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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】外科手術用ツール及び固定装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/92 20060101AFI20230728BHJP
   A61B 17/70 20060101ALI20230728BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61B17/92
A61B17/70
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501501
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-17
(86)【国際出願番号】 US2021040745
(87)【国際公開番号】W WO2022011051
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/048,933
(32)【優先日】2020-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519313219
【氏名又は名称】エムエフアール テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MFR TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラフリン、トレバー ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】アームストロング、ウィリアム ディ.
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL08
4C160LL24
4C160LL42
4C160LL56
4C160LL62
(57)【要約】
本発明は、人体組織及び骨の解剖学的構造を固定するためのインプラント体を送達するための装置及びシステムを含む。システムは、ハンドルを備えたハウジングと、前進機構と、中空シャフトと、複数のインプラント体とを含んでもよい。本発明はまた、ハウジングが、インプラントを前進させるためのレバー又はトリガーを含み、任意選択的に第2の操作のための第2のレバー又はトリガーを含むハンドルを有するような、ダート、ステープル、スクリュー又はリベットなどの固定デバイスについて記載する。外科手術装置はまた、長尺状のボディを骨に入れ、且つ骨を通して前進させるための、衝撃付与機構及び手動前進機構と、任意選択的に方向を変更して長尺状のボディを後退させる逆設定とを備える。本発明はさらに、外科手術装置を使用するための方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のボディに衝撃を与えて骨に入れ、且つ骨を通して前進させる外科手術装置であって、前記手持ち式外科手術装置は、ハンドルと、中空シャフトと、を備え、前記ハンドルは、衝撃付与機構と、手動前進機構と、を備える、外科手術装置。
【請求項2】
後退機構をさらに備える、請求項1に記載の外科手術装置。
【請求項3】
リトラクターキャッチ、トラック、及びインデックスをさらに含む、請求項2に記載の外科手術装置。
【請求項4】
前記装置をチャージするためのプルレバーと、前記衝撃付与機構のための作動制御と、をさらに備える、請求項2に記載の外科手術装置。
【請求項5】
外科手術装置を用いて長尺状の切断体を骨を通して前進させるための方法であって、前記方法は、
a.衝撃付与機構を用いて骨に衝撃を与えて前記骨に開口部を形成するステップと、
b.前進機構を用いて前記衝撃付与機構の長尺状の切断体を前記骨の前記開口部内に既知の距離だけ前進させるステップと、
c.前記長尺状の切断体を後退させるステップと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、外科手術のための装置及び方法、より詳細には、人体組織及び骨の解剖学的構造を固定するためのインプラント体を送達するための装置及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
外科的処置は、精度及び制御(control)を必要とする。そのような精度及び制御を必要とする整形外科手術に対処する多くの処置がある。そのような例の1つは、骨切り術、すなわち骨を外科的に切断することである。椎弓根切除骨切り術は、脊椎の特定の変形を矯正するための外科的処置である。脊椎の過度な湾曲又は不足した湾曲は、矯正され得る。椎弓根切除骨切り術中、骨の領域が除去される。その後、脊椎を整列し直して、新しい整列で安定させる。
【0003】
固定点は、椎弓根スクリューを用いて配置される。典型的には、様々な形状及びサイズのキューレット及び高速掘削器具は、椎体の海綿骨質摘出に使用される。椎弓根オステオトーム(osteotome)を使用して、推弓根を切断及び除去する。ロッドを配置し、後壁を椎体に衝突させる。ロッドが調整され、脊椎が移動され、安定が得られるまで再びロッドが調整される。
【0004】
別のそのような例は、骨粗鬆症又は外傷による椎骨の骨折を治療するための椎体増大手術である椎骨形成術である。この処置は、アクリル製の骨セメント又は充填材を骨折部位に注入することを伴う。そうすることで、外科医は、椎骨を安定させ、正常な高さに戻し、その結果、骨折による痛みを軽減することができる。
【0005】
腰椎前外側椎体間固定術(oblique lateral interbody fusion)、すなわちOLIFでは、神経外科医は、体の前面及び側面から下部(腰椎)脊椎(腹部の中央と体の側面とのほぼ中間の経路を通る)にアクセスし、それを修復する。これは、損傷した椎間板及び骨を除去し、隣接する2つの椎骨を癒合することを伴う脊椎癒合術に対するより侵襲性の低いアプローチである。そうすることで、外科医は、筋肉の切断を最小限に抑え、1つのポートを使用して椎間板の腔にアクセスし、そこに骨材を充填し、その後、腰椎の骨を癒合させることができる。癒合は、患者(自家移植)、死体(同種移植)又は人工代用品からの骨移植材を使用することができる。
【0006】
特定の状況では、脊椎外科医は、椎間板の修復又は椎間板切除術を行う。椎間板切除術は、腰部の椎間板ヘルニアを治療するための一般的な手術である。この処置では、患者の神経根を圧迫している椎間板の部分が除去される。場合により、椎間板全体が除去される。神経根の損傷は、合併症として起こることもある。周辺組織への損傷を最小限に抑えるため、特殊な顕微鏡を使用し、比較的小さい切開で行う微小椎間板切除術が日常的に行われている。場合により、椎間板へのアクセス及び可視性を確保するために、最初に椎弓切開術又は椎弓切除術が必要になる。
