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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】遮断方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
G01N33/48 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501638
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 EP2021069222
(87)【国際公開番号】W WO2022008740
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】2010627.4
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2016865.4
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516238625
【氏名又は名称】キュービーディー(キューエス-アイピー)リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523010063
【氏名又は名称】コシアン スイス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】マクゴーラン エメット
(72)【発明者】
【氏名】デュポン ヨハン
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045BA01
2G045BB30
2G045CA25
2G045CA26
2G045CB01
2G045DA13
2G045DA14
2G045DA20
2G045DA35
2G045DA60
(57)【要約】
【課題】従来技術に及び/又は従来方法及びシステムに関連付けられた限界及び/又は欠点を取り除く及び/又は軽減することを目的としている。
【解決手段】検定のための基板(20)上に遮断組成物(116)を付加する方法は、その面上に生物材料の複数の離散スポットが設けられた中実基板を備える検定のための基板(20)を与える段階と、生物材料の印刷スポットの直径よりも小さい直径を有する粒子又は液滴として遮断組成物(116)を基板(20)の上に噴霧する段階とを備える。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検定のための基板上に遮断組成物を付加する方法であって、
その面上に生物材料の複数の離散スポットが設けられた中実基板を備える検定のための基板を与える段階と、
前記生物材料の印刷スポットの直径よりも小さい直径を有する粒子又は液滴として前記遮断組成物を前記基板の上に噴霧する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記遮断組成物を前記基板の上に噴霧被覆する段階を備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は、その面上に前記生物材料のアレイが設けられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記検定のための基板は、マイクロアレイを備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記基板の前記面上の前記生物材料のスポットのサイズが、約100μm-300μmであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記遮断組成物は、遮断緩衝剤を備える、本質的にそれで構成される、又はそれで構成されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記生物材料は、ペプチド、タンパク質、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、DNA、RNA、脂質、炭水化物、酵素、代謝物、抗体、抗原、細胞、赤血球、血漿、又は血清を備えることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
噴霧被覆デバイスを用いて前記遮断組成物を前記基板の上に噴霧する段階を備えることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記噴霧被覆デバイスは、空気圧駆動式噴霧被覆デバイスを備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記噴霧被覆デバイスは、超音波霧化器を備えることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記基板の前記面は、実質的に平面であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
検定のための基板上に遮断組成物を付加する方法であって、
その面上に生物材料の複数の離散スポットが設けられた中実基板を備える検定のための基板を与える段階であって、該基板の該面が実質的に平面である前記与える段階と、
前記遮断組成物を前記基板の上に噴霧する段階と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項13】
そこに不動化された生物材料/前記生物材料の一体性を保存する段階を備えることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
その後の分析中に特異性及び/又は感度を改善する段階を備えることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
異常結果の発生を低減し、回避し、及び/又は防止し、
任意的に、偽陽性及び/又は偽陰性結果の発生を低減する、回避する、及び/又は防止する、
ことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記遮断された基板上にサンプルを付加する段階と、
前記基板を分析する段階と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
検定のための基板上に遮断組成物を付加するための装置であって、
前記検定のための基板を受け入れるための基板支持体と、
前記遮断組成物を前記基板上に噴霧するように構成された噴霧デバイスと、
を備え、
前記噴霧デバイスは、前記基板上に設けられた生物材料の印刷スポットの直径よりも小さい直径を有する粒子又は液滴として前記遮断組成物を噴霧するように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項18】
前記基板は、基板ホルダ上に設けられ、
前記基板支持体は、前記基板ホルダを支持するように構成された受け入れ要素を有する、
ことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記基板支持体は、前記基板又は基板ホルダにわたって位置決めされるように構成された遮蔽要素を備え、
