(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】エアロゲル含有絶縁層
(51)【国際特許分類】
D06M 11/79 20060101AFI20230728BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20230728BHJP
D06M 15/263 20060101ALI20230728BHJP
D06M 15/327 20060101ALI20230728BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20230728BHJP
【FI】
D06M11/79
D06M15/564
D06M15/263
D06M15/327
B32B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502714
(86)(22)【出願日】2021-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2021067157
(87)【国際公開番号】W WO2022012887
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020118734.3
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520018406
【氏名又は名称】アウトラスト テクノロジーズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュスター,フォルカー
(72)【発明者】
【氏名】ザウア,ステファン
【テーマコード(参考)】
4F100
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4F100AA20A
4F100AA20H
4F100AK23A
4F100AK25A
4F100DE04A
4F100DE10A
4F100EH46
4F100GB07
4F100JJ02
4L031AB31
4L031AB34
4L031BA20
4L033AB04
4L033AC11
4L033CA18
4L033CA29
4L033CA50
4L033DA03
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)を物品(10)に塗布する方法であって、絶縁層(20)は、エアロゲル粒子(22)と、少なくとも1つの結合剤(24、34)とを含み、コートされる物品(10)を提供するステップと、エアロゲル粒子(22)を、粉末状結合剤(24)及び/又は粉末状固体(32)、例えば、膨張ガラスの粒子と混合して、粒子混合物(26)を得るステップ(S100)と、粒子混合物(26)を、コートされる物品(10)上に散布、吹き付け又は吸引することにより、粒子混合物(26)を、コートされる物品に塗布するステップ(S200)と、粒子混合物(26)と物品(10)の複合体を提供するために、少なくとも1つの(20)の少なくとも1つの結合剤(24、34)を活性化するステップ(S400a-g)とを含み、エアロゲル粒子(22)は、粒子混合物(26)の5~95重量パーセントの割合で、粒子混合物(26)に含まれる、方法に関する。本発明はまた、例えば、物品(10)に少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)を塗布することにより、物品(10)上に散布、吹き付け又は吸引することにより、それらを塗布するために、エアロゲル粒子(22)の取り扱いの容易さを改善する方法であって、エアロゲル粒子(22)を、塗布ステップ(S200)の前に、エアロゲル粒子(22)の取り扱いの容易さを改善するために、粉末状結合剤(24)及び/又は粉末状固体(32)、例えば、膨張ガラスの粒子と混合して(S100)、粒子混合物(26)を形成する、方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)を物品(10)に塗布する方法であって、前記絶縁層(20)は、
エアロゲル粒子(22)と、
少なくとも1つの結合剤(24、34)と
を含み、
コートされる前記物品(10)を提供するステップと、
前記エアロゲル粒子(22)を、粉末状結合剤(24)及び/又は粉末状固体(32)、(例えば、膨張ガラスの粒子)と混合(S100)して、粒子混合物(26)を得ることと、
前記粒子混合物(26)を、コートされる前記物品(10)上に散布することにより、前記粒子混合物(26)を、コートされる前記物品に塗布することと(S200)と、
前記粒子混合物(26)の前記物品(10)へ結合するために、前記少なくとも1つの絶縁層(20)の前記少なくとも1つの結合剤(24、34)を活性化すること(S400a-g)と、
のステップを含み、
前記エアロゲル粒子(22)は、前記粒子混合物(26)の5~95重量パーセントの割合で、前記粒子混合物(26)に存在する、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)を物品(10)に塗布する方法であって、前記絶縁層(20)は、
エアロゲル粒子(22)と、
少なくとも1つの結合剤(24、34)と
を含み、
コートされる前記物品(10)を提供するステップと、
前記エアロゲル粒子(22)を、粉末状結合剤(24)及び/又は粉末状固体(32)、(例えば、膨張ガラスの粒子)と混合(S100)して、粒子混合物(26)を得ることと、
前記粒子混合物(26)を、コートされる前記物品(10)上に散布、吹き付け又は吸引することにより、前記粒子混合物(26)を、コートされる前記物品に塗布すること(S200)と、
前記粒子混合物(26)の前記物品(10)へ結合するために、前記少なくとも1つの絶縁層(20)の前記少なくとも1つの結合剤(24、34)を活性化すること(S400a-g)と、
のステップを含み、
前記エアロゲル粒子(22)は、前記粒子混合物(26)の5~95重量パーセントの割合で、前記粒子混合物(26)に存在し、
前記物品(10)は、前記少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)が塗布される織物表面を含む、方法。
【請求項3】
前記方法は、前記エアロゲル粒子(22)と予め混合されていない結合剤(34)を、前記物品(10)に塗布するステップ(S550)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、前記結合剤を活性化(S400a-g)及び/又は硬化(S600)するために、前記粒子混合物及び/又は前記コートされる物品を熱による加熱をすることを含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
追加の保護層(28)を、前記絶縁層(20)の少なくともある領域に塗布することができる、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記物品(10)は、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)が塗布される織物表面を含む、請求項1、3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記粒子混合物(26)を、前記織物表面に塗布するステップに続いて、さらなるステップ(S300)において、前記追加の保護層(28)を、前記粒子混合物(26)の提供された前記物品(10)の領域に少なくとも塗布し、前記保護層(28)は、前記織物表面にニードル加工、プレス加工及び/又は結合加工されることができる不織布を特に含む、請求項2又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記エアロゲル粒子(22)は、SiO
