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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】ホスホン酸による金属表面の修飾
(51)【国際特許分類】
   C23C 26/00 20060101AFI20230728BHJP
   A61L 27/28 20060101ALI20230728BHJP
   A61L 27/34 20060101ALI20230728BHJP
   A61L 27/04 20060101ALI20230728BHJP
   C12Q 1/6874 20180101ALI20230728BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
C23C26/00 A
A61L27/28
A61L27/34
A61L27/04
C12Q1/6874 Z
C12N15/09 200
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501337
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2021041177
(87)【国際公開番号】W WO2022011313
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/050,228
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520383773
【氏名又は名称】バイオロジカル ダイナミクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,タイラー リー
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ロバート ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヒネストロサ サラザール,ジュアン パブロ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン,ラジャラム
【テーマコード(参考)】
4B063
4C081
4K044
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QA20
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR90
4B063QS34
4B063QX02
4C081AB06
4C081BA14
4C081CE02
4C081CG01
4C081CG07
4C081DC03
4C081EA04
4C081EA06
4C081EA12
4C081EA13
4C081EA15
4K044AA06
4K044AB05
4K044AB10
4K044BA21
4K044BB01
4K044BC00
4K044BC02
4K044CA53
4K044CA62
(57)【要約】
本明細書では、白金、金、パラジウム、イリジウム、およびロジウムを含む金属表面の官能化のための方法および試薬が提供される。本明細書で提供される方法および試薬は、ホスホン酸またはホスホン酸エステル試薬を様々な官能基の結合源として使用し、それによって所望の特性で表面を修飾することができる。本明細書で提供される修飾された表面は、金属表面上の生物付着の防止を含む、様々な用途に有用である。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造
【化1】

を有する分子に結合した金属表面を含む官能化された金属表面であって、
式中、
Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
前記金属表面は、白金、金、パラジウム、イリジウム、およびロジウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの金属を含む、官能化された金属表面。
【請求項2】
Rが構造X-L-を有し、Lが連結部分でありかつXが反応性ハンドルもしくは捕捉部分であるか、またはRが構造Y-L-を有し、Lが連結部分でありかつYが表面修飾基である、請求項1に記載の官能化された金属表面。
【請求項3】
Lが任意に置換されたアルキレン鎖または任意に置換されたヘテロアルキレン鎖である、請求項2に記載の官能化された金属表面。
【請求項4】
Lが式
-[Z-(CR
の構造を有し、
式中、各RおよびRは、独立して、Hまたは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成するか、または隣接する原子上のRが一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子上のRおよびRが一緒になって三重結合を形成し、
各Zは独立して存在しないか、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、-S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRSONR-、または-OSONR-であり、
各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各nは独立して1~30の整数であり、そして
mは1~30の整数である、請求項2または3に記載の官能化された金属表面。
【請求項5】
Lが1~100個の原子の鎖を含み、前記鎖中の各原子がC、N、O、S、Si、およびPから独立して選択される、請求項2または3に記載の官能化された金属表面。
【請求項6】
前記鎖中の最初の原子がCである、請求項5に記載の官能化された金属表面。
【請求項7】
Lが
【化2】
から選択される1つ以上の下位単位を含み、各nは独立して1~30の整数である、請求項2~6のいずれか1項に記載の官能化された金属表面。
【請求項8】
Lが構造
【化3】
を含み、各nは独立して1~30の整数であり、そして
各pは独立して1~30の整数である、請求項2~7のいずれか1項に記載の官能化された金属表面。
【請求項9】
Lがポリマーを含む、請求項2に記載の官能化された金属表面。
【請求項10】
前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ハロゲン化ビニル)、ポリスチレン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアラミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、多糖類、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む、請求項9に記載の官能化された金属表面。
【請求項11】
RがX-L-の構造を有する、請求項2~10のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項12】
Xが、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、およびヒドラジド、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項11に記載の官能化された金属表面。
【請求項13】
Xが構造
-L-Z
を有し、
式中、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、または-OS(O)NR-であり、
は存在しないか、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアルケニレン、任意に置換されたアルキニレン、任意に置換されたヘテロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたアリールアルキレン、任意に置換されたヘテロアリールアルキレン、任意に置換されたアリールヘテロアルキレン、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキレンであり、
は、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジドを含み、そして
各Rは、独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである、請求項2~10のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項14】
が、結合、-O-、-C(O)-、-NR-、-C(O)O-、または-C(O)NRである、請求項13に記載の官能化された金属表面。
【請求項15】
が構造
-(CR
を有し、
式中、各RおよびRは、独立して、H、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、もしくは任意に置換されたヘテロアリールであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成し、または隣接する原子上のRが一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子上のRおよびRが一緒になって三重結合を形成し、ならびに
rは0~30の整数である、
請求項13または14に記載の官能化された金属表面。
【請求項16】
が、アミン、カルボン酸、マレイミド、アジド、アルキン、ハロゲン化物、アルケン、またはスルフヒドリルである、請求項13~15のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項17】
Xが、
【化4】
であり、
式中、
およびRはそれぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり、
rは0または1であり、そして
は、アジド、アルキン、ハロゲン化物、アルケン、またはスルフヒドリルである、
請求項11~16のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項18】
Xが、
【化5】
である、請求項11~17のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項19】
Xが、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、核酸、ペプチド、およびタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせから選択される捕捉部分を含む、請求項11に記載の官能化された金属表面。
【請求項20】
請求項11~19のいずれか一項に記載の官能化された金属表面および使用説明書を含むキット。
【請求項21】
Rが構造Y-L-を有する、請求項2~10のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項22】
Yが、疎水性残基、親水性残基、荷電残基、カチオン性残基、アニオン性残基、多糖類、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、抗菌剤、生物材料、生体適合性材料、防汚材料、導電性材料、半導体性材料、耐熱性材料、腐食防止材料、触媒、および磁性材料、またはそれらの任意の組み合わせから選択される表面修飾基を含む、請求項21に記載の官能化された金属表面。
【請求項23】
Yが構造
-L-Z
を有し、
式中、Zは結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-、またはアジド、アルキン、テトラジン、ハライド、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジド、および適切な相補的反応基であり、
は、存在しないか、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアルケニレン、任意に置換されたアルキニレン、任意に置換されたヘテロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたアリールアルキレン、任意に置換されたヘテロアリールアルキレン、任意に置換されたアリールヘテロアルキレン、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキレンであり、
は、少なくとも1つの表面修飾残基を含み、ならびに
各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである、請求項21または22に記載の官能化された金属表面。
【請求項24】
が、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-、
【化6】
である、請求項23に記載の官能化された金属表面。
【請求項25】
が存在しない、請求項23または24に記載の官能化された金属表面。
【請求項26】
が疎水性残基を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項27】
前記疎水性残基が疎水性ポリマーを含む、請求項26に記載の官能化された金属表面。
【請求項28】
前記疎水性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエーテル-ウレタン、ポリジメチルシロキサン、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む、請求項27に記載の官能化された金属表面。
【請求項29】
前記疎水性残基が脂肪酸またはその誘導体を含む、請求項26~28のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項30】
が親水性残基を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項31】
前記親水性残基が親水性ポリマーを含む、請求項30に記載の官能化された金属表面。
【請求項32】
前記親水性ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはその誘導体の任意の組み合わせを含む、請求項31に記載の官能化された金属表面。
【請求項33】
前記親水性ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(2-エチルオキサゾリン)、またはポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む、請求項31または32に記載の官能化された金属表面。
【請求項34】
Yが構造
【化7】
を含み、
式中、
各Rは、独立して、H、任意に置換されたC-Cアルキル、または任意に置換されたC-Cヒドロキシアルキルであり、
各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルであり、
各Xは、独立して、存在しないか、-O-、-S-、または-NRであり、
各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルであり、そして
sは1~10000の整数である、
請求項21~25のいずれか1項に記載の官能化された金属表面。
【請求項35】
がカチオン性残基を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項36】
がカチオン性ポリマーを含む、請求項35に記載の官能化された金属表面。
【請求項37】
前記カチオン性残基が、プロトン化アミン基、プロトン化置換アミン基、第四級アミン基、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項35または36に記載の官能化された金属表面。
【請求項38】
がアニオン性残基を含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項39】
がアニオン性ポリマーを含む、請求項38に記載の官能化された金属表面。
【請求項40】
前記アニオン性残基が、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスフェート、ホスホネート、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項38または39に記載の官能化された金属表面。
【請求項41】
前記表面修飾残基が、疎水性残基、親水性残基、荷電残基、カチオン性残基、アニオン性残基、多糖類、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、抗菌剤、生物材料、生体適合性材料、防汚材料、導電性材料、半導体性材料、耐熱性材料、腐食防止材料、触媒、磁性材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項42】
前記表面修飾基がヒドロゲルを含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項43】
前記ヒドロゲルが、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、もしくはメタクリルアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42に記載の官能化された金属表面。
【請求項44】
前記ヒドロゲルが約0.001ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する、請求項42または43に記載の官能化された金属表面。
【請求項45】
前記ヒドロゲルが約0.1S/m~約10S/mの導電率を有する、請求項42~44のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項46】
前記金属表面の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が官能化されている、請求項1から45のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項47】
前記金属表面が少なくとも部分的に酸化されている、請求項1~46のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項48】
前記金属表面の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が酸化されている、請求項47に記載の官能化された金属表面。
【請求項49】
前記金属表面が金属合金を含む、請求項1~48のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項50】
前記金属合金が、重量で金属の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%を構成する、請求項49に記載の官能化された金属表面。
【請求項51】
前記金属表面が金属および追加の材料を含む、請求項1~50のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項52】
前記金属表面が、重量で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の金属または金属の任意の酸化物を含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項53】
前記金属表面が哺乳動物の体内に配置されるように構成されている、請求項1~52のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項54】
前記金属表面が外科用または歯科用インプラントである、請求項1~53のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項55】
前記金属表面が、電極、マイクロチップ、ビーズ、マイクロ粒子、またはナノ粒子である、請求項1~54のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項56】
前記金属が白金もしくは金、またはそれらの酸化物である、請求項1~55のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項57】
前記金属が、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物である、請求項1~55のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項58】
金属表面を官能化する方法であって、
(a)ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面に沈着させる工程と、
(b)前記金属表面を加熱して、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を前記金属表面と結合させる工程とを含み、
ここで、前記金属表面は、白金、金、パラジウム、イリジウム、またはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項59】
前記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を付着させる工程が、ホスホン酸試薬および溶媒を含む溶液と前記金属表面を接触させることを含む、請求項58記載の方法。
【請求項60】
前記溶媒が、有機溶媒、水性溶媒、またはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物を含む、請求項58または59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記有機溶媒が、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、tert-ブチルアルコール、tert-ブチルメチルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジグリム、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチルメチルケトン、エチレングリコール、ヘキサン類、ヘキサメチルホスホルアミド、メタノール、ニトロメタン、ペンタン類、2-プロポナール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項60記載の方法。
【請求項62】
前記有機溶媒が、エタノール、テトラヒドロフラン、またはトルエンを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬が、約1μM、10μM、100μM、1mM、10mM、100mM、または1Mまでの濃度で溶液中に存在する、請求項59~62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
前記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を付着させる工程が、前記金属表面から前記溶媒を蒸発させることをさらに含む、請求項59~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
前記金属表面から前記溶媒を蒸発させる工程が、前記金属表面を加熱することを含む、請求項64記載の方法。
【請求項66】
前記金属表面が、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または少なくとも90℃の温度で加熱される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記ホスホン酸試薬を前記金属表面と結合させるために前記金属表面を加熱する工程が、オーブン、真空オーブン、またはマイクロ波反応器内で行われる、請求項58~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を前記金属表面と結合させるために前記金属表面を加熱する工程が、前記金属表面を少なくとも30℃、少なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、少なくとも120℃、少なくとも140℃、少なくとも160℃、または少なくとも180℃の温度に加熱することを含む、請求項58~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記金属表面が酸化金属表面である、請求項58~68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記酸化金属表面が、空気酸化、プラズマ処理、紫外線オゾン酸化、または化学酸化によって酸化されている、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記金属表面を酸化する工程をさらに含む、請求項58~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記金属表面を酸化する工程は、プラズマ処理、紫外線オゾン酸化、または化学酸化を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬が構造
【化8】
を有し、
式中、
Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、Hまたは置換されたアルキルである、請求項58~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記金属表面が白金もしくは金、またはそれらの酸化物を含む、請求項58~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記金属表面が、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物を含む、請求項58~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
ホスホネート残基を介して金属表面に結合するプローブ部分を含む金属表面マイクロアレイであって、前記金属表面が、白金、金、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、金属表面マイクロアレイ。
【請求項77】
結合した前記ホスホネート残基が、構造
【化9】

を有し、式中、Rは前記プローブ部分を含み、各
【化10】

は表面への結合点を示す、請求項76に記載のマイクロアレイ。
【請求項78】
前記プローブ部分が、核酸、ペプチド、タンパク質、抗体、小分子、グリカン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項76または77記載のマイクロアレイ。
【請求項79】
前記プローブ部分が核酸を含む、請求項78記載のマイクロアレイ。
【請求項80】
前記核酸がDNAまたはRNAを含む、請求項79記載のマイクロアレイ。
【請求項81】
DNAまたはRNA配列決定のために構成される、請求項76~80のいずれか一項に記載のマイクロアレイ。
【請求項82】
前記プローブ部分が生物学的因子に結合する、請求項76~81のいずれか一項に記載のマイクロアレイ。
【請求項83】
前記生物学的因子が、核酸、タンパク質、細胞、またはオルガネラである、請求項82に記載のマイクロアレイ。
【請求項84】
前記プローブ部分が生物学的因子に特異的である、請求項76~83のいずれか一項に記載のマイクロアレイ。
【請求項85】
前記マイクロアレイが、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10000、または少なくとも100000の固有のプローブ特徴を含む、請求項76~84のいずれか一項に記載のマイクロアレイ。
【請求項86】
前記金属表面マイクロアレイが白金もしくは金、またはそれらの酸化物を含む、請求項76~85のいずれか一項に記載のマイクロアレイ。
