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特表2023-534138道路障壁の移動を管理するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-08
(54)【発明の名称】道路障壁の移動を管理するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/08 20060101AFI20230801BHJP
【FI】
E01F15/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022579717
(86)(22)【出願日】2021-06-21
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 US2021038202
(87)【国際公開番号】W WO2021262578
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】16/911,963
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521209214
【氏名又は名称】リンゼー トランスポーテーション ソリューションズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】プロヴァズニク, リチャード エドワード
(72)【発明者】
【氏名】ダイク, ゲリット エイ.
(72)【発明者】
【氏名】エルモア, マシュー エイ.
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA07
2D101EA07
2D101FA02
2D101HA00
(57)【要約】
道路障壁移送機は、不正確な目視観察及び時代遅れのスクリプトへの依存を必要とせずに道路障壁スパンの望ましくない移動を低減する改良されたキャプスタン制御システムを含む。障壁移送機は、移動可能なシャーシと、入口スナウトと、出口スナウトと、コンベヤシステムと、キャプスタンシステムと、キャプスタン制御システムとを含む。キャプスタン制御システムは、道路障壁スパンの引張及び圧縮を所望の範囲内に維持してスパンの望ましくない移動を低減するようにキャプスタンシステムを自動的に動作させる又は移送機のオペレータに命令を与える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互接続された道路障壁のスパンを拾い上げて再配置するための障壁移送機であって、
相互接続された道路障壁の前記スパンを路面上の第1の位置から拾い上げるために前記障壁移送機の前端部に装着される入口スナウトと、
相互接続された道路障壁の前記スパンを前記第1の位置とは異なる第2の位置で路面上に戻すために前記障壁移送機の後端部に装着される出口スナウトと、
相互接続された道路障壁の前記スパンを前記入口スナウトから前記出口スナウトに搬送するために前記入口スナウトと前記出口スナウトとの間に配置されるコンベヤシステムと、
相互接続された道路障壁の前記スパンが前記コンベヤシステムによって搬送されている間に、相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を調整するためのキャプスタンシステムと、
前記キャプスタンシステムを動作させるための制御システムであって、
相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知するセンサからセンサデータを受信するためのデータ受信機と、
相互接続された道路障壁の前記スパンの前記引張又は圧縮が許容範囲外であるかどうかを決定するために前記センサデータを受信して解析するとともに、引張又は圧縮が前記許容範囲外である場合に相互接続された道路障壁の前記スパンにおける前記引張又は圧縮を調整するよう前記キャプスタンシステムの動作を制御するための処理システムと、
を備える制御システムと、
を備える障壁移送機。
【請求項2】
前記処理システムは、前記引張又は圧縮が前記許容範囲外である場合に前記キャプスタンシステムの動作を自動的に制御して相互接続された道路障壁の前記スパンにおける前記引張又は圧縮を調整するように、又は、前記引張又は圧縮が前記許容範囲外である場合に前記キャプスタンシステムの動作を制御して相互接続された道路障壁の前記スパンにおける前記引張又は圧縮を調整するように前記障壁移送機のオペレータに命令を与えるように更に動作可能である、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項3】
前記処理システムは、前記障壁移送機上に又は前記障壁移送機から離れて配置される、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項4】
相互接続された道路障壁の前記スパン内の障壁が可変長障壁であり、前記センサは、前記可変長障壁の長さを感知することによって相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知する、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項5】
相互接続された道路障壁の前記スパン内の障壁は、内部液圧シリンダを有する可変長障壁であり、前記センサは、前記内部液圧シリンダの圧力を感知することによって相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知する、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項6】
前記センサは、前記道路障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に相互接続された道路障壁の前記スパン内の道路障壁の位置を感知することによって相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知する、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項7】
