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特表2023-534015電気泳動及び電気泳動転写デバイス、システム、並びに方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】電気泳動及び電気泳動転写デバイス、システム、並びに方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/447 20060101AFI20230731BHJP
【FI】
G01N27/447 315D
G01N27/447 315B
G01N27/447 315J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501832
(86)(22)【出願日】2021-07-12
(85)【翻訳文提出日】2023-01-12
(86)【国際出願番号】 US2021041312
(87)【国際公開番号】W WO2022015661
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】63/051,349
(32)【優先日】2020-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】520468106
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ ホールディングス プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100162824
【弁理士】
【氏名又は名称】石崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】ムラカミ マリー
(72)【発明者】
【氏名】ブロック カイル
(72)【発明者】
【氏名】オルソン ニール
(72)【発明者】
【氏名】ウィニック ロス
(72)【発明者】
【氏名】テオ ウェイ フー
(72)【発明者】
【氏名】サッカー マイケル
(57)【要約】
本開示は、電気泳動カセット、又は電気泳動転写カセットのいずれかを取り外し可能かつ交換可能に受容することができ、生体分子の電気泳動及び電気泳動転写の両方のための電気的インターフェースを提供する、1つ以上のチャンバー(10a、10b)を備える、ゲル電気泳動及び電気泳動転写のためのシステムを提供する。本開示はまた、クランプ及び電気泳動転写カセットを含む電気泳動デバイス並びに関連するデバイスを提供する。本開示のシステム及びデバイスを使用する電気泳動及び電気泳動転写のための方法もまた、提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
少なくとも2つのチャンバーであって、
各チャンバーが、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを受容するように独立して構成されている、少なくとも2つのチャンバーと、
第1の電極と、
第2の電極と、を備え、
前記電極が、電源に接続されることができる電気的インターフェースを有する、システム。
【請求項2】
前記2つのチャンバーが、背中合わせに配列されているか、前記2つのチャンバーが、互いに隣接するか、又は前記2つのチャンバーが、タンデムに配列されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記2つのチャンバーが、それらの間の少なくとも1つの共有面によって分離されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記共有面が、前記2つのチャンバーの少なくとも一部の間の壁である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記2つのチャンバーが、前記2つのチャンバー間の空間によって分離されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の電極及び前記第2の電極が、各チャンバーが陽極及び陰極を有するように各チャンバーにおいてインターフェースを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記2つのチャンバーを覆うように構成された蓋を更に備え、前記蓋が、
電源に取り外し可能に接続可能である電気的接続部と、
前記蓋が前記チャンバー上に位置付けられたときに、前記2つのチャンバーの各々のための前記電極間の電気回路を完成するために、前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に接続するように構成された1つ以上の電気的接触部と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
各チャンバーが、第1の内面及び第2の内面を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の内面の一部上に、又はそれに隣接して配置されたガスケットを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ガスケットが、少なくとも三面ガスケットである、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記電気泳動カセットが、2つの平行プレートを備え、前記2つの平行プレートが、前記2つのプレート間に封入されたゲルを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
各チャンバーが、前記チャンバーにおいて前記電気泳動カセットをクランプするように動作可能であるクランプ機構を独立して受容するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記クランプ機構が、前記電気泳動カセットを各チャンバーの前記ガスケットにクランプするように動作可能である、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記2つのチャンバーのうちの1つ内への前記電気泳動カセットの位置付け及びクランプが、前記チャンバーにおいて流体的に分離された2つのサブチャンバーを形成する、請求項12に記載のシステム。
【請求項15】
第1のサブチャンバーが、前記第1の内面の一部と、前記ガスケットの一部と、前記チャンバーの前記第1の内面に面する前記電気泳動カセットの前記プレートと、の間に形成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
第2のサブチャンバーが、ゲルカセットの左側及び右側と、前記第2の内面に向かって面する前記ゲルカセットの前記プレートの外縁と、前記電気泳動カセット及びクランプが位置付けられる前記チャンバーの残りの部分と、の間に形成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記サブチャンバーが、緩衝液リザーバとして機能する、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記第1の電極が、両方のチャンバーにまたがり、前記電気泳動転写カセット上の電気的インターフェースと電気的に接触するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記第1の電極が、電気泳動中に陽極として機能する各チャンバー内への電気的延長部を有する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の電極が、陽極である、請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記第2の電極が、前記電気泳動転写カセット上の第2の電極インターフェースと接触するように構成された延長部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記第2の電極が、陰極である、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
前記第2の電極が、各チャンバーにおいて陰極として機能する延長部を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1の電極が、第1の電気的ノードに接続され、前記第2の電極が、共通の第2の電極ノードに接続されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項25】
前記第1の電極ノード及び前記第2の電極ノードが、前記蓋と接触する前記チャンバーの部分に配置されている、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記第1の電極が、各チャンバーの底部に沿って伸びるワイヤを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記蓋が、保管中に電気ケーブルを包むためのケーブル包み特徴を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項28】
前記蓋が、前記システムが使用中であるときに前記蓋の上の前記電気的接触部が電極の反転を防止する配向で前記第1の電気的ノード及び前記第2の電気的ノードと接続するように、前記チャンバーの上部にある相補的な機械的特徴と相互作用する機械的特徴を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項29】
前記蓋が、使用中であるときに電極の反転を防止する対応する前記第1の電気的ノード及び前記第2の電気的ノードに蓋の電気的接触部が接続することを可能にする配向で前記チャンバーを覆うように動作可能な色分けされた特徴を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項30】
前記電源に取り外し可能に接続可能である前記電気的接続部が、前記電源に差し込まれることができる1つ以上のケーブルを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記電源が、デバイスの外部にある、請求項1に記載のシステム。
【請求項32】
両方のチャンバーが、電気泳動カセット及びクランプを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
両方のチャンバーが、電気泳動転写カセットを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項34】
一方のチャンバーが、電気泳動カセット及びクランプを有し、他方のチャンバーが、電気泳動転写カセットを有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
電気泳動カセットを表面に固定するためのクランプであって、
平坦表面及び2つの突出隆起部を有するカムプレートであって、
前記カムプレートの前記突出隆起部が、前記電気泳動カセットの第1のプレートの縁部に隣接して接触するように位置付けられるように構成されている、カムプレートと、
前記カムプレートに向かって前方に、又は前記カムプレートから離れる方向に後方に移動するように動作可能である、独立して移動可能な2つのカムハンドルであって、
前記カムプレート上に配置されたペグを介して前記カムプレートに取り付けられた、2つのカムハンドルと、を備え、
前記カムハンドルを前記カムプレートに向かって前方に移動することが、電気泳動カセットを前記表面に固定し、
前記カムハンドルを前記カムプレートから離れる方向に後方に移動することが、前記電気泳動カセットを前記表面から解放する、クランプ。
【請求項36】
前記カムハンドルが、0度~180度の可動範囲を有する、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
前記カムハンドルが、0度~45度の可動範囲を有する、請求項35に記載のデバイス。
【請求項38】
前記表面が、電気泳動タンクの一部である、請求項35に記載のデバイス。
【請求項39】
前記表面が、電気泳動カセットの壁に配置されたガスケットである、請求項35に記載のデバイス。
【請求項40】
前記カムプレートの前記平坦表面の底側に複数の小突起を有する、請求項35に記載のデバイス。
【請求項41】
電気泳動転写カセットであって、
2つのプレートであって、前記2つのプレートが開位置と閉位置との間で移動することを可能とするための接合機構によって接合された、2つのプレート、
前記2つのプレートを前記閉位置にロックするためのロッキング機構、
少なくとも3つの側部に防液封止を形成するために前記閉位置に前記2つのプレートを封止するように動作可能な封止機構、を備え、
第2のプレートが、その内側に転写スタックのコンポーネントを受容するように構成され、
第1のプレート及び前記第2のプレートの外側が、各プレートの内側に配置された電極に接続された少なくとも1つの電気的インターフェースを各々備える、電気泳動転写カセット。
【請求項42】
前記接合機構が、ヒンジ、フック、クリップ、クランプ、又はラッチを含む、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項43】
前記ロッキング機構が、スライダーを含む、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項44】
前記スライダーが、
前記第1のプレートの前記外側の幅の部分を包むバンドと、
前記第1のプレートの前記外側の深さの部分を更に包む前記バンドの側部延長部と、
係合されたときに前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間にロックを形成するために、前記第2のプレートの前記外側の部分と可逆的に係合するように動作可能である要素と、を備える、請求項43に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項45】
閉じられるときに、前記スライダーが、ロックを形成するためにスライドするように動作可能である前記第2のプレート上の対応する要素と整列し、更に、前記スライダーが、前記カセットの少なくとも3つの側部に前記防液封止を形成するために、前記プレートの上端に向かう方向に移動する、請求項44に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項46】
前記封止機構が、前記スライダーと、任意選択でガスケットとを含む、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項47】
前記カセットを封止することが、前記電気泳動転写カセット内に少なくとも三面防漏チャンバーを作成する、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項48】
前記第1のプレート又は前記第2のプレートが、封止された後、前記三面防漏チャンバー電気泳動転写カセット内又は外に液体を分注するように動作可能であるリップを上側に有する、請求項47に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項49】
前記第1のプレート又は前記第2のプレートの前記外側に配置される支持構造体を更に備える、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項50】
前記支持構造体が、1つ以上のリブを含む、請求項49に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項51】
前記支持構造体が、前記第2のプレートが角度を成して静止することを可能にする、請求項49に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項52】
前記支持構造体が、前記第2のプレート上の前記転写スタックの組み立ての間、緩衝液の流出を低減する、請求項51に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項53】
前記支持構造が、前記第2のプレートの反り又は湾曲を低減する、請求項49に記載の電気泳動転写システムカセット。
【請求項54】
前記外部の電気的インターフェースが、電源への電気的接続部を有する電極と電気的に接続する、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項55】
封止された後、請求項1に記載のシステムにおいて位置付けられるように動作可能である、請求項41に記載の電気泳動転写カセット。
【請求項56】
ゲル電気泳動を実行するためのシステムであって、
2つのチャンバーを備えるベースであって、
各チャンバーが、電気泳動カセットを独立して受容するように構成され、
各チャンバーが、前記電気泳動カセットを各チャンバーの表面に固定するためのクランプを独立して受容するように構成され、
各チャンバーが、共通の第1の電極ノードで接続された第1の電極を有し、
各チャンバーが、共通の第2の電気的ノードに接続された第2の電極を有する、ベースと、
電源への電気的接続性を提供する取り外し可能な蓋であって、
前記ベースの上に位置付けられたときに前記チャンバー電極間で回路を完成させるための電気コネクタを有する、蓋と、を備える、システム。
【請求項57】
1つの電気泳動カセット又は2つの電気泳動カセットを備える、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記第1の電極が、各チャンバーにおいて位置決めされた電極ワイヤを備える、請求項56に記載のシステム。
【請求項59】
前記共通の第1の電気的ノード及び前記共通の第2の電気的ノードが、前記蓋が前記ベースに位置付けられるときに、前記蓋電気コネクタと電気的に接触する、請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
電気泳動転写を実行するためのシステムであって、
ベースであって、
2つのチャンバーと、
前記ベースの前記2つのチャンバーにまたがる単一の第1の電極であって、前記ベースの上側に配置された第1の電気的ノードに接続される、第1の電極と、
各チャンバーに配置された第2の電極であって、2つの前記第2の電極が前記ベースの前記上側に配置された共通の第2の電気的ノードに接続される、第2の電極と、を備え、
各チャンバーが、電気泳動転写カセットを独立して受容するように構成され、
前記電気泳動転写カセットが、
2つのプレートであって、前記2つのプレートが開位置及び閉位置から移動することを可能とするように構成された少なくとも1つのヒンジによって接合された、2つのプレートと、
少なくとも3つの側部に防液封止を形成するために、前記2つのプレートを前記閉位置にロックし、前記2つのプレートを前記閉位置に封止する動作可能なスライダーと、
その内側で転写スタックのコンポーネントを受容するように構成された第2のプレートと、を備え、
第1のプレート及び前記第2のプレートの前記外側が、各プレートの内側に配置された電極に各々接続された少なくとも1つの電気的接続部を備え、
前記第1及び第2のプレート上の前記電気的接続部が、前記チャンバーの前記第1及び第2の電極と電気的に接触している、ベースと、
前記ベースを覆う取り外し可能な蓋であって、
前記蓋が、電源への電気的接続性を提供し、
前記蓋が、電気泳動転写カセットが前記ベースに位置付けられ、前記蓋が前記ベースを覆うときに、回路を完成させるために前記電気泳動転写カセットの前記電気的接続部と電気的に接続する電気コネクタを有する、蓋と、を備える、システム。
【請求項61】
1つの電気泳動転写カセットを備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
2つの電気泳動転写カセットを備える、請求項60に記載のシステム。
【請求項63】
ゲル電気泳動を実行する方法であって、
ゲルを有する電気泳動カセットを取得することと、
前記電気泳動カセットからゲルコームを取り除くことと、
前記電気泳動カセットからテープのストリップを取り除くことと、
任意選択で、水又は泳動用緩衝液でウェルをすすぐことと、
前記ゲルのウェル開口部が陰極電極に向かって配向されている、請求項1に記載のシステムの少なくとも1つのチャンバー内に前記電気泳動カセットを位置付けることと、
2つの独立した緩衝液リザーバ、陰極リザーバ及び陽極リザーバを形成する前記チャンバー内にクランプを位置付けして、前記チャンバーの表面の一部にゲルカセットをクランプすることと、
緩衝液を前記陰極リザーバ内に注ぐことと、
緩衝液を前記陽極リザーバ内に注ぐことと、
サンプル及び任意選択で対照を前記ゲルカセットの前記ウェル内に充填することと、
請求項1に記載の前記システムの前記蓋をタンクの上に位置付けることと、
前記蓋の前記電気的接続部を電源に接続することと、
前記電源を使用して電圧及び時間を選択することと、
前記サンプル及び前記対照上で電気泳動を実行することと、を含む、方法。
【請求項64】
前記ゲルカセットが、前記少なくとも1つのチャンバーの壁上のガスケットに隣接して位置付けられる、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記クランプすることが、カムハンドルを適所にロックするために前記ゲルカセットに向かって移動するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
生体分子の電気泳動転写を実行する方法であって、
生体分子が電気泳動によって分離されたゲルを取得することと、
請求項41に記載の電気泳動転写カセットの第2のプレート上に転写膜を備える転写スタックを組み立てることと、
前記電気泳動転写カセットの前記第1のプレートを前記第2のプレートの上に閉じることと、
少なくとも3つの側部で前記電気泳動転写カセットをロック及び封止するために前記スライダーをスライドさせることと、
前記ヒンジ側が下にあり、封止されていない側が上にあるように前記電気泳動転写カセットを立てることと、
請求項1に記載のシステムの少なくとも1つのチャンバー内に前記電気泳動転写カセットを位置付けることと、
任意選択で、前記電気泳動転写カセットの上部の前記開口部内に電気泳動転写緩衝液を注ぐことと、
請求項1に記載の前記システムの前記蓋をタンクの上に位置付けることと、
前記蓋の前記電気的接続部を電源に接続することと、
前記電源の転写電圧及び時間を選択することと、
前記転写スタックにおける前記転写膜上への前記ゲルからの生体分子の電気泳動転写を実行することと、を含む、方法。
【請求項67】
