(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】銀強化カンナビノイド抗生物質
(51)【国際特許分類】
A61K 31/12 20060101AFI20230731BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20230731BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230731BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20230731BHJP
A61K 31/60 20060101ALI20230731BHJP
A61K 33/38 20060101ALI20230731BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20230731BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20230731BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20230731BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20230731BHJP
A61K 47/58 20170101ALI20230731BHJP
A61L 15/18 20060101ALI20230731BHJP
A61L 15/20 20060101ALI20230731BHJP
A61L 15/22 20060101ALI20230731BHJP
A61L 15/24 20060101ALI20230731BHJP
A61L 27/14 20060101ALI20230731BHJP
A61L 27/10 20060101ALI20230731BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20230731BHJP
A61L 27/52 20060101ALI20230731BHJP
A61L 27/54 20060101ALI20230731BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20230731BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20230731BHJP
A61L 29/08 20060101ALI20230731BHJP
A61L 29/14 20060101ALI20230731BHJP
A61L 29/16 20060101ALI20230731BHJP
A61L 29/02 20060101ALI20230731BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A61K31/12
A61P31/04
A61P43/00 121
A61K31/05
A61K31/60
A61K33/38
A61K31/352
A61K31/505
A61K9/70
A61K9/06
A61K47/58
A61L15/18 100
A61L15/20 100
A61L15/22 100
A61L15/24 100
A61L27/14
A61L27/10
A61L27/16
A61L27/52
A61L27/54
A61L27/50
A61L29/04
A61L29/08 100
A61L29/14 300
A61L29/16
A61L29/02
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504366
(86)(22)【出願日】2021-07-20
(85)【翻訳文提出日】2023-03-17
(86)【国際出願番号】 CA2021051005
(87)【国際公開番号】W WO2022016269
(87)【国際公開日】2022-01-27
(32)【優先日】2020-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300066874
【氏名又は名称】ザ・ユニバーシティ・オブ・ブリティッシュ・コロンビア
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、ジョン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、チャールズ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ランバート、ダナ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ドサンジ、マニーシャ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C081
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA71
4C076BB23
4C076BB31
4C076BB32
4C076CC32
4C076EE06
4C081AA01
4C081AA06
4C081AA12
4C081AA13
4C081AB01
4C081AB06
4C081AB11
4C081AC08
4C081BA14
4C084AA22
4C084MA28
4C084MA57
4C084MA63
4C084MA67
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB35
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC42
4C086DA17
4C086HA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA28
4C086MA57
4C086MA63
4C086MA67
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206CB15
4C206MA02
4C206MA03
4C206MA04
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZB35
4C206ZC75
(57)【要約】
選択された抗生物質カンナビノイドを銀含有医薬品と組合せて使用する医薬製剤及び治療が提供される。対象における前記カンナビノイドと前記銀含有医薬品との間の正の薬物/薬物間相互作用を促進する、治療上有効なレジメンが提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象における細菌感染を治療又は予防する方法であって、
カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)及びカンナビクロメン(CBC)の1つ以上であるカンナビノイドの有効量と、銀含有医薬品の有効量とを、前記対象に投与することを含み、
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品がそれぞれあるレジメンで投与され、前記レジメンの組合せが前記対象において前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用を提供する方法。
【請求項2】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用が、前記対象における前記カンナビノイド及び/又は前記銀含有医薬品の抗生物質効果を増加させる正の抗生物質/薬物間相互作用である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
正の薬物/薬物間抗生物質相互作用が、相乗的に有効な組合された抗生物質活性を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記細菌感染がグラム陽性菌による感染を含む、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記細菌感染が複数のグラム陽性菌による感染を含む、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記細菌感染がグラム陰性菌による感染を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記細菌感染が複数のグラム陰性菌による感染を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記細菌感染が抗生物質耐性菌による感染を含む、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで、前記カンナビノイドを投与する、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記カンナビノイドが前記カンナビノイドのMIC未満の量で存在する場合、前記カンナビノイドが前記銀含有医薬品のMICを低下させる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで、前記銀含有医薬品を投与する、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記銀含有医薬品が前記銀含有医薬品のMIC未満の量で存在する場合、前記銀含有医薬品が前記カンナビノイドのMICを低下させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で、前記カンナビノイドを投与する、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で、前記銀含有医薬品を投与する、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの1つである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの2つ、3つ又は4つである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCである、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記カンナビノイドが植物由来である、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記植物が、カンナビス・サティバ又はカンナビス・インディカ植物である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品以外の抗生物質を対象に投与しない、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の有効量を対象に投与することから本質的になる、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記カンナビノイド以外のフィトカンナビノイドを対象に投与しない、請求項1~21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記銀含有医薬品が、銀塩、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、乳酸銀、銀ナノ粒子、コロイド銀、銀ゼオライト及び銀スルファジアジンの1つ以上である、請求項1~22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記対象が哺乳動物である、請求項1~23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記対象がヒト患者である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記カンナビノイドの治療上有効なレジメンが、0.001~5,000mg/日の前記カンナビノイドの投与を含む、請求項1~25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記銀含有医薬品の治療上有効なレジメンが、0.001~10,000mg/日の元素銀の前記銀含有医薬品の投与を含む、請求項1~26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品を同時に投与する、請求項1~27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品を任意の順序で連続的に投与する、請求項1~28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)及びカンナビクロメン(CBC)の1つ以上であるカンナビノイドと、銀含有医薬品とを含む、抗生物質製剤であって、
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品がそれぞれある量で存在し、前記製剤を対象に投与した時に、前記量の組合せが前記対象において前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用を提供する製剤。
【請求項31】
前記カンナビノイドが前記製剤中に0.01~5%w/wで存在する、請求項30に記載の抗生物質製剤。
【請求項32】
前記銀含有医薬品が前記製剤中に0.01~5%w/wで存在する、請求項30又は31に記載の抗生物質製剤。
【請求項33】
前記カンナビノイド及び/又は前記銀含有医薬品が、薬学上許容される担体と共に前記製剤中に溶解、分散、混合又は懸濁される、請求項30~32のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項34】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用が、前記対象における前記カンナビノイド及び/又は前記銀含有医薬品の抗生物質効果を増加させる正の抗生物質/薬物間相互作用である、請求項30~33のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項35】
正の薬物/薬物間抗生物質相互作用が、相乗的に有効な組合された抗生物質活性を含む、請求項30~34のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項36】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの1つである、請求項30~35のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項37】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの2つ、3つ又は4つである、請求項30~35のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項38】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCである、請求項30~35のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項39】
前記カンナビノイドが植物由来である、請求項30~38のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項40】
前記植物が、カンナビス・サティバ又はカンナビス・インディカ植物である、請求項39に記載の抗生物質製剤。
【請求項41】
前記製剤中に前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品以外の抗生物質が存在しない、請求項30~40のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項42】
