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特表2023-534010ガラス成形ロールの冷却系およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】ガラス成形ロールの冷却系およびその方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/06 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
C03B17/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501814
(86)(22)【出願日】2021-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 US2021040080
(87)【国際公開番号】W WO2022015517
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/052,658
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】フレドホルム,アラン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ギヤール,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イーフェイ
(57)【要約】
ガラス製造プロセス中にガラス成形ロールを冷却するための装置およびその方法を説明する。斯かる装置および方法は、水などのような液体と空気などのような気体を混ぜ合わせて、熱を放散させる目的でガラス成形ロールの内側に供給される液体と気体の混合物を生成する。実施例によっては、斯かる装置および方法は、ガラス成形ロールの温度検出に基づいて、ガラス成形ロールに供給される液体と空気の量を制御するものもある。実施例によっては、ガラス成形ロールに供給される液体と気体の混合物の量を電算機が自動制御し、電算機が混合されるべき液体と気体の各々の割合を更に制御できるようにするものもある。斯かる装置および方法は、ガラスシート全体に亘ってより一貫したガラス厚さを得られるようにしたうえに、ガラスシートの欠陥を減少させることもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を供給するよう構成された第1通路、
第1通路と流体連通して液体を供給するよう構成された第2通路、
第1通路からの気体を第2通路からの液体と混ぜ合わせて気液混合物を生成するよう構成された分岐結合部、および、
分岐結合部と流体連通してガラス成形ロールに気液混合物を撒き散らすよう構成された導管、
を備えている装置。
【請求項2】
前記導管は少なくともその一部が前記ガラス成形ロールの空洞内に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記導管には複数の開口が設けられている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記気液混合物は前記複数の開口により撒き散らされることで、前記ガラス成形ロールの空洞の内面に接触するよう図っている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
温度センサに通信可能に接続されたコントローラを備えており、前記温度センサは前記ガラス成形ロールの温度を検出するように構成されており、また、前記コントローラは前記温度センサから前記ガラス成形ロールの温度を受信するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラに通信可能に接続されて、前記第1通路内の気体の流れを調整するように構成されている気流制御部、および、
前記コントローラに通信可能に接続されて、前記第2通路内の液体の流れを調整するよう構成されている液流制御部、
を備えており、前記コントローラは、
第1信号を前記気流制御部に送信することで前記気体の流れを調整し、また、
第2信号を前記液流制御部に送信することで前記液体の流れを調整するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2信号を前記液流制御部に送信することは、
前記ガラス成形ロールの温度が、最高温度と最低温度を含む或る温度範囲内には無いと判定すること、
前記ガラス成形ロールの温度が前記最高温度を上回っている状況の場合は、前記第2信号を前記液流制御部に送信することで前記液体の流れを増大させること、および、
前記ガラス成形ロールの温度が前記最低温度を下回っている状況の場合は、前記第2信号を前記液流制御部に送信することで前記液体の流れを減少させること、
を含んでいる、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1通路内の前記気体の気圧を測定するよう構成された気圧計、および、
前記第2通路内の前記液体の流量を測定するよう構成された流量計、
を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記気圧計および前記流量計に通信可能に接続されたコントローラを備えており、該コントローラは、
前記第1通路内の前記気体の気圧を同定する第1データを前記気圧計から受信し、また、
前記第2通路内の前記液体の流量を同定する第2データを前記流量計から受信する、
よう構成されている、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願との相互参照】
【0001】
本願は、合衆国法典第35編第119条(米国特許法)に基づいて、2020年7月16日出願の米国特許仮出願第63/052658号の優先権を主張するものであり、斯かる仮出願の内容に依存するとともに、ここで参照することによりその全体が本願の一部を構成しているものとする。
【技術分野】
【0002】
本件開示はガラスシートの製造に関するものであり、特に、ガラスシート製造中にフュージョンロールを冷却する装置およびその方法に関連している。
【背景技術】
【0003】
ガラスシートは、多様な用途に使用されている。例えば、モバイル装置、ラップトップ、タブレット、コンピュータ・モニタ、テレビ受像機表示部などにおけるもののようなガラス表示パネルに使用されることがある。ガラスシートは、1つ以上ガラス成形ロールがガラス成形装置上の溶融ガラスを延伸成形するフュージョン延伸降下プロセスによって製造される。多様な用途で、製造ガラスの厚さを厳密に制御することが重要となることがある。ガラス成形ロールが溶融ガラスを延伸降下させる際には、ロールは加熱される。その結果、ガラス成形ロールに接触している、または、ロールの近傍にあってさえ、溶融ガラスの該当部分は他の部分ほどに迅速には冷却されない場合がある。溶融ガラスの全幅または幅の一部に亘ってこのように不均一な冷却が行われたことが原因で、製造ガラスに波状面、亀裂、厚さのばらつきなどのような欠陥を生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラス成形ロールから熱を放散させようとの企てで、システムによっては、ガラス成形ロールの内径に沿って空気または水を流すことによりガラス成形ロールを冷却しようと試みているものもある。しかしながら、これらのシステムが生じる熱が小さすぎて、または、多すぎて、ガラス成形ロールから熱を放散させることができないことがある。このように、ガラスシートの生産性を向上させる好機は多々ある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本件開示の装置および方法は、ガラス製造プロセス中にガラス成形ロールを冷却することができるようにする。斯かる装置および方法は、水などのような液体と空気などのような気体を混ぜ合わせて、熱を放散させる目的でガラス成形ロールの内側に供給される液体と気体の混合物を生成することができる。実施例によっては、斯かる装置および方法は、ガラス成形ロールの温度検出に基づいて、ガラス成形ロールに供給される液体と空気の量を制御するものもある。実施例によっては、ガラス成形ロールに供給される液体と気体の混合物の量を電算機が自動制御し、電算機が混合されるべき液体と気体の各々の割合を更に制御できるようにするものもある。斯かる装置および方法は、ガラスシート全体に亘ってより一貫したガラス厚さを得られるようにするうえに、ガラスシートの欠陥を減少させることもできる。