前記第2のプレートにおける前記転写スタックの前記組み立てが、組み立て中に液体の流出を収容するために開いた前記電気泳動転写カセットをトレイに位置付けることを含み、前記トレイが、転写スタックコンポーネントを転写緩衝液に浸すための別個のコンパートメントを有する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記スタック組み立てが、ろ紙及びスポンジを転写緩衝液に浸すステップと、前記第1のプレートに転写緩衝液を注ぐステップと、前記第2のプレート上にスポンジの層、続いてろ紙を位置付けるステップと、前記電気泳動転写カセットの底側に向かって前記ウェルを有する前記ゲルを配向して前記ろ紙の上に前記ゲルを位置付けるステップと、前記転写膜を前記ゲルの上に位置付けるステップと、任意選択で、前記スタックの各層から気泡を取り除くためにローラーを使用するステップと、を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記転写電圧が、約5V~約60Vから選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
電気泳動転写及び電気泳動の両方を実行するための方法であって、
請求項1に記載のシステムの第1チャンバーにおいて電気泳動カセットをクランプで固定することと、
電気泳動される生体分子を含むサンプルを前記電気泳動カセットに充填することと、
生体分子を含むゲルと、生体分子の電気泳動転写が望まれる転写膜とを有する転写スタックを有する電気泳動転写カセットを、請求項1に記載のシステムの第2のチャンバー内に位置付けることと、
電源デバイスを使用して電圧を選択することと、
前記電気泳動カセットにおける電気泳動と、共通の電圧が使用されるために各手順が異なる時間で実行される、前記ゲルから前記転写膜への生体分子の電気泳動転写とを実行することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年7月13日に出願された米国仮出願第63/051,349号の権益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、生体分子の電気泳動及び電気泳動転写の両方を実行することができるシステムに関する。本開示は更に、電気泳動システム、電気泳動デバイス、電気泳動転写システム及び電気泳動転写デバイスに関する。システム及びデバイスを使用する電気泳動及び電気泳動転写の方法もまた、記載される。
【背景技術】
【0003】
電気泳動は、核酸、DNA、RNA、ポリペプチド、タンパク質などの生物学的分子(生体分子)を、そのサイズ及び電荷に基づいて分離するための一般的な手順である。ゲル電気泳動では、生体分子は、フィルタリングマトリックスを通して分子を移動させる電場によって、バンドに分離され得る。典型的なフィルタリングマトリックスは、ゲルを含む。電気泳動カセットは、2つのガラス又はプラスチックプレート間に挟まれたフィルタリングマトリックス(ゲルなど)のスラブを備える。ゲルは、塩を含む導電性緩衝溶液で飽和された細孔を画定する開放分子ネットワーク構造を有する。これらの細孔は、電場に応答してゲルを通って移動する生体分子の通過を可能にするのに十分な大きさである。ポリアクリルアミドゲル、アガロースゲル、デンプンゲルなど、いくつかのタイプのゲルは、電気泳動のために使用され得るが、それらに限定されない。
【0004】
電気泳動中、プレキャスト又はセルフキャスト電気泳動カセットにおけるゲルは、典型的には、生体分子及び追跡用色素を包含するサンプルで充填され、電源に接続されたときにゲル全体に電場の形成を可能にする緩衝溶液に接触する陰極及び陽極を有するチャンバーに位置付けられる。このように生成された電場は、ゲル全体に適用され、一方の端で負電荷に、他方の端で正電荷に構成され、サンプルの生体分子及び追跡用色素が互いに分離し、ゲルの底部に向かって移動する。電気泳動は、目的の生体分子がゲルの端部に到達する前に停止される。
【0005】
電気泳動的に分離された生体分子は、典型的には、免疫学的特徴付け、化学反応、定量化などであるが、それらに限定されない、生体分子に関する追加の分析を行うために、分離ゲルから別の材料に転写される。電気ブロッティング又は電気泳動転写は、分解又は分離された生体分子をゲルから別の材料に転写するための当技術分野における既知の方法である。
【0006】
電気泳動転写では、生体分子の電気泳動分離に続いて、分離された生体分子を包含する電気泳動ゲルは、比較的薄い材料又は支持体と接触して位置付けられる。材料は、典型的には、ニトロセルロースベースの膜、PVDFベースの膜、活性化紙、活性化ナイロン膜などのような多孔質材料であるが、それらに限定されるものではない。緩衝液は、電気泳動転写デバイスに加えられ、電流は、ブロッティング膜の表面に対して概して垂直な方向に、挟まれたゲル及びブロッティング膜を通過する。これは、生体分子の一部又は大部分がゲルから多孔質材料に電気泳動的に転写される結果となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気泳動又は電気泳動転写の既存のシステム、装置、及び方法は、各手順のための別個のシステム及びデバイスを要求する。例えば、電気泳動の場合、ゲルカセット、ゲルカセット及び電気泳動緩衝液を保持するためのゲルタンク、並びに電気的接続性を支持するための電極は、要求される複数の個別の機器の一部である。電気泳動転写の場合、電気泳動転写スタック、電極、スタック及び電気泳動転写緩衝液を保持するための容器、並びに電気的接続性を要求する。各手順は、複数の時間のかかるステップを有し、異なる機器のセットを必要とする。加えて、既存の電気泳動システムは、緩衝液のオーバーフロー、並びに/又は陽極及び陰極緩衝液リザーバからの緩衝液の溢出及び/若しくは漏れなど、大量の緩衝液の使用に関する問題をしばしば有する。当技術分野における湿式電気泳動転写システムはまた、組み立て及び実行中の緩衝液の溢出及び/又は緩衝液の漏れ、スタック組み立て中の大量の緩衝液の使用及び浪費などを含む、同様の問題を有する。湿式電気泳動転写システムシステムはまた、典型的にはメタノール又は他の有害物質を含有する廃棄物転写緩衝液などの大量の有害廃棄物をしばしば生成する。より優れたゲル電気泳動及び電気泳動転写デバイス、システム、及び方法の必要性が当技術分野において存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、当技術分野におけるいくつかの問題に対処する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、ゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方のために使用されることができる単一のシステムを提供することによって、当技術分野における問題に対処する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、漏れのないゲル電気泳動及び/又は電気泳動転写デバイス及びシステムを提供することによって、当技術分野における問題に対処する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、電気泳動及び/又は電気泳動転写のための増加されたスループット、より低い緩衝液量の要求、及び液体有害廃棄物の減少された量を提供することによって、当技術分野における問題に対処する。
【0009】
一実施形態では、ゲル電気泳動及び電気泳動転写のためのシステムは、電気泳動カセット、又は電気泳動転写カセットのいずれかを取り外し可能かつ交換可能に受容することができ、生体分子の電気泳動及び電気泳動転写の両方のための電気的インターフェースを提供することができる、少なくとも1つのチャンバー、1つのコンパートメント、1つのべセル、又は1つのコンポーネントを備える。
【0010】
一実施形態では、システムは、2つ以上のゲル又は転写膜上での生体分子の電気泳動及び/又は電気泳動転写の並行処理を可能にする少なくとも2つのチャンバーを有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、複数のゲル/マトリックス/膜/材料の同時電気泳動分離及び/又は同時電気泳動転写を可能にするために、2つ以上のチャンバーを備えることができる。
【0012】
本開示のほとんどの実施形態は、2つのチャンバーの非限定的な実施例で記載されているが、本教示は、1つのチャンバーに、又はスループットを増加させるために互いに隣接して位置付けられた3つ以上のチャンバーに拡張されることができる。いくつかの実施形態では、本開示のシステムにおける少なくとも2つのチャンバーは、背中合わせに、若しくは横に並べて、若しくは互いに隣接して配列されることができ、又はタンデムに配列されることができ、又は互いに当接させることができ、又は互いに隣接して位置付けられるか、若しくは積み重ねることができ、又は垂直方向に一方を他方の上に積み重ね、若しくは斜めに接合され、若しくは垂直方向に積み重ねて、一方のチャンバーを上に、他方のチャンバーを他の後ろに千鳥状に、及び/又は一方若しくは両方のチャンバーを互いに対して斜めに傾けることができる。
【0013】
いくつかの実施形態は、本開示のシステムに位置付けられることができるゲル電気泳動カセット及びクランプシステムを記載し、本システムはゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方を実行することができる。いくつかの実施形態は、本開示のシステムに位置付けられることができる様々な電気泳動転写カセットを記載し、システムはゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方を実行することができる。
【0014】
本開示のシステム、デバイス、カセット、及び方法は、有利には、電気泳動又は電気泳動転写の既存のシステム及びデバイスと比較して、電気泳動及び電気泳動転写のための1つのシステム、同時に2つ以上のゲル又は転写膜における生体分子のハイスループット電気泳動及び/又は電気泳動転写を実施する能力、デバイス又はコンポーネントの数の低減、コスト低減、付属品の低減、必要とされる機器の設置面積の低減、システム及びデバイスの保管スペースの低減、緩衝液の溢出の低減、漏れの低減、緩衝液の過充填の低減又は過充填なし、緩衝液の使用量の低減、並びに液体有害廃棄物の低減を含む前述の1つ以上の結果をもたらす。電気泳動又は電気泳動転写のためのいくつかの既存のデバイス及びシステムとは対照的に、電気泳動及び電気泳動転写のための本システム及びデバイスは、使用中の温度を低減するために使用するための緩衝液の冷却又はアイスパックの凍結を必要としないことによって、準備作業が低減された。本開示のデバイス及びシステムは、いくつかの実施形態では、より低い電圧及び電力を使用する。
【0015】
一実施形態では、本開示は、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを受容するように構成されている少なくとも1つのチャンバー又は1つのコンパートメントを備えるシステムを記載する。本システムは、チャンバーにおいて位置付けられた電気泳動カセット又は電気泳動転送カセットにおける電気泳動又は電気泳動転送を促進するために、チャンバーへの電気的接続性を提供するために電源に接続することができる電極及び電気的接続部を更に備える。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、少なくとも2つのチャンバーを備え、各チャンバーが、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれか、第1の電極及び第2の電極を受容するように独立して構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、少なくとも2つのチャンバーを備え、各チャンバーが、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれか、第1の電極、及び第2の電極を受容するように独立して構成され、電極が、外部又は内部電源に接続されることができる電気的インターフェースを有する。いくつかの実施形態では、第1の電極及び第2の電極は、各チャンバーが陽極及び陰極を有するように各チャンバー内に延在するインターフェースを有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の電極は、両方のチャンバーにまたがるか、又は両方のチャンバーにまたがるインターフェースを有し、電気泳動転写カセット上に配置される電気的インターフェースと電気的に接触するように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の電極は、電気泳動中に陽極として機能する各チャンバー内への延長部を有する。
【0019】
いくつかの実施形態では、第2の電極は、電気泳動転写カセット上に配置された第2の電極インターフェースと接触するように構成された延長部を有する。いくつかの実施形態では、第2の電極は、両方のチャンバーにまたがるか、又は両方のチャンバーにまたがるインターフェースを有し、電気泳動転写カセット上に配置される電気的インターフェースと電気的に接触するように構成されている。いくつかの実施形態では、第2の電極は、電気泳動中に各チャンバーにおいて陰極として機能する延長部を有する。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の電極は、陽極であり、第2の電極は、陰極である。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の電極は、両方のチャンバーにまたがるか、又は本開示のシステムの各チャンバーにおいて配置されたコンポーネント又は電極インターフェースに分割される。いくつかの実施形態では、第2の電極は、両方のチャンバーにまたがるか、又は本開示のシステムの各チャンバーにおいて配置されたコンポーネント又は電極インターフェースに分割される。
【0022】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、第1の電極(そのインターフェース及びコンポーネントを含む)は、共通の第1の電気的ノードに接続され、第2の電極(そのインターフェース及びコンポーネントを含む)は、共通の第2の電極ノードに接続されている。いくつかの実施形態では、第1の電極ノード及び第2の電極ノードは、電源と電気的に接続するように構成されているチャンバー又はシステムの部分に配置されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、第1の電極ノード及び第2の電極ノードは、システムを覆うように構成された蓋と接触するチャンバー又はシステムの部分に配置される。
【0024】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、少なくとも1つ以上のチャンバー又はコンパートメントを覆うように構成された蓋を更に備えることができる。一実施形態では、本開示のシステムの蓋は、電源に取り外し可能に接続可能である電気的接続部と、電気泳動及び/又は電気泳動転写を容易にするために、蓋がデバイス上に位置付けられたときに、チャンバー電極と電気的に接続し、チャンバー又はコンパートメントにおける電気回路を完成するように構成された1つ以上の電気的接触部と、を備える。少なくとも1つのチャンバーにおける電極はまた、本開示の電気泳動転写カセットの電気的インターフェースと電気的に接続するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、システムの蓋は、1つ以上のケーブル及び/又は電源に差し込むことができる1つ以上のプラグを備える、電源に取り外し可能に接続可能である電気的接続部を備えることができる。外部電源は、典型的には、本開示のシステムで使用される。しかしながら、本開示のシステムは、同様に内部電源を備えることができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、システムの蓋は、システムが使用中であるときに蓋の上で電気的接触部が電極の反転を防止する配向で第1の電気的ノード及び第2の電気的ノードと接続するように、チャンバーの上部にある相補的な機械的特徴と相互作用する機械的特徴を備えることができる。いくつかの実施形態では、蓋は、蓋を容易に取り外すことを可能にするために、ユーザーの指と係合することができる溝などの機械的特徴を備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、システムの蓋は、使用中であるときに電極の反転を防止する対応する第1の電気的ノード及び第2の電気的ノードに蓋の電気的接触部を接続することを可能にする配向でチャンバーを覆うように動作可能な色分けされた特徴を備えることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムの蓋は、電気ケーブルを蓋の周りを包み、保管中に安全に保たれることを可能にする1つ以上のケーブルフックなどの少なくとも1つの特徴を備えることができる。いくつかの実施形態では、システムの蓋は、電気泳動又は電気泳動転写中に緩衝液蒸気の排出を可能にする1つ以上の通気口を有する。いくつかの実施形態では、蓋は、セットアップが正しいかどうかを確認し、性能を確認するために、使用中に可視性を可能にする、透明又は半透明の材料で作られている。
【0029】
いくつかの実施形態では、蓋が電気泳動システムとともに使用される場合、蓋の下側の隆起部又は溝などの機械的特徴は、カムハンドル(電気泳動ゲルカセットをシステムに固定するために使用)がロックされる場合にのみ、蓋がチャンバーに適合することを可能にする。
【0030】
一実施形態では、本開示は、少なくとも2つのチャンバーであって、各チャンバーが独立して、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを受容するように構成されている、2つのチャンバーと、3つの電極と、チャンバーを覆うように構成された蓋と、を備え、蓋が、電源に取り外し可能に接続可能な電気接続部と、蓋がチャンバーの上に位置付けられると、電極に電気的に接続して2つのチャンバーのー各々の電気回路を完成するよう構成されている1つ以上の電気的接触部と、を備える、システムを記載する。システムのいくつかの実施形態では、3つの電極は、両方のチャンバーにまたがる第1の電極と、各チャンバーにおいて配置される第2の電極とを備える。いくつかの実施形態では、蓋は、蓋がデバイス上に位置付けられたときに、2つのチャンバーの各々のための電気回路を完成するために、第1の電極及び第2の電極と電気的に接続するように構成された少なくとも2つの電気的接触部を備える。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムの少なくとも2つのチャンバーは、それらの間の少なくとも1つの共有面によって分離されている。チャンバー間の共有面の非限定的な実施例は、2つのチャンバーの少なくとも一部の間の壁、2つのチャンバーの少なくとも一部の間の仕切り、共通コネクタなどを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのチャンバーは、2つのチャンバー間の空間によって分離されている。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのチャンバーは、共有面及び少なくとも2つのチャンバー間の空間によって分離されている。
【0032】
各チャンバーは、少なくとも第1の内面及び第2の内面を有する。追加の内面は、存在することができる。いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、チャンバーの内面のうちの1つの部分に隣接して、又はその部分の上に配置されたガスケットを更に備えることができる。いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、第1の内面の一部に隣接して、又はその一部の上に配置されたガスケットを更に備えることができる。典型的には、非限定的な実施例において使用される三面ガスケットは、C字形又はU字形のガスケットであることができる。代替的には、二面又は四面のガスケットを、同様に使用することができる。
【0033】
実施形態では、本開示のシステム又はその少なくとも1つのチャンバーが電気泳動に使用される場合、1つ又は2つの電気泳動カセットは、システムのチャンバー又はコンパートメントに位置付けられることができる。いくつかの実施形態では、本開示のシステムにおける使用のための電気泳動カセットは、2つの平行プレートを備え、2つの平行プレートは、2つのプレートの間に封入されたゲルを有する。本開示のシステムの各チャンバー又はコンパートメントは、電気泳動カセットを独立して受容するように構成され、1つ以上のチャンバー/コンパートメントにおいて電気泳動カセットをクランプするように動作可能であるクランピング又は固定機構を独立して受容するように更に構成されている。いくつかの実施形態では、本開示のクランプ機構は、電気泳動カセットをチャンバー/コンパートメントの内面にクランプするように動作可能である。いくつかの実施形態では、本開示のクランプ機構は、電気泳動カセットを、ガスケットなどの封止機構、又はチャンバー/コンパートメント内のクランピング若しくは固定機構にクランプするように動作可能である。いくつかの実施形態では、ガスケットは、本開示のシステムのチャンバー/コンパートメントの内面の少なくとも一部に位置付けられる。典型的には、非限定的な実施例において使用される三面ガスケットは、C字形又はU字形のガスケットであることができる。代替的には、二面又は四面のガスケットを、同様に使用することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、本開示は、ゲル電気泳動を実行するためのシステムであって、少なくとも2つのチャンバーを備え、各チャンバーが、ゲルを封入する2つの平行プレートを備える電気泳動カセットを独立して受容するように構成され、各チャンバーが、電気泳動カセットを各チャンバーの表面に固定するためのクランプを個別に受容するように構成され、単一の第1の電極が、2つのチャンバーにまたがっており、各チャンバーが、共通の電気的ノードに接続された別個の第2の電極を有する、ベースと、電源への電気的接続性を提供する取り外し可能な蓋であって、ベースの上に位置付けられたときにチャンバー電極間で回路を完成させるための電気コネクタを有する蓋と、を備える、システムを提供する。一実施形態では、本開示の電気泳動のためのシステムは、1つの電気泳動カセットを備える。一実施形態では、本開示の電気泳動のためのシステムは、2つの電気泳動カセットを備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、チャンバーの第1の電極は、電流が電気泳動のためにチャンバーを横切って流れることを可能にするために、各チャンバーの底部に沿って伸びる導線を更に備える。いくつかの実施形態では、各チャンバーの底部に沿って伸びるワイヤは、電気泳動カセットが一方又は両方のチャンバーに位置付けられているときに、電気泳動中に陽極として奉仕する。導線は、白金、金、銀、銅、パラジウム、鋼、ステンレス鋼、イリジウム、導電性プラスチック、又は任意のコーティングされた導電性材料などであるが、それらに限定されるものではない任意の導電性材料で作られる。
