IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特表2023-533908リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法
<>
  • 特表-リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法 図1
  • 特表-リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法 図2
  • 特表-リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法 図3
  • 特表-リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法 図4
  • 特表-リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法 図5
  • 特表-リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】リアルタイムの腐食監視に基づく熱交換器制御のシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 19/00 20060101AFI20230731BHJP
   F22B 37/00 20060101ALI20230731BHJP
   F28D 7/16 20060101ALI20230731BHJP
   F22D 1/12 20060101ALN20230731BHJP
【FI】
F28F19/00 511D
F22B37/00 A
F28D7/16 B
F22D1/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575265
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-02-02
(86)【国際出願番号】 IB2021056056
(87)【国際公開番号】W WO2022009097
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】16/924,407
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH-5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ヴィッセ、フレデリック
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA12
(57)【要約】
【課題】
高温ガスの入口(74)および出口(76)と低温側の入口(68)および出口(70)とを有する熱交換器(60)の腐食を制御するシステム(80)および方法(200)。この方法(200)は、前記熱交換器の選択された第1の位置における温度を求めること(210)、前記熱交換器の表面の温度に基づいて、腐食検知デバイス(82)の温度を、選択された第1の温度に制御すること(220)、および選択された前記第1の温度に対して、前記熱交換器表面に関連する選択された前記第1の位置における腐食速度を求めること(230)を含む。この方法(200)は、さらに、前記腐食速度を予測腐食速度と比較すること(240)、前記求められた腐食、前記比較に少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器(60)の低温側流体入口の目標温度を求めること(250)、および求められた入口の目標温度と、求められた腐食速度と、予測腐食速度とに少なくとも部分的に基づいて、低温側流体入口の温度を制御すること(260)を含む。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温ガス入口(74)および高温ガス出口(76)と低温側入口(68)および低温側出口(70)とを有する熱交換器(60)の熱交換面の腐食を制御する方法(200)であって、該方法は、
前記熱交換器(60)の表面の第1の位置における温度を求めること(210)、
前記熱交換器(60)の表面の前記第1の位置における温度に基づいて、腐食検知デバイス(82)の温度を第1の温度に制御すること(220)、
前記第1の温度に対して、前記熱交換器(60)の前記熱交換面に関連する前記第1の位置における腐食速度を求めること(230)、
前記腐食速度を、前記第1の位置および前記第1の温度に関連する予測腐食速度と比較すること(240)、
前記第1の位置における前記腐食速度の比較(240)に少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器(60)の低温側流体入口の目標温度を求めること(250)、および
前記流体入口の目標温度、腐食速度、および予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて、低温側流体入口の温度(68)を制御すること(260)
を含む、方法(200)。
【請求項2】
前記腐食検知デバイス(82)の温度を制御することは、前記第1の位置に温度補償デバイス(90)を提供することを含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記腐食検知デバイス(82)の温度を前記第1の温度に制御することは、前記腐食検知デバイスの温度を前記熱交換器(60)の現在の温度に制御することを含む、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記腐食速度を求めること(230)は、前記第1の位置における電気抵抗を測定することに基づいている、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項5】
前記低温側流体入口の温度を制御すること(260)は、
前記熱交換器の前記低温側入口に流れる熱交換媒体の流量を制御すること、および
前記熱交換器(60)の前記低温側入口(68)に流れる前記熱交換媒体の温度を制御すること
のうちの少なくとも一方に基づいている、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記熱交換器(60)の前記熱交換面の前記第1の位置における前記腐食検知デバイス(82)の温度を第2の温度に制御すること(280)、
前記熱交換器(60)の前記熱交換面に関連する前記第2の温度における第2の腐食速度を求めること、
前記第2の腐食速度を、前記第2の温度に関連する予測腐食速度と比較すること、
前記第2の温度における前記第2の腐食速度および前記比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の第2の低温側入口の目標温度を求めること、および
前記第2の温度における第2の腐食速度および前記第2の低温側入口の目標温度に少なくとも部分的に基づいて、前記低温側入口の温度を制御すること
を含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記第2の温度が、前記熱交換器(60)の改善された予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて選択される、請求項6に記載の方法(200)。
【請求項8】
熱交換器(60)の熱交換面の腐食を監視するシステム(80)であって、該システム(80)は、
高温ガス入口(74)と高温ガス出口(76)と低温側入口(68)と低温側出口とを有する熱交換器(60)、
前記熱交換器の熱交換面における第1の位置に配置された腐食検知デバイス(82)であって、第1の温度に対する前記熱交換面の腐食速度を測定するように動作可能な腐食検知デバイス(82)、
前記腐食検知デバイス(82)の温度を制御するように制御可能かつ動作可能な温度補償デバイス(90)、
前記第1の位置に近接して配置された温度検知デバイス(86)であって、前記熱交換器(60)の前記第1の位置における温度を測定するように動作可能な温度検知デバイス(86)、
前記熱交換器を流れる熱交換媒体の前記低温側入口への流れおよび温度のうちの少なくとも一方を制御するように動作可能な制御装置(140,150)、および
前記腐食検知デバイス(82)、前記温度補償デバイス(90)、前記温度センサ(86)、および制御装置と通信するように動作可能なコントローラ(140,150)
を含み、
前記腐食検知デバイス(82)および前記コントローラ(140,150)のうちの少なくとも一方は、前記温度補償デバイス(82)を制御して、前記熱交換器(60)の前記第1の位置における温度に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の温度に前記腐食検知デバイスを維持するように動作可能であり、
前記腐食検知デバイス(82)および前記コントローラ(140,150)のうちの少なくとも一方は、前記熱交換器(60)の前記熱交換面の前記第1の位置における腐食速度を求め、前記第1の位置における測定された腐食と、前記熱交換器(60)の前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器(60)の予測腐食速度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器(60)の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である、システム(80)。
【請求項9】
