IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青島海尓電冰箱有限公司の特許一覧 ▶ 海尓智家股▲フン▼有限公司の特許一覧

特表2023-533952冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫
<>
  • 特表-冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫 図1
  • 特表-冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫 図2
  • 特表-冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫 図3
  • 特表-冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 11/00 20060101AFI20230731BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20230731BHJP
   F25D 17/08 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25D29/00 Z
F25D17/08 310
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500361
(86)(22)【出願日】2021-07-09
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 CN2021105499
(87)【国際公開番号】W WO2022012430
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】202010670629.2
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(71)【出願人】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】李 暁峰
(72)【発明者】
【氏名】姫 立勝
(72)【発明者】
【氏名】崔 展鵬
(72)【発明者】
【氏名】宋 向鵬
(72)【発明者】
【氏名】韓 志強
(72)【発明者】
【氏名】李 春陽
(72)【発明者】
【氏名】王 凱
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045CA06
3L045DA02
3L045EA01
3L045MA01
3L045NA08
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA16
3L345BB04
3L345DD01
3L345EE33
3L345FF36
3L345KK03
3L345KK04
(57)【要約】
冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫を提供する。冷蔵庫は箱体と冷凍鮮度保持室と、を含み、箱体は、少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されており、冷凍鮮度保持室は貯蔵区画室内に設けられ、冷蔵庫の鮮度保持制御方法は、冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検出するステップと、Yesの場合、処理対象物の温度を取得するステップと、予め設定された処理対象物の温度と冷蔵庫の運転モードとの対応関係を取得するステップと、冷蔵庫を制御して処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させるステップと、を含む。本発明の技術的手段によれば、冷凍鮮度保持室内に収納された処理対象物の温度を検出して、処理対象物の温度に応じて、冷蔵庫を制御して様々な運転モードで運転させることによって、インスタント食用や鮮度保持を実現する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の鮮度保持制御方法であって、
前記冷蔵庫は、少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されている箱体と、前記少なくとも1つの貯蔵区画室内に設けられる冷凍鮮度保持室と、を含み、
前記冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検出するステップと、
収納されている場合、前記処理対象物の温度を取得するステップと、
予め設定された処理対象物の温度と前記冷蔵庫の運転モードとの対応関係を取得するステップと、
