(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】化粧品のための、デンプンおよびガムに基づく乳化用ならびにテクスチャリング用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/73 20060101AFI20230731BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 13/00 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 11/00 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20230731BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/06
A61Q1/00
A61Q13/00
A61Q19/00
A61Q19/10
A61Q11/00
A61Q1/02
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557687
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 FR2021050484
(87)【国際公開番号】W WO2021191548
(87)【国際公開日】2021-09-30
(32)【優先日】2020-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591169401
【氏名又は名称】ロケット フレール
【氏名又は名称原語表記】ROQUETTE FRERES
(71)【出願人】
【識別番号】522373149
【氏名又は名称】アライアンス ガムズ アンド インダストリーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ラモット ディンキャンプ、フローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ルーヴェ-ポミエ、ジェラルディン
(72)【発明者】
【氏名】モンティンク、レオン
(72)【発明者】
【氏名】ピオット、ソフィー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC152
4C083AC172
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC392
4C083AC472
4C083AC482
4C083AC552
4C083AC812
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD152
4C083AD172
4C083AD211
4C083AD241
4C083AD242
4C083AD301
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD662
4C083BB11
4C083BB41
4C083CC03
4C083CC05
4C083CC11
4C083CC19
4C083CC31
4C083CC41
4C083DD21
4C083DD33
4C083EE07
4C083EE17
(57)【要約】
本出願の対象は、化粧品において使用するための、少なくとも1つの疎水性および/または両親媒性官能基を有する少なくとも1つの変性デンプン、少なくとも1つの親水性官能基を有する少なくとも1つの変性デンプン、少なくとも1つの微生物もしくは真菌由来のガム、および少なくとも2つの植物系ガムを含む、固体組成物である。そのような組成物は、乳化特性およびテクスチャリング特性を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体組成物であって、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、を含む、固体組成物。
【請求項2】
前記少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤が、オクテニルスクシネート顆粒状デンプン、オクテニルスクシネート変性アルファ化済デンプン、オクテニルスクシネート変性アルファ化デンプン、オクテニルスクシネート官能化デキストリン、オクテニルスクシネート官能化デキストリン、オクテニルスクシネート官能化マルトデキストリン、またはそれらの混合物の中から選択される、少なくとも1つの両親媒性基によって官能化されたデンプンであることを特徴とする、請求項1に記載の固体組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1つの増粘用デンプンが、安定化デンプンの中から、優先的にはアセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプンの中から、またはより優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプンの中から、またはアルファ化済およびヒドロキシプロピル化デンプンの中から、最も優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプン、またはそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の固体組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つの微生物由来のガムが、キサンタンガム、ゲランガム、デキストランガム、スクレログルカンガム、ベータ-グルカンガム、またはそれらの誘導体および混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項5】
前記少なくとも2つの植物系ガムが、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ガラクタン、アルギネートの中から、優先的にはグアーガム、タラガム、ローカストビームガム、カシアガム、フェヌグリークガム、コンニャクガム、アラビアガム、アダラガンガム、カラヤガムの中から、最も優先的にはグアーガムおよびタラガムの中から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項6】
前記組成物の総重量に対する質量割合が、
- 20%~60%のデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 20%~60%の増粘用デンプンと、
- 0.5%~10%の微生物由来のガムと、
- 2%~45%の植物系ゴムと、であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の固体組成物。
【請求項7】
水中油型エマルジョンであって、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含む、水中油型エマルジョン。
【請求項8】
前記少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤が、オクテニルスクシネート顆粒状デンプン、オクテニルスクシネートデキストリン、オクテニルスクシネート変性アルファ化デンプン、オクテニルスクシネート変性マルトデキストリン、またはそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のエマルジョン。
【請求項9】
前記前記少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤が、オクテニルスクシネートデンプンであることを特徴とする、請求項7または8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
前記少なくとも1つの増粘用デンプンが、安定化デンプンの中から、優先的にはアセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプンの中から、またはより優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプンの中から、またはアルファ化済およびヒドロキシプロピル化デンプンの中から、最も優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプン、またはそれらの混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項7~9のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項11】
前記少なくとも1つの微生物由来のガムが、キサンタンガム、ゲランガム、デキストランガム、スクレログルカンガム、ベータ-グルカンガム、またはそれらの誘導体および混合物の中から選択されることを特徴とする、請求項7~10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項12】
前記少なくとも2つの植物系ガムが、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ガラクタン、アルギネートの中から、優先的にはグアーガム、タラガム、ローカストビームガム、カシアガム、フェヌグリークガム、コンニャクガム、アラビアガム、アダラガンガム、カラヤガムの中から、最も優先的にはグアーガムおよびタラガムの中から選択されることを特徴とする、請求項7~11のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項13】
前記エマルジョンが、極性不揮発性炭化水素油、非極性不揮発性炭化水素油、揮発性油、ワックスの中から選択される油を含むことを特徴とする、請求項7~12のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項14】
優先的には変換テクスチャを有する水中油型エマルジョンを調製するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の固体組成物の使用。
【請求項15】
前記油中油型エマルジョンが、スキンケア製品、またはヘアケアもしくは着色用製品、または口腔ケア製品、衛生製品、またはメークアップ製品、または香料であることを特徴とする、請求項14に記載の固体組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、水中油型エマルジョンの調製のための、当該エマルジョンの安定化のための、およびこのエマルジョンに流動性の乳から粘性のクリームまでの範囲の感覚プロファイルを提供するための、乳化用化粧品組成物の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
日清オイリオによる米国特許出願公開第2014/0287128号は、水中油型エマルジョンの形態で食品調味料を調製するために、植物系ガムの中から選択される、増粘用変性デンプン、乳化用変性デンプン、および増粘用多糖の使用を開示している。この特許は、化粧品におけるいかなる使用も述べておらず、また局所使用のための感覚プロファイルのいかなる概念に関してもなおさら述べていない。
【0003】
オクテニルスクシネート変性デンプンは、National Starchが米国特許第2661349号を出願したときである1950年代以降、その乳化特性について広く知られている。その後、多くの特許出願が、これらのタイプの変性デンプンの改善について、特にデンプン顆粒およびデンプンを構成する無水グルコースポリマーの構造の変性を、例えば、酵素の作用、またはゼラチン化などの水温熱処理もしくはデキストリン化によって関連付ける方法について出願されている。
【0004】
例えば、アセチル化デンプンまたはデンプンアセテートなど、アセチル官能基によって変性されたデンプンもまた、それらのテクスチャリングおよび増粘特性について広く知られている。微生物または植物系由来のガムもまた、それらのテクスチャリングおよび増粘または糊化特性について知られている。しかし、本出願人により選択された特定の乳化用およびテクスチャリング用固体組成物によって生じた相乗効果は、未だに開示されておらず、当該固体組成物によって許容される変換テクスチャもまた、なおさら開示されていない。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本出願の第1の目的は、固体組成物であって、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、を含む、またはさらにそれらから構成される、固体組成物である。
【0006】
本出願の第2の目的は、水中油型エマルジョンであって、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含む、またはさらにそれらから構成される、水中油型エマルジョンである。
【0007】
本出願の第3の目的は、スキンケア、ヘアケアもしくはカラーリング、口腔ケアもしくは口腔衛生、衛生、メークアップ、または香料製品の中から選択される、化粧品に使用するための水中油型エマルジョンの調製のための、本出願の主題である固体組成物の使用である。
【0008】
本出願の第4の目的は、水相中で油を乳化するステップを含む、水中油型エマルジョンを調製するための方法であって、本出願の主題である当該固体組成物が前に分散または可溶化されている、方法である。
【0009】
固体組成物:
本出願の主題である固体組成物は、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、を含む、またはさらにそれらから構成される。
【0010】
