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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】改良型水中翼ボート
(51)【国際特許分類】
   B63B 1/26 20060101AFI20230731BHJP
   B63H 5/10 20060101ALI20230731BHJP
   B63H 20/00 20060101ALI20230731BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
B63B1/26
B63H5/10
B63H20/00 600
B63H21/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500439
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 SE2021050671
(87)【国際公開番号】W WO2022010402
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】2050857-8
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2051092-1
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522296918
【氏名又は名称】カンデラ テクノロジー アクチエボラグ
【氏名又は名称原語表記】Candela Technology AB
【住所又は居所原語表記】Vardshusvagen 1, Lidingo, Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハッセルスコーグ グスターヴ
(57)【要約】
ボートは、船体(2)と、第1固定装置(302)によって船体(2)に固定される第1水中翼(301)と、第1固定装置(302)から分離される第2固定装置(503)によって船体(2)に固定される第2水中翼(601)と、を備え、第2固定装置は、船体(2)から少なくとも部分的に下方に延びるように配置された支柱(503)を含み、第2水中翼は、支柱に固定される、ボートであって、支柱(503)に固定されたモータポッド(502)を備え、支柱およびモータポッドは、ボートを操舵するために船体に対して回転可能であり、モータポッドは、ケーシングと、ケーシングに収容される電源アセンブリと、電源アセンブリによって駆動するように配置される2つのプロペラ(5011、5012)と、を含み、2つのプロペラ(5011、5012)は、逆回転である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体(2)と、
第1固定装置(302)によって前記船体(2)に固定される第1水中翼(301)と、
前記第1固定装置(302)から分離される第2固定装置(503)によって前記船体(2)に固定される第2水中翼(601)と、
を備え、
前記第2固定装置は、前記船体(2)から少なくとも部分的に下方に延びるように配置された支柱(503)を含み、
前記第2水中翼は、前記支柱に固定される、
ボートであって、
前記支柱(503)に固定されたモータポッド(502)を備え、
前記支柱および前記モータポッドは、前記ボートを操舵するために前記船体に対して回転可能であり、
前記モータポッドは、ケーシングと、前記ケーシングに収容される電源アセンブリと、前記電源アセンブリによって駆動するように配置される2つのプロペラ(5011、5012)と、を含み、
前記2つのプロペラ(5011、5012)は、逆回転である、
ボート。
【請求項2】
前記第2水中翼は、前記ボートの直進方向から見て、前記第1水中翼(301)の後方に位置する、
請求項1に記載のボート。
【請求項3】
前記電源アセンブリは、前記ケーシング内で同軸上に収容された2つの電気モータを含む、
請求項1または請求項2に記載のボート。
【請求項4】
前記2つのプロペラ(5011、5012)のそれぞれは、各電気モータにより駆動されるように配置される、
請求項3に記載のボート。
【請求項5】
前記2つのプロペラ(5011、5012)のそれぞれは、ギヤ装置なしで各電気モータによって直接駆動されるように配置される、
請求項3または請求項4に記載のボート。
【請求項6】
前記2つの電気モータは、前記モータポッドの長手方向に順に配置される、
請求項3~5の何れか1項に記載のボート。
【請求項7】
前記ケーシングは、青銅製である、
請求項1~6の何れか1項に記載のボート。
【請求項8】
前記2つのプロペラ(5011、5012)の直径は、180~350mmの範囲である、
請求項1~7の何れか1項に記載のボート。
【請求項9】
前記ケーシングは、80~140mmの範囲の直径を有する円筒形の外面を有する、
請求項1~8の何れか1項に記載のボート。
【請求項10】
前記ケーシングは、円筒形の外面を有し、
前記モータポッドの長さ(MPL)と前記ケーシングの外径(CD)との比は、少なくとも5、好ましくは7で、例えば9.5付近である、
請求項1~9の何れか1項に記載のボート。
【請求項11】
前記船体(2)に前記支柱(503)を固定するための支柱取付装置を備え、