前記冷蔵庫を制御して、取得した前記処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させるステップと、を含む冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項2】
前記運転モードは、前記冷凍鮮度保持室を冷凍して、前記処理対象物の温度を低下させるように構成される急速冷凍モードと、前記冷凍鮮度保持室を解凍して、前記処理対象物の温度を上昇するように構成される急速解凍モードと、を含み、
前記冷蔵庫を制御して前記処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させる前記ステップは、
前記処理対象物の温度が第1設定温度閾値よりも高い場合、前記冷蔵庫を制御して前記急速冷凍モードで運転させるステップと、
前記処理対象物の温度が第1設定温度閾値よりも低い第2設定温度閾値よりも低い場合、前記冷蔵庫を制御して前記急速解凍モードで運転させるステップと、を含む請求項1に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項3】
前記運転モードは、前記冷凍鮮度保持室の温度を、前記第1設定温度閾値と前記第2設定温度閾値との間にある設定鮮度保持温度閾値に維持するように構成される鮮度保持モードをさらに含み、
前記冷蔵庫を制御して前記処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させる前記ステップは、前記処理対象物の温度が前記第2設定温度閾値以上前記第1設定温度閾値以下である場合、前記冷蔵庫を制御して前記鮮度保持モードで運転させるステップをさらに含む請求項2に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項4】
前記冷蔵庫が前記急速冷凍モードで運転している過程で、
前記処理対象物の温度が設定安全温度閾値に低下すると、前記冷蔵庫を制御して前記急速解凍モードで運転させ、
前記処理対象物の温度が前記設定鮮度保持温度閾値に上昇すると、前記冷蔵庫を制御して前記鮮度保持モードで運転させる請求項2に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項5】
前記設定安全温度閾値が前記第2設定温度閾値よりも低く設定される請求項4に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項6】
前記設定安全温度閾値が-5℃よりも低く-14℃以上に設定される請求項5に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項7】
前記冷蔵庫が前記急速解凍モードで運転している過程で、前記処理対象物の温度が前記設定鮮度保持温度閾値に上昇すると、前記冷蔵庫を制御して前記鮮度保持モードで運転させる請求項3に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法。
【請求項8】
冷蔵庫であって、
少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されている箱体と、
前記少なくとも1つの貯蔵区画室内に設けられる冷凍鮮度保持室と、
メモリ及びプロセッサを含み、前記メモリには、前記プロセッサによって実行されると、請求項1~7のいずれか1項に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法を実現する制御プログラムが記憶されている制御モジュールと、を含む冷蔵庫。
【請求項9】
前記冷凍鮮度保持室の内壁に設けられ、前記冷凍鮮度保持室内に前記処理対象物が収納されているか否かを検知し、前記処理対象物を検知した場合、前記処理対象物の温度を検出するように構成される温度センサをさらに含む請求項8に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記冷凍鮮度保持室とともに同一の貯蔵区画室内に設けられ、該貯蔵区画室において冷凍鮮度保持ゾーンを区画する少なくとも1つのセパレータをさらに含み、