本出願人は、「固体組成物」が粉末質または粉末状の形態であるか、一連の分割されもしくは凝集した固体粒子の形態であるか、または1つ以上の粉末をプレスもしくは圧縮することによって作製された固体組成物であることを理解している。当該固体組成物のサイズは、約1マイクロメートル~数百マイクロメートル、例えば、10マイクロメートル~500マイクロメートル、または20マイクロメートル~300マイクロメートル、概ね40マイクロメートル~200マイクロメートルの範囲である。粒子の形態は、球体などの規則的、もしくは不規則および角度付、または異なる形態の組み合わせであり得る。固体形態の含水量は、固体組成物の総重量に対して30重量%以下、または20重量%以下、または15重量%以下、または10重量%以下、または5重量%以下である。20℃での水溶性固体組成物の分率は、固体組成物の総重量に対して5重量%以上、または25重量%以上、または50重量%以上、または60重量%以上、または75重量%以上であり得る。
【0011】
固体組成物は、少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤を含む。一実施形態によれば、当該少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤は、オクテニルスクシネート顆粒状デンプン、またはオクテニルスクシネート変性アルファ化済デンプン、またはオクテニルスクシネート変性アルファ化デンプン、またはオクテニルスクシネート官能化デキストリン、またはオクテニルスクシネート官能化マルトデキストリン、またはそれらの混合物の中から選択される、少なくとも1つの両親媒性基によって官能化されたデンプンである。
【0012】
固体組成物は、少なくとも1つの増粘用デンプンを含む。一実施形態によれば、当該少なくとも1つの増粘用デンプンは、安定化デンプンの中から、優先的にはアセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプンの中から、またはより優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプンの中から、またはアルファ化済およびヒドロキシプロピル化デンプンの中から、最も優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプン、またはそれらの混合物の中から選択される。
【0013】
固体組成物は、少なくとも1つの微生物由来のガムを含む。一実施形態によれば、当該少なくとも1つの微生物由来のガムは、キサンタンガム、ゲランガム、デキストランガム、スクレログルカンガム、ベータ-グルカンガム、またはそれらの誘導体および混合物の中から選択される。
【0014】
固体組成物は、少なくとも2つの植物系ガムを含む。一実施形態によれば、当該少なくとも2つの植物系ガムは、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ガラクタン、アルギネートの中から、優先的にはグアーガム、タラガム、ローカストビームガム、カシアガム、フェヌグリークガム、コンニャクガム、アラビアガム、アダラガンガム、カラヤガムの中から、最も優先的にはグアーガムおよびタラガムの中から選択される。
【0015】
一実施形態によれば、固体組成物は、当該固体組成物の総重量に対する質量パーセンテージとして、
- 20質量%~60質量%の少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 20質量%~60質量%の少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 0.5質量%~10質量%の少なくとも1つの微生物由来のガムと、
- 2質量%~45質量%の少なくとも2つの植物系ガムと、を含むか、またはそれらからなる。
【0016】
固体組成物が当該質量パーセンテージの当該成分で構成されている場合、当該成分は、その合計が100質量%に等しくなるように選択される。
【0017】
別の実施形態によれば、当該少なくとも2つの植物系ガムは、グアーガムおよびタラガムである。この実施形態の変化形によれば、固体組成物の総重量に対する2つの植物系ガムの質量割合は、
- 1質量%~30質量%、または2質量%~25質量%、または8質量%~20質量%、または10質量%~20質量%のグアーガムと、
- 1質量%~15質量%、または2質量%~10質量%、または3質量%~8質量%のタラガムとである。
【0018】
別の実施形態によれば、固体組成物は、当該固体組成物の総重量に対する質量パーセンテージとして、
- 20質量%~60質量%の少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 20質量%~60質量%の少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 0.5質量%~10質量%の少なくとも1つの微生物由来のガムと、
- 1質量%~30質量%のグアーガムと、
- 1質量%~15質量%のタラガムと、を含むか、またはそれらからなる。
【0019】
別の実施形態によれば、固体組成物は、当該固体組成物の総重量に対する質量パーセンテージとして、
- 30質量%~50質量%の少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 30質量%~50質量%の少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 0.75質量%~7質量%の少なくとも1つの微生物由来のガムと、
- 2質量%~25質量%のグアーガムと、
- 2質量%~10質量%のタラガムと、を含むか、またはそれらからなる。
【0020】
別の実施形態によれば、固体組成物は、当該固体組成物の総重量に対する質量パーセンテージとして、
- 35質量%~45質量%の少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 35質量%~45質量%の少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 1質量%~4質量%の少なくとも1つの微生物由来のガムと、
- 8質量%~20質量%のグアーガムと、
- 3質量%~8質量%のタラガムと、を含むか、またはそれらからなる。
【0021】
別の実施形態によれば、固体組成物は、当該固体組成物の総重量に対する質量パーセンテージとして、
- 35質量%~45質量%の少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 35質量%~45質量%の少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 1質量%~4質量%の少なくとも1つの微生物由来のガムと、
- 10質量%~18質量%のグアーガムと、
- 3質量%~8質量%のタラガムと、を含むか、またはそれらからなる。
【0022】
増粘用デンプン:
本発明において有用な増粘用デンプンは、任意の植物起源、特に小麦、トウモロコシ、ジャガイモ、例えば、エンドウマメ、コメ、マメ、ソラマメに由来し得る。それらは、天然またはアルファ化済状態におけるとき、顆粒状であり得る。優先的には、それらは、アルファ化済デンプン、加水分解デンプン、酵素処理デンプン、変性デンプン、変性デキストリンの中から選択される。
【0023】
一実施形態によれば、増粘用デンプンは、安定化デンプンの中から、優先的にはアセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプンの中から、またはアルファ化済および安定化デンプンの中から、優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプン、アルファ化済およびヒドロキシプロピル化デンプンの中から、最も優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプン、またはそれらの混合物の中から選択される。
【0024】
アルファ化済デンプン:
本発明の意味の範囲内で、「アルファ化済デンプン」は、「水溶性」にされたデンプン、換言すれば、20℃にて24時間機械的撹拌下で、5重量%以上の脱塩水中の可溶分率を有するデンプンを指す。この可溶分率は、好ましくは、20重量%超、またはより優先的には50重量%超、または最も優先的に70%以上である。当然のことながら、水溶性デンプンは、脱塩水に完全に溶解することができ、その場合、可溶分率は、90%超であり、100%に近い場合がある。
【0025】
水溶性デンプンは、好ましくは、低い含水量を有し、概ね10重量%未満、特に5重量%未満である。
【0026】
アルファ化済デンプンは、概して、デンプン顆粒を膨潤させることが可能な熱的、化学的、または機械的技術によって調製され、それにより、特に、当該顆粒を形成するデンプン鎖の放出により、冷水に可溶性になる。好ましい技術は、蒸気調理、ジェット調理器調理、ドラム調理、ミキサおよび/もしくは押出機システムでの調理、次いで、例えば、オーブン内での、流動床上の熱風、回転ドラム調理、噴霧、押出、または凍結乾燥による乾燥である。そのようなデンプンは、概して、20℃で5%を超える脱塩水中の溶解度を示し、より全般的には10~100%の範囲、および15%未満、概して5%未満、最も多くの場合は1%未満またはさらに0%のデンプン結晶化率を示す。一例として、PREGEFLO(登録商標)の商品名で本出願人によって製造販売されている製品を列挙することができる。
【0027】
アルファ化済デンプンはまた、全般的にGCWS(顆粒状冷水可溶性)デンプンとして知られている噴霧調理によって得られたその元の顆粒状形態を部分的に保存したデンプンで構成することができる。
【0028】
加水分解デンプン:
「加水分解デンプン」は、酸、塩基性、または酸化手段によって酵素加水分解または部分化学加水分解を受けたデンプンを意味し、デンプンの分子量の低下をもたらすと理解される。低加水分解デンプンの例は、流動デンプンであり、高度加水分解デンプンは、マルトデキストリンである。
【0029】
デキストリン:
「デキストリン」は、熱、物理的、化学的作用、またはこれらの作用の組み合わせによって、それらの顆粒状構造またはそれらの分子間もしくは分子内配置の水熱変性を受けた顆粒の形態のデンプンを意味すると理解される。デキストリン、特に最も変換され、一般に黄色デキストリンと呼ばれるものは、それらの有益な溶解度および安定性により、本発明の範囲内で好ましい。
【0030】
安定化デンプン:
「変性デンプン」という用語は、架橋、酸化、安定化、官能化、またはこれらの変性のうちの少なくとも2つの組み合わせの中から選択される化学処理を受けたデンプンを指す。
【0031】
「安定化デンプン」は、デンプンの劣化を減速または停止するために、当業者に知られている化学処理(複数可)のうちの1つ以上を受けたデンプンを意味すると理解される。安定化は、デンプンのヒドロキシル官能基をエステル化またはエーテル化により置換することによって得られる。これはまた、酸化によっても得ることができる。これらの安定化処理は、特にヒドロキシプロピル化、ヒドロキシエチル化、アセチル化、リン酸化、酸化、カチオン化、またはカルボキシメチル化である。本発明によれば、アセチル化、またはヒドロキシプロピル化、またはヒドロキシエチル化デンプン、優先的にアセチル化デンプンが好ましい。そのような安定化デンプンは、5%超、好ましくは10%超、より好ましくは50%超である、上記で定義された可溶分率を有することができる。したがって、安定化されたデンプンは、冷水中で単に分散することによって糊化するまで水を増粘させ、経時的に非常に安定している増粘した溶液、または糊を得る能力を有し、それは、室温で数週間保存されたときに劣化に向かって進むことがない。
【0032】
安定化は、特に、水相中での無水酢酸、混合無水物のアセチル化によって、乳相中または接着相でのヒドロキシプロピル化によって、リン酸化によって、得られ得る。これらの安定化デンプンは、0.01~3の範囲、より好ましくは0.05~1の範囲の置換度を有することができる。好ましくは、デンプン変性または官能化試薬は、再生可能起源のものである。
【0033】
安定化がエステル化によって得られる場合、それは、無水酢酸以外の有機酸無水物、酢酸以外の有機酸、または混合無水物、もしくは有機酸塩化物、またはこれらの生成物の任意の混合物を用いることによって達成することができる。これらの生成物は、例えば、1~24個の飽和または不飽和炭素を有する酸の中から、より具体的にはギ酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、これらの酸の無水物、これらの酸の混合無水物、およびこれらの生成物の任意の混合物の中から選択することができる。
【0034】
安定化デンプンはまた、安定化加水分解デンプンであり得る。
【0035】
一実施形態によれば、安定化デンプンは、アセチル化デンプン、またはヒドロキシプロピル化デンプン、またはヒドロキシエチルデンプン、またはアセチル化、ヒドロキシプロピル化、ヒドロキシエチル化の中から選択される化学置換のうちの少なくとも2つを受けたデンプンである。好ましい一実施形態によれば、安定化デンプンは、アセチル化デンプンである。
【0036】
一実施形態によれば、安定化デンプンは架橋されていない。
【0037】
別の実施形態によれば、安定化デンプンは、アセチル化モチトウモロコシデンプン、またはアルファ化済およびアセチル化モチトウモロコシデンプンである。アルファ化済およびアセチル化モチデンプンの例は、Pregeflo(登録商標)CH10、CH20、CH30、またはCH40などのRoquetteによって販売されている「Pregeflo(登録商標)CH」である。
【0038】
デンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤:
「デンプン乳化剤」は、乳化特性、特に水中で油を乳化する能力を有するデンプンを意味すると理解される。したがって、本発明において有用なデンプン質乳化剤は、疎水性官能化、または両親媒性官能化、もしくはイオン性官能化、またはこれらの官能化の組み合わせによって変性されたデンプンである。当該官能化のうちの少なくとも1つを受けるデンプンは、未加工デンプン、アルファ化済デンプン、加水分解デンプン、変性デンプンであり得る。
【0039】