【0006】
実施形態によっては、装置には、気体を供給するよう構成された第1通路、および、第1通路と流体連通して液体を供給するよう構成された第2通路が設けられている。装置には、第1通路からの気体を第2通路からの液体と混ぜ合わせて気液混合物を生成するよう構成された分岐結合部が更に設けられている。装置は、分岐結合部と流体連通して気液混合物をガラス成形ロールに撒き散らすよう構成された導管も備えている。
【0007】
実施例によっては、導管は少なくともその一部がガラス成形ロールの空洞内に配置されているものもある。実施例によっては、導管には複数の開口が設けられているものもある。実施例によっては、気液混合物が導管内の複数の開口により撒き散らされることで、ガラス成形ロールの空洞の内面の少なくとも一部と接触するようにしたものもある。
【0008】
実施例によっては、装置は温度センサに通信可能に接続されたコントローラを備えているものもあり、その場合、温度センサは、ガラス成形ロールの温度を検出するように構成されている。これに加えて、コントローラは、温度センサからガラス成形ロールの温度を受信するように構成されている。
【0009】
実施例によっては、装置はコントローラに通信可能に接続された気流制御部を備えているものもあり、その場合、気流制御部は、第1通路内の気体の流れ(例えば、流量)を調整するように構成されている。実施例によっては、コントローラは、気流制御部に信号を供与することで気体の流れを調整するように構成されているものもある。
【0010】
実施例によっては、装置は、コントローラに通信可能に接続された液流制御部を備えているものもあり、その場合、液流制御部は、第2通路内の液体の流れ(例えば、流量)を調整するよう構成されている。実施例によっては、コントローラは、液流制御部に信号を供与することで液体の流れを調整するように構成されているものもある。
【0011】
実施形態によっては、装置は、命令を記憶しているメモリ装置と、メモリ装置に通信可能に接続された少なくとも1つの演算処理装置を有しているコントローラとを備えているものもある。少なくとも1つの演算処理装置は、命令を実行してコントローラに各種作業を実施させるが、該作業の1つに、第1信号送信することで第1通路内に第1の空気体積流量で空気の流れを生じさせる作業がある。該作業には、第2信号を送信することで第2通路内に第1の水体積流量で水の流れを生じさせる作業も含まれている。空気の流れは分岐結合部で水の流れと混ぜ合わされて気水混合物を生成し、気水混合物を撒き散らすことでガラス成形ロールを冷却する。
【0012】
実施例によっては、上記の各種作業の1つに、ガラス成形ロールの温度を検出するよう構成された温度センサから温度を受信する作業を含んでいるものもある。該作業にはまた、温度に基づいて水の流れを調節することで第2の水体積流量になるようにする作業が含まれていることもある。
【0013】
実施形態によっては、ガラス成形ロールを冷却する方法は、第1通路に空気を流すこと、第1通路と流体連通している第2通路に水を流すことを含んでいる場合がある。この方法にはまた、分岐結合部で第1通路からの空気を第2通路からの水と混ぜ合わせて、気水混合物を生成することも含まれている。この方法は、気水混合物をガラス成形ロールに撒き散らすことも更に含んでいる。
【0014】
実施例によっては、上記の方法は、ガラス成形ロールの空洞内に気水混合物を撒き散らすことを含んでいるものもある。
【0015】
実施例によっては、上記の方法は、ガラス成形ロールの温度を受信することと、温度に基づいて第2通路を通って流れている水の流量を調整することを含んでいるものもある。
【0016】
実施例によっては、上記の方法は、ガラス成形ロールの温度を受信することと、温度に基づいて第1通路を通って流れている空気の流量を調整することを含んでいるものもある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
具体例の各実施形態の上述の概要および次項以降の詳細な説明は、添付の図面と併せて理解するとよい。各図面は、本明細書で論じてゆく具体例の各実施形態の幾つかを示している。次項以降で更に説明するように、特許請求の範囲は具体例の実施形態に限定されない。明確にするとともに読み易くするために、各図面は或る諸々の特徴の図を省略している場合がある。
図1】幾つかの実施例による、ガラス成形ロールの冷却系が設けられた具体的なガラス成形装置を例示した概略図。
図2】幾つかの実施例による、具体的なガラス成形ロールの冷却系のブロック図。
図3】幾つかの実施例による、具体的なガラス成形ロールの冷却系の各部を例示した図。
図4】幾つかの実施例による、もう1つ別の具体的なガラス成形ロールの冷却系の各部を例示した図。
図5】幾つかの実施例による、更にもう1つ別の具体的なガラス成形ロールの冷却系の各部を例示した図。
図6】幾つかの実施例による、ガラス成形ロールの冷却系により実行することができる具体的な方法を例示した図。
図7】幾つかの実施例による、ガラス成形ロールの冷却系により実行することができるもう1つ別な具体的方法を例示した図。
図8】幾つかの実施例による、ガラス成形ロールの冷却系により実行することができる更にもう1つ別の具体的方法を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本願は、具体的な(すなわち、実施例の)各種の実施形態を開示している。本件開示はそのような具体的な実施形態に限定されるものではない。よって、特許請求の範囲の各請求項の大半の実装例は、具体的な実施形態とは異なっていることになる。本件開示の真髄および範囲から逸脱せずに、特許請求の範囲の各請求項には多様な修正を施すことができる。特許請求の範囲は各実装例をそのような修正と併せて網羅している。
【0019】
時により、本願は、図面を参照しながら読者に状況を説明するために方向用語(例えば、前、後、上、下、左、右など)を使用することがある。しかしながら、特許請求の範囲は、図面に示された向きに限定されない。どの絶対的な用語 (例えば、高い、低い、など) も、それに対応する相対的な用語 (例えば、高いほうの、低いほうの、など) を開示しているものと理解するとよい。
【0020】
本件開示は、ガラスの成形中にガラス成形システムのガラス成形ロールを冷却することを目的とした装置およびその方法を提示している。各実施形態は、水などのような液体と空気などのような気体との組み合わせを利用して、1つ以上のガラス成形ロールから熱を放散することができる。各実施形態は、更に、ガラス成形ロールの各部への液体および気体の付与に基づいて、ガラス成形ロールからの熱放散を自動制御するようにしてもよい。
【0021】
実施例によっては、気体は、窒素、ヘリウム、または、何であれこれら以外の好適な気体であればよく、液体は、グリコールと水の混合物、冷媒、脱イオン水、または、何であれこれら以外の好適な液体であればよい。
【0022】
上記以外の利点の中でも、各実施形態は、溶融ガラスの全幅または幅の各部に亘ってより均一な冷却を実行できるようにし、それによって、ガラス成形処理が波状面、亀裂、または、厚さのばらつきなどのような欠陥を伴う可能性を低減している。例えば、各実施形態は、従来のガラス成形システムで製造されたガラスと比較して欠陥の少ないガラス製造を実現することができる。当業者は、このような開示の利点を得て、それら以外の利点も認識すると推察される。
【0023】
実施例によっては、ガラス成形システムは、ガラス成形装置上の溶融ガラスを延伸成形する1つ以上のガラス成形ロールを備えているものもある。このガラス成形システムは、水と空気の混合物に基づいて各々のガラス成形ロールから熱を放散させることができるガラス成形ロールの冷却系を更に備えている。例えば、ガラス成形ロールの冷却系は、水と空気を混ぜ合わせたうえで、合わさった水と空気の混合物を各ガラス成形ロールの内面に供給することができる。水と空気の混合物はガラス成形ロールから熱を放散させることができ、次いで混合物はガラス成形ロールから遠ざけることができる。
【0024】
