(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ、およびブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
B60T 13/74 20060101AFI20230728BHJP
B60T 8/17 20060101ALI20230728BHJP
B60T 17/18 20060101ALI20230728BHJP
B60T 8/171 20060101ALI20230728BHJP
F16D 65/18 20060101ALI20230728BHJP
F16D 66/00 20060101ALI20230728BHJP
F16D 121/24 20120101ALN20230728BHJP
F16D 125/20 20120101ALN20230728BHJP
【FI】
B60T13/74 A
B60T8/17 B
B60T17/18
B60T8/171 Z
F16D65/18
F16D66/00 Z
F16D121:24
F16D125:20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501843
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 IB2021056292
(87)【国際公開番号】W WO2022013737
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020000016912
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516351289
【氏名又は名称】フェヴレ・トランスポール・イタリア・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】FAIVELEY TRANSPORT ITALIA S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ティオーネ, ロベルト
【テーマコード(参考)】
3D048
3D049
3D246
3J058
【Fターム(参考)】
3D048AA04
3D048BB43
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3D048HH58
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3J058DB27
(57)【要約】
車両用、特に鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)が記載され、これは、電気位置信号(221)を受信するように構成された安全ユニット(401)を備え、その値は、並進軸(Xt)に沿ったブレーキ力付与手段(217)の位置を示し、電気位置信号(221)の値に基づいて、ブレーキ力付与手段(217)の瞬間的な位置を判定し、a)安全ユニット(401)がブレーキ力付与手段(217)が保守位置と休止位置との間の位置にあると判定するか、b)安全ユニットがブレーキ力付与手段(217)が休止位置から保守位置に移動していると判定するとき、第1の遮断手段(403)を介して、サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられるブレーキ力制御信号(204)、または電力信号(405)が電気機械モジュール(201)に到達することを防止するように構成される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)であって、
-サービスブレーキ力要求電気信号(203)を受信し、その値が前記サービスブレーキ力要求電気信号(203)の関数であるブレーキ力制御信号(204)を生成するように構成されたサービスブレーキ制御ユニット(202)と、
-前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって生成された前記ブレーキ力制御信号(204)を受信し、その値が前記ブレーキ力制御信号(204)の関数であるブレーキ力を生成するように構成された電気機械モジュール(201)であって、前記電気機械モジュール(201)は、前記ブレーキ力制御信号(204)を介して、電力も受信するように構成される電気機械モジュール(201)と、
-前記電気機械モジュール(201)によって生成されたブレーキ力を、ブレーキ力付与手段(217)に伝達するように構成された少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)であって、前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)が並進軸(Xt)に沿って並進するように、前記電気機械モジュール(201)によって制御されるように構成され、第1の付与方向に従う前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)の並進は、前記ブレーキ力付与手段(217)によって付与されるブレーキ力の増大を伴い、前記第1の付与方向と反対の第2の付与方向に従う前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)の並進は、前記ブレーキ力付与手段(217)によって付与されるブレーキ力の低減を伴う少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)と、
前記電気機械アクチュエータ(400)は、次のように構成された安全ユニット(401)を備えることを特徴とし、
-その数値が前記並進軸(Xt)に沿った前記ブレーキ力付与手段(217)の位置を示す、電気位置信号(221)を受信し、
-前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)の瞬間的な位置を判定し、
-第1の遮断手段(403)を介して、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達することを防止し、
a)前記電気位置信号(221)の値に基づいて、安全ユニット(401)は、前記ブレーキ力付与手段(217)がブレーキ力受容手段(218)から第1の距離(-B)にある保守位置と、前記第1の距離(-B)よりも小さい前記ブレーキ力受容手段(218)から第2の距離(-A)にある休止位置との間の力付与軸(Xb)に沿った位置にあると判定し、
b)電気位置信号(221)の値の経時的な変化に基づいて、前記安全ユニットは、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置から前記保守位置に移動していると判定する、
ことを特徴とする電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項2】
前記安全ユニット(401)は、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする必要性がないことを示す第1の値をとり、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする必要性を示す第2の値をとるように構成された保守要求信号(222)を受信するように構成され、
前記安全ユニット(401)は、また、次のように構成され、
-前記第1の遮断手段(403)を介して、サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止し、
a)保守要求信号(222)は、その第1の値をとり、かつ、前記安全ユニット(401)は、前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置と前記休止位置との間の前記ブレーキ力付与軸(Xb)に沿った位置にあると判定し、
b)前記電気位置信号(221)の経時的な変化に基づいて、前記安全ユニットは、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置から前記保守位置に移動していると判定する、
請求項1に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項3】
前記安全ユニット(401)は、さらに、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする許可の非確認を示す第1の値をとり、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする許可の確認を示す第2の値をとるように構成された保守検証シグナル(223)を受信し、
前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-前記第1の遮断手段(403)を介して、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止し、
a)保守要求信号(222)及び保守検証信号(223)の両方は、それらのそれぞれの第1の値をとり、安全ユニット(401)は、前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置と前記休止位置との間の前記ブレーキ力付与軸(Xb)に沿った位置にあることを判定し、
b)前記電気位置信号(221)の経時的な変化に基づいて、前記安全ユニットは、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置から前記保守位置に移動していると判定し、
および/または、前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-前記第1の遮断手段(403)を介して、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止し、
a)前記保守要求信号(222)がその第1の値をとり、前記保守検証信号(223)がその第1の値をとらないか、または前記保守要求信号(222)がその第2の値をとり、前記保守検証信号(223)がその第2の値をとり、
b)前記安全ユニット(401)は、前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置と前記休止位置との間の前記ブレーキ力付与軸(Xb)に沿った位置にあることを決定し、
および/または、前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-前記第1の遮断手段(403)を介して、前記保守要求信号(222)および前記保守検証信号(223)の両方がそれぞれの第2の値をとり、安全ユニット(401)が、前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置にあると判定するとき、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が前記電気機械モジュール(201)に到達することを許容する、
請求項2に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項4】
前記安全ユニット(401)は、前記第1の遮断手段(403)を介して、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられるブレーキ力制御信号(204)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達することを防止するように構成され、
-前記保守要求信号(222)および前記保守検証信号(223)の両方がそれぞれの第2の値をとり、
-前記安全ユニット(401)は、前記位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置にあることを判定する、
