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特表2023-534071光センサモジュールを備えた電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】光センサモジュールを備えた電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06V 40/13 20220101AFI20230731BHJP
【FI】
G06V40/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504224
(86)(22)【出願日】2020-07-23
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2020103761
(87)【国際公開番号】W WO2022016445
(87)【国際公開日】2022-01-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジンフェイ
(72)【発明者】
【氏名】シエ,フイジエ
(72)【発明者】
【氏名】ロン,ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】フー,ツェ
(57)【要約】
電子デバイス(200)は、液晶ディスプレイ(LCD)パネル(204)、カバー層(218)、1つ以上の光源(224)、及び光センサモジュール(226)を含む。LCDパネル(204)は、ユーザの指紋に関連する接触入力を受ける。カバー層(218)は、第1の主表面(228)と、第1の主表面(228)とは反対側の第2の主表面(230)とを含み、LCDパネル(204)上に配置される。カバー層(218)は、第1の主表面(228)に垂直な第1の軸(AA’)を画定している。光センサモジュール(226)は、所定の指紋感知領域(222)から光を受光して指紋を検出する。光センサモジュール(226)は、第1の主表面(228)の平面に沿って所定の指紋感知領域(222)と少なくとも部分的に重なっている。光センサモジュール(226)は、光センサモジュール(226)の表面に垂直な第2の軸(BB’)を画定している。第2の軸(BB’)は、カバー層(218)の第1の軸(AA’)に対してある傾斜角で傾斜している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指紋に関連する接触入力を受けるための液晶ディスプレイ(LCD)パネルと、
カバー層であって、平面を画定している第1の主表面と、前記第1の主表面とは反対側の、前記LCDパネル上に配置された第2の主表面と、を備え、前記第1の主表面が、ユーザによってタッチされるための所定の指紋感知領域を含み、前記カバー層が、前記第1の主表面に垂直な第1の軸を画定している、カバー層と、
前記LCDパネルを通過して前記所定の指紋感知領域を照明する照明光を生成するように構成された1つ以上の光源と、
前記所定の指紋感知領域から光を受光して指紋を検出するための光センサモジュールであって、前記第1の主表面の前記平面に沿って前記所定の指紋感知領域と少なくとも部分的に重なっており、かつ、前記光センサモジュールの表面に垂直な第2の軸を画定しており、前記第2の軸が、前記カバー層の前記第1の軸に対してある傾斜角で傾斜している、光センサモジュールと、
を備える、電子デバイス。
【請求項2】
前記傾斜角が、約25度~約35度である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記傾斜角が、約30度である、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の光源が、約700nm~約1000nmの光学波長を有する赤外光を放出するように構成される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記1つ以上の光源が、発光ダイオード又はレーザダイオードを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記LCDパネルと前記光センサモジュールとの間に配置された拡散層を更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記LCDパネルと前記光センサモジュールとの間に配置されたフレームを更に備える電子デバイスであって、前記フレームが、前記光センサモジュールと位置合わせされた、前記フレームを貫通する第1の開口部を画定しており、前記光センサモジュールによって受光される前記光が、前記第1の開口部を通過するようになっている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記フレームが、前記1つ以上の光源と位置合わせされた、前記フレームを貫通