(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ステータコア、電動機、パワートレイン、自動車及び車両
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548447
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2022078079
(87)【国際公開番号】W WO2022257507
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202111657979.6
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121285519.0
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507362513
【氏名又は名称】浙江吉利控股集団有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG GEELY HOLDING GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】1760 Jiangling Road, Binjiang District, Hangzhou Zhejiang (CN)
(71)【出願人】
【識別番号】522315932
【氏名又は名称】ウーシ・インフィモーション・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン、イン
(72)【発明者】
【氏名】シュ、チャンリュ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、チェン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、リャン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、タオ
(72)【発明者】
【氏名】タン、ヤンチュン
(72)【発明者】
【氏名】リン、シャオチェ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ルイピン
(72)【発明者】
【氏名】スチョルテン、インゴ
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609QQ05
5H609RR35
5H609RR41
(57)【要約】
本発明はステータコア、電動機、パワートレイン、自動車及び車両を開示する。電動機は、ケースと、ケース内に固定されるステータコアであって、ステータコアの外側壁とケースの内側壁との間にスリット流路が形成され、スリット流路が冷却流体を流れるための網状冷却流路として設置されるステータコアと、ステータコアに取り付けられるステータ巻線と、ステータコアの内側に回転可能に套設されるロータと、を備える。ステータコアの外側壁のみに複数本の軸方向油溝を開設する解決手段に比べて、本解決手段の網状冷却流路は一層大きな放熱表面積を有し、従って、電動機の放熱能力を更に向上させることに役立つ。且つ、冷却流体の網状冷却流路における流動経路も網状であり、網状経路における冷却流体の流動形式は乱流であり、乱流の熱交換効率が一層高く、従って、電動機の放熱能力を更に向上させることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機であって、
ケースと、
前記ケース内に固定されるステータコアであって、前記ステータコアの外側壁と前記ケースの内側壁との間にスリット流路が形成され、前記スリット流路が冷却流体を流れるための網状冷却流路として設置される、ステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられるステータ巻線と、
前記ステータコアの内側に回転可能に套設されるロータと、を備える電動機。
【請求項2】
前記ケースの内側壁及び/又は前記ステータコアの外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列され、前記スリット流路を前記網状冷却流路に分割する請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
複数の前記放熱突起は前記ステータコアの外側壁に設けられ、少なくとも一部の前記放熱突起が前記ケースの内側壁に当接されることにより、前記ステータコアを前記ケースに締りばめさせる請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記ステータコアは前記ステータコアの軸方向に沿って互いに積層される複数のコアアセンブリを備え、各前記コアアセンブリにはその周方向に沿って複数の前記放熱突起が間隔を置いて設けられ、隣接する前記コアアセンブリの前記放熱突起は前記ステータコアの周方向に沿って交互に配列される請求項3に記載の電動機。
【請求項5】
前記コアアセンブリは複数のステータ抜板を積層して形成されるものであり、各前記ステータ抜板に複数の放熱ティースが設けられ、複数の前記ステータ抜板に対応する前記放熱ティースを積層して前記放熱突起を形成する請求項4に記載の電動機。
【請求項6】
複数の前記コアアセンブリ上の前記放熱突起の数及び分布形式は同じであり、各前記コアアセンブリに複数の放熱群を有し、各前記放熱群は少なくとも1つの前記放熱突起を備える請求項4に記載の電動機。
【請求項7】
前記ステータコアにはその周方向に沿って前記ステータ巻線を取り付けるための複数のティース溝が設けられ、前記ティース溝の数は各前記コアアセンブリの前記放熱群の数の整数倍である請求項6に記載の電動機。
【請求項8】
各前記放熱群は前記コアアセンブリの周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の前記放熱柱を備え、
各前記放熱群において、1つの前記放熱突起は位置決め突起として設置され、前記位置決め突起の形状は他の前記放熱突起と異なる請求項7に記載の電動機。
【請求項9】
前記ケースには入力通路及び前記入力通路と連通する少なくとも1つの入力孔が更に設けられ、前記入力通路は、前記網状冷却流路の径方向外側に位置し、且つ前記少なくとも1つの入力孔によって前記網状冷却流路と連通し、前記網状冷却流路に冷却流体を入力することに用いられ、
前記ケースには出力通路及び前記出力通路と連通する少なくとも1つの第1出力孔が更に設けられ、前記出力通路は、前記網状冷却流路の径方向外側に位置し、且つ前記少なくとも1つの第1出力孔によって前記網状冷却流路と連通し、前記網状冷却流路から排出された冷却流体を出力することに用いられる請求項1~8のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項10】
前記ステータ巻線の両端の前記ステータコアよりも突出する部分は端部巻線と記され、
前記ケースに開口端が設けられ、前記電動機は前記開口端に設けられるエンドカバーを更に備え、前記エンドカバーに第1放熱溝が設けられ、前記第1放熱溝は前記網状冷却流路と連通し、前記第1放熱溝の底壁の前記端部巻線に対応する位置には第1シャワースリットが設けられ、前記第1シャワースリットに対応する前記端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられ、
前記エンドカバーには第2出力孔が更に設けられ、前記第2出力孔は、外部冷却流路と連通するように設置され、前記第1シャワースリットに対応する前記端部巻線を流れる冷却流体を前記外部冷却流路内に排出することに用いられる請求項1~8のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項11】
前記開口端の数は1つであり、前記電動機は更にシャワー放熱リングを備え、前記シャワー放熱リングは前記ケース内に套設され、且つ前記ケースの前記開口端から離れる端部に位置し、
前記シャワー放熱リングに第2放熱溝が設けられ、前記第2放熱溝は前記網状冷却流路と連通し、前記第2放熱溝の底壁の前記端部巻線に対応する位置には第2シャワースリットが設けられ、前記第2放熱溝に対応する前記端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられ、
前記ケースには第3出力孔が更に設けられ、前記第3出力孔は、前記外部冷却流路と連通するように設置され、前記第2シャワースリットに対応する前記端部巻線を流れる冷却流体を前記外部冷却流路内に排出することに用いられる請求項10に記載の電動機。
【請求項12】
前記第1シャワースリットの数は1つであり、前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの頂部に設けられ、且つ前記エンドカバーの周方向に沿って延在し、前記第1シャワースリットの弧度は40°~180°の範囲内にあり、又は、前記第1シャワースリットの数は複数であり、複数の前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの周方向に沿って間隔を置いて設置され、又は、前記第1シャワースリットの数は1つであり、前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの周方向に沿って前記エンドカバーを囲んでおり、
前記第2シャワースリットの数は1つであり、前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの頂部に設けられ、且つ前記シャワー放熱リングの周方向に沿って延在し、前記第2シャワースリットの弧度は40°~180°の範囲内にあり、又は、前記第2シャワースリットの数は複数であり、複数の前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの周方向に沿って間隔を置いて設置され、又は、前記第2シャワースリットの数は1つであり、前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの周方向に沿って前記シャワー放熱リングを囲んでいる請求項11に記載の電動機。
【請求項13】
外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列されるステータコア。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか1項に記載の電動機を備えるパワートレイン。
【請求項15】
請求項14に記載のパワートレインを備える自動車。
【請求項16】
電動機であって、
ステータコア及びハウジングを備え、
前記ステータコアは複数の円環状のコア抜板を互いに積み重ねてなり、
前記コア抜板は第1コア抜板及び第2コア抜板を含み、且つ前記ステータコアは前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板を交互に互いに積み重ねてなり、前記ハウジングは前記ステータコアの外周を包んでおり、前記ステータコアの外周に互いに貼合されて流路を形成し、
前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板の外周面の構造が異なることにより、流路に前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板の外周を貫通させ、更に液体が前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板とハウジングとの間にストリーミングできるようにする電動機。
【請求項17】
前記第1コア抜板の外周面には間隔を置いて設置される複数の凸部及び複数の凹部が分布しており、
前記第2コア抜板の外周面は平滑構造であり、
前記流路は前記第1コア抜板の前記凹部及び前記第2コア抜板の外周と前記ハウジングの内壁との間に形成される前記流路である請求項16に記載の電動機。
【請求項18】
前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板が間隔を置いて互いに積み重ねられる場合、前記第2コア抜板の外周面は前記凹部と同一平面になる請求項17に記載の電動機。
【請求項19】
電動機であって、
ステータコア及びハウジングを備え、
前記ステータコアは複数の円環状のコア抜板を交互に互いに積み重ねてなり、
前記コア抜板の外周に複数の凸部及び複数の凹部が設置され、前記ハウジングは前記ステータコアの外周を包んでおり、前記ステータコアの前記凸部に互いに貼合されて流路を形成し、前記凸部の周方向サイズは前記凹部の周方向サイズよりも小さく、且つ前記コア抜板を交互に互いに積み重ねるとき、隣接する2つの前記コア抜板の凸部及び凹部が交互に設置されることにより、液体が複数の前記コア抜板内にストリーミングできるようにする電動機。
