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特表2023-534074多自由度の力・トルクセンサー及びロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】多自由度の力・トルクセンサー及びロボット
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/16 20200101AFI20230731BHJP
【FI】
G01L5/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023504405
(86)(22)【出願日】2020-07-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 CN2020105012
(87)【国際公開番号】W WO2022021038
(87)【国際公開日】2022-02-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522453131
【氏名又は名称】シャンハイ・フレクシブ・ロボティクス・テクノロジー・カンパニー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522453142
【氏名又は名称】フレクシブ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ハオ・ジアン
(72)【発明者】
【氏名】シュハン・リ
(72)【発明者】
【氏名】シクアン・ワン
(72)【発明者】
【氏名】ラン・アン
(72)【発明者】
【氏名】シュエセン・リ
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051BA07
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
多自由度の力・トルクセンサー(100)を提供する。この多自由度の力・トルクセンサーは、第1剛性プレート(10)と、第2剛性プレート(20)と、第1剛性プレートと第2剛性プレートとの間に接続される複数の弾性部材(30)と、第1剛性プレートと第2剛性プレートとの間に設けられるシグナルペアとを含む。該シグナルペアは、第1剛性プレート及び第2剛性プレートの複数の方向における相対変位を検出するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多自由度の力・トルクセンサーであって、
第1剛性プレートと、
第2剛性プレートと、
前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に接続される複数の弾性部材であって、それぞれが、
第1ピラー及び第2ピラーであって、前記第1ピラーの第1端が前記第1剛性プレートに接続され、前記第2ピラーの第1端が前記第2剛性プレートに接続され、前記第1ピラー及び前記第2ピラーは、それぞれ前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に延びる第1ピラー及び第2ピラーと、
前記第1ピラーと前記第2ピラーを接続するように配置する連結部であって、少なくとも一部が前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な方向に実質的に延びる連結部と、を備える複数の弾性部材と、
前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に配置され、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの複数の方向における相対変位を検出するように配置される複数のシグナルペアと、を含む
ことを特徴とする多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項2】
前記連結部は、環状の形状を有し、前記連結部の外面は、一側が前記第1ピラーの第2端に接続され、反対側が前記第2ピラーの第2端に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項3】
前記連結部は、半環状の形状を有し、前記連結部は、一端が前記第1ピラーの第2端に接続され、他端が前記第2ピラーの第2端に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項4】
前記連結部は、第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分は、前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な方向に実質的に延び、且つ前記第1ピラーの第2端に接続され、前記第2部分は、前記第1部分の異なる位置から前記第2ピラーの第2端まで延びる
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項5】
