(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】歯ブラシ・システム
(51)【国際特許分類】
A61C 17/22 20060101AFI20230728BHJP
A46B 9/04 20060101ALI20230728BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
A61C17/22 B
A46B9/04
A46B15/00 H
A46B15/00 N
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502594
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 GB2021051781
(87)【国際公開番号】W WO2022013534
(87)【国際公開日】2022-01-20
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518054892
【氏名又は名称】プレイブラッシュ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】オグンシナ, トールロープ
(72)【発明者】
【氏名】グラジェコウスキ, ヴィクトル
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルガ, ポール
(72)【発明者】
【氏名】イットナー, マテーウス
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA06
3B202AB08
3B202AB26
3B202BC07
3B202BE09
3B202GA04
3B202GA16
(57)【要約】
歯ブラシ装置を開示する。この歯ブラシ装置は、当該歯ブラシ装置の動作を感知して動作データを作成する動作センサー(20)と、上記動作データを解析してブラッシング・データを作成する信号解析ユニット(32)を備える。光通信モジュール(38)は、光源(26)を用いて、上記ブラッシング・データを外部装置(30)に送信するように配設される。これにより、無線周波数の送信モジュールを提供する必要性なしに、かつ/もしくは、当該ユーザに視覚的フィードバックをさらに提供する光源(26)を用いて、上記ブラッシング・データを送信することができる。外部装置(30)は、画像データを作成するように配設されたカメラ(58)と、光源(26)の画像を処理して上記ブラッシング・データを取得するように配設されたプロセッサー(59)を備えてもよい。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシ装置であって、
前記歯ブラシ装置の動作を感知して動作データを作成する動作センサーと、
前記動作データを解析してブラッシング・データを作成する信号解析ユニットと、
光源と、
前記光源を用いて、前記ブラッシング・データを外部装置に送信する光通信モジュールと、を備える、ことを特徴とする歯ブラシ装置。
【請求項2】
前記光源は、可視光を発するように配設されることを特徴とする請求項1に記載の歯ブラシ装置。
【請求項3】
前記光源は、少なくとも1つのLEDを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の歯ブラシ装置。
【請求項4】
前記光通信モジュールは、前記光源の色度を変調するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項5】
前記光通信モジュールは、カラーシフト・キーイングを用いて、前記光源を変調するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項6】
前記光通信モジュールは、データ・ビットを事前に設定されたカラー群におけるカラーに写像するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項7】
前記装置は、前記カラー群におけるカラーを含む校正データを送信するように配設されることを特徴とする請求項6に記載の歯ブラシ装置。
【請求項8】
前記信号解析ユニットは、前記動作データを解析して、ブラッシングが行われているユーザの口腔の範囲を指示するデータを作成するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項9】
前記信号解析ユニットは、ブラッシング・セッションの間におけるブラッシング活動の概要を作成するように配設され、前記ブラッシング活動の概要は前記ブラッシング・データとして送信されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項10】
前記ブラッシング活動の概要は、ユーザの口腔の各範囲のブラッシングを行って費やした時間を指示することを特徴とする請求項9に記載の歯ブラシ装置。
【請求項11】
前記ブラッシング活動の概要は、ブラッシングの時間を指示する時刻の刻印を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の歯ブラシ装置。
【請求項12】
前記装置はメモリを備え、前記ブラッシング・データは前記メモリに格納されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項13】
前記装置は、前記ブラッシング・データを送信すべきであることを指示するユーザからの入力を検出し、前記入力を検出すると、該ブラッシング・データを前記外部装置に送信するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項14】
前記装置は、前記光源を照らすことにより、ブラッシング活動に関して、ユーザに視覚的フィードバックを提供するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項15】
前記装置は、それぞれがユーザの口腔の範囲に対応する複数の光源を備え、前記装置は、1つの光源に対応する前記口腔の範囲のブラッシングが所定の時間の長さで行われた場合に、その光源を照らすように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項16】
前記装置は、前記光源を用いることにより、ユーザに対して、ブラッシングの間にブラッシング活動に関する視覚的フィードバックを提供し、該同一の光源を用いて、ブラッシングの後に前記ブラッシング・データを前記外部装置に送信するように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項17】
前記光通信モジュールは、送信されるデータ内に白色光を注入して、ちらつきの出現を減少させるように配設されることを特徴とする先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置。
【請求項18】
先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置であって、前記信号解析ユニットは、
前記動作データから、ブラッシング動特性の推定値および平均加速度の推定値を作成する手段と、
前記ブラッシング動特性の推定値および前記平均加速度の推定値に基づいて、ブラッシングが行われている前記口腔の範囲の指示を作成する手段と、を備えることを特徴とする歯ブラシ装置。
【請求項19】
移動式処理装置であって、
画像データを作成するように配設されるカメラと、
前記画像データを処理するように配設されるプロセッサーと、を備え、
前記プロセッサーは、先行する請求項のいずれかに記載の歯ブラシ装置の前記光源の画像を処理して、前記ブラッシング・データを取得するように配設されることを特徴とする移動式処理装置。
【請求項20】
前記プロセッサーは、前記画像データにおけるカラーを事前に設定されたカラー群におけるカラーに写像することにより、送信されたデータを検出することを特徴とする請求項19に記載の移動式処理装置。
【請求項21】
