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特表2023-533844車両のB-b-W技術を用いたブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御する方法及びそのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-04
(54)【発明の名称】車両のB-b-W技術を用いたブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御する方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/1761 20060101AFI20230728BHJP
   B60T 8/174 20060101ALI20230728BHJP
   B60T 8/172 20060101ALI20230728BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20230728BHJP
   B60W 30/02 20120101ALI20230728BHJP
   B60W 10/192 20120101ALI20230728BHJP
【FI】
B60T8/1761
B60T8/174 C
B60T8/172 B
B60T8/17 B
B60W30/02 300
B60W10/192
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502823
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 IB2021056286
(87)【国際公開番号】W WO2022013732
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020000017119
(32)【優先日】2020-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】フォルニ,ファブリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ウゴリーニ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィーコ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】パオリーニ,ダヴィデ
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】イスグロ,ダヴィデ
【テーマコード(参考)】
3D241
3D246
【Fターム(参考)】
3D241AA47
3D241AC26
3D241AD41
3D246BA02
3D246BA08
3D246DA01
3D246DA02
3D246GB01
3D246GB02
3D246GB37
3D246HA64A
3D246HA72B
3D246HB02B
3D246JA15
3D246JB05
3D246JB15
3D246JB47
3D246JB56
3D246KA15
(57)【要約】
車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するための方法(500)は、スリップ制御モジュールの入力インタフェースモジュールによって、車両を代表する情報および車両の状態の推定を代表する情報を受信するステップ(501)、入力インタフェースモジュールによって、入力されたホイールのスリップ制御情報を出力するステップ(502)、
入力インタフェースモジュールのパラメータセルフローディングモジュールによって、車両の代表的な情報および車両の状態の代表的な情報に基づいて、ホイールスリップ制御パラメータを決定するステップ(503)、スリップ制御モジュールの複数のホイールスリップ制御有効化モジュールによって、受信した入力ホイールスリップ制御情報および受信したホイールスリップ制御パラメータに基づいて、ホイールスリップ制御の複数の有効化信号を決定するステップ(505)、及びスリップ制御モジュールの複数の閉ループホイールスリップ制御モジュールの各閉ループホイールスリップ制御モジュールによって、定義されたスリップ設定値と推定ホイールスリップ値とに基づいて、それぞれの車両コーナーに適用される制御変数の設定値を決定し、定義されたスリップ設定値と推定ホイールスリップ間の誤差を最小化するステップ(506)を有する。
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(1)のブレーキシステムにおいてホイールのスリップを制御するための方法(500)であって、
スリップ制御モジュール(101)の入力インタフェースモジュール(40)によって、前記車両(1)を代表する情報(MD)および前記車両(1)の状態の推定を代表する情報(MS)を受信するステップ(501)と、
前記入力インタフェースモジュール(40)によって、入力ホイールスリップ制御情報(SCD)を出力するステップ(502)と、
前記入力インタフェースモジュール(40)のパラメータセルフローディングモジュール(41)によって、前記車両(1)を代表する前記情報(MD)および前記車両(1)の状態を代表する前記情報(MS)に基づいて、ホイールスリップ制御パラメータ(SCP)を決定するステップ(503)と、
前記スリップ制御モジュール(101)の複数のホイールスリップ制御有効化モジュール(42)によって、受信した前記入力ホイールスリップ制御情報(SCD)および受信した前記ホイールスリップ制御パラメータ(SCP)に基づいて、ホイールスリップ制御の複数の有効化信号(SCE)を決定するステップ(505)と、
前記スリップ制御モジュール(101)の複数の閉ループホイールスリップ制御モジュール(44)の各閉ループホイールスリップ制御モジュールによって、定義されたスリップセットポイント(SP-S)および推定ホイールスリップ値に基づいて、前記定義されたスリップセットポイント(SP-S)と前記推定ホイールスリップとの間の誤差を最小化するために、それぞれの車両コーナーに適用すべき制御変数のセットポイント値(SP-V)を決定するステップ(506)を含む、方法。
【請求項2】
前記決定するステップ(506)の後に、
複数のアクチュエータモジュール(102)の各アクチュエータモジュールに存在するアクチュエータ制御モジュールの複数のインタフェース構成モジュール(44)の各インタフェース構成モジュールによって、前記車両(1)の関連コーナーの前記アクチュエータ制御モジュールの制御モード(MC)を定義するステップ(507)と、
複数のアクチュエータモジュール(102)の各アクチュエータモジュールに存在するアクチュエータ制御モジュールの前記複数のインタフェース構成モジュール(44)の各インタフェース構成モジュールによって、前記車両(1)の関連コーナーの前記アクチュエータ制御モジュールにロードするために提供すべき構成パラメータ(CP)のセットを定義するステップ(508)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定するステップ(505)と前記決定するステップ(506)との間に、前記スリップ制御モジュール(101)の複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール(43)によって、前記受信した入力ホイールスリップ制御情報(SCD)と前記受信したホイールスリップ制御パラメータ(SCP)に基づいて前記スリップセットポイント(SP-S)を生成するステップ(509)を含む、請求項1又は2記載の方法(500)。
【請求項4】
前記生成するステップ(509)は、前記入力インタフェースモジュール(40)の前記メータセルフローディングモジュール(41)によって、前記基準スリップセットポイントとして一定のスリップセットポイント値を提供するステップ(510)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生成するステップ(509)は、それぞれの定義モジュールによって、前記車両(1)の状態の推定を代表する情報(MS)の関数として、前記それぞれの基準スリップセットポイントからスリップ設定値を決定するステップ(511)をさらに備える請求項4に記載の方法(500)。
【請求項6】
前記決定するステップ(506)と前記定義するステップ(507)との間に、前記スリップ制御モジュール(101)の複数の基準ターゲット補正モジュール(45)によって、離散的なイベントに基づいて、前記入力で受信したそれぞれの基準ターゲット値を補正するステップ(512)をさらに含み、その後、正しい基準ターゲット値(TC)を出力する、先行請求項2ないし5のいずれか1つに記載の方法(500)。