【請求項87】
前記金属表面マイクロアレイが、パラジウム、イリジウムもしくはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項76~86のいずれか一項に記載のマイクロアレイ。
【請求項88】
ホスホン酸残基を介してデバイスの表面に連結された薬物部分を含む薬物送達デバイスであって、前記表面が白金、金、パラジウム、イリジウム、またはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、薬物送達デバイス。
【請求項89】
ホスホネート残基が構造
【化11】

を有し、式中、Rは前記薬物部分を含み、各
【化12】

が前記表面への結合点を示す、請求項88に記載の薬物送達デバイス。
【請求項90】
前記薬物部分がリンカーを介してホスホネート残基に連結されている、請求項88または89に記載の薬物送達デバイス。
【請求項91】
前記リンカーが切断可能なリンカーである、請求項90に記載の薬物送達デバイス。
【請求項92】
前記リンカーが前記薬物部分を放出するように構成されている、請求項90または91に記載の薬物送達デバイス。
【請求項93】
標的化部分をさらに含む、請求項88~92のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項94】
前記標的化部分が、抗体もしくは抗体断片、ペプチド、または核酸を含む、請求項93に記載の薬物送達デバイス。
【請求項95】
ナノ粒子、マイクロ粒子、またはビーズである、請求項88~94のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項96】
前記表面が、白金もしくは金、それらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項88~95のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項97】
前記表面が、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項88~96のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項98】
構造
【化13】

を有する分子に結合する金属表面を含む官能化された金属表面であって、
式中、
Rはヒドロゲルを含む、官能化された金属表面。
【請求項99】
白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ケイ素、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銀、銅、コバルト、もしくはクロム、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項98に記載の官能化された金属表面。
【請求項100】
前記ヒドロゲルが約0.001S/m~約10S/mの導電率を有する、請求項98または99に記載の官能化された金属表面。
【請求項101】
前記ヒドロゲルが約0.001ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する、請求項98~100のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項102】
前記ヒドロゲルが合成ポリマーを含む、請求項98~101のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項103】
前記ヒドロゲルがアクリルアミドポリマーを含む、請求項98~102のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項104】
前記アクリルアミドポリマーが、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド、メタクリルアミド、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項98~103のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項105】
前記ヒドロゲルが、ポリアクリルアミド、ポリ(ジエチルアクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリオキサゾリン、ポリ(2-エチルオキサゾリン)、またはポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む、請求項98~104のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項106】
前記金属表面が電極である、請求項98~105のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【請求項107】
前記金属表面が電極の外面上に配置される、請求項98~105のいずれか一項に記載の官能化された金属表面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2020年7月10日に出願された米国仮出願第63/050,228号の利益を主張し、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
材料の異なる界面特性を達成するために、材料の表面修飾を使用することができる。例えば、抗菌層、耐食層、または生物付着防止層を、体内に埋め込むように設計された医療デバイスの表面に組み込むことができる。さまざまな表面の共有結合による修飾には多くの化学反応が存在するが、白金、金、またはパラジウム、イリジウム、もしくはロジウムなどの他の金属表面の官能化のために知られている方法はほとんどない。そのような金属表面に試薬および他の官能基を結合させるための追加のアプローチについての必要性が存在している。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、白金表面および金表面を含む金属表面を官能化する新規かつ改良された方法の必要性を満たす試薬、方法、および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、金属表面は白金族金属である。いくつかの実施形態では、試薬、方法、および組成物を使用して、パラジウム、イリジウム、またはロジウムの表面を官能化することができる。本明細書に記載のいくつかの実施形態では、試薬、方法、および組成物を使用して、ホスホン酸またはホスホネートエステルと金属表面との間の金属ホスホン酸結合の形成を通じて、金属表面にさまざまな官能基を付加することができる。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートは、追加の表面修飾基(例えば、ヒドロゲル)または他の官能基部分(例えば、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドなどの結合剤)などの、金属表面へのさらなる物質の付加を可能にする反応基または捕捉物質を含む。他の実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートは、所望の表面修飾基を含む(例えば、所望の基を付加するために別の反応を行う必要なしに)。いくつかの実施形態では、金属表面は白金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウム表面またはその酸化物である。
【0004】
本開示の試薬、方法、および組成物は、白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、またはそれらの酸化物を含む、金属表面への様々な官能基の付加の正確な制御を可能にするために特に適している。本明細書で提供される材料は、金属表面との安定した結合を形成する制御された量の試薬による表面の容易な官能化を可能にする。合成の容易さ、合成プロトコルの堅牢性、および金属ホスホン酸結合の安定性により、表面の容易でかつ制御されたさらなる官能化が可能になる。いくつかの実施形態では、これにより、細かい特性の制御を可能にする方法で、さらなる表面官能化基を追加するための堅牢なプロトコルを開発することが可能である。例えば、微調整可能な特性を有するヒドロゲルは、本明細書で提供される試薬で官能化された金属表面上で重合させることができる。本明細書で提供される試薬およびプロトコルは予測可能な結果をもたらすため、密度、厚さ、架橋密度、グラフト密度、官能基、または導電率などのヒドロゲル特性の微調整を実行できる。同様のプロセスを使用して、他の表面修飾グループとの官能化のための堅牢なプロトコルを開発できる。
【0005】
また、本明細書では、表面の生物付着を防止するために金属表面にグラフトするために適したヒドロゲル材料も提供される。このようなヒドロゲルは、生体試料に近接して電場を生成する電極やその他の動電学的デバイスに展開する場合に特に有用である。ヒドロゲル層の存在により、試料の破壊と劣化した試料の電極表面への蓄積を防ぐことができるからである。そのようなヒドロゲル層がサンプル上の電流の性能を妨害することなくこの機能を実行するためには、ヒドロゲル層が特定の優れた特性(例えば、密度、厚さ、および導電率)で構築されることが重要であり、これは、表面にヒドロゲル層を作る際の正確な制御を要求する。したがって、表面を官能化することができ、ヒドロゲルを含む表面修飾材料の制御された沈着を可能にする試薬が必要である。本明細書に記載の白金、金、パラジウム、イリジウム、またはロジウムの表面に適用されることに加えて、これらのヒドロゲルはまた、ケイ素、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銀、銅、コバルト、またはクロムを含むがこれらに限定されない、ホスホネートとの結合を形成することができる他の金属表面にもまた連結され得る。
【0006】
一態様では、本明細書に提供されるのは、構造
【化1】
を有する分子に結合した金属表面を含む官能化金属表面であって、
式中、
Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、そして
上記金属表面は、白金、金、パラジウム、イリジウム、およびロジウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの金属を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、Rが構造X-L-を有し、Lが連結部分でありかつXが反応性ハンドルもしくは捕捉部分であるか、またはRが構造Y-L-を有し、Lが連結部分でありかつYが表面修飾基である。いくつかの実施形態では、Lが任意に置換されたアルキレン鎖または任意に置換されたヘテロアルキレン鎖である。
いくつかの実施形態では、Lが式
-[Z-(CR
の構造を有し、
式中、各RおよびRは、独立して、Hまたは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成するか、または隣接する原子上のRが一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子上のRおよびRが一緒になって三重結合を形成し、
各Zは独立して存在せず、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、-S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRSONR-、または-OSONR-であり、
各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各nは独立して1~30の整数であり、そして
mは1~30の整数である。
【0008】
いくつかの実施形態では、Lが1~100個の原子の鎖を含み、上記鎖中の各原子がC、N、O、S、Si、およびPから独立して選択される。いくつかの実施形態では、上記鎖中の最初の原子がCである。
【0009】
いくつかの実施形態では、Lが
【化2】
から選択される1つ以上のサブユニットを含み、各nは独立して1~30の整数である。いくつかの実施形態では、Lが構造
【化3】
を含み、各nは独立して1~30の整数であり、各pは独立して1~30の整数である。
【0010】
いくつかの実施形態では、Lがポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(ハロゲン化ビニル)、ポリスチレン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアラミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、多糖類、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせまたは誘導体を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、RがX-L-の構造を有する。いくつかの実施形態では、Xが、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、およびヒドラジド、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、Xが構造
-L-Z
を有し、
式中、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、または-OS(O)NR-であり、
は存在しないか、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアルケニレン、任意に置換されたアルキニレン、任意に置換されたヘテロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたアリールアルキレン、任意に置換されたヘテロアリールアルキレン、任意に置換されたアリールヘテロアルキレン、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキレンであり、
は、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジドを含み、そして
各Rは、独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。
【0012】
いくつかの実施形態では、Zが、結合、-O-、-C(O)-、-NR-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、Lが構造-(CR-を有し、式中、各RおよびRは、独立して、H、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、もしくは任意に置換されたヘテロアリールであるか、または同じ原子のRおよびRが一緒になってオキソを形成し、または隣接する原子のRが一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子のRおよびRが一緒になって三重結合を形成し、ならびにrは0~30の整数である。いくつかの実施形態では、Xが、アミン、カルボン酸、マレイミド、アジド、アルキン、ハロゲン化物、アルケン、またはスルフヒドリルを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、Xが、
【化4】
であり、
式中、
およびRはそれぞれ独立してHまたはC-Cアルキルであり;
rは0または1であり、そして
は、アジド、アルキン、ハロゲン化物、アルケン、またはスルフヒドリルである
【0014】
いくつかの実施形態では、Xが、
【化5】
である。いくつかの実施形態では、Xが、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、核酸、ペプチド、およびタンパク質、またはそれらの任意の組み合わせから選択される捕捉部分を含む。
【0015】
一態様では、本明細書に提供されるのは、本明細書に提供される官能化された金属表面および使用説明書を含むキットである。
【0016】
いくつかの実施形態では、Rが構造Y-L-を有する。いくつかの実施形態では、Yが、疎水性残基、親水性残基、荷電残基、カチオン性残基、アニオン性残基、多糖類、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、抗菌剤、生物材料、生体適合性材料、防汚材料、導電性材料、半導体性材料、耐熱性材料、腐食防止材料、触媒、および磁性材料、またはそれらの任意の組み合わせから選択される表面修飾基を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、Yが構造Y-L-Z-を有し、
式中、Zは結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-、またはアジド、アルキン、テトラジン、ハライド、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジドと、適切な相補的反応基との間で共有結合形成反応によって形成された反応生成物であり、
は、存在しないか、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアルケニレン、任意に置換されたアルキニレン、任意に置換されたヘテロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたアリールアルキレン、任意に置換されたヘテロアリールアルキレン、任意に置換されたアリールヘテロアルキレン、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキレンであり、
は、少なくとも1つの表面修飾残基を含み、ならびに
各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。
【0018】
いくつかの実施形態では、Zが、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-、
【化6】
である。いくつかの実施形態では、Lが存在しない。いくつかの実施形態では、Yが疎水性残基を含む。いくつかの実施形態では、上記疎水性残基が疎水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記疎水性ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテル-ウレタン、ポリジメチルシロキサン、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、上記疎水性残基が脂肪酸またはその誘導体を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、Yが親水性残基を含む。いくつかの実施形態では、上記親水性残基が親水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記親水性ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはその誘導体の任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記親水性ポリマーが、ポリアクリルアミド、ポリ(ジエチルアクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリオキサゾリン、ポリ(2-エチルオキサゾリン)、またはポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、Yが構造
【化7】
を含み、式中、
各Rは、独立して、H、任意に置換されたC-Cアルキル、または任意に置換されたC-Cヒドロキシアルキルであり、
各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルであり、
各Xは、独立して、存在しないか、-O-、-S-、または-NRであり、
各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルであり、そして
sは1~10000の整数である。
【0021】
いくつかの実施形態では、Yがカチオン性残基を含む。いくつかの実施形態では、Yがカチオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記カチオン性残基が、プロトン化アミン基、プロトン化置換アミン基、第四級アミン基、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、Yがアニオン性残基を含む。いくつかの実施形態では、Yがアニオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記アニオン性残基が、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスフェート、ホスホネート、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、上記表面修飾残基が、疎水性残基、親水性残基、荷電残基、カチオン性残基、アニオン性残基、多糖類、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、抗菌剤、生物材料、生体適合性材料、防汚材料、導電性材料、半導体性材料、耐熱性材料、腐食防止材料、触媒、磁性材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記表面修飾基がヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、もしくはメタクリルアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが約0.001ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが約0.1S/m~約10S/mの導電率を有する。
【0023】
いくつかの実施形態では、上記金属表面の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が官能化されている。いくつかの実施形態では、上記金属表面が少なくとも部分的に酸化されている。いくつかの実施形態では、上記金属表面の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が酸化されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、上記金属表面が金属合金を含む。いくつかの実施形態では、上記金属合金が、重量で金属の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%を構成する。いくつかの実施形態では、上記金属表面が金属および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面が、重量で少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の金属または金属の任意の酸化物を含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、上記金属表面が哺乳動物の体内に配置されるように構成されている。いくつかの実施形態では、上記金属表面が外科用または歯科用インプラントである。いくつかの実施形態では、上記金属表面が、電極、マイクロチップ、ビーズ、マイクロ粒子、またはナノ粒子である。
【0026】
いくつかの実施形態では、上記金属が白金もしくは金、またはそれらの酸化物である。いくつかの実施形態では、上記金属が、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物である。
【0027】
一態様において、本明細書に提供されるのは、金属表面を官能化する方法であって、上記方法は、(a)ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面に沈着させる工程と、(b)上記金属表面を加熱して、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を上記金属表面と結合させる工程とを含み、ここで、上記金属表面は、白金、金、パラジウム、イリジウム、またはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、上記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を沈着させる工程が、ホスホン酸試薬および溶媒を含む溶液と金属表面を接触させることを含む。いくつかの実施形態では、上記溶媒が、有機溶媒、水性溶媒、またはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物を含む。いくつかの実施形態では、上記有機溶媒が、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、tert-ブチルアルコール、tert-ブチルメチルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジグリム、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチルメチルケトン、エチレングリコール、ヘキサン類、ヘキサメチルホスホラミド、メタノール、ニトロメタン、ペンタン類、2-プロポナール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記有機溶媒が、エタノール、テトラヒドロフラン、またはトルエンを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、上記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬が、約1μM、10μM、100μM、1mM、10mM、100mM、または1Mまでの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、上記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を付着させる工程が、上記金属表面から上記溶媒を蒸発させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面から上記溶媒を蒸発させる工程が、上記金属表面を加熱する工程を含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面が、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または少なくとも90℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態では、上記ホスホン酸試薬を上記金属表面と結合させるために上記金属表面を加熱する工程が、オーブン、真空オーブン、またはマイクロ波反応器内で行われる。いくつかの実施形態では、上記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を上記金属表面と結合させるために上記金属表面を加熱する工程が、上記金属表面を少なくとも30℃、少なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、少なくとも120℃、少なくとも140℃、少なくとも160℃、または少なくとも180℃の温度に加熱する工程を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、上記金属表面が酸化金属表面である。いくつかの実施形態では、上記酸化金属表面が、空気酸化、プラズマ処理、紫外線オゾン酸化、または化学酸化によって酸化されている。いくつかの実施形態では、上記金属表面を酸化する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面を酸化する工程は、プラズマ処理、紫外線オゾン酸化、または化学酸化を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、上記ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬が構造