前記遮蔽要素は、その面上にいずれの生物材料もない前記基板の周囲区域を覆うように構成される、
ことを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記遮蔽要素は、その中心領域の近くに開口部を有することを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記噴霧被覆デバイスを少なくとも部分的に取り囲む又は閉じ込めるように構成されたエンクロージャを備えることを特徴とする請求項17から請求項20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記エンクロージャは、前記噴霧デバイスに接続してそれを固定するように構成された支持フレームを含むことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記支持フレームは、第1の装着プレートに接続してそれを固定するように構成され、
前記第1の装着プレートは、第1の噴霧デバイスを支持するように構成される、
ことを特徴とする請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記噴霧デバイス又は第1の噴霧デバイスの位置の調節を可能にするように構成された第1の接続要素を備えることを特徴とする請求項17から請求項23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記噴霧デバイス又は第1の噴霧デバイスが、超音波霧化器を備えることを特徴とする請求項17から24のいずれか1項に記載の装置。
【請求項26】
装置が、前記基板支持体を受け入れるように構成された可動プラットフォームを備え、
前記可動プラットフォームは、該可動プラットフォームが第1の方向に移動されることを可能にする1又は2以上の移動手段と、該可動プラットフォームが該第1の方向に対して横断方向の第2の方向に移動されることを可能にする1又は2以上の移動手段とを備える、
ことを特徴とする請求項17から請求項24のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の開示は、マイクロアレイのような検定のための基板上に遮断組成物を付加する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロアレイは、典型的には機能化ガラス又はプラスチックで作られた中実かつ典型的に平坦な基板上に堆積されて不動化されたタンパク質、DNA、抗原、又は抗体のような生物材料の2次元アレイである。基板は、一般的に、生物材料との適度な結合を提供するが、同時にタンパク質の場合の変性のような材料のいずれの修飾も回避するように選択される。
【0003】
典型的には、生物材料のマイクロアレイが基板上に堆積された状態で、基板の面への不要材料の結合を防止するためにマイクロアレイ面に遮断緩衝剤が付加される。マイクロアレイは、次に、サンプルと反応し、適切なマイクロアレイ分析技術、例えば、暗視野顕微鏡によって検出が行われる。血液型判定又はドナー疾患スクリーニングに使用されるそのようなマイクロアレイベースの技術の例は、QuotientによるMosaiQ(登録商標)である。
【0004】
基板の面への不要材料の結合は、多くの場合に「非特異的結合」と呼ばれる。非特異的結合の影響は、それが検出中に高い背景レベルを引き起こし、従って、背景信号から陽性反応(前景)を検出する機能に影響を与える可能性があることである。不要背景に対する望ましい検体信号の品質は、通常は「信号対ノイズ比」と呼ばれる。背景の過度に高いレベル及び/又は低い信号対ノイズ比は、例えば、いわゆる「偽陽性」又は「偽陰性」結果を含む異常結果に至る可能性がある。
【0005】
非特異的結合を緩和して偽陰性を低減するために、基板上の生物材料の濃度を高めてその後の光学検出中のコントラストを高めることが一般的である。これは感度を改善することができるが、この手法は、偽陽性結果の発生を増大することによって特異性が低減する問題を引き起こす場合がある。印刷された生物材料の濃度増加によって引き起こされるこの「偽陽性結果」問題は、典型的にいわゆる「コメットテール」効果として現れる。コメットテールは、もともとマイクロアレイの一部として基板上に印刷されたが、その意図した特定の印刷区域の外に移動し、その後に当該の専用サンプルとのその後の反応中にコメットテール現象を生じる生物材料、例えば抗体間の反応の効果である。コメットテール現象は、近傍印刷区域の結果に影響を与えて当該の印刷区域の反応状態の不確実性を増大させる機能を有する。理論に縛られることを望まないが、そのようなコメットテールは、マイクロアレイ上への遮断緩衝剤の付加工程からもたらされる場合があると考えられている。遮断の過度に長い期間は、目印が付けられたDNAの洗い落としを引き起こす可能性がある。マイクロアレイは、マイクロアレイの面が典型的に平坦である又は実質的に平坦であるので、特にこの問題が起こりやすい。この現象は、「コメットテール」と呼ばれる(Eisen,M.B.及びBrown,P.O.(1999)、「遺伝子発現の分析のためのDNAアレイ(DNA Arrays for Analysis of Gene Expression)」、Methods in Enzymology,303,179-205)。他は、「コメットテール」が、目印が付けられている間に使用される高濃度の生物材料(例えば、抗体である)に起因する場合があることを示唆している。
【0006】
EP2640876A1(Honkanen et al)及びEP2603325A1(Oliver et al)は、検定基板の上に窪み内較正特徴部を印刷する方法を開示している。遮断材料がターゲットプレートに付加されているが、プレートは複数の窪みで形成され、従って、マイクロアレイのような潜在的な「コメットテール」効果を受けず、この文書は、この問題に対処するいずれのソリューションも提供しない。
【0007】
WO2013/037886(Caussette他)は、サンプル内の検体を検出する方法を開示している。遮断材料がニトロセルロース膜の上に噴霧されるが、膜は、マイクロアレイのような潜在的な「コメットテール」効果を受けず、この文書は、この問題に対処するいずれのソリューションも提供しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】EP2640876A1
【特許文献2】EP2603325A1
【特許文献3】WO2013/037886
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Eisen,M.B.及びBrown,P.O.(1999)、「遺伝子発現の分析のためのDNAアレイ(DNA Arrays for Analysis of Gene Expression)」、Methods in Enzymology,303,179-205