前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも1つは、前記第1の位置において測定された腐食速度と、前記熱交換器の前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器の予測腐食速度と、測定された低温側入口の温度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である、請求項8に記載のシステム(80)。
【請求項10】
前記腐食検知デバイス(82)は、
前記熱交換面の電気抵抗を測定するように動作可能な電気抵抗センサと、
前記腐食検知デバイスの近傍の前記交換表面の温度を測定するように動作可能な温度センサ(86)と
を含む、請求項8に記載のシステム(80)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された実施形態は、一般的には、熱交換器の評価、制御方法、およびシステムに関する。より具体的には、燃焼容器の熱交換器の腐食特性を表すデータを評価する方法およびシステムは、特に、熱交換器の入口温度を制御するために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
ボイラは、通常、燃料を燃焼させて熱を発生させすることで蒸気を生成する炉を備えている。燃料が燃焼すると、熱エネルギー又は熱が生成され、これを使用して水などの液体を加熱および気化させ、蒸気を生成する。生成された蒸気は、タービンを駆動して電気を生成する又は他の目的のために熱を供給することができる。微粉炭、天然ガスなどの化石燃料は、ボイラの多くの燃焼システムで使用される典型的な燃料である。燃料を燃焼させると、熱が発生し、ススおよび煙道ガスが形成される。
【0003】
燃焼容器の壁は、熱交換媒体(典型的には水)で満たされた一連の熱交換管で構成されていることが多く、「水壁」と呼ばれることがある。水壁の片側の面は燃焼室に面しており、高温ガス、灰、および腐食性の燃焼副産物を含み得る燃焼生成物に晒される。同様に、ボイラシステムも、加熱のために燃焼煙道ガスに晒される他の熱交換器(例えば、過熱器、再熱器、および節炭器)を含む。石炭などの燃料を燃焼させると、熱交換器およびボイラの熱交換面の内面にススや灰が堆積し、燃焼容器内の加熱されたガスから水管および熱交換器への熱伝達が損なわれる。燃焼容器又は熱交換器の壁は、消費される化石燃料によって堆積した灰中の腐食性材料、又は、例えば、ごみエネルギー発電で消費される固形廃棄物によって引き起こされた物理的劣化の結果として、時間の経過とともに腐食する恐れがある。この腐食により、水壁又は熱交換器内の管の肉厚が減少する。熱交換面の壁は、最小厚において、水管/蒸気管又は熱交換器の高温と高圧に確実に耐えるように維持されなければならない。煙道ガス側の腐食がボイラ材料(圧軸受の材料、又は保護層/保持部品/板金としての材料)又は煙道ガス浄化に悪影響を及ぼすので、より耐性のある材料が継続的に求められている。しかし、材料の選択は、ボイラの環境条件(煙道ガスの温度、煙道ガスの化学的性質、汚れの化学的性質、腐食など)や期待される性能および特性(寿命、修復性、複合材料内の機能など)によって制限される。その結果、ボイラの腐食、ボイラの機能故障、および煙道ガス浄化によって、関連する環境条件が大きく変化し不安定になり、したがって、使用される材料の性能および特性を予測することが困難になる。
【0004】
そこで、「オンライン」材料試験が出てきた。これは、材料の性能および特性を記録するために、利用が計画されたサイトにおいてそれぞれのボイラにプローブが挿入される。材料プローブ(例えば、長さが約70cm)が使用されており、この材料プローブの本体は、寸法については実際の部品の寸法(材料は同じ)であり(ボイラ管、固体材料)、必要に応じて対応するアプリケーション(例えば、保護層)を備えている。これらの大型プローブは、プローブ本体の前部の温度を維持するために内部冷却されている。温度は、自由に選択できる一定の温度範囲内で設定される、つまり、「材料温度」は広い温度範囲に渡って同時に記録される。したがって、臨界温度閾値が検出される。これらの例では、プローブ本体は、ほとんどの場合、長期間使用することができ、この期間は、数時間から数か月の間で自由に選択することができる。プローブ本体をオンサイトで利用した後に続いて、損傷調査と同様に、プローブ本体は実験室で分解され、微量分析テストを受けて、腐食の原因、腐食の種類および強度(劣化率)、又はプローブ本体の機能に対する悪影響が記録される。この温度範囲内で、関連する「すべての」温度を同等に調べることができる(たとえば、蒸発器では250℃~300℃の範囲、過熱器では400℃~500℃の範囲、節炭器又は予熱器および煙道ガスに関するものでは80℃~200℃の範囲である)。
【0005】
燃焼容器を適切にメンテナンスするには、通常、定期的にシャットダウンをして、重要な部品の点検、クリーニング、および修理をする必要がある。現在の診断プローブでは、腐食を評価するために長期の試験を実行する必要がある。安全性を損なうことなくプラントのシャットダウンに関連する損失を回避するためには、燃焼容器内の物理的状態および運転状態を注意深く監視および評価して、危険な状態を検出しなければならない。これらの理由から、熱交換器の不安定な部分の物理的特性などを評価して、温度に基づいて燃焼システムの腐食特性および/又はそれぞれの熱交換器における流れを求める非侵入型のオンライン監視システムを提供することが望ましいと考えられる。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態において、本明細書には、高温ガスの入口および出口と低温側の入口および出口とを有する熱交換器の熱交換面の腐食を制御する方法が記載されている。この方法は、前記熱交換器の選択された第1の位置における温度を求めること、前記熱交換器の表面の温度に基づいて、腐食検知デバイスの温度を、選択された第1の温度に制御すること、および選択された前記第1の温度に対して、前記熱交換器表面に関連する選択された前記第1の位置における腐食速度を求めることを含む。この方法は、さらに、前記腐食速度を予測腐食速度と比較すること、前記比較のステップに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側流体入口の目標温度を求めること、および求められた入口の目標温度、求められた腐食速度、および予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて、低温側流体入口の温度を制御することを含む。
【0007】
別の実施形態では、本明細書に、熱交換器の熱交換面の腐食を監視するためのシステムが記載されている。このシステムは、高温ガス入口と高温ガス出口と低温側入口と低温側出口とを有する熱交換器、前記熱交換器の熱交換面における選択された第1の位置に配置された腐食検知デバイスであって、選択された第1の温度に対する前記熱交換面の腐食速度を測定するように動作可能な腐食検知デバイス、前記腐食検知デバイスの温度を制御するように制御可能かつ動作可能な温度補償デバイス、および選択された前記第1の位置に近接して配置された温度検知デバイスであって、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における温度を測定するように動作可能な温度検知デバイスを含む。このシステムは、さらに、前記熱交換器を流れる熱交換媒体の前記低温側入口への流れおよび温度のうちの少なくとも一方を制御するように動作可能な制御装置、および前記腐食検知デバイス、前記温度補償デバイス、前記温度センサ、および制御装置と通信するように動作可能なコントローラを含む。前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも一方は、前記温度補償デバイスを制御して、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における温度に少なくとも部分的に基づいて、選択された前記第1の温度に前記腐食検知デバイスを維持するように動作可能である。前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも一方は、前記熱交換器の前記熱交換面の前記第1の位置における腐食速度を求め、前記第1の位置における測定された腐食と、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器の予測腐食速度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である。
【0008】
追加の特徴および利点が、本開示の技術によって実現される。本開示の他の実施形態および態様は、本明細書に詳細に記載されている。利点および特徴を含む本開示を更に理解するために、発明を実施するための形態および図面を参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
記載された実施形態は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって、より理解されるであろう。
図1】一実施形態による、ボイラを有する発電システムの簡略化された概略図である。
図2】一実施形態による例示的な熱交換器の断面図である。
図3】一実施形態に係る腐食検知システムを含む図2の熱交換器の概略図である。
図4】一実施形態による腐食センサモジュールの概略図である。
図5】一実施形態による腐食検知モジュールの簡略ブロック図である。