前記プロセッサーは、校正データにおける送信されたカラーを用いて、前記画像データにおけるカラーを前記カラー群におけるカラーに写像するように配設されることを特徴とする請求項20に記載の移動式処理装置。
【請求項22】
前記プロセッサーは、前記画像データにおいて前記光源の画像を含む関連する範囲を特定するように配設されることを特徴とする請求項19から21のいずれかに記載の移動式処理装置。
【請求項23】
前記装置は、前記ブラッシング・データをバックエンド・サーバーに送信するように配設されることを特徴とする請求項19から22のいずれかに記載の移動式処理装置。
【請求項24】
歯ブラシ・システムであって、
請求項1から18のいずれかに記載の歯ブラシ装置と、
請求項19から23のいずれかに記載の移動式処理装置と、を備える、ことを特徴とする歯ブラシ・システム。
【請求項25】
歯ブラシ装置を用いて、ブラッシング活動を解析する方法であって、
前記歯ブラシ装置の動作を感知して動作データを作成し、
前記動作データを解析してブラッシング・データを作成し、
前記ブラッシング・データを用いて、光源を変調することにより、前記ブラッシング・データを外部装置に送信する、ことを含むことを特徴とする歯ブラシ装置を用いて、ブラッシング活動を解析する方法。
【請求項26】
カメラを備える移動式処理装置を用いて、前記光源の画像を作成し、前記画像を処理して、前記ブラッシング・データを取得する、ことをさらに含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラッシング動作を検出し、外部装置と通信することができる歯ブラシ装置、および、このような装置を含む歯ブラシ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシは、歯および歯肉を磨くために用いる口腔の衛生用器具であり、柄と頭部から成る。この頭部には、しっかりと密集した毛部が設けられ、当該柄の上に搭載されている。手動歯ブラシの場合は、ユーザがブラッシング動作を発生させる。
【0003】
電動歯ブラシは、歯および歯肉を磨くために、ブラシの頭部における毛部の振動を与える歯ブラシである。その振動は、直線的または回転式、あるいはそれら2つの組合せであってもよい。これらの振動は典型的には、バッテリーによって電力を供給されるモータまたは圧電結晶である。そのバッテリーは充電可能であってもよいし、誘導充電を通じて充電されてもよい。ブラシの頭部は典型的には、取外し可能なので、摩損したときに取り替えることができる。
【0004】
使用の際に、ユーザはこのような歯ブラシを口腔を通して動かして、歯にブラシをかける。歯ブラシの型式およびユーザのブラッシング技術に依存して、その動きは歯から歯への移動、かつ/もしくは、手動歯ブラシに類似したブラッシング動作を伴ってもよい。
【0005】
ユーザが良好な口腔の健康状態を保持するために、歯にブラシを適正にかけることは重要である。ユーザが歯にブラシをかけることを支援するために、ユーザが歯にブラシをどのようにかけているかを監視し、この情報をユーザに中継転送して戻す試みが行われている。
【0006】
ブラッシング技術を監視する以前の試みでは、動作センサーを歯ブラシに取り付けて、ユーザが歯にブラシをどのようにかけているかを監視することを含んでいた。多くの場合、その動作センサーからのデータは、アプリケーション(アプリ)またはコンピュータ・プログラムに転送され、例えば、携帯電話、タブレットまたは他の携帯式デバイスなどの外部装置上で作動される。次に、当該アプリまたはプログラムによって、ユーザが歯にブラシをどのようにかけたかに関して、そのユーザにフィードバックが提供される。
【0007】
例えば、特定事項が参照により本明細書に組み入れられているGB 2541416は、歯ブラシ保持器に嵌合された加速度計を有する手動歯ブラシ・システムを開示している。プロセッサーは、歯ブラシの向きを判定するように構成される。その向きの判定は、電子コンピュータ計算装置上でゲームを制御するための入力として用いることができる。
【0008】
特定事項が参照により本明細書に組み入れられているWO 2019/034854は、歯ブラシのブラッシング活動の指示を提供するための装置を開示している。その装置は、当該歯ブラシの動作から加速度データを作成するように構成された加速度計を備える。その加速度データを処理して、ブラッシングが行われている範囲を判定する。ブラッシング範囲の判定に基づいて、フィードバックをユーザに提供できる。
【0009】
特定事項が参照により本明細書に組み入れられているWO 2019/224555は、動作検出とBluetooth Low Energy (BLE) の相互通信能力を備える電動歯ブラシ装置を開示している。オンライン・モードで作動するとき、加速度データを解析して移動式デバイスに転送する。このデータが、当該移動式デバイス上で作動するアプリケーションによって、多様な種類のゲームまたは教示/管理指導プログラム用の制御入力として用いられる。一方、オフライン・モードで作動するときは、ブラッシングの統計値およびセンサー・データが本体搭載の不揮発性メモリに保存され、上述の移動式デバイスのアプリケーションによって、その後の検索および解析が行われることになる。これにより、ブラッシングの統計値および推奨に加えて、ブラッシングをより長く行う、かつ歯の全ての部位のブラッシングを行うような奨励をユーザに送ることができる。
【0010】
現存の歯ブラシ・システムでは、その歯ブラシ装置とスマートフォンまたはタブレットなどの移動式デバイスとの間のデータ通信の手段として、Bluetooth Low Energy (BLE)を用いる傾向がある。ほとんどの最新式移動式デバイスはBluetoothを具備しているので、現存の移動式デバイスは、ハードウェアに対する如何なる修正なしでも用いることができる。Bluetoothはさらに、何らかの他の無線周波数の送信技術と比較して、相対的に低コストであり、かつ相対的にエネルギー消費量が少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、歯ブラシ装置にBluetoothまたは類似した技術を用いて無線相互通信能力を備えることは、当該装置に余分のチップセットおよびアンテナを付加することを意味する。これにより、当該装置が大型になり、価格が上昇する。さらに、Bluetoothは、WiFiなどの他の無線周波数技術からの干渉を受け易くなり、接続の問題が生じ得ることが判明している。さらに、Bluetoothモジュールでは、その歯ブラシのバッテリー上に追加のドレインが設置される。それにより、各充電の間に行うことができるブラッシング量が少なくなったり、もしくは、より大きなバッテリーを用いることが必要になり得る。さらなる潜在的な問題は、Bluetoothの相対的に低いデータの安全性である。
【0012】
それ故、Bluetoothおよび類似した無線周波数技術と結び付けられた上記問題の少なくともいくらかを減じる、もしくは克服することができる歯ブラシ装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、歯ブラシ装置であって、
前記歯ブラシ装置の動作を感知して動作データを作成する動作センサーと、
前記動作データを解析してブラッシング・データを作成する信号解析ユニットと、
光源と、
前記光源を用いて、前記ブラッシング・データを外部装置に送信する光通信モジュールと、を備える、ことを特徴とする歯ブラシ装置を提供する。
【0014】
本発明によれば、前記光源を用いて、前記ブラッシング・データを外部装置に送信する光通信モジュールを提供することより、Bluetoothなどの無線周波数の送信モジュールを提供する必要性なしに、前記ブラッシング・データを送信することが可能になり得るという利点を提供できる。これにより、本歯ブラシ装置は、無線周波数の送信を用いる場合より低コストになり、小型化することが可能になり得る。さらに、前記ブラッシング・データを送信するとき、典型的な無線周波数の送信技術と比較して、エネルギー消費量を減少させ、データの安全性を向上させ、かつ/もしくは、データの送信速度を高めることが可能になり得る。