する1つ以上の第2の開口部を更に画定しており、前記1つ以上の光源からの前記照明光が、前記1つ以上の第2の開口部を通過するようになっている、請求項7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記LCDパネルと前記光センサモジュールとの間に配置されたプリズム層を更に備える電子デバイスであって、前記光センサモジュールによって受光される前記光が、前記プリズム層を通過するようになっている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記プリズム層が、平坦面と、構造化表面であって、第1の方向に沿って延びており、かつ、直交する第2の方向に沿って配置されている複数のプリズムを含む、構造化表面と、を更に備え、前記光センサモジュールが、前記平坦面に沿った前記第1の方向に対して実質的に垂直に向けられている、請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記プリズム層が、
第1のプリズムフィルムであって、第1の平坦面と、第1の構造化表面であって、第1の方向に沿って延びており、かつ、直交する第2の方向に沿って配置されている複数の第1のプリズムを含む、第1の構造化表面と、を含む、第1のプリズムフィルムと、
前記第1のプリズムフィルムに隣接して配置された第2のプリズムフィルムであって、前記第1の平坦面に実質的に平行な第2の平坦面と、第2の構造化表面であって、前記第2の方向に沿って延びており、かつ、前記第1の方向に沿って配置されている複数の第2のプリズムを含む、第2の構造化表面と、を含む、第2のプリズムフィルムと、を更に備え、
前記光センサモジュールが、前記第1の平坦面に沿って測定された平面角だけ前記第1の方向に対して傾斜しており、前記平面角が、約40度~約50度である、
請求項9に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記平面角が、約45度である、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記光センサモジュールが、フォトダイオードアレイ及び赤外光カメラを含む、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項14】
前記LCDパネルと前記光センサモジュールとの間に配置された光ガイドを更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記LCDパネルと前記光センサモジュールとの間に配置された光反射フィルム層を更に備える、請求項1に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ユーザの指紋を検出するための光センサモジュールを有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ラップトップ、タブレット、スマートフォン、及びウェアラブルデバイスなどのポータブルコンピューティングデバイス又はモバイルコンピューティングデバイスを含む電子デバイスは、様々なタイプの個人情報及び秘密情報を記憶したり、それらにアクセスしたりする。電子デバイスは、通常、電子デバイスへの不正アクセスを制限するための様々なセキュリティ機能を含み、それによってこうした情報のセキュリティを維持する。
【0003】
指紋感知は、電子デバイスに安全にアクセスするための生体認証システムの1つである。場合によっては、電子デバイスには、ユーザの指紋をキャプチャし、キャプチャされた指紋が、許可されたユーザの指紋と一致した場合に電子デバイスをロック解除するための別個の指紋センサを備える。いくつかの他の場合には、電子デバイスは、電子デバイスのディスプレイパネル上に置かれた指から指紋情報をキャプチャすることを伴うオンディスプレイ指紋感知を含んでもよい。オンディスプレイ指紋感知は、一般に、ディスプレイパネルの表示面上に置かれた指から反射された光を検出するための光センサを含む。
【発明の概要】
【0004】
概して、本開示は、ユーザの指紋を検出するための光センサモジュールを有する電子デバイスに関する。本開示はまた、より正確で確実な指紋感知能力を有する電子デバイスにも関し得る。
【0005】