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術に及び/又は従来方法及びシステムに関連付けられた限界及び/又は欠点を取り除く及び/又は軽減することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様により、検定のための基板上に遮断組成物を付加する方法を提供し、本方法は、
検定のための基板を与える段階と、
基板の少なくとも一部分の上に遮断組成物を噴霧する段階と、
を備える。
【0012】
本方法は、基板の少なくとも一部分の上に遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0013】
検定のための基板は、不動化された物質又は組成物を備えることができる。物質又は組成物は、基板の面に対して不動化することができる。物質又は組成物は、基板(の面)上の1又は2以上の離散場所で不動化することができる。物質又は組成物は、アレイの形態で、すなわち、基板(の面)上の複数の離散場所で不動化することができる。基板は、その面上に物質又は組成物の1次元、2次元、又は3次元アレイを設けることができる。典型的には、基板は、その面上に物質又は組成物の2次元アレイを設けることができる。同じく典型的には、基板の面、例えば、物質又は組成物がその上に不動化される面は、平坦又は平面であり、又は実質的に平坦又は平面である。用語「平坦」及び「平面」は、巨視的レベルでの面の形状を指すように以下では理解され、すなわち、本明細書では、面は、物質又は組成物を受け入れるように構成することができるいずれの窪み又は溝も含まないことを意味するように理解される。むしろ、物質又は組成物は、他に実質的に連続した面上の基板の異なる及び/又は離散場所で不動化される。基板の少なくとも一部分、例えば、物質又は組成物を受け入れるように構成された基板の面の一部分には、窪み又は凹部がない場合がある。
【0014】
物質又は組成物は、生物材料を備えることができる。
【0015】
用語「生物材料」は、天然に又は合成的に作られるかに関わらず、本明細書では、あらゆる生物材料を包含するように理解されることになる。
【0016】
典型的には、生物材料は、ペプチド、タンパク質(組み換えタンパク質を含む)、アミノ酸、核酸(DNA及び/又はRNA)、オリゴヌクレオチド、脂質、炭水化物、酵素、代謝物、抗体(モノクローン及び/又はポリクローン抗体及びそのいずれかの(抗原結合)断片を含む)、抗原、細胞、赤血球、血漿、又は血清などを備えることができる。
【0017】
実施形態では、生物材料は、抗体を備える、それで本質的に構成される、又はそれで構成される場合がある。
【0018】
別の実施形態では、生物材料は、赤血球を備える、それで本質的に構成される、又はそれで構成される場合がある。
【0019】
基板は、「チップ」と呼ばれる場合がある。
【0020】
単一基板、例えば、チップが提供される場合がある。そのような事例では、本方法は、単一基板、例えば、チップの上に遮断組成物を噴霧する段階を備えることができる。
【0021】
複数の基板、例えば、チップが提供される場合がある。そのような事例では、本方法は、複数の基板、例えば、チップの上に遮断組成物を噴霧する段階を備えることができる。
【0022】
本方法は、生物材料の少なくとも一部分の上に遮断組成物を噴霧する段階を備えることができる。
【0023】
検定のための基板は、その面上に、例えば、その実質的に平坦な面上に複数の離散量、例えば、スポットの生物材料(不動化された)が設けられた中実基板を備えることができる。
【0024】
検定のための基板は、マイクロアレイを備える場合があり、又はマイクロアレイである場合がある。
【0025】
典型的には、基板の面に対して不動化された離散量、例えば、スポットの生物材料のサイズ、例えば、直径は、約100μm-300μm、例えば、約150μm-250μm、典型的には約210μm±40μmである場合がある。
【0026】
遮断組成物は、遮断緩衝剤を備えることができ、それで構成される場合があり、又はそれで本質的に構成される場合がある。
【0027】
基板、例えば、マイクロアレイ上に付加される遮断組成物の選択は、使用されているマイクロアレイに、特に基板材料、生物材料、及び/又は検定されているサンプルに依存する場合があることは認められるであろう。
【0028】
遮断組成物、例えば、遮断緩衝剤は、ウシ血清アルブミン(BSA)、血清、及び/又は魚ゼラチンのような遮断剤を備えることができる。遮断組成物は、トリス緩衝剤生理食塩水(TBS)又はリン酸緩衝剤生理食塩水(PBS)のようなベース緩衝剤を更に備えることができる。
【0029】
典型的には、中実基板は、ガラス、シリコン、又はニトロセルロースのようなポリマーで作られる場合がある。
【0030】
中実基板は、接着、不動化、安定化などを含む生物材料の特性又はそれとの相互作用を改善又は変更するように選択することができるコーティング層で任意的に被覆することができる。コーティング層は、アルミニウム又は金のような金属又は1又は複数の親水性ポリマーのようなポリマー、例えば、ポリアクリルアミドなどを備える場合があり、それで本質的に構成される場合があり、又はそれで構成される場合がある。
【0031】
本方法は、噴霧被覆デバイスを用いてマイクロアレイの上に遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0032】
噴霧被覆デバイスは、必要な遮断機能を提供するために遮断組成物を基板、例えば、マイクロアレイの上に被覆することができる場合がある。理論に束縛されることは望まないが、マイクロアレイの上の遮断組成物の噴霧被覆は、基板に結合していない生物材料のその元のマイクロアレイ場所又はスポットからの望ましくない移動を回避、低減、又は最小にすることができると考えられている。これは、あらゆる「コメットテール」効果を低減、最小化、又は回避することを助けることができる。すなわち、有利なことに、本方法は、基板上に提供された生物材料の一体性の維持又は保存に役立つことができる。本方法はまた、基板上に付加された遮断組成物の均一性を改善することができる。本方法は、例えば、いわゆる「偽陽性」又は「偽陰性」結果を含む異常結果の発生を低減、回避、及び/又は防止することができる。本方法は、その後の分析、例えば、検出及び/又は測定中の感度及び/又は特異性を改善することができる。
【0033】
噴霧被覆デバイスは、圧力駆動式、例えば、空気圧駆動式噴霧被覆デバイスを備えることができる。噴霧被覆デバイスは、噴霧バルブを備えることができる。噴霧被覆デバイスは、ノズルコントローラを備える噴霧器を備えることができる。ノズルコントローラは、0と2バールの間の液圧を制御及び/又は調整するように及び/又は0と7バールの間の空気圧を制御及び/又は調整するように構成することができる。ノズルコントローラは、空気圧を約1バール(100kPa±20kPa)に制御及び/又は調整するように構成することができる。噴霧被覆デバイス、例えば、ノズルコントローラは、約1ml/minから約10ml/minの噴霧速度を提供するように構成することができる。
【0034】