前記センサは、前記道路障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に前記道路障壁の位置を感知するためのカメラを含む、請求項6に記載の障壁移送機。
【請求項8】
前記センサは、前記道路障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に前記道路障壁の位置を感知するためのGNSS受信機を前記道路障壁に含む、請求項6に記載の障壁移送機。
【請求項9】
前記路面は、道路、道路の路肩、橋梁面上の走行車線、橋梁面の路肩、駐車場、入口ランプ、又は、出口ランプである、請求項1に記載の障壁移送機。
【請求項10】
相互接続された道路障壁のスパンを拾い上げて再配置するための障壁移送機であって、相互接続された道路障壁の前記スパンが少なくとも1つの可変長障壁を含み、前記障壁移送機は、
前端部及び後端部を有する長尺で移動可能なシャーシと、
路面上の第1の位置から相互接続された道路障壁の前記スパンを拾い上げるために前記シャーシの前端部に装着される入口スナウトと、
相互接続された道路障壁の前記スパンを前記第1の位置とは異なる第2の位置で路面上に戻すために前記シャーシの前記後端部に装着される出口スナウトと、
相互接続された道路障壁の前記スパンを前記入口スナウトから前記出口スナウトに搬送するために前記入口スナウトと前記出口スナウトとの間で前記シャーシの下方に配置されるコンベヤシステムと、
相互接続された道路障壁の前記スパンが前記コンベヤシステムによって搬送されている間に、相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を調整するためのキャプスタンシステムと、
前記キャプスタンシステムを動作させるための制御システムであって、
相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知して前記引張又は圧縮を示すセンサデータを生成するセンサからデータを受信するためのデータ受信機であり、前記センサが、前記可変長障壁の状態を感知することによって相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知する、データ受信機と、
相互接続された道路障壁の前記スパンの前記引張又は圧縮が許容範囲外であるかどうかを決定するために前記センサデータを受信して解析するとともに、前記引張又は圧縮が許容範囲外である場合に、相互接続された道路障壁の前記スパンにおける前記引張又は圧縮を調整するように前記キャプスタンシステムの動作を制御するための処理システムと、
を備える制御システムと、
を備える障壁移送機。
【請求項11】
前記可変長障壁の前記状態が前記可変長障壁の長さである、請求項10に記載の障壁移送機。
【請求項12】
前記可変長障壁が内部液圧シリンダを有する、請求項10に記載の障壁移送機。
【請求項13】
前記可変長障壁の前記状態は、前記内部液圧シリンダが受ける圧力である、請求項12に記載の障壁移送機。
【請求項14】
前記可変長障壁の前記状態は、前記可変長障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前の前記可変長障壁の位置である、請求項10に記載の障壁移送機。
【請求項15】
前記センサは、前記可変長障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に前記可変長障壁の位置を感知するためのカメラを含む、請求項14に記載の障壁移送機。
【請求項16】
前記センサは、前記可変長障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に前記可変長障壁の位置を感知するためのGNSS又はGPS受信機を含む、請求項14に記載の障壁移送機。
【請求項17】
前記路面は、道路、道路の路肩、橋梁面上の走行車線、橋梁面の路肩、駐車場、入口ランプ、又は、出口ランプである、請求項10に記載の障壁移送機。
【請求項18】
相互接続された道路障壁のスパンを拾い上げて再配置するための障壁移送機であって、相互接続された道路障壁の前記スパンが少なくとも1つの可変長障壁を含み、前記障壁移送機は、
前端部及び後端部を有する長尺で移動可能なシャーシと、
路面上の第1の位置から相互接続された道路障壁の前記スパンを拾い上げるために前記シャーシの前記前端部に装着される入口スナウトと、
相互接続された道路障壁の前記スパンを前記第1の位置とは異なる第2の位置で路面上に戻すために前記シャーシの前記後端部に装着される出口スナウトと、
相互接続された道路障壁の前記スパンを前記入口スナウトから前記出口スナウトに搬送するために前記入口スナウトと前記出口スナウトとの間に配置されるコンベヤシステムと、
相互接続された道路障壁の前記スパンが前記コンベヤシステムによって搬送されている間に、相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を調整するためのキャプスタンシステムと、
前記キャプスタンシステムを動作させるための制御システムであって、
前記可変長障壁の長さを感知し、前記可変長障壁内の液圧シリンダの引張又は圧縮を感知し、又は、前記可変長障壁が前記スナウトによって拾い上げられる前に前記可変長障壁の位置を感知することによって相互接続された道路障壁の前記スパンにおける引張又は圧縮を感知するセンサからデータを受信するためのデータ受信機と、
相互接続された道路障壁の前記スパンの前記引張又は圧縮が許容範囲外であるかどうかを決定するために前記センサデータを受信して解析するとともに、前記引張又は圧縮が許容範囲外である場合に、相互接続された道路障壁の前記スパンにおける前記引張又は圧縮を調整するように前記キャプスタンシステムの動作を制御するための処理システムと、
を備える制御システムと、
を備える障壁移送機。
【請求項19】
前記データ受信機は、前記可変長障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に前記可変長障壁の位置を感知するためのカメラからデータを受信するように更に構成される、請求項18に記載の障壁移送機。
【請求項20】
