(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20230731BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20230731BHJP
B60R 11/02 20060101ALN20230731BHJP
【FI】
G02B27/01
B60K35/00 A
B60R11/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023501360
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 CN2021104910
(87)【国際公開番号】W WO2022007826
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】202010649576.6
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523007236
【氏名又は名称】杜 加価
(74)【代理人】
【識別番号】100207561
【氏名又は名称】柳元 八大
(72)【発明者】
【氏名】杜 加価
【テーマコード(参考)】
2H199
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
2H199DA02
2H199DA42
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC03
3D344AA03
3D344AA16
3D344AA21
3D344AA26
3D344AC25
(57)【要約】
本発明によれば、凸レンズ/凹面鏡と、結像される対象の画像を表示するように前記凸レンズ/凹面鏡の光線出力側の一倍焦点距離内に位置し、前記凸レンズ/凹面鏡によって形成される虚像がヘッドブラインドゾーンに投射されて、結像される対象と融合される少なくとも一つの画像ディスプレイと、凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置及び方法が開示される。本発明の有益な効果は、当該透視仮想表示装置に表示される透視仮想画像が前方の道路状況と一体化され、運転者は、視線をシフトさせて視距を調整することなく、前方の道路状況の観察と画面の透視とを同時に両立させることができ、観察が直感的で快適であり、運転に必要な様々な情報をよりタイムリーかつ便利に取得すると同時に、運転者の眼の疲労を軽減し、運転の安全性をさらに高めることができる点である。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸レンズ/凹面鏡と、
結像される対象の画像を表示するように前記凸レンズ/凹面鏡の光線出力側の一倍焦点距離内に位置し、前記凸レンズ/凹面鏡によって形成される虚像がヘッドブラインドゾーンに投射されて、結像される対象と融合される少なくとも一つの画像ディスプレイと、
凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項2】
凸レンズと、
一つの画像ディスプレイと、
凸レンズ及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項3】
凸レンズと、
間隔をあけて分布される第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイであって、前記第1画像ディスプレイは凸レンズに近接する透明材質であり、前記第2画像ディスプレイは凸レンズから離間する第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイと、
凸レンズ及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項4】
凹面鏡と、
一つの画像ディスプレイと、
凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項5】
凹面鏡と、
凹面鏡の凹面側に位置するように間隔をあけて分布される第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイであって、前記第1画像ディスプレイは凹面鏡に近接する透明材質であり、前記第2画像ディスプレイは凹面鏡から離間する第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイと、
凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項6】
前記凸レンズ/凹面鏡の上方には、上方の光線が容器内に入るのを阻止する遮光板が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項7】
