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特表2023-534095選択的S1Rアゴニストを使用するウイルス感染、疾患、又は障害の治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】選択的S1Rアゴニストを使用するウイルス感染、疾患、又は障害の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20230801BHJP
   A61K 31/451 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20230801BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20230801BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/451
A61P31/14
A61P31/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567129
(86)(22)【出願日】2021-05-04
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 IL2021050507
(87)【国際公開番号】W WO2021224914
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】63/019,465
(32)【優先日】2020-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519062797
【氏名又は名称】プリレニア ニューロセラピューティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゲヴァ、ミカル
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA13
4C084MA17
4C084MA27
4C084MA34
4C084MA52
4C084MA58
4C084MA63
4C084MA66
4C084MA70
4C084NA14
4C084ZB33
4C086AA01
4C086AA02
4C086GA13
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA34
4C086MA52
4C086MA58
4C086MA63
4C086MA66
4C086MA70
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを対象に投与することを含む、方法を提供する。別の態様において、ウイルス疾患はCOVID-19であり、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記ウイルス感染、疾患、又は障害が、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2、又はそれらからの変異を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疾患がCOVID-19である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記対象におけるERストレスを更に軽減する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記COVID-19の症状が、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記選択的S1Rアゴニストが、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【化1】
【請求項7】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
対象におけるウイルス感染、疾患、又は障害に起因する小胞体ストレス(ERストレス)を軽減する方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項12】
前記ウイルス感染、疾患、又は障害が、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2、及びそれらからの変異を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記疾患がCOVID-19である、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記選択的S1Rアゴニストが、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【化2】
【請求項15】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ヒトコロナウイルス又はその症状若しくはその変異の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記疾患がCOVID-19である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記COVID-19の前記症状が、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む、請求項19又は20に記載の方法。
【請求項22】
前記選択的S1Rアゴニストが、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【化3】
【請求項23】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物を投与することを含む、方法。
【化4】
【請求項28】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物を、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて投与することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記ウイルス感染、疾患、又は障害が、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2、又はそれらからの変異を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患がCOVID-19である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記対象におけるERストレスを更に軽減する、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記COVID-19の症状が、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項27~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、全身投与によって投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、経口投与によって投与される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、経口液体、固体、半固体剤形、注射液、皮膚/経皮剤形、眼科用剤形、吸入可能な組成物として製剤化される、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記組成物が、吸入可能な粉末、注射液、液体、ゲル、固体、カプセル、点眼薬、又は錠剤として製剤化される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記組成物が、1日1回、1日2回、1日3回、又は1日1回未満の頻度で投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記組成物が、1日当たり1回用量、2回用量又は3回用量で投与される、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを対象に投与することを含む、方法を提供する。別の態様において、ウイルス疾患はCOVID-19であり、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩である。
【背景技術】
【0002】
2019年の新型コロナウイルス感染症すなわちCOVID-19は、世界的なパンデミックとして急速に出現した。2021年4月末現在、100カ国以上で確認された症例は1億5000万近くであり、死者は300万人を超えている。緊急承認を受けた治療薬は少数であり、ワクチン接種が利用可能になったのはごく最近になってからである。コロナウイルスは、一本鎖RNAゲノムを有し、多くの同様のタンパク質をコードする。タンパク質及びRNA複製機構は、過去数年間にわたって開発中の抗ウイルス薬の古典的な標的である。しかしながら、コロナウイルスの生活環は、いくつかの宿主細胞によってコードされる細胞経路に依存している(Nabirotchkin et al.2020)。これらの経路の中には、ERストレスによる小胞体ストレス応答(UPR)、オートファジー及びミトコンドリア機能が含まれる。
