(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】コンポジット・レイアップ・モールド製造システム
(51)【国際特許分類】
C25D 7/00 20060101AFI20230731BHJP
C23C 18/30 20060101ALI20230731BHJP
C23C 18/16 20060101ALI20230731BHJP
C25D 5/56 20060101ALI20230731BHJP
C23C 28/02 20060101ALI20230731BHJP
C23C 28/00 20060101ALI20230731BHJP
B29C 70/46 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C25D7/00 A
C23C18/30
C23C18/16 A
C25D5/56 A
C25D5/56 B
C23C28/02
C23C28/00 D
B29C70/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501135
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 TR2021050291
(87)【国際公開番号】W WO2022010431
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520307137
【氏名又は名称】トゥサシュ-テュルク・ハヴァジュルク・ヴェ・ウザイ・サナイー・アノニム・シルケティ
【氏名又は名称原語表記】TUSAS-TURK HAVACILIK VE UZAY SANAYII ANONIM SIRKETI
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】アイカチ,ビュシュラ
(72)【発明者】
【氏名】エジェ,レムジ エジュメル
(72)【発明者】
【氏名】オズ,ヤフヤ
(72)【発明者】
【氏名】エルドアン,メテハン
(72)【発明者】
【氏名】カラカヤ,イシャク
【テーマコード(参考)】
4F205
4K022
4K024
4K044
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AJ01
4F205AJ09
4F205HA03
4F205HA14
4F205HA22
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK31
4F205HM13
4K022AA13
4K022AA37
4K022BA14
4K022CA02
4K022CA06
4K022CA18
4K022CA21
4K022DA01
4K024AA03
4K024AB01
4K024AB17
4K024BA14
4K024BB01
4K024BC07
4K024DA07
4K024DA10
4K024GA03
4K024GA04
4K024GA16
4K044AA16
4K044AB08
4K044BA06
4K044BB03
4K044BC01
4K044BC02
4K044CA15
4K044CA18
4K044CA53
(57)【要約】
本発明は、電解による表面メタライゼーション(電気めっき)における使用に適するマンドレル(2);マンドレルの外面をほぼ全面的に覆うように電解法によってメタライズされて、表面に電気伝導度を生じさせることができる少なくとも1つの内側コーティング(3);内側コーティング(3)上の電解および/または無電解メタライゼーションによってほぼ全面的に得られた少なくとも1つの外側コーティング(4)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解による電着プロセスでの使用に適したマンドレル(2)と;電解法によってマンドレル(2)の外面に、その外面をほぼ全面的に覆うようにメタライズされて、表面に電気伝導度を生じさせることができる少なくとも1つの内側コーティング(3)と;内側コーティング(3)上に電解および/または無電解金属コーティングによってほぼ全面的に得られる少なくとも1つの外側コーティング(4)とを含むコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)であって、
高密度ポリウレタンフォーム材料からなり、ブラックカーボンおよび/または炭素の異なる誘導体、CNT(カーボンナノチューブ)またはグラフェンをドープすることによって伝導性を増大させるのに適しているマンドレル(2);
Sn
+2イオンを含む溶液に浸漬したマンドレル(2)の表面の細孔にSn
+2イオンを入れることによってマンドレル(2)の表面を増感させ、Pd
+2イオンを含む溶液に浸漬し、活性化するために用いるマンドレル(2)の細孔中でSn
+2イオンをSn
+4に酸化し、Pd
+2をPd原子に還元することによってマンドレル(2)の表面にコーティングされ、表面伝導性を増大させる内側コーティング(3);および
敷かれた布地(k)が予め形成されることを許容し、内側コーティング(3)および外側コーティング(4)からなり、単一の片としてほぼ全面的にマンドレル(2)から内側コーティング(3)および外側コーティング(4)を除去することによって得られるコンポジット・レイアップ・モールド(5)
によって特徴付けられるコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)。
【請求項2】
コンポジット・レイイング・モールド(5)に敷かれることによって予め形成された布地(k)に温度および圧力下で硬化法を適用してパーツ(p)を製造する形状によって特徴付けられる、請求項1に記載のコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)。
【請求項3】