請求項3に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項5】
前記電気機械モジュール(201)によって生成された前記ブレーキ力の値を示す値であるブレーキ力指示電気信号(213)を生成するように構成された力センサ手段(212)を備え、
前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力指示電気信号(213)を受信するように構成される、
請求項1ないし4のいずれかに記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項6】
前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置にあり、前記保守要求信号(222)がその第1の値をとるとき、
-前記安全ユニット(401)は、前記第1の遮断手段(403)を介して、サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられるブレーキ力制御信号(204)が、再度、前記電気機械モジュール(201)に到達することを許容するように構成され、
-前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)によって、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置とするように構成され、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力指示電気信号(213)がヌル値をとった後、非ヌル値をとるとき、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記ブレーキ付与位置に到達したと判定するように構成され、
-前記ブレーキ力付与手段(217)が前記ブレーキ力受容手段(218)に接する前記ブレーキ付与位置に到達すると、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)を介して、前記ブレーキ力付与手段(217)を、前記所定のブレーキ付与位置から、再度、前記第2の距離(-A)を有する新たな休止位置とするように構成される、
請求項2に従属する請求項5に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項7】
前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置にあり、前記保守要求信号(222)および保守検証信号(223)の両方が、それらのそれぞれの第1の値をとるとき、
-前記安全ユニット(401)は、前記第1の遮断手段(403)を介して、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が、再度、前記電気機械モジュール(201)に到達することを許容するように構成され、
-前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)によって、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置とするように構成され、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力指示電気信号(213)がヌル値をとった後、非ヌル値をとるとき、前記ブレーキ力付与位置が前記ブレーキ力付与手段(217)の位置と一致していると判定するように構成され、
-前記ブレーキ力付与手段(217)が前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置に到達すると、前記ブレーキ力制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)を介して、前記ブレーキ力付与手段(217)を、前記所定のブレーキ付与位置から、再度、前記第2の距離(-A)を有する新たな休止位置とするように構成され、
請求項3または4に従属する請求項5に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項8】
前記ブレーキ力指示電気信号(213)が非ヌル値をとった後、再度、ヌル値をとるとき、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力付与手段(217)がもはや前記ブレーキ力受容手段(218)と接していないブレーキ解除位置を判定するように構成され、
前記サービスブレーキ制御部(202)は、前記ブレーキ力付与手段(217)を、前記ブレーキ力制御信号(204)を介して、前記所定のブレーキ解除位置から、再度、前記第2の距離(-A)を有する新たな休止位置とするように構成される、
請求項5~7のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項9】
車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)であって、
-サービスブレーキ力要求電気信号(203)を受信し、その値が前記サービスブレーキ力要求電気信号(203)の関数であるブレーキ力制御信号(204)を生成するように構成されたサービスブレーキ制御ユニット(202)と、
-前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって生成された前記ブレーキ力制御信号(204)を受信し、その値が前記ブレーキ力制御信号(204)の関数であるブレーキ力を生成するように構成された電気機械モジュール(201)であって、前記電気機械モジュール(201)は、電力信号(405)を介して、電力を受信するように構成された電気機械モジュール(201)と、
-前記電気機械モジュール(201)によって生成されたブレーキ力を、ブレーキ力付与手段(217)に伝達するように配置された少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)であって、前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)が並進軸(Xt)に沿って並進するように、前記電気機械モジュール(201)によって制御されるように配置され、第1の付与方向に従う前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)の並進は、前記ブレーキ力付与手段(217)によって付与されるブレーキ力の増大を伴い、前記第1の付与方向と反対の第2の付与方向に従う前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)の並進は、前記ブレーキ力付与手段(217)によって付与されるブレーキ力の低減を伴う少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)と、
前記電気機械アクチュエータ(400)は、前記並進軸(Xt)に沿った前記ブレーキ力付与手段(217)の位置を示す値を有する電気位置信号(221)を受信するように構成された安全ユニット(401)を備えることを特徴とし、
前記安全ユニット401は、次のように構成され、
-前記ブレーキ力付与手段(217)の瞬間的な位置を、前記電気位置信号(221)の値に基づいて判定し、
-第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止し、
a)前記電気位置信号(221)の値に基づいて、安全ユニット(401)は、前記ブレーキ力付与手段(217)がブレーキ力受容手段から第1の距離(-B)の保守位置と、ブレーキ力受容手段(218)から前記第1の距離(-B)より小さい第2の距離(-A)の休止位置との間の力付与軸(Xb)に沿った位置にあると判定し、
b)電気位置信号(221)の経時的な変化に基づいて、前記安全ユニットは、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置から前記保守位置に移動していると判定する、
ことを特徴とする電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項10】
前記安全ユニット(401)は、また、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする必要性を示す第1の値をとり、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする必要性を示す第2の値をとるように構成された保守要求信号(222)を受信し、
前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止し、
a)前記保守要求信号(222)は、その第1の値を仮定し、かつ、前記安全ユニット(401)は、電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置と前記休止位置との間の前記ブレーキ力付与軸(Xb)に沿った位置にあることを判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号(221)の経時的な変化に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置から前記保守位置に移動していると判定する、
請求項9に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項11】
前記安全ユニット(401)は、また、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする許可の非確認を示す第1の値をとり、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記保守位置とする許可の確認を示す第2の値をとるように構成された保守検証信号(223)を受信するように構成され、
前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防ぎ、
a)前記保守要求信号(222)および前記保守検証信号(223)の両方は、それらのそれぞれの第1の値をとり、前記安全ユニット(401)は、電気位置信号(221)の値に基づいて、ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置と前記休止位置との間の前記ブレーキ力付与軸(Xb)に沿った位置にあることを判定し、
b)電気位置信号(221)の値の経時的な変化に基づいて、前記安全ユニットは、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置から前記保守位置に移動していると判定し、
および/または、前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-前記第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が、次の場合に、前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止し、
a)前記保守要求信号(222)がその第1の値をとり、前記保守検証信号(223)がその第1の値をとらないか、または、前記保守要求信号(222)がその第2の値をとり、前記保守検証信号(223)がその第2の値をとらず、
b)前記安全ユニット(401)は、前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置と前記休止位置との間の前記ブレーキ力付与軸(Xb)に沿った位置にあることを判定し、
および/または、前記安全ユニット(401)は、さらに、次のように構成され、
