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特表2023-534077薬草組成物、その製造方法、およびそれを投与することによるウイルス感染の予防または治療方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】薬草組成物、その製造方法、およびそれを投与することによるウイルス感染の予防または治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/48 20060101AFI20230731BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/282 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/8968 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/78 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/484 20060101ALI20230731BHJP
   A61K 36/535 20060101ALI20230731BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230731BHJP
【FI】
A61K36/48
A61P31/12
A61K36/53
A61K36/282
A61K36/28
A61K36/8968
A61K36/78
A61K36/484
A61K36/535
A61P43/00 121
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517644
(86)(22)【出願日】2021-12-10
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 MY2021050118
(87)【国際公開番号】W WO2022131903
(87)【国際公開日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】63/124,939
(32)【優先日】2020-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522468261
【氏名又は名称】協力志業股分有限公司
【氏名又は名称原語表記】XIE LI PRODUCTS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】1F., No. 19, Aly. 7, Ln.217, Sec. 3, Zhongxiao E. Rd. , Da’an Dist., Taipei City, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100137626
【弁理士】
【氏名又は名称】田代 玄
(72)【発明者】
【氏名】釋 證嚴
(72)【発明者】
【氏名】林 碧玉
(72)【発明者】
【氏名】林 欣榮
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 志揚
(72)【発明者】
【氏名】何 宗融
(72)【発明者】
【氏名】江 建儀
(72)【発明者】
【氏名】林 佑融
(72)【発明者】
【氏名】徐 布
(72)【発明者】
【氏名】林 慧玲
【テーマコード(参考)】
4C088
【Fターム(参考)】
4C088AB26
4C088AB29
4C088AB38
4C088AB60
4C088AB62
4C088AB85
4C088AC05
4C088AC11
4C088BA08
4C088CA05
4C088CA06
4C088MA07
4C088NA14
4C088ZB33
4C088ZC75
(57)【要約】
ヨモギ(Artemisia argyi)、オウィア・カウダータ(Ohwia caudata)、アニソメレスインディカ(Anisomeles indica (L.) O. Ktze.)、ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)、ドクダミ(Houttuynia cordata)、キキョウ(Platycodon grandiflorus)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)、エゴマ(Perilla frutescens)及びキク(chrysanthemum)の少なくとも1つを含む薬草原料の抽出物を含む薬草組成物が提供される。また、薬草組成物を製造する方法、および薬草組成物の有効量を、それを必要とする対象に投与することによってウイルス感染を予防または治療する方法も提供される。
【選択図】図1C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬草原料からの抽出物および薬学的に許容される担体を含むウイルス感染を予防または治療するための薬草組成物であって、前記薬草原料がオウィア・カウダータ(Ohwia caudata)およびアニソメレスインディカ(Anisomeles indica (L.) O. Ktze.)の少なくとも1つを含む、薬草組成物。
【請求項2】
前記オウィア・カウダータは、オウィア・カウダータの根、オウィア・カウダータの葉、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の薬草組成物。
【請求項3】
前記薬草原料は、ヨモギ(Artemisia argyi)、ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)、ドクダミ(Houttuynia cordata)、キキョウ(Platycodon grandiflorus)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)、エゴマ(Perilla frutescens)、及びキク(chrysanthemum)のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の薬草組成物。
【請求項4】
前記薬草原料からの抽出物は、水抽出物またはエタノール抽出物である、請求項3に記載の薬草組成物。
【請求項5】
前記薬草原料は、その総重量に基づき、18重量%~25重量%のオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ18重量%~25重量%のヨモギ、10重量%~17重量%のジャノヒゲ、10重量%~17重量%のドクダミ、10重量%~17重量%のキキョウ、4重量%~11重量%のカンゾウ、4重量%~11重量%のエゴマ、および0.4重量%~11重量%のキクの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の薬草組成物。
【請求項6】
前記薬草原料は、5g~7gのオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ5g~7gのヨモギ、3g~5gのジャノヒゲ、3g~5gのドクダミ、3g~5gのキキョウ、1g~3gのカンゾウ、1g~3gのエゴマ、および0.1g~3gのキクの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の薬草組成物。
【請求項7】
オウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含む薬草原料を提供すること、当該薬草原料を水及びエタノールの少なくとも一方を含む抽出液で抽出して粗抽出物を得ること、および当該粗抽出物から固体を除去して液体部分を得ることを含む、請求項1に記載の薬草組成物を製造する方法。
【請求項8】