【請求項7】
前記補正するステップ(512)と前記定義するステップ(507)との間に、前記制御変数のセットポイント値に基づいて、前記車両(1)の単一車軸のコーナーに対して定義された力を調整するための複数のモジュール(46)によって、前記車両(1)のグリップ、垂直荷重、安定性および速度という条件を評価し、各車軸の前記単一コーナーに対して要求できる最大力および/または最小力のサチュレーションを定義するステップ(513)を更に備える請求項6に記載の方法(500)。
【請求項8】
前記ホイールスリップ制御パラメータ(SCP)が、異なる道路グリップに関連する異なるサブセットに分割され、
前記車両(1)の状態の推定モジュール(MSV)から受け取った推定道路グリップに従って、前記決定するステップ(503)が、前記入力インタフェースモジュール(40)の前記パラメータ自己ロードモジュール(41)によって、対応するホイールスリップ制御パラメータ(SCP)サブセットをロードするステップ(504)を含む請求項1から7のいずれか1つに記載の方法(500)。
【請求項9】
前記決定するステップ(503)は、前記入力インタフェースモジュール(40)の前記パラメータセルフローディングモジュール(41)によって、前記車両(1)の状態の推定モジュールから受信した前記推定道路グリップの関数としてホイールスリップ制御パラメータ(SCP)を決定するために実施される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(500)。
【請求項10】
車両(1)のブレーキシステムにおいてホイールのスリップを制御するためのシステム(100)であって、
スリップ制御モジュール(101)。
複数のアクチュエータモジュール(102)であって前記、複数のアクチュエータモジュール(102)の各アクチュエータモジュールは、それぞれのアクチュエータ制御モジュールと、前記それぞれのアクチュエータ制御モジュールから受け取った制御に基づいてブレーキングコマンドを実行するように適合されたそれぞれのアクチュエータと、を備え、
前記スリップ制御モジュール(101)は、前記車両(1)を代表する情報(MD)を受信し、前記情報(MD)に基づいて、前記複数のアクチュエータモジュール(102)にブレーキング要求(BR)を代表する1以上のコマンドを送信するように構成され、
前記スリップ制御モジュール(101)は、請求項1から9のいずれかに記載の前記車両(1)のブレーキシステムにおいてホイールのスリップを制御するための方法を実行するように構成される、システム(100)。
【請求項11】
前記スリップ制御モジュール(101)は、前記車両(1)の単一コーナー(C-1、C-2、...、C-N)上に分散された複数のホイールスリップ制御サブモジュール(103)を備え、
前記複数のホイールスリップ制御サブモジュール(103)は、前記車両(1)のコーナー全体の数よりも少ないまたは同等の数の車両コーナーを、協調的に制御するように構成されている、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記スリップ制御モジュール(101)は、前記車両(1)の単一車軸(A-1、A-2、...、A-N)上に配された複数のホイールスリップ制御サブモジュール(103)を有し、
前記複数のホイールスリップ制御サブモジュール(103)は、車両(1)の車軸の全体の数よりも少ないか、または等しい車軸数を、協調的に制御するために構成可能であることを特徴とする請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記スリップ制御モジュール(103)が集中管理されており、
前記スリップ制御モジュール(101)が、車両(1)のコーナーの数よりも少ない、または車両(1)のコーナーの全体の数に等しいコーナーの数を、協調的に制御するように構成可能である、請求項10に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のブレーキシステムに関し、特に、車両のB-b-W技術を用いたブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するための方法及びそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールのスリップ制御は、車両において非常に重要であり、ブレーキシステムの構成に追加され、この点で、制御の最適化と柔軟性を高いレベルで保証できることが必要である。
【0003】
多数のバルブを備えた作動回路を特徴とする従来のブレーキシステムにおいて、ブレーキ管理は通常、離散サイクル制御アルゴリズム(周期的なブレーキ要求の適用と解放)によって実行されるが、例えば、車両のホイールスリップ制御と、ホイールにブレーキ作用を付与するように適合されたアクチュエータの連続的な力変調の制御との間の分離を許容せず、それによって、ホイール制御の点で最適な性能を達成するためにブレーキシステムを制御するための方法全体のあらゆる種類の最適化と柔軟性を実際に制限し、同時に、チューニング技術を経験法に限定するアーキテクチャが存在する。
【0004】
極最近の革新的なアーキテクチャは、B-b-W(「ブレーキ・バイ・ワイヤ」、電気接続によるブレーキング)技術を有する電子ブレーキシステムを備えるブレーキシステムを提案し、このシステムでは、例えば、ホイール上のブレーキキャリパのブレーキ動作は、1つまたは複数の電気機械式または電気油圧式アクチュエータの使用によって達成される。
【0005】
しかしながら、従来のブレーキシステムに関する前述の考察に基づいて、従来のブレーキシステムで使用可能な車両のホイールのスリップを制御する方法は、B-b-W技術による電子ブレーキシステムを備えるブレーキシステムにおいて適用するには最適ではない。
【0006】
今日、B-b-W技術による電子ブレーキシステムを備えたブレーキシステムにおいても、車両のホイールのスリップを制御するための特定の最適化されたモードを定義する必要性が感じられ、1つまたは複数のホイールおよび/または車両自体の状態の評価の関数として、その制御モードを構成することが可能である。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、先行技術を参照して上記で説明した欠点を少なくとも部分的に回避することを可能にし、特に、1つまたは複数のホイールおよび/または車両自体の状態の評価の関数としてそのような制御モードを構成する可能性を可能にするような、車両のブレーキシステムにおけるホイールスリップを制御する方法を考案して利用可能にすることで、より柔軟で、ホイールスリップ制御の応答性および性能ならびにブレーキ快適性をさらに特権化および最適化させることを保証することにある。
【0008】
このような目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0009】
本発明はさらに、車両のブレーキシステムにおいてホイールのスリップを制御するためのシステムに関する。
【0010】
さらなる有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明による方法およびシステムのさらなる特徴および利点は、添付の図を参照しながら、指示的で非限定的な例によって与えられる、好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【0012】
図1図1は、ブロックチャートによって、本発明の対象である車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムが採用可能である、ブレーキ・バイ・ワイヤ技術による車両および電子ブレーキシステムを示す。
図2図2は、ブロックチャートによって、図1の車両およびブレーキ・バイ・ワイヤ技術を有する電子ブレーキシステムを、それらの内部のそれぞれのコンポーネントの詳細とともに示す。
図3A図3Aは、それぞれのブロックチャートによって、本発明の様々な実施形態による車両のホイールスリップを制御するためのシステムを示す。
図3B図3Bは、それぞれのブロックチャートによって、本発明の様々な実施形態による車両のホイールスリップを制御するためのシステムを示す。
図3C図3Cは、それぞれのブロックチャートによって、本発明の様々な実施形態による車両のホイールスリップを制御するためのシステムを示す。