2エアロゲルを含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記エアロゲル粒子(22)は、疎水性表面基を有する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の方法により、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(2)の物品(10)への塗布のために、例えば、エアロゲル粒子(22)を、前記物品(10)に塗布できるようにするために、前記エアロゲル粒子(22)の取り扱いの容易さを改善する方法であって、
前記エアロゲル粒子(22)を、塗布ステップ(S200)の前に、前記エアロゲル粒子(22)の取り扱いの容易さを改善するために、粉末状結合剤(24)及び/又は粉末状固体(32)、例えば、膨張ガラスの粒子と混合して、粒子混合物(26)を得る、方法。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の方法により、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層(20)を備えた物品であって、前記絶縁層は、エアロゲル粒子(22)及び少なくとも1つの結合剤(24、34)を含む、物品。
【請求項12】
前記絶縁層(20)は、前記物品の外面に塗布されている、請求項11に記載の物品(10)。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の物品(10)の、断熱、防火、消音、電気的絶縁の分野、及び/又は気体、蒸気及び液体の吸収の分野における、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゲル含有絶縁層(insulation layer)を物品に塗布する(applying)方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁層は、断熱(thermal insulation)(熱絶縁(heat insulation)とも称す)に、その他、固体伝播音の遮音や足音遮音、又は振動遮音に役立つ。
【0003】
ポリスチレン、ポリオレフィン及びポリウレタンをベースとする従来の断熱材料又は固体伝播音及び足音遮音材料は、発泡剤、例えばCFC、CO2又はペンタンを使用して製造される。また、発泡剤として空気を使用することも知られている。発泡体の気泡に組み込まれた発泡剤は、高い絶縁能力に役立つ。しかしながら、このような発泡剤は、徐々に大気中に放散していくので、環境を汚染する。鉱物繊維ウール又はガラス繊維ウールに基づく他の固体伝播音及び足音遮音材料は、その製造、組み立て及び分解の過程で、それらの耐用年数にわたって、繊維及び/又は繊維断片を放出する。これは、環境の汚染につながり、これらの物質で作業したり、これらの物質に曝露される人の健康が損なわれる。これまでに、エアロゲルは、上記のような欠点を有していないため、特に、断熱のための新規な絶縁材料として有用であることが見出されている。
【0004】
建物断熱の分野における断熱マットに関連して、例えば、20~90重量パーセント(wt%)のエアロゲルを有する第1の断熱マットを有する多層マットシステムを提供することが知られている。エアロゲルとは、ここでは分散媒として空気を用いて形成されたゲルを指す。これは、それらの乾燥方式に関して異なる3種類のエアロゲルを含む。
【0005】
例えば、より狭い意味でのエアロゲルは、特性臨界点を上回る蒸発によって(すなわち、臨界蒸発温度を上回る温度で、及び/又は臨界圧力を上回る圧力で)乾燥される湿潤ゲルを指す。これは、毛細管圧力を引き起こさず、液体が除去されるとき、僅かな収縮が予想される。
【0006】
対照的に、例えば、液体-蒸気境界相を形成するために亜臨界条件下で乾燥される湿潤ゲルは、キセロゲルと呼ばれる。ここで、材料は、非常に小さい孔径と共に、高表面積を有する高い気孔率を有する。
【0007】
加えて、エアロゲルという用語には、さらに、凍結乾燥プロセスで得られた乾燥ゲル生成物も含まれるものとする。これらは、通常、クリオゲルと呼ばれる。
【0008】
乾燥方式にかかわらず、エアロゲルの典型的な構造は、ゾル-ゲル転移中に形成される。固体ゲル構造の形成後、外側形状は、粉砕、例えば、研削によってのみ変えることができる。この材料は、他の大半の成形モードでは脆性すぎる。
【0009】
先行技術は、有機エアロゲルと無機エアロゲルの両方を含む多数の異なるエアロゲル組成物を開示している。無機エアロゲルは、酸化ケイ素(シリカ)、カーバイド及びアルミナ等の金属酸化物をベースとすることが多い。一方、有機エアロゲルは、カーボンエアロゲル及びポリマーエアロゲル、例えば、ポリアミドエアロゲルを含む。
【0010】
典型的に、非常に良好な断熱特性を有するエアロゲルは、例えば、0.01g/cm3~0.3g/cm3という特に低い密度を有する。そのような材料は、標準的な条件下、すなわち、20℃の室温及び1013.25hPaの平均大気圧で、12mW/mK以下の熱伝導率を有する。しかしながら、それらの低密度のために、純粋なエアロゲル及びエアロゲル粒子は極めて脆く、同時に、さらなる処理での取り扱いが困難である。
【0011】
従って、先行技術は、エアロゲル(エアロゲル複合体)を含む複合材料の製造のための多種多様な異なる解決策を開示しており、例えば、繊維強化エアロゲル層は、アクリル結合剤によってプレート上に塗布される(特許文献1)、又は含浸法によって自由流動性ゾル-ゲル溶液中で強化繊維のマトリックスに塗布される(特許文献2)。後者の解決策の場合は、含浸後、塗布されるゾル-ゲル溶液は、それでも、断熱能力に重要なエアロゲルの所望の気孔が破壊されないように、乾燥されなければならない。従って、このようなマットの製造は、比較的複雑である。
【0012】
当該技術分野において既知のさらなる代替の解決策は、粒子形態のエアロゲルを提供し、例えば、化学結合剤を用いてそれを層又は表面に結合させること(特許文献3参照)、エアロゲル粒子を熱可塑性繊維との複合材料に組み込むこと(特許文献4)、又はエアロゲル粒子を湿潤剤で湿潤させて、それらを繊維及び水と共にスラリー又は溶液に入れた後、乾燥させて複合布を得ること(特許文献5及び6)である。これに関連して、特許文献7も参照されたい。
【0013】
先行技術の特許文献8は、エアロゲル含有複合体を製造するための特定の方法を記載している。この解決策は、特に、機械的強度の改善された複合体を製造することを意図している。記載された方法の文脈において、提供される原料は、出発材料の総重量の3~80重量%の量の繊維及び出発材料の総重量の10~75重量%の量のエアロゲル粒子であり、これらは、第1の空気流中で互いに混合される。これは、後に製造される複合体の機械的強度を増加させる、特に、均質な混合物を製造することを意図している。混合物に、又は混合前に、さらなる原料として化学結合剤を添加することが可能である。特定の実施形態において、混合原料が塗布され、この層と一緒に圧縮される不織布又はフェルトの層を、複合体はさらに含む。
【0014】
実際には、エアロゲル粒子がそれ自体の低重量の結果として、空気中のあらゆるところに広がるので、混合プロセスは、密閉された作業室内で行われなければならないことが見出された。これは、特に、空気流を使用する混合プロセスによって促進される。従って、このプロセスは、安全な作業環境を可能にし、同時に効率的な混合を確実にするために、高価な装置を必要とする。
【0015】
特許文献9には、熱可塑性繊維材料及びエアロゲル粒子を含む繊維ウェブの少なくとも1つの層を有する複合体がさらに記載されている。ここでもまた、最初の課題は、エアロゲルの高い気孔率がゲル(エアロゲルが乾燥される)とエアロゲル自体の両方の低い機械的安定性をもたらすことである。ここでの解決策は、エアロゲル粒子を、部分的に溶融した熱可塑性繊維に結合させることである。さらに、部分的に溶融した熱可塑性繊維は、繊維を強固化(consolidate)安定したウェブを形成するときに、互いに結合するようになる。