有効成分として前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品から本質的になる、請求項30~41のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項43】
前記製剤が前記カンナビノイド以外のフィトカンナビノイドを含まない、請求項30~42のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項44】
前記銀含有医薬品が、銀塩、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、乳酸銀、銀ナノ粒子、コロイド銀、銀ゼオライト及び銀スルファジアジンのうちの1つ以上である、請求項30~43のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項45】
それを必要とする対象における細菌感染を治療するための医薬品の製剤化に使用するためのものである、請求項30~44のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項46】
前記細菌感染がグラム陽性菌による感染を含む、請求項45に記載の抗生物質製剤。
【請求項47】
前記細菌感染が複数のグラム陽性菌による感染を含む、請求項45又は46に記載の抗生物質製剤。
【請求項48】
前記細菌感染がグラム陰性菌による感染を含む、請求項45~47のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項49】
前記細菌感染が複数のグラム陰性菌による感染を含む、請求項45~48のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項50】
前記細菌感染が抗生物質耐性菌による感染を含む、請求項45~49のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項51】
前記銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで、前記カンナビノイドを投与する、請求項45~50のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項52】
前記カンナビノイドが前記カンナビノイドのMIC未満の量で存在する場合、前記カンナビノイドが前記銀含有医薬品のMICを低下させる、請求項51に記載の抗生物質製剤。
【請求項53】
前記カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで、前記銀含有医薬品を投与する、請求項45~52のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項54】
前記銀含有医薬品が前記銀含有医薬品のMIC未満の量で存在する場合、前記銀含有医薬品が前記カンナビノイドのMICを低下させる、請求項53に記載の抗生物質製剤。
【請求項55】
前記銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で、前記カンナビノイドを投与する、請求項45~54のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項56】
前記カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で、前記銀含有医薬品を投与する、請求項45~55のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項57】
2つ以上の銀含有医薬品を含む、請求項45~56のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項58】
前記抗生物質製剤が、支持マトリックス中に提供されるか、支持マトリックスをコーティングする、請求項30~57のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項59】
前記支持マトリックスが、ゲル、ヒドロゲル、フィルム、ポリマー又はセラミックを含む、請求項58に記載の抗生物質製剤。
【請求項60】
前記支持マトリックスが、創傷被覆材、生物医学的インプラント、歯周若しくは歯内装置、気管内チューブ、サージカルマスク、綿繊維、合成繊維、侵襲的医療機器のコンポーネント、カテーテル又はカテーテルコーティングの形態である、請求項58又は59に記載の抗生物質製剤。
【請求項61】
乾燥フィルムであるヒドロゲル製剤を含む、請求項59又は60に記載の抗生物質製剤。
【請求項62】
前記乾燥フィルムが、創傷被覆材の形態であるか、又は創傷被覆材として使用するためのものである、請求項61に記載の抗生物質製剤。
【請求項63】
前記ヒドロゲル材料がポリビニルアルコールである、請求項61又は62に記載の抗生物質製剤。
【請求項64】
前記ヒドロゲル製剤がカテーテルをコーティングする、請求項61~63のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項65】
前記カテーテルが尿道カテーテルである、請求項64に記載の抗生物質製剤。
【請求項66】
前記マトリックスが2つ以上の銀含有医薬品を含み、異なる銀含有医薬品の前記マトリックスからの放出性が異なる、請求項58~65のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項67】
第1の銀含有医薬品がマトリックス中に徐放のために製剤化され、第2の銀含有医薬品がマトリックス中に急速放出のために製剤化される、請求項66に記載の抗生物質製剤。
【請求項68】
前記マトリックスが追加の医薬品を含み、追加の医薬品の前記マトリックスからの放出性が前記銀含有医薬品の放出性とは異なる、請求項58~65のいずれかに記載の抗生物質製剤。
【請求項69】
前記追加の医薬品が追加の抗生物質である、請求項68に記載の抗生物質製剤。
【請求項70】
それを必要とする対象における細菌感染を治療又は予防するための、請求項30~69のいずれかに記載の抗生物質製剤の使用。
【請求項71】
それを必要とする対象における細菌感染を治療又は予防するための、抗生物質製剤の使用であって、
前記使用が、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)及びカンナビクロメン(CBC)の1つ以上であるカンナビノイドの有効量と、銀含有医薬品の有効量とのものであり、
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品がそれぞれあるレジメンで投与され、前記レジメンの組合せが前記対象において前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用を提供する使用。
【請求項72】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用が、前記対象における前記カンナビノイド及び/又は前記銀含有医薬品の抗生物質効果を増加させる正の抗生物質/薬物間相互作用である、請求項71に記載の使用。
【請求項73】
正の薬物/薬物間抗生物質相互作用が、相乗的に有効な組合された抗生物質活性を含む、請求項71又は72に記載の使用。
【請求項74】
前記細菌感染がグラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌による感染を含む、請求項71から73のいずれかに記載の使用。
【請求項75】
前記細菌感染が複数のグラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌による感染を含む、請求項71~74のいずれかに記載の使用。
【請求項76】
前記細菌感染が抗生物質耐性菌による感染を含む、請求項71~75のいずれかに記載の使用。
【請求項77】
前記カンナビノイドが、前記銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで使用するためのものである、請求項71~76のいずれかに記載の使用。
【請求項78】
前記カンナビノイドが前記カンナビノイドのMIC未満の量で存在する場合、前記カンナビノイドが前記銀含有医薬品のMICを低下させる、請求項77に記載の使用。
【請求項79】
前記銀含有医薬品が、前記カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで使用するためのものである、請求項71~78のいずれかに記載の使用。
【請求項80】
前記銀含有医薬品が前記銀含有医薬品のMIC未満の量で存在する場合、前記銀含有医薬品が前記カンナビノイドのMICを低下させる、請求項79に記載の使用。
【請求項81】
前記カンナビノイドが、前記銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で使用するためのものである、請求項71~80のいずれかに記載の使用。
【請求項82】
前記銀含有医薬品が、前記カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で使用するためのものである、請求項71~81のいずれかに記載の使用。
【請求項83】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの1つである、請求項71~82のいずれかに記載の使用。
【請求項84】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの2つ、3つ又は4つである、請求項71~82のいずれかに記載の使用。
【請求項85】
前記カンナビノイドが、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCである、請求項71~82のいずれかに記載の使用。
【請求項86】
前記カンナビノイドが植物由来である、請求項71~82のいずれかに記載の使用。
【請求項87】
前記植物が、カンナビス・サティバ又はカンナビス・インディカ植物である、請求項86に記載の使用。
【請求項88】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品以外の抗生物質を対象に使用しない、請求項71~87のいずれかに記載の使用。
【請求項89】
前記使用が、対象における前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品の有効量の使用から本質的になる、請求項71~88のいずれかに記載の使用。
【請求項90】
前記カンナビノイド以外のフィトカンナビノイドを対象に投与しない、請求項71~89のいずれかに記載の使用。
【請求項91】
前記銀含有医薬品が、銀塩、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、乳酸銀、銀ナノ粒子、コロイド銀、銀ゼオライト及び銀スルファジアジンの1つ以上である、請求項71~90のいずれかに記載の使用。
【請求項92】
前記対象が哺乳動物である、請求項70~91のいずれかに記載の使用。
【請求項93】
前記対象がヒト患者である、請求項92に記載の使用。
【請求項94】
前記カンナビノイドの治療上有効なレジメンが、0.001~5,000mg/日の前記カンナビノイドの使用を含む、請求項70~93のいずれかに記載の使用。
【請求項95】
前記銀含有医薬品の治療上有効なレジメンが、0.001~10,000mg/日の元素銀の前記銀含有医薬品の投与を含む、請求項70~94のいずれかに記載の使用。
医薬品。
【請求項96】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品を同時に投与するためのものである、請求項70~95のいずれかに記載の使用。
【請求項97】
前記カンナビノイド及び前記銀含有医薬品を任意の順序で連続的に使用するためのものである、請求項70~96のいずれかに記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀含有医薬品と特定のフェノール性カンナビノイドの併用を含む医薬調製物及び治療の分野にある。
【背景技術】
【0002】
カンナビス属の顕花植物由来の化合物、特にフィトカンナビノイド化合物には、非常に幅広い生理活性があるとされる(参照,Cunha et al., 1980;Morales et al., 2017;US6630507)。カンナビジオール(CBD)、その酸型のカンナビジオール酸(CBDA)、カンナビクロメン(CBC)、その酸型のカンナビクロメン酸(CBCA)、カンナビゲロール(CBG)、その酸性型のカンナビゲロール酸(CBGA)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、及びその酸性型のテトラヒドロカンナビノール酸(THCA)を含む80種を超えるカンナビノイドが、カンナビス植物抽出物中に見出されている(Russo, 2011)。カンナビス抽出物又はカンナビス植物に由来する化合物は、非常に広範囲の抗菌活性、しばしば明確に定義されていない抗菌活性を有することが研究によって示唆されている(Van Klingeren & Ten Ham, 1976;Abdelaziz, 1982;Appendino et al., 2011;Appendino et al., 2008;Eisohly et al., 1982;Appendino et al., 2008;Turner & Eisohly, 1981;Mechoulam & Gaoni, 1965;WO2012/012498;WO2018/011813)。
【0003】
