(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(54)【発明の名称】高密度な多毛類生産のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A01K 61/40 20170101AFI20230731BHJP
A23K 10/26 20160101ALI20230731BHJP
A23K 10/37 20160101ALI20230731BHJP
【FI】
A01K61/40
A23K10/26
A23K10/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023525940
(86)(22)【出願日】2021-07-07
(85)【翻訳文提出日】2023-03-08
(86)【国際出願番号】 NO2021050163
(87)【国際公開番号】W WO2022010362
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523010568
【氏名又は名称】マリン バイオ ソリューションズ アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォショード、ジョン アーノルド
(72)【発明者】
【氏名】ラングヴィック、マリアンヌ ラーセン
(72)【発明者】
【氏名】レッペ、スヴェイン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーラン、ハーバード
(72)【発明者】
【氏名】オストフス、ステイン ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
2B104
2B150
【Fターム(参考)】
2B104AA31
2B104CA01
2B104CB12
2B104CB29
2B104CB48
2B104EA01
2B150AA20
2B150AB20
2B150BE10
2B150CG04
(57)【要約】
高密度の多毛類生産のためのシステム及び方法であって、多毛類は、少なくとも1つの生産ユニット(100)において、海水及び飼料を供給することによって養殖される、システム及び方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高密度な多毛類生産のためのシステムであって、
少なくとも2つの養殖ユニット(100)を備え、各養殖ユニット(100)は、その第1端部に水と給餌ユニット(400)からの飼料を供給するための少なくとも1つの入口(110)を備えると共に、その第2端部に水と余剰飼料を排出するための出口(130)を備えるハウジング(110)により形成されており、
多毛類の養殖を行う前記養殖ユニット(100)は、前記ハウジング(110)の高さ方向に並べて配置された複数のトレイ(300)を備え、前記トレイ(300)は前記ハウジング(110)から取り出し可能であり、
各段のトレイ(300)は、前記養殖ユニット(100)の長手方向に直列に配置された複数のトレイ(300)を備え、
前記ハウジング(110)は、各々の端部に入口チャンバ(121)及び出口チャンバ(131)を形成する間隔を空けて、長手方向に一連のトレイ(300)を取り囲み、前記入口チャンバ(121)は入口(120)と流体連通し、前記出口チャンバ(131)は出口(130)と流体連通し、
前記トレイ(300)の端部には、水及び飼料が前記トレイ(300)に流入及び前記トレイ(300)から流出することを可能にする手段(330)が設けられている、
システム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記トレイ(300)は、前記トレイ(300)内に少なくとも2つの長手方向に延在する平行な区画又はシュート(320)を形成する、少なくとも1つの長手方向に延在する隔壁(311)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
少なくとも1つの前記トレイ(300)は、固定又は交換可能な凹凸が形成された底部(321)を備えることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
未成熟の多毛類、幼生、卵、水、及び飼料から、収穫する準備ができた多毛類を選別するように適合された少なくとも1つの収穫ユニット(500)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
選別された未成熟の多毛類、幼生及び卵と新鮮な飼料とに基づいて、空のトレイ(300)に種付けするように適合された少なくとも1つの種付けユニット(700)を備えることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
少なくとも1つの自己ピーリングユニット(600)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記種付けユニットにおいて使用される、卵/幼生の生産のための1つ以上の別個のユニットを備えることを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの養殖ユニット(100)の前記出口に配置することができる追加の収穫ユニットを備え、前記追加の収穫ユニットがその排出水中の卵を捕捉するように適合されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
汚泥又は廃棄物を、前記多毛類の飼料として使用するためのバイオマス/バクテリアに変換するための1つ以上のユニットを備えることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