図6】一実施形態による熱交換器の腐食の求め方および制御の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本明細書に記載の例示的な実施形態を以下に説明し、実施形態の実施例が添付図面に示されている。可能な限り、図面全体で使用される同じ符号は、同じ又は類似の部品を表す。本明細書に記載されている様々な実施形態は、一般には、燃焼システムを含む排熱回収蒸気発生システムでの使用に適しているが、説明を分かりやすくするため、微粉炭発電所などで使用する微粉炭ボイラを選択して記載した。他のシステムは、熱交換器を有する他のタイプのプラントを含むことができ、他のタイプのプラントとして、化学プラントや発電所があり、さらに、石炭、石油およびガスを含むがこれらに限定されない広範囲の燃料を利用するボイラ、炉および加熱炉があるが、これらに限定されることはない。例えば、考えられるボイラとして、T燃焼微粉炭ボイラ、壁燃焼微粉炭ボイラ、循環流動層(CFB)ボイラ、およびバブリング流動床(BFB)ボイラ、ストーカ燃焼ボイラ、バイオマスボイラ用のサスペンションバーナがあり、強制循環ボイラ、自然循環ボイラ、超臨界ボイラ、および他の排熱回収蒸気発生システムが含まれる。
【0011】
本明細書に記載されている実施形態は、燃焼システムを有する発電システム、腐食評価方法、およびボイラ内の熱交換面の腐食特性を表すデータを評価することを提供する、発電システムおよび腐食評価方法の制御スキームに関する。特に、熱交換器の側面に挿入されたプローブに配置されたセンサによって測定された腐食速度に対して、気体-気体又は気体-液体の熱交換器を制御する。さらに詳細には、記載された実施形態は、例えば、気相に接触し高温側に位置するプローブの腐食速度からのフィードバックによって管理される低温側入口の許容可能な最小温度において熱交換器を動作させるための、システム、プローブ、および制御方法を含む。例えば、一実施形態では、腐食センサは、リアルタイム温度制御型腐食監視センサを備えており、腐食環境内で動作しないで、気体-気体又は気体-液体の熱交換器の表面の動的温度プロファイルの温度を熱効率が最大になるように最適化することができる。一実施形態では、ボイラのオペレータは、低温側入口の温度又は熱交換器表面の動的温度プロファイルを最適化しながら、熱交換器の特定の又は所与の腐食挙動を求めることができる。記載された実施形態は、熱交換面を有するすべてのタイプのボイラに適用可能であるが、より具体的には、タンジェンシャル燃焼ボイラを含む化石燃料ボイラおよび廃棄物ボイラ、並びにバブリング床ボイラ、流動床ボイラ、および循環流動層ボイラに適用可能である。
【0012】
図1は、いくつかの実施形態による発電用途で使用することができるような、ボイラ12を有する燃焼システム11を備えたボイラ壁評価システムを含む発電システム10を示す。ボイラ12は、タンジェンシャル燃焼ボイラ(T燃焼ボイラとしても知られる)であってもよいし、壁燃焼ボイラであってもよい。燃料および空気は、バーナーアセンブリ14および/又はバーナーアセンブリ14に関連するノズルによってボイラ12に供給される。燃焼システム11は、例えば、石炭などの燃料を所望の粉末度まで粉砕する微粉砕機16などの燃料供給源を含む。微粉炭は、一次空気を使用して微粉砕機16からボイラ12に送られる。空気源18は、二次空気又は燃焼空気をボイラ12に供給することができる。ボイラ12では、以下に詳細に説明されるように、二次空気又は燃焼空気が燃料と混合されて燃焼する。ボイラ12が酸素燃焼ボイラである場合、空気源18は、流入してくる空気流から酸素を抽出する空気分離装置であってもよいし、大気から直接に酸素を抽出する空気分離装置であってもよい。
【0013】
ボイラ12は、主バーナーゾーン22の下に位置するホッパーゾーン20を含み、そのホッパーゾーン20から灰を収集して後で除去することができる。ボイラ12の底部にはグリッド32が備えられており、グリッド32は、空気予熱器17を経由してファン34によってボイラ12に供給される一次空気又は燃焼空気と呼ばれる、(床方式のボイラ用に)燃焼ガス、浮遊化ガス、又は流動化ガスを導入するとともに、ボイラ12からボトムアッシュおよび他のごみを取り除くものである。ボイラ12は、空気および空気-燃料混合気が供給される主バーナーゾーン22(風箱とも呼ばれる)と、主バーナーゾーン22で燃焼されなかった空気又は燃料が燃焼されるバーンアウトゾーン24と、燃焼煙道ガスによって蒸気を過熱することができる過熱器27を備えた過熱器ゾーン26とを含んでいる。ボイラ12は、水が混合球又はドラム(25)に入る前に水を予熱して水を水壁23に供給することができる節炭器31を備えた節炭器ゾーン28も含む。主バーナーゾーン22では、一次空気、微粉炭、および二次空気の制御流が燃焼システム11に供給され、燃焼システム11に、回転するファイアーボールを形成することができる。回転するファイアーボールは、水壁23の炉端側の表面の堆積物の一因である物質を放出するタイプの燃焼プロセスである。炭素ベースの燃焼副生成物は、水壁23の炉端側の表面にスラグおよび/又は灰として蓄積する。節炭器31に流入するボイラ給水は、蒸気タービン50と蒸気タービン50の下流に位置する復水器57において利用されたものから生成される。復水は、先ず1つ以上の低圧予熱器(図示せず)によって蒸気により加熱され、節炭器31に流入する。ポンプ40を使用して、水が水壁23を流れてボイラ12全体に循環するように促進することができる。
【0014】
ボイラ12内において一次空気および二次空気で燃料を燃焼すると、煙道ガス流が生成され、煙道ガスは、最終的に処理されて節炭器ゾーン28の下流の煙突を通って排出される。煙道ガスから熱を収集する最終工程の多くは、燃焼空気予熱器17で行われ、燃焼空気予熱器17では、煙道ガスの熱を使用して、燃焼システム11内で燃焼空気として使用される空気を加熱する。空気予熱器17の後に煙道ガス経路上で静電フィルタ/集塵器又はバグフィルタ(図示せず)が続き、フィルタは、煙道ガスに残っている固体粒子を分離し、煙道ガスが煙突を通って大気に排出される。本明細書において、「下流」などの方向は、煙道ガス流の方向を意味する。同様に、用語「上流」は、「下流」の方向とは反対の方向であって、煙道ガス流の方向とは反対の方向である。
【0015】
一般に、発電システム10および燃焼システム11の運転中、ボイラ12内で燃料が燃焼すると、ボイラ12の水壁23内の水が加熱され、蒸気ドラム(又は蒸気ドラムに相当するもの)-以下ドラム25と呼ぶ-を通過して過熱器ゾーン26内の過熱器27に流れ、煙道ガスによって蒸気に追加で熱が付与される。次に、過熱器27からの過熱蒸気は、符号60で大まかに示された配管システムを通ってタービン50の高圧部52に流れ、そこで蒸気が膨張し冷却されタービン50を駆動し、それによって発電機58を回転させて発電する。次に、タービン50の高圧部52からの膨張した蒸気は過熱器27の下流にある再熱器29に戻り、蒸気が再加熱され、タービン50の中圧部54、そして最終的にはタービン50の低圧部56に送られて、蒸気が連続的に膨張および冷却され、タービン50を駆動させることができる。
【0016】
図1に示されるように、燃焼システム11は、ボイラ運転に関する燃焼プロセスおよび燃焼プロセスの結果として生じる影響を監視および制御するために、センサのアレイ、アクチュエータ、および監視装置を含む。例えば、大まかにまとめて符号36で示された温度モニタおよび圧力モニタをシステム全体に渡って使用して、適切な制御および動作を保証し、確実に運転制限値を超えないようにする。別の実施例では、燃焼システム11は、バーナアセンブリ14に関連する各燃料導入ノズルに燃焼用の二次空気を供給する複数の流体制御装置30を含むことができる。一実施形態では、流体制御装置30は、各バーナーアセンブリ14に関連する各燃料導入ノズルに供給される空気の量が変化するように調整することができる、電気的に作動する空気ダンパとすることができる。ボイラ12は、炉の周囲の空間の様々な位置に、個別に制御可能な他の空気ダンパ又は流体制御装置(図示せず)を含んでいてもよい。流体制御装置30の各々は、各ノズル位置に対して確実に所望の空気/燃料比および火炎温度が得られるように、制御ユニット150によって個別に制御可能である。
【0017】
図1は、過熱器27、再熱器29、および節炭器ゾーン28内の節炭器31に対して下流のボイラ12のバックパス(又はバックドラフトセクション)33も示している。バックパス33にも監視装置37を備え付けることができる。監視装置37は、バックパス33内の一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、水銀(Hg)、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、二酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)および酸素(O)などのガス種を測定および評価するように任意に構成することができる。SOおよびSOをまとめてSOxと呼ぶ。同様に、NOおよびNOをまとめてNOxと呼ぶ。一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)、水銀(Hg)、二酸化硫黄(SO)、三酸化硫黄(SO)、二酸化窒素(NO)、一酸化窒素(NO)、および酸素(O)をバックパス33内に放出する。SOおよびSOは、まとめてSOxと呼ばれる。同様に、NOとNOこれらを総称してNOxと呼んでいます。
【0018】