本開示の一実施形態では、電子デバイスは、ユーザの指紋に関連する接触入力を受けるための液晶ディスプレイ(LCD)パネルを含む。電子デバイスは、平面を画定している第1の主表面と、第1の主表面とは反対側の、LCDパネル上に配置された第2の主表面と、を含むカバー層を更に含む。第1の主表面は、ユーザによってタッチされるための所定の指紋感知領域を含む。カバー層は、第1の主表面に垂直な第1の軸を画定している。電子デバイスは、LCDパネルを通過して所定の指紋感知領域を照明する照明光を生成するように構成された1つ以上の光源を更に含む。電子デバイスは、所定の指紋感知領域から光を受光して指紋を検出するための光センサモジュールを更に含む。光センサモジュールは、第1の主表面の平面に沿って所定の指紋感知領域と少なくとも部分的に重なっている。光センサモジュールは、光センサモジュールの表面に垂直な第2の軸を画定している。第2の軸は、カバー層の第1の軸に対してある傾斜角で傾斜している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下の図と共に以下の詳細な説明を検討することで、本開示はより完全に理解され得る。図は、必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。図面で使用されている同様の番号は同様の構成要素を示す。しかし、所与の図内における構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0007】
図1】電子デバイスの例示的な実装形態を概略的に示す図である。
図2】電子デバイスの光センサモジュールの例示的な位置を概略的に示す図である。
図3】電子デバイスの光センサモジュールの別の例示的な位置を概略的に示す図である。
図4】単一のプリズムフィルムを有する光センサモジュールの例示的な位置を概略的に示す図である。
図5】2つのプリズムフィルムを有する光センサモジュールの例示的な位置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、説明の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付の図面が参照される。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0009】
オンディスプレイ指紋感知は、通常、ディスプレイパネルの表示面上に置かれた指から反射された光を検出するための光センサを含む。しかしながら、反射光は、ディスプレイパネルの1つ以上の層によって方向転換されることがあり、結果として光センサによる指紋の部分的な又は不正確な検出をもたらす。本開示のいくつかの実施形態によれば、従来のデバイスよりも正確で確実な指紋感知能力を有する電子デバイスが提供される。
【0010】
本開示は、ユーザの指紋を検出するための光センサモジュールを有する電子デバイスに関する。電子デバイスは、液晶ディスプレイ(LCD)パネルと、LCDパネル上に配置されたカバー層とを含む。光センサモジュールは、指紋情報をキャプチャするために1つ以上の配置構成に従って配置される。一構成では、光センサモジュールは、カバー層の第1の軸に対してある傾斜角で配置され得る。光センサモジュールは、適切な配置構成において、指紋情報をより正確かつ確実にキャプチャすることが可能であり得る。
【0011】
図1は、電子デバイス100の例示的な実装形態を示す。電子デバイス100は、相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸を画定している。X軸及びY軸は、電子デバイス100の面内軸であり、一方で、Z軸は、電子デバイス100の厚さに沿って配置された横軸である。言い換えれば、X軸及びY軸は、電子デバイス100の平面に沿って配置されており、一方で、Z軸は、電子デバイス100の平面と垂直である。
【0012】
電子デバイス100は、テキスト及びグラフィックスなどのコンテンツを表示するように構成されたディスプレイスクリーン102を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイスクリーン102は、部分的に又は全体的に、電子デバイス100を操作するためのタッチ感知ユーザインターフェースを提供するタッチ感知スクリーンであってもよい。したがって、ディスプレイスクリーン102は、ユーザからタッチ入力を受けてもよい。ディスプレイスクリーン102は、LCDスクリーン、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイスクリーン、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイスクリーン、又はエレクトロルミネセントディスプレイスクリーンによって実装され得る。
【0013】
電子デバイス100は、ユーザのバイオメトリクスを画像化することによってユーザに安全なアクセスを提供するための光感知能力を有してもよい。一実施形態では、電子デバイス100は、ユーザの指紋をキャプチャするための赤外線(IR)カメラを有してもよい。このようなアクセス機構は、電子デバイス100上にローカルに記憶された情報、又は電子デバイス100によってアクセス可能な情報を保護する。このような電子デバイス100の例としては、携帯電話、タブレットコンピュータ、手首装着型デバイス、ゲーミングデバイス、デジタルブロードキャスト端末、メッセージングデバイス、携帯情報端末、他のウェアラブル又はポータブルデバイス、デスクトップコンピュータ、キオスクなどが挙げられる。