【0016】
繊維ウェブは、ステープル繊維を使用して製造される。ウェブが、公知の方法、すなわちウェブ製造プロセスによって広げられ(laid)ている間、ペレット化されたエアロゲルは、ペレットの非常に均一な分布を確実にするように注意を払って、散布によって導入される。これは、従来の散布装置によって達成される。匹敵する方法が、特許文献10から同様に知られている。しかしながら、ここでもまた、密閉された作業室内でのみ散布が可能であったり、エアロゲルペレットは、空気中の望ましくない分布を回避し、制御された塗布とするために、十分に大きく、重いものでなければならない。
【0017】
これらの公知の先行技術のプロセスは、繊維ウェブへのエアロゲルの導入に限定され、エアロゲルは、製造方法中に形成される際、ウェブ中に直接散布される。
【0018】
さらに、特許文献11及び12に、エアロゲル複合体の製造方法が記載されており、エアロゲル粒子は、結合剤(特許文献11)又は接着剤(特許文献12)及び、任意で、繊維と混合される。複合体は、好ましくは、3つの層を含み、その中間層はエアロゲル含有である。少なくとも1つのエアロゲル含有層中のエアロゲル粒子の割合は、5~97体積パーセント(体積%)の範囲内とする。少なくとも1つのエアロゲル含有層中の結合剤は、エアロゲル粒子を結合又は包囲するマトリックスを形成し、少なくとも1つのエアロゲル含有層を通して、場合によっては、複合体全体を通して連続相を形成する。結合剤は、例えば、接着剤又はプラスチック又は複合繊維であってもよく、結合剤は、好ましくは、その熱伝導特性をできる限り損なわないよう、多孔質エアロゲル粒子の内部に浸透しないものとする。一実施形態において、エアロゲル粒子に結合剤を噴霧して塗布することができる。代替的に又は追加的に、エアロゲル粒子及び、任意で、繊維を、結合剤と混合してもよい。
【0019】
織物製造の分野において、特許文献13は、約0.1~15重量パーセント(以下、重量%)のエアロゲル粒子の割合及び85~99.9重量%のポリマーの割合の合成繊維を製造する方法を開示している。エアロゲル粒子及びポリマーはここでは互いに混合され、共押出しされるか、又は何らかの他の方法で形成されて、中間体を得る(例えば、ペレットを得る)。
【0020】
実際には、上記の製造方法だと、特に、エアロゲル粒子の取り扱いが、それ自体の低重量のために工業的処理において問題があるので、非常に不便であり、費用がかかることが見出されている。さらに、エアロゲルは、記載された多数の方法において、その製造中に最終製品に導入されるか、又は適用される。これは、適用分野を制限するものであり、エアロゲル含有層を後で最終物品に適用するは不可能である。
【0021】
あるいは、エアロゲルを、溶液中で最終製品に塗布し、その後、エアロゲルの断熱特性を確実に損なわれないようにする、複雑な乾燥方法で乾燥しなければならない。これに関連して、特許文献14も参照されたい。
【0022】
さらに、繊維製造において、エアロゲルの組み込みは、問題があり、比較的割合が低い場合に限定され、これはまた、最終の織物の断熱特性の有効性も制限する。
【0023】
全く異なる技術分野、すなわち、特許文献15の開示による金属表面の粉末コーティングにおいて、ポリマー粒子と組み合わせた炭素エアロゲル粒子の使用が知られており、ここで、粒子は互いに混合され、コートすべき管の表面上に噴霧され、その直後にレーザ光によってはんだ付けされる。粒子混合物は、ここでは、例えば、内管の第1の金属構造体と、例えば、外管の第2の金属構造体との間の隙間をつなぐ働きをする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】国際公開第2007/086819号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0094426号
【特許文献3】米国特許第6485805号
【特許文献4】米国特許第6479416号
【特許文献5】国際公開第2006/065904号
【特許文献6】国際公開第2014/004366号
【特許文献7】米国特許出願公開第2008/0287561A1号
【特許文献8】国際公開第2012/013817号
【特許文献9】ドイツ出願公開第195 48 128A1号
【特許文献10】欧州特許出願公開第0 799 353B1号
【特許文献11】ドイツ出願公開第197 02 240A1号
【特許文献12】欧州特許出願公開第0 850 206B1号
【特許文献13】米国特許出願公開第2018/0313001号
【特許文献14】米国特許出願公開第2016/0138212A1号
【特許文献15】米国特許出願公開第2017/0225276A1号
【特許文献16】国際公開第94/25149号
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】R. Iler, The Chemistry of Silica, Wiley & Sons, 1979
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
これらの欠点の少なくともいくつかに対処するために、本発明は、請求項1の特徴を有する解決策を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
従って、本発明に従って提案されるのは、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層を請求項1に記載の物品に塗布する方法である。あるいは、本発明に従って提案されるのは、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層を請求項2に記載の物品に塗布する方法である。
【0028】
両方法に共通することは、絶縁層がエアロゲル粒子及び結合剤を含むことである。本方法は、コートされる物品を提供するステップと、エアロゲル粒子を、粉末状結合剤及び/又は粉末状固体、例えば、膨張ガラスの粒子と混合して、粉末状粒子混合物を提供するステップと、エアロゲル粒子をコートされる物品上に散布させることによって、粉末状結合剤及び/又は粉末状固体(粒子混合物)と混合されたエアロゲル粒子をコートされる物品に塗布するステップと、物品への結合を提供するために、少なくとも1つの絶縁層の結合剤を活性化するステップとを含む。粒子混合物は、粒子混合物の5~95重量%の割合でエアロゲル粒子を含む。
【0029】
請求項2によれば、物品は、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層が塗布される織物表面を含む。上述の散布と同様に、請求項2によれば、粉末状結合剤及び/又は粉末状固体(粒子混合物)と混合されたエアロゲル粒子を、コートされる物品上に吹き付けるか又は吸引することも可能である。
【0030】
本発明によれば、本方法によって製造された物品又は製品は、後に絶縁層が提供される。「層」という用語は、ここでは閉じた表面を指すのではなく、エアロゲル粒子を含む粒子混合物の(隙間を残すような)部分的な塗布も含む。本発明によれば、断熱に特に関与するエアロゲル粒子は、製造方法の過程で物品に導入される必要はないが、その後、結合剤を用いて物品に塗布されてもよい。このように、絶縁層の後の塗布は、先行技術から知られている解決策と比較して、本発明の塗布範囲を著しく増大させる。必要であれば、このようにして、複数の絶縁層を塗布することも可能であることが理解される。
【0031】
少なくとも1つの絶縁層は、エアロゲル粒子と結合剤の両方を含む。以下に詳述するように、結合剤は、例えば、塗装又はナイフコーティングによって、及び/又は粉末混合物としてエアロゲル粒子との混合物中で、物品に別々に塗布することができる。
【0032】