実施例によっては、ガラス成形ロールの冷却系は空気圧の量と水流の量を制御し、この空気圧と水流が合わさることでガラス成形ロール冷却用の空気と水の混合物を生成するようにしたものもある。例えば、ガラス成形ロールの冷却系は、空気の流れを制御するための1つ以上の気圧計、空気制御弁、または、その両方、および、水の流れを制御するための1つ以上の流量計、定量弁、または、その両方を備えているとよい。
【0025】
実施例によっては、空気圧の量および水流の量は、ユーザ(例えば、ガラス成形ロールの冷却系の操作員)によって設定されるものもある。実施例によっては、ガラス成形ロールの冷却系は、ガラス成形ロールの検出温度に基づいて、1つ以上の気圧の量および1つ以上の水流の量を自動的に判定するものもある。例えば、ガラス成形ロールの冷却系は、溶融ガラスの延伸降下中に各ガラス成形ロールの1つ以上の温度を受信するようにしてもよい。検出温度に基づいて、ガラス成形ロールの冷却系は1つ以上の気圧計を設定することで或る量の空気を供給するように図っている。
【0026】
例えば、検出温度が或る温度範囲を上回っている場合は、ガラス成形ロールの冷却系は、ガラス成形ロールに供給される空気量を増加させるようにするとよい(例えば、気圧計により空気圧を上昇させることによって)。但し、検出温度が温度範囲を下回っている場合は、ガラス成形ロールの冷却系が空気量を減少させるとよい(例えば、気圧計により空気圧を降下させることによって)。
【0027】
同様に、検出温度が温度範囲を上回っている場合、ガラス成形ロールの冷却系は、ガラス成形ロールに供給される水流の量を増加させるようにするとよい(例えば、水栓弁を更に開くことによって)。但し、検出温度が温度範囲を下回っている場合、ガラス成形ロールの冷却系は、水流の量を減らすようにするとよい(例えば、水栓弁を更に閉じることによって)。
【0028】
実施例によっては、各ガラス成形ロールに供給される空気の量、水の量、または、その両方の量は、機械学習モデルなどのような1つ以上のアルゴリズムの実行に基づいて判定されるものもある。例えば、アルゴリズムは、ガラス成形ロールの検出温度、ガラスの種類、製造されているガラスの(例えば、所望の)厚さ、現在の環境温度(例えば、室温)、ガラス成形ロールの材料の種類などのうち1つ以上に基づいて、空気の量を調整するか否かを判定することができる。
【0029】
実施例によっては、装置には、気体を供給するよう構成された第1通路、および、第1通路と流体連通して液体を供給するよう構成された第2通路が設けられているものもある。実施例によっては、気体は、空気、酸素、窒素、ヘリウム、または、何であれこれら以外の好適な気体であればよく、液体は、水、グリコールと水の混合物、冷媒、脱イオン水、または、何であれこれら以外の好適な液体であればよい。
【0030】
装置にはまた、第1通路からの気体を第2通路からの液体と混ぜ合わせて気液混合物を生成するよう構成された分岐結合部も設けられている。装置は、分岐結合部と流体連通して気液混合物をガラス成形ロールに撒き散らすよう構成されたノズルを更に備えている。
【0031】
実施例によっては、ノズルは少なくともその一部がガラス成形ロールの空洞内に配置されているものもある。実施例によっては、ノズルには複数の開口が設けられているものもある。実施例によっては、気液混合物は複数の開口を通して撒き散らされて、気液混合物をガラス成形ロールの空洞の内面の少なくとも一部と接触させるようにしたものもある。
【0032】
実施例によっては、装置は温度センサに通信可能に接続されたコントローラを備えているものもあり、その場合、温度センサはガラス成形ロールの温度を検出するように構成されており、コントローラは温度センサからガラス成形ロールの温度を受信するように構成されている。
【0033】
実施例によっては、装置は、コントローラに通信可能に接続されて第1通路内の気体の流れ(例えば、流量)を調整するように構成された気流制御部を備えているものもある。実施例によっては、コントローラは、気流制御部に信号を供与して気体の流れを調整するように構成されているものもある。
【0034】
実施例によっては、装置は、コントローラに通信可能に接続されて第2通路内の液体の流れ(例えば、流量)を調整するよう構成された液流制御部を備えているものもある。実施例によっては、コントローラは、液流制御部に信号を供与することで液体の流れを調整するよう構成されているものもある。
【0035】
実施例によっては、第2信号を液流制御部に供与する工程が、ガラス成形ロールの温度が或る温度範囲内にないことを判定する工程を含んでいるものもあるが、この場合、温度範囲には最高温度と最低温度がある。これに加えて、ガラス成形ロールの温度が最高温度を上回る状況に備えて、コントローラは、液流制御部に第2信号を供与することで液体の流れを増加させるよう構成されている。それ以外にも、ガラス成形ロールの温度が最低温度を下回る状況に備えて、コントローラは、液流制御部に第2信号を供与することで液体の流れを減少させるよう構成されている。
【0036】
実施例によっては、装置は、第1通路内の気体の気圧を測定するよう構成された気圧計を備えているものもある。実施例によっては、装置は、気圧計に通信可能に接続されたコントローラを備えているものもある。コントローラは、第1通路内の空気の気圧を同定するデータを気圧計から受信するよう構成されている。
【0037】
実施例によっては、装置は、第2通路内の液体の流量を測定するように構成された液体流量計を備えているものもある。実施例によっては、装置は、液体流量計に通信可能に接続されたコントローラを備えているものもある。コントローラは、第2通路内の液体の流量を同定するデータを流量計から受信するように構成されている。
【0038】
実施例によっては、装置は、各種命令を保存しているメモリ装置と、メモリ装置に通信可能に接続された少なくとも1つの演算処理装置を有しているコントローラとを備えているものもある。少なくとも1つの演算処理装置は、命令を実行し、コントローラに第1信号を送信させることで第1通路内に第1の空気体積流量の空気の流れを生じさせるとともに、コントローラに第2信号を送信させることで第2通路内に第1の水体積流量の水の流れを生じさせるように構成されている。空気の流れは分岐結合部で水の流れと混ぜ合わされて気水混合物を生成し、気水混合物を撒き散らすことでガラス成形ロールを冷却する。空気および水に関して説明してきたが、好適であればどんな気体やどんな液体であれ、空気および水それぞれの代用としてもよい。
【0039】
実施例によっては、コントローラは、ガラス成形ロールの温度を検出するように構成された温度センサに第3信号を送信するとともに、第3信号の送信に応答して温度センサから温度を受信するように構成されているものもある。コントローラはまた、温度に基づいて水の流れを調節して第2の水体積流量にするようにも構成されている。
【0040】
実施例によっては、水の流れを調整する工程は、温度が或る温度範囲外であることを判定する工程、および、この判定に基づいて流水を増加させて第2の水体積流量になるようにする工程を含んでいるものもある。
【0041】
実施例によっては、水の流れを調整する工程は、複数の温度範囲の各々を或る1つの水体積流量範囲と関連付けている表に基づいて第2の水体積流量を判定する工程を含んでいるものもある。
【0042】
実施例によっては、水の流れを調整する工程は、機械学習アルゴリズムを実行することで第2の水体積流量を判定する工程を含んでいるものもある。
【0043】
実施例によっては、コントローラは、第1通路内の空気の第1気圧を気圧計から受信するよう構成されているものもあり、その場合、コントローラは、空気の第1気圧に基づいて第1の水体積流量の水の流れを引き起こすよう構成されている。
【0044】
実施例によっては、コントローラは、第1の水体積流量を流量計から受信するように構成されているものもある。
【0045】
実施例によっては、ガラス成形ロールを冷却する方法は、第1通路を介して空気を供給する工程、および、第1通路と流体連通している第2通路を介して水を供給する工程を含んでいるものもある。斯かる方法はまた、第1通路からの空気を第2通路からの水と分岐結合部で混ぜ合わせることで気水混合物を生成する工程を含んでいる。斯かる方法は、気水混合物をガラス成形ロールに撒き散らす工程を更に含んでいる。空気および水に関して説明してきたが、何であれ好適な気体および好適な液体を空気および水それぞれの代用としてもよい。