【請求項20】
前記ハウジングには液体流入通路及び液体流出通路が更に備えられ、前記ハウジングが前記ステータコアに固定して設置される場合には前記液体流入通路及び前記液体流出通路は前記流路と連通し、液体は前記液体流入通路から流入してから前記流路を流れて前記液体流出通路から流出する請求項18又は19に記載の電動機。
【請求項21】
前記液体流入通路及び前記液体流出通路は前記ハウジングの外に設置され、且つ前記ハウジングの壁は液体流入通路及び前記液体流出通路の一部とされ、液体流入通路及び前記液体流出通路の位置する前記ハウジングに貫通孔が設置され、
前記液体流入通路及び前記液体流出通路は前記ステータコアの軸方向に沿って延在し、且つ前記液体流入通路及び前記液体流出通路はそれぞれ前記ステータコアの外周の対向する位置に位置する請求項20に記載の電動機。
【請求項22】
前記ハウジングは円筒状であり、前記ハウジングの一端にはサイズが他の箇所よりも小さい階段が設置され、前記ステータコアを前記ハウジングに取り付けるとき、前記ステータコアの一端は前記階段に当接される請求項21に記載の電動機。
【請求項23】
オイルスリンガを更に備え、前記オイルスリンガは前記ハウジング内に設置され、前記ステータコアの前記階段に当接される側と逆の端部に位置し、且つ前記階段、前記凹部、前記ハウジングの内壁及び前記オイルスリンガは共に密封された前記流路を形成する請求項22に記載の電動機。
【請求項24】
前記コア抜板の内周に複数の巻線溝が設置される請求項18又は19に記載の電動機。
【請求項25】
請求項16~24のいずれか1項に記載の電動機を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は車両技術に関するが、それに限らず、特にステータコア、電動機、パワートレイン、自動車及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車の動力性への要求が高まるにつれて、電気自動車の動力出力の主要部品の1つとして、パワートレインのトルク密度及びパワー密度も対応して増加していき、それにより電動機の軽量化及び小型化を実現する。パワートレインの主要部品としての電動機はパワートレインの動力出力の重要な部品であり、パワートレインの動力出力及び車両全体の動力性能を直接決定する。
【0003】
現在、市場において電動機のトルク密度及びパワー密度を向上させる方法は一般的に2つあり、1つの方法としては高性能の強磁性材料を選ぶ。もう1つの方法は電動機の放熱能力を向上させることにより、電子素子及び絶縁材料を保護する。従来の自動車電動機の放熱技術において、冷却媒体の違いによって自然冷、空冷、水冷及び油冷に分けられる。様々な放熱技術はそれぞれの利点と欠点を有するが、電動機の放熱能力をどのように更に向上させるかは、当業者が努力してきた方向及び研究のホットスポットである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下は本明細書に詳しく説明される主題の概要である。本概要は特許請求の範囲を制限するためのものではない。
【0005】
電動機であって、ケースと、前記ケース内に固定されるステータコアであって、前記ステータコアの外側壁と前記ケースの内側壁との間にスリット流路が形成され、前記スリット流路が冷却流体を流れるための網状冷却流路として設置されるステータコアと、前記ステータコアに取り付けられるステータ巻線と、前記ステータコアの内側に回転可能に套設されるロータと、を備える。
【0006】
ステータコアであって、前記ステータコアの外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列される。
【0007】
パワートレインであって、上記実施例のいずれか1つに記載の電動機を備える。
【0008】
自動車であって、上記実施例に記載のパワートレインを備える。
【0009】
電動機であって、ステータコア及びハウジングを備え、前記ステータコアは複数の円環状のコア抜板を互いに積み重ねてなり、前記コア抜板は第1コア抜板及び第2コア抜板を含み、且つ前記ステータコアは前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板を交互に互いに積み重ねてなり、前記ハウジングは前記ステータコアの外周を包んでおり、前記ステータコアの外周に互いに貼合されて流路を形成し、前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板の外周面の構造が異なることにより、流路に前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板の外周を貫通させ、更に液体が前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板とハウジングとの間にストリーミングできるようにする。
【0010】
電動機であって、ステータコア及びハウジングを備え、前記ステータコアは複数の円環状のコア抜板を交互に互いに積み重ねてなり、前記コア抜板の外周に複数の凸部及び複数の凹部が設置され、前記ハウジングは前記ステータコアの外周を包んでおり、前記ステータコアの前記凸部に互いに貼合されて流路を形成し、前記凸部の周方向サイズは前記凹部の周方向サイズよりも小さく、且つ前記コア抜板を交互に互いに積み重ねるとき、隣接する2つの前記コア抜板の凸部及び凹部が交互に設置されることにより、液体が複数の前記コア抜板内にストリーミングできるようにする。
【0011】
車両であって、以上に記載の電動機を備える。
【0012】
図面及び詳細な説明を閲覧して理解した後、他の態様を分かることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本願の一実施例に係る電動機の切断後の構造模式図である。
【
図2】
図2は本願の一実施例に係る電動機の半断面模式図である。
【
図3】
図3は本願の一実施例に係るステータコア及びステータ巻線の組立模式図である。
【
図4】
図4は本願の一実施例に係るステータコアの外側壁の部分拡大模式図である。
【
図5】
図5は
図4に示されるステータコアの放熱原理模式図である。
【
図6】
図6は本願の一実施例に係る電動機の冷却機構の模式図である。
【
図8】
図8は
図6に示される冷却機構の冷却油の流量分配のシミュレーション模式図である。
【
図9】
図9は
図6に示される冷却機構の冷却油の流動経路のシミュレーション模式図である。
【
図10】
図10は本願の一実施例に係るケースの断面構造模式図である。
【
図11】
図11は本願の一実施例に係るエンドカバーの立体構造模式図である。
【
図12】
図12は本願の一実施例に係るシャワー放熱リングの立体構造模式図である。
【
図13】
図13は本願の一実施例に係るコアアセンブリの位置ずれ積層組立の模式図である。
【
図14】
図14は本願の一実施例に係るステータコアの位置ずれ積層組立の模式図である。
【
図15】
図15は本願の一実施例に係るステータ抜板の正面構造模式図である。
【
図17】
図17は本願の他の実施例に係る電動機の構造模式図である。
【
図18】
図18は本願の他の実施例に係る電動機のステータコアの構造模式図である。
【
図19】
図19は本願の他の実施例に係る電動機のステータコアの分解模式図である。
【
図20】
図20は本願の他の実施例に係る第1コア抜板の正面模式図である。
【
図21】
図21は本願の他の実施例に係る第1コア抜板の立体模式図である。
【
図22】
図22は本願の他の実施例に係る第2コア抜板の正面模式図である。
【
図23】
図23は本願の他の実施例に係る第2コア抜板の立体模式図である。
【
図24】
図24は本願の別の実施例に係る電動機の構造模式図である。
【
図25】
図25は本願の別の実施例に係る電動機のステータコアの構造模式図である。
【
図26】
図26は本願の別の実施例に係る電動機のステータコアの分解模式図である。
【
図27】
図27は本願の別の実施例に係るステータコアの正面模式図である。
【
図28】
図28は本願の一実施例に係るハウジングの構造模式図である。
【
図29】
図29は本願の一実施例に係るオイルスリンガの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
現在の新エネルギー車において、ほとんどの動力変換装置はいずれも電動機に依存してエネルギー変換を行う。電気エネルギーを力学的エネルギーに変換し、又は力学的エネルギーから電気エネルギーに変換する。従って、その技術的先進性は自動車の発展にとって重要な役割を果たす。自動車の限られた空間において、電動機の大きさ、重量は動力性能、コスト及び車型に影響する。特に、電動機の体積サイズは最も敏感なものである。
【0015】
従来の自動車電動機の放熱技術において、冷却媒体の違いによって自然冷、空冷、水冷及び油冷に分けられる。油冷の熱交換効率が最も高いため、現在大多数の自動車電動機の冷却方法は油冷を用いる。油冷却システムは電動機の放熱能力を改善し、絶縁材料を保護し、同じパワーにおいて、油冷却電動機の体積サイズを一層小さくすることができ、車両全体の配置搭載に便利であるだけでなく、コストを低減することもできる。
【0016】
ステータの油冷却は表面に油をかけること、ステータコアの内部に油を導くことなどの方式を用いる。これらの方式は放熱面積が限られ、放熱性能が普通である。ステータコアの外側壁に複数本の軸方向油溝を開設し、冷却液でステータコアを冷却してから冷却液をステータの端部巻線に吹きかける冷却技術は効果が最も優れる。該方法の利点は、ステータコアの軸方向に複数本の油溝が開設されることにより、ステータコアの放熱面積を大幅に増加させることにある。
【0017】
一方、本願の実施例に係る電動機は、油冷電動機の潜在能力を更に掘り起こし、一層効果的な冷却機構を設計する。
【0018】
電動機冷却技術において、油冷の冷却効率が他の冷却媒体よりも高いため、本願の実施例において、冷却流体及び流路(即ちスリット流路)に入った液体とは冷却油を指す。理解されるように、冷却流体は冷却油に限らず、絶縁特性を持つ他の冷却媒体であってもよい。
【0019】
以下、図面を参照しながら本願の実施例の原理及び特徴を説明し、挙げた実例は本願の実施例を解釈するためのものであって、本願の範囲を限定するためのものではない。
【0020】
図1及び
図2に示すように、本願の一実施例は電動機を提供し、ケース1、ステータコア2、ステータ巻線3(巻線コイルとも称される)及びロータ4を備える。
【0021】
ステータコア2はケース1内に固定される。ステータコア2の外側壁とケース1の内側壁との間にスリット流路が形成される。
図5~
図8に示すように、スリット流路は冷却流体を流れるための網状冷却流路22として設置される。ロータ4はステータコア2の内側に回転可能に套設される。
【0022】
ステータ巻線3はステータコア2に組み立てられる。ステータ巻線3はエナメル丸銅線又はエナメル平角銅線を電動機巻線ルールに従って巻き取ってなる。本願の1つの具体的な実施例では、巻線コイルはエナメル平角銅線で製造される。
図2に示すように、ステータ巻線3はステータコア2のティース溝25内に固定して設置され、ステータコア2の端面を超えるステータ巻線3の部分は端部巻線として定義され、端部巻線は前端部巻線31及び後端部巻線32を含む。
【0023】
本願の実施例に係る電動機は、ケース1、ステータコア2、ステータ巻線3、ロータ4等の部材を備える。ステータコア2はロータ4の外側に套設され、ケース1はステータコア2の外側に套設される。ロータ4は回転軸5の外側に套設されてもよく、回転軸5はケース1に穿設されてケース1により支持されてもよく、ロータ4は回転軸5に固定して接続され、ロータ4及び回転軸5はケース1に対して回転可能であり、又は、回転軸5とロータ4との間にブッシュが設置され、回転軸5はケース1に固定して接続され、ロータ4はブッシュに固定して接続され、ブッシュは回転軸5に対して回転可能である。電動機が動作するとき、ステータ巻線3に通電して励起磁場が生じ、更にエネルギー変換が発生し、力学的エネルギーを出力し又は発電する。ステータ巻線3はエネルギー変換が発生するとともに大量の抵抗熱も生じる。抵抗熱がタイムリーに発散できなければ、ステータ巻線3の温度が急に上昇して電動機の絶縁システムを破壊し、それにより電動機の焼損を引き起こしてしまう。本願の実施例もステータ巻線3の放熱能力を改善し、電動機の性能を向上させることに努力する。
【0024】
このために、本解決手段において、ステータコア2の外側壁とケース1の内側壁との間にスリット流路が形成され、且つスリット流路は網状冷却流路22の形式を用いる。このように、冷却流体(例えば、冷却油)は網状冷却流路22に入ってステータコア2と熱交換を行うことができるが、ステータコア2もステータ巻線3と熱交換し、これにより、冷却流体はステータコア2及びステータ巻線3の熱を持ち去るように確保し、更にステータコア2及びステータ巻線3の温度を降下し、電動機に対して冷却・放熱の作用を果たす。