前記薬草原料は、ヨモギ、ジャノヒゲ、ドクダミ、キキョウ、カンゾウ、エゴマ、及びキクの少なくとも1つをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出は、前記薬草原料を前記抽出液中で少なくとも5分間煮沸することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出は、前記薬草原料をその沸点より低い温度の抽出液に少なくとも10分間浸漬することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記薬草原料と前記抽出液の重量比が2:1~30:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記液体部分を濃縮して前記薬草原料の濃縮抽出物を得ることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の薬草組成物の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む、対象におけるウイルス感染を予防または治療するための方法。
【請求項14】
前記ウイルス感染はコロナウイルスによって引き起こされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、SARS-CoV-2、マウス肝炎ウイルス(MHV)、または豚流行性下痢ウイルス(PEDV)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記コロナウイルスはSARS-CoV-2の変異体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記薬草組成物中の前記薬草原料からの抽出物は、約25mg/kg/日~約2500mg/kg/日の有効量で前記対象に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記薬草組成物中の前記薬草原料からの前記抽出物は、約50mg/kg/日~約500mg/kg/日の有効量で前記対象に投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記薬草組成物は、ウイルスのスパイクタンパク質とアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体との結合を阻害する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記薬草組成物は、3CLプロテアーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)、膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TRΜMSS2)、およびFK506結合タンパク質5(FKBP5)のうちの少なくとも1つの発現を抑制する、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬草組成物に関し、特にウイルス感染を予防または治療するための薬草組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ウイルス感染は動物やヒトの重大な疾病として確立され、現在も続いている。コロナウイルス(CoV)は、一般的な風邪からより深刻な病気に至るまでの病気を引き起こす可能性のあるウイルスの大きなファミリーである。例えば、ヒトコロナウイルス株であるCoV-229E、CoV-OC43、CoV-NL63、およびCoV-HKU1に感染すると、通常、鼻水、くしゃみ、頭痛、咳、喉の痛み、発熱などの一般的な風邪など、軽度の自己制限的な上気道感染症を引き起こす。他の感染症は、より深刻な疾患を引き起こす可能性があり、例えば、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)などは、重症急性呼吸器症候群、腎不全、そして死亡を引き起こし、かつ世界的な公衆衛生上の緊急事態を引き起こす。特に、SARS-CoV-2によるコロナウイルス感染症2019(COVID-19)は、世界中で1億9400万人以上が感染し、4,160,000人以上が死亡した。
【0003】
これまでのところ、命を救うための最速の治療法は、もともとCOVID-19の他の疾患を標的としていた既存のFDA承認薬の転用である。ただし、ほとんどの抗ウイルス薬は、吐き気、下痢、めまい、発熱などの深刻な副作用を引き起こし、また、対象のコロナウイルス感染を治療または予防するために、利用できるまたは効果的であることが証明された特定の抗ウイルス治療法はまだない。
【0004】
したがって、コロナウイルス感染を予防または治療するための効果的かつ安全な治療法を提供するという、満たされていないニーズが存在する。
【発明の概要】
【0005】
上記を考慮して、本開示は、コロナウイルススパイク(S)タンパク質と宿主細胞表面のACE2との間の相互作用を阻害し、ウイルスの侵入および複製に必要なタンパク質の発現を抑制し、それによってウイルス感染から宿主を保護することができる薬草組成物を提供する。
【0006】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物は、薬草原料からの抽出物および薬学的に許容されるその担体を含み、前記薬草原料は、オウィア・カウダータ(Ohwia calldata)とアニソメレスインディカ(Anisomeles indica (L.) O. Ktze.)の少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、オウィア・カウダータは、オウィア・カウダータの根、オウィア・カウダータの葉、またはそれらの組み合わせである。
【0007】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物は、オウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつヨモギ(Artemisia argyi)、ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)、ドクダミ(Houttuynia cordata)、キキョウ(Platycodon grandiflorus)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)、エゴマ(Perilla frutescens)、及びキク(chrysanthemum)の少なくとも1つを含む薬草原料の抽出物を含む。いくつかの実施形態において、前記薬草組成物は、オウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつヨモギ、ジャノヒゲ、ドクダミ、キキョウ、カンゾウ、エゴマ、及びキクを含む薬草原料の抽出物を含む。いくつかの実施形態において、前記薬草原料からの抽出物は、水抽出物またはエタノール抽出物である。
【0008】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物は、その総重量に基づき、18重量%~25重量%のオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ18重量%~25重量%のヨモギ、10重量%~17重量%のジャノヒゲ、10重量%~17重量%のドクダミ、10重量%~17重量%のキキョウ、4重量%~11重量%のカンゾウ、4重量%~11重量%のエゴマ(、および0.4重量%~11重量%のキクの少なくとも1つを含む薬草原料からの抽出物を含む。
【0009】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物は、前記薬草原料を提供すること、前記薬草原料を、水、エタノール、またはそれらの組み合わせを含む抽出液で抽出して粗抽出物を得えること、および前記粗抽出物から固体を除去して液体部分を得ることを含む方法によって製造される。
【0010】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物を製造する方法は、前記薬草原料を粉末または小片に粉砕することをさらに含む。
