(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ブドウ糖含有糖類組成物を用いたポリオール組成物及びそれを含むポリウレタンフォーム
(51)【国際特許分類】
C08B 37/00 20060101AFI20230731BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20230731BHJP
C08G 18/48 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C08B37/00
C08G18/00 F
C08G18/48 083
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501112
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(85)【翻訳文提出日】2023-02-14
(86)【国際出願番号】 KR2021008508
(87)【国際公開番号】W WO2022010208
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】10-2020-0082702
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500578515
【氏名又は名称】サムヤン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イム,ジュンソブ
(72)【発明者】
【氏名】リュ,フン
【テーマコード(参考)】
4C090
4J034
【Fターム(参考)】
4C090AA01
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4J034QB19
4J034RA10
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4J034RA15
(57)【要約】
本発明は、多糖類アルコール、多糖類アルコール由来の無水糖アルコール及び無水糖アルコール重合体を含むポリオール組成物及びそれを含むポリウレタンフォームに関し、より具体的には、a)一無水糖アルコール;b)二無水糖アルコール;c)多糖類アルコール;d)多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及びe)前記a)~d)の一つ以上の重合体;を含み、数平均分子量(Mn)、多分散指数(PDI)及び分子当たりのOH基の平均数などのポリオール組成物の物性条件が特定水準を満たし、ポリウレタンなどの原料として使用した場合、強度、伸率及び断熱性などの物性が向上し、ブドウ糖及び多糖類(二糖類以上の糖類)を含有する糖類混合物から得られた水素化糖組成物を用いて製造することによって、生産性が向上し、従来の高純度水素化糖を用いた場合、対比コスト削減を可能にするポリオール組成物及びそれを含むポリウレタンフォームに関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)一無水糖アルコール;
b)二無水糖アルコール;
c)下記式(1)で示される多糖類アルコール;
d)下記式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及び
e)前記a)~d)の一つ以上の重合体;
を含み、
(i)組成物の数平均分子量(Mn)が、193~1,589g/molであり;
(ii)組成物の多分散指数(PDI)が、1.13~3.41であり;
(iii)組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が、2.54~21.36である、ポリオール組成物。
【化1】
(式中、nは0~4の整数である。)
【請求項2】
d)式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールが、下記式(2)
【化2】
(式中、nは0~4の整数である。)
で示される化合物、下記式(3)
【化3】
(式中、nは0~4の整数である。)
で示される化合物又はそれらの混合物から選ばれる請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項3】
一無水糖アルコールが、一無水糖ヘキシトールである請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項4】
二無水糖アルコールが、二無水糖ヘキシトールである請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項5】
e)前記a)~d)の一つ以上の重合体が、下記縮合反応から得られる縮合重合体からなる群から選ばれる一つ以上を含む請求項1に記載のポリオール組成物:
・一無水糖アルコールの縮合反応、
・二無水糖アルコールの縮合反応、
・式(1)で示される多糖類アルコールの縮合反応、
・式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコールと二無水糖アルコールとの縮合反応、
・一無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコールとの縮合反応、
・一無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールとの縮合反応、
・二無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコールとの縮合反応、
・二無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールとの縮合反応、
・式(1)で示される多糖類アルコールと式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールとの縮合反応、
・一無水糖アルコール、二無水糖アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコール、二無水糖アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコール、式(1)で示される多糖類アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、
・二無水糖アルコール、式(1)で示される多糖類アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、又は
・一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、式(1)で示される多糖類アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応。
【請求項6】
ブドウ糖含有糖類組成物を水素添加反応して水素化糖組成物を製造し、得られた水素化糖組成物を酸触媒下で加熱して脱水反応させ、得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留して製造される請求項1に記載のポリオール組成物。
【請求項7】
ブドウ糖含有糖類組成物が、前記糖類組成物の全重量に対して、41重量%~99.5重量%のブドウ糖を含有する請求項6に記載のポリオール組成物。
【請求項8】
水素化糖組成物が、前記水素化糖組成物の総乾燥重量に対して、0.8~57重量%の式(1)で示される多糖類アルコールを含有する請求項6に記載のポリオール組成物。
【請求項9】
水素添加反応が、30気圧~80気圧の水素圧力条件及び110℃~135℃の加熱条件下で行われ、
脱水反応が、1mmHg~100mmHgの減圧条件及び105℃~200℃の加熱条件下で行われ、
薄膜蒸留が、2mbar以下の減圧条件及び150℃~175℃の加熱条件下で行われる請求項6に記載のポリオール組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載のポリオール組成物に、アルキレンオキサイドを付加反応して製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物。
【請求項11】
ポリオール成分、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含み、
前記ポリオール成分が、請求項10に記載のアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物、または請求項10に記載のアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物と前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物以外のポリオールとの混合物であるポリオールプレミックス組成物。
【請求項12】
第1成分である請求項11に記載のポリオールプレミックス組成物;及び
第2成分であるポリイソシアネート;
を含む2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物。