【0014】
図1に示すように、電子デバイス100は、ユーザの指紋をキャプチャするための指紋感知領域104をディスプレイスクリーン102上に含む。指紋感知領域104は、ユーザの指220でタッチすることができる。指紋感知領域104を除くディスプレイスクリーン102の残りの部分は、タッチ感知式であってもなくてもよい。指紋感知領域104は、ユーザが指紋感知のために指220を置くために、視覚的に識別可能な領域として照明されてもよい。指紋感知領域104は、指紋感知領域104として使用されないときには、ディスプレイスクリーン102の残りの部分と同じように機能してもよい。一実施形態では、指紋感知領域104は、所定の形状及びサイズを有してもよい。図1の例示的な実装形態を参照すると、指紋感知領域104は、長方形の形状である。一実施形態では、電子デバイス100は、ディスプレイスクリーン102上に複数の指紋感知領域104を含む。更に、いくつかの実施形態では、指紋感知領域104は、ディスプレイスクリーン102全体に及ぶように設計されてもよい。
【0015】
ユーザの指220がディスプレイスクリーン102の上面にタッチすると、指220は、上面で光と相互作用し、反射光又は散乱光に指220の空間画像情報を運ばせることができる。次いで、反射光は、ユーザの指紋画像をキャプチャするために電子デバイス100内に配置された光センサモジュールによって受光される。指紋画像は、ユーザの識別及び認証のために、登録された指紋画像のデータベースと比較されてもよい。
【0016】
図2は、電子デバイス200の例示的な実装形態の概略図を示す。いくつかの実施形態では、電子デバイス200は、携帯電話である。電子デバイス200は、1つ以上の層を有するLCDモジュール202を含む。LCDモジュール202は、ユーザの指紋に関連する接触入力を受けるためのLCDパネル204を含む。LCDパネル204は、画像、グラフィックス、テキストなどがユーザに見えるように、コントローラ(図示せず)により選択的に作動される液晶の層を含む。LCDパネル204は、電子デバイス200の操作のためにユーザからの接触入力を受けるように構成されたタッチ感知ディスプレイパネルであってもよい。
【0017】
LCDパネル204は、バックライト光源206によって生成された光によって照明される。いくつかの実施形態では、電子デバイス200は、複数のバックライト光源206を含む。バックライト光源206のいくつかの例としては、蛍光ランプ、1つ以上の発光ダイオード(LED)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。バックライト光源206は、(例えば、図2に示すような)エッジライト型バックライト構成で配置されてもよいし、直下型バックライト構成で配置されてもよい。
【0018】
一実施形態では、LCDモジュール202は、バックライト光源206によって生成された光を案内するための光ガイド208を含む。図2に示すように、光ガイド208は、LCDパネル204の下方に配置されている。光ガイド208は、透明で中実の比較的薄いプレートであってもよく、その長さ及び幅寸法は、バックライト光源206から出力される光の適用範囲に基づいて設計される。光ガイド208は、内部全反射を使用して、光ガイド208の全長又は全幅にわたってバックライト光源206からの光を搬送又は案内する。光ガイド208は、アクリレート、シリコーン、又はウレタン材料などの重合性材料から形成されてもよい。
【0019】
一実施形態では、LCDモジュール202は、未使用の光を反射してLCDモジュール202の様々な層に戻すために、光ガイド208の下に光反射フィルム層210を含む。したがって、光反射フィルム層210は、バックライト光源206によって生成された光を再利用する。これにより、光の利用効率が改善し、輝度が向上し得る。
【0020】
一実施形態において、LCDモジュール202は、LCDパネル204への光の実質的に均一な分布のためにLCDパネル204と光ガイド208との間に配置された拡散層212を含む。具体的には、拡散層212は、LCDパネル204内の液晶を照明するために、光ガイド208から受光した光を空間的に拡散することができる。拡散層212は、いずれかの好適な拡散材料から作製された拡散フィルム又はプレートを含んでもよい。いくつかの実施形態では、拡散層212は、ガラス、ポリスチレンビーズ、及びCaCO3粒子を含む、様々な分散相を有するポリメチルメタクリレート(PMMA)の高分子マトリックスを含んでもよい。拡散層212の例としては、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な3M(商標)Scotchcal(商標)Diffuser Film、タイプ3635-30、3635-70、3635-100、3735-50、及び3735-60を挙げることができる。