前記凸レンズ/凹面鏡の光線が入る側には、外部の光線が凸レンズ/凹面鏡に入るのを低減させる半透光及び/又は半反射板が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項8】
前記凸レンズは、平凸レンズ、両凸レンズ又はフレネルレンズである、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項9】
前記画像ディスプレイの表示輝度は調整可能である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項10】
ヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置を運転室フロントガラスの下方に配置するステップと、画像ディスプレイにより、ヘッドブラインドゾーンの画像をリアルタイムに収集して処理した後に投射される画像を形成するステップと、運転者が視線を切り替えることなくヘッドを通してヘッドブラインドゾーンの状況を見られるように、人間の目により、凸レンズ/凹面鏡を介して、ヘッドブラインドゾーンの実際の画像と完全に融合された、投射される画像がヘッドブラインドゾーンに表示される虚像を観察するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透視仮想表示装置に関し、特に、ヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交通手段の運転には、運転者が自分の運転する交通手段の大きさ、形状、位置、方向、速度、走行軌跡並びに周囲の障害物の種類、数及び距離などの関連情報を正確に判断するのに役立ち、運転者が交通手段を正確かつタイムリーに操作して正常に走行できるように、運転者が交通手段及びその周辺環境に対する観察と知覚能力を有することが必要である。現在、ほとんどの交通手段の運転室には、いくつかの観察ブラインドゾーンが存在する。
【0003】
自動車を例として、自動車の運転室には、ヘッドブラインドゾーン、テールブラインドゾーン、バックミラーブラインドゾーン、ABピラーブラインドゾーンなど、多くのブラインドゾーンが存在するため、運転者の周囲環境に対する観察と知覚能力が制限され、運転者がブラインドゾーン内の状況やブラインドゾーンにおける車体の位置を正確に判断できないと同時に、運転者が左右の車幅、ヘッドの位置、走行軌跡などの関連情報を正確かつ直感的に判断できず、運転に一定の混乱を引き起こし、一定の運転安全上の懸念が存在する。従来のいくつかのブラインドゾーン可視化装置は、基本的には、撮像装置により対応するブラインドゾーン位置のビデオ画像を収集し、運転室内の画面に平面又は3Dで表示し、観察するために近い視距で運転者に提示し、運転者は、観察するときに視線をシフトさせて視距を調整する必要があり、この観察方式は直感的で便利ではなく、運転者は、画面を観察するときに視線が前方の道路状況から離れることになり、高速走行中に安全上の懸念が存在する。
【0004】
公告番号がCN204605659Uである中国実用新案専利によれば、自動車の運転室のA、Cピラーに貼付により被覆されてブラインドゾーンを除去するビデオ表示装置が開示され、自動車の運転室のA、Cピラーの柱状特性に応じて、異形表示技術を利用してフレキシブル表示画面を自動車の運転室のA、Cピラーの内面に貼付により被覆される表示装置に設計し、各表示装置は、車体外の対応する位置にマイクロ赤外線HDカメラレンズを配置し、車内ディスプレイと比較的独立した一組のビデオリアルタイム表示ユニットを構成し、各独立ユニットを自動車の運転室のA、Cピラーブラインドゾーンを除去するビデオリアルタイム表示装置一式に組み合わせ、当該装置は、フレキシブル表示画面を利用してリアルタイムビデオを直接表示するものであり、視距が近くヘッドブラインドゾーンの道路状況の表示には適していない。また、公開番号がCN107662542Aである中国発明専利のように、光学投影装置、両眼視差プリズム、第1反射鏡、第2反射鏡、赤外線カメラ、自動車フロントガラス、自動調光回路基板を含み、低視認性条件下で道路の実況を透視可能なヘッドアップ表示装置が開示され、ここでの光学投影装置は、反射ボウル、三原色LEDランプ、第1両凸レンズ、扇風機、電源制御回路基板、第1フレネルレンズ、液晶表示画面、第2フレネルレンズ、直角全反射プリズム、第2両凸レンズ、両凹レンズ、第3両凸レンズ、金属アルミニウムケースからなる。構造が複雑であり、生産とメンテナンスのコストが高い。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、凸レンズ/凹面鏡の結像規則に基づく運転室のブラインドゾーン透視仮想表示装置を提供することであり、運転者が車体を通してブラインドゾーンに位置する車体外の道路状況、路面における車体の幅、路面における車体の位置、ヘッドの位置、車両の走行軌跡などの運転に関連する様々な情報を観察するのに役立ち、運転者が透視仮想表示装置を介して観察された関連情報に基づいて車両を正確に操作して運転することができ、運転の安全性が向上する。