【0007】
椎弓切除術は、患者の脊柱管を覆う椎骨の背面部分であるラミナを除去することでスペースをもたらす手術である。減圧手術としても知られる椎弓切除術は、脊柱管を拡大し、脊髄又は神経への圧迫を緩和する。
【0008】
この圧力は、脊柱管内の骨の過成長によって最も一般的に引き起こされ、脊椎に関節炎を有する人に発生する可能性がある。このような過成長は、骨棘と呼ばれることもあるが、一部の人々では加齢に伴う正常な副作用である。手術中に脊髄硬膜又は神経根を損傷すると、合併症が起こることがある。
【0009】
終板準備では、骨形成タンパク質(BMP:bone morphogenetic protein)が良好に付着するように軟骨を十分に除去する必要がある。軟骨が皮質骨終板から椎間板スペースに制御下で分離される。癒合及び椎体間配置に備えて、軟骨表面の下にある皮質骨終板と平行に慎重に力が加えられる。力が強すぎると皮質骨が損傷して陥没し、力が弱すぎると軟骨が骨から離れず、癒合の可能性に影響を及ぼす。これを簡単な再現性のある方法で行うことは、難しい。現在の方法は、皮質終板を損傷することなく、皮質骨終板から軟骨を全て剥がす方法である。これを良好に行い、終板骨への損傷を防ぐために表面領域を全て見ることは、難しい。癒合手術では、椎間板1段につき4本のスクリューを使用することが多く、多いときには5段になることもある。
【0010】
靭帯の修復を行う整形外科手術では、多くの場合に縫合アンカー又は靭帯アンカーが使用される。アンカーは、挿入が容易であり、骨に確実に固定され、シンプルで信頼性が高く、強靭でなければならない。アンカー部位の表面は、丸みを帯びていて滑りやすく、非常に硬い皮質骨が存在することがよくある。アンカーは、皮質層とその下の骨との間に剥離を生じさせることなく、皮質層の下側に確実に固定されなければならない。アンカーは、通常、生体吸収性又は金属性である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
整形外科処置では、固定用インプラントの送達が一般的な要件である。整形外科手術のために様々な種類のアンカーを骨の解剖学的構造及びその周辺に配置することは、時間がかかり、非常に手作業が多いプロセスである。穴、スクリュー及びアンカーの正確な配置は、標的表面が滑りやすく、且つ/又は可動であるため、困難であり得る。したがって、高い精度及び制御を可能にする装置の使用を必要とする外科手術が多く存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、人体組織及び骨の解剖学的構造を固定するためのインプラント体を送達するための装置及びシステムを含む。その主要な実施形態において、システムは、ハンドルを備えたハウジングと、前進機構と、中空シャフトと、複数のインプラント体とを含む。
【0013】
例えば、本発明の一実施形態は、まず、増大した脊柱前弯の圧縮のために靭帯を用いて棘状突起内に骨アンカーを配置し、次に棘状突起を拘束し、次にアンカーをそれぞれに挿入し、次に靭帯を締め付ける方法を採用する。靭帯は、固定を提供するためにワイヤ又はロッド構造の端部に取り付けられ得る。アンカーは、機械化された送達ツールにより、迅速に配備することが可能である。このような器具は、層状癒合の延長のように、靭帯を一緒に癒合するために使用可能である。代替実施形態では、前述の靭帯をワイヤと交換することもができる。ショットを順次迅速に行うことは、例えば、1椎体あたり4本のスクリューが固定される短い高角度プレートにおいて特に有益である。
【0014】
本発明のアンカーインプラント送達の一実施形態は、カートリッジを備えた釘打ち機に類似しているであろう。椎間板修復のシナリオでは、本明細書に開示された器具は、以下のように使用され得る。外科医は、環状部を切断し、ヘルニアを除去し、且つ環状部のフラップを縫合する。外科医は、次に、従来の縫合糸を使用するのではなく、環状部を再び一緒に固定するために本装置を使用し得る。本発明の自動化された支援は、一次シャフト部分の軸から外れたアンカーを送達する--例えば、腰椎インプラントに斜めにリベットを送達する、という追加の可能性及び有用性を追加する。このような有用性は、頸部後方固定術又は後方プレートでも同様に有益である。皮質軌道が導入され、ユーザは、旧来の手作業による衝撃ではなく、制御された方法でインプラントを挿入することができるようになる。この装置の内部機構は、チップ及びアンカーの先端側への押し及び/又は基端側への引きをもたらし得る。さらに、シャフトは、任意選択的に、バヨネット式であり、チップの視覚化のために軸から外れたスロット付きチューブを通して使用される。
【0015】
一実施形態において、各アンカー送達は、緻密で硬い皮質骨に打ち勝ち、貫通するのに十分な速度及び力を送達できる自動化された支援を用いて達成される。例えば、限定するものではないが、自動化された支援は、ばね、圧縮流体、電気機械変換、他のエネルギー貯蔵手段又はそれらのいくつかの組み合わせを含み得る。
【0016】
一実施形態において、本明細書に記載される装置からの各アンカー送達は、2つ以上の力の適用を可能にする。例えば、衝撃付与機構は、先端側アンカー表面又は別のパイロット穴開け器でパイロット穴を引き起こすように作動可能であり得、その後の前進は、同じ又は第2の機構により影響を及ぼされることができる。代替的に、パイロット穴の後の前進は、より低い力の適用で第1の機構を利用して達成され得る。
【0017】
本発明は、送達ツールと、ダート、ステープル、スクリュー又はリベットなどの固定デバイスとの両方について記載する。固定用インプラント送達のための器具及びシステムの一例は、インプラントを前進させるためのレバー又はトリガーを含み、任意選択的に第2の操作のための第2のレバー又はトリガーを含むハンドルを有するハウジングを含む。限定ではなく、例として、第1のレバー又はトリガーは、パイロット穴を形成し得、第2のレバー又はトリガーは、インプラントを手術部位に前進又は挿入し得る。前進機構が含まれ得、任意選択的に、単段挿入のために構成され、作動(actuation)は、インプラントを手術部位に完全且つ最終的な深さまで押し込む。
【0018】