一実施形態によれば、当該官能化のうちの少なくとも1つを受けるデンプンは、未加工デンプンである。別の実施形態によれば、当該官能化のうちの少なくとも1つを受けるデンプンは、アルファ化済デンプンである。別の実施形態によれば、当該官能化のうちの少なくとも1つを受けるデンプンは、加水分解デンプンである。
【0040】
「デンプン質由来の乳化剤」は、水中で油を乳化する能力を有する、デキストリン、または加水分解デンプン、またはマルトデキストリンを意味すると理解される。デンプン質由来の乳化剤は、疎水性官能化、または両親媒性官能化、もしくはイオン性官能化、またはこれらの官能化の組み合わせを受けた、デキストリン、または加水分解デンプン、またはマルトデキストリンである。
【0041】
疎水性および/または両親媒性官能化
「疎水性および/または両親媒性官能化」という用語は、一方での、疎水性および/または両親媒性試薬と、他方での、デンプンのヒドロキシル基またはデンプン質由来の物質の一部もしくは全部と、の間の化学反応を示す。この反応は、概して、エステル、エーテル、またはアミドタイプの共有結合を生成することによる「置換」または「グラフト化」である。
【0042】
「両親媒性」と呼ばれる実施形態によれば、デンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤は、酸塩化物との反応により、またはアルコールおよび酸無水物エステルとの反応により、ヒドロキシル基を置換することによって得られる。
【0043】
酸塩化物は、以下の、2~24個の炭素、好ましくは4~24個の飽和または不飽和炭素を有する、1つ以上の酸、より優先的にはプロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、オクタン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、これらの酸の無水物、これらの酸の混合無水物、およびこれらの生成物の任意混合物の塩化物であり得る。
【0044】
アルコールは、少なくとも2個の炭素原子を有する炭素骨格で構成された、直鎖状、分岐状、または環状アルコールであり得る。アルコールは、少なくとも1つの不飽和結合、すなわち少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み得る。アルコールは、8~36個の炭素原子を有する炭素骨格で構成された、直鎖状、分岐状、または環状脂肪アルコールであり得る。脂肪アルコールは、少なくとも1つの不飽和結合を含み得る。不飽和脂肪アルコールの例は、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、ドコサノール、ポリコサノールである。
【0045】
酸無水物は、以下に記載されるポリカルボン酸のうちの1つの無水物であり得る。
【0046】
ポリカルボン酸は、少なくとも2個の炭素原子を有する炭素骨格からなる、直鎖状、分岐状、または環状ポリカルボン酸であり得る。ポリカルボン酸、例えば、マレイン酸、グルタチオン酸、フマル酸などは、少なくとも1つの不飽和結合、すなわち、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含み得る。ポリカルボン酸はまた、炭素鎖に結合した少なくとも1つのアルコール基を含み得る。ポリカルボン酸は、少なくとも2つの酸基を含み得る。一実施形態によれば、ポリカルボン酸は、炭素鎖の末端に酸基を有する直鎖状ジカルボン酸である。直鎖状ジカルボン酸の例は、エタン二酸(すなわちシュウ酸)、プロパン酸、ブタン二酸(すなわちコハク酸)、ジヒドロキシブタン二酸(すなわち酒石酸)2-ヒドロキシブタン二酸(すなわちリンゴ酸)、ペンタン二酸(すなわちグルタル酸)、ヘキサン二酸(すなわちアジピン酸)、テトラヒドロキシヘキサン二酸(すなわち糖酸)、グルコン酸、ヘプタン酸(すなわちピメリン酸)、オクタン二酸、ノナン二酸、デカン二酸(すなわちセバシン酸)である。
【0047】
一実施形態によれば、酸無水物は、直鎖状ジカルボン酸無水物である。一実施形態によれば、酸無水物は、コハク酸である。
【0048】
一実施形態によれば、アルコールおよび酸無水物エステルは、脂肪アルコールエステル、およびオクテニルコハク酸無水物などのコハク酸無水物、またはドデシルコハク酸無水物である。
【0049】
一実施形態によれば、アルコールおよび酸無水物エステルは、C3~C15、優先的にはC4~C12、最も優先的にはC5~C10の飽和脂肪アルコールのエステル、およびC2~C10、優先的にはC3~C9、最も優先的にC4~C8の酸無水物のエステルでありである。この実施形態の代替実施形態によれば、脂肪アルコールは、少なくとも1つの不飽和結合、すなわち少なくとも1つの炭素-炭素二重結合、好ましくは少なくとも2つの不飽和結合、最も好ましくは少なくとも3つの不飽和結合を含む。
【0050】
官能化のレベルは、官能化デンプンの溶解度をもたらし得る。溶解度が不十分である場合、アルファ化処理を官能化デンプンに適用して、十分に可溶性にすることができる。
【0051】
一実施形態によれば、乳化用デンプンは、アルケニルスクシネート基、特にオクテニルスクシネートまたはドデシルスクシネートによって官能化されたモチデンプンである。オクテニルスクシネート官能基を有するデンプンの例は、Roquetteによって販売されているCleargum(登録商標)CO01およびCO03である。
【0052】
別の実施形態によれば、デンプン質由来の乳化剤は、例えば、Roquetteによって販売されているCleargum(登録商標)COA1などのオクテニルスクシネート官能化を受けたデキストリンである。
【0053】
「疎水性」と呼ばれる実施形態によれば、乳化用デンプン、またはデンプン質由来の乳化剤は、例えば、本出願人の欧州特許出願公開第3183072号に開示されているように、ラジカル反応によってただ単に疎水性基をグラフト化することによって得られる。
【0054】
微生物由来のガム:
「微生物由来のガム」という用語は、キサンタン、ゲラン、デキストラン、およびスクレログルカンなどの細菌の発酵、またはベータグルカンなどの酵母の発酵、または真菌の生物学的活性、特に1-3-ベータ-グルカンなどのカビに由来するガムを指す。微生物由来のガムは、エンド多糖またはエキソ多糖(EPS)であり得、これらは、それらの細胞壁上の特定の微生物に存在する多糖であり、培養培地中で放出可能である。
【0055】
キサンタンガムは、細菌のザントモナス カンペストリス(Xanthomonas campestris)の好気性発酵によって工業規模で製造されたヘテロ多糖である。キサンタンガムは、概して、1,000,000~50,000,000Daの範囲の分子量を有する。市販の製品の中でも、例えば、以下を列挙することができる:Jungbunzlauer International AGによって製造されたキサンタンガムFNCS-PC、CP Kelcoによって製造されたKeltrol(登録商標)CG-T、Cosphagecによって製造されたCosphaderm(登録商標)X17、KahIWaxによって製造されたKahlgum 6673 FEE-キサンタンガム、Solvayによって製造されたRhodicare(登録商標)SおよびRhodicare(登録商標)XC、およびVanderbilt Mineraisによって製造されたVANZAN(登録商標)NF-C、ADMによって製造されたNOVAXAN(商標)、ならびCP-Kelcoによって製造されたKelzan(登録商標)およびKeltrol(登録商標)。
【0056】
ゲランガムは、4オースで構成されたオリゴシド単位(テトラ-オシド)に基づくアニオン性直鎖ヘテロポリオシドである。2:1:1の割合のD-グルコースと、L-ラムノースと、D-グルクロン酸とが、モノマー要素の形態でゲランガム中に存在する。これは例えば、CP KelcoによりKELKOGEL CG LAの名称で販売されている。
【0057】
デキストランガムは、非常に高い分子量を有するデキストロース(グルコース)の分岐ポリマーであり、デキストランは、サッカロース培地上で、ロイコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroidas)などの特定の細菌の成長によって産生された粘着性材料に見出される。それらは、主に(1,6)アルファ結合によって結合されたD-グルコシル単位で構成される。広範囲のデキストランが、例えば、Pharmacosmosにより販売されている。
【0058】
スクレログルカンガムは、ベータ-Dグルカン単位で構成された非イオン性分岐状ホモ多糖である。その分子は、(1,3)ベータ結合によって結合されたD-グルコース単位によって形成された主な直鎖からなり、その3つのうちの1つは、(1,6)ベータ結合によって横方向D-グルコース単位に結合している。スクレログルカンガムの例は、ALBAN MULLERによって販売されているAMIGEL製品である。
【0059】
ベータ-グルカンガムは、ベータ結合によって結合されたD-グルコースで完全に構成された多糖である。結合は、非常に多様であり得、(1,3)ベータ、(1,4)ベータまたは(1,6)ベータ型のものであり得る。したがって、ベータ-グルカンは、特にバーカー酵母の細胞壁、ならびに特定の真菌および細菌に存在する分子の多様な基を形成する。例えば、Kraeber & Co GmbHによるベータグルカンAC-25産物は既知である。
【0060】
アラビノガラクタンガムは、多くの真菌および細菌において様々な量で存在する多糖である。
【0061】
一実施形態によれば、微生物由来のガムは、キサンタンガムまたはスクレログルカンガム、好ましくはキサンタンガムである。
【0062】
植物系ガム:
「植物系ガム」という用語は、種子、塊茎、または滲出液、植物に由来するガム、および藻類から抽出されたガムを指す。本発明において、この用語は、デンプンおよびその誘導体を除外する。グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、カスシアガムなどの種子に由来するガムは、ガラクトマンナンを含む。コンニャクガムなどの塊茎に由来するガムは、グルコマンナンを含む。植物滲出液に由来するガムとしては、アラビアガム、アドラガントガム、カラヤガムが挙げられる。藻類から抽出されたガムは、アルギネート、寒天などのガラクタン、およびカラギーナンを含む。
【0063】
本発明において有用なガムは、単独での、または互いに会合する糊化用ガムである。
【0064】
種子由来ガム
ガラクトマンナンは、それらが貯蔵炭水化物を構成するマメ科種子のアルブミンから抽出された非イオン性ポリオシドである。ガラクトマンナンは、(1,4)ベータ結合D-マンノピラノース単位の主鎖で構成された巨大分子であり、主鎖に(1,6)アルファで結合した単一のD-ガラクトピラノース単位で構成された横分岐を有する。様々なガラクトマンナンは、一方で、ポリマー中に存在するアルファ-Dガラクトピラノース単位の割合によって、他方で、マンノース鎖に沿ったガラクトース単位の分布に関する有意差によって、区別される。マンノース:ガラクトース比(M:G)は、グアーガムについては2程度、タラガムについては3程度、ローカストビーンガムについては4程度、カシアガムについては5程度である。
【0065】
グアーガムは、2:1程度のマンノース:ガクトース比によって特徴付けられる。ガラクトース基は、マンノース鎖に沿って均等に分布している。非イオン性非変性グアーガムは、例えば、UniPekstinによってVidogum GH、Vidogam G、およびVidocremの名称で、RhodiaによってJaguarの名称で、DaniscoによってMeypro(登録商標)グアーの名称で、およびAqualonによってSupercol(登録商標)グアーガムの名称で、販売されている産物である。
【0066】
ローカストビーンガムは、イナゴマメの木、セラトニア シリクア(Ceratonia siliqua)の種子から抽出される。これは、4:1程度のマンノース:ガラクトース比によって特徴付けられる。本発明において使用することができる非変性ローカストビーンガムは、例えば、UniPektinによって「Vidogam L」の名称で、DaniscoによってGrinsted(登録商標)LBGの名称で、販売されている。
【0067】
タラガムは、南米の木、カエサルピニア スピノサ(Caesalpina spinosa)の種子のアルブミンに由来する。これは、ペルーのローカストビーンガムとも呼ばれる。これは、ガラクトース架橋1~6から分岐状マンノースモノマー((1,4)ベータ-D-マンノピラノース)の鎖で構成される。マンノースとガラクトースとの比が、ローカストビーンガムについての2:1、グアーガムについての4:1ではなく、3:1であるため、これは、ローカストビーンガムよりも多く分岐し、グアーガムよりも少なく分岐している。タラガムの例は、例えば、UniPekstinによって「Vidogum SP」の名称で販売されているものである。
【0068】
カシアガムは、グアーガムおよびタラガムなどのガラクトマンナン型ポリオシドであるが、カシア(Cassia)属およびセナ(Senna)属の植物の種子から得られる。これは、(1,4)ベータ型オシド結合によって一緒に結合されたマンノースモノマーの直鎖からなり、これに、マンノースの周囲全ての5単位が、(1,6)アルファ型オシド結合によって結合し、マンノースとガラクトースとの間で5:1の比をもたらすガラクトース単位である。化粧品グレードは、例えば、半精製カシアガムの名称でAltrafine Gumsから入手可能である。
【0069】
塊茎由来のガム
グルコマンナンは、高分子量(500,000~2,000,000Da)を有する多糖であり、D-マンノースおよびD-グルコース単位で構成され、約50単位または60単位ごとに分岐している。これは木材に見られるが、コンニャクガムの主要な成分でもある。コンニャク(アモルフォファルス コンニャク(Amorphophallus konjac))は、サトイモ科の植物である。本発明によって使用することができる産物は、例えば、清水化学によってPropol(登録商標)およびRheolex(登録商標)の名称で販売されている。
【0070】