図4A図4Aは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図4B図4Bは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図4C図4Cは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図4D図4Dは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図4E図4Eは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図4F図4Fは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図4G図4Gは、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのそれぞれの構成要素を図式的に示している。
図5図5は、ブロック図によって、本発明の実施形態による、車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するための方法を示す;および
図6図6は、車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップを制御するためのシステムのコンポーネントの動作の一例をブロックチャートによって示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に前述の図を参照すると、参照数字100は、本発明による車両のブレーキシステム(以下、単にシステムともいう)におけるホイールのスリップを制御するためのシステムを全体として示している。
【0014】
図中の等しいまたは類似の要素は、同じ数字または英数字の参照によって示されることに注目されたい。
【0015】
本明細書において、図に図式的にのみ示される「車両」は、商用タイプでもあり、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上のホイールを有する任意の車両またはオートバイを意味する。
【0016】
さらに、「ブレーキシステム」とは、車両のサービスブレーキの発生又は車両のパーキングブレーキの発生に寄与する全ての構成要素(機械的及び/又は電気的又は電子的、またブレーキ液)の全体を意味する。
【0017】
システム100は、ブレーキ・バイ・ワイヤ技術を有する電子システムである。
【0018】
システム100は、車両1と動作的に関連付けられる。
【0019】
より詳細には、システム100は、スリップコントロールモジュール101を含んでいる。
【0020】
ホイールのスリップとは、ホイール速度と車速との間の相対的な差に起因するホイールの挙動を意味する。
【0021】
スリップ制御モジュール101は、例えば、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要なハードウェアモジュール内のハードウェアモジュールまたはソフトウェアロジックモジュールである。
【0022】
システム100は、複数のアクチュエータモジュール102をさらに備える。
【0023】
複数のアクチュエータモジュール102の各モジュールは、それぞれのアクチュエータ制御モジュールと、それぞれのアクチュエータ制御モジュールから受信した制御に基づいてブレーキングコマンドを実施するように適合されたそれぞれのアクチュエータと、を備える。
【0024】
それぞれのアクチュエータ制御モジュールは、例えば、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要なハードウェアモジュールにおけるハードウェアモジュールまたはソフトウェアロジックモジュールである。
【0025】
各アクチュエータは、電気機械式または電気油圧式のいずれかである。
【0026】
スリップ制御モジュール101は、車両1を代表する情報MDを受信し、かかる情報MDに基づいて、複数のアクチュエータモジュール102にブレーキング要求BRを代表する1つまたは複数のコマンドを送信するように構成される。
【0027】
本明細書において「車両を代表する情報MD」とは、車両、すなわちコーナー(車両の前部または後部)に設置された検出装置(現実または仮想センサ)から来る検出および/または推定情報を意味するが、必ずしも車両のブレーキシステムにのみ関連するわけではない。
【0028】
複数のアクチュエータモジュール102は、スリップ制御モジュール101から受信したブレーキング要求BRを代表する1つ又は複数のコマンドに基づいて、車両1のコーナー110に1つ又は複数のブレーキング作用BAを適用するように構成される。
【0029】
「ブレーキング作用」は、対応するホイール上のアクチュエータモジュールによって適用されるブレーキング力/トルクを意味することに留意されたい。
【0030】
スリップ制御モジュール101は、1つまたは複数のブレーキング要求BRコマンドを送信することに加えて、以下でより詳細に説明される制御モードMCおよび構成パラメータCPを、複数のアクチュエータモジュール102に提供するように構成されていることは注目に値する。
【0031】
図2を参照すると、ホイールスリップ制御モジュール101は、複数のホイールスリップ制御サブモジュール103を含んで構成されている。
【0032】
かかる複数のホイールスリップ制御サブモジュール103のホイールスリップ制御サブモジュールは、車両1のそれぞれのコーナーを制御するように構成される。
【0033】
より詳細には、車両1が4つのホイール(前車軸に2つ、後車軸に2つ)を有する場合、複数のホイールスリップ制御サブモジュール103は、以下のものを含む。
【0034】
前部左コーナーの第1のホイールスリップ制御サブモジュールC-FL。
【0035】
前部右コーナーの第2のホイールスリップ制御サブモジュールC-FR。
【0036】
後部左コーナーの第3のホイールスリップ制御サブモジュールC-RL。
【0037】
後部右コーナーの第4のホイールスリップ制御サブモジュールC-RR。
【0038】
図2を再び参照すると、複数のアクチュエータ制御モジュール102は、車両1のコーナーに配されている。
【0039】
より詳細には、再び、車両1が4つのホイール(前車軸に2つ、後車軸に2つ)を有する場合、複数のアクチュエータ制御モジュール102は、以下のものを含む。
【0040】
前部左コーナーの第1のアクチュエータ制御モジュールA-FL。
【0041】
前部右コーナーの第2のアクチュエータ制御モジュールA-FR。
【0042】
後部左コーナーの第3のアクチュエータ制御モジュールA-RL。
【0043】
後部右コーナーの第4のアクチュエータ制御モジュールA-RR。
【0044】
スリップ制御モジュール101から複数のアクチュエータ制御モジュール102に送信されるブレーキング要求BRを代表する1つ以上のコマンドは、以下のものを含む。
【0045】
前部左コーナーの第1ホイールスリップ制御サブモジュールC-FLが前方左コーナーの第1アクチュエータ制御モジュールA-FLに提供する第1ブレーキング要求BR1。
【0046】
前部右コーナーの第2のホイールスリップ制御サブモジュールC-FRによって右前コーナーの第2のアクチュエータ制御モジュールA-FRに提供される第2のブレーキング要求BR2。
【0047】
後部左コーナーの第3のホイールスリップ制御サブモジュールC-RLによって後左コーナーの第3のアクチュエータ制御モジュールA-RLに提供される第3のブレーキング要求BR3。
【0048】
後部右コーナーの第4のホイールスリップ制御サブモジュールC-RRによって後右コーナーの第4のアクチュエータ制御モジュールA-RRに提供される第4のブレーキング要求BR4。
【0049】
各ホイールスリップモジュールは、それぞれのブレーキング要求BR1、BR2、BR3またはBR4を送信することに加えて、制御モードMC-1、MC-2、MC-3またはMC-4と、以下でより詳細に説明する構成パラメータCP-1、CP-2、CP3またはCP-4を複数のアクチュエータモジュール102へ提供するよう構成されるということは、注目に値する。
【0050】
複数のアクチュエータモジュール102が車両1に実施することができる1つまたは複数のブレーキング作用BAは、以下のものを含む。
【0051】
前部左コーナーの第1アクチュエータ制御モジュールA-FLによって、車両1の前部左ホイールW-FLに提供される第1ブレーキング作用BA1である。
【0052】
前部右コーナーの第2アクチュエータ制御モジュールA-FRによって、車両1の前部右ホイールW-FRに提供される第2ブレーキング作用BA2。
【0053】
後部左コーナーの第3アクチュエータ制御モジュールA-RLによって、車両1の後左ホイールW-RLに与えられる第3ブレーキング作用BA3。
【0054】
後部右コーナーの第4アクチュエータ制御モジュールA-RRによって、車両1の後部右ホイールW-RRに提供される第4ブレーキング作用BA4。