前記連結部は、第1部分及び第2部分を含み、前記第1部分は第1サブ部分及び第2サブ部分を含み、前記第1サブ部分は、前記第1ピラーの第2端に接続され、前記第2サブ部分は前記第2ピラーの第2端に接続され、前記第1サブ部分及び前記第2サブ部分は、それぞれ前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に垂直な方向に延び、前記第2部分は前記第1サブ部分と第2サブ部分との間に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項6】
前記連結部は、前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に垂直なビームである
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項7】
前記複数の弾性部材は、前記第1剛性プレート及び前記第2剛性プレートの縁部に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項8】
多自由度の力・トルクセンサーであって、
第1剛性プレートと、
第2剛性プレートと、
前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に接続される複数の弾性部材であって、それぞれが、
第1ピラー及び第2ピラーであって、前記第1ピラーの第1端が前記第1剛性プレートに接続され、前記第2ピラーの第1端が前記第2剛性プレートに接続され、前記第1ピラー及び前記第2ピラーは、それぞれ前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に延びる第1ピラー及び第2ピラーと、
前記第1ピラーと前記第2ピラーとの間に接続される連結部であって、前記連結部の第1長さが前記連結部の前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向における高さよりも大きいように成形され、前記第1長さが前記連結部の前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な平面での投影の長さである連結部と、を備える複数の弾性部材と、
前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に配置され、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの複数の方向における相対変位を検出するように配置される複数のシグナルペアと、を含み、
前記複数の弾性部材は前記第1剛性プレート及び第2剛性プレートの縁部に配置される
ことを特徴とする多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項9】
複数の前記連結部のそれぞれは、前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に垂直なビーム形状である
ことを特徴とする請求項8に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項10】
前記連結部は、環状の形状を有し、前記連結部の外面は、一側が前記第1ピラーの第2端に接続され、反対側が前記第2ピラーの第2端に接続される
ことを特徴とする請求項8に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項11】
前記連結部の外面の前記一側には接触端が設けられ、前記連結部の外面の前記反対側には他方の接触端が設けられ、前記第1ピラーの前記第2端と前記第2ピラーの前記第2端とを前記接触端及び前記他方の接触端にそれぞれ接続する
ことを特徴とする請求項10に記載の多自由度の力・トルクセンサー。
【請求項12】
順次に接続された複数のリンク及びエンドエフェクタを含むロボットであって、前記エンドエフェクタは、多自由度の力・トルクセンサーを含み、前記多自由度の力・トルクセンサーは、
第1剛性プレートと、
第2剛性プレートと、
前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に接続される複数の弾性部材であって、それぞれが、
第1ピラー及び第2ピラーであって、前記第1ピラーの第1端が前記第1剛性プレートに接続され、前記第2ピラーの第1端が前記第2剛性プレートに接続され、前記第1ピラー及び前記第2ピラーが前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に延びる第1ピラー及び第2ピラーと、
前記第1ピラーと前記第2ピラーを接続するように配置する連結部であって、少なくとも一部が前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な方向に実質的に延びる連結部と、を備える複数の弾性部材と、
前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に配置され、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの複数の方向における相対変位を検出するように配置される複数のシグナルペアと、を含む
ことを特徴とするロボット。
【請求項13】
前記連結部は、環状の形状を有し、前記連結部の外面は、一側が前記第1ピラーの第2端に接続され、反対側が前記第2ピラーの第2端に接続される
ことを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【請求項14】