ボイラ12の運転を続けると、任意に、所定の比率の燃料と空気が、燃焼のためにバーナーアセンブリ14のそれぞれに供給される。燃料と空気の混合物が炉内で燃焼し、煙道ガスが発生すると、燃焼プロセスと発生する煙道ガスが監視される。特に、ファイアーボールおよび火炎の様々なパラメータ、炉壁の状態、および煙道ガスの様々なパラメータを検知して監視することができる。これらのパラメータは、燃焼制御ユニット150に伝送されるか、又は伝達され、それらのパラメータは、燃焼制御ユニット150で、メモリに格納されプロセッサによって実行される制御アルゴリズムに従って、分析され、処理される。制御ユニット150は、1つ以上の監視された燃焼パラメータおよび煙道ガスパラメータおよび炉壁の状態に基づいて、ボイラ12に供給される燃料および/又はボイラ12に供給される空気を制御する。
【0019】
さらに、発電システム10は、記載された実施形態に従って、蒸気発生に関連する腐食の経過を監視および制御するために、大まかに符号36および38として示されたセンサのアレイ、アクチュエータ、および監視装置も含む。例えば、一実施形態では、センサシステム80は、温度制御型/補償型腐食検知システム80とすることができる。この検知システム80は、本明細書でさらに説明され、以下では腐食システム80と呼ばれる。他の例では、各センサ36は、温度センサ、圧力センサ、などとすることができる。一実施形態では、腐食検知システム80、温度センサおよび圧力センサ36などは、それぞれ、本明細書に記載の方法および機能を実施するように、必要に応じて制御ユニット150又は別のコントローラに動作可能に接続することができる。さらに、発電システム10は、一例では、システム10内の水又は蒸気の流れを制御する複数の流体制御装置66を含むことができる。一実施形態において、流体制御装置66は、流量が変化するように調整することができる電気的に作動するバルブとすることができる。流体制御装置(例えば、符号66)の各々は、制御ユニット150によって個別に制御可能である。
【0020】
腐食は、ボイラの構成要素に特に損傷を与えることがある。腐食は、使用される燃料の燃焼副生成物の直接的な結果により主に生じるものである。特に、化石燃料および固形廃棄物燃料から生成されるSOx、NOxなどのガス種は、特に腐食性のガス種である。天然ガスによって燃焼が行われる燃焼容器など、ある種の燃焼容器は、石炭又は固形廃棄物によって燃焼が行われる燃焼容器のような腐食又は劣化が生じないことは、当業者に理解されているところである。固形廃棄物又は石炭を燃料とする燃焼容器では、燃焼容器の壁の腐食又は劣化がしばしば発生する。このような腐食を測定し、評価し、できるだけ少なくすることは、非常に有益なことである。
【0021】
ボイラ12の熱効率の高い運転には、水壁23、過熱器27、再熱器29、又は節炭器31を含む気体-液体および気体-気体の非接触式熱交換器を使用した熱統合が必要である(熱交換器が含むものは、水壁23、過熱器27、再熱器29、又は節炭器31に限定されることはない)。一例として、節炭器の機能は、飽和温度に近い「アプローチ」温度まで水温を上昇させることである。アプローチ温度は、一般には、最大の熱エネルギー吸収効率と運転柔軟性が確保されるように選択される。空気予熱器(APH)は、別のプロセス(ボイラでの燃焼など)の前に、そのプロセスの熱効率を高めることを主な目的として、空気を加熱するように設計された装置である。
【0022】
図2は、例示的な熱交換器60において、例えば、図1に示されるボイラ12の水壁23、過熱器27、再熱器29又は節炭器31などの部分を示す。一実施例では、熱交換器60はボイラ12の節炭器31であり、図示のように、端部ベンド64およびブラケット66によって並ぶように接続されて配置された個別の水管又は蒸気管62を含む。水管/蒸気管62は、水の入口又は蒸気の入口68と出口70とを有する。熱交換器60は、煙道ガスの入口74と煙道ガスの出口76とを有する。図示されている実施形態の水管62は、ボイラ12の縦軸および煙道ガスの経路に対して概ね垂直に向けられている。本明細書で参照される熱交換器60は、水管と水の入口および出口とを有する場合について記載されているが、そのような記載は単に例示を目的としていることを理解されたい。熱交換器60は、当技術分野でよく理解されているように、任意の種類のものがあり、任意の流体の作動媒体で機能することができる。例えば、熱交換器60は、一般性を失うことなく、気体-気体又は液体-気体とすることができる。
【0023】
一実施形態では、1つ以上の腐食センサシステム80を、熱交換器60(例えば、本明細書で説明されている節炭器31、再熱器29、過熱器27など)の構成部品に配置することができる。一般に、例えば節炭器31などの熱交換器60の高温側が、腐食性の可能性のある化学種を含む気相である場合、腐食が生じる恐れがあるが、ガス温度が高いのでほとんどの場合腐食は回避される。しかしながら、例えば、煙道ガスが熱交換器の媒体(例えば、水/蒸気)に熱を付与することなどから、ガス温度が低下すると、特に煙道ガスの露点に近づくにつれて、腐食が起こりやすくなる。正確な露点は、正確な温度、燃料組成、煙道ガスの組成、熱交換器材料などを含む多数の変数に応じて変化するため、腐食が始まる条件や、プロセス条件に対して腐食速度が相対的にどの程度の影響を受けるかについて、正確に予測することは困難である。さらに、熱交換器60の表面が時間とともに汚染され(ファウリング)、表面におけるプロセス条件がバルク気相条件と大きく異なるため、条件は時間とともに変化する可能性がある。(熱交換器60の負荷の変化又は保守による停止などの)過渡事象の間、経験する条件は、腐食機構の力学に大きな影響を与えるような形態で、短期間に劇的に変化することがある。腐食しない動作条件下で熱交換器60を維持することに失敗すると、コストが高くつき、望ましくないことがある。例えば、排熱回収ボイラ発電所10において酸露点条件下で腐食が進むと、腐食の好ましくない影響により、発電所の停止や、許可を損失してしまうという恐れされもある。逆に、(腐食を避けるために)熱交換面を露点より高い温度に常に維持すると、熱交換器の効率が低下する。しかし、安全で経済的に実行可能な運転下で最小温度を実現することが求められている。そこで、一実施形態では、煙道ガスに晒された熱交換器60の腐食状態を評価するためのシステムおよび技術が提案されている。
【0024】
さらに図3を参照すると、一実施形態による腐食検知システム80を有する熱交換器60の簡略化されたブロック図が示されている。一実施形態では、腐食検知システム80および制御プロセス200(図4も参照)は、所望の性能最適化を実現して熱交換器60を動作させる(許容可能な腐食速度で最大熱交換が実現される)制御ユニット150を含む。検知システム80および制御プロセス200によって、腐食特性が容易に求められ、熱交換器60における流れが最適に制御される。特に、熱交換器60における流体の流れを制御して、気相熱交換媒体(例えば、煙道ガス)と接触する熱交換器60の高温側に位置する腐食検知システム80の腐食速度によるフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、低温側入口の許容可能な最小温度を実現する。
【0025】
一実施形態では、腐食検知システム80は、熱交換器60の凝結/堆積が起こり得る(又は、好ましくは起こりやすい)場所に配置された1つ以上の腐食検知デバイス82および温度センサ86を使用する。例えば、より具体的には、熱交換器60の高温側又は特に高温側出口76において、熱交換媒体の気相(例えば、出口76の煙道ガス)と接触しているところに配置されている。腐食検知デバイス82は、選択された温度に対して所与の選択された位置における腐食の監視を容易に行えるようにするために、温度センサ86に結合された腐食センサ84を含む。考えられる種類の腐食センサ84の1つは電気抵抗センサであり、電気抵抗センサは材料片81である。材料片81は、温度が測定され、さらに、温度制御されるものであり、(金属が腐食するので)センサの金属厚が経時的に計算される。選択された動作温度に対して変化する抵抗は、腐食速度と簡単に相関させることができる。一実施形態では、腐食センサ84および試料材料81における金属の取扱い条件は、センサが熱交換器60と同じ腐食環境および特性を示すように、熱交換器60と同じになるように選択される。したがって、一実施形態では、腐食検知システム80は、熱交換器に結合された(一例では、熱交換器60と同じ材料の)材料片を含む電気抵抗/腐食センサ84を有する腐食検知デバイス82と、それぞれの検知デバイス82の温度を測定する温度センサ86とを含む。電気抵抗は、電圧を印加し電流を測定することや、ホイートストンブリッジなどの既知の技術を使用して測定することができる。一実施形態では、2つ以上の温度制御型腐食検知デバイス82が使用される。例えば、一実施形態では、2つ以上の腐食検知デバイス82r、82sが使用される。腐食検知デバイス82rの温度は、熱交換器60のTwで示される高温ガス出口の表面温度における腐食を追跡するように制御されるTrで示される温度(例えば、熱交換器60の材料の現在の動作温度)であり、一方、腐食検知デバイス82sは、異なる温度に対して起こり得る腐食を評価するためにTsで示される異なる温度(例えば、許容可能な腐食速度で性能を改善するための予想温度)において「スカウト」として設定される。別の実施形態では、1つの腐食検知デバイス82(例えばスカウト82s)に対して使用される金属の取扱い条件は、既存の熱交換器60の実際の金属の取扱い条件と異なっていてもよい。異なる取扱い条件を使用することによって、熱交換器の使用について新しい取扱い条件が適合しているかを決定するための評価をすることが可能になる。一実施形態では、温度Twは、熱交換器60の、例えば高温ガス流出口76の近くにおける又は出口76における「最も低い」点として測定されるが、必ずしも流出口76の近くの位置又は流出口76の位置である必要はない。一実施形態では、図4に示されているように、3つ以上の腐食検知デバイス82が使用される。記載された実施形態の腐食検知システム80は、複数の温度制御型腐食検知デバイス82(符号82a、82b、82c、82d、・・・82nで示されている)を含むことができ、各腐食検知デバイスは、温度監視センサ86に結合された電気抵抗/腐食センサ84を含んでいる。
