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特表2023-533929モジュール式の電気的なパワーステアリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】モジュール式の電気的なパワーステアリング
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20230731BHJP
   B62D 3/12 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B62D5/04
B62D3/12 503A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581492
(86)(22)【出願日】2021-04-06
(85)【翻訳文提出日】2022-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2021058926
(87)【国際公開番号】W WO2022002451
(87)【国際公開日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】102020208275.8
(32)【優先日】2020-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファヌス セバスティアン ベスター
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン ミュラー
【テーマコード(参考)】
3D333
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB15
3D333CB19
3D333CC14
3D333CC15
3D333CC18
3D333CD04
3D333CD05
3D333CD09
3D333CD10
3D333CE02
(57)【要約】
モジュール式の電気的なパワーステアリングであって:ユニバーサルジョイント(10)を案内する管状のネック(1)であって、規定された屈折角度を有する管状のネック(1)と、制御装置により制御される電気的なモータから成る駆動装置アッセンブリ(3)と、トルクセンサと伝動装置とから成る伝動装置アッセンブリ(2)と、短縮可能な管から成るステアリングロッド(4)と、前記伝動装置アッセンブリ(2)を取り囲む伝動装置ハウジング(7,11)と、短縮可能である2つの管状のラックハウジング半部(5)であって、該2つのラックハウジング半部(5)の間に前記伝動装置ハウジング(7,11)が配置されている、ラックハウジング半部(5)と、それぞれ前記2つのラックハウジング半部(5)の外側の端部に配置されている2つの基部(8)であって、該基部(8)は、当該パワーステアリングを車両に取り付けるために用いられ、前記基部(8)は前記ラック(4)を案内するためのブシュを含む、基部(8)と、を含む、モジュール式の電気的なパワーステアリング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の電気的なパワーステアリングであって、
ユニバーサルジョイント(10)を案内する管状のネック(1)であって、規定された屈折角度を有する管状のネック(1)と、
制御装置により制御される電気的なモータから成る駆動装置アッセンブリ(3)と、
トルクセンサと伝動装置とから成る伝動装置アッセンブリ(2)と、
短縮可能な管から成るステアリングロッド(4)と、
前記伝動装置アッセンブリ(2)を取り囲む伝動装置ハウジング(7,11)と、
短縮可能である2つの管状のラックハウジング半部(5)であって、該2つのラックハウジング半部(5)の間に前記伝動装置ハウジング(7,11)が配置されている、ラックハウジング半部(5)と、
それぞれ前記2つのラックハウジング半部(5)の外側の端部に配置されている2つの基部(8)であって、該基部(8)は、当該パワーステアリングを車両に取り付けるために用いられ、前記基部(8)は前記ラック(4)を案内するためのブシュを含む、基部(8)と、
を含む、モジュール式の電気的なパワーステアリング。
【請求項2】
前記伝動装置アッセンブリ(2)の前記伝動装置は、ねじ歯車伝動装置であり、
前記ステアリングロッド(4)は、管から成り、該管に歯列エレメントが取り付けられており、
前記伝動装置ハウジングは、上側の伝動装置ハウジング(11)と下側の伝動装置ハウジング(7)とから成り、前記上側の伝動装置ハウジング(11)内に前記ねじ歯車伝動装置が収納されており、前記下側の伝動装置ハウジング(7)内でピニオンは、前記ラック(4)と噛み合っている、
ことを特徴とする、請求項1記載のモジュール式の電気的なパワーステアリング。
【請求項3】
前記伝動装置アッセンブリ(2)の前記伝動装置は、ベルト伝動装置とボールナット伝動装置とから成り、
前記ステアリングロッド(4)は、ボールねじ山スピンドルである、
こと特徴とする、請求項1記載のモジュール式の電気的なパワーステアリング。
【請求項4】
請求項1記載のモジュール式の電気的なパワーステアリングを組み立てる方法であって、該方法は、
規格化された組立てユニットから伝動装置アッセンブリ(2)と駆動装置アッセンブリ(3)と伝動装置ハウジング(7,11)と基部(8)とを選び出すステップと、
ラック(4)を所望の長さに合わせて調整するステップと、
管状のネック(1)を所望の角度に合わせて調整するステップと、
