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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】電子タグ用の電極配置
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20230728BHJP
【FI】
G06K19/077 284
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502716
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-06
(86)【国際出願番号】 GB2021051748
(87)【国際公開番号】W WO2022013526
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】2010923.7
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521311872
【氏名又は名称】フライセンス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッツァ マルコ
(57)【要約】
容量結合高周波数認識、RFID、タグ及びタグを読み取るための方法で、上記タグが、第1の平坦面及び上記第1の平坦面から遠位の第2の平坦面を有する半導体基板を備える。金属製パッドが上記半導体基板の上記第1の平坦面に形成された。回路が、上記半導体基板上に形成され、上記金属製パッド及び上記半導体基板の上記第2の平坦面に電気的に接続され、上記回路が上記金属製パッドと上記半導体基板の上記第2の平坦面との間のインピーダンスを変えることによってエンコードされたデータ信号を提供することによって無線周波数(RF)入力信号に応答するように構成され、上記第1の平坦面上に形成された上記金属製パッドが上記半導体基板を超えて広がる。上記金属製パッドが長方形、細長いもしくはT字形であり、及び/又は上記容量結合RFIDタグが上記第2の平坦面と電気的に接触している金属電極をさらに備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容量結合無線周波数認識(RFID)タグであって、
第1の平坦面及び前記第1の平坦面から遠位の第2の平坦面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記第1の平坦面に形成された金属製パッドと、
前記半導体基板上に形成され、前記金属製パッド及び前記半導体基板の前記第2の平坦面に電気的に接続された回路であって、前記回路が前記金属製パッドと前記半導体基板の前記第2の平坦面との間のインピーダンスを変えることによってエンコードされたデータ信号を提供することにより無線周波数(RF)入力信号に応答するように構成され、前記第1の平坦面上に形成された前記金属製パッドが前記半導体基板を超えて広がる、回路と、
を備え、
前記金属製パッドが長方形、細長いもしくはT字形であり、及び/又は前記容量結合RFIDタグが前記第2の平坦面と電気的に接触している金属電極をさらに備える、
ことを特徴とする容量結合無線周波数認識(RFID)タグ。
【請求項2】
請求項1に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記第2の平坦面と電気的に接触している前記金属電極がRF信号発生器及び前記データ信号をデコードするように構成されたデコーダを備えるリーダの電極と整列するように構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記金属製パッドと前記第2の平坦面と電気的に接触している前記金属電極とが、H字形を形成するように構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記データ信号は、前記金属製パッドと前記半導体基板の前記第2の平坦面との間の前記変化するインピーダンスが前記RF入力信号を変調することによりエンコードされる、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
RF入力信号が、外部リーダにより提供される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、前記RF入力信号により電力を供給されるようにさらに構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、前記RF入力信号内でエンコードされた信号をデコードするようにさらに構成され、
さらに前記データ信号が前記デコードされた信号に応じて提供される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、前記RF入力信号の周波数、振幅及び/又は位相を変えることにより前記RF入力信号を変調する、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、前記半導体基板の前記第2の平坦面に形成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、前記金属製パッドと前記半導体基板の前記第2の平坦面との間に短絡を適用することによって前記金属製パッドと前記半導体基板の前記第2の平坦面との間の前記インピーダンスを変えるように構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記金属製パッドの外側表面と前記半導体基板の前記第2の平坦面との間の距離が、100μm以下である、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、1つ以上のさらなる容量結合RFIDタグの存在を検出するように、そしてそれに応じて前記データ信号を提供することを止めるようにさらに構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項13】
請求項12に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、前記金属製パッドと前記半導体基板の前記第2の平坦面との間に短絡を適用することによって前記データ信号を提供することを止めるように構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路は、1つ以上のさらなる容量結合RFIDタグがそれら自体のデータ信号を提供してしまうまで前記データ信号を提供することを止めるように構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記回路が、衝突防止プロトコルにしたがって前記データ信号を提供することを止めるようにさらに構成される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項16】