【0036】
本開示の実施形態は、電気泳動カセットを表面に固定するためのクランプに関する。一実施形態では、本開示のクランプは、平坦表面、2つの突出隆起部を有し、2つの突出隆起部の両方が平坦表面の第1の側部に配置されたカムプレートであって、カムプレートの突出隆起部が、電気泳動カセットの第1のプレートの縁部に隣接して接触するように位置付けられるように構成されている、カムプレートと、カムプレートに向かって前方に、又はカムプレートから離れる方向に後方に移動するように動作可能である、独立して移動可能な2つのカムハンドルであって、カムプレート上に配置されたペグを介してカムプレートに取り付けられた、2つのカムハンドルと、を備え、カムハンドルをカムプレートに向かって前方に移動することが、電気泳動カセットを表面に固定し、カムハンドルをクラムプレートから離れる方向に後方に移動することが、電気泳動カセットを表面から解放する。電気泳動カセットに面するカムプレートの平坦表面に垂直に配置された2つの突出縁部は、カムアームに隣接して位置決めされ、電気泳動カセットの位置付けへの案内を提供する。任意選択で、カムプレートはまた、カムプレートの平坦表面の第2の側部に配置され、電気泳動カセットから離れる方向に面するカムプレートの平坦表面に垂直な平面においてカムプレートの縁部で突出する2つの追加の突出部を有することができる。
【0037】
別の実施形態では、本開示のクランプは、平坦表面及び2つの突出隆起部を有するカムプレートであって、カムプレートの突出隆起部が、電気泳動カセットの第1のプレートの縁部に隣接して接触するように位置付けられるように構成されている、カムプレートと、カムプレートに向かって前方に、又はカムプレートから離れる方向に後方に移動するように動作可能である、独立して移動可能な2つのカムハンドルであって、カムプレート上に配置されたペグを介してカムプレートに取り付けられた、2つのカムハンドルと、を備え、カムハンドルをクラムプレートに向かって前方に移動することが、電気泳動カセットを表面に固定し、カムハンドルをクラムプレートから離れる方向に後方に移動することが、電気泳動カセットを表面から解放する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプのカムハンドルは、0度~180度の可動範囲で動くことができる。いくつかの実施形態では、本開示のクランプのカムハンドルは、0度~45度の可動範囲で動くことができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプは、カムプレートの平坦表面の底側に複数の小突起を備える。いくつかの実施形態では、本開示のクランプは、ゲルカセットに面するカムプレートの平坦表面の底側に複数の小突起を備える。小突起の数は、異ならせることができる。いくつかの非限定的な例示的な実施形態では、1つの小突起、2つの小突起、3つの小突起、4つの小突起、5つの小突起、6つの小突起、7つの小突起、8つの小突起、9つの小突起、10の小突起などは、ゲルカセットに面するカムプレートの平坦表面の底側にある。小突起の設計は、形状及びサイズを異ならせることができる。いくつかの実施形態では、小突起は、電気泳動中及び/又はゲルカセットが電気泳動のために固定されるときに、ゲルカセットの反り又は湾曲を防止するために、底部でゲルカセットプレートの全ての部分に圧力を分散するように構成されている。いくつかの実施形態では、小突起は、カセットの底部で緩衝液イオンの自由な循環を可能にする。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプが電気泳動カセットをクランプ又は固定する表面は、電気泳動タンクの一部又は部分の表面である。いくつかの実施形態では、本開示のクランプが電気泳動カセットをクランプ又は固定する表面は、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムの一部又は部分の表面である。
【0041】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプが電気泳動カセットをクランプ又は固定する表面は、電気泳動タンクの一部若しくは部分、若しくは壁、若しくは表面上に配置されるガスケット、又は電気泳動及び/若しくは電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムの一部若しくは部分、若しくは壁、若しくは表面上に配置されるガスケットである。
【0042】
本開示のクランプ機構又は本開示のクランプは、システムのチャンバー/コンパートメントにおける電気泳動カセットとガスケットとの間に防液封止を作成又は形成する。いくつかの実施形態では、電気泳動カセットを本開示のシステムのチャンバー又はコンパートメントにクランプすることは、チャンバー又はコンパートメントにおける2つの流体的に分離されたサブチャンバー/サブコンパートメントの結果をもたらす。いくつかの実施形態では、第1のサブチャンバー/サブコンパートメントは、チャンバー/コンパートメントの第1の内面の一部と、ガスケットの一部と、電気泳動カセット及びクランプが位置付けられるシステムのチャンバーの第1の内面に面する電気泳動カセットのプレートと、の間に形成されている。いくつかの実施形態では、第1のサブチャンバーを形成するガスケットの一部は、ガスケットの3つの側部を備え、ガスケットの左側及び右側並びに底側を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2のサブチャンバー/サブコンパートメントは、ゲルカセットの左側及び右側と、第2の内面に面するゲルカセットの側部と、電気泳動カセット及びクランプが位置付けられるシステムのチャンバーの残りの部分との間に形成されている。
【0043】
そのように形成されたサブチャンバー又はサブコンパートメントは、システムの使用中に、電気泳動のための緩衝液で満たされることができ、第1及び第2の緩衝液リザーバとして機能することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液リザーバは、チャンバー/コンパートメントの第1の内面の一部と、ガスケットの一部と、電気泳動カセット及びクランプが位置付けられるシステムのチャンバーの第1の内面に面する電気泳動カセットのプレートと、の間に形成されている。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液リザーバは、ゲルカセットの右側縁部及び左側縁部と、第2の内面に向かって面するゲルカセットのプレート/側部と、電気泳動カセット及びクランプが位置付けられるチャンバーの残りの部分と、の間に形成されている。
【0045】
本開示のシステムは、任意のサイズに限定されず、任意のサイズの電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットに対応するように拡大又は縮小されることができる。例えば、使用されることができる電気泳動カセットは、1つ以上の小型ゲルカセット、中型ゲルカセット、大型ゲルカセットを含むことができる。他の非限定的な実施例では、本開示のシステムの各チャンバーは、約30ml~5リットルの容量の電気泳動緩衝液を収容することができる。
【0046】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、システムの一方又は両方のチャンバーは、電気泳動カセット及びクランプを有する。本開示のシステムのいくつかの実施形態では、システムの一方又は両方のチャンバーは、電気泳動転写カセットを有する。
【0047】
本開示のシステムのいくつかの実施形態では、システムの一方のチャンバーは、電気泳動カセット及びクランプを有し、システムの他方のチャンバーは、電気泳動転写カセットを有する。
【0048】
本開示の実施形態は、電気泳動転写カセットに関する。一実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、少なくとも1つの接合機構によって可逆的に又は恒久的に接合されて、2つのプレートが開位置と閉位置との間で移動することを可能にし得る2つのプレート(又はシェル)と、2つのプレートを閉位置にロックする機構と、2つのプレートを閉位置に封止して少なくとも3つの側部に防液封止を形成するように動作可能な封止機構と、を備え、第2のプレートは、その内側に転写スタックのコンポーネントを受容するように構成され、第1のプレート及び第2のプレートの外側が、各プレートの内側に配置された電極に接続された少なくとも1つの電気的インターフェースを各々備える。
【0049】
防液封止が電気泳動転写カセットの3つの側部に形成されている実施形態では、3つの側部は、カセットの底側、左側、及び右側である。いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの4つの側部全てに形成されている。
【0050】
いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセットの接合機構は、ヒンジ、複数のヒンジ、非接続型ヒンジ、クランプ、1つ以上のフック、1つ以上のクリップ、スライドしてインターロックできる両方のプレート(又はシェル)の機械的コンポーネント、2つのプレートの接着、テーピング、結合又は溶接、リンケージ設計、柔軟な材料で接続された2つのプレート、又は2つのプレートを接合するための外部コンポーネントのうちの1つ以上を備える。いくつかの実施形態では、接合機構は、可逆的又は恒久的な接合機構である。恒久的な接合機構は、2つのプレートが1つのコンポーネントとして一緒にとどまることを可能にする。これは、より少ないコンポーネントを提供し、及び/また、閉鎖する前にプレートを整列する必要がないため、プレートの閉鎖をより簡単にすることを可能にするので、ユーザーのために有利であることができる。可逆的な接合機構は、2つの別個のシェルを可能にする。
【0051】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットの2つのプレートの内側に配置される電極は、各プレートの内面に埋め込まれるか又は位置付けられるプレート電極である。代替の実施形態では、電気泳動転写カセットの2つのプレートの内側に配置された電極は、ワイヤ電極、ワイヤメッシュ電極、又は棒電極であることができる。これらの電極は、鋼、ステンレス鋼、銅、白金、パラジウム、イリジウム、チタン、導電性コーティング材料、導電性プラスチックなどの導電性材料で作られることができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
いくつかの実施形態では、プレート電極の外部電気的インターフェースは、ばね、電気的ノード、ブラケット、ピン、プラグ、又は電極への電気メッキインターフェースなどの電気的接触を可能にする任意の設計であることができる。外部電気的インターフェースは、電源への電気的接続部を有する電極又は電極延長部と物理的又は電気的に接続するように構成されている。電極又は電極延長部は、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムに備えられることができる。電極又は電極延長部は、電気泳動転写を実行することができる任意のシステムに備えられることができる。
【0053】
一実施形態では、本開示のシステムでは、両方のチャンバーにまたがる第1の電極は、1つ以上のチャンバー内に位置付けられることができる電気泳動転写カセット上の第1の電極インターフェースに接触するように構成されている。いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセットの第1の電極インターフェースは、陽極インターフェースである。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示のチャンバー/コンパートメントの第2の電極は、1つ以上のチャンバー内に位置付けられることができる電気泳動転写カセット上の第2の電極インターフェースに接触するように構成された延長部を有する。いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセットの第2の電極インターフェースは、陰極インターフェースである。
【0055】
本開示のシステム、カセット、デバイス、及び他のコンポーネントにおける電極インターフェースの非限定的な例は、ばね、ノード、アダプタ、プラグ、コネクタ、プラグ、及びピンであることができる。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットのロッキング機構は、スライダーを備える。いくつかの実施形態では、スライダーは、第1のプレートの外側の幅の部分の周りを包むバンドと、第1のプレートの外側の深さの部分の周りを更に包むバンドの側部延長部と、係合されたときに第1のプレートと第2のプレートとの間にロックを形成するために、第2のプレートの外側の部分と可逆的に係合するように動作可能である要素と、を備える。いくつかの実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、本開示の電気泳動転写カセットのスライダーは、ロックを形成するためにスライドするように動作可能である第2のプレート上の対応する要素と整列する。
【0057】
いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、1つ以上の取り付け特徴を介してプレートの1つに取り付けられることができるスライダーであることができる。いくつかの実施形態では、スライダーは、動作可能で、恒久的又は可逆的にスライダーをプレートに取り付ける嵌合取り付け特徴を有することができる。いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、一方のプレート上に配置されたスライダーであり、スライダー上の機械的嵌合特徴は、他方のプレート上に配置された対応する機械的特徴と嵌合することができる。嵌合特徴は、典型的には、各プレートの両側に配置されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、一方のプレート上のクランプ及び他方のプレート上に配置されたクランプ閉鎖であることができる。クランプ機構は、典型的には、取り付け特徴を介して1つのプレートに取り付けられる。クランプは、典型的には、クランプを他のプレートに取り付けることを可能にする嵌合取り付け特徴を有する。様々な取り付け特徴、例えば、ペグ及び穴機構などを使用することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットの封止機構は、少なくとも1つのスライダーを備える。1つの例示的な実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、(上述のように)スライダーは、プレートの上端に向かう方向に移動して、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部にロック及び防液封止を形成する。1つの例示的な実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、スライダーは、プレートの下端に向かう方向に移動して、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部にロック及び防液封止を形成する。1つの例示的な実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、閉じられたプレートの一方の側部に配置されたスライダーは、上下に移動され、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部にロック及び防液封止を形成する。いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの4つの側部全てに形成することができる。防液封止(又は液密封止)の形成は、電気泳動転写カセット内に液体リザーバを作成又は形成する。いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットの封止機構は、電気泳動転写カセットの2つのプレートのうちの1つに位置付けられるガスケットを追加的に備えることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、リップ又は突出部は、第1のプレート上、又は第2のプレート上に配置されることができる。リップ又は開口部は、電気泳動転写カセット内又は外への液体の分注を容易にすることを可能にする。リップ又は突出部はまた、カセットに追加の構造的支持を提供することができる。いくつかの実施形態では、第2のプレートは、他の3つの側部で封止された後、電気泳動転写カセット内に液体(転写緩衝液など)を分注するか、又は電気泳動転写の完了後にカセットから液体を注ぎ出すように動作可能である、上側にリップ若しくは突出部又は開口部を有する。電気泳動転写カセットは、ユーザーが充填する液体(電気泳動転写緩衝液など)の量を示すために、液体リザーバ内に充填ライン又は他の表示などの視覚的マーカーを有することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、第1のプレート又は第2のプレートの外側又は内側に配置される支持構造体を提供する要素を更に備える。いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットのための支持構造体は、カセットの外部に配置することができる。非限定的な実施例では、支持構造体は、第1のプレートの反り又は湾曲を低減又は防止することができる。非限定的な例示的な実施形態では、支持構造体は、1つ以上のリブ、1つ以上の隆起部、1つ以上の溝、1つ以上の突出構造、凹面又は凸状構造、プレートに外部から加えられるか又は小突起、挿入物、電気泳動転写カセットの電極プレートに支持及び/又は剛性を提供する電気泳動転写システムにある支持体と組み合わせられ得る1つ以上の補強要素を備えることができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の支持構造体は、2つの電極プレートを互いに平行であることを可能にし、電気泳動転写中に生体分子を効率的に転写させるための均一な電場を可能にする。
【0062】
いくつかの実施形態では、支持構造体は、第2のプレートをある角度で静止させることを可能にする。いくつかの実施形態では、支持構造体によって生じる角度は、転写スタックを組み立て及び/又は見るために人間工学的利点を可能にする。いくつかの実施形態では、支持構造体の角度は、第2のプレートが、組立て全体にわたって転写スタックを水和状態に保つのを助ける量の転写緩衝液を含有することを可能にする。いくつかの実施形態では、支持構造体の角度は、第2のプレート上での転写スタックの組み立て中の緩衝液の流出を低減する。
【0063】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムに位置付けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、電気泳動転写を実行することができる任意のシステムに位置付けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセット、ロック及び封止された後の電気泳動転写システム。
【0064】
非限定的な実施例では、使用できる電気泳動転写カセットは、1つ以上の小型ゲルカセット、1つ以上の中型ゲルカセット、1つ以上の大型ゲルカセットから1つ以上の電気泳動転写膜に生体分子を同時に転写するために使用できるカセットを含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、使用中、本開示の閉じられた及び封止された電気泳動転写カセットの液体リザーバは、緩衝液で満たされ、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムのチャンバーに位置付けられ、システムの蓋はチャンバー上に位置付けられ、電源に接続して電気泳動転写カセットシステムの電気回路を完成させる。いくつかの実施形態では、使用中、緩衝液は、電気泳動転写の前に液体リザーバに満たされない。
【0066】
いくつかの実施形態では、本開示は、電気泳動転写を実行するためのシステムであって、少なくとも2つのチャンバーと、ベースの2つのチャンバーにまたがる単一の第1の電極であって、ベースの上側に配置される第1の電気的ノードに接続される、第1の電極と、各チャンバーに配置された第2の電極であって、2つの第2の電極がベースの上側に配置される共通の第2の電気的ノードで接続される、第2の電極と、を備え、各チャンバーが、電気泳動転写カセットを独立して受容するように構成され、電気泳動転写カセットが、2つのプレートであって、2つのプレートが開位置及び閉位置から移動することを可能とするように構成された接合機構によって接合された2つのプレートと、2つのプレートをロックするために動作可能なロッキング機構と、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部で防液封止のために動作可能な封止機構と、第2のプレートは、その内側で転写スタックのコンポーネントを受容するように構成され、第1のプレート及び第2のプレートの外側が、各プレートの内側に配置された電極に各々接続された少なくとも1つの電気的接続部を備え、第1及び第2のプレート上の電気的接続部が、チャンバーの第1及び第2の電極と電気的に接触しており、チャンバーを覆う取り外し可能な蓋であって、蓋が、電源への電気的接続性を提供し、蓋が、電気泳動転写カセットがベースに位置付けられ、蓋がベースを覆うときに、回路を完成させるために電気泳動転写カセットの電気的接続部と電気的に接続する電気コネクタを有する、蓋と、を備える、システムを提供する。いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、2つのプレートを閉位置にロックする(又はクランプする、又は付勢する)ように動作可能なスライダーを備える。いくつかの実施形態では、封止機構は、少なくとも3つの側部に防液封止を形成するために、閉位置において2つのプレートを封止することができるスライダーを備える。いくつかの実施形態では、封止機構は、2つのプレートのうちの少なくとも1つに配置された少なくとも1つのガスケットを更に備える。一実施形態では、本開示の電気泳動転写のためのシステムは、1つの電気泳動転写カセットを備える。一実施形態では、本開示の電気泳動転写のためのシステムは、2つの電気泳動転写カセットを備えることを含む。