加えて、本発明の特徴は、本発明の粒子混合物中のエアロゲル粒子が、散布、吹き付け、又は吸引によって塗布されることであると考えられる。前述したように、エアロゲルの重要な利点は、それらが非常に良好な絶縁特性を有することであると考えられる。これらは、特に、例えば、0.01g/cm3~0.3g/cmの範囲内で変化するエアロゲル材料の低密度から生じる。しかしながら、それらの低密度のために、純粋なエアロゲル及びエアロゲル粒子は極めて脆く、同時に、さらなる処理において取り扱うことが困難である。
【0033】
特別な前処理なしに表面上に散布させようとすると、表面への制御された塗布を可能にするには、自重が不十分である。代わりに、低密度であるために、それらは、空気中に分布し、また、塵粒子のように、堆積する前に、空気流がないと仮定すると、比較的長期間、空気中に浮遊する。所望の方法での工業的処理/塗布は、可能であるとしても、非常に限られた程度にしか可能でない。さらに、実際には、市販エアロゲル粒子、例えば、エアロゲル-シリケート粒子は、それらを収容するプラスチック容器の内壁に、例えば、静電気の発生が低い場合でさえ、固着する傾向があり、その結果、工業的処理における取り扱いはやはり著しく複雑であることが見出された。この目的のために、粒子自体の低重量は、低い静的引力の場合でさえも接着を可能にすることにも関与する可能性がある。
【0034】
従って、本発明によるエアロゲル粒子は、コートされる物品への塗布前に、粉末状結合剤及び/又は粉末状固体の粒子と混合される。混合状態のエアロゲル粒子は、脱着可能に添加された粉末の粒子に付着する。これに関与する因子には、機械的付着を補助する粒子表面上の微細構造が含まれる。場合によっては、電荷力及びファンデルワールス力の差もまた、支持効果を有する。結果として、エアロゲル粒子は、粒子混合物の付着粒子によって押し下げられ、エアロゲル粒子と添加粉末の粒子との混合物は、重量を利用した制御された方式で、かつ言及されている低すぎる密度の悪影響や欠点なしに、コートされる物品の表面上に塗布、特に、散布される。粒子混合物はそれ自体が粉末状であるので、単位面積当たりのエアロゲル粒子の非常に正確な投与量を達成することができ、絶縁層中の粒子混合物は、物品特性、特に、織物の場合の柔軟性、表面粗さ等の表面特性に関して、最終物品のユーザにとって著しい悪影響をもたらすことはない。
【0035】
散布は、現在まで、実際に最も単純な解決であることが見出されているが、散布の代替としては、粒子混合物の増加した重量が、純粋なエアロゲル粒子と比較して取り扱いに有利であることが見出されているため、粒子混合物の吹き付け又は吸引(コートされる表面が通気性の場合)による塗布もまた、エアロゲル粒子の塗布のために使用される。
【0036】
粒子の混合は、様々な異なる方法で、任意の種類の混合装置を用いて、例えば、混合される粒子が導入され、粒子の混合のために動かすことのできる密閉混合容器中で行うことができる(回転、並進、振動、及びそれらの混合形態が考えられる)。加えて、撹拌要素を混合容器内に設けることもでき、これも混合容器に対して動かすことができる(ここでも、回転、並進、振動、及びこれらの混合形態が考えられる)。エアロゲル粒子の低密度を考慮して、他に考えられる変形例は、混合容器中で加熱空気を用いて混合することであり、特に、空気流中での混合は、特に均質な混合結果のために利用することができ、活性化温度を上回る規定された空気温度の場合には、任意で、結合剤粒子の表面の活性化のために利用することができる(以下で、想定される実施形態として説明する)。混合操作は、粒子混合物中のエアロゲル粒子が、所望の、ほぼ均一な分布となるまで行われる。ここで、混合操作は、その持続時間を介して、又は、例えば、混合装置の混合動作の速度又は性質を介して、制御することが可能である。
【0037】
添加される粒子は、粉末状結合剤の粒子であってもよい。結合剤は、ここでは狭い意味での化学結合剤だけでなく、より広い意味では、他の物質の相境界で化学結合を確立する又は促進する物質、あるいは、凝集や、吸着及び接着や、摩擦等の効果を引き起こす、増加させる物質も意味すると理解される。それらは、吸収、吸着、保持、架橋又は結合することによって物質を結合する。従って、一般に接着剤と呼ばれる物質も含む。さらに、本発明の結合剤は、複数の結合剤を有する結合剤系を含んでもよい。
【0038】
熱伝導率が低い結合剤は、断熱を達成するために、本発明において好ましい。コートされる物品が、その主な機能として、たとえ、断熱性を有しておらず、遮音材とする場合、例えば、異なる結合剤が好ましい場合もある。結合剤は、コートされる物品の所望の特性に従って選択される。例えば、コートされる物品に対して最大の有利性を有する火災クラスを達成するために、特に低い可燃性を有するか又は不燃性である結合剤を選択することも可能である。例えば、特定の用途のためにシリコーン樹脂接着剤を使用することが可能である。
【0039】
本発明によれば、結合剤は、エアロゲル粒子に加えて固体粉末の形態で使用される。同様に添加される粒子が粉末状であることにより、関連する利点、特に、エアロゲル粒子の正確な計量可能性が維持される。これはさらに、粉末状結合剤の粒子が、多孔質エアロゲル粒子の内部に実質的に浸透せず、従って、所望の絶縁特性を著しく損なわないという効果を達成する。代替的に又は追加的に、上述したように、エアロゲル粒子及び他の粉末粒子を含む、散布によって後に塗布される粉末混合物を物品表面に結合させるために、結合剤を物品に直接塗布することもできる。
【0040】
従って、本発明における結合剤は、例えば、1成分接着剤を物理的又は化学的に硬化させるか、及び2成分又は多成分接着剤を化学的に硬化させるかのいずれかである。このような結合剤の例としては、ホットメルト接着剤、分散系接着剤、溶剤系接着剤、プラスチゾル、熱硬化性エポキシ樹脂、酢酸ビニル共重合体及びポリアミド等の反応性ホットメルト接着剤、ホルムアルデヒド縮合物、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、シアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリエチレンワックス、嫌気性接着剤、湿気硬化性シリコーン及び光硬化系とUV硬化系、メタクリレート、二成分シリコーン、冷硬化性エポキシ樹脂、並びに冷硬化性ポリウレタンが挙げられる。
【0041】
さらに、本発明における結合剤は、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA、例えば、Degalan(登録商標)、Plexiglas(登録商標))、シクロオレフィンコポリマー(COC、例えば、Topas(登録商標))、ポリビニルブチラール(例えば、Mowital(登録商標))、ポリカーボネート及びポリエチレンテレフタレート(PET、例えば、Hostaglas(登録商標))等の透明又は半透明プラスチックであってもよく、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール及びポリメチルメタクリレートが好ましい。
【0042】
加えて、本発明における結合剤は、性質的に、繊維状、例えば複合繊維であってもよい。
【0043】
エアロゲル粒子及び粉末状結合剤及び/又は粉末状固体の粒子を含む粒子混合物は、少なくとも5~95重量パーセントのエアロゲル粒子、好ましくは、5~70重量パーセント、より好ましくは、30~65重量パーセント、特に、40~60重量パーセントの粒子混合物を含む。
【0044】
絶縁層は、言及した材料に加えて、さらなる材料及び物質も含み、例えば、特定の特性を達成するために、追加量の結合促進剤、潤滑剤、色素、可塑剤又は硬化促進剤を使用することが可能である。例えば、最大の有利性を有する火災クラスを達成するために、当業者に知られている材料及び方法、例えば、難燃剤、防火塗料及びコーティング、膜及び積層を使用することが可能である。特に、これは、少なくともエアロゲル粒子が塗布された領域を、外部の影響、例えば、機械的摩耗等から保護することができ、塗布されたエアロゲル粒子に塗布することができる保護層を含むこともできる。
