IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤン シェン タン カンパニー、リミテッドの特許一覧 ▶ 厦▲門▼大学の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】細胞透過性ペプチドおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20230731BHJP
   C07K 14/00 20060101ALI20230731BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230731BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230731BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230731BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230731BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230731BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20230731BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230731BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230731BHJP
   C07K 16/00 20060101ALN20230731BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K14/00 ZNA
C07K19/00
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K47/64
A61K47/65
A61K47/68
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023503066
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2023-03-14
(86)【国際出願番号】 CN2021106043
(87)【国際公開番号】W WO2022012539
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】202010692443.7
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516118327
【氏名又は名称】養生堂有限公司
【氏名又は名称原語表記】YANG SHENG TANG COMPANY, LTD.
【住所又は居所原語表記】ROOM 205, NO. 17 LUNDU ROAD, SHUANGPU TOWN, XIHU DISTRICT, HANGZHOU, ZHEJIANG 310000, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】504458976
【氏名又は名称】厦▲門▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】袁 權
(72)【発明者】
【氏名】王 邵 娟
(72)【発明者】
【氏名】粘 晟
(72)【発明者】
【氏名】魏 敏
(72)【発明者】
【氏名】張 雅 麗
(72)【発明者】
【氏名】王 楷
(72)【発明者】
【氏名】陳 毅 ▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】張 天 英
(72)【発明者】
【氏名】葛 勝 祥
(72)【発明者】
【氏名】夏 寧 邵
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4H045AA10
4H045AA11
4H045BA19
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
タンパク質、抗体、核酸などの様々な生物学的高分子を膜を介して細胞内に送達することができる細胞透過性ペプチドを提供する。加えて、細胞透過性ペプチドを含む融合タンパク質、コンジュゲートおよび複合体、並びに細胞透過性ペプチドの使用がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞透過性ペプチドまたはその切断型であって、前記細胞透過性ペプチドは、式Iによって表される構造:
1011PRRRX161718PRRRRX24QX26PRRRRX3233343536373839
式I
を有し、式中、
~Xは、各々独立して、(i)アミノ酸残基R、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、KまたはH)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、C、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、N、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、G、P、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基G、P、T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
10は、(i)アミノ酸残基R、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、KまたはH)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基A、S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
16は、(i)アミノ酸残基T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、S、C、Y、W)から選択され、
17は、(i)アミノ酸残基P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M)から選択され、
18は、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
24は、(i)アミノ酸残基S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、C、Y、W)から選択され、
26は、(i)アミノ酸残基S、C、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、Y、W)から選択され、
32は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
34は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
35は、(i)アミノ酸残基R、P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、A、V、L、I、M)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基P、S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
38は、(i)アミノ酸残基Q、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、C、G、T、Y、W)から選択され、
39は、(i)アミノ酸残基C、S、N、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、Q、G、T、Y、W)から選択され、
前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~10個(例えば、1~5個)のアミノ酸残基が切断され、および/またはC末端で1~14個(例えば、1~8個)のアミノ酸残基が切断され、
前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)の細胞内への膜貫通送達を行うことができる、
細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項2】
(1)X~Xが、各々独立して、アミノ酸残基R、KおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X~Xが、各々独立して、アミノ酸残基RおよびKからなる群から選択され、好ましくは、X~Xが、各々独立して、アミノ酸残基Rである;
(2)Xが、アミノ酸残基R、C、G、K、H、N、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、C、G、K、N、Q、SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、C、GおよびKからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、CおよびGからなる群から選択される;
(3)Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、C、Q、SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、CおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、NおよびGからなる群から選択される;
(4)Xが、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、G、P、S、K、N、Q、CおよびTからなる群から選択され、Xが、アミノ酸残基R、G、P、S、K、CおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、G、PおよびSからなる群から選択される;
(5)Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択される;
(6)Xが、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、I、およびMからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、A、K、V、LおよびIからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基RおよびAからなる群から選択される;
(7)Xが、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、SおよびCからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基G、P、T、SおよびCからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基G、PおよびTからなる群から選択される;
(8)X10が、アミノ酸残基R、KおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X10が、アミノ酸残基RおよびKからなる群から選択され、好ましくは、X10が、アミノ酸残基Rである;
(9)X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択される;
(10)X16が、アミノ酸残基T、N、Q、G、S、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X16が、アミノ酸残基T、N、Q、G、SおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X16が、アミノ酸残基TおよびSからなる群から選択され、好ましくは、X16が、アミノ酸残基Tである;
(11)X17が、アミノ酸残基P、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、X17が、アミノ酸残基Pである;
(12)X18が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X18が、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X18が、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X18が、アミノ酸残基SおよびQからなる群から選択される;
(13)X24が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X24が、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X24が、アミノ酸残基SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X24が、アミノ酸残基Sである;
(14)X26が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X26が、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X26が、アミノ酸残基S、CおよびQからなる群から選択される;
(15)X32が、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X32が、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32が、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32が、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
(16)X33が、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、TおよびRからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Q、K、NおよびRからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択される;
(17)X34が、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X34が、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X34が、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X34が、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
(18)X35が、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、X35はアミノ酸残基R、P、KおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X35が、アミノ酸残基R、PおよびKからなる群から選択され、好ましくは、X35が、アミノ酸残基RおよびPからなる群から選択される;
(19)X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される;
(20)X37が、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基P、S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基P、S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基P、SおよびCからなる群から選択される;
(21)X38が、アミノ酸残基Q、S、N、C、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X38が、アミノ酸残基Q、S、N、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X38が、アミノ酸残基Q、S、NおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X38が、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される;および
(22)X39が、アミノ酸残基C、S、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X39が、アミノ酸残基C、S、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X39が、アミノ酸残基C、SおよびNからなる群から選択される;
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、請求項1に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項3】
前記細胞透過性ペプチドが、式IIによって表される構造:
RRRXRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX3233343536373839
式II
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、C、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、N、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、G、P、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基G、P、T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基A、S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
32は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
34は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
35は、(i)アミノ酸残基R、P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、A、V、L、I、M)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基P、S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
38は、(i)アミノ酸残基Q、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、C、G、T、Y、W)から選択され、と
39は、(i)アミノ酸残基C、S、N、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、Q、G、T、Y、W)から選択され、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドが、式IIによって表される構造:
RRRXRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX3233343536373839
式II
を有し、式中、
は、アミノ酸残基R、C、Gからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、N、Gからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、G、P、Sからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、D、Qからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、Aからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基G、P、Tからなる群から選択され、
11は、アミノ酸残基A、S、Qからなる群から選択され、
32は、アミノ酸残基S、Cからなる群から選択され、
33は、アミノ酸残基Q、Kからなる群から選択され、
34は、アミノ酸残基S、Cからなる群から選択され、
35は、アミノ酸残基R、Pからなる群から選択され、
36は、アミノ酸残基E、Aからなる群から選択され、
37は、アミノ酸残基P、S、Cからなる群から選択され、
38は、アミノ酸残基Q、Sからなる群から選択され、
39は、アミノ酸残基C、S、Nからなる群から選択される、
請求項1または2に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項4】
前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基(例えば、1~5個のアミノ酸残基)が切断され、および/またはC末端で1~14個のアミノ酸残基(例えば、1~8個のアミノ酸残基)が切断され、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基が切断され、例えば、N末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸残基が切断され、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、C末端で1~14個のアミノ酸残基、例えば、C末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のアミノ酸残基が切断され、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基(例えば、1~5個のアミノ酸残基)が切断され、C末端で1~14個のアミノ酸残基(例えば、1~8個のアミノ酸残基)が切断され、例えば、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で5または10個のアミノ酸残基が切断され、C末端で1~8個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6または8個のアミノ酸残基)が切断され、
例えば、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基(例えば、2、3、5または10個のアミノ酸残基)が切断され、C末端では切断されていないか、または1~8個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6または8個のアミノ酸残基)が切断され、
例えば、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で5個のアミノ酸残基が切断され、C末端で1~14個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6、8または14個のアミノ酸残基)が切断され、
例えば、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~5個のアミノ酸残基(例えば、2、3または5個のアミノ酸残基)が切断され、前記切断型は、C末端では切断されていないか、または1~14個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6、8または14個のアミノ酸残基)が切断されないか、または切断され、
例えば、前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、C末端で14個のアミノ酸残基が切断され、X26が、アミノ酸残基Cである、
請求項1~3のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項5】
前記細胞透過性ペプチドが、式IIIによって表される構造:
RRRGXRXRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX32QX34353637SNC
式III
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、N、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、G、P、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基G、P、T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
32およびX34は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
35は、(i)アミノ酸残基R、P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、A、V、L、I、M)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基P、S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドまたはその前記切断型が、
(1)Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基N、G、C、Q、SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基N、G、CおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基NおよびGからなる群から選択される;
(2)Xが、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基残基P、S、N、Q、CおよびTからなる群から選択され、Xが、アミノ酸残基P、SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基PおよびSからなる群から選択される;
(3)Xが、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、A、K、V、LおよびIからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基RおよびAからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基Aである;
(4)Xが、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、SおよびCからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基P、TおよびSからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基PおよびTからなる群から選択される;
(5)X32およびX34が、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X32およびX34が、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32およびX34が、各々独立して、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32およびX34が、各々独立して、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X32およびX34が、各々独立して、アミノ酸残基Sである;
(6)X35が、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され、好ましくは、X35が、アミノ酸残基R、P、KおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X35が、アミノ酸残基R、PおよびKからなる群から選択され、好ましくは、X35が、アミノ酸残基RおよびPからなる群から選択され、好ましくは、X35が、アミノ酸残基Pである;
(7)X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基Aである;および
(8)X37が、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基P、S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基P、S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基P、SおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基PおよびSからなる群から選択される;
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有し、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドが、配列番号20~21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項6】
前記切断型が、式IVによって表される構造:
11PRRRTPX18PRRRRSQX26
式IV
を含み、式中、
11は、(i)アミノ酸残基S、Q、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
18は、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、C、N、G、T、Y、W)から選択され、
26は、(i)アミノ酸残基S、C、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、Y、W)から選択され、
好ましくは、前記切断型が、
(1)X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択される;
(2)X18が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X18が、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X18が、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X18が、アミノ酸残基SおよびQからなる群から選択される;ならびに
(3)X26が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X26が、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X26が、アミノ酸残基S、CおよびQからなる群から選択される;
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、