様々な化学形態の銀には、例えばヒポクラテスによって記載された銀の抗菌医薬特性と共に、防腐剤としての古代の歴史がある。最近では、サルファ剤とペニシリンに始まる20世紀の強力な抗生物質の発明によって、抗菌剤としての銀の使用は臨床上の重要性が低下した。それにも関わらず、銀化合物の抗菌用途は依然として重要であり、様々な銀ナノ粒子が比較的最近、銀抗菌剤のカタログに追加された。このカタログには、金属銀、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、乳酸銀及びスルファジアジン銀が含まれる(Rai et al., 2009;Khundkar et al., 2010;Barnea et al.,2010;Franci et al, 2015)。コロイド銀は、市販製品のカテゴリに使用される用語であり、銀イオン、ナノスケールの酸化銀、塩化銀、硫化銀又は金属銀等の他の多くの形態の銀をも(安定剤及び添加剤と共に)含んでもよい製剤中の1~1000nmのサイズの銀含有粒子の懸濁液として特徴付けられることがよくある。本出願の目的では、銀ナノ粒子は、主に金属銀及び/又は酸化銀から構成される約1nm~100nmの間のサイズの銀の粒子である。銀ナノ粒子は、グラム陽性菌及びグラム陰性菌に対するアンピシリン、クロラムフェニコール及びカナマイシンの抗生物質効果を改善すると説明されている(Hwang et al., 2012)。同様に、硝酸銀は、グラム陰性菌に対するアンピシリン、ゲンタマイシン及びオルフォキサシンの抗生物質作用を増強し、バンコマイシン等のグラム陽性菌特異的抗生物質に対してグラム陰性菌を感作すると記載されている(Ruben Morones-Ramirez et al., 2013)。臨床医は、抗生物質耐性菌が増加し、第一選択の抗生物質処方が減少するため、他の抗生物質の代替として銀含有創傷ケア製品及び医療機器に依存する(Gemmell et al. 2006;Chopra 2007)。しかし、臨床的証拠は、カテーテル関連尿路感染症の予防(Lam et al. 2014)、感染した傷の治療(Vermeulen et al. 2007)、火傷やその他の創傷の感染の予防(Storm-Versloot et al. 2010)及び糖尿病性潰瘍の治療(Bergin et al. 2006)において、現在使用されている銀含有製品の有効性の欠如を示す。更に、医療行為における銀含有製品の使用は、銀耐性菌の出現と関連する(Hosny et al. 2019)。銀に対する細菌耐性が1975年に最初に報告された。McHughとその同僚が、病院の火傷病棟から分離されたサルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)の銀耐性菌株、及びその発生と3名の患者が死亡したことを報告した(McHugh et al. 1975)。その後、いくつかの研究が、銀耐性に関与する分子メカニズムが特定した。これは、内因性突然変異(Lok et al. 2008;Finley et al. 2015;Staehlin et al. 2016;Massani et al. 2018;Hanczvikkel et al. 2018)、又は外因性水平獲得起源(exogenous horizontally-acquired origin)(Gupta et al. 1999;Sutterlin et al. 2014;Fang et al. 2016)である可能性がある。銀含有抗菌剤の有効性を改善し、細菌耐性の出現を最小限に抑えるための戦略が明らかに必要である。専門家は、有効性を促進し、全体的な細菌曝露を制限して耐性の発生を防ぐために、銀含有抗菌剤が急速な殺菌活性を提供することを推奨している(Chopra 2007)。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示されるイノベーションの1つの一般的な側面は、それを必要とする対象における細菌感染を治療又は予防する方法を含む。治療又は予防の方法は、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)及びカンナビクロメン(CBC)のうちの1つ以上であるカンナビノイドと、銀含有医薬品との投与を含む。カンナビノイド及び銀含有医薬品はそれぞれあるレジメンで投与され、レジメンの組合せが前記対象においてカンナビノイド及び銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物相互作用を提供するように適合され得る。
【0005】
実施は次の特徴の1つ以上を含んでも良い。カンナビノイド及び銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用が、対象におけるカンナビノイド及び/又は銀含有医薬品の抗生物質効果を増加させる正の抗生物質/薬物間相互作用である方法。正の薬物/薬物間抗生物質相互作用は、例えば相乗的に有効な組合された抗生物質活性を含むことができる。細菌感染は、グラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌による感染であることができ、例えば複数のグラム陽性菌及び/又はグラム陰性菌による感染症であることができる。細菌感染は、抗生物質耐性菌による感染であることができる。
【0006】
銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで、カンナビノイドを投与することができる。カンナビノイドがカンナビノイドのMIC未満の量で存在する場合、例えば、カンナビノイドは銀含有医薬品のMICを低下させることができる。カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を低下させるレジメンで、銀含有医薬品を投与することができる。銀含有医薬品が銀含有医薬品のMIC未満の量で存在する場合、銀含有医薬品はカンナビノイドのMICを低下させることができる。
【0007】
銀含有医薬品の最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で、カンナビノイドを投与することができる。カンナビノイドの最小発育阻止濃度(MIC)を少なくとも2~128倍減少させる相対量で、銀含有医薬品を投与することができる。カンナビノイドは、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの1つであることができる。カンナビノイドは、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCのうちの2つ、3つ、4つ又は5つであることができる。カンナビノイドは、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCの6つすべてであることができる。カンナビノイドは、例えばカンナビス・サティバ(Cannabis sativa)又はカンナビス・インディカ(Cannabis indica)等の植物に由来することができる。
【0008】
選択された実施態様において、カンナビノイド及び銀含有医薬品以外の抗生物質を対象に投与しない。本方法は、他の医薬品も他の抗生物質も伴わずに、又はカンナビノイド以外のフィトカンナビノイドを対象に投与せずに、カンナビノイド及び銀含有医薬品の有効量を対象に投与することを含む。銀含有医薬品は、銀塩、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、乳酸銀、銀ナノ粒子、コロイド銀、銀ゼオライト及び銀スルファジアジンの1つ以上であることができる。対象は、ヒト患者等の哺乳動物であることができる。
【0009】
カンナビノイドの治療上有効なレジメンは、0.001~5,000mg/日の前記カンナビノイドの投与を含むことができる。銀含有医薬品の治療上有効なレジメンは、0.001~10,000mg/日の元素銀の前記銀含有医薬品の投与を含むことができる。カンナビノイド及び銀含有医薬品を同時に投与することができる。カンナビノイド及び銀含有医薬品を任意の順序で連続的に投与することができる。
【0010】
1つの一般的な側面は、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)及びカンナビクロメン(CBC)の1つ以上であるカンナビノイドと、銀含有医薬品とを含む、抗生物質製剤を含む。抗生物質製剤において、カンナビノイド及び銀含有医薬品がそれぞれある量で存在し、抗生物質製剤を対象に投与した時に、前記量の組合せが対象においてカンナビノイド及び銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用を提供することができる。
【0011】
実施は、治療レジメンの議論における上記の特徴、又は以下の特徴の1つ以上を含むことができる。抗生物質製剤において、カンナビノイドは、例えば0.01~5%w/wで存在することができる。銀含有医薬品は、製剤中に0.01~5%w/wで存在することができる。カンナビノイド及び/又は前記銀含有医薬品を、薬学上許容される担体と共に製剤中に溶解、分散、混合又は懸濁することができる。
【0012】
カンナビノイド及び銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用は、対象におけるカンナビノイド及び/又は銀含有医薬品の抗生物質効果を増加させる正の抗生物質/薬物間相互作用であることができる。正の薬物/薬物間抗生物質相互作用は、相乗的に有効な組合された抗生物質活性を含むことができる。カンナビノイドは、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCの1つ、2つ、3つ、4つ又は5つであることができる。又はカンナビノイドは、CBD、CBDA、CBG、CBGA、CBCA及びCBCの6つすべてであることができる。カンナビノイドは、例えばカンナビス・サティバ(Cannabis sativa)又はカンナビス・インディカ(Cannabis indica)等の植物に由来することができる。
【0013】
いくつかの実施態様において、製剤中にカンナビノイド及び銀含有医薬品以外の抗生物質が存在しない。製剤は、有効成分としてカンナビノイド及び銀含有医薬品から本質的になる、すなわち他の活性医薬成分を含まないことができる。製剤は、例えばカンナビノイド以外のフィトカンナビノイドを含まないことができる。銀含有医薬品は、銀塩、硝酸銀、硫酸銀、酸化銀、塩化銀、乳酸銀、銀ナノ粒子、コロイド銀、銀ゼオライト及び銀スルファジアジンの1つ以上であることができる。
【0014】
抗生物質製剤は、上記の通り、それを必要とする対象における細菌感染を治療又は予防するための医薬品の製剤化に使用するためのものであることができる。
【0015】
抗生物質製剤は、ゲル、ヒドロゲル、フィルム、ポリマー又はセラミック等の支持マトリックス中に提供されるか、支持マトリックスをコーティングすることができる。抗生物質製剤は、乾燥フィルムであるヒドロゲル製剤であることができる。乾燥フィルムは、創傷被覆材の形態であることができ、又は創傷被覆材として使用するためのものであることができる。ヒドロゲル材料は、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)であることができる。ヒドロゲル製剤は、例えば、尿道カテーテル等のカテーテルをコーティングすることができる。支持マトリックスは、創傷被覆材、生物医学インプラント、気管内チューブ、サージカルマスク、綿繊維、合成繊維、侵襲的医療機器のコンポーネント、カテーテル又はカテーテルコーティングの形態であることができる。マトリックスは、2つ以上の銀含有医薬品を含むことができ、異なる銀含有医薬品のマトリックスからの放出性は異なることができる。例えば、第1の銀含有医薬品がマトリックス中に徐放のために製剤化され、第2の銀含有医薬品がマトリックス中に急速放出のために製剤化されることができる。マトリックスは、1つ以上の追加の薬剤を含み、追加の薬剤のマトリックスからの放出性が銀含有医薬品の放出性とは異なることができる。追加の薬剤は、例えば追加の抗生物質であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】AgNO
3を用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図1B】AgNO
3を用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図1C】CBG及びAgNO
3を用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図2A】AgNO
3を用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図2B】CBC及びAgNO
3を用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図2C】CBC及びAgNO
3を用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図3A】AgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図3B】CBC及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図3C】CBC及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図4】サブMIC及び異なるAgNP濃度でのCBGAを用いたMRSA寒天プレート試験の結果を示す4枚の写真である。
【
図5】示されたカンナビノイド及び示された銀含有抗生物質の組合せの抗生物質効果を示す注釈付きの写真である。プレートの第1列はPVAフィルムであり、プレートの第2列はPVAフィルムでコーティングされたカテーテルである。
【
図6A】AgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図6B】CBGA及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図6C】CBGA及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図7A】AgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図7B】CBG及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図8A】AgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図8B】CBD及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図9A】AgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図9B】CBCA及びAgNPを用いたMRSA殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10A】硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10B】CBD及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10C】CBD及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10D】CBDA及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10E】CBDA及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10F】CBCA及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10G】CBCA及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10H】CBC及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【
図10I】CBC及び硫酸銀を用いたE.coli殺菌曲線試験の結果を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
1つの側面において、選択された抗生物質カンナビノイドを銀含有医薬品と組合せて使用する医薬製剤及び治療が提供される。特に、製剤は、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビゲロール(CBG)、カンナビゲロール酸(CBGA)、カンナビクロメン酸(CBCA)及び/又はカンナビクロメン(CBC)を含むことができる。対象においてカンナビノイド及び銀含有医薬品の間の正の薬物/薬物間相互作用を促進する治療上有効なレジメンが提供される。選択された実施態様において、これらの正の薬物/薬物間相互作用は、抗生物質の相乗効果を提供することができる。
【0018】
抗菌的に有効な成分は、例えば相乗的に有効な相対量で提供することができる。例えば、カンナビノイドの1、2、3又は4μg/ml以下等の相乗的組合せにおいてのみ抗菌的に活性である濃度で、カンナビノイド及び銀含有医薬品を提供することができる。相乗的な組合せにおいて、カンナビノイド及び/又は銀含有医薬品の阻害濃度は、例えば2倍以上、例えば2~16倍減少することができる。あるいは、カンナビノイド対銀含有医薬品の相対重量比は、例えば約4:1~1:16であることができる。
【0019】
選択された実施態様において、各成分のMIC未満、例えばMICの直下である抗菌有効成分の濃度を用いることで、相乗効果及び/又は増強効果を最大化することができる。従って、成分のそれぞれのMICの比に近似する相対量で、成分が存在することができる。例えば、これは、銀含有医薬品:カンナビノイドのモル比が1:100~100:1(成分のMIC比を反映して)、3:1~24:1である場合に起こり得る。