前記連結部は、前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に垂直なビーム形状である
ことを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【請求項15】
前記連結部は、その第1長さが、該連結部の前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向における高さよりも大きいように成形され、前記第1長さは、前記連結部の前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な平面での投影の長さである
ことを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【請求項16】
前記複数の弾性部材は、前記第1剛性プレート及び前記第2剛性プレートの縁部に配置される
ことを特徴とする請求項12に記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力・トルクセンサーの分野に関し、より具体的には、多自由度の力・トルクセンサー及びロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の力・トルクセンサーのほとんどは、接触による歪みゲージを使用し、全体的な力および/またはトルクによる局所構造のひずみを、後で増幅される電気信号に変換する。歪みゲージは通常、そのような局所構造に接合され、歪みゲージによる変形の敏感によって、対応する電気信号が取得され、最終的に、力・トルクセンサーに加えられる力とトルクが決められる。例えば、発明番号201210589784.7の中国発明は、機械構造に接合された歪み構成要素を有するそのような6次元力・トルクセンサーを開示している。ただし、各歪みゲージは固有の変形パターンにのみ敏感であり、他の変形に敏感ではない。これによって、これらの歪みゲージをロボット、自動化産業、および実験室で広く使用することができない。
【0003】
最近、例えば静電容量、インダクタンス、光学ソリューションなどの非接触センシング方法に焦点を当てた製品や研究がいくつかある。例えば、公開番号KR10201130126082Aの韓国発明、および特許番号US10260970B2の米国専利は、それぞれそのような種類の力・トルクセンサーを開示している。変形を電気信号に変換する変換部材(例えば歪みゲージ)を、最も激しい変形が生じやすい局所構造に配置することとは異なり、このようなソリューションでは、変位が最大となる位置に変換部材を配置して、感知した変位を電気信号に変換する。異なる適用シナリオでは、3つの直交する力と3つの直交するトルクの異なる合計範囲が必要になる可能性があるため、必要な機械構造は、これらの力とトルクのバランスをとることができる能力を持つように設計される。しかし、その設計がそのような能力を持っていることを証明できる従来技術はあまりない。実際には、異なる力とトルクによる構造の変形が深刻に結合されるため、他の力とトルクに影響を与えることなく、単独の力及びトルクに対応するセンサーの検出能力を単独に調整することが困難である。
【0004】
したがって、6自由度の力・トルクセンサーを改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
下記は、本発明のさまざまの態様に対して、基本的な理解を提供するように、簡単に説明する。この発明内容は、すべての予期様態に対する広い概要ではなく、すべての様態の需要または主要要素を特定したり、任意またはすべての様態の範囲を規定したりすることを意図していない。その唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明の開始として、1つまたは複数の様態のいくつかの概念を簡略化された形式で提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態によれば、多自由度の力・トルクセンサーを提供する。この多自由度の力・トルクセンサーは、第1剛性プレートと、第2剛性プレートと、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に接続される複数の弾性部材と、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に配置され、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの複数の方向における相対変位を検出するように配置される複数のシグナルペアと、を含んでもよい。当該複数の弾性部材のそれぞれは、第1ピラー及び第2ピラーを含んでもよく、前記第1ピラーの第1端が前記第1剛性プレートに接続され、前記第2ピラーの第1端が前記第2剛性プレートに接続され、前記第1ピラー及び前記第2ピラーは、それぞれ前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に延びる。当該複数の弾性部材のそれぞれは、第1ピラーと第2ピラーを接続するための連結部を更に含んでもよい。この連結部が前記第1ピラーの第2端及び前記第2ピラーの第2端に接続され、少なくとも一部がこの多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な方向に実質的に延びる。