【0015】
前記光源は、可視光を発するように配設されることが好ましい。例えば、前記光源が、可視光(電磁放射線)をおおよそ780~375nmの間の波長で発するように配設されてもよい。これにより、上記データ送信用として、容易に利用できる構成成分を用いること、および、本歯ブラシ装置のユーザが、いつデータ送信が実行されているかに気づくことも可能になり得る。しかし、前記光源が、上記領域に加えて、もしくはその代わりに、電磁スペクトルの赤外または紫外部分内などの上記領域外の少なくともいくらかの構成成分を含む光を発することができてもよい。
【0016】
前記光源は、少なくとも1つのLED(発光ダイオード)を備えることが好ましい。例えば、前記光源が、少なくとも1つの三色LEDを備えてもよい。これにより、容易に利用でき、かつ安価な構成部品を用いて、カラーシフト・キーイング(CSK)などのカラー変調配色の利用が容易になり得る。あるいは、複数の異なるカラーの個別のLEDを用いることができる。さらに、LEDの代わりに、適切に変調できる任意の他の光源を用いることができる。
【0017】
前記光通信モジュールは、可視光通信モジュールであることが好ましい。その可視光通信モジュールは、LEDなどの可視光源を変調することによって、データを送信するように配設されてもよい。例えば、上記データを送信するために、前記光通信モジュールが、前記光源の強度および/または色度を変調するように配設されてもよい。
【0018】
好ましい一実施の形態では、前記光通信モジュールは、カラーシフト・キーイング(CSK)を用いて、前記光源を変調するように配設されてもよい。例えば、カラーシフト・キーイング(CSK)を用いて、LEDのカラー/明滅などの物理的表象にデータを変換してもよい。これにより、低エネルギーおよび費用効果の高い構成部品を用いて、相対的に高速のデータ速度を達成可能にし得る。
【0019】
前記光通信モジュールは、(CIE 1931色度空間などの)色度空間において、データ・ビットを事前に設定されたカラー群におけるカラーに写像するように配設されることが好ましい。そのカラー群におけるカラーの数量は、例えば、2,4,8または何らかの他の数量(例えば、より高い出力:2)であってもよい。一般的に、カラー(表象)の数量が大きくなると、データ速度が高まるが、そのシステムが復号エラーをよりこうむりがちになる。従って、用いるカラーの数量は、これら2つの間で均衡をとるように選択してもよい。
【0020】
前記装置は、前記カラー群におけるカラーを含む校正データを送信するように配設されてもよい。例えば、前記カラー群におけるカラーを含む校正パケットが送信され、もしくは、データ・パケットが前記カラー群におけるカラーを含む校正フィールドを有してもよい。これにより、受信者が受け取った表象を適正に見分け易くなり得る。例えば、受信者が知覚するカラーは、用いられる前記装置および/または周辺の照明の変化に依存して、多様になり得る。従って、1つまたは2つ以上の校正パケットを(例えば、定期的に)送ることにより、そのような多様性の埋合せをすることができる。
【0021】
前記信号解析ユニットは、前記動作データを解析して、ブラッシングが行われているユーザの口腔の範囲を指示するデータを作成するように配設されることが好ましい。これは、例えば、WO2019/034854において開示された技術を用いて達成し得る。これにより、前記装置のユーザに対して、ブラッシングが行われた、かつ/もしくは、行われている当該ユーザの口腔の範囲に関する情報を提供することが可能になり得る。このような情報は、例えば、ブラッシングの間に上記歯磨き装置自体を用いて、かつ/もしくは、ブラッシングの後に前記外部装置を用いて提供できる。
【0022】
前記信号解析ユニットは、ブラッシング・セッションの間におけるブラッシング活動の概要を作成するように配設されてもよい。この場合に、前記ブラッシング活動の概要は前記ブラッシング・データとして送信されてもよい。これにより、格納に対する要件を減少させ、より多くブラッシング・セッションを前記装置に格納させ、送信する必要があるデータ量を減少させることができる。例えば、前記ブラッシング活動の概要は、前記装置のユーザが自身の口腔の各範囲のブラッシングを行って費やした時間の指示を含んでもよい。それは、例えば、ブラッシングの報告の形態であってもよい。前記ブラッシング活動の概要はさらに、それに加えて、もしくは、その代わりに、ブラッシング圧力などの他のデータを含んでもよい。
【0023】
前記ブラッシング活動の概要は、ブラッシングの時間を指示する時刻の刻印を含んでもよい。これにより、ユーザのブラッシング履歴の格納が、例えば、前記外部装置上に、またはクラウド内に容易になり、当該ユーザに対して、そのユーザのブラッシング履歴に関する適切な情報を提供できる。
【0024】
前記歯ブラシ装置はメモリを備え、前記ブラッシング・データは前記メモリに格納されることが好ましい。例えば、前記ブラッシング活動の概要は、前記メモリに格納されてもよい。これにより、前記装置が、ブラッシング・セッションの完了後に、前記メモリに格納されたブラッシング・データを送信することができる。
【0025】
前記装置は、前記ブラッシング・データを送信すべきであることを指示するユーザからの入力を検出し、前記入力を検出すると、該ブラッシング・データ(例えば、メモリに格納された該ブラッシング・データ)を前記外部装置に送信するように配設されることが好ましい。例えば、前記歯ブラシ装置は、オン/オフボタンなどのボタンを設けてもよい。この場合に、前記装置では、そのボタンが所定の時間よりも長く(例えば、3または5秒間)押圧された時を検出し、これが検出されたときに前記データを送信するように配設されてもよい。
【0026】
データ送信の利用に加えて、前記歯ブラシ装置は、前記光源を照らすことにより、ユーザに視覚的フィードバックを提供するように配設されてもよい。例えば、前記光源が、ブラッシング活動、および/または、前記装置のスイッチがオンにされたか、前記装置の充電が必要か、または充電しているかなどの1つまたは2つ以上の他の作動態様に関して、視覚的フィードバックを提供してもよい。一例として、前記光源が、ブラッシングが行われている、またはブラッシングが行われたユーザの口腔の範囲、および/または、(合計の、または特定の範囲における)ブラッシング量、および/または、(即座に起こる、または蓄積した;総計した、または特定の範囲における)ブラッシング圧力を指示してもよい。
【0027】
一実施の形態では、前記歯ブラシ装置は、それぞれがユーザの口腔の範囲に対応する複数の光源を備えてもよく、各光源は、その対応する範囲におけるブラッシング活動に関して、当該ユーザにフィードバックを提供するように配設される。例えば、(LEDなどの)前記光源は、4つのセクターまたは任意の他のセクター数量に分割されたリング状に配設されてもよい。この場合に、前記装置は、1つの光源に対応する前記口腔の範囲のブラッシングが所定の時間の長さで行われた場合に、その光源を照らすように配設されてもよい。このような所定の時間の長さは、例えば、メモリに格納されている閾値であってもよく、かつ、(例えば、そのユーザまたは歯の健康状態に関する専門家がプログラムでき得るように)固定または変動されてもよい。
【0028】
上記口腔の各範囲のブラッシングを行って費やした時間の長さを、時間に亘って蓄積してもよく、かつ、各範囲に対する蓄積された時間の長さが上記閾値を超えたときに、該当する範囲に対応する光源を照らしてもよい。ユーザが自身の口腔の各範囲のブラッシングを必ずしも規則的に連続して行うわけではない以上、異なるブラッシングの傾向を考慮することができる。
【0029】
その代わりに、もしくはそれに加えて、前記光源が、ブラッシング圧力の指示を表示するように配設されてもよい。これは例えば、特定事項が参照により本明細書に組み入れられている、共に出願係属中の特許出願番号GB 1912787.7に記載されている。この文脈では、上記用語「ブラッシング圧力」は、その一般的な意味で好ましく用いられ、ユーザが上記ブラッシングの間に当該歯ブラシ頭部に働かせた力を示す。