【0046】
実施例によっては、上記の方法は、ガラス成形ロールを用いて成形装置から溶融ガラスを延伸成形する工程を含んでいるものもあり、その場合、溶融ガラスの延伸成形持続中に気水混合物を撒き散らす上記工程が実施される。
【0047】
実施例によっては、斯かる方法は、ガラス成形ロールの温度を受信するとともに、この温度に基づいて第2通路を介して供給される水の流量を調整する工程を含んでいるものもある。
【0048】
実施例によっては、斯かる方法は、ガラス成形ロールの温度を受信するとともに、この温度に基づいて第1通路を介して供給される空気の流量を調整することを含んでいるものもある。
【0049】
図1を参照すると、ガラス成形装置20は、開放液路24が設けられた成形用楔型部材22を備えており、該部材はその長軸線方向の両面を壁25および壁26が包んでいる。壁25および壁26は各々の上端域あたりで、対向して長軸線方向に伸びる越水堰27および越水堰28の態様でそれぞれ終端している。越水堰27および越水堰28は一対の対向する概ね垂直の成形面30と一体であり、これら成形面30が今度は、一対の対向する下向きに傾斜した集束成形面32と一体になっている。この一対の下向きに傾斜した集束成形面32は、成形用楔型部材22の根底部34を構成している概ね水平な最下尖部で終端している。実施例によっては、下向きに傾斜した集束成形面32は各々が一対のエッジ案内部材50を備えているものもある。
【0050】
溶融ガラスは、開放液路24と流体連通している給送路38によって開放液路24内に給送される。越水堰27および越水堰28より上位に、開放液路24の両端の各々に隣接して一対の堤防40が設けられていることで、溶融ガラスの自由表面42が越水堰27、28を越えて溢れるのを溶融ガラスの分流として案内する。便宜上、給送路38に隣接している側の開放液路24の端部にある一対の堤防40が図示されている。溶融ガラスの分流は、一対の対向する概ね垂直な成形面30および一対の対向する下向きに傾斜した集束成形面32を越えて根底部34に流れ落ち、その部位で溶融ガラスの分流が集束してガラスリボン44を形成する。エッジ案内部材50は両対のいずれもが、溶融ガラスが根底部34に到達するまで、それぞれの下向きに傾斜した集束成形面32に沿って溶融ガラスを保持する。
【0051】
ガラス成形ロール46(例えば、板引きロール)は、成形楔型部材22の根底部34の下流側に配置されており、ガラスリボン44の両側で側縁48と係合することでガラスリボン44に張力を付与する。ガラス成形ロール46の位置は、その部位でガラスリボン44の厚さが必ず一定になるようにするのに十分なだけ根底部34よりも下方に決めるとよい。板引きロール46はガラスリボン44を、根底部34で成形する時にその厚さを樹立する所定の速度で下方に延伸させるとよい。
【0052】
ガラス成形ロール46は各々が回転継ぎ手80に動作可能に連結(例えば、取付け)されており、該継ぎ手はロールが個々に回転することができるようにする。図示されていないが、各々の回転継ぎ手80の回転速度は、 1つ以上の演算処理装置などのような、1つ以上の制御装置によって制御することができる。更に、回転継ぎ手80は各々に内側通路81が設けられており、該通路により気水混合物を各ガラス成形ロール46の内面に供給することができるようにしてもよい。例えば、回転継ぎ手80の内部空洞が通路81を形成しているようにしてもよい。空気および水に関して説明してきたが、何であれ好適な気体および好適な液体を空気および水それぞれの代用としてもよい。
【0053】
以下に上記以外の各図面に関して例証および説明してゆくが、通路81は各々が各ガラス成形ロール46の内部の導管に通じており、該導管により複数の開口を通してガラス成形ロール46の内面へ気水混合物を撒き散らすようにしてもよい。例えば、通路81は各々が、気水混合物を流すことができる管を備えているとよい。管には複数の開口が設けられていることで気水混合物を拡散させるように図ってもよい。通路81は各々が、少なくともその一部がガラス成形ロール46の空洞内に配置されているとよい。例えば、空気の圧力により、ガラス成形ロール46の空洞内で水を液滴に拡散させるようにするとよい。
【0054】
実施例によっては、空気と水の流れは、図2に関連づけて説明するガラス成形ロールの冷却制御システム10などのような、ガラス成形ロール冷却制御システムによって制御されるものもある。例えば、ガラス成形ロール46ごとに、気圧計、空気制御弁、または、その両方によって通路81に空気が流入できるようにし、また、水の流量計、水栓弁、または、その両方によって通路81に水が流入できるようにする。
図1は具体的なレーザビーム制御システム10も例示しているが、該システムには、レーザビーム13を発生させて放射するよう構成されたレーザ発生器12が設けられている。一実施形態では、レーザビーム13は、根底部34より下位で(例えば、直下で)溶融ガラスに当てられるが、その場合、レーザビーム13によって供与されるレーザビームエネルギーは、溶融ガラスを横切る複数の入射点において均一である。レーザビーム13は、レーザ発生器12によって、例えば、反射装置14を介して溶融ガラスに当てることができる。1つのレーザ発生器12が反射装置14に対してレーザビーム13を発生させているのが図示されているが、実施例によっては、追加のレーザビーム制御システム10が追加のレーザ発生器12、追加の反射装置14、または、その両方を使用できるようにしたものもある。例えば、レーザビーム制御システム10は、第2のレーザ発生器12を使用して、反射装置14を介して溶融ガラスにレーザビームを当てるようにしてもよい。もう1つ別の実施例として、レーザビーム制御システム10は、第2のレーザ発生器12を使用することで第2の反射装置14を介して溶融ガラスにレーザビームを当てるようにしても構わない。
【0055】
一実施形態では、反射装置14には反射面15が設けられており、該反射面は、レーザ発生器12によって発生および放射されてから反射されて溶融ガラスの少なくとも所定の複数部分に当てられるレーザビーム13を受光するように構成されているとよい。反射装置14は、例えば、レーザ発生器12からのレーザビームを偏向させるように構成されたミラーであるとよい。従って、反射装置14は、ビーム操縦装置、ビーム走査装置、または、ビーム操縦走査装置として機能することができる。図1においては、レーザビーム13は反射装置14により反射レーザビーム17として溶融ガラスの予め選択された複数の部分に向けて前進させられているように例示されている。
【0056】
一実施例における反射面15は、金で被膜されたミラーから構成されているとよいが、それ以外の各実施例では、上記以外の各種のミラーを使用してもよい。金で被膜されたミラーは、或る応用例では、例えば、赤外線レーザに比べて優れた一貫した反射率をもたらすので望ましい場合がある。更に、金で被膜されたミラーの反射率は、レーザビーム13の入射角と事実上無関係であり、従って、金で被膜されたミラーは、走査ミラーまたはレーザビーム操縦ミラーとして特に有用である。
【0057】
図1に例示した実施形態の反射装置14は調節機構16(例えば、ガルバノメータやポリゴンスキャナなど)を備えていることもあり、該機構は、レーザビーム13の受光に対する反射装置14の反射面15の姿勢とエッジ案内部材50の予め選択された部分の位置とを調整するよう構成されている。具体例を挙げると、反射装置14は、反射面15を回転または傾斜させることでレーザビーム13を、例えば、反射レーザビーム17としてエッジ案内部材50の所定の部分に当てるようにしてもよい。
【0058】
一実施例によれば、調節機構16は、反射面15と動作可能に結び付いたガルバノメータを備えており、該ガルバノメータにより反射面15がガラスリボン44に関連する軸線に沿って回転することができるよう図っている。例えば、反射面15は、ガルバノメータ・モータによって駆動されて二重矢印19によって示されるように軸線18aを中心として回転する回転軸18に取り付けられる。
【0059】