【0007】
本発明の別の一様態によれば、多自由度の力・トルクセンサーを提供する。この多自由度の力・トルクセンサーは、第1剛性プレートと、第2剛性プレートと、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に接続される複数の弾性部材と、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの間に配置され、前記第1剛性プレートと前記第2剛性プレートとの複数の方向における相対変位を検出するように配置される複数のシグナルペアと、を含み、前記複数の弾性部材は、前記第1剛性プレート及び前記第2剛性プレートの縁部に配置される。当該複数の弾性部材のそれぞれは、第1ピラー及び第2ピラーを含んでもよく、前記第1ピラーの第1端が前記第1剛性プレートに接続され、前記第2ピラーの第1端が前記第2剛性プレートに接続され、前記第1ピラー及び前記第2ピラーは、それぞれ前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に延びる。当該複数の弾性部材のそれぞれは、第1ピラーと第2ピラーを接続するための連結部を更に含んでもよい。この連結部は、第1長さが、前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向における高さよりも大きいように成形される。この第1長さは、この連結部の前記多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な平面での投影の長さである。
【0008】
本発明の他の一様態によれば、ロボットを提供する。前記ロボットは順次に接続された複数のリンク及びエンドエフェクタを含み、前記エンドエフェクタは、上記した多自由度の力・トルクセンサーのいずれかを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
下記は、添付の図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明するが、これを参照して本発明をよりよく理解することができる。
【0010】
図1図1は本発明の一実施例に係る多自由度の力・トルクセンサーの模式図である。
図2図2図1に示す多自由度の力・トルクセンサーに適用できる例示的な弾性部材の断面模式図である。
図3図3は半環状の連結部の断面図を概略的に示す図である。
図4図4は本発明の一例示に係る連結部の断面模式図を概略的に示す図である。
図5図5は本発明の他一例示に係る連結部の断面模式図を概略的に示す図である。
図6図6は本発明の別一例示に係るビーム形状の連結部の断面模式図を概略的に示す図である。
図7図7は本発明の実施例に係る多自由度の力・トルクセンサーに用いる他の弾性部材の模式図である。
図8図8図7に示す連結部803の断面図を概略的に示す図である。
図9図9は本発明の一実施例に係る多自由度の力・トルクセンサー200の斜視図である。
図10図10は本発明の実施例に係る多自由度の力・トルクセンサーを含む例示的なロボット900を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記は、添付の図面の詳細な説明を合わせてさまざまな異なる構成を説明するが、本明細書で説明する概念を実施できる唯一の構成を表すことを意図していない。詳細な説明には、さまざまな概念を徹底に理解できるようにするための特定の詳細が含まれる。しかしながら、当業者にとって、これらの概念を、これらの特定の詳細なしに実施できることが明らかである。
【0012】
図1は本発明の一実施例に係る多自由度の力・トルクセンサー100の模式図である。図に示すように、多自由度の力・トルクセンサー100は、第1剛性プレート10、第2剛性プレート20、複数の弾性部材30、及び複数のシグナルペア(図示なし)を含む。複数の弾性部材30は、第1剛性プレート10と第2剛性プレート20との間に設けられる。具体的には、複数の弾性部材30のそれぞれは、例えばその一端を介して第1剛性プレート10に接続され、その他一端を介して第2剛性プレート20に接続される。複数のシグナルペアは、第1剛性プレート10と第2剛性プレート20に配置されて、この2つのプレートの相対変位を検出する。
【0013】
一例示で、外力が多自由度の力・トルクセンサー100に作用する場合に、第1剛性プレート10及び第2剛性プレート20は、高い剛性のため形状がほぼ変化しないように保持する。また、弾性部材30は、水平及び/又は垂直方向においてたわみ、変形が発生する可能性があり、これによって第1剛性プレート10と第2剛性プレート20とが相対移動する。弾性部材30の材料としては、一般的に金属材料、例えばステンレス鋼であるが、いくつかの実施例では、プラスチック又はゴム等の他の材料を用いてもよい。配置されたシグナルペアは、第1剛性プレート10と第2剛性プレート20との相対移動を検出することができる。
【0014】