前記冷凍鮮度保持室は前記冷凍鮮度保持ゾーンに設けられる請求項8に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷凍の分野に関し、特に冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍食材を冷凍保存する際に、冷凍食材の鮮度、栄養価、本来の風味を最大限に保つことができるようにする。従来の冷蔵庫での冷凍食材の保存には、主に-14~-24℃での長期低温保存と、-4℃程度でのソフト冷凍短期保存の2つの方法がある。しかし、食材を低温で長期保存する場合、食材を処理するに先立って長時間解凍する必要があり、ユーザーが食材を迅速に処理するのに便利ではないが、食材をソフト冷凍で短期保存する場合、食材が冷凍する際に氷晶帯を通過する時間が長く、鮮度保持効果が低く、保存時間が短いという問題がある。そのため、氷晶帯を迅速に通過することができるとともに、インスタント食用・使用のようなソフト冷凍短期保存機能を実現できる冷蔵庫に食材を冷凍する保存形態を提供することが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、従来技術の少なくとも1つの技術的欠点を解決し、氷晶帯を迅速に通過することとインスタント食用・使用のような利点を兼ね備える冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫を提供することである。
【0004】
本発明の別の目的は、食材の温度に応じて、冷蔵庫を制御して様々な運転モードで運転させ、これによって、食材のインスタント食用や鮮度保持を実現することである。
【0005】
本発明のさらに別の目的は、1つの冷凍鮮度保持ゾーンを区画することで、貯蔵区画室内の他の空間冷凍が冷凍鮮度保持ゾーンに及ぼす影響を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特に、本発明は、
冷蔵庫は、少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されている箱体と、少なくとも1つの貯蔵区画室内に設けられる冷凍鮮度保持室と、を含み、
冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検出するステップと、
収納されている場合、処理対象物の温度を取得するステップと、
予め設定された処理対象物の温度と冷蔵庫の運転モードとの対応関係を取得するステップと、
冷蔵庫を制御して処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させるステップと、を含む冷蔵庫の鮮度保持制御方法を提供する。
【0007】
好ましくは、運転モードは、冷凍鮮度保持室を冷凍して、処理対象物の温度を低下させるように構成される急速冷凍モードと、冷凍鮮度保持室を解凍して、処理対象物の温度を上昇するように構成される急速解凍モードと、を含み、
冷蔵庫を制御して処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させるステップは、処理対象物の温度が第1設定温度閾値よりも高い場合、冷蔵庫を制御して急速冷凍モードで運転させるステップと、処理対象物の温度が第1設定温度閾値よりも低い第2設定温度閾値よりも低い場合、冷蔵庫を制御して急速解凍モードで運転させるステップと、を含み、
好ましくは、運転モードは、前記冷凍鮮度保持室の温度を、第1設定温度閾値と第2設定温度閾値との間にある設定鮮度保持温度閾値に維持するように構成される鮮度保持モードをさらに含み、
冷蔵庫を制御して処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させるステップは、処理対象物の温度が第2設定温度閾値以上第1設定温度閾値以下である場合、冷蔵庫を制御して鮮度保持モードで運転させるステップをさらに含む。
【0008】
好ましくは、冷蔵庫が急速冷凍モードで運転している過程で、処理対象物の温度が設定安全温度閾値に低下すると、冷蔵庫を制御して急速解凍モードで運転させ、
処理対象物の温度が設定鮮度保持温度閾値に上昇すると、冷蔵庫を制御して鮮度保持モードで運転させる。
【0009】
好ましくは、設定安全温度閾値が第2設定温度閾値よりも低く設定される。
【0010】
好ましくは、設定安全温度閾値が-5℃よりも低く-14℃以上に設定される。
【0011】
好ましくは、冷蔵庫が急速解凍モードで運転している過程で、処理対象物の温度が設定鮮度保持温度閾値に上昇すると、冷蔵庫を制御して鮮度保持モードで運転させる。
【0012】
特に、本発明はまた、
少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されている箱体と、
少なくとも1つの貯蔵区画室内に設けられる冷凍鮮度保持室と、
メモリ及びプロセッサを含み、メモリ内には、プロセッサによって実行されると、上記のいずれか1項に記載の冷蔵庫の鮮度保持制御方法を実現する制御プログラムが記憶されている制御モジュールと、を含む冷蔵庫を提供する。
【0013】
好ましくは、上記冷蔵庫は、
冷凍鮮度保持室の内壁に設けられ、冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検知し、処理対象物を検知した場合、処理対象物の温度を検出するように構成される温度センサをさらに含む。