【化8】
を有し、式中、
Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各Rは、独立して、Hまたは置換されたアルキルである。
【0032】
いくつかの実施形態では、上記金属表面が白金もしくは金、またはそれらの酸化物を含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面が、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物を含む。
【0033】
一態様において、本明細書に提供されるのは、ホスホネート残基を介して上記金属表面に結合するプローブ部分を含む金属表面マイクロアレイであって、上記金属表面が、白金、金、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、結合した上記ホスホネート残基が、構造
【化9】
を有し、式中、Rはプローブ部分を含み、各
【化10】

は表面への結合点を示す。
【0034】
いくつかの実施形態では、上記プローブ部分が、核酸、ペプチド、タンパク質、抗体、小分子、グリカン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記プローブ部分が核酸を含む。いくつかの実施形態では、上記核酸がDNAまたはRNAを含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイがDNAまたはRNA配列決定のために構成される。いくつかの実施形態では、上記プローブ部分が生物学的因子に結合する。いくつかの実施形態では、上記生物学的因子が、核酸、タンパク質、細胞、またはオルガネラである。いくつかの実施形態では、上記プローブ部分が生物学的因子に特異的である。いくつかの実施形態では、上記マイクロアレイが、少なくとも10、少なくとも100、少なくとも1000、少なくとも10000、または少なくとも100000の固有のプローブ特徴を含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面マイクロアレイが白金もしくは金、またはそれらの酸化物を含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面マイクロアレイが、パラジウム、イリジウムもしくはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0035】
一態様において、本明細書に提供されるのは、ホスホネート残基を介してデバイスの表面に連結された薬物部分を含む薬物送達デバイスであって、上記表面が白金、金、パラジウム、イリジウム、またはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む、薬物送達デバイスである。いくつかの実施形態では、上記ホスホネート残基が構造
【化11】

を有し、式中、Rは薬物部分を含み、各
【化12】

が上記表面への結合点を示す。
【0036】
いくつかの実施形態では、上記薬物部分がリンカーを介してホスホネート残基に連結されている。いくつかの実施形態では、上記リンカーが切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態では、上記リンカーが薬物部分を放出するように構成されている。いくつかの実施形態では、上記薬物送達デバイスは標的化部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、上記標的化部分が、抗体もしくは抗体断片、ペプチド、または核酸を含む。いくつかの実施形態では、上記薬物送達デバイスはナノ粒子、マイクロ粒子、またはビーズである。いくつかの実施形態では、上記表面が、白金もしくは金、それらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記表面が、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、それらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む。
【0037】
一態様において、本明細書に提供されるのは、構造
【化13】

を有する分子に結合する金属表面を含む官能化された金属表面であって、
式中、Rはヒドロゲルを含む、金属表面である。
【0038】
いくつかの実施形態では、上記金属表面は、白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ケイ素、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銀、銅、コバルト、もしくはクロム、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが約0.001S/m~約10S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが約0.001ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが合成ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルがアクリルアミドポリマーを含む。いくつかの実施形態では、上記アクリルアミドポリマーが、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド、またはメタクリルアミド、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記ヒドロゲルが、ポリアクリルアミド、ポリ(ジエチルアクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリオキサゾリン、ポリ(2-エチルオキサゾリン)、またはポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む。いくつかの実施形態では、上記金属表面が電極である。いくつかの実施形態では、上記金属表面が電極の外面上に配置される。
【0040】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかも個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴および利点のより良好な理解は、本発明の原理が利用される例示的な実施形態を記載する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することによって得られる。
図1A】ホスホン酸試薬と金属表面との反応例を示す。
図1B】ホスホネート修飾金属表面の2つの例示的な結合様式を示す。
図2】金属表面を修飾するワークフローの例を示す。
図3A】酸化および未処理の白金チップのX線光電子分光測定を示す。
図3B】X線光電子分光法によって測定された酸化および未処理の白金チップの酸化状態を示す。
図4】官能化されていない裸の白金電極の光学プロフィロメータ測定を示す。
図5】ホスホン酸試薬で官能化された白金電極の光学プロフィロメータ測定を示す。
図6A】45°の傾斜角で誘電材料によって取り囲まれた白金電極の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。
図6B】官能化された白金電極とそれに続く重合反応のSEM画像を示す。
図7】0°の傾斜角におけるポリマー官能化白金電極のSEM画像を示す。
図8】14°の傾斜角におけるポリマー官能化白金電極のSEM画像を示す。
図9】14°の傾斜角におけるポリマー官能化白金電極のSEM画像を示す。
図10】14°の傾斜角におけるポリマー官能化白金電極のSEM画像を示す。
図11】1°の傾斜角での官能化されていない白金表面のSEM画像を示す。
図12】45°の傾斜角における官能化されていない白金表面のSEM画像を示す。
図13】4°の傾斜角における官能化されていない白金表面のSEM画像を示す。
図14】45°の傾斜角における官能化されていない白金表面のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
詳細な説明
本明細書では、金属表面の官能化または誘導体化に関する試薬、方法、および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、試薬は、ホスホン酸またはホスホン酸誘導体(例えば、ホスホネートエステル)を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、白金表面および金表面、またはそれらの酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は白金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウムの表面、またはそれらの酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはその誘導体は、所望の表面修飾基を含む。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはその誘導体は、ホスホン酸またはその誘導体による修飾後に、所望の表面修飾基に付加するための反応ハンドルを含む。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはその誘導体は、生物学的結合部分(例えば、ペプチドまたはオリゴヌクレオチド)などの別の基を結合するための捕捉部分を含む。本発明に従って修飾された金属表面の例を図1に示す。図1Aは、金属表面(例えば、白金表面)に結合した例示的な反応物および対応する生成物を示す。いくつかの実施形態では、ホスホン酸試薬は、金属表面と金属ホスホン酸結合を形成し、図1Bに示される結合モードの1つを有する。図1Bに詳述されるように、ホスホネート基のP=O結合は、P=O酸素と金属表面上の金属原子との間の相互作用、またはP=O酸素と金属表面の隣接する-OH基との間の相互作用など、様々なモードで金属表面に配位することができる(例えば、金属表面が酸化されている場合)。
【0043】
本明細書で提供される修飾された金属表面の使用もまた、本明細書で提供される。いくつかの好ましい実施形態では、修飾された金属表面は、電気泳動ベースのアッセイにおける電極の防汚表面として有用である。いくつかの実施形態では、これらの防汚表面はヒドロゲル層を使用する。いくつかの実施形態では、修飾された金属表面は、生体への移植のために有用である。いくつかの実施形態では、修飾された金属表面は、未修飾の金属表面と比較して防食特性を有する。いくつかの実施形態では、修飾された金属表面は、分析物を結合できる活性表面の作成のために有用である(例えば、生物学的捕捉アッセイにおいて)。
【0044】
本明細書に記載の修飾された金属表面を作製する方法もまた、本明細書に提供される。
【0045】
I.修飾された金属表面
一態様において、本明細書に提供されるのは、官能化された金属表面である。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は、白金または金、またはそれらの酸化物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属表面は白金またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、金またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、パラジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、イリジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、ロジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、白金表面または金表面、またはそれらの酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は白金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は、パラジウム、イリジウム、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、修飾された金属表面は、ホスホネート部分に結合される。いくつかの実施形態において、ホスホネート部分は、金属表面に直接結合される。いくつかの実施形態では、ホスホネート部分は、金属表面と結合を形成する。いくつかの実施形態では、ホスホネート部分は、金属表面と共有結合を形成する。
【0046】
いくつかの実施形態では、金属表面はホスホネート部分に結合している。いくつかの実施形態では、ホスホネート部分は金属ホスホネートである。いくつかの実施形態では、表面結合ホスホン酸部分は、ホスホン酸試薬またはホスホン酸誘導体から調製される。いくつかの実施形態では、ホスホン酸誘導体はホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルは、C-Cアルキルホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルはメチルまたはエチルホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬は、ビスホスホン酸またはビスホスホネート(例えば、1,1ビスホスホン酸)である。
【0047】
いくつかの実施形態では、構造
【化14】
を有する分子に結合した金属表面を含む官能化金属表面が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、官能化された金属表面は、図1Bに示すように分子に結合した金属表面を含む。いくつかの実施形態では、各
【化15】
が金属表面への付着点を示す。いくつかの実施形態では、1つ以上の
【化16】
が金属表面への付着点である。いくつかの実施形態では、各
【化17】
が金属表面への付着点である。いくつかの実施形態では、ホスホネート残基を介して金属表面に結合したR部分が本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、R部分は、ホスホネート残基を介して金属表面に共有結合している。いくつかの実施形態では、金属表面は白金またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は金またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、イリジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。
【0048】
上記に示した式のRは、任意の基であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアルキルまたは任意に置換されたヘテロアルキルである。
【0049】
いくつかの実施形態では、Rは、所望の表面修飾を直接含む。いくつかの実施形態では、Rは、疎水性残基、親水性残基、荷電残基、カチオン性残基、アニオン性残基、多糖類、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、抗菌剤、生体材料、生体適合性材料、防汚材料、導電性材料、半導体材料、耐熱材料、防食材料、触媒、または磁性材料、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、Rはオリゴヌクレオチドまたはポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、Rはヒドロゲルを含む。
【0050】
連結部分
いくつかの実施形態では、表面修飾基は、連結部分を介してホスホネート基につながれている。連結部分は、ホスホネート部分への表面修飾基の結合を提供することができる任意の適切な基であり得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、連結部分は、構造-L-を有し、ここで、Lは、任意に置換されたアルキレン鎖または任意に置換されたヘテロアルキレン鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、任意に置換されたアルキレン鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は非置換アルキレン鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、任意に置換されたヘテロアルキレン鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は非置換ヘテロアルキレン鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、1個~100個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、1個~50個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、1個~40個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、1個~20個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、5個~100個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、5個~50個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、5個~40個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、5個~20個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、10個~100個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、10個~50個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、10個~40個の原子の鎖を含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、10個~20個の原子の鎖を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、鎖中の各原子は、C、N、O、S、Si、およびPから独立して選択される。いくつかの実施形態では、鎖中の各原子は、C、N、O、およびSから独立して選択される。いくつかの実施形態では、鎖中の各原子は、C、N、およびOから独立して選択される。いくつかの実施形態では、鎖中の最初の原子はCである。
【0053】
いくつかの実施形態では、Lが式
-[Z-(CR
の構造を有し、
式中、各RおよびRは、独立して、Hまたは任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成するか、または隣接する原子上のRが一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子上のRおよびRが一緒になって三重結合を形成し、
各Zは独立して存在しないか、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、-S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRSONR-、または-OSONR-であり、
各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであり、
各nは独立して1~30の整数であり、そして
mは1~30の整数である。
【0054】
いくつかの実施形態では、各RおよびRは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキルであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成するか、または隣接する原子のR1が一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子上のRおよびRが一緒になって三重結合を形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは独立して、H、任意に置換されたアルキルであり、同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成するか、または隣接する原子上のRが一緒になって二重結合を形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、任意に置換されたアルキルであり、同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成するか、または隣接する原子上のRが一緒になって二重結合を形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、任意に置換されたアルキルであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、任意に置換されたC-C10アルキルであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、任意に置換されたアルキルであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立してH、ヒドロキシもしくはアルコキシで任意に置換されたC-C10アルキルであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、Hであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成する。いくつかの実施形態では、各RおよびRはHである。
【0055】
いくつかの実施形態では、各Zは、独立して、存在しないか、-O-、-NR-、-S-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、または-OC(O)NR-である。いくつかの実施形態では、各Zは独立している。いくつかの実施形態では、各Zは、独立して、存在しないか、-O-、-NR-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、各Zは、独立して存在しないか、-O-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、各Zは、独立して、-O-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、各Zは-O-である。いくつかの実施形態では、各Zは、-C(O)O-または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、各Zは-C(O)NRである。
【0056】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、または任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、またはヒドロキシもしくはアルコキシで任意に置換されたC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは独立して、Hまたはメチルである。
【0057】
いくつかの実施形態では、各nは独立して1~20の整数である。いくつかの実施形態では、各nは独立して1~15の整数である。いくつかの実施形態では、各nは独立して1~10の整数である。いくつかの実施形態では、各nは独立して2~20の整数である。いくつかの実施形態では、各nは独立して2~15の整数である。いくつかの実施形態では、各nは独立して、独立して、2~10の整数である。
【0058】
いくつかの実施形態では、mは1~25の整数である。いくつかの実施形態では、mは1~20の整数である。いくつかの実施形態では、mは1~15の整数である。いくつかの実施形態では、mは1~10の整数である。いくつかの実施形態では、mは1~5の整数である。いくつかの実施形態では、mは2~30の整数である。いくつかの実施形態では、mは2~25の整数である。いくつかの実施形態では、mは2~20の整数である。いくつかの実施形態では、mは2~15の整数である。いくつかの実施形態では、mは2~10の整数である。いくつかの実施形態では、mは2~5の整数である。
【0059】
Lは、1つ以上のサブユニット構築ブロックを含み得る。いくつかの実施形態では、Lは、
【化18】
から選択される1つ以上のサブユニットを含み、各nは、独立して、1~30の整数である。いくつかの実施形態では、Lは、
【化19】
から選択される1つ以上のサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、Lは、
【化20】
から選択される1つ以上のサブユニットを含む。いくつかの実施形態では、Lは、
【化21】
から選択される1つ以上のサブユニットを含む。
【0060】
いくつかの実施形態において、Lは、構造
【化22】
を含み、ここで、各nは、独立して、1~30の整数であり、各pは独立して1~30の整数である。いくつかの実施形態では、Lは、構造
【化23】
を有し、各nは、独立して、1~30の整数であり、各pは独立して1~30の整数である。いくつかの実施形態では、Lは、構造
【化24】
を有する。いくつかの実施形態では、Lは、構造
【化25】
を有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、pは1~20の整数である。いくつかの実施形態では、pは1~15の整数である。いくつかの実施形態では、pは1~10の整数である。いくつかの実施形態では、pは1~5の整数である。いくつかの実施形態では、pは2~30の整数である。いくつかの実施形態では、pは2~20の整数である。いくつかの実施形態では、pは2~15の整数である。いくつかの実施形態では、pは2~10の整数である。いくつかの実施形態では、pは2~5の整数である。
【0062】
いくつかの実施形態では、Lはポリマーを含む。任意のポリマーを連結部分Lに使用することができる。ポリマーは、分岐または直鎖であってもよい。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルハライド、ポリスチレン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアラミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、多糖、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエチレン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、または任意の組み合わせもしくはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキレンオキシド)、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリエチレングリコールを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリメタクリレートを含む。いくつかの実施形態では、ポリメタクリレートはヒドロキシアルキルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、ポリメタクリレートはC-C20ヒドロキシアルキルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、ポリメタクリレートは、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ヒドロキシヘプチルメタクリレート、またはヒドロキシオクチルメタクリレートである。