任意選択的に、第1段階がパイロット穴を形成し、第2段階がインプラントを前進させて挿入する2段階挿入が構成される。例として、限定することなく、パイロット穴の形成は、チップで圧力を加えることによって作動することができ、インプラントの前進は、レバーを絞ることによって作動することができる。さらに、深さ及び送達を制御するためのインデックス機構が任意選択的に含まれる。任意選択的に、ユーザ制御式スイッチ又はチップにおける圧力の適用により安全化される安全機構が含まれる。中空シャフトは、任意選択的に、先端側軸部分が基端側軸部分からオフセットされている「バヨネット式」である。チップは、インプラント体を個別に放出するように任意選択的に特別に構成される。インプラントの戻り防止機構を作動させる目的のため、棚状部分、戻り止め、スロット、テーパ、スパイラル又は連続した滑らかな胴部からの他の変化などの内部プロファイルの変化が任意選択的に含まれる。複数のインプラント体は、任意選択的に、ハウジングに含まれるか又はハウジングに結合され、各インプラントは、戻り防止機構又は特徴を含む。任意選択的に、各インプラント体に含まれるのは、1つ又は複数の逆方向かかり(barb)である。任意選択的に、皮質層固定のため及び完全な深さへの侵入を確実にするためのユーザのフェールセーフとして、基端側頭部付近にねじ山が含まれる。インプラントは、任意選択的に、手術部位に挿入され、中空シャフトを離れた後、チップスロットの包含又は材料ばね力のたわみのための開放形状によって、半径方向に拡張するように構成される。シャフトチップから離れる際に自動でスナップロックするために、ヒンジ付きロックインサートが任意選択的に含まれる。一実施形態において、頭部のねじれは、埋め込まれた部分を拡張する。ねじ山が含まれる場合、インプラントは、同時に骨内に進み、任意選択的に軸方向に圧縮し、1つ又は複数のかかりを半径方向に拡張し得る。
【0019】
インプラントアンカーは、拡張性ポップリベットの形態であり得、これは、カートリッジを介してハンドルハウジングに装填され得る。アンカーは、連続的に取り外し可能に接続され得るか、又は1つのボディの最先端側部分が次の最先端側ボディの最基端側平面から先端側に位置決めされるように入れ子状にされ得る。各アンカーは、例えば、ロボット工学又は外科手術用ナビゲーションシステムを使用して、誘導及び配置のために任意選択的にカニューレを有する。拡張は、機械的に生じることもあれば、流体圧若しくは化学反応又はそれらの組み合わせによって生じることもある。
【0020】
固定用インプラントは、例えば、側部マスプレート、層状形成プレート又は前頚椎プレートにおける椎体間のための本質的な固定として使用され得る。アンカー又はスクリューヘッドは、任意選択的に、プレートとインターフェースし、フランジ(リベット)は、「戻り防止」手段として扇形に広がる。一実施形態において、挿入及びロックは、同一のステップ又はストローク中に生じる。例えば、限定しないが、インプラントは、直径が約3.5mmであり得る。このサイズは、比較的高密度の骨への送達のために良好に機能することが知られているからである。
【0021】
戻り防止かかりは、主穴軸から半径方向外側に延びる。かかりは、チタン、ニチノール又はステンレス鋼など、インプラントグレードの金属を含み得る。代替的に、かかりは、生体吸収性ポリマー又は医療用ポリマーを含み得る。一実施形態において、インプラントは、金属とポリマーとの両方の特徴を含み、その結果、効率的な力の伝達は、比較的高い剛性の金属コアを通して達成され、皮質骨層の下側に対する力は、比較的低い剛性及び硬度を有するポリマーかかり特徴部を通して対処される。代替的に、剛性は、収縮してかかりを形成することができる多数の細い金属ワイヤなど、異なる断面プロファイルを有する同じ材料を利用して対処することができる。さらに別の代替的な実施形態において、セラミック、人工移植材又は流動性基材がアンカーに利用される。限定ではなく、例として、セラミック、人工移植材又は流動性基材は、金属又はポリマーフレームと組み合わせて使用され、可鍛性又は破砕性のある裏込めとして機能し、インプラントを据え付ける際に皮質下側に均等に圧力を分散させることができる。
【0022】
整形外科手術において、拡張デバイスを用いた椎骨形成術など、手術部位に骨基質を追加することがときに必要である。このような部位を充填する現在の方法は、非常に時間がかかり、非効率的で負担が大きい。基質は、プッシュロッドを有するカニューレを通して漏斗に押し込まれるが、この漏斗は、多くの場合に詰まり、再作業が必要になる。本発明は、流動性の骨移植片又は他の充填材を手術部位に入れることを可能にする手持ち式外科手術装置及びシステムを開示する。装置ハウジングは、コーキングガンなど、ユーザの要求に応じて、中空シャフトを通して充填材を前進させる機構を含む。充填材は、骨移植離散片又はスラリー、ゲル、同種移植片、自家移植片、セラミックス、脱灰骨マトリックス、脱灰骨繊維若しくは他の延性材料として導入され得る。カートリッジは、装置ハウジングに装填するための予め装填されたセットで包装され得、任意選択的に、異なる材料を含む異なるカートリッジを含む。代替的に、装置は、同種移植片、自家移植片、骨セメント、セラミックス、脱灰骨マトリックス(DBM:demineralized bone matrice)、脱灰骨繊維(DBF:demineralized bone matrice)又はその他など、外科医の選択の材料を挿入するための開口部を含むことができる。代替的に、装置は、予め決められた量及び種類の材料を備え得る。椎間板スペースへの、拡張可能なデバイス内などのレトロフィルのためのインプラント後の椎体間デバイスへの骨移植片/生物製剤の送達ツールである。ガイドワイヤは、整形外科手術において、カニューレイテッドスクリューを誘導し、正確に配置するためによく使用される。パイロット穴及びガイドチャネルは、多くの場合、その後の手術の精度及び正確さを向上させるために形成される。生検は、多くの場合、病理学的分析のために骨及び骨髄に対して行われる。
【0023】
本発明は、長尺状のボディに衝撃を与えて骨に入れ、且つ骨を通して前進させる手持ち式外科手術装置を開示する。主要な装置の実施形態は、衝撃付与機構と、手動前進機構と、任意選択的に方向を変更して長尺状の切断体を後退させる逆設定とを含む。衝撃付与機構は、硬い骨内への及びそれを通した送達を開始するのに必須である。比較的高速の衝撃は、非常に細い又は小径の切断ワイヤの座屈の可能性を減らす。長尺状のボディのチップが皮質層を通過した後、手動前進機構により、オペレータは、精密な制御でチップを既知の距離で前方に移動させることができる。手動による前進は、任意選択的に、コーキングガンのような使い慣れた簡単な操作のレバーを握って行うこともできる。十分な貫入深さに到達したら、長尺状の切断体、任意選択的にガイドワイヤ、を解放又は後退させることができる。代替実施形態において、実験室に移送するために生検試料を手術部位から取り出すことができる。
【0024】