請求項15に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記衝突防止プロトコルが、応答の所定の順番、前記1つ以上の容量結合RFIDタグ同士の間の取り決められた応答、又は、乱数発生器に従った、前記1つ以上の容量結合RFIDタグ同士の間の通信に基づく、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記第1の平坦面が前記第2の平坦面と平行である、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記容量結合RFIDタグがフレキシブルである、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
金属製プレートをさらに備える、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項20】
請求項19に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記容量結合RFIDタグと前記金属製プレートとの間に貼り合わせられた絶縁体をさらに備える、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項21】
請求項20に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記絶縁体が、前記タグの前記金属製パッドに貼り合わせられる、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項22】
請求項20に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記絶縁体が、前記半導体基板の前記第2の平坦面に貼り合わせられる、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項23】
請求項19から22のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記金属製プレートが湾曲される、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項24】
請求項19から23のいずれか1項に記載の容量結合RFIDタグであって、
前記金属製プレートが、前記金属製パッド及び/又は前記半導体基板の少なくとも1つの端部を超えて広がる、
ことを特徴とする容量結合RFIDタグ。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか1項に記載の前記容量結合RFIDタグが埋め込まれたことを特徴とする物品。
【請求項26】
請求項25に記載の物品であって、
前記物品の表面が、前記容量結合RFIDタグの前記第1の平坦面と平行である、
ことを特徴とする物品。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の物品であって、
前記物品は、紙又はプラスチック材料から形成され、
前記物品は、紙幣、紙巻たばこ、電子たばこ、ラベル、錠剤、医薬品、飲料カプセル、コーヒーカプセル、紅茶カプセル、金属容器、ホログラム、パスポート、IDカード、納税印紙及び/又は法的文書である、
ことを特徴とする物品。
【請求項28】
請求項1から24のいずれか1項に記載の複数の前記容量結合RFIDタグと通信する方法であって、
前記複数の容量結合RFIDタグに無線周波数(RF)入力信号を適用するステップと、
前記複数の容量結合RFIDタグのうちの1つの容量結合RFIDタグのインピーダンスを変えることによってその容量結合RFIDタグによって前記適用されたRF入力に応答するステップであり、前記インピーダンスを変えることがデータ信号をエンコードする、応答するステップと、
前記複数の容量結合RFIDタグのうちの前記1つの容量結合RFIDタグのインピーダンスを前記変えることにより生じた前記RF入力信号の変動を検出するステップであり、前記変動が前記データ信号をエンコードする、検出するステップと、
前記RF入力信号の前記変動から前記データ信号をデコードするステップと、
を含み、
前記複数の容量結合RFIDタグのうちの応答していない容量結合RFIDタグは、前記1つの容量結合RFIDタグがそれ自体のインピーダンスを変える間にそれら自体のインピーダンスを減少させる、
ことを特徴とする方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、
前記RF入力信号の前記変動が、周波数、振幅及び/又は位相の変動である、
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
請求項28又は29に記載の方法であって、
前記複数の容量結合RFIDタグのうちのどの1つがそれ自体のインピーダンスを変えることによって前記無線周波数に応答するかを決定するために衝突防止プロトコルを使用するステップをさらに含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項28から30のいずれか1項に記載の方法であって、
前記複数の容量結合RFIDタグが上下に積層される、
ことを特徴とする方法。
【請求項32】
コンピュータ上で実行されるときに、前記コンピュータに請求項28から31のいずれか1項に記載の方法を実行させるプログラム命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項33】
請求項32に記載のコンピュータプログラムを保持することを特徴とするコンピュータ可読媒体。
【請求項34】
請求項1から25のいずれか1項に記載の1つ以上の容量結合RFIDタグと、
RF信号発生器及びデータ信号をデコードするように構成されたデコーダを備えるリーダと、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項34に記載のシステムであって、
前記容量結合RFIDタグが請求項1から25のいずれか1項に記載のものであり、
前記リーダが、
前記タグの前記金属製パッド及び/もしくは半導体基板と整列するように構成された第1の電極、ならびに/又は
前記第2の平坦面と電気的に接触している前記金属製電極の少なくとも一部分と整列するように構成された第2の電極、
をさらに備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項35に記載のシステムであって、
前記第1の電極及び前記第2の電極が湾曲するもしくは環状であり、及び/又は互いに平行に配置される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項35又は36に記載のシステムであって、
前記第1の電極及び/又は前記第2の電極が環状である、
ことを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項34から37のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記1つ以上の容量結合RFIDタグに付けられた電子たばこ、
をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項34から38のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記金属製プレートが、缶、ブリキ缶、コーヒーカプセル、紅茶カプセル又は飲料カプセルの金属製パッケージから形成される、
ことを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容量結合RFIDタグ及びその動作のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容量結合タグ(CCタグ又はCCT)は、セキュリティの向上を提供しながら、信頼性及び追跡機能を提供する。この技術では、セキュリティ及び信頼性が主要である追跡アーチファクトへの利用が広く行きわたっている。しかしながら、CCタグのサイズを縮小でき、そしてその効率が高められると、そのときには潜在的な用途の数が増加する。
【0003】
他のタイプのRFIDタグが存在し、これらは、デバイスに電力を供給するためそして同じアンテナを使用する信号を用いて応答するためにリーダからのRF信号を受信するためのアンテナを含むことができる。しかしながら、このようなアンテナの使用は、デバイスのサイズを大きくしそして製造の複雑さを増すことがあり、そのためそれらの用途を制限する。さらにその上、このようなアンテナは、故障の点を導入することがあり、結果として堅固さの低いデバイスになる。CCタグはアンテナを使用しないが、タグのインピーダンスを変えることによってリーダにより提供されるRF信号と相互に影響し合い、これがリーダにより生成される電場に影響を与え、そして順にリーダにより検出される。このようなインピーダンス変化が変調されるときには、この変調は、データ(例えば、CCタグの識別子)を提供するためにデコードされることがある。
【0004】
「0.075×0.075mm Ultra-Small 7.5μm Ultra-Thin RFID-Chip Mounting Technology」、ヒデユキ ノダ(Hideyuki Noda)及びミツオ ウサミ(Mitsuo Usami)、978-14244-2231-09/08、2008 IEEE、2008 Electronic Components and Technology Conference、360~370ページは、アンテナを含むスモールRFIDチップの製造を記載している。しかしながら、このようなRFIDチップの製造、特に大量生産では、製造プロセスにおいて歩留まりを低下させそして故障率を増加させることがあり得る技術的な難しさを与える。
【0005】
「Power RFID Chip Technology」、ミツオ ウサミ(Mitsuo Usami)、株式会社日立製作所、978-1-4244-2342-2/08、2008 IEEE、1220~1223ページは、もう1つのスモールRFIDタグ及びその製造の方法を記載しており、これもまたRFIDチップ上に設置されたアンテナ構造を必要とする。これは、下限のタグのサイズを制限する。
【0006】
「26.6-A 0.05×0.05mm RFID Chip with Easily Scaled-Down ID-Memory」、ミツオ ウサミ(Mitsuo Usami)、ヒサオ タナベ(Hisao Tanabe)、アキラ サト(Akira Sato)、イサオ サカマ(Isao Sakama)、ユキオ マキ(Yukio Maki)、トシアキ イワマツ(Toshiaki Iwamatsu)、タカシ イッポシ(Takashi Ipposhi)、ヤスオ イノウエ(Yasuo Inoue)、日立製作所、ISSCC 2007/SESSION 26/NON-VOLATILE MEMORIES/26.6、1-4244-0852-0/07、2007 IEEE、482~483ページは、独特なIPアドレスを有し、二重表面電極を使用するRFIDチップを記載している。
【0007】
さらなる必要条件は、RFIDタグを、他のRFIDタグの存在の中で読み取ることができることである。これは、積層される又は互いに近くに設置される多くの別々の物品に埋め込まれることがあり得る非常に小さなRFIDタグにとって特に困難なことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、これらの問題を克服する容量結合タグ及び動作の方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
薄く(例えば、100μm、50μm以下の厚さを有し)シリコンなどの半導体基板上に形成され、金属層(例えば、アルミニウム上の金)で覆われた一方の表面及び裸の半導体表面である反対の表面を有し、これらの表面が同調可能なインピーダンスとして一緒に作用する容量結合RFIDタグ(CCタグ又はRFIDタグ)が提供される。半導体基板上又は内部の回路又はチップ(例えば、集積回路、IC)は、デバイスを制御し、そして典型的には電極を使用して、CCタグを介して電場をかける外部リーダから(電気的に)見られるようにそれ自体の電気的特性を変える。上記CCタグは、外からかけられるRF電場により電力を供給され、そしてそれ自体の電気的特性(特に、それ自体のインピーダンス)を変えることによってそれ自体の存在に応じる。CCタグは、リーダに容量結合し、そしてICは、リーダによりデコードされるデータ信号をエンコードするためにそれ自体の電気的特性を変調する。電気的特性は、金属層と反対の半導体層との間のインピーダンスを変化させることによって変えられる。
【0010】
このようなCCタグが2つ以上又は積層体として、リーダによって発生された電場の内部に設置されるときには、CCタグのうちの1つだけが応答するように構成される。例示の実装形態では、残りのCCタグは、例えば、金属表面と反対の半導体表面との間に短絡を適用することによって(例えば、静的に)それら自体のインピーダンスを減少させることができ、そのため各々のCCタグが、順番にそして分離して応答でき、そしてRF入力信号を変調することにより出力信号を提供できる。
【0011】
また、対向する平坦面を有する半導体基板(例えば、シリコン)を用意するステップと、上記平坦面のうちの一方に金属製層を付けるステップと、(例えば、リソグラフィ技術を使用して)他方の平坦面上又は内部にこの明細書全体を通して説明する回路(例えば、CMOS回路)を形成するステップとによって容量結合RFIDタグを製造する方法を提供する。好ましくは、厚さ(すなわち、対向する平坦面同士の間の距離)は、50μm(又は25μm、100μm、もしくは150μm)以下である。基板を、正方形、長方形又は別の形状にすることができる。好ましくは、基板及び得られるデバイスは、50と700μmとの間の幅及び/又は長さである。
【0012】