【0020】
抗菌製剤は、微生物感染を予防的又は治療的に治療するために、あるいは微生物の増殖若しくは繁殖を阻害するために用いることができる。抗生物質は、細菌に対して活性な抗菌剤である。本明細書において、抗生物質には、防腐剤又は消毒剤の様式を含む任意のメカニズムによって細菌を殺すか、又は細菌の増殖又は繁殖を阻害する天然の、半合成の及び合成の物質が含まれる。
【0021】
治療を受けることができる対象には、ヒト患者、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス)、家畜(例えば、牛、羊、山羊、豚、馬、家禽)、又は家庭用ペット(例えば、犬、猫、げっ歯動物、鳥)等の哺乳類の対象が含まれる。これらは、例えば、霊長類、イヌ科、ネコ科、ウシ科、ヤギ科、ウマ科、ヒツジ科、ブタ科、げっ歯類、鳥類又はウサギ類の分類群に属する。治療されるヒト患者は、例えば男性又は女性であることができ、又は特定の成長段階:新生児、乳児、若年、青年、成人及び老人であることができる。治療を受けることができる特定の獣医学的適応症には、例えば家禽における腸球菌感染症、例えばニワトリにおけるエンテロコッカス・セコルム(Enterococcus cecorum)感染症の治療が含まれる。
【0022】
カンナビノイドは、例えばカンナビス・サティバ(Cannabis sativa)又はカンナビス・インディカ(Cannabis indica)の抽出物等の植物抽出物から得ることができる。これらの植物抽出物を調製するために、CO2による超臨界又は亜臨界抽出、高温ガスによる抽出、及び溶媒による抽出を含むがこれらに限定されない多種多様な方法を用いることができる。様々な合成アプローチ(例えば、THC/ドロナビノールの合成に用いられるアプローチに基づく;参照,US7323576;Trost and Dogra, 2007)と同様に、カンナビノイドの製造に向けた生合成アプローチも利用可能である。代替的アプローチには、組換酵母等の組換宿主中でカンナビノイド生合成遺伝子を発現させることが含まれる(参照,Luo et al., 2019)。従って、製剤のカンナビノイド成分は、成分を発現する組換酵母等の組換宿主の培養物等の培養物に由来することができる。製剤はまた、アスタキサンチン又は他のセスキテルペン、テトラテルペン、トリテルペン、ジテルペン又はモノテルペン等の植物由来のフィトカンナビノイド、テルペノイド又はテルペンを含む、追加のカンナビノイド、テルペノイド又はテルペンを明確に除外することができる。あるいは、例えばテルペン、テルペノイド、ステロール、トリグリセリド、アルカン、スクアレン、トコフェロール、カロテノイド、クロロフィル、フラボノイドグリコシド又はアルカロイドを含む、1つ以上の追加の化合物が、代替製剤に含まれるか、又は具体的に除外されることができる。
【0023】
滴定可能な用量は、例えば患者が単位用量よりも少ない用量で薬品を摂取できるように適合させることができる。ここで「単位用量」は一度に又は特定の投薬期間内に摂取できる薬品の最大用量として定義される。すべての患者が同じ効果を得るために同じ用量を必要とするわけではないため、用量の滴定によって、薬品が有効であると異なる患者が感じるまで徐々に用量を増やすことができる。体格が大きい人又は代謝が速い人は、体格が小さい人又は代謝が遅い人と同じ効果を得るために、より多くの用量を必要とし得る。従って、滴定可能な用量は、標準的な剤形よりも利点がある。
【0024】
選択された実施態様において、歯、舌下、口腔、口腔、直腸、鼻、膣、非経口及び肺組織のうちの1つ以上を標的とする方法で送達されるように製剤を適合させることができる。製剤は、例えばゲル、ゲルスプレー、錠剤、液体、カプセル、注射用、又は気化用の形態のうちの1つ以上の形態であることができる。
【0025】
製剤を対象に投与するのに適した製剤又は組成物を提供するために、従来の製薬業務を採用することができる。投与経路には、例えば非経口、静脈内、皮内、皮下、筋肉内、頭蓋内、眼窩内、眼内、心室内、嚢内、脊髄内、髄腔内、槽内、腹腔内、鼻腔内、吸入、エアロゾル、局所、舌下又は経口投与が含まれ得る。治療用製剤は、液体溶液又は懸濁液の形態であってもよい。経口投与の場合、製剤は錠剤又はカプセルの形態であってもよい。鼻腔内製剤の場合、粉末、点鼻薬、又はエアロゾルの形態であってもよい。舌下製剤の場合は、ドロップ、エアロゾル又は錠剤の形態であってもよい。製剤は、骨セメント、歯科用セメント、歯科用インプラント、創傷被覆材、カテーテルライン、注射用ペースト又はマイクロインプラント等(ただしこれらに限定されない)のデバイスの内部に又はコーティングとして提供され得る。特定の実施態様において、創傷被覆材は、ポリビニルアルコール等のポリマーから、又はアルギン酸塩/カルシウム、ヒアルロン酸、セルロース誘導体、ポロキサマー及びカルボマー、ペグ化ポリマー、キトサン若しくはこれらの組み合わせ等(これらに限定されないが)の多数のヒドロゲル形成材料から、又は製薬研究者によく知られ、Kamoun E et al (2017)に概説されている、溶媒キャスト若しくは電界紡糸膜のいずれかの形態の材料から、製造することができる。材料は、記載されているように使用するか、又は性能を向上させるために化学的に更に変更することができる。あるいは、既存の市販の創傷被覆材を任意の製剤中に単に浸すこともできる。インプラントは、単に薬物製剤で直接コーティングすることができ、又は潜在的に薬物を制御放出しつつ薬物をインプラントに固定するコーティング材料で提供することができる。インプラントコーティング材料は、ポリマー、セラミック、イオン、金属、塗料材料又はヒドロゲルであり得る。
【0026】
製剤を作製するための当技術分野で周知の方法は、例えば、“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”(21st edition), ed. David Troy, 2006, Lippincott Williams & Wilkinsに記載されている。非経口投与のための製剤は、例えば賦形剤、滅菌水若しくは生理食塩水、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール、植物由来の油、又は水素化ナフタレンを含むことができる。薬物投与の適切な手段及び/又は制御放出の側面の両方を提供するために、多数のポリマーシステムを用いて薬物をカプセル化することができる。システムは、フィルム若しくはシード等のモノリシック単位として、又はマイクロスフェア、ペースト、ゲル、ナノ粒子として、提供され得る。これらのシステムは、Leichty W et al 2017に記載される多くの分解性又は非分解性ポリマーから製造することができる。他の潜在的に有用な非経口送達システムには、浸透圧ポンプ、移植可能な注入システム、及びリポソームが含まれる。吸入用製剤は、賦形剤、例えばラクトースを含むことができ、又は例えばポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、グリココール酸塩及びデオキシコール酸塩を含む水溶液であってもよく、又は点鼻薬の形態での投与のための油性溶液又はゲルであってもよい。
【0027】
本発明の医薬組成物は、組成物が患者に投与されることが可能な任意の形態であることができる。例えば、組成物は、固体、液体、又は気体(エアロゾル)の形態であることができる。本発明の医薬組成物は、患者への組成物の投与時に、その中に含まれる有効成分が生物学的に利用可能となるように製剤化される。患者に投与される組成物は、1つ以上の投与単位の形態をとることができる。例えば、錠剤、カプセル又はカシェ剤は単一の投与単位であり、エアロゾル形態の化合物の容器は複数の投与単位を保持することができる。
【0028】
医薬組成物の調製に使用される材料は、薬学的に純粋であり、使用量において無毒であるべきである。本発明の組成物は、特に望ましい効果が知られている1つ以上の化合物(有効成分)を含むことができる。医薬組成物中の有効成分の最適投与量が様々な要因に依存することは、当業者には明らかであろう。関連する要因には、対象の種類(例えばヒト)、有効成分の特定の形態、投与方法、及び使用される組成物が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
一般に、医薬組成物は、本明細書に記載の本発明の製剤を1つ以上の担体と混合して含む。組成物が例えば錠剤又は粉末の形態であるように、担体は粒子状であることができる。組成物が例えば経口シロップ又は注射可能な液体であるように、担体は液体であることができる。更に、例えば吸入投与に有用なエアロゾル組成物を提供するように、担体は気体であることができる。
【0030】
経口投与を意図する場合、組成物は、好ましくは固体又は液体形態であり、半固体、半液体、懸濁液、及びゲル形態は、本明細書において固体又は液体とみなされる形態に含まれる。
【0031】
経口投与用の固体製剤として、組成物は、粉末、顆粒、圧縮錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、チューインガム、ウエハース、ロゼンジ等の形態に製剤化することができる。このような固体組成物は、典型的には、1つ以上の不活性希釈剤又は可食性担体を含む。更に、以下のアジュバントの1つ以上が存在し得る:シロップ、アカシア、ソルビトール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶性セルロース、トラガントガム又はゼラチン及びそれらの混合物等の結合剤;デンプン、ラクトース又はデキストリン等の賦形剤;アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はステロテックス等の潤滑剤;ラクトース、マンニトール、デンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、メチルセルロース、及びそれらの混合物等の充填剤;ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、ポリエチレングリコール等の高分子量ポリマー;ステアリン酸等の高分子量脂肪酸;シリカ;ラウリル硫酸ナトリウム等の湿潤剤;コロイド状二酸化ケイ素等の流動促進剤;スクロース又はサッカリン等の甘味料;ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料等の香味料;及び着色料。組成物がカプセル、例えばゼラチンカプセルの形態である場合、上記種類の材料に加えて、ポリエチレングリコール又は脂肪油等の液体担体を含有することができる。
【0032】
製剤は、液体の形態、例えばエリキシル、シロップ、溶液、水性若しくは油性のエマルジョン又は懸濁液であってよく、又は使用前に水及び/又は他の液体媒体で再構成できる乾燥粉末の形態であってもよい。液体は、2つの例として、経口投与用又は注射による送達用であり得る。経口投与を意図する場合、好ましい組成物は、本発明の化合物に加えて、甘味剤、増粘剤、保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸アルキル)、染料/着色剤及び香味増強剤(香味剤)のうちの1つ以上を含有する。注射による投与を意図した組成物において、界面活性剤、防腐剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸アルキル)、湿潤剤、分散剤、懸濁剤(例えば、ソルビトール、グルコース、又は他の糖シロップ)、緩衝剤、安定剤及び等張剤を含むことができる。乳化剤は、レシチン又はソルビトールモノオレエートから選択することができる。
【0033】
本発明の液体医薬製剤は、それらが溶液、懸濁液又は他の同様の形態であるかに関わらず、以下のアジュバントの1つ以上を含むことができる:注射用水、生理食塩水等、好ましくは生理食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウム等の無菌希釈剤;溶媒又は懸濁媒体として機能する合成モノ又はジグリセリド等の固定油;ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の溶媒;ベンジルアルコール、メチルパラベン等の抗菌剤;アスコルビン酸、重亜硫酸ナトリウム等の抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩又はリン酸塩等の緩衝液;及び、塩化ナトリウム又はデキストロース等の張性を調節するための薬剤。非経口調製物は、アンプル、使い捨て注射器、又はガラス製又はプラスチック製の複数回投与バイアルに封入することができる。生理食塩水が好ましいアジュバントである。注射可能な医薬組成物は無菌であることが好ましい。
【0034】
医薬製剤は、局所投与を意図することができる。その場合、担体は、溶液、エマルジョン、軟膏、クリーム又はゲルの基剤を適切に含むことができる。基剤は、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、蜜蝋、鉱油、水及びアルコール等の希釈剤、並びに乳化剤及び安定剤のうちの1つ以上を含み得る。増粘剤は、局所投与用薬学的組成物中に存在し得る。経皮投与を意図する場合、組成物は経皮パッチ又はイオントフォレーシス装置を含むことができる。
【0035】
製剤は、例えば、直腸内で溶けて薬物を放出する座薬の形態で、直腸投与を意図することができる。直腸投与用組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含むことができる。その基剤には、ラノリン、ココアバター、及びポリエチレングリコールが含まれるが、これらに限定されない。脂肪酸グリセリド及び/又はココアバターの混合物が適切なワックスである坐剤の調製には、低融点ワックスが好ましい。ワックスは溶融することができ、アミノシクロヘキシルエーテル化合物は、撹拌によってその中に均一に分散される。次に、溶融した均一な混合物を適当なサイズの金型に注ぎ、冷却して固化させる。
【0036】
製剤は、固体又は液体の投与単位の物理的形態を変更する様々な材料を含むことができる。例えば、組成物は、有効成分の周りにコーティングシェルを形成する材料を含んでもよい。コーティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば砂糖、シェラック、及び他の腸溶性コーティング剤から選択することができる。あるいは、有効成分をゼラチンカプセル又はカシェ剤に入れてもよい。
【0037】
医薬製剤は、気体の投薬単位から構成されてもよく、例えば、エアロゾルの形態であってもよい。用語「エアロゾル」は、コロイド状のものから加圧パッケージで構成されるシステムまでの範囲の様々なシステムを表すために使用される。送達は、液化ガス又は圧縮ガスによるか、有効成分を分配する適切なポンプシステムによるものであり得る。本発明の化合物のエアロゾルは、有効成分を送達するために、単相、二相、又は三相のシステムで送達され得る。エアロゾルの送達には、必要な容器、活性化剤、弁、サブ容器等が含まれ、これらは一緒になってキットを形成することができる。
【0038】
いくつかの生物学的に活性な化合物は、遊離塩基の形態であり得、又は塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、マンデル酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、及び当技術分野で知られている他の塩等の薬学上許容される塩の形態であり得る。適切な塩は、適切な使用様式(例えば、経口又は非経口投与経路)のために化合物のバイオアベイラビリティ又は安定性を高めるために選択される。
【0039】