-前記第1の遮断手段(403’)を介して、前記保守要求信号(222)および前記保守検証信号(223)の両方がそれぞれの第2の値をとり、前記安全ユニット(401)が前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記休止位置にあると決定するとき、前記電力信号(405)が前記電気機械モジュール(201)に到達することを許容する、
請求項10に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項12】
前記安全ユニット(401)は、また、次のように構成され、
-前記安全ユニットが前記第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が前記電気機械モジュール(201)に到達することを防止するとき、第2の遮断手段(406)を介して、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)によって発せられる前記ブレーキ力制御信号(204)が前記電気機械モジュール(201)に到達することを防止する、
請求項9~11のいずれかに記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項13】
前記安全ユニット(401)は、次のように構成され、
-第1の遮断手段(403’)を介して、前記保守要求信号(222)および前記保守検証信号(223)の両方が、それぞれの第2の値をとり、前記安全ユニット(401)が、前記電気位置信号(221)の値に基づいて、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置にあると決定したとき、前記電力信号(405)が前記電気機械モジュール(201)に到達するのを防止する、
請求項11または12に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項14】
前記電気機械モジュール(201)によって生成された前記ブレーキ力の値を示す値であるブレーキ力指示電気信号(213)を生成するように構成された力センサ手段(212)を備え、
前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力指示電気信号(213)を受信するように構成される、
請求項9~13のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項15】
前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置にあり、前記保守要求信号(222)がその第1の値をとり、
-安全ユニット(401)は、前記第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が、再度、前記電気機械モジュール(201)に到達することを許容するように構成され、
-前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)によって、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置とするように構成され、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力付与手段(217)が前記ブレーキ力指示電気信号(213)がヌル値をとった後、非ヌル値をとるとき、前記ブレーキ付与位置に到達したと判定するように配置され、
-前記ブレーキ力付与手段(217)が前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置に到達すると、前記ブレーキ力制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)を介して、前記ブレーキ力付与手段(217)を、前記所定のブレーキ付与位置から、再度、前記第2の距離(-A)を有する新たな休止位置とするように構成される、
請求項10に従属する請求項14に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項16】
前記ブレーキ力付与手段(217)が前記保守位置にあり、前記保守要求信号(222)および前記保守検証信号(223)の両方がそれらのそれぞれの第1の値をとるとき、
-安全ユニット(401)は、前記第1の遮断手段(403’)を介して、前記電力信号(405)が、再度、前記電気機械モジュール(201)に到達することを許容するように構成され、
-前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)によって、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置とするように構成され、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力指示電気信号(213)がヌル値をとった後、非ヌル値をとるとき、前記ブレーキ力付与位置が前記ブレーキ力付与手段(217)の位置と一致すると判定するように構成され、
-前記ブレーキ力付与手段(217)が前記ブレーキ力受容手段(218)に接するブレーキ付与位置に到達すると、前記ブレーキ力制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)を介して、前記ブレーキ力付与手段(217)を、前記所定のブレーキ付与位置から、再度、前記第2の距離(-A)を有する新たな休止位置とするように構成される、
請求項11または12または13に従属する請求項14に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項17】
前記ブレーキ力指示電気信号(213)が非ヌル値をとった後、再度、ヌル値をとるとき、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力付与手段(217)がもはや前記ブレーキ力受信手段(218)と接していないブレーキ解除位置と判定するように構成され、
前記ブレーキ力制御ユニット(202)は、前記ブレーキ力制御信号(204)によって、前記ブレーキ力付与手段(217)を、前記所定のブレーキ解除位置から、再度、前記第2の距離(-A)を有する新たな休止位置とするように構成される、
請求項14に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項18】
前記電気位置信号(221)は、前記並進軸(Xt)に沿った前記少なくとも1つの力伝達部材(206、211、216)の位置を測定するように構成された位置センサ手段(220)によって生成される、
請求項1~17のいずれか1項に電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項19】
前記電気機械モジュール(201)は、少なくとも1つの回転機械部材を含み、前記電気位置信号(221)は、前記電気機械モジュール(201)の前記少なくとも1つの回転部材の角度位置および回転方向を測定するように構成された角度位置センサ手段によって生成される、
請求項1~17のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項20】
少なくとも1つの緊急ブレーキに使用されるエネルギーを蓄積するように構成された緊急ブレーキエネルギー蓄積手段(208)を含む緊急ブレーキモジュール(207)を備え、前記緊急ブレーキモジュール(207)は、緊急ブレーキ要求信号(210)を受信し、前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキを実行する必要性を示す値をとらないとき、前記緊急ブレーキ蓄積手段(208)に蓄積されたエネルギーを解放しない第1の状態と、前記緊急ブレーキ要求信号(210)が緊急ブレーキを実行する必要性を示す値をとるとき、前記緊急ブレーキ蓄積手段(208)に蓄積されたエネルギーを解放する第2の状態をとるように構成される、
請求項1~19のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項21】
前記安全ユニット(401)は、前記サービスブレーキ制御ユニット(202)が開発される安全度レベルSILよりも高い安全度レベルSILに従って開発される、
請求項1~20のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項22】
安全ユニット(401)は、安全度レベルSIL≧=3に従って開発される、
請求項1~21のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項23】
前記安全ユニット(401)は、マイクロプロセッサを含む、
請求項1~22のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項24】
前記安全ユニット(401)は、FPGAを含む、
請求項1~23のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)。
【請求項25】
請求項2~8、または10~24のいずれか1項に記載の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)を複数含むブレーキシステムであって、
前記ブレーキシステムは、通信手段(501)を介して、前記複数の電気機械ブレーキアクチュエータ(400)に接続されるように構成された制御ユニット(500)を備え、
前記制御ユニット(500)は、次のものを受信するように構成され、
-その値が駐車ブレーキが付与されているか否かを示す駐車ブレーキ信号(502)
-鉄道車両または列車の速度を示す少なくとも1つの速度信号(503)
-ブレーキシステムに対して保守サイクルを実行する要求を示す保守信号(504)
前記制御ユニット(500)は、次のように構成され、
-前記保守信号(504)が保守要求を示す値をとり、かつ、前記駐車ブレーキ信号(502)が駐車ブレーキが付与され、かつ、前記速度信号(503)がゼロの車速を示す値をとる事実を示す値をとるとき、前記通信手段(501)を介して、前記電気機械アクチュエータ(400)の少なくとも1つに送信されるべき、その第2の値を有する前記保守要求信号(222)を生成し、
-前記保守信号(504)が保守要求を示さない値をとり、前記駐車ブレーキ信号(502)が駐車ブレーキ付与されない事実を示す値をとり、前記速度信号(503)が非ヌル車速であることを示す値をとることの少なくとも1つが生じたとき、前記通信手段(501)を介して、複数の電気機械アクチュエータ(400)に送信するべき、その第1の値を有する前記保守要求信号(222)を生成する、
ことを特徴とするブレーキシステム。
【請求項26】
各前記電気機械アクチュエータ(400)は、ユーザインターフェース手段(503)を備え、それを介して、前記ブレーキ力付与手段(217)の保守を実行することを任務とする作業者は、前記保守検証信号(223)に、その第2の値をとらせて、前記ブレーキ力付与手段(217)を保守位置とさせ、前記保守検証信号(223)に、その第1の値をとらせて、前記ブレーキ力付与手段(217)の保守の終了時に、前記ブレーキ力付与手段(217)を前記休止位置とさせる、
請求項25に記載のブレーキシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にブレーキシステムの分野であり、特に、本発明は、車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ、およびブレーキシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明では、2020年4月1日時点で入手可能な最新版に従って、以下の欧州規格を参照する。
-EN50126[「鉄道用途 信頼性・可用性・保守性・安全性(RAMS)の仕様と実証」]
-EN50128[「鉄道用途 通信・信号・処理システム 鉄道制御・保護システム用ソフトウェア」]