多毛類の成長、発達、及び組成に影響を与えるために、養殖された多毛類を特定の温度、特定の光、又は特定の音に曝露するための1つ以上手段を備えることを特徴とする、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のシステムを用いる高密度で多毛類を生産する方法であって、
給餌ユニット(400)から前記入口(120)内に海水及び飼料を供給し、前記出口(130)から水及び余剰飼料を排出することによって、前記トレイ(300)内で多毛類を養殖することを特徴とする、
方法。
【請求項12】
少なくとも1つの空のトレイ(300)に多毛類の最初の種付けを行うことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの前記養殖ユニット(100)から収穫の準備ができた多毛類を取り出すことと、収穫の準備ができた多毛類を、未成熟の多毛類、幼生、卵、水、及び飼料から分離することと、を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
分離された未成熟の多毛類、幼生及び卵を、飼料と共に空のトレイ(300)に種付けすることと、新しい生産サイクルのために前記トレイ(300)を少なくとも1つの前記養殖ユニット(100)に挿入することと、を含むことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
収穫された多毛類の自己ピーリングを行うことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
1回限りの産卵を行う多毛類及び/又は浮遊産卵を行う種を使用することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
産卵前に多毛類を収穫し、次に、空のトレイ(300)に種付けする前に、前記多毛類の一部を、卵/幼生の生産のための別個のユニットに移すことを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
浮遊産卵する多毛類を使用し、前記養殖ユニット(100)からの排出水から卵を捕捉し、次いで種付けすることを特徴とする、請求項11又は請求項14に記載の方法。
【請求項19】
多毛類の成長、発達及び組成に影響を与えるために、養殖された前記多毛類を、特定の温度、特定の光又は特定の音に曝露することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の高密度な多毛類生産(high-intensity polychaete production)のためのシステムに関する。
【0002】
また、本発明は、請求項16の前提部分に記載の高密度で多毛類を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
畜産業界では、持続可能な発展のための解決策を絶えず模索している。現在、環形動物の多毛類の脂肪酸組成や必須アミノ酸の含有量から、魚やその他の動物の飼料に多毛類を使用することが好ましいことを示唆する研究が行われている。多毛類の他の用途としては、多毛類が化粧品などの持続性の低い他の原料に取って代わるような用途が考えられる。
【0004】
現在、大規模な多毛類生産を提供する方法についての解決策は存在しない。
【0005】
さらに、連続的な多毛類生産を提供する方法についての解決策は存在しない。
【0006】
さらに、高密度な多毛類生産を提供する方法についての解決策は存在しない。
【0007】
さらに、高密度な多毛類生産を提供する方法、及びそのような生産が多毛類の様々な種の養殖(farming)に適合しているかについての解決策は存在しない。
【0008】
さらに、高密度な多毛類生産をどのように提供するかについての解決策は存在せず、そのような生産が養殖された多毛類の所望の生産量に体系的に影響を及ぼすために、光、音、温度、水質調整、又は多毛類養殖飼料の適用に対応する方法についての解決策は存在しない。
【0009】
さらに、海洋性タンパク質及び脂肪の生産も必要である。現在の生産量は市場のニーズを満たすには十分ではない。
【0010】
また、例えば、大量の飼料を必要とする魚類などの生産現場の近くで飼料を生産することが必要とされている。
【0011】
それは、他の種や家畜の飼料に使用するための多毛類生産に対するニーズである。
【0012】
したがって、上述の欠点を解決するシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の主な目的は、大規模な多毛類生産のためのシステム及び方法を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、さらに、連続的な多毛類生産を可能にするシステム及び方法を提供することにある。
【0015】
本発明の目的は、高密度な多毛類生産を可能にするシステム及び方法を提供することにある。
【0016】
本発明の目的は、汚泥、廃棄物、又は他の有機材料を、直接又は前処理された、或いは生物学的変換を介して、多毛類のための飼料として使用することを可能にするシステム及び方法を提供することにある。
【0017】
本発明の目的は、さらに、コンパクトで省スペースなシステムを提供することにある。
【0018】
本発明の目的は、エネルギー及び資源効率の良いシステムを提供することにある。
【0019】
本発明の目的は、モジュールを含むことによって容易に拡張可能なシステムを提供することにある。
【0020】