本発明はまた、製剤の使用説明書と共に、医薬製剤を含むキットを提供する。好ましくは、商業用パッケージは、製剤の1つ以上の単位用量を含む。光及び/又は空気に敏感な製剤には、特別な包装及び/又は製剤が必要であり得る。例えば、光に対して不透明である、及び/又は周囲空気との接触から密閉されている、及び/又は適切なコーティング又は賦形剤を用いて製剤化されたパッケージを使用することができる。
【0040】
本発明の製剤は、担体又は任意の薬学上若しくは生物学上許容される担体の存在下で、単独で、又は他の化合物(例えば小分子、核酸分子、ペプチド又はペプチド類似体)と組合せて提供することができる。本明細書で使用される用語「薬学上許容される担体」又は「賦形剤」には、生理学的に適合する任意のすべての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等が含まれる。担体は、任意の適切な投与形態に適したものであることができる。薬学上許容される担体には、一般に、滅菌水溶液又は分散液及び滅菌粉末が含まれる。補助的な活性化合物を製剤に組み込むこともできる。
【0041】
本発明の製剤の「有効量」には、治療的有効量又は予防的有効量が含まれる。「治療的有効量」とは、所望の治療結果を達成するのに必要な、投薬量の及び投薬期間における有効量を意味する。製剤の治療的有効量は、個体の疾患状態、年齢、性別及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発する化合物の能力等の要因によって異なり得る。投与レジメンは、最適な治療応答を提供するために調節することができる。治療的有効量はまた、治療上有益な効果が、製剤又は活性化合物の毒性又は有害な効果より上回っている量であってもよい。「予防的有効量」とは、所望の予防結果を達成するのに必要な、投薬量の及び投与期間における有効量を意味する。典型的には、予防的有効量が治療的有効量よりも少なくなるように、疾患の前に又は疾患の初期段階で対象に予防用量が用いられる。任意の特定の対象について、治療のタイミング及び用量は、個々の必要性、及び組成物の管理する人又は組成物の管理を監督する人の専門的判断に従って、時間の経過とともに調節され得る。例えば、タイミングは、毎日、隔日、毎週、毎月であり得る。
【0042】
薬物相互作用は、物質が薬物の活性に影響を与える、すなわち、薬物の生理学的効果が増加又は減少する、又は物質と薬物が一緒になって、いずれか一方が単独では生じない新しい効果を生み出す治療環境である。有効医薬成分間の相互作用の文脈では、これは薬物/薬物間相互作用として知られている。薬物相互作用は、薬力学及び薬物動態学のレベルで生じ、正又は負の場合がある。薬力学的相互作用は、一般に、薬物が互いの効果に直接影響を与えるものであると理解されている。薬物動態学的相互作用は、各有効成分の吸収、分布、代謝及び/又は排泄に対する異なる有効成分の相互的な影響が含まれる。正の薬物相互作用の1つのカテゴリは、異なる有効成分間の相乗効果の程度を含む。他の正の薬物相互作用は、有効成分の併用の治療上の利点が例えば特定の投与レジメンで、例えば同等の投与レジメンにおける有効成分の個々の使用と比較して改善される、任意の治療上有益な薬力学的及び/又は薬物動態学的相互作用を含むことができる。
【0043】
治療適用において、観察された組合された治療効果が個々の有効成分の治療効果の合計よりも大きい場合、又は単独の有効成分だけでは生成できない新しい治療効果が生成された場合に、有効成分間の相乗効果が生じる。従って、製剤の成分が相乗的有効量で存在する場合、製剤は、同等の用量で単独で投与される個々の有効成分によって達成される治療効果よりも大きな治療効果をもたらす。これに関連して、治療効果の増強は、有効性又は効力の増大及び/又は副作用の減少の形を取ることができる。製剤中の成分の量及び割合がインビボで相乗的であるように、対象における有効成分の薬物動態学及び/又は薬力学によって全体的又は部分的に相乗効果が媒介され得る。このインビボの相乗効果は、効果のインビトロ試験でも相乗効果を示す量及び割合で有効成分を含む製剤でもたらされ得る。従って、本明細書で使用される用語「相乗的有効量」は、インビボ及び/又はインビトロで相乗的である量を意味する。相乗効果の数値的定量化は、多くの場合、試験された各薬物の部分阻害濃度(FIC)の合計を表す部分阻害濃度指数(FICI)として表される。ここで、FICは、組合せて使用した場合の各薬物の最小発育阻止濃度(MIC,標準でインビトロ試験で細菌の目に見える増殖を防止する薬剤の最低濃度;レサズリンに基づく標準比色検定)を、各薬剤を単独で使用した場合の各薬剤のMICで、分割することで各薬物について決定される。非常に一般的な用語では、1より低い又は高いFICIは、それぞれ正の相関がある活性(少なくとも相加又は増強)を又は正の相互作用がないことを示す。より明確に言えば、2つの化合物の相乗効果は、保守的に0.5以下のFICIとして定義することができる(参照,Odds, 2003)。部分的な相乗効果又は増強は、0.5を超えて0.75以下のFICIに対応する。相互作用が無い(無関係)は、1を超えて4以下のFICIに対応する。拮抗作用は、4を超えるFICIに対応する(Joung DK et al.及びRakoliya K et al.に記載及び使用されている)。
【実施例】
【0044】
銀とカンナビノイド間の正の抗菌相互作用を説明するために、以下の実施例はグラム陽性菌を含む試験を含む。6種類のカンナビノイド(CBC、CBD、CBG、CBCA、CBDA及びCBGA)が、硝酸銀(AgNO3)又は銀ナノ粒子(AgNP)と組合せて試験された。これらの実施例では、0.2mMクエン酸ナトリウム中で提供され、約20nmの直径を有する20mg/Lの銀ナノ粒子、又は2mMクエン酸ナトリウム中で提供され、約10nmの直径を有する1mg/mLの銀ナノ粒子を用いて、銀ナノ粒子の治療を調製した。例示的なグラム陽性菌として、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-resistant Staphyulococcus aureus;MRSA USA300)を用いた。例示的なグラム陰性菌として、大腸菌(Escherichia coli;E.coli株K12)を用いた。
【0045】
抗菌増殖は、チェッカーボード分析を用いて、又は阻害ゾーンを含む寒天プレートを定性的に用いて測定した。生存率は、経時的なコロニー形成単位(CFU)の数で測定した。
【0046】
チェッカーボード分析を用いて、相乗効果を説明するために96ウェルプレート試験で部分阻害濃度指数(FICI)を計算した。FICI指数は次のように解釈された。0.5以下:相乗効果。0.5を超えて0.75以下:部分的な相乗効果又は増強。0.75を超えて1.0以下:相加効果。1.0を超えて4.0以下:無関係。4.0を超える:拮抗作用(Joung DK et al.及びRakoliya K et al.に記載及び使用されている)。
【0047】
本開示の文脈において、別々に使用された場合の化合物の効果の単純な合計よりも有意に互いの効果を相互に増強、増幅又は強化する方法で2つ以上の化合物が相互作用する場合に、相乗効果が生じる。従って、相乗効果は拮抗作用とは対照的である。2つ以上の化合物の共同効果が個々の薬剤の効果の合計よりも弱い場合、又は個々の薬剤の効果よりも弱い場合、化合物の組合せは拮抗的である。相加的相互作用は、組合せた効果が、単独で使用した場合の各薬物の活性の合計に相当する効果である。2つ以上の化合物の共同効果が個々の薬剤のいずれか単独の効果と等しい場合に、治療間の無関係の相互作用が生じる。
【0048】
一般的な方法
細菌株と増殖
MRSA(USA300株)をLuria-Bertani(LB)培地で培養して、37℃で接種した。
【0049】
大腸菌(E.coli)K12株をLuria-Bertani(LB)培地で培養して、37℃で接種した。
【0050】
チェッカーボード分析
カンナビノイド又は銀(塩ではない銀の濃度として表される)を96ウェルプレート(Costar,カタログ番3370)で2倍に連続希釈し、続いて0.0025のOD600の細菌培養物100μLを加えた。カンナビノイド濃度は16mg/L~0.125mg/Lの範囲であり、硝酸銀濃度は32mg/L~0.31mg/Lの範囲であり、銀ナノ粒子濃度は10mg/L~0.01mg/Lの範囲であり、硫酸銀濃度は10mg/L~0.01mg/Lの範囲である。プレートをアルミホイルで包み、24時間培養した。次いで、Varioskan(商標)マイクロプレートリーダーを用いてウェルの濁度を分析した。
【0051】
FICI計算
ウェルの濁度に基づいてチェッカーボード試験でFICIを計算した。1つの薬剤単独の最小阻害濃度(MIC)に対する、他の薬剤の存在下でのその薬剤のMICの比として、各薬剤のFICを決定した。その結果、各薬剤のFICの合計として、FICIを計算した。FIC指数(FICI)を以下のように解釈した。(注)0.5以下:相乗効果。0.5を超えて0.75以下:部分的な相乗効果又は増強。0.75を超えて1.0以下:相加効果。1.0を超えて4.0以下:無関係。4.0を超える:拮抗作用(Joung DK et al.に記載されている)。
【0052】
殺菌曲線試験
各試験管について、0.005のOD600の1mLの培養物を、抗生物質を含む1mLのLB培地に添加して、各化合物の目標のサブMIC濃度に到達させた。決定されたタイムスタンプで各試験官から100μLのサンプルを抽出し、続いて10倍の連続希釈を行った。次いで、10μLの各希釈物をLB寒天プレートに加え、続いて24時間培養した。コロニーを検査し、結果をlogCFU/mLとして定量化した。
【0053】
実施例1 MRSA増殖に対するカンナビノイドと硝酸銀の組合せの効果のチェッカーボード分析
【表A】
【0054】
表Aに示すように、CBCと硝酸銀の組合せは、0.375の低いFICIスコアを有し、強力な相乗効果を示した。硝酸銀と組合せたCBGAは、相乗効果の記述子のすぐ上であり、部分的相乗効果の上限である0.53のFICIスコアを与えた。CBGは硝酸銀と組合せると、0.625のFICIスコアを有し、MRSAに対して部分的相乗効果を有した。CBD、CBDA又はCBCAを硝酸銀と組合せて用いた場合、MRSAに対する抗生物質の影響は改善されず、FICIスコアはすべて2であった。
【0055】
【0056】
表Bに示すように、CBCとCBGAはそれぞれ銀ナノ粒子と組合せて、それぞれ0.141と0.375のFICIスコアを有し、MRSAに対して相乗効果を有した。CBGと銀ナノ粒子は、0.625のFICIスコアを有し、部分的な相乗効果が見られた。
【0057】
実施例2 MRSAに対する硝酸銀を伴うCBGの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBGが2mg/LのMICを有することが見出された。硝酸銀としての銀が16mg/LのMICを有することが見出されたが、硝酸銀の効力は時間依存性があった。1mg/Lの濃度の硝酸銀を用いると、細菌の増殖は6時間抑制されたが、24時間後までに完全な細菌の増殖が起こった。5及び8mg/Lの硝酸銀で治療した後、細菌増殖は24時間後に阻害された(
図1A)。しかし、1/2×MICのCBG(1mg/L)を5及び8mg/Lの硝酸銀に加えると、細菌増殖が阻害されただけでなく、この組合せが完全な殺菌効果(すなわち、検出可能なCFUの排除)を与え、その効果は急速であり、治療後2時間の早さで生じた(
図1B)。更に、殺菌効果は治療後24時間持続した。1mg/Lの硝酸銀に1/2×MICのCBGを加えても、治療後2時間で殺菌効果が得られ、その効果は6時間後まで持続した。ちょうど1/4×MIC(0.5mg/L)のCBGを用いても同様の効果が得られ、5及び8mg/Lの硝酸銀との組合せは明らかに殺菌性があった(
図1C)。
【0058】
これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀含有医薬品の正の薬物/薬物間相互作用を示す。特に、いずれかの化合物を単独で用いるのとは反対に、硝酸銀と組合せてCBGを用いることでより強力な抗生物質作用を示す。
【0059】
実施例3 MRSAに対する硝酸銀を伴うCBCの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBCが8mg/LのMICを有することが見出された。硝酸銀としての銀が16mg/LのMICを有することが見出された。8mg/Lの濃度の硝酸銀を用いると、細菌増殖は6時間阻害され、5mg/Lでは4時間阻害され、1mg/Lでは阻害は無かった(
図2A)。用いた硝酸銀のすべての濃度で、完全な細菌増殖が24時間後に生じた。1/2×MICのCBC(4mg/L)を単独で用いると、細菌増殖は6時間阻害されたが、24時間後までに完全な細菌増殖が生じた(
図2B)。しかし、1/2×MICのCBCを8及び5mg/Lの硝酸銀と組合せて用いた場合、この組合せは細菌増殖を阻害しただけでなく、完全な殺菌効果を与え、治療後2~24時間で検出可能なCFUを排除した(
図2B)。1mg/Lの硝酸銀を伴う1/2×MICのCBCでも、治療後2時間に完全な殺菌効果(検出可能なCFUを排除)を与え、その効果は6時間持続した。24時間後に、細菌増殖の強力な阻害が維持された(
図2B)。
【0060】
硝酸銀を伴う1/4×MICのCBC(2mg/L)を用いて、ほぼ同じ結果が得られた(
図2C)。ただし、1mg/Lの硝酸銀との組合せは6時間強い阻害を示したが、これは、1/2×MICのCBCの場合と同様に24時間は持続しなかった。
【0061】
これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀含有医薬品の正の薬物/薬物間相互作用を示す。特に、いずれかの化合物を単独で用いるのと比較して、硝酸銀と組合せてCBGを用いることでMRSA細菌に対してより強力な抗生物質作用を示す。
【0062】
実施例4 MRSAに対する銀ナノ粒子を伴うCBCの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBCが8mg/LのMICを有することが見出された。銀ナノ粒子(AgNP)としての銀が40mg/LのMICを有した。経時的な殺菌曲線において、AgNPは試験したサブMIC濃度(1/8、1/5及び1/40×MIC)のいずれでもMRSAの阻害を示さなかった(
図3A)。1/2×MIC(4mg/L)のCBCを用いると、MRSA増殖の阻害が2、4及び6時間後に見られたが、24時間後までに、MRSA増殖は0×MIC治療のレベルに近いレベルに戻った(
図3B)。1/2×MICのCBCに銀ナノ粒子(1/8×MIC又は5mg/L)を加えると、治療後2時間で完全な殺菌効果(CFUの完全な排除)が生じ、24時間持続した。1/40×MICのAgNP(1mg/L)を伴う1/2×MICのCBCは、ほぼ同一の完全な殺菌効果を与え、これは急速(2時間以内)であり、24時間持続した。驚くべきことに、1/160×MICのAgNP(0.25mg/L)を伴う1/2×MICのCBCは、1/2×MICのCBC単独で見られる効果よりも遥かに大きな強力な殺菌効果を生成した。
【0063】
1/4×MICのCBC(2mg/L)を用いても同様の結果が得られた(
図3C)。ただし、AgNPの添加によるすべての組合せ阻害効果は、1/2×MICのCBCを含む組合せと比較して、より弱く、永続性が低かった。これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀ナノ粒子の正の薬物/薬物間相互作用を示す。この実施例は、いずれかの化合物単独の抗生物質効果と比較して、銀ナノ粒子と組合せたCBCの遥かに強い抗生物質作用を示す。銀ナノ粒子単独が試験した濃度で抗生物質効果を与えないことを考慮すると、2つの化合物を組合せて観察された抗生物質効果は、2つの化合物を組合せた時に期待される相加効果を超えている。
【0064】
実施例5 MRSAに対する銀ナノ粒子を伴うCBGAの寒天プレート試験
0.005のOD
600のMRSA培養物を用いて、4つのLB寒天プレートを調製した(