【0055】
図2において、車両1は、前左ホイールW-FLおよび前右ホイールW-FRからなる前車軸と、後左ホイールW-RLおよび後右ホイールW-RRからなる後車軸とが動作可能に接続されるシャーシCSをさらに備えることに注目されたい。
【0056】
さらに、再び図2に図式的に示されるように、車両1は、車両1にブレーキング要求を付与するように構成されたブレーキング要求モジュール111を含んで構成される。
【0057】
ブレーキング要求モジュール111が付与することができるブレーキング要求は、制御モジュール100に提供される車両を代表する情報MDのアイテムの1つである。
【0058】
図2に示す実施形態では、ブレーキング要求モジュール111は、車両1の運転者が車両1にブレーキング要求を付与することができるように適合されたブレーキペダルBPを含んで構成される。
【0059】
本実施形態において、ブレーキング要求は、ブレーキペダルの位置及び/又は圧力を意味する。
【0060】
代替的または先行するものと組み合わせて、図2に破線で示すさらなる実施形態によれば、ブレーキング要求モジュール111は、例えば、自動車両運転支援ロジック、例えば、自律緊急ブレーキ(AEB)タイプのもの、自動自律運転ロジックなど、ブレーキング要求を付与するよう構成された1つまたは複数の制御ロジックBCを有する。
【0061】
図3a、3b、および3cに図式的に示される様々な実施形態によれば、システム100は、車両1における1つまたは複数の電子制御ユニットの分布に基づいて、ソフトウェアの観点から構成可能である。
【0062】
1つまたは複数の電子制御ユニットは、いくつかのタスクを有し、そのうちの1つは、スリップ制御モジュール101を実装することである。
【0063】
単一の電子制御ユニットが、最大N個のホイールスリップ制御サブモジュールを実装するように構成され得ることは、注目に値する。
【0064】
N個のコーナーを有する車両と、N個のホイールスリップ制御サブモジュールをすべて実装するように構成された単一の電子制御ユニットとの場合、システム100は集中型と命名される。
【0065】
その代わりに、N個のコーナーとN個の電子制御ユニットとを有し、その各々が単一のホイールスリップサブモジュールを実装するように構成されている車両の場合、システム100は分散型と命名される。
【0066】
これらの実施形態によるシステム100のこのモジュール性により、車両1における1つまたは複数の電子制御ユニットの様々な分布構成に対するシステム100自体の柔軟性を高めることができる。
【0067】
図3Aに示す実施形態によれば、システム100、特に、車両1の単一コーナーC-1、C-2、...、C-Nに分布する複数のホイール滑り制御サブモジュール103は、車両1のコーナーの全体数よりも少ないか又は等しい車両のコーナー数を協調的に制御するように構成することができる。
【0068】
システム完全分散型(B-b-W decentralized - full)とも名付けられたこの構成では、電子制御ユニットおよびホイールスリップ制御サブモジュールの分配は、車両1のコーナーに基づく。
【0069】
このような構成は、実施形態において、各コーナーのための電子制御ユニットと、関連するコーナーに関連する各制御ユニットのためのホイールスリップ制御サブモジュールの存在を提供し得る。
【0070】
例えば、図3Aを参照すると、コーナーC-1は、第1のホイールスリップ制御サブモジュールC-FLが対応する前左コーナーであってもよい。
【0071】
より大きな柔軟性を提供するように適合されたさらなる実施形態によれば、電子制御ユニットは、複数のコーナーホイールスリップ制御サブモジュールを実装するように構成される一方で、他の電子制御ユニットは、いずれのホイールスリップ制御サブモジュールも実装するように構成されないことがある。
【0072】
図3Bに示すさらなる実施形態によれば、システム100、特に、車両1の単一車軸A-1、A-2、...、A-Nに配された複数のホイールスリップ制御サブモジュール103は、車両1の車軸の全体数よりも少ないか等しい数の車軸を協調的に制御するように構成され得る。
【0073】
システム部分分散型(B-b-W decentralized - partial)とも名付けられたこの構成では、電子制御ユニットおよびホイール滑り制御サブモジュールの分配は、車両1の車軸に基づいている。
【0074】
実施形態において、この構成は、各車軸のための電子制御ユニットと、車軸に関連するコーナーに関連する各制御ユニットのためのホイールスリップ制御サブモジュールの存在を提供し得る。
【0075】
例えば、図3Bを参照すると、単一車軸A-1は、前車軸であってよく、第1のホイールスリップ制御サブモジュールC-FLおよび第2のホイールスリップ制御サブモジュールC-FRを含むことができる。
【0076】
より大きな柔軟性を提供するように適合されたさらなる実施形態によれば、電子制御ユニットは、車軸の複数のホイールスリップ制御サブモジュールを実装するように構成され得る。
【0077】
図3Cに示すさらなる実施形態によれば、システム100、特に、後者が集中化されている場合のスリップ制御モジュール101は、車両1のコーナーの総数よりも少ないかまたは等しい車両1のコーナーの数を協調的に制御するように構成可能である。
【0078】
集中システム(B-b-W centralized)とも名付けられたこの構成では、車両1の単一コーナーC-1、C-2、...、C-Nの複数のホイール滑り制御サブモジュール103を含む単一の電子制御ユニットが存在する。
【0079】
ここで図4A~4Gを参照して、スリップ制御モジュール101をより詳細に説明する。
【0080】
ソフトウェアの観点から、ホイールスリップ制御モジュール101、したがって複数のホイールスリップ制御モジュール103の各ホイールスリップ制御サブモジュールは、以下に説明するように、車両のブレーキシステムにおいてホイールスリップを制御する方法を実行するように構成されていることに注目されたい。
【0081】
スリップ制御モジュール101は、入力インタフェースモジュール40を含んで構成される。
【0082】
例えば、入力インタフェースモジュール40は、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要なハードウェアモジュールにおけるハードウェアモジュールまたはソフトウェアロジックモジュールである。
【0083】
入力インタフェースモジュール40は、図1及び図2を参照して先に紹介した車両1を代表する入力情報MDと、車両の状態の推定を代表する情報MSとを受信するように構成される。
【0084】
車両1を代表する情報MDは、車両1が備える構成要素、例えば、センサおよび/またはCAN(Controller Area Network)ネットワークおよび/または車両の一つのコーナーの1つまたは複数の電子制御ユニットなどによって提供される。
【0085】
この点で、図4Aに示すように、車両を代表する情報MDは、以下の情報群のうちの1つまたは複数を有する。
【0086】
車両1が備えるセンサによって検出可能な第1の情報群MD-1。
【0087】
車両1のCANネットワークまたは他のデータ通信チャネルによって検出可能な第2の情報群MD-2。
【0088】
単一の車両コーナーの1つまたは複数の電子制御ユニットによって検出可能な第3の情報グループMD-3。
【0089】
この第3の情報群MD-3が、スリップ制御モジュール101が関係する車両コーナー以外の車両コーナーで検出可能な情報をさらに含んでいることに注目されたい。
【0090】
その代わりに、車両の状態の推定を代表する情報MSは、車両の状態の推定モジュールMSV(図6にのみ示されている)によって提供される。
【0091】
例えば、車両の状態の推定モジュールMSVは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要なハードウェアモジュール内のハードウェアモジュールまたはソフトウェアロジックモジュールである。
【0092】
実施形態では、モジュールMSVは、システム100の内部であってもよい。
【0093】
先行するものに代わる更なる実施形態によれば、モジュールMSVは、システム100の外部であってもよい。
【0094】
入力インタフェースモジュール40に戻ると、それは、入力ホイールスリップ制御情報SCD、すなわち、入力インタフェースモジュール40の下流に配置されたスリップ制御モジュール101のさらなるモジュールへの入力として提供されるものを出力するように構成されている。
【0095】
入力ホイールスリップ制御情報SCDは、ホイールスリップ制御モジュール101によるホイールのスリップを制御するための必須情報であり、車両1を代表する情報MDと車両の状態を代表する情報MSからインタフェースモジュール40によって選択される。