図2は具体例のガラス成形ロールの冷却制御システム10の各部を例示しており、該システムは制御電算機52を備えており、該制御電算機は少なくとも1つのガラス成形ロール制御部55、少なくとも1つの水流制御部75、少なくとも1つの気流制御部65、および、少なくとも1つの温度センサ85に通信可能に接続されている。制御電算機52は、1つ以上の演算処理装置、現場でプログラミングできる1つ以上の論理回路配列(FPGAすなわちフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ)、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のステート・マシン、1つ以上のデジタル回路、または、何であれそれ以外の好適な回路を備えているとよい。実施形態によっては、制御電算機52は、任意の好適なハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの両方(例えば、メモリに保存された命令を実行する1つ以上の演算処理装置)に実装することのできるものもある。具体的には、例えば、読取り専用メモリ(ROMすなわちリード・オンリ・メモリ)、電気的消去可能でプログラミング可能な読取り専用メモリ(EEPROMすなわちイー・イー・ピー・ロム)、フラッシュメモリ、取出し可能ディスク、CD-ROM、任意の不揮発性メモリ、何であれこれら以外の好適なメモリなどのような、持続的な電算機読取り可能な媒体は各種命令を保存することができ、これら命令を制御電算機52の任意の1つ以上の演算処理装置によって取得および実行することで、本明細書に記載されている1つ以上の諸機能を実行することができるよう図っている。
【0060】
ガラス成形ロール制御部55はこれに対応する回転継ぎ手80の回転を制御することができ、延いては、該回転継ぎ手はこれに対応するガラス成形ロール46を回転させる。例えば、ガラス成形ロール制御部55は回転継ぎ手80の回転速度(例えば、1秒毎の回転角度)を制御することができる。実施例によっては、ガラス成形ロール制御部55はこれに対応する回転継ぎ手80の制御装置である場合もある。
【0061】
水流制御部75は、回転継ぎ手80の通路81に供給される水流を制御することができる。例えば、水流制御部75は、1つ以上の定流弁により通路81に供給される水の体積流量(例えば、1分毎のリットル量)を制御することができる。実施例によっては、水流制御部75は現在の水の体積流量を供給することができるものもある。例えば、水流制御部75は、1つ以上の信号に応答して、通路81に供給されている水の量を供給することができる。実施例によっては、水流制御部75は、通路81を通って進行中の水の量を検出するよう構成された流量計によって検出された量の水を供給する場合もある。水流制御部75は、水の流れを制御するものとして図示および説明されているが、何であれ好適な液体の流れを制御することができる適切なものであれば、どんな液流制御装置であってもよい。
【0062】
気流制御部65は、回転継ぎ手80の通路81に供給される空気の流れを制御することができる。例えば、気流制御部65は、1つ以上の気流制御弁により通路81に供給される空気の体積流量を制御することができる。実施例によっては、気流制御65はまた、現在の空気の体積流量を提供することができる。例えば、気流制御部65は、1つ以上の信号に応答して、回転継ぎ手80の通路81に供給されている量の空気を供給することができる。実施例によっては、気流制御部65は、通路81を通って進行中の空気の量を検出するよう構成された流量計によって検出された量の空気のを供給する場合もある。気流制御部65は、空気の流れを制御するものとして図示および説明してきたが、何であれ好適な気体の流れを制御することのできる適切なものであれば、どんな気流制御装置であってもよい。
【0063】
実施例によっては、制御電算機52は信号をガラス成形ロール制御部55に送信することで、ガラス成形ロール46の回転速度を調整するよう図っているものもある。例えば、制御電算機52は、ガラス成形ロール46の回転速度を増減する目的で信号を送信することができる。
【0064】
実施例によっては、制御電算機52は、水流制御部75に信号を送信することで、回転継ぎ手80の通路81に供給されている水の体積流量などのような、水流量を調節するよう図っているものもある。例えば、制御電算機52は、通路81に供給されている水の体積流量を増減する目的で信号を送信することができる。
【0065】
実施例によっては、ユーザが、通路81に供給するべき水の体積流量を示す環境設定値を入力する(例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスにより制御電算機52に送る)ようにしてもよいものもある。環境設定値は、例えば、不揮発性メモリに保存することができる。制御電算機52は環境設定値を読み取ることができるとともに、環境設定値に基づいて水の体積流量を判定することもできる。次に、制御電算機52は、水体積流量を同定して特徴付ける水流データを生成することができるとともに、水流データを水流制御部75に送信することで判定済みの水流量を設定することもできる。
【0066】
一実施例として、制御コンピュータ52は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ)に保存された水流表に基づいて水の体積流量を判定するようにしてもよい。水流表は、複数の環境設定値の各々を水の体積流量(または、水の体積流量範囲)に関連付けしているとよい。制御電算機52は、ユーザによって入力された環境設定値と一致する複数の環境設定値のうちの1つに対応させて、水の体積流量を決定することができる。実施例によっては、制御電算機52は、環境設定値を水の体積流量に置き換えるアルゴリズムの実行に基づいて水の体積流量を決定する。
【0067】
実施例によっては、制御電算機52は、1つ以上の検出温度に基づいて水の体積流量を判定する。例えば、温度センサ85がガラス成形ロール46に動作可能に接続されているとよい。制御電算機52は、温度センサ85から(例えば、信号に応答して)温度を受信することができるうえに、この検出温度に基づいて水の体積流量を判定することができる。一実施例として、制御電算機52は、温度を水の体積流量に関連付けている表に基づいて水の体積流量を判定するとよい。表は、例えば、実験的に決定されてもよい。
【0068】
実施例によっては、表が複数の温度範囲の各々を水の体積流量範囲と関連付けているものもある。制御電算機52は、検出温度が含まれる温度範囲を決定することができるうえに、水の体積流量がこれと対応する水の体積流量範囲内になるようにすることができる。
【0069】
もう1つ別の実施例として、制御電算機52は、検出温度に基づいて水の体積流量を生成するアルゴリズムを実行することに基づいて、水の体積流量を判定するようにしてもよい。このアルゴリズムは、温度と水流量を同定する諸機能に基づいて養成された機械学習モデルであるとよい。実施例によっては、機械学習モデルは、ガラス成形ロール46の温度、溶融ガラスの種類、製造中のガラスの所望のガラス厚さ、現在の環境温度、および、ガラス成形ロール46の材料の種類などのうちの1つ以上を同定しているデータを用いて養成されるものもある。
【0070】
実施例によっては、制御電算機52は気流制御部65に信号を送信することで、回転継ぎ手80の通路81に供給されている空気の体積流量などのような空気の流れ(例えば、空気の流量、空気圧など)を調整するものもある。例えば、制御電算機52は、通路81に供給されている空気の体積流量を増減させる目的で信号を送信することができる。
【0071】
実施例によっては、ユーザが、通路81に供給するべき空気の体積流量を示す環境設定値を入力する(例えば、グラフィカル・ユーザ・インターフェイスにより制御電算機52に送る)ようにしてもよいものもある。環境設定値は、例えば、不揮発性メモリに保存されるとよい。制御電算機52は、環境設定値を読み取ることができるとともに、環境設定値に基づいて空気の体積流量を判定することができる。次に、制御電算機52は、空気の体積流量を同定および特徴付けている空気流データを生成することができるとともに、空気流データを気流制御部65に送信することで、判定済みの空気の体積流量を設定することができる。
【0072】