本発明の目的は、単純かつ効果的な給餌及び収穫のために設計されたシステム及び方法を提供することである。
【0021】
本発明のさらなる目的は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明による高密度な多毛類生産のためのシステムは、請求項1の技術的特徴によって定義される。このシステムの好ましい特徴は、従属請求項に記載されている。
【0023】
本発明による高密度な多毛類生産のための方法は、請求項16の技術的特徴によって定義される。この方法の好ましい特徴は、従属請求項に記載されている。
【0024】
本発明による高密度な多毛類生産のためのシステムは、モジュールに分割することができる複数のユニットを備え、容易に拡張可能なシステムを可能にするものである。
【0025】
本発明によるシステムは、少なくとも1つの養殖ユニットを備える。少なくとも1つの養殖ユニットは、水、好ましくは海水、及び給餌ユニットからの飼料を供給するための第1の端部にある少なくとも1つの入口と、水及び余剰飼料を排出するための第2の端部にある排出口と、多毛類の養殖のための少なくとも1つの取り出し可能なトレイと、を備えている。
【0026】
本発明によれば、飼料は、直接使用するための汚泥/廃棄物、例えば、養魚場の汚泥、堆肥、又は食品廃棄物、生ゴミなどの有機廃棄物であってもよい。また、飼料は、例えば、水分離、衛生化、安定化、加水分解又は溶解、篩い分けなどにより、前処理された汚泥廃棄物であってもよい。
【0027】
また、飼料は、微生物、バクテリア、微細藻類などの他のバイオマス(前処理後)に変換された汚泥/廃棄物、又はポリヒドロキシアルカノエートなどの生物学的生産に基づく有機結合の濃縮(enrichment of organic connections)であってもよい。
【0028】
本発明によるシステムの一実施形態によれば、養殖ユニットは、養殖ユニットの長手方向に直列に配置された複数の取り出し可能なトレイを備えている。
【0029】
本発明によるシステムの一実施形態によれば、養殖ユニットは、高さ方向において、複数段の(several rows of)取り出し可能なトレイ又は一連の取り出し可能なトレイを備えている。
【0030】
本発明によるシステムのさらなる実施形態によれば、少なくとも1つのトレイは、トレイ内に少なくとも2つの長手方向に延在する平行な区画(compartments)又はシュート(chutes)を形成する、少なくとも1つの長手方向に延在する隔壁を備えている。
【0031】
本発明のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つのトレイは、固定された又は交換可能な、凹凸が形成された底部(riffled bottom)を備えている。
【0032】
本発明によるシステムのさらなる実施形態によれば、少なくとも1つのトレイは、その端部に、水及び飼料がトレイに流入及びトレイから流出することを可能にする手段を備えている。
【0033】
本発明のさらなる実施形態によれば、養殖ユニットは、少なくとも1つのトレイ又は一連のトレイを、少なくとも1つのトレイ又は一連のトレイのそれぞれの端部に入口チャンバ及び出口チャンバを形成するための間隔を空けて、長手方向に取り囲むハウジングによって形成されている。
【0034】
本発明によるシステムのさらなる実施形態によれば、システムは、2つ以上の養殖ユニットを含んでいる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、システムは、収穫する準備ができた多毛類を、未成熟の多毛類(minor polychaete)、幼生(spatfall)、卵(egg)、水、及び飼料から選別するように適合された、少なくとも1つの収穫ユニットを備えている。
【0036】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、選別された未成熟の多毛類、幼生、及び卵と新鮮な飼料とに基づいて、空のトレイに種付け(seeding)するために適合された少なくとも1つの種付けユニットを備えている。
【0037】
本発明のさらなる実施形態によれば、システムは、1回限りの産卵の多毛類を使用することもできる。そのような実施形態では、多毛類は産卵前に収穫され、その後、一部の多毛類は、種付けユニットで使用され得る卵/幼生(spawn/spatfall)の生産のために別個のユニットに移される。
【0038】
本発明のさらなる実施形態によれば、多毛類が浮遊産卵する(spawning pelagically)種である場合、養殖ユニットからの排出水から卵を回収することができる追加の収穫ユニットが使用され、すなわち、卵収集器を形成し、その後、上記のように種付けする。
【0039】
本発明によるシステムのさらなる実施形態によれば、システムは、多毛類の成長、発達及び組成に影響を及ぼすために、養殖された多毛類を特定の温度、特定の光又は特定の音に曝すための1つ以上の手段を備えている。
【0040】
本発明による高密度で多毛類を生産する方法は、海水及び飼料を供給することによって、少なくとも1つの養殖ユニット内の少なくとも1つのトレイ内で多毛類を養殖することを含む。
【0041】
本発明による方法の一実施形態によれば、本方法は、少なくとも1つの空のトレイ内に多毛類を最初に種付けすることを含む。
【0042】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、養殖ユニットから収穫の準備ができた多毛類を取り出すことと、収穫の準備ができた多毛類を、未成熟の多毛類、幼生、卵、水、及び飼料から分離することとを含む。