【0063】
いくつかの実施形態では、Lは、切断可能なリンカーを含む。いくつかの実施形態では、連結部分は、切断可能なリンカーを含む。本発明では、任意の切断可能なリンカーを使用することができる。いくつかの実施形態では、切断可能なリンカーは、光切断可能なリンカー、化学的に切断可能なリンカー、または酵素により切断可能なリンカーである。
【0064】
反応性ハンドルおよび捕捉部分
連結部分は、ホスホネート部分を反応性ハンドルに連結するために使用され得る。反応性ハンドルは、追加の表面官能化試薬の追加を可能にするように構成される。CLICKケミストリー試薬は、互換性のある反応ハンドルの一例である。任意の適切な反応基を使用することができる。いくつかの実施形態では、反応性ハンドルはXによって表される。いくつかの実施形態では、Rは構造X-L-を有し、Lは本明細書に提供される結合部分のいずれかである。
【0065】
いくつかの実施形態では、Xは反応性官能基を含む。この目的のために、任意の適切な官能基を使用することができる。いくつかの実施形態では、Xは、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、およびヒドラジド、またはそれらの任意の組み合わせから選択される反応性官能基を含む。いくつかの実施形態では、Xは、アジド、アルキン、スルフヒドリル、マレイミド、活性化エステル、ハロゲン化物、ハロゲン化アシル、エポキシド、アルデヒド、およびケトン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される反応性官能基を含む。いくつかの実施形態では、Xは、アジド、アルキン、スルフヒドリル、マレイミド、ハロゲン化物、およびエポキシド、またはそれらの任意の組み合わせから選択される反応性官能基を含む。いくつかの実施形態では、Xはアジドを含む。いくつかの実施形態では、Xはアルキンを含む。いくつかの実施形態では、Xはシクロオクチンを含む。いくつかの実施形態では、Xはジベンゾルシクロオクチンを含む。いくつかの実施形態では、Xはマレイミドを含む。いくつかの実施形態では、Xはハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、Xはエポキシドを含む。いくつかの実施形態では、Xはスルフヒドリルを含む。いくつかの実施形態では、Xはカルボン酸を含む。いくつかの実施形態では、Xはアミンを含む。いくつかの実施形態では、Xはアルケンを含む。いくつかの実施形態では、XはCLICK化学試薬を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、Xが構造X-L-Z-を有し、式中、
は、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、または-OS(O)NR-であり、
は存在しないか、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、任意に置換されたアリールアルキル、任意に置換されたヘテロアリールアルキル、任意に置換されたアリールヘテロアルキル、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキルであり、
は、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジドを含み、そして
各Rは、独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。
【0067】
いくつかの実施形態では、Zは、反応性ハンドルを連結部分Lに連結する結合点として機能する。連結部分への反応性部分の結合を可能にする任意の基を使用することができる。いくつかの実施形態では、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、または-OC(O)NR-である。いくつかの実施形態では、Zが、結合、-NR-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、Zは結合である。いくつかの実施形態では、Zは-O-である。いくつかの実施形態では、Zは-NR-である。いくつかの実施形態では、Zは-C(O)-である。いくつかの実施形態では、Zは-C(O)O-である。いくつかの実施形態では、Zは-C(O)NR-である。
【0068】
は、連結部分Lへの結合点とXの反応性官能基との間の二次連結部分として機能する。任意の適切なリンカーを使用することができる。いくつかの実施形態において、Lは、存在しないか、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアルケニレン、任意に置換されたアルキニレン、任意に置換されたヘテロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたアリールアルキレン、任意に置換されたヘテロアリールアルキレン、任意に置換されたアリールヘテロアルキレン、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは、任意に置換されたアルキレンまたは任意に置換されたヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは任意に置換されたアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lはアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは、任意に置換されたヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lはヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは、切断可能なリンカー基を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、Lは構造
-(CR
を有し、
ここで、各RおよびRは、独立して、H、ハロゲン、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールであるか、または同じ原子上のRおよびRが一緒になって、オキソ、または隣接する原子のRが一緒になって二重結合を形成するか、または隣接する原子のRおよびRが一緒になって三重結合を形成し、そして
rは0~30の整数である。
【0070】
いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたヘテロアルキルであり、または、同じ原子上のRおよびRが一緒になってオキソを形成し、または隣接する原子のRが一緒になって二重結合を形成する。いくつかの実施形態では、RおよびRはそれぞれ独立して、H、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、任意に置換されたアルキルである。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、または任意に置換されたC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、またはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各RおよびRは、独立して、H、またはC-Cアルキルである。
【0071】
いくつかの実施形態では、rは0~30の整数である。いくつかの実施形態では、rは0~20の整数である。いくつかの実施形態では、rは0~10の整数である。いくつかの実施形態では、rは0~5の整数である。いくつかの実施形態では、rは0または1である。
【0072】
いくつかの実施形態では、Xは、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジドを含む。いくつかの実施形態では、Xは、アジド、アルキン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、マレイミド、アミン、カルボン酸、アルケン、アルコール、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、またはヒドラジンである。いくつかの実施形態では、Xは、アミン、カルボン酸、アジド、アルキン、ハロゲン化物、アルケン、またはスルフヒドリルである。
【0073】
いくつかの実施形態では、Xは構造
【化26】
を有する。いくつかの実施形態では、Xは構造
【化27】
を有する。いくつかの実施形態では、Xは構造
【化28】
を有する。いくつかの実施形態では、Xは構造
【化29】
を有する。
【0074】
いくつかの実施形態では、Xは、
【化30】
である。いくつかの実施形態では、Xは、
【化31】
である。いくつかの実施形態では、Xは、
【化32】
である。いくつかの実施形態では、Xは、
【化33】
である。いくつかの実施形態では、Xは、
【化34】
である。いくつかの実施形態では、Xは、
【化35】
である。
【0075】
Xはまた、捕捉部分を含み得る。捕捉部分は、所望の物質を選択的に捕捉することができる任意のタイプの分子であり得る。いくつかの実施形態では、捕捉部分は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、核酸、ペプチド、タンパク質、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、捕捉部分はビオチンを含む。いくつかの実施形態では、捕捉部分はアビジンを含む。いくつかの実施形態では、捕捉部分はストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態では、捕捉部分は核酸を含む。いくつかの実施形態では、核酸はアプタマーである。いくつかの実施形態では、核酸は捕捉プローブである。いくつかの実施形態では、捕捉部分はペプチドである。いくつかの実施形態では、捕捉部分はタンパク質である。
【0076】
本明細書で提供される修飾された金属表面のいずれも、キットとして製造または配布することができる。いくつかの実施形態では、キットは、修飾された金属表面および使用説明書を含む。いくつかの実施形態では、修飾された金属表面は、金属表面に連結された反応性ハンドルまたは捕捉部分を含む。いくつかの実施形態では、使用説明書は、反応性ハンドルまたは捕捉部分を介して追加の部分を金属表面に連結するためのプロトコルを提供する。
【0077】
表面修飾
いくつかの実施形態では、表面修飾は、連結部分によってホスホネート部分に結合される。いくつかの実施形態では、表面修飾はホスホン酸部分に直接結合している。いくつかの実施形態では、表面修飾基は、上記の反応性ハンドルまたは捕捉部分Xのいずれかの反応生成物を介してホスホネート部分に結合される。
【0078】
本明細書に記載の金属ホスホネート結合によって、任意の所望の表面修飾基を金属表面に適用することができる。いくつかの実施形態では、表面修飾基は、疎水性残基、親水性残基、荷電残基、カチオン性残基、アニオン性残基、多糖類、疎水性ポリマー、親水性ポリマー、抗菌剤、生体材料、生体適合性材料、防汚材料、導電性材料、半導体材料、耐熱材料、防食材料、触媒、および磁性材料、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、表面修飾基はヒドロゲルである。
【0079】
いくつかの実施形態では、表面修飾はYで表される。いくつかの実施形態では、Rは構造Y-L-を有し、ここでLは本明細書で提供される結合部分のいずれかである。
【0080】
いくつかの実施形態では、Yは構造Y-L-Z-を有する。いくつかの実施形態では、Yは表面修飾基を表す。いくつかの実施形態では、Lは、連結部分Lへの結合点とYの表面修飾基との間の二次連結部分として働く。いくつかの実施形態では、Zは、表面修飾基を連結部分Lに連結する結合点として働く。
【0081】
いくつかの実施形態では、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-、または、アジド、アルキン、テトラジン、ハライド、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、オキシム、イソシアネート、イソチオシアネート、ヒドラジン、またはヒドラジドと、適切な相補的反応基との間に形成された反応生成物である。いくつかの実施形態では、Zは、アジド、アルキン、テトラジン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、ジスルフィド、マレイミド、アミン、カルボン酸、活性化エステル、アルケン、アルコール、ハロゲン化アシル、スルホン酸、スルフィン酸、ハロゲン化スルホニル、エポキシド、アルデヒド、ケトン、イミン、ヒドラジン、またはヒドラジドと、適切な相補的反応基との間に形成された反応生成物である。いくつかの実施形態では、Zは、アジド、アルキン、ハロゲン化物、スルフヒドリル、マレイミド、アルケン、またはエポキシドと適切な相補的反応基との間の共有結合形成反応によって形成された反応生成物である。いくつかの実施形態では、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-。いくつかの実施形態では、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、ZYは、-SS-、-C(O)-、-C(O)O-、または-C(O)NRである。いくつかの実施形態では、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-、
【化36】
である。いくつかの実施形態では、Zは、
【化37】
である。いくつかの実施形態では、Zは、結合、-O-、-NR-、-S-、-SS-、-S(O)-、S(O)-、-C(O)-、-C(O)O-、-C(O)NR-、-OC(O)O-、-NRC(O)NR-、-OC(O)NR-、-S(O)O-、-S(O)NR-、-OS(O)O-、-NRS(O)NR-、-OS(O)NR-である。
【0082】
いくつかの実施形態において、Lは、存在しないか、任意に置換されたアルキレン、任意に置換されたシクロアルキレン、任意に置換されたアルケニレン、任意に置換されたアルキニレン、任意に置換されたヘテロアルキレン、任意に置換されたアリーレン、任意に置換されたアリールアルキレン、任意に置換されたヘテロアリールアルキレン、任意に置換されたアリールヘテロアルキレン、または任意に置換されたヘテロアリールヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは存在しないか、任意に置換されたアルキレン、または任意に置換されたヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lはアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lはヘテロアルキレンである。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、Lは、切断可能なリンカー基を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、各Rは独立して、H、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、任意に置換されたアルキル、または任意に置換されたヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは独立してHまたはメチルである。
【0084】
いくつかの実施形態では、Yは、少なくとも1つの表面修飾残基を含む。任意の適切な表面修飾残基を使用することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、Yは疎水性残基を含む。いくつかの実施形態では、疎水性残基は、脂肪酸または脂肪酸誘導体である。いくつかの実施形態では、疎水性残基はフッ素化脂肪酸である。
【0086】
いくつかの実施形態では、疎水性残基は疎水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルウレタン、ポリジメチルシロキサン、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリエチレンを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリスチレンを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリビニルハライドを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリテトラフルオロエチレンを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリメチルメタクリレートを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリカーボネートを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリエーテルウレタンを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリジメチルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはポリシランを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーはフルオロポリマーを含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、Yは親水性残基を含む。任意の適切な親水性残基を使用することができる。いくつかの実施形態では、親水性残基は、単糖または多糖を含む。いくつかの実施形態では、親水性残基は親水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ(アルキレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリオキサゾリン、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む、またはその誘導体の任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリアクリルアミドを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリアクリレートを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリメタクリレートを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(アルキレンオキシド)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(ビニルピロリドン)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(ビニルアルコール)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリオキサゾリンを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリアクリルアミド、ポリ(ジエチルアクリルアミド)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メタクリル酸)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)、ポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(ビニルピロリドン)、ポリオキサゾリン、ポリ(2-エチルオキサゾリン)、またはポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリアクリルアミドを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(ジメチルアクリルアミド)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(アクリル酸)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(メタクリル酸)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(アクリル酸メチル)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(アクリル酸エチル)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(アクリル酸2-ヒドロキシエチル)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(アクリル酸プロピル)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(アクリル酸ブチル)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(メチルメタクリレート)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリメタクリレートを含む。いくつかの実施形態では、ポリメタクリレートはヒドロキシアルキルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、ポリメタクリレートはC-C20ヒドロキシアルキルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、ポリメタクリレートは、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシペンチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ヒドロキシヘプチルメタクリレート、またはヒドロキシオクチルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(テトラヒドロフルフリルメタクリレート)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(エチレンオキシド)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(プロピレンオキシド)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(ビニルピロリドン)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリオキサゾリンを含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーはポリ(2-エチルオキサゾリン)を含む。いくつかの実施形態では、親水性ポリマーは、ポリ(N-アクリロイルモルホリン)を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、Yの表面修飾基は、構造
【化38】
を含み、
式中、
各Rは独立して、任意に置換されたC-Cアルキルまたは任意に置換されたC-Cヒドロキシアルキルであり、
各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルであり、
各Xは、独立して、存在しないか、-O-、-S-、またはNR9であり、
各Rは、独立して、H、または任意に置換されたC-Cアルキルであり、そして
sは1~1000000の整数である。
【0090】
いくつかの実施形態では、構造
【化39】
は連結部分に連結されている。
【0091】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、C-CアルキルまたはC-Cヒドロキシアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、または2-ヒドロキシプロピルである。
【0092】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、エチル、メチル、またはプロピルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、Hまたはメチルである。いくつかの実施形態では、各RはHである。いくつかの実施形態では、各Rはメチルである。
【0093】
いくつかの実施形態では、各Xは、独立して、存在しないか、-O-、-S-、またはNRである。いくつかの実施形態では、各Xは、独立して、-O-または-NRである。いくつかの実施形態では、各Xは-O-である。いくつかの実施形態では、各Xは独立して-NRである。いくつかの実施形態では、各Xは存在しない。
【0094】
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、ヒドロキシまたはアルコキシで任意に置換されたHまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは独立して、Hまたはメチルである。いくつかの実施形態では、各RはHである。
【0095】
いくつかの実施形態では、sは1~1000000の整数である。いくつかの実施形態では、sは1~100000の整数である。いくつかの実施形態では、sは1~10000の整数である。いくつかの実施形態では、sは1~1000の整数である。いくつかの実施形態では、sは1~100の整数である。いくつかの実施形態では、sは10~1000000の整数である。いくつかの実施形態では、sは10~100000の整数である。いくつかの実施形態では、sはsは10~10000の整数である。いくつかの実施形態では、sは10から1000の整数である。いくつかの実施形態では、sは10から100の整数である。いくつかの実施形態では、sは1~100の整数である。いくつかの実施形態では、sは、100~1000000の整数である。いくつかの実施形態では、sは、100~100000までの整数である。いくつかの実施形態では、sは、10~10000の整数である。いくつかの実施形態では、sは、100~1000の整数である。
【0096】
いくつかの実施形態では、表面修飾基はカチオン性残基を含む。いくつかの実施形態では、Yはカチオン性残基を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性残基は、アミン基、置換アミン基、第四級アミン基、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、カチオン性残基はアミン基である。いくつかの実施形態では、カチオン性残基は置換アミン基である。いくつかの実施形態では、カチオン性残基は、プロトン化アミン基、プロトン化置換アミン基、または第四級アミン基、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、Yはカチオン性ポリマーを含む。カチオン性基を含む任意の重合性モノマーを使用することができる。いくつかの実施形態では、カチオン性ポリマーは、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ポリアミノ酸(例えば、ポリリジン、ポリアルギニン)、ポリピリジニウム、ポリアンモニウム、アミノ基を含むポリアクリレート、アミノ基を含むポリアクリルアミド、またはキトサンを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、表面修飾基はアニオン性残基を含む。いくつかの実施形態では、Yはアニオン性残基を含む。任意のアニオン性残基を使用することができる。いくつかの実施形態では、アニオン性残基は、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスフェート、ホスホネート、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、アニオン性残基はカルボキシレートである。いくつかの実施形態では、アニオン性残基はスルホネートである。いくつかの実施形態では、アニオン性残基はスルフィネートである。いくつかの実施形態では、アニオン性残基はホスフェートである。いくつかの実施形態では、アニオン性残基はホスホネートである。