【請求項13】
第1成分である請求項11に記載のポリオールプレミックス組成物と第2成分であるポリイソシアネートとを混合反応させることを含むポリウレタンフォームの製造方法。
【請求項14】
第1成分である請求項11に記載のポリオールプレミックス組成物と第2成分であるポリイソシアネートを混合反応して製造されたポリウレタンフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブドウ糖含有糖類組成物を用いたポリオール組成物及びそれを含むポリウレタンフォームに関し、より具体的には、a)一無水糖アルコール;b)二無水糖アルコール;c)多糖類アルコール;d)多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及びe)前記a)~d)の一つ以上の重合体;を含み、数平均分子量(Mn)、多分散指数(PDI)及び分子当たりのOH基の平均数などのポリオール組成物の物性条件が特定水準を満たし、既存の物性を低下させることなく成形密度及び圧縮強度と優れた断熱性(低熱伝導率)を示すポリウレタンフォームを製造することができ、高純度のブドウ糖から得られた水素化糖ではないブドウ糖及び多糖類(二糖類以上の糖類)を含有した糖類混合物から得られた水素化糖組成物を用いて製造することによって、生産性の向上及びコスト削減を可能にする、ブドウ糖含有糖類組成物を用いたポリオール組成物及びそれを含むポリウレタンフォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖類が有する還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味するものである。一般に、HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)の式を有し、炭素数に応じて、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。その中で、炭素数6のヘキシトールには、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどが含まれており、ソルビトールとマンニトールは特に効用性が大きな物質である。
【0003】
無水糖アルコールは、水素化糖の内部から1つ以上の水分子が除去されて形成される物質であり、水分子が1つ除去されると分子内に水酸基が4つあるテトラオール(tetraol)の形態となり、2つの水分子が除去されると分子内に水酸基が2つあるジオール(diol)の形態となり、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる(例えば、特許文献1、2)。無水糖アルコールは、再生可能な天然資源由来の環境にやさしい物質であることから、古くから関心が高く、製造方法の研究が行われてきた。このような無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されたイソソルビドは、現在、産業的応用範囲が最も広い。
【0004】
無水糖アルコールは、心臓及び血管疾患の治療、パッチの接着剤、口腔清浄剤などの医薬品、化粧品業界の組成物の溶媒、食品業界の乳化剤など、様々な分野で使用できる。また、ポリエステル、PET、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂など高分子物質のガラス転移温度を上昇させ、そのような物質の強度改善効果があり、天然物由来の環境にやさしい素材であるため、バイオプラスチックなどのプラスチック産業で非常に有用である。さらに、無水糖アルコールは、接着剤、環境にやさしい可塑剤、生分解性高分子、水溶性ラッカーの環境に優しい溶媒として使用することができることも知られている。
【0005】
このように無水糖アルコールは、その活用範囲の広さから大きな関心が寄せられており、工業的な実用化レベルが高まっている。
【0006】
従来、水素化糖を脱水して無水糖アルコールを製造する過程で副生する副産物は、単にバインダーとして使用するなど特別な用途を考えていなかった。
【0007】
特許文献3には、水素化糖を脱水反応させた後、単純減圧下で蒸留して製造された、無水糖アルコール及び無水糖アルコール重合体を含むポリオール組成物が開示されている。しかし、この特許文献に開示されたように、99%以上の高純度のソルビトールを用いてポリオール組成物を製造する場合、脱水反応以後蒸留を通じて精製時に多糖類(二糖類以上の糖類)アルコール及びこれから由来した無水糖アルコールの比率が少なくて二無水糖アルコール(例えば、イソソルビド)の蒸留収率が落ちる問題が発生した。また、この特許文献に開示されたポリオール組成物をポリウレタンフォームのポリオール成分として用いた場合、製造されたポリウレタンフォームの成形密度、圧縮強度及び断熱性など物理的特性が低いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国特許第10-1079518号明細書
【特許文献2】韓国特許出願公開第10-2012-0066904号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第10-2017-0015290号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、a)一無水糖アルコール;b)二無水糖アルコール;c)多糖類アルコール;d)多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及びe)前記a)~d)の一つ以上の重合体;を含み、数平均分子量(Mn)、多分散指数(PDI)及び分子当たりのOH基平均数などのポリオール組成物の物性条件が特定水準を満たし、既存物性を低下させることなく改善された成形密度及び圧縮強度と優れた断熱性(低熱伝導率)を示すポリウレタンフォームを製造することができ、高純度のブドウ糖から得られた水素化糖ではないブドウ糖及び多糖類(二糖類以上の糖類)を含有した糖類混合物から得られた水素化糖組成物を用いて製造されることによって、生産性の向上及びコスト削減を可能にする、ブドウ糖含有糖類組成物を用いたポリオール組成物及びそれを含むポリウレタンフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した技術的課題を解決するために、本発明は、a)一無水糖アルコール; b)二無水糖アルコール; c)下記式(1)で示される多糖類アルコール; d)下記式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及び e)前記a)~d)の一つ以上の重合体;を含み、
(i)組成物の数平均分子量(Mn)が、193~1,589g/molであり; (ii)組成物の多分散指数(PDI)が、1.13~3.41であり; (iii)組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が、2.54~21.36である、ポリオール組成物を提供する。
【0011】
【0012】
本発明の別の側面において、本発明のポリオール組成物に、アルキレンオキサイドを付加反応して製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物が提供される。
【0013】
本発明の別の側面において、ポリオール成分、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含んで、前記ポリオール成分が、前記本発明のアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物であるか、前記本発明のアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物と前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物以外のポリオールとの混合物である、ポリオールプレミックス組成物が提供される。
【0014】
本発明の別の側面において、第1成分である前記ポリオールプレミックス組成物;及び第2成分であるポリイソシアネート;を含む2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物が提供される。
【0015】
本発明の別の側面において、第1成分であるポリオールプレミックス組成物と第2成分であるポリイソシアネートとを混合反応させることを含むポリウレタンフォームの製造方法が提供される。
【0016】
本発明の別の側面において、第1成分である前記本発明のポリオールプレミックス組成物と第2成分であるポリイソシアネートとを混合反応して製造されたポリウレタンフォームが提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるポリオール組成物は、一無水糖アルコールと二無水糖アルコールだけでなく、多糖類アルコール、多糖類アルコール由来の無水糖アルコール及びそれらの1つ以上の重合体を含むため、既存の物性を低下させることなく、改善された成形密度及び圧縮強度と優れた断熱性(低熱伝導率)を示すポリウレタンフォームを製造することができる。