【0067】
本開示の実施形態は、本明細書に記載されるデバイス及びシステムを使用してゲル電気泳動又は電気泳動転写を実行する方法に関する。
【0068】
いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動を実行する方法は、ゲルを有する電気泳動カセットを取得することと、電気泳動カセットからゲルコームを取り除くことと、任意選択で、水又は泳動用緩衝液でウェルをすすぐことと、本開示のシステムの少なくとも1つのチャンバーに電気泳動カセットを位置付けることと、チャンバー内に本開示のクランプを配置付けし、チャンバーの表面の一部にゲルカセットをクランプすることと、第1の緩衝液リザーバ内に電気泳動緩衝液を注ぐことと、第2の緩衝液リザーバ内に電気泳動緩衝液を注ぐことと、ウェル内にサンプル及び対照を充填することと、システムの電気的ノード/インターフェース/接続部(チャンバーの電極に電気的に接続されている)を電源に接続することと、電源ユニット上の電圧及び時間を選択することと、サンプル及び対照上で電気泳動を実行することと、を含む。
【0069】
本方法のいくつかの実施形態では、ゲルカセットは、少なくとも1つのチャンバーの壁上に存在するガスケットに隣接して位置付けられている。いくつかの実施形態では、クランプするステップは、本開示のクランプのカムハンドルをゲルカセットに向かって移動して、それらを適所にロックすることを含む。
【0070】
本開示のシステムが蓋を有するいくつかの実施形態では、システムにおける電気的ノード/インターフェース/接続部を電源に接続するステップは、蓋の電気的接続部がシステム電極インターフェース/ノード/接続部に正しい極性で接続されるように蓋をシステムに位置付けるステップと、蓋におけるプラグを電源に接続するステップとを含む。
【0071】
本開示はまた、電気泳動転写カセット及び電気泳動転写システムを提供する。いくつかの実施形態では、ゲルから転写膜への生体分子の電気泳動転写に使用されるゲルは、任意の電気泳動システムにおいて実行されるゲルである。他の実施形態では、本開示の電気泳動転写方法に使用されるゲルは、上で記載された電気泳動システムにおいて実行されるゲルであることができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、生体分子を分解するために電気泳動が実行されているゲルは、最初に電気泳動カセットから取り除かれる。これは、典型的には、電気泳動カセットをゲルナイフで抉じ開ける、又は壊して開けることと、転写スタックを組み立てる前にゲルを取り除くこととを含む。転写スタックは、典型的には、スポンジ、及び1つ以上の層のろ紙(及び/又は電気泳動転写緩衝液に浸された他の多孔質ゲル様材料)と、続いて電気泳動によって分解される生体分子がその上に位置付けられるゲルと、続いて転写膜(典型的には、ニトロセルロース、PVDF、又は任意の多孔性材料)と、電気泳動転写緩衝液に浸された1つ以上の層のろ紙及び別のスポンジの別のスタックと、を備える。このスタックは、電気泳動転写カセットの1つのプレート上に組み立てられることができる。典型的には、陰極を有する電気泳動転写カセットにおけるプレートは、その上にスタックが組み立てられるプレートである。本開示のいくつかの実施形態では、本開示のトレイは、電気泳動転写カセットを開位置に位置付けし、転写スタックを組み立てるように設計される。本開示のトレイは、余分な緩衝液を含有し、実験台及びテーブルでの流出及び散らかりを避けるように、同様に、転写前に消耗品を緩衝液に浸すための容器を提供するように設計されている。
【0073】
一実施形態では、生体分子の電気泳動転写を行う方法は、生体分子が電気泳動によって分離されたゲルを取得することと、ゲルの上にブロッティング材料を位置付け、更にブロッティング材料及びゲルスタックの上下にろ紙及びスポンジを位置付けることを含む、本開示の電気泳動転写カセットの第2のプレート上に転写スタックを組み立てることと、電気泳動転写カセットの第1のプレートを第2のプレートの上に閉じることと、電気泳動転写カセット上のロッキング及び封止機構によって、少なくとも3つの側部で電気泳動転写カセットをロッキング及び封止することと、電気泳動転写及び電気泳動を実行することができる本開示のシステムの少なくとも1つのチャンバー内に電気泳動転写カセットを位置付けることと、システム上の電気的接続/ノード/インターフェースを電源に接続することと、電源の転写電圧及び実行時間を選択することと、ブロッティング材料にゲルからの生体分子の電気泳動転写を実行することと、を含む。
【0074】
一実施形態では、ロッキング及び封止は、電気泳動転写カセット上でスライダーをスライドさせて、電気泳動転写カセットをロック及び封止することによる。一実施形態では、ロッキング及び封止は、電気泳動転写カセットをロック及び封止するためにクランプを電気泳動転写カセットにクランプすることによる。一実施形態では、封止は、電気泳動転写カセットの2つのプレートのうちの少なくとも1つに配置されたガスケットによる。ガスケットは、三面又は四面ガスケットとすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、封止は、防液封止を形成する。いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部に形成されている。一実施形態では、本開示のシステムのチャンバー内に電気泳動転写カセットを位置付けることは、接合側(ヒンジ/フック側)がシステムの底部であり、封止されていない第4の側部が上部であるように、電気泳動転写カセットを立てることを含む。この段階で、本方法は、任意選択で、電気泳動転写カセットの上部の開口部内に電気泳動転写緩衝液を注ぐことを含むことができる。いくつかの実施形態では、転写スタックが十分な緩衝液を有するので、追加の電気泳動転写緩衝液を電気泳動転写カセットに注ぐ必要はない。本開示のシステムが蓋を有する実施形態では、システムの電気的接続部を電源に接続するステップは、蓋の電気的接続部がチャンバー電極接続部と接続するように、チャンバー上に蓋を位置付けることと、蓋上の電気的接続部を電源に接続することとを含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの全ての側部に形成されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、第2のプレートにおける転写スタックの組み立ては、表面への緩衝液の流出を回避するために、開いた電気泳動転写カセットをトレイに位置付けることによって行われる。いくつかの実施形態では、スタックの組み立ては、ろ紙及びスポンジを転写緩衝液に浸すことと、転写緩衝液を第2のプレートに注ぐことと、スポンジの層、続いてろ紙を第2のプレート上に位置付けることと、ウェルを電気泳動転写カセットの底部側に向けてゲルを配向し、このゲルをろ紙の上に位置付けることと、ゲルの上部にブロッティング材(膜、PVDF膜、ナイロン膜、又は生体分子が転写されることができる多孔質材などであるが、それらに限定されるものではない)を位置付けることと、スタックの各層から気泡を取り除くためにローラーを使用することと、ブロッティング材料(膜)の上部に別の一枚のろ紙を位置付けることと、ろ紙の上部に別のスポンジを位置付けることと、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示のシステムの第1チャンバーにおいて電気泳動カセットをクランプで固定することと、電気泳動される生体分子を含むサンプルを電気泳動カセットに充填することと、生体分子を含むゲルと、生体分子の電気泳動転写が望まれるブロッティング材料とを有する転写スタックを有する電気泳動転写カセットを、本開示のシステムの第2のチャンバー内に位置付けることと、電源デバイスを使用して、電圧を選択すること及び任意選択で電圧実行が望まれる時間を選択することと、電気泳動カセットにおける電気泳動及びゲルからブロッティング材料への生体分子の電気泳動転写を実行することと、を含む、電気泳動転写及び電気泳動の両方を同時に実行するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、電気泳動及び電気泳動転写は、共通電圧が使用されるため、それぞれ異なる時間に実行される。
【0079】
本教示のこれら及び他の特徴は、以下の章の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【0080】
本開示の1つ以上の実施形態は、以下の1つ以上の図面を参照することにより、より良く理解され得る。当業者は、以下に記載される図面が、説明目的のためのみであることを理解するであろう。図面は、本教示の範囲を限定することを決して意図されない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1】一実施形態による、電気泳動及び/又は電気泳動転写を実行するために使用されることができる、2つのチャンバーを有する本開示の例示的なシステムの斜視図の概略図である。
図2】一実施形態による、コンポーネントの層を示す、図1の分解図である。
図3】一実施形態による、図1及び2に示される本開示のシステムの側面図である。
図4】一実施形態による、蓋が位置付けられた、図1及び2に示される本開示のシステムの正面斜視図である。
図5A】一実施形態による、本開示のシステムの蓋の正面斜視図である。
図5B】一実施形態による、本開示のシステムの蓋の上面図である。
図5C】一実施形態による、本開示のシステムの蓋の底面図である。
図6A-6B】一実施形態による、本開示のシステムの蓋の部分の詳細図であり、図6Aには例示的なケーブル保持具及びばねクリップを示し、図6Bにはケーブルの電極ノード及び電気コネクタの一部を示す。
図7A-7D】電気泳動カセットを本開示のシステムのチャンバーにクランプするための例示的なクランプを示す。一実施形態による、クランプの側部に位置決めされたカムアームを示している。図7Aは、クランプの正面斜視図を示し、図7Bは、クランプの正面図を示し、図7Cは、クランプの背面図を示し、図7Dは、クランプの側面図を示す。
図8A】一実施形態による、クランプがロック解除位置にある、本開示のシステムの両方のチャンバー内に位置付けられた電気泳動ゲルカセット及びクランプを示している、本開示の例示的な電気泳動システムの正面斜視図を示す。
図8B】一実施形態による、クランプがロック位置にある、本開示のシステムの両方のチャンバー内に位置付けられた電気泳動ゲルカセット及びクランプを示している、図8Aの電気泳動システムの正面斜視図を示す。
図8C】一実施形態による、クランプがロック位置にある、本開示のシステムの両方のチャンバー内に位置付けられた電気泳動ゲルカセット及びクランプを示している、図8Bの電気泳動システムの正面図を示す。
図9A】一実施形態による、システム上に位置付けられることができる、蓋が上に示されている、図8Bの正面斜視図を示す。
図9B】一実施形態による、蓋がシステム上に位置付けられた、図9Aの正面斜視図を示す。
図10A】一実施形態による、開位置にある例示的な電気泳動転写カセットの内側の正面斜視図を示す。
図10B】一実施形態による、開位置にある図10Aの電気泳動転写カセットの内側の正面図を示す。
図10C】一実施形態による、開位置にある図10Bの電気泳動転写カセットの裏側の背面図を示す。
図10D】一実施形態による、閉及びロック解除位置にある図10Aの電気泳動転写カセットの正面斜視図を示す。
図10E】一実施形態による、閉及びロック解除位置にある図10Dの電気泳動転写カセットの正面図を示す。
図10F】一実施形態による、閉及びロック解除位置にある図10Eの電気泳動転写カセットの背面図を示す。
図10G】一実施形態による、閉及びロック位置にある、図10Aのシステムの電気泳動転写カセットの正面斜視図を示す。
図10H】一実施形態による、閉及びロック位置にある図10Gの電気泳動転写カセットの正面図を示す。
図10I】一実施形態による、閉及びロック位置にある図10Hの例示的な電気泳動転写カセットの背面図を示す。
図11A-11C】一実施形態による、図11Aが開位置を示し、図11Bが閉位置を示し、図11Cがロック位置を示す、クランプ閉鎖及びロッキング機構を有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示す。
図12A-12E】一実施形態による、ヒンジを有しており、閉じる及びロックするために一方のプレートにスライダーを伴う2つのプレートを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示し、図12Aが転写スタック組み立ての分解図を伴う開位置を示し、図12Bが組み立てられたスタックを伴う開位置を示し、図12Cが半開位置を示し、図12Dがカセットをロックするために下にスライドすることができるスライダーを伴う閉位置を示し、図12Eが下にスライドしているスライダーを伴うロック位置を示す。
図13A-13C】一実施形態による、ヒンジを有しておらず、一方のプレートに取り付けられたスライダーロックを伴う2つのプレートを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示し、図13Aが開位置を示し、図13Bが閉じているが上部にスライダーを伴うロック解除位置を示し、図13Cが下にスライドしているスライダーを伴うロック位置を示す。
図14A-14E】一実施形態による、ヒンジを有しており、閉じる及びロックするために一方のプレートにスライダーを伴う2つの別個のプレートを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示し、図14Aが転写スタック組み立ての分解図を伴う開位置を示し、図14Bが組み立てられたスタックを伴う開位置を示し、図14Cがロッキング機構の詳細を伴う半開位置を示し、図14Dがカセットをロックするために上方にスライドすることができるスライダーを伴う閉位置を示し、図14Eがインターロッキング機構の追加の詳細を伴う閉及びロック解除位置を示す。
図15A-15D】一実施形態による、少なくとも1つのヒンジ及び閉じる及びロックするために一方のプレートに少なくとも1つのスライダーを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示し、図15Aが開位置の内部の正面図を示し、図15Bが開位置の外側の背面図を示し、図15Cがカセットをロックするために下にスライドすることができるスライダーを伴う、閉じているがロック解除された位置を示し、図15Dが下にスライドしているスライダーを伴うロック位置を示す。
図16】一実施形態による、スライダーがロック及び封止を形成するために下方にスライドし、ロック解除及び開くために上方にスライドする、少なくとも1つのヒンジ及び閉じる及びロックするために一方のプレートに少なくとも1つのスライダーを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示す。
図17A-17B】一実施形態による、スライダーと一緒にロックされた2つの接続されていない別個のプレートを有し、各々がスライダーのロッキングインターフェースのための異なる数の接触点を有する、本開示による2つの異なる例示的な電気泳動転写カセットを示す。
図18】一実施形態による、スライダーがカセットをロックするために下にスライドし、ロック解除するために上方にスライドする、フック又は接続解除可能なヒンジ、閉じる及びロックするためのスライダーなどのプレートの底部で接合機構を伴う2つの別個のプレートを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセットを示す。
図19A】一実施形態による、システムの1つのチャンバーに挿入された図10Hの例示的な電気泳動転写カセットを示している、本開示の例示的な電気泳動転写システムの正面斜視図を示す。
図19B】一実施形態による、図16Aの例示的な電気泳動転写システムの正面図を示す。
図19C】一実施形態による、蓋が上に位置付けられた、図16Aの例示的な電気泳動転写システムの正面斜視図を示す。
図20】一実施形態による、電気泳動転写スタック及びカセットを組み立てるために使用される例示的なトレイの正面斜視図を示す。
図21】一実施形態による、電気泳動の例示的な方法を絵的に示す。
図22A-22F】一実施形態による、電気泳動転写の例示的な方法を絵的に示し、図22Aは、トレイに位置付けられた開構成の電気泳動転写カセットを示し、図22Bは、転写スタックの分解図を伴う電気泳動転写カセットを示し、図22Cはトレイにおいて閉及びロック位置にある電気泳動転写カセットを示し、図22Dは、電気泳動転写システム内に位置付けられるように位置決めされた閉及びロック位置にある電気泳動転写カセットを示し、図22Eは、電気泳動転写システム内の電気泳動転写カセットを示し、図22Eは、電気的接続を可能にするために蓋がされている電気泳動転写システム内の電気泳動転写カセットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0082】
前述の概要及び以下の詳細な説明のいずれも、例示及び説明に過ぎず、本教示の範囲を制限することを意図されないことが理解されるべきである。本出願では、単数形の使用は、別段具体的に記載されない限り、複数形を含む。例えば、本明細書で使用される単数形「a」、「an」及び「the」はまた、文脈が他に指示しない限り、複数形を含む。同様に、本明細書で使用される単数形の用語は、文脈が別の方法で指示しない限り、複数形又はその逆も意味する。
【0083】
また、「comprise」、「contain」、及び「include」の使用、又はこれらの語根の変更、例えば、「comprise」、「contained」、及び「including」は、限定的であることは意図されない。「又は」の使用は、別途記載されない限り、「及び/又は」を意味する。「及び/又は」という用語は、前後の用語が一緒に又は別々にとらえることができることを意味する。例証のためであって、限定するものではなく、「X及び/又はY」は、「X」若しくは「Y」又は「X」及び「Y」を意味し得る。
【0084】
本明細書で値の範囲が提供されるときはいつでも、その範囲は、特に明記しない限り、開始値及び終了値、並びにそれらの間の任意の値又は値の範囲を含むことを意味する。例えば、「0.2~0.5」は0.2、0.3、0.4、0.5、0.2~0.3、0.3~0.4、0.2~0.4などのそれらの間の範囲、0.25、0.35、0.225、0.335、0.49などのそれらの間の増分、それらの間の0.26~0.39などの増分範囲、などを意味する。
【0085】
本明細書において使用される用語「又はそれらの組み合わせ」は、用語に先行して列挙された事項の全ての順列及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC又はABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図しており、特定の文脈では、順序が重要である場合、BA、CA、CB、ACB、CBA、BCA、BAC、又はCABもまた含む。本実施例を続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどの1つ以上の項目又は用語の繰り返しを含む組み合わせが明示的に含まれる。当業者であれば、別途文脈から明らかではない限り、典型的にはいずれの組み合わせにも項目又は用語の数に制限がないことを理解するであろう。
【0086】
本明細書に記載されるのは、生体分子の電気泳動及び電気泳動転写のためのシステム、デバイス、及び方法である。本開示のシステム、デバイス、及び方法は、当技術分野におけるいくつかの問題を克服する。いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方に使用されることができるシステムが記載される。ゲル電気泳動及び電気泳動転写のためのシステムは、いくつかの実施形態において、電気泳動カセット、又は電気泳動転写カセットのいずれかを取り外し可能かつ交換可能に受容することができ、生体分子の電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方のための電気的インターフェースを提供することができる、1つ又は2つ以上のチャンバー、コンパートメント、又はコンポーネントを備える。したがって、本開示のシステムは、2つの異なる生体分子分析方法を実施するための単一の機器プラットフォームを提供する。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法は、電気泳動ゲルの並行処理又は複数のゲルから複数の電気泳動転写膜への電気泳動転写を可能にするために、複数のチャンバーを有する電気泳動及び電気泳動転写システムを提供することによる、電気泳動及び/又は電気泳動転写のための増加したスループットを提供することによって、当該技術における問題を克服する。いくつかの実施形態では、システムは、2つ以上のゲル又は転写膜上での生体分子の並列電気泳動及び/又は電気泳動転写を可能にする少なくとも2つのチャンバーを有する。
【0088】
本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法はまた、漏れのないゲル電気泳動システムを提供することによって、当技術分野における他の問題を克服する。本明細書に記載されるシステム、デバイス、及び方法はまた、漏れのない電気泳動転写デバイス及び電気泳動転写システムを提供することによって、当技術分野における他の問題を克服する。
【0089】