【0099】
いくつかの実施形態では、表面修飾基はアニオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、Yはアニオン性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマーは、カルボキシレート、スルホネート、スルフィネート、ホスフェート、およびホスホネート、またはそれらの任意の組み合わせから選択されるアニオン基を含む。いくつかの実施形態では、アニオン性ポリマーは、ポリアミノ酸(例えば、ポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスルホネート、またはポリ酸を含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、表面修飾基は両性イオン基である。いくつかの実施形態では、Yは両性イオン基を含む。いくつかの実施形態では、Yは両性イオン基を含む。本明細書に列挙されたカチオン性基またはアニオン性基の任意の組み合わせを使用することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、表面修飾基はヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Yはヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Yはヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Rはヒドロゲルを含む。任意のヒドロゲルを本明細書のホスホン酸試薬と連結することができる。ヒドロゲルの特性は、本明細書で提供される官能化された金属表面の任意の所望の目的のために修飾することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの特性は、金属電極と共に使用するために最適化される。金属表面に付着する可能性があるヒドロゲルの詳細な説明は、以下の「ヒドロゲル表面修飾」セクションで確認できる。
【0102】
いくつかの実施形態では、表面修飾基はプローブ部分を含む。いくつかの実施形態では、Yはプローブ部分を含む。いくつかの実施形態では、Yはプローブ部分を含む。いくつかの実施形態では、Rはプローブ部分を含む。任意のタイプのプローブ部分を使用することができる。いくつかの実施形態では、プローブ部分は、分析物または標的に特異的な結合剤を含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分は、核酸、ペプチド、タンパク質、抗体、小分子、グリカン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、プローブ部分は核酸を含む。いくつかの実施形態では、核酸はDNAまたはRNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸は、標的部分または分析物とハイブリダイズするように構成されている。いくつかの実施形態では、核酸はアプタマーを含む。いくつかの実施形態では、核酸は非天然のオリゴヌクレオチドを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、プローブ部分はペプチドを含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分はタンパク質を含む。いくつかでは、プローブ部分はタンパク質フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分は抗体を含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分は抗体フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分は小分子を含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分はグリカンを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、表面修飾基は薬物部分を含む。薬物部分は、任意の連結部分によってホスホネート部分に連結され得る。いくつかの実施形態では、薬物部分は、切断可能なリンカーを介して表面に連結される。いくつかの実施形態では、リンカーは薬物部分を放出するように構成されている。
【0106】
いくつかの実施形態では、表面修飾基は標的部分を含む。いくつかの実施形態では、標的化部分は、特定のバイオマーカーに特異的である。標的化部分は、任意の適切な基であり得る。いくつかの実施形態では、標的化部分は、抗体または抗体断片、ペプチド、または核酸を含む。いくつかの実施形態では、標的部分および薬物部分が同じ表面に付着している。
【0107】
ヒドロゲル表面修飾
ホスホネート基と金属表面との間の結合を介して金属表面に連結され得るヒドロゲルも本明細書において提供される。本明細書に記載の白金、金、パラジウム、イリジウム、またはロジウムの表面に適用されることに加えて、これらのヒドロゲルはまた、ケイ素、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銀、銅、コバルト、またはクロム、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、ホスホネートと結合を形成することができる他の金属表面に連結されてもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、白金を含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、金を含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、パラジウムを含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、イリジウムを含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ロジウムを含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ケイ素を含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、アルミニウムを含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、チタンを含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、鉄を含む金属表面に連結される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、亜鉛を含む金属表面に連結される。
【0108】
本明細書で提供されるヒドロゲルは、「連結部分」セクションで提供される連結部分を含む、本明細書で提供される連結部分のいずれかを介して金属表面に連結されてもよく、またはそこに設けられた反応性ハンドルのいずれかの反応によって形成される結合を介して連結されてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態では、表面修飾基はヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Yはヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Yはヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Rはヒドロゲルを含む。任意のヒドロゲルを本明細書のホスホン酸試薬と連結させることができる。ヒドロゲルの特性は、本明細書で提供される官能化された金属表面の任意の所望の目的のために改変することができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルの特性は、金属電極と共に使用するために最適化される。
【0110】
いくつかの実施形態では、生物学的サンプルの電気泳動分析用に構成された電極上でヒドロゲルが使用される。金属表面が電極を構成する場合、電極構造を1つ以上の材料層で覆うことにより、電気分解反応、加熱、および電極上または電極付近で発生する可能性のある無秩序な流体移動を含むがこれらに限定されない有害な電気化学効果を低減でき、細胞、細菌、ウイルス、ナノ粒子、DNA、およびその他の生体分子の効果的な分離をなお可能にする。いくつかの実施形態では、電極構造上に積層されるヒドロゲルは、1つ以上の多孔質層を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは十分な機械的強度を有し、比較的化学的に不活性であるため、変形または分解することなく電極表面での電気化学的効果に耐えることができる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、小さな水性イオンに対して十分に透過性があるが、生体分子を電極表面から遠ざける。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、多孔度の勾配を含み、ヒドロゲル層の底部は、ヒドロゲル層の上部よりも大きい多孔度を有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、Yはヒドロゲルを含む。いくつかの実施形態では、Yはヒドロゲルを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.001S/m~約10S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01S/m~約10S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約10S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1.0S/m~約10S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01S/m~約5S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01S/m~約4S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01S/m~約3S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01S/m~約2S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約5S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約4S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約3S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約2S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約1.5S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/m~約1.0S/mの伝導率を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.2S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.3S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.4S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.5S/mの伝導率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.6S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.7S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.8S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.9S/mの導電率を有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1.0S/mの導電率を有する。
【0115】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.001ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.001ミクロン~約5ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.001ミクロン~約1ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.001ミクロン~約0.5ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01ミクロン~約5ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.01~約1ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1ミクロン~約10ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1ミクロン~約5ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1ミクロン~約4ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1ミクロン~約3ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.1ミクロン~約2ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1ミクロン~約5ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1ミクロン~約4ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1ミクロン~約3ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約1ミクロン~約2ミクロンの厚さを有する。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、約0.5ミクロン~約1ミクロンの厚さを有する。
【0116】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルを形成する任意の適切な合成ポリマーを含む。一般に、十分に親水性で重合可能な任意の分子が、本明細書に開示される使用のための合成ポリマーヒドロゲルの製造に利用され得る。モノマー中の重合可能な部分には、アルケニル部分が含まれてもよく、これには、二重結合が、酸素に二重結合し、別の酸素、窒素、硫黄、ハロゲン、または炭素に単結合している炭素に直接結合している、置換または非置換のα、β、不飽和カルボニル;二重結合が酸素、窒素、ハロゲン、リンまたは硫黄に単結合しているビニル;二重結合が、酸素、窒素、ハロゲン、リンまたは硫黄に結合している炭素に単結合しているアリル;二重結合が、炭素に単結合し、この炭素は、酸素、窒素、ハロゲン、リンまたは硫黄に単結合している別の炭素に単結合しているホモアリル;三重結合が2つの炭素原子の間に存在するアルキニル部分が含まれるがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアクリロイルまたはアクリルアミドモノマーは、本明細書に開示されるヒドロゲルの形成のために有用である。より好ましいアクリルアミドモノマーには、アクリルアミド、N置換アクリルアミド、N置換メタクリルアミド、およびメタクリルアミドが含まれる。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、エポキシドベースのポリマー、ビニルベースのポリマー、アリルベースのポリマー、ホモアリルベースのポリマー、環状無水物ベースのポリマー、エステルベースのポリマー、エーテルベースのポリマー、アルキレングリコールベース(例えば、ポリプロピレングリコール)のポリマーなどのようなポリマーを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(pHEMA)、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、または任意の適切なアクリルアミドもしくはビニル系ポリマー、またはそれらの誘導体を含む。
【0118】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、(ATRP)による原子移動ラジカル重合によって重合される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合によって重合される。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、金属表面に結合したホスホネートに結合した反応基を介して金属表面上に重合され、反応基は、カルボニルに対してアルファ位にハロゲン化物を含む。いくつかの実施形態では、カルボニルに対するアルファ位は第三級炭素である。いくつかの実施形態では、反応基は、構造(CHBrC-C(O)-を有する。
【0119】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルに添加剤を添加して、ゲルの導電性を高める。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル添加剤は、導電性ポリマー(例えば、PEDOT:PSS)、塩(例えば、塩化銅)、金属(例えば、金)、可塑剤(例えば、PEG200、PEG400、またはPEG600)、または共溶媒である。.いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、ヒスチジン、ヒスチジンペプチド、ポリヒスチジン、リジン、リジンペプチド、および他のカチオン性化合物または物質を含むがこれらに限定されない、DNAハイブリッドの安定性を維持するのに役立つ化合物または材料も含む。
【0120】
金属表面
任意の適切な金属表面を、本開示による組成物およびシステムで修飾することができる。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。本開示に従って修飾された金属表面は、本明細書に記載のホスホン酸またはホスホネートエステル試薬と反応するために利用可能な金属表面が存在する限り、任意の形状であり得る。いくつかの実施形態では、金属表面は白金またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は金またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属はイリジウムまたはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、ロジウム表面またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は白金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウム表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は、ケイ素、アルミニウム、チタン、鉄、亜鉛、ジルコニウム、ニッケル、銀、銅、コバルト、またはクロムを含む。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。
【0121】
いくつかの実施形態では、金属表面は平坦な金属表面である。いくつかの実施形態では、金属表面は湾曲した金属表面である。いくつかの実施形態では、金属表面は3D形状を有する。いくつかの実施形態では、金属表面は、電極、マイクロチップ、ビーズ、マイクロ粒子、またはナノ粒子である。いくつかの実施形態では、金属表面は電極である。いくつかの実施形態では、金属表面はマイクロチップである。いくつかの実施形態では、金属表面はビーズである。いくつかの実施形態では、金属表面は微粒子である。いくつかの実施形態では、金属表面はナノ粒子である。
【0122】
金属表面の任意の部分を、本明細書で提供される表面修飾で修飾することができる。いくつかの実施形態では、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%の金属表面が官能化されている。いくつかの実施形態では、最大約1%、最大約2%、最大約5%、最大約10%、最大約20%、最大約30%、最大約40%、最大約50%%、最大約60%、最大約70%、最大約80%、または最大約90%の金属表面が官能化されている。いくつかの実施形態では、約1%、約2%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%%、または実質的にすべての金属表面が官能化されている。いくつかの実施形態では、表面官能化の程度は、表面上の表面修飾材料の被覆の程度によって測定される。いくつかの実施形態では、表面官能化の程度は、表面に結合したホスホネート残基の量によって測定される。
いくつかの実施形態では、金属表面は、約0.0001nmol/cm~約5nmol/cmの濃度のホスホネートで修飾される。いくつかの実施形態では、金属表面は、約0.0001nmol/cm~約0.001nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約0.01nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約0.05nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約0.1nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約0.5nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約1nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約1.5nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約2nmol/cm、約0.0001nmol/cm~約5nmol/cm、約0.001nmol/cm~約0.01nmol/cm、約0.001nmol/cm~約0.05nmol/cm、約0.001nmol/cm~約0.1nmol/cm、約0.001nmol/cm~約0.5nmol/cm、約0.001nmol/cm~約1nmol/cm、約0.001nmol/cm~約1.5nmol/cm、約0.001nmol/cm~約2nmol/cm、約0.001nmol/cm~約5nmol/cm、約0.01nmol/cm~約0.05nmol/cm、約0.01nmol/cm~約0.1nmol/cm、約0.01nmol/cm~約0.5nmol/cm、約0.01nmol/cm~約1nmol/cm、約0.01nmol/cm~約1.5nmol/cm、約0.01nmol/cm~約2nmol/cm、約0.01nmol/cm~約5nmol/cm、約0.05nmol/cm~約0.1nmol/cm、約0.05nmol/cm~約0.5nmol/cm、約0.05nmol/cm~約1nmol/cm、約0.05nmol/cm~約1.5nmol/cm、約0.05nmol/cm~約2nmol/cmcm、約0.05nmol/cm~約5nmol/cm、約0.1nmol/cm~約0.5nmol/cm、約0.1nmol/cm~約1nmol/cm、約0.1nmol/cm~約1.5nmol/cm、約0.1nmol/cm~約2nmol/cm、約0.1nmol/cm~約5nmol/cm、約0.5nmol/cm~約1nmol/cm、約0.5nmol/cm~約1.5nmol/cm、約0.5nmol/cm~約2nmol/cm、約0.5nmol/cm~約5nmol/cm、約1nmol/cm~約1.5nmol/cm、約1nmol/cm~約2nmol/cm、約1nmol/cm~約5nmol/cm、約1.5nmol/cm~約2nmol/cm、約1.5nmol/cm~約5nmol/cm、または約2nmol/cm~約5nmol/cmの濃度のホスホネートで修飾される。いくつかの実施形態では、金属表面は、約0.0001nmol/cm、約0.001nmol/cm、約0.01nmol/cm、約0.05nmol/cm、約0.1nmol/cm、約0.5nmol/cm、約1nmol/cm、約1.5nmol/cmで、約2nmol/cm、または約5nmol/cmの濃度のホスホネートで修飾される。いくつかの実施形態では、金属表面は、少なくとも約0.0001nmol/cm、約0.001nmol/cm、約0.01nmol/cm、約0.05nmol/cm、約0.1nmol/cm、約0.5nmol/cm、約1nmol/cm、約1.5nmol/cm、または約2nmol/cmの濃度のホスホネートで修飾される。いくつかの実施形態では、金属表面は、最大で約0.001nmol/cm、約0.01nmol/cm、約0.05nmol/cm、約0.1nmol/cm、約0.5nmol/cm、約1nmol/cm、約1.5nmol/cm、約2nmol/cm、または約5nmol/cmの濃度のホスホネートで修飾される。いくつかの実施形態では、金属表面は、約0.01nmol/cm~約2nmol/cmの濃度のホスホネートで修飾される。
【0123】
いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化されて、本明細書で提供される表面修飾のホスホネート部分の結合を可能にする。いくつかの実施形態では、金属表面は部分的に酸化されている。いくつかの実施形態では、金属表面は完全に酸化されている。いくつかの実施形態では、金属表面の一部が酸化される。
【0124】
いくつかの実施形態では、金属表面の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%で、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%が酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面の最大約1%、最大約2%、最大約5%、最大約10%、最大約20%、最大約30%、最大約40%、最大約50%%、最大約60%、最大約70%、最大約80%、または最大約90%が酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面の約1%、約2%、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、最大約80%、約90%、または実質的にすべてが酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面の酸化度は、0より大きい酸化状態を有する金属表面上の金属原子のパーセンテージによって測定される。いくつかの実施形態では、金属表面の酸化度は、金属表面を覆う酸素原子の数のパーセンテージによって測定される。