【0003】
最近のバイオインフォマティクス/プロテオミクス分析(Gordon et al.2020)は、ヒトSigma-1及びSigma-2受容体(S1R/S2R)と相互作用し、疾患の発症に寄与するSARS-CoV-2タンパク質を同定した。これにより、シグマ受容体が、COVID-19を治療するための潜在的な薬物標的として浮き彫りとなっている。約20のウイルスによってコードされるタンパク質のうち、Nsp6及びOrf9cが、Sigma受容体と直接相互作用するものとして同定された。
【0004】
S1Rは、ER-ミトコンドリア相互作用において重要な役割を果たす、ミトコンドリア関連膜(MAM)に位置するERシャペロンタンパク質である。S1Rは、ERストレス、ミトコンドリア機能、カルシウムシグナル伝達、オートファジー、及び細胞恒常性を調節する(Weng,Tsai,and Su 2017;Delprat et al.2020)。S1Rの欠失は、ERストレス及び酸化ストレスを増強する一方で、異なるアゴニストによるS1Rの過剰発現及び活性化は、細胞恒常性を回復し、生存を向上させる。S1Rの活性化は、ERストレスを軽減し、ミトコンドリア機能を回復し、オートファジーを増強することが示されている(Tesei et al.2018;Maurice et al.1994;Christ et al.2019)。
【0005】
S2Rは、最近クローニングされ、TMEM97として同定された細胞内シャペロンタンパク質である(Alon et al.2017)。S1R及びS2Rは遺伝的に関連していないが、それらは同様の薬理学的プロファイルを共有し、また、S1Rリガンドの中には、ハロペリドール及びDTGを含むS2Rに対して高い親和性を示すものもある(Longhitano et al.2017;Tesei et al.2018;Katnik et al.2006)。いくつかのS2Rリガンドは、アポトーシスを誘導することが示されており、そのために魅力的な抗がん剤となる(Tesei et al.2019)。
【0006】
いくつかのSigmaリガンドは、抗ウイルス活性を示すことが最近報告された(Gordon et al.2020)。抗ウイルス活性を示したSigmaリガンド(ウイルス力価アッセイの測定)には、ヒドロキシクロロキン、クレマスチン、及びハロペリドールが含まれた。これらの化合物は全て、S1Rに対する高い親和性だけでなく、S2Rに対しても高い親和性を示し、したがって全ては非選択的化合物である。ヒドロキシクロロキンのS1R及びS2Rに対するKiは、それぞれ200nM及び800nMであり、クレマスチンのS1Rに対するKiは10nM、S2Rに対しては20nMであり、ハロペリドールは、4nMのS1Rに対するKi及び54nMのS2Rに対するKiを有する。
【0007】
Gordonは、彼の論文において、ヒドロキシクロロキン、クレマスチン、及びハロペリドールを用いた抗ウイルス活性を提示している(Gordon et al.2020)。ヒドロキシクロロキンの抗ウイルス活性は、約2uMで示され、これは細胞生存率の約30%の低下と関連していた(Gordon et al.2020)。抗ウイルス活性のための有効なクレマスチン用量は10uMであり、この用量は約40%の細胞死にも関連する。同様に、ハロペリドールの抗ウイルス効果は100uMで示され、約30%の細胞死が認められた(Gordon et al.2020)。
【0008】
プリドピジン(4-[3-(メチルスルホニル)フェニル]-1-プロピル-ピペリジン)は、Ki=0.57nMの選択性の高いS1Rリガンドであり、S2Rに対するKiは5450nMである(Johnston et al.2019)。したがって、プリドピジンは、S2Rと比べてS1Rに対して95倍高い親和性を有し、最も選択的なS1Rリガンドである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様において、本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0010】
更なる態様において、本発明は、対象におけるウイルス感染、疾患、又は障害に起因する小胞体ストレス(ERストレス)を軽減する方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0011】
更なる態様において、発明は、ヒトコロナウイルス又はその症状若しくはその変異の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0012】
更なる態様において、本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
いくつかの実施形態において、ウイルス感染、疾患、又は障害は、ヒトコロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)、又はそれらからの変異を含む。他の実施形態において、疾患はCOVID-19である。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、選択的S1Rアゴニストを使用する。別の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0016】
いくつかの実施形態において、該プリドピジンは、その中性/塩基形態である。いくつかの実施形態において、該プリドピジンは、薬学的に許容される塩形態である。いくつかの更なる実施形態において、該プリドピジンは、塩酸プリドピジンである。
【0017】
いくつかの実施形態において、選択的S1Rアゴニストを含む組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態において、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物は、経口投与される。
【0018】
他の実施形態において、組成物は、全身投与によって投与される。別の実施形態において、組成物は、経口投与によって投与される。別の実施形態において、組成物は、経口液体、固体、半固体剤形、注射液、皮膚/経皮剤形、眼科用剤形、吸入可能な組成物として製剤化される。別の実施形態において、組成物は、吸入可能な粉末、注射液、液体、ゲル、固体、カプセル、点眼薬、又は錠剤として製剤化される。
【0019】
いくつかの実施形態において、組成物は、周期的に投与される(すなわち、該プリドピジンは、1日、1時間、1週間、1ヶ月の期間等の所定の時間間隔で定期的に投与され、各々が、任意選択的に、投与される用量及び期間当たりの投与回数も定義する)。更なる実施形態において、組成物は、1日1回、1日2回、又は1日3回投与される。更なる実施形態において、組成物は、1日1回未満の頻度で投与される。いくつかの実施形態において、組成物は、1日当たり1回用量、2回用量又は3回用量で投与される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明とみなされる主題は、本明細書の結論部分において特に指摘され、明確に特許請求される。しかしながら、本発明は、その目的、特徴、及び利点とともに、構成及び動作方法の両方に関して、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照することによって最も良く理解され得る。
【0021】
図1】変異型Htt(mHtt)が、H2a-GFPの凝集によって定量化されるプリドピジンによるERストレス(H2a-GFP)をもたらすことを表す代表的な画像を示す。初期のERストレスは、ERストレスに応答して、蓄積して凝集体を形成するタンパク質指標であるH2a-GFPで定量化される。STHdhQ7/7細胞において、H2a-GFPを、野生型(WT、Htt20Q)-mCherry又は変異型(Htt96Q)-mCherry(エキソン1)と一過性に共発現させた。トランスフェクションの4時間後に開始して、プリドピジンの濃度を(0.03μMから3μMまで)増加させることなく又は増加させながら細胞を処理し、トランスフェクションの24時間後に共焦点顕微鏡で撮像した。Htt96Q-mCherry凝集体又はHtt20Q-mCherryを含む個々の細胞(実験当たり約150個の細胞)の画像を、凝集体の有無にかかわらず未処理細胞と比較して定量化した。
図2】mHTT(左)又は野生型HTT(右)を有する細胞におけるERストレスの定量化を示す。プリドピジンは、H2a-GFPの凝集によって測定されるように、初期変異体Htt誘導性ERストレスを用量依存的な様式で有意に低下させる。比較目的のために、100%は、mHtt-mCherry凝集体を示す未処理細胞におけるH2a-GFPの相対強度を表し、0%は、mHtt-mcherry凝集体を含まない未処理細胞におけるH2a-GFPの相対強度である。グラフは、3つの実験の平均±SEである。アスタリスクは、未処理と比較して、<0.05(*)及び<0.01(**)のP値を示す。 野生型HTT(右)はERストレスを誘導せず、効果は観察されない。
図3】プリドピジンは、8時間で変異型Httによって誘導されたeIF2αリン酸化(ERストレスマーカー)を低下させる。HEK293細胞をmyc-Htt96Q(変異型HTT、正方形)又はmyc-Htt20Q(野生型HTT、丸)でトランスフェクトし、次いで濃度を(0.03μMから3μMまで)増加させながらプリドピジンで8時間処理した。総eIF2aに対するeIF2a-Pの比を免疫ブロットにより定量化した。プリドピジンは、eIF2a-Pのレベルを用量依存的な様式で低下させ、3μM用量で有意な効果を示す(p<0.01)。