別の代替的な実施形態において、装置は、切断具を基端側に駆動し、衝撃を与えるドリルなど、それを同時に回転させ得る。そのような手動ドリルは、切断具が前進するにつれて、触覚フィードバックのための向上した能力をユーザに与え、これは、骨密度の変化を検出するのに非常に有用である。切断具の飛び又はスリップは、完全手動の外科手術だけでなく、ロボット支援外科手術でもよく見られる現象である。飛びがいつ発生するかは、穴が形成されて付随的な損傷がすでに伴うまで、必ずしも明らかであるわけではない。本発明によって達成される正確な穴の形成は、飛び及び関連する付随的被害の可能性を大幅に減らす。これらのパイロット穴の自動形成は、視認性が制限される経皮的用途においてさらに有益である。さらに別の実施形態では、インプラントは、ツールの端部に取り付けられ得、前進機構は、椎体間に植込むために使用され得る。本発明の別の用途は、小さい精密な穴が多くの場合に必要とされる頭蓋顔面手術である。さらに別の用途としては、慎重な前進及び深さ管理が必要な双皮質パイロット穴形成向けである。
【0025】
重量のある移送キャリッジの急速な加速を利用して、切断要素を対象の手術部位に向けて衝突させるか又は突き付けることができる。この加速は、チップの配置が結果的に移動した場合、顕著な押し戻し又は反動を引き起こす可能性のある衝動(impulse)をもたらす。衝突時又は衝突直前のチップの移動は、ハウジングが手術部位から離れ、先端側チップガイドが手術部位表面に留まることができるように、主要ハウジングに対するチップガイドの相対位置を一時停止することによって緩和され得る。代替的に、長尺状の切断体は、エネルギー伝達ハウジングに緩く結合され得る。前述の2つの場合のそれぞれにおいて、ばね、ダンパ又は緩衝媒体は、エネルギー伝達ハウジングと切断チップガイドとを切り離すために必要なコンプライアンスをもたらすために利用され得、それにより先端側チップガイド手術表面インターフェースにおける一定の圧力が可能になる。
【0026】
本明細書に記載されるのは、解剖組織カッター、ペネトレータ又は機械式オステオトームである。骨切り術において、外科医は、一般的に、槌を振って切断ツールにぶつけながら、限られた視界で手術部位を見る。外科医は、槌を強く振りすぎるか又は穏やかに振りすぎることがないように、またチップが飛ぶか又はスリップすることがないように注意する必要がある。さらに、近くに神経などの敏感な組織がある場合、外科医は、神経に当たって損傷しないように神経に集中しなければならない可能性が高い。その結果、外科医は、槌及び切断ツールの受け面を同時に見ることができず、力の伝達を制御するために必要な注意を払うことができない。このため、既知の力を送達し、既知の貫通距離を達成するための自動化された機構は、外科医に制御のレベルを追加するうえで有益である。小さい穴の毛細管現象及び骨皮質終板全体の完全性に影響を与えずに骨欠損を正確に形成することは、骨癒合のための終板準備の興味深い組み合わせであることがわかる。軟骨の全体性は、皮質表面に制御された欠損を作りながら、骨を通る毛細管現象及び軟骨を通る毛細管現象の組み合わせによって達成され得、この欠損は、弱体化及びその後の陥没をもたらさず、椎間板を解放するが、軟骨を維持する。この器具は、軟骨及び終板を貫通することができ、軟骨を除去することなく癒合させることができる。これは、BMPで補われ得る。これは、意図的な偽関節の可能性を生じさせる。椎間板の大部分を除去することは、簡単であるが、BMPで良好に癒合するために軟骨を全て除去しなければならない(例えば、終板準備の場合)。機械化されたインパクタに取り付けられた角度付きのギロチン切断具を使用することは、椎弓切除術においてさらに有益であり得る。安全ガードは、主要な装置と共に使用され得る一方、透視下で制御された機械的打撃が安全に実行される。代替実施形態において、オステオトームは、外科手術用ロボットを使用しながら、一次軸から制御された力を送達する。本発明の制御された衝撃又は力の供給は、ユーザにより多くの制御を与え、切断チップが、敏感な解剖学的構造につながる最小抵抗の経路を、問題を生じるような方法で辿る可能性を低くする。本装置の各チャージは、骨のサイズ又は操作に応じて、1つ又は複数の衝撃をもたらす可能性がある。例えば、後方腰椎椎体間癒合術(PLIF:posterior lumbar interbody fusion)において、小面の別の皮質除去を行う。交換可能なチップは、様々な表面を切断し、且つ/又は押す、引く、振動する、震える若しくは往復するなどの異なる運動を行うために含まれ得る。
【0027】
一実施形態において、1つのタイプのエネルギーを機械的な運動エネルギーに変換するベース装置が提供される。次に、運動エネルギーは、切断運動をもたらすために使用することができる。一実施形態において、ベース装置は、ユーザによってチャージされ得るエネルギー貯蔵要素を含む。エネルギー貯蔵要素は、端部にカップリングを有するシャフトの回転を生成し得、その上に様々なシャフト及びチップを取り付けることができる。各シャフト又はチップは、独自の伝達手段を介して同じ又は異なる動きをもたらし得る。
【0028】
軟骨の除去は、癒合及び椎体間固定が強化される脊椎側方手術など、多くの整形外科手術において必要である。これらの処置において、皮質骨終板から多くの軟骨を除去する必要がある。力が強すぎると皮質骨が損傷して陥没に至り、力が弱すぎると骨から軟骨を除去することができず、癒合の可能性に影響を及ぼす。
【0029】
本発明は、整形外科手術において軟骨を除去するための手持ち式外科手術装置及びシステムを開示する。この装置は、機械式作動部と、皮質終板を実質的に損傷することなく軟骨を削り取るように構成された可動チップとを含む。任意選択的に、本システムは、特定の軟骨除去シナリオのための異なる構成を有する交換可能なチップを含む。本明細書に記載の装置は、皮質終板を損傷することなく、軟骨を迅速に除去する手段を提示する。一実施形態において、軟骨除去ツールは、ジャックハンマー又はコンクリート破砕機に類似した、急速発射及び往復運動又は振動のための機械的リロードを伴って導入される。この装置は、ばね若しくはバッテリなどの内部エネルギー貯蔵要素又は外部動力源を用いて機械的に補助され得る。押す、引く又はその両方の動作中に切断するためのキューレットのような役割を果たす掻き取り装置を導入することもできる。脊髄を安全に回避するために、引くことのみが有益である場合もある。典型的な椎間板準備キットなど、異なるチップが任意選択的に含まれる。異なる解剖学的構造又は異なる処置のために、異なるチップを含めることができる。制御された機械的に支援された軟骨除去方法は、低侵襲性側方アクセス脊椎手術中など、視界とてこ(leverage)が制限されている間、十分であるが、多すぎない組織を除去することにおいて価値がある。別の用途は、軟骨層を除去しない皮質骨貫通のための角状軟骨の除去である。
【0030】
前述の本発明のいずれも、特殊なシステム又は外科的処置において組み合わされ得る。一実施形態において、予測可能な方法で小面を破壊し、次に癒合材料で埋め戻し、骨アンカーを取り付けるための装置が使用される。骨癒合を促進するために理想的な穿孔を形成することができる。経皮的にロッドを駆動することは、層状椎間関節へのアクセスが悪いのに対して、経皮的に本発明の装置を適用することは、破砕を一緒にするために使用され得る。例えば、ユーザは、穴を形成し、移植片などの埋め戻すものを植込むことができる。