【0125】
いくつかの実施形態では、金属表面は、基材の外側に配置された酸化金属層である。いくつかの実施形態では、基材は金属基材である。いくつかの実施形態では、金属基材は酸化されていない金属である。いくつかの実施形態では、金属基材は、酸化金属層と同じ金属である。いくつかの実施形態では、金属基材は、酸化された金属層の非酸化バージョンである。いくつかの実施形態では、基材は金属表面とは異なる金属である。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、約0.1nm~約10nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、約0.1nm~約0.2nm、約0.1nm~約0.5nm、約0.1nm~約1nm、約0.1nm~約5nm、約0.1nm~約10nm、約0.2nm~約0.5nm、約0.2nm~約1nm、約0.2nm~約5nm、約0.2nm~約10nm、約0.5nm~約1nm、約0.5nm~約5nm、約0.5nm~約10nm、約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、または約5nm~約10nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、約0.1nm、約0.2nm、約0.5nm、約1nm、約5nm、または約10nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、少なくとも約0.1nm、約0.2nm、約0.5nm、約1nm、または約5nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、最大で約0.2nm、約0.5nm、約1nm、約5nm、または約10nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、約0.1nm~約1,000nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、約0.1nm~約0.5nm、約0.1nm~約1nm、約0.1nm~約5nm、約0.1nm~約10nm、約0.1nm~約50nm、約0.1nm~約100nm、約0.1nm~約500nm、約0.1nm~約1,000nm、約0.5nm~約1nm、約0.5nm~約5nm、約0.5nm~約10nm、約0.5nm~約50nm、約0.5nm~約100nm、約0.5nm~約500nm、約0.5nm~約1,000nm、約1nm~約5nm、約1nm~約10nm、約1nm~約10nm~約50nm、約1nm~約100nm、約1nm~約500nm、約1nm~約1,000nm、約5nm~約10nm、約5nm~約50nm、約5nm~約100nm、約5nm~約500nm、約5nm~約1,000nm、約10nm~約50nm、約10nm~約100nm、約10nm~約500nm、約10nm~約1,000nm、約50nm~約100nm、約50nm~約500nm、約50nm~約1,000nm、約100nm~約500nm、約100nm~約1,000nm、または約500nm~約1,000nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、約0.1nm、約0.5nm、約1nm、約5nm、約10nm、約50nm、約100nm、約500nm、または約1,000nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、少なくとも約0.1nm、約0.5nm、約1nm、約5nm、約10nm、約50nm、約100nm、または約500nmの厚さを有する。いくつかの実施形態では、酸化金属層は、最大で約0.5nm、約1nm、約5nm、約10nm、約50nm、約100nm、約500nm、または約1,000nmの厚さを有する。
【0126】
いくつかの実施形態では、金属表面は金属の混合物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、白金、金、パラジウム、チタン、およびロジウムから選択される少なくとも2つの金属、またはそれらの酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、白金、金、パラジウム、チタン、およびロジウムから選択される少なくとも3つの金属、またはそれらの酸化物を含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、金属表面は、白金、金、パラジウム、チタン、およびロジウムから選択される少なくとも1つの金属、またはそれらの酸化物、および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の金属を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の元素を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、金属表面は、白金またはその酸化物、および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の金属を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は白金を含み、追加の材料は、ケイ素、ジルコニウム、金、アルミニウム、チタン、鉄、または亜鉛、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属表面は白金を含み、追加の材料はケイ素またはジルコニウムを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、金属表面は、金またはその酸化物、および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の金属を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は金を含み、追加の材料は、ケイ素、ジルコニウム、白金、アルミニウム、チタン、鉄、または亜鉛、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属表面は金を含み、追加の材料はケイ素またはジルコニウムを含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、金属表面は、パラジウムまたはその酸化物、および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の金属を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウムを含み、追加の材料は、ケイ素、ジルコニウム、金、白金、チタン、鉄、または亜鉛、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウムを含み、追加の材料はケイ素またはジルコニウムを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、金属表面は、イリジウムまたはその酸化物、および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の金属を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウムを含み、追加の材料は、ケイ素、ジルコニウム、金、アルミニウム、白金、鉄、または亜鉛、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウムを含み、追加の材料はケイ素またはジルコニウムを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、金属表面は、ロジウムまたはその酸化物、および追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の金属を含む。いくつかの実施形態では、追加の材料は追加の元素を含む。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウムを含み、追加の材料は、ケイ素、ジルコニウム、金、アルミニウム、白金、チタン、または亜鉛、またはそれらの酸化物、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、金属表面はロジウムを含み、追加の材料はケイ素またはジルコニウムを含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、金属表面は、重量で少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の金属を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、重量で約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約98%の金属を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、重量で最大で約50%、最大で約60%、最大で約70%、最大で約80%、最大で約90%、最大で約95%、または最大で約98%の金属を含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、金属表面は、重量で少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約98%の金属またはその酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、重量で約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約95%、または約98%の金属またはその任意の酸化物を含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、重量にて最大で約50%、最大で約60%、最大で約70%、最大で約80%、最大で約90%、最大で約95%、または最大で約98%の金属またはその任意の酸化物を含む。
【0135】
本明細書で使用される金属表面は、実質的に純粋な金属または異なる材料の合金であり得る。いくつかの実施形態では、金属表面は白金合金を含む。白金は他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、白金合金は、鉄、ニッケル、銅、パラジウム、クロム、イリジウム、オスミウム、アルミニウム、スズ、モリブデン、バナジウム、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、マンガン、ルテニウム、金、またはコバルトなどの別の金属と合金化された白金を含む。いくつかの実施形態では、白金合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の白金を含む。いくつかの実施形態では、白金合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%の白金を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、金属表面は金合金を含む。金は他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、金合金は、ニッケル、銀、パラジウム、白金、ロジウム、水銀、銅、亜鉛、アルミニウム、カドミウム、マンガン、ガリウム、インジウム、クロム、コバルト、鉄、またはルテニウムなどの別の金属と合金化された金を含む.いくつかの実施形態では、金合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の金を含む。いくつかの実施形態では、金合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%の金を含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、金属表面はパラジウム合金を含む。パラジウムは他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、パラジウム合金は、金、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、銀、ニッケル、銅、またはマンガンと合金化されたパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、パラジウム合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%のパラジウムを含む。いくつかの実施形態では、パラジウム合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%のパラジウムを含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、金属表面はイリジウム合金を含む。イリジウムは他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、イリジウム合金は、白金、ルテニウム、オスミウム、ニッケル、コバルト、銅、チタン、またはジルコニウムと合金化されたイリジウムを含む。いくつかの実施形態では、イリジウム合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%のイリジウムを含む。いくつかの実施形態では、イリジウム合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%のイリジウムを含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、金属表面はロジウム合金を含む。ロジウムは他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、ロジウム合金は、白金、モリブデン、イリジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、チタン、レニウム、金、またはニッケルと合金化されたロジウムを含む。いくつかの実施形態では、ロジウム合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%のロジウムを含む。いくつかの実施形態では、ロジウム合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%のロジウムを含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、金属表面はアルミニウム合金を含む。アルミニウムは他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金は、銅、マグネシウム、マンガン、ケイ素、スズ、亜鉛、鉄、スカンジウム、またはジルコニウムなどの別の金属と合金化されたアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%のアルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、アルミニウム合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%のアルミニウムを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、金属表面はチタン合金を含む。チタンは他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、チタン合金は、アルミニウム、バナジウム、スズ、ニオブ、鉄、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、マンガン、クロム、コバルト、ニッケル、または銅などの別の金属と合金化されたチタンを含む。いくつかの実施形態では、チタン合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%のチタンを含む。いくつかの実施形態では、チタン合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%のチタンを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、金属表面は鉄合金を含む。鉄は、他の金属または他の元素と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、鉄は、炭素、バナジウム、クロム、ニオブ、チタン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、マンガン、ウラン、ケイ素、または銅などの別の材料と合金化される。いくつかの実施形態では、鉄合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の鉄を含む。いくつかの実施形態では、鉄合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%の鉄を含む。いくつかの実施形態では、鉄合金は鋼鉄である。
【0143】
いくつかの実施形態では、金属表面は亜鉛合金を含む。亜鉛は他の金属と合金化されていてもよい。いくつかの実施形態では、亜鉛合金は、銅、スズ、ニッケル、銀、水銀、マグネシウム、ケイ素、鉄、鉛、またはアルミニウムなどの別の金属と合金化された亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、亜鉛鉄合金は、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または少なくとも98重量%の亜鉛を含む。いくつかの実施形態では、亜鉛合金は、約50重量%、約60重量%、約70重量%、約80重量%、約90重量%、約95重量%、または約98重量%の亜鉛を含む。
【0144】
金属表面は、本明細書で提供される表面修飾、反応基、または捕捉部分の任意の数または組み合わせで官能化され得る。いくつかの実施形態では、金属表面は、単一タイプの表面修飾基、反応基、または捕捉部分で官能化される。いくつかの実施形態では、金属表面は、複数の異なる表面修飾基、反応基、または捕捉部分で官能化される。いくつかの実施形態では、金属表面は、同じ表面修飾基、反応基、または捕捉部分の複数のコピーによって修飾される。
【0145】
II.修飾された金属表面の使用
本明細書において提供されるように修飾された金属表面は、任意の適切な目的のために使用され得るか、または任意の所望の特性を有するように構成され得る。本明細書に記載の方法および試薬を使用して金属表面に結合できる広範囲の部分のため、そのような表面の用途に制限はない。本明細書に記載の修飾された金属表面の潜在的な用途の非限定的な例が、本明細書に提供される。
【0146】
それらの導電特性のために、金および白金などの金属は、他の用途の中でも電極に頻繁に使用される。動電学的アッセイでは、金および白金電極を使用することができる。しかし、これらのアッセイにおける電流の存在は、サンプルに有害な電気化学的影響を与える可能性があり、これには、電極上または電極の近くで発生する可能性のある電気分解反応、加熱、および無秩序な流体の動きが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、材料は、これらの影響を緩和することができる本明細書で提供されるホスホン酸結合を使用して金属電極表面に連結することができ、なおかつ細胞、細菌、ウイルス、ナノ粒子、DNA、および他の生体分子の効果的な分離を実行することを可能にする。いくつかの実施形態では、ヒドロゲルが電極の金属表面に連結されて、動電学的アッセイ中に生体物質が電極表面に沈着するのを防止する。いくつかの実施形態では、生体物質が動電学的アッセイ中に損傷または劣化するのを防ぐために、ヒドロゲルが電極の金属表面に連結される。この目的のために、ヒドロゲルは十分な機械的強度を有し、変形または分解することなく電極表面での電気化学的効果に耐えることができるように比較的化学的に不活性でなければならない。一般に、ヒドロゲルは小さな水性イオンに対して十分に透過性があるが、電極表面から生体分子を遠ざけたままにする。
【0147】
いくつかの実施形態では、金属表面は生体物質と接触するように構成される。いくつかの実施形態では、金属表面は、生体液(例えば、血液)と接触するように構成される。いくつかの実施形態では、金属表面は、金属表面に抗生物付着特性を吸収させるために、本明細書で提供されるホスホネート部分で修飾される。いくつかの実施形態では、生体物質と接触するように構成される金属表面は、ヒドロゲル、親水性ポリマー、または疎水性ポリマーなどの生物付着防止コーティングを含む。
【0148】
本明細書で修飾される金属表面は、動物の体内に配置されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、金属表面は、哺乳動物の体内に配置されるように構成される。いくつかの実施形態では、金属表面は、ヒトの体内に配置されるように構成される。いくつかの実施形態では、金属表面は医療用インプラントの一部である。いくつかの実施形態では、金属表面は外科用または歯科用インプラントの一部である。いくつかの実施形態では、金属表面は外科用または歯科用インプラントである。そのようなインプラントは、インプラントの腐食を防止するため、インプラント上の生物付着を防止するため、インプラント上での細菌または他の細胞の増殖を防止するため、またはインプラントの任意の他の所望の表面特性を変更するために、本明細書で提供されるホスホネートで修飾され得る。
【0149】
いくつかの実施形態では、金属表面は、金属表面への細胞接着を防止するために、ホスホネート部分を介して連結された材料を含む。いくつかの実施形態では、材料は、金属表面への細菌細胞の付着を防止するように構成されている。いくつかの実施形態では、材料はポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは金属表面にグラフトされる。いくつかの実施形態では、ポリマーは、第四級アンモニウムイオン含有ポリマー(例えば、ポリ2-ジメチルアミノエチルメタクリレート)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリ2-ジメチルアミノエチルメタクリレートである。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリ4-ビニルピリジンである。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリ(3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート)である。いくつかの実施形態では、ポリマーはパーフルオロカーボンポリマーのフルオロカーボンである。いくつかの実施形態では、材料は抗菌ペプチドを含む。いくつかの実施形態では、材料は、ホスホネートに化学的に結合した殺生物剤を含む。いくつかの実施形態では、ホスホネートを介して連結された材料は、追加の抗菌処理(例えば、クロルヘキシジンおよび/またはクロロキシレノールなどの防腐剤による表面処理)と組み合わせて使用される。
【0150】
いくつかの実施形態では、金属表面は、ホスホネート部分を介して連結された材料を含み、海洋の生物付着を防止する。いくつかの実施形態では、材料は疎水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、材料はシリコーンエラストマー(例えば、ポリジメチルシロキサン)を含む。いくつかの実施形態では、材料はシリコーンポリマーの混合物を含む。いくつかの実施形態では、材料は疎水性ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、疎水性ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルハライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエーテルウレタン、ポリジメチルシロキサン、またはそれらの任意の組み合わせもしくは誘導体を含む。いくつかの実施形態では、材料はファウリングリリースコーティングを含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される金属ホスホン酸結合を使用して、金属表面を有する送達デバイス上に薬物部分を固定化することができる。いくつかの実施形態では、送達デバイスは、ナノ粒子、マイクロ粒子、ビーズ、または金属表面を有する同様の部分である。一態様において、本明細書において提供されるのは、ホスホネート残基を介してデバイスの表面に共有結合された薬物部分を含む薬物送達デバイスであり、表面は白金または金である。いくつかの実施形態では、表面は白金である。いくつかの実施形態では、表面は金である。いくつかの実施形態では、表面はパラジウム、イリジウム、またはロジウムである。いくつかの実施形態では、薬物部分は、リンカーを介してホスホネート残基に連結される。いくつかの実施形態では、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは薬物部分を放出するように構成されている。リンカーは、腫瘍などの所望の標的の近くで薬物部分を放出するように構成することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、抗体または抗体フラグメント、ペプチド、または核酸などの標的化部分をさらに含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される金属ホスホネートを使用して、生物学的媒体の精製に有用な金属表面を調製することができる。金属表面へのホスホネート結合は、複数の結合剤を表面に連結するために使用され得る。いくつかの実施形態では、結合剤は、目的の材料を表面に結合させることができる。いくつかの実施形態では、生物学的媒体は表面上で洗浄され、目的の物質が表面に結合される。次いで、生物学的媒体を表面から除去することができる。いくつかの実施形態では、次に金属表面を洗浄して、非特異的に結合した物質を表面から除去する。次いで、目的の材料を金属表面から放出し、回収することができる(例えば、結合剤と表面との間のリンカーを切断することにより、または結合剤の特性を、例えば、変性により変更することによって)。いくつかの実施形態では、結合剤は、生物学的媒体からそれを除去するために、関心対象外の物質を結合するように構成され得る。いくつかの実施形態では、結合剤は、ビーズまたは微粒子など、媒体から容易に除去することができる金属表面上に配置することができる。このような粒子は、さまざまな方法(例えば、磁場または遠心分離)によって収集できる。望ましくない物質結合を有する粒子の収集は、複雑な生物学的サンプルを明確にして、目的の物質のみを残すことができる。
