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特表2023-533986HDAC阻害及び急性腎障害後の腎臓回復の促進に使用するためのPTBAの水溶性プロドラッグ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】HDAC阻害及び急性腎障害後の腎臓回復の促進に使用するためのPTBAの水溶性プロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   C07C 323/62 20060101AFI20230731BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20230731BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20230731BHJP
   C07D 211/48 20060101ALI20230731BHJP
   C07D 211/46 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 31/165 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 31/495 20060101ALI20230731BHJP
   C07D 241/04 20060101ALI20230731BHJP
   C07D 205/12 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 31/397 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 31/40 20060101ALI20230731BHJP
   C07D 207/12 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
C07C323/62 CSP
A61K47/54
A61K31/192
A61P43/00 111
A61P13/12
C07D211/48
C07D211/46
A61K31/445
A61K31/165
A61K31/495
C07D241/04
C07D205/12
A61K31/397
A61K31/40
C07D207/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501152
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-22
(86)【国際出願番号】 US2021040940
(87)【国際公開番号】W WO2022011174
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,615
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/112,444
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518426446
【氏名又は名称】クロトー セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】KLOTHO THERAPEUTICS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】プランテ、ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ラマージュ、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スミス、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ、マイケル
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C076CC42
4C076DD37
4C076DD38
4C076DD50
4C076DD60
4C076EE59
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC02
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA05
4C086NA15
4C086ZA81
4C086ZC20
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206JA34
4C206MA01
4C206MA05
4C206NA15
4C206ZA81
4C206ZC20
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB20
4H006TA04
(57)【要約】
特に、HDAC又はHDAC活性を阻害するための、より具体的に好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復を促進させるための、新規化合物及びこれを含む組成物、この製造及び使用方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式Iによる4-(フェニルチオ)ブタン酸(PTBA)の化合物又はプロドラッグ、又はこの立体異性体、互変異性体又は薬剤学的に許容可能な塩:
【化1】

上記式で、
はO又はNHであり;
は、
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル;又は分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、より好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルであり、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム、
-X-R(ここで、Xは分枝型又は非分枝型C1-C3アルキルであり、Rは分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン、又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、最も好ましくは、4-N-メチルピペラジンであり、好ましくは、Xが(CH、又は3次アミン又は4次アミン(三置換アンモニウム又は4次アンモニウム)である場合、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミンである場合、分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換されたアンモニウムである)、
-(CR-R10(ここで、Zは1-3の整数であり、各Rは独立してH又はCHからなる群より選ばれ、各Rは独立してH、ヒドロキシル(OH)、カルボキシル(COOH)、アミノ(NH)より選ばれるか、又はR10と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成し、各R10は独立して
アミン、好ましくは、3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)アミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)アミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)アミン;
選択的に置換されたヘテロサイクリックアミン、好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、ピペラジン、より好ましくは、4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペラジン又は4-N-メチル-1-1-ピペラジン;
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、N-エタノールアミン又は1-アミノエタノール;
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール;
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、エタンジオール;
カルボキシル(COOH);
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたN-ペンタンアミド、N-ヘキサンアミド、又は1-アミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-1-アミドであるか、又は前記アミドは:
-C(=O)NH-R11(ここで、R11はカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-NHC(=O)-R12(ここで、R12は置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド;又は
と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成する;からなる群より選ばれる)、又は
-(CR1314-R15(ここで、各R13はHであり、各R14は、H、CH、カルボキシル(COOH)、エタノール(CHOH)からなる群より独立して選ばれ、好ましくは、2-エタノール、アミン又はアルキルアミンであり、好ましくは、プロピルアミン、カルボン酸であり、好ましくは、エタン酸又はプロパン酸であり、Zは1-3の整数であり、R15はカルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH)又はアミドであり、好ましくは、1-アミドであり、より好ましくは、N-置換された-1-アミド(又はN-置換されたカルボキサミド)(-CONH-R16、ここでR16は置換されたアルキルであり、好ましくは、1,3-ジカルボキシプロパンである)、1-(1-カルボキシ)酪酸又はブタンジオイック酸、1-カルボキシ-2-ペンタン酸又はペンタンジオイック酸であり、好ましくは、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(3-アミノプロピル)エタン酸である)からなる群より選ばれる。
【請求項2】
はH、アルキル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチル、アリール、フェニル、ベンジル、カルボキシル(COOH)、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールではないものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【請求項3】
はOである場合、R
(a)1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
(b)4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-(1,4-ジメチル)ピペリジン、4-N-メチル-2-エチル-1N-ピペラジン、3-ピロリジン、又は2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、
(c)N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
(d)2-エトキシエタノール、2,3-プロパンジオール、
(e)2-ブタンジオイック酸、及び
(f)2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボキシル)-2-アミノ-プロパンアミド
より選ばれ、
はNHである場合、R
(a)2-ブタンジオイック酸、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(5-アミノ)-ペンタン酸、及び
(b)2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド
より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【請求項4】
はOであり;Rは(CR-R10である、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ:
前記Rで、
Zは1-3の整数であり;
各Rは独立してH又はCHであり;
各RはH、ヒドロキシル(OH)、カルボキシル(COOH)、アミノ(NH)からなる群より独立して選ばれるか、又はR10と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成し、
各R10は独立して、
アミン、好ましくは、3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)アミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)アミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)アミン;
選択的に置換されたヘテロサイクリックアミン、好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、ピペラジン、より好ましくは、4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペラジン又は4-N-メチル-1-ピペラジン;
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、N-エタノールアミン又は1-アミノエタノール;
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール;
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、エタンジオール;
カルボキシル(COOH);
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたN-ペンタンアミド、N-ヘキサンアミド、又は1-アミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-1-アミドであるか、又は前記アミドは:
-C(=O)NH-R11(ここで、R11はカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-NHC(=O)-R12(ここで、R12は置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド;又は
と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成する;からなる群より選ばれる。
【請求項5】
はOであり;R
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸又はブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドからなる群より選ばれるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルからなる群より選ばれ、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド
からなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【請求項6】
はOであり;R
(a)1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
(b)4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-(1,4-ジメチル)ピペリジン、4-N-メチル-2-エチル-1N-ピペラジン、3-ピロリジン又は2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン、
(c)N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
(d)2-エトキシエタノール、2,3-プロパンジオール、
(e)2-ブタンジオイック酸、又は
(f)2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボキシル)-2-アミノ-プロパンアミド
からなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【請求項7】
はOであり;Rは下記化学式Ia-Ipからなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【化2】
【請求項8】
はNHであり;Rは(CR1314-R15である、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ:
前記Rで、
Zは1-3の整数であり、
各R13はHであり;
各R14は、独立して、H、CH、カルボキシル(COOH)、エタノール(CHOH)からなる群より選ばれ、好ましくは、2-エタノール、アミン又はアルキルアミンであり、好ましくは、プロピルアミン、カルボン酸であり、好ましくは、エタン酸又はプロパン酸であり、
15はカルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH)又はアミドからなる群より選ばれるが、好ましくは、1-アミドであり、より好ましくは、N-置換された-1-アミド(又はN-置換されたカルボキサミド)(-CONH-R16、ここでR16は置換されたアルキル、好ましくは、1,3-ジカルボキシプロパンである)、1-(1-カルボキシ)酪酸又はブタンジオイック酸、1-カルボキシ-2-ペンタン酸又はペンタンジオイック酸、好ましくは、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(3-アミノプロピル)エタン酸である。
【請求項9】
はNHであり;R