【0030】
従って、前記装置は、前記光源を用いることにより、ユーザに対して、ブラッシングの間にブラッシング活動に関する視覚的フィードバックを提供し、該同一の光源を用いて、ブラッシングの後に前記ブラッシング・データを前記外部装置に送信するように配設されてもよい。これにより、フィードバックおよびデータ送信のために同一の構成部品の少なくともいくらかを用いることができるので、小型化かつ低コスト化がさらに可能になる。例えば、前記歯ブラシ装置が複数の光源を備え、各光源が、ユーザの口腔の対応する範囲におけるブラッシング活動に関するフィードバックを提供する場合では、それらの光源のうち、1つまたは2つ以上をさらに用いて、ブラッシング・データを送信できる。この場合に例えば、空間分割マルチプレクシング・多重化伝送を用いて、2つまたは3つ以上の光源が同一のブラッシング・データを送信でき、かつ/もしくは、2つまたは3つ以上の光源が異なるブラッシング・データを送信できる。その代わりに、もしくはそれに加えて、三色LEDなどの1つまたは2つ以上の別個のLEDを用いて、このようなデータ送信を行うこともできる。
【0031】
一実施の形態では、前記光通信モジュールは、送信されるデータ内に白色光を注入して、ちらつきの出現を減少させるように配設される。これは例えば、送信されるデータ内に「白色」の表象(すなわち、送信されるときに白色光の出現を与える表象)を、その適切な時刻に注入することによって達成できる。当該受信者は、復調する前に、この「白色」の表象を取り除くことができる。
【0032】
前記動作検出器は、代わりに他の型式の動作検出器を用いることもできるが、例えば、当該歯ブラシの動作から加速度データを作成するように構成された加速度計であってよい。
【0033】
前記信号解析ユニットは、前記動作データから、ブラッシング動特性の推定値および平均加速度の推定値を作成する手段と、前記ブラッシング動特性の推定値および前記平均加速度の推定値に基づいて、ブラッシングが行われている前記口腔の範囲の指示を作成する手段とを備えることができる。前記信号解析ユニットは例えば、特定事項が参照により本明細書に組み入れられているWO 2019/034854および/またはWO 2019/224555において開示されたものであってもよい。これにより、ブラッシングが行われている上記口腔の範囲に関する高精度の指示を作成することができる。
【0034】
さらに、対応する外部処理装置を提供することができる。従って、本発明の一態様によれば、画像データを作成するように配設されるカメラと、前記画像データを処理するように配設されるプロセッサーとを備え、前記プロセッサーは、上述の形態のいずれかに記載の歯ブラシ装置の前記光源の画像を処理して、前記ブラッシング・データを取得するように配設される移動式処理装置が提供される。
【0035】
本発明のこの態様によれば、カメラを備えた現存の処理装置を用いて、この装置に追加のハードウェアを備える必要性なしに、上記送信されたデータを受信できるという利点が提供される。
【0036】
前記移動式処理装置は例えば、携帯電話、タブレット、ラップトップ、パーソナル・コンピュータ、またはカメラとプロセッサーを備えた任意の他の適切な移動式デバイスであってよい。この装置は、そのプロセッサー上で作動するアプリケーション(ソフトウェア)を備え、そのアプリケーションが上記カメラから画像データにアクセスして当該画像データを処理することにより、前記ブラッシング・データを取得するように配設されてもよい。
【0037】
前記プロセッサーは、前記画像データにおけるカラーを事前に設定されたカラー群におけるカラーに写像することにより、送信されたデータを検出してもよい。この場合に、前記プロセッサーが前記カラーを、校正パケットなどの校正データにおける送信されたカラーを用いて、写像するように配設される。これにより、異なるまたは多様なカメラのフィルタ、および/または周辺の光の変動の埋合せをすることができる。
【0038】
前記プロセッサーは、前記画像データにおいて前記光源の画像を含む関連する範囲を特定するように配設されてもよい。これにより、前記データの効率的な検索を行うことができる。
【0039】
前記移動式処理装置は、前記ブラッシング・データをバックエンド・サーバーに送信するように配設されてもよい。これにより、さらなる処理を実行でき、かつ/もしくは、前記データのバックアップをとることができる。さらに、前記移動式処理装置は、情報を上記バックエンド・サーバーから受信するように配設されてもよい。これにより、追加の処理を実行でき、かつ/もしくは、追加の情報または更新情報をユーザに提供できる。
【0040】
前記移動式処理装置は、ユーザに対して、当該ユーザのブラッシング活動にあ関する情報を、例えば前記装置上のディスプレイを用いて提供するように配設されることが好ましい。例えば、前記移動式処理装置は、ユーザの口腔の表現を、ブラッシング時間および/またはブラッシング圧力を示すカラーで照明した異なる部分を用いて、表示するように配設されてもよい。これにより、ユーザに対して、当該ユーザのブラッシングの動きに関する自己洞察を提供できる。
【0041】
本発明の別の一態様によれば、上述の形態のいずれかに記載の歯ブラシ装置と移動式処理装置を備える歯ブラシ・システムが提供される。さらに、このシステムは、バックエンド・サーバーおよび/またはデータベースを備えてもよい。
【0042】
対応する方法がさらに提供される。従って、本発明の別の一態様によれば、前記歯ブラシ装置の動作を感知して動作データを作成し、前記動作データを解析してブラッシング・データを作成し、前記ブラッシング・データを用いて、光源を変調することにより、前記ブラッシング・データを外部装置に送信する、ことを含むことを特徴とする歯ブラシ装置を用いて実行される、ブラッシング活動を解析する方法が提供される。
【0043】
前記方法はさらに、カメラを備える移動式処理装置を用いて、前記光源の画像を作成し、前記画像を処理して、前記ブラッシング・データを取得する、ことを含んでもよい。
【0044】
本発明の一態様の特徴が、任意の他の態様と共に用いられてもよい。上記装置の特徴のいずれかが方法の特徴として提供されてもよいし、逆もまた同様である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】スマートな歯ブラシ・システムの概念を例示する。
【
図2】本発明の一実施の形態における歯ブラシ・システムの一部を示す。
【
図3】光のリングを備える歯ブラシ装置の一例を示す。
【
図4】本発明の一実施の形態における歯ブラシ装置の一部を示す。
【
図5】上記歯ブラシ・システムの重要な構成要素を示す線図である。
【
図6】ブラッシング・データを作成するために用いる上記歯ブラシ装置の一部を示す。
【
図7】送信に先立って、どのようにデータを塊ごとに分類、符号化、分解および変調できるかを例示する。
【
図9A】カラー空間の表現および可能性のある群表象の一例を示す。
【
図9B】カラー空間の表現および可能性のある群表象の一例を示す。
【
図10】データ・パケット構造、および、それがどのように物理的表象に変換されるかを例示する。
【
図12】データ検索のために用いる移動式デバイスの一部をさらに詳細に示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、単に例として、添付図面を参照して、本発明の好ましい特徴を説明する。
【0047】
図1は、スマートな歯ブラシ・システムの概念を例示する。
図1を参照して、本システムは、歯ブラシ装置と、外部処理装置と、バックエンド・プロセッサーと、データベースを備える。この歯ブラシ装置は、電動歯ブラシ、または手動あるいは電動歯ブラシに対する取付け装置の形態である。上記外部装置は典型的に、携帯電話、タブレット、ラップトップ、または類似した携帯式コンピュータ計算装置の形態である。上記バックエンド・プロセッサーとデータベースは典型的に、クラウド内の遠隔場所に配置したサーバーと格納装置を用いて実行される。
【0048】