【0096】
より詳細には、入力されたホイールスリップ制御情報SCDは、少なくとも以下のものを含む。
【0097】
ホイール速度(車両に搭載されたセンサによって検出可能)。
【0098】
車両の縦加速度(車両に搭載されたセンサによって検出可能)。
【0099】
車両の横方向の加速度(車両に搭載されたセンサによって検出可能)。
【0100】
ヨーレート(車両に搭載されたセンサによって検出される)。
【0101】
[00111]車両の速度(車両の状態の推定モジュールによって提供される)。
【0102】
ホイールのスリップ(車両の状態の推定モジュールによって提供される)。
【0103】
路面グリップ(車両の状態の推定モジュールによって提供される)。
【0104】
ホイールの加速度(車両の状態の推定モジュールによって提供される)。
【0105】
サイドスリップ角(車両のステータスの推定モジュールによって提供される)。
【0106】
側面のホイールの滑り(車両の状態の推定モジュールによって提供される)。
【0107】
車両操縦者タイプの識別(車両のステータスの推定モジュールによって提供される)。
【0108】
他の車両コーナーのステータス情報(後述する、車両コーナーに適用される制御変数のSlipControlEnable、SCE、SP-Vセットポイント値)。
【0109】
再び図4Aを参照すると、入力インタフェースモジュール40は、パラメータセルフローディングモジュール41を含む。
【0110】
例えば、パラメータセルフローディングモジュール41は、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックモジュールである。
【0111】
パラメータセルフローディングモジュール41は、車両1を代表する情報MDと車両1の状態を代表する情報MSとに基づいて、ホイールスリップ制御モジュール101の制御論理によって使用されるホイールスリップ制御パラメータSCPを決定するように構成される。
【0112】
ホイールスリップ制御パラメータSCPは、入力インタフェースモジュール40の下流に配置されたホイールスリップ制御モジュール101のさらなるモジュールを制御するための数式/法則で使用されるパラメータであり、図4b~4gを参照して以下に説明する。
【0113】
これらのパラメータのいくつかの例は、コントローラのゲイン及び時定数、スリップセットポイントテーブル、及び前述のモジュールのトリガ閾値である。
【0114】
決定の例は、路面グリップの関数としてパラメータセットをロードするという観点から、以下のセクションで示される。
【0115】
ホイールスリップ制御パラメータSCPは、離散的なサブセットに分割されてもよいし、車両1を代表する情報MDと車両1の状態を代表する情報MSとに基づいて、補間関数の出力として決定されてもよい。
【0116】
実施形態によれば、ホイールスリップ制御パラメータSCPは、様々な道路グリップ(「高グリップ」、「中グリップ」、「低グリップ」)に相対し、車両1の状態の推定モジュールから受け取った推定道路グリップに従って様々なサブセットに分割されてよく、パラメータ自己装填モジュール41は、ホイールスリップ制御パラメータSCPの対応するサブセットを装填するように構成される。
【0117】
先のものに代わるさらなる実施形態によれば、パラメータセルフローディングモジュール41は、例えば、車両1の状態の推定モジュールから受信した推定道路グリップの関数としてホイールスリップ制御パラメータSCPを決定するように構成される。
【0118】
パラメータSCP=デフォルトパラメータSCP×関数(デフォルトグリップ/推定グリップ)、ここで、パラメータSCPは、デフォルトパラメータSCP×関数(デフォルトグリップ/推定グリップ)である。
【0119】
デフォルトパラメータSCP:デフォルトグリップのための関連/較正されたパラメータ(例えば、ホイール滑り制御モジュールの特定のゲイン)。
【0120】
function = パラメータを推定グリップに適応させるための補間ロジック(例えば、線形補間ロジックで。パラメータSCP=デフォルトのパラメータSCP×(デフォルトのグリップ/推定されたグリップ)。
【0121】
デフォルトグリップ:ハイグリップ、ドライアスファルト、μ=1。
【0122】
図4Bを参照すると、ホイールスリップ制御モジュール101は、複数のホイールスリップ制御有効化モジュール42をさらに含む。
【0123】
例えば、複数のホイールスリップ制御有効化モジュール42の各ホイールスリップ制御有効化モジュールは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックである。
【0124】
複数のホイールスリップ制御イネーブルモジュール42は、車両の各コーナーのための少なくとも1つのホイールスリップ制御イネーブルモジュールから構成される。
【0125】
例えば、図4Bを参照すると、複数のホイールスリップ制御イネーブルモジュール42は、以下のものを含む。
【0126】
前部左コーナーのホイールスリップ制御の第1のイネーブルモジュールE-FL。
【0127】
前部右コーナーのホイールスリップ制御の第2のイネーブルモジュールE-FR。
【0128】
後部左コーナーホイールスリップ制御の第3のイネーブルモジュールE-RL。
【0129】
後部右コーナーホイールスリップ制御の第4のイネーブルモジュールE-RR。
【0130】
複数のホイールスリップ制御イネーブルモジュール42は、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDおよび受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいて、ホイールスリップ制御の複数のイネーブル信号SCEを生成するように構成される。
【0131】
より詳細には、複数のホイールスリップ制御イネーブルモジュール42の各ホイールスリップ制御イネーブルモジュールは、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDおよび受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいて、ホイールスリップ制御の複数のイネーブル信号SCEのそれぞれのイネーブル信号を決定するよう構成されている。
【0132】
ホイールスリップ制御イネーブルモジュール42は、ホイールの安定性および/または車両の安定性の切迫した喪失の検出時にホイールスリップ制御をイネーブルするように構成されていることに注目されたい。
【0133】
例えば、ホイールスリップ制御有効化モジュール42は、ホイールスリップ推定評価(WheelSlip)を評価し、かかる評価を車両の状態の関数閾値(SlipThreshold[f(車速、路面グリップ、ブレーキペダル速度、ホイール加速度)])と比較することにより、ホイール安定性の切迫した損失を検出し、したがって車両の一つまたは複数のコーナーのホイールスリップ制御を有効(真)するように構成されている。
【0134】
WheelSlip >= SlipThreshold [f(vehicle speed, road grip, brake pedal speed)] ならば、SlipControlEnable (SCE) = Trueである。
【0135】
図4Cに図解的に示されるさらなる実施形態によれば、先行するものと組み合わせて、スリップ制御モジュール101は、複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43をさらに備える。
【0136】
例えば、複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43の各ホイールスリップセットポイント定義モジュールは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックである。
【0137】
複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43は、車両の各コーナーのための少なくとも1つのホイールスリップセットポイント定義モジュールからなる。
【0138】
図4Cを参照すると、複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43は、以下のものを含む。
【0139】
前部左コーナーのための第1のホイールスリップセットポイントの第1の定義モジュールD-FL。
【0140】
前部右コーナーのための第2のホイールスリップセットポイントの第2の定義モジュールD-FR。
【0141】