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【請求項10】
はNHであり;Rは下記からなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ:
カルボン酸又はジカルボン酸、好ましくは、ペンタン酸、ブタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸、より好ましくは、2-(6-アミノ)-ペンタン酸、2-ブタンジオイック酸又は2-ブタンジオイック酸、又は2-ペンタンジオイック酸又は2-ペンタンジオイック酸、及び
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたエタンアミド、より好ましくは、置換された2-エタンアミド、より好ましくは、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド。
【請求項11】
はNHであり;Rは下記からなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ:
2-ブタンジオイック酸、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(5-アミノ)-ペンタン酸、及び
2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド。
【請求項12】
はNHであり;Rは下記化学式Iq-Ixからなる群より選ばれるものである、請求項1に記載の化合物又はプロドラッグ。
【化3】
【請求項13】
下記化学式Iによる4-(フェニルチオ)ブタン酸(PTBA)の化合物又はプロドラッグ、又はこの立体異性体、互変異性体又は薬剤学的に許容可能な塩:
【化4】

上記式で、
はOであり;
は(CR1718-R19であり、ここで、各R17はHであり、各R18は独立してH又はCHであり;R19はN(CHであり、ここでYは2-3の整数である。
【請求項14】
は(CHであり、R19N(CHであり、前記化合物が選択的に、適切な負電荷カウンターイオン(W)、好ましくは、さらにClを含むものである、請求項13に記載の化合物又はプロドラッグ。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の化合物又はプロドラッグ;及び薬剤学的に許容可能な担体を含む、組成物。
【請求項16】
哺乳動物において、(i)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性の阻害、(ii)好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復の促進、(iii)AKI後の腎障害緩和及び/又は(iv)AKIの治療に使用するための組成物であって、前記組成物が請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の化合物又はプロドラッグ;及び薬剤学的に許容可能な担体を含むものである、組成物。
【請求項17】
HDAC活性を阻害することにより、急性腎障害(AKI)後の腎障害を緩和及び/又は腎臓回復を促進させることによって、哺乳動物被験体におけるAKIを治療するのに使用するための組成物であって、前記組成物が請求項1から請求項14のいずれか一項に記載の化合物又はプロドラッグ;及び薬剤学的に許容可能な担体を含むものである、組成物。
【請求項18】
請求項15に記載の組成物を哺乳動物被験体に投与するステップを含む方法。
【請求項19】
哺乳動物において、(i)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性の阻害、(ii)好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復の促進、(iii)AKI後の腎障害緩和及び/又は(iv)AKIの治療方法であって、前記方法が請求項15に記載の組成物を哺乳動物に投与するステップを含むものである、方法。
【請求項20】
前記哺乳動物被験体が急性腎障害を患ったことがあるか、急性腎障害を患っていると疑われるものである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
HDAC活性を阻害することにより、急性腎障害(AKI)後の腎障害を緩和及び/又は腎臓回復を促進させることによって哺乳動物被験体における急性腎障害(AKI)を治療する方法であって、前記方法が投与14日以内に急性腎障害を患ったことがあるか、急性腎障害を患っていると疑われる哺乳動物被験体に請求項15に記載の組成物を投与するステップを含むものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性を阻害するのに使用及び/又は好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復を促進するのに使用するための4-(フェニルチオ)ブタン酸(PTBA)の新規なプロドラッグ及びこれを含む組成物、ならびに、この製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重症急性腎障害(AKI)は非常に一般的であり、この受け入れ難いほどの高い死亡率は、過去20年以上変化していない。実験的モデルにおいて開発されたAKI治療法は、損傷の発症前に投与した場合、ヒトによる治療効果を示すことができなかった。AKIは、入院患者の約7%で発生する多因子疾患である。これは、院内死亡率の独立した予測因子である。腎代替療法が必要な重症AKIは、重症患者の4%で発生し、入院患者の死亡率は50%である。
【0003】
重症AKIの生存者を対象とした長期追跡調査では、約12.5%が透析に依存するようになることが示された。これらの驚くような統計にもかかわらず、腎代替がAKIに対する承認された唯一の治療法であり、ヒトへの腎障害を予防する、又はAKI誘導後の腎臓回復速度を促進することが立証された確立された治療法はまだ存在していない。任意の特定の理論に拘束されるわけではないが、慢性腎疾患(CKD)も同様に利用可能な治療法の欠如に悩まされており、同様の腎障害経路を伴う可能性がある。したがって、腎障害誘導後の回復速度を促進させる有効な治療法の開発が急がれている。WO2012109527号(全文は本願に参照として含まれる)は、有用な特定療法の例を提供する。
【0004】
前述した内容にもかかわらず、腎臓は損傷後に上皮再生を経る先天的な能力を有するが、これは、このような再生能力を向上させる薬物が損傷の発症後に提供された場合に、より有益である可能性があることを示唆する。グオら(Guoet al.)は、非特許文献1を発表し、(例えば、ヒストン変形、DNAメチル化及び多様な非暗号化RNAの発現における注目すべき変化を伴う)AKI及び腎臓の修復の過程で現れているエピジェネティック制御の役割について検討した。要約すると、ヒストンアセチル化レベルの増加は、AKIから腎臓を保護し、腎臓の修復を促進するものと見られる。AKIもゲノム全体及び遺伝子特異的DNAメチル化の変化と関連があるが、腎障害と修復におけるDNAメチル化の役割と調節は、概して把握されていない状態である。2010年にデグロら(DeGroh et al.)は、非特許文献2を発表したが、このグループは増殖依存性方式でゼブラフィッシュ胚において腎前駆細胞の集団を増殖させることにより腎臓回復を促進させ、腎尿細管内皮細胞(RTEC)の増殖を増加させ、腎線維症を減少させるものと見られる新しいヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDACi)である4-(フェニルチオ)ブタン酸(PTBA)を確認した。いかなる理論にも拘束されるものではないが、PTBAは、急性腎障害の魚類及び多様なモデルにおいて腎尿細管細胞増殖を増加させ、生存率を高め、腎機能の回復を増加させることが示された。免疫組織学的分析は、RTECにおける上皮間葉転換の増加を伴う細胞増殖の増加を示唆した。以後、コセンティーノら(Cosentinoet al.)は、非特許文献3を発表し、スクリプニクら(Skrypnyk et al.)は、非特許文献4を発表し、スクバルカら(Skvarca et al.)は、非特許文献5を発表した。特許文献1及び相応する特許文献2は、文献[a Class of HDAC Inhibitors Expands the Renal Progenitor Cells Population and improves the Rate of Recovery from acute Kidney Injury]をさらに開示している。前述した各参考文献は、その全文が本明細書に参照として含まれる。
【0005】
しかし、特にHDAC活性の阻害に使用及び/又は好ましくは、HDAC阻害による(例えば、AKI以降)腎臓回復の向上に使用するか、又は慢性腎疾患(CKD)の治療に使用するための(アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認した)投与に適したPTBAの非毒性、水溶性プロドラッグとして作用する改善及び/又は最適化された化合物、ならびに、この製造及び使用方法に対する必要性が依然として存在する実情である。水溶性プロドラッグの使用について研究され報告されており(例えば、非特許文献6、上記の文献の全文は具体的な言及により本願に含まれる)。しかし、低分子最適化の技術、特にプロドラッグの水溶解度の組み合わせは、単純な日常的最適化とは異なり、予測しにくく、時間がかかる非常に精密な実験が求められる。
【0006】
いわゆる「ベビーブーム」世代の高齢化に伴い、高齢者(例えば、60~65歳)の人口は世界的に急速に増加している。このような高齢化人口は、ますますAKIとCKDに苦しんでいる。このような高齢化人口の医療サービスに対する需要増加は、すべての医療システムに相当な財政的負担をもたらす。分子化合物(又はいわゆる「低分子」)は、加齢に伴う健康状態に対応する有望な治療剤を提供する。HDAC(活性)を阻害する化合物の製造と精製に基づく戦略と健康介入方法を開発してこのような化合物を対象体に投与することは、このような状況とそれに関連する問題を改善するのに役立つ可能性がある。(HDAC活性を阻害して腎臓回復及び/又は機能を改善する)PTBAの低分子プロドラッグの投与に基づく戦略と健康介入方法の開発は、特にヒト及び/又は増加する高齢化人口の中で、このような状況を改善するのに役立つ可能性がある。
【0007】
現在、特にHDAC活性を阻害することにより、(例えば、AKI以後又はCKDに対応して)腎臓回復及び/又は機能を改善するための、市販されている低分子製品(例えば、(高)水溶性PTBAプロドラッグ又はこの薬剤学的に許容可能な塩及び/又はこれを含む組成物)又は治療方法、特にアメリカ食品医薬品局(FDA)が承認した製品及び方法は存在しない。今日まで、関連する全てのデータは動物モデルの臨床前の研究試験に関連している。したがって、特にHDAC活性を阻害するのに使用及び/又は好ましくは、HDAC阻害によって、AKI後の腎臓回復を促進させるか、慢性腎疾患を治療するための、新しいPTBAの水溶性プロドラッグ及びこれを含む組成物の開発、生産、製造及び投与によって解決できる当業界における多くの欠点(ないし問題点)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2012/109527号
【特許文献2】米国特許出願公開第20150246939号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Epigenetic regulation in AKI and kidney repair:mechanisms and therapeutic implications,Nature Reviews Nephrology,2019,volume 15,pages 220-239
【非特許文献2】Inhibition of histone deacetylase expands the renal progenitor cell population,J Am Soc Nephrol,2010,21:794-802
【非特許文献3】Histone Deacetylase Inhibitor Enhances Recovery after AKI,Journal of the American Society of Nephrology,June 2013,Vol.24,Issue 6
【非特許文献4】Delayed treatment with PTBA analogs reduces postinjury renal fibrosis after kidney injury,Am J Physiol Renal Physiol.2016 Apr 15;310(8):F705-F716;オンライン公開2015 Dec 9
【非特許文献5】Enhancing regeneration after acute kidney injury by promoting cellular dedifferentiation in zebrafish,Dis Model Mech.2019 Apr 1;12(4):dmm037390;オンライン公開2019 Apr 5
【非特許文献6】Jornadaet al.,The Prodrug Approach:A Successful Tool for Improving Drug Solubility,Molecules 2016,21,42
【発明の概要】
【0010】
本発明の実施形態は、好ましくは、HDAC活性を阻害及び/又は好ましくは、HDAC阻害によって、AKI後の腎臓回復を促進させるために、又は慢性腎疾患に対応(又はこれを治療)するための、PTBAの(水溶性及び/又は非毒性)プロドラッグとして作用する新規な化合物(例えば、いわゆる低分子)及びこれを含む組成物又は医薬、及びこの製造及び使用方法を使用して当業界における前述した問題点又はその他の問題点のうち、1つ以上を解決する。
【0011】
例として、前記新規化合物は、例えば、HDAC阻害によって腎臓の先天的な再生能力を強化することで、AKIからの回復を促進する治療剤であるか又はそのような治療剤としての機能をする。したがって、本発明は、ヒト(及びその他の哺乳動物)AKI及び選択的にCKDに直接使用される多数の化合物を提供する。本発明の実施形態は、化合物、前記化合物を含む組成物、前記化合物又は組成物を含む医薬、前記医薬、化合物及び組成物の製造方法、及び前記医薬、化合物及び組成物の用途、又は前記医薬、化合物及び組成物を使用する方法を含む。
【0012】
いくつかの実施形態は、患者の腎障害又は疾患を治療するか腎機能を改善する方法を含む。前記方法は、本願に記述された化合物、組成物又は医薬の量を患者に投与するステップを含む。様々な実施形態において、投与量は患者の腎障害又は疾患を治療するか、又は腎機能を改善するのに有効である。例えば、化合物又はこの薬剤学的に許容可能な塩は、患者の腎機能を改善するか、細胞(例えば、腎細胞)又は全身的にヒストンデアセチラーゼ(活性)を阻害するか、腎前駆細胞を拡張及び/又は、細胞で(試験管内、生体外又は生体内)腎臓の修復を刺激するのに有効な量及び容量療法で投与され得る。好ましくは、患者の腎障害又は疾患を治療するか腎機能を改善するための、本願に記載した任意の化合物、組成物及び/又は医薬の製造及び/又は用途も提供される。
【0013】
本発明の実施形態は、4-(フェニルチオ)ブタン酸(PTBA)のプロドラッグとして使用するのに有効及び/又は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性を阻害するために使用するのに有効であるように設計される。HDAC活性の阻害は、いろいろな下流及び/又は治療効果があることが示された。当業者であれば誰でも、高い又は過剰なHDAC活性によって(又はこれに関連して)、全体的又は部分的に引き起こされるか、激しくなるか、又は悪化した任意の病気又は疾患が、本願に開示された新規な化合物、又はこれを含む組成物の投与によって解決及び/又は(診断後又は予防的に)治療されることが理解できるであろう。
【0014】
本発明の実施形態は、PTBAのプロドラッグを含む。本発明の例示的な実施形態は、下記化学式Iによる化合物:
【0015】
【化1】
【0016】
又は、この立体異性体、互変異性体又は薬剤学的に許容可能な塩を含む。
様々な実施形態において、RはO又はNHである。いくつかの実施形態において、RはOである。いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0017】
いくつかの実施形態において、RはHではない。いくつかの実施形態において、RはCHではない。いくつかの実施形態において、Rはアルキル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチルのうち1つ以上ではない。いくつかの実施形態において、Rはアリール、フェニル又はベンジルではない。いくつかの実施形態において、Rはカルボキシル(COOH)ではない。いくつかの実施形態において、Rはメタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールのうち1つ以上ではない。いくつかの実施形態において、RがOである場合、RはHではない。いくつかの実施形態において、RがOである場合、RはCHではない。いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rはアルキル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチルのうち1つ以上ではない。いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rはアリール、フェニル又はベンジルではない。いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rはカルボキシル(COOH)ではない。いくつかの実施形態において、RがNHである場合、RはHではない。いくつかの実施形態において、RがNHである場合、RはCHではない。いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rはアルキル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチルのうち1つ以上ではない。いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rはアリール、フェニル又はベンジルではない。いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rはカルボキシル(COOH)ではない。