【0011】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草原料を抽出することは、前記薬草原料を抽出液中で少なくとも5分間、例えば5分から2時間煮沸すること、および/または前記薬草原料をその沸点より低い温度の抽出液に少なくとも10分間、例えば10分間から1時間浸漬することを含む。いくつかの実施形態において、前記薬草原料と前記抽出液との重量比は、2:1~30:1であり、例えば、2:1、3:1、5:1、8:1、10:1、15:1、20:1、25:1および30:1である。
【0012】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物を製造する方法は、液体部分を濃縮して濃縮抽出物を得ることをさらに含む。
【0013】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、それを必要とする対象におけるウイルス感染を予防または治療するための方法が提供される。前記方法は、前記薬草組成物の少なくとも1つの有効量を対象に投与することを含む。
【0014】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記ウイルス感染はコロナウイルスによって引き起こされる。いくつの実施形態において、前記コロナウイルスは、SARS-CoV、MERS-CoV、SARS-CoV-2、マウス肝炎ウイルス(MHV)、または豚流行性下痢ウイルス(PEDV)である。いくつの実施形態において、前記コロナウイルスは、SARS-CoV-2の変異体であり、例えば、D614G変異株、B.1.1.7(α)変異株、B.1.351(β)変異株、およびP1変異株である。
【0015】
本開示の少なくとも1つの実施形態において、前記薬草組成物中の薬草原料からの抽出物は、約25mg/kg/日~約2,500mg/kg/日、例えば、約30mg/kg/日~約1,000mg/kg/日、および約50mg/kg/日~約500mg/kg/日の有効量で前記対象に投与される。
【0016】
本開示において、抗ウイルス剤として本開示で提供される薬草組成物は、ウイルス複製を阻害し、宿主細胞中のウイルスの量を減少させることができる。さらに、本開示で提供される薬草組成物は安全であり、先行技術における副作用の問題を解決することができる。したがって、本開示は、ウイルス感染に対する有効な戦略を提供し、これはコロナウイルスの発生を制御するのに有用である。
【0017】
本開示は添付の図面を参照しながら、以下の実施形態の説明を読むことにより、より完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1A-G】本開示の薬草組成物で阻害されたウイルススパイクタンパク質のACE2受容体への結合活性の棒グラフを示す。Ctrl.:無治療群。Ctrl.1:20mg/mLのアルビドール。Ctrl.2:複合処方。Ctrl.3:連花清瘟カプセル。Ctrl.4:オリーブ葉エキス。Ctrl.5:エルダーベリーエキス。Ctrl.6:台湾花蓮慈済病院の漢方製剤。Exp.1~Exp.6:本開示の薬草組成物。
図2A-C】本開示の薬草組成物で治療されたCTX、H9c2、およびHFL-1の細胞生存率の棒グラフをそれぞれ示す。Ctrl.:無治療群。*:p値<0.05。**:p値<0.01。
図3A-D】本開示の薬草組成物で治療されたマウスにおける血液パラメータの棒グラフを示す。図3Aは、血液中のクレアチンホスホキナーゼ(CPK)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(GOT)、およびアラニントランスアミナーゼ(GPT)のレベルを示す。図3B~3Dは、血中のクレアチニン(CRE)、総ビリルビン(T-Bil)、およびグルコース(Glu)のレベルをそれぞれ示す。Ctrl.:無治療群。Exp.1:本開示の薬草組成物。
図4A-B】ウエスタンブロッティングで解析した膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TRΜMSS2)の発現を示す。Ctrl.:無治療群。Ctrl.1:20mg/mLのアルビドール。Ctrl.2:複合処方。Ctrl.3:連花清瘟カプセル。Exp.1:本開示の薬草組成物。L:低用量、50μg/mL。H:高用量、150μg/mL。
図5A-B】ウエスタンブロッティングで解析されたFK506結合タンパク質51(FKBP51)の発現を示す。Ctrl.:無治療群。Ctrl.2:複合処方。Ctrl.3:連花清瘟カプセル。Exp.1:本開示の薬草組成物。L:低用量、50μg/mL。H:高用量、150μg/mL。
図6】本開示の薬草組成物(Exp.1)で阻害された3CLプロテアーゼの活性の棒グラフを示す。*:p値<0.05。**:p値<0.01。***:p値<0.001。
図7】本開示の薬草組成物(Exp.1)で阻害されたRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の活性の棒グラフを示す。*:p値<0.05。**:p値<0.01。***:p値<0.001。
図8A-B】Caco-2細胞およびCalu-3細胞におけるSARS-CoV-2の野生型、D614G変異体、B.1.1.7変異体、およびB.1.1351変異体の感染に対する本開示の薬草組成物の阻害効果をそれぞれ示す。Ctrl.:無治療群。Exp.7~Exp.9:本開示の薬草組成物。
図9A-D】マウスにおけるSARS-CoV-2の野生型(図9A)、D614G変異体(図9B)、B.1.1.7変異体(図9C)、およびB.1.1351変異体(図9D)の感染に対する本開示の薬草組成物の阻害効果を示す。Ctrl.:無治療群。Ctrl.7:ウイルス治療のみ。Exp.1-L:低用量の本開示の薬草組成物。Exp.1-H:高用量の本開示の薬草組成物。
図10A】Caco-2細胞におけるSARS-CoV-2のB.1.1.7変異体の感染に対する本開示の異なる実施形態に係る薬草組成物の阻害効果を示す。Ctrl.:無治療群。Exp.1、Exp.10、およびExp.11:本開示の薬草組成物。
図10B】マウスにおけるSARS-CoV-2のP1変異体の感染に対する本開示の異なる実施形態に係る薬草組成物の阻害効果を示す。Ctrl.:無治療群。Ctrl.7:ウイルス治療のみ。Exp.1およびExp.10:本開示の薬草組成物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施例に示される技術的解決法をより明確かつ完全に説明するが、説明される実施例は本開示の実施例の一部にすぎず、網羅的であることを意図していないことは明らかである。また、本開示は異なる実施例に記載されているように実施または適用することができる。当業者による創造的な作業なしに得られる他のすべての実施例は、本開示の範囲内にある。
【0020】
さらに、本開示で使用される場合、単数形「一つ(a)」、「一つ(an)」、および「当該(the)」は、明示的かつ明確に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含む。用語「または」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、用語「および/または」と交換可能に使用される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「含む(comprising)」または「含む(comprises)」は、本開示に含まれる組成物、方法、およびそれらのそれぞれの構成要素に関して使用されるが、必須かどうかを問わず、不特定の要素またはステップを含むことを許容すると示す。
【0022】
本開示は、薬草組成物、薬草組成物の製造方法、および薬草組成物の使用でそれを必要とする対象におけるウイルス感染の予防または治療方法に関する。
【0023】
少なくとも1つの実施形態において、本開示の方法で治療されるウイルス感染は、コロナウイルス(CoV)によって引き起こされてもよい。
【0024】