-EN50129[「鉄道用途 通信・信号・処理システム 信号用安全関連電子システム」]
-EN50159[「鉄道用途 通信・信号・処理システム 伝送システムにおける安全関連通信」]
【0003】
特に、規格EN50126は、安全解析の結果に基づいて、システムを構成するサブシステムに安全レベルSIL0/1/2/3/4(安全レベルSIL4が最大の安全レベルを示す)を割り当てるための方法論を定義し、規格EN50128およびEN50129は、安全解析の結果に基づき割り当てられたSILレベルに基づいて、ソフトウェアおよびハードウェアコンポーネントに適用すべき設計基準をそれぞれ定義する。
【0004】
先行技術から、以下のことが知られている。
-欧州規格EN50126に従って実施される緊急ブレーキ機能に関連する安全性計算は、緊急ブレーキ機能、ひいてはそれらを実装するサブシステムに、安全度レベルSIL、SIL≧3を系統的に割り当てる。
-欧州規格EN50126に従って実施されるサービスブレーキ機能に関連する安全性計算は、通常、サービスブレーキ機能、ひいてはそれらを実施するサブシステムに、安全度レベルSIL≦2を割り当てる。
-EN50128およびEN50129に従った安全度レベルSIL≧3に準拠したマイクロプロセッサベースまたはFPGAベースの制御ユニットの開発は、SIL≦2の安全度レベルに準拠した設計よりも約1桁高い設計、検証、認証コストが必要となる。
【0005】
前述の最後の点に関連して、SIL≧3の安全レベルに従って開発されるべき機能は、極めて限定的で、かつ単純なものにすることが得策であることは明らかである。
【0006】
図1は、従来技術に係る空気圧式ブレーキアクチュエータ100を示す。機械アセンブリ101は、スラックアジャスタとして当業者に知られている。
【0007】
連続的なブレーキングにより、パッドおよびディスクは、時間の経過とともに連続的に摩耗する。したがって、ブレーキアクチュエータの空転は、時間とともに増加し、その結果、ブレーキを付与する際の遅延が大きくなる。
【0008】
スラックアジャスタの目的は、ブレーキパッドおよびディスクの厚さがブレーキにより生じる摩耗によって連続的に減少するため、非ブレーキ状態において、ブレーキパッドのブレーキ面とディスクの表面との間の静止距離を一定に維持することである。このようにして、レバーの空転によるブレーキを付与した際の遅延は、経時的に一定に維持されるので、特に緊急ブレーキの場合、車両または列車のブレーキ時間または停止距離を正確に計算することができる。
【0009】
レバーとブレーキシリンダとの間の取り付け部におけるブレーキアクチュエータレバーの空転が、以下で距離「A」とされる「寸法A」として規定されることは当業者にとって周知である。
【0010】
参考までに、寸法Aは、ディスクアクチュエータの場合、2mmの典型的な値を有し、ホイールアクチュエータの場合、6mmの典型的な値を有する。
【0011】
シューブレーキ装置の場合も、同一のシューおよびホイール摩耗調整機構が適用される。
【0012】
機械アセンブリ101の機能的な複雑さは、組み立ておよび試験の結果として生じる複雑さ、ならびに最終的なコストを伴うことが明らかである。
【0013】
不利なことに、従来のブレーキアクチュエータでは、初期距離Aをリセットする手順は、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段を交換するたびに、摩擦手段の交換を任務とする作業者によって手動で行われ、特別な注意と工具とが必要である。
【0014】
図2は、従来技術に係る電気機械ブレーキアクチュエータ200の機能ブロック図を示す。
【0015】
電気機械モジュール201は、少なくとも1つの電気モータと、場合によっては、減速機、すなわち、トルク乗算器とを備え、緊急ブレーキモジュール207に接続された力伝達部材(すなわち、アーム206)を伸縮させ得る。
【0016】
緊急ブレーキモジュール207は、緊急ブレーキエネルギー貯蔵手段208、例えば、機械位置エネルギーまたは運動エネルギーの機械貯蔵素子を備える。
【0017】
本質的に、緊急ブレーキモジュール207は、電気信号210によって制御され、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキ要求の必要性を示さないとき、緊急ブレーキを実行するために蓄積されたエネルギーを解放しない第1の状態をとり得るように構成される。さらに、電気信号210によって制御される緊急ブレーキモジュール207は、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求の存在を示し、したがって緊急ブレーキを実行する必要性を示すとき、緊急ブレーキを実行するために蓄積されたエネルギーを解放する第2の状態をとり得るように構成される。
【0018】
本発明の目的のために、緊急ブレーキモジュール207の動作について、より詳細な説明は必要ない。
【0019】
他の力伝達部材(すなわち、アーム211)は、力伝達部材211とさらに他の力伝達部材(すなわち、アーム216)との間に付与される機械力を示す値であるブレーキ力指示電気信号213を生成するように構成された力センサ手段212に接続される。
【0020】
ブレーキ力指示電気信号213は、サービスブレーキ制御ユニット202に入力される。
【0021】
アーム216は、力センサ手段212およびブレーキ力付与手段217に接続される。
【0022】
ブレーキ力付与手段217は、一例として、車輪にブレーキシューを有するブレーキ装置/アクチュエータを想起することによって図式的に表されるが、ブレーキ力付与手段217は、例えば、ディスクにパッドを有するレバーブレーキ装置/アクチュエータのような他の形態であってもよい。
【0023】
電子的な性質のサービスブレーキ制御ユニット202は、その入力において、車両のバッテリからの由来に限定されない電源電圧を伝える電源信号205を受信し得る。
【0024】
サービスブレーキ制御ユニット202は、電源電圧を変調して、少なくとも1つの電気ブレーキ力制御信号204を介して、電気機械モジュール201に含まれる電気モータを制御するように構成される。
【0025】
サービスブレーキ制御ユニット202は、電気機械モジュール201内に存在する回転部材の角度位置および回転方向を示すことに限らない少なくとも1つの角度位置信号219を入力として受け取る。
【0026】
可能な非限定的な実施形態では、少なくとも1つの角度位置信号219は、BLDC型モータに属するホールセンサによって生成される角度位置信号を含む。
【0027】
サービスブレーキ制御ユニット202によって実行され計数積分法を通して、サービスブレーキ制御ユニット202は、アーム206の瞬間伸び量を時間的に連続して、すなわちブレーキ力付与手段217の位置を取得する。
【0028】
他の可能な実施形態では、位置センサ手段220(例えば、位置センサ)は、その瞬間伸び量をサービスブレーキ制御ユニット202に、電気位置信号221を介して時間的に連続して示す、すなわち、ブレーキ力付与手段217の位置を示すアーム206の並進位置を読み取る。
【0029】
図3に示す図は、アーム206の位置Pと、ブレーキ力付与手段217が付与する力Fとの関係を示す。
【0030】
横軸値P=-Aに対応する、すなわち、距離Aに対応する静止位置に対応するアーム206の初期位置をとると、付与力Fは、ブレーキ力付与手段217とブレーキ力受容手段(消散手段)、すなわち、ディスクブレーキの場合にはブレーキディスク、または車輪ブレーキの場合には車輪との間の初期接触点に対応する、横軸値-Aおよび値0から、アーム206によってカバーされる全距離に対してヌル値を有する。
【0031】
正の位置の値Pは、ブレーキ力付与手段217によって付与される正の力の値Fに対応する。
【0032】
セグメントEの角度係数は、ブレーキ力付与手段217の弾性を表す。弾性が大きいほど、角度係数は小さくなる。
【0033】
ここで、アクチュエータが位置P’に対応するブレーキ力F’を付与すると、ブレーキ力をキャンセルする要求に応じて、サービスブレーキ制御ユニット202は、電気機械モジュール201に命令して、所定の速度でアーム206を後退させる。
【0034】
同時に、サービスブレーキ制御ユニット202は、位置信号221を介して、すなわち、少なくとも1つの角度位置信号219を介して、電気機械モジュール201の回転部材の回転をカウントし、積分することによって、アーム206の位置の値を受信する。
【0035】
付与された力の値Fを示すブレーキ力指示電気信号213がヌル値に達すると、サービスブレーキ制御ユニット202は、位置-Aに達するまで電気機械モジュール201にアーム206を後退させるように命令し続ける。
【0036】
このようにして、シューおよびホイールが受ける摩耗は、ブレーキの度に補正される。
【0037】
復元された次元分解能は、上述した方法によるアーム位置206の測定分解能に対応する。
【0038】
記載された解決策は、有利には、サービスブレーキが解除される度に、サービスブレーキ制御ユニット202によって実行される簡単なソフトウェア手順で、スクラップアジャスタとして知られる複雑な機械アセンブリ101を除去する。
【0039】
これまでに記載された先行技術として報告されているものと同様の方法が、欧州特許EP3346155に特許請求されている。
【0040】
サービスブレーキ制御ユニット202は、通常、規格EN50128およびEN50129に関して、安全レベルSIL≦2に従って開発されることが従来技術である。
【0041】
この場合、距離Aの回復を制御するソフトウェア機能の誤動作は、SIL安全レベル≦2に特有の確率で起こり得る。
【0042】
ソフトウェアは、列車内の全てのブレーキアクチュエータで同様であるので、ソフトウェアは、共通モード故障源として考慮する必要があり、すなわち、列車全体で同時発生する故障とみなし得る。
【0043】
距離Aの調節を制御するソフトウェア機能の誤動作は、ブレーキ力付与手段217の保守に必要な位置に対応して、アーム206を保守位置-B(走行終了位置)に引き込み続け、
図3の図中の点-Aでの停止しない形態で現れることがある。ブレーキ力付与手段217の保守は、例えば、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段の交換を必要とし得る。
【0044】
位置-Bは、数十ミリメートルと、位置-Aよりも桁違いの大きさとなり得る。
【0045】
この場合、ブレーキ付与の遅延は、数秒の値に達し得る。
【0046】
全線の共通モードでのソフトウェア異常発生後、緊急ブレーキが要求された場合、地域列車の標準速度160km/hでは、1秒遅れるごとに停止距離が約44m長くなる。
【0047】
この考察から、距離Aの回復を制御するソフトウェア機能、およびそれが実行されるハードウェアは、緊急ブレーキと同じ安全レベルまで開発されなければならない、すなわち、サービスブレーキ制御ユニット202は、規格EN50128およびEN50129に従って、SILレベル≧3まで完全に開発されるべきという判断に至る。
【0048】
不利なことに、この要求は、安全レベルSIL≦2に準拠した現在の解決策において、既に非常に複雑でサービスブレーキ制御ユニットの開発および製造コストに大きな影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0049】
よって、本発明の目的は、車両、特に少なくとも1つの鉄道車両の電気機械ブレーキアクチュエータであって、保守位置におけるブレーキ力付与手段の不適切な導通を防止することができる電気機械ブレーキアクチュエータを提供することにある。
【0050】
したがって、本発明の他の目的は、最新の緊急ブレーキと互換性のある全ての安全要求を維持しつつ、ソフトウェア解決手段によって実施される、車両、特に少なくとも1つの鉄道車両のための電気機械ブレーキアクチュエータを提供し、電気機械ブレーキアクチュエータは、いくつかの実施形態では、距離A、すなわち、シュー及びホイール又はパッド及びディスクの消耗を回復する。