前記データ受信機は、前記可変長障壁が前記入口スナウトによって拾い上げられる前に前記可変長障壁の前記位置を感知するためのGNSS又はGPS受信機からデータを受信するように更に構成される、請求項18に記載の障壁移送機。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
移動可能な道路障壁(バリア)システムは、対向車線間に交通障壁を作り出すために道路上に配置されることが多い。恒久的な障壁とは異なり、移動可能な道路障壁システムは、空間のより効率的な利用を行なって、車両容量を増大させ、交通渋滞を減らすために再配置される場合がある。例えば、そのような道路障壁システムは、ピーク交通の方向により多くの車線を提供するために及び/又は建設作業員のための作業領域空間を形成するために、周期的に前後に移動される場合がある。
【0002】
典型的な移動可能な道路障壁システムは、長尺な連動道路障壁スパンを形成するために、鋼ピン及び/又はテンショニングヒンジ機構で終端間接続される多数の鋼補強コンクリート道路障壁を含む。道路障壁スパンの横方向移動を支援するために、選択された間隔でスパンに可変長障壁が付加される場合がある。
【0003】
これらの道路障壁システムは、設置された時点で、障壁移送機により拾い上げられて移動され得る。典型的な障壁移送機は、相互接続された道路障壁のスパンを拾い上げるための入口スナウトと、道路障壁を異なる場所の路面上に戻すための出口スナウトと、道路障壁を入口スナウトから出口スナウトへ搬送するための湾曲コンベヤシステムとを含む。道路障壁と可変長障壁内の機構とを接続するピン及び/又はヒンジ機構は、道路の一方側から他方側へのスパンの横方向の移送を支援するためにスパンが拾い上げられるときに全スパンが伸張及び/又は圧縮できるようにする。
【0004】
しかしながら、道路障壁は非常に重いため、それらが起伏のある道路上又は他の傾斜面上で移送されるときに下り坂に移動することが多く、その結果、斜面の下端付近のスパンの部分で過度の圧縮をもたらし、斜面の上端付近のスパンの部分で過度の引張をもたらす。これらの圧縮力又は引張力は、その後に道路障壁を拾い上げて再配置することを困難にし、場合によっては不可能にする可能性があり、時間のかかる是正措置を必要とする。
【0005】
これらの圧縮/引張の問題を軽減するために、多くの障壁移送機は、それらが吊り下げられて再配置される間に道路障壁スパンをそれらの元の長手方向位置付近に保つのに役立つキャプスタンシステムを含む。しかし、多くのキャプスタンシステムは、目視観察及び手動制御を必要とし、したがって、特に経験の浅いオペレータにとって、正確に動作することがしばしば困難である。したがって、そのようなシステムは、圧縮/引張の問題を軽減しないことがあり、場合によってはそれらの問題を悪化させる。幾つかのキャプスタンシステムは、予めプログラムされたスクリプトを介して自動的に制御されるが、そのようなスクリプトは、一般に、スパンが最初に設置されるときの道路の特性及び道路障壁スパンの状態のみを考慮し、スパンが経時的に繰り返し再配置されるときにスパンが受ける実際の圧縮/引張の問題を考慮することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述の問題及び関連する問題を解決し、道路障壁(バリア)移送機の技術分野における明確な進歩を提供する。より詳細には、本発明は、不正確な目視観察及び停滞したスクリプトへの依存を必要とせずに道路障壁スパンの望ましくない移動を低減する改良されたキャプスタン制御システムを伴う道路障壁移送機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態にしたがって構成される障壁移送機は、概して、移動可能なシャーシ、入口スナウト、出口スナウト、コンベヤシステム、キャプスタンシステム、及び、前述のキャプスタン制御システムを備える。
【0008】
シャーシは、前端部及び後端部を有し、従来のエンジン、変速機、並びに、関連する機械的及び電気的構成要素によって駆動されるホイール、ベルト、又は、他の接地牽引要素に乗る。一実施形態では、シャーシの各端部に1つずつ、2つのオペレータ運転室がシャーシに支持される。移送機はいずれの方向にも駆動することができるが、一般的には、キャプスタンシステム制御を担うことができるのは常に運転室のうちの1つだけである。移送機の他の実施形態は、ただ1つの運転室を有してもよく又は全く運転室を有しなくてもよく、代わりに遠隔又は自律的に制御される。
【0009】
障壁移送機の両方のスナウトは、移送機のいずれかの端部が前方にあり得るため、道路障壁を拾い上げて降ろすことができる。本明細書で使用されるように、入口スナウトは、現在前方にあって路面上の第1の位置から道路障壁スパンを拾い上げるシャーシの端部のスナウトとして規定され、また、出口スナウトは、現在後方にあって第1の位置とは異なる第2の位置で路面上にスパンを戻すシャーシの端部のスナウトとして規定される。
【0010】
コンベヤシステムは、シャーシの下方に延在し、入口スナウトから出口スナウトまで道路障壁スパンを搬送する。一実施形態において、コンベヤシステムは、シャーシの底部に取り付けられた「S」字形の構造フレームと、移送動作中に移送機を通じて障壁を拾い上げて運ぶフレームによって支持されるボギーのアレイとから成る。
【0011】
キャプスタンシステムは、コンベヤシステムに沿って装着され、道路障壁がコンベヤシステムによって吊り下げられる間に道路障壁スパンにおける引張又は圧縮を調整するように動作され得る。一実施形態において、キャプスタンシステムは、コンベヤシステムの両側の2つの大きなキャプスタンホイール、液圧シリンダ、リンケージ、及び/又は、キャプスタンシステムを通過する際に道路障壁に対してホイールを付勢するための他の機構、並びに、道路障壁に様々な前方圧力又は後方圧力を加えるためにホイールを駆動するためのモータ及びポンプを備える。
【0012】
本発明の重要な態様によれば、制御システムは、道路障壁スパンの引張及び圧縮を所望の範囲内に維持してスパンの望ましくない移動を低減するようにキャプスタンシステムを自動的に動作させる又は移送機のオペレータに命令を与える。重要なことに、制御システムは、キャプスタンシステムの完全な手動制御又は予めプログラムされたスクリプトに依存しない。制御システムの一実施形態は、概して、少なくとも1つのセンサからデータを受信するためのデータ受信機と、センサデータを受信して解析するための処理システムとを含む。