植物滲出液のガム
アラビアガムは、カリウム塩、マグネシウム塩、およびカルシウム塩の混合物の形態である高度に分岐した多糖酸である。遊離酸(アラビン酸)のモノマー要素は、D-ガラクトース、L-アラビノース、L-ラムノース、およびD-グルクロン酸である。
【0071】
アドラガントガムは、トラガントまたはドラゴンガムとも呼ばれ、ゲンゲ(Astragalus)属の植物の約20種の乾燥粘液質樹液から得られた滲出液である。このガムは、いくつかの多糖類の複合混合物である。2つの主な画分は、60重量%~70重量%を占めるトラガカンチン(これは、中性アラビノガラクタンである)、および30重量%~40重量%を占める、「トラガカン酸」とも呼ばれるバソリンである。
【0072】
アラビノガラクタンガムは、ほとんどの場合、アメリカン ラーチ(ウエスタンラーチ)に由来する。
【0073】
カラヤガム(またはスターキューリアガム)は、スターキューリアの枝の滲出液から得られる植物系ガムであり、カラヤガムは、主にガラクトース、ラムノース、およびガラクツロン酸ならびに少量のグルクロン酸から構成されるポリオシドである。
【0074】
藻類から抽出されたガム
本発明の意味の範囲内で、「アルギネート」は、アルギン酸、アルギン酸誘導体、およびアルギン酸塩(アルギネート)または当該誘導体を意味すると理解される。褐藻または特定の細菌に由来する天然物質であるアルギン酸は、グリコシド結合(1,4):ベータ-D-マウロン酸およびアルファ-L-グルクロン酸によって結合した2つまでのウロン酸で構成されたポリウリン酸である。好ましくは、10,000~1,000,000、好ましくは15,000~500,000、より好ましくは20,000~250,000の範囲の平均分子量を有するアルギネート化合物が、好ましくは使用される。
【0075】
本発明に好適なアルギネート系化合物は、例えば、FMC BiopolymerによってProtanal(商標)の名称で、DaniscoによってGRINDSTED(登録商標)アルギネートの名称で、KEVIICAによってKEVIICA ALGINの名称で、ならびにISPによってManucol(登録商標)およびManugel(登録商標)の名称で、販売されている製品によって表すことができる。
【0076】
カラギーナンタイプのガラクタンは、スギノリ科(Gigartinacae)、イバラノリ科(Hypneaceae)、ススカケベニ科(Furcellariaceae)、およびウラノリ科(Polyideaceae)に属する様々な紅藻(紅藻類)の細胞壁を形成するアニオン性多糖類である。二糖単位によって形成されるこれらの直鎖状ポリマーは、(1,3)アルファおよび(1,4)ベータ結合によって交互に結合した2つのD-ガラクトピラノース単位で構成される。これらは高度にサルフェート化された多糖類(20~50%)であり、アルファ-D-ガラクトピラノシル残基は3,6-無水形態であり得る。分子の繰り返し二糖のエステル-サルフェート基の数および位置に応じて、いくつかのタイプのカラギーナン、すなわち、エステル-サルフェート基を有するカッパカラギーナン、2つのエステル-サルフェート基を有するイオタカラギーナン、および3つのエステル-サルフェート基を有するラムダカラギーナンが区別される。カラギーナンは、基本的に、多糖類のカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、トリエタノールアミン塩および/またはカルシウム塩、ならびにサルフェートエステルで構成される。
【0077】
カラギーナンは、特に、SeppicによってSolagum(登録商標)の名称で、GelymarによってCarragel(登録商標)、Carralact(登録商標)、およびCarrasol(登録商標)の名称で、ならびにCP-KelcoによってGENULACTA(登録商標)、GENUGEL(登録商標)、およびGENUVISCOの名称で、市販されている。
【0078】
寒天タイプのガラクタンは、これらの紅藻種(紅藻類(rhodophyceae))のうちのいくつかの細胞壁に含まれるガラクトース多糖類である。これらはポリマー基によって形成され、その基本骨格は、(1,3)ベータD-ガラクトピラノースおよび(1,4)アルファL3-6無水ガラクトース鎖であり、これらの単位は規則的かつ交互に繰り返される。寒天の科の内の違いは、メチル化またはカルボキシル化溶媒和基の存在または非存在による。これらのハイブリッド構造は、概して、藻類種および採取季節に応じて、可変パーセンテージとして存在する。寒天は、40,000~300,000Daの範囲の高い分子量を有する多糖類(アガロースおよびアガロペクチン)の混合物である。寒天は、この寒天を抽出するために、藻類抽出汁を、概ねオートクレーブ処理によって、および約2%の寒天を含む、これらの汁を処理することによって、藻類抽出汁を製造ことによって得られる。
【0079】
寒天は、例えば、HispanagerによってGold Agar、Agarite、およびLarge Agarの名称で、ならびにSetexamによってAgar-Agar,QSA(Quick Soluble Agar)、およびPuragerの名称で、製造されている。
【0080】
他の植物系ガム:
上記の植物系ガムに加えて、他の植物系ガム:サイリウムガム、ペクチン、マンナン、ガラクトグルコマンナン、キシラン、グリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸を使用することができる。
【0081】
ペクチンは、双子葉植物の一次壁に、特に多くの果実および豆果の植物壁に、主に柑橘類果実およびリンゴの植物壁に、大量に存在する物質である。それらは、アルファ-D-ガラクツロン酸骨格および少量のアルファ-L-ラムノースが主にガラクトースおよびアラビノースによって多かれ少なかれ分岐していることを特徴とする、ラムノガラクツロン型多糖類である。それは、50%未満のメチル化度(DM<50)を有する低メチル化ペクチンのうちの、または50%超のメチル化度(DM>50)を有する高メチル化ペクチンのうちの、5%未満のメチル化度(DM<5)を有するペクチン酸を伴い得る。一例として、CP Kelcoによって商品名GENU pHresh(商標)DF Peckinで販売されている産物を列挙することができる。
【0082】
キシロググルカンは、キシロース(Xyl)、ガラクトース(Gai)およびフコース(Fuc)残基がグラフト化されている、グルコース残基骨格(GIc)を有するヘミセルロース化合物であり、それらは多くの一次植物壁に見られる。
【0083】
キシランは、ヘミセルロースの主成分であり、キシログルカンに次いで2番目に多く存在する天然多糖である。キシロースは、グルクロン酸残基(GIcA)またはそのO-メチル化誘導体がグラフト化されている、キシロース残基骨格を有するグルクロノキシラン(GX)、アラビノース残基がグラフト化されている、キシロース残基骨格を有するアラビノキシラン(AX)、アラビノースおよびグルクロノン酸残基がグラフト化されている、キシロース残基骨格を有するグルクロノアラビノキシラン(GAX)を含むキシロースポリマーであり、アラビノキシランおよびグルクロノアラビノキシランは、単子葉植物の一次壁および最終的に非置換ホモキシランに見られる。
【0084】
マンナンは、主にマンノースモノマーから構成された多糖であり、植物細胞の壁を形成するヘミセルロースのファミリーに属する一連の多糖類を示す。これらは、1,4-ベータ結合によって結合した単糖類である。これらは、100~3,000単位の範囲の長さ(または重合度)を有する直鎖またはさらに分岐状の形成鎖であり得る。
【0085】
グリコサミノグリカン(GAGまたはグリコアミノグリカン)は、植物または海産物由来の結合組織の細胞外マトリックスの重要な成分を形成する炭水化物巨大分子である。これらは、長いサルフェート化直鎖(非分岐状ポリマー)(ヒアルロン酸を除く)であり、ヘキソサミン(グルコサミン(GIN)またはガラクトサミン(GaIN))、および別のオース(グルクロン酸(GIcA)、イズロン酸(IdoA)、ガラクトース(Gal))を常に含有する、二糖:ベースのジホロシドの繰り返しで構成される。グルコサミンは、N-サルフェート化(GIcNS)されているか、またはN-アセチル化(GIcNac)されているかのいずれかである。ガラクトサミンは、常にN-アセチル化(GalNac)されている。ヒアルロン酸、その誘導体および塩は、GAGの中から列挙され得る。これらのタイプの巨大分子は、例えば、Lucas Meye CosmeticsによってMDI Complex(登録商標)の名称で、Res Pharma IndustrialeによってD-Factorの名称で、Tri-K Industries,Inc.によってHydrocanの名称で、DSM Nutritional Products Ltd.によってヒアルロン酸-BTの名称で、販売されている。
【0086】
化粧品において使用するためのエマルジョン:
本出願の対象である水中油型エマルジョンは、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含む。
【0087】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 架橋によって官能化され安定化されたデンプンの中から、架橋によって官能化され安定化された安定化アルファ化済デンプンの中から、好ましくは架橋およびアセチル化デンプンの中から、最も好ましくは架橋およびアセチル化アルファ化済デンプンの中から選択される、少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくともグアーガムおよびタラガムを含む、少なくとも2つの植物系ガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含むか、またはそれらからなる。
【0088】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 架橋によって官能化され安定化されたデンプンの中から、架橋によって官能化され安定化された安定化アルファ化済デンプンの中から、好ましくは架橋およびアセチル化デンプンの中から、最も好ましくは架橋およびアセチル化アルファ化済デンプンの中から選択される、少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 唯一の植物系ガムとしての、グアーガムおよびタラガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含むか、またはそれらからなる。
【0089】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 非架橋安定化デンプンの中から、非架橋安定化アルファ化済デンプンの中から、優先的には非架橋アセチル化デンプンの中から、最も優先的には非架橋アルファ化済安定化アセチル化デンプンの中から選択される、少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含むか、またはそれらからなる。
【0090】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 非架橋安定化デンプンの中から、非架橋安定化アルファ化済デンプンの中から、優先的には非架橋アセチル化デンプンの中から、最も優先的には非架橋アルファ化済安定化アセチル化デンプンの中から選択される、少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 唯一の植物系ガムとしての、グアーガムおよびタラガムと、
- 少なくとも1つの油と、を含むか、またはそれらからなる。
【0091】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、顆粒状オクテニルスクシネートデンプン、またはデキストリンオクテニルスクシネート、またはオクテニルスクシネート変性アルファ化デンプン、またはオクテニルスクシネート変性マルトデキストリン、またはそれらの混合物の中から選択される、少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤を、単一の乳化剤として、含むか、またはそれらを含有する。優先的には、デンプン質乳化剤は、オクテニルスクシネートデンプンである。別の実施形態によれば、当該少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤の質量割合は、当該水中油型エマルジョンの総重量に対して、0.20重量%~3.60重量%の範囲である。
【0092】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、安定化デンプンの中から、優先的にはアセチル化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、ヒドロキシエチル化デンプンの中から、またはより優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプンの中から、またはアルファ化済およびヒドロキシプロピル化デンプンの中から、最も優先的にはアルファ化済およびアセチル化デンプン、またはそれらの混合物の中から選択される、少なくとも1つの増粘用デンプンを、単一の増粘剤として、含むか、またはそれらを含有する。増粘用デンプンは、特に、架橋およびアセチル化アルファ化済デンプン、または非架橋アセチル化アルファ化済デンプンであり得る。別の実施形態によれば、当該少なくとも1つの増粘用デンプンの質量割合は、エマルジョンの総重量に対して0.20~3.60重量%の範囲である。
【0093】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、キサンタンガム、ゲランガム、デキストランガム、スクレログルカンガム、ベータ-グルカンガム、またはそれらの誘導体および混合物の中から選択される、少なくとも1つの植物由来のガムを含む。一実施形態によれば、当該微生物由来のガムの質量割合は、エマルジョンの総重量に対して0.005重量%~0.600重量%の範囲である。