【0153】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される金属ホスホネート結合は、マイクロアレイの調製に使用され得る。マイクロアレイは、あらゆる目的に使用できる。いくつかの実施形態では、マイクロアレイは、DNA配列決定、タンパク質発現分析、タンパク質間相互作用スクリーニング、またはアレイ形式で実行できる任意の他の生物学的アッセイに使用することができる。いくつかの実施形態では、アレイは、ホスホネート残基を介して金属表面に結合した複数の特徴を含む。いくつかの実施形態では、これらの特徴はプローブ部分を含む。いくつかの実施形態では、各特徴は固有のプローブ部分を含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分は、核酸、ペプチド、タンパク質、抗体、小分子、グリカン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、プローブ部分は核酸を含む。いくつかの実施形態では、核酸はDNAまたはRNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸は一本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸はアプタマーを含む。いくつかの実施形態では、マイクロアレイは、DNA配列決定のために構成される。いくつかの実施形態では、マイクロアレイは発現分析のために構成される。いくつかの実施形態では、発現分析はタンパク質発現分析である。いくつかの実施形態では、プローブ部分は、mRNAを捕捉するように構成されている。いくつかの実施形態では、プローブ部分は、ペプチドまたはタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、マイクロアレイは、タンパク質間相互作用スクリーニングのために構成される。マイクロアレイは、任意の数の特徴を有することができる。いくつかの実施形態では、マイクロアレイは、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10000個、または少なくとも100000個の固有のプローブ特徴を含む。
【0154】
III.金属表面を変更する方法
本明細書に記載の修飾された金属表面を生成する方法も本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、金属表面は、単純な手順を使用して堅牢で再現性のある方法で修飾することができる。本明細書で提供される方法の単純さは、金属表面を高度な制御で修飾することを可能にし、バッチ間で信頼性が高く一貫した方法で金属表面をさらに官能化するために使用できる。
【0155】
一態様では、金属表面を官能化する方法が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、この方法は、金属表面上にホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を沈着させることを含む。いくつかの実施形態では、この方法は、金属表面を加熱して、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、金属表面は白金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は金表面またはその酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は、パラジウム、チタン、もしくはロジウム、またはそれらの酸化物である。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。
【0156】
いくつかの実施形態では、ホスホン酸試薬はホスホン酸部分を含む。いくつかの実施形態では、ホスホン酸試薬は、ホスホン酸誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ホスホン酸誘導体はホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルはアルキルホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルはメチルまたはエチルエステルである。ホスホン酸試薬がホスホン酸誘導体であるいくつかの実施形態では、この方法は、酸を反応混合物に添加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、酸は有機酸(例えば、酢酸、ギ酸など)である。いくつかの実施形態では、酸は無機酸(例えば、HCl、HBr、HSOなど)である。いくつかの実施形態では、酸は強酸である。いくつかの実施形態では、酸は弱酸である。
【0157】
いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を沈着させることは、ホスホン酸試薬を含む溶液と金属表面を接触させることを含む。いくつかの実施形態では、ホスホン酸試薬を沈着させることは、白金表面を、ホスホン酸試薬および溶媒を含む溶液と接触させることを含む。ホスホン酸試薬を溶解できる任意の溶媒を使用することができる。いくつかの実施形態では、溶媒は、有機溶媒、水性溶媒、またはそれらの任意の組み合わせもしくは混合物を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は有機溶媒である。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、tert-ブチルアルコール、tert-ブチルメチルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、ジグリム、1,2-ジメトキシエタン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、エチルメチルケトン、エチレングリコール、ヘキサン、ヘキサメチルホスホルアミド、メタノール、ニトロメタン、ペンタン、2-プロポナール、ピリジン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、もしくはトルエン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、エタノール、テトラヒドロフラン、またはトルエンを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はエタノールを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はテトラヒドロフランを含む。いくつかの実施形態では、有機溶媒はトルエンを含む。
【0158】
ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬は、溶液中に任意の濃度で存在することができる。いくつかの実施形態では、試薬は、約1μM、10μM、100μM、1mM、10mM、100mM、または1Mまでの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、試薬は、約1μM、10μM、100μM、1mM、10mM、100mM、または1Mの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、試薬は、少なくとも約1μM、10μM、100μM、1mM、10mM、100mM、または1Mの濃度の溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、試薬は、約1mMの濃度で溶液中に存在する。いくつかの実施形態では、試薬は、約1μM、10μM、100μM、1mM、または10mMから約10μM、100μM、1mM、10mM、100mM、または1Mの濃度で溶液中に存在する、いくつかの実施形態では、試薬は、約1μMから約1Mの濃度で溶液中に存在する。
【0159】
いくつかの実施形態では、金属表面上に試薬を沈着させることは、金属表面から溶媒を蒸発させることを含む。溶媒を蒸発させるために、任意の適切な方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、溶媒を大気圧下で蒸発させる。いくつかの実施形態では、真空源を使用して溶媒を蒸発させる。いくつかの実施形態では、溶媒を蒸発させることは、金属表面を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、金属表面は、少なくとも30℃、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、または少なくとも90℃の温度で加熱される。いくつかの実施形態では、金属表面は、約30℃、約40℃、約50℃、約60℃、約70℃、約80℃、または約90℃の温度で加熱される。
【0160】
いくつかの実施形態では、金属表面を加熱して、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させる。表面を加熱する任意の方法を使用することができる。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、オーブン、真空オーブン、またはマイクロ波反応器内で行われる。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、オーブン内で行われる。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、真空オーブン内で行われる。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、マイクロ波反応器内で行われる。
【0161】
いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、少なくとも30℃、少なくとも50℃、少なくとも70℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、少なくとも120℃、少なくとも140℃、少なくとも160℃、または少なくとも180℃の温度で金属表面を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、約30℃、約50℃、約70℃、約80℃、約100℃、約120℃、約140℃、約160℃、または約180℃の温度で金属表面を加熱することを含む。いくつかの実施形態では、試薬を金属表面と結合させるために金属表面を加熱することは、最大50℃、最大70℃、最大80℃、最大100℃、最大120℃、最大140℃、最大160℃、または最大180℃の温度で金属表面を加熱することを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、金属表面は酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は酸化金属表面である。いくつかの実施形態では、金属表面は部分的に酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は少なくとも部分的に酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は完全に酸化される。
【0163】
いくつかの実施形態では、この方法は、金属表面を酸化する工程をさらに含む。金属表面の酸化は、任意の方法を使用して達成することができる。いくつかの実施形態では、金属表面は、空気酸化、プラズマ処理、紫外線オゾン酸化、または化学酸化によって酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は空気酸化によって酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は紫外線オゾン酸化によって酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面はプラズマ処理によって酸化される。いくつかの実施形態では、金属表面は化学酸化によって酸化される。
【0164】
ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬は、いかなる構造を有していてもよい。いくつかの実施形態では、ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬は、構造
【化40】
を有し、
式中、各Rは、独立して、H、または任意に置換されたアルキルであり、そして、
Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。
いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、または任意に置換されたC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、HまたはC-Cアルキルである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、H、メチル、エチル、またはプロピルである。いくつかの実施形態では、各RはHである。いくつかの実施形態では、各Rは、独立して、メチル、エチル、またはプロピルである。
【0165】
ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬のR基は、任意の基であり得る。いくつかの実施形態では、Rは、任意に置換されたアルキル、任意に置換されたヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアルケニル、任意に置換されたアルキニル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、Rは、「修飾された金属表面」の節で説明した基Rのいずれかである。いくつかの実施形態では、ホスホン酸試薬は、「修飾された金属表面」セクションに記載されているR基のいずれかを含むホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルはアルキルホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルは、C-Cアルキルホスホネートエステルである。いくつかの実施形態では、ホスホネートエステルは、メチル、エチル、またはプロピルホスホネートエステルである。
【0166】
ホスホン酸またはホスホネートエステル試薬が反応性タグまたは捕捉部分を含む実施形態では、金属表面の特性をさらに修飾するために、さらなる基を付加することができる。いくつかの実施形態では、方法は、さらなる反応を行うことによって試薬に第2の基を付加することをさらに含む。いくつかの実施形態では、金属表面へのホスホン酸またはホスホネートエステル試薬の結合後に、さらなる基が付加される。反応性タグまたは捕捉部分の反応を可能にする任意の適切な反応条件を使用することができる。いくつかの実施形態では、CLICKケミストリーによってさらなる基が付加される。いくつかの実施形態では、求核付加によってさらなる基が付加される。いくつかの実施形態では、さらなる基が重合反応によって付加される。いくつかの実施形態では、重合反応は、(ATRP)を介した原子移動ラジカル重合である。いくつかの実施形態では、重合反応は可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合である。いくつかの実施形態では、付加環化反応によってさらなる基が付加される。いくつかの実施形態では、抱合反応によってさらなる基が付加される。いくつかの実施形態では、バイオコンジュゲーション反応によってさらなる基が付加される。さらなる基を付加するために使用される反応は、有機溶媒、水溶液、または適切な緩衝液などの任意の溶媒または溶液中で使用され得る。
【0167】
IV.定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語、表記法、およびその他の技術的および科学的用語または専門用語は、特許請求される主題が関係する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有することを意図している。場合によっては、一般的に理解されている意味を持つ用語は、明確にするため、および/または参照しやすいように本明細書で定義されており、本明細書でのそのような定義の包含は、当技術分野で一般的に理解されているものとの実質的な違いを表すと必ずしも解釈されるべきではない。
【0168】
本出願を通して、様々な実施形態を範囲形式で提示することができる。範囲形式での説明は、便宜上および簡潔にするためだけのものであり、本開示の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の説明は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な下位範囲を具体的に開示したと見なされるべきである。例えば、1から6などの範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6などの下位範囲、ならびに範囲内の個々の数値、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0169】
明細書および特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の参照を含む。例えば、「サンプル」という用語は、それらの混合物を含む複数のサンプルを含む。
【0170】
「決定する」、「測定する」、「評価する」、「算定する」、「アッセイする」、および「分析する」という用語は、測定の形態を指すために、本明細書では交換可能に使用されることが多い。これらの用語には、要素が存在するかどうかを判断すること(例えば、検出)が含まれる。これらの用語には、定量的、定性的、または定量的および定性的な決定を含めることができる。評価は相対的または絶対的であり得る。「~の存在を検出する」ことは、文脈に応じて存在するか存在しないかを決定することに加えて、存在する何かの量を決定することを含むことができる。
【0171】
「対象」、「個体」、または「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用されることが多い。「対象」は、発現された遺伝物質を含む生物学的実体であり得る。生物学的実体は、例えば、細菌、ウイルス、真菌、および原生動物を含む、植物、動物、または微生物であり得る。対象は、インビボで得られた、またはインビトロで培養された生物学的実体の組織、細胞およびそれらの子孫であり得る。対象は哺乳動物であり得る。哺乳動物はヒトであり得る。対象は、病気のリスクが高いと診断されているか、疑われている可能性がある。場合によっては、対象は、必ずしも診断されていないか、疾患のリスクが高いと疑われているわけではない。
【0172】
本明細書で使用される場合、数の「約」という用語は、その数にその数のプラスまたはマイナス10%を指す。範囲の「約」という用語は、その範囲から最低値の10%を差し引いたものと、最大値の10%を加えたものを指す。
【0173】
「アルキル」は、炭素原子および水素原子のみからなる直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖基を指し、これは任意に1つ以上の二重結合または三重結合で不飽和であってもよい。アルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合する。特に明記しない限り、用語「アルキル」およびその等価物は、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を包含する。アルキル基が「線状」と記載されている場合、言及されたアルキル基は追加のアルキル基で置換されておらず、分枝していない。アルキル基が「飽和」と記載されている場合、言及されているアルキル基は、二重または三重の炭素-炭素結合(例えば、アルケンまたはアルキン)を含まない。アルキル基は、例えば、1~15個の炭素原子(すなわち、C-C15アルキル)、1~13個の炭素原子(すなわち、C-C13アルキル)、1~8個の炭素原子(すなわち、C-Cアルキル)、1~5個の炭素原子(すなわち、C-Cアルキル)、1~3個の炭素原子(すなわち、C-Cアルキル)、または1個の炭素原子(すなわち、Cアルキル)。最大20個の炭素原子、最大30個の炭素原子、最大50個の炭素原子、または最大100個の炭素原子など、追加の長さも可能である。特定の実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、1-メチルエチル(イソプロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、1-メチルプロピル(sec-ブチル)、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)から選択される(イソブチル)。
【0174】
「アルケニル」は、炭素および水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、好ましくは2~12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝炭化水素鎖基(radical group)を指す(すなわち、C-C12アルケニル))。特定の実施形態において、アルケニルは、2~10個の炭素原子を含む(すなわち、C-C10アルケニル)。特定の実施形態において、アルケニルは、2~8個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニル)。他の実施形態では、アルケニルは、2~6個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニル)。アルケニルは、単結合によって分子の残りに結合することができ、例えば、エテニル(すなわち、ビニル)、プロペニル(すなわち、アリル)、ブト-1-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-1,4-ジエニルなどである。
【0175】
「アルキニル」は、炭素原子および水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、好ましくは2~12個の炭素原子を有する、直鎖または分枝炭化水素鎖基(radical group)(すなわち、C-C12アルキニル)を指す。)。特定の実施形態において、アルキニルは、2~8個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニル)。他の実施形態では、アルキニルは、2~6個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニル)。他の実施形態では、アルキニルは2~4個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニル)。アルキニルは、単結合によって分子の残りの部分に結合することができ、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどである。
【0176】
「アルキレン」、「アルキレン鎖」、または「アルキル鎖」は、分子の残りを、炭素および水素のみからなる基(radical group)に連結する、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖を指し、任意に、1つ以上の二重または三重の炭素-炭素結合、好ましくは1~12個の炭素原子を有するもの、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、nブチレンなどアルキレン鎖は、アルキレン鎖の分子の残りの部分およびラジカル基への結合点は、鎖内の任意の2つの炭素を介することができる.10個の炭素原子(すなわち、C-Cアルキレン)を含む特定の実施形態では、アルキレンは、1~8個の炭素原子を含む(すなわち、C~Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、1~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。Cアルキレン)他のエンボアルキレンは、1個~4個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、1個~3個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、1個~2個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、1個の炭素原子を含む(すなわち、Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、5個~8個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、2~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。他の実施形態では、アルキレンは、3個~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキレン)。
【0177】
「アルケニレン」または「アルケニレン鎖」は、分子の残りを、炭素および水素のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み、好ましくは、2~12個の炭素原子を有する。アルケニレン鎖は、単結合を介して分子の残りの部分に結合し、単結合を介して基(radical group)に結合する。分子の残りの部分および基(radical group)へのアルケニレン鎖の結合点は、鎖内の任意の2つの炭素を介することができる。特定の実施形態では、アルケニレンは、2~10個の炭素原子を含む(すなわち、C-C10アルケニレン)。特定の実施形態において、アルケニレンは、2~8個の炭素原子を含む(すなわち、C2-C8アルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは、2~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは、2~4個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは、2~3個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは、2個の炭素原子を含む(すなわち、Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは、5~8個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニレン)。他の実施形態では、アルケニレンは、3~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルケニレン)。
【0178】
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」は、分子の残りを基(radical group)に連結し、炭素および水素のみからなり、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含み、好ましくは、二価炭化水素鎖を指す。2~12個の炭素原子を有する。アルキニレン鎖は、単結合を介して分子の残りの部分に結合し、単結合を介して基(radical group)に結合する。分子の残りの部分および基(radical group)へのアルキニレン鎖の結合点は、鎖内の任意の2つの炭素を介することができる。特定の実施形態では、アルキニレンは、2~10個の炭素原子を含む(すなわち、C-C10アルキニレン)。特定の実施形態では、アルキニレンは、2~8個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは、2~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは、2~4個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは、2~3個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは、2個の炭素原子を含む(すなわち、Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは、5~8個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニレン)。他の実施形態では、アルキニレンは、3~5個の炭素原子を含む(すなわち、C-Cアルキニレン)。