【0013】
データ受信機は、有線接続又は無線接続のいずれかを介して様々なセンサからデータを受信することができる。一実施形態において、センサのうちの1つは、スパンにおける引張又は圧縮を感知し、対応するセンサデータを生成する。センサは、可変長バリケードのうちの1つの内部液圧シリンダ内の圧力を感知する圧力トランスデューサであってもよい。幾つかの実施形態では、スパン内の可変長バリケードの幾つか又は全てに圧力トランスデューサを装備することができる。
【0014】
他の実施形態において、センサのうちの少なくとも1つは、可変長障壁のうちの1つの長さを測定するように構成される線形測定センサ、光学センサ、又は、他のセンサであってもよい。
【0015】
他の実施形態において、センサは、道路障壁が拾い上げられる前に道路障壁のうちの少なくとも幾つかの位置を感知するために移送機の入口スナウトに装着されるカメラであってもよい。他の実施形態において、センサは、障壁が拾い上げられる前に障壁の位置を決定するために障壁のうちの少なくとも1つに装着されるGPS受信機であってもよい。
【0016】
処理システムは、スパンの引張又は圧縮が許容範囲内にあるかどうかを決定するために、基準データと共にセンサデータを受信して解析する。そうでない場合、処理システムは、スパンにおける引張又は圧縮を調整するためにキャプスタンシステムの動作を自動的に制御する又はオペレータに制御命令を与える。例えば、道路障壁スパンが過剰な張力を受けていると処理システムが決定する場合、処理システムは、過剰な張力の一部を緩和するためにスパンに適切な大きさの前方回転圧力を加えるようにキャプスタンシステムに指示する又は対応する命令をオペレータに与える。逆に、道路障壁スパンが過度の圧縮を受けていると処理システムが決定する場合、処理システムは、過剰な圧縮の一部を緩和するためにスパンに適切な大きさの後方回転圧力を加えるようキャプスタンシステムに指示する又は対応する命令をオペレータに与える。
【0017】
この概要は、以下の詳細な説明で更に説明される概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。この概要は、特許請求の範囲に記載される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求の範囲に記載される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。本発明の他の態様及び利点は、以下の実施形態の詳細な説明及び添付図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の実施形態は、添付図面に関連して以下に詳細に説明される。
図1】本発明の実施形態にしたがって構成される障壁移送機の上面斜視図である。
図2】障壁移送機の正面図又は背面図である。
図3】障壁移送機の側面図である。
図4】障壁移送機の上面図である。
図5】障壁移送機の底面図である。
図6】道路障壁スパンを道路の一方側から他方側に移動させることを示す障壁移送機の上面図である。
図7】道路障壁のスパンを拾い上げることを示す障壁移送機の部分正面斜視図である。
図8】道路障壁のスパンを拾い上げて再配置することを示す障壁移送機の側面図である。
図9】キャプスタンシステムをより良く示すための図8の9-9線に沿う障壁移送機の垂直断面図である。
図10】固定された道路障壁の右側面斜視図である。
図11】固定された道路障壁の左側面斜視図である。
図12】その引き込み位置で示される可変長道路障壁の斜視図である。
図13】その中間ストローク又は中立位置で示される可変長道路障壁の斜視図である。
図14】完全伸長位置で示される可変長道路障壁の斜視図である。
図15】典型的な道路障壁スパンの斜視図である。
図16】障壁移送機のキャプスタン制御システムの構成要素を示すブロック図である。 図面は、本明細書に開示及び記載された特定の実施形態に本発明を限定するものではない。図面は、必ずしも原寸に比例しておらず、むしろ本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、図面及び最初に図1を参照すると、本発明の実施形態にしたがって構成される障壁(バリア)移送機10が示される。図6に示されるように、障壁移送機10は、相互接続された道路障壁のスパン12を拾い上げて再配置することにより、ピーク交通の方向でより多くの車線を提供して、建設作業員のための作業領域空間を作成し、或いはさもなければ、道路空間のより効率的な利用を行なって、車両容量を増大させ、及び/又は、交通渋滞を軽減するように構成される。
【0020】
障壁移送機10によって拾い上げられて再配置され得る道路障壁の典型的なスパン12が図15に示される。スパン12は、任意の長さであってもよく、任意の数の固定長道路障壁14及び可変長障壁16を含んでもよい。幾つかの実施形態において、障壁14,16は、以下でより詳細に説明する鋼ピン及び/又はテンショニングヒンジ機構で終端間接続される。
【0021】
固定長障壁14の例が図10及び図11に示される。障壁14は、任意のタイプ、形状、及びサイズであってもよく、高強度コンクリート又はコンクリートが充填された高強度鋼フレームなどの任意の適切な材料から形成されてもよい。一実施形態において、障壁14は、図9に示されて以下で説明されるように、障壁移送機のボギーホイールによって拾い上げられて再配置され得るように、T字形の上端18を有する。
【0022】
図10及び図11に戻ると、各障壁14の一方側は、固定されて離間した接続フランジ20を含み、反対側は、離間した反作用引張要素22を含む。鋼ロッド24が、隣り合う障壁がそれらを相互接続するように位置合わせされるときに、隣り合う障壁のフランジ20及び引張要素22の穴に挿通されてもよい。反作用引張要素22は、障壁が張力下又は圧縮下にあるときに、隣り合う障壁が互いに対して長手方向に移動できるようにする。他の実施形態において、固定長障壁は、反作用引張要素を有さなくてもよいが、代わりに、隣り合う障壁間の長手方向の何らかの長手方向の動きに対応するために「緩慢なヒンジ」を形成するより大きな穴を接続フランジに有してもよい。