【0031】
上記の概要は、示された各実施形態又は本明細書の主題のあらゆる実装形態を記載することを意図するものではない。後続の図及び詳細な記載は、様々な実施形態をより具体的に例示する。
【0032】
本明細書の主題は、添付の図に関連する様々な実施形態の以下の詳細な記載を考慮してより詳細に理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1A】インプラント送達器具を示す図である。
図1B】外科手術装置のための圧力制限式安全ロックを示す図である。
図2A】第1の位置にあるチャージ及びトリガーシステムの組み合わせを示す図である。
図2B】第2の位置にあるチャージ及びトリガーシステムの組み合わせを示す図である。
図3A】第1の実施形態における取り外し可能に取り付けられた複数の固定用インプラントを示す図である。
図3B】第2の実施形態における取り外し可能に取り付けられた複数の固定用インプラントを示す図である。
図4】複数の固定用インプラントのための送達機構を示す図である。
図5】固定用インプラントの入れ子配置を示す図である。
図6A】ロック式双安定性アンカーインプラント及びばね補助式アンカーインプラント送達を示す図である。
図6B】ばね補助式アンカーインプラント送達を示す図である。
図7A】送達時の入れ子式インプラント挿入装置を示す図である。
図7B】後退時の入れ子式インプラント挿入装置を示す図である。
図8A】パイロット穴形成装置とプッシャーとを含むインプラント挿入システムを示す図である。
図8B】パイロット穴を形成するインプラント挿入システムを示す図である。
図8C】インプラントを送達するインプラント挿入システムを示す図である。
図9】内部チャネル又はカニューレを有する組織アンカーを示す図である。
図10】半径方向又は横方向の柔軟性のための内部空隙を有する組織アンカーを示す図である。
図11】柔軟性のために複数の空隙を有する組織アンカーを示す図である。
図12A】第1の位置にあるロック式双安定性アンカーインプラントを示す図である。
図12B】第2の位置にあるロック式双安定性アンカーインプラントを示す図である。
図13A】初期位置にある拡張可能なチップを有する組織アンカーを示す図である。
図13B】最終位置にある拡張可能なチップを有する組織アンカーを示す図である。
図14】カニューレを通して移植片又は充填物を前進させるための機械的に補助される器具を示す図である。
図15】カニューレを通して移植片又は充填材を前進させるための機械的に補助される器具の第2の実施形態を示す図である。
図16A】組織を切断するための第1のチップを示す図である。
図16B】組織を切断するための第2のチップを示す図である。
図17】機械的に支援された組織除去外科手術装置のための力整列ハンドル構成を示す図である。
図18A】往復運動式組織除去装置の実施形態のための第1の運動プロファイルを示す図である。
図18B】往復運動式組織除去装置の実施形態のための第2の運動プロファイルを示す図である。
図18C】往復運動式組織除去装置の実施形態のための第3の運動プロファイルを示す図である。
図19】取り外し可能で交換可能な部品を有するモジュール式外科手術器具及びシステムを描写する。
図20A】曲げられた平らなワイヤを含む鋭利な掻き取りチップを前面から示す図である。
図20B】曲げられた平らなワイヤを含む鋭利な掻き取りチップを側面から示す図である。
図21A】組織除去のための第1のチップ構成を示す図である。
図21B】組織除去のための第2のチップ構成を示す図である。
図21C】組織除去のための第3のチップ構成を示す図である。
図21D】組織除去のための第4のチップ構成を示す図である。
図21E】組織除去のための第5のチップ構成を示す図である。
図21F】組織除去のための第6のチップ構成を示す図である。
図21G】組織除去のための第7のチップ構成を示す図である。
図21H】組織除去のための第8のチップ構成を示す図である。
図21I】組織除去のための第9のチップ構成を示す図である。
図22A】テーパ状端部を有する外科手術用切断チップの正面図である。
図22B】テーパ状端部を有し、第2の切断部分を含む外科手術用切断チップの正面図である。
図22C】複合切断チップの側面図である。
図23】ユーザ調節可能なチップ延長部を有する外科手術用ツールを示す図である。
図24】手持ち式の機械的に補助された衝撃付与外科手術用ツールを示す図である。
図25A】2つ以上の機構を可能にし得る第1のアクチュエータハンドル構成を示す図である。
図25B】2つ以上の機構を可能にし得る第2のアクチュエータハンドル構成を示す図である。
図25C】2つ以上の機構を可能にし得る第3のアクチュエータハンドル構成を示す図である。
図25D】2つ以上の機構を可能にし得る第4のアクチュエータハンドル構成を示す図である。
図26A】第1の位置にあるインデックス式衝撃付与機構を示す図である。
図26B】第2の位置にあるインデックス式衝撃付与機構を示す図である。
図26C】第3の位置にあるインデックス式衝撃付与機構を示す図である。
図26D】後退機能を可能にするインデックス式システム構成要素を示す図である。
図27】3つのアクチュエータを有する外科手術用ツールを示す図である。
図28】使用中の手持ち式機械支援型オステオトームを示す図である。
図29】既知の距離まで鋭利なチップを配備する外科手術用ツールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
様々な実施形態は、様々な修正形態及び代替形態に従うことができるが、その具体的な内容は、図面に例として示され、詳細に記載される。しかしながら、特許請求される本発明を、記載された特定の実施形態に限定することは意図されないことを理解されたい。むしろ、特許請求の範囲によって定義される主題の趣旨及び範囲内に入る全ての修正形態、均等物及び代替形態を包含することが意図される。
【0035】
図1A及び図1Bのインプラント送達装置は、ハンドル部分108と、中空シャフト部分109とを含む。ハンドル内には、長尺状のインプラントプッシャー107と、任意選択的に第2のインデックス105を有する段付きインデックス本体102とを含む前進機構がある。任意選択的な付勢要素を有するアクチュエータ(actuator)106がユーザによって作動されると、任意選択的なばね101及びインデックスプッシャー103を有するプッシュ機構は、インプラント104が、その基端側頭部が中空シャフトの先端側チップ又はその近くに位置する最終位置に達するまでインデックス本体を先端側に前進させる。最小圧力制限安全ロックが任意選択的に一体化され、それにより、中空シャフト109は、ハンドル部分108に対して移動可能である。この実施形態では、作動は、圧力が先端側シャフトチップ113で加えられる場合にのみ可能であり、安全ロック初期位置114が最終位置115に達するまで基端側に付勢要素110を圧縮し、その地点でシャフトロック部分111及び/又はハンドルロック部分112の整列が作動のための開放経路を提供する。