【0006】
本発明の技術的手段は、凸レンズ/凹面鏡と、結像される対象の画像を表示するように前記凸レンズ/凹面鏡の光線出力側の一倍焦点距離内に位置し、前記凸レンズ/凹面鏡によって形成される虚像がヘッドブラインドゾーンに投射されて、結像される対象と融合される少なくとも一つの画像ディスプレイと、凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置である。
【0007】
上記手段において、凸レンズと、一つの画像ディスプレイと、凸レンズ及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む。
【0008】
上記手段において、凸レンズと、
間隔をあけて分布される第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイであって、前記第1画像ディスプレイは凸レンズに近接する透明材質であり、前記第2画像ディスプレイは凸レンズから離間する第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイと、
凸レンズ及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む。
【0009】
上記手段において、凹面鏡と、一つの画像ディスプレイと、凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む。
【0010】
上記手段において、凹面鏡と、凹面鏡の凹面側に位置するように間隔をあけて分布される第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイであって、前記第1画像ディスプレイは凹面鏡に近接する透明材質であり、前記第2画像ディスプレイは凹面鏡から離間する第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイと、凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む。
【0011】
上記手段の改良は、前記凸レンズ/凹面鏡の上方には、上方の光線が容器内に入るのを阻止する遮光板が設けられている点である。
【0012】
上記手段のさらなる改良は、前記凸レンズ/凹面鏡の光線が入る側には、外部の光線が凸レンズ/凹面鏡に入るのを低減させる半透光及び/又は半反射板が設けられている点である。
【0013】
上記手段において、前記凸レンズは、平凸レンズ、両凸レンズ又はフレネルレンズである。
【0014】
上記手段において、前記画像ディスプレイの表示輝度は調整可能である。
【0015】
凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置の使用方法は、ヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置を運転室フロントガラスの下方に配置するステップと、画像ディスプレイにより、ヘッドブラインドゾーンの画像をリアルタイムに収集して処理した後に投射される画像を形成するステップと、運転者が視線を切り替えることなくヘッドを通してヘッドブラインドゾーンの状況を見られるように、人間の目により、凸レンズ/凹面鏡を介して、ヘッドブラインドゾーンの実際の画像と完全に融合された、投射される画像がヘッドブラインドゾーンに表示される虚像を観察するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明の有益な効果は、当該透視仮想表示装置に表示される透視仮想画像が前方の道路状況と一体化され、運転者は、視線をシフトさせて視距を調整することなく、前方の道路状況の観察と画面の透視とを同時に両立させることができ、観察が直感的で快適であり、運転に必要な様々な情報をよりタイムリーかつ便利に取得すると同時に、運転者の眼の疲労を軽減し、運転の安全性をさらに高めることができる点である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】凸レンズ透視仮想表示装置の構造を示す概略図である。
【
図4】凹面鏡透視仮想表示装置の構造を示す概略図である。
【
図5】透視仮想表示装置の光路構造の反射折り畳みを示す概略図である。
【
図6】透視仮想表示装置の自動車用途を示す概略図である。
【
図7】透視仮想表示装置の自動車用途における運転者の視角を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例における技術的手段について明確かつ完全に説明する。明らかに、説明した実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者は、創造的な労働を行っていないことを前提に、他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0019】