一実施例として、制御電算機52は、メモリ(例えば、不揮発性メモリ)に保存された気流表に基づいて空気の体積流量を判定するようにしてもよい。気流表は、複数の環境設定値の各々を空気の体積流量(または、空気の体積流量範囲)に関連付けているようにするとよい。制御電算機52は、ユーザによって入力された環境設定値と一致する複数の環境設定値のうちの1つに対応させて、空気の体積流量を決定することができる。実施例によっては、制御電算機52が、環境設定値を空気の体積流量に置き換えるアルゴリズムの実行に基づいて空気の体積流量を決定するものもある。
【0073】
実施例によっては、制御電算機52は、1つ以上の検出温度に基づいて空気の体積流量を判定するものもある。例えば、温度センサ85がガラス成形ロール46に動作可能に接続されているとよい。制御電算機52は、温度センサ85から(例えば、信号に応答して)温度を受信することができるとともに、検出温度に基づいて空気の体積流量を判定することができる。一実施例として、制御電算機52は、温度を空気の体積流量に関連付けている表に基づいて空気の体積流量を判定することができる。表は、例えば、実験的に決定することができる。
【0074】
実施例によっては、表が複数の温度範囲の各々を空気の体積流量範囲と関連付けているものもある。制御電算機52は、検出温度を含む温度範囲を決定することができるうえに、空気の体積流量がこれと対応する空気の体積流量範囲内になるようにすることができる。
【0075】
もう1つ別の実施例として、制御電算機52は、検出温度に基づいて空気流の量を生成するアルゴリズムの実行に基づいて、空気の体積流量を判定するようにしてもよい。このアルゴリズムは、温度と空気流の量を同定する諸機能に基づいて養成された機械学習モデルであるとよい。実施例によっては、機械学習モデルは、ガラス成形ロール46の温度、溶融ガラスの種類、製造中のガラスの所望のガラス厚さ、現在の環境温度、および、ガラス成形ロール46の材料の種類などのうちの1つ以上を同定するデータを用いて養成されるものもある。
【0076】
実施例によっては、制御電算機52は、現在の空気流の量および1つ以上の検出温度に基づいて水の体積流量を判定する。例えば、制御電算機52は、ガラス成形ロール46に接続された温度センサ85から温度を受信することができる。制御電算機52は、現在の気流(例えば、気流制御部65によって現在設定されている)に基づいて水流の量を生成するアルゴリズムを実行することができる。アルゴリズムは、例えば、温度、空気流の量、および、水流の量を同定する監視データを使って養成された機械学習アルゴリズムであるとよい。制御電算機52は、判定済みの水の体積流量に応じた水流が通路81に供給されるように、水流制御部75を設定することができる。
【0077】
実施例によっては、制御電算機52が、現在の水流の量および1つ以上の検出温度に基づいて空気の体積流量を判定するものもある。例えば、制御電算機52は、ガラス成形ロール46に接続された温度センサ85から温度を受信することができる。制御電算機52は、現在の水流(例えば、水流制御部75によって現在設定されているような水流)および検出温度に基づいて空気流の量を生成するアルゴリズムを実行することができる。このアルゴリズムは、例えば、温度、空気流の量、および、水流の量を同定する監視データを使って養成された機械学習アルゴリズムであるとよい。制御電算機52は、判定済みの空気の体積流量に応じた空気流が通路81に供給されるように、気流制御部65を設定することができる。
【0078】
図3は、図1のガラス成形装置20で使用することができるガラス成形ロールの冷却系300の具体的な各部を例示している。図示のように、回転継ぎ手80には、空気と水の混合物が通過する通路81が設けられている。例えば、空気は空気通路303を経由して(例えば、空気圧縮機により)供給されるとよいし、水は水通路305を経由して供給されるとよい。空気通路303および水通路305は各々が、管、ホース、パイプ、または、何であれそれ以外の好適な各種の通路であればよい。水通路305は、(例えば、水ポンプからの)水を供給し、延いては、その水が通路の分岐結合部311で空気通路303を通って進行する空気と混ぜ合わされることで気水混合物を生成する。例えば、通路の分岐結合部311は、第1入口を介して空気通路303に接続しているとともに第2入口を介して水通路305に接続している3分岐管結合部であるとよい。通路の分岐結合部311で混ざり合った後、気水混合物は気水混合物通路313を通って回転継ぎ手80の通路81に進行する。
【0079】
実施例によっては、気流制御部65は空気通路303を介して供給される空気の体積流量を調節し、水流制御部75は水通路305を介して供給される水の体積流量を調節する。例えば、気流制御部65は空気通路303に空気流を供給する空気圧縮機の制御装置であってもよい。水流制御部75は、水通路305を介して水を供給する水ポンプなどのような、給水機の制御装置であってもよい。
【0080】
制御電算機52は、気流制御部65と通信することによって、空気通路303を通して供給される空気の体積流量を制御することができるとともに、水流制御部75と通信することによって、水通路305を通して供給される水の体積流量を制御することができる。
【0081】
更に、ガラス成形ロールの冷却系300は、空気通路303に動作可能に接続された気圧計302と水通路305に動作可能に接続された流量計304とを備えている。気圧計302は、空気通路303内の空気圧を測定することができるとともに、水通路305を通る水の流れを測定することができる。制御電算機52は、気圧計302および流量計304の各々に通信可能に接続されているとよい。実施例によっては、気圧計302が気流制御部65の補助的装置であるものや、流量計304が水流制御部75の補助的装置であるものもある。
【0082】
例えば、制御電算機52は、気圧計302に信号を送信し、それに応答して、気圧計302から空気圧読取り値(例えば、空気通路303内の空気圧を同定するデータなど)を受信することができる。同様に、制御電算機52は流量計304に信号を送信し、それに応答して、流量計304から水流の読取り値(例えば、水通路305内の水の流量を同定するデータなど)を受信することができる。
【0083】
通路の分岐結合部311で混ざり合った後、気水混合物は、気水混合物通路313を通って通路81に進行する。次いで、気水混合物は、通路81を通って進行して、複数の開口308が設けられた導管306に到達する。実施例によっては、導管は、スプレーノズルなどのようなノズルであるものもある。複数の開口308により、ガラス成形ロール46の空洞内で気水混合物を(例えば、気水噴霧として)撒き散らすことができる。実施例によっては、複数の開口308は各々が互いから等距離に離隔しているものもある。実施例によっては、複数の開口が離隔していることで、ガラス成形ロール46の空洞内に気水混合物を均一に撒き散らすよう図っているものもある。
【0084】
図4は、導管306がガラス成形ロール46の内部空洞410内に置かれた状態の、具体的なガラス成形ロールの冷却系400を例示している。これに加えて、ガラス成形ロールの冷却系400には出口通路402が設けられており、該出口通路により気水混合物はガラス成形ロール46の内部空洞410を出ることができる。
【0085】
例えば、気水混合物が導管306の複数の開口308により撒き散らされると、気水混合物はガラス成形ロール46の内面412に接触することができる。内面412が内部空洞410を形成しているようにしてもよい。気水混合物は、内面412から熱を放散させることができる。追加の気水混合物が内部空洞410内に供給されると、内部空洞内の圧力が上昇させることができる。上昇した圧力により、気水混合物が出口通路402を経由して流出させることができる。実施例によっては、ポンプが気水混合物を内部空洞410から汲み出すものもある。例えば、制御電算機52は、ポンプ汲み出し速度を増減少させることができる。
【0086】
実施例によっては、ガラス成形ロールの冷却系400は、ガラス成形ロール46の温度を検出することができる1つ以上の温度センサ85を備えているものもある。実施例によっては、温度センサ85は、内部空洞410の内部の温度を検出できるように位置決めされているものもある。例えば、温度センサ85は、ガラス成形ロール46の内面412に取り付けることができる。実施例によっては、温度センサ85は、ガラス成形ロール46の外面417付近の温度を検出することができるように位置決めされているものもある。例えば、温度センサ85は、ガラス成形ロール46の壁418の内部に埋め込むことができる。制御電算機52が各温度センサ85に通信可能に接続されているとともに、温度センサから温度の読取り値を受信するように動作可能である。