【0036】
図2A及び図2Bの組み合わせチャージ及びトリガーシステムは、先端側面を第1の位置201から第2の位置202に押し、そうすることで付勢要素203をチャージする機構205、任意選択的にスライダークランクを示す。ストロークの終わり又はその近くで、先端側押圧面は、可動ラッチ206の第1の部分に接触し、それにより可動ラッチの第2の部分207が移動し、衝撃体204を解放して付勢要素を介して自由に前進させることができる。
【0037】
図3A及び図3Bの取り外し可能に取り付けられた固定用インプラントは、第1の植込み可能なアンカー301及び少なくとも第2の植込み可能なアンカー305を含む。各アンカーは、基端側頭部302及び先端側チップ303を含み、1つのアンカーの先端側チップは、結合突出部307、磁気、接着剤、機械的接続又は他の手段を介して先端側で次のアンカーの基端側頭部に結合する。各アンカーは、戻り防止機能のための1つ又は複数の半径方向又は横方向の突出部304をさらに含む。アンカーは、任意選択的に、1つ又は複数の接触点306を含み、これは、圧力がかかると、結合突出部が次の最も基端側のアンカーのチップにラッチされるようにする。逆に、前方圧力が加えられていないとき、最先端側アンカーは、自由に分離することができる。
【0038】
図4の固定用インプラント送達機構は、アンカー401を、装置を通して患者の部位に送達するために利用される回転機構404によって駆動される閉ループコンベア405を描写する。交差体403は、最先端側アンカーを外科手術器具から患者の部位に案内し、緩く接続された分離点402で次の最先端側アンカーから切り離す。
【0039】
図5の固定用インプラントの入れ子配置は、3つの植込み可能な固定用アンカー501を示し、それぞれテーパ状チップ502、入れ子用空隙503及び少なくとも1つの横方向突出部504を含む。1つのアンカーの先端側チップは、次のアンカーの基端側空隙に先端側で嵌合する。
【0040】
ロック式双安定アンカーインプラント601及びばねアシスト式アンカーインプラント609は、それぞれ図6A及び図6Bに示されている。これらのインプラントは、前記インプラントの可動部分を案内するために、基端側管部分よりも任意選択的に狭い先端側チップ607を有する中空シャフト606を介して送達される。第1の実施形態において、狭められた管セクションは、鋭いチップ602及び1つ又は複数の先端側かかり603を、先端側シャフトチップを通り越して患者組織608を通して案内する。前記チップを通してさらに前進されると、第1の嵌合特徴部604及び第2の嵌合特徴部605を有する基端側部分は、前記第1の嵌合特徴部及び前記第2の嵌合特徴部がぶつかって一緒にロックされるまで一緒に押し進められ、それにより先端側かかりを半径方向に拡張した構成にロックする。第2の実施形態において、2つ以上の鋭いチップ610は、先端側シャフトチップを通過した後、材料ばね力を介して強制的に離間される。
【0041】
図7A及び図7Bに示される入れ子式インプラント挿入装置は、テーパ状チップ706を有し、患者部位表面704と平行又はほぼ平行の少なくとも1つの棚709を有する切欠きを含む長尺状の挿入装置701を描写する。相手方アンカーピース702は、テーパ状チップ707と、前記挿入装置から加えられる軸方向の力を受けるための少なくとも1つの基端側面710とを含む。挿入装置及びアンカーピースのテーパ状チップは、中空シャフト703を通して、第1の結合したチップ構成705で一緒に患者部位に入る。挿入装置を引き戻すと、少なくとも1つの横方向突出部708が患者組織を把持し、それによりインプラントされた位置を維持する。
【0042】
図8A図8Cのインプラント挿入システムは、テーパ状チップ806と長尺状のプッシャー803とを有するパイロット穴形成装置802を描写する。パイロット穴形成装置は、まず、中空のシャフト804を介して駆動され、組織表面805に開口部を形成し、その後、シャフト内に引き戻される。次に、長尺状のプッシャーを先端側に前進させ、それにより植込み可能なアンカー801を患者の部位に挿入する。アンカーは、テーパ状先端側チップ807と、組織を把持してインプラントされた位置を維持するための少なくとも1つの横方向突出部808とを含む。
【0043】
図9に示された組織アンカー901は、ロボットガイダンス及び/又は髄腔からの骨髄など、受動的であり得る流体の流れのための内部チャネル又はカニューレ904を含む。アンカーは、基端側頭部903、テーパ状先端側チップ902及び任意選択的に1つ又は複数の横方向突出部905を含む。
【0044】
図10に示す組織アンカー1001は、半径方向又は横方向の可撓性を生じさせ、患者部位への挿入後に1つ又は複数のかかり1005を外側に押し広げるための内部空隙1004を描写する。組織アンカーは、基端側頭部1003及びテーパ状先端側チップ1002も含む。
【0045】
図11の組織アンカー1101は、可撓性のための複数の空隙1104を含む。具体的には、これらの空隙は、戻り防止かかり1105が挿入時に狭くなり、挿入が終了した後に広がることを可能にする。先端部には、テーパ状チップ1102が任意選択的に含まれ、基端部には、幅広の頭部1103が任意選択的に含まれる。
【0046】
図12A及び図12Bの植込み可能なアンカーは、第1のロック要素1208及び第2の相手方ロック要素1207を含む双安定器具1201を描写し、これらは、嵌合すると、第2の構成の器具を含む。器具は、その第2の構成において2つのチップ部分1203、1204に分割されるチップ1202を含む。任意選択的に含まれるのは、組織に食い込み、挿入後に器具を適所に保持するためのかかり1209である。器具は、ユーザ1205から加えられた力が提供されると、その第2の構成に作動される。
【0047】
図13A及び図13Bの組織アンカー1301は、1つ又は複数の半径方向又は横方向の突出部1311を有する拡張可能なチップ1306を含む。チップは、基端側作動面1307が作動されると拡張され、それによりコネクタ1309を介して拡張器1303を第1のキャビティ1304から第2のキャビティ1305に強制的に押し込む。1つ又は複数の保持器1310は、前記キャビティ内のその最終位置に拡張器を保持するために含まれる。受け入れキャビティ1308は、前記作動面と同一平面で嵌合するように任意選択的に含まれる。外側切断体1302は、任意選択的に、拡張器要素から分離する。
【0048】