図2図1に示す多自由度の力・トルクセンサー100に適用できる例示的な弾性部材の断面模式図である。図2に示すように、弾性部材30は、第1ピラー301、第2ピラー302及び連結部303を含む。第1ピラー301はその第1端301aを介して第1剛性プレート10に接続され、第2ピラー302はその第1端302aを介して第2剛性プレート20に接続される。第1ピラー301はその第2端301bを介して連結部303に接続され、第2ピラー302はその第2端302bを介して連結部303に接続される。図に示すように、第1ピラー301及び第2ピラー302は、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に実質的に延びるように配置される。説明を簡単にするために、図2は、センサー100に関連付けられるX、Z軸を含む座標系を示し、Z軸が多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に平行する。Y軸(図示なし)は、X軸とZ軸によって形成される平面に対して垂直である。以下、X軸、Y軸、Z軸をX、Y、Z方向ともいい、Z軸に垂直な面をXY面ともいう。
【0015】
「多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に実質的に延びる」という表現は、第1ピラー301および第2ピラー302が多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に厳密に延びる必要がないことを意味することが理解されるべきである。また、本明細書において、「ピラー」という用語とは、プレートと連結部との間に配置される部材をいう。柱状は実現できる形状の一つであるが、これに限定されない。例えば、ピラー301および302は多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に延びるらせん形状であってもよい。この例示によれば、連結部303の少なくとも一部は、多自由度力・トルクセンサー100の軸方向に実質的に垂直な方向に延びる。
【0016】
いくつかの実施例において、連結部は環状形状を有する。図2に示す連結部は環状形状である。図2に示すように、連結部303の外面は、一側が第1ピラー301の第2端301bに接続され、他側が第2ピラー302の第2端302bに接続される。図3は半環状の連結部403の断面図を概略的に示す図である。図に示すように、半環状の連結部403は、一端が第1ピラー301の第2端301bに接続され、他端が第2ピラー302の第2端302bに接続される。
【0017】
いくつかの例示において、連結部は、第1部分及び第2部分を含んでもよく、第1部分が多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に垂直な方向に延びる。図4は、この例示に係る連結部503の断面模式図を概略的に示す図である。図4に示すように、第1部分501は、多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に実質的に垂直な方向に延び、即ち図中の座標系のXY平面において延び、第2部分502a及び502bはそれぞれ第1部分501から第2ピラー302の第2端302bまで延びる。例えば、第2部分502a及び502bはそれぞれ第1部分501の両端から第2ピラー302の第2端302bまで延びる。第1ピラー301は、この第1部分501の中間に接続される。図5は、この例示に係る別の連結部603の断面模式図を概略的に示す図である。図5に示すように、第1部分は、第1サブ部分601a及び第2サブ部分601bを含み、第1サブ部分601aは第1ピラー301の第2端301bに接続され、第2サブ部分601bは第2ピラー302の第2端302bに接続される。第1サブ部分及び第2サブ部分601a、601bのそれぞれは、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に実質的に垂直な方向に延び、即ち図中の座標系のXY平面において延びる。第2部分602は、第1サブ部分601aと第2サブ部分601bとの間に接続される。図5に示す例示で、第2部分602は、第1サブ部分601aの端部及び第2サブ部分601bの端部に接続され、2つの端部は2つのサブ部分の異なる延在方向にある。実際の使用において、第2部分602は、他の位置で第1サブ部分及び第2サブ部分に接続されてもよく、第2部分602は所要の任意の適当形状として構成されることができる。
【0018】
図6は、連結部の例示を置き換え可能な断面模式図を概略的に示し、連結部がビーム形状である。図6に示すように、連結部703は、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に実質的に垂直なビーム、即ち、図中の座標系のXY平面に位置するビームである。連結部703は、一側が第1ピラー301に接続され、反対側が第2ピラー302に接続される。
【0019】
図3、4、5、および6に示す連結部は、この連結部の異なる変形を概略的に説明するために使用されるにすぎず、この連結部の正確形状および縮尺とはみなされない。
【0020】
本発明のいくつかの例示によれば、複数の弾性部材は、第1剛性プレート10及び第2剛性プレート20の縁部に配置される。一方、本発明の別のいくつかの実施例で、複数の弾性部材は、第1剛性プレート10及び第2剛性プレート20の中心に近い位置に配置されてもよい。弾性部材が剛性プレート10及び20の中心に近く配置される場合には、多自由度の力・トルクセンサー100によるトルクへの感知能力が小さく、弾性部材が剛性プレート10及び20の縁部に配置される場合には、多自由度の力・トルクセンサー100によるトルクへの感知能力が大きい。弾性部材の多自由度の力・トルクセンサー100における径方向位置を調整することにより、多自由度の力・トルクセンサー100による力・トルクへの感知能力を適当な比例に調整することができる。