噴霧被覆デバイスは、超音波噴霧被覆デバイス、例えば、超音波霧化器を備えることができる。噴霧被覆デバイスは、超音波霧化器を備えることができる。超音波霧化器は、約20kHzから40kHzの周波数で作動することができる。超音波霧化器は、PZT(チタン酸ジルコニウム酸塩結晶)製とすることができる圧電変換器を備えることができ、かつ約250μlから約10mlの液体容積を処理するように構成することができる。典型的には、遮断組成物の密度は、約0.98g/mLから1.10g/mLの範囲、例えば、約0.99g/mLと1.08g/mLの間(20℃での)、例えば、約0.9982g/mLと1.06g/mLの間(20℃での)である場合がある。超音波霧化器は、約3ml/minから約6ml/minの噴霧速度を提供するように構成することができる。
【0035】
本方法は、マイクロアレイ上の生物材料の印刷区域、例えば、スポットのサイズ、例えば、直径よりも小さいサイズ、例えば、直径を有する粒子、例えば、液滴として遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。有利なことに、これは、基板上に提供された生物材料の一体性を維持又は保存することを助けることができる。
【0036】
本方法は、例えば質量中央径(MMD)として測定された約1μmと約200μmの間のサイズ、例えば、直径を有する粒子、例えば、液滴として遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0037】
噴霧被覆デバイスが圧力駆動式噴霧被覆デバイスである時に、本方法は、約50-150マイクロメートル、典型的には約100マイクロメートルのサイズ、例えば、直径を有する液滴として遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。液滴のサイズは、圧力及び/又は容積/速度設定値のようなユーザによって設定されるある一定のパラメータに依存して変化する場合があることは認められるであろう。
【0038】
噴霧被覆デバイスが超音波噴霧被覆デバイス、例えば、超音波霧化器である時に、本方法は、約20-100マイクロメートル、典型的には約50マイクロメートルのサイズ、例えば、直径を有する液滴として遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。液滴のサイズは、周波数及び/又は容積/速度設定値のようなユーザによって設定されるある一定のパラメータに依存して変化する場合があることは認められるであろう。
【0039】
本方法は、遮断組成物をエアロゾルとして噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0040】
本方法は、約0°と180°の間、典型的には約10°と170°の間の基板に対する角度で遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0041】
本方法は、約0mmから約1000mm、典型的には約1mmから約750mmの投射高さから遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0042】
噴霧被覆デバイスが圧力駆動式噴霧被覆デバイスである時に、本方法は、約100mmから約1000mm、典型的には約500mmから約750mmの投射高さから遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。典型的には、方法は、約60cm±15cmの投射高さから遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0043】
噴霧被覆デバイスが超音波噴霧被覆デバイス、例えば、超音波霧化器である時に、本方法は、約0mmから約750mm、典型的には約1mmから約500mmの投射高さから遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。典型的には、噴霧被覆デバイスが超音波霧化器である時に、本方法は、約5cmから約15cmの投射高さから遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0044】
本方法は、基板の面にわたって、例えば、生物材料がその上に堆積された基板の少なくとも面区域にわたって実質的に均一に遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0045】
噴霧被覆デバイスは、圧力駆動式又は超音波式のいずれかとすることができ、本方法は、基板の均一カバレージを提供するように選択された投射高さから遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0046】
すなわち、有利なことに、本発明は、遮断組成物による基板の面のカバレージの改善された均一性を提供する。
【0047】
理論に拘束されることを望まないが、より小さい液滴サイズの及び/又はより低い速度の噴霧被覆方法での使用は、遮断組成物によるコーティング均一性及び稠度を改善し、一方で同じく基板の面上で不動化された生物材料のスポットに対する損傷のリスクも低減することができると考えられている。
【0048】
有利なことに、噴霧被覆デバイスは、超音波霧化器を備えることができる。そのような規定により、本方法は、小さいサイズ(典型的に約20-100マイクロメートル、例えば、約50マイクロメートル)を有する液滴を用いてかつ低い投射高さ(典型的に約5cmから約15cm)から低下した速度で遮断組成物を噴霧被覆する段階を備えることができる。これは、基板面上の液滴の「跳ね返り」及び/又は面上で不動化された生物材料スポットの破壊及び/又は損傷に至る場合があるより高い投射高さからかつより大きい粒子を用いて高速で噴霧する段階を使用する従来の手法とは対照的であると考えられる。すなわち、本方法は、遮断組成物により、基板、例えば、マイクロアレイのコーティングの改善された一体性、均一性、及び一貫性を提供することができる。
【0049】
本方法は、基板上に堆積された生物材料の1又は2以上のスポットにわたって、例えば、各スポットにわたって離散的に遮断組成物を噴霧する段階を備えることができる。
【0050】
本方法は、生物材料がその上に堆積された基板の面区域に実質的に限定された区域(本明細書では「印刷区域」と呼ぶ)にわたって阻止組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。これは、噴霧被覆された区域にわたって面張力を保存することを助けることができる。
【0051】
本方法は、生物材料がその上に堆積された基板の面区域を含むが、生物材料のないマイクロアレイの区域(「廃棄区域」と呼ぶ場合がある)を除く区域にわたって遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。本方法は、生物材料がその上に堆積された基板の面区域を含むが、マイクロアレイ基板の周囲区域を除く区域にわたって遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0052】