図1の配設では、上記歯ブラシ装置は、歯磨きデータを取得し、何らかの最初のデータ処理を潜在的に実行し、次に当該データを上記外部装置に転送する能力を備える。この外部装置がさらなるデータ処理を実行し、かつ/もしくは、上記データを上記バックエンド・プロセッサーに渡してもよい。集めて1つになったデータを処理して、その外部装置上の当該ユーザに渡し得る有用な情報を抽出することができる。
【0049】
図1に示すようなシステムは典型的に、オンラインまたはオフラインのどちらのモードでも作動できる。オンライン・モードでは、上記歯ブラシ装置は、例えばBluetooth Low Energyを用いて(携帯電話などの)外部装置に接続される。この場合に、ブラッシングの間に捕捉されたブラッシング時間とデータは、この外部装置に直接に転送される。当該外部装置は次に、ブラッシングが行われているユーザの口腔の部位を検出するためのアルゴリズムを作動させることができる。
【0050】
他方で、オフライン・モードでは、外部装置に接続することなしに、上記歯ブラシ装置を用いることができるので、そのユーザにとってさらに便利になる。この場合に、歯磨きの間に捕捉されたブラッシング時間とデータは、上記歯ブラシ装置上に格納される。この格納されたデータは次に、BLEを介して携帯電話およびクラウドに転送され、さらなる処理と長期間の格納が行われる。しかしながら、この取組み方法には、上記歯ブラシ装置上に必要とされる格納の容量および上記BLEのプロトコルの送信制限という欠点がある。
【0051】
図1に示すような歯ブラシ・システムを接続する際に、上記歯ブラシ装置と外部装置の間の通信のために、Bluetooth Low Energy (BLE)が通常用いられる。Bluetoothは、短距離に亘る装置間のデータ交換に用いる無線技術規格である。ほとんどの最新式移動式デバイスはBluetoothを具備しているので、容易に利用できる通信手段を提供する。Bluetoothはさらに、何らかの他の無線周波数の送信技術と比較して、相対的に低コストであり、かつ相対的にエネルギー消費量が少ない。しかしながら、BLEまたは類似した技術を用いて無線相互通信能力を備えることは、上記歯ブラシ装置に余分のチップセットおよびアンテナを付加することを意味する。これにより、当該装置が大型になり、価格が上昇する。
【0052】
図2は、本発明の一実施の形態における歯ブラシ・システムの一部を示す。
図2を参照して、本システムは、
図1のシステムと同様に、歯ブラシ装置と、外部処理装置と、バックエンド・プロセッサーと、データベースを備える。しかしながら、
図2のシステムでは、この歯ブラシ装置は、ユーザのブラッシングデータを取得し、そのブラッシングデータを処理し、処理したデータを格納し、当該ユーザに情報を渡す能力を有する。さらに、上記歯ブラシ装置は、可視光を用いて、上記ブラッシングデータを上記外部処理装置に転送するように配設される。これにより、BLEなどの無線周波数送信の利用と結び付けられた上記問題のいくらかを克服することができる。
【0053】
図2のシステムでは、ブラッシングが行われているユーザの口腔の部位を検出するためのアルゴリズムが、上記外部処理装置から上記歯ブラシ装置自体に転送される。これにより、上記歯ブラシ装置は、当該ユーザの口腔のどの部位に対してブラッシングが行われているのかを識別できる。その結果、生のセンサー・データを格納するよりもむしろ、時間間隔毎にブラッシングが行われている歯の区分を時刻の刻印と共に格納することが可能になる。(生のセンサー・データと比較して)この短縮されたデータにより、より多くのブラッシング・セッションを格納し、上記外部処理装置に上記ブラッシングデータをより速く転送することができる。
【0054】
上記外部処理装置から上記歯ブラシ装置に上記ブラッシング・アルゴリズムを転送する別の利点は、リアルタイムのブラッシング・フィードバックを当該歯ブラシ上に直接に表示できるということである。
【0055】
多くの電動歯ブラシは、例えば、その歯ブラシが特定の長さの時間(例えば、30秒間)用いられているときに、そのモータを短時間停止することによって、フィードバックをユーザに与える。この種のフィードバックには、そのようなフィードバックがユーザの口腔の側部または部位を切り替える合図として役立つもので、ユーザが当該時間中に自身の口腔の1つの部位のみをブラッシングしていたと想定するという問題がある。実際は、ほとんどのユーザは自身の歯により少ない整然性でブラシをかけ、特定の長さの時間、自身の口腔の1つの部位のみに集中していない。
【0056】
好ましい一実施の形態では、光のリングを用いて当該歯ブラシ上に直接に視覚的フィードバックのシステムを実行することにより、上述の問題を取り扱う。
図3は、そのような光のリングを備える歯ブラシ装置の一例を示す。
図3を参照して、この歯ブラシは、光のリングに配設された複数のLED(発光ダイオード)を備える。この光のリングは4つの四分円弧部分に区分され、それぞれがユーザの口腔の部位(上部、左部、底部および右部)を表す。各四分円弧部分は、対応する部位のブラッシングが特定の長さの時間(例えば、30秒間)行われたときに照らされる。これにより、通常は起こらない場合である、ユーザが整然とブラッシングを行うと想定するよりむしろ、上記歯ブラシは、前後関係上の情報(時間および方向)を当該ユーザに渡すことができる。この様式のフィードバックは、上記ブラッシング・データを作成するためのアルゴリズムを上記歯ブラシ装置自体上に渡すということにより可能となる。
【0057】
一実施の形態では、上述のLEDは、三色LEDなどの多色LEDである。多色LEDは、3つの異なるカラーの(典型的に、赤色、緑色および青色の)LEDエミッターを1つのパッケージに含む。多色LEDを用いることにより、ブラッシングの状態に依存して異なるカラーを表示できる。例えば、交通信号灯システムを用いることができ、赤色は特定の範囲における不十分なブラッシングを示し、黄色はほぼ十分なブラッシングを示し、かつ、緑色はその範囲における十分なブラッシングを示す。さらに、多色LEDを使用することにより、可視光を用いたデータ送信が容易になるが、以下に説明する。
【0058】
その代わりに、もしくはそれに加えて、上述のLEDを用いて、例えばGB 1912787.7に記載されているように、異なる圧力を表すために異なるカラーを表示できる。
【0059】
図4は、本発明の一実施の形態における歯ブラシ装置の一部をさらに詳細に示す。
図4を参照して、歯ブラシ装置10は、取外し可能な歯ブラシ頭部12に取り付けられた電動歯ブラシの形態である。歯ブラシ装置10は、ブラッシング用モータ14と、充電可能なバッテリー16と、回路基板18とを収納するハウジングを備える。回路基板18上には、加速度センサー20と、プロセッサー22と、メモリ・チップ28とが、上記歯ブラシ装置を作動させるために用いる他の構成部品と共に設けられている。ボタン24が、この装置の電源をオンおよびオフにする、かつ、その設定を調整するために設けられている。さらに、LEDのリング26が設けられている。
【0060】
歯ブラシ装置10を作動させる際は、バッテリー16がブラッシング用モータ14に電力を供給して、歯ブラシ頭部12に振動を与える。加速度センサー20を用いて、歯ブラシ装置10の動きを感知し、加速度データを作成する。プロセッサー22がこの加速度データを処理することにより、歯ブラシ装置10のユーザが自身の歯のどの部位にブラシをかけているかを推定する。ブラッシング・データはメモリ28に格納される。当該ユーザに対して、LED26を用いて、そのユーザのブラッシングに関するフィードバックを、
図3を参照した上述の仕方で与える。
【0061】
あるいは、歯ブラシ装置10は、手動あるいは電動歯ブラシのどちらかに対する取付け装置の形態であってもよい。例えば、歯ブラシ装置10は、GB 2541416で開示されたような歯ブラシ保持器の形態であってもよい。この場合には、上記取付け装置に、その歯ブラシ自体よりむしろ、回路基板18とLED26を設けてもよい。
【0062】
図5は、上記歯ブラシ・システムの重要な構成要素を示すブロック図である。
図5を参照して、本歯ブラシ・システムは、歯ブラシ装置10と移動式デバイス30を備える。歯ブラシ装置10は、