【0018】
様々な実施形態において、Rは下記からなる群より選ばれる:
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル;又は分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に、1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、より好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルであり、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム、
-X-R(ここで、Xは分枝型又は非分枝型C1-C3アルキルであり、Rは分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン、又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、最も好ましくは、4-N-メチルピペラジンであり、好ましくは、Xが(CH、又は3次アミン又は4次アミン(三置換アンモニウム又は4次アンモニウム)である場合、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミンである場合、分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換されたアンモニウムである)、
-(CR-R10(ここで、Zは1-3の整数であり、各Rは独立してH又はCHからなる群より選ばれ、各Rは独立してH、ヒドロキシル(OH)、カルボキシル(COOH)、アミノ(NH)から選ばれるか、又はR10と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成し、各R10は独立して、
アミン、好ましくは、3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)アミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)アミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)アミン;
選択的に置換されたヘテロサイクリックアミン、好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、ピペラジン、より好ましくは、4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペラジン又は4-N-メチル-1-1-ピペラジン;
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、N-エタノールアミン又は1-アミノエタノール;
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール;
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、エタンジオール;
カルボキシル(COOH);
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたN-ペンタンアミド、N-ヘキサンアミド、又は1-アミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-1-アミドであるか、又は前記アミドは:
-C(=O)NH-R11(ここで、R11はカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-NHC(=O)-R12(ここで、R12は置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド;又は
と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成する;からなる群より選ばれる)、又は
-(CR1314-R15(ここで、各R13はHであり、各R14はH、CH、カルボキシル(COOH)、エタノール(CHOH)からなる群より独立して選ばれ、好ましくは、2-エタノール、アミン又はアルキルアミンであり、好ましくは、プロピルアミン、カルボン酸であり、好ましくは、エタン酸又はプロパン酸であり、Zは1-3の整数であり、R15はカルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH)又はアミドであり、好ましくは、1-アミドであり、より好ましくは、N-置換された-1-アミド(又はN-置換されたカルボキサミド)(-CONH-R16、ここでR16は置換されたアルキルであり、好ましくは、1,3-ジカルボキシプロパンである)、1-(1-カルボキシ)酪酸又はブタンジオイック酸、1-カルボキシ-2-ペンタン酸又はペンタンジオイック酸であり、好ましくは、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(3-アミノプロピル)エタン酸である)からなる群より選ばれる。
【0019】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル;又は分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、より好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸又はブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルであり、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム、又は
-X-R(ここで、Xは分枝型又は非分枝型C1-C3アルキルであり、Rは分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン、又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、最も好ましくは、4-N-メチルピペラジンであり、好ましくは、Xが(CH、又は3次アミン又は4次アミン(三置換アンモニウム又は4次アンモニウム)である場合、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミンである場合、分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換されたアンモニウムである)。
【0020】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、さらに好ましくは、ブタンジオイック酸又はブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルからなる群より選ばれ、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド。
【0021】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは(CR-R10であり、ここで:
Zは、1-3の整数であり、
各Rは、独立してH又はCHであり、
各RはH、ヒドロキシル(OH)、カルボキシル(COOH)、アミノ(NH)からなる群より独立して選ばれるか、又はR10と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成し、
各R10は独立して、
アミン、好ましくは、3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)アミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)アミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)アミン、
選択的に置換されたヘテロサイクリックアミン、好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、ピペラジン、より好ましくは、4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペラジン又は4-N-メチル-1-1-ピペラジン、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、N-エタノールアミン又は1-アミノエタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、エタンジオール、
カルボキシル(COOH)、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたN-ペンタンアミド、N-ヘキサンアミド、又は1-アミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-1-アミドであるか、又は前記アミドは:
-C(=O)NH-R11(ここで、R11はカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-NHC(=O)-R12(ここで、R12は置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成する;からなる群より選ばれる。
【0022】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは化学式Ia-Ipからなる群より選ばれる:
【0023】
【化2】
【0024】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは(CR1718-R19であり、ここで各R17はHであり、各R18は独立してH又はCHであり;R19はN(CHであり、ここでYは2-3の整数である。
【0025】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは(CH-R19であり、R19N(CHであるか、又は言い換えると、
【0026】
【化3】
【0027】
である。
このような場合に、化合物又は組成物は適切な(負電荷)カウンターイオン(W)を含むことができる。Wは任意の適切な(負電荷であるか、又は単一負電荷)カウンターイオン、選択的に又は好ましくは、C1であってもよい。C1などのように適切な(負電荷であるか、又は単一負電荷)カウンターイオンは当業者には容易に明らかであろう。
【0028】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム。
【0029】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
カルボン酸又はジカルボン酸、好ましくは、ペンタン酸、ブタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸、より好ましくは、2-(6-アミノ)-ペンタン酸、2-ブタンジオイック酸又は2-ブタンジオイック酸、又は2-ペンタンジオイック酸又は2-ペンタンジオイック酸、及び
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたエタンアミド、より好ましくは、置換された2-エタンアミド、より好ましくは、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド。
【0030】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
2-ブタンジオイック酸、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(5-アミノ)-ペンタン酸、及び
2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド。
【0031】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは(CR1314-R15であり、ここで
各R13はHであり;
各R14は、独立して、H、CH、カルボキシル(COOH)、エタノール(CHOH)からなる群より選ばれ、好ましくは、2-エタノール、アミン又はアルキルアミンであり、好ましくは、プロピルアミン、カルボン酸であり、好ましくは、エタン酸又はプロパン酸であり、
Zは、1-3の整数であり、
15は、カルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH)又はアミドからなる群より選ばれ、好ましくは、1-アミドであり、より好ましくは、N-置換された-1-アミド(又は、N-置換されたカルボキサミド)(-CONH-R16、ここでR16は、置換されたアルキル、好ましくは、1,3-ジカルボキシプロパンである)、1-(1-カルボキシ)酪酸又はブタンジオイック酸、1-カルボキシ-2-ペンタン酸又はペンタンジオイック酸、好ましくは、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(3-アミノプロピル)エタン酸である。
【0032】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは化学式Iq-Ixからなる群より選ばれる:
【0033】
【化4】
【0034】
いくつかの実施形態において、化学式Iによる化合物は、表1の化合物1-24のうち1つであってもよい。
【0035】
【表1-1】
【0036】
【表1-2】
【0037】
【表1-3】
【0038】
【表1-4】
【0039】
また、遊離塩基又は酸形態で存在する本発明の全ての化合物は、当業者に公知の方法によって適切な無機又は有機塩基又は酸で処理することによってこれらの薬剤学的に許容可能な塩に転換させることができる。本発明の化合物の塩は、標準技術によって遊離塩基又は酸形態に転換させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態は、薬剤学的に許容可能な担体又は賦形剤及び化学式Iの化合物を含む(薬剤学的)組成物に関する。
いくつかの実施形態は、薬剤学的に許容可能な担体又は賦形剤及び化学式Iの化合物又はこれを含む組成物を含む(薬剤学的)医薬に関する。
【0041】
いくつかの実施形態は、(i)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性を阻害し、(ii)好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復を促進させ、(iii)AKI後の腎障害を緩和させ、(iv)AKIの治療及び/又は(AKIの治療を必要とする)哺乳動物又は哺乳動物被験体におけるその他の関連疾患を治療するか又はその他の関連分子メカニズムに影響を及ぼすのに使用するための、化学式Iの化合物を含む組成物又は医薬に関する。いくつかの実施形態において、哺乳動物又は哺乳動物被験体は、ヒトである。
【0042】
いくつかの実施形態は、(i)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性を阻害し、(ii)好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復を促進させ、(iii)AKI後の腎障害を緩和させ、(iv)AKIの治療及び/又は(AKIの治療を必要とする)哺乳動物又は哺乳動物被験体におけるその他の関連疾患を治療するか又はその他の関連分子メカニズムに影響を及ぼすための、化学式Iの化合物、これを含む薬剤学的組成物、又はこれを含む医薬の用途に関する。いくつかの実施形態において、哺乳動物又は哺乳動物被験体は、ヒトである。
【0043】
いくつかの実施形態は、(i)ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)活性を阻害し、(ii)好ましくは、HDAC阻害によって、急性腎障害(AKI)後の腎臓回復を促進させ、(iii)AKI後の腎障害を緩和させ、(iv)AKIの治療及び/又は(AKIの治療を必要とする)哺乳動物又は哺乳動物被験体におけるその他の関連疾患を治療するか又はその他の関連分子メカニズムに影響を及ぼす方法であって、前記方法が化学式Iによる化合物、これを含む薬剤学的組成物、又はこれを含む医薬を(これを必要とする)哺乳動物又は哺乳動物被験体に投与するステップを含むものである、方法に関する。いくつかの実施形態において、哺乳動物又は哺乳動物被験体は、ヒトである。
【0044】
いくつかの実施形態は、本発明の他の態様又は実施形態を含む、本発明の他のところに説明された任意の特徴、オプション及び/又は可能性を含むことができる。また、前述したこと、後述すること及び/又はその他の本願に記述された他の特徴は各々本発明の明確に区別される実施形態である。さらに、このような特徴のうち、任意の2以上の組み合わせも本発明の個別実施形態である。このような特徴又は実施形態は、本開示内容の範囲を外れることなく任意の適切な組み合わせ及び/又は順序で組み合わせることもできる。したがって、本願に記載した各特徴は、本明細書に記載した任意の1つ以上の他の特徴と任意の適切な組み合わせ及び/又は順序で組み合わせることができる。したがって、本発明は、本願で詳細に説明される代表的な実施形態の特定の組み合わせに制限されない。
【0045】
本発明の代表的な実施形態の追加の特徴と利点は、後述する詳細な説明に記載され、一部はこのような説明から明らかになるか、又はこのような代表的な実施形態の実施によっても分かり得る。このような実施形態の特徴と利点は、特に添付する特許請求の範囲で言及した装置及び組み合わせによって実現され、獲得できる。このような特徴及び他の特徴は、下記の詳細な説明と添付する特許請求の範囲を見ればさらに完全に理解できるか、又は以下に説明されたような代表的な実施形態の実施によっても分かり得る。
