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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】メトピマジンの新規多形形態
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/06 20060101AFI20230731BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 1/10 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C07D417/06 CSP
A61K31/5415
A61P1/04
A61P25/00
A61P3/00
A61P43/00 105
A61P35/00
A61P1/14
A61P1/08
A61P1/12
A61P25/04
A61P29/00
A61P1/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560244
(86)(22)【出願日】2021-04-01
(85)【翻訳文提出日】2022-11-28
(86)【国際出願番号】 US2021025319
(87)【国際公開番号】W WO2021202839
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】16/838,402
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/003,998
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515149133
【氏名又は名称】ニューロガストルクス,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ユー, シュ
(72)【発明者】
【氏名】ウェンズロー, ロバート
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB03
4C063CC64
4C063DD10
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC89
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA23
4C086MA28
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA59
4C086NA10
4C086NA12
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA08
4C086ZA21
4C086ZA66
4C086ZA69
4C086ZA71
4C086ZA72
4C086ZA73
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZC21
(57)【要約】
メトピマジンメシル酸塩の新規多形形態が、本明細書において提供される。これらの多形形態は、腸管神経系障害の処置のための方法、組成物およびキットに有用である。ある特定の実施形態では、結晶形態は、10重量%未満のアモルファス形態を含む。ある特定の実施形態では、結晶形態は、非溶媒和物形態である。ある特定のこのような実施形態では、結晶形態は、10重量%未満の溶媒和物形態を含む。上述のある特定の実施形態では、本出願は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態であって、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを含む、結晶形態を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態。
【化7】
【請求項2】
前記結晶形態が、10重量%未満のアモルファス形態を含む、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
前記結晶形態が、非溶媒和物形態である、請求項1または2に記載の結晶形態。
【請求項4】
前記結晶形態が、10重量%未満の溶媒和物形態を含む、請求項3に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記結晶形態が、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを含む、前記請求項のいずれかに記載の結晶形態。
【請求項6】
以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°、25.37°、26.39°、26.92°、27.96°、28.23°、28.78°、29.27°、29.64°、30.67°、31.29°、31.84°、32.09°、32.99°、33.40°、33.99°、35.91°、36.80°、37.41°、37.92°および39.27°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態。
【請求項7】
以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項8】
以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項9】
以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの4つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項10】
以下の2θ値:15.91°および18.75°±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項11】
以下の2θ値:15.91°、18.75°および24.44°±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項6に記載の結晶形態。
【請求項12】
以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.2°のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態。
【請求項13】
以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項12に記載の結晶形態。
【請求項14】
以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.2°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする、請求項12に記載の結晶形態。
【請求項15】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも1つのピークを含む、13C固体核磁気共鳴(ssNMR)スペクトルを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態。
【請求項16】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも3つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項17】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも4つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項18】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも6つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項19】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.20ppmから選択される少なくとも1つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項20】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.20ppmから選択される少なくとも3つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項21】
ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.20ppmから選択される少なくとも6つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする、請求項15に記載の結晶形態。
【請求項22】
208℃~212℃の開始温度範囲を含む単一の吸熱を含む、示差走査熱量測定パターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態。
【請求項23】
前記単一の吸熱が、208℃~211℃の開始温度範囲を含む、請求項22に記載の結晶形態。
【請求項24】
前記単一の吸熱が、209℃~210℃の開始温度範囲を含む、請求項22に記載の結晶形態。
【請求項25】
前記単一の吸熱が、213℃~214℃のピーク温度範囲を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項26】
前記単一の吸熱が95~100J/gの転移エンタルピーを含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の結晶形態。
【請求項27】
前記単一の吸熱が、96~98J/gの転移エンタルピーを含む、請求項26に記載の結晶形態。
【請求項28】
前記単一の吸熱が、97~98J/gの転移エンタルピーを含む、請求項26に記載の結晶形態。
【請求項29】
150.0℃までで0.4%の総重量減少を含む熱重量分析プロファイルを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態。
【請求項30】
前記組成物が、10重量%未満のメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態を含む、請求項6~29のいずれか一項に記載の結晶形態を含む組成物。
【請求項31】
前記組成物が、1重量%未満のメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態を含む、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物が、10重量%未満のメトピマジンメシル酸塩のアモルファス形態を含む、請求項30または31に記載の組成物。
【請求項33】
前記組成物が、1重量%未満のメトピマジンメシル酸塩のアモルファス形態を含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
請求項1~33のいずれか一項に記載の結晶形態および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項35】
前記医薬組成物が、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所的、経鼻、非経口、口内、舌下、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である、請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記組成物が、経口投与に好適である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記組成物が、舌下投与に好適である、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記医薬組成物が、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁液剤、坐剤、徐放製剤または放出調節製剤として製剤化されている、請求項34~37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記組成物が、徐放製剤として製剤化されている、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記組成物が、カプセル剤として製剤化されている、請求項38に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記組成物が、前記メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を5mg含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記組成物が、前記メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を10mg含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記組成物が、前記メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を20mg含む、請求項34~40のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記組成物が、1日1回、投与するのが好適である、請求項34~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記組成物が、1日2回、投与するのが好適である、請求項34~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記組成物が、1日3回、投与するのが好適である、請求項34~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記組成物が、1日4回、投与するのが好適である、請求項34~43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項48】
1日あたり、約5mg~約160mgの間の前記メトピマジンメシル酸塩の結晶形態が投与される、請求項34~47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記組成物が、1日あたり、20mgを超える前記メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を投与するのに好適である、請求項34~47のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
それを必要とするヒト対象における腸管神経系障害を処置する方法であって、前記対象に請求項34~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項51】
前記腸管神経系障害が慢性障害である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記腸管神経系障害が急性障害である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記腸管神経系障害が、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群から選択される、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記腸管神経系障害が、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群から選択される症状を含む、請求項50~53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
前記腸管神経系障害の症状が吐き気を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記腸管神経系障害の症状が嘔吐を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
それを必要とするヒト対象における胃不全まひを処置する方法であって、前記対象に請求項34~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項58】
胃不全まひが、糖尿病性胃不全まひである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記胃不全まひが、特発性胃不全まひである、請求項57に記載の方法。
【請求項60】
前記胃不全まひが、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群から選択される症状を含む、請求項57~59のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記胃不全まひの症状が吐き気を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記胃不全まひの症状が嘔吐を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
それを必要とするヒト対象における胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、前記対象に請求項34~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項64】
それを必要とするヒト対象における胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、前記対象に請求項34~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項65】
それを必要とするヒト対象における胃排出を改善する方法であって、前記対象に請求項34~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項66】
それを必要とするヒト対象におけるGI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、前記対象に請求項34~49のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項67】
前記医薬組成物が、前記対象に長期間、投与される、請求項50~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記医薬組成物が、前記対象に短期間、投与される、請求項50~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも6日間、投与される、請求項50~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも7日間、投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも4週間、投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記医薬組成物が、前記対象に少なくとも12週間、投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記医薬組成物が、前記対象に1日1回、投与される、請求項50~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記医薬組成物が、前記対象に1日2回、投与される、請求項50~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記医薬組成物が、前記対象に1日3回、投与される、請求項50~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記医薬組成物が、前記対象に1日4回、投与される、請求項50~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
1日あたり、約5mg~約160mgの間の前記メトピマジンメシル酸塩が、前記対象に投与される、請求項50~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
1日あたり、20mgを超えるメトピマジンメシル酸塩が、前記対象に投与される、請求項50~76のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2020年4月2日出願の米国仮特許出願第63/003,998号、および2020年4月2日出願の米国出願第16/838,402号、現在の米国特許第10,836,757号への優先権の利益を主張し、これらの出願の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
背景
腸管神経系(ENS)は、胃腸管系の内張りに埋め込まれている約1億個のニューロンを含む。ENSは、食道、胃(例えば、胃領域)、および腸を含めた、胃腸管系を神経支配している。ENSの運動ニューロンは、胃筋肉の収縮、ぜん動、腸内容物の撹拌を制御している。身体のドーパミンの約50%が、ENSにおいて見出されると推定されてきた。
【0003】
胃腸(GI)管の障害に多数のヒトが罹患している。GI管の筋肉または神経の機能不全により、腸が正常に機能しない障害である過敏性腸症候群(IBS)には、成人人口の10~15%が罹患している。IBSの症状には、便秘、下痢および腹痛が含まれる。機能性消化不良(上部GI管に関連する筋肉または神経の機能不全によって引き起こされた消化不良)には、成人人口の10~20%が罹患している。胃による食物の不適切なすりつぶしおよび胃排出遅延を引き起こす障害である胃不全まひには、総人口の最大で10%が罹患している。米国では、食道に胃酸および/または胆汁が逆流する際に起こる慢性の消化性疾患である胃食道逆流障害(GERD)に、生後数か月の乳児の最大で35%、および総人口の半数超が罹患していると推定されている。
【0004】
さらに、胃腸障害は、いくつかの他の疾患に関連し得る。例えば、ドーパミンニューロンの神経変性を特徴とする障害である、パーキンソン病の最も早期の症状のいくつかには、恐らく、ENSドーパミンニューロンの変性または機能不全による、例えば、便秘および他の胃腸管の症状が含まれる。慢性の高血糖は、腸管神経系をモジュレートする迷走神経を損傷する恐れがあるので、別の例は、胃不全まひの最も一般的な原因の1つのである糖尿病である。多発性硬化症は、例えば胃不全まひなどの、ENS障害に関連する別の疾患である。片頭痛は、胃停滞に一般に関係している。化学療法誘発性の吐き気および/または嘔吐は、化学療法を受けているがん患者の85%が罹患していると推定されており、処置の中止に至る恐れがある。化学療法誘発性の吐き気および/または嘔吐が、適切に管理されていない場合、それは、脱水および不良なクオリティオブライフを引き起こす恐れがあり、化学療法の中止に至ることがある。
【0005】
ENS機能不全は、上記の障害のいくつかに関与している。例えば、ENSニューロンのシグナル伝達の障害または機能不全は、胃不全まひの原因因子として、強力に関与している。
【0006】
これらの障害に適切な処置は、現在、存在しない。例えば、IBS処置用のルビプロストンおよびリナクロチドは、便秘を処置するため、伝染性下痢を模倣するために使用されている。しかし、これらの薬剤は、根本的なENS機能不全を修復するものではなく、かろうじて有効であるに過ぎない。ドーパミンD受容体アンタゴニストであるドンペリドンおよびメトクロプラミドは、吐き気および嘔吐の処置に以前には適応されていたが、深刻な安全性問題のために、特に長期間の使用は推奨されていない。2つの深刻な安全性懸念は、(1)例えば、これらの薬剤と心筋活動電位に関与するイオンチャネルとの相互作用によって引き起こされる、望ましくない心臓の副作用、および(2)血液脳関門を通過して脳に入るドーパミンアンタゴニストの作用によって引き起こされる望ましくない運動機能不全に関連する。例えば、多数のドーパミン受容体アンタゴニストは、hERGチャネル(カリウムチャネルの一種)を阻害し、心筋活動電位リズムの異常を特徴とする心臓の状態である薬物誘発性QT延長症候群を引き起こすことが立証されている。QT延長症候群は、心不整脈のリスクを増大させる恐れがあり、これは、心臓性突然死をもたらすことがある。実際に、ドーパミンDアンタゴニストであるドンペリドンは、hERG活性を阻害して、QT延長症候群のリスクを増大させ、心臓性突然死のリスクが増大することが示されている。これによって、米国では、FDAがドンペリドンの使用を禁止し、欧州医薬品庁によって、ドンペリドン使用の安全性の再調査が開始された。メトクロプラミドは、12週間を超えて服用することができず、不随意で反復的な身体の動きを特徴とする、難治性および多くの場合、不治の障害である遅発性ジスキネジアなどのCNS関連性副作用のために、黒枠警告がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の要約
本出願は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態
【化1】
を提供する。ある特定の実施形態では、結晶形態は、10重量%未満のアモルファス形態を含む。ある特定の実施形態では、結晶形態は、非溶媒和物形態である。ある特定のこのような実施形態では、結晶形態は、10重量%未満の溶媒和物形態を含む。上述のある特定の実施形態では、本出願は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態であって、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを含む、結晶形態を提供する。
【0008】