図4に示す電動歯ブラシ、または、手動または電動歯ブラシに対する取付け装置の形態であってもよい。歯ブラシ装置10は、加速度センサー20と、信号解析モジュール32と、メモリ34と、タイマー36と、光送信モジュール38と、LED26を備える。信号解析モジュール32および/または光送信モジュール38は、
図4のプロセッサー22上で作動するソフトウェアを用いて、少なくとも部分的に実行される。メモリ34は、
図4のメモリ・チップ28に設けられてもよい。
【0063】
本歯ブラシ・システムの作動において、ユーザが自身の歯にブラシをかけると、加速度センサー20が、その歯ブラシの動きによって与えられる加速度データを収集する。信号解析モジュール32が、この加速度データに関する信号処理を実行することにより、当該ユーザがブラッシングを行っている自身の口腔の部位を特定し、ブラッシング・データを作成する。このブラッシング・データは、メモリ34に格納される。タイマー36を用いて、このブラッシング・セッションを計時する。当該ユーザがブラッシングしている間、
図3を参照した上述の仕方で、LED26を用いて、そのユーザに対して、そのブラッシングに関するフィードバックを与える。ブラッシング・セッションが一度完了すれば、光送信モジュール38を用いて、ブラッシング・データを歯ブラシ装置10から移動式デバイス30へ送信するが、以下に論じる。移動式デバイス30上で作動するアプリケーションを用いて、有用な情報を抽出し、その情報を当該ユーザに渡す。
【0064】
図6は、ブラッシング・データを作成かつ送信するために用いる歯ブラシ装置10の一部をさらに詳細に示す。
図6を参照して、装置10は、加速度センサー20と、フィルタリング・モジュール40と、クラスタリング・モジュール42と、メモリ34と、比較モジュール44と、制御モジュール46と、電流センサー47と、圧力検出器48と、および、光送信モジュール38と、LED26と、モータ14と、バッテリー16を備える。フィルタリング・モジュール40、クラスタリング・モジュール42、比較モジュール44、制御モジュール46および圧力検出器48は、
図5の信号解析モジュール32の一部であってもよい。
【0065】
歯ブラシ装置10の作動において、加速度センサー20が、その歯ブラシの動きによって与えられる加速度データを収集する。この加速度データは、フィルタリング・モジュール40に渡される。フィルタリング・モジュール40は、この加速度データのフィルタリングを行い、ブラッシング動特性Dの推定値および加速度Gの移動平均値を与える。フィルタリング・モジュール40の出力は、クラスタリング・モジュール42に供給される。クラスタリング・モジュール42は、フィルタリング・モジュール40から受け取ったデータに関してクラスタリング・プロセスを実行する。クラスタリング・モジュール42は、クラスタリング結果を作成し、その結果は格納のためにメモリ34に渡させる。
【0066】
フィルタリング・モジュール40とメモリ34は両方とも、比較モジュール44に接続されている。比較モジュール44は、フィルタリング・モジュール40からブラッシング動特性Dおよび加速度Gの移動平均値、かつ、メモリ34から格納されたクラスタリング結果を受け取る。比較モジュール44は、フィルタリング・モジュール40からのデ-タと、メモリ34からのクラスタリング結果を比較する。その比較の結果が向き信号Oであり、ユーザが自身の口腔のどの範囲にブラシをかけているかの指示を提供する。比較モジュール44は、その向き信号Oを制御モジュール46に渡す。制御モジュール46は、向き信号Oに基づいて、当該ユーザに対して、自身のブラッシングに関するフィードバックを提供する。これは、モータ14の速度を制御すること、かつ/もしくは、LED26を制御することにより行われてもよい。
【0067】
制御モジュール46はさらに、フィルタリング・モジュール40からブラッシング動特性Dの上記推定値を受け取る。制御モジュール46はさらに、そのブラッシング動特性Dの値に基づいて、フィードバックを提供して制御することができる。
【0068】
バッテリー16は、歯ブラシ頭部の振動を発生させるために、モータ14に電流を供給する。モータ14がバッテリー16から引き出す電流量は、電流センサー47によって測定される。感知された電流は、圧力検出器48に渡される。圧力検出器48は、この感知された電流に基づいて、圧力信号Pを作成する。圧力信号Pはさらに、制御モジュール46によって利用され、当該歯ブラシ頭部の振動を制御、かつ/もしくは、フィードバックを当該ユーザに提供してもよい。
【0069】
フィルタリング・モジュール40、クラスタリング・モジュール42、メモリ34、比較モジュール44、制御モジュール46、電流センサー47および圧力検出器48は例えば、本願の名において国際特許出願番号WO2019/034854 およびWO 2019/224551に記載されているようであってもよく、これら両方の特定事項は、参照により本明細書に組み入れられている。
【0070】
戻って
図5を参照して、信号解析モジュール32を用いて、ブラッシング・セッションの間に作成したブラッシング・データを生成する。これらのブラッシング・データは、メモリ34に格納される。各ブラッシング・セッションの後に、信号解析モジュール32は、ブラッシングの報告を生成し、この報告は、後の検索のためにメモリ34に格納される。そのブラッシングの報告は、ユーザが自身の口腔の各部位のブラッシングを行って費やした時間や、さらに口腔の各部位に潜在的に分割して、ユーザがどのくらい長く過大な圧力をかけたかなどの情報を含む。各ブラッシング・セッションの時刻は、タイマー36を用いて刻印される。双方向通信のための必要性なしに上記セッションの時刻を適正に刻印できるように、(例えば、装置のブート、最後の時刻合わせ、またはメモリ消去イベントから)追加の時間基準を上記データに含めてもよい。加えて、本装置を特有のIDによって特定できることは有用である。
【0071】
ブラッシング・データの送信速度および本装置上で収集できるデータ量をさらに改善するために、ブラッシング・セッションの要約を用いることができ、ブラシをかけている位置に応じて、当該ブラッシング・セッションの要約が可能になる。この場合に、そのブラシの位置を間隔毎に格納するよりもむしろ、ブラッシングの概要を対応する継続時間を有する各方向/区分を用いて格納する。この新しいフォーマットでは、ブラッシング・セッションは以下のように[t, L, R, U, D]として要約できる。
【0072】
t=基準時間からのずれとして格納されるブラッシング時間
L=左部にブラシをかけて費やした時間の長さを表す値
R=右部にブラシをかけて費やした時間の長さを表す値
U=上部にブラシをかけて費やした時間の長さを表す値
D=下部にブラシをかけて費やした時間の長さを表す値
【0073】
従って、この例では、おおよそ20バイトのデータを有するブラッシングの報告が各ブラッシング・セッションに対して格納できる。しかしながら、それに加えて、もしくは、その代わりに、ブラッシング圧力の値などの他のデータを格納でき、かつ、それに応じて、このブラッシングの報告の容量を変更してもよい。
【0074】
このようなブラッシング・セッションの要約は、転送速度を高め、かつ、当該歯ブラシ上に直接に格納できるブラッシング・セッションの数量を増加させる。
【0075】
本歯ブラシ装置を使用した後には、1つまたは2つ以上の時刻が刻印されたブラッシングの報告が、メモリ34に格納されている。当該ユーザがこれらのブラッシングの報告を移動式デバイス30にアップロードすることを望むときは、そのユーザが例えば、「ON」ボタン24を所定の時間(例えば、5秒間)よりも長く押して保持することによって、送信を開始する。このブラッシングの報告は次に、光送信モジュール38とLED26を用いて、メモリから検索されて移動式デバイス30に送信される。上記ブラッシングの報告と共に、当該装置IDおよびヘッダーが送信される。このヘッダーは時間の基準を含み、ブラッシング・モードまたはデータの長さなどの他のフィールドを加えて含んでもよい。当該データ全体に亘ってコンピュータで算出された追加のチェックサムが、付録として末尾に追加されて、端から端までの統合確認が可能になる。