【0043】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、分離された未成熟の多毛類、幼生、及び卵を、飼料と共に空のトレイに種付けすることと、新しい生産サイクルのために養殖ユニットにトレイを挿入することとを含む。
【0044】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、本方法は、収穫された多毛類の自己ピーリング(self-pealing)を行うことを含む。
【0045】
本発明による方法の更なる実施態様によれば、本方法は、1回限りの産卵の多毛類を使用することを含む。この方法はさらに、産卵前に多毛類を収穫し、次に、上述のように、種付けユニットにおいて使用される卵/幼生の生産のために、多毛類の一部を別個の容器又は同様の容器に移すことを含む。
【0046】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、本方法は、浮遊産卵する種である多毛類を使用することと、養殖ユニットからの排出水から卵を回収することと、その後、上述したように種付けすることとを含む。
【0047】
本発明による方法のさらなる実施形態によれば、本方法は、多毛類の成長、発達及び組成に影響を及ぼすために、養殖された多毛類を、特定の温度、特定の光、又は特定の音に曝すことを含む。
【0048】
本発明のさらなる実施形態によれば、本方法は、生産ユニット内のすべてのトレイについてステップを繰り返すことを含む。
【0049】
したがって、最初の種付け後、多毛類のさらなる生産は、未成熟の多毛類、幼生、卵、すなわち最初の生産の子種に基づくことになる。しかしながら、多毛類の健康な個体群を確保するために、時々、新鮮な多毛類を導入することが好ましい場合がある。
【0050】
したがって、本発明により、高密度な多毛類生産のためのシステム及び方法が提供される。複数の生産ユニットを使用することによって、1つの生産ユニットから多毛類が収穫されるときに、別の生産ユニットは生産を継続するため、連続的な多毛類生産を達成することができる。
【0051】
本発明は、新たな生産サイクルのための未成熟の多毛類、幼生及び卵の使用を可能にする。
【0052】
本発明のさらなる好ましい特徴及び有利な詳細は、以下の実施例の説明、特許請求の範囲、及び添付図面から明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1a】本発明による養殖ユニット及びその構成要素を示す概念図である。
【
図1b】本発明による養殖ユニット及びその構成要素を示す概念図である。
【
図1c】本発明による養殖ユニット及びその構成要素を示す概念図である。
【
図1d】本発明による養殖ユニット及びその構成要素を示す概念図である。
【
図1e】本発明による養殖ユニット及びその構成要素を示す概念図である。
【
図2】本発明による収穫ユニットの一例を示す概念図ある。
【
図3】本発明によるシステム及び製造ステップを示す概念図である。
【
図4a】養殖多毛類の収穫用トレイの取扱いを示す概念図である。
【
図4b】養殖多毛類の収穫用トレイの取扱いを示す概念図である。
【
図4c】養殖多毛類の収穫用トレイの取扱いを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、添付図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【0055】
本発明による高密度な多毛類生産のためのシステムは、容易に拡張可能なシステムを可能にするモジュールに分割され得る複数のユニットを備える。システムの主な構成要素は、多毛類を養殖するための少なくとも1つの養殖ユニット100と、給餌ユニット400とである。システムはまた、好ましくは、少なくとも1つの収穫ユニット500及び少なくとも1つの種付けユニット700を含む。
【0056】
まず、
図1a~
図1eを参照して、本発明に係るシステムの一実施形態による養殖ユニット100の多毛類生産の概念図を示す。
【0057】
本発明によれば、少なくとも1つの養殖ユニット100は、実施形態では主に長方形であるハウジング110によって形成され、その少なくとも1つの端部は、取り外し可能であるか、又はその内部へのアクセスを達成するために開放可能であるドア、蓋、又はポートを備えている。さらなる実施形態では、上面も取り外し可能である。さらに、ハウジング110は、1つ以上の脚部210を備える支持構造200に配置され得る。
【0058】
本発明によれば、養殖ユニット100は、ハウジング110内に収容され、ハウジング110内に回収可能に配置された少なくとも1つの取り出し可能なトレイ300を備えている。さらに、養殖ユニット100は、水、好ましくは海水、及び飼料を供給するための少なくとも1つの入口120を第1の端部に備えると共に、養殖ユニット100を通る水の連続的又は不連続的な流れを提供し、余剰飼料の排出を行うために、水の排出のための少なくとも1つの出口130を第2の端部にさらに備えている。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、水の供給は、適切な制御可能なポンプユニット170によって行われる(
図3参照)。ポンプユニット170は、その出口側が1つ以上の制御可能なバルブ171を介して入口120に配置され、その入口側は、水貯蔵器、好ましくは海水貯蔵器に配置されている。さらに典型的には、少なくとも1つの養殖ユニット100の出口130は、水及び余剰飼料を排出するために、制御可能なポンプ180の入口側に配置されている。この制御可能なポンプ180は、典型的にはその出口側が水処理ユニット/システム190に配置されることになる。この水処理ユニット/システム190は、