CoVの構造タンパク質はヌクレオキャプシド(N)、スモールエンベロープ(E)、マトリックス(M)、および三量体スパイク(S)糖タンパク質を含んでおり、これらは感染時にウイルスのライフサイクルを完了するためにビリオンのアセンブリと機能に不可欠である。いくつかの実施形態において、本開示のウイルス感染を予防または治療するための方法は、それを必要とする対象に薬草組成物を投与することを含み、コロナウイルスSタンパク質とアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体との相互作用を遮断し、かつ宿主へのコロナウイルスの侵入および/または複製に必要なタンパク質の発現を抑制し得ることにより、ウイルス感染にかかるリスクや病気の進行を悪化させるリスクに影響を与える。したがって、本開示の薬草組成物は、抗ウイルス活性を有することができ、ウイルス感染を効果的に予防または治療するのに有用である。
【0025】
本明細書で使用する場合、用語「予防する(preventing)」または「予防(prevention)」は、疾患または疾患の症状もしくは状態を予防または回避する手段を指し、これには、疾患または疾患の症状もしくは状態に苦しんでいる患者としてまだ診断されていないが、疾患にかかりやすいまたはかかりやすい可能性がある対象への1つまたは複数の活性剤を適用または投与することが含まれるが、これらに限定されない。本開示の予防手段は、疾患または疾患の症状もしくは状態の発生を回避、予防、または延期するために提供される。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、所望の薬理学的および/または生理学的効果、例えば、宿主におけるウイルス侵入および/または複製の阻害を得ることを指す。その効果は、疾患またはその症状もしくは状態を完全または部分的に予防するという点で予防的なものであってもよいし、疾患や疾患またはその疾患もしくは状態に起因する悪影響を完全または部分的に治癒、緩和、軽減、修復、または改善するという点で治療的なものであってもよい。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「患者」および「対象」は、交換可能に使用される。用語「対象」は、ヒトまたは動物を意味する。対象の例としては、ヒト、サル、マウス、ラット、ウッドチャック、フェレット、ウサギ、ハムスター、ウシ、ウマ、ブタ、シカ、イヌ、ネコ、キツネ、オオカミ、ニワトリ、エミュー(emu)、ダチョウおよび魚を含むが、これらに限らない。本開示のいくつかの実施形態において、対象は哺乳動物、例えばヒトなどの霊長類である。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、それを必要とする対象に所望の予防効果または治療効果を付与する(例えば、宿主中のウイルスの量を減少させる)ために必要とされる活性剤の量を指す。当業者によって認識されるように、有効用量は、投与経路、賦形剤の使用、他の治療処置との同時使用の可能性、および治療される状態に応じて変化されてもよい。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「投与する(administering)」または「投与(administration)」は、活性剤を所望の部位に少なくとも部分的に局在化させて所望の効果を生み出すために、方法または経路による対象への活性剤の配置を指す。本明細書に記載の活性剤は、当技術分野で知られている任意の適切な経路によって投与することができる。例えば、本開示の薬草組成物は、経口投与で対象に投与される。
【0030】
少なくとも1つの実施形態において、本開示の薬草組成物は、薬草原料からの抽出物および薬学的に許容されるその担体を含み、当該薬草原料は、オウィア・カウダータおよびアニソメレスインディカの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、薬草原料は、ヨモギ、ジャノヒゲ、ドクダミ、キキョウ、カンゾウ、エゴマ、キク、またはそれらの任意の組み合わせをさらに含む。
【0031】
少なくとも1つの実施形態において、前記薬草原料は、当該薬草原料の総重量に基づき、18重量%~25重量%(例えば、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、および25重量%)のオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ、18重量%~25重量%(例えば、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%、および25重量%)のヨモギ、10重量%~17重量%(例えば、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、および17重量%)のジャノヒゲ、10重量%~17重量%(例えば、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、および17重量%)のドクダミ、10重量%~17重量%のキキョウ、4重量%~11重量%(例えば、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、および11重量%)のカンゾウ、4重量%~11重量%(例えば、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、および11重量%)のエゴマ、および0.4重量%~11重量%(例えば、0.4重量%、0.6重量%、0.8重量%、1重量%、3重量%、5重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、および11重量%)のキクを含む。
【0032】
少なくとも1つの実施形態において、前記薬草原料は約20g~約80gの範囲に5g~7gのオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ、5g~7gのヨモギ、3g~5gのジャノヒゲ、3g~5gのドクダミ、3g~5gのキキョウ、1g~3gのカンゾウ、1g~3gのエゴマ、および0.1g~3gのキクを含む。いくつかの実施形態において、薬草原料は約20g~約70g、約20g~約60g、約20g~約50g、または約20g~約40gの範囲に含んでもよい。
【0033】
少なくとも1つの実施形態において、薬草組成物中の薬学的に許容される担体は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、流動促進剤、界面活性剤、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。組成物中の担体は、組成物の活性剤と適合し(例えば、活性剤を安定化することができる)、投与される対象に有害でないという意味で「許容可能」である。活性成分を送達するための医薬賦形剤として、1つまたは複数の可溶化剤を利用することができる。他の担体の例には、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、およびラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。いくつかの実施形態において、薬草組成物は、水、エタノール、マルトデキストリン、結晶セルロース、およびそれらの任意の組み合わせから選択される薬学的に許容される担体を含む。
【0034】
本開示を説明するために多くの実施例が使用される。以下の実施例は、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0035】
実施例
本開示のより詳細な説明のために、薬草組成物、製造方法、および組成物の使用が提供され、以下の実施例を参照して詳細に説明される。本開示で使用されるが、本明細書で注釈が付けられていない材料は、市販されている。
【0036】
製造実施例1-1
6gのヨモギ、6gのオウィア・カウダータ、4gのジャノヒゲ、4gのドクダミ、4gのキキョウ、2gのカンゾウ、2gのエゴマ、および0.2gのキクを採取し、粉末または小片に砕いた。600mLの水を加えてすべての薬草材料を混合した後、混合物を5~10分間煮沸した。濾過(定性濾紙1号、東洋アドバンテック)で550mLの濾液を取得し、0.22μm無菌シリンジフィルターで濾過することにより、薬草茶を得た。乾燥後、得られた薬草茶中の薬草材料の抽出物の含有量を測定したところ、約20~40mg/mLであった。
【0037】
製造実施例1-2