【0076】
上記データを歯ブラシ装置10から移動式デバイス30に適正に送信するために、上記ヘッダー、ブラッシングの報告データ(ここでは、生データ・ビットと呼ばれる)およびチェックサムが、最初に塊ごとに分類、次に符号化、その後分解(送信プロトコル内にカプセル封入)、続いて変調される。このプロセスは、
図7に例示されており、光送信モジュール38によって実行される。
【0077】
最大限の塊の大きさは、パケット全体がせいぜい2つの連続したカメラ・フレーム内に嵌合するように選択される。これは、1フレーム当たり多数の表象を送信するためにローリング・シャッタ効果を活用するときに、いくらかの表象がフレーム間の空隙により失われるためである。1パケット当たり1つの空隙のみの場合は、当該受信者が、適正な数量の「プレースホルダー」表象を失われた表象の代わりに人為的に注入する。それにより、Reed-Solomonデコーダーを用いて、元のデータを首尾よく復元できる。この的確な塊の大きさは、表象の量、使用するECCバイトの数量、受信者のカメラ・パラメータ、および、抗ちらつき白色表象の注入量に依存する。
【0078】
図8は、一実施の形態における光送信モジュール38の一部を示す。
図8を参照して、光送信モジュール38は、符号化モジュール50と、分解モジュール52と、変調モジュール54と、PWM(パルス幅変調)制御モジュール56を備える。
【0079】
作動の際は、符号化モジュール50が信号解析モジュール32から上記生データのビットを受け取る。符号化モジュール50を用いて、その生データのビットを塊ごとに分類して符号化し、かつ冗長性を導入する。本システムでは、所定量のデータ損失があるが、この行程により、失われたビットの回復が可能になる。Reed-Solomonコードなどのエラー矯正コードをエラー矯正のために用いることができる。その符号化されたデータが、符号化モジュール50から分解モジュール52に送られる。
【0080】
分解モジュール52を用いて、上記符号化されたデータを束にしてパケットにする。これにより、本システムのデータ損傷に対する抵抗力がさらに強まるが、パケット内のデータを明確な開始および終了点で処理することによる。各パケットは、パケット・ヘッダーと、データとデリミターから成る。このパケット・ヘッダーは(データや校正パケットなどのパケット型式を示す)パケット・フラグと、パケットの大きさから成る。この後には、(エラー矯正コーディングからのパリティ・ビットを含む)上記符号化されたデータが続く。上記パケットは、パケット・デリミターの表象によって終了される。上記データ・パケットが、分解モジュール52から変調モジュール54に送られる。
【0081】
変調モジュール54を用いて、上記データ・パケットのビットを上述のLEDによる送信用表象に変換する。この実施の形態では、利用される変調配色はカラーシフト・キーイング(Colour Shift Keying:CSK)である。CSKは、データ送信用の多色LEDによって発される可視光の色度を変調する。これを達成するために、変調モジュール54は、上記分解されたビットをカラー空間(例えば、the International Commission on Illuminationが設定したCIE 1931カラー空間)におけるカラー群から(2または3ビットを表す)4つまたは8つのカラーの1つの上に写像する。従って、変調モジュール54の出力は、上記データの表象に対応する一連の色度値である。これらの値はPWM制御モジュール56に送られる。
【0082】
PWM制御モジュール56は、変調モジュール54からの上記色度値を、三色LED26を駆動させるためのRGB(赤色/緑色/青色)信号に変換する。これらの多様な色度値は、三色LED26における上記RGBのLEDのそれぞれの強度を変更することによって達成される。これは、各LEDの電源がPWM期間毎に(オフにされている場合に対して)オンにされている時間を変更することによって達成される。従って、三色LED26の出力は、上記データの表象に対応する(時間における)一連の異なるカラーである。
【0083】
図9Aは、上述のCIE 1931カラー空間の単色の表現である。それの外側の曲がった境界線は、ナノメートルのカラー波長を示す。
図9Aは群の三角形を示し、群の表象を設定するために用いられる。
図9Bは、可能性がある群の表象の一例を示す。この群の表象は、表象間の距離を最大限にして表象間の干渉が少なくなるように選択される。表象の数量をさらに増やせば、データ量が増加するが、本システムがさらに復号エラーをこうむりがちになる。それ故、使用する表象の数量は、これら2つの間で均衡をとって選択される。
【0084】
図10は、本発明の一実施の形態において、上記データ・パケット構造、および、それがどのように物理的表象に変換されるかを例示する。
図10では、各縞模様は、LED26が発する特定のカラーの光パルスを表す。
【0085】
加えて、校正パケットを生成して送信してもよい。校正パケットは、パケット・フラグと、上記データ・パケットで使用される全てのカラー表象から成る。それらは定期的に送り出され、当該受信者を、適正に際立って特徴的な受信される表象で援助する。これは、異なる製造者は異なるカメラ・フィルタを使用して、そのカメラによって知覚されるカラーを変え得るので、必要である。さらに周辺の照明の変化により、その受信者はカラーを異なって知覚することになる。
【0086】
所望されるなら、ローリング・シャッタ効果として知られているカメラ特性を用いて、1フレーム当たり多数の表象を送信することにより、上記データ量を増加できる。他方で、そのようなローリング・シャッタは、データが失われるフレーム間の時間であるフレーム間の空隙を導入するが、エラー矯正に対する必要性を高める可能性がある。
【0087】
上述のブラッシング・データを送信するために用いるLEDは、視覚的フィードバックをユーザに与えるために用いるLEDのうちの1つまたは2つ以上であってよい。例えば、そのLEDは、
図3に示す光のリングにおけるLEDのうちの1つまたは2つ以上であってもよい。これにより、現存の構成部品をデータ送信のために使用することができるので、コストおよび空間を節約できる。しかしながら、所望されるなら、三色LEDなどの別個のLEDをデータ送信のために用いてもよい。この場合には、そのデータ送信用LEDは、
図4に示す歯ブラシ装置10のハウジングの異なる部分に配置される。
【0088】
上記データを送信するために、(LEDのリングなどの)複数のLEDを用いる場合には、各LEDは同一あるいは異なるデータを送信してもよい。例えば、カラーシフト・キーイングに加えて、空間マルチプレクシング・多重化伝送を使用することができ、かつ/もしくは、上記LEDのうちの1つまたは2つ以上を校正パケットの送信用に使用することもできる。
【0089】
上述のように利用されるCSK変調配色は、例えば、特定事項が参照により本明細書に組み入れられているIEEE Standard for Local and metropolitan area networks 802.15.7: Short-Range Optional Wireless Communicationsが設定したものに基づいてもよい。
【0090】
図11は、データ検索用に用いる移動式デバイス30の一部を概略的に示す。
図11を参照して、移動式デバイス30は、カメラ58と、プロセッサー59と、これらに加えて、画像を表示して当該ユーザからの入力を受信するために用いるタッチスクリーン(図示せず)を備える。
【0091】
図12は、データ検索のために用いる移動式デバイス30の一部をさらに詳細に示す。
図12を参照して、移動式デバイス30は、カメラ58と、関連する部位(ROI)検出器60と、カラー空間変換モジュール62と、表象検出モジュール64と、復調モジュール66と、復号化モジュール68を備える。ROI検出器60、カラー空間変換モジュール62、表象検出モジュール64、復調モジュール66および復号化モジュール68は、デバイス30のプロセッサー59上で作動するアプリケーションまたは他のソフトウェアとして実行できる。カメラ58は、移動式デバイス30に組込み式の、かつ、上記ソフトウェアがアクセスするカメラであってもよい。