2つの管状のラックハウジング半部(5)を所望の長さに合わせて調整するステップと、
個々のモジュールを互いに対して配置し、かつ位置調整するステップであって、前記基部(8)を前記ラックハウジング半部(5)に関して、所望の取付け角度が調節されるように回転させ、かつ前記管状のネック(1)をその長手方向軸線に沿って、ユニバーサルジョイントの所望の屈折角度が調節されるように回転させるステップと、
個々のモジュールを、締まり嵌め、収縮嵌めおよび/または溶接により強固に組み付けるステップと、
を含む、モジュール式の電気的なパワーステアリングを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用のモジュール式の電気的なパワーステアリングに関する。さらに、本発明は、モジュール式の電気的なパワーステアリングを製造する方法に関する。
【0002】
背景技術
電気的なパワーステアリングは、電動モータを用いた操舵アシストを行う。電動モータの力は、サーボ伝動装置を介してラックに伝達される。操舵命令は、トルクセンサ装置により記録され、このトルクセンサ装置は、ステアリングに結合されたトーションバーの変位を測定し、これらのデータを制御装置へ伝送する。
【0003】
EPSpの場合、サーボユニットはステアリングピニオンに設けられている。電動モータのアシストトルクはウォーム伝動装置を用いて伝達される。
【0004】
EPSapaの場合、電動モータはラックに対して軸平行に取り付けられており、ステアリングアシストは、ベルト駆動装置を備えたボールねじ山伝動装置によって直接にラックに伝達される。
【0005】
電気的なパワーステアリングの個々のコンポーネントは、ステアリングハウジング内に配置されている。この場合、顧客要求に応じてステアリングハウジングを開発し、かつ供給することは、極めて手間がかかり、高価となる。小さな個数を有するシリーズのためには、ステアリングハウジングの高価な開発は割に合わない。さらに、新しいステアリングハウジングが開発されて市場に供給されるまでには、数年かかる。しかし、市場が必要としていることは、電気的なパワーステアリングの製造がフレキシブルでなければならないことである。
【0006】
したがって、本発明の課題は、好都合に、かつできるだけ短い時間で開発され得るようなパワーステアリングを提供することである。この場合、小口顧客や少ない個数を有するシリーズにも対応できることが望ましい。
【0007】
この課題は、請求項1の対象および請求項4に記載の方法により解決される。有利な実施態様は、別の請求項の対象であり、以下に述べる本発明についての説明から明らかとなる。
【0008】
本発明の思想は、パワーステアリングを個々のモジュールに分節し、かつできるだけ多くの同一部品を使用することである。これらの同一部品は、たしかに過剰寸法設定されていてよいが(たとえば最大ラック力に合わせた設計)、しかしその場合、既に相応する部品認証を有する。これにより、開発時間は著しく短縮され得る。
【0009】
種々のエレメントが個別に短縮され、かつ調整され得ることにより、フレキシビリティが達成される。すなわち、ラックおよびラックを内蔵している両ハウジング半部は、必要とされる所要長さにまで容易に短縮され得る。
【0010】
両ラックハウジング半部は、高強度の規格管から成る。同じくラックも高強度の規格管から製作される。ラックを短縮させた後に、EPSpのためには、この管に歯列エレメントが溶接される。択一的にEPSapaの場合には、ボールねじ山を備えた管状の構成エレメントがラックに差し被されて、固定される。さらに、タイロッド用のねじ山が切り込まれる。
【0011】
さらに、中間シャフトもしくはステアリングスピンドルへの接続のための等速ジョイントを案内する管状のネックにおいては、屈折角度が調整され得る。管状のネックにより、ユニバーサルジョイントの両ジョイントは、互いに対して適正な角度で配置されるようになり、これによりカルダン誤差は減じられている。
【0012】
両ラックハウジング半部の間には、伝動装置ハウジングが配置されている。伝動装置ハウジング内には、ステアリング伝動装置およびサーボユニットが収納されている。ステアリング伝動装置には、通常、制御装置を備えた電気的なモータが接続されている。前で挙げたすべてのエレメントは、同一部品であり、規格化された組立てユニットから選ばれ得る。
【0013】
両ラックハウジング半部の外側の端部には、いわゆる基部が配置されている。基部は、管状の区分から成り、この管状の区分はラックの案内のためのブシュを内蔵している。基部は外部に、孔を備えた突出部を有し、これらの突出部を用いてステアリングシステムは車両にねじ締結され得る。基部は組付け時にまず、ステアリングシステムの、要求された取付け角度にまで回転させられる。取付け角度の適正な調節は、ユニバーサルジョイントにおけるカルダン誤差を低減するために重要である。引き続き、基部は各ラックハウジング半部に取り付けられる。このことは、締まり嵌め、収縮嵌めまたは溶接によって行われ得る。
【0014】
図面につき、1実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるモジュール式のステアリングシステムの分解図である。
図2】本発明によるモジュール式のステアリングシステムの斜視図である。
【0016】
本実施例を、サーボユニットがステアリングピニオンに設けられているEPSpにつき説明する。
【0017】