請求項1または2に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項7】
式Vによって表される構造:
RGRX11PRRRTPX18PRRRRSQX26PRRRRX32
式V
を含み、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W、N)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基S、A、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
18およびX26は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
32は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
好ましくは、前記切断型が、
(1)Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、C、Q、SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、CおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基RおよびGからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基Rから選択される;
(2)Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基Rから選択される;
(3)X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される;
(4)X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X18およびX26が、各々独立してアミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される;および
(5)X32が、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X32が、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32が、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32が、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、
請求項1または2に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項8】
前記切断型が、式VIによって表される構造:
RGRX11PRRRTPX18PRRRRSQX26PRRRRSX33SRX3637
式VI
を含み、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W、N)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基S、A、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
18およびX26は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
好ましくは、前記切断型が、
(1)Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、C、Q、SおよびTからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、N、G、K、CおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基RおよびGからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基Rから選択される;
(2)Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基Rから選択される;
(3)X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される;
(4)X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される;
(5)X33が、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、TおよびRからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Q、K、NおよびRからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Qから選択される;
(6)X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基Eから選択される;および
(7)X37が、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X37が、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、
請求項1または2に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項9】
前記切断型が、式VIIによって表される構造:
RXRGRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX323334RX3637QX39
式VII
を含み、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基A、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、Y、W)から選択され、
32、X34、X37およびX39は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
好ましくは、前記切断型が、
(1)Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択され、好ましくは、Xが、アミノ酸残基RおよびQからなる群から選択される;
(2)X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基A、S、V、L、IおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X11が、アミノ酸残基AおよびSからなる群から選択される;
(3)X32、X34、X37およびX39が、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、好ましくは、X32、X34、X37およびX39が、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択され、好ましくは、X32、X34、X37およびX39が、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から各々独立して選択される。好ましくは、X32、X34、X37およびX39が、各々独立して、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
(4)X33が、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、TおよびRからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基Q、K、N、およびRからなる群から選択され、好ましくは、X33が、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択される;および
(5)X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択され、好ましくは、X36が、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される;
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有し、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型が、配列番号10~13、15、17~18、20~21、23~29および32~37からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型および目的のペプチドを含む融合タンパク質であって、
好ましくは、前記目的のペプチドが、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に直接共有結合で連結されているか、またはペプチドリンカー(例えば、フレキシブルなペプチドリンカー)を介して共有結合で連結されており、
好ましくは、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型が、前記目的のペプチドのN末端に(任意選択によりペプチドリンカーを介して)またはC末端に(任意選択によりペプチドリンカーを介して)連結されており、
好ましくは、前記目的のペプチドが、抗体であり、好ましくは、前記抗体が、抗HBV抗体(例えば、抗HBsAg抗体、抗HBcAg抗体、抗HBeAg抗体など)、抗インフルエンザウイルス抗体(例えば、抗HA1抗体、抗HA2抗体)、抗腫瘍抗原抗体(例えば、抗p53抗体、抗kras抗体、抗PRL-3抗体)、抗免疫チェックポイント抗体(例えば、抗PD1またはPDL1抗体)、抗メラニン合成関連抗体(例えば、チロシナーゼ関連タンパク質TYRP1抗体)、抗新型コロナウイルス抗体(例えば、抗Sタンパク質RBDまたはS1もしくはS2抗体などの抗新型コロナウイルスSタンパク質抗体)からなる群から選択され、
好ましくは、前記目的のペプチドが、遺伝子編集に関連するタンパク質であり、好ましくは、前記タンパク質が、Cas9タンパク質、AcrIIA4タンパク質、Cas13タンパク質、CreリコンビナーゼおよびFlipリコンビナーゼからなる群から選択され、
好ましくは、前記目的のペプチドが、活性タンパク質または追跡可能なタンパク質であり、好ましくは、前記タンパク質が、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)、毒素タンパク質(例えば、エンドトキシン)、サイトカイン(例えば、IL10またはIFNγなどのインターロイキンまたはインターフェロン)、免疫調節タンパク質(例えば、PD1)、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、メチラーゼ、プロテインキナーゼなど)、シグナル伝達経路関連分子タンパク質(例えば、β-カテニンタンパク質)、サイクリン(例えば、サイクリンD1タンパク質)、転写活性化因子および転写阻害剤からなる群から選択され、
好ましくは、前記目的のペプチドが、DNA分子に結合可能なタンパク質であり、好ましくは、前記タンパク質が、ジンクフィンガータンパク質および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENタンパク質)からなる群から選択され、
好ましくは、前記目的のペプチドが、配列番号1、6~7、43~44および46~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を有し、
好ましくは、前記融合タンパク質が、追加のドメインをさらに含み、好ましくは、前記融合タンパク質が、タグドメイン(例えば、6Hisタグ、HAタグ、ハプテンタグ、Strepタグ、MBPタグ、GSTタグなど)、および/または抗体重鎖定常領域をさらに含み、好ましくは、前記追加のドメイン(例えば、タグドメイン)が、前記融合タンパク質のN末端またはC末端に位置する、
融合タンパク質。
【請求項11】
請求項1~9のいずれか一項に記載の前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型と、目的の分子(例えば、目的のタンパク質または目的の核酸)とを含むコンジュゲートであって、
好ましくは、前記目的の分子が、前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に直接共有結合で連結されているか、もしくはリンカー(例えば、二官能性リンカーまたはペプチドリンカー)を介して共有結合で連結されているか、または前記目的の分子が、前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に非共有結合で連結されており、
好ましくは、前記目的の分子が、検出可能な標識、例えば、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリトリンまたはテキサスレッド)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼまたはβ-Dガラクトシダーゼ)、安定同位体または放射性同位体、発色団部分、ジゴキシゲニン、ビオチン/アビジン、DNA分子または金であり、
好ましくは、前記目的の分子が、細胞傷害剤、例えば、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、イペカミン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジケトン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、l-デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンおよびその類似体、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-メルカプトグアニン、シトシンアラビノシド、5-フルオロウラシルデクルブジン(5-fluorouracil dcrbzine))、アルキル化剤(例えば、ムスチン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびcis-ジクロロジアミン白金(DDP))、アントラサイクリン(例えば、イダルビシン(以前はダウノルビシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ゲンシャムマイシン(genshammycin)(以前はアクチノマイシンとして既知)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアンチアマイシン(AMC))、並びに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)であり、
好ましくは、前記目的の分子が、タンパク質またはポリペプチドであり、
好ましくは、前記目的の分子が、抗体であり、好ましくは、前記抗体が、抗HBV抗体(例えば、抗HBsAg抗体、抗HBcAg抗体、抗HBeAg抗体など)、抗インフルエンザウイルス抗体(例えば、抗HA1抗体、抗HA2抗体)、抗腫瘍抗原抗体(例えば、抗p53抗体、抗kras抗体、抗PRL-3抗体)、抗免疫チェックポイント抗体(例えば、抗PD1またはPDL1抗体)、抗メラニン合成関連抗体(例えば、チロシナーゼ関連タンパク質TYRP1抗体)、抗新型コロナウイルス抗体(例えば、抗Sタンパク質RBDまたはS1もしくはS2抗体などの抗新型コロナウイルスSタンパク質抗体)からなる群から選択され、
好ましくは、前記目的の分子が、遺伝子編集に関連するタンパク質であり、好ましくは、前記タンパク質が、Cas9タンパク質、AcrIIA4タンパク質、Cas13タンパク質、CreリコンビナーゼおよびFlipリコンビナーゼからなる群から選択され、
好ましくは、前記目的の分子が、活性タンパク質または追跡可能なタンパク質であり、好ましくは、前記タンパク質が、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)、毒素タンパク質(例えば、エンドトキシン)、サイトカイン(例えば、IL10またはIFNγなどのインターロイキンまたはインターフェロン)、免疫調節タンパク質(例えば、PD1)、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、メチラーゼ、プロテインキナーゼなど)、シグナル伝達経路関連分子タンパク質(例えば、β-カテニンタンパク質)、サイクリン(例えば、サイクリンD1タンパク質)、転写活性化因子および転写阻害剤からなる群から選択され、
好ましくは、前記目的の分子が、DNA分子に結合可能なタンパク質であり、好ましくは、前記タンパク質が、ジンクフィンガータンパク質および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENタンパク質)からなる群から選択され、
好ましくは、前記目的の分子が、配列番号1、6~7、43~44および46~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである、
コンジュゲート。
【請求項12】
請求項10に記載の融合タンパク質または請求項11に記載のコンジュゲートを含む、多量体。
【請求項13】
請求項10に記載の融合タンパク質または請求項11に記載のコンジュゲートまたは請求項12に記載の多量体と、前記融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体と非共有結合または複合体形成している成分とを含む複合体であって、
好ましくは、前記融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体が、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結されたDNA分子に結合可能なタンパク質を含み、前記複合体が、前記DNA分子に結合可能なタンパク質と非共有結合または複合体を形成しているDNA分子を含み、
好ましくは、前記DNA分子に結合可能な前記タンパク質が、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に(任意選択によりリンカーを介して)共有結合で連結されているか、または(任意選択によりリンカーを介して)非共有結合で連結されており、
好ましくは、前記DNA分子に結合可能な前記タンパク質が、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型のN末端またはC末端に連結されており、
好ましくは、前記DNA分子が、前記DNA分子に結合可能な前記タンパク質によって認識および結合されるヌクレオチド配列を含み、
好ましくは、前記DNA分子に結合可能な前記タンパク質が、ジンクフィンガータンパク質および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENタンパク質)からなる群から選択され、好ましくは、前記ヌクレオチド配列が、ジンクフィンガータンパク質の結合配列(例えば、配列番号54)である、
複合体。
【請求項14】
請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または請求項10に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項15】
請求項14に記載の単離された核酸分子を含む、ベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)。
【請求項16】
請求項14に記載の単離された核酸分子または請求項15に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項17】
請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または請求項10に記載の融合タンパク質を調製する方法であって、請求項16に記載の宿主細胞を前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または前記融合タンパク質を発現することができる条件下で培養すること、および培養された前記宿主細胞の培養物から前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または融合タンパク質を回収することを含む方法。
【請求項18】
請求項10に記載の融合タンパク質、または請求項11に記載のコンジュゲート、または請求項12に記載の多量体、または請求項13に記載の複合体、または請求項14に記載の単離された核酸分子、または請求項15に記載のベクターを含む、組成物。
【請求項19】
請求項10に記載の融合タンパク質、または請求項11に記載のコンジュゲート、または請求項12に記載の多量体、または請求項13に記載の複合体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む医薬組成物であって、前記融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体または複合体が、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結された治療的活性ポリペプチドを含み、
好ましくは、前記治療的活性ポリペプチドが、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に(任意選択によりリンカーを介して)共有結合で連結されているか、または(任意選択によりリンカーを介して)非共有結合で連結されており、
好ましくは、前記治療的活性ポリペプチドが、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型のN末端またはC末端に連結されている、
医薬組成物。
【請求項20】
目的の分子を細胞内に膜貫通送達するための方法であって、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型を前記目的の分子に連結させ、次いで前記目的の分子を前記細胞と接触させることを含み、
好ましくは、前記方法は、(1)前記目的の分子を前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に結合させてコンジュゲートを得ること、および(2)前記コンジュゲートを前記細胞と接触させ、それにより、前記目的の分子を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含み、
好ましくは、前記目的の分子が、共有結合、アフィニティー結合、インターカレーション、配位結合、複合体形成、結合、混合、または付加によって前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結され、
好ましくは、ステップ(1)において、前記目的の分子を前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に直接共有結合で連結させるか、または前記目的のペプチドを前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型にリンカー(例えば、二官能性リンカーまたはペプチドリンカー)を介して共有結合で連結させ、
好ましくは、ステップ(1)において、前記目的の分子を、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に非共有結合で連結させ、
好ましくは、前記目的の分子は、請求項11に定義された通りであり、
好ましくは、前記目的の分子は、前記目的のペプチドであり、前記方法は、(1)前記目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型と連結させて融合タンパク質を得ること、および(2)前記融合タンパク質を前記細胞と接触させ、それにより、前記目的の分子を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含み、
好ましくは、ステップ(1)において、前記目的のペプチドを前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に直接共有結合で連結させるか、または前記目的のペプチドを前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型にペプチドリンカー(例えば、フレキシブルなペプチドリンカー)を介して連結させて融合タンパク質を得、
好ましくは、ステップ(1)において、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型を前記目的のペプチドのN末端に(任意選択によりペプチドリンカーを介して)またはC末端に(任意選択によりペプチドを介して)に連結させ、
好ましくは、前記目的のペプチドは、請求項10に定義された通りであり、
好ましくは、前記目的の分子は、目的の核酸であり、前記方法は、(1)前記目的の核酸に結合可能なタンパク質を前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結させること、(2)ステップ(1)の生成物を前記目的の核酸と接触させて複合体を得ること、および(3)前記複合体を細胞と接触させ、それにより、前記目的の核酸を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含み、
好ましくは、前記目的の分子は、目的の核酸であり、前記方法は、(1)前記目的の核酸に、DNA結合タンパク質によって認識および結合され得るヌクレオチド配列を付加すること、(2)前記DNA結合タンパク質を前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結させること、(3)ステップ(1)の生成物をステップ(2)の生成物と接触させて複合体を得ること、および(4)前記複合体を前記細胞と接触させ、それにより、前記目的の核酸を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含む方法。
【請求項21】
目的の分子の細胞内への膜貫通送達のための、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型の使用。
【請求項22】
目的の分子の細胞内への膜貫通送達のためのキットの製造における、請求項1~9のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、生物学の技術分野、特に膜貫通送達の技術分野に関する。具体的には、本出願は、タンパク質、抗体、核酸などの様々な生物学的高分子の細胞内への膜貫通送達を効率的に行うことができる細胞透過性ペプチド(cpp)に関する。さらに、本出願はまた、細胞透過性ペプチドを含む融合タンパク質、コンジュゲートおよび複合体、並びに細胞透過性ペプチドの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の生物製剤、特に抗体は、遊離の標的および細胞膜表面上の標的を主に標的としている。しかしながら、実際には、細胞内に多くの潜在的な標的が存在する。生物学的高分子薬物(例えば、抗体)はこれらの細胞内標的にアクセスしづらいことから、これらの細胞内標的を標的とする現在の薬物は主に化学薬物である。しかしながら、化学薬物と、抗体または他の生物活性高分子との間には、特定の疾患における過剰発現した抗原の認識、タンパク質相互作用の遮断および特異性などの点で、未だ隔たりがある。例えば、活性な生物学的高分子を細胞内に効率的に導入してそのような標的に介入することができるのであれば、腫瘍形成および発達を促進する細胞内腫瘍関連抗原またはシグナル伝達経路は介入の潜在的な標的となる。
【0003】
細胞透過性ペプチド(cpp)は、細胞膜または組織障壁を通過することができる短いペプチドの一クラスである。これらのペプチドは特定の受容体に結合せず、エネルギー依存性またはエネルギー非依存性の作用機序によって組織障壁および細胞膜を通過する。cppは、主にエンドサイトーシスおよび直接浸透の2つの作用機序によって細胞内に入ることができ、膜貫通効率が高く、細胞毒性が低いという利点がある。cppは、主に、カチオン性、両親媒性、および疎水性のタイプに分類することができる。1988年以来、2つの独立した研究グループが、HIV-1トランス転写活性化因子(HIV-1 trans-activator of transcription)(TAT)がインビトロで効果的に細胞膜を通過して細胞内に入ることができることを報告しており、細胞透過性ペプチドの研究は大きな進歩を遂げた。cppは、生物活性分子(タンパク質、ポリペプチド、DNA、siRNAおよび小薬物など、纏めてカーゴとも称される)を細胞内に運搬することができることが見出されている。したがって、cppを使用する送達システムは、ポリペプチド送達システムとも称される。細胞透過性ペプチドは、複数の細胞種を標的とするトランスフェクションツールなどの基礎研究に使用され、さらにトランスフェクション後翻訳の研究にも使用されている。さらに、cppの膜貫通特性は、アクセスが困難な細胞および組織での薬物(抗生物質、抗炎症薬、抗腫瘍薬および一部の神経保護薬を含む)の送達および治療効果を改善するために利用されている。細胞透過性ペプチドに関する多数の前臨床研究により、様々な疾患モデルで有望な治療結果が示され、これらの薬物のうちの一部は臨床段階に進んでいる。これらの前臨床および臨床研究は、ヒト治療薬の前例のない開発をもたらしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、臨床応用における現在の細胞透過性ペプチド/薬物は、送達効率が低く、標的化が不十分であるなどの問題を依然として抱えている。したがって、生物活性高分子(例えば、抗体、遺伝子編集システム関連タンパク質などのタンパク質分子、および核酸分子など)の細胞内への膜貫通送達の効率をさらに改善し、それによって生物活性高分子の生物学的機能を発揮するために、新しく効率的な細胞透過性ペプチドを開発する必要がある。この新しいクラスの効率の高い細胞透過性ペプチドにより、細胞内標的を標的とする治療薬のより効率的な送達手段が実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の内容
本発明において、別段で明記しない限り、本願明細書で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。さらに、本願明細書で使用される細胞培養、分子遺伝学、核酸化学および免疫学実験の操作ステップはすべて、対応する分野で広く使用される常法によるステップである。一方、本発明をよりよく理解するために、関連する用語の定義および説明を以下に提供する。
【0006】
本願明細書で使用する場合、「細胞透過性ペプチド」という用語は、ペプチドが結合されている目的の分子の細胞内への膜貫通送達を行うことができるペプチドを指す。例えば、本出願の細胞透過性ペプチドは、ペプチドが結合されている目的の生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)の細胞内への膜貫通送達を行うことができる。本出願において、細胞透過性ペプチドは、共有結合または非共有結合を介して目的の生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)に結合することができる。