【0026】
さらに、一実施形態では、システム80の温度、より具体的には1つ以上の腐食検知デバイス82の温度は、温度と測定された腐食との間の相関が容易に得られるように経時的に制御される。一実施形態では、検知デバイス82の表面温度、より具体的には電気抵抗/腐食センサ84の表面温度を制御することができ、制御された温度に基づいてリアルタイムで腐食速度が監視される。一実施形態では、各腐食検知デバイス82は、互いに異なる腐食検知デバイス82において複数の表面温度を実現できるようにする専用の又は共通の温度補償デバイス(例えば、冷却システム)90を有することができる。一実施形態では、腐食検知システム80は、個別の温度補償型腐食検知デバイス82を使用する。別の実施形態では、腐食検知システム80は管100を含んでいる。この管100は、好ましくは、腐食の監視が望まれている材料と同じ材料(例えば、熱交換器60の材料)の管であり、遠位端102は煙道ガス中に挿入できるように閉じられている。温度補償デバイス90(一例では冷却デバイス104)は、管100内に配置されており、選択された数の制御温度を維持するように動作可能であり、これらの制御温度は互いに独立して調整可能である/制御される。一実施形態では、冷却装置104は、管103によって送られる冷却空気を供給する。管103は、管100と実質的に同心円であり、管100の閉じた遠位端102に冷却空気を送るように動作可能であり、冷却空気は後方に戻って管100の開放端に向かう。このようにして、ある程度の空気又は冷却空気を送ることによって、管100の遠位端102における温度を、選択された温度に正確に制御することができる。温度は、所与の材料や場所などに対応する腐食特性に応じて選択される。別の実施形態では、温度補償デバイス90は、例えば、ペルチェ素子などの熱電素子として構成することができ、それによって、各腐食検知デバイス82に取り付けられた半導体材料に電流が流れて、材料全体に渡って温度差が確立され、冷却を実現するために利用することができる。
【0027】
図3および図4の説明を続けると、動作においては、各温度監視センサ86は、腐食検知デバイス82の温度又は熱交換器の表面温度を監視するように動作可能であり、例えば、TwおよびTcは、熱交換器表面の図示されている測定温度として用いられ、一方、TrおよびTsはそれぞれの腐食検知デバイス82rおよび82sの温度である。一実施形態では、上述のように、(「基準」検知デバイス82rとして示されている)1つの腐食検知デバイス82は、腐食が監視されるべき熱交換器60の表面温度、例えばTw、を緊密に追跡するように制御された温度である。一実施形態では、好ましくは、基準検知デバイス82rは、熱交換器60の高温ガス側表面と同じような金属の取扱い条件が適用されており、(その熱交換器表面で見られる条件と非常に類似した条件をセンサ表面にもたらす)暴露歴を追跡する。その結果、温度センサ86からの測定された温度に相関するものとして動作中に監視された電気抵抗の変化に基づいて、所与の時間における腐食を確認することができ、同様に、経時的に測定することで、腐食速度が求められる。特に、例えば一実施形態では、センサ84からの電気抵抗の測定に対して、金属厚さの分解能を1オングストローム未満にすることができ、ろ過空気の環境で継続的にオンライン監視をすることができる。より難しい環境では、2つの経過時点の間の金属厚さによって測定される腐食傾向および腐食速度を確立するのに時間がかかることがある(十分な信号対雑音比を可能にする測定期間が確実に選択されるようにするため)。一実施形態では、図4に示すように、熱交換器60の所与の温度において、選択された期間に渡って抵抗を測定して、腐食速度を容易に求めるすることができる。腐食速度が選択された閾値を超える場合、低温側入口の温度を、所望の腐食速度が得られるように調整することができる。いくつかの実施形態では、低温側入口の温度を監視して、求められた腐食速度との相関を容易に得て、熱交換媒体(例えば、水/蒸気)の低温側入口の温度に関連するスキームを制御する。一実施形態では、腐食速度が選択された閾値よりも速い場合、低温側入口の温度を少しだけ下げるように制御して、熱交換器60全体の温度差を小さくし、それによって、予想される腐食を、さらに許容可能なレベルに減少させる。
【0028】
任意で、別の実施形態では、第2の腐食検知デバイス82(「スカウト用の」検知デバイス82sとして示される)は、将来的に熱交換器60に適用されると予想される目標となる別の動作温度又は目標となる動的温度プロファイルに設定され、制御される。このスカウト検知デバイス82sに関連する腐食および腐食速度を求めることもできる。「スカウト」センサが選択され異なる温度で制御が行われる実施形態では、(基準センサに対して)温度変化における腐食速度の差によって、熱交換器の低温側入口の好ましい温度設定点を選択するために必要な勾配が求められる。一実施形態では、検知デバイス82rおよび82sの両方に対して、プロセス200がコントローラ150上で実行されることによって腐食速度がリアルタイムで監視される。一実施形態では、基準腐食検知デバイス82rおよびスカウト腐食検知デバイス82sから測定された相対腐食速度又は絶対腐食速度に関するフィードバックを使用して、新しい温度設定点又は動的温度プロファイルが熱交換器60の腐食の観点から適切であるかどうかを判断する。言い換えると、腐食プロファイルが予想より小さい場合、熱交換器の入口68における低温側の温度を低くすることが可能である。逆に、測定された腐食が予想よりも大きい場合、熱交換器60の温度差を小さくして、腐食速度を遅くする又は制御する必要がある。プロセス200は、過渡現象を予測することに関連するか、又は得られたプロセス条件下で熱効率を最適化することに関連するかどうかに関わらず、プラント運転を修正する前に反復することができる。一実施形態では、熱交換器60に対して予想される要求に基づいて、例えばいくつかの実施形態ではTcとして測定される低温側入口の温度を、所望の腐食特性が確実に得られるように制御することができる。一実施形態では、熱交換器60を流れる熱交換媒体(例えば、水/蒸気)の温度および/又は流量を制御することによって、低温側入口の目標温度を制御することができる。
【0029】
一実施形態では、異なる温度設定点又は異なる動的温度プロファイルを同時に検証しして、それらの腐食に対する影響をリアルタイムで測定することができるように、3つ以上の温度制御型腐食検知デバイス82が使用される。両方のセンサに対して、腐食速度がリアルタイムで監視され、相対速度又は絶対速度に関するフィードバックを使用して、新しい温度設定値又は動的温度プロファイルが腐食の観点から適切かどうかが判断される。このプロセスは、過渡現象を予測することに関連するか、又は得られたプロセス条件下で熱効率を最適化することに関連するかどうかに関わらず、プラント運転を修正する前に反復される。
【0030】
次に図5を参照すると、腐食検知システム80および/又は制御ユニット150は、本明細書に記載の機能を実行するために、および/又は本明細書に記載の結果を実現するために、必要な電子部品、ソフトウェア、メモリ、ストレージ、データベース、ファームウェア、論理マシン/状態マシン、マイクロプロセッサ、通信リンク、ディスプレイ又は他の視覚若しくは音声のユーザインターフェース、印刷装置、および他の任意の入力/出力インターフェースを含むことができる。例えば、前述したように、一実施形態では、腐食検知システム80および/若しくは制御ユニット150又はその両方は、発電システム10の自給式の構成要素として実装されてもよいし、発電システム10のモジュール型の構成要素として実装されてもよく、少なくとも1つの処理モジュール140およびシステムメモリ/データ記憶構造を含むことができ、これらは、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)を含むことができる。モジュール140のプロセッサは、1つ以上の通常のマイクロプロセッサや、マイクロコントローラや、数値演算コプロセッサ等の1つ以上の補助的なコプロセッサなどを含むことができる。本明細書で説明されるデータ記憶構造は、磁気メモリ、光学メモリ、および/又は半導体メモリの適切な組み合わせを含むことができ、さらに、例えば、RAM、ROM、フラッシュドライブ、光ディスク(コンパクトディスクおよび/又はハードディスク若しくはハードドライブなど)を含むことができる。処理モジュール140および/又は制御ユニット150は、各機能が単一パッケージに統合された統合マイクロコントローラの形態で実装することができる。さらに、腐食検知システム80を、必要に応じてASIC又はFPGAを含むマイクロコントローラとして実装して、本明細書に記載の機能、処理、および通信を実行する様々なモジュールと接続してもよい。さらに、本明細書に開示されている方法200を実行するように腐食検知システム80とその中に含まれるモジュール又は制御ユニット150を適応させるソフトウェアアプリケーションを、コンピュータ可読媒体から少なくとも1つのプロセッサのメインメモリに読み込むようにしてもよい。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に開示された方法をリアルタイムで実行することができる。本明細書で使用される用語「コンピュータ可読媒体」は、命令を実行のためモジュール80又は制御ユニット150の少なくとも1つのプロセッサ(又は本明細書に記載されている装置の他のプロセッサ)に提供する任意の媒体又はその命令を提供することに関与する任意の媒体を意味する。