【0025】
ステータコア2の外側壁のみに複数本の軸方向油溝を開設する解決手段に比べて、本解決手段の網状冷却流路22は一層大きな放熱表面積を有し、従って、電動機の放熱能力を更に向上させることに役立つ。且つ、冷却流体の網状冷却流路22における流動経路も網状であり、網状経路における冷却流体の流動形式は乱流であり、乱流の熱交換効率が一層高く、従って、電動機の放熱能力を更に向上させることもできる。
【0026】
電動機原理において、ステータコア2は主に、巻線コイルを固定支持する役割、磁気回路経路とする役割、及び巻線コイルの抵抗熱を伝導する役割を果たす。本願の実施例では、電動機熱の発生及び伝導経路については、ステータ巻線3が動作して大量の抵抗熱Q1を生じ、温度がt1に達し、ステータコア2が交番磁界の作用によって熱Q2を生じ、温度がt2に達する。t1>t2のため、ステータ巻線3とステータコア2との間に熱伝導が生じ、ステータコア2の温度をt3まで上昇させる。温度t4の冷却油は網状冷却流路22に入ってステータコア2と熱交換し、ステータコア2の温度がt5まで降下する。このように、低温冷却油の持続循環によって、電動機のステータ巻線3を常に極限温度以下に維持しながら長期間動作させる。
【0027】
1つの例示的な実施例では、
図3に示すように、ケース1の内側壁、又はステータコア2の外側壁、又はケース1の内側壁及びステータコア2の外側壁に複数の放熱突起21が設けられる。複数の放熱突起21は網状に交互に配列され、
図4及び
図5に示すように、スリット流路を網状冷却流路22に分割する。
【0028】
このように、加工過程においてケース1、又はステータコア2、又はケース1及びステータコア2を必要な形状に加工し、次にケース1とステータコア2とを一体に組み立てれば、網状冷却流路22を得ることができ、部品の数を増加させる必要がなく、組立工程が比較的簡単である。
【0029】
放熱突起21はケース1の内側壁のみに設けられてもよく、ステータコア2の外側壁のみに設けられてもよく(
図3に示すように)、その一部はケース1の内側壁に設けられて、残りはステータコア2の外側壁に設けられてもよい。
【0030】
放熱突起21がケース1の内側壁に設けられる場合、ケース1は巻取可能な材料で製造され得る。このように、まず平板状の板材上に放熱突起21を加工し、次に平板状構造を巻き取って溶接等のプロセスにより筒状構造に固定すればよい。このように、ケース1の加工プロセスを簡素化することができ、量産しやすい。
【0031】
放熱突起21の形状は制限されず、例えば柱状、棒状、板状、塊状等の形状であってもよい。
【0032】
一例では、
図4に示すように、放熱突起21は柱状構造であり、このとき、放熱突起21は放熱柱211と称されてもよい。放熱柱211の具体的な形状は角柱状(例えば、
図4に示すように、四角柱である)、円柱状、楕円柱状、半円柱状、角錐状、円錐状、異形状等であってもよいが、それらに限らない。
【0033】
1つの例示的な実施例では、複数の放熱突起21はステータコア2の外側壁に設けられ、少なくとも一部の放熱突起21はケース1の内側壁に当接され、
図1及び
図2に示すように、すべての放熱突起21はいずれもケース1の内側壁に当接されてもよく、これにより、ステータコア2をケース1に締りばめさせる。
【0034】
放熱突起21をステータコア2の外側壁に設けることにより、ステータコア2の放熱表面積を著しく増加させることができ、更にステータコア2の放熱能力を向上させる。且つ、ステータコア2の放熱突起21はケース1の内側壁に当接され、ステータコア2とケース1との締りばめを実現することができ、更にステータコア2とケース1との固定組立を実現する。組立過程において、焼きばめプロセスを用いてステータコア2とケース1との締りばめを実現することができる。
【0035】
1つの例示的な実施例では、
図14に示すように、ステータコア2はステータコア2の軸方向に沿って互いに積層される複数のコアアセンブリ23を備える。
図13に示すように、各コアアセンブリ23にはその周方向に沿って複数の放熱突起21が間隔を置いて設けられ、隣接するコアアセンブリ23の放熱突起21はステータコア2の周方向に沿って交互に配列される。
【0036】
該解決手段は、ステータコア2をその軸方向に沿って複数のコアアセンブリ23に分解し、各コアアセンブリ23がいずれも環状構造であり、且つ各コアアセンブリ23にその周方向に沿って複数の放熱突起21を設けることに相当する。複数のコアアセンブリ23は、位置ずれ積層方式によって、新しい構造(外側壁が網状に交互に配列される複数の放熱突起21を有する)のステータコア2を形成する。
【0037】
ステータコア2全体上の放熱突起21の数が極めて多いため、ステータコア2を複数のコアアセンブリ23に分解することにより、単一コアアセンブリ23の構造を大幅に簡素化することができ、単体コアアセンブリ23の生産加工に役立ち、更に部品の加工難度を低下させ、その後、位置ずれ組立方式(例えば、
図13及び
図14に示すように)だけで網状に交互に分布する放熱突起21を得ることができる。網状に分布する放熱突起21を直接加工することに比べて、本解決手段はステータコア2の加工難度を大幅に低下させることができる。且つ、コアアセンブリ23の数を調整することにより、ステータコア2の軸方向サイズを調整することができ、多様性選択を実現し、異なる製品のニーズを満たすことに役立つ。
【0038】
1つの例示的な実施例では、コアアセンブリ23は複数のステータ抜板24を積層して形成されるものである。
図15及び
図16に示すように、各ステータ抜板24に複数の放熱ティース241が設けられる。複数のステータ抜板24に対応する放熱ティース241を積層して放熱突起21を形成する。
【0039】
比較的大きな厚さを有するコアアセンブリ23を直接生産することに比べて、比較的薄いステータ抜板24はより容易に加工できる。従って、本解決手段は複数のステータ抜板24を積層してコアアセンブリ23を形成し、且つステータ抜板24の放熱ティース241を積層して放熱突起21を形成し、ステータコア2の加工難度を更に低下させることができ、製造コストを更に削減する。
【0040】
且つ、ステータ抜板24の数を調整することにより、コアアセンブリ23の厚さを調整することができ、更にステータコア2の軸方向サイズを調整し、同一ステータコア2の複数のコアアセンブリ23は異なる厚さを有してもよく、更にステータコア2の軸方向サイズを微調整し、多様性選択を更に増加させることができ、異なる製品のニーズを更に満たすことに役立つ。
【0041】
実際の設計・製造過程において、数値流体力学シミュレーション(CFDと略称される)分析及び工程に基づいて簡単に考慮して、各電動機システムに適用される解決手段を得ることができる。
【0042】
1つの例示的な実施例では、複数のコアアセンブリ23上の放熱突起21の数及び分布形式は同じである。各コアアセンブリ23上の複数の放熱突起21は複数の放熱群に等分される。各放熱群は少なくとも1つの放熱突起21を含む。
【0043】
このように、1組のステータ抜板金型のみで様々な規格の異なるステータコア2を得ることができ、従来技術においてステータコア2が複数種類のプレス金型を必要とする現状を変え、ステータコア2の製造コストを削減させる。
【0044】
1つの例示的な実施例では、
図14に示すように、ステータコア2にはその周方向に沿ってステータ巻線3を取り付けるための複数のティース溝25が設けられる。ティース溝25の数は各コアアセンブリ23の放熱群の数の整数倍である。
【0045】
このように、隣接する2つのコアアセンブリ23が積層される時に周方向に沿ってずれる角度は、隣接する2つのティース溝25の中心線間の夾角の整数倍であり、コアアセンブリ23を互いに積層する際の正確な位置合わせに役立つだけでなく、積層した後に隣接するコアアセンブリ23のティース溝25が依然として軸方向に互いに重なることも確保される。このように、位置ずれ積層組立によって、網状に交互に分布する放熱突起21を得ることができるだけでなく、ステータコア2のティース溝25が積層してなることにも影響しない。
【0046】
一例では、
図15及び
図16から分かるように、ティース溝25の数は各コアアセンブリ23の放熱群の数の2倍である。換言すれば、各コアアセンブリ23の放熱群の数はティース溝25の数の半分である。
【0047】
該解決手段はステータコア2の位置ずれ積層組立に影響しないだけでなく、ステータコア2が数の比較的多い放熱柱211を有することも確保され、シミュレーション結果によれば、より良い放熱効果を有することが証明される。
【0048】
1つの例示的な実施例では、各放熱群はコアアセンブリ23の周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の放熱突起21を含む。
図15及び
図16から分かるように、隣接する放熱群間の周方向間隔は、各放熱群における隣接する放熱突起21間の周方向間隔よりも大きい。
【0049】
このように、隣接する2つの放熱群間の間隔は、ちょうど隣接するコアアセンブリ23の放熱群を位置合わせすることに用いられることができ、コアアセンブリ23を積層する時にある程度の識別作用及び位置決め作用を果たすことに役立つ。
【0050】
1つの例示的な実施例では、各放熱群はコアアセンブリ23の周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の放熱柱211を含む。
図4に示すように、各放熱群において、1つの放熱突起21は位置決め突起212として設置され、位置決め突起212の形状は他の放熱突起21と異なる。
【0051】
このように、位置ずれ積層組立を行うとき、位置決め突起212を基準として隣接するコアアセンブリ23を回転することにより、コアアセンブリ23の迅速且つ正確な積層を実現することができる。
【0052】
一例では、
図4に示すように、各放熱群において、1つの放熱突起21の横断面積は他の放熱突起21の横断面積よりも大きい。
【0053】
このように、横断面積の比較的大きな放熱突起21は位置決め突起212であり、ステータコア2の放熱表面積を増加させることができるだけでなく、位置決め作用を果たすこともでき、コアアセンブリ23の迅速且つ正確な積層に役立つ。
【0054】
一例では、各放熱群は3つの放熱突起21を含む。3つの放熱突起21は「大小小」の形式で分布し(
図4に示すように)、「小大大」又は「小大小」の形式で分布してもよい。
【0055】
一例では、
図15及び
図16に示すように、隣接する2つのティース溝25の中心線は夾角αを形成する。該横断面積の比較的大きな放熱突起21の中心線はαの角二等分線を通る。
【0056】
1つの例示的な実施例では、
図1、
図2及び
図10に示すように、ケース1には入力通路11及び入力通路11と連通する少なくとも1つの入力孔12が更に設けられる。入力通路11は、網状冷却流路22の径方向外側に位置し、且つ少なくとも1つの入力孔12によって網状冷却流路22と連通し、網状冷却流路22に冷却流体を入力することに用いられる。このように、網状冷却流路22が入力通路11により冷却流路に接続することに役立ち、更に低温冷却流体の供給源(例えば、冷却油プール)と間接的に連通する。
【0057】
図2及び
図10に示すように、ケース1には出力通路13及び出力通路13と連通する少なくとも1つの第1出力孔14が更に設けられる。出力通路13は、網状冷却流路22の径方向外側に位置し、且つ少なくとも1つの第1出力孔14によって網状冷却流路22と連通し、網状冷却流路22から排出された冷却流体を出力することに用いられる。このように、網状冷却流路22が出力通路13によって外部冷却流路に入って合流することに役立ち、更に冷却流体収集装置(例えば、油冷却器)と間接的に連通する。
【0058】
一例では、入力孔12の数は複数であり、
図10に示すように、複数の入力孔12はステータコア2の軸方向に沿って間隔を置いて設置される。このように、入力通路11内の冷却流体が複数の位置から迅速に網状冷却流路22に入ることに役立ち、且つ冷却流体の網状冷却流路22における分布均一性を向上させ、更に放熱効果を更に向上させる。
【0059】
第1出力孔14の数は複数であり、
図10に示すように、複数の第1出力孔14はステータコア2の軸方向に沿って間隔を置いて設置される。このように、網状冷却流路22の冷却流体が複数の位置から出力通路13に流入することにも役立ち、且つ網状冷却流路22内に排出デッドスペースが部分的に存在する問題を回避し、更に放熱効果を更に向上させることにも役立つ。
【0060】
1つの例示的な実施例では、
図1、
図7及び
図10に示すように、入力通路11及び入力孔12はケース1の頂部に設けられ、入力通路11を網状冷却流路22の上方に位置させる。