【0021】
図2を参照すると、LCDモジュール202は、LCDパネル204の下方に配置されたプリズム層214を含む。具体的には、プリズム層214は、拡散層212とLCDパネル204との間に配置されている。プリズム層214は、平坦面と、複数のプリズムを含む構造化表面とを有し得る。プリズムは、プリズム層214の構造化表面上に傾斜した稜線を形成している。拡散層212から受光した光の入射角に応じて、光は、プリズム層214を通過してLCDパネル204に達するか、反射されて拡散層212に戻るか、のいずれかであり得る。反射光は、光ガイド208を更に通過して、光反射フィルム層210に到達し得、そこで再利用される。電子デバイス200はまた、カラーフィルタ層及び偏光子層などの他の層を含んでもよい。図2を参照すると、LCDモジュール202は、LCDモジュール202の様々な層のためのハウジングとしての役割を果たすフレーム216を有する。フレーム216は、電子デバイス200が指紋感知能力を有することを可能にするのに適した構造を有し得る。例えば、フレーム216は、複数の開口部を含んでもよい。
【0022】
電子デバイス200は、カバー層218を更に含む。カバー層218は、平面を画定している第1の主表面228と、第1の主表面228とは反対側の第2の主表面230とを含む。平面は、X-Y平面内に画定され得る。更に、カバー層218が、LCDパネル204上に配置されている。具体的には、カバー層218の第2の主表面230が、LCDパネル204上に配置されている。第1の主表面228は、ユーザによってタッチされるための所定の指紋感知領域222を含む。指紋感知領域222は、図1に示す指紋感知領域104と同様であってもよい。カバー層218は、第1の主表面228に垂直な第1の軸AA’を画定している。図示の実施形態では、第1の軸AA’は、所定の指紋感知領域222の中心C’を通っている。カバー層218は、電子デバイス200内の様々な構成要素に対する保護を提供することができる。カバー層218は、実質的に又は完全に透明であってもよく、ガラス、プラスチック、もしくはそれらの複合材料、又は他のいずれかの好適な材料(例えば、結晶化した酸化アルミニウム)から構成されてもよい。
【0023】
電子デバイス200は、LCDパネル204を通過して所定の指紋感知領域222を照明する照明光を生成するための1つ以上の光源224を更に含む。そのような光源224の光波長は、光感知要件を満たすように選択することができる。一実施形態では、1つ以上の光源224は、約700nm~約1000nmの光学波長を有する赤外光を放射するように構成される。光源224は、光ビーム又は光ビームの一部が所望の角度で指紋感知領域222上に投射され得るように、好適な位置に設けられ得る。光源224からの照明光が、カバー層218上の所定の指紋感知領域222内に置かれた指220と相互作用して、指紋パターン又は情報を運ぶ反射光を生成する。一実施形態では、光源224は、発光ダイオード又はレーザダイオードを含む。光源224からの照明光は、光感知検出を改善するために変調されてもよい。
【0024】
電子デバイス200は、LCDパネル204を通過する光を受光して指紋を検出するように構成された光センサモジュール226を更に含む。具体的には、光センサモジュール226は、所定の指紋感知領域222から光を受光して指紋を検出する。更に、光センサモジュール226は、光センサモジュール226の表面227に垂直な第2の軸BB’を画定している。図示の実施形態では、第2の軸BB’は、光センサモジュール226の表面227の中心Cを通っている。中心Cを画定している光センサモジュール226の表面227は、光センサモジュール226の入力面であってもよい。表面227は、所定の指紋感知領域222から光を受光することができる。
【0025】
図2を参照すると、拡散層212が、LCDパネル204と光センサモジュール226との間に配置されている。更に、プリズム層214が、LCDパネル204と光センサモジュール226との間に配置され、光センサモジュール226によって受光される光は、プリズム層214を通過するようになっている。
【0026】
指220がカバー層218の第1の主表面228にある指紋感知領域222にタッチすると、光源224からの光の一部が指220によって反射され、反射光が指紋情報を運ぶ。一実施形態では、光センサモジュール226は、フォトダイオードアレイを含む。フォトダイオードアレイは、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサ、電荷結合素子(CCD)センサアレイ、又は光に反応する適切な光センサアレイであってもよい。いくつかの実施形態では、光センサモジュール226は、赤外光をキャプチャするように構成された赤外光カメラを含む。
【0027】