6gのヨモギ、6gのオウィア・カウダータ、4gのジャノヒゲ、4gのドクダミ、4gのキキョウ、2gのカンゾウ、2gのエゴマ、および0.2gのキクを採取し、粉末または小片に砕いた。600mLの水を加えてすべての薬草材料を混合した後、混合物を約60mLまで煮詰めた。濾過(定性濾紙1号、東洋アドバンテック)で濾液を取得し、0.22μm滅菌シリンジフィルターで濾過することにより、薬草茶濃縮物を得た。乾燥後、得られた薬草茶濃縮物中の薬草材料の抽出物の含有量を測定したところ、約150~200mg/mLであった。
【0038】
製造実施例2
20重量%のヨモギ、20重量%のオウィア・カウダータ、13.33重量%のジャノヒゲ、13.33重量%のドクダミ、13.33重量%のキキョウ、6.67重量%のカンゾウ、6.67重量%のエゴマ、および6.67重量%のキクを採取し、薬草材料の総重量は約14gであった。その薬草材料を小片に砕いてティーバッグに詰めた。ティーバッグを300mLの熱湯(100℃前後)に15~20分間浸漬し、薬草茶を得た。
【0039】
製造実施例3
20重量%のヨモギ、20重量%のオウィア・カウダータ、13.33重量%のジャノヒゲ、13.33重量%のドクダミ、13.33重量%のキキョウ、6.67重量%のカンゾウ、6.67重量%のエゴマ、および6.67重量%のキクを採取し、薬草材料の総重量は約28gであった。その薬草材料を小片に砕いてティーバッグに詰めた。ティーバッグを600mLの37%アルコールに30分間浸漬して、5~10分間煮沸することにより、エタノール抽出物を得た。
【0040】
製造実施例4
6gのヨモギ、6gのオウィア・カウダータ、4gのジャノヒゲ、4gのドクダミ、4gのキキョウ、2gのカンゾウ、2gのエゴマ、および0.2gのキクを採取し、粉末または小片に砕いた。600mLの水を加えてすべての薬草材料を混合した後、混合物を60分間煮沸した。濾過(定性濾紙1号、東洋アドバンテック)で濾液を取得し、0.22μm滅菌シリンジフィルターで濾過した後、煮沸かつ濃縮することにより水抽出物(30mL、約5g)を得た。
【0041】
製造実施例5
6gのヨモギ、6gのオウィア・カウダータ、4gのジャノヒゲ、4gのドクダミ、4gのキキョウ、2gのカンゾウ、2gのエゴマ、および0.2gのキクを採取し、粉末または小片に砕いた。225.6mLの水(薬草材料の総重量の8倍)を加えてすべての薬草材料を混合した後、混合物を60分間煮沸し、次いで濾過で第1濾液を得た。残留物に水141.0mL(薬草材料の総重量の5倍)を加え、さらに60分間煮沸後、濾過で第2濾液を得た。第1濾液と第2濾液を合わせて、0.22μm滅菌シリンジフィルターで濾過した後、煮沸かつ濃縮することにより水抽出物(36.66mL、約5g)を得た。
【0042】
製造実施例6
本実施例では、製造実施例4または5で使用したオウィア・カウダータの葉を、本実施例で使用したオウィア・カウダータの根に置き換えた以外、製造実施例4または5に記載の方法により水抽出物を製造した。
【0043】
製造実施例7
本実施例では、オウィア・カウダータをアニソメレスインディカに置き換えた以外、製造実施例4または5に記載の方法により水抽出物を製造した。
【0044】
製造実施例8
本実施例では、使用した薬草原料は、6gのヨモギのみであること以外、製造実施例4または5に記載の方法によりヨモギの水抽出物を製造した。
【0045】
製造実施例9
本実施例では、使用した薬草原料は、6gのオウィア・カウダータのみであること以外、製造実施例4または5に記載の方法によりオウィア・カウダータの水抽出物を製造した。
【0046】
薬理実施例1:材料および方法
コロナウイルス感染の予防または治療のための本開示で提供される薬草組成物の治療効果は、以下の薬理実施例2~7で決定された。試験されるサンプルは製造実施例1~9から得られ、対照群としての比較サンプルは次のように表列された。
【0047】
対照群(Ctrl.):無治療群。
対照群1(Ctrl.1):一部のエンベロープおよび非エンベロープウイルスに使用されるロシア製の広域スペクトル抗ウイルス薬であって、ウミフェノビルとしても知られるアルビドール。
対照群2(Ctrl.2):ラクトフェリン、コロイド銀、オリーブ葉エキス、およびエルダーベリーを含む、複合処方。
対照群3(Ctrl.3):インフルエンザの治療に使用される伝統的な漢方製剤であって、レンギョウ(Forsythia suspensa)、ロニセラ・ジャポニカ(Lonicera japonica)、エフェドラ・シニカ(Ephedra sinica)、ビター・アーモンド(bitter almond)、石膏、インディゴティカ(Isatis indigotica)の根、オシダ(Dryopteris crassirhizoma)、ドクダミ、パチョリ(Pogostemon cablin)、ルバーブ(rhubarb)、イワベンケイ(Rhodiola rosea)、メントールおよびカンゾウを含む、連花清瘟カプセル。
対照群4(Ctrl.4):オリーブの葉の抽出物。
対照群5(Ctrl.5):エルダーベリーの抽出物。
対照群6(Ctrl.6:-ジャノヒゲ、ドクダミ、キキョウ、キク、カンゾウ、およびエゴマを含む、花蓮慈済病院(台湾)からの漢方製剤。
【0048】
さらに、これらの実施例で使用された実験方法は、以下のように記載された。
(1)アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体へのウイルススパイクタンパク質結合の阻害アッセイ
製造元の指示に従って、COVID-19スパイク-ACE2結合アッセイキットII(RayBiotech)を使用することにより、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のヒトACE2受容体への結合を阻害する試験サンプルの効果を測定した。
【0049】
簡単に言うと、すべての試薬は使用前に室温(約18℃~25℃)に戻した。次に、各試験サンプル100μLを取り外し可能な8ウェルストリップのウェルに加え、プレートシーリングフィルムで覆い、室温で2.5時間、または4℃で一晩、穏やかに振盪しながらインキュベートした。その後、ウェル内の溶液を捨て、各ウェルを1×洗浄液で4回洗浄した。さらに、マルチチャンネルピペットまたはオートウォッシャーを使用して、各ウェルを1×洗浄バーファー(300μL)を充填し、洗浄した。最後の洗浄後、残りの1x洗浄緩衝液を吸引またはデカントによって除去し、100μLの1xマウス二次西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)結合IgGを各ウェルに加え、穏やかに振盪しながら室温で1時間インキュベートした。その後、ウェル内の溶液を捨て、上記と同様に各ウェルを洗浄した。その後、100μLの3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン(TMB)ワンステップ基質試薬(One-Step Substrate Reagent)を各ウェルに加え、室温、暗所で穏やかに振盪しながら30分間インキュベートした。最後に、50μLの停止溶液を各ウェルに加え、450nmでの吸光度をすぐに読み取った。
【0050】
(2)ウイルスの3C様(3CL)プロテアーゼの阻害アッセイ
製造元の指示に従って、SensoLyteSARS-CoV-23CLプロテアーゼ活性アッセイキット(蛍光)を使用することにより、試験サンプルがSARS-CoV-2の3CLプロテアーゼを阻害して、ヒト細胞でのウイルス複製を抑制する効果を測定した。
【0051】
簡単に言うと、まずワーキング溶液を用意した。具体的には、1×アッセイ緩衝液は、10mLの脱イオン水に10mLの2×アッセイ緩衝液を添加することによって調製した。3CLプロテアーゼ基質溶液は、3CLプロテアーゼ基質をアッセイ緩衝液で100倍に希釈して調製した。3CLプロテアーゼ希釈液は、3CLプロテアーゼをアッセイ緩衝液で80倍に希釈して調製した。阻害剤(GC376)希釈剤は、10μmの阻害剤溶液をアッセイ緩衝液で100倍に希釈して調製した。
【0052】