本出願は、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°、25.37°、26.39°、26.92°、27.96°、28.23°、28.78°、29.27°、29.64°、30.67°、31.29°、31.84°、32.09°、32.99°、33.40°、33.99°、35.91°、36.80°、37.41°、37.92°および39.27°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含むX線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの4つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0009】
本出願は、以下の2θ値:15.91°および18.75°±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。本出願は、以下の2θ値:15.91°、18.75°および24.44°±0.2°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態をさらに提供する。
【0010】
本出願は、以下の2θ値:18.75°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:15.91°および18.75°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:15.91°、18.75°および24.44°にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0011】
本出願は、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.2°のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°のうちの2つまたはそれより多くを含む、X線粉末回折パターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.2°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0012】
本出願は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも1つのピークを含む、13C固体核磁気共鳴(ssNMR)スペクトルを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも3つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも4つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:176.8、176.4、142.2、141.7、140.9、140.0、128.3、127.0、126.2、125.1、121.1、119.9、114.7、110.9、57.0、55.7、50.6、47.1、45.6、42.1、40.2、27.4および21.3±0.20ppmから選択される少なくとも6つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.20ppmから選択される少なくとも1つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.20ppmから選択される少なくとも3つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.20ppmから選択される少なくとも6つのピークを含む、13C ssNMRスペクトルを特徴とする。
【0013】
本出願は、208℃~212℃の開始温度範囲を含む単一の吸熱を含む、示差走査熱量測定パターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。ある特定の実施形態では、単一の吸熱は、208℃~211℃の開始温度範囲を含む。ある特定の実施形態では、単一の吸熱は、209℃~210℃の開始温度範囲を含む。上述のいずれかのある特定の実施形態では、単一の吸熱は、213℃~214℃のピーク温度範囲を含む。上述のいずれかのある特定の実施形態では、単一の吸熱は、95~100J/gの転移エンタルピーを含む。ある特定のこのような実施形態では、単一の吸熱は、96~98J/gの転移エンタルピーを含む。さらなる実施形態では、単一の吸熱は、97~98J/gの転移エンタルピーを含む。
【0014】
本出願は、150.0℃までで0.4%の総重量減少を含む熱重量分析プロファイルを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を提供する。
【0015】
上述のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、10重量%未満の他の結晶形態を含む。ある特定のこのような実施形態では、組成物は、1重量%未満の他の結晶形態を含む。上述のある特定の実施形態では、組成物は、10重量%未満のアモルファス形態を含む。ある特定のこのような実施形態では、組成物は、1重量%未満のアモルファス形態を含む。
【0016】
本出願は、上述の結晶形態のいずれかおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、経口、十二指腸内、結腸内、腸内、局所的、経鼻、非経口、口内、舌下、吸入によりまたは直腸に投与するのに好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、経口投与に好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、舌下投与に好適である。上述のある特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、ペースト剤、散剤、懸濁液剤、坐剤、徐放製剤または放出調節製剤として製剤化される。ある特定のこのような実施形態では、組成物は、徐放製剤として製剤化される。さらなる実施形態では、組成物は、カプセル剤として製剤化される。
【0017】
上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を5mg含む。ある特定の実施形態では、組成物は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を10mg含む。ある特定の実施形態では、組成物は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を15mg含む。ある特定の実施形態では、組成物は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態を20mg含む。
【0018】
上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、1日1回、投与するのが好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、1日2回、投与するのが好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、1日3回、投与するのが好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、1日4回、投与するのが好適である。
【0019】
上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態が投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、1日あたり、20mgを超えるメトピマジンメシル酸塩の結晶形態を投与するのに好適である。
【0020】
本出願は、それを必要とするヒト対象における腸管神経系障害を処置する方法であって、対象に上述の医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、慢性障害である。他の実施形態では、腸管神経系障害は、急性障害である。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群から選択される。上述のある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群から選択される症状を含む。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害の症状は、吐き気を含む。他の実施形態では、腸管神経系障害の症状は、嘔吐を含む。
【0021】
本出願は、それを必要とするヒト対象における胃不全まひを処置する方法であって、対象に上述の医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、糖尿病性胃不全まひである。他の実施形態では、胃不全まひは、特発性胃不全まひである。上述のある特定の実施形態では、胃不全まひは、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群から選択される症状を含む。ある特定のこのような実施形態では、胃不全まひ症状は、吐き気を含む。他の実施形態では、胃不全まひ症状は、嘔吐を含む。
【0022】
本出願は、それを必要とするヒト対象における胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、対象に上述の医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0023】
本出願は、それを必要とするヒト対象における胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、対象に上述の医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0024】
本出願は、それを必要とするヒト対象における胃排出を改善する方法であって、対象に上述の医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0025】
本出願は、それを必要とするヒト対象におけるGI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、対象に上述の医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む、方法を提供する。
【0026】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に長期間、投与される。上述の方法のいずれかの他の実施形態では、医薬組成物は、対象に短期間、投与される。
【0027】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも6日間、投与される。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも7日間、投与される。ある特定の実施形態では、少なくとも4週間、対象である。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも12週間、投与される。
【0028】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回、投与される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日2回、投与される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日3回、投与される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日4回、投与される。
【0029】
上述の方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンメシル酸塩が、対象に投与される。ある特定のこのような実施形態では、1日あたり20mgを超えるメトピマジンメシル酸塩が、対象に投与される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態AのX線粉末回折図(XRPD)を図示する。
【0031】
図2図2は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの熱重量分析(TGA)プロットを図示する。
【0032】
図3図3は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの示差走査熱量測定(DSC)プロットを図示する。
【0033】
図4図4は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態BのX線粉末回折図(XRPD)を図示する。
【0034】
図5図5は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態BのTGAおよびDSCプロットを図示する。
【0035】
図6図6は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの13C ssNMRスペクトル(200ppm~0ppm)を図示する。
【0036】
図7図7は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bの13C ssNMRスペクトル(200ppm~0ppm)を図示する。
【0037】
図8図8は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを差し引いた結晶形態Bの、13C ssNMRスペクトル(200ppm~0ppm)を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本出願の詳細な説明
本出願は、メトピマジンメシル酸塩
【化2】
の結晶形態を提供する。
【0039】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、10重量%未満の他の結晶形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の結晶形態を含む。
【0040】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、10重量%未満のアモルファス形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満のアモルファス形態を含む。
【0041】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、10重量%未満の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)を含む。
【0042】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、非溶媒和物形態である。本出願のある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、10重量%未満の溶媒和物形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の溶媒和物形態を含む。
【0043】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、非水和物形態である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、約10%のメトピマジンメシル酸塩非水和物~約100%のメトピマジンメシル酸塩非水和物を含む。例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、約10%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約20%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約30%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約40%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約50%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約60%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約70%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約80%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約90%のメトピマジンメシル酸塩非水和物または約95%のメトピマジンメシル酸塩非水和物を含む。本出願のある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、10重量%未満の水和物形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の水和物形態を含む。
【0044】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、水和物形態(例えば、一水和物形態)などの溶媒和物形態である。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、約10%のメトピマジンメシル酸塩一水和物~約100%のメトピマジンメシル酸塩一水和物を含む。例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、約10%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約20%のメトピマジンメシル酸塩非水和物、約30%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約40%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約50%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約60%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約70%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約80%のメトピマジンメシル酸塩一水和物、約90%のメトピマジンメシル酸塩一水和物または約95%のメトピマジンメシル酸塩一水和物を含む。本出願のある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態は、10重量%未満の他の溶媒和物形態または非溶媒和物形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の溶媒和物形態または非溶媒和物形態を含む。
【0045】
本出願は、表1に提示されている2シータ(2θ)値のうちの1つまたは複数を含む、X線粉末回折(XRPD)パターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩
【化3】
の結晶形態Aを提供する。回折パターンは、Cu,Kα照射により記録した。
【表1-1】
【表1-2】
【0046】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1に記載されているものから選択される、少なくとも2つの2θ値を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1に記載されているものから選択される、2θの値を少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つまたは少なくとも9つ含む、XRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1において、約5~約25°の2θの範囲の1つまたは複数の2θ値を特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1において、約5~約25°の2θの範囲の少なくとも2つの2θ値を特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1において、約5~約25°の2θの範囲の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つまたは少なくとも9つの2θ値を特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1に記載されているものから選択される2θ値を含むXRPDパターンを特徴とする。XRPD強度は、好ましい配向を含めた様々な理由のため、異なる試料間および異なる試料調製間で異なってもよいことが、当業者によって理解されよう。測定角度、および従ってd間隔の一層小さなシフトが、回折計における、試料表面レベルのばらつきを含めた、様々な理由のために起こり得ることがやはり当業者によって理解されよう。表1に提示されている2θ度は、一般に、約±0.10 2θ度~約±0.20 2θ度の範囲内で再現可能であることが当業者によってさらに理解され、好ましい範囲は、約±0.10 2θ度である。例えば、米国薬局方XXV (2002), p. 2088-2089を参照されたい。
【0047】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°、25.37°、26.39°、26.92°、27.96°、28.23°、28.78°、29.27°、29.64°、30.67°、31.29°、31.84°、32.09°、32.99°、33.40°、33.99°、35.91°、36.80°、37.41°、37.92°および39.27°のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.1°のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.2°のうちの4つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、9.87°、14.33°、15.26°、15.91°、16.55°、17.52°、17.75°、18.75°、19.09°、19.72°、20.80°、21.22°、21.77°、23.29°、23.91°、24.44°および25.37°±0.1°のうちの4つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.10~0.20(2θ)のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.10~0.20(2θ)のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.10~0.20(2θ)のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.10~0.20(2θ)のうちの4つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値:9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、19.09°、20.80°、21.22°、21.77°および24.44°±0.10~0.20(2θ)のうちの5つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0048】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値18.75°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値15.91°および18.75°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値15.91°、18.75°および24.44°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値15.91°、18.75°、21.22°および24.44°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値9.37°、15.91°、18.75°、21.22°および24.44°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、以下の2θ値9.37°、15.26°、15.91°、18.75°、21.22°および24.44°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0049】
本出願は、表1に記載されているものから選択される、少なくとも2つのD間隔値を含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを提供する。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1に記載されているものから選択される、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのD間隔値を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1に記載されているものから選択されるD間隔値を含むXRPDパターンを特徴とする。
【0050】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表1に記載されているXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、図1に記載されているXRPDパターンを示す。
【0051】