本方法は、基板上に提供された又は不動化された生物材料の第1の部分の上に第1の遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。本方法は、例えばその後に、基板上に提供された又は不動化された生物材料の第2の部分の上に第2の遮断組成物(第1の遮断組成物と同じか又は異なる場合がある)を噴霧する段階を備えることができる。
【0053】
典型的には、遮断組成物によって被覆されないマイクロアレイ基板の区域は、印刷区域の約5mmから、例えば、約10mmから、例えば、約50mmから外向きに延びることができる。
【0054】
典型的には、遮断組成物によって処理された、例えば、被覆されたマイクロアレイ基板の区域は、約100mm×100mmから約150mm×150mm、典型的には約128mm×128mmのサイズを有することができる。
【0055】
本方法は、基板当たり約0.5mLと約20mLの間、例えば、約1mLと約10mLの間、典型的には約1.0mLと約8.6mLの間の容積の遮断組成物を噴霧する段階、例えば、噴霧被覆する段階を備えることができる。
【0056】
本方法は、
基板上にサンプルを付加する段階と、
基板を分析する段階と、
を更に備えることができる。
【0057】
典型的には、分析段階は、基板上のサンプルを検出する段階及び/又は測定する段階を備える。
【0058】
有利なことに、本発明の遮断方法は、その後の分析段階中に、例えば、検出及び/又は測定中に特異性及び/又は感度を改善することを助けることができる。
【0059】
本方法は、例えば、いわゆる「偽陽性」又は「偽陰性」結果を含む異常結果の発生を低減、回避、及び/又は防止することができる。本方法は、「コメットテール」効果の発生を低減、回避、及び/又は防止することができる。
【0060】
第2の態様により、検定のための基板上に遮断組成物を付加する方法を提供し、本方法は、
その面上に生物材料の複数の離散スポットが設けられた中実基板を備える検定のための基板を与える段階であって、基板の面が実質的に平面である上記与える段階と、
基板の少なくとも一部分の上に遮断組成物を噴霧する段階と、
を備える。
【0061】
有利なことに、本方法は、基板上に不動化された生物材料の一体性を保存することを可能にすることができる。
【0062】
本方法は、遮断組成物を生物材料の少なくとも一部分の上に噴霧する段階を備えることができる。
【0063】
本方法は、
基板上にサンプルを付加する段階と、
基板を分析する段階と、
を更に備えることができる。
【0064】
典型的には、分析段階は、基板上のサンプルを検出する段階及び/又は測定する段階を備える。
【0065】
有利なことに、本発明の遮断方法は、その後の分析段階中に、例えば、検出及び/又は測定中に特異性及び/又は感度を改善することを助けることができる。
【0066】
本方法は、例えば、いわゆる「偽陽性」又は「偽陰性」結果を含む異常結果の発生を低減、回避、及び/又は防止することができる。本方法は、「コメットテール」効果の発生を低減、回避、及び/又は防止することができる。
【0067】
すなわち、第3の態様では、異常結果の発生を低減、回避、及び/又は防止する方法を提供し、本方法は、
その面上に生物材料の複数の離散スポットが設けられた中実基板を備える検定のための基板を与える段階であって、基板の面が実質的に平面である上記与える段階と、
基板の少なくとも一部分の上に遮断組成物を噴霧する段階と、
を備える。
【0068】
本方法は、
基板上にサンプルを付加する段階と、
基板を分析する段階と、
を更に以下を備えることができる。
【0069】
第1の態様に関して説明した特徴は、第2の態様又は第3の態様による方法に等しく適用することができ、単に簡潔さの理由でここでは繰り返さない。
【0070】
第4の態様により、検定のための基板上に遮断組成物を付加するための装置を提供し、装置は、
検定のための基板を受け入れるための基板支持体と、
基板上に遮断組成物を噴霧するように構成された噴霧デバイスと、
を備える。
【0071】
典型的には、基板、例えば、マイクロアレイは、基板ホルダ、例えば、マイクロアレイホルダ上に設けることができる。
【0072】
基板支持体は、基板、基板ホルダ、マイクロアレイ、又はマイクロアレイホルダを支持するように構成された受け入れ要素を有することができる。
【0073】
基板支持体は、使用時に基板、基板ホルダ、マイクロアレイ、又はマイクロアレイホルダを定位置に保持するように構成された保持要素を有することができる。保持要素は、受け入れ要素に取り付けられた1対のガイドを備える場合があり、又はその形態で提供することができる。
【0074】
保持要素は、従来サイズの基板、基板ホルダ、マイクロアレイ、又はマイクロアレイホルダを受け入れるようなサイズとすることができる。保持要素は、異なるサイズの基板、基板ホルダ、マイクロアレイ、及び/又はマイクロアレイホルダを受け入れるように調節可能とすることができる。
【0075】
装置、例えば、基板支持体は、基板、基板ホルダ、マイクロアレイホルダ、又はマイクロアレイにわたって位置決めされるように構成された遮蔽要素を備えることができる。遮蔽要素は、基板、基板ホルダ、マイクロアレイホルダ、又はマイクロアレイの少なくとも一部を覆うように構成することができる。遮蔽要素は、マイクロアレイホルダとマイクロアレイの一部とを覆うように構成することができる。
【0076】
遮蔽要素は、その面上にいずれの生物材料もない基板又はマイクロアレイの周囲領域を覆うように構成することができる。
【0077】
遮蔽要素は、基板上に提供された又は不動化された生物材料の第1の部分を遮蔽されないままに残すように及び/又は基板上に提供された又は不動化された生物材料の第2の部分を覆うように構成することができる。これは、第1の遮断組成物が遮蔽要素によって覆われていない基板の第1の部分の上に噴霧されることを可能にすることができる。その後、第2の遮断組成物(第1の遮断組成物と同じか又は異なる場合がある)を第2の部分の上に噴霧することができる。
【0078】
マイクロアレイホルダ、及び/又はマイクロアレイの一部は、受け入れ要素と遮蔽要素の間に挟まれる場合がある。基板、及び/又は基板ホルダの一部は、受け入れ要素と遮蔽要素の間に挟まれる場合がある。
【0079】
遮蔽要素は、例えば、ピン、ラグ、クリップ、又はスクリューなどによって受け入れ要素に切り離し可能に取り付け可能とすることができる。
【0080】
遮蔽要素は、その中心領域の近くに開口部を有することができる。開口部は、遮断緩衝剤で被覆されることになるマイクロアレイの区域と実質的に適合するようなサイズとすることができる。そのような規定により、遮蔽層は、遮断緩衝剤のないままに留まるべきであるマイクロアレイの区域を保護することができる。
【0081】
典型的には、開口部は、約100mm×100mmから約150mm×150mm、例えば、約128mm×128mmのサイズを有することができる。
【0082】
装置は、噴霧被覆デバイスを少なくとも部分的に取り囲む又は閉じ込めるように構成されたエンクロージャ、典型的には剛性のエンクロージャを備えることができる。エンクロージャは、噴霧被覆デバイスの位置を維持、固定、制御、及び/又は調節するように構成することができる。エンクロージャは、エンクロージャ内及び/又は噴霧デバイスと基板間の乱流を制限、低減、及び/又は最小にするように構成することができ、これは、例えば噴霧被覆工程の制御均一性及び/又は再現性を含む噴霧方法の品質を改善することを助けることができる。