前記ボートを操舵するために、前記支柱および前記モータポッドが前記船体に対して回転できるように、前記支柱は、1つ以上の支柱ベアリングによって、前記支柱取付装置に枢動可能に接続される、
請求項1~10の何れか1項に記載のボート。
【請求項12】
前記支柱(503)は、前記1つ以上の支柱ベアリングと前記モータポッドとの間で0.7~2.0メータの範囲で延びている、
請求項11に記載のボート。
【請求項13】
前記支柱は、前記ボートが直立状態で浮いている場合、実質的に水平である軸であって、前記ボートの直進方向に対して実質的に横向きの軸の周りに傾斜するように配置される、
請求項1~12の何れか1項に記載のボート。
【請求項14】
前記第2水中翼(601)は、前記ボートが直立状態で浮いている場合、前記モータポッドの上方に位置する、
請求項1~13の何れか1項に記載のボート。
【請求項15】
前記第2水中翼(601)および前記モータポッド(502)は、前記支柱に沿って同じ位置にある、
請求項1~14の何れか1項に記載のボート。
【請求項16】
前記支柱は、下側支柱部および上側支柱部を含み、
前記第2水中翼は、前記下側支柱部と前記上側支柱部との間で前記支柱に取り付けられている、
請求項1~15の何れか1項に記載のボート。
【請求項17】
前記第2水中翼(601)は、2つの翼先端部の間に延びる単一の構成要素として設けられる、
請求項1~16の何れか1項に記載のボート。
【請求項18】
前記支柱(503)の後縁は、前記モータポッド(502)のフィン(511)に合流し、
前記フィンの水平延長部(DFH)と前記フィンの最大垂直延長部(DFV)との比は、少なくとも1.5である、
請求項1~17の何れか1項に記載のボート。
【請求項19】
前記ボートが直進している場合、かつ、前記船体(2)が前記第1水中翼(301)および前記第2水中翼(601)により運ばれている場合、前記モータポッド(502)は、前記第1水中翼(301)より水中に沈むように配置される、
請求項1~18の何れか1項に記載のボート。
【請求項20】
前記第1水中翼(301)は、浸水型水中翼である、
請求項1~19の何れか1項に記載のボート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船体と、第1固定装置によって船体に固定された第1水中翼と、第1固定装置から分離した支柱によって船体に固定された第2水中翼とを備えるボートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、遊覧船などの船舶の推進では、環境や騒音の問題があるにもかかわらず、内燃エンジンが依然として支配的である。エンジンは、例えば、船内または船外エンジンであってよい。非水中翼ボートの発展モードは、その推進のために十分な電力容量が利用可能であれば、変位モードから平面モードに変換されてもよい。水中翼によって、ボートは発展した水中翼モードをとることができる。水中翼モードでは、船体は水から持ち上げられ、平面モードと比較して、推進力要件はかなり低く、例えば50%少ない。それにもかかわらず、ボートの推進力要件をさらに低減することが望まれている。これは、ボートの抗力を低減することによって行うことができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、水中翼ボートの抗力を低減することである。
【0004】
その目的は、船体を備えるボートであって、ボートは、第1固定装置によって船体に固定される第1水中翼と、第1固定装置から分離される第2固定装置によって船体に固定される第2水中翼とをさらに備える、ボートで達成される。第2固定装置は、船体から少なくとも部分的に下方に延びるように配置される支柱を含み、第2水中翼は、支柱に固定されている。ボートは、支柱に固定されたモータポッドを備え、支柱およびモータポッドは、ボートを操舵するために船体に対して回転可能である。モータポッドは、ケーシングと、ケーシングに収容される電源アセンブリと、電源アセンブリによって駆動するように配置される2つのプロペラとを含む。2つのプロペラは逆回転である。
【0005】
それによって、ボートは、水中翼ボートであってもよい。モータポッドは、船体から2つのプロペラまで延びるプロペラシャフト等の機械的動力伝達アセンブリを省略することを可能にする。さらに、水中翼モードによって提供される比較的低い推進力要件は、このモードのために十分な推進力を提供しながらモータポッドモータの体積が比較的小さいてもよいことを意味する。これにより、ボートの抗力を低減することができる。
【0006】
また、2つのプロペラの各々に分配されるトルクは、1つのプロペラと比較して、より高い総トルク、それによってボート推進のためのより多くの推進力を利用可能にする。
【0007】
さらに、第2水中翼を保持する支柱は、比較的長く、細長いものとすることができる。2つのプロペラが逆回転することによって、プロペラによって引き起こされる、ボートの回転軸周りのトルクは、互いに打ち消し得る。回転軸は、ボートの前進方向に実質的に平行である軸として理解される。2つのプロペラの逆回転が、2つのプロペラのトルクを打ち消すことによって、それがない場合のプロペラトルクによって引き起こされる曲げモーメントを低減または排除することができる。これにより、支柱の強度要件を低減することができ、支柱を細長くすることができる。これにより、ボートの抗力が低減される。