【0014】
好ましくは、上記冷蔵庫は、
冷凍鮮度保持室とともに同一の貯蔵区画室内に設けられ、該貯蔵区画室において冷凍鮮度保持ゾーンを区画する少なくとも1つのセパレータをさらに含み、冷凍鮮度保持室は冷凍鮮度保持ゾーンに設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫を提供し、本発明に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法では、冷凍鮮度保持室内に収納されている処理対象物の温度を検出し、処理対象物の温度に応じて、冷蔵庫を制御して様々な運転モードで運転させることによって、インスタント食用や鮮度保持を実現する。
【0016】
さらに、本発明では、設定安全温度閾値を第2設定温度閾値よりも低く設定することによって、食材の内外ともに氷晶帯を素早く通過し、より優れた鮮度保持効果を得ることをできるだけ確保できる。
【0017】
さらに、本発明では、少なくとも1つのセパレータが設けられることにより、冷凍鮮度保持室が位置する貯蔵区画室において冷凍鮮度保持ゾーンを区画することができ、さらに、冷凍鮮度保持室が冷凍鮮度保持ゾーンに設けられることによって、冷凍鮮度保持室と貯蔵区画室内の他の空間との熱交換を効果的に遮断し、他の空間による冷凍が冷凍鮮度保持室に及ぼす影響をできるだけ低減させることができる。
【0018】
以下で図面を参照して本発明の特定実施例を詳細に説明し、これによって、本発明の上記及び他の目的、利点及び特徴が当業者によってより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下では、本発明のいくつかの特定実施例は図面を参照して限定的ではなく例示的に説明される。図面における同じ符号は同一又は類似の部材又は部分を表す。当業者にとって明らかなように、これらの図面は必ずしも比例して描かれたものではない。
図1】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の概略断面図であり、貯蔵ゾーン及び冷凍鮮度保持ゾーンを冷凍する冷気流の流動経路が示されている。
図2】本発明の一実施例に係るダクトカバーの概略断面図である。
図3】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法の概略図である。
図4】本発明の一実施例に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一実施例に係る冷蔵庫100の概略断面図であり、貯蔵ゾーン及び冷凍鮮度保持ゾーンを冷凍する冷気流の流動経路が示されている。図1に示すように、冷蔵庫100は箱体110と、冷凍鮮度保持室120と、制御モジュールと、を含んでもよい。
【0021】
箱体110は、少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されていてもよい。図に示す実施例では、箱体110は、2つの貯蔵区画室が区画されていてもよい。貯蔵区画室はすべて前へ開口したものである。他のいくつかの実施例では、貯蔵区画室は上へ開口したものであってもよい。
【0022】
冷凍鮮度保持室120は少なくとも1つの貯蔵区画室内に設けられてもよい。箱体110において2つの貯蔵区画室が区画されている場合、少なくとも1つの貯蔵区画室は冷藏区画室と冷凍区画室を含んでもよい。当業者により知られているように、冷藏区画室とは食材の保存温度が0~+8℃である貯蔵区画室であり、冷凍区画室とは食材の保存温度が-24~-14℃である貯蔵区画室である。冷凍鮮度保持室120は、解凍又はソフト冷凍温度の維持が貯蔵区画室内の保存食材に及ぼす影響を低減させるように、冷藏区画室内に設けられてもよい。
【0023】
さらに、冷蔵庫100は、冷凍鮮度保持室120とともに同一の貯蔵区画室内に設けられて、該貯蔵区画室において冷凍鮮度保持ゾーン111を区画する少なくとも1つのセパレータ130をさらに含んでもよい。冷凍鮮度保持室120は冷凍鮮度保持ゾーン111に設けられる。図に示す実施例では、セパレータ130はすべて水平方向に延びるように構成される。本発明の実施例では、セパレータ130が設けられることにより、冷凍鮮度保持室120が位置する貯蔵区画室を1つの冷凍鮮度保持ゾーン111と少なくとも1つの貯蔵ゾーン112に分けることができ、さらに、冷凍鮮度保持室120が冷凍鮮度保持ゾーン111に設けられることによって、冷凍鮮度保持室120と貯蔵区画室内の他の貯蔵ゾーン112との熱交換を効果的に遮断し、他の貯蔵ゾーン112による冷凍が冷凍鮮度保持室120に及ぼす影響を低減させることができる。冷凍鮮度保持ゾーン111は少なくとも1つの貯蔵ゾーン112の下方に設けられてもよい。