光センサモジュール226は、指220から反射された光を最適に受光するために、1つ以上の配置構成で配置されてもよい。反射光は、光センサモジュール226に到達する前に、電子デバイス200の1つ以上の層によって方向転換されてもよい。例えば、プリズム層214が、反射光を方向転換してもよい。したがって、光センサモジュール226は、反射光を適切にキャプチャするように配置され得る。
【0028】
図2に示すように、光センサモジュール226は、第1の主表面228の平面に沿って所定の指紋感知領域222と少なくとも部分的に重なっている。言い換えれば、光センサモジュール226は、X-Y平面に沿って所定の指紋感知領域222と少なくとも部分的に重なっている。図2は、光センサモジュール226の、第1の主表面228の平面上への投射PRを示す。言い換えれば、投射PRは、光センサモジュール226のX-Y平面内の投射である。投射PRは、X軸に沿って長さL1を有する。所定の指紋感知領域222は、X軸に沿って長さL2を有する。説明のために、所定の指紋感知領域222の投射222’が、X軸に沿って長さL2を有するものとして示されている。投射222’は、第1の主表面228の平面、すなわちX-Y平面に沿っている。投射222’は、所定の指紋感知領域222と同一の寸法を有するが、これは、両者がX-Y平面に位置するためである。オーバーラップOLが、光センサモジュール226の投射PRと所定の指紋感知領域222の投射222’との間に示されている。オーバーラップOLは、光センサモジュール226と第1の主表面228の平面に沿った所定の指紋感知領域222との間の重なりに対応する。いくつかの実施形態では、オーバーラップOLは、光センサモジュール226の投射PRの長さL1の少なくとも10%である。いくつかの他の実施形態では、オーバーラップOLは、投射PRの長さL1の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。図示の実施形態では、オーバーラップOLは、投射PRの長さL1に実質的に等しく、すなわち、光センサモジュール226と第1の主表面228の平面に沿った所定の指紋感知領域222との間には100%の重なりがある。しかしながら、オーバーラップOLは、所望のアプリケーション属性に従って変化してもよい。
【0029】
更に、第2の軸BB’は、カバー層218の第1の軸AA’に対して傾斜角θで傾斜している。いくつかの実施形態では、傾斜角は、約25度~約35度である。いくつかの実施形態では、傾斜角は、約30度である。
【0030】
フレーム216が、LCDパネル204と光センサモジュール226との間に配置されている。フレーム216は、光センサモジュール226と位置合わせされた、フレームを貫通する第1の開口部232を画定しており、光センサモジュール226によって受光される光が、第1の開口部232を通過するようになっている。更に、図2の図示の実施形態では、フレーム216は、1つ以上の光源224と位置合わせされた、フレームを貫通する1つ以上の第2の開口部234を画定しており、1つ以上の光源224からの照明光が、1つ以上の第2の開口部234を通過するようになっている。
【0031】
この構成では、光センサモジュール226は、より多くの指紋情報をキャプチャすることができ、その結果、光センサモジュール226の信頼性及び性能が改善する。光センサモジュール226は、より多くの指紋情報を有するより良好な画像をキャプチャすることができる。光センサモジュール226は、より高速でより正確な指紋感知など、向上した光感知能力を提供することができ、それによって電子デバイス200の全体的なユーザエクスペリエンスを改善する。
【0032】
図2に示すように、光反射フィルム層210は、LCDパネル204と光センサモジュール226との間に配置されている。更に、光ガイド208が、LCDパネル204と光センサモジュール226との間に配置されている。光反射フィルム層210の存在は、光の大部分が光センサモジュール226に到達することを妨げることがあり、したがって、光学指紋感知に悪影響を及ぼし得る。光反射フィルム層210は、光センサモジュール226の位置において所望の光透過を可能にしながら、ほとんどの位置においては光ガイド208の下で所望の光反射を維持するように変更されてもよい。例えば、光反射フィルム層210は、第1の波長範囲の光を反射し、第2の波長範囲の光を透過してもよい。バックライト光源206によって放射される光が、第1の波長範囲内にあってもよく、1つ以上の光源224によって放射される光が、第2の波長範囲内にあってもよい。
【0033】
図3は、電子デバイス200の光センサモジュール226の別の例示的な位置を示す。図2と共通の構成要素は、同様の参照番号で示す。光センサモジュール226は、所定の指紋感知領域222からの光をキャプチャして指紋を検出するように構成されている。電子デバイス200は、プリズム層214を含む。図示の実施形態では、プリズム層214は、単一のプリズムフィルムを含む。いくつかの他の実施形態では、プリズム層214は、複数のプリズムフィルムを含む。図3に示すように、プリズム層214は、平坦面214Aと、構造化表面214Bとを含む。構造化表面214Bは、第1の方向に沿って延びており、かつ、直交する第2の方向に沿って配置されている複数のプリズム215を含む。第1の方向はY軸に沿って画定されており、第2の方向はX軸に沿って画定されている。