【0007】
例えば、本出願の細胞透過性ペプチドは、目的のペプチドまたは目的の核酸に共有結合によって(任意選択により、リンカー、例えばペプチドリンカーを介して)連結させることができる。したがって、特定の実施形態では、本出願の細胞透過性ペプチドは、任意選択により、目的のペプチドにペプチドリンカーを介して融合させることもできる。特定の実施形態では、本出願の細胞透過性ペプチドは、任意選択により、目的のペプチドまたは目的の核酸にリンカー(例えば、ペプチドリンカーまたは二官能性リンカー)を介してコンジュゲートすることもできる。ペプチド分子を目的のペプチドまたは目的の核酸にコンジュゲートする方法は、当該技術分野で既知であり、例えば、様々な既知の二官能性リンカーを使用する。
【0008】
さらに、本出願の細胞透過性ペプチドは、目的の生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)に非共有結合によって結合することもできる。したがって、特定の実施形態では、本出願の細胞透過性ペプチドは、目的の生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)に、特定の分子間相互作用/特異的結合(例えば、抗原と抗体との間の相互作用/結合、DNA結合ドメインとDNA分子との間の相互作用/結合)を介して結合することもできる。
【0009】
本願明細書で使用する場合、「特異的結合」または「特異的相互作用」という用語は、抗体と抗原との間の反応、DNA結合ドメインとDNA分子との間の反応など、2つの分子間の非無作為結合反応を指す。例えば、抗体と抗原の間の非無作為結合反応は、10-6M以下の結合親和性(KD)を有することができる。本出願において、KDは、解離速度と会合速度との比(koff/kon)を指し、それは、例えばBiacoreなどの機器を使用した表面プラズモン共鳴などの方法によって決定することができる。
【0010】
本願明細書で使用する場合、「保存的置換」という用語は、アミノ酸配列を含むタンパク質/ポリペプチドの本質的な特性に悪影響を及ぼすことも、それを変更することもないアミノ酸置換を指す。例えば、保存的置換は、部位特異的変異誘発およびPCR媒介変異誘発などの当該技術分野で既知の標準的な技術によって導入することができる。保存的アミノ酸置換には、対応するアミノ酸残基と物理的または機能的に類似するもの(例えば、類似する、サイズ、形状、電荷や、共有結合または水素結合などを形成する能力を含む化学的性質を有するもの)を含む、類似する側鎖を有するアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置換が含まれる。類似する側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野で定義付けられている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸ファミリー(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸ファミリー(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、荷電していない極性側鎖を有するアミノ酸ファミリー(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸ファミリー(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖を有するアミノ酸ファミリー(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖を有するアミノ酸ファミリー(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、対応するアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置換することが好ましい。アミノ酸の保存的置換を同定する方法は、当該技術分野で周知である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Brummellら、Biochem.32:1180-1187(1993);Kobayashiら、Protein Eng.12(10):879-884(1999);およびBurksら、Proc.Natl Acad.Set USA 94:412-417(1997)を参照のこと)。本出願において、「保存的置換」という用語は、一般に、対応するアミノ酸残基を同じ側鎖ファミリー由来の別のアミノ酸残基で置き換えることを指す。
【0011】
本願明細書で使用する場合、「X個のアミノ酸残基が切断されたN末端」という用語は、ペプチド/ポリペプチドのN末端アミノ酸残基1~X番目(Xは1以上の整数である)が欠失していることを意味する。例えば、「5個のアミノ酸残基が切断されたN末端」という表現は、ペプチド/ポリペプチドのN末端アミノ酸残基1~5番目が欠失していることを意味する。
【0012】
本願明細書で使用する場合、「X個のアミノ酸残基が切断されたC末端」という用語は、ペプチド/ポリペプチドのC末端の端からX個(Xは1以上の整数である)のアミノ酸残基が欠失していることを意味する。例えば、「8個のアミノ酸残基が切断されたC末端」という表現は、ペプチド/ポリペプチドのC末端の端から8個のアミノ酸残基が欠失していることを意味する。
【0013】
本出願において、「ペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」という用語は、同じ意味を有し、互換的に使用される。また、本出願において、アミノ酸は、一般に、当該技術分野で周知の1文字および3文字の略語によって表される。例えば、アラニンは、AまたはAlaによって表すことができる。
【0014】
本願明細書で使用する場合、「単離された」という用語は、材料がその天然の状態から人工的に改変されていることを意味する。「分離された」物質または成分が天然に存在する場合、これは元の状態から変更されているかもしくは逸脱しているか、またはその両方が生じている。例えば、生きている動物において天然に存在するポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、これらのポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、これらが天然の状態で存在し、かつ、十分に純粋な状態で一緒に存在する物質から十分に分離されている場合、「単離された」とみなすことができる。
【0015】
本願明細書で使用する場合、「ベクター」という用語は、ポリヌクレオチドを挿入することができる核酸送達ビヒクルを指す。挿入されたポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質をベクターが発現できる場合、ベクターは発現ベクターと呼ばれる。ベクターは、該ベクターが運搬する遺伝物質の要素が宿主細胞で発現されるように、宿主細胞の形質転換、形質導入またはトランスフェクションに使用することができる。例えば、ベクターには、プラスミド、ファージミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1由来人工染色体(PAC)などの人工染色体、λファージまたはM13ファージなどのバクテリオファージ、および動物ウイルスが含まれる。ベクターとして使用される動物ウイルスの種類は、レトロウイルス(レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、単純ヘルペスウイルスなど)、ポックスウイルス、バキュロウイルス、パピローマウイルス、パポバウイルス(例えば、SV40))である。ベクターは、プロモーター配列、転写開始配列、エンハンサー配列、選択要素およびレポーター遺伝子を含む、発現を制御するための様々な要素を含んでもよい。さらに、ベクターはまた、複製起点部位を含んでもよい。ベクターはまた、ウイルス粒子、リポソームまたはタンパク質シェルを含むがこれらに限定されない、細胞への侵入を促進するための成分を含んでもよい。
【0016】
本願明細書で使用する場合、「宿主細胞」という用語は、外因性ポリヌクレオチドおよび/またはベクターが導入される細胞を指す。本出願に記載の宿主細胞には、大腸菌(Escherichia coli)またはバチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)などの原核細胞、酵母細胞またはアスペルギルス属(Aspergillus)などの真菌細胞、S2ショウジョウバエ(Drosophila)細胞またはSf9などの昆虫細胞、または線維芽細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、HeLa細胞、BHK細胞、HEK293細胞またはヒト細胞などの動物細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
本願明細書で使用する場合、「薬学的に許容される担体または賦形剤」という用語は、対象および活性成分と薬理学的および/または生理学的に適合する担体または賦形剤を指し、該担体または賦形剤は、当該技術分野で周知であり(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences.Gennaro AR編、第19版、ペンシルベニア州:Mack Publishing Company、1995年を参照のこと)、pH調整剤、界面活性剤、補助剤、イオン強度増強剤が含まれるが、これらに限定されない。例えば、pH調整剤には、リン酸緩衝液が含まれるが、これに限定されず、界面活性剤には、Tween-80などのカチオン性、アニオン性または非イオン性界面活性剤が含まれるが、これらに限定されず、イオン強度増強剤には、塩化ナトリウムが含まれるが、これに限定されない。
【0018】
本出願において、徹底的な研究の後、本発明者らは、PRRR***PRRRR*Q*PRRRRのモチーフを有する新しいクラスの細胞透過性ペプチドを開発した。そのようなモチーフを含む細胞透過性ペプチドは、目的の生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)を細胞内に膜を介して効率的に送達し、細胞内で生物学的分子の機能を発揮することができることが見出された。
【0019】
したがって、一態様では、本出願は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型であって、該細胞透過性ペプチドは、式Iによって表される構造:
1011PRRRX161718PRRRRX24QX26PRRRRX3233343536373839
式I
を有し、式中、
~Xは、各々独立して、(i)アミノ酸残基R、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、KまたはH)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、C、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、N、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、G、P、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基G、P、T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
10は、(i)アミノ酸残基R、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、KまたはH)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基A、S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
16は、(i)アミノ酸残基T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、S、C、Y、W)から選択され、
17は、(i)アミノ酸残基P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M)から選択され、
18は、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
24は、(i)アミノ酸残基S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、C、Y、W)から選択され、
26は、(i)アミノ酸残基S、C、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、Y、W)から選択され、X32は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
34は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
35は、(i)アミノ酸残基R、P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、A、V、L、I、M)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基P、S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
38は、(i)アミノ酸残基Q、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、C、G、T、Y、W)から選択され、
39は、(i)アミノ酸残基C、S、N、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、Q、G、T、Y、W)から選択され、
細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で1~10個(例えば、1~5個、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個)のアミノ酸残基が切断され、および/またはC末端で1~14個(例えば、1~8個、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個)のアミノ酸残基が切断され、
細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)の細胞内への膜貫通送達を行うことができる、
細胞透過性ペプチドまたはその切断型を提供する。
【0020】
特定の好ましい実施形態では、X~Xは、各々独立して、アミノ酸残基R、KおよびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X~Xは、各々独立して、アミノ酸残基RおよびKからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X~Xは、各々独立して、アミノ酸残基Rである。
【0021】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、C、G、K、H、N、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、C、G、K、N、Q、SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、C、G、およびKからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、CおよびGからなる群から選択される。
【0022】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、C、Q、SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、CおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、NおよびGからなる群から選択される。
【0023】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、G、P、S、K、N、Q、CおよびTからなる群から選択される。Xは、アミノ酸残基R、G、P、S、K、CおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、G、PおよびSからなる群から選択される。
【0024】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択される。
【0025】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、I、およびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、A、K、V、LおよびIからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基RおよびAからなる群から選択される。
【0026】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、SおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基G、P、T、SおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基G、PおよびTからなる群から選択される。
【0027】
特定の好ましい実施形態では、X10は、アミノ酸残基R、KおよびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X10は、アミノ酸残基RおよびKからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X10は、アミノ酸残基Rである。
【0028】
特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、IおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基AおよびSからなる群から選択される。
【0029】
特定の好ましい実施形態では、X16は、アミノ酸残基T、N、Q、G、S、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X16は、アミノ酸残基T、N、Q、G、SおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X16は、アミノ酸残基TおよびSからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X16は、アミノ酸残基Tである。
【0030】
特定の好ましい実施形態では、X17は、アミノ酸残基P、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X17は、アミノ酸残基Pである。
【0031】
特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基SおよびQからなる群から選択される。
【0032】
特定の好ましい実施形態では、X24は、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X24は、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X24は、アミノ酸残基SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X24は、アミノ酸残基Sである。
【0033】
特定の好ましい実施形態では、X26は、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X26は、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X26は、アミノ酸残基S、CおよびQからなる群から選択される。
【0034】
特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される。
【0035】
特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、TおよびRからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、NおよびRからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択される。
【0036】
特定の好ましい実施形態では、X34は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X34は、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X34は、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X34は、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される。
【0037】
特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基R、P、K、およびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基R、P、およびKからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基RおよびPからなる群から選択される。
【0038】
特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される。
【0039】
特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、SおよびCからなる群から選択される。
【0040】
特定の好ましい実施形態では、X38は、アミノ酸残基Q、S、N、C、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X38は、アミノ酸残基Q、S、N、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X38は、アミノ酸残基Q、S、NおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X38は、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される。
【0041】
特定の好ましい実施形態では、X39は、アミノ酸残基C、S、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X39は、アミノ酸残基C、S、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X39は、アミノ酸残基C、SおよびNからなる群から選択される。
【0042】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドは、式IIによって表される構造:
RRRXRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX3233343536373839
式II
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、C、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、N、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、G、P、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基G、P、T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基A、S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
32は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
34は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
35は、(i)アミノ酸残基R、P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、A、V、L、I、M)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基P、S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
38は、(i)アミノ酸残基Q、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、C、G、T、Y、W)から選択され、
39は、(i)アミノ酸残基C、S、N、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、Q、G、T、Y、W)から選択される。
【0043】
特定の好ましい実施形態では、X、X、X、X、X、X、X11、X32、X33、X34、X35、X36、X37、X38、X39は、各々独立して、上記で定義した通りである。
【0044】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドは、式IIによって表される構造:
RRRXRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX3233343536373839
式II
を有し、式中、
は、アミノ酸残基R、C、Gからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、N、Gからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、G、P、Sからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、D、Qからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、Aからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基G、P、Tからなる群から選択され、
11は、アミノ酸残基A、S、Qからなる群から選択され、
32は、アミノ酸残基S、Cからなる群から選択され、
33は、アミノ酸残基Q、Kからなる群から選択され、
34は、アミノ酸残基S、Cからなる群から選択され、
35は、アミノ酸残基R、Pからなる群から選択され、
36は、アミノ酸残基E、Aからなる群から選択され、
37は、アミノ酸残基P、S、Cからなる群から選択され、
38は、アミノ酸残基Q、Sからなる群から選択され、
39は、アミノ酸残基C、S、Nからなる群から選択される。
【0045】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基(例えば、1~5個のアミノ酸残基)が切断され、および/またはC末端で1~14個のアミノ酸残基(例えば、1~8個のアミノ酸残基)が切断されている。特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基が切断され、例えば、N末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸残基が切断されている。いくつかの好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、C末端で1~14個のアミノ酸残基が切断され、例えば、C末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のアミノ酸残基が切断されている。特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基(例えば、1~5個のアミノ酸残基)が切断され、C末端で1~14個のアミノ酸残基(例えば、1~8個のアミノ酸残基)が切断されている。特定の実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で5または10個のアミノ酸残基が切断され、C末端で1~8個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6または8個のアミノ酸残基)が切断されている。特定の実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基(例えば、2、3、5、または10個のアミノ酸残基)が切断されており、C末端では切断されていないか、または1~8個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6、または8個のアミノ酸残基)が切断されている。いくつかの好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で5個のアミノ酸残基が切断され、C末端で1~14個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6、8または14個のアミノ酸残基)が切断されている。特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、N末端で1~5個のアミノ酸残基(例えば、2、3または5個のアミノ酸残基)が切断されており、C末端では切断されていないか、または1~14個のアミノ酸残基(例えば、1、3、6、8または14個のアミノ酸残基)が切断されている。特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドと比較して、切断型は、C末端で14個のアミノ酸残基が切断されており、X26は、アミノ酸残基Cである。特定の好ましい実施形態では、切断型は、配列番号14に示されるアミノ酸配列を有していない。
【0046】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドは、式IIIによって表される構造:
RRRGXRXRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX32QX34353637SNC
式III
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、N、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、G、P、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、V、L、I、M)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基G、P、T、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、M)から選択され、