後部左コーナーのための第3のホイールスリップセットポイントの第3の定義モジュールD-RL。
【0142】
後部右コーナーのための第4のホイールスリップセットポイントの第4の定義モジュールD-RR。
【0143】
複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43は、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDおよび受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいて、ホイールスリップセットポイントSP-Sを生成するように構成される。
【0144】
実施形態において、スリップセットポイントは、入力インタフェースモジュール40のパラメータセルフローディングモジュール41によって定義された一定値名の基準スリップセットポイントである。
【0145】
さらなる実施形態によれば、先のものと組み合わせて、スリップセットポイントは、それぞれの定義モジュールによって、車両の状態を代表する情報MSの関数として、それぞれの基準スリップセットポイントから開始して決定される。
【0146】
複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43は、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDおよび受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいて、車両の単一コーナーごとに、車両のブレーキング中の動的性能を有利に最大化するための最適ホイールスリップセットポイントをリアルタイムで得るために基準ホイールスリップセットポイントを変調するよう構成される。
【0147】
例えば、ホイールスリップセットポイント(Slipsetpoint)は、路面グリップおよび車両の側方加速度の関数として、基準ホイールスリップセットポイント(SlipSetpoint reference)から開始して変調することができる。
【0148】
Slipsetpoint=SlipSetpointリファレンス*f(ロードグリップ、サイド加速度)。
【0149】
図4Dを参照すると、スリップ制御モジュール101は、複数の閉ループホイールスリップ制御モジュール44をさらに含む。
【0150】
例えば、複数の閉ループホイールスリップ制御モジュール44の各閉ループホイールスリップ制御モジュールは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックである。
【0151】
複数のホイールスリップ閉ループ制御モジュール44は、車両の各コーナーのための少なくとも1つの閉ループホイールスリップ制御モジュールからなる。
【0152】
図4Dを参照すると、複数の閉ループホイールスリップ制御モジュール44は、以下のものを含む。
【0153】
前部左コーナーのための第1の閉ループホイールスリップ制御モジュールCL-1。
【0154】
前部右コーナーのための第2の閉ループホイールスリップ制御モジュールCL-2。
【0155】
後部左コーナーのための第3の閉ループホイールスリップ制御モジュールCL-3。
【0156】
後部右コーナーのための第4の閉ループホイールスリップ制御モジュールCL-4。
【0157】
ソフトウェア調整ロジック(例えば、PID型制御、Proportional-Integral-Derivativeの頭文字)を含む各閉ループホイールスリップ制御モジュールは、それぞれのソフトウェアの実行サイクルにおいて、定義されたスリップセットポイントSP-Sと推定ホイールスリップ値に基づいて、それぞれの車両コーナーに適用する制御変数のセットポイントSP-Vを決定し、定義されたスリップセットポイントSP-Sと推定ホイールスリップとのエラーを最少にするように構成される。
【0158】
制御変数の例は、車両コーナーのそれぞれのアクチュエータを通じて実施可能な力または位置または電気電圧または圧力またはトルクまたは電気電流である。
【0159】
実施形態では、先のものと組み合わせて、各閉ループホイールスリップ制御モジュールは、動作条件の急激な変化に直面して制御変動を有利に高速化するために、離散イベント(制御の活性化および/またはエラー閾値を超えること、ならびに必要な力を低減または増加するためのイベント駆動型論理)に基づいて制御論理を初期化またはリセットするためのソフトウェア論理で構成されている。
【0160】
[00170]図4Eに図式的に示される、進行中のものと組み合わせたさらなる実施形態によれば、スリップ制御モジュール101は、複数の基準目標補正モジュール45をさらに備える。
【0161】
「基準目標 」とは、上述の閉ループホイールスリップ制御モジュールによって決定される、それぞれの車両コーナーに適用される制御変数のセットポイント値SP-Vを意味する。
【0162】
例えば、複数の基準目標補正モジュール45の各基準目標補正モジュールは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックである。
【0163】
複数の基準ターゲット補正モジュール45は、車両の各コーナーのための少なくとも1つの基準ターゲット補正モジュールを含む。
【0164】
図4Eを参照すると、複数の目標補正モジュール45は、以下のものを含む。
【0165】
前部左コーナーのための第1の基準ターゲット補正モジュールCT-1。
【0166】
前部右コーナーのための第2の参照ターゲット補正モジュールCT-2。
【0167】
後部左コーナーのための第3の基準ターゲット補正モジュールCT-3。
【0168】
後部右コーナーのための第4の参照ターゲット補正モジュールCT-4。
【0169】
複数の基準ターゲット補正モジュール45は、離散的なイベント(スリップの閾値を超える、及び/又はホイール加速度の閾値を超える、及び/又は単一コーナーのオープンループ制御要求)に基づいて、補正された基準ターゲット値TCを出力として提供することにより、入力として受け取る基準ターゲット値を補正(上書き及び/又は低減)するよう構成される。
【0170】
なお、複数の基準目標値補正モジュール45は、非線形変動を実施することによって基準目標値を補正するように構成されることに注目されたい。
【0171】
制御変数の非線形変動は、例えば、高いホイール加速度(WheelAcc)の存在下で力値を低減することによって、制御変数の急速な変化を与えられた制御の応答性を高めることを可能にする。
【0172】
If WheelAcc >= WheelAccThreshold [f(vehicle speed, road grip, ...)] then ForceTarget = ForceTarget - ForceCompensation)、である。
【0173】
WheelAcc=ホイール加速度(入力ホイールスリップ制御情報SCDから)。
【0174】
WheelAccThreshold=補償が実行される加速度閾値。
【0175】
ForceTargetOut=複数の基準目標補正モジュール45から出力される力TC(補正された基準目標値)。
【0176】
ForceTargetIn=複数の基準目標補正モジュール45に入力される力SP_V(セットポイント値)。
【0177】
ForceCompensation=力補償値(ホイールスリップ制御パラメータSCPに含まれる)。
【0178】
ここで図4Fも参照すると、先行するものと組み合わせて、スリップ制御モジュール101は、個々の車軸のコーナーに対して定義された力FCの複数の調整モジュール46をさらに備える。
【0179】
例えば、前記複数のうちの個々の車両車軸のコーナーのために定義された各力調整モジュールは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックである。
【0180】
複数の調整モジュール46は、車両の各コーナーについて個々の車両軸のコーナーのために定義された少なくとも1つの力調整モジュールからなる。
【0181】
図4Fを参照すると、個々の車両車軸のコーナーに対して定義された力の複数の調整モジュール46は、以下のものを含む。
【0182】
前車軸のコーナーのために定義された力の第1の調整モジュールFA-S、特に、車両の前左コーナーの第1のスリップ制御力FC-1と車両の前右コーナーの第2のスリップ制御力FC-2とを提供するように適合された、調整モジュール。
【0183】
後車軸のコーナーのために定義された力の第2の調整モジュールRA-Sであって、特に、車両の後部左コーナーの第3のスリップ制御力FC-3と車両の後部右コーナーの第4のスリップ制御力FC-4とを提供するように適合された、第2の調整モジュール。
【0184】