図14及び図15の機械的補助機器は、ハンドル1402/1502、中空シャフト1403/1503、アクチュエータ1404/1504及びチャンバ1401/1501を含む。生物学的移植片又は充填材1405/1505は、方向性プッシャー1408/1508及びアクチュエータへのその接続部1407/1507により、チャンバ内及び中空シャフトを通して進められ、プッシャーは、任意選択的に、インデックス付きで単一方向性である。アクチュエータは、任意選択的に、付勢要素1409/1509により、作動の実行後にそのホームポジションに戻される。移植片又は充填材は、任意選択的に、頂部1406の開口部又は基端部1506の開口部を通して挿入される。
【0049】
図16A及び図16Bに示すように、第1の切断チップ1601及び第2の切断チップ1602は、それぞれ生体組織を切断又は除去するように構成される。各前記チップは、鋭い先端側縁部1603及び基端部1604を含む。基端部は、制限されたアクセス外科処置のための長尺状のコネクタに任意選択的に接続される。切断チップは、任意選択的に、サイド切欠き1605又は中央切欠き1606を含む。本発明のチップは、チップを楕円運動1607又は往復運動1608で駆動する機構に取り付けられる。
【0050】
図17の外科手術装置は、中空シャフト1702の軸及び/又は切断力の軸に一致して又はほぼ一致して構成されたハンドル1701を含む。切断チップ1703は、任意選択的に、中空シャフトから軸を外れている。チップは、駆動機構1705に接続されたアクチュエータ1704を介して、任意選択的に伝達機構1706を介して移動される。
【0051】
本発明の切断チップは、図18A図18Cに示すように、様々な用途のためにいくつかの運動経路の1つで移動するように構成され得る。運動は、正弦波などの対称的な波形周期1801、より高い押し付け加速度に偏ったもの1802又はより高い引っ張り加速度に偏ったもの1803であり得る。本発明の一実施形態において、単一の装置は、モジュールの切り替え又は部品交換の方法により、前述の運動のいずれか1つで移動するように構成され得る。
【0052】
図19のモジュール式外科手術器具及びシステムは、ハンドル1901、アクチュエータ1907、内部駆動機構1902、1つ又は複数の着脱式シャフト1903及び1つ又は複数の着脱式チップ1904、1905、1906を含む。異なるシャフトは、任意選択的に、異なる形状を含み、任意選択的にそれぞれの伝達機構を介して異なるチップの運動をもたらす。例えば、特定のチップは、回転切断、衝撃又は振動往復のために構成され得る。
【0053】
図20A及び図20Bの外科手術用切断チップは、ねじれ及び/又は曲がったフラットワイヤ2001の周りに形成され、シャフト端部2002から突出した鋭利な掻き取りエッジ2003を含む。鋭利なエッジは、生体組織2004を切断するために角度付けされた整列のために形成される。
【0054】
組織除去のための複数のチップ構成は、図21A図21Iに描写されている。これらのチップ構成は、結合組織又は骨を除去又は切断する用途のために特別に形成され得る。各チップは、切刃2102及び基端側部分2101を有する。異なるチップは、異なるレベルの可撓性及び強度のために構成され、任意選択的に異なる運動プロファイル、例えば滑らかな往復運動対衝撃(smooth reciprocation versus impacting)のために構成される。
【0055】
外科手術用切断チップは、図22に示すように、第1の材料2201と、少なくとも第2の材料2204とを含み得る。切断チップは、テーパ状端部2202と、任意選択的に第2のチップ部分2203とを含む。本発明の複合構成は、押す、引く又は掻くことにより組織を除去する際、より優れた制御及び触覚フィードバックをユーザに提供する。例えば、限定するものではないが、より柔らかい材料2204は、より硬い材料2201の前に又はそれと同時に骨又は軟骨と接触し、それにより切刃の下方圧力及びその後の骨又は結合組織の除去される材料の厚さを制限することができる。本発明の1つの例示的な使用は、骨の表面への損傷を制限しながら、骨の表面の軟骨を除去することである。
【0056】
一実施形態において、切断チップは、やすり又はサンドペーパに似た切断チップの配列を有する軟質の裏打ちを含む。
図23の外科手術ツールは、ハンドル2301と、アジャスタ2303と、中空シャフト2302と、鋭利なチップ2304を有する切断具2305とを含む手持ち式装置を描写する。アジャスタを操作すると、中空シャフトに対する鋭利なチップの突出距離が増加又は減少し、それにより外科手術における切断の深さが制御可能に変更される。
【0057】
図24の手持ち式外科手術ツールは、ハンドル2401と、中空シャフト2404と、貫入チップ2414を有する切断具2402と、衝撃付与機構2407とを含む。衝撃付与機構は、任意選択的に、ばねによって駆動される。本発明の外科手術用ツールは、衝撃を与えるための少なくとも第1のアクチュエータ2403と、任意選択的に第2のアクチュエータ2405とを含む。切断具のチップは、ユーザが装置ハンドルに圧力をかけると、患者部位組織2406に押し付けられる。任意選択的に、付勢要素2412は、切断具を装置本体に結合する。切断具は、中空シャフトに対して可動である。1つ又は複数のアクチュエータを作動させると、衝撃付与機構は、衝撃体2408を切断具の受け部分2409に向かって駆動する。任意選択的に、衝撃付与機構は、所定量をチャージされ、予測可能な一貫した力及び/又は貫入距離の送達をユーザに提供する。代替実施形態において、ユーザは、様々な用途及び衝撃のために、1つ又は複数のアクチュエータを介して衝撃付与機構のチャージレベルを能動的に制御する。深さ制限ストッパ2410は、衝撃体又は切断具を所定の地点で制限するために含まれ得る。前記ストッパは、患者組織へのシャフト運動量の付随的な損傷を低減するためのダンパとして機能するように軟質材料を含み得る。衝撃付与機構は、案内トラック2413及び切断具とインターフェースする受け部分2411を介して装置本体に対して移動可能であり得る。衝撃付与機構を装置本体に対して可動にすることで、衝撃付与要素が患者組織に押し付けられ、装置内に押し込められた場合でも一貫した衝撃力又は移動距離を達成することができる。
【0058】
図25A図25Dに示されるハンドル構成は、ハンドル2501と、少なくとも1つのアクチュエータ2502、2503、2504、2505、2506とをそれぞれ含む。第1の実施形態において、2つのアクチュエータが含まれ、1つは、チャージのためのプルレバー2502であり、1つは、衝撃を与えるためのプルレバー2503である。第2の実施形態において、2つのアクチュエータが含まれ、1つのプルレバー2502及び1つのプッシュボタン2506である。前記プルレバーは、チャージのために利用され得、前記プッシュボタンは、衝撃を与えるために利用され得る。代替的に、プルレバーは、前記プッシュボタンの位置に応じて、切断具を先端側に前進させるか又は基端側に後退させるために利用され得る。第3の実施形態において、外科手術ツールは、先端側に押すことも基端側に引くこともできる単一のレバー2504を含む。このような構成において、レバーを引くと、レバーが先端側に押されて所定の限界を超えるまで切断具を前進させることができ、その地点において、内部機構は、後退モードに切り替えられ、その後の引きは、切断具を後退させる。第4の実施形態において、外科手術装置は、プルレバー2502とトグルスイッチ2505とを含む。プルレバーは、衝撃付与機構又は前進機構を作動させるために使用され得、トグルスイッチは、その位置に基づいて前進から後退にモードを変更するために使用され得る。