次に、酵素反応のために、マイクロプレートのウェルに試験サンプルを10μL/ウェル、3CLプロテアーゼ希釈液を40μL/ウェルでそれぞれ添加した。同時に、次の対照群ウェルを設定した。試験サンプルを含まないが3CLプロテアーゼを含むポジティブ対照群、3CLプロテアーゼおよび阻害剤GC376を含む阻害剤対照群、3CLプロテアーゼおよび試験サンプルの送達に使用されるビヒクルを含むビヒクル対照群(濃度が1%を超えないジメチルスルホキシド(DMSO)など)、アッセイ緩衝液と試験サンプルを含む試験サンプル対照群、およびアッセイ緩衝液を含む基質対照群。すべての対照群の総容量は、アッセイ緩衝液を使用して50μLになった。
【0053】
続いて、3CLプロテアーゼ基質溶液50μLを各ウェルに添加し、カイネティックリーディングまたはエンドポイントリーディングにより蛍光シグナルを測定した。カイネティックリーディングのために、蛍光強度を励起/発光(Ex/Em)=490nm/520nmで連続的に測定し、データを5分ごとに30~60分間記録した。エンドポイントリーディングのために、反応溶液を37℃で30~60分間インキュベートし、直射光を避けた後、蛍光強度をEx/Em=490nm/520nmで測定した。
【0054】
(3)ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)の阻害アッセイ
製造元の指示に従って、SARS-CoV-2RNAポリメラーゼ(RdRp)アッセイキット(ProFoldin)を使用することにより、試験サンプルがSARS-CoV-2のRNAポリメラーゼを阻害して、ヒト細胞でのウイルス複製に抵抗する効果を測定した。
【0055】
簡単に言うと、SARS-CoV2RdRpアッセイは96ウェルプレートフォーマットで実施された。まず、DMSO中の試験サンプル1μLを96ウェルアッセイプレートの各ウェルに添加した。さらに、41μLのH2O、5μLの10x緩衝液、1μLの50xテンプレート、および1μLの50xRdRpを添加し、5分間インキュベートした。その後、1μLの50×NTPを添加し、さらに34℃で60~120分間インキュベートした。反応後、1×蛍光色素溶液150μLをインキュベートした反応混合物に添加し、蛍光強度を450nmで5分間測定した。
【0056】
(4)膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TRΜMSS2)およびFK506結合タンパク質51(FKBP51)の阻害アッセイ
試験サンプルが宿主細胞へのSARS-CoV-2の付着および浸潤に抵抗するためのTRΜMSS2の阻害、およびストレス応答に抵抗するためのFKBP51の減少に対する効果は、4xl05Caco-2細胞を10cmのペトリディッシュで24時間培養し、50μg/mL(低用量)または150μg/mL(高用量)の濃度で試験サンプルを添加し、12時間後に細胞を回収し、TRΜMSS2およびFKBP51のレベルをウエスタンブロッティングで分析することによって測定した。
【0057】
(5)SARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスのアッセイ
SARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスは、中央研究院(台湾)のRNAiコアによって提供された。これは、ゲノムに緑色蛍光タンパク質遺伝子またはルシフェラーゼ遺伝子を持ち、その表面エンベロープにSARS-CoV-2スパイクタンパク質を発現するレンチウイルスである。試験サンプルが生体外でのSARS-CoV-2感染の予防に対する効果を測定するために、ヒト腸管上皮細胞株Caco-2およびヒト肺細胞株Calu-3を12時間培養し、そして10μg/mLまたは30μg/mLの試験サンプルを24時間共培養した。その後、培養細胞にSARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスの野生型、D614G変異体、α変異体(B.1.1.7)、またはβ変異体(B.1.351)を感染させた。24時間後、感染細胞を蛍光顕微鏡で観察した。
【0058】
一方、生体内アッセイのために、SKH2/Jマウスは連続7日胃管栄養法(16.22mgまたは48.66mg/0.3mL/マウス/日)により試験サンプルで治療した。4日目から6日目に、マウスにAerogenSoloネブライザー(10μLの1.2×106粒子/マウス/日)を用いてシュードタイプレンチウイルスを鼻腔内送達によりSARS-CoV-2の野生型、D614G変異体、α変異体(B.1.1.7)、β変異体(B.1.351)、またはPl変異体(ブラジル変異体)を感染させた。8日目に、マウスのウイルス感染は、生体内イメージングシステム(IVIS)によって決定された。
【0059】
Aerogen Soloネブライザーのパラメータは次のとおりであった。流量:0.2mL/分以上(平均:約0.38mL/分)。粒子径:(1)規格範囲:1μm~5μm、平均値:3.1μm、アンダーセンカスケードインパクトサンプラーで測定された。(2)規格範囲:1.5μmから6.2μm、平均値:3.9μm、Marple298カスケードインパクトサンプラーで測定された。標準EN13544-1によると、開始用量は2mLで、エアロゾル出力速度は0.30mL/minであった。さらに、エアロゾルの排出量は1 回あたり1.02mLであり、残留量は3mLの投与量あたり0.1mL未満であった。
【0060】
(6)細胞毒性および細胞生存率のアッセイ
生体外での試験サンプルの毒性を測定するために、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)アッセイを実施して、細胞活性および増殖を評価した。具体的には、星状細胞CTX、心筋細胞H9c2、および肺線維芽細胞HFL-1を、31.25μg/mL~4000μg/mLの濃度で試験サンプルと24時間共培養した。その後、MTTを培養物に加え、2時間インキュベートした。MTT結晶をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解することにより、590nmでの吸光度を酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)リーダーで測定した。
【0061】
一方、生体内での試験サンプルの毒性を測定するために、C57BL/6マウスを胃管栄養法により試験サンプルで5200mg/kg/日の用量で治療した。24時間後、マウスの血液中のクレアチンホスホキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アラニントランスアミナーゼ、クレアチニン、総ビリルビン、およびグルコースのレベルを測定した。
【0062】
薬理実施例2:ウイルススパイクタンパク質のACE2受容体への結合の阻害
製造実施例4または5(Exp.1、6~30mg/mL)から製造された薬草組成物について、ヒトACE2受容体に結合するSARS-CoV-2スパイクタンパク質の阻害に対する効果を測定し、また、アルビドール(Ctrl.1、20mg/mL)、配合処方(Ctrl.2)、連花清瘟カプセル(Ctrl.3)、オリーブ葉エキス(Ctrl.4)、エルダーベリーの抽出物(Ctrl.5)、および花蓮慈済病院の漢方製剤(Ctrl.6)の効果と比較した。
【0063】
それらの結果を図1A~1Fに示し、Exp.1は、Ctrl.2~Ctrl.6と比較して、ACE2受容体に結合するウイルススパイクタンパク質に対して大幅に改善された遮断活性を示した。さらに、図1Bおよび図1Cを参照すると、Exp.1の6mg/mLおよび12mg/mLで処理されたスパイクタンパク質の結合活性は、24mg/mLおよび30mg/mLのCtrl.3で処理されたもののそれぞれと同等であった。すなわち、同じ投与量で、本願の薬草組成物の遮断活性は、連花清瘟カプセルよりも約2.5~4倍高かった。さらに、図1Cは、18mg/mLのExp.1が20mg/mLのアルビドールよりも高い遮断効果を達成し得ることを示し、本開示の薬草組成物の低用量がウイルススパイクタンパク質間の相互作用を効果的に遮断することができ、従来の抗ウイルス薬(アルビドールなど)の投与によって引き起こされる吐き気、下痢、めまいなどの重篤な副作用を避けることができるということを示唆している。