したがって、本開示のシステム、デバイス、カセット、及び方法は、有利には、電気泳動又は電気泳動転写のための既存のシステム及びデバイスと比較して、電気泳動及び電気泳動転写のための1つのシステム又はプラットフォーム、同時に2つ以上のゲル又は転写膜における生体分子を処理することによって、単一のデバイスにおいて複数の電気泳動及び/又は電気泳動転写手順を実施する能力、電気泳動及び電気泳動転写のスループットの向上、デバイス又は部品若しくはコンポーネントの数の低減、コスト低減、機器保管のための設置面積の低減、流出の低減、漏れの低減、清掃の低減、使用される緩衝液及び試薬の量の低減、液体有害廃棄物(電気泳動又は電気泳動転写のための既存のシステム及びデバイスと比較して、転写緩衝液廃棄物におけるメタノールなど)の低減を含む前述の利点の少なくとも1つ以上の結果をもたらす。追加して、電気泳動又は電気泳動転写のためのいくつかの既存のデバイス及びシステムとは対照的に、電気泳動及び電気泳動転写のための本システム及びデバイスは、システム又はデバイスの使用中の温度を低減するために使用するための緩衝液の冷却又はアイスパックの凍結を必要としないことによって、準備作業が低減された。本発明によって提供される追加の利点は、既存のデバイスと比較して、電流及び電力の要件が低いことである。
【0090】
本明細書に使用される章の見出しは、構成目的のものに過ぎず、記載された主題をいかなるようにも限定すると解釈されるものではない。特許、特許出願、記事、書籍、論文、及びインターネットウェブページを含むがそれらに限定されるものではない、本出願で引用された全ての文献及び同様の資料は、そのような文献及び同様の資料の様式にかかわらず、あらゆる目的のためにそれらの全体が参照によって明示的に援用される。組み込まれた文献及び同様の資料のうちの1つ以上が、本出願におけるその用語の定義と矛盾するような方法において用語を定義又は使用した場合、本出願が支配する。本教示を様々な実施形態と併せて記載するが、本教示をかかる実施形態に限定することを意図していない。逆に、本教示は、本教示に照らして当業者に理解されるように、様々な代替物、変形物、及び等価物を包含する。
【0091】
本明細書で提供される図及び図面は、例示的な実施形態を記載するために使用される。当業者は、図面及び実施例が単にアイデア及び概念を説明するためのものであり、本教示の範囲を決して限定することを意図していないことに気付くであろう。全ての部品は、各図でラベル付けされておらず、特に断らない限り、同様の部品には同様の番号が付けられており、各図又は記載の全ての部分において記載されていない場合がある。
【0092】
I.システム及びデバイス:
本開示の実施形態は、ゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方に使用されることができるシステムを記載する。一実施形態では、本開示のシステムは、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを取り外し可能かつ交換可能に受容するように構成された少なくとも1つのチャンバー、コンパートメント、べセル、又はコンポーネントを備える。システムは、電極と、少なくとも1つのチャンバー、コンパートメント、又はコンポーネントを覆い、電気的接続性を提供することができる蓋とを更に備える。「チャンバー」、「コンパートメント」、「べセル」、「コンポーネント」、「ベース」、又は「システムのベース」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0093】
1)電気泳動及び電気泳動転写のためのシステム:
本開示の実施形態は、電気泳動カセット、又は電気泳動転写カセットのいずれかを取り外し可能かつ交換可能に受容することができ、生体分子の電気泳動及び電気泳動転写の両方のための電気的インターフェースを提供する、少なくとも1つのチャンバーを備える、ゲル電気泳動及び電気泳動転写のためのシステムを記載する。一実施形態では、システムは、2つ以上のゲル又は転写膜上での生体分子の電気泳動及び/又は電気泳動転写の同時処理を可能にする少なくとも2つのチャンバーを有する。
【0094】
図1は、ゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方のために使用されることができる例示的なシステム100’の斜視図の概略図である。例示的な一実施形態では、システム100’は、電気泳動及び/又は電気泳動転写を実行するように構成された2つのチャンバー10a及び10bを有する。各チャンバー10a及び10bは、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを受容するように独立して構成されている。本開示における図1並びにいくつかの他の図面及び実施形態は、2つのチャンバーの非限定的な実施例で記載されているが、本教示は、1つのチャンバーのみを有する電気泳動及び電気泳動転写のためのシステムに、又は本開示のシステムのスループットを増加させるために相互に隣接して位置付けられた3つ以上のチャンバーを有するシステムに拡張されることができる。いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、そのチャンバーの各々において、ゲル/マトリックス/膜/材料に配置される生体分子の電気泳動分離又は電気泳動転写を可能にするために、3つ以上のチャンバーを有する。
【0095】
図1の実施形態に示されるように、2つのチャンバー10a及び10bは、背中合わせ構成で互いに隣接して配列されている。代替実施形態では、本開示のシステムにおけるチャンバーは、互いに隣接して、横に並べて、背中合わせに、タンデムに、互いに当接して配列されることができ、又は互いに隣接して位置付けられ、斜めに位置付けられることができ、又は、一方を他方の上に垂直に積み重ねることができ、又は、一方のチャンバーを上に、他方のチャンバーを他の後ろに垂直に積み重ねて千鳥にすることができ、及び/又は一方若しくは両方のチャンバーを互いに対して斜めに傾けることができる。
【0096】
図1に示されるように、システム100’は、各々が電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを受容するように構成されたチャンバー10a及び10bを備え、第1の電極12及び第2の電極13を備え、電極の各々は電源(図示されず)に電気的に接続されることができる電気的インターフェース又はノード12d及び13dを有する。電源は、外部又は内部電源であることができる。いくつかの実施形態では、第1の電極12及び第2の電極13は、各チャンバーが陽極及び陰極を有するように、各チャンバー内に延在する12a、12b、12c、13a、13b、13c、13c’、13c’’などの延長部又はインターフェースを有する。
【0097】
いくつかの実施形態では、第1の電極12は、チャンバー10a及び10bの両方にまたがるか、又は電気泳動転写カセット上に配置される電気的インターフェースと電気的に接触するように構成された、両方のチャンバーにまたがる12a及び12bなどのインターフェースを有する。いくつかの実施形態では、第1の電極12は、電気泳動中に陽極として機能するワイヤ12cなどであるが、それに限定されるものではない、各チャンバー内への延長部を有する。
【0098】
いくつかの実施形態では、第2の電極13は、電気泳動転写カセット上に配置された電極インターフェースと接触するように構成された13c’及び13c’’などであるが、それらに限定されるものではない延長部又はインターフェースを有する。いくつかの実施形態では、第2の電極13は、両方のチャンバーにまたがるか、又は両方のチャンバーにまたがるインターフェースを有し、これらは、電気泳動転写カセット上に配置される電気的インターフェースと電気的に接触するように構成された、13c’及び13c’’によって非限定的な実施例で示される。いくつかの実施形態では、第2の電極13は、電気泳動中に各チャンバーにおいて陰極として機能する、非限定的な実施例において13a及び13bとして示される、各チャンバー内に延在する延長部を有する。
【0099】
図2は、一実施形態による、システム100’の例示的なコンポーネントの配列を示す、図1の分解図である。少なくとも2つのチャンバー10a及び10bは、電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットのいずれかを交換可能に受容するように各々独立して構成されている。2つのチャンバーはまた、3つの電極12、13a及び13bを備える。いくつかの実施形態では、3つの電極は、両方のチャンバーにまたがる第1の電極12と、各チャンバーにおいて配置される第2の電極13a及び13bとを備える。第1の電極12は、それぞれチャンバー10a及び10bにまたがる延長部12a及び12bを有する。第1の電極12は、各チャンバー10a及び10bに1つずつ、2つの延長部12cを有する。
【0100】
図1及び2に示されるように、延長部12a及び12bとして、及び/又は各チャンバーに配置された延長ワイヤ12cとして、両方のチャンバーにまたがる第1の電極12は、第1の電気的ノード12dに接続され、2つの第2の電極13a及び13b(システム100のベース100’における1つのチャンバー10a及び10bに配置される各第2の電極)は、共通の第2の電極ノード13dに接続されている。いくつかの実施形態では、第1の電極ノード12d及び第2の電極ノード13dは、電源に接続するインターフェースである。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムにおいて両方のチャンバーにまたがる第1の電極12は、陽極である。いくつかの実施形態では、本開示のシステムの1つ以上のチャンバーにおいて存在する第2の電極13a及び13bは、陰極である。
【0102】
いくつかの実施形態では、図2に示されるように、第1の電極12は、電流が電気泳動のためにチャンバーを横切って流れることを可能にするために、各チャンバー10a及び10bの底部に沿って伸びる導線12cを更に備える。導線12cは、白金、金、銀、銅、パラジウム、鋼、ステンレス鋼、イリジウム、導電性プラスチック、又は任意のコーティングされた導電性材料などであるが、それらに限定されるものではない任意の導電性材料で作られる。各チャンバーの底部に沿って伸びるワイヤ12cは、電気泳動カセットがチャンバー10a及び/又は10bの一方又は両方に位置付けられているときに、電気泳動中に陽極として奉仕する。いくつかの実施形態では、ワイヤ12cは、非限定的な実施例において穿孔を有するプラスチックストリップとして示される保持手段18によって覆われている。穿孔は、ワイヤ12cがチャンバーにおいて電気泳動緩衝液と物理的に接触することを可能にし、一方、保持手段は、ワイヤ12cがチャンバーの床に固定されたままであることを可能にする。これは、陽極ワイヤ12cから緩衝液への電場の通過を可能にする。保持手段18はまた、システムの使用中に陽極ワイヤ12cを損傷から保護する。
【0103】
同様の機能を伴う他の保持手段を、使用することができる。フレーム11は、任意選択で保持手段18の一部とすることができ、3つの電極12、13a、及び13bのためのマウントとしても奉仕することができる。いくつかの実施形態では、フレーム11及び保持手段18は、単一の部品を形成するために組み合わされている。
【0104】
フレーム11は、ワイヤ電極12cが電極12から出て、各チャンバー10a及び10bの側部を下って伸びる場合にワイヤ電極12cを保護する。いくつかの実施形態では、穿孔18と併せて伴うフレーム11は、陽極ワイヤ12c及び陰極によって生成される電場を最適化する。
【0105】
本開示のシステムの2つのチャンバー10a及び10bは、それらの間の少なくとも1つの共有面14によって分離されている。チャンバー間の共有面14の非限定的な実施例は、2つのチャンバーの少なくとも一部の間の壁、2つのチャンバーの少なくとも一部の間の仕切り、複数の壁、又は複数の仕切りを含む。いくつかの実施形態では、2つのチャンバー10a及び10bは、2つのチャンバー間の空間15によって分離されている。いくつかの実施形態では、2つのチャンバー10a及び10bは、共有面14及び少なくとも2つのチャンバー間の空間15によって分離されている。
【0106】
各チャンバー10a及び10bは、少なくとも第1の内面16a及び第2の内面16bを有する。追加の内面は、存在することができる(明示的には図示されず)。いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、チャンバーの内面のうちの1つの部分に隣接して、又はその一部の上に配置されたガスケット17を更に備えることができる。図1及び2の実施例に示されるように、システム100のベース100’は、第1の内面16aの一部に隣接して、又はその一部の上に配置されたガスケット17を備える。ガスケット17は、概して、三面ガスケットであり、非限定的な実施例では、C字形又はU字形のガスケットであることができる。代替的には、二面又は四面のガスケットを、同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、ガスケット17は、内面16aに隣接する溝19に位置付けることができる。
【0107】
図3は、一実施形態による、図1及び2に示されるシステム100’の側面図である。
【0108】
いくつかの実施形態では、図4にシステム100としても示されるシステム100’は、2つのチャンバー10a及び10bを覆うように構成された蓋20を更に備えることができる。図4は正面斜視図であり、システム100’を覆う蓋20を示しており、蓋20は、電源に取り外し可能に接続可能である電気的接続部21と、蓋20がチャンバー10a及び10b上に位置付けられたときに、2つのチャンバーの各々のための電極間の電気回路を完成するために、典型的には12d及び13dなどの電気的インターフェース又は電極ノードを介して第1の電極12及び第2の電極13と電気的に接続するように構成されている1つ以上の電気的接触部23a及び24a(蓋の内部に配置された-図5Cを参照)とを備える。22は、ケーブルクリップを示す。
【0109】
いくつかの実施形態では、第1の電極ノード12d及び第2の電極ノード13dは、蓋20と接触するシステムのチャンバーの部分に配置されている(電極ノードについては図1、2、3、蓋20の更なる詳細については図4、及び図5A~5Cを参照)。
【0110】
図4に示されるように、蓋20は、電源に取り外し可能に接続可能である電気的接続部21を備える。いくつかの実施形態では、システム100の蓋20は、1つ以上のケーブル及び/又は電源に差し込むことができる1つ以上のプラグを備える電源に取り外し可能に接続可能である電気的接続部を備えることができる。外部電源は、典型的には、本開示のシステムで使用される。しかしながら、内部電源を伴うシステムも企図されている。
【0111】
図4に示されるように、電気的接続部21は、典型的には、外部電源(示されず)に差し込まれることができる1つ以上のバナナプラグ21a及び21bを有するプラグである。電気的接続部21は、ケーブルクリップ22を備えることができる。電気的接続部21からのケーブル21c及び21dは、蓋の両側のケーブル保持具23及び24に向かうケーブル21c及び21dにつながる。ケーブル21c及び21dは、典型的には、1つの負に帯電したケーブル(典型的には、黒く色分けされた)及び1つの正に帯電したケーブル(典型的には、赤く色分けされた)と、電極ノード12d及び13d(典型的には、バナナプラグであるが、これに限定されない)を介してチャンバー電極12及び13と電気的に接続し、蓋20がチャンバー10a及び10bの上に位置付けられたときに、2つのチャンバー10a及び10bの各々の電気回路を完成するように構成された、ここでは23a及び24aとして示された、1以上の電気的接触部(典型的には、バナナジャック、金属タブ又は任意の電気的インターフェースである)とを有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、蓋20は、電気ケーブルが蓋の周りを包み、保管中に安全に保たれることを可能にする少なくとも2つのケーブルフック26を有することができる。いくつかの実施形態では、蓋20は、通気又は気流を可能にして、電気泳動又は電気泳動転写中に蓄積された湿気を逃がすことを可能にする、上面に1つ以上のスロット27cを有することができる。いくつかの実施形態では、蓋20は、蓋の下の緩衝液の部分的な可視性を提供する、上面に1つ以上のスロット27cを有することができる。いくつかの実施形態では、蓋は、可視性を可能にする透明又は半透明の材料(典型的には、プラスチック)で作られている。例えば、ユーザーは、電気泳動又は電気泳動転写中に緩衝液に形成されている気泡を確認して、プラグインされたときにデバイスが機能していることを知ることができる。代替的には、ユーザーは、システム内のコンポーネントの位置付けを確認するために、システムの内部を見ることができる。
【0113】
図5Aは、一実施形態による、本開示のシステム100の例示的な蓋20の正面斜視図である。図5Bは、図5Aに示される蓋20の上面図であり、図5Cは、底面図である。図5A~Cに示されるように、蓋20は、システム100による電気泳動及び/又は電気泳動転写を容易にするために、蓋がチャンバー上に位置付けられたときに、チャンバー電極と電気的に接続し、1つ以上のチャンバーの電気回路を完成するように構成された、23b及び24bなどであるが、それらに限定されるものではない、蓋の内側にある1つ以上の電気的接触部又は電気コネクタに更に接続される電気的接続部21a及び21bからのケーブル21c及び21dを備える。
【0114】
図6A及び図6Bは、蓋20の部分の詳細図であり、図6Aでは例示的なケーブル保持具24(反対側の23と同様)及びばねクリップ25を示し、図6Bでは電気コネクタ23a及び24a(ここでは24aが示されている)において終わるケーブルの一部を示す。蓋20上の電気コネクタ又は接触部23a及び24aは、チャンバー電極ノード12d及び13dと接続する。典型的には、電気的接触部23a及び24aは、バナナジャックであり、電極ノード12d及び13dは、バナナプラグである。しかしながら、他のタイプの電気的接触部及びノードも想定される。
【0115】
いくつかの実施形態では、システム100の蓋20は、保管中に電気ケーブルを包むために、ケーブル包み26などの少なくとも1つの特徴を備えることができる。いくつかの実施形態では、システム100の蓋20は、システム100が使用中であるときに蓋23a及び24aの上で電気的接触部が電極の反転を防止する配向で第1の電気的ノード12d及び第2の電気的ノード13dと接続するように、10c及び10dなどのチャンバーの上部にある相補的な機械的特徴と相互作用する機械的特徴27a及び27bを備えることができる。
【0116】
いくつかの実施形態では、システムの蓋は、蓋の電気的接触部23a及び24aが、使用中であるときに電極の反転を防止する対応する第1の電気的ノード13d及び第2の電気的ノード12dと接続することを可能にする配向でチャンバー10a及び10bを覆うように動作可能な、典型的には黒色に色分けされた1つの負に帯電したケーブル、及び典型的には赤色に色分けされた1つの正に帯電したケーブル(色は図面には明示されていない)などの色分けされた特徴を備えることができる。
【0117】
2)電気泳動のためのシステム及びデバイス:
いくつかの実施形態では、本開示は、ゲル電気泳動を実行するためのシステム100を提供する。一実施形態では、ゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムに位置付けられることができるゲル電気泳動カセット及びクランプシステムが記載されている。電気泳動カセットは、生体分子を分離するために当技術分野で使用される任意のプレキャスト又はセルフキャスト電気泳動カセット(ゲルカセットなどであるが、それに限定されるものではない)を含むことができる。電気泳動カセットは、典型的には、互いに平行に配列された2つのプラスチック又はガラスプレートを備え、その間に生体分子が移動して分解されることができるマトリックスが挟まれている。電気泳動カセットは、当技術分野で知られており、典型的には、仕切りプレート、保持具プレート及びマトリックスを備える。マトリックスの非限定的な例は、アガロース、アクリルアミド、ポリアクリルアミド、デキストラン、デンプンなどの高分子材料で作られたゲルを含む。歯を伴うコームは、生体分子を含むサンプルが充填されることができるゲルの上部でくぼみを生じさせるために、典型的には、電気泳動カセットの上端の2つのプレートの間に位置付けられている。任意の平行プレートゲル筐体の使用は、本開示のクランプ及び電気泳動/電気泳動転写システムで企図される。
【0118】
電気泳動のための本開示のシステムは、上記の実施形態に示されるように、電気泳動カセットが位置付けられるチャンバー10a及び10bを有するベース100’と、蓋20とを有するシステム100を備える。電気泳動カセットは、クランプによってチャンバー10a又は10bの内面に(及び、いくつかの実施形態では、ガスケット17などのガスケットに)固定される。
【0119】
3)クランプ:
本開示は、電気泳動カセットをシステム100に固定するための新規のクランプを提供する。図7A、7B、7C及び7Dは、本開示の一実施形態による、システム100などのシステムの10a又は10bなどのチャンバー内に電気泳動カセットをクランピングするための例示的なクランプ28を示す。
【0120】
図7Aは、2つの側部29a及び29bを有する平坦表面を有するカムプレート29を備える例示的なクランプ28の正面斜視図を示す。2つの突出隆起部29c及び29dは、第1の側部29a上で垂直に延在する。カムプレート28の第1の側部29aの突出隆起部29c及び29dは、電気泳動カセット35の第1のプレート33aの縁部に隣接して接触するように位置付けられるように構成されている(部品35並びにプレート33a及び33bは、図8Aに示されている)。突出部29e及び29fは、プレート29の第2の側部29bの各隅に延在する。カムプレートに向かって前方に、又はカムプレートから離れる方向に後方に移動するように動作可能である、独立して移動可能な2つのカムハンドル30a及び30bは、カムプレート28上に配置されたペグ31を介してカムプレート28に取り付けられている。2つの突出縁部29c’及び29d’は、電気泳動カセットに面するカムプレートの平坦表面29aに対して垂直に、第1の側部29aに配置されている。突出縁部20c’及び29d’は、カムアーム30a及び20bに隣接して位置決めされている。突出縁部29c’及び29d’は、電気泳動カセット35の位置付けを案内する。一実施形態では、カムハンドル30a及び30bを前方に、すなわちカムプレート29に向けて動かすことは、電気泳動カセット35を表面又はその一部(表面は明示的に示されていない)に固定し、カムハンドル30a及び30bを後方に、すなわちカムプレート29から離れる方向に動かすことは、電気泳動カセット35を表面から解放する。いくつかの実施形態では、カム28が電気泳動カセットを固定する表面又は表面の一部は、電気泳動システム100に配置されたガスケット17である。いくつかの実施形態では、本開示のクランプのカムハンドルは、0度~180度の可動範囲で動くことができる。いくつかの実施形態では、本開示のクランプのカムハンドルは、0度~45度の可動範囲で動くことができる。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプは、カムプレート29の平坦表面の第1の側部29aの底側に複数の小突起32を備える。いくつかの実施形態では、本開示のクランプは、ゲルカセット35に面するカムプレート29の平坦表面29aの底側に複数の小突起32を備える。いくつかの非限定的な例示的な実施形態では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の小突起などは、ゲルカセット35に面するカムプレート28の平坦表面29aの底側にある。小突起の設計は、形状及びサイズ及び数を異ならせることができる。いくつかの実施形態では、小突起は、電気泳動中及び/又はゲルカセットが電気泳動のために固定されるときに、ゲルカセットの反り又は湾曲を防止するために、底部でゲルカセットプレートの全ての部分に圧力を分散するように構成されている。いくつかの実施形態では、小突起は、電気泳動カセットの底部で緩衝液イオンの自由な循環を可能にする。