【0021】
図1を参照して、複数の弾性部材30は、多自由度の力・トルクセンサー100の第1剛性プレート10及び第2剛性プレート20の縁部に配置される。複数の弾性部材30のそれぞれは、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に実質的に延びる第1ピラー301及び第2ピラー302と、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に垂直な方向に実質的に延びる連結部303とを含む。
【0022】
多自由度の力・トルクセンサー100に力が付与されると、弾性部材30は、Z方向、X方向又はy方向に変形する(図2図6を参照)。X方向及びY方向における変形によって、多自由度の力・トルクセンサー100に設けられたシグナルペアは、X方向及びY方向の力、Z軸周りのトルクを感知することができる。Z方向における変形によって、多自由度の力・トルクセンサー100のシグナルペアは、X軸及びY軸周りのトルク、及びZ方向に沿う力を感知することができる。多自由度の力・トルクセンサー100に対して異なる力・トルクの感知範囲の要求がある場合に、2つのピラー及び連結部303のZ軸における高さ、XY平面における長さ等を調整することにより、この要求を満たすことができる。
【0023】
本発明の別のいくつかの実施例によれば、連結部は、連結部の第1長さLがこの連結部の多自由度の力・トルクセンサーの軸方向における高さHよりも大きいように成形され、第1長さLが、連結部の多自由度の力・トルクセンサーの軸方向に垂直な平面での投影の長さである。図1及び図7を参照して、この多自由度の力・トルクセンサーは、第1剛性プレート10、第2剛性プレート20及び複数の弾性部材30を含み、弾性部材30は、第1剛性プレート10と第2剛性プレート20との間に接続される。複数の弾性部材30のそれぞれは、第1ピラー301と第2ピラー302を含む。第1ピラー301は、第1端301aが第1剛性プレート10に接続される。第2ピラー302は、第1端302aが第2剛性プレート20に接続される。第1ピラー301及び第2ピラー302のそれぞれは、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向、即ち、図中の座標系のXY平面に実質的に延びる。連結部803は、第1ピラー301の第2端301bと第2ピラー302の第2端302bとに接続される。本実施例によれば、連結部803の形状によって、連結部803の第1長さLが、多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向における高さHよりも大きく、第1長さLが、連結部803の多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に垂直な平面(即ち、図7中の座標系のXY平面)での投影の長さである。第1剛性プレート10と第2剛性プレート20との間に設けられた複数のシグナルペア(図示なし)は、第1剛性プレート10及び第2剛性プレート20の複数の方向における相対変位を検出するように配置される。本発明によれば、上記を図2~6に合わせて説明される連結部の形状は、図1及び図7を合わせて説明される多自由度の力・トルクセンサーにも適用可能である。第1の長さLが高さHよりも大きく確保できる限り、連結部の変形例についてはこれ以上説明しない。
【0024】
図8図7に示す連結部803の断面図を概略的に示す図である。図8に示すように、接触端3036は、連結部303の外面の一側に設けられ、他方の接触端3038は、連結部303の外面の他方側に設けられる。第1ピラー301の第2端301bは接触端3036を介して連結部303に接続される。第2ピラー302の第2端302bは接触端3038を介して連結部303に接続される。
【0025】
連結部303に相対的長い第1長さLと相対的短い高さHを具備させるのは、連結部303の大部分が多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に垂直な方向に延び、小部分が多自由度の力・トルクセンサー100の軸方向に延びるという意味である。このように、連結部303はその大部分がXY平面において延びるため生じるビーム曲げ効果によって、Z方向におけるたわみに寄与する。接続部303の前記大部分が薄く、長いほど、Z方向での剛性が低くなる。図7に示すように、X方向におけるたわみについて、連結部803は主にXY平面において回転し、連結部803とピラーとの間の接続の剛性は、回転に対する抵抗を決定する。具体的には、Y方向におけるたわみについて、連結部は(i)X軸の周りでねじれ、(ii)Z軸の周りで曲がることができる。下記、図7に示す環状連結部を例とする。この例示において、この環状連結部は、長い環状部を含み、この連結部がY方向へのビームのたわみに寄与する。環状形状がZ方向において厚く、Y方向において薄いほど(即ちXZ平面で環状形状がベルト状に類似する)、Y方向へのビーム曲げたわみ(これは、上記(i)の場合に対応する)が発生しやすくなる。この環状形状がY方向において厚く、Z方向におけて薄いほど(即ちXY平面で環状形状がベルト状に類似する)、連結部がY方向の周りでねじれたり、または座屈したりしてたわむこと(上記(ii)の場合に対応する)が発生しやすくなる。