【0046】
本発明の前述した長所と特徴及び他の長所と特徴が得られる方式を説明するために、上記で簡略に説明した実施形態のより具体的な説明を添付図面に示されている特定の実施形態を参照して提供する。より容易に理解するために、図面全般にわたって類似の構成要素は類似の参照番号として指定した。このような図面は、本発明の典型的な実施形態のみを示すため、本発明の範囲を限定するものとみなされず、下記の添付図面を使用して追加の特異性及び細部事項と共に本発明を記述して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1-1】図1は、24個の例示化合物とこれらに関連する情報を示すものである。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
図1-4】同上。
図1-5】同上。
図2】ラット血漿における例示化合物22の安定性を示すものである。
図3】イヌ血漿における例示化合物22の安定性を示すものである。
図4】ヒト血漿における例示化合物22の安定性を示すものである。
図5】経時的なサル血漿に残留する例示化合物22の百分率を示すものである。
図6】化合物22投与後、経時的なサル血漿におけるPTBAレベルを示すものである。
図7A】プロドラッグ(化合物22)のi.v.投与後、ラットにおける経時的なプロドラッグ(化合物22)及びPTBAの血漿濃度を示すものである。
図7B】ラットにおける経時的なプロドラッグ(化合物17)及びPTBAの血漿濃度を示すものである。
図7C】ラットにおける経時的なプロドラッグ(化合物1)及びPTBAの血漿濃度を示すものである。
図7D】ラットにおける経時的なプロドラッグ(化合物15)及びPTBAの血漿濃度を示すものである。
図8】例示化合物22で処理した、シスプラチンに誘導されたAKIマウスにおける尿素レベルを示すものである。
図9A】2日目から8日目に1日1回又は2回例示化合物22で処理したシスプラチンに誘導されたAKIマウスの体重を示すものである。
図9B】0日目から6日目に1日1回又は2回例示化合物22で処理したシスプラチンに誘導されたAKIマウスの体重を示すものである。
図10】例示化合物22で処理したラットの血清内クレアチニンレベルを示すものである。
図11】例示化合物3で処理した、シスプラチンに誘導されたAKIマウスにおける尿素レベルを示すものである。
図12】例示化合物3で処理したラットの血清内クレアチニンレベルを示すものである。
図13】例示化合物3で処理した、シスプラチンに誘導されたAKIマウスにおける体重を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
[定義及び免責条項]
本発明の様々な実施形態を詳細に説明する前に、本発明が特定媒介変数、用語、及び実施形態ごとに多様になる具体的に例示されたシステム、方法及び/又は製品に関する説明にのみ限定されないことを理解しなければならない。したがって、本発明の特定の実施形態を具体的な特徴(例えば、構成、媒介変数、特性、ステップ、構成要素、成分、部材、要素、部品及び/又は一部など)を参照して詳細に説明するが、この説明は例示的なものであり、本発明及び/又は請求された発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。また、本願において使用した用語は、実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明及び/又は請求された発明の範囲を限定するものではない。
【0049】
別に定義しない限り、本願に使用された全ての科学技術用語は、本発明の属する技術分野における通常の技術者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。
システム、方法及び/又は製品を含む、本発明の様々な「態様」は、性質上代表的な1つ以上の「実施形態」を参照して説明され得る。本願において使用された「態様」及び「実施形態」という用語は、交換可能に使用され得る。「実施形態」という用語は「例、実例又は例示としての役割を果たすこと」を意味することもでき、必ずしも本願に開示されている他の態様よりも好ましい又は有利なものと解釈されるべきではない。また、本開示内容又は発明の「実施形態」への言及は、添付された特許請求の範囲によって示される本発明の範囲を制限することなく例示的な実施例を提供することを意図している。
【0050】
本明細書と添付された特許請求の範囲に使用された単数形(「a」、「an」及び「the」)は、各々、文脈上、明らかに異なる意味を持たない限り、該当単数形と複数形の両方を考慮し、含み、具体的に開示する。例えば、「タンパク質」への言及は、1つのタンパク質だけでなく、多数(例えば、2つ以上、3つ以上など)のタンパク質を考慮して具体的に開示するものである。同様に、複数の指示対象の使用は、そのような指示対象の複数を必ずしも必要とするものではないが、文脈上、明らかに異なる意味を持たない限り、単一指示対象だけでなく、複数のそのような指示対象を考慮し、含み、具体的に開示及び/又はそれを裏付ける。
【0051】
本明細書全般にわたって使用された「できる(can)」及び「し得る/してもよい(may)」という言葉は、義務的な意味(すなわち、必ずしなければならないという意味)でなはく、許容的な意味(すなわち、する可能性があるという意味)として使用される。さらに、「含む(including)」、「有する(having)」、「伴う(involving)」、「含有する(containing)」、「特徴とする(characterized by)」という用語とこれらの変形態(例えば、「含む(includes)」、「有する(has)」及び「伴う(involves)」、「含有する(contains)」等)、及び特許請求の範囲を含め、本明細書で使用される同様の用語は、包括的及び/又は制限のないものであり、「含む(comprising)」及びその変形態(例えば、「含む(comprise/comprises)」)と同一の意味を有し、例示として言及されていない追加の構成要素又は方法のステップを排除しない。
【0052】
「疾患」という用語は、当業者が理解するように、患者から現れるか予想される任意の障害、疾患、損傷又は病気を指す。このような疾患の徴候は、疾患前の症状、徴候、又はマーカーをはじめとして、当業界に公知されたような初期、中期又は末期の徴候であり得る。このような疾患の予想は、科学的又は医学的証拠、危険評価又は単純な懸念や恐れに基づいているか否かにかかわらず、当該疾患に対する予測、予想、想定、推定、仮定及び/又は推測された発症であるか、これを含むことができる。
【0053】
本願に使用された「患者」という用語は「対象体」という用語と同義語であり、一般に医療専門家の管理下にある任意の動物を指し、前記用語は本願に定義されたように、特に(i)(医師、看護師、又は医療補助員又はボランティアの管理下にある)ヒト及び(ii)(獣医師又はその他の獣医学専門家、補助員又はボランティアの管理下にある)ヒトではない動物、例えば、ヒトではない哺乳動物を指す。
【0054】
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下、又は可溶媒分解によって本願に記載の生体活性化合物(例えば、化学式Iによる化合物)に変換され得る化合物を示すことを意味する。したがって、「プロドラッグ」という用語は、薬剤学的に許容可能な生体活性化合物の前駆体を指す。一部の態様において、プロドラッグは対象体に投与されるとき、不活性/低活性であるか、不活性/低活性であることができるが、例えば、加水分解によって生体内で活性化合物に変換される。プロドラッグ化合物は哺乳動物有機体において溶解度、組織適合性又は徐放出の利点を提供する場合がある(例えば、文献[Bundgard,H.,Design of Prodrugs(1985),pp.7-9,21-24(Elsevier,Amsterdam)]参照)。プロドラッグに関する論議は、文献[Higuchi,T.,et al.,「Pro-drugs as Novel Delivery Systems,」 A.C.S.Symposium Series,Vol. 14]及び[Bioreversible Carriers in Drug Design,ed.Edward B. Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987]に提供されており、前記各文献の全文は具体的な引用によって本願に含まれる。
【0055】
本発明の実施形態は、異なる原子質量又は質量数を有する原子に代替された1つ以上の原子を含有して同位元素で標識された化学式Iの薬剤学的に許容可能な全ての化合物も網羅しようとする。開示された化合物に混入できる同位元素の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素及びヨウ素の同位元素、例えば、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、及び125Iを各々含む。このような放射性標識された化合物は、例えば、作用部位又は方式、又は薬理学的に重要な作用部位に対する結合親和性を特性分析することによって、該当化合物の有効性を決めるか測定するのに役立つ可能性がある。化学式Iによる特定の同位元素で標識された化合物、例えば、放射性同位元素を含む化合物は、薬物及び/又は基質組織分布研究に有用である。放射性同位元素である三重水素H及び炭素-14、すなわち、14Cは、これらの混入が容易であり、直ちに利用可能な検出手段である点で、このような目的で特に有用である。
【0056】
重水素、すなわち、Hのようなさらに重い同位元素を利用した置換は、さらに大きい代謝安定性、例えば、生体内半減期増加又は投与量要件減少によって特定の治療的利点を提供することができるため、一部状況において好ましい。陽電子放出同位元素、例えば、11C、18F、15O、及び13Nを用いた置換は、基質受容体の占有率を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)の研究で有用である。同位元素で標識された化学式Iの化合物は、一般的に当業者に公知された通常の方式で製造することができ、又はすでに使用した非標識試薬の代わりに適切な同位元素で標識された試薬を使用して下記に記載の製造及び実施例のものと類似の方法で製造することができる。
【0057】
本発明の実施形態は、開示された化合物の生体内代謝産物も含むことができる。このような産物は、例えば、主に酵素的過程に起因する、投与された化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、エステル化などから生成することができる。したがって、本発明の実施形態は、本発明の化合物の代謝産物が生成されるのに十分な時間、該当化合物を哺乳動物に投与するステップを含む方法によって生成された化合物を含む。このような産物は、通常的に、ラット、マウス、モルモット、サルなどの動物、又はヒトに、検出可能な容量で本発明の放射性標識された化合物を投与して代謝が起きるように十分な時間を許容するステップ、及びこの転換産物を尿、血液又はその他の生体サンプルから分離するステップによって確認される。
【0058】
「担体、希釈剤及び/又は賦形剤」と「薬剤学的に許容可能な担体、希釈剤及び/又は賦形剤」という用語では、制限なく、アメリカ食品医薬品局によってヒト又は家畜に対する使用が許容可能なものと承認された、任意の補助剤、担体、賦形剤、潤沢剤、甘味剤、希釈剤、保存剤、染料/着色剤、香味増進剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、安定化剤、等張化剤、溶媒又は乳化剤を含む。
【0059】
「塩」又は「薬剤学的に許容可能な塩」という用語は、酸及び塩基付加塩をいずれも含む。
塩といえば、「酸付加塩」又は「薬剤学的に許容可能な酸付加塩」を含むことができ、これは生物学的又は他に好ましくないものではなく、遊離塩基の生物学的効能と特性を維持する塩を称し、これらに制限されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸のような無機酸、及びこれらに制限されないが、酢酸、2,2-ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4-アセトアミド安息香酸、カンファー酸、カンファー-10-スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、炭酸、桂皮酸、クエン酸、サイクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グルタル酸、2-オキソグルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸(mucic acid)、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、プロピオン酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4-アミノサリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、チオシアン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ウンデシレン酸などのような有機酸で形成される。
【0060】
塩は「塩基付加塩」又は「薬剤学的に許容可能な塩基付加塩」を含むことができ、これは生物学的又は他に好ましくないものではなく、遊離酸の生物学的効能と特性を維持する塩を指す。このような塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して製造される。無機塩基から誘導された塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などを含むが、これらに制限されない。好ましい無機塩は、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。有機塩基から誘導された塩は、1次、2次及び3次アミン、天然発生置換されたアミンを含む置換されたアミン、サイクリックアミンの塩及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アンモニア、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、デノール、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、ベネサミン、ベンザチン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルコサミン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トロメタモール、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などを含むが、これらに制限されない。特に好ましい有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインである。
【0061】
結晶化は、本発明の化合物の溶媒和物を生成する場合がある。本願に使用された「溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子と共に1つ以上の本発明の化合物の分子を含む凝集体を指す。溶媒は水であってもよく、この場合、溶媒和物は水和物であってもよい。あるいは、溶媒は有機溶媒であってもよい。したがって、本発明の化合物の実施形態は、一水和物、二水和物、半水和物(hemihydrate)、セスキ水和物(sesquihydrate)、三水和物、四水和物などをはじめとする水和物だけでなく、相応する溶媒和形態としても存在することができる。本発明の化合物の実施形態は真の溶媒和物であってもよい一方、その他の場合に本発明の化合物は付随する水のみを保有するか、又は水と何らかの付随する溶媒の混合物であってもよい。
【0062】
「薬剤学的組成物」は、哺乳動物、例えば、ヒトに生体活性化合物を伝達するための本発明の化合物と当業界において一般に許容される媒質の製剤を指す。このような媒質には、それに対する薬剤学的に許容可能な担体、希釈剤又は賦形剤がいずれも含まれる。
【0063】
「哺乳動物」は、ヒトと、実験動物及び家庭用ペット(例えば、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ウサギ)などの家畜、及び野生動物などの非家畜動物のいずれも含む。
【0064】
「有効量」又は「治療的有効量」とは、本発明の化合物を哺乳動物、好ましくは、ヒトに投与するとき、哺乳動物、好ましくは、ヒトのサイクリン依存性キナーゼ(CDK)の過発現に関連する病気の、以下に定義されるような治療を行うのに十分な該当化合物の量を指す。「治療的有効量」を構成する本発明の化合物の量は、該当化合物、該当疾患とその重症度、投与方式及び治療する哺乳動物の年齢によって変化するが、当業界における熟練者であれば誰でも自分の固有の知識と本発明の内容とを考慮して日常的に決定することができる。
【0065】
本願に使用された「治療する」又は「治療」という言葉は、関心対象病気又は疾患がある哺乳動物、好ましくは、ヒトの該当関心対象病気又は疾患に対する治療を網羅し、次のことを含む。
(i)特に、哺乳動物が疾患にかかる素因はあるが、まだ該当疾患にかかっていない場合に、前記哺乳動物において該当病気又は疾患が発生するのを防止すること、
(ii)病気又は疾患を抑制すること、すなわち、その発症を阻止すること、
(iii)病気又は疾患を緩和すること、すなわち、病気又は疾患の退行を誘発すること、又は