【0061】
図1、
図7及び
図10に示すように、出力通路13及び第1出力孔14はケース1の底部に設けられ、出力通路13を網状冷却流路22の下方に位置させる。
【0062】
このように、入力通路11内の冷却流体(例えば、冷却油)が重力の作用によって入力孔12を通って網状冷却流路22に入って、重力の作用によって網状冷却流路22に沿って下向きに流れて、ステータコア2全体と熱交換してから底部の出力通路13から排出されることに役立つ。従って、本解決手段は冷却流体がステータコア2全体を覆うことに役立ち、更に放熱効果を向上させ、且つ冷却流体を駆動して流動させるための動力源(例えば、油ポンプ)への動力要求を低下させる。
【0063】
1つの例示的な実施例では、ステータ巻線3の両端のステータコア2から突出する部分は端部巻線と記される。
【0064】
ケース1に開口端が設けられる。
図1及び
図2に示すように、電動機は開口端に設けられるエンドカバー6を更に備える。
図11に示すように、エンドカバー6に第1放熱溝61が設けられる。第1放熱溝61は網状冷却流路22と連通する。
図11に示すように、第1放熱溝61の底壁の端部巻線に対応する位置には第1シャワースリット62が設けられ、第1シャワースリット62に対応する端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられる。
【0065】
図1及び
図11に示すように、エンドカバー6には第2出力孔63が更に設けられる。第2出力孔63は、外部冷却流路と連通するように設置され、第1シャワースリット62に対応する端部巻線を流れる冷却流体を外部冷却流路内に排出することに用いられる。
【0066】
このように、網状冷却流路22中の冷却流体は更に分岐して、この分岐した冷却流体が第1放熱溝61に入って、第1シャワースリット62を通って滝のように端部巻線へ噴出できる。従来の複数の点で冷却油を吹きかける方式に比べて、本解決手段は滝のような油かけ方式を用いて端部巻線を冷却することができ、端部巻線の被覆面積が一層広く、且つ冷却効果がより均一である。端部巻線と熱交換した後の冷却油は、第2出力孔63を通ってケース1から排出されることができる。
【0067】
一例では、
図1に示すように、第2出力孔63はエンドカバー6の底部に設けられ、冷却流体が重力の作用によって第2出力孔63に集中し、更に外部冷却流路に排出されることに役立つ。
【0068】
一例では、
図10に示すように、ケース1及びエンドカバー6は切込嵌合組立を用いる。ケース1の内側壁に第1支持面171が設けられる。第1支持面171はステータコア2の軸方向に垂直する。
図11に示すように、エンドカバー6はカバー本体64及び環状フランジ65を備える。カバー本体64はケース1の開口端に当接される。環状フランジ65は一端がカバー本体64に接続され、他端が第1支持面171に当接される。且つ、環状フランジ65の第1支持面171に当接される端部は、ステータコア2の径方向に沿って内向きに第1支持面171から突出し、且つステータコア2の端面に当接され、それにより網状冷却流路22のエンドカバー6に向かう端部を密閉遮断する。第1放熱溝61は環状フランジ65の外側壁に設けられ、且つステータコア2の軸方向に沿って環状フランジ65のカバー本体64から離れる端部を貫通し、それにより第1放熱溝61を網状冷却流路22と連通させる。
【0069】
このように、第1放熱溝61の位置する箇所以外に、網状冷却流路22のエンドカバー6に向かう端部の周方向における他の箇所は、いずれもエンドカバー6で塞がれる。第1放熱溝61及びケース1の内側壁で囲設して、エンドカバー6上の冷却流路を形成する。従って、網状冷却流路22を流れる冷却流体は更に分岐して、この分岐した冷却流体が第1放熱溝61に入って、第1シャワースリット62を通ってオイルカーテンのような形式で対応の端部巻線へ噴出し、端部巻線を効率的且つ均一に放熱することとなる。ところが、端部巻線と熱交換した後の冷却流体は網状冷却流路22に流れ戻ることができず、第2出力孔6を通って外部冷却流路に排出される。
【0070】
1つの例示的な実施例では、開口端の数は1つである。
図1及び
図2に示すように、電動機は更にシャワー放熱リング7を備える。シャワー放熱リング7は前記ケース1内に套設され、且つケース1の開口端から離れる端部に位置する。
【0071】
図12に示すように、シャワー放熱リング7に第2放熱溝71が設けられる。第2放熱溝71は網状冷却流路22と連通する。
図12に示すように、第2放熱溝71の底壁の端部巻線に対応する位置には第2シャワースリット72が設けられ、第2放熱溝71に対応する端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられる。
【0072】
ケース1には第3出力孔15が更に設けられ、
図10に示すように、第3出力孔15は、外部冷却流路と連通するように設置され、第2シャワースリット72に対応する端部巻線を流れる冷却流体を外部冷却流路内に排出することに用いられる。
【0073】
一例では、第3出力孔15は出力通路13と連通し、第2シャワースリット72に対応する端部巻線を流れる冷却流体を出力通路13内に排出することに用いられる。換言すれば、第3出力孔15は、出力通路13によって外部冷却流路と間接的に連通する。
【0074】
このように、網状冷却流路22中の冷却流体は更に分岐して、この分岐した冷却流体が第2放熱溝71に入って、第2シャワースリット72を通って滝のように該側の端部巻線へ噴出できる。従来の複数の点で冷却油を吹きかける方式に比べて、本解決手段は滝のような油かけ方式を用いて該側の端部巻線を冷却することができ、端部巻線の被覆面積が一層広く、且つ冷却効果がより均一である。端部巻線と熱交換した後の冷却油は、第3出力孔15を通ってケース1の出力通路13に入って、ケース1から排出されることができる。
【0075】
エンドカバー6に比べて、シャワー放熱リング7の製造コストがより低く、組立工程もより簡単である。従って、ケース1の両端に2つの開口端を設置し、且つ2つのエンドカバー6を対応して設置する解決手段に比べて、本解決手段は1つのエンドカバー6を省略することができ、且つエンドカバー6とケース1との組立工程を省略し、電動機の製造コストを削減することに役立つ。当然ながら、ケース1の両端に2つの開口端を設置し、且つ2つのエンドカバー6を対応して設置し、各エンドカバー6にいずれも第1放熱溝61及び第1シャワースリット62を設置してもよく、それにより2つの端部巻線を効率的且つ均一に放熱する。
【0076】
一例では、
図10に示すように、第3出力孔15はケース1の底部に設けられ、冷却流体が重力の作用によって第3出力孔15に集中し、更に出力通路13内に排出されることに役立つ。
【0077】
一例では、ケース1及びシャワー放熱リング7は焼ばめを用いる。ケース1の内側壁に第2支持面172が設けられ、
図10に示すように、第2支持面172はステータコア2の軸方向に垂直する。シャワー放熱リング7の一端は第2支持面172に当接され、シャワー放熱リング7の他端はステータコア2の端面に当接され、それにより網状冷却流路22のシャワー放熱リング7に向かう端部を密閉遮断する。
図12に示すように、第2放熱溝71はシャワー放熱リング7の外側壁に設けられ、ステータコア2の軸方向に沿ってシャワー放熱リング7のステータコア2に近い端部を貫通し、第2放熱溝71を網状冷却流路22と連通させる。
【0078】
このように、第2放熱溝71の位置する箇所以外に、網状冷却流路22のシャワー放熱リング7に向かう端部の周方向における他の箇所は、いずれもシャワー放熱リング7で塞がれる。第2放熱溝71及びケース1の内側壁で囲設して、シャワー放熱リング7上の冷却流路を形成する。従って、網状冷却流路22を流れる冷却流体は更に分岐して、この分岐した冷却流体が第2放熱溝71に入って、第2シャワースリット72を通ってオイルカーテンのような形式で対応の端部巻線へ噴出し、端部巻線を効率的且つ均一に放熱することとなる。
【0079】
1つの例示的な実施例では、第1シャワースリット62の数は1つであり、
図12に示すように、第1シャワースリット62はエンドカバー6の頂部に設けられ、且つエンドカバー6の周方向に沿って延在し、第1シャワースリット62の弧度は40°~180°の範囲内にあり、これにより、第1シャワースリット62から噴出した冷却流体が大面積で端部巻線の上の部分を覆うように確保し、更に重力の作用によって端部巻線の中央及び下部の部分を覆う。該解決手段は、1つのみの比較的短い第1放熱溝61及び第1シャワースリット62を設ける必要があり、エンドカバー6の構造を簡素化することができ、且つエンドカバー6の強度を向上させることに役立つ。
【0080】
又は、第1シャワースリット62の数は複数であり、複数の第1シャワースリット62はエンドカバー6の周方向に沿って間隔を置いて設置される。該解決手段は複数の異なる位置から端部巻線へ滝形式の冷却流体を噴射することができ、端部巻線の放熱効果を向上させることに役立つ。
【0081】
又は、第1シャワースリット62の数は1つであり、第1シャワースリット62はエンドカバー6の周方向に沿ってエンドカバー6を囲む。該解決手段は端部巻線へ冷却流体を360°全方位で噴射することができ、端部巻線の放熱効果を向上させることに役立つ。
【0082】
生産過程において、異なる電動機システムのニーズに応じて第1シャワースリット62、第1放熱溝61の数、サイズ及び分布形式を合理的に選択することができる。
【0083】
当然ながら、第1シャワースリット62、第1放熱溝61の数、サイズ及び分布形式はこれらに限らず、必要に応じて合理的に調整することができる。
【0084】
同様に、第2シャワースリット72の数は1つであり、
図11に示すように、第2シャワースリット72はシャワー放熱リング7の頂部に設けられ、且つシャワー放熱リング7の周方向に沿って延在し、第2シャワースリット72の弧度は40°~180°の範囲内にある。
【0085】
又は、第2シャワースリット72の数は複数であり、複数の第2シャワースリット72はシャワー放熱リング7の周方向に沿って間隔を置いて設置される。
【0086】
又は、第2シャワースリット72の数は1つであり、第2シャワースリット72はシャワー放熱リング7の周方向に沿ってシャワー放熱リング7を囲む。
【0087】
第2シャワースリット72の設計原理及び効果は第1シャワースリット62と同様であり、ここで詳細な説明は省略する。
【0088】
1つの例示的な実施例では、電動機は更に電動機油冷機構(図示せず)を備え、前記電動機油冷機構は網状冷却流路22と連通し、網状冷却流路22に冷却油を提供して網状冷却流路22から排出された冷却油を回収することに用いられる。
【0089】
該解決手段において、電動機は独立した油冷機構を有し、他の構造に依存せずに冷却放熱を実現することができる。該電動機油冷機構はケース1の底部に統合されてもよい。
【0090】
一例では、電動機油冷機構は冷却油プール、油冷却器及び油ポンプを備える。
【0091】
冷却油プールは網状冷却流路と連通し、網状冷却流路22に冷却油を提供することに用いられる。油冷却器は網状冷却流路22及び冷却油プールと連通し、網状冷却流路22から排出された冷却油を冷却して冷却油プールに送ることに用いられる。油ポンプは冷却油を駆動して冷却油プール、網状冷却流路22及び油冷却器の間で繰り返し流動させることに用いられる。
【0092】
1つの具体的な実施例では、(
図6に示すように)電動機は電動機本体及び冷却機構を備える。
【0093】
図1及び
図2に示すように、電動機本体は、回転軸5と、回転軸5に固定して套設されるロータ4と、隙間を置いてロータ4の外部に套設されるステータコア2と、ステータコア2に取り付けられるステータ巻線3と、ステータコア2の外部に固定して套設され且つ上記各部材を収納するためのケース1と、ケース1内に套設され且つステータコア2の端面に当接されるシャワー放熱リング7と、ケース1の開口端に取り付けられ且つ電動機のキャビティを密封し回転軸5を支持するためのエンドカバー6と、を備える。ステータ巻線3はステータコア2の両端から延出し、それぞれ前端部巻線31及び後端部巻線32を形成する。
【0094】
図3、
図4及び
図6に示すように、冷却機構は、ステータコア2の外側壁に設けられ、数が多く且つ交互に配列される放熱柱211を備える。
図4に示すように、放熱柱211は、ステータコア2の外側壁の円柱表面を下凹面26、放熱柱の側壁面2111及び放熱柱の頂面2112に切断する。放熱柱の頂面2112はケース1の内壁に貼合され、下凹面26とケース1の内壁とが囲んで、スリット流路を形成する。
図6に示すように、スリット流路は放熱柱211により切断され、網状冷却流路22を形成する。
図5に示すように、動作する時、ステータコア2の下凹面26及び放熱柱の側壁面2111は、いずれも熱交換表面として熱伝導に参加する。