【0045】
粉末状結合剤の粒子の代替として、又は、さらに、粒子混合物はまた、別の粉末状固体の粒子、例えば、膨張ガラス粒子等を含有していてもよい。膨張ガラスの使用は、この材料が製造するのに比較的安価であり、使用時に多くの利点を伴うという利点を有する。膨張ガラスは、再生ガラスから得られ、軽量コンクリート、軽量レンダー(render)、軽量レンガモルタル、断熱パネル、断熱床、石膏ベースボード、カーテンウォールシステム、及び装飾ペイントの製造に既に使用されている。膨張ガラスは、小さなガス充填気孔を有する膨張ガラスであり、0.04~16mmの粒径で製造することができる。ペレット化された材料は、閉じた格子構造を有する。同様のプロセスで製造されるが、プレス下で圧縮される鋭利な破断(破砕)膨張ガラスとは対照的に、膨張ガラス(ペレット)は、多用途の方法での処理を可能にする球体/丸い粒子からなる。膨張ガラスの床は、非常に軽量であり、それにもかかわらず、耐圧性、断熱性、耐アルカリ性及び不燃性であり、高い耐久性を有し、げっ歯類、害虫及び真菌によって攻撃されない。
【0046】
想定される一実施形態において、エアロゲル粒子と粒子形態で混合された結合剤が同時に、エアロゲル粒子をコートされる物品に結合するために使用されてもよい。当該結合剤は、特に、熱による加温(warming)又は加熱(heating)によって活性化及び/又は硬化することができるものである。しかしながら、他の活性化機構が使用される代替構成も同様に考えられる。
【0047】
一実施形態において、例えば、粒子の混合前、混合中、及び/又は混合後に、粒子混合物又は結合剤粒子を活性化、特に加熱することが可能である。これは、結合剤粒子を粘着性にし、エアロゲル粒子への接着を改善する。それでも、混合物は加熱を短時間に保ち、結合剤粒子を表面的にのみ加熱することによって、依然として粉末形態のままである。結果として粘着性である結合剤粒子の粒子表面は、その接着の結果としてエアロゲル粒子によって湿潤され、混合物は散布性及び粉末状のままである。
【0048】
混合物は、それに対応して、さらなるステップで、例えば、織物表面上にコートされる物品上に散布されてもよく、その後、そのような程度まで加熱されるか、又はさらに加熱されて、結合剤粒子は、再活性化又はさらに活性化され、物品表面へのエアロゲル粒子の確実な付着を可能にする。所望の種類の結合剤によれば、それは、溶融温度未満での結合剤の単なる冷却によって、又はさらなる手段の助けを借りて、例えば、さらなる加熱、UV線の使用等によって、固化させる(solidified)及び硬化させる(hardened)ことができる。エアロゲル粒子は、このようにして、コートされる物品の表面に凝集的に結合される。
【0049】
代替的に又は追加的に、結合剤は、粒子混合物とは別に、コートされる物品に塗布されてもよい。ここで、結合剤は、粉末形態でエアロゲル粒子に添加することができるものと同じ種類であってもよく、又は異なる種類であっても。特に、結合剤は、コートされる物品への粒子混合物の付着を簡単にするために、ここでは非固体及び/又は非粉末形態であってもよい。例えば、コートされる物品に、液状又はペースト状の展着可能な結合剤を塗布することが可能である。また、物品が、塗布される粒子混合物の接着を可能にする接着性ウェブの方式により、結合剤で含浸される、又は結合剤でコートされることも考えられる。物品が、活性化によって、特に熱による加熱によって結合剤として作用する表面を有することも可能であり、例えば、織物表面の場合、粒子混合物を織物表面に付着させるための熱活性化に適した繊維を含むことができる。
【0050】
コートされる物品に塗布されるこの結合剤の選択においても、多孔質エアロゲル粒子の内部に本質的に浸透しない1つ以上のものを選択することが好ましい。エアロゲル粒子の内部への結合剤の浸透は、結合剤の選択だけでなく、温度及び処理時間の制御によっても影響される。
【0051】
上述したように、結合剤を活性化するステップは、結合剤を活性化及び/又はその後固化する(solidify)ために、粒子混合物及び/又はコートされる物品の熱による加熱を含んでもよい。例えば、粒子混合物は、粒子、特にエアロゲル粒子の、添加された結合剤粒子及び/又は粉末状固体粒子への接着を改善するために、及びこのようにして粒子混合物の取り扱いの容易さを改善するために、加熱される。代替的に又は追加的に、コートされる物品は、例えば、物品に追加的に塗布される結合剤を活性化するため、又は物品に塗布される粒子混合物を活性化するために、既に塗布された粒子混合物と一緒に、及び/又は粒子混合物の塗布前に加熱されてもよい。使用される結合剤の性質に応じて、絶縁層を熱による加熱によって硬化する(cure)ことも可能である。しかしながら、代替的に、絶縁層は、例えば、冷却、UV光の使用、又は他の既知の手段によって固化され(solidified)てもよい。
【0052】
上述したように、エアロゲル粒子の取り扱いの容易さを改善する方法もまた提供され、例えば、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層を上述の方法によって物品に塗布するために、散布、吹き付け、又は吸引によって物品に塗布することができ、塗布のステップの前に、エアロゲル粒子を、粉末状結合剤及び/又は粉末状固体、例えば、膨張ガスと混合して、粒子混合物が得られる。このようにして、比較的軽いエアロゲル粒子は、混合状態でエアロゲル粒子に着脱可能に付着するさらなる粉末状物質粒子によって押し下げられる。これに関与する特徴の中には、機械的接着を補助する粒子表面上の微細構造がある。電荷力とファンデルワールス力の差もまた、支持効果を有する場合がある。結果として、エアロゲル粒子が、粒子混合物の付着粒子によって押し下げられ(weighed down)、エアロゲル粒子と添加粉末の粒子との混合物は、上述された低すぎる密度の悪影響及び欠点なしに、工業的処理方法において使用できる。
【0053】
上述したように、エアロゲル粒子は、少なくとも粒子混合物中の物理的接着によって、粉末状結合剤及び/又は粉末状固体の粒子に脱着可能に結合される。加えて、粉末状結合剤の僅かな活性化によってまた、接着を改善することもできる。
【0054】
本発明の一実施形態において、エアロゲル粒子は、99%までの空気含有量、特に、約95%の空気含有量を有する開放気孔率を有する。エアロゲル粒子は、特に、1g/cm3未満、例えば、0.5g/cm3未満、特に有利には、0.15g/cm3未満の密度を有する。エアロゲル粒子は、2~50nmの範囲(メソ多孔性粒子)、好ましくは、20~40nmの範囲の気孔サイズを有する孔を有する。加えて、エアロゲル粒子自体は、例えば、5μm~5mmの範囲内、特に8μm~4mmの範囲内の異なるサイズを有する。
【0055】
代替的に又は追加的に、コートされる物品は、少なくとも1つの絶縁層が塗布される織物表面を含んでいてもよい。使用される織布表面は、製造方法、材料の構造、又は出発材料の回収にかかわらず、あらゆる種類の織布であってよく、これは、織布表面が、任意の形態の織布、すなわち、フェルト、ウェブ及びバッティング等の繊維、及び編組、ウィーブ、メッシュ、ループドローニット(loop-drawn knitting)及びループ形成ニット等のフィラメントでできた布帛を含むことを意味する。さらに、これらは、合成又は天然の原料から得られる繊維を含んでもよい。織物表面は、ループドローニット、ウィーブ、スピニング、フェルティング、ループ形成ニット、レイイング(laying)、又は 縮充(fullling)によって製造されてもよい。
【0056】