図4)。各プレートは、異なる濃度のCBGA(CBGA無し、1/2×MIC、1/4×MIC、及び1/8×MIC)が含まれた。次に、すべてのプレートを四分円に分割した。四分円のそれぞれに0.2mMのクエン酸ナトリウムで2倍に段階希釈した20mg/L~2.5mg/Lの異なる濃度の8μLのAgNPを加えた。
【0065】
寒天にCBGAを含まない場合、2.5、5、10又は20mg/Lの8μLの銀ナノ粒子を加えても、細菌増殖に影響は無かった(右下の表題)。しかし、1/8×MIC(左下の表題)又は1/4×MICのCBGAを寒天に組み入れると、濃度依存的な写真の黒ずみが見られた(抗生物質の組合せで媒介される細菌増殖の阻害によって、黒い背景が可視化された)。これは、20mg/Lの銀ナノ粒子サンプルの両方の表題の左上の四分円で最もよく視覚化することができる。ここで、10mg/Lで見られる密度の低い黒い円と共に明確な黒い円を見ることができる(各プレートの右上の四分円)。寒天中の1/2のMICを用いると、すべてのウェルでMRSA増殖が強力に阻害された(左上の表題)。20mg/Lの銀ナノ粒子(左上の四分円)の添加は、最も強い暗さと最も強い抗生物質効果をもたらした。しかし、1/2×MICのCBGAの強力な抗生物質効果によって、このプレートの密度を区別することは困難であった。
【0066】
これらの結果は、銀ナノ粒子の添加によって、CBGAの抗生物質効果が濃度依存的に強く増強されることを示す。
【0067】
実施例6 CBC、CBG及びCBGAと硝酸銀及び銀ナノ粒子のいずれかとの組合せを用いたポリマーフィルム又はポリマーコーティングされた尿道カテーテルの抗生物質効果
CBC、CBG又はCBGA(PVAに対して2%w/w)と混合された2.5%PVA(88%加水分解、分子量125KDa)の33μLの液滴を用いる溶媒キャスティングによって、PVAフィルムを作製した。いくつかのサンプルでは、カンナビノイドの存在又は不存在下、2%w/wの銀/PVAで硝酸銀又は銀ナノ粒子を単独で加えた。3mm切片の尿道カテーテル(BARDEX(登録商標)BARD(登録商標))を切り取り、フィルムを作るのに使用したのと同じ33μLの容量のPVA/銀/カンナビノイドでコーティングした。フィルム及びコーティングされたカテーテル切片を暗所で一晩乾燥させた。0.005のOD600のMRSA(USA300株)を含むLB寒天プレート中に5つの空洞を作成した。PVAフィルム及びPVAフィルムでコーティングされたカテーテルを空洞に入れ、20μLの脱イオン蒸留水で湿らせた。プレートを37℃で24時間培養した。
【0068】
上のプレートはフィルムを示し、下のプレートはコーティングされたカテーテル部品を示す(
図5)。細菌増殖の阻害は、不透明なMRSA背景に対して暗い環として見られる。CBC、CBG及びCBGA、並びに硝酸銀及び銀ナノ粒子のすべてのフィルム及びコーティングされたカテーテル切片は、細菌増殖のある程度の阻害レベルを示した。カンナビノイド単独(すべてのプレートの位置1)及び銀ナノ粒子単独(すべてのプレートの位置3)では、この阻害は比較的軽微であった。硝酸銀単独では、すべてのプレートで細菌の増殖を強力に抑制した。この非常に強力な阻害によって、カンナビノイドと組合せた場合の抗菌作用の増加の評価が隠される。しかし、硝酸銀と組合せたCBGAの抗生物質効果の増加の証拠がある(位置2と4の比較)。
【0069】
銀ナノ粒子の場合、全6プレートで位置3と5を比較して視覚化できるように、両方のフィルム(上部プレート)又はコーティングされたカテーテル切片(下部プレート)でCBC、CBG又はCBGAと組合せると、抗生物質効果が増加した(環のより大きな面積、又は環の増加した暗さ)。
【0070】
この実施例は、PVAからのカンナビノイド及び銀含有医薬品の段階的放出に関連する一時的な投与効果を示す。PVAは膨潤してヒドロゲルを形成する(創傷治癒用途又はカテーテルコーティングにおいて特に有益な特性)。膨潤したヒドロゲルは抗生物質を経時的に段階的に放出する。硝酸銀は非常に溶解性が高く、その結果、比較的急速に放出され、比較的高い銀の局所濃度を生成する。他方、銀ナノ粒子とカンナビノイド(ほとんど不溶性)は非常にゆっくりと放出され、有効な組合せ抗生物質効果を長期間維持する。例示したように、硝酸銀又は銀ナノ粒子と3つすべてのカンナビノイド(CBC、CBG及びCBGA)とのすべての組合せが、MRSA増殖を阻害する。更に、硝酸銀とCBGA、及び銀ナノ粒子と3つすべてのカンナビノイドの抗生物質効果が増加した証拠がある。これらの効果は、代替の含浸マトリックス-PVAフィルムとコーティングされたカテーテルで明らかに一貫している。
【0071】
実施例7 MRSAに対する銀ナノ粒子を伴うCBGAの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBGAが4mg/LのMICを有することが見出された。銀ナノ粒子(AgNP)としての銀が40mg/LのMICを有した。経時的な殺菌曲線分析において、AgNPは試験したいずれの濃度でもMRSAの阻害を示さなかった(
図6A)。1/2×MIC(2mg/L)のCBGAを用いると、MRSA増殖の阻害が4及び6時間後に見られたが、24時間後までに、MRSA増殖は0×MIC治療のレベルに近いレベルに戻った(
図6B)。1/2×MICのCBGAに銀ナノ粒子(1/8×MIC又は5mg/L)を加えると、完全な殺菌効果(CFUの完全な排除)が生じ、24時間持続した。1/40×MICのAgNP(1mg/L)を伴う1/2×MICのCBGAは、ほぼ同一の完全な殺菌効果を与え、これは急速であり、24時間持続した。驚くべきことに、1/160×MICのAgNP(0.25mg/L)を伴う1/2×MICのCBGAは、1/2×MICのCBGA単独で見られる効果よりも遥かに大きな強力な殺菌効果を生成した。
【0072】
1/4×MICのCBGA(1mg/L)を用いても同様の結果が得られた(
図6C)。ただし、AgNPの添加によるすべての組合せ阻害効果は、1/2×MICのCBGAを含む組合せと比較して、より弱く、永続性が低かった。
【0073】
これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀ナノ粒子の正の薬物/薬物間相互作用を示す。この実施例は、いずれかの化合物単独の抗生物質効果と比較して、銀ナノ粒子と組合せたCBGAの遥かに強い抗生物質作用を示す。銀ナノ粒子単独が試験した濃度で抗生物質効果を与えないことを考慮すると、2つの化合物を組合せて観察された抗生物質効果は、2つの化合物を組合せた時に期待される相加効果を超えている。
【0074】
実施例8 MRSAに対する銀ナノ粒子を伴うCBGの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBGが2mg/LのMICを有することが見出された。銀ナノ粒子(AgNP)としての銀が40mg/LのMICを有した。経時的な殺菌曲線分析において、AgNPは試験した濃度のいずれでもMRSAの阻害を示さなかった(
図7A)。1/2×MIC(1mg/L)のCBGを用いると、MRSA増殖の阻害が2、4及び6時間後に見られたが、24時間後までに、MRSA増殖は0×MIC治療と同等のレベルに戻った(
図7B)。1/2×MICのCBGに銀ナノ粒子(1/8×MIC又は5mg/L)を加えると、治療後2時間で急速で完全な殺菌効果(CFUの完全な排除)が生じ、24時間持続した。1/40×MICのAgNP(1mg/L)を伴う1/2×MICのCBGは、高い同等の殺菌効果を与え、これは急速で24時間持続した。驚くべきことに、1/160×MICのAgNP(0.25mg/L)を伴う1/2×MICのCBGは、1/2×MICのCBG単独で見られる効果よりも遥かに大きな強力な殺菌効果を生成した。
【0075】
これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀ナノ粒子の正の薬物/薬物間相互作用を示す。この実施例は、いずれかの化合物単独の抗生物質効果と比較して、銀ナノ粒子と組合せたCBGの遥かに強い抗生物質作用を示す。銀ナノ粒子単独が試験した濃度で抗生物質効果を与えないことを考慮すると、2つの化合物を組合せて観察された抗生物質効果は、2つの化合物を組合せた時に期待される相加効果を超えている。
【0076】
実施例9 MRSAに対する銀ナノ粒子を伴うCBDの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBDが2mg/LのMICを有することが見出された。銀ナノ粒子(AgNP)としての銀が40mg/LのMICを有した。経時的な殺菌曲線分析において、AgNPは試験した濃度のいずれでもMRSAの阻害を示さなかった(
図8A)。1/2×MIC(1mg/L)のCBDを用いると、MRSA増殖の阻害が2、4及び6時間後に見られたが、24時間後までにMRSA増殖が0×MIC治療と同等のレベルに戻った(
図8B)。1/2×MICのCBDに銀ナノ粒子(1/8×MIC又は5mg/L)を加えると、治療後2時間で急速で完全な殺菌効果が生じ、CBD単独と比較すると24時間にわたってMRSA増殖が大幅に減少した。
【0077】
これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀ナノ粒子の正の薬物/薬物間相互作用を示す。この実施例は、いずれかの化合物単独の抗生物質効果と比較して、銀ナノ粒子と組合せたCBDの遥かに強い抗生物質作用を示す。銀ナノ粒子単独が試験した濃度で抗生物質効果を与えないことを考慮すると、2つの化合物を組合せて観察された抗生物質効果は、2つの化合物を組合せた時に期待される相加効果を超えている。
【0078】
実施例10 MRSAに対する銀ナノ粒子を伴うCBCAの殺菌曲線分析
MRSA(USA300株)を用いて、CBCAが2mg/LのMICを有することが見出された。銀ナノ粒子(AgNP)としての銀が40mg/LのMICを有した。経時的な殺菌曲線分析において、AgNPは試験した濃度のいずれでもMRSAの阻害を示さなかった(
図9A)。1/2×MIC(1mg/L)のCBCAを用いると、MRSA増殖の阻害が2、4及び6時間後に見られたが、24時間後までにMRSA増殖が0×MIC治療と同等のレベルに戻った(
図9B)。1/2×MICのCBCAに銀ナノ粒子(1/8×MIC又は5mg/L)を加えると、治療後2時間で急速な殺菌効果が生じ、4時間後に完全にCFUが排除され、24時間持続した。更に、1/2×MICのCBCAに1/40×MICのAgNP(1mg/L)を加えると、CBCA単独で見られるよりもMRSAに対してより大きな殺菌効果が得られた。
【0079】
これらのデータは、カンナビノイドと組合せて用いられる銀ナノ粒子の正の薬物/薬物間相互作用を示す。この実施例は、いずれかの化合物単独の抗生物質効果と比較して、銀ナノ粒子と組合せたCBCAの遥かに強い抗生物質作用を示す。銀ナノ粒子単独が試験した濃度で抗生物質効果を与えないことを考慮すると、2つの化合物を組合せて観察された抗生物質効果は、2つの化合物を組合せた時に期待される相加効果を超えている。
【0080】
実施例11 E.coli増殖に対するカンナビノイドと銀の組合せの効果のチェッカーボード分析
【表C】
【0081】
表Cに示すように、硫酸銀とCBCAとの間の相互作用は相乗的である(FICI=0.50)。CBDA、CBC及びCBGAのそれぞれと組合せた硫酸銀で増強が観察された。この相互作用は、硫酸銀とCBDの間でも、硫酸銀とCBGの間でも観察されなかった。銀ナノ粒子を用いたチェッカーボード分析では、試験したカンナビノイドとの相乗的相互作用は生じなかったが、CBDA、CBC及びCBGAのそれぞれと組合せた銀ナノ粒子では増強が観察された。
【0082】
実施例12 E.coliに対する硫酸銀を伴うカンナビノイドの殺菌曲線分析
E.coli(K12株)に対して、硫酸銀(AgSO
4)が2.5mg/LのMICを有することが見出された。経時的な殺菌曲線分析において、2.5mg/LのAgSO
4による治療は、6時間にわたるE.coli増殖の阻害と、殺菌効果無し(すなわち、細菌のCFUの正味の減少無し)と、24時間後の細菌のCFU中での約1-logの合計増加とを示した(
図10A)。対照的に、対照(無治療)群では、24時間後に細菌のCFU中で6-logの増加を示した。1.25mg/L及び0.625mg/LのAgSO
4による治療は、初期の増殖阻害が見られたが、4時間後に細菌の増殖が大幅に増加し、経時的な増殖曲線は対照(無治療)群と似ていた(
図10A)。
図10Bに示すように、16mg/Lの濃度のCBD単独で治療した場合、24時間にわたってE.coli増殖の阻害は観察されず、増殖曲線は対照(無治療)群の増殖曲線に似ていた。2.5mg/LのAgSO
4と16mg/LのCBDの組合せは、24時間にわたってE.coli増殖を実質的に阻害しなかった(
図10B)。組合せの結果は、
図10Aに示すように、2.5mg/LのAgSO
4単独で治療した結果と似ていた。2.5mg/LのAgSO
4を8mg/LのCBDと組合せた場合にも、同様の結果が観察された(
図10C)。
図10Dに示すように、CBDA治療の場合、16mg/LのCBDA単独での治療では24時間にわたってE.coli増殖の阻害を達成することはできず、殺菌曲線は対照(無治療)群の曲線に似ていた。驚くべきことに、16mg/LのCBDAに2.5mg/LのAgSO
4を加えると、4時間以内にE.coliのCFUが大幅に6-log(99.9999%)で減少した。この急速な殺菌効果は24時間持続した(
図10D)。更に、16mg/LのCBDAと組合せた1.25mg/L及び0.625mg/LのサブMICのAgSO
4濃度での治療によって、E.coliのCFUが2-log(99%)で減少し、24時間にわたって細菌増殖が阻害された(
図10D)。
図10Eに示すように、8mg/LのCBDA単独での治療は、24時間にわたるE.coli増殖に対する阻害効果を達成できず、殺菌曲線は対照(無治療)群の曲線に似ていた。8mg/LのCBDAと組合せた場合、2.5、1.25及び0.625mg/LのAgSO
4はそれぞれ治療から6時間以内にE.coliのCFUの2-log(99%)の減少を示した(
図10E)。各組合せは24時間にわたってE.coli増殖を阻害し、2.5mg/LのAgSO
4が最も強力な阻害効果を示した。
【0083】
従って、試験した濃度での各化合物の単独の抗菌効果が弱いか存在しないことを考えると、AgSO4とCBDAの組合せから観察される抗菌効果は、相加効果を遥かに超えている。
【0084】
図10Fに示すように、16mg/LのCBCA単独での治療では、24時間にわたるE.coli増殖の阻害を達成することはできず、殺菌曲線は対照(無治療)群の曲線に似ている。驚くべきことに、16mg/LのCBCAに2.5mg/LのAgSO
4を添加すると、4時間以内にE.coliのCFUが大幅に6-log(99.9999%)で減少した。この急速な殺菌効果は24時間持続した(
図10F)。更に、16mg/LのCBCAと組合せた1.25mg/LのAgSO
4(サブMIC濃度)で治療すると、E.coliのCFUが3-log(99.9%)で減少し、24時間にわたって細菌増殖が抑制された(
図10F)。更に、16mg/LのCBCAを組合せて0.625mg/LのAgSO
4(サブMIC濃度)で治療すると、E.coliのCFUが2-log(99%)で減少し、24時間にわたって細菌の増殖が抑制された(
図10F)。
図10Gに示すように、8mg/LのCBCA単独での治療は、24時間にわたるE.coli増殖に対する阻害効果を達成できず、殺菌曲線は対照(無治療)群の曲線に似ていた。8mg/LのCBCAと組み合わせた場合、2.5、1.25及び0.625mg/LのAgSO
4はそれぞれ治療から6時間以内にE.coliのCFUの2-log(99%)の減少を示した(
図10G)。各組合せは24時間にわたってE.coli増殖を阻害し、2.5mg/LのAgSO
4が最も強力な阻害効果を示した。
【0085】