【0031】
図5の説明を続けると、一実施形態では、センサ(例えば84、86)の各々は、制御ユニット150に配線接続されてもよい。別の実施形態では、センサインターフェース130および処理部は検知デバイス82に含まれ、検知デバイス82は、電気抵抗センサ/腐食センサ84および温度センサ86と通信するとともに、制御ユニット150と通信する。一実施形態では、低電力通信インターフェース160が使用される。通信インターフェース160は、インターコネクト/ネットワーク162に接続されるように構成されている。インターコネクト/ネットワーク162は、腐食検知デバイス82と制御ユニット150などの1つ以上のコントローラを相互接続する。ネットワーク162は、有線コンポーネントと無線コンポーネントとを混合したものとすることができ、IPネットワークを含む通信ネットワークを活用することができる。インターコネクト/ネットワーク162は、有線コンポーネント若しくは無線コンポーネント、又はそれらの組み合わせを含んでいてもよいことが理解されるべきである。このような有線コンポーネントは、通常のネットワークケーブル、光ファイバ、若しくは電線であってもよいし、検知モジュール80、制御ユニット150、およびボイラシステムの他の装置が通信で使用する任意の他のタイプの物理構造であってもよい。さらに、ネットワーク162は無線コンポーネントを含むことができ、無線リンク、光リンク、磁気リンク、又は音波リンクであってもよいし、腐食検知デバイス82および制御ユニット150が通信で使用する任意の他のタイプの無線リンクであってもよい。通信インターフェース160は、有線でもよいし、無線でもよいし、それらの組み合わせであってもよい。一実施形態では、ワイヤレス通信インターフェース160およびワイヤレスネットワーク162が使用される。例えば、通信インターフェース160は、様々な技法、技術、およびプロトコルを使用して、説明された実施形態を容易に実現することができるが、上記のものに限定されることはない。例えば、通信インターフェース160およびネットワーク162は、イーサネット、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFCなどとして実現することができる。ネットワーク162は、ハブ・アンド・スポークタイプの構成を使用して、又はメッシュネットワーク構成として実現することができる。いくつかの実施形態では、無線メッシュネットワークを使用して、ボイラ12の周りに配置された複数の腐食検知デバイス82が互いに通信し、測定値を調整し、データを制御ユニット150に送り返すことが可能である。無線ローカル電源120を無線通信インターフェース160およびネットワーク162と組み合わせて、各センサシステム80およびシステム全体の設置コストを大幅に削減することが好ましい。
【0032】
ボイラ12、より具体的には、組み込まれた腐食検知システム80および/又は制御ユニット150は、電源120、センサインターフェース130、処理モジュール140および通信インターフェース160用の個別のモジュールを含むものとして記載されているが、このような記載は単なる例示の目的のためのものであることを理解されたい。もう1つの実施形態では、記載されたモジュールのすべての又は一部の機能を、必要に応じて容易に統合又は組み合わせることができる。例えば、一実施形態では、センサインターフェース130、処理モジュール140、および通信インターフェース160の機能の全部又は一部を、マイクロコントローラ、ASIC、FGPGAなどに組み込むことができる。
【0033】
記載された実施形態では、方法200は、ボイラシステム12内の熱交換器60の熱交換面の腐食を監視する。この方法は、プロセス工程210において示されているように、熱交換器60の表面の温度Twを監視することから開始する。本明細書で記載されているように、測定は高温ガス出口76の近くで行われることが好ましいが、熱交換器60の温度の最も低い点又は凝結が起こりやすい場所で測定を行う必要はない。方法200は続いて、プロセス工程220において示されているように、第1の位置における腐食検知デバイス82(例えば82r)の温度を制御する。プロセス工程230において示されているように、選択された第1の位置における腐食検知デバイス82の腐食を監視する。一実施形態では、プロセス工程240において示されているように、抵抗率の測定値は、その選択された位置および選択された温度における既知のベースラインおよび腐食速度を得るための、選択された測定期間に渡って既知の一定温度で測定された抵抗率と比較され、評価され、腐食速度が求められる。測定された腐食の比較に基づいて、方法200は、プロセス工程250において、腐食速度に少なくとも部分的に基づいて熱交換器60の低温側入口の目標温度を求める。方法200は、続いて、プロセス工程260に示されるように、測定された腐食速度に少なくとも部分的に基づいて熱交換器60の入口温度を制御する。方法200は、続いて、プロセス工程270に示されているように、選択された第2の温度に対して上記の工程を任意に繰り返す。最後に、プロセス工程280に示されているように、方法200は、続いて、選択された第2の温度、選択された第1の温度、および選択された位置における測定値に少なくとも部分的に基づいて、熱交換器60の入口温度を制御する。
【0034】
方法200の様々な工程は特定の順序で示されているが、これらの工程は必ずしも図示された順序である必要はなく、単に実施形態の例を示す目的で図示の順序で説明されているにすぎないことを理解されたい。一部の工程は検討したほうがよく、一部の工程は異なる順序で容易に実行することができる。運用上の節約に加えて、記載された実施形態の発電システムは、新しい熱交換器の設計および構造に関する資本コストを節約することができる。特に、本明細書に開示された制御システムを用いて、腐食速度を確実に抑制しながら熱交換効率を最大化することによって、より効率的な熱交換動作のための機器を設計/計画することが可能となる。
【0035】
一実施形態において、本明細書には、高温ガスの入口および出口と低温側の入口および出口とを有する熱交換器の熱交換面の腐食を制御する方法が記載されている。この方法は、熱交換器の選択された第1の位置における温度を求めること、前記熱交換器の表面の温度に基づいて、腐食検知デバイスの温度を、選択された第1の温度に制御すること、および選択された前記第1の温度に対して、前記熱交換器表面に関連する選択された前記第1の位置における腐食速度を求めることを含む。この方法は、さらに、前記腐食速度を予測腐食速度と比較することと、求められた腐食、前記比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側流体入口の目標温度を求めることと、求められた入口の目標温度、求められた腐食速度、および予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて、低温側流体入口の温度を制御することとを含む。
【0036】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、前記腐食検知デバイスの温度を制御することが、前記第1の位置に温度補償デバイスを提供することを含んでいる。
【0037】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、選択された第1の温度に制御することが、前記腐食検知デバイスの温度を前記熱交換器の現在の温度に制御することを含むことができる。
【0038】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、腐食を求めることが、選択された前記第1の位置における電気抵抗を測定することに基づいている。
【0039】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、選択された前記第1の位置における前記電気抵抗が、選択された条件下で測定されたベースライン電気抵抗と比較されることを含んでいてもよい。
【0040】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、前記選択された条件が、初期時刻の第1の選択された温度における第1の選択された位置を含むことを含み得る。
【0041】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、前記入口温度を制御することが、熱交換媒体の前記熱交換器の前記低温側入口への流量を制御すること、および前記熱交換器の前記低温側入口に流れる前記熱交換媒体の温度を制御することのうちの少なくとも一方に部分的に基づいている。
【0042】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、前記熱交換器の前記熱交換面において選択された第1の位置における腐食検知デバイスの温度を、選択された第2の温度に制御すること、選択された前記第2の温度における前記熱交換器の前記熱交換面に関連する腐食速度を求めること、求められた腐食速度を、選択された前記第2の温度に関連する予測腐食速度と比較すること、選択された前記第2の温度において測定された腐食速度および前記比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側入口の目標温度を求めること、および選択された第2の温度において測定された腐食速度および求められた低温側入口の温度に少なくとも部分的に基づいて、前記低温側入口の温度を制御すること、を含む。