(iv)病気又は疾患による症状を緩和すること、すなわち、基底病気又は疾患を解決せずに痛みを緩和すること。本明細書において使用される「病気」及び「疾患」という用語は、交換可能に使用することができ、又は特定の病気又は状態が公知の原因物質を持たないため(そのため、病因がまだ解明されていない)、一病気としてはまだ認識されておらず、臨床医によって程度の差はあれど、具体的な一連の症状が確認されたことがある好ましくない疾患又は症候群としてのみ認識される点においては異なり得る。
【0066】
本発明の化合物又はこの薬剤学的に許容可能な塩は、1つ以上の非対称中心を含有するため、鏡像異性体、ジアステレオマー及び絶対立体化学構造の観点から(R)-又は(S)-、又はアミノ酸の場合、(D)-又は(L)-として定義され得るその他の立体異性体形態を提供することができる。本発明は、このような可能な全ての異性体だけでなく、これらのラセミ形態と光学的に純粋な形態を含むことを意味する。光学活性(+)及び(-)、(R)-及び(S)-又は(D)-及び(L)-異性体は、キラル中間体(chiral synthon)又はキラル試薬を使用して製造されるか、又は通常の方式、例えば、クロマトグラフィー及び分別結晶を使用して分離できる。各々の鏡像異性体の製造/分離のための通常の方式では、光学的に純粋な適切な前駆体からのキラル合成、又は例えば、キラル性高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(又は塩又は誘導体のラセミ体)の分離を含む。本願に記述された化合物がオレフィン二重結合又は他の幾何学的非対称中心を含有する場合、別に明示しない限り、該当化合物はE及びZ幾何異性体を全て含むものとする。これと同様に、全ての互変異性体形態も含もうとすう。
【0067】
「立体異性体」は、同一の結合によって結合された同一の原子からなるが、互換できない異なる3次元構造を有する化合物を指す。本発明の実施形態は、様々な立体異性体とこれらの混合物を考慮し、分子が互いに重なることができない鏡像イメージである2つの立体異性体を意味する「鏡像異性体」を含む。
【0068】
「互変異性体」は、分子中の一原子から同一分子中のもう一つの原子へ陽子が移動したものを指す。本発明の実施形態は、任意の前記化合物の互変異性体を含む。
煩雑さを避けるために、本発明は数値のリスト又は範囲を言及することができる。しかし、このような数値のリストや範囲(例えば、~超過、~未満、最大~、少なくとも~、及び/又はほぼ特定の値及び/又は言及された2つ値の間)が開示又は言及される場合、開示された値又は該当値のリスト又は範囲内に属する任意の特定の値又は該当値の範囲も同様に本願に具体的に開示され、考慮される。
【0069】
理解を容易にするために、可能な場合、類似の参照符号(すなわち、成分及び/又は構成要素の類似の名称)を使用して本発明の異なる実施形態に共通の類似の構成要素を指定した。これと同様に、類似の構成要素又は類似の機能を有する成分は、可能な場合、類似の参照指定符号が提供される。本願では例示的な実施形態を説明するために具体的な文言が使用される。しかし、それにより本発明の範囲を制限する意図はないことを理解されたい。むしろ、例示的な実施形態を説明するために使用された文言は単に例示的なものに過ぎず、(このような文言が本願で必須的なものとして明らかに記載されない限り)本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0070】
詳細な説明をセクションに分離したが、各セクション内のセクションタイトルと目次は構成上の目的だけのためのものであり、独立的な詳細な説明及び実施形態であること、又は詳細な説明や請求項の範囲を制限することを意図したものではない。むしろ、詳細な説明内の各セクションの内容は、1つのセクションの構成要素が他のセクションと関連があり、及び/又は他のセクションに情報を提供することができる、集合的な全体として読まれ、理解され得ることを意図している。したがって、あるセクション内で具体的に開示された実施形態は、同一及び/又は類似の製品、方法及び/又は用語を有する他のセクションの追加的及び/又は代案的実施形態に関連することができ、及び/又はその役割を果たすこともできる。
【0071】
腎機能を改善し、細胞でヒストンデアセチラーゼを阻害し、腎前駆細胞を拡張及び/又は、試験管内、生体外又は生体内(患者内)細胞で腎臓の修復を促進するのに有用な化合物が本願に提供される。前記化合物を患者に伝達するための組成物及び医薬も提供される。また、腎機能を改善し、細胞でヒストンデアセチラーゼを阻害し、腎前駆細胞を拡張及び/又は、試験管内、生体外又は生体内(患者内)細胞で腎臓の修復を促進する方法であって、患者の腎機能を改善し、細胞でヒストンデアセチラーゼを阻害し、腎前駆細胞を拡張及び/又は、細胞で腎臓の修復を促進するのに有効な1つ以上の化合物の量を前記細胞と接触させるか前記患者に投与するステップを含むものである、方法も提供される。したがって、試験管内(生体外を含む)又は生体内(患者内)の方法が提供される。化合物の効能については下記に説明した。
[化合物]
本発明の実施形態は、PTBAのプロドラッグを含む。本発明の例示的な実施形態は、下記化学式Iによる化合物:
【0072】
【化5】
【0073】
又は、その立体異性体、互変異性体又は薬剤学的に許容可能な塩を含む。様々な実施形態において、RはO又はNHである。いくつかの実施形態において、RはOである。いくつかの実施形態において、RはNHである。
【0074】
いくつかの実施形態において、RはHではない。いくつかの実施形態において、RはCHではない。いくつかの実施形態において、Rはアルキル、エチル、プロピル、イソプロピル又はブチルのうち1つ以上ではない。いくつかの実施形態において、Rはアリール、フェニル又はベンジルではない。いくつかの実施形態において、Rはカルボキシル(COOH)ではない。いくつかの実施形態において、Rはメタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールのうち1つ以上ではない。
【0075】
様々な実施形態において、Rは下記からなる群より選ばれる:
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル;又は分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、より好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルであり、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム、
-X-R(ここで、Xは分枝型又は非分枝型C1-C3アルキルであり、Rは分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン、又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、最も好ましくは、4-N-メチルピペラジンであり、好ましくは、Xが(CH、又は3次アミン又は4次アミン(三置換アンモニウム又は4次アンモニウム)である場合、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミンである場合、分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換されたアンモニウムである)、
-(CR-R10(ここで、Zは1-3の整数であり、各Rは独立してH又はCHからなる群より選ばれ、各Rは独立してH、ヒドロキシル(OH)、カルボキシル(COOH)、アミノ(NH)より選ばれるか、又はR10と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成し、各R10は独立して
アミン、好ましくは、3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)アミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)アミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)アミン、
選択的に置換されたヘテロサイクリックアミン、好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、ピペラジン、より好ましくは、4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペラジン又は4-N-メチル-1-1-ピペラジン、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、N-エタノールアミン又は1-アミノエタノール、アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、エタンジオール、
カルボキシル(COOH)、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたN-ペンタンアミド、N-ヘキサンアミド、又は1-アミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-1-アミドであるか、又は前記アミドは:
-C(=O)NH-R11(ここで、R11はカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-NHC(=O)-R12(ここで、R12は置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成する;からなる群より選ばれる)、又は
-(CR1314-R15(ここで、各R13はHであり、各R14はH、CH、カルボキシル(COOH)、エタノール(CHOH)からなる群より独立して選ばれ、好ましくは、2-エタノール、アミン又はアルキルアミンであり、好ましくは、プロピルアミン、カルボン酸であり、好ましくは、エタン酸又はプロパン酸であり、Zは1-3の整数であり、R15はカルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH)又はアミドであり、好ましくは、1-アミドであり、より好ましくは、N-置換された-1-アミド(又はN-置換されたカルボキサミド)(-CONH-R16、ここでR16は置換されたアルキルであり、好ましくは、1,3-ジカルボキシプロパンである)、1-(1-カルボキシ)酪酸又はブタンジオイック酸、1-カルボキシ-2-ペンタン酸又はペンタンジオイック酸であり、好ましくは、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(3-アミノプロピル)エタン酸である)。
【0076】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル;又は分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、より好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸又はブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルであり、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム、又は
-X-R(ここで、Xは分枝型又は非分枝型C1-C3アルキルであり、Rは分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC1-C3アルキル又はシクロアルキルからなる群より選ばれる各(環)置換体に1-4(環)位置で選択的に置換された、4-7員置換もしくは非置換のヘテロシクロアルキル又はヘテロ-デュアルシクロアルキル(別名、アザスピロアルキル)、好ましくは、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン、又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、C-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、4-N-メチルピペラジン、最も好ましくは、4-N-メチルピペラジンであり、好ましくは、Xが(CH、又は3次アミン又は4次アミン(三置換アンモニウム又は4次アンモニウム)である場合、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミンである場合、分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換されたアンモニウムである)。
【0077】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
置換もしくは非置換のアミン、好ましくは、置換もしくは非置換の3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)エタンアミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)エタンアミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)エタンアミン、
置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、より好ましくは、N-エチルエタノールアミン又は2-(エチルアミノ)エタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、より好ましくは、2-エトキシエタノール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、プロパンジオール、より好ましくは、2,3-プロパンジオール、
カルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸、より好ましくは、ブタンジオイック酸又はブタンジオイック酸、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、N-エチル-N-アミド、N-プロピル-N-アミド、又は2-アミノ-プロパンアミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-エチル-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-プロピル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-プロパンアミドであるか、又は前記アミドは:
-R-C(=O)NH-R(ここで、Rは置換されたアルキル、好ましくは、置換されたエチル、より好ましくは、アミノエチル、より好ましくは、2-アミノエチルであり、Rはカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-R-NHC(=O)-R(ここで、Rは置換されたアルキル、エチル又はプロピルからなる群より選ばれ、Rは置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド。
【0078】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは(CR-R10であり、ここで:
Zは1-3の整数であり、
各Rは独立してH又はCHであり、
各RはH、ヒドロキシル(OH)、カルボキシル(COOH)、アミノ(NH)からなる群より独立して選ばれるか、又はR10と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成し、
各R10は独立して
アミン、好ましくは、3次アミン又は4次アミン(三置換されたアンモニウム又は4次アンモニウム)、より好ましくは、1-(N,N-ジメチル)アミン、1-(1-メチル-N,N-ジメチル)アミン、又は1-(N,N,N-トリメチル)アミン、
選択的に置換されたヘテロサイクリックアミン、好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、6員ヘテロサイクリックアミン、より好ましくは、ピペラジン、より好ましくは、4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペラジン又は4-N-メチル-1-1-ピペラジン、
アルカノールアミン、好ましくは、エタノールアミン、N-エタノールアミン又は1-アミノエタノール、
アルコキシアルコール、好ましくは、アルコキシエタノール又はエトキシアルコール、
ポリオール、好ましくは、ジオール、より好ましくは、エタンジオール、
カルボキシル(COOH)、
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたN-ペンタンアミド、N-ヘキサンアミド、又は1-アミド、より好ましくは、2,6-ジアミノ-N-ヘキサンアミド、2-アミノ-3-メチル-N-ブタンアミド、又はN-(1,3-ジカルボイル)-2-アミノ-1-アミドであるか、又は前記アミドは:
-C(=O)NH-R11(ここで、R11はカルボン酸、好ましくは、ジカルボン酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸、より好ましくは、ペンタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸である)、又は
-NHC(=O)-R12(ここで、R12は置換されたアルキル、好ましくは、1-アミノ-2-メチルプロパン又は1,5-ジアミノペンタンである)を含むアミド、又は