32およびX34は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
35は、(i)アミノ酸残基R、P、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、A、V、L、I、M)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基P、S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、W)から選択される。
【0047】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基N、G、C、Q、SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基N、G、CおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基NおよびGからなる群から選択される。
【0048】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基P、S、N、Q、CおよびTからなる群から選択される。Xは、アミノ酸残基P、SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基PおよびSからなる群から選択される。
【0049】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、I、およびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、A、K、V、LおよびIからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xはアミノ酸残基RおよびAからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基Aである。
【0050】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、SおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基P、TおよびSからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基PおよびTからなる群から選択される。
【0051】
特定の好ましい実施形態では、X32およびX34は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32およびX34は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32およびX34は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32およびX34は、各々独立して、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32およびX34は、各々独立して、アミノ酸残基Sである。
【0052】
特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、IおよびMからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基R、P、KおよびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基R、PおよびKからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基RおよびPからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X35は、アミノ酸残基Pである。
【0053】
特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基Aである。
【0054】
特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基P、SおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基PおよびSからなる群から選択される。
【0055】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドは、配列番号20~21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0056】
特定の好ましい実施形態では、切断型は、式IVによって表される構造:
11PRRRTPX18PRRRRSQX26
式IV
を有し、式中、
11は、(i)アミノ酸残基S、Q、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
18は、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、C、N、G、T、Y、W)から選択され、
26は、(i)アミノ酸残基S、C、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、Y、W)から選択される。
【0057】
特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択される。
【0058】
特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18は、アミノ酸残基SおよびQからなる群から選択される。
【0059】
特定の好ましい実施形態では、X26は、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X26は、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X26は、アミノ酸残基S、C、およびQからなる群から選択される。
【0060】
特定の好ましい実施形態では、切断型は、式Vによって表される構造:
RGRX11PRRRTPX18PRRRRSQX26PRRRRX32
式V
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W、N)から選択され、Xは、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基S、A、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
18およびX26は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
32は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択される。
【0061】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、C、Q、SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、CおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基RおよびGからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基Rから選択される。
【0062】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基Rから選択される。
【0063】
特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される。
【0064】
特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される。
【0065】
特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32は、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される。
【0066】
特定の好ましい実施形態では、切断型は、式VIによって表される構造:
RGRX11PRRRTPX18PRRRRSQX26PRRRRSX33SRX3637
式VI
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、G、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、C、Q、S、T、Y、W、N)から選択され、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基S、A、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
18およびX26は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、G、T、C、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択され、
37は、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択される。
【0067】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、C、Q、SおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、N、G、K、CおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基RおよびGからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基Rから選択される。
【0068】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基Rから選択される。
【0069】
特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、Q、S、V、L、IおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される。
【0070】
特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、QおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される。
【0071】
特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、TおよびRからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、NおよびRからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Qから選択される。
【0072】
特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基Eから選択される。
【0073】
特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X37は、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される。
【0074】
特定の好ましい実施形態では、切断型は、式VIIによって表される構造:
RXRGRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX323334RX3637QX39
式VII
を有し、式中、
は、(i)アミノ酸残基R、D、Q、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、E)から選択され、
11は、(i)アミノ酸残基A、S、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、Y、W)から選択され、
32、X34、X37およびX39は、各々独立して、(i)アミノ酸残基S、C、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、Q、G、T、Y、W)から選択され、
33は、(i)アミノ酸残基Q、K、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、N、S、C、G、T、Y、W、R、H)から選択され、
36は、(i)アミノ酸残基E、A、および(ii)(i)に対して保存的置換であるアミノ酸残基(例えば、V、L、I、M、D)から選択される。
【0075】
特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、N、G、C、S、TおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、D、Q、K、NおよびEからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基R、DおよびQからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、Xは、アミノ酸残基RおよびQからなる群から選択される。
【0076】
特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、N、Q、G、TおよびCからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基A、S、V、L、IおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X11は、アミノ酸残基AおよびSからなる群から選択される。
【0077】
特定の好ましい実施形態では、X32、X34、X37およびX39は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32、X34、X37およびX39は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32、X34、X37およびX39は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、GおよびTからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X32、X34、X37およびX39は、各々独立して、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される。
【0078】
特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、TおよびRからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基Q、K、NおよびRからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X33は、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択される。
【0079】
特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基E、A、V、L、IおよびDからなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、X36は、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される。
【0080】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドは、配列番号20~21からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0081】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、配列番号10~13、15、17~18、20~21、23~29および32~37からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0082】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドまたは切断型は単離されている。
別の態様では、本出願は、上記の細胞透過性ペプチドまたはその切断型および目的のペプチドを含む融合タンパク質を提供する。本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、これに結合されている目的のペプチド(融合タンパク質)の細胞内への膜貫通送達を行うことができる。
【0083】
特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に直接共有結合されている(すなわち、ペプチド結合を介して直接連結されている)。特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型にペプチドリンカー(例えば、フレキシブルなペプチドリンカー)を介して共有結合されている。特定の好ましい実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する。しかしながら、本出願において、目的のペプチドを細胞透過性ペプチドまたはその切断型に様々な既知のペプチドリンカーを使用して融合することができることは容易に理解される。
【0084】
特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、目的のペプチドのN末端に(任意選択により、ペプチドリンカーを介して)連結されている。特定の好ましい実施形態では、細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、目的のペプチドのC末端に(任意選択により、ペプチドリンカーを介して)連結されている。
【0085】
本出願における目的のペプチドが、任意の所望のタンパク質またはポリペプチドであり得ることは容易に理解される。例えば、特定の状況では、抗体を細胞(例えば、腫瘍細胞、免疫細胞など)に送達し、その機能を発揮すること(例えば、ウイルス感染、複製および/またはアセンブリを阻害すること、細胞内シグナル伝達を阻害または増強することなど)が望ましいものであり得る。この場合、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型を目的の抗体に融合させて、抗体の膜貫通送達を容易にすることができる。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは抗体である。特定の好ましい実施形態では、抗体は、抗HBV抗体(例えば、抗HBsAg抗体、抗HBcAg抗体、抗HBeAg抗体など)、抗インフルエンザウイルス抗体(例えば、抗HA1抗体、抗HA2抗体)、抗腫瘍抗原抗体(例えば、抗p53抗体、抗kras抗体、抗PRL-3抗体)、抗免疫チェックポイント抗体(例えば、抗PD1またはPDL1抗体)、抗メラニン合成関連抗体(例えば、チロシナーゼ関連タンパク質TYRP1抗体)、抗コロナウイルス抗体(例えば、抗Sタンパク質RBDまたはS1もしくはS2抗体などの抗コロナウイルスSタンパク質抗体)から選択される。
【0086】
いくつかの場合では、遺伝子編集関連タンパク質を細胞内に送達し、その機能を発揮すること(例えば、細胞中で目的の遺伝子を編集すること、または細胞中で遺伝子編集を阻害することなど)が望ましいものであり得る。この場合、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型を遺伝子編集関連タンパク質に融合させて、タンパク質の膜貫通送達を促進することができる。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、遺伝子編集に関連するタンパク質である。特定の好ましい実施形態では、タンパク質は、Cas9タンパク質、AcrIIA4タンパク質、Cas13タンパク質、CreリコンビナーゼおよびFlipリコンビナーゼからなる群から選択される。
【0087】
いくつかの場合では、活性タンパク質または追跡可能なタンパク質を細胞内に送達し、その機能を発揮すること(例えば、シグナル伝達経路を研究または変更すること、細胞を局在化することなど)が望ましいものであり得る。この場合、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型をそのようなタンパク質に融合させて、タンパク質の膜貫通送達を促進してもよい。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、活性タンパク質または追跡可能なタンパク質である。特定の好ましい実施形態では、タンパク質は、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)、毒素タンパク質(例えば、エンドトキシン)、サイトカイン(例えば、インターロイキンまたはインターフェロン、例えば、IL10またはIFNγ)、免疫調節タンパク質(例えば、PD1)、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、メチラーゼ、プロテインキナーゼなど)、シグナル伝達経路関連分子タンパク質(例えば、β-カテニンタンパク質)、サイクリン(例えば、サイクリンD1タンパク質)、転写活性化因子および転写抑制因子からなる群から選択される。
【0088】
特定の状況では、DNA分子を細胞内に送達し、その機能を発揮すること(例えば、外来タンパク質を発現すること、内因性遺伝子発現を妨害することなど)が望ましいものであり得る。この場合、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型をDNA分子に結合可能なタンパク質(以下、DNA結合タンパク質とも称される)に融合させて、タンパク質およびDNA分子の膜貫通送達を促進してもよい。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、DNA分子に結合可能なタンパク質である。特定の好ましい実施形態では、タンパク質は、ジンクフィンガータンパク質および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENタンパク質)からなる群から選択される。
【0089】
特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、配列番号1、6~7、43~44および46~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する。
【0090】
特定の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、追加のドメインをさらに含む。特定の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、融合タンパク質の調製および精製を容易にするために、タグドメイン(例えば、6Hisタグ、HAタグ、ハプテンタグ、Strepタグ、MBPタグ、GSTタグなど)をさらに含む。特定の好ましい実施形態では、融合タンパク質は、抗体重鎖定常領域をさらに含む。特定の好ましい実施形態では、追加のドメイン(例えば、タグドメイン)は、融合タンパク質のN末端に位置する。特定の好ましい実施形態では、追加のドメイン(例えば、タグドメイン)は、融合タンパク質のC末端に位置する。
【0091】
別の態様では、本出願は、上記の細胞透過性ペプチドまたはその切断型および目的の分子(例えば、目的のタンパク質または目的の核酸)を含むコンジュゲートを提供する。
【0092】
特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に直接共有結合で連結されている(すなわち、化学結合を介して直接結合されている)。特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型にリンカー(例えば、二官能性リンカーまたはペプチドリンカー)を介して共有結合で連結されている。特定の好ましい実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する。しかしながら、本出願において、様々な既知のリンカーを使用して、目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型に共有結合で連結させることができることは容易に理解される。特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に非共有結合で連結されている。
【0093】
本出願における細胞透過性ペプチドまたはその切断型を目的の様々な分子に連結させることができることは容易に理解される。これらの目的の分子は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に、共有結合、アフィニティー結合、インターカレーション、配位結合、複合体形成、結合、混合または付加などの他の手段によって連結させることができる。特定の実施形態では、本出願で開示される細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、1つまたは複数の目的の分子を結合するために使用することができる追加の特異的部位を含むように操作することができる。例えば、そのような部位は、目的の分子への共有結合を促進するために、システイン残基およびヒスチジン残基などの1つまたは複数の反応性アミノ酸残基を含んでもよい。特定の実施形態では、細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、目的の分子に間接的に連結させることができる。例えば、細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、ビオチンに結合し、次いで、アビジンに連結された第2の目的の分子に間接的に結合することができる。
【0094】
本出願における目的の分子が任意の所望の分子であり得ることは容易に理解される。例えば、特定の実施形態では、目的の分子は、検出可能な標識であり得る。検出可能な標識の例には、蛍光標識(例えば、フルオレセイン、ローダミン、ダンシル、フィコエリトリンまたはテキサスレッド)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、グルコースオキシダーゼまたはβ-Dガラクトシダーゼ)、安定同位体または放射性同位体、発色団部分、ジゴキシゲニン、ビオチン/アビジン、検出を容易にするためのDNA分子または金が含まれてもよい。特定の実施形態では、目的の分子は、細胞傷害剤であり得る。「細胞毒性剤」は、細胞に有害であるか、または細胞を損傷もしくは死滅させ得る任意の薬剤であり得る。細胞傷害剤の例には、パクリタキセル、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、イペカミン、マイトマイシン、エトポシド、テニポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジケトン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、l-デヒドロ試験ステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、ピューロマイシンおよびその類似体、代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサート、6-メルカプトプリン、6-メルカプトグアニン、シトシンアラビノシド、5-フルオロウラシルデクレブジン(5-fluorouracil dcrbzine)、アルキル化剤(例えば、ムスチン、チオテパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロホスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびcis-ジクロロジアミン白金(DDP))、アントラサイクリン(例えば、イダルビシン(以前はダウノルビシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ゲンシャマイシン(以前はアクチノマイシンとして既知)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアンチアマイシン(AMC))、並びに抗有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスト)が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0095】
特定の実施形態では、目的の分子は、任意の所望のタンパク質またはポリペプチドであり得る。例えば、特定の状況では、抗体を細胞(例えば、腫瘍細胞、免疫細胞など)内に送達し、その機能を発揮すること(例えば、ウイルス感染、複製および/もしくはアセンブリを阻害すること、または細胞内シグナル伝達を阻害もしくは増強することなど)が望ましいものであり得る。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、抗体である。特定の好ましい実施形態では、抗体は、抗HBV抗体(例えば、抗HBsAg抗体、抗HBcAg抗体、抗HBeAg抗体など)、抗インフルエンザウイルス抗体(例えば、抗HA1抗体、抗HA2抗体)、腫瘍抗原に対する抗体(抗p53抗体、抗kras抗体、抗PRL-3抗体など)、抗免疫チェックポイント抗体(抗PD1抗体またはPDL1抗体など)、抗メラニン合成関連抗体(例えば、チロシナーゼ関連タンパク質TYRP1抗体)、抗コロナウイルス抗体(例えば、抗Sタンパク質RBDまたはS1もしくはS2抗体などの抗コロナウイルスSタンパク質抗体)から選択される。
【0096】
いくつかの場合では、遺伝子編集関連タンパク質を細胞内に送達し、その機能を発揮すること(例えば、細胞中で目的の遺伝子を編集すること、または細胞中で遺伝子編集を阻害することなど)が望ましいものであり得る。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、遺伝子編集に関連するタンパク質である。特定の好ましい実施形態では、タンパク質は、Cas9タンパク質、AcrIIA4タンパク質、Cas13タンパク質、CreリコンビナーゼおよびFlipリコンビナーゼからなる群から選択される。
【0097】