画像ディスプレイに表示される画像は、凸レンズ/凹面鏡の結像規則に基づいて、所望の透視観察を必要とする物体又は所望の仮想表示を必要とする物体の大きさ、形状、位置、角度、距離、方向、色、輝度などのパラメータと完全に一致し、かつ重なり合う虚像を鏡体内に形成する。
【0020】
所望の透視観察を必要とする物体及び/又は仮想表示を必要とする物体の形状に応じて前記画像ディスプレイは、点状、線状、面状、立体形状の表示装置を含んでもよいがこれらに限定されず、平面及び/又は立体的な画像を表示してもよく、表示される画像は、静的画像及び/又は動的画像であってもよい。
【0021】
凸レンズは、平凸レンズ、両凸レンズ、フレネルレンズなどを含むがこれらに限定されない。
【0022】
画像ディスプレイは、透明及び/又は不透明ディスプレイである。
【0023】
画像ディスプレイの表示輝度は、画像ディスプレイが常に運転者の観察に最も適した表示輝度を維持するように周囲光線の強度の変化に応じてリアルタイムに調整可能である。
【0024】
画像ディスプレイの数は、一つ又は複数であってもよく、複数の画像ディスプレイは、複数の異なる位置距離の虚像を同時に形成することができる。
【0025】
本装置の光路は、鏡面反射材料及び/又は鏡面半反射半透光材料によって複数回反射されることで、装置の形状の変更及び/又は装置の体積の減少を図ることができる。
【0026】
本装置は、異なる距離位置のマルチレベルの虚像を表示するために、鏡面半反射半投射材料により異なる距離位置の複数組の画像ディスプレイを一組の光路に統合することができる。
【0027】
本装置は、対応する物体、走行軌跡、ダッシュボードパラメータ、フロントビュー及び/又はバックビュー画像、バック画像、マップナビゲーション、通信情報などを含むがこれらに限定されない運転及び運転者に関連する様々な情報を対応する必要な位置に仮想的に及び/又は重畳して表示することができる。
【0028】
鏡体の前面には、外部の光線が鏡体に入ることによる反射を低減させ、装置の表示品質を向上させるために、暗色の半透光及び/又は半反射板を設けることができる。
【0029】
鏡体の前面上方には、上方からの光線が表示装置に入るのを遮蔽し、入射光線による鏡体の反射により装置の表示品質に影響を与えるのを防止する不透光遮光板を設けることができる。
【0030】
図1及び
図2に示す凸レンズ/凹面鏡の結像規則の原理図によれば、鏡体の一倍焦点距離以内の位置に設けられる物体4は、凸レンズ/凹面鏡の結像規則に従って物距離よりも遠い像距離位置に像距離/物距離と等しい割合の大きさの拡大虚像3を形成し、当該拡大虚像3における各点の像距離位置は、いずれも物体4の対応する各点の物距離位置と一対一で対応する。虚像3の大きさや距離などと完全に同じ物体の虚像(すなわち虚像3)を得るには、凸レンズ/凹面鏡の結像規則に従って、当該物体の大きさや距離と完全に重なり合う虚像3における各点を鏡体の一倍焦点距離以内の対応する位置に対応させ、すべての対応点が集合すると物体4と完全に重なり合い、物体4の位置に画像ディスプレイが設けられ、当該画像ディスプレイに表示される画像が物体4の寸法大きさ形状と完全に同じであれば、虚像3の位置に虚像3の寸法大きさ形状と完全に同じ形状の虚像を形成することができる。
【0031】
図3は、凸レンズの鏡体2と第1画像ディスプレイ7と第2画像ディスプレイ5とからなる凸レンズ透視容器1の構造を示す概略図である。観察者、凸レンズの鏡体2、第2画像ディスプレイ5、第1画像ディスプレイ7、実物面9及び実物面10が一つの光路を構成し、ここでの第2画像ディスプレイ5は、視線が第2画像ディスプレイ5を通して第1画像ディスプレイ7を観察できる透明な画像ディスプレイであり、第1画像ディスプレイ7は、透明な画像ディスプレイ又は不透明な画像ディスプレイであってもよい。第1画像ディスプレイ7は、第1実物面10と完全に重なり合う第1虚像8を形成することができる。第2画像ディスプレイ5は、第2実物面9と完全に重なり合う第2虚像6を形成することができる。視線は、透視容器1を通して第2実物面9を通過して第2実物面9と完全に重なり合う第2虚像6及び第1実物面10と完全に重なり合う第1虚像8を観察し、視線が障害物を通して第2実物面9及び第1実物面10を観察する透視効果に達することができる。透視容器1は、凸レンズの鏡体2の前面上方に上方からの光線が表示装置に入るのを遮蔽し、入射光線による鏡体の反射により装置の表示品質に影響を与えるのを防止する不透光遮光板12が設けられる。凸レンズの鏡体2の前面には、外部の光線が鏡体に入ることによる反射を低減させ、装置の表示品質を向上させるために、暗色の半透光及び/又は半反射板11が設けられる。