本出願は、表2に提示されているppm単位のケミカルシフトとして表される、1つまたは複数のピークを含む、13C固体核磁気共鳴(ssNMR)スペクトルを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを提供する。スペクトルは、13Cの場合に100.52MHzおよびHの場合に399.71MHz、または13Cの場合に100.46MHzおよびHの場合に399.49MHzで動作するBruker NEO分光計で得た。
【表2】
【0052】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、表2に記載されているものから選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つまたは少なくとも10のピークを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、表2に記載されているものから選択されるピークを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。スペクトルにおけるピークの外観、強度および位置を含めた、13C ssNMRスペクトルは、異なる試料、異なる試料調製、およびスペクトルを得るための異なる条件の間で異なり得ることが、当業者によって理解されよう。したがって、ppm単位のケミカルシフトとして表される、表2に提示されているピークは、約±0.10ppm~約±0.20ppmの範囲内で一般に再現可能であり、好ましい範囲は、約±0.20ppmであることが当業者によって理解されよう。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、表2に記載されている13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の純度を有するメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、図6に記載されている13C ssNMRスペクトルを示す。
【0053】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:176.4±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つまたは複数の以下のピーク:176.8および176.4±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:176.8および176.4±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:42.1±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、または2つもしくはそれより多くの以下のピーク:42.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:42.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:57.0±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多くまたは3つもしくはそれより多くの以下のピーク:42.1、57.0、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:42.1、57.0、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:27.4±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、または4つもしくはそれより多くの以下のピーク:27.4、42.1、57.0、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:27.4、42.1、57.0、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:121.1±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、または5つもしくはそれより多くの以下のピーク:27.4、42.1、57.0、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:27.4、42.1、57.0、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:21.3±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、または6つもしくはそれより多くの以下のピーク:21.3、27.4、42.1、57.0、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:21.3、27.4、42.1、57.0、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:50.6±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、6つもしくはそれより多く、または7つもしくはそれより多くの以下のピーク:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:114.7±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、6つもしくはそれより多く、7つもしくはそれより多く、または8つもしくはそれより多くの以下のピーク:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:119.9±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、6つもしくはそれより多く、7つもしくはそれより多く、8つもしくはそれより多く、または9つもしくはそれより多くの以下のピーク:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:21.3、27.4、42.1、50.6、57.0、114.7、119.9、121.1、176.4および176.8±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。
【0054】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、208℃~212℃または208℃~211℃、例えば209℃~210℃(例えば、209.9℃)の開始温度範囲の単一の吸熱を含む、示差走査熱量測定(DSC)パターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、213℃~214℃(例えば、213.1℃)のピーク温度範囲の単一の吸熱を含む、DSCパターンを特徴とする。上記のおよび図3に示されている吸熱は、通常、±0.5~3℃、例えば±2℃、±1℃または±0.5℃の範囲内で再現可能となることが当業者によって理解されよう。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、95~100J/g(例えば、97.47J/g)、例えば96~98J/g、97~98J/gまたは97.5J/gの転移エンタルピーで単一の吸熱を含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、図3に記載されているDSCパターンを特徴とする。
【0055】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、150.0℃までで0.4%(例えば、0.42%)の総重量減少を伴う熱重量分析(TGA)プロファイルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、図2に記載されているTGAプロファイルを特徴とする。
【0056】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、10重量%未満の他の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態B)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態B)を含む。
【0057】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、10重量%未満のアモルファス形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満のアモルファス形態を含む。
【0058】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、10重量%未満の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)を含む。
【0059】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、非溶媒和物形態である。本出願のある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、10重量%未満の溶媒和物、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の溶媒和物を含む。
【0060】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、非水和物形態である。本出願のある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、10重量%未満の水和物形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の水和物形態を含む。
【0061】
本出願は、表3に記載されているものから選択される1つまたは複数の2θ値を含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態B
【化4】
を提供する。回折パターンは、Cu,Kα照射により記録した。
【表3-1】
【表3-2】
【0062】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、表3に記載されているものから選択される、少なくとも2つの2θ値を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、表3に記載されているものから選択される、2θの値を少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つまたは少なくとも9つ含む、XRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、表3において、約5~約25°の2θの範囲の1つまたは複数の2θ値を特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、表3において、約5~約25°の2θの範囲の少なくとも2つの2θ値を特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、表3において、約5~約25°の2θの範囲の少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つまたは少なくとも9つの2θ値を特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bは、表3に記載されているものから選択される2θ値を含むXRPDパターンを特徴とする。表3に提示されている2θ度は、一般に、約±0.10 2θ度~約±0.20 2θ度の範囲内で再現可能であることが当業者によってさらに理解され、好ましい範囲は、約±0.10 2θ度である。例えば、United States Pharmacopoeia XXV (2002), p. 2088-2089を参照されたい。
【0063】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値:4.64°、10.71°、11.12°、16.30°、16.90°、17.89°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)のうちの1つまたは複数を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値:4.64°、10.71°、11.12°、16.30°、16.90°、17.89°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)のうちの2つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値:4.64°、10.71°、11.12°、16.30°、16.90°、17.89°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)のうちの3つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値:4.64°、10.71°、11.12°、16.30°、16.90°、17.89°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)のうちの4つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値:4.64°、10.71°、11.12°、16.30°、16.90°、17.89°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)のうちの5つまたはそれより多くを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0064】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値16.90°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値16.90°および20.00°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値16.30°、16.90°および20.00°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値11.12°、16.30°、16.90°および20.00°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値10.71°、16.30°、16.90°および20.00°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値16.30°、16.90°、17.89°および20.00°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値16.30°、16.90°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値10.71°、11.12°、16.30°、16.90°および20.00°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、以下の2θ値10.71°、11.12°、16.30°、16.90°、17.89°、20.00°および27.12°±0.10~0.20(2θ)にピークを含むXRPDパターンを特徴とする。
【0065】
本出願は、表3に記載されているものから選択される、少なくとも2つのD間隔値を含むXRPDパターンを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bを提供する。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bは、表3に記載されているものから選択される、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または少なくとも6つのD間隔値を含むXRPDパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bは、表3に記載されているものから選択されるD間隔値を含むXRPDパターンを特徴とする。
【0066】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bは、表3に記載されているXRPDパターンを特徴とする。
【0067】
本出願は、表4に提示されているppm単位のケミカルシフトとして表される、1つまたは複数のピークを含む、13C固体NMR(ssNMR)スペクトルを特徴とする、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bを提供する。スペクトルは、13Cの場合に100.52MHzおよびHの場合に399.71MHz、または13Cの場合に100.46MHzおよびHの場合に399.49MHzで動作するBruker NEO分光計で得た。
【表4-1】
【表4-2】
【0068】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、表4に記載されているものから選択される、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つまたは少なくとも10のピークを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、表4に記載されているものから選択されるピークを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。スペクトルにおけるピークの外観、強度および位置を含めた、13C ssNMRスペクトルは、異なる試料、異なる試料調製、およびスペクトルを得るための異なる条件の間で異なり得ることが、当業者によって理解されよう。したがって、ppm単位のケミカルシフトとして表される、表4に提示されているピークは、約±0.10ppm~約±0.20ppmの範囲内で一般に再現可能であり、好ましい範囲は、約±0.20ppmであることが当業者によって理解されよう。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、表4に記載されている13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、図7または図8に記載されている13C ssNMRスペクトルを示す。ある特定の実施形態では、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも99%の純度を有するメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、図8に記載されている13C ssNMRスペクトルを示す。
【0069】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:177.7±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つまたは複数の以下のピーク:177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:136.1±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数の、または2つもしくはそれより多くの以下のピーク:136.1、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:136.1、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:149.0±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多くまたは3つもしくはそれより多くの以下のピーク:136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、または4つもしくはそれより多くの以下のピーク:39.4、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:45.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、または5つもしくはそれより多くの以下のピーク:39.4、45.2、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4、45.2、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:132.3±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、または6つもしくはそれより多くの以下のピーク:39.4、45.2、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4、45.2、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:131.6±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、6つもしくはそれより多く、または7つもしくはそれより多くの以下のピーク:39.4、45.2、131.6、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4、45.2、131.6、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:123.0±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、6つもしくはそれより多く、7つもしくはそれより多く、または8つもしくはそれより多くの以下のピーク:39.4、45.2、123.0、131.6、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4、45.2、123.0、131.6、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:130.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、1つもしくは複数、2つもしくはそれより多く、3つもしくはそれより多く、4つもしくはそれより多く、5つもしくはそれより多く、6つもしくはそれより多く、7つもしくはそれより多く、8つもしくはそれより多く、または9つもしくはそれより多くの以下のピーク:39.4、45.2、123.0、130.2、131.6、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、ppm単位のケミカルシフトとして表される、以下のピーク:39.4、45.2、123.0、130.2、131.6、132.3、136.1、149.0、177.7および180.2±0.10~0.20ppmを含む13C ssNMRスペクトルを特徴とする。
【0070】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、2つの吸熱ピークおよび単一の発熱ピークを含むDSCパターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、122℃~125℃または123℃~124℃(例えば、123.5℃)の開始温度範囲を有する第1の吸熱ピークを含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、126℃~127℃などの125℃~127℃(例えば、126.1℃)のピーク温度範囲の第1の吸熱を含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、81~86J/g(例えば、83.47J/g)、例えば、82~85J/g、83~84J/gまたは83.5J/gなどの転移エンタルピーで第1の吸熱を含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、207℃~210℃または208℃~209℃(例えば、208.6℃)の開始温度範囲を有する第2の吸熱ピークを含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、211℃~212℃などの210℃~212℃(例えば、211.2℃)のピーク温度範囲の第2の吸熱を含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、82~87J/g(例えば、84.48J/g)、例えば、83~86J/g、84~85J/gまたは84.5J/gなどの転移エンタルピーで第2の吸熱を含む、DSCパターンを特徴とする。ある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、144℃~145℃などの143℃~146℃(例えば、144.6℃)のピーク温度範囲の単一の発熱ピークを含む、DSCパターンを特徴とする。上および図5に示されている吸熱ならびに発熱は、通常、±2℃、±1℃または±0.5℃などの±0.5~3℃の範囲内で再現可能となることが当業者によって理解されよう。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、図5に記載されているDSCパターンを特徴とする。
【0071】
ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、180.0℃までで5.5~6%(例えば、5.8%)の総重量減少を伴うTGAプロファイルを特徴とする。ある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、図5に記載されているTGAプロファイルを特徴とする。