いくつかの場合では、活性タンパク質または追跡可能なタンパク質を細胞内に送達し、その機能を発揮する(例えば、シグナル伝達経路を研究または変更すること、細胞を局在化することなど)ことが望ましいものであり得る。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、活性タンパク質または追跡可能なタンパク質である。特定の好ましい実施形態では、タンパク質は、蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質)、毒素タンパク質(例えば、エンドトキシン)、サイトカイン(例えば、インターロイキンまたはインターフェロン、例えば、IL10またはIFNγ)、免疫調節タンパク質(例えば、PD1)、酵素(例えば、ルシフェラーゼ、ヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、メチラーゼ、プロテインキナーゼなど)、シグナル伝達経路関連分子タンパク質(例えば、β-カテニンタンパク質)、サイクリン(例えば、サイクリンD1タンパク質)、転写活性化因子および転写抑制因子からなる群から選択される。
【0098】
特定の状況では、DNA分子を細胞内に送達し、その機能を発揮すること(例えば、外来タンパク質を発現すること、内因性遺伝子発現を妨害することなど)が望ましいものであり得る。したがって、特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、DNA分子に結合可能なタンパク質である。特定の好ましい実施形態では、タンパク質は、ジンクフィンガータンパク質および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENタンパク質)からなる群から選択される。
【0099】
特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、配列番号1、6~7、43~44および46~53からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0100】
別の態様では、本出願は、上記の融合タンパク質またはコンジュゲートを2つ以上含む多量体を提供する。いかなる理論にも拘束されるものではないが、いくつかの場合では、融合タンパク質またはコンジュゲートの細胞内送達をさらに容易にすることができる多量体の形態が有利であり得る。
【0101】
別の態様では、本出願は、上記の融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体と、融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体と非共有結合または複合体形成している成分とを含む複合体を提供する。特定の好ましい実施形態では、融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体は、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結されたDNA分子に結合可能なタンパク質を含む。複合体は、DNA分子に結合可能なタンパク質と非共有結合または複合体形成しているDNA分子を含む。特定の好ましい実施形態では、DNA分子に結合可能なタンパク質は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に(任意選択により、リンカーを介して)共有結合で連結されている。特定の好ましい実施形態では、DNA分子に結合可能なタンパク質は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に(任意選択により、リンカーを介して)非共有結合で連結されている。特定の好ましい実施形態では、DNA分子に結合可能なタンパク質は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型のN末端に連結されている。特定の好ましい実施形態では、DNA分子に結合可能なタンパク質は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型のC末端に連結されている。特定の好ましい実施形態では、DNA分子は、DNA分子に結合可能なタンパク質によって認識および結合されるヌクレオチド配列を含む。特定の好ましい実施形態では、DNA分子に結合可能なタンパク質は、ジンクフィンガータンパク質および転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALENタンパク質)からなる群から選択される。特定の好ましい実施形態では、ヌクレオチド配列は、ジンクフィンガータンパク質の結合配列(例えば、配列番号54)である。
【0102】
別の態様では、本出願は、細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子を提供する。
【0103】
別の態様では、本出願は、上記の単離された核酸分子を含むベクター(例えば、クローニングベクターまたは発現ベクター)を提供する。特定の実施形態では、本出願のベクターは、プラスミド、コスミド、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)またはP1由来人工染色体(PAC)などの人工染色体、λファージまたはM13ファージなどのバクテリオファージ、および動物ウイルスなどから選択される。
【0104】
別の態様では、本出願は、上記の単離された核酸分子またはベクターを含む宿主細胞を提供する。特定の実施形態では、宿主細胞は原核細胞であり、これには、グラム陰性菌またはグラム陽性菌、例えば、腸内細菌属(Enterobacteriaceae)(例えば、大腸菌、エンテロバクター属(Enterobacter)、エルウィニア属(Erwinia)、クレブシエラ属(Klebsiella)、プロテウス属(Proteus)、サルモネラ属(Salmonella)、例えば、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、セラチア属(Serratia)、例えば、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、およびシゲラ属(Shigella)、およびバチルス属(Bacillus)、例えば、バチルス・サブチリス(Bacillus subtilis)、およびバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、シュードモナス属(Pseudomonas)、例えば、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、並びにストレプトミセス属(Streptomyces)が含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、宿主細胞は、例えば、大腸菌(E.coli)またはバチルス・サブチリス(B.subtilis)細胞である。
【0105】
特定の実施形態では、宿主細胞は、真核細胞、例えば、酵母細胞またはアスペルギルス属(Aspergillus)などの真菌細胞、S2ショウジョウバエ(Drosophila)細胞またはSf9などの昆虫細胞、または線維芽細胞、CHO細胞、COS細胞、NSO細胞、HeLa細胞、BHK細胞、HEK293細胞もしくはヒト細胞などの動物細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、ヒト、マウス、ヒツジ、ウマ、イヌ、またはネコの細胞である。特定の実施形態では、宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞である。
【0106】
別の態様では、本出願は、細胞透過性ペプチドまたはその切断型または融合タンパク質を調製する方法であって、細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または融合タンパク質の発現を可能にする条件下で上記の宿主細胞を培養し、培養した宿主細胞の培養物から細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または融合タンパク質を回収することを含む、方法を提供する。
【0107】
別の態様では、本出願は、上記の融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体または複合体または核酸分子またはベクターを含む、組成物を提供する。
【0108】
別の態様では、本出願は、上記の融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体または複合体と、薬学的に許容される担体または賦形剤とを含む医薬組成物であって、融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体または複合体は、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結されている治療的に活性なポリペプチドを含む、医薬組成物を提供する。特定の好ましい実施形態では、治療的に活性なポリペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に(任意選択により、リンカーを介して)共有結合で連結されている。特定の好ましい実施形態では、治療的に活性なポリペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に(任意選択により、リンカーを介して)非共有結合で連結されている。特定の好ましい実施形態では、治療上活性なポリペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型のN末端に連結されている。特定の好ましい実施形態では、治療上活性なポリペプチドは、細胞透過性ペプチドまたはその切断型のC末端に連結されている。治療的に活性なポリペプチドが、膜貫通送達によって細胞内に送達されることが所望される任意のポリペプチドであり得ることは容易に理解され、その例には、毒素タンパク質(例えば、エンドトキシン)、サイトカイン(例えば、IL10またはIFNγなどのインターロイキンまたはインターフェロン)、免疫調節性ポリペプチド(例えば、PD1抗体など)、抗体などが含まれる。特定の好ましい実施形態では、抗体は、抗HBV抗体(例えば、抗HBsAg抗体、抗HBcAg抗体、抗HBeAg抗体など)、抗インフルエンザウイルス抗体(例えば、抗HA1抗体、抗HA2抗体)、抗腫瘍抗原抗体(例えば、抗p53抗体、抗kras抗体、抗PRL-3抗体)、抗免疫チェックポイント抗体(例えば、抗PD1またはPDL1抗体)、抗メラニン合成関連抗体(例えば、チロシナーゼ関連タンパク質TYRP1抗体)、抗コロナウイルス抗体(例えば、抗Sタンパク質RBDまたはS1もしくはS2抗体などの抗コロナウイルスSタンパク質抗体)から選択される。
【0109】
別の態様では、本出願は、目的の分子を細胞内に膜貫通送達するための方法であって、上記の細胞透過性ペプチドまたはその切断型を目的の分子に連結させ、次いで目的の分子を細胞と接触させることを含む方法を提供する。
【0110】
特定の好ましい実施形態では、この方法は、(1)目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型と連結させてコンジュゲートを得ること、および(2)コンジュゲートを細胞と接触させ、それにより、目的の分子を膜貫通送達によって細胞内に送達することを含む。
【0111】
本出願において、細胞透過性ペプチドまたはその切断型を様々な方法で目的の分子に連結させることができることは容易に理解できる。例えば、目的の分子を共有結合、アフィニティー結合、インターカレーション、配位結合、複合体形成、結合、混合または付加などの他の手段によって、細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結させることができる。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型に直接共有結合で連結させる(すなわち、化学結合によって直接連結させる)。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、目的のペプチドを細胞透過性ペプチドまたはその切断型にリンカー(例えば、二官能性リンカーまたはペプチドリンカー)を介して共有結合で連結させる。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型に非共有結合で連結させる。特定の好ましい実施形態では、目的の分子および細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、それぞれ上記で定義した通りである。
【0112】
特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、目的のペプチドであり、方法は、(1)目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型と連結させて融合タンパク質を得ること、および(2)融合タンパク質を細胞と接触させ、それにより、目的の分子を膜貫通送達によって細胞内に送達することを含む。
【0113】
本出願において、融合タンパク質を得るために、細胞透過性ペプチドまたはその切断型を様々な方法で目的のペプチドと連結させることができることを理解するのは容易である。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、目的のペプチドを細胞透過性ペプチドまたはその切断型に直接共有結合で連結させて(すなわち、ペプチド結合によって直接連結させて)、融合タンパク質を得る。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、目的のペプチドを細胞透過性ペプチドまたはその切断型にペプチドリンカー(例えば、フレキシブルなペプチドリンカー)を介して共有結合で連結させて、融合タンパク質を得る。特定の好ましい実施形態では、ペプチドリンカーは、配列番号39に示されるアミノ酸配列を有する。しかしながら、本出願において、様々な既知のペプチドリンカーを使用して、目的のペプチドを細胞透過性ペプチドまたはその切断型に融合させることができることは容易に理解される。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、細胞透過性ペプチドまたはその切断型を目的のペプチドのN末端に(任意選択により、ペプチドリンカーを介して)連結させる。特定の好ましい実施形態では、ステップ(1)において、細胞透過性ペプチドまたはその切断型を目的のペプチドのC末端に(任意選択により、ペプチドリンカーを介して)連結させる。特定の好ましい実施形態では、目的のペプチドおよび細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、それぞれ上記で定義した通りである。
【0114】
特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、目的の核酸であり、方法は、(1)目的の核酸に結合可能なタンパク質を細胞透過性ペプチドまたはその切断型と連結させること、(2)ステップ(1)の生成物を目的の核酸と接触させて複合体を得ること、および(3)複合体を細胞と接触させ、それにより、目的の核酸を膜貫通送達によって細胞内に送達することを含む。
【0115】
特定の好ましい実施形態では、目的の分子は、目的の核酸であり、方法は、(1)目的の核酸に、DNA結合タンパク質によって認識および結合され得るヌクレオチド配列を付加すること、(2)DNA結合タンパク質を細胞透過性ペプチドまたはその切断型と連結させること、(3)ステップ(1)の生成物をステップ(2)の生成物と接触させて複合体を得ること、および(4)複合体を細胞と接触させ、それにより、目的の核酸を膜貫通送達によって細胞内に送達することを含む。本出願において、様々な既知のDNA結合タンパク質並びにそれらが認識および結合するヌクレオチド配列を使用することできることは容易に理解される。特定の好ましい実施形態では、DNA結合タンパク質、それが認識および結合するヌクレオチド配列、並びに細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、それぞれ上記で定義した通りである。
【0116】
別の態様では、本出願は、目的の分子の細胞内への膜貫通送達のための、上記の細胞透過性ペプチドまたはその切断型の使用に関する。別の態様では、本出願は、目的の分子の細胞内への膜貫通送達のためのキットの製造における、上記の細胞透過性ペプチドまたはその切断型の使用に関する。
【発明の効果】
【0117】
本発明の有益な効果
本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、目的の生物学的分子(例えば、目的のペプチドまたは目的の核酸)を膜貫通送達によって細胞内に送達し、細胞内で生物学的分子の機能を発揮することができる。先行技術と比較して、本出願の細胞透過性ペプチドまたはその切断型の送達効率は高く(HIVウイルス由来のTATペプチドよりも有意に高い)、良好な応用展望および価値がある。
【0118】
本発明の実施形態は、図面および実施例を参照して以下に詳細に説明されるが、当業者は、以下の図面および実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明するためにのみ使用されることを理解するであろう。本発明の様々な目的および有利な態様は、添付の図面および以下の好ましい実施形態の詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0119】
図1図1Aは、実施例1で構築されたレポーティングシステムの動作原理を概略的に示す。図1Bは、実施例1で構築されたプラスミドEHIPS-U2MGに含まれる主な構造要素を模式的に示す。図1Cは、pcDNA3.1-GFPプラスミドまたは陰性対照プラスミドをトランスフェクトした操作された細胞株の蛍光顕微鏡観察結果を示す。
図2図2は、精製した標的タンパク質(GFP、GFP-CPP28、GFP-TAT)のSDS-PAGE検出結果を示す。M:タンパク質分子量マーカー。
図3A図3A~3Bは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用して、目的タンパク質(GFP、GFP-CPP28またはGFP-TAT)を含む培地または含まない培地中で36時間培養した293β5細胞を観察した結果(図3A)、および細胞のmCherry蛍光強度の定量分析の結果(図3B)を示し、ここでは、293β5細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図3B図3A~3Bは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用して、目的タンパク質(GFP、GFP-CPP28またはGFP-TAT)を含む培地または含まない培地中で36時間培養した293β5細胞を観察した結果(図3A)、および細胞のmCherry蛍光強度の定量分析の結果(図3B)を示し、ここでは、293β5細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図4A図4A~4Bは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、GFP-CPP28(30、10、5、2.5μg/mL)を含む培地中で36時間培養した293β5細胞を観察した結果(図4A)、および細胞のmCherry蛍光強度の定量分析の結果(図4B)を示し、ここでは、293β5細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図4B図4A~4Bは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、GFP-CPP28(30、10、5、2.5μg/mL)を含む培地中で36時間培養した293β5細胞を観察した結果(図4A)、および細胞のmCherry蛍光強度の定量分析の結果(図4B)を示し、ここでは、293β5細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図5図5は、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムおよびルシフェラーゼ検出システムをそれぞれ使用した、標的タンパク質(GFP、GFP-CPP28またはGFP-TAT)を含む培地中で36時間培養した様々な種類の細胞(MDCK、VEROおよびHacat細胞)およびその培養上清の分析結果を示し、ここでは、様々な種類の細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図6A図6Aは、共焦点顕微鏡を使用した、示された時点でのHela-p63mRb3細胞の観察結果を示し、ここでは、Hela-p63mRb3細胞をGFP-CPP28(60μg/mL)を含む培地中で培養した。
図6B図6Bは、二重抗体サンドイッチアッセイを使用した、示された時点でのHela-p63mRb3細胞におけるGFPタンパク質含有量の検出結果を示し、ここでは、Hela-p63mRb3細胞をGFP-CPP28(60μg/mL)を含む培地中で培養した。
図7A図7A~7Bは、Hela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図7A)およびGFP蛍光強度分析結果(図7B)を示し、ここでは、Hela-p63mRb3細胞を、最初に、示されたエンドサイトーシス経路阻害剤または低温(4℃)で2時間処理し、次いで、30μg/mlのGFP-cpp28タンパク質で1時間処理した。
図7B図7A~7Bは、Hela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図7A)およびGFP蛍光強度分析結果(図7B)を示し、ここでは、Hela-p63mRb3細胞を、最初に、示されたエンドサイトーシス経路阻害剤または低温(4℃)で2時間処理し、次いで、30μg/mlのGFP-cpp28タンパク質で1時間処理した。
図8A図8A~8Bは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、示された濃度の様々な組換えタンパク質を含む培地中で36時間培養した293β5細胞の観察結果を示し、ここでは、293β5細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図8B図8A~8Bは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、示された濃度の様々な組換えタンパク質を含む培地中で36時間培養した293β5細胞の観察結果を示し、ここでは、293β5細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトした。
図9A図9A~9Bは、示された時点でのHela-p63mRb3細胞のGFP蛍光強度分析の結果(図9A)および共焦点顕微鏡観察結果(図9B)を示し、ここでは、Hela-p63mRb3細胞をGFP-cpp28、GFP-cpp28a、GFP-cpp28b、GFP-cpp28c、GFP-cpp28dおよびGFP-TAT(60μg/mL)を含む培地中で培養した。
図9B図9A~9Bは、示された時点でのHela-p63mRb3細胞のGFP蛍光強度分析の結果(図9A)および共焦点顕微鏡観察結果(図9B)を示し、ここでは、Hela-p63mRb3細胞をGFP-cpp28、GFP-cpp28a、GFP-cpp28b、GFP-cpp28c、GFP-cpp28dおよびGFP-TAT(60μg/mL)を含む培地中で培養した。
図10A図10A~10Bは、GFP-cpp28、GFP-cpp28oS、GFP-cpp28a、GFP-cpp28aC、GFP-cpp28bおよびGFP-cpp28bC(60μg/mL)を含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の細胞内GFP蛍光点計数の結果(図10A)および共焦点顕微鏡観察結果(図10B)を示す。
図10B図10A~10Bは、GFP-cpp28、GFP-cpp28oS、GFP-cpp28a、GFP-cpp28aC、GFP-cpp28bおよびGFP-cpp28bC(60μg/mL)を含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の細胞内GFP蛍光点計数の結果(図10A)および共焦点顕微鏡観察結果(図10B)を示す。
図11A図11A~11Bは、異なる濃度(6.25μg/mL、12.5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)のGFP-cpp28、GFP-cpp28aC、GFP-cpp28bC、GFP-cpp28cC、GFP-cpp28dC、GFP-cpp28dRECおよびGFP-cpp-oSを含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図11A)および細胞内GFP蛍光強度結果(図11B)を示す。
図11B図11A~11Bは、異なる濃度(6.25μg/mL、12.5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)のGFP-cpp28、GFP-cpp28aC、GFP-cpp28bC、GFP-cpp28cC、GFP-cpp28dC、GFP-cpp28dRECおよびGFP-cpp-oSを含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図11A)および細胞内GFP蛍光強度結果(図11B)を示す。
図12A図12A~12Bは、異なる濃度(6.25μg/mL、12.5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)のGFP-cpp28、GFP-cpp28a、GFP-cpp28b、GFP-cpp28c、GFP-cpp28d、GFP-cpp28oNT-1、GFP-cpp28oNT-2およびGFP-cpp28oNT-3を含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図12A)および細胞内GFP蛍光強度結果(図12B)を示す。
図12B図12A~12Bは、異なる濃度(6.25μg/mL、12.5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)のGFP-cpp28、GFP-cpp28a、GFP-cpp28b、GFP-cpp28c、GFP-cpp28d、GFP-cpp28oNT-1、GFP-cpp28oNT-2およびGFP-cpp28oNT-3を含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図12A)および細胞内GFP蛍光強度結果(図12B)を示す。
図13A図13A~13Bは、異なる濃度(6.25μg/mL、12.5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)のGFP-cpp28、GFP-cpp28aCQ1、GFP-cpp28aCQ2、GFP-cpp28aCQ3、GFP-cpp28aCNT、GFP-cpp28bCNT、GFP-cpp28cCNTおよびGFP-cpp28dCNTを含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図13A)および細胞内GFP蛍光強度結果(図13B)を示す。
図13B図13A~13Bは、異なる濃度(6.25μg/mL、12.5μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、200μg/mL)のGFP-cpp28、GFP-cpp28aCQ1、GFP-cpp28aCQ2、GFP-cpp28aCQ3、GFP-cpp28aCNT、GFP-cpp28bCNT、GFP-cpp28cCNTおよびGFP-cpp28dCNTを含む培地中で1時間培養したHela-p63mRb3細胞の共焦点顕微鏡観察結果(図13A)および細胞内GFP蛍光強度結果(図13B)を示す。
図14A図14Aは、GFP-cpp28e、GFPおよびGFP-TATの高速液体蛍光クロマトグラフィー(HPLC)の分析結果を示す。
図14B図14Bは、GFP-cpp28、GFPおよびGFP-TATの分析用超遠心機OptimaXL-100(AUC)分析結果を示す。
図15A図15Aは、GFP-TAT、GFP-cpp28、GFP-cpp28e、GFP-cpp28g、GFP-cpp28h、GFP-cpp28jの分取モレキュラーシーブ精製の結果を示す。
図15B図15Bは、分取モレキュラーシーブ精製法により得られた様々なタンパク質画分(多量体画分および単量体画分)のSDS-PAGE分析の結果を示す。
図15C図15Cは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、293β5細胞のmCherry蛍光強度の定量分析の結果を示し、ここでは、細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトし、示された濃度の示されたタンパク質画分(多量体画および単量体画)を含む培地中で培養した。
図16A図16Aは、実施例6で構築されたレポータープラスミドに含まれる主な構造要素を示す。
図16B図16B~16Cは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、示されたプラスミドまたはプラスミドの組み合わせをトランスフェクトした293β5細胞のイメージング結果(図16B)および蛍光強度分析結果(図16C)を示す。
図16C図16B~16Cは、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、示されたプラスミドまたはプラスミドの組み合わせをトランスフェクトした293β5細胞のイメージング結果(図16B)および蛍光強度分析結果(図16C)を示す。
図17A図17Aは、共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した、293β5細胞の観察結果を示しており、示されたプラスミドまたはプラスミドの組み合わせを細胞にトランスフェクトし、該細胞を示された濃度の様々な組換えタンパク質を含むまたは含まない培地で12時間処理した。
図17B図17Bは、ネイティブPAGE(ネイティブゲル電気泳動)によって細胞内EGFPタンパク質含有量を測定した結果を示し、ここで、示されたプラスミドまたはプラスミドの組み合わせを細胞にトランスフェクトし、該細胞を示された濃度の様々な組換えタンパク質を含むまたは含まない培地で12時間処理した。
図17C図17Cは、ウェスタンブロットによる細胞内EGFPタンパク質含有量の検出結果を示しており、ここでは、示されたプラスミドまたはプラスミドの組み合わせを細胞にトランスフェクトし、該細胞を示された濃度の様々な組換えタンパク質を含むまたは含まない培地で12時間処理した。
図17D図17Dは、実施例6で得られたPCR増幅産物の配列決定分析の結果を示す。Cas9:Cas9タンパク質を発現するプラスミド;ベクターcon:対照ベクター(空のプラスミド);aCRISPR-pl::抗CRISPRタンパク質を発現するプラスミド;aCRISPR-pro:抗CRISPRタンパク質;aCRISPR-cpp28-pro:抗CRISPR-cpp28oriタンパク質。
図18図18は、実施例7で精製した抗体または組換えタンパク質のSDS-PAGE分析の結果(図18A)およびウェスタンブロット分析の結果(図18B)を示す。