【0024】
他のいくつかの実施例では、冷蔵庫100においては、垂直方向に延びているセパレータがさらに設けられてもよく、水平方向に延びているセパレータと垂直方向に延びているセパレータは両端が接続されて冷凍鮮度保持室120の外側に周設されてもよい。これによって、冷凍鮮度保持室120と貯蔵区画室内の他の貯蔵ゾーン112との熱交換をさらに遮断し、冷凍鮮度保持室の保温性能を確保することができる。
【0025】
制御モジュールはメモリ及びプロセッサを含んでもよい。メモリ内には、プロセッサによって実行されると、本発明の実施例のいずれかに係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法を実現する制御プログラムが記憶されていてもよい。制御モジュールは、モジュールの取り付けやメンテナンスを制御するために、冷蔵庫の電気制御パネルに設けられてもよい。
【0026】
いくつかの実施例では、冷蔵庫100は温度センサを含んでもよい。温度センサは冷凍鮮度保持室120の内壁に設けられて、冷凍鮮度保持室120内に処理対象物が収納されているか否かを検知し、処理対象物を検知した場合、処理対象物の温度を検出してもよい。温度センサが冷凍鮮度保持室120の内壁に設けられることによって、処理対象物の温度検出精度の向上に有利である。
【0027】
いくつかの実施例では、冷蔵庫100は加熱ユニットと冷凍ユニットをさらに含んでもよい。冷凍ユニットは、冷凍鮮度保持室120を冷凍して、冷凍鮮度保持室120に収納された処理対象物を冷凍するように構成されてもよい。具体的には、冷凍ユニットは圧縮機、凝縮器、絞り要素及び蒸発器を含んでもよい。加熱ユニットは冷凍鮮度保持室120を加熱して、冷凍した処理対象物を解凍するように構成されてもよい。具体的には、加熱ユニットは、電磁波を発生させて処理対象物を解凍するために、少なくとも一部が冷凍鮮度保持室120に設けられるか、又は冷凍鮮度保持室120内まで導通している電磁波発生システムを含んでもよい。電磁波発生システムは、発生させる熱による区画室の温度波動を避けるように、少なくとも一部が箱体110の外側に設けられてもよい。ここでは、箱体110の外側とは箱体110の環境空気に露出した側であり、箱体110の内側は貯蔵区画室である。
【0028】
電磁波発生システムは、電磁波信号を発生させるための電磁波発生モジュールと、電磁波発生モジュールに電気的に接続され、電磁波発生モジュールに電気エネルギーを供給して、電磁波発生モジュールに電磁波信号を発生させるための給電モジュールと、電磁波発生モジュールに電気的に接続され、電磁波信号に応じて、対応する周波数の電磁波を放射し、冷凍鮮度保持室120内の処理対象物を解凍するための放射アンテナと、電磁波の特徴パラメータを検出するための信号処理及び監視回路と、を含んでもよい。
【0029】
電磁波発生モジュール及び給電モジュールは箱体110の外側に設けられてもよい。信号処理及び監視回路は冷凍鮮度保持室120の底部に設けられてもよい。信号処理及び監視回路は、信号処理及び監視回路の取り付けやメンテナンスを容易にするために、1つの回路基板に集積されてもよい。
【0030】
いくつかの実施例では、冷蔵庫100は風冷型冷蔵庫であってもよい。貯蔵区画室ごとに、1つのダクトカバー140が設けられて、それぞれの貯蔵区画室の内部で冷凍ダクト150を区画してもよい。冷凍ユニットが1つの貯蔵区画室を単独して冷凍できるように、冷凍ダクト150ごとに、1つの蒸発器160及び1つの冷凍風扇170がそれぞれ設けられてもよい。もちろん、箱体において複数の貯蔵区画室が区画されている場合、これらのうちの1つの冷凍ダクト150のみに1つの蒸発器160と1つの冷凍風扇170が設けられ、しかも、蒸発器160が位置する冷凍ダクト150は他の冷凍ダクト150に選択的に連通しているようにしてもよい。本実施例では、蒸発器160が位置する冷凍ダクト150が他の冷凍ダクト150に選択的に連通することにより、冷凍ユニットは蒸発器160が位置する貯蔵区画室冷凍のみを冷凍するか、又は複数の貯蔵区画室を同時に冷凍することができる。
【0031】
ここで、ダクトカバー140には、貯蔵区画室内の空気を循環させて冷凍することから、少なくとも1つの送風口141と1つの還風口142が開けられてもよい。送風口141の数は複数であってもよい。冷凍鮮度保持室120には、冷凍鮮度保持室120内の空気を循環させて冷凍することから、1つの送風口141と1つの還風口142が設けられてもよい。還風口142は、冷凍をより十分に行うように、複数の送風口141の下方に設けられてもよい。
【0032】
他のいくつかの実施例では、冷蔵庫100は直冷型冷蔵庫であってもよく、すなわち、貯蔵区画室ごとに1つの蒸発器160が設けられ、冷気が自然対流を通じて行われるようにしてもよい。