これらの概念の応用例は、限定しないが、紙幣、ビザ、切手、公文書、ホログラム、箔、任意の種類の紙巻たばこ及びタバコ製品(例えば、標準紙巻たばこ及び電子たばこ)、瓶、ラベル、食品、食品包装材料、錠剤、ならびに他の医薬品(それらのコーティング及び包装材料を含む)ならびにこのように小さくミクロンの厚さの解決策を必要とする他のタイプの包装材料を含む。CCタグを、そのような物品に埋め込む又は貼り合わせることができる。
【0013】
以前に説明した背景に対して、そして第1の態様によれば、容量結合無線周波数認識(RFID)タグ(例えば、CCタグ)が提供され、
第1の平坦面及び上記第1の平坦面から遠位の第2の平坦面を有する半導体基板と、
上記半導体基板の上記第1の平坦面に形成された金属製パッドと、
上記半導体基板上に形成され、上記金属製パッド及び上記半導体基板の上記第2の平坦面に電気的に接続された回路であって、上記回路が、上記金属製パッドと上記半導体基板の上記第2の平坦面との間のインピーダンスを変えることによってエンコードされるデータ信号を提供することにより無線周波数(RF)入力信号に応答するように構成される、回路と
を備える。金属パッドを設ける一方の側及び半導体表面を有する他方の側を有することは、半導体表面が基板により与えられ、一方で反対の表面が表面同士の間のデバイスインピーダンスを変化させることにより変えられることがある静電容量を与えることを可能にするので、(例えば、各々の側に金属パッドを有することがあるCCタグよりも)製造の複雑さを削減する。平坦面は、平らであっても(例えば、取り付けられたタグを有する対象物の形状を収容するために)湾曲されてもよく、一方で例えば、タグの機能に影響を及ぼさない。
【0014】
好ましくは、上記データ信号が、上記RF入力信号を変調するために、上記金属製パッドと上記半導体基板の上記第2の平坦面との間の上記変わるインピーダンスによりエンコードされることがある。このことは、RF入力信号がデバイスに電力を供給すること及びリーダによりデコードされることの両方に使用されることを可能にする。
【0015】
好ましくは、RF入力信号が、外部リーダにより提供されることがある。
【0016】
有利なことには、上記回路が、上記RF入力信号により電力を供給されるようにさらに構成される。
【0017】
有利なことには、上記回路が、上記RF入力信号内でエンコードされた信号をデコードするようにさらに構成されることがあり、さらに上記データ信号が上記デコードした信号に応じて提供される。上記回路が、短時間の間上記RF入力信号により発生された電力を蓄えるために、少量の蓄電部(例えば、キャパシタ)を任意選択で含むことができる。
【0018】
任意選択で、上記回路が、上記RF入力信号の周波数、振幅及び/もしくは位相又は任意の他の電気的特性を変えることにより上記RF入力信号を変調する。
【0019】
任意選択で、上記回路が、上記半導体基板の上記第2の平坦面上に形成される又は内部に埋め込まれることがある。
【0020】
任意選択で、上記回路が、上記金属製パッドと上記半導体基板の上記第2の平坦面との間に短絡を適用することによって上記金属製パッドと上記半導体基板の上記第2の平坦面との間の上記電気的インピーダンスを変えるように構成されることがある。
【0021】
任意選択で、上記金属製パッドの外側表面と上記半導体基板の上記第2の平坦面との間の距離が、50μm以下である。これは、CCタグの厚さとして記述されることがある。厚さを、代わりに、例えば、10μm以下、25μm以下、100μm以下又は150μm以下とすることができる。CCタグは、例えば、実質的に正方形又は長方形の断面を有することがある。
【0022】
任意選択で、上記回路が、(例えば、同じタイプの)1つ以上のさらなる容量結合RFIDタグの存在を検出するように、そしてそれに応じて、上記データ信号を提供することを止めるようにさらに構成されることがある。これは、信号の衝突を防止し、そして多数のCCタグが一回にリーダの範囲内に1つのCCタグだけを有する必要なしに順次読み取られることを可能にする。
【0023】
任意選択で、上記回路が、上記金属製パッドと上記半導体基板の上記第2の平坦面との間に短絡を適用することによって上記データ信号を提供することを止めるように構成されることがある。これは、実効的に、リーダには(電気的に)見えない「オフ」CCタグにする。
【0024】
任意選択で、上記回路は、1つ以上のさらなる容量結合RFIDタグがそれ自体のデータ信号を提供してしまうまで上記データ信号を提供することを止めるように構成されることがある。
【0025】
任意選択で、上記回路が、(すなわちそれ自体のデータ信号の)衝突防止プロトコルにしたがって上記データ信号を提供することを止めるようにさらに構成されることがある。
【0026】
任意選択で、上記衝突防止プロトコルが、
応答の所定の順番にしたがって、上記1つ以上の容量結合RFIDタグ同士の間の取り決めた応答又は乱数発生器にしたがって、上記1つ以上の容量結合RFIDタグ同士の間の通信に基づくことがある。このような衝突防止プロトコルは、CCタグ同士の間の直接通信に頼らないことがあるが、これらはリーダを介してである又はまったく通信に頼らないことがある。
【0027】
任意選択で、上記第1の平坦面が上記第2の平坦面と平行であることがある。表面が静電容量を生じさせる場合には、他の構成が使用されることがある。
【0028】
任意選択で、上記容量結合RFIDタグがフレキシブルである。これは、CCタグの幅又は長さ程度の曲げ半径を含むことができる。したがって、CCタグは、損傷の低いリスクでフレキシブルな物品に埋め込まれる又は取り付けられることがある。
【0029】
任意選択で、上記容量結合RFIDタグが、金属製プレートをさらに備えることができる。このことが、リーダの電極を上記リーダに面していないタグの側に結合できる。したがって、これは、タグの反対側のリーダ電極に関する必要性を回避する。
【0030】
任意選択で、上記容量結合RFIDタグが、上記タグと上記金属製プレートとの間に貼り合わせられた絶縁体をさらに備えることができる。
【0031】
任意選択で、上記絶縁体が、上記タグの上記金属製パッドに貼り合わせられることがある。貼り合わせは、接着剤又は別の適した方法によることがある。
【0032】
任意選択で、上記絶縁体が、上記半導体基板の上記第2の平坦面に貼り合わせられることがある。
【0033】
任意選択で、上記金属製プレートが湾曲されることがある。したがって、上記金属製プレートが、物品に、例えば円柱状の物品又は球状の物品に適応できる。
【0034】
任意選択で、上記金属製プレートが、上記金属製パッド及び/又は上記半導体基板の少なくとも1つの端部を超えて広がることがある。
【0035】
第2の態様によれば、先の態様の上記容量結合RFIDタグが埋め込まれた物品が提供される。
【0036】
任意選択で、上記物品の表面が、上記容量結合RFIDタグの上記第1の平坦面と平行である又は実質的に平行である。これは、平らで平坦な対象物及び/又はフレキシブルな対象物に対して有用である。
【0037】
任意選択で、上記物品が、紙から形成される、プラスチック材料から形成されることがあり、紙幣、パスポート、IDカード、納税印紙、紙巻たばこ、電子たばこ、ラベル、錠剤(例えば、医薬品)、飲料カプセル、コーヒーカプセル、紅茶カプセル及び/又は法的文書である。