また、本発明のポリオール組成物は、ブドウ糖及び多糖類(二糖類以上の糖類)を含む糖類混合物から得られる水素化糖組成物を用いて製造されるため、多糖類(二糖類以上の糖類)アルコール及びそれに由来する無水糖アルコールによって流動性が増加して蒸留時の流動性が改善され、蒸留物内の二無水糖アルコール(例えば、イソソルビド)の蒸留収率が向上される。従って、従来技術と比較して、使用する原料のコストを削減することができ、無水糖アルコールの蒸留収率の向上により生産性を向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明のポリオール組成物は、水素化糖の内部脱水物を製造する過程で得られる副産物を利用して得ることができるので、副産物の問題を解決して経済性と環境性を向上させることができる。特に、初期原料が高純度のブドウ糖製品ではなく、ブドウ糖以外の不純物(二糖類や高級多糖類など)を含む糖類組成物であるため、コスト削減による経済性をより向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明のポリオール組成物は、a)一無水糖アルコール;b)二無水糖アルコール;c)下記式(1)で示される多糖類アルコール;d)下記式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及びe)前記a)~d)の一つ以上の重合体;を含む。
【0020】
【0021】
前記無水糖アルコールは、天然物由来の水素化糖を脱水反応により製造することができる。水素化糖(「糖アルコール」ともいう)は、糖の還元性末端基に水素を付加して得られる化合物を意味し、一般に、HOCH2(CHOH)nCH2OH(ここで、nは2~5の整数)の式を有しており、炭素数によって、テトリトール、ペンチトール、ヘキシトール及びヘプチトール(それぞれ、炭素数4、5、6及び7)に分類される。このうち、炭素数が6のヘキシトールにはソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトールなどがあり、ソルビトールとマンニトールは非常に有用な物質である。
【0022】
本発明のポリオール組成物に含まれるa)一無水糖アルコール;b)二無水糖アルコール;c)下記式(1)で示される多糖類アルコール;d)前記式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコール;及びe)前記a)~d)の一つ以上の重合体、好ましくは2つ以上、より好ましくはこれらのすべては、ブドウ糖含有糖類組成物(例えば、ブドウ糖、マンノース、フルクトース及びマルトースを含む二糖類以上の多糖類を含む糖類組成物)を水素添加反応して水素化糖組成物を製造し、得られた水素化糖組成物を酸触媒下で加熱して脱水反応させ、得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留して製造する過程で得ることができる。より具体的には、本発明のポリオール組成物に含まれるa)~e)は、いずれも前記得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留して薄膜蒸留液を得た後に残る副産物であってもよい。
【0023】
一無水糖アルコールは、水素化糖の内部から水分子1つが除去されて形成される無水糖アルコールであり、分子内に4つの水酸基を有するテトラオール(tetraol)形態を有する。
【0024】
本発明において、前記a)一無水糖アルコールの種類は特に限定されないが、好ましくは一無水糖ヘキシトールであってもよく、より具体的には1,4-アンヒドロヘキシトール、3,6-アンヒドロヘキシトール、2,5-アンヒドロヘキシトール、1,5-アンヒドロヘキシトール、2,6-アンヒドロヘキシトール又はそれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0025】
二無水糖アルコールは、水素化糖の内部から水分子2つが除去されて形成される無水糖アルコールであり、分子内に2つの水酸基を有するジオール(diol)形態を有し、デンプン由来のヘキシトールを用いて製造することができる。二無水糖アルコールは、再生可能な天然資源由来の環境にやさしい物質であるため、古くから注目され、その製造方法に関する研究が進められてきている。このような二無水糖アルコールの中で、ソルビトールから製造されるイソソルビドは、現在、工業的利用可能性を有している。
【0026】
本発明において、前記b)二無水糖アルコールの種類は特に限定されないが、好ましくは二無水糖ヘキシトールであってもよく、より具体的には1,4-3,6-ジアンヒドロヘキシトールであってもよい。前記1,4-3,6-ジアンヒドロヘキシトールは、イソソルビド、イソマンニド、イソイジド又はそれらの2つ以上の混合物であってもよい。
【0027】
本発明において、c)下記式(1)
【化3】
(式中、nは0~4の整数である。)
で示される多糖類アルコールは、マルトースを含む二糖類以上の多糖類の水素化することにより製造することができる。
【0028】
本発明において、d)式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールは、下記式(2)
【化4】
(式中、nは0~4の整数である。)
で示される化合物、下記式(3)
【化5】
(式中、nは0~4の整数である。)
で示される化合物又はそれらの混合物から選ぶことができる。
【0029】
本発明において、e)前記a)~d)の一つ以上の重合体は、下記の縮合反応から得られる縮合重合体からなる群から選ばれる一つ以上を含んでもよい。下記の縮合反応において、単量体間の縮合位置及び縮合順序は特に限定されず、この分野の通常の技術者が一般的に予測できる範囲内で制限なく選ぶことができる:
・一無水糖アルコールの縮合反応、
・二無水糖アルコールの縮合反応、
・式(1)で示される多糖類アルコールの縮合反応、
・式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコールと二無水糖アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコールとの縮合反応、
・一無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールとの縮合反応、
・二無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコールとの縮合反応、
・二無水糖アルコールと式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールとの縮合反応、
・式(1)で示される多糖類アルコールと式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールとの縮合反応、
・一無水糖アルコール、二無水糖アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコール、二無水糖アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、
・一無水糖アルコール、式(1)で示される多糖類アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、
・二無水糖アルコール、式(1)で示される多糖類アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応、又は
・一無水糖アルコール、二無水糖アルコール、式(1)で示される多糖類アルコール及び式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの縮合反応。
【0030】
一実施形態において、本発明のポリオール組成物には、組成物の全重量に対して、例えば、前記a)一無水糖アルコールが0.1~20重量%、具体的には0.6~20重量%、より具体的には0.7~15重量%が含まれてもよく、前記b)二無水糖アルコールが0.1~28重量%、具体的には1~25重量%、より具体的には3~20重量%が含まれてもよく、c)式(1)で示される多糖類アルコール及びd)式(1)で示される多糖類アルコール由来の無水糖アルコールの合計含量は、0.1~6.5重量%、具体的には0.5~6.4重量%、より具体的には1~6.3重量%であってもよく、e)前記a)~d)の一つ以上の重合体は55~90重量%、具体的には60~89.9重量%、より具体的には70~89.9重量%で含まれてもよいが、これらは特に限定されない。
【0031】
本発明のポリオール組成物において、ポリオール組成物の数平均分子量(Mn)は、193以上、195以上、200以上、202以上、205以上又は208以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物の数平均分子量(Mn)は、1,589以下、1,560以下、1,550以下、1,520以下、1,500以下、1,490以下又は1,480以下であってもよい。
【0032】