【0072】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bは、10重量%未満の他の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態A)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態A)を含む。
【0073】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩水和物の結晶形態Bは、10重量%未満のアモルファス形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満のアモルファス形態を含む。
【0074】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、10重量%未満の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)を含む。
【0075】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、一水和物形態である。本出願のある特定のこのような実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bは、10重量%未満の他の溶媒和物形態または非溶媒和物形態、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の溶媒和物形態または非溶媒和物形態を含む。
【0076】
本出願は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、約10%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A~約100%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを含む。例えば、医薬組成物は、約10%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約20%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約30%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約40%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約50%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約60%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約70%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約80%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態A、約90%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたは約95%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを含む。
【0077】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを含む医薬組成物は、10重量%未満のメトピマジンメシル酸塩の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満のメトピマジンメシル酸塩の他の形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)を含む。
【0078】
本出願は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bおよび薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、約10%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B~約100%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bを含む。例えば、医薬組成物は、約10%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約20%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約30%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約40%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約50%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約60%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約70%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約80%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B、約90%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bまたは約95%のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bを含む。
【0079】
本出願のある特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bを含む医薬組成物は、10重量%未満の他の形態のメトピマジンメシル酸塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)、例えば、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満または0.01重量%未満の他の形態のメトピマジンメシル酸塩(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aなどのメトピマジンメシル酸塩の他の結晶形態またはメトピマジンメシル酸塩の他のアモルファス形態)を含む。
【0080】
本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、経口、十二指腸内、結腸内、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼内、経鼻、局部的、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、経筋肉、口内、舌下、直腸内、動脈内、注入によりまたは髄腔内に投与するのに好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、経口投与するのに好適である。ある特定の実施形態では、組成物は、舌下投与するのに好適である。
【0081】
本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、錠剤、カプセル剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、散剤、懸濁液剤、シロップ剤、浣腸、坐剤、エマルション剤または溶液剤、徐放製剤または放出調節製剤として製剤化される。ある特定の実施形態では、組成物は、徐放製剤として製剤化される。ある特定の実施形態では、組成物は、カプセル剤として製剤化される。
【0082】
本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、5mgのメトピマジンメシル酸塩を含む。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む、上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、10mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む、上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、15mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む、上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、20mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む。
【0083】
本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、1日1回、投与するのに好適である。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む上述の医薬組成物のいずれかの他の実施形態では、組成物は、1日2回、投与するのに好適である。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む上述の医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、1日3回、投与するのに好適である。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む上述の医薬組成物のいずれかの他の実施形態では、組成物は、1日4回、投与するのに好適である。
【0084】
本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が投与される。本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約240mgの間のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が投与され、例えば、1日あたり、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約80mg、約90mg、約100mg、約120mg、約150mg、約160mg、約180mg、約200mg、約240mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が投与される。本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、1日あたり20mgを超えるメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を投与するのに好適である。本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物のいずれかのある特定の実施形態では、組成物は、1日あたり30mgを超えるメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を投与するのに好適である。
【0085】
本出願は、それを必要とするヒト対象において、腸管神経系障害を処置する方法であって、対象に、本明細書において開示されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、慢性障害である。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、急性障害である。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひ、過敏性腸症候群、リソソーム蓄積症、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害、機能性消化不良、胃食道逆流症(GERD)および腸管神経形成異常からなる群から選択される。
【0086】
ある特定の実施形態では、腸管神経系障害は、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群から選択される症状を含む。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害の症状は、吐き気を含む。ある特定の実施形態では、腸管神経系障害の症状は、嘔吐を含む。
【0087】
本出願は、それを必要とするヒト対象において、胃不全まひを処置する方法であって、対象に、本明細書において開示されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、糖尿病性胃不全まひである。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、特発性胃不全まひである。ある特定の実施形態では、胃不全まひは、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退および便秘からなる群から選択される症状を含む。ある特定の実施形態では、胃不全まひの症状は、吐き気を含む。ある特定の実施形態では、胃不全まひの症状は、嘔吐を含む。
【0088】
本出願は、それを必要とするヒト対象において、胃不全まひに関連する吐き気を処置する方法であって、対象に、本明細書において開示されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0089】
本出願は、それを必要とするヒト対象において、胃不全まひに関連する嘔吐を処置する方法であって、対象に、本明細書において開示されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0090】
本出願は、それを必要とするヒト対象において、胃排出を改善する方法であって、対象に、本明細書において開示されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0091】
本出願は、それを必要とするヒト対象において、GI管の機能障害および運動障害を処置する方法であって、対象に、本明細書において開示されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0092】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に長期間、投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかの他の実施形態では、医薬組成物は、対象に短期間、投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも6日間、投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも7日間、投与される。ある特定のこのような実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも4週間、投与される。ある特定のさらなる実施形態では、医薬組成物は、対象に少なくとも12週間、投与される。
【0093】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日1回、投与される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日2回、投与される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日3回、投与される。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、対象に1日4回、投与される。
【0094】
本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約160mgの間のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、20mgを超えるメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、30mgを超えるメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、対象に投与される。本明細書に記載されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、1日あたり、約5mg~約240mgの間のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が対象に投与され、例えば、1日あたり、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約80mg、約90mg、約100mg、約120mg、約150mg、約160mg、約180mg、約200mg、約240mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約5mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、1日あたり1回、2回、3回または4回、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約10mg、約15mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mgまたは約60mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、1日あたり1回、2回、3回または4回、対象に投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約40mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、対象に1日4回、投与される。本明細書において開示されている方法のいずれかのある特定の実施形態では、約60mgのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)が、対象に1日4回、投与される。
定義
【0095】
本明細書および特許請求の範囲おいて使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、そうではないことを特に明確に指示しない限り、複数の参照物を含む。例えば、用語「細胞(a cell)」は、それらの混合物を含めた、複数の細胞を含む。
【0096】
用語「アゴニスト」は、本明細書において使用する場合、細胞において、特異的な受容体に結合し、応答の引き金となる、化合物、薬物、酵素活性化因子またはホルモンモジュレータなどの分子を一般に指す。アゴニストは、一般に、同じ受容体に結合する内在性リガンド(例えば、ドーパミンなど)の作用を疑似する。
【0097】
用語「アモルファス」とは、本明細書において使用する場合、識別可能な結晶格子を有さない、分子の無秩序な配列からなる固体を指す。
【0098】
用語「アンタゴニスト」とは、本明細書において使用する場合、アゴニストによって活性化された受容体への細胞応答を低下させる、阻害するまたは予防する、化合物などの分子を指す。アンタゴニストは、以下に限定されないが、競合的アンタゴニスト、非競合的アンタゴニスト、不競合的アンタゴニスト、部分アゴニストおよびインバースアゴニストを含むことができる。競合的アンタゴニストは、受容体を必ずしも活性化することなく、内在性リガンドまたはアゴニストと同じ結合部位(活性部位)において、受容体に可逆的に結合することができる。非競合的アンタゴニスト(アロステリックアンタゴニストとしても知られている)は、アゴニストとは明確に別の結合部位に結合して、別の結合部位を介して、その受容体にアンタゴニストの作用を発揮することができる。非競合的アンタゴニストは、一般に、アゴニストと結合を競合しない。受容体への非競合的アンタゴニストの結合は、その受容体へのアゴニストの親和性を低下させることがある。代替的に、受容体への非競合的アンタゴニストの結合は、アゴニスト媒介性受容体活性化に必要な、受容体の立体構造変化を阻止することがある。不競合的アンタゴニストは、個別のアロステリック結合部位に結合することができる前に、アゴニストによる受容体活性化を必要とし得る。部分アゴニストは、所与の受容体において、最大の受容体占有後に誘発する機能的応答の大きさに差異が生じ得る分子を指すことができる。部分アゴニストはアゴニストであるが、部分アゴニストは、完全アゴニストと受容体占有で競合し、完全アゴニスト単独で観察される受容体活性化の正味の低下が生じるので、部分アゴニストは、完全アゴニストと同時投与されると、競合的アンタゴニストとして作用することができる。インバースアゴニストは、アンタゴニストに類似した作用を有することができるが、一連の区別される下流の生物学的応答を引き起こす。固有活性または基礎活性を示す構成的に活性な受容体は、インバースアゴニストを有することができ、これは、従来的なアンタゴニストのように結合アゴニストの作用を遮断するだけではなく、受容体の基礎活性も阻害する。
【0099】
本明細書において使用する場合、用語「結晶(単数)」または「結晶(複数)」または「結晶性(crystalline)」または「結晶性の(crystalinic)」とは、固定した格子配列において、分子、原子またはイオンの短い範囲または長い範囲の秩序を有する、任意の固体を指す。本発明の塩結晶は、単結晶形態であってもよい。したがって、本発明の塩結晶は、三斜晶系、単斜晶系、斜方晶系、正方晶系、菱面体晶系、六方晶系または立方晶系の結晶形態またはそれらの混合物にあってもよい。特に、本発明の塩結晶は、乾燥結晶形態である。
【0100】
本明細書において使用する場合、「胃腸(GI)管」とは、かなりの吸収が観察される消化管の一部を指す。当業者は容易に理解する通り、かなりの吸収は、一般に、口腔、小腸(例えば、十二指腸、空腸および回腸)および大腸(例えば、結腸)において観察される。
【0101】
本明細書において使用する場合、「メトピマジンメシル酸塩」とは、1-(3-(2-(メチルスルホニル)-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペリジン-4-カルボキサミドメタンスルホン酸を指す。
【0102】
本明細書において使用する場合、「口腔」とは、一般に、口を指し、唇、頬および唇の内側の内張り、舌、上側および下側の歯茎、舌の下の口腔底部、舌下粘膜、口腔上部、および親知らずの後ろ側の領域を含む。
【0103】
本明細書において使用する場合、「末梢に制限される」化合物とは、一般に、対象の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない化合物を指す。この用語はまた、無傷の血液脳関門を通過することができるが、対象への投与時に、対象の無傷の血液脳関門を実質的に通過しない形態に迅速に代謝される、化合物も包含する。化合物は、対象に投与されると、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満の化合物が、対象の無傷の血液脳関門を通過する場合に、「末梢に制限される」と見なされ得る。
【0104】
用語「溶媒和物」とは、結晶構造内に取り込まれた、化学量論量または非化学量論量の溶媒のどちらかを含む、結晶性固体付加物を指す。したがって、用語「非溶媒和物」形態とは、本明細書では、本発明の結晶構造内に溶媒分子を含まない、または実質的に含まない、塩結晶を指す。同様に、用語「非水和物形態」とは、本明細書では、本発明の結晶構造内に水分子を含まない、または実質的に含まない、塩結晶を指す。
【0105】
本明細書において使用する場合、用語「処置」または「処置すること」は、本明細書において互換的に使用される。これらの用語は、以下に限定されないが、治療利益および/または予防利益を含めた、有益な結果または所望の結果を得るための手法を指す。治療利益は、処置されている根本的な障害の根絶または改善を意味することができる。同様に、対象が、依然として根本的な障害に罹患していることがあるにもかかわらず、改善が対象において観察されるように、根本的な障害に関連する生理的症状の1つまたは複数の根絶または改善により、治療的利益を達成することができる。予防的効果には、疾患または状態の出現を遅延または排除すること、疾患または状態の症状の発生を遅延させることまたは排除すること、疾患または状態の進行を減速、停止または反転させること、あるいはそれらの任意の組合せが含まれる。予防的利益に関すると、組成物は、この疾患の診断が行われたことがない場合でさえも、特定の疾患を発症するリスクのある対象、または疾患の生理的症状の1つもしくは複数を報告する対象に、投与されてもよい。
【0106】
薬剤の「治療量未満」とは、その薬剤にとって有効量よりも少ない量のことである。有効量もしくは治療量未満の1種または複数種の追加剤と組み合わせると、治療量未満は、例えば、生じた有効な効果または有害作用の軽減との相乗作用のために、医師によって望ましい結果を生じることができる。
【0107】
「相乗的に有効な」治療量もしくは「相乗的に有効な」量の薬剤または治療とは、有効量または治療量未満の1種または複数種の追加剤と組み合わせると、これらの薬剤のうちのいずれかを単独で使用した場合よりも、大きな効果を生じる量のことである。一部の実施形態では、相乗的に有効な治療量の薬剤または治療は、組み合わせて使用した場合、個々の薬剤のいずれかを単独で使用した場合の相加効果よりも大きな効果を生じる。用語「より大きな効果」は、処置される障害の症状の軽減だけではなく、副作用プロファイルの改善、耐容性の改善、患者の服薬順守の改善、効力の改善、または任意の他の臨床的転帰の改善も包含する。
【0108】
用語「共投与」、「組合せ投与」およびそれらの文法的等価物は、本明細書において使用する場合、動物への2種またはそれより多い薬剤の投与を包含し、その結果、両方の薬剤および/またはその代謝産物が、同時に対象中に存在する。共投与は、個別の組成物で同時に投与すること、個別の組成物で異なる時間に投与すること、または両方の薬剤が存在する組成物での投与を含む。