【0043】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、選択された前記第2の温度が、前記熱交換器の改善された予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて選択されることを含む。
【0044】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、選択された第1の位置が、熱交換器の熱交換面において腐食が起こりそうな位置に基づくことができる。
【0045】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、この方法の他の実施形態は、選択された第1の位置が、熱交換器の高温ガス出口に近接するように選択されることを含んでもよい。
【0046】
別の実施形態では、熱交換器の熱交換面の腐食を監視するためのシステムが記載されている。このシステムは、高温ガス入口と高温ガス出口と低温側入口と低温側出口とを有する熱交換器と、前記熱交換器の熱交換面における選択された第1の位置に配置された腐食検知デバイスであって、選択された第1の温度に対する前記熱交換面の腐食速度を測定するように動作可能な腐食検知デバイスと、前記腐食検知デバイスの温度を制御するように制御可能かつ動作可能な温度補償デバイスと、選択された前記第1の位置に近接して配置された温度検知デバイスであって、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における温度を測定するように動作可能な温度検知デバイスとを含む。このシステムは、さらに、前記熱交換器を流れる熱交換媒体の前記低温側入口への流れおよび温度のうちの少なくとも一方を制御するように動作可能な制御装置、および前記腐食検知デバイス、前記温度補償デバイス、前記温度センサ、および制御装置と通信するように動作可能なコントローラを含む。前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも一方は、前記温度補償デバイスを制御して、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における温度に少なくとも部分的に基づいて、選択された前記第1の温度に前記腐食検知デバイスを維持するように動作可能である。前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも一方は、前記熱交換器の前記熱交換面の前記第1の位置における腐食速度を求め、前記第1の位置において測定された腐食と、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器の予測腐食速度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である。
【0047】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、温度センサを含むことができる。温度センサは、熱交換器表面の低温側入口およびその周囲における温度を測定するように動作可能である。
【0048】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも1つは、前記第1の位置において測定された腐食と、前記熱交換器の選択された前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器の予測腐食速度と、測定された低温側入口の温度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である。
【0049】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、前記腐食検知デバイスが、前記熱交換面の電気抵抗を測定するように動作可能な電気抵抗センサと、前記腐食検知デバイスの近傍の前記交換表面の温度を測定するように動作可能な温度センサとを含むことができる。
【0050】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、腐食検知デバイスが、腐食検知デバイスに電力を供給するように動作可能な電源と、電気抵抗および測定された温度に少なくとも部分的に基づいて腐食を求めるためのプロセスを実行するように動作可能なプロセッサモジュールと、少なくともコントローラと通信するように動作可能な通信モジュールとを含むことができる。
【0051】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、熱交換器の熱交換面の選択された第1の位置に配置された第2の腐食検知デバイスを含むことができる。第2の腐食検知デバイスは、選択された第2の温度における熱交換面の腐食を測定するように動作可能である。
【0052】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、選択された第2の温度において測定された腐食速度および求められた低温側入口の温度に少なくとも部分的に基づいて、低温側入口の温度を制御することを含むことができる。
【0053】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、選択された第2の温度が、熱交換器の改善された予測腐食速度に少なくとも部分的に基づくものとすることができる。
【0054】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、選択された第1の位置が、熱交換器の熱交換面において腐食が起こりそうな位置に基づくことができる。
【0055】
上記の1つ以上の特徴に加えて、又は代替の特徴として、このシステムの他の実施形態は、選択された第1の位置が、熱交換器の高温ガス出口に近接するように選択されることを含んでもよい。
【0056】
最後に、システム10および制御ユニット150は、本明細書に記載の機能を実行するために、および/又は本明細書に記載の結果を実現するために、必要な電子部品、ソフトウェア、メモリ、ストレージ、データベース、ファームウェア、論理マシン/状態マシン、マイクロプロセッサ、通信リンク、ディスプレイ又は他の視覚若しくは音声のユーザインターフェース、印刷装置、および他の任意の入力/出力インターフェースを含むことができる。例えば、前述したように、システムは、少なくとも1つのプロセッサおよびシステムメモリ/データ記憶構造を含むことができ、ランダムアクセスメモリ(RAM)および読み出し専用メモリ(ROM)を含むことができる。システム10の少なくとも1つのプロセッサは、1つ以上の通常のマイクロプロセッサや、数値演算コプロセッサ等の1つ以上の補助的なコプロセッサなどを含むことができる。本明細書で説明されるデータ記憶構造は、磁気メモリ、光学メモリ、および/又は半導体メモリの適切な組み合わせを含むことができ、さらに、例えば、RAM、ROM、フラッシュドライブ、光ディスク(コンパクトディスクおよび/又はハードディスク若しくはハードドライブなど)を含むことができる。
【0057】
さらに、本明細書に開示されている方法を実行するようにコントローラを適応させるソフトウェアアプリケーションを、コンピュータ可読媒体から少なくとも1つのプロセッサのメインメモリに読み込むようにしてもよい。したがって、本発明の実施形態は、本明細書に開示された方法をリアルタイムで実行することができる。本明細書で使用される用語「コンピュータ可読媒体」は、命令を実行のためシステム10の少なくとも1つのプロセッサ(又は本明細書に記載されている装置の他のプロセッサ)に提供する任意の媒体又はその命令を提供することに関与する任意の媒体を意味する。そのような媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むが、これらに限定されない多くの形態をとることができる。不揮発性媒体としては、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、又は光磁気ディスク(メモリなど)がある。揮発性媒体としては、典型的にはメインメモリを構成するダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)がある。コンピュータ可読媒体の一般的な形態には、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ(SSD)、磁気テープ、他の任意の磁気媒体、CD-ROM、DVD、他の任意の光学媒体、RAM、PROM、EPROM又はEEPROM(electronically erasable programmable read-only memory)、FLASH(登録商標)-EEPROM、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、又はコンピュータが読み取ることができるその他の媒体がある。
【0058】
実施形態では、ソフトウェアアプリケーションにおける一連の命令が実行されると、少なくとも1つのプロセッサが本明細書に記載の方法/プロセスを実行するが、ソフトウェア命令の代わりに、又はソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を使用して、記載された方法/プロセスを実施してもよい。したがって、本明細書に記載される実施形態は、ハードウェアおよび/又はソフトウェアの特定の組み合わせに限定されることはない。
【0059】