図19図19は、100μg/mlの示された抗体または組換えタンパク質を含む培地で6時間処理された細胞(HepG2-N10、HepG2-C3A、Hela、MNT-1およびA375)の免疫蛍光検出の結果を示す。
図20図20は、MNT-1細胞の溶解物中のTYRP-1抗原のウェスタンブロット検出の結果を示し、ここでは、MNT-1細胞を示された濃度の2A7-cpp28ori、TA99またはTA99-cpp28oriで6時間処理した。
図21A図21Aは、HBcAg、TRIM21のウェスタンブロット検出およびHepG2-N10細胞の溶解物中の抗体レベルの結果を示し、ここでは、HepG2-N10細胞を100μg/mlの2A7-cpp28ori、2A7、16D5-cpp28ori、16D5、TA99-cpp28oriまたはTA99抗体で6時間処理した。
図21B図21Bは、HepG2-N10細胞の培養上清中のHBeAg抗原およびHBV DNAレベルの検出結果を示し、ここでは、HepG2-N10細胞を100μg/mlの2A7-cpp28ori、2A7、16D5-cpp28ori、16D5、TA99-cpp28oriまたはTA99抗体で6時間処理した。
図22図22は、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用して、293β5細胞におけるmRuby3蛍光を観察した結果を示し、ここでは、ZF-cpp28oriまたはPEIトランスフェクション試薬を用いて、細胞にプラスミドpTT5-mRuby3-ZFモチーフをトランスフェクトした。
【発明を実施するための形態】
【0120】
配列情報
本出願に関与する配列に関する情報を表1に要約する。
【0121】
【表1-1】
【0122】
【表1-2】
【0123】
1.GFPのアミノ酸配列(配列番号1)
MVSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITLGMDELYK
2.Gal4のDNA結合ドメインのアミノ酸配列(配列番号2)
MKLLSSIEQACDICRLKKLKCSKEKPKCAKCLKNNWECRYSPKTKRSPLTRAHLTEVESRLERLEQLFLLIFPREDLDMILKMDSLQDIKALLTGLFVQDNVNKDAVTDRLASVETDMPLTLRQHRISATSSSEESSNKGQRQLTVS
3.抗GFP VHH2のアミノ酸配列(配列番号3)
MADVQLQESGGGSVQAGEALRLSCVGSGYTSINPYMAWFRQAPGKEREGVAAISSGGQYTYYADSVKGRFTISRDNAKNTMYLQMPSLKPDDSAKYYCAADFRRGGSWNVDPLRYDYQHWGQGTQVTVSS
4.VP16活性化ドメインのアミノ酸配列(配列番号4)
APPTDVSLGDELHLDGEDVAMAHADALDDFDLDMLGDGDSPGPGFTPHDSAPYGALDMADFEFEQMFTDALGIDEYGG
5.抗GFP VHH6のアミノ酸配列(配列番号5)
MADVQLQESGGGSVQTGGSLRLSCAVSPYIGSRISLGWFRQAPGKVREGVALINSRDGSTYYADTVKGRFTISQGDANTVYLQMNSLKPEDTAIYYCAARWGQITDIQALAVASFPDWGQGTQVTVSS
6.RFPのアミノ酸配列(配列番号6)
MVSKGEEDNMAIIKEFMRFKVHMEGSVNGHEFEIEGEGEGRPYEGTQTAKLKVTKGGPLPFAWDILSPQFMYGSKAYVKHPADIPDYLKLSFPEGFKWERVMNFEDGGVVTVTQDSSLQDGEFIYKVKLRGTNFPSDGPVMQKKTMGWEASSERMYPEDGALKGEIKQRLKLKDGGHYDAEVKTTYKAKKPVQLPGAYNVNIKLDITSHNEDYTIVEQYERAEGRHSTGGMDGCTS
7.ルシフェラーゼのアミノ酸配列(配列番号7)
MGVKVLFALICIAVAEAKPTENNEDFNIVAVASNFATTDLDADRGKLPGKKLPLEVLKELEANARKAGCTRGCLICLSHIKCTPKMKKFIPGRCHTYEGDKESAQGGIGEAIVDIPEIPGFKDLEPLEQFIAQVDLCVDCTTGCLKGLANVQCSDLLKKWLPQRCATFASKIQGQVDKIKGAGGD
8.UAS配列(配列番号8)
AGCTTGCATGCCTGCAGGTCGGAGTACTGTCCTCCGAGCGGAGTACTGTCCTCCGAGCGGAGTACTGTCCTCCGAGCGGAGTACTGTCCTCCGAGCGGAGTACTGTCCTCCGAGCGGAGACTCTAGCGAGCGCCGGAGTATAAATAGAGGCGCTTCGTCTACGGAGCGACAATTCAATTCAAACAAGCAAAGTGAACACGTCGCTAAGCGAAAGCTAAGCAAATAAACAAGCGCAGCTGAACAAGCTAAACAATCTGCAGTAAAGTGCAAGTTAAAGTGAATCAATTAAAAGTAACCAGCAACCAAGTAAATCAACTGCAACTACTGAAATCTGCCAAGAAGTAATTATTGAATACAA
9.iRFP670のアミノ酸配列(配列番号9)
MARKVDLTSCDREPIHIPGSIQPCGCLLACDAQAVRITRITENAGAFFGRETPRVGELLADYFGETEAHALRNALAQSSDPKRPALIFGWRDGLTGRTFDISLHRHDGTSIIEFEPAAAEQADNPLRLTRQIIARTKELKSLEEMAARVPRYLQAMLGYHRVMLYRFADDGSGMVIGEAKRSDLESFLGQHFPASLVPQQARLLYLKNAIRVVSDSRGISSRIVPEHDASGAALDLSFAHLRSISPCHLEFLRNMGVSASMSLSIIIDGTLWGLIICHHYEPRAVPMAQRVAAEMFADFLSLHFTAAHHQR
10.cpp28のアミノ酸配列(配列番号10)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
11.cpp28aのアミノ酸配列(配列番号11)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRES
12.cpp28bのアミノ酸配列(配列番号12)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQS
13.cpp28cのアミノ酸配列(配列番号13)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRS
14.cpp28dのアミノ酸配列(配列番号14)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQS
15.cpp28eのアミノ酸配列(配列番号15)
RRRDRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
16.cpp28fのアミノ酸配列(配列番号16)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSKSPRRRRSKSRESQC
17.cpp28gのアミノ酸配列(配列番号17)
RQRGRAPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRASQC
18.cpp28hのアミノ酸配列(配列番号18)
RCRGRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSKSRESQC
19.cpp28iのアミノ酸配列(配列番号19)
RRRGGARASRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRSANC
20.cpp28jのアミノ酸配列(配列番号20)
RRRGNPRAPRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSPAPSNC
21.cpp28kのアミノ酸配列(配列番号21)
RRRGGSRATRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSPASSNC
22.cpp28Lのアミノ酸配列(配列番号22)
RRRPASRRSTPSPRRRRSQSPRRRRSPSPRPASNC
23.cpp28-Osのアミノ酸配列(配列番号23)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQS
24.cpp28aCのアミノ酸配列(配列番号24)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSREC
25.cpp28bCのアミノ酸配列(配列番号25)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQC
26.cpp28cCのアミノ酸配列(配列番号26)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRC
27.cpp28dCのアミノ酸配列(配列番号27)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQC
28.cpp28dRECのアミノ酸配列(配列番号28)
RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQRREC
29.cpp28oNT-1のアミノ酸配列(配列番号29)
SPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
30.cpp28oNT-2のアミノ酸配列(配列番号30)
SPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
31.cpp28oNT-3のアミノ酸配列(アミノ酸配列31)
SPRRRRSQSRESQC
32.cpp28aCQ1のアミノ酸配列(アミノ酸配列32)
RRRGRQPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSREC
33.cpp28aCQ2のアミノ酸配列(アミノ酸配列33)
RRRGRQPRRRTPQPRRRRSQSPRRRRSQSREC
34.cpp28aCQ3のアミノ酸配列(アミノ酸配列34)
RRRGRQPRRRTPQPRRRRSQQPRRRRSQSREC
35.cpp28aCNTのアミノ酸配列(アミノ酸配列35)
SPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSREC
36.cpp28bCNTのアミノ酸配列(アミノ酸配列36)
SPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQC
37.cpp28cCNTのアミノ酸配列(アミノ酸配列37)
SPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRC
38.cpp28dCNTのアミノ酸配列(アミノ酸配列38)
SPRRRTPSPRRRRSQC
39.フレキシブルペプチドリンカーのアミノ酸配列(配列番号39)
GGGGSGGGGSGGGGS
40.GFP-cpp28のアミノ酸配列(配列番号40)
MVSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITLGMDELYKGGGGSGGGGSGGGGSRRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
41.GFP-TATのアミノ酸配列(配列番号41)
MVSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITLGMDELYKGGGGSGGGGSGGGGSGRKKRRQRRRPPQ
42.細胞透過性ペプチドTATのアミノ酸配列(配列番号42)
GRKKRRQRRRPPQ
43.mRuby3タンパク質のアミノ酸配列(配列番号43)
MVSKGEELIKENMRMKVVMEGSVNGHQFKCTGEGEGRPYEGVQTMRIKVIEGGPLPFAFDILATSFMYGSRTFIKYPADIPDFFKQSFPEGFTWERVTRYEDGGVVTVTQDTSLEDGELVYNVKVRGVNFPSNGPVMQKKTKGWEPNTEMMYPADGGLRGYTDIALKVDGGGHLHCNFVTTYRSKKTVGNIKMPGVHAVDHRLERIEESDNETYVVQREVAVAKYSNLGGGMDELYK
44.抗CRISPRタンパク質のアミノ酸配列(配列番号44)
MNINDLIREIKNKDYTVKLSGTDSNSITQLIIRVNNDGNEYVISESENESIVEKFISAFKNGWNQEYEDEEEFYNDMQTITLKSELN
45.抗CRISPR-cpp28oriタンパク質のアミノ酸配列(配列番号45)
MNINDLIREIKNKDYTVKLSGTDSNSITQLIIRVNNDGNEYVISESENESIVEKFISAFKNGWNQEYEDEEEFYNDMQTITLKSELNGGGGSGGGGSGGGGSRRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
46.cas9タンパク質のアミノ酸配列(配列番号46)
MDKKYSIGLDIGTNSVGWAVITDEYKVPSKKFKVLGNTDRHSIKKNLIGALLFDSGETAEATRLKRTARRRYTRRKNRICYLQEIFSNEMAKVDDSFFHRLEESFLVEEDKKHERHPIFGNIVDEVAYHEKYPTIYHLRKKLVDSTDKADLRLIYLALAHMIKFRGHFLIEGDLNPDNSDVDKLFIQLVQTYNQLFEENPINASGVDAKAILSARLSKSRRLENLIAQLPGEKKNGLFGNLIALSLGLTPNFKSNFDLAEDAKLQLSKDTYDDDLDNLLAQIGDQYADLFLAAKNLSDAILLSDILRVNTEITKAPLSASMIKRYDEHHQDLTLLKALVRQQLPEKYKEIFFDQSKNGYAGYIDGGASQEEFYKFIKPILEKMDGTEELLVKLNREDLLRKQRTFDNGSIPHQIHLGELHAILRRQEDFYPFLKDNREKIEKILTFRIPYYVGPLARGNSRFAWMTRKSEETITPWNFEEVVDKGASAQSFIERMTNFDKNLPNEKVLPKHSLLYEYFTVYNELTKVKYVTEGMRKPAFLSGEQKKAIVDLLFKTNRKVTVKQLKEDYFKKIECFDSVEISGVEDRFNASLGTYHDLLKIIKDKDFLDNEENEDILEDIVLTLTLFEDREMIEERLKTYAHLFDDKVMKQLKRRRYTGWGRLSRKLINGIRDKQSGKTILDFLKSDGFANRNFMQLIHDDSLTFKEDIQKAQVSGQGDSLHEHIANLAGSPAIKKGILQTVKVVDELVKVMGRHKPENIVIEMARENQTTQKGQKNSRERMKRIEEGIKELGSQILKEHPVENTQLQNEKLYLYYLQNGRDMYVDQELDINRLSDYDVDHIVPQSFLKDDSIDNKVLTRSDKNRGKSDNVPSEEVVKKMKNYWRQLLNAKLITQRKFDNLTKAERGGLSELDKAGFIKRQLVETRQITKHVAQILDSRMNTKYDENDKLIREVKVITLKSKLVSDFRKDFQFYKVREINNYHHAHDAYLNAVVGTALIKKYPKLESEFVYGDYKVYDVRKMIAKSEQEIGKATAKYFFYSNIMNFFKTEITLANGEIRKRPLIETNGETGEIVWDKGRDFATVRKVLSMPQVNIVKKTEVQTGGFSKESILPKRNSDKLIARKKDWDPKKYGGFDSPTVAYSVLVVAKVEKGKSKKLKSVKELLGITIMERSSFEKNPIDFLEAKGYKEVKKDLIIKLPKYSLFELENGRKRMLASAGELQKGNELALPSKYVNFLYLASHYEKLKGSPEDNEQKQLFVEQHKHYLDEIIEQISEFSKRVILADANLDKVLSAYNKHRDKPIREQAENIIHLFTLTNLGAPAAFKYFDTTIDRKRYTSTKEVLDATLIHQSITGLYETRIDLSQLGGD
47.抗体2A7の軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号47)
DIQMTQTSSSLSASPGDRVTISCRASQGINNYLNWYKQKTDGTFKLLIYYTSYLHSGVPSRFSGRGSGTDYSLTISNLEPEDVATYYCQQYGKLPWTFGGGTKLEIK
48.抗体2A7の重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号48)
QVQLQQPGAELVKPGASVKLSCKASGYTFTRYWMHWVMQRPGQDLEWIGEINPINGRTNYNEKFRRKATLTVDKSSSTVYIQFSSLTSEDSAVYFCTREGYRNDYYYAMDFWGRGTSVTVSS
49.抗体16D5の軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号49)
DIVLTQSPGSLAVFLGQRATISCRASQSVSGSIYSYMHWYQQKPGQPPKLLIKFASNLESGVPARFSGGGSGTDFTLNIHPVEEEDAATYYCQHSWEIPYTFGGGTKLEIK
50.抗体16D5の重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号50)
EVQLQQSGAEVVKPGASVKLSCTASGFKIEDTYIHWVKQRPEQGLEWIGRIDPANGNSRYDPNFQGKATIIADTSSYTIYLQLSSLTSEDTAVYYCSSPLSLLRLGGFAYWGQGTLITVSA
51.抗体TA99の軽鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号51)
AIQMSQSPASLSASVGETVTITCRASGNIYNYLAWYQQKQGKSPHLLVYDAKTLADGVPSRFSGSGSGTQYSLKISSLQTEDSGNYYCQHFWSLPFTFGSGTKLEIK
52.抗体TA99の重鎖可変領域のアミノ酸配列(配列番号52)
VQLQQSGAELVRPGALVKLSCKTSGFNIKDYFLHWVRQRPDQGLEWIGWINPDNGNTVYDPKFQGTASLTADTSSNTVYLQLSGLTSEDTAVYFCTRRDYTYEKAALDYWGQGASVIVSS
53.ZFタンパク質のアミノ酸配列(配列番号53)
VSRPGERPFQCRICMRNFSDKTKLRVHTRTHTGEKPFQCRICMRNFSVRHNLTRHLRTHTGEKPFQCRICMRNFSQSTSLQRHLKTHLRGS
54.ZFタンパク質の結合配列(配列番号54)
tGTAGATGGAg
【実施例
【0124】
本発明を実施するための特定のモデル
ここで、以下の実施例を参照して本発明を説明するが、該実施例は本発明を例示することを意図しているが、本発明を限定するものではない。
【0125】
別途明記しない限り、本発明で使用される分子生物学実験方法およびイムノアッセイは、J.Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989、およびF.M.Ausubelら、Refined Molecular Biology Laboratory Manual,第3版,John Wiley & Sons,Inc.,1995に記載の方法を基本的に参照して行い、製品の製造業者が推奨する条件に従って制限酵素を使用した。当業者は、実施例が本発明を例示として説明するものであり、本発明による保護を得ようとする範囲を限定することを意図していないと理解する。
【0126】
実施例1:細胞内へのタンパク質の送達における細胞透過性ペプチドの効率を評価するためのレポーターシステムの確立
本実施例では、標的タンパク質の細胞内への侵入を媒介することにおける細胞透過性ペプチドの効率を簡単かつ効率的に評価するために、本発明者らは、緑色蛍光タンパク質(GFP;配列番号1)をモデルタンパク質として使用して、細胞内へのタンパク質の送達における細胞透過性ペプチドの効率を定量化することができるレポーターシステムを確立した。
【0127】
本実施例で構築されたレポーティングシステムの動作原理を図1Aに示した。簡単に述べると、試験する細胞透過性ペプチドと融合されるカーゴ分子として、GFPを使用した。さらに、転写調節因子Gal4のDNA結合ドメイン(DBD;配列番号2)を抗GFP VHH2(第1の抗GFP単一ドメイン抗体;配列番号3)と融合させて、第1の融合タンパク質DBD-VHH2を形成し、VP16活性化ドメイン(AD;配列番号4)を抗GFP VHH6(第2の抗GFP単一ドメイン抗体;配列番号5)と融合させて、第2の融合タンパク質AD-VHH6を形成し、赤色蛍光タンパク質をコードするmCherry遺伝子(RFP;配列番号6)およびルシフェラーゼをコードするLuc遺伝子(Luc;配列番号7)をGal4によって認識されるUAS配列(上流の活性化配列;配列番号8)の制御下に置いた。したがって、試験対象の細胞透過性ペプチドが、カーゴ分子であるGFPを細胞内に送達することができる場合、細胞中で発現しているDBD-VHH2およびAD-VHH6は、細胞内に侵入したGFP分子を特異的に認識してそれに結合し、DBDとADとを互いに接近させて、UAS配列を認識し転写を開始することができる複合体を形成するであろう。この複合体は、UAS配列によって調節される下流の遺伝子(mCherry遺伝子およびLuc遺伝子)の転写および発現を開始するであろう(Cell.2013 Aug15;154(4):928-939)。したがって、mCherryタンパク質が発する蛍光の強度および/またはルシフェラーゼLucの活性レベルを検出することにより、細胞内に侵入したGFP分子の数を決定することができ、それにより、細胞内へのタンパク質の送達におけるGFPと融合した細胞透過性ペプチドの効率を決定することができる。このレポーターシステムでは、mCherry遺伝子およびLuc遺伝子の転写活性化は細胞内GFPの存在に依存しており、したがって、mCherry蛍光の強度および/またはルシフェラーゼLucの活性を検出することによって、細胞内GFPレベルを決定することができた。mCherryタンパク質が発する蛍光が強いほど、またはルシフェラーゼLucの活性が高いほど、細胞中のGFP分子が多くなり、試験される細胞透過性ペプチドの送達効率が高くなる。
【0128】
簡単かつ効率的な評価のために、本発明者らは、上記のシステムに関与する要素を同じプラスミド内に構築し、それをEHIPS-U2MGと命名した。プラスミドEHIPS-U2MGに含まれる主な構造要素を図1Bに示した。UAS:Gal4によって認識される上流の活性化配列;RFP:赤色蛍光タンパク質をコードするヌクレオチド配列;2A:ライゲーションヌクレオチド配列;Luc:ルシフェラーゼをコードするヌクレオチド配列;BGH:転写終結配列;TMP/CAG/EF1p:プロモーター配列;DBD:DNA結合ドメインをコードするヌクレオチド配列;AD:VP16活性化ドメインをコードするヌクレオチド配列;VHH2/VHH6:抗GFP単一ドメイン抗体VHH2/VHH6をコードするヌクレオチド配列;H2B:核局在化シグナルをコードするヌクレオチド配列。iRFP670:遠赤色蛍光タンパク質670をコードするヌクレオチド配列(配列番号9);PurR:ピューロマイシン耐性遺伝子;ins:インスレーション(insulation)配列;TR:転位(transposition)配列。
【0129】
プラスミドEHIPS-U2MGは、piggyBacトランスポゾンシステムおよびピューロマイシン耐性遺伝子(PurR)を有していた。プラスミドを293T細胞にトランスフェクトした後、ピューロマイシンを耐性スクリーニングに使用して、上記の構造要素をゲノム中に安定に組み込んだ操作された細胞株を得ることができた。pcDNA3.1-GFPプラスミド(GFPをコードするヌクレオチド配列を有するプラスミドpcDNA3.1)または陰性対照プラスミドを操作された細胞株にトランスフェクトし、蛍光顕微鏡で観察した。結果は、pcDNA3.1-GFPプラスミドをトランスフェクトした細胞では、GFPが発する緑色の蛍光およびmCherryが発する赤色の蛍光が観察され、陰性対照群の細胞では、緑色蛍光シグナルおよび赤色蛍光シグナルが検出されなかったことを示した(図1C)。
【0130】
したがって、本実施例で構築されたレポーターシステムおよび操作された細胞株を使用して、mCherryの赤色蛍光シグナルおよびその強度を検出することによって細胞内GFPタンパク質の存在および量を決定することができた。
【0131】
実施例2:細胞透過性ペプチドcpp28の設計並びにcpp28およびGFPを含む組換えタンパク質の調製
本実施例では、本発明者らは、新しい細胞透過性ペプチドを設計し、細胞透過性ペプチドおよび緑色蛍光タンパク質を含む組換えタンパク質を調製した。
【0132】
本実施例で設計した細胞透過性ペプチドcpp28は、以下のアミノ酸配列:RRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC(配列番号10)を有した。これに基づき、組換えタンパク質GFP-CPP28(配列番号40)を設計し、ここでは、GFPのC末端をフレキシブルなリンカーGGGGS-GGGGS-GGGGS(配列番号39)を介して細胞透過性ペプチドcpp28に連結させた。GFP-CPP28をコードするヌクレオチド配列を、pTO-T7原核生物発現ベクター(6×Hisタグをコードするヌクレオチド配列を有する;Luo Wenxinら、Chinese Journal of Biological Engineering,2000,16:53-57)にクローニングし、これにより、発現プラスミドpTO-T7-GFP-CPP28を得た。
【0133】
さらに、組換えタンパク質GFP-TAT(配列番号41)を設計し、ここでは、GFPのC末端をフレキシブルなリンカー(配列番号39)を介して細胞透過性ペプチドTAT(HIV由来細胞透過性ペプチド;配列番号42)に連結させた。GFP-TATをコードするヌクレオチド配列をpTO-T7原核発現ベクターにクローニングして、発現プラスミドpTO-T7-GFP-TATを得た。
【0134】
上記で構築した発現プラスミドをそれぞれ大腸菌Shuffle T7株に形質転換し、組換えタンパク質を発現させた。続いて、大腸菌中で発現した組換えタンパク質をニッケルカラムアフィニティークロマトグラフィーによって精製し、精製された標的タンパク質GFP-CPP28およびGFP-TATを得た。さらに、GFPタンパク質もまた、同様の方法によって発現および精製した。精製された標的タンパク質(GFP、GFP-CPP28およびGFP-TAT)をSDS-PAGEで検出し、その結果を図2に示した。結果は、得られた精製タンパク質がすべて95%より大きい純度を有することを示した。
【0135】
実施例3:細胞内へのタンパク質の送達におけるcpp28の効率の評価
本実施例では、実施例1で構築されたレポーターシステムを使用して、緑色蛍光タンパク質の細胞内への送達における細胞透過性ペプチドcpp28の効率を評価した。
【0136】
293β5細胞を96ウェルプレート中に1ウェルあたり20,000個の細胞密度で接種した。12時間後、実施例1で構築したEHIPS-U2MGプラスミドを、Lipofectamine(商標)2000(Thermo Fisher、11668019)トランスフェクション試薬を用いて細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後、培地を除去し、異なる組換えタンパク質(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を含む培地を添加し、組換えタンパク質(GFP、GFP-CPP28またはGFP-TAT)の濃度は60μg/mLであった。36時間培養した後、細胞のmCherry蛍光を撮影し、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムによって分析した。さらに、陰性対照および陽性対照もまた、次のように設定した:陰性対照群では、細胞にEHIPS-U2MGプラスミドをトランスフェクトしたが、組換えタンパク質は培地に添加せず、陽性対照群では、細胞にEHIPS-U2MGおよびpcDNA3.1-GFPプラスミドを同時にトランスフェクトし、組換えタンパク質を培地に添加しなかった。
【0137】
実験結果を図3A~3Bに示す。結果は、(1)細胞の各群では、iRFP670によって発せられた蛍光を観察することができ、これは、EHIPS-U2MGプラスミドが細胞に正常にトランスフェクトされたことを示している;(2)陰性対照群では、mCherryの蛍光は基本的に検出することができず(図3B)、陽性対照群では、最も強いmCherry蛍光が検出された(図3A~3B);(3)GFPは単独では基本的に膜を横切って細胞内に侵入することができず、細胞にmCherryを発現させることを誘導することができなかった(mCherryの蛍光は基本的にこの群の細胞では検出することができなかった);(4)cpp28およびTATの両方がGFPを細胞内に送達することができ、次いで、蛍光レポーターシステムを介して下流のmCherry遺伝子の発現が活性化され、その結果、細胞がmCherry蛍光を発する;(5)細胞内への膜貫通送達によるGFPの送達におけるcpp28の効率は、TATの効率よりも有意に高かった。
【0138】
さらに、cpp28に対して濃度勾配実験も行い、膜透過効率を評価した。簡単に述べると、293β5細胞を96ウェルプレート中に1ウェルあたり20,000個の細胞密度で接種した。12時間後、実施例1で構築したEHIPS-U2MGプラスミドを、Lipofectamine(商標)2000(ThermoFisher、11668019)トランスフェクション試薬を用いて細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後、培地を除去し、GFP-CPP28を含む培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を添加し、GFP-CPP28の濃度は30、10、5、2.5μg/mLであった。36時間培養後、細胞のmCherry蛍光を撮影し、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムによって分析した。
【0139】
実験結果を図4A~4Bに示す。結果は、cpp28がGFPタンパク質を細胞内に効果的に送達することができ、下流のmCherry遺伝子の発現が蛍光レポーターシステムを介して活性化され、その結果、細胞がmCherry蛍光を発し、GFP-cpp28タンパク質濃度の増加に伴い、mCherryの発現量が徐々に増加し、mCherry蛍光の蛍光強度が徐々に増加することを示した。
【0140】