【0087】
図5は、多様な設計の熱放散能力および熱除去能力を判定するために使用することができるガラス成形ロール冷却系の試験環境500を例示している。ガラス成形ロール冷却系の試験環境500は、ガラス成形ロール46の外面417に熱を供与するする加熱手段のことを斟酌している。この実施例では、誘導加熱が利用される。複数の電磁誘導コイル504が絶縁層502を通してガラス成形ロールの外面417に熱を供与する。複数の温度センサ85は、導管306を基点にした多様な距離で温度を検出する。例えば、1つの温度センサ85がガラス成形ロール46の内面412により近い位置で温度を検出し、もう1つ別の温度センサがガラス成形ロール46の外面417により近い位置で温度を検出するとよい。多様な位置で検出された温度間の温度差に基づいて、熱流束(例えば、熱放散)を測定するとよい。
【0088】
例えば、制御電算機52は、ガラス成形ロールの内面412付近の温度を測定する温度センサ85から第1温度を受信するとともに、ガラス成形ロール46の外面417付近の温度を測定するもう1つ別の温度センサ85からも第2温度を受信するとよい。制御電算機52は2つの間の差を判定することができるとともに、その差に基づいて熱放散の量を判定することができる。例えば、制御電算機52は、当該技術分野で周知のような、熱放散を判定するアルゴリズムを実行することができる。
【0089】
一実施例として、制御電算機52が空気圧縮機に空気通路303を介して第1の空気体積流量で空気を供給させるとともに水ポンプに通路303を介して第1の水体積流量で水を供給させることを想定してみる。制御電算機52は、ガラス成形ロール46の外面417付近で検出された温度を同定する第1温度値を第1温度センサ85から受信する。制御電算機52はまた、ガラス成形ロール46の内面412付近で検出された温度を同定する第2温度値を第2温度センサ85から受信する。次いで、制御電算機52は、第2温度値と第1温度値との間の温度差に基づいて第1熱放散値を判定する。
【0090】
次に、制御電算機52は水ポンプに水通路305を介して第2の水体積流量で水を供給させる。第2の水体積流量は、第1の水体積流量よりも大きい場合がある。或る期間の後、制御電算機52は、ガラス成形ロール46の内面412付近で検出された温度を同定する第3温度値を要求して、第2温度センサ85から受信する。次いで、制御電算機52は、第3温度値と第1温度値の間の温度差に基づいて、第2熱放散値を判定する。同様に、制御電算機52は空気圧縮機と水ポンプに変動流量の空気と変動流量の水をそれぞれ供給させて、熱放散への効果を判定する。
【0091】
以下の表1は、多様なガラス成形ロール46の構成(例えば、単一ロールまたは二重ロールなど)、これらに対応する空気圧および水流量、ならびに、測定された熱除去係数および熱伝達係数(HTC)を例示している。
【0092】
【表1】
【0093】
制御電算機52は不揮発メモリに熱放散値を保存する。実施例によっては、制御電算機52は、熱放散値を表示用に提示するものもある。実施例によっては、保存された熱放散値を利用して、1つ以上の機械学習アルゴリズムを養成するものもある。
【0094】
図6は、ガラス成形ロール冷却系300またはガラス成形ロール冷却系400などのようなガラス成形ロール冷却系によって実施することのできる具体的な方法を例示している。工程602で始まり、空気の流れを受ける。例えば、ガラス成形ロールの冷却系300は、空気通路303を介して空気の流れを受ける。工程604で、ガラス成形ロールの冷却系300は、第1の体積流量で水の流れを受ける。例えば、ガラス成形ロールの冷却系300は、水通路305を介して水の流れを受ける。水の流れは、第1の体積流量で供給される。例えば、制御電算機52が水流制御部75に信号を送信して、第1の体積流量の水の流れを引き起こすようにするとよい。
【0095】
工程606に進むと、空気の流れと水の流れが通路内で混ぜ合わされる。例えば、水通路305を経由する水の流れと、空気通路303を経由する空気の流れは、分岐結合部311で混ぜ合わせることができる。工程608で、空気と水の混合流は、ガラス成形ロールの空洞内で撒き散らされる。一実施例として、空気と水の混合流は、回転継ぎ手80の通路81を通してガラス成形ロール46の空洞410内の導管306に供給されるとよい。導管306には複数の開口308が設けられており、該開口により空気と水の混合物がガラス成形ロールの空洞410の内部に撒き散らされる。空気と水の混合物はガラス成形ロール46の内面412と接触することができ、それによって、ガラス成形ロール46から熱を放散させることができる。ここで、この方法は終了する。
【0096】
図7は、制御電算機52などのような1つ以上の電算装置によって実施することのできる具体的な方法を例示している。この方法は、ガラス成形プロセス中に各ガラス成形ロール46からの熱放散を制御する目的で実施することができる。工程702で始まり、電算装置が空気の流れの第1圧力を判定する。例えば、制御電算機52が、空気通路303内の空気の流れの第1圧力を要求し、気圧計302から受信するとよい。工程704で、電算装置が水の第1の体積流量を判定する。例えば、制御電算機52が水通路305内の水の第1の体積流量を要求し、流量計304から受信するとよい。
【0097】
工程706に進んで、水の第2の体積流量を第1圧力および第1の体積流量に基づいて判定する。例えば、制御電算機52がメモリに保存された表に基づいて、水通路305内の水の第1の体積流量(例えば、水通路305内の水の現在の体積流量)を調整して(例えば、増加させて)、空気の流れが第1圧力である場合は、第2の体積流量にするべきであると判定するかもしれない。実施例によっては、制御電算機52が機械学習アルゴリズムなどのようなアルゴリズムを実行することで空気流の第1圧力および水の第1の体積流量に基づいて第2の体積流量を判定するようにしたものもある。ここで、この方法は終了する。
【0098】
図8は、制御電算機52などのような1つ以上の電算装置によって実施することができる具体的な方法を例示している。この方法は、ガラス成形プロセス中にガラス成形ロール46からの熱放散を制御する目的で実施されるとよい。工程802で始まり、電算装置52が温度センサからガラス成形ロールの第1温度を受信する。例えば、制御電算機52が、ガラス成形装置20のガラス成形ロール46の温度を検出する温度センサ85に信号を送信するようにするとよい。この信号の送信に応答して、制御電算機52はガラス成形ロール46の温度(例えば、ガラス成形ロール46の内部空洞410の内面412で検出された温度など)を同定して特徴づける温度データを受信することができる。工程804で、電算装置52は、第1温度が或る範囲内にあるかどうかを判定する。例えば、制御電算機52がメモリから或る温度範囲を取得したうえで、第1温度がその温度範囲に(例えば、包括的にでも)入るかどうかを判定するとよい。温度範囲は、特定種類のガラスを製造中であるという前提で、その場合の望ましい温度範囲であるとよい。第1温度が範囲内であった場合、工程812に進む。そうではなく、第1温度が範囲内に無い場合、工程806に進む。
【0099】
工程806で、電算装置は、第1温度が範囲を上回っているかどうかを判定する。第1温度が範囲を上回っていない場合、工程810に進む。工程810で、電算装置は流量計を制御して水の体積流量を減少させる。例えば、制御電算機52は、水流制御部75に信号を送信して、水通路303に供給されている水の体積流量を減少させるとよい。ここで、工程812に進む。
【0100】
工程806に戻って、第1温度が範囲を上回っていると電算装置が判定した場合は、工程808に進む。工程808で、電算装置は水の流量計を制御して水の体積流量を増加させる。例えば、制御電算機52は、水流制御部75に信号を送信して、水通路303に供給されている水の体積流量を増加させるとよい。ここで、工程812に進む。
【0101】