【0179】
「アリール」は、芳香族単環式または芳香族多環式炭化水素環系を指す。芳香族単環式または芳香族多環式炭化水素環系は、水素と炭素、および5~18個の炭素原子のみを含み、ここで、環系の環の少なくとも1つが芳香族であり、すなわち、これは、ヒュッケル理論による環状の非局在化(4n+2)π-電子系を含む。アリール基が由来する環系には、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリンおよびナフタレンなどの基が含まれるが、これらに限定されない。
【0180】
「アラルキル」、「アリールアルキル」、または「アリールアルキレン」は、式R-アリールの基を指し、式中、Rは上で定義したアルキレン鎖であり、例えば、メチレン、エチレンなどである。アラルキル基のアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上述したように置換されていてもよい。
【0181】
「アラルケニル」は、式-R-アリールの基を指し、ここでRは上で定義したアルケニレン鎖である。アラルケニル基のアリール部分は、アリール基について上述したように任意に置換されている。
【0182】
「アラルキニル」は、式R-アリールの基を指し、式中、Rは、上で定義したアルキニレン鎖である。アラルキニル基のアリール部分は、アリール基について上述したように任意に置換されてもよい。
【0183】
「Cx-y」または「C-C」という用語は、アルキル、アルケニル、またはアルキニルなどの化学的部分と組み合わせて使用される場合、鎖中にx~y個の炭素を含む基を含むことを意味する。例えば、「Cx-yアルキル」という用語は、鎖にxからy個の炭素を含む直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含む、飽和または不飽和炭化水素基を指す。「Cx-yアルケニル」および「Cx-yアルキニル」という用語は、長さおよび可能な置換が上記のアルキルに類似しているが、少なくとも1つの二重結合または三重結合をそれぞれ含む不飽和脂肪族基を指す。
【0184】
「シクロアルキル」は、環の各原子が炭素である飽和環を指す。シクロアルキルは、単環および多環、例えば、3~10員の単環、6~12員の縮合二環、6~12員のスピロ環、および6~12員の架橋環を含み得る。特定の実施形態において、シクロアルキルは、3個~10個の炭素原子を含む。他の実施形態において、シクロアルキルは、5~7個の炭素原子を含む。シクロアルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合することができる。単環式シクロアルキルの例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。多環式シクロアルキルラジカルには、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(すなわち、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、ノルボルネニル、デカリニル、7,7ジメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどが含まれる。別段の指定がない限り(例えば、「シクロアルキル」が「飽和」と記載されている場合)、本明細書に記載のシクロアルキル基は、1つ以上の炭素-炭素二重結合または三重結合を含み得る。
【0185】
「ヘテロアルキル」は、1つ以上のヘテロ原子を含有する直鎖または分枝炭化水素鎖ラジカルを指す。ヘテロアルキル基は、任意に、隣接する炭素原子間、炭素原子とヘテロ原子間、または2つのヘテロ原子間の1つ以上の二重結合または三重結合で不飽和であってもよい。ヘテロアルキルは、単結合によって分子の残りの部分に結合する。特に明記しない限り、「ヘテロアルキル」という用語およびその同等物は、直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を包含する。ヘテロアルキル基が「線状」と記載される場合、言及されるヘテロアルキル基は、追加のアルキル基またはヘテロアルキル基で置換されておらず、分枝していない。ヘテロアルキル基が「飽和」と記載されている場合、言及されているアルキル基は、二重結合または三重結合を含まない(例えば、アルケンまたはアルキン)。ヘテロアルキル基は、例えば、1~15個の原子、1~13個の原子、1~8個の原子、1~5個の原子、1~3個の原子、または1~2個の原子を含む任意の長さであり得る。最大20個の原子、最大30個の原子、最大50個の原子、または最大100個の原子など、より長い長さも可能である。
【0186】
「ヘテロアルキレン」、「ヘテロアルキレン鎖」、または「ヘテロアルキル鎖」は、炭素、水素、および場合により1つ以上の二重または三重の炭素-炭素結合または炭素-ヘテロ原子結合で不飽和化されています。例示的なヘテロ原子には、N、O、Si、P、B、およびS原子が含まれる。ヘテロアルキレン鎖は、単結合を介して分子の残りの部分に結合し、単結合を介して基(radical group)に結合する。分子の残りの部分および基(radical group)へのヘテロアルキレン鎖の結合点は、鎖内の任意の2つの原子を介することができる。
【0187】
「複素環」は、炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を含む飽和、不飽和または芳香環を指す。例示的なヘテロ原子には、N、O、Si、P、B、およびS原子が含まれる。複素環は、単環でも多環でもよく、3~10員の単環、6~12員の縮合二環、6~12員のスピロ環、および6~12員の架橋環を含んでもよい。二環式複素環の各環は、飽和、不飽和、および芳香環から選択され得る。いくつかの実施形態では、複素環はヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、複素環はヘテロシクロアルキルである。例示的な実施形態では、複素環、例えばピリジルは、飽和または不飽和環、例えばシクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセンに縮合することができる。
【0188】
「ヘテロシクロアルキル」は、炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子を有する飽和環を指す。例示的なヘテロ原子には、N、O、Si、P、B、およびS原子が含まれる。ヘテロシクロアルキルは、単環および多環、例えば、3~10員の単環、6~12員の縮合二環、6~12員のスピロ環、および6~12員の架橋環を含み得る。ヘテロシクロアルキルラジカル中のヘテロ原子は、任意に酸化されている。1つ以上の窒素原子が存在する場合、任意に四級化される。ヘテロシクロアルキルは、原子価が許す限り、ヘテロシクロアルキルの任意の炭素原子または窒素原子など、ヘテロシクロアルキルの任意の原子を介して分子の残りの部分に結合している。ヘテロシクロアルキルラジカルの例としては、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフリル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1オキソチオモルホリニル、および1,1-ジオキソチオモルホリニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0189】
「ヘテロシクロアルケニル」は、炭素原子および少なくとも1つのヘテロ原子を有する飽和環を指し、2つの環炭素の間に少なくとも1つの二重結合がある。例示的なヘテロ原子には、N、O、Si、P、B、およびS原子が含まれる。ヘテロシクロアルケニルは、3~10員の単環式環、6~12員の縮合二環式環、6~12員のスピロ環式環、および6~12員の架橋環などの単環式および多環式環を含み得る。他の実施形態では、ヘテロシクロアルケニルは、5~7個の環原子を含む。ヘテロシクロアルケニルは、単結合によって分子の残りの部分に結合することができる。単環式シクロアルケニルの例としては、例えば、ピロリン(ジヒドロピロール)、ピラゾリン(ジヒドロピラゾール)、イミダゾリン(ジヒドロイミダゾール)、トリアゾリン(ジヒドロトリアゾール)、ジヒドロフラン、ジヒドロチオフェン、オキサゾリン(ジヒドロオキサゾール)、イソオキサゾリン(ジヒドロイソキサゾール)、チアゾリン(ジヒドロチアゾール)、イソチアゾリン(ジヒドロイソチアゾール))、オキサジアゾリン(ジヒドロオキサジアゾール)、チアジアゾリン(ジヒドロチアジアゾール)、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピラン、ジヒドロピラン、チオピラン、ジヒドロチオピラン、ジオキシン、ジヒドロジオキシン、オキサジン、ジヒドロオキサジン、チアジン、およびジヒドロチアジンが挙げられる。
【0190】
「ヘテロアリール」は、炭素原子および1つ以上のヘテロ原子を含む芳香環を指す。例示的なヘテロ原子には、N、O、Si、P、B、およびS原子が含まれる。本明細書で使用される場合、ヘテロアリール環は、単環式または二環式および縮合環系または架橋環系環から選択することができ、環系の環の少なくとも1つは芳香族であり、すなわち、ヒュッケル理論による環状の非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリールラジカル中のヘテロ原子は、任意に酸化されていてもよい。1つ以上の窒素原子が存在する場合、任意に四級化される。ヘテロアリールは、ヘテロアリールの炭素原子または窒素原子など、原子価が許す限り、ヘテロアリールの任意の原子を介して分子の残りの部分に結合することができる。ヘテロアリールの例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3-ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7ジヒドロ5Hシクロペンタ[4,5]チエノ[2,3d]ピリミジニル、5,6ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6-ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9-テトラヒドロ5Hシクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル、およびチオフェニル(すなわちチエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
「置換された」という用語は、構造の1つ以上の炭素またはヘテロ原子上の水素を置換する置換基を有する部分を指す。「置換」または「で置換された」は、そのような置換が置換原子および置換基の許容される原子価に従うという暗示的条件を含むこと、および置換が安定な化合物をもたらすこと、例えば自発的に本明細書で使用される「置換された」という用語は、有機化合物のすべての許容される置換基を含むと考えられる。広い観点では、許容される置換基には、有機化合物の非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族置換基が含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物について、1つまたは複数であり、同じかまたは異なっていてもよい。この開示の目的のために、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載の有機化合物の任意の許容可能な置換基を有し得る。特定の基が「任意に置換された」と記載されている場合、その基は置換基を含んでも含まなくてもよいことが意図される。基が置換されているか置換されていないかが特定されていない実施形態では、基が任意に置換されていることが意図される。別段の指定がない限り、本明細書に記載の置換基はそれ自身の置換基でさらに置換されていてもよく、これらの置換基のそれぞれはさらに任意に置換される。
【0192】
置換基は、本明細書に記載の任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(チオエステル、チオアセテートなど)を含むことができる。またはチオホルメート)、アルコキシル、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、アラルキル、炭素環、複素環、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、芳香族およびヘテロ芳香族部分。いくつかの実施形態では、置換基は、本明細書に記載の任意の置換基を含むことができ、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO)、イミノ(=N-H)、オキシモ(=N-OH)、ヒドラジノ(=N-NH)、-ROR、-ROC(O)R、-ROC(O)OR、-ROC(O)N(R、-RN(R、-RC(O)R、-RC(O)OR、-RC(O)N(R、-RORC(O)N(R、-RN(R)C(O)OR、-RN(R)C(O)R、RN(R)S(O)(tは1または2)、RS(O)(tは1または2)、RS(O)OR(tは1または2)、およびRS(O)N(R(tは1または2)、ならびにアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、アラルケニル、アラルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアリールアルキルであり、これらのいずれかは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO)、イミノ(=N-H)、オキシモ(=N-OH)、ヒドラジン(=N-NH)、-ROR,-ROC(O)R,-ROC(O)OR,-ROC(O)N(R,-RN(R,-RC(O)R,-RC(O))OR,-RC(O)N(R,-RORC(O)N(R,-RN(R)C(O)OR,-RN(R)C(O)R、-RN(R)S(O)(tは1または2)、RS(O)(tは1または2)、RS(O)OR(tは1または2)およびRS(O)N(R(tは1または2)によって任意に置換されてもよく、ここで、各Rは、水素、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルから独立して選択され、各Rは、原子価が許せば、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、シアノ(-CN)、ニトロ(-NO)、イミノ(=N-H)、オキシモ(=N-OH)、ヒドラジン(=N-NH)、ROR、ROC(O)R、ROC(O)OR、ROC(O)N(R、RN(R、RC(O)R、RC(O)OR、RC(O)N(R、RORC(O)N(R、RN(R)C(O)OR、RN(R)C(O)Ra、RbN(Ra)S(O)tRa(tは1または2)、RS(O)(tは1または2)、RS(O)OR(tは1または2)、RS(O)N(R(tは1または2)で任意に置換されていてもよく、各Rは、直接結合または直鎖もしくは分岐アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン鎖から独立して選択され、各Rは、直鎖もしくは分岐アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン鎖である。
【0193】
特に明記しない限り、親分子または2つ以上の部分への複数の結合点を有する任意の基は、任意の方向に配向できることが意図される。例えば、Bが
【化41】
である式A-B-Cの構造については、
【化42】
の両方が包含されることが意図される。
【0194】
本明細書で使用される節の見出しは、組織化のみを目的としており、記載された主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0195】
V.実施例
以下の実施例は、例示のみために含まれており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0196】
実施例1:(11-((2-ブロモ-2-メチルプロパノイル)オキシ)ウンデシル)ホスホン酸による白金表面の官能化
ホスホン酸試薬を白金表面に結合させるために、白金表面を官能化するための様々な条件が試みられた。試薬(11-((2-ブロモ-2-メチルプロパノイル)オキシ)ウンデシル)ホスホン(BMPOUA)が選択されたのは、2-ブロモ-2-メチルプロパノイル部分が含まれているため、表面へのホスホン酸部分の直接結合後に白金表面をさらに官能化できるためであった。
【0197】
最初の実験では、図2に示されるプロトコルが利用された。簡単に説明すると、40mgのBMPOUAを100mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解した。次いで、白金チップをTHF溶液に添加した。次いでTHF溶液を60℃に加熱し、THFを蒸発させた。チップを140℃のオーブンに2日間入れて、ホスホン酸を表面にアニーリングさせた。次いで、チップをメタノールですすぎ、乾燥させた。
【0198】
ホスホン酸試薬を表面に付着させるための上記の反応条件の有効性を評価するために、得られた金属ホスホネートの2-ブロモ-2-メチルプロパノイル部分を、ラジカル重合反応において、適切なアクリレート試薬と連結させることを試みた。白金表面がBMPOUAで正常に修飾された場合、ポリマーは反応条件下で白金表面で「成長」するはずである。チップ上でポリマーの成長が観察されたが、チップごとにかなりのばらつきがあった。
次に反応に及ぼす溶媒の影響を調べた。溶媒としてTHF、エタノール(EtOH)、またはトルエンを使用して、1mMのホスホン酸の溶液を調製した。次いで、白金チップを、混合せずに60℃で混合物に浸した。反応は22時間実行され、反応溶媒を蒸発させる、溶媒から白金チップを取り出すこと、およびメタノールですすぐこと、ならびに、チップから白金を取り出すこと、および一晩140℃の真空オーブンに直接入れることを含む、さまざまな方法で処理さした。これらの表面修飾プロトコルに続いて、チップの表面にポリマーを成長させるために、適切なアクリレート試薬を試みた。EtOHは、最初の表面官能化に続くポリマー成長の最も一貫した量を示したため、表面官能化反応の最も手堅い溶媒であることがわかった。
【0199】
実施例2:官能化に対するPt表面酸化の影響
白金表面上の-OH基の存在が、ホスホン酸の共有結合において役割を果たすことが疑われた。ホスホン酸との共有結合形成における白金の酸化状態の役割を評価するために、白金チップをプラズマ処理(高エネルギーOプラズマ反応性イオンエッチング)に供して、白金表面の一部を酸化し、エッチング後除去試薬(例えば、DuPontからのEKC4000(登録商標))を用いる処理を行って酸化した白金を除去するか、または白金チップはホスホン酸試薬との反応前に何の処理も行わなかった。
【0200】
チップの酸化状態を評価するために、プラズマ処理および未処理の白金チップをX線光電子分光法(XPS)によって分析した。原子組成と化学状態の情報は、次のパラメーターを使用してPHIQuantum2000で取得した。
X線源:Monochromated Alkα 1486.6eV;受け入れ角度:±23°;テイクオフ角度:45°;分析エリア:直径600μm。電荷補正:C1s 284.8eV(C-C、C-H)。特定の元素の化学状態の割り当ては、文献から参照データを参照することによって行った。非線形最小二乗(NLLS)曲線フィッティングを適用して、化学状態の割り当てを支援した。
【0201】
酸化および未処理の白金チップのXPS測定を図3Aおよび図3Bに示す。図3Aは、3つのチップの表面のサーベイスキャンを示す。チップ1および2はプラズマ処理に供し、チップ3は未処理であった。図3Bは、チップ上の白金の様々な酸化状態のXPS評価を示す。データは、白金が各チップ上でさまざまな酸化状態で存在することを示す。酸化された白金およびプラズマ処理されていないチップについての各酸化状態(Pt0、Pt2+、Pt4+)の白金の相対比率を以下の表1に示す。未処理のチップでは、ほとんどの白金が酸化されていない状態であった。対照的に、プラズマ処理された白金チップは、酸化された白金のレベルの上昇を示した。
【0202】
【表1】
【0203】
酸化レベルについて白金チップを評価した後、表面をBMPOUAとの官能化反応に供した。丸底フラスコ内で、BMPOUA(Millipore Sigma)をエタノール(Millipore Sigma)に1.2mMの濃度で溶解した。室温で5分間混合した後、溶液を反応容器に注ぎ、白金金属基材(プラズマ処理、未処理、またはエッチング後除去試薬処理)を撹拌せずにホスホン酸溶液に沈めた。反応容器を超高純度アルゴンガス(Airgas)で5分間フラッシュし、白金基材を室温で18時間浸漬したままにした。完了後、基材をエタノール溶液から取り出し、直接オーブン(VWR Gravity Convection Oven)に入れて、140℃で2時間、洗浄なしで、BMPOUAを基材にアニールさせた。
【0204】
白金基材にアニールされたBMPOUAの量を評価するために、材料をアクリレート試薬との重合反応に供した。白金表面がBMPOUAで正常に修飾された場合、ポリマーは反応条件下で白金表面で「成長」するはずである。白金基材の表面に結合するBMPOUAが多いほど、反応後にチップに結合するポリマーが多くなる。プラズマ処理、未処理、およびエッチング後除去試薬で処理された表面の修飾された表面での重合反応に続いて、表面粗さの測定値を、通常のスキャン速度(バックスキャン=0mm、スキャン長=0.02mm、スキャン平均=4)を使用して、光学プロフィルメーター(Profilm 3D、Filmetrics F40顕微鏡)によって取得した。画像は、4xズームで50xDI(Nikon)を使用してPSIモードで取得した。画像取得に続いて、スプラインフィルター(ガウスβ=0.625242、カットオフ長=8μm)が適用された。プラズマ処理チップおよび未処理チップについて、結果として得られた平均ポリマーヒドロゲル厚測定値を以下の表2に示す。エッチング後除去剤で処理された白金チップは、観察可能なポリマーの成長を示さなかった。変動係数と平均厚さを比較すると、より酸化された表面は、より均一なポリマー(酸化PtCV%=6.1対非酸化PtCV%=11.0)およびより厚いポリマー(酸化Ptポリマーの平均厚さ=33.1nm対非酸化Ptポリマーの平均厚さ=26.1nm)をもたらす。さらに、官能化された白金基材が電流を伝導する能力を評価した。予想どおり、未処理の金属基材は、より酸化されたプラズマ処理基材(平均=99.2mAmps)と比較して、より高い電流測定値(108.4mAmps)を示した。
【0205】
【表2】
【0206】
実施例3:修飾された白金表面の特徴付け
複数の白金チップをBMPOUAで官能化し、様々な技術を使用して特徴付けた。官能化のプロトコールは以下の通りである:丸底フラスコにおいて、BMPOUA(Millipore Sigma)をエタノール(Millipore Sigma)に1.2mMの濃度で溶解した。室温で5分間混合した後、溶液を反応容器に注ぎ、白金金属基材(プラズマ処理、未処理、またはエッチング後除去試薬処理)を撹拌せずにホスホン酸溶液に沈めた。反応容器を超高純度アルゴンガス(Airgas)で5分間フラッシュし、白金基材を室温で18時間浸漬したままにした。完了後、基材をエタノール溶液から取り出し、140℃で2時間洗浄せずに直接オーブン(VWR Gravity Convection Oven)に入れて、BMPOUAを基材にアニールさせた。
【0207】
BMPOUAとの反応後、ホスホン酸による白金金属官能化の証拠が、官能化の前後の算術平均高さ(Sa)を測定することによって観察された。これは、光学プロフィルメーター(Profilm3D、Filmetrics)を使用して達成された。表面粗さの測定値は、通常のスキャン速度(バックスキャン=0mm、スキャン長=0.02mm、スキャン平均=4)を使用して取得された。画像は、4xズームで50xDI(Nikon)を使用してPSIモードで取得された。画像取得に続いて、白金電極のみが考慮され、スプラインフィルター(ガウスβ=0.625242、カットオフ長=8μm)が適用されるように、画像がトリミングされた。表3に示すように、白金金属をホスホン酸で処理すると、表面粗さの値が70%増加する(Sa=0.94nm対1.71nm、それぞれ、裸のPt金属および処理されたPt金属)。この粗さの変化は、ホスホン酸の白金金属への共有結合に起因する可能性がある。
【0208】
【表3】
【0209】
図4は、表面官能化前の裸の白金電極の画像を示す。図4の白金電極において、官能化前の算術平均高さ(Sa)は0.763nmである。図5は、上記のようにBMPOUAホスホン酸試薬で官能化した後の同じ白金電極を示す。官能化後のSa電極は2.328nmに増加し、試薬の付着が成功したことと一致している。
【0210】
ホスホン酸誘導体BMPOUAの結合が成功した後、官能基を有する白金電極表面を、適切なアクリレート試薬の存在下でラジカル重合条件に供した。この反応が完了すると、白金電極の表面は、誘導体化を受けていない白金電極と同様に、走査型電子顕微鏡(SEM)によって分析した。画像は、標準作動距離10mmでFEI Quanta 250 SEMを使用して取得した。通常、加速電圧は3~5keVに設定し、ビーム電流は0.1nAに設定した。すべての画像は、標準電子検出器(ETD)を使用して得られ、ステージは、図6A、6B、および7-14に示すようにさまざまな角度で傾けた。
【0211】
図6Aは、45°の傾斜角で誘電体によって取り囲まれたむき出しの白金電極のSEM画像を示す。白金金属表面と誘電体の両方が滑らかに見える。図6Bは、比較として、BMPOUAで官能化された後、誘電体材料によって同様に取り囲まれた重合反応が続く白金電極を示す。図6Bの電極に電流を流した後、ポリマーの「折り畳み」が、誘電材料の界面近くの修飾白金表面の端で観察される。
【0212】
図7~10は、ポリマー官能化白金電極の追加のSEM画像を示す。図7は、0°の傾斜角度から撮影されたSEM画像を示す。折り畳まれたポリマーを白金表面に見ることができる。図8は、14°の傾斜角で撮影されたSEM画像を示す。白金表面と誘電体層の界面付近でのポリマーの折り畳みを明確に見ることができる。図9は、14°の傾斜角での同様のSEM画像を示す。キャプチャされた領域は、図8と同じであるが、広い視野を有していた。図10は、さらにズームアウトしたビューからの14°の傾斜角における追加のSEM画像を示す。
【0213】
図11~14は、誘電材料によって取り囲まれた官能化されていない白金電極のSEM画像を示す。特に、すべての画像は、図7~10に示される官能化された白金表面と比較して滑らかな表面を示している。図11は、傾斜角1°でのSEM画像を示す。画像の左側は、右側に誘電体がある白金表面を示す。図12は、45°の傾斜角における同じ電極のSEM画像を示す。白金表面と誘電体材料の界面は滑らかに見える。図13は、電極のズームアウトビューにおける4°傾斜角でのSEM画像を示す。図14は、45°の角度での誘電材料との滑らかな白金表面境界のクローズアップ画像を示す。
【0214】
本開示の好ましい実施形態が本明細書に示され、説明されてきたが、そのような実施形態が単なる例として提供されていることは当業者には明らかである。当業者は、本開示から逸脱することなく、多数の変形、変更、および置換を想起する。本明細書に記載された開示の実施形態に対する様々な代替物が、開示を実施する際に採用され得ることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物がそれによってカバーされることが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】