【0094】
別の実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ガラクタン、アルギネートの中から、優先的にはグアーガム、タラガム、ローカストビームガム、カシアガム、フェヌグリークガム、コンニャクガム、アラビアガム、アダラガンガム、カラヤガムの中から、最も優先的にはグアーガムおよびタラガムの中から選択される、少なくとも2つの植物系ガムを含む。一実施形態によれば、当該少なくとも2つの植物系ガムの質量割合は、エマルジョンの総重量に対して0.06重量%~2.700重量%の範囲である。
【0095】
一実施形態によれば、当該少なくとも2つの植物系ガムは、グアーガムおよびタラガムであり、これらは、したがって、固体組成物中に存在する唯一の植物系ガムである。一実施形態によれば、グアーガムの質量割合は、エマルジョンの総重量に対して0.05重量%~1.800重量%の範囲であり、タラガムの質量割合は、エマルジョンの総重量に対して0.010重量%~0.900重量%の範囲である。
【0096】
一実施形態によれば、本出願の対象である水中油型エマルジョンは、当該エマルジョンの総重量に対して、
- 0.20重量%~3.60重量%のデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 0.20重量%~3.60重量%の増粘用デンプンと、
- 0.005重量%~0.600重量%の微生物由来のガムと、
- 0.015重量%~2.700重量%の植物系ガムと、
- 1重量%~70重量%、または10重量%~60重量%、または15重量%~50重量%の油と、
を含む。
【0097】
一実施形態によれば、本出願の対象である水中油型エマルジョンは、当該エマルジョンの総重量に対して、
- 0.40重量%~3.00重量%のデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 0.40重量%~3.00重量%の増粘用デンプンと、
- 0.010重量%~0.500重量%の微生物由来のガムと、
- 0.120重量%~2.250重量%の植物系ガムと、
- 1重量%~70重量%、または10重量%~60重量%、または15重量%~50重量%の油と、
を含む。
【0098】
一実施形態によれば、本出願の対象である水中油型エマルジョンは、当該エマルジョンの総重量に対して、
- 0.60重量%~1.80重量%のデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 0.60重量%~1.80重量%の増粘用デンプンと、
- 0.015重量%~0.300重量%の微生物由来のガムと、
- 0.180重量%~1.350重量%の植物由来のガムと、
- 1重量%~70重量%、または10重量%~60重量%、または15重量%~50重量%の油と、
を含む。
【0099】
水中油型エマルジョンは、極性不揮発性炭化水素油、非極性不揮発性炭化水素油、揮発性油、ワックス、バターの中から選択される油を含む。
【0100】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、シリコーン油、炭化水素油、エステル油、植物系油の中から、優先的にはエステル油および植物系油の中から選択される油を含む。
【0101】
一実施形態によれば、当該エマルジョン中の油の質量割合は、当該エマルジョンの総重量に対して0.5重量%~75重量%、または1重量%~70重量%、または4重量%~65重量%、または5重量%~60重量%、または10重量%~30重量%の範囲である。
【0102】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、エマルジョンの総重量に対して、1重量%未満の少なくとも1つの他の乳化剤、優先的には1重量%未満の別の界面活性剤、特にエトキシル化界面活性剤、または低生分解性もしくは非生分解性界面活性剤を、優先的には0.5重量%未満、または0.01重量%未満で含む。
【0103】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、
- ポリオール、有機酸、カチオン性もしくはアニオン性ポリマー、芳香剤、発泡性界面活性剤、剥離剤、フィルム形成剤、防腐剤、顔料、無機充填剤の中から選択される、少なくとも1つの化粧品添加剤、および/または
- 保湿剤、老化防止産物、UVフィルター、植物から抽出された活性成分の中から選択される、少なくとも1つの化粧品活性産物を含む。
【0104】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、単糖を含まず、好ましくはフルクトースを含まない。一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、高フルクトース含量コーンシロップとも呼ばれる、グルコース-フルクトースシロップを含まない。
【0105】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、
- 少なくとも1つのデンプン質乳化剤またはデンプン質由来の乳化剤と、
- 少なくとも1つの増粘用デンプンと、
- 少なくとも1つの植物由来のガムと、
- 少なくとも2つの植物系ガムと、
- 少なくとも1つの油と、
- ポリオール、有機酸、カチオン性もしくはアニオン性ポリマー、芳香剤、発泡性界面活性剤、剥離剤、フィルム形成剤、防腐剤、顔料、無機充填剤の中から選択される、少なくとも1つの化粧品添加剤と、
- 保湿剤、老化防止産物、UVフィルター、植物から抽出された活性成分の中から選択される、少なくとも1つの化粧品活性産物と、からなる。
【0106】
一実施形態によれば、水中油型エマルジョンは、カチオン性界面活性剤、カチオン性ポリマー、顔料の中から選択される、化粧品において使用するための成分を含む。
【0107】
油
「油」は、室温(25℃)および大気圧(1,013,105Pa)で液体形態の任意の脂肪物質を意味すると理解される。
【0108】
不揮発性油
前述のように、本発明による水中油型エマルジョンは、少なくとも1つの不揮発性油を含む。より具体的には、不揮発性油は、極性または非極性の不揮発性炭化水素油およびそれらの混合物の中から、好ましくは、極性不揮発性油の中から選択され、特にC10~C26アルコール、エステル油、植物系油の中から、単独で、または混合物で選択される。
【0109】
「炭化水素油」は、基本的に、炭素および水素原子、ならびに任意選択で酸素原子、窒素原子によって形成され、またはさらにそれらで構成され、ケイ素原子またはフッ素原子を含有しない油を意味すると理解される。したがって、炭化水素油は、シリコーン油およびフッ素化油とは異なる。本発明の意味の範囲内で、「シリコーン油」は、少なくとも1つのケイ素原子、特に少なくとも1つのSi-O基を含む、油を意味すると理解される。不揮発性は、2.66Pa未満、好ましくは0.13Pa未満の蒸気圧(27/07/95の日付けのOECD標準104に従って測定)を有する油を示す。
【0110】
極性不揮発性炭化水素油
好ましくは、本発明による水中油型エマルジョンは、少なくとも1つの不揮発性極性炭化水素油を含む。この炭化水素油は、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミド基を含有し得る。好ましくは、炭化水素油は、窒素、硫黄、およびリンなどのヘテロ原子を含まない。この場合、極性不揮発性炭化水素油は、少なくとも1つの酸素原子を含む。特に、この極性不揮発性炭化水素油は、少なくとも1つのアルコール官能基を含み(これはこの場合、「アルコール油」になる)、または少なくとも1つのエステル官能基(これはこの場合、「エステル油」になる)を含む。本発明による水中油型エマルジョンにおいて使用され得るエステル油は、特にヒドロキシル化され得る。したがって、水中油型エマルジョンは、1つ以上の極性不揮発性炭化水素油、特に、
(1)C10~C26アルコール、好ましくはモノアルコールの中から選択される極性不揮発性炭化水素油を含む。C10~C26アルコールは、飽和または不飽和、分岐状または非分岐状であり、10~26個の炭素原子、好ましくは14~24個の炭素原子を含む。本発明に従って使用することができる脂肪アルコールの例として、合成またはさらに天然由来の直鎖状または分岐状脂肪アルコール、例えば、植物系(コプラh、パーム核、パームなど)または動物(獣脂など)材料に由来するアルコールなどを列挙し得る。当然ながら、例えば、エーテルアルコール、またはさらにゲルベアルコールと呼ばれるアルコールなどの他の長鎖アルコールも使用され得る。最後に、例えば、ココ(C12~C16)または獣脂(C16~C18)またはジオールもしくはコレステロールタイプの化合物などの天然由来のアルコールの一部のより長いまたはより短い切断部を使用することができる。好ましく使用される脂肪アルコールの特定の例として、ラウリル、イソステアリル、オレイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ヘキシルデシルアルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール、およびそれらの混合物を特に列挙し得る。本発明の有利な実施形態によれば、アルコールは、オクチルドデカノールの中から選択される。
(2)C2~C8モノもしくはポリカルボン酸とC2~C8アルコールとの、任意選択的にヒドロキシル化された、モノエステル、ジエステル、トリエステル。特に:
(2.1)C2~C8カルボン酸とC2~C8アルコールとの、任意選択的にヒドロキシル化されたモノエステル、
(2.2)C2~C8ジカルボン酸とC2~C8アルコールとの、任意選択的にヒドロキシル化されたジエステル、例えばジイソプロピルアジペート、ジエチル-2ヘキシルアジペート、ジブチルアジペート、2-ジエチル-ヘキシルスクシネート、
(2.3)C2~C8カルボン酸とC2~C8アルコールとの、任意選択的にヒドロキシル化されたトリエステル、例えば、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル。
(3)C2~C8ポリオールと1つ以上のC2~C8カルボン酸とのエステル、例えば、ネオペンチルグリコールジヘプタノエートなどのグリコールとモノ酸とのジエステル、またはトリアセチンなどのグリコールとモノ酸とのトリエステル。
(4)エステル油、特に17~70個の炭素原子を有するエステル:例として、モノ-、ジ-、またはトリ-エステルを列挙することができる。エステル油は、ヒドロキシル化されていても、ヒドロキシル化されていなくてもよい。不揮発性エステル油は、例えば、
(4.1)合計で17~40個の炭素原子を有するモノエステル、特に式R1~COO-R2[式中、R1は、特に、4~40個の飽和または不飽和炭素原子を含む直鎖状または分岐または芳香族脂肪酸の残基を表し、R2は、3~40個の炭素原子を含有する分岐状炭化水素鎖を表し、ただし、R1+R2は、17以上である]のモノエステル、例えば、Purcellin(ケトアリールオクタノエート)油、イソノニルイソノナノエート、C12~C15アルコールベンゾエート、エチル2-ヘキシルパルミテート、オクチルドデシルネオペンタノエート、オクチル-2ドデシルステアレート、オクチル-2ドデシルエルケート、イソステアリルイソステアレート、オクチル-2ドデシルベンゾエート、アルコールまたはポリアルコールのオクタノエート、デカノエート、またはリシノレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、2-エチルヘキシルパルミテート、2-ヘキシルドデシルラウレート、2-オクチルデシルパルミテート、2-オクチルドデシルミリステートなどの中から選択され得る。好ましくは、式R1-COO-R2[式中、R1は、4~40個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状脂肪酸の残基を表し、R2は、特に、3~40個の炭素原子を含有する分岐炭化水素鎖を表し、ただし、R1およびR2は、R1およびR2が17以上であるように、10である]のエステルが関与する。さらにより具体的には、エステルは、合計で17~40個の炭素原子を含む。好ましいモノエステルとして、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルパルミテート、オレイルエルケートおよび/またはオクチル-2-ドデセニルネオペンタノエートを列挙することができる。
(4.2)脂肪酸モノエステル、特に18~22個の炭素原子を有するもの、特にオレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸と、ジオール、例えば、プロピレングリコールモノステアレート。
(4.3)ジエステル、特に、合計で18~60個の炭素原子を含むもの、特に合計で18~50個の炭素原子を含むもの。特に、以下を使用することができる:ジカルボン酸とモノアルコールとのジエステル、好ましくは例えば、ジイソステアリルマレート、またはモノカルボン酸とジアルコールとのジエステル、例えば、Stearinerie DuboisによってDUB ZENOATの名称で販売されているオクタン酸の1,3-プロパンジイルエステル(すなわち、プロパンジオールジカプリレート)、またはグリコールとモノカルボン酸ととのジエステル、例えば、ネオペンチルグリコールジヘプタノエート、プロピレングリコールジオクタノエート、ジエチレングリコールジイソノナノエート、またはポリグリセリル-2-ジイソステアレート(特に、Alzoにより取引呼称DERMOL DGDISで販売されている化合物など);
(4.4)ヒドロキシル化モノエステルおよびジエステル、好ましくは、18~70個の炭素原子を有するもの、例えば、ポリグリセリル-3ジイソステアレート、イソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、オクチルドデシル1’ヒドロキシステアレート、ジイソステアリルマレート、グリセリンステアレート;