図4】プリドピジンは、24時間で変異型Httによって誘導されたeIF2αリン酸化(ERストレスマーカー)を低下させる。HEK293細胞をmyc-Htt96Q(変異型HTT、正方形)又はmyc-Htt20Q(野生型HTT、丸)でトランスフェクトし、次いで濃度を(0.03μMから3μMまで)増加させながらプリドピジンで24時間処理した。総eIF2aに対するeIF2a-Pの比を免疫ブロットにより定量化した。プリドピジンは、eIF2a-Pのレベルを用量依存的な様式で低下させ、0.3μM及び3μM用量で有意な効果を示す(p<0.05)。
図5】プリドピジンは、ERストレスがタプシガルギンによって誘導される細胞においてeIF2αリン酸化(ERストレスマーカー)を低下させる。タプシガルギンは、ERストレスの強力な誘導剤である。myc-Htt20Q(野生型HTT)でトランスフェクトしたHEK293細胞を、2μg/mlのタプシガルギンで処理して又は処理せずに、リン酸化eIF2α(eIF2α-p)の70%の増加を引き起こす。プリドピジン処理は、p-eIF2αレベルを低下させる(3μM)。
図6】プリドピジンは、S1R依存性機構においてeIF2α-リン酸化(ERストレスマーカー)を低下させる。HEK293細胞を、ヒトS1R又は対照gRNAを標的とするガイドRNA(gRNA)でトランスフェクトした。Htt96Q(mHTT)をHEK293細胞において一過性に発現させた。細胞を0.3μM及び3μMのプリドピジンで8時間処理した。総eIF2αに対するeIF2α-Pの比を免疫ブロット法により測定して定量化した。プリドピジン処理は、S1Rを発現する細胞(S1R+/+)において、0.3μM及び3μMの濃度でp-eIF2αレベルを低下させる(p<0.01)。しかしながら、この効果は、S1Rが存在しない(S1R-/-細胞)場合には無効であることから、S1Rによって媒介されるプリドピジンのERストレス軽減効果が示される。データは、3つの実験の平均±SDである。
図7A】プリドピジンは、小胞体ストレス応答経路(UPR)マーカーATF4(図7A)、CHOP(図7B)及びGADD34(図7C)のタンパク質レベルを低下させる。myc-Htt96Q(変異型Htt)又はmyc-Htt20Q(野生型Htt)を発現する細胞を、プリドピジン3uMで処理した。免疫ブロットを抗ATF4(図7A)、抗CHOP(図7B)及び抗GADD34(図7C)と反応させ、定量化し、負荷対照として抗アクチン又は抗チューブリンで正規化した。プリドピジン(3μM)は、ATF4レベルを約4.5倍(p<0.05)、CHOPを約2倍、GADD-34を約2.5倍(p<0.01)低下させる。
図7B】プリドピジンは、小胞体ストレス応答経路(UPR)マーカーATF4(図7A)、CHOP(図7B)及びGADD34(図7C)のタンパク質レベルを低下させる。myc-Htt96Q(変異型Htt)又はmyc-Htt20Q(野生型Htt)を発現する細胞を、プリドピジン3uMで処理した。免疫ブロットを抗ATF4(図7A)、抗CHOP(図7B)及び抗GADD34(図7C)と反応させ、定量化し、負荷対照として抗アクチン又は抗チューブリンで正規化した。プリドピジン(3μM)は、ATF4レベルを約4.5倍(p<0.05)、CHOPを約2倍、GADD-34を約2.5倍(p<0.01)低下させる。
図7C】プリドピジンは、小胞体ストレス応答経路(UPR)マーカーATF4(図7A)、CHOP(図7B)及びGADD34(図7C)のタンパク質レベルを低下させる。myc-Htt96Q(変異型Htt)又はmyc-Htt20Q(野生型Htt)を発現する細胞を、プリドピジン3uMで処理した。免疫ブロットを抗ATF4(図7A)、抗CHOP(図7B)及び抗GADD34(図7C)と反応させ、定量化し、負荷対照として抗アクチン又は抗チューブリンで正規化した。プリドピジン(3μM)は、ATF4レベルを約4.5倍(p<0.05)、CHOPを約2倍、GADD-34を約2.5倍(p<0.01)低下させる。
図8】プリドピジンは、UPRマーカーATF6のタンパク質レベルを低下させる。myc-Htt96Q(変異型Htt)を発現する細胞を、プリドピジン0.03μM及び3μMで処理した。免疫ブロットを抗ATF6と反応させ、定量化し、負荷対照として抗チューブリンで正規化した。両方の濃度のプリドピジンは、0.03μM及び3μMの濃度で、それぞれ、ATF6を約10%及び約30%低下させる。
図9】プリドピジンは、UPRマーカーXBP1sのmRNAレベルを低下させる。myc-Htt96Q(変異型Htt)又はmyc-Htt20Q(野生型Htt)を発現する細胞を、プリドピジン0.03μM及び3μMで処理した。XBP1sのRNAレベルを定量PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によって決定した。Xbp1sレベルは、変異型Httトランスフェクト細胞において70%増加する。プリドピジン処理は、3μM濃度でXBP1sレベルの有意な25%の低下を示す(p<0.01)。
図10】プリドピジンは、YAC128 HD線条体ニューロンにおいてミトコンドリアの反応性活性酸素種(ROS)を減少させる。YAC128は、ハンチントン病(HD)のマウスモデルであり、野生型又はYAC128由来の線条体ニューロンを1μMプリドピジンで処理して又は処理せずに、MitoPY1蛍光プローブでインキュベートした。ミトコンドリア呼吸阻害剤アンチマイシンA(Ant A、2μM)を使用して、ミトコンドリアHの放出及び酸化ストレスを誘導した。Ant Aの投与の前及び後に、スピニングディスク共焦点でミトコンドリアHを記録した(n=4、約20細胞/条件を考慮)。Ant Aは、未処理細胞におけるHを約2倍増加させた。プリドピジン処理は、H放出及び酸化ストレスを阻害する。スケールバー=30μM。双方向ANOVAにより、ミトコンドリアROS産生に対するプリドピジン処理の救済効果を明らかにする[F(1,389)=15.24;p<0.0001]。
図11】プリドピジンは、酸化ストレス後の皮質HDニューロンにおいてミトコンドリア膜電位(MMP)を増加させる。野生型及びYAC128(HD)由来の線条体ニューロンをプリドピジンで24時間処理し、TMRM(テトラメチルローダミンメチルエステル)を使用して、オリゴマイシン+FCCP(カルボニルシアニド-4-フェニルヒドラゾン)(n=7~10)で脱分極した後のMMPの変化を評価した。HDニューロンは、MMPの低下を示す。プリドピジン処理は、野生型ニューロンにおけるMMPを増強し、HDニューロンにおけるMMP障害を有意に回復させる(2方向ANOVA分析[F(2,107)=3.257;p=0.0423])。
図12】ミトコンドリア膜電位(MMP)に対するプリドピジンの作用は、S1Rによって媒介される。HD患者由来のリンパ芽球においてS1Rを遺伝子的にノックダウン(KD)したところ(S1R KD)、S1Rタンパク質レベルの約83%の低下を示した。細胞をプリドピジン5μMで処理し、次いで0.1mMのHでチャレンジした。MMPを、対照及びS1R-KD HDリンパ芽球におけるTMRE(テトラメチルローダミンエチルエステル)シグナルによって定量化した(5μM、24時間、n=4)。H処理は、S1R+/+及びS1R-KD細胞の両方において、それぞれ25%及び75%とMMPを有意に低下させた。プリドピジン処理は、S1R+/+細胞においてMMPを完全に回復させたが、S1R KD細胞では完全には回復しなかったことから、プリドピジンの効果がS1Rによって媒介されることが示される。****p<0.0001クラスカル・ウォリス検定、続いてDunnの多重比較検定。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明において、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが、当業者によって理解されるであろう。他の場合には、周知の方法、手順、及び構成要素は、本発明を不明瞭にしないように詳細に説明されていない。
【0023】
第1の態様において、本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0024】
更なる態様において、本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行うための方法であって、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0025】
【化2】
【0026】
「ウイルス感染、疾患、障害、又はその任意の症状」に言及する場合、ウイルス感染が直接的又は間接的な役割を果たす、対象の健康を危険にさらす任意の種類の状態を包含することが理解されるべきである。
【0027】
いくつかの実施形態において、ウイルス感染、疾患、又は障害は、ヒトコロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス、SARSコロナウイルス2、又はそれらからの変異を含む。他の実施形態において、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによって治療される疾患は、COVID-19である。