プリプレグ布地(k)のハンド・レイアップ・プロセスに用いるのに好適なコンポジット・レイアップ・モールド(5)によって特徴付けられる、請求項1または2に記載のコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)。
【請求項4】
マンドレル(2)の表面に電気分解で内側コーティング(3)をコーティングできる閾値を超える伝導度値(conductivity value)を有するマンドレル(2)によって特徴付けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載のコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)。
【請求項5】
無電解メタライゼーションまたは電解電鋳法によって前記内側コーティング(3)にニッケルおよび/またはニッケル合金をほぼ全面的にコーティングすることによって得られた外側コーティング(4)によって特徴付けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンポジットパーツを形成することを許容するコンポジット・レイアップ・モールド製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンポジット生産物は、世界中の航空・防衛産業で広く使用されている材料の一種である。コンポジット材料は、高い比強度、耐腐食性、低熱膨張係数および高い疲労強度などの特性を有しており、航空用の材料として好まれるタイプとなっている。コンポジット材料の製造には、溶射法、連続成形法、フィラメントワインディング法、樹脂トランスファー成形法(RTM)、シート成形/圧縮成形法およびハンド・レイアップ法が使用されている。現在、航空機用構造物の製造には、ハンド・レイアップ法が一般的に使用されている。ハンド・レイアップ法により炭素繊維およびガラス繊維などの強化材で強化された樹脂含浸プリプレグをコンポジット・レイアップ・モールドに載せ、真空引きプロセスの後、オートクレーブで硬化させる。コンポジット・レイアップ・モールドは、高圧および高温にさらされる。そのため、レイアップ・モールドにおける最大の問題は、熱膨張である。現状では、ニッケルモールドは電鋳法、複雑な形状の部品はPVD(物理的蒸着)法で製造されている。電鋳法は、費用対効果が高く、PVD(物理的蒸着)に比べ、製造が容易でデバイスのコストが低いため、好まれている。これらの利点および欠点を考慮すると、複雑で大型のパーツに使用するマンドレル材を選択する際、ステンレス鋼を使用すると余分な費用がかかってしまう。そのため、ポリマー系のマンドレル材料が好まれる。電鋳プロセスは、マンドレルにコーティング加工を施すことで行われる。
【0003】
当該技術分野の公知水準に含まれる米国特許第8394473には、ポリマー基板上にAl、Ag、Au、Co、Ni、Pd、Snなどの金属を電気メッキすることが開示されている。コーティングの目的は、メタライズ構造に真空抵抗および流体密封を提供することである。また、コーティングは、ポリマー構造体の表面に耐摩耗性および修復の利点を提供する。表面に残るコーティングの使用法が開示されている。
【0004】
当該技術分野の公知水準に含まれる米国特許第2702253には、表面メタライゼーションが開示されている。電解液中のPd、Ni、Cr、Alなどの金属は、SnClを含む溶液からの酸化還元反応によって、任意の表面にコーティングすることが可能である。表面メタライゼーションコーティングの方法が開示されている。
【0005】
当該技術分野の公知水準に含まれる米国特許出願第3561995Aには、ポリマー表面を電気的に活性化する方法が記載されている。この方法では、ポリマー材料の表面を、金属蒸着に適した閾値導電性レベルを提供するように活性化することが開示されている。活性化プロセスは、ポリマー表面を活性化液体組成物と接触させることによって可能となる。この組成物は、酸性物質、酸性物質の塩、金属水酸化物、金属酸化物または酸素含有有機物質から選択される少なくとも1つの反応性調整剤、および白金、パラジウム、銀、金、鉄、ニッケル、コバルト、銅およびロジウムからなる群から選択される金属のイオンを含む。活性化によってメタライズされるポリマー材料はポリウレタンとすることができ、その材料はプロセスの最後にニッケルでコーティングすることができることが開示されている。
【0006】
当該技術分野の公知水準に含まれる米国特許出願第20030233960A1には、ポリウレタンをコーティングのための表面処理に付す方法が開示されている。この方法では、まず、ポリウレタン表面をある種の紫外線増感剤の1つに曝し、その後、強い紫外線に曝し、さらに無電解コーティング処理を行うことにより、電解法によりコーティングを行うことができるようにする。その後、得られた表面を銅、ニッケル、銀、その他の所望の金属で電解コーティングすることができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明により開発されたコンポジット・レイアップ・モールド製造システムにより、高速で、費用対効果が高く、工業的に適用可能で、効率的で耐久性のあるコンポジット・レイアップ・モールド製造が達成される。
【0008】
本発明の目的は、電鋳法により安価なコンポジット・レイアップ・モールドを製造することである。
【0009】
本発明の他の目的は、高温高圧に耐えるコンポジット・レイアップ・モールドを得ることである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、複雑な形状を有するコンポジットパーツの製造に用いられるモールドを、容易かつ高速なプロセスによって製造することである。
【0011】