(4.5)トリエステル、特に、トリイソステアリルクエン酸塩、またはトリデシルトリメリテートなどのトリカルボン酸のトリエステルなどの35~70個の炭素原子、またはポリグリセロール-2トリイソステアリン酸塩などのグリコールおよびモノカルボン酸のトリエステル、
(4.6)テトラエステル、特に、合計で35~70個の炭素原子を含むもの、例えば、ペンタエリスリトールテトラエステルまたはポリグリセロールおよびカルボンモノ酸、例えば、ペンタエリスリチルテトラペプチド、テトライソステアレートペンタエリスリチル、ペンタエリスリチルテトラデカノエート、グリセリルトリデシル-2テトラデカノエート、ポリグリセリル-2テトライソステアレート、またはさらにペンタエリスリチルテトラデカノエート、グリセリルトリデカノエート、ポリグリセリル-2テトライソステアリン酸塩、またはさらにペンタジエリスリチルテトラデシル-2テトラデカノエートなど;
(4.7)仏国特許出願公開第0853634号に記載されているものなどの不飽和脂肪酸ダイマーおよび/またはトリマーとジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば、特に、ジリノール酸と1,4-ブタンジオール。特に、これに関して、BiosynthisによってViscoplast14436H(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)の名称で販売されているポリマー、またはさらにポリオールと二酸ダイマーとのコポリマーおよびそのエステル、例えば、Hailucent ISDA;
(4.8)ジオールダイマーとモノカルボン酸またはジカルボン酸とのエステルおよびポリエステル、例えば、ジオールダイマーと脂肪酸とのエステルおよびジオールダイマーとジカルボン酸ダイマーとのエステル、特に、ジカルボン酸ダイマー、特にC8~C34、とりわけC12~C22、特にC16~C20、より具体的にはC18不飽和脂肪酸のダイマー化から誘導されるジカルボン酸ダイマーから得ることができるもの、例えば、ジリノール二酸とジリノールジオールダイマーとのエステル、例えば、日本精化によってLusplanDD-DA5(登録商標)およびDD-DA7(登録商標)の商品名で販売されているものなど;
(4.9)ヒドロキシル化カルボン酸の少なくとも1つのトリグリセリドの、任意選択的に不飽和の、脂肪族モノカルボン酸による、および脂肪族ジカルボン酸によるエステル化によって得られたポリエステル、例えば、でコハク酸のヒマシ油などの不飽和脂肪族ジカルボン酸と、Zenitechによって呼称Zeniglossで販売されているコハク酸およびイソステアリン酸のヒマシ油;
(4.10)植物系炭化水素油、例えば、脂肪酸のトリグリセリド(室温で液体)、特に、7~40個の炭素原子を有する脂肪酸、例えば、ヘプタン酸もしくはオクタン酸のトリグリセリド、特に、カプリル/カプリントリグリセリドおよびその混合物、例えば、Cognisによって呼称Myritol318で販売されているもの、グリセリルトリヘプタノエート、グリセリントリオクタノエート、C18~36酸トリグリセリドなど、例えば、Stearineries Duboisによって呼称DUB TGI24で販売されているもの、ホホバ油、マカダミア油、杏仁油、ならびに不飽和トリグリセリド、例えば、ヒマシ油、オリーブ油、シメナ油、プラカシー油、および他の植物系炭化水素油、例えば、ヤブツバキ油、アボカド油、カメリア油、ヘーゼルナッツ油、ツバキ油、カシューナッツ油、アルガン油、ダイズ油、グレープシード油、ゴマ油、トウモロコシ油、小麦胚芽油、菜種油、ヒマワリ油、綿油、ピーナッツ油。
(4.11)ならびにそれらの混合物、例えば、IOI Oleo GmbHによるMiglyol Coco810(INCI名:ココナツ-カプリン/カプレート)などのC8~C10脂肪酸モノエステルとC12~C18脂肪アルコールとの混合物で構成される油。
【0111】
本発明の特定の実施形態では、水中油型エマルジョンは、植物系油を含まない。
【0112】
本発明の特定の実施形態では、水中油型エマルジョンは、キャノーラ油を含まない。
【0113】
好ましくは、1つ以上の極性不揮発性炭化水素油は、C10~C26モノアルコール、エステル油、特に、合計で少なくとも17個の炭素原子を含むモノエステル、ヒドロキシル化されていてもヒドロキシル化されていなくてもよい、合計で少なくとも18個の炭素原子を含む、特に少なくとも35個の炭素原子を有するジエステル、特に少なくとも35個の炭素原子を有するトリエステル、特に少なくとも35個の炭素原子を有する、植物系炭化水素油、およびそれらの混合物の中から選択される。
【0114】
非極性不揮発性炭化水素油
非極性不揮発性油に関して、水素化されていても水素化されてなくてもよい、パラフィン油、スクアラン、ペンタデカン、ノナデカン、エイコサン、イソエイコサン、ポリブテン、ポリイソプレン、水素化もしくは非水素化ポリデセン、デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、およびそれらの混合物は、より具体的に列挙され得る。非極性不揮発性炭化水素油の混合物の例は、Seppicによって販売されているEmogreen L15であり、これはC15~C19アルカンの混合物である。
【0115】
不揮発性シリコーン油
シリコーン不揮発性油に関して、例えば、ポリジメチルシロキサンなどの不揮発性非フェニル化シリコーン油を列挙することができる。
【0116】
フェニル化シリコーン油、例えば、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルシロキシルフェニルジメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、またはテトラメチルテトラフェニルトリシロキサン、およびそれらの混合物も列挙することができる。有利には、不揮発性シリコーン油は、C2~C3(オキシエチレン化、オキシプロピレン化)のオキシアルキル化基も、グリセロール化基も含まない。
【0117】
本発明の特定の実施形態によれば、不揮発性油は、極性不揮発性油、特にC10~C26アルコール、エステル油、植物系油の中から、単独で、または混合物で選択される。したがって、前述のように、水中油型エマルジョンは、少なくとも1つのC10~C26アルコール、好ましくはC14~C24アルコールを含む。不揮発性油の質量パーセンテージは、より具体的には、水中油型エマルジョンの重量に対して、4~65重量%、好ましくは5重量%~60重量%、より好ましくは10重量%~30重量%を占める。
【0118】
揮発性油
本発明による水中油型エマルジョンは、任意選択的に、少なくとも1つの揮発性油を含み得る。本発明の意味の範囲内で、「揮発性油」は、特に、周囲温度および大気圧で、ゼロでない蒸気圧を有する油、特に2.66Pa~40,000Pa、特に2.66Pa~13,000Paの範囲、より具体的には2.66Pa~1300Paの範囲の蒸気圧を有する油を意味する。揮発性油は、炭化水素であってもシリコーンであってもよい。
【0119】
特に、8~16個の炭素原子を有する非極性揮発性炭化水素油は、C8~C16イソ-アルカン(イソパラフィンとも呼ばれる)、イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカンなどのC8~C16分岐アルカン、および例えば、IsoparsまたはPermetylの商品名で販売されている油のように、列挙され得る。好ましくは、揮発性炭化水素油は、8~16個の炭素原子を有する揮発性炭化水素油およびそれらの混合物の中から、特にイソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカンから選択され、特にイソヘキサデカンである。8~16個の炭素原子、特に10~15個の炭素原子、より具体的には11~13個の炭素原子を含む揮発性直鎖アルカン、例えば、SasolによってそれぞれParafol12~97およびParafol14~97の呼称で販売されているn-ドデカン(C12)およびn-テトラデカン(C14)ならびにそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、例えば、BASFによるCetiol Ultimate、Cognisによる国際公開第2008/155059号の実施例1および2で得られたn-ウンデカン(CFI)とn-トリデカン(C13)との混合物、ならびに最大16個の炭素原子を有するエーテル、例えば、ジカプリリルエーテルなどを列挙することができる。
【0120】
シリコーン揮発性油として、直鎖シリコーン揮発性油、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサメチルヘプタシロキサン、およびドデカトリメチル-ペンタシロキサンを、列挙することができる。1’ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタ-シロキサン、およびドデカbメチルシクロヘキサシロキサンを、環状シリコーン揮発性油として列挙することができる。
【0121】
有利には、水中油型エマルジョンに含まれる場合、揮発性油含量は、水中油型エマルジョンの重量に対して、0.5~10重量%、または1~5重量%の範囲である。
【0122】
ワックス:
本発明による水中油型エマルジョンは、任意選択的に、少なくとも1つのシリコーンワックス、または極性もしくは非極性炭化水素ワックスを含み得る。本発明の範囲内で考慮されるワックスは、概して、可逆的固体/液体状態変化を有する室温(25℃)で固体の親油性化合物であり、特に30℃以上、より具体的には45℃超の融点を有する。有利には、融点は、90℃以下、より具体的には80℃以下、好ましくは70℃以下である。固体脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instrumentsによって「TA Universal Analysis」ソフトウェアと共に「DSC Q100」の名称で販売されている熱量計を使用して測定され得る。
【0123】
測定プロトコルは以下のとおりである:約5mgの固体脂肪物質を、「アルミニウム気密カプセル」るつぼに入れる。試料を、20℃から120℃までの範囲の第1の温度上昇に供し、80℃まで2℃/分の加熱速度であり、次いで100℃で20分間等温に置き、次いで120℃から0℃まで2℃/分の冷却速度で冷却し、最終的には、2℃の加熱速度で、2℃から20℃までの範囲の第2の温度上昇に供する。固体脂肪物質の融解温度値は、観察された融解曲線の最大吸熱ピークの最高値であり、吸収された出力の差の変動を温度の関数として表す。
【0124】
極性炭化水素ワックス
より具体的には、極性ワックスは、エステル炭化水素ワックス、アルコール炭化水素ワックス、シリコーンワックス、およびそれらの混合物の中から選択される。「炭化水素ワックス」は、基本的に、炭素および水素原子、ならびに任意選択で酸素原子、窒素原子によって形成され、またはさらにそれらで構成され、ケイ素原子またはフッ素を含有しないワックスであると理解される。これは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミド基を含有し得る。本発明によれば、「エステルワックス」は、少なくとも1つのエステル官能基を含むワックスを意味すると理解される。エステルワックスはまた、ヒドロキシル化され得る。本発明によれば、「アルコールワックス」は、少なくとも1つのアルコール官能基を含むワックス、換言すれば少なくとも1つの遊離ヒドロキシル基(OH)を含むワックスを意味すると理解される。追加のアルコールワックスは、特に、エステル官能基を含まない。「シリコーンワックス」は、少なくとも1つのケイ素原子を含むワックス、特にSi-O基を含むワックスを意味すると理解される。
【0125】
エステルワックス:
特に、以下を、エステルワックスとして使用することができる:
i)式R1-COO-R2[式中、R1およびR2は、直鎖状または分岐状もしくは環状脂肪族鎖を表す]のワックスであって、その原子の数10から50まで変動し、ヘテロ原子、特に酸素を含有することができ、その融点温度が、30℃から120℃まで、好ましくは30℃から100℃まで変動する、ワックス。特に、C20~C40アルキル(20~40個の炭素原子を含むアルキル基)(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレートを、エステルワックスとして、単独もしくは混合物として、またはC20~C40アルキルステアレートとして使用することができる。そのようなワックスは、特に、KOSTEER KEUNENによって、「KEster Wax 82P(登録商標)」、「ヒドロキシポリエステルK82(登録商標)」、「KEster Wax K80(登録商標)」、または「KEster Wax K82H」の名称で販売されている。C14~C18カルボン酸とアルコールとのエステルの混合物、例えばKOSTEER KEUNENによる「Cetyl Ester Wax814」製品、Crodaによる「SP Crodamol MS MBAL」、「Crodamol MS PA」、LASERSONによる「Miraceti」も使用することができる。グリコールおよびブチレングリコールモンタネート(オクタコサノエート)、例えばClariantによって販売されているLICOWAX KPS FLAKES(INCI名:グリコールモンタネート)ワックスも使用することができる。
ii)HETERENEによってHest 2T4S(登録商標)の名称で販売されているジ-(トリメチロール-1,1,1-プロパン)テトラステアレートを、使用することができる。
iii)一般式R3-(-OCO-R4-COO-R5)[式中、[R3およびR5は、同一または異なり、好ましくは、同一であり、C4~C30アルキル基(4~30(35)個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、R4は、直鎖状または分岐状C4~C30脂肪族基(4~30個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、1つ以上の不飽和結合を含有していてもよい]のジカルボン酸のジエステルワックスを、使用することができる。好ましくは、C4~C30脂肪族基は、直鎖状および不飽和である。