複数の調整モジュール46は、先行モジュールによって提供される制御変数の基準目標値TC(セットポイント値)に基づいて、車両のグリップ、垂直荷重、安定性および速度条件を評価することによって、各車軸の単一コーナーに必要とされ得る最大および/または最小力に関する飽和を定めるように構成される。
【0185】
この制限は、車両の全体的な安定性を保証するために、車両の各コーナー/サイドのために定義されたロジックの調整を可能にし、最適化する。
【0186】
例えば、車両の両側で異なる路面グリップが存在する場合、路面グリップと車両速度に応じて、以下のロジックでハイグリップ側を制限することができる。
【0187】
ハイグリップ側の力飽和=ローグリップ側の要求力+車両情報を入力として受け取る数学的関数によって定義される力値。
【0188】
図4Gに図解的に示されるさらなる実施形態によれば、スリップ制御モジュール101は、複数のアクチュエータモジュール102の各アクチュエータモジュールに存在するアクチュエータ制御モジュールの複数の構成インタフェースモジュール47をさらに備える。
【0189】
例えば、複数の構成インタフェースモジュール47の各構成インタフェースモジュールは、ブレーキシステムまたはより一般的には車両1の主要ハードウェアモジュール内のソフトウェアモジュールまたはソフトウェアロジックである。
【0190】
複数の構成インタフェースモジュール47は、車両の各コーナーのためのアクチュエータ制御モジュールの少なくとも1つの構成インタフェースモジュールからなる。
【0191】
例えば、図4Gを参照すると、複数の構成インタフェースモジュール47は、以下のものを含む。
【0192】
前部左コーナーのアクチュエータ制御モジュールの第1の構成インタフェースモジュールCNF-1。
【0193】
前部右コーナーアクチュエータ制御モジュールの第2の構成インタフェースモジュールCNF-2。
【0194】
後部左コーナーアクチュエータ制御モジュールの第3の構成インタフェースモジュールCNF-3。
【0195】
後部右コーナーアクチュエータ制御モジュールの第4の構成インタフェースモジュールCNF-4。
【0196】
複数の構成インタフェースモジュール47の各構成インタフェースモジュールは、それぞれの車両コーナーのアクチュエータ制御モジュールの制御(ロジック)モードMCを定義するように構成される。
【0197】
さらに、複数のインタフェース構成モジュール47の各インタフェース構成モジュールは、車両の関連コーナーのアクチュエータ制御モジュールにロードするために提供される構成パラメータCPのセットを定義するように構成される。
【0198】
図4Gに示されるように、
【0199】
第1の構成インタフェースモジュールCNF-1は、前部左コーナーアクチュエータ制御モジュールの第1の制御モードMC-1と、前部左コーナーアクチュエータ制御モジュールへのロードのために提供される構成パラメータCP-1の第1のセットとを定義するように構成され、
【0200】
第2のインタフェースモジュールCNF-2は、前部右コーナーアクチュエータ制御モジュールの第2の制御モードMC-2と、前部右コーナーアクチュエータ制御モジュールへのロードのために提供される構成パラメータCP-2の第2のセットとを定義するように構成され、
【0201】
第3のインタフェースモジュールCNF-3は、後部左コーナーアクチュエータ制御モジュールの第3の制御モードMC-3と、後部左コーナーアクチュエータ制御モジュールへのロードのために提供される構成パラメータCP-3の第3のセットとを定義するように構成され、
【0202】
第4のインタフェースモジュールCNF-4は、後部右コーナーアクチュエータ制御モジュールの第4の制御モードMC-4と、後部右コーナーアクチュエータ制御モジュールへのロードのために提供される構成パラメータCP-4の第4のセットとを定義するように構成される。
【0203】
より詳細には、複数の構成インタフェースモジュール47の各構成インタフェースモジュールは、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCD(単一コーナー情報など)に基づいて、車両のそれぞれのコーナーのアクチュエータ制御モジュールに対して、制御(論理)モードMCの点で、およびロードのために提供される構成パラメータセットCPの点で最も適した構成を定義するよう構成される。ホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいて、個々のホイールの状態(スリップ及び/又は高加速度、タイヤ/路面グリップ状態)などに基づいて、車両の状態(車速、操縦タイプ、道路タイプ、車両不安定状態)を代表する情報MSに基づいて、制御変数のセットポイント値SP-V(図4D参照)(e. g., それぞれの車両コーナーに適用されるべき力)を決定する。
【0204】
制御(論理)モードMCは、アクチュエータを制御するために作動させることができる異なる制御モードを表す。
【0205】
特定の制御モードは、制御モジュールのタイプ及び/又は制御アーキテクチャ(例えば、位置制御又はアクチュエータ力制御)により、別のものと区別される。
【0206】
構成パラメータセットは、活性化される特定の制御モードMCのために使用される。
【0207】
例えば、ハイグリップスリップ制御モードMCの活性化の存在下で、構成インタフェースモジュールは、制御モードMCとして、例えば、変調速度を最大化するための閉ループ力制御モードと、予想されるハイグリップ力を制御するための特定の構成パラメータを構成パラメータセットCPとして実施する。
【0208】
次に、前述の図および図5Aのブロックチャートを参照して、本発明による車両のブレーキシステムにおけるホイールのスリップ制御のための方法500を説明する。
【0209】
なお、方法の説明とともに後述する構成要素および情報は、システム100を参照して既に先に説明されており、したがって、簡潔さのために繰り返さないことにする。
【0210】
方法500は、STを開始する象徴的なステップを含んでいる。
【0211】
方法500は、スリップ制御モジュール101の入力インタフェースモジュール40によって、車両1を代表する情報MDと、車両の状態の推定値を代表する情報MSとを受信するステップ501を含んでいる。
【0212】
方法500は、入力インタフェースモジュール40によって、入力ホイールスリップ制御情報SCDを出力するステップ502をさらに含む。
【0213】
方法500は、入力インタフェースモジュール40のパラメータセルフローディングモジュール41によって、車両1を代表する情報MDと車両1の状態を代表する情報MSとに基づいて、ホイールスリップ制御パラメータSCPを決定するステップ503をさらに備える。
【0214】
実施形態によれば、ホイールスリップ制御パラメータSCPは、異なる道路グリップ(「高グリップ」、「中グリップ」、「低グリップ」)に関連し、車両1の状態の推定モジュールから受信した推定道路グリップの関数として種々のサブセットに分割することができる。
【0215】
この実施形態では、決定するステップ503は、入力インタフェースモジュール40のパラメータセルフローディングモジュール41によって、ホイール滑り制御パラメータSCPの対応するサブセットをロードするステップ504を含んでいる。
【0216】
先のものに代わるさらなる実施形態によれば、決定するステップ503は、入力インタフェースモジュール40のパラメータセルフローディングモジュール41によって、車両1の状態の推定モジュールMSVから受け取った推定道路グリップの関数としてホイールスリップ制御パラメータSCPを決定するために、実行される。
【0217】
図5に一般的に目を向けると、方法500は、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDおよび受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいて、スリップ制御モジュール101の複数のホイールスリップ制御有効化モジュール42によって、ホイールスリップ制御の複数の有効化信号SCEを決定するステップ505をさらに含んでいる。
【0218】
方法500は、スリップ制御モジュール101の複数の閉ループホイールスリップ制御モジュール44の各閉ループホイールスリップ制御モジュールによって、定義されたスリップセットポイントSP-Sと推定ホイールスリップ値とに基づいて、それぞれの車両コーナーに適用される制御変数のセットポイント値SP-Vを決定するステップ506をさらに備え、定義されたスリップセットポイントSP-Sと推定ホイールスリップとの誤差を最小化させる。
【0219】
方法500は、EDを終了する象徴的なステップを含んでいる。
【0220】