【0034】
電子デバイス200はまた、図2に関して上記で説明したような様々な他の層も含み得るが、これらの層のうちのいくつかは、説明を明確にするために図3に示されていない。
【0035】
図3を参照すると、光線302、306が、指紋感知領域222の1つの点から受光されている。光線302、306は、プリズム層214により屈折する。光線302、306は、最終的に光センサモジュール226によってキャプチャされる。同様に、光線304、308が、指紋感知領域222の別の点から受光される。光線304、308は、光センサモジュール226によってキャプチャされる前にプリズム層214によって方向転換される。光線306、304が重なり合う領域内に、指紋の指紋情報が実質的に少ない画像が形成され得る。従来、実質的に少ない指紋情報を有する画像が、光センサモジュールによってキャプチャされることがある。光センサモジュール226が実質的に少ない指紋情報を有する画像をキャプチャすることを回避するために、光センサモジュール226の第2の軸BB’は、カバー層218の第1の主表面228の第1の軸AA’に対して傾斜角θで傾斜している。いくつかの実施形態では、傾斜角θは、約25度~約35度である。したがって、光センサモジュール226を傾斜角θで傾斜させることによって、光センサモジュール226は、より多くの指紋情報を有するより良好な画像をキャプチャすることができる。これにより、光センサモジュール226の信頼性及び性能が改善し得る。
【0036】
光線306、308をキャプチャするために必要な傾斜角θは、光線302、304をキャプチャするために必要な傾斜角θと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0037】
更に、オーバーラップOL’もまた、光センサモジュール226と第1の主表面228の平面に沿った所定の指紋感知領域222との間に設けられる。オーバーラップOL’は、光センサモジュール226の、第1の主表面228の平面(すなわち、X-Y平面)上への投射PRと、所定の指紋感知領域222のX-Y平面上への投射222’との間に示されている。図3の図示の実施形態では、オーバーラップOL’は、投射PRの長さL1の50%未満である。しかしながら、オーバーラップOL’は、光センサモジュール226によってキャプチャされる画像を改善するように様々に変更されてもよい。
【0038】
図4は、プリズム層214に対する光センサモジュール226の例示的な位置を示す、電子デバイス200の部分概略図を示す。光センサモジュール226は、説明のためにプリズム層214の上方に示されている。図4の図示の実施形態では、プリズム層214は、単一のプリズムフィルムを含む。更に、第1の軸AA’及び第2の軸BB’が示されている。図2を参照して説明した様々な他の層は、説明を明確にするために図4には示されていない。
【0039】
図4を参照すると、プリズム層214は、単一のプリズムフィルムを含む。上述したように、プリズム層214は、平坦面214A及び構造化表面214Bを含む。平坦面214Aは、実質的にX-Y平面に沿って配置されている。構造化表面214Bは、第1の方向(すなわち、Y軸)に沿って延びており、かつ、第2の方向(すなわち、X軸)に沿って配置されている複数のプリズム215を含む。光センサモジュール226は、平坦面214Aに沿って第1の方向に対して実質的に垂直に向けられている。言い換えれば、光センサモジュール226は、Y軸に対して実質的に垂直に配置されている(例えば、光センサモジュール226は、光センサモジュール226の第2の軸BB’のX-Y平面上への投射がY軸に対して実質的に垂直になるように配置することができる)。更に、光センサモジュール226の第2の軸BB’は、カバー層218の第1の主表面228の第1の軸AA’に対して傾斜角θで傾斜している(図2に示す)。傾斜角θは、実質的にX-Z平面に沿って測定される。いくつかの実施形態では、傾斜角θは、約25度~約35度である。図示の実施形態では、傾斜角θは、約30度である。
【0040】
上述したように、この構成は、光センサモジュール226がより多くの指紋情報を有するより良好な画像をキャプチャし得ることを可能にし得る。
【0041】
図5は、プリズム層214に対する光センサモジュール226の例示的な位置を示す、電子デバイス200の部分概略図を示す。光センサモジュール226は、説明のためにプリズム層214の上方に示されている。更に、第1の軸AA’及び第2の軸BB’が示されている。図2を参照して説明した様々な他の層は、説明を明確にするために図5には示されていない。