【0023】
可変長障壁16の例が図12図14に示される。障壁は、任意の形状及びサイズであってもよく、外側フレーム26と、障壁が引張力又は圧縮力を受けるときに外側フレーム26に出入りすることができる内側伸縮構造体28とをそれぞれが有する。また、可変長障壁は、鋼ロッド32を伴う隣り合う障壁の接続フランジと位置合わせされてこれに相互接続され得る接続フランジ30も含む。伸縮内側構造体28の動きは、内部液圧シリンダ又は他の液圧又はばね機構によって抵抗される。
【0024】
図12は、液圧シリンダ又は他の付勢機構を完全に圧縮するのに十分な大きさの圧縮力を受けたときの完全引き込み又は圧縮状態の可変長障壁16を示す。図14は、液圧シリンダ又は他の付勢機構を完全に伸長させるのに十分な大きさの引張力を受けたときの完全伸長状態の障壁16を示す。図13は、圧縮力又は引張力を受けていないときのその中立状態又は定常状態にある障壁を示す。可変長障壁の典型的な実施形態の更なる詳細は、参照によりその全体が本願に組み入れられる米国特許第6,439,802号に開示される。
【0025】
ここで、障壁移送機10の態様についてより詳しく説明する。障壁移送機の一実施形態は、概して、移動可能なシャーシ34と、入口スナウト36と、出口スナウト38と、コンベヤシステム40と、キャプスタンシステム42と、キャプスタンシステムを制御する制御システム44とを備える。
【0026】
シャーシ34は、移送機が走行する道路と本質的に平行なほぼ長手方向の軸に沿って配置される両端部を有する。シャーシのいずれかの端部は、移送機の走行方向に応じて前端部又は後端部であってもよい。本明細書で使用する場合、前端部は、道路障壁が現在拾い上げられている端部として規定され、後端部は、道路障壁が現在降ろし戻して配置されている端部として規定される。シャーシ34は、ホイール46、ベルト、又は、従来のエンジン、変速機、及び関連する機械的及び電気的構成要素によって駆動される他の接地牽引要素に乗っている。
【0027】
一実施形態において、障壁移送機10は、シャーシ34の各端部に1つずつ、2つの運転室48,50を備える。移送機10はどちらの方向にも駆動することができるが、一般的には、運転室のうちの1つのオペレータのみが任意の時点でキャプスタン制御を担当することができる。通常、制御中の運転室は、移送機が走行している方向を指す移送機の端部の運転室である。移送機の他の実施形態は、1つの運転室のみを有してもよく又は運転室を全く有しなくてもよい。幾つかの実施形態において、障壁移送機10は、直接的なオペレータ制御を伴わない自律動作又は何らかのオペレータ制御を伴う半自律動作をもたらす様々なセンサ及び制御器を含むことができる。
【0028】
入口スナウト36は、シャーシの前端部に装着されるとともに、路面上の第1の位置から道路障壁スパンを拾い上げるように構成され、また、出口スナウト38は、スパンを路面上の第1の位置とは異なる第2の位置に戻すためにシャーシの後端部に装着される。スナウトは、道路障壁が拾い上げられる及び/又は降ろされるときの道路障壁用のガイドとしての機能を果たすとともに、移送機のオペレータによって移動及び調整されて、スナウトを到来する道路障壁及び所望の配置位置と位置合わせすることができる。各スナウト36,38は、後述するコンベヤフレーム上に支持されるボギーアセンブリ52のアレイを含む。各ボギーアセンブリ52は、移送機の走行方向に応じて障壁を拾い上げ、運び、及び/又は、敷設する幾つかのキャリアホイール54を備える。
【0029】
コンベヤシステム40は、障壁移送機の下方で延在するとともに、入口スナウト36から出口スナウト38まで道路障壁のスパンを搬送するように構成される。コンベヤシステム40は、スナウト36,38に接続される直線セクション、ターンセクション、及び、拾い上げ/敷設セクションを含む複数のアセンブリ及びセクションから構成されてもよい。図5に最も良く示されるように、コンベヤシステム40の一実施形態は、移送機の底部に取り付けられたS字形又はさもなければ湾曲した構造フレーム56と、フレームに支持されたボギーアセンブリ52のアレイとを備える。各ボギーアセンブリ52は、障壁移送動作中に移送機を通じて障壁を拾い上げて運ぶ幾つかのキャリアホイール54を備える。
【0030】
キャプスタンシステム42は、コンベヤシステム40に沿って装着されるとともに、障壁スパンを道路に対するその当初の長手方向位置に維持しようとしてコンベヤシステムによって搬送されている間に道路障壁スパン12における引張又は圧縮を調整する。キャプスタンシステム42は、起伏のある領域、斜面、及び、道路が傾斜し得る他の状況において特に重要である。キャプスタンシステムがなければ、重い障壁は、拾い上げられて移送されるときに下方に移動する。障壁の移動は、傾斜面の上端で過度の引張を引き起こすとともに下端に向けて圧縮を引き起こし、スパンを移動させることを困難にし、場合によっては移動させることさえ不可能にする。
【0031】
図5及び図9に最も良く示されるように、キャプスタンシステム42の一実施形態は、コンベヤシステムの両側の一対の大きなキャプスタンホイール58、液圧シリンダ、リンケージ、又は、道路障壁が通過するときに道路障壁に対してホイールを付勢するための他の機構60、並びに、道路障壁に様々な前後の圧力を加えるようにホイールを駆動するためのモータ及びポンプを備える。キャプスタンシステム42は、障壁がコンベヤシステム42上を通過するときに障壁をキャプスタンホイール58でクランプするとともに障壁に順方向又は逆方向の回転圧力を加えることによって機能する。これにより、スパンにおける過度の引張又は圧縮が緩和され、障壁の移動が減少し、及び/又は、障壁が互いに対して再配置される。
【0032】
従来技術の道路障壁移送機では、キャプスタンシステムが、オペレータによって手動で又は予めプログラムされたスクリプトで制御される。手動制御は、道路障壁が拾い上げられているときの道路障壁の目視観察と、キャプスタンホイールによって加えられる前方又は後方回転圧力に合わせたオンザフライ調整とを必要とする。そのような手動操作は、特に経験の浅いオペレータにとっては、しばしば不正確で一貫性がなく、したがって、圧縮/引張の問題を軽減しないことがあり、時にそれらを悪化させることがある。予めプログラムされたスクリプトによる制御は、より一貫性があり、予測可能であり得るが、スクリプトは、一般に、スパンが最初に設置されるときの道路の特性及び道路障壁スパンの状態のみを考慮し、スパンが経時的に繰り返し再配置されるときにスパンが受ける実際の圧縮/引張の問題を考慮しない。