【0095】
図6及び
図10に示すように、冷却機構は、ケース1の頂部に開設される入力通路11及び軸方向に沿って配列分布される複数の入力孔12と、ケース1の底部に開設される出力通路13及び軸方向に沿って配列分布される複数の第1出力孔14と、ケース1の底部に開設され且つシャワー放熱リング7の下方に位置する第3出力孔15と、を更に備える。
【0096】
図6及び
図11に示すように、冷却機構は、エンドカバー6の切込みの上部に開設される第1放熱溝61と、第1放熱溝61の底壁に開設され且つ周方向に沿って延在する第1シャワースリット62と、エンドカバー6の底部に開設される第2出力孔63と、を更に備える。
【0097】
図6及び
図12に示すように、冷却構造は、シャワー放熱リング7に開設される第2放熱溝71と、第2放熱溝71の底壁に開設され且つ周方向に沿って延在する第2シャワースリット72と、を更に備える。
【0098】
入力通路11は入力孔12と連通し、入力孔12は網状冷却流路22の頂部と連通する。網状冷却流路22の前端は第2放熱溝71と連通し、網状冷却流路22の後端は第1放熱溝61と連通する。網状冷却流路22の底部は第1出力孔14と連通し、第1出力孔14は出力通路13と連通する。第3出力孔15は出力通路13と連通する。出力通路13及び第2出力孔63はそれぞれ冷却流路に接続される。
【0099】
本願の実施例は放熱柱211の構造設計によって、ステータコア2の放熱表面積を元の円柱の外表面よりも大幅に大きくする。原則的に、放熱柱211の数が多ければ多いほど、ステータコア2の放熱に役立つことになる。しかしながら、放熱柱211が多すぎると、網状冷却流路22が高密度に分割されて冷却油の流動を妨害してしまう。且つ、放熱柱211の数が多いと、単一放熱柱211が細くなって、ステータ抜板24及びステータコア2の製造プロセスの難度を増加させてしまう。従って、本願の実施例では、放熱柱211の数及び高さは、冷却油の流動抵抗要素を考慮した総合的な流体シミュレーション結果である。
【0100】
以下、上記言及した各部品についてそれぞれ説明する。
【0101】
図3に示すように、ステータコア2は外観的に中空円柱状を呈する。その内径周方向に数N1のステータティース溝25が均一に設けられる。ステータティース溝25の主な機能は巻線コイルを固定支持することである。それと同時に、電動機が動作するとき、巻線コイルの抵抗熱はステータティース溝25の表面を通ってステータコア2に伝達する。
【0102】
図13及び
図14に示すように、ステータコア2はK個のコアアセンブリ23を互いに交互に積層して組み立ててなる。コアアセンブリ23の外表面には周方向にN2個の放熱柱211が設けられる。N2個の放熱柱211はN1/2個の放熱群に等分され、各放熱群はA個の放熱柱211を含む。ステータコア2はコアアセンブリ23の位置ずれ積層組立によって、隣接するコアアセンブリ23の放熱柱211を互いに交差させ、最後の放熱柱211が交互に配列されるステータコア2を形成する。
【0103】
コアアセンブリ23の位置ずれ積層のため、異なる製造段階の放熱柱211の数は、D=N2×P、N2=N1×A×1/2、A=1、2、3…の関係を満足する。
【0104】
ここで、Dはステータコア2の放熱柱211の数であり、Pはコアアセンブリ23の数であり、N2は各コアアセンブリ23の放熱柱211の数であり、N1はステータティース溝25の数であり、Aは各放熱群に含まれる放熱柱211の数である。
【0105】
図15に示すように、コアアセンブリ23はU枚のステータ抜板24を備える。ステータ抜板24は厚さtの電炉鋼を打ち抜き加工してなる。
図16に示すように、各ステータ抜板24の外径にN2個の放熱ティース241が設置される。U枚のステータ抜板24を同じ角度で軸方向に積み重ねて圧着すれば、厚さY=U×tのコアアセンブリ23に製造することができる。ステータ抜板24の放熱ティース241も複数枚重ね合わせてから放熱柱211となる。
【0106】
コアアセンブリ23の厚さは一意ではなくてもよい。単一コアアセンブリ23の厚さは、ステータ抜板24の厚さを枚数に乗じて計算したものである。ステータ抜板24の枚数の選択によって、コアアセンブリ23の厚さの調整を実現することができる。このように、異なる厚さのコアアセンブリ23を組み合わせてなるステータコア2を得ることができ、多様性選択を実現する。最後に、数値流体力学シミュレーション(CFDと略称される)分析及び工程を簡単に考慮することにより、各電動機システムに適用される比較的好適な解決手段を得る。
【0107】
図1及び
図2に示すように、エンドカバー6はケース1の後端に設けられ、対応の端部巻線は後端部巻線32である。
図11に示すように、エンドカバー6の頂部に第1放熱溝61及び第1シャワースリット62が設けられ、エンドカバー6の底部に第2出力孔63が設けられる。
図1及び
図2に示すように、シャワー放熱リング7はケース1の前端に設けられ、対応の端部巻線は前端部巻線31である。
図12に示すように、シャワー放熱リング7の頂部に第2放熱溝71及び第2シャワースリット72が設けられる。
図10に示すように、ケース1の底部に第3出力孔15が設けられる。。
図11に示すように、エンドカバー6に第1支持孔66が設けられる。。
図10に示すように、ケース1の前端に第2支持孔18が設けられる。
図1及び
図2に示すように、回転軸5の両端は第1支持孔66及び第2支持孔18に回転可能に挿設される。
【0108】
図10に示すように、入力通路11はケース1の頂部に設けられ、且つ入力通路11の入口はケース1の前端面に設けられる。出力通路13はケース1の底部に設けられ、且つ出力通路13の出口はケース1の前端面に設けられる。
【0109】
図10に示すように、第2支持面172の内径<ケース1内側壁の本体部分の直径<第1支持面171の外径にすることにより、ケース1の内側壁に階段状構造を形成させる。ステータコア2の軸方向両端を境界面とし、ケース1の内側壁は第1内壁161、第2内壁162及び第3内壁163を含む。第1内壁161の前端は第2支持面172に接続され、第2内壁162及び第3内壁163は第1支持面171により接続される。
【0110】
ケース1の第1内壁161はシャワー放熱リング7に焼きばめにより締りばめされる。シャワー放熱リング7上の第2放熱溝71は第1内壁161とともに囲んで、油かけ油ダクトを形成する。シャワー放熱リング7上の第2シャワースリット72は前端部巻線31に対する油かけ口である。冷却油は該油かけ口から流出し、オイルカーテン状態で前端部巻線31の上表面にかけて、重力の作用によって前端部巻線31の上表面から下表面まで流れ、最後にケース1の底部に集中し、第3出力孔15から排出される。
【0111】
ケース1の第2内壁162はステータコア2に焼ばめされるとともに、ステータコア2もシャワー放熱リング7の後端面と面一になる。ステータコア2の放熱柱の頂面2112はケース1の第2内壁162に接触し、ケース1の第2内壁162の放熱柱の頂面2112に対する締め付け力でステータコア2を固定する。放熱柱211の支持によって、ステータコア2の下凹面26(即ち、ステータコア2の外側壁上の放熱柱211よりも低い表面)は第2内壁162とともに囲んで、スリット流路を形成する。スリット流路は交互に配列される放熱柱211により切断され、ステータコア2を冷却するための網状冷却流路22が形成される。
【0112】
ケース1の第3内壁163はエンドカバー6の切込みに嵌合して組み立てられる。エンドカバー6の第1放熱溝61とケース1の第3内壁163とが囲んで、エンドカバー6上の油かけ通路を形成する。エンドカバー6の切込みの端面はステータコア2の後端面に接触し、第1放熱溝61の位置する箇所以外のステータコア2と第2内壁162との間のスリット流路を塞ぐ。第1放熱溝61の底部には、1つの周方向の小さな油かけスリット、即ち第1シャワースリット62が開設される。冷却油はエンドカバー6の油かけ通路に入った後、第1シャワースリット62で後端部巻線32の上部にスプレーされる。重力の作用によって、冷却油は後端部巻線32の上表面から下表面まで流れ、最後に電動機のキャビティの底部に集中し、底部の第2出力孔63から排出される。
【0113】
使用する時、
図7に示すように、冷却油は網状冷却流路に入ってから4つの分岐路でそれぞれ流れる。
【0114】
第1分岐路
冷却油は第2放熱溝71、第2シャワースリット72を通って電動機のキャビティの前端部巻線31の上部にスプレーされ、冷却油は重力の作用によって巻線コイルの輪郭に沿って下向きに流れ、電動機のキャビティの底部に集中し、第3出力孔15から排出される。
【0115】
第2分岐路及び第3分岐路
冷却油は網状冷却流路22に入ってからちょうど最も高い箇所に位置し、横断面から見れば、冷却油は重力及び油路高圧の二重作用を受けて分岐して左右両側へ流れ、左右両側の2つの分岐路は第2分岐路及び第3分岐路となる。第2分岐路及び第3分岐路の冷却油は下向きに流れ、底部の第1出力孔14に集中して排出される。
【0116】
第4分岐路
第1分岐路と類似に、冷却油は第1放熱溝61、第1シャワースリット62を通って後端部巻線32の上部にスプレーされ、巻線コイルを冷却した後、エンドカバー6の底部の第2出力孔63から排出される。
【0117】
第2分岐路及び第3分岐路において、冷却油は左分岐路それとも右分岐路を流れる過程にかかわらず、いずれもステータコア2の放熱表面に十分に接触し、ステータを冷却する主な熱交換が発生する。ステータコア2の放熱面積と放熱柱211の数との関係によれば、放熱柱211の数が多ければ多いほど、ステータの放熱に役立つことになることが分かる。
【0118】
理解しやすくするために、
図6及び
図7は冷却機構を実体化する模式図である。網状冷却流路22はステータコア2とケース1との間の空間により限定された流路であり、独立した構造ではないが、
図6及び
図7において独立した1枚の網として示される。入力通路11及び出力通路13はケース1内に設置される2つの通路であり、
図6及び
図7において独立した2つのパイプラインとして示される。
【0119】
同様に、エンドカバー6に開設される第1放熱溝61及び第1シャワースリット62も実体化して示される。第1放熱溝61は網状冷却流路22の後部に接続され、網状冷却流路22の後端と連通することが示される。第1シャワースリット62は第1放熱溝61の下部に接続され、第1放熱溝61と連通し、且つ冷却油を下向きに噴射することが示される。
【0120】
シャワー放熱リング7に開設される第2放熱溝71及び第2シャワースリット72も対応して実体化される。第2放熱溝71は網状冷却流路22の前部に接続され、網状冷却流路22の前端と連通することが示され、第2シャワースリット72は第2放熱溝71の下部に接続され、第2放熱溝71と連通し、且つ冷却油を下向きに噴射することが示される。
【0121】
このように、
図6及び
図7を参照して、冷却油の流動経路が明瞭に見え、該実施例の電動機の冷却原理も明瞭に分かる。
【0122】
図8は冷却油流量のシミュレーション模式図であり、
図8では、網状冷却流路22の頂部の冷却油を示す線が比較的黒くて比較的太く、2本の太黒線が軸方向の両端へ延在し、該2本の太黒線がそれぞれ第1分岐路及び第4分岐路を代表し、更に左向きの分岐(第2分岐路を示す)及び右向きの分岐(第3分岐路を示す)がそれぞれ3つあることが明瞭に見える。
【0123】
図9は冷却油の流動経路のシミュレーション模式図である。
図9では、冷却油が頂部の入力通路11から3つの入力孔12を通って下向きに網状冷却流路22に入ることが明瞭に見える。網状冷却流路22の下側の冷却油は3つの第1出力孔14を通って出力通路13に入る。出力通路13内の冷却油は前端出口から排出される。網状冷却流路22の前端には、一部の冷却油が下向きに前端部巻線31を流れて第3出力孔15を通って出力通路13に排出される。網状冷却流路22の後端には、一部の冷却油が下向きに後端部巻線32を流れてエンドカバー6の底部の第2出力孔63から排出される。
【0124】
該実施例では、電動機のステータコア2には交互に分布する大量の放熱柱211を設置することにより、電動機の放熱表面積を著しく増加させ、且つ網状乱流の冷却モデルを実現する。唯一のステータ抜板金型を使用して、電動機の製造コストを削減させる。該冷却機構は滝のようなオイルカーテン方式で冷却油を端部巻線にスプレーすることにより、冷却油を端部巻線に均一に直接接触させ、十分に冷却することが確保され、電動機のハイパワーにおける放熱性能を改善し、電動機の出力性能及び使用シーンを拡張する。
【0125】
図3に示すように、本願の実施例はステータコア2を提供し、ステータコア2の外側壁に複数の放熱突起21が設けられ、複数の放熱突起21が網状に交互に配列される。
【0126】