本発明の一実施形態において、さらに、少なくとも1つの絶縁層のためのキャリア層としての織物表面の構成を介して物品の特性に影響を及ぼすことが可能である。例えば、ここでは、物品の難燃性を高めるために、不燃性又は低可燃性の担体材料、例えばメラミン樹脂繊維等を使用することも可能である。例えば、織物表面として適切な担体材料を選択することによって、及び織物表面の処理方法を選択することによって、物品の機械的強度又は絶縁作用を改善することも可能である。
【0057】
本発明の一実施形態において、絶縁層は、エアロゲル粒子を外部の影響から保護する働きをする追加の保護層を含む。例えば、少なくともいくつかの領域に追加の保護層を設けることによって、絶縁層を保護することが可能である。追加の保護層は、例えば、不織布層又はバッティングの形態の追加の織物保護層であってもよい。代替的に又は追加的に、追加の保護層は、非織物層、例えば、発泡体又は箔を含んでもよい。絶縁層に固定するために、保護層の種類及び絶縁層の構成に応じて、追加の保護層を、絶縁層に結合加工、プレス加工及び/又はニードル加工することができる。
【0058】
例えば、絶縁層が設けられた物品の織物表面の場合、絶縁層の塗布後に追加の保護層として織物表面上に不織布又は中綿(batting)を配置し、それを織物表面にニードル加工することが可能である。このようにして、不織布の繊維をインターループ(interloop)したり、織物表面の繊維と交互にバッティングすることが可能であり、それによって、不織布が織物表面に固定され、同時に、その繊維が、ニードルボード又はニードルバーに配置された多数の特定の針(有刺フックニードル、フォークニードル等)を挿入及び除去することによって、強固化及び強化される。
【0059】
代替的に又は追加的に、追加の保護層は、絶縁層、特に、その中に存在する結合剤に、直接的に又は追加の結合剤を用いて結合されてもよい。例えば、保護層を絶縁層上に配置することが可能であり、一方、保護層と絶縁層との間の界面領域における絶縁層又は追加の結合剤が活性化されて、任意で、追加のプレスによってそれに確実に結合される。保護層自体が、絶縁層に結合するための活性化可能な結合剤を含有することも可能である。
【0060】
追加の保護層によって、例えば、塗布される絶縁層の機械的摩耗を回避することが可能であり、これは、物品の織物表面が使用中に激しい機械的応力を受ける場合に特に有利である。また、追加層は、絶縁効果をさらに向上させることができる。保護層、特に、織物保護層の選択に応じて、物品のさらなる特性、同様に、機械的強度及び絶縁作用を改善することも可能であり、例えば、難燃性を高めるために不燃性又は低可燃性繊維を使用することが可能である。
【0061】
使用される追加の織物保護層は、当然のことながら、例として挙げられる不織布に加えて、製造方法、織物布帛の構造、又は出発物質が得られた方法にかかわらず、想定される任意の種類の織物であってよく、すなわち、織物保護層は、フェルト、ウェブ、及びバッティング等の繊維でできた布帛、及び編組、ウィーブ、メッシュ、ループドローニット、及びループ形成ニット等のフィラメントでできた布帛を含んでいてもよい。さらに、これらは、合成又は天然の原料から得られる繊維を含んでいてもよい。織物保護層は、ループドローニット、ウィーブ、スピニング、フェルティング、ループ形成ニット、レイイング、又は縮充によって製造されてもよい。
【0062】
これに関連して、完全性のために、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層を非織物表面に塗布する場合であっても、例えば、摩耗及び/又は他の外部の影響から保護するために、塗布される粒子混合物上に、追加の保護層を塗布又は配置することが有利であることに言及しておく。そのような保護層は、物品に結合することができる、上述の不織布層、例えば、織物保護層、膜等の固体構造や、含浸、保護ラッカー等の塗布される発泡体又はコーティングを含む。保護層の選択において、当然のことながら、エアロゲル粒子の所望の特性に、悪影響が、たとえあったとしても、僅かしか及ぼさないようにするものとする。
【0063】
本発明の一実施形態において、エアロゲル粒子は、特に、シリケートエアロゲル(SiO2エアロゲル)を含む。この材料は、可燃性が低く、電気伝導率が低く、熱伝導率が非常に低い等、多数の正の特性を有する。加えて、材料は、無毒で透明又は透過性で、弾性であり、これは、多数の考えられる用途及び物品において、例えば、機能性織物、断熱容器及び筐体(例えば、電気機器)の分野、及び家庭等において使用されることを意味する。
【0064】
代替的に又は追加的に、エアロゲル粒子は、グラファイト、プラスチック(例えば、レゾルシノール-ホルムアルデヒドRF、ポリウレタンPU、ポリエステルPES)及びバイオポリマー(例えば、リグニン、セルロース)を含む。
【0065】
本発明の一実施形態において、エアロゲル粒子は、疎水性表面基を有していてもよい。孔内の水分の凝縮の結果としてのエアロゲルの後の崩壊を防止するために、疎水性基が共有結合形態で、特に、エアロゲルの内面上に存在し、水の作用によって排除されないと有利である。持続的な疎水化のための好ましい基は、一般式-Si(R)3の三置換シリル基、より好ましくは、トリアルキル及び/又はトリアリールシリル基であり、ここで、各Rは、独立して、C1-C18-アルキル又はC6-C14-アリール、好ましくは、C1-C6-アルキル又はフェニル、特に、メチル、エチル、シクロヘキシル又はフェニル等の非反応性有機ラジカルであり、これらはさらに官能基で置換されていてもよい。トリメチルシリル基の使用は、エアロゲルの持続的な疎水化に特に有利である。これらの基の導入は、特許文献16に記載されているように行うことができ、又は、エアロゲルと、例えば、活性化トリアルキルシラン誘導体、例えば、クロロトリアルキルシラン又はヘキサアルキルジシラザンとの間の気相反応によって行うことができる(非特許文献1参照)。
【0066】
本発明の一実施形態において、エアロゲル粒子は、25mW/mK未満、特に、15mW/mK未満、例えば、12mW/mKの熱伝導率を有する場合がある。
【0067】
本発明はさらに、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層が上述の方法を用いて塗布された、コートされた物品にも関係し、絶縁層は、エアロゲル粒子及び結合剤を含む。
【0068】
さらに、絶縁層は、最終物品の外面に塗布されている場合もあってもよい。
【0069】
最終物品は、織物を含み、コートされた物品上のエアロゲル粒子の割合が、少なくとも0.5重量パーセントである場合がさらにあってもよい。
【0070】
最後に、本発明は、断熱、防火、消音、電気的絶縁の分野、並びに/又は気体、蒸気及び液体の吸収の分野における、上記のコートされた物品の使用に関する。「断熱材」という用語は、ここでは部屋又は身体を冷却又は加熱から保護するために、少なくとも1つの絶縁層を通る熱エネルギー通過の低減を指す。
【0071】
さらに、「含む」、「有する」又は「備える」等の用語は、他の特徴やステップを除外するものではない。さらに、1つのステップや特徴を指す「1つの(a, an)」又は「前記(the)」は、多数の特徴やステップを除外するものではなく、逆もまた同様である。
【0072】
本発明のさらなる特徴や利点は、以下の本発明の実施例の説明及び従属請求項から明らかになるであろう。
【0073】
本発明を、添付の図面を参照して以下に詳細に説明する。図面は、本発明の複数の特徴を互いに組み合わせて示している。しかしながら、当業者であれば、これらを互いに別々に考慮することも可能であり、これらを組み合わせて、その際に発明の技術を行使する必要なしに、さらなる実行可能なサブコンビネーションを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】本発明の方法による、絶縁層を備えた物品の縦断面図である。
【