さらに、GFP分子を細胞内に送達することにおけるcpp28の効率を複数の細胞種で評価した。簡単に述べると、示された種類の細胞(MDCK、VEROまたはHacat)を96ウェルプレート中に1ウェルあたり20,000個の細胞密度で接種した。12時間後、実施例1で構築したEHIPS-U2MGプラスミドを、Lipofectamine(商標)2000(Thermo Fisher、11668019)トランスフェクション試薬を用いて細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後、培地を除去し、異なる組換えタンパク質を含む培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を添加し、組換えタンパク質(GFP、GFP-CPP28またはGFP-TAT)の濃度は60μg/mLであった。36時間培養した後、細胞のmCherry蛍光を撮影し、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムによって分析し、細胞上清中に分泌されたgLucタンパク質の酵素活性をPierc(商標)Gaussia Luciferaseルシフェラーゼ検出システムによって測定した。
【0141】
実験結果を図5に示した。結果は、様々な細胞種(MDCK、VEROおよびHacat細胞)について、GFP-CPP28を含む培地中で培養した細胞は、有意に高いmCherry蛍光強度および有意に高いルシフェラーゼ活性を有することを示した。これにより、cpp28がGFP分子を様々な種類の細胞(MDCK、VERO、およびHacat細胞)内に送達することができ、その送達効率がTATよりも有意に高いことが示された。
【0142】
実施例4:タンパク質の細胞内への送達におけるcpp28の動的プロセスおよび経路
本実施例では、本発明者らは、タンパク質の細胞内への送達におけるcpp28の動的プロセスおよび経路を研究した。
【0143】
タンパク質の細胞内への送達におけるcpp28の動的プロセスを研究するために、本発明者らは、mRuby3タンパク質(配列番号43;赤色蛍光を発する)を細胞膜上で発現し、核内でiRFP670タンパク質(遠赤色蛍光を発する)を発現することができるHela細胞株(Hela-p63mRb3と命名した)を構築した。レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用した細胞株のイメージング取得および分析により、細胞内緑色蛍光、赤色蛍光、遠赤色蛍光を検出、局在化および定量化することができ、その結果、細胞内GFPタンパク質、細胞質膜および核を直接観察、分析、および計算することができた。
【0144】
簡単に述べると、Hela-p63mRb3細胞をPerkinElmer24ウェルブラックプレート中に1ウェルあたり10,000個の細胞密度で接種した。細胞が接着した後、培地を除去し、60μg/mLのGFP-cpp28を含む培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を添加した。5分後、10分後、20分後、30分後、40分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、および24時間後に、50μMヘパリンで洗浄し(細胞膜に非特異的に吸着したGFPタンパク質を除去するため)、次いで細胞を3.7%パラホルムアルデヒドで固定し、次いでレーザー共焦点顕微鏡で細胞を撮影して、緑色蛍光、赤色蛍光および遠赤色蛍光を観察し、GFPタンパク質の細胞内局在を決定した。実験結果を図6Aに示した。
【0145】
さらに、細胞の別のアリコートを採取し、並行して同じ処理を行う前に、50μMヘパリンで洗浄し、細胞をDDM(n-ドデシルβ-D-マルトシド(sigma)4mg/mL、20mM Hepes、1mM EGTA、100mM NaCl、5mM MgCl)で溶解し、次いで二重抗体サンドイッチ法を使用して、細胞中のGFPタンパク質の含有量を検出した。簡単に述べると、400ng/ウェルのGFP結合タンパク質GBP4およびHRP標識抗GFP抗体でコーティングしたELISAプレート使用して、段階希釈した細胞溶解物(100μL)中のGFPタンパク質を検出し、事前に作成した標準曲線に従って細胞溶解物中のGFPタンパク質の含有量を計算した。実験結果を図6Bに示した。
【0146】
図6Aの結果は、GFP-cpp28を細胞と数分間接触させた後、細胞内でGFPタンパク質を検出することができ、細胞における緑色蛍光強度が1~4時間以内にピーク(プラトー期)に達したことを示した。時間の経過とともに、細胞内のGFPタンパク質の量が減少した。さらに、緑色蛍光と赤色蛍光の共局在化の結果から、GFPタンパク質が細胞内に侵入した後の一定期間内に、GFPタンパク質のほとんどがmRuby3で標識された細胞質膜と共局在することが分かり、これは、cpp28がGFPを有し、かつ、細胞に侵入した後の一定期間内に、該cpp28は主にエンドソームに位置することを示した。時間の経過とともに、GFPおよびmRuby3の共局在化シグナルが減少したが、これは、GFPタンパク質がエンドソームから出て、細胞質に侵入したことを示した。図6Bの検出結果は、共焦点顕微鏡による観察結果(図6A)と一致した。
【0147】
さらに、上記のHela-p63mRb3細胞を使用して、GFPタンパク質を細胞内に送達するcpp28の経路を分析した。簡単に述べると、Hela-p63mRb3細胞をPerkinElmer24ウェルブラックプレート中に1ウェルあたり10,000個の細胞密度で接種した。細胞が接着した後、様々なエンドサイトーシス経路阻害剤(アミロリド、クロルプロマジン、フィリピン、サイトカラシンD、ダンシルカダベリン、ダイナソール、ナイスタチン)または4℃のみを使用して、細胞を2時間処理した。その後、30μg/mlのGFP-cpp28タンパク質を添加し、1時間処理した。処理後、細胞をヘパリンで3回洗浄し、次いで3.7%パラホルムアルデヒドで固定し、写真撮影し、レーザー共焦点顕微鏡で観察した。実験結果を図7A図7Bに示す。
【0148】
蛍光写真(図7A)および細胞内GFP蛍光強度の分析(図7B)の結果から、低温(4℃)処理によってGFP-cpp28の細胞内への侵入が有意に阻害されることが分かり、これは、cpp28がGFPタンパク質を有し、かつ、細胞に侵入することがエネルギー依存性のプロセスであることを示している。さらに、サイトカラシンDおよびダンシルカダベリンの2つの阻害剤もcpp28の膜貫通送達をある程度阻害したが、阻害効果は低温処理よりも弱かった。これにより、cpp28の膜貫通送達がクラスリンを介したエンドサイトーシスを伴うことが示唆された。
【0149】
実施例5:cpp28変異体および細胞内へのタンパク質の送達におけるその効率の評価
本実施例では、本発明者らは、複数のcpp28変異体(本出願ではcpp28oriとも称される)を設計し(cpp28変異体を表2に列挙した)、タンパク質の細胞内への送達におけるこれらの変異体の効率を評価した。
【0150】
【表2】
【0151】
表2に列挙されているcpp28変異体の中で、cpp28a、cpp28b、cpp28cおよびcpp28dはすべて、cpp28の切断型であり、それらのC末端は、cpp28と比較してそれぞれ2、5、7および13個のアミノ酸残基だけ切断され;cpp28e、cpp28h、cpp28i、cpp28jおよびcpp28kは、cpp28と比較して、N末端に2~5個のアミノ酸残基の付加を有し;cpp28oNT-1、cpp28oNT-2およびcpp28oNT-3はすべて、cpp28のN末端切断型であり、それらのN末端は、cpp28と比較してそれぞれ5、12および20アミノ酸だけ切断され;cpp28aC、cpp28bC、cpp28cC、cpp28dCは、それぞれcpp28a、cpp28b、cpp28c、cpp28dの変異体であり、ここでは、C末端のセリンSがシステインCに変異しており;cpp28dRECは、らせん構造を生成する傾向がある2つの正電荷を帯びたアルギニンRおよび1つのグルタミン酸EをC末端のシステインの前に付加することにより、cpp28dCに基づいて得られた変異体であり;cpp28oSは、cpp28のC末端のシステインCをセリンSに変異させることによって得られた変異体であり;cpp28aCQ1、cpp28aCQ2およびcpp28aCQ3は、それぞれcpp28aCのSPRRR構造において無秩序な構造を生成する傾向がある1、2、または3つのセリンSを、らせん構造を生成する傾向があるグルタミンQに変異させた変異体であり;cpp28aCNT、cpp28bCNT、cpp28cCNTおよびcpp28dCNTは、それぞれcpp28aC、cpp28bC、cpp28cCおよびcpp28dCのN末端で5個のアミノ酸だけ切断された変異体である。
【0152】
実施例2に記載の方法に従い、表2における設計されたcpp28変異体に基づいて、様々な組換えタンパク質(GFP-cpp28a、GFP-cpp28b、GFP-cpp28c、GFP-cpp28d、GFP-cpp28e、GFP-cpp28f、GFP-cpp28g、GFP-cpp28h、GFP-cpp28i、GFP-cpp28j、GFP-cpp28k、GFP-cpp28L、GFP-cpp28oS、GFP-cpp28aC、GFP-cpp28bC、GFP-cpp28cC、GFP-cpp28dC、GFP-cpp28dREC、GFP-cpp28oNT-1、GFP-cpp28oNT-2、GFP-cpp28oNT-3、GFP-cpp28aCQ1、GFP-cpp28aCQ2、GFP-cpp28aCQ3、GFP-cpp28aCNT、GFP-cpp28bCNT、GFP-cpp28cCNTおよびGFP-cpp28dCNT)を構築、発現および精製し、各cpp28変異体をリンカーを介してGFPのC末端に連結させた(配列番号39)。
【0153】
次いで、実施例3で記載のように、実施例1で構築したレポーターシステムを使用して、緑色蛍光タンパク質の細胞内への送達におけるcpp28変異体(cpp28a、cpp28b、cpp28c、cpp28d、cpp28e、cpp28f、cpp28g、cpp28h、cpp28i、cpp28j、cpp28kおよびcpp28L)の送達効率を評価した。実験結果を図8A~8Bに示す。
【0154】
図8Aの結果は、cpp28a、cpp28bおよびcpp28cはすべて、GFPを細胞内に送達する能力を有するが、それらの送達効率はcpp28のものよりも低いことを示した。さらに、cpp28dは、本質的にGFPを細胞内に送達する能力を喪失した。これらの結果により、cpp28がC末端の欠失をある程度許容でき、C末端で1~7個のアミノ酸残基が切断されたcpp28切断型が依然として膜貫通送達によってGFP分子を送達することができることが示唆された。
【0155】
図8Bの結果は、cpp28、cpp28e、cpp28g、cpp28h、cpp28jおよびcpp28kはすべて、細胞内にGFPを送達する能力を有し、cpp28e、cpp28g、cpp28hおよびcpp28jの送達効率は、cpp28の送達効率よりも良好であり、cpp28f、cpp28iおよびcpp28Lは、細胞内にGFPを送達する能力を本質的に喪失したことを示した。
【0156】
さらに、図8A~8Bの結果はまた、cpp28a、cpp28b、cpp28c、cpp28e、cpp28g、cpp28h、cpp28jおよびcpp28kがすべて、用量依存的にGFPを細胞内に送達することができることを示した。
【0157】
さらに、構築したHela-p63mRb3細胞モデルを使用して、cpp28、cpp28a、cpp28b、cpp28c、cpp28dおよびTATがGFPタンパク質を細胞内に送達するプロセスも実施例4に記載の方法によって観察した。実験結果を図9A~9Bに示す。
【0158】
図9A~9Bの結果は、cpp28a、cpp28bおよびcpp28cがすべて、GFPを細胞内に送達する能力を有し、その送達効率はcpp28の送達効率よりも低いが、cpp28dおよびTATの送達効率よりもすべて有意に高いことを示した。この結果は基本的に図8Aの結果と一致した。
【0159】
さらに、実施例4に記載の方法により、構築したHela-p63mRb3細胞モデルを使用して、cpp28、cpp28-oS、cpp28a、cpp28aC、cpp28b、cpp28bC、cpp28cC、cpp28dCおよびcpp28dRECがGFPタンパク質を細胞内に送達するプロセスを観察し、タンパク質の細胞内への送達におけるそれらの効率および用量依存特性を評価した。実験結果を図10A~10Bおよび図11A~11Bに示す。
【0160】
図10A~10Bおよび図11A~11Bの結果は、cpp28のC末端システインをセリンに変異させた後、cpp28-oSは依然としてGFPを細胞内に送達することができたが、送達効率はある程度低下し、さらに、cpp28a、cpp28b、cpp28cおよびcpp28dのC末端セリンをシステインに変異させた後、GFPタンパク質を細胞内に送達するcpp28aC、cpp28bC、cpp28cC、およびcpp28dCの活性が有意に増強されたことを示した。これらの結果により、C末端システインがcpp28の膜貫通送達機能に有益であることが示唆された。さらに、図11A~11Bは、GFPタンパク質の細胞内への送達におけるcpp28dRECの活性がcpp28dCと比較してある程度改善され、該cpp28dRECは12.5μg/mLの低濃度で良好な膜貫通活性を依然として維持したことを示した。
【0161】
同時に、実施例4に記載の方法により、構築したHela-p63mRb3細胞モデルを使用して、cpp28、cpp28a、cpp28b、cpp28c、cpp28d、cpp28oNT-1、cpp28oNT-2およびcpp28oNT-3がGFPタンパク質を細胞内に送達するプロセスを観察し、タンパク質の細胞内への送達におけるそれらの効率および用量依存特性を評価した。実験結果を図12A~12Bに示す。
【0162】
図12A~12Bの結果は、cpp28a、cpp28b、cpp28cおよびcpp28oNT-1はすべて、用量依存効果を伴ってGFPを細胞内に送達する能力を有し、cpp28oNT-1およびcpp28の送達効率が基本的に同等であったことを示した。さらに、cpp28d、cpp28oNT-2およびcpp28oNT-3は、GFPを細胞内に送達する能力を本質的に喪失した。これらの結果により、cpp28がN末端またはC末端の欠失をある程度許容することができることが示唆され、C末端で1~7個のアミノ酸残基が切断されたcpp28切断型は、依然として膜を横切ってGFP分子を送達することができ、N末端での1~5個のアミノ酸の欠失は基本的にその膜貫通送達効率に影響を与えなかったが、1つまたは2つのSPRRR構造を欠くcpp28oNT-2およびcpp28oNT-3は、基本的にGFPを細胞内に送達する能力を喪失した。
【0163】
さらに、実施例4に記載の方法により、構築したHela-p63mRb3細胞モデルを使用することにより、cpp28、cpp28aCQ1、cpp28aCQ2、cpp28aCQ3、cpp28aCNT、cpp28bCNT、cpp28cCNTおよびcpp28dCNTがGFPタンパク質を細胞内に送達するプロセスを観察し、タンパク質の細胞内への送達におけるそれらの効率および用量依存特性を評価した。実験結果を図13A~13Bに示す。
【0164】
図13A~13Bの結果は、cpp28aCQ1、cpp28aCQ2およびcpp28aCQ3がすべて、GFPを細胞内に送達する能力を有し、それらの送達効率はcpp28の送達効率に匹敵するか、またはそれよりも幾分良好であることを示した。さらに、N末端切断およびC末端切断を組み合わせたcpp28aCNT、cpp28bCNT、cpp28cCNTおよびcpp28dCNTもすべて、GFPを細胞内に送達する能力があり、cpp28aCNT、cpp28bCNTおよびcpp28cCNTの送達効率は、低濃度(12.5μg/mL)のcpp28の送達効率と同等であった。
【0165】
実施例6:GFPおよびcpp28またはその変異体を含む組換えタンパク質の分析
GFPおよびcpp28またはその変異体を含む組換えタンパク質について、高速液体蛍光クロマトグラフィー(HPLC)分析を行った。結果を図14Aに示した。結果は、GFP単独およびGFP-TATタンパク質のピーク時間は約14分であったが、GFP-cpp28eを例として取り上げると、組換えタンパク質は、それぞれ約11分および14分のピーク時間で2つのピークがあり、蛍光検出分析は、GFP-cpp28eの蛍光ピークもそれぞれのピーク時間に現れ、約11分におけるタンパク質ピークがより強い蛍光値を有したことを示した。この結果は、GFP-cpp28eが多量体を生成したことを示している。
【0166】
さらに、GFP-cpp28、GFPおよびGFP-TATを例として取り上げると、これらのタンパク質を分析用超遠心機Optima XL-100(AUC)によって分析し、これらのタンパク質の沈降係数を決定した。結果を図14Bに示した。結果は、多量体の形成を伴うGFP-cpp28が、約34Sの沈降係数および約2200kDの相対分子量を有し、純粋なGFPおよびGFP-TATタンパク質が、約2.4Sの沈降係数および約30kDの相対分子量を有することを示した。この結果は、GFP-cpp28が、純粋なGFPタンパク質分子に対して約70の凝集体の巨大分子を形成したことを示した。
【0167】
上記の結論に基づいて、本発明者らは、Sephacryl(商標)High Resolution樹脂HiPrep(商標)Sephacryl HRカラム、26/60(320ml)分取モレキュラーシーブを使用して、ニッケルカラムアフィニティークロマトグラフィーによって得られた組換えタンパク質(GFP-TAT、GFP-cpp28、GFP-cpp28e、GFP-cpp28g、GFP-cpp28h、GFP-cpp28j)をさらに精製した。結果を図15Aに示した。結果は、タンパク質GFP-TATの場合、これは主に単量体の形で存在し、タンパク質GFP-cpp28、GFP-cpp28e、GFP-cpp28g、GFP-cpp28hおよびGFP-cpp28jの場合、標的タンパク質は2つの異なるピーク時間で収集することができ、ピーク時間の短いタンパク質(多量体)の割合は、ピーク時間の長いタンパク質(モノマー)の割合よりもはるかに高かったことを示した。この結果は、図14Aおよび14Bに示した結果と一致した。さらに、回収した様々なタンパク質画分(多量体画分および単量体画分)をSDS-PAGEによって分析した。結果を図15Bに示した。結果は、変性(すなわち、多量体が単量体に解離した)後、これらのタンパク質はすべて約30kdのサイズであったことを示した。さらに、実施例3に記載されるように、実施例1で構築されたレポーターシステムを使用して、緑色蛍光タンパク質の細胞内への送達における効率について、収集された様々なタンパク質画分(多量体画分および単量体画分)を評価した。実験結果を図15Cに示した。結果は、多量体タンパク質の細胞侵入効率が単量体タンパク質の細胞侵入効率よりも有意に高いことを示した。
【0168】
実施例6:抗CRISPR-cpp28oriタンパク質の細胞侵入効率の評価
本実施例では、本発明者らは、cpp28oriが抗CRISPRタンパク質(AcrIIA4)を細胞内に送達し、Cas9の遺伝子編集を阻害する効果を発揮することができるかどうかを検証した。
【0169】
CRISPR-cas9システムは現在、非常にポピュラーな遺伝子編集システムであり、その高い遺伝子編集効率はまた、研究者を悩ませるオフターゲット効果を伴う。2017年にCellに公表された文献(Cell.2017 Jan12;168(1-2):150-158.e10)では、タンパク質AcrIIA4(本出願では抗CRISPRタンパク質とも呼ばれる。配列番号44)はCRISPRタンパク質の作用を阻害することができ、このタンパク質は哺乳動物細胞でも阻害効果を発揮することができることが報告されている。本実施例では、本発明者らは、原核発現システムにより、細胞透過性ペプチドcpp28に融合された抗CRISPRタンパク質(抗CRISPR-cpp28ori;配列番号45)を調製および精製し、その細胞侵入効率を評価した。
【0170】
簡単に述べると、本発明者らは、抗CRISPR-cpp28oriタンパク質の膜貫通効果を検証するために蛍光レポーターシステムを構築した。図16Aに示すように、蛍光レポーターシステムは、赤色蛍光mRuby3遺伝子、EGFPタンパク質のsgRNA配列、およびTREプロモーターによって促進されるEGFP遺伝子を有するプラスミド(以下、レポータープラスミドと称する)を使用した。EF1p/U6/TREp:プロモーター配列;H2B:核局在化シグナルをコードするヌクレオチド配列;mRuby3:mRuby3遺伝子のヌクレオチド配列;2A:連結ヌクレオチド配列;BGH:転写終結配列;sgRNA:sgRNAをコードするヌクレオチド配列;EGFP:EGFPタンパク質をコードするヌクレオチド配列;PurR:ピューロマイシン耐性遺伝子;ins:インスレーション配列;TR:転位配列。
【0171】
レポータープラスミドおよびcas9遺伝子(addgeneID:52961)を含むプラスミド(以下、cas9プラスミドと称する)を細胞に同時トランスフェクトしたとき、細胞はCas9タンパク質(配列番号46)を発現し、Cas9タンパク質はEGFPタンパク質のsgRNA配列を介してEGFP遺伝子を編集し、その結果、細胞はEGFPタンパク質を正常に発現できなかった。したがって、細胞は、緑色蛍光を発しないか、または非常に弱い緑色蛍光のみを発する。
【0172】
さらに、本発明者らは、pTT5-抗CRISPR-cpp28oriプラスミド(真核細胞にトランスフェクトし、真核細胞において抗CRISPR-cpp28oriタンパク質を発現するために使用された)、並びにプラスミドpTO-T7-his-抗CRISPRおよびpTO-T7-his-抗CRISPR-cpp28ori(原核細胞にトランスフェクトし、原核細胞において6Hisタグを有する抗CRISPRおよび抗CRISPR-cpp28oriタンパク質を発現するために使用され、抗CRISPRタンパク質およびcpp28oriは配列番号39によって表されるフレキシブルなリンカーによって連結されている)を構築した。
【0173】
上記のように構築されたレポータープラスミド、cas9プラスミドおよびpTT5-抗CRISPR-cpp28oriプラスミドを使用して、293β5細胞において蛍光レポーターシステムの機能を検証した。簡単に述べると、293β5細胞に、示されたプラスミドまたはプラスミドの組み合わせをトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞をドキソルビシンを含むDMEM培地中で12時間培養し、次いで細胞内EGFP蛍光を撮影し、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムを使用して分析した。実験結果を図16B~16Cに示す。結果は、レポータープラスミドのみをトランスフェクトした細胞では、明らかなEGFP蛍光発現を観察することができた。レポータープラスミドおよびcas9プラスミドを同時にトランスフェクトした細胞では、非常に弱い緑色の蛍光のみが観察され、レポータープラスミド、cas9プラスミドおよびpTT5空のプラスミドを同時にトランスフェクトした細胞では、非常に弱い緑色の蛍光のみが観察され、pTT5-抗CRISPR-cpp28oriプラスミド、レポータープラスミドおよびcas9プラスミドを同時にトランスフェクトした細胞では、より明白な緑色の蛍光が観察された。これらの結果は、Cas9タンパク質が細胞中で遺伝子編集機能を果たし、EGFPタンパク質の発現を阻害した一方、抗CRISPRタンパク質が、Cas9タンパク質の遺伝子編集機能を阻害することができ、EGFPタンパク質の発現を回復させたことを示した。平均蛍光強度分析の結果(図16C)は、抗CRISPRがEGFP蛍光の約40%を回復させたことを示した。したがって、構築された蛍光レポーターシステムは、EGFP蛍光強度によって抗CRISPRの機能を示すことができる。
【0174】
実施例2に記載の方法に従って、抗CRISPRおよび抗CRISPR-cpp28oriタンパク質を大腸菌中で発現させ、ニッケルカラムアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。SDS-PAGE分析は、精製された抗CRISPRタンパク質が95%以上の純度を有し、精製された抗CRISPR-cpp28oriタンパク質が次の細胞実験で使用することができる90%以上の純度を有することを示した。
【0175】
293β5細胞にレポータープラスミドおよびcas9プラスミドを同時にトランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後、タンパク質を指定濃度(20、40、80または100μg/ml)の抗CRISPRまたは抗CRISPR-cpp28oriを含む培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)に培地を交換し、細胞を37℃で12時間連続して培養した。その後、培地を通常の培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)に交換し、トランスフェクションの48時間後、培地を、ドキソルビシンを含むDMEM培地に交換した。さらに12時間培養した後、293β5細胞のEGFP蛍光を撮影し、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムによって分析した。実験結果を図17Aに示した。結果は、抗CRISPR-cpp28oriタンパク質を培地に添加することにより、細胞内EGFP蛍光強度を部分的に回復することができ、タンパク質濃度の増加に伴い、EGFP蛍光回復率が増加することを示した。対照的に、抗CRISPRタンパク質を培地に添加しても、細胞内EGFP蛍光強度は回復しなかった。この結果は、cpp28oriが抗CRISPRタンパク質を細胞内に送達し、細胞中でCas9の機能を阻害することができることを示している。
【0176】
別の実験では、293β5細胞にレポータープラスミドおよびcas9プラスミドを同時にトランスフェクトした。トランスフェクションの12時間後、示された濃度(100、50または25μg/ml)の抗CRISPRまたは抗CRISPR-cpp28oriまたはctrl-タンパク質-cpp28oriタンパク質を含む培地(DMEM、ギブコ+10%ギブコFBS)に培地を交換し、細胞を37℃で12時間連続して培養した。その後、培地を通常の培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)に交換し、トランスフェクションの48時間後、培地をドキソルビシンを含むDMEM培地に交換し、12時間培養を続けた。この実験では、陰性対照および陽性対照もまた、次のように設定した:陰性対照では、使用した培地は組換えタンパク質を含まず、レポータープラスミド、またはレポータープラスミドおよびcas9プラスミド、またはレポータープラスミドおよび抗CRISPRを発現するプラスミド、またはレポータープラスミドおよび空のプラスミド、またはレポータープラスミド、cas9プラスミドおよび空のプラスミドを細胞にトランスフェクトし、陽性対照群では、使用した培地は組換えタンパク質を含まず、レポータープラスミド、cas9プラスミドおよび抗CRISPRを発現するプラスミドを細胞にトランスフェクトした。
【0177】
インキュベーション後、細胞をDDM溶解物で溶解し、細胞内EGFPタンパク質の含有量をネイティブPAGE(ネイティブゲル電気泳動)およびウェスタンブロットで検出した。ネイティブPAGE分析では、レポータープラスミド上に有するmRuby3蛍光遺伝子を内部参照標準として使用し、ウェスタンブロット分析では、遺伝子チューブリンを内部参照標準として使用した。実験結果を図17B~17Cに示す。
【0178】
ネイティブPAGE分析の結果(図17B)は、抗CRISPR-cpp28oriプラスミドをトランスフェクションに使用したとき、または抗CRISPR-cpp28oriタンパク質を細胞培養培地に添加したときに、細胞において有意なEGFPタンパク質シグナル(緑色蛍光)を検出することができ、抗CRISPR-cpp28oriタンパク質濃度の増加に伴い、EGFPタンパク質シグナル(緑色蛍光)が増強したことを示した。しかしながら、抗CRISPRタンパク質またはctrl-タンパク質-cpp28oriタンパク質を細胞培養培地に添加したとき、EGFPタンパク質シグナルは基本的に検出されないか、または非常に弱いEGFPタンパク質シグナルが検出された。ウェスタンブロット分析の結果(図17C)は、ネイティブPAGE分析の結果と一致した。図17B~17Cの結果は、cpp28oriが抗CRISPRタンパク質を細胞内に送達することができ、その結果、それが細胞中でCas9の機能を阻害することができることを示した。
【0179】
さらに、QIAamp DNA blood Mini Kit(QIAGEN)を使用して、細胞から細胞ゲノムDNAを抽出し、PCR増幅を行い、使用した2つのプライマーは、それぞれEGFP遺伝子配列のsgRNA結合位置の上流および下流の約200bpの位置を標的とした。PCR増幅産物を回収し、第二世代配列決定技術に基づいて配列決定および分析した。実験結果を図17Dに示した。結果は、次のことを示した:(1)元のEGFP遺伝子配列と比較して、Cas9の遺伝子編集機能は標的配列(EGFP遺伝子配列)の変異を誘発することができ、変異率は約15%であった;(2)抗CRISPR-cpp28oriプラスミドの同時トランスフェクションまたは培地への抗CRISPR-cpp28oriタンパク質の添加は、Cas9の機能を阻害し、標的配列の変異率を低下することができた(10%未満)、(3)抗CRISPR-cpp28oriタンパク質の効果は、抗CRISPRタンパク質の効果よりも有意に良好であった(p<0.001)。この結果は、cpp28oriが抗CRISPRタンパク質を細胞内に送達することができ、その結果、それが細胞中でCas9の機能を阻害することができることを示した。
【0180】
実施例7:cpp28oriが抗体を細胞内に送達する効率の評価
この実施例において、本発明者らは、cpp28oriが抗体を細胞内に送達し、抗体機能を発揮することができるかどうかを検証した。
【0181】
フレキシブルなリンカー(配列番号39)を介して、cpp28oriを抗HBeAgキメラ抗体2A7(そのVLおよびVH配列は、それぞれ配列番号47および48に示した)、抗HBcAgキメラ抗体16D5(そのVLおよびVH配列をそれぞれ配列番号49および50に示した)、および抗チロシナーゼ関連タンパク質(TYRP1)キメラ抗体TA99(そのVLおよびVH配列を配列番号51および52に示した)のFcのC末端にライゲートし、それにより、組換えタンパク質2A7-cpp28ori、16D5-cpp28oriおよびTA99-cpp28oriを得られた。それらの中で、抗体TA99は、細胞内TYRP-1抗原を特異的に標的とし、その発現を低下することができ、16D5抗体は、細胞内HBcAg抗原を特異的に標的にして除去し、HBV DNAのレベルを低下させることができ、2A7抗体は、HBeAgを特異的に標的にすることができた(しかし、HBcAgは標的とすることはできなかった)。
【0182】