【0042】
図5の図示の実施形態では、プリズム層214は、2つのプリズムフィルムを含む。具体的には、プリズム層214は、第1のプリズムフィルム510及び第2のプリズムフィルム520を含む。いくつかの実施形態では、第1のプリズムフィルム510及び第2のプリズムフィルム520は、交差構成であってもよく、これは、LCDパネル204(図2に示す)の輝度を更に増加させ、それによって電子デバイス200のユーザエクスペリエンスを改善することができる。第1のプリズムフィルム510及び第2のプリズムフィルム520の交差構成は、上述したものとは異なる構成の光センサモジュール226を必要とし得る。いくつかの他の実施形態では、プリズム層214は、3つ以上のプリズムフィルムを含んでもよく、これは、異なる構成の光センサモジュール226を必要とし得る。
【0043】
上述したように、第1のプリズムフィルム510及び第2のプリズムフィルム520は交差構成にあり、すなわち、第2のプリズムフィルム520は、第1のプリズムフィルム510に対してZ軸を中心に90度回転されていてもよい。第1のプリズムフィルム510は、第1の平坦面510Aと、第1の構造化表面510Bとを含む。第1の平坦面510Aは、実質的にX-Y平面に沿って位置している。第1の構造化表面510Bは、第1の方向(すなわち、Y軸)に沿って延びており、かつ、第2の方向(すなわち、X軸)に沿って配置されている複数の第1のプリズム512を含む。
【0044】
第2のプリズムフィルム520は、第1のプリズムフィルム510に隣接して配置されている。第2のプリズムフィルム520は、第1の平坦面510Aに実質的に平行な第2の平坦面520Aと、第2の構造化表面520Bとを含む。第2の構造化表面520Bは、第2の方向に沿って延びており、かつ、第1の方向に沿って配置されている複数の第2のプリズム522を含む。
【0045】
上述したように、光センサモジュール226は、傾斜角θで傾斜している。具体的には、光センサモジュール226の第2の軸BB’は、カバー層218の第1の主表面228の第1の軸AA’に対して傾斜角θで傾斜している(図2に示す)。いくつかの実施形態では、傾斜角θは、約25度~約35度である。図示の実施形態では、傾斜角θは、約30度である。更に、光センサモジュール226は、第1の平坦面510Aに沿って測定された平面角αだけ第1の方向に対して傾斜している。言い換えれば、光センサモジュール226は、X-Y平面に沿って測定された平面角αだけY軸に対して傾斜している(例えば、平面角αは、Y軸と、光センサモジュール226の第2の軸BB’のX-Y平面上への投射との間の角度として説明され得る)。平面角αは、約40度~約50度である。図示の実施形態では、平面角αは、約45度である。
【0046】
図5に示される構成では、光センサモジュール226は、第1のプリズムフィルム510及び第2のプリズムフィルム520を有するプリズム層214と共に使用されると、より多くの指紋情報をキャプチャすることができ、その結果、光センサモジュール226の信頼性及び性能が改善する。光センサモジュール226は、より高速でより正確な指紋感知など、向上した光感知能力を提供することができ、それによって電子デバイス200の全体的なユーザエクスペリエンスを改善する。
【0047】
光センサモジュールの構成は、様々な実施形態において上述したように、電子デバイス、特に、スマートフォン、タブレット、及び様々なオンディスプレイタッチセンシング操作及び機能を提供するためのLCDディスプレイスクリーンを有する他の電子デバイスに、改善された指紋感知を提供し、そのような電子デバイスにおけるユーザエクスペリエンスを向上させるように実装されることができる。
【0048】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される特徴サイズ、量及び物理的特性を表す全ての数は、用語「約」によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、特に反対の指示がない限り、上記明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本明細書で開示される教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に応じて変動し得る近似値である。
【0049】
特定の実施形態が本明細書において図示及び説明されているが、図示及び記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様及び/又は等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書で論じられた特定の実施形態のいずれの適応例又は変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】