図2】本発明の方法による、物品に絶縁層を塗布するための構成である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1は、本発明の方法による、エアロゲル含有絶縁層を備えた物品を、模式的に示している。ここで、エアロゲルは、粒子形態で絶縁層中に存在し、後にエアロゲル構造体の製造のための複雑な乾燥プロセスに供することなく、最終物品に塗布することができることが本発明にとって必須である。本発明によれば、エアロゲル粒子は、物品上に散布、吹き付け又は吸引される。
【0076】
このため、エアロゲル粒子は、その特定の構造及びその非常に軽いため、気流がないと仮定すると、堆積される前に、空気中に広がり、粉塵粒子のように空気中に長期間浮遊する傾向を有するので、取り扱いが容易にされなければならない。所望の方法で、すなわち、例えば、溶液を添加しない工業的処理/塗布は、可能であるとしても、非常に限定された程度でしか可能ではない。さらに、実際には、市販エアロゲル粒子、例えば、シリケート粒子は、静電気の発生が低い場合でさえ、例えば、それらを収容するプラスチック容器の内壁にくっつく(stick)傾向があり、その結果、工業的処理におけるそれらの取り扱いはやはり著しく複雑であることが見出された。
【0077】
図1から分かるように、例示的な実施形態における物品は、絶縁層20が塗布されたスパンレースウェブ10を含む。この種類の不織布材料では、水の噴出によって、高圧下で導入されるウェブが渦を巻くこと(vortexing)、インターループすること(interlooping)、及び強固化(consolidation)を引き起こす。この種類の機械的強固化は、非常に均一な細孔構造を生成する。当然のことながら、本発明の少なくとも1つの絶縁層を、他の表面に塗布することも可能である。ここで、少なくとも1つのエアロゲル含有絶縁層と接触する物品は、織物表面を有する物品に限定されず、代わりに、全ての考えられる種類の材料及び形状を含んでもよい。ここで重要なことは、エアロゲル粒子が、本発明の場合、製造プロセスの過程で、物品、不織布材料に導入されず、その後、物品に塗布されることである。
【0078】
図示する例示的な実施形態における絶縁層20は、エアロゲル粒子(
図1:「エアロゲル」)22と、粒子形態で導入された結合剤24(
図1:「結合剤」)との両方を含む。本発明による方法では、エアロゲル粒子22と粒子状結合剤24は、互いに混合されて粒子混合物26を与え、これは、物品、本例においては、スパンレースウェブ10に塗布される。結合剤粒子24の代替として、又は追加的に、粉末状固体の粒子、例えば、膨張ガラス粒子(
図2において符号32で示される)をエアロゲル粒子22と混合することも可能である。
【0079】
加えて、
図2に示すように、予め混合された粒子混合物26は、散布装置(
図2では「粉末散布体」)30によって、解反機によって解反されたスパンレースウェブ10上に散布される。他の考えられる代替案は、粒子混合物26を、スパンレースウェブ10上に吹き付けるか、又はスパンレースウェブ10を通して吸引することである。
【0080】
図2に示す実施形態において、例えば、散布装置30の下に、示される解反機60a及び巻き取り機60bによって、表面を連続的に移動させることによって、エアロゲル含有層20を有する物品の比較的大きな表面を与えることが可能である。当然のことながら、エアロゲル含有絶縁層を、個々の物品にバッチ式に塗布する等、代替的な運搬機も考えられる。
【0081】
粒子状又は粉末状結合剤24の結合剤粒子24は、
図1及び2に示されるように、エアロゲル粒子22の粒子サイズと同様であっても、又は明らかに大きいもしくは小さくてもよい。重要なことは、エアロゲル粒子22に添加された粒子混合物26の粒子24又は32が、工業的な取扱い、特に、散布を容易にするために、エアロゲル粒子22に少なくとも部分的に接着できること、そして、粒子混合物が、良好なドーザビリティのために粉末成分から構成されることである。
【0082】
添加粒子24に対するエアロゲル粒子22の機械的接着(及び電荷接着)は、例えば、凝集力接着によって補われることが考えられる。例えば、結合剤粒子24は、熱による加熱によって活性化され、このようにして、その表面で結合効果を示し、例えば、エアロゲル粒子22の凝集力接着を可能にする。ここで、結合剤粒子(24)が既に活性化された状態で添加され、エアロゲル粒子(22)と混合されるように、又は粒子混合物(
図3:S100)の混合の過程で(
図3:S100)、エアロゲル粒子22(
図3:S400a)と混合する(
図3:S100)前であっても、第1の加熱又は活性化を行うことが可能である(
図3:S100)。さらに、粒子混合物26中の結合剤の活性化は、粒子混合物26の塗布中に(
図3:S200)、例えば、暖かい空気での吹き付けの際に、又はUVランプ等を用いて(ステップS400c)行うこともできる。代替的に又は追加的に、活性化は、保護層の塗布(
図3:ステップS300)前、塗布中、又は塗布後(S400d
1-3)に行うこともできる。最後に、活性化は、ステップS600において、絶縁層20を強固化するステップ(ステップS400e)と同時に行うこともできる。この場合、結合剤の活性化及びその後の硬化は、1回の操作で、例えば、加熱によって行うことができる。
【0083】
物品の表面、すなわち、本例においては、スパンレースウェブ10の表面に塗布される粒子混合物26の接着及び固定を可能にするために、物品10と粒子混合物26の複合体は、塗布に続く方法ステップ(
図3:S200)において加熱され、任意で、例えば、
図2に示されるように、ダブルベルトプレス40において圧縮される。物品10と粒子混合物26の複合体の加温又は加熱によって、添加された結合剤24は、活性化され(任意で、再活性化又はさらなる活性化)、スパンレースウェブ10の繊維及びまた(任意で、さらなる)エアロゲル粒子22の両方に結合される。この複合体の圧縮はさらに、粒子混合物と物品表面との間のキャビティの低減を可能にし、従って、結合作用を改善する。結合剤粒子24(存在する場合)は、所望の結果に応じて、及び複合体における使用に応じて、物品と共に完全に溶融されるか、又は活性化のために部分的にのみ加温され、塗布され、固定された絶縁層中に少なくとも部分的に微粒子形態でなお存在する。
【0084】
加熱後、最終製品は、絶縁層の強固化のために、例えば、
図2に示されるような冷却領域50で冷却されてもよい。あるいは、使用される結合剤に応じて、ステップS600において、絶縁層の強固化のための乾燥プロセス又は硬化処理を行うことも可能である。
【0085】
図2に示される例示的な実施形態は、エアロゲル含有絶縁層を、物品の織物表面に塗布するための本発明による方法を示す。当然のことながら、エアロゲル含有絶縁層を対応の他の表面に設けることも可能である。さらに、図示の実施形態において、粉末状の結合剤が、エアロゲル粒子22に添加されている。代替的に又は追加的に、他の粒子状固体中で混合することも可能である。例えば、エアロゲル粒子22には、結合剤粒子24ではなく、これらに加えて、膨張ガラス粒子(
図2:符号32)を混合することが考えられる。ここでもまた、エアロゲル粒子への少なくとも機械的接着が起こって、エアロゲル粒子を押し下げ、加工が容易になる。
【0086】
結合剤粒子24が粒子混合物26中に存在しない変形例では、塗布を意図する物品の表面への結合が、物品に塗布された結合剤(
図2の符号34)によって行うことができる。選択される結合剤の性質に応じて、これは、任意の塗布装置36を用いて、例えば、塗布を意図する物品の表面に、塗装(paint)、噴霧、又は敷設(laying)によって塗布することができる(ステップS500)。また、結合剤34は、塗布前(S400f
1)に活性化されていてもよいし、塗布中(S400f
2)に活性化されもよい。さらなるステップでは、粒子混合物26が塗布されてもよく、又は結合剤が、粒子混合物26を用いてのみ塗布されるか、又は後の方法ステップの1つの過程で塗布され、及び/又は、例えば、加熱によって塗布される粒子混合物26(例としてS400gとして示される)と組み合わせてのみ活性化されてもよい。