【0032】
図4は、凹面鏡の鏡体2と第1画像ディスプレイ7及び第2画像ディスプレイ5とからなる凹面鏡透視容器1の構造を示す概略図である。観察者、凹面鏡の鏡体2、実物面9及び実物面10が一つの光路を構成し、凹面鏡の結像規則により、第1画像ディスプレイ7及び第2画像ディスプレイ5は、観察者と凹面鏡の鏡体2との間に配置することができないので、第1画像ディスプレイ7及び第2画像ディスプレイ5を光路外にオフセットさせ、ここでの第2画像ディスプレイ5は、視線が第2画像ディスプレイ5を透過して第1画像ディスプレイ7を観察できる透明な画像ディスプレイであり、第1画像ディスプレイ7は、透明な画像ディスプレイ又は不透明な画像ディスプレイであってもよい。第1画像ディスプレイ7は、第1実物面10と完全に重なり合う第1虚像8を形成することができる。第2画像ディスプレイ5は、第2実物面9と完全に重なり合う第2虚像6を形成することができる。視線は、透視容器1を通して第2実物面9を通過して第2実物面9と完全に重なり合う第2虚像6及び第1実物面10と完全に重なり合う第1虚像8を観察し、視線が障害物を通して第2実物面9及び第1実物面10を観察する透視効果に達することができる。透視容器1は、凸レンズの鏡体2の前面上方に上方からの光線が表示装置に入るのを遮蔽し、入射光線による鏡体の反射により装置の表示品質に影響を与えるのを防止する不透光遮光板12が設けられる。凸レンズの鏡体2の前面には、外部の光線が鏡体に入ることによる反射を低減させ、装置の表示品質を向上させるために、暗色の半透光及び/又は半反射板11が設けられる。
【0033】
図5は、透視容器1の光路構造の反射折り畳みを示す概略図であり、
図5の上図は、凸レンズの鏡体2を例として、透視容器1の代表的な光路構造を例示し、透視容器1は、鏡体2と第1画像ディスプレイ7及び第2画像ディスプレイ5とからなり、形状の変更及び/又は装置の体積の減少を図って取り付けを便利にするために、鏡面反射板13及び半透光半反射鏡面板14が設けられており、鏡面反射板13及び半透光半反射鏡面板14を介して透視容器1の光路を反射して折り畳んだ後、
図5の下図に示すような透視容器1の構造が形成されることで、透視容器1の形状を変化させ、体積を小さくし、半透光半反射鏡面板14を介して第2画像ディスプレイ5を光路に統合させることができる。
【0034】
図6は、凸レンズの鏡体2と第1画像ディスプレイ7及び第2画像ディスプレイ5とからなる透視容器1の自動車用途を示す概略図である。第1画像ディスプレイ7は、ヘッドブラインドゾーン15の寸法大きさ距離及び収集したヘッドブラインドゾーン15の画像に基づいて、第1画像ディスプレイに表示される画像30及び第1虚像8を形成し、第1虚像8の寸法大きさ距離位置は、ヘッドブラインドゾーン15の画像と完全に重なり合い、かつ水平であり、第1画像ディスプレイに表示される画像30には、収集したヘッドブラインドゾーン15の画像に基づいて、第1画像ディスプレイにおいて収集して処理した後の路面車線の表示画像18が表示され、第1画像ディスプレイにおいて収集して処理した後の路面車線の表示画像18には、第1虚像において透視的に表示される路面車線の虚像17が対応して形成され、第1虚像において透視的に表示される路面車線の虚像17は、路面車線16と完全に重なり合い、第1画像ディスプレイに表示される画像30には、第1画像ディスプレイにおいて処理して重畳される仮想車輪の走行軌跡の表示画像20と第1画像ディスプレイに仮想ナビゲーション情報が重畳される表示画像22とが同時に仮想的に重畳して表示され、第1画像ディスプレイにおいて処理して重畳される仮想車輪の走行軌跡の表示画像20と、第1画像ディスプレイに仮想ナビゲーション情報が重畳される表示画像22には、第1虚像において重畳して表示される仮想車輪の走行軌跡の虚像19と、第1虚像において重畳して表示される仮想ナビゲーション情報の虚像21とがそれぞれ対応して形成され、ここで第1虚像において重畳して表示される仮想車輪の走行軌跡の虚像19は、自動車が実際に走行する走行軌跡と完全に重なり合い、第2画像ディスプレイ5は、ヘッドの距離、自動車ブランドマークの位置及び自動車の左前ヘッドライトの位置に応じて第2画像ディスプレイに表示される画像29を形成し、ヘッドの位置にヘッドと完全に重なり合い、かつ垂直な第2虚像6を形成し、第2画像ディスプレイに表示される画像29には、第2画像ディスプレイにおいて自動車の左前ヘッドライトの位置を仮想的に示す表示画像24と、第2画像ディスプレイにおいて自動車のヘッドの中間位置の車両ブランドマークを仮想的に示す表示画像28とが仮想的に重畳され、自動車の左前ヘッドライトの位置に近接して重なり合う第2虚像において車両の左前ヘッドライトの位置を仮想的に示す虚像23と、車両ブランドマークの位置と重なり合う第2虚像において自動車のヘッドの中間位置の車両ブランドマークを仮想的に示す虚像25とがそれぞれ対応して形成され、第2画像ディスプレイに表示される画像29には、第2画像ディスプレイにおいて自動車の車速情報を仮想的に示す表示画像26がさらに重畳して表示され、ヘッドの位置における第2虚像6には、第2虚像において自動車の車速情報を仮想的に示す虚像27が対応して形成されている。