iv)動物または植物系油の触媒水素化によって得られたワックス、特に、C8~C32の直鎖状または分岐状脂肪鎖を有するもの、例えば、水素化ホホバ油、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化コプラ油など、ならびにセチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化によって得られるワックス、例えば、SOPHIMによってPhytowax ricin 16L64(登録商標)および22L73(登録商標)の名称で販売されているものを、使用することができる。そのようなワックスは、仏国特許出願公開2792190(A)号に記載されている。「Phytowax Olive18L57」の名称で販売されているワックスを、ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素化によって得られるワックスとして列挙することができる。
v)動物または植物由来のワックス、例えば、蜜蝋、合成蜜蝋、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ラノリンワックス、米ぬかワックス、オーリクリーワックス、アルファワックス、ベリーワックス、シェラックワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木蝋、ハゼ蝋、モンタンワックス、オレンジおよびレモンワックス、ローリエワックス、水素化ホホバワックス、ヒマワリワックス、特に精製ワックスを、使用することができる。
vi)炭化水素、ポリオキシアルキレン化またはポリグリセロール化、天然または合成、動物もしくは植物由来のワックスもまた、列挙することができ、オキシアルキレン化単位の数(C2~C4)は、2から100まで変動し得、グリセロール化単位の数は、1から20まで変動し得る。例として、ポリオキシエチレン化蜜蝋、例えば、PEG-6蜜蝋、PEG-8蜜蝋、ポリオキシエチレン化カルナウバワックス、例えば、PEG-12カルナウバ、水素化または非水素化、ポリオキシエチレン化またはポリオキシプロピレン化ラノリンワックス、例えば、PEG-30ラノリン、PEG-75ラノリン、PPG-5ラノリンワックスのグリセリド、ポリグリセロール化蜜蝋、特に、ポリグリセリル-3蜜蝋、フサアカシア/ホホバ/ヒマワリ種子ワックス/ポリグリセリル-3エステルの混合物、ポリグリセロール化植物ワックス、例えば、ミモバ、ホホバ、ヒマワリワックス、およびそれらの混合物(フサアカシア/ホホバ/ヒマワリ種子ワックスポリグリセリル-3エステル)を、列挙することができる。
vii)飽和、任意選択的に、グリセロールでヒドロキシル化された、C16~C30カルボン酸の部分的または全体的エステルに対応する、好ましくは全体的エステルに対応するワックスを、使用することができる。全体的エステルとは、グリセロールの全てのヒドロキシル化官能基がエステル化されていることを意味する。例として、トリヒドロキシステアリン(すなわちグリセリルトリヒドロキシステアレート)、トリステアリン(すなわちグリセリルトリステアレート)、トリベヘニン(すなわちグリセリルトリベヘネート)を、単独で、または混合物として列挙することができる。好適な化合物の中でも、グリセロールトリエステルおよび12-ヒドロキシステアリン酸、または水素化ヒマシ油、例えば、Elementis Specialtiesによって販売されているThixcin R、Thixcin Eなどを、列挙することができる。
viii)ならびにそれらの混合物を、使用することができる。
【0126】
アルコールワックス
アルコールワックスとしては、好ましくは、直鎖、好ましくは飽和している、16~60個の炭素原子を含む、アルコールであり、その融点は、25℃~90℃の範囲である、アルコールである。アルコールワックスの例として、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ベヘンアルコール、エルカアルコール、アラキジルアルコール、またはそれらの混合物を、列挙することができる。
【0127】
非極性炭化水素ワックス
水中油型エマルジョンは、任意選択的に、非極性炭化水素ワックスの中から選択される少なくとも1つの追加のワックスを含むことができる。本発明の意味の範囲内で、「非極性炭化水素ワックス」は、その構造中に炭素原子または水素原子のみを含有するワックスを意味すると理解される。言い換えれば、そのようなワックスは、他の原子、特にヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、ケイ素などを含まない。本発明に好適な例示の非極性ワックスの例として、炭化水素ワックス、例えば、微結晶ワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュ合成によって得られるワックス、マイクロワックス、特にポリエチレンを、特に列挙することができる。
【0128】
シリコーンワックス
例えば、C30~45タイプのアルキルジメチルシリルポリプロピルシルセスキオキサン(INCI名)化合物を含む混合物を、シリコーンワックス、例えばDow Corningによって販売されているDow Corning SW-8005 C30Resin Wax製品として列挙することができる。C30~45アルキルメチオニン(INCI名)タイプの化合物を含む混合物、例えば、Dow Corning(登録商標)AMS-C30Cosmetic Wax製品などもまた、列挙することができるる。シリコーン蜜蝋も列挙することができる。本発明による水中油型エマルジョンは、組成物の重量に対して、0.5~10重量%、または0.5~6重量%、または1~4重量%の範囲で、ワックス含量、好ましくは極性のワックス含量、好ましくは炭化水素のワックス含量を含み得る。
【0129】
化粧品および化粧品製品における使用
本出願の主題である固体組成物は、産業用、または食品用、または医薬用、または皮膚用、または化粧品用の水中油型エマルジョンを調製するために使用することができる。好ましくは、固体組成物により、水中油型エマルジョン、より好ましくは、変換テクスチャを有するエマルジョンを調製することが可能になる。
【0130】
一実施形態によれば、固体組成物は、スキンケア製品、またはヘアケアもしくは染毛製品、または口腔ケア製品、衛生製品、またはメークアップ製品、または香料の中から選択される化粧品製品である油中油型エマルジョンを調製するために使用される。好ましくは、固体組成物により、水中油型化粧用エマルジョンを、変換テクスチャを伴って調製することが可能になる。
【0131】
水中油型エマルジョンを調製するための方法
本出願の主題である水中油型エマルジョンを調製するための方法は、
- 本出願の主題である固体組成物を水相中で分散および/または溶解することと、
- 前に得られた水相を油相と乳化することと、を含む。
【0132】
一実施形態によれば、方法は、10℃~90℃の範囲の温度、または15℃~50℃の範囲の温度、または18℃~35℃の範囲の温度、または18℃~25℃の範囲の温度で実施される乳化ステップを含む。
【0133】
当業者は、任意の乳化技術、特に、
- 必要量の固体組成物を、1,000rpmで15分間の撹拌下、20℃で水中に分散させる技術と、
- 2,500~3,000rpmで2分間の撹拌下、油の塊を添加する技術と、
- 次いで3,000rpmで30分間撹拌を続ける技術と、を使用することができる。
【0134】
本発明による、固体組成物およびそれを用いて得られたエマルジョンの効果:
本出願の主題である固体組成物により、水中油型エマルジョンを、当該エマルジョンにおいて使用される量に応じて非常に多様なポットテクスチャを伴って調製することが可能になる。「ポットテクスチャ」は、特に、皮膚に適用する前に、容器、例えば、ポットまたはフラスコにおける外観および粘度を意味すると理解される。エマルジョンの総重量に対して2重量%以下、または1重量%以下の低質量パーセンテージで使用すると、固体組成物により、エマルジョンに流動性のテクスチャが得られ、ひいては乳の形態でエマルジョンを調製することが可能になる。エマルジョンの総重量に対して4重量%以上、または5重量%以上の高い質量パーセンテージで使用する場合、固体組成物により、エマルジョンに粘性のテクスチャが得られ、ひいては粘性のクリームを調製することが可能になる。2%~4%の範囲の中間質量パーセンテージの場合、エマルジョンのテクスチャは、わずかに流動性のテクスチャからわずかに粘性のクリームのテクスチャまでになる。エマルジョンに使用される質量パーセンテージに関係なく、固体組成物により、エマルジョンに光沢のある外観が得られる。
【0135】
本出願の主題である固体組成物によりまた、水中油型エマルジョンを、変換テクスチャを伴って調製することが可能になる。「変換テクスチャ」は、皮膚に適用されるときに、特に剪断応力を受けるときに、特に、ポットテクスチャとは異なるテクスチャ、特により流動性のテクスチャ、および/または水性および油性の両方であるテクスチャを有する、エマルジョンを意味すると理解される。ポットテクスチャが粘性のクリームのテクスチャである場合、皮膚上に広がることによって得られるテクスチャは、流動性のテクスチャになり、また、水性テクスチャと油性テクスチャとの混合のような感触であることもある。
【0136】
理論に束縛されるものではないが、本出願人は、この変換テクスチャが「クイックブレーク」現象と呼ばれる現象、言い換えれば、皮膚への剪断応力を受けたエマルジョンの急速な破壊によって実現すると考えており、新規な点は、このクイックブレーク現象が水中および油中で発生すること、すなわち、皮膚の感触が水相の感触および油相の感触の両方であることである。したがって、本出願の主題である固体組成物は、水中および油中でクイックブレーク現象を示す水中油型エマルジョンを調製することが可能になる、天然由来の組成物であるという利点を有する。
【0137】
さらに、本出願の主題である固体組成物を用いて調製された水中油型エマルジョンは、皮膚上に容易かつ均一に広がり、水中油型エマルジョンが浸透した後、粘着感が低いか、またはさらに粘着感がない。したがって、中程度ないし低い平均の油中の質量パーセンテージを含むエマルジョンの場合、本出願の主題である固体組成物により、濃厚な感触をもたらすエマルジョンを調製することが可能になる。油中の平均質量パーセンテージは、エマルジョンの総重量に対して60重量%~20重量%、または50重量%~25重量%の範囲の質量パーセンテージを意味すると理解される。
油中の低い質量パーセンテージは、エマルジョンの総重量に対して、20重量%~1重量%、または15重量%~2.5重量%、または10重量%~5重量%の範囲の質量パーセンテージを意味すると理解される。
【0138】
本出願の主題である固体組成物を用いて調製された水中油型エマルジョンは、アニオン性界面活性剤、防腐剤、塩、エタノール、および顔料と良好な適合性を示す。これらの成分が存在する場合、エマルジョンは安定したままであり、そのテクスチャは未変化のままである。
【図面の簡単な説明】
【0139】
本発明のさらなる特徴点、詳細、および利点は、添付の図面を読むと明らかになるであろう。
【
図1】変換テクスチャおよび「クイックブレーク」現象の図を表す。
【実施例】
【0140】
実施例1:本発明による固体組成物の調製
本発明による固体組成物を、表1の粉末を示された質量割合で乾式混合することによって調製する。
【0141】
【0142】
Cleargum(登録商標)CO01を、Cleargum(登録商標)CO03およびCleargum(登録商標)COA1によって同じ量で置き換えることができる。
【0143】
実施例2:ヒマワリ油エマルジョンの調製およびそれらの安定性
水中油型エマルジョンを、ヒマワリ油から、実施例1の乳化固体組成物CS1を表2におけるエマルジョンの組成に従って、エマルジョンの総重量に対して2重量%mおよび5重量%mの2つの質量割合で、エマルジョンの総重量に対して10重量%m~70重量%mの範囲の油中の質量割合で乳化することにより調製する。
【0144】
【0145】
各エマルジョンを調製するために、必要量の固体乳化用組成物CS1を、1,000rpmで15分間の撹拌下、20℃で、合計で必要とされる水のかさに分散させる。次いで、油のかさを、2,500~3,000rpmで2分間の撹拌下、添加する。次いで、撹拌を3,000rpmで30分間続ける。次いで、エマルジョンを20℃で48時間放置する。
【0146】
ブルックフィールド粘度を、48時間の放置期間後に測定する。結果を、表3に示す。
【0147】
【0148】
組成物CS1により、10%~70%で油の質量割合を変更することによって、エマルジョンを、低値の範囲、すなわち約3,000mPa.sの粘度で調製することができ、ひいては、高値、すなわち約72,000mPa.sまでの流動性の乳の形態で調製することができ、次いで、粘性のクリームの形態で調製することができる。中間粘度値、例えば、12,000~16,000mPa.sの値も利用可能であり、中度の粘性の流動性のクリームの形態でエマルジョンが得られる。
【0149】
エマルジョンを20℃で保ち、1週間後、次いで1ヶ月の保存後に粘度を測定する。
【0150】
【0151】
【0152】
実施される組成物CS1の2つの質量パーセンテージ値について、得られるエマルジョンの粘度は、少なくとも1ヶ月の期間にわたって安定である(不安定=1週間と1ヶ月間との間で±25%の変動)。
【0153】
実施例3:異なるタイプの油を用いたエマルジョンの調製
水中油型エマルジョンを、実施例2のプロトコルに従って、10%、30%、および60%の油中の質量パーセンテージで、表6の様々な油について、3%の組成物CS1の質量パーセントにより、またエマルジョンごとに単一の油を使用して、製造する。
【0154】
【0155】
次いで、各エマルジョンを、ブルックフィールド粘度測定(20℃、20rpmで1分間)により、光学顕微鏡を使用して粒径を測定することによって、およびエマルジョンの色を評価することによって評価する。
