸を反応させることによって調製される。好ましいヒドロカルビル置換スクシンイミドには、ポリイソブテニルスクシンイミド及びポリイソブタニルスクシンイミド、ならびにそれらの誘導体が含まれる。ヒドロカルビル置換スクシンイミドは、米国特許第5,393,309号、同第5,588,973号、同第5,620,486号、同第5,916,825号、同第5,954,843号、同第5,993,497号、及び同第6,114,542号、ならびに英国特許第1,486,144号に記述されており、これらの特許はすべて、ここで参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0027】
特に、本発明で用いられるマンニッヒ反応生成物は、高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物、少なくとも1つの反応性水素を含有するアミン、及びアルデヒドのマンニッヒ縮合から典型的に得られる生成物を含む。高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族化合物は、好ましくは、ポリアルキル基が約600~3,000の平均分子量を有する、ポリプロピルフェノール及びポリブチルフェノール、特にポリイソブチルフェノールなどのポリアルキルフェノールである。アミン反応物は、典型的に、例えばアルキレンポリアミン、特にエチレンポリアミンまたはポリエチレンポリアミン、例えばエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリアミンである。アルデヒド反応物は、概して、脂肪族アルデヒド、例えばパラホルムアルデヒド及びホルマリンを含むホルムアルデヒド、ならびにアセトアルデヒドである。好ましいマンニッヒ反応生成物は、ポリイソブチルフェノールをホルムアルデヒド及びジエチレントリアミンと縮合することによって得られ、ここでポリイソブチル基は、約1,000の平均分子量を有する。本発明で使用するのに好適なマンニッヒ反応生成物は、例えば、米国特許第4,231,759号及び同第5,697,988号に記述されており、これらの各々の開示内容は、参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0028】
本発明で使用するのに好適な清浄添加剤のなおもさらなる種類は、ポリアルキルフェノキシアミノアルカンである。好ましいポリアルキルフェノキシアミノアルカンは、次式:
【化1】

を有するものを含み、式中、Rは、約600~5,000の範囲の平均分子量を有するポリアルキル基であり、R及びRは、独立して、水素、または1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、Aは、アミノ、アルキル基に約1~約20個の炭素原子を有するN-アルキルアミノ、各アルキル基に約1~約20個の炭素原子を有するN,N-ジアルキルアミノ、または約2~約12個のアミン窒素原子及び約2~約40個の炭素原子を有するポリアミン部分である。上記の式IIのポリアルキルフェノキシアミノアルカン及びそれらの調製物は、米国特許第5,669,939号に詳細に記述されており、この特許は、ここで参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0029】
ある特定の清浄剤混合物は、本発明による二次添加剤として特に有用であり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポリアルキルフェノキシアミノアルカンとポリ(オキシアルキレン)アミンとの混合物が用いられ得る。これらの混合物については、米国特許第5,851,242号に詳細に記述されており、この特許は、ここで参照することにより組み込まれている。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステルの混合物が用いられ得る。ポリアルキルフェノキシアルカノールの好ましいニトロ及びアミノ芳香族エステルは、次式:
【化2】

を有するものを含み、式中、Rは、ニトロまたは-(CH)-NR1314(ここで、R13及びR14は、独立して、水素、または1~6個の炭素原子を有する低級アルキルである)であり、Rは、水素、ヒドロキシ、ニトロ、または-NR1516(ここで、R15及びR16は、独立して、水素、または1~6個の炭素原子を有する低級アルキルである)であり、R10及びR11は、独立して、水素、または1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、R12は、約450~5,000の範囲の平均分子量を有するポリアルキル基である。上記の式IIIに示されるポリアルキルフェノキシアルカノールの芳香族エステル及びそれらの調製物は、米国特許第5,618,320号に詳細に記述されており、この特許は、ここで参照することにより本明細書に組み込まれている。
【0032】
ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステルと、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンとの混合物も、本発明で用いることができる。これらの混合物については、米国特許第5,749,929号に詳細に記述されており、この特許は、ここで参照することにより組み込まれている。本発明において清浄添加剤として用いられ得る好ましいヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、次式:
【化3】