【0064】
また、図1Gは、ヒトACE2受容体へのSARS-CoV-2スパイクタンパク質結合の阻害効果を考慮して、異なる抽出方法によって製造された薬草組成物の比較を示し、ここで、製造実施例4または5から製造された水抽出物は、Exp.1と記されていた。製造実施例1で製造された薬草茶をExp.2とした。製造実施例2で製造された薬草茶をExp.3とした。製造実施例3で製造されたエタノール抽出物をExp.4とした。製造実施例8で製造されたヨモギの抽出物をExp.5と表記した。製造実施例9で製造されたオウィア・カウダータの抽出物をExp.6とした。これらの結果は、異なる抽出方法によって製造された本開示の薬草組成物が、ウイルススパイクタンパク質とACE2受容体との間の相互作用も遮断し得ることを実証した。
【0065】
薬理実施例3:本開示の薬草組成物の安全性
製造例4または5(Exp.1)で製造された薬草組成物の毒性は、MTTアッセイおよび動物モデルによって測定された。
【0066】
細胞株CTX、H9c2、およびHFL-1のMTTアッセイの結果は、それぞれ図2A~2Cに示され、1,000μg/mL未満の量の本開示の薬草組成物は、脳、心臓、肺の生理活動への影響はないことを示した。製造実施例1-1で提供される飲用薬草茶とする本開示の薬草組成物は、薬草原料の抽出物を20~40mg/mLの量で含むので、本開示の薬草組成物は、70kgの成人が5.6Lの薬草組成物を飲み込んだとしても、毒性を引き起こすことはないということを示唆している。
【0067】
動物モデルでは、C57BL/6マウスに、人の1日の推奨摂取量の20倍である5,200mg/kg/マウス/日の用量で本開示の薬草組成物を与えた。その結果、マウスの血液中のクレアチンホスホキナーゼ(CPK)、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(GOT)、アラニントランスアミナーゼ(GPT)、クレアチニン(CRE)、総ビリルビン(T-Bil)、およびグルコース(Glu)のレベルは、以下の表1と図3Aおよび図3Bに示した。CPKとLDHは心臓と脳の機能の指標である。GOTとGPTは肝機能の指標である。CREは腎機能の指標である。T-Bilは、胆嚢機能の指標となる直接ビリルビンと間接ビリルビンが含まれる。これらの結果は、薬草組成物で治療したマウスと薬草組成物なしで治療したマウスとの間で血液パラメータに有意な差がないことを示し、本開示の薬草組成物が非常に高用量であっても悪影響をもたらさないことを示唆している。
【0068】
【表1】
【0069】
薬理実施例4:TRΜMSS2およびFKBP51の発現の抑制
製造実施例4または5(Exp.1)から製造された薬草組成物について、TRΜMSS2およびFKBP51の発現を抑制するための効果を測定し、また、アルビドール(Ctrl.1、20mg/mL)、複合処方(Ctrl.2)、および連花清瘟カプセル(Ctrl.3)による効果と比較した。
【0070】
TRΜMSS2発現の抑制の結果を図4Aおよび4Bに示し、Exp.1がCtrl.2とCtrl.3.と比較してTRΜMSS2発現を有意に抑制したことを示した。さらに、Exp.1の投与量を50μg/mL(低用量、L)から150μg/mL(高用量、H)に増加させると、TRΜMSS2の発現が70%減少した。Ctrl.3を50μg/mL(低用量、L)から150μg/mL(高用量、H)に増加しても、TRΜMSS2の発現は10%しか減少しなかった。すなわち、本開示の薬草組成物は、連花清瘟カプセルと比較して、7倍優れた有効性でTRΜMSS2の発現を抑制する可能性があり、宿主細胞へのウイルス侵入を遮断するための本開示の薬草組成物の強力な効果を示唆している。
【0071】
FKBP51発現の抑制の結果を図5Aおよび5Bに示し、Exp.1の投与量を50μg/mL(低用量、L)から150μg/mL(高用量、H)に増加させると、FKBP51発現は40%減少し、FKBP51はストレスへの分子的リンクであるため、これらの結果は、本開示の薬草組成物が、COVID-19によって引き起こされる可能性がある感情的ストレス、不安およびうつ病に対して効果を有することを示唆している。
【0072】
薬理実施例5:3CLプロテアーゼおよびRdRpの活性の抑制
製造実施例4または5(Exp.1)から製造された薬草組成物について、SARS-CoV-2の3CLプロテアーゼおよびRdRpの活性を抑制するための効果を測定した。
【0073】
結果をそれぞれ図6(3CL)および図7(RdRp)に示し、本開示の薬草組成物がRdRpおよび3CLプロテアーゼの活性を用量依存的に35%~40%低下させたことを示した。SARS-CoV-2の場合、3CLはポリタンパク質の切断に関与し、ウイルスのライフサイクルに不可欠なウイルスタンパク質を生成し、RdRpはウイルスゲノムの複製とウイルス遺伝子の転写に使用される。したがって、これらの結果は、本開示の薬草組成物がCOVID-19の治療に効果があることを示唆している。
【0074】
薬理実施例6:SARS-CoV-2感染の予防
SARS-CoV-2感染の予防のための本開示の薬草組成物の効果は、SARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスの野生型および変異体を使用することによって測定した。
【0075】
生体外アッセイのために、試験される薬草組成物は以下の通りであった。Exp.7:製造実施例4または5から製造された水抽出物1.5gおよび賦形剤(マルトデキストリンおよび結晶セルロースの混合物)1.5gを含む(水抽出物の濃度:10μg/mL)。試験例8:製造実施例4または5から製造された水抽出物3gおよび賦形剤(マルトデキストリンおよび結晶セルロースの混合物)3gを含む(水抽出物の濃度:30μg/mL)。Exp.9:製造実施例4または5製造された水抽出物3gを含む(水抽出物の濃度:30μg/mL)。各組成物をCaco-2細胞またはCalu-3細胞に添加した。24時間後、野生型シュードタイプレンチウイルスとその3つの変異体(すなわち、D614G変異体、B.1.1.7変異体、およびB.1.351変異体)を加えた。
【0076】
結果は図8A(Caco-2)および図8B(Calu-3)に示され、本開示の薬草組成物がCaco-2について野生型および変異体の両方のウイルス感染を51%~74%減少させ、Calu-3について64%~86%減少させ得ることを示している。
【0077】
生体内アッセイのために、製造実施例4または5から製造された薬草組成物を、16.22mg/0.3mL/マウス/日(Exp.1-L)または48.66mg/0.3mL/マウス/日(Exp.1-H)の用量で7日間連続で胃管栄養法によってSKH2/Jマウスに投与し、4日目から6日目で鼻腔内送達により野生型シュードタイプレンチウイルスとその3つの変異体(すなわち、D614G変異体、B.1.1.7変異体、およびB.1.351変異体)をマウスに投与した。
【0078】
結果を図9A(野生型)、図9B(D614G変異体)、図9C(B.1.1.7変異体)および図9D(B.1.351変異体)に示され、その中、Ctrl.は、薬物やウイルスの治療を受けていないマウス群であり、Ctrl.7は、シュードタイプのレンチウイルスのみで治療されたマウス群であった。図9Aに示されるように、本開示の薬草組成物で治療されたマウスは、それらの組織においてより低い輝度レベルを示し、本開示の薬草組成物が野生型SARS-CoV-2の感染を効果的に予防し得ることを示唆している。
【0079】
さらに、図9Bに示されるように、マウスにおけるD614G変異体の感染は、Exp.1-LおよびExp.1-Hでそれぞれ5倍および25倍減少し、本開示の薬草組成物がD614G変異体の感染を効果的に予防し得ることを示唆している。
【0080】
図9Cに示すように、Ctrl.7のマウスはB.1.1.7変異体による重度の肺感染症を患っているが(矢印で示されているように)、Exp.1-LおよびExp.1-Hは、B.1.1.7変異体が肺に強く感染するのを効果的に防ぐことができる(円の領域で示されているように)。
【0081】
図9Dに示すように、B.1.351変異体の感染は、Exp.1-LおよびExp.1-Hで減少した。特に、円の領域で示されるように、B.1.351変異体によって引き起こされる鼻と腸の感染は、Exp.1-LとExp.1-Hで大幅に減少した。