図1には、本発明によるモジュール式のステアリングシステムの分解図が示されている。ラック4は、高強度の規格管から成り、この規格管に沿って歯列エレメントが取り付けられている。伝動装置ハウジングはこの場合、下側の伝動装置ハウジング7と、上側の伝動装置ハウジング11とから成る。下側の伝動装置ハウジング7には、ピニオンが収納されており、このピニオンは、ラック4と噛み合っている。さらに、下側の伝動装置ハウジング7内には、通常、ラックをピニオンに押圧するための押圧部材が設けられている。上側の伝動装置ハウジング11内には、ねじ歯車伝動装置が収納されている。上側の伝動装置ハウジング11には、電気的なモータと制御装置とから成る駆動装置アッセンブリ3がねじ締結される。さらに、上側の伝動装置ハウジング11はカバー9によって閉じられる。
【0018】
伝動装置アッセンブリ2は、上側の伝動装置ハウジング11と下側の伝動装置ハウジング7とを貫いて延びていて、トルクセンサとねじ歯車とピニオンとから成る。
【0019】
基部8は、管状の区分から成っていて、それぞれ1つの孔を備えた突出部を有し、これらの突出部は、ステアリングシステムを車両に取り付けるために用いられる。これらの基部8は、ラック4を案内するためのブシュを内蔵し、ラックハウジング半部5の外側の端部に取り付けられる。
【0020】
管状のネック1は、ユニバーサルジョイント10を内蔵しており、このユニバーサルジョイント10は、等速ジョイントとして形成されている。管状のネック1は、既に曲げられていて、さらに組付け時にその長手方向軸線に沿って回転させられ、この場合、中間シャフトへの接続部に対する角度が正確に調節されている。
【0021】
図2には、本発明によるモジュール式のステアリングシステムを、組み立てられた状態で示す斜視図が図示されている。これらのエレメントを所要の長さ(ラック4、ラックハウジング半部5)に合わせて短縮させた後に、これらのエレメントはまず互いに対して配置される。このときに、これらのエレメント(基部8、管状のネック1)は、所要の交差・取付け角度が調節されるように回転させられる。引き続き、これらの構成エレメントは、たとえば締まり嵌めまたは溶接によって固く結合される。
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2023-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モジュール式の電気的なパワーステアリングであって、
ユニバーサルジョイント(10)を案内する管状のネック(1)であって、規定された屈折角度を有する管状のネック(1)と、
制御装置により制御される電気的なモータから成る駆動装置アッセンブリ(3)と、
トルクセンサと伝動装置とから成る伝動装置アッセンブリ(2)と、
短縮可能な管から成るステアリングロッド(4)と、
前記伝動装置アッセンブリ(2)を取り囲む伝動装置ハウジング(7,11)と、
短縮可能である2つの管状のステアリングロッドハウジング半部(5)であって、該2つのステアリングロッドハウジング半部(5)の間に前記伝動装置ハウジング(7,11)が配置されている、ステアリングロッドハウジング半部(5)と、
それぞれ前記2つのステアリングロッドハウジング半部(5)の外側の端部に配置されている2つの基部(8)であって、該基部(8)は、当該パワーステアリングを車両に取り付けるために用いられ、前記基部(8)は前記ステアリングロッド(4)を案内するためのブシュを含む、基部(8)と、
を含む、モジュール式の電気的なパワーステアリング。
【請求項2】
前記伝動装置アッセンブリ(2)の前記伝動装置は、ねじ歯車伝動装置であり、
前記ステアリングロッド(4)は、管から成り、該管に歯列エレメントが取り付けられており、
前記伝動装置ハウジングは、上側の伝動装置ハウジング(11)と下側の伝動装置ハウジング(7)とから成り、前記上側の伝動装置ハウジング(11)内に前記ねじ歯車伝動装置が収納されており、前記下側の伝動装置ハウジング(7)内でピニオンは、前記ステアリングロッド(4)と噛み合っている、
ことを特徴とする、請求項1記載のモジュール式の電気的なパワーステアリング。
【請求項3】
前記伝動装置アッセンブリ(2)の前記伝動装置は、ベルト伝動装置とボールナット伝動装置とから成り、
前記ステアリングロッド(4)は、ボールねじ山スピンドルである、
こと特徴とする、請求項1記載のモジュール式の電気的なパワーステアリング。
【請求項4】
請求項1記載のモジュール式の電気的なパワーステアリングを組み立てる方法であって、該方法は、
規格化された組立てユニットから伝動装置アッセンブリ(2)と駆動装置アッセンブリ(3)と伝動装置ハウジング(7,11)と基部(8)とを選び出すステップと、
ステアリングロッド(4)を所望の長さに合わせて調整するステップと、
管状のネック(1)を所望の角度に合わせて調整するステップと、
2つの管状のステアリングロッドハウジング半部(5)を所望の長さに合わせて調整するステップと、
個々のモジュールを互いに対して配置し、かつ位置調整するステップであって、前記基部(8)を前記ステアリングロッドハウジング半部(5)に関して、所望の取付け角度が調節されるように回転させ、かつ前記管状のネック(1)をその長手方向軸線に沿って、ユニバーサルジョイントの所望の屈折角度が調節されるように回転させるステップと、
個々のモジュールを、締まり嵌め、収縮嵌めおよび/または溶接により強固に組み付けるステップと、
を含む、モジュール式の電気的なパワーステアリングを組み立てる方法。
【国際調査報告】