【0092】
データ検索は、移動式デバイス30上でカメラ58を上述の歯ブラシのLED26に向けることによって実行する。ROI検出器60は、カメラ58からRGB画像フレームを(典型的に、1秒当たり30フレームで)取得する。ROI検出器60は、例えば、画像内の一連のCSK表象を特定することによってLED26(関連する部位)を含む部位を検出する、画像処理アルゴリズムを含む。あるいは、当該ユーザは、LED26が(その画面上の箱などの)事前に設定された部位内に収まるように、カメラ58が向けられることを確実にする必要がある。LED26を含む上記関連する部位の画像は、ROI検出器60からカラー空間変換モジュール62に渡される。
【0093】
カラー空間変換モジュール62を用いて、ROI検出器60からの当該RGB画像を(the International Commission on Illuminationが設定したように)CIEカラー空間に変換する。これは、その輝度成分の変動の除去でさらに適合する。この変換した画像は表象検出モジュール64に渡される。
【0094】
表象検出モジュール64において、上記画像は、各パルスの画素を平均化することによって単一の次元に減じられ、当該コンピュータによる計算のオーバーヘッドが減少する。次に、その画像のカラーが、(上記校正パケットに含まれる)事前に設定されたCSK群からのカラー(表象)にカラー・マッチングを行われる。そのカラーのシーケンスが、パケット・デリミターのシーケンスを求めて調査され、そこから上記パケットが復元される。この復元プロセスの一部として、「プレースホルダー」の表象がフレーム間の空隙によって失われる表象の代わりに挿入される。これは、上記Reed-Solomonアルゴリズムがビット・エラーに対処(かつビット・エラーを含むデータを回復)できるが、(任意の位置で除去された)完全に失われたデータに対処できないためになされる。失われた(かつ挿入された)表象の数量は、パケット長さの表象からの長さと受信された表象の実際の数量を用いて算出できる。その(表象が失われる)フレーム境界線は知られている。次に、その表象は復調モジュール66に渡される。
【0095】
2つの主要な発生し得る(ビットの)エラーの源が存在する。それらは、上記群から当該受信したカラーを誤った表象に写像すること、および、さらに(復元後に)最終的に単にビット・エラーであるフレーム間の空隙によって表象を失うことである。適正に設計されたReed-Solomonコーディング(データのワード/塊の大きさに対するエラー矯正ワードの比率)は、パケット内の全てのエラーを矯正し、エラーが存在しない元の(塊の)データを提供できる。全てのパケットが適正に受信された後に、その送信全体の統合を当該含まれたチェックサムで確認することができる。
【0096】
信頼性を高めるために、当該送信器は、(当該受信者からボタンで、あるいはVLCフィードバックを潜在的に通して)停止するように指令を与えられるまで、上記送信全体を連続的に「同報通信する」もしくは「ビーム送信する」ように構成できる。これにより、上記受信者は受信したパケットを適正にバッファリングして、(RS復号が作動しなくなった)任意の損傷したパケットの(自動的な)再送信を、全てのパケットが復号化されて当該送信統合が確認されるまで待機できる。
【0097】
復調モジュール66において、上記表象は、当該群の設計に依存して対応するビットに復調される。この復調されたビットは、復号化モジュール68に渡される。復号化モジュール68で、エラーの矯正を含むデータ復調が実行されることにより、当該生のデータ・ビットが復元される。
【0098】
復調モジュール66において、上記表象は、当該群の設計に依存して対応するビットに復調される。この復調されたビットは、復号化モジュール68に渡される。復号化モジュール68で、エラーの矯正を含むデータ復調が実行されることにより、当該生データのデータビットが復元される。上記生データが一度復元されたなら、ブラッシング・セッションの報告が移動式デバイス30上で当該ユーザに対する表現、および/または、クラウドにおける長期の格納のために利用できる。例えば、移動式デバイス30は、その画面上に当該ユーザの口腔の表現を、ブラッシング時間および/またはブラッシング圧力を示すカラーで照らされた異なる部位で表示してもよい。これにより、上記ユーザに対して、自身のブラッシングの動きに対する自己洞察を提供できる。
【0099】
上述のようなCSKシステムにおいて、その光源によって伝播される時間で平均化された光の強度は、概して一定である。しかしながら、その色度の急速な変化により、当該ユーザが知覚する光にちらつきを与え得る。このことが、ユーザに対する悪しき体験となり、癲癇を有する個人にとって潜在的に問題となる可能性がある。
【0100】
上述のシステムの変形では、そのような知覚される光のちらつきを減少あるいか除去する行程がとられる。これは、白色光を特定の時点に注入し、伝播が原因のちらつきの代わりに、まさに存在しているかのような安定した白色光の幻影を創作することによって達成できる。一実施の形態では、光送信モジュール38によって、「白色」の表象(すなわち、伝播されるときに白色光の出現を与える表象)が、送信されるデータ内に適切な時間に注入される。必要とされる白色表象の注入の数量は、その表象の量に依存し、当該表象の量が増加すると減少する。これは、知覚されるカラーが時間のフレームで見られる全ての表象の平均であり、より多くの表象が平均化して(一様な)白色光になるためである。白色表象が、上述の変調行程後に上記送信器によってランダムに一様に挿入(かつ復調前に受信者によって除去)されてもよい。あるいは、白色表象が、最初に同一と最も類似した(受信者が見分けることが最も困難な)表象の間に挿入されてもよい。それにより、表象(境界線)の検出作業が簡素化して表象のエラー量が減少する。
【0101】
所望されるなら、データをさらに反対方向に(移動式デバイス30から本歯ブラシ装置に)送信してもよい。これは、例えば、移動式デバイス30の画面、またはその組込み式カメラ・フラッシュを明滅し、かつ、本歯ブラシ装置上の光検出器を用いてその明滅を検出す
【0102】
上述の歯ブラシ・システムでは、本歯ブラシ装置上のLEDおよび移動式デバイス30上のカメラなどの現存の構成部品を用いて、ブラッシング・データを本歯ブラシ装置から移動式デバイス30に転送できる。これは、Visible Light Communication(VLC)などの光学無線通信技術の利用を通じて達成される。これにより、BLEなどの無線周波数技術を利用する場合と比較して、本歯ブラシ装置が低コストになり、小型化することができる。
【0103】
Visible Light Communication(VLC)にはさらに、無線通信で利用可能なものよりも著しく高い300THzを超える使用許可が不要である通信を有するという利点がある。容量が少ないことに加えて、電波は利用過剰なので、干渉の問題が生じる可能性がある。ユーザはこれを、例えば、浴室で起こりがちなWi-Fi接続が容易でない場所でBLEを用いて、スマートな歯ブラシを移動式デバイス30に接続しようとするときに認知できる。ほとんどの電話機は、BLEに対してWi-Fiを優先させる。これは、類似した周波数帯を共有するので、当該BLE信号の損失になってしまう。データ送信でVLCを利用すれば、この問題を克服できる。
【0104】
VLC技術を利用する別の利点は、光は壁を通過できないので、ローカル・ネットワーク上の安全性を高めることである。光波は、妨害能力を制限する見通し線に対する固有の要求のために、電波よりも安全性が高い。
【0105】
上述では、本発明の好ましい特徴を、多様な実施の形態を参照して説明している。しかし、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、細部の変更が添付した請求の範囲内でなされてもよい。
【国際調査報告】