【0083】
装置エンクロージャは、マイクロアレイホルダ及び/又はマイクロアレイを受け入れる及び/又は固定するための基板支持体を提供することができる。
【0084】
エンクロージャは、典型的には立方体形状のものとすることができるフレームを含む場合がある。フレームは、1又は2以上の足を含むことができ、又はそれに接続することができる。
【0085】
エンクロージャには、いずれの噴霧された材料もエンクロージャの内側部分に少なくとも部分的に閉じ込めるように構成された1又は2以上の側面又はパネルが設けられる場合がある。好都合なことに、少なくとも1つの側面又はパネル、例えば、複数の側面又はパネルは、ユーザがエンクロージャの内側部分を観察する及び/又はモニタすることを可能にするように透明又は半透明とすることができる。1又は2以上の側面又はパネルは、ガラス又はプラスチックで作られる場合がある。
【0086】
エンクロージャは、後面パネルと後面パネルの各側の側面パネルとを備えることができる。エンクロージャは、その前側にドアを有することができる。ドアは、ユーザがエンクロージャの内側を観察する及び/又はモニタすることを可能にするために透明又は半透明材料、例えば、ガラス又はプラスチックで作ることができる。ドアは、エンクロージャの内側部分へのアクセスを可能にすることができる。ドアは、エンクロージャに、例えば、そのフレームにヒンジ留めすることができる。
【0087】
典型的には、エンクロージャ、例えば、フレームは、約50-150cm、例えば、50-100cm、典型的には約75cmの高さを有することができる。
【0088】
典型的には、エンクロージャ、例えば、フレームは、約20-100cm、例えば、25-75cm、典型的には約50cmの幅を有することができる。
【0089】
典型的には、エンクロージャ、例えば、フレームは、約20-100cm、典型的には約50cmの深さを有することができる。
【0090】
エンクロージャは、典型的にその後面部分の近くに、噴霧デバイスに接続してそれを固定するように構成された支持フレームを含むことができる。有利なことに、支持フレームは、第1の装着プレートに接続してそれを固定するように構成することができる。
【0091】
第1の装着プレートは、第1の噴霧デバイスを支持するように構成することができる。
【0092】
支持フレームは、フレームに取り付けることができる又はフレームの一体部品を形成することができる支柱又はレールを含む場合があり、又はそれで形成することができる。有利なことに、支持フレーム、例えば、そのレール又は支柱は、その高さ及び幅の調節を可能にするように例えば2次元で及び/又は垂直平面内でフレームに対して移動可能とすることができる。
【0093】
好都合なことに、第1の装着プレートに、例えば、そこの開口に取り付けることができる第1の接続要素、例えば、第1の関節式アームを提供することができる。第1の接続要素、例えば、関節式アームは、第1の噴霧デバイスに取り付けられるように構成することができる。第1の接続要素は、第1の噴霧デバイスの位置、高さ、及び/又は噴霧角度の調節を可能にするように構成することができる。
【0094】
第1の装着プレートは、後面パネルに対して実質的に垂直に及び/又は実質的に平行に配置することができる。
【0095】
第1の噴霧デバイスは、超音波噴霧被覆デバイス、例えば、超音波霧化器を備える場合があり、又はそれである場合がある。
【0096】
装置は、第2の噴霧デバイスを支持するように構成された第2の装着プレートを備えることができる。第2の装着プレートは、エンクロージャの上側パネルとして作用するように構成することができ、かつ使用時に実質的に水平に配置することができる。第2の装着プレートは、フレームの上側部分に取り付けることができる。
【0097】
好都合なことに、第2の装着プレートに、例えば、そこの開口に取り付けることができる第2の接続要素、例えば、第2の関節式アームを提供することができる。第2の接続要素、例えば、第2の関節式アームは、第2の噴霧デバイスに取り付けられるように構成することができる。
【0098】
第2の連結要素は、第2の噴霧デバイスの位置、高さ、及び/又は噴霧角度の調節を可能にするように構成することができる。
【0099】
第2の噴霧デバイスは、空気圧駆動式噴霧被覆デバイス、例えば、噴霧バルブを有する噴霧被覆デバイスを備える場合があり、又はそれである場合がある。
【0100】
装置は、第1の噴霧デバイス、第2の噴霧デバイス、又はその両方を備える場合がある。言い換えれば、本明細書に使用される時の用語「第2」は、第1の噴霧デバイス、第1の装着プレート、及び/又は第1の接続要素のような「第1」と呼ばれる特徴の存在を必ずしも意味するものではない。
【0101】
例えば、第2の噴霧デバイスが使用されない場合及び/又は第1の噴霧デバイスのみが使用される場合に、第2の装着プレートが設けられない場合があり、及び/又は装置が、フレームの上側部分に接続された上側パネルを備える場合がある。上側パネルは、ガラス又はプラスチックのような透明又は半透明材料で作られる場合がある。
【0102】
装置は、基板支持体、例えば、その受け入れ要素を支持するように構成された可動プラットフォームを備えることができる。
【0103】
可動プラットフォームは、可動プラットフォームが第1の方向に移動されることを可能にするように1又は2以上の移動手段、例えば、ホイール又はベアリングを備えることができる。
【0104】
可動プラットフォームは、可動プラットフォームが第2の方向に移動されることを可能にするように1又は2以上の移動手段、例えば、ホイール又はベアリングを備えることができる。
【0105】
可動プラットフォームは、可動プラットフォームが第1の方向に移動されることを可能にする1又は2以上のホイールと、可動プラットフォームが第2の方向に移動されることを可能にするベアリングとを備えることができる。第2の方向は、第1の方向に対して横断方向、例えば、垂直とすることができる。
【0106】
可動プラットフォームは、可動プラットフォームの移動を制御する又は作動させる制御手段を含むことができる。そのような規定により、ユーザは、例えば、付加の持続時間及び処理されているマイクロアレイの正確な区域を制御することにより、噴霧デバイスによる遮断緩衝剤の付加を制御することができると考えられる。
【0107】
可動プラットフォームの移動は、手動で作動させる又は制御することができる。制御手段は、ユーザがプラットフォームを移動することを可能にするハンドルを備えることができる。
【0108】
可動プラットフォームの移動は、電子的及び/又は遠隔的に作動させる又は制御することができる。制御手段は、例えば、有線又は無線通信で可動プラットフォームとの通信状態にあることができるユーザインタフェースを備えることができる。好都合なことに、ユーザインタフェースは、使用時に遮断緩衝剤をエンクロージャ内に閉じ込めるようにエンクロージャの外側に位置付けることができる。
【0109】
装置は、噴霧デバイスによって分注された過剰な阻止緩衝剤を回収するように構成されたレセプタクル、例えば、トレイを含むことができる。