【0028】
一実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、ヒトコロナウイルス若しくはその変異及び/又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。
【0029】
一実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、重症急性呼吸器症候群(SARS)若しくはその変異及び/又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。
【0030】
一実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス若しくはその変異及び/又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。
【0031】
一実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)若しくはその変異及び/又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。
【0032】
一実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、COVID-19若しくはその変異及び/又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。
【0033】
一実施形態において、本発明は、対象におけるウイルス感染、疾患、又は障害に起因するERストレスを軽減する方法を提供する。別の実施形態において、ウイルス感染、疾患、又は障害は、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2若しくはその変異及び/又は症状を含む。別の実施形態において、疾患は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによるCOVID-19である。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス若しくはその変異及び/又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。他の実施形態において、症状は、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む。
【0035】
COVID-19の最も一般的な症状は、発熱、乾性咳、及び疲労感である。患者の中には、体中の痛み、鼻閉、のどの痛み、又は下痢を有する者もある。これらの症状は、通常は軽度であり、徐々に発現する。一部の人々は、感染しても、非常に軽度の症状を有するのみである。ほとんどの人々(約80%)は、病院での治療を必要とせずに疾患から回復する。COVID-19に感染した人の約5人に1人が重症化し、呼吸困難を発症する。高齢者、並びに高血圧、心臓及び肺の問題、糖尿病、又はがん等の基礎疾患を有する人々は、重症疾患を発症するリスクがより高い。しかしながら、誰もがCOVID-19に感染し、重症化する可能性がある。COVID-19の非常に軽度の症状を有する人々であっても、ウイルスを伝染させる可能性がある。発熱、咳、呼吸困難を経験するあらゆる年齢の人々が、医学的処置を受けるべきである。
【0036】
いくつかの実施形態において、本発明は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を投与することによる、COVID-19の治療、発生率の減少、抑制又は阻害の方法を提供する。他の実施形態において、症状は、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を使用する。他の実施形態において、S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0038】
SAR-CoV-2感染は、コロナウイルスの生活環に不可欠な小胞体ストレス応答(UPR)/オートファジー経路を誘導する。
【0039】
ウイルス侵入に応答して、宿主細胞は、小胞体ストレス応答(UPR)を活性化し、グローバルなタンパク質翻訳をシャットダウンすることによって、小胞体(ER)の恒常性を回復しようとする。
【0040】
コロナウイルス侵入によるUPRの誘導は、ウイルス宿主細胞相互作用の主要な側面を構成する。ERストレス及びUPR活性化は、コロナウイルス感染中にウイルス複製及びウイルス病原性に大きく寄与する(Fung and Liu 2014)。
【0041】
ウイルスは、その生活環を完了するためにUPRを操作して、その伝播を増強する(Cava,Bertoli,and Castiglioni 2020)。したがって、ERストレスの軽減は、抗ウイルス療法の魅力的な候補標的である。
【0042】
SARS-CoV及びMERS-CoV等の以前に同定されたコロナウイルスは、ERストレスを誘導し、ウイルス複製のためにERを利用し、継続的なウイルス複製を確実にするためにアポトーシス経路を妨害することが示されている(S.Li et al.2020、DeDiego et al.2011)。UPRのSARS-CoV誘導は、その機能を選択的に調節して、アポトーシスを回避しながらその複製を増強することが示唆されている(Chan et al.2006)。
【0043】
ウイルス感染誘導性のERストレスは、eIF2αのリン酸化をもたらし、細胞内でのグローバル翻訳を阻害するが、ATF4及びCHOP等のUPR関連遺伝子の翻訳を増加させる(Bechill et al.2008、K.Liao et al.2016)。
【0044】
いくつかの実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、ウイルス感染、疾患、又は障害に罹患している患者においてERストレスを軽減する。他の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0045】
UPR経路は、オートファジー経路とともに、ウイルス感染、タンパク質恒常性の調節、先天性免疫、及びウイルス粒子のクリアランスに不可欠である。例えば、コロナウイルスMERS-CoVは、オートファジー経路を遮断する(Gassen et al.2019)。
【0046】
いくつかの実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、ウイルス感染、疾患、又は障害に罹患している患者においてERストレス及びUPR経路を調節する。別の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、ERストレスを軽減する。他の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0047】
いくつかの実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、ウイルス感染、疾患、又は障害に罹患している患者においてオートファジー経路を調節する。他の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0048】
COVID-19における酸化ストレスとミトコンドリア機能不全
【0049】
ミトコンドリアは、ROSレベルを制御する上で重要な役割を果たし、機能不全のミトコンドリアは、高レベルの制御されていない毒性ROSを産生する(過剰なROSレベルは、細胞に広範な損傷を引き起こし、タンパク質を酸化する)。具体的には、SARS-CoV2感染が、主に免疫系の活性に起因してROSレベルを増強することが示されている(Wang,Zhang,and Bai 2020、Starkov 2008)。SARS-CoVのORF8タンパク質は、ミトコンドリアに局在し、そこでROS産生の増加を引き起こすことから、ROS産生及びミトコンドリア機能を調節する役割が示される(Chen et al.2007)。これに照らして、ROSを減少させることができる治療は、COVID-19の潜在的な標的である。
【0050】
いくつかの実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、ウイルス感染、疾患、又は障害に罹患している患者においてROSを減少させる。他の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0051】
SARS-CoV-2に感染した患者は、IL-1β、IL-2、TNFα、MCP1、IL7及びGSCFを含む高い血漿レベルの炎症促進性サイトカインを有する(Harapan et al.2020)。サイトカインレベルの増加は、呼吸器疾患の一般的な合併症であり、初期応答である炎症促進性サイトカインの過剰産生は、多臓器不全及び死亡を含む重度の合併症を引き起こす可能性がある(Ricardo J Jose and Manuel 2020)。ICUの患者は、有意により高いレベルのGSCF、MCP1、及びTNFαを有し、サイトカインストームが疾患の重症度の根本的な原因であり得ることが示唆される。S1Rアゴニストによる治療は、サイトカインレベルを低下させ、炎症反応を抑制することが示されている(Zhao et al.2014、Allahtavakoli and Jarrott 2011)。
【0052】