と共に、置換もしくは非置換のヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル(又はヘテロ-デュアルシクロアルキル)、好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-7員ヘテロサイクリックアミン又はアザスピロアルキル、より好ましくは、1つ以上の環位置でC1-C2アルキルに選択的に置換された、5-6員ヘテロサイクリックアミン又は7員アザスピロアルキル、置換もしくは非置換のピロリジン、ピペリジン又はピペラジン、より好ましくは、置換もしくは非置換の3-N-ピロリジン、4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、非置換された3-N-ピロリジン又はC-1、N-4、又はC-1とN-4で置換された、置換された4-N-ピペリジン又は4-N-ピペラジン、より好ましくは、4-N-メチルピペリジン、4-N-エチルピペリジン、4-N-1,4-メチルピペリジン、又は4-N-メチル-1-ピペラジン、又は置換もしくは非置換のアザスピロヘプチル、好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロヘプチル又はアザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、置換もしくは非置換の2-アザスピロ[3.3]ヘプチル、より好ましくは、2-メチル-2-アザスピロ[3.3]ヘプチルを形成する;からなる群より選ばれる。
【0079】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは化学式Ia-Ipからなる群より選ばれる:
【0080】
【化6】
【0081】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは(CR1718-R19であり、ここで各R17はHであり、各R18は独立してH又はCHであり;R19はN(CHであり、ここでYは2-3の整数である。
【0082】
いくつかの実施形態において、RがOである場合、Rは(CH-R19であり、R19はN(CHである。
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
分枝型又は非分枝型の置換もしくは非置換のC1-C5アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、ヒドロキシ、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、及び三置換アンモニウムからなる群より選ばれる各置換体に1-5位置で選択的に置換された、分枝型又は非分枝型の、置換もしくは非置換のC2-C10アルキル、アミン、アミド、アセチル、アルデヒド、アルコキシ(エーテル)、エステル、カルボニル、カルボキシル、カルバメート、ジオール、トリオール、三置換アンモニウム。
【0083】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
カルボン酸又はジカルボン酸、好ましくは、ペンタン酸、ブタンジオイック酸又はペンタンジオイック酸、より好ましくは、2-(6-アミノ)-ペンタン酸、2-ブタンジオイック酸又は2-ブタンジオイック酸、又は2-ペンタンジオイック酸又は2-ペンタンジオイック酸、及び
アミド、好ましくは、置換されたアミド、より好ましくは、置換されたエタンアミド、より好ましくは、置換された2-エタンアミド、より好ましくは、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド。
【0084】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは下記からなる群より選ばれる:
2-ブタンジオイック酸、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(5-アミノ)-ペンタン酸、及び
2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ブタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(3-アミノプロパン)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド、2-(2-カルボキシエチル)-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、2-カルボキシメチル-N-(2-(3-アミノプロパン)-カルボキシメチル)-2-エタンアミド、又は2-(ヒドロキシメチル)-N-2-ペンタンジオイック-2-エタンアミド。
【0085】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは(CR1314-R15であり、ここで
各R13はHであり;
各R14は、独立して、H、CH、カルボキシル(COOH)、エタノール(CHOH)からなる群より選ばれ、好ましくは、2-エタノール、アミン又はアルキルアミンであり、好ましくは、プロピルアミン、カルボン酸であり、好ましくは、エタン酸又はプロパン酸であり、
Zは1-3の整数であり、
15はカルボキシル(-COOH)、アミノ(-NH)又はアミドからなる群より選ばれ、好ましくは、1-アミドであり、より好ましくは、N-置換された-1-アミド(又はN-置換されたカルボキサミド)(-CONH-R16、ここでR16は置換されたアルキル、好ましくは、1,3-ジカルボキシプロパンである)、1-(1-カルボキシ)酪酸又はブタンジオイック酸、1-カルボキシ-2-ペンタン酸又はペンタンジオイック酸、好ましくは、2-ペンタンジオイック酸、又は2-(3-アミノプロピル)エタン酸である。
【0086】
いくつかの実施形態において、RがNHである場合、Rは化学式Iq-Ixからなる群より選ばれる:
【0087】
【化7】
【0088】
いくつかの実施形態において、化学式Iによる化合物は、表1の化合物1-24のうち、1つであってもよい。
また、遊離塩基又は酸形態で存在する本発明の全ての化合物は、当業者に公知された方法によって適切な無機又は有機塩基又は酸で処理することによってこれらの薬剤学的に許容可能な塩に変換することができる。本発明の化合物の塩は、標準技術によって遊離塩基又は酸形態に変換することができる。
[組成物及び医薬]
本発明の化合物又はこの薬剤学的に許容可能な塩を純粋な形態又は適切な薬剤学的組成物又は医薬で投与するのは、類似の効用性を提供する製剤の任意の許容された投与方式によって行われる。本発明の実施形態の薬剤学的組成物又は医薬は、本発明の化合物を薬剤学的に許容可能な適切な担体、希釈剤又は賦形剤と組み合わせて製造されることができ、固体、半固体、液体又は気体形態の調製物、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、ミクロスフェア及びエアロゾルで製剤化することができる。このような薬剤学的組成物又は医薬を投与する通常の経路としては、制限することなく、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、口腔、直腸、膣、及び鼻腔を含む。本願に使用された「非経口」という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射又は注入方式を含む。本発明の薬剤学的組成物又は医薬は、その中に含まれた活性成分が該当組成物又は医薬を患者に投与時、生体利用できるように製剤化する。対象体又は患者に投与される組成物又は医薬は、1つ以上の容量単位の形態を取るが、この際、例えば、錠剤は単一投薬単位であってもよく、エアロゾル形態の本発明の化合物の容器は複数の容量単位を入れることができる。このような製剤を製造する実際の方法は当業者に公知されているか当業者に自明なものであるが;例えば、文献[Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)]を参照する。投与される組成物又は医薬は、いかなる場合であっても、本発明の教示による関心対象病気又は疾患の治療のための治療的有効量の本発明の化合物又はこの薬剤学的に許容可能な塩を含有する。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態の薬剤学的組成物又は医薬は、固体又は液体形態であってもよい。一態様において、担体は微粒子であるため、該当組成物又は医薬は、例えば、錠剤又は粉末形態である。担体は液体であってもよく、組成物は、例えば、経口用シロップ、注射用液体、又は例えば、吸入又は吸入投与に有用なエアロゾルであってもよい。
【0090】
経口投与用の場合、薬剤学的組成物又は医薬は、好ましくは、固体又は液体形態であり、この際、半固体、半液体、懸濁液及びゲル形態が本願で固体又は液体とみなされる形態に含まれる。
【0091】
経口投与用固体組成物又は医薬であって、該当薬剤学的組成物又は医薬は粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸剤、カプセル、チューインガム、ウェハーなどの形態で製剤化することができる。このような固体組成物又は医薬は、通常的に1つ以上の不活性希釈剤又は食用担体を含有する。また、下記のうち、1つ以上が存在してもよい:カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微晶質セルロース、トラガカントガム又はゼラチンのような結合剤;デンプン、ラクトス又はデキストリンのような賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、Primogel、コーンスターチなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotexのような潤滑剤;コロイド性二酸化ケイ素のような潤沢剤;スクロース又はサッカリンのような甘味剤;ハッカ、サリチル酸メチル又はオレンジ香料のような香味剤;及び着色剤。
【0092】
薬剤学的組成物又は医薬がカプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態である場合、前記類型の物質以外にも、ポリエチレングリコール又はオイルのような液体担体を含有することができる。
【0093】
薬剤学的組成物又は医薬は、液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形態であってもよい。液体は2つの例として経口投与用又は注射伝達用であってもよい。経口投与用の場合、好ましい組成物又は医薬は、本発明の化合物以外に、1つ以上の甘味剤、保存剤、染料/着色剤及び香味増進剤を含有する。注射投与用組成物又は医薬には界面活性剤、保存剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定化剤及び等張化剤のうち1つ以上が含まれてもよい。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態の液体薬剤学的組成物及び医薬は、これらが溶液、懸濁液又はその他の類似形態であるか否かに関係なく、下記の補助剤のうち1つ以上を含むことができる:滅菌希釈剤、例えば、注射用水、食塩水、好ましくは、生理食塩水、リンガー液、等張性塩化ナトリウム、固定油、例えば、溶媒又は懸濁媒質として作用できる合成モノ又はジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又はその他の溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;アセテート、クエン酸塩又はリン酸塩のような緩衝剤;及び塩化ナトリウム又はデキストロースのような等張性調節剤。非経口製剤は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス又はプラスチックで製造された多回容量のバイアルに同封されてもよい。生理食塩水が好ましい補助剤である。注射用薬剤学的組成物又は医薬は、好ましくは滅菌されている。
【0095】
非経口又は経口投与用で意図した本発明の特定の実施形態の液体薬剤学的組成物又は医薬は、適切な容量が得られるように本発明の化合物の量を含有しなければならない。
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬は局所投与のためのものであることができるが、この場合、担体は溶液、エマルジョン、軟膏又はゲルベースを適切に含むことができる。前記ベースは、例えば、下記のうち1つ以上を含むことができる:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、希釈剤、例えば、水及びアルコール、乳化剤及び安定化剤。増粘剤は局所投与のための薬剤学的組成物又は医薬に存在することができる。経皮投与用の場合、組成物又は医薬は経皮パッチ又はイオン泳動装置を含むことができる。
【0096】
本発明の様々な実施形態における薬剤学的組成物又は医薬は、例えば、直腸で溶けて薬物を放出する坐薬の形態である直腸投与用であってもよい。直腸投与用組成物又は医薬は適切な非刺激性賦形剤として油性ベースを含有することができる。このような塩基にはラノリン、カカオバター及びポリエチレングリコールが含まれるが、これらに制限されない。
【0097】
本発明の薬剤学的組成物又は医薬の実施形態は、固体又は液体投与単位の物理的形態を変形させる様々な物質を含むことができる。例えば、組成物又は医薬は活性成分の周囲にコーティングシェルを形成する物質を含むことができる。コーティングシェルを形成する物質は一般に不活性であり、例えば、糖、シェラック及びその他の腸溶性コーティング剤から選択できる。あるいは、活性成分をゼラチンカプセルの中に入れることもできる。
【0098】
固体又は液体形態の本発明のいくつかの実施形態における薬剤学的組成物又は医薬は、本発明の化合物に結合して化合物の伝達を助ける製剤を含むことができる。このような能力に作用できる適切な製剤としては、単一クローン又は多重クローン抗体、タンパク質又はリポソームを含む。
【0099】
本発明の他の実施形態の薬剤学的組成物又は医薬は、エアロゾルとして投与することができる容量単位からなることができる。エアロゾルという用語は、コロイド特性を有するシステムから加圧パッケージからなるシステムに至る様々なシステムを意味するのに使用される。伝達は液化又は圧縮ガスによって、又は活性成分を分配する適切なポンプシステムによって行われることができる。本発明の化合物のエアロゾルは、活性成分を伝達するために単一相、2相又は3相システムに伝達されることができる。エアロゾルの伝達は、必要容器、活性剤、弁、下位容器などを含むが、これらは共にキットを形成することができる。当業者であれば誰でも過剰な実験なしで好ましいエアロゾルを決定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬は、薬学分野に十分知られた方法によって製造されることができる。例えば、注射投与用薬剤学的組成物又は医薬は、本発明の化合物を滅菌蒸留水と組み合わせて溶液を形成することによって製造されることができる。均質な溶液又は懸濁液の形成を促進するために界面活性剤を添加することもできる。界面活性剤は水性伝達システムで化合物の溶解又は均質な懸濁を促進するために本発明の化合物と非共有的に相互作用する化合物である。
【0101】
本発明の化合物又はこの薬剤学的に許容可能な塩は治療的有効量で投与されるが、このような治療的有効量は、使用された具体的な化合物の活性;該当化合物の代謝安定性及び作用時間;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別及び食餌;投与方式と時間;排出速度;薬物の組み合わせ;特定障害又は疾患の重症度;及び治療中である対象体をはじめとする様々な要因によって異なる。
【0102】
本発明の化合物又はこの薬剤学的に許容可能な誘導体は、1つ以上の他の治療剤の投与と同時に、その前又はその後に投与されることもできる。このような併用療法は、本発明の化合物及び1つ以上の追加活性剤を含有する薬剤学的単一投与製剤の投与だけでなく、本発明の化合物と各活性剤を自体の個別薬剤学的投与製剤で投与することも含む。例えば、本発明の化合物と他の活性剤は、錠剤又はカプセルのような単一経口投与組成物で共に患者に投与することができ、又はそれぞれの製剤を別途の経口投与製剤で投与することもできる。別途の投与製剤を使用する場合、本発明の化合物と1つ以上の追加の活性剤は必須的に同一時間帯に、すなわち同時に、又は時差を置いて個別に、すなわち順次投与することができ;併用療法はこのような全ての療法を含むものと理解する。
【0103】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の濃度は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、100%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v未満である。
【0104】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の濃度は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、19.75%、19.50%、19.25%、19%、18.75%、18.50%、18.25%、18%、17.75%、17.50%、17.25%、17%、16.75%、16.50%、16.25%、16%、15.75%、15.50%、15.25%、15%、14.75%、14.50%、14.25%、14%、13.75%、13.50%、13.25%、13%、12.75%、12.50%、12.25%、12%、11.75%、11.50%、11.25%、11%、10.75%、10.50%、10.25%、10%、9.75%、9.50%、9.25% 9%、8.75%、8.50%、8.25%、8%、7.75%、7.50%、7.25%、7%、6.75%、6.50%、6.25%、6%、5.75%、5.50%、5.25%、5%、4.75%、4.50%、4.25%、4%、3.75%、3.50%、3.25%、3%、2.75%、2.50%、2.25%、2%、1.75%、1.50%、125%、1%、0.5%、0.4%、0.3%、0.2%、0.1%、0.09%、0.08%、0.07%、0.06%、0.05%、0.04%、0.03%、0.02%、0.01%、0.009%、0.008%、0.007%、0.006%、0.005%、0.004%、0.003%、0.002%、0.001%、0.0009%、0.0008%、0.0007%、0.0006%、0.0005%、0.0004%、0.0003%、0.0002%又は0.0001%w/w、w/v又はv/v超過である。