【0033】
本発明のキャプスタン制御システム44は、不正確な目視観察、手動制御、及び、時代遅れのスクリプトを伴うことなく道路障壁スパン12の望ましくない移動を減らすようにキャプスタンシステム42を制御することによって前述の問題を解決する。以下でより詳細に説明するように、制御システム44は、道路障壁スパン12における実際の引張力及び/又は圧縮力を監視し、過度の引張又は圧縮を緩和してスパンの望ましくない移動を減らすようにキャプスタンシステム42を自動的に動作させる又は移送機10のオペレータに命令を与える。
【0034】
制御システム44の一実施形態が図16に示されており、この制御システムは、概して、少なくとも1つのセンサ64からデータを受信するためのデータ受信機62と、センサデータ及び基準データを受信及び解析して、キャプスタンシステム42又はユーザインタフェース70に適切な命令を与えるための処理システム66とを備える。制御システム44は、スタンドアロン制御システムであってもよく、又は、既存のキャプスタン制御システムを含む障壁移送機10の他の制御システムに組み込まれてもよい。
【0035】
データ受信機62は、有線又は無線接続を介してデータを受信することができる任意のデバイスであってもよい。データ受信機は、Bluetooth通信、無線周波数(RF)通信、近距離無線通信(NFC)、及び/又は、携帯電話ネットワーク、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、3G、又は他のモバイルデータネットワーク、及び/又はワールドワイド・インターオペラビリティ・フォー・マイクロウェーブ・アクセス(WiMAX)などで使用するための有線又は無線ネットワークアダプタ又は無線データトランシーバであってもよく或いはそれらを含んでもよい。
【0036】
図16に示されるように、データ受信機62は、道路障壁の幾つか及び/又は障壁移送機10自体に装着される1つ以上のセンサ64からデータを受信する。センサ64は、道路障壁スパンの引張又は圧縮を表わすパラメータを感知し、対応するセンサデータを生成する。
【0037】
一実施形態において、センサ64のうちの少なくとも1つは、可変長障壁16のうちの1つの中又は上に装着された圧力トランスデューサである。センサは、可変長障壁16の内部液圧シリンダ内及び/又は液圧シリンダに接続されたバルブ内の圧力を監視することによって障壁スパンにおける引張又は圧縮を感知する。幾つかの実施形態では、スパン12内の可変長障壁16のそれぞれに圧力トランスデューサを装着することができる。この実施形態において、各センサは、処理システム66による解析のためにセンサデータをデータ受信機62に送信するための無線送信機などの通信要素を含む又はそれに接続される。
【0038】
他の実施形態において、センサ64のうちの少なくとも1つは、可変長障壁16のうちの1つの長さを測定するように構成される線形測定センサ、光学センサ、又は、他のセンサであってもよい。可変長障壁16の長さは、障壁スパンにおける引張又は圧縮と関連付けられる。例えば、図12に示されるような完全引き込み状態(最短長)の可変長障壁は、圧縮されており、スパン全体が圧縮されていることを示し、図13に示されるような中立状態の可変長障壁は過度の圧縮力又は引張力を受けず、及び、図12に示されるような完全伸長状態(最大長)の可変長障壁は、張力を受けており、スパン全体が張力を受けていることを示す。幾つかの実施形態において、長さを測定するように構成される線形測定センサ、光学センサ、又は他のセンサは、スパン12内の可変長バリケード16上又はこれらのそれぞれに装着されてもよい。これらの実施形態において、各センサは、処理システム66による解析のためにセンサデータをデータ受信機62に送信するための無線送信機などの通信要素を含む又はそれに接続される。
【0039】
他の実施形態において、センサ64のうちの少なくとも1つは、道路障壁の少なくとも幾つかが拾い上げられて関連する位置データを生成する前にそれらの位置を感知するために障壁移送機10の入口スナウト36に装着されるカメラであってもよい。長手方向に移動した障壁はスパンにおける引張又は圧縮を示すため、障壁の位置は、障壁スパンにおける引張又は圧縮と関連付けられる。
【0040】
更に他の実施形態において、センサ64のうちの少なくとも1つは、GPS受信機、Glonass受信機、Galileo受信機、又は衛星からナビゲーション信号を受信して信号に応じて障壁の位置を計算するように動作可能なコンパスシステム受信機などの全地球航法衛星システム(GNSS)受信機であってもよい。GNSS受信機は、1つ以上のプロセッサ、コントローラ、又は他のコンピューティングデバイスと、プロセッサ又は他のコンピューティングデバイスによってアクセス及び/又は生成された情報を格納するためのメモリとを含むことができ、パッチアンテナ、ヘリカルアンテナ、又は任意の他のタイプのアンテナを含む又はそれらと結合することができる。GNSS受信機は、障壁が拾い上げられて関連する位置データを生成する前に障壁の位置を決定するために障壁のうちの少なくとも1つに装着されてもよい。
【0041】
前述したように、長手方向に移動した障壁はスパンにおける引張又は圧縮を示すため、障壁の位置は障壁スパンにおける引張又は圧縮と関連付けられる。この実施形態において、各センサは、処理システム66による解析のためにセンサデータをデータ受信機62に送信するための無線送信機などの通信要素を含む又はそれに接続される。
【0042】
幾つかの実施形態では、制御システム44は、幾つかの異なるタイプのセンサからデータを受信することができる。例えば、データ受信機62は、可変長バリケードの一部又は全部に装着された圧力トランスデューサ、可変長バリケードの一部又は全部に装着された長さ測定センサ、障壁移送機の入口スナウトに装着されたカメラ、及び、道路障壁の一部に装着された1つ以上のGPS又はGNSS受信機からデータを受信することができる。
【0043】