【0051】
本発明のさらなる他の目的は、ブレーキ力付与手段を安全に保守のための手順を有する電気機械ブレーキアクチュエータを提供することにある。
【0052】
上記及び他の目的及び利点は、本発明の一態様によれば、車両用、特に請求項1に規定された特徴を有する車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータによって、請求項9に規定された特徴を有する車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータによって、および請求項25に規定される特徴を有するブレーキシステムによって達成される。
【0053】
本発明の好ましい実施形態は、従属項に規定され、その内容は、本明細書の不可欠な部分として理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
次に、本発明に係る車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータのいくつかの好ましい実施形態の機能的及び構造的特徴について説明する。次の添付図面を参照する。
【
図1】従来技術に係る空気圧式ブレーキアクチュエータを示す。
【
図2】従来技術に係る電気機械ブレーキアクチュエータの機能図の非限定的な例を示す。
【
図3】ブレーキシュー、すなわち、ブレーキパッドに付与されるブレーキ力を、存在する1つ以上のブレーキ力伝達部材の直線移動量に関連付ける図を示す。
【
図4】電気機械ブレーキアクチュエータの実施形態を示す。
【
図5】電気機械ブレーキアクチュエータの代替の実施形態を示す。
【
図6】複数のブレーキアクチュエータを含むブレーキシステムの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の複数の実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明で示されるか、または図面に示される構成要素の構成の詳細および構成に、その用途に限定されないことを明らかにすべきである。本発明は、他の実施形態を想定し、実際には異なる方法で実施または構築することができる。また、表現および用語は、記述的な目的を有し、限定するものとして解釈されるべきではないことを理解されたい。「含む(include)」および「含む(comprise)」およびそれらの変形の使用は、以下に記載される構成要素およびそれらの均等物、ならびに追加の構成要素およびそれらの均等物を包含するものとして理解されるべきである。
【0056】
第1実施形態では、本発明に係る少なくとも1つの車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ400は、サービスブレーキ力要求電気信号203を受信し、その値がサービスブレーキ力要求電気信号203の関数であるブレーキ力制御信号204を生成するように構成されたサービスブレーキ制御ユニット202を備える。
【0057】
さらに、電気機械アクチュエータ400は、サービスブレーキ制御ユニット202によって生成されたブレーキ力制御信号204を受信し、その値がブレーキ力制御信号204の関数であるブレーキ力を生成するように構成された電気機械モジュール201を備える。また、電気機械モジュール201は、ブレーキ力制御信号204を介して電力を受け取るように構成される。この場合、信号204は、電力および制電力制御信号と考えることができる。
【0058】
加えて、電気機械アクチュエータ400は、電気機械モジュール201によって生成されたブレーキ力をブレーキ力付与手段217に伝達するように構成された少なくとも1つの力伝達部材206、211、216を備える。少なくとも1つの力伝達部材206、211、216は、並進軸Xtに沿って並進するように電気機械モジュール201によって制御されるように構成される。少なくとも1つの力伝達部材206、211、216を第1の付与方向に従って並進させると、ブレーキ力付与手段217によって付与されるブレーキ力が増大し、少なくとも1つの力伝達部材206、211、216を第1の付与方向とは反対の第2の付与方向に従って並進させると、ブレーキ力付与手段217によって付与されるブレーキ力が低減する。
【0059】
さらに、電気機械アクチュエータ400は、次のように構成された安全ユニット401を備える。
-その値が並進軸Xtに沿ったブレーキ力付与手段217の位置を示す電気位置信号受信し、
-ブレーキ力付与手段217の瞬間的な位置を、電気位置信号221から判定し、
-第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられたブレーキ力制御信号204が、次の場合に、電気機械モジュール201に到達するのを防止する。
a)電気位置信号221の値から、安全ユニット401は、ブレーキ力付与手段217がブレーキ力受容手段から第1の距離-Bの保守位置と、ブレーキ力受容手段218から第1の距離-Bより小さい第2の距離-Aの休止位置との間の力付与軸Xbに沿った位置にあると判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号221の経時的な変化に基づいて、ブレーキ力付与手段217が休止位置から保守位置に移動していると判定する。
【0060】
理解され得るように、並進軸Xtとブレーキ力付与軸Xbとは、一致しても、平行であっても、異なる平面に存在してもよい。
【0061】
好ましくは、安全ユニット401は、ブレーキ力付与手段217を保守位置とする必要がないことを示す第1の値をとり、ブレーキ力付与手段217を保守位置とする必要があることを示す第2の値をとるように構成された保守要求信号222を受信するように構成されてもよい。この場合、安全ユニット401は、次のように構成されてもよい。
-第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が、次の場合に、電気機械モジュール201に到達するのを防止する。
a)保守要求信号222は、その第1の値をとり、かつ、安全ユニット401は、電気位置信号221の値から、ブレーキ力付与手段217が保守位置と休止位置との間のブレーキ力付与軸Xbに沿った位置にあると判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号221の経時的な変化に基づいて、ブレーキ力付与手段217が休止位置から保守位置に移動していると判定する。
【0062】
好ましくは、安全ユニット401は、さらに、ブレーキ力付与手段217を保守位置とする許可の非確認を示す第1の値をとり、ブレーキ力付与手段217を保守位置とする許可の確認を示す第2の値をとるように構成された保守検証信号223を受信するように構成される。この場合、安全ユニット401は、次のように構成されてもよい。
-第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が、次の場合に、電気機械モジュール201に到達するのを防止する。
a)保守要求信号222と保守検証信号223との両方がそれぞれの第1の値をとり、安全ユニット401は、電気位置信号221の値から、ブレーキ力付与手段217が保守位置と休止位置との間のブレーキ力付与軸Xbに沿った位置にあると判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号221の経時的な変化に基づいて、ブレーキ力付与手段217が休止位置から保守位置に移動していると判定する。
【0063】
その他、または追加的に、安全ユニット401は、次のように構成されてもよい。
-第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が、保守要求信号222と保守検証信号223とが互いに異なる値をとり(すなわち、一致しない値、例えば、保守要求信号222がその第1の値をとり、保守検証信号223がその第1の値をとらず、または保守要求信号222がその第2の値をとり、保守検証信号223がその第2の値をとらず)、安全ユニット401が電気位置信号221から、ブレーキ力付与手段217が保守位置と休止位置との間のブレーキ力付与軸Xbに沿った位置にあると判定したとき、電気機械モジュール201に到達するのを防止する。
【0064】
その他、または追加的に、安全ユニット401は、次のように構成されてもよい。
-第1の遮断手段403を介して、保守要求信号222と保守検証信号223との両方がそれぞれの第2の値をとり、安全ユニット401が電気位置信号221からブレーキ力付与手段217が休止位置にあると判定したとき、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に到達することを許容する。
【0065】
さらに、安全ユニット401は、第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に到達することを、以下の場合に、防止するように構成されてもよい。
-保守要求信号222と保守検証信号223との両方がそれぞれの第2の値をとり、
-安全ユニット401は、電気位置信号221から、ブレーキ力付与手段217が保守位置にあることを判定する。
【0066】
好ましくは、電気機械ブレーキアクチュエータ400は、電気機械モジュール201によって生成されたブレーキ力の値を示す値であるブレーキ力指示電気信号213を生成するように構成された、力センサのような力センサ手段を備えてもよい。保守要求信号222のみが存在する実施形態では、サービスブレーキ制御ユニット202は、次いで、ブレーキ力指示電気信号213を受信するように構成されてもよく、ブレーキ力付与手段217が保守位置にあり、保守要求信号222がその第1の値をとるとき、
-安全ユニット401は、第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に、再度、到達することを許容するように構成され、
-サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204によって、ブレーキ力付与手段217を、ブレーキ力受容手段218に接するブレーキ付与位置とするように構成されてもよく、この場合、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力指示電気信号213がヌル値をとった後、非ヌル値をとる(すなわち、ヌル値から非ヌル値に変化した)ときに、ブレーキ力付与手段217がブレーキ付与位置に到達したと判定するように構成され、
-ブレーキ力付与手段217がブレーキ力受容手段218に接するブレーキ付与位置に到達すると、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217を所定のブレーキ付与位置から、再度、第2の距離-Aを有する新しい休止位置とするように構成されてもよい。
【0067】
保守要求信号222と保守検証信号223との両方が存在する実施形態では、ブレーキ力付与手段217が保守位置にあり、保守要求信号222と保守検証信号223との両方がそれぞれの第1の値をとるとき、
-安全ユニット401は、第1の遮断手段403を介して、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に、再度、到達することを許容するように構成されてもよく、
-サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217を、ブレーキ力受信手段218と接するブレーキ付与位置とするように構成されてもよく、この場合、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力指示電気信号213がヌル値をとった後、非ヌル値をとる(すなわち、ヌル値から非ヌル値に変化した)ときに、ブレーキ付与位置がブレーキ力付与手段217の位置と一致すると判定するように構成され、