図3に示されるように、再利用又は環境への水排出のために、排出された水を処理するように構成されている。本発明の一実施形態によれば、再利用のために処理ユニット/システム190から排出された水は、水貯蔵器に供給されるか、又は上述のポンプユニット170に直接供給され、このようにして水のリサイクルを行う。これにより、水の消費量が削減され、したがって環境フットプリントも削減される。
【0060】
少なくとも1つの養殖ユニット100の上述の取り外し可能又は開放可能な側部やドア、蓋、又はポートは、好ましくはハウジング110の出口側に配置される。
【0061】
ハウジング110は、間隔を開けて少なくとも1つのトレイ300を取り囲み、少なくともその端部に、入口120と流体連通する入口チャンバ121と、出口130と流体連通する出口チャンバ131とを備えている。本発明の一実施形態によれば、入口チャンバ121は、垂直方向に延在する壁122によってハウジング110内に形成され、この壁122は、養殖ユニット100内の少なくとも1つのトレイ300のためのストッパとしても機能する。代替的な実施形態では、垂直に延在する壁122は、少なくとも1つのトレイ300のためのストッパとして機能する、ハウジング110の各側で垂直方向に延在する梁と置き換えられる。さらに別の代替的な実施形態では、後端部、すなわち、入口チャンバ121に面する端部にある上述したガイド又はレール140は、少なくとも1つのトレイのためのストッパとして機能する少なくとも1つの垂直方向に延在する部材を備えている。本発明の一実施形態によれば、上述した入口120及び出口130は、ハウジング110の下部に配置されている。入口120の下部への配置は、入口チャンバ121内での飼料の沈降を回避し、これにより飼料の沈降が上述の少なくとも1つのトレイ300内において行われることを確実にする点で有利である。
【0062】
ハウジング110は、上述の少なくとも1つの取り出し可能なトレイ300をハウジング110内に配置するために、一対の長手方向のガイド又はレール140をさらに備える。取り出し可能なトレイ300は、図示の実施形態では主に長方形であり、ハウジング内に収容するためにハウジングの内部に適合した形状及びサイズを有し、上述のガイド又はレール140上で移動可能である。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、ハウジング110は、以下でさらに説明するように、長手方向だけではなく、その高さ方向にも複数の取り出し可能なトレイ300を収容するように構成されている。
【0064】
図1bに示す実施形態では、養殖ユニット100は、長手方向に直列に配置された複数のトレイ300(図示の実施形態では直列に配置された3つのトレイ300)と、高さ方向に並べて配置された複数のトレイ300(図示の実施形態では高さ方向に配置された12列のトレイ)とを備える。
【0065】
少なくとも1つの取り出し可能なトレイ300のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの取り出し可能なトレイ300は、
図1dに示すように、少なくとも1つの長手方向に延在する隔壁311を備え、上述の取り出し可能なトレイ300内に少なくとも2つの長手方向に延在する平行な区画又はシュート320を形成する。図示の実施形態では、取り出し可能なトレイ300の内部が3つの長手方向に延在する区画又はシュート320に分割されるように、間隔を開けて配置された2つの長手方向に延在する平行な隔壁311が存在する。
【0066】
本発明によるシステムのさらなる実施形態によれば、取り出し可能なトレイ300は、さらに、凹凸を設けた(riffled)底部321を備えている。図示の実施形態では、上述の長手方向に延在する区画又はシュート320内である。本発明によれば、凹凸を設けた底部321は、固定されていてもよく、又は交換可能であってもよい。この凹凸を設けた底部321は、養殖される多毛類に適合される。交換可能な凹凸を設けた底部321を使用することによって、凹凸を設けた底部321のプロファイルは、養殖される多毛類に適合させるだけでなく、ユーザの要望に応じて交換され得る。例えば
図1eに示すように、V字形、正方形、三角形などの異なる断面を有する凹凸を設けた底部321の異なるプロファイルを使用することができる。上述の凹凸は、底部の横方向に延在し、凸部間に多毛類の養殖のための凹部を形成する凸部を有する底部がある。
【0067】
上述の取り出し可能なトレイ300は、養殖ユニット100に挿入されたときに水及び飼料が、取り出し可能なトレイ300に流入及び流出することを可能にする手段330をさらに備えている。これにより、複数のトレイ300が直列に配置されている場合に、1つのトレイ300から隣接するトレイ300に水及び飼料を流すことができると共に、入口チャンバ121から隣接するトレイ300への流れ、及び隣接するトレイ300から出口チャンバ131への流れを可能にする。図示する実施形態では、この特徴手段330は、好ましくは取り出し可能なトレイ300の端壁の上部にある孔又は開口部330によって形成される。トレイ300が複数の平行な区画又はシュート320を備えている場合に、上述の孔又は開口部330は、それぞれの区画又はシュート320と流体連通して配置され、トレイ300への流入及びトレイ300からの流出を可能にする。代替の実施形態では、トレイ300の端壁は、トレイ300への流入及び流出を可能にする凹部を備えている。他の代替案は、当業者には明らかであろう。
【0068】
上述の孔又は開口部330に関連して、好ましくは、直列に配置されたトレイ300の水密接続を提供するために、対応するシール手段又は接合部(雄/雌)(図示せず)が配置される。