【0035】
図7は、透視容器1の自動車用途における運転者の視角を示す概略図であり、運転者は、運転室に座り、ヘッドの左前ヘッドライトの位置にある第2虚像において自動車の左前ヘッドライトの位置を仮想的に示す虚像23と、ヘッドの中間ブランドマークの位置にある第2虚像において自動車のヘッドの中間位置の車両ブランドマークを仮想的に示す虚像25と、ヘッドの位置にある第2虚像において自動車の車速情報を仮想的に示す虚像27とを透視容器1を介して見ることができる。運転者は、対応する車速情報を取得すると同時に、関連情報により、ヘッドの左前隅の位置距離及びヘッドの中間位置の距離を判断することができる。運転者は、透視容器1を介して、第1虚像において透視的に表示される路面車線の虚像17のようなブラインドゾーンに位置する路面とのリアルタイム画像をさらに見ることができ、第1虚像において透視的に表示される路面車線の虚像17は、路面車線16と完全に重なり合い、運転者は、透視容器1を介して、ブラインドゾーンに位置する路面に重畳して表示される第1虚像において重畳して表示される仮想ナビゲーション情報の虚像21と、第1虚像において重畳して表示される仮想車輪の走行軌跡の虚像19とをさらに見ることができ、第1虚像において重畳して表示される仮想車輪の走行軌跡の虚像19は、自動車の実際の走行軌跡と完全に重なり合い、運転者は、対応するナビゲーション情報を取得すると同時に、第1虚像において重畳して表示される仮想車輪の走行軌跡の虚像19により、路面を走行する自動車の左右の幅、相対位置及び車両が走行しようとしている軌跡を判断し、運転者が車両をより良く制御し、運転の安全性を向上させるのに役立つと同時に、透視容器1に表示される透視画像が前方の道路状況と一体化されるため、運転者は、視線をシフトさせて視距を調整することなく、前方の道路状況の観察と画面の透視とを同時に両立させることができ、観察が直感的で快適であり、運転に必要な様々な情報をよりタイムリーかつ便利に取得すると同時に、運転者の眼の疲労を軽減し、運転の安全性をさらに高めることができる。
【0036】
なお、本発明の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置は、ヘッドブラインドゾーンを表示するだけではなく、上記と一致する原理でリアブラインドゾーンを表示するためにも用いることができる。
【0037】
本発明における画像ディスプレイは、ブラインドゾーンに位置する車体外の道路状況、路面における車体の幅、路面における車体の位置、ヘッドの位置、車両の走行軌跡などの運転に関連する様々な情報を収集し、具体的には、カメラにより収集し、凸レンズ/凹面鏡の結像規則により実景などの割合を縮小した画像を画像ディスプレイに表示し、さらに実景などの割合を縮小した画像を凸レンズ/凹面鏡の同じ割合により、実景と大きさが一致し、実景と融合される虚像に拡大して復元する。この情報収集・処理の過程は従来技術で実現可能であり、これは、光電装置を介して外部画像を収集、処理、表示する公告番号がCN206765921Uである中国実用新案専利、パノラマ駐車支援システムのカメラ入力モジュール、画像補正モジュール及び画像表示モジュールである出願番号がCN201010590428.8である中国発明専利及び公開番号がCN107662542Aである中国発明専利のいずれにも記載されている。
【0038】
本発明は、もちろん、一つの画像ディスプレイのみを用いて、一つの虚像にすることもできる。画像ディスプレイは、具体的には、タブレット、液晶ディスプレイなどの光源付き装置であってもよく、処理した画像を表示することができ、容器は、透明なケース体又は、少なくとも部分的に透明なケース体であってもよく、透明な部分は、観察者、凸レンズ/凹面鏡、第1画像ディスプレイ7及び/又は第2画像ディスプレイ5間の光路が妨げられないようにすることができる。
【符号の説明】
【0039】
1、容器
2、鏡体
3、虚像
4、物体
5、第2画像ディスプレイ
6、第2虚像
7、第1画像ディスプレイ
8、第1虚像
9、第2実物面
10、第1実物面
11、暗色の半光透光及び/又は半反射板
12、不透光遮光板
13、鏡面反射板
14、半透光半反射鏡面板
15、ヘッドブラインドゾーン
16、路面車線
17、第1虚像において透視的に表示される路面車線の虚像
18、第1画像ディスプレイにおいて収集して処理した後の路面車線の表示画像
19、第1虚像において重畳して表示される仮想車輪の走行軌跡の虚像
20、第1画像ディスプレイにおいて処理して重畳される仮想車輪の走行軌跡の表示画像
21、第1虚像において重畳して表示される仮想ナビゲーション情報の虚像