【0105】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の濃度は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、約0.0001%~約50%、約0.001%~約40%、約0.01%~約30%、約0.02%~約29%、約0.03%~約28%、約0.04%~約27%、約0.05%~約26%、約0.06%~約25%、約0.07%~約24%、約0.08%~約23%、約0.09%~約22%、約0.1%~約21%、約0.2%~約20%、約0.3%~約19%、約0.4%~約18%、約0.5%~約17%、約0.6%~約16%、約0.7%~約15%、約0.8%~約14%、約0.9%~約12%、約1%~約10%w/w、w/v又はv/v範囲内である。
【0106】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の濃度は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、約0.001%~約10%、約0.01%~約5%、約0.02%~約4.5%、約0.03%~約4%、約0.04%~約3.5%、約0.05%~約3%、約0.06%~約2.5%、約0.07%~約2%、約0.08%~約1.5%、約0.09%~約1%、約0.1%~約0.9%w/w、w/v又はv/v範囲内である。
【0107】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の量は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、10g、9.5g、9.0g、8.5g、8.0g、7.5g、7.0g、6.5g、6.0g、5.5g、5.0g、4.5g、4.0g、3.5g、3.0g、2.5g、2.0g、1.5g、1.0g、0.95g、0.9g、0.85g、0.8g、0.75g、0.7g、0.65g、0.6g、0.55g、0.5g、0.45g、0.4g、0.35g、0.3g、0.25g、0.2g、0.15g、0.1g、0.09g、0.08g、0.07g、0.06g、0.05g、0.04g、0.03g、0.02g、0.01g、0.009g、0.008g、0.007g、0.006g、0.005g、0.004g、0.003g、0.002g、0.001g、0.0009g、0.0008g、0.0007g、0.0006g、0.0005g、0.0004g、0.0003g、0.0002g又は0.0001g以下である。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の量は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、0.0001g、0.0002g、0.0003g、0.0004g、0.0005g、0.0006g、0.0007g、0.0008g、0.0009g、0.001g、0.0015g、0.002g、0.0025g、0.003g、0.0035g、0.004g、0.0045g、0.005g、0.0055g、0.006g、0.0065g、0.007g、0.0075g、0.008g、0.0085g、0.009g、0.0095g、0.01g、0.015g、0.02g、0.025g、0.03g、0.035g、0.04g、0.045g、0.05g、0.055g、0.06g、0.065g、0.07g、0.075g、0.08g、0.085g、0.09g、0.095g、0.1g、0.15g、0.2g、0.25g、0.3g、0.35g、0.4g、0.45g、0.5g、0.55g、0.6g、0.65g、0.7g、0.75g、0.8g、0.85g、0.9g、0.95g、1g、1.5g、2g、2.5、3g、3.5、4g、4.5g、5g、5.5g、6g、6.5g、7g、7.5g、8g、8.5g、9g、9.5g又は10g超過である。
【0109】
いくつかの実施形態において、本発明の薬剤学的組成物又は医薬に提供される化学式Iの化合物の量は、該当薬剤学的組成物又は医薬のうち、0.0001-10g、0.0005-9g、0.001-8g、0.005-7g、0.01-6g、0.05-5g、0.1-4g、0.5-4g又は1-3gの範囲である。
[化学的合成]
全ての化学物質、試薬及び溶媒は、Enamine、Sigma-Aldrich及びFisher Scientificのような製品販売会社から入手した。表示された反応温度は反応槽の温度を示す一方、室温(rt)は25℃である。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は裏面がガラスであるシリカプレート(20×20cm、pH=5、MF254)で行った。発色は254nmUVランプを使用して行った。Hスペクトルは言及されたようにDMSO-d6又は他の市販の重水素化溶媒のうちサンプル溶液を使用して400MHz分光計上に記録した。化学的移動はテトラメチルシランを標準として使用してppm単位で記録する。データは次のように記録する:化学的移動、陽子数、多重度(s=単一線、d=二重線、dd=二重線の二重線、t=三重線、q=四重線、b=広域、m=多重線)。全ての新規化合物は、H-NMR及び質量分光法(MS)で特徴を分析した。
【0110】
実施例1.1-エチルピペリジン-4-イル4-(フェニルスルファニル)ブタノエート
【0111】
【化8】
【0112】
ジクロロメタン(30mL)のうち、1-エチル-4-ピペリジノール(0.993g、7.68mmol)及びトリエチルアミン(1.46mL、10.48mmol)の溶液を不活性大気下の丸底フラスコで製造した。前記混合物を0℃で冷却し、ジクロロメタン(20mL)のうち、フェニルチオブタノイルクロライド(1.500g、6.99mmol)を滴下した。室温で一晩撹拌した後、蒸留水(20mL)を添加して前記混合物を後処理した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。前記混合した有機層を乾燥させた後(NaSO)減圧下で濃縮させた。前記粗生成物をHPLCで精製して化合物1をTFA塩として収得した(0.268g、9.1%)。H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ1.20(t、3H)、1.71(m、1H)、1.83(m、2H)、1.94(m、2H)、2.10(m、1H)、2.45(m、2H)、2.99(q、3H)、3.10(m、3H)、3.44(dd、2H)、4.88(m、1H)、7.19(m、1H)、7.33(m、4H)、9.57(br s、1H)。m/z 308[M+H]+。
【0113】
実施例2.1,4-ジメチルピぺリジン-4-イル4-(フェニルスルファニル)ブタノエート
【0114】
【化9】
【0115】
ジクロロメタン(30mL)のうち、1,4-ジメチル-4-ピペリジノール(0.993g、7.68mmol)、トリエチルアミン(1.46mL、10.48mmol)の溶液を不活性大気下の丸底フラスコで製造した。前記混合物を0℃で冷却し、ジクロロメタン(20mL)のうち、フェニルチオブタノイル クロライド(1.500g、6.99mmol)を滴下した。室温で一晩撹拌した後、蒸留水(20mL)を添加して前記混合物を後処理した。有機層を分離し、水層をジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。前記混合した有機層を乾燥させた後(NaSO)減圧下で濃縮させた。前記粗生成物をHPLCで精製して化合物2をTFA塩として収得した(0.612g、20.8%)。H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ1.38(m、3H)、1.69(m、2H)、1.78(m、2H)、2.31(m、2H)、2.39(m、2H)、2.65(m、3H)、2.87(m、4H)、3.21(m、2H)、7.15(m、1H)、7.26(m、4H)。m/z 308[M+H]+。
【0116】
実施例3:2-(ジメチルアミノ)エチル4-(フェニルスルファニル)ブタノエート
【0117】
【化10】
【0118】
フェニルチオブタン酸(30g、152.8mmol)とN,N-ジメチルエタノールアミン(15g、168mmol)をCHCl(300mL)に溶解させた。前記撹拌された溶液を氷浴で冷却させ、4-ジメチルアミノピリジン(1.86g、15.28mmol)とN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(31.52g、152.8mmol)を順次添加した。温度を徐々に室温に上げて、前記反応混合物を一晩撹拌した。出発物質が消尽された後、水(300mL)を前記溶液に添加した。有機層を分離し、水(2×200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた後、減圧下で蒸発させた。最終生成物である化合物3を閃光クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート:トリエチルアミン)で精製した(10.1g、24.7%)。H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ7.34-7.28(m、4H)、7.21-7.15(m、1H)、4.08(t、2H)、3.02-2.95(m、2H)、2.47-2.42(m、4H)、2.13(s、6H)、1.80(m、2H)。m/z 268[M+H]+。
【0119】
実施例4:N,N,N-トリメチル-2-{[4-(フェニルスルファニル)ブタノイル]オキシ}エタン-1-アミニウムクロライド
【0120】
【化11】
【0121】
フェニルチオブタン酸(24g、122.28mmol、1当量)と塩化コリン(18.78g、134.5mmol、1.1当量)をCHCl(240mL)に溶解させた。前記溶液を氷浴で冷却させ、撹拌しながら4-ジメチルアミノピリジン(1.494g、12.22mmol、0.1当量)とN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(25.23g、122.28mmol、1当量)を順次添加した。温度を徐々に室温に上げて、前記溶液を一晩撹拌した。出発物質が消尽された後、水(250mL)を前記溶液に添加した。水層を分離してCHCl(200mL)で洗浄した後、水を蒸発させた。最終生成物である化合物22を閃光クロマトグラフィー(アセトニトリル:水)で精製して10.3g(29.8%)を収得した。塩化物含量:0.048gの最終化合物を30mlの溶液(2-プロパノール:水 1:2)に溶解させ、0.10058n AgNOで適正した。当量点(1.55ml)はEosin指示薬で固定した。H NMR(400MHz、d6-DMSO)δ7.35-7.27(m、4H)、7.21-7.15(m、1H)、4.43(m、2H)、3.69-3.65(m、2H)、3.11(s、9H)、3.04-2.96(m、2H)、2.53-2.48(m、2H)、1.82-1.77(m、2H)。m/z 282[M+]
実施例5:追加的な例示化合物
例示化合物1-24のリストを図1に示した。化合物4-21と23-24を前記化合物1、2、3及び22に類似の方法によって製造及び錠剤し、適切なアルコール又はアミン、又は保護された形態を使用してPTBA又は相応する酸塩化物にカップリングさせた後、必要であれば脱保護した。化合物はH NMR、HPLC及びMSで特徴を分析した。
【0122】
実施例6:動力学的溶解度の測定
100%DMSO希釈液中の試験化合物の20mM貯蔵濃縮液を、2%最終DMSOを使用してリン酸塩緩衝食塩水pH7.4(138mM NaCl、2.7mM KCl、10mM K-ホスフェート)で二重で400mMの理論的濃度で製造した。PBS中、実験化合物希釈液を恒温振とう機で25℃で2時間さらに平衡化させた後、真空マニフォールドを使用してHTSフィルタープレートを通じて濾過させた。測定前に、試験化合物の濾液を2%DMSOを含むアセトニトリルで2倍希釈した。
【0123】
それと並行して、50%アセトニトリル/PBS中の化合物希釈液を2%最終DMSOを使用して0pM(空試験)、10μm、25μm、50μm、100μm及び200μmの理論的濃度で製造して補正曲線を生成した。適切な分析性能を調節するための参照化合物としてオンダンセトロンを使用した。各サンプル200μlを96-ウェルプレートに移し、5nmステップで200-550nmの範囲で測定した。
【0124】
専用マイクロソフトエクセル計算スクリプターを使用してPBS濾液の化合物濃度を計算した。計算に適した吸光度波長は吸光度最大値(0-3OD範囲内の最小及び最大濃度地点に対する絶対吸光度単位値)を基準として各化合物に対し手動で選択した。それぞれの最終データセットは作業者によってさらに肉眼で評価し、各補正曲線に対して適合度(R2)を計算した。前記分析の有効範囲は約2-400μmであり、該当範囲の上限に近い値を示す化合物は実際の溶解度がより大きいこともある。
【0125】
【表2】
【0126】
本発明の化合物(プロドラッグ)は活性カルボン酸であるPTBAを生体内で放出するように設計される。本発明の化合物に対し、血漿安定性は試験管内で試験し、経時的なプロドラッグの消失とPTBAの出現を立証するために生体内で試験した。
【0127】
実施例7:血漿安定性研究
血漿安定性研究は様々な種の血漿で行った。例えば、化合物22の安定性はHPLC-MS/MSを使用して120分にわたって5つの時点でラット、イヌ、及びヒトの血漿において評価した。
【0128】
全ての測定は、真空脱気装置、勾配ポンプ、逆相カラム、カラムオーブン、及び自動サンプル注入器を含むShimadzu HPLCシステムを使用して行った。前記HPLCシステムはタンデム質量分析計API 3000(PE Sciex)と結合されている。TurboIonSprayイオン供給源の陽イオンモードと陰イオンモードの両方を使用した。データ収集と分析はAnalyst 1.5.2ソフトウェア(PE Sciex)を使用して行った。恒温培養は各々70μLずつ5つの分取量(各時点に対して1つずつ)で2回行った。試験化合物(1mM、最終DMSO濃度1%)を100rpmで振とうしながら37℃で恒温処理した。120分間5つの時点を分析した。420μLのアセトニトリル-水の混合物(90:10)を添加して反応を中止させた後、5500rpmで5分間遠心分離して血漿タンパク質を沈殿させた。上澄液をタンデム質量分析計と結合されたHPLCシステムで分析した。血漿において恒温培養後残っている試験化合物の百分率と半減期(T1/2)を計算した。
【0129】
図2-4は、各々ラット、イヌ、及びヒトにおける経時的な例示化合物22の血漿安定性を示すものである。
さらなる実験は、活性剤であるPTBAの出現を評価しながら、血漿サンプルからプロドラッグの消失を測定した(図5-6参照)。プロドラッグをサル血漿において恒温培養し、HPLC-MS/MSを使用して1つの代謝産物であるPTBAの半定量的測定と共にプロドラッグのレベルを測定した。全ての測定は、真空脱気装置、勾配ポンプ、逆相カラム、カラムオーブン及び自動サンプル注入器を含むShimadzu Prominence HPLCシステムを使用して行った。前記HPLCシステムは、タンデム質量分析計API 3000(PE Sciex)と結合されている。TurboIonSprayイオン供給源の陽イオンモードと陰イオンモードの両方を使用した。データ収集と分析はAnalyst 1.5.2ソフトウェア(PE Sciex)を使用して行った。恒温培養は各々70μLずつ多数の分取量(各時点に対して1つずつ)で2回行った。試験化合物(1mM、最終DMSO濃度1%)を100rpmで振とうしながら37℃で恒温処理した。120分間にわたって3-5つの時点を分析した。420μLのアセトニトリル-水の混合物(90:10、停止溶液)を添加して反応を中止させた後、5500rpmで5分間遠心分離して血漿タンパク質を沈殿させた。上澄液をタンデム質量分析計と結合されたHPLCシステムで分析した。血漿内一部プロドラッグの急速な分解によって、該当化合物を停止溶液と血漿の混合物に添加して「真の0(ゼロ)時点」を設定した(停止溶液以前に化合物と血漿との直接的な接触はない)。例えば、化合物22をサル血漿において恒温培養し、化合物22の消失とPTBAの出現とを評価した。
【0130】
図5は、経時的なサル血漿に残留する例示化合物22の百分率を示すものである。図6は、化合物22投与後、経時的なサル血漿におけるPTBAレベルを示すものである。
実施例8:ラット薬物動態研究
本発明の化合物をラットPK研究で本発明の化合物を評価してi.v.注射後、生体内PTBAの放出を測定した(図7参照)。
【0131】
一般に、ビークルは注射用キャプティソル(Captisol)-食塩水-水(20%:40%:40%、v/v/v)であった。製剤を製造するために、化合物を必要体積の20%キャプティソル溶液(キャプティソルは注射用食塩水-水の混合物(1:1、v/v)に予め溶解させる)に溶解させ、1分間ボルテックスした後、40℃で1分間超音波処理した。生成された溶液は透明であった。実際の製剤のバッチは生体内研究30分前に準備した。研究設計、動物選択、取り扱い及び処理は、いずれもCROのPK研究プロトコルと動物実験倫理委員会の指針に従った。動物処理と血漿サンプル準備は、CROの動物実験室職員が行った。雄Wistarラットを研究に使用した。全ての動物は投薬前16時間絶食させた。一般に、本薬物動態研究のために7つの時点(投薬前(0)、5、15、30、60、120及び480分)及び静脈内(IV)投与経路を設定した。化合物処理グループには3匹の動物が含まれた。左側面尾静脈にカテーテルを配置する5分前にリドカイン溶液(7mg/kg)を皮下投与した。カテーテルは500-IU/mlのヘパリンでフラッシュした。試験化合物製剤を右側面静脈に注射した。K3EDTAを含有しているチューブに尾静脈から血液収集を行った。直ちに血漿サンプルを準備し、急速冷凍して次の分析まで-70℃で保管した。血漿サンプルの分析はCROの生物分析実験室職員が行った。プロドラッグ試験化合物とPTBAの濃度は、高性能液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析法(HPLC-MS/MS)、2つのアイソクラティックポンプLC-10ADvpからなるShimadzu HPLCシステム、自動サンプル注入器SIL-20AC、サブ-コントローラFCV-14AH及び脱気装置DGU-14Aを使用して測定した。電子噴霧(ESI)インターフェースがあるAB Sciex(カナダ)のAPI 3000(三重四極子)装備を使用して質量分光分析を行った。データ収集とシステム制御はAnalyst 1.5.2ソフトウェア(AB Sciex、カナダ)を使用して行った。