一実施形態において、ポリオール組成物の数平均分子量(Mn)は、193~1,589、具体的に195~1,550、より具体的には200~1,520、さらに具体的には202~1,500、さらにより具体的には205~1,490であってもよい。前記ポリオール組成物の数平均分子量が193未満であると、当該ポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フォームを形成することが困難になる可能性があり、数平均分子量が1,589を超えるとポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する場合、フォームの成形密度、圧縮強度及び断熱性が低下する可能性がある。
【0033】
本発明のポリオール組成物において、ポリオール組成物の多分散指数(PDI)は、1.13以上、1.15以上、1.20以上、1.23以上又は1.25以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物の多分散指数(PDI)は、3.41以下、3.40以下、3.35以下、3.30以下、3.25以下、3.22以下又は3.19以下であってもよい。
【0034】
一実施形態において、ポリオール組成物の多分散指数(PDI)は、1.13~3.41、具体的には1.13~3.40で、より具体的には1.15~3.35、さらに具体的には1.20~3.25、さらにより具体的には1.23~3.22であってもよい。前記ポリオール組成物の多分散指数が1.13未満であると、ポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フォームを形成することが困難になる可能性があり、3.41を超えるとポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フォームの成形密度、圧縮強度及び断熱性が低下する可能性がある。
【0035】
本発明のポリオール組成物において、ポリオール組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数は、2.54以上、2.60以上、2.65以上、2.70以上、2.75以上又は2.78以上であってもよい。また、本発明のポリオール組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数は、21.36以下、21.30以下、21.0以下、20.5以下、20.0以下、19.95以下又は19.92以下であってもよい。
【0036】
より具体的に、ポリオール組成物中の1分子当たり-OH基の平均数が、2.54~21.36、より具体的には2.60~21.30、さらに具体的には2.65~21.0であってもよい。ポリオール組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が2.54未満であるとポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フォームを形成することが困難になる可能性があり、21.36を超えるとポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フォームの成形密度、圧縮強度及び断熱性が低下する可能性がある。
【0037】
一実施形態において、本発明のポリオール組成物は、ブドウ糖含有糖類組成物(例えば、ブドウ糖、マンノース、フルクトース及びマルトースを含む二糖類以上の多糖類を含む糖類組成物)を水素添加反応して水素化糖組成物を製造し、前記得られた水素化糖組成物を酸触媒下で加熱して脱水反応させ、前記得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留して製造されたものであってもよく、具体的には本発明のポリオール組成物は、前記得られた脱水反応生成物を薄膜蒸留して薄膜蒸留液を得た後に残る副産物であってもよい。
【0038】
より具体的に、ブドウ糖含有糖類組成物を30気圧~80気圧の水素圧力条件及び110℃~135℃の加熱条件で水素添加して水素化糖組成物を製造し、前記得られた水素化糖組成物の脱水反応を1mmHg~100mmHgの減圧条件及び105℃~200℃の加熱条件下で行い、脱水反応生成物を得て、前記得られた脱水反応生成物の薄膜蒸留は、2mbar以下の減圧条件及び150℃~175℃の加熱条件下で行うことができるが、反応条件はそれに限定されるものではない。
【0039】
前記ブドウ糖含有糖類組成物のブドウ糖含量は、前記糖類組成物の全重量に対して、41重量%以上、42重量%以上、45重量%以上、47重量%以上又は50重量%以上であってもよく、99.5重量%以下、99重量%以下、98.5重量%以下、98重量%以下、97.5重量%以下又は97重量%以下であってもよく、例えば、41~99.5重量%、45~98.5重量%又は50~98重量%であってもよい。
【0040】
前記糖類組成物中のブドウ糖含量が41重量%未満であると、ポリオール組成物の数平均分子量、1分子当たり-OH基の平均数及び多分散指数が高くなりすぎ、ポリオール組成物をポリオール成分として用いてポリウレタンフォームを製造する際に、フォームの成形密度、圧縮強度及び断熱性が低下する可能性があり、99.5重量%を超えるとポリオール組成物の数平均分子量及び多分散指数が低くなりすぎて、ポリウレタンフォームの形成が困難になる可能性がある。
【0041】
水素化糖組成物に含まれる多糖類アルコール(二糖類以上の糖類アルコール)の含量は、水素化糖組成物の総乾燥重量(ここで、乾燥重量は、水素化糖組成物から水分を除いた後の固形分の重量を意味する)に対して、0.8重量%以上、1重量%以上、2重量%又は3重量%以上であってもよく、57重量%以下、55重量%以下、52重量%以下、50重量%以下又は48重量%以下であってもよく、例えば、0.8~57重量%、1~55重量%又は3~50重量%であってもよい。
【0042】
水素化糖組成物中の多糖類アルコールの含量が0.8重量%未満であると、多糖類アルコールとそれに由来する無水糖アルコールによる流動性向上効果が小さく、二無水糖アルコール(例えば、イソソルビド)の蒸留収率が低下するおそれがある。水素化糖組成物中の多糖類アルコールの含量が57重量%を超過すると、水素化糖組成物の脱水反応生成物を薄膜蒸留する際に、二無水糖アルコールの蒸留収率が著しく低下するという問題が生じるおそれがある。
【0043】
また、水素化糖組成物中の多糖類アルコール含量が0.8重量%未満であると、この水素化糖組成物を用いてポリオール組成物を製造し、このポリオール組成物を適用してポリウレタンフォームを形成する場合、ポリウレタンフォーム自体が形成されない場合や、フォームが形成されたとしてもフォームの形状を維持することが困難になるおそれがある。水素化糖組成物中の多糖類アルコール含量が57重量%を超えると、この水素化糖組成物を用いて製造したポリオール組成物の粘度が非常に高くなり、ポリウレタンフォームの加工性や、製造されたポリウレタンフォームの断熱性は、熱伝導率の増加により低下する可能性がある。
【0044】
本発明の別の側面において、前記本発明のポリオール組成物にアルキレンオキサイドを付加反応することによって製造された、アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物が提供される。
【0045】
本発明のアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物において、アルキレンオキサイドの付加量は、ポリオール組成物100重量部に対して、10重量部以上、20重量部以上、30重量部以上、50重量部以上、80重量部以上又は90重量部以上であってもよく、200重量部以下、180重量部以下、150重量部以下、120重量部以下又は110重量部以下であってもよく、例えば、10~200重量部、20~180重量部、50~150重量部、80~120重量部又は90~110重量部であってもよい。アルキレンオキサイド付加量が10重量部未満であると、アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の粘度が高くなりすぎ、ポリウレタンの配合や製造が困難になる場合がある。アルキレンオキサイド付加量が200重量部を超えると、アルキレンオキサイドの付加効果が大きくなり、核となるポリオール組成物の特性が発現していないため、当該ポリウレタンの物性向上効果が少ない場合がある。
【0046】
本発明の別の側面において、本発明は、ポリオール成分、触媒、界面活性剤及び発泡剤を含むポリオールプレミックス組成物であるか、前記ポリオール成分が、前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物と前記ポリオール組成物以外のポリオールとの混合物である、ポリオールプレミックス組成物が提供される。
【0047】