【0033】
図2は本発明の一実施例に係るダクトカバー140の概略断面図である。図2に示すように、いくつかの実施例では、ダクトカバー140は貯蔵区画室の後壁と隙間をなして配置されて冷凍ダクト150の還風部を構成してもよく、蒸発器160は還風部に設けられてもよい。ダクトカバー140自体には区画室のダクトの少なくとも1つの送風部が設けられてもよく、送風部ごとに、少なくとも1つの送風口141及び1つの吹込み口143が設けられてもよい。
【0034】
ダクトカバー140は冷凍風扇170を容置する渦巻ケーシング180として構成されてもよい。渦巻ケーシング180は、吹き出し口を1つの送風部の吹込み口143に合わせるように回転し、蒸発器160で冷却された冷気流を1つの送風部に送って該送風部の送風口141から吹き出すように構成されてもよい。
【0035】
図3は本発明の一実施例に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法の概略図である。図3に示すように、本実施例に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法はステップS302~ステップS308を含んでもよい。ここで、冷蔵庫100は箱体110と、冷凍鮮度保持室120と、制御モジュールと、を含んでもよい。箱体110は、少なくとも1つの貯蔵区画室が区画されてもよい。冷凍鮮度保持室120は少なくとも1つの貯蔵区画室内に設けられてもよい。制御モジュールは、メモリ及びプロセッサを含んでもよく、メモリ内には、プロセッサによって実行されると、本発明の実施例のいずれかの冷蔵庫の鮮度保持制御方法を実現する制御プログラムが記憶されている。
【0036】
ステップS302、冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検出する。処理対象物とは冷蔵庫に収納されて鮮度保持を必要とする食材である。
【0037】
ステップS304、Yesの場合、処理対象物の温度を取得する。処理対象物の温度は処理対象物の表面温度であってもよい。
【0038】
ステップS306、予め設定された処理対象物の温度と冷蔵庫の運転モードとの対応関係を取得する。
【0039】
ステップS308、冷蔵庫100を制御して、取得した処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させる。
【0040】
本発明の実施例では、冷凍鮮度保持室内に収納された処理対象物の温度を検出して、処理対象物の温度に応じて、冷蔵庫100を制御して様々な運転モードで運転させ、これによって、冷蔵庫100内の食材のインスタント食用や鮮度保持を実現する。
【0041】
いくつかの実施例では、冷蔵庫100は、冷凍鮮度保持室120の内壁に設けられる温度センサをさらに含んでもよい。本実施例では、ステップS302は、温度センサによって冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検知し、処理対象物を検知した場合、処理対象物の温度を検出するステップを含んでもよい。
【0042】
運転モードは、急速冷凍モードと急速解凍モードをさらに含んでもよい。急速冷凍モードは、冷凍鮮度保持室120を冷凍して、処理対象物の温度を低下させるように構成されてもよい。急速解凍モードは、冷凍鮮度保持室120を解凍して、処理対象物の温度を上昇するように構成されてもよい。運転モードは鮮度保持モードをさらに含んでもよい。鮮度保持モードは、冷凍鮮度保持室120の温度を設定鮮度保持温度閾値に維持するように構成されてもよい。
【0043】
冷蔵庫100が急速冷凍モードで運転している場合、渦巻ケーシングを回転させて冷凍ユニットによって冷凍鮮度保持室120を単独して冷凍することができ、この場合、冷凍鮮度保持室120内に入る風量が増加し、冷凍鮮度保持室120内に収納された食材の内部が氷晶帯を迅速に通過し、鮮度保持効果の向上に有利である。
【0044】
冷蔵庫100が急速解凍モードで運転している場合、加熱ユニットによって冷凍鮮度保持室120を加熱して、冷凍鮮度保持室120の温度を上昇し、これにより、冷凍鮮度保持室120内に収納された食材温度を上昇し、冷凍食材を解凍することができる。
【0045】
ステップS306を実行する前に、いくつかの実施例では、処理対象物の温度と運転モードとの対応関係を予め作成し、制御モジュールに記憶し、制御モジュールが現在の処理対象物の温度を取得した後、予め設定された処理対象物の温度と運転モードとの対応関係から現在の処理対象物の温度に対応する運転モードを決定し、冷蔵庫100を制御して、決定した運転モードで運転させる。本実施例の冷蔵庫100は、処理対象物の温度に応じて、様々な運転モードに入り、このようにして、食材の鮮度保持制御方法をより柔軟にし、鮮度保持効果をより良好なものとする。