【0087】
当然のことながら、粒子混合物26に粒子状結合剤(結合剤粒子24も)が添加されている実施形態と、塗布を意図した物品10の表面に結合剤34が塗布される変形例を組み合わせることも可能である。この場合、結合剤粒子24は、物品10の表面に塗布された結合剤34と同じ化学的種類のもの、又は類似のものであっても、又はそうでなくてもよい。
【0088】
物品上の絶縁層20のさらなる安定化及び保護のために、さらなる保護層、例えば、不織布の形態の織物保護層、ここではスパンレースウェブ28(
図2)を、粒子混合物26と物品表面の複合体上に配置することが可能である。これは、粒子混合物26と物品10の複合体と共に、加熱及び圧縮することができる。安定性を高めるために、追加の保護層を、図示されている実施形態におけるスパンレースウェブ10(図示せず)等の物品の織物表面にニードル加工及び/又は結合加工してもよい。
【0089】
さらなる説明として、本発明による方法のいくつかの例を、以下に示す。方法ステップは、
図3に従って指定される。
【0090】
より具体的には、
図3において、結合剤S400を活性化するステップは、異なる接合部で(また、2回以上)行うことができることが分かる。例えば、粉末状結合剤24は、例えば、エアロゲル粒子22に添加する前又は添加する際(S400a)、S100における粒子混合物の混合中(S400b)、又はステップS200における粒子混合物26の物品10への塗布(S400c)において、温かい空気流によって活性化されてもよい。また、物品10に塗布された微粒子混合物26の一部としての粉末状結合剤24は、ステップS300における保護層の塗布の直前、塗布の際、又は塗布後(S400d
1-3)、又はS600における絶縁層の強固化(S400e)の際にのみ活性化されてもよい。
【0091】
エアロゲル粒子22とは別に物品10に塗布することができる結合剤34は、結合剤S500の塗布(S400f1-2)の前、又は塗布後(S400g1-2)に活性化することができる。この場合、活性化の方式にも役割がある。結合剤34が、例えば、その活性化によってのみ展着可能になる場合、塗布前又は塗布中(S400f)の活性化が望ましい。一方、結合剤34が、その活性化に関係なく、例えば、物品10の表面上に含浸の形態で、提供される物品に塗布可能である場合、結合剤34の塗布後(S400g1-2)の活性化(任意で、再活性化)も、有利である。
【0092】
第1の例では、ステップS100において、50gのポリウレタンホットメルト(粒子結合剤24として)を、80℃で30gのエアロゲルシリケート粒子22と混合して、
図2に示すように、粒子混合物26を得る。粒子混合物26を、第2のステップS200において、60g/m
2スパンレースウェブ10(80g/m
2の塗布重量を有する)上に散布し、さらなるステップS300において、第2のウェブ28で覆う。次に、結合剤粒子24及びエアロゲル粒子22の介在層と共に、2枚重ねのスパンレースウェブ10及び28を、150℃で60秒間、その後のステップにおいてプレス下で圧縮する(0.6N/cm
2)。ここで、プレス下での加熱は、結合剤24のさらなる活性化に役立つ(S400d
3)。その後の冷却の過程で、最終ステップS600において、絶縁層20を強固化する。
【0093】
第2の例では、周囲温度での第1のステップS100において、60gのターポリマーホットメルト(結合剤粒子24として)を、60gのエアロゲルシリケート粒子22と混合する。さらなるステップS200において、粒子混合物26は、次いで、50g/m2スパンレースウェブ10(120g/m2の塗布重量を有する)上に散布され、その後のステップS300において、第2のウェブ28で覆う。次に、結合剤粒子24及びエアロゲル粒子22の介在層と共に、2枚重ねのスパンレースウェブ10及び28を、160℃で45秒間、プレス下で圧縮する(0.6N/cm2)。プレス下での加熱は、結合剤24の活性化に役立つ(S400d3)。その後の冷却の過程で、最終ステップS600において、絶縁層20を固化する(solidify)。
【0094】
第3の例では、第1のステップS100において、周囲温度で、30gのエアロゲルシリケート粒子22、30gの膨張ガラス(粉末状固体粒子として約0.1~0.3mmの直径を有する)、及び30gのホットメルト(粒子状結合剤24として)を互いに混合して、粒子混合物26を得る。同時に、又は時間遅延を伴って、ステップS500において、50g/m2のスパンレースウェブ10が、スロットダイ(塗布装置36として)によって、活性化された(S400f)EVAホットメルトをさらなる結合剤34として用いてコーティングされる。塗布される重量/層の厚さは、20g/m2である。次のステップS200において、粒子混合物26は、物品10に塗布された液体結合剤34中に散布される(60g/m2の塗布重量で)。さらなるステップS300において、結合剤コーティング及び散布粒子混合物26を有する物品10で構成される複合体を、第2のウェブ28で覆い、150℃で45秒間、プレス下で圧縮する(0.6N/cm2)。圧力は、ここでは、結合剤34のさらなる活性化(S400g2)及び粒子状結合剤24の活性化(S400d3)の両方に役立つ。その後の冷却の際に、最終ステップS600において、絶縁層20を固化する(solidify)。
【0095】
第4の例では、周囲温度での第1のステップS100において、3gのエアロゲルシリケート粒子22及び5gのコランダム(粉末状固体粒子として)を互いに混合して、粒子混合物26を得る。並行して、又は時間遅延を伴って、ステップS500において、30g/m2の紙(物品10として)にメラミン樹脂(さらなる結合剤として)を含浸させる。さらなるステップS200において、粒子混合物26は、未乾燥のままのメラミン膜(8g/m2の塗布重量を有する)中に散布される。続いて、散布によって塗布された粒子混合物26を含む含浸紙を、140℃で60秒間乾燥させる、すなわち、メラミン膜を硬化する。ここで、プレス下での加熱は、最終ステップS600において、絶縁層20を強固化するのに役立つ。
【0096】
【0097】
第5の例では、周囲温度での第1のステップS100において、50gのターポリマーホットメルト(結合剤粒子24として)を、50gのエアロゲルシリケート粒子22と混合する。さらなるステップS200において、粒子混合物26は、次いで、50g/m2スパンレースウェブ10(90g/m2の塗布重量を有する)上に散布され、その後のステップS300において、第2のウェブ28で覆う。次に、結合剤粒子24及びエアロゲル粒子22の介在層と共に、2枚重ねのスパンレースウェブ10及び28を、160℃で45秒間(0.6N/cm2)、プレス下で圧縮する。プレス下での加熱は、結合剤24の活性化に役立つ(S400d3)。その後の冷却の過程で、最終ステップS600において、絶縁層20を固化する。
【0098】
この処理の後、結合された物品は、ニードリング処理において追加的に機械的に強固化される。
【0099】
第6の例では、周囲温度での第1のステップS100において、50gの難燃性ホットメルト(結合剤粒子24として)が、30gのエアロゲルシリケート粒子22と混合される。さらなるステップS200において、粒子混合物26は、次いで、50g/m2のパイロテックススパンレースウェブ10(80g/m2の塗布重量を有する)上に散布され、その後のステップS300において、第2の(同一の)ウェブ28で覆う。結合剤粒子24及びエアロゲル粒子22の介在層を有する、2枚重ねのスパンレースウェブ10及び28を、次いで、160℃で45秒間、プレス下で圧縮する(0.6N/cm2)。プレス下での加熱は、結合剤24の活性化に役立つ(S400d3)。その後の冷却の過程で、最終ステップS600において、絶縁層20を固化する。
【0100】
この処理の後、結合された物品は、ニードリング処理において追加的に機械的に強固化される。
【国際調査報告】