【0110】
装置は、可動プラットフォームを支持するようにかつ棚を通して過剰な遮断緩衝剤の排水を可能にするように構成された透過性シート又は棚を更に備えることができる。透過性シート又は棚の提供は、移動、例えば、転動のための適切な支持面を可動プラットフォームに提供する一方で、過剰な液体が例えばレセプタクル、例えばトレイの中にそれを通ることを可能にすることができる。
【0111】
疑問を回避するために、本発明のいずれかの態様に関して説明したいずれの特徴も、あらゆる適切な組合せで本発明のあらゆる他の態様に適用することができる。例えば、方法特徴は、装置特徴に適用することができ、その逆も同じである。
【0112】
ここで本発明をより詳細にかつ図を参照して以下で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0113】
図1】従来技術によりマイクロアレイ上に遮断緩衝剤を付加する従来方法を示す図である。
図2】従来技術によりマイクロアレイ上に遮断緩衝剤を付加する従来方法を示す図である。
図3】「コメットテール」効果を示す反応させたマイクロアレイの画像を示す図である。
図4】第1の実施形態によるマイクロアレイ上に遮断緩衝剤を付加する方法を示す図である。
図5a】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図5b】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図6a】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図6b】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図7a】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図7b】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図8a】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図8b】4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られた検定画像の比較を示す図である。
図9】異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られたコメットテールの発生を比較したグラフである。
図10】実施形態による装置の前面図である。
図11図10の装置のエンクロージャの一部分解斜視前面図である。
図12図10の装置のエンクロージャの後面斜視図である。
図13】超音波霧化器と基板支持体を示す図10の装置の前面図である。
図14図13の基板支持体の実施形態を例示する図である。
図15図13の基板支持体の実施形態を例示する図である。
図16図13の基板支持体の実施形態を例示する図である。
図17】噴霧装置の別の実施形態の概略図である。
図18】噴霧装置の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0114】
図1及び図2は、遮断緩衝剤をマイクロアレイ(20)に付加する従来の(湿式)方法(10)を示している。図1に示すように、本方法は、(図2に示すように)遮断緩衝剤16を分注フェーズ33で分注する分注先端31を備える。遮断緩衝剤16は、マイクロアレイ20の面にわたって広がり、過剰な遮断緩衝剤は、吸引フェーズ34中に吸引されて遮断マイクロアレイ22をもたらす。
【0115】
図3は、マイクロアレイ上に印刷された抗体とサンプルからの赤血球との間の反応を検定するのに使用されるマイクロアレイ40の画像を示している。図3は、「コメットテール」効果を示しており、陽性反応を示す区域が元の印刷スポット区域を超えることを見ることができる。この例では、3つの細胞株、すなわち、陽性対照(41)、細胞株「A」(42)、及び細胞株「B」(43)が影響を受けている。
【0116】
図4は、第1の実施形態による方法の実施形態を示している。この方法では、マイクロアレイ20’は、支持面30’上に置かれた。マイクロアレイ20’の周囲面(いずれの生物材料も印刷されない「廃棄区域」)は、遮蔽要素26によって保護された。マイクロアレイの道は、コメットテール効果を引き起こす傾向を有するとして予め識別された細胞株で印刷され、かつ免疫血液学(IH)レイアウトに従って印刷された。
【0117】
マイクロアレイ20の露出された(印刷された)区域は、次に、噴霧工程中に印刷スポットに対して作用する圧力を最小にし、すなわち、「噴出スポット」の発生を低減するために約0°(すなわち、マイクロアレイ20に対して実質的に平行)に位置合わせされたデバイス50のノズルと共に手動噴霧デバイス50を使用して遮断緩衝剤(以下の表1に規定)で噴霧された。
【0118】
表1:遮断緩衝剤組成(水中)
【0119】
図5a、5b、6a、6b、7a、7b、8a、及び8bは、4つの異なるサンプルに対して従来の遮断方法を用いて及び図4の方法によって得られた画像の比較を示している。
【0120】
各サンプルに対して、従来の遮断方法は、いくつかのコメットテール45a,45b,45c,45dに至ったのに対して、図4に関連して説明した噴霧被覆方法によって遮断緩衝剤を付加すると、「コメットテール」効果が完全になくなり、すなわち、結果の特異性が改善されることを観察することができる。
【0121】
図9は、異なるサンプルに対して従来の遮断方法と図4の方法とを用いて得られたコメットテールの発生を比較するグラフである。
【0122】
従来の「拡散」遮断方法を用いて調製したサンプルの大部分でコメットテールが発生したのに対して、図4の噴霧被覆方法を用いて遮断したマイクロアレイではコメットテールがほとんど発生しないことを見ることができる。理論に束縛されることを望まないが、図4の噴霧被覆方法を用いて遮断されたサンプルでのコメットテールの発生は、特に基板の周囲区域の周りの噴霧の不均一なカバレージに起因する場合があると考えられている。
【0123】
図10は、実施形態によりマイクロアレイ上に遮断緩衝剤を噴霧するための装置60を示している。装置は、この実施形態では金属で作られたエンクロージャ61を有するが、他の実施形態では、あらゆる他の適切な材料で作ることができる。図11及び図12に最も良く示すように、エンクロージャは、支持及び構造的一体性を提供する立方体フレーム62を含む。フレーム62は、安定性のための足63上に支持される。好都合なことに、装置60には、使用時にユーザがエンクロージャ61の内側を観察する及び/又はモニタすることを可能にし、一方であらゆる噴霧材料をエンクロージャ61の内側に閉じ込めるように、後面パネル65及び2つの側面パネル66を含む透明又は半透明のパネルが設けられる。ユーザがエンクロージャ61の内側を観察する及び/又はモニタすることを可能にするために、同じくガラス又はプラスチックのような透明又は半透明材料で作られた前面ドア64も提供される。
【0124】