【0109】
用語「決定すること」、「測定すること」、「評価すること」、「アセスメントすること」、「アッセイすること」および「分析すること」は、本明細書において互換的に使用され、測定の任意の形態を指し、ある要素が存在するか否かを判定することを含む。これらの用語は、定量的決定および/または定性的決定の両方を含む。アセスメントするとは、相対的であってもよく、または絶対的であってもよい。「の存在をアセスメントする」は、存在するものの量を決定すること、およびそれが存在するかまたは存在しないかどうかを決定することを含む。
例示的な対象
【0110】
本明細書において開示されている医薬組成物は、それを必要とする対象における、障害の処置に使用することができる。対象は、障害に罹患していることがあるか、障害があると診断されていることがあるか、障害の症状を示していることがあるか、または障害を有することが疑われることがある。障害は、胃腸障害、腸管神経系障害または他の障害とすることができる。障害は、胃腸管の少なくとも一部の運動低下を特徴とすることができる。例えば、障害は、胃および/または腸の運動低下を特徴とし得る。運動低下は、例えば、ドーパミンシグナル伝達活性の異常による、ENSニューロンのシグナル伝達の異常によって引き起こされることがある。
【0111】
一部の実施形態では、腸管神経系障害は、胃不全まひである。用語「胃不全まひ」および「胃排出遅延」は、本明細書において互換的に使用されて、例えば、胃から小腸への食物の移動を遅くするまたは停止させる障害を指す。通常、迷走神経によって制御される胃の筋肉は、食物を破壊して、これを胃腸(GI)管に移動させることを担う。胃不全まひは、例えば、迷走神経が疾病または傷害によって損傷を受けている場合に起こる恐れがあり、胃の筋肉の正常な働きを停止させる。胃不全まひを有する対象では、食物は、胃から小腸までゆっくりと移動する恐れがあるか、または移動が完全に停止することがある。したがって、対象は、胃不全まひに罹患していることがあるか、胃不全まひと診断されていることがあるか、胃不全まひの症状を示していることがあるか、または胃不全まひを有することが疑われることがある。
【0112】
対象が、胃不全まひの症状を示している、または示した場合、胃不全まひを有することが疑われ得る。胃不全まひの症状は、いわゆる酸の逆流または胃酸逆流とも呼ばれる、胃食道逆流(GER)を含むことができる。胃食道逆流は、一般に、胃の内容物が逆に流れて食道に戻る状態を指す。胃不全まひに関連する他の症状は、以下に限定されないが、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、腹痛および/または胃領域の灼熱感、腹部膨満、食欲減退、食欲不振、栄養不良、吐き気ならびに嘔吐を含む。胃不全まひの症状は、軽度、中度または重度とすることができ、頻繁にまたは不定期に起こり得る。胃不全まひの症状は、同一対象において重症度が経時的に変わり得る。したがって、対象は、GER、早期満腹、食後膨満感、腹部膨満感、腹痛および/もしくは胃領域の灼熱感、腹部膨満、食欲減退、食欲不振、栄養不良、吐き気ならびに/または嘔吐を示すことがあるか、または示している。
【0113】
対象は、胃不全まひと診断されることがある。胃不全まひは、当業者に公知の、または他には本明細書に記載されている、任意の手段によって診断することができる。胃不全まひは、例えば、身体検査、病歴、血液検査、GI管における閉塞または構造上の問題を除外するための検査、胃排出アッセイ、およびGI収縮活動のアッセイにより診断することができる。検査はまた、栄養障害または根本的な疾患を特定することもある。胃不全まひを診断するのに有用な検査は、以下に限定されないが、上部胃腸(GI)内視鏡検査、上部GI造影、超音波検査、胃排出シンチグラフィー、胃排出呼気検査、洞内検圧法、胃筋電図検査法および/または胃腸電図検査法を含む。
【0114】
上部GI内視鏡検査は、胃排出遅延をもたらす恐れのある、他の状態(例えば、物理的な閉塞など)を除外するために使用することができる。上部GI内視鏡検査は、通常、例えば、食道、胃および十二指腸(小腸の最初の部分)を含めた、上部GI管を可視化するために、内視鏡(例えば、ライトを備える小型の可撓性管)の使用を含む。内視鏡は、一般に、胃および/または十二指腸を画像化するために使用される。内視鏡に装着されている小型カメラは、ビデオ画像をモニターに送信することができ、腸の内張りの綿密な検査をすることが可能となる。上部GI内視鏡検査は、上部GI管の物理的閉塞、例えば、大きな胃石(例えば、食物、粘液、食物繊維、毛髪または他の物質の固形堆積物)を示すことがある。一部の実施形態では、対象が胃不全まひの症状を示し、上部GI内視鏡検査が胃排出遅延を引き起こす物理的閉塞を明らかにしない場合、対象は胃不全まひと診断される。
【0115】
上部GI造影は、小腸を見るために行うことができる。この検査は、X線技師によって病院または外来患者施設において行われてもよく、画像は、放射線科医によって解釈され得る。手順の間に、対象は、X線装置の前に立つかまたは座り、粉っぽい液体であるバリウムを飲むことがある。バリウムは、小腸を覆い、胃不全まひの兆候がX線で一層はっきりと写る。胃不全まひは、X線が、空腹後の胃内の食物を示す場合に示され得る。一部の実施形態では、対象は、上部GI造影により、空腹後に胃内に食物があることが明らかになった場合、胃不全まひと診断される。
【0116】
超音波は、胃不全まひと共通した症状を共有することがある他の症候群を除外するのに有用となり得る。このような他の症候群は、胆嚢疾患およびすい臓炎を含む。超音波は、一般に、変換器と呼ばれる、安全で痛みのない音波を臓器から反射させて、その構造の画像を作成する装置を使用する。この手順は、特別に訓練を受けた技師によって、医療供給者のオフィス、外来患者施設または病院で行うことができる。超音波画像は、放射線科医によって解釈され得る。対象が胃不全まひの症状を示し、例えば、胆嚢疾患、すい臓炎などの他の症候群が、例えば、超音波によって除外される場合、その対象は胃不全まひと診断され得る。
【0117】
対象において、胃排出シンチグラフィーを使用して、胃不全まひを診断することができる。胃排出シンチグラフィーは、少量の放射活性物質を含有する、卵または卵代用品などの淡白な味の食事の摂取を含むことができる。放射活性物質は、99-Mテクネチウム(TC)硫黄コロイド、または他の放射活性リガンドとすることができる。検査は、放射線施設または病院で行われてもよい。腹部領域における放射活性を検出および/または測定するために、外部カメラが使用されてもよい。放射活性は、例えば、食後1、2、3および4時間時の時間間隔で測定され得る。胃不全まひは、4時間時の胃内の食事が10パーセントより多いことを示す対象において、陽性と特定され得る。胃排出の他の尺度は、以下に限定されないが、食事の50%が、胃から空になった時間を含む。例えば、参照により本明細書に組み込まれている、Thomforde, G. M. et al., Evaluation of an inexpensive screening scintigraphic test of gastric emptying, 36J. Nucl. Med. 93 (1995)を参照されたい。一部の実施形態では、対象は、胃排出シンチグラフィーにより、胃不全まひと診断される。
【0118】
胃排出をアセスメントするのに有用な呼気検査は、放射活性標識した食物(例えば、C13-オクタン酸により標識される)を利用することができる。食物に由来するC13は、小腸に到達すると、吸収され得る。吸収されたC13は、次に、肝臓内で迅速に代謝されて、13COを生成することができる。次に、生成した13COは、対象の呼吸で検出することができる。対象の呼気を収集し、規定間隔でサンプリングすることができる。試料の13COが、当分野において公知の任意の手段によって分析され得る。呼気中の13COが現れる比率を使用して、胃排出の速度を示すことができる。C13-オクタン酸呼気検査を実施する例示的な方法は、参照により本明細書に組み込まれている、Ghoos, Y. S., et al., 104 Gastroenterology 1640-1647 (1993)に記載されている。一部の実施形態では、対象は、呼気検査により、胃不全まひと診断される。
【0119】
検圧法とは、管腔における圧力変化のアセスメントを一般に指す。幽門洞十二指腸検圧法とも称され得る、洞内検圧法は、一般に、胃遠位および十二指腸における収縮活動の評価のための技法を指す。胃および/または十二指腸の腔内圧は、カテーテルによって管腔へ導入される圧力センサーによって測定することができる。測定は、腔内圧の変化をアセスメントするために、経時的に記録され得る。記録は、任意の時間量の間、継続されてもよい。腔内圧の変化を使用して、胃および/または十二指腸における、収縮パターンを示すことができる。腔内圧の変化は、空腹状態および/または食事の摂取後(食後)に測定することができる。食後の収縮運動低下は、対象における胃不全まひを示す可能性がある。したがって、対象は、検圧法によって求めると、食後の胃運動の低下を示すことがある。
【0120】
胃筋電図検査法は、一般に、胃の電気的活動を記録するための技法および方法を指す。同様に、胃腸電図検査法は、胃および小腸の電気的活動を記録するための技法および方法を指す。このような電気的活動は、胃腸粘膜、漿膜また外側の皮膚表面(皮膚)から記録することができる。胃腸粘膜は、GI管の粘膜層を指すことができる。胃腸管の漿膜は、漿液を分泌する細胞の薄い層、および薄い上皮層を含むことができる。記録は、空腹状態の間、および食事の摂取後(通常、60分間)に行うことができる。電気的活動の正常な頻度からの逸脱は、遅波および/または速波を含むことができる。対照対象は、通常、食後に、GI運動の向上を示す電気的活動の増大を示す。GI運動の異常を有する対象は、活動のリズム異常、および/または食後の向上の減損を示し得る。GI電気的活動の正常な頻度は1分間あたり、例えば3サイクルとすることができる。正常値から低下した、例えば、少なくとも1分間、1分間あたり2サイクル未満となるGI電気的活動の頻度と特徴付けることができる遅波は、胃不全まひを示し得る。一部の実施形態では、対象は、遅波を示すことがある。心電図に使用されているものに類似した皮膚用電極を用いて電気的活動を測定する、胃筋電図検査法(EGG)を使用して、胃不全まひを診断することもできる。参照により本明細書に組み込まれている、(Stern, R. N. et al. EGG: Common issues in validation and methodology, 24 Psychophysiology 55-64 (1987))。したがって、対象は、胃筋電図検査法によって求めると、胃不全まひと診断され得る。
【0121】
対象は、胃食道逆流症(GERD)に罹患していることがあるか、胃食道逆流症(GERD)と診断されていることがあるか、胃食道逆流症(GERD)の症状を示していることがあるか、または胃食道逆流症(GERD)を有することが疑われることがある。GERDは、胃食道逆流をもたらす慢性の状態であり得る。GERDの症状には、例えば、胸やけ、乾燥した慢性の咳、喘鳴、喘息、再発性肺炎、吐き気、嘔吐、咽頭痛、嚥下困難、胸部または上腹部の疼痛、歯牙侵食、口臭、唾吐きが含まれる。GERDは、検査の手助けを得て診断されることがある。GERDの診断に有用な検査には、例えば、本明細書に記載されている上部GI造影、上部の内視鏡検査、食道のpHモニタリングおよび食道の検圧法が含まれる。
【0122】
対象は、耳の前庭障害に関連する腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これと診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。耳の前庭障害は、メネトリエ病とすることができる。メネトリエ病は、胃壁の内側に沿った畝(本明細書において、ひだとも称される)が拡張し、胃の内張りに巨大ひだを形成することを特徴とし得る。メネトリエ病はまた、酸を産生する壁細胞の減少に起因する、胃酸の低下を引き起こすことがある。メネトリエ病の症状には、単なる例として、重症な胃痛、吐き気、頻繁な嘔吐などが含まれる。
【0123】
対象は、周期性嘔吐症候群(CVS)に罹患していることがあるか、周期性嘔吐症候群(CVS)と診断されていることがあるか、周期性嘔吐症候群(CVS)の症状を示していることがあるか、または周期性嘔吐症候群(CVS)を有することが疑われることがある。周期性嘔吐症候群は、無症状期と交互に現れる、重症な吐き気および嘔吐のエピソードまたはサイクルを特徴とすることができる。このようなエピソードは、数時間、または数日も続く恐れがある。エピソードは、1日の同じ時間に始まる可能性があり、同じ時間の長さ、続く可能性があり、同じ症状および強度のレベルで起こる可能性がある。エピソードは、ヒトが数日間、床についていなければならず、学校または職場に行くことができないほど重症であり得る。周期性嘔吐症候群の他の症状には、例えば、腹痛、下痢、発熱、目眩および嘔吐エピソードの間の光への過敏が含まれる。継続的な嘔吐は、生命を脅かす恐れがある、重症な脱水を引き起こすことがある。脱水の症状は、渇き、体重減少を含む。周期性嘔吐症候群は、少なくとも3か月間、以下の症状を経験した対象において診断され得る:1時間あたり数回の重症な嘔吐で始まり、1週間未満続く嘔吐エピソード、過去1年間に3回またはそれより多い別々の嘔吐エピソード、およびエピソード間に吐き気または嘔吐がないこと。
【0124】
対象は、過敏性腸症候群(IBS)に罹患していることがあるか、過敏性腸症候群(IBS)と診断されていることがあるか、過敏性腸症候群(IBS)の症状を示していることがあるか、または過敏性腸症候群(IBS)を有することが疑われることがある。IBSとは、一般に、対象が再発性または慢性の胃腸管症状を経験する、症候群を指す。IBSの症状は、例えば、腹痛、腹部の不快感、便秘、下痢、糞便中の粘液、腹部膨満、または上記のいずれかの組合せを含むことができる。IBSは、疼痛を説明することができる他の疾患または傷害がなく、ヒトが、直近の3か月間、1か月あたり少なくとも3回、腹痛または不快感を有した場合に診断されることがある。IBSの疼痛または不快感は、便の頻度もしくは硬さの変化を伴って起こることがあるか、または排便によって緩和されることがある。IBSは、対象の通常の便の硬さに基づいて、4つのサブタイプに分類することができる。IBSの4つのサブタイプは、以下の通りである:便秘(IBS-C)を伴うIBS、下痢を伴うIBS(IBS-D)、混合型IBS(IBS-M)およびサブタイプに分類されないIBS(IBS-U)。IBS-Cを有する対象は、少なくとも25%の回数で硬便または兎糞状便となることがあり、25%未満の回数で軟便または水様便を有することがあるか、またはこれら2つの組合せとなることがある。IBS-Dを有する対象は、少なくとも25%の回数で軟便または水様便となることがあり、25%未満の回数で硬便または兎糞状便となることがあるか、またはこれら2つの組合せとなることがある。IBS-Mを有する対象は、少なくとも25%の回数で硬便または兎糞状便となることがあり、少なくとも25%の回数で軟便または水様便となることがある。IBS-Uを有する対象は、25%未満の回数で硬便または兎糞状便となることがあり、25%未満の回数で軟便または水様便となることがあるか、またはこれら2つの組合せとなることがある。IBSに関連する便秘は、ゆっくりとした、または遅い胃運動によることができる。一部の実施形態では、IBSを有する対象は、便秘を経験している。IBSは、当分野で公知の、または他には本明細書に記載されている任意の手段によって対象に診断することができる。例えば、IBSは、医療供給者によって診断され得る。医療供給者は、身体検査を行うことができ、対象の病歴を取得することができる。IBSは、対象が、過去の3か月間、1か月あたり、少なくとも3回、起こる1つまたは複数の症状を伴い、少なくとも3、4、5または6か月間、IBSの1つまたは複数の症状を示した場合に診断されることがある。IBSの診断に有用となり得る追加の検査は、以下に限定されないが、便検査、下部GI造影、軟性S字結腸鏡検査または結腸内視鏡検査を含む。
【0125】
対象は、機能性消化不良(例えば、消化障害)に罹患していることがあるか、機能性消化不良と診断されていることがあるか、機能性消化不良の症状を示していることがあるか、または機能性消化不良を有することが疑われることがある。消化不良の症状には、以下に限定されないが、例えば、上腹部における慢性または再発性疼痛、上腹部膨満感、食後膨満感、早期満腹、腹部膨満、曖気、吐き気、嘔吐、胸やけ、口内の酸味が含まれる。機能性消化不良(例えば、非潰瘍性消化不良)は、一般に、消化不良の症状を説明する可能性がある、器質性疾患の証拠のない、消化不良を指す。機能性消化不良の例は、潰瘍のない消化不良である。機能性消化不良は、西洋諸国における総人口の約15%が罹患していると推定される。他の例示的なENS障害には、以下に限定されないが、例えば、腸管運動障害、神経節細胞腫、多発性内分泌腺腫瘍2B型(MEN2B)、胃腸管神経障害および腸管神経形成異常が含まれる。
【0126】
対象は、根本的な別の疾患によって引き起こされる腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これに診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。例えば、腸管神経系障害は、パーキンソン病誘発性ENS障害であり得る。パーキンソン病誘発性ENS障害は、ドーパミンENSニューロンの変性に関係し得る。パーキンソン病誘発性ENS障害の症状には、例えば、便秘、吐き気、嘔吐などが含まれる。一部の実施形態では、本出願の方法により処置される対象は、パーキンソン病と診断されており、この症状に罹患しており、これを有することが疑われており、本明細書に記載されているENS障害の症状をさらに示す。
【0127】
対象は、強皮症に関連し得る腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これを診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。強皮症は、皮膚および結合組織の硬化およびつっぱりを特徴とすることができる。一部の実施形態では、対象は、強皮症に関連する胃不全まひに罹患していることがあるか、これを診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある
【0128】
対象は、糖尿病関連腸管神経系障害に罹患していることがあるか、糖尿病関連腸管神経系障害と診断されていることがあるか、糖尿病関連腸管神経系障害の症状を示していることがあるか、または糖尿病関連腸管神経系障害を有することが疑われることがある。糖尿病関連腸管神経系障害は、糖尿病に関連する胃不全まひとすることができる。対象は、多発性硬化症に関連する腸管神経系障害に罹患していることがあるか、これを診断されていることがあるか、この症状を示していることがあるか、またはこれを有することが疑われることがある。
【0129】
胃不全まひなどの腸管神経系障害を引き起こし得る他の疾患および臨床状態には、例えば、がん、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、副腎不全(アジソン病)、胃潰瘍、胃炎、例えば、全迷走神経切除術(迷走神経の切除)、幽門洞切除(胃の前庭部より遠位の胃の一部の切除)、胃亜全摘術(胃腫瘍の切除)、胃空腸吻合術(胃の近位部分と小腸の部分などのGI管の2つの管腔を接続する外科的手順)、噴門形成術(胃の上部を食道の下端部に巻きつける外科的手順)などの胃手術後、多発性筋炎(筋力低下を引き起こす恐れのある持続的な炎症性筋肉疾患)、筋ジストロフィー(進行性筋力低下を引き起こす恐れのある疾患)、アミロイドーシス(胃腸管におけるような、対象の組織または臓器にアミロイドが蓄積することを特徴とする)、偽性腸閉塞症(腸閉塞に関連する症状を引き起こすが、腸閉塞は見られない状態)、皮膚筋炎(筋肉の炎症を特徴とする疾患)、全身性エリテマトーデス(神経系を含めた、身体の様々な組織に罹患し得る全身性自己免疫疾患)、例えば、食欲不振および過食症などの摂食障害、うつ病、腫瘍随伴症候群、ならびに高頸髄病変(例えば、脊髄C4またはそれより上側における病変)が含まれる。
【0130】
対象は、腸管神経系障害の症状を罹患し得る。例示的な症状は、本明細書に記載されている。一部の実施形態では、症状は、吐き気および/または嘔吐である。一部の実施形態では、症状の原因は、不明である(例えば、説明ができない吐き気)である。一部の実施形態では、症状は、慢性または再発性症状である。対象は、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも4週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも12か月間(1年間)、少なくとも1.5年間、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、少なくとも5年間、少なくとも6年間、少なくとも7年間、少なくとも8年間、少なくとも9年間または少なくとも10年間、症状を例えば、経験することがある。対象は、1か月に、1、2、3、4、5、6、7、8、8、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31回または31回より多い回数、症状を経験することがある。
【0131】
対象は、例えば、マウス、ラット、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコ、例えばサルまたはヒトなどの霊長類とすることができる。一部の実施形態では、対象はヒトである。対象は、成人、子供または乳児とすることができる。対象は、任意の年齢であってもよい。
医薬組成物の使用
【0132】
本明細書に記載されている医薬組成物は、対象に安全に投与することができる。本明細書に記載されている医薬組成物は、心臓の有害な副作用を発症するリスクを必ずしも増大することなく、投与することができる。例えば、本明細書に記載されている医薬組成物は、心筋活動電位をモジュレートするリスクを増大させることがないかもしれず、および/またはQT延長症候群を誘発するリスクを増大させることがないかもしれず、および/または心停止のリスクを増大させることがないかもしれず、および/または心停止による突然死のリスクを増大させることがないかもしれない。
【0133】
対象には、限定されない時間量の間、本明細書に記載されている有効量の医薬組成物が安全に投与することができる。対象には、有効量の医薬組成物を短期間または長期間、安全に投与することができる。例えば、対象には、1日間、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、5日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間(1週間)、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも3か月間、少なくとも4か月間、少なくとも5か月間、少なくとも6か月間、少なくとも7か月間、少なくとも8か月間、少なくとも9か月間、少なくとも10か月間、少なくとも11か月間、少なくとも12か月間(1年間)、少なくとも2年間、少なくとも5年間または少なくとも10年間に1回、有効量の医薬組成物を安全に投与することができる。
【0134】
本明細書に記載されている医薬組成物の投与は、対象が望ましくない心臓の副作用を発症するという許容されるリスクをもたらす恐れがある。このような望ましくない心臓の副作用の発症に関する医薬組成物の投与リスクは、当分野で公知の、または本明細書に記載されている任意の手段によって判定することができる。例えば、リスクは、医薬組成物が投与されていない対照対象の集団における突然死の出現率に比べて、医薬組成物を投与した対象の集団における突然死の出現率を比較することによって判定することができる。リスクは、望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物の投与を受けた対象の数、および望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物の投与を受けた対象の数を追跡することによって判定することができる。例えば、a=望ましくない心臓の副作用を経験した医薬組成物の投与を受けた対象の数であり、b=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物の投与を受けた対象の数である場合、医薬組成物の投与を受けていることによりもたらされる望ましくない心臓の副作用を経験するリスクは、a/(a+b)として計算することができる。相対リスク(Relative risk:RR)を使用して、医薬組成物の投与によってもたらされる望ましくない心臓の副作用を発症するリスクを、医薬組成物の投与を受けていない対象の集団における望ましくない心臓の副作用を発症するリスクと比較することができる。例えば、a=望ましくない心臓の副作用を経験した医薬組成物の投与を受けた対象の数であり、b=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物の投与を受けた対象の数であり、c=望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物の投与を受けていない対象の数であり、d=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物の投与を受けていない対象の数である場合、医薬組成物の投与によりもたらされるRRは、a/(a+b)/(c/(c+d))として計算することができる。他の例に関すると、リスクは、オッズ比を計算することによって判定することができる。
【0135】
心臓性突然死の場合の本明細書に記載されている医薬組成物の投与のRRは、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.05未満、約1または1未満とすることができる。
【0136】