【0132】
プロドラッグ試験化合物に対するクロマトグラフィー条件:
カラム:Discovery HS C18(50×2.1mm、5μm)
移動相A:アセトニトリル:水:ギ酸=50:950:1
移動相B:アセトニトリル:ギ酸=100:0.1
線形勾配:0分12% B、1.00分90% B、1.15分90% B、1.16分12% B、2.7分停止
溶出速度:400μL/分。転換弁は1.3分から1.8分まで流れを検出器に誘導した。
【0133】
カラム温度:30℃
MS/MS検出:
スキャン類型:ポジティブMRM、イオン供給源:Turbo spray、イオン化モード:ESI
ガス噴霧:15L/分、カーテンガス:8L/分、衝突ガス:4L/分
イオンスプレー電圧:5000V、温度:400℃
PTBAに対するクロマトグラフィー条件:
カラム:Hypersil BDS C8(50×2.1mm、3μm)
移動相A:アセトニトリル:水:ギ酸=50:950:1
移動相B:アセトニトリル:ギ酸=100:0.1
線形勾配:0分17% B、1.40分100% B、1.41分17% B、2.6分停止溶出速度:400μL/分。転換弁は1.45分から1.95分まで流れを検出器に誘導した。
【0134】
カラム温度:30℃
MS/MS検出:
スキャン類型:ネガティブMRM、イオン供給源:Turbo spray、イオン化モード:ESI
ガス噴霧:15L/分、カーテンガス:8L/分、衝突ガス:4L/分
イオンスプレー電圧:-4200V、温度:400℃
例示化合物22を3匹のラットに2mg/kg i.v.で投与した。図7Aは、プロドラッグ(化合物22)とPTBAの濃度時間プロファイルを示すものである。
【0135】
例示化合物17を3匹のラットに2mg/kg i.v.で投与した。図7Bは、プロドラッグ(化合物17)とPTBAの濃度時間プロファイルを示すものである。
例示化合物1を3匹のラットに2mg/kg i.v.で投与した。図7Cは、プロドラッグ(化合物1)とPTBAの濃度時間プロファイルを示すものである。
【0136】
例示化合物15を5匹のラットに6mg/kg i.v.で投与した。図7Dは、プロドラッグ(化合物15)とPTBAの濃度時間プロファイルを示すものである。
実施例9:ネズミ課AKIモデルにおける生体内効能
本研究の目的は、急性腎障害に対する(マウス)モデルにおいて試験化合物の効能を調査しようとすることであった。具体的に、本研究は、シスプラチンで誘発された急性腎障害(CI-AKI)マウスモデルにおいて試験化合物の効能を調査した。例えば、CI-AKIモデルにおいてマウスの病理学展開について、4つの異なる治療療法によって連続7日間50mg/kgの容量で毎日繰り返した化合物22の腹腔内(IP)投与の効果を評価した。尿素(BUN)に対する血清分析はシスプラチン投与後5日目と12日目に行った。各個別動物に対する初期(0日)体重の比率減少としてのグループ当たりの平均体重損失は研究期間中毎日計算した。
【0137】
研究設計、動物選択、取り扱い及び処理は、いずれもCROの研究プロトコルと動物実験倫理委員会の指針に従った。動物処理と血清サンプル準備は、CROの動物実験室職員が行った。11-14週齢の雌C57BL/6Jマウス100匹を体重により無作為に分類して各々20匹ずつ5つのグループに分けた。体重範囲は16.9~22.5gであり、全てのグループの間の平均体重は19.54g(SD=1.04;CV=5.3%)である。各マウスを研究0日目に11mg/kg容量のシスプラチンでIP投与経路を通じて単一容量で処理した。グループ2と4のマウスは、各々研究2日目又は0日目から始めて連続7日間24時間おきに50mg/kg容量の化合物22で繰り返し処理した。グループ3と5のマウスは、各々研究2日目又は0日目から始めて連続7日間1日2回(毎日午前9時及び午後6時注射)50mg/kg容量の化合物22で繰り返し処理した。グループ1のマウスは、最終犠牲時までシスプラチン注射後処理されていない状態で維持した。
【0138】
急性腎障害を誘導するために、工場製造された1mg/mlの注入溶液で希釈せずに11mg/kgの容量に対して11ml/kgの注入体積でシスプラチンを投与した。化合物22に対する製剤ビークルはキャプティソル-生理食塩水-注射用水(20%:40%:40%、w/v/v)であった。新たに製造した製剤のみ各投与に使用しており;それぞれの実際の製剤バッチは投与直前に準備した。実際の製剤は、注射前0.2μmのセルロースアセテート注射器フィルターを使用して滅菌濾過させた。試験化合物の投与体積は体重1kg当り5mlであった。実際の製剤はきれいな透明溶液で投与された。腹腔内(IP)投与経路を研究に使用した。尿素(BUN)はメーカーの指針に従って市販キットを使用して血清で測定した。本方法の原理は、ウレアーゼが尿素とHOとの間のHの移動を促進する能力である。この反応の生成物はNH 及びCO 2-である。λ=340nmにおける吸光度変化率は尿素濃度に比例する。再現性:CV=5.75%。
【0139】
シスプラチン投与後1-4日以内に全てのグループのマウスから顕著な平均体重の漸進的減少が観察された。平均体重の漸進的な回復は、研究5日目から始めてG2-G3、研究7日目から始めてG4-G5の化合物22で処理されたマウスから観察された。G1のマウスは全般的に体重回復が非常に微弱であった。尿素の平均レベルは、シスプラチン注射後5日目にG1に比べて化合物22処理グループ(G2-G5)で顕著に低かった。
【0140】
図8.研究5日目と12日目にC57B1/6J雌マウス血清の尿素レベル(グループ当たり平均±SE、%)。11mg/kg容量のシスプラチンを0日目に全てのマウスにIP投与した。G2、G3、G4及びG5グループのマウスを研究2-8日目(D2-8)又は0-6日目(D0-6)に1日1回又は2回化合物22で繰り返し処理した。G1と比較した差の有意性レベル(ANOVA):*p<0.05、**p0.01。
【0141】
図9A-9B.研究期間中に生存したマウスの体重損失(グループ当たり平均±SE、%)。0日目の初期体重に対して異なる日付で体重損失を測定した。11mg/kg容量のシスプラチンを0日目に全てのマウスにIP投与した。(図9A)研究2-8日目(D2-8)又は(図9B)研究0-6日目(D0-6)にG2、G3、G4及びG5グループのマウスを化合物22で1日1回又は2回繰り返し処理した。二元ANOVA及びトルコ(Tukey)事後分析によってG1に対して統計的に有意した差を決定したが、これは各々G2又はG4に対しては*で表示するか、又はG3又はG5に対しては‡で表示した。
【0142】
実施例10:ラットAKIモデルにおける生体内効能
本研究の目的は、スプラグドーリー雄ラットから虚血-再灌流に誘導した急性腎障害(IRI-AKI)モデルにおける試験化合物の効能を調査することであった。IRI-AKIモデルは実験動物において両側腎臓閉塞を適用して開発された。閉塞期間は同じく60分であった。例えば、IRI-AKIに露出させたラットにおいて病理力学に対する10mg/kgの化合物22の7日間の静脈内(IV)繰り返し投与の効果を評価した。研究期間中、連続8日間毎日動物の死亡率と毒性に対する臨床的徴候を観察した。クレアチニンに対する血清分析は、虚血-再灌流手術の1日前、手術後24時間、及びIRI-AKI介入後3日、5日及び7日目に行った。
【0143】
研究設計、動物選択、取り扱い及び処理は、いずれもCROの研究プロトコルと動物実験倫理委員会の指針に従った。動物処理と血清サンプル準備はCROの動物実験室職員が行った。11~14週齢の雄スプラグドリーラット28匹を体重により無作為に割り当てた。全ての実験動物を手術的介入に先立ち体重1kg当り40mgのテラゾール(Telazol)と体重1kg当り7mg/kgのキシラジン(Xylazine)で麻酔させた。急性腎障害モデルは両側腎臓閉塞を行って作った。(両方の腎臓の)腎臓血管を60分間結紮器でクランプした。結紮後、腎臓を除去して再灌流を観察した。60分間の閉塞の間、腎臓は実質臓器が脱水されて凍結するのを防止するためにラットの体腔内に置いた。手術時間中、動物を暖房したプラットフォームに置いて呼吸パターンを観察した。手術後脱水を防止するために、動物に2mlの食塩水を腹腔内注射した。
【0144】
化合物22に対する製剤はキャプティソル-生理食塩水-注射用水(20%:40%:40%、w/v/v)であった。化合物に対する製剤ビークルはキャプティソル-生理食塩水-注射用水(20%:40%:40%、w/v/v)であった。実際の製剤は、注射前0.2μmのセルロースアセテート注射器フィルターを使用して滅菌濾過させた。全ての化合物に対する研究で静脈内(IV)投与経路を使用した。製剤を各動物に(5分間)ゆっくり注射した。それぞれの実際の製剤バッチは投与直前に準備した。実際の製剤は全ての化合物の全ての容量に対してきれいな透明溶液で投与された。試験化合物とビークルの投与体積は体重1kg当り5mlであった。
【0145】
クレアチニンはタンパク質を除去することなく変形されたヤッフェの方法(Modified Jaffe’s method)を使用して測定した。アルカリ性溶液でピクリン酸塩をクレアチニンと反応させて黄赤色の2,4,6-トリニトロシクロヘキサジエネートを形成する。色相強度はクレアチニン濃度に比例する。再現性:CV=6.1%。
【0146】
60分間両側腎臓閉塞に露出させ、化合物22で処理した実験動物のクレアチニンレベルは、ビークル処理グループに比べてIRI後3日目に大きく減少した。
図10.腎臓虚血及び化合物22の7日間の繰り返しIV投与後スプラグドーリー雄ラットの血清内クレアチニン値。値はグループ当たり8-14匹の平均±SEMで示す。留意した差は二元ANOVAによって測定し、個別的比較は**で表示したボンフェローニ(Bonferroni)の分析によって行った。
【0147】
実施例11:ネズミ課AKIモデルにおける生体内効能
本研究の目的は、マウスにおいてシスプラチンに誘導した急性腎障害(CI-AKI)モデルにおける試験化合物の効能を調査することであった。例えば、CI-AKIモデルにおけるマウスの病理学展開に対し、連続7日間50mg/kgの容量で毎日繰り返した化合物3の腹腔内(IP)投与の効果を評価した。尿素(BUN)に対する血清分析はシスプラチン投与後5日目と9日目に行った。各個別動物に対する初期(0日)体重の比率減少としてのグループ当たりの平均体重損失は研究期間中毎日計算した。
【0148】
研究設計、動物選択、取り扱い及び処理は、いずれもCROの研究プロトコルと動物実験倫理委員会の指針に従った。動物処理と血清サンプル準備はCROの動物実験室職員が行った。9-12週齢の雌C57BL/6Jマウス60匹を体重により無作為に分類して各々30匹ずつ2つのグループに分けた。体重範囲は13.9~22.0gであり、全てのグループ間の平均体重は17.75g(SD=1.30;CV=7.3%)である。各マウスを研究0日目に11mg/kg容量のシスプラチンでIP投与経路を通じて単一容量で処理した。グループ2のマウスは、各々研究2日目から始めて連続7日間24時間おきに50mg/kg容量の化合物3で繰り返し処理した。グループ1のマウスは、最終犠牲時までシスプラチン注射後処理されていない状態で維持した。
【0149】
工場製造された1mg/mlの注入溶液で希釈せずに11mg/kgの容量に対して11ml/kgの注入体積でシスプラチンを投与した。化合物3に対する製剤ビークルはキャプティソル-生理食塩水-注射用水(20%:40%:40%、w/v/v)であった。新たに製造した製剤のみ各投与に使用しており;それぞれの実際の製剤バッチは投与直前に準備した。実際の製剤は、注射前0.2μmのセルロースアセテート注射器フィルターを使用して滅菌濾過させた。試験化合物の投与体積は体重1kg当り5mlであった。実際の製剤はきれいな透明溶液で投与された。腹腔内(IP)投与経路を研究に使用した。尿素(BUN)はメーカーの指針に従って市販キットを使用して血清で測定した。本方法の原理は、ウレアーゼが尿素とHOとの間のHの移動を促進する能力である。この反応の生成物はNH 及びCO 2-である。λ=340nmにおける吸光度変化率は尿素濃度に比例する。再現性:CV=5.75%。クレアチニンはタンパク質を除去することなく変形されたヤッフェの方法を使用して測定した。アルカリ性溶液でピクリン酸塩をクレアチニンと反応させて黄赤色の2,4,6-トリニトロシクロヘキサジエネートを形成する。色相強度はクレアチニン濃度に比例する。再現性:CV=6.1%。
【0150】
シスプラチン投与後1-5日以内に全てのグループのマウスから顕著な平均体重の漸進的減少が観察された。平均体重の漸進的な回復は研究6日目から始めてG2の化合物3で処理したマウスから観察された。G1のマウスは、全般的に体重回復が非常に微弱であった。尿素及びクレアチニンの平均レベルはシスプラチン注射後5日目にG1に比べて化合物3処理グループで顕著に低かった。
【0151】
図11.研究中のC57B1/6J雌マウス血清の尿素レベル(グループ当たり平均±SE、%)。11mg/kg容量のシスプラチンを0日目に全てのマウスにIP投与した。G1又はG2のマウスを2-9日目に24時間おきに各々ビークル又は化合物3で繰り返し処理した。統計的有意性はANOVA(p<0.05)に続き、ボンフェローニの多重比較試験により決定した。**p<0.01。
【0152】
図12.研究中のC57B1/6J雌マウス血清のクレアチニンレベル(グループ当たり平均±SE、%)。11mg/kg容量のシスプラチンを0日目に全てのマウスにIP投与した。G1又はG2のマウスを2-9日目に24時間おきに各々ビークル又は化合物3で繰り返し処理した。統計的有意性はANOVA(p<0.05)に続き、ボンフェローニの多重比較試験により決定した。**p<0.05。
【0153】
図13.研究におけるマウスの体重損失(グループ当たり平均±SE、%)。0日目の初期体重に対して異なる日付で体重損失を測定した。11mg/kg容量のシスプラチンを0日目に全てのマウスにIP投与した。G1又はG2のマウスを2-9日目に24時間おきに各々ビークル又は化合物3で繰り返し処理した。統計的有意性はANOVA(p<0.05)に続き、ボンフェローニの多重比較試験により決定した。**p<0.05。
[結論]
前述した詳細な説明は例示的な特定の実施形態を言及したが、本発明はその概念又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態としても具現することができる。したがって、記述された実施形態は全ての側面で例示的なものとみなされるべきであり、制限的なものではない。例えば、本願に記述及び/又は例示された本発明の特徴に対する様々な置換、変更及び/又は変形と、本願に記述及び/又は例示された原理の追加的な応用は、関連技術分野における熟練者及び本発明の所有者に想起されることができ、添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の概念と範囲から逸脱することなく、前記記述及び/又は例示された実施形態に対して行われることができる。このような置換、変更及び/又は変形は、本開示内容の範囲内であるものと考慮される。
【0154】
したがって、本発明の範囲は、前述した詳細な説明よりは添付された特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲に言及された限定事項は、前述した詳細な説明に記述された特定の実施例に限定されるものではなく、該当特許請求の範囲に使用された文言に基づいて広範囲に解釈されるべきであり、このような実施例は排他的でなく完全でないものと解釈されなければならない。特許請求の範囲と均等な意味と範囲内にある全ての変更は、その範囲内に含まれる。
【0155】
また、特定の実施形態における様々な特徴は本発明の他の実施形態と両立可能であり、それと組み合わせることができ、そこに含まれることができ及び/又はそこに統合され得ることも分かる。例えば、本発明の特定の実施形態によるシステム、方法及び/又は製品は、本願に開示及び/又は記述された他の実施形態に記述された特徴を含む、統合する、又は異なるように構成することができる。したがって、本発明の特定の実施形態についての具体的な特徴の開示が該当特定の実施形態に対する前記特徴の応用又は含むことを制限すると解釈されるべきではない。
【0156】
また、いかなる特徴が特定の実施形態において必要とするものと説明されていない限り、様々な実施形態において記述された特徴は選択的であり、本発明の他の実施形態に含まれないこともある。さらに、いかなる特徴がその組み合わせにおいてまた他の特徴を必要とするものとして説明されていない限り、本願の任意の特徴は、本願に開示された同一又は異なる実施形態の任意の他の特徴と組み合わせることもできる。特定の実施形態においては該当特徴が選択的であり得るが、このような実施形態に該当特徴が含まれる場合、これらは本発明に記述されたような特定の構成を有することが必要になることも分かる。
【0157】
同様に、本願に記述及び/又は特許請求の範囲に言及された任意の方法又は工程に言及された任意のステップは、任意の適切な順序で行われ、(明示的又は暗黙的に)特に断りのない限り、必ずしも記述及び/又は言及された順序に限定されるものではない。しかし、このようなステップは、本発明の特定の実施形態において特定の順序又は任意の適切な順序で行うことが要求されることもある。
【0158】
さらに、例示的な実施形態の態様を曖昧にすることを避けるために、例示的システム、方法、製品などの十分知られている多様な態様は本願に特に詳細に記述しない。しかし、そのような態様も本願で考慮される。
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】