エンクロージャ61は、フレーム62に取り付けられた支柱又はレールを含む(しかし、他の実施形態ではフレーム62の一体部品を形成する場合がある)かつ第1の装着プレート71に接続してそれを固定するように構成される支持フレーム67を有する。有利なことに、支持フレーム67のレールは、その高さ及び幅の調節を可能にするように、例えば2次元で及び/又は垂直面内でフレーム62に対して移動可能である。第1の装着プレート71は、第1の装着プレート71内の開口73に取り付けられた接続アーム72を通じて第1の噴霧デバイス81を支持するように構成される。この実施形態では、第1の装着プレート71は、実質的に垂直に配置され、第1の噴霧デバイス81は、超音波噴霧被覆デバイス、例えば、超音波霧化器である。
【0125】
装置60はまた、この実施形態では上側パネルとしても機能し、かつフレーム61の上側部分に取り付けられる第2の装着プレート76を有する。第2の装着プレート76は、第2の装着プレート76内の開口78に取り付けられた接続アーム77を通じて第2の噴霧デバイス82を支持するように構成される。この実施形態では、第2の装着プレート76は、実質的に水平に配置され、第2の噴霧デバイス82は、空気圧駆動式噴霧被覆デバイス、例えば、噴霧バルブを有する噴霧被覆デバイスである。
【0126】
接続アーム72,77は、それぞれの噴霧デバイス81,82の位置、高さ、及び噴霧角度の調節を可能にする。
【0127】
図10では、理解を容易にするために第1の噴霧デバイス81と第2の噴霧デバイス82の両方が示されている。しかし、使用時に、ユーザは、特定の用途に必要とされる最も適切なタイプのデバイスに応じて、1つのタイプの噴霧デバイスのみ、すなわち、第1の噴霧デバイス81又は第2の噴霧デバイス82のいずれかを選択して接続することを選択することができることは認められるであろう。
【0128】
典型的には、エンクロージャ61、例えば、フレーム62は、約75cmの高さ、約50cmの幅、及び約50cmの深さを有し、これは、装置60の全体サイズを比較的小型に保ち、一方でX、Y、及び/又はZ方向の噴霧デバイス81,82の適切なレベルの調節を許容する。
【0129】
典型的には、装置60は、噴霧デバイス81,82のノズルが基板から約0mmから約750mmの距離に位置決めされることを可能にする。
【0130】
噴霧被覆デバイスが圧力駆動式噴霧被覆デバイス82である時に、装置60は、噴霧デバイス82のノズルが基板から約500mmから約750mmの距離に位置決めされることを可能にする。
【0131】
噴霧被覆デバイスが超音波霧化器81である時に、装置60は、噴霧デバイス81のノズルが基板から約0mmから約500mmの距離に位置決めされることを可能にする。
【0132】
図13は、明確にするために超音波霧化器81のみと、この実施形態ではマイクロアレイホルダ32上に設けられたマイクロアレイ20である基板を受け入れるように構成された基板支持体90とを示す図10の装置60の前面図である。見ることができるように、マイクロアレイ20は、実質的に平坦であり、かついずれの窪み又は凹部も含まない。
【0133】
図14-16に示すように、基板支持体90は、マイクロアレイホルダ32を支持するように構成された受け入れ要素91を有する。この実施形態では、受け入れ要素91は、フレーム62の下側部分上に設けられる。
【0134】
有利なことに、基板支持体90は、使用時にマイクロアレイを定位置に保持するように構成された保持要素92を有する。この実施形態では、保持要素92は、受け入れ要素91に取り付けられた1対のガイドの形態にある。保持要素92は、従来サイズのマイクロアレイスライドを受け入れるようなサイズとすることができる。他の実施形態では、保持要素92は、異なるサイズのマイクロアレイを受け入れるように調節可能である場合がある。
【0135】
図15に示すように、マイクロアレイホルダ32にわたって位置決めされてその一部を覆うように、特に、その面上にいずれの生物材料もないマイクロアレイ20の周囲領域を覆うように構成された遮蔽層93が設けられる。すなわち、使用時に、受け入れ要素91と遮蔽層93の間にマイクロアレイスライドを挟むことができる。
【0136】
遮蔽層は、その中心領域の近くに開口部95を有する。開口部95は、遮断緩衝剤で被覆されることになるマイクロアレイ20の区域に適合するようなサイズである。そのような規定により、遮蔽層93は、遮断緩衝剤のないままに留まるべきであるマイクロアレイスライド20の区域を保護する。開口部は、典型的には、約128mm×128mm(±1mm)のサイズを有する。
【0137】
遮蔽層93の場所は、使用時に、受け入れ要素91の上面に係合し、かつ遮蔽層93の下面に係合するピン94によって固定することができる。
【0138】
図16は、遮蔽層93が視覚化を容易にするために透けて見える外観で描かれている組み立てられた基板支持体90の図である。
【0139】
図17は、噴霧装置160の別の実施形態の概略図である。図17の装置160は、図10の装置60と全体的に類似であり、類似の部品は、「100」だけ増分された類似の数字で示されている。この実施形態では、装置160は、矢印Aで表される第1の方向に基板支持体190が移動されることを可能にするようにホイール196が設けられた又はそれに接続された基板支持体190を有する。基板支持体190にはまた、基板支持体190が第1の方向に対して横断方向である矢印Bで表される第2の方向に移動されることを可能にするようにベアリング(図示せず)が設けられる又はそれに接続される。この実施形態では、基板支持体190は、例えば方向A及び/又はBの基板支持体190の移動をユーザが制御することを可能にするハンドル197に接続される。
【0140】
図18は、噴霧装置260の別の実施形態の概略図である。図18の装置260は、図17の装置160と全体的に類似であり、類似の部品は、「100」だけ増分された類似の数字で示されている。この実施形態では、装置260は、噴霧デバイス281によって分注された過剰な遮断緩衝剤を回収するように構成されたトレイ298を基板支持体290の下方に含む。装置260は、基板支持体290を支持してシート299を通して過剰な遮断緩衝剤216の排水を可能にするように構成された透過性シート299を更に備える。透過性シート299はまた、可動基板支持体290にホイール296のための適切な支持面を提供し、基板支持体290の移動を可能にする一方、過剰な液体が例えばトレイ298の中までそこを通ることを可能にする。
【0141】
本発明の範囲から逸脱することなく本明細書に説明する本発明に多数の変形及び/又は修正を加えることができることは当業者によって認められるであろう。本発明の実施形態は、従って、例示目的として考えられるものとし、制限的ではなく、かつ実施形態に説明したものの範囲に限定されない。
【符号の説明】
【0142】
60 マイクロアレイ上に遮断緩衝剤を噴霧するための装置
71 第1の装着プレート
81 超音波霧化器
90 基板支持体
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8a
図8b
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】