【0008】
また、船体に対して支柱およびモータポッドを回転させ、ボートを操舵するようにしてもよい。このように、モータポッドおよび第2水中翼を備えた支柱は、ボートを操舵するための船体に対して回転可能である。回転可能であることによって、支柱は回転可能であってもよい。単一のプロペラでは、支柱を回転させる際に生じるジャイロ効果により、支柱にたわみが生じる可能性がある。そのようなたわみは、支柱に材料または寸法を追加することによって低減され得る。ただし、寸法を追加すると、抗力が追加される。逆回転する2つのプロペラを用いると、このようなジャイロ効果は打ち消され、それによって生じる支柱たわみは回避され得る。これにより、支柱を細長く保つことができ、その抗力を低く保つことができる。
【0009】
第1固定装置は、1つ、2つ、または複数の第1支柱を備え得、各支柱は、船体から第1水中翼まで延在する。第1水中翼は、第1固定装置に固定されてもよい。しかしながら、以下に例示するように、第1水中翼は、第1固定装置に対して固定されるが、これに関連して移動可能である。
【0010】
第1水中翼は、メインの水中翼であってもよい。それによって、第1水中翼は、ボートの質量の大部分を運ぶように適合され得る。いくつかの実施形態では、第1水中翼は、ボートの重心またはその近傍に位置する。
【0011】
第2水中翼は、第2固定装置に固定されてもよい。第2固定装置は、船体と第2水中翼との間に延在する1つ以上の支柱を備え得る。第2固定装置のそのような支柱は、本明細書では第2支柱とも呼ばれる。
【0012】
好ましくは、第2水中翼は、ボートの直進方向から見て、第1水中翼の後方に配置される。それによって、第2水中翼は、後方水中翼と呼ばれることもある。これにより、ボートの直進方向に見て、第2固定装置は第1固定装置の後方に位置することができる。これは、第2固定装置に固定されるモータポッドの有益な位置を提供する。
【0013】
しかし、いくつかの実施形態では、第2固定装置は、第2水中翼を備え、モータポッドは、ボートの直進方向から見て、第1水中翼の前方に位置していてもよい。
【0014】
そのボートは遊覧船であってもよい。しかしながら、ボートは、代替的に、乗客および/または物品の輸送専門のものに適合されてもよい。
【0015】
好ましくは、電源アセンブリは、ケーシング内で同軸上に収容された2つの電気モータを含む。使用時に、モータポッドは、ボートを運ぶ水中に浸水されることが理解される。したがって、モータをモータポッド内に設けることによって、騒音レベルを低減することができる。また、周囲の水によってモータが効果的に冷却される場合がある。さらに、電気モータは、例えば油圧モータと比較して比較的小さくすることができ、モータポッドの断面積を減少させ、それによって抗力を減少させる。
【0016】
2つのプロペラのそれぞれは、各電気モータによって駆動されるように配置することができる。好ましくは、2つのプロペラのそれぞれは、ギヤ装置なしで、各電気モータによって直接駆動されるように配置される。これにより、プロペラの駆動装置に潤滑剤を必要としない。これにより、モータポッドに対する長いサービス間隔を設けることができる。また、ギヤ装置がないことにより、騒音レベルの低減、およびプロペラを駆動するための複雑さの少ないアセンブリが可能になる。
【0017】
2つの電気モータは、モータポッドの長手方向(すなわち、プロペラの回転軸の方向)に順に配置されてもよい。上述したように、2つのプロペラは逆回転している。
【0018】
2つのプロペラへのトルクの分配によって、各モータに対するトルク要求が低減され、より小さなモータサイズを可能にし、それによって、モータケーシングの直径を小さくすることができる。また、プロペラ直径をより小さくすることが可能になり、より高い回転速度を可能にし、それによって、利用可能な電力を変更することなく、モータトルク要求を低減する。これにより、モータケーシング径の縮小が可能となる。
【0019】
一般に、1つ以上のモータがモータポッドに設けられてもよい。いくつかの実施形態では、電源アセンブリは、両方のプロペラを駆動するように配置された単一の電気モータを備える。これにより、一方のプロペラには、プロペラの逆回転のためのギヤ装置を設けることができる。好ましくは、ケーシングが円筒形の外面を有する場合、1つ以上のモータは、ケーシング内に同心円状に収容される。
【0020】
モータの熱放散を最適化することによって、モータトルク密度を増加させ、それによって、モータ体積をさらに減少させることができる。各モータは永久磁石モータであってもよい。各モータの内側ロータは磁石を含み、外側ステータは発熱コイルを含むことができる。ステータは、モータによって発生する熱がケーシングの外面に伝導されるように、モータポッドケーシングに接続することができる。これにより、熱は周囲の水に伝達され得る。好ましくは、ケーシングは、比較的高い熱伝導率を有する材料、例えば、青銅、黄銅またはステンレス鋼などの金属で作製される。それによって、ケーシングは、周囲の水による1つ以上のモータの効果的な冷却を提供することができる。
【0021】