心臓性突然死の場合の本明細書に記載されている医薬組成物の投与のオッズ比は、許容されるオッズ比となり得る。オッズ比(OR)という用語は、一般に、曝露(例えば、薬物への曝露)および転帰(例えば、心臓性突然死)との間の関連性の尺度を指す。ORは、特定の曝露の非存在下で起こる転帰のオッズと比較した、その曝露が与えられた場合に転帰が起こるオッズを表すことができる。オッズ比は、症例対照研究、ならびに横断研究およびコホート研究の設計研究において使用することができる。例えば、a=望ましくない心臓の副作用を経験した医薬組成物の投与を受けた対象の数であり、b=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物の投与を受けた対象の数であり、c=望ましくない心臓の副作用を経験した、医薬組成物の投与を受けていない対象の数であり、d=望ましくない心臓の副作用を経験しなかった、医薬組成物の投与を受けていない対象の数である場合、医薬組成物の投与によりもたらされるORは、ad/bcとして計算することができる。
【0137】
心臓性突然死の場合の、本明細書に記載されている医薬組成物の投与のORは、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満、1.05未満、約1または1未満とすることができる。
【0138】
ENSの処置に使用するための本明細書に記載されている医薬組成物は、ENSの処置向けに以前に適応とされたドーパミンをモジュレートする他の薬物とは異なり、末梢に制限される。したがって、このような医薬組成物は、脳ドーパミン作動性シグナル伝達によって媒介される運動に関連する機能不全を発症する対象のリスクを増大することなく、対象に安全に投与することができる。例えば、このような医薬組成物は、錐体外路の副作用を発症する対象のリスクを増大することなく、対象に安全に投与することができる。例示的な錐体外路の副作用には、例えば、遅発性ジスキネジア(筋肉の不随意非対称運動)、ジストニア(持続的な筋肉収縮を特徴とする)、無動症(運動の欠如)、静座不能(動作の落ち着きがない感覚)、運動緩慢(遅い動き)、こわばりおよび振戦、ねじれおよび/または反復運動、姿勢異常、筋痙攣、例えば、首の筋痙攣(斜頸)、目の筋痙攣(眼球上転発作)、舌の痙攣、顎の痙攣などが含まれる。錐体外路症状は、当分野で公知の、または他には本明細書に記載されている任意の手段によってアセスメントすることができる。例えば、錐体外路症状は、シンプソン-アンガス尺度(SAS)、および/または薬原性アカシジア評価尺度(BARS)を使用してアセスメントすることができる。一部の実施形態では、錐体外路の副作用の出現を伴う腸管神経系障害を処置する際に使用するための本明細書に記載されている医薬組成物の投与のオッズ比は、4未満、3.9未満、3.8未満、3.7未満、3.6未満、3.5未満、3.4未満、3.3未満、3.2未満、3.1未満、3.0未満、2.9未満、2.8未満、2.7未満、2.6未満、2.5未満、2.4未満、2.3未満、2.2未満、2.1未満、2.0未満、1.9未満、1.8未満、1.7未満、1.6未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満、1.1未満,1.05未満、約1または1未満である。
【0139】
本出願の医薬組成物は、対象への投与時に、胃の運動性を促進することができる。このような医薬組成物は、例えば、対象の腸ニューロンにおけるドーパミンD-受容体媒介性シグナル伝達を低減することによって、胃の運動性を促進することができる。例えば、医薬組成物は、対象の腸ニューロンにおける、ドーパミンD受容体を拮抗することができる。他の例に関すると、医薬組成物は、腸ニューロンのドーパミン作動性神経伝達を低減することがある。
【0140】
胃の運動性は、当業者に公知の、または他には本明細書に記載されている、任意の手段によってアセスメントすることができる。例えば、胃の運動性は、洞内検圧法によって、または胃不全まひの診断において有用な方法によってアセスメントすることができる。胃不全まひの診断において有用な例示的な方法は、本明細書に記載されている。
【0141】
本明細書に記載されている医薬組成物の投与は、対照対象および/または対照集団と比較して、胃の運動性を改善することができる。対照対象は、本明細書に記載されている医薬組成物の投与を受けたことがない個体とすることができる。対照集団は、本明細書に記載されている医薬組成物の投与を受けたことがない複数の個体とすることができる。対照対象は、本明細書に記載されている医薬組成物の投与を受けていない、ENS障害に罹患しているか、その診断を受けたか、それを有することが疑われるか、またはその症状を示す、対象とすることができる。対照対象は、必ずしも異なる個体である必要はなく、ある用量の本明細書に記載されている医薬組成物を服用する前の時間点において、同一対象であってもよい。対照対象は、医薬組成物が、対象においてもはや作用しないような十分な時間が経過した後、ある用量の本明細書に記載されている医薬組成物を服用した後の時間点において、同一対象であってもよい。対照対象は、異なる対象とすることができる。一部の実施形態では、医薬組成物の投与により、対照対象に比べて、少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%または100%超で、胃の運動性が向上する。
【0142】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物の投与は、対象における、腸管神経系障害の症状を処置するのに有効である。例示的な症状は、本明細書に記載されている。症状は、吐き気、嘔吐、胃排出遅延、下痢、腹痛、ガス、腹部膨満、胃食道逆流、食欲減退、体重減少および便秘からなる群から選択され得る。特定の場合、本明細書に記載されている医薬組成物の投与は、対象における吐き気を軽減する。本明細書に記載されている医薬組成物の投与は、本明細書に記載されている症状のいずれかの重症度を軽減することができる。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物の投与により、1~5%、2~10%、5~20%、10~30%、20~50%、40~70%、50~80%、70~90%、80~95%、90~100%、症状の重症度が軽減される。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物の投与により、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%または90%超で、症状の重症度が軽減される。
【0143】
本明細書に記載されている医薬組成物の投与により、症状の発生の頻度が低減され得る。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物の投与により、1~5%、2~10%、5~20%、10~30%、20~50%、40~70%、50~80%、70~90%、80~95%、90~100%、症状の発生の頻度が低減される。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物の投与により、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、または90%超で、症状の発生の頻度が低減される。一部の場合、本明細書に記載されている医薬組成物の投与により、1日あたり1未満のエピソード、1週間あたり1未満のエピソード、1か月あたり2未満のエピソード、1か月あたり1未満のエピソード、2か月毎に1未満のエピソード、3か月毎に1未満のエピソード、4か月毎に1未満のエピソード、5か月毎に1未満のエピソード、6か月毎に1未満のエピソード、7か月毎に1未満のエピソード、8か月毎に1未満のエピソード、9か月毎に1未満のエピソード、10か月毎に1未満のエピソード、11か月毎に1未満のエピソードまたは12か月毎(1年間)に1未満のエピソードまで、症状の発生の頻度が低減される。
【0144】
hERGチャネル阻害は、当分野で公知の、または他には本明細書に記載されている任意の手段によって判定することができる。hERGチャネル阻害は、例えば、hERGを発現する培養細胞を利用することによって、in vitroにおいてアセスメントすることができる。hERGチャネル阻害をアセスメントするためのhERGを発現する培養細胞は、例えば、Life Technologies、Cyprotexなどの、いくつかの市販供給業者から入手可能である。hERGチャネル阻害は、例えば、電圧クランプ検討、hERG結合アッセイなどを含めた、当分野で公知の様々な手段によってアセスメントすることができる。電圧クランプ検討は、市販のハイスループットシステムの使用を用いることができる。例示的なハイスループットシステムは、例えば、米国特許第8,329,009号および米国特許出願公開第20020164777号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれている。hERG結合アッセイは、3Hドフェチリドを使用して、競合結合アッセイおよび/または飽和結合アッセイを含むことができる。このようなアッセイは、参照により本明細書に組み込まれている、J Pharmacol Toxicol Methods. 2004 Nov-Dec;50(3):187-99に記載されている。hERGチャネル阻害は、大型動物モデル、例えばイヌにおける、例えば、心筋活動電位のアセスメントによるin vivo検討によって決定することができる。
【0145】
最小限のhERG阻害は、0.1μM超、0.2μM超、0.3μM超、0.4μM超、0.5μM超、0.6μM超、0.7μM超、0.8μM超、0.9μM超、1μM超、2μM超、3μM超、4μM超、5μM超、6μM超、7μM超、8μM超、9μM超、10μM超、15μM超、20μM超、30μM超、40μM超、50μM超、60μM超、70μM超、80μM超、90μM超または100μM超となる、IC50によって証明され得る。
【0146】
最小限のhERG阻害は、薬物の所与の任意の用量において、hERG媒介性末尾電流の%阻害を測定することによって証明することもできる。hERG媒介性末尾電流は、電圧クランプ検討によって、例えば、パッチクランプ検討によって測定することができる。例えば、hERG媒介性末尾電流は、細胞に試験剤を接触させる前に、hERGを発現する細胞において測定することができる。次に、hERG媒介性末尾電流は、ある用量の試験剤と接触させた後に、hERGを発現する細胞において測定することができる。試験剤の投与前および投与後のhERG媒介性末尾電流の間の差異は、試験剤がhERG媒介性末尾電流を阻害する程度を決定するために使用することができる。開示されている方法に使用するための好適な薬剤は、1μMの用量において、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。開示されている方法に使用するための好適な薬剤は、100nMの用量において、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。一部の実施形態では、メトピマジンは、3μMの用量において、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。一部の実施形態では、メトピマジンの酸は、10μMまたはそれより高い用量において、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.25%未満、0.2%未満、0.15%未満または0.1%未満だけ、hERG媒介性末尾電流を阻害することができる。
例示的な医薬組成物
【0147】
本出願の方法に利用される医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。本組成物用の薬学的に許容される担体は、以下に限定されないが、アミノ酸、ペプチド、生体ポリマー、非生体ポリマー、単糖またはデンプン、無機塩およびガムを含むことができ、これらは、単独で存在してもよく、または組合せで存在してもよい。許容される担体に使用されるペプチドは、例えば、ゼラチンおよび/またはアルブミンを含むことができる。セルロースまたはその誘導体は、薬学的に許容される担体に使用されてもよい。許容される担体に使用される糖は、ラクトースおよび/またはグルコースであってもよい。医薬組成物において利用することができる他の有用な糖は、以下に限定されないが、フルクトース、ガラクトース、ラクチコール、マルチトール、マルトース、マンニトール、メレジトース、ミオイノシトール、プラチネート(palatinate)、ラフィノーゼ、スタキオース、スクロース、トレハロース(tehalose)、キシリトール、それらの水和物、およびそれらの組合せ物を含む。結合剤は、薬学的に許容される担体に含まれていることがある。結合剤の例には、以下に限定されないが、デンプン(例えば、トウモロコシデンプンまたはバレイショデンプン)、ゼラチン;アカシア、アルギン酸ナトリウム、トラガカント粉末、グアーガム、セルロースまたはセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース(methycellulose)、エチルセルロース、酢酸セルロース)などの天然または合成ガム;マイクロクリスタリンセルロース、ポリビニルピロリドンおよびそれらの混合物が含まれる。許容される担体に使用される無機塩は、マグネシウム塩、例えば、塩化マグネシウムまたは硫酸マグネシウムであってもよい。他の無機塩、例えば、カルシウム塩が使用されてもよい。カルシウム塩の例には、以下に限定されないが、塩化カルシウム、硫酸カルシウムが含まれる。薬学的に許容される担体に使用することができる物質の他の例には、以下に限定されないが、ピーナッツ油、綿実油、オリーブ油、トウモロコシ油などの植物油;グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;発熱物質不含水、等張性生理食塩水、リン酸緩衝溶液;Tweens(登録商標)などの乳化剤;湿潤剤、滑沢剤、着色剤、着香剤、保存剤が含まれる。
【0148】
用語「湿潤剤」は、「界面活性剤」と互換的に使用することができ、液体の表面張力を低下させ、これによって液体が一層容易に広がることを可能にする物質を指す。本出願の医薬組成物および剤形を形成するために使用することができる界面活性剤は、以下に限定されないが、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤およびそれらの混合物が含まれる。すなわち、親水性界面活性剤の混合物が使用されてもよく、親油性界面活性剤の混合物が使用されてもよく、または少なくとも1種の親水性界面活性剤と少なくとも1種の親油性界面活性剤との混合物が使用されてもよい。
【0149】
好適な親水性界面活性剤は、一般に、少なくとも10のHLB値を有することができる一方、好適な親油性界面活性剤は、一般に、約10またはそれ未満のHLB値を有することができる。非イオン性両親媒性化合物の相対的な親水性および疎水性を特徴付けるために使用することができる有用なパラメータが、親水性-親油性バランス(「HLB」値)である。低いHLB値を有する界面活性剤ほど、疎水性が高く、油への溶解度がより高い一方、高いHLB値を有する界面活性剤ほど、親水性が高く、水溶液への溶解度が一層高い。親水性界面活性剤は、一般に、約10より高いHLB値を有する化合物、およびHLBスケールが一般に適用可能ではない陰イオン性化合物、陽イオン性化合物、または双性イオン性化合物と考えられる。同様に、親油性(すなわち、疎水性)界面活性剤は、一般に、約10またはそれ未満のHLB値を有する化合物と考えられる。しかし、界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬品用および化粧品用のエマルションの製剤化を可能にするよう一般に使用される、単なる大まかな指針を提供するに過ぎない。
【0150】
親水性界面活性剤は、イオン性または非イオン性のどちらか一方とすることができる。好適なイオン性界面活性剤には、以下に限定されないが、アルキルアンモニウム塩、アミノ酸の脂肪酸誘導体、アミノ酸のグリセリド誘導体、フシジン酸塩、オリゴペプチドおよびポリペプチド、オリゴペプチドおよびポリペプチド、レシチンおよび水素化レシチン、リゾレシチンおよび水素化リゾレシチン、リン脂質およびその誘導体、脂肪酸塩、リゾリン脂質およびその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、アルキル硫酸塩、ドキュセートナトリウム、アシラクチレート(acylactylate)、モノグリセリドおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル、スクシニル化モノグリセリドおよびジグリセリド、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0151】
前述の群の範囲内で、イオン性界面活性剤には、以下に限定されないが、レシチン、リゾレシチン、リン脂質、リゾリン脂質およびその誘導体、カルニチン脂肪酸エステル塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、ドキュセートナトリウム、アシラクチレート、モノグリセリドおよびジグリセリドのモノおよびジアセチル化酒石酸エステル、スクシニル化モノグリセリドおよびジグリセリド、モノグリセリドおよびジグリセリドのクエン酸エステル、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0152】
イオン性界面活性剤は、脂肪酸の乳酸エステル、レシチン、リゾレシチン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルグリセロール、リゾホスファチジン酸、PEG-ホスファチジルエタノールアミン、PVP-ホスファチジルエタノールアミン、ステアロイル-2-ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コリルサルコシン、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、リシノール酸、硫酸ラウリル、硫酸テラセシル、ドキュセート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、ならびにそれらの塩および混合物のイオン化形態であってもよい。
【0153】
親水性非イオン性界面活性剤は、以下に限定されないが、アルキルグルコシド、アルキルチオグルコシド、アルキルマルトシド、ラウリルマクロゴールグリセリド、ポリエチレングリコールアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールアルキルフェノールなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸モノエステルおよびポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノール脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマーおよびそれらの混合物、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステルなどのポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオールと、グリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロール、ポリオキシエチレンステロールおよびそれらの誘導体またはアナログからなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物、ポリオキシエチル化ビタミンおよびその誘導体、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ならびにポリオールと、トリグリセリド、植物油および水素化植物油からなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの親水性エステル交換生成物を含むことができる。ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールまたはサッカライドとすることができる。
【0154】
他の親水性非イオン性界面活性剤には、非限定的に、ラウリン酸PEG-10、ラウリン酸PEG-12、オレイン酸PEG-12、オレイン酸PEG-15、オレイン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-20、二ラウリン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-32、二オレイン酸PEG-20、オレイン酸PEG-32、オレイン酸PEG-200、オレイン酸PEG-400、ステアリン酸PEG-15、二ステアリン酸PEG-32、ステアリン酸PEG-40、ステアリン酸PEG-100、二ラウリン酸PEG-20、トリオレイン酸PEG-25グリセリル、二オレイン酸PEG-32、ラウリン酸PEG-20グリセリル、トリオレイン酸PEG-20、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ステアリン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-20グリセリル、オレイン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-30グリセリル、ラウリン酸PEG-40グリセリル、PEG-50水添ヒマシ油、PEG-40ヒマシ油、PEG-35ヒマシ油、PEG-60ヒマシ油、PEG-40パーム核油、PEG-40水添ヒマシ油、PEG-60水添ヒマシ油、PEG-60トウモロコシ油、PEG-6カプリン酸/カプリル酸グリセリド、PEG-8カプリン酸/カプリル酸グリセリド、ラウリン酸ポリグリセリル-10、PEG-30コレステロール、PEG-25フィトステロール、PEG-30ダイズステロール、オレイン酸PEG-40ソルビタン、ラウリン酸PEG-80ソルビタン、ポリソルベート20、ポリソルベート80、POE-9ラウリルエーテル、POE-23ラウリルエーテル、POE-10オレイルエーテル、POE-20オレイルエーテル、POE-20ステアリルエーテル、コハク酸トコフェリルPEG-100、PEG-24コレステロール、オレイン酸ポリグリセリル-10、Tween(登録商標)40、Tween(登録商標)60、モノステアリン酸スクロース、モノラウリン酸スクロース、モノパルミチン酸スクロース、PEG10-100ノニルフェノールシリーズ、PEG15-100オクチルフェノールシリーズおよびポロキサマーが含まれる。
【0155】
好適な親油性界面活性剤には、以下に限定されないが、脂肪アルコール、グリセロール脂肪酸エステル、アセチル化グリセロール脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールソルビタン脂肪酸エステル、ステロールおよびステロール誘導体、ポリオキシエチル化ステロールおよびステロール誘導体、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、糖エーテル、糖エステル、ポリオールとグリセリド、植物油、水素化植物油、脂肪酸およびステロールからなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物、油溶性ビタミン/ビタミン誘導体、モノグリセリドおよびジグリセリドの乳酸誘導体、ならびにそれらの混合物が含まれる。この群の範囲内では、好ましい親油性界面活性剤は、グリセロール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそれらの混合物を含むか、またはポリオールと植物油、水素化植物油およびトリグリセリドからなる群のうちの少なくとも1つのメンバーとの疎水性エステル交換生成物である。
【0156】
医薬組成物に使用することができる滑沢剤には、以下に限定されないが、寒天、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱物油、軽質鉱物油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例えば、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethylaureate)、またはそれらの混合物が含まれる。さらなる滑沢剤には、例として、syloidシリカゲル、合成シリカの凝集エアロゾル(coagulated aerosol)、またはそれらの混合物が含まれる。滑沢剤は、医薬組成物の約1重量%未満の量で、必要に応じて添加することができる。
【0157】
組成物は、1種または複数種の薬学的に許容される添加物を含むことができ、これらは、以下に限定されないが、脱粘着付与剤、消泡剤、緩衝化剤、抗酸化剤、ポリマー、保存剤、キレート剤、付臭剤、乳白剤、懸濁化剤、充填剤、可塑剤、およびそれらの混合物を含むことができる。
【0158】
一部の実施形態では、薬学的に許容される担体は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の90%超、80%超、70%超、60%超、50%超、40%超、30%超、20%超、10%超、9%超、8%超、6%超、5%超、4%超、3%超、2%超、1%超、0.5%超、0.4%超、0.3%超、0.2%超、0.1%超、0.09%超、0.08%超、0.07%超、0.06%超、0.05%超、0.04%超、0.03%超、0.02%超、0.01%超、0.009%超、0.008%超、0.007%超、0.006%超、0.005%超、0.004%超、0.003%超、0.002%超、0.001%超、0.0009%超、0.0008%超、0.0007%超、0.0006%超、0.0005%超、0.0004%超、0.0003%超、0.0002%超または0.0001%超を占める。
【0159】