【0038】
第3の態様によれば、複数の容量結合RFIDタグと通信する方法が提供され、上記方法は、
上記複数の容量結合RFIDタグに無線周波数(RF)入力信号を適用するステップと、
上記複数の容量結合RFIDタグのうちの1つのインピーダンスを変えることによりその容量結合RFIDタグによって上記適用されたRF入力に応答するステップであって、上記インピーダンスを変えることがデータ信号をエンコードする、応答するステップと、
上記複数の容量結合RFIDタグのうちの上記1つのインピーダンスを上記変えることにより生じた上記RF入力信号の変動を検出するステップであって、上記変動が上記データ信号をエンコードする、検出するステップと、
上記RF入力信号の上記変動から上記データ信号をデコードするステップと、
を含み、
上記複数の容量結合RFIDタグのうちの応答していない容量結合RFIDタグは、上記1つの容量結合RFIDタグがそれ自体のインピーダンスを変える間にそれら自体のインピーダンスを減少させる。上に述べたCCタグを読み取る他の方法が使用されることがある。
【0039】
任意選択で、上記RF入力信号の上記変動が、周波数、振幅及び/又は位相の変動であり得る。
【0040】
好ましくは、上記方法は、上記複数の容量結合RFIDタグのうちのどの1つがそれ自体のインピーダンスを変えることによって上記無線周波数に応答するかを決定するために衝突防止プロトコルを使用するステップをさらに含むことができる。
【0041】
任意選択で、上記複数の容量結合RFIDタグが、上下に積層される又はそうでなければ互いに近接して設置されることがある。
【0042】
第4の態様によれば、コンピュータ上で実行されるときに、上記コンピュータに上に記載の方法を実行させるプログラム命令を含むコンピュータプログラムが提供される。
【0043】
第5の態様によれば、上に記載したような、コンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0044】
第6の態様によれば、
上に記載の1つ以上の容量結合RFIDタグのうちのいずれかと、
RF信号発生器及びデータ信号をデコードするように構成されたデコーダを備えるリーダと
を備えるシステムが提供される。
【0045】
任意選択で、上記リーダが、
上記タグの上記金属製パッド及び/又は半導体基板と整列するように構成された第1の電極と、
上記金属製パッド及び/又は上記半導体基板の少なくとも1つの端部を超えて広がる上記金属製プレートの一部分と整列するように構成された第2の電極と
をさらに備えることができる。このシステムは、例えば、基板又は金属製パッドの両方又は一方を超えて広がる金属製プレートを有するタグを組み込むことができる。
【0046】
任意選択で、上記金属製プレートが、缶、ブリキ缶、コーヒーカプセル、紅茶カプセル又は飲料カプセルの金属製パッケージから形成されることがある。したがって、デバイスの製造が単純化されることあり、そしてタグが金属製の物品に対してより効果的に使用され適用されることがある。
【0047】
任意選択で、上記第1の電極及び/又は上記第2の電極が湾曲されることがある。したがって、電極は、例えば、円柱状の又は球状の対象物(例えば、紙巻たばこ又は電子たばこ)に適応できる。
【0048】
上に記載した方法は、コンピュータを動作させるためのプログラム命令を含むコンピュータプログラムとして実装されることがある。コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体上に記憶されることがある。
【0049】
(例えば、集積回路内部に実装された)コンピュータシステムは、中央処理ユニット(CPU)などの(例えば、ローカル、仮想もしくはクラウドベースの)1つ以上のプロセッサ、及び/又は単一もしくは集合のグラフィック処理ユニット(GPU)を含むことができる。プロセッサは、ソフトウェアプログラムの形態の論理を実行できる。コンピュータシステムは、揮発性記憶媒体及び不揮発性記憶媒体を含めメモリを含むことができる。コンピュータ可読媒体は、論理及びプログラム命令を記憶するために含まれることがある。システムの異なる部分が、ネットワーク(例えば、無線ネットワーク及び有線ネットワーク)を使用して接続されることがある。コンピュータシステムは、1つ以上のインターフェースを含むことができる。コンピュータシステムは、例えば、UNIX(登録商標)、ウィンドウズ(登録商標)(RTM)又はリナックス(登録商標)などの適切なオペレーティングシステムを含むことができる。
【0050】
上に記載したいずれかの特徴を、発明のいずれかの特定の態様又は実施形態とともに使用することができることに留意すべきである。
【0051】
本発明を、多数の方法で実行に移すことができ、そして実施形態を、単に例としてそして添付の図面を参照してここで説明しよう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
図1】リーダにより読み取られる容量結合RFIDタグの模式図である。
図2】リーダにより読み取られる図1の複数の容量結合RFIDタグの模式図である。
図3】リーダにより読み取られるさらなる容量結合RFIDタグの模式図である。
図4】リーダにより読み取られるさらなる容量結合RFIDタグの模式図である。
図5】紙巻たばこ又は電子たばこ(もしくは他の対象物)に適用された図1から図4の容量結合RFIDタグ及びリーダのうちのいずれかを含むシステムの模式図である。
図6a】紙巻たばこ又は電子たばこに適用されたときの、図5の容量結合RFIDタグの断面図である。
図6b】リーダ電極とともに図6aの紙巻たばこ又は電子たばこの模式図である。
図7】リーダにより読み取られるさらに複数の(各々が物品に付けられた)容量結合RFIDタグの模式図である。
図8】電子たばこで使用される容量結合RFIDタグのさらに例示の実装形態の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
図は、単純化のために図示されており、必ずしも正確な縮尺で描かれていないことに留意すべきである。同様の構成が、同じ参照番号を用いて与えられる。
【0054】
例示の実装形態によれば、容量結合タグ(CCタグ)は、単一の集積回路(IC)に基づく無線周波数認識システム(RDID)である。標準的な用途では、集積回路は、メタル層を介して接続される、限定されないが、レジスタ、キャパシタ、ダイオード、トランジスタ、等などの電子部品を組み込むために様々なステップを通して機能化された片側を有する一片の単結晶シリコンである。
【0055】
これらの構成部品の小さなサイズのために、集積回路への電気的な接続性は、小さな配線又はプローブと接続するために十分に大きないくつかの「パッド」又は金属製層の存在を使用して与えられる。これらの「パッド」は、通常、集積回路の機能化された側に置かれる。
【0056】