いくつかの実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、ウイルス感染、疾患、又は障害に罹患している患者においてサイトカイン血漿レベルを低下させる。他の実施形態において、選択的S1Rアゴニストは、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである。
【0053】
本発明の方法に使用するための組成物
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の方法に使用するための選択的S1Rアゴニストを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の方法に使用するための、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物を提供する。
【0055】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行う際に使用するための、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を提供する。
【0056】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の治療、発生率の減少、抑制又は阻害を必要としている対象においてそれを行う際に使用するための、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物を提供する。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウイルス感染、疾患、又は障害に起因する小胞体ストレス(ERストレス)の軽減を必要としている対象においてそれを行う際に使用するための、選択的S1Rアゴニストを含む組成物を提供する。
【0058】
いくつかの実施形態において、本発明は、ウイルス感染、疾患、又は障害に起因する小胞体ストレス(ERストレス)の軽減を必要としている対象においてそれを行う際に使用するための、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む組成物を提供する。
【0059】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、プリドピジン、又はその薬学的に許容される塩を含む。別の実施形態において、プリドピジンは、中性/遊離塩基である。別の実施形態において、プリドピジンは、その薬学的に許容される塩形態である。
【0060】
別の実施形態において、プリドピジン塩は、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む。別の実施形態において、プリドピジン塩は、塩酸プリドピジンである。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、プリドピジンを、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ又はその塩と組み合わせて含む。
【0062】
【化3】
【0063】
他の実施形態において、プリドピジンの類似化合物1~7及びそれらの調製方法は、米国特許第10,130,621号及び同第10,406,145号に見出すことができ、これらの各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物1又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、化合物1又はその薬学的に許容される塩、及び化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジンを含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物2又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物3又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物5又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物6又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。他の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、少なくとも化合物7又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0065】
別の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、化合物1~7の少なくとも1つと組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含み、化合物1~7のうちの少なくとも1つは、組成物の0.01重量%~5重量%である。別の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、化合物1~7の少なくとも1つと組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含み、化合物1~7のうちの少なくとも1つは、組成物の0.01重量%~1重量%、0.05~0.5重量%、又は0.05重量%~1重量%である。別の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、化合物1又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含み、化合物1は、組成物の0.01重量%~5重量%、0.01重量%~1重量%、0.05~0.5重量%又は0.05重量%~1重量%である。別の実施形態において、本発明の方法に使用するための組成物は、化合物4又はその薬学的に許容される塩と組み合わせて、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含み、化合物4は、組成物の0.01重量%~5重量%、0.01重量%~重量1%、0.05~0.5重量%又は0.05重量%~1重量%である。
【0066】
いくつかの実施形態において、本発明は、本発明の方法に使用するためのプリドピジンの重水素化類似体を含む組成物を提供する。「重水素化類似体」とは、ある量の化合物において、化合物の任意の関連部位における重水素の存在量が、その部位に天然に存在する重水素の存在量よりも多い「重水素富化」化合物を指す。天然に存在する重水素の分布は約0.0156%である。したがって、「重水素富化」化合物では、その関連部位のいずれかにおける重水素の存在量は0.0156%超であり、0.0156%超~100%の範囲であり得る。重水素富化化合物は、水素を重水素と交換するか、又は重水素富化出発物質で化合物を合成することによって得ることができる。
【0067】
他の実施形態において、プリドピジンの重水素化類似体及びそれらの調製方法の例は、米国特許出願公開第2013-0197031号、同第2016-0166559号及びUS2019-0015401に見出すことができ、これらの各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0068】
他の実施形態において、プリドピジンの重水素化類似体は、以下から選択される:
【0069】
【化4】
【0070】
本明細書で開示される方法及び使用に関して、投与経路は、例えば、経口であり得る。投与経路はまた、効果が局部的であるか(例えば、局所投与において)、又は全身的であるか(例えば、経腸投与又は非経口投与において)によって分類することができる。本明細書で使用される「局部投与」は、その作用が所望される場所への化合物又は組成物の直接投与を意味し、具体的には全身投与を除外する。本明細書で使用される化合物又は組成物の「局所投与」は、化合物又は組成物を、皮膚又は眼等の粘膜等の体表面に適用することを意味するものとする。本明細書で使用される「眼投与」は、対象の眼、又は眼の周囲の皮膚(眼周囲皮膚)、又は眼の周囲の粘膜、具体的には対象の結膜への化合物又は組成物の適用、すなわち局部投与を意味する。
【0071】
本発明のプリドピジン又は選択的S1Rアゴニスト及び医薬組成物の量は、経口投与、局所投与、全身投与、局部投与、又は眼投与によって投与され得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用するための本明細書に開示される組成物は、全身投与によって投与される。他の実施形態において、組成物は、経口投与によって投与される。他の実施形態において、組成物は、経口液体、固体、半固体剤形、注射液、皮膚/経皮剤形、眼科用剤形として、又は吸入可能な組成物として製剤化される。他の実施形態において、組成物は、吸入可能な粉末、注射液、液体、ゲル、固体、カプセル、点眼薬として、又は錠剤として製剤化される。
【0073】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用するための本明細書に開示される組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、又は1日1回未満の頻度で投与される。