【0046】
いくつかの実施例では、ステップS308は、処理対象物の温度が第1設定温度閾値よりも高い場合、冷蔵庫100を制御して急速冷凍モードで運転させるステップと、処理対象物の温度が第2設定温度閾値よりも低い場合、冷蔵庫100を制御して急速解凍モードで運転させるステップと、を含んでもよい。第1設定温度閾値は第2設定温度閾値よりも高く設定されてもよい。
【0047】
他のいくつかの実施例では、運転モードは鮮度保持モードをさらに含んでもよい。ここで、鮮度保持モードは、冷凍鮮度保持室の温度を設定鮮度保持温度閾値に維持するように構成される。設定鮮度保持温度閾値は第1設定温度閾値と第2設定温度閾値との間に設定されてもよい。ここで、冷蔵庫100を制御して処理対象物の温度に対応する運転モードで運転させるステップは、処理対象物の温度が第2設定温度閾値以上第1設定温度閾値以下である場合、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させるステップをさらに含んでもよい。
【0048】
なお、第1設定温度閾値、第2設定温度閾値、及び設定鮮度保持温度閾値は食材の様々な温度での鮮度保持効果について実験を行うことにより決定され得る。
【0049】
例示的には、第1設定温度閾値は0℃に設定され、第2設定温度閾値は-5℃に設定され、この場合、設定鮮度保持温度閾値は-4℃に設定されてもよい。なお、例示的な実施例において設定された第1設定温度閾値、第2設定温度閾値、設定鮮度保持温度閾値が個別の値であるが、本発明における第1設定温度閾値、第2設定温度閾値、設定鮮度保持温度閾値はいずれも個別の値に限定されるものではなく、いくつかの実施例では、第1設定温度閾値、第2設定温度閾値、設定鮮度保持温度閾値はそれぞれ、その他の閾値の範囲に設定されてもよい。
【0050】
食材の冷凍が、すべて区画室の冷風が食材の外面と熱交換してから、外から内へ熱を緩やかに伝導して冷凍することにより行われることを考慮して、食材の種類や食材の外形尺寸の差に応じて、同じ時間範囲内で食材の内外にわたって冷凍するのに必要な冷凍温度が異なり、必要以上の冷凍を避けるために、食材の内外がすべて氷晶帯を迅速に通過し、鮮度保持効果が確保されるために、安全温度が設定されてもよい。このような場合、いくつかの実施例では、冷蔵庫100が急速冷凍モードで運転している過程で、処理対象物の温度が設定安全温度閾値に低下すると、冷蔵庫100を制御して急速解凍モードで運転させ、冷凍鮮度保持室120を急速に昇温し、処理対象物を急速で解凍することができる。この場合、処理対象物の温度が設定鮮度保持温度閾値に上昇すると、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させる。
【0051】
設定安全温度閾値は第2設定温度閾値よりも低く設定されてもよい。設定安全温度閾値は食材の様々な温度での鮮度保持効果について実験を行うことにより決定され得る。更なるいくついかの実施例では、設定安全温度閾値は-5℃よりも低く-14℃以上に設定されてもよい。
【0052】
例示的には、第2設定温度閾値が-5℃に設定される場合、設定安全温度閾値は-10℃に設定されてもよい。本発明では、設定安全温度閾値が第2設定温度閾値よりも低く設定されることによって、食材の内外ともに氷晶帯を急速に通過し、より良好な鮮度保持効果を得ることをできるだけ確保することができる。
【0053】
現在冷凍鮮度保持室120内に収納された処理対象物の温度に違いがあることを考慮して、より優れた鮮度保持効果を得るために、冷凍鮮度保持室内に収納された食材の温度に応じて制御方式を柔軟に調整することができる。例えば、現在冷凍鮮度保持室120に収納された処理対象物の温度が低すぎる場合、まず、処理対象物の温度を第2設定温度閾値と比較し、処理対象物の温度が第2設定温度閾値よりも低い場合、冷蔵庫100を制御して急速解凍モードで運転させ、処理対象物の温度が第2設定温度閾値以上である場合、さらに、処理対象物の温度も第1設定温度閾値以下であるか否かを判断し、Yesの場合、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させ、Nの場合、冷蔵庫100を制御して急速冷凍モードで運転させる。また、例えば、ユーザーが冷凍鮮度保持室120内に収納する食材の温度そのものがソフト冷凍温度であれば、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させる。
【0054】
いくつかの実施例では、冷蔵庫100が急速解凍モードで運転している過程で、処理対象物の温度が設定鮮度保持温度閾値に上昇すると、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させ、冷凍鮮度保持区画室120内の温度を設定鮮度保持温度閾値に保持し、処理対象物をソフト冷凍して保存する。