を有するものを含み、式中、R17は、約1~約30個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、R18及びR19は、各々独立して、水素、または約1~約6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、R18及びR19の各々は、各-O-CHR18-CHR19-単位において独立して選択され、mは、約5~約100であり、Bは、アミノ、アルキル基に約1~約20個の炭素原子を有するN-アルキルアミノ、各アルキル基に約1~約20個の炭素原子を有するN,N-ジアルキルアミノ、または約2~約12個のアミン窒素原子及び約2~約40個の炭素原子を有するポリアミン部分であり、mは、約5~約100の整数である。上記の式IVのヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン及びそれらの調製物は、米国特許第6,217,624号に詳細に記述されており、この特許は、ここで参照することにより組み込まれている。式IVのヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンは、好ましくは、単独で、または他の清浄添加剤と組み合わせて、特にポリアルキルフェノキシアミノアルカンもしくはポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステルと組み合わせて利用される。より好ましくは、本発明で用いられる清浄添加剤は、ヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミンと、ポリアルキルフェノキシアルカノールのニトロ及びアミノ芳香族エステルとの組み合わせである。特に好ましいヒドロカルビル置換ポリ(オキシアルキレン)アミン清浄添加剤は、ドデシルフェノキシポリ(オキシブチレン)アミンであり、清浄添加剤の特に好ましい組み合わせは、ドデシルフェノキシポリ(オキシブチレン)アミンと4-ポリイソブチルフェノキシエチルパラアミノベンゾエートとの組み合わせである。
【0033】
本発明で使用するのに好適な清浄添加剤の別の種類には、窒素含有キャブレタ/インジェクタ清浄剤が含まれる。キャブレタ/インジェクタ清浄添加剤は、典型的には、約100~約600の数平均分子量を有し、少なくとも1つの極性部分及び少なくとも1つの非極性部分を有する低分子量化合物である。非極性部分は、典型的には、約6~約40個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルまたはアルケニル基である。極性部分は、典型的には窒素を含有する。典型的な窒素含有極性部分には、アミン(例えば、米国特許第5,139,534号及びPCT国際公開第WO90/10051号に記述されているとおり)、エーテルアミン(例えば、米国特許第3,849,083号及びPCT国際公開第WO90/10051号に記述されているとおり)、アミド、ポリアミド及びアミドエステル(例えば、米国特許第2,622,018号、同第4,729,769号、及び同第5,139,534号、ならびに欧州特許公開第149,486号に記述されているとおり)、イミダゾリン(例えば、米国特許第4,518,782号に記述されているとおり)、アミンオキシド(例えば、米国特許第4,810,263号及び同第4,836,829号に記述されているとおり)、ヒドロキシアミン(例えば、米国特許第4,409,000号に記述されているとおり)、ならびにスクシンイミド(例えば、米国特許第4,292,046号に記述されているとおり)が含まれる。これらの参考文献の各々は、ここで参照することにより組み込まれている。
【0034】
各二次燃料添加剤は、燃料組成物の重量により約50ppm~約2500ppm(例えば100~2000、200~1500、300~1000など)で存在し得る。より好ましくは、二次燃料添加剤は、燃料組成物の重量により約50ppm~約1000ppmで存在する。
【0035】
他の添加剤
燃料組成物は、他の一般的に知られている燃料添加剤を含んでもよい。好適な例は、抗酸化剤、金属不活性化剤、抗乳化剤、含酸素剤、アンチノック剤、分散剤、及び他の清浄剤を含むが、これらに限定されない。ディーゼル燃料には、流動点降下剤、流動性向上剤などのような、他のよく知られている添加剤を用いることができる。
【0036】
前出の添加剤の各々は、使用される場合、燃料組成物に所望の特性を付与する機能的に有効な量で使用される。概して、これらの添加剤が使用される場合の各々の濃度は、別段の指定がない限り、約0.001~約20重量%、例えば約0.01~約10重量%の範囲であり得る。
【0037】
濃縮物
本開示の化合物は、65℃~205℃の範囲で沸騰する不活性で安定な親油性の(すなわち、炭化水素燃料に可溶である)有機溶媒を使用して濃縮物として調合することができる。脂肪族または芳香族の炭化水素溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、または高沸点芳香族もしくは芳香族シンナーを使用してもよい。炭化水素溶媒と組み合わせた、2~8個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、メチルイソブチルカルビノール、n-ブタノールなども、本件の添加剤と共に使用するのに好適である。濃縮物において、添加剤の量は、10~70重量%(例えば、20~40重量%)の範囲であり得る。
【0038】
以下の実施例は、非限定的であることが意図される。
【実施例
【0039】
以下の表1は、インジェクタ汚染及び/またはデポジットの制御性能を試験するために使用した添加剤をまとめたものである。以下の試験において使用した添加剤は、イソトリデシルオキシプロピルアミン(実施例1)、及びポリオキシブチレンアミン(実施例2)を含む。ベース燃料は、添加剤を含まないガソリン組成物である。
【表1】
【0040】
実施例1をガソリンにブレンドし、試験車両におけるDISIインジェクタ汚染を軽減するその能力について、本明細書に記述する試験方法を使用して試験した。1.4Lターボチャージャ付きDISI 4シリンダガソリンを搭載した2017年型VW Jetta SEが、この実施例で使用した試験車両であった。