各プロペラの直径は、好ましくは180~350mmの範囲であり、例えば約230mmである。2つのプロペラが設けられる場合、プロペラハブの合計長さは、好ましくは100~300mmの範囲、好ましくは130~250mmの範囲であり、例えば約180mmである。ケーシングは、円筒形の外面を有することが好ましい。それによって、ケーシング全体が円筒形の外面を有することができ、またはケーシングの1つ以上の部分が円筒形の面を有することができる。ケーシングの円筒形の外面は、直径が80~140mmの範囲であり、例えば、約105mmであることが好ましい。モータポッドの長さとケーシング外径との比は、好ましくは少なくとも5、好ましくは少なくとも7、例えば約9.5である。各モータの直径は、好ましくは70~130mmの範囲であり、例えば約95mmである。各モータの長さは、好ましくは130~240mmの範囲であり、例えば約180mmである。これにより、モータの長さ対直径比は比較的高くなり、抗力を減少させることができる。また、モータ体積に対する露出面の比が比較的高いので、モータの熱放散の増加が許容される。好ましくは、各モータの直径とケーシング外径との比は、少なくとも0.8、好ましくは少なくとも0.85、例えば約0.9である。
【0022】
好ましくは、モータポッドの長さは、700~1400mmの範囲であり、例えば、約1000mmである。好ましくは、モータポッドの長さとケーシング外径との比は、少なくとも5、好ましくは少なくとも7、例えば約9.5である。好ましくは、モータポッドの長さとケーシング外径との比は、13以下、好ましくは17以下である。2つのプロペラが設けられる場合、プロペラハブの合成長さとモータポッドの長さとの比が0.09~0.36の範囲、好ましくは0.12~0.26の範囲、好ましくは0.15~0.22の範囲であることが好ましい。
【0023】
好ましくは、巡航速度では、各モータの回転速度は1500~3500rpmの範囲であり、例えば2200rpm前後である。好ましくは、各モータの最大トルクは、60~130Nmの範囲であり、例えば、約90Nmである。
【0024】
モータポッドが2つのモータを備える場合、モータシャフトは、一方が他方の内部にある同心円状に配置されてもよい。好ましくは、内側シャフトは、14~28mmの範囲であり、例えば、約20mmの直径を有する。好ましくは、外側シャフトは、25~48mmの範囲の直径を有し、例えば約35mmの直径を有する。
【0025】
電気モータの体積は、所定の磁気負荷におけるトルクに比例して増加する。したがって、電気モータの体積は、モータの最大トルクに比例して増加する。従って、比較的低い所要動力での水中翼モードは、比較的低い体積の電気モータを可能にする。モータ体積が小さいことにより、比較的低いケーシング体積が可能になる。さらに、比較的長くて細いモータ、および/またはモータポッドの長手方向に順に配置された各モータは、モータ体積をモータポッドの長手方向に大きく分配することを可能にし、モータポッドの横断面の領域は比較的低くなる。モータポッドのプッシングコンフィギュレーション(pushing configuration)では、これは、ケーシングによって引き起こされるプロペラでの流れの擾乱のリスクなしに、比較的小さいプロペラ直径を可能にする。比較的小さいプロペラ直径は、プロペラブレードの先端の空洞化(約45m/sで生じ得る)のリスクを回避する。それによって、比較的少量のパワーで、比較的高いフルード数(Froude Number)を達成することができる。(フルード数Frは、Fr=v/(g・h1/2で示され得る。ここで、vは速度、gは重力加速度、hは特性長(characteristic length)。
【0026】
言及したように、第2固定装置は、少なくとも部分的に船体から下方に延びるように配置された支柱を備え、第2水中翼は、支柱に固定される。支柱は、ボートが直立状態で浮いている場合、船体から実質的に真っ直ぐ下方に延びていてもよい。前述のように、モータポッドは支柱に固定されている。モータポッドは、支柱の下端で支柱に固定されてもよい。あるいは、モータポッドは、支柱の下端の上方で支柱に固定されてもよい。
【0027】
好ましくは、ボートは、船体に支柱を固定するための支柱取付装置を備え、支柱が船体に対して回転できるように、支柱は、1つ以上の支柱ベアリングによって、支柱取付装置に枢動可能に接続される。したがって、支柱は、第2水中翼とモータポッドと共に、船体に対して回転することができる。これにより、モータポッドを備えた支柱を制御してボートを操舵することができる。支柱は、支柱の主要な延長部と実質的に平行である軸の周りを回ることができる。回転軸は、推進装置がボートに取り付けられている場合、およびボートが直立状態で浮いている場合、実質的に垂直とすることができる。従って、支柱は、ボートが直立状態で浮いている場合、実質的に垂直である軸の周りで船体に対して回転することができる。
【0028】
支柱は、1つ以上の支柱ベアリングとモータポッドとの間に0.7~2.0メータの範囲で延びていてもよい。好ましくは、一方で、1つ以上の支柱ベアリングとモータポッドとの間の支柱延長部と、他方で、各プロペラの直径との比は、少なくとも2.0、好ましくは少なくとも3.9、好ましくは少なくとも5.7である。一つ以上の支柱ベアリングとモータポッドとの間の支柱延長部と、一方でケーシングの円筒外面の直径との間の比率は、少なくとも5.0、好ましくは少なくとも8.0、好ましくは少なくとも14.0であることが好ましい。
【0029】