-ブレーキ力付与手段217がブレーキ力受容手段218に接するブレーキ付与位置に到達すると、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217を、所定のブレーキ付与位置から、再度、第2の距離-Aを有する新たな休止位置とするように構成されてもよい。
【0068】
さらに、ブレーキ力指示電気信号213が非ヌル値をとった後、再度、ヌル値をとる(すなわち、非ヌル値からヌル値に変化した)とき、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力付与手段217がもはやブレーキ力受容手段218と接していないブレーキ解除位置と判定するように構成されてもよく、
サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力付与手段217を、ブレーキ力制御信号204を介して、所定のブレーキ解除位置から第2の距離-Aを有する新たな休止位置とするように構成されてもよい。
【0069】
第2実施形態では、車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータ400の電気機械モジュール201は、ブレーキ力制御信号204を介して電力供給を受ける代わりに、特別な電力供給信号405を介して電力供給を受ける。
【0070】
上記ケースでは、安全ユニット401が第1の遮断手段403’を介して、電力信号405が、次の場合に、電気機械モジュール201に到達するのを防止するように構成されることになる。
a)電気位置信号221の値から、安全ユニット401は、ブレーキ力付与手段217がブレーキ力受容手段から第1の距離-Bのサービス位置と、ブレーキ力受付手段から第1の距離-Bよりも小さい第2の距離-Aの休止位置との間のブレーキ力付与軸Xtに沿った位置にあると判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号221の値の経時的な変化に基づいて、ブレーキ力付与手段217が休止位置から保守位置に移動していると判定する。
【0071】
好ましくは、この第2実施形態についても、安全ユニット401は、保守要求信号222を受信してもよい。上記ケースでは、安全ユニット401が第1の遮断手段403’によって、次の場合に、電力信号405が電気機械モジュール201に到達することを防止するように構成されてもよい。
a)安全ユニット401は、電気位置信号221の値から、ブレーキ力付与手段217が保守位置と休止位置との間のブレーキ力付与軸Xtに沿った位置にあると判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号221の値の経時的な変化に基づいて、ブレーキ力付与手段217が休止位置から保守位置に移動していると判定する。
【0072】
好ましくは、この第2実施形態についても、安全ユニット401は、保守検証信号223を受信するように構成されてもよい。上記ケースでは、安全ユニット401は、第1の遮断手段403’によって、次の場合に、電力信号405が電気機械モジュール201に到達するのを防止するように構成されてもよい。
a)保守要求信号222と保守検証信号223との両方がそれぞれの第1の値をとり、安全ユニット401は、電気位置信号221の値から、ブレーキ力付与手段217が保守位置と休止位置との間のブレーキ力付与軸Xbに沿った位置にあると判定し、
b)安全ユニットは、電気位置信号221の値の経時的な変化に基づいて、ブレーキ力付与手段217が休止位置から保守位置に移動していると判定する。
【0073】
その他、または追加的に、安全ユニット401は、次のように構成されてもよい。
-第1の遮断手段403’を介して、保守要求信号222および保守検証信号223が互いに異なる値をとり(すなわち、一致しない値、例えば、保守要求信号222がその第1の値をとり、保守検証信号223がその第1の値をとらず、または保守要求信号222がその第2の値をとり、保守検証信号223がその第2の値をとらず)、安全ユニット401が電気位置信号221から、ブレーキ力付与手段217が保守位置と休止位置との間のブレーキ力付与軸Xbに沿った位置にあると判定したとき、電源信号405が電気機械モジュール201に到達することを防止する。
【0074】
その他、または追加的に、安全ユニット401は、次のように構成されてもよい。
-第1の遮断手段403’を介して、保守要求信号222と保守検証信号223との両方がそれぞれの第2の値をとり、安全ユニット401が電気位置信号221からブレーキ力付与手段217が休止位置にあると判定したとき、電力信号405が電気機械モジュール201に到達することを許容する。
【0075】
好ましくは、第2実施形態を参照して、安全ユニット401は、さらに、第2の遮断手段406を介して、安全ユニットが前記第1の遮断手段403’を介して電力信号405が電気機械モジュール201に到達することを防止するとき、サービスブレーキ制御ユニット202によって発せられるブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に到達するのを防止するように構成されてもよい。
【0076】
また、この第2実施形態では、電気機械アクチュエータ400は、電気機械モジュール201によって生成されたブレーキ力の値を示す値であるブレーキ力指示電気信号213を生成するように構成された力センサ手段212を備えてもよい。サービスブレーキ制御ユニットは、ブレーキ力指示電気信号213を受信するように構成されてもよい。
【0077】
保守要求信号222のみが存在するケースでは、ブレーキ力付与手段217が保守位置にあり、保守要求信号222がその第1の値をとるとき、
-安全ユニット401は、第1の遮断手段403’を介して、電力信号405が電気機械モジュール201に、再度、到達することを許容するように構成されてもよく、
-サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217をブレーキ力受容手段218と接するブレーキ付与位置とするように構成されてもよく、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力指示電気信号213がヌル値をとった後、ヌル値をとるときに、ブレーキ力付与手段217がブレーキ付与位置に到達したと判定するように構成され、
-ブレーキ力付与手段217がブレーキ力受容手段218に接するブレーキ付与位置に到達すると、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217を、所定のブレーキ付与位置から、再度、第2の距離-Aを有する新たな休止位置とするように構成されてもよい。
【0078】
保守要求信号222および保守検証信号223の両方が存在するケースでは、ブレーキ力付与手段217が保守位置にあり、保守要求信号222および保守検証信号223の両方がそれぞれの第1の値をとるとき、
-安全ユニット401は、第1の遮断手段403’を介して、電力信号405が電気機械モジュール201に、再度、到達することを許容にするように構成されてもよく、
-サービスブレーキ制御部202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217をブレーキ力受容手段218に接するブレーキ付与位置とするように構成されてもよく、ここで、サービスブレーキ制御部202は、ブレーキ力指示電気信号213がヌル値をとった後、非ヌル値をとる(すなわち、ヌル値から非ヌル値への変化した)とき、ブレーキ力付与位置がブレーキ力付与手段217が位置する位置と一致することを判定するように構成され、
-ブレーキ力付与手段217がブレーキ力受容手段218に接するブレーキ付与位置に到達すると、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217を、所定のブレーキ付与位置から、再度、第2の距離-Aを有する新たな休止位置とするように構成されてもよい。
【0079】
加えて、ブレーキ力指示電気信号213が非ヌル値をとった後、再度、ヌル値をとるとき、サービスブレーキ制御ユニット202は、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力付与手段217がもはやブレーキ力受容手段218と接していないブレーキ解放位置を判定するように構成されてもよい。ブレーキ力制御信号204を介して、ブレーキ力付与手段217を、所定のブレーキ解除位置から、再度、第2の距離-Aを有する新たな休止位置とするように構成されてもよい。
【0080】
さらに、前述の全ての実施形態に関して、電気位置信号221は、並進軸Xtに沿った少なくとも1つの力伝達部材206、211、216の位置を測定するように構成された位置センサ手段220によって生成されてもよい。その他、電気機械モジュール201は、少なくとも1つの回転機械部材を含んでもよく、電気位置信号221は、電気機械モジュール201の少なくとも1つの回転部材の角度位置および回転方向を測定するように構成された角度位置センサ手段によって生成されてもよい。
【0081】
さらに、上述の全ての実施形態を参照すると、電気機械アクチュエータ400は、少なくとも1つの緊急ブレーキに使用されるエネルギーを蓄積するように構成された緊急ブレーキエネルギー蓄積手段208を含む緊急ブレーキモジュール207を備えてもよい。この場合、緊急ブレーキモジュール207は、緊急ブレーキ要求信号210を受信し、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキを実行する必要性を示す値をとらないとき、蓄積されたエネルギーを緊急ブレーキ記憶手段208に解放しない第1の状態と、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキを実行する必要性を示す値をとるとき、蓄積されたエネルギーを緊急ブレーキ蓄積手段208に解放する第2の状態とをとるように構成されてもよい。
【0082】
さらに、上述の全ての実施形態を参照すると、安全ユニット401は、サービスブレーキ制御ユニット202が開発される安全度レベルSILよりも高い安全度レベルSILに従って開発されてもよい。さらに、安全ユニット401は、安全度レベルSIL≧3に従って開発されてもよい。さらに、安全ユニット401は、マイクロプロセッサおよび/またはFPGAを含んでもよい。
【0083】
以下、
図4を参照して、ブレーキアクチュエータ400の操作を、換言すれば、電気機械モジュール201がブレーキ力制御信号204を介して電力を受け取る実施形態を参照して詳細に説明する。
【0084】
この第1の例示的な実施形態では、電気機械ブレーキアクチュエータ400は、サービスと緊急ブレーキとの両方に提供される。
【0085】
電気機械ブレーキアクチュエータ400は、ブレーキ力制御信号204を受信し、その値が前記ブレーキ力制御信号204の関数であるブレーキ力を生成するように構成された第1のブレーキ力を生成する電気機械モジュール201を備える。
【0086】
電気機械モジュール201は、例えば、機械減速機231に限定的に接続されていない電気モータ230を備えてもよい。加えて、電気機械モジュール201は、回転運動から並進運動に変換する機械変換部材232を備えてもよい。この回転運動から並進運動に変換する機械変換部材232は、電気モータ230によって直接駆動されてもよく、場合によっては機械減速機231によって駆動されてもよい。回転運動から並進運動に変換する機械変換部材232は、電気機械モジュール201からブレーキ力付与手段217にブレーキ力を伝達するように構成された複数の力伝達部材206、211、216に、ブレーキ力を伝達するように構成されてもよい。ブレーキ力付与手段217は、少なくとも1つのブレーキ力付与装置217であってもよい。
【0087】