【0026】
また、上記の各例示において、弾性部材を第1剛性プレート及び第2剛性プレートの縁部に設けても良い。これは、センサーからトルクへの抵抗の低減、トルクに対する感知範囲の増大に寄与する。簡単に言えば、弾性部材の位置は、多自由度の力・トルクセンサーの剛性と感知範囲に影響を与える可能性がある。弾性部材を多自由度力・トルクセンサーの中心位置に向けて配置した場合に、Z軸における剛性と感知範囲には影響しないが、X軸及びY軸の周りのトルク性能は、トルクアームが短くなるため低減する。この原理は、X、Y方向における力及びZ軸回りのトルクにも適用する。
【0027】
多自由度の力・トルクセンサーに加えられた外力およびトルクは、弾性部材における局所的な垂直方向の力および水平方向の力に変換されることができると理解できる。したがって、第1ピラー、第2ピラーおよび連結部の形状、ならびにそれらの間の相互接続は、それらの局所的な力に適応するように調整することができる。
【0028】
上記各実施例及び例示において、シグナルペアは、例えば第1剛性プレート10と第2剛性プレート20との間に配置され、弾性部材30と平行に配置されることができる。シグナルペアのそれぞれは、信号発信機及び信号受信機を含む。一例として、6つの信号チャネルが設置されると、それらのうちの3つのチャンネルが弾性部材30の相対水平変位を感知するように配置され、他の3つのチャンネルが弾性部材30の相対垂直変位を感知するように配置されてもよい。よって、感知された情報からX、Y、Z方向におけるセンサーに加わる力、及びX、Y、Z軸周りのトルクを算出することができる。センサーにシグナルペアを取り付ける方法は、上述の機能が実現できる限り、センサーの実際の構造に基づいて当業者によって決められることを理解できる。センサーにシグナルペアを取り付ける方法及び位置は、本明細書の開示に限定されない。
【0029】
図9は本発明の一実施例に係る多自由度の力・トルクセンサー200の斜視図である。図に示すように、センサー200は、第1剛性プレート11、第2剛性プレート22及び6つの弾性部材33を含む。6つの弾性部材33は、第1剛性プレート11と第2剛性プレート22との間に位置する。具体的には、6つの弾性部材33は、第1剛性プレート11及び第2剛性プレート22の外縁に位置し、同時に、弾性部材33は、それぞれ第1剛性プレート11及び第2剛性プレート22に接続される。弾性部材33として、上記に図面を合わせて説明された各弾性部材を採用することができる。簡潔にするために、弾性部材の形状についてはこれ以上説明しない。図9に示す例示によれば、第1剛性プレート11と第2剛性プレート22との間にはシグナルペアが設けられ、シグナルペアの一部が弾性部材33の局所的な水平変位の感知に用いられ、シグナルペアの他の一部が弾性部材33の局所的な垂直変位の感知に用いられる。弾性部材33の数は6つに限定されない。実際には、6つ以上または6つ未満の弾性部材を使用することができる。
【0030】
図10は本発明の実施例に係る多自由度の力・トルクセンサーを含む例示的なロボット900を示す図である。図10に示すように、複数のリンク901及びエンドエフェクタ902は連続して接続される。エンドエフェクタ902は、エンドエフェクタ902に加えられた外力及びトルクを検出するための多自由度の力・トルクセンサーを含む。ここで、多自由度の力・トルクセンサーとしては、上記に各例示を合わせて説明された多自由度の力・トルクセンサー、例えば多自由度の力・トルクセンサー100又は200を採用することができる。別のいくつかの実施例において、ロボット900の他の部材に上記多自由度の力・トルクセンサーを設置することもできる。例えば、多自由度の力・トルクセンサーは、ロボット900の関節アクチュエータ(ラベル付けされていない)に設置することができる。
【0031】
以上前述した実施例は本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その説明が具体的且つ詳細であるが、これによって発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。指摘すべきこととして、当業者にとって、本発明の構想から逸脱することなく、さらにいくつかの変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本発明の保護範囲に属する。したがって、本発明特許の保護範囲は添付する特許請求の範囲を基準とすべきである。
【符号の説明】
【0032】
10、11 第1剛性プレート
20、22 第2剛性プレート
30、33 弾性部材
100、200 力・トルクセンサー
301 第1ピラー
301a 第1端
301b 第2端
302 第2ピラー
302a 第1端
302b 第2端
303 接続部
403 連結部
501 第1部分
502a 第2部分
502b 第2部分
503 連結部
601a 第1サブ部分
601b 第2サブ部分
602 第2部分
603、703、803 連結部
900 ロボット
901 リンク
902 エンドエフェクタ
3036、3038 接触端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】