集積されたICの裏側は、接地基準に通常接続され、電子レベルでは特に関心を示さない。本CCタグでは、1つの大きな金属製パッドが、ICの機能化した側に設置され、そしてデバイスの裏側には、第2のパッドを設ける。この構造は、デバイスが精密な位置決め又は角度的な向きを何も必要とせずに表面上に自由に位置決めされることを可能にし、デバイスはCCタグがどちら側の表面に堆積されているかに拘わらず機能できる。この重要な特徴は、堆積プロセスを単純化し、そして関連するコストを削減する。
【0057】
ICを、CMOS(相補型MOS)技術(すなわち、シリコンに基づく技術)を使用して形成することができる。同じシリコン基板上にn型MOS及びp型MOSの両者の存在のために、「ラッチアップ」として知られる周知の効果が起きることがある。これはCMOS構造に本質的に存在する寄生サイリスタにより引き起こされることがあり、これは予期しない電圧スパイクによってトリガされることがあり、そしてデバイスの電源の正のコンタクトと負のコンタクトとの間に短絡伝導を作り出すことがある。この効果は、基板に別枠の接地コンタクトを配置することにより標準的には低減される。この効果は、裏側パッド(すなわち、半導体)から来る無線周波数(RF)信号の存在のためにCCタグでより強くなることさえあり、裏側パッドはICの仮想接地に接続されることがある。この効果を避けるために、別枠の接地コンタクトを、MOSトランジスタの付近に配置することができる。あるいは、例えば、ガリウムヒ素、グラフェン、ゲルマニウム及び炭化ケイ素などの、他の半導体を使用することができる。
【0058】
この例示のCCタグでは、集積回路の裏側(すなわち、純粋な半導体基板)が、潜在的な電気的パッドとして使用され、そして機能化した面の上面(反対側)の第2の大きなパッドの近くに設置される。この例では、構造は、薄いプレート(第1の表面及び反対の表面を有する)の形態を取る。システムは、上面に1つのパッド及び底面に1つ(又は、いずれかの特定の向きに応じて逆)を有する集積回路から構成され、底面パッドは特別に開発されたリーダからのキャパシタプレートとして使用されることがある。
【0059】
リーダは、リーダとタグとの間の電気的な連続性を必要とせずに変調された電場(容量結合)を介してCCタグと通信できる。
【0060】
標準RFIDタグは、アンテナとして作動するインダクタ及び信号伝達を最適化するために伝送周波数のところに同調された同調キャパシタから構成される入力段を有する。CCタグには、対照的に入力段のところにキャパシタだけが存在する。キャパシタは、高周波数では短絡挙動を示し、この挙動が見られるカットオフ周波数は、キャパシタ自体の値及び回路の寄生抵抗の値に依存する。この手法は、キャパシタ自体の精密な同調を必要とせずに短絡挙動を示すために、結合キャパシタがまさに「十分に高い」ことが必要であるので、重要な利点を提供する。これは、堆積プロセスにおけるプロセスパラメータ揺らぎのはるかに低い依存性という結果につながる。
【0061】
同じ理由で、CCタグは、それどころか同時に異なる周波数で動作でき、一般に高いほど良い。(下記により詳細に説明される)図に示した解決策は、いくつかの利点を提供する。
- タグは、製造することが極めて簡単であり、安価で非常に堅固である。タグを、標準集積回路技術で一緒に容易に製造することができる。
- タグは、タグを付けようとする物品との特別な整列を必要としない、これがひいては製造の複雑さ及びコストを削減する。
- CCタグを、積層したときに、タグ及びリーダ用の衝突防止プロトコルをタグが実装するときにも読み取ることができる。
【0062】
CCタグを、50μmよりも薄くまで薄片化することができて、限定しないが、紙幣、公文書及び政府文書、納税印紙、ビザ、ホログラム、同様にいずれかの品物の任意の包装材料、紙、等などの各種の用途において封入することができる超薄でフレキシブルなタグを結果としてもたらす。
【0063】
図1は、タグリーダ20により電力を供給されそして読み取られる容量結合タグ10(CCタグ)の模式図を示す。タグリーダ20は、無線周波数(RF)信号を発生することにより電場70を形成する電極30を含む。このRF信号は、容量結合タグ10により変調され、そして検出されることがある。この図に示されたように、容量結合タグ10の上側表面又は上面は、金属製である電極40を有する。容量結合タグ10の反対の表面又は底面は、裸のまま残され、そして半導体電極表面50を形成する。容量結合タグ10の半導体基板の内部又は表面上には、(この図には詳細に図示しない)回路(すなわち、集積回路)60がある。電場70は、リーダ20の電極30同士の間に矢印により図示される。金属を、アルミニウム、銅、金、銀又は別々の金属層の組合せ(例えば、アルミニウム上の金)とすることができる。ICを、金属製パッドを持たないCCタグ10の表面(すなわち、半導体パッド表面)上に又は内部に製造することができる。好ましくは、表面同士は、平行であり平坦である。
【0064】
図2は、図1に示したものと同じ形態のものである複数の容量結合タグ10のさらなる模式図を示す。再び、リーダ20は、容量結合タグ10の各々を読み取るためにリーダの電極30同士の間に電場を印加する。この図は、図を単純化するために各々のCCタグ10に付けられるいずれかの物品又は基板を示さないが、これは存在するだろう。図7は、積層体の各々のCCタグ10に付けられたタグを付けようとする物品を含む等価な配置を示す。リーダにより読み取られるために完璧に整列されることはCCタグ10にとって必ずしも必要でないことが留意される。
【0065】
リーダの電極30同士の間に1つよりも多くのCCタグ10があるときには、1つを除いてすべてのCCタグ10が入射RF入力信号を変調することによって(すなわち、データ信号を提供するためにそれ自体のインピーダンスを変えることによって)入射RF入力信号に応答する。残りのCCタグは、例えば、それら自体のパッド(金属製表面及び半導体表面)を短絡させることによりそれ自体のインピーダンスを任意選択で減少させることができる。これが、リーダに対してCCタグを電気的に見えなくする。第1のCCタグがそれ自体のデータ信号を提供されると、CCタグは、入力RF信号を変調することを止め、それ自体のパッドを短絡させる。次いで、もう1つのCCタグが、上に説明したように入力RF信号を変調することによって入力RF信号に応答する。すべてのCCタグがデータを提供されるまでプロセスは続く。したがって、CCタグを、信号強度を低下させずに次々と積層することができる。
【0066】
別々のCCタグは、どれが信号に応答するかを判断するために互いに通信ができる。これを、衝突防止アルゴリズムを使用して実現することができ、このアルゴリズムは、各々のタグの伝送のために異なる時間に結果としてつながるランダム遅延を発生できる。あるいは、通信は必要なく、そして各々のCCタグが、異なる(例えば、ランダムな)遅延の後で入力RF信号に応答でき、これが同時に応答する任意の2つのCCタグのリスクを実質的に低下させる(実際の伝送時間は、遅延時間と比べて短くてもよい)。
【0067】
パッドを短絡させることが、例えば、オン/オフスイッチとして作用するために「遮断」から「飽和」へとトランジスタの状態を変化させる1つ以上のトランジスタにより実現されることがある。