本発明において、ポリオール成分としては、前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物を単独で用いてもよいし、前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物と共に他のポリオールを混合して用いてもよい。前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物以外のポリオールは、ポリウレタンフォームの製造用に使用される従来のポリオールであれば制限なく使用することができる。
【0048】
一実施形態において、前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物以外のポリオールとしては、例えば、活性水素当量が3,000~5,000、水酸基価が50~70mgKOH/gの3官能性ポリエーテルポリオール、水酸基価が400~600mgKOH/gのソルビトール系ポリオール、水酸基価が400~600mgKOH/gの塩基性ポリオール、水酸基価が300~500mgKOH/gのグリセリン及びペンタエリスリトール系列のポリオール、水酸基価が300~350mgKOH/gであるポリオールなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0049】
一実施形態において、ポリオール成分として、前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物と前記ポリオール組成物以外のポリオールの混合物を使用する場合、前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の含量は、前記混合物の全重量に対して、1重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上であってもよい。前記アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の含量が1重量%未満であると、ポリウレタンフォームの物性(例えば、成形密度、硬度、圧縮強度及び断熱性など)の改善効果、環境への低負担及びコスト削減による経済性改善効果などは小さい場合がある。
【0050】
本発明で使用される触媒は、特に限定されないが、ポリオールとイソシアネート化合物との反応を促進するアミン触媒、有機金属触媒又はそれらの混合物であってもよい。
【0051】
本発明において、アミン触媒の種類は特に限定されないが、好ましくは3級アミン触媒から選ばれる1種又は2種以上の混合物を用いることができ、より具体的には、トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン又はそれらの組合わせを使用することができる。
【0052】
前記有機金属触媒としては、ポリウレタンフォームの製造に通常使用される有機金属触媒を使用することができ、例えば、有機スズ触媒、より具体的にオクチル酸スズ、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、スズビス[2-エチルヘキサノエート]又はそれらの組合わせを使用することができる。
【0053】
本発明のポリオールプレミックス組成物において、触媒は、前記ポリオール成分100重量部に対して、触媒が0.01~5重量部、より好ましくは0.1~2.5重量部で含まれてもよい。触媒の使用量が少なすぎると、反応が遅くなり、硬化不良が発生するか、フォーム形成時にフォームが崩壊することがあり、触媒の使用量が多すぎると、反応が早すぎるか、収縮が発生する可能性がある。
【0054】
本発明で使用される界面活性剤は、ポリウレタンフォーム内部でセル(Cell)が形成される際に生成されたセルの合体又は破壊を防ぎ、形成されるセルの形状や大きさを均一にする働きをする。
【0055】
本発明において、界面活性剤としては、ポリウレタンフォームの製造に通常使用されるものであれば特に制限なく使用でき、例えば、シリコーン系界面活性剤が好ましく使用することができる。前記シリコーン系界面活性剤は、シリコーンオイル及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種であってもよく、具体的には、ポリアルキレンオキサイドメチルシロキサン共重合体であってもよい。
【0056】
本発明のポリオールプレミックス組成物において、前記ポリオール成分100重量部に対して、界面活性剤が0.01~10重量部、好ましくは0.1~8重量部、より好ましくは0.5~6重量部で含まれてもよいが、これらに限定されない。界面活性剤の使用量が少なすぎると、フォームの成形が不均一になるという問題が生じることがあり、逆に、多すぎるとフォームの収縮が生じることがある。
【0057】
本発明で使用される発泡剤としては、求められるフォームの諸物性などを考慮して、従来ポリウレタンフォームの製造に使用されている公知の発泡剤を適宜選択して使用することができる。
【0058】
本発明において、このような発泡剤として、典型的に水を使用することができ、その他の塩化メチレン、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ジメチルエーテル、アセトン、二酸化炭素、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン又はそれらの組合わせから選ばれるものを使用することができる。これらの発泡剤は、公知の使用方法に従って、必要とされる発泡体の密度などの特性に応じて適宜使用することができる。
【0059】
本発明のポリオールプレミックス組成物において、発泡剤の使用量は特に限定されず、例えば、前記ポリオール成分100重量部に対して、0.1~60重量部、より具体的には0.5~55重量部を使用してもよいが、これに限定されない。
【0060】
本発明の一実施形においては、発泡剤として、ポリオール成分100重量部に対して、水0.5~10重量部単独、または水1~6重量部と塩化メチレン0.1~49重量部の混合物を使用することができるが、これに限定されない。
【0061】
本発明のポリオールプレミックス組成物は、所望の物性を損なわない範囲で、難燃剤、着色剤、UV安定化剤、増粘剤、フォーム安定化剤、充填剤又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれる補助添加剤をさらに含むことができる。
【0062】
前記補助添加剤の含量は特に制限されず、ポリオールプレミックス組成物の所望の物性を損なわない範囲で選ぶことができる。一実施形態において、前記ポリオール成分100重量部に対して、0.01~5重量部、より好ましくは0.1~2重量部で含まれてもよい。
【0063】
本発明の別の側面において、第1成分である本発明のポリオールプレミックス組成物;及び第2成分であるポリイソシアネート;を含む、2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物が提供される。
【0064】
本発明において、前記ポリイソシアネートは、ポリウレタンフォームの製造に使用できるものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、複素環式ポリイソシアネート又はそれらの組合わせよりなる群から選ばれるポリイソシアネートを使用することができ、また、未改質ポリイソシアネート又は任意の改質ポリイソシアネートを使用することができる。
【0065】
具体的に、前記ポリイソシアネートは、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,12-ドデカンジイソシアネート、シクロブタン-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサノール-1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2-4-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、2,6-ヘキサヒドロトルエンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(HMDI)、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、重合性(polymeric)メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート又はそれらの組合わせよりなる群から選ぶことができる。
【0066】
一実施形態において、ポリイソシアネートとして、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートとが混合されたトルエンジイソシアネート(2,4-/2,6-異性体比=80/20)又は重合性(Polymeric)メチレンジフェニルジイソシアネートを使用することができる。
【0067】
本発明において、ポリイソシアネートの使用量は、イソシアネート指数(NCO指数)で70~130が好ましく、80~120が特に好ましく、100~120がさらに好ましい。イソシアネート指数は、ウレタン反応物中のポリオールに存在する水酸基の当量数に対するイソシアネートの当量数の比であり、理論当量に対する使用されたイソシアネートの量を意味する。100未満のイソシアネート指数は、過剰のポリオールが存在するということを意味し、100を超えるイソシアネート指数は、過剰のイソシアネートが存在するということを意味する。イソシアネート指数が70未満であると、反応性が低く、ゲル化反応が遅く硬化できない問題がある。イソシアネート指数が130を超えるとハードセグメントが大きくなりすぎて収縮するという問題がある。