いくつかの実施形態において、第2固定装置の支柱は、ボートが直立状態で浮いている場合、実質的に水平である軸であって、ボートの直進方向に対して実質的に横向きである軸の周りに傾斜して配置される。第2水中翼は、支柱に固定されてもよい。モータポッドは、支柱に固定されてもよい。支柱は、後方に傾くように配置されてもよい。それにより、支柱は、ボートのドラフトを減少させるために、および/または、例えばドッキング時にモータポッドを水から移動させるために、傾斜することができる。また、支柱の傾斜は、発展した水中翼モードで走行するときにボートを調整(trim)するために使用されてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、第2固定装置の支柱は、ボートが直立状態で浮いている場合、実質的に水平である軸であって、ボートの直進方向と実質的に平行な軸の周りを傾斜するように配置される。
【0031】
好ましくは、ボートが直立状態で浮いている場合、第2水中翼はモータポッドの上方に位置する。これにより、第2水中翼は、モータポッドと1つ以上の支柱ベアリングとの間の支柱に固定することができる。モータポッドの上方の第2水中翼の位置は、モータポッドのプロペラに有利な効果を有することができる。また、第2水中翼は、周囲の水の表面の上方からの空気が、プロペラに吸い込まれることを防止することができる。好ましくは、一方では、プロペラの回転軸と第2水中翼との間の垂直距離、および他方では、プロペラの回転軸と1つ以上の支柱ベアリングとの間の垂直距離の比は、0.09~0.19の範囲、好ましくは0.12~0.16の範囲であり、例えば0.14である。
【0032】
いくつかの実施形態では、第2水中翼およびモータポッドは、支柱に沿って同じ位置にある。
【0033】
第2固定装置の支柱は、下側支柱部および上側支柱部を含んでいてもよい。これにより、第2水中翼は、下側支柱部と上側支柱部との間で、支柱に取り付けられていてもよい。下側支柱部は、モータポッドと第2水中翼との間に延びていてもよい。第2水中翼は、2つの翼先端部の間に延びる単一の構成要素として設けられていてもよい。第2水中翼は、翼先端部間でスパン方向に、ボートの直進方向に垂直に、かつボートが直立状態で静止しているときに水平に延びていてもよい。第2水中翼は、支柱を少なくとも部分的に貫通して延びていてもよい。第2水中翼は、翼先端部間の領域において、好ましくは翼先端部間の中央において、支柱に取り付けられてもよい。
【0034】
それによって、第2水中翼の支柱への剛性の取り付けが提供され得る。特に、第2水中翼は、翼先端部間に延びつつ、下側支柱部と上側支柱部の間で、支柱に取り付けることができる。下側支柱部は、例えば青銅、真鍮又はステンレス鋼のような金属のようなモータポッドケーシングと同じ材料で作ることができる。それにより、下側支柱部およびケーシングは、例えば鋳造によって、単一片に形成されてもよい。これは、支柱とケーシングとの間のインターフェースの製造を容易にする。上側支柱部は、下側支柱部とは異なる材料で作ることができる。例えば、上側支柱部は、ガラスおよび/または炭素繊維強化プラスチック材料などの繊維強化プラスチック材料から作製されてもよい。それによって、上側支柱部は、高い剛性対重量比、および/または高い強度対重量比を備えることができる。また、モータポッド、支柱、および/または第2水中翼の保守およびサービスを容易にすることができる。特に、下側支柱部は、上側支柱部から離脱させることができ、交換又は修理のために、第2水中翼に容易にアクセスできるようにする。
【0035】
支柱の後縁は、モータポッドのフィンに合流することが好ましい。フィンは、プロペラに向かって高さが徐々に減少してもよい。好ましくは、フィンの水平延長部とフィンの最大垂直延長部との比は、好ましくは少なくとも1.5、より好ましくは少なくとも2.2であり、例えば約2.7である。これにより、支柱後縁部とモータポッドとの接合部を、相対的な水の自由流に対して平行である方向に、比較的長い距離にわたって設けることができる。これにより、支柱における相対水速度の増加、従って圧力の減少による空洞化のリスクを回避することができる。いくつかの実施形態では、フィンの水平延長部とフィンの最大垂直延長部との比は、好ましくは少なくとも3.0、少なくとも4.0、または少なくとも5.0である。
【0036】
好ましくは、モータポッドは、ボートが直進している場合、かつ、船体が第1及び第2水中翼により運ばれる場合、第1水中翼よりも水中に沈むように配置される。それによって、そこで、モータポッドは、第1水中翼の後方に配置され、プロペラに到達する水は、第1水中翼によって乱されなくてもよい。
【0037】
好ましくは、第1水中翼は、浸水型水中翼である。第2水中翼は、浸水型水中翼であってもよい。水中または浸水された水中翼は、ボートの巡航モード中に完全に水中に沈められるように設計された翼である。浸水型の水中翼は、水中翼の迎え角を変化させるように、調節可能なピッチ方位角を有することができる。浸水型の水中翼は、ボートの回転安定性のために、異なる揚力係数、及び/又は異なる迎え角を翼の長さに沿って提示するように制御されるように配置されてもよい。回転は、容器の前方移動方向に実質的に平行である回転軸の周りの移動として定義することができる。回転軸は、船体対称面内に延在することができ、実質的に水平であることができる。