従って、試験した濃度で各化合物自体の抗菌効果が弱いか存在しないことを考えると、AgSO4とCBCAの組合せから観察される抗菌効果は、相加効果を遥かに超えている。
【0086】
図10Hに示すように、16mg/LのCBC単独での治療では、24時間にわたるE.coli増殖の阻害を達成することはできず、殺菌曲線は対照(無治療)群の曲線に似ていた。驚くべきことに、16mg/LのCBCに2.5mg/LのAgSO
4を加えると、6時間以内にE.coliのCFUが3-log(99.9%)で減少した。この急速な抗菌効果は、24時間持続した(
図10H)。更に、16mg/LのCBCと組合せて1.25mg/L及び0.625mg/LのAgSO
4(サブMIC濃度)で治療すると、6時間以内に大腸菌のCFUが2-log(99%)で減少し、24時間にわたって細菌増殖が連続して阻害された(
図10H)。
図10Iに示すように、8mg/LのCBC単独での治療では、24時間にわたるE.coli増殖の阻害効果は達成されず、殺菌曲線は対照(無治療)群の曲線に似ていた。8mg/LのCBCと組合せると、2.5、1.25及び0.625mg/LのAgSO
4は、治療後4時間以内にE.coliのCFUの2-log(99%)の減少を示した(
図10I)。各組合せは24時間にわたってE.coli増殖を阻害し、2.5mg/LのAgSO
4が最も強力な阻害効果を示した。
【0087】
従って、試験した濃度で各化合物自体の抗菌効果が弱いか存在しないことを考えると、AgSO4とCBCの組合せから観察される抗菌効果は、相加効果を遥かに超えている。
【0088】
要約すると、この実施例は、2.5mg/Lの硫酸銀を単独で投与した場合、E.coli増殖に対して弱い阻害効果を持ち、より低い硫酸銀濃度ではほとんど阻害効果が見られないことを示す。更に、単独で投与されたカンナビノイドCBD、CBDA、CBCA及びCBCは、最大16mg/Lの濃度でもE.coli増殖の検出可能な阻害を達成できない。特に、特定のカンナビノイドの場合にのみ効果が見られることを考えると、すなわち、硫酸銀をCBDと組合せた場合に抗菌活性の増加がなく、硫酸銀をCBDA又はCBCAと組合せた場合、4時間以内に99.9999%のE.coliの死滅が観察されることを考えると、選択したカンナビノイドと硫酸銀の組合せが、試験した濃度でE.coliに対する急速な殺菌活性をもたらすということは驚くべきことであり、予想外である。
【0089】
参考文献
Abdelaziz, A., (1982) Studies on the antimicrobial activity of cannabinoids. MS thesis, Ohio State University.
"Cannabis sativa: The Plant of the Thousand and One Molecules". Frontiers in Plant Science. 7: 19.
Appendino, G., G. Chianese & 0. Taglialatela-Scafati, (2011) Cannabinoids: occurrence and medicinal chemistry. Curr Med Chem 18: 10854099.
Appendino, G., Gibbons, S., Giana, A., Pagani, A., Grassi, G., Stavri, M., Smith, E., and Rahman, M. M., 2008, “Antibacterial Cannabinoids from Cannabis Sativa: A Structure-Activity Study,” J. Nat. Prod., 71(8), pp. 1427-1430.
Appendino, G., S. Gibbons, A. Giana, A. Pagani, G. Grassi, M. Stavri, E. Smith & M.M. Rahman, (2008) Antibacterial cannabinoids from Cannabis sativa: a structure-activity study. J Nat Prod 71: 1427-1430.
Arias, C.A. & B.E. Murray, (2012) The rise of the Enterococcus: beyond vancomycin resistance. Nat Rev Microbiol 10: 266-278.
Arias, C.A., D. Panesso, D.M. McGrath, X. Qin, M.F. Mojica, C. Miller, L. Diaz, T.T. Tran, S. Rincon, E.M.
Arthur, M. & P. Courvalin, (1993) Genetics and mechanisms of glycopeptide resistance in enterococci. Antimicrob Agents Chemother 37: 1563-1571.
Ashurst, P. R., Bohlmann, F., Farkas, L., Gaoni, Y., KLING, H., Mechoulam, R., Morrison, G. A., Pallos, L., Romo, J., Romo De Vivar, A., Sutherland, J. K., and Waldschmidt-Leitz, E., 1967, Progress in the Chemistry of Organic Natural Products, Springer Science & Business Media.
【0090】
Baltz RH (December 2006). "Molecular engineering approaches to peptide, polyketide and other antibiotics". Nature Biotechnology. 24 (12): 1533-40.
Barbu, J. Reyes, J.H. Roh, E. Lobos, E. Sodergren, R. Pasqualini, W. Arap, J.P. Quinn, Y. Shamoo, B.E. Murray & G.M. Weinstock, (2011) Genetic basis for in vivo daptomycin resistance in enterococci. N Engl.' Med 365: 892-900.
Barnea, Y., Weiss, J., and Gur, E., 2010, “A Review of the Applications of the Hydrofiber Dressing with Silver (Aquacel Ag) in Wound Care,” Ther. Clin. Risk Manag., 6(1), pp. 21-27.
Bell, A., 2005, “Antimalarial Drug Synergism and Antagonism: Mechanistic and Clinical Significance,” FEMS Microbiol. Lett., 253(2), pp. 171-184.
Berenbaum, M. C. 1978. A method for testing for synergy with any number of agents. J. Infect. Dis. 137:122-130.
Bergin, S., and Wraight, P., 2006, “Silver based wound dressings and topical agents for treating diabetic foot ulcers,” Cochrane Database of Systematic Reviews, (1).
【0091】
Chakraborty, S., Afaq, N., Singh, N., and Majumdar, S., 2018, “Antimicrobial Activity of Cannabis Sativa, Thuja Orientalis and Psidium Guajava Leaf Extracts against Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus,” J. Integr. Med., 16(5), pp. 350-357.
Chopra, I., 2007, “The increased use of silver-based products as antimicrobial agents: a useful development or a cause for concern?” Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 59, pp. 587-590.
Consroe, P., J. Laguna, J. Allender, S. Snider, L. Stern, R. Sandyk, K. Kennedy & K. Schram, (1991) Controlled clinical trial of cannabidiol in Huntington's disease. Pharmacol Biochem Behav 40: 701-708.
Cunha, J.M., E.A. Carlini, A.E. Pereira, O.L. Ramos, C. Pimentel, R. Gagliardi, W.L. Sanvito, N. Lander & R. Mechoulam, (1980) Chronic administration of cannabidiol to healthy volunteers and epileptic patients. Pharmacology 21: 175-185.
【0092】
Eisohly, H.N., C.E. Turner, A.M. Clark & M.A. Eisohly, (1982) Synthesis and antimicrobial activities of certain cannabichromene and cannabigerol related compounds. J Pharm Sci 71: 1319-1323.
Fang, L., Li, X., Li, L., Li, S., Liao, X., Sun, J. and Liu, Y., 2016, “Co-spread of metal and antibiotic resistance within ST3-IncHI2 plasmids from E. coli isolates of food-producing animals,” Scientific reports, 6(1), pp.1-8.
Farha, M. A., El-Halfawy, O. M., Gale, R. T., Macnair, C. R., Carfrae, L. A., Zhang, X., Jentsch, N. G., Magolan, J., and Brown, E. D., 2020, “Uncovering the Hidden Antibiotic Potential of Cannabis,” ACS Infect. Dis., 6(3), pp. 338-346.
Finley, P.J., Norton, R., Austin, C., Mitchell, A., Zank, S., Durham, P., 2015, “Unprecedented silver resistance in clinically isolated Enterobacteriaceae: major implications for burn and wound management,” Antimicrob Agents Chemother, 59(8), pp. 4734-4741.
Franci, G., Falanga, A., Galdiero, S., Palomba, L., Rai, M., Morelli, G., and Galdiero, M., 2015, “Silver Nanoparticles as Potential Antibacterial Agents,” Molecules, 20(5), pp. 8856-8874.
【0093】
Galloway-Pena, J.R., S.R. Nallapareddy, C.A. Arias, G.M. Eliopoulos & B.E. Murray, (2009) Analysis of clonality and antibiotic resistance among early clinical isolates of Enterococcus faecium in the United States. J Infect Dis 200: 1566-1573.
Gemmell, C.G., Edwards, D.I., Fraise, A.P., Gould, F.K., Ridgway, G.L., and Warren, R.E., 2006, “Guidelines for the prophylaxis and treatment of methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) infections in the UK,” Journal of Antimicrobial Chemotherapy, 57(4), pp. 589-608.
Gupta, A., Matsui, K., Lo, J.F. and Silver, S., 1999, “Molecular basis for resistance to silver cations in Salmonella,” Nature medicine, 5(2), pp.183-188.
【0094】
, “Transmissible silver resistance readily evolves in high-risk clone isolates of Klebsiella pneumoniae,” Acta microbiologica et immunologica Hungarica, 65(3), pp.387-403.
Hidron, A.I., J.R. Edwards, J. Patel, T.C. Horan, D.M. Sievert, D.A. Pollock, S.K. Fridkin, T. National Healthcare Safety Network & F. Participating National Healthcare Safety Network, (2008) NHSN annual update: antimicrobial-resistant pathogens associated with healthcare-associated infections: annual summary of data reported to the National Healthcare Safety Network at the Centers for Disease Control and Prevention, 2006-2007. Infect Control Hosp Epidemiol 29: 996-1011.
Hosny, A.E.D.M.S., Rasmy, S.A., Aboul-Magd, D.S., Kashef, M.T., El-Bazza, Z.E., 2019, “The increasing threat of silver-resistance in clinical isolates from wounds and burns,” Infect. Drug Resist., 12, pp. 1985-2001.