一部の実施形態では、組成物中のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の濃度は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の100%未満、90%未満、80%未満、70%未満、60%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、9%未満、8%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.4%未満、0.3%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.09%未満、0.08%未満、0.07%未満、0.06%未満、0.05%未満、0.04%未満、0.03%未満、0.02%未満、0.01%未満、0.009%未満、0.008%未満、0.007%未満、0.006%未満、0.005%未満、0.004%未満、0.003%未満、0.002%未満、0.001%未満、0.0009%未満、0.0008%未満、0.0007%未満、0.0006%未満、0.0005%未満、0.0004%未満、0.0003%未満、0.0002%未満または0.0001%未満を占める。
【0160】
一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の濃度は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約20%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%の範囲にある。
【0161】
一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の濃度は、w/w、w/vまたはv/v基準で、医薬組成物の約0.0001%~約5%、約0.001%~約4%、約0.01%~約2%、約0.02%~約1%または約0.05%~約0.5%の範囲にある。
【0162】
医薬組成物の、一部の非限定例が以下に記載されている。
経口投与向け医薬組成物
【0163】
有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物は、経口投与向けに製剤化され得る。一部の実施形態では、経口投与向けの、有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物は、固体医薬組成物である。一部の実施形態では、固体医薬組成物は、個別の(例えば、単位)経口剤形として供給されてもよい。個別の経口剤形の非限定例には、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、ゼラチンカプセル剤、徐放製剤、ロゼンジ剤、薄層フィルム剤、ロリポップ剤、咀嚼ガム剤が含まれる。一部の実施形態では、個々の経口剤形は、例えば、口内崩壊性錠剤などの、口内崩壊性の経口剤形である。
【0164】
錠剤などの個別の経口剤形は、公知技法によってコーティングされて、胃腸管における吸収を遅延または延長することができ、こうして、一層長い期間の持続作用を提供する。一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、炭酸カルシウムまたはリン酸カルシウムなどの、1種または複数種の不活性固体希釈剤と混合される。一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、軟質ゼラチンカプセル剤として供給され、この場合、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、例えば、水と、またはピーナッツ油もしくはオリーブ油などの油性媒体と混合される。
【0165】
一部の実施形態では、経口投与向けの、有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む医薬組成物は、液体医薬組成物である。経口投与向けの液体組成物の非限定例には、親水性懸濁液剤、エマルション剤、液体剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、溶液剤、エリキシル剤、ソフトゲル剤、チンキ剤およびヒドロゲル剤が含まれる。一部の実施形態では、経口投与向けの、有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む固体組成物または液体組成物は、様々な甘味剤または着香剤または着色剤を含む。着色剤の例には、ブドウ皮抽出物、ビートレッドパウダー、ベータカロテン、アナトー、カルミン、ターメリック、パプリカなどのF.D.&C.色素および天然着色剤として公知のものなどの、食物に好適な色素を含む。上記の有色化合物のいずれかの誘導体、アナログおよび異性体も使用されてよい。
【0166】
このような剤形は、例えば、薬局において、当業者に周知の方法によって調製されてもよい。このような方法は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を薬学的に許容される担体と一緒にするステップを含む。
【0167】
水は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の分解を促進する恐れがあるので、本出願は、有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む、無水医薬組成物および剤形をさらに包含する。一部の実施形態では、本出願の無水医薬組成物および剤形は、無水成分または低水分含有成分を使用して調製される。一部の実施形態では、本出願の無水医薬組成物および剤形は、低湿度条件または低水分条件下で調製される。ラクトースを含有する本出願の医薬組成物は、製造、包装および/または保管中の水分および/または湿気との大きな接触が予期される場合、無水で作製され得る。有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を含む無水医薬組成物は、その無水性質を維持するよう、調製して保管することができる。例えば、無水組成物は、好適な処方キットに含まれ得るよう、水に対する曝露を防止することが知られている材料を使用して包装されてもよく、これらの例には、以下に限定されないが、気密ホイル、プラスチックなど、単位用量容器、ブリスター包装およびストリップパックが含まれる。
注射または非経口投与用の医薬組成物
【0168】
一部の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与用に製剤化されている。「非経口投与」は、一般に、胃腸管以外の投与経路を指す。非経口投与の例には、以下に限定されないが、静脈内注射、動脈内注射、髄腔内注射(脊髄内へ)、扁桃内注射、皮下注射、筋肉内注射、注入または埋め込みが含まれる。注入は、皮内、または皮下、または経皮インプラントによるものであってもよい。非経口投与用の例示的な医薬組成物は、参照により本明細書に組み込まれている以下の参照文献:米国特許出願公開第2006/0287221号、米国特許第5244925号、同第4309421号、同第4158707号および同第5164405号に開示されており、それらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。
【0169】
非経口投与用に製剤化されている組成物は、注射および/または注入に一般に使用される水溶液および/または緩衝液を含んでもよい。一般に使用される水性緩衝液および/または溶液は、以下に限定されないが、約0.9%の塩化ナトリウム溶液、リン酸緩衝液、乳酸添加リンゲル液、酢酸リンゲル液、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸緩衝液、Tris緩衝液、ヒスチジン緩衝液、HEPES緩衝液、グリシン緩衝液、N-グリシルグリシン緩衝液などを含むことができる。非経口投与用の他の薬学的に許容される担体は、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、シクロデキストリンおよびシクロデキストリン誘導体、植物油などを含むことができる。
【0170】
一部の実施形態では、注射および/または注入用の医薬組成物は、微生物の汚染もしくは分解を効果的に予防または低減する量で存在する保存剤を含有する。様々な作用剤、例えば、フェノール、m-クレゾール、ベンジルアルコール、パラベン、クロロブタノール、メトトレキセート、ソルビン酸、チメロサール(thimerosol)、ヒドロキシ安息香酸エチル、ビスマストリブロモフェネート、ヒドロキシ安息香酸メチル、バシトラシン、ヒドロキシ安息香酸プロピル、エリトロマイシン、5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、ミトキサントロン、リファマイシン、クロロクレゾール、塩化ベンザルコニウムを使用して、汚染を予防または低減することができる。
【0171】
一部の実施形態では、滅菌溶液は、適切な溶媒中、必要量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を、必要に応じて本明細書に記載されている様々な他の成分と一緒に組み込み、次にろ過して殺菌することによって調製される。一般に、分散液は、基礎分散媒体、および上で列挙されているものから必要とされる他の成分を含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌済み活性成分を配合することにより調製される。注射用滅菌溶液を調製するための滅菌粉末の場合、調製のある特定の方法は、以下に限定されないが、活性成分の粉末および任意のさらなる所望の成分を予め滅菌ろ過されたその溶液から得る真空乾燥技法および凍結乾燥技法を含む。
【0172】
一部の実施形態では、医薬組成物は、局所および/または経皮送達用に製剤化される。本出願の組成物は、局部または局所投与に好適な、液体、半固体または固体形態の調製物に製剤化され得る。局所または局部投与に好適な形態の例には、以下に限定されないが、ゲル剤、水溶性ゼリー剤、クリーム剤、ローション剤、懸濁液剤、発泡体剤、散剤、スラリー剤、軟膏剤、油剤、ペースト剤、坐剤、溶液剤、噴霧剤、エマルション剤、生理食塩水溶液剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)をベースとする溶液剤が含まれる。一般に、より高い密度を有する担体は、活性成分に長期間曝露される領域をもたらすことが可能である。対照的に、溶液製剤は、選択領域への活性成分の一層速やかな曝露をもたらすことができる。
【0173】
医薬組成物は、好適な固相担体またはゲル相担体を含んでもよく、これらは、皮膚の角質層障壁を通過する、治療分子の浸透の増大または送達の支援を可能にする化合物である。局所製剤の当業者に公知のこれらの浸透促進性分子が多数存在する。このような担体および賦形剤の例には、以下に限定されないが、アルコール(例えば、エタノール)、脂肪酸(例えば、オレイン酸)、保水剤(例えば、ウレア)、グリコール(例えば、プロピレングリコール)、界面活性剤(例えば、ミリスチン酸イソプロピルおよびラウリル硫酸ナトリウム)、モノラウリン酸グリセロール、スルホキシド、ピロリドン、テルペン(例えば、メントール)、アミン、アミド、アルカン、アルカノール、水、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチンおよびポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれる。
【0174】
本出願の方法において使用するための別の例示的な製剤は、経皮送達デバイス(「パッチ剤」)を使用する。このような経皮パッチ剤を使用して、追加剤を使用するか、または使用しないかのどちらか一方で、制御量の本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の連続注入または断続的注入を提供することができる。医薬剤の送達のための経皮パッチ剤の構築および使用は、当分野で周知である。参照により本明細書に組み込まれている、例えば、米国特許第5,023,252号;同第4,992,445号;および同第5,001,139号を参照されたい。
【0175】
一部の実施形態では、本出願は、経皮送達するための、有効量の本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)、および吸入による送達に好適な医薬品用賦形剤を含む医薬組成物を提供する。吸入用の組成物は、薬学的に許容される水性溶媒もしくは有機溶媒、またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含む。液体組成物または固体組成物は、本明細書に記載される好適な薬学的に許容される賦形剤を含有することができる。組成物は、全身作用のために、経口または鼻腔気道経路によって投与されてもよい。一部の実施形態では、好ましくは薬学的に許容される溶媒中の組成物は、不活性ガスの使用によって噴霧されてもよい。一部の実施形態では、噴霧された溶液は、噴霧用デバイスから直接、吸入されてもよい。他の実施形態では、噴霧用デバイスは、フェイスマスク型テントに、または断続的な陽圧呼吸装置に取り付けられてもよい。溶液、懸濁液または粉末組成物は、適切な方法で製剤を送達するデバイスから、好ましくは経口または鼻腔投与されてもよい。
他の医薬組成物
【0176】
本出願において使用される医薬組成物は、眼内(眼)、直腸、舌下、口内または鼻内(例えば、肺内)投与用に製剤化することができる。眼内投与に好適な製剤は、活性成分が、活性成分用の好適な担体、とりわけ、水性溶媒中に溶解されているか、または懸濁されている点眼剤を含む。活性成分は、0.5~20%w/w、有利には、0.5~10%w/w、特に、約1.5%w/wの濃度で、このような製剤中に好ましくは存在する。舌下投与に好適な製剤は、通常、口内に入れると迅速に溶解し、活性成分が舌下の血管を介して吸収されるのが可能となるよう製剤化される。例示的な舌下製剤には、例えば、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントの風味付けされた基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤;ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性基剤中に活性成分を含むトローチ剤;好適な液体担体に活性成分を含む洗口剤;例えば、口内に入れると90秒未満に崩壊することができる口内崩壊性錠剤;および薄層フィルムが含まれる。このような崩壊は、in vitroでの溶出試験によって測定することができる。口内投与用の製剤は、いくつかの例を挙げると、例えば、口内錠剤、生体接着性粒子、ウェハ剤、ロゼンジ剤、薬用咀嚼ガム剤、接着性ゲル剤、パッチ剤、フィルム剤を含むことができ、これらは、水溶液、ペースト、軟膏またはエアロゾルとして送達することができる。直腸投与向け製剤は、例えば、カカオ脂またはサリチレートを含む好適な基剤との坐剤として供給され得る。肺内投与または鼻腔投与に好適な製剤は、肺胞嚢に到達するよう、鼻道からの急速吸入によって、または口からの吸入によって投与される、例えば0.1~500ミクロン(0.5、1、30ミクロン、35ミクロンなどのミクロン増分で0.1~500ミクロンの間の範囲の粒子サイズを含む)の範囲の粒子サイズを有することができる。好適な製剤は、活性成分の水性または油性溶液を含む。エアロゾルまたは乾燥粉末投与に好適な製剤は、従来の方法に準拠して調製することができ、以下に記載されている通り、がん性感染の処置または予防に従来、使用される化合物などの他の治療剤と共に送達されてもよい。本出願の薬理学的製剤は、様々なビヒクル、アジュバント、添加物および希釈剤などの、任意の適合可能な担体を含有する注射可能な製剤で、患者に投与することができる。または、本出願において利用されるメトピマジンメシル酸塩は、モノクローナル抗体、ベクター化送達、イオン導入、ポリマーマトリックス、リポソームおよびマイクロスフィアなどの緩徐放出皮下インプラントまたは標的送達システムの形態で患者に非経口投与することができる。本出願に有用な送達システムの例には、5,225,182;5,169,383;5,167,616;4,959,217;4,925,678;4,487,603;4,486,194;4,447,233;4,447,224;4,439,196;および4,475,196が含まれる。他の多くのこのようなインプラント、送達システムおよびモジュールは、当業者に周知である。
【0177】
このような医薬組成物に関する調製物は、例えば、Anderson, Philip O.; Knoben, James E.; Troutman, William G, eds., Handbook of Clinical Drug Data, Tenth Edition, McGraw-Hill, 2002; Pratt and Taylor, eds., Principles of Drug Action, Third Edition, Churchill Livingston, New York, 1990; Katzung, ed., Basic and Clinical Pharmacology, Ninth Edition, McGraw Hill, 20037ybg; Goodman and Gilman, eds., The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition, McGraw Hill, 2001; Remingtons Pharmaceutical Sciences, 20th Ed., Lippincott Williams & Wilkins., 2000; Martindale, The Extra Pharmacopoeia, Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press, London, 1999)に記載されている。それらのすべての全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
例示的な投与様式
【0178】
本明細書に記載されている医薬組成物の投与は、作用部位に、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の送達を可能にする任意の方法によって行うことができる。組成物は、経口、非経口、腸内、腹腔内、局所、経皮、眼内、経鼻、局部、非経口、スプレーにより、皮下、静脈内、扁桃内、筋肉内、口内、舌下、直腸内、動脈内、注入によりまたは髄腔内に投与することができる。一部の実施形態では、組成物は経口投与される。一部の場合、経口投与は、本明細書に記載されている経口剤形のいずれかの投与を含むことができる。投与される、有効量のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、処置される対象、障害または状態の重症度、投与速度、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の性質、および処方医師の自由裁量に依存するであろう。
【0179】
対象には、腸管神経系障害の処置のために、1日あたりの投与量の本明細書に記載されているメトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)を投与することができる。1日あたりの投与量は、1日あたり体重1kgあたり、約0.01mg~約500mgとすることができる。
【0180】
一部の実施形態では、投与は、注入を含んでもよい。一部の場合、注入は、長期的な定常投与を含んでもよい。例えば、制御ポンプによる長期的な定常投与用のデバイスは、当分野で公知である(例は、参照により本明細書において組み込まれている、US7341577、US7351239、US8058251に記載され得る)。
【0181】
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)の投与は、必要なだけ長期間、継続してもよい。一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、1、2、3、4、5、6、7、14または28日間を超えて投与される。特定の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、5日間を超えて投与される。一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、12週間を超えて投与される。一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、1か月間超、2か月間超、4か月間超、6か月間超、1年間超、2年間超または5年間超の間、投与される。一部の実施形態では、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態(例えば、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aまたはメトピマジンメシル酸塩の結晶形態B)は、5日間未満の間、投与される。
例示的な併用療法
【0182】
一部の実施形態では、方法は、追加剤の共投与を含む。追加剤は、低分子、栄養補給食品、ビタミン、例えばビタミンD、薬物、プロドラッグ、生物製剤、ペプチド、ペプチドミメティック、抗体、抗体断片、細胞または組織移植片、ワクチン、ポリヌクレオチド、DNA分子、RNA分子(すなわち-siRNA、miRNA)、薬物にコンジュゲートされた抗体、毒素、融合タンパク質とすることができる。薬剤は、以下に限定されないが、プラスミドベクター、ウイルスベクター、非ウイルスベクター、リポソーム製剤、ナノ粒子製剤、毒素、治療的放射性同位体などを含むベクターによって送達されてもよい。
【0183】
一部の実施形態では、本出願の方法は、末梢に限定されるドーパミンデカルボキシラーゼ阻害剤と本明細書に記載されている医薬組成物との共投与を含む。例えば、本出願の方法は、カルビドーパと本明細書に記載されている医薬組成物との共投与を含むことができる。
【0184】
追加剤は、腸管神経系障害の処置に使用するための薬剤とすることができる。一部の実施形態では、追加剤は、追加の抗嘔吐剤(例えば、吐き気および/または嘔吐の処置に使用するためのもの)である。追加の抗嘔吐剤は、単なる非限定例として、5-HT3受容体アンタゴニスト、ドーパミン受容体アンタゴニスト、NK1受容体アンタゴニスト、抗ヒスタミン薬、カンナビノイド、ベンゾジアゼピン、抗コリン作動剤、ステロイドまたは他の抗嘔吐剤とすることができる。例示的な5-HT3受容体アンタゴニストには、以下に限定されないが、オンダンセトロン(Odansetron)、トロピセトロン、グラニセトロン、パロノセトロン、ドラセトロンが含まれる。例示的なドーパミン受容体アンタゴニストには、例えば、メトクロプラミド(レグラン)、ドンペリドン(モチリウム)、オランザピン(ジプレクサ)、ドロペリドール、ハロペリドール、クロルプロマジン、プロメタジン、プロクロルペラジン、アリザプリド、プロクロルペラジン、スルピリドが含まれる。例示的なNK1受容体アンタゴニストには、例えば、アプレピタント、トラジピタントまたはカソピタントが含まれる。例示的な抗ヒスタミン薬には、例えば、シクリジン、ジフェンヒドラミン(ベナドリル)、ジメンヒドリネート(グラボール、ドラマミン)、ドキシルアミン、メクロジン(ボニン、アンチベート)、プロメタジン(ペンタジン、フェネルガン、プロマコット)、およびヒドロキシジン(ビスタリル)、シメチジン、ファモチジン、ラフチジン、ニザチジン、ラニチジン、ロキサチジン、チオチジンが含まれる。例示的なカンナビノイドには、例えば、大麻、Sativex、テトラヒドロカンナビノール、ドロナビノール、およびナビロンなどの合成カンナビノイドが含まれる。例示的なベンゾジアゼピンには、例えば、ミダゾラムまたはロラゼパムが含まれる。例示的な抗コリン作動剤には、例えば、スコポラミンが含まれる。他の例示的な抗嘔吐剤には、例えば、トリメトベンズアミド、ショウキョウ、エメトロール、プロポフォール、ペパーミント、エリトロマイシン、ムシモール、ボツリヌス毒素A(例えば、幽門筋を弛緩するために胃に注入される)およびアジョワンが含まれる。
【0185】
追加剤は、胃不全まひに関連する別の疾患または臨床的な症候群の処置のための薬剤とすることができる。例示的な他の疾患および臨床的な症候群は、本明細書に記載されている。追加剤は、糖尿病を処置する薬剤とすることができる。糖尿病を処置する例示的な薬剤には、例えば、インスリンが含まれる。糖尿病の処置のための他の薬剤は、例えば、米国特許第6274549号、同第8349818号、同第6184209号、米国特許出願公開番号US20070129307およびPCT出願公開番号WO/2004/082667A1に記載されており、それらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている。
【0186】
追加剤は、パーキンソン病に関連する、上半身および下半身の運動不全型障害を処置するためのものとすることができる。追加剤は、パーキンソン病を処置するためのものとすることができる。パーキンソン病の処置のための例示的な薬剤には、例えば、ドーパミン作動剤、例えば、セレギリンなどのMAO-AまたはB阻害剤、エンタカポンなどのCOMT阻害剤、アマンタジン、幹細胞移植片および神経保護剤が含まれる。例示的なドーパミン作動剤には、以下に限定されないが、レボドーパ、ブロモクリプチン、ペルゴリド、プラミペキソール、カベルゴリン、ロピニロール(ropinorole)、アポモルフィンまたはそれらの組合せが含まれる。
【0187】
追加剤は、甲状腺機能低下症、甲状腺機能亢進症または副甲状腺機能亢進症を処置するためのものとすることができる。このような疾患を処置するための例示的な薬剤には、例えば、ベータアドレナリン遮断薬(「ベータ遮断薬」)、レボチロキシンカルシウム受容体作動薬、エストロゲン、プロゲステロン、ビスホスホネートが含まれる。
【0188】