機械力伝達チェーンに沿って、例えば、機械テンシャルエネルギー蓄積素子または運動エネルギー蓄積素子のような緊急ブレーキエネルギー蓄積手段208を備える緊急ブレーキモジュール207が存在してもよい。
【0088】
本質的に、緊急ブレーキモジュール207は、電気緊急ブレーキ要求信号210によって制御され、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示さないとき、緊急ブレーキエネルギー蓄積手段208に蓄積されたエネルギーを緊急ブレーキのために放出しない第1の状態と、緊急ブレーキ要求信号210が緊急ブレーキの要求を示すとき、緊急ブレーキエネルギー蓄積手段208に蓄積されたエネルギーを放出して緊急ブレーキを付与する第2の状態とを有するように構成されてもよい。
【0089】
電気機械モジュール201は、電気機械モジュールに含まれる回転素子のうちの1つの角度位置の値を示す、少なくとも角度位置信号219を生成するように構成されてもよい。
【0090】
電気モータ230がBLDC型電気モータである場合、角度位置の値を示す少なくとも1つの角度位置信号219は、BLDC型電気モータ230のホールセンサによって生成される信号のみから構成されなくてもよい。
【0091】
その他、非限定的に、電気機械モジュール201に含まれる回転素子のうちの1つの角度位置の値を示す少なくとも1つの角度位置信号219は、電気機械モジュール201に含まれる回転機械素子のうちの1つの回転の量および方向を示す磁気センサによって生成される信号で構成されてもよい。
【0092】
さらに、
図4を参照すると、電気機械ブレーキアクチュエータ400は、電気機械モジュール201によって生成されるブレーキ力を測定し、ブレーキ力指示電気信号213を生成するように構成された力センサ手段212をさらに備えてもよい。ブレーキ力指示電気信号213の値は、第1のブレーキ力の値を示す。力センサ手段は、例えば、ロードセル型の力センサであってもよい。
【0093】
さらに、電気機械ブレーキアクチュエータ400は、電気機械モジュール201からブレーキ力付与手段217にブレーキ力を伝達するように構成された力伝達部材206、211、216の並進位置を測定するように構成された位置センサ手段220を備えてもよいが、これに限定されない。位置センサ手段220は、さらに、電気位置信号221を生成するように構成される。
【0094】
電気位置信号221の値は、ブレーキ力付与手段217の並進位置を示す。
【0095】
位置センサ手段220は、例えば、光学リニア位置センサ、LVDTリニアトランスフォーマ、又は磁気リニア位置センサであってもよい。
【0096】
さらに、電気機械ブレーキアクチュエータ400は、少なくとも以下を受信するように構成された第1のサービスブレーキ制御ユニット202を備えてもよい。
-サービスブレーキ力要求電気信号203
-電源205
-ブレーキ力指示電気信号213
-ブレーキ力付与手段217の並進位置を示す電気位置信号221
-電気機械モジュール201を構成する回転部品のうちの1つの角度位置を示す角度位置電気信号219
-ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を指示しない第1の状態と、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を指示し、ブレーキ力付与手段の保守を容易にする第2の状態とを有する、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段を交換する必要性を示す保守要求信号222
-ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認しない第1の状態と、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認する第2の状態とを有する、ブレーキ力付与手段217を交換する必要性の検証を示す保守検証信号223
【0097】
サービスブレーキ制御ユニット202は、さらに、ブレーキ力制御信号204を介して電気機械モジュール201を制御して、サービスブレーキ力要求信号203の値に対応する、すなわちその関数である、値を有するようにブレーキ力を生成するように構成されてもよい。
【0098】
さらに、サービスブレーキ制御ユニット202は、角度位置信号219によって示される角度位置の変化を積分し、電気機械モジュール201からブレーキ力付与手段217にブレーキ力を伝達するように構成された力伝達手段206、211、216の並進位置の値に変換する計算を行うように構成されてもよい。
【0099】
サービスブレーキを付与している間に、サービスブレーキ制御ユニット202がサービスブレーキ力をリセットする要求を受信した場合、サービスブレーキ制御ユニット202は、ブレーキ力指示電気信号213によって示される力の値を連続的に監視することによって、ブレーキ力を低減する。
【0100】
ブレーキ力の値を示すブレーキ力指示電気信号213がヌルブレーキ力の値を示す瞬間に、サービスブレーキ制御ユニット202は、次のように構成される。
-ブレーキ力付与手段217の並進位置を、静止距離-Aの計測用の「ゼロ」基準点として記憶し、
-少なくとも1つのブレーキ力制御信号204によって、電気機械モジュール201に、電気モータの回転方向を変更せずに、所定の回転速度で維持するように命令し、
-ブレーキ力付与手段217の並進位置の変動を連続的に監視し、並進位置は、ブレーキ力付与手段217の並進位置を示す電気位置信号221によって得られ、並進位置は、代替的に、電気機械モジュール201に含まれる回転機械部材のうちの1つに関連する角度位置信号219によって示される角度位置の変動を積分し、角度位置の変動をブレーキ力付与手段217の並進位置の値に変換する動作を実行することによって得られ、
-ブレーキ力付与手段217の並進位置が、第1の工程で記憶された「ゼロ」基準点に対して所定の許容範囲内で距離-Aに到達したとき、電気機械モジュール201に、所定の休止位置、すなわち距離-Aに到達したので回転を止めるように命令する。
【0101】
また、ブレーキ力付与手段217の並進位置が距離-Aに到達したとき、サービスブレーキ制御部202は、次のように構成される。
-保守要求信号222および保守検証信号223の状態を継続的に監視し、
-保守要求信号222がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を提示しない第1の状態にあるとき、または保守検証信号223がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認しない第1の状態にあるとき、サービスブレーキ制御ユニット202は、信号203を介して、新たなブレーキ力要求が到来するまで、いかなる動作も実行せず、
-保守要求信号222がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を提示する第2の状態をとり、かつ保守検証信号223がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認する第2の状態をとると同時に、サービスブレーキ制御ユニット202は、電気機械モジュール201に、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにするように命令し、例えば、ブレーキ力付与手段の保守を任務とする作業者がブレーキ力付与手段の摩擦手段を交換することを可能にし、
-前の状態から、すなわち、ブレーキ力付与手段217が保守位置-Bにあるとき、保守要求信号222がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を提示しない第1の状態をとり、かつ保守検証信号223がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認しない第1の状態をとるとき、サービスブレーキ制御ユニット202は、電気機械モジュール201に、ディスクブレーキの場合にはディスクに、または車輪ブレーキの場合には車輪に、ブレーキ力付与手段217を接触させるように命令する。
【0102】
ブレーキ力指示信号213がヌル値よりも大きいブレーキ力の値を示す瞬間、すなわち、ブレーキ力付与手段217がディスクブレーキの場合はディスクに、または、車輪ブレーキの場合は車輪に接触したことを示す瞬間、サービスブレーキ制御ユニット202は、前述の確認を、再度、実行して、休止位置-Aに到達させる。
【0103】
したがって、電気機械アクチュエータ400は、ブレーキ力付与手段217の保守後、ブレーキ力付与手段217の位置を正確に再設定する。
【0104】
電気機械ブレーキアクチュエータ400は、さらに、少なくとも次のものを受信するように構成された安全ユニット401を備える。
-ブレーキ力指示電気信号213
-ブレーキ力付与手段217の並進位置を示す並進位置を示す電気位置信号221
-電気機械モジュール201の回転部材のうちの1つの角度位置を示す電気角度位置信号219
-ブレーキ力付与手段217の摩擦手段の保守要求に対する保守要求信号222
-保守検証信号223
【0105】
サービスブレーキ制御ユニット202は、角度位置信号219によって示される角度位置の変化を積分する演算を実行し、それを電気機械モジュール201からブレーキ力付与手段217にブレーキ力を伝達するように構成された力伝達部材206、211、216の並進位置の値に変換するように構成される。
【0106】
図4の例では、安全ユニット401は、第1の遮断手段403(例えば、制御スイッチ、リレーのような遮断装置)を制御する制御信号402を生成して、電力も供給するブレーキ力制御信号204を遮断するか、または遮断しないように構成される。
【0107】
電力信号405およびブレーキ力制御信号204の両方が存在する場合、
図5の例を参照すると、安全ユニット401は、電力信号405を遮断または遮断しない第1の遮断手段403’を制御、および/またはブレーキ力制御信号204を遮断または遮断しない第2の遮断手段406(例えば、制御スイッチ、リレーのような遮断装置)を制御する制御信号402を生成するように構成されてもよい。
【0108】
ブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に電力を供給するとき、第1の遮断手段403は、制御信号402が電気機械モジュール201への制御および電力の遮断を命令しないとき、サービスブレーキ制御ユニットが少なくとも1つのブレーキ力制御信号204を介して、電気機械モジュール201に電力を供給および制御することを許容するように構成される。さらに、第1の遮断手段403は、制御信号402が電気機械モジュール201への制御および電力の遮断を命令するとき、少なくとも1つの制御信号204の遮断の瞬間に、電気機械モジュール201が伝達部材206をその現在位置に維持するように強制することによって、サービスブレーキ制御ユニットが少なくとも1つの制御信号204を介して、電気機械モジュール201に電力を供給および制御することを防止するように構成される。
【0109】
電力信号405が存在する場合、例えば、
図5を参照すると、第1の遮断手段403’は、代わりに、第1の制御信号402が電気機械モジュール201への電力を遮断するように命令しないとき、電力信号405を介して、電気機械モジュール201に電力を供給するように構成され、第1の制御信号402が電気機械モジュール201への電力を遮断するように命令するとき、電力信号405から来る電気機械モジュール201への電力を遮断し、少なくとも1つの制御信号および電力信号204の遮断の瞬間に、電気機械モジュール201に伝達アーム206を電流位置に維持するように、電気機械モジュール201を強制する。
【0110】
換言すれば、信号402を制御することによって、安全ユニット401は、サービスブレーキ制御ユニット202による電気機械モジュール201の制御を許容または防止してもよい。