抗体2A7、16D5およびTA99、並びに組換えタンパク質2A7-cpp28ori、16D5-cpp28oriおよびTA99-cpp28oriを一過性トランスフェクションによりExpiCHO細胞において発現させた。12日後、細胞上清を回収し、細胞によって発現された抗体または組換えタンパク質をプロテインAカラムによって精製した。精製された抗体または組換えタンパク質をSDS-PAGEおよびウェスタンブロット(抗ヒトIgG)によって検出した。実験結果を図18に示した。結果は、精製された抗体または組換えタンパク質が95%より大きい純度を有し、次の細胞実験に使用することができることを示した。
【0183】
HepG2-N10、HepG2-C3A、Hela、MNT-1およびA375細胞の5つの株を96ウェルプレートに接種した。12時間後、培地を除去し、100μg/mlの2A7-cpp28ori、2A7、16D5-cpp28ori、16D5、TA99-cpp28oriまたはTA99を含む培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を添加し、細胞を37℃で6時間連続して培養した。その後、細胞をヘパリンで3回洗浄し、細胞内抗体を免疫蛍光法により検出した。実験結果を図19に示した。結果は、cpp28oriと融合した抗体(2A7-cpp28ori、16D5-cpp28ori、TA99-cpp28ori)を様々な種類の細胞中で検出することができた一方、cpp28oriと融合していない抗体(2A7、16D5、TA99)を細胞中に検出することができなかったことを示した。これにより、cpp28oriが様々な種類の細胞に抗体を効果的に運搬することができたことが示された。
【0184】
cpp28oriによって細胞内に送達された抗体が依然として機能することができるかどうかを検証するために、次の実験も行った。
【0185】
MNT-1細胞を24ウェルプレート中に1ウェルあたり30,000個の細胞密度で接種した。翌日、培地を除去し、2A7-cpp28ori(100μg/ml;対照抗体として使用)、TA99(100μg/mLおよび50μg/mL)、またはTA99-cpp28ori(100μg/mLおよび50μg/mL)を含む培地(DMEMを添加、10%GibcoFBSを含むまたは含まない、Gibco)を添加し、細胞を37℃で6時間連続的にインキュベートした。その後、培地を通常の培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)に交換し、細胞を48時間連続して培養した。次いで、細胞をDDM溶解物で溶解し、溶解物をウェスタンブロット分析に供して、その中のTYRP-1抗原のレベルを検出した。実験結果を図20に示した。結果は、TYRP-1抗原の発現が、TA99-cpp28oriで処理された細胞において有意に減少したことを示した。これにより、cpp28oriがTA99抗体を細胞内に送達することができること、および細胞に侵入したTA99-cpp28oriがその生物学的機能を正常に発揮することができること(すなわち、細胞内TYRP-1抗原を特異的に標的とし、その発現を低下させることができること)が示された。
【0186】
HepG2-N10細胞を24ウェルプレート中に1ウェルあたり30,000個の細胞密度で接種した。翌日、培地を除去し、100μg/mlの2A7-cpp28ori、2A7、16D5-cpp28ori、16D5、TA99-cpp28oriまたはTA99抗体を含む培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を添加し、細胞を37℃で6時間連続して培養した。その後、培地を通常の培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)に交換し、細胞を48時間連続して培養した。次いで、細胞をDDM溶解物で溶解し、溶解物をウェスタンブロット分析に供して、HBcAg、TRIM21および抗体のレベルを検出した。さらに、細胞培養上清を回収し、HBeAg抗原およびHBV DNAのレベルを検出した。実験結果を図21A~21Bに示す。
【0187】
図21Aの結果は、2A7-cpp28ori、16D5-cpp28oriおよびTA99-cpp28oriが細胞溶解物中で検出されたことを示し、これにより、これらのタンパク質が細胞内に送達されたことが示された。さらに、図21Aの結果は、16D5-cpp28oriがHepG2-N10細胞においてHBcAg抗原を有意に除去し、その細胞内レベルを低下させることができることを示した。以前の研究では、TRIM21が細胞内抗体の受容体であり、抗体のFcに結合することによって抗体のユビキチン化および分解を媒介することが示されている。細胞溶解物中のTRIM21タンパク質のレベルを検出することにより、16D5-cpp28oriが細胞内TRIM21を減少させて、細胞に侵入した後にHBcAgクリアランスを達成し得ることが分かった(図21A)。さらに、図21Aの結果はまた、2A7-cpp28oriが基本的に細胞内HBcAgレベルに対して影響を及ぼさなかったが、それでもTRIM21のレベルを有意に低下させたことを示した。
【0188】
図21Bの結果は、細胞上清中のHBeAgレベルが2A7-cpp28oriの作用下で有意に低下し、16D5-cpp28ori処理もHBeAgレベルをある程度阻害したことを示した。さらに、図21Bの結果はまた、16D5-cpp28oriでの処理によって細胞上清中のHBV DNAレベルを抑制することができることを示し、これは、16D5抗体がHBVトランスジェニックマウスにおいてHBV DNAレベルを低下させることができるという以前の発見と一致した。
【0189】
図21A~21Bの結果は、cpp28oriが様々な抗体の細胞内への膜貫通送達が可能であるだけでなく、各抗体の特定の機能を正確に発揮することもできることを示した。例えば、送達された抗体は、特定の抗原(高度に重複する配列を有する2つの抗原であるHBeAgとHBcAgでも)を正確に認識して標的にすることができた。
【0190】
実施例8:cpp28oriがDNAを細胞内に送達する効率の評価
本実施例では、本発明者らは、cpp28oriがDNAに結合し、それを細胞内に送達してその機能を発揮することができるかどうかを検証した。
【0191】
以前の研究(Nat Methods.2015Nov;12(11):1085-90)は、ジンクフィンガータンパク質(以下、ZFと称する)がDNAに効率的に結合することができることを示した。したがって、cpp28oriをフレキシブルなリンカー(配列番号39)を介してZFタンパク質(配列番号53)のC末端にライゲートすることにより、組換えタンパク質ZF-cpp28oriを構築した。
【0192】
実施例2に記載の方法に従って、ZF-cpp28oriを大腸菌中で発現させ、ニッケルカラムアフィニティークロマトグラフィーによって精製した。SDS-PAGE分析は、精製されたZF-cpp28oriタンパク質が90%より大きい純度を有し、次の細胞実験で使用することができることを示した。さらに、pTT5-mRuby3プラスミドのmRuby3遺伝子の下流にジンクフィンガータンパク質の結合配列(配列番号54)を挿入し、プラスミドpTT5-mRuby3-ZFモチーフを得た。
【0193】
293β5細胞を96ウェルプレート中に1ウェルあたり20,000個の細胞密度で接種した。翌日、ZF-cpp28oriタンパク質(60μg/mL)およびプラスミドpTT5-mRuby3-ZFモチーフ(0.8μg)をインビトロで培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)で希釈し、37℃で1時間事前反応させた。次いで、96ウェルプレートの培地を除去し、事前反応混合物を細胞に添加した。6時間後、事前反応混合物を除去し、通常の培地(DMEM、Gibco+10%GibcoFBS)を添加し、培養を48時間続けた。さらに、PEIトランスフェクション試薬を使用して、プラスミドpTT5-mRuby3-ZFモチーフも293β5細胞にトランスフェクトし、これを陽性対照として使用した。次いで、293β5細胞中のmRuby3の蛍光を撮影し、レーザー共焦点ハイコンテントイメージング分析システムによって分析した。実験結果を図22に示した。結果は、ZF-cpp28oriがpTT5-mRuby3-ZFモチーフプラスミドを293β5細胞内に効果的に送達して、赤色蛍光タンパク質mRuby3を発現させることができ、その送達効率は、PEIトランスフェクション試薬の送達効率よりも高かった。
【0194】
本発明の特定の実施形態を詳細に説明したが、当業者は、開示されたすべての教示に照らして詳細に様々な修正および変更を行うことができること、およびこれらの変更がすべて本願明の範囲内であることを理解するであろう。本発明の完全な範囲は、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって与えられる。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18A
図18B
図19
図20
図21A
図21B
図22
【配列表】
2023534054000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-03-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞透過性ペプチドまたはその切断型であって、前記細胞透過性ペプチドは、式Iによって表される構造:
1011PRRRX161718PRRRRX24QX26PRRRRX3233343536373839
式I
を有し、式中、
~Xは、各々独立して、アミノ酸残基R、Kおよびからなる群から選択され、
、アミノ酸残基R、C、G、K、H、N、Q、S、T、Yおよびからなる群から選択され、
、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、Yおよびからなる群から選択され、
、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、Iおよびからなる群から選択され、
、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、Wおよびからなる群から選択され、
、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、Iおよびからなる群から選択され、
、アミノ酸残基G、P、TN、Q、S、C、Y、W、A、V、L、Iおよびからなる群から選択され、
10、アミノ酸残基R、K、およびからなる群から選択され、
11、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、Yおよびからなる群から選択され、
16、アミノ酸残基T、N、Q、G、S、C、Yおよびからなる群から選択され、
17、アミノ酸残基P、A、V、L、Iおよびからなる群から選択され、
18、アミノ酸残基S、NQ、G、T、C、Yおよびからなる群から選択され、
24、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、Yおよびからなる群から選択され、
26、アミノ酸残基S、NQ、G、T、C、およびからなる群から選択され、
32、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、Yおよびからなる群から選択され、
33、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、Rおよびからなる群から選択され、
34、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、Yおよびからなる群から選択され、
35、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、Iおよびからなる群から選択され、
36、アミノ酸残基E、A、V、L、I、Mおよびからなる群から選択され、
37、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Yおよびからなる群から選択され、
38、アミノ酸残基Q、S、N、C、G、T、Yおよびからなる群から選択され、
39、アミノ酸残基C、S、N、Q、G、T、Yおよびからなる群から選択され、
前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~10個のアミノ酸残基が切断され、および/またはC末端で1~14個のアミノ酸残基が切断され、
前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型は、生物学的分子の細胞内への膜貫通送達を行うことができる、
細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項2】
(1)X~X、アミノ酸残基Rである;
(2)Xが、アミノ酸残基R、CよびGからなる群から選択される;
(3)Xが、アミノ酸残基R、NよびGからなる群から選択される;
(4)Xが、アミノ酸残基R、G、PおよびSからなる群から選択される;
(5)Xが、アミノ酸残基R、DよびQからなる群から選択される;
(6)Xが、アミノ酸残基RおよびAからなる群から選択される;
(7)Xが、アミノ酸残基G、PよびTからなる群から選択される;
(8)X10が、アミノ酸残基Rである;
(9)X11が、アミノ酸残基A、QおよびSからなる群から選択される;
(10)X16が、アミノ酸残基Tである;
(11)X17が、アミノ酸残基Pである;
(12)X18、アミノ酸残基SおよびQからなる群から選択される;
(13)X24、アミノ酸残基Sである;
(14)X26、アミノ酸残基S、CおよびQからなる群から選択される;
(15)X32、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
(16)X33、アミノ酸残基QおよびKからなる群から選択される;
(17)X34、アミノ酸残基SおよびCからなる群から選択される;
(18)X35、アミノ酸残基RおよびPからなる群から選択される;
(19)X36、アミノ酸残基EおよびAからなる群から選択される;
(20)X37、アミノ酸残基P、SおよびCからなる群から選択される;
(21)X38、アミノ酸残基QおよびSからなる群から選択される;
(22)X39、アミノ酸残基C、SおよびNからなる群から選択される;および
(23)前記生物学的分子は、目的のペプチドまたは目的の核酸である、
からなる群から選択される1つまたは複数の特徴を有する、請求項1に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項3】
前記細胞透過性ペプチドが、式IIによって表される構造:
RRRXRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX3233343536373839
式II
を有し、式中
は、アミノ酸残基R、C、G、K、H、N、Q、S、T、Y、Wからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、Y、Wからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、I、Mからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、W、Eからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、I、Mからなる群から選択され、
は、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、I、Mからなる群から選択され、
11は、アミノ酸残基A、S、Q、V、L、I、M、N、G、T、C、Y、Wからなる群から選択され、
32は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、Y、Wからなる群から選択され、
33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、R、Hからなる群から選択され、
34は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、Y、Wからなる群から選択され、
35は、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、I、Mからなる群から選択され、
36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、M、Dからなる群から選択され、
37は、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、Y、Wからなる群から選択され、
38は、アミノ酸残基Q、S、N、C、G、T、Y、Wからなる群から選択され、
39は、アミノ酸残基C、S、N、Q、G、T、Y、Wからなる群から選択される、
請求項1に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項4】
(1)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~5個のアミノ酸残基が切断され、および/またはC末端で1~14個のアミノ酸残基が切断される;
(2)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~5個のアミノ酸残基が切断され、および/またはC末端で1~8個のアミノ酸残基が切断される;
(3)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸残基が切断される;
(4)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、C末端で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13または14個のアミノ酸残基が切断される;
(5)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で2、3、5、または10個のアミノ酸残基が切断され、C末端では切断されていないか、または1~8個のアミノ酸残基が切断される;
(6)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で2、3、5または10個のアミノ酸残基が切断され、C末端では切断されていないか、または1、3、6もしくは8個のアミノ酸残基が切断される;
(7)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で2、3または5個のアミノ酸残基が切断され、C末端では切断されていないか、または1~14個のアミノ酸残基が切断される;
(8)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で1~5個のアミノ酸残基が切断され、C末端では切断されていないか、または1、3、6、8もしくは14個のアミノ酸残基が切断される;
(9)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、N末端で2、3または5個のアミノ酸残基が切断され、C末端では切断されていないか、または1、3、6、8もしくは14個のアミノ酸残基が切断される;および
(10)前記細胞透過性ペプチドと比較して、前記切断型は、C末端で14個のアミノ酸残基が切断され、X26が、アミノ酸残基Cである、
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項5】
前記細胞透過性ペプチドが、式IIIによって表される構造:
RRRGXRXRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX32QX34353637SNC
式III
を有し、式中
は、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され
は、アミノ酸残基R、G、P、S、K、H、N、Q、C、T、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され
は、アミノ酸残基R、A、K、H、V、L、IおよびMからなる群から選択され
は、アミノ酸残基G、P、T、N、Q、S、C、Y、W、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され
32およびX34は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され
35は、アミノ酸残基R、P、K、H、A、V、L、IおよびMからなる群から選択され
36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択され
37は、アミノ酸残基P、S、C、A、V、L、I、M、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される、
求項1に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項6】
(1)前記切断型が、式IVによって表される構造:
11PRRRTPX18PRRRRSQX26
式IV
を含み、式中
11 が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
18が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
26が、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択される;
(2)前記切断型が、式Vによって表される構造:
RGRX11PRRRTPX18PRRRRSQX26PRRRRX32
式V
を含み、式中
が、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され
が、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され
11が、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
18およびX26が、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
32が、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される;
(3)前記切断型が、式VIによって表される構造:
RGRX11PRRRTPX18PRRRRSQX26PRRRRSX33SRX3637
式VI
を含み、式中
は、アミノ酸残基R、N、G、K、H、C、Q、S、T、YおよびWからなる群から選択され
は、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され
11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
18およびX26は、各々独立して、アミノ酸残基S、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択され
36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択され
37は、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択される;および
(4)前記切断型が、式VIIによって表される構造:
RXRGRX11PRRRTPSPRRRRSQSPRRRRX323334RX3637QX39
式VII
を含み、式中
は、アミノ酸残基R、D、Q、K、H、N、G、C、S、T、Y、WおよびEからなる群から選択され
11は、アミノ酸残基A、S、V、L、I、M、N、Q、G、T、C、YおよびWからなる群から選択され
32、X34、X37およびX39は、各々独立して、アミノ酸残基S、C、N、Q、G、T、YおよびWからなる群から選択され、
33は、アミノ酸残基Q、K、N、S、C、G、T、Y、W、RおよびHからなる群から選択され、
36は、アミノ酸残基E、A、V、L、I、MおよびDからなる群から選択される
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項1に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項7】
記細胞透過性ペプチドまたはその切断型が、配列番号10~13、15、17~18、20~21、23~29および32~37からなる群から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型。
【請求項8】
請求項1~のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型および目的のペプチドを含む、融合タンパク質。
【請求項9】
(1)前記目的のペプチドが、前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に直接共有結合で連結されているか、または前記目的のペプチドが、ペプチドリンカーを介して前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に共有結合で連結されている;
(2)前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型が、前記目的のペプチドのN末端にまたはC末端に連結されている;
(3)前記目的のペプチドが、抗体である、遺伝子編集に関連するタンパク質である、活性タンパク質もしくは追跡可能なタンパク質である、またはDNA分子に結合可能なタンパク質である;
(4)前記融合タンパク質が、追加のドメインをさらに含む;および
(5)前記融合タンパク質が、タグドメインおよび/または抗体重鎖定常領域をさらに含む、
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項8に記載の融合タンパク質。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一項に記載の前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型と、目的の分子とを含む、コンジュゲー
【請求項11】
(1)前記目的の分子が、目的のタンパク質または目的の核酸である;
(2)前記目的の分子が、前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に直接共有結合で連結されているか、または前記目的の分子がリンカーを介して前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に共有結合で連結されているか、または前記目的の分子が、前記細胞透過性ペプチドもしくはその切断型に非共有結合で連結されている;および
(3)前記目的の分子が、検出可能な標識、細胞傷害剤、抗、遺伝子編集に関連するタンパク質、活性タンパク質もしくは追跡可能なタンパク質、またはDNA分子に結合可能なタンパク質である、
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
請求項8~9のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項10~11のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む、多量体。
【請求項13】
請求項8~9のいずれか一項に記載の融合タンパク質または請求項10~11のいずれか一項に記載のコンジュゲートまたは請求項12に記載の多量体と、前記融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体と非共有結合または複合体形成している成分とを含む、複合
【請求項14】
請求項1~のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドもしくはその切断型または請求項8~9のいずれか一項に記載の融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項15】
請求項14に記載の単離された核酸分子を含む、ベクタ
【請求項16】
請求項14に記載の単離された核酸分子または請求項15に記載のベクターを含む、宿主細胞。
【請求項17】
請求項8~9のいずれか一項に記載の融合タンパク質、または請求項10~11のいずれか一項に記載のコンジュゲート、または請求項12に記載の多量体、または請求項13に記載の複合体と、薬学的に許容される担体または賦形剤と、を含む医薬組成物であって、前記融合タンパク質またはコンジュゲートまたは多量体または複合体が、前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結された治療的活性ポリペプチドを含、医薬組成物。
【請求項18】
目的の分子を細胞内に膜貫通送達するための方法であって、請求項1~のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型を前記目的の分子に連結させ、次いで前記目的の分子を前記細胞と接触させることを含む、方法
【請求項19】
(a)前記方法が、(1)前記目的の分子を前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に結合させてコンジュゲートを得ること、および(2)前記コンジュゲートを前記細胞と接触させ、それにより、前記目的の分子を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含む;
(b)前記目的の分子が、的のペプチドであり、前記方法が、(1)前記目的の分子を細胞透過性ペプチドまたはその切断型と連結させて融合タンパク質を得ること、および(2)前記融合タンパク質を前記細胞と接触させ、それにより、前記目的の分子を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含む;
(c)前記目的の分子が、目的の核酸であり、前記方法が、(1)前記目的の核酸に結合可能なタンパク質を前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結させること、(2)ステップ(1)の生成物を前記目的の核酸と接触させて複合体を得ること、および(3)前記複合体を細胞と接触させ、それにより、前記目的の核酸を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含む;および
(d)前記目的の分子が、目的の核酸であり、前記方法が、(1)前記目的の核酸に、DNA結合タンパク質によって認識および結合され得るヌクレオチド配列を付加すること、(2)前記DNA結合タンパク質を前記細胞透過性ペプチドまたはその切断型に連結させること、(3)ステップ(1)の生成物をステップ(2)の生成物と接触させて複合体を得ること、および(4)前記複合体を前記細胞と接触させ、それにより、前記目的の核酸を膜貫通送達によって前記細胞内に送達することを含む、
のうちの1つ以上によって特徴付けられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
目的の分子の細胞内への膜貫通送達のための、請求項1~のいずれか一項に記載の細胞透過性ペプチドまたはその切断型の使用。
【国際調査報告】