【0038】
第1水中翼を浸水型の水中翼にすることにより、ポッド電気推進ボートの抵抗がさらに減少し、これにより所要動力が減少し、さらにモータハウジングの直径が小さくなり、さらに抵抗が減少する。
【0039】
しかしながら、いくつかの実施形態では、第1水中翼のタイプは、表面穿孔水中翼である。いくつかの実施形態では、第2水中翼のタイプは、表面穿孔水中翼である。
【0040】
本発明のさらなる利点および有利な特徴は、以下の説明および従属請求項に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1図1は、本発明の一実施形態によるボートの斜視図を示す。
図2図2は、図1におけるボートの側面図を示す。
図3図3は、図1のボートをボートの正面から見た図である。
図4図4は、図1におけるボートのモータポッドの垂直断面及び縦断面を示す図である。
図5図5は、本発明の代替実施形態によるボートの側面図を示す図である。
図6図6は、本発明の代替実施形態によるボートの側面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1図3に水中翼ボート1を示す。ボートは、船体2を備える。図3に示されるように、船体2は、ボートが静止して浮遊している場合、仮想垂直対称面SP、及び船体2の喫水線と一致する仮想水平面HPを提示する。
【0043】
ボートは、第1固定装置302によって船体2に固定される第1水中翼301を備える。第1水中翼301は、浸水型水中翼である。第1水中翼301は、第1水中翼の迎え角を変化させるように、調整可能なピッチ方位角を有する。第1水中翼301は、第1固定装置302によって船体に接続される。第1固定装置302は、2つの翼保持部材302を備える。翼保持部材302は、本明細書では第1支柱とも呼ばれる支柱の形状である。第1水中翼301は、図2に例示されるように、ボート1の進行方向において、ボートの重心CGにほぼ位置していてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、ボートは、調整可能な水中翼を備えていない。いくつかの実施形態では、ボートは、第1水中翼を穿孔する表面を備える。
【0045】
ボートはまた、第2水中翼601を備える。第2水中翼601は、浸水型水中翼である。第2水中翼は、第2固定装置503によって船体2に固定される。第2固定装置503は、第1固定装置302から分離している。第2固定装置は、船体2から下方に延在するように配置される支柱503を備える。第2水中翼は、支柱に固定される。支柱は船体の船尾で船体に固定されている。第2水中翼は、ボートの前進方向から見て、第1水中翼301の後方に配置される。第2水中翼は、水中翼駆動モードで船体後部を支持するように配置される。
【0046】
この実施形態における船体2は、船尾延長部201を備える。支柱503は、船尾延長部の開口部または凹部(図示せず)を通って延びる。いくつかの実施形態では、支柱503は、船体のトランサム(transom)上に取り付けられる。他の実施形態では、支柱は、船体の開口部を通ってボートの船尾と第1固定装置302との間に延在する。
【0047】
ボートはまた、モータポッド502を備える。モータポッド502は支柱503に固定されている。こうしてモータポッド502は船体の船尾部の下方に設けられる。モータポッド502は、ボートが直立状態で浮いている場合、第2水中翼601の下に位置する。モータポッドの長さMPLは、この例では1000mmである。
【0048】
図4も参照されたい。モータポッドは、ケーシング5021を備える。ケーシングは円筒形の外面を有する。ケーシング外面の直径CDは、この例では105mmである。2つの電気モータ5051、5052がケーシング内に同軸上に収容されている。2つのプロペラ5011、5012は、各々、モータの各々によって駆動されるように配置される。プロペラ5011、5012の直径PDは、この例では約230mmである。プロペラ5011、5012は、逆回転する。プロペラは、ボートの直進方向に見られるように、モータの後方に位置している。プロペラがプッシング(pushing)プロペラである。いくつかの実施形態では、後方プロペラは、前方プロペラよりも小さい直径を有してもよい。プロペラは、プロペラハブ上に取り付けられるブレードを備える。プロペラハブの複合長さPHLは、この例では約240mmである。
【0049】
いくつかの実施形態では、プロペラは、プッシングプロペラである。これにより、プロペラは、ボートの直進方向から見て、モータの前方に位置する。
【0050】
モータは、図2に示されているバッテリパック504のような電源によって給電されるように構成されている。モータの電力および制御のためのケーブル506は図4に示されている。
【0051】
各モータは、ステータ5071、5072を備える。ステータは、ケーシング5021の内面に固定される。各モータはまた、2つのプロペラシャフト5091、5092のそれぞれに固定されたロータ5081、5082を備える。複数のシャフトのうちの内側シャフト5091は、複数のモータのうちの前方モータ5051を、複数のプロペラのうちの後方プロペラ5011に接続する。複数のシャフトのうちの外側シャフト5092は、複数のモータのうちの後方モータ5051を、複数のプロペラのうちの前方プロペラ5011に接続する。内側シャフト5091は外側シャフト5092を通って延びている。