また、制御システム44は、障壁移送機内の別の制御システムにおける常駐メモリ、外部コンピュータ、及び/又は、移送機のオペレータによって使用される、コンピュータ、スマートフォン、及び他の電子デバイスなどの他のデータソース68から基準データ及び他のデータを受信することもできる。そのようなデータは、道路障壁の予想位置もしくは基準位置、可変長道路障壁の予想長さもしくは基準長さ、可変長道路障壁内の液圧構成要素の予想圧力読み取り値もしくは基準圧力読み取り値、及び/又は道路障壁スパンが過剰な圧縮力もしくは引張力を受けているかどうかを決定するために処理システム66によって解析されてセンサデータと比較される他のデータを含むことができる。
【0044】
処理システム66は、センサデータ、及び幾つかの実施形態ではデータソース68からの他のデータを受信及び解析して、道路障壁スパン12の引張又は圧縮が許容範囲内にあるかどうかを決定する。許容範囲内にない場合、処理システムは、スパンにおける引張又は圧縮を調整するためにキャプスタンシステム42の動作を自動的に制御する又はユーザインタフェース70を介してオペレータに制御命令を与える。例えば、道路障壁スパン12が過剰な張力を受けていると処理システム66が決定する場合、処理システム66は、過剰な張力の一部を緩和するためにスパンに適切な大きさの前方回転圧力を加えるようにキャプスタンシステム42に指示する。逆に、道路障壁スパン12が過剰圧縮を受けていると処理システムが決定する場合、処理システムは、過剰圧縮の一部を緩和するためにスパンに適切な大きさの後方回転圧力を加えるようにキャプスタンシステムに指示する。
【0045】
処理システム66は、前述の解析を実行するために様々な異なる方法でプログラム又は他の方法で構成されてもよい。例えば、センサデータが可変長障壁に装着された圧力トランスデューサからのものである場合、処理システム66は、液圧シリンダの圧力読み取り値を監視し、この読み取り値を、可変長障壁が図13に示されるそれらの中立位置にあるときに取得された定常状態の圧力読み取り値と比較し、現在の圧力読み取り値と定常状態の読み取り値との間の差異の大きさに基づいて、道路障壁が過度の引張又は圧縮を受けているかどうかを決定することができる。次いで、処理システム66は、キャプスタンシステム42の動作を自動的に制御してスパンにおける引張又は圧縮を調整する又はユーザインタフェース70を介してオペレータに制御命令を与える。
【0046】
センサデータが障壁移送機10の入口スナウト36に装着されたカメラからのものである場合、処理システム66は、センサデータを受信して解析し、道路障壁の現在位置を予想又は所望の位置と比較して、道路障壁のスパンが過度の引張又は圧縮を受けているかどうかを決定する。過度の引張又は圧縮を受けている場合、処理システム66は、スパンにおける引張又は圧縮を調整するためにキャプスタンシステム42の動作を自動的に制御する又はユーザインタフェース70を介してオペレータに制御命令を与える。
【0047】
同様に、センサデータが障壁のうちの少なくとも1つに装着されたGPS又は他のGNSS受信機からのものである場合、処理システム66は、センサデータを受信及び解析し、道路障壁の現在位置を予想又は所望の位置と比較して、道路障壁のスパンが過度の引張又は圧縮を受けているかどうかを決定する。過度の引張又は圧縮を受けている場合、処理システムは、スパンにおける引張又は圧縮を調整するためにキャプスタンシステムの動作を自動的に制御する又はユーザインタフェース70を介してオペレータに制御命令を与える。
追加の考慮事項
【0048】
本明細書において、「1つの実施形態」、「一実施形態」、又は「実施形態」への言及は、言及されている1つ以上の特徴が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書における「1つの実施形態」、「一実施形態」又は「実施形態」への別々の言及は、必ずしも同じ実施形態を指すものではなく、そのように述べられていない限り、及び/又は説明から当業者に容易に明らかになる場合を除いて、相互に排他的でもない。例えば、一実施形態で説明した特徴、構造、動作などは、他の実施形態に含まれてもよいが、必ずしも含まれなくてもよい。したがって、現在の技術は、本明細書に記載の実施形態の様々な組み合わせ及び/又は統合を含むことができる。
【0049】
本出願は、多数の異なる実施形態の詳細な説明を記載しているが、説明の法的範囲は、この特許の最後に記載された特許請求の範囲の文言及び均等物によって定義される。詳細な説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、全ての可能な実施形態を説明することは非現実的であるため、全ての可能な実施形態を説明するものではない。現在の技術又は本特許の出願日後に開発された技術のいずれかを使用して、多数の代替実施形態を実施することができ、これらは依然として特許請求の範囲内に含まれる。
【0050】
本明細書を通して、複数の事例は、単一の事例として説明された構成要素、動作、又は構造を実装することができる。1つ以上の方法の個々の動作は別個の動作として図示及び説明されているが、個々の動作のうちの1つ以上は同時に実行されてもよく、動作が図示の順序で実行されることを必要とするものはない。例示的な構成において別個の構成要素として提示される構造及び機能は、組み合わされた構造又は構成要素として実装されてもよい。同様に、単一の構成要素として提示された構造及び機能は、別個の構成要素として実装されてもよい。これら及び他の変形、修正、追加、及び改良は、本明細書の主題の範囲内にある。
【0051】
特定の実施形態は、論理又は幾つかのルーチン、サブルーチン、アプリケーション、又は命令を含むものとして本明細書に記載されている。これらは、ソフトウェア(例えば、機械可読媒体又は送信信号で具現化されたコード)又はハードウェアのいずれかを構成し得る。ハードウェアでは、ルーチンなどは、特定の動作を実行することができる有形のユニットであり、特定の方法で構成又は配置され得る。例示的な実施形態では、1つ以上のコンピュータシステム(例えば、スタンドアロン、クライアント又はサーバコンピュータシステム)又はコンピュータシステムの1つ以上のハードウェアモジュール(例えば、プロセッサ又はプロセッサのグループ)は、本明細書に記載の特定の動作を実行するように動作するコンピュータハードウェアとしてのソフトウェア(例えば、アプリケーション又はアプリケーション部分)によって構成されてもよい。