【0122】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動システムの穿孔18と併せた小突起32は、陽極ワイヤ12cが穿孔18の下にある電気泳動システムに位置付けられた電気泳動カセットの底部で緩衝液イオンの自由な循環を可能にする。
【0123】
図7Bは、クランプ28の正面図を示し、図7Cは、クランプ28の背面図を示す。図7Dは、一実施形態による、クランプの側部に位置決めされるカムアーム30aを示している、クランプ28の側面図を示す。カムアーム30は、カムプレート29の側部に配置されるペグ31に位置決めされるレセプタクル(穴など)を有する。一実施形態では、ペグ31は、レセプタクルを介してカムアーム30が位置決めされるばねクリップである。いくつかの実施形態では、カムアーム30は、ばねクリップを介してカムプレート29に恒久的に固定されている。代替的には、ペグ31は、カムアーム30に配置され、レセプタクル(穴など)は、カムプレート29に配置されることができる。代替実施形態では、カムアーム30は、カムアーム若しくはカムハンドル、又はポスト、又はピン、又は他のクリップ、又はピボット、又は回転設計の回転を可能にするであろう肩付きネジなどであるが、これらに限定されない、ネジ又は挿入物を使用して組み立てられることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、蓋20は、カムアーム30がロック位置にあるときに、システム100に適合する。これは、電気的接続性を可能にする前に、電気泳動カセットがシステム100に適切に固定されることを確実にするためである。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプ28が電気泳動カセットをクランプ又は固定する表面は、電気泳動タンクの一部又は部分の表面であり、図8Aではシステム100のベース110’として示されている(蓋20はない)。いくつかの実施形態では、本開示のクランプ28が電気泳動カセット35をクランプ又は固定する表面は、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステム100の一部又は部分の表面である。いくつかの実施形態では、クランプ28は、任意の電気泳動タンク表面と併せて使用されることができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプ28が電気泳動カセットをクランプ又は固定する表面は、電気泳動タンクの一部、若しくは部分、若しくは壁、若しくは表面上に配置されるガスケット17などのガスケット、又は電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステム100のベース110’の一部若しくは部分、若しくは壁、若しくは表面上に配置されるガスケットである。ガスケット17は、三面又は四面ガスケットとすることができる。
【0127】
4)電気泳動システム:
図8Aは、一実施形態による、クランプ28がロック解除位置にある、両方のチャンバー10a及び10b内に位置付けられた電気泳動ゲルカセット35及びクランプ28を示している、本開示の例示的な電気泳動システム100のベース110’の正面斜視図を示す。
【0128】
図8Bは、一実施形態による、クランプがロック位置にある(カムアーム30a及び30bがカムプレート28に向かって上方に移動する)両方のチャンバー10a及び10b内に位置付けられた電気泳動ゲルカセット35及びクランプ28各々を示している、本開示の例示的な電気泳動システムベース110’の正面斜視図を示す。
【0129】
図8Cは、一実施形態による、クランプがロック位置にある、システムの両方のチャンバー内に位置付けられた電気泳動ゲルカセット35及びクランプ28を示している、図8Bの電気泳動システム100のベース110’の正面図を示す。
【0130】
図9Aは、蓋の下の太い矢印によって示されるように、ベース110’と、ベース110’上に位置付けられることができる上に配置されて示されている蓋20とを伴う電気泳動システム100の正面斜視図である。図9Bは、一実施形態による、蓋20がベース110’上に位置付けられたシステム100の正面斜視図を示す。いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動を実行するためのシステム100は、少なくとも2つのチャンバー10a及び10bを備えるベース110’を備えており、各チャンバーは、ゲルを封入する2つの平行プレート33a及び33bを備える電気泳動カセット35を独立して受容するように構成されており、各チャンバーは、電気泳動カセット35を各チャンバーの表面に固定するためのクランプ28を独立して受容するように構成されており、単一の第1の電極12と、そこから各チャンバー10a及び10bのベースに沿って伸びる2つのワイヤ電極12cと、各チャンバーがは、共通の電気的ノード13dで接続された別個の第2の電極13a及び13bを有する。いくつかの実施形態は、電源への電気的接続性を提供するための取り外し可能な蓋20を有し、蓋20は、ベースの上に位置付けられたときにチャンバー電極間の回路を完成させるために、それぞれ電気的ノード13d及び12dに接続することができる23a及び24aなどの電気コネクタを有する。一実施形態では、本開示の電気泳動のためのシステム100は、1つの電気泳動カセット35と、1つのクランプ28とを備える。一実施形態では、本開示の電気泳動110のためのシステムは、2つの電気泳動カセット35と、2つのクランプ28とを備える。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示のクランプ機構は、電気泳動カセットをベース110’のチャンバー/コンパートメントの内面にクランプするように動作可能である。いくつかの実施形態では、本開示のクランプ機構は、電気泳動カセットをチャンバー/コンパートメント内のガスケット17にクランプするように動作可能である。いくつかの実施形態では、ガスケット17は、本開示のシステム100のチャンバー/コンパートメントの内面16aの少なくとも一部に位置付けられ、又は取り付けられる。ガスケットの位置付け、又は取り付けの非限定的な実施例は、内面16aの少なくとも一部へのガスケットのオーバーモールド又はガスケットの接着を含むが、それらに限定されるものではない。
【0132】
いくつかの実施形態では、クランプ28などの本開示のクランプ機構は、システム100のチャンバー/コンパートメント10a又は10bにおける電気泳動カセット35とガスケット17との間に防液封止を作成又は形成する。電気泳動カセットを本開示のシステムのチャンバー又はコンパートメントにクランプすることは、チャンバー10aにおける2つの流体的に分離されたサブチャンバー/サブコンパートメント10a’及び10a’’、並びにチャンバー10bのサブチャンバー/サブコンパートメント10b’及び10b’’を形成する。いくつかの実施形態では、第1のサブチャンバー10a’は、チャンバー10a(又は10b)の第1の内面16aの一部、ガスケット17の一部、及びシステムのチャンバーの第1の内面16aに面する電気泳動カセット35のプレート33bの間に形成されている。いくつかの実施形態では、第2のサブチャンバー/サブコンパートメント10a’’は、ゲルカセット35の左側及び右側、第2の内面16bに面しているゲルカセット35のプレート33aの外縁、並びに電気泳動カセット35及びクランプ28が位置付けられるシステム100のチャンバー10a(又は10b)の残りの部分から形成されている。
【0133】
そのように形成されたサブチャンバー又はサブコンパートメントは、システムの使用中に、電気泳動のための緩衝液で満たされることができ、第1及び第2の緩衝液リザーバとして機能することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液リザーバ10a’は、チャンバー10aの第1の内面16aの一部と、ガスケット17の一部と、電気泳動カセット35及びクランプ29が位置付けられるシステム100のチャンバー10aの第1の内面16aに面する電気泳動カセット33bのプレートと、の間に形成されている。いくつかの実施形態では、第2の緩衝液リザーバ10a’’は、第2の内面16bに面するゲルカセット33aのプレートと、電気泳動カセット35及びクランプ28が位置付けられるチャンバー10aの残りの部分と、の間に形成されている。
【0135】
本開示のシステムは、任意のサイズに限定されず、任意のサイズの電気泳動カセット又は電気泳動転写カセットに対応するように拡大又は縮小されることができる。例えば、使用されることができる電気泳動カセットは、1つ以上の小型ゲルカセット、中型ゲルカセット、大型ゲルカセットを含むことができる。例えば、非限定的な実施例では、本開示のシステムの各チャンバーは、約30ml~5リットルの容量の電気泳動緩衝液を収容することができる。
【0136】
5)電気泳動転写カセット:
本開示の実施形態は、電気泳動転写カセットに関する。ゲル電気泳動及び電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステム100に位置付けられることができるいくつかの電気泳動転写カセットの実施形態が記載されている。
【0137】
一実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、少なくとも1つの接合機構によって可逆的に又は恒久的に接合されて、2つのプレートが開位置と閉位置との間で移動できるようにする2つのプレート(又はシェル)と、2つのプレートを閉位置にロックするロッキング機構と、2つのプレートを閉位置に封止して少なくとも3つの側部に防液封止を形成するように動作可能な封止機構と、を備え、第2のプレートは、その内側に転写スタックのコンポーネントを受容するように構成され、第1のプレート第2のプレートの外側が、各プレートの内側に配置された電極に接続された少なくとも1つの電気的インターフェースを各々備える。
【0138】
いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの4つの側部全てに形成されている。防液封止が電気泳動転写カセットの3つの側部に形成されている実施形態では、3つの側部は、カセットの底側、左側、及び右側である。
【0139】
いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセットの接合機構は、ヒンジ、複数のヒンジ、非接続型ヒンジ、クランプ、1つ以上のフック、1つ以上のクリップ、スライドしてインターロックできる両方のプレート(又はシェル)の機械的コンポーネント、2つのプレートの接着、テーピング、結合又は溶接、リンケージ設計、柔軟な材料で接続された2つのプレート、又は2つのプレートを接合するための外部コンポーネントのうちの1つ以上を備える。いくつかの実施形態では、接合機構は、可逆的又は恒久的な接合機構である。恒久的な接合機構は、2つのプレートが1つのコンポーネントとして一緒にとどまることを可能にする。これは、より少ないコンポーネントを提供し、及び/また、閉鎖する前にプレートを整列する必要がないため、プレートの閉鎖をより簡単にすることを可能にするので、ユーザーのために有利であることができる。可逆的な接合機構は、2つの別個のシェルを可能にする。
【0140】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットのロッキング機構は、スライダーを備える。いくつかの実施形態では、スライダーは、第1のプレートの外側の幅の部分の周りを包むバンドと、第1のプレートの外側の深さの部分の周りを更に包むバンドの側部延長部と、係合されたときに第1のプレートと第2のプレートとの間にロックを形成するために、第2のプレートの外側の部分と可逆的に係合するように動作可能である要素と、を備える。いくつかの実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、本開示の電気泳動転写カセットのスライダーは、ロックを形成するためにスライドするように動作可能である第2のプレート上の対応する要素と整列する。
【0141】
いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、1つ以上の取り付け特徴を介してプレートの1つに取り付けられることができるスライダーであることができる。いくつかの実施形態では、スライダーは、動作可能で、恒久的又は可逆的にスライダーをプレートに取り付ける嵌合取り付け特徴を有することができる。いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、一方のプレート上に配置されたスライダーであり、スライダー上の機械的嵌合特徴は、他方のプレート上に配置された対応する機械的特徴と嵌合することができる。嵌合特徴は、典型的には、各プレートの両側に配置されている。
【0142】
いくつかの実施形態では、ロッキング機構は、一方のプレート上のクランプ及び他方のプレート上に配置されたクランプ閉鎖であることができる。クランプ機構は、典型的には、取り付け特徴を介して1つのプレートに取り付けられる。クランプは、典型的には、クランプを他のプレートに取り付けることを可能にする嵌合取り付け特徴を有する。様々な取り付け特徴、例えば、ペグ及び穴機構などを使用することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットの封止機構は、少なくともスライダーを備える。いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットの封止機構は、電気泳動転写カセットの2つのプレートのうちの1つに位置付けられるガスケットを追加的に備えることができる。1つの例示的な実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、(上述のように)スライダーは、プレートの上端に向かう方向に移動して、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部にロック及び防液封止を形成する。1つの例示的な実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、スライダーは、プレートの下端に向かう方向に移動して、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部にロック及び防液封止を形成する。1つの例示的な実施形態では、2つのプレートが閉じられるときに、閉じられたプレートの一方の側部に配置されたスライダーは、上下に移動され、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部にロック及び防液封止を形成する。いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの4つの側部全てに形成することができる。防液封止(又は液密封止)の形成は、電気泳動転写カセット内に液体リザーバを作成又は形成する。
【0144】
図10A~10Iは、接合機構(少なくとも1つのヒンジ43など)によって接合され、2つのプレートが開位置(開位置については図10A~10Cを参照)と閉位置(閉位置については図10D~10Iを参照)との間で移動できるようにする、第1のプレート41及び第2のプレート42の2つのプレート(又はシェル)と、閉位置で2つのプレートをロックするためのロッキング機構と、2つのプレートを封止して3面に防液封止を形成するように動作可能な封止機構と、を更に備え、第2のプレート42がその内側42aに転写スタックのコンポーネントを受容するように構成され、外側42b及び第1のプレート41が各プレートの内側に配置される電極(第1のプレート電極46、第2のプレート電極47)に接続されている少なくとも1つの電気的インターフェース45a、45b、45c及び/又は45dを各々備える、本開示の電気泳動転写カセット40の一実施形態を示す。防液封止が形成されている電気泳動転写カセット40の3つの側部は、カセットの内壁の底側48、左側49及び右側50である。いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、2つ以上のヒンジ43によって接合された2つのプレート(又はシェル41及び42)を備える。
【0145】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットの2つのプレートの内側に配置される電極は、各プレートの内面に埋め込まれたプレート電極である。別の実施形態では、電極46及び47は、ワイヤ電極、ワイヤメッシュ電極、バー電極、又はプレート電極であることができる。これらの電極は、鋼、ステンレス鋼、銅、白金、パラジウム、イリジウム、チタン、導電性被覆材料、導電性プラスチックなどであるが、それらに限定されない、導電性材料で作られることができる。いくつかの実施形態では、プレート電極の外部電気的インターフェース45(45a、45b、45c、45dなど)は、ばね、電気的ノード、ブラケット、ピン、プラグ、電極への電気めっきインターフェースなどの電気的接触を可能にする任意の設計であることができる。プレート電極46及び47の外部電気的インターフェース45a、45b、45c及び45dは、チャンバー電極12、13a及び13b、又は電源への電気的接続部を有する12a、12b、13c’、13c’’などのこれらの電極の電極延長部と物理的及び/又は電気的に接続するように構成されている。電極又は電極延長部は、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステム100又は100’に備えられることができる。代替的には、電極又は電極延長部は、電気泳動転写を実行することができる任意のシステム(本明細書に明示的には示されていない電気泳動転写システムを含む)に備えられ得る。
【0146】
一実施形態では、本開示のシステム100では、例えば、図1に示されるように、両方のチャンバーにまたがる第1の電極12は、1つ以上のチャンバー10a又は10b内に位置付けられることができる電気泳動転写カセット40上の第1の電極インターフェース45c又は45dに接触するように構成されている。いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセット40の第1の電極インターフェース45c又は45dは、陽極インターフェースであり、内部プレート電極46に接続する。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示のシステム100のチャンバー/コンパートメントの第2の電極13a又は13bは、1つ以上のチャンバー10a又は10b内に位置付けられることができる電気泳動転写カセット40上の第2の電極インターフェース45a又は45bに接触するように構成された延長部13c’及び13c’’を有する。いくつかの実施形態では、電気泳動転写カセット40の第2の電極インターフェース45a又は45bは、陰極インターフェースであり、内部プレート電極47に接続する。
【0148】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットのロッキング機構は、スライダー44を備える。図10Dに示されるように、いくつかの実施形態では、スライダー44は、第1のプレート41の外側41bの幅の部分の周りを包むバンドと、第1のプレート41の外側41bの深さ41cの部分の周りを更に包むバンドの側部延長部と、係合されたときに第1のプレートと第2のプレートとの間にロックを形成するために、第2のプレート42の外側の部分と可逆的に係合するように動作可能である要素と、を備える。図10D図10E、及び図10Fに示されるように、いくつかの実施形態では、2つのプレート41及び42が閉じられるときに、電気泳動転写カセット40のスライダー44は、ロックを形成ためにスライドするように動作可能である第2のプレート42上の対応する要素と整列する(スライドの方向については、図10Eの上向き矢印を参照)。図10D及び図10Eに示されるように、いくつかの実施形態では、2つのプレート41及び42が閉じられるときに、スライダーは、図10G及び10Hに示されるように、電気泳動転写カセット40の内面の3つの側部48、49及び50にロック及び防液封止を形成するために、プレートの上端に向かう方向(図10D及び10Eの上向き矢印を参照)に移動される。
【0149】
いくつかの実施形態では、スライダー44などのロッキング機構はまた、封止機構として機能する。電気泳動転写カセット40aの追加の封止機構コンポーネントは、2つのプレート41又は42の一方の内側に位置付けられることができるガスケット17を備え、プレートが閉じているときに2つのプレートの間に配置される。図10A及び10Bでは、ガスケット17は、プレート42上に配置され、ロッキング機構44が電気泳動転写カセット40のロック及び封止位置にスライドされるときに、2つのプレート間に防液封止を形成する。電気泳動転写カセットの3つの側部上での防液封止の形成は、電気泳動転写カセット内に液体リザーバを作成又は形成する。使用中、必要に応じて、いくつかの実施形態では、追加の緩衝液は、ゲル/マトリックスから膜/材料への転写スタックにおける生体分子の転写のために電気泳動転写カセットにおける電流の流れを可能にするために、液体リザーバに注がれることができる。いくつかの実施形態では、使用中、追加の緩衝液は必要なく、液体リザーバは、流出することなく転写スタック内に緩衝液を収容するために奉仕し、転写スタックにおける生体分子をゲル/マトリックスから膜/材料に転写するために、電気泳動転写カセットにおける電流の流れを可能にする。