【0111】
安全ユニット401は、ブレーキ力指示信号213を連続的に監視してもよい。ブレーキ力指示信号213がゼロより大きい力の値およびゼロのブレーキ力の値から変化する瞬間に、安全ユニット401は、次のステップを実行する。
-ブレーキ力付与手段217の並進位置の値を、休止距離-Aの計測用の「ゼロ」基準点として記憶し、
-ブレーキ力付与手段217の並進位置の変動を連続的に監視し、並進位置は、ブレーキ力付与手段217の並進位置を示す電気位置信号221によって得られ、並進位置は、代替的に、電気機械モジュール201に含まれる回転機械部品の1つに関連する角度位置信号219によって示される角度位置の変動を積分し、角度位置の変動をブレーキ力付与手段217の並進位置の値に変換する動作を行うことによって得られ、
-保守要求信号222および保守検証信号223の状態を継続的に監視し、
-ブレーキ力付与手段217の並進位置が距離-Aに到達し、その後、距離-Bに進むことによって絶対値を超えたとき、その時点で、保守要求信号222がブレーキ力付与手段217を距離-Bにする要求を提示していない第1の状態にあるか、または、その時点で、保守検証信号223がブレーキ力付与手段217を位置-Bにする許可を確認していない第1の状態にあるとき、安全ユニット401は、信号402に作用して、電気機械モジュール201用の制御信号204を遮断するか(ブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に供給する実施形態では)、または電気機械モジュール201用の電力信号405を遮断する(電力信号405が電気機械モジュール201に電力を供給する実施形態では)状態に、第1の遮断手段403’を切り替えて、電気機械モジュール201に、伝達アーム206を距離-Aに近い位置に維持させるが、緊急ブレーキを付与する準備ができるようにする。さらに、安全ユニット401は、エラー信号404を介して、エラー指示を送信し、
-ブレーキ力付与手段217の並進位置が保守位置-Aに到達し、その後、距離-Bに進むことによって絶対値を超えたとき、同時に、保守要求信号222がブレーキ力付与手段217を距離-Bにする要求を提示する第2の状態をとり、保守検証信号223がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認する第2の状態をとるとき、安全ユニット401は、いかなる動作も実行せず、サービスブレーキ制御ユニット202がブレーキ力付与手段217の全移動量を指令し、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段の交換のようなブレーキ力付与手段217の保守に必要な保守位置-Bをとることを許容する。保守位置-Bに到達すると、安全ユニット401は、信号402に作用して、第1の遮断手段を、電気機械モジュール201用のブレーキ制御信号204(ブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に供給する実施形態では)、または電気機械モジュール201用の電力信号405(電力信号405が電気機械モジュール201に供給する実施形態では)を遮断する状態に切り替えて、電気機械モジュール201に、伝達アーム206を保守位置-Bに維持させ、保守作業者が安全に操作することを許容し、ブレーキ力付与手段217の突然の不適切な動きから保護し、
-前の状態から、保守要求信号222がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を提示しない第1の状態をとり、保守検証信号223がブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする許可を確認しない第1の状態をとるとき、安全ユニット401は、信号402に作用して、第1の遮断手段403を、電気機械モジュール201用の制御電力信号204を遮断せず(ブレーキ力制御信号204が電気機械モジュール201に電力を供給する実施形態では)、または電気機械モジュール201用の電力信号405を遮断しない(電力信号405が電気機械モジュール201に供給する実施形態では)状態に切り替えて、上述の制御に従って、サービスブレーキ力制御モジュール202が休止位置-Aを回復することを許容する。
【0112】
電力信号405が電気機械モジュール201に供給されるとき、電力信号405が遮断されると、ブレーキ力制御信号204も遮断する第2の遮断手段406が設けられてもよい。
【0113】
安全ユニット401は、単純な監視、遮断、および警報機能を実行し、その結果、サービスブレーキ制御ユニット202よりも、実装に関してはるかに単純であることが明らかである。
【0114】
したがって、安全ユニット401を、サービスブレーキ制御ユニット202が開発されたSILレベルよりも高いSILレベル、すなわち、緊急ブレーキの適用と一致するSILレベルとともに、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段の交換のようなブレーキ力付与手段217の保守用のアクチュエータを、保守作業者が安全に操作し得るように必要な安全要求を開発することが好適である。
【0115】
上述のように、従来技術から、規格EN50126に従って実行される安全解析は、鉄道車両のサービスブレーキ用のHW-SW制御ユニットの開発に対して、安全レベルSIL≦2の適用を推奨することが公知である。
【0116】
安全ユニットをSIL≧3レベルに開発することは、有利には、SIL≧3安全レベルに従って実行される完全なサービスブレーキ制御ユニットの開発よりもはるかに低い開発コストで、摩擦材料の消費による完全な再生機能、および摩擦材料を同じSIL≧3レベルに維持する機能をもたらす。
【0117】
安全レベル経路をそのまま維持するために、保守検証信号223は、安全ユニット401が開発されたSIL安全レベルに等しいSIL安全レベルに設計されることが推奨される。
【0118】
図6を参照すると、さらなる態様では、本発明は、上述の実施形態または実施例のいずれかによる複数のブレーキアクチュエータ400を含むブレーキシステムに関する。ブレーキシステムは、有線又は無線の通信ネットワークのような通信手段501を介して、複数のブレーキアクチュエータ400に接続された制御ユニット500を含む。制御ユニットは、次を受信するように構成される。
-駐車ブレーキが付与されているか否かを示す駐車ブレーキ信号(502)
-車速を示す少なくとも1つの速度信号503
-その値がブレーキシステムの保守サイクルが要求されるか否かを示す保守信号504
【0119】
また、制御ユニット500は、次のように構成される。
-保守信号504が保守要求を示す値をとり、駐車ブレーキ信号502が駐車ブレーキが付与されていることを示す値をとり、速度信号503がヌル車速であることを示す値をとるとき、通信手段501を介して、電気機械アクチュエータ400のうちの少なくとも1つに送信されるべき、その第2の値を有する保守要求信号222を生成し、
-保守信号504が保守要求を示さない値をとり、駐車ブレーキ信号502が駐車ブレーキが付与されていないことを示す値をとり、速度信号503が非ヌル車速であることを示す値をとることの少なくとも1つが生じたとき、通信手段501を介して、複数の電気機械アクチュエータ400に送信するべき、その第1の値を有する保守要求信号222を生成する。
【0120】
各電気機械アクチュエータ400は、ユーザインターフェース手段503を含んでもよく、これを介して、ブレーキ力付与手段217に対する保守の実行に従事する従事者が保守検証信号223に、その第2の値をとらせて、ブレーキ力付与手段217を保守位置とさせ、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段の交換が完了した時のようにブレーキ力付与手段217に対する保守が完了すると、保守検証信号223に、その第1の値をとらせてブレーキ力付与手段217を休止位置とさせる。
【0121】
換言すれば、
図6を見ると、ブレーキシステムは、摩擦材料の保守サイクルの安全な実施のために提供された集中ブレーキ制御ユニット500によって管理される、上述のような複数のアクチュエータ400を備えてもよい。
【0122】
複数の電気機械アクチュエータ400は、通信手段501を介して、ブレーキシステム制御ユニット500に接続されてもよい。ブレーキシステム制御ユニット500は、駐車ブレーキが付与されていることを示す信号502と、車両速度を示す少なくとも1つの信号503と、ブレーキシステムに対する保守サイクルを実行する要求を示す信号504とを受信するように構成されてもよい。
【0123】
ブレーキシステム制御ユニット500は、システムブレーキに対する保守サイクルの実行の要求を示すブレーキシステム保守要求信号504がブレーキシステム保守サイクルの実行要求を示す状態をとり、駐車ブレーキが付与されたことを示す信号502が列車に付与された駐車ブレーキを示し、車速信号503がヌル速度を示すとき、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bとし、摩擦手段の交換を容易にする要求を提示する第2の状態において、ブレーキ力付与手段217の摩擦手段の保守を要求する保守要求信号222を生成するように構成される。
【0124】
各電気機械アクチュエータ400は、ユーザインターフェース503を備えることができ、それを介して、摩擦手段の交換のようなブレーキ力付与手段217に対する保守の実行を任務とする作業者は、保守検証信号223を、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bとする許可を確認するその第2の状態としてもよい。
【0125】
ユーザインターフェース503は、限定されないが、コンピューティング手段用のインターフェースを備え、インターフェースは、所定の安全コードの存在下で、ブレーキ力付与装置217を保守位置-Bとする許可を確認するその第2の状態に保守検証信号223をするように構成されてもよい。
【0126】
ブレーキシステム制御ユニット500は、一度に1つの電気機械アクチュエータ400のみに対して、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする要求を提示するその第2の状態において、保守要求信号222を生成するように構成される。
【0127】
このようにして、システムは、例えばブレーキ力付与手段217の摩擦材料の交換のために、ブレーキシステム制御ユニット500によって、一度に1つのアクチュエータ400のみが保守状態とされ得ること、およびローカルユーザインターフェース503の使用を介して、作業者のローカル同意のみが、保守用に送信された個々の電気機械アクチュエータ400を、ブレーキ力付与手段217を保守位置-Bにする状態に確実にもたらすことを保証する。
【0128】
加えて、保守位置-Bに到達すると、ユーザインターフェース505からキーを取り外す作業者の動作のみで、保守状態にあるアクチュエータ400がブレーキ力付与装置217をディスクまたはホイールに近づけることを許容し、作業者が安全に操作し得ることを保証する。
【0129】
鉄道車両または鉄道列車の分野に関して上記で説明したことは、例えば、一般車両、ゴムタイヤ付き車両、またはゴムタイヤ付き護送車分野等の他の分野においても同様の用途を見出し得る。
【0130】
本発明に係る車両用、特に少なくとも1つの鉄道車両用の電気機械ブレーキアクチュエータおよびブレーキシステムの様々な態様および実施形態について説明した。各実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせることができることを理解されたい。さらに、本発明は、記載された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲によって規定される範囲内で変更されてもよい。
【国際調査報告】