【0052】
様々な実施形態において、処理システム66、他の処理要素などのコンピュータハードウェアは、専用又は汎用として実装されてもよい。例えば、処理システム66は、特定用途向け集積回路(ASIC)などの永続的に構成されるか、又はFPGAなどの特定の動作を実行するように無期限に構成される専用回路又は論理を備えることができる。処理システム66はまた、特定の動作を実行するようにソフトウェアによって一時的に構成されたプログラマブル論理又は回路(例えば、汎用プロセッサ又は他のプログラマブルプロセッサに包含されるように)を備える。処理システムを専用として、専用の恒久的に構成された回路として、又は汎用(例えば、ソフトウェアによって構成される)として実装する決定は、コスト及び時間の考慮によって決定され得ることが理解される。
【0053】
したがって、「処理システム」という用語又は同等物は、有形の実体を包含するものと理解されるべきであり、それは、特定の方法で動作するか、又は本明細書に記載の特定の動作を実行するように物理的に構築されるか、恒久的に構成される(例えば、ハードワイヤード)か、又は一時的に構成される(例えば、プログラムされている)実体である。処理システムが一時的に構成される(例えば、プログラムされている)実施形態を考慮すると、各処理要素は、任意の1つのインスタンスで時間的に構成又はインスタンス化される必要はない。例えば、処理システムがソフトウェアを使用して構成された汎用プロセッサを含む場合、汎用プロセッサは、異なる時点でそれぞれ異なる処理要素として構成されてもよい。したがって、ソフトウェアは、ある時点でハードウェア構成を構成し、異なる時点で異なるハードウェア構成を構成するように処理要素を構成することができる。
【0054】
処理システム66、データ受信機62、関連するメモリ要素、処理要素などのコンピュータハードウェア構成要素は、他のコンピュータハードウェア構成要素に情報を提供し、他のコンピュータハードウェア構成要素から情報を受信することができる。例えば、処理システム66の一部分は、クラウドコンピューティングネットワークの一部であってもよい。したがって、記載されたコンピュータハードウェア構成要素は、通信可能に結合されていると見なされてもよい。複数のそのようなコンピュータ・ハードウェア・コンポーネントが同時に存在する場合、通信は、コンピュータ・ハードウェア・コンポーネントを接続する信号伝送(例えば、適切な回路及びバスを介して)によって達成されうる。複数のコンピュータハードウェア構成要素が異なる時間に構成又はインスタンス化される実施形態では、そのようなコンピュータハードウェア構成要素間の通信は、例えば、複数のコンピュータハードウェア構成要素がアクセスするメモリ構造内の情報の記憶及び検索によって達成され得る。例えば、1つのコンピュータハードウェア構成要素は、動作を実行し、その動作の出力を、それが通信可能に結合されているメモリデバイスに記憶することができる。その後、更なるコンピュータハードウェア構成要素は、記憶された出力を取り出して処理するためにメモリ装置にアクセスすることができる。コンピュータハードウェア構成要素はまた、入力又は出力デバイスとの通信を開始することができ、リソース(例えば、情報の集合)上で動作することができる。
【0055】
本明細書に記載の例示的な方法の様々な動作は、少なくとも部分的に、関連する動作を実行するように一時的に(例えば、ソフトウェアによって)又は恒久的に構成された1つ以上の処理要素によって実行されてもよい。一時的に又は永続的に構成されるかにかかわらず、そのような処理要素は、1つ以上の動作又は機能を実行するように動作する処理要素実装モジュールを構成することができる。本明細書で言及されるモジュールは、幾つかの例示的な実施形態では、処理要素実装モジュールを含み得る。
【0056】
同様に、本明細書に記載の方法又はルーチンは、少なくとも部分的に処理要素が実装されてもよい。例えば、方法の動作の少なくとも一部は、1つ以上の処理要素又は処理要素実装ハードウェアモジュールによって実行されてもよい。特定の動作の実行は、単一の機械内に存在するだけでなく、幾つかの機械にわたって展開される1つ以上の処理要素間で分散されてもよい。幾つかの例示的な実施形態では、処理要素は単一の場所に(例えば、家庭環境内、オフィス環境内、又はサーバファームとして)配置されてもよく、他の実施形態では、処理要素は複数の場所に分散されてもよい。
【0057】
特に明記しない限り、「処理」、「演算」、「計算」、「決定」、「提示」、「表示」などの単語を使用する本明細書の説明は、1つ以上のメモリ(例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はそれらの組み合わせ)、レジスタ、又は情報を受信、記憶、送信、又は表示する他の機械構成要素内の物理(例えば、電子的、磁気的、又は光学的)量として表されるデータを操作又は変換する機械(例えば、処理要素及び他のコンピュータハードウェア構成要素を有するコンピュータ)の動作又はプロセスを指すことができる。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されず、明示的に列挙されていない、又はそのようなプロセス、方法、物品、又は装置に固有の他の要素を含むことができる。
【0059】
本特許出願の最後の特許請求の範囲は、「~するための手段」又は「~するためのステップ」などの従来のミーンズプラスファンクションの文言が請求項に明示的に記載されていない限り、35U.S.C.§112(f)の下で解釈されることを意図していない。
【0060】
添付の図面に示された実施形態を参照して本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、均等物を使用し、本明細書で置換することができることに留意されたい。
【0061】
このように本発明の様々な実施形態を説明してきたが、新規であり、特許文献によって保護されることが望まれるものには、以下が含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】