【0082】
これらの上記の結果は、本開示の薬草組成物が、野生型および変異体の両方のウイルス感染を有意に防止できることを示した。
【0083】
薬理実施例7:交換可能な成分を含む本開示の薬草組成物の効果
この実施例では、SARS-CoV-2感染の予防のための製造実施例4または5から製造された薬草組成物(すなわち、オウィア・カウダータの葉の抽出物を含むもの)の効果を、製造実施例6から製造されたもの(すなわち、オウィア・カウダータ根の抽出物を含むもの)と比較した。また、オウィア・カウダータとアニソメレスインディカは一般的に同一の漢方原料として識別される可能性があるため、製造実施例4または5から製造された薬草組成物の効果も製造実施例7から製造されたもの(すなわち、アニソメレスインディカの抽出物を含むもの)と比較した。当該比較は、SARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスの感染を防ぐためのこれらの薬草組成物の効果を測定することによって行われた。
【0084】
その結果を図10Aおよび10Bに示した。オウィア・カウダータ葉の抽出物を含む薬草組成物をExp.1と表記した。オウィア・カウダータ根の抽出物を含む薬草組成物は、Exp.10と表記した。アニソメレスインディカの抽出物を含む薬草組成物は、Exp.11と表記した。また、Ctrl.7は、SARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスのP1変異体のみで治療されたマウス群であった。
【0085】
図10Aでは、SARS-CoV-2シュードタイプレンチウイルスのB.1.1.7変異体を使用して、30μL/mLの試験サンプルで治療されたCaco-2細胞を感染させた。結果は、Exp.1と同様に、Exp.10およびExp.11は、ウイルス感染をそれぞれ約48%および約64%減少させ得ることを示した。
【0086】
図10Bでは、P1変異体の感染前に、SKH2/Jマウスに48.66mg/0.3mL/マウス/日の用量で試験サンプルを与えられ、結果は、マウスのP1突然変異体の感染が、Exp.1では25倍、Exp.10のでは40倍減少したことを示した。
【0087】
これらの上記の結果は、オウィア・カウダータ根の抽出物またはアニソメレスインディカの抽出物を含む薬草組成物が、SARS-CoV-2感染を有意に予防する可能性があることを示している。
【0088】
本開示のいくつかの実施形態が上記で詳細に説明されたが、当業者は、本開示の教示および利点から実質的に逸脱することなく、本開示に示された実施形態に対して様々な修正および変更を行うことが可能である。したがって、そのような修正および変更は、添付の特許請求の範囲に記載されている本開示の範囲に包含される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬草原料からの抽出物および薬学的に許容される担体を含むウイルス感染を予防または治療するための薬草組成物であって、前記薬草原料がオウィア・カウダータ(Ohwia caudata)およびアニソメレスインディカ(Anisomeles indica (L.) O. Ktze.)の少なくとも1つを含む、薬草組成物。
【請求項2】
前記オウィア・カウダータは、オウィア・カウダータの根、オウィア・カウダータの葉、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の薬草組成物。
【請求項3】
前記薬草原料は、ヨモギ(Artemisia argyi)、ジャノヒゲ(Ophiopogon japonicus)、ドクダミ(Houttuynia cordata)、キキョウ(Platycodon grandiflorus)、カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis)、エゴマ(Perilla frutescens)、及びキク(chrysanthemum)のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の薬草組成物。
【請求項4】
前記薬草原料からの抽出物は、水抽出物またはエタノール抽出物である、請求項3に記載の薬草組成物。
【請求項5】
前記薬草原料は、その総重量に基づき、18重量%~25重量%のオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ18重量%~25重量%のヨモギ、10重量%~17重量%のジャノヒゲ、10重量%~17重量%のドクダミ、10重量%~17重量%のキキョウ、4重量%~11重量%のカンゾウ、4重量%~11重量%のエゴマ、および0.4重量%~11重量%のキクの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の薬草組成物。
【請求項6】
前記薬草原料は、5g~7gのオウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含み、かつ5g~7gのヨモギ、3g~5gのジャノヒゲ、3g~5gのドクダミ、3g~5gのキキョウ、1g~3gのカンゾウ、1g~3gのエゴマ、および0.1g~3gのキクの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の薬草組成物。
【請求項7】
オウィア・カウダータとアニソメレスインディカの少なくとも1つを含む薬草原料を提供すること、当該薬草原料を水及びエタノールの少なくとも一方を含む抽出液で抽出して粗抽出物を得ること、および当該粗抽出物から固体を除去して液体部分を得ることを含む、請求項1に記載の薬草組成物を製造する方法。
【請求項8】
前記薬草原料は、ヨモギ、ジャノヒゲ、ドクダミ、キキョウ、カンゾウ、エゴマ、及びキクの少なくとも1つをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抽出は、前記薬草原料を前記抽出液中で少なくとも5分間煮沸することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記抽出は、前記薬草原料をその沸点より低い温度の抽出液に少なくとも10分間浸漬することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記薬草原料と前記抽出液の重量比が2:1~30:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記液体部分を濃縮して前記薬草原料の濃縮抽出物を得ることをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記ウイルス感染はコロナウイルスによって引き起こされる、請求項に記載の薬草組成物
【請求項14】
前記コロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)、SARS-CoV-2、マウス肝炎ウイルス(MHV)、または豚流行性下痢ウイルス(PEDV)である、請求項13に記載の薬草組成物
【請求項15】
前記コロナウイルスはSARS-CoV-2の変異体である、請求項14に記載の薬草組成物
【請求項16】
記薬草原料からの抽出物は、約25mg/kg/日~約2500mg/kg/日の有効量で投与される、請求項に記載の薬草組成物
【請求項17】
記薬草原料からの前記抽出物は、約50mg/kg/日~約500mg/kg/日の有効量で投与される、請求項16に記載の薬草組成物
【請求項18】
イルスのスパイクタンパク質とアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体との結合を阻害する、請求項に記載の薬草組成物
【請求項19】
CLプロテアーゼ、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)、膜貫通型セリンプロテアーゼ2(TRΜMSS2)、およびFK506結合タンパク質5(FKBP5)のうちの少なくとも1つの発現を抑制する、請求項に記載の薬草組成物
【国際調査報告】