【0069】
入口チャンバ121の上述の垂直方向に延在する壁122は、入口チャンバ121と入口チャンバ121に面するトレイ300の端部との間の流体連通を可能にするために、ハウジング110内に配置されたトレイ300内の孔又は開口部330に適合された孔又は開口部(図示せず)をさらに備えることになる。
【0070】
例えば
図1cに示すように、ハウジング110の長手方向に直列に配置された2つのトレイ310の対向する端部の上に配置されたクリップ340の形態のロック手段340を配置することがさらに好ましく、クリップ340は、互いに直列に配置された2つのトレイ300を保持/ロックする。クリップ340は、上述のトレイ300が分離される場合には、容易に取り外し可能である。2つのトレイ300を一緒に保持するための他の手段は、当業者には明らかであろう。
【0071】
上述の取り出し可能なトレイ300は、
図1bに示すように、上述の長手方向ガイド又はレール140を介して、ハウジング110の出口側の取外し可能な又は開放可能な側部やドア、蓋、又はポートから容易に挿入可能かつ回収可能である。上述のロック手段340は、直列に並んだ最初のトレイ300を引っ張ることによって、直列に配置されたすべてのトレイ300が、養殖ユニット100から容易に回収されることを保証する。
【0072】
図1a及び
図1bに示すように、養殖ユニット100は、少なくとも1つのトレイ300の複数の列を備えていてもよい。図示の実施形態では、養殖ユニット100には1列毎に直列に配置された3つのトレイ300がある。図示の養殖ユニット100は、さらに高さ方向に12列のトレイ300に適合され、各養殖ユニット100に対して合計108個のトレイを与える。
【0073】
したがって、ハウジング110は、トレイ300のための容器又はタンクを形成し、トレイ300は、入口チャンバ121と出口チャンバ131との間に「ダム(dam)」が形成されるように配置されている。入口チャンバ121と出口チャンバ131との間の供給水位(水及び汚泥)の差は、トレイ300内の区画又はシュート320を通る液圧駆動力(hydraulic driving force)である。本発明のさらなる実施形態によれば、入口チャンバ121は、特に初期段階において、トレイ300の区画又はシュート320を通る水の流れをより迅速にするために加圧可能なように、密閉された上部を備えている。
【0074】
後者の密封された実施形態では、養殖ユニット100全体が上述のポンプユニット170によって加圧され、トレイ300内の区画又はシュート320を通して必要な液圧駆動力を提供するので、レベル差に依存することがない。
【0075】
本発明のさらなる実施形態によれば、入口チャンバ121及び出口チャンバ131には、それぞれ、養殖された多毛類が収穫されるときに迅速に排水するための、ならびに保守又は洗浄のための排水用の底部バルブ150が設けられている。
【0076】
本発明のさらなる実施形態によれば、出口チャンバ131及び入口チャンバ121は、養殖ユニット100内の所望の水位を確保するための流体レベルの制御が失敗した場合に、養殖ユニット100の起こり得る損傷及び/又は流出を回避するために、オーバフロー部160が設けられる。
【0077】
本発明のさらなる実施形態によれば、出口130は、養殖ユニット100内の流体レベルの液圧制御(調整)のための装置132に配置される。例えば、この装置132は、少なくとも1つの制御可能なバルブ又はオーバフロー装置(ボックス)である。
【0078】
上述の養殖ユニット100は、より大きなシステム内のモジュールとして配置されてもよい。このような複数の養殖ユニット100は、モジュールベースのシステムが実現されるように、共通の支持構造200に配置される。いくつかのそのようなモジュール/養殖ユニット100が互いに配置される場合、養殖ユニット100各々の入口120及び出口130は、養殖ユニット100の入口及び出口を別々に制御する入口マニホールド及び出口マニホールドに配置され得る。もちろん、別々の入口及び出口を使用してもよいが、マニホールドを使用することで省スペースとなる。
【0079】
本発明によれば、養殖される多毛類は、養魚場汚泥などの汚泥または廃棄物を飼料とするか、或いは、上述したように他の種類の飼料や有機粒子又は材料を使用することができる。
【0080】
本発明によれば、システムは、養殖ユニット100に飼料を供給するための少なくとも1つの給餌ユニット400を備えている。飼料は、養殖ユニット100内の専用の入口を介して直接的に、又は1つ以上の制御可能なバルブ401を介して水ポンプユニット170からの水流を介して、養殖ユニット100に供給され得る。
【0081】
給餌ユニット400は、飼料処理、すなわち、図示の実施形態における汚泥処理に適合している。給餌ユニット400は、養殖ユニット100内の少なくとも1つの専用の入口(図示せず)を介して少なくとも1つのトレイ300に対して、水流に飼料を供給するか又は養殖ユニット100に直接飼料を供給するための少なくとも1つの制御可能なポンプ402を備えている。給餌ユニット400は、飼料貯蔵器から飼料を供給される。
【0082】
本発明による給餌ユニット400は、所望の給餌レジームに従って、例えば、高頻度又は低頻度で、連続的又は不連続的に、高濃度又は低濃度などに従って、飼料を供給するように適合されている。
【0083】
飼料が水流に供給される場合、例えば、養殖ユニット100への飼料の搬送を容易にするために水流を増加させ、次に、飼料を養殖ユニット100内に堆積させるために水流を停止させることが考えられる。例えば、異なる割合の乾燥物質、例えば、1%~約50%の乾燥物質を有する飼料を使用することができる。
【0084】