【0068】
さらに代替の実装形態が、使用されることがある。これらは、下記の代替物又は利点のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
・ CCタグ10を、いずれかのアンテナ、整列又は具体的な位置決めを必要とせずに、(紙シート、紙幣、ホログラム、切手、等などの)超薄構造に又はそれらの表面上に埋め込むことができる。
・ CCタグ10は、リーダとの金属的コンタクトを必要としない。無線周波数(RF)信号は、薄く(1mmよりも薄く)なるように設けられる絶縁層を通してさえリーダからCCタグ10へ伝わることができる。
・ CCタグ10は、リーダが読み取り距離内であるときにはリーダから電力を引き出すことができる。CCタグ10は、上部電極と底部電極との間のインピーダンスを変調させること(オン/オフスイッチングすること)によって応答できる。
・ CCタグ10は、回路共振では働かず、周波数離調問題に煩わされないため、製造パラメータの揺らぎに対してはるかに堅固である。
・ CCタグ10を、積層している間に読み取ることができ、CCタグが積層体に整列して設けられる、又は薄い構造上へと配置された別枠の金属層を使用する容量結合とすることができる。
・ CCタグ10は、衝突防止解決策を装備することができて、2つ以上のタグが同時にリーダと通信することを回避する。
・ CCタグ10が積み重ねられて読み取られるときには、CCタグは下記の手順にしたがうことがあり、
ある時間(充電時間)にわたりリーダから電源供給を受けそしてデータを受け取る。
タグが答えると思われる場合、タグはリーダと通信するためにそれ自体のインピーダンスを変調できる。
タグが答えると思われない場合、リーダ信号が答えるように標的とされるタグまで通過することを可能にするためにタグの出力インピーダンスを低レベル(スイッチオン)まで低下することがある。
CCタグ10が積層している間に読み取られるときには、CCタグは互いに電気的に「直列」である。このことは、積層体の両端の電圧が積層体内の素子の数により分割されることを意味する。リーダは、各々のCCタグ10を動作させるために十分な電圧又は電力を提供するために適応型電圧を提供できる。これは、例えば、CCタグのすべてが電力を供給され得るようなレベルまで印加した電場(例えば、電圧及び/又は電力)の増加をともなうことがある。CCタグ10がリーダ電極同士の間で任意の向きに設置されてもよいことに留意すべきである。例えば、第1の電極を上げる又は下げることができ、そして第2の電極を下げる又は上げることができる。積層体内に設置された異なるCCタグ10を、いずれかの向きに設置することができ、これは同じ積層体内部のCCタグ10に対して異なることがある。
【0069】
先の例は、タグ又は一連のタグが2つのリーダ電極(例えば、リーダの一部)の間に「クランプされる」又は好ましくは近くに設置されるCCタグ読取り技術を説明する。この手法は、CCタグ10が上又は中に置かれる(図3に示したような)紙、紙幣、等のような薄い構造などのタグを付けようとする物品に特に適用可能である。
【0070】
さらなる例示の実装形態では、「片面」読み出しを使用することができる。この例示の実装形態は、物品の両側にリーダ電極を設置する必要性を回避し、そのためより大きな又はより厚い対象物で使用することができる。これは、図4に示したように、物品上のCCタグの背後に別枠の金属層(例えば、アルミニウム、銅、銀又は金のような適切な導電体)を追加することにより実現される。図4は、物品の上側に位置決めされたCCタグを示すが、CCタグをまた、物品の横に又は下方に位置決めすることもできる。この例示の実装形態で使用されるCCタグは、先に説明したものと同じものであっても実質的に類似したものであってもよい。
【0071】
金属層は、少なくとも一方向にCCタグ10の範囲を超えて広がる又は重なる。2つの電極が、リーダとともに再び使用される。電極#1は、対象物上のCCタグ10(及び金属層の一部)の上方に位置決めされる。電極#2は、CCタグ10を実質的に避けるが、CCタグ10の下方ではない又はCCタグ10と位置合わせされない金属層の別の部分の上方に又は位置合わせして位置決めされる。したがって、電極を、物品の同じ側に配置することができ、しかもCCタグ10との容量結合を可能にする。言い換えると、リーダ、CCタグ及び物品は、第1のリーダ電極、次いで(例えば、第1の電極の直下に)CCタグ10、次いで連続的な金属層、次いでタグを付けようとする物品に配置される。第2のリーダ電極は、第2の電極と物品との間の同じ金属層を用いて第1の電極に隣接する。例示の実装形態では、CCタグ10を、図4に示したように、金属層上にそして実質的に覆って設置された絶縁体層(例えば、ポリマ又は他の誘電体)に埋め込む又は部分的に埋め込むことができる。絶縁体層(又はその一部)が、CCタグ10と金属層との直接間にあってもよい。
【0072】
CCタグ10のいくつかの例の使用が、上に説明される。さらなる例は、電子又はe-たばこ、飲料カプセル、などの消耗品における(上に記載したいずれかのタイプの)CCタグ10の使用である。図5は、e-たばこの一部(例えば、タバコプラグ又はスティック510などの交換可能な部品)へと組み込まれたCCタグ10及びe-たばこ540の別の部分に設置されたリーダ(又は例では、リーダ電極550)を用いてこれの例示の実装形態を示す。したがって、リーダは、e-たばこが正しい又は合法な交換部品の存在を有するか否かを検証できる。
【0073】
この例では、導電性電極は、中空のアセテートチューブ又はポリマ膜フィルタのいずれかに組み込まれたCCタグ10を有する紙、例えば、e-たばこの外装紙に印刷されてもよい又は組み込まれてもよい。リーダ電極又は電極550を、e-たばこの包装チップ(排出器側)に組み込むことができる。リーダ電極を、例えば、e-たばこの既存の制御電子部品と同じ体積で組み込むことができる。
【0074】
図5の例示のシステムでは、電極520をまた、タバコプラグ510上に設置することができる。しかしながら、CCタグ10はまた、このような外部電極を用いずに動作することができる。システムの様々な構成部品をマウントするために、プリント回路基板505を使用することができ、そのため、リーダ電極550及び付随するコンタクト530はリーダと(例えば、RF通信を使用して)結合できる。システムのこれらの部分を、ケース580内に収納することができ、そしてコンピュータ又はマイクロプロセッサ560とデータ及び電力接続性を与えるために(例えば、USBコネクタ570を使用して)電気的に結合できる。
【0075】
図6aは、このようなCCタグ10を紙巻たばこ又は電子たばこ(もしくは他の円柱状の対象物)605とどのようにして形成できるかをより詳細に示す。この図は、金属バックプレーン又は金属プレート620が電子たばこ605の湾曲した表面(例えば、円柱)及びCCタグ10からこの金属プレート620を隔てる絶縁性層610にどのようにして適応させるかを模式的に図示する。この図はまた、電子たばこ605及びCCタグ10を取り囲んでいるリーダの電極630も示す。