【0068】
本発明の2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物において、前記第1成分及び第2成分が非接触で別々に存在してもよく、使用直前又は現場で(in situ)混合してもよい。
【0069】
本発明の別の側面では、第1成分である本発明のポリオールプレミックス組成物と第2成分であるポリイソシアネートを混合して反応させることを含むポリウレタンフォームの製造方法、及びそれによって製造されたポリウレタンフォーム、例えば、軟質又は硬質のポリウレタンフォームが提供される。
【0070】
前記ポリウレタンフォームの製造に本発明のポリオールプレミックス組成物を使用する場合、ポリウレタンフォームは、ポリオールプレミックス組成物にポリイソシアネートを添加し、撹拌した後、モールドに投入して硬化及び発泡を進行させることにより製造することができる。
【0071】
前記ポリウレタンフォームの製造に本発明の2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物を使用する場合、ポリウレタンフォームは、その組成物に含まれる前記第1成分と第2成分を混合し、撹拌した後、モールドに投入して硬化及び発泡が進行させることによって製造することができる。
【0072】
ポリウレタンフォームを製造するための装置や条件(温度、時間など)は特に限定されず、通常使用される装置や条件をそのまま、あるいは適宜変更して使用することができる。
【0073】
以下の実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。しかし、本発明の範囲はこれによって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0074】
<無水糖アルコール及び無水糖アルコール重合体を含むポリオール組成物の製造>
実施例A1: 97重量%含量のブドウ糖及び薄膜蒸留装置を使用したポリオール組成物の製造
ニッケル触媒の存在下、125℃の温度、60気圧の水素圧力下で97%の純度を有するブドウ糖製品を水添反応することにより、濃度55重量%である液状の水素化糖組成物(固形分全重量に対して、ソルビトール96重量%、マンニトール0.9重量%及び二糖類以上の多糖類アルコール3.1重量%)1,819gを得た。この組成物を撹拌機付きバッチ式反応器に投入し、100℃に加熱して濃縮することにより、濃縮水素化糖組成物1,000gを得た。
【0075】
反応器に前記濃縮水素化糖組成物1,000g及び硫酸9.6gを投入した。その後、反応器内の温度を約135℃まで昇温し、約45mmHgの減圧下で脱水反応を行い、濃縮水素化糖組成物を無水糖アルコールに転換した。脱水反応終了後、反応生成物の温度を110℃以下に冷却し、50%水酸化ナトリウム水溶液約15.7gを加えて反応生成物を中和した。その後、温度を100℃以下に冷却し、45mmHgの減圧下で1時間以上濃縮して、残留水分と低沸点物質を除去し、転換された無水糖アルコール831gを得た。得られた転換無水糖アルコール溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、イソソルビドへの転換量は71.9重量%であり、これを用いてソルビトールからイソソルビドへのモル転換率を計算すると77.6%であった。
【0076】
前記得られた転換無水糖アルコール溶液831gを薄膜蒸留装置(SPD)に投入し、蒸留を進めた。このとき、160℃の温度及び1mbarの真空圧力下で蒸留を行い、蒸留液約589gを得た(蒸留収率:約70.9%)。このとき、蒸留液中のイソソルビドの純度を測定したところ96.8%であり、これから計算したイソソルビドの蒸留収率は95.3%であった。蒸留液を分離した後、イソソルビド(二無水糖アルコール)11.5重量%、イソマンニド(二無水糖アルコール)0.4重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)7.4重量%、二糖類以上の多糖類アルコール及びこれらから由来された無水糖アルコール2.5重量%及びこれらの重合体78.2重量%を含み、組成物の数平均分子量が208g/molであり、組成物の多分散指数が1.25であり、組成物の水酸基価が751mgKOH/gであり、組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が2.78であるポリオール組成物約242gを得た。
【0077】
実施例A2: 85.2重量%のブドウ糖を含む糖類組成物及び薄膜蒸留装置を利用したポリオール組成物の製造
純度97%のブドウ糖製品の代わりに、85.2重量%のブドウ糖含有糖類組成物(ブドウ糖85.2重量%、マンノース、フルクトース及び多糖類(マルトースなどの二糖類以上の糖類)の合計14.8重量%)を使用した以外は、実施例1と同様に水添反応を行い、濃度が54重量%(固形分基準、ソルビトール84.1重量%、マンニトール2.8重量%及び二糖類以上の多糖類アルコール13.1重量%)である液状の水素化糖組成物1,852gを得た。この組成物を撹拌機付きバッチ式反応器に投入し、100℃に加熱して濃縮することにより、濃縮水素化糖組成物1,000gを得た。
【0078】
硫酸の含量を9.6gから8.4gに変更し、50%水酸化ナトリウム水溶液の含量を15.7gから13.7gに変更した以外は、前記濃縮水素化糖組成物1,000gを実施例1と同様に脱水反応を行い、無水糖アルコールに転換した。前記脱水反応の結果、約846gの転換無水糖アルコール溶液が得られた。得られた転換無水糖アルコール溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、イソソルビドへの転換量は61.7重量%であり、これを用いてソルビトールからイソソルビドへのモル転換率を計算すると77.4%であった。
【0079】
前記得られた転換無水糖アルコール溶液846gを実施例1と同様にして薄膜蒸留を行い、蒸留液約528gを得た(蒸留収率:約62.4%)。このとき、蒸留液中のイソソルビドの純度を測定したところ96.5%であり、これから計算したイソソルビドの蒸留収率は97.6%であった。蒸留液を分離した後、イソソルビド(二無水糖アルコール)4.0重量%、イソマンニド(二無水糖アルコール)1.6重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)2.1重量%、二糖類以上の多糖類アルコール及びこれらから由来された無水糖アルコール5.1重量%及びこれらの重合体87.2重量%を含み、組成物の数平均分子量が720g/molであり、組成物の多分散指数が2.54であり、組成物の水酸基価が754mgKOH/gであり、組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が9.68であるポリオール組成物約318gを得た。
【0080】
実施例A3: 50.2重量%のブドウ糖を含む糖類組成物及び薄膜蒸留装置を利用したポリオール組成物の製造
純度97%のブドウ糖製品の代わりに、50.2重量%のブドウ糖含有糖類組成物(ブドウ糖50.2重量%とマンノース、フルクトース及び多糖類(マルトースなどの二糖類以上糖類)の合計49.8重量%)を使用した以外は、実施例1と同様に水添反応を行い、濃度が55重量%(固形分基準、ソルビトール48.5重量%、マンニトール3.6重量%、二糖類以上の多糖類アルコール47.9重量%)である液状の水素化糖組成物1,819gを得た。この組成物を撹拌機付きバッチ式反応器に投入し、100℃に加熱して濃縮することにより濃縮水素化糖組成物1,000gを得た。
【0081】
硫酸の含量を9.6gから4.85gに変更し、50%水酸化ナトリウム水溶液の含量を15.7gから7.9gに変更し、反応温度を120℃に変更した以外は、前記濃縮水素化糖組成物1,000gを実施例1と同様に脱水反応を行い、無水糖アルコールに転換した。前記脱水反応の結果、得られた転換無水糖アルコール溶液は約890gであり、得られた転換無水糖アルコール溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、イソソルビドの転換量は33.7重量%であり、これを用いてソルビトールからイソソルビドのモル転換率を計算すると77.1%であった。
【0082】
前記得られた転換無水糖アルコール溶液890gを実施例1と同様にして薄膜蒸留を行い、蒸留液約304gを得た(蒸留収率:約34.2%)。このとき、蒸留液中のイソソルビドの純度を測定したところ96.9%であり、これから計算したイソソルビドの蒸留収率は98.3%であった。蒸留液を分離した後、イソソルビド(二無水糖アルコール)0.9重量%、イソマンニド(二無水糖アルコール)2.1重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)0.9重量%、二糖類以上の多糖類アルコール及びこれらから由来した無水糖アルコール6.2重量%及びこれらの重合体89.9重量%を含み、組成物の数平均分子量が1,480g/molであり、組成物の多分散指数が3.19であり、組成物の水酸基価が755mgKOH/gであり、組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が19.92であるポリオール組成物約586gを得た。