本願の実施例に係るステータコア2はケース1に組み立てられた後、ケース1とともに網状冷却流路22を形成することができ、一層大きな放熱表面積を有し、従って、電動機の放熱能力を更に向上させることに役立つ。且つ、冷却流体の網状冷却流路22における流動経路も網状であり、網状経路における冷却流体の流動形式は乱流であり、乱流の熱交換効率が一層高く、従って、電動機の放熱能力を更に向上させることもできる。
【0127】
放熱突起21をステータコア2の外側壁に設けることにより、ステータコア2の放熱表面積を著しく増加させることができ、更にステータコア2の放熱能力を向上させる。且つ、ステータコア2の放熱突起21はケース1の内側壁に当接され、ステータコア2とケース1との締りばめを実現することができ、更にステータコア2とケース1との固定組立を実現する。組立過程において、焼きばめプロセスを用いてステータコア2とケース1との締りばめを実現することができる。
【0128】
1つの例示的な実施例では、
図14に示すように、ステータコア2はステータコア2の軸方向に沿って互いに積層される複数のコアアセンブリ23を備える。各コアアセンブリ23にはその周方向に沿って複数の放熱突起21が間隔を置いて設けられる。
図13に示すように、隣接するコアアセンブリ23の放熱突起21はステータコア2の周方向に沿って交互に配列される。該解決手段の技術的効果は上記電動機の実施例における検討を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0129】
1つの例示的な実施例では、
図15に示すように、コアアセンブリ23は複数のステータ抜板24を積層して形成される。
図16に示すように、各ステータ抜板24に複数の放熱ティース241が設けられる。複数のステータ抜板24に対応する放熱ティース241を積層して放熱突起21が形成される。該解決手段の技術的効果は上記電動機の実施例における検討を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0130】
1つの例示的な実施例では、複数のコアアセンブリ23上の放熱突起21の数及び分布形式は同じである。各コアアセンブリ23上の複数の放熱突起21は複数の放熱群に等分され、各放熱群は少なくとも1つの放熱突起21を含む。該解決手段の技術的効果は上記電動機の実施例における検討を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0131】
1つの例示的な実施例では、
図14に示すように、ステータコア2にはその周方向に沿ってステータ巻線3を取り付けるための複数のティース溝25が設けられる。ティース溝25の数は各コアアセンブリ23の放熱群の数の整数倍である。
【0132】
一例では、各コアアセンブリ23の放熱群の数はティース溝25の数の半分である。該解決手段の技術的効果は上記電動機の実施例における検討を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0133】
1つの例示的な実施例では、各放熱群はコアアセンブリ23の周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の放熱突起21を含む。隣接する放熱群間の周方向間隔は各放熱群における隣接する放熱突起21間の周方向間隔よりも大きい。該解決手段の技術的効果は上記電動機の実施例における検討を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0134】
1つの例示的な実施例では、各放熱群はコアアセンブリ23の周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の放熱柱211を含む。
図4に示すように、各放熱群において、1つの放熱突起21は位置決め突起212として設置される。位置決め突起212の形状は他の放熱突起21と異なる。
【0135】
一例では、
図4に示すように、各放熱群において、1つの放熱突起21の横断面積は他の放熱突起21の横断面積よりも大きい。該解決手段の技術的効果は上記電動機の実施例における検討を参照してもよく、ここで詳細な説明は省略する。
【0136】
本願の実施例はパワートレイン(図示せず)を提供し、上記いずれか1つの実施例の電動機を備え、従って、上記すべての有益な効果を有し、ここで詳細な説明は省略する。
【0137】
1つの例示的な実施例では、パワートレインは更に減速機及びコントローラを備える。
【0138】
減速機は電動機に機械的に接続される。コントローラは電動機に電気的に接続される。
【0139】
一例では、減速機はギアボックスと、ギアボックス内に位置するギア群、冷却油プール、油ポンプ及び油冷却器と、を備える。ギア群は電動機の回転軸5に接続される。電動機のケース1はギアボックスのボックス本体に接続又は統合される。冷却油プール、油ポンプ、油冷却器はギアボックスのボックス本体に係合されて減速機の油冷機構が形成される。
【0140】
電動機には独立した電動機油冷機構がない場合、減速機の油冷機構は電動機に低温冷却油を提供して高温冷却油を回収することができる。
【0141】
本願の実施例は自動車(図示せず)を提供し、上記いずれか1つの実施例に係るパワートレインを備え、従って、上記すべての有益な効果を有し、ここで詳細な説明は省略する。
【0142】
要するに、本願の実施例に係る電動機は、大量の放熱突起を設置することによりステータコアの放熱表面積を増加させ、油液の流動形式を乱流に変え、コイル巻線に対して滝のような油かけ冷却等の冷却措置を取って、電動機の放熱効率を大幅に向上させる。放熱効率の向上により、電動機システムは同じ極限温度に制限されて一層大きなパワーの出力を実現することができる。
【0143】
製造の面では、1種類のみのステータ抜板金型に関わってもよく、位置ずれ組み合わせ方式によりステータコアの製造を実現する。ステータ抜板の種類が少ないため、製造効率、倉庫物流、品質管理等の面で効率的に動作することができ、これは電動機のステータアセンブリの生産コストを大幅に削減することとなる。
【0144】
図17~
図23は本願の一実施例に係る電動機及びその部品の構造模式図である。
図17~
図23に示すように、本実施例は電動機100を提供し、該電動機100はステータコア10及びハウジング20(即ち上記実施例のケース)を備えてもよい。ステータコア10は複数の円環状のコア抜板11を交互に互いに積み重ねてなる。ステータコア10の本体構造は複数のコア抜板11を互いに積み重ねてなる。複数のコア抜板11を積み重ねた後、コア抜板11とハウジング20との間に流路(即ち上記実施例のスリット流路)が形成され、液体(例えば、冷却液、冷却油)は流路内を流れることができ、それにより電動機100を冷却する。
【0145】
本実施例のステータコア10は複数のコア抜板11を互いに積み重ねてなるため、コア抜板11の製造過程が簡単で、製造コストが低い。
【0146】
1つの例示的な実施例では、
図18及び
図19に示すように、ステータコア10は少なくとも1つの円環状の第1コア抜板111と少なくとも1つの円環状の第2コア抜板112とを交互に互いに積み重ねてなってもよい。ハウジング20はステータコア10の外周を包んでおり、ステータコア10の外周に互いに貼合されて流路を形成し、それにより液体に流路を流動させる。第1コア抜板111及び第2コア抜板112の外周面の構造が異なることにより、流路に第1コア抜板111及び第2コア抜板112の外周を貫通させ、更に液体が第1コア抜板111と第2コア抜板112との間にストリーミングできる(即ち、流路が上記実施例の網状冷却流路を形成する)ようにする。
【0147】
本実施例の電動機100はステータコア10及びハウジング20を備え、ステータコア10は構造の異なる第1コア抜板111及び第2コア抜板112を交互に互いに積み重ねてなり、これにより、液体が第1コア抜板111及び第2コア抜板112とハウジング20との間に形成される流路内にストリーミングでき、更に冷却液がステータコア10の熱を持ち去るようにし、冷却の目的を実現し、本実施例の流路は第1コア抜板111及び第2コア抜板112を貫通するため、本実施例の電動機100の放熱能力が強い。
【0148】
本実施例の流路は直接にステータコア10の外表面とハウジングとの間により形成されるため、熱交換面積を大幅に増加させる。
【0149】
1つの例示的な実施例では、
図20及び
図21に示すように、本実施例の第1コア抜板111の外周面には、間隔を置いて設置される複数の凸部113及び複数の凹部114が分布される。(
図22及び
図23に示すように)第2コア抜板112の外周面は平滑構造である。流路は第1コア抜板111の凹部114及び第2コア抜板112の外周とハウジング20の内壁との間に形成される流路である。
【0150】
本実施例の第1コア抜板111の外周での凸部113及び凹部114の構造は実際の必要に応じて自由に設計することができる。例えば、本実施例の凸部113は立方体形状である。他の実施例では、凸部113の構造は踏み台形状又は他の立体構造であってもよい。凸部113の構造は最外側部位が平台状であればよい。第1コア抜板111の凸部113の最外部はいずれもハウジング20の内壁に互いに接触する。本実施例の第1コア抜板111の外周の構造設計によって熱交換面積を大幅に増加させることができ、それにより熱交換効果を向上させる。
【0151】
また、本実施例の第2コア抜板112の外周の構造は平滑構造のほか、他の構造であってもよく、第2コア抜板112の外周での構造の高さが第1コア抜板111の凸部113の高さを超えず、且つ第2コア抜板112及び凹部114とハウジング20との間には連通する流路が形成されればよい。第2コア抜板112の外周を他の構造に設計するとき、第1コア抜板111の構造と異なる。平滑構造を形成することに比べて、第2コア抜板112の外周を他の構造に設計することは、熱交換面積を増加させることができ、更に電動機100の熱交換効率を向上させる。
【0152】
1つの例示的な実施例では、第1コア抜板111の厚さ及び第2コア抜板112の厚さは実際の必要に応じて自由に設計することができる。
【0153】
1つの例示的な実施例では、本実施例は第1コア抜板111と第2コア抜板112とを間隔を置いて互いに積み重ねるとき、第2コア抜板112の外周面は凹部114と同一平面になる。即ち、第1コア抜板111の凹部114と第2コア抜板112の外周とを同じ平滑面にすることにより、冷却液体がスムーズに第1コア抜板111と第2コア抜板112との間にストリーミングできるようにし、それにより冷却効率を向上させる。
【0154】
1つの例示的な実施例では、
図20及び
図21に示すように、第1コア抜板111の外周面の凹部114に第1突起115が更に設置され、第1突起115は第1コア抜板111の軸方向の位置する方向に沿って延在する。
図22及び
図23に示すように、第2コア抜板112の外周面に第2突起116が設置され、第2突起116は第2コア抜板112の軸方向に沿って延在する。第1コア抜板111と第2コア抜板112とを間隔を置いて互いに積み重ねるとき、第1突起115は第2突起116にマッチして設置される。本実施例では、第1突起115及び第2突起116の設計は、第1コア抜板111と第2コア抜板112とを互いに積み重ねる際に精確に位置決めすることを目的とする。
【0155】
図24~
図27は本願の別の実施例の電動機及びその部品の構造模式図である。
図24に示すように、本実施例の電動機100はステータコア10及びハウジング20(即ち上記実施例のケース)を備えてもよく、また、
図25及び
図26に示すように、ステータコア10は複数のコア抜板11を互いに積み重ねてなる。本実施例のコア抜板11の外周に複数の凸部101及び複数の凹部102が設置される。ハウジング20はステータコア10の外周を包んでおり、ステータコア10の凸部101に互いに貼合されて流路(即ち上記実施例のスリット流路)が形成される。凸部101の周方向サイズは凹部102の周方向サイズよりも小さく、且つコア抜板11を交互に互いに積み重ねるとき、隣接する2つのコア抜板11の凸部101及び凹部102が交互に設置されることにより、液体が複数のコア抜板11内にストリーミングできるようにする。
【0156】
本実施例では、複数のコア抜板11の構造は同じであるが、凸部101のサイズは凹部102のサイズよりも小さく、従って、異なるコア抜板11が互いに交互に貼合され、且つ凸部101と凹部102とが交互に設置される場合、流路は主に凹部102とハウジング20とからなり、且つ凸部101は流路に挿通され、それにより液体が互いにストリーミングできる(即ち、流路が上記実施例の網状冷却流路を形成する)ようにし、ステータコア10の冷却効果を向上させる。
【0157】
本実施例のコア抜板11は上記実施例の第1コア抜板111の構造と同じであってもよい。当然ながら、必要に応じて異なる形状に設計することもできる。
【0158】