【0150】
いくつかの実施形態では、第2のプレート42は、他の3つの側部48、49、及び50で封止された後、電気泳動転写カセット40内に液体を分注するように動作可能である、上側51にリップ又は突出部52を有する。電気泳動転写カセットは、ユーザーが充填する液体(電気泳動転写緩衝液など)の量を示すために、液体リザーバ内に充填ライン又は他の表示などの視覚的マーカーを有することができる。
【0151】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、第2のプレート又は第1のプレートの外側に配置される支持構造体を提供する要素を更に含む。非限定的な実施例では、支持構造体は、第1及び/又は第2のプレートの反り又は湾曲を低減又は防止することができる。非限定的な例示的な一実施形態では、支持構造体53は、1つ以上のリブ、1つ以上の隆起部、1つ以上の溝、1つ以上の突出構造、凹状突出部若しくは表面又は構造を備えることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、支持構造体53は、第2のプレート42をある角度で静止させることを可能にする。いくつかの実施形態では、支持構造体によって生じる角度は、転写スタックを組み立てる及び/又は見るために人間工学的容易性を可能にする。いくつかの実施形態では、支持構造体53は、第2のプレート42上での転写スタックの組み立て中の緩衝液の流出を低減する。いくつかの実施形態では、支持構造体は、2つのプレート電極が互いに実質的に平行であり、2つのプレート電極間の最適な電場を可能にして、電気泳動転写中の生体分子の効率的な転写を促進するように、プレート電極に支持を提供する。
【0153】
図11A、11B、及び11Cは、一実施形態による、クランプ閉鎖、ロッキング及び封止機構を有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40aを示す。図11Aは、2つの別個のプレート、転写スタックを受容するように動作可能な第2のプレート42、及び転写スタックを伴う第2のプレート42を封入するように動作可能な第1のプレート41示す開位置における電気泳動転写カセット40aを示す。転写スタック(明示的には示されず)は、典型的には、ゲル若しくはマトリックス、又はスポンジとろ紙の組み合わせに備えられる転写緩衝液若しくは導電性イオン、生体分子を含むゲル、及び生体分子を転写するための膜(示されず)を備える。各プレート41及び42は、各々電極(図10A~10Iにおける46及び47と同様)を収容又は備える。プレート電極46及び47は、電源に接続することができる電気的インターフェース(明示的には示されず)を備える。第1のプレート41は、2つのプレートを一緒に閉じ、ロックし、及び/又は封止するように動作可能である、そこに取り付けられた、又は接続されたクランプ機構60を備えるか、又は有する。図11Bは、プレート41及び42が閉じているが、まだロック又はクランプ又は封止されておらず、クランプ60がまだ直立している閉位置を示す。いくつかの実施形態では、クランプ機構60はまた、封止機構として機能する。プレート41及び42の一方又は両方は、本明細書のプレート41上に示される例示的なリブ/隆起部53などの支持構造体を追加的に有することができる。53などの支持構造体は、クランプしたときにプレートの湾曲又は反りを軽減又は防止する。電気泳動転写カセット40aの追加の封止機構コンポーネントは、2つのプレート41又は42の一方の内側に位置付けられることができるガスケット(示されず)を備え、プレートが閉じられたときに2つのプレートの間に配置される。ガスケットは、電気泳動転写カセット40aのロック及び封止位置を示す図11Cに示されるようにクランプ機構60がクランプされるときに、2つのプレート間に防液封止を形成する。
【0154】
いくつかの実施形態では、クランプ機構60は、第2のプレート上の取り付け機構61を介して第1のプレート41に取り付けられる。クランプ機構60は、クランプ60を第1のプレート41に取り付けることを可能にする嵌合取り付け特徴62を有する。図11A、11B及び11Cに示されるように、これらの取り付け特徴は、クランプ60が開/閉位置間で枢動することを可能にするペグ及び穴機構として示されている。この0~180度の回転クランプの動きは、クランプ60が、開及び/又はロック解除及び/又は非封止位置(約0度)から、閉及び/又はロック及び/又は封止位置(約180度)に移動することを可能にする。クランプ60が閉じられるときに(図11B及び図11Cのように)、クランプの特徴は、液密封止を形成するために、第2のプレート42の特徴62と係合する(図11C参照)。この非限定的な例示的な実施形態では、取り付け特徴及び係合特徴は、フック及びペグのインターフェースとして示されている。他の同様の特徴は、置き換えられることができる。
【0155】
図12A、12B、12C、12D及び12Eは、ヒンジを有し、プレートに一方に閉じる及びロックするためのスライダー44を伴う、2つの別個のプレート41及び42を有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40bを示す。2つの別個のプレート41及び42の接合機構は、ここでは各プレートの底部に配置される1つ以上のフック43’であり、2つのプレートを一緒に接続し、ヒンジの動きを介してプレートを開位置と閉位置との間で移動させるのを容易にする。代替的には、フック43’は、プレート41又は42の左側又は右側に配置されることができる。
【0156】
図10A~Iの電気泳動転写カセット40の2つのプレート41及び42とは対照的に、40bのこれらの2つのプレートは、恒久的には取り付けられておらず、互いにフック解除されることができる。図12Aは、転写スタック63を有する第2のプレート42を封入するように動作可能な第2のプレート42及び第1のプレート41に位置付けられた転写スタック組み立て63(転写スタック組み立ての詳細については以下のセクションを参照)の分解図とともに例示的な電気泳動転写カセット40bの開位置を示す。各プレート41及び42は、各々電極(示されず)を収容又は備える。プレート電極は、電源に接続することができる電気的インターフェース(明示的には示されず)を備える。第1のプレート41は、2つのプレートを一緒に閉じ、ロックし、及び/又は封止するように動作可能である、そこに取り付けられた、又は接続されたスライダー44として示されるロッキング機構を備えるか、又は有する。スライダー44はまた、この実施形態では封止機構として機能する。第1のプレート41はまた、ユーザーがスムーズに閉じる/ロックする/封止することを可能にするためにスライド44のスライド運動を案内する機械的特徴を有する。
【0157】
電気泳動転写カセット40bの追加の封止機構コンポーネントは、2つのプレート41又は42の一方の内側に位置付けられることができるガスケット17を備え、プレートが閉じているときに2つのプレートの間に配置される。図12Bは、組み立てられた転写スタック63を有する電気泳動転写カセット40bの開位置を示し、この実施形態では、ガスケット17は、第2のプレート42の内側の境界として示される。ガスケット17は、電気泳動転写カセット40bのロック及び封止位置を示す図12Eに示されるように、ロッキング機構44及び封止機構44が下にあるときに、2つのプレート間に防液封止を形成する。
【0158】
プレート41及び42の一方又は両方は、本明細書のプレート41上に示される例示的なリブ/隆起部などの支持構造体を追加的に有することができる。支持構造体は、クランプしたときにパテの湾曲又は反りを軽減又は防止する。図12Cは、2つのプレート41及び42が閉じられる場合の半開位置を示す。
【0159】
図12C、D及びEに示されるように、ここではスライダー44によって具体化されるロック及び封止機構は、スライダーを伴う第2のプレート上の1つ以上の取り付け又は嵌合特徴を介して第1のプレート41に取り付けられている。スライダー44は、スライダー44を第2のプレートに恒久的に取り付けることを可能にするように動作可能である嵌合取り付け特徴を有する。図12D及びEに示されるように、スライダー44は、電気泳動転写カセット40bの両側で第2のプレート42上の1つ以上の嵌合特徴61と係合する。図12Dは、スライダー44及び上部を伴う閉位置を示す。スライダー44は、カセットをロックするために下方にスライドされることができ、図12Eは、スライダーが下にスライドしたロック位置を示す。
【0160】
図13A、13B及び13Cは、ヒンジはなく、2つのプレート41及び42を有し、一方のプレートにスライダーロック44が取り付けられている、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40cを示す。電気泳動転写カセットのこの実施形態では、スライダー44は、接合機構と、同様にロッキング及び封止機構を備える。図13Aは、転写スタック組み立て(示されず)が第2のプレート42に位置付けられることができる、例示的な電気泳動転写カセット40cの開位置を示す。第1のプレート41は、第2のプレート42及び転写スタックを封入するように動作可能である。各プレート41及び42は、電極を収容又は備える。プレート電極は、電源に接続することができる電気的インターフェース(明示的には示されず)を備える。第1のプレート41は、2つのプレートを一緒に閉じ、ロックし、及び/又は封止するように動作可能である、そこに取り付けられた、又は接続されたスライダー44として示されるロッキング機構を備えるか、又は有する。スライダー44はまた、この実施形態では封止機構として機能する。第1のプレート41はまた、ユーザーがスムーズに閉じる/ロックする/封止することを可能にするためにスライド44のスライド運動を案内する機械的特徴を有する。電気泳動転写カセット40cの追加の封止機構コンポーネントは、2つのプレート41又は42の一方の内側に位置付けられることができるガスケット17を備え、プレートが閉じているときに2つのプレートの間に配置される。一実施形態による、図13Bは、閉じているが上部にスライダーを伴うロック解除位置を示し、図13Cは、下にスライドしているスライダーを伴うロック位置を示す。
【0161】
図14A、14B、14C、14D、及び14Eは、ヒンジを有さず、プレートに一方に閉じる、ロックする、かつ封止するためのスライダー44を伴う、2つの別個のプレート41及び42を有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40dを示す。接合機構43’は、一方がスライダー44上に配置され、他方が第2のプレート42上に配置された2つの要素43’から構成れる。接合機構43’は、スライダー44及びそれらの側部に配置された第2のプレート42からの嵌合ロッキング特徴の延長部である。各プレート41及び42は、各々電極(示されず)を収容又は備える。プレート電極は、電源に直接又は間接的に接続することができる電気的インターフェース(明示的には示されず)を備える。第1のプレート41は、2つのプレートを一緒に閉じ、ロックし、及び/又は封止するように動作可能である、そこに取り付けられた、又は接続されたスライダー44として示されるロッキング機構を備えるか、又は有する。スライダー44はまた、この実施形態では封止機構として機能する。第1のプレート41はまた、ユーザーがスムーズに閉じる/ロックする/封止することを可能にするためにスライド44のスライド運動を案内する機械的特徴を有する。電気泳動転写カセット40dの追加の封止機構コンポーネントは、2つのプレート41又は42の一方の内側に位置付けられることができるガスケットを含み、プレートが閉じられたときに2つのプレートの間に配置される。図14Aは、転写スタック組み立て63の分解図とともに開位置を示す。図14Bは、プレート42内にスタック63が組み立てられた開位置を示し、プレート41上のロック及び封止機構44の位置決めを示す。図14Cは、第2のプレート上の嵌合特徴を介して第1のプレート41に取り付けられたロッキング及び封止機構44の詳細とともに半開位置を示す。嵌合及び取り付け特徴は、スライダー44を第1のプレート41に恒久的に取り付けることを可能にする。図14Dに示されるように、スライドは、第2のプレート42上の1つ以上の嵌合特徴と係合する。これらの特徴は、両方のプレートの両側に、及び底部に配置されている。図14Dは、各側部又は縁部に3つの嵌合特徴、及びスライダー44が係合してロックを形成する第2のプレート42の底部に対応する特徴を伴う閉位置を示す。次いで、封止は、スライダー44を上向き移動でスライドさせることによって形成されている。図14Eは、一実施形態による、インターロッキング機構の追加の詳細を伴うロック解除位置を示す。
【0162】
図15A、15B、15C、及び15Dは、接合機構としてのヒンジ43と、プレートの一方の側部に閉じる及びロックするためのスライダー44とを有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40eを示す。図15Aは、開位置にある電気泳動転写カセット40eの内側の正面図を示し、1つ以上のヒンジ43によって接続されたプレート41及び42を示す。各プレート41及び42は、電極プレート46及び47を収容又は備える。プレート電極は、電源に接続することができる電気的インターフェース(明示的には示されず)を備える。第2のプレート42は、スライダー44として示されるロッキング機構を備え、又は有し、スライダーが第2のプレートの側部に恒久的にクリップすることを可能にするスナップ特徴によって第2のプレートの側部に取り付けられる。スライダー44は、クランプが第2のプレートにクリップすることを可能にする嵌合取り付け特徴を有する。スライダー44は、2つのプレートを一緒に閉じ、ロックし、及び/又は封止するように動作可能である。スライダー44はまた、この実施形態では封止機構として機能する。第1のプレート41はまた、ユーザーがスムーズに閉じる/ロックする/封止することを可能にするためにスライド44のスライド運動を案内する機械的特徴を有する。電気泳動転写カセット40eの追加の封止機構コンポーネントは、2つのプレート41又は42の一方の内側に位置付けられることができるガスケット(示されず)を備え、プレートが閉じられたときに2つのプレートの間に配置される。図15Bは、機械的支持を提供するための支持構造体53を示す開位置における電気泳動転写カセット40eの外側の背面図を示す。
【0163】
図15Cは、カセットをロックするために下にスライドすることができるスライダーを伴う閉じているがロック解除位置を示す。スライダー44が下方にスライドされるときに、クランプ上の特徴は、液密封止を形成するために、第1のプレートに設計された特徴と係合し、2つのプレートをロックして封止する。図15Dは、一実施形態による、下にスライドしているスライダー44を伴う電気泳動転写カセット40eのロック及び封止位置を示す。
【0164】
図16は、一実施形態による、閉及びロック位置では、スライダーがロック及び封止を形成するために下方にスライドし、ロック解除及び開くために上方にスライドする、接合機構としての少なくとも1つのヒンジ43並びに閉じる及びロックするために一方のプレートに少なくとも1つのスライダー44を有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40fを示す。封止機構の他のコンポーネントは、少なくとも1つのプレートの内面に配置されたガスケットを備えることができる。
【0165】
図17A及び17Bは、本開示による、2つの異なる例示的な電気泳動転写カセット40g及び40hをそれぞれ示し、スライダー44とともにロック及び封止することができる1つ以上の切断されたヒンジを備える特徴を接合することによって、開位置と閉位置との間で移動することができる2つの接続されていない別個のプレートを有し、各々が、スライダーのロッキングインターフェースのために異なる数の接触点を有する。スライダー44は、封止及びロッキング機構を備える。封止機構の他のコンポーネントは、少なくとも1つのプレートの内面に配置されたガスケットを備えることができる。
【0166】
スライダー44は、反対側のプレート上に設計された1つ以上の嵌合特徴と係合することによって液密封止を形成する。嵌合特徴は、プレートの両側及び底部に配置されている。いくつかの実施形態では、液密封止は、スライダーがロック位置に移動する場合に作成されるガスケットとプレートとの間の圧力によって形成されている。図17Aは、スライダー44が反対側のプレートと係合するプレートの各側に3つの接合特徴を有し、底部に係合して電気泳動転写カセットをロック及び封止する1つの特徴を有する。図17Bは、スライダー44が反対側のプレート上で係合する各側部/縁部上の特徴、及び底部上で係合する1つの特徴を示す。
【0167】
図18は、スライダーがカセットをロックするために下にスライドし、ロック解除するために上方にスライドする、フック又は接続解除可能なヒンジ、閉じる及びロックするためのスライダー44などのプレートの底部で接合機構を43伴う2つの別々のプレート41及び42を有する、本開示の例示的な電気泳動転写カセット40iを示す。スライダー44は、封止及びロッキング機構を備える。封止機構の他のコンポーネントは、少なくとも1つのプレートの内面に配置されたガスケットを備えることができる。
【0168】
6)電気泳動転写のためのシステム:
図19A~19Cに示されるように、本開示の電気泳動転写カセット40は、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステム100に位置付けられるように構成されている。いくつかの実施形態では、図10A~18に示され、かつ記載されるように、40及び40a~40iなどの電気泳動転写カセットは、システム100又は電気泳動転写を実行することができる任意の他のシステムのいずれかに位置付けられるように構成されている。同様の部品は、以前の図面に示されているのと同様の番号が付けられており、重複されない。
【0169】
いくつかの実施形態では、本開示の電気泳動転写カセットは、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステム、又は封止後に任意の電気泳動転写システムに位置付けられるように構成されている。
【0170】
いくつかの実施形態では、使用中、本開示の閉じられた及び封止された電気泳動転写カセットの液体リザーバは、緩衝液で満たされ、電気泳動及び/又は電気泳動転写の両方を実行することができる本開示のシステムのチャンバーに位置付けられ、システムの蓋をチャンバー上に位置付けられ、電源に接続して電気泳動転写カセットシステムの電気回路を完成させる。
【0171】
図19Aは、一実施形態による、システムの1つのチャンバーに挿入された図10Hの例示的な電気泳動転写カセットを示している、本開示の例示的な電気泳動転写システム100の正面斜視図を示す。図19Bは、一実施形態による、図19Aの例示的な電気泳動転写システムの正面図である。図19Cは、一実施形態による、蓋が上に位置付けられた、図19Aの例示的な電気泳動転写システムの正面斜視図を示す
【0172】
蓋20を伴う図19Cに示されるような、電気泳動転写を実行するためのシステム100。図19A及び19Bに示されるように、システム100は、少なくとも2つのチャンバー10a及び10bと、2つのチャンバーにまたがる、チャンバーの上側に配置される第1の電気的ノード12dに接続された単一の第1の電極12と、各チャンバー内に配置される第2の電極13a及び13bとを備え、2つの第2の電極が、チャンバーの上側に配置された共通の第2の電気的ノード13dで接続され、各チャンバーが、電気泳動転写カセット40を独立して受容するように構成されている。図19A~19Cに示される実施形態は、電気泳動転写カセット40を示すが、40a~40iなどの本開示の他の電気泳動転写カセットはまた、電気泳動転写のためにシステム100に到達するために、チャンバー10a及び10bに挿入されることができる。同様に、本明細書は、電気泳動転写システムを説明するための例示的な実施形態として電気泳動転写カセット40を追加的に詳細に記載するが、これは、本出願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。電気泳動転写カセット40a~40iはまた、同様のコンポーネントを有するものが記載されており、相違点は、上記のセクションで詳述されている。
【0173】
電気泳動転写カセット40は、2つのプレートが開位置及び閉位置から移動できるように構成された少なくとも1つのヒンジ43によって接合された2つのプレート41及び42と、2つのプレートを閉位置にロックし、閉位置にある2つのプレートを封止して3つの側部48、49、及び50に防液封止を形成するように動作可能なスライダー44とを備え、第2のプレート42が、転写スタックのコンポーネントをその内側42aで受容するように構成され、第2のプレートの外側42b及び第1のプレート41の外側41bが、各プレートの内側に配置された電極46又は47に接続される少なくとも1つの電気的接続部45(45a、45b、45c、45dなど)をそれぞれ備え、第1のプレート41及び第2のプレート42上の電気的接続部45が、チャンバー10a及び10bの第1の電極12a及び/又は12b並びに第2の電極13c’及び/又は13c”と電気的に接触し、取り外し可能な蓋20がベース120を覆う。蓋20は、電源への電気的接続性を提供し、蓋20が、電気泳動転写カセット40がベース120に位置付けられ、蓋20がベースを覆うときに、回路を完成させるために、電気泳動転写カセット40の電気的接続部/インターフェース45と電気的に接続する23a及び24aなどの電気コネクタを有する。一実施形態では、本開示の電気泳動転写のためのシステム100は、1つの電気泳動転写カセットを備える。一実施形態では、本開示の電気泳動転写のためのシステムは、2つの電気泳動転写カセットを備えることを含む。
【0174】
非限定的な実施例では、使用できる電気泳動転写カセットは、1つ以上の小型ゲルカセット、1つ以上の中型ゲルカセット、1つ以上の大型ゲルカセットから1つ以上の電気泳動転写膜に生体分子を同時に転写するために使用できるカセットを含むことができる。
【0175】
7)電気泳動転写のためのトレイ:
図20は、一実施形態による、電気泳動転写カセット(40、又は40a~40i)における電気泳動転写スタック63を組み立てるために使用される例示的なトレイ55の正面斜視図を示す。トレイ55は、2つのコンパートメント57及び58、仕切り59及び注ぎ口56を備え、より大きなコンパートメント57は、転写スタック63を電気泳動転写カセット(40又は40a~40i)に組み立てるために使用される。図22Aは、一実施形態による、開いた電気泳動転写カセット40を伴って使用される例示的なトレイ55を示す。使用中、本開示の開いた電気泳動転写カセット(40、40a~hなど)は、トレイ55に位置付けられている。図22Bにおけるような開いた電気泳動転写カセットは、仕切り59がトレイ55のセクションを分離するように位置付けられている。トレイ55の後壁は、ユーザーが転写スタックを組み立てている間、電気泳動転写カセットが開いて座るように、先細になっている。図20において前部コンパートメントとして示されているコンパートメント58は、転写スタック材料及びコンポーネントを濡らすために使用され、図20において後部コンパートメントとして示されているコンパートメント57は、開いた電気泳動転写カセット40の第2のプレート42の内側に転写スタックを組み立てるために使用される。より大きな後部コンパートメント57は、第2のプレート42(陰極側)がコンパートメント57の底部(57の平坦表面上)に位置付けられ、第1のプレート41(陽極側)がコンパートメント57の傾斜面に位置付けられている、電気泳動転写カセット40がその開構成で位置付けられている場所である。ユーザーが転写スタック63を電気泳動転写カセット40の第2プレート42に組み立て/構築するときに、トレイにある間、電気泳動転写カセットから流出した緩衝液は、実験室での緩衝液の流出を防止するために、トレイによって捕捉される。
【0176】
隔壁59は、隆起部59’の側面に位置するより高い表面59’’を有する。より高い表面59’’は、ユーザーが転写スタックを電気泳動転写カセットに正しく組み立てるように案内するために、転写スタック構成の印刷された画像を有することができる。表面は、ユーザーが組み立てている間に、印刷された画像(ここには示されず)が転写スタックによってブロックされないように角度が付けられている。隆起部59’は、転写スタックが組み立てられ、電気泳動転写カセット40が閉じられてロックされた後に、後部コンパートメント57における液体が廃棄のために前部コンパートメント58に流入することを可能にする。トレイ55は、使用された緩衝液の安全な廃棄を可能にするために、前隅に2つの注ぎスポット56を有する。注ぎ口56は、有害廃棄物を廃棄物容器に容易に、人間工学的に、かつ安全に注ぐように構成されている。転写緩衝液が、危険な廃棄物容器に廃棄される必要があり、シンクに流してはならない危険な化学物質のメタノールを含有しているため、注ぎ口56は、特に有用である。
【0177】
II.方法:
本開示の実施形態は、ゲル電気泳動システムを取得すること、電気泳動される生体分子を含む少なくとも1つのサンプルを取得すること、及び電気泳動を実行することのうちの少なくとも1つを含む、ゲル電気泳動を実行する方法に関する。本開示の実施形態は、本明細書に記載されるデバイス及びシステムを使用して生体分子の電気泳動転写を実行する方法に関する。電気泳動又は転写されることができる生体分子の非限定的な例は、核酸、DNA、RNA、ポリペプチド、及びタンパク質を含むが、それらに限定されるものではない。
【0178】
1)電気泳動の方法:
図21は、本開示のシステム100’が最初にクランプ28を受容する、電気泳動のための電気泳動システム100、100’、又は110’を組み立てる例示的な方法ステップを示す。これに続いて、クランプとシステムの内側チャンバー壁との間に電気泳動カセット35を挿入し、カムハンドル30をロック位置に移動させてクランプ28のカムハンドル30をロック位置へクランプする。代替的には、システム100は、最初に電気泳動カセット35を、次いでクランプ28を受容することができる。
【0179】
図21は、両方のチャンバーにおける電気泳動転写カセット35及びクランプ28の受容を示すが、上記のセクションの記載から明らかなように、1つのチャンバーのみが、1つの電気泳動カセット及び1つのクランプで組み立てられることができる。
【0180】
図21は、ロック位置におけるカムハンドル30を示す。クランプ28をシステム100に挿入する間、カムアーム30は、ロック解除位置にあり、カセット35の挿入後にロック位置に移動される。
【0181】
蓋20がシステム100の一部であるシステムでは、蓋20は、蓋電気コネクタを介して電源にシステム100’の電気的インターフェースを接続する前に、上に位置付けることができる。代替的には、システム100’の電気的インターフェース12d及び13dは、電源に直接的又は間接的に接続することができる。クランプ、カムハンドル、電極、及びノード/インターフェースは、この明細書の他の部分で示され、記載されているとおりである。
【0182】
いくつかの実施形態では、ゲル電気泳動を実行する方法は、ゲルを有する電気泳動カセット35を取得することと、電気泳動カセットからゲルコームを取り除くことと、任意選択で、水又は泳動用緩衝液でウェルをすすぐことと、本開示のシステム100’又は100の少なくとも1つのチャンバー10a又は10bに電気泳動カセットを位置付けることと、チャンバー内に本開示のクランプ28を配置付けし、チャンバーの表面の一部にゲルカセットをクランプすることと、クランプすることによって形成された第1の緩衝液リザーバ内に電気泳動緩衝液を注ぐことと、クランプすることによって形成された第2の緩衝液リザーバ内に電気泳動緩衝液を注ぐことと、ゲルのウェル内にサンプル充填し、任意選択で対照を充填することと、システムの電気的ノード/インターフェース/接続部12d及び13d(チャンバーの電極に電気的に接続されている)を電源に接続することと、電源の電圧及び時間を選択することと、サンプル及び対照上で電気泳動を実行することと、を含む。
【0183】
本方法のいくつかの実施形態では、ゲルカセットは、少なくとも1つのチャンバーの壁上のガスケット17に隣接して位置付けられている。
【0184】
いくつかの実施形態では、クランプするステップは、本開示のクランプのカムハンドル30をゲルカセット35に向かって移動して、それらを適所にロックすることを含む。
【0185】
いくつかの実施形態では、第1の緩衝液リザーバ及び第2の緩衝液リザーバは、同じ緩衝液を含有する。いくつかの実施形態では、第1の緩衝液リザーバ及び第2の緩衝液リザーバは、異なる緩衝液を含有する。緩衝液の選択は、ゲルマトリックスとゲル緩衝液との組み合わせによって案内され得る。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、蓋20を有する。これらの実施形態では、システム100における電気的ノード/インターフェース/接続部12d及び13dを電源に接続するステップは、クランプアーム30a及び30bがロックされた後に、蓋の電気的接続部23a及び24aがシステムの電極インターフェース/ノード/接続部12d及び13dに正しい極性で接続されるように、蓋20をチャンバー上に位置付けるステップと、蓋におけるプラグ21を電源に接続するステップを含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、本開示のゲル電気泳動を実行する方法は、ゲルを有する電気泳動カセットを取得することと、電気泳動カセットからゲルコームを取り除くことと、電気泳動カセットからテープのストリップを取り除くことと、任意選択で、水又は泳動用緩衝液でウェルをすすぐことと、カセットのウェル開口部が陰極電極に向かって配向されている、本開示の電気泳動のためのシステムの少なくとも1つのチャンバー内に電気泳動カセットを位置付けることと、2つの独立したリザーバ、陰極リザーバ及び陽極リザーバを形成するチャンバー内に本開示のクランプを位置付けして、チャンバーの表面の一部にゲルカセットをクランプすることと、陰極リザーバである第1の緩衝液リザーバ内に緩衝液を注ぐこと(陰極リザーバの緩衝液は、任意選択で酸化防止剤が添加され得る)と、陽極リザーバである第2の緩衝液リザーバ内に緩衝液を注ぐことと、サンプル及び対照をゲルカセットのウェル内に充填することと、システムの蓋をチャンバー上に位置付けることと、蓋の電気的接続部を電源に接続することと、電源の電圧及び時間を選択することと、サンプル及び対照上で電気泳動を実行することと、を含む。
【0188】
2)電気泳動転写の方法:
本開示はまた、電気泳動転写カセット(40、40a~40i)及び電気泳動転写システム100及び100’を提供する。いくつかの実施形態では、ゲルから転写膜への生体分子の電気泳動転写に使用されるゲルは、任意の電気泳動システムにおいて実行されるゲルである。他の実施形態では、本開示の電気泳動転写方法に使用されるゲルは、上で記載された電気泳動システム100、100’又は110において実行されるゲルであることができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、生体分子を分解するために電気泳動が実行されているゲルは、最初に電気泳動カセットから取り除かれる。これは、電気泳動カセットをゲルナイフで抉じ開ける、又は壊して開けることと、転写スタックを組み立てる前にゲルを取り除くこととを含むことができる。転写スタックは、典型的には、電気泳動転写緩衝液に浸されたスポンジ及び1つ以上の層のろ紙(又は電気泳動転写緩衝液に浸されたゲル/マトリックスのような任意の多孔質材料)と、続いて電気泳動によって分解される生体分子がその上に位置付けられるゲルと、続いて転写膜(典型的には、ニトロセルロース、PVDF、ナイロン膜、又は任意の多孔性材料)と、電気泳動転写緩衝液に浸された1つ以上の層のろ紙及び別のスポンジの別のスタックと、を備える(図22B参照)。このスタックは、電気泳動転写カセットの1つのプレート上に組み立てられることができる。典型的には、陰極を有する電気泳動転写カセットにおけるプレートは、スタックが組み立てられるプレートである。本開示のいくつかの実施形態では、本開示のトレイは、電気泳動転写カセットを開位置に位置付けし、転写スタックを組み立てるように設計される(トレイ及びトレイにおける電気泳動転写カセットの位置付けについては図22Aを参照)。本開示のトレイは、余分な緩衝液を含有し、実験台及びテーブルでの流出並びに散らかりを避けるように設計されている。
【0190】
図22A~22Fは、本開示のデバイス及びシステムを使用する電気泳動転写の方法のステップを示す。一実施形態では、生体分子の電気泳動転写を行う方法は、生体分子が電気泳動によって分離されたゲルを取得することと、ゲルの上にブロッティング材料を位置付けること、更にブロッティング材料並びにゲルの上下にろ紙及びスポンジを位置付けることを含む、本開示の電気泳動転写カセットの第2のプレート上に転写スタックを組み立てること(図22B)と、電気泳動転写カセットの第1のプレートを第2のプレートの上に閉じること(図22C)と、電気泳動転写カセット上のロッキング及び封止機構によって、少なくとも3つ以上の側部で電気泳動転写カセットをロッキング及び封止すること(図22D又は図10H)と、電気泳動転写及び電気泳動を実行することができる本開示のシステムの少なくとも1つのチャンバー内に電気泳動転写カセットを位置付けること(図22D及び22E)と、システム上の電気的接続/ノード/インターフェースを電源に接続すること(示されず)と、電源の転写電圧及び実行時間を選択することと、ブロッティング材料にゲルからの生体分子の電気泳動転写を実行することと、を含む。
【0191】
一実施形態では、ロッキング及び封止は、電気泳動転写カセット上でスライダーをスライドさせて、電気泳動転写カセットをロック及び封止することによる(例えば、図22C及び図22D又は図10H)。別の実施形態では、ロッキング及び封止は、電気泳動転写カセットをロック及び封止するためにクランプを電気泳動転写カセットにクランプすることによる(例えば、図11A~D)。
【0192】
いくつかの実施形態では、封止は、防液封止を形成する。いくつかの実施形態では、防液封止は、電気泳動転写カセットの少なくとも3つの側部に形成されている(図22D又は図10H)。一実施形態では、本開示のシステムのチャンバー内に電気泳動転写カセットを位置付けることは、接合側(ヒンジ/フック側)がシステムの底部であり、封止されていない第4の側部が上であるように、電気泳動転写カセットを立てることを含む(図22D又は図10H)。この段階で、本方法は、任意選択で、電気泳動転写カセットの上部の開口部内に電気泳動転写緩衝液を注ぐことを含むことができる。いくつかの実施形態では、転写スタックが十分な緩衝液を有するので、追加の電気泳動転写緩衝液を電気泳動転写カセットに注ぐ必要はない。本開示のシステムが蓋を有する実施形態では、システムの電気的接続部を電源に接続するステップは、23a及び24aなどの蓋の電気的接続部が12d及び13dなどのチャンバー電極接続部と接続するように、チャンバー上に蓋を位置付けることと、蓋上の21などの電気的接続部を電源に接続すること(図22F)とを含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、第2のプレートにおける転写スタックの組み立ては、表面への緩衝液の流出を回避するために、開いた電気泳動転写カセットをトレイに位置付けることによって行われる(図22A及び図22C)。いくつかの実施形態では、スタック組み立てのステップは、ろ紙スポンジを転写緩衝液に浸すステップと、第1のプレートに転写緩衝液を注ぐステップと、第2のプレート上にスポンジの層、続いてろ紙を位置付けるステップと、分解された生体分子(核酸又はタンパク質)を含むゲルを、電気泳動転写カセットの底側に向かってウェルを配向してろ紙の上にこのゲルを位置付けるステップと、転写膜を及びゲルの上に位置付けるステップと、スタックの各層から気泡を取り除くためにローラーを使用するステップと、を含む(図22B)。
【0194】
いくつかの実施形態では、スタック組み立てのステップは、イオンを有するゲル又はマトリックス又は材料を使用するステップと、分解された生体分子(核酸又はタンパク質)を含むゲルを、イオンを有するゲル/マトリックス/材料上で電気泳動転写カセットの底側に向かってウェルを位置付けて配向するステップとを含む。この実施形態は、ドライブロッティングスタック組み立ての組み立てに関する。いくつかの非限定的な実施例では、イオンを有するゲル/マトリックス/材料は、液体緩衝液ではないゲル/マトリックス/材料中にイオンリザーバ又は導電性イオンを含むことができる。
【0195】
いくつかの実施形態では、本開示は、本開示のシステムの第1チャンバーにおいて電気泳動カセットをクランプで固定することと、電気泳動される生体分子を含むサンプルを電気泳動カセットに充填することと、生体分子を含むゲルと、生体分子の電気泳動転写が望まれるブロッティング材料とを有する転写スタックを有する電気泳動転写カセットを、本開示のシステムの第2のチャンバー内に位置付けることと、電源デバイスを使用して、電圧を選択すること及び任意選択で電圧実行が望まれる時間を選択することと、電気泳動カセットにおける電気泳動及びゲルからブロッティング材料への生体分子の電気泳動転写を実行することと、を含む、電気泳動転写及び電気泳動の両方を同時に実行するための方法を提供する。いくつかの実施形態では、電気泳動及び電気泳動転写は、共通電圧が使用されるため、それぞれ異なる時間に実行される。
【実施例
【0196】
実施例1:異なるゲル化学を使用する電気泳動
本開示の電気泳動システム及びデバイスは、様々な異なるゲル化学及び配合物に対して電気泳動を実行するために使用された。電気泳動中のいくつかの非限定的、例示的な実行条件は、中型サイズゲルとしてキャストされたゲルの様々なタイプのゲル化学について表1に提供される。下表における電流値は、1つのゲルに対するものである。2つのゲルを実行する場合、電流は、二倍になる。電流値及びランタイム値は、概算値であり、ゲルのパーセンテージ及び電気泳動に使用される電源によって異なることに注意されたい。
【表1】
【0197】
実施例2:既存の電気泳動転写デバイスと比較した電気泳動転写システム、デバイス、及び方法の性能
電気泳動転写実験では、本開示の電気泳動転写システムは、Bio-RadのCriterionタンクブロッティング(電気泳動転写)システムと比較された。いくつかの実施形態では、本電気泳動転写システムは、Bio-Rad Criterionタンクと比較して、はるかに低い電圧、電流、及び電力でタンパク質の電気泳動転写を実行した。一実施例では、両方のシステムで1つのNuPAGE中型ゲルを使用して電気泳動転写を実行すると、以下の結果が得られました。
【0198】
本開示のシステムにおける電気泳動転写は、25V/725mA/18.1W(注:25V×0.725A=18.1W)で実行された。
【0199】
対照的に、Bio-RadのCriterion Tankブロッターにおける電気泳動転写は、はるかに高い電圧及び100V/930mA/93.0Wの電力が必要とされた。
【0200】
したがって、低電力、ひいてはより安価な電源ユニットは、既存のシステムと比較した本開示の電気泳動転写システムで使用されることができる。例えば、4つのNuPAGE中型サイズゲルにおけるタンパク質の電気泳動転写は、本開示の電気泳動転写システム及びカセットにおいて3A電源で実行されることができる。
【0201】
実施例3:電気泳動転写システム及びとデバイスの組み立て並びに性能
電気泳動転写実験では、本開示の電気泳動転写システムは、比較漏水率を研究するための実験を実施することによって防液封止を分析するために、Thermo Fisher Mini Blot Module B1000(既存の電気泳動転写システムである)と比較された。時限漏れ試験は、以下のように実行された。
1.電気泳動転写システムユニットを濡らし、水中で動かしながらユニットを開閉する。各漏れ試験の前に、ユニットが濡れていることを確認する。
2.電気泳動転写スタックを構築し、測定前に全てのコンポーネントを完全に水で飽和する。
1)スポンジを濡らす(数量2)。
2)ろ紙を濡らす(数量4)。
3)電気泳動転写スタックを、この順序、スポンジ(x1)、ろ紙(x4)、及びスポンジ(x1)で組み立てる。
4)各スタック層の間の気泡を取り除くために、各層をブロットローラーで転がす。
3.電気泳動転写システムユニットが位置付けられるトレイで重量計の風袋を計る。
4.タイマーは、少なくとも30分までの様々な時間間隔で設定され、ここで、30分は電気泳動転写の推奨時間である。
5.電気泳動転写システムは、閉じられ、クランプされた。
6.余分な水を振り落とす/タップする。
7.重量計上のトレイに電気泳動転写システムを立てる。
8.給水ラインの底まで水を満たす。
9.タイマーを開始する。
10.電気泳動転写システムをトレイから持ち上げること、及びトレイ内に漏れた可能性のある水の重量を記録することによって、漏れ率を記録する。
【0202】
既存のThermo Fisher Mini Blot Module B1000対開示の例示的な電気泳動転写システムの結果を、それぞれ表2及び3に提供する。表2及び3に見られるように、既存のMini Blot Moduleは平均9.9675グラムの漏水を有していたが、表3の本開示の電気泳動転写システムは、様々な時間間隔での0~30分の測定から漏出がなかった。
【表2】
【表3】
【0203】
実施例4:電気泳動転写システム及びデバイスの性能
電気泳動転写実験では、本開示の電気泳動転写システムは、「リアルタイムエージング」をシミュレートするために、電気泳動転写システムを80℃で様々な時間処理することによって「加速エージング」を受けた。デバイスはまた、実際の使用を長期的にシミュレートするために、転写実行、反復的にクランプすること及び開くこと、並びに転写緩衝液にさらされた。エージングされたユニットは、比較漏水率を研究するための実験を行うことによって、それらの「エージ」に関連して防液封止について分析された。時限漏れ試験のセットアップは、上記実施例3に記載されたように実行された。エージングに関連する漏水率のデータは、以下の表4に示すとおりである。表4に示されるように、「エージング」の時間は、電気泳動転写ユニットの棚での等価時間と相関している。例えば、時間=0は、80℃でのエージングなしに相当し、時間=1か月は、80℃で14.39時間のエージングに相当する。時間=24ヶ月は、80℃で345.36時間のエージングに相当する、などである。この実験は、本開示の電気泳動転写システムが、エージングを行っても、既存のシステムの漏れ率よりもはるかに低い漏れ率を有することを実証した。
【表4-1】
【表4-2】
【0204】
実施例3の30分間漏れ試験で試験された既存のMini Blot Module B1000システムは、より古く、使用されたシステムであるため、それらは、上記のようにエージングを加速した本開示の電気泳動転写システムに匹敵する。
【0205】
以下の表5及び6は、30分間の性能の比較を容易にするために上記の表から抽出した古いMini Blot Module B1000システムと比較した、本開示の加速エージング電気泳動転写システムの30分間漏れ試験のデータの要約を提供する。
【表5】
【表6】
【0206】
30分間漏れ試験のデータの要約からわかるように、既存のMini Blot Module B1000システムは、1.09gの漏れ率を有する本開示のエレクトロブロットシステムに対するいくつかの試験と比較して、9.97gの30分間の漏れ率を有する。
【0207】
本明細書に言及される全ての公開物、特許、及び特許出願は、各個別の公開物、特許、又は特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0208】
本開示の実施形態が本明細書において示され、記載されてきたが、かかる実施形態が実施例としてのみ提供されることは、当業者には明らかであろう。多くの変化形、変更、及び置換は、本開示から逸脱することなく、当業者に思いつくであろう。本明細書に記載される本開示の実施形態の種々の代替物が本開示の実施に用いられ得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本開示の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造並びにそれらの同等物がそれにより網羅されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図18
図19A
図19B
図19C
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
【国際調査報告】