【0052】
各モータの直径MDは、この例では95mmである。各モータの長さMLは、この例では180mmである。内側シャフトは、この例では、20mmの直径を有する。外側シャフトは、この例では、35mmの直径を有する。
【0053】
いくつかの実施形態では、1つの電気モータのみがケーシング内に収容され、1つのプロペラがモータによって駆動されるように構成される。
【0054】
モータポッド502を保持する支柱503は、1つ以上の支柱ベアリング5033によって、支柱が船体に対して回転され得るように、支柱取付装置5034に枢動可能に接続される。支柱取付装置は、ブラケットの形成で設けることができる。支柱取付装置は、船体に固定されることが好ましい。これにより、モータポッドを備えた支柱を制御してボートを操舵することができる。好ましくは、支柱503は、1つ以上の支柱ベアリングとモータポッド502との間に0.7~2.0メーター延びている。
【0055】
支柱503は、ボートが直立状態で浮いている場合に実質的に水平である軸であって、ボートの直進方向に対して実質的に横向きの軸の周りを傾斜するように配置されている。これにより、支柱は、図2に見られるように、時計回り又は反時計回りに傾くことができる。
【0056】
図4から分かるように、支柱503は、下側支柱部5031及び上側支柱部5032を備える。下側支柱部は、モータポッドと第2水中翼601との間に延在する。第2水中翼601は、下側支柱部と上側支柱部の間に取り付けられる。第2水中翼は、2つの翼先端部の間に延在する単一の構成要素として設けられてもよい。第2水中翼は、翼先端部の間の中央の領域で支柱に取り付けられる。第2水中翼は、支柱を通って延在する。第2水中翼は、支柱部分の間に挟まれている。支柱は、対称的な形状を有することができる流線型の断面、例えば翼状の断面を有することができる。この例において、第2水中翼601の後部は、支柱503の後縁の背後に位置する。下部支柱部および/または上側支柱部は、第2水中翼を支持するためのそれぞれの凸部50311、50321を提示してもよい。突出部は、第2水中翼の翼弦方向において、第2水中翼の表面に続いてもよい。上側支柱部および下側支柱部の互いに対する、および第2水中翼への固定は、任意の適切な方法で、例えば、ボルトおよび/または接着剤を用いて行うことができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、第2水中翼601の一部分は、支柱503の後方および/または前方に延びていてもよい。それによって、第2水中翼は、支柱を部分的に通って延びていてもよい。
【0058】
図2および図4に示すように、支柱503の後縁は、モータポッド502上のフィン511に合流する。フィンは、プロペラ5011、5012に向かって高さが徐々に減少する。フィンの水平延長部DFHとフィンの最大垂直延長部DFVの比は、この例では約6である。
【0059】
図2および図3から理解されるように、ボートが直進しているとき、および船体2が第1および第2水中翼301、601によって運ばれているとき、モータポッド502は、第1水中翼301よりも浸水するように配置される。
【0060】
本発明の一態様は、以下の項のいずれか1つに記載のボートを提供する。
【0061】
(1)
ボートは、
船体2と、
第1水中翼301および第1固定装置302を含む第1水中翼アセンブリであって、第1水中翼301が第1固定装置302によって船体2に固定される、第1水中翼アセンブリと、
第1水中翼アセンブリから分離され、第2水中翼601および第2固定装置503を含む第2水中翼アセンブリであって、第2水中翼601が第2固定装置503によって船体2に固定される、第2水中翼アセンブリと、
第1水中翼アセンブリまたは第2水中翼アセンブリに固定されるモータポッド502と、を備え、
モータポッドは、ケーシングと、ケーシングに収容される電源アセンブリと、電源アセンブリによって駆動されるように配置されるプロペラとを含む。
【0062】
(2)
(1)に記載のボートにおいて、
ケーシングは、円筒形の外面を有し、
モータポッドの長さMPLとケーシングの外径CDとの比は、少なくとも5、好ましくは7で、例えば9.5付近である。
【0063】
(3)
(1)または(2)に記載のボートにおいて、
2つのプロペラ5011、5012の直径は、180~350mmの範囲である。
【0064】
(4)
(1)から(3)の何れか1つに記載のボートにおいて、
モータポッドの長さMPLとプロペラの直径MDとの間の比は、少なくとも3.0、好ましくは少なくとも3.7で、例えば4.3である。
【0065】
(5)
(1)から(4)の何れか1つに記載のボートにおいて、
ケーシングは、80~140mmの範囲の直径を有する円筒形の外面を有する。
【0066】
(6)
(1)から(5)の何れか1つに記載のボートにおいて、
電源アセンブリは、1つ以上の電気モータを含み、
ケーシングは、円筒状の外面を有し、
ケーシングの外径CDと各電気モータの直径MDとの間の比は、1.2以下、好ましくは1.15以下で、例えば1.1である。
【0067】
(7)
(1)から(6)の何れか1つに記載のボートにおいて、
ケーシングは、青銅製である。
【0068】
(8)