本明細書において、「電気通信」又は「電気的に結合された」は、特定の構成要素が、直接又は間接の電気接続によって、直接又は間接に信号をやり取りすることを通じて互いに通信することを意味する。本明細書において、「機械的に結合された」は、部品間でトルクを伝達するために必要な力を支持することができる任意の結合方法を意味する。本明細書において、「動作可能に結合された」とは接続を意味し、この接続は直接的に接続されていてもよいし、間接的に接続されていてもよい。この接続は、必ずしも機械的な取付けである必要はない。
【0060】
本明細書において、単数で記載された要素又は工程(ステップ)は、そのような除外が明示的に述べられていない限り、複数の前記要素又は工程(ステップ)を除外しないと理解されるべきである。さらに、記載された複数の実施形態のうちの「一つの実施形態」に言及することは、列挙された特徴を組み込む追加の実施形態の存在を排除するものとして解釈されることを意図するものではない。さらに、特段の記載がない限り、特定の特性を有する一つの要素又は複数の要素を「含む」、「備える」、又は「有する」実施形態は、その特性を持たない追加の要素を含んでいてもよい。
【0061】
さらに、本明細書に記載の材料の寸法および種類は、記載された実施形態に関連するパラメータを定義することが意図されているが、決してそれらに限定されるものではなく、例示的な実施形態である。上記の記載を検討すれば、他の多くの実施形態が当業者には明らかである。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。請求項の記載は、当業者が思い浮かぶ他の例を含むことができ、そのような他の例は、特許請求の範囲の文言上の表現と異ならない構成要素を有する場合、又は特許請求の範囲の文言上の表現と非実質的差異しかない等価な構成要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。添付された特許請求の範囲において、「含む」および「で」という用語は、それぞれの用語「含む」および「で」の平易な英語の等価物として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1」、「第2」、「第3」、「上」、「下」、「底」、「頂」等の用語は、単にラベルとして使用され、それらのオブジェクトに数値的要件又は位置的要件を課すことを意図するものではない。さらに、請求項の限定は、当該請求項の限定が明示的に、「のための手段」という語句の後にさらなる構造の無い機能の記述を使用しない限り、ミーンズ・プラス・ファンクション形式で記載されておらず、そのように解釈されることを意図するものではない。
【0062】
[実施態様1]
高温ガス入口(74)および高温ガス出口(76)と低温側入口(68)および低温側出口(70)とを有する熱交換器(60)の熱交換面の腐食を制御する方法(200)であって、該方法は、
前記熱交換器(60)の表面の第1の位置における温度を求めること(210)、
前記熱交換器(60)の表面の前記第1の位置における温度に基づいて、腐食検知デバイス(82)の温度を第1の温度に制御すること(220)、
前記第1の温度に対して、前記熱交換器(60)の前記熱交換面に関連する前記第1の位置における腐食速度を求めること(230)、
前記腐食速度を、前記第1の位置および前記第1の温度に関連する予測腐食速度と比較すること(240)、
前記第1の位置における前記腐食速度の比較(240)に少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器(60)の低温側流体入口の目標温度を求めること(250)、および
前記流体入口の目標温度、腐食速度、および予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて、低温側流体入口の温度(68)を制御すること(260)
を含む、方法(200)。
[実施態様2]
前記腐食検知デバイス(82)の温度を制御することは、前記第1の位置に温度補償デバイス(90)を提供することを含む、実施態様1に記載の方法(200)。
[実施態様3]
前記腐食検知デバイス(82)の温度を前記第1の温度に制御することは、前記腐食検知デバイスの温度を前記熱交換器(60)の現在の温度に制御することを含む、実施態様2に記載の方法(200)。
[実施態様4]
前記腐食速度を求めること(230)は、前記第1の位置における電気抵抗を測定することに基づいている、実施態様2に記載の方法(200)。
[実施態様5]
前記低温側流体入口の温度を制御すること(260)は、
前記熱交換器の前記低温側入口に流れる熱交換媒体の流量を制御すること、および
前記熱交換器(60)の前記低温側入口(68)に流れる前記熱交換媒体の温度を制御すること
のうちの少なくとも一方に基づいている、実施態様1に記載の方法(200)。
[実施態様6]
前記熱交換器(60)の前記熱交換面の前記第1の位置における前記腐食検知デバイス(82)の温度を第2の温度に制御すること(280)、
前記熱交換器(60)の前記熱交換面に関連する前記第2の温度における第2の腐食速度を求めること、
前記第2の腐食速度を、前記第2の温度に関連する予測腐食速度と比較すること、
前記第2の温度における前記第2の腐食速度および前記比較することに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の第2の低温側入口の目標温度を求めること、および
前記第2の温度における第2の腐食速度および前記第2の低温側入口の目標温度に少なくとも部分的に基づいて、前記低温側入口の温度を制御すること
を含む、実施態様1に記載の方法(200)。
[実施態様7]
前記第2の温度が、前記熱交換器(60)の改善された予測腐食速度に少なくとも部分的に基づいて選択される、実施態様6に記載の方法(200)。
[実施態様8]
熱交換器(60)の熱交換面の腐食を監視するシステム(80)であって、該システム(80)は、
高温ガス入口(74)と高温ガス出口(76)と低温側入口(68)と低温側出口とを有する熱交換器(60)、
前記熱交換器の熱交換面における第1の位置に配置された腐食検知デバイス(82)であって、第1の温度に対する前記熱交換面の腐食速度を測定するように動作可能な腐食検知デバイス(82)、
前記腐食検知デバイス(82)の温度を制御するように制御可能かつ動作可能な温度補償デバイス(90)、
前記第1の位置に近接して配置された温度検知デバイス(86)であって、前記熱交換器(60)の前記第1の位置における温度を測定するように動作可能な温度検知デバイス(86)、
前記熱交換器を流れる熱交換媒体の前記低温側入口への流れおよび温度のうちの少なくとも一方を制御するように動作可能な制御装置(140,150)、および
前記腐食検知デバイス(82)、前記温度補償デバイス(90)、前記温度センサ(86)、および制御装置と通信するように動作可能なコントローラ(140,150)
を含み、
前記腐食検知デバイス(82)および前記コントローラ(140,150)のうちの少なくとも一方は、前記温度補償デバイス(82)を制御して、前記熱交換器(60)の前記第1の位置における温度に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の温度に前記腐食検知デバイスを維持するように動作可能であり、
前記腐食検知デバイス(82)および前記コントローラ(140,150)のうちの少なくとも一方は、前記熱交換器(60)の前記熱交換面の前記第1の位置における腐食速度を求め、前記第1の位置における測定された腐食と、前記熱交換器(60)の前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器(60)の予測腐食速度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器(60)の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である、システム(80)。
[実施態様9]
前記腐食検知デバイスおよび前記コントローラのうちの少なくとも1つは、前記第1の位置において測定された腐食速度と、前記熱交換器の前記第1の位置における測定された温度に対する前記熱交換器の予測腐食速度と、測定された低温側入口の温度とに少なくとも部分的に基づいて、前記熱交換器の低温側入口の温度を制御するプロセスを実行するように動作可能である、実施態様8に記載のシステム(80)。
[実施態様10]
前記腐食検知デバイス(82)は、
前記熱交換面の電気抵抗を測定するように動作可能な電気抵抗センサと、
前記腐食検知デバイスの近傍の前記交換表面の温度を測定するように動作可能な温度センサ(86)と
を含む、実施態様8に記載のシステム(80)。
【符号の説明】
【0063】
10 発電システム
11 燃焼システム
12 ボイラ
14 バーナーアセンブリ
16 微粉砕機
17 空気予熱器
18 空気源
22 主バーナーゾーン
23 水壁
24 バーンアウトゾーン
25 ドラム
26 過熱器ゾーン
27 過熱器
28 節炭器ゾーン
29 再熱器
30 流体制御装置
31 節炭器
32 グリッド
33 バックパス
37 監視装置
40 ポンプ
50 蒸気タービン
52 高圧部
54 中圧部
56 低圧部
57 復水器
58 発電機
60 熱交換器
66 流体制御装置
68 入口
70 出口
74 煙道ガスの入口
76 煙道ガスの出口
80 腐食検知システム
82 腐食検知デバイス
86 温度センサ
90 温度補償デバイス
140 処理モジュール
150 制御ユニット
200 方法
210 処理工程
220 処理工程
230 処理工程
240 処理工程
250 処理工程
260 処理工程
270 処理工程
280 処理工程

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】