【0074】
いくつかの実施形態において、本発明の方法に使用するための本明細書に開示される組成物は、1日当たり1回用量、2回用量又は3回用量で投与される。
【0075】
プリドピジン誘導体の例は、重水素富化型のプリドピジン及び塩である。重水素富化プリドピジン及び塩並びにそれらの調製方法の例は、米国特許出願公開第2013-0197031号、同第2016-0166559号及び同第2016-0095847号に見出すことができ、これらの各々の内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
本発明はまた、任意の薬学的に許容される塩を含むプリドピジンの任意の塩を含み、プリドピジンは、正味電荷(正電荷又は負電荷のいずれか)を有し、少なくとも1つの対イオン(逆の負電荷又は正電荷を有する)がそれに添加されて、該塩を形成する。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される塩」という語句は、哺乳動物における薬学的使用のために安全かつ有効であり、所望の生物学的活性を有する本発明の化合物の塩を意味する。薬学的に許容される塩としては、本発明の化合物中に存在する酸基又は塩基基の塩が挙げられる。薬学的に許容される酸付加塩は、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩(gentisinate)、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含むが、これらに限定されない。本発明の特定の化合物は、様々なアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成することができる。好適な塩基塩としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛、及びジエタノールアミン塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩についての概説は、BERGE ET AL.,66 J.PHARM.SCI.1-19(1977)(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。別の実施形態において、本発明のプリドピジン塩は、塩酸塩である。
【0077】
したがって、本発明は、薬学的に許容される補助剤、及び任意選択的に他の治療剤との混合物中に本発明の薬剤を含む医薬組成物にも関する。補助剤は、組成物の他の成分と適合性であり、その受容体に有害ではないという意味で「許容される」ものでなければならない。
【0078】
医薬組成物としては、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、口腔及び舌下を含む)、経膣又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与又はインプラントによる投与に好適なものが挙げられる。組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。
【0079】
医薬組成物としては、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、口腔及び舌下を含む)、経膣又は非経口(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内を含む)投与又はインプラントによる投与に好適なものが挙げられる。組成物は、薬学の分野で周知の任意の方法によって調製され得る。
【0080】
かかる方法には、本発明で使用される会合化合物又はそれらの組み合わせを、任意の助剤とともに組み込むステップが含まれる。助剤は、付属成分とも称され、担体、充填剤、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、香味剤、抗酸化剤、及び湿潤剤等の従来のものを含む。
【0081】
経口投与に好適な医薬組成物は、丸剤、錠剤、ドラジェ若しくはカプセル等の別個の投薬単位として、又は粉末若しくは顆粒として、又は溶液若しくは懸濁液として提示されてもよい。活性成分は、ボーラス又はペーストとして提示されてもよい。組成物は、直腸投与のための坐剤又は浣腸に更に加工することができる。
【0082】
本発明は更に、前述したような使用のための組成物の使用説明書を含む包装材料と組み合わせて、前述したような医薬組成物を含む。
【0083】
非経口投与では、好適な組成物は、水性及び非水性滅菌注射を含む。組成物は、単位用量又は複数用量の容器、例えば、密封バイアル及びアンプル内に提示されてもよく、使用前に、滅菌液体担体、例えば、水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管されてもよい。経皮投与には、例えば、ゲル、パッチ、又はスプレーが企図され得る。肺投与、例えば、経鼻吸入に好適な組成物又は製剤には、加圧式定量噴霧式エアロゾル、ネブライザー、又は吸入器によって生成され得る微細な細粉又は噴霧が含まれる。
【0084】
組成物の正確な用量及び投与レジメンは、必然的に達成される治療又は栄養効果に依存し、式、投与経路、及び組成物が投与される個々の対象の年齢及び状態によって変化し得る。
【0085】
本明細書で使用される「治療」という用語は、望ましくない疾患、障害(疾患若しくは障害に関連する症状を含む)を改善する、そのような疾患、障害(疾患若しくは障害に関連する症状を含む)の出現をそれらが発生する前に予防する、疾患の進行を遅らせる、症状の悪化を遅らせる、寛解期の開始を強化する、疾患の進行性慢性期に引き起こされる不可逆的な損傷を遅らせる、該進行性期の開始を遅らせる、疾患の重症度を軽減若しくは疾患を治癒する、生存率若しくはより迅速な回復を改善する、又は疾患の発生を予防するのに有効な、又は上記のうちの2つ以上の組み合わせに有効な、本発明の組成物の治療量を投与することを指す。本明細書に開示される目的のための「有効量」は、当該技術分野で既知であり得るような考慮事項によって決定される。この量は、とりわけ、治療される疾患の種類及び重症度並びに治療レジメンに応じて、上述の所望の治療効果を達成するために有効でなければならない。いくつかの実施形態において、プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物は、1~400mg/日であり、1日1回、1日2回、1日3回又は1日1回未満の頻度で投与される。一般的に既知であるように、有効量は、リガンドの受容体への親和性、体内での分布プロファイル、体内での半減期等の様々な薬理学的パラメータ、望ましくない副作用(もしあれば)、年齢及び性別等の因子を含む様々な因子に依存する。
【0086】
いくつかの実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~400mg/日の1日用量で投与される。いくつかの実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~300mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、45mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。他の実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~50mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、1mg/日~10mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、10mg/日~20mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、20mg/日~30mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、30mg/日~40mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、40mg/日~50mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、50mg/日~60mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、60mg/日~70mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、70mg/日~80mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、80mg/日~90mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、90mg/日~100mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、100mg/日~150mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、150mg/日~200mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、200mg/日~250mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、250mg/日~300mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、300mg/日~350mg/日の1日用量で投与される。更なる実施形態において、プリドピジンは、350mg/日~400mg/日の1日用量で投与される。