1つの例示的な実施例では、本実施例の凸部101の構造は立方体形状であってもよい。他の実施例では、凸部101の構造は踏み台形状又は他の立体構造であってもよい。凸部101の構造は最外側部位が平台状であればよい。コア抜板11の凸部101の最外部はいずれもハウジング20の内壁に互いに接触する。本実施例のすべてのコア抜板11はいずれも凸部101構造を含むが、該凸部101構造はいずれもハウジング20に互いに接触するため、コア抜板11はハウジング20の周りの力を受けることとなり、これによりコア抜板11が変形することを防止する。
【0159】
本実施例では、
図25及び
図27に示すように、コア抜板11に突起103が設置される。該突起103はコア抜板11の軸線方向に沿って延在する。複数のコア抜板11を積み重ねてステータコア10が形成される場合、複数のコア抜板11での突起103は互いに接続されて1本の線を形成する。
【0160】
本実施例では、隣接する2つのコア抜板11が交互に設置される場合、一方のコア抜板11の凸部101は他方のコア抜板11の凹部102の中央位置の側部に設置されてもよく、この際に形成された流路は比較的規則的である。
【0161】
本実施例のコア抜板11の厚さ、凸部101及び凹部102の数及びサイズはいずれも実際の必要に応じて設計されてもよい。凸部101及び凹部102の数が多ければ多いほど、流路の数が多くなり、そうすると、冷却効果が良くなる。
【0162】
1つの例示的な実施例では、コア抜板11の内輪にいずれも巻線溝13(即ち上記実施例のティース溝)が設置されるが、巻線溝13内に多くの巻線が設置され、従って、突起103の設計は異なるコア抜板11を互いに積み重ねる際に巻線溝13と揃えるように維持することができる。
【0163】
1つの例示的な実施例では、
図28は本願の一実施例に係るハウジングの構造模式図である。上記2つの実施例(
図17~
図23に示される電動機、
図24~
図27に示される電動機)では、異なるステータコア10に同じハウジング20を配置することができる。
図28に示すように、本実施例のハウジング20は本体21を備え、本体21は円筒状であり、且つ円筒状の一端にはサイズが他の部位よりも小さい階段22が設置される。ステータコア10がハウジング20内に設置される場合、ステータコア10の外周はハウジング20の内壁に貼合されるとともに、その一端が階段22に当接される。
【0164】
1つの例示的な実施例では、
図28に示すように、ハウジング20には液体流入通路23(即ち上記実施例の入力通路)及び液体流出通路24(即ち上記実施例の出力通路)が更に備えられ、ハウジング20とステータコア10とを固定設置する際に液体流入通路23及び液体流出通路24が流路と連通し、液体は液体流入通路23から流入した後に流路を通って液体流出通路24から流出する。
【0165】
図28に示すように、液体流入通路23及び液体流出通路24はハウジング20の外に設置されてもよく、且つハウジング20の壁は液体流入通路23及び液体流出通路24の一部とされ、液体流入通路23及び液体流出通路24の位置する箇所のハウジング20には、貫通孔25(即ち上記実施例の入力孔及び第1出力孔)が設置される。本実施例では、液体流入通路23の貫通孔25(即ち上記実施例の入力孔)は複数あり、且つ複数の貫通孔25は並列して設置されてもよい。同様に、液体流出通路24での貫通孔25(即ち上記実施例の第1出力孔)も複数あり、複数の貫通孔25は並列して設置されてもよい。
【0166】
本実施例の液体流入通路23及び液体流出通路24の断面はいかなる形状であってもよく、例えば半円形、矩形等であってもよい。
【0167】
本実施例の貫通孔25の形状はいかなる形状であってもよく、例えば円形、正方形、菱形等であってもよい。液体流入通路23に入った冷却液は、まず液体流入通路23での貫通孔25を通って流路に入って、更に液体流出通路24での貫通孔25を通って液体流出通路24を流れてから流出する。
【0168】
液体流入通路23及び液体流出通路24はステータコア10の軸方向に沿って延在してもよく、且つ液体流入通路23及び液体流出通路24はそれぞれステータコア10の外周の対向する位置に位置する。該位置の設計は電動機100の放熱能力を向上させることができる。
【0169】
図29は本願の一実施例に係るオイルスリンガの構造模式図である。本実施例の電動機100は更にオイルスリンガ30を備えてもよく、
図29に示すように、オイルスリンガ30はハウジング20内に設置され、ステータコア10の階段22に当接される側と逆の端部に位置し、且つ階段22、凹部102、ハウジング20の内壁及びオイルスリンガ30は共に密封された流路を形成する。
【0170】
本願の実施例は更に車両(図示せず)を提供し、該車両は上記電動機100を備えてもよい。
【0171】
本願の実施例の説明において、理解されるように、用語「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」等で示される方位又は位置関係は図面に基づいて示す方位又は位置関係であり、本願の実施例を説明しやすくし及び説明を簡素化するためのものに過ぎず、指す装置又は素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作しなければならないことを指示又は暗示するのではなく、従って、本願を制限するものと理解できない。
【0172】
また、用語「第1」、「第2」は説明のためのものに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示し、又は指す技術的特徴の数を暗示的に示すものと理解できない。これにより、「第1」、「第2」で限定される特徴は少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の実施例の説明において、特に明確且つ具体的に限定しない限り、「複数」の意味は少なくとも2つ、例えば2つ、3つ等である。
【0173】
本願の実施例では、特に明確に規定及び限定しない限り、用語「取り付け」、「連結」、「接続」、「固定」等の用語は広義的に理解されるべきであり、例えば、特に明確に限定しない限り、固定接続であってもよく、取り外し可能な接続であってもよく、一体であってもよく、又は、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、又は、直接接続であってもよく、中間媒体による間接接続であってもよく、2つの素子内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記用語の本願の実施例における具体的な意味を理解することができる。
【0174】
本願の実施例では、特に明確に規定及び限定しない限り、第1特徴が第2特徴「上」又は「下」に位置することは第1及び第2特徴が直接接触すること、又は第1及び第2特徴が中間媒体により間接的に接触することであってもよい。且つ、第1特徴が第2特徴「の上」、「上方」及び「上部」に位置することは第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上に位置することであってもよく、又は第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことだけを示す。第1特徴が第2特徴「の下」、「下方」及び「下部」に位置することは第1特徴が第2特徴の真下又は斜め下に位置することであってもよく、又は第1特徴の水平高さが第2特徴よりも小さいことだけを示す。
【0175】
本明細書の説明において、参照用語「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の説明は該実施例又は例を参照して説明する具体的な特徴、構造、材料又は特性が本願の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書において、上記用語の模式的な表現は必ず同じ実施例又は例に対するものではない。且つ、説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適切な方式で結合されてもよい。また、矛盾しない限り、当業者は本明細書に説明される異なる実施例又は例及び異なる実施例又は例の特徴を結合及び組み合わせすることができる。
【0176】
以上は本願の実施例を表示及び説明したが、理解されるように、上記実施例は例示的なものであって、本願を制限するものと理解できず、当業者は本願の範囲内に上記実施例を変更、修正、置換及び変形することができる。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機であって、
ケースと、
前記ケース内に固定されるステータコアであって、前記ステータコアの外側壁と前記ケースの内側壁との間にスリット流路が形成され、前記スリット流路が冷却流体を流れるための網状冷却流路として設置される、ステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられるステータ巻線と、
前記ステータコアの内側に回転可能に套設されるロータと、を備える電動機。
【請求項2】
前記ケースの内側壁及び/又は前記ステータコアの外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列され、前記スリット流路を前記網状冷却流路に分割する請求項1に記載の電動機。
【請求項3】
複数の前記放熱突起は前記ステータコアの外側壁に設けられ、少なくとも一部の前記放熱突起が前記ケースの内側壁に当接されることにより、前記ステータコアを前記ケースに締りばめさせる請求項2に記載の電動機。
【請求項4】
前記ステータコアは前記ステータコアの軸方向に沿って互いに積層される複数のコアアセンブリを備え、各前記コアアセンブリにはその周方向に沿って複数の前記放熱突起が間隔を置いて設けられ、隣接する前記コアアセンブリの前記放熱突起は前記ステータコアの周方向に沿って交互に配列される請求項3に記載の電動機。
【請求項5】
前記コアアセンブリは複数のステータ抜板を積層して形成されるものであり、各前記ステータ抜板に複数の放熱ティースが設けられ、複数の前記ステータ抜板に対応する前記放熱ティースを積層して前記放熱突起を形成する請求項4に記載の電動機。
【請求項6】
複数の前記コアアセンブリ上の前記放熱突起の数及び分布形式は同じであり、各前記コアアセンブリに複数の放熱群を有し、各前記放熱群は少なくとも1つの前記放熱突起を備える請求項4に記載の電動機。
【請求項7】
前記ステータコアにはその周方向に沿って前記ステータ巻線を取り付けるための複数のティース溝が設けられ、前記ティース溝の数は各前記コアアセンブリの前記放熱群の数の整数倍である請求項6に記載の電動機。
【請求項8】
各前記放熱群は前記コアアセンブリの周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の前記放熱柱を備え、
各前記放熱群において、1つの前記放熱突起は位置決め突起として設置され、前記位置決め突起の形状は他の前記放熱突起と異なる請求項7に記載の電動機。
【請求項9】
前記ケースには入力通路及び前記入力通路と連通する少なくとも1つの入力孔が更に設けられ、前記入力通路は、前記網状冷却流路の径方向外側に位置し、且つ前記少なくとも1つの入力孔によって前記網状冷却流路と連通し、前記網状冷却流路に冷却流体を入力することに用いられ、
前記ケースには出力通路及び前記出力通路と連通する少なくとも1つの第1出力孔が更に設けられ、前記出力通路は、前記網状冷却流路の径方向外側に位置し、且つ前記少なくとも1つの第1出力孔によって前記網状冷却流路と連通し、前記網状冷却流路から排出された冷却流体を出力することに用いられる請求項1~8のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項10】
前記ステータ巻線の両端の前記ステータコアよりも突出する部分は端部巻線と記され、
前記ケースに開口端が設けられ、前記電動機は前記開口端に設けられるエンドカバーを更に備え、前記エンドカバーに第1放熱溝が設けられ、前記第1放熱溝は前記網状冷却流路と連通し、前記第1放熱溝の底壁の前記端部巻線に対応する位置には第1シャワースリットが設けられ、前記第1シャワースリットに対応する前記端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられ、
前記エンドカバーには第2出力孔が更に設けられ、前記第2出力孔は、外部冷却流路と連通するように設置され、前記第1シャワースリットに対応する前記端部巻線を流れる冷却流体を前記外部冷却流路内に排出することに用いられる請求項1~8のいずれか1項に記載の電動機。
【請求項11】
前記開口端の数は1つであり、前記電動機は更にシャワー放熱リングを備え、前記シャワー放熱リングは前記ケース内に套設され、且つ前記ケースの前記開口端から離れる端部に位置し、