【0076】
図6bは、(図4に示したものに類似の金属裏面電極又はバックプレーン金属層を有する)このようなCCタグ10を、紙巻たばこ又は電子たばこ605を取り囲むリング形状をした金属リーダ電極(550、550’)内部でどのようにして読み取ることができるかを模式的に図示する。このような電極は、上に説明したものと類似の方法で動作する。
【0077】
このようなCCタグ10(すなわち、片面又は隣接する電極リーダにより読み取ることができるもの)を、ラベル、包装材料、ホログラム、コーティング(例えば、錠剤コーティング)、他の医薬品及び不規則な又は平坦でない物品などの物品に適用したときにより簡単に読み取ることができる。図6bは、一方のリーダ電極550’が金属プレート620を覆うがCCタグ10の残りを覆わず、そして他方のリーダ電極550がCCタグ10の残りを覆うように、金属プレート620がCCタグ10の基板及び/又は金属パッドを超えてどのように広がるかを示す。したがって、金属プレートは、CCタグ10の遠い電極又は反対の電極に(すなわち、リーダ電極が設置される側に対して他方の側又は反対側に)信号を容量結合する。
【0078】
図5図6a及び図6bがこの明細書全体を通して説明された特定のCCタグ10を用いて示される一方で、類似の構成(すなわち、電極構成)を、異なる容量結合タグで使用することができる。
【0079】
例示の実装形態では、金属製プレートを、タグが付けられる物品又は対象物の一部又はすべてから代わりに形成することができる。例えば、対象物を、金属もしくは箔のカプセル、缶、ブリキ缶又は封入された製品を有するカートンとすることができる。物品を、例えば、使い捨て又は再使用可能なものとすることができる。これは、アルミニウム本体を有する飲料カプセル、コーヒーカプセル又は紅茶カプセルであってもよい。これらの例では、物品それ自体(又は少なくとも金属容器)は、金属プレートと同じ機能を有し、リーダ電極のうちの一方に容量結合でき、CCタグ10の両側の電極の必要性を回避し、そして導電性の物品に適用されたときにCCタグ10の使用もまた改善する。
【0080】
解決される問題は、例えば、大量生産のためにタバコスティックへの容量チップから構成される容量タグ及び電極の組み込みである。
【0081】
容量タグの裏面電極を、(例えば、金属製導電体を印刷すること又は織り交ぜることにより)タバコスティックの周りに巻かれる紙の内部に取り込み、電極の上面に容量チップを(代替でより大きな保持強度のために追加の接着剤を用いて)貼り付け、そして所定の場所に容量チップ(CCタグ)を保持するためマウスピース紙を用いて組み立て品を転がすことができる。
【0082】
このような組み立て品は、紙巻たばこ又はe-たばこタバコスティックのための現在の製造プロセスへと組み込まれるという利点を有する。
【0083】
あるいは、裏面電極を、中空のアセテートチューブ、セルロースアセテートマウスピース内に又はポリマ膜フィルタクーラ(下記参照)のいずれかに組み込むことができる。容量チップ(すなわち、全体を通して説明した任意のCCタグ)を、次いで、3つの列挙した構成要素のうちの1つへと貼り付けることができる。チップの位置は、そのときにはタバコスティックの周りに巻かれた紙によって維持されるだろう。
【0084】
あるいは、そして中空のアセテートチューブ、セルロースアセテートマウスピースのうちの1つの電極の組み込みに加えて、ポリマ膜フィルタクーラ及び紙の周りに、第2の電極を、それぞれ、タバコスティックの周りに巻かれた紙、マウスピース用の紙の内部に組み込むことができる、ところが第2の電極は、好ましくは第1の電極を部分的に覆うに過ぎない。このような構成では、第1の電極は、容量チップ(CCタグ)の裏面電極に接触する又は近くにあり、そして第2の電極が、容量チップの上部電極に接触する又は近くにあり、容量タグ(CCタグ)の読み取り感度の向上をもたらす。
【0085】
図6a及び図6bがe-たばこ605内に配置されたCCタグ10を示す一方で、図8は、この配置のいくつかの代替実装形態を示す。図8は、e-たばこ605又は他の円柱状もしくは湾曲した対象物で使用されるCCタグ10用の4電極の特定の構成(V01、V07、V01b及びV08)を示す。リーダ電極550、551’は、環状の形状を有し、e-たばこ605又はe-たばこカートリッジ(例えば、タバコ製品)の周りに(又は少なくとも部分的に周りに)ぴったりと合う。CCタグ10は、片面アプローチで(すなわち、CCタグ10の基板の一方の側から)CCタグ10を読み取ることができる上述の電極550、551’を用いてCCタグ10の基板の上面及び底面に結合する。
図8に示した例示のV01及びV07では、2つの金属電極(例えば、パッド)840、840’は、CCタグ10の集積回路810の基板の表面に電気的に接続され、そしてリーダ電極550、551’と容量結合される。
【0086】
図8のバージョンV01b及びV08では、1つだけの金属電極(例えば、金属パッド又は金属製パッド)850が存在する。これは、図1を参照して説明した金属製電極40に対応する。この単一の電極850が、基板の底部をリーダ電極550のうちの一方と容量結合される。タグ10の基板の上面が、他方のリーダ電極550’と直接容量結合される。
CCタグ10と電極550、550’との間の接続性は、直接接触(すなわち、電気的な接触)により又は極めて近接することにより、すなわち容量結合により実現されることがある。タグ電極810、840、840’は、リーダ電極550、550’との容量結合を高めるために(すなわち、整列した表面積を増加させることにより)T字形(V01b参照)又はH字形(V01参照)に形成されることがある。円柱状e-たばこの軸に垂直である構成V01及びV01bの金属電極840’、850の一部分は、e-たばこ(又はe-たばこ詰め替え品もしくはカートリッジ)の円柱の表面に一致するように、そしてe-たばこの周囲(例えば、T字形電極では「T」の頂部及びH字形電極では「H」の側部)の周りから一部離れて延びるように湾曲される。
【0087】
当業者なら認識するように、上記の実施形態の詳細を、別記の特許請求の範囲に規定されるような本発明の範囲から逸脱することなく変えることができる。
【0088】
例えば、CCタグ及びリーダを、標準の産業、科学及び医療(ISM)無線帯域周波数(すなわち、入力RF信号の周波数)を使用して動作させることができる。動作の周波数を、例えば、13.56MHz(又は10MHzと15MHzとの間)とすることができる。CCタグは、別の周波数で(すなわち、データ信号の衝突を避けるように)動作できる。リーダは、例えば、異なる周波数でスキャンできる。
【0089】
上記の実施形態の特徴に対する多くの組合せ、修正、又は変更が、当業者には容易に明らかになるだろう、そして発明の一部を形成するものである。1つの実施形態又は例に関連して具体的に記述された特徴のうちのいずれかを、適切な変更を行うことによりいずれかの他の実施形態において使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
【国際調査報告】