【0041】
図1は、車両の運転サイクル中に観察されたエンジン速度及び負荷試験条件を示す。車両の運転サイクルは、米国環境保護庁(EPA)Urban Dynamometer Drive Schedule(UDDS)の移行フェーズから抽出された10の走行区間(hill)に基づき、更なるアイドル期間を追加した。総運転サイクルは20分間であり、全体の試験期間は2,000マイルである。
【0042】
添加剤の試験は、クリーンなインジェクタ及び燃焼室から始まる「キープクリーン(keep clean)」構成で行う。この試験構成は、所与のデポジット制御添加剤が試験期間中にインジェクタ及び燃焼室をクリーンに保つ能力を評価する。
【0043】
標的のデポジット制御添加剤を用いて試験燃料サンプルを調合した。次の3つのインジェクタ「キープクリーン」試験を行った:(i)添加剤を含まないベース燃料を使用した2つの試験、及び(ii)200ppmwの実施例1とブレンドした、(i)と同じベース燃料を使用した1つの試験。指定された運転サイクル後のインジェクタ燃料制限(平均)を以下の表2にまとめる。
【0044】
示されているように、インジェクタ燃料制限は、添加剤を含まない燃料の使用中と比較して、添加剤を含む燃料の使用中に実質的に減少した。インジェクタ燃料制限は、インジェクタオリフィス内のデポジットの存在を表す、インジェクタからの燃料流量の減少を測定する。インジェクタ制限は、エンジンコントローラが適切なエンジン燃料の送達を維持するために更なる制御調整を行うことを要する可能性があり、インジェクタオリフィス内のデポジットの存在は、燃料の混合に影響を与え、エンジン性能の低下及び粒子排出の増加につながり得る。試験完了後の各調合物のインジェクタ面の画像が図2に示されており、表2に対応する。
【表2】
【0045】
試験エンジンを使用して実施例1のPM排出量も評価した。この試験では、2016年型BMW B48O DISI 2.0L 16バルブターボチャージャ付きエンジンを使用した。
【0046】
エンジン運転サイクルは360秒であり、エンジン速度はアイドルから3000RPMまでの範囲であり、負荷は最大100Nmまで変化させる。全体の試験期間は96時間である。図3は、エンジン速度及び負荷試験条件を示す。
【0047】
PM測定は、エンジン試験台において、AVL Micro Soot Sensor(MSS)を使用して行った。MSSは、固体粒子質量の連続的な高速応答測定を提供し、PM測定の従来の重量法と良好に相関する。
【0048】
図4に示されるPM排出のトレース(より大きな試験のうちの2000秒の小さなセグメント)では、エンジンの状態が変化するにつれてPM排出量がいかに急速に上昇し低下するかを観察することができる。これらのデータに関する有用な測定基準を定めるためには、規制機関による車両の排出量の認定において使用される公式測定方法(例えば、U.S.Federal Test Procedure、すなわちFTP)を参考にすることができる。これらの場合、規制機関は、単に運転サイクル全体にわたる車両排気管からの排出の総量を報告する。同様の方式をPMデータセットに適用することにより、1回の試験運転サイクルの過程にわたるPM排出量を統合する。この統合を各運転サイクルで繰り返すことで、試験期間全体にわたるPM排出量の傾向線が得られる。
【0049】
図5A~5Cは、150ppmwの実施例2(図5A)、150ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(図5B)、ならびに150ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(図5C)を含む燃料組成物に関する、PM排出量傾向線(96時間試験)の結果を示す。
【0050】
図6A~6Cは、2000ppmwの実施例3(図6A)、2000ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(図6B)、ならびに2000ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(図6C)を含む燃料組成物に関する、PM排出量傾向線(96時間試験)の結果を示す。
【0051】
図7A~7C及び図8A~8Cは、直接噴射式火花点火(DISI)リグインジェクタ流量試験の結果を示す。これらのグラフは、100バールの噴射圧力で様々なパルス幅(1.5ms、2.5ms、3.5ms、及び4.5ms)でのクリーンなインジェクタの流量に対する制限率を示す。試験したサンプルには、150ppmwの実施例2(図7A)、150ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(図7B)、ならびに150ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(図7C)を含む燃料組成物が含まれる。サンプルには、2000ppmwの実施例2(図8A)、2000ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(図8B)、ならびに2000ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(図8C)を含む燃料組成物も含まれる。
【0052】
図9A~9Cは、車両試験またはエンジン試験の終了後(流量試験の前)に撮影された、150ppmwの実施例2(図9A)、150ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(図9B)、ならびに150ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(図9C)を含む燃料組成物を含有するサンプルに対応するインジェクタ面の画像を示す。
【0053】