本発明の目的を達成するために実現され、第1の請求項およびそれに従属する請求項に定義されるコンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、表面が電鋳プロセスによるコーティングに適しているマンドレルと;マンドレルの電気伝導度を増大するようにマンドレルの外側表面にコーティングされ、外側表面を完全に覆うようにメタライゼーション法によってコーティングされた少なくとも1つの内側コーティングと;内側コーティングの非コーティング表面に無電鋳コーティングおよび/または電鋳コーティングによってコーティングされる少なくとも1つの外側コーティングとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のコンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、布地のプリフォームを得るために使用され、マンドレルの表面から内側コーティングおよび外側コーティングを隣接する単一のピースとして除去して内側コーティングおよび外側コーティングからなるコンポジット・レイアップ・モールドを含む。
【0013】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、コンポジット・レイアップ・モールドによって予め形成された布地を、炉内で温度および圧力の影響を受けて硬化させることによって形成されるパーツを含む。
【0014】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、ハンド・レイアップ法(プリプレグ)によるパーツ製造を可能にするコンポジット・レイアップ・モールドを含む。
【0015】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、細孔径が1~2μmの高密度ポリウレタンフォーム材料からなり、パーツと形状的に適合する形状を有するマンドレルを含む。
【0016】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、グラフェン、CNT(カーボンナノチューブ)、ブラックカーボンまたは炭素誘導体をドープすることによって導電性を高めることができる構造を有する高密度ポリウレタンフォーム材料でできたマンドレルを含む。
【0017】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、マンドレル表面にコーティングされる内側コーティングに必要な電気伝導度の閾値を有するマンドレルを含む。
【0018】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、表面に多孔質構造をつくるために、表面がアルカリ溶液で洗浄され、硫酸でエッチングされたマンドレルを含む。
【0019】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、表面伝導性を増大するようにマンドレル表面にコーティングされる内側コーティングを含み、Sn+2イオンを含む溶液に浸漬されたマンドレルを、マンドレルの表面の細孔にSn+2イオンを沈着させて増感(sensitized)し、ついで、マンドリルをPd+2イオンを含む活性化溶液に浸漬して、細孔内のSn+2イオンがSn+4イオンに酸化され、Pd+2イオンがPd原子に還元されるようにする。
【0020】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムは、マンドレルを覆うように、電解および/または無電解メタライゼーション法によりニッケルおよび/またはニッケル合金でマンドレル表面をコーティングすることによって電解法によって得られる外側コーティングを含む。
【0021】
本発明の目的を達成するために実現されたコンポジット・レイアップ・モールド製造システムを添付図面に示すが、図面において:
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1は、コンポジット・レイアップ・モールド製造システムの模式図である。
図2は、コンポジット・レイアップ・モールド、布地およびマンドレルの断面図である。
図3は、コンポジット・レイアップ・モールドの模式図である。
【0023】
図に示される全てのパーツには、個々に参照数字が付与され、これらの数字の対応する用語を以下に記載する:
1. コンポジット・レイアップ・モールド製造システム
2. マンドレル
3. 内側コーティング
4. 外側コーティング
5. コンポジット・レイアップ・モールド
k. 布地
p. パーツ
【0024】
コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、電解による電着プロセスでの使用に適したマンドレル(2)と;電解法によってマンドレル(2)の外面に、その外面をほぼ全面的に覆うようにメタライズされて、表面に電気伝導度を生じさせることができる少なくとも1つの内側コーティング(3)と;内側コーティング(3)上に電解および/または無電解金属コーティングによってほぼ全面的に得られる少なくとも1つの外側コーティング(4)とを含む(
図1)。
【0025】
本発明のコンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、上に敷かれた布地(k)を予め形成することができ、内側コーティング(3)および外側コーティング(4)からなり、単一の片としてほぼ全面的にマンドレル(2)から内側コーティング(3)および外側コーティング(4)を除去することによって得られるコンポジット・レイアップ・モールド(5)を含む(
図3)。
【0026】
使用者によって予め決められた形状をコンポジットパーツ(p)がとるために、その形状に適合し、表面伝導性がメタライゼーション(電気めっき)プロセスに適するマンドレル(2)、使用者によって予め決められた金属イオンを、マンドレル(2)の外面をほぼ全面的に覆うようにマンドレル(2)の表面に表面伝導性を提供するための溶液から、電気めっきプロセスによって、コーティングすることによって得られる少なくとも1つの内側コーティング(3)、表面をほぼ全面的に覆うように電解および/または無電解メタライゼーション法によって内側コーティング(3)の外面にコーティングされることによって内側コーティング(3)の形状をとる少なくとも1つの外側コーティング(4)が提供される(図-1)。