【0083】
比較例A1: 99.9重量%のブドウ糖結晶及び薄膜蒸留によるポリオール組成物の製造
純度97%のブドウ糖製品の代わりに、ブドウ糖製造工程から分離された純度99.9重量%のブドウ糖結晶を使用した以外は、実施例1と同様に水添反応を行い、濃度55重量%(固形分基準、ソルビトール99.1重量%、マンニトール0.2重量%、二糖類以上多糖類アルコール0.7重量%)である液状の水素化糖組成物1,819gを得た。この組成物を撹拌機付きバッチ式反応器に投入し、100℃に加熱して濃縮することにより、濃縮水素化糖組成物1,000gを得た。
【0084】
硫酸の含量を9.6gから9.9gに変更し、50%水酸化ナトリウム水溶液の含量を15.7gから16.2gに変更した以外は、前記濃縮水素化糖組成物1,000gを実施例1と同様に脱水反応を進めて無水糖アルコールに転換した。前記脱水反応の結果、得られた転換無水糖アルコール溶液は約827gであり、得られた転換無水糖アルコール溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、イソソルビドの転換量は74.2重量%であり、これを用いてソルビトールからイソソルビドへのモル転換率を計算すると77.2%であった。
【0085】
前記得られた転換無水糖アルコール溶液827gを実施例1と同様にして薄膜蒸留を行い、蒸留液約555gを得た(蒸留収率:約67.1%)。このとき、蒸留液中のイソソルビドの純度を測定したところ96.7%であり、これから計算されたイソソルビドの蒸留収率は87.5%であった。蒸留液を分離した後、イソソルビド(二無水糖アルコール)28.2重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)17.4重量%及びこれらの重合体54.4重量%を含み、組成物の数平均分子量が192g/molであり、組成物の多分散指数が1.12で、組成物の水酸基価が740mgKOH/gであり、組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が2.53であるポリオール組成物約272gを得た。
【0086】
比較例A2: 40.1重量%含量のブドウ糖を含む糖類組成物及び薄膜蒸留装置を利用したポリオール組成物の製造
純度97%のブドウ糖製品の代わりに、40.1重量%のブドウ糖含有糖類組成物(ブドウ糖40.1重量%とマンノース、フルクトース及び多糖類(マルトースなどの二糖類以上糖類)合計59.9重量%)を使用した以外は、実施例1と同様に水添反応を行い、濃度55重量%(固形分基準、ソルビトール38.8重量%、マンニトール4.1重量%、二糖類以上の多糖類アルコール57.1重量%)である液状の水素化糖組成物1,819gを得た。この組成物を撹拌機付きバッチ式反応器に投入し、100℃に加熱して濃縮することにより、濃縮水素化糖組成物1,000gを得た。
【0087】
硫酸の含量を9.6gから3.9gに変更し、50%水酸化ナトリウム水溶液の含量を15.7gから6.3gに変更した以外は、前記濃縮水素化糖組成物1,000gを実施例1と同様に脱水反応を行い、無水糖アルコールに転換した。前記脱水反応の結果、得られた転換無水糖アルコール溶液は約902gであり、得られた転換無水糖アルコール溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、イソソルビドの転換含量は26.8重量%であり、これを用いてソルビトールからイソソルビドへのモル転換率を計算すると77.4%であった。
【0088】
前記得られた転換無水糖アルコール溶液902gを実施例1と同様にして薄膜蒸留を行い、蒸留液約246gを得た(蒸留収率:約27.3%)。このとき、蒸留液中のイソソルビドの純度を測定したところ96.1%であり、これから計算したイソソルビドの蒸留収率は97.8%であった。蒸留液を分離した後、イソソルビド(二無水糖アルコール)0.7重量%、イソマンニド(二無水糖アルコール)2.3重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)0.5重量%、二糖類以上の多糖類アルコール及びこれらから由来した無水糖アルコール6.5重量%及びこれらの重合体90.0重量%を含み、組成物の数平均分子量が1,590g/molであり、組成物の多分散指数が3.42であり、組成物の水酸基価が754mgKOH/gであり、組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が21.37であるポリオール組成物約663gを得た。
【0089】
比較例A3: 96.8重量%のブドウ糖を含む糖類組成物及び単純減圧蒸留を利用したポリオール組成物の製造
純度97%のブドウ糖製品の代わりに、96.8重量%のブドウ糖含有糖類組成物(ブドウ糖96.8重量%とマンノース、フルクトース及び多糖類(マルトースなどの二糖類以上糖類)合計3.2重量%)を使用した以外は、実施例1と同様にして水添反応を行い、濃度55重量%(固形分基準、ソルビトール95.7重量%、マンニトール1.1重量%、二糖類以上の多糖類アルコール3.2重量%)である液状の水素化糖組成物1,819gを得た。この組成物を撹拌機付きバッチ式反応器に投入し、100℃に加熱して濃縮することにより、濃縮水素化糖組成物1,000gを得た。
【0090】
前記濃縮水素化糖組成物1,000gを実施例1と同様にして脱水反応を行い、無水糖アルコールに転換した。前記脱水反応の結果、得られた転換無水糖アルコール溶液は約832gであり、得られた転換無水糖アルコール溶液をガスクロマトグラフィーで分析した結果、イソソルビドの転換量は71.5重量%であり、これを用いてソルビトールからイソソルビドへのモル転換率を計算すると77.5%であった
【0091】
前記得られた転換無水糖アルコール溶液832gを単純減圧蒸留を行い、蒸留液約461gを得た(蒸留収率:約55.4%)。このとき、蒸留液中のイソソルビドの純度を測定したところ96.6%であり、これから計算したイソソルビドの蒸留収率は74.9%であった。蒸留液を分離した後、イソソルビド(二無水糖アルコール)40.4重量%、イソマンニド(二無水糖アルコール)0.4重量%、ソルビタン(一無水糖アルコール)3.2重量%、二糖類以上の多糖類アルコール及びこれらから由来した無水糖アルコール2.0重量%及びこれらの重合体54.0重量%を含み、組成物の数平均分子量が210g/molであり、組成物の多分散指数が3.94であり、組成物の水酸基価が710mgKOH/gであり、組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数が2.66であるポリオール組成物約371gを得た。
【0092】
前記実施例A1~A3及び比較例A1~A3のポリオール組成物の収率を下記表1に、各ポリオール組成物の組成及び物性値を下記表2に示した。
【0093】
【0094】
【0095】
[収率測定方法]
1)イソソルビド(ISB)へのモル転換率
ISBモル転換率(%)=(生成されたイソソルビドのモル数/使用されたソルビトールのモル数)×100(%)
【0096】
2)イソソルビド(ISB)転換量
ガスクロマトグラフィー分析により、転換無水糖アルコール溶液中のイソソルビドの含量(重量%)を測定し、イソソルビド転換量は、転換無水糖アルコール溶液中のイソソルビド(ISB)の純度を示す。
【0097】
3)蒸留収率
蒸留収率(%)=[蒸留液の質量(g)/転換無水糖アルコール溶液の質量(g)]×100(%)
【0098】
4)イソソルビド(ISB)蒸留収率
ISB蒸留収率(%)=[蒸留液中のイソソルビドの質量(%)/転換無水糖アルコール溶液中のイソソルビドの質量(g)]×100(%)
【0099】
[ポリオール組成物の物性測定方法]
1)数平均分子量(Mn)及び多分散指数(PDI)
前記実施例及び比較例で製造されたポリオール組成物1~3重量部をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた後、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)装置(アジレント社製)で数平均分子量(Mn)及び多分散指数(PDI)を測定した。このとき、使用されたカラムはPLgel 3μm MIXED-E 300×7.5mm(アジレント社製)であり、カラム温度は50℃であり、使用された展開溶媒は0.05M NaBrを含むN,N-ジメチルホルムアミドを0.5mL/minで流して使用し、ポリスチレン(アルドリッチ社製)を標準物質とした。
【0100】
2)水酸基価