Hwang, I. sok, Hwang, J. H., Choi, H., Kim, K. J., and Lee, D. G., 2012, “Synergistic Effects between Silver Nanoparticles and Antibiotics and the Mechanisms Involved,” J. Med. Microbiol., 61(PART12), pp. 1719-1726.
【0095】
Iseppi, R., Brighenti, V., Licata, M., Lambertini, A., Sabia, C., Messi, P., Pellati, F., and Benvenuti, S., 2019, “Chemical Characterization and Evaluation of the Antibacterial Activity of Essential Oils from Fibre-Type Cannabis Sativa L. (Hemp),” Molecules, 24(12), pp. 7-12.
Joung, D. K., Kang, O. H., Seo, Y. S., Zhou, T., Lee, Y. S., Han, S. H., Mun, S. H., Kong, R., Song, H. J., Shin, D. W., and Kwon, D. Y., 2016, “Luteolin Potentiates the Effects of Aminoglycoside and β-Lactam Antibiotics against Methicillin-Resistant Staphylococcus Aureus in Vitro,” Exp. Ther. Med., 11(6), pp. 2597-2601.
Khundkar, R., Malic, C., and Burge, T., 2010, “Use of ActicoatTM Dressings in Burns: What Is the Evidence?,” Burns, 36(6), pp. 751-758.
Kosgodage, U. S., Matewele, P., Awamaria, B., Kraev, I., Warde, P., Mastroianni, G., Nunn, A. V., Guy, G. W., Bell, J. D., Inal, J. M., and Lange, S., 2019, “Cannabidiol Is a Novel Modulator of Bacterial Membrane Vesicles,” Front. Cell. Infect. Microbiol., 9(September), pp. 1-13.
【0096】
Lam, T.B.L., Omar, M.I., Fisher, E., Gillies, K., MacLennan, S., 2014, “Types of indwelling urethral catheters for short-term catheterisation in hospitalised adults,” Cochrane Database of Systematic Reviews, (9).
Lok, C. N., Ho, C. M., Chen, R., Tam, P. K. H., Chiu, J. F., Che, C. M., 2008, “Proteomic identification of the Cus system as a major determinant of constitutive Escherichia coli silver resistance of chromosomal origin,” Journal of proteome research, 7(6), pp. 2351-2356.
Luo X, Reiter MA, d’Espaux L, Wong J, Denby CM, Lechner A, Zhang Y, Grzybowski AT, Harth S, Lin W, Lee H, Yu C, Shin J, Deng K, Benites VT, Wang G, Baidoo EEK, Chen Y, Dev I, Petzold CJ, Keasling JD. 2019. Complete biosynthesis of cannabinoids and their unnatural analogues in yeast. Nature 567:123-126.
【0097】
Massani, M.B., Klumpp, J., Widmer, M., Speck, C., Nisple, M., Lehmann, R. and Schuppler, M., 2018, “Chromosomal Sil system contributes to silver resistance in E. coli ATCC 8739,” Biometals, 31(6), pp.1101-1114.
McHugh, G.L., Moellering, R.C., Hopkins, C.C., Swartz, M.N., 1975, “Salmonella typhimurium resistant to silver nitrate, chloramphenicol, and ampicillin,” Lancet, 305(7901), pp. 235-240.
Mechoulam, R. & Y. Gaoni, (1965) Hashish. IV. The isolation and structure of cannabinolic cannabidiolic and cannabigerolic acids. Tetrahedron 21: 1223-1229.
"Genetic engineering in Streptomyces roseosporus to produce hybrid lipopeptide antibiotics". Chemistry & Biology. 13 (3): 269-76.
Morales, P., D.P. Hurst & P.H. Reggio, (2017) Molecular Targets of the Phytocannabinoids: A Complex Picture. Prog Chem Org Nat Prod 103: 103-131.
Murdoch, D.R., G.R. Corey, B. Hoen, J.M. Miro, V.G. Fowler, Jr., A.S. Bayer, A.W. Karchmer, L. Olaison, P.A. Pappas, P. Moreillon, S.T. Chambers, V.H. Chu, V. Falco, D.J. Holland, P. Jones, J.L. Klein, N.J. Raymond, K.M. Read, M.F. Tripodi, R. Utili, A. Wang, C.W. Woods, C.H. Cabell & I. International Collaboration on Endocarditis-Prospective Cohort Study, (2009) Clinical presentation, etiology, and outcome of infective endocarditis in the 21st century: the International Collaboration on Endocarditis-Prospective Cohort Study. Arch Intern Med 169: 463-473.
【0098】
Najafi K, Ganbarov K, Gholizadeh P, Tanomand A, Rezaee MA, Mahmood SS, Asgharzadeh M, Kafil HS. 2019. Oral cavity infection by Enterococcus faecalis: virulence factors and pathogenesis. Reviews in Medical Microbiology 29: OOO Publish Ahead of Print.
Navarro, G., Varani, K., Reyes-Resina, I., de Medina, V. S., Rivas-Santisteban, R., Callado, C. S. C., Vincenzi, F., Casano, S., Ferreiro-Vera, C., Canela, E. I., Borea, P. A., Nadal, X., and Franco, R., 2018, “Cannabigerol Action at Cannabinoid CB1 and CB2 Receptors and at CB1-CB2 Heteroreceptor Complexes,” Front. Pharmacol., 9, pp. 1-14.
Nguyen KT, Kau D, Gu JQ, Brian P, Wrigley SK, Baltz RH, Miao V (September 2006). "A glutamic acid 3-methyltransferase encoded by an accessory gene locus important for daptomycin biosynthesis in Streptomyces roseosporus". Molecular Microbiology. 61 (5): 1294-307.
Nguyen, K. T., He, X., Alexander, D. C., Li, C., Gu, J. Q., Mascio, C., Van Praagh, A., Mortin, L., Chu, M., Silverman, J. A., Brian, P., & Baltz, R. H. (2010). Genetically engineered lipopeptide antibiotics related to A54145 and daptomycin with improved properties. Antimicrobial agents and chemotherapy, 54(4), 1404-1413.
【0099】
Odds, F.C., Synergy, antagonism, and what the chequerboard puts between them, Journal of Antimicrobial Chemotherapy, (2003) 52, 1.
PACHER, P., BA´TKAI, S., and KUNOS, G., 2006, “The Endocannabinoid System as an Emerging Target of Pharmacotherapy,” Pharmacol. Rev., 58(1), pp. 389-462.
Paganelli, Fernanda L et al. “Enterococcus faecium biofilm formation: identification of major autolysin AtlAEfm, associated Acm surface localization, and AtlAEfm-independent extracellular DNA Release.” mBio vol. 4,2 e00154. 16 Apr. 2013, doi:10.1128/mBio.00154-13.
Pertwee, R. G., 2008, “The Diverse CB 1 and CB 2 Receptor Pharmacology of Three Plant Cannabinoids: Δ 9-Tetrahydrocannabinol, Cannabidiol and Δ 9-Tetrahydrocannabivarin,” Br. J. Pharmacol., 153(2), pp. 199-215.
Pinzi, L., Lherbet, C., Baltas, M., Pellati, F., and Rastelli, G., 2019, “In Silico Repositioning of Cannabigerol as a Novel Inhibitor of the Enoyl Acyl Carrier Protein (ACP) Reductase (INHA),” Molecules, 24(14).
Prematunge, C., C. MacDougall, J. Johnstone, K. Adomako, F. Lam, J. Robertson & G. Garber, (2016) VRE and VSE Bacteremia Outcomes in the Era of Effective VRE Therapy: A Systematic Review and Meta-analysis. Infect Control Hosp Epidemiol 37: 26-35.
【0100】
Rai, M., Yadav, A., and Gade, A., 2009, “Silver Nanoparticles as a New Generation of Antimicrobials,” Biotechnol. Adv., 27(1), pp. 76-83.
Rakholiya, K. D., Kaneria, M. J., and Chanda, S. V., 2013, “Medicinal Plants as Alternative Sources of Therapeutics against Multidrug-Resistant Pathogenic Microorganisms Based on Their Antimicrobial Potential and Synergistic Properties,” Fighting Multidrug Resistance with Herbal Extracts, Essential Oils and Their Components, Academic Press, pp. 165-179.
Ruben Morones-Ramirez, J., Winkler, J. A., Spina, C. S., and Collins, J. J., 2013, “Silver Enhances Antibiotic Activity against Gram-Negative Bacteria,” Sci. Transl. Med., 5(190), pp. 1-12.
Russo, E.B., (2011) Taming THC: potential cannabis synergy and phytocannabinoid-terpenoid entourage effects. Br .1 Pharmacol 163: 1344-1364.
【0101】
Staehlin, B.M., Gibbons, J.G., Rokas, A., O’Halloran, T.V. and Slot, J.C., 2016, “Evolution of a heavy metal homeostasis/resistance island reflects increasing copper stress in enterobacteria,” Genome biology and evolution, 8(3), pp. 811-826.
Stahl, V., and Vasudevan, K., 2020, “Comparison of Efficacy of Cannabinoids versus Commercial Oral Care Products in Reducing Bacterial Content from Dental Plaque: A Preliminary Observation,” Cureus, 12(1), pp. 1-12.
Storm‐Versloot, M.N., Vos, C.G., Ubbink, D.T. and Vermeulen, H., 2010, “Topical silver for preventing wound infection,” Cochrane Database of Systematic Reviews, (3).
【0102】
Trost and Dogra, (2007) Synthesis of (-)-Δ9-trans-Tetrahydrocannabinol - Stereocontrol via Mo-catalyzed Asymmetric Allylic Alkylation Reaction. Org Lett. 2007 March 1; 9(5): 861-863.
Turner, C.E. & M.A. Elsohly, (1981) Biological activity of cannabichromene, its homologs and isomers. J Clin Pharmacol 21: 2835-2915.
Van Klingeren, B. & M. Ten Ham, (1976) Antibacterial activity of delta9-tetrahydrocannabinol and cannabidiol. Antonie Van Leeuwenhoek 42: 9-12.
Udoh, M., Santiago, M., Devenish, S., McGregor, I. S., and Connor, M., 2019, “Cannabichromene Is a Cannabinoid CB2 Receptor Agonist,” Br. J. Pharmacol., 176(23), pp. 4537-4547.
Vermeulen, H., van Hattem, J.M., Storm‐Versloot, M.N., Ubbink, D.T. and Westerbos, S.J., 2007, “Topical silver for treating infected wounds,” Cochrane Database of Systematic Reviews, (1).
Zhong et al., (2017) Comparative genomic analysis of the genus Enterococcus. Microbiological Research, Volume 196, March 2017, Pages 95-105.
【0103】
本明細書中の参考文献の引用は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術であることを認めるものではない。本明細書中で引用される特許及び特許出願を含むがこれらに限定されない優先権書類及びすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に引用された文書で引用又は参照されたすべての文書は、本明細書又は参照により本明細書に組み込まれた文書で言及された製品の製造者の指示、説明、製品仕様書、及び製品シートと共に、参照により本明細書に組み込まれ、本発明の実施に用いられ得る。より具体的には、すべての参照文書は、あたかも本明細書中に完全に記載されているかのように、個々の刊行物が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に参照により組み込まれる。本発明は、実施例及び図面を参照して実質的に前述されたすべての実施形態及び改変を含む。いくつかの実施形態において、本発明は、医学的又は外科的治療を伴うステップを除外する。
【0104】
本発明の様々な実施態様が本明細書中に開示されているが、当業者の技術常識に従って、本発明の範囲内で多くの適合及び改変を行うことができる。このような改変には、実質的に同じ方法で同じ結果を達成するために、本発明の任意の側面を公知の均等物で置き換えることが含まれる。数値範囲はその範囲を定義する数値を含む。本明細書中において、用語「含む(comprising)」は、用語「含むが、これらに限定されない」と実質的に同等のオープンエンドの用語として用いられる。用語「含む(comprises)」は、対応する意味を有する。本明細書中で用いられる単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に指示しない限り、複数形を含む。従って、例えば、「1つのもの」の言及は、複数のものを含む。
【国際調査報告】