22、第1画像ディスプレイに仮想ナビゲーション情報が重畳される表示画像
23、第2虚像において自動車の左前ヘッドライトの位置を仮想的に示す虚像
24、第2画像ディスプレイにおいて自動車の左前ヘッドライトの位置を仮想的に示す表示画像
25、第2虚像において自動車のヘッドの中間位置の車両ブランドマークを仮想的に示す虚像
26、第2画像ディスプレイにおいて自動車の車速情報を仮想的に示す表示画像
27、第2虚像において自動車の車速情報を仮想的に示す虚像
28、第2画像ディスプレイにおいて自動車のヘッドの中間位置の車両ブランドマークを仮想的に示す表示画像
29、第2画像ディスプレイに表示される画像
30、第1画像ディスプレイに表示される画像
F、焦点距離
【手続補正書】
【提出日】2023-01-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸レンズ/凹面鏡と、
結像される対象の画像を表示するように前記凸レンズ/凹面鏡の光線出力側の一倍焦点距離内に位置し、前記凸レンズ/凹面鏡によって形成される虚像がヘッドブラインドゾーンに投射されて、結像される対象と融合される少なくとも一つの画像ディスプレイと、
凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ/凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項2】
凸レンズと、
一つの画像ディスプレイと、
凸レンズ及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項3】
凸レンズと、
間隔をあけて分布される第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイであって、前記第1画像ディスプレイは凸レンズに近接する透明材質であり、前記第2画像ディスプレイは凸レンズから離間する第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイと、
凸レンズ及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凸レンズ及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項4】
凹面鏡と、
一つの画像ディスプレイと、
凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項5】
凹面鏡と、
凹面鏡の凹面側に位置するように間隔をあけて分布される第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイであって、前記第1画像ディスプレイは凹面鏡に近接する透明材質であり、前記第2画像ディスプレイは凹面鏡から離間する第1画像ディスプレイ及び第2画像ディスプレイと、
凹面鏡及び画像ディスプレイの結像光路のためのスペースが確保されるように、凹面鏡及び画像ディスプレイを収容する容器と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項6】
前記凸レンズ/凹面鏡の上方には、上方の光線が容器内に入るのを阻止する遮光板が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項7】
前記凸レンズ/凹面鏡の光線が入る側には、外部の光線が凸レンズ/凹面鏡に入るのを低減させる半透光及び/又は半反射板が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項8】
前記凸レンズは、平凸レンズ、両凸レンズ又はフレネルレンズである、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項9】
前記画像ディスプレイの表示輝度は調整可能である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置。
【請求項10】
ヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置を運転室フロントガラスの下方に配置するステップと、画像ディスプレイにより、ヘッドブラインドゾーンの画像をリアルタイムに収集して処理した後に投射される画像を形成するステップと、運転者が視線を切り替えることなくヘッドを通してヘッドブラインドゾーンの状況を見られるように、人間の目により、凸レンズ/凹面鏡を介して、ヘッドブラインドゾーンの実際の画像と完全に融合された、投射される画像がヘッドブラインドゾーンに表示される虚像を観察するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の凸レンズ/凹面鏡に基づくヘッドブラインドゾーン透視仮想表示装置の使用方法。
【国際調査報告】