【0156】
【0157】
組成物CS1により、白色エマルジョンを、試験した全てのタイプの油を用いて得ることができ、粘度は約6500~8,000mPa.sの範囲であり、約80,000~85,000mPa.sでの流動性のクリームのテクスチャ、ひいては粘性のテクスチャに対応する。
【0158】
エマルジョンのブルックフィールド粘度測定(20℃、20rpmで1分間)を、22℃で3ヶ月間(表7の2)、50℃で1ヶ月間(表7の3)、継続した。
【0159】
【0160】
【0161】
アーモンド油(H1)、イソプロピルパルミテート(H2)、およびジカプリリルエーテル(H3)について、22℃および50℃で保存したときのブルックフィールド粘度の平均変動は、油中10%~30%の質量パーセンテージに対して19%、および60%の油中質量パーセンテージに対して38%である。
【0162】
シクロペンタシロキサン-ジメチコン(H4)、ジメチコン50(H5)、シクロペンタシロキサン(H6)、パラフィン油(H7)、およびイソヘキサデナン(H8)について、22℃および50℃で保存したときのブルックフィールド粘度の平均変動は、油中10%~30%の質量パーセンテージに対して27%、および油中の油中60%の質量パーセンテージに対して44%である。
【0163】
実施例4:pHの関数としてのエマルジョンの安定性
エマルジョンを、実施例2のプロトコルに従って、以下の質量パーセンテージ:5%の組成物CS1、20%の「ヒマワリ種子油」、75%の脱塩水により調製する。pHを、溶液中のクエン酸または希釈ソーダで、表8に示される値に対応する目標値、または2.6~12の範囲に調整する。20rpmでのブルックフィールド粘度を、22℃での保存の24時間後、次いで7日後、測定する。
【0164】
【0165】
2.6~7.5~8の範囲のpH範囲について、調製したエマルジョンの粘度は、これらのエマルジョンを安定なものとして特徴付けるのに十分に安定である。
【0166】
ブルックフィールド粘度(20℃、20rpmで1分間)の安定性を、4、4.7、および6.5のpH値で、22℃で48時間および月間、および50℃で1ケ月の期間にわたって保存したときに試験した(表8の2)。
【0167】
【0168】
6.5以下かつ4以上のpH値で、エマルジョンは、22℃で3ヶ月間および50℃で1ケ月間保存したときに非常に安定したブルックフィールド粘度を有することが分かる。
【0169】
実施例5:塩含量の関数としてのエマルジョンの安定性
実施例2のプロトコルによって、3つのエマルジョンを、5%の組成物CS1、20%の「ヒマワリ種子油」、および75%の脱塩水を用いて調製する。エマルジョンのうちの1つは、対照試料を構成する。別の1つには、2%塩化ナトリウムを添加する。最後の1つには、2%の塩化カルシウムで添加する。20℃で48時間(表9)、20℃で3ヶ月間(表9の2)、および50℃で1ヶ月(表10)、保存した後に得られるエマルジョンを、光学顕微鏡を使用して粒径を評価することによって、ブルックフィールド粘度(20℃、20rpm)を測定することによって、およびエマルジョンの色によって特徴付ける。
【0170】
【0171】
【0172】
表9、表9の2、および表10の結果は、2%の塩を添加することによっては、得られるエマルジョンの乳化能力も、品質および安定性も変化させないことを示している。
【0173】
【0174】
実施例6:界面活性剤含量の関数としてのエマルジョンの安定性
実施例2のプロトコルによって、4つのエマルジョンを、3%の組成物CS1、35%の「ヒマワリ種子油」、BASFによって「Texapon WW100」の名称で販売されている0%~20%の界面活性剤混合物、および「100%に達するのに十分な量」の脱塩水を用いて調製する。20℃で48時間保存した後に得られるエマルジョン(表11)を、光学顕微鏡を使用して粒径を評価することおよびエマルジョンの色によって特徴付ける。
【0175】
【0176】
組成物CS1を用いて調製したエマルジョンは、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物の存在に対して良好な認容性を示す。粘度は低下しているが、許容可能なままである。さらに、エマルジョンは安定したままである。
【0177】
【0178】
20℃での保存を3ヶ月間まで継続し、50℃での1ヶ月間保存(表11の2)を実施した。10%以下のTexaponWW100の質量パーセンテージについて、ブルックフィールド粘度は、20℃で保存されたときに5%から15%まで変動し、これは小さい変動であり、50℃で18%から28%まで変動し、これは顕著な変動であることが分かる。20℃で観察された小さい粘度変動は、エマルジョンのテクスチャに影響を及ぼさず、エマルジョンのテクスチャはその初期状態と比較して未変化のままである。しかし、50℃でのより顕著な変動は、ユーザによって知覚可能なようにエマルジョンのテクスチャに影響を及ぼすことがない。
【0179】
実施例7:顔料との適合性
着色しているエマルジョンを、Sensient Cosmetic Technologiesによって「Unipure Yellow LC182HLC」顔料を用いて:
- 顔料を油に導入し、次いで実施例2のプロトコルを用いることによって、
- または実施例2のプロトコルによりエマルジョンを調製し、次いで、顔料をエマルジョン中に分散させることによってのいずれかで、調製する。
【0180】
次いで、着色の広がりの質および均質性を評価するために、クリームを手の甲に適用する(表12)。
【0181】
【0182】
顔料を前調製されたエマルジョンに導入することにより、より良好な結果が得られ、着色しているクリームはより良好に広がり、より均質な色が得られることが分かる。
【0183】
【0184】
着色しているエマルジョンを調製するため、本発明による固体組成物CS1を使用することにより、よく広がり良好な着色均質性を有する、エマルジョンを得ることができることが分かる。
【0185】
良好な結果はまた、固体組成物CS2、CS3、またはCS4からも得られる。
【0186】
着色しているエマルジョンを、固体組成物CS1を用いて、および10重量%もしくは20重量%(エマルジョンの重量に対して)の質量パーセンテージで異なる着色を伴って、水中、または油中のいずれかで、または最終的には言い換えれば得られるエマルジョン中で、異なる方法にて顔料を導入することによって調製した。ブルックフィールド粘度を、22℃で48時間および3ヶ月間保存した後、ならびに50℃で1ヶ月間保存した後に測定する。結果を、表13の2および表13の3に示す。ブルックフィールド粘度測定スピンドルはSP6スピンドルであり、20℃、20rpmで1分間である。
【0187】
【0188】
表13の2の顔料で着色しているエマルジョンは安定であり、22℃で3ヶ月間および50℃で1ヶ月間にかけて変化するブルックフィールド粘度を有するが、テクスチャに知覚可能な影響を与えることはないことが分かる。
【0189】
【0190】
表13の2の顔料で着色しているエマルジョンは、22℃で比較的安定であるが50℃で有意に低下するブルックフィールド粘度を有し、より流動性のクリームが得られることが分かる。しかし、これらの変動は、エマルジョンにほとんど影響を及ぼさず、エマルジョンは安定したままであり、顔料の分散時に均質なままであり、また皮膚上に広がる時にも均質なままである。
【0191】
実施例8:変換テクスチャの例示
変換テクスチャのクリームを、表14の組成物に従って、本出願の主題である固体乳化用およびテクスチャリング用組成物を使用することにより、以下のプロトコルによって調製する。
【0192】
【0193】
固体組成物CS1を、固体組成物が水和されひいては乳白色になるまで、解膠用ブレードを用いて1,000rpmでの撹拌下、20℃で水中に分散し、これには約5~10分を必要とする。独立して、相Bの成分を、20℃で混合する、さらに20℃で、相Bを、解膠用ブレードを用いて2,000~3,000rpmで撹拌しながら約1~2分かけて相Aに添加し、次いでさらに10分間撹拌する。
【0194】
図1の写真Aに示されるように、粘性で白色の「ポットテクスチャ」クリームが、20℃、20rpmでSP6スピンドルを用いて、23,000~27,000mPasのブルックフィールド粘度で得られる。このクリームは、50℃で少なくとも1ヶ月間安定である。クリームを採取し、皮膚上に載せると、
図1の写真Bに示すように、粘性のテクスチャが維持されている。次いで、クリームが皮膚上に広がり、円形の動きを作ることによって、剪断力を発生させると、テクスチャは、
図1の写真Cに示されるように、水性テクスチャおよび油性テクスチャとの混合テクスチャに変換する。この変換は、水中および油中の両方での「クイックブレーク」現象と呼ばれる現象の結果であると思われる。
【0195】
表15の組成により、変換テクスチャを伴う前のクリームの変化形を、化粧添加剤、例えば、Roquette Freresによって「RoquettePO500」の名称で販売されているイソソルビド保湿剤、パラベン型防腐剤、芳香剤、およびBASFによって「Covi-ox T-70C」の名称で販売されている老化防止化粧品活性成分、トコフェロールを添加することによって調製する。
【0196】
【0197】
粘性のクリームが前のように得られ、これもまた安定であり、また水中および油中でのクイックブレーク現象を伴う変換テクスチャも有する。
【0198】
実施例9:エタノールとの適合性
実施例2のプロトコルによって、3%の組成物CS1、35%の「ヒマワリ種子油」、および「100%に達するのに十分な量」の脱塩水の質量パーセンテージを含む、4つのエマルジョンを調製する。エマルジョンのうちの1つは、対照試料を構成する。別の1つには、エマルジョンの総重量に対して、5重量%のエタノールを添加する。20℃で48時間および3ヶ月間保存した後、ならびに50℃で1ヶ月後に同時に得られるエマルジョンを、ブルックフィールド粘度(20℃、20rpm)を測定することによって特徴付ける。
【0199】
【0200】
エタノールをエマルジョンの重量に対して5重量%の濃度で添加することができること、ブルックフィールド粘度を初期粘度に近く維持することができること、ならびに、この粘度は20℃で少なくとも3ヶ月までおよび50℃で1ヶ月まで安定であることが分かる。
【0201】
実施例10:防腐剤との適合性
実施例2のプロトコルによって、3%の組成物CS1、35%の「ヒマワリ種子油」、および「100%に達するのに十分な量」の脱塩水の質量パーセンテージを含む、4つのエマルジョンを調製する。エマルジョンのうちの1つは、対照試料を構成する。他のものを、表17に従って防腐剤用量で添加する。用量は、エマルジョンの総重量に対する防腐剤の重量%としての質量パーセンテージとして表される。20℃で48時間および3ヶ月間保存した後、ならびに50℃で1ヶ月後に同時に得られるエマルジョンを、20℃および20rpmでブルックフィールド粘度を測定することによって特徴付ける。
【0202】
【0203】
防腐剤を添加剤とした、固体組成物CS1を用いて調製されたエマルジョンは、安定な粘度を有し、粘度は、22℃で3ヶ月間、および50℃で1ヶ月間保存するとわずかに低下するが、クリームの初期テクスチャを維持するのに十分なままであることが分かる。
【0204】
実施例11:調製様式との適合性
3重量%の固体組成物CS1、35重量%の「ヒマワリ種子油」、および62重量%の脱塩水を用いたエマルジョンを、エマルジョンがCS1などの固体組成物によって調製することができる容易性を評価するために、5つの異なる調製様式に従って調製する。
- 「解膠機」調製様式:これは、実施例2のものと同一の調製プロトコルであり、撹拌は、「分散タービン」タイプのスピンドル、またはさらに「解膠タービン」によってなされる。
- 「従来法」調製様式:これは、実施例2のものと同一の調製プロトコルであり、撹拌は、「船舶プロペラ」タイプのスピンドルによってなされる。
- 「濃縮法」調製様式:これは、実施例2のものと同様の調製プロトコルであり、ただし、「濃縮エマルジョン」を得るために、必要な総水量の半分を用いて、必要な全油量とともにエマルジョンを製造し、次いで、それを希釈するためおよび所望の最終組成物を得るために、残りの水量を濃縮エマルジョンに添加する。
- 「ローターステータ」調製様式:これは、実施例2のものと同一の調製プロトコルであり、撹拌は、ローターステータタイプのスピンドルによってなされる。
- 「Ultra-turrax(登録商標)」調製様式:これは、実施例2のものと同一の調製プロトコルであり、撹拌は、IKAによる「Ultra-turrax(登録商標)」モデルローターステータによってなされる。
【0205】
20℃で48時間および3ヶ月間保存した後、ならびに50℃で1ヶ月後に同時に得られるエマルジョンを、20℃および20rpmでブルックフィールド粘度を測定することによって特徴付ける(表18)。
【0206】
【0207】
試験した全ての調製様式により調製したエマルジョンのブルックフィールド粘度は安定であることが分かる。
【0208】
実施例12:日焼け止めクリームにおける実施
日焼け止めクリームを、実施例2のプロトコルに従って、および得られるエマルジョンに相Cを添加することによって、表19の組成に従って固体組成物CS1で乳化することによって調製した。
【0209】
【0210】
日焼け止め指数を、Helioscienceの研究室によるインビトロプロトコルを使用して、以下のプロトコルに従って求めた。3つの「Sunplate」型PMMAプレートを使用し、プレートごとに4回の測定値を取得した。表19に従って調製したクリームを、各プレート上に堆積させた。プレートを、「ATLAS CPS+」太陽光シミュレータを用いて30分間、550W/m2の照射に供した。照射の前および後、ならびに耐水性のための水浴の前および後に、光保護のレベルを、積分球を備えた「Kontron933」分光光度計を用いて測定した。結果を、表20に示す。
【0211】
【0212】
組成物CS1により、「50+」の日焼け防止レベルおよび69%の耐水性で日焼け止めクリームを調製することが可能になった。
【国際調査報告】