【0027】
マンドレル(2)の表面から内側コーティング(3)および外側コーティング(4)を一片として除去することによって得られ、内側コーティング(3)および外側コーティング(4)の両方からなり、その上に布地(k)を載せた場合に布地(k)を予め形成するコンポジット・レイアップ・モールド(5)製造を提供する。このようにして、高い圧力や温度による膨張に対して耐性のモールドを、効果的かつ簡便な方法で製造することができる(図-3)。
【0028】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、温度および圧力下でコンポジット・レイイング・モールド(5)上に載せることによって予め形成された布地(k)を硬化させて得られるパーツ(p)を含む。予め形成された繊維布地(k)は、炉の中で硬化され、ピース(p)の最終形状を形成する。このようにして、コンポジット材料からなるパーツ(p)を効率的に製造することができる(図-2)。
【0029】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、プリプレグ布地(k)のハンド・レイアップ法に用いられるコンポジット・レイアップ・モールド(5)を含む。コンポジット材料からなるパーツ(p)の製造において、その布地(k)は、ハンド・レイアップ法により製造される。したがって、コンポジット・パーツ(p)のより効率的な製造が提供される。
【0030】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、細孔径が1~2μmの間で変化する高密度ポリウレタンフォームから得られ、パーツ(p)との形状適合構造を有するマンドレル(2)を含む。細孔径が1~2μmの間で変化する高密度のマンドレル(2)は、コンポジット・レイアップ・モールド(5)の製造に使用される。したがって、それは、伝導度を増大することができる、電解法用の高い電気伝導度を有する、費用対効果が高い堅牢な基板として使用することができる。
【0031】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、ブラックカーボンおよび/または炭素の異なる誘導体、CNT(カーボンナノチューブ)またはグラフェンをドープすることによって伝導性を増大させるのに適した構造を有する高密度ポリウレタンフォーム材料からなるマンドレル(2)を含む。高密度構造を有することに加えて、ブラックカーボン、CNT(カーボンナノチューブ)またはグラフェンなどの炭素誘導体をドープすることによって伝導性を増大めることによって電解による表面金属コーティングに適するようにしたマンドレル(2)を使用する。したがって、電解による金属コーティング加工に容易に付され、効率的なコンポジット・レイアップ・モールド(5)を製造する。
【0032】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、マンドレル(2)の表面に電気分解で内側コーティング(3)をコーティングすることができる閾値を超える伝導度の値(conductivity value)を有するマンドレル(2)を含む。内側コーティング(3)を形成するのに必要な電気伝導度の表面を有するマンドレル(2)を使用する。このように、電気分解により効果的なコーティングを提供することによって、費用対効果が高い様式でマンドレル(2)の表面に内側コーティング(3)をコーティングすることができる。
【0033】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、アルカリ溶液を用いて表面洗浄を行うことができるマンドレル(2)を含み、ここに硫酸を用いた表面処理によりマンドレル(2)の表面に多孔質構造を形成することができる。マンドレル(2)の表面に内側コーティング(3)を形成するのに必要な多孔質構造(表面粗さ)は、マンドレル(2)の表面にアルカリ溶液による洗浄処理を行った後に硫酸を用いた表面処理によって意図的に形成される。したがって、より費用対効果が高い様式でマンドレル(2)の表面に内側コーティング(3)を吸着させることができる。
【0034】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、マンドレル(2)表面に、その表面伝導度の増大を提供するようにマンドレル(2)表面にコーティングされる内側コーティング(3)を含み、ここにSn+2イオンを含む溶液に浸漬されたマンドレル(2)はマンドレル(2)表面の細孔にSn+2イオンが沈着することによって増感され、および表面が増感されたマンドレル(2)は細孔中のSn+2イオンがSn+4イオンに酸化され、Pd+2イオンがPd原子に還元されるようにPd+2イオンを含む活性化溶液に浸漬する。Sn+2イオンを含む溶液に曝し、表面に開口した細孔を埋めることによるマンドレル(2)の増感処理の後、マンドレル(2)の表面が内側コーティング(3)によってコーティングされ、表面伝導度を増大するように、マンドレル(2)はPd+2イオンを含む活性化溶液に浸漬し、細孔内のSn+2イオンはSn+4イオンに酸化され、Pd+2イオンはPd原子に還元される。
【0035】
本発明の実施形態において、コンポジット・レイアップ・モールド製造システム(1)は、無電解メタライズゼーション法および/または電解電鋳法により、内側コーティング(3)上にニッケルおよび/またはニッケル合金をほぼ全面的にコーティングすることによって得られる外側コーティング(4)を含む。外側コーティング(4)は、コンポジット・レイアップ・モールド(5)を得るために必要であり、使用者によって予め決定されたニッケルおよび/またはニッケル合金を、内側コーティング(3)上に無電解および/または電鋳法によりコーティングすることにより得られる。したがって、コンポジット・レイアップ・モールド(5)が効率的に製造される。
【国際調査報告】