養殖ユニット100は、システムのさらなる実施形態によれば、多毛類の養殖を制御するための1つ以上のセンサ又はセンサシステムを備えている。このようなシステムの例は、温度、光、重量、流量センサ、水含有量、飼料へのアクセス、流量センサ、濁度(turbidity)、酸素含有量、流速などであり、これらのうちの1つ以上が、養殖を監視するために入口及び出口の両方に配置されてもよく、これにより、少なくとも1つの供給ユニット400と、水の供給とを制御するために使用されてもよい。また、センサ又はセンサシステムは、養殖された多毛類の収穫の準備ができていることを示すために使用されてもよい。
【0085】
養殖ユニット100は、本システムのさらなる実施形態によれば、多毛類の成長、発達及び組成に影響を及ぼすために、養殖された多毛類を、特定の温度、特定の光又は特定の音に曝露するための1つ以上の手段又はシステムを備えている。
【0086】
養殖ユニット100は、さらなる実施形態によれば、堆積に関して内部の流れを変更/調整するための手段を備える。
【0087】
養殖ユニット100のさらなる実施形態によれば、養殖ユニット100は、水及び/又は光を追加的に供給するための手段を備えている。
【0088】
次に、本発明による収穫ユニット500の一例の概念図である
図2を参照する。本実施例による収穫ユニット500は、漏斗部520、スクリーン又は篩い部530、及び沈降槽又は容器540を配置するための支持構造510を含んでいる。漏斗部520は、支持構造体510内の最上部に配置され、多毛類の収穫の準備ができたときに、養殖ユニット100から取り出したトレイ300からの材料(水、汚泥、養殖された多毛類)が入れられる。スクリーン又は篩い部530は、漏斗部520の下に配置されている。このスクリーン又は篩い部530は、収穫の準備ができた多毛類を、残りの材料(水、汚泥、収穫の準備ができていない養殖された多毛類(未成熟の多毛類、幼生、卵))から選別するように適合されている。このため、スクリーン又は篩い部530は、収穫可能な大きさの多毛類を止め、他のすべての材料(未成熟の多毛類、幼生、卵、水、飼料(汚泥)を通すように適合されたメッシュサイズを備えている。
【0089】
スクリーン又は篩い部530の下には、沈降槽又は容器540が配置されている。この沈降槽又は容器540は、スクリーン又は篩い部530によって選別されない上記材料を受け入れるために、スクリーン又は篩い部530に面する開放面を備えている。
【0090】
スクリーン又は篩い部530によって選別された、収穫の準備が整った分離多毛類は、次に、自己ピーリングユニット600に移送される。
【0091】
汚泥、未成熟の多毛類、幼生、及び卵は、例えば、その入口側が沈降槽又は容器540の上部に接続され、かつその出口側が水処理ユニット/システム190に接続された制御可能なポンプ550によって水を除去することによって、沈降槽又は容器540内の水から分離される。未成熟の多毛類、幼生、卵を有する余剰汚泥(汚泥の一部)は、沈降槽又は容器540から除去され、種付けユニット700に移送される。例えば、余剰汚泥は、
図3に示すように、1つ以上の制御可能なバルブ702を介して沈降槽又は容器540の下部の出口に接続された制御可能なポンプ701を使用することによって、種付けユニット700に移送される。
【0092】
残りの水及びの残りの汚泥は、沈降槽又は容器540から除去され、1つ以上の制御可能なバルブ801及びポンプ802を介して沈降槽又は容器540に接続された廃棄物出口又は生物残留物処理ユニット/システム800に排出される。種付けユニット700は、種付けユニット700への飼料の供給のために、1つ以上の制御可能なバルブ403を介して給餌ユニット400に接続されている。種付けユニット700では、空のトレイ300が、養殖ユニット100における新たな生産サイクルのために準備されている。未成熟の多毛類、幼生、及び卵を有する余剰汚泥を、空のトレイ300内に新たな新鮮な飼料(図示の実施形態では汚泥)と共に種付け/分配することによって、充填されたトレイ300を新たな生産サイクルのために養殖ユニット100内に再び挿入することによって、養殖において養殖され得る新たな世代の多毛類が確保される。
【0093】
上述の自己ピーリングユニット600は、本発明の一実施形態によれば、収穫された多毛類が処理される槽又は容器601によって形成されている。槽又は容器601は、これに限定される訳ではないが、化学物質及び/又はガスの使用など、水質を異なる品質に調整/操作するための手段を備えるか、又は手段に接続されている。所望の品質は、どの種の多毛類で、どのような結果を得るかに依存することになる。Capitella Capitataの場合、例えば、酸素含有量を低下させることによって水質を調整し、多毛類が滑液包(スライムバッグ)(bursa (slime bag))を放出するようにし、次いで、多毛類を多毛類前処理ユニット900に移送して、魚の飼料中の成分を構成する目的又は他の用途で加工することができる。自己ピーリングユニット600内の残留物は、さらなる処理のために、生物残留物処理ユニット/システム800に移送されてもよい。
【0094】
次に、本発明によるシステムの概念図である
図3を参照する。また、この
図3は、システム内での飼料、水、及び多毛類の流れと、そのプロセスを示す。次に、本発明による多毛類生産について説明する。
【0095】
トレイ300に多毛類を最初に種付けした後、トレイ300を養殖ユニット100に挿入して養殖する。養殖ユニット100における多毛類の養殖は、所望の生産サイクルにわたって水及び飼料を供給することによって行われる。どの種を飼育するかにもよるが、多毛類の収穫の準備が整うまでには、通常、約2ヶ月かかると考えられる。
【0096】