前記シャワー放熱リングに第2放熱溝が設けられ、前記第2放熱溝は前記網状冷却流路と連通し、前記第2放熱溝の底壁の前記端部巻線に対応する位置には第2シャワースリットが設けられ、前記第2放熱溝に対応する前記端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられ、
前記ケースには第3出力孔が更に設けられ、前記第3出力孔は、前記外部冷却流路と連通するように設置され、前記第2シャワースリットに対応する前記端部巻線を流れる冷却流体を前記外部冷却流路内に排出することに用いられる請求項10に記載の電動機。
【請求項12】
前記第1シャワースリットの数は1つであり、前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの頂部に設けられ、且つ前記エンドカバーの周方向に沿って延在し、前記第1シャワースリットの弧度は40°~180°の範囲内にあり、又は、前記第1シャワースリットの数は複数であり、複数の前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの周方向に沿って間隔を置いて設置され、又は、前記第1シャワースリットの数は1つであり、前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの周方向に沿って前記エンドカバーを囲んでおり、
前記第2シャワースリットの数は1つであり、前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの頂部に設けられ、且つ前記シャワー放熱リングの周方向に沿って延在し、前記第2シャワースリットの弧度は40°~180°の範囲内にあり、又は、前記第2シャワースリットの数は複数であり、複数の前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの周方向に沿って間隔を置いて設置され、又は、前記第2シャワースリットの数は1つであり、前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの周方向に沿って前記シャワー放熱リングを囲んでいる請求項11に記載の電動機。
【請求項13】
外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列されるステータコア。
【請求項14】
請求項1~
8のいずれか1項に記載の電動機を備えるパワートレイン。
【請求項15】
請求項14に記載のパワートレインを備える自動車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
以上は本願の実施例を表示及び説明したが、理解されるように、上記実施例は例示的なものであって、本願を制限するものと理解できず、当業者は本願の範囲内に上記実施例を変更、修正、置換及び変形することができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
電動機であって、
ケースと、
前記ケース内に固定されるステータコアであって、前記ステータコアの外側壁と前記ケースの内側壁との間にスリット流路が形成され、前記スリット流路が冷却流体を流れるための網状冷却流路として設置される、ステータコアと、
前記ステータコアに取り付けられるステータ巻線と、
前記ステータコアの内側に回転可能に套設されるロータと、を備える電動機。
[2]
前記ケースの内側壁及び/又は前記ステータコアの外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列され、前記スリット流路を前記網状冷却流路に分割する[1]に記載の電動機。
[3]
複数の前記放熱突起は前記ステータコアの外側壁に設けられ、少なくとも一部の前記放熱突起が前記ケースの内側壁に当接されることにより、前記ステータコアを前記ケースに締りばめさせる[2]に記載の電動機。
[4]
前記ステータコアは前記ステータコアの軸方向に沿って互いに積層される複数のコアアセンブリを備え、各前記コアアセンブリにはその周方向に沿って複数の前記放熱突起が間隔を置いて設けられ、隣接する前記コアアセンブリの前記放熱突起は前記ステータコアの周方向に沿って交互に配列される[3]に記載の電動機。
[5]
前記コアアセンブリは複数のステータ抜板を積層して形成されるものであり、各前記ステータ抜板に複数の放熱ティースが設けられ、複数の前記ステータ抜板に対応する前記放熱ティースを積層して前記放熱突起を形成する[4]に記載の電動機。
[6]
複数の前記コアアセンブリ上の前記放熱突起の数及び分布形式は同じであり、各前記コアアセンブリに複数の放熱群を有し、各前記放熱群は少なくとも1つの前記放熱突起を備える[4]に記載の電動機。
[7]
前記ステータコアにはその周方向に沿って前記ステータ巻線を取り付けるための複数のティース溝が設けられ、前記ティース溝の数は各前記コアアセンブリの前記放熱群の数の整数倍である[6]に記載の電動機。
[8]
各前記放熱群は前記コアアセンブリの周方向に沿って間隔を置いて設置される複数の前記放熱柱を備え、
各前記放熱群において、1つの前記放熱突起は位置決め突起として設置され、前記位置決め突起の形状は他の前記放熱突起と異なる[7]に記載の電動機。
[9]
前記ケースには入力通路及び前記入力通路と連通する少なくとも1つの入力孔が更に設けられ、前記入力通路は、前記網状冷却流路の径方向外側に位置し、且つ前記少なくとも1つの入力孔によって前記網状冷却流路と連通し、前記網状冷却流路に冷却流体を入力することに用いられ、
前記ケースには出力通路及び前記出力通路と連通する少なくとも1つの第1出力孔が更に設けられ、前記出力通路は、前記網状冷却流路の径方向外側に位置し、且つ前記少なくとも1つの第1出力孔によって前記網状冷却流路と連通し、前記網状冷却流路から排出された冷却流体を出力することに用いられる[1]~[8]のいずれか1つに記載の電動機。
[10]
前記ステータ巻線の両端の前記ステータコアよりも突出する部分は端部巻線と記され、
前記ケースに開口端が設けられ、前記電動機は前記開口端に設けられるエンドカバーを更に備え、前記エンドカバーに第1放熱溝が設けられ、前記第1放熱溝は前記網状冷却流路と連通し、前記第1放熱溝の底壁の前記端部巻線に対応する位置には第1シャワースリットが設けられ、前記第1シャワースリットに対応する前記端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられ、
前記エンドカバーには第2出力孔が更に設けられ、前記第2出力孔は、外部冷却流路と連通するように設置され、前記第1シャワースリットに対応する前記端部巻線を流れる冷却流体を前記外部冷却流路内に排出することに用いられる[1]~[8]のいずれか1つに記載の電動機。
[11]
前記開口端の数は1つであり、前記電動機は更にシャワー放熱リングを備え、前記シャワー放熱リングは前記ケース内に套設され、且つ前記ケースの前記開口端から離れる端部に位置し、
前記シャワー放熱リングに第2放熱溝が設けられ、前記第2放熱溝は前記網状冷却流路と連通し、前記第2放熱溝の底壁の前記端部巻線に対応する位置には第2シャワースリットが設けられ、前記第2放熱溝に対応する前記端部巻線へ冷却流体を噴射することに用いられ、
前記ケースには第3出力孔が更に設けられ、前記第3出力孔は、前記外部冷却流路と連通するように設置され、前記第2シャワースリットに対応する前記端部巻線を流れる冷却流体を前記外部冷却流路内に排出することに用いられる[10]に記載の電動機。
[12]
前記第1シャワースリットの数は1つであり、前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの頂部に設けられ、且つ前記エンドカバーの周方向に沿って延在し、前記第1シャワースリットの弧度は40°~180°の範囲内にあり、又は、前記第1シャワースリットの数は複数であり、複数の前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの周方向に沿って間隔を置いて設置され、又は、前記第1シャワースリットの数は1つであり、前記第1シャワースリットは前記エンドカバーの周方向に沿って前記エンドカバーを囲んでおり、
前記第2シャワースリットの数は1つであり、前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの頂部に設けられ、且つ前記シャワー放熱リングの周方向に沿って延在し、前記第2シャワースリットの弧度は40°~180°の範囲内にあり、又は、前記第2シャワースリットの数は複数であり、複数の前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの周方向に沿って間隔を置いて設置され、又は、前記第2シャワースリットの数は1つであり、前記第2シャワースリットは前記シャワー放熱リングの周方向に沿って前記シャワー放熱リングを囲んでいる[11]に記載の電動機。
[13]
外側壁に複数の放熱突起が設けられ、複数の前記放熱突起は網状に交互に配列されるステータコア。
[14]
[1]~[12]のいずれか1つに記載の電動機を備えるパワートレイン。
[15]
[14]に記載のパワートレインを備える自動車。
[16]
電動機であって、
ステータコア及びハウジングを備え、
前記ステータコアは複数の円環状のコア抜板を互いに積み重ねてなり、
前記コア抜板は第1コア抜板及び第2コア抜板を含み、且つ前記ステータコアは前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板を交互に互いに積み重ねてなり、前記ハウジングは前記ステータコアの外周を包んでおり、前記ステータコアの外周に互いに貼合されて流路を形成し、
前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板の外周面の構造が異なることにより、流路に前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板の外周を貫通させ、更に液体が前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板とハウジングとの間にストリーミングできるようにする電動機。
[17]
前記第1コア抜板の外周面には間隔を置いて設置される複数の凸部及び複数の凹部が分布しており、
前記第2コア抜板の外周面は平滑構造であり、
前記流路は前記第1コア抜板の前記凹部及び前記第2コア抜板の外周と前記ハウジングの内壁との間に形成される前記流路である[16]に記載の電動機。
[18]
前記第1コア抜板及び前記第2コア抜板が間隔を置いて互いに積み重ねられる場合、前記第2コア抜板の外周面は前記凹部と同一平面になる[17]に記載の電動機。
[19]
電動機であって、
ステータコア及びハウジングを備え、
前記ステータコアは複数の円環状のコア抜板を交互に互いに積み重ねてなり、
前記コア抜板の外周に複数の凸部及び複数の凹部が設置され、前記ハウジングは前記ステータコアの外周を包んでおり、前記ステータコアの前記凸部に互いに貼合されて流路を形成し、前記凸部の周方向サイズは前記凹部の周方向サイズよりも小さく、且つ前記コア抜板を交互に互いに積み重ねるとき、隣接する2つの前記コア抜板の凸部及び凹部が交互に設置されることにより、液体が複数の前記コア抜板内にストリーミングできるようにする電動機。
[20]
前記ハウジングには液体流入通路及び液体流出通路が更に備えられ、前記ハウジングが前記ステータコアに固定して設置される場合には前記液体流入通路及び前記液体流出通路は前記流路と連通し、液体は前記液体流入通路から流入してから前記流路を流れて前記液体流出通路から流出する[18]又は[19]に記載の電動機。
[21]
前記液体流入通路及び前記液体流出通路は前記ハウジングの外に設置され、且つ前記ハウジングの壁は液体流入通路及び前記液体流出通路の一部とされ、液体流入通路及び前記液体流出通路の位置する前記ハウジングに貫通孔が設置され、
前記液体流入通路及び前記液体流出通路は前記ステータコアの軸方向に沿って延在し、且つ前記液体流入通路及び前記液体流出通路はそれぞれ前記ステータコアの外周の対向する位置に位置する[20]に記載の電動機。
[22]
前記ハウジングは円筒状であり、前記ハウジングの一端にはサイズが他の箇所よりも小さい階段が設置され、前記ステータコアを前記ハウジングに取り付けるとき、前記ステータコアの一端は前記階段に当接される[21]に記載の電動機。
[23]
オイルスリンガを更に備え、前記オイルスリンガは前記ハウジング内に設置され、前記ステータコアの前記階段に当接される側と逆の端部に位置し、且つ前記階段、前記凹部、前記ハウジングの内壁及び前記オイルスリンガは共に密封された前記流路を形成する[22]に記載の電動機。
[24]
前記コア抜板の内周に複数の巻線溝が設置される[18]又は[19]に記載の電動機。
[25]
[16]~[24]のいずれか1つに記載の電動機を備える車両。
【国際調査報告】