【0059】
図26A図26Dのシステムは、2つ以上のインデックス付きノッチ2603を有するキャリッジ2601と、キャリッジドライバ2602とを含む。キャリッジは、切断具2604に結合され、キャリッジドライバによって前進又は後退し、これは、任意選択的に、付勢要素2606を介して運動するように設定されている。一実施形態において、付勢要素に結合されたインパクタ2605上の接触面2607は、キャリッジドライバ又はキャリッジドライバ接続体又はトランスミッションの受面2608に衝撃を与える。各衝撃は、キャリッジをインデックス上で所定距離駆動する。キャリッジドライバの初期位置及び/又は最終位置は、任意選択的に、リミットストッパ2609によって制約され、これは、最大移動量を制御し、インパクタの接触面が受面から分離することを可能にし、それにより衝撃前に加速し、勢いを付けるためのギャップを形成し得る。インデックス付きキャリッジは、任意選択的に、トラック2611と、後退のためのキャッチ2612とを含む。ユーザが切断具を後退させることを決定したとき、例えば、限定するものではないが、キャリッジを回転させ、ドライバをトラック2611に達するまでチャネル2610に沿ってスライドさせ、その後、ドライバをキャッチ2612まで先端側に移動させることにより、キャリッジに対するキャリッジドライバの位置を変更することができる。ドライバがキャッチに解放可能に接続された状態で、ユーザは、キャリッジを後退させるためにアクチュエータを適用し、その後、任意選択的に、後続のキャリッジ前進のためにドライバをインデックスノッチ接触位置に戻し得る。
【0060】
図27の外科手術ツールは、ハンドル2701と、中空シャフト2708と、切断具2702と、3つのアクチュエータ2703、2704、2705とを含む。主要な実施形態において、中空シャフトは、曲げ部を含む。さらに、示された外科手術ツールは、内部エネルギー貯蔵要素2706と前進機構2707とを含む。一実施形態において、ユーザは、トリガーアクチュエータ2703を適用して、高速衝撃のために切断具を前進させ、次に、ユーザは、レバーアクチュエータ2704を適用して、切断具を制御可能に先端側に既知の距離だけ前進させ、最後に、ユーザは、スライドアクチュエータ2705を利用して切断具を患者部位から基端側に後退させることができる。第2の実施形態において、スライドアクチュエータ2705は、付勢要素をチャージするために用いられ、次に、トリガーアクチュエータ2703は、衝撃を与えるために用いられ、次に、レバーアクチュエータ2704は、切断具を前進させるために用いられ、次に、トリガーアクチュエータ2703は、切断具移動の方向に対して2度目の作動を行われ、最後にレバーアクチュエータ2704は、切断具を後退させるために用いられる。代替実施形態において、前述のアクチュエータタイプのいずれかの機能を入れ替えることができ、第1、第2及び第3のアクチュエータの形態は、異なり得る。
【0061】
図28に示された外科ツールは、使用中の手持ち式機械的補助型オステオトームを表す。本発明の外科手術ツールは、ハンドル2801、少なくとも1つのアクチュエータ2803、中空シャフト2804及び切断具2802を含む。作動時、ユーザは、固定最大移動距離に任意選択的に制限された所定の力を切断具に制御可能に伝達することができる。作動時に切断具の力及び/又は移動を機械的に制限することで、ユーザは、敏感な解剖学的構造2806を避けながら、骨又は標的組織2805をより安全に切断することができる。さらに、比較的高い速度及び低い移動衝撃、前進、振幅又は振動は、スリップ又は標的を通り越す可能性を低減させる。
【0062】
図29の外科手術ツールは、ハンドル2901、アクチュエータ2904、中空シャフト2905及び切断具2902を含む。ユーザは、アクチュエータ2904を利用して、一貫した自動化された機械的な力の供給により、中空シャフトに関して予測可能な最終位置2903及び関連する最大深度2907まで及び関心部位2906の骨又は組織への切断具の衝撃又は前進を実現し得る。
【0063】
システム、装置及び方法の様々な実施形態が本明細書に記載された。これらの実施形態は、例としてのみ与えられており、特許請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、これまで記載してきた実施形態の様々な特徴は、様々な方法で組み合わせて、多数の追加の実施形態をもたらし得ることを理解されたい。さらに、様々な材料、寸法、形状、構成及び位置等が、開示された実施形態と共に使用するために記載されてきたが、開示されたもの以外のものも、特許請求される本発明の範囲を超えることなく利用することができる。
【0064】
当業者は、本明細書の主題が、上記の任意の個々の実施形態において示されるよりも少ない特徴を含み得ることを認識するであろう。本明細書に記載された実施形態は、本明細書の主題の様々な特徴を組み合わせることができる方法の網羅的な提示であることを意図しない。したがって、実施形態は、特徴の相互排他的な組み合わせではなく、むしろ、様々な実施形態は、当業者によって理解されるように、異なる個々の実施形態から選択される異なる個々の特徴の組み合わせを含み得る。さらに、ある実施形態に関して記載された要素は、特に断らない限り、そのような実施形態に記載されていない場合でも他の実施形態に実装され得る。
【0065】
従属請求項は、特許請求の範囲において、1つ又は複数の他の請求項との特定の組み合わせを指すことがあるが、他の実施形態は、従属請求項と各他の従属請求項の主題との組み合わせ又は1つ若しくは複数の特徴と他の従属若しくは独立請求項との組み合わせも含み得る。このような組み合わせは、特定の組み合わせが意図されないことが記載されていない限り、本明細書で提案される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18A
図18B
図18C
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図21C
図21D
図21E
図21F
図21G
図21H
図21I
図22A
図22B
図22C
図23
図24
図25A
図25B
図25C
図25D
図26A
図26B
図26C
図26D
図27
図28
図29
【国際調査報告】