図10A~10Cは、車両試験またはエンジン試験の終了後(流量試験の前)に撮影された、2000ppmwの実施例2(図10A)、2000ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(図10B)、ならびに2000ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(図10C)を含む燃料組成物を含有するサンプルに対応するインジェクタ面の画像を示す。
【0054】
図11Aは、150ppmwの実施例2(左のバー)、150ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(中央のバー)、ならびに150ppmwの実施例2及び750ppmの実施例1(右のバー)を含む燃料組成物に関する、インジェクタ先端のデポジットの平均体積(mm)を示す。図11Bは、2000ppmwの実施例2(左のバー)、2000ppmwの実施例2及び150ppmwの実施例1(中央のバー)、ならびに2000ppmwの実施例2及び750ppmwの実施例1(右のバー)を含む燃料組成物に関する、インジェクタ先端のデポジットの平均体積(mm)を示す。これらの測定値は、車両試験またはエンジン試験の終了時(流量試験の前)に取得した。
【0055】
以下の表3は、NACE TM0172規格試験方法を使用して防食特性について試験し評価したサンプルをまとめたものである。ベース燃料は、添加剤を含まない燃料である。図12は、防食試験の目視による確認を提示する。

【表3】
【0056】
本明細書に記述したすべての文書は、あらゆる優先権文書及び/または試験手順を含め、本文章と矛盾しない限り、参照することにより本明細書に組み込まれている。前出の概括的記述及び特定の実施形態から明らかであるように、本開示の諸形態を例示し記述したが、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変更を行うことができる。したがって、本開示がそれによって限定されることは意図されていない。
【0057】
簡潔にするために、ある特定の範囲のみが本明細書で明示的に開示されている。しかしながら、任意の下限からの範囲を任意の上限と組み合わせて、明示的に説明されていない範囲を説明してもよく、また、任意の下限からの範囲を任意の他の下限と組み合わせて、明示的に説明されていない範囲を説明してもよく、同じように、任意の上限からの範囲を任意の他の上限と組み合わせて、明示的に説明されていない範囲を説明してもよい。更に、範囲内には、明示的に説明されていなくとも、その端点間のすべての点または個々の値が含まれる。したがって、すべての点または個々の値は、明示的に説明されていない範囲を説明するために、任意の他の点もしくは個々の値または任意の他の下限もしくは上限と組み合わせられる独自の下限または上限として機能し得る。
【0058】
同様に、「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」という用語と同義とみなされる。同様に、組成物、要素、または要素群に「含む(comprising)」という移行句が先行する場合は常に、組成物、要素、または複数要素の列挙に先行する「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」、「からなる群から選択される(selected from the group of consisting of)」、または「である(is)」という移行句を伴う同じ組成物または要素群も想定され、その逆も同様である。
【0059】
本明細書で使用される「a」及び「the」という用語は、単数だけでなく複数も包含すると理解される。
【0060】
様々な用語を上記に定義した。請求項で使用される用語が上記に定義されていない場合、その用語には、少なくとも1つの印刷された出版物または交付済み特許において反映されているような、関連技術分野の当業者がその用語に与えた最も広い定義が与えられるべきである。さらに、本願で引用されているすべての特許、試験手順、及び他の文書は、その開示が本願と矛盾しない限り、その組み込みが許可されているすべての法域で、参照することにより完全に組み込まれている。
【0061】
本開示の前出の記述は、本開示を例示し説明するものである。更に、本開示は好ましい実施形態のみを示し、記述しているが、上述のように、本開示は様々な他の組み合わせ、改変形態、及び環境で使用可能であり、上記の教示及び/または関連技術分野の技術もしくは知識に相応する、本明細書で表現される概念の範囲内の変更または改変が可能であることを理解されたい。前出の内容は本開示の諸実施形態を対象とするが、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態は、その基本的範囲を逸脱することなく考案でき、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
【0062】
要素の組み合わせ、部分集合、群など(例えば、組成物における成分の組み合わせ、または方法におけるステップの組み合わせ)が開示される場合、これらの要素の様々な個別及び集合的な組み合わせならびに順列の各々の具体的な言及が明示的に開示されていない可能性があるが、各々は本明細書において具体的に想定され記述されているものと理解される。
【0063】
さらに、上文に記述した実施形態は、分かっている最良の実施態様を説明すること、また、当業者がかかる実施形態または他の実施形態において特定の用途または使用に必要とされる様々な改変を行って本開示を利用できるようにすることを意図している。したがって、この記述は、本明細書で開示される形態に限定することを意図するものではない。また、添付の特許請求の範囲は、代替的な実施形態を含むよう解釈されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11
図12
【国際調査報告】