【実施例
【0087】
実施例1:プリドピジンはmHtt誘導性ERストレスを減少させた
【0088】
ERストレスは、目に見える変異型Htt-mCherry凝集体を示した変異Htt96Q-mCherry(増殖された変異型Htt)をトランスフェクトしたSTHdhQ7/7細胞で測定した。変異型Htt-mCherry凝集体の出現は、ERストレスを示す高レベルの蓄積されたH2a-GFPと相関していた(図1)。Htt20Q-mCherry(野生型HTT)、又は目に見える凝集体を含まないHtt96Q-mCherry(変異型HTT)を発現するSTHdhQ7/7細胞は、低レベルのH2a-GFPを示す(ERストレスなし)。
【0089】
プリドピジンは、変異型Htt凝集体陽性の細胞におけるH2a-GFPの蓄積を用量依存的な様式で有意に減少させ、mHTT凝集体を含まない細胞、又はHtt20Q-mCherryを発現する細胞のH2a-GFPレベルを変化させなかった(図2)。
【0090】
したがって、プリドピジンは、用量依存的な様式でHtt誘導性ERストレスを減少させた。
【0091】
ウイルス感染誘導性のERストレスは、eIF2αのリン酸化をもたらし、細胞内でのグローバル翻訳を阻害するが、ATF4、CHOP、GADD-34、ATF6及びXbp1等のUPR関連遺伝子の発現を増加させる(Bechill et al.2008;K.Liao et al.2016)。
【0092】
実施例2:プリドピジンはeIF2α-pレベルを低下させた
【0093】
ERストレスに対するプリドピジンの効果を、翻訳開始因子eIF2αのリン酸化レベルを評価することによって調べた。eIF2αのリン酸化は、ERストレス応答の特徴である。図3及び図4において、変異型Httタンパク質(Htt96Q)を発現するHEK293細胞は、野生型Htt(Htt20Q)を発現する細胞と比較して、eIF2αリン酸化(eIF2α-p)において、それぞれ1.7倍及び3.5倍の増加を示す。プリドピジン処理は、8時間(図3)及び24時間(図4)の両方で、eIF2αリン酸化において有意な用量依存性の低下(eIF2α-P/eIF2αの比)を引き起こし、細胞ERストレスの低下が示された。
【0094】
変異型ハンチンチンによってはERストレスが誘導されなかったが、強力なERストレス誘導剤タプシガルギンによって誘導された細胞においても、ERストレスに対するプリドピジンの効果を評価した。Htt20Q-mCherry(野生型HTT)でトランスフェクトしたHEK293細胞を、2μg/mlのタプシガルギンで処理してERストレスを誘導した。プリドピジン(3μM)処理は、処理の8時間後にeIF2α-pの低下(eIF2α-P/eIF2αの比)を引き起こし(図5)、プリドピジンが根本的な原因に関係なくERストレスを軽減することが示された。
【0095】
実施例3:プリドピジンはS1R依存性機構においてeIF2α-p(ERストレス)を低下させた
【0096】
ERストレスに対するプリドピジンの効果がS1R媒介性であるかどうかを評価するために、CRISPR/Cas9(S1R-/-)を使用して、S1Rを遺伝的に欠失させたHEK293細胞においてeIF2αリン酸化レベルを評価した。変異型Htt(Htt96Q)のトランスフェクションによってERストレスを誘導した。S1R+/+細胞において、Htt96Qは、eIF2α-Pレベルにおける2倍の増加によって測定されるように、ERストレスを増加させた。プリドピジン処理(0.3及び3μM)は、eIF2α-Pレベルを有意に低下させた(図6)。S1Rの遺伝子欠失(S1R-/-)もまた、eIF2α-Pレベルの増加に寄与し、ERストレスレベルの媒介にS1Rが関与していることが示される。Htt96QでトランスフェクトしたS1R-/-細胞のプリドピジン処理は、eIF2α-Pレベルに影響を及ぼさなかったことから、プリドピジンの効果がS1Rによって絶妙に媒介されることが示される。
【0097】
UPR経路タンパク質ATF4、CHOP、GADD-34、ATF6及びXbp1のレベルは、コロナウイルス(すなわち、感染性気管支炎ウイルス(IBV)及びマウス肝炎ウイルス(MHV))による感染に応答して、複数の細胞モデルにおいて上方制御された(Y.Liao et al.2013、Bechill et al.2008)。バイオインフォマティクス分析は、SARS-CoV2による同様の効果を予測する(Nabirotchkin et al.2020)。
【0098】
実施例4:プリドピジンはUPR PERK経路マーカーのレベルを低下させた
【0099】
ATF4の翻訳は、ERストレス及びeIF2αリン酸化に応答して増加し、これはUPR経路の一部であり、CHOP及びGADD-34翻訳の増加を含む転写応答のカスケードを開始する。ATF4、CHOP、及びGADD-34タンパク質レベルに対するプリドピジンの効果を、変異型Htt(Htt96Q)によってERストレスを誘導したHEK293で評価した。Htt96Q誘導性ERストレスは、野生型Htt(Htt20Q)でトランスフェクトした細胞と比較して、ATF4レベルを4.5倍(図7A)、CHOPレベルを5倍(図7B)、GADD-34レベルを7倍(図7C)増加させる。プリドピジン処理は、ATF4、CHOP及びGADD-34を正常な野生型レベルまで低下させる。
【0100】
実施例5:プリドピジンは、UPR経路アームATF6及びIREマーカーのレベルを低下させた
【0101】
ERストレスは、ATF6経路及びIRE1経路という2つの追加のUPR経路の増加(Xbp1スプライシングの増加)によって測定されるように、HD細胞において明らかであった。HEK293細胞において、ATF6レベルは、Htt20Qトランスフェクト細胞において検出不可能であり、したがって、変異型Htt96Qトランスフェクト細胞において増加した。プリドピジン処理(3μM)は、ATF6レベルを35%低下させた(図8)。UPR経路のIRE1アームでは、Xbp1sのmRNAレベルが約60%増加した。プリドピジン処理(3μM)は、Xbp1sのmRNAレベルを25%有意に低下させた(図9)。これらのデータは、プリドピジンが、ERストレスが誘導したUPR経路の3つ全てのアームの活性化を低下させることを示す。
【0102】
実施例6:プリドピジンはミトコンドリアROS産生を減少させた
【0103】
HDマウスニューロンは、酸化的チャレンジに対する感受性の増加を示し、活性酸素種(ROS)のレベル増加及び抗酸化物質応答の欠損をもたらした。YAC128 HDマウス由来の線条体ニューロンを、1μMのプリドピジンで処理した後、ミトコンドリア呼吸阻害剤アンチマイシンA(Ant A)によるROS産生の誘導を行った。Ant Aは、YAC128ニューロンにおけるROS産生を約2倍増加させた。プリドピジン(1μM)は、ミトコンドリアによるROS産生の正常レベルまでのロバストかつ有意な減少を示した(図10)。
【0104】
ATF4及びCHOPは、ミトコンドリア機能の調節に関与する(Sileikyte and Forte 2019)。バイオインフォマティクス分析(Nabirotchkin et al.2020)によって示唆されるように、ATF4及びCHOPレベルに影響を与えることにより、SARS-CoV2は、ミトコンドリア機能を妨げることが示された前述のコロナウイルスと同様に、アポトーシスを回避するためにこの調節を妨害することができる(Kim et al.2018)。
【0105】
実施例7:SARS-CoV-2感染はミトコンドリア膜電位を低下させる
【0106】
SARS-CoVのNsp10タンパク質は、ミトコンドリア複合体IVの構成要素であるチトクロムオキシダーゼIIと直接相互作用する。この相互作用は、チトクロムオキシダーゼの活性の低下、及びミトコンドリア膜電位の損失につながる。総合すると、SARS-CoV-2は、ミトコンドリアの酸化還元酵素系に影響を与え、ミトコンドリア膜電位を低下させる(Q.Li et al.2005)。
【0107】
実施例8:プリドピジンはミトコンドリア膜電位を上昇させる
【0108】
野生型(WT)対照及びYAC128 HDマウス由来の線条体ニューロンにおいて、ミトコンドリア膜電位(MMP)の調節におけるS1Rの役割を調べた。HDニューロンは、WTと比較して低下したMMPを示す。WTニューロンでは、プリドピジンは、1μMでMMPの有意な増加を引き起こし、0.1μMでMMPを増加させる傾向が見られる。MMPがWTと比較して25%減少したHDニューロンにおいて、両用量のプリドピジンは、MMPの有意な増加を引き起こした。したがって、プリドピジンは、膜電位障害を救済する(図11)。
【0109】
実施例9:ミトコンドリア膜電位に対するプリドピジンの効果はS1Rによって媒介される
【0110】
プリドピジンの効果がS1Rによって媒介されることを確認するために、HDリンパ芽球でS1Rをノックダウンし、タンパク質レベルの約83%の低下を達成した。H処理は、S1R+/+及びS1R-KD細胞の両方において、それぞれ25%及び75%とMMPを有意に低下させた。プリドピジン処理(5μM)は、S1R+/+細胞においてMMPを完全に回復させたが、S1R KD細胞では完全には回復しなかった。したがって、プリドピジンは、MMPに対して保護効果を有する。Hチャレンジによって誘導されるMMP低下に対するプリドピジンの効果は、S1Rレベルが低下した細胞では無効であり(p<0.001)、プリドピジン効果がS1R依存性であることが示された(図12)。