実施形態(図5に破線で示す)によれば、先行するいずれか1つと組み合わせて、方法500は、決定するステップ506の後に、以下のステップを有する。
【0221】
複数のアクチュエータモジュール102の各アクチュエータモジュールに存在するアクチュエータ制御モジュールの複数のインタフェース構成モジュール44の各インタフェース構成モジュールによって、車両1の関連コーナーのアクチュエータ制御モジュールの制御(論理)モードMCを定義するステップ507。
【0222】
数のインタフェース構成モジュール44の各インタフェース構成モジュールによって、複数のアクチュエータモジュール102の各アクチュエータモジュールに提示されるアクチュエータ制御モジュール、車両1の関連コーナーのアクチュエータ制御モジュールへのロードに提供されるべき構成パラメータのセットCPを定義するを定義するステップ508。
【0223】
実施形態では、先行するもののうちのいずれか1つと組み合わせて(図5に破線で示す)、方法500は、決定するステップ505と決定するステップ506との間に、スリップ制御モジュール101の複数のホイールスリップセットポイント定義モジュール43によって、受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDと受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づいてスリップセットポイントSP-Sを生成するステップ509を具備する。
【0224】
実施形態(図5に破線で示す)では、先のものと組み合わせて、生成するステップ509は、入力インタフェースモジュール40のパラメータセルフローディングモジュール41によって、基準スリップセットポイントとして一定のスリップセットポイント値を提供するステップ510を具備する。
【0225】
さらなる実施形態(図5に再び破線で示す)では、先行するものと組み合わせて、509を生成するステップは、それぞれの定義モジュールによって、車両1の状態を代表する情報MSの関数として、それぞれの基準スリップセットポイントから始まるスリップセットポイントを決定するステップ511をさらに含んでいる。
【0226】
さらなる実施形態(図5に破線で示す)によれば、上述のもののうちの1つと組み合わせて、方法500は、決定するステップ506と定義するステップ507との間に、各ホイールスリップ制御モジュールの複数の基準目標補正モジュール45によって、離散イベント(ホイールスリップ閾値を超えることおよび/またはホイール加速閾値を超えること、ならびに単一コーナーのオープンループ制御を要求すること)に基づいて、入力で受け取ったそれぞれの基準目標値を補正し、次に補正基準目標値TCを出力するステップ512をさらに備え、
【0227】
さらなる実施形態(図5に破線で示す)によれば、先のものと組み合わせて、方法500は、512を定義するステップと507を定義するステップとの間に、制御変数のセットポイント値に基づいて、車両の単一車軸のコーナーに対して定義された力FCの複数の調整モジュール46によって、車両のグリップ、垂直荷重、安定性および速度という条件を評価し、各車軸の単一コーナーに対して要求できる最大および/または最小力に関するサチュレーションを定義するステップ513をさらに備える。
【0228】
次に、図6を参照して、スリップ制御モジュール101の動作の一例について説明する。
【0229】
入力インタフェースモジュール40は、図1および図2を参照して先に紹介した車両1を代表する情報MDと、車両の状態の推定モジュールMSVによって提供される車両の状態の推定値を代表する情報MSとを入力で受け取るように構成される。
【0230】
入力インタフェースモジュール40は、入力されたホイールスリップ制御情報SCDを出力し、パラメータセルフローディングモジュール41を介して、車両1を代表する情報MDと車両1の状態を代表する情報MSとに基づいて、ホイールスリップ制御パラメータSCPを決定する。
【0231】
第1スリップ制御イネーブルモジュールE-FLは、受信したホイールスリップ制御パラメータSCPおよび入力されたホイールスリップ制御情報SCDに基づいて、前部左コーナーの第1ホイールスリップ制御イネーブル信号SCEを生成する。
【0232】
前部左コーナーの第1のホイールスリップセットポイント定義モジュールD-FLは、受信したホイールスリップ制御パラメータSCPに基づき、かつ受信した入力ホイールスリップ制御情報SCDに基づいて、第1のホイールスリップセットポイントSP-Sを生成する。
【0233】
前部左コーナーの第1の閉ループホイールスリップ制御モジュールCL-1は、第1のイネーブル信号SCEを受信した後、それぞれのソフトウェアの実行サイクル毎に、定義されたスリップセットポイントSP-Sと推定ホイールスリップ値とに基づいて、定義されたスリップセットポイントSP-Sと推定ホイールスリップとの誤差を最小化するために、それぞれの車両コーナーに適用する制御変数のセットポイント値SP-Vを決定する。
【0234】
前部左コーナーのための第1の基準ターゲット補正モジュールCT-1は、第1のイネーブル信号SCEを受信すると、離散イベント(スリップ閾値の超過及び/又はホイール加速度閾値の超過及び/又はシングルコーナーのオープンループ制御要求)に基づいて、出力として補正基準ターゲット値TCを提供して入力として受信した基準ターゲット値を補正(上書き及び/又は低減する)する。
【0235】
前車軸のコーナーのために定義された力の第1の調整モジュールFA-Sは、車両の前左コーナーの第1のスリップ制御力F1を提供する。
【0236】
前部左コーナーアクチュエータ制御モジュールの第1の構成インタフェースモジュールCNF-1は、前部左コーナーアクチュエータ制御モジュールの第1の制御モードMC-1と、車両1の前部左ホイールW-FLに第1のブレーキアクションBA1を適用する第1の前部左コーナーアクチュエータ制御モジュールA-FLにロードするために提供する構成パラメータCP-1の第1のセットとを規定する。
【0237】
本発明の目的が完全に達成されることは注目すべきことである。
【0238】
本発明の車両のブレーキシステムにおいてホイールの滑りを制御するための方法およびそれぞれのシステムは、制御および監視アルゴリズムによって決定されるホイールおよび/または車両の状態評価の関数として単一車両コーナーの制御モードを構成する可能性を有する、ブレーキバイワイヤアーキテクチャに固有のものである。
【0239】
本方法及びそれぞれの制御システムは、1つ又は複数の制御ユニットにおいて、車両ブレーキングロジックの制御システム、コーナー/ホイールの制御に関連するロジック、及びアクチュエータの制御に関連するロジックが定義され、各コーナーにB-b-Wアクチュエータが設けられているブレーキバイワイヤシステムに対して、特定の最適化された方法でホイールスリップを管理できる。
【0240】
さらに、本発明の方法およびそれぞれの制御システムは、ホイールスリップ制御モジュールが、ホイールおよび/または車両の状態に応じて単一コーナーアクチュエータ制御モジュールを構成する制御モードを規定し、ブレーキングの快適性よりも制御応答性および性能を優先して最適化するための最適構成およびパラメータセットを選択する。
【0241】
さらに、本発明の方法およびそれぞれの制御システムは、車両のコーナー間の調整の可能性により、車両カテゴリーを変化させるモジュール性/柔軟性を有する。
【0242】
さらに、本発明の方法およびそれぞれのシステムは、より包括的なアーキテクチャ構成および車両分布に関する情報/推定/評価によって、車両分布信号の測定および推定に基づいて制御論理を連続的に適応させることができる。
【0243】
さらに、本発明の方法およびそれぞれの制御システムは、以下のことを保証する。
【0244】
[00254]ホイールスリップ制御の連続的な変調。
【0245】
典型的な経験的/実験的方法論の代わりに経験的/実験的手法をサポートするための理論的較正の使用を可能にする物理法則に基づくので、制御ロジックの較正がより単純であること。
【0246】
それぞれの車両コーナーのホイールスリップ制御モジュールの制御ロジックの関数として、制御モード/アクチュエータ制御パラメータの適応。
【0247】
当業者は、添付の請求項の保護範囲から逸脱することなく、上述した方法およびそれぞれのシステムの実施形態に変更および適応を加えることができ、または偶発的なニーズを満たすために機能的に同等である他の要素に置き換えることができる。1つの可能な実施形態に属するものとして上述した全ての特徴は、他の記載された実施形態から独立して実施することができる。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図5
図6
【国際調査報告】