【0055】
以下、第1設定温度閾値が0℃、第2設定温度閾値が-5℃、設定鮮度保持温度閾値が-4℃、設定安全温度閾値が-10℃に設定される場合を例にして説明する。
【0056】
冷凍鮮度保持室120に処理対象物が収納されている場合、冷凍鮮度保持室120の内壁に設けられる温度センサによって、現在冷凍鮮度保持室120に収納された処理対象物の温度を検出して、Tとし、次に、Tを0℃、-5℃、-4℃のそれぞれと比較し、T>0℃、-5℃≦T≦0℃、及びT<-5℃のような比較結果を得ることができる。
【0057】
T>0℃の場合、冷蔵庫100を制御して急速冷凍モードで運転させ、Tを-10℃に急速に低下させ、次に、冷蔵庫100を制御して急速解凍モードで運転させ、-10℃に低下させたTをさらに-4℃に急速に上昇し、その後、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させ、-4℃に上昇したTを-4℃に保持する。
【0058】
-5℃≦T≦0℃の場合、冷蔵庫を制御して鮮度保持モードで運転させ、Tを-4℃に保持することができる。
【0059】
T<-5℃の場合、冷蔵庫を制御して急速解凍モードで運転させ、Tを-4℃に急速に昇温し、次に、冷蔵庫100を制御して鮮度保持モードで運転させ、-4℃に昇温したTを-4℃に保持する。
【0060】
図4は本発明の別の実施例に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法のフローチャートである。図4に示すように、本実施例に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法は、ステップS402~ステップS416を含んでもよい。
ステップS402、冷凍鮮度保持室内に処理対象物が収納されているか否かを検出し、Yesの場合、ステップS404を実行し、Nの場合、ステップS402の実行を持続する。
ステップS404、冷凍鮮度保持室内に収納された処理対象物の温度を検出する。
ステップS406、処理対象物の温度が第1設定温度閾値よりも高いか否かを判断し、Yesの場合、ステップS408を実行し、Nの場合、ステップS418を実行する。
ステップS408、冷蔵庫を制御して急速冷凍モードで運転させる。
ステップS410、処理対象物の温度が設定安全温度閾値に低下したか否かを判断し、Yesの場合、ステップS412を実行し、Nの場合、ステップS408を実行する。
ステップS412、冷蔵庫を制御して急速解凍モードで運転させる。
ステップS414、処理対象物の温度が設定鮮度保持温度閾値に上昇した否かを判断し、Yesの場合、ステップS416を実行し、Nの場合、ステップS412の実行を持続する。
ステップS416、冷蔵庫を制御して鮮度保持モードで運転させる。
ステップS418、処理対象物の温度が第2設定温度閾値以上であるか否かを判断し、Yesの場合、ステップS416を実行し、Nの場合、ステップS412の実行を持続する。
【0061】
本発明の実施例は冷蔵庫の鮮度保持制御方法及び冷蔵庫を提供し、本発明に係る冷蔵庫の鮮度保持制御方法では、冷凍鮮度保持室内に収納された処理対象物の温度を検出し、処理対象物の温度に応じて、冷蔵庫100を制御して様々な運転モードで運転させることによって、インスタント食用や鮮度保持を実現する。
【0062】
さらに、本発明では、設定安全温度閾値を第2設定温度閾値よりも低く設定することによって、食材の内外ともに氷晶帯を素早く通過し、より優れた鮮度保持効果を得ることをできるだけ確保できる。
【0063】
さらに、本発明では、少なくとも1つのセパレータ130が設けられることにより、冷凍鮮度保持室が位置する貯蔵区画室において冷凍鮮度保持ゾーン111及び少なくとも1つの貯蔵ゾーン112を区画することができ、さらに、冷凍鮮度保持室120が冷凍鮮度保持ゾーン111に設けられることによって、冷凍鮮度保持室120と貯蔵区画室内の他の貯蔵ゾーン112との熱交換を効果的に遮断し、他の空間による冷凍が冷凍鮮度保持室120に及ぼす影響をできるだけ低減させることができる。
【0064】
以上より、当業者にとって明らかなように、本明細書は本発明の複数の例示的な実施例を示して説明したが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、本発明で開示された内容に基づいて本発明の原理に合致する多くの他の変形や修正を直接決定又は導出することができる。よって、本発明の範囲はこれらの他の変化や修正をカバーするものとして理解、確認すべきである。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】