多毛類の収穫の準備が整うと、養殖ユニット100への水及び飼料の供給が停止され、養殖ユニット100の排水が行われる。次に、トレイ300は、養殖ユニット100から取り出され、直列に配置されている場合には互いから切り離される。取り出されたトレイ300を移送可能なトラック950、マニピュレータシステム、又は同様のシステムなどの搬送手段によって、取り出し可能なトレイ300は収穫ユニット500に輸送され、取り出されたトレイ300の内容物が収穫ユニット500内に入れられる。
【0097】
ここで
図4a~
図4cを参照すると、取り出しプロセスと収穫ユニット500への搬送プロセスと、収穫ユニット500で空になった後に種付けユニット700に搬送するための搬送プロセスとの概念図が示されている。上述のトレイ300を運搬するために、運搬ユニット960を使用することが好ましく、この運搬ユニット960は、上述のトレイ300を受け入れるように適合され、トレイ300を運搬ユニット960に固定するためのロック手段を備えている。さらに好ましくは、運搬ユニット960は、運搬されるトレイ300へのアクセスを可能にする開口部961を備え、それによって、運搬されるトレイ300と係合するための、ウインチワイヤ又はマニピュレータアームなどの適合されたツール(図示せず)を挿入し、それによってトレイ300をハウジング110から運搬ユニット960に引き出すことができるようにする。本発明による一実施形態では、トレイ300は、適合されたツールによる簡単な係合のためのフック962を備えていてもよい。
【0098】
トラック950の使用例が、
図4b~
図4cに示されており、ここでは、上述の運搬ユニット960がトラック950に配置されている。
図4bには、運搬ユニット960を介してトラック950が養殖ユニット100からトレイ300を取り出す場合の概念図が示されており、
図4cにはトレイ300を有する運搬ユニット960の回転運動によってトラック950がトレイ300の内容物を収穫ユニット500に入れた後で、空にされたトレイを種付けユニット700に移動させる場合の概念図が示されている。
【0099】
収穫の準備ができた多毛類は、上述のように収穫ユニット500内で選別され、未成熟の多毛類、幼生、及び卵の残留する内容物と、沈降後の飼料(汚泥)の一部とが、種付けユニット700に移される。空になったトレイ300は、給餌ユニット400からの新鮮な/新しい飼料(汚泥)と共に、前述の未成熟の多毛類、幼生及び卵で種付けされ、トレイ300は、新しい生産サイクルのために養殖ユニット100に入るための準備が再び整う。浮遊産卵する、すなわち流体フローに産卵する多毛類の種を有する実施形態では、追加の収穫ユニット(図示せず)が養殖ユニット100の出口130に配置される、追加の収穫ユニットは、その排出水中で卵を捕捉するように、すなわち、卵収集器を形成するように適合される。
【0100】
本発明のさらなる実施形態によれば、種付けユニット700による種付けの前に、卵/幼生を生産するための別個の容器(図示せず)又は同様のものを備える。
【0101】
本発明によるシステムは、さらなる実施形態によれば、汚泥又は廃棄物を、多毛類の飼料として使用するためのバイオマス/バクテリアに変換するための1つ以上のユニットを備えている。
【0102】
さらなる実施形態によれば、養殖される多毛類の種は、硬い表面上で養殖され、飼料のために養殖ユニット100内の水の塊(water masses)に入るものである。そのような場合、トレイ300の底部は、関連する種に適合させることができる。そのような場合、前述のトレイ300では、少量の汚泥/廃棄物しか必要とされず、給餌は、養殖ユニット100への流体の供給、すなわち、養殖ユニット100を通る流体フローに適合される。
【0103】
システム内のモジュールとして複数の養殖ユニット100を有することによる利点は、最初の種付けと養殖の開始とを異なる開始時間に行うことにより、異なる養殖ユニット100内の多毛類が異なる時間に収穫可能となり、その結果、いずれかの養殖ユニット100が収穫される間に、残りの養殖ユニット100が生産を継続することになるため、多毛類の連続生産が達成されることである。
【0104】
したがって、本発明は多毛類の連続生産を工業化するためのシステムを提供し、特に、魚の飼料の内容物として多毛類を使用するためのシステムを提供するが、多毛類はまた、農業栽培用の飼料、家畜や観賞魚用の飼料、餌(bait)、釣りの餌、及び化粧品などの他の利用分野を有する可能性がある。
【0105】
システム及びその構成要素の記載された実施形態はさらに、省スペース要件を有する。
【0106】
本発明はさらに、給餌及び収穫が簡単かつ効果的であり、システムの追加のユニット/構成要素を追加することによって容易に拡張可能であるシステムを提供する。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
また、本発明は、請求項11の前提部分に記載の高密度で多毛類を生産する方法に関する。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
本発明による高密度な多毛類生産のための方法は、請求項11の技術的特徴によって定義される。この方法の好ましい特徴は、従属請求項に記載されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本発明によれば、飼料は、直接使用するための汚泥/廃棄物、例えば、養魚場の汚泥、堆肥、又は食品廃棄物、生ゴミなどの有機廃棄物や、他の有機材料であってもよい。また、飼料は、例えば、水分離、衛生化、安定化、加水分解又は溶解、篩い分けなどにより、前処理された汚泥廃棄物であってもよい。
【国際調査報告】