追加剤は、副腎不全を処置するためのものとすることができる。副腎不全を処置するための例示的な薬剤には、例えば、コルチコステロイドホルモン(例えば、アルドステロン、フルドロコルチゾンおよびコルチゾール)が含まれる。
【0189】
追加剤は、胃食道逆流を処置するためのものとすることができる。胃食道逆流を処置するための例示的な薬剤には、例えば、オメプラゾールなどの例えばプロトンポンプ阻害剤などの制酸薬、ラニチジンなどのH2受容体アンタゴニスト、制酸薬、モサプリド、スクラルファートおよびバクロフェンが含まれる。
【0190】
追加剤は、強皮症を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、D-ペニシラミン、コルヒチン、PUVA、レラキシン、シクロスポリンおよびEPA(オメガ-3油誘導体)、例えばメトトレキセート、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびミコフェノレートなどの免疫抑制剤とすることができる。追加剤は、多発性筋炎を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、コルチコステロイド、例えばプレドニゾンとすることができ、または免疫抑制剤とすることができる。
【0191】
追加剤は、筋ジストロフィーを処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、例えば、グルココルチコイド受容体アンタゴニストとすることができる。例示的なグルココルチコイド受容体アンタゴニストには、以下に限定されないが、ミフェプリストン、11β-(4-ジメチルアミノエトキシフェニル)-17α-プロピニル-17β-ヒドロキシ-4,9エストラジエン-3-オン、17β-ヒドロキシ-17α-19-(4-メチルフェニル)アンドロスタ-4,9(11)-ジエン-3-オン、4α(S)-ベンジル-2(R)-プロパ-1-イニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオールおよび4α(S)-ベンジル-2(R)-クロロエチニル-1,2,3,4,4α,9,10,10α(R)-オクタヒドロ-フェナントレン-2,7-ジオールおよび(11β,17β)-11-(1,3-ベンゾジオキソ-5-イル)-17-ヒドロキシ-17-(1-プロピニル)エストラ-4,9-ジエン-3-オンが含まれる。
【0192】
追加剤は、アミロイドーシスを処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、アミロイドベータシートミミック、抗酸化剤、分子シャペロンまたは他の作用剤とすることができる。アミロイドーシスを処置する例示的な薬剤は、例えば、WO/2008/141074に記載されている。例示的な分子シャペロンには、例えば、HSP60、HSP70、HSP90、HSP100、BiP、GRP94、GRP170、カルネキシンおよびカルレチクリン、タンパク質のジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、ペプチジルプロリルシス-トランス-イソメラーゼ(PPI)、トリメチルアミンN-オキシド(TMAO)、ベタイン、グリシンベタイン、グリセロ-ホスホリルコリン、例えば、グリセロール、ソルビトール、アラビトール、ミオ-イノシトールおよびトレハロースなどの炭水化物、コリン、4-フェニル酪酸およびタウリン-コンジュゲートウルソデオキシコール酸が含まれる。
【0193】
追加剤は、慢性の特発性偽性腸閉塞を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、プルカロプライド、ピリドスチグミン、メトクロプラミド、シサプリド、リナクロチド、オクトレオチド、カンナビノイドおよびエリトロマイシンとすることができる。
【0194】
追加剤は、皮膚筋炎を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、プレドニゾロン、メトトレキセート、ミコフェノレート(セルセプト/Myfortic)、静脈内免疫グロブリン、アザチオプリン(イムラン)、シクロホスファミド、リツキシマブおよびActharゲルとすることができる。
【0195】
追加剤は、全身性エリテマトーデス(erytematosus)を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、腎移植片、コルチコステロイド、免疫抑制剤、ヒドロキシクロロキン、シクロホスファミド、ミコフェノール酸、免疫抑制剤、鎮痛薬、静脈内免疫グロブリン(immunoglobin)などとすることができる。
【0196】
追加剤は、食欲不振および/または過食症を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、オランザピン、三環系抗うつ剤、MAO阻害剤、ミアンセリン、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、例えば、フロキセチン、炭酸リチウム、トラゾドンおよびブプロピオン、フェニトイン、カルバムアゼピン、ならびにバルプロ酸、例えば、ナロキソンおよびナルトレキソンなどのオピエートアンタゴニスト、ならびにトピラメートとすることができる。
【0197】
追加剤は、うつ病を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害剤、ブプロピオン、三環系抗うつ剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤などとすることができる。追加剤は、腫瘍随伴症候群を処置するためのものとすることができる。追加剤は、高頸髄病変を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、コルチコステロイドまたは他の抗炎症薬とすることができる。追加剤は、多発性硬化症を処置するためのものとすることができる。例えば、追加剤は、インターフェロンベータ-1b、インターフェロンベータ-1a、酢酸グラチラマー、ミトキサントロン、ナタリズマブ、フィンゴリモド、テリフルノミドまたはクラドリビンとすることができる。
【0198】
追加的な治療剤は、セロトニンアゴニスト、セロトニンアンタゴニスト、選択的セロトニン再取り込み阻害剤、抗痙攣薬、オピオイド受容体アゴニスト、ブラジキニン受容体アンタゴニスト、NK受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アゴニスト、ベンゾジアゼピン、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ、カルシウムチャネル遮断薬およびソマトスタチンアナログからなる群から選択することができる。
【0199】
腸管神経系障害の処置に使用するための、本明細書に記載されている追加剤および医薬組成物の投与量は、使用される追加的な治療剤のタイプ、処置されている疾患または状態などに応じて様々となり得る。治療量未満の本明細書に記載されている追加剤および医薬組成物の一方または両方を使用することができる。治療量未満の本明細書に記載されている追加剤および医薬組成物の一方または両方が、相乗的有効量とすることができる。治療有効量の本明細書に記載されている追加剤および医薬組成物の一方または両方を使用することができる。本明細書に記載されている医薬組成物および追加剤は、同時にまたは逐次のどちらか一方で投与されてもよい。逐次に投与される場合、主治医または介護人は、本明細書に記載されている医薬組成物および追加的な治療剤を投与する適切な順序を決めることができる。
【0200】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物のいずれかを投与するステップを含む方法は、追加的な治療レジメンとの併用療法をさらに含む。追加的な治療レジメンは、医療用装具の埋め込みを含むことができる。医療用装具は、胃および/または腹部、例えば、十二指腸に埋め込まれ得る。医療用装具は、電気的デバイスとすることができる。医療用装具は、ペースメーカーとすることができる。このようなペースメーカーは、胃および/または十二指腸の収縮を誘導するよう電流を利用し、それによって胃腸管の運動を促すことができる。このような医療用装具、およびそれらを使用する方法は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,095,218号に開示されている。
【0201】
本出願の実施形態は、以下の実施例を参照することによって、詳細にさらに記載される。これらの実施例は、例示目的のために提示されているに過ぎず、別段の指定がない限り限定を意図するものではない。したがって、本出願は、以下の実施例に限定されると決して解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提示されている教示の結果として明白になるありとあらゆる変形形態を包含すると解釈されるべきである。
【実施例
【0202】
以下の実施例は、本出願を例示するものであるが、それを限定するものではない。
(実施例1)
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの合成
【0203】
当業者は、以下の合成反応およびスキームが、メトピマジン、1-(3-(2-(メチルスルホニル)-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペリジン-4-カルボキサミドからメトピマジンメシル酸塩、すなわち1-(3-(2-(メチルスルホニル)-10H-フェノチアジン-10-イル)プロピル)ピペリジン-4-カルボキサミドメタンスルホン酸を入手するため、好適な条件および試薬の選択によって修正することができることを認識していよう。メトピマジン、およびメトピマジンを作製する方法は、参照により本明細書に組み込まれている、DE1092476に記載されている。メトピマジンは、様々な市販源から得ることができる(CAS登録番号0014008-44-7)。単なる例として、メトピマジンは、ABI Chemicals(#AC2A05HFH)、AKos(#AKOS005065914)、Biochempartner(#BCP9000716)、Molport(#MolPort-003-808-703)、Santa Cruz Biotechnology(#sc-211901)およびTractus Company Limited(#TX-013443)から得ることができる。
スキーム1:メトピマジンからのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの調製
【化5】
【0204】
メトピマジン(50g)に、ジメチルスルホキシド(DMSO)(150mL)、次いで20~25℃でメタンスルホン酸(MsOH)(11.3g)を10分間かけて加え、透明な溶液を得た。次に、アセトン(50mL)を加え、溶液をろ紙上でろ過した。ろ液を68℃まで温めて、68℃で15分間かけて、アセトン(175mL)を投入した。次に、溶液を30分間かけて60℃まで冷却し、次に、60℃で1時間、撹拌し、この時点で、溶液は濁った。スラリーを1.5時間かけて、0℃まで冷却し、次に、0℃で1時間、撹拌した。固体をろ過により採集し、フィルターケーキをアセトン(200mL)で30分間、再スラリー形成した。固体をろ過により採集し、残留フィルターケーキをアセトン(200mL)で30分間、再度、再スラリー形成させた。固体を再度、ろ過により採集した。フィルターケーキを真空下、50℃で6時間、乾燥すると、黄色固体のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aが得られた(40g、66%収率)。
【0205】
同様に、以下の通り、大スケール調製を行った。メトピマジン(1500g)に、DMSO(4.5L)、次いで20~25℃でMsOH(341g)を30分間かけて加え、透明な溶液を得た。次に、アセトン(1.5L)を加え、溶液をろ紙上でろ過した。ろ液を68℃まで温めて、68℃で30分間かけて、アセトン(5.25L)を投入した。溶液に種結晶(15g)を加えた。次に、濁りのある溶液を68℃で1時間、撹拌した。スラリーを6時間かけて、0℃まで冷却し、混合物を0℃で14時間、撹拌した。固体をろ過により採集し、フィルターケーキをアセトン(4.5L)により洗浄した。フィルターケーキをアセトン(6L)と一緒に30分間、撹拌した。固体をろ過により採集し、フィルターケーキをアセトン(6L)と一緒に30分間、撹拌した。固体をろ過により採集した。フィルターケーキを真空下、50℃で7時間、乾燥すると、黄色固体のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aが得られた(1558g、85%収率)。
【0206】
メトピマジンメシル酸塩の構造は、高分解能質量分析法([M+H]+=446.16)、H NMR(表5)および13C NMR(表6)によって確認した。
【表5】
【表6-1】
【表6-2】
【0207】
単結晶の構造を首尾よく決定した。結晶系は単斜晶系であり、空間群はPnであった。構造の単位格子寸法は、以下の通りであった:a=11.90502(6)Å、b=5.57773(3)Å、c=19.47543(12)Å、α=90°、β=103.5908(6)°、γ=90°、V=1257.014(13)Å3。非対称単位は、1つのメトピマジン陽イオンおよび1つのメシル酸陰イオンを含むことが分かり、これにより、形態Aが無水物であることが示された。この最終的な精密化パラメータが、以下の表7に列挙されている。
【表7-1】
【表7-2】
【0208】
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの単結晶のXRPDの計算値のピークリストが、表8に提示されている。
【表8-1】
【表8-2】
【0209】
XRPD分析に関しては、PANalytical X線粉末回折装置を使用した。試料は、ケイ素ウェハの中央に試料(約5mg)の層を置くことによって調製した。使用したXRPDパラメータを表9に列挙する。XRPDパターンが図1に提示されており、ピークは、上の表1に提示されている。
【表9】
【0210】
TGAデータは、TA Instruments製のTA Q5500 TGAを使用して収集し、DSCは、TA Instruments製のTA Q2500 DSCを使用して行った。使用したパラメータの詳細を表10に列挙する。試料(約2mg)をパンに加えることによって試料を調製した。TGAプロットを図2に提示する。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、TGAによって最小限の重量減少を示した(150.0℃までで0.4%)。DSCプロットを図3に提示する。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、209.9℃で開始する明確な溶融を示した(溶融=213.1℃;エンタルピー=97.47J/g)。
【表10】
【0211】
(実施例2)
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bの合成
スキーム2:メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aからのメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bの調製
【化6】
【0212】
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態A(10g)の薄層を含有するガラス製ビーカーを室温および相対湿度100%で、ほぼ3~5日間、置き、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bをオフホワイト色の固体として得た。メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bの構造は、H NMRによって確認した(表11)。
【表11-1】
【表11-2】
【0213】
XRPD分析に関しては、PANalytical X線粉末回折装置を使用した。試料は、ケイ素ウェハの中央に試料(約5mg)の層を置くことにより調製した。使用したXRPDパラメータを上の表8に列挙する。XRPDパターンが図4に提示されており、ピークは、上の表3に提示されている。
【0214】
TGAデータは、TA Instruments製のTA Q5500 TGAを使用して収集し、DSCは、TA Instruments製のTG Q2000 DSCを使用して行った。使用したパラメータの詳細を上の表9に列挙する。試料(約2mg)をパンに加えることによって試料を調製した。TGA/DSCプロットを図5に提示する。180℃までで5.8%の重量減少が観測され、123.5℃および208.6℃(開始温度)において、2つの吸熱ピーク(それぞれ、溶解=126.1℃および211.2℃;それぞれ、エンタルピー=83.47J/gおよび84.48J/g)および144.6℃(ピーク温度)に1つの発熱ピークが観測された。
(実施例3)
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの薬物動態分析
【0215】
メトピマジンの遊離塩基との比較で、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの薬物動態プロファイルを理解するため、臨床的な比較薬物動態研究を行った。この検討は、単回用量の3回の投与による3期間のクロスオーバー設計とした:各投与間に48時間のウオッシュアウト期間を伴う、空腹時のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの経口用製剤、高脂肪朝食後のメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの経口用製剤、および空腹時のメトピマジン遊離塩基の経口用製剤。15名の対象が登録され、3回の処置のそれぞれを受けた。各対象からの血漿試料の様々な薬物動態パラメータを分析した。混合モデル反復測定(MMRM)分析を各試料について行った。メトピマジンメシル酸塩の形態Aとメトピマジン遊離塩基との比較により、メトピマジンメシル酸塩の形態AのTmax値は、メトピマジン遊離塩基よりも統計的に有意に低いばらつきを有したことが示された。結果が以下の表12に示されている。
【表12】
【0216】
上記の結果は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aは、メトピマジン遊離塩基と比較して、より予測可能な作用の発生をもたらすことを実証している。胃不全まひに罹患している対象の集団は、摂食によって常に悪化する症状を軽減するために、食事時間の前に服用することができる処置を必要とするので、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態AのTmaxのばらつきがより小さいことは、その集団に重要な利益をもたらす。
【0217】
この検討の第2の目的は、空腹状態、または高脂肪朝食後のどちらかにある15名のヒト対象において、経口により15mgの単回用量の経口投与として投与した、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aの薬物動態を比較することであった。各対象からの血漿試料の様々な薬物動態パラメータを分析した。Cmaxの幾何平均差異はわずかであったが、有意に一層低くかった一方、AUC幾何平均に統計学的差異はなかった。CmaxおよびAUCのどちらも、十分に90%の信頼区間内にあった。これらの結果が以下の表13に示されている。
【0218】
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aを食物と共に投与すると、ほぼ15%というCmaxのわずかの低下が観察されたが、AUCに顕著な差異はなかった(生物学的同等性と定義される、90%の上限および下限の間隔の範囲内に十分ある)。Cmaxのこのようなわずかな差異は、臨床的に有意ではなかった(FDA Guidance for the industry: Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequivalence Studies)。これらの結果は、高脂肪朝食の前および後にメトピマジン遊離塩基を投与した後に、Cmaxの58%低下およびAUCの23%低下をもたらした、メトピマジン遊離塩基に関する食物の影響を示す以前に公開されたデータ(Herrstedtら、1990年)と対照的である。
【表13】
【0219】
胃不全まひに罹患している対象の集団は、メトピマジン遊離塩基などの食物への感受性が高い薬物のPK変動を悪化させる恐れのある、胃排出遅延および胃内食物内容物の長期間の残留を示すので、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aに対して食物の影響がないことは、そのような集団に利益をもたらす。
(実施例4)
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aおよびメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bの13C ssNMR特徴付け
緩和パラメータ
【0220】
メトピマジンメシル酸塩の形態Aおよび形態Bに関する緩和パラメータ、H TおよびH T1rhoを収集した。結果が表14に示されている。パラメータH TおよびH T1rhoは、ssNMRデータ収集に関する最適取得パラメータを決定する一助となる。
【0221】
【表14】
機器情報およびデータ収集
【0222】
固体NMR(SSNMR)実験は、13Cの場合に100.52MHzおよびHの場合に399.71MHz、または13Cの場合に100.46MHzおよびHの場合に399.49MHzで動作するBruker NEO分光計(Bruker、Billerica、MA)で行った。7mmのマジック角の回転モジュールを再装備したChemagnetics APEX HXプローブ(Revolution NMR、Fort Collins、CO)を使用して、データを取得した。試料は、13Cの作業の場合、Kel-Fスペーサーを有する7mmのローターに詰めた。マジック角回転速度を5kHzとした。参照のため、3-メチルグルタル酸をクロスポラリトン(CP)実験の設定および最適化に使用した。13Cケミカルシフトは、±0.4ppmの精度で、18.84ppmにおけるMGAのメチルピークと比較して報告する。
【0223】
データ収集は、約18.5℃の見かけ温度で行った。データ収集は、13C交差分極を使用して行い、次いでSPINAL64 Hデカップリングを使用して取得した。3960個の点を取得した(約50msの取得時間)。以下に議論する通り、4.4μs H90、およびSPINAL64(約56.8kHzのRF場)、1.5msの接触時間(P15)、適切なパルス遅延によるHデカップリングを使用した。パルス遅延は、メトピマジンメシル酸塩の結晶形態Aおよびメトピマジンメシル酸塩の結晶形態Bの場合、それぞれ7.2秒または8.2秒のどちらかとした。H T実験の場合、Hに対して飽和期間(15μs遅延、ループ20回)、次いで、H90、交差分極(CP)、およびトータルサイドバンドサプレッション(TOSS)によるデータ取得を行った。H T値は、Topspinソフトウェアパッケージで、Brukerのt1guideを用いて決定した。H T1rhoに関しては、0.5~32msのスピンロックタイム(選択した場合では、64msおよび128msも追加した)、次いで、標準CPTOSSシーケンスであった。T結果から決定した物質に適切なパルス遅延をデータ取得に使用した。高品質13Cのスペクトルに関しては、T結果からの適切なパルス遅延を使用した。試料に応じて、パルス遅延および取得数を修正した。データは、試料に応じて、2~18時間、収集した。
データ加工
【0224】
最初のデータ加工は、Bruker Biospin製のTopspin4.0.8(著作権)ソフトウェアパッケージを使用して行った。データは、全FID(3960個の点)、および0Hzの線の広がり(KAS0221001およびKAS0221002)または10Hzの線の広がり(KAS0221003およびKAS0221004)、フェイズ調整(apk)、ベースライン補正(abs)を使用してフーリエ変換した。必要に応じて、手作業による位相調整を行った。
試料調製
【0225】
粉末試料を修正しないで7mmのローターに詰めた。試料を、NMRプローブに搭載する前に、外で予備回転させた。
13C ssNMRスペクトル
【0226】
メトピマジンメシル酸塩の結晶形態AおよびBに関する、13C ssNMRスペクトルがそれぞれ、図6および図7に提示されている。これらの2つの形態は、特有のスペクトルを有することが見出された一方、形態Bは、微量の形態Aを含有することが分かった。したがって、純粋な形態Bのスペクトルを得るため、Topspin4.0.8(著作権)ソフトウェアパッケージを使用して、形態Bから形態Aを差し引いた。得られたスペクトルを図8に提示する。
【0227】
本出願の好ましい実施形態が本明細書に示され、記載されているが、このような実施形態が単なる例として提示されているに過ぎないことは、当業者に明白である。本出願から逸脱することなく、多数の変形、変更および置き換えが、今や、当業者に思いつくであろう。本出願の実施に、本明細書に記載されている出願の実施形態への様々な代替を使用することができることを理解すべきである。以下の特許請求の範囲は、本出願の範囲を規定すること、およびこれらの特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物が、これらにより包含されることを意図する。
参照による組み込み
【0228】
本出願に引用されている参照文献、およびそれらの参照文献はすべて、適切な場合、追加のもしくは代替的な詳細、特徴および/または技術的背景の教示に関して、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】