【0111】
本出願で引用される参考文献
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を行うための組成物であって、
選択的S1Rアゴニストを含む、組成物
【請求項2】
前記ウイルス感染、疾患、又は障害が、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2、又はそれらからの変異を含む、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記疾患がCOVID-19である、請求項2に記載の組成物
【請求項4】
前記対象におけるERストレスを更に軽減する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物
【請求項5】
前記COVID-19の症状が、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む、請求項3に記載の組成物
【請求項6】
前記選択的S1Rアゴニストが、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物
【化1】
【請求項7】
前記選択的S1Rアゴニストが、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項6に記載の組成物
【請求項8】
前記選択的S1Rアゴニストが、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物4又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項6に記載の組成物
【請求項9】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項6~8のいずれか一項に記載の組成物
【請求項10】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の組成物
【請求項11】
対象におけるウイルス感染、疾患、又は障害に起因する小胞体ストレス(ERストレス)を軽減するための組成物であって、
選択的S1Rアゴニストを含む、組成物
【請求項12】
前記ウイルス感染、疾患、又は障害が、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2、及びそれらからの変異を含む、請求項11に記載の組成物
【請求項13】
前記疾患がCOVID-19である、請求項11又は12に記載の組成物
【請求項14】
前記選択的S1Rアゴニストが、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである、請求項11~13のいずれか一項に記載の組成物
【化2】
【請求項15】
前記選択的S1Rアゴニストが、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項14に記載の組成物
【請求項16】
前記選択的S1Rアゴニストが、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物4又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項14に記載の組成物
【請求項17】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項14~16のいずれか一項に記載の組成物
【請求項18】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の組成物
【請求項19】
対象におけるヒトコロナウイルス又はその症状若しくはその変異の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を行うための組成物であって、
選択的S1Rアゴニストを含む、組成物
【請求項20】
前記疾患がCOVID-19である、請求項19に記載の組成物
【請求項21】
前記COVID-19の前記症状が、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む、請求項19又は20に記載の組成物
【請求項22】
前記選択的S1Rアゴニストが、プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせである、請求項19~21のいずれか一項に記載の組成物
【化3】
【請求項23】
前記選択的S1Rアゴニストが、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項22に記載の組成物
【請求項24】
前記選択的S1Rアゴニストが、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
及び化合物4又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項22に記載の組成物
【請求項25】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項22~24のいずれか一項に記載の組成物
【請求項26】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の組成物
【請求項27】
対象におけるウイルス感染、疾患、障害、又はその症状の、治療、発生率の減少、抑制又は阻害を行うための組成物であって、
プリドピジン、その薬学的に許容される塩、その重水素化類似体、又はプリドピジンと、その類似化合物1~7のうちの少なくとも1つ若しくはその塩との組み合わせを含む、組成物
【化4】
【請求項28】
前記組成物が、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項27に記載の組成物
【請求項29】
前記組成物が、
プリドピジン又はその薬学的に許容される塩を含む組成物と、
化合物1又はその薬学的に許容される塩と、
化合物4又はその薬学的に許容される塩との組み合わせを含む、請求項27に記載の組成物
【請求項30】
前記ウイルス感染、疾患、又は障害が、ヒトコロナウイルス、SARS、MERSコロナウイルス、SARSコロナウイルス2、又はそれらからの変異を含む、請求項27に記載の組成物
【請求項31】
前記疾患がCOVID-19である、請求項30に記載の組成物
【請求項32】
前記対象におけるERストレスを更に軽減する、請求項27~31のいずれか一項に記載の組成物
【請求項33】
前記COVID-19の症状が、腎不全、発熱、疲労感、乾性咳、体中の痛み、鼻閉、鼻水、のどの痛み、下痢、又はそれらの組み合わせを含む、請求項27に記載の組成物
【請求項34】
前記プリドピジンが、塩基形態又は薬学的に許容される塩形態である、請求項27~33のいずれか一項に記載の組成物
【請求項35】
前記プリドピジン塩が、塩酸プリドピジン、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、D,L-酒石酸塩、L-酒石酸塩、D-酒石酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、ヘミコハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、ゲンチジン酸、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グリコール酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、ベシル酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、リンゴ酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、トシル酸塩、ナフタレン-2-スルフェート、又はパモ酸塩(すなわち、1,1'-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸))塩を含む、請求項34に記載の組成物
【請求項36】
前記組成物が、全身投与によって投与される、請求項1~35のいずれか一項に記載の組成物
【請求項37】
前記組成物が、経口投与によって投与される、請求項36に記載の組成物
【請求項38】
前記組成物が、経口液体、固体、半固体剤形、注射液、皮膚/経皮剤形、眼科用剤形、吸入可能な組成物として製剤化される、請求項1~37のいずれか一項に記載の組成物
【請求項39】
前記組成物が、吸入可能な粉末、注射液、液体、ゲル、固体、カプセル、点眼薬、又は錠剤として製剤化される、請求項38に記載の組成物
【請求項40】
前記組成物が、1日1回、1日2回、1日3回、又は1日1回未満の頻度で投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の組成物
【請求項41】
前記組成物が、1日当たり1回用量、2回用量又は3回用量で投与される、請求項40に記載の組成物
【国際調査報告】