水酸基価試験標準であるASTM D-4274Dに従ってイミダゾール触媒下で過剰の無水フタル酸を用いて、前記実施例及び比較例で製造された各ポリオール組成物をエステル化した後、ポリオール組成物の水酸基価は、残留する無水フタル酸を0.5N水酸化ナトリウム(NaOH)で滴定することにより測定した。
【0101】
3)1分子当たりの-OH基の平均数
下記数式に従ってポリオール組成物中の1分子当たりの-OH基の平均数を計算した。
[1分子当たりの-OH基の平均数]=(水酸基価×数平均分子量)/56,100
【0102】
<アルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造>
実施例B1: 実施例A1のポリオール組成物を用いたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造
実施例A1で得られたポリオール組成物100g及び水酸化カリウム(KOH)0.1gを撹拌機付き高圧反応器に加え、120℃に昇温後、プロピレンオキサイド100gを加えた。その後、120℃で3時間反応させることにより、ポリオール組成物100重量部に対して、プロピレンオキサイドの付加量が100重量部であるアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物191gを得た。
【0103】
実施例B2: 実施例A2のポリオール組成物を用いたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造
実施例A1で得られたポリオール組成物の代わりに、実施例A2で得られたポリオール組成物100gを使用した以外は、実施例B1と同様にしてポリオール組成物100重量部に対してプロピレンオキサイドの付加量が100重量部であるアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物190gを得た。
【0104】
実施例B3: 実施例A3のポリオール組成物を用いたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造
実施例A1で得られたポリオール組成物の代わりに、実施例A3で得られたポリオール組成物100gを使用した以外は、実施例B1と同様にしてポリオール組成物100重量部に対してプロピレンオキサイドの付加量が100重量部であるアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物192gを得た。
【0105】
比較例B1: 比較例A1のポリオール組成物を用いたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造
実施例A1で得られたポリオール組成物の代わりに、比較例A1で得られたポリオール組成物100gを使用した以外は、実施例B1と同様にしてポリオール組成物100重量部に対してプロピレンオキサイドの付加量が100重量部であるアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物187gを得た。
【0106】
比較例B2: 比較例A2のポリオール組成物を用いたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造
実施例A1で得られたポリオール組成物の代わりに、比較例A2で得られたポリオール組成物100gを使用した以外は、実施例B1と同様にしてポリオール組成物100重量部に対してプロピレンオキサイドの付加量が100重量部であるアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物192gを得た。
【0107】
比較例B3: 比較例A3のポリオール組成物を用いたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物の製造
実施例A1で得られたポリオール組成物の代わりに、比較例A3で得られたポリオール組成物100gを使用した以外は、実施例B1と同様にしてポリオール組成物100重量部に対してプロピレンオキサイドの付加量が100重量部であるアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物190gを得た。
【0108】
<硬質ポリウレタンフォームの製造>
実施例C1~C3及び比較例C1~C4
ポリオール成分、触媒、界面活性剤及び発泡剤を下記表3に示した成分及び含量比率に従って混合し3,000rpmの撹拌速度で1~3分間十分に混合し、本発明の2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物の第1成分であるポリオールプレミックス組成物を製造した。
製造されたポリオールプレミックス組成物に第2成分であるポリイソシアネート成分を加え、3,000rpmの撹拌速度で7~10秒間撹拌して、本発明の2液型ポリウレタンフォーム製造用組成物を製造した。
その後、250mm×250mmの正方形の箱型にポリエチレンフィルムを敷き、その上に前記製造されたポリウレタンフォーム製造用組成物を流し込んだ。ポリウレタンフォームの硬化反応熱を棒状の温度計で確認した結果、120℃であることを確認した。次に、製造されたポリウレタンフォーム試片の物性を下記評価方法により測定し、その結果を下記表3に示した。
【0109】
[ポリウレタンフォーム試片の物性測定方法]
・成形密度:ASTM D-1621に従って測定
・圧縮強度:ASTM D-1621に従って測定
・熱伝導率:ASTM D-1621に従って測定
【0110】
[使用成分]
1)ポリオール
・SL-494: 水酸基価460~500mgKOH/gのソルビトール系ポリオール(SL-494;三井化学&SKCポリウレタン社製)
・SR-500: 水酸基価480~520mgKOH/gの塩基性ポリオール(SR-500;三井化学&SKCポリウレタン社製)
・PE-400: 水酸基価400mgKOH/gのグリセリン及びペンタエリスリトール系のポリオール(PE-400;SKC社製)
・AK-1001: 水酸基価320~340mgKOH/gのポリオール(AK POL-1001;Aekyung Chemical社製)
・実施例B1: 実施例B1で製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物
・実施例B2: 実施例B2で製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物
・実施例B3: 実施例B3で製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物
・比較例B1: 比較例B1で製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物
・比較例B2: 比較例B2で製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物
・比較例B3: 比較例B3で製造されたアルキレンオキサイド付加ポリオール組成物
【0111】
2)ポリイソシアネート
・M20R: 高分子性メチレンジフェニルジイソシアネート(M20R;韓国バスプ社製)
・NCO指数は、イソシアネートとヒドロキシル基を有ずる水とポリオールの当量比で110に固定した。
【0112】
3)触媒
・PC5: アミン系触媒(PC5;エアープロダクト社製)
・33LV: アミン系触媒(DABCO 33LV;エアープロダクト社製)
【0113】
4)界面活性剤
・B8462: 界面活性剤(B8462;エボニック社製)
【0114】
5)発泡剤
・水
・141b: 1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン(HCFC-141b;Soo Kyung Chemical社製)
【0115】
【0116】
前記表3に示すように、ポリオール成分として本発明による実施例A1~A3のポリオール組成物を用いて製造された実施例C1~C3の試片は、フォーム状態が良好であり、従来のポリウレタンフォーム試片である比較例C3の試片と比べて、成形密度、圧縮強度、優れた断熱性(低熱伝導率)を示しており、コスト削減による経済性の向上を示した。
【0117】
一方、比較例A1のポリオール組成物をポリオール成分として用いて製造された比較例C1の試片の場合、ポリオール組成物の低い数平均分子量及び低い多分散指数により、ポリウレタンフォームを形成することが困難であった。比較例A2のポリオール組成物をポリオール成分として使用して製造された比較例C2の試片の場合、ポリオール組成物の高い数平均分子量、高い多分散指数及び高い1分子当たりの-OH基平均数により、従来のポリウレタンフォーム試片である比較例C3の試片と比べて、フォームの成形密度及び圧縮強度が低く、断熱性も劣っていた(高熱伝導率)。
【0118】
また、比較例A3のポリオール組成物をポリオール成分として用いて製造された比較例C4の試片の場合、ポリウレタンフォームの形成は可能であったが、ポリオール組成物の多分散指数が高すぎるため、従来のポリウレタンフォーム試片である比較例C3の試片と比べて、フォームの成形密度及び圧縮強度が低く、断熱性が劣っていた(高熱伝導率)。
【国際調査報告】