工程812で、電算装置は、工程802に戻る前に、所定の時間だけ待機する。例えば、待機するべき時間の環境設定をユーザが入力するようにするとよい。所定の時間は、実施例によっては、実験的に決定されてもよいものもあり、また、水の体積流量を調整した後に温度変化を検出するのに必要な時間と相関関連付けするものもある。
【0102】
前述の方法は図示されたフローチャートに準拠しているが、この方法に関連する諸行為を実施する多くの他の方法を採用してもよいことは、正しく認識されるだろう。例えば、幾つかの作業の順序は変更してもよいし、記載されている作業の幾つかは選択的であることもある。
【0103】
これに加えて、本明細書に記載の方法およびシステムは少なくともその一部を実施するのに、電算機実装プロセスの形態を呈し、また、これらプロセスを実施するための電算機実装装置の形態を呈することができる。開示された方法は少なくともその一部を実施するのに、有形の持続的で機械読取り可能な記憶媒体の形態を呈して、電算機プログラミングコードで符号化することもできる。例えば、方法の各工程は、ハードウェア、演算処理装置によって実行される実行可能な命令(例えば、ソフトウェア)、または、その2つの組み合わせで実施することができる。媒体としては、例えば、RAM、ROM、CD-ROM、DVD-ROM、BD-ROM、ハードディスク・ドライブ、フラッシュメモリ、または、何であれこれら以外の持続的で機械読取り可能な記憶媒体が挙げられる。電算機プログラミングコードが電算機に読み込まれて実行されると、電算機は方法を実施するための装置となる。方法もまた少なくともその一部を実施するのに電算機の形態を呈し、そこに電算機プログラミングコードを読み込んだり実行したりするにあたり、電算機が方法を実現するための専用電算機となるよう構成することができる。汎用演算処理装置に実装された場合は、電算機プログラミングコードの複数断片が、特定の論理回路を設けるように演算処理装置を設定する。これに代えて、各方法は少なくともその一部を実施するのに、各方法を実施するための特定用途向け集積回路の形態を呈していても構わない。
【0104】
前段までは本件開示の各実施形態を例証し、説明し、記述する目的で提示されてきた。これらの実施形態に対する各種の修正および応用例は当業者には自明となるであろうし、本件開示の範囲または真髄から逸脱することなく実施することができる。
【0105】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0106】
実施形態1
装置は、
気体を供給するよう構成された第1通路、
第1通路と流体連通して液体を供給するよう構成された第2通路、
第1通路からの気体を第2通路からの液体と混ぜ合わせて気液混合物を生成するよう構成された分岐結合部、および、
分岐結合部と流体連通してガラス成形ロールに気液混合物を撒き散らすよう構成された導管を備えている。
【0107】
実施形態2
実施形態1の装置においては、ノズルは少なくともその一部がガラス成形ロールの空洞内に配置されている。
【0108】
実施形態3
実施形態2の装置においては、ノズルには複数の開口が設けられている。
【0109】
実施形態4
実施形態3の装置においては、気液混合物は複数の開口により撒き散らされることで、ガラス成形ロールの空洞の内面に接触するよう図っている。
【0110】
実施形態5
実施形態1の装置は温度センサに通信可能に接続されたコントローラを備えており、温度センサはガラス成形ロールの温度を検出するように構成されており、また、コントローラは温度センサからガラス成形ロールの温度を受信するように構成されている。
【0111】
実施形態6
実施形態5の装置は
コントローラに通信可能に接続されて、第1通路内の気体の流れを調整するように構成されている気流制御部、および、
コントローラに通信可能に接続されて、第2通路内の液体の流れを調整するよう構成されている液流制御部を備えており、コントローラは、
第1信号を気流制御部に送信することで気体の流れを調整し、また、
第2信号を液流制御部に送信することで液体の流れを調整するように構成されている。
【0112】
実施形態7
実施形態6の装置においては、第2信号を液流制御部に送信することは、
ガラス成形ロールの温度が或る温度範囲内には無いと判定すること、その場合、温度範囲には最高温度と最低温度があること、
ガラス成形ロールの温度が最高温度を上回っている状況の場合は、第2信号を液流制御部に送信することで液体の流れを増大させること、および、
ガラス成形ロールの温度が最低温度を下回っている状況の場合は、第2信号を液流制御部に送信することで液体の流れを減少させることを含んでいる。
【0113】
実施形態8
実施形態1の装置は、
第1通路内の気体の気圧を測定するよう構成された気圧計、および、
第2通路内の液体の流量を測定するよう構成された流量計を備えている。
【0114】
実施形態9
実施形態8の装置は、気圧計および流量計に通信可能に接続されたコントローラを備えており、コントローラは、
第1通路内の気体の気圧を同定する第1データを気圧計から受信し、また、
第2通路内の液体の流量を同定する第2データを流量計から受信するよう構成されている。
【0115】
実施形態10
装置は、
各種命令を保存するメモリ装置、および、
メモリ装置に通信可能に接続されて命令を実行するよう構成されている少なくとも1つの演算処理装置が設けられたコントローラを備えており、コントローラに、
第1信号を送信させることで第1通路内に第1の空気体積流量の空気流を生じさせ、また、
第2信号を送信させることで第2通路内に第1の水体積流量の水流を生じさせ、空気流は水流と分岐結合部で混ぜ合わせられることで気水混合物を生成し、更に、気水混合物はガラス成形ロールを冷却する目的で撒き散らされる。
【0116】
実施形態11
実施形態10の装置においては、コントローラは、
ガラス成形ロールの温度を検出するよう構成された温度センサから温度を受信し、また、
この温度に基づいて水流を調節して第2の水体積流量にするよう構成されている。
【0117】
実施形態12
実施形態11の装置においては、水流を調節することは、
温度が或る範囲外であると判定すること、および、
この判定に基づいて水流を増大させて第2の水体積流量にすることを含んでいる。
【0118】
実施形態13
実施形態12の装置においては、水流を調節することは、メモリ装置に保存された早見表から第2の水体積流量を判定することを含んでおり、早見表は複数の温度範囲の各々を或る1つの水体積流量範囲と関連付けている。
【0119】
実施形態14
実施形態13の装置においては、水流を調整することは、機械学習アルゴリズムを実行することで第2の水体積流量を判定することを含んでいる。
【0120】
実施形態15
実施形態10の装置においては、コントローラは第1通路内の空気の第1気圧を気圧計から受信するよう構成されており、第1の水体積流量の水流を生じさせることは、空気のこの第1気圧に基づいて実行される。
【0121】
実施形態16
実施形態10の装置においては、コントローラは第1の水体積流量を流量計から受信するよう構成されている。
【0122】
実施形態17
ガラス成形ロールを冷却する方法は、
第1通路に空気を流入させる工程、
第1通路と流体連通している第2通路に水を流入させる工程、
第1通路からの空気を第2通路からの水と分岐結合部で混ぜ合わせることで気水混合物を生成する工程、および、
ガラス成形ロールに気水混合物を撒き散らす工程を含んでいる。
【0123】
実施形態18
実施形態17の方法は、溶融ガラスをガラス成形ロールを使って成形装置から延伸成形する工程を更に含んでおり、気水混合物を撒き散らす工程は溶融ガラスの延伸成形中に実施される。
【0124】
実施形態19
実施形態17の方法は、
ガラス成形ロールの温度を受信する工程、および、
この温度に基づいて第2通路に流入している水の流量を調整する工程を含んでいる。
【0125】
実施形態20
実施形態17の方法は、
ガラス成形ロールの温度を受信する工程、および、
この温度に基づいて第1通路に流入している空気の流量を調整する工程を含んでいる。
【符号の説明】
【0126】
20 ガラス成形装置
22 成形用楔型部材
46 ガラス成形ロール
50 エッジ案内部材
55 ガラス成形ロール制御部
65 気流制御部
75 水流制御部
80 回転継ぎ手
81 通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】