(1)から(7)の何れか1つに記載のボートにおいて、
電源アセンブリは、1つ以上の電気モータを含み、
各電気モータにおいて、モータの長さMLとモータの直径MDとの間の比は、少なくとも1.4、好ましくは少なくとも1.7で、例えば1.9である。
【0069】
(9)
(1)から(8)の何れか1つに記載のボートにおいて、
電源アセンブリは、1つ以上の電気モータを含み、
各モータの長さMLとモータポッドの長さMPLとの間の比は、少なくとも0.12、好ましくは少なくとも0.15で、例えば0.18である。
【0070】
(10)
(1)から(9)の何れか1つに記載のボートにおいて、
第2固定装置は、船体から下方に少なくとも部分的に延びるように配置された支柱502を含み、
第2水中翼は、支柱に固定されている。
【0071】
(11)
(10)に記載のボートにおいて、
支柱は、ボートの直進方向から見て第1固定装置の後方に位置する。
【0072】
(12)
(10)に記載のボートにおいて、
支柱は、ボートの直進方向から見て第1固定装置の前方に位置する。
【0073】
(13)
(10)から(12)の何れか1つに記載のボートにおいて、
モータポッド502は、支柱503に固定されている。
【0074】
(14)
(1)から(12)の何れか1つに記載のボートにおいて、
モータポッド502は、第1固定装置に固定されている。
【0075】
(15)
(1)から(14)の何れか1つに記載のボートにおいて、
支柱503の後縁は、モータポッド502のフィン511に合流し、
フィンの水平延長部(DFH)とフィンの最大垂直延長部(DFV)との比は、少なくとも1.5である。
【0076】
モータのステータがケーシングと接触している場合、ケーシングの外径CDと各モータの直径MDとの比が1.2以下であることにより、ケーシングの比較的薄い壁によってモータを効果的に冷却することができる。モータのステータがケーシングと接触し、ケーシングが青銅で作られ、青銅の熱伝導率が比較的高い場合、ケーシングはモータの効果的な冷却を提供することができる。
【0077】
第2固定装置がボートの直進方向から見て第1固定装置の後方に配置された支柱503を備える実施形態が図1-3に示されている。ボートの直進方向から見て、支柱503が第1固定装置302の前方に位置する実施形態が図5に示されている。
【0078】
支柱503が第1固定装置の後方または前方に位置するかどうかにかかわらず、ボートは、支柱503を船体2に固定するための支柱取付装置5034を備えることができ、支柱は、1つ以上の支柱ベアリング5033によって、支柱取付装置に枢動可能に接続され、それにより、支柱およびモータポッドは、ボートを操舵するように船体に対して回転され得る。
【0079】
支柱503は、1つ以上の支柱ベアリングとモータポッド502との間に0.7~2.0メートル延在してもよい。支柱は、ボートが直立状態で浮いているときには実質的に水平である軸であって、ボートの直進方向に対して実質的に横向きである軸の周りに傾斜するように配置することができる。ボートが直立状態で浮いている場合、第2水中翼601はモータポッド502の上方に位置することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、第2水中翼601およびモータポッド502は、支柱に沿って同じ位置にある。支柱は、下側支柱部および上側支柱部を備えることができ、第2水中翼は、下側支柱部と上側支柱部との間で、支柱に取り付けられている。第2水中翼601は、2つの翼先端部の間に延在する単一の構成要素として設けられてもよい。
【0080】
項の範囲内で、第2固定装置は、第2水中翼を保持するための2つ以上の支柱を備えてもよいことに留意されたい。
【0081】
モータポッド502が第1水中翼301に固定される実施形態が、図6に例示される。いくつかの実施形態では、例えば、第1固定装置302が単一の支柱を備える場合、モータポッド502は、支柱に固定されてもよい。
【0082】
上記の項によるボートは、様々な方法で提供され得ることが理解される。例えば、電源アセンブリは、ケーシング内に同軸上に収容された2つの電気モータを備えることができる。2つのプロペラ5011、5012のそれぞれは、各モータによって駆動されるように配置することができる。プロペラ5011、5012のそれぞれは、ギヤ装置なしで各モータによって直接駆動されるように配置することができる。モータは、モータポッドの長手方向に順に配置されてもよい。これは図4に例示されている。プロペラ5011、5012は、好ましくは逆回転する。
【0083】
しかしながら、いくつかの実施形態では、モータポッドは、単一のモータによって駆動されるように構成された単一のプロペラを備えていてもよい。
【0084】
モータポッド502は、ボートが直進しているとき、および船体2が第1および第2水中翼301、601によって運ばれているときに、第1水中翼301よりも浸水するように配置され得る。第1水中翼301および/または第2水中翼は、浸水型水中翼であってもよい。
【0085】
本発明は、上記で説明され、図面に示された実施形態に限定されず、むしろ、当業者は、添付の特許請求の範囲内で多くの変更および修正が行われ得ることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】